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特開2024-105064速度計校正システム、および速度計校正方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024105064
(43)【公開日】2024-08-06
(54)【発明の名称】速度計校正システム、および速度計校正方法
(51)【国際特許分類】
   G01P 21/02 20060101AFI20240730BHJP
【FI】
G01P21/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023009607
(22)【出願日】2023-01-25
(71)【出願人】
【識別番号】000006666
【氏名又は名称】アズビル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】衣笠 静一郎
(57)【要約】
【課題】非接触式速度計の速度校正の誤差を抑制する。
【解決手段】速度計校正システムは、非接触式速度計の校正を行う速度計校正システムであって、所定の構造を有する物体と、同一回転軸上に固定された物体を回転軸回りに回転駆動する回転駆動部と、回転駆動部の回転速度を制御する駆動制御装置と、非接触式速度計を所定の位置に移動する移動ステージと、移動ステージの位置情報を取得する位置記録装置と、物体の回転半径と、回転駆動部の回転速度とに基づいて標準速度を導出する導出部と、標準速度と非接触式速度計の出力情報とに基づいて、速度感度を算出する算出部を有する標準速度計算装置と、を有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非接触式速度計の校正を行う速度計校正システムであって、
所定の構造を有する物体と、
同一回転軸上に固定された前記物体を回転軸回りに回転駆動する回転駆動部と、
前記回転駆動部の回転速度を制御する駆動制御装置と、
非接触式速度計を所定の位置に移動する移動ステージと、
前記移動ステージの位置情報を取得する位置記録装置と、
前記物体の回転半径と、前記回転駆動部の回転速度とに基づいて標準速度を導出する導出部と、
前記標準速度と前記非接触式速度計の出力情報とに基づいて、速度感度を算出する算出部を有する標準速度計算装置と、
を備えることを特徴とする速度計校正システム。
【請求項2】
前記物体は、前記所定の構造として異なる半径を有する円柱を複数有し、
複数の前記円柱の回転軸が所定のダボ構造と、該ダボ構造の対であるダボ穴構造とに基づき一致する一体構造を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の速度計校正システム。
【請求項3】
前記物体は、前記所定の構造として円錐台の構造を有し、
更に前記円錐台の上底面と下底面とで異なる半径を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の速度計校正システム。
【請求項4】
前記移動ステージは、前記非接触式速度計の速度検出機構が前記物体の円周部に対して所定の位置となるように、前記物体の回転軸に対して鉛直方向および水平方向に移動する、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載の速度計校正システム。
【請求項5】
前記移動ステージは、前記非接触式速度計の速度検出機構が前記物体の円周部に対して所定の距離となるように、前記物体の回転軸に対して奥行方向または手前方向に移動する、
ことを特徴とする請求項4に記載の速度計校正システム。
【請求項6】
前記移動ステージは、円錐台の所定の傾きを有する円周部に対して平行となるように設置され、前記所定の傾きに対して鉛直方向および水平方向に移動する、
ことを特徴とする請求項3に記載の速度計校正システム。
【請求項7】
所定のビームを円錐台の円周部へ照射する照射部と、
前記照射部により照射された前記所定のビームが反射された反射ビームを検出する検出部と、
前記検出部により検出された前記反射ビームに基づき、前記所定のビームの照射面積を算出する面積算出部と、
前記面積算出部により算出された前記所定のビームの照射面積に基づき、前記円錐台の円周半径推定値を導出する半径導出部と、
前記半径導出部により導出された前記円周半径推定値と、取得された前記円錐台の円周半径実測値とを照合する照合部と、
前記照合部の照合結果に基づいて、障害を示す信号を通知する通知部と、を有する測定位置検証装置を更に備える、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載の速度計校正システム。
【請求項8】
前記導出部は、前記物体の回転半径と前記回転駆動部の回転速度に基づき算出された前記物体の接線速度を前記標準速度として導出し、
前記算出部は、複数の前記標準速度と前記非接触式速度計により出力された前記出力情報とを用いて所定の回帰分析に基づき前記速度感度を算出する、
ことを特徴とする請求項1に記載の速度計校正システム。
【請求項9】
前記回転駆動部は、該回転駆動部の回転速度を計測するエンコーダセンサを更に有し、
前記駆動制御装置は、前記エンコーダセンサにより取得される前記回転速度に関する情報に基づいて前記回転駆動部を所定の回転速度に制御する、
ことを特徴とする請求項1に記載の速度計校正システム。
【請求項10】
非接触式速度計の校正を行う速度校正方法であって、
回転駆動部により実行される、
同一回転軸上に固定された所定の構造を有する物体を回転軸回りに回転駆動する回転駆動工程と、
駆動制御装置によって実行される、
前記回転駆動工程での回転速度を制御する駆動制御工程と、
移動ステージによって実行される、
前記非接触式速度計を所定の位置に移動する移動工程と、
位置記憶装置によって実行される、
前記移動ステージの位置情報を取得する位置取得工程と、
標準速度計算装置によって実行される、
前記物体の回転半径と前記回転駆動部の回転速度とに基づいて標準速度を導出する標準速度導出工程と、
前記標準速度と前記非接触式速度計の出力情報とに基づいて、速度感度を算出する算出工程と、
を含むことを特徴とする速度計校正方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、速度計校正システム、および速度計校正方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光学的な非接触式速度測定装置(例えば、レーザドップラ速度計、空間フィルタ式速度計、画像に基づいて測定する速度計等で、以降は「非接触式速度計」と表記)の校正方法として、回転ディスク面内に散乱体でレーザ光が交差するように構成し、散乱光のドップラ信号を計測する手法が提案されている。
【0003】
例えば、従来技術では、回転ディスクの動径と単位時間の回転数から光を照射する位置の接線速度を算出する仕組みに基づいて、動径あるいは回転数を変更することで接線速度を変え、接線速度と非接触式速度計の速度出力値の関係により校正を行う装置が提案されている(例えば、非特許文献1および非特許文献2を参照)。
【0004】
また、従来技術では、回転ディスクに展張したワイヤを散乱粒子に模して任意の速度を発生させるレーザドップラ速度計の校正装置が提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2、非特許文献3、非特許文献4を参照)。これらの従来技術は、主にレーザドップラ速度計を対象としているが、空間フィルタ式速度計や画像を用いた速度計等の校正にも用いられる場合もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第4600301号明細書
【特許文献2】中国特許出願公開第107085126号明細書
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】石村尚平,白井克明,川南剛,平澤茂樹,レーザーによる速度計測のためのスリットを用いた新校正法の開発,2014 年度精密工学会秋季大会学術講演会講演論文集
【非特許文献2】白井 克明, ビュットナー ラルス, チャルスケ ユルゲン,計測の不確かさトレーサビリティー確保を目指した レーザ流速計の新型較正法の開発,レーザ研究 2014年 42 巻 5 号 404-411
【非特許文献3】栗原 昇, 寺尾 吉哉, 中尾 晨一, 高本 正樹,流速標準におけるレーザドップラ流速計の校正の不確かさ,日本機械学会論文集 B編 2005年 71 巻 708 号 2100-2107
【非特許文献4】Uncertainty Analysis, Laser Doppler Velocimetry Calibration,ITTC Quality System Manual Recommended Procedures and Guidelines
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来技術では、非接触式速度計の速度校正の誤差が大きい、という問題があった。
【0008】
例えば、回転ディスクを用いた従来技術による校正方法は、回転モータの回転軸を中心として所定の速度で回転する回転モータを制御するために用いられるエンコーダの計測値の不確かさの影響を受け、校正精度が低下する場合があった。
【0009】
具体的には、従来技術では、回転モータの回転数を落とすとエンコーダパルスの分解能の影響で回転速度の精度が低下することにより、校正精度も低下する。一方で、回転数を上げると回転速度の精度が向上し、その結果校正精度も上昇するが、回転数を上げるにしても上限がある。そのため、一定速度で回転する回転ディスクの中心軸から動径方向に円盤の中心軸に沿って光学式速度計の光散乱ポイントを走査することにより、校正時の標準速度を変える技術が提案されている。
【0010】
しかしながら、回転数の上昇により回転速度は安定するものの、回転数をある一定以上高めることにより回転体と軸のはめ合い等の機械加工公差の積み上げで中心軸がずれる。そのため、動径方向を正確に把握することが難しくなり、軌道半径の不確かさが支配的になる。それゆえ、従来技術では、光散乱ポイントを動径方向に走査しようとすると、その不確かさが標準速度の不確かさに繋がる場合があった。
