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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024010517
(43)【公開日】2024-01-24
(54)【発明の名称】偽造防止用積層体、及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
   G11B 7/24038 20130101AFI20240117BHJP
   G06K 19/16 20060101ALI20240117BHJP
   G06K 19/06 20060101ALI20240117BHJP
   G11B 7/24012 20130101ALI20240117BHJP
   G11B 7/24094 20130101ALI20240117BHJP
   G11B 7/0033 20060101ALI20240117BHJP
   G11B 7/004 20060101ALI20240117BHJP
   G11B 20/10 20060101ALI20240117BHJP
【FI】
G11B7/24038
G06K19/16
G06K19/06 065
G11B7/24012
G11B7/24094
G11B7/0033
G11B7/004 Z
G11B20/10 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022111896
(22)【出願日】2022-07-12
(71)【出願人】
【識別番号】000000033
【氏名又は名称】旭化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】小松 雄士
(72)【発明者】
【氏名】山口 布士人
(72)【発明者】
【氏名】小山 浩晃
【テーマコード(参考)】
5D044
5D090
【Fターム(参考)】
5D044CC08
5D044FG18
5D090AA03
5D090GG11
5D090GG21
5D090GG27
5D090GG32
(57)【要約】
【課題】偽造困難な偽造防止用積層体、及び情報処理方法。
【解決手段】基材と、前記基材上に形成された細線パターンと、前記基材上に直接又は他の層を介して形成された目視可能な可視情報コードと、を有する偽造防止用積層体であって、前記積層体の平面視において、前記細線パターンは、前記可視情報コードの形成領域の少なくとも一部に設けられている、偽造防止用積層体。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、
前記基材上に形成された細線パターンと、
前記基材上に直接又は他の層を介して形成された目視可能な可視情報コードと、
を有する偽造防止用積層体であって、
前記積層体の平面視において、前記細線パターンは、前記可視情報コードの形成領域の少なくとも一部に設けられている、偽造防止用積層体。
【請求項2】
前記可視情報コードの形成領域は、前記積層体の平面視において、少なくとも一部に隙間部を備え、
前記細線パターンは、前記積層体の平面視において、前記隙間部の少なくとも一部に設けられている、請求項1に記載の偽造防止用積層体。
【請求項3】
前記可視情報コードは、前記細線パターンよりも外層側に形成されている、請求項1に記載の偽造防止用積層体。
【請求項4】
前記可視情報コードは、前記細線パターンよりも前記基材側に形成されている、請求項1に記載の偽造防止用積層体。
【請求項5】
前記可視情報コードは、前記基材の前記細線パターンとは反対の面側に形成されている、請求項1に記載の偽造防止用積層体。
【請求項6】
前記可視情報コードが、2次元コード、バーコード、テキスト、及び標章からなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項1に記載の偽造防止用積層体。
【請求項7】
前記基材が透明基材である、請求項1に記載の偽造防止用積層体。
【請求項8】
前記細線パターンが、光の照射による反射光をフーリエ変換レンズにより結像することで光学像を形成可能である、請求項1に記載の偽造防止用積層体。
【請求項9】
前記光学像は、前記細線パターンによって形成される反射回折像である、請求項8に記載の偽造防止用積層体。
【請求項10】
前記細線パターンは、線幅が5μm以下の細線を含む回折格子である、請求項1に記載の偽造防止用積層体。
【請求項11】
前記細線パターンの開口率は、80~99.9面積%である、請求項1に記載の偽造防止用積層体。
【請求項12】
前記可視情報コードの読み取りセルの最小幅をA(単位:mm)とし、前記細線パターンの1格子あたりの幅をB(単位:mm)としたとき、A/B > 50を満たす、請求項1に記載の偽造防止用積層体。
【請求項13】
前記細線パターンの形成領域の面積S2に対する、前記可視情報コードの形成領域の面積S1の比率(S1/S2)が、0.25以上である、請求項1に記載の偽造防止用積層体。
【請求項14】
情報処理装置が、
偽造防止用積層体の可視情報コードから可視情報コード特定情報を取得する可視情報コード取得ステップと、
偽造防止用積層体の細線パターンから得られる光学像に関する光学像情報を取得する光学像取得ステップと、
前記光学像の正解ラベルに関する正解情報を取得する正解情報取得ステップと、
前記取得した光学像情報と、前記取得した正解情報と、を照合して、光学像照合結果を生成する光学像照合ステップと、を実行する情報処理方法。
【請求項15】
前記光学像照合ステップの後に、
前記光学像照合結果に基づいて、前記可視情報コード特定情報についての処理を実行する可視情報コード特定情報処理ステップ、を更に実行する、請求項14に記載の情報処理方法。
【請求項16】
前記光学像取得ステップにおいて、
前記情報処理装置が、
細線パターンに対して光を照射する照射ステップと、
前記細線パターンから反射された回折光がフーリエ変換レンズを通過することで光学像を結像し、該光学像を取得する撮像ステップと、
を実行する、
請求項14に記載の情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、偽造防止用積層体、及び情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、偽造品の流通防止策として、商品に二次元コードやRFタグを付し、商品が正規品であることを判定するようなシステムが知られている。例えば、特許文献1には、携帯端末で照合対象製品の識別情報を読み取ることで、その情報を用いて照合対象製品が正規品であるかを判定できるようにし、また、その照合対象製品の流通情報についても確認できるようにする情報処理装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-123108号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術によれば、三次元コードや、二次元コード等の可視情報コードが付されたラベルやタグは容易に複製できるため、それ自体の偽造や複製が可能である。このように、従来の偽造品の流通防止策には、未だセキュリティ上の問題がある。
【0005】
本発明は、偽造困難な偽造防止用積層体、及び情報処理方法に関する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、平面視において細線パターンは、可視情報コードの形成領域の少なくとも一部に設けられた偽造防止用積層体により、細線パターンと可視情報コードが不可分一体となり、且つ、2種以上の手段により正規品であることを証明可能とすることで、上述の課題を解決しうることを見出した。
【0007】
本発明は、以下の実施形態を包含する。
<1>
基材と、
前記基材上に形成された細線パターンと、
前記基材上に直接又は他の層を介して形成された目視可能な可視情報コードと、
を有する偽造防止用積層体であって、
前記積層体の平面視において、前記細線パターンは、前記可視情報コードの形成領域の少なくとも一部に設けられている、偽造防止用積層体。
<2>
前記可視情報コードの形成領域は、前記積層体の平面視において、少なくとも一部に隙間部を備え、
前記細線パターンは、前記積層体の平面視において、前記隙間部の少なくとも一部に設けられている、<1>に記載の偽造防止用積層体。
<3>
前記可視情報コードは、前記細線パターンよりも外層側に形成されている、<1>又は<2>に記載の偽造防止用積層体。
<4>
前記可視情報コードは、前記細線パターンよりも前記基材側に形成されている、<1>又は<2>に記載の偽造防止用積層体。
<5>
前記可視情報コードは、前記基材の前記細線パターンとは反対の面側に形成されている、<1>又は<2>に記載の偽造防止用積層体。
<6>
前記可視情報コードが、2次元コード、バーコード、テキスト、及び標章からなる群より選ばれる少なくとも1種である、<1>~<5>のいずれかに記載の偽造防止用積層体。
<7>
前記基材が透明基材である、<1>~<6>のいずれかに記載の偽造防止用積層体。
<8>
前記細線パターンが、光の照射による反射光をフーリエ変換レンズにより結像することで光学像を形成可能である、<1>~<7>のいずれかに記載の偽造防止用積層体。
<9>
前記光学像は、前記細線パターンによって形成される反射回折像である、<8>に記載の偽造防止用積層体。
<10>
前記細線パターンは、線幅が5μm以下の細線を含む回折格子である、<1>~<9>のいずれかに記載の偽造防止用積層体。
<11>
前記細線パターンの開口率は、80~99.9面積%である、<1>~<10>のいずれかに記載の偽造防止用積層体。
<12>
前記可視情報コードの読み取りセルの最小幅をA(単位:mm)とし、前記細線パターンの1格子あたりの幅をB(単位:mm)としたとき、A/B > 50を満たす、<1>~<11>のいずれかに記載の偽造防止用積層体。
<13>
前記細線パターンの形成領域の面積S2に対する、前記可視情報コードの形成領域の面積S1の比率(S1/S2)が、0.25以上である、<1>~<12>のいずれかに記載の偽造防止用積層体。
<14>
情報処理装置が、
偽造防止用積層体の可視情報コードから可視情報コード特定情報を取得する可視情報コード取得ステップと、
偽造防止用積層体の細線パターンから得られる光学像に関する光学像情報を取得する光学像取得ステップと、
前記光学像の正解ラベルに関する正解情報を取得する正解情報取得ステップと、
