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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024105080
(43)【公開日】2024-08-06
(54)【発明の名称】車両用シート
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/90 20180101AFI20240730BHJP
【FI】
B60N2/90
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023009633
(22)【出願日】2023-01-25
(71)【出願人】
【識別番号】000004640
【氏名又は名称】日本発條株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉賀 謙祐
(72)【発明者】
【氏名】三木田 幸謙
(72)【発明者】
【氏名】南雲 健二
(72)【発明者】
【氏名】北仲 史門
【テーマコード(参考)】
3B087
【Fターム(参考)】
3B087AA02
3B087BA02
3B087BA12
3B087BA15
3B087BD14
3B087DE09
(57)【要約】
【課題】回路基板に接続された基板接続ケーブルが周辺に位置する部材と接触し難いように、支持ケース、回路基板及びサイドフィニッシャーをサイドフレームに装着可能であり、且つ、支持ケース、回路基板及びサイドフィニッシャーがサイドフレームに装着された後に、電動アクチュエータに電力を供給するための電気ケーブルを回路基板に電気的に接続する作業を容易に実行できる車両用シートを得る。
【解決手段】回路基板60を支持しながらサイドフィニッシャー45に固定される支持ケース65と、回路基板に接続される一端部85から延びるケーブル本体81及び電動アクチュエータに電力を供給するための電気ケーブルと接続可能なコネクタ86を有する基板接続ケーブル80と、を備え、支持ケースが、側面視においてケーブル本体の少なくとも一部を覆い且つ少なくともコネクタを露出させるケーブル保護部73を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートクッションの骨格部材であり、サイドフレームを有するシートクッションフレームと、
前記シートクッションの側部に設けられるサイドフィニッシャーと、
前記サイドフレームと前記サイドフィニッシャーとの間に位置する回路基板と、
前記回路基板を支持しながら前記サイドフレームと前記サイドフィニッシャーの間に位置する支持ケースと、
前記回路基板に接続される一端部、前記一端部から延びる可撓性を有するケーブル本体、及び電動アクチュエータに電力を供給するための電気ケーブルと接続可能なコネクタである他端部を有する基板接続ケーブルと、
を備え、
前記サイドフレームと前記支持ケースの一方が係合孔を備え、
前記サイドフレームと前記支持ケースの他方が、前記係合孔に挿入されることにより、前記サイドフィニッシャーと一体化された前記支持ケースを前記サイドフレームに装着可能な係合突起を備え、
前記支持ケースが、側面視において前記ケーブル本体の少なくとも一部を覆い且つ少なくとも前記コネクタを露出させるケーブル保護部を備える車両用シート。
【請求項2】
前記回路基板に接続された第1コネクタを有し、
前記基板接続ケーブルの前記一端部が、前記第1コネクタと着脱可能な第2コネクタであり、
側面視において前記支持ケースが前記第2コネクタを覆う請求項1記載の車両用シート。
【請求項3】
ライザーと、
前記ライザー及び前記サイドフレームの前部に、それぞれシート幅方向に延びる回転軸まわりに回転可能に接続されたリフトアームと、
を備え、
前記ケーブル保護部が前記支持ケースの前部を構成し、
前記ケーブル本体が、側面視において一部が前記支持ケースの外周側に位置し且つ前記リフトアームの側方に位置する第1構成部と、前記シート幅方向に延び且つ前記リフトアームの可動領域より前方に位置する第2構成部と、を備える請求項1又は請求項2記載の車両用シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に開示された車両用シートは、サイドフレームを有するシートクッションフレームと、サイドフィニッシャー(リクライニングカバー)と、支持ケース(ベースカバー)と、スイッチングユニットと、スイッチングユニットに接続されたケーブル(基板接続ケーブル)と、を備える。サイドフィニッシャーは、シートクッションの一方の側部に設けられる部材である。支持ケースは、サイドフレームとサイドフィニッシャーの間に位置し、且つ、スイッチングユニットを支持する。
