(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024105009
(43)【公開日】2024-08-06
(54)【発明の名称】電池セル及び電池セルの製造方法
(51)【国際特許分類】
H01M 50/15 20210101AFI20240730BHJP
H01M 50/169 20210101ALI20240730BHJP
【FI】
H01M50/15
H01M50/169
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023009501
(22)【出願日】2023-01-25
(71)【出願人】
【識別番号】507357232
【氏名又は名称】株式会社AESCジャパン
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【弁理士】
【氏名又は名称】速水 進治
(74)【代理人】
【識別番号】100127236
【弁理士】
【氏名又は名称】天城 聡
(72)【発明者】
【氏名】中井 昌之
【テーマコード(参考)】
5H011
【Fターム(参考)】
5H011AA10
5H011CC02
5H011DD13
5H011FF03
(57)【要約】
【課題】電池セルの封止性を向上させる。
【解決手段】電池セル10は、電池要素100と、電池要素100の端部を覆う前方蓋材210と、電池要素100及び前方蓋材210を覆う外装フィルム300と、を備えている。前方蓋材210は、前方蓋材210の電池要素100の反対側に向けて突出した前方突起212を有している。前方突起212及び外装フィルム300は、少なくとも部分的に互いに接合されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池要素と、
前記電池要素の端部を覆う蓋材と、
前記電池要素及び前記蓋材に巻き付けられた外装フィルムと、
を備え、
前記蓋材が、前記蓋材の前記電池要素の反対側に向けて突出した突起を有し、
前記突起及び前記外装フィルムが少なくとも部分的に互いに接合されている、電池セル。
【請求項2】
前記突起が、前記蓋材に対して前記電池要素の反対側に位置する所定領域を少なくとも部分的に囲んでいる、請求項1に記載の電池セル。
【請求項3】
前記突起及び前記外装フィルムの少なくとも一方の溶融部が、前記突起及び前記外装フィルムの間に少なくとも部分的に存在する、請求項1又は2に記載の電池セル。
【請求項4】
電池要素と、前記電池要素の反対側に向けて突出した突起を有して前記電池要素の端部を覆う蓋材と、に外装フィルムを巻き付ける工程と、
前記突起及び前記外装フィルムを少なくとも部分的に互いに接合する工程と、
を備える、電池セルの製造方法。
【請求項5】
前記突起及び前記外装フィルムを少なくとも部分的に互いに接合する工程が、前記外装フィルムにおける前記突起の反対側の部分と、前記突起における前記外装フィルムの反対側の部分と、から熱を加える工程を有する、請求項4に記載の電池セルの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池セル及び電池セルの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、リチウムイオン二次電池セル等の電池セルの様々な構造が開発されている。例えば、特許文献1に記載されている電池セルは、電池要素、2つの蓋材及び外装フィルムを備えている。2つの蓋材は、電池要素の長手方向の両端部を覆っている。外装フィルムは、電池要素の長手方向の周りに巻き付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、特許文献1に記載の電池セルでは、蓋材及び外装フィルムが熱融着によって互いに接合されることがある。しかしながら、蓋材及び外装フィルムに単に熱を加えるだけでは、蓋材及び外装フィルムの接合強度を十分に高くすることが難しいことがある。蓋材及び外装フィルムの接合強度が不十分な場合、電池セルの封止性を向上させることが難しいことがある。
【0005】
本発明の目的の一例は、電池セルの封止性を向上させることにある。本発明の他の目的は、本明細書の記載から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、以下のとおりである。
[1]
電池要素と、
前記電池要素の端部を覆う蓋材と、
前記電池要素及び前記蓋材に巻き付けられた外装フィルムと、
を備え、
前記蓋材が、前記蓋材の前記電池要素の反対側に向けて突出した突起を有し、
前記突起及び前記外装フィルムが少なくとも部分的に互いに接合されている、電池セル。
[2]
前記突起が、前記蓋材に対して前記電池要素の反対側に位置する所定領域を少なくとも部分的に囲んでいる、[1]に記載の電池セル。
[3]
前記突起及び前記外装フィルムの少なくとも一方の溶融部が、前記突起及び前記外装フィルムの間に少なくとも部分的に存在する、[1]又は[2]に記載の電池セル。
