IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社チームスピリットの特許一覧

<>
  • 特開-工数管理システム 図1
  • 特開-工数管理システム 図2
  • 特開-工数管理システム 図3
  • 特開-工数管理システム 図4
  • 特開-工数管理システム 図5A
  • 特開-工数管理システム 図5B
  • 特開-工数管理システム 図6A
  • 特開-工数管理システム 図6B
  • 特開-工数管理システム 図7
  • 特開-工数管理システム 図8A
  • 特開-工数管理システム 図8B
  • 特開-工数管理システム 図9
  • 特開-工数管理システム 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024105057
(43)【公開日】2024-08-06
(54)【発明の名称】工数管理システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/06 20230101AFI20240730BHJP
   G06Q 10/109 20230101ALI20240730BHJP
【FI】
G06Q10/06
G06Q10/109
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023009594
(22)【出願日】2023-01-25
(71)【出願人】
【識別番号】509161738
【氏名又は名称】株式会社チームスピリット
(74)【代理人】
【識別番号】110000752
【氏名又は名称】弁理士法人朝日特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】原 勇作
【テーマコード(参考)】
5L010
5L049
【Fターム(参考)】
5L010AA10
5L010AA11
5L049AA10
5L049AA11
(57)【要約】
【課題】工数管理システムにおいて、工数時間と実際の労働時間とを整合させる。
【解決手段】工数管理システム1は、作業者のスケジュール情報を用いて作業者の作業の工数時間を決定する決定部112と、作業者の労働時間を取得する取得部111と、工数時間と労働時間とが整合するように工数時間を変更する変更部113とを備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業者のスケジュール情報を用いて前記作業者の作業の工数時間を決定する決定部と、
前記作業者の労働時間を取得する取得部と、
前記工数時間と前記労働時間とが整合するように前記工数時間を変更する変更部と
を備える工数管理システム。
【請求項2】
前記決定部は、単位期間における前記作業者の複数の作業の複数の工数時間を決定し、
前記取得部は、前記単位期間における前記作業者の労働時間を取得し、
前記変更部は、前記労働時間と前記複数の工数時間の合計との差分を前記複数の工数時間に均等に割り当て、前記割り当てられた分だけ前記複数の工数時間を変更する
請求項1に記載の工数管理システム。
【請求項3】
前記決定部は、単位期間における前記作業者の複数の作業の複数の工数時間を決定し、
前記変更部は、前記複数の工数時間のうち最大の工数時間を変更する
請求項1に記載の工数管理システム。
【請求項4】
前記決定部は、単位期間における前記作業者の複数の作業の複数の工数時間を決定し、
前記変更部は、前記複数の工数時間のうち最小の工数時間を変更する
請求項1に記載の工数管理システム。
【請求項5】
前記スケジュール情報は、スケジュールの時刻を含み、
前記変更部は、前記複数の作業に前記最大の工数時間を有する2以上の作業が含まれる場合、前記2以上の作業のうち、対応する前記スケジュール情報に含まれる前記スケジュールの時刻に応じて決められた作業の工数時間を変更する
請求項3に記載の工数管理システム。
【請求項6】
前記スケジュール情報は、スケジュールの時刻を含み、
前記変更部は、前記複数の作業に前記最小の工数時間を有する2以上の作業が含まれる場合、前記2以上の作業のうち、対応する前記スケジュール情報に含まれる前記スケジュールの時刻に応じて決められた作業の工数時間を変更する
請求項4に記載の工数管理システム。
【請求項7】
前記決定部は、単位期間における前記作業者の複数の作業の複数の工数時間を決定し、
前記複数の作業には予め優先度が設定されており、
前記変更部は、前記複数の工数時間のうち前記優先度が最も高い作業の工数時間を変更する
請求項1に記載の工数管理システム。
【請求項8】
前記決定部は、単位期間における前記作業者の複数の作業の複数の工数時間を決定し、
前記取得部は、前記単位期間における前記作業者の労働時間を取得し、
前記変更部は、前記労働時間が前記複数の工数時間の合計より小さい場合には、前記工数時間と前記労働時間とが整合するまで、前記労働時間と前記複数の工数時間の合計との差分を、予め決定された順番に従って前記複数の工数時間から順番に減少させる
請求項1に記載の工数管理システム。
【請求項9】
前記決定部は、単位期間における前記作業者の複数の作業の複数の工数時間を決定し、
前記取得部は、前記単位期間における前記作業者の労働時間を取得し、
前記変更部は、前記労働時間と前記複数の工数時間の合計との差分を前記複数の工数時間に均等に割り当て、前記割り当てられた分だけ前記複数の工数時間を変更する第1ルール、前記工数時間と前記労働時間とが整合するように前記複数の工数時間のうち最も大きい工数時間を変更する第2ルール、前記工数時間と前記労働時間とが整合するように前記複数の工数時間のうち最も小さい工数時間を変更する第3ルール、前記工数時間と前記労働時間とが整合するように前記複数の工数時間のうち、予め設定された優先度が最も高い作業の工数時間を変更する第4ルール、前記工数時間と前記労働時間とが整合するように前記労働時間を変更する第5ルールのうち、利用者の操作に応じて選択されたルールに従って前記工数時間と前記労働時間とを整合させる
