(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024105186
(43)【公開日】2024-08-06
(54)【発明の名称】ダイレクトレーザー核融合システムおよびエネルギー生成方法
(51)【国際特許分類】
G21B 1/03 20060101AFI20240730BHJP
G21B 1/13 20060101ALI20240730BHJP
【FI】
G21B1/03
G21B1/13
【審査請求】未請求
【請求項の数】38
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023221718
(22)【出願日】2023-12-27
(31)【優先権主張番号】18/149,644
(32)【優先日】2023-01-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】524002599
【氏名又は名称】ブルーレーザーフュージョン インク.
【氏名又は名称原語表記】Blue Laser Fusion Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】110003476
【氏名又は名称】弁理士法人瑛彩知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】中村 修二
(72)【発明者】
【氏名】太田 裕朗
(57)【要約】 (修正有)
【課題】高強度パルスまたは連続波(continuous wave:CW)レーザー生成システムを使用する核融合エネルギーのためのシステムおよび方法、ならびに関連する方法を提供する。
【解決手段】一例において、本発明は、リアクターと、リアクターの内部領域内の核融合材料と、リアクター内のレーザーキャビティ領域のハブとスポークの空間配置によって構成された高強度パルスレーザー生成システムと、を含むレーザー核融合システムを提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザー核融合システムであって、
リアクターハウジングであって、真空環境に維持された内部領域を有するリアクターハウジングと、
前記リアクターハウジングの空間的に中央の領域の近傍にある反応領域と、
前記リアクターハウジングの内部に形成された周辺領域であり、リアクター領域を取り囲む、周辺領域と、
前記リアクターハウジングの前記内部領域内で1からNまでの番号が付けられた複数のキャビティ領域であって、当該複数のキャビティ領域の各々が前記周辺領域の第1の側から前記周辺領域の第2の側まで延びるように前記周辺領域の周囲に空間的に構成され、ここで、Nは10より大きく、前記第1の側が前記第2の側に対向し、そして、当該複数のキャビティ領域がハブおよびスポークの構成を形成し、各キャビティ領域が前記リアクター領域と同心の中心領域を有し、各キャビティ領域が前記周辺領域の前記第1の側に結合された第1の端部および前記第2の側に結合された第2の端部を有するように、前記内部領域の直径に沿って直線状の経路を形成する、複数のキャビティ領域と、
前記キャビティ領域の前記第1の端部と前記第2の端部にそれぞれ構成された一対のミラーと、
前記一対のミラー装置の少なくとも一方に結合される電磁放射線を放出するように構成されたレーザー光源であって、前記一対のミラー装置の間を前記レーザー光源から伝搬するレーザービームが、前記一対のミラー装置の間を伝搬するレーザービームの、1000サイクルより大きい、Mサイクルの間、第1の強度から第2の強度、M番目の強度へとエネルギー強度が増加するように構成されたレーザー光源と、
を備える、システム。
【請求項2】
請求項1に記載の核融合システムであって、
前記リアクター領域内に配置された燃料ペレットまたは前記燃料ペレットを内部に含む容器をさらに備え、
前記燃料ペレットまたは前記燃料ペレットを内部に含む容器は、前記複数のキャビティ領域の各々が前記リアクター領域内で空間的に交差して、核融合反応のために前記燃料ペレットを点火するのに十分なエネルギーレベルを提供するように、前記複数のキャビティ領域に結合されている、システム。
【請求項3】
請求項1に記載のシステムであって、
各対のミラーの少なくとも一方に結合され、レーザー装置の反対側に構成されたフォトダイオード検出装置をさらに備える、システム。
【請求項4】
請求項1に記載のシステムであって、
各対のミラーは、カーブしたミラー装置または変形可能なミラー装置である、システム。
【請求項5】
請求項1に記載のシステムであって、
各キャビティは、ファブリペロー共振キャビティである、システム。
【請求項6】
請求項1に記載のシステムであって、
管開口領域は、前記リアクターハウジングの外部領域に構成された燃料ペレット送出装置またはホールラウム送出装置に結合された、低圧領域を有する、システム。
【請求項7】
請求項1に記載のシステムであって、
前記容器は、ホールラウムである、システム。
【請求項8】
請求項1に記載のシステムであって、
前記容器は、ホールラウムであり、
前記レーザービームは、前記ホールラウムの内面に照射され、前記燃料ペレットと相互作用するX線を発生する、システム。
【請求項9】
請求項1に記載のシステムであって、
前記容器は、ホールラウムであり、
前記レーザービームは、前記ホールラウムの内面に照射されて、前記燃料ペレットを照射して核融合反応を発生させるX線を発生する、システム。
【請求項10】
請求項1に記載のシステムであって、
前記リアクターハウジングに構成され、核融合エネルギーを熱エネルギーに変えるために前記リアクターハウジングから前記核融合エネルギーを吸収するように適合されたブランケット構造をさらに備え、
前記ブランケット構造は、熱エネルギーを前記ブランケット構造から熱交換媒体に伝達するように構成された熱交換媒体に結合されている、システム。
【請求項11】
請求項10に記載のシステムであって、
前記熱交換媒体は、前記熱交換媒体からの前記熱エネルギーを水に伝達して、タービンを回転させるのに適合した高圧蒸気を生成し、
前記タービンは、電気エネルギーを生成するために発電機に結合される、システム。
【請求項12】
請求項10に記載のシステムであって、
前記ブランケット構造及び前記熱交換媒体は、前記核融合エネルギーを効果的に吸収するために、ミラーが配置される前記周辺領域における前記リアクターハウジングの直径と比較して、より小さい直径を有する前記リアクターハウジングの領域に配置される、システム。
【請求項13】
請求項1に記載のシステムであって、
前記リアクターハウジングに結合された、燃料ペレット供給装置またはホールラウム供給装置と、
前記燃料ペレット供給装置または前記ホールラウム供給装置に結合されたタイミング装置と、
前記タイミング装置と、前記燃料ペレット供給装置または前記ホールラウム供給装置と、の間に結合されたドライバ装置と、
をさらに備える、システム。
【請求項14】
請求項1に記載のシステムであって、
前記燃料ペレットまたは前記ホールラウムは、当該レーザー核融合システムの前記反応領域の近傍内の管または輸送経路によって送られる、システム。
【請求項15】
請求項1に記載のシステムであって、
各前記ミラーは、前記リアクターハウジングの内部に配置されて、前記真空環境に維持される、システム。
【請求項16】
請求項1に記載のシステムであって、
前記キャビティ領域は、前記リアクターハウジングの直径よりも大きい各対のミラー間の空間的長さによって定義され、
前記レーザー核融合システムにおける前記反応領域での核融合反応によって発生する放射線から前記ミラー装置のいずれかへの損傷を低減するために、前記リアクターハウジングの内壁に構成されたブランケット構造および熱交換媒体を備える、システム。
【請求項17】
レーザー核融合システムであって、
リアクターハウジングであって、真空環境に維持された内部領域を有するリアクターハウジングと、
前記リアクターハウジングの空間的に中央の領域の近傍にある反応領域と、
前記リアクターハウジングの内部に形成された周辺領域であって、リアクター領域を取り囲む、周辺領域と、
前記リアクターハウジングの前記内部領域内で1からNまでの番号が付けられた複数のキャビティ領域であって、前記複数のキャビティ領域の各々が前記周辺領域の第1の側から前記周辺領域の第2の側まで延びるように前記周辺領域の周囲に空間的に構成され、前記第1の側が前記第2の側に対向し、そして、当該複数のキャビティ領域がハブおよびスポークの構成を形成し、各キャビティ領域が前記リアクター領域と同心の中心領域を有し、各キャビティ領域が前記周辺領域の前記第1の側に結合された第1の端部および前記第2の側に結合された第2の端部を有するように、前記内部領域の直径に沿って直線状の経路を形成する、複数のキャビティ領域と、
前記キャビティ領域の前記第1の端部と前記第2の端部にそれぞれ構成された一対のミラーと、
前記一対のミラー装置の少なくとも一方に結合される電磁放射線を放出するように構成されたレーザー光源であって、前記一対のミラー装置の間を前記レーザー光源から伝搬するレーザービームが、前記一対のミラー装置の間を伝搬するレーザービームのMサイクルの間、第1の強度から第2の強度、M番目の強度へとエネルギー強度が増加するように構成されたレーザー光源と、
前記リアクター領域内に配置された、燃料ペレットまたは前記燃料ペレットを内部に含む容器であって、前記複数のキャビティ領域の各々が前記リアクター領域内で空間的に交差して核融合反応のために当該燃料ペレットを点火するのに十分なエネルギーレベルを提供するように、前記複数のキャビティ領域に結合されている、燃料ペレットまたは前記燃料ペレットを内部に含む容器と、
前記リアクターハウジング内に構成されたブランケット構造と、
前記ブランケット構造を取り囲む熱交換媒体と、
を備えるシステム。
【請求項18】
請求項16に記載のシステムであって、
前記キャビティ領域は、前記リアクターハウジングの直径よりも大きい各対のミラー間の空間的長さによって定義され、
前記ブランケット構造及び前記熱交換媒体は、前記リアクターハウジングの内壁に構成され、前記レーザー核融合システムの前記反応領域における核融合反応によって生成される放射線によるいずれかの前記ミラー装置のいずれかの損傷を低減する、システム。
【請求項19】
レーザー核融合システムであって、
リアクターハウジングであって、真空環境に維持された内部領域を有するリアクターハウジングと、
前記リアクターハウジングの外周に沿って空間的に配置された複数の開口領域であって、各開口領域は開口寸法Aを有する、複数の開口領域と、
前記リアクターハウジングの空間的に中央の領域の近傍内の反応領域であって、前記リアクター領域の主要な断面に沿って延びるリアクター長を特徴とする反応領域と、
