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特開2024-105018加熱調理器、及び、加熱調理器の制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024105018
(43)【公開日】2024-08-06
(54)【発明の名称】加熱調理器、及び、加熱調理器の制御方法
(51)【国際特許分類】
   H04B 15/02 20060101AFI20240730BHJP
   F24C 7/04 20210101ALI20240730BHJP
   F24C 7/02 20060101ALI20240730BHJP
   H05B 6/12 20060101ALI20240730BHJP
【FI】
H04B15/02
F24C7/04 301Z
F24C7/04 301A
F24C7/02 301J
H05B6/12 324
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023009517
(22)【出願日】2023-01-25
(71)【出願人】
【識別番号】322003857
【氏名又は名称】パナソニックオートモーティブシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100138771
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 将明
(72)【発明者】
【氏名】真鍋 伸宏
(72)【発明者】
【氏名】吉田 竜星
(72)【発明者】
【氏名】中野 敦史
(72)【発明者】
【氏名】寺岡 俊浩
(72)【発明者】
【氏名】春原 亜希子
(72)【発明者】
【氏名】青木 直行
【テーマコード(参考)】
3K151
3L086
3L087
5K052
【Fターム(参考)】
3K151CA63
3L086AA01
3L086AA13
3L086CA09
3L086CB20
3L086CC12
3L086DA18
3L087AA03
3L087AA04
3L087BA04
3L087BC11
3L087CA11
3L087CA12
3L087DA17
5K052AA14
5K052BB35
5K052DD04
5K052DD27
5K052FF26
(57)【要約】
【課題】車両が搭載する無線機器への影響を考慮した加熱調理器を提供する。
【解決手段】車載機器を備える車両に搭載される加熱調理器は、インバータ回路と、車載機器から車両の状況に関する情報を含む車両状況情報を受信し、車両状況情報に基づいて、インバータ回路の駆動信号の周波数及びデューティ比の少なくとも一方を変更する制御回路とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車載機器を備える車両に搭載される加熱調理器であって、
インバータ回路と、
前記車載機器から前記車両の状況に関する情報を含む車両状況情報を受信し、前記車両状況情報に基づいて、前記インバータ回路の駆動信号の周波数及びデューティ比の少なくとも一方を変更する制御回路と、を備える、
加熱調理器。
【請求項2】
前記車両状況情報は、前記車両が走行中又は停車中のいずれであるかを示す情報を含み、
前記制御回路は、前記車両状況情報が前記走行中を示す場合、前記車両状況情報が前記停車中を示す場合と比較して、前記インバータ回路の駆動によって発生する電磁ノイズのピーク電界強度が小さくなるように、前記インバータ回路の駆動信号の周波数及びデューティ比の少なくとも一方を変更する、
請求項1に記載の加熱調理器。
【請求項3】
前記車両状況情報は、前記車両の位置を測定するためのGNSS(Global Navigation Satellite System)の無線信号を受信中であるか否かを示す情報を含み、
前記制御回路は、前記車両状況情報が前記GNSSの無線信号を受信中であることを示す場合、前記GNSSの無線信号に対する、前記インバータ回路の駆動によって発生する電磁ノイズの干渉が小さくなるように、前記インバータ回路の駆動信号の周波数及びデューティ比の少なくとも一方を変更する、
請求項1に記載の加熱調理器。
【請求項4】
前記車両状況情報は、前記車載機器がOTA(Over The Air)処理中であるか否かを示す情報を含み、
前記制御回路は、前記車両状況情報が前記OTA処理中であることを示す場合、前記OTA処理のための無線信号に対する、前記インバータ回路の駆動によって発生する電磁ノイズの干渉が小さくなるように、前記インバータ回路の駆動信号の周波数及びデューティ比の少なくとも一方を変更する、
請求項1に記載の加熱調理器。
【請求項5】
前記車両状況情報は、前記車載機器がWi-Fi及びBluetoothの少なくとも一方の通信中であるか否かを示す情報を含み、
前記制御回路は、前記車両状況情報が前記Wi-Fi及びBluetoothの少なくとも一方の通信中であることを示す場合、前記Wi-Fi及びBluetoothの少なくとも一方の無線信号に対する、前記インバータ回路の駆動によって発生する電磁ノイズの干渉が小さくなるように、前記インバータ回路の駆動信号の周波数及びデューティ比の少なくとも一方を変更する、
請求項1に記載の加熱調理器。
【請求項6】
前記車両状況情報は、前記車載機器がV2X(Vehicle-to-everything)通信中であるか否かを示す情報を含み、
前記制御回路は、前記車両状況情報が前記V2X通信中であることを示す場合、前記V2X通信の無線信号に対する、前記インバータ回路の駆動によって発生する電磁ノイズの干渉が小さくなるように、前記インバータ回路の駆動信号の周波数及びデューティ比の少なくとも一方を変更する、
請求項1に記載の加熱調理器。
【請求項7】
前記車両状況情報は、前記車載機器がETC(Electronic Toll Collection System)通信中であるか否かを示す情報を含み、
前記制御回路は、前記車両状況情報が前記ETC通信中であることを示す場合、前記ETC通信の無線信号に対する、前記インバータ回路の駆動によって発生する電磁ノイズの干渉が小さくなるように、前記インバータ回路の駆動信号の周波数及びデューティ比の少なくとも一方を変更する、
請求項1に記載の加熱調理器。
【請求項8】
前記制御回路は、前記インバータ回路の駆動信号の周波数及びデューティ比の少なくとも一方の変更に応じて、加熱時間を変更する、
請求項1に記載の加熱調理器。
【請求項9】
車両に搭載された、インバータ回路を備える加熱調理器を制御する方法であって、
前記車両の状況に関する情報である車両状況情報を受信し、
前記車両状況情報に基づいて、前記インバータ回路の駆動信号の周波数及びデューティ比の少なくとも一方を変更する、
加熱調理器の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、加熱調理器、及び、加熱調理器の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、自車両が電子レンジを置いている小売店の駐車場に駐車中であると判定し、且つ、無線LAN通信品質が所定レベル未満であると判定した場合、小売店の電子レンジが作動中であるために無線LAN通信品質が劣化していると推定する車載装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-279500号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電子レンジ又はIH調理器等に代表される電磁波を発生させて加熱を行う加熱調理器は、稼働すると電磁ノイズを発生させる。この電磁ノイズは、無線LAN等の無線通信に干渉し、通信品質を劣化させる。