請求項1に記載の工数管理システム。
【請求項10】
前記決定部は、単位期間における前記作業者の複数の作業の複数の工数時間を決定し、
前記取得部は、前記単位期間における前記作業者の労働時間を取得し、
前記変更部は、前記労働時間と前記複数の工数時間の合計との差分が所定時間未満である場合には前記労働時間を変更し、前記差分が前記所定時間以上である場合には前記工数時間を変更する
請求項1に記載の工数管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工数管理システムの技術に関する。
【背景技術】
【0002】
予定労働時間と推定労働時間との相違に対して修正候補の提案を行う技術が知られている。例えば特許文献1は、従業者が業務に関して設定した予定労働時間に対して、従業者に関連する動作ログを取得することによって推定労働時間を推定し、これら予定労働時間と推定労働時間との相違に対して修正候補の提案を行う技術を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-189811号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
作業者のスケジュール情報に基づいて工数時間が計算される場合、スケジュールの重複や空白等の原因により工数時間が実際の労働時間と整合しない場合がある。工数時間は、コンサルタント業務における時間報酬の計算、ソフトウェア資産の原価計算、働き方の解析等の用途に用いられるため、実際の労働時間と整合しないと問題が生じる場合がある。
【0005】
このような上記の背景に鑑み、本発明は、工数時間と実際の労働時間とを整合させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、作業者のスケジュール情報を用いて前記作業者の作業の工数時間を決定する決定部と、前記作業者の労働時間を取得する取得部と、前記工数時間と前記労働時間とが整合するように前記工数時間を変更する変更部とを備える工数管理システムを提供する。
【0007】
前記決定部は、単位期間における前記作業者の複数の作業の複数の工数時間を決定し、前記取得部は、前記単位期間における前記作業者の労働時間を取得し、前記変更部は、前記労働時間と前記複数の工数時間の合計との差分を前記複数の工数時間に均等に割り当て、前記割り当てられた分だけ前記複数の工数時間を変更してもよい。
【0008】
前記決定部は、単位期間における前記作業者の複数の作業の複数の工数時間を決定し、前記変更部は、前記複数の工数時間のうち最大の工数時間を変更してもよい。
【0009】
前記決定部は、単位期間における前記作業者の複数の作業の複数の工数時間を決定し、前記変更部は、前記複数の工数時間のうち最小の工数時間を変更してもよい。
【0010】
前記スケジュール情報は、スケジュールの時刻を含み、前記変更部は、前記複数の作業に前記最大の工数時間又は前記最小の工数時間を有する2以上の作業が含まれる場合、前記2以上の作業のうち、対応する前記スケジュール情報に含まれる前記スケジュールの時刻に応じて決められた作業の工数時間を変更してもよい。
【0011】
前記決定部は、単位期間における前記作業者の複数の作業の複数の工数時間を決定し、前記複数の作業には予め優先度が設定されており、前記変更部は、前記複数の工数時間のうち前記優先度が最も高い作業の工数時間を変更してもよい。
【0012】
前記決定部は、単位期間における前記作業者の複数の作業の複数の工数時間を決定し、前記取得部は、前記単位期間における前記作業者の労働時間を取得し、前記変更部は、前記労働時間が前記複数の工数時間の合計より小さい場合には、前記工数時間と前記労働時間とが整合するまで、前記労働時間と前記複数の工数時間の合計との差分を、予め決定された順番に従って前記複数の工数時間から順番に減少させてもよい。
【0013】
前記決定部は、単位期間における前記作業者の複数の作業の複数の工数時間を決定し、前記取得部は、前記単位期間における前記作業者の労働時間を取得し、前記変更部は、前記労働時間と前記複数の工数時間の合計との差分を前記複数の工数時間に均等に割り当て、前記割り当てられた分だけ前記複数の工数時間を変更する第1ルール、前記工数時間と前記労働時間とが整合するように前記複数の工数時間のうち最も大きい工数時間を変更する第2ルール、前記工数時間と前記労働時間とが整合するように前記複数の工数時間のうち最も小さい工数時間を変更する第3ルール、前記工数時間と前記労働時間とが整合するように前記複数の工数時間のうち、予め設定された優先度が最も高い作業の工数時間を変更する第4ルール、前記工数時間と前記労働時間とが整合するように前記労働時間を変更する第5ルールのうち、利用者の操作に応じて選択されたルールに従って前記工数時間と前記労働時間とを整合させてもよい。
【0014】
前記決定部は、単位期間における前記作業者の複数の作業の複数の工数時間を決定し、前記取得部は、前記単位期間における前記作業者の労働時間を取得し、前記変更部は、前記労働時間と前記複数の工数時間の合計との差分が所定時間未満である場合には前記労働時間を変更し、前記差分が前記所定時間以上である場合には前記工数時間を変更してもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、工数時間と実際の労働時間とを整合させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】工数管理システム1を例示する図。
図2】工数管理システム1の機能構成を例示する図。
図3】サーバ装置10及びクライアント装置20のハードウェア構成を例示する図。
図4】記憶部12が記憶する作業者のスケジュール情報を例示する図。
図5A】増加ルールの一覧を例示する図。
図5B】減少ルールの一覧を例示する図。
図6A】スケジュール情報の操作画面を例示する図。
