(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024105039
(43)【公開日】2024-08-06
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
H05K 7/12 20060101AFI20240730BHJP
G06F 1/16 20060101ALI20240730BHJP
【FI】
H05K7/12 C
G06F1/16 312E
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023009561
(22)【出願日】2023-01-25
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-09-06
(71)【出願人】
【識別番号】518133201
【氏名又は名称】富士通クライアントコンピューティング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 康史
【テーマコード(参考)】
4E353
【Fターム(参考)】
4E353AA09
4E353BB02
4E353CC36
4E353DD08
4E353DR36
4E353DR53
4E353GG11
4E353GG13
(57)【要約】
【課題】電子機器の厚さを薄くすることができ、且つコイン電池が筐体内で動くことを抑制することができる電子機器を提供する。
【解決手段】実施形態の電子機器は、筐体と、筐体内に設けられた基板と、筐体内に設けられたコイン電池と、基板とコイン電池とを接続したシート部材と、を備える。シート部材は、コイン電池を筐体の第1内面に押し付ける弾性部を有する。基板とコイン電池とは、基板の厚さ方向と直交する方向に並べられる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体内に設けられた基板と、
前記筐体内に設けられたコイン電池と、
前記基板と前記コイン電池とを接続したシート部材と、
を備え、
前記シート部材は、前記コイン電池を前記筐体の第1内面に押し付ける弾性部を有し、
前記基板と前記コイン電池とは、前記基板の厚さ方向と直交する方向に並べられた、
電子機器。
【請求項2】
前記弾性部は、前記コイン電池に向かう凸状の湾曲形状である、請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記弾性部は、
前記コイン電池に対して前記第1内面とは反対側で前記コイン電池に重ねられた第1部分と、
前記第1部分に対して前記コイン電池とは反対側で前記第1部分と間隔をあけて位置し、前記第1内面と対向する前記筐体の第2内面に支持された第2部分と、
前記第1部分と前記第2部分とを接続した曲部と、
を有した、
請求項1に記載の電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器であるノートブック型パーソナルコンピュータには、コイン電池を有するものがある。コイン電池は、例えば、電源プラグをコンセントから抜いたり、バッテリーを筐体から取り外したりした際に、内部時計へ電力を供給する。
【0003】
本発明に関連する先行技術文献として、特許文献1がある。特許文献1は、筐体の軽量化と高剛性化を課題としたノートブック型パーソナルコンピュータについて記載がある。このようなノートブック型パーソナルコンピュータで、コイン電池を内蔵するものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
コイン電池を基板上に取り付ける場合、筐体のカバーと基板との間に、コイン電池を配置するため、筐体ひいては電子機器の厚さが厚くなってしまう。コイン電池の取付構成としては、コイン電池を基板ではなく筐体の内面にクッション部材を介して貼り付ける構成もある。この構成ではコイン電池が動いたり脱落したりすることを抑制することができるが、クッション部材は両面接着テープで筐体に固定されるため、外部からの衝撃を受けやすく剥がれてしまう虞がある。
【0006】
本発明の一実施形態に係る課題は、電子機器の厚さを薄くすることができ、且つコイン電池が筐体内で動くことを抑制することができる電子機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1態様に係る電子機器は、筐体と、前記筐体内に設けられた基板と、前記筐体内に設けられたコイン電池と、前記基板と前記コイン電池とを接続したシート部材と、を備える。前記シート部材は、前記コイン電池を前記筐体の第1内面に押し付ける弾性部を有する。前記基板と前記コイン電池とは、前記基板の厚さ方向と直交する方向に並べられる。
【0008】
前記電子機器では、例えば、前記弾性部は、前記コイン電池に向かう凸状の湾曲形状である。
【0009】
前記電子機器では、例えば、前記弾性部は、第1部分と、第2部分と、曲部と、を有する。前記第1部分は、前記コイン電池に対して前記第1内面とは反対側で前記コイン電池に重ねられている。前記第2部分は、前記第1部分に対して前記コイン電池とは反対側で前記第1部分と間隔をあけて位置し、前記第1内面と対向する前記筐体の第2内面に支持される。前記曲部は、前記第1部分と前記第2部分とを接続する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の上記態様によれば、電子機器の厚さを薄くすることができ、且つコイン電池が筐体内で動くことを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、第1の実施形態の電子機器を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、第1の実施形態の電子機器の本体内部を示す平面図である。
