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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024105252
(43)【公開日】2024-08-06
(54)【発明の名称】装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/01 20060101AFI20240730BHJP
   H04W 4/48 20180101ALI20240730BHJP
【FI】
G06F3/01 510
H04W4/48
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024062573
(22)【出願日】2024-04-09
(62)【分割の表示】P 2022149758の分割
【原出願日】2015-08-19
(71)【出願人】
【識別番号】391001848
【氏名又は名称】株式会社ユピテル
(72)【発明者】
【氏名】秋山 季夫
(57)【要約】
【課題】適したアプリケーションの起動又はそのようなアプリケーションへの切り替えを容易に行うことができる携帯型装置を提供する。
【解決手段】車両を含む複数の外部電源からの給電及び内部バッテリーからの給電で動作が可能であり、複数のアプリケーションを実行可能な携帯型装置1において、車両からの給電の有無を判断する車両給電判断機能を設け、車両からの給電が有る状態から無い状態への遷移である第1遷移があった場合、第1遷移があった時点で実行中であったアプリケーションであるラストアプリの起動パスをラストアプリ記憶手段33bに記憶しておき、車両からの給電が無い状態から有る状態への遷移である第2遷移があった場合、ラストアプリ記憶手段33dに記憶された起動パスを用いてラストアプリを起動する。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両内外で使用可能な携帯型装置であって、
カーモードとタブレットモードを備え、
ユーザの操作に従って、前記タブレットモードではBluetooth機能のオン/オフが可能であるが、前記カーモードでは前記Bluetooth機能は強制的にオンとなり、ユーザの操作で前記Bluetooth機能をオフにすることはできない機能を備えること
を特徴とする携帯型装置。
【請求項2】
車両内外で使用可能な携帯型装置であって、
カーモードとタブレットモードを備え、
ユーザの操作に従って、前記タブレットモードではGPS機能のオン/オフが可能であるが、前記カーモードでは前記GPS機能は強制的にオンとなり、ユーザの操作で前記GPS機能をオフにすることはできない機能を備えること
を特徴とする携帯型装置。
【請求項3】
車両内外で使用可能な携帯型装置であって、
カーモードとタブレットモードを備え、
ユーザの操作に従って、前記タブレットモードではWiFi機能のオン/オフが可能であるが、前記カーモードでは前記WiFi機能は強制的にオンとなり、ユーザの操作で前記WiFi機能をオフにすることはできない機能を備えること
を特徴とする携帯型装置。
【請求項4】
前記カーモードで動作している場合、カーモードで動作していることを通知する通知アイコンを表示する機能を備えること
を特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の携帯型装置。
【請求項5】
給電が無いと判断した場合、及び、車両からの給電ではないと判断した場合には、前記タブレットモードとし、
車両からの給電であると判断した場合には、前記カーモードとする機能を備えること
を特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の携帯型装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載の携帯型装置の機能をコンピュータに実現させるためのプログラム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両内外で使用可能な携帯型装置及びそのプログラム等に関する。
【背景技術】
【0002】
近年のタブレットコンピュータやスマートフォン等の携帯型装置は、性能向上や記憶容量の増大等により、PND(パーソナルナビゲーションデバイス、ポータブルナビゲーションデバイス)等の車載機器と同等の機能を実行することが可能となっている。したがって、運転時以外は携帯型装置を汎用目的のコンピュータとして利用し、車両内では車載機器として利用するといった使用形態が可能である。車載機器としての利用する場合、携帯型装置は、ダッシュボード等の車内の適宜の場所に設置されていることが便宜である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-116913号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
携帯型装置で実行可能なアプリケーションの中には、業務ソフトやゲームなど、車両内での使用を想定していないものもあれば、カーナビゲーションのような車両内での使用を想定した、或いは、車両内での使用に適したアプリケーションもあり、車両内では、後者の使用頻度が高いと考えられる。ユーザによっては、車両内では常に同じアプリケーションを使用する場合や、車両内で前回に使用したのと同じアプリケーションを今回も使用したいと場合もあると考えられる。しかし、従来の携帯型装置では、ユーザは、ホーム画面を表示させて目的のアプリケーションのアイコンをタッチする等、一定の操作を行わなければ、車両内での使用に適したアプリケーションの起動又はそのようなアプリケーションへの切替を行うことができなかった。
【0005】
また、携帯型装置は、一般的に、汎用目的のコンピュータとしての使用が想定されている。汎用目的での使用を考慮すると、多様な入力操作を行い得ることが望ましい。そのため、これらの携帯型装置では、手持ちで比較的目に近い位置での、及び/又は、画面に注視しての操作を前提として可能な限り多様な入力操作を行い得るようUI等の入力機能が最適化されている。例えば、手持ちでの操作では、目から20cm程度の位置で左手で携帯型装置を持ち、左手の肘をまげ、右手の指で画面上をタッチして操作することが想定される。これに対し、車両内での使用を想定した場合、上記のような入力機能をそのまま使用することは適切ではない。ダッシュボード等に設置した場合には、手持ちの場合よりもユーザと携帯型装置の距離が遠くなること、ダッシュボード等に設置された携帯型装置に対して肘を延ばして操作すること、ユーザの運転視界等を妨げないなどのためユーザの正面とならない位置に設置されること、走行中には揺れがあること等から、細かい操作を行うことは困難であり、また、ユーザが運転中のときは、画面に注視しながらの操作は安全上好ましくないからである。よって、車両外及び車両内それぞれの使用場面に応じて適切な入力機能を提供することが望まれる。
【0006】
本願には、上記の問題の全部又は一部又は他の問題に対処した発明が開示される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願には、例えば、下記各構成例に記載の発明が開示される。
【0008】
<構成例1>
車両を含む複数の外部電源からの給電及び内部バッテリーからの給電で動作が可能であり、
複数のアプリケーションを実行可能な携帯型装置であって、
車両からの給電の有無を判断する車両給電判断機能と、
車両からの給電が有る状態から無い状態への遷移である第1遷移があった場合、前記第1遷移があった時点で実行中であった前記アプリケーションを示す情報を記憶する記憶手段であるラストアプリ記憶手段に記憶するラストアプリ記憶機能と、
車両からの給電が無い状態から有る状態への遷移である第2遷移があった場合、前記ラストアプリ記憶手段に記憶された情報により示される前記アプリケーションを起動するラストアプリ起動機能を有すること
を特徴とする携帯型装置。
【0009】
このような構成によれば、第2遷移があった場合に、第1遷移があった時点で実行中であったアプリケーションを起動することができる。(以下、「第1遷移があった時点で実行中であったアプリケーション」を、「ラストアプリ」と言う。)よって、ユーザは、特に操作を行わなくても、携帯型装置を車両からの給電が無い状態から有る状態にするだけで、ラストアプリを使用することができる。本構成例では、第1遷移の後に、車両からの給電が無い状態でラストアプリ以外のアプリケーションが使用されたとしても、その後に第2遷移があった場合には、ラストアプリが起動される。よって、例えば、前回の乗車の際にユーザが最後に利用したのと同じアプリケーションを、今回の乗車の際にも第2遷移によって自動的に起動させることができるという利便性をユーザは享有することができる。一般に、携帯型装置を車両内で利用する場合と車両外で利用する場合で、ユーザが使用するアプリケーションの種類は相違し、車両内では特定のアプリケーションを使用する場合が多いと考えられることから、前回の乗車の際に使用していたのと同じアプリケーションが今回の乗車の際に自動的に起動することは、ユーザにとって便宜である。
【0010】