図6B】工数自動割当の操作画面を例示する図。
図7】工数管理システム1の整合方法を例示するフローチャート。
図8A】増加ルールによる時間調整を例示する図。
図8B】減少ルールによる時間調整を例示する図。
図9】作業者による割当ルールの登録方法を例示する図。
図10】減少ルールによる時間調整の変形例を例示する図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
1.構成
図1は、工数管理システム1を例示する図である。工数管理システム1は、スケジュール管理アプリケーション、例えば、OUTLOOK(登録商標)スケジューラーと自動連携し、勤務時間に対してどのような時間の使い方を行っていたかを把握可能とするシステムである。なお、工数管理システム1が連携するスケジュール管理アプリケーションは、OUTLOOK(登録商標)スケジューラーに限定されず、他のスケジューラーでもよい。工数管理システム1は、サーバ装置10及びクライアント装置20を有する。
【0018】
サーバ装置10は、利用者のスケジュール情報に基づいて工数時間を決定する情報処理装置である。この例において「スケジュール情報」とは、カレンダー等に入力された利用者の作業内容(例えば予定)を表す情報をいい、「工数時間」とは、記録上、利用者がその作業に従事した時間又は合計の時間をいう。また、サーバ装置10は、勤怠管理システムから実労働時間を取得し、工数時間と実労働時間とが整合するように時間調整を行う情報処理装置である。この例において勤怠管理システムとは、タイムカードの打刻、モバイル打刻、又はゲートの入退出記録に基づいて実労働時間を計算するシステム及び装置等のことをいう(図示略)。また、「実労働時間」とは、休憩時間を除外した、労働者が実際に労働した時間をいい、労働時間の一例である。さらに、「整合」とは、予め定められたルールに従って、「工数時間」又は「実労働時間」の時間調整を行い、「工数時間」の合計と「実労働時間」の合計とを一致させることをいう。
【0019】
クライアント装置20は、作業者がスケジュール情報を入力するための情報処理装置である。また、クライアント装置20は、入力されたスケジュール情報をサーバ装置10に送信する。サーバ装置10及びクライアント装置20において、各装置はネットワーク9を介して接続される。この例においてネットワークは、インターネット等のコンピュータネットワークである。
【0020】
図2は、工数管理システム1の機能構成を例示する図である。この実施形態では、工数管理システム1の各機能はサーバ装置10に実装される。工数管理システム1は、制御部11、記憶部12、及び通信部13を有する。この例において制御部11は、各種の制御を行う。また、制御部11は、取得部111、決定部112、及び変更部113をさらに有する。記憶部12は、各種のデータを記憶する。通信部13は、クライアント装置20と通信を行う。
【0021】
図3は、サーバ装置10及びクライアント装置20のハードウェア構成を例示する図である。サーバ装置10は、CPU(Central Processing Unit)101、メモリ102、ストレージ103、及び通信IF104を有するコンピュータであり、例えばパーソナルコンピュータ又はメインフレームである。CPU101は、プログラムに従って各種の演算を行うプロセッサである。メモリ102は、CPU101がプログラムを実行する際のワークエリアとして機能する主記憶装置であり、例えばRAM(Random Access Memory)を含む。ストレージ103は、各種のデータ及びプログラムを記憶する補助記憶装置であり、例えばSSD(Solid State Drive)又はHDD(Hard Disc Drive)を含む。通信IF104は、所定の通信規格に従って他の装置と通信する装置であり、例えばNIC(Network Interface Card)を含む。
【0022】
この例においてストレージ103が記憶するプログラムには、コンピュータを工数管理システム1におけるサーバとして機能させるためのプログラム(以下「サーバプログラム」という。)が含まれる。CPU101がサーバプログラムを実行している状態において、CPU101が制御部11の一例であり、メモリ102及びストレージ103が記憶部12の一例であり、通信IF104が通信部13の一例である。
【0023】
クライアント装置20は、CPU201、メモリ202、ストレージ203、通信IF204、入力装置205、及び表示装置206を有するコンピュータであり、例えばスマートフォン、タブレット、又はパーソナルコンピュータである。CPU201は、プログラムに従って各種の演算を行うプロセッサである。メモリ202は、CPU201がプログラムを実行する際のワークエリアとして機能する主記憶装置であり、例えばRAMを含む。ストレージ203は、各種のデータ及びプログラムを記憶する補助記憶装置であり、例えばSSD又はHDDを含む。通信IF204は、所定の通信規格に従って他の装置と通信する装置であり、例えば無線で通信する場合には無線チップを含む。入力装置205は、クライアント装置20に情報を入力するための装置であり、例えばタッチスクリーン、キーボード、マウス、又はポインティングデバイスを含む。表示装置206は情報を表示する装置であり、例えば有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ又は液晶ディスプレイを含む。
【0024】
この例においてストレージ203が記憶するプログラムには、コンピュータを工数管理システム1におけるクライアントとして機能させるためのプログラム(以下「クライアントプログラム」という。)が含まれる。CPU201がクライアントプログラムを実行している状態において、CPU201、メモリ202、ストレージ203、通信IF204、入力装置205、及び表示装置206は、クライアント装置20を動作させるための機能の一例である。
【0025】
