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特開2024-105197情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024105197
(43)【公開日】2024-08-06
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/0202 20230101AFI20240730BHJP
【FI】
G06Q30/0202
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024006223
(22)【出願日】2024-01-18
(31)【優先権主張番号】P 2023009195
(32)【優先日】2023-01-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000191076
【氏名又は名称】日鉄ソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117857
【弁理士】
【氏名又は名称】南林 薫
(72)【発明者】
【氏名】岩田 泰士
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 和樹
(72)【発明者】
【氏名】木村 直人
(57)【要約】
【課題】より実態に即した需要量の予測を可能とする。
【解決手段】過去の需要量の実績に基づき、需要量予測の対象となる単位期間について実際に観測されると推定される需要量の第1の範囲に含まれる需要量ごとの当該需要量の確からしさを示す第1の分布を推定する第1の推定手段と、需要量予測の対象期間に含まれる複数の単位期間それぞれについて推定された前記第1の分布に基づき、当該対象期間について実際に観測されると推定される需要量の第2の範囲に含まれる需要量ごとの当該需要量の確からしさを示す第2の分布を推定する第2の推定手段と、を備え、前記第2の分布に基づき、前記対象期間における需要量の予測が行われる、情報処理装置。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
過去の需要量の実績に基づき、需要量予測の対象となる単位期間について実際に観測されると推定される需要量の第1の範囲に含まれる需要量ごとの当該需要量の確からしさを示す第1の分布を推定する第1の推定手段と、
需要量予測の対象期間に含まれる複数の単位期間それぞれについて推定された前記第1の分布に基づき、当該対象期間について実際に観測されると推定される需要量の第2の範囲に含まれる需要量ごとの当該需要量の確からしさを示す第2の分布を推定する第2の推定手段と、
を備え、
前記第2の分布に基づき、前記対象期間における需要量の予測が行われる、
情報処理装置。
【請求項2】
前記第1の推定手段は、
前記過去の需要量の実績に基づき、前記需要量予測の対象となる単位期間における、基準とする需要量の予測結果に対応する第1の分位点と、当該基準よりも需要量が上振れした場合に想定される当該需要量の予測結果に対応する第2の分位点と、当該基準よりも需要量が下振れした場合に想定される当該需要量の予測結果に対応する第3の分位点とを推定し、
前記第1の分位点、前記第2の分位点、及び前記第3の分位点の推定結果に基づき、前記第1の範囲と、当該第1の範囲に含まれる需要量ごとの当該需要量の確からしさを示す前記第1の分布と、を推定する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記第1の推定手段は、
前記第1の分位点、前記第2の分位点、及び前記第3の分位点に基づき、
前記第1の分位点を基準として需要量の予測結果がより多くなる場合における需要量ごとの当該需要量の確からしさを示す第1の確率密度関数と、
前記第1の分位点を基準として需要量の予測結果がより少なくなる場合における需要量ごとの当該需要量の確からしさを示す第2の確率密度関数と、
を推定し、
前記第1の確率密度関数と前記第2の確率密度関数とに基づく前記第1の分布を推定する、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記第1の分布は、前記第1の分位点を基準として、需要量の予測結果がより多くなる場合と、需要量の予測結果がより少なくなる場合と、で分布の広がりを表すパラメータが異なる分割正規分布である、請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記第1の推定手段は、
前記過去の需要量の実績に基づき、前記第1の分位点、前記第2の分位点、及び前記第3の分位点それぞれについて、対応するピンボールロスがより小さくなるように構築された、需要量の予測対象の特徴量を入力として需要量の予測結果を出力する第1の学習済モデルを有し、
前記第1の分位点、前記第2の分位点、及び前記第3の分位点それぞれについて構築された前記第1の学習済モデルに対して、需要量の予測対象の特徴量を入力することで、当該第1の学習済モデルの出力として当該第1の分位点、当該第2の分位点、及び当該第3の分位点それぞれの推定結果を取得する、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記第1の推定手段は、前記第1の分位点、前記第2の分位点、及び前記第3の分位点として示した各分位点の推定に適用する前記第1の学習済モデルとして、複数の学習済モデルを適用し、当該複数の学習済モデルそれぞれによる分位点の推定結果を統合することで、当該分位点を推定する、請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記第1の推定手段は、複数の分位点それぞれの推定結果の大小関係が反転した場合には、当該複数の分位点のうちのいずれかを推定結果を補正することで、当該大小関係の反転を解消する、請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記第1の推定手段は、前記複数の学習済モデルそれぞれによる分位点の推定結果の平均及び分散に基づき、当該複数の学習済モデルそれぞれによる分位点の推定結果を統合する、請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記第1の推定手段は、前記第1の分位点、前記第2の分位点、及び前記第3の分位点として示した各分位点の推定に適用する前記第1の学習済モデルとして、共通の学習済モデルを適用する、請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記共通の学習済モデルは、学習に際して単調増加制約が設けられることで、推定対象となる複数の分位点間の大小関係が保持されるように構築される、請求項9に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記第1の推定手段は、前記第1の分位点、前記第2の分位点、及び前記第3の分位点の推定結果の妥当性を確認することで、前記第1の分布の推定に適用する前記第1の分位点、前記第2の分位点、及び前記第3の分位点を決定する、請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記第1の推定手段は、
需要量の予測対象の特徴量を入力として需要量の予測結果を出力する第2の学習済モデルと、
前記特徴量と、前記第2の学習済モデルから出力される前記需要量の予測結果と、を入力として当該需要量の予測結果に生じる誤差とを予測する第3の学習済モデルと、
を有し、
入力された前記特徴量に対応する過去の需要量の実績のサンプルデータのうち、対象となる分位点に対応する数のサンプルデータが、前記第2の学習済モデルから出力される前記需要量の予測結果と、前記第3の学習済モデルから出力される前記誤差に対して補正係数を乗じた値と、の加算値を上限として規定される需要量の範囲に含まれるように当該補正係数を決定することで、前記第1の分位点、前記第2の分位点、及び前記第3の分位点を推定する、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項13】
前記第2の推定手段は、前記対象期間に含まれる複数の単位期間それぞれについて推定された前記第1の分布を対象とした畳み込みにより、当該対象期間に対応する前記第2の分布を推定する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項14】
前記第2の推定手段は、前記対象期間に含まれる複数の単位期間それぞれについて推定された前記第1の分布の最頻値及び分布の広がりを表すパラメータに基づき、当該対象期間に対応する前記第2の分布を推定する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項15】
前記第2の分布と、許容される需要量の予測結果の誤差と、に基づき、前記対象期間における需要量の予測を行う予測手段を備える、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項16】
情報処理装置が実行する情報処理方法であって、
過去の需要量の実績に基づき、需要量予測の対象となる単位期間について実際に観測されると推定される需要量の第1の範囲に含まれる需要量ごとの当該需要量の確からしさを示す第1の分布を推定する第1の推定ステップと、
需要量予測の対象期間に含まれる複数の単位期間それぞれについて推定された前記第1の分布に基づき、当該対象期間について実際に観測されると推定される需要量の第2の範囲に含まれる需要量ごとの当該需要量の確からしさを示す第2の分布を推定する第2の推定ステップと、
を含み、
前記第2の分布に基づき、前記対象期間における需要量の予測が行われる、
情報処理方法。
【請求項17】
コンピュータに、
過去の需要量の実績に基づき、需要量予測の対象となる単位期間について実際に観測されると推定される需要量の第1の範囲に含まれる需要量ごとの当該需要量の確からしさを示す第1の分布を推定する第1の推定ステップと、
需要量予測の対象期間に含まれる複数の単位期間それぞれについて推定された前記第1の分布に基づき、当該対象期間について実際に観測されると推定される需要量の第2の範囲に含まれる需要量ごとの当該需要量の確からしさを示す第2の分布を推定する第2の推定ステップと、