前記反応領域と連通する、1からNまでの番号が付けられた複数のキャビティ領域であって、当該複数のキャビティ領域の各々は前記反応領域を通って空間的に配置され、互いに対向する一対の開口領域を通るように構成されており、当該複数のキャビティ領域がハブおよびスポークの構成を形成するとともに前記反応領域の空間的中心領域内の交差領域によって特徴付けられるように、前記反応領域の外側に延びている、 ここでNは10より大きい、複数のキャビティ領域と、
前記各キャビティ領域の第1の端部および第2の端部にそれぞれ構成された一対のミラーであって、各ミラーはWのミラー寸法を有する、一対のミラーと、
前記一対のミラー装置の少なくとも一つに結合される電磁放射線を放出するように構成されたレーザー光源であって、前記一対のミラー装置の間を当該レーザー光源から伝搬するレーザービームが、前記一対のミラー装置の間を伝搬するレーザービームのMサイクルの間、第1の強度から第2の強度、M番目の強度へとエネルギー強度が増加するように構成され、ここでMは1000サイクルより大きい、レーザー光源と、
前記リアクター領域内に配置された燃料ペレットまたは前記燃料ペレットを内部に含む容器であって、前記複数のキャビティ領域の各々が前記リアクター領域内で空間的に交差して、核融合反応のために前記燃料ペレットを点火するのに十分なエネルギーレベルを提供するように、前記複数のキャビティ領域に結合されている、燃料ペレットまたは前記燃料ペレットを内部に含む容器と、
前記反応領域の中心で生成された核融合反応の放射線が前記キャビティ領域のいずれか1つを通して前記ミラー装置と相互作用するのを防止するために、前記開口領域の寸法を所定の寸法に縮小することによって、前記ミラー装置のうちの1つ以上に対する何らかの損傷を低減するように構成された、少なくとも2から500までのW/Aの比と、
を備える、レーザー核融合システム。
【請求項20】
請求項19に記載のシステムであって、
前記開口寸法Aは、前記開口の直径、幅、高さ、または主要寸法であり、
前記ミラー寸法Wは、前記ミラーの直径、幅、高さ、または主要寸法である、システム。
【請求項21】
請求項19に記載のシステムであって、
前記各対のミラーの少なくとも一方に結合され、レーザー装置の反対側に構成されたフォトダイオード検出装置をさらに備える、システム。
【請求項22】
請求項19に記載のシステムであって、
各対のミラーは、カーブしたミラー装置または変形可能なミラー装置である、システム。
【請求項23】
請求項19に記載のシステムであって、
Nが10~200であり、Mが1,000以上である、システム。
【請求項24】
請求項19に記載のシステムであって、
前記各キャビティは、ファブリペロー共振キャビティである、システム。
【請求項25】
請求項19に記載のシステムであって、
管開口領域は、前記リアクターハウジングの外部領域に構成された燃料ペレット送出装置またはホールラウム送出装置に結合された、低圧領域を有する、システム。
【請求項26】
請求項19に記載のシステムであって、
前記容器は、ホールラウムである、システム。
【請求項27】
請求項19に記載のシステムであって、
前記容器は、ホールラウムであり、
前記レーザービームは、前記ホールラウムの内面に照射されて、前記燃料ペレットと相互作用するX線を発生する、システム。
【請求項28】
請求項19に記載のシステムであって、
前記容器は、ホールラウムであり、
前記レーザービームは、前記ホールラウムの内面に照射されて、前記燃料ペレットを照射して核融合反応を発生させるX線を発生する、システム。
【請求項29】
請求項19に記載のシステムであって、
前記リアクターハウジングに構成され、核融合エネルギーを熱エネルギーに変えるために前記リアクターハウジングから前記核融合エネルギーを吸収するように適合されたブランケット構造をさらに備え、
前記ブランケット構造は、熱エネルギーを前記ブランケット構造から熱交換媒体に伝達するように構成された熱交換媒体に結合されている、システム。
【請求項30】
請求項29に記載のシステムであって、
前記熱交換媒体は、前記熱交換媒体からの熱エネルギーを水に伝達して、タービンを回転させるのに適合した高圧蒸気を生成し、
前記タービンは、電気エネルギーを生成するために発電機に結合される、システム。
【請求項31】
請求項29に記載のシステムであって、
前記ブランケット構造及び前記熱交換媒体は、前記核融合エネルギーを効果的に吸収するために、前記リアクターハウジングの直径と比較して、より小さい直径を有する前記リアクターハウジングの領域に配置される、システム。
【請求項32】
請求項19に記載のシステムであって、
前記リアクターハウジングに結合された燃料ペレット供給装置またはホールラウム供給装置と、
前記燃料ペレット供給装置または前記ホールラウム供給装置に結合されたタイミング装置と、
前記タイミング装置と前記燃料ペレット供給装置または前記ホールラウム供給装置との間に結合されたドライバ装置と、
をさらに備える、システム。
【請求項33】
請求項19に記載のシステムであって、
前記燃料ペレットまたは前記ホールラウムは、当該レーザー核融合システムの前記反応領域の近傍内の管または輸送経路によって送られる、システム。
【請求項34】
請求項33に記載のシステムであって、
前記燃料ペレットまたは前記ホールラウムは、前記管開口領域と、真空リアクターの外部に配置された前記燃料ペレット供給装置またはホールラウム供給装置の領域との間の圧力差を利用して高速に加速される、システム。
【請求項35】
請求項19に記載のシステムであって、
前記ミラーの各々は、前記開口領域の1つを介して前記リアクターハウジングに結合された領域内に配置されて、前記真空環境に維持される、システム。
【請求項36】
請求項19に記載のシステムであって、
前記キャビティ領域の各々は、前記リアクターハウジングの直径よりも大きい各対のミラー間の空間的長さによって定義されるキャビティ長を有しており、
当該システムは、当該レーザー核融合システムにおける前記反応領域での核融合反応によって発生する放射線から前記ミラー装置のいずれかへの損傷を低減するために、前記リアクターハウジングの内壁に構成されたブランケット構造および熱交換媒体を備え、
前記ブランケット構造および前記熱交換媒体は、前記リアクター領域から核融合エネルギーを収集するように構成される、システム。
【請求項37】
請求項19に記載のシステムであって、
1からNまでの番号が付けられた前記キャビティの各々は、同じキャビティ長を有する、システム。
【請求項38】
レーザー核融合システムであって、
リアクターハウジングと、
前記リアクターハウジングの外周に沿って空間的に配置された少なくとも一対の開口領域であって、当該前記開口領域の各々と、
前記リアクターハウジングの空間的に中央の領域の近傍内の反応領域であって、リアクター領域の主要断面に沿って延びるリアクター長を特徴とする反応領域と、
前記反応領域と連通する少なくとも1つのキャビティ領域であって、光学キャビティ領域が前記反応領域を通って空間的に配置され、互いに対向する一対の開口領域を通るように構成され、前記反応領域の外側に延びている、少なくとも1つのキャビティ領域と、
前記キャビティ領域の第1の端部および第2の端部にそれぞれ構成された一対のミラーと、
前記一対のミラー装置に結合される電磁放射線を放出するように構成されたレーザー光源であって、前記キャビティ領域内の前記一対のミラー装置の間を当該レーザー光源から伝搬するレーザービームが、前記一対のミラー装置の間を伝搬するレーザービームのMサイクルの間、第1の強度から第2の強度、M番目の強度へとエネルギー強度が増加するように構成された、レーザー光源と、
を備える、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して核融合エネルギー生成技術に関する。特に、本発明は、高強度パルスレーザー生成システムを使用する核融合エネルギーのためのシステム及び方法、並びに関連する方法を提供する。あくまで例であるが、本発明は、電力、宇宙船、旅行、空・陸・水用の他の乗り物、防衛用途(例えば、衛星、航空宇宙、陸・ミサイル防衛、潜水艦、ボート)、バイオテクノロジー、化学、機械、電気、通信及び/又はデータ用途のエネルギー生成を含む、様々な用途に適用することができる。
【0002】
太古の昔から、人類は木材、石炭、石油、ガス製品などの天然素材からエネルギー源を生み出してきた。残念ながら、木材や石炭を燃やすことは、大気中に好ましくない炭素粒子を加えるなど、大きな公害問題につながる。石油やガス製品にも同様の限界があり、「地球温暖化」の主な原因となっている。原子力、風力、水力、太陽光などの再生可能エネルギーは有望である。しかし、こうした再生可能エネルギーには別の欠点がある。風力は風が吹いているときにしか使えない。太陽は日が沈むと使えない。水力発電は水のある地域に限られ、原子力は有望ではあるが、廃棄物の発生や信頼性の低い危険な原子炉という大きな問題を抱えている。もうひとつの有望なエネルギー源は核融合エネルギーである。
【0003】
核融合エネルギーとは、2つの原子核が融合し、その過程で大量のエネルギーが放出されることで生じるエネルギー生産の一種である。核融合反応の燃料(主に水素)は地球上に豊富に存在し、反応によって温室効果ガスやその他の有害な汚染物質が発生しないため、クリーンで豊富なエネルギーの潜在的な供給源と考えられている。
【0004】
核融合反応を実現するには、慣性核融合(inertial confinement fusion:ICF)と磁気閉じ込め型核融合(magnetic confinement fusion:MCF)という2つの主なアプローチがある。
【0005】
慣性核融合(ICF)は、高エネルギーレーザーや粒子ビームを使って水素燃料の小さなペレットを圧縮・加熱し、核融合を起こす。燃料は、典型的には、水素の同位体である重水素とトリチウムの混合物である。燃料は、高エネルギーのレーザーや粒子ビームで満たされたチャンバーの中心に置かれる、ホールラウムと呼ばれる小さな球状のカプセルに収められる。レーザーまたは粒子線がホールラウムに向けて発射されると、X線の均一な層が形成され、ホールラウム内の燃料が均一に加熱・圧縮される。これにより、燃料は核融合に必要な温度と圧力に達する。
【0006】
ICFの主な利点は、比較的少量の燃料かつ比較的低コストで核融合反応を起こせる可能性があることだ。しかし、このプロセスはまだ実験段階であり、実用的なエネルギー源と見なされるようになるには、大きな技術的課題がある。
【0007】
磁場閉込め型核融合(MCF)は、強い磁場を用いて水素燃料のプラズマ(高温の電離ガス)を閉じ込め、加熱することで核融合を起こす。MCFの最も一般的なタイプはトカマク核融合と呼ばれるもので、プラズマを閉じ込めるためにトロイダル(ドーナツ型)チャンバーを使用する。プラズマは、チャンバーの周囲に巻かれたコイルに電流を流すことで発生する強力な磁場によって、チャンバーの中心に保持される。プラズマは、粒子ビームまたは電磁波によってエネルギーを注入することで加熱される。
