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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024105034
(43)【公開日】2024-08-06
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/00 20060101AFI20240730BHJP
   G03G 15/06 20060101ALI20240730BHJP
   B41J 29/393 20060101ALI20240730BHJP
【FI】
G03G15/00 303
G03G15/06 101
B41J29/393 101
B41J29/393 107
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023009551
(22)【出願日】2023-01-25
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096426
【弁理士】
【氏名又は名称】川合 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100116207
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 俊明
(72)【発明者】
【氏名】浦野 貴弘
【テーマコード(参考)】
2C061
2H073
2H270
【Fターム(参考)】
2C061AP01
2C061AQ06
2C061AR01
2C061KK12
2C061KK18
2C061KK25
2C061KK32
2H073AA02
2H073BA02
2H073BA13
2H073BA28
2H073CA22
2H270LA05
2H270LA91
2H270LB01
2H270MA14
2H270MB25
2H270MB30
2H270MB43
2H270ZC03
2H270ZC04
2H270ZC08
(57)【要約】
【課題】印刷濃度値を適正に補正することができ、現像剤の消費量を少なくすることができるようにする。
【解決手段】搬送部材と、各色の高印字率及び低印字率の濃度検出部位から成る濃度検出パターンを搬送部材に形成する複数の画像形成ユニットと、濃度検出パターンの濃度を検出し、センサ検出電圧を発生させる濃度検出部と、該濃度検出部によって発生させられたセンサ検出電圧を変換し、高印字率の濃度検出部位の濃度値及び低印字率の濃度検出部位の濃度値を算出する濃度値変換部Pr4と、高印字率の濃度検出部位の濃度値と低印字率の濃度検出部位の濃度値との濃度比に応じて現像電圧感度を設定し、現像電圧感度に基づいて印刷濃度値を補正する濃度補正制御部Pr5とを有する。高印字率の濃度検出部位の濃度値の変化が飽和している場合でも印刷濃度値を適正に補正することができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)媒体を搬送する搬送部材と、
(b)前記媒体の搬送方向に沿って配設され、各色の高印字率及び低印字率の濃度検出部位から成る濃度検出パターンを前記搬送部材に形成する複数の画像形成ユニットと、
(c)前記搬送部材と対向させて配設され、前記濃度検出パターンの濃度を検出し、センサ検出電圧を発生させる濃度検出部と、
(d)該濃度検出部によって発生させられたセンサ検出電圧を変換し、高印字率の濃度検出部位の濃度値及び低印字率の濃度検出部位の濃度値を算出する濃度値変換部と、
(e)高印字率の濃度検出部位の濃度値と低印字率の濃度検出部位の濃度値との濃度比に応じて現像電圧感度を設定し、該現像電圧感度に基づいて印刷濃度値を補正する濃度補正制御部とを有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記濃度補正制御部は、前記濃度比が閾値より高い場合に、高印字率の濃度検出部位の濃度値の変化が飽和していると判断し、現像電圧感度を変更する請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
(a)前記濃度比とあらかじめ算出された現像電圧感度とが対応させて記憶部に記録され、
(b)前記濃度補正制御部は、前記記憶部を参照し、濃度比に対応する現像電圧感度を読み出し、設定する請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記濃度補正制御部は、高印字率の濃度検出部位の濃度の変化が飽和していると判断した場合、飽和位置における濃度比、及び濃度補正時に算出された濃度比に基づいて現像電圧感度を設定する請求項1に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、プリンタ、複写機、ファクシミリ装置、複合機等の画像形成装置、例えば、タンデム式のカラーのプリンタには、各色の画像形成ユニット、LEDヘッド、転写ユニット、定着器等が配設され、前記各画像形成ユニットにおいて、感光体ドラムに各色のトナー像が形成され、該各色のトナー像が、搬送ベルトによって搬送される用紙に転写ユニットによって順次転写されてカラーのトナー像が形成され、定着器においてカラーのトナー像が用紙に定着させられてカラーの画像が形成され、印刷が行われるようになっている。
【0003】
ところで、前記プリンタにおいては、プリンタの置かれている雰囲気の温度及び湿度、プリンタの使用状況等によって印刷濃度値が変化することがあるので、所定のタイミングで、搬送ベルトに濃度検出パターンを形成し、該濃度検出パターンの濃度を検出して印刷濃度値を補正するようになっている。
【0004】
濃度検出パターンの濃度は現像電圧値に対して線形に変化することが考えられるが、現像剤としてのトナーの状態、印字率等によって現像電圧値の絶対値が大きい場合、現像電圧値に対して濃度検出パターンの濃度の変化が飽和してしまうことがある。特に、印字率が高い濃度検出パターンの濃度の変化が飽和しやすい。その場合、現像電圧値に対して濃度検出パターンの濃度が線形に変化することを前提として印刷濃度値を補正すると、印刷濃度値を適正に補正することができず、補正後の印刷濃度値が高くなってしまう。
【0005】
そこで、搬送ベルトに複数の濃度検出パターンを形成し、現像電圧値と濃度検出パターンの濃度との関係を2次近似式で表すことによって、濃度検出パターンの濃度の変化が飽和している場合でも印刷濃度値を補正することができるようにしたプリンタが提供されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2021-173953号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前記従来のプリンタにおいては、複数の濃度検出パターンを形成する必要があるので、トナーの消費量が多くなってしまう。
【0008】
本発明は、前記従来のプリンタの問題点を解決して、印刷濃度値を適正に補正することができ、現像剤の消費量を少なくすることができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そのために、本発明の画像形成装置においては、媒体を搬送する搬送部材と、前記媒体の搬送方向に沿って配設され、各色の高印字率及び低印字率の濃度検出部位から成る濃度検出パターンを前記搬送部材に形成する複数の画像形成ユニットと、前記搬送部材と対向させて配設され、前記濃度検出パターンの濃度を検出し、センサ検出電圧を発生させる濃度検出部と、該濃度検出部によって発生させられたセンサ検出電圧を変換し、高印字率の濃度検出部位の濃度値及び低印字率の濃度検出部位の濃度値を算出する濃度値変換部と、高印字率の濃度検出部位の濃度値と低印字率の濃度検出部位の濃度値との濃度比に応じて現像電圧感度を設定し、該現像電圧感度に基づいて印刷濃度値を補正する濃度補正制御部とを有する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、画像形成装置においては、媒体を搬送する搬送部材と、前記媒体の搬送方向に沿って配設され、各色の高印字率及び低印字率の濃度検出部位から成る濃度検出パターンを前記搬送部材に形成する複数の画像形成ユニットと、前記搬送部材と対向させて配設され、前記濃度検出パターンの濃度を検出し、センサ検出電圧を発生させる濃度検出部と、該濃度検出部によって発生させられたセンサ検出電圧を変換し、高印字率の濃度検出部位の濃度値及び低印字率の濃度検出部位の濃度値を算出する濃度値変換部と、高印字率の濃度検出部位の濃度値と低印字率の濃度検出部位の濃度値との濃度比に応じて現像電圧感度を設定し、該現像電圧感度に基づいて印刷濃度値を補正する濃度補正制御部とを有する。
【0011】
この場合、高印字率の濃度検出部位の濃度値と低印字率の濃度検出部位の濃度値との濃度比に応じて現像電圧感度が設定され、該現像電圧感度に基づいて印刷濃度値が補正されるので、高印字率の濃度検出部位の濃度値の変化が飽和している場合でも、印刷濃度値を適正に補正することができる。
【0012】
また、搬送部材に高印字率の濃度検出部位及び低印字率の濃度検出部位を形成するだけでよいので、現像剤の消費量を少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第1の実施の形態におけるプリンタの制御ブロック図である。