を実行させ、
前記第2の分布に基づき、前記対象期間における需要量の予測が行われる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置、情報処理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
商品の在庫管理において無駄な在庫や欠品の発生を低減させるために、当該商品の需要量を予測したうえで発注数を決定するというような状況が想定され得る。また、近年では、上述した商品の在庫管理の例のように、将来における需要量を予測するためのシステムが各種提案されている。例えば、特許文献1には、需要量を日別に予測する予測モデルを用いて需要量の予測を行うことで、各商品の発注数を算出するシステムの一例が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2018/042950号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されたシステムでは、算出する需要予測数の発生確率が正規分布に従うと仮定したうえで需要量の予測が行われている。しかしながら、実際には需要予測数の発生確率は、正規分布に従わないことが多い。そのため、正規分布に従うとの仮定のうえで得られる需要量の予測結果は、実態に即しているとは言い難い場合がある。
【0005】
本発明は上記の問題を鑑み、より実態に即した需要量の予測を可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る情報処理装置は、過去の需要量の実績に基づき、需要量予測の対象となる単位期間について実際に観測されると推定される需要量の第1の範囲に含まれる需要量ごとのの確からしさを示す第1の分布を推定する第1の推定手段と、需要量予測の対象期間に含まれる複数の単位期間それぞれについて推定された前記第1の分布に基づき、当該対象期間について実際に観測されると推定される需要量の第2の範囲に含まれる需要量ごとの当該需要量の確からしさを示す第2の分布を推定する第2の推定手段と、を備え、前記第2の分布に基づき、前記対象期間における需要量の予測が行われる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、より実態に即した需要量の予測が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】情報処理システムのシステム構成の一例を示した図である。
図2】情報処理装置のハードウェア構成の一例を示した図である。
図3】情報処理システムの機能構成の一例を示した機能ブロック図である。
図4】情報処理システムの処理の一例を示したフローチャートである。
図5】情報処理システムの処理の一例を示したフローチャートである。
図6】分位点の推定に係る学習済モデルの構築方法の一例を示した図である。
図7】需要量の分布を表わす確率密度関数の一例を示した図である。
図8】分割正規分布のパラメータの決定方法の一例を示した図である。
図9】需要量の分布を表わす確率密度関数の推定結果の一例を示した図である。
図10】需要量の分布を表わす確率密度関数の推定方法の一例を示した図である。
図11】誤差予測モデルの構築方法及び適用方法の一例を示した図である。
図12】誤差の予測結果を利用した分位点の推定方法の一例を示した図である。
図13】需要量の予測結果の確率密度関数の推定結果の一例を示した図である。
図14】需要量の確率密度関数の一例を示した図である。
図15】MAの算出結果の一例を示した図である。
図16】分位点予測の結果を補正する方法の一例を示した図である。
図17】対象期間の需要分布の推定を行う方法の一例を示した図である。
図18】複数のモデルを適用した分位点の推定方法の一例を示した図である。
図19】複数のモデルを適用した分位点の推定方法の一例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に添付図面を参照しながら、本開示の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0010】
<システム構成>
図1を参照して、本実施形態に係る情報処理システムのシステム構成の一例について説明する 本実施形態に係る情報処理システム1は、情報処理装置100と、1以上の端末装置200とを含む。図1に示す例では、端末装置200として、端末装置200a及び200bが設けられている。情報処理装置100と、端末装置200とは、ネットワークN1を介して各種情報やデータを相互に送受信可能に接続されている。
【0011】
情報処理システム1を構成する各装置間を接続するネットワークN1の種別は特に限定されない。具体的な一例として、ネットワークN1は、LAN(Local Area Network)、インターネット、専用線、または、WAN(Wide Area Network)等により構成されていてもよい。また、ネットワークN1は、有線のネットワークにより構成されていてもよいし、無線のネットワークにより構成されていてもよい。また、ネットワークN1は、複数のネットワークを含んでもよく、一部のネットワークとして、他のネットワークとは異なる種別のネットワークが含まれてもよい。また、各装置間の通信が論理的に確立されていればよく、ネットワークN1の物理的な構成は特に限定されない。具体的な一例として、各装置間の通信が他の通信装置等により中継されてもよい。加えて、情報処理システム1を構成する一連の装置が、必ずしも共通のネットワークに接続されていなくてもよい。すなわち、情報やデータの送受信が行われる装置間の通信を確立することが可能であれば、一部の装置と他の装置とのそれぞれが直接接続されるネットワークが異なっていてもよい。
【0012】
情報処理装置100は、履歴等として管理されている過去の需要量の実績に基づき、対象となる期間(以下、対象期間とも称する)における需要量の分布を表わす確率密度関数を推定し、当該確率密度関数に基づき、当該対象期間における需要量の予測を行う。
なお、本実施形態において、需要量の分布を表わす確率密度関数とは、実際に観測されると推定される需要量の範囲に含まれる需要量ごとの当該需要量の確からしさ(例えば、尤度、確度等)を示す分布に相当する。
また、情報処理装置100の上記機能や当該機能を実現するための処理については詳細を別途後述する。
【0013】
端末装置200は、情報処理装置100が提供する機能の利用に係る入力を受け付けるための入力インタフェースの役割や、当該ユーザへの各種情報の提示に係る出力インタフェースの役割を担う。
【0014】
なお、図1に示す構成はあくまで一例であり、別途後述する情報処理システム1の各構成要素の機能を実現することが可能であれば、必ずしも当該情報処理システム1のシステム構成は限定されない。具体的な一例として、情報処理装置100及び端末装置200が一体的に構成された所謂スタンドアロン環境として情報処理システム1が実現されてもよい。また、他の一例として、情報処理装置100に相当する構成要素が、複数の装置が協働することで実現されてもよいし、所謂ネットワークサービスとして実現されてもよい。
【0015】
<ハードウェア構成>
図2を参照して、本実施形態に係る情報処理システム1における情報処理装置100や端末装置200として適用可能な情報処理装置900のハードウェア構成の一例について説明する。図2に示すように、本実施形態に係る情報処理装置900は、CPU(Central Processing Unit)910と、ROM(Read Only Memory)920と、RAM(Random Access Memory)930とを含む。また、情報処理装置900は、補助記憶装置940と、ネットワークI/F970とを含む。また、情報処理装置900は、出力装置950と、入力装置960とのうち少なくともいずれかを含んでもよい。CPU910と、ROM920と、RAM930と、補助記憶装置940と、出力装置950と、入力装置960と、ネットワークI/F970とは、バス980を介して相互に接続されている。
【0016】
CPU910は、情報処理装置900の各種動作を制御する中央演算装置である。例えば、CPU910は、情報処理装置900全体の動作を制御してもよい。ROM920は、CPU910で実行可能な制御プログラムやブートプログラムなどを記憶する。RAM930は、CPU910の主記憶メモリであり、ワークエリア又は各種プログラムを展開するための一時記憶領域として用いられる。
【0017】
補助記憶装置940は、各種データや各種プログラムを記憶する。補助記憶装置940は、HDD(Hard Disk Drive)や、SSD(Solid State Drive)に代表される不揮発性メモリ等のような、各種データを一時的または持続的に記憶可能な記憶デバイスにより実現される。
【0018】
出力装置950は、各種情報を出力する装置であり、ユーザに対する各種情報の提示に利用される。例えば、出力装置950は、ディスプレイ等の表示デバイスにより実現される。この場合には、出力装置950は、各種表示情報を表示させることで、ユーザに対して情報を提示する。また、他の一例として、出力装置950は、音声や電子音等の音を出力する音響出力デバイスにより実現されてもよい。この場合には、出力装置950は、音声や電信等の音を出力することで、ユーザに対して情報を提示する。また、出力装置950として適用されるデバイスは、ユーザに対して情報を提示するために利用する媒体に応じて適宜変更されてもよい。
【0019】
入力装置960は、ユーザからの各種指示の受け付けに利用される。本実施形態では、入力装置960は、マウス、キーボード、タッチパネル等の入力デバイスを含む。また、他の一例として、入力装置960は、マイクロフォン等の集音デバイスを含み、ユーザが発話した音声を集音してもよい。この場合には、集音された音声に対して音響解析や自然言語処理等の各種解析処理が施されることで、この音声が示す内容がユーザからの指示として認識される。また、入力装置960として適用されるデバイスは、ユーザからの指示を認識する方法に応じて適宜変更されてもよい。また、入力装置960として複数種類のデバイスが適用されてもよい。
