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特開2024-105159男性小用便器における床面等の汚損防止システムおよびそれを用いた音声報知ビジネス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024105159
(43)【公開日】2024-08-06
(54)【発明の名称】男性小用便器における床面等の汚損防止システムおよびそれを用いた音声報知ビジネス
(51)【国際特許分類】
   E03D 9/00 20060101AFI20240730BHJP
   E03D 13/00 20060101ALI20240730BHJP
【FI】
E03D9/00 Z
E03D13/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023009756
(22)【出願日】2023-01-25
(71)【出願人】
【識別番号】505197713
【氏名又は名称】株式会社ヘキサー
(74)【代理人】
【識別番号】100080160
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 憲一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100149205
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 泰央
(72)【発明者】
【氏名】小畠 常晴
(72)【発明者】
【氏名】清水 恭
(72)【発明者】
【氏名】和田 健太郎
【テーマコード(参考)】
2D038
2D039
【Fターム(参考)】
2D038KA01
2D038KA27
2D038ZA00
2D039AA04
2D039CD00
2D039FA03
(57)【要約】
【課題】男性の小用便器における床面への前垂れや着衣ズボンなどの汚損を防止する床面等の汚損防止システムおよびそれを用いた音声報知ビジネスを提供する。
【解決手段】この発明は、便器前方に放尿者がいるかどうかを検出するための立ち位置検出器と、便器と放尿者の立ち位置との距離を検出する距離検出器と、放尿者に対して正しい立ち位置までの前後進指示を行う前後進指示手段と、より構成すると共に、放尿者の正しい立ち位置と便器の奥内壁面までの適切な距離を約10cm~20cmと仮想してその仮想距離に立ち位置を合わせるべく前後進指示手段により前後進の指示を行うべく構成したことを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
便器前方に放尿者がいるかどうかを検出するための立ち位置検出器と、便器と放尿者の立ち位置との距離を検出する距離検出器と、放尿者に対して正しい立ち位置までの前後進指示を行う前後進指示手段と、
より構成すると共に、
放尿者の正しい立ち位置と便器の奥内壁面までの適切な距離を約10cm~20cmと仮想してその仮想距離に立ち位置を合わせるべく前後進指示手段により前後進の指示を行うべく構成したことを特徴とする男性小用便器における床面等の汚損防止システム。
【請求項2】
前後進指示手段は、商品紹介やイベント開催やその他のPR事項などの各種の報知事項を放尿者に音声、映像、または音声と映像の両方で報知すべく構成したことを特徴とする請求項1に記載の男性小用便器における床面等の汚損防止システム。
【請求項3】
前記前後進指示手段は、
放尿者の正しい立ち位置と便器の奥内壁面までの適切な距離を約10cm~20cmと仮想してその仮想距離に放尿者の立ち位置を合わせるべく前後進の指示をトイレ内空間全体に報知可能な全方位スピーカーと、
放尿者が便器の奥内壁面に対して約10cm~20cmの距離に立位した際に商品紹介やイベント開催やその他のPR事項などの各種の報知事項を放尿者にだけ報知可能な指向性スピーカーと、
を有し、
前記全方位スピーカーと前記指向性スピーカーは、
前記距離検出器により検出された放尿者の便器に対する立ち位置に応じて切替可能としたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の男性小用便器における床面等の汚損防止システム。
【請求項4】
特定の便所での音声広告ビジネス、または映像広告ビジネスとしてスポンサーを募りスポンサーの希望により報知事項を予め合意して前後進指示音声器から放尿間に音声報知、映像報知、音声報知と映像報知を組合わせて報知すべく構成したことを特徴とする音声報知ビジネス。
【請求項5】
スポンサーから有料で依頼された多種類の広告事項を予め各便器に装置した前後進指示手段を制御する情報管理制御部に保存して順繰りに報知可能に構成すると共に、一定の期間を決めて報知事項を新たに更新するように構成したことを特徴とする音声報知ビジネス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、男性が小用をするときに小用便器の奥内壁面からの尿はねによるズボン前部の汚損や便器前の床面への尿の前垂れによる便所床面の汚損を防止することができる男性の小用便器における床面への前垂れや着衣ズボン等の汚損防止システムおよびそれを用いた音声報知ビジネスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、男性が小用をするときに便器前の床面に尿の前垂れを生起し便所床面を汚損することが多く、かかる床面の清掃には多大の労力を要していた。また、前垂れした尿が着衣にかかりズボン前面を汚損することも多かった。
