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特開2024-105190外科手術システムおよびその動作方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024105190
(43)【公開日】2024-08-06
(54)【発明の名称】外科手術システムおよびその動作方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 34/10 20160101AFI20240730BHJP
   A61B 18/12 20060101ALI20240730BHJP
   A61B 17/00 20060101ALI20240730BHJP
   A61B 18/04 20060101ALI20240730BHJP
【FI】
A61B34/10
A61B18/12
A61B17/00 700
A61B18/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024002184
(22)【出願日】2024-01-10
(31)【優先権主張番号】23153318
(32)【優先日】2023-01-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】592245823
【氏名又は名称】エルベ エレクトロメディジン ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Erbe Elektromedizin GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(72)【発明者】
【氏名】ペーター・ゼーリヒ
(72)【発明者】
【氏名】ヤニック・ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】セバスティアン・シュレーハウフ
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160JJ17
4C160JJ25
4C160KK02
4C160KK23
4C160KK70
(57)【要約】      (修正有)
【課題】外科手術装置によって制御される電気外科手術器具を有する外科手術システムならびにその動作のための方法を提供する。
【解決手段】外科手術装置11は、外科手術器具12の少なくとも1つの動作パラメータBを制御する。外科手術システム10は、現在実施または計画されている使用タイプVを識別するように構成された評価ユニット28を有し、使用タイプVは、実施される手術のタイプに特徴的である。少なくとも1つのパターンパラメータMが、識別された使用タイプVに割り当てられ、それぞれ割り当てられた動作パラメータBと比較することができる。比較の結果に基づいて、少なくとも1つの対策、例えば情報(INF)の出力および/または少なくとも1つの動作パラメータBの適応を開始することができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科手術システム(10)であって、
外科手術器具(12)、特に電気外科手術器具(13)と、
前記外科手術器具(12)と接続するように構成され、前記外科手術器具(12)の少なくとも1つの動作パラメータ(B)を制御するように構成された制御ユニット(23)を備える外科手術装置(11)と、
前記外科手術装置(11)と通信可能に接続された評価ユニット(28)と、を備え、
前記評価ユニット(28)は、
前記外科手術器具(12)の現在実施されているまたは計画されている使用タイプ(V)を識別するように、
少なくとも1つのパターンパラメータ(M)を前記使用タイプ(V)に割り当てるように、
前記使用タイプ(V)の前記少なくとも1つの動作パラメータ(B)を前記少なくとも1つのパターンパラメータ(M)と比較するように、ならびに
前記比較の結果に応じて実施される少なくとも1つの対策(X,INF)を決定および開始するように構成される、
外科手術システム。
【請求項2】
前記使用タイプ(Vはが、前記少なくとも1つの動作パラメータ(B)の設定の時間的シーケンスによって特徴付けられる、
請求項1に記載の外科手術システム。
【請求項3】
前記少なくとも1つの動作パラメータ(B)は、前記外科手術器具に提供される電気信号および/または前記外科手術器具に提供される流体の流体パラメータおよび/または前記外科手術器具に提供される光学信号を含む、
請求項1に記載の外科手術システム。
【請求項4】
前記少なくとも1つの動作パラメータ(B)は、
前記外科手術器具(12)に提供される電気出力信号の振幅(A1,A2,A3,A4)および/または周波数(f1,f2,f3,f4)、
前記電気出力信号の波高率、
前記電気出力信号がパルス幅変調されている場合の前記電気出力信号のデューティサイクル、
前記電気出力信号の波形および/またはモード、
前記外科手術器具(12)に提供される流体(F)の流体圧力および/または体積流量
のうちの1つまたは複数の動作パラメータ(B)を含むことができる、
請求項1に記載の外科手術システム。
【請求項5】
前記評価ユニット(28)は、対策または前記対策の1つとして、前記動作パラメータ(B)または前記動作パラメータ(B)のうちの少なくとも1つを修正するように構成される、
請求項1に記載の外科手術システム。
【請求項6】
前記評価ユニット(28)は、前記比較の結果として、または前記比較の結果の1つとして、前記動作パラメータ(B)または前記動作パラメータ(B)の少なくとも1つと前記それぞれ割り当てられたパターンパラメータ(M)との間の偏差(D)を決定するようにさらに構成される、
請求項1に記載の外科手術システム。
【請求項7】
前記評価ユニット(28)は、前記偏差(D)が偏差基準(K)を満たす場合に、前記対策または前記対策のうちの1つを決定し開始するようにさらに構成される、
請求項6に記載の外科手術システム。
【請求項8】
前記評価ユニット(28)が、対策として、または前記対策の少なくとも1つとして情報(INF)を出力するように構成され、前記情報(INF)は、
前記少なくとも1つのパターンパラメータ(M)からの前記少なくとも1つの動作パラメータ(B)の偏差についての警告、
