(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024010515
(43)【公開日】2024-01-24
(54)【発明の名称】下置き型ウォーターサーバー
(51)【国際特許分類】
B67D 3/00 20060101AFI20240117BHJP
【FI】
B67D3/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022111894
(22)【出願日】2022-07-12
(71)【出願人】
【識別番号】316003276
【氏名又は名称】株式会社コスモライフ
(74)【代理人】
【識別番号】100130513
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 直也
(74)【代理人】
【識別番号】100074206
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 文二
(74)【代理人】
【識別番号】100127340
【弁理士】
【氏名又は名称】飛永 充啓
(74)【代理人】
【識別番号】100130177
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 弥一郎
(72)【発明者】
【氏名】荒川 眞吾
【テーマコード(参考)】
3E082
【Fターム(参考)】
3E082AA01
3E082AA02
3E082BB01
3E082CC01
3E082EE01
3E082EE05
3E082FF09
(57)【要約】
【課題】原水ボトルの交換作業の負担が小さい下置き型ウォーターサーバーを提供する。
【解決手段】筐体1の下部に収容された箱状のボトルホルダ6を有する下置き型ウォーターサーバーにおいて、ボトルホルダ6は、筐体1からボトルホルダ6を水平に引き出したときに筐体1から分離するように筐体1から独立して設けられ、ボトルホルダ6の下面に床面Fを走行するキャスター33が取り付けられている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
床面(F)に載置される筐体(1)と、
前記筐体(1)から水平に引き出し可能に前記筐体(1)の下部に収容され、交換式の原水ボトル(7)を保持する箱状のボトルホルダ(6)と、
前記筐体(1)の上部に収容された冷水タンク(4)と、
前記ボトルホルダ(6)に保持された前記原水ボトル(7)の水を前記冷水タンク(4)に汲み上げる電動ポンプ(8)とを有する下置き型ウォーターサーバーにおいて、
前記ボトルホルダ(6)は、前記筐体(1)から前記ボトルホルダ(6)を水平に引き出したときに前記筐体(1)から分離するように前記筐体(1)から独立して設けられ、
前記ボトルホルダ(6)の下面に前記床面(F)を走行するキャスター(33)が取り付けられていることを特徴とする下置き型ウォーターサーバー。
【請求項2】
前記キャスター(33)は、前記筐体(1)から水平に引き出した状態の前記ボトルホルダ(6)を前記筐体(1)に挿入するときの挿入方向前側に位置する前輪キャスター(33a)と、挿入方向後側に位置する後輪キャスター(33b)とを有し、
前記筐体(1)は、前記床面(F)に沿って配置される底板(11)を下端に有し、
前記底板(11)は、前記ボトルホルダ(6)を前記筐体(1)に挿入したときに前記前輪キャスター(33a)および前記後輪キャスター(33b)が乗り上がるように設けられ、
前記ボトルホルダ(6)を前記筐体(1)に挿入するときに、前記ボトルホルダ(6)の前記挿入方向前側の端部を上方に移動させることで、前記前輪キャスター(33a)が前記底板(11)に接触する前に前記前輪キャスター(33a)を前記床面(F)から浮かせる前輪キャスター浮かせ機構(47)を更に有する請求項1に記載の下置き型ウォーターサーバー。
【請求項3】
前記前輪キャスター浮かせ機構(47)は、前記ボトルホルダ(6)の前記挿入方向前側の端部に回転可能に設けられたローラ(48)と、前記ボトルホルダ(6)を前記筐体(1)に挿入するときに前記ローラ(48)と接触してそのローラ(48)を斜め上方向に案内するように前記底板(11)に設けられた傾斜面(49)とからなる請求項2に記載の下置き型ウォーターサーバー。