かかる不都合を解消するために小用時の視認範囲に「もう一歩前進して小用をすることにより便器前の床面に尿の前垂れを生起せず床面汚損を防止することができる」旨の張り紙や表示板を設置することが多い。
しかし、実際はなかなかもう一歩進んで小用を行う行為が実行されないことが多く、相変わらず便所床面やズボンを汚損することが多いのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-050526号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
かかる床面の汚損防止策として多々の考案が実施されているが小用をする従来の男性の認識を革新することができない。例えば、小用する時の尿の放物線が便器底部の受け皿部に確実に落下するように便器に対する小用をする者の立ち位置を便器に取り付けた照明装置で照射して明示することにより男性に小用時の正しい立ち位置を認識喚起するようにしたものなどがある(特許文献1参照。)。しかし、必ずしも照明で示した立ち位置に立って小用を足す男性ばかりではなく確実な手段とも言えない。
【0005】
この発明では、かかる従来の課題を解決すべく、便器の所定位置に小用する者の位置検出器を配設して小用時の実際の立ち位置検出を行いながら正しい立ち位置までの距離を検出して音声での指示を中心にして聴覚を介し正しい立ち位置までの前進指示、例えば「もう一歩」とか「もう少し前進をすべき」等の音声指示を与えて小用をするものに何をすべきかを確実に認識させることができる男性小用便器における床面等の汚損防止システムおよびそれを用いた音声報知ビジネスを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様は、便器前方に放尿者がいるかどうかを検出するための立ち位置検出器と、便器と放尿者の立ち位置との距離を検出する距離検出器と、放尿者に対して正しい立ち位置までの前後進指示を行う前後進指示手段と、より構成すると共に、放尿者の正しい立ち位置と便器の奥内壁面までの適切な距離を約10cm~20cmと仮想してその仮想距離に立ち位置を合わせるべく前後進指示手段により前後進の指示を行うべく構成したことを特徴とする男性小用便器における床面等の汚損防止システムに関する。
【0007】
本発明の第2の態様は、前後進指示手段は、商品紹介やイベント開催やその他のPR事項などの各種の報知事項を放尿者に音声または映像で報知すべく構成したことを特徴とする男性小用便器における床面等の汚損防止システムに関する。
【0008】
本発明の第3の態様は、前記前後進指示手段は、放尿者の正しい立ち位置と便器の奥内壁面までの適切な距離を約10cm~20cmと仮想してその仮想距離に放尿者の立ち位置を合わせるべく前後進の指示をトイレ内空間全体に報知可能な全方位スピーカーと、放尿者が便器の奥内壁面に対して約10cm~20cmの距離に立位した際に商品紹介やイベント開催やその他のPR事項などの各種の報知事項を放尿者にだけ報知可能な指向性スピーカーと、を有し、前記全方位スピーカーと前記指向性スピーカーは、前記距離検出器により検出された放尿者の便器に対する立ち位置に応じて切替可能としたことを特徴とする。
【0009】
本発明の第4の態様は、特定の便所での音声広告ビジネス、または映像広告ビジネスとしてスポンサーを募りスポンサーの希望により広告事項を予め合意して前後進指示手段から放尿間に音声報知、映像報知、または音声報知と映像報知を組合わせて報知すべく構成したことを特徴とする。
【0010】
本発明の第5の態様は、スポンサーから有料で依頼された多種類の広告事項を予め各便器に装置した前後進指示手段を制御する情報管理制御部に保存して順繰りに報知可能に構成すると共に、一定の期間を決めて報知事項を新たに更新するように構成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の第1の態様によれば、便器前方に放尿者がいるかどうかを検出するための立ち位置検出器と、便器と放尿者の立ち位置との距離を検出する距離検出器と、放尿者に対して正しい立ち位置までの前後進指示を行う前後進指示手段と、より構成すると共に、放尿者の正しい立ち位置と便器の奥内壁面までの適切な距離を約10cm~20cmと仮想してその仮想距離に立ち位置を合わせるべく前後進指示手段により前後進の指示を行うべく構成したことにより、放尿者の正しい立ち位置と便器の奥内壁面までの適切な距離を約10cm~20cmと仮想すると放尿時の放物線の終端部、すなわち、放尿者の立ち位置と便器の奥内壁面までの距離を13cm以下とすることで放尿終端部が小さな粒状の液滴に分裂した状態で便器の奥内壁面にぶつかることがなく、また、放尿者の立ち位置と便器の奥内壁面までの距離を10cm以上とすることで便器の奥内壁面と衝突する際の尿の速度を低減しつつ、尿が便器の奥内壁面に接触する際の尿と奥内壁面とのなす角度が小さくなるため、小便器の奥内壁面からの尿の跳ね返りが抑制されて尿はねによる着衣ズボンなどの汚損を防止することができる。
