(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024105067
(43)【公開日】2024-08-06
(54)【発明の名称】光モジュール
(51)【国際特許分類】
H01S 5/02255 20210101AFI20240730BHJP
H01S 5/024 20060101ALI20240730BHJP
【FI】
H01S5/02255
H01S5/024
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023009615
(22)【出願日】2023-01-25
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100136722
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼木 邦夫
(74)【代理人】
【識別番号】100176658
【弁理士】
【氏名又は名称】和田 謙一郎
(72)【発明者】
【氏名】中村 勇貴
(72)【発明者】
【氏名】京野 孝史
【テーマコード(参考)】
5F173
【Fターム(参考)】
5F173MA10
5F173MB03
5F173MC01
5F173MD64
5F173ME22
5F173ME44
5F173MF18
5F173MF27
5F173MF28
5F173MF29
5F173MF39
5F173MF40
(57)【要約】
【課題】小型化を実現可能な光モジュールを提供する。
【解決手段】一実施形態に係る光モジュールは、第1レーザ光を出力する第1発光素子と、第2レーザ光を出力する第2発光素子と、第1レーザ光および第2レーザ光の合波光として検知光を出力するとともに、検知光と反対に向けて伝播してきた戻り光を第1戻り光と第2戻り光とに分ける合波部と、第1戻り光を受ける受光部と、第1発光素子と合波部との間に配置される第1光路変更部とを備え、第1発光素子と第2発光素子とは、第1発光素子からの第1レーザ光の出力方向と第2発光素子からの第2レーザ光の出力方向とが交差するように配置されており、受光部は、第1発光素子と第2発光素子との間に配置されており、第1光路変更部は、第1発光素子からの第1レーザ光を合波部に向けて通すとともに、合波部からの第1戻り光を受光部に向けて反射する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1レーザ光を出力する第1発光素子と、
第2レーザ光を出力する第2発光素子と、
前記第1レーザ光および前記第2レーザ光を合波する合波部であって、前記第1レーザ光および前記第2レーザ光の合波光として検知対象範囲内の物体を検知するための検知光を出力するとともに、前記検知光が照射された前記物体から前記検知光と反対に向けて伝播してきた戻り光を前記第1発光素子に向かう第1戻り光と前記第2発光素子に向かう第2戻り光とに分ける前記合波部と、
少なくとも前記第1戻り光を受ける受光部と、
前記第1発光素子と前記合波部との間に配置される第1光路変更部と、
を備え、
前記第1発光素子と前記第2発光素子とは、前記第1発光素子からの前記第1レーザ光の出力方向と前記第2発光素子からの前記第2レーザ光の出力方向とが交差するように配置されており、
前記受光部は、前記第1発光素子と前記第2発光素子との間に配置されており、
前記第1光路変更部は、前記第1発光素子からの前記第1レーザ光を前記合波部に向けて通すとともに、前記合波部からの前記第1戻り光を前記受光部に向けて反射する、
光モジュール。
【請求項2】
前記第2発光素子と前記合波部との間に配置される第2光路変更部を備え、
前記第2光路変更部は、前記第2発光素子からの前記第2レーザ光を前記合波部に向けて通すとともに、前記合波部からの前記第2戻り光を前記受光部に向けて反射し、
前記受光部は、前記第1戻り光および前記第2戻り光を受ける、
請求項1に記載の光モジュール。
【請求項3】
前記受光部は、
前記第1戻り光を受ける第1受光素子と、
前記第2戻り光を受ける第2受光素子と、
を有する、
請求項2に記載の光モジュール。
【請求項4】
前記第1光路変更部と前記合波部の間に配置されるとともに、前記第1発光素子からの前記第1レーザ光を前記合波部に向けてコリメート光として出力する第1コリメート部と、
前記第2光路変更部と前記合波部の間に配置されるとともに、前記第2発光素子からの前記第2レーザ光を前記合波部に向けてコリメート光として出力する第2コリメート部と、
を備える、
請求項2に記載の光モジュール。
【請求項5】
前記受光部は、前記第1戻り光を受けるとともに、前記第2戻り光を受ける単一の受光素子である、
請求項2に記載の光モジュール。
【請求項6】
前記第1光路変更部と前記合波部の間に配置されるとともに、前記第1発光素子からの前記第1レーザ光を前記合波部に向けてコリメート光として出力する第1コリメート部と、
前記第2光路変更部と前記合波部の間に配置されるとともに、前記第2発光素子からの前記第2レーザ光を前記合波部に向けてコリメート光として出力する第2コリメート部と、
を備え、
前記受光素子は、前記第1光路変更部から前記受光素子に向かう前記第1戻り光の光路および前記第2光路変更部から前記受光素子に向かう前記第2戻り光の光路において、前記第1光路変更部および前記第2光路変更部に対し、前記第1コリメート部による前記第1戻り光の集光位置および前記第2コリメート部による前記第2戻り光の集光位置より遠い位置に配置されている、
請求項5に記載の光モジュール。
【請求項7】
前記合波部に入射される前記第1レーザ光および前記第2レーザ光の偏光方向は90°異なる、
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の光モジュール。
【請求項8】
前記第1レーザ光の中心波長と前記第2レーザ光の中心波長との差は30nm以上である、
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の光モジュール。
【請求項9】
前記第1レーザ光は赤外光であり、
前記第2レーザ光は可視光である、
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の光モジュール。
【請求項10】
前記検知光を走査する走査部であって、前記戻り光を前記合波部に向けて出力する前記走査部を備える、
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の光モジュール。
【請求項11】
前記走査部は、前記検知光を反射するとともに、走査するための走査ミラーを有し、
前記走査ミラーの面積は、前記検知光の進行方向に対して垂直な断面での前記検知光の面積の1.5倍以上20倍以下である、
請求項10に記載の光モジュール。
【請求項12】
温度調整器を更に備え、
前記第1発光素子および前記第2発光素子は、前記温度調整器に搭載されている、
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の光モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
LiDAR(Light Detection and Ranging、あるいはLaser Imaging Detection and Ranging)のように物体を検知する装置(検知装置)が知られている。このような検知装置は、検知対象範囲内の物体を検知するために、検知光を走査しながら出力するとともに、検知光が照射された物体から戻ってきた戻り光を検出する。特許文献1から特許文献5には、検知光を走査しながら出力するとともに、物体に向けて伝播した検知光の光路を逆方向に戻ってきた戻り光を検出する光モジュールが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-170965号公報
【特許文献2】特開2021-093794号公報
【特許文献3】国際公開第2018/101226号
【特許文献4】特開2018-72097号公報
【特許文献5】特開2018-91630号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
たとえば、検知光の光量の増加、検知対象範囲の可視化などために、光モジュールが備える発光素子の数を増やす場合がある。この場合、光モジュールのサイズが大きくなる傾向にある。一方、光モジュールを備える検知装置は小型化が求められていることから、光モジュールについても小型化が求められている。
【0005】
本開示は、小型化を実現可能な光モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態に係る光モジュールは、第1レーザ光を出力する第1発光素子と、第2レーザ光を出力する第2発光素子と、前記第1レーザ光および前記第2レーザ光を合波する合波部であって、前記第1レーザ光および前記第2レーザ光の合波光として検知対象範囲内の物体を検知するための検知光を出力するとともに、前記検知光が照射された前記物体から前記検知光と反対に向けて伝播してきた戻り光を前記第1発光素子に向かう第1戻り光と前記第2発光素子に向かう第2戻り光とに分ける前記合波部と、少なくとも前記第1戻り光を受ける受光部と、前記第1発光素子と前記合波部との間に配置される第1光路変更部と、を備え、前記第1発光素子と前記第2発光素子とは、前記第1発光素子からの前記第1レーザ光の出力方向と前記第2発光素子からの前記第2レーザ光の出力方向とが交差するように配置されており、前記受光部は、前記第1発光素子と前記第2発光素子との間に配置されており、前記第1光路変更部は、前記第1発光素子からの前記第1レーザ光を前記合波部に向けて通すとともに、前記合波部からの前記第1戻り光を前記受光部に向けて反射する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、小型化を実現可能な光モジュールを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る光モジュールを適用した検知装置の模式図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態に係る光モジュールの斜視図である。