【
図3】
図3は、第1の実施形態の電子機器の一部を拡大して示す断面図である。
【
図4】
図4は、第1の実施形態の電子機器の一部を拡大して示す斜視図である。
【
図5】
図5は、第2の実施形態の電子機器の一部を拡大して示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[第1の実施形態]
以下、添付図面を参照して、電子機器1の実施形態を詳細に説明する。以下に記載する実施形態の構成、並びに当該構成によってもたらされる作用及び結果(効果)は、あくまで一例であって、以下の記載内容に限られるものではない。なお、本明細書では、序数は、部品や部材を区別するためだけに用いられており、順番や優先度を示すものではない。
【0013】
まず、第1の実施形態に係る電子機器1の概略と構造について説明する。
図1は、第1の実施形態の電子機器1を示す斜視図である。
図1に示されるように、電子機器1は、ノートブック型(クラムシェル型)のパーソナルコンピュータとして構成され、二つの筐体10,16を備えている。筐体10は、例えば机や、台、棚等の載置部の平面に載置される。筐体16は、回転中心軸回りに回転可能に筐体10に支持され、展開位置(不図示)と閉じ位置(
図1)との間を移動可能である。
【0014】
以下の各図では、便宜上、互いに直交する三方向が定義されている。+X方向及び-X方向は、筐体10の長手方向であり、左右方向とも称され得る。+Y方向及び-Y方向は、筐体10の短手方向であり、前後方向とも称され得る。+Z方向及び-Z方向は、筐体10の厚さ方向であり、上下方向とも称され得る。なお、本実施形態における前後左右上下のような方向を示す表現は、便宜上の呼称であり、電子機器1の位置、姿勢、及び使用態様を限定するものではない。
【0015】
図2は、第1の実施形態の電子機器1の本体内部を示す平面図である。詳細的には、
図2は、第1の実施形態の電子機器1の筐体10のカバーを外した状態を示す平面図である。
図2に示されるように、電子機器1は、筐体10内に、基板11、シート部材14、コイン電池15を備えている。なお、筐体10は、上記の他に、例えば、基板11上に、CPU(Central Processing Unit)のような処理装置、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memoryのようなメモリなどの部品を収容する。また、筐体10は、基板11の外側に、ハードディスクドライブ(HDD)又はソリッドステートドライブ(SSD)のような記憶装置、及びバッテリーのような、種々の部品を収容する。
【0016】
図3は、第1の実施形態の電子機器1の一部を拡大して示す断面図である。
図1~
図3に示されるように、筐体10は、略直方体状の箱型に形成されている。筐体10は、+Z方向に向く第1内面10aと、-Z方向に向く第2内面10bと、を有する。
【0017】
図2および
図3に示されるように、基板11は、当該基板11の厚さ方向が筐体10の厚さ方向すなわち±Z方向に沿う姿勢で筐体10に固定されている。
【0018】
図4は、第1の実施形態の電子機器1の一部を拡大して示す斜視図である。
図2~
図4に示されるように、基板11は、-Z方向に向く実装面11aを有する。実装面11aには、内部時計153およびコネクタ12を含む各種の電子部品が実装されている。
【0019】
コイン電池15は、ケーブル152を介して、内部時計153に電力を供給する。
図3に示されるように、コイン電池15は、-Z方向に向く一面15aと、一面15aの反対側の他面15bと、を有する。一面15aは、筐体10の第1内面10aと接する。
【0020】
コイン電池15の他面15bは、シート部材14の一面14aに対して接着等によって固定されている。また、コイン電池15の一面15aは、筐体10の第1内面10aに重ねられている。一面15aは、第1内面10aに対してシート部材14によって押し付けられている。コイン電池15は、シート部材14の押し付け力(弾性力)により筐体10に固定されており、筐体10に対しては接着されていない。換言すると、コイン電池15は、シート部材14と筐体10とに挟持されている。
【0021】
図3に示されるように、コイン電池15と基板11とは、基板11の厚さ方向(±Z方向)と直交する方向に並べられる。言い換えると、±Z方向において、第1内面10aと実装面11aとの間の距離は、コイン電池15の厚さよりも短い。
【0022】
図4に示されるように、ケーブル152の一端部は、コイン電池15と接続され、ケーブル152の他端部には、コネクタ13が接続されている。コネクタ13は、コネクタ12と嵌め合いによって接続されている。コネクタ12とコネクタ13とは、一方が雄型であり、他方が雌型である。
【0023】
図3に示されるように、シート部材14は、基板11とコイン電池15とを接続している。シート部材14は、固定部141と、弾性部142と、接続部146と、を有する。固定部141は、基板11に接続されている。具体的には、固定部141は、基板11に接着等によって固定されている。接続部146は、固定部141と弾性部142とを接続している。
【0024】
弾性部142は、コイン電池15に向かう凸状すなわち-Z方向に凸状の湾曲形状である。弾性部142における接続部146側の端部は、筐体10の第2内面10bに支持されている。弾性部142は、少なくとも凸状における頂部を含む部分がコイン電池15の他面15bに固定されている。弾性部142は、弾性変形しており、弾性力によって、コイン電池15を筐体10の第1内面10aに押し付けている。コイン電池15は、一面15aが第1内面10aに押し付けられている。弾性部142は、板バネ部とも称される。