しかも、かかる立ち位置は距離検出器で現在の立ち位置を計測して、現在の立ち位置が正しい立ち位置から乖離している場合に正しい立ち位置に是正するよう前後進指示手段により、例えば、「もう一歩」とか「もう少し前進をすべき」等の音声指示や「もう一歩」とか「もう少し前進をすべき」等の映像指示を与えて現在の立ち位置が誤りであることを報知して放尿終端部が便器の前方に前垂れせず確実に便器の奥内壁面に尿が液滴化せずに接触させることができ、便器の奥内壁面からの跳ね返りが抑制されて尿はねによる着衣ズボンなどの汚損を防止することができる。
【0012】
本発明の第2の態様によれば、前後進指示手段は、商品紹介やイベント開催やその他のPR事項などの各種の報知事項を放尿者に音声、映像、または音声と映像の両方で報知することができるので放尿時の時間を有効に活用して各種情報を提供しつつ費用を節約してコマーシャルビジネスを提供できる。
【0013】
本発明の第3の態様によれば、前記前後進指示手段は、放尿者の正しい立ち位置と便器の奥内壁面までの適切な距離を約10cm~20cmと仮想してその仮想距離に立ち位置を合わせるべく前後進の指示をトイレ内空間全体に報知可能な全方位スピーカーと、放尿者が便器の奥内壁面に対して約10cm~20cmに立位した際に商品紹介やイベント開催やその他のPR事項などの各種の報知事項を放尿者にだけ報知可能な指向性スピーカーと、を有し、前記全方位スピーカーと前記指向性スピーカーは、前記距離検出器により検出された放尿者の便器に対する立ち位置に応じて切替可能としたことにより、放尿者に対して放尿前の便器に対する立ち位置是正情報の伝達と放尿時におけるコマーシャル情報の伝達を最大限発揮できる。
すなわち、放尿者の位置是正をトイレ空間全体に報知可能な全方位スピーカーで実施することにより、放尿者の便器に対する立ち位置が誤っていることを放尿者およびトイレ空間の利用者に報知して放尿者の小用便器に対する立ち位置の意識改革を促して立ち位置是正を促進できる。また、放尿時における情報伝達を放尿者にだけ報知可能な指向性スピーカーで実施することにより、報知すべき情報が他の前後進指示手段から報知された情報と混在して放尿者に伝達され、認知すべき情報を誤認識する虞を可及的に低減して、報知すべき情報を放尿者に確実に伝達できる。
【0014】
本発明の第4の態様によれば、特定の便所での音声広告ビジネス、または映像広告ビジネスとしてスポンサーを募りスポンサーの希望により報知事項を予め合意して前後進指示音声器から放尿間に音声報知、映像報知、または音声報知および映像報知を組合わせて報知すべく構成したことにより、放尿行為という短時間に商品紹介やイベント開催やその他のPR事項などの各種の情報伝達事項を音声や映像で報知することができ、放尿時の時間を有効に活用した新たなビジネスモデルを構築して情報伝達にかかる全般的な費用の節約と共に新しいコマーシャルビジネスを提供できる。
【0015】
本発明の第5の態様によれば、スポンサーから依頼された多種類の報知事項を予め各便器に装置した前後進指示手段を制御する情報管理制御部に保存して順繰りに報知可能に構成すると共に、一定の期間を決めて報知事項を新たに更新するように構成したことにより、1度の放尿中に同一のコマーシャル情報が繰り返し報知されることによる不快感を低減して、放尿者に効果的にコマーシャル情報を報知できる。また、放尿シーンと結びつけてコマーシャル情報を報知して放尿者に記憶させることにより、単にコマーシャル情報として報知されるよりも長く放尿者に記憶させることができ、効果的にコマーシャル情報を報知できる。
また、期間を定めて報知事項の更新を行うことにより、同一のトイレを利用する放尿者に対して何度も同一の情報が報知されたことにより生起される不快感を可及的に低減して効果的にコマーシャル情報を報知できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態にかかる汚損防止装置を示す図であり、(a)は斜視図であり、(b)は側面図である。
図2】本発明の実施形態にかかる汚損防止システムの処理フローを示す図である。
図3】本発明の実施形態にかかる汚損防止装置の情報伝達を示す概略図である。
図4】本発明の実施形態にかかる汚損防止装置を示す図であり、(a)は斜視図であり、(b)は側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
この発明の要旨は、便器前方に放尿者がいるかどうかを検出するための立ち位置検出器と、便器と放尿者の立ち位置との距離を検出する距離検出器と、放尿者に対して正しい立ち位置までの前後進指示を行う前後進指示手段と、より構成すると共に、放尿者の正しい立ち位置と便器の奥内壁面までの適切な距離を約10cm~20cmと仮想してその仮想距離に立ち位置を合わせるべく前後進指示手段により前後進の指示を行うべく構成したことに特徴を有する。
【0018】
また、前後進指示手段は、放尿者の正しい立ち位置と便器の奥内壁面までの適切な距離を約10cm~20cmと仮想してその仮想距離に立ち位置を合わせるべく前後進の指示を行うと共に、それ以外に商品紹介やイベント開催やその他のPR事項などの各種の報知事項を音声または映像で報知すべく構成したことにも特徴を有する。
【0019】
