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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024105127
(43)【公開日】2024-08-06
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
   G09F 13/18 20060101AFI20240730BHJP
【FI】
G09F13/18 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023009698
(22)【出願日】2023-01-25
(71)【出願人】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(72)【発明者】
【氏名】森戸 秀
【テーマコード(参考)】
5C096
【Fターム(参考)】
5C096AA01
5C096BA01
5C096CB07
5C096CC06
5C096CD02
5C096CD50
5C096FA08
5C096FA11
5C096FA12
(57)【要約】
【課題】画像光の光路を容易に調節できる表示装置を提供する。
【解決手段】表示装置1は、回路基板10と、回路基板10に重ねられた熱可塑性樹脂部20と、回路基板10に電気的に接続され、回路基板10と熱可塑性樹脂部20との間に位置する発光素子15と、を含んでいる。熱可塑性樹脂部20は、回路基板10に対面する凹部21を含んでいる。発光素子15は、凹部21内に位置している。発光素子15は、凹部21を形成する熱可塑性樹脂部20の第2面20bから離れている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路基板と、
前記回路基板に重ねられた熱可塑性樹脂部と、
前記回路基板に電気的に接続され、前記回路基板と前記熱可塑性樹脂部との間に位置する発光素子と、を備え、
前記熱可塑性樹脂部は、前記回路基板に対面する凹部を含み、
前記発光素子は、前記凹部内に位置し、
前記発光素子は、前記凹部を形成する前記熱可塑性樹脂部の面から離れている、表示装置。
【請求項2】
前記熱可塑性樹脂部と前記回路基板とを接合する接合層をさらに備える、請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記熱可塑性樹脂部の前記接合層との接触部分、及び前記回路基板の前記接合層との接触部分の少なくともいずれか一方が平坦である、請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記回路基板は、フレキシブルプリント基板を含む、請求項1に記載の表示装置。
【請求項5】
前記回路基板は、導電性を有する導電部と、前記導電部を覆う絶縁部と、を含む、請求項1に記載の表示装置。
【請求項6】
前記回路基板は、一方向と平行な一以上の軸線を中心として曲がっている、請求項1に記載の表示装置。
【請求項7】
前記回路基板は、センシング機能を有する受信素子を含む、請求項1に記載の表示装置。
【請求項8】
前記熱可塑性樹脂部の可視光線透過率は、0.1%以上50%以下である、請求項1に記載の表示装置。
【請求項9】
前記熱可塑性樹脂部に重ねられた加飾層をさらに備え、
前記熱可塑性樹脂部は、前記回路基板と前記加飾層との間に位置する、請求項1に記載の表示装置。
【請求項10】
前記熱可塑性樹脂部に重ねられた透明シート層と、
前記透明シート層に重ねられたタッチセンサ層と、をさらに備える、請求項1に記載の表示装置。
【請求項11】
前記タッチセンサ層は、前記回路基板から1.0mm以上離れている、請求項10に記載の表示装置。
【請求項12】
前記熱可塑性樹脂部は、ベース部と、前記ベース部から突出したリブと、を含み、
前記熱可塑性樹脂部は、前記リブから前記回路基板に重ねられている、請求項10に記載の表示装置。
【請求項13】
前記タッチセンサ層は、透明導電体又は金属配線を含むタッチセンサ電極を含み、
前記発光素子は、前記タッチセンサ電極に対面する、請求項10に記載の表示装置。
【請求項14】
前記タッチセンサ電極は、ポリチオフェン類を含む、請求項13に記載の表示装置。
【請求項15】
前記タッチセンサ電極は、PEDOT/PSSを含む、請求項14に記載の表示装置。
【請求項16】
前記熱可塑性樹脂部に重ねられた遮光層をさらに備え、
前記遮光層は、前記発光素子からの光が透過可能な開口部を有し、
前記開口部は、前記タッチセンサ電極に対面する、請求項13に記載の表示装置。
【請求項17】
前記遮光層の前記開口部に充填された平坦化樹脂部をさらに備える、請求項16に記載の表示装置。
【請求項18】
前記熱可塑性樹脂部、前記透明シート層、及び前記平坦化樹脂部の一以上が、前記発光素子からの光を拡散する光拡散機能を有する、請求項17に記載の表示装置。
【請求項19】
前記発光素子を複数備え、
隣り合う前記発光素子の間に光吸収部を備える、請求項1に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1に開示されているように、機器に組み込まれる表示装置が知られている。表示装置は、発光素子から放出された光を用いて表示を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2017-500752号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1において、発光素子は、樹脂よって封止されている。この装置では、発光素子と封止樹脂との界面により光路を大きく変化させることが難しい。その結果として、表示装置から放出される光の配光特性を高い自由度で調節することができない。本開示は、表示装置から放出される光の光路を高い自由度で調節できる表示装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一実施の形態による表示装置は、
回路基板と、
前記回路基板に重ねられた熱可塑性樹脂部と、
前記回路基板に電気的に接続され、前記回路基板と前記熱可塑性樹脂部との間に位置する発光素子と、を備え、
前記熱可塑性樹脂部は、前記回路基板に対面する凹部を含み、
前記発光素子は、前記凹部内に位置し、
前記発光素子は、前記凹部を形成する前記熱可塑性樹脂部の面から離れている。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、表示装置から放出される光の光路を高い自由度で調節できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、一実施の形態を説明するための図であって、表示状態の表示装置を示す平面図である。
図2図2は、図1の表示装置のII-II線に沿った断面図である。
図3図3は、図1の表示装置における回路基板、及び発光素子を示す平面図である。
図4図4は、図1の表示装置における積層体を示す平面図である。
図5図5は、表示装置の一変形例を示す断面図である。
図6図6は、表示装置の他の変形例を示す断面図である。
図7図7は、表示装置のさらに他の変形例を示す断面図である。
図8図8は、表示装置のさらに他の変形例を示す断面図である。
図9図9は、表示装置のさらに他の変形例を示す断面図である。
図10図10は、表示装置のさらに他の変形例を示す平面図である。
図11図11は、図10の表示装置の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本開示の一実施の形態は、次の[1]~[19]に関する。
【0009】
[1] 回路基板と、
前記回路基板に重ねられた熱可塑性樹脂部と、
前記回路基板に電気的に接続され、前記回路基板と前記熱可塑性樹脂部との間に位置する発光素子と、を備え、
前記熱可塑性樹脂部は、前記回路基板に対面する凹部を含み、
前記発光素子は、前記凹部内に位置し、
前記発光素子は、前記凹部を形成する前記熱可塑性樹脂部の面から離れている、表示装置。
【0010】
[2] 前記熱可塑性樹脂部と前記回路基板とを接合する接合層をさらに備える、[1]の表示装置。
【0011】
[3] 前記熱可塑性樹脂部と前記接合層との接触部分、及び前記回路基板と前記接合層との接触部分の少なくともいずれか一方が平坦である、[2]の表示装置。
【0012】
[4] 前記回路基板は、フレキシブルプリント基板を含む、[1]~[3]のいずれかの表示装置。
【0013】
[5] 前記回路基板は、導電性を有する導電部と、前記導電部を覆う絶縁部と、を含む、[1]~[4]のいずれかの表示装置。
【0014】
[6] 前記回路基板は、一方向と平行な一以上の軸線を中心として曲がっている、[1]~[5]のいずれかの表示装置。
【0015】
[7] 前記回路基板は、センシング機能を有する受信素子を含む、[1]~[6]のいずれかの表示装置。
【0016】
[8] 前記熱可塑性樹脂部の可視光透過率は、1%以上35%以下である、[1]~[7]のいずれかの表示装置。
【0017】
[9] 前記熱可塑性樹脂部に重ねられた加飾層をさらに備え、
前記熱可塑性樹脂部は、前記回路基板と前記加飾層との間に位置する、[1]~[8]のいずれかの表示装置。
【0018】
[10] 前記熱可塑性樹脂部に重ねられた透明シート層と、
前記透明シート層に重ねられたタッチセンサ層と、をさらに備える、[1]~[9]のいずれかの表示装置。
【0019】
[11] 前記タッチセンサ層は、前記回路基板から1.0mm以上離れている、[10]の表示装置。
【0020】
[12] 前記熱可塑性樹脂部は、ベース部と、前記ベース部から突出したリブと、を含み、
前記熱可塑性樹脂部は、前記リブから前記回路基板に重ねられている、[10]又は[11]の表示装置。
【0021】
[13] 前記タッチセンサ層は、透明導電体又は金属配線を含むタッチセンサ電極を含み、
前記発光素子は、前記タッチセンサ電極に対面する、[10]~[12]のいずれかの表示装置。
【0022】
[14] 前記タッチセンサ電極は、ポリチオフェン類を含む、[13]の表示装置。
【0023】
[15] 前記タッチセンサ電極は、PEDOT/PSSを含む、[13]又は[14]の表示装置。
