(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024105281
(43)【公開日】2024-08-06
(54)【発明の名称】装飾要素の製造方法及び装飾要素の使用
(51)【国際特許分類】
G02B 5/30 20060101AFI20240730BHJP
【FI】
G02B5/30
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024065906
(22)【出願日】2024-04-16
(62)【分割の表示】P 2021512570の分割
【原出願日】2019-09-04
(31)【優先権主張番号】102018121767.6
(32)【優先日】2018-09-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】512123307
【氏名又は名称】コマンディートゲゼルシャフト ズュノプトリクス リッヒテッヒニク ゲーエムベーハー ウント コー
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】プレーン ホルスト
(57)【要約】 (修正有)
【課題】装飾要素DEの製造方法、及びこのように製造された装飾要素DEの使用に、関する。
【解決手段】アナライザとして機能する偏光層PSを、透明光学キャリア材料TMに塗布し、透明光学機能層FSを、光学異方性材料OAMからなる画像形成層BSとして、他方側に塗布する。画像形成法で機能層FSを空間的に構造化することによって、画像モチーフBMの形態で画像形成層BSを生成するために、光学異方性材料OAMの材料特性における目標位置に依存する依存性が、生成される。本発明によって製造される1つ又は複数の装飾要素DEは、それぞれ、所望の形状、サイズ及び量で照明装置BVの光場に導入され、設定可能な画像モチーフBM(画像構造)を有し、異なる空間距離に配置され、自由に配置可能である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装飾要素(DE)の製造方法であって、
平面又は曲面を有し、ガラス基板又はプラスチック基板からなる透明光学キャリア材料(TM)を提供するステップと、
アナライザとして機能する偏光層(PS)を、前記キャリア材料(TM)の一方側に塗布するステップと、
層厚を有する光学異方性材料(OAM)からなる画像形成層(BS)として、透明光学機能層(FS)を、前記キャリア材料(TM)の他方側に塗布するステップと、
画像モチーフ(BM)の形態で前記画像形成層(BS)を生成するための前記光学異方性材料(OAM)の材料特性における目標位置に依存する依存性によって、画像形成空間的に前記機能層(FS)を構造化するステップと、を含み、
その結果、前記画像モチーフ(BM)に従って定められた偏光干渉色(PIF)を有する設定可能な色コントラストは、偏光で照らされることによって前記装飾要素(DE)の照らされた表面に表示可能である、装飾要素の製造方法。
【請求項2】
透過偏光層(PSt)が、照射装飾要素(DE)を製造するための偏光層(PS)として使用される、又は反射偏光層(PSr)が、反射装飾要素(DE)を製造するための偏光層(PS)として使用される、ことを特徴とする請求項1に記載の装飾要素の製造方法。
【請求項3】
前記光学異方性材料(OAM)の前記材料特性における前記目標位置に依存する依存性は、a)光学異方性の変化、b)層厚の変化、c)局所配置の変化、のうちの1つ又は複数の局所変化によって、もたらされる、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の装飾要素の製造方法。
【請求項4】
定められた方法で設定可能な局所光路差(LOG)は、前記光学異方性材料(OAM)の前記材料特性における前記目標位置に依存する依存性によって、実現されており、前記局所光路差(LOG)の各値は、前記画像モチーフ(BM)を決定する1つの定められた偏光干渉色(PIF)に対応する、ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載の装飾要素の製造方法。
【請求項5】
前記局所光路差(LOG)は、前記装飾要素(DE)の表面における全面又は定められた部分に亘って、特定の設定可能な一定値を有するように実現される、ことを特徴とする請求項4に記載の装飾要素の製造方法。