前記取得した光学像情報と、前記取得した正解情報と、を照合して、光学像照合結果を生成する光学像照合ステップと、を実行する情報処理方法。
<15>
前記光学像照合ステップの後に、
前記光学像照合結果に基づいて、前記可視情報コード特定情報についての処理を実行する可視情報コード特定情報処理ステップ、を更に実行する、<14>に記載の情報処理方法。
<16>
前記光学像取得ステップにおいて、
前記情報処理装置が、
細線パターンに対して光を照射する照射ステップと、
前記細線パターンから反射された回折光がフーリエ変換レンズを通過することで光学像を結像し、該光学像を取得する撮像ステップと、
を実行する、
<14>又は<15>に記載の情報処理方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、偽造困難な偽造防止用積層体、及び情報処理方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態の偽造防止用積層体の一態様を示す平面図である。
図2】本実施形態の偽造防止用積層体の可視情報コードの形成領域を説明する概念図である。
図3】本実施形態の偽造防止用積層体の一態様における拡大平面図である。
図4】本実施形態の偽造防止用積層体の一態様における拡大平面図である。
図5】本実施形態の偽造防止用積層体の一態様を示す断面図である。
図6】本実施形態の偽造防止用積層体の一態様を示す断面図である。
図7】本実施形態の偽造防止用積層体の一態様を示す断面図である。
図8】本実施形態のシステムの構成の一例を示す図である。
図9】本実施形態における端末の構成の一態様を示すブロック図である。
図10】本実施形態における端末が光学像情報を取得する際の一態様を示す模式図である。
図11】本実施形態における端末が光学像情報を取得する際の別態様を示す模式図である。
図12】本実施形態におけるサーバの構成の一態様を示すブロック図である。
図13】本実施形態における正解データの一態様を示す図である。
図14】本実施形態における正解データの他の態様を示す図である。
図15】本実施形態における正解データの他の態様を示す図である。
図16】本実施形態における台帳データの一態様を示す図である。
図17】本実施形態の実施例1の情報処理方法の処理シーケンスである。
図18】本実施形態の実施例2の情報処理方法の処理シーケンスである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、必要に応じて図面を参照しつつ、本発明の実施の形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。なお、図面中、同一要素には同一符号を付すこととし、重複する説明は省略する。また、上下左右などの位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。さらに、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
【0011】
1.偽造防止用積層体
図1に示すとおり、本実施形態に係る偽造防止用積層体300(以下、単に「積層体300」ともいう)は、基材310と、基材310上に形成された細線パターン330と、前記基材上に直接又は他の層を介して形成された目視可能な可視情報コード340と、を有する。
積層体300の平面視において、細線パターン330は、可視情報コード340の形成領域340Rの少なくとも一部に設けられている。
【0012】
基材310は、透明基材であることが好ましい。透明基材であることで、積層体300のいずれの方向からも細線パターン330は、可視情報コード340の読み取り可能である。なお、本実施形態に係る偽造防止用積層体は、ラベル、又はタグであってもよい。
【0013】
1.1.可視情報コード
可視情報コード340とは、目視可能な、文字、平面図形又はこれらの集合体である。可視情報コード340は、より具体的には、2次元コード、バーコード、テキスト、及び標章からなる群より選ばれる少なくとも1種であってもよい。
【0014】
ここで「可視情報コードの形成領域」は、積層体の平面視において、可視情報コードの最外縁の内側の領域を意味する。最外縁の内側の領域とは、可視情報コードが形成されている矩形の領域内を意味する。例えば、図2(a)に示すように可視情報コード340がテキストであるとき、図2(b)に示すように可視情報コード340が標章であるとき、等の矩形の領域が定義しにくい場合、最外縁の内側の領域は、可視情報コードを形成するすべての印字部及びパターン部を包含する最小の矩形領域を意味する。
【0015】
1.2.細線パターン
細線パターン330は、基材310上に細線320から構成されるパターンであってもよい。偽造防止用積層体の真正性を保証することを目的として、偽造防止用積層体に付された細線パターンから得られる光学像に関する光学像情報を取得し照合することができる。つまり、偽造防止用積層体に光を照射すると細線パターンからの反射光が干渉することで光学像が得られるため、当該光学像を照合することで、偽造防止が図られる。
【0016】
積層体300の細線パターン330は、金属製の細線320による所望のパターンとして形成されていてもよい。図1には、金属製の細線320により構成されるグリッドパターンからなる細線パターン330を示す。
【0017】
なお、細線パターン330は、細線320から構成される任意のパターンであって、三角形、四角形、又は六角形等のグリッドパターン(メッシュパターン)であってもよいし、ラインパターンであってもよい。また、細線320は、直線に限られず曲線や波線であってもよい。
【0018】
このような細線パターン330に対して、照射装置から所定の光を照射すると、細線パターン330は所定の回折光を反射し、それがフーリエ変換レンズを通過することで所定の光学像を得ることができる。
【0019】
例えば、細線パターン330において、線幅5μm以下の複数の細線が、数百μm程度の周期のピッチで等間隔に配列されていると、反射光に回折像が観察され、光学像はこのような回折像を含む。なお、この場合において、発生する回折像には、回折スポット像や回折縞模様が含まれる他、異なる回折像を組み合わせて得られる文字、数字、記号、その他のマークや図形が含まれてもよい。
【0020】
また、細線パターン330が、線幅5μ以下の複数の金属細線で構成され、数百μm程度のピッチで等間隔に配列されていると、個々の金属細線は不可視であり、細線パターン330は透明となる。つまり細線パターン330は、視認困難なパターンであってもよい。そのため、照合対象製品又はそのパッケージに対して細線パターン330を付したとしても、その意匠性や掲示情報が損なわれることがない。一方で、前記したように、このような透明な細線パターン330であっても、所定角度の光を照射した時にのみ発生する回折光により生じる回折像を取得することができる。
【0021】
細線320は、金属を含む細線であることが好ましい。金属としては、特に限定されないが、例えば、金、銀、銅、アルミニウムが挙げられる。これらの中でも、銀又は銅が好ましく、銅がより好ましい。
【0022】
上記のような観点から、細線320は肉眼により視認されにくいものが好ましい。例えば、細線320の線幅W1は、好ましくは5.0μm以下であり、より好ましくは0.1~5.0μmであり、さらに好ましくは0.3~5.0μmである。線幅W1が5.0μm以下であることにより、細線320の視認性が低下する。これにより、細線パターンを付した照合対象製品の意匠を損なわず細線パターンを付することができる。また、このような視認性の低い細線はそれ自体製造することが困難であり、複製され難さを担保する要因ともなる。ここで、本実施形態の線幅W1とは、透明基材310の細線320が配された面側から、細線320を透明基材310の表面上に投影したときの細線の線幅をいう。
【0023】
また、所定面積の細線パターン330のうち細線320が形成されていない部分の面積の比率である開口率ORは、好ましくは80~99.9面積%であり、より好ましくは85~99.8面積%であり、さらに好ましくは90~99.6面積%であり、よりさらに好ましくは95~99.5面積%である。なお、開口率ORは透過率とも言い換えることができる。これにより、細線パターンを付したとしても、照合対象製品又はそのパッケージの意匠性や掲示情報を損なうことを回避できる。
【0024】
(厚さH1)
細線320を構成する細線の厚さH1(図5参照)は、好ましくは10nm以上1000nm以下であり、より好ましくは50nm以上あり、さらに好ましくは75nm以上である。
【0025】
(アスペクト比)
細線320の線幅W1に対する細線320の厚さH1で表されるアスペクト比(H1/W1)は、好ましくは0.05以上1.00以下である(図5参照)。アスペクト比の下限は、より好ましくは0.08以上、さらに好ましく0.10以上である。
【0026】
(ピッチP1)
細線320のピッチP1は、好ましくは5μm以上であり、より好ましくは50μm以上であり、さらに好ましくは100μm以上である。細線320のピッチP1が5μm以上であることで、良好な透過率を得ることができる。また、細線320のピッチP1は、好ましくは1000μm以下であり、より好ましくは500μm以下であり、さらに好ましくは250μm以下である。なお、細線320の正方形のグリッドパターンである場合には、線幅1μmの細線320のピッチP1を200μmとすることにより、開口率99%とすることができる。さらに、ピッチP1が上記範囲であると、細線320の非視認性を高めると共に、細線パターン330による回折像が明瞭となり好ましい。なお、ピッチP1は、線幅W1と細線間の距離の和を意味する。
【0027】
(占有面積率A1)
占有面積率A1は、好ましくは0.5%以上であり、より好ましくは1.0%以上であり、さらに好ましくは2%以上である。また、占有面積率A1は、好ましくは10%以下であり、より好ましくは7%以下である。占有面積率A1を当該値以下とすることにより、細線パターン330の可視光透過率がより向上する傾向にある。
なお、パターンにおける「占有面積率」とは、透明基材310上の細線パターン330が形成されている領域について以下の式で算出することができる。
占有面積率(%)=(細線パターンの占める面積/基材の細線パターンが形成されている領域の面積)×100
【0028】
開口部の開口幅W2は、好ましくは40μm以上であり、より好ましくは50μm以上であり、さらに好ましくは60μm以上である。当該範囲とすることで、細線パターン330の視認性をより低下させることができる傾向にある。開口部の開口幅W2は、好ましくは500μm以下であり、より好ましくは300μm以下であり、さらに好ましくは100μm以下である。