【0020】
ネットワークI/F970は、外部の装置とのネットワークを介した通信に利用される。なお、ネットワークI/F970として適用されるデバイスは、通信経路の種別や適用される通信方式に応じて適宜変更されてもよい。
【0021】
CPU910が、ROM220又は補助記憶装置940に記憶されたプログラムをRAM930に展開し、このプログラムを実行することで、図3に示す情報処理装置100の機能構成や、図4及び図5を参照して後述する情報処理装置100の処理等が実現される。
【0022】
<機能構成>
図3を参照して、本実施形態に係る情報処理システムの機能構成の一例について、特に情報処理装置100の構成に着目して説明する。図3に示すように、情報処理装置100は、需要量分布推定部110と、統合処理部120と、需要量予測部130とを含む。また、図3に示す例では、過去の需要量の実績データを管理するための記憶領域として、記憶部190が設けられている。
【0023】
記憶部190は、各種データを記憶する記憶領域を模式的に示している。前述したように、図3に示す例では、記憶部190は、履歴等として管理されている過去の需要量の実績データを記憶している。記憶部190は、例えば、補助記憶装置940により実現されてもよいし、データベースサーバ等のような各種データを管理する外部装置として実現されてもよい。
【0024】
需要量分布推定部110は、過去の需要量の実績に基づき、需要量予測の対象となる単位期間(例えば、日ごと等のような過去の需要量の実績の管理単位となる期間)ごとに、当該単位期間における需要量の分布を表わす確率密度関数を推定する。なお、本実施形態では、便宜上、上記単位期間を日とする。すなわち、需要量分布推定部110は、需要量予測の対象となる日ごとに、当該日における需要量の分布を表わす確率密度関数を推定するものとする。
【0025】
具体的な一例として、需要量分布推定部110は、過去の需要量の実績に基づき、需要量予測の対象となる日における、基準となる需要量と、基準よりも上振れした場合の需要量と、基準よりも下振れした場合の需要量とのそれぞれについて、需要量を、それぞれ需要量分布の分位点として推定する。
なお、以降では、基準となる需要量の予測結果の分位点を第1の分位点、基準よりも上振れした場合の需要量の予測結果の分位点を第2の分位点、基準よりも下振れした場合の需要量の予測結果の分位点を第3の分位点とも称する。また、本実施形態では、便宜上、第1の分位点を50%分位点、第2の分位点を95%分位点、第3の分位点を5%分位点とする。なお、本開示において、50%分位点とは、需要量予測の対象となる日と同様の条件の過去の需要量の実績のサンプルデータのうち、需要量がより小さいサンプルデータから数えて50%のサンプルデータが含まれることとなる需要量の分位点に相当する。同様に、95%分位点であれば95%のサンプルデータが含まれることとなる需要量の分位点に相当し、5%分位点であれば5%のサンプルデータが含まれることとなる需要量の分位点に相当することとなる。
そのうえで、需要量分布推定部110は、上記3つの分位点の推定結果に基づき、需要量予測の対象となる日における、需要量の分布を表わす確率密度関数を推定してもよい。この際に、需要量分布推定部110は、需要量の分布を表わす確率密度関数を、50%分位点を基準として需要量が上振れした場合と、需要量が下振れした場合とのそれぞれが示された分割正規分布として推定してもよい。この場合には、需要量分布推定部110は、50%分位点、95%分位点と5%分位点との推定結果に基づき需要量の上振れと下振れの広がりを加味した確率密度関数を推定すればよい。
なお、上記した例については詳細を別途後述する。また、単位期間ごとの需要量の分布を表わす確率密度関数の定義域として示される、単位期間について実際に観測されると推定される需要量の範囲が「第1の範囲」の一例に相当する。また、単位期間ごとの需要量の分布を表わす確率密度関数が、上記第1の範囲に含まれる需要量ごとの当該需要量の確からしさを示す「第1の分布」の一例に相当する。また、需要量分布推定部110が、「第1の推定部」の一例に相当する。
【0026】
統合処理部120は、需要量予測の対象期間に含まれる複数の単位期間それぞれについて推定された需要量の分布を表わす確率密度関数を統合することで、当該対象期間における需要量の分布を表わす確率密度関数を推定する。
具体的な一例として、統合処理部120は、ユーザから需要量予測の対象期間の指定を受けて、当該対象期間における需要量の分布を表わす確率密度関数を推定してもよい。
また、統合処理部120は、需要量予測の対象期間に含まれる各日それぞれについて需要量分布推定部110により推定された日ごとの需要量の分布を表わす確率密度関数を対象とした畳み込み処理により、当該対象期間における需要量の分布を表わす確率密度関数を推定してもよい。
なお、上記対象期間の需要量の分布を表わす確率密度関数の定義域として示される、当該対象期間について実際に観測されると推定される需要量の範囲が「第2の範囲」の一例に相当する。また、上記対象期間における需要量の分布を表わす確率密度関数が、上記第2の範囲に含まれる需要量ごとの当該需要量の確からしさを示す「第2の分布」の一例に相当する。また、統合処理部120が、「第2の推定部」の一例に相当する。
【0027】
需要量予測部130は、需要量予測の対象期間における需要量の分布を表わす確率密度関数の推定結果に基づき、当該対象期間における需要量の予測を行う。
具体的な一例として、需要量予測部130は、ユーザから需要量予測の対象期間における需要量の予測結果に対して許容される誤差の指定を受けて、当該対象期間における需要量の予測を行ってもよい。この場合には、需要量予測部130は、許容される誤差に基づき、上記対象期間における需要量の分布を表わす確率密度関数のうち何パーセント点に着目するかを決定してもよい。上記需要量の分布を表わす確率密度関数の推定結果により、需要量予測の対象期間において、どのくらいの確率で、需要量がこの範囲に収まるであろうという結果を導くことが可能となる。そのため、上記のようにして決定された着目点(パーセント点)は、上記対象期間において、上記許容される誤差を超えない範囲で要求され得る目標需要量と言える。このような仕組みを商品の在庫管理に応用することで、例えば、許容される欠品率を上記誤差として設定することで、在庫管理の対象期間において商品の欠品を未然に防ぐことを考慮した目標在庫量を決定することが可能となる。
【0028】
なお、上記構成はあくまで一例であり、本実施形態に係る情報処理システムの機能構成は、必ずしも図3に示す例には限定されない。例えば、図3を参照して説明した情報処理装置100の機能構成が、複数の装置が協働することで実現されてもよい。具体的な一例として、情報処理装置100の一連の構成要素のうちの一部の構成要素の機能が他の装置により実現されてもよい。また、他の一例として、情報処理装置100の一連の構成要素のうち少なくとも一部の構成要素の処理の負荷が複数の装置に分散されてもよい。また、情報処理装置100の一連の構成要素のうち少なくとも一部の構成要素の機能が、クラウドサービスに代表される所謂ネットワークサービスとして実現されてもよい。
以上、図3を参照して、本実施形態に係る情報処理システムの機能構成の一例について、特に情報処理装置100の構成に着目して説明した。
【0029】
<処理>
図4及び図5を参照して、本実施形態に係る情報処理システムの処理の一例について、特に情報処理装置100の処理に着目して説明する。
【0030】
まず、図4を参照する。S110において、需要量分布推定部110は、過去の需要量の実績に基づき、需要量予測の対象となる単位期間ごとに、当該単位期間における需要量の分布を表わす確率密度関数を推定する。なお、前述したように、本実施形態では上記単位期間を日とする。また、以降では、本実施形態の特徴をよりわかりやすくするために、商品の在庫管理において、将来の期間における商品の需要量を予測することで、当該期間を対象として確保する商品の目標在庫量を決定する場合に着目して各種説明を行うものとする。
【0031】
ここで、図5を参照して、図4に示すS110の処理についてより詳しく説明する。
S111において、需要量分布推定部110は、過去の需要量の実績に基づき、需要量予測の対象となる日における、基準となる需要量の予測結果の第1の分位点と、基準よりも上振れした場合の需要量の予測結果の第2の分位点と、基準よりも下振れした場合の需要量の予測結果の第3の分位点とを推定する。この際に、需要量分布推定部110は、所謂機械学習に基づき構築された学習済モデルを利用して、第1の分位点、第2の分位点、及び第3の分位点の推定を行ってもよい。なお、前述したように、本実施形態では、便宜上、第1の分位点を50%分位点、第2の分位点を95%分位点、第3の分位点を5%分位点とする。
【0032】
ここで、図6を参照して、機械学習に基づき構築された学習済モデルを利用して需要量の予測結果の分位点を推定する場合における、当該学習済モデルの構築方法の一例について説明する。
図6に示す例では、第1の分位点(50%分位点)、第2の分位点(95%分位点)、及び第3の分位点(5%分位点)それぞれについて個別に学習済モデルが構築される。即ち、学習済モデルM101、M102、及びM103はそれぞれ、第1の分位点、第2の分位点、及び第3の分位点を推定するように構築された学習済モデルである。具体的には、学習済モデルM101、M102、及びM103のそれぞれは、需要量の予測対象の対象を特定するための条件の特徴量を入力として、需要量の分布の分位点を出力する学習済モデルである。なお、以降では、学習済モデルM101、M102、及びM103のそれぞれを特に区別しない場合には、便宜上、学習済モデルM100とも称する。また、学習済モデルM100、すなわち学習済モデルM101、M102、及びM103のそれぞれが、「第1の学習済モデル」の一例に相当する。
【0033】
学習済モデルM100は、過去の需要量の実績のデータに基づき生成された教師データを入力とした教師あり学習に基づき構築される。