車両からの給電の有無の判断は、種々の方法で行うことができる。例えば、携帯型装置が車両と通信することにより、携帯型装置が車両内にあるかどうかを判断し、車両内で給電されている場合には、車両からの給電が有ると判断するとよい。
【0011】
ラストアプリを示す情報は、ラストアプリの実行を開始させるための情報とするとよく、例えば、当該ラストアプリの起動パスとするとよい。
【0012】
ラストアプリ記憶手段は、不揮発性のメモリで構成すると、外部電源からの電源供給切れや携帯型装置の電池切れ、電源ボタンによるオフ操作などがあった場合でも、第2遷移があった場合のラストアプリ記憶手段に記憶された情報により示されるアプリケーションの起動が可能となるのでよい。
【0013】
ラストアプリ記憶手段へのラストアプリの記憶は、第1遷移があった直後とすると、ラストアプリの記憶をより確実化できるのでよい。例えば、内部バッテリーの残量が殆ど無かったとしても、第1遷移の前の車両からの給電により、ラストアプリの記憶に要する程度の電力は充電可能と考えられるからである。
【0014】
「車両を含む複数の外部電源からの給電及び内部バッテリーからの給電で動作が可能」な構成としては、外部電源からの給電により内部バッテリーを充電し、外部電源からの給電が遮断されたときには内部バッテリーからの給電を継続することで、動作を継続させることが可能な構成とするとよい。ラストアプリ記憶機能はこのような給電状態の変更があった場合に行うとよく、内部バッテリーからの給電になった場合に行う構成とするとよい。
【0015】
「複数のアプリケーションを実行可能な」構成としては、例えばマルチタスク等によって複数のアプリケーションを実行可能なオペレーティングシステム上で複数のアプリケーションが時分割等で切り替えて動作する構成とするとよいが、特に表示手段(例えばドットマトリックスディスプレイ)に対してアプリケーションプログラムの実行による描画を行う構成であって、特に、1つのアプリケーションプログラムによって画面のほぼ全体の領域(例えばオペレーティングシステムが使用する領域を除くほぼ全体の領域等)を占有して動作する構成において特に優れた効果を発揮する。例えば画面上に設けたタッチパネルへのタッチ操作を容易にするためや、アプリケーション実行時の消費電力の低減を図るため、1つのアプリケーションプログラムによって画面のほぼ全体の領域を占有して動作するオペレーティングシステム上で動作するアプリケーションプログラム(例えばAndoroid(登録商標)におけるアクティビティなど)において優れた効果を発揮する。例えば、1つのアプリケーションプログラムによって画面のほぼ全体の領域が占有されるため、ラストアプリが一意に決定可能であり、複数のアプリケーションプログラムが例えばウインドウ等で画面の全体を共有する構成のようにラストアプリをどのウインドウのアプリにするか決定する必要もなくなる。OSがAndoroid(登録商標)の場合、「複数のアプリケーション」のアプリケーションは、アクティビティとするとよい。
【0016】
なお、複数のアプリケーションプログラムが例えばウインドウ等で画面の全体を共有する構成の場合には、所定のルールで決定した1のアプリまたは複数のアプリをラストアプリとしてもよいが、すべてのアプリをラストアプリとするとよい。
【0017】
<構成例2>
車両からの前記携帯型装置への給電と、車両以外の外部電源からの前記携帯型装置への給電が、それぞれ異なる仕様のケーブルを介して行われ、
前記車両給電判断機能は、前記ケーブルの仕様の相違に基づいて車両からの給電の有無を判断すること
を特徴とする携帯型装置。
【0018】
このようにすれば、車両からの給電の有無の判断を自動化できるのでよい。例えば、車両からの給電用のケーブルとして、特定のラインをGNDに接続したものを使用し、車両以外の電源からの給電用のケーブルとして、特定のラインをオープンにしたものを使用し、両ケーブルの上記特定のラインがGNDかオープンかにより車両からの給電の有無を判断するとよい。
【0019】
<構成例3>
車両以外の外部電源からの給電の有無を判断する他電源判断機能を更に有し、
車両以外の外部電源からの給電が有る状態から無い状態への遷移である第3遷移があった場合、前記第3遷移があった時点で実行中であった前記アプリケーションを示す情報を記憶手段に記憶しないこと
を特徴とする携帯型装置。
【0020】
このようにすれば、使用されない情報を記憶することによる処理負荷の増大や記憶容量の使用等を防止できる。
<構成例4>
前記携帯型装置が電源オンの状態で前記第2遷移があった場合には、前記ラストアプリ起動機能を実行しないこと
を特徴とする携帯型装置。
【0021】
携帯型装置が電源オンの場合には、ユーザは、他のアプリケーションを使用中である可能性があり、ラストアプリ記憶手段に記憶された情報により示されるアプリケーションの起動を行うと、当該使用中のアプリケーションが終了される可能性がある。本構成例では、ラストアプリの起動により、ユーザが使用中のアプリケーションが強制的に終了になる等の不都合を防止できるのでよい。
【0022】
<構成例5>
前記第1遷移があった場合、前記携帯型装置のスリープ状態への移行を実行する第1遷移スリープ機能を更に有すること
を特徴とする携帯型装置。
【0023】
本構成例では、第1遷移後に電源オン状態が継続した場合の内部バッテリーの消耗を防止できるのでよい。本構成例は、車両のエンジンがオンの状態のときのみ車両からの給電を受けることが可能である態様において特に有用である。携帯型装置が車両の給電ケーブルに接続した状態で日常的に使用されることを想定した場合、この態様では、運転中しか充電されないことで低充電になり易いため、本構成の有用性が高い。ユーザの1日当たりの運転時間が少ない場合や、高温時に内部バッテリーが充電されない夏場は特に有用性が高い。
【0024】
<構成例6>
前記第1遷移スリープ機能は、
前記第1遷移から所定の待機時間の経過後に前記スリープ状態への移行を実行し、
前記待機時間内に前記携帯型装置に対して所定の操作が行われた場合は、前記スリープ状態への移行を中止すること
を特徴とする携帯型装置。
【0025】
本構成例では、所定の待機時間内の所定の操作により、スリープ状態への移行を中止させることが可能であり、ユーザは、必要に応じて第2遷移後の携帯型装置の継続使用が可能となるのでよい。所定の待機時間は、例えば、5秒とするとよい。所定の操作は、例えば、電源ボタンへの操作やタッチパネルへの操作とするとよい。例えば、第1遷移スリープ機能は、第1遷移があったときに、待機時間経過後にスリープ状態に移行することをユーザに報知するための表示を行い、待機時間内に所定の操作が行われた場合は、その表示を消去するとよい。
【0026】
<構成例7>
前記第1遷移スリープ機能は、前記スリープ状態への移行を実行する際に、バックグランドタスクを停止させること
を特徴とする携帯型装置。
【0027】
本構成例では、第1遷移スリープ機能によるスリープ状態への移行の際に、バックグランドタスクが停止されるため、内部バッテリーの消耗の防止性が高くなる。第1遷移スリープ機能は、バックグランドタスクの全部又は一部を停止させるとよい。OSがAndoroid(登録商標)の場合、サービスの全部又は一部を停止させるとよい。例えば、WLANやBluetooth(登録商標)等の通信機能を停止するよう構成すると、ユーザが携帯型装置を車内に置いたまま車両から離れてしまった場合であっても、車外からの携帯型装置やデータの不正利用等を防止できる等、安全性が高くなるので更によい。第1遷移スリープ機能によるスリープ状態への移行の際に、オーディオ出力を停止するよう構成すると、ユーザからすれば、第2遷移に連動して携帯型装置がオフになったように見えることが考えられるので、オーディオ出力が継続した場合にユーザに与え得る不自然感を防止できるのでよい。
【0028】
<構成例8>
前記第2遷移があった場合、前記携帯型装置のGPS機能及び/又は通信機能を有効にしたカーモードに移行するカーモード移行機能を更に有すること
を特徴とする携帯型装置。
【0029】
車両内で使用されるアプリケーションは、GPS機能及び/又は通信機能を使用する場合が多い。例えば、カーナビゲーションのアプリケーションでは、GPS機能が必要であり、また、WLAN等を介したネットへの接続が必要になる場合がある。また、ハンズフリー通話のためのアプリケーションでは、Bluetooth(登録商標)等の無線通信を用いた携帯電話との通信が必要になる。本構成例では、第2遷移があった場合、GPS機能及び/又は通信機能を有効にしたカーモードに移行するため、そのようなアプリケーションの利用が円滑になるのでよい。カーモードでは、ユーザの操作によるGPS機能及び/又は通信機能の無効化を禁止するとよい。このようにすれば、車両内で使用されるアプリケーションの円滑使用を確実にできるのでよく、また、車両からの給電で電源は確保されていることから、GPS機能及び/又は通信機能を無効にすることによる内部バッテリーの消耗防止よりも、運転中等にGPS機能及び/又は通信機能の設定等を行わずに済むユーザの利便性を優先させることができるのでよい。
【0030】
<構成例9>
前記複数のアプリケーションが、
アイコンを配置可能な第1ランチャー画面を表示するための第1ランチャーアプリと、
前記第1ランチャー画面より大きいサイズのアイコンを配置可能な第2ランチャー画面を表示するための第2ランチャーアプリを含み、