【課題を解決するための手段】
【0011】
そこで、上記の課題を解決し目的を達成するために、本発明の情報処理装置は、非接触式速度計の校正を行う速度計校正システムであって、所定の構造を有する物体と、同一回転軸上に固定された前記物体を回転軸回りに回転駆動する回転駆動部と、前記回転駆動部の回転速度を制御する駆動制御装置と、非接触式速度計を所定の位置に移動する移動ステージと、前記移動ステージの位置情報を取得する位置記憶装置と、前記物体の回転半径と、前記回転駆動部の回転速度とに基づいて標準速度を導出する導出部と、前記標準速度と前記非接触式速度計の出力情報とに基づいて、速度感度を算出する算出部を有する標準速度計算装置と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、非接触式速度計の速度校正の誤差を抑制する、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本実施形態に係る速度計校正システムの概要の一例を示す図である。
図2図2は、第1の実施形態に係る速度計校正システムの構成の一例を示す図である。
図3図3は、第1の実施形態に係る物体および回転駆動部の概要の一例を示す図である。
図4図4は、第1の実施形態に係る移動ステージの鉛直方向の移動の一例を示す図である。
図5図5は、第1の実施形態に係る移動ステージの水平方向の移動の一例を示す図である。
図6図6は、第1の実施形態に係る速度感度算出の概要の一例を示す図である。
図7図7は、第2の実施形態に係る速度計校正システムの概要の一例を示す図である。
図8図8は、第2の実施形態に係る物体の概要の一例を示す図である。
図9図9は、第3の実施形態に係る速度計校正システムの概要の一例を示す図である。
図10図10は、第4の実施形態に係る速度計校正システムの概要の一例を示す図である。
図11図11は、第4の実施形態に係る移動ステージの奥行方向または手前方向への移動の一例を示す図である。
図12図12は、第5の実施形態に係る速度計校正システムの概要の一例を示す図である。
図13図13は、第6の実施形態に係る速度計校正システムの概要の一例を示す図である。
図14図14は、第6の実施形態に係る速度計校正システムの構成の一例を示す図である。
図15図15は、第1および第2の実施形態に係る速度校正方法についてのフローチャートである。
図16図16は、第3および第5の実施形態に係る速度校正方法についてのフローチャートである。
図17図17は、第4の実施形態に係る速度校正方法についてのフローチャートである。
図18図18は、第6の実施形態に係る速度校正方法についてのフローチャートである。
図19図19は、速度計校正システムの機能を実現するコンピュータの一例を示すハードウェア構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
ここから、実施の形態(以降、「実施形態」)について図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明において、共通する構成要素には同一の参照符号を付し、繰り返しの説明を省略する。また、以下に記載する実施形態の説明は、本発明に係る速度計校正システム、および速度計校正方法を限定するものではない。
【0015】
〔1.全体概要〕
まず、図1を用いて、本実施形態の速度計校正システム1の概要を説明する。図1は、本実施形態に係る速度計校正システム1の概要の一例を示す図である。
【0016】
本実施形態に係る非接触式速度計の校正を行う速度計校正システム1は、物体100と、回転駆動部200と、電源210と、エンコーダセンサ220と、駆動制御装置300と、移動ステージ400と、位置記録装置500と、標準速度計算装置600とを有する。なお、図1に示されている非接触式速度計700は、速度計校正システム1の構成要素ではなく校正対象の装置であり、移動ステージ400に固定されている。
【0017】
次に、速度計校正システム1により実現される速度計校正方法の概要を説明する。速度計校正システム1は、所定の構造を有する物体100(例えば、図1では円柱状)が固定され、かつ電源210に接続された回転駆動部200を、所定の回転速度で回転させる。この時の回転駆動部200の回転速度は、エンコーダセンサ220により取得された回転速度に関する情報に基づいて、駆動制御装置300により制御される(図1の(1))。
【0018】
まず、速度計校正システム1は、非接触式速度計700が固定された移動ステージ400を、物体100の円周部(円周を有する所定の構造を有する物体の曲面を有する側面部のことで、以降は「円周部」と表記)の所定の位置(例えば、スタート位置等)に移動させる。ここで、位置記録装置500は、移動ステージ400の位置情報(測定時における移動ステージ400のX座標とY座標等の情報のことで、以降は「位置情報」と表記)を取得して記録する(図1の(2))。
【0019】
速度計校正システム1は、回転する物体100の回転軸に対して水平方向または鉛直方向に移動ステージ400を移動させることで、前述の物体100の円周部の測定対象位置(非接触式速度計700が物体100の円周部において接線速度を算出する位置のことで、以降は「測定対象位置」と表記)に、速度検出機構(速度測定用のビームを照射する照射部740、および反射または散乱したビームを検出する検出部750のことで、以降は「速度検出機構」と表記)を有する非接触式速度計700を移動させる。
【0020】
非接触式速度計700は、測定対象位置に対して速度測定用のビームを照射する(図1の(3))。そして、非接触式速度計700は、散乱したビームを検出する(図1の(4))。非接触式速度計700は、検出された散乱ビームに基づく速度に関する分析により測定対象位置の接線速度を算出する。さらに、速度計校正システム1は、少なくとも2つ以上の物体100の測定対象位置に対して前述した処理(測定対象位置への移動ステージ400による移動と、測定対象位置における接線速度の算出)を行う。
【0021】
複数の測定対象位置で接線速度を算出した標準速度計算装置600は、駆動制御装置300から回転駆動部200の回転速度に関する情報(例えば、回転駆動部200の回転数や回転速度等)を取得する(図1の(5))。また、標準速度計算装置600は、位置記録装置500から移動ステージ400の位置情報を取得する(図1の(6))。また、標準速度計算装置600は、非接触式速度計700から測定対象位置の接線速度を取得する(図1の(7))。
【0022】
標準速度計算装置600は、物体100の回転半径と回転駆動部200の回転速度に関する情報(言い換えると、物体100の回転角速度)に基づき標準速度を算出する。そして、標準速度計算装置600は、前述の標準速度と非接触式速度計700により算出された測定対象位置の接線速度とに基づいて非接触式速度計700の速度感度を算出し、算出結果を非接触式速度計700に記録する(図1の(8))。
【0023】
〔2.第1の実施形態〕
ここから、本実施形態に係る速度計校正システム1が実現する第1の実施形態について説明する。第1の実施形態は、速度計校正システム1の基本構成であり、2つの円柱状の物体を用いて非接触式速度計の校正を行う実施形態である。
【0024】
〔2-1.速度計校正システムの構成〕
まず、図2を用いて、第1の実施形態に係る速度計校正システム1の構成について説明する。図2は、第1の実施形態に係る速度計校正システム1の構成の一例を示す図である。図2に示すように、速度計校正システム1は、物体100と、回転駆動部200と、電源210と、エンコーダセンサ220と、駆動制御装置300と、移動ステージ400と、位置記録装置500と、標準速度計算装置600とを有する。さらに、物体100は、回転駆動部200に固定されている(図2の(1))。また、非接触式速度計700は、台座443により移動ステージ400に固定されている(図2の(2))。
【0025】
なお、本実施形態においてはシステムとして説明を行うが、各装置または機能部が一体の装置となった速度校正装置であってもよい。また、図2に示されている非接触式速度計700は、速度計校正システム1の構成要素ではなく校正対象の装置であるが、本項目で基本的な内容について言及する。
【0026】
〔2-2.物体〕
(物体100)
物体100は、回転駆動部200に固定されて回転する所定の構造を有する物体であり、円柱の円周の側面部として円周部を有する。例えば、物体100は、所定の構造として異なる半径を有する円柱を複数(第1の実施形態の場合は2つ)有し、複数の円柱の回転軸が所定のダボ構造と、ダボ構造の対であるダボ穴構造とに基づき一致する一体構造を有する。
【0027】
ここで、図3を用いて、第1の実施形態に係る物体100の形状と、物体100の回転駆動部200への固定について説明する。図3は、第1の実施形態に係る物体100および回転駆動部200の概要の一例を示す図である。図3左図に示す通り、第1の実施形態に係る物体100は、第1の円柱100Aと第2の円柱100Bとで構成される。
【0028】
第1の円柱100Aは、第1の円柱100Aと第2の円柱100Bとの位置合わせおよびズレ防止用の突起物であるダボ穴構造100Abが設けられている。また、第2の円柱100Bは、第1の円柱100Aに設けられたダボ穴構造100Abとはめ合わせるダボ構造100Baが設けられている。それにより、第1の円柱100Aと第2の円柱100Bは、前述したダボ穴構造100Abとダボ構造100Baによりはめ合い精度等の公差による精度低下を防ぎつつ、一体構造を取ることができる。なお、ダボ穴構造とダボ構造の数や形状は、限定されるものではなく必要に応じて適宜変更されてよい。
【0029】
ここでは突起物を「ダボ構造」、突起物のはめ込み用の穴を「ダボ穴構造」と表記しているが、位置合わせおよびズレ防止用の突起物と穴(くぼみ)を意味する用語であれば当該構造物の名称は限定されない。なお、図3の一例では、第1の円柱100Aにダボ穴構造100Abが、第2の円柱100Bにダボ構造100Baが設けられているが、これに限定されない。例えば、第1の円柱100Aにダボ構造が、第2の円柱100Bにダボ穴構造が設けられていてもよい。他方で、第1の円柱100Aと第2の円柱100Bは、一体構造として成形された構造体であってもよい。
【0030】