【
図3】
図3は、
図2に示した光モジュールにおいてカバーを取り外した状態の斜視図である。
【
図4】
図4は、
図3に示したようにカバーが取り外された光モジュールの平面図である。
【
図5】
図5は、
図3に示した第2部分における検知光および戻り光の伝播経路を説明する図面である。
【
図6】
図6は、走査部が有する走査ミラーのサイズと、走査ミラーに入射する検知光のサイズとの関係を説明するための図面である。
【
図7】
図7は、光モジュールの変形例1を説明するための図面である。
【
図8】
図8は、第2実施形態に係る光モジュールを説明するための図面である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に、本開示の実施形態の内容を列記して説明する。
【0010】
[1]本開示の一側面に係る光モジュールは、第1レーザ光を出力する第1発光素子と、第2レーザ光を出力する第2発光素子と、前記第1レーザ光および前記第2レーザ光を合波する合波部であって、前記第1レーザ光および前記第2レーザ光の合波光として検知対象範囲内の物体を検知するための検知光を出力するとともに、前記検知光が照射された前記物体から前記検知光と反対に向けて伝播してきた戻り光を前記第1発光素子に向かう第1戻り光と前記第2発光素子に向かう第2戻り光とに分ける前記合波部と、少なくとも前記第1戻り光を受ける受光部と、前記第1発光素子と前記合波部との間に配置される第1光路変更部と、を備え、前記第1発光素子と前記第2発光素子とは、前記第1発光素子からの前記第1レーザ光の出力方向と前記第2発光素子からの前記第2レーザ光の出力方向とが交差するように配置されており、前記受光部は、前記第1発光素子と前記第2発光素子との間に配置されており、前記第1光路変更部は、前記第1発光素子からの前記第1レーザ光を前記合波部に向けて通すとともに、前記合波部からの前記第1戻り光を前記受光部に向けて反射する。
【0011】
上記[1]に記載の光モジュールは、検知光を出力できるとともに、戻り光を検出できる。そのため、上記光モジュールは、検知装置(例えばリモートセンサ)に利用できる。上記光モジュールでは、第1発光素子と第2発光素子とは、第1発光素子からの第1レーザ光の出力方向と第2発光素子からの第2レーザ光の出力方向とが交差するように配置されている。このように配置された第1発光素子と第2発光素子の間に受光部が配置されている。すなわち、上記光モジュールでは、第1発光素子と第2発光素子の間のスペースを受光部の配置に利用している。そのため、第1発光素子と第2発光素子とを備えた光モジュールであっても、光モジュールの小型化を図ることができる。
【0012】
[2]上記[1]に記載の光モジュールは、前記第2発光素子と前記合波部との間に配置される第2光路変更部を備え、前記第2光路変更部は、前記第2発光素子からの前記第2レーザ光を前記合波部に向けて通すとともに、前記合波部からの前記第2戻り光を前記受光部に向けて反射し、前記受光部は、前記第1戻り光および前記第2戻り光を受けてもよい。
【0013】
上記[2]に記載の光モジュールでは、第1戻り光とともに第2戻り光も検出できる。そのため、物体の検知精度を向上できる。
【0014】
[3]上記[2]に記載の光モジュールにおいて、前記受光部は、前記第1戻り光を受ける第1受光素子と、前記第2戻り光を受ける第2受光素子と、を有してもよい。この場合、第1戻り光に対する第1受光素子の位置調整が容易である。同様に、第2戻り光に対する第2受光素子の位置調整が容易である。
【0015】
[4]上記[2]または[3]に記載の光モジュールは、前記第1光路変更部と前記合波部の間に配置されるとともに、前記第1発光素子からの前記第1レーザ光を前記合波部に向けてコリメート光として出力する第1コリメート部と、前記第2光路変更部と前記合波部の間に配置されるとともに、前記第2発光素子からの前記第2レーザ光を前記合波部に向けてコリメート光として出力する第2コリメート部と、を備えてもよい。
【0016】
上記[4]に記載の光モジュールでは、第1コリメート部から出力された第1レーザ光および第2コリメート部から出力された第2レーザ光が合波部によって合波される。第1コリメート部から出力された第1レーザ光および第2コリメート部から出力された第2レーザ光はコリメート光であることから、合波部から出力される検知光もコリメート光である。すなわち、上記[4]に記載の光モジュールは、コリメート光である検知光を出力できる。第1コリメート部は、第1光路変更部と合波部の間に配置されている。第2コリメート部は、第2光路変更部と合波部の間に配置されている。このような配置では、第1コリメート部および第2コリメート部は、第1戻り光および第2戻り光を集光する集光部として機能する。そのため、第1受光素子および第2受光素子によってより多くの第1戻り光および第2戻り光を受けることが可能である。上記[4]に記載の光モジュールでは、第1戻り光および第2戻り光を集光するための光学素子とは別に設ける必要がないことから、小型化を図ることが可能である。
【0017】
[5]上記[2]に記載の光モジュールにおいて、前記受光部は、前記第1戻り光を受けるとともに、前記第2戻り光を受ける単一の受光素子でもよい。この場合、第1戻り光および第2戻り光を受けるための素子の数が1つである。そのため、光モジュールの製造コストを低減できる。
【0018】
[6]上記[5]に記載の光モジュールは、前記第1光路変更部と前記合波部の間に配置されるとともに、前記第1発光素子からの前記第1レーザ光を前記合波部に向けてコリメート光として出力する第1コリメート部と、前記第2光路変更部と前記合波部の間に配置されるとともに、前記第2発光素子からの前記第2レーザ光を前記合波部に向けてコリメート光として出力する第2コリメート部と、を備え、前記受光素子は、前記第1光路変更部から前記受光素子に向かう前記第1戻り光の光路および前記第2光路変更部から前記受光素子に向かう前記第2戻り光の光路において、前記第1光路変更部および前記第2光路変更部に対し、前記第1コリメート部による前記第1戻り光の集光位置および前記第2コリメート部による前記第2戻り光の集光位置より遠い位置に配置されていてもよい。
【0019】
上記[6]に記載の光モジュールでは、第1コリメート部から出力された第1レーザ光および第2コリメート部から出力された第2レーザ光が合波部によって合波される。第1コリメート部から出力された第1レーザ光および第2コリメート部から出力された第2レーザ光はコリメート光であることから、合波部から出力される検知光もコリメート光である。すなわち、上記[6]に記載の光モジュールは、コリメート光である検知光を出力できる。第1コリメート部は、第1光路変更部と合波部の間に配置されている。第2コリメート部は、第2光路変更部と合波部の間に配置されている。このような配置では、第1コリメート部および第2コリメート部は、第1戻り光および第2戻り光を集光する集光部として機能する。更に、上記受光素子は、第1光路変更部から受光素子に向かう第1戻り光の光路および第2光路変更部から受光素子に向かう第2戻り光の光路において、第1光路変更部および第2光路変更部に対し、第1コリメート部による第1戻り光の集光位置および第2コリメート部による第2戻り光の集光位置より遠い位置に配置されている。そのため、集光位置における高い光パワー密度による受光素子の飽和を避けられ、第1コリメート部および第2コリメート部の収差に合わせて最小錯乱円位置に受光素子の受光面を配置する設計とすることでパワー密度分布も若干フラットにでき、効率よく受光できる。上記[6]に記載の光モジュールでは、第1戻り光および第2戻り光を集光するための光学素子を第1コリメート部および第2コリメート部とは別に設ける必要がないことから、小型化を図ることが可能である。
【0020】
[7]上記[1]から上記[6]のいずれかに記載の光モジュールにおいて、前記合波部に入射される前記第1レーザ光および前記第2レーザ光の偏光方向は90°異なってもよい。この場合、合波部は、上記偏光方向の違いを利用して、第1レーザ光および第2レーザ光を合波できる。逆に、合波部は、偏光方向に違いによって戻り光を第1戻り光と第2戻り光に分けることができる。上記[7]に記載の光モジュールでは光の合波に偏光の違いを利用しているため、第1レーザ光および第2レーザ光の波長は同じでよい。したがって、第1発光素子および第2発光素子として同じ発光素子を利用できる。
【0021】
[8]上記[1]から上記[7]のいずれかに記載の光モジュールにおいて、前記第1レーザ光の中心波長と前記第2レーザ光の中心波長との差は30nm以上であってもよい。この場合、合波部は、波長の違いを利用して、第1レーザ光および第2レーザ光を合波できるとともに、戻り光を第1戻り光と第2戻り光に分けられる。
【0022】
[9]上記[1]から上記[8]のいずれかに記載の光モジュールにおいて、前記第1レーザ光は赤外光であり、前記第2レーザ光は可視光であってもよい。この場合、第1レーザ光を物体の検知に使用し、第2レーザ光を検知対象範囲における検知光の位置のモニタのために利用できる。