【0003】
サイドフィニッシャーの内面に支持ケースが固定される。さらにサイドフレームに係合孔が設けられ、支持ケースに係合突起が設けられている。スイッチングユニット及びサイドフィニッシャーと一体化された支持ケースの係合突起が係合孔に挿入されることにより、支持ケース、スイッチングユニット及びサイドフィニッシャーがサイドフレームに装着される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2022-51709号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1のスイッチングユニットには、電動アクチュエータに電力を供給するためのケーブルが接続されている。しかしサイドフレームに装着された支持ケースとサイドフィニッシャーの隙間を利用して、スイッチングユニットにケーブルを接続するのは容易ではない。
【0006】
一方、支持ケースがサイドフレームに装着される前に、上記隙間を利用して、スイッチングユニットにケーブルを接続するのは難しくない。しかしこの場合は、支持ケースをサイドフレームに装着するときに、ケーブルがシートクッションの構成部材に接触し、ケーブルが劣化するおそれがある。
【0007】
本発明は、上記事実を考慮して、回路基板に接続された基板接続ケーブルが周辺に位置する部材と接触し難いように、支持ケース、回路基板及びサイドフィニッシャーをサイドフレームに装着可能であり、且つ、支持ケース、回路基板及びサイドフィニッシャーがサイドフレームに装着された後に、電動アクチュエータに電力を供給するための電気ケーブルを回路基板に電気的に接続する作業を容易に実行できる車両用シートを得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の車両用シートは、シートクッションの骨格部材であり、サイドフレームを有するシートクッションフレームと、前記シートクッションの側部に設けられるサイドフィニッシャーと、前記サイドフレームと前記サイドフィニッシャーとの間に位置する回路基板と、前記回路基板を支持しながら前記サイドフレームと前記サイドフィニッシャーの間に位置する支持ケースと、前記回路基板に接続される一端部、前記一端部から延びる可撓性を有するケーブル本体、及び電動アクチュエータに電力を供給するための電気ケーブルと接続可能なコネクタである他端部を有する基板接続ケーブルと、を備え、前記サイドフレームと前記支持ケースの一方が係合孔を備え、前記サイドフレームと前記支持ケースの他方が、前記係合孔に挿入されることにより、前記サイドフィニッシャーと一体化された前記支持ケースを前記サイドフレームに装着可能な係合突起を備え、前記支持ケースが、側面視において前記ケーブル本体の少なくとも一部を覆い且つ少なくとも前記コネクタを露出させるケーブル保護部を備える。
【0009】
請求項1に記載の車両用シートによれば、サイドフレームと支持ケースの一方に設けられた係合孔に、他方に設けられた係合突起が挿入することにより、サイドフィニッシャー及び回路基板と一体化された支持ケースをサイドフレームに装着できる。
【0010】
さらに請求項1に記載の車両用シートによれば、サイドフィニッシャー及び支持ケースがサイドフレームに装着された状態において、支持ケースのケーブル保護部が、側面視においてケーブル本体の少なくとも一部を覆う。そのため、回路基板に接続された基板接続ケーブルが周辺に位置する部材と接触し難いように、サイドフィニッシャー及び回路基板と一体化された支持ケースをサイドフレームに装着できる。
【0011】
さらに請求項1に記載の車両用シートによれば、サイドフィニッシャー及び支持ケースがサイドフレームに装着された状態において、支持ケースのケーブル保護部が、側面視において基板接続ケーブルのコネクタを露出させる。そのため、基板接続ケーブルのコネクタに、電動アクチュエータに電力を供給するための電気ケーブルの端部を接続するのが容易である。即ち、請求項1に記載の車両用シートでは、サイドフィニッシャー及び回路基板と一体化された支持ケースがサイドフレームに装着された後に、電気ケーブルを回路基板に電気的に接続する作業を容易に実行できる。