図2の説明に戻る。サーバ装置10において、制御部11は、取得部111、決定部112、及び変更部113をさらに有する。この例において取得部111は、単位期間におけるスケジュール情報及び実労働時間を取得する。この例において単位期間とは、例えば1日(24時間)単位の期間をいい、工数管理システム1は、この期間に応じた時間調整を行うことができる。より具体的には、まず取得部111は、記憶部12から1日のスケジュール情報を読み出す。また、取得部111は、勤怠管理システム(図示略)からその日の実労働時間を取得する。
【0026】
図4は、記憶部12が記憶する作業者のスケジュール情報を例示する図である。記憶部12は、クライアント装置20から受信したスケジュール情報を記憶する。この例においてスケジュール情報には、例えばユーザ名、スケジュールのタイトル、日付、開始時刻、及び終了時刻が含まれる。
【0027】
決定部112は、予め決められた割当ルールに従ってスケジュール情報に作業を割り当て、複数の作業の工数時間を決定する。この例において割当ルールとは、「スケジュール情報」と「作業」とを紐づけるための対応関係が示されたルールである。なお、割当ルールに該当しないスケジュール情報については、作業者が手入力で作業を割り当てることが可能である。また、この割当ルールは、記憶部12に記憶され、決定部112に取得される。
【0028】
変更部113は、工数時間と実労働時間とが整合するように時間調整を行う。利用者は、事前に増加ルールの中から一つと、減少ルールの中から一つを選択する。この例において増加ルール及び減少ルールとは、工数時間と実労働時間との整合を行うために予め定められたルールである。また、この例において、利用者とは、工数管理システム1を運用する管理者や、作業に従事する個々の作業者を指す。以上より、変更部113は、利用者の操作に応じて選択された増加ルール及び減少ルールに従って調整を行う。
【0029】
図5Aは、増加ルールの一覧を例示する図である。この例において増加ルールは、「工数時間」と「実労働時間」とを整合させる上で、実労働時間が工数時間よりも大きい場合に適用されるルールである。以下に増加ルールの詳細を説明する。
【0030】
具体的なルールの詳細について、まず、増加ルール1が適用される場合、変更部113は、工数時間を複数の作業について均等に増加させる。
【0031】
増加ルール2が適用される場合、変更部113は、最大工数時間を増加させる。この例において最大工数時間とは、1日のスケジュール情報の作業の中で、作業毎の工数時間のうち、最大の工数時間を指す。ここで、最大工数時間をとる作業が複数あって、増加ルール2の適用対象が1つに定まらない場合、次の増加ルール2.1が適用される。増加ルール2.1が適用される場合、変更部113は、スケジュールの開始時刻が最も早い作業の工数時間を増加させる。或いは、変更部113は、スケジュールの開始時刻又は終了時刻が最も遅い作業の工数時間を増加させてもよい。この例において複数とは2以上を指し、これによって変更部113は、スケジュールの時刻に応じて決められた、作業の工数時間を変更することができる。
【0032】
増加ルール3が適用される場合、変更部113は、最小工数時間を増加させる。この例において最小工数時間とは、1日のスケジュール情報の作業の中で、作業毎の工数時間のうち、最小の工数時間を指す。また、最小工数時間をとる作業が複数ある場合も同様に、増加ルール3の適用対象が1つに定まらないため、次の増加ルール3.1が適用される。また、増加ルール3.1が適用される場合、変更部113は、スケジュールの開始時刻が最も早い作業の工数時間を増加させる。或いは、変更部113は、スケジュールの開始時刻又は終了時刻が最も遅い作業の工数時間を増加させてもよい。
【0033】
増加ルール4が適用される場合、変更部113は、増加優先度が最も高い作業の工数時間を増加させる。この例において増加優先度とは、変更部113が、増加ルール4を適用させる作業の優先順位を表しており、例えば、増加優先度1の作業は増加優先度2の作業よりも優先して増加ルール4が適用される。そのため、増加優先度は、記憶部12において、割り当てられた作業に対応付けて記憶される。
【0034】
増加ルール5が適用される場合、変更部113は、実労働時間を減少させる。増加ルール5によって、実労働時間を減少させる場合、工数時間の合計との差分だけ実労働時間を減少させる。ここで、増加ルール5は、実労働時間と工数時間の合計との差分が基準時間より小さい場合、例えば15分未満の場合に適用され、15分以上の場合には、次の増加ルール5.1が適用される。増加ルール5.1が適用される場合、変更部113は、実労働時間を減少させずエラーを出力する。
【0035】
この例において、実労働時間と工数時間の合計との差分が小さい場合(15分未満)には、勤怠管理システムにおける利用者の入力ミス等とみなすことができるため、実労働時間の減少によって労働上の問題が生じない範囲で、実労働時間を減少させることができる。また、この例においてエラーとは、実労働時間の調整を行わず、それを利用者に通知するための処理を含む概念である。
【0036】
図5Bは、減少ルールの一覧を例示する図である。この例において減少ルールは、「工数時間」と「実労働時間」とを整合させる上で、実労働時間が工数時間よりも小さい場合に適用されるルールである。以下に減少ルールの詳細を説明する。
【0037】
具体的なルールの詳細について、まず減少ルール1が適用される場合、変更部113は、工数時間を均等に減少させる。
【0038】
減少ルール2が適用される場合、変更部113は、最大工数時間を減少させる。ここで、最大工数時間をとる作業が複数あって、減少ルール2の適用対象が1つに定まらない場合、次の減少ルール2.1が適用される。減少ルール2.1が適用される場合、変更部113は、スケジュールの開始時刻が最も早い作業の工数時間を減少させる。或いは、変更部113は、スケジュールの開始時刻又は終了時刻が最も遅い作業の工数時間を減少させてもよい。
【0039】