【0023】
[10]上記[1]から上記[9]のいずれかに記載の光モジュールは、前記検知光を走査する走査部であって、前記戻り光を前記合波部に向けて出力する前記走査部を備えてもよい。この場合、検知光によって検知対象範囲内を走査しながら検知対象範囲内の物体を検知可能である。
【0024】
[11]上記[10]に記載の光モジュールにおいて、前記走査部は、前記検知光を反射するとともに、走査するための走査ミラーを有し、前記走査ミラーの面積は、前記検知光の進行方向に対して垂直な断面での前記検知光の面積の1.5倍以上20倍以下でよい。この場合、検知光を有効に利用できる。
【0025】
[12]上記[1]から上記[11]のいずれかの光モジュールは、温度調整器を更に備え、前記第1発光素子および前記第2発光素子は、前記温度調整器に搭載されていてもよい。この場合、第1発光素子および第2発光素子の温度を上記温度調整器で調整できる。そのため、第1発光素子および第2発光素子の動作が安定する。
【0026】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の実施形態の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0027】
図1は、一実施形態に係る光モジュールを適用した検知装置の模式図である。検知装置1は、光モジュール10を備える。検知装置1は、検知装置1の外部(光モジュール10の外部)における検知対象範囲2内の任意の物体3を検知するリモートセンサである。検知装置1の一例は、LiDAR(Light Detection and Ranging、あるいはLaser Imaging Detection and Ranging)である。物体3は限定されない。物体3の例は、人、自動車、標識などである。検知装置1は、例えば、自動車、ドローンなどに搭載される。
【0028】
光モジュール10は、上記物体3を検知するための検知光L1を出力する。光モジュール10は、検知対象範囲2内を走査するように検知光L1を2次元的に走査しながら検知光L1を出力する。光モジュール10は、検知対象範囲2内からの戻り光L2を受ける。戻り光L2は、検知光L1が照射された物体3によって反射(例えば拡散反射または散乱反射)された検知光L1である。検知装置1は、光モジュール10から出力する検知光L1の出力タイミング、走査範囲などを制御するとともに、戻り光L2を解析する制御装置(不図示)を備える。
【0029】
以下では、検知装置1に適用される光モジュール10を具体的に説明する。説明の便宜の為、
図2に示したように、互いに直交するX軸、Y軸およびZ軸を用いて、光モジュール10を説明する場合もある。
【0030】
(第1実施形態)
図2は、一実施形態に係る光モジュール10の斜視図である。
図3は、
図2に示された光モジュール10においてカバー142が取り外された状態の斜視図である。
図4は、カバー142が取り外された状態の光モジュール10の平面図である。
【0031】
図3および
図4に示したように、光モジュール10は、第1部分11と第2部分12とを備える。第1部分11は、検知光L1を出力するとともに、戻り光L2を受信する部分である。第1部分11は、検知光L1の送受信部に対応する。第2部分12は、第1部分11からの検知光L1を光モジュール10の外部に出力するように伝播させるとともに、戻り光L2を第1部分11に戻すように戻り光L2を伝播させるための部分である。
【0032】
光モジュール10は、温度調整器の一例であるペルチェ素子(熱電冷却素子)13を備えてもよい。ペルチェ素子13はTEC(ThermoElectric Cooler)とも称される。光モジュール10は、第1部分11および第2部分12を収容する収容部14を備えてもよい。本実施形態では、断らない限り、光モジュール10がペルチェ素子13および収容部14を備える形態を説明する。
【0033】
第1部分11および第2部分12は、ペルチェ素子13に搭載されている。ペルチェ素子13は、吸熱板131と、放熱板132と、複数の半導体柱133を有する。複数の半導体柱133は、吸熱板131と、放熱板132とを連結している。複数の半導体柱133は、互いに離間して配置されている。第1部分11および第2部分12は、上記吸熱板131に搭載されている。
【0034】
第1部分11と第2部分12を具体的に説明する。まず、検知光L1に着目して第1部分11および第2部分12を説明する。
【0035】
[第1部分]
図3および
図4に示したように、第1部分11は、第1発光素子111a、第2発光素子111b、第1コリメート部112a、第2コリメート部112bおよび合波部113を有する。
【0036】
第1部分11は、吸熱板131に固定された台座116に搭載されている。台座116は、例えば接着剤によって吸熱板131に固定されている。台座116の材料としては、窒化アルミニウム(AlN)、コバール(Kv)等が挙げられる。台座116の形状の例は、直方体または立方体である。
【0037】
台座116の表面には、第1素子搭載部117a、第2素子搭載部117bおよび第3素子搭載部117cが固定されている。第1素子搭載部117a、第2素子搭載部117bおよび第3素子搭載部117cの形状の例は、直方体または立方体である。第1素子搭載部117a、第2素子搭載部117bおよび第3素子搭載部117cの材料の例は、台座116の例と同じである。第1素子搭載部117a、第2素子搭載部117bおよび第3素子搭載部117cの材料は、シリコンカーバイド(SiC)でもよい。第1素子搭載部117a、第2素子搭載部117bおよび第3素子搭載部117cは、例えば接着剤によって台座116に固定されている。
【0038】
(第1発光素子)
第1発光素子111aは第1レーザ光L1a(
図4参照)を出力する。第1発光素子111aの例は半導体発光素子である。本実施形態において、第1発光素子111aはレーザダイオード(LD:Laser Diode)である。第1発光素子111aはLDチップでよい。第1レーザ光L1aは、リモートセンサに利用される波長を有する光である。本実施形態において、第1レーザ光L1aは赤外光である。第1レーザ光L1aの波長の範囲は、例えば、800nm以上且つ2500nm以下である。第1レーザ光L1aの波長は、例えば、830nm、850nm、905nm、940nm、1310nmまたは1550nmでよい。本実施形態において、第1発光素子111aから出力される第1レーザ光L1aは第1偏光の光である。第1偏光は、TEモードまたはTMモードである。以下では、断らない限り、第1レーザ光L1aはパルス光である。
【0039】
第1発光素子111aは、第1素子搭載部117aに搭載されている。第1発光素子111aは、例えば導電性接着剤によって第1素子搭載部117aに固定されている。導電性接着剤の例は、銀ペースト、カーボンペーストまたは銅ペーストである。
【0040】
図3および
図4に例示した形態では、第1発光素子111aは、X軸方向に第1レーザ光L1aを出力するように配置されている。換言すれば、X軸方向は、第1発光素子111aから第1レーザ光L1aが出力される方向である。第1発光素子111aの光軸の高さは、台座116の厚さおよび第1素子搭載部117aの厚さによって調整されている。上記第1発光素子111aの光軸の高さは、吸熱板131の表面(台座116が固定されている面)に対する高さである。
【0041】
(第2発光素子)
第2発光素子111bは第2レーザ光L1b(
図4参照)を出力する。第2発光素子111bの例は半導体発光素子である。本実施形態において、第2発光素子111bはLDである。第2発光素子111bはLDチップでよい。第2レーザ光L1bは、リモートセンサに利用される波長を有する光である。本実施形態において、第2レーザ光L1bは赤外光である。第2レーザ光L1bの波長の範囲は、例えば、800nm以上且つ2500nm以下である。本実施形態において、第2レーザ光L1bの中心波長は、第1レーザ光L1aの中心波長と異なる。第1レーザ光L1aと第2レーザ光L1bの中心波長が異なるとは、第1レーザ光L1aの中心波長および第2レーザ光L1bの中心波長の差が少なくとも30nm以上であることを意味する。本実施形態では、第1レーザ光L1aおよび第2レーザ光L1bはともに物体3の検出に利用される。この場合、第1レーザ光L1aの中心波長と第2レーザ光L1bの中心波長の差の上限は、例えば300nmである。第1レーザ光L1aの中心波長と第2レーザ光L1bの中心波長の差は、30nm以上且つ300nm以下でよい。本実施形態において、第2発光素子111bから出力される第2レーザ光L1bは第1偏光の光である。以下では、断らない限り、第2レーザ光L1bはパルス光である。
【0042】
第2発光素子111bは第2素子搭載部117bに搭載されている。第2発光素子111bは、例えば導電性接着剤によって第2素子搭載部117bに固定されている。導電性接着剤の例は、前述したとおりである。
【0043】
第2発光素子111bは、第2レーザ光L1bの出力方向が、第1発光素子111aからの第1レーザ光L1aの出力方向と交差するように配置されている。本実施形態では、第2発光素子111bは、Y軸方向に第2レーザ光L1bを出力するように配置されている。すなわち、Y軸方向は、第2発光素子111bから第2レーザ光L1bが出力される方向である。この場合、第2発光素子111bの光軸(第2レーザ光L1bが出力される方向)は、第1発光素子111aの光軸(第1レーザ光L1aが出力される方向)と直交する。第2発光素子111bの光軸の高さは、台座116の厚さおよび第2素子搭載部117bの厚さによって調整されている。上記第2発光素子111bの光軸の高さは、吸熱板131の表面に対する高さである。第2発光素子111bの光軸の高さは、第1発光素子111aの光軸の高さに一致している。