【0025】
また、シート部材14は、コイン電池15と接続される一面14aと、一面14aの反対側の他面14bと、を有する。一面14aは、コイン電池15の他面15bと接続されている。他面14bは、筐体10の第2内面10bと接している。
【0026】
シート部材14は、例えば、PETのような合成樹脂で作られる。また、シート部材14の厚さは、0.05mm~0.2mmが好ましく、0.08mm~0.15mmがより好ましい。
【0027】
以上の実施形態の電子機器1では、基板11とコイン電池15とが、基板11の厚さ方向と直交する方向に並べられている。シート部材14は、コイン電池15を筐体10の第1内面10aに押し付ける弾性部142を有している。
【0028】
上述の構成とすることで、コイン電池15が基板11上に設けられる場合よりも、電子機器1の厚さを薄くすることができる。また、コイン電池15が筐体10内で動くことを抑制することができる。
【0029】
また、本実施形態では、弾性部142の形状は、コイン電池15に向かう凸状の湾曲形状である。
【0030】
上述の構成とすることで、弾性部142を比較的容易に成形することができる。
【0031】
さらに、筐体10と基板11との間の空間が狭い場合でも、コイン電池15を筐体10に搭載することができる。また、コイン電池15がシート部材14を介して基板11と一体となっていることで、基板11の組み立てや交換作業が簡略化でき、ひいては電子機器1のメンテナンス性を向上させることができる。
【0032】
[第2の実施形態]
以下に、第2の実施形態について、
図5を参照して説明する。なお、以下の実施形態の説明において、既に説明された構成要素と同様の機能を持つ構成要素は、当該既述の構成要素と同じ符号が付され、さらに説明が省略される場合がある。また、同じ符号が付された複数の構成要素は、全ての機能及び性質が共通するとは限らず、各実施形態に応じた異なる機能及び性質を有していても良い。
【0033】
図5は、第2の実施形態の電子機器1の一部を拡大して示す断面図である。
図5に示されるように、本実施形態のシート部材14は、弾性部142の形状が第1の実施形態と異なる。
【0034】
本実施形態の弾性部142は、コイン電池15の他面15bと接する第1部分143、と、筐体10の第2内面10bと接する第2部分144と、第1部分143と第2部分144とを接続した曲部145と、を有している。一面14aの裏側にある他面14bは、筐体10の第2内面10bに接していない。
【0035】
第1部分143は、コイン電池15に対して第1内面10aとは反対側でコイン電池15に重ねられており、当該第1部分143がコイン電池15に接着等によって固定されている。また、第2部分144は、第1部分143に対してコイン電池15とは反対側で第1部分143と間隔をあけて位置し、第1内面10aと対向する筐体10の第2内面10bに支持されている。曲部145は、-Y方向に凸状になるように湾曲状に形成されている。ここで、第1内面10aと第2内面10bは平行であってもよいし、一方に対して他方が傾斜していてもよい。
【0036】
すなわち、弾性部142は、-Y方向に凸になるような略U字形状に形成され、第1部分143の一面14aとコイン電池15の他面15bとが接し、第2部分144の一面14aと第2内面10bとが接している。
【0037】
弾性部142は、略U字形状に折り曲げられた状態で、コイン電池15及び筐体10の間に介在している。このため、弾性部142は、コイン電池15を筐体10の第1内面10aに押し付ける弾性力を発生する。すなわち、弾性部142は、弾性変形による弾性力によって、コイン電池15を筐体10の第1内面10aに押し付けている。
【0038】
以上の実施形態の電子機器1では、シート部材14の弾性部142は、コイン電池15に対して第1内面10aとは反対側でコイン電池15に重ねられた第1部分143と、第1部分143に対してコイン電池15とは反対側で第1部分143と間隔をあけて位置し、第1内面10aと対向する筐体10の第2内面10bに支持された第2部分144と、第1部分143と第2部分144とを接続した曲部145と、を有する。
【0039】
上述の構成とすることで、シート部材14は、第1部分143の比較的広い部分でコイン電池15を筐体10の第1内面10aに押し付け、コイン電池15が筐体10内で動くことを抑制することができる。
【0040】
以上、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0041】
1 電子機器
10、16 筐体
10a 第1内面
10b 第2内面
11 基板
14 シート部材
15 コイン電池
142 弾性部
143 第1部分
144 第2部分
145 曲部
146 接続部
【手続補正書】
【提出日】2023-05-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体内に設けられた基板と、
前記筐体内に設けられたコイン電池と、
前記基板と前記コイン電池とを接続したシート部材と、
を備え、
前記シート部材は、前記コイン電池を前記筐体の第1内面に押し付ける弾性部を有し、
前記基板と前記コイン電池とは、前記基板の厚さ方向と直交する方向に並べられ、
前記弾性部は、
前記コイン電池に対して前記第1内面とは反対側で前記コイン電池に重ねられた第1部分と、
前記第1部分に対して前記コイン電池とは反対側で前記第1部分と間隔をあけて位置し、前記第1内面と対向する前記筐体の第2内面に支持された第2部分と、
前記第1部分と前記第2部分とを接続した曲部と、
を有した、
電子機器。