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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024105164
(43)【公開日】2024-08-06
(54)【発明の名称】美容機器
(51)【国際特許分類】
   A61N 1/36 20060101AFI20240730BHJP
   A61N 1/04 20060101ALI20240730BHJP
   A46B 15/00 20060101ALI20240730BHJP
【FI】
A61N1/36
A61N1/04
A46B15/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2023020355
(22)【出願日】2023-01-25
(71)【出願人】
【識別番号】391034695
【氏名又は名称】平和電子工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088867
【弁理士】
【氏名又は名称】西野 卓嗣
(72)【発明者】
【氏名】植山 芳樹
(72)【発明者】
【氏名】相良 賢範
【テーマコード(参考)】
3B202
4C053
【Fターム(参考)】
3B202AA11
3B202AA16
3B202AB15
3B202BA02
3B202EA01
3B202EA04
3B202EE01
3B202EF02
3B202EG20
4C053BB13
4C053BB22
4C053BB36
4C053GG10
4C053JJ13
(57)【要約】
【課題】高さが同じ複数のブラシピンを採用しながら、ブラシピンの先端が、平面でない部位に沿うように設定可能で、更に、破損したブラシピンのみの交換修理が可能なブラシ状の美容機器を提供する。
【解決手段】ブラシベースとハンド保持部とを備える機器ケースと、機器ケースに収容された電気回路と、複数のブラシピンと、複数の電極ピンを備えたブラシ基板と、を備え、ブラシピンは、胴部材と、先端が露出してなる電極部材と、胴部材の筒内部に挿通されて、電極部材とは固着し、電極ピンとは接触接続する金属軸と、を有し、胴部材と電極部材とで定まる個々のブラシピンの高さは同一であり、金属軸は径方向に屈曲可能な柔軟性を有してなり、胴部材は径方向に屈曲可能な弾性を有してなり、複数のブラシピンのうちの一部のブラシピンとブラシ基板との間にはスペーサ部を備えている構成を採る。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブラシベースとハンド保持部とを備える機器ケースと、
前記機器ケースに収容されてなる電気回路と、
前記ブラシベースに突設されてなる複数のブラシピンと、
前記電気回路で生成した皮膚刺激信号を前記ブラシピンの個々に1対1に対応して伝達する複数の電極ピンを備えたブラシ基板と、を備えてなり、
前記ブラシピンは、
細長の筒体である胴部材と、
前記胴部材の先端側の開口に接続されて、先端が露出してなる電極部材と、
前記胴部材の筒内部に空隙を設けて挿通されて、前記電極部材とは固着し、前記電極ピンとは接触接続する金属軸と、を有し、
前記胴部材と前記電極部材とで定まる個々の前記ブラシピンの高さは同一であり、
前記金属軸は、径方向に屈曲可能な柔軟性を有してなり、
前記胴部材は、径方向に屈曲可能な弾性を有してなり、
前記複数のブラシピンのうちの一部のブラシピンと前記ブラシ基板との間にはスペーサ部を備えている、ことを特徴とするブラシ状の美容機器。
【請求項2】
前記スペーサ部を少なくとも複数個連結した構造のブラシスペーサ連結体を備えていることを特徴とする請求項1に記載の美容機器。
【請求項3】
前記ブラシスペーサ連結体は、前記スペーサ部を全て連結して構成されていることを特徴とする請求項2に記載の美容機器。
【請求項4】
前記複数のブラシピンの先端を結ぶ仮想線を略椀型に凹状になるように前記スペーサ部を配置することを特徴とする請求項1に記載の美容機器。
【請求項5】
前記金属軸は、ステンレスワイヤーロープであって、前記電極ピンとは前記胴部材の弾性による挟み込み接触接続であることを特徴とする請求項1に記載の美容機器。
【請求項6】