【0044】
(第1コリメート部)
第1コリメート部112aは台座116に搭載されている。第1コリメート部112aは、第1発光素子111aから出力される第1レーザ光L1aの光路に配置されている。第1コリメート部112aは、第1発光素子111aと合波部113との間に配置されている。上記第1コリメート部112aはレンズでよい。上記レンズは樹脂製レンズでよい。第1コリメート部112aは第1レーザ光L1aをコリメート光(平行光)として出力する。第1コリメート部112aと第1発光素子111aとの間の距離は、実質的に第1コリメート部112aの焦点距離である。第1コリメート部112aは、たとえば、活性エネルギー線硬化樹脂によって台座116に固定されてよい。活性エネルギー線硬化樹脂の例は紫外線硬化樹脂である。
【0045】
(第2コリメート部)
第2コリメート部112bは台座116に搭載されている。第2コリメート部112bは、第2発光素子111bから出力される第2レーザ光L1bの光路に配置されている。第2コリメート部112bは、第2発光素子111bと合波部113との間に配置されている。上記第2コリメート部112bはレンズでよい。上記レンズは樹脂製レンズでよい。第2コリメート部112bは、第2レーザ光L1bをコリメート光(平行光)として出力する。第2コリメート部112bと第2発光素子111bとの間の距離は、実質的に第2コリメート部112bの焦点距離である。第2コリメート部112bは、たとえば、活性エネルギー線硬化樹脂によって台座116に固定されてよい。活性エネルギー線硬化樹脂の例は紫外線硬化樹脂である。
【0046】
(合波部)
合波部113は台座116に搭載されている。合波部113は、第1レーザ光L1aおよび第2レーザ光L1bを合波する。本実施形態では、第1レーザ光L1aおよび第2レーザ光L1bの中心波長が異なる。この場合、合波部113は、波長選択フィルタでよい。具体的には、合波部113は、第1レーザ光L1aを透過するとともに、第2レーザ光L1bを反射する波長選択フィルタでよい。合波部113は、第1レーザ光L1aの光路に沿った方向に第2レーザ光L1bを反射する。これにより、第1レーザ光L1aと第2レーザ光L1bが合波される。その結果、第1レーザ光L1aと第2レーザ光L1bの合波光として、合波部113から検知光L1が出力される。合波部113は、たとえば、活性エネルギー線硬化樹脂によって台座116に固定されてよい。活性エネルギー線硬化樹脂の例は紫外線硬化樹脂である。
【0047】
[第2部分]
第2部分12は、MEMS(走査部)121を有する。MEMS121はMEMSチップでよい。MEMS121は、MEMSミラー(走査ミラー)121aと、駆動部121bとを有する。MEMS121は、ペルチェ素子13と反対方向に向けて検知光L1を反射するようにペルチェ素子13に配置されている。本実施形態において、MEMSミラー121aの形状は、
図4に示したように円形である。しかしながら、MEMSミラー121aの形状は円形に限定されない。
【0048】
本実施形態では、MEMSミラー121aが駆動部121bによって駆動されていない状態で、MEMSミラー121aの反射面に垂直な方向がZ軸方向(吸熱板131の板厚方向)と一致するように、MEMS121は吸熱板131に固定されている。MEMS121は、例えば、接着剤で吸熱板131に固定されている。
【0049】
上記MEMS121の配置では、Z軸方向において、MEMS121の位置と、合波部113の位置は異なることから、Z軸方向において、MEMS121の位置と、合波部113から出力される検知光L1の位置も異なる。検知光L1をMEMS121に入射させるために、第2部分12はミラー122を有する。
【0050】
ミラー122は、合波部113から出力された検知光L1の光路に配置されている。ミラー122は、検知光L1をMEMSミラー121aに向けて反射するように、Z軸方向に対して傾斜している。ミラー122は、支持体123に固定されている。
図3では、支持体123として板状部材を例示しているが、支持体123の形状は限定されない。ミラー122の形状も
図3に示したような矩形(または正方形)に限定されない。ミラー122は、例えば接着剤で支持体123に固定されている。同様に、支持体123は、例えば接着剤で吸熱板131に固定されている。
【0051】
上記第1部分11および第2部分12の構成では、第1発光素子111aから出力された第1レーザ光L1aは第1コリメート部112aに入射する。これにより、第1レーザ光L1aは、第1コリメート部112aによってコリメート光として出力される。第1コリメート部112aから出力された第1レーザ光L1aは合波部113に入射される。第2発光素子111bから出力された第2レーザ光L1bは第2コリメート部112bに入射する。これにより、第2レーザ光L1bは、第2コリメート部112bからコリメート光として出力される。第2コリメート部112bから出力された第2レーザ光L1bは合波部113に入射される。
【0052】
合波部113は、入射された第1レーザ光L1aおよび第2レーザ光L1bを合波する。これにより、合波部113は、第1レーザ光L1aおよび第2レーザ光L1bの合波光である検知光L1を出力する。合波部113に入射される第1レーザ光L1aおよび第2レーザ光L1bはコリメート光であることから、検知光L1もコリメート光である。
【0053】
図5は、第2部分12内の光の伝播方向を説明するための図面である。光の伝播方向は、ミラー122とMEMS121(具体的にはMEMSミラー121a)によって変更されるため、
図5では、ミラー122とMEMSミラー121aを図示する一方、他の要素の図示を省略している。
【0054】
第1部分11から出力された検知光L1は、ミラー122によってMEMSミラー121aに向けて反射される。MEMSミラー121aは、ミラー122からの検知光L1を反射する。MEMSミラー121aが走査されることによって、MEMSミラー121aで反射された検知光L1が走査される。このように走査された検知光L1は収容部14の外部に出力される。
【0055】
MEMSミラー121aは、駆動部121bで2次元的に走査される。これにより、MEMSミラー121aで反射される検知光L1も2次的に走査される。そのため、光モジュール10は、MEMS121で走査された検知光L1を出力できる。MEMS121による検知光L1の走査対象範囲が、
図1に示した検知対象範囲2に対応する。第2部分12において、検知光L1はミラー122およびMEMSミラー121aで反射されることよって収容部14の外部(すなわち、光モジュール10の外部)に出力される。この場合、第2部分12において、検知光L1のコリメート性は維持されるので、光モジュール10から出力された検知光L1もコリメート光である。
【0056】
次に、戻り光L2に着目して第1部分11および第2部分12を説明する。
図3から
図5では、検知光L1と戻り光L2を区別するために、検知光L1を実線で示し、戻り光L2を破線で示している。
【0057】
[第2部分]
図5に示したように、第2部分12は、戻り光L2を検知光L1の伝播方向と逆方向に伝播させる部分である。すなわち、検知光L1の伝播方向と逆方向に戻ってきた戻り光L2は、MEMSミラー121aに入射する。MEMSミラー121aは、戻り光L2をミラー122に向けて反射する。ミラー122は、戻り光L2を第1部分11(具体的には、合波部113)に向けて反射する。
【0058】
[第1部分]
第1部分11が有する合波部113、第1コリメート部112aおよび第2コリメー部の戻り光L2に対する機能を説明する。
【0059】
戻り光L2は、物体3から戻ってきた検知光L1であることから、戻り光L2は、第1レーザ光L1aと第2レーザ光L1bを含む。よって、第1レーザ光L1aと第2レーザ光L1bを合波する合波部113は、戻り光L2に対しては、戻り光L2から第1レーザ光L1aと第2レーザ光L1bとを分離する光分離部として機能する。すなわち、戻り光L2が合波部113に入射すると、合波部113は、戻り光L2に含まれる第1レーザ光L1aを第1発光素子111aに向けて透過するとともに、戻り光L2に含まれる第2レーザ光L1bを第2発光素子111bに向けて反射する。戻り光L2のうち合波部113を透過した第1レーザ光L1aを第1戻り光L2aと称し、合波部113で反射された第2レーザ光L1bを第2戻り光りL2bと称す。
【0060】
第1コリメート部112aは、第1発光素子111aと合波部113との間に配置されていることから、第1戻り光L2aは第1コリメート部112aに入射される。第1コリメート部112aは、第1戻り光L2aを集光する機能を有する。
【0061】
第2コリメート部112bは、第2発光素子111bと合波部113との間に配置されていることから、第2戻り光L2bは第2コリメート部112bに入射される。第2コリメート部112bは、第2戻り光L2bを集光する機能を有する。
【0062】
第1部分11は、第1戻り光L2aおよび第2戻り光L2bを検出するために、第1光路変更部114a、第2光路変更部114bおよび受光部115を有する。
【0063】
(第1光路変更部)
第1光路変更部114aは台座116に搭載されている。第1光路変更部114aは、第1発光素子111aと合波部113との間に配置されている。本実施形態では、