図2】本発明の第1の実施の形態におけるプリンタの概略図である。
図3】本発明の第1の実施の形態における濃度センサの動作を説明するための第1の図である。
図4】本発明の第1の実施の形態における濃度センサの動作を説明するための第2の図である。
図5】本発明の第1の実施の形態における濃度センサの動作を説明するための第3の図である。
図6】本発明の第1の実施の形態におけるセンサ検出電圧-濃度値変換テーブルの例を示す図である。
図7】本発明の第1の実施の形態における目標印刷濃度値テーブルの例を示す図である。
図8】本発明の第1の実施の形態における濃度飽和閾値テーブルの例を示す図である。
図9】本発明の第1の実施の形態における第1の現像電圧感度テーブルの例を示す図である。
図10】本発明の第1の実施の形態における第2の現像電圧感度テーブルの例を示す図である。
図11】本発明の第1の実施の形態における第3の現像電圧感度テーブルの例を示す図である。
図12】本発明の第1の実施の形態における第4の現像電圧感度テーブルの例を示す図である。
図13】本発明の第1の実施の形態における第5の現像電圧感度テーブルの例を示す図である。
図14】本発明の第1の実施の形態におけるヘッド駆動時間調整量テーブルの例を示す図である。
図15】本発明の第1の実施の形態における現像電圧感度計算用係数テーブルの例を示す図である。
図16】本発明の第1の実施の形態における濃度飽和位置現像電圧感度テーブルの例を示す図である。
図17】本発明の第1の実施の形態における制御部の動作を示すフローチャートである。
図18】本発明の第1の実施の形態における濃度検出パターンの例を示す図である。
図19】本発明の第1の実施の形態におけるプリンタの寸法図である。
図20】本発明の第1の実施の形態におけるセンサ検出電圧と濃度値との関係を示す第1の図である。
図21】本発明の第1の実施の形態におけるセンサ検出電圧と濃度値との関係を示す第2の図である。
図22】本発明の第1の実施の形態における現像電圧値と濃度値との関係を示す第1の図である。
図23】本発明の第1の実施の形態における現像電圧値と濃度値との関係を示す第2の図である。
図24】本発明の第1の実施の形態における現像電圧値に対する濃度値及び濃度比の変化を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。この場合、画像形成装置としてのプリンタについて説明する。
【0015】
図2は本発明の第1の実施の形態におけるプリンタの概略図である。
【0016】
図において、10はプリンタ、Csは該プリンタ10の筐体、Bdはプリンタ10の本体、すなわち、装置本体であり、該装置本体Bdの下部に媒体収容部としての給紙カセット11が配設され、該給紙カセット11に媒体としての図示されない用紙が収容される。また、給紙カセット11の前端に隣接させて、用紙を1枚ずつ分離させて給紙するための給紙機構12が配設される。
【0017】
該給紙機構12は、繰出部材としてのホッピングローラ13及び図示されない分離装置から成り、給紙機構12によって1枚ずつ分離させられた用紙は、媒体搬送路としての用紙搬送路Rt1に給紙され、レジストローラ及びピンチローラから成る搬送部材としてのレジストローラ対m1に送られた後、画像形成部Q1に送られる。なお、用紙の位置、ジャム(用紙詰まり)等を検出するために、用紙搬送路Rt1におけるレジストローラ対m1より上流側及び下流側に、第1、第2の媒体検出部としてのセンサs1、s2が配設される。
【0018】
前記画像形成部Q1は、用紙の搬送方向に沿って配設され、ブラック、シアン、マゼンタ及びイエローの各色の画像を形成する印刷機構としての複数の画像形成ユニット(イメージドラムユニット)16i(i=K、C、M、Y)、各画像形成ユニット16iに配設された像担持体としての感光体ドラム31i(i=K、C、M、Y)と対向させて配設された露光装置としてのLEDヘッド22i(i=K、C、M、Y)、及び画像形成ユニット16iの下方において、装置本体Bdに対して着脱自在に配設された転写ユニットu1を備える。
【0019】
各画像形成ユニット16iは、装置本体Bdに対して着脱自在に、かつ、独立に配設され、画像形成ユニット16iの本体、すなわち、ユニット本体28、及び該ユニット本体28に対して着脱自在に配設され、ブラック、シアン、マゼンタ及びイエローの各色の現像剤としてのトナーを収容する現像剤収容部としてのトナーカートリッジ29を備える。
【0020】
前記ユニット本体28は、トナーカートリッジ29の下方に形成され、トナーカートリッジ29から供給されたトナーを貯蔵するトナー貯蔵部30、前記感光体ドラム31i、該感光体ドラム31iの表面を一様に帯電させる帯電装置としての帯電ローラ32、トナーを保持する現像部としての、かつ、現像剤担持体としての現像ローラ33、前記トナー貯蔵部30内のトナーを現像ローラ33に供給する現像剤供給部材としての供給ローラ34、前記現像ローラ33上に供給されたトナーを均一に薄層化する現像剤層規制部材としての現像ブレード35、感光体ドラム31iの表面を除電する除電装置37等を備える。
【0021】
前記LEDヘッド22iは、感光体ドラム31iの主走査方向に配設された発光素子としての図示されないLED素子のアレイから成るLEDアレイ、該LEDアレイを駆動する図示されないドライブIC、各LED素子を駆動するデータを保持するレジスタ群を備えた図示されない基板、LEDアレイの光を集光する図示されないロッドレンズアレイ等を備え、後述されるLEDヘッドインタフェース部53(図1)を介して入力される各色の画像信号に基づいて、LEDアレイを発光させ、感光体ドラム31iの表面を露光し、潜像としての静電潜像を形成する。
【0022】
また、前記転写ユニットu1は、第1のローラとしての駆動ローラr1、第2のローラとしての従動ローラr2、駆動ローラr1及び従動ローラr2によって走行自在に張設され、走行に伴って用紙を搬送する無端状の搬送部材としての、かつ、ベルト部材としての搬送ベルト17、該搬送ベルト17の上方ベルト部17aを挟んで前記感光体ドラム31iと対向させて回転自在に配設された転写部材としての転写ローラ21i(i=K、C、M、Y)、前記駆動ローラr1の近傍において、前記搬送ベルト17の下方ベルト部17bと対向させて配設された濃度検出装置としての濃度センサユニットsd、並びに搬送ベルト17の走行方向(矢印A方向)における濃度センサユニットsdより下流側において、下方ベルト部17bを介して従動ローラr2と対向させて配設されたクリーニング装置38を備える。
【0023】
なお、用紙の位置、ジャム(用紙詰まり)等を検出するために、用紙搬送路Rt1における搬送ベルト17より下流側に、第3の媒体検出部としてのセンサs3が配設される。
【0024】
前記搬送ベルト17は、高抵抗の半導電性プラスチックフィルムから成る。
【0025】
前記濃度センサユニットsdは、濃度検出部としての濃度センサ44、及び該濃度センサ44の表面を覆う被覆部材としてのカバー49を備える。
【0026】
前記クリーニング装置38は、可撓性のゴム材料又は樹脂材料から成り、前記搬送ベルト17に付着したトナーを掻き取り、除去するクリーニング部材としてのクリーニングブレード39、及び除去されたトナーを廃棄現像剤としての廃トナーとして収容する廃棄現像剤収容部としての廃トナータンク40を備える。
【0027】
用紙搬送路Rt1における転写ユニットu1より下流側に、定着装置としての定着器18が、装置本体Bdに対して着脱自在に配設される。前記定着器18は、回転自在に配設され、内部に熱源としてハロゲンランプ等の加熱部材としてのヒータHtを備えた第1の定着部材としてのヒートローラ(加熱ローラ)19、及び該ヒートローラ19と対向させて回転自在に配設され、ヒートローラ19に対して連れ回りで回転させられる第2の定着部材としての加圧ローラ20を備える。
【0028】
ヒートローラ19の表面の近傍には温度検出部としてのサーミスタthが配設され、該サーミスタthによってヒートローラ19の温度が検出される。また、用紙の位置、ジャム(用紙詰まり)等を検出するために、用紙搬送路Rt1における定着器18より下流側に第4の媒体検出部としてのセンサs4が配設される。
【0029】
前記プリンタ10において、後述される給紙用の駆動部としてのホッピングモータM1(図1)が駆動されると、ホッピングローラ13が回転させられ、給紙カセット11から用紙が繰り出され、用紙搬送路Rt1に給紙される。
【0030】
また、後述される搬送用の駆動部としてのレジストモータM2が駆動されると、レジストローラ対m1が回転させられ、用紙は、斜行(スキュー)が矯正されて用紙搬送路Rt1を搬送され、画像形成部Q1に送られる。
【0031】
そして、画像形成部Q1において、後述される画像形成用の駆動部としてのドラムモータM3が駆動されると、各画像形成ユニット16iの感光体ドラム31iが回転させられ、図示されないギヤを介して帯電ローラ32、現像ローラ33及び供給ローラ34が回転させられ、感光体ドラム31iの表面が、帯電ローラ32によって一様に帯電させられ、LEDヘッド22iによって露光されて、前述されたように表面に静電潜像が形成される。
【0032】