【0024】
[16] 前記熱可塑性樹脂部に重ねられた遮光層をさらに備え、
前記遮光層は、前記発光素子からの光が透過可能な開口部を有し、
前記開口部は、前記タッチセンサ電極に対面する、[13]~[15]のいずれかの表示装置。
【0025】
[17] 前記遮光層の前記開口部に充填された平坦化樹脂部をさらに備える、[16]の表示装置。
【0026】
[18] 前記熱可塑性樹脂部、前記透明シート層、及び前記平坦化樹脂部の一以上が、前記発光素子からの光を拡散する光拡散機能を有する、[17]の表示装置。
【0027】
[19] 前記発光素子を複数備え、
隣り合う前記発光素子の間に光吸収部を備える、[1]~[18]のいずれかの表示装置。
【0028】
以下、図面を参照して本開示の一実施の形態について説明する。本件明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
【0029】
本明細書において、形状や幾何学的条件ならびにそれらの程度を特定する、例えば「平行」、「直交」、「同一」等の用語や、長さあるいは角度の値については、厳密な意味に限定されることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈する。
【0030】
本明細書において、「シート」、「板」及び「フィルム」等の用語は、呼称の違いのみに基づいて互いから区別されない。
【0031】
方向の関係を図面間で明確にするため、いくつかの図面には、共通する符号を付した矢印により第1方向D1、第2方向D2及び第3方向D3を示している。矢印の先端が、各方向の第1側となる。図面の紙面に垂直な方向に沿って紙面から手前に向かう矢印を、例えば図1に示すように、円の中に点を設けた記号により示した。図面の紙面に垂直な方向に沿って紙面の奥に向かう矢印を、例えば図2に示すように、円の中に×を設けた記号により示した。
【0032】
本明細書において、あるパラメータに関して複数の上限値の候補及び複数の下限値の候補が挙げられている場合、そのパラメータの数値範囲は、任意の1つの上限値の候補と任意の1つの下限値の候補とを組み合わせることによって構成されてもよい。一例として、「パラメータBは、A1以上でもよく、A2以上でもよく、A3以上でもよい。パラメータBは、A4以下でもよく、A5以下でもよく、A6以下でもよい。」との記載について検討する。この例において、パラメータBの数値範囲は、A1以上A4以下でもよく、A1以上A5以下でもよく、A1以上A6以下でもよく、A2以上A4以下でもよく、A2以上A5以下でもよく、A2以上A6以下でもよく、A3以上A4以下でもよく、A3以上A5以下でもよく、A3以上A6以下でもよい。
【0033】
図1図4は一実施の形態を説明する図である。図1は、表示装置1を示す平面図である。表示装置1は、表示状態において光を放出する。この光によって、画像が表示され得る。以降において、表示装置から放出されて画像を表示する光を、画像光とも呼ぶ。図1及び図2に示されるように、表示装置1は、画像を表示する表示面1aを有している。表示装置1は、種々の用途に適用され得る。表示装置1は、冷蔵庫、洗濯機、電子レンジ、テレビ、食洗器等の電化機器に適用されてもよい。表示装置1は、移動体の内装や外装に適用されてもよい。移動体とは、移動可能な装置や機器である。移動体として、自動車、バイク、自転車、三輪車、電車、航空機、船舶、雪上車、産業用ロボット、ドローン等が例示される。表示装置1は、移動体の内装に適用されてもよい。表示装置1は、自動車の内装に適用されてもよい。移動体は、移動体の外装に適用されてもよい。表示装置1は、例えば、自動車のエンブレムに適用されてもよい。表示装置1は、建物の内装として、壁、扉、天井等に適用されてもよい。
【0034】
図1に示された表示装置1は、回路基板10と、回路基板10に重ねられた熱可塑性樹脂部20と、回路基板10に電気的に接続される発光素子15と、を含んでいる。本実施の形態による表示装置は、表示装置の画像光の光路を高い自由度で調節するための工夫がなされている。これにより、表示装置に所望の配光特性を付与できる。
【0035】
図1に示された表示装置1は、第1方向D1と、第1方向D1に直交する第2方向D2と、に広がっている。回路基板10、及び熱可塑性樹脂部20も、第1方向D1及び第2方向D2に広がっている。回路基板10及び熱可塑性樹脂部20は、第1方向D1及び第2方向D2の両方向に直交する第3方向D3に重ねられている。第3方向D3は、回路基板10に対する熱可塑性樹脂部20の積層方向となっている。図示された例とは異なり、表示装置1は曲がっていてもよい。表示装置1を構成する少なくとも一部の構成要素は、曲がっていてもよい。
【0036】
図2に示す例において、表示装置1は、回路基板10と熱可塑性樹脂部20とを接合する接合層25を含んでいる。接合層25は、接着材又は粘着材を含んでもよい。接合層25に含まれる接着材は、アクリル系接着材、ゴム系接着材、ウレタン系接着材、シリコーン系接着材の一以上を含んでもよい。接合層25に含まれる粘着材は、アクリル系粘着材、ゴム系粘着材、ウレタン系粘着材、シリコーン系粘着材の一以上を含んでもよい。図示された例において、接合層25は、シート状である。接合層25には、熱可塑性樹脂部20の後述する凹部21と第3方向D3に重なる部分において、貫通穴25hが形成されている。貫通穴25hの第3方向D3と非平行な方向における寸法は、凹部21の第3方向D3と非平行な方向における寸法と同一でもよい。接合層25の厚さ、すなわち熱可塑性樹脂部20の回路基板10への積層方向(図2における第3方向D3)における長さは、5μm以上でもよく、50μm以上でもよい。接合層25の厚さは、2000μm以下でもよく、500μm以下でもよい。
【0037】
表示装置1は、表示装置1から第3方向D3に離れた位置から観察される。観察者が表示装置1を観察するとき、発光素子15は、第3方向D3において回路基板10と熱可塑性樹脂部20との間に位置する。
【0038】
図2及び図3に示す例において、回路基板10は、シート状である。この回路基板10は、第1方向D1及び第2方向D2に広がっている。シート状の回路基板10は、一方の面10aと、一方の面10aとは反対側の他方の面10bと、を含む。回路基板10は、一方の面10aにおいて、接合層25に接合している。一方の面10aは、接合層25と接触する接触部分FA1を含む。接触部分FA1は、平坦でもよい。
【0039】
回路基板10の接触部分FA1が「平坦」であることは、以下の方法によって確認される。まず、回路基板10を、JISB7513-1992に規定された等級における1級の等級を有する定盤(株式会社ナベヤ製、GP4560)に、接触部分FA1から置く。次に、定盤に置かれた回路基板10の外周部分に、JISB7524に準拠した隙間ゲージ(株式会社双葉ゲージ製作所製、150A25)を当て、当該隙間ゲージが定盤と回路基板10との間に挿入可能であるかを評価する。この評価を、定盤に置かれた回路基板10の外周部分における、互いに異なる任意の6箇所にて行う。回路基板10の接触部分FA1が「平坦」であるとは、当該任意の6箇所において、2mmの厚さを有する上述の隙間ゲージが定盤と回路基板10との間に挿入不可能であることを意味し、当該任意の6箇所において、1mmの厚さを有する上述の隙間ゲージが定盤と回路基板10との間に挿入不可能であることが好ましい。
【0040】
回路基板10の厚さは、50μm以上でもよく、100μm以上でもよく、300μm以上でもよい。回路基板10の厚さは、5000μm以下でもよく、3000μm以下でもよい。
【0041】
図3に示すように、回路基板10は、本体部10mと、本体部10mから突出した突出部10tと、を含んでいる。本体部10mは、第1方向D1に延びる一対の辺と、第2方向D2に延びる一対の辺と、を有している。回路基板10は、本体部10mにおいて熱可塑性樹脂部20に重なっている。
【0042】
図3に示す例において、突出部10tは、本体部10mの4つの辺のうち、1つの辺から突出している。回路基板10は、突出部10tにおいて、図示しない外部装置に取り付けられてもよい。回路基板10は、コネクタ等を介して外部装置(図示せず)に取り付けられてもよい。本体部10m及び突出部10tは、一体的に作製されてもよい。あるいは、本体部10mとは別体として作製された突出部10tが、本体部10mに取り付けられてもよい。
【0043】
回路基板10は、フレキシブルプリント基板を含んでもよい。「フレキシブルプリント基板」とは、柔軟性を有するプリント基板を意味する。プリント基板の柔軟性とは、プリント基板を50mmの直径を有するロールに巻き付けた際に割れ等が生じないことを意味する。この具体例によれば、熱可塑性樹脂部20の形状に応じて、回路基板10を変形できる。これにより、回路基板10に重ねられる熱可塑性樹脂部20の形状について、自由度を向上できる。また、表示装置1の設置場所の制約を低減できる。これに限られず、回路基板10は、リジット基板を含んでもよい。
【0044】
回路基板10は、発光素子15を保持する。回路基板10は、発光素子15以外の回路素子を保持してもよい。発光素子15は、回路基板10にはんだ付けされることで、回路基板10に保持されている。発光素子15は、はんだ付け以外の方法によって、回路基板に10に保持されてもよい。
【0045】
図2及び図3に示す例において、回路基板10は、導電性を有する導電部11と、導電部11を覆う絶縁部12と、を含んでいる。導電部11は、発光素子15に接触する端子部分において、回路基板10の表面に露出している。図示された例では、導電部11は、回路基板10の一方の面10aに露出している。発光素子15は、回路基板10に電気的に接続されている。発光素子15は、導電部11に電気的に接続されている。発光素子15は、はんだ付け、溶接、超音波接合等によって、回路基板10の一方の面10aに固定されている。導電部11は、回路基板10の突出部10tにおいても、回路基板10の表面に露出している。導電部11は、上述した部分以外の部分において、絶縁部12に覆われている。
【0046】