図3および
図4に示したように、第1光路変更部114aは、第1発光素子111aと第1コリメート部112aとの間に配置されている。第1光路変更部114aは、第1発光素子111aの光路に配置されている。第1光路変更部114aは、第1発光素子111aから出力された第1レーザ光L1aを合波部113に向けて通すとともに、合波部113から出力された第1戻り光L2aの一部を受光部115に向けて反射する。第1光路変更部114aは、たとえば、活性エネルギー線硬化樹脂によって台座116に固定されてよい。活性エネルギー線硬化樹脂の例は紫外線硬化樹脂である。
【0064】
本実施形態において、第1光路変更部114aはミラーである。第1光路変更部114aは、検知光L1を通すための開口1141a(
図3参照)を有する。すなわち、本実施形態において、第1光路変更部114aは穴あきミラーである。第1光路変更部114aは、第1光路変更部114aの反射面が受光部115を臨むように、検知光L1の光路に対して斜めに配置されている。
【0065】
第1光路変更部114aが上記開口1141aを有することによって、第1光路変更部114aが第1レーザ光L1aの光路に配置されていても、第1レーザ光L1aは、開口1141aを通って第1コリメート部112aに入射できる。開口1141aのサイズは、開口1141aの位置における第1レーザ光L1aの光強度が最大値の50%となるビームサイズ(直径が半値全幅(FWHM: Full Wave Half Maximum)のサイズ)以上でよい。開口1141aのサイズは、開口1141aの位置における第1レーザ光L1aの光強度が最大値の13.5%となるビームサイズ(1/e2幅となるサイズ)以上でもよい。レーザ光がガウシアン分布である場合、光強度が最大値の13.5%となるサイズは半値全幅の1.7倍である。この場合、第1レーザ光L1aのロスを少なくできる。一方で、第1戻り光L2aをできるだけ受光部115に入射させるためには、開口1141aのサイズは小さい方が良く、開口1141aのサイズは、第1レーザ光L1aの光強度が最大値の13.5%となるサイズ以下でもよい。第1レーザ光L1aのロスを少なく、かつ、受光感度を上げるために、開口1141aのサイズは、第1レーザ光L1aの光強度が最大値の50%(半値全幅)以上且つ13.5%以下となるサイズでもよい。
【0066】
第1光路変更部114aにおいて、第1戻り光L2aが入射する面のうち開口1141aの周囲は反射面である。よって、合波部113から第1光路変更部114aに到達した第1戻り光L2aの一部は、受光部115に向けて反射される。この点を説明する。
【0067】
戻り光L2は、上記拡散反射により、反射点から放射状に拡がる光である。よって、戻り光L2の半値全幅は、検知光L1の半値全幅よりずっと大きい。以上のことから、第1光路変更部114aに到達する第1戻り光L2aの少なくとも一部は第1光路変更部114aの反射面に到達し、受光部115に向けて反射される。
【0068】
第1戻り光L2aの少なくとも一部を受光部115に向けて反射させる観点から、開口1141aのサイズは、第1レーザ光L1aを通す一方、第1光路変更部114aに戻ってきた第1戻り光L2aの少なくとも一部を受光部115に向けて反射可能なサイズであればよい。
【0069】
(第2光路変更部)
第2光路変更部114bは台座116に搭載されている。第2光路変更部114bは、第2発光素子111bと合波部113との間に配置されている。本実施形態では、
図3および
図4に示したように、第2発光素子111bと第2コリメート部112bとの間に配置されている。第2光路変更部114bは、第2発光素子111bの光路に配置されている。第2光路変更部114bは、第2発光素子111bから出力された第2レーザ光L1bを合波部113に向けて通すとともに、合波部113から出力された第2戻り光L2bの少なくとも一部を受光部115に向けて反射する。第2光路変更部114bは、たとえば、活性エネルギー線硬化樹脂によって台座116に固定されてよい。活性エネルギー線硬化樹脂の例は紫外線硬化樹脂である。
【0070】
本実施形態において、第2光路変更部114bはミラーである。第2光路変更部114bは、検知光L1を通す開口1141b(
図3参照)を有する。すなわち、本実施形態において、第2光路変更部114bは穴あきミラーである。第2光路変更部114bは、第2光路変更部114bの反射面が受光部115を臨むように、第2レーザ光L1bの光路に対して斜めに配置されている。
【0071】
第2光路変更部114bが上記開口1141bを有することによって、第2光路変更部114bが第2レーザ光L1bの光路に配置されていても、第2レーザ光L1bは、開口1141bを通って第2コリメート部112bに入射できる。開口1141bのサイズは、開口1141bの位置における第2レーザ光L1bの半値全幅または半値全幅の1.7倍となるビームサイズ以上である。第1光路変更部114aの場合と同様に、第2レーザ光L1bのロスを少なく、かつ、受光感度を上げるために、開口1141bのサイズは、第2レーザ光L1bの光強度が最大値の50%(半値全幅)以上且つ13.5%以下となるサイズでもよい。
【0072】
第2光路変更部114bが、上記開口1141bを備えたミラーであることによって、第2レーザ光L1bを通すとともに、第2戻り光L2bの少なくとも一部を受光部115に向けて反射可能であることは、第1光路変更部114aの場合と同様である。換言すれば、開口1141bのサイズは、第2レーザ光L1bを通す一方、第2光路変更部114bに戻ってきた第2戻り光L2bの少なくとも一部を受光部115に向けて反射可能なサイズであればよい。
【0073】
(受光部)
受光部115は、第1戻り光L2aと第2戻り光L2bを受ける。受光部115は、Z軸方向からみて、第1発光素子111aと第2発光素子111bとの間に配置されている。
【0074】
受光部115は、第1戻り光L2aを受ける第1受光素子115aと、第2戻り光L2bを受ける第2受光素子115bとを有する。本実施形態において、第1受光素子115aおよび第2受光素子115bは、フォトダイオード(PD:Photo Diode)である。第1受光素子115aおよび第2受光素子115bはPDチップでよい。第1受光素子115aおよび第2受光素子115bは、第3素子搭載部117cに搭載されている。第1受光素子115aおよび第2受光素子115bは、第3素子搭載部117cが有する異なる側面に配置されている。第1受光素子115aおよび第2受光素子115bは、例えば導電性接着剤によって第3素子搭載部117cに固定されている。導電性接着剤の例は、前述したとおりである。
【0075】
本実施形態において、検知対象範囲2内の物体3からの戻り光L2は、物体3で反射された後、検知光L1の伝播方向を逆方向に伝播して光モジュール10に戻ってきた光である。そのため、光モジュール10内においても戻り光L2は、検知光L1の伝播方向を逆方向に伝播する。したがって、戻り光L2は、
図5を用いて説明したように、MEMSミラー121aで反射された後、合波部113に入射する。合波部113に入射された戻り光L2は、合波部113によって、第1発光素子111aに向けて伝播する第1戻り光L2aと、第2発光素子111bに向けて伝播する第2戻り光L2bとに分離される。
【0076】
第1戻り光L2aは第1コリメート部112aによって集光される。第2戻り光L2bは第2コリメート部112bによって集光される。第1コリメート部112aから第1発光素子111aに向けて出力された第1戻り光L2aの一部は、第1光路変更部114aによって受光部115に向けて反射される。第2コリメート部112bから第2発光素子111bに向けて出力された第2戻り光L2bの一部は、第2光路変更部114bによって受光部115に向けて反射される。第1光路変更部114aによって受光部115に向けて反射された第1戻り光L2aは第1受光素子115aで検出される。第2光路変更部114bによって受光部115に向けて反射された第2戻り光L2bは第2受光素子115bで検出される。
【0077】
次に、
図6を利用してMEMSミラー121aのサイズと、検知光L1のサイズの関係の一例を説明する。
図6は、MEMSミラー121aのサイズと、検知光L1のサイズの関係の一例を説明するための図面である。
【0078】
一実施形態において、MEMSミラー121aに入射した検知光L1のサイズは、代表的に半値全幅FWHMに対応する。MEMSミラー121aの反射平面において、検知光L1の進行方向と垂直な方向をw1方向と称し、上記反射平面において、w1方向と垂直な方向をw2方向と称す。w1方向およびw2方向は、上記反射平面における検知光L1の短軸方向および長軸方向に対応してよい。検知光L1のMEMSミラー121aへの入射角(上記反射平面の法線に対する角度)をθと称す。MEMSミラー121aの上記反射平面において、検知光L1のw1方向の長さは半値全幅FWHMで表すことができ、w2方向が半値全幅FWHMをθの余弦で割った値で表すことができる。この場合、MEMSミラー121a近辺での、検知光L1の進行方向に対して垂直な断面における検知光L1の面積A1は、π×(FWHM)2/4によって表せる。上記MEMSミラー121a近辺の検知光L1は、MEMSミラー121aへの入射直前の検知光L1でよい。MEMSミラー121aの上記反射平面における検知光L1の面積は、A1/cosθで表せる。
【0079】
MEMSミラー121aの面積A2は、検知光L1の進行方向に対して垂直な断面での検知光L1の面積A1の1.5倍以上且つ20倍以下でよい。