上記教師データは、需要量の予測対象を特定するための条件の特徴量に対して、当該条件に該当する実績データが示す「過去の商品の売上数量(すなわち、需要量の実績)」を正解ラベルとして関連付けることで生成される。需要量の予測対象を特定するための条件としては、例えば、「日付」、「商品の情報」、「店舗の情報(在庫を確保する店舗の情報)」、「イベントの有無(対象となる日におけるイベントの有無や当該イベントの種類)」、及び「天気の情報」等が挙げられる。例えば、「日付=8月1日」、「商品の情報=ビール」、「店舗の情報=店舗A」、及び「天気の情報=晴れ」の条件に対応する「商品の売上数量」のデータが存在するものとする。このデータからは、「日付=8月1日」、「商品の情報=ビール」、「店舗の情報=店舗A」、及び「天気の情報=晴れ」で示される特徴量(例えば、特徴量空間中の特徴量ベクトル)に対して、上記「商品の売上数量」を正解ラベルとして関連付けた教師データが生成されることとなる。
上記に例示した教師データに基づく教師あり学習により、需要量の予測対象を特定するための条件の特徴量を入力として、需要量の予測結果を出力する学習済モデルが構築されることとなる。
【0034】
また、本実施形態では、学習済モデルM100として所謂回帰モデルを適用した分位点回帰により、対象となる分位点に応じたピンボールロス(分位損失)がより小さくなるようにモデルの学習が行われることで、当該分位点に対応する学習済モデルM100の構築が行われる。ピンボールロスは以下に(式1)として示す式で表される。
【0035】
【数1】
【0036】
具体的な一例として、第1の分位点(50%分位点)に対応する学習済モデルM101は、τ=0.5としたうえで、ロスであるLを最小化するようにモデルの学習が行われることで構築される。同様に、第2の分位点(95%分位点)に対応する学習済モデルM102の構築を行う場合には、ピンボールロスL(τ=0.95)とする。また、第3の分位点(5%分位点)に対応する学習済モデルM103の構築を行う場合には、ピンボールロスL(τ=0.05)とする。
なお、一般的に知られている回帰モデルとしては、例えば、LightGBM,MLP,XGBoost等が挙げられる。
【0037】
以上のようにして構築された学習済モデルM101、M102、及びM103を利用することで、需要量の予測対象を特定するための条件の特徴量を入力として、第1の分位点、第2の分位点、及び第3の分位点の推定結果を取得することが可能となる。
【0038】
ここで、改めて図5を参照する。S112において、需要量分布推定部110は、S111における需要量予測の対象となる日における第1の分位点、第2の分位点、及び第3の分位点の推定結果に基づき、当該日における需要量の分布を表わす確率密度関数を推定する。この際に、需要量分布推定部110は、需要量予測の対象となる日における需要量の分布を表わす確率密度関数として、第1の分位点を基準として、当該基準よりも需要量が上振れした場合と、当該基準よりも需要量が下振れした場合とのそれぞれにおいて異なる分布の広がりを表すパラメータが設定された所謂分割正規分布の推定を行ってもよい。
【0039】
ここで、図7を参照して、需要量予測の対象となる日における需要量の分布を表わす確率密度関数の一例について、分割正規分布の推定が行わる場合における当該推定方法の一例ついて説明する。図7は、横軸を需要量とし、縦軸を需要量の予測結果の確率密度とした確率密度関数の一例を示している。
分割正規分布は、最頻値μを基準として上方側と下方側とで異なる分布の広がりを仮定した確率分布である。分割正規分布の確率密度関数は、以下に(式2)として示す条件式で表される。
【0040】
【数2】
【0041】
また、図7において、確率密度関数G121は、第1の分位点(50%分位点)を基準として需要量が上振れした場合に想定される需要量の分布に相当する。具体的には、確率密度関数G121は、標準偏差σ2の正規分布として表された確率密度関数に相当する。
また、確率密度関数G122は、第1の分位点(50%分位点)を基準として需要量が下振れした場合に想定される需要量の分布に相当する。具体的には、確率密度関数G122は、標準偏差σ1の正規分布として表された確率密度関数に相当する。また、確率密度関数G110は、第1の分位点(50%分位点)を基準として上方側の分布の広がりを示すパラメータがσ2であり、下方側の分布の広がりを示すパラメータがσ1である分割正規分布として表された確率密度関数により表わされる需要量の分布を示している。
【0042】
ここで、図8を参照して、第1の分位点、第2の分位点、及び第3の分位点の推測結果に基づき、(式2)として示した分割正規分布のパラメータμ、σ1、及びσ2の決定方法の一例について説明する。図8は、横軸を需要量とし、縦軸を需要量の確率密度とした確率密度関数の一例を示している。なお、図8に示す例では、分位点q1-αは、ピンボールロスL(τ=1-α)(0<α<0.5)の分位点を示し、基準よりも上振れした場合の需要量の予測結果の分位点(第2の分位点)の一例に相当する。また、分位点qαは、ピンボールロスL(τ=α)の分位点を示し、基準よりも下振れした場合の需要量の予測結果の分位点(第3の分位点)の一例に相当する。面積A1は、需要量が分位点qα以下となる確率を示している。また、面積A2は、需要量が分位点q1-α以下となる確率を示している。
需要量分布推定部110は、分位点q0.5をパラメータμとしたうえで、以下に(式3)として示すロス関数を最小化する値として、分布の広がりを示すパラメータσ1及びσ2を推定する。
【0043】
【数3】
【0044】
すなわち、需要量分布推定部110は、第1の分位点をq0.5、第2の分位点をq0.95、第3の分位点をq0.05とする場合には、A1=0.05、A2=0.95となるように、(式2)に示すロス関数を最小化することで、分布の広がりを示すパラメータσ1及びσ2を推定することとなる。
以上のようにして、需要量分布推定部110は、需要量予測の対象となる日ごとに、需要量の分布を表わす確率密度関数の推定を行う。
なお、上記では、第1の分位点(分位点q0.5)に対して第2の分位点及び第3の分位点が、分位点qα及び分位点q1-αとして示すように対称的な関係となるように導出される場合の一例について示しているが、あくまで一例であり、必ずしも対称性を有している必要はない。すなわち、分位点q0.5に対して、基準よりも上振れした場合の需要量の予測結果を示す第2の分位点と、基準よりも下振れした場合の需要量の予測結果を示す第3の分位点とが導出されれば、第2の分位点及び第3の分位点の設定方法は特に限定されない。
【0045】
ここで、改めて図4を参照する。
S120において、統合処理部120は、需要量予測の対象となる期間に含まれる日ごとに推定された需要量の予測結果の確率分布に基づき、当該期間について実際に観測されると推定される需要量の範囲に含まれる需要量ごとの確からしさを示す確率密度関数を推定する。
【0046】
例えば、図9は、需要量予測の対象となり得る期間における、当該期間に含まれる日ごとの需要量の分布を表わす確率密度関数の推定結果の一例を示している。図9の下側に示すグラフは、横軸を日付とし、縦軸を需要量としている。図9の下側に示すグラフの縦軸は、図7に例示した確率密度関数における横軸に対応している。また、図9の下側に示すグラフの奥行方向(すなわち、図面に対して垂直な方向)は、図7に例示した確率密度関数における縦軸の方向に対応している。
統合処理部120は、図9に例示したように、日ごとに需要量の分布を表わす確率密度関数の推定結果が得られている状況下で、需要量の予測対象とする期間の指定を受けて、当該期間に含まれる日ごとの、当該日における需要量の分布を表わす確率密度関数の推定結果を抽出する。そのうえで、統合処理部120は抽出した日ごとの需要量の分布を表わす確率密度関数の推定結果を統合することで、指定された期間における需要量の分布を表わす確率密度関数を推定する。
例えば、統合処理部120は、需要量の予測対象として指定された期間に含まれる日ごとの、当該日における需要量の分布を表わす確率密度関数の推定結果を対象とした畳み込み処理により、当該期間における需要量の分布を表わす確率密度関数を推定してもよい。
【0047】
ここで、図10を参照して、需要量の予測対象となる期間における需要量の分布を表わす確率密度関数の推定方法の一例について、畳み込み処理を利用した場合に着目して説明する。
まず、統合処理部120は、需要量の予測対象となる期間において、実際に観測されると推定される需要量の範囲を特定する。当該需要量の範囲の下限は、上記期間に含まれる日ごとの需要量の予測結果がいずれも最小値であった場合の需要量として特定される。また、当該需要量の範囲の上限は、上記期間に含まれる日ごとの需要量の予測結果がいずれも最大値であった場合の需要量として特定される。
そのうえで、統合処理部120は、図10に示すように、上記期間に含まれる日ごとの需要量の確率密度関数を対象として畳み込みを行うことで、上記需要量の範囲に含まれる需要量ごとの確からしさを示す確率密度関数を推定する。
【0048】
なお、確率密度関数の畳み込み処理については、例えば、以下に(式4)として示す計算式に基づき算出される。下記(式4)において、f(x)は、期間t1における需要量xの分布を表す確率密度関数を示している。g(z-x)は、期間t2における需要量z-xの分布を表す確率密度関数を示している。h(z)は、期間t1 + t2の需要量zの分布を表す確率密度関数を示している。
【0049】
【数4】
【0050】
以上のようにして、統合処理部120は、需要量予測の対象となる期間に含まれる日ごとに推定された需要量の予測結果の確率分布に基づき、当該期間について実際に観測されると推定される需要量の範囲に含まれる需要量ごとの確からしさを示す確率密度関数を推定する。
【0051】
ここで、改めて図4を参照する。S130において、需要量予測部130は、需要量予測の対象期間における需要量の分布を表わす確率密度関数の推定結果に基づき、当該対象期間における需要量の予測を行う。具体的な一例として、需要量予測部130は、ユーザから在庫管理の対象期間と許容される欠品率との指定を受けて、当該対象期間における需要量の分布を表わす確率密度関数の推定結果のうち何パーセント点に着目するかを当該欠品率に基づき決定する。そのうえで、需要量予測部130は、着目点(パーセント点)の
決定結果に基づき、上振れや下振れを加味した需要量を予測する。
【0052】