導電部11は、発光素子15を含む回路素子を外部の回路素子に電気的に接続する配線として機能し得る。外部の回路素子として、電源、スイッチ、制御器等が例示される。発光素子15は、導電部11を介して外部装置(図示せず)と電気的に接続されてもよい。図3に示す例において、導電部11は、発光素子15を外部の回路素子に電気的に接続し得る。導電部11の材料は、特に限定されない。導電部11は、銅、銀、スズ、アルミニウム、ニッケル等の金属を含んでもよい。
【0047】
絶縁部12は、導電部11を部分的に覆っている。導電部11は、絶縁部12に覆われた部分において、絶縁された状態に維持される。図示された例において、回路基板10は、絶縁部12において接合層25に接触している。絶縁部12は接触部分FA1を構成している。すなわち、回路基板10は、絶縁部12において熱可塑性樹脂部20に接合されている。絶縁部12が導電部11を覆うことによって、導電部11の耐久性を向上できる。
【0048】
絶縁部12は、樹脂を含んでもよい。絶縁部12に含まれる樹脂として、ポリイミド、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)等が例示される。絶縁部12は、上述した1種の樹脂のみを含んでもよく、上述した2種以上の樹脂を含んでもよい。
【0049】
絶縁部12は、一以上の樹脂層を含んでもよい。樹脂層は、シートでもよい。図2に示す例において、絶縁部12は、第1樹脂層121と、第1樹脂層121に重ねられた第2樹脂層122と、を含んでいる。第1樹脂層121及び第2樹脂層122は、いずれも、シートである。第1樹脂層121及び第2樹脂層122は、導電部11を挟んでもよい。導電部11は、第1樹脂層121及び第2樹脂層122の間に位置してもよい。図示された例において、第1樹脂層121は、導電部11を第3方向D3における第2側から覆う部分を含んでいる。第2樹脂層122は、第3方向D3における第1側から導電部11を覆う部分を含んでいる。
【0050】
絶縁部12は、硬化性樹脂組成物の硬化物を含んでもよい。硬化性樹脂組成物の硬化物を含む絶縁部12は、高強度および高硬度を有してもよい。硬化性樹脂組成物は、熱硬化性樹脂組成物および電離放射線硬化性樹脂組成物の一以上を含んでもよい。
【0051】
熱硬化性樹脂組成物は、熱硬化性樹脂を含んでもよい。熱硬化性樹脂組成物は、加熱により硬化する。熱硬化性樹脂として、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、尿素メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂等が例示される。熱硬化性樹脂組成物は、硬化剤を含んでもよい。
【0052】
離放射線硬化性樹脂組成物は、電離放射線硬化性化合物を含む。電離放射線硬化性樹脂組成物は、紫外線や電子線等の電離放射線を照射されることによって硬化する。電離放射線硬化性化合物は、電離放射線硬化性官能基を含む。電離放射線硬化性官能基として、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基等のエチレン性不飽和結合基、及びエポキシ基、オキセタニル基等が例示される。電離放射線硬化性化合物は、エチレン性不飽和結合基を有する化合物でもよい。電離放射線硬化性化合物は、(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレート系化合物でもよい。
【0053】
硬化性樹脂組成物は、エポキシ(メタ)アクリレート系化合物、ウレタン(メタ)アクリレート系化合物、ポリエーテル系ウレタン(メタ)アクリレート、カプロラクトン系ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート系化合物、ポリエーテル(メタ)アクリレート系化合物の一以上を含んでもよい。
【0054】
図2及び図3に示す例において、回路基板10には、発光素子15が保持されている。発光素子15は、本体15m、および一対の端子15a、15bを含んでもよい。本体15mは、直方体状の形状を有している。一対の端子15a、15bは、本体15mから第1方向D1に延び出ている。一対の端子15a、15bは、回路基板10にはんだ付けされてもよい。発光素子15は、一対の端子15a、15bを回路基板10にはんだ付けするはんだ18によって、回路基板10に保持されている。一対の端子15a、15bの各々は、回路基板10の一方の面10aに露出した導電部11の端子部分に接触している。この結果、発光素子15は、回路基板10に電気的に接続されている。回路基板10に取り付けられた発光素子15は、第3方向D3において、回路基板10と熱可塑性樹脂部20との間に位置している。
【0055】
発光素子15は、通電時に発光面15rから光を放出する。発光素子15の光の放出、及び光の放出の停止は、回路基板10の導電部11を介して発光素子15と電気的に接続された外部装置(図示せず)によって制御されてもよい。発光素子15は、冷陰極管を含んでもよい。発光素子15は、発光ダイオード(LED)を含んでもよい。図示された例において、発光素子15は、表面実装型の発光ダイオードを含んでいる。図2及び図3に示すように、発光素子15は、第1方向D1及び第2方向D2に広がる発光面15rを含んでいる。発光素子15は、発光面15rにおいて熱可塑性樹脂部20に対面している。
【0056】
図2に示す例において、熱可塑性樹脂部20は、第3方向D3において回路基板10に重ねられている。熱可塑性樹脂部20は、接合層25と接合している。熱可塑性樹脂部20は、回路基板10、及び回路基板10に保持された発光素子15等の回路素子を支持する。熱可塑性樹脂部20は、発光素子15からの光を透過可能である。熱可塑性樹脂部20の厚さ、すなわち熱可塑性樹脂部20の回路基板10への積層方向(図2における第3方向D3)における長さは1mm以上でもよく、1.5mm以上でもよい。熱可塑性樹脂部20の厚さに下限値を設けることによって、熱可塑性樹脂部20は、回路基板10を安定して支持できる。熱可塑性樹脂部20に高可視光透過率を付与する観点から、熱可塑性樹脂部の厚さは、20mm以下でもよく、10mm以下でもよい。
【0057】
熱可塑性樹脂部20は、一方の面と、一方の面と反対側の他方の面と、を含む。図示された例において、他方の面は、第1面20a及び第2面20bを含む。第1面20aは接合層25に接触する。第1面20aは、熱可塑性樹脂部20の接合層25との接触部分FA2を構成する。図示された例において、接触部分FA2は平坦である。接触部分FA2は、或る一方向に延びる軸線を中心に曲がっていてもよい。接触部分FA2は、或る一方向に延びる第1の軸線、及び当該一方向とは非平行な他方向に延びる第2の軸線の両軸線を中心に曲がっていてもよい。
【0058】
なお、熱可塑性樹脂部20の接触部分FA2が「平坦」であることは、以下の方法によって確認される。まず、熱可塑性樹脂部20を、JISB7513-1992に規定された等級における1級の等級を有する定盤(株式会社ナベヤ製、GP4560)に、接触部分FA2から置く。次に、定盤に置かれた熱可塑性樹脂部20の外周部分に、JISB7524に準拠した隙間ゲージ(株式会社双葉ゲージ製作所製、150A25)を当て、当該隙間ゲージが定盤と熱可塑性樹脂部20との間に挿入可能であるかを評価する。この評価を、定盤に置かれた熱可塑性樹脂部20の外周部分における、互いに異なる任意の6箇所にて行う。熱可塑性樹脂部20の接触部分FA2が「平坦」であるとは、当該任意の6箇所において、2mmの厚さを有する上述の隙間ゲージが定盤と熱可塑性樹脂部20との間に挿入不可能であることを意味し、当該任意の6箇所において、1mmの厚さを有する上述の隙間ゲージが定盤と熱可塑性樹脂部20との間に挿入不可能であることが好ましい。
【0059】
図2及び図3に示す例において、熱可塑性樹脂部20は、凹部21を含む。凹部21は、熱可塑性樹脂部20の第2面20bによって形成されている。凹部21は、回路基板10に対面している。凹部21は、発光素子15の収容空間RMを形成する。回路基板10に保持された発光素子15は、接合層25に形成された貫通穴25hを通過し、凹部21内に位置している。図3に二点鎖線を用いて示すように、平面視(第3方向D3からの観察)における凹部21の面積は、平面視における発光素子15の面積よりも大きくなっている。凹部21は、平面視において、円形形状を有している。ただし、凹部21の形状は、図示された例に限られない。凹部21は、平面視において、三角形形状でもよいし、四角形形状でもよいし、その他の形状でもよい。
【0060】
発光素子15が「凹部21内に位置する」とは、回路基板10と熱可塑性樹脂部20とが重ねられた積層方向(図1図4における第3方向D3)において、発光面15rの少なくとも一部分が、凹部21の回路基板10に最も近い部分と、凹部21の回路基板10から最も離れた部分との間に位置することを意味する。図示された例において、凹部21は、凹部21を形成する第2面20bと第1面20aとの境界部分において、回路基板10に最も近づいている。凹部21は、頂部21pにおいて、回路基板10から最も遠ざかっている。発光面15rは、第3方向D3において第1面20aと第2面20bとの境界部分と、凹部21の頂部21pとの間に位置している。
【0061】
発光素子15は、凹部21を形成する熱可塑性樹脂部20の第2面20bから離れている。図2に示すように、発光素子15は、第1方向D1及び第3方向D3において第2面20bから離れている。図3に示すように、発光素子15は、第2方向D2においても第2面20bから離れている。図示された例において、発光面15rの全域が、第2面20bから離れている。図示された例において、発光素子15の全体が、第2面20bから離れている。発光面15rが凹部21を形成する第2面20bから離れることによって、発光面15rと第2面20bとの間となる収容空間RMに空隙が形成される。図2及び図3に示す例において、凹部21によって形成された収容空間RMには、空気が含まれている。
【0062】