前記動作パラメータ(B)または前記動作パラメータ(B)の少なくとも1つの変更に言及する推奨事項、
続いて実施される1つまたは複数ステップに言及する情報、
続いて実施される1つまたは複数のステップのために必要とされる1つまたは複数のリソースに言及する情報、
続いて実施される1つまたは複数のステップの持続時間に言及する情報
のうちの1つまたは複数の情報を含むことができる、
請求項1に記載の外科手術システム。
【請求項9】
前記外科手術装置(11)は、通信ネットワーク(29)によってデータ管理システム(30)に接続される、
請求項1に記載の外科手術システム。
【請求項10】
前記評価ユニット(28)は、前記計画されている使用タイプ(V)を識別する情報を前記外科手術器具(12)の使用の開始前に前記データ管理システム(30)から受信するように構成される、
請求項9に記載の外科手術システム。
【請求項11】
前記外科手術装置(11)は、前記外科手術器具(12)の使用中に発生する前記動作パラメータ(B)または前記動作パラメータ(B)の少なくとも1つを記憶し、および/または前記動作パラメータまたは複数の前記動作パラメータを前記データ管理システム(30)に送信するように構成される、
請求項9に記載の外科手術システム。
【請求項12】
前記評価ユニット(28)は、前記外科手術器具(12)の使用中に前記少なくとも1つの動作パラメータ(B)を決定し、前記動作パラメータを複数の使用パターン(P)の前記少なくとも1つのパターンパラメータ(M)と比較し、前記少なくとも1つの動作パラメータ(B)と前記少なくとも1つのパターンパラメータ(M)との間に十分な類似性が決定された場合に、現在実施されている前記使用タイプ(V)を識別するように構成される、
請求項1から11のいずれか一項に記載の外科手術システム。
【請求項13】
前記評価ユニット(28)は、前記比較の結果として実施される、前記外科手術器具の使用の評価を決定するように構成される、
請求項1から11のいずれか一項に記載の外科手術システム。
【請求項14】
外科手術システム(10)の動作のための方法であって、
前記外科手術システム(10)は、外科手術装置(11)と、前記外科手術装置に接続された外科手術器具(12)と、を備え、前記外科手術装置(11)は、前記外科手術器具(12)の少なくとも1つの動作パラメータ(B)を制御するように構成された制御ユニット(23)を備え、
前記方法は、
前記外科手術器具(12)の現在実施されている、または計画されている使用タイプ(V)の識別と、
前記使用タイプ(V)への少なくとも1つのパターンパラメータ(M)の割り当てと、
前記使用タイプ(V)の前記少なくとも1つの動作パラメータ(B)と前記少なくとも1つのパターンパラメータ(M)との比較と、
前記比較の結果に応じて実施されるべき少なくとも1つの対策(X,INF)の決定および開始と、を含む、
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外科手術器具と、外科手術器具を接続するように構成された外科手術装置とを備える外科手術システムに関する。外科手術器具は、特に、少なくとも1つの電極を有する電気外科手術器具である。代替的または追加的に、外科手術器具は、超音波器具またはウォータージェット外科手術器具であることもできる。外科手術器具は、電気的にのみ動作することができ、この目的のために、外科手術装置によって電気出力電力が供給され得る。加えて、または代替として、少なくとも1つの流体、例えばアルゴンまたは別の不活性ガスなどのプラズマを生成するためのガス、および/またはウォータージェット手術用の水などの液体を、外科手術器具の操作のために外科手術装置によって提供することができる。
【背景技術】
【0002】
従来技術では、そのような外科手術システムの動作を改善および最適化するために、様々な手法が追求されてきた。
【0003】
特許文献1は、手術の進行を監視し、潜在的に手術のリスクを示すために、手術室からの異なる監視データを使用することを提案している。この目的のために、手術室では異なる監視センサ、例えば、手術チームが装備する脳波センサ(EEGセンサ)または手術室内の監視カメラが使用される。監視センサのデータは、統計的方法によって評価することができる。
【0004】
手術の監視方法は、特許文献2から知られている。この方法では、器具の動作データおよび器具を使用する操作者のセンサデータが評価ユニットに提出される外科手術システムが使用される。操作者の行動が評価され、操作者へのフィードバックが作成され、操作者はその際に器具の使用を適応させることができる。例えば、動きまたはバイオマーカーを、それぞれの検出システムによって検出することができる操作者に配置することができる。
【0005】
特許文献3は、外科手術の実際の持続時間を抽出するための方法およびシステムを開示している。それにより、持続時間の合計は、患者が外科手術ツールによって処置される実際の外科手術と見なされる。この持続時間を決定するために、外科手術方法の総持続時間が決定され、そこから外科的処置が行われない持続時間が差し引かれる。
【0006】
外科手術の進行を監視することに加えて、外科手術システムの少なくとも1つの動作パラメータを監視し、それに基づいて外科手術システムの設定を適応させることも知られている。例えば、特許文献4は、そのような手法を説明している。そうすることで、接続された外科手術器具の動作のために外科手術システムによって特に提供されるモードが、適応され、破棄され、または再生成されるものとする。
【0007】
電気外科手術発電機の効率を改善するためのシステムが、特許文献5から明らかである。発電機は、接続された電気外科手術器具のためのHF信号を生成するためのインバータを備える。インバータの電力効率が決定される。インバータの電力効率が閾値に達した場合、インバータの制御は、いくつかのスイッチオフ期間によって補完される。そうすることで、発電機の効率は、低い出力電力レベルにおいて改善されるものとする。
【0008】