減少ルール3が適用される場合、変更部113は、最小工数時間を減少させる。また、最小工数時間をとる作業が複数ある場合も同様に、減少ルール3の適用対象が1つに定まらないため、次の減少ルール3.1が適用される。減少ルール3.1が適用される場合、変更部113は、スケジュールの開始時刻が最も早い作業の工数時間を減少させる。或いは、変更部113は、スケジュールの開始時刻又は終了時刻が最も遅い作業の工数時間を減少させてもよい。
【0040】
減少ルール4が適用される場合、変更部113は、減少優先度が最も高い作業の工数時間を減少させる。この例において減少優先度とは、増加優先度と同様に、変更部113が、減少ルール4を適用させる作業の優先順位を表している。また、減少優先度は、記憶部12において、割り当てられた作業に対応付いて記憶される。
【0041】
減少ルール5が適用される場合、変更部113は、実労働時間を増加させる。減少ルール5によって、実労働時間を増加させる場合、工数時間の合計との差分だけ実労働時間を増加させる。ここで、減少ルール5は、実労働時間と工数時間の合計との差分が基準時間より小さい場合、例えば15分未満の場合に適用され、15分以上の場合には、次の減少ルール5.1が適用される。また、減少ルール5.1が適用される場合(実労働時間の過小時間が15分以上の場合)、変更部113は、実労働時間を増加させずエラーを出力する。
【0042】
以上より、増加ルール及び減少ルールにおいて、上記の内容を原則とし、変更部113は、工数時間と実労働時間とが整合するように時間調整を行う。なお、ここまでの「増加(減少)ルール」に含まれる「増加(減少)」という言葉は、あくまでルール自体を指す言葉の定義であり、これに対して、例えば「増加ルール5」における実労働時間の「減少」という言葉は、処理による動作を意味するため、必ずしもこれらの言葉の対応が一致するものではない。
【0043】
2.動作
図6A及び図6Bは、それぞれ、スケジュール情報及び工数自動割当の操作画面を例示する図である。この例において工数管理システム1は、OUTLOOK(登録商標)スケジューラーと自動連携し、勤務時間に対してどのような時間の使い方を行っていたかを把握可能としている。そのため、以下の説明に利用する各図面は、実際に運用される操作画面の一例を含む。この例において、図6Aの画面の「工数自動割当」ボタンが押されたことを契機に以下の処理を開始する。
【0044】
図7は、工数管理システム1の整合方法を例示するフローチャートである。以下の説明は、図7のフローチャートに沿った工数管理システム1の動作例である。ステップS1において、取得部111は、作業者の一日のスケジュール情報を取得する。具体的には、例えば取得部111は、作業者Xの10月4日のスケジュール情報を記憶部12から取得する。ここで、図4における記憶部12が記憶する情報は、クライアント装置20から受信したスケジュール情報と作業者の作業の増加優先度及び減少優先度に関する情報が含まれている。
【0045】
ステップS2において、取得部111は、実労働時間を取得する。具体的には、例えば取得部111は、作業者Xの10月4日の実労働時間を勤怠管理システムから取得する。この例において勤怠管理システムには、タイムカードの打刻、モバイル打刻、又はゲートの入退出記録に基づいて実労働時間を計算する機能が実装されている。さらに、勤怠管理システムには、作業者の休憩時間を記録するための機能が実装されている。そこで、例えば、労働の開始時刻が「09:00」と記録され、労働の終了時刻が「18:00」と記録された場合、休憩時間として記録された「12:00-13:00」の「01:00」時間を除外して実労働時間は計算される。その結果、実労働時間は「08:00」時間として取得部111に取得される。
【0046】
ステップS3において、決定部112は、割当ルールに従って、スケジュール情報に作業を割り当てて、工数時間を決定する。この例において割当ルールとは、例えば「スケジュール情報のタイトルに『A社』が含まれている場合には、『A社対応』という作業が割り当てられる」といった「スケジュール情報」と「作業」とを紐づけるための対応関係が示されたルールである。この場合、スケジュール情報のタイトルに「A社」が含まれている10月4日の「11:00-12:00」のスケジュール情報に「A社対応」という作業が割り当てられる。なお、この割当ルールは、決定部112に取得可能なように記憶部12に記憶される。また、割当ルールを新たに設定する場合(割当ルールに該当しないスケジュール情報を登録する場合等)、管理者や個々の作業者等のユーザが手入力で作業を割り当てることが可能である。
【0047】
この例において図6Bの「ジョブ」の項目に、「A社対応」と表示される。また、この作業の時間は、「11:00-12:00」である。そのため、工数時間として1時間が計数され、「時間」の項目に、「01:00」と表示される。決定部112は、他のスケジュール情報に対しても同様の処理を行う。なお、この例において「16:00-17:00」の「帰社」は、C社から自社への移動を示すため、仕事に分類される。一方、「18:00-20:00」の「懇親会」は、仕事ではないので、どの作業も割り当てられず、工数時間も0時間となる。また、「結果」の項目には、割当ルールによる割り当てが行われた場合は「マッチ」、割り当てが行われなかった場合は「アンマッチ」と表示される。なお、割り当てを行う場合に利用されるスケジュールの文言(例えば貴社又は懇親会等)と、業務又は非業務との対応関係自体は、記憶部12におけるデータベース等で定義及び管理されている。
【0048】