[4]
電池要素と、前記電池要素の反対側に向けて突出した突起を有して前記電池要素の端部を覆う蓋材と、に外装フィルムを巻き付ける工程と、
前記突起及び前記外装フィルムを少なくとも部分的に互いに接合する工程と、
を備える、電池セルの製造方法。
[5]
前記突起及び前記外装フィルムを少なくとも部分的に互いに接合する工程が、前記外装フィルムにおける前記突起の反対側の部分と、前記突起における前記外装フィルムの反対側の部分と、から熱を加える工程を有する、[4]に記載の電池セルの製造方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明の上記態様によれば、電池セルの封止性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態に係る電池セルの前方斜視図である。
【
図2】実施形態に係る電池セルの一部分の前方拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0010】
図1は、実施形態に係る電池セル10の前方斜視図である。
図2は、実施形態に係る電池セル10の一部分の前方拡大斜視図である。
図3は、実施形態に係る電池セル10の前面図である。
図4は、実施形態に係る電池セル10の右側面図である。
図4では、説明のため、後述する外装フィルム300を透過させた状態で図示している。
図4では、説明のため、後述する前方突起212の基端、すなわち後端と、後述する後方突起222の基端、すなわち前端と、が破線によって図示されている。
【0011】
各図には、説明のため、X方向、Y方向及びZ方向が付されている。X方向は、電池セル10の前後方向を示している。Y方向は、X方向に直交している。Y方向は、電池セル10の左右方向を示している。Z方向は、X方向及びY方向の双方に直交している。Z方向は、電池セル10の上下方向を示している。X方向を示す矢印によって指し示される方向、Y方向を示す矢印によって指し示される方向及びZ方向を示す矢印によって指し示される方向は、それぞれ、後方向、左方向及び上方向である。ただし、電池セル10のX方向、Y方向、Z方向、前後方向、左右方向及び上下方向の関係は、この例に限定されない。
【0012】
なお、X方向、Y方向又はZ方向を示すX付き白丸は、紙面の手前から奥に向かう方向が当該方向を示す矢印によって指し示される方向であることを示している。
【0013】
電池セル10は、電池要素100、正極タブ110、負極タブ120、前方蓋材210、後方蓋材220及び外装フィルム300を備えている。外装フィルム300は、巻付部分302及び引出部分304を有している。
【0014】
電池要素100は、略直方体形状となっている。電池要素100の長手方向は、X方向に略平行となっている。電池要素100のX方向の長さは、以下に限定されないが、例えば、300mm以上500mm以下、好ましくは450mm以下である。電池要素100の短手方向は、Z方向に略平行となっている。電池要素100のZ方向の長さは、以下に限定されないが、例えば、90mm以上130mm以下、好ましくは120mm以下である。電池要素100の厚み方向は、Y方向に略平行となっている。電池要素100のY方向の厚さは、以下に限定されないが、例えば、20mm以上50mm以下、好ましくは45mm以下である。ただし、電池要素100の形状は、この例に限定されない。
【0015】
電池要素100は、不図示の少なくとも1つの正極、不図示の少なくとも1つの負極及び不図示の少なくとも1つのセパレータを有している。例えば、複数の正極及び複数の負極がY方向に交互に積層されている。セパレータの少なくとも一部分は、Y方向に隣り合う正極及び負極の間に位置している。例えば、複数枚のシート状のセパレータの各々がY方向に隣り合う正極及び負極の間に位置していてもよい。或いは、1枚のシート状のセパレータがY方向に隣り合う正極及び負極の間の領域を通過するつづら折り形状になっていてもよい。或いは、正極、負極及びセパレータは、セパレータが正極及び負極の間に配置されるように巻回されていてもよい。一例において、正極及び負極の一方の両面がセパレータによって覆われた状態で正極、負極及びセパレータは巻回されている。他の例において、正極、セパレータ及び負極をこの順に含む単位積層体を複数含む積層体が巻回されていてもよい。ただし、正極、負極及びセパレータの巻回構造は、これらの例に限定されない。
【0016】
実施形態において、電池セル10は、電解液を含む電池セルである。しかしながら、電池セル10は、全固体電池であってもよい。全固体電池においては、セパレータに相当する部分に固体電解質層が設けられている。全固体電池は、電解液を含んでいない。以下、特に断りがない限り、電池セル10は電解液を含む電池セルであるとして説明する。
【0017】