図6において、MEMSミラー121aに入射した場合の検知光L1を示すため、検知光L1の断面部分にハッチングを付している。この場合、検知光L1における半値全幅FWHM内の領域(実質的に検知光L1の全体)がMEMSミラー121aで反射されるので、検知光L1を有効に利用できる。その結果、物体3の検知精度が向上する。MEMSミラー121aの面積A2は、面積A1の1.5倍以上であることによって、第1戻り光L2aと第2戻り光L2bを十分に受光部115に受光できる。そのため、物体3の認識精度を向上できる。面積A2は、面積A1の20倍以下であることによって、MEMSミラー121aの慣性モーメントをより小さくできるので、フレームレート及び点群密度を向上できる。
【0080】
MEMSミラー121aに入射した検知光L1のサイズが、半値全幅FWHMの1.7倍のサイズに対応する場合、面積A1は、π×(FWHM×1.7)2/4によって表される。この場合、面積A2は面積A1の1.5倍以上且つ7倍以下でよい。
【0081】
前述したように、戻り光L2のサイズは、検知光L1のサイズより大きい。MEMSミラー121aのサイズは、MEMSミラー121aに入射する戻り光L2のサイズより小さくてよい。
【0082】
上述した面積A1と面積A2との関係は、例えば、第1発光素子111aと第1コリメート部112aとの距離(換言すれば、第1コリメート部112aの焦点距離)および第2発光素子111bと第2コリメート部112bとの距離(換言すれば、第2コリメート部112bの焦点距離)で調整可能である。或いは、MEMSミラー121a自体のサイズを調整してもよい。
【0083】
第2部分12が有するミラー122のサイズは、検知光L1より大きいサイズでよい。ミラー122の面積は、MEMSミラー121aから反射した戻り光L2を反射するように、面積A2以上でよい。
【0084】
[収容部]
図2から
図4を利用して収容部14を説明する。収容部14は、支持基板141およびカバー142を有する。収容部14は、第1部分11および第2部分12を収容するパッケージである。カバー142は、支持基板141に固定されている。これにより、第1部分11および第2部分12を収容する収容空間が形成されている。本実施形態において、収容空間は、支持基板141およびカバー142によって気密封止(ハーメチックシール)されている。
【0085】
支持基板141は、第1部分11および第2部分12が搭載される板状部材である。支持基板141は、例えばステムである。本実施形態では、
図3に示されたように、第1部分11および第2部分12が搭載されたペルチェ素子13が支持基板141に固定されている。具体的には、ペルチェ素子13が有する放熱板132が、例えば接着剤によって支持基板141に固定されている。このようにペルチェ素子13が支持基板141に固定されることによって、第1部分11および第2部分12が支持基板141に搭載されている。
【0086】
支持基板141の材料の例は鉄合金である。ニッケルめっきまたは金めっきが支持基板141に施されていてもよい。本実施形態において、支持基板141の平面視形状(Z軸方向からみた形状)は矩形である。この場合、長辺の長さの例は、10mm以上且つ30mm以下であり、短辺の長さの例は、8mm以上且つ25mm以下である。一実施形態において上記長辺の長さは24mmであり、上記短辺の長さは19mmである。支持基板141の平面視形状は、正方形でもよいし、四角形以外の多角形、または、円形でもよい。
【0087】
支持基板141には複数の導電部材20が設けられている。導電部材20は、例えば棒状部材である。導電部材20の一例はリードピンである。各導電部材20の第1端部は、収容部14内に突出している。各導電部材20の第2端部は、収容部14の外部に突出している。第2端部は、導電部材20が有する第1端部と反対の端部である。複数の導電部材20は、収容部14内の電子部品(例えば、第1発光素子111a、第2発光素子111b、MEMS121、ペルチェ素子13、第1受光素子115a、第2受光素子115bなど)を外部接続するための端子として機能する。たとえば、複数の導電部材の上記第2端部は、光モジュール10が回路基板に取り付けられた場合、回路基板が有する配線パターンに電気的に接続される。これにより、上記回路基板を介して光モジュール10を、光モジュール10を制御するための制御装置(または制御回路)に電気的に接続可能である。
図3および
図4においては、第1発光素子111a、第2発光素子111bなどと複数の導電部材20との配線の図示を省略している。
【0088】
本実施形態では、複数の導電部材20は、
図3および
図4に示したように、ペルチェ素子13の周囲に配置されている。支持基板141には、複数の導電部材20が支持基板141と絶縁された状態でZ軸方向に通されている。複数の導電部材20の周囲には絶縁部材(例えば絶縁樹脂の硬化物)が設けられていてもよい。これによって、各導電部材20は、支持基板141と絶縁されている。
【0089】
図2に示したように、カバー142は、胴部1421および天壁部1422を有する。カバー142の例はキャップである。胴部1421は中空体である。胴部1421は、例えば溶接によって支持基板141に固定されている。天壁部1422は、胴部1421において支持基板141と反対に位置する開口を塞いでいる。天壁部1422は、支持基板141と対向している壁部である。胴部1421と天壁部1422の材料としては、Kv、ステンレス鋼(SUS)などが挙げられる。胴部1421と天壁部1422は一体化している。カバー142が支持基板141に固定された状態において、天壁部1422の表面(収容空間と反対の面)と、支持基板141の裏面(収容空間と反対の面)との間の長さの例は6mm以上且つ12mm以下である。一実施形態において、天壁部1422の表面と支持基板141の裏面の間の長さは10mmである。
【0090】
図2に示したように、収容部14は窓部30を有する。窓部30は、検知光L1を収容部14の外部に出力するとともに、戻り光L2を収容部内に通す部分である。窓部30は、天壁部1422に形成された開口1422aに嵌められている。
【0091】
上記光モジュール10には、光モジュール10が駆動された場合に生じる熱を放熱するためのヒートシンク(放熱部)が取り付けられてよい。光モジュール10は、第1発光素子111a、第2発光素子111b等の周囲の温度を測定するための温度計測器(たとえばサーミスタ)を少なくとも1つ備えてもよい。このような温度計測器は、収容部14内に配置される。
【0092】
以上説明したように、光モジュール10は、第1発光素子111a、第2発光素子111b、合波部113およびMEMS121を有する。合波部113は、第1発光素子111aから出力された第1レーザ光L1aと第2発光素子111bから出力された第2レーザ光L1bを合波する。これによって、合波部113は、第1レーザ光L1aと第2レーザ光L1bの合波光である検知光L1を出力する。MEMS121は、合波部113から出力された検知光L1を走査する。そのため、光モジュール10は、MEMS121で走査された検知光L1を出力可能である。MEMS121による検知光L1の走査対象範囲が、
図1に示した検知対象範囲2に対応する。
【0093】
光モジュール10は、第1光路変更部114a、第2光路変更部114bおよび受光部115を有する。第1光路変更部114aは、第1発光素子111aに向かう第1戻り光L2aを受光部115に向けて光路を変更する部分である。第2光路変更部114bは、第2発光素子111bに向かう第2戻り光L2bを受光部115に向けて光路を変更する部分である。このように、第1光路変更部114aおよび第2光路変更部114bによって、第1戻り光L2aおよび第2戻り光L2bが受光部115に向かう。その結果、受光部115が第1戻り光L2aおよび第2戻り光L2bを検出できる。
【0094】
上記のように、光モジュール10は、検知対象範囲を走査する検知光L1を出力可能とともに、戻り光L2を検出可能である。したがって、光モジュール10は、リモートセンサに有効に適用できる。
【0095】
光モジュール10において、第1発光素子111aと第2発光素子111bは、第1発光素子111aからの第1レーザ光L1aの出力方向と、第2発光素子111bからの第2レーザ光L1bの出力方向とが交差するように配置されている。このような第1発光素子111aと第2発光素子111bの配置では、Z軸方向からみた場合において、第1発光素子111aと第2発光素子111bとの間のスペースはデッドスペースと考えられる。
【0096】
光モジュール10では、Z軸方向からみた場合において、第1発光素子111aと第2発光素子111bとの間に受光部115を配置している。すなわち、上記デッドスペースに受光部115を配置している。この場合、受光部115を、第1発光素子111aと第2発光素子111bとの間以外の場所に設置するよりも、光モジュール10内における第1発光素子111a、第2発光素子111b,受光部115などの各要素の設置領域を有効に活用できる。その結果、2つの発光素子(第1発光素子111aおよび第2発光素子111b)を備えていても光モジュール10の小型化を図れる。
【0097】
本実施形態では、光モジュール10は、
図1に示したように検知装置1に適用される。検知装置1の設置領域の有効活用のため、より小さい検知装置1が求められる傾向がある。そのため、小型化が可能な光モジュール10は、検知装置1に有効である。
【0098】