【0005】
近年の車両は、無線信号を送信又は受信する無線機器を備えている。車両に電子レンジ又はIH調理器等の加熱調理器を搭載する場合、当該加熱調理器から発生する電磁ノイズが、車両が搭載する無線機器の動作に影響を及ぼす可能性がある。
【0006】
本開示の目的は、車両が搭載する無線機器への影響を考慮した、加熱調理器及び当該加熱調理器の制御方法に関する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係る加熱調理器は、車載機器を備える車両に搭載される加熱調理器であって、インバータ回路と、前記車載機器から前記車両の状況に関する情報を含む車両状況情報を受信し、前記車両状況情報に基づいて、前記インバータ回路の駆動信号の周波数及びデューティ比の少なくとも一方を変更する制御回路と、を備える。
【0008】
本開示の一態様に係る加熱調理器の制御方法は、車両に搭載された、インバータ回路を備える加熱調理器を制御する方法であって、前記車両の状況に関する情報である車両状況情報を受信し、前記車両状況情報に基づいて、前記インバータ回路の駆動信号の周波数及びデューティ比の少なくとも一方を変更する。
【0009】
なお、これらの包括的又は具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム又は記録媒体で実現されてもよく、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、車両が搭載する無線機器の動作への影響を考慮した、加熱調理器及び当該加熱調理器の制御方法に関する技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施の形態1に係る電子レンジを搭載した車両の構成の一例を示すブロック図
図2】実施の形態1に係る制御回路がインバータ回路の駆動信号を変更する例
図3】実施の形態1に係るインバータ回路の駆動信号の変更による、電磁ノイズのピーク周波数及びピーク電界強度の変化の一例を示すグラフ
図4】実施の形態1に係る車両の状況に応じた動作パターンの一例を示す図
図5】実施の形態1に係る電子レンジの制御回路が行う処理の一例を示すフローチャート
図6】実施の形態1に係るカメラと車載機器と電子レンジとを連携する例を説明するための図
図7】実施の形態1に係る代替周波数への切り替えを説明するための図
図8】実施の形態1に係るIH調理器を搭載した車両の構成例を示すブロック図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を適宜参照して、本開示の実施の形態について、詳細に説明する。ただし、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、すでによく知られた事項の詳細説明及び実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。なお、添付図面及び以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の記載の主題を限定することは意図されていない。
【0013】
(実施の形態1)
<車両の構成>
図1は、実施の形態1に係る電子レンジ40を搭載した車両10の構成の一例を示すブロック図である。
【0014】
車両10は、補機用バッテリ11、駆動用バッテリ12、外付けバッテリ13、外部電源14、リレー装置15、車載機器16、無線機器20、及び、電子レンジ40を備える。電子レンジ40は、加熱調理器の一例である。
【0015】
補機用バッテリ11は、車両10が備える各機器に電力を供給可能である。補機用バッテリ11は、例えば直流12Vの電力を供給する。
【0016】
駆動用バッテリ12は、車両10が電気自動車又はハイブリット車である場合、当該車両10の駆動用のモータに電力を供給可能である。駆動用バッテリ12は、例えば直流400Vの電力を供給する。なお、車両10が、モータを搭載せずに、エンジンのみで駆動するものである場合、駆動用バッテリ12は車両10に搭載されなくてもよい。
【0017】
補機用バッテリ11及び駆動用バッテリ12は、リレー装置15に接続されており、リレー装置15は、電子レンジ40の電源変換回路42に接続される。リレー装置15は、補機用バッテリ11又は駆動用バッテリ12から電子レンジ40への電力供給のオンとオフを制御する。
【0018】
外付けバッテリ13は、例えばアクセサリ電源がオフのため補機用バッテリ11が電力を供給できない場合に、車両10が備える各機器に電力を供給可能であってよい。外付けバッテリ13は、例えば直流12Vの電力を供給する。外付けバッテリ13は、例えば、ポータブルバッテリ又は増設バッテリ等である。
【0019】
外部電源14は、車両10の外部に存在する電源であり、車両10の電気ケーブルが接続された場合、車両10に電力を供給可能であってよい。外部電源14は、例えば交流100V又は交流200Vの電力を供給する。
【0020】
無線機器20は、電波を送信又は受信する機器である。例えば、車両10は、無線機器20として、DTV信号受信部21、ラジオ信号受信部22、GNSS信号受信部23、ETC信号通信部24、Wi-Fi信号通信部25、BT信号通信部26、V2X信号通信部27、セルラ信号通信部28、及び、ADASセンサ部29をのうちの少なくとも1つを備える。なお、無線機器20は、車載機器16に内蔵されてもよい。
【0021】
DTV信号受信部21は、デジタルテレビの放送波を受信する。DTVは、Digital TeleVisionの略である。デジタルテレビの放送波の周波数帯は、例えば、470MHz~770MHzである。ただし、デジタルテレビの放送波の周波数帯は、これに限られず、他の周波数帯であってもよく、また、国ごとに異なってもよい。
【0022】
ラジオ信号受信部22は、ラジオの放送波を受信する。ラジオの放送波の周波数帯は、例えば、0.5MHz~90MHzである。ただし、ラジオの放送波の周波数帯は、これに限られず、他の周波数帯であってもよく、また、国ごとに異なってもよい。
【0023】
GNSS信号受信部23は、車両10の位置の測定に用いられるGNSSの無線信号を受信する。GNSSは、Global Navigation Satellite Systemの略である。GNSSの無線信号の周波数帯は、例えば、1575MHzである。ただし、GNSSの無線信号の周波数帯は、これに限られず、他の周波数帯であってもよく、また、国ごとに異なってもよい。
【0024】
ETC信号通信部24は、ETCに関する無線信号を送受信する。ETCは、Electronic Toll Collection Systemの略である。ETCに関する無線信号の周波数帯は、例えば、5.8GHzである。ただし、ETCの無線信号の周波数帯は、これに限られず、他の周波数帯であってもよく、また、国ごとに異なってもよい。
【0025】
Wi-Fi信号通信部25は、Wi-Fi(登録商標)の無線信号を送受信する。Wi-Fiの無線信号の周波数帯は、例えば、2.4GHz又は5GHzである。
【0026】
BT信号通信部26は、Bluetooth(登録商標)の無線信号を送受信する。Bluetoothの無線信号の周波数帯は、例えば、2.4GHzである。
【0027】
