(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024105065
(43)【公開日】2024-08-06
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、および情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/20 20230101AFI20240730BHJP
G05B 23/02 20060101ALI20240730BHJP
G05B 19/418 20060101ALI20240730BHJP
【FI】
G06Q10/20
G05B23/02 302Z
G05B19/418 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023009608
(22)【出願日】2023-01-25
(71)【出願人】
【識別番号】000006666
【氏名又は名称】アズビル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】亀井 宏和
(72)【発明者】
【氏名】舟倉 恭一
(72)【発明者】
【氏名】中島 章喜
(72)【発明者】
【氏名】助川 華織
(72)【発明者】
【氏名】岡田 侑己
(72)【発明者】
【氏名】宮本 晋太郎
【テーマコード(参考)】
3C100
3C223
5L049
【Fターム(参考)】
3C100AA56
3C100AA62
3C100AA68
3C100BB12
3C100BB13
3C100BB33
3C100CC02
3C223AA01
3C223AA11
3C223BA01
3C223CC01
3C223DD01
3C223EB01
3C223FF04
3C223FF16
3C223FF22
3C223GG01
3C223HH03
3C223HH04
5L049CC15
(57)【要約】
【課題】データの収集と分析、および異常発生の判定にかかる工数の削減を可能とする。
【解決手段】情報処理装置は、装置または設備の性能に関する指標と指標を算出するために用いられる属性情報とを含むアセット情報モデルについての設定を受け付け、属性情報に関連付く記憶装置の識別情報に基づいて記憶装置から属性情報を取得し、取得部により取得された属性情報を用いて指標を算出し、指標の判定条件に基づき指標のステータス異常が発生しているか否かについて所定の判定を行い、判定部の判定結果に基づき対象の指標の状態に関する情報を所定の形式で出力する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置または設備の性能に関する指標と前記指標を算出するために用いられる属性情報とを含むアセット情報モデルについての設定を受け付ける受付部と、
前記属性情報に関連付く記憶装置の識別情報に基づいて、前記記憶装置から前記属性情報を取得する取得部と、
前記取得部により取得された前記属性情報を用いて、前記指標を算出する算出部と、
前記指標の判定条件に基づき、該指標のステータス異常が発生しているか否かについて、所定の判定を行う判定部と、
前記判定部の判定結果に基づき対象の前記指標の状態に関する情報を、所定の形式で出力する出力部と、
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記出力部は、所定の階層構造として、前記アセット情報モデルと、該アセット情報モデルに含まれる下位の指標とのそれぞれの前記ステータス異常を組み合わせて、リアルタイムに出力する、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記受付部は、装置または設備の管理指標としての計算値である前記指標と、該指標の計算に用いる前記属性情報とを含む前記アセット情報モデルについて、予め定められたテンプレートに基づく設定を受け付ける、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記受付部は、予め定められた前記アセット情報モデルの共通項目について、前記テンプレートに基づく設定を受け付ける、
ことを特徴とする請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記取得部は、前記記憶装置の識別情報に基づいて内部の記憶装置または外部の記憶装置を識別し、前記アセット情報モデルと関連付く前記属性情報を該内部の記憶装置または該外部の記憶装置ごとに取得する、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記出力部は、所定の形式としてアセットツリー構造を有する前記アセット情報モデルと、該アセット情報モデルに含まれる前記指標の状態に関する情報とを、所定の階層構造で出力する、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記算出部は、上下限値属性情報に基づき、所定の閾値を算出し、