【請求項4】
前記底板(11)は、前記前輪キャスター(33a)が前記底板(11)に乗り上げたときに前記前輪キャスター(33a)を前後方向に移動可能に収容するキャスター案内溝(40)を有し、
前記キャスター案内溝(40)は、溝幅が一定のストレート部(41)と、前記ストレート部(41)の前記挿入方向の後端に接続し、前記挿入方向の後方に向かって溝幅が広くなるテーパ部(42)とで構成されている請求項2または3に記載の下置き型ウォーターサーバー。
【請求項5】
前記ボトルホルダ(6)の前記挿入方向前側の端部に、前記ボトルホルダ(6)の左右方向の中央に位置するセンターガイド片(44)が設けられ、
前記底板(11)の上面の左右方向の中央に、前記前輪キャスター(33a)が前記底板(11)に接触する前に前記センターガイド片(44)を案内することで前記ボトルホルダ(6)の左右方向の位置決めを行なうセンターガイド溝(45)が設けられている請求項2または3に記載の下置き型ウォーターサーバー。
【請求項6】
前記ボトルホルダ(6)には、前記ボトルホルダ(6)から上方に延びるハンドル(50)が取り付けられている請求項1または2に記載の下置き型ウォーターサーバー。
【請求項7】
前記ハンドル(50)は、折り畳み状態と展開状態とを切り替え可能とされ、前記展開状態のときに前記床面(F)から前記ハンドル(50)の最も高い部分までの高さが550mm以上となるように構成されている請求項6に記載の下置き型ウォーターサーバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、交換式の原水ボトルを筐体の下部にセットする下置き型ウォーターサーバーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、主にオフィスや病院などでウォーターサーバーが利用されてきたが、近年、水の安全や健康への関心の高まりから、一般家庭にもウォーターサーバーが普及しつつある。ウォーターサーバーは、一般に、交換式の原水ボトルと、その原水ボトルから水を導入して冷却する冷水タンクとを有し、この冷水タンクから水を注出することで、いつでもすぐに美味しい冷水を利用することができるという利便性を有する。
【0003】
このウォーターサーバーは、筐体の上部に原水ボトルをセットし、その原水ボトルから冷水タンクに水を自重で落下させる上置き型のウォーターサーバー(例えば、特許文献1)と、筐体の下部に原水ボトルをセットし、その原水ボトルから冷水タンクに電動ポンプで水を汲み上げる下置き型のウォーターサーバー(例えば、特許文献2)とに大別することができる。
【0004】
上置き型のウォーターサーバーは、原水ボトルを交換する際に、満水状態の原水ボトル(7~15kg程度)を筐体の高い位置に持ち上げる必要があり、原水ボトルを交換する作業負担が大きい。これに対し、下置き型のウォーターサーバーは、低い位置に原水ボトルがあるので、原水ボトルを交換する作業負担が小さいという利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010-228807号公報
【特許文献2】特開2014-169090号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のとおり、特許文献2の下置き型ウォーターサーバーは、特許文献1のような上置き型ウォーターサーバーに比べると、原水ボトルを交換する作業負担が小さい。
【0007】
ところで、特許文献2の下置き型ウォーターサーバーは、ハンドルを有する箱状のボトルホルダに満水状態の原水ボトルを収容し、そのボトルホルダを原水ボトルごと持ち上げて、ウォーターサーバーの筐体の下部にセットするように構成されている。
【0008】