【0008】
MCFの主な利点は、より大規模に核融合反応を起こす可能性があり、発電に適していることである。しかし、MCFはICFよりも複雑でコストのかかるプロセスであり、実用的なエネルギー源と見なされるようになるには、克服すべき大きな技術的課題が残っている。
【0009】
ICFもMCFも近年大きな進歩を遂げ、これらの技術に取り組んでいる実験施設が世界中にいくつかある。しかし、正味エネルギー生成(核融合反応によって生成されるエネルギーが、反応を開始し維持するために必要なエネルギーよりも大きいことを意味する)を伴う持続的な核融合反応を達成することは、依然として大きな技術的課題である。
【0010】
磁化標的核融合やミューオン触媒核融合など、核融合エネルギーへの他のアプローチも研究されている。しかし、これらのアプローチはまだ開発の初期段階にあり、エネルギー源として実行可能かどうかはまだ明らかではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
以上のことから、核融合エネルギーはクリーンで豊富なエネルギー源となる可能性を秘めているが、実用的なエネルギー源となるには、技術的に大きな課題を克服しなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明によれば、一般に核融合エネルギー生成に関連する技術が提供される。特に、本発明は、高強度パルスまたは連続波(continuous wave:CW)レーザー生成システムを使用する核融合エネルギーのためのシステムおよび方法、ならびに関連する方法を提供する。
【0013】
一例において、本発明はレーザー核融合システムを提供する。このシステムは、リアクターハウジングを有し、このリアクターハウジングは真空環境に維持された内部領域を含む。リアクターハウジングは真空チャンバーを形成する。システムは、リアクターハウジングの空間的に中央の領域の近傍内にある反応領域と、リアクターハウジングの内部内に形成された周辺領域とを有し、周辺領域はリアクター領域を取り囲む。
【0014】
一例では、システムは、リアクターハウジング(例えば、円形、ドーム、又は他の形状の構造)の内部領域内に、1からNまでの番号が付けられた複数のキャビティ領域(例えば、光学キャビティ領域)を有し、複数のキャビティ領域は、各キャビティ領域が周辺領域の第1の側から第2の側まで延びるように、周辺領域の周囲に空間的に配置されている。好ましくは、第1の側は、直線に沿って第2の側に対向し、内部領域の直径に沿った直線状の経路を形成する。一例として、複数のキャビティ領域はハブとスポークの構造を形成する。各キャビティ領域は、リアクター領域と同心の中心領域を持ち、第1の端部が第1の側に、第2の端部が第2の側に結合されている。一例において、Nは10より大きく、100、200、数千になることもあれば、他の例では、より少ないキャビティがあるかもしれない。
【0015】
一例では、一対のミラーが、キャビティ領域の第1の端部及び第2の端部にそれぞれ配置される。一例では、レーザー光源を備える。レーザー光源は、一対のミラー装置の少なくとも一方に結合される電磁放射線を放出するように構成されたレーザー光源であって、一対のミラー装置の間で伝搬するレーザービームのMサイクルの間に、第1の強度から第2の強度、そしてM番目の強度まで、エネルギー強度が増加するように構成されている。ここで、例えば、Mは、1000サイクルよりも大きいが、それ以下であってもよく、それ以上であってもよい。
【0016】
一例では、システムは、リアクター領域内に配置された燃料ペレット又は燃料ペレットを内部に含む容器を有し、核融合反応のために燃料ペレットを点火するのに十分なエネルギーレベルを提供するために、複数のキャビティ領域の各々がリアクター領域内で空間的に交差するように複数のキャビティ領域に結合される。
【0017】
一例として、本発明は、レーザー核融合システムを提供する。このシステムは、真空環境に維持された内部領域を有する、リアクターハウジングを有する。一例では、システムは、リアクターハウジングの周辺に沿って空間的に配置された少なくとも一対の開口領域を有し、開口領域の各々は、Aの開口サイズを有し、リアクターハウジングの空間的に中央の領域の近傍内に反応領域を有する。一例において、反応領域は、リアクター領域の主要断面に沿って延びるリアクター長を特徴とする。一例では、光学キャビティ領域が反応領域を通って空間的に配置されるように、反応領域と連携する少なくとも1つのキャビティ領域が、互いに対向する一対の開口領域を通って構成され、反応領域の外側に延在する。一例では、キャビティ領域の第1端と第2端にそれぞれ一対のミラーが構成され、各ミラーはWのミラー寸法を有する。レーザー光源は、電磁放射線を放出するように構成され、一対のミラー装置の一方に結合される。その結果、レーザー光源からキャビティ領域内の一対のミラー装置間を伝搬するレーザービームは、一対のミラー装置間を伝搬するレーザービームのMサイクルの間、第1の強度から第2の強度、M番目の強度へと、エネルギー強度を増加させる(ここで、Mは、1000サイクルより大きい)。一例では、システムは、リアクター領域内に配置され、キャビティ領域に結合されて、核融合反応のために燃料ペレットを点火するのに十分なエネルギーレベルを提供する燃料ペレット又は燃料ペレットを内部に含む容器と、反応領域の中心で発生した核融合反応の放射線がキャビティ領域を通してミラー装置と相互作用するのを防止するために開口寸法を所定の寸法に縮小することによって、ミラー装置のうちの1つに対する何らかの損傷を低減するように構成された、少なくとも2から500までのW/Aの比と、を有する。
【0018】
一例によると、本発明は、これらの利点および/または利益の1つ以上を達成することができる。一例において、本発明は、コンパクトで空間的に効率的なシステムにおいて、リアクターと共に構成された高強度パルスレーザーシステム又はCWレーザーシステム及び関連する方法を含む核融合エネルギーシステムを提供する。一例では、高強度パルスレーザーまたはCWレーザーシステムは、リアクター内で核融合エネルギーを点火し維持するのに十分なエネルギーを提供する。一例では、本発明は、現行の高強度レーザーを用いて、効率的な寸法、重量、コストを通じて核融合パワーを生成させる利点を提供する。これらおよび他の利点および/または利益は、本発明の装置および関連する方法により達成可能である。これらの利点および/または利益の更なる詳細は、本明細書を通じて、特に以下に記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、本発明の例によるレーザー核融合システムの簡略図である。
【
図2】
図2は、本発明の例による、キャビティ長30m、周波数50Hz、100kJの高出力パルスレーザーを用いたレーザー核融合システムの簡略図である。
【
図3】
図3は、本発明の例による、キャビティ長30m、周波数50Hz、100kJの高出力パルスレーザーを用いた
図2のレーザー核融合システムの簡略化したタイミング図である。
【
図4】
図4は、本発明の例によるホールラウム装置の簡略図である。
【
図5】
図5は、本発明の例による、キャビティ長30m、周波数10Hz、100kJの高出力パルスレーザーを用いた
図2のレーザー核融合システムの簡略化したタイミング図である。
【
図6】
図6は、本発明の例による、キャビティ長150m、周波数10Hz、100kJの高出力パルスレーザーのレーザー核融合システムの簡略図である。
【
図7】
図7は、本発明の例による、キャビティ長150m、周波数10Hz、100kJの高出力パルスレーザーを用いた
図6のレーザー核融合システムの簡略化したタイミング図である。
【
図8】
図8は、本発明の例による、内側リアクターハウジングの直径長さよりも長いキャビティ長に結合されたミラーを含む、レーザー核融合システムの簡略図である。
【
図9】
図9は、本発明の例による、内側リアクターハウジングの直径長よりも長いキャビティ長に結合された一対のミラーを含む、レーザー核融合システムの簡略図である。
【
図10】
図10は、本発明の例による発電用に構成された核融合リアクターの簡略図である。
【
図11】
図11は、本発明の例による核融合リアクターの詳細な図である。
【
図12】
図12は、本発明の例における核融合システムのタイミング装置の詳細図である。
【
図13】
図13は、本発明の例における高強度パルスレーザーの生成に関するタイミング図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
一例として、本発明によれば、一般に核融合エネルギー生成に関連する技術が提供される。特に、本発明は、高強度パルス又はCWレーザー生成システムを使用する核融合エネルギーのためのシステム及び方法、並びに関連する方法を提供する。単なる一例として、本発明は、電力、宇宙船、旅行、空、陸、水用の他の乗り物、防衛用途(例えば、衛星、航空宇宙、陸およびミサイル防衛、潜水艦、ボート)、バイオテクノロジー、化学、機械、電気、および通信および/またはデータ用途のためのエネルギー生成を含む、様々な用途に適用することができる。
【0021】
図1は、本発明の例によるレーザー核融合システムの簡略図である。図示されているように、このシステムは、複数又はN個のファブリペロー共振キャビティを有し、各キャビティは、一例では、互いに対向する一対のミラー装置の間として定義されており、キャビティは、リアクターハウジング内に構成されている。リアクターハウジングは真空環境に保たれている。各キャビティは、一端にレーザー光源が結合され、他端にフォトダイオード(または検出器)が結合されている。各キャビティは中央領域で交差し、ハブとスポークの構成を形成する。一例では、システムは、図示のような燃料ペレットまたはホールラウム供給(または送出(delivery))装置を備えている。各レーザー光源は、リアクターハウジングの反応領域または中心部で燃料ペレットと相互作用(または衝突)する高出力パルスレーザー用に同期されている。LIDAR(例えば、光検出と測距)やビデオカメラのような検出システムは、核融合反応を開始するために燃料ペレットへの高出力パルスレーザーの供給を同期させるために、レーザー光源と組み合わせて使用することができる。本システムの更なる詳細は、本明細書全体にわたり、特に以下に記載されている。
【0022】
図2は、本発明の例によるレーザー核融合システムの簡略図である。このシステムは、30メートルのキャビティ長を有し、5MHz及び1ジュールに構成された光源を使用する。図示したように、システムはリアクターハウジングを有し、このリアクターハウジングは、真空環境に維持された内部領域と、複数のキャビティ領域とを含み、各キャビティ領域は一対のミラーの間に形成されている。各一対のミラーは、一端にレーザー光源を有し、他端に光検出器を有する。システムは、図示したように、ペレット供給(または送出)装置またはホールラウム供給(または送出)装置を有する。