前記ラストアプリ記憶手段に記憶された情報により示される前記アプリケーションが前記第1ランチャーアプリである場合、前記ラストアプリ起動機能は、前記第2遷移があった場合に、前記第2ランチャーアプリを実行すること
を特徴とする携帯型装置。
【0031】
本構成例では、異なるサイズのアイコンを配列した2種類のランチャー画面を使用できるので、ユーザの利便性が高まるのでよい。また、ラストアプリが第1ランチャーアプリであった場合、第2遷移によってサイズの大きいアイコンが配置された第2ランチャー画面が表示される。第2ランチャー画面は、アイコンのサイズが大きいために操作がし易い。携帯型装置を車両に設置して利用する場合、ユーザと携帯型装置の距離が遠くなること、ユーザは、ダッシュボード等に設置された携帯型装置に対して肘を延ばして操作すること、ユーザの運転視界等を妨げないなどのためユーザの正面とならない位置に携帯型装置が設置されること、走行中には揺れがあること、運転中の場合は画面に注視はできない等から、ユーザが細かい操作を行うことは困難であり、第1ランチャー画面に代えて、操作のし易い第2ランチャー画面が表示されることにより、ユーザの利便性が向上するのでよい。
【0032】
アイコンは、例えば、アイコンを操作したときに、アイコンに対応するアプリケーションを起動する等の機能を割り当てた画像とするとよい。第2ランチャー画面のアイコンは、例えば、その全体をアクティブにし、アイコンのどの部分が操作された場合でも、そのアイコン121に対応する機能を実行するように構成すると、操作のし易さが向上するのでよい。
【0033】
<構成例10>
アイコンを配置したナビゲーションバーを表示するナビゲーションバー表示機能を更に有し、
前記第2ランチャー画面は、アイコンを配置可能なアイコン配置領域と、アイコンが配置されない空白領域を有し、
前記空白領域は、前記ナビゲーションバーと前記アイコン配置領域の間に配置されること
を特徴とする携帯型装置。
【0034】
本構成例では、ナビゲーションバーとアイコン配置領域の間に空白領域が配置されるため、アイコン配置領域のアイコンの操作を意図したユーザが、誤ってナビゲーションを操作してしまう等の不都合が起こり難くなるのでよい。本構成例は、ナビゲーションバーに第1ランチャー画面に遷移するためのアイコンを備える構成では、ユーザが誤操作で当該アイコンを操作してしまい、車載利用の場面での操作が難しい第1ランチャー画面に遷移させてしまう不都合が起こり難くなるので、特によい。本構成例は、ナビゲーションバーがOSによって常に表示される携帯型装置では、ナビゲーションバーの誤操作を防止するために、本構成例の必要性が高い。
【0035】
<構成例11>
前記第2ランチャー画面に配置されたアイコンに対して複数種類の語句のいずれかを登録するボイスコマンド登録機能と、
前記語句のいずれかを音声認識したときに、当該認識した前記語句を登録されたアイコンに割り当てられた機能を実行するボイスコマンド実行機能を更に有すること
を特徴とする携帯型装置。
【0036】
本構成例では、ユーザは、ボイスコマンドを発話することにより第2ランチャー画面のアイコンを操作することが可能となるため、操作性が更に向上するのでよい。ボイスコマンド登録機能は、複数のボイスコマンドから選択されるいずれかのボイスコマンドを登録するよう構成すると、音声認識の対象が当該複数のボイスコマンドに限定されるため、音声認識に係る処理が簡易化されるのでよい。ボイスコマンド登録機能は、複数のアイコンに対して同一のボイスコマンドを登録しないように構成すると、ボイスコマンド実行機能が実行する処理を簡易化できるのでよい。ボイスコマンド実行機能は、第2ランチャー画面が表示されている状態のときのみ、アイコンの機能を実行可能とするとよい。
【0037】
<構成例12>
前記第2ランチャー画面に配置されたアイコンが、名称表示部を有し、
前記語句を登録されていないアイコンの前記名称表示部には、当該アイコンに割り当てられた機能の名称を表示し、
前記語句を登録されたアイコンの前記名称表示部には、当該アイコンに登録された前記語句を表示すること
を特徴とする携帯型装置。
【0038】
本構成例では、ユーザは、アイコンを操作するために発話することが必要なボイスコマンドを認識し易くなるのでよい。
【0039】
<構成例13>
第2ランチャーアプリは、前記語句が登録されたアイコンに、所定のボイスマークを表示すること
を特徴とする携帯型装置。
【0040】
本構成例では、ユーザは、ボイスマークによって、アイコンにボイスコマンドが登録されていることを認識可能になるのでよい。ボイスマークは、例えば、人が発話している姿を表した形状のマークとすると、発話を求められていることをユーザが理解できるのでよい。例えば、構成例10を引用する構成例11では、ユーザは、ボイスマークのあるアイコンの名称表示部を読み上げることで当該アイコンの操作ができることになり、ユーザにとって分かり易いのでよい。
【0041】
<構成例14>
前記第2ランチャー画面におけるアイコンを配置可能な位置のそれぞれに対して固有の称呼が設定されており、
前記称呼を音声認識したときに、当該認識した前記称呼を設定された前記位置に配置されたアイコンに割り当てられた機能を実行する第2ボイスコマンド実行機能を更に有するを特徴とする携帯型装置。
【0042】
本構成例では、ユーザは、アイコンの配置位置毎に設定された称呼を発話することによっても、第2ランチャー画面のアイコンを操作することが可能となるため、第2ランチャー画面のアイコンの操作のし易さが更に向上するのでよい。アイコンの位置によって、アイコン操作のための称呼が決まっているため、ユーザは、各アイコンの操作に必要な称呼を憶え易いのでよい。例えば、アイコンを行列状に配列し、左上から、1,2,3・・・のような通し番号を称呼として設定すると、ユーザにとって分かり易いのでよい。
【0043】
<構成例15>
前記ボイスコマンド実行機能及び/又は前記第2ボイスコマンド実行機能の有効/無効の設定を行うためのボイスコマンド設定機能を更に有し、
前記ボイスコマンド設定機能は、車両からの給電が有る状態と、車両からの給電が無い状態について、個別に前記有効/無効の設定が可能である
を特徴とする携帯型装置。
【0044】
このようにすれば、ユーザは、例えば、車両からの給電が有る状態について、ボイスコマンド実行機能及び/又は第2ボイスコマンド実行機能を有効にし、車両からの給電が無い状態について、ボイスコマンド実行機能及び/又は第2ボイスコマンド実行機能を無効にするといった使い分けができるのでよい。例えば、車両内の使用ではボイスコマンドでの操作を可能にし、車両外での使用では、ボイスコマンドの発話でアイコンの機能が一々実行されないようにできる等、ユーザの利便性が向上するのでよい。
【0045】
<構成例16>
構成例1から15のいずれかに記載の携帯型装置の機能をコンピュータに実現させるためのプログラム。
【0046】
上述した各構成例等に記載の構成は矛盾の生じない範囲で組み合わせて構成するとよい。また各構成例等に記載の構成要素を矛盾の生じない範囲で任意組み合わせてあらたな構成例を構成するとよい。
【図面の簡単な説明】
【0047】
図1図1は、本発明に係る携帯型装置1を示す。
図2図2は、携帯型装置1を車両に着脱自在に設置するためのクレードル20を 示す。
図3図3は、携帯型装置1のシステム構成を示す。
図4図4は、制御部31が表示部3に表示させる表示画面100の基本構成を示 す。
図5図5(a)は、ホーム画面110の例を示す。図5(b)は、アプリケーシ ョンによる画面112が表示されたホーム画面110を示す。
図6図6は、カーランチャー画面120の例を示す。
図7図7は、アプリ追加・編集画面130の例を示す。
図8図8は、ボイスコマンド選択欄140の例を示す。
図9図9は、アプリケーション表示部101に表示されたメッセージ151とキ ャンセルボタン152の例を示す。
図10図10は、ラストアプリ起動処理S100を示す。
図11図11は、タブレットモード設定処理S200を示す。
図12図12は、カーモード設定処理S300を示す。
図13図13は、状態移行処理を示す。
図14図13は、状態移行処理を示す。
図15図13は、状態移行処理を示す。
図16図13は、状態移行処理を示す。
図17図13は、状態移行処理を示す。
図18図13は、状態移行処理を示す。
【発明を実施するための形態】
【0048】
以下、本発明の実施形態である携帯型装置1及びそのプログラムを添付図面を参照して説明する。
【0049】
図1(a),図1(b)は、本発明に係る携帯型装置1を前方及び後方から示す。携帯型装置1は、手持ちでの操作及び持ち運びが可能なサイズ、形状の本体2の前面に表示装置32(後述)の表示部3が配置され、本体2の後面には、カメラ36(後述)のレンズ4及びスピーカ38(後述)のスピーカ口5が配置されている。本体2の上面には、電源ボタン6、ボリュームボタン7及び伸縮式のテレビアンテナ8が配置されている。本体2の側面には、マイクロフォン用のフォーンプラグの差込口9、MicroSDカードの差込口10、ヘッドフォン出力端子11及びMiniUSB端子12が配置されている。MiniUSB端子12は、miniUSBコネクターの5つのピン(VBus/D-/D+/ID/GND)に対応するピンを有する。MiniUSB端子12(以下、「端子12」という。)は、専用ケーブルを介して車両のシガーソケット又はOBDアダプタに接続可能であるとともに、MiniUSB-ACアダプタ(以下、「ACアダプタ」)に接続可能である。ACアダプタでは、4番ピン(ID)はオープンであるのに対し、専用ケーブルは、4番ピン(ID)がGNDにショートされている。本体2の下部には、ジョイント穴13が形成されている。