具体的には、特許文献2のウォーターサーバーは、筐体の下部から引き出した引き出し位置と、筐体の下部に収容した収容位置との間で水平にスライド可能に支持されたスライド台と、そのスライド台の上面に載置される箱状のボトルホルダとを有する。そして、満水状態の原水ボトルをウォーターサーバーにセットするに際しては、まず、筐体の下部からスライド台を引き出し、そのスライド台の上面から箱状のボトルホルダを降ろし、そのボトルホルダに原水ボトルを収容する。次に、そのボトルホルダに設けられたハンドルを持って、ボトルホルダを原水ボトルごと持ち上げ、そのボトルホルダを筐体の下部から引き出したスライド台の上面に載せ、そのスライド台を筐体の内部にスライドして収容する。このようにして、特許文献2の下置き型ウォーターサーバーは、満水状態の原水ボトルを収容したボトルホルダを原水ボトルごと持ち上げて、ウォーターサーバーの筐体の下部のスライド台にセットするように構成されている。
【0009】
本願の発明者は、満水状態の原水ボトルを下置き型ウォーターサーバーにセットするに際し、原水ボトルを持ち上げずにセットすることができないかを検討した。原水ボトルを持ち上げずにセットすることができれば、原水ボトルを交換する作業負担をより効果的に低減することができ、女性や高齢者など力の弱いユーザーに利用しやすいものとなる。
【0010】
この発明が解決しようとする課題は、原水ボトルの交換作業の負担が小さい下置き型ウォーターサーバーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、この発明では、以下の構成の下置き型ウォーターサーバーを提供する。
[構成1]
床面に載置される筐体と、
前記筐体から水平に引き出し可能に前記筐体の下部に収容され、交換式の原水ボトルを保持する箱状のボトルホルダと、
前記筐体の上部に収容された冷水タンクと、
前記ボトルホルダに保持された前記原水ボトルの水を前記冷水タンクに汲み上げる電動ポンプとを有する下置き型ウォーターサーバーにおいて、
前記ボトルホルダは、前記筐体から前記ボトルホルダを水平に引き出したときに前記筐体から分離するように前記筐体から独立して設けられ、
前記ボトルホルダの下面に前記床面を走行するキャスターが取り付けられていることを特徴とする下置き型ウォーターサーバー。
【0012】
この構成を採用すると、筐体の下部から水平に引き出したときに筐体から分離するように独立して設けた箱状のボトルホルダの下面に、床面を走行するキャスターを取り付けているので、満水状態の原水ボトルをウォーターサーバーにセットするに際して、まず、筐体の下部からボトルホルダを引き出して筐体から分離させ、次に、そのボトルホルダに原水ボトルを収容し、そのボトルホルダを持ち上げずにそのまま床面を走行させて筐体の下部に挿入することができる。このように、満水状態の原水ボトルをセットするに際し、原水ボトルを持ち上げずにセットすることができるので、原水ボトルの交換作業の負担が小さい。
【0013】
[構成2]
前記キャスターは、前記筐体から水平に引き出した状態の前記ボトルホルダを前記筐体に挿入するときの挿入方向前側に位置する前輪キャスターと、挿入方向後側に位置する後輪キャスターとを有し、
前記筐体は、前記床面に沿って配置される底板を下端に有し、
前記底板は、前記ボトルホルダを前記筐体に挿入したときに前記前輪キャスターおよび前記後輪キャスターが乗り上がるように設けられ、
前記ボトルホルダを前記筐体に挿入するときに、前記ボトルホルダの前記挿入方向前側の端部を上方に移動させることで、前記前輪キャスターが前記底板に接触する前に前記前輪キャスターを前記床面から浮かせる前輪キャスター浮かせ機構を更に有する構成1に記載の下置き型ウォーターサーバー。
【0014】
この構成を採用すると、ボトルホルダを筐体に挿入するときに、前輪キャスター浮かせ機構が、ボトルホルダの挿入方向前側の端部を上方に移動させることで、前輪キャスターが筐体の底板に接触する前に前輪キャスターを床面から浮かせるので、前輪キャスターが、床面と底板の境界の段差に衝突するのを防止することができる。そのため、床面と底板の境界に段差があっても、円滑にボトルホルダを筐体に挿入することが可能となる。
【0015】
[構成3]
前記前輪キャスター浮かせ機構は、前記ボトルホルダの前記挿入方向前側の端部に回転可能に設けられたローラと、前記ボトルホルダを前記筐体に挿入するときに前記ローラと接触してそのローラを斜め上方向に案内するように前記底板に設けられた傾斜面とからなる構成2に記載の下置き型ウォーターサーバー。
【0016】