【0023】
一例では、リアクターハウジングは真空チャンバーである。一例では、真空チャンバーは、真空、または非常に低い圧力の領域を作成するために使用される密封された気密容器である。キャビティ内は真空(または空)になっており、パルスレーザーやCWレーザーの強度を上げるために望ましい状態となっている。一実施例では、空気または他の不純物がキャビティ内にある場合、空気中の粒子や水がレーザー光を吸収または散乱し、レーザー光がキャビティ内を伝搬するとき、レーザー光の強度が低下する。好ましい実施例においては、キャビティは真空に維持される。
【0024】
真空チャンバーは、典型的には、ステンレスやアルミニウムなどの、真空、高温、放射線に耐性のある素材で作られている。核融合反応中に生成する高放射線や高温、核融合生成物から放出される強い放射線に耐えられるように設計されている。
【0025】
一例では、本発明でレーザー出力を増加させるのに必要な条件を作り出すのに役立つので、真空チャンバーは核融合リアクターの構成要素である。また、反応やレーザー伝搬を妨害する空気やその他の混入物などの外部影響から核融合反応を保護するのにも役立つ。一実施例では、真空環境は10-5torr未満から10-3torrの範囲とすることができる。もちろん、他のバリエーション、変更、代替も可能である。
【0026】
レーザー光源は、一対のミラー装置の少なくとも一方に結合される電磁放射線を放出するように構成されている。そして、レーザー光源は、少なくとも一対のミラー装置の間をレーザー光源から伝搬するレーザービームが、一対のミラー装置の間を伝搬するレーザービームのMサイクルの間、第一の強度から第二の強度へ、そしてM番目の強度へとエネルギー強度が増加するように構成されている。ここで、Mは1000サイクルより大きい。
【0027】
リアクターハウジング内を真空にするために、大容量ポンプを使用して真空チャンバーを排気し、チャンバー内の空気やその他のガスをすべて除去する。このプロセスはポンピングダウンと呼ばれ、チャンバーの寸法にもよるが、所望の真空レベルを達成するには、典型的には数時間かそれ以上かかる。真空が達成されると、レーザー光源のスイッチが入れられ、パルスレーザーまたはCWレーザーの出力が各キャビティ(合計N)で増加される。燃料ペレットまたは燃料ペレットを含む容器が管を通して投入され、核融合反応が開始される。このように、本発明では、N組のファブリペローキャビティにより、リアクターハウジング内のパルスレーザーまたはCWレーザーを増強する。
【0028】
一例では、システムはリアクターハウジングの空間的に中心領域の近傍内に反応領域を有する。反応領域は図示の通り中心領域内にある。中心領域は複数のキャビティ領域の間の交差点を示す。
【0029】
システムは、図示の通り、リアクターハウジングの内部内に形成された周辺領域を有する。周辺領域はリアクター領域を取り囲み、好ましくはリアクターハウジングの内部の最大直径に沿って配置される。図示の通り、システムは、リアクターハウジングの内部領域内に1からNまでの番号が付けられた複数のキャビティ領域を有し、この複数のキャビティ領域は、複数のキャビティ領域の各々が、周辺領域の第1の側から周辺領域の第2の側まで延びるように、周辺領域の周囲に空間的に配置される。好ましくは、第1の側は、直線に沿って第2の側に対向し、内部領域の直径に沿った直線状の経路を形成する。一例として、複数のキャビティ領域はハブおよびスポーク構成を形成する。各キャビティ領域はリアクター領域と同心の中心領域を持ち、第1の端部が第1の側に、第2の端部が第2の側に結合されている。一例では、Nは10を超えるが、100、200、数千になることもあり、他の例ではより少ないキャビティがあるかもしれない。各レーザー光源は、高出力パルスレーザーが反応領域内の燃料ペレットや容器に当たるように、他のレーザー光源、燃料ペレット供給システム、光検出器と同期している。
【0030】
図示したように、一対のミラーは、キャビティ領域の第1の端部及び第2の端部にそれぞれ構成されている。各対のミラーはリアクターハウジング内の周辺領域に沿って空間的に配置されている。図示したように、本システムは、99.99%以上又は99.999%以上の反射率を有する高反射平板及びカーブ光学ミラー装置の任意の組合せを使用して、光学損失を最小化する。一例では、高反射光学ミラーは特定の方向に光を反射する装置である。この装置は、誘電体材料などの高反射材料でコーティングされた平面または曲面を有する。好ましい高反射光学ミラーは、誘電体分布ブラッグ反射鏡(dielectric distributed Brag Reflector:DBR)である。一実施例では、ミラーの形状と曲率によって反射光の方向と強度が決まる。
【0031】
本発明では、各キャビティでレーザー強度をM倍した後、N個の高強度レーザービームの全てを集めることにより、全ての高強度レーザービームをリアクター領域又は反応領域の中心の小さなスポットに集光して、中心で最も高いレーザー出力密度を達成する。一対のミラーで構成される各キャビティにおいて、一対のミラー装置間をレーザー光源から伝搬するレーザービームが、Mサイクルの間、第一の強度から第二の強度、そしてM番目の強度へとエネルギー強度が増加するように、一対のミラー装置の少なくとも一方に結合された電磁放射線を放出するように、レーザー光源が構成される。
【0032】
一例では、レーザー光源は、電磁放射線を放出し、リアクター内部の各ファブリペローキャビティを通して高出力レーザービームを形成するように構成される。一例として、本システムは、高出力パルスレーザーまたはCWレーザーシステムを核融合リアクターに結合して、核融合反応を開始したり持続させるための、高出力エネルギー源を形成する。一例として、レーザー核融合は、原子核の融合によってエネルギーを生成するプロセスである。このプロセスは、2つ以上の原子の原子核が引き合わされ、高温・高圧で衝突することで発生し、結果として核融合が起こり、大量のエネルギーが放出される。レーザー核融合の例では、高エネルギーのレーザービームが、小さな燃料ペレット(典型的には、重水素とトリチウム(水素の2つの同位体)の混合物)を圧縮・加熱するのに使われる。レーザービームは、衝撃波を発生させ、内爆によって燃料を圧縮し、核融合が起こるのに十分な温度と圧力に到達させる。核融合プロセスでは、燃料原子の原子核が結合してより重い原子核を形成し、光、運動量、熱の形で大量のエネルギーを放出する。したがって、このエネルギーを動力化することができ、前述のように、発電機を使用して電気を発電するために利用することができる。本発明の核融合システム、特に高出力レーザーの更なる詳細は、本明細書全体を通して提供され、より詳細には以下の通りに記述される。
【0033】
一例として、高出力レーザーは、高出力の光ビームを高濃度に集光して生成する装置である。高出力レーザーによって生成される光は、波長、強度、コヒーレンスなど、レーザーの特定の設計と構造に依存する様々な特性を持つことができる。
【0034】
高出力レーザーの一種に固体レーザーがあり、これはフラッシュランプや他のレーザーなどの外部エネルギー源によって励起される固体ゲイン媒体でできている。ゲイン媒質は、典型的には、レーザービームを増幅するためのネオジムやイッテルビウムなどの希土類元素がドープされた、結晶、セラミックス、ガラスの棒状体である。固体レーザーは高効率で高出力が可能なため、多くの産業用および科学用アプリケーションに最適である。
【0035】
高出力レーザーのもう一つのタイプは、ガスをゲイン媒質とするガスレーザーである。ガスレーザーは、ヘリウムネオンレーザー、炭酸ガスレーザー、アルゴンレーザーなど、使用するガスの種類によってさらに分類することができる。ガスレーザーは、信頼性が高く、寿命が長いため、連続運転に適している。
【0036】
高出力レーザーは、ゲイン媒質としてドープファイバーを使用するファイバーレーザーなど、前述の2つのタイプのハイブリッドであってもよい。ファイバーレーザーは、高効率で、非常に高い出力が得られるため、多くの産業用途や科学用途に最適である。
【0037】
高出力レーザーの性能と効率には、ゲイン媒質、励起源、共振器設計、冷却システムなど多くの要因が寄与している。高出力レーザーの設計と構造は、その性能と特定のアプリケーションへの適合性に大きな影響を与える可能性がある。一例として、高出力レーザーは、高出力で高度に集光された光ビームであり、幅広い用途で使用される。
【0038】
一例として、本発明は、高強度パルスレーザーまたはCWレーザー生成システムを提供する。一例において、高強度パルスレーザーまたはCWレーザーは、高レベルの出力で高度に集中され、集束された光ビームを生成するレーザーの一種である。高強度パルスレーザーの短いパルス時間により、高いピークパワー(最高出力)が得られ、非常に短い時間で高いピークエネルギーをターゲットに送達することを可能にする。
【0039】
一例として、高強度パルスレーザーの一種にQスイッチレーザーがあり、機械的または電気光学的変調器を用いてレーザービームのオン・オフを素早く切り替える。これにより、ナノ秒からピコ秒のパルス幅の非常に短いパルスを生成することができる。Qスイッチレーザーは高効率で、非常に高いピークパワーを生成させることができるため、多くの産業用途や科学用途に最適である。高強度パルスレーザーのもう一つのタイプはモードロックレーザーで、可飽和吸収体やパッシブモードロッカーなどの非線形光学部品を用いて短パルスを生成させる。モードロックレーザーは、パルス幅がフェムト秒からピコ秒と非常に短いパルスを生成させることができる。これらのレーザーは、安定性が高く、非常に高いピークパワーを生成できるため、多くの科学・研究用途に最適である。
【0040】
高強度パルスレーザーやCWレーザーの性能と効率には、ゲイン媒質、励起源、共振器設計、パルス生成方法など、多くの要因が寄与する。高強度パルスレーザーやCWレーザーの設計や構造は、その性能や特定のアプリケーションへの適合性に大きな影響を与える。一例として、高強度パルスレーザーは、高いレベルの出力でパルス幅が非常に短く、高度に集光されかつ集束された光ビームを生成するタイプのレーザーであり、幅広い用途で使用されている。一例として、本発明は、高強度パルスまたはCWレーザー生成システムおよび関連方法を提供し、この明細書を通して、特に以下に記述される。
【0041】
示されるように、レーザー光源は、レーザー光源から一対のミラー装置の間を伝搬するレーザービームが、一対のミラー装置の間を伝搬するレーザービームのMサイクルの間、エネルギー強度を第1の強度から第2の強度へ、さらに、M番目の強度へ増加させるように、一対のミラー装置の少なくとも一方に結合される。一例では、Mは1000サイクルより大きいが、これより少なくても多くてもよい。