熱可塑性樹脂部20は、熱可塑性樹脂を含む。熱可塑性樹脂部20は、発光素子15からの光を透過可能な種々の材料を含み得る。熱可塑性樹脂部20の材料として、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDF)、ポリビニルアルコール(PVA)、エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン・ビニルアルコール共重合体(EVOH)等のビニル系樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸メチル(PMMA)、ポリ(メタ)アクリル酸エチル(PEMA)等のアクリル系樹脂、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリアセタール(POM)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリアミド(PA)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリスチレン(PS)、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、アクリルニトリル・スチレン共重合体(AS)、アクリルニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体(ABS)、アクリルニトリル・エチレン・スチレン共重合体(AES)、ポリカーボネート(PC)等の樹脂が例示される。熱可塑性樹脂部20は、上述した1種の樹脂のみを含んでもよく、上述した2種以上の樹脂を含んでもよい。
【0063】
熱可塑性樹脂部20は、透明でもよい。熱可塑性樹脂部20は、着色材を含んでもよい。すなわち、熱可塑性樹脂部20は着色されてもよい。着色材として、顔料や染料が例示される。熱可塑性樹脂部20は、黒色等の暗色の着色材を含んでもよい。熱可塑性樹脂部20は、スモーク着色されてもよい。
【0064】
なお、「透明」であるとは、可視光透過率が50%以上であることを意味し、70%以上でもよく、80%以上でもよい。可視光透過率は、JIS K 7361に準拠したヘイズメーター(村上色彩技術研究所製、製品番号:HM-150)を用いて測定波長380nm以上780nm以下の範囲内で、1nm毎に入射角0°で測定したときの、各波長における全光線透過率の平均値である。入射角は、測定対象の法線方向と入射光の光路との間の角度である。
【0065】
熱可塑性樹脂部20は、射出成形によって作製されてもよい。図2に示す例において、熱可塑性樹脂部20は、後述する積層体30と射出成形の際に溶着している。射出成形によって凹部21を含む熱可塑性樹脂部20が作製されてもよい。あるいは、射出成形された熱可塑性樹脂部20に、切削等の後加工によって凹部21が設けられてもよい。
【0066】
熱可塑性樹脂部20の可視光透過率は、0,1%以上でもよく、1%以上でもよい。熱可塑性樹脂部20に重ねられた回路基板10を隠蔽する観点から、熱可塑性樹脂部20の可視光透過率は、50%以下でもよく、30以下でもよい。可視光透過率は、上述したようにヘイズメーター(村上色彩技術研究所製、製品番号:HM-150)を用いて特定される。なお、熱可塑性樹脂部20の可視光透過率は、熱可塑性樹脂部20の回路基板10と熱可塑性樹脂部20とが重ねられた方向における厚さが最も小さい部分にて測定された値とする。
【0067】
表示装置1は、熱可塑性樹脂部20に重ねられた一以上の層を含んでもよい。図示された例のように、表示装置1は、熱可塑性樹脂部20に重ねられた二以上の層を含んでもよい。図示された例において、二以上の追加の層が、積層体30を構成している。すなわち、図示された表示装置1は、熱可塑性樹脂部20に重ねられた積層体30を含んでいる。
【0068】
図2及び図4に示す例において、積層体30は、第1方向D1及び第2方向D2に広がるシート状の部材である。積層体30を含む表示装置1において、熱可塑性樹脂部20は、回路基板10と積層体30との間に位置している。積層体30は、発光素子15からの光を透過可能な部分を含む。積層体30は、表示装置1に種々の機能を付与する。表示装置1は、積層体30や追加の層を含まなくてもよい。
【0069】
積層体30は、熱可塑性樹脂部20の作製時に、熱可塑性樹脂部20に重ねられてもよい。積層体30は、熱可塑性樹脂部20の成形時に、射出樹脂からなる熱可塑性樹脂部20と溶着してもよい。積層体30を収容したキャビティ内に加熱された熱可塑性樹脂を供給することによって、積層体30と溶着した熱可塑性樹脂部20を作製してもよい。予備成形された積層体30を用いたインサート成形によって、積層体30と溶着した熱可塑性樹脂部20を作製してもよい。積層体30は、予備成形として、真空成形、圧空成形等の種々の成形方法により塑性変形されてもよい。
【0070】
図2及び図4に示す例において、積層体30は、本体部30mと、本体部30mから突出した突出部30tと、を含んでいる。本体部30mは、第1方向D1に延びる一対の辺と、第2方向D2に延びる一対の辺と、を有している。積層体30は、本体部30mにおいて熱可塑性樹脂部20に重なっている。
【0071】
図4に示す例において、突出部30tは、本体部30aの4つの辺のうち、1つの辺から突出している。突出部30tは、回路基板10の突出部10tと第3方向D3に重なっている。積層体30は、突出部30tにおいて、図示しない外部装置に取り付けられてもよい。積層体30は、コネクタ等を介して外部装置に取り付けられてもよい。
【0072】
図2に示すように、積層体30において、透明シート層31、加飾層32、遮光層33、平坦化樹脂部34、及びタッチセンサ層35が、第3方向D3において熱可塑性樹脂部20に向けてこの順で重ねられている。積層体30の積層方向は、第3方向D3に平行な方向である。
【0073】
透明シート層31は透明である。透明シート層31はシート状である。図2に示す例において、透明シート層31は、表示装置1の表示面1aを構成している。透明シート層31は、積層体30の本体部30mを形成する部分と、突出部30tを形成する部分と、を含んでいる。透明シート層31は、タッチセンサ層35を支持してもよい。透明シート層31は、タッチセンサ層35以外の層を支持してもよい。表示面1aを構成する透明シート層31は、積層体30に含まれる層を保護する機能を有してもよい。
【0074】
透明シート層31は、樹脂を含んでもよい。透明シート層31に含まれる樹脂として、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDF)、ポリビニルアルコール(PVA)、エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン・ビニルアルコール共重合体(EVOH)等のビニル系樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸メチル(PMMA)、ポリ(メタ)アクリル酸エチル(PEMA)等のアクリル系樹脂、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリアセタール(POM)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリアミド(PA)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリスチレン(PS)、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、アクリルニトリル・スチレン共重合体(AS)、アクリルニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体(ABS)、アクリルニトリル・エチレン・スチレン共重合体(AES)、ポリカーボネート(PC)等の樹脂が例示される。透明シート層31は、これらの樹脂で形成されたフィルムでもよい。
【0075】
タッチセンサ層35を含む積層体30の他の層を適切に支持する観点から、透明シート層31の厚さは、40μm以上でもよく、70μm以上でもよい。透明シート層31の厚さは、1000μm以下でもよく、600μm以下でもよい。
【0076】
加飾層32は、熱可塑性樹脂部20に重ねられている。熱可塑性樹脂部20は、回路基板10と加飾層32との間に位置している。図2に示すように、加飾層32は、積層体30の本体部30mにおいて、透明シート層31に重ねられている。図示された加飾層32は、突出部30t上には位置していない。加飾層32は、意匠を表示する。加飾層32を含む積層体30と、熱可塑性樹脂部20と、によって、加飾部材60が構成されてもよい。図1及び図4に示すように、平面視からの表示装置1の観察において、加飾層32によって表示される意匠が観察される。加飾層32は、表示装置1に意匠性を付与する。加飾層32は、図形、パターン、デザイン、色彩、絵、写真、キャラクター、マーク、ピクトグラム、文字や数字などの絵柄を、意匠として表示してもよい。加飾層32は、木目調や大理石調の絵柄、金属調の質感、幾何学模様等を表示してもよい。このような加飾層32によれば、表示装置1を表示装置1が設けられる周辺環境に調和させることもできる。加飾層32の厚さは、0.5μm以上でもよく、1μm以上でもよい。加飾層32の厚さは、100μm以下でもよく、75μm以下でもよい。
【0077】
加飾層32は、印刷層でもよい。加飾層32は、隣接する層に印刷することによって形成されてもよい。加飾層32は、透明シート層31に印刷することによって形成されてもよい。透明シート層31に印刷された加飾層32が、透明シート層31とともに熱可塑性樹脂部20に重ねられてもよい。加飾層32は、熱可塑性樹脂部20に印刷することによって形成されてもよい。加飾層32は、転写層でもよい。加飾層32は、透明シート層31や熱可塑性樹脂部20等に転写されることによって形成されてもよい。
【0078】