前記判定部は、前記所定の判定として、前記算出部により算出された所定の閾値に基づいて、前記指標が該所定の閾値の範囲外に含まれる場合に、該指標のステータス異常が発生していると判定する、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項8】
装置または設備の性能に関する指標と前記指標を算出するために用いられる属性情報とを含むアセット情報モデルについての設定を受け付ける受付工程と、
前記属性情報に関連付く記憶装置の識別情報に基づいて、前記記憶装置から前記属性情報を取得する取得工程と、
前記取得工程により取得された前記属性情報を用いて、前記指標を算出する算出工程と、
前記指標の判定条件に基づき、該指標のステータス異常が発生しているか否かについて、所定の判定を行う判定工程と、
前記判定工程の判定結果に基づき対象の前記指標の状態に関する情報を、所定の形式で出力する出力工程と、
を含むことを特徴とする情報処理方法。
【請求項9】
装置または設備の性能に関する指標と前記指標を算出するために用いられる属性情報とを含むアセット情報モデルについての設定を受け付ける受付部と、
前記属性情報に関連付く記憶装置の識別情報に基づいて、前記記憶装置から前記属性情報を取得する取得部と、
前記取得部により取得された前記属性情報を用いて、前記指標を算出する算出部と、
前記指標の判定条件に基づき、該指標のステータス異常が発生しているか否かについて、所定の判定を行う判定部と、
前記判定部の判定結果に基づき対象の前記指標の状態に関する情報を、所定の形式で出力する出力部と、
を含むことを特徴とする情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法、および情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
工場等のプラントにおいて指標を設けて稼働状況を管理する場合、管理する指標および収集する数値等は多岐に渡るため、関係する情報は、プラント情報を管理するシステム等に収集され一元管理される。そのため、プラントの管理や運転を行うスタッフは、プラント情報管理システムに収集した多数のデータから必要なデータを取り出し、加工して、締処理や集計を行う手作業で行う必要があった。
【0003】
そこで、プラントの製造設備の稼動履歴情報を所定のタイミングで取得し、エラー率に基づいて保守推奨設備要素リストを作成し、表示する技術が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来技術では、データの収集と分析、および異常発生の判定にかかる工数の削減が難しい、という問題があった。
【0006】
例えば、従来技術では、エラー率に基づいて保守推奨設備要素リストを作成するが、外部に記憶された情報を自動で収集し、収集したデータを用いて意思決定のための情報への加工を行うことが困難な場合があった。そのため、プラントのスタッフは、管理指標の算出に用いるデータの収集、締め処理、データの集計等の作業を手作業で行わなければならず、意思決定のための情報を得るまでに非常に多くの工数を要する場合があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで、上記の課題を解決し目的を達成するために、本発明の情報処理装置は、装置または設備の性能に関する指標と前記指標を算出するために用いられる属性情報とを含むアセット情報モデルについての設定を受け付ける受付部と、前記属性情報に関連付く記憶装置の識別情報に基づいて、前記記憶装置から前記属性情報を取得する取得部と、前記取得部により取得された前記属性情報を用いて、前記指標を算出する算出部と、前記指標の判定条件に基づき、該指標のステータス異常が発生しているか否かについて、所定の判定を行う判定部と、前記判定部の判定結果に基づき対象の前記指標の状態に関する情報を、所定の形式で出力する出力部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、データの収集と分析、および異常発生の判定にかかる工数の削減を可能とする、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本実施形態に係るアセット情報モデルの概要を示す図である。
【
図2】
図2は、本実施形態に係る情報処理装置の装置構成の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、本実施形態に係るアセット情報モデル構築のためのテンプレートの一例を示す図である。
【
図4】
図4は、本実施形態に係るステータス異常の通知方法の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、本実施形態に係る詳細画面の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、本実施形態に係る情報処理手順についてのフローチャートである。
