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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024105010
(43)【公開日】2024-08-06
(54)【発明の名称】作業機
(51)【国際特許分類】
   A01C 15/00 20060101AFI20240730BHJP
   A01B 69/00 20060101ALI20240730BHJP
【FI】
A01C15/00 G
A01B69/00 303M
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023009502
(22)【出願日】2023-01-25
(71)【出願人】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】有村 浪漫
(72)【発明者】
【氏名】荒井 毅
(72)【発明者】
【氏名】川上 修平
(72)【発明者】
【氏名】飛田 秀平
【テーマコード(参考)】
2B043
2B052
【Fターム(参考)】
2B043AA04
2B043AB15
2B043BA02
2B043BB04
2B043DA17
2B043EA32
2B043EA33
2B043EB05
2B043EB15
2B043EC12
2B043EC13
2B043EC14
2B043ED27
2B052BC05
2B052DC07
2B052DC09
2B052DC14
2B052DD04
2B052DD07
2B052EB13
(57)【要約】
【課題】従来の施肥量などを変更できる可変施肥田植機については、施肥量をうまく調節切替することができなかった。
【解決手段】作業指示値に応じて作業地を作業走行する作業機であって、衛星からの衛星信号を受信する衛星アンテナと、前記衛星信号に基づいて自車位置に対応する測位データを出力する衛星測位モジュールと、前記作業地に対応付けられてメッシュ状に区切られた区画毎に前記作業指示値が入力される作業計画マップを保存する記憶部と、前記自車位置に対応する前記区画に入力された前記作業指示値に応じて、施肥作業を行う。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業指示値に応じて作業地を作業走行する作業機であって、
衛星からの衛星信号を受信する衛星アンテナと、
前記衛星信号に基づいて自車位置に対応する測位データを出力する衛星測位モジュールと、
前記作業地に対応付けられてメッシュ状に区切られた区画毎に前記作業指示値が入力される作業計画マップを保存する記憶部と、
前記自車位置に対応する前記区画に入力された前記作業指示値に応じて、施肥作業を行う作業機。
【請求項2】
衛星から得た車速と本機車速の差をもとにスリップを算出し、
算出したスリップの程度から最適な施肥量に調節し、
車速と方位を考慮して、現在の区画から異なる区画に位置する手前から肥料を繰出す繰り出し量を変化させることを特徴とする請求項1に記載の作業機。
【請求項3】
前記作業計画マップによる施肥作業とは別に、
リアルタイムに圃場の作土深の検知と、肥沃度を検知し、検知した値に応じて、施肥作業を行う請求項1または2に記載の作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業機であって例えば、施肥量などを変更できる可変施肥田植機に関する。
【背景技術】
【0002】
生育の良い場所等が正確に分かり、基肥する施肥量が分かる施肥マップを作成する施肥マップ作成システムが公知である(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-184640号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、そのような従来の技術では、施肥量をうまく調節切替することができなかった。
【0005】
本発明では、施肥マップを利用し施肥量の調節切替精度を向上することが出来る作業機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の本発明は、