トナーカートリッジ29からトナー貯蔵部30に供給されたトナーは、供給ローラ34によって現像ローラ33に供給され、現像ブレード35によって層厚が規制されて現像ローラ33上で薄層化される。このとき、トナーは供給ローラ34及び現像ブレード35との摩擦によって負の極性に帯電させられる。
【0033】
そして、前記静電潜像に現像ローラ33の円周上で薄層化されたトナーが静電気力によって付着させられ、トナー像が形成される。
【0034】
また、画像形成部Q1において、後述されるベルト走行用の駆動部としてのベルトモータM4が駆動されると、駆動ローラr1が回転させられ、搬送ベルト17が矢印A方向に走行させられる。画像形成部Q1に供給された用紙Pは、静電気によって搬送ベルト17に吸着され、搬送ベルト17の走行に伴って搬送され、各感光体ドラム31iと各転写ローラ21iとの間を通過し、該各転写ローラ21iによって、各画像形成ユニット16iにおいて各感光体ドラム31iに形成されたブラック、シアン、マゼンタ及びイエローの各色のトナー像が用紙に順次重ねて転写され、カラーのトナー像が形成される。
【0035】
そして、定着器18において、定着用の駆動部としての定着モータM5が駆動されると、ヒートローラ19が回転させられ、それに伴って、加圧ローラ20が連れ回りで回転させられ、用紙上のトナー像が、ヒートローラ19によって加熱され、加圧ローラ20によって加圧されて用紙に定着させられる。このようにして、用紙にカラーの画像が形成される。
【0036】
定着器18においてカラーの画像が形成された用紙は、ガイドGdに沿って搬送され、排出部材としての図示されない排出ローラ対によって装置本体Bd外に排出され、筐体Csの頂壁に形成されたスタッカStに積載される。
【0037】
次に、濃度センサ44について説明する。
【0038】
図3は本発明の第1の実施の形態における濃度センサの動作を説明するための第1の図、図4は本発明の第1の実施の形態における濃度センサの動作を説明するための第2の図、図5は本発明の第1の実施の形態における濃度センサの動作を説明するための第3の図である。
【0039】
図において、44は濃度センサである。該濃度センサ44は、搬送ベルト17(下方ベルト部17b)上にブラック、シアン、マゼンタ及びイエローの各色のトナーによって形成される濃度検出パターンPtと対向させて配設された、発光1系統、受光2系統の反射型光センサであり、濃度検出パターンPtの反射光の強度を測定することによって、濃度検出パターンPtにおける、シアン、マゼンタ又はイエローの色のトナー像で形成された濃度検出部位としてのパッチ、並びにブラックの色のトナー像で形成されたパッチの濃度を検出する。
【0040】
そのために、濃度センサ44は、濃度検出用の光emを発生させ、搬送ベルト17に向けて照射する発光部としての赤外LED57、該赤外LED57によって発生させられた光emの拡散反射光re1を受ける第1の受光部としての拡散反射光受光用のフォトトランジスタ58、及び赤外LED57によって発生させられた光emの鏡面反射光re2を受ける第2の受光部としての鏡面反射光受光用のフォトトランジスタ59を備える。
【0041】
搬送ベルト17上に形成された濃度検出パターンPtにおけるシアン、マゼンタ又はイエローの色のトナー像で形成されたパッチの濃度を検出する場合、赤外LED57によって発生させられた光emが濃度検出パターンPtに照射されると、図4に示されるように、フォトトランジスタ58は、拡散反射光re1を受け、拡散反射光re1の光量に応じた電圧のセンサ出力を生成する。濃度検出パターンPtにおけるシアン、マゼンタ又はイエローの色のトナー像で形成されたパッチのトナーの量、すなわち、トナー量が多く、濃度が高い場合、拡散反射光re1の光量が多くなり、フォトトランジスタ58の出力電圧が高くなり、濃度センサ44によって発生させられるセンサ検出電圧が高くなる。一方、シアン、マゼンタ又はイエローの色のトナー像で形成されたパッチのトナー量が少なく、濃度が低い場合、拡散反射光re1の光量が少なくなり、フォトトランジスタ58の出力電圧が低くなり、濃度センサ44によって発生させられるセンサ検出電圧が低くなる。
【0042】
また、搬送ベルト17上に形成された濃度検出パターンPtにおけるブラックの色のトナー像で形成されたパッチの濃度を検出する場合、赤外LED57によって発生させられた光emが濃度検出パターンPtに照射されると、図5に示されるように、フォトトランジスタ59は、鏡面反射光re2を受け、鏡面反射光re2の光量に応じた出力電圧を発生させる。
【0043】
濃度検出パターンPtにおけるブラックの色のトナー像で形成されたパッチのトナーは光emを吸収するので、ブラックの色のトナー像で形成された部分のトナー量が少なく、濃度が低い場合、鏡面反射光re2の光量が多くなり、フォトトランジスタ59の出力電圧が高くなり、濃度センサ44によって発生させられるセンサ検出電圧が高くなる。一方、ブラックの色のトナー像で形成されたパッチのトナー量が多く、濃度が高い場合、鏡面反射光re2の光量が少なくなり、フォトトランジスタ59の出力電圧が低くなり、濃度センサ44によって発生させられるセンサ検出電圧が低くなる。
【0044】
したがって、フォトトランジスタ59による濃度検出パターンPtの濃度の検出精度を高くするために、搬送ベルト17における前記濃度センサ44と対向する面に光沢を付与する処理が施され、搬送ベルト17の鏡面反射率が均一に、かつ、高くされる。
【0045】
前記赤外LED57及びフォトトランジスタ59は、搬送ベルト17における光emの放射面Saの法線に対する光emの入射角と鏡面反射光re2の反射角とが等しくなるように配設され、フォトトランジスタ58は、光emと拡散反射光re1とが干渉しない程度に赤外LED57に隣接させて配設される。
【0046】
なお、前述されたように、濃度センサ44と搬送ベルト17との間にはカバー49(図2)が配設される。該カバー49は、図示されない開閉機構によって移動自在に、かつ、開閉自在に配設され、後述されるパターン印刷・検出部Pr3(図1)によるパターン印刷・検出処理、濃度値変換部Pr4による濃度値変換処理、濃度補正制御部Pr5による濃度補正制御処理等の濃度補正処理が行われている間は、濃度センサ44と搬送ベルト17とが対向するように退避させられ、濃度補正処理が行われていない間は、トナー、紙粉等によって濃度センサ44が汚れないように濃度センサ44を覆う。
【0047】
また、カバー49は、後述されるキャリブレーション処理部Pr2による濃度センサ44のキャリブレーション、すなわち、濃度センサ44によって濃度検出パターンPtのパッチの濃度の検出を行う際に、赤外LED57の発光電流の調整を行うときの基準反射物としても使用される。なお、フォトトランジスタ59で濃度検出パターンの濃度の検出を行う際の、濃度センサ44の赤外LED57の発光電流の調整を行うときの基準反射物としては搬送ベルト17が使用される。
【0048】
次に、プリンタ10の制御装置について説明する。
【0049】
図1は本発明の第1の実施の形態におけるプリンタの制御ブロック図、図6は本発明の第1の実施の形態におけるセンサ検出電圧-濃度値変換テーブルの例を示す図、図7は本発明の第1の実施の形態における目標印刷濃度値テーブルの例を示す図、図8は本発明の第1の実施の形態における濃度飽和閾値テーブルの例を示す図、図9は本発明の第1の実施の形態における第1の現像電圧感度テーブルの例を示す図、図10は本発明の第1の実施の形態における第2の現像電圧感度テーブルの例を示す図、図11は本発明の第1の実施の形態における第3の現像電圧感度テーブルの例を示す図、図12は本発明の第1の実施の形態における第4の現像電圧感度テーブルの例を示す図、図13は本発明の第1の実施の形態における第5の現像電圧感度テーブルの例を示す図、図14は本発明の第1の実施の形態におけるヘッド駆動時間調整量テーブルの例を示す図、図15は本発明の第1の実施の形態における現像電圧感度計算用係数テーブルの例を示す図、図16は本発明の第1の実施の形態における濃度飽和位置現像電圧感度テーブルの例を示す図である。
【0050】
図1において、10はプリンタ、51はホストインタフェース部、52は主制御部としてのコマンド・画像処理部、53はLEDヘッドインタフェース部、22iはLEDヘッド、s1~s4はセンサ、thはサーミスタ、44は濃度センサ、Htはヒータ、61は印刷機構用の制御部(機構制御部)、62は第1の記憶装置としてのROM、63は第2の記憶装置としてのRAM、64は第3の記憶装置としてのフラッシュROM、65はプリンタ10の図示されない電源装置に接続された高圧制御部、M1はホッピングモータ、M2はレジストモータ、M3はドラムモータ、M4はベルトモータ、M5は定着モータである。
【0051】
前記ホストインタフェース部51は、上位装置(外部装置)としての図示されないホストコンピュータとの物理的階層のインタフェースを担い、コネクタ及び通信用のチップから成り、ホストコンピュータから送られたコマンド(印刷命令)、印刷データ、各種の設定値等の印刷情報を受信する。
【0052】
コマンド・画像処理部52は、図示されないマイクロプロセッサ、RAM、展開用の特別なハードウェア等から成り、プリンタ10の全体を制御するとともに、ホストコンピュータから受信したコマンド及び印刷データを解釈し、ビットマップに展開し、画像データを生成する。