【
図7】
図7は、本実施形態に係る情報処理装置の機能を実現するコンピュータの一例を示すハードウェア構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
ここから、実施の形態(以降、「実施形態」)について図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明において、共通する構成要素には同一の参照符号を付し、繰り返しの説明を省略する。また、以下に記載する実施形態の説明は、本発明に係る情報処理装置、情報処理方法、および情報処理プログラムを限定するものではない。
【0011】
〔1.全体概要〕
本実施形態に係る情報処理装置100は、アセット(装置や設備等のことで、以降は「アセット」と表記)の性能や効率(パフォーマンス)をリアルタイムに管理する技術を提供する。
【0012】
従来、スタッフは、製品の製造予定や製造実績の管理、原料の予実管理、製造の効率改善等の意思決定のために、プラントの情報管理システム等に収集された多数のデータから必要なデータを取り出し、加工して、締処理や集計を行う必要があった。しかしながら、スタッフは、前述したデータの収集、加工、集計等を人手で行うため、目的の情報を作成するまでに非常に多くの時間工数がかかる場合があった。
【0013】
そこで、情報処理装置100は、アセットをツリー構造といった階層構成を定義できるアセットツリーという概念、およびアセット情報モデルを用いる。それにより、情報処理装置100は、属性情報(管理指標の算出に用いるデータのことで、以降は「属性情報」と表記)の収集、属性情報を用いた指標(アセットの性能や効率を管理するための指標のことで、以降は単に「指標」と表記)の算出、およびアセットのステータス情報の出力等を自動的かつリアルタイムに実現する。その結果として、情報処理装置100は、データの収集と分析、および異常発生の判定に多くの工数の削減を可能とする。
【0014】
ここから、
図1を用いてアセットツリー構造を有するアセット情報モデルについて説明する。
図1は、本実施形態に係るアセット情報モデルの概要を示す図である。なお、
図1ではボイラーおよびタービンのパフォーマンスを管理するためのアセット情報モデルを例に挙げて説明するが、本実施形態に係る情報処理装置100が適用できる技術領域はこれに限定されない。また、
図1に記載されている情報は、あくまで一例でありこれに限定されない。
【0015】
アセット情報モデルは、アセットの構成要素のパフォーマンスを示す指標(例えば、アセットKPI(Key Performance Indicator)といった管理指標の計算値等)と、指標を算出するために用いる属性情報と、イベント(ステータス異常の判定)とにより構成される。
図1の一例では、親となるアセット情報モデルは、「BTG:Boiler Turbine Generator(以降、「BTG」と表記)」である。さらに、親となるアセット情報モデルには、子となるアセット情報モデルとして、「HPT:高圧タービン(以降、「HPT」と表記)」と、「LPT:低圧タービン(以降、「LPT」と表記)」と、「HEX:熱交換器(以降、「HEX」と表記)」と、が含まれる。なお、親となるアセット情報モデルに含まれる子となるアセット情報モデルの数は限定されない。また、子となるアセット情報モデルには、更に孫や曾孫となるアセット情報モデルが含まれていてよい。
【0016】
指標は、アセットの管理指標であり属性情報を用いて所定の計算式に従って算出される情報である。例えば、
図1における指標は、BTGに含まれる「ボイラー効率」、「タービン効率」、「軸効率」と、HPTに含まれる「高圧タービン効率」、「高圧タービン発電量」と、HEXに含まれる「総括伝熱係数U値」である。
【0017】
属性情報は、前述の指標を算出するために用いるデータや情報である。なお、属性情報は、内部システム300のデータだけでなく外部システム400にも記憶されている。例えば、外部システム400は、ERP401(Enterprise Resource Planning:基幹システム)、LIMS402(Laboratory Information Management System:ラボラトリー情報管理システム)、CMMS403(Computerized Maintenance Management System:設備保全管理システム)等が含まれる。
【0018】
例えば、
図1における属性情報は、BTGに含まれる「主蒸気圧力」、「NOx濃度」と、HEXに含まれる「チューブ本数」、「低温入口温度」である。前述の「主蒸気圧力」と「低温入口温度」とは、内部システム300に記憶されたデータである。また、NOx濃度は、分析装置による分析値であるためラボデータとしてLIMS402(外部システム400)に記憶されている。また、チューブ本数は、CMMS403に記憶されている。
【0019】