加飾層32は、バインダー樹脂部と、バインダー樹脂部に保持された色材と、を含んでもよい。色材として、染料や顔料を用いてもよい。加飾層32のバインダー樹脂部は、熱可塑性樹脂を含んでもよい。加飾層32のバインダー樹脂部は、硬化性樹脂組成物の硬化物を含んでもよい。硬化性樹脂組成物は、電離放射線硬化性樹脂および熱硬化性樹脂の一以上を含んでもよい。電離放射線硬化性樹脂は、紫外線硬化性樹脂および電子線放射線樹脂を含んでもよい。加飾層32のバインダー樹脂部の材料として、ポリメタクリル酸メチル等のアクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル-酢酸ビニル-アクリル共重合体、塩素化ポリプロピレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ブチラール樹脂、ポリスチレン樹脂、ニトロセルロース樹脂、酢酸セルロース樹脂等が例示される。加飾層32のバインダー樹脂部は、これらの材料を、1種単独で含んでもよく、2種以上を組合せて含んでもよい。
【0079】
加飾部材60の可視光透過率は、0.5%以上でもよく、3%以上でもよい。加飾部材60の可視光透過率は、30%以下でもよく、20%以下でもよい。加飾部材60の可視光透過率は、上述したようにヘイズメーター(村上色彩技術研究所製、製品番号:HM-150)を用いて特定される。
【0080】
遮光層33は、熱可塑性樹脂部20に重ねられている。図2に示す例において、遮光層33は、加飾層32と熱可塑性樹脂部20との間に位置している。遮光層33は、可視光遮光性を有している。遮光層33は、発光素子15からの光が透過可能な開口部33aを有している。遮光層33において、開口部33aと、開口部以外の部分との間には、遮光層33の厚み分の段差33sが形成されている。開口部33aは、表示したい画像の形状と同一の形状を有している。図示された開口部33aは、図4に破線で示すように、アルファベットの「A」の形状を有している。「A」の形状を有した開口部33aの領域のみを、発光素子15から放出された光が透過できる。このとき、開口部33aの形状である「A」が、画像として、表示される。
【0081】
遮光層33は、バインダー樹脂部と、バインダー樹脂部に保持された光吸収粒子と、を含んでもよい。光吸収粒子として、カーボンブラックやチタンブラック等の黒色顔料が例示される。遮光層33のバインダー樹脂部は、熱可塑性樹脂を含んでもよい。遮光層33のバインダー樹脂部は、硬化性樹脂組成物の硬化物を含んでもよい。硬化性樹脂組成物は、電離放射線硬化性樹脂および熱硬化性樹脂の一位以上を含んでもよい。電離放射線硬化性樹脂は、紫外線硬化性樹脂および電子線放射線樹脂を含んでもよい。遮光層33のバインダー樹脂部の材料として、ポリメタクリル酸メチル等のアクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル-酢酸ビニル-アクリル共重合体、塩素化ポリプロピレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ブチラール樹脂、ポリスチレン樹脂、ニトロセルロース樹脂、酢酸セルロース樹脂等が例示される。遮光層33のバインダー樹脂部は、これらの材料を、1種単独で含んでもよく、2種以上を組合せて含んでもよい。遮光層33の厚さは、0.5μm以上でもよく、1μm以上でもよい。遮光層33の厚さは、75μm以下でもよく、100μm以下でもよい。
【0082】
なお、「可視光遮光性」とは、可視光透過率が10%以下であることを意味し、5%以下でもよく、2%以下でもよい。可視光透過率は、上述したようにヘイズメーター(村上色彩技術研究所製、製品番号:HM-150)を用いて特定される。
【0083】
遮光層33は、印刷層でもよい。遮光層33は、隣接する層に印刷することによって形成されてもよい。遮光層33は、透明シート層31に印刷することによって形成されてもよい。遮光層33は、加飾層32に印刷することによって形成されてもよい。透明シート層31に印刷された遮光層33が、透明シート層31とともに熱可塑性樹脂部20に重ねられてもよい。遮光層33は、熱可塑性樹脂部20に印刷することによって形成されてもよい。
【0084】
図2に示す例において、遮光層33の開口部33aには、平坦化樹脂部34が充填されている。平坦化樹脂部34は、遮光層33に形成された段差33sを低減する。平坦化樹脂部34は透明でもよい。図2に示されるように、平坦化樹脂部34は、遮光層33の開口部33a以外の部分に重ねられてもよい。図示された例において、平坦化樹脂部34は、開口部33a内に位置する充填部34aと、開口部33a外に位置するベース部34bと、を含む。充填部34aは、ベース部34bに支持されている。ベース部34bは、充填部34aに対面する領域と、その周囲の領域と、に広がっている。ベース部34bは、透明シート層31に対面する領域の全域に広がっていてもよい。
【0085】
平坦化樹脂部34は、熱可塑性樹脂を含んでもよい。平坦化樹脂部34に含まれる熱可塑性樹脂は、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDF)、ポリビニルアルコール(PVA)、エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン・ビニルアルコール共重合体(EVOH)等のビニル系樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸メチル(PMMA)、ポリ(メタ)アクリル酸エチル(PEMA)等のアクリル系樹脂、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリアセタール(POM)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリアミド(PA)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリスチレン(PS)、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、アクリルニトリル・スチレン共重合体(AS)、アクリルニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体(ABS)、アクリルニトリル・エチレン・スチレン共重合体(AES)、ポリカーボネート(PC)等の樹脂でもよい。平坦化樹脂部34は、上述した材料を1種単独で含んでもよく、2種以上を組合せて含んでもよい。
【0086】
タッチセンサ層35は、対象物の接近や接触を検出するセンシング機能を有する。タッチセンサ層35は、対象物の接近や接触を検出することによって、入力装置として機能する。例えば、使用者は、表示装置1による表示に対応して表示装置1の表示面に指を接近または接触させることによって、直接的かつ直感的な入力を行える。表示装置1は、タッチセンサ層35による対象物の検出が可能なアクティブエリアAAと、検出が不可能な非アクティブエリアNAと、を含む。アクティブエリアAAは透明な領域である。
【0087】
タッチセンサ層35は、タッチセンサ電極36及び配線37を含む。タッチセンサ電極36は、アクティブエリアAA内に位置する。タッチセンサ電極36が配置された領域が、アクティブエリアAAとなる。すなわち、タッチセンサ電極36は、アクティブエリアAAを区画する。配線37は、タッチセンサ電極36と電気的に接続している。図示された例において、アクティブエリアAAは、平面視において、略四角形となっている。第3方向D3への投影において、アクティブエリアAA及びタッチセンサ電極36は、遮光層33に設けられた開口部33aと第3方向D3に対面する領域と、当該領域の周囲となる領域と、に位置する。すなわち、発光素子15からの光が通過する領域に、アクティブエリアAA及びタッチセンサ電極36が位置している。発光素子15は、第3方向D3において、タッチセンサ電極36に対面してもよい。非アクティブエリアNAは、遮光層33と第3方向D3に対面する。非アクティブエリアNAは、遮光層33によって、観察者から隠蔽される。
【0088】
図示された例において、タッチセンサ層35は、積層体30の本体部30m及び突出部30tに設けられている。アクティブエリアAAを区画するタッチセンサ電極36は、本体部30m内のみに位置する。配線37は、本体部30mおよび突出部30tに位置する。
【0089】
配線37は、表示装置1の外部となる電源や制御装置と電気的に接続する。配線37と電気的に接続したタッチセンサ電極36は、配線37によって電圧を印加される。検出対象物が表示装置1の表示面に接近または接触すると、タッチセンサ電極36の電気的な物理量に変化が生る。電気的な物理量の変化は、タッチセンサ電極36に形成された電場の変化でもよい。電気的な物理量は抵抗でもよい。電気的な物理量は静電容量でもよい。タッチセンサ電極36の電気的な物理量に変化が生じると、配線37に電流が流れ得る。すなわち、タッチセンサ電極36は、対象物の接近や接触を電気的な物理量の変化として検出し、配線37を通じて電気信号を外部へ送信する。制御装置等は、電気信号を受信することにより、対象物の接近や接触が検出できる。
【0090】
タッチセンサ層35による検出方式は限定されない。タッチセンサ層35は、静電容量方式、抵抗膜方式等の種々の方式を使用できる。タッチセンサ層35によって検出される対象物は、タッチセンサ層35による検出方式に応じて適宜選択され得る。検出される対象物は、検出方式に応じて適宜選択され得る。対象物は、ペンでもよいし、指でもよい。
【0091】
図2に示す例において、タッチセンサ電極36は、第3方向D3において回路基板10と重なる領域に位置している。タッチセンサ電極36は、第3方向D3において発光素子15と重なる領域と、その周囲の領域とに位置している。タッチセンサ電極36は、発光素子15から放出された光を透過可能でもよい。すなわち、タッチセンサ電極36そのものが、透明でもよい。タッチセンサ電極36は、透明導電体によって形成されてもよい。透明導電体としてのタッチセンサ電極36の材料は、インジウム錫酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)、アルミニウム亜鉛酸化物(AZO)、インジウムガリウム亜鉛酸化物等(IGZO)の金属酸化物でもよい。タッチセンサ電極36は、透明導電体として、ポリチオフェン類を含んでもよい。タッチセンサ電極36に含まれるポリチオフェン類は、ポリエチレンジオキシチオフェン/ポリエチレンスルホン酸(PEDOT/PSS)でもよく、SELFTRON(登録商標)でもよい。タッチセンサ電極36が透明導電体としてポリチオフェン類を含むことで、積層体30が塑性変形する場合であっても、タッチセンサ電極36を安定して形成できる。すなわち、ポリチオフェン類を含むタッチセンサ電極36は、成形性に優れる。ポリチオフェン類を含むタッチセンサ電極36は、例えば、予備成形を伴うインサート成形に好適である。透明導電体としてのタッチセンサ電極36は、例えば、真空蒸着やスパッタリング等によって、形成され得る。透明導電体としてのタッチセンサ電極36の厚さは、0.1μm以上でもよく、0.5μm以上でもよい。透明導電体としてのタッチセンサ電極36の厚さは、5μm以下でもよく、1μm以下でもよい。