V2X信号通信部27は、V2Xに関する無線信号を送受信する。V2Xは、Vehicle-to-everythingの略であり、V2I(Vehicle-to-roadside-Infrastructure)、V2V(Vehicle-to-Vehicle)、V2P(Vehicle-to-Pedestrian)及びV2N(Vehicle-to-Network)のいずれであってもよい。V2Xの無線信号の周波数帯は、例えば、700MHzである。ただし、V2Xの無線信号の周波数帯は、これに限られず、他の周波数帯であってもよく、また、国ごとに異なってもよい。
【0028】
セルラ信号通信部28は、セルラ通信に関する無線信号を送受信する。セルラ通信の規格として、3G、LTE、4G、5G等が挙げられる。セルラ通信に関する無線信号の周波数帯は、例えば、800MHz、2.1GHz、3.7GHz、5.7GHz等である。なお、5G規格を用いる場合、セルラ通信に関する無線信号の周波数帯は、例えば、28GHzであってもよい。ただし、セルラ通信に関する無線信号の周波数帯は、これに限られず、他の周波数帯であってもよく、また、国ごとに異なってもよい。
【0029】
ADASセンサ部29は、ADASに用いられる電波を送受信する。ADASは、Advanced Driver-Assistance Systemsの略である。ADASは、先進運転支援システムと読み替えられてよい。ADASに用いられる電波は、例えばミリ波であり、その周波数帯は、例えば30GHz~300GHzである。ただし、ADASに用いられる電波の周波数帯は、これに限られず、他の周波数帯であってもよく、また、国ごとに異なってもよい。ADASセンサ部29の例として、例えば図6に示す車載カメラ31、LiDAR(Light Detection And Ranging)、又は、ミリ波レーダ等が挙げられる。
【0030】
<<車載機器>>
車載機器16は、例えば以下のように、車両10に備えられる各無線機器20を制御する。車載機器16と各無線機器20と電子レンジ40とは、車載ネットワークによって接続されてよい。車載ネットワークの例として、CAN(Controller Area Network)、LIN、FlexRay等が挙げられる。
【0031】
車載機器16は、DTV信号受信部21が受信したデジタルテレビの放送信号をデコードしてデジタルテレビの映像信号を生成し、図示しない表示装置に表示する。
【0032】
車載機器16は、ラジオ信号受信部22が受信したラジオの放送信号をデコードしてラジオの音声信号を生成し、図示しないスピーカに出力する。
【0033】
車載機器16は、GNSS信号受信部23が受信したGNSSの電波に基づいて車両10の現在位置を特定し、その現在位置を、図示しないカーナビゲーションに表示する。
【0034】
車載機器16は、車両10がETC料金所を通過する際に、ETC信号通信部24が送受信したETCに関する無線信号に基づいて、ETC料金の精算処理を実行する。
【0035】
車載機器16は、Wi-Fi信号通信部25がユーザの携帯端末と送受信したWi-Fiの無線信号に基づいて、携帯端末と連携動作を行ってよい。例えば、Wi-Fiで接続されている携帯端末から、車両10が備えるデジタルテレビ、ラジオ、又は、カーナビゲーション等を操作できてよい。携帯端末の例として、スマートフォン、タブレット端末、携帯電話、ノートPC等が挙げられる。
【0036】
車載機器16は、BT信号通信部26がユーザの携帯端末と送受信したBluetoothの無線信号に基づいて、携帯端末と連携動作を行ってよい。例えば、Bluetoothで接続されている携帯端末から、車両10が備えるデジタルテレビ、ラジオ、又は、カーナビゲーション等を操作できてよい。
【0037】
車載機器16は、V2X信号通信部27が送受信したV2Xに関する無線信号に基づいて、車両10の挙動を制御する。例えば、車載機器16は、V2Xに関する無線信号に基づいて、車両10を自動的に加速、減速、停止、発進、又は、緊急停止等させる。
【0038】
車載機器16は、セルラ信号通信部28が送受信したセルラ通信に関する無線信号に基づいて、例えばOTA処理を行う。OTAは、Over The Airの略である。OTA処理は、例えば、車両10が備える各種機器のファームウェアをアップデートする場合に行われる。また、車載機器16は、セルラ信号通信部28が送受信したセルラ通信に関する無線信号に基づいて、例えば、カーナビゲーションの3次元マップを取得したり、交通情報を取得したりする。
【0039】
車載機器16は、ADASセンサ部29が送受信する電波に基づいて、車両10の挙動を制御する。例えば、車載機器16は、前方の車両10までの距離を測定したり、車両10の周囲に存在する障害物を検知したりする。さらに、車載機器16は、その測定又は検知した情報に基づいて、車両10の挙動を制御する。例えば、車載機器16は、車両10を自動的に加速、減速、停止、発進、又は、緊急停止等させる。
【0040】
なお、車載機器16が有する更なる機能については後述する。
【0041】
<<電子レンジ>>
電子レンジ40は、制御回路41、電源変換回路42、インバータ回路43、及び、マグネトロン部44を備える。
【0042】
電源変換回路42は、電力の供給元として補機用バッテリ11と、駆動用バッテリ12と、外付けバッテリ13と、外部電源14とを切り替える。また、電源変換回路42は、供給された電力をインバータ回路43の仕様に適した電力に変換する。例えば、インバータ回路43が交流100Vを直流高電圧に変換する仕様であるとする。この場合、電源変換回路42は、次の動作を行ってよい。すなわち、電源変換回路42は、補機用バッテリ11又は外付けバッテリ13から直流12Vが供給された場合、その直流12Vを交流100Vに変換し、インバータ回路43へ提供する。電源変換回路42は、駆動用バッテリ12から直流400Vが供給された場合、その直流400Vをいったん直流12Vに降圧し、その直流12Vを交流100Vに変換し、インバータ回路43へ提供する。電源変換回路42は、外部電源14から交流100Vが供給された場合、その交流100Vをそのままインバータ回路43へ提供する。
【0043】
インバータ回路43は、スイッチング制御により、電源変換回路42から供給された交流又は直流の電力を、マグネトロン部44の仕様に基づく所定の直流高電圧に変換する。
【0044】
なお、電源変換回路42がインバータ回路43を含む構成であってもよい。この場合、電源変換回路42は、次の動作を行ってもよい。すなわち、電源変換回路42は、補機用バッテリ11又は外付けバッテリ13から直流12Vが供給された場合、その直流12Vをマグネトロン部44の仕様に基づく所定の直流高電圧に変換し、マグネトロン部44に提供する。電源変換回路42は、駆動用バッテリ12から直流400Vが供給された場合、その直流400Vを、マグネトロン部44の仕様に基づく所定の直流高電圧に変換し、マグネトロン部44に提供する。電源変換回路42は、外部電源14から交流100Vが供給された場合、その交流100Vを、マグネトロン部44の仕様に基づく所定の直流高電圧に変換し、マグネトロン部44に提供する。
【0045】
マグネトロン部44は、インバータ回路43又は電源変換回路42から入力される高電圧を用いてマイクロ波を発生させる。これにより、電子レンジ40は、対象物を加熱する。以下、電子レンジ40が加熱する対象物を「加熱対象」と称する場合がある。
【0046】
制御回路41は、インバータ回路43又は電源変換回路42の挙動を制御することにより、マグネトロン部44から発生するマイクロ波の出力を制御する。なお、制御回路41が有するさらなる機能については後述する。
【0047】