【0053】
LEDヘッドインタフェース部53は、図示されないLSI、RAM等から成り、コマンド・画像処理部52から送られた画像データを各LEDヘッド22iのインタフェースに合わせて加工し、カラー画像信号であるブラック画像信号、シアン画像信号、マゼンタ画像信号及びイエロー画像信号として各LEDヘッド22iに送る。
【0054】
前記制御部61は、ROM62に記録されたプログラムに基づいて各種の処理を行う。
また、前記制御部61は、コマンド・画像処理部52からの指令に従って、各センサs1~s4、サーミスタth、濃度センサ44等からの入力に基づいて、ヒータHtのオン・オフを制御したり、高圧制御部65の制御を行ったり、ホッピングモータM1、レジストモータM2、ドラムモータM3、ベルトモータM4、定着モータM5等の各モータを駆動し、ホッピングローラ13、レジストローラ対m1、感光体ドラム31i、駆動ローラr1、ヒートローラ19等を回転させたりする。
【0055】
さらに、前記制御部61は、年月日及び時刻から成る日時を計時したり、経過時間を計時したりする計時装置としてのタイマTM、総印刷枚数を計数する印刷枚数カウンタCT等を備える。
【0056】
ROM62には、前記プログラム、各種の設定値、閾値等が記録されるほかに、濃度補正処理に使用される濃度検出パターンPtの濃度検出用パターンデータがあらかじめ記録される。
【0057】
RAM63には、制御部61が制御を行うに当たり使用される設定値等の、生成されたデータが一時的に記録される。
【0058】
フラッシュROM64には、各種の制御パラメータである、図6に示される第1のテーブルとしてのセンサ検出電圧-濃度値変換テーブルTb1、図7に示される第2のテーブルとしての目標印刷濃度値テーブルTb2、図8に示される第3のテーブルとしての濃度飽和閾値テーブルTb3、図9に示される第4のテーブルとしての第1の現像電圧感度テーブルTb4、図10に示される第5のテーブルとしての第2の現像電圧感度テーブルTb5、図11に示される第6のテーブルとしての第3の現像電圧感度テーブルTb6、図12に示される第7のテーブルとしての第4の現像電圧感度テーブルTb7、図13に示される第8のテーブルとしての第5の現像電圧感度テーブルTb8、図14に示される第9のテーブルとしてのヘッド駆動時間調整量テーブルTb9、図15に示される第10のテーブルとしての現像電圧感度計算用係数テーブルTb10、及び図16に示される第11のテーブルとしての濃度飽和位置現像電圧感度テーブルTb11が記録される。
【0059】
さらに、前記フラッシュROM64には、濃度補正制御部Pr5による濃度補正処理が終了した後に、濃度補正処理が終了した日時、及び濃度補正処理が終了した日時における総印刷枚数が更新され、記録されるとともに、濃度補正処理の結果である現像電圧値調整量及びヘッド駆動時間調整量が更新され、記録される。
【0060】
前記高圧制御部65は、図示されないマイクロプロセッサ、LSI等から成り、制御部61の指示を受けて、帯電電圧発生部Pw1によって発生させた帯電電圧を帯電ローラ32に印加し、現像電圧発生部Pw2によって発生させた現像電圧を現像ローラ33に印加し、供給電圧発生部Pw3によって発生させた供給電圧を供給ローラ34に印加し、転写電圧発生部Pw4によって発生させた転写電圧を転写ローラ21iに印加する。
【0061】
前記制御部61は、濃度補正処理実行判定部Pr1、キャリブレーション処理部Pr2、パターン印刷・検出部Pr3、濃度値変換部Pr4、濃度補正制御部Pr5等を有する。前記パターン印刷・検出部Pr3、濃度値変換部Pr4、濃度補正制御部Pr5等によって濃度補正処理が行われる。
【0062】
濃度補正処理実行判定部Pr1は、濃度補正処理実行判定処理を行い、前記濃度補正処理を行うための濃度補正処理実行条件が成立したかどうかを、プリンタ10の電源が投入されたかどうか、及び所定の枚数の印刷が行われたかどうかによって判断し、電源が投入された場合、及び所定の枚数の印刷が行われた場合に、濃度補正処理実行条件が成立したと判断する。
【0063】
キャリブレーション処理部Pr2は、キャリブレーション処理を行い、濃度センサ44自体の温度変化による赤外LED57(図3)の発光特性の変化(プリンタ10の使用状態による変化分)、製造上発生しうる濃度センサ44自体の発光・受光感度のばらつきによる変化等を吸収するために、赤外LED57の発光電流を調整することによって、濃度センサ44のキャリブレーションを行う。
【0064】
パターン印刷・検出部Pr3は、パターン印刷・検出処理を行い、ROM62から濃度検出パターンデータを読み出し、搬送ベルト17の表面に、図18に示される濃度検出パターンPtを形成するとともに、形成した濃度検出パターンPtの濃度を濃度センサ44によって検出する。
【0065】
濃度値変換部Pr4は、濃度値変換処理を行い、濃度センサ44が濃度検出パターンPtの濃度を検出して発生させたセンサ検出電圧KV100、CV100、MV100、YV100、KV30、CV30、MV30、YV30を読み込み、前記センサ検出電圧-濃度値変換テーブルTb1を参照し、各色のパッチの濃度値KOD100、COD100、MOD100、YOD100、KOD30、COD30、MOD30、YOD30を算出する。
【0066】
濃度補正制御部Pr5は、濃度補正制御処理を行い、パターン印刷・検出部Pr3及び濃度値変換部Pr4と共に、濃度補正処理の全体を制御する。そのために、濃度補正制御部Pr5は、目標印刷濃度値テーブルTb2、濃度飽和閾値テーブルTb3、第1~第5の現像電圧感度テーブルTb4~Tb8、ヘッド駆動時間調整量テーブルTb9、現像電圧感度計算用係数テーブルTb10及び濃度飽和位置現像電圧感度テーブルTb11を参照し、前記濃度値KOD100、COD100、MOD100、YOD100、KOD30、COD30、MOD30、YOD30に基づいて、濃度比KR、CR、MR、YRを算出し、現像電圧感度ΔKDB30、CDB30、MDB30、YDB30、ΔKDB100-n、ΔCDB100-n、ΔMDB100-n、ΔYDB100-nを設定し、現像電圧の調整量である現像電圧値調整量KDB(A)、CDB(A)、MDB(A)、YDB(A)を算出するとともに、LEDヘッド22iの発光量(駆動時間)の調整量であるヘッド駆動時間調整量(露光時間調整量)KDK(A)、CDK(A)、MDK(A)、YDK(A)を算出し、印刷濃度値が目標印刷濃度値になるように補正する。
【0067】
次に、制御部61の動作について説明する。
【0068】
図17は本発明の第1の実施の形態における制御部の動作を示すフローチャート、図18は本発明の第1の実施の形態における濃度検出パターンの例を示す図、図19は本発明の第1の実施の形態におけるプリンタの寸法図、図20は本発明の第1の実施の形態におけるセンサ検出電圧と濃度値との関係を示す第1の図、図21は本発明の第1の実施の形態におけるセンサ検出電圧と濃度値との関係を示す第2の図、図22は本発明の第1の実施の形態における現像電圧値と濃度値との関係を示す第1の図、図23は本発明の第1の実施の形態における現像電圧値と濃度値との関係を示す第2の図、図24は本発明の第1の実施の形態における現像電圧値に対する濃度値及び濃度比の変化を示す図である。なお、図20において、横軸にセンサ検出電圧KV100を、縦軸に濃度値KOD100を、図21において、横軸にセンサ検出電圧CV100を、縦軸に濃度値COD100を、図22及び23において、横軸に現像電圧値CDB100を、縦軸に濃度値COD100を、図24において、横軸に現像電圧値CDB100、CDB30を、縦軸に濃度値COD100、COD30及び濃度比CRを採ってある。
【0069】
まず、濃度補正処理実行判定部Pr1は、濃度補正処理実行条件が成立したかどうかを判断する(ステップS1)。そのために、濃度補正処理実行判定部Pr1は、プリンタ10の電源が投入されたかどうかを判断し、電源が投入された場合、濃度補正処理実行条件が成立したと判断する。また、既に電源が投入されている場合、濃度補正処理実行判定部Pr1は、印刷枚数カウンタCTが計数した現在の総印刷枚数を読み込むとともに、フラッシュROM64から前回濃度補正処理が終了した日時及び該日時における総印刷枚数を読み出し、総印刷枚数の変化量を表す印刷枚数が500〔枚〕になったかどうかを判断し、印刷枚数が500〔枚〕になった場合、濃度補正処理実行条件が成立したと判断する。
【0070】
濃度補正処理実行条件が成立すると、キャリブレーション処理部Pr2は濃度センサ44のキャリブレーションを行う(ステップS2)。そのために、キャリブレーション処理部Pr2は、フォトトランジスタ58、59の出力電圧が、あらかじめ設定されている設定値になるように赤外LED57の発光電流を調整する。本実施の形態においては、赤外LED57の発光電流の範囲を15~50〔mA〕とし、フォトトランジスタ58、59の各出力電圧の範囲を0~3〔V〕とした。
【0071】
本実施の形態においては、前述されたように、フォトトランジスタ58の出力電圧を検出する際の濃度センサ44のキャリブレーションの基準反射物として、濃度センサ44と搬送ベルト17との間に配設されるカバー49が使用される。そして、フォトトランジスタ58の出力電圧が設定値、本実施の形態においては、2.50〔V〕になるように赤外LED57の発光電流が調整される。
