(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024010525
(43)【公開日】2024-01-24
(54)【発明の名称】金属加工油組成物
(51)【国際特許分類】
C10M 169/04 20060101AFI20240117BHJP
C10M 105/32 20060101ALN20240117BHJP
C10M 137/10 20060101ALN20240117BHJP
C10M 137/04 20060101ALN20240117BHJP
C10M 101/02 20060101ALN20240117BHJP
C10N 30/00 20060101ALN20240117BHJP
C10N 40/22 20060101ALN20240117BHJP
【FI】
C10M169/04
C10M105/32
C10M137/10 Z
C10M137/04
C10M101/02
C10N30:00 Z
C10N40:22
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022111906
(22)【出願日】2022-07-12
(71)【出願人】
【識別番号】000004444
【氏名又は名称】ENEOS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100169454
【弁理士】
【氏名又は名称】平野 裕之
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 龍太
(72)【発明者】
【氏名】山本 拓海
(72)【発明者】
【氏名】田村 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】千本木 紀夫
(72)【発明者】
【氏名】辻本 鉄平
(72)【発明者】
【氏名】置塩 直史
(72)【発明者】
【氏名】眞名井 康
【テーマコード(参考)】
4H104
【Fターム(参考)】
4H104BA02A
4H104BA04A
4H104BA07A
4H104BB08A
4H104BB31A
4H104BB32A
4H104BB33A
4H104BB34A
4H104BB41A
4H104BH03C
4H104BH06C
4H104CB14A
4H104CD01A
4H104CJ02A
4H104DA02A
4H104EA22A
4H104LA20
4H104PA22
(57)【要約】
【課題】充分に高い引火点を有するとともに、工具寿命を延ばすことが可能な金属加工油組成物を提供すること。
【解決手段】金属加工油組成物が提供される。当該金属加工油組成物は、飽和脂肪酸とアルコールとのエステルである第1のエステル、不飽和脂肪酸とアルコールとのエステルである第2のエステル、並びに、鉱油、及び、エステル以外の合成油からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む潤滑油基油と、チオリン酸エステルと、酸性リン酸エステルとを含有する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
飽和脂肪酸とアルコールとのエステルである第1のエステル、不飽和脂肪酸とアルコールとのエステルである第2のエステル、並びに、鉱油、及び、エステル以外の合成油からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む潤滑油基油と、
チオリン酸エステルと、
酸性リン酸エステルと、
を含有する、金属加工油組成物。
【請求項2】
前記潤滑油基油の総量におけるヨウ素価が50gI2/100g以下である、請求項1に記載の金属加工油組成物。
【請求項3】
前記第1のエステル及び前記第2のエステルの総量の含有量が、潤滑油基油全量を基準として、50~90質量%である、請求項1又は2に記載の金属加工油組成物。
【請求項4】
前記鉱油がAPI基油分類のグループIIIの鉱油である、請求項1又は2に記載の金属加工油組成物。
【請求項5】
40℃動粘度が30mm2/s以下である、請求項1又は2に記載の金属加工油組成物。
【請求項6】
引火点が200℃以上である、請求項1又は2に記載の金属加工油組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属加工油組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
金属加工の分野においては、被加工物の加工部位を潤滑するために、金属加工油が使用されている。生産効率の向上等の観点から、優れた切削性を有する金属加工油の開発が進められている。
【0003】