【0029】
「開口幅」とは、開口部の短手方向の幅を意味する。なお、開口が正方形である場合には、いずれか一辺の幅である。
【0030】
(細線パターンの可視光透過率T1)
細線パターン330の可視光透過率T1は、好ましくは75%以上99.0%以下であり、より好ましくは80%以上99.0%以下である。可視光透過率は、JIS K 7361-1:1997の全光線透過率に準拠して、その可視光(360~830nm)の範囲の透過率を算出することで測定することができる。
【0031】
本実施形態における好ましい態様として、細線パターン330が透明基材310上に形成されているとよい。このような構成であると、前記光学像を取得する際に、下地からの影響を受けにくい。そのメカニズムは定かではないが、透明基材310裏面でのフレネル反射を利用して光学像を取得できるためであると考えられる。したがって、照合対象製品又はそのパッケージに任意の印刷がされているような場合であっても、その上に付された透明な細線パターンに由来する光学像情報のみを取得することができる。
【0032】
また、細線パターン330は、透明基材310上に周期的な細線320によるパターンが形成されていることが好ましい。このような構成であると、細線パターン330が高透過性の回折格子となるために、積層体300を商品パッケージに対して貼合してもその意匠性や掲示情報を損なわない。
【0033】
上述の細線パターン330に対して光を照射することで、当該細線パターン330から反射された回折光がフーリエ変換レンズを通過することで光学像を結像し、当該光学像を取得することができる、当該光学像を利用することで、積層体の偽造防止が可能となるが、具体的な方法については、後述する。
【0034】
1.3.可視情報コードと細線パターンの関係
図1に示すとおり、例えば、可視情報コード340が2次元コードであるとき、その可視情報コード340の形成領域340Rは、2次元コードの最外縁の内側の領域を意味する。図示しないが、例えば、可視情報コード340がバーコードであるとき、その可視情報コード340の形成領域340Rは、バーコードの最外縁の内側の領域を意味する。
【0035】
図3は、図1中の領域αの拡大図である。図3に示すように、細線パターン330は、積層体300の平面視において、可視情報コード340の形成領域340Rの少なくとも一部に設けられている。当該構成を有することによって、可視情報コード340と細線パターン330とが不可分一体となり、積層体300の偽造が困難になる。
【0036】
可視情報コード340の形成領域340Rは、積層体300の平面視において、少なくとも一部に隙間部342を備えていてもよい。細線パターン330は、隙間部342の少なくとも一部に設けられていてもよい。細線パターン330が可視情報コード340の形成領域340R隙間部342に設けられることで、可視情報コード340の読み込みと細線パターン330からの光学像情報の取得を同時に行うことができ、これらの情報の照合を行うことでより偽造困難な偽造防止用積層体が得られる。
【0037】
続いて図4は、図1中の領域βの拡大図である。図4に示すように、可視情報コード340の読み取りセルの最小幅をA(単位:mm)とし、細線パターン330の1格子あたりの幅をB(単位:mm)としたとき、A/B > 50を満たすことが好ましく、A/B > 400を満たすことがより好ましい。このようなA/Bの範囲とすることで、可視情報コード340の読み込みと細線パターン330からの光学像情報の同時取得を容易となる。
【0038】
可視情報コード340の隙間部342の最大幅をC(単位:mm)とし、細線パターン330の1格子あたりの幅をB(単位:mm)としたとき、C/B > 2を満たすことが好ましく、C/B > 6を満たすことがより好ましい。このようなA/Bの範囲とすることで、隙間部342から細線パターンによる光学像情報が得られやすくなり、可視情報コード340の読み込みと細線パターン330からの光学像情報の同時取得を容易にする。
【0039】
細線パターン330の形成領域よりも可視情報コード340の形成領域の方が小さいと、可視情報コード340の形成領域340Rに位置する細線パターン330の比率が増え、可視情報コード340と不可分な領域での細線パターン330の判定操作が容易となり好ましい。
一方で、細線パターン330の形成領域よりも、可視情報コード340の形成領域が大きいと、細線パターン330の必要面積が可視情報コード340の必要領域内に限定されるため、偽造防止用積層体の面積を従来の可視情報コード340の形成領域と同等の大きさに限定でき、好ましい。
【0040】
細線パターン330の形成領域の面積S2に対する、可視情報コード340の形成領域340Rの面積S1の比率(S1/S2)が、細線パターン340の判定が容易となるため、0.25以上であることが好ましく、可視情報コード340内の数か所での細線パターン340の判定が容易となり、実用運用が容易となるため、0.5以上であることがより好ましく、可視情報コードの一部欠損による再読取においても、細線パターンの判定が容易となるため、0.75以上であることがさらに好ましい。上記のような細線パターン330の形成領域よりも、可視情報コード340の領域が大きい場合においても、必ずしも細線パターン330は可視情報コード340の領域内のみに位置することは特に限定されず、適宜、可能な範囲で、可視情報コード340の形成領域の外部にはみ出してもよい。可視情報コード340の領域からのはみ出し量については、前記した細線パターン330の1格子あたりの幅Bを用いて20×B以下の範囲内であると、可視情報コード340と不可分な形成領域内での細線パターン330による偽造防止判定が容易となり好ましい。
【0041】
1.4.積層構造
積層体300は、各層の積層順序は特に限定されない。
図5に示すように、積層体300は、基材310と、細線パターン330と、可視情報コード340とがこの順に積層されていてもよい。なお、積層体300は、細線パターン330の表面を覆う保護層350を有していてもよい。可視情報コード340は、細線パターン330よりも外層側に形成されていてもよい。積層体300は、隙間部342を有し、積層体300の平面視において、隙間部342の少なくとも一部に、細線パターン330が設けられていてもよい。
【0042】
図6に示すように、積層体300は、可視情報コード340と、基材310と、細線パターン330とがこの順に積層されていてもよい。つまり、可視情報コード340は、基材310の細線パターン330とは反対の面側に形成されていてもよい。なお、図6に示す実施形態においても、積層体300は、細線パターン330の表面を覆う保護層350や、隙間部342を有していてもよい。ここで、基材310は、透明基材であることが好ましい。基材が透明であることで、例えば、図6に示すような実施形態であっても、可視情報コード340の読み込みと細線パターン330からの光学像情報を同時に取得することができる。
【0043】
なお、図示しないが、積層体300は、基材310と、可視情報コード340と、細線パターン330とがこの順に積層されていてもよい。つまり、可視情報コード340は、細線パターン330よりも基材310側に形成されていてもよい。
【0044】
図7に示すように、積層体300は、基材310上に直接、可視情報コード340が形成されており、当該可視情報コード340の隙間部342に、基材310上に直接、細線パターン330が生成されていてもよい。
【0045】
2.情報処理方法
実施形態のシステムでは、積層体の可視情報コードから読み取り可能な特定情報(以下、単に「可視情報コード特定情報」という。)と、その積層体の細線パターンから得られる光学像に関する光学像情報(以下、単に「光学像情報」ともいう。)と、を積層体から取得する情報処理装置(以下、「端末」ともいう。)と、積層体の細線パターンから得られる光学像の正解ラベルに関する正解情報(以下、単に「正解情報」ともいう。)を管理する他の情報処理装置(以下、「サーバ」ともいう。)と、を用いて、積層体の真贋判定を行う。
【0046】
このシステムでは、積層体から得られた光学像情報と、正解情報とを照合することで、細線パターンの真贋を判定し、細線パターンの付された積層体の真正性を保証する。積層体の可視情報コードから読み取り可能な可視情報コード特定情報には、積層体を付した照合対象製品を識別するための情報が対応づけられていてもよい。この場合、情報処理方法に係る真贋判定により、照合対象製品の真贋判定を行うこともできる。
【0047】
図8に、実施形態のシステムの構成の一例を示す。図8では、端末100A~100Dは、製造メーカの商品の発送拠点、流通業者の物流拠点、販売業者の物流拠点など、積層体を付した照合対象製品が搬入搬出される各拠点に設けられており、各端末100A~100DはネットワークNを介して、サーバ200に接続されている。
【0048】
これにより、各端末100A~100Dは、照合対象製品が各端末を通過するたびにサーバ200と連携して真贋判定を行うことができ、流通している照合対象製品が真正品であることを保証することができる。また、各端末100A~100Dは、積層体の付された照合対象製品が通過するたびに判定される積層体あるいは照合対象製品の真贋に関する情報をサーバ200に送信する。これにより、サーバ200は、各端末100を通過した対象製品の真贋に関する情報や、通過した場所や時間に関する物流情報を蓄積することができる。
【0049】
図8では、各拠点において一つの端末100が示されているが、端末100の数はこれに限定されず、各拠点の商品の搬入ゲートと搬出ゲートのそれぞれに端末100が設置されていてもよい。これにより搬入時と搬出時のそれぞれで端末100を用いた真贋判定を実施することができる。なお、端末100A~100Dを特に区別しないときは、単に端末100と表現する。
【0050】
本実施形態のシステムでは、端末100が、細線パターンから反射された回折光をフーリエ変換レンズにより結像して得られる光学像に関する光学像情報(以下、単に「光学像情報」ともいう。)を取得し、その光学像情報と光学像の正解ラベルに関する正解情報(以下、単に「正解情報」ともいう。)とを用いて照合処理を行う。端末は、照合結果に基づいて、可視情報コード特定情報についての処理を行う。
【0051】
以下、本実施形態で用いる用語について説明し、続いて端末100の構成について説明する。