特許文献6には、HF出力電圧を提供するための外科手術装置と、それに接続された電気外科手術器具とを有する外科手術システムが記載されている。電気外科手術器具の動作パラメータを十分に正確に調整するために、処置された組織に応じて変化する電気負荷が決定される。この負荷に応じて、触覚的に知覚可能な信号が操作者のために外科手術器具上に生成される。その際、操作者は、切断速度および/または切断深さなどの外科手術器具の使用を適応させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許出願公開第2018/028088号明細書
【特許文献2】国際出願公開第2022/157695号
【特許文献3】欧州特許出願公開第3895176号明細書
【特許文献4】欧州特許出願公開第3876238号明細書
【特許文献5】欧州特許出願公開第3167834号明細書
【特許文献6】独国特許出願公開第102009024612号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、外科手術システムの使用をさらに改善することである。本発明の目的は、現在の使用中および/または将来の使用のために外科手術システムの使用を最適化することであると考えることができる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明による外科手術システムは、外科手術装置と、それに接続された外科手術器具とを備える。外科手術器具は、特に、電気外科手術器具である。外科手術装置は、接続された外科手術器具に必要な電力および/または必要な作動媒体を供給するように構成される。電力またはエネルギーは、高周波(HF)出力信号として提供することができる。外科手術器具の構成に応じて、電気エネルギーに加えて、またはその代わりに、気体または液体などの作動媒体を提供することができる。例えば、ガスは、外科手術器具におけるプラズマ生成に必要とされ、使用され得る。外科手術器具に電力および/または作動媒体を供給するために、外科手術装置は供給ユニットを備えることができる。
【0012】
外科手術装置は、制御ユニットをさらに備える。例えば、制御ユニットは、供給ユニットおよび/または外科手術器具を直接制御するように構成することができる。制御ユニットによって、外科手術器具の少なくとも1つの動作パラメータを設定することができる。
【0013】
外科手術システムは、評価ユニットをさらに備える。評価ユニットは、少なくとも部分的に、外科手術装置の構成要素であることができる。評価ユニットはまた、部分的にまたは完全に外科手術装置の外部で実現することもできる。いずれの場合も、評価ユニットは、外科手術装置に通信可能に接続される。
【0014】
評価ユニットは、外科手術器具の現在実行されている適用タイプもしくは使用タイプ、または外科手術器具の今後計画されている適用タイプもしくは使用タイプを識別するように構成される。外科手術器具の適用タイプまたは使用タイプは、特に、外科手術システムまたは外科手術器具によって実行される外科手術のタイプ、すなわち外科的処置のタイプを意味する。適用タイプ、特に外科手術または外科的処置のタイプは、外科手術中に治療される組織のタイプまたは複数の組織のタイプ、例えば切断、凝固、融合などによって特徴付けられる。それにより、外科手術システムの適用タイプは、異なる組織のタイプに対する影響のシーケンスまたは時間的進行によって特徴付けることができる。外科手術器具の適用タイプまたは使用タイプは、それが関連付けられている手術野(胃腸科、呼吸器科系、婦人科系、泌尿器科系、腹部手術など)によって、および/または少なくとも1つの処置された組織のタイプによって互いに区別することができる。外科手術器具の適用タイプまたは使用タイプの例は、異なる組織のタイプ(皮膚および/または筋肉組織および/または脂肪組織および/または内臓など)に対する生検または筋切開または切除、気管支の再開通などであることができる。
【0015】
現在実行されている、または計画されているタイプの適用の識別は、外科手術器具の現在の使用中の少なくとも1つの動作パラメータの検出に基づくことができる。例えば、適用のタイプは、少なくとも1つの動作パラメータが評価されるという点で互いに区別することができる。例えば、以下の評価の1つまたは複数によって区別を可能にすることができる。
-動作パラメータまたは複数の動作パラメータの異なる設定の発生、
-動作パラメータまたは複数の動作パラメータの異なる設定の発生順序、
-動作パラメータまたは複数の動作パラメータの1つまたは複数の設定の持続時間、
-動作パラメータまたは複数の動作パラメータの時間的進行、
-それぞれの観測時点に対する複数の動作パラメータの設定の組み合わせ。
【0016】
外科手術システムの使用タイプを識別するために、少なくとも1つの動作パラメータを決定することができ、1つまたは複数の使用パターンの割り当てられたパターンパラメータと比較することができる。現在の適用の少なくとも1つの動作パラメータと使用パターンの少なくとも1つのパターンパラメータとの間の十分な類似性が決定される場合、そこから、外科手術器具の現在の使用タイプが使用パターンの使用タイプと一致すると結論付けることができる。言い換えれば、現在の使用タイプは、十分に類似した使用パターンの既知の使用タイプに対応する。このようにして、現在行われている外科手術器具の使用タイプを識別することが可能である。このタイプの識別では、例えば外科手術システムのユーザインターフェースを介した入力によって、または外科手術システムを接続することができるデータ管理システムによる適用タイプの送信によって使用タイプを外科手術システムに別々に提出する必要はない。
【0017】
類似性の確認には、パターン認識の分野でも用いられている公知の手法を用いることができる。少なくとも1つの動作パラメータがそれぞれ割り当てられたパターンパラメータと同一である場合、および/または差が許容範囲内にある場合、十分な類似性が決定される。
【0018】
追加的または代替的に、今後の外科手術のための計画されている適用タイプを定義することも可能である。この目的のために、操作者は、例えば外科手術システムの操作インターフェース、特に外科手術装置の操作インターフェースによって、計画された適用タイプ、特に実施される外科的処置のタイプを入力することができる。使用タイプは、データ管理システム(例えば、データベースおよび/またはデータ処理システム)、特に病院情報システム(HIS)内に記憶することもできる。外科手術システムは、通信ネットワークによってデータ管理システムと通信可能に接続することができ、データ管理システムから計画された使用タイプを取り出すことができ、またはデータ管理システムによって自動的に提出することができる。データ管理システムは、外科手術システム、特に外科手術装置と無線および/または有線で通信可能に接続することができる。外科手術装置は、この目的のために、それぞれの通信インターフェースを備えることができる。