前述したように、一体構造となった第1の円柱100Aおよび第2の円柱100Bは、回転軸230と一体構造を有する接合板240とはめ合わされて一体構造を取る。さらに、回転軸230は、回転駆動部200と一体構造をとる。なお、第1の円柱100Aおよび第2の円柱100Bと、回転軸230および接合板240とのはめ合いについてもダボ穴構造240bとダボ構造100Aaによりはめ合い精度等の公差による精度低下を防ぎつつ、一体構造を取ることができる。
【0031】
接合板240と回転駆動部200との間には、エンコーダセンサ220が設置されている。このエンコーダセンサ220は、接合板240の回転速度を検知することで、回転駆動部200の回転速度に関する情報(すなわち、物体100の回転速度)を取得できる。
【0032】
〔2-3.回転駆動部〕
(回転駆動部200)
ここで、図3右図を用いて、回転駆動部200の概要について説明する。第1の実施形態に係る回転駆動部200は、同一回転軸上に固定された物体100を回転軸回りに回転駆動する。
【0033】
さらに、回転駆動部200は、所定の回転機構とエンコーダセンサ220が内装されており、電源210と後述の駆動制御装置300が接続される。例えば、回転駆動部200は、駆動制御装置300により送信される制御信号に基づいて所定の回転機構が稼働して回転する。さらに、回転駆動部200は、エンコーダセンサ220により取得された回転速度に関する情報が駆動制御装置300にフィードバックされることにより、回転速度が一定に制御される。
【0034】
なお、ここでいう所定の回転機構(例えば、電動機とギアで構成される機構等)の構成は、回転駆動部200を所定の速度で回転させることができる回転機構であれば、特に限定されずに本実施形態に用いることができる。
【0035】
(電源210)
電源210は、回転駆動部200に電力を供給する機構である。例えば、電源210は、配線用差込接続器(コンセント等)であってよい。なお、電源210は、回転駆動部200に電力を供給できる機構であれば、供給電力(アンペア数やワット数等)、形状、機構等は限定されない。
【0036】
(エンコーダセンサ220)
エンコーダセンサ220は、回転駆動部200に内装され、回転駆動部200の回転速度を計測する。具体的には、エンコーダセンサ220は、機械的な位置の変化を回転位置または直線位置として測定して、電気信号として所定の情報(回転駆動部200の回転速度に関する情報等)を出力する。なお、エンコーダセンサ220は、回転駆動部200の回転数や回転速度を計測できる機能を有していれば、形状や構造、仕組み等は限定されない。
【0037】
〔2-4.駆動制御装置〕
(駆動制御装置300)
ここで、図2に戻り説明を続ける。駆動制御装置300は、前述した回転駆動部200の回転速度を制御する装置である。具体的には、駆動制御装置300は、エンコーダセンサ220により取得される回転速度に関する情報に基づいて回転駆動部200を所定の回転速度に制御する。図2に示すように、駆動制御装置300は、通信部310と、記憶部320と、制御部330とを有する。
【0038】
なお、図2に図示していないが、駆動制御装置300は、各種操作を受け付ける入力部(例えば、タッチパネルや、キーボードや、マウス等)を備えてもよい。また、第1の実施形態においては、駆動制御装置300は、1つの独立した装置として記載しているが、その他の装置や機構に組み込まれた一機能(例えば、駆動制御部等)であってもよい。
【0039】
(通信部310)
通信部310は、NIC(Network Interface Card)等によって実現される。そして、通信部310は、必要に応じてネットワークと有線または無線で接続され、双方向に情報の送受信を行うことができる。例えば、通信部310は、エンコーダセンサ220から回転駆動部200の回転速度に関する情報を取得するため、後述の標準速度計算装置600に回転駆動部200の回転速度に関する情報を送信するために通信を行ってよい。
【0040】
(記憶部320)
記憶部320は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現される。記憶部320は、制御部330による各種処理に用いるデータおよびプログラムを格納する。
【0041】
(制御部330)
制御部330は、プロセッサ(Processor)や、MPU(Micro Processing Unit)や、CPU(Central Processing Unit)等が、記憶部320に記憶されている各種プログラムについて、RAMを作業領域として実行することにより、実現される。また、制御部330は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のIC(Integrated Circuit)により実現される。そして、制御部330は、駆動制御装置300が回転駆動部200の回転速度を制御するための処理を実施する。
【0042】
〔2-5.移動ステージ〕
(移動ステージ400)
移動ステージ400は、非接触式速度計700を所定の位置に移動する装置である。具体的には、移動ステージ400は、非接触式速度計700の速度検出機構が物体100の円周部に対して所定の位置(測定対象位置)となるように、物体100の回転軸に対して鉛直方向および水平方向に移動する。
【0043】
ここで、図4および図5を用いて、移動ステージ400の機能について説明を行う。まず、図4は、第1の実施形態に係る移動ステージ400の鉛直方向の移動の一例を示す図である。移動ステージ400は、土台440と、固定部441と、ステージ442と、台座443とを有する。図4に示す通り、移動ステージ400は、第1の円柱100Aまたは第2の円柱100Bの回転軸230に対して鉛直方向に位置を調整することができる。
【0044】
図4の上図に示す通り、土台440は、移動ステージ400全体を固定するための土台である。固定部441は、ステージ442と土台440とを固定する。ステージ442は、移動ステージ400を鉛直方向または水平方向に移動させるための稼働機構である。
【0045】
移動ステージ400は、台座443により固定された非接触式速度計700を、第1の円柱100Aの測定対象位置に移動させる(図4の(1))。続いて、第1の円柱100Aの対象箇所での測定を終えた後、図4の下図に示す通り、移動ステージ400は、ステージ442を回転軸230に対して鉛直方向(図面上では下から上の方向)に移動させことで(図4の(2))、第2の円柱100Bの測定対象位置に非接触式速度計700を移動させる(図4の(3))。このようにして、移動ステージ400は、半径が異なる複数の円柱(第1の円柱100Aと第2の円柱100B)の測定対象位置での測定を可能とする(図4の(4))。
【0046】
次に、図5を用いて移動ステージ400の回転軸に対して水平方向に移動する機能を説明する。図5は、第1の実施形態に係る移動ステージ400の水平方向の移動の一例を示す図である。図5に示す通り、移動ステージ400は、第1の円柱100Aおよび第2の円柱100Bの回転軸230に対して水平方向に位置を調整することができる。
【0047】
図5の上図に示す通り、移動ステージ400に固定された非接触式速度計700は、第1の円柱100Aの測定対象位置からずれた箇所に位置している(図5の(1))。そこで、図5の下図に示す通り、移動ステージ400は、ステージ442を回転軸230に対して水平方向(図面上では上から下の方向)に移動させる(図5の(2))。このようにして、移動ステージ400は、正しい測定対象位置での測定を可能とする(図5の(3))。
【0048】
ここから、再び図2に戻り、移動ステージ400の各機能部について説明を行う。図2に示す通り、移動ステージ400は、通信部410と、記憶部420と、制御部430とを有する。
【0049】
(通信部410)
通信部410は、NIC等によって実現される。そして、通信部410は、必要に応じてネットワークと有線または無線で接続され、双方向に情報の送受信を行うことができる。例えば、通信部410は、後述の位置記録装置500に移動ステージ400の位置情報を送信するために通信を行ってよい。
【0050】
(記憶部420)
記憶部420は、例えば、RAM、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現される。記憶部420は、制御部430による各種処理に用いるデータおよびプログラムを格納する。また、記憶部420は、移動ステージ400の位置情報を記憶する。
【0051】
(制御部430)
制御部430は、プロセッサや、MPUや、CPU等が、記憶部420に記憶されている各種プログラムについて、RAMを作業領域として実行することにより、実現される。また、制御部430は、例えば、ASICやFPGA等のICにより実現される。制御部430は、移動ステージ400が移動ステージの機能を実現するための処理を行う。
【0052】
〔2-6.位置記録装置〕
(位置記録装置500)
位置記録装置500は、移動ステージ400の位置情報を取得して記録する。図2に示すように、位置記録装置500は、通信部510と、記憶部520と、制御部530とを有する。なお、図2に図示していないが、位置記録装置500は、各種操作を受け付ける入力部(例えば、タッチパネルや、キーボードや、マウス等)を備えてもよい。なお、本実施形態においては、位置記録装置500は、1つの独立した装置として記載しているが、その他の装置や機構に組み込まれた一機能(例えば、位置記録部等)であってもよい。
【0053】
(通信部510)
通信部510は、NIC等によって実現される。そして、通信部510は、必要に応じてネットワークと有線または無線で接続され、双方向に情報の送受信を行うことができる。例えば、通信部510は、後述の標準速度計算装置600に移動ステージ400の位置情報を送信するために通信を行ってよい。
【0054】
(記憶部520)
記憶部520は、例えば、RAM、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現される。記憶部520は、制御部530による各種処理に用いるデータおよびプログラムを格納する。図2に示す通り、記憶部520は、位置情報記憶部521を有する。
【0055】
(位置情報記憶部521)