イベント(ステータス異常の判定)は、各指標に対してアセットの状態(正常または異常)の判定を定義できる。また、イベントは、異常としての判定されたときの通知処理も定義される。例えば、
図1においては、イベントが定義されているのは、ボイラー効率と、高圧タービン効率と、総括伝熱係数U値とである。
【0020】
前述してきたように、アセット情報モデルでは、属性情報と当該属性情報が記憶された所定の記憶装置とが紐づけられている。そのため、情報処理装置100は、アセット情報モデルに基づいて自動で前述の記憶装置から属性情報を取得して、指標を算出することができる。さらに、情報処理装置100は、算出された指標が上限値または下限値に含まれるかを判定する。そして、情報処理装置100は、指標が範囲外となる場合にスタッフに対するリアルタイムでのステータス異常の通知や、アセット情報モデルから詳細画面への展開することができる。
【0021】
〔2.情報処理装置の構成〕
ここから、
図2を用いて、実施形態に係る情報処理装置100の構成について説明する。
図2は、本実施形態に係る情報処理装置100の装置構成の一例を示す図である。
図2に示すように、情報処理装置100は、通信部110と、記憶部120と、制御部130とを有する。なお、
図2に図示していないが、情報処理装置100は、各種操作を受け付ける入力部(例えば、タッチパネルや、キーボードや、マウス等)を備えてもよい。
【0022】
(通信部110)
通信部110は、NIC(Network Interface Card)等によって実現される。そして、通信部110は、必要に応じて所定の通信網NWと有線または無線で接続され、双方向に情報の送受信を行うことができる。例えば、通信部110は、端末装置200、内部システム300、外部システム400等と双方向に情報の送受信を行うことができる。
【0023】
(記憶部120)
記憶部120は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現される。
図2に示す通り、記憶部120は、テンプレート記憶部121と、指標記憶部122と、属性情報記憶部123と、イベント情報記憶部124と、アセット情報モデル記憶部125とを有する。
【0024】
(テンプレート記憶部121)
テンプレート記憶部121は、アセット情報モデルを設定する場合に用いる雛形情報である。テンプレート記憶部121は、予め設定されたアセット情報モデル、または当該アセット情報モデルに含まれる指標ごとの共通部分に関する情報である。
【0025】
ここで、
図3を用いて、テンプレートの概要について説明する。
図3は、本実施形態に係るアセット情報モデル構築のためのテンプレートの一例を示す図である。前述したように、本実施形態においては、アセットごとに目的の指標および属性情報が異なる。そこで、情報処理装置100は、アセットごとに設定される指標と、属性情報と、イベントとが定義されたテンプレートを用いることができる。
【0026】
例えば、
図3上図に示すアセット情報モデルに含まれるHEXのテンプレートでは、指標として「総括伝熱係数U値」と、属性情報として「チューブ本数」および「低温入口温度」とが定義される。このアセット情報モデルのテンプレートにおいて該当する指標は、「総括伝熱係数(U)=伝熱量(Q)÷伝熱面積(A)×平均温度差(ΔT)」と定義される。そして、前述の式に含まれる「Q」、「A」、「T」の計算において、属性情報のチューブ本数、低温入口温度を使用するように定義される。
【0027】
(指標記憶部122)
ここから、
図2に戻り説明を続ける。指標記憶部122は、アセットの管理指標である属性情報を用いて、所定の計算式に従って算出される指標に関する情報を記憶する。さらに、指標記憶部122は、後述の判定部134により、算出された指標が所定の範囲内に含まれるか否かを判定する際に用いる、上限値および下限値に関する情報を記憶する。
【0028】
(属性情報記憶部123)
属性情報記憶部123は、前述の指標を算出するために用いるデータや情報を記憶する。具体的には、属性情報記憶部123は、後述の取得部132により内部システム300または外部システム400から取得された属性情報を記憶することができる。
【0029】
また、属性情報記憶部123は、属性情報の上限値あるいは下限値を算出するための情報である上下限値属性情報を記憶することができる。なお、ここでいう上下限属性情報は、所定の記憶装置に記憶されている。
【0030】
(イベント情報記憶部124)
イベント情報記憶部124は、イベント情報として、アセットの各指標の状態(正常または異常)について記憶する。例えば、イベント情報記憶部124は、イベント情報として、アセットの指標が所定の閾値範囲を超えるか否かに基づき判定された判定結果を記憶してよい。
【0031】
(アセット情報モデル記憶部125)
アセット情報モデル記憶部125は、前述した指標と、属性情報と、イベント情報とに基づき構成されるアセット情報モデルを記憶することができる。なお、アセット情報モデル記憶部125は、アセットごとに設定されたアセット情報モデルを記憶することができる。