【0019】
外科手術装置の評価ユニットが外科手術器具の現在の適用に基づいて使用タイプの識別を決定する場合、識別は、外科手術器具の使用開始後に少なくともわずかに時間的に遅延して実施される。定期的に、少なくとも1つの動作パラメータに基づく使用タイプの識別および少なくとも1つの使用パターンとのパターン比較は、外科手術の進行中に十分に早期に実施することができ、その結果、使用タイプは、依然として実施されなければならない外科手術全体の一部、特に優勢な部分について少なくとも知られている。
【0020】
使用タイプが識別された後、外科手術器具の少なくとも1つの動作パラメータを使用パターンの少なくとも1つのパターンパラメータと比較することができる。使用パターンは、外科手術システムの予定または現在の適用と同じ使用タイプに割り当てられる。例えば、使用パターンは、識別された適用タイプの一般的または理想的な使用であることができる。比較の結果に応じて、実施される対策を評価ユニットによって開始または実施することができる。例えば、それぞれ割り当てられたパターンパラメータからの1つまたは複数の動作パラメータ間の偏差を、例えば定量的および/または定性的に示すことができる。それに基づいて、現在の使用の評価をオプションとして実施することもできる。
【0021】
外科手術装置、特に評価ユニットによって開始または実施することができる少なくとも1つの対策は、例えば、操作者または外科手術チームのメンバーへの情報の出力であることができる。情報は、スクリーン上の光学情報として、および/またはスピーカを介した音響情報として、および/または外科手術器具上の触覚情報として出力することができる。情報は、以下に示される情報または複数の情報を任意の組み合わせで含むことができる。
-それぞれ割り当てられたパターンパラメータからの少なくとも1つの動作パラメータの偏差が存在する場合の警告、
-動作パラメータまたは動作パラメータの少なくとも1つの修正された設定の推奨、
-外科手術の文脈において必要な1つまたは複数の今後のステップに関する情報。
【0022】
少なくとも1つの対策は、追加的または代替的に、動作パラメータのうちの1つもしくは動作パラメータの複数を自動的に修正すること、または動作パラメータのうちの1つまたは複数の適応の提案を示すことを含むことができる。
【0023】
比較の結果に基づいて、少なくとも1つの対策として、情報を操作者および/または手術チームのメンバーおよび/または計画インスタンスに出力することができる。そのような情報は、例えば、以下の態様のうちの1つまたは複数を含むことができる。
-適用または外科手術の終了までの決定された残りの持続時間、
-適用または外科手術の少なくとも1つの後続の適用ステップの決定された持続時間、
-少なくとも1つの後続の適用ステップに必要とされるリソース(材料および/または人)。
【0024】
比較が少なくとも1つの動作パラメータと少なくとも1つのパターンパラメータとの間の偏差を示す場合、またはそのような偏差が決定されていない場合にも、この情報を決定して出力することができる。この情報に基づいて、例えば、手術室の占有、洗浄および滅菌プロセス、薬剤または器具の要件、人員配置、または任意の他のリソースを計画および/または適応させることができる。
【0025】
少なくとも1つの適切な対策の決定および開始または実行は、本発明による現在のまたは計画されているタイプの適用の識別、すなわち特に外科手術システムを使用する現在実行されているが、または計画されているタイプの処置に基づく。したがって、少なくとも1つの対策は、実際の状況、特に現在の外科的処置に非常に正確に適応させることができ、これは外科手術システムの顕著な付加価値である。例えば、動作パラメータの誤った設定の危険性を低減または完全に排除することができる。処置中の組織の望ましくない障害を低減または回避することができる。
【0026】
少なくとも1つの対策はまた、動作パラメータまたは動作パラメータのうちの1つの自動適応を含むことができる。
【0027】
少なくとも1つの動作パラメータは、外科手術装置によって外科手術器具に提供される電気出力信号および/または光出力信号および/または流体パラメータおよび/または電力パラメータであることができる。例えば、以下のパラメータのうちの1つまたは複数を動作パラメータとして使用することができる。
-電気出力信号、特に高周波出力信号、例えば出力電圧および/または出力電流の振幅および/または周波数、
-電気出力信号の波高率、
-電気出力信号がパルス幅変調された電気出力信号である場合、電気出力信号のデューティサイクル、
-電気出力信号の波形または電気出力信号の一部(例えば、半波)、
-電気出力信号のモード、
-外科手術器具に供給される流体の流体パラメータ、例えば流体圧力および/または体積流量、
-光出力信号。
【0028】
電気出力信号は、電気出力電圧および/または電気出力電流であることができる。動作パラメータは、出力電圧のみ、または出力電流のみ、または出力電圧および出力電流に対して任意に設定することができる。
【0029】
一実施形態では、評価ユニットは、さらに、比較の結果として、または比較の結果の1つとして、それぞれ割り当てられたパターンパラメータと比較された、外科手術器具の現在の適用中の動作パラメータまたは使用される動作パラメータの少なくとも1つとの間の偏差を決定するように構成される。少なくとも1つの対策は、特に偏差に応じて決定され、開始される。偏差が偏差基準を満たす場合にのみ、対策または対策の1つが決定され、開始されると、特に有利である。偏差基準は、定量的または定性的な偏差基準であることができる。例えば、決定された偏差が偏差基準によって定義された閾値を超えた場合にのみ、特定の対策を開始することが可能である。
【0030】
