(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024105058
(43)【公開日】2024-08-06
(54)【発明の名称】画像形成装置の手差し給紙トレイ
(51)【国際特許分類】
B65H 1/14 20060101AFI20240730BHJP
B65H 3/52 20060101ALI20240730BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20240730BHJP
B65H 11/00 20060101ALI20240730BHJP
【FI】
B65H1/14 310Z
B65H3/52 310G
G03G15/00 405
B65H11/00 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023009596
(22)【出願日】2023-01-25
(71)【出願人】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】弁理士法人あーく事務所
(72)【発明者】
【氏名】赤川 雄飛
【テーマコード(参考)】
2H072
3F063
3F343
【Fターム(参考)】
2H072BA03
2H072BA08
2H072BA13
2H072BA19
2H072BA20
2H072BB04
2H072JA04
2H072JA05
3F063BA04
3F063BA09
3F063BA10
3F063CA04
3F343FA02
3F343FB01
3F343FC04
3F343GA01
3F343GB01
3F343GC01
3F343GD01
3F343HA18
3F343HD09
3F343HD17
3F343JD04
3F343JD09
3F343KB03
3F343KB04
3F343KB17
3F343LA04
3F343LA15
3F343LB08
3F343LC19
3F343LD11
3F343LD12
3F343MA27
3F343MB04
3F343MB12
3F343MC07
3F343MC17
(57)【要約】
【課題】用紙が厚紙であっても分離ニップまで問題無く用紙が搬送される画像形成装置の手差し給紙トレイを提供する。
【解決手段】
画像形成装置の手差し給紙トレイ14は、用紙をガイドする用紙ガイド部16と、用紙ガイド部16の上方に設けられ、用紙ガイド部16に設けられた用紙を給紙するピックローラ21と、を有する。用紙ガイド部16は、上方向に傾斜した前サバキ斜面17と、前サバキ斜面17の用紙搬送方向の上流側に設けられたピック当接板18とを含み、ピックローラ21は、ピック当接板18に設けられたサバキパッド19の上で用紙に当接して用紙を給紙し、ピックローラ21による給紙時のピックローラ21とサバキパッド19上の用紙との当接面が、普通紙給紙の面と厚紙給紙の面とで角度の異なる2つの面を形成するように、ピック当接板18は回転可能であり、普通紙給紙時は、ピック当接板18は回転しない。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙をガイドする用紙ガイド部と、
前記用紙ガイド部の上方に設けられ、前記用紙ガイド部に設けられた用紙を給紙するピックローラと、を有する画像形成装置の給紙トレイであって、
前記用紙ガイド部は、上方向に傾斜した前サバキ斜面と、前記前サバキ斜面の用紙搬送方向の上流側に設けられたピック当接板とを含み、
前記ピックローラは、前記ピック当接板の上で前記用紙に当接して前記用紙を給紙し、
前記ピックローラによる給紙時の前記ピックローラと前記ピック当接板上の前記用紙との当接面が、普通紙給紙の面と厚紙給紙の面とで角度の異なる2つの面を形成するように、前記ピック当接板は回転可能であり、
普通紙給紙時は、前記ピック当接板は回転しない、画像形成装置の手差し給紙トレイ。
【請求項2】
前記ピック当接板は厚紙給紙時の残りの厚みが所定を下回る時のみ回転する、請求項1に記載の画像形成装置の手差し給紙トレイ。
【請求項3】
前記ピック当接板の回転中心は、前記ピックローラと前記サバキパッドとの当接部より、前記用紙の搬送方向の下流にある、請求項1に記載の画像形成装置の手差し給紙トレイ。
【請求項4】
前記ピック当接板は、前記用紙が必ず前記前サバキの斜面に当る角度にある、請求項1に記載の画像形成装置の手差し給紙トレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像形成装置の手差し給紙トレイに関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置の手差し給紙トレイにおいて、用紙の搬送方向における分離ニップの上流側に、上方向の傾斜部と上方向の傾斜部に繋がる下方向の傾斜部を設けた構成が、例えば、特開2013-173581号公報(特許文献1)に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の画像形成装置の手差し給紙トレイは、上記のように構成されていた。しかしながら、このような構成では、分離ニップまでの傾斜部の角度が一定であるため、用紙が厚紙のようにコシが強い場合に、用紙の湾曲が不十分で傾斜部を登れず分離ニップまで搬送されない場合があるという問題があった。