【0092】
タッチセンサ電極36は、金属細線でもよい。タッチセンサ電極36は、編み目状やストライプ状に配置された金属細線の集合体でもよい。金属細線の幅は、10mm以下でもよく、1mm以下でもよい。金属細線の配置ピッチは、10mm以下でもよく、1mm以下でもよい。発光素子15から放出された光は、隣り合う金属細線の間を透過可能でもよい。金属細線の材料として、銅、銀、スズ、アルミニウム、ニッケル等が例示される。金属細線を含むタッチセンサ電極36は、フォトリソグラフィー技術を用いて箔をパターニングすることにより、形成されてもよい。
【0093】
図4に示すように、配線37は、接続部37aおよび配線部37bを含んでもよい。接続部37aは、タッチセンサ電極36と接触し、タッチセンサ電極36と電気的に接続している。接続部37aは、周状であり、タッチセンサ電極36を取り囲んでいる。接続部37aは、非アクティブエリアNAを区画してもよい。配線部37bは、接続部37aから延び出している。配線部37bは、突出部30tまで延びてもよい。図示された例において、配線部37bは第1方向D1に延びている。配線37の印刷には、金属粉末及びバインダー樹脂を含む導電ペーストを用いてもよい。導電ペーストに含まれる金属粉末は、例えば銀の粉末でもよい。配線37として、導電性を有する種々の材料を使用できる。配線37は、例えば金属を含んでもよい。配線37の印刷には、金属粉末及びバインダー樹脂を含む導電ペーストを用いてもよい。導電ペーストに含まれる金属粉末は、例えば銀の粉末でもよい。導電ペーストに含まれるバインダー樹脂は、熱硬化性樹脂を含んでもよいし、熱可塑性樹脂を含んでもよい。熱硬化性樹脂として、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、尿素メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂等の樹脂を含んでもよい。
【0094】
タッチセンサ層35は、隣接する層に形成されてもよい。タッチセンサ層35は、透明シート層31に形成されてもよい。タッチセンサ層35は、加飾層32に形成されてもよい。タッチセンサ層35は、遮光層33に形成されてもよい。タッチセンサ層35は、平坦化樹脂部34に形成されてもよい。
【0095】
図2及び図4に示す例において、タッチセンサ層35は、透明シート層31に重ねられている。タッチセンサ層35は、本体部30mにおいて平坦化樹脂部34と熱可塑性樹脂部20との間に位置している。
【0096】
安定した検出特性を確保する観点から、タッチセンサ層35は、回路基板10から1.0mm以上離れていることが好ましい。図2に示す例において、タッチセンサ層35と回路基板10との間の距離は、第3方向D3において1.0mm以上となっている。タッチセンサ層35は、回路基板10から2.0mm以上離れてもよく、2.5mm以上離れてもよく、3.0mm以上離れてもよい。この具体例によれば、通電した回路基板10からの放電に起因する、タッチセンサ層35の誤動作を効果的に抑制できる。積層体30の厚さを低減する観点から、タッチセンサ層35は、第3方向D3において回路基板10から30mm以下離れてもよく、10mm以下離れてもよい。
【0097】
以上に説明した表示装置1は、一例として、次のようにして製造され得る。
【0098】
まず、積層体30を作製する。まず、透明シート層31を用意する。透明シート層31は、一例として、樹脂フィルムとして用意される。次に、積層体30を構成する各層を作製するための樹脂組成物を用意する。樹脂組成物を透明シート層31に塗布することによって塗布膜を形成し、この塗布膜を固化または硬化させることによって、積層体30に含まれる各層を形成する。或いは、透明シート層31上に転写することによって、積層体30に含まれる各層を形成してもよい。このようにして、透明シート層31上に各層を形成していくことにより、積層体30が得られる。
【0099】
次に、積層体30を予備成形してもよい。予備成形として、真空成形や圧空成形が例示される。その後、熱可塑性樹脂部20を射出成形によって作製するためのキャビティに、積層体30を配置する。積層体30が収容されたキャビティ内に、加熱された熱可塑性樹脂を供給する。キャビティ内で熱可塑性樹脂を固化させることによって、積層体30に接合した状態で熱可塑性樹脂部20が得られる。
【0100】
以上の工程の前後または並行して、発光素子15を保持した回路基板10を用意する。接合層25を用いて、熱可塑性樹脂部20と回路基板10とを接合することによって、表示装置1が得られる。
【0101】
図示された表示装置1の作用について説明する。
【0102】
表示装置1が非表示状態にある場合、発光素子15は発光しない。図1図4に示す例において、表示装置1は、熱可塑性樹脂部20に重ねられた加飾層32を含んでいる。熱可塑性樹脂部20は、回路基板10と加飾層32との間に位置している。この具体例によれば、図1及び図4に示されるように、非表示状態において熱可塑性樹脂部20に重ねられた加飾層32によって表示された意匠が観察される。加飾層32によれば、表示装置1に意匠性を付与できる。発光素子15及び回路基板10は、熱可塑性樹脂部20に重ねられた加飾層32によって隠蔽される。これらにより、外部環境との意匠の調和や統一性を確保しながら表示装置1を設置できる。したがって、この具体例によれば、表示装置1の適用範囲を拡大できる。
【0103】
表示装置1が表示状態にある場合、発光素子15が光を放出する。光は、発光面15rから熱可塑性樹脂部20に向けて進む。発光素子15は、熱可塑性樹脂部20から離れている。すなわち、発光素子15と熱可塑性樹脂部20との間に収容空間RMが空隙として存在する。発光素子15から放出された光は、まず、発光素子15と収容空間RMとの界面において屈折する。発光素子15と収容空間RMとの界面において屈折した光は、収容空間RM内を進み、凹部21を形成する熱可塑性樹脂部の第2面20bに到達する。第2面20bに到達した光は、第2面20b、すなわち収容空間RMと熱可塑性樹脂部20との界面において再び屈折する。第2面20bにおいて屈折した光は、熱可塑性樹脂部20内を進み、積層体30に向かう。
【0104】
積層体30へ到達した光は、まず、タッチセンサ層35に進む。タッチセンサ層35は、発光素子15と第3方向D3に対面する領域にタッチセンサ電極36を含んでいる。タッチセンサ電極36が配置されている領域は、アクティブエリアAAを構成し、透明である。発光素子15からの光は、タッチセンサ層35を通過し、透明な平坦化樹脂部34をさらに透過して、遮光層33に向かう。なお、表示装置1の非アクティブエリアNAには、配線37が配置されている。配線37に入射した光は、配線37において反射または吸収される。
【0105】
遮光層33は、発光素子15と第3方向D3に対面する領域に開口部33aを区画している。遮光層33は、発光素子15からの光を吸収または反射する。開口部33aには透明な平坦化樹脂部34が充填されている。光は、開口部33aを通過できる。開口部33aを透過した光は、その後、加飾層32及び透明シート層31を透過し、積層体30から出射する。
【0106】
このようにして、表示装置1が表示状態にある場合、発光素子15から放出された光は、観察者へ向けて出射する。発光素子15から放出された光は、図1に示すように、光が透過可能な開口部33aの形状に対応した画像を表示面1a上に形成する。図1に示す例では、画像として、アルファベットの「A」が表示されている。
【0107】
図1図4に示す例において、発光素子15は、タッチセンサ電極36と第3方向D3において対面している。次に、遮光層33の開口部33aが、タッチセンサ電極36と第3方向D3において対面している。この具体例によれば、発光素子15から放出された光は、タッチセンサ電極36及び開口部33aを透過して、表示面1aから放出され得る。すなわち、表示装置1は、タッチセンサ電極36が重なるアクティブエリアAAに画像を表示できる。一例として、画像が何らかの入力を促す表示である場合、画像の観察者である使用者は、直感的に画像が表示されている位置に指を接触させる。タッチセンサ層35のタッチセンサ電極36は、表示面1aへの指の接近または接触を、電気的な物理量の変化として、例えば抵抗の変化や静電容量の変化として、検出する。タッチセンサ電極36によって検出された電気的な変化は、配線37を経由して外部へ電送される。このようにして、タッチセンサ層35を含む表示装置1は、優れた意匠性を発揮する表示装置および入力装置として利用され得る。
【0108】
ところで、表示装置から放出される画像光の配光特性は、表示装置の用途や設置位置等に応じて設定されるべきである。しかしながら、上述したJP2017-500752Aに開示された従来の表示装置では、配光特性を高い自由度で調節できなかった。その理由の一つとして、発光素子が樹脂封止されていることが考えられた。この従来の表示装置では、発光素子から放出された光は、発光素子と封止樹脂との界面において屈折した後、封止樹脂内を進む。この屈折を利用することによって、配光特性をいくらか調節できる。しかしながら、発光素子と封止樹脂との界面は屈折率差を大きくとることが難しい。結果として、発光素子と封止樹脂との界面での屈折だけでは十分に光路を調節できなかった。
【0109】