この構成を採用すると、ボトルホルダを筐体に挿入するときに、ボトルホルダの挿入方向前側の端部に回転可能に設けられたローラが、底板に設けられた傾斜面で斜め上方向に案内されることで、ボトルホルダの挿入方向前側の端部が上方に移動し、その結果、前輪キャスターが底板に接触する前に前輪キャスターを床面から浮かせることが可能となる。
【0017】
[構成4]
前記底板は、前記前輪キャスターが前記底板に乗り上げたときに前記前輪キャスターを前後方向に移動可能に収容するキャスター案内溝を有し、
前記キャスター案内溝は、溝幅が一定のストレート部と、前記ストレート部の前記挿入方向の後端に接続し、前記挿入方向の後方に向かって溝幅が広くなるテーパ部とで構成されている構成2または3に記載の下置き型ウォーターサーバー。
【0018】
この構成を採用すると、ボトルホルダを筐体に挿入するときに、キャスター案内溝のテーパ部が前輪キャスターを案内してストレート部に誘導するので、筐体の内部におけるボトルホルダの位置を安定させることができる。
【0019】
[構成5]
前記ボトルホルダの前記挿入方向前側の端部に、前記ボトルホルダの左右方向の中央に位置するセンターガイド片が設けられ、
前記底板の上面の左右方向の中央に、前記前輪キャスターが前記底板に接触する前に前記センターガイド片を案内することで前記ボトルホルダの左右方向の位置決めを行なうセンターガイド溝が設けられている構成2から4のいずれかに記載の下置き型ウォーターサーバー。
【0020】
この構成を採用すると、ボトルホルダを筐体に挿入するときに、底板に設けたセンターガイド溝で、ボトルホルダの挿入方向前側の端部に設けたセンターガイド片を案内することで、前輪キャスターが底板に接触するよりも前から、ボトルホルダの左右方向の位置決めを行なうことが可能となる。
【0021】
[構成6]
前記ボトルホルダには、前記ボトルホルダから上方に延びるハンドルが取り付けられている構成1から5のいずれかに記載の下置き型ウォーターサーバー。
【0022】
この構成を採用すると、原水ボトルを収容したボトルホルダを床面に走行させるときに、ボトルホルダから上方に延びるハンドルを持ってボトルホルダを走行させることができる。そのため、原水ボトルを収容したボトルホルダを、ウォーターサーバーの筐体から離れた場所(例えばユーザーの玄関先)から、ウォーターサーバーの筐体の設置場所まで楽に走行させることが可能となる。
【0023】
[構成7]
前記ハンドルは、折り畳み状態と展開状態とを切り替え可能とされ、前記展開状態のときに前記床面から前記ハンドルの最も高い部分までの高さが550mm以上となるように構成されている構成6に記載の下置き型ウォーターサーバー。
【0024】
この構成を採用すると、原水ボトルを収容したボトルホルダを床面に走行させるときは、ハンドルを展開状態とし、そのハンドルの床面から最も高い部分を手で持つことで、腰をかがめずに楽な姿勢でボトルホルダを走行させることが可能となり、一方、筐体の下部にボトルホルダを挿入するときは、ハンドルを折り畳み状態とすることで、ハンドルが筐体に干渉するのを防止することが可能となる。
【発明の効果】
【0025】
この発明の下置き型ウォーターサーバーは、筐体の下部から水平に引き出したときに筐体から分離するように独立して設けた箱状のボトルホルダの下面に、床面を走行するキャスターを取り付けているので、満水状態の原水ボトルをウォーターサーバーにセットするに際して、まず、筐体の下部からボトルホルダを引き出して筐体から分離させ、次に、そのボトルホルダに原水ボトルを収容し、そのボトルホルダを持ち上げずにそのまま床面を走行させて筐体の下部に挿入することができる。このように、満水状態の原水ボトルをセットするに際し、原水ボトルを持ち上げずにセットすることができるので、原水ボトルの交換作業の負担が小さい。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】この発明の実施形態の下置き型ウォーターサーバーの断面図
【
図2】
図1のウォーターサーバーを前面側から見た部分断面図
【
図6】
図5に示すハンドルを折り畳み状態から展開状態に切り替えた状態のボトルホルダを、筐体への挿入方向の前側から見た図
【
図8】
図3のボトルホルダを筐体から水平に引き出した後、そのボトルホルダを筐体に挿入する状態を示す断面図