【0005】
本開示は上記のような問題点を解消するためになされたもので、用紙が厚紙であっても分離ニップまで問題無く用紙が搬送される、画像形成装置の手差し給紙トレイを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る画像形成装置の手差し給紙トレイは、用紙をガイドする用紙ガイド部と、用紙ガイド部の上方に設けられ、用紙ガイド部に設けられた用紙を給紙するピックローラと、を有する。用紙ガイド部は、上方向に傾斜した前サバキ斜面と、前サバキ斜面の用紙搬送方向の上流側に設けられたピック当接板とを含み、ピックローラは、ピック当接板に設けられたサバキパッドの上で用紙に当接して用紙を給紙し、ピックローラによる給紙時のピックローラとサバキパッド上の用紙との当接面が、普通紙給紙の面と厚紙給紙の面とで角度の異なる2つの面を形成するように、ピック当接板は回転可能であり、普通紙給紙時は、ピック当接板は回転しない。
【0007】
好ましくは、ピック当接板は厚紙給紙時の残り枚数が5枚以下の時のみ回転する。
【0008】
ピック当接板の回転中心は、ピックローラとサバキパッドとの当接部より、用紙の搬送方向の下流にあるのが好ましい。
【0009】
ピック当接板は、用紙が必ず前サバキの斜面に当る角度にあるのが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、ピックローラによる給紙時のピックローラとサバキパッド上の用紙との当接面が、普通紙給紙の面と厚紙給紙の面とで角度の異なる2つの面を形成するように、ピック当接板は回転可能である。したがって、厚紙を給紙する場合は、厚紙が給紙されやすいようにピックローラとサバキパッド上の用紙との当接面が形成される。
【0011】
その結果、用紙が厚紙であっても分離ニップまで問題無く用紙が搬送される画像形成装置の手差し給紙トレイを提供できる。
【0012】
本開示の上述の目的、その他の目的、特徴及び利点は、図面を参照して行なう後述の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本開示の一実施の形態に係る手差し給紙トレイを備える画像形成装置のプロセスユニットを示す断面図である。
【
図2】
図1に示した手差し給紙トレイの用紙搬送部の一実施形態を示す断面図である。
【
図3】普通紙又は厚紙の枚数が多いときの用紙搬送部の状態を示す図である。
【
図4】厚紙の枚数が少ないときの用紙搬送部の状態を示す図である。
【
図5】第1実施の形態におけるピック当接板の駆動機構の構成を示す図である。
【
図6】ピックローラが用紙搬送部の上方向にある場合を示す図である。
【
図7】ピック当接板が下方向に傾斜した状態で厚紙の用紙にピックローラが当接して用紙を分離ローラに搬送する状態を示す図である。
【
図9】用紙搬送部の第1実施の形態の変形例を示す図である。
【
図10】用紙搬送部の第2実施の形態を示す図であり、普通紙を搬送する場合を示す図である。
【
図11】用紙搬送部の第2実施の形態を示す図であり、厚紙を搬送する場合を示す図である。
【
図12】用紙搬送部の第2実施の形態の変形例を示す図である。
【
図13】用紙搬送部の第2実施の形態のさらなる変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本開示の一実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本開示の一実施の形態に係る手差し給紙トレイを備える画像形成装置10のプロセスユニットを示す断面図である。画像形成装置10は、コピー機能、プリンタ機能、イメージスキャナ機能、ファクス機能などの複数の機能を有する。このため、画像形成装置10は、装置本体11と、画像読取部12と、画像形成部13と、本開示が関係する手差し給紙トレイ14と、を備える。
【0015】
画像読取部12は、図示のない原稿の画像を読み取って、当該原稿の画像に応じた2次元の読取画像データを出力する、画像読取処理を担う。このような画像読取部12は、原稿が載置される原稿載置台を備える。画像読取部12は、図示のない光源、複数のミラー、レンズ、ラインセンサなどを含む画像読取ユニットを備える。さらに、画像読取部12は、画像読取ユニットによる画像読取位置を移動させるための駆動機構を備える。また、画像読取部12は、自動原稿送り装置(Auto Document Feeder:ADF)を備えている。