これに対して、本実施の形態による表示装置において、表示装置1は、回路基板10と、回路基板10に重ねられた熱可塑性樹脂部20と、回路基板10に電気的に接続され、回路基板10と熱可塑性樹脂部20との間に位置する発光素子15と、を含んでいる。熱可塑性樹脂部20は、回路基板10に対面する凹部21を含んでいる。発光素子15は、凹部21内に位置している。発光素子15は、凹部21を形成する熱可塑性樹脂部20の第2面20bから離れている。この表示装置1によれば、発光面15rが凹部21を形成する第2面20bから離れることによって、発光面15rと第2面20bとの間に、収容空間RMを空隙として残すことができる。したがって、発光素子15から放出された光は、上述した通り、発光素子15の発光面15r及び収容空間RMの界面と、収容空間RM及び熱可塑性樹脂部20の界面と、において屈折する。このとき、収容空間RMを真空とすること又は収容空間RMを空気雰囲気とすることにより、収容空間RMの屈折率は、最低屈折率である1まで低減する。これにより、収容空間RMとの間で形成される二つの界面での屈折率差を大きくでき、結果として、二つの界面での屈折において、光の光路を大きく曲げることができる。さらに、本実施の形態によれば、凹部21の形状を発光素子15の外形状から独立して調節できる。凹部21の形状を適宜変更することによっても、画像光の配光特性を調節できる。以上のことから、本実施の形態による表示装置1によれば、高い自由度で、画像光の配光特性を調節できる。
【0110】
図1図4に示す例において、表示装置1は、遮光層33の開口部33aに充填された平坦化樹脂部34を含んでいる。この具体例によれば、遮光層33における段差33sを平坦化樹脂部34によって低減できる。タッチセンサ電極36は、開口部33aと第3方向D3に対面する領域、及び開口部33aと第3方向D3に対面する領域の周囲となる領域に位置している。平坦化樹脂部34を形成することなく開口部33aの周縁に段差33sを残したまま、透明導電体を含むタッチセンサ電極36を遮光層33上に形成すると、透明導電体が段差33sにおいて割れ得る。また、透明導電体に電気的に接続された配線37が、段差33sにおいて断線し得る。平坦化樹脂部34を開口部33aに充填することによって、タッチセンサ層35に予定された検出機能を安定して付与できる。
【0111】
なお、例えば上述したJP2017-500752Aに開示されているように、従来の表示装置では、発光素子および回路基板を配置したキャビティ内に加熱された熱可塑性樹脂を供給することによって、発光素子および回路基板に成形樹脂部を接合することがあった。このような従来例では、発光素子に耐熱性が要求される。これに対して、上述した製造方法によれば、熱可塑性樹脂部20及び回路基板10は接合層25によって接合されている。この例によれば、回路基板10に支持された発光素子15は、加熱された熱可塑性樹脂に曝されない。したがって、耐熱性の制約を受けることなく発光素子15を選択できる。例えば、適切な配光特性を有する発光素子15を選択することによって、表示装置1から放出される光の光路を更に高い自由度で調節できる。
【0112】
熱可塑性樹脂部20と接合層25との接触部分、及び回路基板10と接合層25との接触部分の少なくともいずれか一方を平坦としてもよい。この例によれば、接合層25によって、熱可塑性樹脂部20及び回路基板10を安定して接合できる。
【0113】
回路基板10は柔軟性を有してもよい。回路基板10は、フレキシブルプリント基板を含んでもよい。これらの場合、接合層25を用いて回路基板10と熱可塑性樹脂部20とを容易かつ安定して接合できる。
【0114】
図1図4に示す表示装置1の一具体例において、熱可塑性樹脂部20、透明シート層31、及び平坦化樹脂部34の一以上が、発光素子15からの光を拡散する光拡散機能を有してもよい。光拡散機能を有するために、熱可塑性樹脂部20、透明シート層31、及び平坦化樹脂部34の一以上が、これらを通過する発光素子15からの光の光路を変更し得る光拡散成分を含んでもよい。図2に示す例においては、平坦化樹脂部34が光拡散機能を有している。平坦化樹脂部34は、バインダー樹脂341と、バインダー樹脂341中に分散した光拡散成分342と、を含んでいる。バインダー樹脂341は、平坦化樹脂部34に関して上述した熱可塑性樹脂を含んでもよい。光拡散成分342は、バインダー樹脂341とは異なる屈折率を有してもよい。光拡散成分342は、発光素子15からの光を反射する光反射性を有してもよい。光拡散成分342は、ガラスビーズ、樹脂ビーズ、金属化合物、気体を含む多孔質物質、気泡等を含んでもよい。この具体例によれば、発光素子15からの光を拡散することで、表示装置1の画像光を観察可能な範囲を拡大できる。また、発光素子15からの光が拡散されて表示面1aから放出されることによって、表示装置1は、発光素子15の種類に関わらず、画像を安定して表示できる。
【0115】
表示装置1の光拡散機能を有する構成要素は、遮光層33の開口部33aと発光素子15との間に位置してもよい。図2に示す例においては、平坦化樹脂部34の光拡散機能を有するベース部34bが、開口部33aと発光素子15との間に位置している。この具体例によれば、発光素子15から放出された光は、遮光層33の開口部33aを透過する前に、拡散される。拡散された光が開口部33aを透過することよって、画像が形成される。これにより、表示装置1は、画像を安定して表示しつつ、画像の輪郭を明瞭に表示できる。
【0116】
以上に説明してきた一実施の形態において、表示装置1は、回路基板10と、回路基板10に重ねられた熱可塑性樹脂部20と、回路基板10に電気的に接続され、回路基板10と熱可塑性樹脂部20との間に位置する発光素子15と、を含んでいる。熱可塑性樹脂部20は、回路基板10に対面する凹部21を含んでいる。発光素子15は、凹部21内に位置している。発光素子15は、凹部21を形成する熱可塑性樹脂部20の第2面20bから離れている。本実施の形態によれば、凹部21によって形成される収容空間RMと発光素子15との界面と、収容空間RMと熱可塑性樹脂部20との界面と、の二つの界面での屈折を利用して、発光素子15から放出された光の光路を調節できる。また、収容空間RM内の屈折率を1とすることによって、屈折のよる光路調整能を強化できる。これらにより、発光素子15から放出される光の光路を高い自由度で調節して、所望の配光特性を表示装置1に付与できる。
【0117】
具体例を参照しながら一実施の形態を説明してきたが、上述の具体例が一実施の形態を限定しない。上述した一実施の形態は、その他の様々な具体例で実施でき、その要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、追加等を行うことができる。
【0118】
以下、図面を参照しながら、変形の一例について説明する。以下の説明および以下の説明で用いる図面では、上述した具体例と同様に構成され得る部分について、上述の具体例における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用い、重複する説明を省略する。
【0119】
上述した表示装置1の一具体例において、光拡散機能以外の機能を有する平坦化樹脂部34が光拡散機能を有していた。これに限られず、図5に示すように、光拡散機能を有する光拡散層38が、積層体30にさらに含まれてもよい。光拡散層38は、透明シート層31と加飾層32との間に位置している。光拡散層38は、バインダー樹脂381と、バインダー樹脂381中に分散した光拡散成分382と、を含んでもよい。光拡散成分382は、バインダー樹脂381とは異なる屈折率を有してもよい。光拡散成分382は、発光素子15からの光を反射する光反射性を有してもよい。バインダー樹脂381は、熱硬化性樹脂を含んでもよいし、熱可塑性樹脂を含んでもよい。光拡散成分382は、ガラスビーズ、樹脂ビーズ、金属化合物、気体を含む多孔質物質、気泡等を含んでもよい。
【0120】
上述した表示装置1の一具体例において、回路基板10は、接合層25を用いて熱可塑性樹脂部20に固定されていた。しかしながら、回路基板10を熱可塑性樹脂部20に固定する方法は、接合層25に限られない。図6及び図7に示すように、回路基板10は、接合層25を介さず熱可塑性樹脂部20に固定されてもよい。回路基板10及び熱可塑性樹脂部20は、図6に示すように、互いに熱圧着されてもよい。図6に示す例において、回路基板10は、一方の面10aが熱可塑性樹脂部20に接触した状態において、熱可塑性樹脂部20に固定されている。回路基板10は、図7に示すように、熱可塑性樹脂部20にねじ止めされることによって、熱可塑性樹脂部20に固定されてもよい。この場合、回路基板10には、ねじTHが通過可能な貫通穴10hが設けられてもよい。また、熱可塑性樹脂部20に、ねじTHが噛み合う螺子穴20hが設けられてもよい。
【0121】
上述した表示装置1の一具体例において、凹部21は、側面視において湾曲していた。凹部21は、第3方向D3に直交する方向における中央部分において、積層体30に向けて突出していた。これとは逆に、図6に示されるように、側面視において湾曲する凹部21は、第3方向D3に直交する方向における中央部分において、回路基板10に向けて突出してもよい。このような凹部21は、発光素子15からの光を集光する機能を有してもよい。
【0122】
上述した表示装置1の具体例において、熱可塑性樹脂部20は、第1面20aから回路基板10に重ねられていた。これに限られず、図7に示すように、熱可塑性樹脂部20は、ベース部22と、ベース部22から突出したリブ23と、を含んでもよい。熱可塑性樹脂部20は、リブ23から回路基板10に重ねられてもよい。凹部21は、図7に示すように、リブ23に形成されてもよい。凹部21は、図7に示すように、ベース部22に形成されなくてもよい。図7に示す例とは異なり、凹部21は、リブ23及びベース部22に跨って形成されていてもよい。図示された例において、リブ23は、第3方向D3に延びている。リブ23は、第3方向D3における第1側の端部において、ベース部22と接続している。リブ23は、第3方向D3における第2側の端部において、回路基板10に接触している。ベース部22は、タッチセンサ層35とリブ23との間に位置している。この具体例によれば、回路基板10とタッチセンサ層35とを、第3方向D3に延びるリブ23によって、第3方向D3において互いから離すことができる。回路基板10とタッチセンサ層35とを離すことによって、上述したタッチセンサ層35の誤動作を抑制できる。また、熱可塑性樹脂部20がリブ23を含むことによって、回路基板10とタッチセンサ層35とを離すにあたって、熱可塑性樹脂部20に含まれる熱可塑性樹脂を低減できる。結果として、タッチセンサ層35の誤動作を抑制しつつ、表示装置1の作製コストを削減できる。