【0050】
図2は、携帯型装置1を車両に着脱自在に設置するためのクレードル20を示す。クレードル20は、台座部21、レバー22、装着部23、取外ボタン24、アーム25、ロック26を有する。台座部21は、底面に吸盤を有し、台座部21をダッシュボード等、車室内でユーザが設置を希望する場所に置いて、上から押さえながらレバー22を倒すと、吸盤の吸着力でクレードル20が固定される。装着部23は、本体2のジョイント穴13に係合する形状・構造を有する。装着部23とジョイント穴13を合わせて本体2を押し込むことで、本体2を装着部23に係合させることができる。取外ボタン24を押すと係合が外れ、本体2をクレードル20から取り外しできる。装着部23は、ボールジョイント等の揺動支持機構を介して台座部21に連結されたアーム25の先端に取り付けられている。ボールジョイントであるため、装着部23に装着した本体2の角度を三次元方向の任意の角度に回転させることができる。ボールジョイントの回転は、ロック26を倒すことにより固定できる。
【0051】
図3は、携帯型装置1のシステム構成を示す。携帯型装置1は、制御部31、表示装置32、記憶部33、GPS受信部34、テレビチューナ35、カメラ36、マイク37、スピーカ38、MicroSDカードリーダー39、通信部40及びバッテリー41等の機器を備えている。
【0052】
制御部31は、CPU,ROM,RAM、各種の周辺回路、インタフェース等を備えるコンピュータで構成される。図示はしないが、制御部31には、上記各機器の他、電源ボタン6、ボリュームボタン7、フォーンプラグの差込口9、ヘッドフォン出力端子11及び端子12等が接続されている。制御部31は、ROMに記録されたOSとアプリケーション記憶部33aに記憶されたアプリケーションプログラム(以下、「アプリケーション」という。)をRAM上に展開して実行することで、後述の各種処理を実現する。
【0053】
表示装置32は、タッチパネル式の7inchサイズの表示装置であり、制御部31の制御に従って表示部3に画像を表示させ、表示部3に対するタッチ操作に基づく操作信号を制御部31に送信する。
【0054】
記憶部33は、NVRAMを含む。他に、HDやEEPROM等の内部メモリや、マイクロSDメモリーカード等の着脱可能なメモリを有してもよい。NVRAMは、NVRAMへの給電が断になっても記憶内容を保持できる不揮発性のメモリである。記憶部33は、アプリケーション記憶部33a、ラストアプリ記憶部33b、ボイスコマンド記憶部33c、コンフィグ記憶部33d、アプリデータ記憶部33eを有する。
【0055】
アプリケーション記憶部33aには、工場出荷状態でプリインストールされたアプリケーションと、携帯型装置1の購入後にユーザが独自にインストールしたアプリケーションが記憶される。プリインストールされたアプリケーションは、目的地への経路案内等を行う「カーナビ」、テレビ番組を視聴するための「テレビ」、及び、携帯電話とペアリングしてハンズフリーでの通話を可能にする「ハンズフリー」の各名称のアプリケーションと、後述のホーム画面110及びカーランチャー画面120を表示するための第1及び第2ランチャーアプリを含む。プリインストールされたアプリケーションは、削除することができない。
【0056】
ラストアプリ記憶部33bには、車両からの給電が有る状態から無い状態への遷移である第1遷移があった時点で実行中のアプリケーションの起動パスが記憶される。ラストアプリ記憶部33bは、NVRAMに設けられる。
【0057】
ボイスコマンド記憶部33cには、後述のボイスコマンドのリストを表示するためのデータが記憶されている。
【0058】
コンフィグ記憶部33dには、携帯型装置1の動作条件の設定データが記憶される。コンフィグ記憶部33dは、NVRAMに設けられる。
【0059】
アプリデータ記憶部33eには、各種アプリケーションの実行に際して使用されるデータ等が記憶される。アプリデータ記憶部33eに記憶されるデータは、「カーナビ」の動作で使用される日本全国の道路地図のデータや報知対象等の緯度経度のデータを含む。
【0060】
GPS受信部34は、GPS衛星からのGPS信号を受信し、現在位置(経度・緯度)情報を制御部31に出力する。テレビチューナ35は、ワンセグ等のテレビ放送電波を受信してテレビ画像を表示装置32に表示させる。カメラ36は、レンズ4の視野内の映像を撮影した映像データを制御部31に提供する。マイク37は、携帯型装置1の周辺音声をサウンドデータに変換して制御部31に提供する。スピーカ38は、制御部31の制御に従ってサウンドデータを音声として出力する。MicroSDカードリーダー39は、差込口10に差し込まれたMicroSDカードに対する書込/読取を行う。通信部40は、携帯電話等の外部機器との間でデータ通信を行う。通信の方式は、WLAN及びBluetooth(登録商標)が使用される。バッテリー41は、端子12を介して専用ケーブル又はACアダプタから供給される電力を蓄電し、携帯型装置1の各種機器に対して動作電力を提供する。
【0061】
図4は、制御部31が表示部3に表示させる表示画面100の基本構成を示す。表示画面100は、アプリケーション表示部101と、ステータスバー102と、ナビゲーションバー103を有する。アプリケーション表示部101は、アプリケーションによる使用(画像表示)が可能な領域である。アプリケーション表示部101を使用中のアプリケーションのうち、第1及び第2ランチャーアプリ以外のアプリケーションを、以下、「フォワードアプリ」と言う場合がある。
【0062】
ステータスバー102及びナビゲーションバー103における表示は、主としてOSにより制御される。ステータスバー102は、電池残量や電波状態を示すアイコンが表示される領域である。ステータスバー102には、右領域102aと左領域102bがあり、右領域102aで下スワイプ操作をすると、クイック設定パネル102cを開くことができる。クイック設定パネル102cには、携帯型装置1の動作設定を行うための動作設定アイコン102dの他、明るさや自動回転の設定等を行うためのアイコンが表示される。左領域102bを下スワイプすると、携帯型装置1の動作状態等を示す通知パネル102eが表示される。
【0063】
ナビゲーションバー103には、リターンボタン103a、ホームボタン103b、履歴ボタン103c、ハンズフリーボタン103d、カーランチャーボタン103eの5つの操作ボタンが表示される。リターンボタン103aが操作されると、制御部31は、フォワードアプリを1操作前の状態に戻す処理を実行する。ホームボタン103bが操作された場合には、制御部31は、後述のホーム画面表示機能を実行する。履歴ボタン103cが操作された場合、制御部31は、携帯型装置1で直近に実行されたアプリケーションをリスト表示する。ハンズフリーボタン103dが操作された場合、制御部31は、後述のハンズフリー機能を実行する。カーランチャーボタン103eが操作された場合、制御部31は、後述のカーランチャー表示機能を実行する。
【0064】
携帯型装置1は、電源オン・スリープ・電源オフの3つの状態を取り得る。電源オンの状態では、液晶装置32が点灯して表示画面100が可視となるとともに、表示部3に対するタッチ操作が有効となる。スリープの状態では、液晶装置32が消灯し、表示部3に対するタッチ操作が無効となり、フォアグランドタスク及び一部のバックグランドタスクが休止となり、消費電力を抑える。電源オフの状態では、電源監視等の一部のバックグランドタスクの実行を除いてCPUは休止状態となり、消費電力は最小となる。
【0065】
以下、携帯型装置1が有する機能を説明する。以下の機能は、制御部31がアプリケーション記憶部33a等に記憶されるプログラムを実行し、携帯型装置1の各種機器を制御することにより実現する。携帯型装置1は、ホーム画面表示機能、カーランチャー表示機能、アプリケーション登録機能、ボイスコマンド登録機能、GPS機能、WiFi機能、Bluetooth機能、カーナビ機能、ハンズフリー機能、テレビ視聴機能、音声認識機能、ボイスコマンド機能、ユーザ設定機能、給電判断機能、ラストアプリ記憶機能、第1遷移スリープ機能、ラストアプリ起動機能、タブレットモード移行機能、カーモード移行機能、状態移行機能及び状態通知機能を有する。
【0066】
ホーム画面表示機能は、制御部31が、アプリケーション記憶部33aの第1ランチャーアプリを実行することにより、アプリケーション表示部101にホーム画面110を表示させる機能である。第1ランチャーアプリは、OSに標準のプログラムである。ホーム画面表示機能は、後述のタブレットモードで携帯型装置1の電源がオフからオンになったときにOSを起動させた直後、及び、ホームボタン103bがタッチされた場合にホーム画面110を表示させる。ホーム画面表示機能を実行する時点でフォワードアプリが有る場合には、ホーム画面表示機能は、そのフォワードアプリをバックスタックとして休止状態にしてからホーム画面110を表示させる。
【0067】