インバータ回路43及び電源変換回路42の少なくとも1つは、スイッチング制御を行う際に、比較的広い周波数帯の電磁ノイズを発生させる。マグネトロン部44は、マイクロ波の出力の際に、915MHz又は2.4GHz付近とその逓倍周波数付近の電磁ノイズを発生させる。電源変換回路42は、動作時に、比較的広い周波数帯の電磁ノイズを発生させる。
【0048】
このように、電子レンジ40は、動作時に電磁ノイズを発生させる。この電磁ノイズは、上述した各無線機器20が送信又は受信する電波に干渉し得るため、無線機器20を利用する車載機器16の動作に影響を及ぼし得る。
【0049】
そこで、本実施の形態に係る車載機器16及び制御回路41は、次のような機能を有してよい。すなわち、車載機器16は、車両10の状況に関する情報を含む車両状況情報を生成し、車両状況情報を電子レンジ40の制御回路41へ送信する。例えば、車両状況情報には、電波を送信又は受信している無線機器20を示す情報が含まれる。制御回路41は、車載機器16から車両状況情報を受信し、その受信した車両状況情報に基づいて、インバータ回路43の駆動信号の周波数及びデューティ比の少なくとも一方を変更する。例えば、制御回路41は、車両状況情報を参照して電波を送信又は受信している無線機器20を特定し、その特定した無線機器20が利用している電波の周波数帯に干渉し得る電磁ノイズの発生が抑制されるように、インバータ回路43の駆動信号の周波数及びデューティ比の少なくとも一方を変更する。これにより、電子レンジ40の稼働によって発生する電磁ノイズが、無線機器20が送信又は受信している電波に干渉することを抑制できる。以下、より詳細に説明する。
【0050】
<インバータ回路の駆動信号の変更方法>
図2は、実施の形態1に係る制御回路41がインバータ回路43の駆動信号を変更する例を示す。
【0051】
制御回路41は、インバータ回路43の駆動信号を制御する。インバータ回路43の駆動信号は、例えば、PWM信号であってよい。PWMは、Pulse Width Modulationの略である。
【0052】
図2(a)に示すように、制御回路41は、デフォルト制御を行うことにより、インバータ回路43の駆動信号を、所定の周期のパルス列となるように制御する。つまり、制御回路41は、デフォルト制御を行うことにより、インバータ回路43の駆動信号を、所定の周波数のパルス列となるように制御する。
【0053】
図2(b)に示すように、制御回路41は、周波数制御を行うことにより、インバータ回路43の駆動信号を、デフォルト制御の場合の周期とは異なる周期のパルス列となるように制御する。つまり、制御回路41は、周波数制御を行うことにより、インバータ回路43の駆動信号を、デフォルト制御の場合の周波数とは異なる周波数のパルス列となるように制御する。このように、駆動信号の周波数を変更することにより、図3で説明するように、電磁ノイズのピーク周波数をシフトさせることができる。
【0054】
図2(c)に示すように、制御回路41は、デューティ比制御を行うことにより、インバータ回路43の駆動信号を、デフォルト制御の場合のデューティ比とは異なるデューティ比のパルス列となるように制御する。このように、デューティ比を変更することにより、図3で説明するように、電磁ノイズのピーク電界強度を抑制することができる。例えば、デューティ比を小さくすると、電磁ノイズのピーク電界強度は小さくなるが、マグネトロン部44から出力されるマイクロ波の電界強度も小さくなる。
【0055】
図2(d)に示すように、制御回路41は、周波数及びデューティ比制御を行うことにより、インバータ回路43の駆動信号を、デフォルト制御の場合の周期とは異なる周期、かつ、デフォルト制御の場合のデューティ比とは異なるデューティ比のパルス列となるように制御する。つまり、制御回路41は、周波数及びデューティ比制御を行うことにより、インバータ回路43の駆動信号を、デフォルト制御の場合の周波数とは異なる周波数、かつ、デフォルト制御の場合のデューティ比とは異なるパルス列となるように制御する。このように、駆動信号の周波数とデューティ比とを変更することにより、図3で説明するように、電磁ノイズのピーク周波数をシフトさせ、かつ、電磁ノイズのピーク電界強度を抑制することができる。
【0056】
<電磁ノイズの変化>
図3は、実施の形態1に係るインバータ回路43の駆動信号の変更による、電磁ノイズのピーク周波数及びピーク電界強度の変化の一例を示すグラフである。図3において、横軸は周波数を示し、縦軸は電界強度を示す。
【0057】
図3(a)は、制御回路41が、デフォルト制御を行った場合のグラフの一例を示す。なお、図3(a)において、長い破線は、電子レンジ40を稼働する前の電磁ノイズの一例を示し、実線は、電子レンジ40を稼働した後の電磁ノイズの一例を示す。図3(a)に示すように、電子レンジ40を稼働すると、周波数の全体で電磁ノイズの電界強度が上昇すると共に、所定の周波数において特に電磁ノイズの電界強度が大きくなる。この電磁ノイズの電界強度が最大又は極大となる周波数を、ピーク周波数と称する。また、このピーク周波数における電磁ノイズの電界強度を、ピーク電界強度と称する。
【0058】
図3(b)は、制御回路41が、デューティ比制御を行ってデューティ比を小さくした場合のグラフの一例を示す。例えば、制御回路41は、図3(b)に示すように、電磁ノイズのピーク電界強度が所定のEMC規格値よりもマージン3dB分小さくなるように、デューティ比制御を行ってよい。
【0059】
図3(c)は、制御回路41が、デューティ比制御を行ってデューティ比を図3(b)よりもさらに小さくした場合のグラフを示す。例えば、制御回路41は、図3(c)に示すように、電磁ノイズのピーク電界強度が所定のEMC規格値よりもマージン6dB分小さくなるように、デューティ比制御を行ってよい。
【0060】
図3(d)は、制御回路41が、周波数及びデューティ比制御を行ってデューティ比を小さくし、かつ、ピーク周波数を変更した場合のグラフを示す。例えば、制御回路41は、図3(d)に示すように、周波数シフト後の電磁ノイズのピーク電界強度が所定のEMC規格値よりもマージン6dB分小さくなるように、周波数及びデューティ比制御を行ってよい。
【0061】
なお、制御回路41は、マージンの大きさを、車両10の状況に応じて変えてよい。例えば、走行中の場合のマージンの大きさは、停車中の場合のマージンの大きさよりも、大きくてよい。走行中は、安全性向上の観点から、無線機器20が行う電波の送信又は受信に、より高い品質が求められるためである。例えば、制御回路41は、車両状況情報が、車両10が停車中であることを示す場合、図3(a)に例示するデフォルト制御又は図3(b)に例示するデューティ比制御を行い、車両状況情報が、車両10が走行中であることを示す場合、図3(c)に例示するデューティ比制御又は図3(d)に例示する周波数及びデューティ比制御を行ってよい。例えば、制御回路41は、車両状況情報が、車両10が走行中であることを示す場合、車両状況情報が、車両10が停車中であることを示す場合と比較して、インバータ回路43の駆動によって発生する電磁ノイズのピーク電界強度が小さくなるように、インバータ回路43の駆動信号の周波数及びデューティ比の少なくとも一方を変更してよい。
【0062】
また、制御回路41は、無線機器20が送信又は受信する電波の周波数帯が比較的狭く、かつ、電磁ノイズのピーク周波数帯の少なくとも一部がその無線機器20の電波の周波数帯に重なる場合、電磁ノイズのピーク周波数帯がその無線機器20の電波の周波数帯と重ならないように、周波数シフトを行ってよい。
【0063】
<動作パターン>