【0123】
リブ23は、図7に示すように、間隔を空けて複数設けられてもよい。リブ23は、図7に示すように、ベース部22と一体でもよい。ベース部22と一体であるリブ236は、ベース部22とともに、上述した射出成形によって作製されてもよい。図7に示された例とは異なり、ベース部22とは別体として作製されたリブ23が、ベース部22に取り付けられてもよい。
【0124】
上述した表示装置1の具体例において、表示装置1は、単一の発光素子15を含んでいた。これに限られず、図8及び図9に示すように、表示装置1は、複数の発光素子15を含んでもよい。図8に示す例において、表示装置1は、発光素子15として、第1の発光素子15Xと、第1の発光素子15Xから第1方向D1に離れた第2の発光素子15Yと、を含んでいる。図7では省略されているものの、第1の発光素子15Xよりも第1方向D1における第2側にも発光素子15を含んでもよい。第2の発光素子15Yよりも第1方向D1における第1側にも発光素子15を含んでもよい。
【0125】
図8に示す例において、第1の発光素子15Xは、熱可塑性樹脂部20の第1の凹部21X内に位置している。第2の発光素子15Yは、第1の凹部21Xから第1方向D1に離れた第2の凹部21Y内に位置している。第1の発光素子15Xには、熱可塑性樹脂部20を介して第1のタッチセンサ層35Xが重ねられている。第2の発光素子15Yには、熱可塑性樹脂部20を介して、第1のタッチセンサ層35Xから第1方向D1に離れた第2のタッチセンサ層35Yが重ねられている。第1の発光素子15X及び第2の発光素子15Yには、それぞれ、遮光層33の開口部33aが重なっている。第1の発光素子15X及び第2の発光素子15Yは、それぞれ、導電部11を介して外部装置(図示せず)と電気的に接続されている。
【0126】
複数の発光素子15の各々に重なる遮光層33の開口部33aは、単一の画像の表示に用いられてもよい。複数の発光素子15の各々に重なる遮光層33の開口部33aは、互いに異なる画像の表示に用いられてもよい。図7に示された例において、第1の発光素子15Xと重なる開口部33a、及び第2の発光素子15Yと重なる開口部33aは、互いに異なる画像の表示に用いられている。一例として、第1の発光素子15Xと重なる開口部33aは、アルファベットの「A」の形状を有してもよい。第2の発光素子15Yと重なる開口部33aは、アルファベットの「B」の形状を有してもよい。
【0127】
第1の発光素子15Xの光の放出、及び第2の発光素子15Yの光の放出は、発光素子15X,15Yの各々と電気的に接続された外部装置(図示せず)によって別々に制御されてもよい。第1の発光素子15Xは、第2の発光素子15Yが光の放出を停止しているときに、光を放出してもよい。第2の発光素子15Yは、第1の発光素子15Xが光の放出を停止しているときに、光を停止してもよい。表示装置1は、複数の画像を互いに異なるタイミングで表示してもよい。
【0128】
図8に示すように、表示装置1は、隣り合う2つの発光素子15の間に光吸収部50を含んでもよい。図示された例において、光吸収部50は、第1の発光素子15Xと第2の発光素子15Yとの間に位置している。光吸収部50は、第2方向D2に沿って第3方向D3に延びている。光吸収部50の第2方向D2における長さは、表示装置1の第2方向D2における長さよりも短くてもよい。光吸収部50の第1方向D1における長さは、積層体30に近づくにしたがって、次第に減少している。光吸収部50は、可視光吸収性を有している。光吸収部50は、着色されてもよい。光吸収部50は、バインダー樹脂部と、バインダー樹脂部に保持され、可視光吸収性を有した色材と、を含んでもよい。バインダー樹脂部は、熱可塑性樹脂を含んでもよい。バインダー樹脂部は、硬化性樹脂組成物の硬化物を含んでもよい。硬化性樹脂組成物は、電離放射線硬化性樹脂および熱硬化性樹脂の一以上を含んでもよい。電離放射線硬化性樹脂は、紫外線硬化性樹脂および電子線放射線樹脂を含んでもよい。
【0129】
このような光吸収部50によれば、第1の発光素子15Xから放出された光のうち、第2の発光素子15Yと重なる開口部33aに向かう光は、光吸収部50によって吸収され得る。同様に、第2の発光素子15Yから放出された光のうち、第1の発光素子15Xと重なる開口部33aに向かう光は、光吸収部50によって吸収され得る。これにより、第1の発光素子15Xから放出された光が、第2の発光素子15Yに重なる開口部33aを通過することを抑制できる。同様に、第2の発光素子15Yから放出された光が、第1の発光素子15Xに重なる開口部33aを通過することを抑制できる。したがって、図7に示された表示装置1の一具体例においては、画像が意図せず表示されることを抑制できる。この具体例は、複数の画像を互いに異なるタイミングで表示する表示装置1において、とりわけ好適である。
【0130】
光吸収部50は、熱可塑性樹脂部20に形成された窪みに、光吸収部50を形成する組成物を流し込むことによって、作製されてもよい。あるいは、熱可塑性樹脂部20及び光吸収部50が、熱可塑性樹脂部20及び光吸収部50の一方を形成する第1の射出成形と、熱可塑性樹脂部20及び光吸収部50の他方を形成する第2の射出成形と、を含む射出成形によって作製されてもよい。
【0131】
発光素子15は、隣り合う2つの光吸収部50の間に位置してもよい。発光素子15及び光吸収部50は、回路基板10と熱可塑性樹脂部20との積層方向(図7における第3方向D3)とは非平行な方向(図7における第1方向D1)に交互に配置されてもよい。図7に示す例において、第1の発光素子15Xと、第1の発光素子15Xよりも第1方向D1における第2側に位置する発光素子15(図示せず)と、の間に光吸収部50が位置している。第2の発光素子15Yと、第2の発光素子15Yよりも第1方向D1における第1側に位置する発光素子15(図示せず)と、の間に光吸収部50が位置している。結果として、図7に示す例において、第1の発光素子15X及び第2の発光素子15Yの各々は、第1方向D1に隣り合う2つの光吸収部50の間に位置している。
【0132】
上述した表示装置1の一具体例は、熱可塑性樹脂部20に重ねられた二以上の層を含んでいた。二以上の層によって、積層体30が構成されていた。熱可塑性樹脂部20は、積層方向において回路基板10と積層体30との間に位置していた。これに限られず、図6及び図9に示すように、表示装置1は、積層体30を含まなくてもよい。図6に示すように、熱可塑性樹脂部20は、表示装置1の表示面1aを構成してもよい。図9に示すように、熱可塑性樹脂部に加飾層32のみが重ねられてもよい。
【0133】
上述した表示装置1の一具体例において、回路基板10には、発光素子15が電気的に接続されていた。しかしながら、図10及び図11に示すように、回路基板10には、発光素子15以外の回路素子が電気的に接続されてもよい。図示された例において、表示装置1は、センシング機能を有する受信素子16をさらに含んでいる。受信素子16は、回路基板10に電気的に接続されている。受信素子16は、発光素子15から第1方向D1に離れた位置において、回路基板10に保持されている。なお、「センシング機能」とは、対象物の接近または接触を検出する機能を意味する。対象物は、検出されるべき対象である。受信素子16は、検出対象物の接近や接触に起因した電気的な物理量の変化を、電気信号として送信してもよい。検出対象物の具体例として、導体や誘電体、さらには電気信号を送信し得る要素が例示される。より具体的には、タッチペン、指、ICタグ等でもよい。
【0134】
受信素子16として、タッチセンサ、アンテナ等、センシング機能を有する種々の回路素子が例示される。図10に示す例において、受信素子16は、アンテナである。アンテナは、NFC(Near Field Communication)、Bluetooth(登録商標)、可視光線、赤外線等の無線通信に使用されてもよい。
【0135】
発光素子15と受信素子16とは、外部回路を介して互いに電気的に接続されてもよい。図10に示す例において、発光素子15は、受信素子16が外部からの入力を検知したときに発光してもよい。
【0136】
上述した表示装置1の一具体例において、熱可塑性樹脂部20に積層体30が重ねられていた。積層体30は、透明シート層31、加飾層32、遮光層33、平坦化樹脂部34、及びタッチセンサ層35を含んでいた。しかしながら、表示装置1において、透明シート層31、加飾層32、遮光層33、平坦化樹脂部34、及びタッチセンサ層35の一以上が省略されてもよい。図10及び図11に示す例において、熱可塑性樹脂部20には、積層体30として遮光層33のみが重ねられている。遮光層33は、発光素子15と重なる位置に、菱形形状を有する開口部33aを有している。遮光層33は、開口部以外の部分において、熱可塑性樹脂部20及び回路基板10を覆っている。
【0137】
上述した表示装置1の一具体例において、回路基板10は、平板状の部材であった。しかしながら、図11に示すように、回路基板10は、或る一方向と平行な一以上の軸線を中心に曲がっていてもよい。図示された例において、回路基板10は、第1方向D1と平行な軸線ASを中心に湾曲している。回路基板10を曲げる構成は、図11の例に限られない。二以上の互いに平行な軸線を中心として、回路基板10が曲がっていてもよい。
【符号の説明】
【0138】
1:表示装置、1a:表示面、10:回路基板、11:導電部、12:絶縁部、15:発光素子、20:熱可塑性樹脂部、21:凹部、22:ベース部、23:リブ、25:接合層、30:積層体、31:透明シート層、32:加飾層、33:遮光層、34:平坦化樹脂部、35:タッチセンサ層、36:タッチセンサ電極、361:第1電極、362:第2電極、37:配線、50:光吸収部、60:加飾部材
図1
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図11