【0012】
請求項2に記載の車両用シートは、請求項1記載の構成において、前記回路基板に接続された第1コネクタを有し、前記基板接続ケーブルの前記一端部が、前記第1コネクタと着脱可能な第2コネクタであり、側面視において前記支持ケースが前記第2コネクタを覆う。
【0013】
請求項2に記載の車両用シートによれば、回路基板に接続された第1コネクタと接続する第2コネクタが周辺に位置する部材と接触し難いように、サイドフィニッシャー及び回路基板と一体化された支持ケースをサイドフレームに装着できる。
【0014】
請求項3に記載の車両用シートは、請求項1又は請求項2記載の構成において、ライザーと、前記ライザー及び前記サイドフレームの前部に、それぞれシート幅方向に延びる回転軸まわりに回転可能に接続されたリフトアームと、を備え、前記ケーブル保護部が前記支持ケースの前部を構成し、前記ケーブル本体が、側面視において一部が前記支持ケースの外周側に位置し且つ前記リフトアームの側方に位置する第1構成部と、前記シート幅方向に延び且つ前記リフトアームの可動領域より前方に位置する第2構成部と、を備える。
【0015】
請求項3に記載の車両用シートによれば、側面視において支持ケースによって覆われない第1構成部の一部及び第2構成部がリフトアームと接触しない。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように、本発明の車両用シートによれば、回路基板に接続された基板接続ケーブルが周辺に位置する部材と接触し難いように、支持ケース、回路基板及びサイドフィニッシャーをサイドフレームに装着可能であり、且つ、支持ケース、回路基板及びサイドフィニッシャーがサイドフレームに装着された後に、電動アクチュエータに電力を供給するための電気ケーブルを回路基板に電気的に接続する作業を容易に実行できる、という優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施形態に係る車両用シートの前方から見た斜視図である。
図2】サイドフィニッシャー、インナーケース、回路基板、スイッチケース及び操作レバーが分離された車両用シートの前方から見た斜視図である。
図3】サイドフィニッシャー、インナーケース、回路基板、スイッチケース、及び基板接続ケーブルの左側から見たときの分解斜視図である。
図4】サイドフィニッシャー、インナーケース、回路基板、スイッチケース、及び基板接続ケーブルの右側から見たときの分解斜視図である。
図5】サイドフィニッシャーが取り外されたときのシートクッションの左側部の前方から見た斜視図である。
図6】サイドフィニッシャー、インナーケース及び操作レバーが取り外されたときのシートクッションの左側部の前方から見た斜視図である。
図7図5の7-7矢線に沿う断面図である。
図8図7の8-8矢線に沿う断面図である。
図9】インナーケース、回路基板、スイッチケース、及び基板接続ケーブルの右側から見たときの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施形態に係る車両用シート20について、添付図面を参照しながら説明する。なお、これらの図において適宜示される矢印FRはシート前方側を示しており、矢印UPはシート上方側を示しており、矢印LHはシート幅方向(左右方向)の左側を示している。
【0019】
図1に示されるように、車両10の車体の一部である車体フロア11に車両用シート20が設けられている。車両用シート20は左側の前席である。車両用シート20は、ロアレール21、アッパレール22(図2及び図5参照)、ライザー23(図5参照)、連結部材32及びシート本体33を備える。
【0020】
車体フロア11の上面には、左右一対且つ前後方向に延びるロアレール21が固定されている。各ロアレール21には、左右一対のアッパレール22がそれぞれスライド可能に支持されている。さらに各アッパレール22には、アッパレール22のロアレール21に対するスライドを規制又は許容するスライドロック装置(図示省略)が設けられている。さらに車両用シート20は、アッパレール22をロアレール21に対してスライドさせるための駆動力を発生する第1電動モータ(電動アクチュエータ)M1(図1参照)を備える。