作業指示値に応じて作業地を作業走行する作業機であって、
衛星からの衛星信号を受信する衛星アンテナと、
前記衛星信号に基づいて自車位置に対応する測位データを出力する衛星測位モジュールと、
前記作業地に対応付けられてメッシュ状に区切られた区画毎に前記作業指示値が入力される作業計画マップを保存する記憶部と、
前記自車位置に対応する前記区画に入力された前記作業指示値に応じて、施肥作業を行う作業機である。
【0007】
第2の本発明は、
衛星から得た車速と本機車速の差をもとにスリップを算出し、
算出したスリップの程度から最適な施肥量に調節し、
車速と方位を考慮して、現在の区画から異なる区画に位置する手前から肥料を繰出す繰り出し量を変化させることを特徴とする請求項1に記載の作業機である。
【0008】
第3の本発明は、
前記作業計画マップによる施肥作業とは別に、
リアルタイムに圃場の作土深の検知と、肥沃度を検知し、検知した値に応じて、施肥作業を行う請求項1または2に記載の作業機である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、圃場内をメッシュマップ化してメッシュごとに施肥量を調節することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明における実施の形態にかかる可変施肥田植機の斜視図
図2】同上実施の形態におけるモバイル端末の管理画面(施肥マップ読み込み)
図3】同上実施の形態におけるモバイル端末の管理画面(施肥マップ確認)
図4】同上実施の形態におけるモバイル端末の管理画面(施肥マップ確認)
図5】同上実施の形態におけるモバイル端末の管理画面(施肥マップ確認)
図6】同上実施の形態におけるモバイル端末の管理画面(施肥マップ確認)
図7】同上実施の形態におけるモバイル端末の管理画面(施肥マップ確認)
図8】同上実施の形態におけるモバイル端末の管理画面(施肥マップ確認)
図9】同上実施の形態におけるモバイル端末の管理画面(可変施肥設定)
図10】同上実施の形態におけるモバイル端末の管理画面(可変施肥設定)
図11】同上実施の形態におけるモバイル端末の管理画面(可変施肥作業)
図12】同上実施の形態におけるモバイル端末の管理画面(可変施肥作業)
図13】同上実施の形態におけるモバイル端末の管理画面(可変施肥作業)
図14】同上実施の形態におけるモバイル端末の管理画面(作業実績の作成)
図15】同上実施の形態におけるモバイル端末の管理画面(可変施肥作業実績)
図16】同上実施の形態におけるモバイル端末の管理画面(可変施肥作業実績)
図17】同上実施の形態におけるモバイル端末の管理画面(可変施肥作業実績)
図18】同上実施の形態におけるモバイル端末の管理画面(可変施肥作業実績)
図19】同上実施の形態におけるソフトウェアの読み込みフローチャート
図20】同上実施の形態におけるロボット田植機に使うリモコンの画面(その1)
図21】同上実施の形態におけるロボット田植機に使うリモコンの画面(その2)
図22】同上実施の形態におけるロボット田植機に使うリモコンの画面(その3)
図23】同上実施の形態におけるロボット田植機に使うリモコンの画面(その4)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら、本発明における実施の形態について詳細に説明する。
【0012】
図1に示すような本発明の実施の形態にかかる可変施肥田植機の本機1とそこで利用するタブレットなどのモバイル端末2とは互いに通信可能となっており、モバイル端末2には予め施肥マップ利用用の所定のソフトウェアがインストールされている。
【0013】
そのソフトウェアを起動するボタン3をタップするとそのソフトウェアの管理画面4がモバイル端末2の表示画面に表示される。図19はそのソフトウェアの読み込みの流れを示す。読み込み可能なファイルは拡張子が「.shp」、「.xml」、「.zip」が望ましい。エラー操作を防止することが出来る。どの拡張子データでも同様の操作方法とすることが出来る。
【0014】
図2はその管理画面4を示す。この管理画面4には、少なくとも、各圃場の名前、各圃場の面積および、前記本機の現在の位置から各圃場までの距離を含む、各圃場の情報のリスト4aが表示される。例えば、図に示すように、圃場の名前D、面積94.6a、本機1の現在地から距離8.3mなどが表示される。他に圃場C、B、L、Pなどが表示される。