【0052】
2.1.光学像情報
光学像情報は上記のような細線パターン330から取得できる光学像に関する情報であり、より具体的には、細線パターンに所定の角度で光を照射したときに生じる回折像に関する情報である。回折像は、細線が所定の周期で等間隔に配列された細線パターンに対して、所定の角度で光を照射したときに、その反射光に観察される像であって、回折スポット像や回折縞模様が含まれる。
【0053】
また、光学像情報は、これら光学像のイメージデータであってもよいし、非イメージデータであってもよいし、その両方であってもよい。ここで、「イメージデータ」とは画像そのもののデータをいい、「非イメージデータ」とは、イメージデータの特徴を示す情報であって、照合処理においてイメージデータと同等に使用できる情報をいう。
【0054】
非イメージデータとしては、特に制限されないが、例えば、回折格子の配置をより具体的に特定するためのパラメータ情報が挙げられる。さらに、非イメージデータには、光学像を生じさせるために用いた条件に関する情報が含まれてもよい。このような条件に関する情報としては、例えば、光の照射角度などの照射条件に関する情報が挙げられる。
【0055】
このような光学像情報の具体例としては、例えば、前記した回折格子を有する積層体300へレーザ光を照射して得られる反射光を、フーリエ変換レンズを透過して得られる反射回折像の回折点画像のイメージデータや、反射0次光中心に対する各次回折点の距離、反射0次光中心から減衰する次数回折点までの距離、回折像の交差角度などの非イメージデータが挙げられる。これらイメージデータや非イメージデータは、細線パターンのピッチ、線幅、正方形や矩形などの開口形状、積層体300を構成する材料により一意的に決定される。これら光学像情報は、細線パターンの微細構造から形成された偽造困難な固有値であるため、光学像情報を用いることで、積層体300を構成する細線パターンが真正なものである判定を行うことができる。
【0056】
さらに、光学像情報は、上記のような回折像などが複数組み合わされることで、文字、数字、記号、その他のマークや図形を示すものであってもよい。具体的には、アルファベットの「A」の形にある回折像が形成され、その「A」の周りには回折像が形成されないか、別の回折像が形成されることで、「A」という形を認識できる光学像が得られる場合などがこれに該当する。この場合、非イメージデータには、光学像を全体としてみたときに観測される、文字、数字、記号、その他のマークや図形などの情報が含まれていてもよい。
【0057】
前記光学像としては、反射回折像であることがさらに好ましい。反射回折像が得られる詳細なメカニズムは不明であるが、積層体300表面からの入射光が、透明基材310の裏面側でフレネル反射を起こし、その反射光が細線パターン330を透過する際に透過回折パターンを発生させ、見かけ上反射像回折像となる。あるいは、積層体300の表面からの入射光が、細線パターン330を透過する際に透過回折パターンを生じ、透明基材310の裏面側におけるフレネル反射で反射され、反射回折像として観察されるメカニズムが推定される。いずれにおいても、透明基材310裏面でのフレネル反射と推定され、反射回折像の光量は、微弱となる。そのため、通常自然光の下では、積層体300は透明タグと認識され、前記したように、貼合する商品パッケージの意匠性や掲示情報を損なわない。
【0058】
3.正解情報
後述するように、例えば、端末100の照合部155は、正解ラベルに関する正解情報と光学像情報とを照合することで、その積層体が、真正なものであるという判定を行うことができる。ここで、正解情報は、細線パターンから得られる光学像情報に対応する情報であり、光学像の正解ラベルに関する情報を含むものである。
【0059】
正解ラベルは、例えば、光学像情報と一致する情報、又は、所定の変換処理をすることにより光学像情報と一致する情報が挙げられる。このような観点から、正解ラベルは、光学像情報と同様に、イメージデータであってもよいし、非イメージデータであってもよいし、その両方であってもよい。なお、ここで、「一致する」には、後述する類似度なども含まれる。
【0060】
さらに、正解情報は、複数の可視情報コード特定情報のうち、2以上の可視情報コード特定情報に対して共通の正解ラベルが設定されたものであってもよい。つまり、異なる照合対象製品に同一の正解ラベルが対応付けられた細線パターンが付されていてもよい。これにより、2以上の異なる可視情報コード特定情報に対して、同一の正解ラベルが対応付けられる。
【0061】
なお、異なる照合対象製品に同一の正解ラベルが設定されている態様としては、特に限定されないが、例えば、商品名Sという名称で販売される同一の商品からなる群に同一の正解ラベルが設定されている場合、商品名Sという同一の商品からなる群のうち任意の共通項を有する小群に同一の正解ラベルが設定されている場合、ある製品メーカの製品に同一の正解ラベルが設定されている場合、同時期に製造された製品に同一の正解ラベルが設定されている場合などが挙げられる。
【0062】
さらに、非イメージデータには、光学像を生じさせるために用いた条件に関する情報が含まれてもよい。このような条件に関する情報としては、例えば、光学像が回折像である場合には、光の照射角度などの照射条件に関する情報が挙げられる。
【0063】
正解ラベルは、細線パターンから得られる光学像についての多様なデータを含むことができる。例えば、正解ラベルは、回折像などの光学像を示す、回折スポットの位置などの少なくとも1つのパラメータであってもよいし、複数のパラメータの組み合わせであってもよい。また、正解ラベルは、取得条件の異なる光学像のイメージデータや非イメージデータを含んでいてもよい。このような、正解ラベルにおける、光学像情報と照合するパラメータの種類や数は、照合処理の精度や、細線パターンの模倣の困難性、あるいは照合処理の速度などに応じて、適宜決めることができる。
【0064】
また、例えば、ある正解ラベルが複数の回折スポットの位置という複数のパラメータを有するものであったとしても、後述する照合処理においては、その一部のパラメータ、例えば1つの回折スポットの位置のみを照合に使用するようにしてもよい。照合処理においては、正解ラベルに含まれるより多くのパラメータを使用することで、真贋判定の精度を向上したり、あるいは、より少ないパラメータを使用することで判定の処理速度を向上したりすることができる。
【0065】
また、正解情報は、正解ラベルに替えて又は正解ラベルに加えて、正解ラベルに関する情報として、例えば、他のデータを参照することで正解ラベルを特定できるような情報を含んでもよい。
【0066】
4.可視情報コード特定情報
可視情報コード特定情報は、積層体に付された可視情報コードの画像情報から取得できる、積層体或いは積層体の付された照合対象製品を特定可能な情報である。可視情報コード特定情報は、積層体を特定可能な情報であってもよいし、照合対象製品を特定可能な情報であってもよいし、URL(Uniform Resource Locator)情報であってもよい。
照合対象製品を特定可能な情報は、照合対象製品を一意に識別するための情報であってもよいし、同一の商品からなる群を示す情報であってもよいし、同一の商品からなる群のうち任意の共通項を有する小群を示す情報であってもよい。
【0067】
例えば、商品名Sで販売されているスニーカーがある場合、「同一の商品からなる群を示す情報」とは、商品名Sに相当する情報であり、商品名Sという名称で販売される商品全体をさす情報をいう。また、同様の例において、「同一の商品からなる群のうち任意の共通項を有する小群を示す情報」とは、商品名Sのスニーカーのうち、特定の製造ロットに該当する商品の群や、特定の地域で販売される商品の群など、同じ商品として販売されたものの中で更に任意のカテゴリーに関する情報が付与された情報をいう。さらに、同様の例において、「一意に識別するための情報」とは、商品名Sのスニーカーのうち、特定の一つの商品を示す情報をいう。
【0068】
さらに、可視情報コード特定情報は、製品メーカを示す情報であってもよい。例えば、可視情報コード特定情報は、フットウェアメーカA、フットウェアメーカB、フットウェアメーカC、あるはその他のメーカを識別可能な情報であってもよい。この場合、ある可視情報コード特定情報が示す照合対象製品は、その可視情報コード特定情報に対応する製品メーカにより製造されたものと理解することができる。一例として、このような製品メーカを示す可視情報コード特定情報は、シリアルコードであってもよいし、画像情報として把握される商標であってもよい。
【0069】
シリアルコードとは、特に限定されないが、例えば、GTIN(Global Trade Item Number)や、その他に、製品メーカ、流通拠点、流通業者、又は小売店などが商品の分類や判別のために付す情報が挙げられる。また、可視情報コード特定情報には、シリアルコードそのものの他に、そのようなシリアルコードを管理するデータベースにおいて、シリアルコードと対応付けて記録された製品に関する情報が含まれてもよい。
【0070】
5.ハードウェア構成
5.1.端末
端末100は、偽造防止用積層体に付された細線パターンから得られる光学像に関する光学像情報を取得する撮像装置133と、偽造防止用積層体の可視情報コードから可視情報コード特定情報を取得する可視情報コード読取装置135と、光学像の正解ラベルに関する正解情報と、取得した光学像情報と、を照合して、光学像照合結果を生成する光学像照合部155と、前記光学像照合結果に基づいて、可視情報コード特定情報についての処理を実行する可視情報コード特定情報処理部156と、を有する(例えば図9)。
【0071】
端末100は、細線パターンに対して光を照射する照射装置131と、前記細線パターンから反射された回折光が通過して、光学像を結像するフーリエ変換レンズ132と、結像した光学像を取得する撮像装置133とを有していてもよい(例えば図10)。
【0072】
端末100は、可視情報コード読取装置と撮像装置を備えた携帯型の情報処理装置であってもよいし、可視情報コード読取装置と撮像装置を備えた据え置き型の情報処理装置であってもよい。
【0073】
図9に、端末100の構成を示すブロック図を示す。端末100は、典型的には、1つ又は複数のプロセッサ110、通信インタフェース120、入出力インタフェース130、メモリ140、ストレージ150及びこれらの構成要素を相互接続するための1つ又は複数の通信バス160を含む。
【0074】