【0042】
示したように、高反射光学ミラーにはいくつかの種類があり、それぞれに特有の特性と用途がある。平面鏡として知られるフラットミラーは、平らな反射面を持ち、光を一直線に反射させるために使用される。一実施例として、凹面鏡は内側にカーブした反射面を持ち、光を一点に集光するために使用される。本発明では、高出力レーザーをリアクターの中心に集光させるために凹面鏡が含まれる。一例として、凸面鏡は、外側に向かって湾曲した反射面を持ち、より広い範囲に光を広げて、ミラー表面でのレーザーパワーの集中を抑えたり光学的損傷を避けたりするために使用される。一例として、光学ミラーは、誘電体コーティングや金属コーティングなどの特殊なコーティングを施すことができ、これにより、反射特性を向上させ、光学的損傷の原因となる光吸収を引き起こす表面欠陥を減らすことができる。これらのコーティングは、ミラーの効率と性能を向上させ、特定の用途に適したものにすることができる。
【0043】
一例では、システムは、リアクター領域内に配置された燃料ペレット又は燃料ペレットを内部に含む容器を有し、核融合反応のために燃料ペレットを点火するのに十分なエネルギーレベルを提供するために、複数のキャビティ領域の各々がリアクター領域内で空間的に交差するように複数のキャビティ領域に連結される。燃料ペレット又は容器供給装置から反応領域まで、管又は他の燃料供給案内部材が構成される。一例として、容器はホールラウムであり、これについては詳細を後述する。
【0044】
一例では、ペレットまたは容器の位置は、LIDAR(ライダー)とビデオカメラで監視され、レーザー光源、ミラーの裏側にあるフォトダイオードの信号、および、燃料ペレットまたは容器の供給装置のすべてと同期させるためにコンピュータにフィードバックされる。
【0045】
一例では、本システムは、真空チャンバー内に構成された複数の高エネルギーパルスまたはCWレーザーを使用して、合計で、1メガジュール(MJ)~20MJ、10テラワット(TW)~10ペタワット(PW)、またはそれ以上のエネルギーを実現する。キャビティ長は、20メートル~10kメートルとすることができるが、他の例ではもっと小さくても大きくてもよい。反応領域へペレットまたは容器を送達する頻度(供給周波数)は、一例では約1Hz~50Hzであり、またそれ以上またはそれ以下とすることができる。レーザー光源は、それぞれ0.01ジュール~100Jのパワーと100KHz~100メガヘルツの周波数を持つことができる。
【0046】
図2および
図3を参照すると、キャビティ長30mの場合、レーザービームの往復時間は0.2マイクロ秒である。レーザー光源の周波数は5MHz(=1/(0.2マイクロ秒))となる。レーザー光源のパルスエネルギーを1ジュールとすると、各対のミラー間を10万回レーザービームが伝搬した後、図のようにミラー損失を無視すると仮定すると、理想的には50Hzの補充率で100キロジュールの総エネルギーがキャビティ領域で達成される。200組のミラーまたはキャビティでは、反応領域で20メガジュールの総エネルギーが得られる。20メガジュールの高出力パルスの繰り返し率は50Hzとなる。
【0047】
一例では、管は反応領域の近傍に開口部または送出部を有する。一例では、燃料ペレットまたはホールラウムは、核融合反応を発生させるために全キャビティの高出力パルスの周波数50Hzと同期した50Hzの繰り返し率で、リアクター領域の中心に供給されなければならない。一例では、開口部から反応領域までの距離は、0.01mmから1mの範囲にあり、好ましくは0.01mmから20mmである。
【0048】
一例では、ホールラウムを傾けることなくバランスを保ち空間プロフィールを維持するために、開口部から反応領域までの距離を小さくしている。一例では、ホールラウムを同じ空間プロファイルとバランスを保ちながら開口部に導くために、管内部の形状は、ホールラウムの形状に適合するように構成されている。後述するように、ホールラウムの両開口部に向けられた高出力レーザービームの全てがホールラウム内部の表面に照射されてホールラウムの両開口部を通してX線を発生させるように、ホールラウムは、管の開口部を通じて、傾くことなくバランスを保ちながら、リアクターの中心領域またはリアクター領域に入射される。距離が大きくなると、さらに説明されるように、ホールラウムのバランスまたは空間プロファイルが崩れて傾き、高出力レーザービームがホールラウムの両開口部から照射されなくなる。ペレットまたはホールラウムは、一例では、管開口領域と燃料ペレット供給装置またはホールラウム供給装置との間の圧力差から高速で反応領域に吸引される。
【0049】
ホールラウムを使用する例では、直径5mmのホールラウムが、すべての高出力レーザーがリアクターの中心または反応領域の小さなスポットに集束される交差点でファブリペローキャビティとの接触を開始する場合、50キロメートル/秒の速さが望ましい。キャビティ長30メートルの場合、レーザービームの往復時間は0.2マイクロ秒である。ホールラウムがキャビティの中心を横切ると、0.1マイクロ秒で次のレーザービームのパルスがやってくる。次のパルスレーザーが到達する前に、ホールラウムはキャビティを通過する。したがって、50km/秒(5mm/0.1マイクロ秒=50km/秒)以上の速さが望まれる。
【0050】
別の例では、(ホールラウムからのX線照射なしに)直接核融合反応を発生させる燃料として燃料ペレットを管から投入し、そのペレットの速さは10キロメートル/秒以上(1mm/0.1マイクロ秒=10キロメートル/秒)である。このように、キャビティ長30メートルで、周波数50Hz、100キロジュールの高エネルギーパルスが例示される。
【0051】
一例では、ホールラウムまたはペレットの高速は、毎秒0.5キロメートルから毎秒60キロメートルの範囲であるが、好ましくは、リアクター中央のファブリペローキャビティを横切るホールラウムまたはペレットの寸法に応じて、毎秒2~50キロメートルの範囲である。キャビティ長が1.5km以上で往復時間が10マイクロ秒以上の場合、高速の範囲は毎秒1km以下になる。もちろん、当業者であれば、他の変形、修正、代替案を認識するであろう。
【0052】
図4は、本発明の一例によるホールラウム装置の簡略図である。図示のように、ホールラウム装置は、内部に燃料ペレットを封入している。一例では、ホールラウムは、核融合リアクターの放射線源またはエネルギー源として使用される、中空の円筒形のキャビティである。典型的には、金やタングステンなどの高Z材料でできており、X線などの高エネルギー光子を吸収したり再放出したりする。ホールラウムは、その内部に高出力レーザーを照射してX線を発生させ、燃料ペレットセルにX線を照射することで、高温・高圧といった核融合を起こす条件を作り出すために用いられる。このプロセスは、間接駆動核融合と呼ばれ、一般的には、慣性核融合(ICF)システムで使用される。
【0053】
ICF核融合リアクターでは、ホールラウムは、内部に重水素やトリチウムなどを含む燃料カプセルを収納する。このホールラウムの内壁に、図のように高エネルギーの光子(高出力レーザー)を照射すると、高エネルギーレーザーの照射によりX線が発生し、燃料カプセルは重水素とトリチウムの原子核が融合する点まで加熱され、その過程で大量のエネルギーが放出される。核融合反応によって放出されたエネルギーは、発電に利用され、家庭や企業の電力として利用される。重水素とトリチウムの代わりに、ヘリウム、リチウム、ホウ素などの他の低Z核種を使用することもできる。
【0054】
ホールラウムの設計は、燃料カプセルの照射条件を決定するため、核融合反応の成功にとって重要である。ホールラウムの寸法や形状、構築に使用される材料、光子照射の強度や時間などの要素は、望ましい核融合条件を達成するために慎重に検討されなければならない。
【0055】
ホールラウムは導電性コイルで囲むことができ、磁場を発生させて爆縮時の高密度・高温プラズマの閉じ込めを強化する。
【0056】
レーザー誘起爆縮圧力が爆縮中の様々な不安定性を抑制するのに十分高ければ、ホールラウムなしで燃料ペレットセルを爆縮させて、核融合反応を点火することができる。このプロセスは直接駆動核融合として知られている。
【0057】
ホールラウムの三次元設計は、円筒形、球形、半球形など様々なタイプがあり、高出力パルスレーザーを受けるための開口部を備えている。
【0058】
キャビティ長30m、同サイズのリアクターを使用した場合、説明されるように、周波数50Hzで100kJの高出力パルスレーザーが得られる。他の応用では、連続レーザー核融合で十分なエネルギーを連続的に供給するためには、10Hzが望ましい。本発明の実施例の更なる詳細は、本明細書全体を通して、以下に記載される。
【0059】
図5には、30メートルの短いキャビティを使用した、周波数10Hzの高出力パルスレーザーを示す。レーザー光源として、周波数1MHz(パルス補充率0.1マイクロ秒)、パルスエネルギー1ジュールを含む。30メートルのキャビティの往復時間は0.2マイクロ秒である。一対のミラー装置の間を伝搬するレーザービームの5Mサイクルの間、5往復するごとに、キャビティ内のパルスエネルギーは、1回目の強度から2回目の強度、M回目の強度へと増加する。合計50万回の往復により、1ジュールの入力パルスエネルギーは、図のように100キロジュールになる。
【0060】
図6および
図7は、10万往復で10Hzの補充率を持つ高出力パルスレーザーを示している。議論したように、30メートルのキャビティは、1ジュールのレーザー光源から10Hzの周波数で100kJの高出力パルスを達成するために50万往復を必要とする。さらに40万往復すると、キャビティからの損失が増加する。図示のように、150mのキャビティ長を使用することで、繰り返し周波数10Hzの高出力パルスレーザーを10万往復で実現している。
【0061】
150メートルのキャビティ長では、レーザービームの往復時間は1マイクロ秒である。レーザー光源の周波数は1MHz(=1/(1マイクロ秒))である。レーザー光源のパルスエネルギーを1ジュールとすると、各対のミラー間を10万回伝搬した後、ミラーの損失を無視したとして、理想的には、繰り返し率10Hzのキャビティ領域で100キロジュールのエネルギーが得られる。200対のミラーまたはキャビティを使用すると、本システムは反応領域で20メガジュールの総エネルギーを達成する。100キロジュールの高出力パルスの繰り返し率は10Hzである。
【0062】