図4は、実施の形態1に係る車両10の状況に応じた動作パターンの一例を示す図である。
【0064】
図4において、ACCはアクセサリ電源、IGはイグニッションキー、PKBはパーキングブレーキ、車速は車両10の走行速度、車載機器POWは、車載機器16の電源を示す。
【0065】
ACCのOFFは、アクセサリ電源がOFFであることを示し、ACCのONは、アクセサリ電源がONであることを示す。
【0066】
IGのOFFは、イグニッションキーがOFFであることを示し、IGのONは、イグニッションキーがONであることを示す。
【0067】
PKGのOFFは、パーキングブレーキがOFFであることを示し、PKGのONは、パーキングブレーキがONであることを示す。
【0068】
車速のOFFは、車速情報が取得できないことを示し、車速のONは、車速情報が取得できることを示す。車速情報は、車速そのものであってもよく、車速をパルスで示した信号であってもよい。
【0069】
車載機器POWのOFFは、車載機器16の電源がOFFであることを示し、車載機器POWのONは、車載機器16の電源がONであることを示す。
【0070】
OTAのOFFは、OTA処理のための電波の送信又は受信が行われていないことを示し、OTAのONは、OTA処理のための電波の送信又は受信が行われていることを示す。
【0071】
Wi-Fi/BT/RADIO/DTVのOFFは、Wi-Fi信号通信部25/BT信号通信部26/ラジオ信号受信部22/DTV信号受信部21が電波の送信又は受信を行っていないことを示し、Wi-Fi/BT/RADIO/DTVのONは、Wi-Fi信号通信部25/BT信号通信部26/ラジオ信号受信部22/DTV信号受信部21が電波の送信又は受信を行っていることを示す。
【0072】
ETCのOFFは、ETC信号通信部24が電波の送信又は受信を行っていないことを示し、ETCのONは、ETC信号通信部24が電波の送信又は受信を行っていることを示す。
【0073】
GNSSのOFFは、GNSS信号受信部23が電波の受信を行っていないことを示し、GNSSのONは、GNSS信号受信部23が電波の受信を行っていることを示す。
【0074】
V2XのOFFは、V2X信号通信部27が電波の送信又は受信を行っていないことを示し、V2XのONは、V2X信号通信部27が電波の送信又は受信を行っていることを示す。
【0075】
車載機器16は、他の機器から情報を取得し、ACC、IG、PKG、車速、車載機器POW、OTA、Wi-Fi、Bluetooth、ラジオ、DTV、ETC、GNSS、及び、V2XのそれぞれのON又はOFFあるいは通信状態を特定し、その特定したON又はOFFを含む車両状況情報を生成してよい。そして、車載機器16は、その生成した車両状況情報を、電子レンジ40の制御回路41へ送信してよい。または、電子レンジ40は、車載機器16を介さず、直接車両状況情報を取得してもよい。この場合、電子レンジ40は、有線又は無線を通じて情報を入出力するための入出力ポートを備えてよい。
【0076】
また、図4の「走行/停車」の項目において、「停車」は、車両10が停車中であることを示し、「走行中」は、車両10が走行中であることを示し、「停車/走行中」は、車両10が停車中又は走行中であることを示す。
【0077】
また、図4の「干渉保護対象」の項目は、車両状況情報がその対応する行の状況を示す場合に、電磁ノイズの干渉から保護されるべき無線機器20の電波の種類の一例を示す。言い換えると、干渉保護対象は、ON状態の無線機器20が送受信する電波である。
【0078】
次に、図4に示す各行について説明する。
【0079】
番号1の行は、いずれの無線機器20も電波の送信又は受信を行っていないので、干渉保護対象とする電波はないことを示す。
【0080】
番号2及び番号3の行は、GNSS信号受信部23がGNSSの無線信号の受信を行っている場合、GNSSの電波を干渉保護対象とすることを示す。制御回路41は、車両状況情報が番号2又は番号3の行の内容を示す場合、保護干渉対象であるGNSSの無線信号に対する電磁ノイズの干渉が小さくなるように、インバータ回路43の駆動信号の周波数及びデューティ比の少なくとも一方を変更してよい。
【0081】
番号4の行は、OTA処理のための無線通信が行われている場合、OTA処理に利用されている無線信号を干渉保護対象とすることを示す。制御回路41は、車両状況情報が番号4の行の内容を示す場合、セルラ信号通信部28がOTA処理のために行っている無線通信に対する電磁ノイズの干渉が小さくなるように、インバータ回路43の駆動信号の周波数及びデューティ比の少なくとも一方を変更してよい。
【0082】
番号5及び番号9の行は、Wi-Fi信号通信部25が無線通信を行っている場合、Wi-Fiの無線信号を干渉保護対象とすることを示す。番号5及び番号9の行は、BT信号通信部26が無線通信を行っている場合、Bluetoothの無線信号を干渉保護対象とすることを示す。番号5及び番号9の行は、ラジオ信号受信部22がラジオの放送信号の受信を行っている場合、ラジオの放送信号を干渉保護対象とすることを示す。番号5及び番号9の行は、DTV信号受信部21がデジタルテレビの放送信号の受信を行っている場合、デジタルテレビの放送信号を干渉保護対象とすることを示す。制御回路41は、車両状況情報が番号5又は番号9の行の内容を示す場合、保護干渉対象であるWi-Fiの無線信号、Bluetoothの無線信号、ラジオの放送信号、又は、デジタルテレビの放送信号に対する電磁ノイズの干渉が小さくなるように、インバータ回路43の駆動信号の周波数及びデューティ比の少なくとも一方を変更してよい。
【0083】
番号6の行は、V2X信号通信部27がV2Xに関する無線通信を行っている場合、V2Xに関する無線通信を干渉保護対象とすることを示す。制御回路41は、車両状況情報が番号6の行の内容を示す場合、V2Xに関する無線通信に対する電磁ノイズの干渉が小さくなるように、インバータ回路43の駆動信号の周波数及びデューティ比の少なくとも一方を変更してよい。
【0084】
番号7、番号8、番号10及び番号11の行は、ETC信号通信部24がETCに関する無線通信を行っている場合、ETCに関する無線信号を干渉保護対象とすることを示す。制御回路41は、車両状況情報が番号7又は番号8の行の内容を示す場合、ETCに関する無線通信に対する電磁ノイズの干渉が小さくなるように、インバータ回路43の駆動信号の周波数及びデューティ比の少なくとも一方を変更してよい。
【0085】
また、制御回路41は、「走行/停車」の項目において、車両10が「停車」であるか、それとも「走行中」であるかに基づいて、図3で説明したマージンの大きさを決定してもよい。例えば、制御回路41は、車両10が「走行中」である場合、車両10が「停車」である場合のマージンよりも大きいマージンとする。
【0086】
また、制御回路41は、「走行/停車」の項目において、車両10が「停車」であるか、それとも「走行中」であるかに基づいて、電磁ノイズのピーク周波数のシフトを行うか否かを決定してもよい。例えば、制御回路41は、車両10が「走行中」である場合、電磁ノイズのピーク周波数のシフトを行い、「停車」である場合、電磁ノイズのピーク周波数のシフトを行わなくてよい。
【0087】
<フローチャート>
図5は、実施の形態1に係る電子レンジ40の制御回路41が行う処理の一例を示すフローチャートである。
【0088】
ユーザは、加熱対象を電子レンジ40に入れて、加熱電力と加熱時間を入力する(S101)。加熱電力は、例えば、ワット数であってよい。例えば、ユーザは、高いワット数と、普通のワット数と、低いワット数とのうちの1つを選択することにより、加熱電力を入力してもよい。