図5(a)は、ホーム画面110の例を示す。ホーム画面110には、各種のアプリケーションを実行するためのアイコン111が配列される。ホーム画面110で各アイコン111がタッチされた場合、制御部31は、そのアイコン111に対応するアプリケーションを起動する。例えば、図5におけるアイコン111a(「カーナビ」のアイコン)がタッチされた場合、図5(b)のように、アイコン111aに対応するアプリケーションによる画面112がアプリケーション表示部101に表示される。
【0068】
ユーザは、アプリケーション記憶部33aに記憶されたインストール済みの任意のアプリケーション(例えば、自分がよく使うアプリケーション)に対応するアイコン111をホーム画面110に配置することができる。ホーム画面110におけるアイコンのサイズは比較的小さく、より多数のアイコン111を配置できる。よって、ユーザは、より多くの種類のアプリケーションをホーム画面110から起動することができるので便利である。アイコン111のサイズや配置間隔は、ユーザが携帯型装置1を片手で持って比較的目に近い位置で操作した場合に操作性が快適であるように決められている。誤って隣のアイコン111をタッチしたときに一々意図しないアプリケーションが起動される面倒が軽減されるよう、各アイコン111は、中心付近のみがアクティブとされ、中心付近がタッチされたときのみ対応するアプリケーションが起動するようになっている。
【0069】
カーランチャー表示機能は、制御部31が、アプリケーション記憶部33aに記憶された第2ランチャーアプリを実行することにより、アプリケーション表示部101にカーランチャー画面120を表示させるとともに、ナビゲーションバー103に設定ボタン103fを追加表示させる機能である。カーランチャー表示機能は、カーランチャーボタン103eがタッチされた場合及び後述の状態移行機能の制御に従ってこの表示を行う。カーランチャー表示機能を実行する時点においてフォワードアプリが有る場合には、制御部31は、そのフォワードアプリをバックスタックとして休止状態にしてからカーランチャー画面120を表示させる。
【0070】
図6は、カーランチャー画面120の例を示す。カーランチャー画面120は、アプリケーション表示部101の全領域を占める。カーランチャー画面120は、アプリケーション表示部101の上方に位置するアイコン配置領域120aとアプリケーション表示部101の下方に位置する空白領域120bを有する。アイコン配置領域120aは、比較的大きいサイズの概略正方形の8つのアイコン121が2行4列で等間隔に配列される。
【0071】
各アイコン121は、1~8のアイコン番号を表示する番号表示部121aと、アプリケーションを表す絵柄を表示する絵柄表示部121bと、ボイスマークを表示するボイスマーク表示部121cと、名称表示部121dを有する。絵柄表示部121b及び名称表示部121dは、後述のアプリケーション登録機能によりアプリケーションが登録されたアイコン121にのみ表示され、ボイスマーク表示部121cは、後述のボイスコマンド登録機能によりボイスコマンドが登録されたアイコン121にのみ表示される。ただし、後述のボイスコマンド機能がオフの場合、カーランチャー表示機能は、ボイスマークを非表示にする。名称表示部121dには、アプリケーションの名称が表示される。名称表示部121dの表示に関しては、更に、後述する。アプリケーションが未登録のアイコン121には、番号表示部121aのみが表示される。
【0072】
カーランチャー画面120において、アプリケーションが登録されたアイコン121がタッチ操作された場合、制御部31は、対応するアプリケーションを起動する。例えば、図6(a)において、アイコン番号1のアイコン121(「カーナビ」のアイコン)がタッチされた場合、図5(b)のように、アイコン111aに対応するアプリケーションによる画面112がアプリケーション表示部101に表示される。
【0073】
各アイコン121は、全体がアクティブであり、アイコン121のどの部分がタッチされた場合でも、制御部31は、そのアイコン121に対応するアプリケーションを起動する。空白領域120bには、アイコン121は配置されない。空白領域120b又はアプリケーションが未登録のアイコン121がタッチされても、制御部31は何らの動作も行わない。
【0074】
アイコン121の個数が少なく、配置も決まっていることから、ユーザは、運転中でも各アイコン121の位置を容易に認識できる。また、アイコン121が大きく、どの部分をタッチしてもアプリケーションが起動するので、携帯型装置1の位置がユーザから比較的遠くても(ユーザが手を伸ばして操作するような位置関係であっても)、ユーザが運転中で画面を注視できなくても、容易に操作をすることができる。アイコン配置領域120aとナビゲーションバー103の間に空白領域120bを有するため、ユーザが間違ってナビゲーションバー103を操作してしまう懸念が小さくなる。
【0075】
このように、携帯型装置1を手で持って操作するときの操作性に優れたホーム画面110を表示するホーム画面表示機能とは別に、車両に携帯型装置1を固定して運転時等に操作するときの操作性に優れたカーランチャー画面120を表示するカーランチャー機能を有することで、持ち運び時と車両に固定した際の双方での操作が容易になる。
【0076】
アプリケーション登録機能は、制御部31が、ユーザの操作に基づいて、アプリケーション記憶部33aに記憶されたアプリケーションをアイコン121に割り当てる機能である。
【0077】
具体的には、設定ボタン103fが操作されると、制御部31は、空白領域120bに「設定」の文字を表示したボタンを表示させ、当該ボタンが操作されると、制御部31は、アプリケーション表示部101に図7(a)に示すアプリ追加・編集画面130を表示させる。
【0078】
アプリ追加・編集画面130には、8つのアイコン121に対応する8つの設定領域131が設けられている。各設定領域131は、番号表示部131a、絵柄表示部131b、ボイスマーク131c、名称表示部131d及びボタン表示部131eを有する。
【0079】
制御部31は、番号表示部131a、絵柄表示部131b、ボイスマーク131c、名称表示部131dを、アプリケーションが既登録のアイコン121に対応する設定領域131においてのみ表示する。番号表示部131a、絵柄表示部131b及び名称表示部131dの表示内容は、アイコン121の番号表示部121a、絵柄表示部121b及び名称表示部121dと同じである。制御部31は、絵柄表示部131b、ボイスマーク131c及び名称表示部131dを、アプリケーションが既登録のアイコン121に対応する設定領域131にのみ表示する。アプリケーションが既登録のアイコン121に対応する設定領域131のボタン表示部131eには、編集ボタンを表示し、未登録のアイコン121に対応する設定領域131のボタン表示部131eには、登録ボタンを表示する。
【0080】
アプリケーションが未登録のアイコン121に対応する設定領域131の登録ボタンがユーザによりタッチされた場合、制御部31は、アプリケーション表示部101にインストール済みのすべてのアプリケーション(登録済みのものを除く)を表示させ、そのいずれかがユーザによってタッチされた場合、当該アイコン121に対してそのアプリケーションを登録する。例えば、アイコン番号が4番の設定領域131の登録ボタンの操作によって、「高性能カメラ」という名称のアプリケーションが登録された場合、制御部31は、図7(b)のように、4番の設定領域131の番号表示部131a、絵柄表示部131b及び名称表示部131dに当該アプリケーションの対応する情報を表示させるとともに、ボイスマーク131cを表示させ、更に、ボタン表示部131eに編集ボタンを表示する。
【0081】
アプリケーションが既登録のアイコン121に対応する設定領域131の編集ボタンがユーザによりタッチされた場合、制御部31は、アプリケーション表示部101に削除アイコンと、インストール済みのすべてのアプリケーション(登録済みのものを除く)を表示させ、いずれかのアプリケーションがユーザによりタッチされた場合、当該アイコン121に対して登録されているアプリケーションを変更する。また、削除アイコンがタッチされた場合には、制御部31は、当該アイコン121についてのアプリケーションの登録を解除する。例えば、4番の設定領域131の編集ボタンのタッチ後に削除アイコンがタッチされた場合、アプリ追加・編集画面130は、図7(a)の状態になる。
【0082】
アプリケーション登録機能によるアイコン121に対するアプリケーションの登録又はその変更/解除が行われると、以降、カーランチャー表示機能は、その登録又は変更/解除を反映させたカーランチャー画面120を表示する。
【0083】
ボイスコマンド登録機能は、ユーザの操作に従って、制御部31が、アプリケーションが既登録のアイコン121に対してボイスコマンドを登録する機能である。具体的には、アプリ追加・編集画面130において、アプリケーションが既登録のいずれかのアイコン121に対応する設定領域131のボイスマーク131cがタッチされると、制御部31は、設定領域131にボイスコマンド選択欄140を表示させる。
【0084】
図8に、ボイスコマンド選択欄140の例を示す。制御部31は、ボイスコマンド選択欄140に、「なし」の文字と、ボイスコマンド記憶部33cに記憶された複数のボイスコマンド(登録済みのものを除く)をリスト形式で表示し、いずれかのボイスコマンドがタッチされると、制御部31は、該当アイコン121に対してそのボイスコマンドを登録する。