金属加工油としては、例えば、所定のエステル油を含む金属加工油が開示されている(例えば、引用文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年では、金属加工油に対する要求性能はさらに増しており、従来の金属加工油は、工具寿命、引火点等の点で改善の余地がある。特に、金属加工油が充分に高い引火点(例えば、200℃以上)を有すると、工具寿命が不充分になり易い傾向にある。
【0006】
そこで、本発明は、充分に高い引火点を有するとともに、工具寿命を延ばすことが可能な金属加工油組成物を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らの検討によると、所定の潤滑油基油、チオリン酸エステル、及び酸性リン酸エステルを組み合わせることより、引火点及び工具寿命を高いレベルで両立させることが可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
本発明は、金属加工油組成物を提供する。当該金属加工油組成物は、飽和脂肪酸とアルコールとのエステルである第1のエステル、不飽和脂肪酸とアルコールとのエステルである第2のエステル、並びに、鉱油、及び、エステル以外の合成油からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む潤滑油基油と、チオリン酸エステルと、酸性リン酸エステルとを含有する。このような金属加工油組成物によれば、充分に高い引火点を有するとともに、工具寿命を延ばすことが可能となる。
【0009】
潤滑油基油におけるヨウ素価は、好ましくは50gI2/100g以下である。本明細書において、ヨウ素価とは、JIS K 0070:1992「化学製品の酸価、けん化価、エステル価、よう素価、水酸基価及び不けん化物の試験方法」に準拠して測定されるヨウ素価を意味する。ヨウ素価は、第2のエステル由来する不飽和度を示す指標である。
【0010】
第1のエステル及び第2のエステルの総量の含有量は、潤滑油基油全量を基準として、好ましくは50~90質量%である。
【0011】
鉱油は、好ましくはAPI基油分類のグループIIIの鉱油である。
【0012】
金属加工油組成物の40℃動粘度は、好ましくは30mm2/s以下である。本明細書において、40℃動粘度及び100℃動粘度は、JIS K2283:2000に準拠して測定される動粘度を意味する。
【0013】
金属加工油組成物の引火点は、好ましくは200℃以上である。本明細書において、引火点は、JIS K2265-4:2007に準拠して測定される引火点を意味する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、充分に高い引火点を有するとともに、工具寿命を延ばすことが可能な金属加工油組成物が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0016】
本明細書中、「~」を用いて示された数値範囲は、「~」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。本明細書中に段階的に記載されている数値範囲において、ある段階の数値範囲の上限値又は下限値は、他の段階の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本明細書中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
【0017】
本明細書中、以下で例示する材料は、特に断らない限り、条件に該当する範囲で、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。金属加工油組成物中の各成分の含有量は、金属加工油組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、金属加工油組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
【0018】
本明細書中、「皮膚感作」とは、ある物質と繰り返し接触することによりその物質が抗原となって体内に抗体が作られ、アレルギー反応を起こすことをいい、皮膚に物質が触れることで皮膚等に直接毒性反応を起こし、炎症等が発現する皮膚刺激とは異なる概念である。
【0019】
[金属加工油組成物]
一実施形態に係る金属加工油組成物は、飽和脂肪酸とアルコールとのエステルである第1のエステル、不飽和脂肪酸とアルコールとのエステルである第2のエステル、及び、鉱油を含む潤滑油基油と、チオリン酸エステルと、酸性リン酸エステルとを含有する。
【0020】
<潤滑油基油>
(第1のエステル:飽和脂肪酸とアルコールとのエステル)
潤滑油基油は、第1のエステルを含む。第1のエステルを構成する飽和脂肪酸は、一塩基酸であっても、多塩基酸であってもよい。
【0021】
飽和脂肪酸として一塩基酸を用いる場合、その炭素数は、好ましくは6~24、より好ましくは8~18である。このような一塩基酸は、直鎖状の一塩基酸であっても分岐状の一塩基酸であってもよい。一塩基酸の炭素数が6以上であると、金属加工油組成物をより高引火点化することができ、一塩基酸の炭素数が24以下であると、金属加工油組成物を低粘度化することができる。