前記金属軸は、ステンレスライナーチューブであって、前記電極ピンの外径と前記金属軸の内径との接触接続であることを特徴とする請求項1に記載の美容機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者の顔や頭などの作用部位に美容作用を及ぼす美容機器に関し、特に美容機器に備えるブラシ形状のブラシピン先端から電気的な美容作用を及ぼす技術に係る。
【背景技術】
【0002】
従来から肌にパルス性の電気刺激を与え、筋肉を収縮運動させることにより、リンパ液の流れを促進させて疲労回復等のトリートメントを行なったり、筋肉の強化を図ったりする美容機器が知られている。
【0003】
たとえば、特許文献1には、電極部材に対して電流を印加する金属軸が胴部材の筒内部に挿通されてなることから、金属軸が直接皮膚や体毛に付着した皮脂、水分、シャンプー、化粧品等に触れない。これにより、電気回路から電極部材までの電流の経路となる金属軸の腐食を抑制することができ、長期間導電性の低下を抑制することができる美容機器が記載されている。
【0004】
特許文献2には、上側と下側のピンの高さが高く、中央部が相対的に低く構成されている多数のピンを有するピン体を持つブラシアタッチメントを備え、電気的な美容作用を及ぼすための構造を備えたブラシ状の美容機器が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2022-030257号公報
【特許文献2】特開2022-107635号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の美容機器においては、複数の皮膚刺激ブラシ用ピンを備える皮膚刺激ブラシが開示されているが、ブラシ台から突設された皮膚刺激用ピンの個々の高さを、例えば、頭部の様に平面でない部位に沿うように、設定した美容機器については、全く開示も示唆もされていない。
【0007】
また、特許文献2に記載の美容機器においては、上側と下側のピンの高さが高く、中央部が相対的に低く構成されている多数のピンを有するピン体の構造について、高さの違いをどの様に実現するのか具体的には開示も示唆もされていない。また、ピン体の1本が破損した場合にブラシアタッチメント全体を交換しなければならないという課題がある。
【0008】
本発明は、この様な従来の問題点を解決するものであり、高さが同じ複数のブラシピンを採用しながら、ブラシピンの先端が、平面でない部位に沿うように設定可能で、更に、ブラシピンの1本が破損した場合に対しても、破損したブラシピンのみの交換修理が可能なブラシ状の美容機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の美容機器は、機器ケースと、電気回路と、複数のブラシピンと、ブラシ基板と、を備える。機器ケースは、ブラシベースとハンド保持部とを備える。電気回路は、機器ケースに収容されてなる。複数のブラシピンは、ブラシベースに突設されてなる。ブラシ基板は、電気回路で生成した皮膚刺激信号をブラシピンの個々に1対1に対応して伝達する複数の電極ピンを備える。
【0010】
ブラシピンは、胴部材と、電極部材と、金属軸と、を有する。胴部材は、細長の筒体である。電極部材は、胴部材の先端側の開口に接続されて、先端が露出してなる。金属軸は、胴部材の筒内部に空隙を設けて挿通されて、電極部材とは固着し、電極ピンとは接触接続する。
【0011】
胴部材と電極部材とで定まる個々のブラシピンの高さは同一である。金属軸は、径方向に屈曲可能な柔軟性を有してなる。胴部材は、径方向に屈曲可能な弾性を有してなる。複数のブラシピンのうちの一部のブラシピンとブラシ基板との間にはスペーサ部を備えている。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、高さが同じ複数のブラシピンを採用しながら、ブラシピンの先端が、平面でない部位に沿うように設定可能で、更に、ブラシピンの1本が破損した場合に対しても、破損したブラシピンのみの交換修理が可能なブラシ状の美容機器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施の形態に係る美容機器の外観図である。
図2】本発明の一実施の形態に係る美容機器の内部構造図である。
図3】本発明の一実施の形態に係る美容機器において、ブラシピンをブラシスペーサ連結体をはさんでブラシ基板の電極ピンに挿入する組み立て図である。
図4】本発明の一実施の形態に係る美容機器のブラシピンとスペーサ部とブラシ基板との構成を示す断面図である。