1つ又は複数のプロセッサ110は、メモリ140に記憶されるプログラムに含まれるコード、又は、命令によって実現する処理、機能、又は、方法を実行する。プロセッサ110は、限定でなく例として、1又は複数のCPUやGPUを含む。
【0075】
通信インタフェース120は、ネットワークNを介して他の情報処理装置と各種データの送受信を行う。当該通信は、有線、無線のいずれで実行されてもよく、互いの通信が実行できるのであれば、どのような通信プロトコルを用いてもよい。例えば、通信インタフェース120は、ネットワークアダプタ等のハードウェア、各種の通信用ソフトウェア、又はこれらの組み合わせとして実装される。
【0076】
入出力インタフェース130は、照射装置131、フーリエ変換レンズ132、撮像装置133の他、必要に応じて、スクリーン134、可視情報コード読取装置135、端末100に対する各種操作を入力する入力装置、及び、端末100で処理された処理結果を出力する表示装置136などの出力装置を含んでいてもよい。
【0077】
図10に、端末100が光学像を取得する際の模式図を示す。図10では、照射装置131が細線パターン330に対して所定の照射角θで光を照射し、細線パターン330から反射した回折光がフーリエ変換レンズ132を通過し、結像した光学像を撮像装置133が取得する。
【0078】
照射装置131は、細線パターン330に対して所定の光を所定角度で照射できれば特に制限されるものではない。照射装置131における光源は、必要とする波長帯を含む発光波長強度分布を有する光を発光するものであってもよい。光源としては、例えば、ハロゲンランプ、LED及び半導体レーザ等などであってもよく、照射装置131はこれら光源から放射された光を導光する導光路、光ファイバなどを含んでいてもよい。このなかでも、照射装置131としては、小型化、発熱特性、寿命及びコストの点からLEDの使用が好ましい。
【0079】
また、照射装置131は、特定方向以外の光の拡散を抑制すると共に、所定の光学純度を得るためのスリット(不図示)を含んでもよく、細線パターン330に集光させるコリメータレンズ(不図示)を含んでもよい。この場合、コリメータレンズは、必ずしも細線パターン330の面上に焦点を合わせる必要はなく、光源からの光強度を上げ、細線パターン330から反射された回折光の信号強度を向上できれば特に制限されるものではない。
【0080】
フーリエ変換レンズ132は、細線パターン330から反射される回折光を受光し、光学像を撮像装置133に導光できれば特に制限されるものではない。フーリエ変換レンズ132は、焦点距離Fを有し、撮像装置133上にフーリエ変換された回折光による光学像を結像するものである。また、フーリエ変換レンズ132の光路前後には、図示しないスリット、ミラー、フィルタを設けてもよく、複数のフーリエ変換レンズを組み合わせて、フーリエ変換レンズ132としても良い。複数のフーリエ変換レンズを組み合わせると、撮像装置133上に結像する光学像の解像度が上がり、好ましい。
【0081】
フーリエ変換レンズ132を用いることにより、照射装置131と、細線パターン330と、フーリエ変換レンズ132の距離が変わったとしても、撮像装置133に同様に結像することが可能となる。特に細線パターン330が、線幅5μm以下の複数の細線320で構成され、数百μm程度のピッチで等間隔に配列され、細線パターン330が透明となる場合には、所定角度の光を照射した時に発生する回折光強度は非常に弱くなるが、フーリエ変換レンズ132を用いることにより撮像装置133に集光できるため、光学像を安定して取得することができる。
【0082】
撮像装置133は、フーリエ変換レンズ132によって結像された光学像を、光学的な画像信号を電気信号に変換して出力できれば、特に制限されるものではなく、CMOSセンサや、CCDセンサ、ラインセンサなどが挙げられる。
【0083】
また、撮像装置133として、前記光学像を直接電気信号に変換する機構ではなく、所定の投影面に結像する光学像を、撮像する機構でもよい。図11に、端末100が光学像を取得する際の他の模式図を示す。図10では、フーリエ変換レンズ132により結像した光学像を撮像装置133が直接するのに対して、図11においては、フーリエ変換レンズ132を通過した回折光がスクリーン134上に結像し、スクリーン134上に結像された光学像を撮像装置133が取得する。
【0084】
この場合、スクリーン134に結像した光学像を撮像する撮像装置133としては、CCDカメラや撮像管などを用いることができる。図11においては、照射装置131から照射された光が、細線パターン330から反射され、フーリエ変換レンズ132によりスクリーン134上に結像される。そして、結像された光学像を撮像装置133(CCDカメラ)で撮像する。
【0085】
撮像装置133は、図11に示すようにフーリエ変換レンズ132の軸から外れた位置にあってもよく、軸上に位置してもよい。フーリエ変換レンズ132の軸から外れて位置すると、端末100を小型化でき好ましく、フーリエ変換レンズ132の軸上に位置すると、スクリーン134上に結像された反射回折像が歪まないために、正解情報との照合が容易であるため、好ましい。
【0086】
撮像装置133が取得した光学像に関する光学像情報は、端末100の光学像照合部155により正解情報と照合され、その照合結果は、送受信部152によりネットワークNを介してサーバ400に送信される。なお、端末100は、サーバ400などの他の情報処理装置から正解情報を事前に受信し、照合用データ154に記憶しておいてもよい。
【0087】
なお、撮像装置133は、細線パターン330の特定の領域を撮影可能なように、撮像装置133と細線パターン330との位置を相対的に移動可能なように構成されていてもよい。例えば、撮像装置133は、積層体300の可視情報コード340の形成領域340Rを特定し、該領域に形成された細線パターン330からの光学像を撮像するように制御されてもよい。また、撮像装置133は、取得した撮像画像の特定の領域から、光学像を特定し取得するような画像処理を実行可能なように構成されていてもよい。
【0088】
可視情報コード読取装置135は、積層体の可視情報コードの画像情報から、可視情報コードを特定可能な可視情報コード特定情報を取得する。このような可視情報コード読取装置135は、読取対象によって、適宜選択することができる。可視情報コードから可視情報コード特定情報を取得する可視情報コード読取装置135は、例えば、2次元コードからシリアルコードを読み取る場合であれば撮像装置であり、バーコードからシリアルコードを読み取る場合であればバーコードリーダである。また、可視情報コードの画像情報から可視情報コード特定情報を取得する可視情報コード読取装置135は、例えば、画像情報を取得するための撮像装置であってもよい。
【0089】
なお、可視情報コード読取装置135が撮像装置である場合には、可視情報コード読取装置135と光学像を取得するための撮像装置133とを同一の装置とすることができる。本明細書においては、可視情報コード読取装置135と撮像装置133とが同一の撮像装置であるとしても、これらを分けて呼称する。
【0090】
メモリ140は、ストレージ150からロードしたプログラムを一時的に記憶し、プロセッサ110に対して作業領域を提供する。メモリ140には、プロセッサ110がプログラムを実行している間に生成される各種データも一時的に格納される。メモリ140は、限定でなく例として、DRAM、SRAM、DDR RAM又は他のランダムアクセス固体記憶装置などの高速ランダムアクセスメモリ等であってよく、これらが組み合わせられてもよい。
【0091】
ストレージ150は、プログラム、各種機能部、及び各種データを記憶する。ストレージ150は、限定でなく例として、磁気ディスク記憶装置、光ディスク記憶装置、フラッシュメモリデバイス、又は他の不揮発性固体記憶装置などの不揮発性メモリ等であってよく、これらが組み合わせられてもよい。ストレージ150の他の例としては、プロセッサ110から遠隔に設置される1つ又は複数の記憶装置を挙げることができる。
【0092】
ストレージ150はプログラム及びデータ構造、又はそれらのサブセットを格納する。プロセッサ110は、ストレージ150に記憶されている各プログラムを読みだして実行することによって、図9に示すように、送受信部152、情報取得部153、及び光学像照合部155として機能するように構成されている。
【0093】
ここで、ストレージ150に格納されたプログラムは、端末100に、細線パターンに対して光を照射する照射ステップと、前記細線パターンから反射された回折光がフーリエ変換レンズを通過することで光学像を結像し、該光学像を取得する撮像ステップと、前記光学像の正解ラベルに関する正解情報と、前記光学像に関する光学像情報と、を照合して、照合結果を生成する照合ステップと、を実行させるものであれば、特に限定されない。
【0094】
オペレーティングシステム151は、例えば、様々な基本的なシステムサービスを処理するとともにハードウェアを用いてタスクを実行するためのプロシージャを含む。
【0095】
送受信部152は、例えば、端末100をサーバ400等の他のコンピュータに、通信インタフェース120、及びインターネット、他の広域ネットワーク、ローカルエリアネットワーク、メトロポリタンエリアネットワークなどの1つ又は複数の通信ネットワークを介して接続するために使用される。
【0096】
情報取得部153は、照射装置131、フーリエ変換レンズ132、撮像装置133、必要に応じてスクリーン134等を介して、光学像情報を取得する処理を実行する。
【0097】
例えば、情報取得部153は、照射装置131から細線パターン330へ照射する光の角度や強度、或いは、細線パターン330に光を当てる位置などを変更するように、照射装置131を制御してもよい。
【0098】
また、情報取得部153は、フーリエ変換レンズ132と撮像装置133の位置や、フーリエ変換レンズ132とスクリーン134の位置を変更するように、各装置の位置関係を制御してもよい。
【0099】
さらに、情報取得部153は、可視情報コード読取装置135を介して、照合対象製品に付された可視情報コードの画像情報から、照合対象製品を特定可能な可視情報コード特定情報を取得する処理を実行してもよい。
【0100】
さらに、情報取得部153は、前記した光学像から、非イメージデータを取得する、非イメージデータ生成部を有しても良い。
【0101】
ここで、「イメージデータ」とは画像そのもののデータをいい、「非イメージデータ」とは、イメージデータの特徴を示す情報であって、照合処理においてイメージデータと同等に使用できる情報をいう。