【請求項6】
前記局所光路差(LOG)は、前記装飾要素(DE)の前記表面における前記定められた部分に対して均一な態様で実現され、前記設定可能な一定値がゼロ付近になり、これによって、前記装飾要素(DE)の前記均一な表面に対して各前記偏光干渉色(PIF)が無彩色に生成される、ことを特徴とする請求項5に記載の装飾要素の製造方法。
【請求項7】
前記機能層(FS)を形成するために、配向層(OS)が前記キャリア材料(TM)に先ず塗布され、液晶をベースにしたLC材料(LC)が光学異方性材料(OAM)として上部に塗布される、ことを特徴とする請求項1に記載の装飾要素の製造方法。
【請求項8】
前記LC材料(LC)は、コーティング法とそれに続く硬化法によって、又はプリント技術によって塗布される、ことを特徴とする請求項7に記載の装飾要素の製造方法。
【請求項9】
前記機能層(FS)を形成するために、光学異方性材料(OAM)としてフィルム材料(FO)が塗布される、ことを特徴とする請求項1に記載の装飾要素の製造方法。
【請求項10】
前記フィルム材料(FO)は、積層によって塗布される、ことを特徴とする請求項9に記載の装飾要素の製造方法。
【請求項11】
適切な処理手段によって前記フィルム材料(FO)において目標の空間構造複屈折が誘起される、又は画像モチーフ(BM)を生成するために、前記フィルム材料(FO)における既存の固有光学異方性が利用される、及び/又は目的の方法でフォローアップ処理が提供される、ことを特徴とする請求項9又は10に記載の装飾要素の製造方法。
【請求項12】
複数の透明光学機能層(FSi)は、異なる画像モチーフ(BMi)を有する画像形成層(BSi)として塗布され、定められた方法で互いに重ね合わされ、複合材料(V)を形成し、結果として生じる相互作用光学機能層(FSr)に結合され、前記複合材料(V)のための結果として生じる有効局所光路差(LOGr)を生成する、ことを特徴とする請求項1から11のいずれか1つに記載の装飾要素の製造方法。
【請求項13】
前記光学異方性材料(OAM)がフィルム材料(FO)として実現される場合、複数のフィルム層(FOi)は、積層として前記キャリア材料(TM)に塗布される、ことを特徴とする請求項12に記載の装飾要素の製造方法。
【請求項14】
個々の前記フィルム層(FOi)は、特定の定められた局所領域に亘って延びており、各々は、各前記モチーフに基づいて設定可能な、異なる定められた凹部及び/又は切欠きを有する、ことを特徴とする請求項13に記載の装飾要素の製造方法。
【請求項15】
光光学効果が、可変偏光方向を有する非偏光又は偏光を発する外部照明装置(BV)との相互作用における光路のみを介して、目的の方法で、生成され且つ影響されており、以下の動作モードが、実現される、ことを特徴とする請求項1から14のいずれか1つに記載の装飾要素の使用。
a)ニュートラルモード(NM):前記装飾要素(DE)が、非偏光によって照らされたときに偏光干渉色(PIF)を有さず、したがって、前記画像形成層(BS)における潜在的な前記カラーグラフィックモチーフ(FM)は、原則として不可視のままである
b)プレゼンスモード(PM):前記装飾要素(DE)は、偏光で照らされており、前記カラーグラフィックモチーフ(FM)は、前記定められた偏光干渉色(PIF)に従って、可視的に表示される
c)カラーバリエーションモード(FVM):定められた無段階のカラーバリエーションは、前記カラーバリエーションモード(FVM)において、カラーグラフィックモチーフ(FM)内の前記定められた偏光干渉色(PIF)によって、可能であり、前記装飾要素(DE)における前記カラーバリションは、偏光の偏光方向の変化によってもたらされる
【請求項16】
前記照明装置(BV)における前記動作モード(ニュートラルモード(NM)、プレゼンスモード(PM)及びカラーバリエーションモード(FVM))の選択及び実行は、偏光フィルター(PF)により実現される調整手段(M)及び前記照明の光路におけるその各位置によって行われる、ことを特徴とする請求項15に記載の装飾要素の使用。
【請求項17】