【0085】
また、制御部31は、ボイスコマンドが登録された名称表示部121d,131dにおいて、当該登録したボイスコマンドを表示する。例えば、図7(b)のアイコン番号4の設定領域131のボイスマーク131cをタッチしてから図8のボイスコマンド選択欄140で「カメラ」のボイスコマンドがタッチされた場合、制御部31は、カーランチャー画面120及びアプリ追加・編集画面130における該当する名称表示部121d,131dに「カメラ」の文字を表示する。このように、ボイスコマンドが登録されたアイコン121の名称表示部121d,131dでは、登録されたボイスコマンド(例えば、「カメラ」)のみを表示し、アプリケーションの名称(例えば、「高性能カメラ」)は表示しない。これにより、ユーザは、アイコンを起動させるために発音すべきボイスコマンドを容易に認識できる。
【0086】
なお、ボイスコマンド選択欄140の「なし」の文字は、ボイスコマンドが登録済みのアイコン121に対応する設定領域131のボイスマーク131cがタッチされた場合にのみ表示する。「なし」がタッチされると、ボイスコマンド登録機能は、当該アイコン121に対するボイスコマンドの登録を解除する。
【0087】
GPS機能は、制御部31が、GPS受信部34による現在位置の検出を行う機能である。WiFi機能及びBluetooth機能は、制御部31が、通信部40を介して外部機器との通信を行う機能である。
【0088】
カーナビ機能は、制御部31が、アプリケーションである「カーナビ」を実行することにより実現する機能であり、アプリケーション表示部101に道路地図113を表示するとともに、それに重ねてGPS機能により検出した現在位置を示すマーク114や報知対象を示すマークを表示し(図5(b)参照)、スピーカ38から音声により経路案内や運転中の注意喚起を行う機能である。
【0089】
ハンズフリー機能は、制御部31が、アプリケーションである「ハンズフリー」を実行することにより実現する機能であり、Bluetooth機能を用いてペアリング済みの携帯電話やスマートフォンとの通信を行うことで、携帯電話等での通話を、携帯型装置1を介して行う機能である。すなわち、制御部31は、携帯電話等の通話中の音声データをBluetooth機能を用いて受信してスピーカ38から出力し、マイク37から入力した音声データをBluetooth機能を用いて携帯電話等に送信する。
【0090】
テレビ視聴機能は、制御部31が、アプリケーションである「テレビ」を実行することにより実現する機能であり、テレビチューナ35で受信したワンセグ等の放送電波に基づいてテレビ放送の画像及び音声を表示装置32及びスピーカ38から出力する。
【0091】
音声認識機能は、制御部31が、マイク37からのサウンドデータを解析することで、ユーザによる発話を認識する機能である。
【0092】
ボイスコマンド機能は、カーランチャー画面120が表示されている状態で、音声認識機能がアイコン121に登録されたボイスコマンドを認識したときに、制御部31が、そのアイコン121に登録されたアプリケーションを起動させる機能である。第2ボイスコマンド機能は、カーランチャー画面120が表示されている状態で、音声認識機能が、「いちばん」、「にばん」、「さんばん」等、番号表示部121aの数字がユーザによって発話されたことを認識したときに、制御部が、対応するアイコン番号のアイコン121に登録されたアプリケーションを起動させる機能である。ボイスコマンド機能及び第2ボイスコマンド機能により、制御部31は、アイコン121に登録されたボイスコマンド又は数字のいずれの発話を認識した場合でも、当該アイコン121に登録されたアプリケーションを起動させる。例えば、図6のカーランチャー画面120が表示されている状態で、ユーザが「カーナビ」又は「いちばん」を発話したことを音声認識機能が認識した場合、制御部31は、アイコン番号1のアイコン121に対応するアプリケーションを起動させる。
【0093】
ユーザ設定機能は、ユーザの操作に従って、制御部31が、携帯型装置1の動作条件を設定する機能である。ユーザ設定機能が設定可能なに項目は、GPS機能のオン/オフ、WiFi機能のオン/オフ、Bluetooth機能のオン/オフ、ボイスコマンド機能のオン/オフ、ハンズフリー機能のオン/オフ、無操作の場合のスリープ状態への移行までの待機時間(以下、「スリープ待機時間」)、オーディオボリューム、省電力動作がある。ボイスコマンド機能のオン/オフ、ハンズフリー機能のオン/オフ、スリープ待機時間、オーディオボリュームについては、2種類の動作モード(タブレットモード及びカーモード)のそれぞれについて個別に設定が可能である。GPS機能のオン/オフ、WiFi機能のオン/オフ、Bluetooth機能のオン/オフについては、タブレットモードについてのみ設定が可能である。ユーザ設定機能によりなされた動作条件は、コンフィグ記憶部33dに記憶される。
【0094】
給電判断機能は、制御部31が、外部電源からの端子12に対する給電状態を判断する機能である。具体的には、制御部31は、端子12への給電が有る(VBusピンの電圧が5Vである)場合、端子12のIDピンがGNDにショートされていれば、車両からの給電がされていると判断し、オープンであれば、ACアダプタから給電されていると判断する。また、オープンである場合、制御部31は、更に、+Dピンと-Dピンがショートされているかどうかを判断し、ショートの場合は、急速充電用ACアダプタにより、ショートされていない場合は、通常ACアダプタにより給電されていると判断する。更に、給電判断機能は、上記給電状態の判断に基づき、車両からの給電が有る状態から車両からの給電が無い状態への遷移である第1遷移及び車両からの給電が無い状態から有る状態への遷移である第2遷移を判断する。制御部31は、携帯型装置1の動作状態(電源がオンかオフか、スリープか、何のアプリケーションが実行中か等)とは無関係に一定時間(例えば、1秒)毎に上記電源判断機能を実行する。
【0095】
ラストアプリ記憶機能は、給電判断機能により、第1遷移が判断された場合、制御部31が、第1遷移が判断された時点でフォワードアプリ(アプリケーション表示部101を使用中のアプリケーションのうち、第1及び第2ランチャーアプリ以外のアプリケーション)があるかどうかにより、以下の処理を行う機能である。すなわち、フォワードアプリがある場合は、制御部31は、そのフォワードアプリの起動パスをラストアプリ記憶部33bに記憶する。(以下、ラストアプリ記憶部33bに起動パスを記憶されたアプリケーションを、「ラストアプリ」という場合がある。)フォワードアプリが無い場合(フォアグランドで第1又は第2ランチャーアプリのみが実行中である場合)は、制御部31は、ラストアプリ記憶部33bに記憶されているアプリケーションの起動パスを消去する。
【0096】
ラストアプリ記憶機能は、第1遷移を判断した直後に上記処理を実行する。これにより、起動パスの記憶・消去をより確実に行うことができる。第1遷移を判断した時点では、第1遷移の直前の車両からの給電により、バッテリー41には起動パスの記憶を行う程度の電力は充電されていると考えられるためである。
【0097】
第1遷移スリープ機能は、給電判断機能により、第1遷移が判断された場合、制御部31が、下記の処理を実行する機能を言う。具体的には、第1遷移があった場合、制御部31は、その時点でアプリケーション表示部101に表示させている画面150に重ねて、「まもなく自動でスリープします。」のメッセージ151とキャンセルボタン152を一定時間(例えば、5秒)表示させる(図9参照)。その間にキャンセルボタン152の操作又端子12への給電再開がされない場合には、制御部31は、携帯型装置1をスリープ状態に移行させる。一定時間内にキャンセルボタン152がタッチされた場合、又は、端子12への給電が再開された場合、制御部31は、スリープ状態への移行を行わず、メッセージ151とキャンセルボタン152を消去する。
【0098】
ラストアプリ起動機能は、スリープ状態又は電源オフの状態で、給電判断機能により、第2遷移が判断された場合に、制御部31が、ラストアプリ起動処理S100を実行する機能である。図10は、ラストアプリ起動処理S100を示す。
【0099】
図示のように、制御部31は、ステップS101で、NVRAMのラストアプリ記憶部33bの起動パスを読み込み、ステップS102で当該起動パスの有無を判断し、ラストアプリ記憶部33bに起動パスが記憶されていた場合には、ステップS103で当該起動パスに従ってラストアプリを起動し、起動パスが記憶されていない場合には、ステップS104で、第2ランチャーアプリを起動する。
【0100】
このような処理が行われることで、前回の第1遷移があった時点で実行中のフォワードアプリがあれば、今回の第2遷移において、そのフォワードアプリが起動する。よって、ユーザが特に操作を行わなくても、端子12を専用ケーブルでシガーソケットに接続するだけで、前回のドライブ等のときと同じアプリケーションが使用可能になり、便利である。また、前回の第1遷移があった時点で実行中のフォワードアプリがなければ、端子12を専用ケーブルでシガーソケットに接続するだけで、ドライブ中でも容易に操作ができるカーランチャー画面120が表示されるので、便利である。