【0102】
非イメージデータの具体例としては、例えば、前記した回折格子を有する積層体300へレーザ光を照射して得られる前記光学像において、反射0次光中心に対する各次回折点の距離、反射0次光中心から減衰する次数回折点までの距離、回折像の交差角度などが挙げられる。
【0103】
上記した非イメージデータは、例えば、図示しない非イメージデータ生成部において、前記した光学像情報の画像解析から、生成することができる。
【0104】
照合用データ154は、情報取得部153の指示により、情報取得部153が取得した可視情報コード特定情報や光学像情報を記憶したり、光学像照合部155の指示により、正解情報を記憶したりすることができる。また、照合用データ154は、光学像照合部155の指示により、照合結果を記憶してもよい。
【0105】
照合用データ154に記憶される正解情報は、複数の可視情報コード特定情報と、該複数の可視情報コード特定情報に対応する光学像の正解ラベルに関する正解情報を含んでいてもよい。なお、本明細書において、「複数の可視情報コード特定情報と、該複数の可視情報コード特定情報に対応する光学像の正解ラベルに関する正解情報」を「複数の可視情報コード特定情報に対応する正解情報」とも表現することがある。この場合、光学像照合部155は、照合用データ154の中から、可視情報コード特定情報に対応する正解情報と、光学像に関する光学像情報と、を照合して、照合結果を生成することができる。
【0106】
このように、照合用データ154が複数の可視情報コード特定情報に対応する正解情報を予め記憶することにより、光学像照合部155は、照合処理毎にサーバ400に正解情報を照会する必要がなくなる。そのため、端末100とサーバ400の間でやり取りされるデータ量及び回数を低減することができる他、照合処理の高速化を図ることができる。また、その他、端末100とサーバ400との通信障害や、停電、自然災害などによりサーバ400が停止しても、端末100では真贋判定を実施することができ、真贋判定停止による商品流通の停滞を発生させることなく真正品の保証ができる。
【0107】
また、照合用データ154に記憶される正解情報は、複数の可視情報コード特定情報のうち、2以上の可視情報コード特定情報に対して共通の正解ラベルが設定されたものであってもよい。つまり、異なる可視情報コードを有する積層体に同一の正解ラベルが対応付けられた細線パターンが付されていてもよい。これにより、2以上の異なる可視情報コード特定情報に対して、同一の正解ラベルが対応付けられる。
【0108】
上記のように照合用データ154が複数の可視情報コード特定情報に対応する正解情報を予め記憶するとしても、流通する製品数は膨大であるため、端末100の記憶容量の制限を受けたり、光学像照合部155が行う照合処理に時間を要したりすることが考えられる。この点、2以上の可視情報コード特定情報に対して共通の正解ラベルが設定されることにより、照合用データ154に記憶される正解情報のデータ量を低減することができ、また、照合処理の高速化を図ることができる。また、正解情報のデータ量を低減することに伴い、端末100とサーバ400の間でやり取りされるデータ量及び回数を低減することもできる。
【0109】
照合用データ154に記憶される正解情報は、送受信部152を介して、可視情報コード特定情報を管理するサーバ400から受信したものであってもよい。正解情報の受信のタイミングは、特に限定されないが、例えば、光学像照合部155が、照合処理毎に、取得した可視情報コード特定情報に対応する正解情報を受信して、照合用データ154に記憶してもよい。また、光学像照合部155が、全ての照合処理毎ではなく、ある照合処理において取得した可視情報コード特定情報に対応する正解情報を受信する際に、その照合処理とは関係のない複数の可視情報コード特定情報に対応する正解情報も受信し、照合用データ154に記憶してもよい。なお、全ての照合処理毎ではない上記態様を、以下「一部の照合処理毎に」ともいう。さらに、光学像照合部155が、照合処理とは無関係に、定期的又は不定期に、複数の可視情報コード特定情報に対応する正解情報とを受信して、照合用データ154に記憶してもよい。
【0110】
なお、「定期的に正解情報を受信する」とは、期間などの予め定められたタイミングで正解情報を受信することをいう。
【0111】
また、「不定期に正解情報を受信する」とは、状況に応じて正解情報を受信することをいう。そのような状況として、特に限定されないが、例えば、端末100がサーバ400に正解情報を送信するように要求を送信した場合、ある照合処理において取得した可視情報コード特定情報に対応する正解情報を受信する際に、その照合処理とは関係のない複数の可視情報コード特定情報と該複数の可視情報コード特定情報に対応する正解情報も受信する場合、サーバ400の正解データ453に正解情報が登録されたときに、端末100が該正解情報を受信する場合が挙げられる。
【0112】
光学像照合部155は、正解情報と光学像情報とを照合して照合結果を生成する処理を実行する。この際、光学像照合部155は、光学像情報のイメージデータと正解情報におけるイメージデータとを照合してもよいし、光学像情報の非イメージデータと正解情報における非イメージデータとを照合してもよい。
【0113】
また、光学像照合部155は、照合処理毎に、可視情報コード特定情報をサーバ400に送信し、その可視情報コード特定情報に対応する正解情報をサーバ400から受信して、照合処理を行ってもよいし、一部の照合処理毎に、複数の可視情報コード特定情報に対応する正解情報を受信して照合用データ154に記憶し、照合処理の際に照合用データ154を参照して照合処理を行ってもよい。また、光学像照合部155は、照合処理とは無関係に、定期的又は不定期に、正解情報をサーバ400から受信して照合用データ154に記憶し、照合処理の際に照合用データ154を参照して照合処理を行ってもよい。
【0114】
さらに、光学像照合部155は、光学像情報と正解情報に基づいて、光学像情報と正解情報の類似度を算出し、類似度に基づいて、照合結果を生成するようにしてもよい。なお、光学像照合部155は、類似度がある閾値以上若しくは以下、又は、ある値域に入る場合などに、光学像情報と正解情報が一致する又は一致しないという結果を生成してもよい。このような照合に用いる類似度の閾値又は値域は、照合用データ154に記憶される正解情報の一部として含まれていてもよい。
【0115】
例えば、光学像照合部155は、光学像情報と正解情報を参照し、光学像情報の特徴量と正解情報の特徴量とを比較することで、類似度を算出してもよい。例えば、光学像情報や正解情報としてイメージデータを用いる場合には、光学像照合部155は、画像処理により、特徴量を算出してから、類似度を算出してもよい。具体的には、例えば、光学像情報と正解情報中のイメージデータとの、画素値の差分の二乗和、画素値の差分の絶対値の和、正規化相互相関、画像均一度比、相互情報量、カルバック・ライブラー情報量などを類似度として用いることができる。また、光学像情報と正解情報に、例えば、回折スポット像や回折縞模様等を表すパラメータなどの非イメージデータを用いる場合には、これら非イメージデータを上記特徴量として、類似度の算出に用いることができる。具体的には、例えば、光学像情報と正解情報との特徴量の差や比、或いはこれらを変数とする関数などにより類似度を算出してもよい。
【0116】
撮影条件によっては取得する光学像情報に揺らぎが生じることが考えられるため、完全一致の場合にのみ細線パターンが真正品であるとの照合結果を生成すると、本来は一致しているにもかかわらず光学像情報と正解情報が一致しないという照合結果が出力される可能性がある。これに対して、上記のように類似度を用いることにより、光学像情報に揺らぎが生じるような場合においても、光学像情報と正解情報の一致性を適切に判断することができる。この際の、照合結果には、光学像情報と正解情報が一致又は不一致あるいはその類似度に関する情報が含まれていてもよい。またその他、可視情報コード特定情報を取得した日時に関する情報、可視情報コード特定情報を取得した端末100に関する情報をさらに含んでもよい。
【0117】
なお、光学像照合部155による光学像情報と正解情報とを照合する処理は、細線パターンの真贋判定をすることを意味し、細線パターンの真贋判定をすることは、その細線パターンが付された積層体又は積層体の付された照合対象製品の真贋判定をすることを意味する。また、生成された照合結果は積層体又は積層体の付された照合対象製品の真贋判定結果を意味する。
【0118】
以上のような構成を有する端末100により、可視情報コード特定情報と光学像情報とを用いて、積層体又は積層体の付された照合対象製品の真贋判定を行うことが可能となる。また、バーコードや二次元コードなどの積層体に付されたシリアルコードが複製された場合であっても、細線パターンの真贋判定をすることにより、積層体又は積層体の付された照合対象製品の真贋判定を行うことも可能となる。
【0119】
また、光学像照合部155は、照合結果を、表示装置136に表示制御してもよく、サーバ400に送信してもよいし、照合用データ154に記憶してもよい。
【0120】
光学像照合部155が照合結果をサーバ400に送信し、サーバ400の台帳管理部456が照合結果を台帳データ455に保存することで、各流通拠点の端末100から収集した照合結果に基づいて、メーカが積層体の付された照合対象製品を発送した段階から照合対象製品を追跡することが可能となり、流通過程全体において照合対象製品の真正性を保証することが可能となる。
【0121】
また、光学像照合部155が照合結果を照合用データ154に記憶することで、照合処理毎に、サーバ400へ真贋判定結果を送信する必要がなくなり、サーバ400の通信障害や停電、自然災害などによるサーバ400の停止が起きても、真贋判定を実施することができ、真贋判定停止による商品流通の停滞を発生させることなく真正品の保証ができる。
【0122】
可視情報コード特定情報処理部156が照合結果に基づいて可視情報コード特定情報についての処理を実行してもよい。例えば照合結果が正解である場合に、可視情報コード特定情報に含まれるURLにアクセスし、端末100に画像を表示してもよい。
【0123】
5.2.サーバ
サーバ400は、特に限定されないが、例えば、照合対象製品に付された細線パターンから得られる光学像に関する光学像情報を取得する他の情報処理装置(端末100)に対して、光学像の正解ラベルに関する正解情報を、送信する照合部と、正解情報と光学像情報とを照合した照合結果を、他の情報処理装置(端末100)から、受信する台帳管理部と、を含む。