【0072】
また、本実施の形態においては、フォトトランジスタ59の出力電圧を検出する際の濃度センサ44のキャリブレーションの基準反射物として、搬送ベルト17が使用される。そして、フォトトランジスタ59の出力電圧が設定値、本実施の形態においては、2.50〔V〕になるように赤外LED57の発光電流が調整される。
【0073】
次に、パターン印刷・検出部Pr3は、ROM62から濃度検出パターンデータを読み出し、該濃度検出パターンデータに基づいて、図18に示されるような濃度検出パターンPtを搬送ベルト17上に形成し、濃度センサ44によって濃度検出パターンPtの濃度を検出する(ステップS3)。そのために、パターン印刷・検出部Pr3は、濃度検出パターンデータに基づいて各感光体ドラム31iの表面に濃度検出パターンPtのトナー像を形成し、前記搬送ベルト17に転写する。
【0074】
濃度検出パターンPtは、図18において、矢印で示される搬送ベルト17の走行方向における下流側から上流側にかけて形成されたブラックパッチ、シアンパッチ、マゼンタパッチ及びイエローパッチから成る第1のセットの4個のパッチ、並びに第1のセットの4個のパッチより上流側に形成されたブラックパッチ、シアンパッチ、マゼンタパッチ及びイエローパッチから成る第2のセットの4個のパッチによって形成される。そして、第1のセットの各パッチは、搬送ベルト17上の所定の面積中におけるトナーの占める割合を表す印字率が100〔%〕で形成され、第2のセットの各パッチは、印字率が30〔%〕で形成される。
【0075】
また、濃度センサ44は、濃度検出パターンPtの濃度を検出するに当たり、シアンパッチ、マゼンタパッチ及びイエローパッチについてはフォトトランジスタ58の出力電圧を読み取り、ブラックパッチについてはフォトトランジスタ59の出力電圧を読み取り、センサ検出電圧として生成する。
【0076】
各パッチは、パッチ長がLp〔mm〕にされ、搬送ベルト17の走行方向において連続して形成され、各パッチ間の距離は0〔mm〕にされる。
【0077】
そして、濃度検出パターンPtのトナー像を感光体ドラム31iに形成するとき、すなわち、印刷時の現像電圧は、あらかじめ設定された初期値DB
DB=-200〔V〕
にされ、ヘッド駆動時間は、あらかじめ設定された初期値DK
DK=0.28〔ms〕
にされる。
【0078】
なお、解像度が600〔dpi〕であり、1ドット(dot)当たりのピッチが0.042〔mm〕である場合、印刷時の搬送ベルト17の線速度を150〔mm/s〕とすると、副走査方向における1ドット当たりのLEDヘッド22iの駆動周期は0.28〔ms〕になる。
【0079】
ここで、図19に示されるように、プリンタ10における各画像形成ユニット16iの各感光体ドラム31iと転写ユニットu1の各転写ローラ21iとが搬送ベルト17を介して当接する部分を転写ニップ部とし、該転写ニップ部間の距離をLd〔mm〕とすると、パッチ長Lp〔mm〕は、
Lp=Ld/3〔mm〕
にされる。
【0080】
ところで、パターン印刷・検出部Pr3が濃度検出パターンPtのトナー像を各感光体ドラム31iに形成する際において、感光体ドラム31i上の第1のセットのブラックパッチのトナー像の先端が感光体ドラム31Kと転写ローラ21Kとの転写ニップ部(ブラックの転写ニップ部)に到達するタイミングを起点として、転写電圧発生部Pw4は、搬送ベルト17がブラックパッチ1つ分の距離Lp〔mm〕走行させられる間、転写ローラ21Kに転写電圧を印加し、第1のセットのブラックパッチのトナー像を搬送ベルト17に転写する。
【0081】
そして、搬送ベルト17が距離Ld〔mm〕走行させられると、搬送ベルト17に転写された濃度検出パターンPtの第1のセットのブラックパッチのトナー像の後端が感光体ドラム31Cと転写ローラ21Cとのニップ部(シアンの転写ニップ部)に到達するタイミングに合わせて、濃度検出パターンPtの第1のセットのシアンパッチのトナー像の先端が到達するように、感光体ドラム31C上に第1のセットのシアンパッチのトナー像が形成され、転写電圧発生部Pw4は、搬送ベルト17がシアンパッチ1つ分の距離Lp〔mm〕走行させられる間、転写ローラ21Cに転写電圧を印加し、第1のセットのシアンパッチのトナー像を搬送ベルト17に転写する。
【0082】
続いて、搬送ベルト17が距離Ld〔mm〕走行させられると、搬送ベルト17に転写された濃度検出パターンPtの第1のセットのシアンパッチのトナー像の後端が感光体ドラム31Mと転写ローラ21Mとの転写ニップ部(マゼンタの転写ニップ部)に到達するタイミングに合わせて、濃度検出パターンPtの第1のセットのマゼンタパッチのトナー像の先端が到達するように、感光体ドラム31M上に第1のセットのマゼンタパッチのトナー像が形成され、転写電圧発生部Pw4は、搬送ベルト17がマゼンタパッチ1つ分の距離Lp〔mm〕走行させられる間、転写ローラ21Mに転写電圧を印加し、第1のセットのマゼンタパッチのトナー像を搬送ベルト17に転写する。
【0083】
さらに、搬送ベルト17が距離Ld〔mm〕走行させられると、搬送ベルト17に転写された濃度検出パターンPtの第1のセットのマゼンタパッチのトナー像の後端が感光体ドラム31Yと転写ローラ21Yとの転写ニップ部(イエローの転写ニップ部)に到達するタイミングに合わせて、濃度検出パターンPtの第1のセットのイエローパッチのトナー像の先端が到達するように、感光体ドラム31Y上に第1のセットのイエローパッチのトナー像が形成され、転写電圧発生部Pw4は、搬送ベルト17がイエローパッチ1つ分の距離Lp〔mm〕走行させられる間、転写ローラ21Yに転写電圧を印加し、第1のセットのイエローパッチのトナー像を搬送ベルト17に転写する。
【0084】
そして、濃度検出パターンPtの第1のセットのブラックパッチが搬送ベルト17上に転写された後、搬送ベルト17が距離3×Lp〔mm〕走行させられるタイミングに合わせて、濃度検出パターンPtの第2のセットのブラックパッチのトナー像の先端が前記ブラックの転写ニップ部に到達するように、第2のセットのブラックパッチのトナー像が感光体ドラム31Kに形成され、転写電圧発生部Pw4は、搬送ベルト17がブラックパッチ1つ分の距離Lp〔mm〕走行させられる間、転写ローラ21Kに転写電圧を印加し、第2のセットのブラックパッチのトナー像を搬送ベルト17に転写する。
【0085】
そして、同様に、第2のセットのシアンパッチ、マゼンタパッチ及びイエローパッチが搬送ベルト17に転写され、搬送ベルト17上に濃度検出パターンPtが形成される。
【0086】
なお、本実施の形態において、転写ローラ21iに印加される転写電圧は2000〔V〕にされる。
【0087】
このようにして、搬送ベルト17上に濃度検出パターンPtが形成されると、パターン印刷・検出部Pr3は、濃度検出パターンPtの第1のセットのブラックパッチの先端が前記イエローの転写ニップ部を通過してから、搬送ベルト17を距離Ls〔mm〕走行させ、濃度検出パターンPtの第1のセットのブラックパッチの先端を濃度センサ44の位置に置き、更に搬送ベルト17をLp/2〔mm〕走行させることによって、第1のセットのブラックパッチ、シアンパッチ、マゼンタパッチ及びイエローパッチの各パッチの中央部を濃度センサ44の検出位置に移動させる。
【0088】
続いて、パターン印刷・検出部Pr3は、濃度センサ44の赤外LED57を、キャリブレーション処理部Pr2による濃度センサ44のキャリブレーションで調整された発光電流で発光させ、濃度検出パターンPtに赤外光を照射し、濃度が検出されるパッチがブラックパッチである場合、フォトトランジスタ59の出力電圧を読み取り、濃度が検出されるパッチがシアンパッチ、マゼンタパッチ及びイエローパッチである場合、フォトトランジスタ58の出力電圧を読み取る。
【0089】
本実施の形態においては、最初に濃度が検出されるパッチがブラックパッチであるので、パターン印刷・検出部Pr3は、フォトトランジスタ59の出力電圧を読み取ると、搬送ベルト17を距離Lp〔mm〕走行させ、第1のセットのシアンパッチの中央部を濃度センサ44の検出位置に移動させる。次に濃度が検出されるパッチはシアンパッチであるので、パターン印刷・検出部Pr3は、フォトトランジスタ58の出力電圧を読み取り、搬送ベルト17を距離Lp〔mm〕走行させ、第1のセットのマゼンタパッチの中央部を濃度センサ44の検出位置に移動させる。そして、次に濃度が検出されるパッチはマゼンタパッチであるので、パターン印刷・検出部Pr3は、フォトトランジスタ58の出力電圧を読み取り、搬送ベルト17を距離Lp〔mm〕走行させ、第1のセットのイエローパッチの中央部を濃度センサ44の検出位置に移動させる。また、次に検出されるパッチはイエローパッチであるので、パターン印刷・検出部Pr3は、フォトトランジスタ58の出力電圧を読み取り、搬送ベルト17を距離Lp〔mm〕走行させ、第2のセットのブラックパッチの中央部を濃度センサ44の検出位置に移動させる。同様にして、パターン印刷・検出部Pr3は、第2のセットのブラックパッチ、シアンパッチ、マゼンタパッチ及びイエローパッチの濃度を検出する。
【0090】