【0089】
車載機器16は、定期的に車両10の走行状況及び無線機器20の状況等を監視し、その状況を示す車両状況情報を生成し、その生成した車両状況情報を制御回路41へ送信してよい。制御回路41は、車載機器16から車両状況情報を受信する(S102)。制御回路41は、ステップS102において、電源変換回路42に接続される電源の種別を判定してもよい。
【0090】
制御回路41は、ステップS102で受信した車両状況情報に基づいて、各無線機器20の使用状況を確認する(S103)。
【0091】
制御回路41は、ステップS103で確認した各無線機器20の使用状況に基づいて、電子レンジ40の調理に関するカスタム設定が必要か否かを判定する(S104)。すなわち、制御回路41は、使用中の無線機器20の無線通信が、電子レンジ40の稼働によって発生するノイズの影響を受けないように、電子レンジ40の調理に関する電力及び周波数の少なくとも1つをカスタム設定する必要があるか否かを判定する。
【0092】
例えば、制御回路41は、GNSS受信中である場合、OTA処理中である場合、ETC通信中である場合、Bluetooth又はWi-Fi通信中である場合、又は、V2X送受信中である場合、カスタム設定が必要であると判断する。なお、制御回路41は、ETC通信中でなくても、近い将来、ETC通信が開始されることを予測した場合、カスタム設定が必要であると判断してもよい。例えば、制御回路41は、車両10の現在位置とナビゲーション経路とから、もうすぐETCゲートに到達すると推定できる場合、近い将来、ETC通信が開始されると予測してもよい。また、制御回路41は、車両10が走行中でない場合、無線機器20の使用状況に関わらず、カスタム設定が不要であると判断してもよい。例えば、制御回路41は、車両状況情報において、車速が0でない場合、車両10が走行中であると判定してよい。例えば、制御回路41は、車両状況情報において、パーキングブレーキがONの場合、又は、車速が0である場合、車両10が走行中でないと判定してよい。
【0093】
制御回路41は、ステップS104において、カスタム設定が不要であると判定した場合(S104:NO)、ユーザがステップS101で電子レンジ40に入力した加熱電力及び加熱時間をそのまま設定し(S105)、処理をステップS110に進める。
【0094】
制御回路41は、ステップS104において、カスタム設定が必要であると判定した場合(S104:YES)、前回のステップS104の判定結果、前回の車両状況情報、及び、前回の各無線機器20の使用状況と比較して、今回のステップS104の判定結果、今回の車両状況情報、及び、今回の各無線機器20の使用状況の少なくとも1つが変化しているか否かを判定する(S106)。
【0095】
制御回路41は、ステップS106において、変化していないと判定した場合(S106:NO)、処理をステップS110に進める。
【0096】
制御回路41は、ステップS106において、変化していると判定した場合(S106:YES)、無線機器20の使用状況及び車両の走行状況の少なくとも1つに応じた、電力及び周波数の出力を電子レンジ40に設定する(S107)。例えば、制御回路41は、周波数制御を行うことにより、電磁ノイズのピーク周波数をシフトさせる。
【0097】
制御回路41は、ステップS107の設定により加熱時間の変更が必要か否かを判定する(S108)。制御回路41は、加熱時間の変更が不要であると判定した場合(S108:NO)、処理をステップS110に進める。制御回路41は、加熱時間の変更が必要であると判定した場合(S108:YES)、加熱時間を再設定し(S109)、処理をステップS110に進める。
【0098】
例えば、制御回路41は、デューティ比制御を行うことによりステップS101で入力された加熱電力を下げ、加熱電力を下げた分、加熱時間を延ばす。ここで、制御回路41は、延ばした加熱時間を残り加熱時間とする。制御回路41は、ステップS102で判定した電源の種別に基づいて、加熱電力を調整してもよい。制御回路41は、例えば電源としてDC12Vである車両のバッテリを用いる場合、より高出力な電源を用いる場合と比較して、加熱電力を低下させてもよい。
【0099】
制御回路41は、設定された加熱電力及び加熱時間で加熱を開始する。あるいは、すでに加熱中である場合、制御回路41は、加熱を継続する(S110)。
【0100】
制御回路41は、残り加熱時間が0になったか否かを判定する(S130)。
【0101】
制御回路41は、残り加熱時間が0になっていない場合(S130:NO)、処理をステップS102に戻す。
【0102】
制御回路41は、残り加熱時間が0になった場合(S130:YES)、加熱を終了し、加熱が完了した旨をユーザに通知し(S131)、本処理を終了する。
【0103】
以上の処理により、電子レンジ40から発生する電磁ノイズが干渉保護対象の電波に干渉することを抑制又は回避することができる。加えて、制御回路41は、干渉の抑制又は回避のために電子レンジ40の加熱電力を下げた場合に残り加熱時間も自動的に延ばすことにより、電子レンジ40は、ユーザが入力した加熱時間で加熱した場合に加熱対象が達する温度となるように、加熱対象を適切に加熱することができる。
【0104】
なお、図5に示す処理において、ステップS101にてユーザが加熱時間に代えて加熱温度を入力した場合、制御回路41は、加熱時間の変更処理を行わなくてよい。そして、制御回路41は、ステップS130において、加熱対象が入力された加熱温度に達しているか否かを判定し、達していない場合(S130:NO)、処理をステップS102に戻し、達している場合(S130:YES)、処理をステップS131に進めてよい。
【0105】
<カメラ連携>
図6は、実施の形態1に係るカメラと車載機器16と電子レンジ40とを連携する例を説明するための図である。なお、図6では、無線機器20の記載を省略している。
【0106】
例えば、ユーザは、加熱対象をカメラで撮影する。カメラは、車両10に搭載されている車載カメラ31、又は、ユーザが所持する携帯端末のカメラ32のいずれであってもよい。車載カメラ31の例として、ドライブレコーダのカメラ又はリヤカメラ等が挙げられる。
【0107】
車載カメラ31又は携帯端末のカメラ32は、撮影した加熱対象の画像を車載機器16に送信する。
【0108】
車載機器16は、受信した加熱対象の画像を解析し、加熱対象を識別する。例えば、車載機器16は、加熱対象の画像に含まれるバーコード又はQRコード(登録商標)から加熱対象の識別情報を特定する。あるいは、車載機器16は、加熱対象の画像に含まれるパッケージのデザイン等を分析して加熱対象の識別情報を特定してもよい。あるいは、ユーザが加熱対象の名称を手動で入力し、車載機器16は、その入力された名称に基づいて加熱対象の識別情報を特定してもよい。例えば、車載機器16、電子レンジ40、又は、携帯端末は、バーコード又はQRコードが示すインターネット上のサイトにアクセスして識別情報を取得してもよい。また、車載機器16、電子レンジ40、又は、携帯端末は、バーコード又はQRコードと識別情報との対応付けるデータベースを有し、そのデータベースを参照して識別情報を特定してよい。車載機器16、電子レンジ40、又は、携帯端末は、このデータベースをインターネット上のサイトからダウンロードしてアップデートすることができてよい。
【0109】
車載機器16は、特定した識別情報を車両状況情報に含めて、電子レンジ40の制御回路41へ送信する。
【0110】