位置情報記憶部521は、後述の取得部531により移動ステージ400から取得された、移動ステージ400の位置情報を記憶する。例えば、位置情報記憶部521は、位置情報として測定時における移動ステージ400のX座標とY座標とを、数字、テキスト、グラフ、表等の情報として記憶できる。また、位置情報記憶部521は、移動ステージ400の位置情報に関連付けて物体100の円周半径(回転半径)に関する情報を記憶することができる。なお、位置情報記憶部521は、位置情報の範疇に含まれる情報であれば、限定無く記憶できる。
【0056】
(制御部530)
制御部530は、プロセッサや、MPUや、CPU等が、記憶部520に記憶されている各種プログラムについて、RAMを作業領域として実行することにより、実現される。また、制御部530は、例えば、ASICやFPGA等のICにより実現される。図2に示す通り、制御部530は、取得部531を有する。
【0057】
(取得部531)
取得部531は、移動ステージ400の位置情報を移動ステージ400から取得する。例えば、取得部531は、移動ステージ400から位置情報として、測定対象位置における測定時に移動ステージ400のX座標とY座標とを、数字、テキスト、グラフ、表等の情報として取得できる。なお、取得部531は、位置情報の範疇に含まれる情報であれば、限定無く記憶できる。
【0058】
〔2-7.標準速度計算装置〕
(標準速度計算装置600)
標準速度計算装置600は、駆動制御装置300と、位置記録装置500と、後述の非接触式速度計700とから取得した所定の情報を用いて、標準速度および速度感度を算出する。図2に示すように、標準速度計算装置600は、通信部610と、記憶部620と、制御部630とを有する。なお、図2に図示していないが、標準速度計算装置600は、各種操作を受け付ける入力部(例えば、タッチパネルや、キーボードや、マウス等)を備えてもよい。なお、本実施形態においては、標準速度計算装置600は、1つの独立した装置として記載しているが、その他の装置や機構に組み込まれた一機能(例えば、標準速度計算部等)であってもよい。
【0059】
(通信部610)
通信部610は、NIC等によって実現される。そして、通信部610は、必要に応じてネットワークと有線または無線で接続され、双方向に情報の送受信を行うことができる。例えば、通信部610は、駆動制御装置300から回転駆動部200の回転速度に関する情報を取得したり、位置記録装置500から移動ステージ400の位置情報を取得したり、後述の非接触式速度計700から測定対象位置の接線速度を取得したりするために、通信を行ってよい。
【0060】
(記憶部620)
記憶部620は、例えば、RAM、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現される。記憶部620は、制御部630による各種処理に用いるデータおよびプログラムを格納する。図2に示す通り、記憶部620は、位置情報記憶部621と、接線速度記憶部622と、回転速度記憶部623と、標準速度記憶部624とを有する。
【0061】
(位置情報記憶部621)
位置情報記憶部621は、移動ステージ400の位置情報を記憶する。例えば、位置情報記憶部621は、移動ステージ400の位置情報として測定対象位置に係る移動ステージ400のX座標とY座標とを、数字、テキスト、グラフ、表等の情報として記憶できる。なお、位置情報記憶部621は、位置情報の範疇に含まれる情報であれば、限定無く記憶できる。
【0062】
(接線速度記憶部622)
接線速度記憶部622は、後述の非接触式速度計700により算出された測定対象位置の接線速度を記憶することができる。なお、接線速度記憶部622は、非接触式速度計700ごとに測定対象位置の接線速度に関する情報の形式が異なる場合でも、特に限定無く記憶することができる。
【0063】
(回転速度記憶部623)
回転速度記憶部623は、物体100が固定された回転駆動部200の回転速度に関する情報(すなわち、物体100の回転速度に関する情報)を記憶する。なお、回転速度記憶部623は、回転速度に関する情報の範疇に含まれる情報であれば、限定無く記憶できる。
【0064】
(標準速度記憶部624)
標準速度記憶部624は、後述の算出部633により算出された、物体(第1の実施形態においては、円柱)ごとの測定対象位置における標準速度を記憶する。なお、標準速度記憶部624は、標準速度に関する情報の範疇に含まれる情報であれば、限定無く記憶できる。
【0065】
(制御部630)
制御部630は、プロセッサや、MPUや、CPU等が、記憶部620に記憶されている各種プログラムについて、RAMを作業領域として実行することにより、実現される。また、制御部630は、例えば、ASICやFPGA等のICにより実現される。図2に示す通り、制御部630は、取得部631と、導出部632と、算出部633とを有する。
【0066】
(取得部631)
取得部631は、各装置から所定の情報を取得する。具体的には、取得部631は、駆動制御装置300から回転駆動部200の回転速度に関する情報を取得する。また、取得部631は、位置記録装置500から移動ステージ400の位置情報を取得する。また、取得部631は、後述の非接触式速度計700から測定対象位置の接線速度を取得する。
【0067】
(導出部632)
導出部632は、速度校正に用いる所定の物体100回転半径(円周半径)と、回転駆動部200の回転速度(すなわち、物体100の回転角速度)とに基づいて標準速度を導出する。具体的には、導出部632は、物体100の回転半径と回転駆動部200の回転速度(物体100の回転角速度)に基づき算出された物体100の接線速度を標準速度として導出できる。
【0068】
例えば、導出部632は、物体100の測定対象位置における回転半径(外周半径)r[m]と物体100の回転角速度ω[rad/s]とを用いて、「Vf=r×ω」という式に基づき、測定対象位置における物体100の円周部の接線速度を標準速度として導出できる。
【0069】
(算出部633)
算出部633は、標準速度と非接触式速度計700の出力情報(測定対象位置における接線速度)とに基づいて、速度感度を算出する。具体的には、算出部633は、導出部632により導出された複数の標準速度と非接触式速度計700により出力された出力情報(測定対象位置における接線速度)とを用いて所定の回帰分析に基づき速度感度を算出する。
【0070】
ここで、図6を用いて算出部633による速度感度の算出について説明する。図6は、第1の実施形態に係る速度感度算出の概要の一例を示す図である。例えば、算出部633は、第1の円柱の円周部(測定対象位置)の接線速度を標準速度Vf1、第2の円柱の円周部(測定対象位置)の接線速度を標準速度Vf2とする。さらに、算出部633は、それぞれの標準速度における非接触式速度計700の分析結果として接線速度v1と接線速度v2とを対応づける。
【0071】
次に、算出部633は、前述の対応付けられた情報から速度(接線速度)と信号の関係式を算出する。そして、算出部633は、接線速度v2と接線速度v1の間と、標準速度としての標準速度Vf1と標準速度Vf2との間を直線近似(回帰分析)することによって得られる感度を速度感度として算出する。
【0072】
〔2-8.非接触式速度計〕
(非接触式速度計700)
ここで、再び図2に戻り説明を続ける。非接触式速度計700は、測定対象の物体に接触することなく速度を測定する装置である。なお第1の実施形態を含むその他の実施形態においては、光学式の非接触式速度計であることを前提に説明を行うが、実際には非接触式の速度計であれば限定無く本実施形態に用いることができる。例えば、非接触式速度計700は、レーザドップラ速度計、空間フィルタ式速度計、画像に基づいて測定する速度計等であってよい。
【0073】
まず、光学式非接触式速度計700の一例について説明する。例えば、レーザドップラ速度計は、散乱光のビート周波数が粒子の移動速度に依存することを利用する非接触式速度計である。また、空間フィルタ式速度計は、様々な大きさの粒子やタイヤ跡による不規則な模様から、特定の反射ムラを抽出し、反射光量の変動を電気信号に変換する。そして、この信号をバンドパス・フィルタに通して波形整形して速度を求める方式の非接触式速度計である。また、画像を用いる速度計は、画像同士をマッチングさせ、変位や速度を算出する非接触式速度計である。
【0074】
図2に示すように、非接触式速度計700は、通信部710と、記憶部720と、制御部730と、照射部740と、検出部750とを備えていてよい。なお、図2に図示していないが、非接触式速度計700は、各種操作を受け付ける入力部(例えば、タッチパネルや、キーボードや、マウス等)を備えてもよい。また、以降の項目で説明する各機能部は、あくまで一例であり、校正対象の非接触式速度計700の構成、機能等は限定されない。言い換えると、速度計校正システム1は、非接触式速度計の範疇に入る速度計であれば、限定無く校正を行うことができる。
【0075】
(通信部710)
通信部710は、NIC等によって実現されてよい。そして、通信部710は、必要に応じてネットワークと有線または無線で接続され、双方向に情報の送受信を行ってよい。例えば、通信部710は、標準速度計算装置600に測定対象位置の接線速度を送信するために通信を行ってよい。
【0076】
(記憶部720)
記憶部720は、例えば、RAM、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現されてよい。記憶部720は、制御部730による各種処理に用いるデータおよびプログラムを格納してよい。また、記憶部720は、測定対象位置の接線速度に関する情報を記録してよい。
【0077】
(制御部730)
制御部730は、プロセッサや、MPUや、CPU等が、記憶部720に記憶されている各種プログラムについて、RAMを作業領域として実行することにより、実現されてよい。また、制御部730は、例えば、ASICやFPGA等のICにより実現されてよい。また、制御部730は、非接触式速度計700が非接触式速度計として機能するための処理を実行してよい。
【0078】
(照射部740)
照射部740は、非接触式速度計700により対象の物体の速度を計測するための速度測定用のビームの照射を行ってよい。なお、照射部740は、非接触式速度計700が速度計測を行うための機能等が実現されればよく、機能や構造、照射するビームの波長等は特に限定されない。