【0032】
(制御部130)
制御部130は、プロセッサ(Processor)や、MPU(Micro Processing Unit)や、CPU(Central Processing Unit)等が、記憶部120に記憶されている各種プログラムについて、RAMを作業領域として実行することにより、実現される。また、制御部130は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のIC(Integrated Circuit)により実現される。
図2に示す通り、制御部130は、受付部131と、取得部132と、算出部133と、判定部134と、出力部135とを有する。
【0033】
(受付部131)
受付部131は、装置または設備(アセット)の性能に関する指標と指標を算出するために用いられる属性情報とを含むアセット情報モデルについての設定を受け付ける。本実施形態においては、アセットごとに目的の指標および属性情報は異なるため、前述してきたアセット情報モデルは、アセットごとに異なる設定がなされる。そこで、受付部131は、アセットごとの指標および当該指標を算出するために用いる属性情報、および当該属性情報を記憶する記憶装置(内部システム300または外部システム400)についての所定の設定を受け付ける。
【0034】
例えば、
図1に示す通り、受付部131は、「BTG」のアセット情報モデルを構築する際に、指標として「ボイラー効率」、「タービン効率」、「軸効率」を含めるといったアセット情報モデルの設定を受け付けることができる。
【0035】
さらに、受付部131は、属性情報として「主蒸気圧力(内部システム300)」、「NOx濃度(LIMS402)」の設定を受け付ける。なお、属性情報には、当該属性情報が記憶されている所定の記憶装置を識別する情報が含まれていてよい。例えば、属性情報は、属性情報である主蒸気圧力は内部システム300に記憶されている、といったように当該属性情報を識別するための情報を含んでいてよい。
【0036】
さらに、受付部131は、ステータス異常を判定するイベントの設定を受け付ける。例えば、受付部131は、ボイラー効率が所定の閾値の範囲を超える場合に、ステータス異常の発生判定する、といったイベントの設定を受け付けてよい。
【0037】
さらに、受付部131は、装置または設備(アセット)の管理指標としての計算値である指標と、当該指標の計算に用いる属性情報とを含むアセット情報モデルについて、予め定められたテンプレートに基づく設定を受け付けることができる。具体的には、受付部131は、予め定められたアセット情報モデルの共通項目について、テンプレートに基づく設定を受け付けることができる。
【0038】
例えば、
図3に示す通り、受付部131は、HEXの場合、「熱交モデルTmp」というテンプレートを用いて、指標が「総括電熱計数U値」、属性情報が「チューブ本数」および「低温入口温度」、といったようにアセット情報モデルの共通部分についての設定を受け付けることができる。
【0039】
(取得部132)
ここで、
図2に戻り説明を続ける。取得部132は、属性情報に関連付く記憶装置(内部システム300または外部システム400)の識別情報に基づいて、記憶装置から属性情報を取得する。具体的には、取得部132は、記憶装置の識別情報に基づいて内部の記憶装置(例えば、内部システム300等)または外部の記憶装置(例えば、外部システム400等)を識別し、アセット情報モデルと関連付く属性情報を記憶装置ごとに取得する。
【0040】
前述してきた通り、本実施形態に係る属性情報は、一か所に集約されて記憶されていない場合があり、内部システム300や外部システム400(ERP401、LIMS402、CMMS403等)に分散して記憶されている場合がある。そういった場合に、取得部132は、属性情報に含まれる当該属性情報が記憶されている記憶装置を識別する識別情報に基づいて、指標の計算に用いる属性情報を取得することができる。
【0041】
例えば、
図1に示す通り、取得部132は、識別情報を用いて対象となる記憶装置を識別することにより、アセット情報モデルのBTGにおいて、タービン効率(指標)を計算するために用いる属性情報として「主蒸気圧力」を内部システム300から、「NOx濃度」をLIMS402から取得できる。
【0042】
(算出部133)
ここで、再び
図2に戻り説明を続ける。算出部133は、アセット情報モデルに含まれる指標と、当該指標が所定の範囲内にあるか否かを判定部134が判定する際に用いる所定の閾値を算出する。なお、算出部133は、更に第1算出部1331と第2算出部1332とを有し、前述した算出処理を各機能部で実施する。
【0043】
(第1算出部1331)