【0021】
図5に示されたように、各アッパレール22にはライザー23がそれぞれ固定されている。左右のライザー23にはリフター機構が設けられている。リフター機構は、左右一対の前側リフトアーム(リフトアーム)27、連結ピン(回転軸)28、後側リフトアーム29及び連結ピン30を有する。左右の前側リフトアーム27の下端部は、シート幅方向(左右方向)に延びる連結ピン28を介して、左右のライザー23の前端部にそれぞれ回転可能に接続されている。また、図6に示されたように、左右の後側リフトアーム29の下端部は、シート幅方向に延びる連結ピン30を介して、左右のライザー23の後部にそれぞれ回転可能に接続されている。
【0022】
さらに図1に示されたように、左右のアッパレール22の間に位置する連結部材32が、左右のアッパレール22に固定されている。連結部材32の前端部の前後方向位置は、アッパレール22の前端部の前後方向位置とほぼ同一である。
【0023】
リフター機構の上部はシート本体33を支持している。シート本体33は、シートクッション35、シートバック95、及びヘッドレスト99を有する。
【0024】
シートクッション35は、骨格部材であるシートクッションフレーム40、クッションパッド44、サイドフィニッシャー45、インナーケース50、回路基板60、操作レバー63、スイッチケース(支持ケース)65、基板接続ケーブル80及び電気ケーブル90(図3参照)を備える。
【0025】
金属製のシートクッションフレーム40は、左右一対のサイドフレーム41と、左右のサイドフレーム41の前端部同士を接続するフロントフレーム(図示省略)と、左右のサイドフレーム41の後端部同士を接続するリアフレーム(図示省略)とを備える。
【0026】
左右の前側リフトアーム27の上端部が、左右のサイドフレーム41の前部に連結ピン28と平行な回転軸(図示省略)を介して回転可能に接続されている。同様に、左右の後側リフトアーム29の上端部が、左右のサイドフレーム41の後部に連結ピン30と平行な回転軸(図示省略)を介して回転可能に接続されている。ライザー23、前側リフトアーム27、後側リフトアーム29及びサイドフレーム41によって四節リンク機構が構成されている。さらに車両用シート20は、リフター機構に駆動力を付与する第2電動モータ(電動アクチュエータ)M2(図1参照)を備える。第2電動モータM2の駆動力によって四節リンク機構が動作することにより、シートクッション35が左右のライザー23に対して昇降する。
【0027】
図3に示されたように左側のサイドフレーム41には係合孔42が貫通孔として形成されている。係合孔42の側面形状は略長方形である。
【0028】
図2に示されたように、シートクッションフレーム40の上部にはクッションパッド44が装着されている。クッションパッド44の側部の下面はサイドフレーム41の下縁部より上方に位置する。
【0029】
樹脂製の一体成形品であるサイドフィニッシャー45は、右側面全体が開口した中空体である。サイドフィニッシャー45は、側面形状が略V字形をなし且つサイドフィニッシャー45の左側面を構成する本体板46と、本体板46の外周縁部に設けられた外周フランジ47と、を備える。さらに本体板46の左側面には凹部46aが形成されており、凹部46aの底面に貫通孔48が形成されている。さらに図4に示されたように、本体板46の右側面には、3本の第1支持突起46bと、5本の第2支持突起46cと、が右側に向けて突設されている。第1支持突起46b及び第2支持突起46cの先端面には雌ねじ溝が形成されている。
【0030】
樹脂製の一体成形品であるインナーケース50は、図3及び図4に示されたように、本体部51及びコネクタ(第1コネクタ)52を有する。本体部51は右側面全体が開口した直方体形状の中空体である。本体部51の前端面にコネクタ52が接続されている。雄型のコネクタ52は、前面が開口した断面長方形の筒状体である。図示は省略されているが、本体部51の前壁部には、複数の金属製のコンタクトピンが固定されている。各コンタクトピンの前部はコネクタ52の内部空間に位置し、各コンタクトピンの後部は本体部51の内部空間に位置する。さらに本体部51の外周面には3つの突片53が設けられており、各突片53には貫通孔が形成されている。さらに図6に示されたように、本体部51の左側面には支持ピン55が固定され、且つ、2つの可動部材56、57が相対移動可能に支持されている(図2図3では図示省略)。