【0079】
(検出部750)
検出部750は、照射部740により照射された速度測定用のビームが対象の物体に照射された際に発生する散乱したビームを検出してよい。なお、検出部750は、非接触式速度計700が速度計測を行うための機能等が実現されればよく、機能や構造、検出するビーム(散乱したビーム)の波長等は特に限定されない。
【0080】
〔3.第2の実施形態〕
ここから、本実施形態に係る速度計校正システム1が実現する第2の実施形態について説明する。第2の実施形態は、第1の実施形態に基づき実現される実施形態であり、第1の実施形態の物体100の一形態である2つ以上の複数の円柱を有する物体110を用いて複数の標準速度を算出し、非接触式速度計700の校正を行う実施形態である。
【0081】
ここで、図7を用いて、第2の実施形態に係る速度計校正システム1の概要を説明する。図7は、第2の実施形態に係る速度計校正システム1の概要の一例を示す図である。
【0082】
第2の実施形態に係る速度計校正システム1は、第1の実施形態の物体100の一形態である物体110と、回転駆動部200と、電源210と、エンコーダセンサ220と、駆動制御装置300と、移動ステージ400と、位置記録装置500と、標準速度計算装置600とを有する。なお、図7に示されている非接触式速度計700は、速度計校正システム1の構成要素ではなく、校正対象の装置である。なお、図1で説明した速度計校正システム1の速度校正方法の概要は、第1の実施形態と第2の実施形態とで同様のため、説明を省略する。
【0083】
第2の実施形態係る速度計校正システム1では、設置する物体110の円柱の数が第1の実施形態と異なる。例えば、図7においては、物体110は、4つ積層されて設置されている。そのため、第2の実施形態に係る速度計校正システム1は、設置された物体110の円周部の複数の測定対象位置における接線速度を測定し、速度校正に用いることができる。なお、積層させる円柱の数は、4つに限定されず任意の数を積層させてよい。
【0084】
〔3-1.速度計校正システムの構成〕
第2の実施形態に係る速度計校正システム1は、第1の実施形態に係る速度計校正システム1と同様の構成および機能で実現可能である。そのため、本項目では第1の実施形態と第2の実施形態とで差異のある「物体」についてのみ説明を行い、その他の装置と機能部の説明は省略する。
【0085】
〔3-2.物体〕
(物体110)
第2の実施形態に係る物体110は、第1の実施形態に係る物体100の一形態であり、所定の構造として異なる半径を有する円柱を複数(2つ以上)有し、複数の円柱の回転軸が所定のダボ構造と、ダボ構造の対であるダボ穴構造とに基づき一致する一体構造を有する。具体的には、第2の実施形態に係る物体110は、2つ以上の円柱状の構造を含むことができる。なお、物体同士、または物体と接合版とのはめ合い構造(ダボ構造とダボ穴構造)については、第1の実施形態と同様のため説明を省略する。
【0086】
ここで、図8を用いて、第2の実施形態に係る物体110の形状について説明する。図8は、第2の実施形態に係る物体110の概要の一例を示す図である。図8に示す通り、第2の実施形態に係る物体110は、第1の円柱110Aと、第2の円柱110Bと、第3の円柱110Cと、第4の円柱110Dとを有する。更に、それぞれ第1の円柱110Aがダボ構造110Aaとダボ穴構造110Abを、第2の円柱110Bがダボ構造110Baとダボ穴構造110Bbを、第3の円柱110Cがダボ構造110Caとダボ穴構造110Cbを、第4の円柱110Dがダボ構造110Daとダボ穴構造110Dbを、有する。そして、各円柱同士は、ダボ構造とダボ穴構造とがはめ合わされて積層される。
【0087】
なお、第2の実施形態に係る物体110は、はめ合い構造ではなく一体成型された一体構造であってよい。具体的には、複数の円柱を個別に積層していくのではなく、一体構造として製造された複数の円周半径を有する一体構造であってもよい。
【0088】
〔4.第3の実施形態〕
ここから、本実施形態に係る速度計校正システム1が実現する第3の実施形態について説明する。第3の実施形態は、第1の実施形態に基づき実現される実施形態であり、円柱状の物体の代わりに円錐台の構造を有する物体を用いて、複数の標準速度を算出し非接触式速度計の校正を行う実施形態である。
【0089】
ここで、図9を用いて、第3の実施形態に係る速度計校正システム1の概要を説明する。図9は、第3の実施形態に係る速度計校正システム1の概要の一例を示す図である。
【0090】
第3の実施形態に係る速度計校正システム1は、第1の実施形態の物体100の一形態である円錐台120と、回転駆動部200と、電源210と、エンコーダセンサ220と、駆動制御装置300と、移動ステージ400と、位置記録装置500と、標準速度計算装置600とを有する。なお、図9に示されている非接触式速度計700は、速度計校正システム1の構成要素ではなく、校正対象の装置である。なお、第3の実施形態に係る速度計校正システム1の速度校正方法の概要は、第1の実施形態と第3の実施形態とで同様のため、説明を省略する。
【0091】
第3の実施形態係る速度計校正システム1では、設置する物体の構造が円柱ではなく円錐台120の構造を有する。第3の実施形態に係る円錐台120は、下底面の半径が上底面の半径よりも大きい形状をしている。そのため、速度計校正システム1は、移動ステージ400が円錐台120の回転軸に対して鉛直方向に上下移動することにより、任意の円周半径での接線速度の測定が可能である。
【0092】
例えば、速度計校正システム1は、円錐台120の下部(図9の(1))での接線速度の測定と円錐台120の上部(図9の(2))での接線速度の測定とを行うことにより、複数の円周半径における接線速度を取得することができる。
【0093】
〔4-1.速度計校正システムの構成〕
第3の実施形態に係る速度計校正システム1は、第1の実施形態に係る速度計校正システム1と同様の構成および機能で実現可能である。そのため、本項目では第1の実施形態と第3の実施形態とで差異のある「物体(円錐台120)」についてのみ説明を行い、その他の装置と機能部の説明は省略する。
【0094】
〔4-2.物体〕
(円錐台120)
第3の実施形態に係る円錐台120(物体)は、第1の実施形態に係る物体100の一形態であり、所定の構造として円錐台の構造を有し、更に円錐台120の上底面と下底面とで異なる半径を有する。例えば、図9に示す円錐台120(物体)は、下底面の半径が上底面の半径よりも大きい形状である。
【0095】
なお、ここで説明した円錐台の形状はあくまで一例であり、第3の実施形態に係る速度計校正システム1は、円錐台の形状を有する構造体であれば円錐台120(物体)として用いることができる。
【0096】
〔5.第4の実施形態〕
ここから、本実施形態に係る速度計校正システム1が実現する第4の実施形態について説明する。第4の実施形態は、第1の実施形態に基づき実現される実施形態であり、移動ステージの移動方向について物体の回転軸に対して水平方向と鉛直方向に加え、奥行方向または手前方向への移動を行う実施形態である。なお、第4の実施形態は、第1の実施形態だけでなく、その他の実施形態にも適用可能である。
【0097】
ここで、図10を用いて、第4の実施形態に係る速度計校正システム1の概要を説明する。図10は、第4の実施形態に係る速度計校正システム1の概要の一例を示す図である。
【0098】
第4の実施形態に係る速度計校正システム1は、物体100と、回転駆動部200と、電源210と、エンコーダセンサ220と、駆動制御装置300と、移動ステージ400と、位置記録装置500と、標準速度計算装置600とを有する。なお、図10に示されている非接触式速度計700は、速度計校正システム1の構成要素ではなく、校正対象の装置である。なお、第3の実施形態に係る速度計校正システム1の速度校正方法の概要は、第1の実施形態と第4の実施形態とで同様のため、説明を省略する。
【0099】
第4の実施形態係る速度計校正システム1では、移動ステージ400が物体100の円周半径に併せて物体の回転軸230に対して奥行方向または手前方向に移動する(図10の(1))。これにより、非接触式速度計700と物体100の円周部との距離を一定に保つことが可能となる。
【0100】
なお、ここでは物体100を用いて説明を行ったが、第4の実施形態は、第2の実施形態に係る物体110や、第3の実施形態に係る円錐台120であっても適用することができる。
【0101】
〔5-1.速度計校正システムの構成〕
第4の実施形態に係る速度計校正システム1は、第1の実施形態に係る速度計校正システム1と同様の構成および機能で実現可能である。そのため、本項目では第1の実施形態と第4の実施形態とで差異のある「移動ステージ」についてのみ説明を行い、その他の装置と機能部の説明は省略する。
【0102】
〔5-2.移動ステージ〕
(移動ステージ400)
第4の実施形態に係る移動ステージ400は、非接触式速度計700の速度検出機構が物体100の円周部に対して所定の距離となるように、物体100の回転軸に対して奥行方向または手前方向に移動する。
【0103】
例えば、第4の実施形態に係る移動ステージ400は、非接触式速度計700の速度検出機構が物体100の円周部に対して所定の位置となるように、物体100の回転軸に対して鉛直方向および水平方向に移動する。さらに、移動ステージ400は、物体100の回転軸230に対して奥行方向または手前方向に移動する(図10の(1))。それにより、移動ステージ400は、測定距離を等距離に保ち非接触式速度計700による速度に関する分析の精度を向上させることができる。
【0104】
ここで、図11を用いて、移動ステージ400の奥行方向または手前方向への移動について説明を行う。図11は、第4の実施形態に係る移動ステージ400の奥行方向または手前方向への移動の一例を示す図である。図11に示す通り、移動ステージ400は、物体100の回転軸230に対して奥行方向または手前方向に位置を調整することができる。なお、図11に示されている土台440と、固定部441と、ステージ442と、台座443とについては、図5と同様の内容のため省略する。他方で、ステージ444は、移動ステージ400を奥行方向または手前方向に移動するための移動機構である。
【0105】