【0022】
飽和脂肪酸として多塩基酸を用いる場合、該多塩基酸は、炭素数2~16の二塩基酸であることが好ましい。このような二塩基酸は、直鎖状の二塩基酸であっても分岐状の二塩基酸であってもよい。
【0023】
第1のエステルを構成するアルコールは、1価アルコールであっても多価アルコールであってもよい。
【0024】
1価アルコールは、直鎖状の1価アルコールであっても分岐状の1価アルコールであってもよい。1価アルコールの炭素数は、好ましくは1~24、より好ましくは炭素数3~16である。1価アルコールの炭素数が1以上であると、金属加工油組成物をより高引火点化することができ、1価アルコールの炭素数が24以下であると、金属加工油組成物を低粘度化することができる。
【0025】
多価アルコールは、好ましくは2~10価のアルコール、より好ましくは2~6価のアルコールである。2~10価のアルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール(エチレングリコールの3~15量体)、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール(プロピレングリコールの3~15量体)、1,3-プロパンジオール、1,2-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2-メチル-1,2-プロパンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,3-ペンタンジオール、1,4-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール等の2価アルコール;グリセリン、ポリグリセリン(グリセリンの2~8量体、例えばジグリセリン、トリグリセリン、テトラグリセリン等)、トリメチロールアルカン(例えばトリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン等)及びこれらの2~8量体、ペンタエリスリトール及びこれらの2~4量体、1,2,4-ブタントリオール、1,3,5-ペンタントリオール、1,2,6-ヘキサントリオール、1,2,3,4-ブタンテトロール、ソルビトール、ソルビタン、ソルビトールグリセリン縮合物、アドニトール、アラビトール、キシリトール、マンニトール等の多価アルコール;キシロース、アラビノース、リボース、ラムノース、グルコース、フルクトース、ガラストース、マンノース、ソルボース、セロビオース、マルトース、イソマルトース、トレハロース、スクロース等の糖類、及びこれらの混合物などが挙げられる。これらの中でも、多価アルコールは、金属加工油組成物のさらなる高引火点化の観点から、好ましくはネオペンチルグリコール、グリセリン、又はトリメチロールアルカンである。
【0026】
本実施形態においては、任意の飽和脂肪酸(一塩基酸及び多塩基酸)及び任意のアルコール(1価アルコール及び多価アルコール)の組合せによるエステルが使用可能である。第1のエステルとしては、下記(i)~(vii)に示すエステルが挙げられる。
(i)一塩基酸と1価アルコールとのエステル
(ii)一塩基酸と多価アルコールとのエステル
(iii)多塩基酸と1価アルコールとのエステル
(iv)多塩基酸と多価アルコールとのエステル
(v)多塩基酸と1価アルコール及び多価アルコールの混合アルコールとのエステル
(vi)一塩基酸及び多塩基酸の混合脂肪酸と多価アルコールとのエステル
(vii)一塩基酸及び多塩基酸の混合脂肪酸と1価アルコール及び多価アルコールの混合アルコールとのエステル
【0027】
なお、第1のエステルを構成するアルコールが多価アルコールである場合、第1のエステルは、多価アルコール中の水酸基全てがエステル化された完全エステルであっても水酸基の一部がエステル化されず水酸基のままで残っている部分エステルであってもよい。第1のエステルを構成する飽和脂肪酸が多塩基酸である場合、第1のエステルは、多塩基酸中のカルボキシル基全てがエステル化された完全エステルであっても、カルボキシル基の一部がエステル化されずカルボキシル基のままで残っている部分エステルであってもよい。
【0028】
第1のエステルは、金属加工油組成物のさらなる高引火点化の観点から、好ましくは(i)一塩基酸と1価アルコールとのエステル又は(ii)一塩基酸と多価アルコールとのエステル、より好ましくは(ii)一塩基酸と多価アルコールとのエステルである。
【0029】