【0015】
本機1の現在地は、本機1に備えられたGNSS装置などによって検知されるので、本機1からモバイル端末2へその現在地データが常時送信されている。
【0016】
また、モバイル端末2を本機1の近い位置においておけば、モバイル端末2自身が有するGNSS装置などで本機1の現在地を検知することも出来る。
【0017】
他方、各圃場の位置は予めモバイル端末2に記憶させておく。出来れば、圃場の中心までの距離を記憶させておくことが望ましい。各圃場は隣接していることが多いので、角位置などにすると見分けがつかなくなり得るが、中心位置を基準にすることで、圃場同士の区別が確実となる。
【0018】
さらに、管理画面4におけるリスト4aにおいて、圃場の表示の仕方は任意であるが、例えば自動的に現在の位置から近い順に上から表示させる。あるいは管理画面4において設けられている最寄りの圃場の検索アイコン4b(最寄り圃場ボタン)をタップすることで、最も近い圃場を最上位に表示することも可能である。
【0019】
この最も近い圃場の表示方法は、他にその圃場の表示部分の色を他の圃場の表示部分の色とは別の色にするとか、点滅させるとか、任意の方法で他の圃場の表示部分と区別できるように表示させる。
【0020】
図2の例では、圃場Dが最も近いので、最上位で、且つ、青色下地で他の圃場の表示部分と区別している。
【0021】
なお、最寄りの圃場を検索アイコン4bをタップする前に、予め本機1を作業したい圃場の前に移動しておいてタップすると圃場の選択が容易となる。
【0022】
また、各圃場のリストの内、一番上の圃場を、デフォルトで指定済みとしておくことで、圃場の指定をし忘れ状態でのエラー操作を防止できる。
【0023】
次に、例えば圃場Dをタップ指定して、図2の管理画面4の決定アイコン4cをタップすると図3に示すような画面に遷移する。
【0024】
その結果、図3に示すように、圃場名と、圃場の計画上の施肥マップ4dと、施肥量設定値4gと、圃場の面積が表示される。さらに、本機1の現在地のアイコン4e(三角矢印アイコン)が重複表示される。
【0025】
さらに、本機1の現在位置の表示を補正出来る現在位置補正手段4fも画面の右側に表示される。
【0026】
この現在位置補正手段4fは上下左右を示す矢印アイコン4f1が4つ十字状に配列されており、このいずれかの矢印4f1をタップすることで本機1のアイコン4eを移動させることが出来る。例えば、仮に作業者が乗っている本機1が圃場Dの右下角に現在居るにも関わらず、GNSS装置の精度などによって、本機1のアイコン4eが別の位置に表示されていることがある。
【0027】
そのような場合、移動させたい方向の矢印4f1をタップすることで一致させることが出来る。なお、本ソフトウェアではマップ側のデータ表示を移動させることで一致させている。移動の精度は0.1m単位と、1m単位を選択できる。また、北軸方向にプラスマイナス20m調整出来、東軸方向にプラスマイナス20m調整出来る。また、補正をリセット出来るリセットボタンが設けられている。
【0028】
この施肥マップ4dのデータは施肥量設定値4gの量に応じて、色分けされている。図の場合5段階に色分けされており、それぞれ、1の色は65、2の色は57、3の色は45、4の色は35、5の色は32の5段階に色分されている。ここに量の単位はkg/10aである。
【0029】
さらに、上述した現在位置補正手段4fの4つの十字状の矢印4f1の真ん中に色表示区画4f2が設けられている。図3では色表示区画4f2は段階1の色で着色表示され、その中心にも本機1のアイコン4eが表示されている。
【0030】
その意味は、図3の場合、左側の施肥マップ4dにおける本機1のアイコン4eの存在する位置が、色分けされた1段階の色区域に居るので、それに対応して右側の色表示区画4f2の色も1段階の色に着色されている。
【0031】
その効果は、施肥マップ4dが5段階に色分けされているが本機1のアイコン4eは境界位置に居ることがあり、施肥マップ4d上の本機1のアイコン4eがどちらの段階のエリアに居るか目視では分からないことがあるが、右側の色表示区画4f2の色を見ることでどちらの段階のエリアに居るか一目瞭然となる。