外科手術器具の使用中、動作パラメータまたは調整可能な動作パラメータの1つは、例えば、所定の監視時点で連続的にまたは時間離散的に決定および記憶することができる。このようにして、1つまたは複数の動作パラメータの設定の時間的シーケンスおよび/または動作パラメータの連続的な時間的進行を決定し、任意選択的に記憶することができる。
【0031】
好ましくは、外科手術装置は、外科手術システムがデータ管理システムに通信可能に接続されている場合、外科手術器具の使用中に動作パラメータまたは動作パラメータの少なくとも1つを記憶し、および/または外科手術器具の使用中に動作パラメータまたは動作パラメータの少なくとも1つをデータ管理システムに送信するように構成される。通信接続は、一時的に確立することもでき、その結果、確立された通信接続中にバッファされた動作パラメータを送信することができる。加えて、または代替として、外科手術システム、特に外科手術装置は、少なくとも1つの動作パラメータの記憶されたデータを外部記憶媒体に送信するために記憶媒体を接続させることができるインターフェース(例えば、USBインターフェース)を備えることができる。
【0032】
本発明の有利な実施形態は、従属請求項、説明、および図から導かれる。以下において、本発明の好ましい実施形態が、図に基づいて詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】外科手術システムの一実施形態の概略図である。
図2】外科手術システム、特に図1の外科手術システムを動作させるための方法の一実施形態のフロー図である。
図3】外科手術システムの電気外科手術器具のパターン使用の複数のパターンパラメータの例示的な概略図である。
図4】時点に依存する電気外科手術器具の使用中の少なくとも1つの動作パラメータの例示的な概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図1では、外科手術システム10は、外科手術装置11と、外科手術装置11に接続された外科手術器具12とを備えるブロック図のタイプで概略的に示されている。この実施形態では、外科手術器具12は電気外科手術器具13である。電気外科手術器具13は、少なくとも1つの電極14を有する。少なくとも1つの電極14によって、電気外科手術器具13は、患者の組織15に影響を及ぼすことができる。
【0035】
外科手術器具12は、器具ライン16を介して外科手術装置11に接続される。器具ライン16は、外科手術器具12と外科手術装置11との間の電気的および/または流体的および/または光学的接続を提供することができる。電気外科手術器具13の場合、少なくとも電気的接続が確立される。
【0036】
図1に示す実施形態では、電気外科手術器具13は単極器具として構成される。電気外科手術器具13による処置のために電流が組織15に流れる場合、患者の中性電極17は、治療電流閉回路の確立を提供する。中性電極17は、患者に導電的に接続され、さらに中性電極ライン18を介して外科手術装置11に電気的に接続される。双極電気外科手術器具13の使用中、中性電極17は省略することができる。
【0037】
外科手術装置11は、電力もしくはエネルギーおよび/または少なくとも1つの操作媒体を外科手術器具12に供給するように構成される。その供給のために、外科手術装置11は供給ユニット19を備える。供給ユニット19によって、電気出力信号および/または流体および/または光学信号および/またはレーザ光などの形態のエネルギーが外科手術器具12に提供される。図1に示す実施形態では、供給ユニット19は、電気出力電圧UAおよび/または電気出力電流IAとして提供することができる電気出力信号を電気外科手術器具13の少なくとも1つの電極14に印加するための発電機20を備える。電気出力電圧UAおよび/または電気出力電流IAは、特に、例えば100kHzまたは300kHzから4MHzまでの周波数範囲の高周波電気出力信号であることができる。任意選択的に、供給ユニット19は、プラズマ生成用のガスおよび/またはパージガスを電気外科手術器具13に供給するために、発電機20に加えてガス源21も備えることができる。
【0038】
外科手術器具12は、測定されるパラメータを記述する測定信号を外科手術器具12の適用中に生成し、それを器具ライン16を介して外科手術装置11、特に外科手術装置11の制御ユニット23に送信するために、少なくとも1つのセンサ22をさらに備えることができる。例えば、少なくとも1つの電極14による組織15への影響中に生成される光Lは、センサ22によって検出することができる。例えば、光Lは、少なくとも1つの電極14と組織15との間のスパーク形成により放射され得る。測定信号は、制御ユニット23において分析することができる。例えば、光Lの分光分析を実施することができる。測定信号から、少なくとも1つの動作パラメータBを決定することができる。したがって、測定信号および/またはそれから導出された動作パラメータに基づいて、外科手術器具12の動作を監視することができ、必要に応じて、動作パラメータBまたは動作パラメータBのうちの1つを閉制御ループで制御することができる。
【0039】
通常、制御ユニット23は、外科手術器具12がそれによって操作される少なくとも1つの動作パラメータBを制御するように構成される。この動作パラメータBは、外科手術装置11により設定可能である。この目的のために、制御ユニット23は、例えば、1つまたは複数の動作パラメータBを設定または調整するために、供給ユニット19に制御信号Sを送信することができる。
【0040】
外科手術装置11は、評価ユニット28をさらに有する。評価ユニット28は、この例によれば外科手術装置11の一部であるが、図1に代えて、外科手術装置11の外部に配置することもでき、例えば通信ネットワーク29によって外科手術装置11に通信可能に接続することができる。通信ネットワーク29を介した接続は、有線または無線であることができる。
【0041】
評価ユニット28および制御ユニット23は、この例により通信可能に接続されているか、または図1の例に代えて、共通のユニットまたはアセンブリとして実現することもできる。このようにして、制御ユニット23によって調整および/または設定された動作パラメータBを評価ユニット28に送信することができる。さらに、評価ユニット28は、制御ユニット23を介して間接的にまたは代替的に直接にセンサ22と接続することができ、その結果、センサ22によって提供される測定信号も評価ユニット28に利用可能であることができる。