図4に示すように、正極タブ110は、電池要素100の前方に配置されている。正極タブ110の後端部は、正極集電体102aに電気的に接続されている。正極集電体102aは、正極102から前方に向けて引き出されている。よって、正極タブ110は、複数の正極102に電気的に接続されている。
【0018】
図4に示すように、負極タブ120は、電池要素100の後方に配置されている。負極タブ120の前端部は、負極集電体104aに電気的に接続されている。負極集電体104aは、負極104から後方に向けて引き出されている。よって、負極タブ120は、複数の負極104に電気的に接続されている。
【0019】
前方蓋材210は、電池要素100の前端部を覆っている。前方蓋材210は、例えば、樹脂、金属等からなっている。前方蓋材210の前面からは、正極タブ110の前端部が突出している。前方から見て、前方蓋材210は、X方向の周りの4角が丸みを帯びた略長方形形状となっている。前方から見て、前方蓋材210の長手方向はZ方向に略平行となっており、前方蓋材210の短手方向はY方向に略平行となっている。前方蓋材210のX方向の周りの4角は、電池要素100のX方向の周りの4角とX方向に並んでいる。
【0020】
図1~
図4に示すように、前方蓋材210は、前方突起212を有している。前方突起212は、前方蓋材210の電池要素100の反対側に向けて突出している。すなわち、前方突起212は、前方蓋材210の前方に向けて突出している。実施形態において、前方から見て、前方突起212は、前方蓋材210の前方の所定領域をX方向の周りに少なくとも部分的に囲んでいる。実施形態において、この所定領域には、正極タブ110が位置している。
図3に示す例において、前方から見て、前方突起212は、前方蓋材210のX方向の周りの外周面の全周に沿って連続的に延在している。言い換えると、前方蓋材210の前面には、前方に向けて開口した凹部が前方突起212によって形成されている。ただし、前方から見て、前方突起212は、前方蓋材210のX方向の周りの外周面において少なくとも部分的に途切れていてもよい。
【0021】
後方蓋材220は、電池要素100の後端部を覆っている。後方蓋材220は、例えば、樹脂、金属等からなっている。後方蓋材220の後面からは、負極タブ120の後端部が突出している。後方から見て、後方蓋材220は、X方向の周りの4角が丸みを帯びた略長方形形状となっている。後方から見て、後方蓋材220の長手方向はZ方向に略平行となっており、後方蓋材220の短手方向はY方向に略平行となっている。後方蓋材220のX方向の周りの4角は、電池要素100のX方向の周りの4角とX方向に並んでいる。
【0022】
図4に示すように、後方蓋材220は、後方突起222を有している。後方突起222は、後方蓋材220の後方に向けて突出している。後方から見て、後方突起222は、前方突起212と同様にして、後方蓋材220の後方の所定領域をX方向の周りに少なくとも部分的に囲んでいる。実施形態において、この所定領域には、負極タブ120が位置している。
【0023】
図1及び
図2に示すように、巻付部分302は、前方及び後方の双方に向けて開口した略筒形状となっている。巻付部分302の前方の開口の内部には、前方蓋材210が配置されている。巻付部分302の後方の開口の内部には、後方蓋材220が配置されている。巻付部分302は、電池要素100、前方蓋材210及び後方蓋材220のX方向の周りに1周巻き付けられている。よって、
図4に示すように、前方蓋材210、後方蓋材220及び巻付部分302は、電池要素100を収容する収容空間500を形成している。収容空間500には、電池要素100とともに、不図示の電解液が収容されている。なお、巻付部分302の電池要素100の巻き付きの態様は、上述した例に限定されない。
【0024】
前方突起212のX方向の周りの外周面を含めて前方蓋材210のX方向の周りの外周面と、巻付部分302の前方の開口のX方向の周りの内周面と、は熱融着によって互いに接合されている。よって、収容空間500の前方に前方封止部510が形成されている。
【0025】
後方突起222のX方向の周りの外周面を含めて後方蓋材220のX方向の周りの外周面と、巻付部分302の後方の開口のX方向の周りの内周面と、は熱融着によって互いに接合されている。よって、収容空間500の後方に後方封止部520が形成されている。
【0026】
図1及び
図2に示すように、前方から見て、引出部分304は、巻付部分302の電池要素100の左上側の角から引き出されている。具体的には、
図2に示すように、引出部分304は、第1引出部分304a及び第2引出部分304bを含んでいる。第1引出部分304aは、巻付部分302のX方向の周りの周方向の両端の一方から引き出されている。第2引出部分304bは、巻付部分302のX方向の周りの周方向の両端の他方から引き出されている。第1引出部分304a及び第2引出部分304bは、例えば熱融着によって互いに接合されている。よって、前方から見て、収容空間500の上側に側方封止部530が形成されている。引出部分304は、電池要素100の上面に沿って折り曲げられている。ただし、引出部分304は、折り曲げられていなくてもよい。また、引出部分304の折り曲げの形状は、実施形態に係る形状に限定されない。