制御回路41は、識別情報に基づいて、加熱対象の加熱時間を特定する。例えば、電子レンジ40が備えるメモリには予め加熱対象の識別情報と、加熱電力と、加熱時間とを対応付けた加熱管理テーブルが保持されており、制御回路41は、その加熱管理テーブルを参照し、特定した識別情報に対応する加熱電力と加熱時間とを特定する。
【0111】
これにより、制御回路41は、図5のステップS101にてユーザに加熱電力と加熱時間とを入力させる代わりに、加熱対象に適切な加熱電力と加熱時間とを自動的に設定することができる。
【0112】
また、制御回路41は、加熱電力を下げたり、残り加熱時間を長くしたりする変更を行う際に、加熱管理テーブルにおける加熱電力と加熱時間との対応関係に基づいて、変更後の加熱電力及び残り加熱時間を算出することができる。なお、加熱管理テーブルの内容は、インターネット等を通じて自動的にアップデートされてよい。
【0113】
なお、携帯端末のカメラ32が、撮影した加熱対象の画像を、電子レンジ40の制御回路41に送信する構成であってもよい。この場合、上述した車載機器16が行う処理は、電子レンジ40の制御回路41が行う構成であってよい。
【0114】
<電子レンジの稼働の変更>
電子レンジ40の制御回路41は、車両状況情報に基づいて、加熱の開始を延期したり、加熱を一時中断したりしてもよい。例えば、制御回路41は、加熱を開始する前、車両状況情報が、以下の(A1)から(A5)のうちの少なくとも1つに該当する場合、加熱の開始を延期し、車両状況情報が、以下のA1からA5のいずれにも該当しなくなったタイミングで、加熱を開始してもよい。例えば、制御回路41は、加熱中において、車両状況情報が、以下の(A1)から(A5)のうちの少なくとも1つに該当する場合、加熱を一時中断し、車両状況情報が、以下の(A1)から(A5)のいずれにも該当しなくなったタイミングで、加熱を再開してもよい。
【0115】
(A1)車両状況情報が、OTA処理のように途中で無線通信が途切れると不都合な処理が行われていることを示す場合。
(A2)車両状況情報が、電装品を使用時の補機用バッテリ11、駆動用バッテリ12又は外付けバッテリ13のバッテリ残量が所定の閾値未満であることを示す場合。
(A3)車両状況情報が、ADAS機能が運転者に対して注意喚起を行っていることを示す場合
(A4)車両状況情報が、通信状況が悪いことを示す場合。通信状況が悪い場合とは、例えば、電波の受信強度が所定の閾値未満である場合、又は、電波の受信品質が所定の閾値未満である場合等である。
(A5)車両状況情報が、多数の無線通信が同時に行われているために周波数シフトが可能な周波数帯域が少ない又は存在しないことを示す場合。
【0116】
<代替周波数への切り替え>
図7は、実施の形態1に係る代替周波数への切り替えを説明するための図である。
【0117】
無線通信が、互いに異なる周波数帯で同等の機能又はサービスを提供できる場合がある。例えば、同一の番組が、531kHz~1603kHzを使用するAMラジオ放送と、90.1MHz~95MHzを使用するワイドFMラジオ放送とで提供されている場合がある。例えば、GNSSとGLONASSとは、使用する周波数帯が互いに異なるが、いずれも車両10の現在位置の測定に使用できる場合がある。例えば、3G仕様のセルラ通信と5G仕様のセルラ通信とは、使用する周波数帯が互いに異なるが、いずれも同じデータ送受信に使用できる場合がある。例えば、2.4GHz帯を使用するWi-Fi通信と、5GHz帯を使用するWi-Fi通信とは、使用する周波数帯が互いに異なるが、いずれも同じデータ送受信に使用できる場合がある。
【0118】
この場合、車載機器16は、使用中の無線通信の周波数帯が、電子レンジ40の稼働によって発生する電磁ノイズから干渉を受けることが予測される場合、同一の機能を実現できる他の周波数帯を無線通信で使用するように切り替えてよい。ここで、電子レンジ40から発生する電磁ノイズの周波数成分は予め確認済みであり、切り替え先の周波数帯のノイズ放射レベルは低いものとする。
【0119】
例えば、電子レンジ40から発生する電磁ノイズが、Wi-Fi通信の2.4GHz帯に干渉し、Wi-Fi通信の5GHz帯にほとんど干渉しないことが確認済みである場合、車載機器16と電子レンジ40の制御回路41とは次の(B1)~(B4)の処理を行ってよい。
【0120】
(B1)ユーザが電子レンジ40の操作を開始した場合、電子レンジ40の制御回路41は、電子レンジ40の操作が開始された旨を示す電子レンジ状態情報を車載機器16へ送信する。
(B2)車載機器16は、電子レンジ40の操作が開始された旨を示す電子レンジ状態情報を受信した場合であって、Wi-Fi信号通信部25が2.4GHz帯の無線通信を使用している場合、Wi-Fi信号通信部25に対して、電子レンジから発生する電磁ノイズの干渉をほとんど受けない5GHz帯の無線通信に切り替えるよう指示する。
(B3)車載機器16は、無線通信を5GHz帯に切り替えた後、電子レンジ40に対して動作の開始を許可する電子レンジ制御情報を送信する。
(B4)電子レンジ40の制御回路41は、動作の開始を許可する電子レンジ制御情報を受信した後、電子レンジ40を動作させる。
【0121】
なお、上述した処理は一例であり、同等の目的を達成できれば、車載機器16と制御回路41とはどのような処理を行ってもよい。例えば、車載機器16は、上記(B2)の後、上記(B3)の処理を行わず、電子レンジ40の制御回路41が、車載機器16に対して2.4GHz帯を使用していないことを問い合わせ、2.4GHz帯を使用していないことを確認した後、電子レンジ40を動作させてもよい。あるいは、車載機器16は、電子レンジ40の動作状況を監視しており、電子レンジ40の動作開始を検知した場合、Wi-Fi信号通信部25に対して、電子レンジから発生する電磁ノイズの干渉をほとんど受けない5GHz帯の無線通信に切り替えるよう指示する。
【0122】
これにより、車載機器16は、無線通信が電子レンジ40から発生する電磁ノイズから干渉されることを回避しつつ、同等の機能又はサービスを実現できる。
【0123】
<IH調理器を搭載する場合>
図8は、実施の形態1に係るIH調理器50を搭載した車両10の構成例を示すブロック図である。IH調理器50は、加熱調理器の一例である。
【0124】
図8に示すように、電子レンジ40に代えてIH調理器50が搭載された車両10においても、上述した電子レンジ40の場合と同様に、電磁ノイズのピーク電界強度の抑制及びピーク周波数のシフトを行ってよい。
【0125】
IH調理器50は、図8に示すように、制御回路51、電源変換回路52、IGBT53、及び、IHコイル54を備える。IGBT53は、Insulated Gate Bipolar Transistorの略である。IGBT53は、パワー半導体の一例である。
【0126】
制御回路51及び電源変換回路52は、上述した電子レンジ40の制御回路41及び電源変換回路42と同様の機能を有する。
【0127】
IH調理器50は、IGBT53をスイッチング制御することにより、IHコイル54に磁界を発生させ、IHコイル54上に載せられた鍋又はフライパン等を加熱する。
【0128】
IGBT53をスイッチング制御する際に、電子レンジ40の場合と同様、電磁ノイズが発生し得る。また、電源変換回路52及びIHコイル54からも電磁ノイズが発生し得る。そこで、IH調理器50の制御回路51は、上述した電子レンジ40の制御回路41と同様の処理を行うことにより、無線機器20が送信又は受信する電波に対する電磁ノイズの干渉を抑制又は回避することができる。
【0129】
<変形例>