【0101】
なお、携帯型装置1の電源オンの状態で第2遷移が発生しても、ラストアプリ起動機能は、ラストアプリ記憶部33bに記憶されている起動パスのアプリケーションの起動は行わない。よって、端子12を専用ケーブルからシガーソケットに接続することで、ユーザが使用中であったアプリケーションが強制終了される等の不都合が防止できる。
【0102】
タブレットモード移行機能は、制御部31が、後述の状態移行処理において、タブレットモード設定処理S200を実行することにより、携帯型装置1の動作条件をタブレットモードに設定する機能である。図11は、タブレットモード設定処理S200を示す。図示のように、制御部31は、表示装置32のスクリーンロック解除(ステップS201,ステップS202)を実行した後、コンフィグ記憶部33dに記憶されたタブレットモードについての設定に従って、GPS機能のオン/オフ設定(ステップS203,ステップS204)、WiFi機能のオン/オフ設定(ステップS205,ステップS206)、Bluetooth機能のオン/オフ設定(ステップS207,ステップS208)、スリープ待機時間の設定(ステップS209,ステップS210)、オーディオボリュームの設定(ステップS211,ステップS212)、ボイスコマンド機能のオン/オフ設定(ステップS213,ステップS214)、ハンズフリー機能のオン/オフ設定(ステップS215,ステップS216)を順次実行する。
【0103】
カーモード移行機能は、制御部31が、後述の状態移行処理において、カーモード設定処理S300を実行することにより、携帯型装置1の動作条件をカーモードに設定する機能である。図12は、カーモード設定処理S300を示す。図示のように、制御部31は、表示装置32のスクリーンロック解除(ステップS301,ステップS302)を実行した後、GPS機能(ステップS303,ステップS304)、WiFi機能(ステップS305,ステップS306)、Bluetooth機能(ステップS307,ステップS308)を強制的にオンにし、更に、スリープを行わないように設定し(ステップS309,ステップS310)、その後、コンフィグ記憶部33dに記憶されたカーモードについての設定に従って、オーディオボリュームの設定(ステップS311,ステップS312)、ボイスコマンド機能のオン/オフ設定(ステップS313,ステップS314)、ハンズフリー機能のオン/オフ設定(ステップS315,ステップS316)を順次実行する。
【0104】
上記のように、カーモードでは、GPS機能、WiFi機能、Bluetooth機能は強制的にオンとなり、ユーザの操作でこれらをオフにすることはできない。これは、これらの機能は、「カーナビ」や他の運転支援用のアプリケーション、「ハンズフリー」等、車両内での使用が想定される多くのアプリケーションの動作で必要な機能であることから、車両内での使用を想定したカーモードにおいてこれらの機能がオフとなった場合のユーザの不便を防止し、また、ユーザが誤ってこれらの機能をオフにしたときに、上記アプリケーションが正常に動作しないことでユーザが困惑し、或いは、携帯型装置1に不満を感じる等を防止するためである。なお、車両からの給電で電源は確保されていることから、これらの機能をオンにすることによるバッテリーの消耗は、考慮の必要がない。また、スリープを行わないように設定するのは、「カーナビ」等の使用中にスリープに移行することは不適切と考えられるためである。
【0105】
状態移行機能は、制御部31が、図13図18に示す状態移行処理を行うことにより、携帯型装置1の電源のオン/オフ状態及びスリープ状態間での移行等を行う機能である。
【0106】
図13は、状態移行処理のうち、携帯型装置1の電源オフの状態から電源オンへの移行に係る部分を示す。
【0107】
図示のように、電源オフの待機状態から電源ボタン6が2秒以上操作(以下、「長押し」)された場合(ステップS401)、制御部31は、ステップS402~ステップS404において、給電判断機能による給電状態の判断を行う。具体的には、ステップS402で端子12への給電の有無を判断し、給電があれば、ステップS403で車両からの給電かどうか判断し、否定(N)の場合は、ステップS404でACアダプタの種類を判断し、ステップS405,ステップS406で、ACアダプタの種類に応じた速度での充電を開始する。通常ACアダプタの場合は、ステップS407でバッテリー41のレベルを判断する。また、ステップS402で給電が無ければ、ステップS408でバッテリー41のレベルを判断する。そして、ステップS404で急速充電用ACアダプタであった場合及びステップS407,ステップS408でバッテリーレベルがハイであった場合には、ステップS409で携帯型装置1の電源をオンにしてOSを起動した後にタブレットモード設定処理S200を実行し、以降、携帯型装置1をタブレットモードで動作させる。ステップS402で給電が無ければ、バッテリー41のレベルを判断し、低バッテリーなら待機状態に戻す。
【0108】
また、電源オフの待機状態で端子12への給電が検出された場合(ステップS411)には、ステップS412で車両からの給電かどうか判断し、否定(N)の場合は、ステップS413でACアダプタの種類を判断し、ステップS415,ステップS416で、ACアダプタの種類に応じた速度での充電を開始し、その後、ステップS418で充電状態を表示して、電源オフの待機状態を継続する。ステップS407でバッテリーレベルがローの場合もステップS418で充電状態を表示して、電源オフの待機状態を継続する。
【0109】
ステップS403又はステップS412の判断が肯定(Y)場合には、ステップS414で充電を開始し、続いて、ステップS417で携帯型装置1の電源をオンにしてOSを起動し、その後、カーモード設定処理S300を実行してから、ラストアプリ起動処理S100を実行し、以降、携帯型装置1をカーモードで動作させる。
【0110】
図14は、状態移行処理のうち、スリープ状態からタブレットモード又はカーモードへの移行に係る部分を示す。
【0111】
携帯型装置1がスリープ状態のときに電源ボタン6が操作される(ステップS501)と、制御部31は、ステップS502で端子12への給電の有無を判断する。そして、制御部31は、ステップS502での判断が肯定(Y)の場合、及び、スリープ状態で端子12への給電が検出された場合(ステップS503)は、ステップS504で車両からの給電かどうか判断し、否定(N)の場合は、ステップS505でACアダプタの種類を判断する。
【0112】
そして、ステップS502で給電が無いと判断した場合、及び、ステップS504で車両からの給電ではないと判断した場合には、制御部31は、ステップS509~ステップS511でスリープ解除を行った後、タブレットモード設定処理S200を実行してタブレットモードでの動作を開始する。なお、ステップS502で給電が無いと判断された場合には、ステップS506,ステップS507で、ACアダプタの種類に応じた速度での充電を開始する。
【0113】
ステップS504の判断が肯定(Y)の場合、制御部31は、ステップS508で充電を開始した後、ステップS512でスリープ解除を行い、その後、カーモード設定処理S300を実行してから、ラストアプリ起動処理S100を実行し、以降、携帯型装置1をカーモードで動作させる。
【0114】
図15は、状態移行処理のうち、端子12への給電が無い状態で携帯型装置1が電源オンのときに、端子12への給電が検出された場合のタブレットモード又はカーモードへの移行に係る部分を示す。
【0115】
制御部31は、ステップS601で端子12への電源供給の開始を検出した場合、ステップS602で車両からの給電かどうか判断し、否定(N)の場合は、ステップS603でACアダプタの種類を判断し、ステップS604,ステップS605で、ACアダプタの種類に応じた速度での充電を開始し、タブレットモード設定処理S200を実行し、以降、携帯型装置1をタブレットモードで動作させる。ステップS602の判断が肯定(Y)場合は、制御部31は、ステップS606で充電を開始してから、カーモード設定処理S300を実行し、以降、携帯型装置1をカーモードで動作させる。
【0116】
このように、携帯型装置1が電源オンのときに、第1遷移(ステップS602:Y)が生じても、ラストアプリ起動処理S100は実行されない。電源オンの場合には、ユーザは、他のアプリケーションを使用中である可能性があるが、ラストアプリ起動処理S100の不実施とすることにより、そのような使用中のアプリケーションがユーザの意図に反して終了になる等の不都合を防止することができる。
【0117】
図16は、状態移行処理のうち、カーモードからスリープの状態への移行に係る部分を示す。
【0118】
携帯型装置1がカーモードで動作中のときに電源ボタン6が2秒未満操作(以下、「短時間操作」)された場合(ステップS701)、ステップS702で端子12への給電があるかどうかを判断する。そして、これが肯定(Y)の場合は、ステップS703で車両からの給電かどうかを判断し、これが否定(N)の場合は、ステップS704でACアダプタの種類を判断し、その種類に応じた充電を開始する(ステップS706,ステップS707)。ステップS702の判断が否定(N)の場合は、充電を行わない(ステップS705)。