そして、パターン印刷・検出部Pr3は、濃度検出パターンPtの第1のセットのブラックパッチを検出したときのセンサ検出電圧をKV100とし、第1のセットのシアンパッチを検出したときのセンサ検出電圧をCV100とし、第1のセットのマゼンタパッチを検出したときのセンサ検出電圧をMV100とし、第1のセットのイエローパッチを検出したときのセンサ検出電圧をYV100とし、第2のセットのブラックパッチを検出したときのセンサ検出電圧をKV30とし、第2のセットのシアンパッチを検出したときのセンサ検出電圧をCV30とし、第2のセットのマゼンタパッチを検出したときのセンサ検出電圧をMV30とし、第2のセットのイエローパッチを検出したときのセンサ検出電圧をYV30としてRAM63に記録する。
【0091】
続いて、濃度値変換部Pr4は、前記センサ検出電圧KV100、CV100、MV100、YV100、KV30、CV30、MV30、YV30に基づいて、第1のセットの各色のパッチの濃度値KOD100、COD100、MOD100、YOD100及び第2のセットの各色のパッチの濃度値KOD30、COD30、MOD30、YOD30を算出する(ステップS4)。
【0092】
そのために、濃度値変換部Pr4は、まず、前記センサ検出電圧-濃度値変換テーブルTb1(図6)を参照し、パッチの色K、C、M、Yごとの各係数A~Cを読み出す。
【0093】
センサ検出電圧-濃度値変換テーブルTb1のテーブル値は、濃度検出パターンPtの第1のセットの高印字率の各色のパッチ、本実施の形態においては、印字率が100〔%〕の各色のパッチを検出したときのセンサ検出電圧KV100、CV100、MV100、YV100と濃度値との関係を2次近似式で表したとき、及び第2のセットの低印字率の各色のパッチ、本実施の形態においては、印字率が30〔%〕の各色のパッチを検出したときのセンサ検出電圧KV30、CV30、MV30、YV30と濃度値との関係を2次近似式で表したときの、パッチの色K、C、M、Yごとの各係数A~Cである。
【0094】
図20及び21は、濃度検出パターンPtの第1のセットの印字率が100〔%〕の各色のパッチを検出したときのセンサ検出電圧と濃度値との関係を示す。
【0095】
図20において、LK1は、ブラックパッチのセンサ検出電圧KV100と濃度値KOD100との関係を2次近似式で表す線であり、図21において、LC1は、シアンパッチのセンサ検出電圧CV100と濃度値COD100との関係を2次近似式で表す線である。なお、マゼンタパッチ及びイエローパッチについても、センサ検出電圧MV100、YV100と濃度値MOD100、YOD100とを2次近似式で表すことができる。
【0096】
次に、濃度値変換部Pr4は、RAM63から各センサ検出電圧KV100、CV100、MV100、YV100を読み出し、該各センサ検出電圧KV100、CV100、MV100、YV100及び前記各係数A~Cに基づいて、濃度検出パターンPtの第1のセットのブラックパッチの濃度値KOD100、シアンパッチの濃度値COD100、マゼンタパッチの濃度値MOD100、及びイエローパッチの濃度値YOD100を式(1)~(4)によって算出する。
【0097】
また、同様に、濃度値変換部Pr4は、RAM63から各センサ検出電圧KV30、CV30、MV30、YV30を読み出し、該各センサ検出電圧KV30、CV30、MV30、YV30及び前記各係数A~Cに基づいて、濃度検出パターンPtの第2のセットのブラックパッチの濃度値KOD30、シアンパッチの濃度値COD30、マゼンタパッチの濃度値MOD30及びイエローパッチの濃度値YOD30を式(5)~(8)によって算出する。
【0098】
KOD100=K100(A)×KV100 +K100(B)×KV100+K100(C) …(1)
COD100=C100(A)×CV100 +C100(B)×CV100+C100(C) …(2)
MOD100=M100(A)×MV100 +M100(B)×MV100+M100(C) …(3)
YOD100=Y100(A)×YV100 +Y100(B)×YV100+Y100(C) …(4)
KOD30=K30(A)×KV30 +K30(B)×KV30+K30(C) …(5)
COD30=C30(A)×CV30 +C30(B)×CV30+C30(C) …(6)
MOD30=M30(A)×MV30 +M30(B)×MV30+M30(C) …(7)
YOD30=Y30(A)×YV30 +Y30(B)×YV30+Y30(C) …(8)
次に、濃度補正制御部Pr5は、前記目標印刷濃度値テーブルTb2(図7)を参照し、印字率が100〔%〕であるときの各色の目標印刷濃度値KODT100、CODT100、MODT100、YODT100、及び印字率が30〔%〕であるときの各色の目標印刷濃度値KODT30、CODT30、MODT30、YODT30を読み出し、目標印刷濃度値KODT100、CODT100、MODT100、YODT100、KODT30、CODT30、MODT30、YODT30と、式(1)~(8)によって算出した濃度値KOD100、COD100、MOD100、YOD100、KOD30、COD30、MOD30、YOD30との差分δKOD100、δCOD100、δMOD100、δYOD100、δKOD30、δCOD30、δMOD30、δYOD30
δKOD100=KODT100-KOD100
δCOD100=CODT100-COD100
δMOD100=MODT100-MOD100
δYOD100=YODT100-YOD100
δKOD30=KODT30-KOD30
δCOD30=CODT30-COD30
δMOD30=MODT30-MOD30
δYOD30=YODT30-YOD30
を算出し、該差分δKOD100、δCOD100、δMOD100、δYOD100、δKOD30、δCOD30、δMOD30、δYOD30に基づいて、各画像形成ユニット16iの現像ローラ33に印加される現像電圧を補正する(ステップS5)。
【0099】
ところで、濃度値KOD100、COD100、MOD100、YOD100、KOD30、COD30、MOD30、YOD30を目標印刷濃度値KODT100、CODT100、MODT100、YODT100、KODT30、CODT30、MODT30、YODT30にするための現像電圧値を補正する際に、主として、印字率が100〔%〕であるときに、現像電圧値の変化に対して濃度値の変化が飽和することがある。
【0100】
図22において、LC2は現像電圧値CDB100と濃度値COD100との関係を示す線であり、図23において、LC3は、現像電圧値CDB100の変化に対して濃度値COD100の変化が飽和しない場合の、現像電圧値CDB100と濃度値COD100との関係を示す線、LC4は、現像電圧値CDB100の変化に対して濃度値COD100の変化が飽和する場合の、現像電圧値CDB100と濃度値COD100との関係を示す線である。
【0101】
例えば、シアンパッチの場合、図22に示されるように、現像電圧値CDB100の変化に対して濃度値COD100の変化が飽和してしまう。
【0102】
その場合、現像電圧値CDB100が1〔V〕変化するときの濃度値COD100の変化量を現像電圧感度としたとき、現像電圧感度として、濃度値COD100が飽和していない場合と同じ値を使用すると、図23に示されるように、ポイントAから現像電圧値CDB100を変化させて濃度値COD100の補正を開始したとき、線LC3で示されるように目標印刷濃度値CODT100であるポイントBに向かうために、現像電圧値CDB100を値ΔCDB100だけ補正するのが好ましいが、現像電圧値CDB100に対する濃度値COD100の変化が、線LC4で示されるようにポイントB'に向かい、濃度値COD100を補正すると目標印刷濃度値CODT100より高くなってしまう。
【0103】
前述されたように、従来のプリンタにおいては、搬送ベルト17に複数の濃度検出用パターンを形成し、現像電圧値と濃度検出パターンの濃度との関係を2次近似式で表すことによって、濃度検出パターンの濃度の変化が飽和している場合でも印刷濃度値を補正するようになっているが、その場合、複数の濃度検出用パターンを形成する必要があるので、トナーの消費量が多くなってしまう。
【0104】
そこで、本実施の形態においては、印字率が100〔%〕である第1のパッチと印字率が30〔%〕である第2のパッチとの濃度比から印字率が100〔%〕であるときの濃度値が飽和領域に到達しているかどうか、すなわち、濃度値の変化が飽和しているかどうかが判断され、判断結果に基づいて適切な現像電圧感度が設定されるようになっている。
【0105】
そのために、濃度補正制御部Pr5は、まず、濃度値変換部Pr4から第1のパッチの各色K、C、M、Yの濃度値KOD100、COD100、MOD100、YOD100及び第2のパッチの各色K、C、M、Yの濃度値KOD30、COD30、MOD30、YOD30を読み込み、濃度値KOD100、COD100、MOD100、YOD100に対する濃度値KOD30、COD30、MOD30、YOD30の割合を表す濃度比KR、CR、MR、YR
KR=KOD30/KOD100
CR=COD30/COD100
MR=MOD30/MOD100
YR=YOD30/YOD100
を算出する。
【0106】
図24において、LC5は、印字率が100〔%〕であるシアンパッチの現像電圧値CDB100と濃度値COD100との関係を示す線、LC6は、印字率が30〔%〕であるシアンパッチの現像電圧値CDB30と濃度値COD30との関係を示す線、LC7は、現像電圧値CDB100、CDB30と濃度比CRとの関係を示す線である。