【0042】
図1に示す外科手術システム10の実施形態では、評価ユニット28は、通信ネットワーク29を介してデータ管理システム30と通信可能に接続される。データ管理システム30は、1つまたは複数の外部コンピューティングユニット31および/またはデータベース32を備えることができる。この実施形態では、データ管理システム30は、データベース32とデータベースメモリ33とを備える。データベースメモリ33には、複数の使用パターンPが記憶されている。各使用パターンPには、少なくとも1つのパターンパラメータMが割り当てられる。パターンパラメータMの少なくとも1つ、複数のパターンパラメータM、またはすべてのパターンパラメータMが、それぞれ割り当てられた1つの動作パラメータBに対応する。各使用パターンPは、関連するパターンパラメータMの値によって定義され、各パターンパラメータMの値は、一定であることができ、または時間依存的に変化することができる。例えば、各パターンパラメータMは、直接的または間接的に続く時間間隔における異なる値の時間的シーケンスであることができる。
【0043】
データ管理システム30は、例えば、病院情報システム(HIS)であることができる。使用パターンPを含むデータベースメモリ33に加えて、例えば、手術計画または他のリソース計画、患者データなどを記憶することができる追加のデータベースメモリも存在することができる。外科手術システム10は、任意選択的に、データ管理システム30(例えば、病院情報システム)によって提供されるそのような追加のデータおよび情報に通信ネットワーク29を介してアクセスすることができる。
【0044】
変更された実施形態では、データ管理システム30および/または少なくとも1つの外部コンピューティングユニット31および/または少なくとも1つのデータベース32はまた、外科手術装置11に統合することもでき、または外科手術装置11(図1には図示せず)の内部に配置することもできる。
【0045】
動作パラメータBとして、外科手術器具12の動作を特徴付けるすべての設定、特に外科手術装置11によって設定され、適用前および/または適用中に任意選択的に修正または調整することができるようなパラメータを使用することができる。ここに示す実施形態では、以下の動作パラメータBのうちの1つまたは複数を少なくとも1つの動作パラメータBとして使用することができる。
-出力電圧UAの振幅、
-出力電圧UAの周波数、
-出力電圧UAの波形、
-出力電圧UAの波高率、
-出力電流IAの振幅、
-出力電流IAの周波数、
-出力電流IAの波形、
-出力電流IAの波高率、
-組織15の組織インピーダンス、
-外科手術装置11から外科手術器具12へ、そして組織15(および任意選択として中性電極17)を介して外科手術装置11に戻る処置電流回路のインピーダンス、
-流体源21によって供給される流体の流体圧力、
-流体源21によって提供される流体の流体体積流量。
【0046】
この実施形態では、外科手術装置11は、ユーザインターフェース34を有する。ユーザインターフェースを介して、操作者は入力を実施することができ、例えば、少なくとも1つの動作パラメータBを設定することができる。この目的のために、ユーザインターフェース34は、制御ユニット23に通信可能に接続される。制御ユニット23は、現在の動作状態についてユーザインターフェース34を介して操作者に通知することができ、および/または他の情報を出力することができる。ユーザインターフェース34は、例えば、データおよび情報の入出力のためのタッチスクリーンを備えることができる。加えて、または代替として、スピーカ、マイクロフォン、キー、ボタンなどの他のデバイスもユーザインターフェース34の一部であることができる。この実施形態では、評価ユニット28は、直接または制御ユニット23を介して間接的にユーザインターフェース34に通信可能に接続される。
【0047】
ユーザインターフェース34またはデータ管理システム30を介して、外科手術器具12の計画された使用タイプVを記述する情報を外科手術システム10に提出することができる。使用タイプVは、処置中または患者の組織15への影響中の外科手術器具12の使用を特徴付ける。外科手術器具12の使用タイプVは、以下に示されるパラメータの少なくとも1つによって特に特徴付けられる。
-外科手術の開始時点tsから終了時点teまでの外科手術器具の総持続時間DE、
-動作パラメータBまたは複数もしくはすべての動作パラメータBのグループの異なる設定の組み合わせまたはシーケンス、
-動作パラメータBまたは複数もしくはすべての動作パラメータBのグループの連続的な時間的進行、
-外科手術器具12が起動され、患者の組織15に影響を及ぼす総持続時間DEの間の少なくとも1つの起動持続時間DA、
-外科手術器具12が停止され、患者の組織15に影響を及ぼすのに使用されない総持続時間DE中の少なくとも1つの停止持続時間DDであって、2つの後続の起動持続時間DAを互いに分離することができる停止持続時間DD、
-例えば、出力電圧UAおよび出力電流IAに基づいて決定することができる、動作パラメータB、例えば組織15のインピーダンスから導出されるパラメータ。
【0048】
図4には、外科的処置中の出力電圧UAの時間的進行が例示的に示されている。この図は、本発明の原理の説明のための概略的かつ例示的なものにすぎず、外科手術器具12の使用タイプVに応じて変化し得る。
【0049】
外科手術は、開始時点tsで開始され、終了時点teで終了する。例として起動持続時間DAのための総持続時間DEの間、すなわち第1の起動持続時間DA1、第2の起動持続時間DA2、第3の起動持続時間DA3および第4の起動持続時間DA4が提供される。2つの起動持続時間の間に、1つの停止持続時間DDがそれぞれ存在し、この実施形態では、第1の停止持続時間DD1、第2の停止持続時間DD2、および第3の停止持続時間DD3であり、その間、外科手術器具12(この実施形態では電気外科手術器具13)は組織15に影響を及ぼすのに使用されない。
【0050】