【0032】
なお、色表示区画4f2は現在位置補正手段4fの中に限らず、その近傍に設けてもよい。現在位置補正手段4fを使う場合、本機1の現在位置が何処にあるか見やすいからである。ちなみに、図3では本機1の現在位置は段階1の色区域に存在している。
【0033】
図4は本機1の現在位置が段階2の色区域に存在していることを示し、図5は、本機1の現在位置が段階3の色区域に存在していることを示し、図6は、本機1の現在位置が段階4の色区域に存在していることを示し、図7は、本機1の現在位置が段階5の色区域に存在していることを示し、図8は本機1の現在位置が施肥マップ4dのエリアの外に居ることを示している。例えば、色表示区画4f2を白色で表示する。
【0034】
図9は可変施肥設定の画面である。この画面で肥料の基本施肥量、比重、試し繰り出し量、施肥量設定値の変更が可能である。この施肥量設定値のアイコン4hをタップすれば編集用に拡大できる(図10)。その拡大画面における初期値ボタンを押すことで設定値を施肥マップデータの読み込み時の値に戻すことも出来る。作業中に変更可能である。設定値1~5はそれぞれ独立して変更できる。
【0035】
図9の画面において、「戻る」アイコンをタップすると元の施肥マップ読込画面へ遷移する。その場合、それまで読み込んだファイルデータを削除する。これによって、マップデータを保持したままだと端末の動作が遅くならなくてすむ。
【0036】
図11は、作業時に、上記肥料の基本施肥量、比重、試し繰り出し量、施肥量設定値が表示された画面である。この画面において、4iは施肥量の時系列のグラフであって、本機1が移動するに応じてその場所の施肥量が表示されている。施肥量は施肥機のシャッター開度に対応する。これによって作業時に可変施肥動作が正常に動作していることがチェックできる。右側には施肥マップと本機1の位置が表示されている。スタートした時は速度が遅いので施肥量は少ない。4jは施肥量を補正した%を表示している。
【0037】
図12は、施肥量を補正した場合のその補正したエリアに本機1が居る場合、その補正%が10%の場合を表示している。図12において中断アイコン4kをタップすると、図13の画面になる。
【0038】
図13の画面においては、基本施肥量、試し繰り出し量、施肥量設定値の表示を非活性状態として変更できなくなった画面である。4mは再開のアイコンである。
【0039】
図14の画面は作業実績の作成画面であって、圃場名の編集は固定したうえで、除草剤、殺菌、殺虫剤、苗使用枚数およびメモを記入して、実績結果として残せる。
【0040】
図15の画面は作業実績の画面であって、圃場、施肥設定、作業メモなどを表示する。4nは実績を示す施肥量マップである。この実績施肥マップは作業中で本機1での施肥量の増減が可能であったため、マップ読み込み時の設定値どおりでは無いので、実績施肥量を最小値から最大値までの値を5段階に振り分け、施肥結果をマッピングしなおし、画像としてヒートマップ形式(計画施肥マップよりも解像度が増しており、一色でグラデーション表示している)で表示している。作業実績をより直感的に把握できる。
【0041】
図16において、4pは計画施肥マップを示し、右側にはそれぞれ作業実績マップをヒートマップ形式で表示したものである。それぞれの作業実績マップは施肥量の補正%毎に示したものである。補正%は全体の平均の%である。タップすることで拡大表示される(図17参照)。
【0042】
また、図15の画面で、切り替え選択4qをタップすることで、計画マップ(図18)に切替表示可能となる。図15の画面で、マップ出力アイコン4rをタップすると施肥量設定値の値から施肥マップデータを作成し、ISOxml形式で書き出し、端末に保存できる。
【0043】
次に、本発明に関連する発明について説明する。
【0044】
図20はロボット田植機に使うリモコンの画面10である。すなわち、ロボット田植機は往復行程での植付時に、一往復毎に必ず停止し、リモコン操作が必要となる。しかしながら、密播マットの場合や小さい圃場の場合には、資材補給のタイミングは毎回畔で必要となるわけではなく、リモコン操作が煩わしくなる。そこで、停止のタイミングを任意に行えるようにした。すなわち、例えばある補給行程で停止しない設定のときは、スキップする対象の行程10bが特定の色表示され、補給スキップアイコン10aが表示される。行程図から次に補給タイミングでロボット田植機が停止するかどうかが分かる。