図11の上図に示す通り、速度計校正システム1は、第1の円柱100Aの円周部の測定対象位置にて接線速度の測定を行う(図11の(1))。続いて、図11の下図に示す通り、第1の円柱100Aの対象箇所での測定を終えた後、移動ステージ400は、ステージ442を回転軸230に対して鉛直方向(図面上では下から上の方向)に移動させる(図11の(2))。
【0106】
さらに、第4の実施形態に係る移動ステージ400は、第2の円柱100Bと非接触式速度計700との距離が予め定められた一定の距離となるように、ステージ444を第2の円柱100Bの回転軸230に対して奥行方向に移動させる(図11の(3))。このようにして、移動ステージ400は、半径が異なる複数の円柱(第1の円柱100Aと第2の円柱100B)の測定対象位置において、円柱の円周部と非接触式速度計700の速度検出機構との距離を一定に保った上で接線速度の測定を可能とする(図11の(4))。
【0107】
なお、図12においては、第1の実施形態に基づいて円柱状の物体の円周部を測定する前提で説明を行ったが、第3の実施形態に係る円錐台状の物体の円周部を測定する際に適用することもできる。
【0108】
〔6.第5の実施形態〕
ここから、本実施形態に係る速度計校正システム1が実現する第5の実施形態について説明する。第5の実施形態は、第3の実施形態に基づき実現される実施形態であり、円錐台の構造を有する物体の傾きを含む円周部に対して移動ステージを並行に設置して、非接触式速度計の校正を行う実施形態である。
【0109】
ここで、図12を用いて、第5の実施形態に係る速度計校正システム1の概要を説明する。図12は、第5の実施形態に係る速度計校正システム1の概要の一例を示す図である。
【0110】
第5の実施形態に係る速度計校正システム1は、円錐台120と、回転駆動部200と、電源210と、エンコーダセンサ220と、駆動制御装置300と、移動ステージ400と、位置記録装置500と、標準速度計算装置600とを有する。なお、図12に示されている非接触式速度計700は、速度計校正システム1の構成要素ではなく、校正対象の装置である。なお、第5の実施形態に係る速度計校正システム1の速度校正方法の概要は、第1の実施形態と第5の実施形態とで同様のため、説明を省略する。
【0111】
第5の実施形態に係る速度計校正システム1では、第3の実施形態同様に設置する物体の構造が円柱状ではなく円錐台120(物体)の構造を有する。なお円錐台120(物体)の構造については、第3の実施形態に係る説明と同様であるため、ここでは省略する。
【0112】
第5の実施形態に係る速度計校正システム1では、前述した通り移動ステージ400が円錐台120(物体)の円周部の傾きと平行に設置される(図12の(1))。これにより、第5の実施形態に係る速度計校正システム1では、どの測定対象位置においても回転する円錐台120(物体)の円周部との距離を一定に保ちつつ一次元に移動することができる。
【0113】
〔6-1.速度計校正システムの構成〕
第5の実施形態に係る速度計校正システム1は、第3の実施形態に係る速度計校正システム1と同様の構成および機能で実現可能である。そのため、本項目では第3の実施形態と第5の実施形態とで差異のある「移動ステージ」についてのみ説明を行い、その他の装置と機能部の説明は省略する。
【0114】
〔6-2.移動ステージ〕
(移動ステージ400)
第5の実施形態に係る移動ステージ400は、円錐台120の所定の傾きを有する円周部に対して平行となるように設置され、所定の傾きに対して鉛直方向および水平方向に移動する。
【0115】
図12に示した通り、通り移動ステージ400が円錐台120の円周部の傾きと平行に設置されており(図12の(1))、円錐台120の円周部の複数の測定対象位置に対して平行にかつ一定距離を維持したまま移動する。これにより、第5の実施形態に係る速度計校正システム1は、円錐台120の円周部にて異なる円周半径における接線速度を測定する場合でも、非接触式速度計700の測定精度を維持することができる。
【0116】
〔7.第6の実施形態〕
ここから、本実施形態に係る速度計校正システム1が実現する第6の実施形態について説明する。第6の実施形態は、第3の実施形態に基づき実現される実施形態であり、円錐台の構造を有する物体に対して非接触式速度計700が速度測定用のビームを照射する際に、測定位置の誤差が許容範囲以内かを判定する測定位置検証装置800を備える実施形態である。なお、第6の実施形態は、第3の実施形態だけでなくその他の実施形態にも適用可能である。
【0117】
ここで、図13を用いて、第6の実施形態に係る速度計校正システム1の概要を説明する。図13は、第6の実施形態に係る速度計校正システム1の概要の一例を示す図である。
【0118】
第6の実施形態に係る速度計校正システム1は、物体100と、回転駆動部200と、電源210と、エンコーダセンサ220と、駆動制御装置300と、移動ステージ400と、位置記録装置500と、標準速度計算装置600と、測定位置検証装置800とを有する。なお、図13に示された速度計校正システム1の物体100と、回転駆動部200と、電源210と、エンコーダセンサ220と、駆動制御装置300とは、当該装置群を上部から見た図であり、第3の実施形態と同様の装置構成である。
【0119】
図13に示されている非接触式速度計700は、速度計校正システム1の構成要素ではなく、校正対象の装置である。なお、第6の実施形態に係る速度計校正システム1の速度校正方法の概要は、第1の実施形態と第6の実施形態とで同様のため、説明を省略する。
【0120】
第6の実施形態に係る測定位置検証装置800は、校正対象の非接触式速度計700の照射部740から照射される速度測定用のビームの照射領域と重なるようにして、測定位置検証用のビームを照射する照射部840と、反射されたビームを検出する検出部850とを有する。
【0121】
照射部840により照射されるビームは平行ビーム(例えば、線状のビーム等)であり、回転円の接線方向に広がる線状ビーム(直交する方向は短軸)である(図13の(1))。なお、この線状ビームは、円錐台120の円周半径に応じて曲率が変わるため反射される線状ビームは広がる(図13の(2))。そして、検出部850は、所定の広がりを持った線状ビームを検出する(図13の(3))。
【0122】
その後、測定位置検証装置800は、線状ビームの照射面積を算出して記憶する。そして、測定位置検証装置800は、線状ビームの照射面積に関する情報から測定箇所における円錐台120の円周半径推定値を導出する。
【0123】
測定位置検証装置800は、移動ステージ400から位置情報に関連付けられた円錐台120の円周半径実測値を取得する(図13の(4))。次に、測定位置検証装置800は、導出された円錐台120の円周半径推定値と移動ステージ400から取得された円錐台120の円周半径実測値とを照合して、所定の誤差を超えるか否かを判定する。そして、測定位置検証装置800は、照合結果に基づき所定の誤差が生じる場合には、速度計校正を停止して、障害の発生を示す通知を管理者等に通知する。
【0124】
〔7-1.速度計校正システムの構成〕
次に、図14を用いて、第6の実施形態に係る速度計校正システム1の構成について説明する。図14は、第6の実施形態に係る速度計校正システム1の構成の一例を示す図である。第6の実施形態に係る速度計校正システム1は、第3の実施形態に係る速度計校正システム1と同様の構成および機能で実現可能である。そのため、本項目では第3の実施形態と第6の実施形態とで差異のある「測定位置検証装置800」についてのみ説明を行い、その他の装置と機能部の説明は省略する。
【0125】
〔7-2.測定位置検証装置〕
(測定位置検証装置800)
測定位置検証装置800は、測定位置検証用線のビームの照射面積から導出された円周半径推定値と、位置記録装置500から取得した移動ステージ400の位置情報に関連付く円錐台120の円周半径実測値とを用いて、測定対象位置が正しいか否かを判定する。図14に示すように、測定位置検証装置800は、通信部810と、記憶部820と、制御部830と、照射部840と、検出部850とを有する。
【0126】
なお、図14に図示していないが、測定位置検証装置800は、各種操作を受け付ける入力部(例えば、タッチパネルや、キーボードや、マウス等)を備えてもよい。なお、本実施形態においては、測定位置検証装置800は、1つの独立した装置として記載しているが、その他の装置や機構に組み込まれた一機能(例えば、測定位置検証部等)であってもよい。
【0127】
(通信部810)
通信部810は、NIC等によって実現される。そして、通信部810は、必要に応じてネットワークと有線または無線で接続され、双方向に情報の送受信を行うことができる。例えば、通信部810は、位置記録装置500から移動ステージ400の位置情報等を取得したり、管理者等へ所定の通知を送信したりするために、通信を行ってよい。
【0128】
(記憶部820)
記憶部820は、例えば、RAM、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現される。記憶部820は、制御部830による各種処理に用いるデータおよびプログラムを格納する。図14に示す通り、記憶部820は、照射面積記憶部821と、円周半径記憶部822とを有する。
【0129】
(照射面積記憶部821)
照射面積記憶部821は、検出部850が検出した測定位置検証のビームの照射面積に関する情報を記憶する。
【0130】
(円周半径記憶部822)
円周半径記憶部822は、後述の半径導出部832により導出された測定対象位置ごとの円周半径推定値を記憶する。また、円周半径記憶部822は、位置記録装置500から取得された移動ステージ400の位置情報に関連付く円錐台120の円周半径実測値に関する情報を記憶する。
【0131】
(制御部830)
制御部830は、プロセッサや、MPUや、CPU等が、記憶部820に記憶されている各種プログラムについて、RAMを作業領域として実行することにより、実現される。また、制御部830は、例えば、ASICやFPGA等のICにより実現される。図14に示す通り、制御部830は、面積算出部831と、半径導出部832と、取得部833と、照合部834と、通知部835とを有する。
【0132】
(面積算出部831)