【0027】
実施形態において、前方突起212のX方向の周りの外周面及び巻付部分302の前方の開口のX方向の周りの内周面は、熱融着によって少なくとも部分的に互いに接合されている。例えば、前方突起212のX方向の周りの外周面の全体と、巻付部分302の前方の開口のX方向の周りの内周面の全体と、が熱融着によって互いに接合されている。この熱融着では、前方突起212のX方向の周りの内周面及び巻付部分302の前方の開口のX方向の周りの外周面の少なくとも一方の側から前方突起212及び巻付部分302の接合部に熱を加えることができる。よって、前方突起212及び巻付部分302の少なくとも一方の溶融部が、熱融着によって、前方突起212のX方向の周りの外周面及び巻付部分302の前方の開口のX方向の周りの内周面の間に少なくとも部分的に形成されることがある。一例において、前方突起212及び巻付部分302の少なくとも一方の溶融部が、前方突起212のX方向の周りの外周面及び巻付部分302の前方の開口のX方向の周りの内周面の間の全体に亘って形成されることがある。例えば、正極タブ110の上方における前方突起212の下面及び正極タブ110の上方における巻付部分302の上面から、正極タブ110の上方における前方突起212及び巻付部分302の接合部に熱を加えることができる。よって、単に、正極タブ110の上方における巻付部分302の上面及び正極タブ110の下方における巻付部分302の下面から熱を加える場合と比較して、前方突起212のX方向の周りの外周面及び巻付部分302の前方の開口のX方向の周りの内周面の接合部に熱を加えやすくすることができる。したがって、上述した場合と比較して、前方突起212及び巻付部分302の接合強度を高くしやすくすることができる。よって、上述した場合と比較して、電池セル10の封止性を向上させることができる。
【0028】
実施形態において、前方から見て、前方突起212は、前方蓋材210の前方の所定領域をX方向の周りに少なくとも部分的に囲んでいる。よって、前方突起212が、例えば正極タブ110の上方のみ、下方のみ、左方のみ又は右方のみに位置する場合と比較して、前方突起212のX方向の周りの外周面及び巻付部分302の前方の開口のX方向の周りの内周面の接合面積を大きくすることができる。よって、上述した場合と比較して、電池セル10の封止性を向上させることができる。ただし、前方突起212は、例えば、正極タブ110の上方のみ、下方のみ、左方のみ又は右方のみに位置していてもよい。
【0029】
実施形態において、前方蓋材210のX方向の周りの外周面及び前方突起212のX方向の周りの外周面は、略面一となっている。よって、前方蓋材210のX方向の周りの外周面と、前方突起212のX方向の周りの外周面と、の間に段差が存在する場合と比較して、前方蓋材210のX方向の周りの外周面及び前方突起212のX方向の周りの外周面の双方に巻付部分302を接合させやすくすることができる。ただし、前方蓋材210のX方向の周りの外周面と、前方突起212のX方向の周りの外周面と、の間に段差が存在していてもよい。
【0030】
実施形態において、前方突起212のX方向の周りの外周面及び巻付部分302の前方の開口のX方向の周りの内周面の接合について説明した事項は、後方突起222のX方向の周りの外周面及び巻付部分302の後方の開口のX方向の周りの内周面の接合についても同様に適用可能である。前方突起212及び後方突起222の一方は、設けられていなくてもよい。例えば、前方蓋材210が前方突起212を有していて、後方蓋材220が後方突起222を有していなくてもよい。
【0031】
次に、実施形態に係る電池セル10の製造方法の一例について説明する。この例において、電池セル10は、以下のようにして製造されている。
【0032】
まず、電池要素100を製造する。電池要素100は、少なくとも1つの正極、少なくとも1つの負極及び少なくとも1つのセパレータを有している。
【0033】
次いで、正極タブ110と、前方蓋材210と、を互いに接合させる。同様にして、負極タブ120と、後方蓋材220と、を互いに接合させる。次いで、正極タブ110と、正極集電体102aと、を互いに接合させる。同様にして、負極タブ120と、負極集電体104aと、を互いに接合させる。ただし、正極タブ110と正極集電体102aとを互いに接合させた後、正極タブ110と前方蓋材210とを互いに接合させてもよい。同様にして、負極タブ120と負極集電体104aとを互いに接合させた後、負極タブ120と後方蓋材220とを互いに接合させてもよい。
【0034】
次いで、外装フィルム300を電池要素100のX方向の周りに1周巻き付ける。よって、巻付部分302が形成される。また、外装フィルム300の余長が引出部分304として引き出される。
【0035】