【0107】
図から、印字率が100〔%〕であるシアンパッチの場合は、濃度比CRが0.26より高くなると、濃度値COD100の変化が飽和することが分かる。すなわち、濃度値を補正する際に、濃度比が0.26以上であるとき、印字率が100〔%〕の濃度値COD100の変化は飽和していると判断される。
【0108】
なお、本実施の形態においては、濃度比CRに基づいて、印字率が100〔%〕の濃度値COD100の変化が飽和しているかどうかを判断するようになっているが、濃度検出パターンPtを搬送ベルト17に形成するときの、現像電圧値が基準となる現像電圧値(例えば、デフォルト現像電圧値)より高いかどうか、印字率が100〔%〕の濃度値COD100が基準となる濃度値(例えば、目標印刷濃度値CODT100)より高いかどうか等に基づいて判断するようにすることもできる。
【0109】
また、本実施の形態においては、現像ローラ33に負の極性の現像電圧が印加されるようになっているが、現像電圧値KDB100、CDB100、MDB100、YDB100の絶対値の変化に基づいて印刷濃度値が補正される点が本発明の特徴であるので、現像ローラ33に正の極性の現像電圧を印加するようにすることもできる。
【0110】
次に、濃度補正制御部Pr5は、前記濃度飽和閾値テーブルTb3(図8)を参照し、各色K、C、M、Yのパッチの濃度値KOD100、COD100、MOD100、YOD100の変化が飽和する位置、すなわち、飽和位置における濃度比を表し、あらかじめ実験で算出された閾値KRth、CRth、MRth、YRthを読み出し、濃度比KR、CR、MR、YRが閾値KRth、CRth、MRth、YRth以下であるかどうかを判断する。
【0111】
なお、本実施の形態においては、該閾値KRth、CRth、MRth、YRthがあらかじめ実験によって算出されるようになっているが、プリンタ10が置かれた環境の変化、経時変化等を考慮して、閾値KRth、CRth、MRth、YRthを低頻度で(例えば、感光体ドラム31iの回転数が所定の値になるたびに)変更し、濃度飽和テーブルTb3を更新することができる。
【0112】
続いて、濃度補正制御部Pr5は、前記濃度比KR、CR、MR、YRに応じて現像電圧感度ΔKDB30、ΔCDB30、ΔMDB30、ΔYDB30、ΔKDB100-n、ΔCDB100-n、ΔMDB100-n、ΔYDB100-nを設定する。
【0113】
そのために、濃度補正制御部Pr5は、前記第1の現像電圧感度テーブルTb4(図9)を参照し、印字率が30〔%〕であるときの各色K、C、M、Yの現像電圧感度ΔKDB30、ΔCDB30、ΔMDB30、ΔYDB30を読み出し、前記第2の現像電圧感度テーブルTb5(図10)を参照し、印字率が100〔%〕であるときの濃度比KRに対応する現像電圧感度ΔKDB100-nを読み出し、前記第3の現像電圧感度テーブルTb6(図11)を参照し、印字率が100〔%〕であるときの濃度比CRに対応する現像電圧感度ΔCDB100-nを読み出し、第4の現像電圧感度テーブルTb7(図12)を参照し、印字率が100〔%〕であるときの濃度比MRに対応する現像電圧感度ΔMDB100-nを読み出し、第5の現像電圧感度テーブルTb8(図13)を参照し、印字率が100〔%〕であるときの濃度比YRに対応する現像電圧感度ΔYDB100-nを読み出す。
【0114】
なお、第2の現像電圧感度テーブルTb5において、濃度比KRが閾値KRth以下である場合、現像電圧感度はΔKDB100-0にされ、濃度比KRが閾値KRthより大きく、KR、KR、KRである場合、現像電圧感度はΔKDB100-1、ΔKDB100-2、ΔKDB100-3にされる。
【0115】
また、第3の現像電圧感度テーブルTb6において、濃度比CRが閾値CRth以下である場合、現像電圧感度はΔCDB100-0にされ、濃度比CRが閾値CRthより大きく、CR、CR、CRである場合、現像電圧感度はΔCDB100-1、ΔCDB100-2、ΔCDB100-3にされる。
【0116】
同様に、第4の現像電圧感度テーブルTb7において、濃度比MRが閾値MRth以下である場合、現像電圧感度はΔMDB100-0にされ、濃度比MRが閾値MRthより大きく、MR、MR、MRである場合、現像電圧感度はΔMDB100-1、ΔMDB100-2、ΔMDB100-3にされる。
【0117】
また、第5の現像電圧感度テーブルTb8において、濃度比YRが閾値YRth以下である場合、現像電圧感度はΔYDB100-0にされ、濃度比YRが閾値YRthより大きく、YR、YR、YRである場合、現像電圧感度はΔYDB100-1、ΔYDB100-2、ΔYDB100-3にされる。
【0118】
このようにして、現像電圧感度ΔKDB30、ΔCDB30、ΔMDB30、ΔYDB30、ΔKDB100-n、ΔCDB100-n、ΔMDB100-n、ΔYDB100-nを算出すると、濃度補正制御部Pr5は、差分δKOD100、δCOD100、δMOD100、δYOD100、δKOD30、δCOD30、δMOD30、δYOD30、及び現像電圧感度ΔKDB30、ΔCDB30、ΔMDB30、ΔYDB30、ΔKDB100-n、ΔCDB100-n、ΔMDB100-n、ΔYDB100-nに基づいて、現像電圧値調整量KDB(A)、CDB(A)、MDB(A)、YDB(A)を式(9)~(12)によって算出する。
【0119】
なお、本実施の形態においては、印字率が100〔%〕であるときの現像電圧値調整量の計算値と、印字率が30〔%〕であるときの現像電圧値調整量の計算値との平均値を現像電圧値調整量KDB(A)、CDB(A)、MDB(A)、YDB(A)とする。
【0120】
KDB(A)={(KODT100-KOD100)/ΔKDB100_n+(KODT30-KOD30)/ΔKDB30}/2 …(9)
CDB(A)={(CODT100-COD100)/ΔCDB100_n+(CODT30-COD30)/ΔCDB30}/2 …(10)
MDB(A)={(MODT100-MOD100)/ΔMDB100_n+(MODT30-MOD30)/ΔMDB30}/2 …(11)
YDB(A)={(YODT100-YOD100)/ΔYDB100_n+(YODT30-YOD30)/ΔYDB30}/2 …(12)
濃度補正制御部Pr5が、算出した現像電圧値調整量KDB(A)、CDB(A)、MDB(A)、YDB(A)を高圧制御部65(図1)に送り、現像電圧値を増減するよう指示すると、現像電圧発生部Pw2は、印刷動作時に現像電圧値の初期値DBに現像電圧値調整量KDB(A)、CDB(A)、MDB(A)、YDB(A)を加えた現像電圧値KDB、CDB、MDB、YDBを各現像ローラ33に印加する。
【0121】
すなわち、濃度補正制御部Pr5は、ブラックの現像電圧値KDB、シアンの現像電圧値CDB、マゼンタの現像電圧値MDB及びイエローの現像電圧値YDBを式(13)~(16)によって算出する。
【0122】
KDB=DB+KDB(A) …(13) CDB=DB+CDB(A) …(14)
MDB=DB+MDB(A) …(15)
YDB=DB+YDB(A) …(16)
続いて、パターン印刷・検出部Pr3は、現像電圧値KDB、CDB、MDB、YDBが各現像ローラ33に印加された状態で、ROM62から濃度検出パターンデータを読み出し、該濃度検出パターンデータに基づいて図18に示される濃度検出パターンPtを搬送ベルト17上に形成し、濃度センサ44によって前記濃度検出パターンPtの濃度を検出する(ステップS6)。
【0123】
次に、濃度値変換部Pr4は、第1のセットの各色のパッチの濃度値KOD100、COD100、MOD100、YOD100及び第2のセットの各色のパッチの濃度値KOD30、COD30、MOD30、YOD30を算出した方法と同様の方法で、パターン検出時のブラック、シアン、マゼンタ及びイエローのセンサ検出電圧に基づいて、濃度検出パターンPtの第1のセットのブラックパッチの濃度値KOD´100、シアンパッチの濃度値COD´100、マゼンタパッチの濃度値MOD´100及びイエローパッチの濃度値YOD´100、並びに第2のセットのブラックパッチの濃度値KOD´30、シアンパッチの濃度値COD´30、マゼンタパッチの濃度値MOD´30及びイエローパッチの濃度値YOD´30を算出する(ステップS7)。
【0124】
そして、濃度補正制御部Pr5は、各LEDヘッド22iのヘッド駆動時間を補正する(ステップS8)。
【0125】
そのために、前記濃度補正制御部Pr5は、前記目標印刷濃度値テーブルTb2を参照し、目標印刷濃度値KODT30、CODT30、MODT30、YODT30を読み出し、該目標印刷濃度値KODT30、CODT30、MODT30、YODT30と、濃度値KOD´30、COD´30、MOD´30、YOD´30との差分δKOD´30、δCOD´30、δMOD´30、δYOD´30
δKOD´30=KODT30-KOD´30
δCOD´30=CODT30-COD´30
δMOD´30=MODT30-MOD´30
δYOD´30=YODT30-YOD´30