【0045】
リモコン設定でこのような補給行程のタイミングを変更できる画面を設ける。図21がそれである。図21では補給毎回停止10cになっている。往復行程では補給畦で毎回一時停止して、リモコン操作により、補給、自動走行開始をする必要がある。
【0046】
図22は、補給行程で、補給一回飛ばし10dに設定した場合の画面である。往復行程では、補給畦で二往復毎に、一時停止してリモコン操作により補給、自動走行開始の操作をする必要がある。田植機の資材が二往復以上は補給の必要がないことが明らかな場合、リモコン操作を大幅に減らすことが出来る。
【0047】
図23は、往復行程で、補給スキップ10eを設定できる。その場合は、往復行程で次の補給行程のみをスキップし、それ以降は毎回補給停止の設定に切り替わる。
【0048】
更に本発明に関連する発明について説明する。
【0049】
施肥作業において、施肥マップを利用するやり方とリアルタイムの施肥可変を実行するやり方を組み合わせることが望ましい。すなわち、圃場試験の結果から、栽培管理サービスから提供される衛星画像に基づく施肥マップでは、作土深による作物への影響が反映されない傾向にある。作土深が大きい箇所では倒伏する傾向にあるため、リアルタイム可変では大幅な減肥を行っている現状がある。
【0050】
そこで、作土深がティーチング平均値+標準偏差以上ならば減肥を行い(リアルタイム可変)、それ以外ではマップ連動可変施肥を行うことが望ましい。これによって、衛星画像に基づくマップ連動可変に対し、作土深の影響を織り込むことができる。
【0051】
すなわち、衛星画像に基づく施肥マップは、過去の栽培における植生の濃淡を反映したものである。しかしながら、作土深は前作収穫後の耕起や代掻きに応じて変化するため、作土深の影響が衛星画像に基づく施肥マップに反映されない。例えば、同一の圃場について、作土深が前年から3cm以上変化した例が知られている。
【0052】
リアルタイム可変施肥は作業はじめのティーチングによりSFV(肥沃度)と作土深の平均値・標準偏差を測定し、それに基づいて可変施肥を行う。しかし、それらの標本が母集団(圃場全体)の特性とはかけ離れたものであった場合、正しく可変施肥を行うことができない。現行のリアルタイム可変施肥では、標準偏差に下限を設け、測定された標準偏差が下限値未満の場合下限値で上書きする仕様となっている。
【0053】
可変施肥ティーチング後、測定したSFVの標準偏差がしきい値未満であれば、ティーチング失敗としてリアルタイム可変施肥を行わず、マップ連動可変施肥を実行する。
【0054】
可変施肥ティーチング後、測定した作土深の標準偏差がしきい値未満であれば、ティーチング失敗としてリアルタイム可変施肥を行わず、マップ連動可変施肥を実行する。
【0055】
上記の構成で、ティーチング失敗によりマップ連動可変を実行する場合、メータパネルおよびタブレット上にその旨を表示する。また、マップ連動可変施肥中に測位品質が低下した場合、リアルタイム可変施肥に切り替える。その構成で、測位品質が回復した場合、再度マップ連動可変施肥に切り替える。
【0056】
マップ連動可変施肥中に、現在位置がマップで定められた圃場の範囲外に出た場合、リアルタイム可変施肥に切り替える。現在位置がマップで定められた圃場内に復帰した場合、マップベース可変施肥に切り替える。
【0057】
現在位置のマップ上での地力と、リアルタイムセンシングで測定した肥沃度について、傾向が一致する場合は可変施肥を行い、傾向が一致しない場合は可変施肥を行わず基本施肥量での施肥を行う。例えばマップ地力が大で、リアルタイム肥沃度が大の時は施肥量を減らす、また、マップ地力が大で、リアルタイム肥沃度が小の時は基本施肥量でいく。
【0058】
リアルタイム可変施肥とマップ連動可変施肥のどちらで作業を行うか、オペレーターがタブレットアプリ上で選択できる。
【0059】