更に、前記前後進指示手段は、放尿者の正しい立ち位置と便器の奥内壁面までの適切な距離を約10cm~20cmと仮想してその仮想距離に立ち位置を合わせるべくトイレ内空間全体に前後進の指示を報知可能な全方位スピーカーと、放尿者が便器の奥内壁面に対して約10~20cmに立位した際に商品紹介やイベント開催やその他のPR事項などの各種の報知事項を放尿者にだけ報知可能な指向性スピーカーと、を有し、前記全方位スピーカーと前記指向性スピーカーは、前記距離検出器により検出された便器に対する放尿者の立ち位置に応じて切替可能としたことにも特徴を有する。
【0020】
更に、特定の便所での音声広告ビジネス、または映像広告ビジネスとしてスポンサーを募りスポンサーの希望により報知事項を予め合意して前後進指示手段から放尿間に音声報知、映像報知、または音声および映像報知すべく構成したことにも特徴を有する。
【0021】
特に、音声広告ビジネスとしては、スポンサーから依頼された多種類の広告事項を予め各便器に装置した前後進指示手段に収納して順繰りに報知可能に構成すると共に、一定の期間を決めて報知事項を新たに更新するように構成したことにも特徴を有する。
【0022】
この発明の実施形態を図面に基づき詳細に説明する。図1(a),(b)は、本実施形態の汚染防止装置Aを示す概略図である。なお、本実施形態において、便器Uを正面に見据えて便器Uの左右を左右方向とし、便器Uの正面側を前側とし、便器Uの背面側を後側として説明する。
【0023】
[汚染防止装置A]
本実施形態の汚染防止装置Aは、図1に示すように、便器Uの上方に配設した装置本体部A1と、装置本体部A1の後方であってライニングユニットL内に配設した切替制御部4とトイレ空間Tの外部空間であってライニングユニットL内に配設した切替制御部4と通信手段Cを用いて各種データ通信を可能とする情報管理制御部5と、を備えた装置制御部A2とを有する。
【0024】
装置本体部A1は、放尿者Hが便器Uの前方に立位しているかどうかを検出するための立ち位置検出器1と、便器Uの奥内壁面に対する放尿者Hの距離(距離情報α)を検出する距離検出器2と、距離検出器2で検出した放尿者Hの便器Uに対する距離情報αに応じて放尿者Hに前後進指示を行う前後進指示手段としての前後進指示音声器3と、を有する。立ち位置検出器1と距離検出器2とは、信号線で接続されており、立ち位置検出器1が放尿者Hを検知したことを契機として距離検出器2が駆動するように構成している。なお、距離情報αとは、放尿者Hの放尿基端部から便器Uの奥内壁面U1までの直線距離のことである。
【0025】
立ち位置検出器1は、図1(a),(b)に示すように、汚染防止装置Aを構成する装置本体部A1の上部前端部に配設されている。立ち位置検出器1は、放尿者Hから放射される赤外線を検出することにより便器Uの前方に放尿者Hが立位しているかどうかを検知できる赤外線センサである。
【0026】
汚染防止装置Aを構成する装置本体部A1の内部であって立ち位置検出器1の下方には距離検出器2を配設している。
距離検出器2は、前方に投光する半導体レーザー素子と、半導体レーザー素子から投光された光が対象物に反射して戻ってきた光を受光する受光素子を有する。距離検出器2は、公知の測距方式を採用しており、例えば、距離検出器2から投光された赤外線が対象物表面で反射して、その反射光を受光素子で受光し、受光素子上の受光位置を読み取ることで便器Uに対する放尿者Hの立ち位置を検出することができる三角測量方式による測距センサで構成している。ただし、本願発明における距離検出器2は、便器Uの奥内壁面U1から放尿者Hまでの距離を測定できればどのような距離計測手段で構成されていてもよい。
なお、本実施形態において、距離検出器2は距離検出器2に対する放尿者の体の一部までの直線距離を計測している。上述した距離情報αは、距離検出器2で計測した距離情報から換算することで求めている。
【0027】
また、汚染防止装置Aを構成する装置本体部A1の内部であって距離検出器2の下方には、前後進指示音声器3を配設している。前後進指示音声器3は、トイレ空間Tのトイレ利用者全員に報知可能な全方位スピーカー30と、便器Uの正面に立位した放尿者Hにのみ報知可能な指向性スピーカー31を有する。
【0028】
全方位スピーカー30は、便器Uに対して放尿者Hが10cm~20cm以外(距離情報αが10cm~20cm以外)の距離に立位した場合に放尿者Hの立ち位置を是正させる音声情報を報知するように構成している。例えば、放尿者Hが便器Uに対して10cmよりも接近して立位していた場合(距離情報αが10cmよりも短い場合)、「距離が近すぎます。もう一歩後ろに。」との指示音声を発生させ、放尿者Hが便器Uに対して20cmよりも離隔して立位していた場合(距離情報αが20cmよりも長い場合)、「距離が離れています。もう一歩前へ。」との指示音声を発生させる。全方位スピーカー30から報知される音声情報は、後述する装置制御部A2の記憶領域51に移動指示データ51bとして予め保存されている。
【0029】
指向性スピーカー31は、便器Uに対して放尿者Hが10cm~20cmの距離に立位した場合(距離情報αが10cm~20cmの場合)、商品紹介やイベント開催やその他のPR事項などの各種のコマーシャル情報を放尿者Hにのみ報知できるように構成している。