を算出するとともに、ヘッド駆動時間調整量テーブルTb9(図14)を参照し、各色K、C、M、Yのヘッド駆動時間単位調整量ΔKDK30、ΔCDK30、ΔMDK30、ΔYDK30を読み出す。該ヘッド駆動時間単位調整量ΔKDK30、ΔCDK30、ΔMDK30、ΔYDK30は、ヘッド駆動時間が1〔%〕変化するときの濃度値KOD30、COD30、MOD30、YOD30の変化量である。ヘッド駆動時間を変化させると、主として印字率の低い部分から中間程度の部分までの濃度値を増減させることができる。なお、印字率が100〔%〕である場合は、ベタ画像が形成され、ヘッド駆動時間によってドットの大小を調整することができないのに対して、印字率が30〔%〕である場合は、ヘッド駆動時間によってドットの大小を調整することができるので、ヘッド駆動時間調整量テーブルTb9には、差分δKOD´30、δCOD´30、δMOD´30、δYOD´30に対応するヘッド駆動時間単位調整量ΔKDK30、ΔCDK30、ΔMDK30、ΔYDK30だけが記録される。
【0126】
続いて、濃度補正制御部Pr5は、差分δKOD´30、δCOD´30、δMOD´30、δYOD´30及びヘッド駆動時間単位調整量ΔKDK30、ΔCDK30、ΔMDK30、ΔYDK30に基づいて、ブラックのヘッド駆動時間調整量KDK(A)、シアンのヘッド駆動時間調整量CDK(A)、マゼンタのヘッド駆動時間調整量MDK(A)及びイエローのヘッド駆動時間調整量YDK(A)を式(17)~(20)によって算出する。
【0127】
KDK(A)=δKOD´30/ΔKDK30 …(17)
CDK(A)=δCOD´30/ΔCDK30 …(18)
MDK(A)=δMOD´30/ΔMDK30 …(19)
YDK(A)=δYOD´30/ΔYDK30 …(20)
そして、濃度補正制御部Pr5は、算出したヘッド駆動時間調整量KDK(A)、CDK(A)、MDK(A)、YDK(A)及び現像電圧値調整量KDB(A)、CDB(A)、MDB(A)、YDB(A)をLEDヘッドインタフェース部53に送り、ヘッド駆動時間を増減するよう指示すると、LEDヘッドインタフェース部53は、印刷動作時のヘッド駆動時間の初期値DKにヘッド駆動時間調整量KDK(A)、CDK(A)、MDK(A)、YDK(A)を乗算して得られた値をそれぞれ初期値DKに加算することによって算出されたヘッド駆動時間KDK、CDK、MDK、YDKで各LEDヘッド22iを駆動する。
【0128】
すなわち、濃度補正制御部Pr5は、ブラックのヘッド駆動時間KDK、シアンのヘッド駆動時間CDK、マゼンタのヘッド駆動時間MDK及びイエローのヘッド駆動時間YDKを式(21)~(24)によって算出する。
【0129】
KDK=DK+DK×KDK(A) …(21)
CDK=DK+DK×CDK(A) …(22)
MDK=DK+DK×MDK(A) …(23)
YDK=DK+DK×YDK(A) …(24)
続いて、濃度補正制御部Pr5は、補正がされた現像電圧値KDB、CDB、MDB、YDB及びヘッド駆動時間KDK、CDK、MDK、YDKをフラッシュROM64に記録する(ステップS9)。
【0130】
次に、フローチャートについて説明する。
ステップS1 濃度補正処理実行判定部Pr1は濃度補正処理実行条件が成立するのを待機する。濃度補正処理実行条件が成立した場合はステップS2に進む。
ステップS2 キャリブレーション処理部Pr2は濃度センサ44のキャリブレーションを行う。
ステップS3 パターン印刷・検出部Pr3は濃度検出パターンPtを搬送ベルト17上に形成し、濃度センサ44によって濃度検出パターンPtの濃度を検出する。
ステップS4 濃度値変換部Pr4は第1、第2のセットの各色のパッチの濃度値を算出する。
ステップS5 濃度補正制御部Pr5は各画像形成ユニット16iの現像ローラ33に印加される現像電圧を補正する。
ステップS6 パターン印刷・検出部Pr3は濃度検出パターンPtを搬送ベルト17上に形成し、濃度センサ44によって濃度検出パターンPtの濃度を検出する。
ステップS7 濃度値変換部Pr4は第1、第2のセットの各色のパッチの濃度値を算出する。
ステップS8 濃度補正制御部Pr5は各LEDヘッド22iのヘッド駆動時間を補正する。
ステップS9 濃度補正制御部Pr5は補正がされた現像電圧値KDB、CDB、MDB、YDB及びヘッド駆動時間KDK、CDK、MDK、YDKをフラッシュROM64に記録し、処理を終了する。
【0131】
このように、本実施の形態においては、高印字率のパッチの濃度値KOD100、COD100、MOD100、YOD100と、低印字率のパッチの濃度値KOD30、COD30、MOD30、YOD30との濃度比KR、CR、MR、YRに応じて現像電圧感度ΔKDB30、ΔCDB30、ΔMDB30、ΔYDB30、ΔKDB100-n、ΔCDB100-n、ΔMDB100-n、ΔYDB100-nが設定され、現像電圧感度ΔKDB30、ΔCDB30、ΔMDB30、ΔYDB30、ΔKDB100-n、ΔCDB100-n、ΔMDB100-n、ΔYDB100-nに基づいて印刷濃度値が補正されるので、高印字率のパッチの濃度値KOD100、COD100、MOD100、YOD100の変化が飽和している場合でも印刷濃度値を適正に補正することができる。
【0132】
また、搬送ベルト17に高印字率のパッチ及び低印字率のパッチを形成するだけでよいので、トナーの消費量を少なくすることができる。
【0133】
さらに、プロセス条件を変更する必要がないので、印刷濃度値を補正するのに必要な時間を短くすることができる。
【0134】
本実施の形態においては、濃度補正制御部Pr5が、第2~第5の現像電圧感度テーブルTb5~Tb8を参照し、印字率が100〔%〕であるときの濃度比KR、CR、MR、YRに対応する現像電圧感度ΔKDB100-n、ΔCDB100-n、ΔMDB100-n、ΔYDB100-nを読み出すようになっているが、現像電圧感度テーブルを使用することなく、現像電圧感度を設定することができる。
【0135】
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与し、同じ構造を有することによる発明の効果については同実施の形態の効果を援用する。
【0136】
この場合、濃度補正制御部Pr5は、図8に示される濃度飽和閾値テーブルTb3を参照し、濃度値KOD100、COD100、MOD100、YOD100の変化が飽和する飽和位置における濃度比を表す閾値KRth、CRth、MRth、YRthを読み出し、図15に示される現像電圧感度計算用係数テーブルTb10を参照し、各色K、C、M、Yの係数Ka、Ca、Ma、Yaを読み出し、図16に示される濃度飽和位置現像電圧感度テーブルTb11を参照し、各色K、C、M、Yの閾値KRth、CRth、MRth、YRthにおける現像電圧感度、すなわち、濃度飽和位置現像電圧感度ΔKDBth、ΔCDBth、ΔMDBth、ΔYDBthを読み出す。
【0137】
次に、濃度補正制御部Pr5は、前記係数Ka、Ca、Ma、Ya、閾値KRth、CRth、MRth、YRth、濃度比KR、CR、MR、YR、及び濃度飽和位置現像電圧ΔKDBth、ΔCDBth、ΔMDBth、ΔYDBthに基づいて、ブラックの濃度変化飽和領域での現像電圧感度ΔKDB100、シアンの濃度変化飽和領域での現像電圧感度ΔCDB100、マゼンタの濃度変化飽和領域での現像電圧感度ΔMDB100、及びイエローの濃度変化飽和領域での現像電圧感度ΔYDB100を式(25)~(28)によって算出する。
【0138】
ΔKDB100=Ka×(KRth/KR )×ΔKDBth …(25)
ΔCDB100=Ca×(CRth/CR )×ΔCDBth …(26)
ΔMDB100=Ma×(MRth/MR )×ΔMDBth …(27)
ΔYDB100=Ya×(YRth/YR )×ΔYDBth …(28)
次に、濃度補正制御部Pr5は、式(25)~(28)によって算出した各色の現像電圧感度ΔKDB100、ΔCDB100、ΔMDB100、ΔYDB100を、式(9)~(12)の現像電圧感度ΔKDB100_n、ΔCDB100_n、ΔMDB100_n、ΔYDB100_nに代えて用いることによって、現像電圧調整量KDB(A)、CDB(A)、MDB(A)、YDB(A)を算出する。
【0139】
前記各実施の形態においては、四つの画像形成ユニット16iを有するプリンタ10について説明したが、本発明を少なくとも一つ以上の画像形成ユニットを有するプリンタに適用することができる。
【0140】
また、前記各実施の形態においては、画像形成装置としてのプリンタ10について説明したが、本発明を複写機、ファクシミリ装置、複合機等の画像形成装置に適用することができる。
【0141】
なお、本発明は前記各実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【符号の説明】
【0142】
10 プリンタ
16i 画像形成ユニット
17 搬送ベルト
KOD100、COD100、MOD100、YOD100、KOD30、COD30、MOD30、YOD30 濃度値
KR、CR、MR、YR 濃度比
KV100、CV100、MV100、YV100、KV30、CV30、MV30、YV30 センサ検出電圧
Pr4 濃度値変換部
Pr5 濃度補正制御部
Pt 濃度検出パターン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24