【0031】
図3及び図4に示された略長方形の回路基板60の左側面には、導電性材料によって電子回路(図示省略)が形成されている。さらに回路基板60の左側面には多数の電子部品が設けられている。回路基板60は、電子回路が本体部51の底面と対向する態様で本体部51の内部に挿入され、且つ、固定手段により本体部51に固定される。さらに本体部51の前壁部に固定された各コンタクトピンの後端部が電子回路に半田付けされている。
【0032】
さらに図8に示されたように、各突片53が対応する第1支持突起46bの先端面に接触する態様で、回路基板60と一体化したインナーケース50がサイドフィニッシャー45の内部空間に挿入される。さらに各突片53の貫通孔に右側から挿入されたねじ61が第1支持突起46bの雌ねじ孔に挿入され、各ねじ61によって各突片53が対応する第1支持突起46bに固定される。
【0033】
さらに操作レバー63の基端部(下端部)から右側に突出する接続部(図示省略)が、サイドフィニッシャー45の貫通孔48を通して支持ピン55に接続されている。
【0034】
図3図4及び図7図9に示された樹脂製の一体成形品であるスイッチケース65は、左側面全体が開口した中空体である。スイッチケース65は、スイッチケース65の右側面を構成するベース板66を備える。さらにベース板66は、ベース板66の後部を構成する後部構成部66Aと、ベース板66の前部を構成する前部構成部66Bとを備える。前部構成部66Bは後部構成部66Aより一段上方に位置する。さらにスイッチケース65は、ベース板66の上縁部に設けられた上部フランジ67と、ベース板66の下縁部に設けられた下部フランジ68と、を有する。上部フランジ67の下面と下部フランジ68の上面との間の上下方向の距離は、インナーケース50の本体部51の上面と下面との間の上下方向の距離より僅かに大きい。さらに上部フランジ67及び下部フランジ68の外面の左側縁部には、5つの突片69が設けられており、各突片69には貫通孔が形成されている。さらに後部構成部66Aの右側面の後部には係合突起70が右側に向けて突設されている。係合突起70の断面形状は係合孔42と略同一である。さらにスイッチケース65は2つの部位に大別される。即ち、スイッチケース65は、後部構成部66Aと前部構成部66Bの境界部より後方に位置する基板保護部71と、当該境界部より前方に位置するケーブル保護部73と、によって構成される。
【0035】
図5及び図7図9に示されたように、スイッチケース65の基板保護部71が右側からインナーケース50に被せられる。このとき基板保護部71の上部フランジ67がインナーケース50の上面に接触し、基板保護部71の下部フランジ68がインナーケース50の下面に接触し、且つコネクタ52が基板保護部71の内部空間の前端部に位置する。さらに、このようにしてスイッチケース65がインナーケース50に被せられると、図8に示されたように、スイッチケース65の各突片69が対応する第2支持突起46cの先端面に接触する。さらに各突片69の貫通孔に右側から挿入されたねじ62が第2支持突起46cの雌ねじ孔に挿入され、各ねじ62によって各突片69が対応する第2支持突起46cに固定される。
【0036】
図3に示されたように基板接続ケーブル80は、可撓性を有するケーブル本体81と、ケーブル本体81の両端部にそれぞれ固定された雌型のコネクタ85、86と、を有する。ケーブル本体81は、導電性材料からなり且つ周面が絶縁材で覆われた多数のハーネス82と、全てのハーネス82の集合体であるハーネス群の周面を覆う絶縁性材料からなる被覆チューブ83とを備える。コネクタ(一端部)(第2コネクタ)85は、先端面に複数の孔が形成された略直方体のインシュレータ85A、及び、インシュレータ85Aの内部に設けられ且つハーネス82に接続された複数の金属製のコンタクト(図示省略)を有する。同様に、コネクタ(他端部)86は、先端面に複数の孔が形成された略直方体のインシュレータ86A、及び、インシュレータ86Aの内部に設けられ且つハーネス82に接続された複数の金属製のコンタクト(図示省略)を有する。
【0037】