【0124】
図12に、サーバ400の構成を示すブロック図を示す。サーバ400は、典型的には、1つ又は複数のプロセッサ410、通信インタフェース420、メモリ440、ストレージ450及びこれらの構成要素を相互接続するための1つ又は複数の通信バス460を含む。プロセッサ410、通信インタフェース420、メモリ440、ストレージ450、及び通信バス460については、上述した、プロセッサ110、通信インタフェース120、メモリ140、ストレージ150、及び通信バス160と同様の構成が例示される。
【0125】
また、サーバ400は入出力インタフェース430を含んでいてもよい。入出力インタフェース430は、キーボードやマウス、表示装置を含んでいてもよい。その他、入出力インタフェース430は、外付けの入出力インタフェースを接続することで、所定の入力を受け付け、また出力を行ってもよい。
【0126】
ストレージ450はプログラム及びデータ構造、又はそれらのサブセットを格納する。プロセッサ410は、ストレージ450に記憶されている各プログラムを読みだして実行することによって、図12に示すように、送受信部452、照合部454、及び台帳管理部456として機能するように構成されている。
【0127】
ここで、ストレージ450に格納されたプログラムは、特に限定されないが、例えば、サーバ400に、光学像の正解ラベルに関する正解情報を、端末100に対して送信する正解情報送信ステップと、正解情報と光学像情報とを照合した照合結果を、端末100から受信する照合結果受信ステップと、を実行させるものであってもよい。
【0128】
オペレーティングシステム451は、例えば、様々な基本的なシステムサービスを処理するとともにハードウェアを用いてタスクを実行するためのプロシージャを含む。
【0129】
送受信部452は、例えば、サーバ400を端末100等の他のコンピュータに、通信インタフェース420、及びインターネット、他の広域ネットワーク、ローカルエリアネットワーク、メトロポリタンエリアネットワークなどの1つ又は複数の通信ネットワークを介して接続するために使用される。
【0130】
正解データ453には、例えば、ある積層体に付された可視情報コードから取得できる可視情報コード特定情報と、その積層体に付された細線パターンから取得できる光学像の正解ラベルと、が対応付けられて格納されている。ここで、正解データ453に格納される正解ラベルは、前述のとおり、イメージデータであってもよいし、非イメージデータであってもよいし、その両方であってもよい。
【0131】
図13に、正解データ453の一例を示す。図13(a)に示されるように、正解データ453には、例えば、「可視情報コード特定情報」、「光学像の種類」、及び「模様パラメータ」が対応付けられて格納されていてもよい。なお、正解データ453には、「光学像の種類」等に代えて、正解画像のイメージデータが格納されていてもよい。また、図13(b)に示されるように、正解データ453には、「可視情報コード特定情報」、「正解ラベルID」が対応付けられて格納されていてもよい。
【0132】
正解データ453において、可視情報コード特定情報と正解ラベルは、一対一対応してもよいが、図13(a)や(b)に示されるように、複数の可視情報コード特定情報のうち、2以上の可視情報コード特定情報に対して共通の正解ラベル(Type A)が設定されたものであってもよい。つまり、異なる可視情報コードを有する積層体に同一の正解ラベルが対応付けられた細線パターンが付されていてもよい。これにより、2以上の異なる可視情報コード特定情報に対して、同一の正解ラベルが対応付けられる。
【0133】
上記のように照合用データ154が複数の可視情報コード特定情報に対応する正解情報を予め記憶するとしても、流通する製品数は膨大であるため、端末100の記憶容量の制限を受けたり、光学像照合部155が行う照合処理に時間を要したりすることが考えられる。この点、2以上の可視情報コード特定情報に対して共通の正解ラベルが設定されることにより、照合用データ154に記憶される正解情報のデータ量を低減することができ、また、正解ラベルの検索等に要する時間が短くなり照合処理の高速化を図ることができる。さらに、正解情報のデータ量を低減することに伴い、端末100とサーバ400の間でやり取りされるデータ量及び回数を低減することもできる。
【0134】
さらに、例えば、正解データ453として図14(a)に示すように可視情報コード特定情報と細線パターンの発行期間とを対応付けて記憶してもよい。この場合、例えば、図14(b)に示すように細線パターンの発行期間と、模様の種類及び模様パラメータと、を別途対応付けて記憶しておき、細線パターンの発行期間に対応する模様のパラメータ等を正解ラベルとして用いて照合処理を行っても良い。
【0135】
これにより、所定の期間で発行された細線パターンは、所定の正解情報を有するものとして、照合処理を行うことができる。そのため、サーバ400から端末100への正解情報の送信を照合処理毎に行う必要はなく、その頻度を低減することができる。また、正解ラベルの検索等に要する時間が短くなり照合処理の高速化を図ることができる。
【0136】
また、正解データ453として、図15に示すデータでは、例えば、可視情報コード特定情報として、製品メーカID(MakerID00001…)が付されている。これにより、ある製品メーカの商品をまとめて端末100に通過させるような場合には、サーバ400から端末100への正解情報の送信を照合処理毎に行う必要はなく、その頻度を低減することができる。また、正解ラベルの検索等に要する時間が短くなり照合処理の高速化を図ることができる。
【0137】
照合部454は、照合対象製品に付された細線パターンから得られる光学像に関する光学像情報を取得する端末100に対して、光学像の正解ラベルに関する正解情報を送信する処理を実行する。
【0138】
正解情報の送信のタイミングは、特に限定されないが、例えば、照合部454は、照合処理毎に、端末100から可視情報コード特定情報を受信し、受信した可視情報コード特定情報に対応する正解情報を正解データ453から抽出し、その抽出した正解情報を端末100へ送信してもよい。また、照合部454が、全ての照合処理毎ではなく、端末100からある可視情報コード特定情報を受信し、その可視情報コード特定情報に対応する正解情報を端末100に送信する際に、その可視情報コード特定情報とは関係のない複数の可視情報コード特定情報に対応する正解情報も端末100へ送信してもよい。なお、全ての照合処理毎ではない上記態様を、以下「一部の照合処理毎に」ともいう。さらに、照合部454が、照合処理とは無関係に、定期的又は不定期に、複数の可視情報コード特定情報に対応する正解情報を正解データ453から抽出し、端末100へ送信してもよい。
【0139】
上述したとおり、照合部454が端末100へ送信する正解情報は、複数の可視情報コード特定情報と、該複数の可視情報コード特定情報に対応する光学像の正解ラベルに関する情報と、を含んでもよい。また、複数の可視情報コード特定情報のうち、2以上の可視情報コード特定情報に対して共通の正解ラベルが設定されたものであってもよい。
【0140】
台帳データ455は、可視情報コード特定情報と照合結果が対応付けられたデータであり、台帳データ455はその可視情報コード特定情報に付したフラグなど、可視情報コード特定情報ごとに任意の情報が含まれていてもよい。
【0141】
図16に、台帳データ455に含まれる所定の可視情報コード特定情報と、積層体の付された照合対象製品が各端末を通過した時にその可視情報コード特定情報に対応付けられる情報の更新の一例を示す。「端末ID」は、本システムが端末100を一意に識別するための識別情報である。「日時」は、端末100が真贋判定を行った日時であり、「照合結果」は、端末100が行った真贋判定の結果である。
【0142】
図16に示すように、可視情報コード特定情報としては、出荷前は可視情報コード特定情報のみが記録されており、メーカから積層体の付された照合対象製品が搬出され端末100を通過した際には、その端末100の端末IDと、照合結果とその時間に関する情報が可視情報コード特定情報に対応付けて記録される。そして、流通業者の拠点に設置された端末100を通過した際には、その端末100の端末IDと、照合結果とその時間に関する情報が可視情報コード特定情報に対応付けて記録される。また、流通業者の拠点に設置された端末100を通過して搬出された際にも、その端末100の端末IDと、照合結果とその時間に関する情報が可視情報コード特定情報に対応付けて記録される。
【0143】
このように、台帳データ455に含まれる可視情報コード特定情報には、端末100を通過するごとに、端末ID、時間及び照合結果の情報のセットが追加されていく。そのため、可視情報コード特定情報に対応付けられた情報を参照することで、積層体の付された照合対象製品が通過した端末100の設置拠点とその通過日時、及び、判定結果を取得することができる。
【0144】
なお、図16では、可視情報コード特定情報に対して、端末ID等が順次対応付けられていくデータ形式を示したが、可視情報コード特定情報を管理するデータはこれに限られるものではなく、テーブル形式など任意のデータ形式で管理されてもよい。
【0145】
なお、上記では、正解データ453と、台帳データ455とを区別して説明したが、正解データ453は台帳データ455の一部であってもよい。この場合、例えば、台帳データ455の可視情報コード特定情報に、「PRODUCT00001(可視情報コード特定情報)-Type A(正解ラベルID)-」のように正解ラベルIDなどの非イメージデータを対応付けて記録するようにしてもよい。これにより、台帳データ455においても、ある照合対象製品の可視情報コード特定情報と、その照合対象製品に付された細線パターンから取得できる光学像の正解ラベルと、を対応付けて格納することができる。
【0146】
台帳管理部456は、正解情報と光学像情報とを照合した照合結果を、端末100から受信する処理を実行する。また、台帳管理部456は、端末100から受信した照合結果に基づいて、可視情報コード特定情報を管理する台帳データ455を更新する処理を実行してもよい。
【0147】
また、その他、台帳管理部456は、台帳データ455に記録された情報を送信したり、台帳データ455を更新したりする機能を有する。例えば、台帳管理部456は、端末100やクライアント端末などからの要求に応じて、台帳データ455を参照し、要求された流通情報のレポートを出力し、他の情報処理端末に送信してもよい。