指向性スピーカー31から報知されるコマーシャル情報は、各スポンサーから依頼された多種類の報知事項であり、装置制御部A2の記憶領域51にコマーシャル情報データ51aとして予め保存されている。このように構成した装置本体部A1の後方には、装置制御部A2を配設している。
【0030】
装置制御部A2は、図1(b)に示すように、距離検出器2および前後進指示音声器3と信号線を介して接続された切替制御部4と、切替制御部4と通信手段Cを介して各種情報伝達を可能とした情報管理制御部5とを有する。
【0031】
切替制御部4は、便器U背面に配設されたライニングユニットLの内部に収納されており、装置本体部A1に収納した距離検出器2、前後進指示音声器3とそれぞれ独立した信号線で接続されている。
切替制御部4は、通信手段Cを介してトイレ空間Tの外部空間に設けた情報管理制御部5に接続されている。切替制御部4は、距離検出器2で計測した便器Uに対する放尿者Hの距離情報αが伝達されると、通信手段Cを介して距離情報αを情報管理制御部5に伝達する。情報管理制御部5では、切替制御部4から受信した距離情報αに応じて前後進指示音声器3から出力する音声情報と、前後進指示音声器3の全方位スピーカー30と指向性スピーカー31のいずれのスピーカーから情報を発出するかを決定し、決定した情報を切替制御部4に伝達する。切替制御部4は、情報管理制御部5から伝達された情報に基づき前後進指示音声器3の選定されたスピーカーから距離情報αに応じた音声情報を便器Uの前方に立位した放尿者Hに報知する。
【0032】
情報管理制御部5は、切替制御部4から通信手段Cを介して接続されたCPU50と、各種報知情報を保存した記憶領域51とを有する。
【0033】
CPU50は、切替制御部4を介して伝達された便器Uに対する放尿者Hの距離情報αに応じて前後進指示音声器3の全方位スピーカー30または指向性スピーカー31のいずれから情報を発生させるかの切替制御、および選定されたスピーカーから発生させる音声情報を制御している。各スピーカーから発声する音声情報は、情報管理制御部5の記憶領域51に予め保存されている。
【0034】
記憶領域51は、商品紹介やイベント開催やその他のPR事項などの各種の報知事項を保存したコマーシャル情報データ51aと、便器Uに対する放尿者Hの立ち位置を是正するための位置是正情報を保存した移動指示データ51bとを有する。
【0035】
コマーシャル情報データ51aは、距離検出器2で検出された放尿者Hの便器Uに対する距離情報αが10cm~20cmである場合に切替制御部4を介して前後進指示音声器3の指向性スピーカー31に伝達され、指向性スピーカー31から放尿者Hに報知される。この際、コマーシャル情報データ51aは指向性スピーカー31を介して放尿者Hに報知されることにより、トイレ空間Tを利用する他の放尿者に報知されるコマーシャル情報と混在して放尿者Hに報知される虞がなく、スポンサーから依頼された多種類の報知事項を放尿者Hに確実に伝達することができる。
【0036】
また、移動指示データ51bは、距離検出器2で検出された放尿者Hの便器Uに対する距離(距離情報α)が10cm未満、または20cmよりも離隔している場合に切替制御部4を介して前後進指示音声器3の全方位スピーカー30に伝達され、全方位スピーカー30から放尿者Hおよび放尿者Hと同一のトイレ空間Tにいるトイレ利用者に伝達される。
このように移動指示データ51bを放尿者Hおよび放尿者Hと同一のトイレ空間Tにいるトイレ利用者に報知する構成により、放尿者Hの便器Uに対する立ち位置が誤っていることを放尿者Hおよびトイレ空間Tの利用者に報知して放尿者Hの小用便器に対する立ち位置の意識改革を促して放尿者Hの立ち位置是正を促進できる。
【0037】
なお、情報管理制御部5に保存される各種情報は、装置制御部A2の記憶領域51に保存されている必要はなく、各種情報をクラウド上に保存し、必要に応じて報知情報をクラウド上から切替制御部4に伝達するように構成していてもよい。
【0038】
上述したように、汚染防止装置Aは、装置本体部A1の立ち位置検出器1、距離検出器2、および前後進指示音声器3と、装置制御部A2の切替制御部4、および前後進指示音声器3から報知される情報を便器Uに対する放尿者Hの距離情報αに応じて切替制御する情報管理制御部5を備えた構成により、便器Uに対する放尿者Hの立ち位置に応じて放尿者Hに報知する情報を制御して便器Uに対する放尿者Hの立ち位置(距離情報α)を10~20cmの間となるように誘導でき、便器Uの奥内壁面U1に接触した尿の尿はねを可及的に低減できる。
【0039】
特に、汚染防止装置Aは、便器Uに対する放尿者Hの立ち位置(距離情報α)を10~20cmの距離、好ましくは10~13cmに誘導することに特徴を有する。汚染防止装置Aは、便器Uに対する放尿者Hの立ち位置(距離情報α)が20cm、好ましくは13cm以下となるように誘導することで、放尿者Hから放出された尿が、液滴化することなく便器Uの奥内壁面U1に接触でき、尿の飛散量を低減できる。
【0040】
詳細に説明すると、放尿者Hから放出された尿は、排尿の基部において連続した流体を形成しており、排尿基部から離隔するにつれて尿の表面張力と空気抵抗により液滴化される。尿が液滴化した状態で便器Uの奥内壁面U1に衝突すると、奥内壁面U1との接触時の衝撃によりさらに細かな液滴となる。このように、尿が細かな液滴となることで飛散距離が増加して着衣ズボンや便器前の床面を汚損することとなる。