前記調整手段(M)による特定の動作モードの選択及び実行は、a)前記偏光フィルター(PF)を前記光路から除去することによって前記ニュートラルモード(NM)に対して、b)前記偏光フィルター(PF)を前記光路に導入することよって前記プレゼンスモード(PM)に対して、及びc)前記偏光フィルター(PF)を適切に回転させることによって前記カラーバリエーションモード(FVM)に対して、行われており、前記ニュートラルモード(NM)における消失と、前記プレゼンスモード(PM)における視認と、
前記カラーバリエーションモード(FVM)における前記カラーバリエーションと、の間で任意に切り換え可能である、ことを特徴とする請求項16に記載の装飾要素の使用。
【請求項18】
建物の外部領域に光光学効果を生じさせるための建築要素としての、又は、インテリアデザイン若しくはオブジェクトデザインのためのデザイン要素としての、請求項1から14のいずれか1つに記載の装飾要素の使用。
【請求項19】
符号保持要素としての実施形態を、特徴とする請求項18に記載の装飾要素の使用。
【請求項20】
純粋にパッシブ材料からなる前記装飾要素(DE)の機械的処理、切断、又は適切なカスタマイズが、一般的な工具を使用して実現される場合における使用を、特徴とする請求項18に記載の装飾要素の使用。
【請求項21】
ゼロ付近に設定可能な一定値を有する反射偏光層(PSr)及び前記局所光路差(LOG)を備え、前記装飾要素(DE)は、表示されるオブジェクト(O)が提示される背景面(H)として配置されており、前記オブジェクト(O)及び前記背景面(H)は、照明装置(BV)によって共同で照らされており、その結果、前記オブジェクト(O)及び前記背景(H)の両方を含む光場(LF)における光度が変化しない場合に、前記共同で照らされる前記オブジェクト(O)の輝度が前記照明装置(BV)の偏光方向を変化させることによって変化しないままの一方、前記背景面(H)の輝度のみが無段階に調光可能である、ことを特徴とする請求項6から14のいずれか1つに記載の装飾要素の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装飾要素の製造方法、及びこのように製造された装飾要素の使用に、関する。
【背景技術】
【0002】
特定のグラフィック、ビジュアル又はテキストデザインを表示し、特定の色、ペイント、物質又はコーティング(これらは、一般に、特定の物質ベースのカラー顔料(染料)を使用して製造される)が、それぞれの装飾表面をデザインするために一般に使用される性質を有する装飾要素が、知られている。
【0003】
同様に、実際のカラー値を超える追加の光学効果を有する特殊顔料が知られており、それによって、特に対応する装飾要素を製造することもできる。
【0004】
装飾コーティングは、例えば、異なる視角において、又はそれらの反射挙動に関して、特定の光学効果を有することが、知られている。対応する装飾要素の製造及び装飾デザインのために、多数の効果顔料、特に特定の干渉顔料、多層顔料、金属効果顔料又はゴニオクロマティック顔料が使用される。したがって、特定の干渉現象を有するこれらの所謂光沢又は効果顔料は、例えば、自動車塗料、あらゆる種類の装飾コーティング、並びに、プラスチック、塗料及びインクの着色のために、非常に汎用的に使用される。
【0005】
EP0727472A1には、特に自動車ボディ用のエフェクト塗料が記載されており、このエフェクト塗料では、光学効果は、所謂カラーフロップからなり、これにより、光の入射に応じて変化した色印象(ゴニオクロマティック顔料)が現れる。
【0006】
EP1624030A2は、2つの異なる顔料、弱く着色された銀色干渉顔料及び補色の弱く着色された干渉顔料を使用する、銀色並びにカラーニュートラルの顔料混合物を有する金属効果顔料を、示す。
【0007】
EP1620511A2は、高い被覆力を有し、小板状の無機基板を含み、FeTiO3を含有する層を有する干渉顔料を、記載している。
【0008】
米国特許第8,500,901B2号は、フレーク状基板をベースとし、高屈折率又は低屈折率を有する層からなる干渉顔料を、開示している。
【0009】
上述の装飾要素は、特定の公知の装飾着色料、塗料又はコーティングによって製造される。この目的のために、特定の着色顔料が例外なく使用され、ここで、それぞれの着色の生成及び装飾パターンの製造は、それぞれの場合において、1つの特定の物質ベース及びこれらの顔料のそれぞれの色に、基づく。
【0010】