【0148】
ここでいう「他の情報処理装置」とは、例えば、図8におけるメーカ、物流業者、販売業者が保有する任意の情報処理装置(以下、「クライアント端末」ともいう)が含まれる。ここで、クライアント端末は、照合対象製品の流通に関与する事業者が保有する端末であり、本システムにアクセス可能な端末以外の端末をいう。
【0149】
なお、本実施形態において、サーバ400は、単独で上記サービスを提供してもよいし、複数のサーバ400が共同して、上記サービスを提供してもよい。
【0150】
本実施形態において、端末100とサーバ400は、台帳データを記憶する分散型台帳(以下「ブロックチェーン」ともいう。)を構成する情報処理装置として機能してもよい。また、分散型台帳を構成する情報処理装置には、上記クライアント端末が含まれていてもよい。
【0151】
本実施形態では、台帳データを記憶する分散型台帳(ブロックチェーン)は、パブリック型、プライベート型、コンソーシアム型のいずれであってもよい。また、例えば、照合対象製品の流通に関与する事業者が管理するコンソーシアム型の場合においても、台帳データの管理においては、端末100、サーバ400、及びクライアント端末が同一の権限を有してもよいし、サーバ400が台帳データの管理の権限を有し、端末100及びクライアント端末が台帳データを参照する権限を有するようにしてもよい。なお、ここで「管理」には、分散型台帳の更新と認証が含まれ、更新と認証は別々の情報処理装置(サーバ400)で行ってもよい。
【0152】
以降においては、サーバ400のみが台帳データを記憶する分散型台帳の管理の権限を有する態様について記載するが、本実施形態のシステムはこれに限定されるものではない。例えば、サーバ400以外の情報処理装置(クライアント端末等)が分散型台帳の管理をする機能を有していてもよい。また、台帳データは分散型台帳に限定されるものではなく、一又は複数のサーバ400の記憶部に記憶されるデータベースの形式であってもよい。
【0153】
6.動作処理
本実施形態の端末100は、細線パターンに対して光を照射する照射ステップと、前記細線パターンから反射された回折光がフーリエ変換レンズを通過することで光学像を結像し、該光学像を取得する撮像ステップと、前記光学像の正解ラベルに関する正解情報と、前記光学像に関する光学像情報と、を照合して、照合結果を生成する照合ステップと、を実行する。
【0154】
また、本実施形態のサーバ400は、照合対象製品に付された細線パターンから得られる光学像に関する光学像情報を取得する他の情報処理装置(端末100)に対して、前記光学像の正解ラベルに関する正解情報を、送信する正解情報送信ステップと、前記正解情報と、前記光学像情報とを、照合した照合結果を、前記他の情報処理装置(端末100)から受信する照合結果受信ステップと、を実行してもよい。
【0155】
以下、このように構成された本実施形態のシステムの動作処理について説明する。
【0156】
6.1.実施例1
図17には、照合処理毎に、サーバ400が端末100から可視情報コード特定情報を受信し、受信した可視情報コード特定情報に対応する正解情報を正解データ453から抽出し、その抽出した正解情報を端末100へ送信して、端末100が照合処理を実行する情報処理方法の処理シーケンスを示す(実施例1)。
【0157】
ステップS1001において、端末100の情報取得部153は、照射装置131、フーリエ変換レンズ132、及び撮像装置133を介して、照合対象製品に付された細線パターンから光学像情報を取得し(光学像取得ステップ)、可視情報コード読取装置135を介して、照合対象製品に付された可視情報コード特定情報を取得する(可視情報コード取得ステップ)。この際、情報取得部153は、光学像情報を取得した端末100の端末IDとその取得日時を同時に取得するようにしてもよい。
【0158】
ステップS1002において、端末100の情報取得部153は、可視情報コード特定情報をサーバ400に送信するよう送受信部152に指示する。この際、情報取得部153は、可視情報コード特定情報を取得した端末100の端末IDとその取得日時を同時にサーバ400に送信するようにしてもよい。
【0159】
ステップS1003,S1004において、サーバ400の照合部454は、正解データ453を参照し、端末100から受信した可視情報コード特定情報に基づいて、正解情報を取得する。そして、照合部454は、特定した正解情報を、端末100に送信するよう送受信部452に指示する(正解情報送信ステップ)。
【0160】
この際、照合部454は、正解情報として、イメージデータに代えて非イメージデータを送信するようにしてもよいし、イメージデータと非イメージデータの両方を送信するようにしてもよい。非イメージデータを送信することにより、サーバ400から端末100が受信するデータ量を減らすことが可能となる。そのため、送受信するデータ量が大きいことにより発生する、照合処理の遅延を回避することができる。
【0161】
ステップS1005において、端末100の光学像照合部155は、光学像情報と正解情報とを照合して、光学像照合結果を生成する(光学像照合ステップ)。この際、端末100が受信した正解情報が非イメージデータである場合には、端末100の光学像照合部155は、正解情報をイメージデータへ変換、又は、光学像情報を非イメージデータに変換してから、上記照合処理をするようにしてもよい。
【0162】
ステップS1006において、端末100の可視情報コード特定情報処理部156は、照合結果に基づいて、可視情報コード340から得られる可視情報コード特定情報についての処理を実施する(可視情報コード特定情報処理ステップ)。可視情報コード特定情報についての処理として、可視情報コード特定情報に含まれるURLにアクセスし、端末100に画像を表示してもよい。
【0163】
ステップS1007において、端末100の光学像照合部155は、照合結果をサーバ400に送信するよう送受信部152に指示する(照合結果送信ステップ,照合結果受信ステップ)。この際、光学像照合部155は、照合結果を生成した端末100の端末IDとその生成日時を同時にサーバ400に送信するようにしてもよい。
【0164】
また、ステップS1007において、照合結果が正解情報と光学像情報が不一致であるというものである場合、端末100の光学像照合部155は、その照合結果を、端末100の表示装置に表示するよう制御してもよい(結果表示ステップ)。
【0165】
ステップS1008において、サーバ400の台帳管理部456は、端末100から受信した照合結果に基づいて、台帳データ455を更新する(台帳更新ステップ)。より具体的には、台帳管理部456は、照合結果に基づいて、例えば、「G0011(端末ID)-T1001(日時)-True(照合結果)」を、台帳データ455に記録する。
【0166】
以上により、本実施形態に係るシステムは、積層体又は積層体の付された照合対象製品の真贋判定を行うことができ、流通している積層体又は積層体の付された照合対象製品が真正品であることを保証することができる。また、本システムによれば、各端末100を通過した照合対象製品の真贋に関する情報や、通過した場所や時間に関する物流情報を蓄積することも可能となる。
【0167】
6.2.実施例2
また、図18には、一部の照合処理毎に、又は、照合処理とは無関係に、定期的又は不定期に、サーバ400が可視情報コード特定情報と該可視情報コード特定情報に対応する正解情報を端末100へ送信し、端末100は予め受信した正解情報に基づいて、照合処理を実行する情報処理方法の処理シーケンスを示す(実施例2)。
【0168】
ステップS1101,S1102において、サーバ400の照合部454は、一部の照合処理毎に、又は、照合処理とは無関係に、定期的又は不定期に、正解情報を端末100へ送信し、端末100の光学像照合部155は、受信した正解情報を照合用データ154に記憶する。
【0169】
この際、照合部454が端末100へ送信する正解情報は、複数の可視情報コード特定情報と、該複数の可視情報コード特定情報に対応する光学像の正解ラベルと、を含んでもよい。また、複数の可視情報コード特定情報のうち、2以上の可視情報コード特定情報に対して共通の正解ラベルが設定されたものであってもよい。
【0170】
また、照合部454は、正解ラベルとして、イメージデータに代えて非イメージデータを送信するようにしてもよいし、イメージデータと非イメージデータの両方を送信するようにしてもよい。非イメージデータを送信することにより、サーバ400から端末100が受信するデータ量を減らすことが可能となる。そのため、送受信するデータ量が重いことにより発生する、照合処理の遅延を回避することができる。
【0171】
その後、ステップS1103,S1104,S1105,S1106,S1107は、それぞれステップS1001,S1005,S1006,S1007,S1008と同様の処理を行うことができる。
【0172】
以上のように、正解情報の取得ステップ(S1101~S1102)と、照合ステップ(S1103~S1107)とを切り離し、事前に正解情報を取得しておくことで、照合処理をより高速に実行できるほか、サーバの通信障害や停電、自然災害などによるサーバ停止等により、端末100とサーバ400とが一時的に通信不能となった場合でも、真贋判定を実施することができ、真贋判定停止による商品流通の停滞を発生させることなく、真正品の判定保証ができる。
【符号の説明】
【0173】
100…端末、110…プロセッサ、120…通信インタフェース、130…入出力インタフェース、131…照射装置、132…フーリエ変換レンズ、133…撮像装置、134…スクリーン、135…可視情報コード読取装置、136…表示装置、140…メモリ、150…ストレージ、151…オペレーティングシステム、152…送受信部、153…情報取得部、154…照合用データ、155…光学像照合部、156…可視情報コード特定情報処理部、160…通信バス、300…偽造防止用積層体、310…透明基材、320…細線、330…細線パターン、340…可視情報コード、342…隙間部、400…サーバ、410…プロセッサ、420…通信インタフェース、430…入出力インタフェース、440…メモリ、450…ストレージ、451…オペレーティングシステム、452…送受信部、453…正解データ、454…照合部、455…台帳データ、456…台帳管理部、460…通信バス
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