図5】本発明の一実施の形態に係る美容機器のブラシピンの先端を結ぶ仮想線が略椀型に凹状になっている状態におけるブラシピンとブラシスペーサ連結体とブラシ基板との構成を示す断面図である。
図6】本発明の一実施の形態に係る美容機器のブラシピンとスペーサ部とブラシ基板との他の構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0015】
図1(a)は、本発明の一実施の形態に係る美容機器を上から見た外観図であり、図1(b)は、同美容機器を横から見た外観図であり、図1(c)は、同美容機器を下から見た外観図である。図1において、機器ケース3は、ABS樹脂製で、上ケースとなるハンド保持部2と、下ケースとなるブラシベース1とを備える。
【0016】
複数のブラシピン5は、個々のブラシピンに対応するブラシベース1に設けられた穴より、ブラシピンの先端側がブラシベース1の外側に出るように、固定されている。ハンド保持部2の一部に操作パネルが設けられている。
【0017】
図2は、本発明の一実施の形態に係る美容機器の内部構造図である。ハンド保持部2とブラシベース1とで形成される機器ケースの内部に、電気回路4と、複数の電極ピン6を備えるブラシ基板7と、複数のスペーサ部8を備えるブラシスペーサ連結体9と、複数のブラシピン5とが備わっている。
【0018】
個々のブラシピン5の先端側は、対応するブラシベース1の個々の穴から機器ケース3の外に出るように組み立てられる。電極ピン6は、黄銅材に金メッキをし、ブラシ基板に半田付けしている。スペーサ部8は、ABS樹脂製である。
【0019】
図3は、本発明の一実施の形態に係る美容機器において、図3(a)で示す複数のブラシピン5を、図3(b)で示すスペーサ部8をはさんで、図3(c)で示すブラシ基板7の電極ピン6に挿入する組み立て図である。
【0020】
高さが少しずつ異なるスペーサ部8をバラバラに準備してもよいが、いくつかのスペーサ部8を連結してブラシスペーサ連結体9としてもよい。さらに、全てのスペーサ部8を連結して一つのブラシスペーサ連結体9としてもよく、図3(b)は、その状態を示している。
【0021】
複数のブラシピン5のなかに、スペーサ部8をはさまないで、ブラシ基板7の電極ピン6に挿入されているものが存在しても良い。図3(d)は、ブラシ基板7に、ブラシスペーサ連結体9をはさんで、複数のブラシピン5の組み立てが完了した状態を示している。
【0022】
図4は、本発明の一実施の形態に係る美容機器のブラシピンとスペーサ部とブラシ基板との構成を示す断面図である。図4(a)において、ブラシピン51は、胴部材30と、電極部材36と、金属軸40とを有している。胴部材30は、細長の筒体のシリコーン成形品である。
【0023】
電極部材36は、ステンレス切削ピンヘッドであって、胴部材30の先端側の開口に接続されて、先端が露出している。金属軸40は、径方向に屈曲可能な柔軟性を有しているのに対し、長さ方向にはほとんど縮まないステンレスワイヤーロープである。
【0024】
電極部材36に金属軸40の一端をスポット溶接にて固着する。金属軸40が固着された電極部材36を、胴部材30の筒体に挿入し、胴部材30の先端側に電極部材36を接着材を用いて固定する。スペーサ部81は、電極ピン65を通せる穴を備えている。
【0025】
スペーサ部81の穴に通した電極ピン65に、金属軸40を添わせるようにして、胴部材30の筒体を挿入させることにより、胴部材30の弾性を用いて、金属軸40は、電極ピン65と接触接続する。これにより、電極部材36は、金属軸40を介して、電極ピン65と、電気的に接続される。
【0026】
図4(b)において、図の左側に示したブラシピンは、構造が同じで高さE1のブラシピン51を、高さB1aのスペーサ部81の穴を通してブラシ基板上の電極ピン65に差し込むことで、ブラシベース11から外に出たブラシピン上部の高さC1aを実現する。
【0027】
図の右側に示したブラシピンは、構造が同じで高さも同じE1のブラシピン51を、高さB1bのスペーサ部82の穴を通してブラシ基板上の電極ピン65に差し込むことで、ブラシベース11から外に出たブラシピン上部の高さC1bを実現する。
【0028】
構造が同じで高さも同じE1のブラシピン51を多数準備し、高さが異なるスペーサ部と組み合わせることで、ブラシベース11から外に出たブラシピン上部の高さを異なるようにできる。更に、構造が同じで高さも同じE1のブラシピン51を電極ピン65に差し込む構造を採用しているので、ブラシピンの1本が破損した場合に対しても、破損したブラシピンのみの交換修理が容易に可能である。