以上のようにして需要量の予測結果が得られることで、例えば、商品の在庫管理の対象期間(すなわち、需要量予測の対象期間)において欠品を未然に防ぐことを考慮した目標在庫量を決定することが可能とある。
【0053】
また、上述した需要量予測の仕組みを在庫管理の対象となる商品の発注システムと連動させることも可能である。この場合には、例えば、対象となる商品の未来の推定在庫量と、上述した需要量の予測結果に基づく当該商品の目標在庫量との差分により、当該商品の発注量が決定されてもよい。上記推定在庫量は、現在からみた商品ごとのリードタイム分先の在庫量を示している。この推定在庫量の決定方法については、ユースケースに応じて適宜変更されてもよい。具体的な一例として、推定在庫量の決定に既存のアルゴリズムが利用されてもよい。また、他の一例として、対象の商品が新商品の場合には、推定在庫量をゼロとしてもよい。また、他の一例として、需要量の予測と同様に、畳み込みによりリードタイム分の合計需要分布を計算したうえで、現在の在庫量との差をとることで推定在庫量が決定されてもよい。
【0054】
<変形例>
本実施形態に係る情報処理システムの変形例について以下に説明する。
【0055】
(変形例1)
まず、変形例1として、図11及び図12を参照して、需要量の予測結果の分位点を推定する方法の他の一例について説明する。前述した実施形態では分位点回帰により、基準となる需要量の予測結果に対応する第1の分位点、基準よりも上振れした場合の需要量の予測結果に対応する第2の分位点、及び基準よりも下振れした場合の需要量の予測結果に対応する第3の分位点を推定していた。これに対して、本変形例では、分位点回帰を用いずに第1の分位点、第2の分位点、及び第3の分位点を推定する方法の一例として、需要量の予測結果に生じ得る誤差を推定することで、これらの分位点を推定する方法の一例について説明する。
【0056】
本変形例では、需要量の予測結果の分位点の推定に、需要量の予測を行う学習済モデルである需要量予測モデルM210と、当該需要量予測モデルM210による需要量の予測結果に生じる誤差を予測する誤差予測モデルM220(不確実性モデル)とを利用する。需要量予測モデルM210は、前述した学習済モデルM100のように、需要量の予測対象を特定するための条件の特徴量を入力として、需要量の予測結果を出力する学習済モデルである。本変形例では、誤差予測モデルM220に需要量予測モデルM210による需要量の予測結果に生じる誤差を予測させ、当該誤差の予測結果を利用して各分位点の推定を行う。
【0057】
ここで、図11を参照して、誤差予測モデルM220についてより詳細に説明する。
まず、図11(A)について説明する。図11(A)は、機械学習に基づく誤差予測モデルM220の構築方法(すなわち、モデルの学習方法)の一例を示している。誤差予測モデルM220は、教師あり学習に基づき構築される。この際に使用される教師データは、需要量予測モデルM210の入力となる条件(需要量の予測対象を特定するための条件)と、当該需要量予測モデルM210による需要量の予測結果との特徴量に対して、当該需要量の予測結果と需要量の実績値との誤差を正解ラベルとして関連付けることで生成される。需要量予測モデルM210の入力となる条件としては、例えば前述したように、商品の在庫管理のケースでは、「日付」、「商品の情報」、「店舗の情報(在庫を確保する店舗の情報)」、「イベントの有無」、及び「天気の情報」等が挙げられる。これにより、誤差予測モデルM220は、どのような条件を入力として需要量予測モデルM210がどのような予測結果を出力した場合に、当該予測結果にどの程度の誤差が生じるかを学習することとなる。
【0058】
次いで、図11(B)について説明する。図11(B)は、誤差予測モデルM220を利用して需要量予測モデルM210による需要量の予測結果に生じる誤差を推定する方法の一例を示している。図11(B)に示すように、需要量予測モデルM210に対して需要量の予測対象を特定するための条件の特徴量を入力することで、当該需要量予測モデルM210から当該条件を満たす場合における需要量の予測結果が出力される。誤差予測モデルM220には、需要量予測モデルM210に入力した上記条件と、当該条件を入力として当該需要量予測モデルM210から出力される需要量の予測結果との特徴量を入力する。これにより、誤差予測モデルM220から、上記条件を入力として需要量予測モデルM210から出力された需要量の予測結果に生じる誤差の予測結果が出力される。
具体的には、予測対象の需要量のターゲット(換言すると、需要量の実績値)をy、当該需要量の予測値をy'とした場合に、誤差予測モデルM220は、以下に(式5)として示す誤差zを予測することとなる。なお、以降の説明では、誤差予測モデルM220による誤差zの予測結果を、誤差予測値z'とも称する。
【0059】
【数5】
【0060】
続いて、図12を参照して、誤差予測モデルM220による誤差の予測結果を利用して、需要量の予測結果の分位点を推定する方法の一例について説明する。本変形例では、誤差予測モデルM220による誤差zの予測結果(誤差予測値z')を、当該誤差zの平均値とみなし、誤差予測値z'に補正をかける(係数を乗じる)ことで分位点として扱えるようにする。この際に、補正をかけるための係数を決定するための基準として、補正後の誤差予測結果に含まれる需要量の実績(過去の需要量の実績)のサンプルデータの割合を利用する。
例えば、図12は、過去の需要量の実績データに含まれる一連のサンプルデータを特徴量空間にプロットした状態を模式的に示している。また、領域R1は、需要量予測モデルM210により導出された需要量の予測結果y'と、誤差予測モデルM220により導出された誤差予測値z'とに基づき、[-∞,y'+z']として区間を規定した場合に、当該区間に対応する特徴量空間中の領域を模式的に示している。
また、領域R2は、誤差予測モデルM220により導出された誤差予測値z'に補正係数εを乗ずることで、[-∞,y'+εz']として区間を規定した場合に、当該区に
対応する特徴量空間中の領域を模式的に示している。補正係数εを調整することで、領域R2の広さが、領域R1より広くなるように調整したり、領域R1よりも狭くなるように調整したりすることが可能である。
以上のような前提のもとで、プロットされた一連のデータのうち領域R2に含まれるサンプルデータの割合をp'とし、求めたい分位点における累積確率をpとした場合に、p'=pとなるように補正係数εを調整することで、分位点qpを導出することが可能である。具体的には、対象となる分位点に応じてp'=pとなるように補正係数εを調整することで、第1の分位点(50%分位点)、第2の分位点(95%分位点)、及び第3の分位点(5%分位点)を導出すればよい。
なお、需要量予測モデルM210が、需要量の予測対象の特徴量を入力として需要量の予測結果を出力する「第2の学習済モデル」の一例に相当する。また、誤差予測モデルM220が、第2の学習済モデルに入力した上記特徴量と、当該第2の学習済モデルから出力される需要量の予測結果と、を入力として当該需要量の予測結果に生じる誤差とを予測する「第3の学習済モデル」の一例に相当する。
【0061】
以上、変形例1として、図11及び図12を参照して、需要量の分布の分位点を推定する方法の他の一例について説明した。
【0062】
(変形例2)
続いて、変形例2として、図13を参照して、需要量予測の対象となる単位期間ごと(例えば、日ごと)に推定される、当該単位期間における需要量の分布を表わす確率密度関数の一例について説明する。前述した実施形態では、単位期間ごとの需要量の分布を表わす確率密度関数を、基準よりも上振れした場合と、基準よりも下振れした場合とで、異なる分布の広がりを示すパラメータσが設定された分割正規分布の推定を行っていた。一方で、基準よりも上振れした場合と、基準よりも下振れした場合とで、異なる分布の広がりを示すパラメータが設定された分布であれば、単位期間ごとの需要量の分布を表わす確率密度関数の態様は必ずしも分割正規分布に限定されない。
【0063】
例えば、図13は、単位期間ごとの需要量の分布を表わす確率密度関数の推定結果の一例を示している。図13に示す例では、単位期間ごとの需要量の分布を表わす確率密度関数を、平均値または中央値を基準として、基準よりも上振れした場合と、基準よりも下振れした場合とにおいて、個別に分布の広がりを示すパラメータσが設定された正規分布を求め、これらの正規分布を組み合わせている。図13に例示した分布の確率密度関数は、以下に(式6)として示す条件式で表される。
【0064】
【数6】
【0065】
上記に例示したように、需要量予測の対象となる単位期間ごとに推定される、当該単位期間における需要量の分布を表わす確率密度関数は、基準よりも上振れした場合と、基準よりも下振れした場合とで異なる分布の広がりを示すパラメータが設定された分布であれば、その態様は特に限定はされない。
【0066】
以上、変形例2として、図13を参照して、需要量予測の対象となる単位期間ごと(例えば、日ごと)に推定される、当該単位期間における需要量の分布を表わす確率密度関数の一例について説明した。
【0067】
(変形例3)
変形例3として、分位点の推定に複数のモデルを利用する場合の一例について説明する。前述した実施形態では、第1の分位点、第2の分位点、及び第3の分位点それぞれの推定に単一の学習済モデルが適用される場合の一例について説明した。一方で、第1の分位点、第2の分位点、及び第3の分位点それぞれの推定に複数の学習済モデルを利用し、各学習済モデルの推定結果を統合(例えば、平均)することで、より好適な態様で各分位点を推定することが可能となる場合がある。
【0068】
各分位点の推定に利用する複数の学習済モデルについては、互いに特性の異なる学習済モデルが適用されてもよい。
具体的な一例として、複数の学習済モデルそれぞれの構築(学習)に際して、互いに異なる学習データ及び評価データを適用してもよい。このような学習済モデルの構築方法の一例として、K分割交差検証が挙げられる。具体的な一例として、各分位点の推定に5つの学習済モデルを適用する場合には、K=5としたK分割交差検証により当該5つの学習済モデルの構築を行えばよい。
また、他の一例として、複数の学習済モデルとして、アルゴリズムの異なる学習済モデルが適用されてもよい。この場合には、例えば、「1つ目のモデルについてはLigthGBM、2つ目のモデルについてはRandomForest、…」といったように、いくつかのアルゴリズムを個別に適用して学習済モデルの構築を行うことで、互いに特性の異なる複数の学習済モデルの構築がなされてもよい。