第1算出部1331は、取得部132により取得された属性情報を用いて、指標を算出する。例えば、第1算出部1331は、指標として「総括伝熱係数U値」を算出するために属性情報として「チューブ本数」および「低温入口温度」を用いて算出してよい。具体的には、第1算出部1331は、総括伝熱係数U値を算出する計算式として「総括伝熱係数(U)=伝熱量(Q)÷伝熱面積(A)×平均温度差(ΔT)」を用いて、当該指標を算出してよい。なお、第1算出部1331は、前述した計算式に含まれる「Q」、「A」、「T」の計算において、属性情報のチューブ本数、低温入口温度を使用してよい。
【0044】
(第2算出部1332)
第2算出部1332は、上下限値属性情報に基づき、所定の閾値を算出する。ここでいう、上下限属性値情報とは、記憶装置(内部システム300または外部システム400)に記憶された属性情報の上下限値を定めるための情報である。第2算出部1332は、前述の上下限値属性情報を用いて、自動かつリアルタイムに所定の閾値を算出することができる。なお、前述した上下限値属性情報は、データ形式や内容について特に限定されるものではない。例えば、上下限値属性情報は、これまでの累積情報から推定された推定値、アセットの仕様等に基づいて定められた仕様値、機械学習等の学習モデルに基づいて推定された推定値等であってよい。
【0045】
(判定部134)
判定部134は、指標の判定条件に基づき、指標のステータス異常が発生しているか否かについて、所定の判定を行う。具体的には、判定部134は、所定の判定として、第2算出部1332により算出された所定の閾値に基づいて、指標が所定の閾値の範囲外に含まれる場合に、指標のステータス異常が発生していると判定する。
【0046】
(出力部135)
出力部135は、判定部134の判定結果に基づき対象の指標の状態に関する情報を、所定の形式で出力する。具体的には、出力部135は、所定の階層構造として、アセット情報モデルと、アセット情報モデルに含まれる下位の指標とのそれぞれのステータス異常を組み合わせて、リアルタイムに端末装置200等に出力する。
【0047】
ここで、
図4を用いて出力部135により出力されるステータス異常の表示について説明をする。
図4は、本実施形態に係るステータス異常の通知方法の一例を示す図である。
図4には、前述してきたアセット情報モデルに基づいてアセットツリー構造として表示されるステータス確認画面10が示されている。なお、
図4のステータス確認画面10では、アセットツリー構造の左に行くほど上位のノードである。
【0048】
ステータス確認画面10では、ステータス正常が「黒」、ステータス異常が「白」として表示されている。更に、ステータス確認画面10では、円の内部で「自ノードのステータス」と自ノードに含まれる「ツリー下位(下位ノード)のステータス」を、組み合わせて表示することができる。具体的には、出力部135は、自ノードに含まれる下位ノードの指標全て、もしくは下位ノードを含まない自ノードが正常の場合は「黒の全円」、自ノードに含まれる下位ノードのいずれかがステータス異常の場合は「黒の上半円」としてステータス異常をリアルタイムに出力できる。なお、ステータス確認画面10に示された半円の色は、端末装置200等が表現可能な色彩であれば、特に限定されない。
【0049】
さらに、出力部135は、ステータス確認画面10だけでなく、メールやチャットツールと連携してスタッフにステータス異常を知らせる出力を行ったり、デスクトップ通知(例えば、
図4のアラーム通知20を参照)等によりスタッフの操作する端末装置200上に直接通知をする出力を行ったりできる。
【0050】
また、出力部135は、所定の形式としてアセットツリー構造を有するアセット情報モデルと、アセット情報モデルに含まれる指標の状態に関する情報とを、所定の階層構造で出力することができる。
【0051】
例えば、出力部135は、アセットツリー構造で表示されたアセット情報モデルの一連情報から、当該アセット情報モデルに含まれる指標の状態を出力することができる。ここで、
図5を用いて、出力部135による指標の状態に関する情報の出力についての一例を説明する。
図5は、本実施形態に係る詳細画面の一例を示す図である。
【0052】
図5に示す通り、出力部135は、スタッフの操作に基づいて、ステータス確認画面10から各詳細画面に遷移するように情報を出力することができる。例えば、
図5の一例では、出力部135は、ダッシュボード11として、各アセットの指標を一覧形式で視覚化して出力することができる。また、出力部135は、関連する属性情報のヒストリトレンド12として、関連する属性情報を時系列順にトレンドグラフで出力することができる。
【0053】
また、出力部135は、発生アラーム情報13として、これまで発生したアラームの一覧情報および発生アラームに関する情報の一覧を出力することができる。また、出力部135は、他アプリケーションの画面14として情報処理装置100と連携するアプリケーションやシステムの管理ツール(例えば、ERP、LIMS、CMMSの管理画面等)を出力することができる。
【0054】
(端末装置200)
ここで、再び