例に示すように、1ジュールクラスのレーザー光源が含まれる。レーザー光源は、例えば、1060nm用に構成されているが、530nmや350nmなどの他の波長であってもよい。レーザーパルスの長さは10ナノ秒または1~10ナノ秒でる。周期は1マイクロ秒(または1MHz)である。本発明による例では、10万(100,000)サイクルまたは往復により、キャビティ内で100キロジュールの高出力レーザーパルスを生成させている。キャビティ長は、例えば150メートルで、往復のキャビティ長は300メートルである。往復時間は1マイクロ秒であり、0.1秒で10万往復する。10万回の往復で、
図6に示すように、1×10
13ワット(または10テラワット)または100キロジュールのパルスエネルギーを10Hzで生成させる。核融合リアクターに200本のレーザービームを同時に使用する場合、20メガジュールが達成される。連続的なレーザー核融合や商業的に利用可能なレーザー核融合で十分な電力を連続的に供給するためには、一例として10Hzの繰り返し率でメガジュールのパルスが必要である。本発明を用いれば、本発明のシステムおよび方法の使用により、10Hzの繰り返し率でメガジュールのパルスを生成させることが可能である。現在、ローレンス・リバモア国立研究所では、1日に1つしかメガジュールのパルスを生成させることができない。
【0063】
一例として、管は反応領域の近傍に開口部または出力部を有する。燃料ペレットまたはホールラウムは、核融合反応を発生させるために、各キャビティからの高出力レーザーの全てをリアクターの中心に集中させることにより高出力パルスの周波数10Hzと同期した10Hzの繰り返し率で、リアクターの中心または反応領域に供給される。一例では、管開口部から反応領域までの距離は0.01mmから1mの範囲であり、好ましくは0.01mmから20mmである。この距離は、ホールラウムが傾くことなく、空間的な配置(向き)とバランスを維持するために小さいほどよい。管内部の形状は、ホールラウムを管内部に導く過程でホールラウムの空間的な向きとバランスを維持するために、ホールラウムの形状に合わせて構成される。ホールラウムは、管の開口部から吐出され、ホールラウムに向けられた高出力レーザービームの全てがホールラウム内部の表面に照射され、ホールラウムの両方の開口部からX線が発生するように、傾くことなく空間的な向きとバランスを維持しながら、ホールラウムはリアクターの中心領域に入射される。開口部から反応領域までの距離が好ましくない程度に大きくなると、ホールラウムのバランスが保てず傾き、高出力レーザービームがホールラウムの両開口部を通じて均一に照射されなくなり、X線発生率が低下し、燃料ペレットセルから核融合反応が発生しなくなる。
【0064】
一例では、ペレット又はホールラウムは、管開口領域と燃料ペレット送出装置又はホールラウム送出装置との間の圧力差から高速で反応領域に吐出される(又は吸引される)。ペレットまたはホールラウムは、大気圧で、送出装置または供給装置の内部の管に入れられ、接続される。送出装置または供給装置は、大気圧で原子炉の外部に設置される。反応領域内の真空と大気圧の間に隔てられた管内のゲートまたはバルブが開かれ、燃料ペレットまたはホールラウムが吸引により高速で反応領域内に移送される。
【0065】
一例として、直径5mmのホールラウムが、リアクター中央の小さなスポットに集光されたすべての高出力レーザーの交点にあるファブリペローキャビティーと相互作用する場合、秒速10キロメートルの速さが望まれる。キャビティ長150メートルの場合、レーザービームの往復時間は1マイクロ秒である。ホールラウムがキャビティの中央を横切ると、0.5マイクロ秒以内に次のレーザービームがやってくる。次のパルスレーザーの前に、ホールラウムはキャビティ領域を通過しなければならない。ホールラウムの速さは10km/秒以上(5mm/0.5マイクロ秒=10km/秒)が望まれる。
【0066】
別の例では、ホールラウムからX線を照射することなく、高出力レーザーを用いて直接核融合反応を起こすための燃料として燃料ペレットを管から投入する。ペレットの速さは2キロメートル/秒以上(1ミリメートル/0.5マイクロ秒=2キロメートル/秒)である。キャビティ長150m、100キロジュール、周波数10Hzの高エネルギーパルスが得られる。一例では、ホールラウムまたはペレットの高速は、毎秒2キロメートルから毎秒10キロメートルの範囲であるが、リアクターの中心または反応領域でファブリペローキャビティと交差するホールラウムまたはペレットの寸法(直径)に応じて、毎秒2~10キロメートル以上であることが好ましい。
【0067】
150メートルのキャビティ長では、レーザービームの往復時間は1マイクロ秒である。一例では、レーザー光源の周波数は1MHz(=1/(1マイクロ秒))である。レーザー光源のパルスエネルギーを1ジュールとすると、レーザービームが各対のミラー間を10万回伝搬した後、キャビティ領域のミラー損失を無視したとして、理想的には10Hzの補充率で100キロジュールの総エネルギーが達成される。200組のミラーまたはキャビティの場合、反応領域で20メガジュールの総エネルギーが達成される。100キロジュールの高出力パルスの繰り返し率は10Hzである。
【0068】
一例では、ペレット又はホールラウムは、管開口領域(真空)と燃料ペレット供給装置又はホールラウム供給装置との間の圧力差から高速で反応領域に供給(又は吸引)される。供給装置の圧力は大気圧である。燃料ペレット供給装置またはホールラウム供給装置は、真空リアクターの外部に配置される。直径5mmのホールラウムが、すべての高出力レーザーがリアクター中央の小さなスポットに集光される交差点でファブリペローキャビティを横切るとき、秒速10kmの速さが望まれる。前述の通り、キャビティ長150mの場合、レーザービームの往復時間は1マイクロ秒である。ホールラウムがキャビティの中央を横切ると、0.5マイクロ秒で次のパルスレーザーがやってくる。次のパルスレーザーの前に、ホールラウムはキャビティ領域を通過する。10キロメートル/秒(5ミリメートル/0.5マイクロ秒=10キロメートル/秒)以上の速さが望まれる。
【0069】
ホールラウムからX線を照射することなく直接核融合反応を起こさせるために、燃料としてホールラウムの代わりに燃料ペレットを管から入射すると、ペレットの速さは2キロメートル/秒以上(1mm/0.5マイクロ秒=2キロメートル/秒)である。キャビティ長150mで、周波数10Hz、100キロジュールの高エネルギーパルスを例示する。ホールラウムとペレットの高速は秒速10キロメートルから秒速2キロメートルの範囲であるが、リアクター中央のファブリペローキャビティを横切るホールラウムとペレットの寸法や直径によって秒速2~10キロメートルより速いことが好ましい。
【0070】
キャビティ長150m、リアクター直径150mの例では、このような150mのキャビティ長の利点は、高出力パルスレーザーの繰り返し周波数が10Hzと低いことである。もう一つの利点は、高反射ミラーがリアクターの中心から75mの距離に配置されていることで、これは核融合反応領域から十分に離れており、ミラーの損傷を防ぐことができる。つまり、核融合反応の放射線によるミラーの損傷が抑えられる。
【0071】
図8は、本発明の例による、内側リアクターハウジングの直径長さよりも長いキャビティ長さに結合されたミラーを含む、レーザー核融合システムの簡略図である。示されるように、システムは、リアクターハウジング(例えば、チャンバー)、ブランケット構造、熱交換媒体、送達装置、反応領域、及び複数のキャビティ領域を有する。各キャビティ領域は一対のミラーで構成されている。一方のミラーにはレーザー光源が配置され、レーザー光源に対向する他方のミラーにはフォトダイオード検出装置が配置されている。
【0072】
一例では、リアクターチャンバーは、直径が0.5メートルから10メートルの範囲の小さなものであってよく、より小さくすることも大きくすることもできる。一例では、ブランケット構造と熱交換媒体が、核融合エネルギーを効果的に吸収するために、小さなリアクターチャンバーの内部または外部にある。一例では、ミラーを小型リアクターの中心から75メートル(それ以上でもそれ以下でもよい)離して配置し、150メートルのキャビティを一対のミラーで構成することで、議論したように繰り返し率10Hzの高出力パルスを実現する。また、リアクター中心から75mの距離にミラーを配置することにより、リアクター中心での核融合反応の放射によるミラーの損傷を低減することができる。また、リアクターおよびキャビティ領域の容積は、前述の実施例よりもはるかに小さい。真空ポンプは小型で、より短時間で望ましい真空状態を達成することができる。
【0073】
図9は、本発明の例による、内側リアクターハウジングの直径長さよりも長いキャビティ長さに結合された一対のミラーを含む、レーザー核融合システムの簡略図である。図示のように、一対のミラーは、各キャビティ領域を定める。各キャビティは、反応チャンバーの内部と連通する開口領域を通って延びる。複数のキャビティ領域はリアクターハウジングの反応領域で交差する。
【0074】
一例として、レーザー核融合システムを示す。システムは、真空環境に維持された内部領域を有するリアクターハウジングを有する。一例では、システムは、リアクターハウジングの外周に沿って空間的に配置された少なくとも一対の開口領域を有する。一例において、開口領域の各々は、開口寸法Aを有し、リアクターハウジングの空間的に中央の領域の近傍内に反応領域を有する。一例において、反応領域は、リアクター領域の主要断面に沿って延びるリアクター長さを特徴とする。一例において、光学キャビティ領域が反応領域を通って空間的に配置されるように、反応領域と連通する少なくとも1つのキャビティ領域は、互いに対向する一対の開口領域を通って構成され、反応領域の外側に延びる。一例では、キャビティ領域の第1端と第2端にそれぞれ一対のミラーが構成され、各ミラーはWのミラー寸法を有する。レーザー光源は、キャビティ領域内の一対のミラー装置の間をレーザー光源から伝搬するレーザービームが、一対のミラー装置の間を伝搬するレーザービームのMサイクルの間、第一の強度から第二の強度へ、そしてM番目の強度へとエネルギー強度が増加するように、一対のミラー装置の一方に結合され、電磁放射線を放出するように構成される(ここで、Mは1000サイクルより大きい)。一例では、システムは、核融合反応のために燃料ペレットを点火するのに十分なエネルギーレベルを提供するために、リアクター領域内に配置され、キャビティ領域に結合された燃料ペレットまたは燃料ペレットを内部に含む容器と、反応領域の中心で生成された核融合反応の放射線がキャビティ領域を介してミラー装置と相互作用するのを防止するために、開口寸法を所定の寸法に縮小することによってミラー装置の一つへの何らかの損傷を低減するように構成された少なくとも2から500のW/Aの比とを有する。
【0075】