面積算出部831は、検出部850により検出された反射ビームに基づき、所定のビームの照射面積を算出する。例えば、面積算出部831は、所定のビームとして照射部840により物体(円錐台120)の所定の位置に照射された測定位置検証のビーム(例えば、線状ビーム)のビーム照射面積を算出できる。
【0133】
(半径導出部832)
半径導出部832は、面積算出部831により算出された所定のビームの照射面積に基づき、円錐台120の円周半径推定値を導出する。具体的には、半径導出部832は、測定位置検証用のビームの照射面積(ビーム幅)に基づいて、測定対象位置における円錐台120の円周半径推定値を導出できる。例えば、半径導出部832は、予め記憶されたビーム照射面積と円錐台120の回転半径との対応関係により、ビーム照射面積に対する円周半径推定値を導出できる。
【0134】
(取得部833)
取得部833は、移動ステージ400から測定対象位置における移動ステージ400の位置情報と、当該位置情報に関連付く円錐台120の円周半径実測値とを取得する。なお、取得部833は、円錐台120の円周半径実測値がその他の外部装置等に記憶されている場合には、当該外部装置等から当該円周半径実測値を取得できる。
【0135】
(照合部834)
照合部834は、半径導出部832により導出された円周半径推定値と、取得された円錐台120の円周半径実測値とを照合する。具体的には、照合部834は、前述の円周半径推定値と円周半径実測値とに基づいて、円周半径推定値から推定される非接触式速度計700の速度検出機構の推定位置と、円周半径実測値から推定される非接触式速度計700の速度検出機構の実際位置とが所定の誤差範囲内にあるか否かを照合する。
【0136】
(通知部835)
通知部835は、照合部834の照合結果に基づいて、障害を示す信号を通知する。具体的には、通知部835は、前述の円周半径推定値と円周半径実測値との誤差が所定の範囲を超える場合に障害を示す信号を通知できる。
【0137】
(照射部840)
照射部840は、所定のビームを円錐台120の円周部へ照射する。例えば、照射部840は、円錐台120の円周部に、所定のビームとして測定位置検証のビーム(例えば、線状で回転円の接線方向に広がる線状ビーム(直交する方向は短軸))を照射してよい。
【0138】
なお、ここでいう測定位置検証のビームは、平行ビーム(線状ビーム)であり円錐台120の円周半径に応じて曲率が変わるので、反射されるビームは所定の方向に広がる。また、照射部840は測定位置検証装置800が測定位置検証用のビームを照射するため機能等が実現されればよく、機能や構造、照射するビームの波長等は特に限定されない。
【0139】
(検出部850)
検出部850は、照射部840により照射された所定のビームが反射された反射ビームを検出する。なお、検出部850は、測定位置検証装置800が速度計測を行うための機能等が実現されればよく、機能や構造、検出するビーム(散乱したビーム)の波長等は特に限定されず、例えば、カメラや、フォトダイオードを複数並べた素子等であってよい。
【0140】
〔8.処理手順〕
ここから、本実施形態に係る速度計校正システム1による速度計校正の手順について説明する。なお、実施形態ごとのフローチャートは、「第1の実施形態および第2の実施形態」と、「第3の実施形態および第5の実施形態」と、「第4の実施形態」と、「第6の実施形態」とに分けて説明する。なお、以下に記載する各ステップは、異なる順序で実行されてもよいし、省略される処理があってもよい。また、各実施形態の処理手順を適宜組み合わせて実施されてよい。
【0141】
(第1の実施形態および第2の実施形態)
まず、第1の実施形態および第2の実施形態の速度計校正の手順について、図15を用いて説明する。図15は、第1および第2の実施形態に係る速度校正方法についてのフローチャートである。なお、第1の実施形態と第2の実施形態とは、物体の形状が異なるのみであることから、処理手順は同じである。
【0142】
移動ステージ400は、非接触速度計700が固定されたステージの位置および角度を調整し、所定の位置(例えば、スタート位置)に移動する(工程S101)。駆動制御装置300は、円柱(物体)が固定された回転駆動部200の回転を開始する(工程S102)。
【0143】
移動ステージ400は、測定対象位置に移動する(工程S103)。照射部740は、円柱(物体)の円周部(測定対象位置)に速度測定用のビームを照射する(工程S104)。検出部750は、散乱したビームを検出する(工程S105)。非接触式速度計700は、速度に関する分析を実施する(工程S106)。
【0144】
取得部631は、非接触速度計700から速度に関する分析結果(測定対象位置における接線速度)と、移動ステージ400から位置情報とを取得する(工程S107)。ここで、未測定の測定対象位置がある場合(工程S108のYes)は、工程を戻って工程S103から工程S107の処理を繰り返す。
【0145】
他方、未測定の測定対象位置が無い場合(工程S108のNo)、導出部632は、標準速度を導出する(工程S109)。算出部133は、導出部632により導出された標準速度と、非接触式速度計700により検出された円柱(物体)の円周部の接線速度とを用いて、回帰分析を実施し速度感度を算出する(工程S110)。標準速度計算装置600は、校正結果として速度感度を非接触速度計700に記録し(工程S111)、工程を終了する。
【0146】
(第3の実施形態および第5の実施形態)
次に、第3の実施形態および第5の実施形態の速度計校正の手順について、図16を用いて説明する。図16は、第3および第5の実施形態に係る速度校正方法についてのフローチャートである。なお、第3の実施形態および第5の実施形態とは、設置される移動ステージ400の位置および向きが異なるのみであることから、処理手順は同じである。
【0147】
移動ステージ400は、非接触速度計700が固定されたステージの位置および角度を調整し、所定の位置(例えば、スタート位置)に移動する(工程S201)。駆動制御装置300は、円錐台(物体)が固定された回転駆動部200の回転を開始する(工程S202)。
【0148】
移動ステージ400は、測定対象位置に移動する(工程S203)。照射部740は、円錐台(物体)の円周部(測定対象位置)に速度測定用のビームを照射する(工程S204)。検出部750は、散乱したビームを検出する(工程S205)。非接触式速度計700は、速度に関する分析を実施する(工程S206)。
【0149】
取得部631は、非接触速度計700から速度に関する分析結果(測定対象位置における接線速度)と、移動ステージ400から位置情報とを取得する(工程S207)。ここで、未測定の測定対象位置がある場合(工程S208のYes)は、工程を戻って工程S203から工程S207の処理を繰り返す。
【0150】
他方、未測定の測定対象位置が無い場合(工程S208のNo)、導出部632は、標準速度を導出する(工程S209)。算出部133は、導出部632により導出された標準速度と、非接触式速度計700により検出された円錐台(物体)の円周部の接線速度とを用いて、回帰分析を実施し速度感度を算出する(工程S210)。標準速度計算装置600は、校正結果として速度感度を非接触速度計700に記録し(工程S211)、工程を終了する。
【0151】
(第4の実施形態)
次に、第4の実施形態の速度計校正の手順について、図17を用いて説明する。図17は、第4の実施形態に係る速度校正方法についてのフローチャートである。
【0152】
移動ステージ400は、非接触速度計700が固定されたステージの位置および角度を調整し、所定の位置(例えば、スタート位置)に移動する(工程S301)。駆動制御装置300は、物体が固定された回転駆動部200の回転を開始する(工程S302)。
【0153】
移動ステージ400は、測定対象位置に移動する(工程S303)。更に移動ステージ400は、測定対象の物体の測定対象位置と非接触速度計700の速度検出機構とを所定の距離に保つように移動ステージを移動する(工程S304)。
【0154】
照射部740は、物体の円周部(測定対象位置)に速度測定用のビームを照射する(工程S305)。検出部750は、散乱したビームを検出する(工程S306)。非接触式速度計700は、速度に関する分析を実施する(工程S307)。
【0155】
取得部631は、非接触速度計700から速度に関する分析結果(測定対象位置における接線速度)と、移動ステージ400から位置情報とを取得する(工程S308)。ここで、未測定の測定対象位置がある場合(工程S309のYes)は、工程を戻って工程S303から工程S308の処理を繰り返す。
【0156】
他方、未測定の測定対象位置が無い場合(工程S309のNo)、導出部632は、標準速度を導出する(工程S310)。算出部133は、導出部632により導出された標準速度と、非接触式速度計700により検出された物体の円周部の接線速度とを用いて、回帰分析を実施し速度感度を算出する(工程S311)。標準速度計算装置600は、校正結果として速度感度を非接触速度計700に記録し(工程S312)、工程を終了する。
【0157】
(第6の実施形態)
次に、第6の実施形態の速度計校正の手順について、図18を用いて説明する。図18は、第6の実施形態に係る速度校正方法についてのフローチャートである。
【0158】
移動ステージ400は、非接触速度計700が固定されたステージの位置および角度を調整し、所定の位置(例えば、スタート位置)に移動する(工程S401)。駆動制御装置300は、円錐台(物体)が固定された回転駆動部200の回転を開始する(工程S402)。
【0159】
移動ステージ400は、測定対象位置に移動する(工程S403)。測定位置検証装置800の照射部840は、測定対象位置に対して測定位置検証用のビームを照射する(工程S404)。検出部850は、反射したビームを検出する(工程S405)。
【0160】
面積算出部831は、検出したビームの照射面積を算出する(工程S406)。半径導出部832は、ビームの照射面積から円周半径推定値を導出する(工程S407)。照合部834は、円周半径推定値と、測定位置と関連付いた円周半径実測値とを照合する(工程S408)。
【0161】