すなわち、便器Uに対する放尿者Hの立ち位置(距離情報α)を20cm、好ましくは13cm以下となるように誘導することで放尿者Hから放出された尿が液滴化する前に便器Uの奥内壁面U1に接触することができ、尿はねによる着衣ズボンなどの汚損を防止することができる。
【0041】
また、便器Uに対する放尿者Hの立ち位置(距離情報α)が10cm以上となるように放尿者Hを誘導することで、便器Uの奥内壁面U1との接触時において、放尿者Hから放出された尿と便器Uの奥内壁面U1とのなす角度を小さくでき、奥内壁面U1に接触した尿の跳ね返りを抑制することができる。
すなわち、放尿者Hから放出された尿は、排尿基部から離隔するにつれて重力加速度により垂直方向の速度ベクトルが水平方向の速度ベクトルに比して大きくなる。これにより、放尿者Hから放出された尿は、便器Uの奥内壁面U1との接触時において、奥内壁面U1とのなす角度が小さくなり、接触後は奥内壁面U1に沿って流下して尿はねによる着衣ズボンなどの汚損を防止することができる。
【0042】
また、本実施形態に記載の汚染防止装置Aは、放尿者Hの放尿時に商品紹介やイベント開催やその他のPR事項などのコマーシャル情報データ51aを報知できるように構成しているため、放尿者Hの放尿時の時間を有効に活用してスポンサーのコマーシャル情報を放尿者Hに伝達することができる。
【0043】
さらには、本実施形態に記載の汚染防止装置Aは、便器Uに対する放尿者Hの立ち位置を正しい立ち位置に誘導する際には全方位に音声を発生させる全方位スピーカー30から放尿者Hの距離情報αを是正する情報を報知することにより、トイレ空間Tのトイレ利用者全員に放尿者Hの便器Uに対する立ち位置が誤っていることを報知して放尿者Hの便器Uに対する放尿位置の意識改革を促し、尿はねが生起され難い便器Uの奥内壁面U1から10~20cmの距離、好ましくは10cm~13cmの距離に放尿者Hを確実に誘導することができる。
【0044】
また、放尿者Hが正しい立ち位置に立位して放尿する際には、放尿者Hにのみ報知できるように指向性スピーカー31からスポンサーのコマーシャル情報を発生させる構成により、同一のトイレ空間T内で放尿する他のトイレ利用者に報知される他のコマーシャル情報と放尿者Hに報知されるコマーシャル情報とが混在して放尿者Hに報知される虞を可及的に低減して、スポンサーのコマーシャル情報を確実に伝達することができる。
【0045】
なお、本実施形態において、装置本体部A1を便器Uの上方に固定する構成を説明したが、装置本体部A1は、便器Uの上方に固定する必要はなく、便器Uの奥内壁面U1に対する装置本体部A1の位置が規定されていれば任意の位置に載置していてもよい。
【0046】
また、本実施形態において、男性小用便器における床面等の汚損防止システムの前後進指示手段として前後進指示音声器3を例にして説明したが、本発明における前後進指示手段はこれに限定されることはない。
例えば、図4に示すように、前後進指示手段を前後進指示映像機器6で構成して、放尿者Hと便器Uの奥内壁面U1との距離情報αに対する意識改革を促すように構成されていてもよい。
【0047】
前後進指示映像機器6は、前述の前後進指示音声器3と同様に、装置本体部A1の内部であって距離検出器2の下方に設けられている。前後進指示映像機器6は、電圧を印加することで映像の報知範囲を制御可能なフィルタを有する液晶パネルで構成されている。
【0048】
前後進指示映像機器6は、便器Uに対して放尿者Hが10~20cm以外(距離情報αが10cm~20cm以外)の距離に立位した場合に放尿者Hの立ち位置を是正させる映像情報を報知するように構成している。例えば、放尿者Hが便器Uに対して10cmよりも接近して立位していた場合(距離情報αが10cmよりも短い場合)、「距離が近すぎます。もう一歩後ろに。」の映像情報を表示させ、放尿者Hが便器Uに対して20cmよりも離隔して立位していた場合(距離情報αが20cmよりも長い場合)、「距離が離れています。もう一歩前へ。」との映像情報を表示させる。前後進指示映像機器6に表示される映像情報は、装置制御部A2の記憶領域51に移動用映像指示データ51cとして予め保存されている。
この際、前後進指示映像機器6は、トイレ空間Tにいるトイレ利用者全員に報知可能なように前後進指示映像機器6から左右視野角140度、上下視野角120度の広範囲にわたり映像情報を報知できるように構成している。
【0049】
前後進指示映像機器6は、便器Uに対して放尿者Hが10cm~20cmの距離に立位した場合(距離情報αが10cm~20cmの場合)、商品紹介やイベント開催やその他のPR事項などの各種のコマーシャル映像情報を放尿者Hにのみ報知できるように構成している。
前後進指示映像機器6から報知されるコマーシャル映像情報は、各スポンサーから依頼された多種類の報知事項であり、装置制御部A2の記憶領域51にコマーシャル映像情報データ51dとして予め保存されている。
【0050】
この際、前後進指示映像機器6は、放尿者Hにのみコマーシャル映像情報データ51dを提供できるように液晶パネルに通電して視野角を制限している。
すなわち、放尿者Hが10~20cmの距離に立位した場合(距離情報αが10cm~20cmの場合)、前後進指示映像機器6に表示される映像情報は、左右視野角80度、上下視野角60度、と放尿者Hにのみ報知されるように視野角を制限している。