ステップS3で決定部112は、工数時間を決定し、ステップS4において、変更部113は、工数時間の合計と実労働時間とに差があるか否かを判定する。図6Aに示される例では、10月4日の「13:00-15:00」の「社外)B社様訪問」というスケジュール情報と、同日の「13:00-14:00」の「社内)相談」というスケジュール情報とが一部重複しているため、工数時間が実際の労働時間より1時間短くなる。ステップS4で差がある場合(ステップS4:Yes)、ステップS5において、変更部113は、予め選択された増加ルール又は減少ルールに従って、工数時間の合計と実労働時間とが一致するように時間調整を行う。また、ステップS4で工数時間の合計と実労働時間とに差がない場合(ステップS4:No)、ステップS6において、変更部113は、工数時間と実労働時間を記憶部12に記憶させる。
【0049】
ここで、時間調整を行うために適用される増加ルール又は減少ルールの選択に関し、基本的には、利用者が事前に、増加ルールの中から一つと、減少ルールの中から一つを選択する。これによって、実労働時間が工数時間より大きい場合と、実労働時間が工数時間より小さい場合とのそれぞれの場合に応じて、変更部113は、自動的に時間調整を行うことができる。また、この例において、利用者とは、工数管理システム1を運用する管理者や、作業に従事する個々の作業者を指す。
【0050】
図8Aは、増加ルールによる時間調整を例示する図である。この例において10月4日の作業者の実労働時間は8時間であり、工数時間が7時間である。実労働時間が工数時間より大きいので、変更部113は、増加ルールを適用し、時間調整を行う。この図は、増加ルール1から4の各々が適用された場合に、各作業の工数時間がどのように変更されるかを示している。なお、この例において工数時間が7時間になるように図6Aのスケジュール情報を一部変更して図8Aに表記している。以下の説明は各増加ルールを適用した場合の調整例である。
【0051】
増加ルール1が適用される場合、変更部113は、工数時間を複数の作業について均等に増加させる。この例において、10月4日の作業は6個あるため、実労働時間と工数時間との差1時間(60分)を埋めるため、60÷6=10分という計算より、変更部113は、各作業の工数時間に10分を加算する。この例において図8Aでは、例えば「社内作業」の工数時間である「01:00」が、増加ルール1の適用によって「01:10」に変更が行われたことが分かるよう図示されている(変更が行われた工数時間はグレーにハイライトされている)。
【0052】
増加ルール2が適用される場合、変更部113は、最大工数時間を増加させる。この例において、10月4日の作業の中で、工数時間が最も大きいのは「B社対応」であるため、2時間+1時間=3時間という計算より、変更部113は、その工数時間を増加させる。
【0053】
増加ルール3が適用される場合、変更部113は、最小工数時間を増加させる。また、増加ルール3.1が適用される場合、最小工数時間をとる複数の作業のうち、変更部113は、スケジュールの開始時刻が最も早い作業の工数時間を増加させる。この例において、10月4日の作業の中で、工数時間が最も小さいのは、「社内作業」の1時間、「部署打ち合せ」の1時間、「A社対応」の1時間、「相談」の1時間、及び「C社対応」の1時間である。最小工数時間をとる作業が複数あるので増加ルール3.1を適用する。最もスケジュールの開始時間が早いのは、「社内作業」であるため、1時間+1時間=2時間という計算より、変更部113は、その工数時間を増加させる。
【0054】
増加ルール4が適用される場合、変更部113は、増加優先度が最も高い作業の工数時間を増加させる。この例において、10月4日の作業の中で、増加優先度が最も高いのは「A社対応」であるため、1時間+1時間=2時間という計算より、変更部113は、その工数時間を増加させる。
【0055】
増加ルール5が適用される場合、変更部113は、実労働時間を減少させる(図示略)。また、増加ルール5.1が適用される場合(すなわち、実労働時間の過大時間が15分以上の場合)、変更部113は、実労働時間を減少させずエラーを出力する。この例において実労働時間と工数時間の合計との差分が15分以上であるため、増加ルール5.1が適用され、変更部113は、工数時間も実労働時間も変更せずにエラーを出力する。この例において変更部113は、作業者にエラーを通知する処理を行い、記憶部12に工数時間及び実労働時間とともにエラーを記憶させる。なお、もしも、この例において実労働時間が8時間に対して、工数時間が7時間50分の場合、増加ルール5が適用され、変更部113は、実労働時間を、工数時間との差分の「10分」だけ減少させる。そのため、例えば勤怠システムと連携し、退勤時刻を10分だけ早い時刻に変更する処理が行われる。
【0056】
以上より、実労働時間が工数時間より大きい場合、上記の増加ルールのいずれかを適用することで、工数時間と実労働時間とが整合するように時間調整を行うことができる。次に、減少ルールによる時間調整の方法を説明する。
【0057】
図8Bは、減少ルールによる時間調整を例示する図である。この例において10月4日の作業者の実労働時間を増加ルールの時と同様に8時間とする。実労働時間が8時間に対して、工数時間が9時間の場合、実労働時間が工数時間より小さいので、変更部113は、減少ルールを適用し、時間調整を行う。この図は、減少ルール1から4の各々が適用された場合に、各作業の工数時間がどのように変更されるかを示している。以下の説明は各減少ルールを適用した場合の調整例である。
【0058】
減少ルール1が適用される場合、変更部113は、工数時間を複数の作業について均等に減少させる。この例において、10月4日の作業は8個あり、実労働時間と工数時間との差1時間(60分)を埋めるため、60÷8=7.5分(7分30秒)という計算より、変更部113は、各作業の工数時間から7分30秒を減算する。
【0059】
減少ルール2が適用される場合、変更部113は、最大工数時間を減少させる。この例において、10月4日の作業の中で、工数時間が最も大きいのは「B社対応」であるため、2時間-1時間=1時間という計算より、変更部113は、その工数時間を減少させる。
【0060】