図10は、本発明の一実施例によるレーザー核融合システムの簡略図である。図示のように、このシステムは、核融合リアクターと共に構成された高出力パルスレーザーシステムを有する。核融合リアクターは、ブランケット構造内にペレットまたはホールラウムを含み、このブランケット構造は、中性子、ヘリウムおよびトリチウムの運動量エネルギーを含む核融合エネルギーを吸収して熱エネルギーを生成する。そして、中性子の一部は、燃料として再利用するためにトリチウムを増殖させるのに使用される。そして、その熱エネルギーは周囲の熱交換媒体に伝達される。ブランケットは、熱エネルギーをブランケットから熱交換媒体に伝達するように構成された熱交換媒体で囲まれている。熱交換材料は、熱交換器に接続する熱交換システムに移動するために、管を循環することができなければならない。熱交換器は、熱エネルギーを媒体から水に伝えて高圧蒸気を発生させ、タービンを回転させる。タービンが磁場中で回転することによって電気が発生し、自家発電や公共発電の送電網で使用する発電機として機能する。
【0076】
一例では、システムは、ブランケット構造を含む。核融合リアクターに内張りされるブランケット構造は、核融合反応チャンバー内でプラズマを取り囲むために使用される材料の層である。ブランケット構造の主な機能は、プラズマに対する構造的な支持を提供し、プラズマを反応チャンバーの壁から保護することである。ブランケット構造はまた、プラズマによって発生した熱を熱交換媒体に伝達する役割も担っている。ベリリウム微小球を含むブランケットは、中性子の一部を吸収してトリチウムを増倍させる効果がある。
【0077】
核融合炉のブランケット構造を設計する際には、考慮すべきいくつかの要素がある。重要な要因の一つは、ブランケット構造に使用される材料である。材料は、プラズマの高温・高圧、及び反応により発生する放射線に耐えるものでなければならない。ブランケット構造に一般的に使用される材料は、タングステンやモリブデンなどの耐火性金属、ステンレス鋼やハステロイなどの合金がある。
【0078】
考慮すべきもう一つの要因は、ブランケット構造の厚さである。ブランケット構造の厚さは、プラズマを構造的に支え、反応チャンバーの壁から保護するのに十分でなければならないが、プラズマから冷却システムへの熱伝達を阻害するほど厚くすべきではない。
【0079】
ブランケット構造も核融合炉の形状を考慮して設計されるべきである。ブランケット構造は、プラズマ及び反応チャンバーの形状に適合できるものでなければならず、反応の進行に伴うプラズマの形状の変化にも対応できるものでなければならない。好ましくは、ブランケット構造は、トリチウム材料を増殖させるために、他の化合物の中でもベリリウム微小球またはLi2TiO3を含む層を含む。
【0080】
全体として、核融合リアクターのための理想的なブランケット構造は、プラズマの高温高圧に耐えることができる材料で作られ、熱交換媒体への熱の効率的な伝達を可能にすると同時に、プラズマの構造的な支えと保護を提供するのに充分な厚さを持つものであろう。一例では、ブランケット構造の厚さは0.1mから1mである。ブランケット第一壁構造は、還元活性化フェライト鋼(例えば、RAF;Reduced Activation Ferritic/Martensitic Steel)、バナジウム合金(例えば、V-4Cr-4Ti;V合金)、シリコンカーバイド複合材(例えば、SiC/SiC複合材)など、およびそれらの組み合わせを含む、適切な材料で作られる。
【0081】
一例では、熱交換材料は、ブランケット構造を取り囲むように構成される。一例では、核融合リアクターの熱交換材料は、プラズマ、イオン化ガス、及び核融合反応由来のあらゆる種類の放射から冷却システムに熱を伝達するために使用される物質である。
【0082】
核融合リアクター用の熱交換材料を選択する際に考慮すべきいくつかの要因がある。重要な要因の一つは材料の熱伝導率であり、これは熱を伝達する能力の尺度である。熱伝導率の高い材料は熱を効率よく伝えるため、核融合リアクターでの使用に適している。熱伝導率の高い材料の例としては、金属材料が挙げられる。
【0083】
考慮すべきもう一つの要因は材料の融点である。熱交換材料は、管を循環して熱交換システムに移動し、そこで熱が水に伝達され、水が蒸気となって通常の蒸気タービンシステムに接続することができなければならない。そのためには、材料が低融点である必要がある。融点の低い材料としては、リチウムやナトリウムなどを含む。
【0084】
全体として、核融合リアクターの理想的な熱交換材料は、熱伝導率が高く、融点が低く、腐食や侵食に対する耐性に優れている。一例では、熱交換材料は、リチウムやナトリウムなどの任意の適切な材料とすることができる。もちろん、他のバリエーション、変更、代替も可能である。
【0085】
図11は、本発明の例による融合システムのより詳細な図である。図示のように、このシステムは、入力パラメータ及び情報、タイミング装置、ドライバ装置、及び核融合システムを含む様々な要素を含む。核融合システムは、外側熱交換領域と同心に構成された内側リアクター領域を有する。リアクターはまた、複数のレーザー装置を有し、各レーザー装置は、キャビティ領域を形成するための一対のミラー装置に対して構成される。複数のレーザー装置は、反応領域の外周に空間的に配置されている。システムは、ホールラウムまたはペレット供給装置を有する。システムは、光検出及び測距(LIDAR)システム及びビデオカメラシステムを有し、融合ペレット又はホールラウムの位置を撮像及び追跡する。
【0086】
示されるように、レーザー光源からの情報及び/又はフィードバックは、処理プラットフォームに供給される。処理プラットフォームは、適切なコンピュータベースのプロセッサ、コントローラ、又は他のタイプのプロセッサであり得る。フィードバックの例は、パルスタイミング、周波数、出力、及び他のパラメータを含む、光源及び各ミラーの裏面からの透過光を検出するためのフォトダイオードからの信号を含むことができる。また、レーザー装置を周期的に駆動させるためのパラメータも処理プラットフォームに入力される。処理プラットフォームはさらに、ダイナミックランダムアクセスメモリ、フラッシュメモリ、スタティックランダムアクセスメモリ、固定メモリ装置、ハードドライブ、電子および/または光学メモリ装置の任意の組み合わせを含む、揮発性および不揮発性メモリなどのストレージを含む。処理プラットフォームからの情報は、タイミング装置に供給される。タイミング装置は、情報と共に構成されるクロック信号で構成され、ドライバ装置のための一又は複数の電子信号を生成する。ドライバ装置には、リアクターの様々な要素に信号を送るための電気出力が含まれる。要素には、燃料ペレットまたはホールラウム供給装置が含まれる。本システムの更なる詳細は、本明細書全体を通して、特に以下に記載されている。
【0087】
図12は、本発明の一実施例における核融合システムのタイミング装置の詳細図である。図示の通り、タイミング装置は、例えば、動作状態、パルス持続時間、パルス動作、周波数、及び他の情報のようなレーザー特性の入力を受信する。タイミング装置は、他の要素の中でも、プログラム可能なソフトウェアプログラム、及びコンピュータハードウェアを含む。タイミング装置は、ドライバ装置から燃料ペレット供給装置または他のシステム構成要素にオン/オフ信号を出力する。
【0088】
一例では、「ドライブコンピュータ」とも呼ばれる高速ドライバであるドライブを制御するためのコンピュータは、アクチュエータなどの高速ドライバの動作を制御および監視するために使用される専用装置である。一例では、ドライブコンピュータは、典型的には、マイクロプロセッサまたはマイクロコントローラを含み、これはドライブの動作制御を担当する中央処理装置(CPU)の一種である。ドライブコンピュータはまた、入出力(I/O)インターフェースを含み、センサーまたは他の装置から入力信号を受信し、ドライブに制御信号を出力することができる。一例では、ドライブコンピュータは、データと命令を格納するためのメモリ、およびその機能を実行するための他のさまざまなハードウェアおよびソフトウェアコンポーネントも含むことができる。ドライブコンピュータの中には、他の装置やシステムと通信するための通信インターフェースや、ドライブの監視やトラブルシューティングを行うための内蔵診断ツールなどの追加機能を含むものもある。本システムおよび方法の詳細を以下に記す。
【0089】
例えば、高出力パルスレーザーをリアクター中央の燃料ペレットやホールラウムに当てるためには、全てのレーザー光源を同期させる必要がある。ペレットやホールラウムの位置は、LIDARやビデオカメラでモニターされ、コンピュータにフィードバックされて、全てのレーザー光源、ミラーの裏側に設置されたフォトダイオードの信号、燃料ペレットやホールラウムの供給速さ、供給繰り返し率と同期する。
【0090】
図13は、本発明の例における高強度パルスレーザーを生成するためのタイミング図である。「光源出力強度」とラベル付けされた最初の行に示したように、光源からの各レーザーパルスは、ナノ秒の範囲、例えば1~10ナノ秒のパルスを有する。パルスの周波数は、例えば、0.1~100マイクロ秒(0.01~10MHz)の範囲であり得る。キャビティ内の光強度は、光源からの各パルスごとに、第1のエネルギー強度、第2のエネルギー強度、M番目のエネルギー強度(Mは1,000以上)まで強度が増加する。Mは1,000以上であるが、用途によってはそれ以下でもそれ以上でもよい。各レーザーキャビティ領域からM番目のエネルギーが達成されると、本方法とシステムは各キャビティまたはリアクターの中心にペレットまたはホールラウムを投入し、核融合反応を開始させる。
【0091】
一例として、今回の高強度パルスレーザーシステムは、エネルギーを生成させるためのレーザー核融合システムとともに構成することができる。一例として、レーザー核融合は、原子核の結合によってエネルギーを放出するプロセスである核融合反応を開始し、維持するためにレーザーを使用するプロセスである。このプロセスは、実質的に無限のクリーンなエネルギー源を提供する可能性を秘めている。レーザー核融合では、高エネルギーのレーザービームを使ってプラズマを生成する。プラズマは、自由電子と原子核からなる高温の電離ガスである。その後、プラズマは圧縮され、非常に高い温度と圧力に加熱され、原子核が融合してエネルギーを放出する。レーザー核融合の一例としては、慣性核融合(ICF)がある。ICFでは、レーザービームを使って衝撃波を発生させ、核融合燃料の小さなペレットを圧縮する。レーザー核融合の詳細については後述する。
【0092】
一例として、本発明はレーザー核融合システムを提供する。このシステムはリアクターハウジングを有し、このリアクターハウジングは真空環境に維持された内部領域を含む。リアクターハウジングは真空チャンバーを形成する。システムは、リアクターハウジングの空間的に中央の領域の近傍内にある反応領域と、リアクターハウジングの内部内に形成された周辺領域とを有し、周辺領域はリアクター領域を取り囲む。一例では、システムは、リアクターハウジングの外側で、内部に接続し、真空を維持する放射状の突起を形成し、図示のように、その先の内部に反射鏡を作成する。