図2に戻り説明を続ける。端末装置200は、情報処理装置100から所定の情報を受け付けてスタッフに表示を行う情報処理端末である。なお、端末装置200は、スマートデバイス、デスクトップPC(Personal Computer)やノートPC、PDA(Personal Digital Assistant)等、あるいはユーザの身体に装着するウェアラブルデバイス等であってもよい。なお、本実施形態においては、端末装置200は、複数台含まれていてよい。
【0055】
(内部システム300)
内部システム300は、所定の属性情報を記憶するシステムである。なお、ここでいう内部とは、「社内」、「オンプレミス」、「同一社内またはグループで開発され運用しているシステム」といった内容を指す。また、本実施形態においては、内部システム300は、複数含まれていてよい。
【0056】
(外部システム400)
外部システム400は、所定の属性情報を記憶するシステムである。なお、ここでいう外部とは、「外部の会社から提供されるシステム(例えば、SaaS等)」、「クラウドサーバ」、といった内容を指す。また、本実施形態においては、外部システム400は、複数含まれていてよい。
【0057】
〔3.処理手順〕
ここから、本実施形態に係る情報処理装置100の情報処理手順を、
図6を用いて説明する。
図6は、本実施形態に係る情報処理手順についてのフローチャートである。なお、以下に記載する各ステップは、異なる順序で実行されてもよいし、省略される処理があってもよい。また、各実施形態の処理手順を適宜組み合わせて実施されてよい。
【0058】
受付部131は、アセット情報モデルの設定を受け付ける(工程S101)。なお、受付部131は、個別にアセット情報モデルを受け付けてもよいし、所定のテンプレートに基づいて入力されたアセット情報モデルを受け付けてもよい。
【0059】
取得部132は、属性情報に含まれる記憶装置の識別情報に基づき、対象の記憶装置から所定の属性情報を取得する(工程S102)。第1算出部1331は、対象の属性情報を用いて対象の指標を算出する(工程S103)。第2算出部1332は、対象の上下限属性情報を用いて所定の閾値を算出する(工程S104)。
【0060】
判定部134は、指標について指標のステータス異常の判定を実施する(工程S105)。ここで、判定部134によりステータス異常有りと判定された場合(工程S106のYes)、出力部135は、ステータス異常に関する情報を出力し(工程S107)、工程を終了する。他方、判定部134によりステータス異常無しと判定された場合(工程S106のNo)、ステータス正常に関する情報を出力し(工程S108)、工程を終了する。
【0061】
〔4.効果〕
従来技術では、エラー率に基づいて保守推奨設備要素リストが作成されるが、外部の記憶装置に記憶された情報を自動で収集し、収集したデータを用いて意思決定のための情報への加工を行いスタッフに表示する、ということが困難な場合があった。そのため、プラントのスタッフは、人の手により管理指標の算出に用いるデータの収集、締め処理、データの集計等の作業を手作業で行わなければならず、意思決定のための情報を得るまでに非常に多くの工数を要する場合があった。
【0062】
そこで、本実施形態に係る情報処理装置100の受付部131は、装置または設備の性能に関する指標と指標を算出するために用いられる属性情報とを含むアセット情報モデルについての設定を受け付ける。情報処理装置100の取得部132は、属性情報に関連付く記憶装置の識別情報に基づいて、記憶装置から属性情報を取得する。情報処理装置100の算出部133は、取得部132により取得された属性情報を用いて、指標を算出する。情報処理装置100の判定部134は、指標の判定条件に基づき、指標のステータス異常が発生しているか否かについて、所定の判定を行う。情報処理装置100の出力部135は、判定部134の判定結果に基づき対象の指標の状態に関する情報を、所定の形式で出力する、ことを特徴とする。さらに、情報処理装置100の取得部132は、記憶装置の識別情報に基づいて内部または外部の記憶装置を識別し、アセット情報モデルと関連付く属性情報を記憶装置ごとに取得できる。そのため、本実施形態によれば、下記の効果を奏する。
【0063】
情報処理装置100は、データの収集と分析、および異常発生の判定にかかる工数の削減を可能とする、という効果を提供する。具体的には、従来、スタッフが手作業でデータの収集および抽出を行い、意思決定に用いる情報へと成形を行っていたが、情報処理装置100は、データの収集、集計、加工、および異常発生の判定を自動で実施する技術を提供する。それにより、情報処理装置100は、スタッフの手作業の工数を削減することを可能とする。
【0064】
情報処理装置100は、所定の階層構造として、アセット情報モデルと、アセット情報モデルに含まれる下位の指標とのそれぞれのステータス異常を組み合わせて、リアルタイムに出力する。それにより、情報処理装置100は、異常発生時の察知および対処を従来よりも迅速化する、という効果を提供する。
【0065】