減少ルール3が適用される場合、変更部113は、最小工数時間を減少させる。また、減少ルール3.1が適用される場合、最小工数時間をとる複数の作業のうち、変更部113は、スケジュールの開始時刻が最も早い作業の工数時間を減少させる。この例において、10月4日の作業の中で、工数時間が最も小さいのは、「社内作業」の1時間、「部署打ち合せ」の1時間、「A社対応」の1時間、「相談」の1時間、「C社対応」の1時間、「移動」の1時間、及び「D社対応」の1時間である。最小工数時間をとる作業が複数あるので減少ルール3.1を適用する。最もスケジュールの開始時間が早いのは、「社内作業」であるため、1時間-1時間=0時間という計算より、変更部113は、その工数時間を減少させる。
【0061】
減少ルール4が適用される場合、変更部113は、実労働時間が工数時間より小さい場合に減少優先度が最も高い作業の工数時間を減少させる。この例において、10月4日の作業の中で、減少優先度が最も高いのは「社内作業」であるため、1時間-1時間=0時間という計算より、変更部113は、その工数時間を減少させる。
【0062】
減少ルール5が適用される場合、変更部113は、実労働時間を増加させる(図示略)。また、減少ルール5.1が適用される場合(すなわち、実労働時間の過小時間が15分以上の場合)、変更部113は、実労働時間を増加させずエラーを出力する。この例において実労働時間と工数時間の合計との差分が15分以上であるため、減少ルール5.1が適用され、変更部113は、工数時間も実労働時間も変更せずにエラーを出力する。なお、もしも、この例において実労働時間が8時間に対して、工数時間が8時間10分の場合、減少ルール5が適用され、変更部113は、実労働時間を、工数時間との差分の「10分」だけ増加させる。そのため、例えば勤怠システムと連携し、退勤時刻を18:00から18:10に変更する処理が行われる。
【0063】
以上より、実労働時間が工数時間より小さい場合、上記の減少ルールのいずれかを適用することで、工数時間と実労働時間とが整合するように時間調整を行うことができる。以上ここまでが、増加ルール又は減少ルールを適用した場合の変更部113による時間調整の方法を表す具体例である。
【0064】
図7に戻り、ステップS5で変更部113が時間調整を行った場合、又は、そもそもステップS4で工数時間の合計と実労働時間とに差がない場合(ステップS4:No)、ステップS6において、変更部113は、工数時間と実労働時間を記憶部12に記憶させる。また、工数時間又は実労働時間が調整された場合(ステップS5)には、調整後の時間を記憶する。ここで図7の一連の処理を終了する。
【0065】
なお、ステップS3において、決定部112が、スケジュール情報に作業を割り当てて、工数時間を決定するための「割当ルール」について説明したが、例えば図6Bにおいて「アンマッチ」と表示された割当ルールに該当しないスケジュール情報については、作業者が新たに手入力で作業を割り当てることが可能である。ここでは、図6Bに示されるスケジュール情報のタイトルに「A社」が含まれている10月4日の「11:00-12:00」のスケジュール情報が割当ルールに該当せず、作業者がこのスケジュール情報に対して新たに手入力で作業を割り当てる場合を想定する。以下に作業者による割当ルールの登録方法の具体例を説明する。
【0066】
図9は、作業者による割当ルールの登録方法を例示する図である。この例において「判定フィールド」は、「スケジュール情報」と「作業」とを対応付けるために「スケジュール情報」のどの情報を参照するかを設定する項目である。「判定テキスト」は、「判定フィールド」内のどのテキスト又はキーワードを参照するかを設定する項目である。「判定タイプ」は、判定テキストのキーワードを「含む」か、又は、「一致する」か、といった詳細な条件を設定する項目である。「ジョブ」は、対応付けたい「作業」を設定する項目である。以上より、これらを設定することにより、作業者が新たに割当ルールを登録することができる。
【0067】
なお、割当ルールを新たに登録する場合、増加優先度及び減少優先度を同時に設定することも可能である。また、登録した割当ルールは、記憶部12に記憶され、決定部112が、スケジュール情報に作業を割り当てて、工数時間を決定する際に利用される。
【0068】
以上より、ここまでの本発明の一様態によれば、スケジュールの重複や空白等の原因により工数時間が実際の労働時間と一致しない問題に対して、工数時間と実際の労働時間とを整合させることができる。
【0069】
3.変形例
本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、種々の変形実施が可能である。以下、変形例をいくつか説明する。以下で説明する事項のうち2つ以上の事項が組み合わされて適用されてもよい。
【0070】
(1)工数管理システム1
工数管理システム1におけるハードウェア構成は実施形態において例示したものに限定されない。要求される機能を実現できるものであれば、工数管理システム1はどのようなハードウェア構成を有していてもよい。例えば、物理的に複数の装置が協働してサーバ装置10又はクライアント装置20として機能してもよい。
【0071】
また、図6A及び図6Bに用いられる操作画面は、あくまで一例であり、これに限らずどのような画面レイアウトによって構成されてもよい。
【0072】
(2)サーバ装置10
サーバ装置10は物理サーバでもよいし、仮想サーバ(いわゆるクラウドを含む)であってもよい。また、機能要素とハードウェアとの対応関係は実施形態において例示したものに限定されない。例えば、実施形態において、サーバ装置10に実装されるものとして説明した機能の少なくとも一部がクライアント装置20に実装されてもよいし、反対にクライアント装置20に実装されるものとして説明した機能の少なくとも一部がサーバ装置10に実装されてもよい。この例においてクライアント装置20が取得部111、決定部112、及び変更部113を有し、サーバ装置10が有する記憶部12からデータを取得する構成としてもよい。
【0073】
(3)クライアント装置20