【0093】
一例では、システムは、リアクターハウジングの内部領域内に1からNまでの番号が付けられ、周辺領域の周囲に空間的に配置された複数のキャビティ領域を備え、各キャビティ領域は、周辺領域の第1の側から第2の側まで延びる。好ましくは、第1の側は第2の側に直線上で対向し、内部領域の直径に沿った直線状の経路を形成する。一例として、複数のキャビティ領域は、ハブおよびスポーク構成を形成し、各キャビティ領域は、リアクター領域と同心の中心領域を持ち、第1の端部が第1の側に、第2の端部が第2の側に結合されている。Nは10を超え、100、200、数千になることもあり、他の例ではより少ないキャビティであってもよい。
【0094】
一例では、一対のミラーが、キャビティ領域の第1の端部及び第2の端部にそれぞれ構成される。一例では、レーザー光源は、一対のミラー装置の間をレーザー光源から伝搬するレーザービームが、一対のミラー装置の間を伝搬するレーザービームのMサイクルの間、第1の強度から第2の強度へ、さらにM番目の強度へとエネルギー強度が増加するように、一対のミラー装置の少なくとも一方に結合された電磁放射線を放出するように構成される。Mは1,000サイクルより大きいが、それより少なくても多くてもよい。
【0095】
一例では、Nは10~200、Mは1,000およびそれ以上である。
【0096】
一例では、システムは、リアクター領域内に配置された燃料ペレット又は燃料ペレットを内部に含む容器を有し、核融合反応のために燃料ペレットを直接又は間接的(前述したようにホールラウム内部のX線放射を通して)に点火するのに十分なエネルギーレベルを提供するために、複数のキャビティ領域の各々がリアクター領域内で空間的に交差するように複数のキャビティ領域に結合される。
【0097】
一例では、システムはまた、各対のミラーの少なくとも1つに結合され、レーザー装置に対向するように構成された、フォトダイオード検出装置を有する。
【0098】
一例では、各一対のミラーはカーブしたまたは変形可能なミラー装置である。一例では、各ミラーは99.99%以上の反射率を持つ高反射率カーブミラーであり、レーザー核融合システムの反応領域に焦点を合わせている。一実施例では、各ミラーは、真空環境に維持されたリアクターハウジングの内部に配置される。最も好ましいミラーの位置は、図示したように、リアクターハウジングの外側に構成され、内側に接続し、真空を維持しながら放射状の突起を作り、その先に内側に反射ミラーを作る。
【0099】
一例では、各キャビティ領域は、ファブリペロー共振器である。一例では、レーザー光源は、0.01ジュール以上のパワーの電磁放射を出力するように構成されている。
【0100】
一例では、管開口領域は、燃料ペレット(またはホールラウム)送出装置に結合された真空領域である。まず、ペレット(またはホールラウム)は、燃料ペレット(またはホールラウム)送出装置がリアクターの外部にあるため、大気圧で燃料ペレット(またはホールラウム)送出装置の内部に配置される。管内のゲートまたはバルブを開くと、大気圧から真空への圧力差により、燃料ペレット(またはホールラウム)が管内に吸い込まれる。そして、燃料ペレット(またはホールラウム)は、管の開口部から反応領域に高速で投入される。
【0101】
一例では、容器はホールラウムである。一例では、容器はホールラウムであり、レーザービームはホールラウムの内面に照射され、燃料ペレットと相互作用するX線を発生させる。一例では、容器はホールラウムであり、レーザービームはホールラウムの内面に照射され、燃料ペレットを照射して核融合反応を起こすX線を発生させる。
【0102】
一例では、システムは、リアクターハウジングに構成され、核融合エネルギーを熱エネルギーに変えるためにリアクターハウジングから核融合エネルギーを吸収するように適合された、ブランケット構造を有する。ブランケット構造は、ブランケット構造から熱交換媒体に熱エネルギーを伝達するように構成された、熱交換媒体に結合されている。一例では、熱交換媒体は、熱交換媒体から熱エネルギーを水に伝達し、タービンを回転させるのに適合した高圧蒸気を生成し、タービンは電気エネルギーを発生させるために発電機に結合される。ブランケット構造と熱交換媒体は、一例では、ミラーが配置される周辺領域のリアクターハウジングの直径と比較して、核融合エネルギーを効果的に吸収するために、より小さな直径を有するリアクターハウジングの領域に配置される。
【0103】
一例では、システムは、リアクターハウジングに結合された燃料ペレット又はホールラウムデリバリー装置と、燃料ペレット又はホールラウムデリバリー装置に結合されたタイミング装置と、タイミング装置と燃料ペレットデリバリー装置の間に結合されたドライバ装置と、を有する。一例では、燃料ペレットまたはホールラウムは、レーザー核融合システムの反応領域の近傍にある管によって送られる。一例では、管は反応領域から0.01mmまたは20mm未満の開口部を有する。燃料ペレットまたはホールラウムは、一例では、反応領域での速さが毎秒0.5kmから毎秒100kmであることを特徴とする。燃料ペレットまたはホールラウムは、一例では、反応領域で1Hz~50Hzの繰り返し率で供給され、燃料ペレットまたはホールラウム送出装置領域と管の開口領域との間の圧力差、または火薬、または他のエネルギーまたは加速装置、を用いて高速に加速される。
【0104】
一例では、各対のミラー間の空間長によって定義されるキャビティ領域は、リアクターハウジングの直径よりも大きく、さらに、レーザー核融合システムの反応領域で核融合反応によって発生する放射線によるミラー装置のいずれかの損傷を低減するために、より小さい直径のリアクターハウジングの外壁または内壁上に構成されたブランケット構造および熱交換媒体を含む。
【0105】
一例として、本発明は、レーザー核融合システムを提供する。このシステムは、真空環境に維持された内部領域を有する、リアクターハウジングを有する。システムは、リアクターハウジングの外周に沿って空間的に配置された、複数の開口領域を有する。一例では、開口領域の各々は、Aの開口寸法を有する。一例において、システムは、リアクターハウジングの空間的に中央の領域の近傍内に反応領域を有する。反応領域は、リアクター領域の主要断面に沿って延びるリアクター長さを特徴としている。
【0106】
一例では、複数のキャビティ領域の各々が反応領域を貫通して空間的に配置されるように、反応領域と連通する1からNまでの番号が付けられた複数のキャビティ領域が設けられている。複数のキャビティ領域の各々は、互いに対向する一対の開口領域を通じて構成されており、そして、複数のキャビティ領域がハブとスポークの構成を形成し、反応領域の空間的に中央の領域内に交差領域があることにより特徴づけられるように、反応領域の外側に延びている。一例では、Nは10より大きいが、これより大きくても小さくてもよい。
【0107】
一例では、各キャビティ領域の第1の端部と第2の端部にそれぞれ一対のミラーが構成されており、各ミラーはWのミラー寸法を有する。
【0108】
一例では、レーザー光源は、電磁放射線を放出するように構成され、一対のミラー装置の間でレーザー光源から伝搬するレーザービームが、一対のミラー装置の間で伝搬するレーザービームのMサイクルの間、第1の強度から第2の強度、M番目の強度までエネルギー強度が増加するように、一対のミラー装置の少なくとも一方に結合される(ここで、Mは1000サイクルより大きい)。
【0109】
一例では、燃料ペレット又は容器は、リアクター領域内に配置され、核融合反応のために燃料ペレットを点火するのに十分なエネルギーレベルを提供するために、複数のキャビティ領域の各々がリアクター領域内で空間的に交差するように、複数のキャビティ領域に結合される。
【0110】
一例では、反応領域の中心で発生した核融合反応の放射線がキャビティ領域のいずれか1つを通してミラー装置と相互作用するのを防止するために開口寸法を所定の寸法に縮小することによって、1つ以上のミラー装置への何らかの損傷を低減するように、2~500のW/A比が構成される。
【0111】
一例では、開口寸法Aは開口の直径、幅、高さ、または主要寸法であり、ミラー寸法Wはミラーの直径、幅、高さ、または主要寸法である。
【0112】
一例として、本発明はレーザー核融合システムを提供する。このシステムは、真空環境に維持された内部領域を有するリアクターハウジングを有する。一例では、システムは、リアクターハウジングの周辺に沿って空間的に配置された少なくとも一対の開口領域を有し、開口領域の各々は、Aの開口寸法を有し、リアクターハウジングの空間的に中央の領域の近傍内に反応領域を有する。一例において、反応領域は、リアクター領域の主要断面に沿って延びるリアクター長さを特徴とする。一例において、光学キャビティ領域が反応領域を通って空間的に配置されるように、反応領域と連通する少なくとも1つのキャビティ領域は、互いに対向する一対の開口領域を通って構成され、反応領域の外側に延びる。一例では、キャビティ領域の第1端と第2端にそれぞれ一対のミラーが構成され、各ミラーはWのミラー寸法を有する。レーザー光源は、電磁放射線を放出するように構成されており、キャビティ領域内でレーザー光源から一対のミラー装置間を伝搬するレーザービームが、一対のミラー装置間を伝搬するレーザービームのMサイクルの間、第一の強度から第二の強度へ、そしてM番目の強度へとエネルギー強度が増加するように、一対のミラー装置の一方に結合される(ここで、Mは1000サイクルより大きい)。一例では、システムは、核融合反応のために燃料ペレットを点火するのに十分なエネルギーレベルを提供するために、リアクター領域内に配置され、キャビティ領域に結合された燃料ペレットまたは燃料ペレットを内部に含む容器と、反応領域の中心で生成された核融合反応の放射線がキャビティ領域を介してミラー装置と相互作用するのを防止するために開口寸法を所定の寸法に縮小することによって、ミラー装置の一つへの何らかの損傷を低減するように構成された、少なくとも2から500までのW/Aの比と、を有する。
【0113】
上記は具体例の完全な説明であるが、様々な修正、代替構造および同等物を使用することができる。一例として、パッケージ化された装置は、本明細書外だけでなく、上述した要素の任意の組み合わせを含むことができる。一例では、高強度レーザーは、各レーザービームの強め合う干渉を利用して、一対のミラー装置の間に共振器を形成する。一例では、高強度パルスレーザーによる第一経路は、共振器装置に設けられる。一実施例において、本発明は、反応領域内に同心円状または球状の共振器を生成し、反応器の中心にレーザー光を集光するシステムおよび方法を提供する。したがって、上記の説明および図示は、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【外国語明細書】