情報処理装置100は、上下限属性情報を所定の記憶装置から取得して、指標の上下限値(閾値)を自動で設定することができる。それにより、情報処理装置100は、属性情報を取得し、指標を算出し、更に自動で上下限値を設定および更新することで、リアルタイムかつ自動によるステータス異常の監視を実現する、という効果を提供する。
【0066】
情報処理装置100は、装置または設備の管理指標としての計算値である指標と、該指標の計算に用いる属性情報とを含むアセット情報モデルについて、予め定められたテンプレートに基づく設定を受け付ける。それにより、情報処理装置100は、従来、エンジニアやスタッフが多数のアセット情報モデルを作成していたところを、各アセット情報モデルに対するテンプレートを用いることで、対象のアセット情報モデルの効率的な構築を可能とする。
【0067】
〔5.ハードウェア構成〕
本実施形態に係る情報処理装置100は、例えば、
図7に示すような構成のコンピュータ1000によって実現される。
図7は、本実施形態に係る情報処理装置100の機能を実現するコンピュータの一例を示すハードウェア構成図である。コンピュータ1000は、CPU1100、RAM1200、ROM1300、補助記憶装置1400、通信I/F(インタフェース)1500、入出力I/F(インタフェース)1600が、バス1800により接続された形態を有する。
【0068】
CPU1100は、ROM1300または補助記憶装置1400に格納されたプログラムに基づいて動作し、各部の制御を行う。ROM1300は、コンピュータ1000の起動時にCPU1100によって実行されるブートプログラムや、コンピュータ1000のハードウェアに依存するプログラム等を格納する。
【0069】
補助記憶装置1400は、CPU1100によって実行されるプログラム、および、係るプログラムによって使用されるデータ等を格納する。通信I/F1500は、所定の通信網NWを介して他の機器からデータを受信してCPU1100へ送り、CPU1100が生成したデータを所定の通信網NWを介して他の機器へ送信する。CPU1100は、入出力I/F1600を介して、ディスプレイやプリンタ等の出力装置、および、キーボードやマウス等の入出力装置1700を制御する。CPU1100は、入出力I/F1600を介して、入出力装置1700からデータを取得する。また、CPU1100は、生成したデータについて入出力I/F1600を介して入出力装置1700へ出力する。
【0070】
例えば、コンピュータ1000が本実施形態に係る情報処理装置100として機能する場合、コンピュータ1000のCPU1100は、RAM1200上にロードされたプログラムを実行することにより、制御部の機能を実現する。
【0071】
〔6.その他〕
前述の実施形態および変形例において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。例えば、各図に示した各種情報は、図示した情報に限られない。
【0072】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の通り構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況等に応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。
【0073】
前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述してきた実施形態および変形例は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。
【0074】
また、前述してきた「部(section、module、unit)」は、「手段」や「回路」等に読み替えることができる。例えば、制御部は、制御手段や制御回路に読み替えることができる。
【0075】
以上、実施形態のいくつかを図面に基づいて詳細に説明したが、これらは例示であり、発明の開示の欄に記載の態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施した他の形態で、本実施形態について実施をすることが可能である。
【符号の説明】
【0076】
10 ステータス確認画面
11 ダッシュボード
12 ヒストリトレンド
13 発生アラーム情報
14 他アプリケーションの画面
20 アラーム通知
100 情報処理装置
110 通信部
120 記憶部
121 テンプレート記憶部
122 指標記憶部
123 属性情報記憶部
124 イベント情報記憶部
125 アセット情報モデル記憶部
130 制御部
131 受付部
132 取得部
133 算出部
1331 第1算出部
1332 第2算出部
134 判定部
135 出力部
200 端末装置
300 内部システム
400 外部システム
401 ERP
402 LIMS
403 CMMS
1000 コンピュータ
1100 CPU
1200 RAM
1300 ROM
1400 補助記憶装置
1500 通信I/F
1600 入出力I/F
1700 入出力装置
1800 バス
NW 所定の通信網