クライアント装置20において、作業者は、サーバ装置10が有するデータに対して、ネットワーク9を介してアクセスすることで入力を行い、画面等でそれを表示及び確認する構成としてもよい。また、この例に限らず、サーバ装置10における作業者の入力や画面の表示はどのように行われてもよい。
【0074】
(4)動作ステップ
図7に示すフローチャートはあくまで処理の一例を示すものであり、サーバ装置10の動作はこれに限定されない。図示した処理の一部が省略されてもよいし、順番が入れ替えられてもよいし、新たな処理が追加されてもよい。この例において、図7の処理を開始する場合、「工数自動割当」ボタンが押されたことを契機としたが、例えば、1日1回、夜間等にバッチ処理を行う場合など、所定の時刻が到来したことを契機に一連の処理が開始されてもよい。
【0075】
(5)増加ルール及び減少ルール
減少ルール2において、最大工数時間が、実労働時間と工数時間の合計との差分より小さい場合には、工数時間が大きい順に順番を決定し、その差分がなくなるまで予め決定された順序に従って工数時間を減少させてもよい。図10は、減少ルールによる時間調整の変形例を例示する図である。この例において、簡易的に実労働時間が6時間に対して、工数時間が9時間の場合を考える。減少ルール2を適用させる場合において、最大工数時間が「B社対応」の2時間、実労働時間と工数時間の合計との差分が3時間の場合には、まず最大工数時間において2時間-2時間=0時間とし、最大工数時間の次に大きい工数時間である「C社対応」の1.5時間(1時間30分)-1時間=0.5時間(30分)としてもよい。
【0076】
また、上記の場合において、減少ルール3も同様に、工数時間が小さい順に順序を決定し、順番に工数時間を減少させてもよい。減少ルール4も同様に、減少優先度が高い順に順序を決定し、順番に工数時間を減少させてもよい。以上より、少なくとも工数時間がマイナス(0時間未満)の値にならないように、予め決定された順序に従って工数時間を減少させればよく、この「順序」は、上記の例に限定されない。
【0077】
なお、減少ルール2、3、及び4において、それぞれ、最大工数時間、最小工数時間、及び減少優先度が最も高い作業の工数時間が、実労働時間と工数時間の合計との差分より小さい場合には、マイナス(0時間未満)の値にならない最大値分だけ減少させた後、エラーを出力してもよい。つまり、例えば、最大工数時間が2時間、差分が3時間の場合には、まず最大工数時間において2時間-2時間=0時間と変更し、次にエラーを出力して、作業者に通知する処理を行ってもよい。
【0078】
(6)ルールの選択
工数管理システム1において、工数時間と実労働時間とが整合するように調整を行うために、利用者は、増加ルールの中から一つと、減少ルールの中から一つを選択する。ここで、管理者によって、全ての作業者について一律に増加ルール及び減少ルールを選択してもよい。あるいは、個々の作業者が、自分の増加ルール及び減少ルールを選択できるようにしてもよい。なお、管理者及び作業者は、工数管理システム1を利用する利用者の一例である。また、ルールの選択方法は、上記の例に限定されない。例えば周期的(期間ごと)に選択したルールを変更する設定としてもよい。
【0079】
(7)実労働時間の調整
増加ルール5.1及び減少ルール5.1において、実労働時間と工数時間の合計との差分が、所定時間(例えば15分)以上の場合にはエラーを出力するのではなく、工数時間を調整してもよい。工数時間を調整する場合、これまで説明してきた増加ルール1から4及び減少ルール1から4のうちいずれかが用いられる。なお、増加ルール5.1及び減少ルール5.1において、これまで実労働時間の過大時間又は過小時間を例えば「15分」という数値を用いて説明してきたが、この基準時間は限定されるものではなく、自由に設定してよい。
【0080】
増加ルール又は減少ルールは、実施形態で説明したものに限定されない。例えば実労働時間が工数時間より小さい場合、工数時間を減少させるのではなく、休憩時間を減少させ、その分実労働時間を増加させるというルールが用いられてもよい。
【0081】
(8)割当ルール
割当ルールを新たに登録するための条件は、上述した項目に限定されない。例えば、図9において、「判定テキスト」に入力するキーワードを、1つではなく、複数入力できる構成を有してもよい。また、これらの割当ルールは、記憶部12に記憶されているため、作業者が適宜変更を行うことが可能である。
【0082】
(9)その他
実労働時間は、作業者が使用するPCの起動ログ及び停止ログに基づいて計算されてもよい。既知の方法であれば、どのような方法で実労働時間を算出してもよい。また、実労働時間に代えて、休憩時間を含む「労働時間」が用いられてもよい。
【0083】
単位期間は、1日(24時間)単位ではなく、例えば1週間(実働5日間)などの長期間であってもよく、反対に、午前又は午後などの短期間であってもよい。工数管理システム1は、これらの期間に応じて、時間調整を行ってもよい。
【0084】
CPU101及びCPU201によって実行される各種プログラムは、インターネット等のネットワークを介したダウンロードにより提供されるものであってもよいし、DVD-ROM等のコンピュータ読み取り可能な非一時的記録媒体に記録された状態で提供されてもよい。なお、各プロセッサは、CPUに代えて、例えば、MPU(Micro Processing Unit)であってもよい。
【符号の説明】
【0085】
1…工数管理システム、10…サーバ装置、11…制御部、111…取得部、112…決定部、113…変更部、12…記憶部、13…通信部、20…クライアント装置、9…ネットワーク、101…CPU、102…メモリ、103…ストレージ、104…通信IF、201…CPU、202…メモリ、203…ストレージ、204…通信IF、205…入力装置、206…表示装置
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7
図8A
図8B
図9
図10