また、他の一例として、複数の学習済モデルそれぞれの構築に際して、乱数シードを変更してもよい。例えば、LightGBM等のアルゴリズムにおいては構築される学習済モデルの特性が、学習時に適用された乱数の影響を受ける傾向にある。このような性質を鑑み、複数の学習済モデルそれぞれの構築に際して乱数を固定しないことで、互いに特性の異なる複数の学習済モデルの構築がなされてもよい。
【0069】
以上のようにして、複数の学習済モデルそれぞれに対象となる分位点の推定を行わせたうえで、当該複数の学習済モデルそれぞれによる分位点の推定結果を統合する(例えば平均する)ことで、最終的に適用される分位点が決定されてもよい。
以上のように、複数の学習済モデルそれぞれに分位点を推定させ、各学習済モデルの推定結果を統合することで、より好適な態様で各分位点を推定可能となる場合がある。
【0070】
以上、変形例3として、分位点の推定に複数のモデルを利用する場合の一例について説明した。
【0071】
(変形例4)
変形例4として、回帰モデル(各分位点の推定に係る学習済モデル)の学習に際したτの調整方法の一例について説明する。前述した実施形態では、第1の分位点、第2の分位点、及び第3の分位点の推定にあたり、3つのτの値として固定値(0.05、0.50、0.95)が適用される場合の一例について説明した。一方で、実際の運用を想定した場合には、回帰モデルの出力の妥当性を確認しながら、τの値を調整した方が望ましい場合もある。このような状況を鑑み、本変形例では、回帰モデルの出力の妥当性を確認しながらτの値を調節する手法の一例について説明する。
【0072】
回帰モデルの出力の妥当性を確認する方法としては、例えば、PICP(Prediction Interval Coverage Probability)を利用する方法や、MA(Miscalibration Area)を利用する方法等が挙げられる。以下に、PICPを利用する方法と、MAを利用する方法とのそれぞれについて個別に説明する。
【0073】
まず、PICPを利用することで、回帰モデルの出力の妥当性を確認する方法の一例について説明する。PICPは、予測区間被覆確率とも称され、需要量分布のある範囲に着目した場合に、実際に過去データにおいて範囲内に含まれるデータが全体の何%であるかを表現する指標である。PICPを利用する場合には、着目した範囲と含まれるデータの割合とのずれがより少ないほど、より妥当な需要分布の出力を得られていると考えることが可能である。PICPは、以下に(式7)として示す関係式で表される。
【0074】
【数7】
【0075】
例えば、対象となる範囲として「5%から95%」の範囲に着目した場合には、この範囲は全体の90%を占めるため、PICPについても90%により近いことが望ましい。なお、この場合には、PICPの算出に際して、上記(式6)における下限値yLiには5%分位点として予測された値が適用され、上限値yUiには95%分位点として予測された値が適用されることとなる。
【0076】
ここで、τ=[0.05,0.50,0.95]とした場合、すなわち、5%分位点の予測モデル、50%分位点の予測モデル、及び95%分位点の予測モデルの学習を行う場合に着目する。この場合には、「5%分位点の予測モデルの予測結果≦y≦95%分位点の予測モデルの予測結果」が示す範囲に含まれる実績は全体の90%(0.95-0.05=0.90)となることが望ましい。この考え方の指標として、PICP、すなわち、「5%分位点の予測モデルの予測結果≦y≦95%分位点の予測モデルの予測結果」が示す範囲に含まれる実績の割合を示す指標を適用することが可能である。
この場合には、回帰モデルの学習に際して、目標とする割合(上記の例の場合には0.90)とPICPとの差分を算出し、当該差分がより小さくなるようにτの値を調整すればよい。
【0077】
次いで、MAを利用することで、回帰モデルの出力の妥当性を確認する方法の一例について説明する。前述したPICPでは、「下限側の予測モデルの予測結果≦y≦上限側の予測モデルの予測結果」が想定する範囲と実績とのズレに注目していた。これに対してMAでは、その後の手順で求められる分割正規分布に対して、範囲の取り方を複数回変えて、それぞれのPICPを算出してズレを積算していくことで総合的な妥当性の評価を実現する。
【0078】
MAは、以下に説明する手順によって求められる。
まず、範囲の取り方を50%分位点から上下方向へと徐々に拡大し、それぞれのPICPを計算する。そのうえで、横軸に範囲が表す割合の大きさ、縦軸にPICPをとるように実績データをプロットする。このとき、理想的な挙動の場合には、プロットされたサンプルを結ぶ線が直線となる。この理想的な挙動の場合の直線と、一連の実績データがプロットされたサンプルを結ぶ線(例えば、曲線)とにより規定される領域の面積の値がMAと称される評価指標として適用される。この評価指標は、0により近いほどより優れている(より理想的な挙動に近いことを示している)こととなる。
【0079】
ここで、MAの算出方法についてより詳しく説明する。MAを算出するためには、複数の想定範囲に対してPICPを算出することとなるため、PICPの算出に利用した分位点ではなく、分位点に基づき推定される確率分布そのものが用いられる。
ここで、図14を参照して、MAの算出方法の一例について、特に一つの想定範囲に対してPICPを求めていく部分に着目して説明する。図14は、横軸を需要量とし、縦軸を需要量の確率密度とした確率密度関数の一例を示している。また、図14に示す例では、30%の範囲を想定した場合のPICPの算出方法の一例について示している。
30%の範囲を想定する場合には、50%を基点として上下に15%ずつ動かした35%分位点及び65%分位点を求めることとなる。分割正規分布の確率密度関数は、50%分位点から値を動かした場合に、その値から50%分位点までが対応する確率を求めることが可能である。そのため、50%分位点を基点としてプラスマイナスそれぞれの方向に確率が15%となるように値を動かすことで、35%分位点及び65%分位点を求めることが可能である。以上のようにして求めた35%分位点及び65%分位点の間に含まれる実績の割合を算出することで、「30%の範囲を想定した場合のPICP」を求めることが可能となる。例えば、この場合におけるPICPが0.18だった場合には、(0.3,0.18)という点がMA算出時の曲線の一部としてプロットされる。
【0080】
例えば、図15は、MAの算出結果の一例を示した図である。図15に例示するように、理想的な挙動の場合に対応する直線と、一連のPICPの算出結果に応じてプロットに基づき形成される曲線とが得られる。MAでは、この理想的な挙動の場合を示す直線と、PICPの算出結果をプロットすることで得られる曲線とにより形成される領域の面積を評価指標とする。具体的には、この領域の面積(評価指標)がより0に近いほど、評価結果が優れていることを示している。すなわち、上記領域の面積をより0に近づけるように、τの値を調整すればよい。
【0081】
以上、変形例4として、回帰モデル(各分位点の推定に係る学習済モデル)の学習に際したτの調整方法の一例について説明した。
【0082】
(変形例5)
変形例5として、分位点予測の結果の大小関係を補正する場合の一例について説明する。前述した実施形態では、第1の分位点~第3の分位点それぞれの分位点予測の結果が、学習を通して自ずと「第3の分位点<第1の分位点」及び「第1の分位点<第2の分位点」の関係を満たすこととなる場合の一例について説明した。一方で「5%分位点>50%分位点」や「50%分位点>95%分位点」等といったように、分位点間における分位点予測の結果の大小関係が上述した例とは逆転するような場合がある。そこで、本変形例では、上記のように分位点の大小関係に逆転が生じた場合に、分位点予測の結果を補正する方法の一例について説明する。
【0083】
第1の補正方法として、分位点の大小関係の逆転が生じている場合には、逆転が生じている分位点を単純に入れ替える方法が挙げられる。
また、第2の補正方法として、逆転が生じていない分位点の組み合わせの関係性を分析することで、この組み合わせに対応する分位点間の関係性(例えば、5%分位点は50%分位点のX倍になる等)から新しい分位点の候補を推定する方法が挙げられる。
【0084】
ここで、第2の補正方法について具体的な例を挙げてより詳しく説明する。例えば、図16は、分位点の大小関係の逆転が生じた場合における、分位点予測の結果を補正する方法の一例を示した図である。なお、図16に示す例では、50%分位点(第1の分位点)、95%分位点(第2の分位点)、及び5%分位点(第3の分位点)を対象として関係性の分析や分位点予測の結果の補正がなされるものとする。
【0085】
図16(a)は、対象となる分位点予測の結果のうち、大小関係の逆転が生じていないサンプルの一例を示している。具体的には、図16(a)に例示した各サンプルにおける50%分位点、5%分位点、及び95%分位点における分位点予測の結果が、「5%分位点<50%分位点」、「50%分位点<95%分位点」の条件を満たしている。
次いで、図16(a)に例示した大小関係の逆転が生じていない各サンプルを対象として、分位点間の関係性の分析を行う。例えば、図16(b)に示す例では、各サンプルに対して、分位点間における予測結果の比率として、「5%分位点予測の結果÷50%分位点予測の結果」及び「95%分位点予測の結果÷50%分位点予測の結果」を算出している。
そのうえで、図16(b)に例示したサンプルごとの分位点間における予測結果の比率の平均値を算出する。図16(c)は、図16(b)にてサンプルごとに算出された「5%分位点予測の結果÷50%分位点予測の結果」及び「95%分位点予測の結果÷50%分位点予測の結果」の平均値の算出結果の一例を示している。なお、図16(c)では、説明を簡単にするために全商品に共通の比率が算出される場合の一例について示しているが、あくまで一例であり、例えば、商品のカテゴリごとに個別に比率が算出されてもよい。
【0086】