【0029】
図5は、本発明の一実施の形態に係る美容機器のブラシピンの先端を結ぶ仮想線が略椀型に凹状になっている状態におけるブラシピンとブラシスペーサ連結体とブラシ基板との構成を示す断面図である。ブラシピン51に設けた電極部材36の先端を結ぶ仮想線が略椀型に凹状になるように、ブラシスペーサ連結体91の各スペーサ部の高さを設定して実現する。
【0030】
図6は、本発明の一実施の形態に係る美容機器のブラシピンとスペーサ部とブラシ基板との他の構成を示す断面図である。図6(a)において、ブラシピン52は、胴部材31と、電極部材37と、金属軸41とを有している。胴部材31は、細長の筒体のシリコーン成形品である。
【0031】
電極部材37は、ステンレス切削ピンヘッドであって、胴部材31の先端側の開口に接続されて、先端が露出している。金属軸41は、径方向に屈曲可能な柔軟性を有しているステンレスライナーチューブである。
【0032】
金属軸41の一端側の中空部に電極部材37を差し込みスポット溶接にて固着する。金属軸41が固着された電極部材37を、胴部材31の筒体にインサート成型し、胴部材31の先端側に電極部材37を固定する。インサート成型により、ステンレスライナーチューブの隙間に胴部材31の樹脂が入り込み、金属軸41は長さ方向にはほとんど縮む余地は無い。
【0033】
スペーサ部85は、電極ピン66を通せる穴を備えている。スペーサ部85の穴に通した電極ピン66に、金属軸41の中空部を挿入するように、ブラシピン52を挿入させることにより、金属軸41の弾性を用いて、金属軸41は、電極ピン66と接触接続する。これにより、電極部材37は、金属軸41を介して、電極ピン66と、電気的に接続される。
【0034】
図6(b)において、図の左側に示したブラシピンは、構造が同じで高さE2のブラシピン52を、高さB2aのスペーサ部85の穴をとおしてブラシ基板上の電極ピン66に差し込むことで、ブラシベース12から外に出たブラシピン上部の高さC2aを実現する。
【0035】
図の右側に示したブラシピンは、構造が同じで高さも同じE2のブラシピン52を、高さB2bのスペーサ部86の穴をとおしてブラシ基板上の電極ピン66に差し込むことで、ブラシベースから外に出たブラシピン上部の高さC2bを実現する。
【0036】
構造が同じで高さも同じE2のブラシピン52を多数準備し、高さが異なるスペーサ部と組み合わせることで、ブラシベース11から外に出たブラシピン上部の高さを異なるようにできる。更に、構造が同じで高さも同じE2のブラシピン52を電極ピン66に差し込む構造を採用しているので、ブラシピンの1本が破損した場合に対しても、破損したブラシピンのみの交換修理が容易に可能である。
【0037】
以上説明した様に、本実施の形態によれば、高さが同じ複数のブラシピンを採用しながら、ブラシピンの先端が、平面でない部位に沿うように設定可能で、更に、ブラシピンの1本が破損した場合に対しても、破損したブラシピンのみの交換修理が可能なブラシ状の美容機器を提供できる。
以上の説明は本発明の好適な実施の形態の例証であり、本発明の範囲はこれに限定されることはない。
【0038】
例えば、電極ピンは黄銅材に錫メッキでも良く、電極ピンのブラシ基板への固定は半田付けに限定されず、電気的接続および機械的固定が確実にできれば、ネジ止めなどの方法でも良い。また、胴部材はエストラマーでも良い。
【0039】
また、電極部材と金属軸との固着方法は半田付けやカシメでも良い。また、電極部材を胴部材の先端側に固定する方法はインサート成型でも良い。また、機器ケース・スペーサ部・ブラシスペーサ連結体は、ABS樹脂に限定されず、ポリカーボネートやポリアセタールなどの樹脂でも良い。
【0040】
また、電極部材は、ステンレス切削品に限定されず、ステンレス以外の金属でも可能であり、切削加工以外の加工方法でも可能である。
【符号の説明】
【0041】
1 ブラシベース
2 ハンド保持部
3 機器ケース
4 電気回路
5 ブラシピン
6 電極ピン
7 ブラシ基板
8 スペーサ部
9 ブラシスペーサ連結体
11,12 ブラシベース
30,31 胴部材
36,37 電極部材
40,41 金属軸
51,52 ブラシピン
65,66 電極ピン
71,72 ブラシ基板
81,82,85,86 スペーサ部
91 ブラシスペーサ連結体
図1
図2
図3
図4
図5
図6