【0016】
画像形成部13は、画像読取部12で読み取られて出力される読取画像データなどの適宜の画像データに基づく画像を図示のない用紙などのシート状の画像記録媒体に形成する、画像形成処理を担う。この画像形成処理は、たとえば公知の電子写真方式により行われる。このため、画像形成部13は、感光体ドラム、帯電装置、露光装置、現像装置、転写装置、定着装置などを備え、画像形成部13による画像処理によって画像が形成された画像記録媒体、言わば印刷物は、排紙トレイに排出される。
【0017】
手差し給紙トレイ14は、手差しで用紙を給紙するトレイであり、後に具体的に説明するように、給紙ローラ23a,分離ローラ23bと、用紙をピックアップするピックローラ21と、を含む。
【0018】
図2は、
図1に示した手差し給紙トレイ14の用紙搬送部15の一実施形態を示す断面図であり、
図1に示した手差し給紙トレイ14のピックローラ21の近傍の拡大図である。
図2を参照して、手差し給紙トレイ14の用紙搬送部15は、分離ニップ24を形成する一対のローラ(給紙ローラ23a,分離ローラ23b)と、給紙ローラ23aと接続部材26で接続され、用紙をピックアップするピックローラ21と、ピックローラ21の下方に設けられ、用紙をガイドして分離ニップ24に搬送する用紙ガイド部16と、を含む。
【0019】
用紙ガイド部16は、用紙を分離ニップ24にガイドするために分離ニップ24に向けて上方向の固定された傾斜角を有する前サバキ斜面17と、前サバキ斜面17に向けて用紙をガイドするために、前サバキ斜面17の用紙搬送方向の上流側にその傾斜角が変更可能に設けられたピック当接板18とを含む。
【0020】
ピック当接板18は、ピック当接板18の用紙搬送方向の最も下流側に設けられた回転軸25を中心として、(ご指摘のとおり不明確ですので修正しました。)水平方向の位置18aと下方向に傾斜した下方向傾斜位置18bとの間で回転軸25を中心として回転可能である。また、ピック当接板18は、その上に設けられたサバキパッド19を含み、図中、水平方向の位置18aにある場合のサバキパッドを19aで示し、下方向傾斜位置18bにある場合のサバキパッドを19bで示す。
【0021】
ピックローラ21は給紙ローラ23aと接続部材26で接続されているとともに、給紙ローラ23aの軸23cを中心として上下方向に回動可能で、サバキパッド19上に当接可能であり、ピックローラ21は、水平方向の位置18aと下方向に傾斜した下方向傾斜位置18bとの間にあるサバキパッド19上に位置する図示のない用紙に当接して、用紙を分離ニップ24へ搬送可能である。すなわち、ピックローラ21は少なくともサバキパッド19と当接する位置まで下方向に変位する。
【0022】
なお、図中角度aは、前サバキ斜面17とピック当接板18とのなす角度であり、bは、ピック当接板18における回転軸25からピック当接板18の用紙搬送方向上流側端部までの距離を示す。bは、用紙が満載の時にピックローラ21の下降がわずかであって、ピック当接板18が水平方向18aにある場合でもピックローラ21とピック当接板18との間で用紙を挟持できる距離に設定されている。ここで、サバキパッド19は、下に位置する用紙がとも連れして搬送されないようにするためのパッドであり、ピック当接板18の用紙搬送方向上流側端部近傍に設けられている。なお、サバキパッド19は用紙ガイド部16が所定の摩擦係数を備えていれば省略することも可能である。
【0023】
次に、普通紙と厚紙における用紙搬送部15の動作について説明する。
図3は、用紙22として普通紙、又は厚紙の枚数が多いときの用紙搬送部15の状態を示す図であり、
図4は、用紙22として厚紙の枚数が少ないときの用紙搬送部15の状態を示す図である。
【0024】
まず、画像形成装置10(
図1参照)には、図示のない操作パネルが設けられ、操作パネルには用紙搬送部15が搬送する用紙の厚さを選択する用紙選択ボタンが設けられ、用紙選択ボタンには、普通紙と厚紙とを選択可能である。厚紙としては、例えば、厚紙A、厚紙B、及び厚紙Cの3つの選択ボタンが設けられている。ここで、厚紙Aは、例えば300g/m
2以下であり、厚紙Bは300g/m2~350g/m
2であり、厚紙Cは350g/m
2~360g/m
2である。
【0025】
用紙選択ボタンとして、普通紙が選択されているときや、厚紙A~厚紙Cが選択されている場合であっても厚紙の枚数が多いときは、ピック当接板18は水平方向の位置18aに設定される。これは、普通紙であれば、用紙の重量が小さく前サバキ斜面17に沿って湾曲するので、用紙はピックローラ21によって容易に分離ニップ24に搬送されるためである。また、厚紙A~厚紙Cが選択されている場合であっても厚紙の枚数が多いときは、前サバキ斜面17とピックローラ21間の距離(