検知光L1は、第1レーザ光L1aおよび第2レーザ光L1bの合波光である。たとえば、検知対象範囲2内の測定点が第1レーザ光L1aと第2レーザ光L1bとで同じになるように各レーザを同時に発光させるように制御することで、光モジュール10が備える発光素子が1つの場合より、検知光L1の光出力を増加できる。この場合、戻り光L2の光出力も増加するので、測定点での検知精度が向上する。或いは、第1発光素子111aと第2発光素子111bから第1レーザ光L1aおよび第2レーザ光L1bを交互に出力するように制御することで、検知対象範囲2内の測定点を第1レーザ光L1aと第2レーザ光L1bとで異ならせることができる。つまり、第1レーザ光L1aによる2つの測定点の間に第2レーザ光L1bの測定点を配置できる。この様にすることで、検知対象範囲2内の点群密度(解像度)を向上できる。この際に、MEMSミラー121aの走査を速くすれば、点群密度を向上する代わりに、検知対象範囲2の画像に対応する取得画像のフレームレートを向上できる。
【0099】
受光部115が、第1戻り光L2aを検出する第1受光素子115aと、第2戻り光L2bを検出する第2受光素子115bを有する形態では、第1戻り光L2aおよび第2戻り光L2bに対して第1受光素子115aおよび第2受光素子115bを配置し易い。第1戻り光L2aに対して第1受光素子115aが配置されとともに、第2戻り光L2bに対して第2受光素子115bが配置されている場合、第1戻り光L2aを第1受光素子115aに垂直入射可能であるとともに、第2受光素子115bに垂直入射可能である。そのため、第1発光素子111aおよび第2発光素子111bがより多くの第1戻り光L2aおよび第2戻り光L2bを受けることができる。その結果、物体3の検知精度が向上する。第1戻り光L2aおよび第2戻り光L2bの波長が異なる場合、第1戻り光L2aに対して感度が高い第1受光素子115aおよび第2戻り光L2bに対して感度が高い第2受光素子115bを使用できる。そのため、物体3を一層検知し易い。
【0100】
本実施形態では、期間T1と期間T2が重なっていてよい。期間T1は、第1発光素子111aから第1レーザ光L1aが出射され、物体3から反射して戻ってきた第1戻り光L2aが第1受光素子115aに到達するまでの期間である。期間T2は、第2発光素子111bから第2レーザ光L1bが出射され、物体3から反射して戻ってきた第2戻り光L2bが第2受光素子115bに到達するまでの期間である。上記のように、期間T1と期間T2が重なっていることを、「第1発光素子111aと第2発光素子111bの発光タイミングが同じ」と称す。発光タイミングが同じであることにより、取得画像のフレームレートまたは点群密度(解像度)を向上できる。
【0101】
光モジュール10が、第1光路変更部114aとともに、第2光路変更部114bを備える形態では、受光部115が、第1戻り光L2aとともに、第2戻り光L2bを検出できる。この場合、受光部115が第1戻り光L2aと第2戻り光L2bのうちの一方を検出する場合より、光モジュール10は、戻り光L2をより多く検出できる。そのため、物体3の検知精度が向上する。
【0102】
図3および
図4に例示した形態では、第1コリメート部112aは第1光路変更部114aと合波部113の間に配置されている。このような配置関係では、第1コリメート部112aは第1戻り光L2aを集光する。
図3および
図4に例示した形態では、第2コリメート部112bは第2光路変更部114bと合波部113の間に配置されている。このような配置関係では、第2コリメート部112bは第2戻り光L2bを集光する。すなわち、
図3および
図4に例示した形態では、第1コリメート部112aは、第1レーザ光L1aをコリメート光に変換する機能とともに、第1戻り光L2aを集光する機能を有する。同様に、第2コリメート部112bは、第2レーザ光L1bをコリメート光に変換する機能とともに、第2戻り光L2bを集光する機能を有する。そのため、受光部115に向けて第1戻り光L2aを集光する光学素子を第1コリメート部112aとは別に配置する必要がない。同様に、受光部115に向けて第2戻り光L2bを集光する光学素子を第2コリメート部112bとは別に配置する必要がない。したがって、光モジュール10の小型化を更に図れるとともに、製造コストを低減できる。
【0103】
第1レーザ光L1aの中心波長および第2レーザ光L1bの中心波長が異なる形態では、波長の違いを利用して容易に第1レーザ光L1aおよび第2レーザ光L1bを合波できる。戻り光L2も第1レーザ光L1aおよび第2レーザ光L1bを含むことから、波長の違いを利用して容易に戻り光L2を第1戻り光L2a(第1レーザ光L1aに対応)および第2戻り光L2b(第2レーザ光L1bに対応)に分離できる。
【0104】
光モジュール10がペルチェ素子13を有する形態では、第1発光素子111aおよび第2発光素子111bがペルチェ素子13に搭載されている。この場合、ペルチェ素子13によって、第1発光素子111aおよび第2発光素子111bの温度を一定の温度範囲内に制御できる。そのため、第1発光素子111aおよび第2発光素子111bの動作が安定する。例えば、第1レーザ光L1aの波長および第2発光素子111bから出力される第2レーザ光L1bの波長が安定する。その結果、第1部分11から所望の状態の検知光L1を出力可能である。第1コリメート部112aおよび第2コリメート部112bが樹脂製レンズである場合のように、第1部分11に含まれる光学部品が樹脂製である場合、ペルチェ素子13による温度調整によって、熱に起因する光学部品の変形が抑制される。そのため、第1レーザ光L1aおよび第2レーザ光L1bがより適切に合波される。例えば、第1レーザ光L1aおよび第2レーザ光L1bの光軸をより高い精度で一致させることができる。ペルチェ素子13による温度調整によって、パルス幅やduty比といったパルス条件を緩和できる。
【0105】
図3および
図4に示した形態では、第1受光素子115aおよび第2受光素子115bがペルチェ素子13に搭載されている。そのため、第1受光素子115aおよび第2受光素子115bの周囲温度の変化に伴う第1受光素子115aおよび第2受光素子115bの性能変化も抑制できる。同様に、
図3および
図4に示した形態では、MEMS121もペルチェ素子13に搭載されている。そのため、MEMS121の周囲温度の変化に伴うMEMS121の性能変化も抑制できる。
【0106】
(変形例1)
受光部115は、
図7に示したように、単一の受光素子1151でもよい。この場合、受光素子1151が第1戻り光L2aおよび第2戻り光L2bの両方を検出する。受光素子1151は、第1戻り光L2aおよび第2戻り光L2bに対して受光感度を有する。受光素子1151の例はPDである。受光素子1151はPDチップでよい。受光素子1151は、Z軸方向からみて、第1戻り光L2aおよび第2戻り光L2bを受光可能な位置に配置されている。受光素子1151の受光面には、通常、第1戻り光L2aおよび第2戻り光L2bは斜め入射される。
図7に例示した形態では、第1戻り光L2aおよび第2戻り光L2bを受ける受光素子の数が1つ、つまり、第1戻り光L2aおよび第2戻り光L2bに対して受光素子は共通である。そのため、光モジュール10の製造コストを低減できる。
【0107】
変形例1において、受光素子1151が波長フィルタを有する場合、つまり、受光素子1151が波長の異なる第1戻り光L2aと第2戻り光L2bを別々に検出できる場合、第1受光素子115aと第2受光素子115bの発光タイミングは同じでよい。
【0108】
受光素子1151が波長フィルタを有さない場合は、例えば、第1発光素子111aと第2発光素子111bの発光タイミングを異ならせることで、第1戻り光L2aと第2戻り光L2bを識別できる。第1戻り光L2aと第2戻り光L2bを識別可能なように光モジュール10を構成或いは制御することによって、第1戻り光L2aと第2戻り光L2bに対して共通の受光素子1151を用いることができる。第1受光素子115aと第2受光素子115bの発光タイミングが異なるとは、期間T1と期間T2が重ならないということである。
【0109】
発光タイミングが同じであっても、第1レーザ光L1aと第2レーザ光L1bに異なる固有のマーキングを施すことにより、共通の受光素子1151で第1戻り光L2aと第2戻り光L2bを識別できる。マーキングの例としては、第1レーザ光L1aと第2レーザ光L1bでパルス幅を異ならせること、または時間的な強度を変調することが挙げられる。上記のマーキングの方法をレーザ光のパルス変調ともいう。
【0110】
受光素子1151は、第1光路変更部114aおよび第2光路変更部114bに対し、第1コリメート部112aによる第1戻り光L2aおよび第2コリメート部112bによる第2戻り光L2bの集光位置より遠い位置に配置されていてよい。この場合、第1戻り光L2aおよび第2戻り光L2bは、一度集光した後、拡がった状態で受光素子1151に入射される。そのため、集光位置における高い光パワー密度による受光素子1151の飽和を避けられ、第1コリメート部112aおよび第2コリメート部112bの収差に合わせて最小錯乱円位置に受光素子1151の受光面を配置する設計とすることでパワー密度分布も若干フラットにでき、効率よく受光できる。
【0111】
(変形例2)
第2レーザ光L1bは可視光でもよい。この場合、第2レーザ光L1bの波長の例は、400nm以上且つ700nm以下である。検知光L1は第2レーザ光L1bを含むことから、第2レーザ光L1bが可視光である場合、検知対象範囲2を可視化できる。そのため、光モジュール10を備えた検知装置1をたとえば自動車等に取り付ける場合に、検知装置1の取付位置などを調整し易い。第1レーザ光L1aが赤外光であり且つ第2レーザ光L1bが可視光である形態では、物体3の検知は赤外光で行う。そのため、受光部は、第1戻り光のみを検出すればよい。この変形例2では、第1レーザ光L1aはパルス光であり、第2レーザ光L1bが連続波(CW:Continuous Wave)でもよい。第1レーザ光L1aおよび第2レーザ光L1bが両方ともパルス光でもよい。第2レーザ光L1bは、検知対象範囲2を可視化のためのレーザ光であることから、第1レーザ光L1aおよび第2レーザ光L1bが両方ともパルス光であってもそれらを区別するための構成または制御は不要である。