図5及び図7に示されたように、基板接続ケーブル80のコネクタ85がインナーケース50のコネクタ52に前方から接続される。これにより、コネクタ52に設けられた各コンタクトピンが、インシュレータ85Aの孔を通ってコネクタ85の各コンタクトに接触する。このようにコネクタ85がコネクタ52に接続されると、ある程度の大きさの前向きの力がコネクタ85に掛からない限り、コネクタ85がコネクタ52から前方へ抜け出すおそれは殆どない。さらにケーブル本体81の後部がケーブル保護部73の左側に位置する。
【0038】
このようにしてサイドフィニッシャー45、インナーケース50、回路基板60、スイッチケース65及び基板接続ケーブル80が一体化されたら、スイッチケース65の右側面に設けられた係合突起70を左側のサイドフレーム41に設けられた係合孔42に圧入する。これにより図1に示されたように、サイドフィニッシャー45、インナーケース50、回路基板60、スイッチケース65及び基板接続ケーブル80を有する一体物がサイドフレーム41の左側面に装着される。
【0039】
ここで図7に示されたように、ケーブル本体81の一部であり且つ側面視においてスイッチケース65(ケーブル保護部73)の前端より前方に位置する所定の部位を中間部81Mと定義する。さらに、ケーブル本体81の中間部81Mよりコネクタ85側に位置する部位が第1構成部81Aであり、ケーブル本体81の中間部81Mよりコネクタ86側に位置する部位が第2構成部81Bである。図9に示されたように、右側から見たときにケーブル保護部73によって第1構成部81Aの前部を除く部位が覆われる。換言すると、右側から見たときに、第1構成部81Aの前部が側面視においてケーブル保護部73の外周側に位置する。
【0040】
図5図7に示されたように中間部81Mが屈曲され、且つ、図5に示されたように、連結部材32の前端部の上面に固定されたブラケット88によって第2構成部81Bの中間部が支持される。これにより第2構成部81Bが左右方向と平行又は略平行となる。さらに第2構成部81Bが、中間部81Mより右側に位置する。さらに図7に示されたように、平面視において、第1構成部81Aが左側の前側リフトアーム27より左側に位置し、第2構成部81Bが左側の前側リフトアーム27の直前に位置する。図7に示された前側リフトアーム27の位置は、前側リフトアーム27が最も前方へ回転したときの位置である。即ち、第2構成部81Bは左側の前側リフトアーム27の可動領域より前方に位置する。
【0041】
図3に示された電気ケーブル90は、可撓性を有するケーブル本体91、及び、ケーブル本体91の一方の端部に固定された雄型のコネクタ92を有する。ケーブル本体91は、導電性材料からなるハーネスと、ハーネスの周面を覆う絶縁性材料からなる被覆チューブとを備える。コネクタ92は、略直方体のインシュレータ92A、及び、インシュレータ92Aに支持され且つハーネスに接続された複数のコンタクトピン(図示省略)を有する。電気ケーブル90の他端部には第1電動モータM1及び第2電動モータM2が接続されている。電気ケーブル90のインシュレータ92Aは基板接続ケーブル80のコネクタ86に接続され、コネクタ92の各コンタクトピンが、インシュレータ86Aの孔を通ってコネクタ86の各コンタクトピンに接触する。
【0042】
シートクッション35の後端部には、シートバック95の下端部がリクライニング機構(図示省略)を介して接続される。シートバック95の内部にはランバーサポート機構(図示省略)が設けられている。さらにシートクッション11の内部にはリクライニング機構を動作させるためのリクライニング用電動モータ(図示省略)が設けられている。さらにシートバック95の内部にはランバーサポート機構を動作させるためのランバーサポート用電動モータ(図示省略)が設けられている。さらにインナーケース50の左側面には、図示が省略された可動部材であるリクライニング用操作レバー及びランバーサポート用操作レバーが設けられている。リクライニング用操作レバー及びランバーサポート用操作レバーの左端部は、サイドフィニッシャー45に設けられた貫通孔(図示省略)を通ってサイドフィニッシャー45の凹部46aに位置する。
【0043】
さらにシートバック95の上端部には、ヘッドレスト99が設けられる。これにより図1に示された車両用シート20が完成する。
【0044】