【0051】
このように、放尿者Hと便器Uの奥内壁面U1との距離情報αに応じて放尿者Hに報知する映像情報の視野角および表示情報を変化させることで便器Uの奥内壁面U1に対する距離情報αを放尿者Hに意識させつつ、距離情報αに応じて前後進指示映像機器6に表示する報知情報を変化させることで放尿者Hの便器Uの奥内壁面U1に対する距離が放尿するのに適切な位置であるかどうかを放尿者Hに報知して、放尿者Hを適切な放尿位置に誘導することができる。
【0052】
なお、本実施形態において、前後進指示手段を前後進指示音声器3と前後進指示映像機器6のいずれかとする構成を上述したが、前後進指示手段は、これらを組み合わせて構成されていてもよい。すなわち、前後進指示手段を前後進指示音声器3と前後進指示映像機器6を組合わせて設置し、放尿者Hの便器Uの奥内壁面U1に対する距離に応じて放尿者Hに報知される情報を変更できるように構成していてもよい。
【0053】
また、本実施形態において、便器Uの上方に装置本体部A1を配設する構成を説明したが、本発明において、装置本体部A1の設置位置はこれに限定されず、便器Uの奥内壁面U1と放尿者Hの距離情報αを位置検出器1と距離検出器2を用いて正しく検出できれば任意の位置に設置されていてもよい。
【0054】
また、本実施形態において、便器Uに対する放尿者Hの適切な立ち位置(距離情報α)を10~20cmとして説明したが、最善の立ち位置(距離情報α)は、10~13cmである。便器Uに対する放尿者Hの立ち位置(距離情報α)を10~13cmとすることで、放尿者Hから放出された尿が便器Uの奥内壁面U1との接触時に液滴化される虞を可及的に低減して尿はねによる着衣ズボンなどの汚損を防止することができる。
【0055】
[汚染防止システムSの利用方法]
このように構成した汚染防止装置Aを用いた汚染防止システムSについて図2および図3を参照して説明する。図2は、汚染防止システムSの処理フローを示す図であり、図3は、汚染防止システムSを構成する汚染防止装置Aの各部の情報伝達経路を示す概略構成図である。なお、本実施形態において、便器Uに対する放尿者Hの最善の立ち位置(距離情報α)は、10~13cmであるが、以下の汚染防止システムSの説明では、適切な立ち位置(距離情報α)である10~20cmを例にして説明する。
【0056】
汚染防止システムSは、前述の汚染防止装置Aを用いてトイレ空間の便器Uに対する放尿者Hの距離情報αに応じて放尿者Hに報知する情報を制御する情報の管理システムである。
【0057】
汚染防止システムSを構成する立ち位置検出器1は、立ち位置検出器1に入射する赤外線を常時検出しており、便器Uの前方に放尿者Hが立位すると、放尿者Hから放出される赤外線を検出して便器Uの前方に放尿者Hが立位していることを検知する(ステップS1)。
【0058】
便器Uの前方に放尿者Hが立位したことを立ち位置検出器1が検出すると、信号線を介して立ち位置検出器1に接続された距離検出器2が駆動し、便器Uに対する放尿者Hの距離情報αを計測する(ステップS2)。
距離検出器2により計測された距離情報αは、信号線を介して切替制御部4に伝達され、その後、通信手段Cを介して情報管理制御部5に伝達される。なお、距離情報αは、立ち位置検出器1で放尿者Hを検知している間、距離検出器2で常時計測されており、距離検出器2で管理される10cm未満、10-20cmの間、20cm超過の3つの領域に区分けされて管理され、検出領域が変化するたびに信号線を介して切替制御部4に伝達されるように構成している。例えば、距離情報αが10cm未満の領域から10-20cmの間の領域に変化した場合に距離情報αを切替制御部4に伝達し、また、10-20cmの間の領域から20cm超過の領域に変化した場合に距離情報αを切替制御部4に伝達するように構成している。
【0059】
情報管理制御部5では、距離情報αに応じて前後進指示音声器3の全方位スピーカー30、または指向性スピーカー31のいずれから音声を出力させるかをCPU50で制御しつつ、全方位スピーカー30が選択された場合は、前進移動の情報を伝達するのか、または後進移動の情報を伝達するのかを制御し、指向性スピーカー31が選択された場合は、スポンサーのコマーシャル情報を報知するように制御する(ステップS3、ステップS4)。
この際、距離情報αが便器Uに対して10cm未満である場合、情報管理制御部5の記憶領域51に保存された移動指示データ51bから「もう一歩後ろへ」との音声情報が切替制御部4を介して全方位スピーカー30から出力されて便器Uに近すぎることが放尿者Hに報知される。
また、距離情報αが便器Uに対して20cmを超過している場合、情報管理制御部5の記憶領域51に保存された移動指示データ51bから「もう一歩前へ」との音声情報が切替制御部4を介して全方位スピーカー30から出力されて便器Uから離れすぎていることが放尿者Hに報知される。
また、距離情報αが便器Uに対して10~20cmの間である場合、情報管理制御部5の記憶領域51に保存されたコマーシャル情報データ51aからコマーシャル情報が切替制御部4を介して指向性スピーカー31に伝達され、放尿者Hに報知される(ステップS4)。