第1のエステルの含有量は、金属加工油組成物のさらなる高引火点化の観点から、潤滑油基油全量を基準として、好ましくは50質量%以上、より好ましくは55質量%以上、さらに好ましくは60質量%以上である。第1のエステルの含有量は、金属加工油組成物の金属加工性の向上の観点から、好ましくは90質量%以下、より好ましくは85質量%以下、さらに好ましくは80質量%以下である。一実施形態において、第1のエステルの含有量は、潤滑油基油全量を基準として、好ましくは50~90質量%、より好ましくは55~85質量%、さらに好ましくは60~80質量%である。
【0030】
(第2のエステル:不飽和脂肪酸とアルコールとのエステル)
潤滑油基油は、第2のエステルを含む。第2のエステルを構成する不飽和脂肪酸は、一塩基酸であっても、多塩基酸であってもよい。
【0031】
不飽和脂肪酸として一塩基酸を用いる場合、その炭素数は、好ましくは6~24、より好ましくは12~18である。このような一塩基酸は、直鎖状の一塩基酸であっても分岐状の一塩基酸であってもよい。一塩基酸の炭素数が6以上であると、金属加工油組成物をより高引火点化することができ、一塩基酸の炭素数が24以下であると、金属加工油組成物をより低粘度化することができる。
【0032】
不飽和脂肪酸として多塩基酸を用いる場合、該多塩基酸は、二重結合を有する炭素数2~16の二塩基酸であることが好ましい。このような二塩基酸は、直鎖状の二塩基酸であっても分岐状の二塩基酸であってもよい。
【0033】
第2のエステルを構成するアルコールとしては、第1のエステルを構成するアルコールとして例示したアルコールが挙げられる。第2のエステルを構成するアルコールとして1価アルコールを用いる場合、該1価アルコールとしては、第1のエステルを構成する1価アルコールの好ましい例と同様のものが挙げられる。第2のエステルを構成するアルコールとして多価アルコールを用いる場合、該多価アルコールは、ネオペンチルグリコール、グリセリン、又はトリメチロールアルカンであることが好ましく、ネオペンチルグリコールであることがより好ましい。
【0034】
本実施形態においては、任意の不飽和脂肪酸(一塩基酸及び多塩基酸)及び任意のアルコール(1価アルコール及び多価アルコール)の組合せによるエステルが使用可能である。第2のエステルとしては、下記(i)~(vii)に示すエステルが挙げられる。
(i)一塩基酸と1価アルコールとのエステル
(ii)一塩基酸と多価アルコールとのエステル
(iii)多塩基酸と1価アルコールとのエステル
(iv)多塩基酸と多価アルコールとのエステル
(v)多塩基酸と1価アルコール及び多価アルコールの混合アルコールとのエステル
(vi)一塩基酸及び多塩基酸の混合脂肪酸と多価アルコールとのエステル
(vii)一塩基酸及び多塩基酸の混合脂肪酸と1価アルコール及び多価アルコールの混合アルコールとのエステル
【0035】
なお、第2のエステルを構成するアルコールが多価アルコールである場合、第2のエステルは、多価アルコール中の水酸基全てがエステル化された完全エステルであっても、水酸基の一部がエステル化されず水酸基のままで残っている部分エステルであってもよい。第2のエステルを構成する不飽和脂肪酸が多塩基酸である場合、第2のエステルは、多塩基酸中のカルボキシル基全てがエステル化された完全エステルであっても、カルボキシル基の一部がエステル化されずカルボキシル基のままで残っている部分エステルであってもよい。
【0036】
第2のエステルは、金属加工油組成物のさらなる低粘度化の観点から、好ましくは(i)一塩基酸と1価アルコールとのエステル又は(ii)一塩基酸と多価アルコールとのエステルである。
【0037】
第2のエステルの総量のヨウ素価は、特に制限されないが、好ましくは10gI2/100g以上、より好ましくは30gI2/100g以上、さらに好ましくは50gI2/100g以上であり、好ましくは140gI2/100g以下、より好ましくは120gI2/100g以下、さらに好ましくは100gI2/100g以下である。
【0038】
第2のエステルの含有量は、金属加工油組成物のさらなる高引火点化の観点から、潤滑油基油全量を基準として、好ましくは1質量%以上、より好ましくは3質量%以上、さらに好ましくは5質量%である。第2のエステルの含有量は、金属加工油組成物のさらなる金属加工性の向上及び皮膚感作性の低減の観点から、好ましくは30質量%以下、より好ましくは25質量%以下、さらに好ましくは20質量%以下である。一実施形態において、第2のエステルの含有量は、潤滑油基油全量を基準として、好ましくは1~30質量%、より好ましくは3~25質量%、さらに好ましくは5~20質量%である。
【0039】
第1のエステル及び第2のエステルの総量におけるヨウ素価は、好ましくは50gI2/100g以下である。当該ヨウ素価がこのような範囲にあると、金属加工油組成物の皮膚感作性をより低減することができる。当該ヨウ素価は、より好ましくは40gI2/100g以下、さらに好ましくは20gI2/100g以下である。第1のエステル及び第2のエステルの総量におけるヨウ素価の下限値は、例えば、1gI2/100g以上又は3gI2/100g以上であってよい。
【0040】