図3において、cで示す距離)が大きく、cで示す距離が大きくなるほど用紙のピックローラ21を支点として湾曲する際の先端部と前サバキ斜面17とがなす角が浅くなり、用紙はピックローラ21によって前サバキ斜面17のかけ上がりが可能になるためである。
【0026】
一方、厚紙A~厚紙Cが選択されている場合で、その枚数が少ないときは、
図4に示すようにピック当接板18は、水平方向の位置18aから角度dだけ下方向に傾斜して下方向傾斜位置18bに設定される。このように、厚紙A~厚紙Cが選択されている場合で、かつその枚数が少ないときときは、ピック当接板18は、前サバキ斜面17とピック当接板18との角度aが普通紙の場合よりも大きくなる。
図4に示すようにピックローラ21と用紙22のとの当接面位置が変更され、厚紙は確実にピック当接板18によって、給紙ローラ23a及び分離ローラ23bに搬送される。
【0027】
なお、ここで、
図4のようにピック当接板18が18bの位置に設定されるのは、厚紙給紙時の残りの厚みが所定を下回る時のみである。また、この厚みは、ピックローラ21の下降量を取得し、下降量が大きいほど「厚み」は薄いと判定する。具体的には、用紙の種類が「厚紙」で、ピックローラ21の下降量が厚紙の5枚以下に相当する場合であり、角度aは少なくとも140度である(請求項2の修正のご指示にしたがって修正しました)。
【0028】
[第1実施の形態]
第1実施の形態においては、ピック当接板18は自動で駆動される。ここで、ピック当接板18の駆動機構の構成について説明する。
図5は、第1実施の形態におけるピック当接板18の駆動機構の構成を示す図である。
図5を参照して、回転軸25を中心として傾斜角度の変更が可能なピック当接板18は、ソレノイド30に接続されたアーム29に接続されており、アーム29は回転軸27を中心にバネ28でアーム29が用紙搬送方向上流側に伸びるように付勢されている。ソレノイド30を駆動することによって、アーム29が回転軸27を中心として回転してピック当接板18は水平方向の位置18aと、下方向傾斜位置18bとの間で上記したように図中角度dだけ回転する。
【0029】
次に、手差し給紙トレイ14に設けられた用紙搬送部15のより具体的な構成について説明する。
図6及び
図7は、手差し給紙トレイ14に設けられた用紙搬送部15のより具体的な構成を示す図であり、
図6は、ピックローラ21が用紙搬送部15の上方向にある場合を示す図であり、
図7は、ピック当接板18が下方向に傾斜した状態で、厚紙の用紙22にピックローラ21が当接して、用紙22を給紙ローラ23a,分離ローラ23bに搬送する状態を示す図である。
【0030】
図6及び
図7を参照して、用紙搬送部15は
図1に示した手差し給紙トレイ14に設けられた凹部20aに設けられる。ここで凹部20aの形状は、凹部20aの用紙搬送方向の上流側が曲線状で、その後下流側に向かって水平部を有しており、その深さはピック当接板18が上記した角度dだけ回動するのが可能な深さである。ここで、図に示すようにピック当接板18の先端部が凹部20aの上流側に設けられた曲線に沿って回転するように設けられている。
【0031】
次に、凹部の形状の変形例について説明する。
図8は、凹部の形状の変形例を示す図である。ここでは、凹部20bはその用紙搬送方向の上流側の端部と下流側の端部がほぼ同じ高さで中央部が下に凹んだ形状であり、その下流側の端部が前サバキ斜面17の下端部に接続している。この凹部20bにおいては、ピック当接板が設けられていない。ピック当接板が設けられなくても、ピックローラ21の荷重及び凹部20bで用紙22と前サバキ斜面17と用紙22との当接角を緩やかにできる。但し、用紙22が普通紙の場合は撓みすぎるので、図示のないピック当接板を設けて普通紙の撓みを抑制してもよい。
【0032】
次に、第1実施の形態の変形例について説明する。
図9は、用紙搬送部15の第1実施の形態の変形例を示す図である。この実施の形態においては、用紙搬送部15のピック当接板18を可変にするのではなく、ピック当接板18は水平方向に延びる平面であり、ピックローラ21の荷重を変化させることによって、厚紙の用紙を搬送可能にする。具体的には、用紙選択の指定が300g/m
2までは変化無しで、300g/m
2以上を指定するとピックローラ21によるピック圧を大きくする。
【0033】
次に、このピック圧を大きくする機構について説明する。
図9を参照して、接続部材26の上方には、圧縮バネ支持部35が設けられ、圧縮バネ支持部35と接続部材26との間には圧縮バネ36が取付けられている。圧縮バネ支持部35を図中eで示す範囲において上下方向に移動することによって、ピックローラ21にかかる圧力を変化させる。圧縮バネ36の力で荷重を上げることによって、コシの強い用紙(厚紙)でも撓ませることが可能であり、また、荷重を上げるほど用紙をより深く撓ませることができて、先の実施の形態における、傾斜したピック当接板と同様の効果を得ることができる。
【0034】