【
図10】前輪キャスター浮かせ機構を構成するローラが傾斜面に接触する直前の状態を示す前輪キャスターの近傍の断面図
【
図11】
図10に示すローラが傾斜面に接触して斜め上方向に案内されることで、前輪キャスターが床面から浮き上がった状態を示す前輪キャスターの近傍の断面図
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1に、この発明の実施形態の下置き型ウォーターサーバーを示す。この下置き型ウォーターサーバーは、床面Fに載置される筐体1と、筐体1の前面に設けられた冷水注出口2および温水注出口3(
図2参照)と、筐体1の上部に収容された冷水タンク4および温水タンク5と、筐体1の下部に収容された箱状のボトルホルダ6と、ボトルホルダ6に保持された交換式の原水ボトル7の水を冷水タンク4に汲み上げる電動ポンプ8とを有する。原水ボトル7と冷水タンク4の間は、電動ポンプ8を介して原水汲み上げ管(図示せず)で接続されている。
【0028】
筐体1は、左右に対向する一対の側板9(
図2参照)と、一対の側板9の上端に固定された天板10と、一対の側板9の下端に固定された底板11と、一対の側板9の前端同士を連結する前面パネル12と、一対の側板9の後端同士を連結する背面板13とを有する。底板11は、筐体1の下端に床面Fに沿って配置されている。
【0029】
ボトルホルダ6は、底板11の上側に対向して配置されている。筐体1の下部内部には、原水ボトル7およびボトルホルダ6を収容するボトル収容空間54が形成されている。前面パネル12と底板11の間には、筐体1の前面下部を開閉する前面扉14が取り付けられ、この前面扉14を開くことで、ボトル収容空間54を筐体1の前方に開放し、筐体1の下部に収容された原水ボトル7の交換作業をすることが可能となっている。
【0030】
冷水タンク4には、冷水タンク4内の水を冷却する冷却装置15が取り付けられている。この冷却装置15によって、冷水タンク4に収容された水は所定の低温(例えば10℃以下)に保たれる。冷却装置15は、コンプレッサ16と放熱部17と膨張弁18と冷却管19とを有する。コンプレッサ16と放熱部17と膨張弁18と冷却管19は、順に冷媒が通過して循環するように冷媒用の配管20で接続されている。
【0031】
コンプレッサ16は、内天井板21の上面に固定されている。内天井板21は、ボトル収容空間54の天井を構成する板材である。内天井板21は、筐体1の内部を上下に仕切るように一対の側板9に水平に固定されている。
【0032】
コンプレッサ16は、冷却管19から冷媒を吸引し、その冷媒を圧縮して冷媒の温度を上昇させ、高温高圧となった冷媒を放熱部17の側に吐出する。放熱部17は、コンプレッサ16から吐出された冷媒が流れる管路を筐体1の背面に沿って蛇行して配置した網板状の部材であり、コンプレッサ16から吐出された高温の冷媒と外気との間で熱交換を行なうことで冷媒を冷却し、凝縮させる。膨張弁18は、放熱部17を通過した冷媒を受け入れ、その冷媒を減圧して温度を低下させる。冷却管19は、膨張弁18で低温低圧になった冷媒を受け入れ、その冷媒と冷水タンク4の間で熱交換を行なう。冷却管19は、冷水タンク4の外周に螺旋状に巻き付けられている。冷却管19は、冷水タンク4の内部を通るように冷水タンク4の壁面を貫通して設けてもよい。
【0033】
温水タンク5は、冷水タンク4の下側に配置されている。冷水タンク4と温水タンク5は、タンク接続管22を介して接続され、そのタンク接続管22を通って、冷水タンク4から温水タンク5に水が導入されるようになっている。温水タンク5には、温水タンク5内の水を加熱する加熱装置23が取り付けられている。温水タンク5内の水は、加熱装置23によって所定の高温(例えば80℃以上)に保たれる。
【0034】
冷水注出口2と冷水タンク4は、冷水注出路24を介して接続されており、冷水注出路24の途中に設けた冷水バルブ25を開弁することで、冷水タンク4内の低温の水を、冷水注出路24を通って冷水注出口2から注出することができるようになっている。同様に、温水注出口3(
図2参照)と温水タンク5は、温水注出路26を介して接続されており、温水注出路26の途中に設けた温水バルブ27(