次いで、分位点予測の結果の大小関係に逆転が生じている場合に、当該分位点予測の結果を補正する処理の一例について説明する。例えば、図16(d)は、分位点予測の結果に逆転が生じているサンプルの一例を示している。ここでは、図16(d)に例示した各サンプルを対象として、逆転が生じている分位点予測の結果を、図16(c)に示す例にて求めた分位点間における予測結果の比率に基づき補正する場合の一例について説明する。
【0087】
具体的な一例として、商品名「CCCCC」のサンプルは、「5%分位点>50%分位点」となっており、5%分位点予測の結果と50%分位点予測の結果との大小関係に逆転が生じている。そのため、この場合には、図16(c)に示す例にて算出した「5%分位点予測の結果÷50%分位点予測の結果」の平均値に基づき、5%分位点予測の結果を補正するとよい。例えば、図16(c)に示す例では、5%分位点予測の結果を対象として、「5%分位点予測の結果÷50%分位点予測の結果」の平均値を乗じることで補正がなされている。これにより、5%分位点予測の結果と50%分位点予測の結果との大小関係が、「5%分位点<50%分位点」となるように補正されている。なお、当該サンプルにおいては、95%分位点予測の結果と50%分位点予測の結果とについては大小関係の逆転が生じておらず、この場合には、補正の対象とはせずにそのままの値が適用される。
【0088】
また、他の一例として、商品名「DDDDD」のサンプルは、「50%分位点>95%分位点」となっており、5%分位点予測の結果と50%分位点予測の結果との大小関係に逆転が生じている。そのため、この場合には、図16(c)に示す例にて算出した「95%分位点予測の結果÷50%分位点予測の結果」の平均値に基づき、95%分位点予測の結果を補正するとよい。例えば、図16(c)に示す例では、95%分位点予測の結果を対象として、「95%分位点予測の結果÷50%分位点予測の結果」の平均値を乗じることで補正がなされている。これにより、95%分位点予測の結果と50%分位点予測の結果との大小関係が、「50%分位点<95%分位点」となるように補正されている。なお、当該サンプルにおいては、5%分位点予測の結果と50%分位点予測の結果とについては大小関係の逆転が生じておらず、この場合には、補正の対象とはせずにそのままの値が適用される。
【0089】
以上、変形例5として、分位点予測の結果の大小関係を補正する場合の一例について説明した。
【0090】
(変形例6)
変形例6として、単一のモデル(共通のモデル)を用いて複数の分位点(例えば、第1の分位点~第3の分位点)を推定する場合の一例について説明する。前述した実施形態では、第1の分位点~第3の分位点それぞれの推定に際して、分位点ごとに個別に構築された学習済モデルを利用する場合の一例について説明した。これに対して、本変形例では、単一のモデルにより複数の分位点(例えば、第1の分位点~第3の分位点)を推定する場合の一例について説明する。
【0091】
具体的な一例として、ニューラルネットワーク系のモデルを利用して複数の分位点の推定を行う場合には、例えば、当該複数の分位点を推定するように当該モデルの構築が行われればよい。また、他の一例として、ツリー系のモデルを利用して複数の分位点の推定を行う場合には、例えば、予測時の列情報として「どの分位点を推定するか」を示す情報を追加すればよい。
【0092】
以上、変形例6として、単一のモデルを用いて複数の分位点を推定する場合の一例について説明した。
【0093】
(変形例7)
変形例7として、単一のモデルを用いて複数の分位点(例えば、第1の分位点~第3の分位点)を推定する場合における当該モデルの学習に際して、当該複数の分位点それぞれにおける分位点予測の結果の大小関係が保たれるように制約を設ける場合の一例について説明する。前述した実施形態では、第1の分位点~第3の分位点それぞれの分位点予測の結果が、学習を通して自ずと「第3の分位点<第1の分位点」及び「第1の分位点<第2の分位点」の関係を満たすこととなる場合の一例について説明した。一方で、変形例5にて説明したように、分位点間における分位点予測の結果の大小関係が逆転するような場合があり、変形例5に示す例では事後的に分位点予測の結果を補正することでこの大小関係の逆転を解消する場合の一例について説明した。
【0094】
これに対して、変形例6にて説明したように、単一のモデルを利用して複数の分位点の推定がなされる場合には、当該モデルの学習に際して、複数の分位点間において分位点予測の結果の大小関係が維持されるように制約を設けることも可能である。具体的には、上記単一のモデルの学習に際して、「どの分位点を推定するか」を示す情報が設定された列に対して単調増加制約を設けることで、推定される複数の分位点間における分位点予測の結果の大小関係の逆転を未然に防止することが可能となる。
【0095】
以上、変形例7として、単一のモデルを用いて複数の分位点推定する場合における当該モデルの学習に際して、当該複数の分位点それぞれにおける分位点予測の結果の大小関係が保たれるように制約を設ける場合の一例について説明した。
【0096】
(変形例8)
変形例8として、単位期間ごと(例えば、日ごと)の需要量の分布の平均及び分散の足し合わせにより対象期間の需要分布の推定を行う方法の一例について説明する。前述した実施形態では、統合処理部120は、推定された日ごとの需要量の分布を対象とした畳み込み処理により、対象期間における需要量の分布の推定を行っていた。これに対して、本変形例では、畳み込み処理に替えて、単純な平均と分散の足し合わせを適用することで、対象期間における需要量の分布の推定を行う場合の一例について説明する。
【0097】
具体的には、日ごとの確率密度関数の「最頻値μ」、「下方側の広がりを表すパラメータσ1」、及び「上方側の広がりを表すパラメータσ2」を各日それぞれ足し合わせることにより、対象期間における需要量の分布を表す確率密度関数の推定がなされてもよい。
【0098】
例えば、図17は、対象期間の需要分布の推定を行う方法の一例を示した図であり、日ごとの需要量の分布の平均及び分散の足し合わせにより対象期間の需要分布の推定を行う方法の一例について示している。なお、図17に示す例では、説明を簡単にするために、3日分の需要量の分布に基づき、3日間における需要分布の推定を行われる場合の一例について説明する。
【0099】
図17に示す例では、1日目、2日目、及び3日目それぞれについて、日ごとの確率密度関数の「最頻値μ」、「下方側の広がりを表すパラメータσ1」、及び「上方側の広がりを表すパラメータσ2」が示されている。また、1日目~3日目の推定結果として、上記1日目、2日目、及び3日目の日ごとの確率密度関数の「最頻値μ」、「下方側の広がりを表すパラメータσ1」、及び「上方側の広がりを表すパラメータσ2」それぞれの正規分布の加法性を考慮して和をとった値が示されている。この1日目~3日目の推定結果として得られた最頻値及び分布の広がりを表すパラメータを、以下に(式8)として示す関係式に適用することで、1日目~3日目の3日分の期間を対象とした需要分布を推定することが可能である。
【0100】
【数8】
【0101】
以上、変形例8として、単位期間ごと(例えば、日ごと)の需要量の分布の最頻値及び分布の広がりを表すパラメータの足し合わせにより対象期間の需要分布の推定を行う方法の一例について説明した。
【0102】
(変形例9)
変形例9として、各分位点の推定に複数のモデルを適用する場合の一例にとして、複数のモデルによる推定結果のばらつきを考慮することで、より好適な分位点を推定可能とする仕組みの一例について説明する。
【0103】
図18は、複数の分位点それぞれの推定に際して複数のモデルを適用する場合の一例を示した図である。図18に示す例では、q0.5分位点、qα分位点、及びq1-α分位点の推定に際して、それぞれに5つのモデルを適用する場合の一例を示している。
具体的には、q0.5分位点については、5つのモデルそれぞれによる分位点q0.5の推定結果の平均値が適用される。これに対して、qα分位点については、5つのモデルそれぞれによるqα分位点の平均値に対して、標準正規分布のα分位点zαに、5つのモデルそれぞれから得られたqα分位点の標準偏差を乗算した値が加算されることで算出される。同様に、q1-α分位点については、5つのモデルそれぞれによるq1-α分位点の平均値に対して、標準正規分布の1-α分位点z1-αに、5つのモデルそれぞれから得られたq1-α分位点の標準偏差を乗算した値が加算されることで算出される。
【0104】
ここで、図19を参照して、図18に例示したq0.5分位点、qα分位点、及びq1-α分位点それぞれの推定方法の一例について、q0.5分位点、q0.05分位点、及びq0.95分位点を推定する場合に着目して具体的な例を挙げて説明する。図19に示す例では、q0.5分位点、q0.05分位点、及びq0.95分位点それぞれについて、モデル1~モデル5それぞれによる推定結果の一例が示されている。
【0105】
例えば、図19に示す例におけるq0.5分位点は、各モデル分位点の推定結果の平均値として算出されるため、計算式は以下の通りとなる。
【0106】
【数9】
【0107】
また、図19に示す例におけるq0.05分位点は、各モデル分位点の推定結果の平均値に対して、標準正規分布のq0.05分位点z0.05に標準偏差を乗算した値が加算されることで算出されるため、計算式は以下の通りとなる。
【0108】
【数10】
【0109】
また、図19に示す例におけるq0.95分位点は、各モデル分位点の推定結果の平均値に対して、標準正規分布のq0.95分位点z0.95に標準偏差を乗算した値が加算されることで算出されるため、計算式は以下の通りとなる。
【0110】
【数11】
【0111】
以上、変形例9として、各分位点の推定に複数のモデルを適用する場合の一例にとして、複数のモデルによる推定結果のばらつきを考慮することで、より好適な分位点を推定可能とする仕組みの一例について説明した。
【0112】
<むすび>
以上説明したように、本実施形態に係る情報処理装置は、過去の需要量の実績に基づき、需要量予測の対象となる単位期間について実際に観測されると推定される需要量の第1の範囲に含まれる需要量ごとの当該需要量の確からしさを示す第1の分布を推定する。また、情報処理装置は、需要量予測の対象期間に含まれる複数の単位期間それぞれについて推定された第1の分布に基づき、当該対象期間について実際に観測されると推定される需要量の第2の範囲に含まれる需要量ごとの当該需要量の確からしさを示す第2の分布を推定する。そのうえで、本実施形態においては、上記第2の分布の推定結果に基づき、上記対象期間における需要量の予測が行われる。