【0119】
携帯型装置1がカーモードで動作中に、端子12への給電が有る状態から無い状態に遷移した場合(ステップS711)、制御部31は、ステップS712で充電を終了させ、ステップS713で待機時間を5秒にセットし、ステップS714でアプリケーション表示部101にメッセージ151及びキャンセルボタン152を表示させ、ステップS715で端子12への給電が有るかを判断し、これが否定(N)の場合は、ステップS716でキャンセルボタン152がタッチされたかを判断し、これが否定(N)の場合は、ステップS717で待機時間のカウントダウンを行い、ステップS720で待機時間がタイムアウトしたかどうかを判断し、これが否定(N)の場合、ステップS715に移行する。
【0120】
ステップS715の判断が肯定(Y)の場合は、ステップS719でメッセージ151及びキャンセルボタン152を消去した後、カーモードでの動作(図16)を継続する。ステップS716の判断が肯定(Y)の場合は、ステップS718でメッセージ151及びキャンセルボタン152を消去した後、バッテリー41の電力でカーモードの動作を継続する。
【0121】
ステップS720の判断が肯定(Y)の場合、ステップS721でフォワードアプリが有るかどうかを判断し、有る場合(Y)にはステップS722で当該フォワードアプリの起動パスをラストアプリ記憶部33bに記憶し、無い場合(N)にはステップS723でラストアプリ記憶部33bの起動パスを消去する。
【0122】
ステップS705,ステップS706,ステップS707,ステップS722,ステップS723の後、ステップS731でコンフィグ記憶部33dから省電力設定を読み出してステップS732で省電力モードがオンかどうか判断する。そして、その判断が肯定(Y)の場合は、ステップS732~ステップS735でGPS機能、WiFi機能、Bluetooth機能をオフにし、更に、ステップS736でオーディオ出力をミュートにし、ステップS737で携帯型装置1をスリープ状態に移行させる。ステップS732の判断が否定(N)の場合は、ステップS733~ステップS736をスキップしてステップS737を実行する。ステップS736でオーディオ出力をミュートにすることとしたのは、スリープ状態(ステップS737)への移行で、ユーザには、携帯型装置1がオフになったように見えると考えられるため、オーディオ出力を継続させると、ユーザに不安感又は不自然感を与える恐れがあるため、これを防止したものである。
【0123】
図17は、状態移行処理のうち、タブレットモードでの動作中に電源ボタン6の短時間操作又は端子12での給電が断になった場合の処理を示す。
【0124】
携帯型装置1がタブレットモードで動作中に電源ボタン6の短時間操作があった場合(ステップS801)、制御部31は、ステップS802で端子12への給電の有無を判断し、否定(N)の場合は、ステップS805で充電を終了させる。ステップS802の判断が肯定(Y)の場合は、ステップS803,ステップS804で車両からの給電かどうか、及び、ACアダプタの種類を判断し、外部電源の種類に応じた速度での充電を開始する(ステップS806,ステップS807)。ステップS805~ステップS807の後、制御部31は、携帯型装置1をスリープ状態にする。
【0125】
携帯型装置1がタブレットモードで動作中に端子12の給電が断になった場合(ステップS808)、ステップS809で充電を終了させ、バッテリー41の電力でタブレットモードの動作を継続する。
【0126】
図18は、状態移行処理のうち、カーモード又はタブレットモードでの動作中に電源ボタン6の長押しがあった場合の処理を示す。
【0127】
電源ボタン6の長押しがあった場合(ステップS901)、又は、電源ボタン6の長押しがあったときに制御部31が表示させるメニュー画面で「電源を切る」の選択操作がなされた場合、制御部31は、ステップS902で端子12への給電があるかどうかを判断し、否定(N)の場合は、ステップS905で充電を終了させる。ステップS902の判断が肯定(Y)の場合は、ステップS903,ステップS904で外部電源の種類を判断し、ステップS906,ステップS907で、外部電源の種類に応じた速度での充電を開始する。ステップS905~ステップS907の後、ステップS908で携帯型装置1のシャットダウン(電源オフ)を行い、その後待機する。
【0128】
状態通知機能は、制御部31が、携帯型装置1の動作状態を通知するための表示を行う機能である。具体的には、携帯型装置1がカーモードで動作している場合、及び、ボイスコマンド機能がオンである場合、カーモードで動作している及びボイスコマンド機能がオンであることを通知する通知アイコンをステータスバー102の左領域102bに表示し、また、それらのことを通知パネル102eにおいて表示する。
【0129】
以上、好ましい実施の形態を説明したが、上記実施の形態における装置、システム及びプログラム又はその要素、部材等の形状、寸法、材質、機能、動作態様、制御態様、制御パラメータ、操作態様等は例として記載したものであり、これらは変更が可能である。
【0130】
例えば、上記実施形態では、ラストアプリ記憶部33bの起動パスが記憶される場合を示したが、起動パスではなく、第1遷移があったときに実行中であったアプリケーションを示す他の情報を記憶しておき、ラストアプリ起動機能は、当該情報で示されるアプリケーションを起動してもよい。
【0131】
上記実施形態では、第1遷移があったときにフォワードアプリが無い場合に、ラストアプリ記憶部33bの起動パスが消去される例を示したが、例えば、第1遷移があったときに第2ランチャーアプリが実行中であった場合には、第2ランチャーアプリの起動パスを記憶してもよい。また、第1遷移があったときに第1ランチャーアプリが実行中であった場合には、そのことを示す情報を記憶しておき、当該情報が記憶されている場合には、ラストアプリ起動機能は、第2遷移があったときに、第2ランチャーアプリを起動してもよい。
【0132】
上記実施形態では、ラストアプリ記憶機能は、第1遷移が判断された時点でフォアグランドで第1又は第2ランチャーアプリのみが実行中である場合にのみラストアプリ記憶部33bに記憶されているアプリケーションの起動パスを消去する場合を説明したが、例えば、第1遷移が判断された時点で、フォアグランドで携帯型装置1の動作設定のためのプログラムが実行中である場合にもラストアプリ記憶部33bに記憶されているアプリケーションの起動パスを消去してもよい。
【0133】
上記実施形態では、携帯型装置1が電源オンのときに、第2遷移(ステップS602:Y)が生じても、ラストアプリ起動処理S100は実行されない場合を説明したが、携帯型装置1が電源オンの状態で第2遷移(ステップS602:Y)が生じた場合にもラストアプリ起動処理S100が実行されるものとしてもよく、このようにすることで、プログラムを簡素化することができ、バグの発生を少なくできる。また、自動車に搭載してエンジンをオンにするという一連の動作に対してラストアプリ起動処理S100が実行されるので、ユーザにとっても大きな違和感はない。
【符号の説明】
【0134】
1・・・携帯型装置
2・・・本体
3・・・表示部
4・・・レンズ
5・・・スピーカ口
6・・・電源ボタン
7・・・ボリュームボタン
8・・・テレビアンテナ
9・・・フォーンプラグの差込口
10・・・MicroSDカードの差込口
11・・・ヘッドフォン出力端子
12・・・MiniUSB端子
13・・・ジョイント穴
20・・・クレードル
21・・・台座部
22・・・レバー
23・・・装着部
24・・・取外ボタン
25・・・アーム
26・・・ロック
31・・・制御部
32・・・表示装置
33・・・記憶部
33a・・・アプリケーション記憶部
33b・・・ラストアプリ記憶部
33c・・・ボイスコマンド記憶部
33d・・・コンフィグ記憶部
33e・・・アプリデータ記憶部
34・・・GPS受信部
35・・・テレビチューナ
36・・・カメラ
37・・・マイク
38・・・スピーカ
39・・・MicroSDカードリーダー
40・・・通信部
41・・・バッテリー
100・・・表示画面
101・・・アプリケーション表示部
102・・・ステータスバー
102a・・・右領域
102b・・・左領域
102c・・・クイック設定パネル
102d・・・動作設定アイコン
102e・・・通知パネル
103・・・ナビゲーションバー
103a・・・リターンボタン
103b・・・ホームボタン
103c・・・履歴ボタン
103d・・・ハンズフリーボタン
103e・・・カーランチャーボタン
103f・・・設定ボタン
110・・・ホーム画面
111・・・アイコン
120・・・カーランチャー画面
120a・・・アイコン配置領域
120b・・・空白領域
121・・・アイコン
121a・・・番号表示部
121b・・・絵柄表示部
121c・・・ボイスマーク表示部
121d・・・名称表示部
130・・・アプリ追加・編集画面
131・・・設定領域
131a・・・番号表示部
131b・・・絵柄表示部
131c・・・ボイスマーク
131d・・・名称表示部
131e・・・ボタン表示部
140・・・ボイスコマンド選択欄
150・・・画面
151・・・メッセージ
152・・・キャンセルボタン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18