図2参照)を開弁することで、温水タンク5内の高温の水を、温水注出路26を通って温水注出口3から注出することができるようになっている。
【0035】
図3~
図5に示すように、原水ボトル7は、中空筒状の胴部28と、その胴部28の一端に設けられた底部29と、胴部28の他端に肩部30を介して設けられた首部31と、その首部31の先端に取り付けられたキャップ32とを有する。
【0036】
原水ボトル7の胴部28は、残水量の減少に伴って収縮するように柔軟性をもたせて形成されている。原水ボトル7は、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂やポリエチレン(PE)樹脂のブロー成形によって形成することができる。原水ボトル7は、未使用の満水状態で8~18リットルの範囲で予め設定された所定量の飲料水が充填されている。ボトルホルダ6は、上方に開口する箱状に形成され、その中に原水ボトル7を収容することができるようになっている。
【0037】
図8に示すように、ボトルホルダ6は、筐体1からボトルホルダ6を水平に引き出したときに筐体1から分離するように筐体1から独立して設けられ、その下面には、床面Fを走行するキャスター33が取り付けられている。
【0038】
キャスター33は、挿入方向前側に位置する前輪キャスター33aと、挿入方向後側に位置する後輪キャスター33bとで構成されている。ここで、「挿入方向前側」とは、
図8に示すように、筐体1から水平に引き出した状態のボトルホルダ6を筐体1に挿入するときのボトルホルダ6の進行方向の前側をいい、「挿入方向後側」とは、筐体1から水平に引き出した状態のボトルホルダ6を筐体1に挿入するときのボトルホルダ6の進行方向の後側をいう。
【0039】
図6に示すように、前輪キャスター33aは左右一対設けられ、
図4に示すように、後輪キャスター33bも左右一対設けられている。前輪キャスター33aと後輪キャスター33bは、原水ボトル7を収容したボトルホルダ6が安定した姿勢で床面Fを走行することができるようにボトルホルダ6を複数箇所で支持している。前輪キャスター33aは、上下方向の軸線まわりに旋回可能に支持された自在輪とされ、後輪キャスター33bは、上下方向の軸線まわりに旋回しない固定輪とされている。
【0040】
図3、
図5に示すように、ボトルホルダ6は、原水ボトル7を挟んで左右に対向する一対の側面板34と、原水ボトル7に対してボトルホルダ6の挿入方向前側に位置する前面板35と、原水ボトル7に対してボトルホルダ6の挿入方向後側に位置する後面板36と、原水ボトル7を下側から支持する底面板37とを有する。底面板37は、左右一対の側面板34と前面板35と後面板36とで形成される上下方向の筒体の下端を閉塞している。底面板37の下面に、前輪キャスター33aと後輪キャスター33bが取り付けられている。
【0041】
図8に示すように、原水ボトル7は、首部31がボトルホルダ6の挿入方向前方を向いた姿勢でボトルホルダ6に収容されている。ボトルホルダ6の前面板35には、原水ボトル7の首部31を保持する部分円筒状の首部保持部38が一体に形成されている。筐体1の下部のボトル収容空間54には、ボトルホルダ6を筐体1に挿入したときに、そのボトルホルダ6に保持される原水ボトル7の首部31の先端に対応する位置に、ジョイント部39が固定して設けられている。ジョイント部39は、電動ポンプ8を介して原水ボトル7から冷水タンク4(
図1参照)に水を汲み上げる原水汲み上げ管(図示せず)の上流側端部である。
【0042】
図3に示すように、底板11は、筐体1の内部で万一の水漏れが生じたときに、その水を受け止めて床面Fが濡れるのを防ぐように筐体1の下端を閉塞するように設けられている。また、ボトルホルダ6を筐体1に挿入したときに、ボトルホルダ6の前輪キャスター33aおよび後輪キャスター33bが、底板11に乗り上がるようになっている。
【0043】
図9に示すように、底板11の上面には、左右一対の前輪キャスター33aが底板11に乗り上げたときに、その各前輪キャスター33aを前後方向に移動可能に収容する一対のキャスター案内溝40が設けられている。各キャスター案内溝40は、溝幅が一定のストレート部41と、ストレート部41のボトルホルダ6の挿入方向の後端に接続して形成されたテーパ部42とで構成されている。ストレート部41は、前輪キャスター33aの向きが変化しないように前輪キャスター33aの左右の側面を案内する溝幅寸法を有する。テーパ部42は、ストレート部41からボトルホルダ6の挿入方向の後方に向かって溝幅が広くなるテーパ状に形成されている。