ヨウ素価は、第2のエステルに由来する不飽和度を示す指標である。そのため、上記第1のエステル及び第2のエステルの総量におけるヨウ素価は、第2のエステルの割合を減らす、ヨウ素価の低い第2のエステルを用いる等によって、上記範囲に調整することができる。
【0041】
第1のエステル及び第2のエステルの総量の含有量は、潤滑油基油全量を基準として、好ましくは50~90質量%である。第1のエステル及び第2のエステルの総量の含有量がこのような範囲にあると、金属加工油組成物をより高引火点化することができ、金属加工油組成物の皮膚感作性を低減することができる。また、第1のエステル及び第2のエステルの総量の含有量がこのような範囲にあると、金属加工油組成物と樹脂との相性に優れるため、金属加工油組成物が工作機械等に使用されている樹脂材に付着した場合でも、樹脂材を劣化させ難くなる。第1のエステル及び第2のエステルの総量の含有量は、潤滑油基油全量を基準として、より好ましくは55質量%以上、さらに好ましくは60質量%以上であり、より好ましくは87質量%以下、さらに好ましくは85質量%以下である。一実施形態において、第1のエステル及び第2のエステルの総量の含有量は、より好ましくは55~7質量%、さらに好ましくは60~85質量%である。
【0042】
(その他の基油:第1のエステル及び第2のエステル以外の基油)
潤滑油基油は、第1のエステル及び第2のエステルに加えて、その他の基油として、鉱油、及び、エステル以外の合成油からなる群より選ばれる少なくとも1種をさらに含む。
【0043】
鉱油としては、例えば、API基油分類のグループI、グループII、又はグループIIIの鉱油が挙げられる。なお、API分類の各グループは、米国石油協会(API(American Petroleum Institute))の潤滑油グレードの分類を意味する。
【0044】
鉱油としては、例えば、原油を常圧蒸留又は減圧蒸留して得られる潤滑油留分に対して、溶剤脱れき、溶剤抽出、溶剤脱ろう、接触脱ろう、水素化精製、硫酸洗浄、白土処理等の1種若しくは2種以上の精製手段を適宜組み合わせて適用することによって得られる、パラフィン系基油、ナフテン系基油等が挙げられる。API基油分類のグループIIの鉱油及びAPI基油分類のグループIIIの鉱油は、通常、水素化精製プロセスを経て製造される。また、鉱油としては、例えば、ワックス異性化基油;GTL WAX(ガス・トゥ・リキッド ワックス)を異性化する手法で製造される基油等も挙げられる。高引火点化の観点から、鉱油としてグループIIIの鉱油を含むことが好ましい。
【0045】
鉱油の粘度指数は、好ましくは80以上、より好ましくは90以上、さらに好ましくは100以上である。また、鉱油の粘度指数の上限は、特に限定されないが、例えば、150以下であってよい。本明細書において、粘度指数は、JIS K2283:2000に準拠して測定される粘度指数を意味する。
【0046】
鉱油の硫黄分は、好ましくは10000質量ppm以下、より好ましくは5000質量ppm以下、さらに好ましくは1000質量ppm以下である。本明細書において、硫黄分は、JIS K2541-6:2013で規定される紫外蛍光法によって測定される硫黄分を意味する。
【0047】
鉱油のパラフィン分は、鉱油全量を基準として、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上である。また、鉱油のナフテン分は、鉱油全量を基準として、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上であり、また好ましくは60質量%以下、より好ましくは40質量%以下である。また、鉱油の芳香族分は、鉱油全量を基準として、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下である。本明細書において、鉱油のパラフィン分、ナフテン分、及び芳香族分は、それぞれASTM D3238-95(2010)に準拠した方法(n-d-m環分析)により測定される値を意味する。
【0048】
エステル以外の合成油としては、例えば、ポリ-α-オレフィン、アルキルベンゼン、アルキルナフタレン、ポリオキシアルキレングリコール、ポリフェニルエーテル、ジアルキルジフェニルエーテル、ポリフェニルエーテル、ジアルキルジフェニルエーテル、含フッ素化合物、シリコーン油等が挙げられる。
【0049】
その他の基油の含有量は、潤滑油基油全量を基準として、好ましくは1~50質量%、より好ましくは5~40質量%、さらに好ましくは10~30質量%である。
【0050】
潤滑油基油の40℃動粘度は、好ましくは5mm2/s以上、より好ましくは7mm2/s以上、さらに好ましくは10mm2/s以上であり、好ましくは100mm2/s以下、より好ましくは60mm2/s以下、さらに好ましくは40mm2/s以下である。
【0051】