次いで、前方突起212のX方向の周りの外周面を含めて前方蓋材210のX方向の周りの外周面と、巻付部分302の前方の開口のX方向の周りの内周面と、を熱融着によって互いに接合する。よって、前方封止部510が形成される。例えば、前方突起212のX方向の周りの内周面によって囲まれた領域に配置されたシールバーと、巻付部分302の前方の開口のX方向の周りの外周面の外側に配置されたシールバーと、によって、前方突起212及び巻付部分302を互いに熱融着させる。この例では、巻付部分302の前方の開口のX方向の周りの外周面と、前方突起212のX方向の周りの内周面と、から熱を加えることができる。すなわち、巻付部分302の前方の開口における前方突起212の反対側の部分と、前方突起212における巻付部分302の前方の開口の反対側の部分と、から熱を加えることができる。この例では、単に、正極タブ110の上方における巻付部分302の上方に配置されたシールバーと、正極タブ110の下方における巻付部分302の下方に配置されたシールバーと、によって前方蓋材210及び巻付部分302を互いに熱融着させる場合と比較して、前方蓋材210及び巻付部分302の接合部に熱を加えやすくすることができる。よって、上述した場合と比較して、前方蓋材210及び巻付部分302の接合強度を高くすることができる。
【0036】
次いで、後方突起222のX方向の周りの外周面を含めて後方蓋材220のX方向の周りの外周面と、巻付部分302の後方の開口のX方向の周りの内周面と、を熱融着によって互いに接合する。よって、後方封止部520が形成される。例えば、後方突起222のX方向の周りの内周面によって囲まれた領域に配置されたシールバーと、巻付部分302の後方の開口のX方向の周りの外周面の外側に配置されたシールバーと、によって、後方突起222及び巻付部分302を互いに熱融着させる。この例では、巻付部分302の後方の開口のX方向の周りの外周面と、後方突起222のX方向の周りの内周面と、から熱を加えることができる。すなわち、巻付部分302の後方の開口における後方突起222の反対側の部分と、後方突起222における巻付部分302の後方の開口の反対側の部分と、から熱を加えることができる。この例では、単に、負極タブ120の上方における巻付部分302の上方に配置されたシールバーと、負極タブ120の下方における巻付部分302の下方に配置されたシールバーと、によって後方蓋材220及び巻付部分302を互いに熱融着させる場合と比較して、後方蓋材220及び巻付部分302の接合部に熱を加えやすくすることができる。よって、上述した場合と比較して、後方蓋材220及び巻付部分302の接合強度を高くすることができる。
【0037】
次いで、第1引出部分304a及び第2引出部分304bの間の隙間を介して収容空間500に電解液を注入する。次いで、第1引出部分304a及び第2引出部分304bの間の隙間を介して収容空間500を真空引きする。次いで、第1引出部分304a及び第2引出部分304bを熱融着によって接合して側方封止部530を形成する。よって、収容空間500が真空封止される。
【0038】
なお、収容空間500の真空封止の方法は、上述した例に限定されない。他の例においては、まず、第1引出部分304a及び第2引出部分304bを熱融着によって接合して側方封止部530を形成する。次いで、前方蓋材210及び後方蓋材220の少なくとも一方に設けられた注液孔を介して収容空間500に電解液を注入する。次いで、当該注液孔を介して収容空間500を真空引きする。次いで、当該注液孔を所定の蓋材によって塞ぐ。
【0039】
次いで、側方封止部530を電池要素100の上面に沿って折り曲げる。
【0040】
このようにして、電池セル10が製造される。
【0041】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【0042】
例えば、実施形態では、正極タブ110及び負極タブ120が電池要素100のX方向の互いに反対側に配置されている。しかしながら、正極タブ110及び負極タブ120の双方が電池要素100のX方向の前側及び後側の一方のみに配置されていてもよい。この場合、電池要素100の前端部及び後端部は、例えば、2つの蓋材によって覆われている。或いは、電池要素100の正極タブ110及び負極タブ120が引き出された側のみが蓋材によって覆われていてもよい。この例において、電池要素100の蓋材の反対側において、外装フィルム300が封止されて電池要素100に沿って折りたたまれていてもよい。
【符号の説明】
【0043】
10 電池セル
100 電池要素
102 正極
102a 正極集電体
104 負極
104a 負極集電体
110 正極タブ
120 負極タブ
210 前方蓋材
212 前方突起
220 後方蓋材
222 後方突起
300 外装フィルム
302 巻付部分
304 引出部分
304a 第1引出部分
304b 第2引出部分
500 収容空間
510 前方封止部
520 後方封止部
530 側方封止部