なお、指向性スピーカー31から報知されるコマーシャル情報は、放尿者Hの立ち位置が便器Uに対して10~20cmの間にある場合、記憶領域51のコマーシャル情報データ51aが保存された順に順次コマーシャル情報を流し続ける。
【0060】
汚染防止システムSは、放尿者Hが便器Uの前方から離反し、立ち位置検出器1で検出することができなくなると、立ち位置検出器1での放尿者Hの非検出情報が切替制御部4を介して情報管理制御部5のCPU50に伝達され、記憶領域51に保存されたコマーシャル情報データ51aの供給を停止し、指向性スピーカー31から報知されるコマーシャル情報の提供を停止する(ステップS5)。
【0061】
このように本実施形態に記載の汚染防止システムSは、上述したステップS1からステップS5までの5段階で放尿者Hに提供する報知情報を制御している。この汚染防止システムSは、便器Uに対する放尿者Hの距離情報αに応じて前後進指示音声器3から発出する音声情報を全方位スピーカー30と指向性スピーカー31とに切り替える構成により、便器Uに対する放尿者Hの立ち位置に関する意識を更新して、確実に便器Uに接近した状態で放尿させることができ、便器Uの奥内壁面U1と接触した際に尿が離散する蓋然性を可及的に低減して着衣ズボンなどが汚損する虞を低減している。
【0062】
なお、上述した汚染防止システムSによる処理フローを前後進指示音声器3を例にして説明したが、この報知手段を前後進指示映像機器6とした場合、および前後進指示音声器3と前後進指示映像機器6を併用した場合、のいずれにおいても上述したステップS1からステップS5の処理フローと同様の処理がなされる。この場合は、単に前後進指示音声器3での処理が前後進指示映像機器6、または前後進指示音声器3と前後進指示映像機器6を併用した報知手段に置換されるだけである。また、前後進指示映像機器6を用いる場合は、コマーシャル情報データ51aがコマーシャル映像情報データ51dに、移動指示データ51bが移動用映像指示データ51cに置き換えられて実行される。
【0063】
また、この汚染防止システムSは、便器Uの奥内壁面U1に対する放尿者の適切な立ち位置を奥内壁面U1から約10~20cmとしたため(距離情報αが10~20cmとしたため)、奥内壁面U1からの尿の跳ね返りが抑制されて尿はねによる着衣ズボンなどの汚損を防止することができる。
【0064】
また、この汚染防止システムSは、便器Uに対する放尿者Hの立ち位置に応じて前後進指示手段としての前後進指示音声器3から発出する音声情報を全方位スピーカー30と指向性スピーカー31に切り替えて報知する構成により、便器Uに対して適切な位置に立位した放尿者Hに提供するコマーシャル情報が指向性スピーカー31から報知され、他の放尿者に提供されるコマーシャル情報と放尿者Hに提供されるコマーシャル情報とが混在して放尿者Hに伝達される虞がなく、スポンサーが提供したい情報を放尿者Hに確実に伝達することができる。
【0065】
また、この汚染防止システムSは、前後進指示手段としての前後進指示音声器3から放尿者Hの放尿間に音声広告するように構成したため、放尿行為という短時間に商品紹介やイベント開催やその他のPR事項などの各種の情報伝達事項を音声で報知することができ、放尿時の時間を有効に活用した新たなビジネスモデルを構築して情報伝達にかかる全般的な費用の節約と共に新しいコマーシャルビジネスを提供できる。
【0066】
また、この汚染防止システムSは、音声広告ビジネスとしてスポンサーから依頼された多種類の報知事項を予め各便器Uに装置した前後進指示音声器3を制御する切替制御部4を介して情報管理制御部5に保存して、保存された順に報知可能に構成すると共に、一定の期間を決めて報知事項を新たに更新するように構成したことにより、1度の放尿中に同一のコマーシャル情報が繰り返し報知されることによる不快感を低減して、放尿者Hに効果的にコマーシャル情報を報知できる。また、放尿シーンと結びつけてコマーシャル情報を報知して放尿者Hに記憶させることにより、単に音声情報として報知されるよりも長く記憶させることができ、効果的にコマーシャル情報の伝達ができる。
また、期間を定めて報知情報を更新することにより、同一のトイレを利用する放尿者Hに対して何度も同一の情報が報知されたことによる不快感が生起される虞を可及的に低減して効果的にコマーシャル情報の伝達ができる。
【0067】
なお、本発明は上述した実施形態に限られず、上述した実施形態の中で開示した各構成を相互に置換したり組合せを変更したりした構成、公知発明並びに上述した実施形態の中で開示した各構成を相互に置換したりした構成、等も含まれる。また、本発明の技術的範囲は上述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された事項とその均等物まで及ぶものである。
【符号の説明】
【0068】
1 立ち位置検出器
2 距離検出器
3 前後進指示音声器
30 全方位スピーカー
31 指向性スピーカー
4 切替制御部
5 情報管理制御部
50 CPU
51 記憶領域
51aコマーシャル情報データ
51b移動指示データ
6 前後進指示映像機器
A 汚染防止装置
A1 装置本体部
A2 装置制御部
C 通信手段
H 放尿者
L ライニングユニット
S 汚染防止システム
T トイレ空間
U 便器
U1 奥内壁面
図1
図2
図3
図4