リアルタイム可変施肥の自動ティーチング中は、植付作業を行っているが、ティーチングデータが未取得のため、可変施肥が実行されない。リアルタイム可変施肥の自動ティーチング中は、マップ連動可変施肥を行う。
【0060】
機体がスリップすると圃場に散布される施肥量が不適切になる問題がある。そこで、衛星から得た車速と、本機車速の差をもとにスリップを算出する。本機車速は車輪から車速を得る構成とする。算出したスリップの程度から最適な施肥量に調節を行う。つまり、車輪がスリップしていて前進していないのに施肥されてしまう問題を解決することができる。
【0061】
車速と方位を考慮して、現在の区画から異なる区画に位置する手前から肥料を繰出す繰り出し量を変化させることができる。よって、施肥量の切り替わるタイミングを先読みして繰り出し量を調節することができる。
【0062】
また、異なる散布量の例えば5m四方単位をまたいで作業する場合、8条分の平均値を自動で算出した量に自動で調節できる。よって、最適な量を自動で算出して施肥することができる。
【0063】
繰り出し部から圃場に実際に施肥されるタイムラグを考慮する構成としても良い。
【0064】
システムに登録されている圃場に可変施肥量(施肥マップ)を設定でき、クラウドと田植機側の直接通信ユニットが連携し、施肥マップを受信することで可変施肥を行うことができる構成としても良い。圃場1枚の中でさらに細かく施肥量の設定が可能になり、生育ムラを減らし、収量・品質向上を図ることができる。
【0065】
例えば、コンバインのメッシュマップデータを活用し、前年の圃場内の食味・収量を確認でき、施肥が不足しているポイントを絞り込むことできる構成としても良い。
【0066】
タブレットのアプリ上から、マップデータを取り込み可能な構成としても良い。
【0067】
また、ブロアの風量を調節可能にする。植付部が接地していない時は、肥料詰まりの心配が少ないため、ブロアを停止する。調節は自動で行われ、排出時にホッパ内の残量を検知し、残量に応じて、風量を変化させる。残量は各条で減り具合に差が出る傾向にあるため、1条毎に検知するようにする。また、調節は試し繰り出しによって計算された肥料の比重によって、自動で行われる構成としても良い。
【0068】
電動施肥調量を装備した施肥機で現在の施肥開度に対し所定の車速(0.08m/s)毎に開度補正を行う構成としても良い。
【0069】
機体車速Aは一定時間サンプリングしたアンテナ車速にローパスフィルタをかけた値とする構成。主変速レバー位置が前進側に倒れるほど、サンプリングする時間の間隔を短くする構成。設定値を増やすほどローパスフィルタのカットオフ周波数を小さくする構成としても良い。
【0070】
キャリブレーション後のスリップ率基準補正が一定の値以下、つまりGNSS車速より後輪回転車速の方がずっと遅い場合、キャリブレーションエラーとし、補正を行わない構成。路上走行中にスリップが無い場合の走行時のスリップ率を算出し、キャリブレーションを行いスリップ率の基準を補正する構成。キャリブレーション後のスリップ率基準補正が一定の値以上の場合、後輪が摩耗していることを運転者に報知する構成としても良い。
【0071】
また、電動施肥調整機能と設定を変更できる液晶モニタを備えても良い。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明は、複数ある圃場の施肥マップデータをうまく使うことの出来る可変施肥田植機に最適である。
【符号の説明】
【0073】
1 本機
2 モバイル端末
3 起動ボタン
4 管理画面
4a リスト
4b 検索アイコン
4c 決定アイコン
4d 計画上の施肥マップ
4e 本機の現在地アイコン
4f 現在位置補正手段
4f1 補正矢印
4f2 色表示区画
4g 施肥量設定値
4h 施肥量設定値の変更設定アイコン
4i 施肥量時系列グラフ
4j 施肥量補正%
4k 中断アイコン
4m 再開アイコン
4n 施肥量マップ(実績)
4p 計画施肥マップ
4q 切り替え選択アイコン
4r マップ出力アイコン
10 リモコン画面
10a 補給スキップアイコン
10b 行程
10c 補給毎回停止
10d 補給一回飛ばし
10e 補給スキップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23