各起動持続時間DA中、外科手術器具12の動作パラメータBまたは複数の動作パラメータBのセットが設定される。例示的にすぎないが、ここでは、出力電圧UAの振幅Aおよび出力電圧UAの周波数fのみが例として示されている。この実施形態では、出力電圧UAの設定は以下の通りである:第1の起動持続時間DA1中の第1の振幅A1および第1の周波数f1、第2の起動持続時間DA2中の第2の振幅A2および第2の周波数f2、第3の起動持続時間DA3中の第3の振幅A3および第3の周波数f3、ならびに第4の起動持続時間DA4中の第4の振幅A4および第4の周波数f4。この例では、第2の振幅A2および第3の振幅A3は等しく、さらに、第2の周波数f2および第3の周波数f3も等しくすることができる。起動持続時間DA1~DA4中の振幅および周波数は、それぞれ等しくすることができ、または使用タイプVに応じて異なる値を有することができる。
【0051】
出力電圧UAに加えて、または出力電圧UAの代わりに、1つまたは複数の他の動作パラメータBを、異なる起動持続時間DA1~DA4中に一定のまたは時変する方法で設定することができる。例えば、さらに、1つまたは複数の起動持続時間中の出力電圧UAの波形は、例示的に示された方形波進行から逸脱する可能性がある。
【0052】
外科手術中に外科手術器具12が使用される動作パラメータBの時間的シーケンスまたは時間的進行は、複数の可能な使用タイプV1、V2、V3、...、Vnのうちの使用タイプVi(i=1,2,3,...,n)を特徴付ける。例えば、1つの使用タイプは、それぞれ異なる処置(内部器官または皮膚組織または筋肉組織に対する外科手術)に割り当てることができる。したがって、患者の異なる外科手術または治療のために、異なる使用タイプVが提供され、これらは特に、動作パラメータBの設定またはそれらのそれぞれの時間的進行によって特徴付けられる。
【0053】
外科手術器具12の使用の開始時点tsにおいて、どの使用タイプVが現在実施されているかが不明である場合、使用タイプVは、設定、特に1つの動作パラメータBまたは複数の動作パラメータBの時間的進行から認識することもできる。この目的のために、例えば、現在実施されている(図4)使用タイプVの1つまたは複数の動作パラメータBの時間的進行を、1つまたは複数の使用パターンPのそれぞれのパターンパラメータMと比較することができる。使用されたパターンPとの十分な類似性が存在する場合、現在の使用は、同一または十分な使用パターンPによって記述される使用タイプVであると決定することができる。この目的のために、公知の方法(例えば、パターン認識)を使用することができる。外科手術器具12の現在実施されている適用の少なくとも1つの動作パラメータBの時間的進行が利用可能な使用パターンP間の区別を可能にするとすぐに、一致する使用パターンPの使用タイプが現在の使用タイプに対応すると決定することができる。例えば、これは、図3の使用パターンPとの十分な類似性が決定され、他の使用パターンと比較して十分な区別が存在する第1の時点t1(図4)で発生することができる。
【0054】
現在の使用の動作パラメータBとそれぞれ割り当てられたパターンパラメータMとの間の類似性のチェック中、個々のパラメータに他よりも大きな重みを与えることができる。例えば、起動持続時間DA1からDA4および/または起動持続時間DA1からDA4の1つ中に変化する動作パラメータBおよび/または起動持続時間DA1からDA4の少なくとも2つ間を区別する動作パラメータBは、類似性チェック中、停止持続時間DD1からDD3よりも高い重要性で考慮され得る。図4に示す使用の例では、使用パターンPが例としてのみ、図3に概略的に示されており、このパターンは、特定の使用タイプVを特徴付け、1つまたは複数のパターンパラメータMの典型的な設定または時間的進行を含み、例えばここでは、
-出力電圧UAのパターン振幅A1*~A4*、
-出力電圧UAのパターン周波数f1*~f4*、
-パターン起動持続時間DA1*~DA4*、
-パターン停止持続時間DD1*-DD3*、
-処置のパターン総持続時間DE*である。
【0055】
既に説明したように、適用中の決定を省略することができ、外科手術器具12の使用タイプVが開始時点tsで既に知られているように、計画されている今後の使用タイプVを設定することも可能である。
【0056】
図2を参照して、外科手術システム10を操作または使用するための方法Cの一例を説明する。
【0057】
第1の方法ステップC1では、今後の計画されている手術中に外科手術装置11が使用されるものとする使用タイプVが、識別される。例えば、計画されている使用タイプVは、ユーザインターフェース34またはデータ管理システム30を介して予め設定することができる。
【0058】
開始時点tsから開始して、外科手術システム10が外科手術器具12の動作のために設定する動作パラメータBまたは動作パラメータBの少なくとも1つ、複数の動作パラメータB、またはすべての動作パラメータBが検出される。第2の方法ステップC2は、上記で説明したように、データベースメモリ33で利用可能な使用パターンPとのパターン比較に基づいて使用タイプVの類似性をチェックするために、図2に示す方法の改変形態では、第1の方法ステップC1の時間的に前に実施することもできる。
【0059】
外科手術器具12の使用タイプVが識別された後、この使用タイプVに割り当てられた使用パターンPは、データベースメモリ33にアクセスすることによって決定することができる(第3の方法ステップC3)。
【0060】
例えば、使用パターンPは、少なくとも1つの動作パラメータBのそれぞれ関連付けられた設定を用いて、開始時点tsと終了時点teとの間の外科手術の典型的または理想的な進行を記述することができる。使用パターンPによって規定されるパターンパラメータMは、手術中に外科手術装置11によって外科手術器具12に提供される、動作パラメータBの比較値または設定値である。
【0061】
第4の方法ステップC4では、第2の方法ステップC2で決定された少なくとも1つの動作パラメータBを、使用パターンPのそれぞれ割り当てられたパターンパラメータMと比較することができる。次に、1つの動作パラメータBおよび1つの割り当てられたパターンパラメータMそれぞれの1つまたは複数の利用可能な対間で、偏差Dを決定することができる(第5の方法ステップC5)。
【0062】