【0113】
以上のような構成により、例えば、需要量の予測対象の条件に応じて、需要量が基準よりも上振れする場合と、需要量が基準よりも下振れする場合とで傾向が異なるような状況下においても、より実態に即した需要量の予測を行うことが可能となる。また、需要量の予測対象となる期間を適宜切り替えて当該需要量の予測を行うような状況下においても、当該期間に含まれる単位期間ごとに推定された需要量の分布を表わす確率密度関数を畳み込むことで、当該期間に対応する需要量の確率密度を推定すればよい。すなわち、本実施形態においては、需要量の予測対象となる期間ごとに需要量の予測モデルを構築する場合に比べて、期間ごとの需要量の予測に係る処理負荷を軽減することが可能となる。
【0114】
なお、上述した実施形態はあくまで一例であり、必ずしも本発明の構成や処理を限定す
るものではなく、本発明の技術思想を逸脱しない範囲で種々の変形や変更が加えられても
よい。
また、本発明には、上述した実施形態の機能を実現するプログラム、および、該プログラムを格納したコンピュータが読み取り可能な記録媒体が含まれる。
また、上述した本実施形態に係る情報処理装置の基本的な技術思想を逸脱しない範囲であれば種々の変更が施されてもよい。例えば、上記実施形態では、単位期間ごとの需要量の分布を表わす確率密度関数の推定に、第1の分位点、第2の分位点、及び第3の分位点を利用する場合の一例について説明した。一方で、基準よりも上振れした場合と、基準よりも下振れした場合とで、異なる分布の広がりを示すパラメータが設定された需要量の分布を表わす確率密度関数を推定することが可能であれば、その方法は必ずしも上記分位点を利用した方法に限定はされない。また、上記実施形態では、需要量予測の対象期間に含まれる複数の単位期間それぞれについて推定された需要量の分布を表わす確率密度関数の統合に畳み込み処理を利用する場合の一例について説明した。一方で、需要量予測の対象期間に含まれる複数の単位期間それぞれについて推定された需要量の分布を表わす確率密度関数を統合して当該対象期間における需要量の分布を表わす確率密度関数を導出することが可能であれば、その方法は必ずしも畳み込み処理による方法には限定されない。
また、本実施形態の適用対象についても、上記に例示した商品の在庫管理のみには限定されない。すなわち、過去の実績に基づき需要量の予測が行われるような状況下であれば、本実施形態に係る情報処理装置を適用することが可能である。
【0115】
また、以下のような構成も本開示の技術的範囲に属する。
(1)過去の需要量の実績に基づき、需要量予測の対象となる単位期間について実際に観測されると推定される需要量の第1の範囲に含まれる需要量ごとの当該需要量の確からしさを示す第1の分布を推定する第1の推定手段と、需要量予測の対象期間に含まれる複数の単位期間それぞれについて推定された前記第1の分布に基づき、当該対象期間について実際に観測されると推定される需要量の第2の範囲に含まれる需要量ごとの当該需要量の確からしさを示す第2の分布を推定する第2の推定手段と、を備え、前記第2の分布に基づき、前記対象期間における需要量の予測が行われる、情報処理装置。
(2)前記第1の推定手段は、前記過去の需要量の実績に基づき、前記需要量予測の対象となる単位期間における、基準とする需要量の予測結果に対応する第1の分位点と、当該基準よりも需要量が上振れした場合に想定される当該需要量の予測結果に対応する第2の分位点と、当該基準よりも需要量が下振れした場合に想定される当該需要量の予測結果に対応する第3の分位点とを推定し、前記第1の分位点、前記第2の分位点、及び前記第3の分位点の推定結果に基づき、前記第1の範囲と、当該第1の範囲に含まれる需要量ごとの当該需要量の確からしさを示す前記第1の分布と、を推定する、(1)に記載の情報処理装置。
(3)前記第1の推定手段は、前記第1の分位点、前記第2の分位点、及び前記第3の分位点に基づき、前記第1の分位点を基準として需要量の予測結果がより多くなる場合における需要量ごとの当該需要量の確からしさを示す第1の確率密度関数と、前記第1の分位点を基準として需要量の予測結果がより少なくなる場合における需要量ごとの当該需要量の確からしさを示す第2の確率密度関数と、を推定し、前記第1の確率密度関数と前記第2の確率密度関数とに基づく前記第1の分布を推定する、(2)に記載の情報処理装置。
(4)前記第1の分布は、前記第1の分位点を基準として、需要量の予測結果がより多くなる場合と、需要量の予測結果がより少なくなる場合と、で分布の広がりを表すパラメータが異なる分割正規分布である、(2)または(3)に記載の情報処理装置。
(5)前記第1の推定手段は、前記過去の需要量の実績に基づき、前記第1の分位点、前記第2の分位点、及び前記第3の分位点それぞれについて、対応するピンボールロスがより小さくなるように構築された、需要量の予測対象の特徴量を入力として需要量の予測結果を出力する第1の学習済モデルを有し、前記第1の分位点、前記第2の分位点、及び前記第3の分位点それぞれについて構築された前記第1の学習済モデルに対して、需要量の予測対象の特徴量を入力することで、当該第1の学習済モデルの出力として当該第1の分位点、当該第2の分位点、及び当該第3の分位点それぞれの推定結果を取得する、(2)乃至(4)のいずれか1項に記載の情報処理装置。
(6)前記第1の推定手段は、前記第1の分位点、前記第2の分位点、及び前記第3の分位点として示した各分位点の推定に適用する前記第1の学習済モデルとして、複数の学習済モデルを適用し、当該複数の学習済モデルそれぞれによる分位点の推定結果を統合することで、当該分位点を推定する、(5)に記載の情報処理装置。
(7)前記第1の推定手段は、複数の分位点それぞれの推定結果の大小関係が反転した場合には、当該複数の分位点のうちのいずれかを推定結果を補正することで、当該大小関係の反転を解消する、(6)に記載の情報処理装置。
(8)前記第1の推定手段は、前記複数の学習済モデルそれぞれによる分位点の推定結果の平均及び分散に基づき、当該複数の学習済モデルそれぞれによる分位点の推定結果を統合する、(6)または(7)に記載の情報処理装置。
(9)前記第1の推定手段は、前記第1の分位点、前記第2の分位点、及び前記第3の分位点として示した各分位点の推定に適用する前記第1の学習済モデルとして、共通の学習済モデルを適用する、(5)に記載の情報処理装置。
(10)前記共通の学習済モデルは、学習に際して単調増加制約が設けられることで、推定対象となる複数の分位点間の大小関係が保持されるように構築される、(9)に記載の情報処理装置。
(11)前記第1の推定手段は、前記第1の分位点、前記第2の分位点、及び前記第3の分位点の推定結果の妥当性を確認することで、前記第1の分布の推定に適用する前記第1の分位点、前記第2の分位点、及び前記第3の分位点を決定する、(2)乃至(10)のいずれか1項に記載の情報処理装置。
(12)前記第1の推定手段は、需要量の予測対象の特徴量を入力として需要量の予測結果を出力する第2の学習済モデルと、前記特徴量と、前記第2の学習済モデルから出力される前記需要量の予測結果と、を入力として当該需要量の予測結果に生じる誤差とを予測する第3の学習済モデルと、を有し、入力された前記特徴量に対応する過去の需要量の実績のサンプルデータのうち、対象となる分位点に対応する数のサンプルデータが、前記第2の学習済モデルから出力される前記需要量の予測結果と、前記第3の学習済モデルから出力される前記誤差に対して補正係数を乗じた値と、の加算値を上限として規定される需要量の範囲に含まれるように当該補正係数を決定することで、前記第1の分位点、前記第2の分位点、及び前記第3の分位点を推定する(2)乃至(4)のいずれか1項に記載の情報処理装置。
(13)前記第2の推定手段は、前記対象期間に含まれる複数の単位期間それぞれについて推定された前記第1の分布を対象とした畳み込みにより、当該対象期間に対応する前記第2の分布を推定する、(1)乃至(12)のいずれか1項に記載の情報処理装置。
(14)前記第2の推定手段は、前記対象期間に含まれる複数の単位期間それぞれについて推定された前記第1の分布の最頻値及び分布の広がりを表すパラメータに基づき、当該対象期間に対応する前記第2の分布を推定する、(1)乃至(12)のいずれか1項に記載の情報処理装置。
(15)前記第2の分布と、許容される需要量の予測結果の誤差と、に基づき、前記対象期間における需要量の予測を行う予測手段を備える、(1)乃至(14)のいずれか1項に記載の情報処理装置。
(16)情報処理装置が実行する情報処理方法であって、過去の需要量の実績に基づき、需要量予測の対象となる単位期間について実際に観測されると推定される需要量の第1の範囲に含まれる需要量ごとの当該需要量の確からしさを示す第1の分布を推定する第1の推定ステップと、需要量予測の対象期間に含まれる複数の単位期間それぞれについて推定された前記第1の分布に基づき、当該対象期間について実際に観測されると推定される需要量の第2の範囲に含まれる需要量ごとの当該需要量の確からしさを示す第2の分布を推定する第2の推定ステップと、を含み、前記第2の分布に基づき、前記対象期間における需要量の予測が行われる、情報処理方法。
(17)コンピュータに、過去の需要量の実績に基づき、需要量予測の対象となる単位期間について実際に観測されると推定される需要量の第1の範囲に含まれる需要量ごとの当該需要量の確からしさを示す第1の分布を推定する第1の推定ステップと、需要量予測の対象期間に含まれる複数の単位期間それぞれについて推定された前記第1の分布に基づき、当該対象期間について実際に観測されると推定される需要量の第2の範囲に含まれる需要量ごとの当該需要量の確からしさを示す第2の分布を推定する第2の推定ステップと、を実行させ、前記第2の分布に基づき、前記対象期間における需要量の予測が行われる、プログラム。
【符号の説明】
【0116】
1 情報処理システム
100 情報処理装置
110 需要量分布推定部
120 統合処理部
130 需要量予測部
190 記憶部
200 端末装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19