【0044】
図3に示すように、キャスター案内溝40のボトルホルダ6の挿入方向の前端には、前輪キャスター33aを受け止めるストッパ壁43が設けられている。ストッパ壁43は、ボトルホルダ6に保持された原水ボトル7のキャップ32がジョイント部39に接続される位置までボトルホルダ6を筐体1に挿入したときに、前輪キャスター33aを受け止めることで、ボトルホルダ6が挿入方向にそれ以上に移動するのを阻止する。
【0045】
図5、
図6、
図8に示すように、ボトルホルダ6の挿入方向前側の端部には、ボトルホルダ6の左右方向の中央に位置するセンターガイド片44が設けられている。センターガイド片44は、
図6に示すように、底面板37の下面よりも低い位置を通り、
図8に示すように、前輪キャスター33aに対してボトルホルダ6の挿入方向前側で前後方向に延びるように形成されている。
【0046】
図4、
図9に示すように、底板11の上面の左右方向の中央には、センターガイド片44に対応するセンターガイド溝45が設けられている。
図9に示すように、センターガイド溝45は、ボトルホルダ6の挿入方向の後方(図では左方向)に向かって溝幅が広くなるテーパ状案内部46を有し、このテーパ状案内部46の内面でセンターガイド片44を案内することで、ボトルホルダ6の左右方向の位置決めを行なうようになっている。また、テーパ状案内部46は、ボトルホルダ6を筐体1に挿入するときに、前輪キャスター33aが底板11に接触するよりも前にセンターガイド片44を案内するように、底板11のボトルホルダ6の挿入方向の後側の端部(図では左側の端部)に配置されている。
【0047】
図10、
図11に示すように、ボトルホルダ6と底板11には、ボトルホルダ6を筐体1に挿入するときに、前輪キャスター33aが底板11に接触する前に前輪キャスター33aを床面Fから浮かせる前輪キャスター浮かせ機構47が設けられている。前輪キャスター浮かせ機構47は、ボトルホルダ6の挿入方向前側の端部(ここではセンターガイド片44)に回転可能に設けられたローラ48と、ボトルホルダ6を筐体1に挿入するときにローラ48と接触してそのローラ48を斜め上方向に案内するように底板11に設けられた傾斜面49とからなる。傾斜面49は、ボトルホルダ6の挿入方向後側から挿入方向前側に向かって次第に上方に変位する傾斜を有する。傾斜面49は、センターガイド溝45(
図9参照)の溝底に形成されている。この前輪キャスター浮かせ機構47は、
図10に示すように、ボトルホルダ6を筐体1に挿入するときに、
図11に示すように、傾斜面49がローラ48を斜め上方向に案内することで、ボトルホルダ6の挿入方向前側の端部を上方に移動させ、前輪キャスター33aを床面Fから浮かせる。
【0048】
図4、
図5に示すように、ボトルホルダ6には、ボトルホルダ6から上方に延びる一対のハンドル50が取り付けられている。一対のハンドル50は、それぞれ、ボトルホルダ6に回動可能に連結された基端側ハンドル51と、基端側ハンドル51に回動可能に連結された先端側ハンドル52とで構成されている。
【0049】
図5に示すように、基端側ハンドル51は、原水ボトル7の胴部28を前後方向にまたぐコの字状に形成され、その一端と他端が前面板35と後面板36にそれぞれ回動可能に連結されている。基端側ハンドル51の原水ボトル7の直上部分には、手で握る基端側グリップ部53が形成されている。先端側ハンドル52は、基端側ハンドル51に沿って平行に延びる前後一対の部分と、その部分同士を側面板34の上側で連結する部分とからなるコの字状に形成されている。
図4、
図6に示すように、先端側ハンドル52は、前後方向から見て基端側ハンドル51の回動支点とは反対側の端部(上側の端部)に回動可能に連結されている。
【0050】
ハンドル50は、
図4に示すように、先端側ハンドル52を基端側ハンドル51に対して回動することで、前後方向から見て先端側ハンドル52が基端側ハンドル51に重なるように折り畳んだ折り畳み状態と、