第5の方法ステップC5に続いて、決定された偏差Dまたは各決定された偏差Dは、割り当てられた偏差基準Kが満たされているかどうかを評価することができる(第6の方法ステップC6)。偏差基準Kが満たされない場合(第6の方法ステップC6の分岐 「NOK」)、方法Cは、第2の方法ステップC2における少なくとも1つの動作パラメータBの検出によって再び継続することができる。
【0063】
しかしながら、偏差基準Kが満たされる場合(第6の方法ステップC6のうちの分岐 「OK」)、方法Cは第7の方法ステップC7で継続される。第7の方法ステップC7では、適切な対策Xが、外科手術装置11の評価ユニット28によって開始または実施される。これにより、それぞれ割り当てられたパターンパラメータMに対するそれぞれの偏差Dを低減するために、ユーザインターフェース34を介した操作者への警告または情報の出力および/または少なくとも1つの動作パラメータBの自動適応など、任意の異なる対策Xが可能である。
【0064】
例えば、以下の対策Xのうちの1つまたは複数を開始または実施することができる。
-偏差Dについての警告または情報の出力、
-1つまたは複数の調整可能な動作パラメータBの適応についての推奨の出力、
-調整可能な動作パラメータBのうちの1つまたは複数の自動変更。
【0065】
第4の方法ステップC4に続く方法ステップC5~C7に加えて、またはその代わりに、例えばユーザインターフェース34を介して、1つまたは複数の情報INFが出力される第8の方法ステップC8において対策を開始または実施することができる。第8の方法ステップC8で定義された対策は、決定された偏差Dとは無関係であることができる。これは、任意選択的に、第7の方法ステップC7における対策として偏差Dを考慮して出力することもできる。情報INFは、以下の情報のうちの1つまたは複数を含むことができる。
-終了時点teまでの外科手術のさらなる進行中の外科手術の1つまたは複数の今後のステップに言及する情報、
-実施される外科手術の1つまたは複数のステップに必要な1つまたは複数のリソースに言及する情報、
-依然として実施されなければならない外科手術の1つ、複数、またはすべてのステップの持続時間に言及する情報、
-外科手術の予想終了時点teのデータ管理システム30への送信、
-データ管理システム30を介した1つまたは複数のリソースの要求。
【0066】
本発明の別の実施形態では、開始時点tsから終了時点teまでの外科手術の全体的な進行を検出し、例えば、外科手術装置11の任意選択的に設けられた内部メモリ40および/またはデータ管理システム30に記憶することができる。これは、文書化の目的で、外科医の評価またはさらなる教育もしくは訓練の目的で実施することができる。
【0067】
外科手術システム10は、電気外科手術器具13を有する電気外科手術システムに基づいて例として上記で説明された。改変された実施形態では、外科手術システム10はまた、ウォータージェット外科手術器具または超音波外科手術器具または別の外科手術器具12を有することができる。外科手術中に複数の異なる外科手術器具12を操作して使用することも可能である。
【0068】
本発明は、外科手術システム10、ならびにその動作のための方法Cに関する。外科手術システム10は、外科手術装置11に接続され、外科手術装置によって制御される外科手術器具12、例えば電気外科手術器具13を有する。外科手術装置11は、外科手術器具12の少なくとも1つの動作パラメータBを制御する。例えば、動作パラメータBは、振幅および/または周波数および/または波形などの電気出力信号のパラメータであることができる。外科手術システム10は、外科手術器具12または外科手術システム10全体の現在実施されている、または計画されている使用タイプVを識別するように構成された評価ユニット28を有し、使用タイプVは、実施される手術のタイプに特徴的である。少なくとも1つのパターンパラメータMが、識別された使用タイプVに割り当てられ、それぞれ割り当てられた動作パラメータBと比較することができる。比較の結果に基づいて、少なくとも1つの対策X、例えば情報INFの出力および/または少なくとも1つの動作パラメータBの適応を開始することができる。
【符号の説明】
【0069】
10 外科手術システム
11 外科手術装置
12 外科手術器具
13 電気外科手術器具
14 電極
15 組織
16 器具ライン
17 中性電極
18 中性電極ライン
19 供給ユニット
20 発電機
21 流体源
22 センサ
23 制御ユニット
28 評価ユニット
29 通信ネットワーク
30 データ管理システム
31 計算ユニット
32 データベース
33 データベースメモリ
34 ユーザインターフェース
40 内部メモリ
A1 第1の振幅
A1* 第1のパターン振幅
A2 第2の振幅
A2* 第2のパターン振幅
A3 第3の振幅
A3* 第3のパターン振幅
A4 第4の振幅
A4* 第4のパターン振幅
B 動作パラメータ
C 方法
C1 第1の方法ステップ
C2 第2の方法ステップ
C3 第3の方法ステップ
C4 第4の方法ステップ
C5 第5の方法ステップ
C6 第6の方法ステップ
C7 第7の方法ステップ
C8 第8の方法ステップ
D 偏差
DA 起動持続時間
DA1 第1の起動持続時間
DA1* 第1のパターン起動持続時間
DA2 第2の起動持続時間
DA2* 第2のパターン起動持続時間
DA3 第3の起動持続時間
DA3* 第3のパターン起動持続時間
DA4 第4の起動持続時間
DA4* 第4のパターン起動持続時間
DD 停止持続時間
DD1 第1の停止持続時間
DD1* 第1のパターン停止持続時間
DD2 第2の停止持続時間
DD2* 第2のパターン停止持続時間
DD3 第3の停止持続時間
DD3* 第3のパターン停止持続時間
DE 外科手術器具の使用の総持続時間
DE* 外科手術器具の使用のパターン総持続時間
F 流体
f1 第1の周波数
f1* 第1のパターン周波数
f2 第2の周波数
f2* 第2のパターン周波数
f3 第3の周波数
f3* 第3のパターン周波数
f4 第4の周波数
f4* 第4のパターン周波数
IA 電気出力電流
INF 情報
K 偏差基準
M パターンパラメータ
P 使用パターン
S 制御信号
ts 開始時点
te 終了時点
UA 電気出力電圧
V 使用タイプ
X 対策
図1
図2
図3
図4
【外国語明細書】
図1
図2
図3
図4