[第2実施の形態]
次に本開示の第2実施の形態について説明する。第2実施の形態においては、ピック当接板18は手動で回転される。
図10及び
図11は本開示の第2実施の形態を示す図である。この実施の形態においても、基本的に先の実施の形態と同様に、前サバキ斜面17と前サバキ斜面17に対して傾斜角度を変更可能なピック当接板18とを有し、前サバキ斜面17とピック当接板18とは、回転軸25で接続されている。
図10は、普通紙を搬送する場合を示す図であり、
図11は厚紙を搬送する場合を示す図である。又、図中、ピックローラ21がピック当接板18の傾斜に沿って上下動する状態を2つの円で示している。
【0035】
図10を参照して、ピック当接板18の用紙搬送方向の上流側に厚紙設定レバー39が設けられ、普通紙を給紙するときは、厚紙設定レバー39はバネ38でピック当接板18の用紙搬送方向の上流側に押されて、ピック当接板18は水平方向の位置18aにある。一方、厚紙を給紙するときは、
図11に矢印で示すように厚紙設定レバー39でバネ38を圧縮するように厚紙設定レバー39を左方向へ移動することにより、ピック当接板18が下方向に回転して下方向傾斜位置18bにある。ここで、ピック当接板18の下方向への下げ角度を図中dで示している。なお、ここで、厚紙設定レバー39は直方体状であるが、用紙搬送方向の上流側の端部には壁が設けられておらず、そのためにピック当接板18は下方向に傾斜可能である。
【0036】
次に、第2実施の形態の変形例について説明する。
図12は用紙搬送部の第2実施の形態の変形例を示す図である。この実施の形態においては、凹部20cは用紙搬送方向上流側に下方向に向かう垂直の壁が設けられ、そこから用紙搬送方向下流側に水平に延びる面が設けられ、その端部が前サバキ斜面17の下端部に接続している。また、凹部20cの垂直の壁である右側端部から左側へスライド可能に突出するスライド部材40が設けられている。
図12を参照して、この実施の形態においては、凹部20cの右側端部から、図中矢印で示すように、凹部20cに突出及び後退するようにスライド部材40が設けられている。ここで、スライド部材40の先端は上面が水平で、上面の左側端部から右下方向にテーパ状であり、その角度は前サバキ斜面17の傾斜に等しい。
【0037】
厚紙の用紙22を通紙するときは、スライド部材40を用紙搬送方向上流側へスライドさせ、凹部20cを露出させる。用紙22をピックローラ21で押し下げることによって、用紙のコシを利用して厚紙の用紙22を前サバキ斜面17に沿って搬送する。一方、普通紙を通紙するときは、スライド部材40を用紙搬送方向下流側へスライドさせ、凹部20cを埋める。この状態で、普通紙である用紙22をピックローラ21で前サバキ斜面17に沿って搬送する。
【0038】
次に、本開示のさらなる変形例について説明する。
図13は用紙搬送部の第2実施の形態のさらなる変形例を示す図である。この変形例においては、先の変形例に示した凹部20cと同様の凹部20dが設けられているが、この凹部20dに蓋部材43が設けられ、蓋部材43の下部にはスポンジのような弾性部材42が設けられている。ここで、蓋部材43はポリエステルシートで構成されている。
【0039】
このように用紙搬送部15を構成することにより、ピックローラ21によって押圧されると普通紙は蓋部材43に沿って前サバキ斜面17へ搬送され、厚紙は弾性部材42によって支持されながら蓋部材43に沿って前サバキ斜面17へ搬送される。
【0040】
本開示は、その精神又は主要な特徴から逸脱することなく、他の種々な形で実施することができる。そのため、上述の実施形態は例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。本開示の特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本開示の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本開示によれば、用紙が厚紙であっても分離ニップまで問題無く用紙が搬送される画像形成装置の手差し給紙トレイを提供できるため、画像形成装置として有用である。
【符号の説明】
【0042】
10 画像形成装置
11 装置本体
12 画像読取部
13 画像形成部
14 手差し給紙トレイ
15 用紙搬送部
16 用紙ガイド部
17 前サバキ斜面
18 ピック当接板
18a 水平方向の位置
18b 下方向傾斜位置
19 サバキパッド
20a,20b,20c,20d 凹部
21 ピックローラ
22 用紙
23a 給紙ローラ
23b 分離ローラ
23c 軸
24 分離ニップ
25,27 回転軸
26 接続部材
29 アーム
30 ソレノイド
35 圧縮バネ支持部
36 圧縮バネ
28,38 バネ
39 厚紙設定レバー
40 スライド部材
42 弾性部材(スポンジ)
43 蓋部材