上述では、車載機器16が車両状況情報を生成し、電子レンジ40の制御回路41は、その車両状況情報を受信する構成について説明した。しかし、電子レンジ40の制御回路41が車両10の状況及び各無線機器20の状況を監視し、車両状況情報を自ら生成する構成であってもよい。
【0130】
(本開示のまとめ)
以上の実施の形態の記載により、下記の技術が開示される。
【0131】
<技術1>
車載機器16を備える車両10に搭載される加熱調理器は、インバータ回路43と、車載機器16から車両10の状況に関する情報を含む車両状況情報を受信し、車両状況情報に基づいて、インバータ回路43の駆動信号の周波数及びデューティ比の少なくとも一方を変更する制御回路41と、を備える。
このように、加熱調理器は、車両10の状況に応じて、インバータ回路43の駆動信号の周波数及びデューティ比の少なくとも一方を変更することにより、当該加熱調理器から発生する電磁ノイズのピーク周波数帯のシフト及びピーク電界強度の抑制の少なくとも1つを実現できる。よって、加熱調理器は、車両10が搭載する無線機器への影響を制御できる。
【0132】
<技術2>
技術1に記載の加熱調理器において、車両状況情報は、車両10が走行中又は停車中のいずれであるかを示す情報を含み、制御回路41は、車両状況情報が走行中を示す場合、車両状況情報が停車中を示す場合と比較して、インバータ回路43の駆動によって発生する電磁ノイズのピーク電界強度が小さくなるように、インバータ回路43の駆動信号の周波数及びデューティ比の少なくとも一方を変更する。
これにより、加熱調理器は、車両10が走行中の場合、電磁ノイズの無線機器への干渉をより小さくすることができる。
【0133】
<技術3>
技術1又は2に記載の加熱調理器において、車両状況情報は、車両10の位置を測定するためのGNSS(Global Navigation Satellite System)の無線信号を受信中であるか否かを示す情報を含み、制御回路41は、車両状況情報がGNSSの無線信号を受信中であることを示す場合、GNSSの無線信号に対する、インバータ回路43の駆動によって発生する電磁ノイズの干渉が小さくなるように、インバータ回路43の駆動信号の周波数及びデューティ比の少なくとも一方を変更する。
これにより、加熱調理器は、GNSSの無線信号に対する電磁ノイズの干渉を抑制できる。
【0134】
<技術4>
技術1から技術3のいずれか1項に記載の加熱調理器において、車両状況情報は、車載機器がOTA(Over The Air)処理中であるか否かを示す情報を含み、制御回路41は、車両状況情報がOTA処理中であることを示す場合、OTA処理のための無線信号に対する、インバータ回路43の駆動によって発生する電磁ノイズの干渉が小さくなるように、インバータ回路43の駆動信号の周波数及びデューティ比の少なくとも一方を変更する。
これにより、加熱調理器は、OTA処理のための無線信号に対する電磁ノイズの干渉を抑制できる。
【0135】
<技術5>
技術1から技術4のいずれか1項に記載の加熱調理器において、車両状況情報は、車載機器がWi-Fi及びBluetoothの少なくとも一方の通信中であるか否かを示す情報を含み、制御回路41は、車両状況情報がWi-Fi及びBluetoothの少なくとも一方の通信中であることを示す場合、Wi-Fi及びBluetoothの少なくとも一方の無線信号に対する、インバータ回路43の駆動によって発生する電磁ノイズの干渉が小さくなるように、インバータ回路43の駆動信号の周波数及びデューティ比の少なくとも一方を変更する。
これにより、加熱調理器は、Wi-Fi及びBluetoothの少なくとも一方の無線信号に対する電磁ノイズの干渉を抑制できる。
【0136】
<技術6>
技術1から技術5のいずれか1項に記載の加熱調理器において、車両状況情報は、車載機器がV2X(Vehicle-to-everything)通信中であるか否かを示す情報を含み、制御回路41は、車両状況情報がV2X通信中であることを示す場合、V2X通信の無線信号に対する、インバータ回路43の駆動によって発生する電磁ノイズの干渉が小さくなるように、インバータ回路43の駆動信号の周波数及びデューティ比の少なくとも一方を変更する。
これにより、加熱調理器は、V2X通信の無線信号に対する電磁ノイズの干渉を抑制できる。
【0137】
<技術7>
技術1から技術6のいずれか1項に記載の加熱調理器において、車両状況情報は、車載機器がETC(Electronic Toll Collection System)通信中であるか否かを示す情報を含み、制御回路41は、車両状況情報がETC通信中であることを示す場合、ETC通信の無線信号に対する、インバータ回路43の駆動によって発生する電磁ノイズの干渉が小さくなるように、インバータ回路43の駆動信号の周波数及びデューティ比の少なくとも一方を変更する。
これにより、加熱調理器は、ETC通信の無線信号に対する電磁ノイズの干渉を抑制できる。
【0138】
<技術8>
技術1から技術7のいずれか1項に記載の加熱調理器において、制御回路41は、インバータ回路43の駆動信号の周波数及びデューティ比の少なくとも一方の変更に応じて、加熱時間を変更する。
これにより、加熱調理器は、インバータ回路43の駆動信号の周波数及びデューティ比の少なくとも一方を変更した場合であっても、加熱時間を変更することにより、加熱対象を目的の温度に温めることができる。
【0139】
<技術9>
車両10に搭載された、インバータ回路43を備える加熱調理器を制御する方法は、車両10の状況に関する情報である車両状況情報を受信し、車両状況情報に基づいて、インバータ回路43の駆動信号の周波数及びデューティ比の少なくとも一方を変更する。
このように、加熱調理器を制御する方法は、車両10の状況に応じて、インバータ回路43の駆動信号の周波数及びデューティ比の少なくとも一方を変更することにより、当該加熱調理器から発生する電磁ノイズのピーク周波数帯のシフト及びピーク電界強度の抑制の少なくとも1つを実現できる。よって、加熱調理器を制御する方法は、車両10が搭載する無線機器への影響を制御できる。
【0140】
以上、添付図面を参照しながら実施の形態について説明したが、本開示はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例、修正例、置換例、付加例、削除例、均等例に想到し得ることは明らかであり、それらについても本開示の技術的範囲に属すると了解される。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した実施の形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0141】
本開示の技術は、無線機器を備える車両に加熱調理器を搭載する場合に有用である。
【符号の説明】
【0142】
10 車両
11 補機用バッテリ
12 駆動用バッテリ
13 外付けバッテリ
14 外部電源
15 リレー装置
16 車載機器
20 無線機器
21 DTV信号受信部
22 ラジオ信号受信部
23 GNSS信号受信部
24 ETC信号通信部
25 Wi-Fi信号通信部
26 BT信号通信部
27 V2X信号通信部
28 セルラ信号通信部
29 ADASセンサ部
31 車載カメラ
32 携帯端末のカメラ
40 電子レンジ
41 制御回路
42 電源変換回路
43 インバータ回路
44 マグネトロン部
50 IH調理器
51 制御回路
52 電源変換回路
53 IGBT
54 IHコイル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8