潤滑油基油の100℃動粘度は、好ましくは1mm2/s以上、より好ましくは2mm2/s以上、さらに好ましくは3mm2/s以上であり、好ましくは12mm2/s以下、より好ましくは9mm2/s以下、さらに好ましくは7mm2/以下である。
【0052】
潤滑油基油におけるヨウ素価は、好ましくは50gI2/100g以下である。当該ヨウ素価がこのような範囲にあると、金属加工油組成物の皮膚感作性を低減することができる。当該ヨウ素価は、より好ましくは40gI2/100g以下、さらに好ましくは30gI2/100g以下、特に好ましくは15gI2/100g以下である。潤滑油基油におけるヨウ素価の下限値は、例えば、1gI2/100g以上又は3gI2/100g以上であってよい。
【0053】
上記潤滑油基油におけるヨウ素価は、第2のエステルの割合を減らす(第1のエステル、鉱油、又はエステル以外の合成油の割合を増やす)、ヨウ素価の低い第2のエステルを用いる等によって、上記範囲に調整することができる。
【0054】
潤滑油基油は、金属加工油組成物の主成分であり、下記の添加剤の含有量の残部を構成する。潤滑油基油の含有量は、金属加工油組成物全量を基準として、例えば、70質量%以上、80質量%以上、90質量%以上、又は95質量%以上であってよい。
【0055】
<添加剤>
(チオリン酸エステル)
チオリン酸エステルとしては、例えば、下記式(1)で表される化合物が挙げられる。
【0056】
【0057】
式(1)中、R11、R12、及びR13はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、又はアリール基を表す。ただし、R11、R12、及びR13のうち、少なくとも一つは、アルキル基、アルケニル基、又はアリール基である。
【0058】
アルキル基の炭素数は、例えば、1以上、3以上、又は6以上であってよく、20以下、18以下、又は16以下であってよい。アルキル基は、直鎖状であっても分岐状であってもよい。アルキル基の水素原子の一部は、後述のアリール基で置換されていてもよい。
【0059】
アルケニル基の炭素数は、例えば、2以上、3以上、又は6以上であってよく、20以下、18以下、又は16以下であってよい。であってよい。アルケニル基は、直鎖状であっても分岐状であってもよい。アルケニル基の水素原子の一部は、後述のアリール基で置換されていてもよい。
【0060】
アリール基の炭素数は、例えば、6以上、8以上、又は10以上であってよく、30以下、24以下、又は18以下であってよい。アリール基の水素原子の一部は、上記のアルキル基又はアルケニル基で置換されていてもよい。
【0061】
チオリン酸エステルの具体例としては、モノブチルホスホロチオネート、モノヘキシルホスホロチオネート、モノオクチルホスホロチオネート、モノデシルホスホロチオネート、モノドデシルホスホロチオネート、モノテトラデシルホスホロチオネート、モノヘキサデシルホスホロチオネート、モノオクタデシルホスホロチオネート、モノオレイルホスホロチオネート、モノフェニルホスホロチオネート、モノクレジルホスホロチオネート、モノキシレニルホスホロチオネート等のチオリン酸モノ(アルキル、アルケニル、又はアリール);ジブチルホスホロチオネート、ジヘキシルホスホロチオネート、ジオクチルホスホロチオネート、ジデシルホスホロチオネート、ジドデシルホスホロチオネート、ジテトラデシルホスホロチオネート、ジヘキサデシルホスホロチオネート、ジオクタデシルホスホロチオネート、ジオレイルホスホロチオネート、ジフェニルホスホロチオネート、ジクレジルホスホロチオネート、ジキシレニルホスホロチオネート等のチオリン酸ジ(アルキル、アルケニル、又はアリール);トリブチルホスホロチオネート、トリヘキシルホスホロチオネート、トリオクチルホスホロチオネート、トリデシルホスホロチオネート、トリドデシルホスホロチオネート、トリテトラデシルホスホロチオネート、トリヘキサデシルホスホロチオネート、トリオクタデシルホスホロチオネート、トリオレイルホスホロチオネート、トリフェニルホスホロチオネート(TPPT)、トリクレジルホスホロチオネート、トリキシレニルホスホロチオネート、クレジルジフェニルホスホロチオネート、キシレニルジフェニルホスホロチオネート等のチオリン酸トリ(アルキル、アルケニル、又はアリール)などが挙げられる。これらの中でも、チオリン酸エステルは、好ましくはチオリン酸トリエステルである。チオリン酸トリエステルは、好ましくは、アリール基を有するチオリン酸トリエステルであり、より好ましくは、トリフェニルホスホロチオネート(TPPT)である。
【0062】
チオリン酸エステルの含有量は、金属加工油組成物全量を基準として、リン元素換算で、好ましくは100質量ppm以上、より好ましくは300質量ppm以上、さらに好ましくは500質量ppm以上であり、好ましくは8000質量ppm以下、より好ましくは6000質量ppm以下、さらに好ましくは4000質量ppm以下である。チオリン酸エステルの含有量が、金属加工油組成物全量を基準として、リン元素換算で、100質量ppm以上であると、工具寿命を伸ばすことができ、8000質量ppm以下であると、金属加工油組成物を高引火点化できる。一実施形態において、チオリン酸エステルの含有量は、金属加工油組成物全量を基準として、リン元素換算で、好ましくは100~8000質量ppm、より好ましくは300~6000質量ppm、さらに好ましくは500~4000質量ppmである。