図6に示すように、前後方向から見て先端側ハンドル52が基端側ハンドル51から上方に延びるように展開した展開状態とを切り替えることができるようになっている。ここで、ハンドル50は、
図6に示すように展開状態としたときに、床面Fからハンドル50の最も高い部分までの高さが550mm以上となるように構成されている。
【0051】
この実施形態の下置き型ウォーターサーバーは、
図8に示すように、筐体1の下部から水平に引き出したときに筐体1から分離するように独立して設けた箱状のボトルホルダ6の下面に、床面Fを走行するキャスター33を取り付けているので、満水状態の原水ボトル7をウォーターサーバーにセットするに際して、まず、筐体1の下部からボトルホルダ6を引き出して筐体1から分離させ、次に、そのボトルホルダ6に原水ボトル7を収容し、そのボトルホルダ6を持ち上げずにそのまま床面Fを走行させて筐体1の下部に挿入することができる。このように、満水状態の原水ボトル7をセットするに際し、原水ボトル7を持ち上げずにセットすることができるので、原水ボトル7の交換作業の負担が小さい。
【0052】
また、この下置き型ウォーターサーバーは、
図8に示すように、ボトルホルダ6を筐体1に挿入するときに、
図10、
図11に示すように、前輪キャスター浮かせ機構47が、ボトルホルダ6の挿入方向前側の端部を上方に移動させることで、前輪キャスター33aが筐体1の底板11に接触する前に前輪キャスター33aを床面Fから浮かせるので、前輪キャスター33aが、床面Fと底板11の境界の段差に衝突するのを防止することができる。そのため、床面Fと底板11の境界に段差があっても、円滑にボトルホルダ6を筐体1に挿入することが可能となる。
【0053】
また、この下置き型ウォーターサーバーは、
図8に示すように、ボトルホルダ6を筐体1に挿入するときに、
図9に示すように、キャスター案内溝40のテーパ部42が前輪キャスター33aを案内してストレート部41に誘導するので、筐体1の内部におけるボトルホルダ6の位置を安定させることができる。
【0054】
また、この下置き型ウォーターサーバーは、
図8に示すように、ボトルホルダ6を筐体1に挿入するときに、
図9に示すように、底板11に設けたセンターガイド溝45で、ボトルホルダ6の挿入方向前側の端部に設けたセンターガイド片44を案内することで、前輪キャスター33aが底板11に接触するよりも前から、ボトルホルダ6の左右方向の位置決めを行なうことが可能である。そのため、前輪キャスター33aを、円滑にキャスター案内溝40に導入することができる。
【0055】
また、この下置き型ウォーターサーバーは、
図6、
図7に示すように、ボトルホルダ6から上方に延びるハンドル50が取り付けられているので、原水ボトル7を収容したボトルホルダ6を床面Fに走行させるときに、ボトルホルダ6から上方に延びるハンドル50(先端側ハンドル52)を持ってボトルホルダ6を走行させることができる。そのため、原水ボトル7を収容したボトルホルダ6を、ウォーターサーバーの筐体1から離れた場所(例えばユーザーの玄関先)から、ウォーターサーバーの筐体1の設置場所まで楽に走行させることが可能である。
【0056】
また、この下置き型ウォーターサーバーは、
図6、
図7に示すように、原水ボトル7を収容したボトルホルダ6を床面Fに走行させるときは、ハンドル50を展開状態とし、そのハンドル50(先端側ハンドル52)の床面Fから最も高い部分を手で持つことで、腰をかがめずに楽な姿勢でボトルホルダ6を走行させることが可能であり、一方、
図3、
図8に示すように、筐体1の下部にボトルホルダ6を挿入するときは、ハンドル50を折り畳み状態とすることで、ハンドル50が、筐体1のボトル収容空間54の内天井板21に干渉するのを防止することが可能である。
【符号の説明】
【0057】
1 筐体
4 冷水タンク
6 ボトルホルダ
7 原水ボトル
8 電動ポンプ
11 底板
33 キャスター
33a 前輪キャスター
33b 後輪キャスター
40 キャスター案内溝
41 ストレート部
42 テーパ部
44 センターガイド片
45 センターガイド溝
47 前輪キャスター浮かせ機構
48 ローラ
49 傾斜面
50 ハンドル
F 床面