【0112】
(第2実施形態)
第1実施形態では、合波部に入射する第1レーザ光L1aおよび第2レーザ光L1bの偏光方向が同じである場合を説明した。第2実施形態として、合波部に入射する第1レーザ光L1aおよび第2レーザ光L1bの偏光方向が異なっている形態を説明する。第2実施形態に係る光モジュールを光モジュール10Aと称す。
【0113】
図8は、第2実施形態に係る光モジュール10Aを説明するための模式図である。
図8では、
図4及び
図7と同様に、カバーが取り外された状態の光モジュール10Aを示している。光モジュール10Aは、波長板118を備えるとともに、合波部113の代わりに合波部113Aを備える点で、第1実施形態係る光モジュールと相違する。この相違点以外の構成は、第1実施形態に係る光モジュールの場合と同じであるため、相違点以外の構成に関する説明を省略する。第2実施形態の説明では、断らない限り、第1実施形態の概念に、変形例1,2の概念も含む。
【0114】
第2実施形態においても、第1発光素子111aから出力される第1レーザ光L1aおよび第2発光素子111bから出力される第2レーザ光L1bは同じ第1偏光のレーザ光である。第1実施形態の場合と同様に、断らない限り、第1レーザ光L1aおよび第2レーザ光L1bはパルス光である。第2実施形態において、第1レーザ光L1aおよび第2レーザ光L1bの波長は同じでよい。波長が同じとは、可干渉性を持つ程度の波長の範囲内であることを意味する。
【0115】
波長板118は、第2発光素子111bと合波部113Aの間に配置される。
図8では、波長板118は、第2光路変更部114bとの間に配置されている形態を例示している。波長板118は入射される第2レーザ光L1bの偏光を第1偏光から第2偏光に変更する。第2実施形態において、波長板118はλ/2板である。この場合、第2偏光は第1偏光の偏光方向が90°回転された偏光である。
【0116】
第2実施形態では、第1発光素子111aから出力された第1レーザ光L1aは第1偏光を維持した状態で合波部113Aに入射される。一方、第2発光素子111bから出力された第2レーザ光L1bは、波長板118を通って合波部113Aに入射される。したがって、第2レーザ光L1bは、第2偏光のレーザ光として合波部113Aに入射される。
【0117】
合波部113Aは、第1偏光の光を通すとともに、第2偏光の光を反射する。合波部113Aの例は、偏光選択フィルタ(または偏光ビームスプリッタ)でよい。合波部113Aは、第1偏光の第1レーザ光L1aを第2部分12に向けて通すとともに、第2偏光の第2レーザ光L1bを第2部分12に向けて反射するように、配置されている。これによって、第1レーザ光L1aおよび第2レーザ光L1bの合波である検知光L1が形成される。検知光L1は、第2部分12に向けて合波部113Aから出射される。
【0118】
戻り光L2は、通常、物体3によって拡散反射(または散乱反射)された検知光L1である。このような戻り光L2は無偏光である。上記合波部113Aは、第1偏光の光を通すとともに、第2偏光の光を反射する。したがって、無偏光の戻り光L2が上記合波部113Aに入射すると、第1発光素子111aに向かう第1偏光の第1戻り光L2aと、第2発光素子111bに向かう第2偏光の第2戻り光L2bに分けられる。その結果、第1戻り光L2aおよび第2戻り光L2bを受光素子1151で検出できる。
【0119】
第1レーザ光L1aと第2レーザ光L1bの発光タイミングは、第1レーザ光L1aと第2レーザ光L1bを区別可能にパルス変調することによって同じとすることができる。第1レーザ光L1aと第2レーザ光L1bの発光タイミングは異なっていてもよい。第1レーザ光L1aと第2レーザ光L1bの発光タイミングが異なっている場合、取得画像のフレームレートまたは点群密度(解像度)を向上できる。
【0120】
第2実施形態では、前述したように、第1レーザ光L1aおよび第2レーザ光L1bの波長は同じでよい。したがって、第1発光素子111aおよび第2発光素子111bとして同じ発光素子を利用できる。この場合、波長の異なる発光素子を準備する必要がないため、光モジュール10Aを製造し易い。
【0121】
光モジュール10Aとして、変形例1の場合と同様に受光部115が、第1レーザ光L1aと第2レーザ光L1bに対して共通の受光素子1151である場合を説明した。しかしながら、
図4に示したように、受光部115は別々の第1受光素子115aと第2受光素子115bを有してもよい。
【0122】
第2実施形態に係る光モジュール10Aは、偏光の違いを利用して第1レーザ光L1aおよび第2レーザ光L1bを合波する(或いは戻り光L2を分離する)点以外は、第1実施形態に係る光モジュール10と同じである。よって、光モジュール10Aは、光モジュール10と同じ作用効果を有する。
【0123】
(変形例3)
偏光方向の異なる第1レーザ光L1aおよび第2レーザ光L1bを合波部113Aに入射するために、波長板118を用いなくてもよい。第2発光素子111bの設置状態を変更することによって、合波部113Aに入射する第2レーザ光L1bの偏光状態が調整されてもよい。例えば、第2発光素子111bの配置状態を、第1偏光の第2レーザ光L1bを出力する状態から90°回転させた配置状態に変更することによって、第1偏光の偏光方向から90°回転した第2偏光の第2レーザ光L1bを合波部113に入射してもよい。
【0124】
合波部113Aに入射する第1レーザ光L1aの偏光(第1偏光)と第2レーザ光L1bの偏光(第2偏光)の偏光方向の角度差は90°に限定されない。合波部113Aに入射する第1レーザ光L1aおよび第2レーザ光L1bの偏光方向が異なる場合、その偏光の違いを利用して第1レーザ光L1aおよび第2レーザ光L1bを合波できる。
【0125】
以上、本開示に係る種々の実施形態および変形例を説明したが、本開示は、例示した実施形態および変形例に限定されない。
【0126】
第1光路変更部114aは、第1レーザ光L1aを通すとともに、第1戻り光L2aを受光部115に向けて反射できれば、開口1141aを有するミラーに限定されない。同様に、第2光路変更部114bは、第2レーザ光L1bを通すとともに、第2戻り光L2bを受光部に向けて反射できれば開口1141bを有するミラーに限定されない。例えば、第1光路変更部114aおよび第2光路変更部114bは、開口を有しないハーフミラーでもよいし、開口を有しない偏光フィルタ(または偏光ビームスプリッタ)でもよい。
【0127】
受光部115は、第1戻り光L2aのみを検出してもよい。換言すれば、受光部115は、第2戻り光L2bを検出しなくてもよい。
【0128】
光モジュール10が備える発光素子の数は2つに限定されない。光モジュールが備える発光素子の数は3個以上でもよい。発光素子が出力するレーザ光は赤外光に限定されない。発光素子が出力するレーザ光の波長は、光モジュールの用途に応じた波長でよい。
【0129】
MEMS121の位置は、
図3から
図5を用いて説明した位置に限定されない。MEMS121は、合波部113から出力された検知光L1が直接入射される位置に配置されていてもよい。換言すれば、MEMS121は、
図3に示した形態において吸熱板131に対して第1レーザ光L1a(または第2レーザ光L1b)と同じ高さの検知光L1が入射される位置に配置されてもよい。この場合、ミラー122は不要である。
【0130】
走査部は、検知光L1を走査可能に構成されていれば、MEMS121に限定されない。光モジュール10は、走査部を有しなくてもよい。この場合、光モジュールから出力された検知光L1を、光モジュールの外部に配置された走査部によって検知光L1を走査することによって、検知対象範囲2内の物体3を検知可能である。
【0131】
温度調整器の例は、収容部14内の素子(発光素子、レンズ等)の温度を調整可能であれば、ペルチェ素子13に限定されない。
【0132】
以上説明した種々の実施形態および変形例は、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で適宜組み合わされてもよい。
【符号の説明】
【0133】
1…検知装置
2…検知対象範囲
3…物体
10…光モジュール
10A…光モジュール
11…第1部分
111a…第1発光素子
111b…第2発光素子
112a…第1コリメート部
112b…第2コリメート部
113…合波部
113A…合波部
114a…第1光路変更部
1141a…開口
114b…第2光路変更部
1141b…開口
115…受光部
115a…第1受光素子
115b…第2受光素子
1151…受光素子
116…台座
117a…第1素子搭載部
117b…第2素子搭載部
117c…第3素子搭載部
118…波長板
12…第2部分
121…MEMS(走査部)
121a…MEMSミラー(走査ミラー)
121b…駆動部
122…ミラー
123…支持体
13…ペルチェ素子
131…吸熱板
132…放熱板
133…半導体柱
14…収容部
141…支持基板
142…カバー
1421…胴部
1422…天壁部
1422a…開口
20…導電部材
30…窓部
L1…検知光
L1a…第1レーザ光
L1b…第2レーザ光
L2…戻り光
L2a…第1戻り光
L2b…第2戻り光