【0063】
(酸性リン酸エステル)
酸性リン酸エステルとしては、例えば、下記式(2)で表される化合物が挙げられる。
【0064】
【0065】
式(2)中、R21及びR22はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、又はアリール基を表す。ただし、R21及びR22のうち、少なくとも一つは、アルキル基、アルケニル基、又はアリール基である。
【0066】
R21及びR22におけるアルキル基、アルケニル基、又はアリール基は、R11、R12、及びR13におけるアルキル基、アルケニル基、又はアリール基の好ましい例と同様であってよい。
【0067】
酸性リン酸エステルの具体例としては、モノブチルアシッドホスフェート、モノペンチルアシッドホスフェート、モノヘキシルアシッドホスフェート、モノヘプチルアシッドホスフェート、モノオクチルアシッドホスフェート、モノノニルアシッドホスフェート、モノデシルアシッドホスフェート、モノウンデシルアシッドホスフェート、モノドデシルアシッドホスフェート、モノトリデシルアシッドホスフェート、モノテトラデシルアシッドホスフェート、モノペンタデシルアシッドホスフェート、モノヘキサデシルアシッドホスフェート、モノヘプタデシルアシッドホスフェート、モノオクタデシルアシッドホスフェート、モノオレイルアシッドホスフェート、ジブチルアシッドホスフェート、ジペンチルアシッドホスフェート、ジヘキシルアシッドホスフェート、ジヘプチルアシッドホスフェート、ジオクチルアシッドホスフェート、ジノニルアシッドホスフェート、ジデシルアシッドホスフェート、ジウンデシルアシッドホスフェート、ジドデシルアシッドホスフェート、ジトリデシルアシッドホスフェート、ジテトラデシルアシッドホスフェート、ジペンタデシルアシッドホスフェート、ジヘキサデシルアシッドホスフェート、ジヘプタデシルアシッドホスフェート、ジオクタデシルアシッドホスフェート、ジオレイルアシッドホスフェート等が挙げられる。これらの中でも、酸性リン酸エステルは、好ましくは、アルキル基又はアルケニル基を有するチオリン酸トリエステルであり、より好ましくは、炭素数10~20のアルキル基又はアルケニル基を有する酸性リン酸エステルである。
【0068】
酸性リン酸エステルの含有量は、金属加工油組成物全量を基準として、リン元素換算で、好ましくは1質量ppm以上、より好ましくは5質量ppm以上、さらに好ましくは10質量ppm以上であり、好ましくは600質量ppm以下、より好ましくは400質量ppm以下、さらに好ましくは200質量ppm以下である。酸性リン酸エステルの含有量の含有量が、金属加工油組成物全量を基準として、リン元素換算で、1質量ppm以上であると、工具寿命を伸ばすことができ、600質量ppm以下であると、金属加工油組成物を高引火点化できる。一実施形態において、酸性リン酸エステルの含有量は、金属加工油組成物全量を基準として、リン元素換算で、好ましくは1~600質量ppm、より好ましくは5~400質量ppm、さらに好ましくは10~200質量ppmである。
【0069】
酸性リン酸エステルの含有量に対するチオリン酸エステルの含有量とのリン元素換算とでの質量比(チオリン酸エステルの含有量(リン元素換算)/酸性リン酸エステルの含有量(リン元素換算))は、好ましくは1以上、より好ましくは10以上、さらに好ましくは20以上であり、好ましくは700以下、より好ましくは500以下、さらに好ましくは300以下である。
【0070】
金属加工油組成物は、本発明の効果を著しく損なわない範囲において、上記のチオリン酸エステル及び酸性リン酸エステルに加えて、その他の添加剤を含有していてもよい。その他の添加剤としては、酸化防止剤(2,6-ジ-tert.ブチル-p-クレゾール(DBPC)等のフェノール系化合物、フェニル-α-ナフチルアミン等の芳香族アミンなど)、金属不活性化剤(ベンゾトリアゾール等)、ミスト防止剤(ポリイソブチレン、エチレン-プロピレンコポリマー等の炭化水素系高分子化合物など)、硫化エステル類、硫化オレフィン類、チオビスフェノール類等の硫黄化合物、チオリン酸エステル及び酸性リン酸エステル以外の摩耗防止剤(亜リン酸エステル等、これらのアミン塩、金属塩、及び誘導体など)、摩擦調整剤(ジトリデシルアミン等のアミン系、アミド系、イミド系、脂肪酸系、脂肪族アルコール系、脂肪族エーテル系など)等が挙げられる。その他の添加剤の総量の含有量は、特に制限されないが、金属加工油組成物全量を基準として、好ましくは5質量%以下である。
【0071】