ここで、円周半径推定値と円周半径実測値とが所定の誤差範囲以内の場合(工程S409のYes)は、非接触速度計の校正を実施し(工程S410)、工程を終了する。なお、以降の校正の処理は第1の実施形態から第5の実施形態と同様のため、省略する。他方、円周半径推定値と円周半径実測値とが所定の誤差範囲を超える場合(工程S409のNo)、異常発生を管理者等に通知し(工程S411)、工程を終了する。
【0162】
〔9.効果〕
従来技術において、非接触速度計の速度校正の誤差が大きい、という問題があった。例えば、回転ディスクを用いた速度校正は、回転ディスクの回転軸を中心に回転させる回転モータを制御するために用いられるエンコーダパルスの計測値の不確かさ、すなわち校正装置自体の不確かさの影響を受け、校正精度が低下する場合があった。
【0163】
具体的には、回転モータの回転数を落とすとエンコーダパルスの分解能の影響で回転速度の精度が低下するが、一方で回転数を上げるにしても上限がある。そのため、回転軸から動径方向に円盤の回転軸に沿って光学式速度計の光散乱ポイントを走査することにより、校正時の標準速度を変える技術が提案されている。
【0164】
しかしながら、回転速度の上昇により回転数自体は安定するものの、ある一定以上回転数を程度高めることにより標準速度の不確かさについては軌道半径の不確かさが支配的になる。たとえば、回転体と軸のはめ合い等の機械加工公差の積み上げで回転軸がずれ、動径方向を正確に把握することが難しい。それゆえ、従来技術では、光散乱ポイントを動径方向に走査しようとすると、その不確かさが標準速度の不確かさに繋がる場合があった。
【0165】
そこで、非接触式速度計の校正を行う速度計校正システム1は、所定の構造を有する物体を有する。また、速度計校正システム1は、同一回転軸上に固定された物体を回転軸回りに回転駆動する回転駆動部200を有する。また、速度計校正システム1は、回転駆動部200の回転速度を制御する駆動制御装置300を有する。また、速度計校正システム1は、非接触式速度計700を所定の位置に移動する移動ステージ400を有する。また、速度計校正システム1は、移動ステージ400の位置情報を取得する位置記録装置500を有する。また、速度計校正システム1の標準速度計算装置600は、物体の回転半径と、回転駆動部200の回転速度とに基づいて標準速度を導出し、標準速度と非接触式速度計700の出力情報とに基づいて、速度感度を算出する。そのため、本実施形態によれば、下記の効果を奏する。
【0166】
速度計校正システム1は、非接触式速度計700の速度校正の誤差を抑制する。具体的には、速度計校正システム1は、回転駆動部200の回転速度の精度の不確かさと、回転体と軸のはめ合い等の機械加工公差の積み上げによる不確かさを排除することにより非接触式速度計700の速度校正の誤差を抑制する、という効果を提供する。
【0167】
例えば、エンコーダセンサ220の不確かさは低速になるほど大きくなるため、速度計校正システム1は、回転駆動部200の回転速度を最も精度が高い所定の速度に維持することで回転速度の不確かさを低減する。そして、速度計校正システム1は、複数の円柱や円錐台の構造を有する物体を用いる事で、所定の回転速度のまま、さまざまな標準速度を実現し、非接触式速度計700の校正を可能とするという効果を提供する。
【0168】
速度計校正システム1の物体は、所定の構造として異なる半径を有する円柱を複数有し、複数の円柱の回転軸が所定のダボ構造とダボ構造の対であるダボ穴構造とに基づき一致する一体構造を有する。それにより、速度計校正システム1は、例えば、複数の円柱状の構造体を連結した時に機械公差ずれにより発生する回転物体の回転軸のずれを抑制することができる。
【0169】
速度計校正システム1の物体は、所定の構造として円錐台の構造を有し、更に円錐台の上底面と下底面とで異なる半径を有する。それにより、速度計校正システム1は、例えば、一体構造を有する物体(円錐台)の任意の箇所を測定対象位置とすることにより、回転速度を一定に保ったまま複数の接線速度の算出を可能とする。
【0170】
速度計校正システム1の移動ステージ400は、非接触式速度計700の速度検出機構が物体の円周部に対して所定の距離となるように、物体の回転軸に対して奥行方向または手前方向に移動する。これにより、速度計校正システム1は、常に測定距離を一定に維持することを可能とし、非接触式速度計700の測定精度の低下を抑制することを可能とする。
【0171】
例えば、レーザドップラ―式速度計は、2本以上のレーザ光が交差する領域を通過する物体からの散乱光を検知するが、速度計校正システム1の移動ステージ400の提供する効果により、交差範囲からずれてしまうことを防ぐことができる。また、空間フィルタ式速度計や画像を用いる速度計は、散乱光を集光する光学レンズの焦点位置からのずれが生じることにより、受光部による散乱光の入光が変わってしまい、焦点位置ずれによる精度低下が発生する場合があるが、速度計校正システム1の移動ステージ400の提供する効果により、焦点位置からのズレによる精度低下を抑制することができる。
【0172】
さらに、速度計校正システム1の移動ステージ400は、円錐台(物体)の所定の傾きを有する円周部に対して平行となるように設置され、所定の傾きに対して鉛直方向および水平方向に移動する。これにより、速度計校正システム1は、前述したように非接触式速度計700の測定精度の低下を抑制する事ができる。
【0173】
〔10.ハードウェア構成〕
本実施形態に係る速度計校正システム1は、例えば、図19に示すような構成のコンピュータ1000によって実現される。図19は、速度計校正システム1の機能を実現するコンピュータの一例を示すハードウェア構成図である。コンピュータ1000は、CPU1100、RAM1200、ROM1300、補助記憶装置1400、通信I/F(インタフェース)1500、入出力I/F(インタフェース)1600が、バス1800により接続された形態を有する。
【0174】
CPU1100は、ROM1300または補助記憶装置1400に格納されたプログラムに基づいて動作し、各部の制御を行う。ROM1300は、コンピュータ1000の起動時にCPU1100によって実行されるブートプログラムや、コンピュータ1000のハードウェアに依存するプログラム等を格納する。
【0175】
補助記憶装置1400は、CPU1100によって実行されるプログラム、および、係るプログラムによって使用されるデータ等を格納する。通信I/F1500は、所定の通信網NWを介して他の機器からデータを受信してCPU1100へ送り、CPU1100が生成したデータを所定の通信網NWを介して他の機器へ送信する。CPU1100は、入出力I/F1600を介して、ディスプレイやプリンタ等の出力装置、および、キーボードやマウス等の入出力装置1700を制御する。CPU1100は、入出力I/F1600を介して、入出力装置1700からデータを取得する。また、CPU1100は、生成したデータについて入出力I/F1600を介して入出力装置1700へ出力する。
【0176】
例えば、コンピュータ1000が本実施形態に係る速度計校正システム1の各装置として機能する場合、コンピュータ1000のCPU1100は、RAM1200上にロードされたプログラムを実行することにより、制御部の機能を実現する。
【0177】
〔11.その他〕
前述の実施形態および変形例において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。例えば、各図に示した各種情報は、図示した情報に限られない。
【0178】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の通り構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況等に応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。
【0179】
前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述してきた実施形態および変形例は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。
【0180】
また、前述してきた「部(section、module、unit)」は、「手段」や「回路」等に読み替えることができる。例えば、制御部は、制御手段や制御回路に読み替えることができる。
【0181】
以上、実施形態のいくつかを図面に基づいて詳細に説明したが、これらは例示であり、発明の開示の欄に記載の態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施した他の形態で、本実施形態について実施をすることが可能である。
【符号の説明】
【0182】
1 速度計校正システム
100,110 物体
100A,110A 第1の円柱
100B,110B 第2の円柱
110C 第3の円柱
110D 第4の円柱
100Aa,100Ba ダボ構造
110Aa,110Ba,110Ca,110Da ダボ構造
100Ab,240b ダボ穴構造
110Ab,110Bb,110Cb,110Db ダボ穴構造
120 円錐台
200 回転駆動部
210 電源
220 エンコーダセンサ
230 回転軸
240 接合板
300 駆動制御装置
310,410,510,610,710,810 通信部
320,420,520,620,720,820 記憶部
330,430,530,630,730,830 制御部
400 移動ステージ
440 土台
441 固定部
442 ステージ
443 台座
500 位置記録装置
521,621 位置情報記憶部
531,631 取得部
600 標準速度計算装置
622 接線速度記憶部
623 回転速度記憶部
624 標準速度記憶部
632 導出部
633 算出部
700 非接触式速度計
740,840 照射部
750,850 検出部
800 測定位置検証装置
821 照射面積記憶部
822 円周半径記憶部
831 面積算出部
832 半径導出部
833 取得部
834 照合部
835 通知部
1000 コンピュータ
1100 CPU
1200 RAM
1300 ROM
1400 補助記憶装置
1500 通信I/F
1600 入出力I/F
1700 入出力装置
1800 バス
NW 所定の通信網
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