操作レバー63が支持ピン55に対して前後方向又は上下方向に動くと、操作レバー63によって押された可動部材56、57が動作し、これにより回路基板60の電子回路に設けられたスイッチ(図示省略)が切り替わる。操作レバー63が前後方向に移動した場合は、電子回路によって第1電動モータM1が制御される。これによりシート本体33(アッパレール22)がロアレール21に対して前後方向に相対移動する。また操作レバー63が上下方向に移動した場合は、電子回路によって第2電動モータM2が制御される。これによりシートクッション35が左右のライザー23に対して昇降する。
【0045】
またリクライニング用操作レバー又はランバーサポート用操作レバーがインナーケース50に対して動くと、インナーケース50に設けられた可動部材(図示省略)が動作し、これにより電子回路に設けられたスイッチが切り替わる。リクライニング用操作レバーが移動した場合は、電子回路によってリクライニング用電動モータが制御される。これによりシートクッション35に対してシートバック95が回転する。ランバーサポート用操作レバーが移動した場合は、電子回路によってランバーサポート用電動モータが制御される。これによりランバーサポート機構が動作する。
【0046】
以上説明したように本実施形態の車両用シート20では、サイドフィニッシャー45、インナーケース50、回路基板60及びスイッチケース65が左側のサイドフレーム41に装着された状態において、スイッチケース65のケーブル保護部73が側面視において基板接続ケーブル80の第1構成部81Aの一部を覆い且つ基板保護部71がコネクタ85を覆う。そのため、回路基板60に接続された基板接続ケーブル80のコネクタ85及び第1構成部81Aの一部が周辺に位置する部材と接触しないように、サイドフィニッシャー45と一体化されたスイッチケース65を左側のサイドフレーム41に装着できる。即ち、回路基板60に接続された基板接続ケーブル80が周辺に位置する部材と接触し難いように、サイドフィニッシャー45と一体化されたスイッチケース65を左側のサイドフレーム41に装着できる。
【0047】
さらにサイドフィニッシャー45及びスイッチケース65が左側のサイドフレーム41に装着された状態において、スイッチケース65が側面視において基板接続ケーブル80のコネクタ86を露出させる。そのため、基板接続ケーブル80のコネクタ86に電気ケーブル90のコネクタ92を接続する作業を容易に実行できる。
【0048】
さらに平面視において、基板接続ケーブル80の第1構成部81Aが左側の前側リフトアーム27より左側に位置し、且つ、第2構成部81Bが左側の前側リフトアーム27の可動領域より前方に位置する。そのため、前側リフトアーム27が動作したときに、前側リフトアーム27がケーブル本体81に接触して、ケーブル本体81が劣化するおそれが殆どない。
【0049】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこの実施形態に限定されるものではない。
【0050】
例えば、サイドフレーム41が係合孔42の代わりに係合突起70を備え、スイッチケース65が係合突起70の代わりに係合孔42を備えてもよい。
【0051】
基板接続ケーブル80のコネクタ85をインナーケース50のコネクタ52に接続した後に、スイッチケース65をサイドフィニッシャー45に固定してもよい。
【0052】
インナーケース50及び回路基板60が一体成形されてもよい。
【0053】
基板接続ケーブル80がコネクタ85を備えず且つインナーケース50がコネクタ52を備えなくてもよい。換言すると、基板接続ケーブル80のハーネス82の一端部が回路基板60の電子回路に半田付けされてもよい。
【符号の説明】
【0054】
20 車両用シート
23 ライザー
27 前側リフトアーム(リフトアーム)
35 シートクッション
40 シートクッションフレーム
41 サイドフレーム
42 係合孔
45 サイドフィニッシャー
52 コネクタ(第1コネクタ)
60 回路基板
65 スイッチケース(支持ケース)
70 係合突起
73 ケーブル保護部
80 基板接続ケーブル
81 ケーブル本体
81A 第1構成部
81B 第2構成部
85 コネクタ(一端部)(第2コネクタ)
86 コネクタ(他端部)
90 電気ケーブル
M1 第1電動モータ(電動アクチュエータ)
M2 第2電動モータ(電動アクチュエータ)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9