<金属加工油組成物>
金属加工油組成物の40℃動粘度は、好ましくは30mm2/s以下である。金属加工油組成物の40℃動粘度は、より好ましくは28mm2/s以下、さらに好ましくは25mm2/s以下である。金属加工油組成物の40℃動粘度は、好ましくは8mm2/s以上、より好ましくは13mm2/s以上、さらに好ましくは16mm2/s以上である。
【0072】
金属加工油組成物の引火点は、好ましくは200℃以上である。金属加工油組成物の引火点が200℃以上であると、金属加工油組成物の取り扱い時の安全性が向上する。金属加工油組成物の引火点は、より好ましくは220℃以上、さらに好ましくは240℃以上、特に好ましくは260℃以上である。金属加工油組成物の引火点の上限は、例えば、300℃以下であってよい。
【0073】
本実施形態に係る金属加工油組成物は、例えば、金属の切削加工において好適に用いることができる。本実施形態に係る金属加工油組成物は、金属切削油組成物ということもできる。金属加工における被加工物の材質は、特に制限されないが、例えば、鉄、ステンレス、アルミニウム又はその合金、ニッケル又はその合金、クロム又はその合金、銅又はその合金、亜鉛又はその合金、チタン又はその合金等が挙げられる。
【0074】
本実施形態に係る金属加工油組成物は、高い引火点を有するとともに、工具寿命を延ばすことが可能となる。
【実施例0075】
以下に、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0076】
[潤滑油基油]
(A)第1のエステル
A1:n-オクタン酸及びn-デカン酸とグリセリンとのエステル(ヨウ素価:0gI2/100g)
(B)第2のエステル
B1:オレイン酸(9-cis-オクタデセン酸)とネオペンチルグリコールとのエステル(ヨウ素価:82.6gI2/100g)
(C)鉱油
C1:API分類のグループIIIの鉱油(40℃動粘度:34.79mm2/s、100℃動粘度:6.46mm2/s、粘度指数:141)
C2:API分類のグループIIIのGTL鉱油(40℃動粘度:44.43mm2/s、100℃動粘度:7.61mm2/s、粘度指数:139)
【0077】
[添加剤]
(D)チオリン酸エステル
D1:トリフェニルホスホロチオネート(TPPT)(リン含有量:8.9質量%)
(E)酸性リン酸エステル
E1:モノオレイルアシッドホスフェートとジオレイルアシッドホスフェートとの質量比1:1の混合物(リン含有量:6.6質量%)
(e)リン酸トリエステル
e1:リン酸トリクレジル(リン含有量:9.2質量%)
【0078】
[金属加工油組成物]
(実施例1~5及び比較例1~3)
上記の各潤滑油基油及び各添加剤を用いて、表1に示す組成を有する金属加工油組成物を調製した。なお、表中、潤滑油基油の各数値は、潤滑油基油全量を基準としたときの含有量(質量%)を意味し、添加剤の各数値は、金属加工油組成物全量を基準としたときの含有量(質量%)を意味する。添加剤の括弧内の数値は、金属加工油組成物全量を基準としたときのリン元素換算での含有量(質量ppm)を意味する。
【0079】
[金属加工油組成物の評価]
(40℃動粘度の測定)
40℃動粘度は、JIS K2283:2000に準拠して測定した。結果を表1に示す。
【0080】
(工具寿命の評価)
以下の条件で、旋盤を用いた旋削加工試験を行い、工具の摩耗幅を評価した。
試験機:オークマ株式会社製LCC-15
被削材:SUS430
試験工具:Sandvik製CP-A1108-L5
切削速度:140m/分
切り取り量:0.5mm
送り速度:0.2mm/rev
試験温度:室温(25℃)
加工距離:3695m
評価項目:単位時間当たりの摩耗幅(μm/分)
単位時間当たりの摩耗幅(μm/分)は、時間ごとに定期的に摩耗幅(μm)を測定することによって求めた。結果を表1に示す。表中、単位時間当たりの摩耗幅(μm/分)が小さいほど、工具寿命に優れることを意味する。
【0081】
(引火点の測定)
引火点は、JIS K2265-4:2007に準拠して測定した。結果を表1に示す。
【0082】
(樹脂との相性の評価)
60℃の試料油に樹脂(HIPS(耐衝撃性ポリスチレン))を336時間浸漬し、体積変化率、質量変化率、及び硬さ変化を測定した。体積変化率及び質量変化率はJIS K7114:2001に、硬さ変化はJIS K6253-3:2012にそれぞれ準拠して測定した。体積変化率及び質量変化率は±5%以下である場合を、硬さ変化は±5以下である場合を合格と判断した。
【0083】
【0084】
表1に示すとおり、所定の潤滑油基油、チオリン酸エステル、及び酸性リン酸エステルを含有する、実施例1~5の金属加工油組成物は、引火点が200℃以上であり、工具寿命が比較例1~3の金属加工油組成物よりも優れていた。以上の結果から、本発明に係る金属加工油組成物が、充分に高い引火点を有するとともに、工具寿命を延ばすことが可能であることが確認された。