効果顔料の特別なケースでは、これによって、各色に加えて装飾要素に特定の追加の光学効果を生成することができ、これらの効果は、本質的に、薄層における干渉現象の公知の基本的な光学効果に、基づく。しかしながら、ゴニオクロマティック効果のようなこれらの効果は、カラーフロップ効果のような少数の効果に限定された外観のみを、示す。
【0011】
全ての公知の装飾要素又は装飾表面は、一方では、その光学画像を含む選択されたモチーフ又は装飾が永久に見えるままであり、他方では、それぞれの外観が目標の方法で瞬時に変更可能ではない、という意味で不利である。
【0012】
この欠点は、最終的に、装飾要素の製造方法において、基本的に永久に見える公知の着色顔料又は特定の物質ベースの着色粒子が塗布される、という事実に基づいている。
【0013】
適切な照明装置に関連した光学効果のディスプレイも、知られている。
【0014】
EP2499538B1は、動的に制御可能な光変調機能を有する照明装置が、投影面としての表示オブジェクトと組み合わせて光光学効果を発生させるシステムを、示す。
【0015】
しかしながら、このようなシステムは、光変調照明装置と表示オブジェクトとの間の動的相互作用のため、比較的複雑な装置である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
したがって、本発明の目的は、物質ベースのカラー顔料が使用されず、製造される装飾要素が、適切な照明装置に関連して、設定可能なカラーグラフィックモチーフを、製造、表示及び変更するのに役立つ、装飾要素を製造するための方法を、提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
この目的は、平面又は曲面を有し、ガラス基板又はプラスチック基板からなる透明光学キャリア材TMを提供するステップと、アナライザとして機能する偏光層PSを、前記キャリア材料TMの一方側に塗布するステップと、層厚を有する光学異方性材料OAMからなる画像形成層BSとして、透明光学機能層FSを、前記キャリア材料TMの他方側に塗布するステップと、画像モチーフBMの形態で前記画像形成層BSを生成するための前記光学異方性材料OAMの材料特性における目標位置に依存する依存性によって、画像形成空間的に前記機能層FSを構造化するステップと、を含む製造方法によって達成される。その結果、前記画像モチーフBMに従って定められた偏光干渉色PIFを有する設定可能な色コントラストは、偏光で照らされることによって前記装飾要素DEの照らされた表面に表示可能である。
【0018】
平面又は曲面を有するガラス基板又はプラスチック基板からなる透明光学キャリア材料TMに、アナライザとして機能する偏光層PSを、横面に先ず塗布する。他方側では、光学異方性材料OAMからなる画像形成層BSとして、特定の層厚を有する透明光学機能層FSを、キャリア材料TMに、塗布する。
【0019】
有利には、装飾要素DEは、任意の形状、例えば、平面若しくは湾曲した形状を有する平坦なオブジェト、又はプロファイルされた表面要素、又は有形のオブジェクトに形成されてもよい。
【0020】
画像形成法で機能層FSを空間的に構造化することによって、画像モチーフBMの形態で画像形成層BSを生成するための次のステップにおいて、光学異方性材料OAMの材料特性における目標位置に依存する依存性が、生成される。
【0021】
さらに、画像形成層BSは、例えば、実質的に無制限の数の色相を有し、各々が、所望色パレットを有し、自由なデザインの目的で使用することが可能な、異なる色の濃さ及び色コントラストを有するパターン、フォント又はモチーフを含むことができる。
【0022】
このようにして、装飾要素DEにおける芸術的又はグラフィック表面のカラーデザインのための代替方法が提示され、その製造中に、物質ベースの色彩顔料は使用されず、代わりに、適切な照明装置BVと関連して使用することによって、純粋に物理的な方法で装飾
要素DEに多色色彩コントラストを生成してデザインすることが可能になる装飾要素DEを製造するために、複雑ではなく単純な方法が適用され、これから、本発明によれば、特定の特性、構造及び配置を有する特定の透明材料が使用される。
【0023】
本発明による方法によれば、装飾要素DEは、特定の配置の適切なパッシブ材料からなり、装飾要素DEは、本方法に従って照らされることに関連して、それゆえ、特定の新しい光光学機能を有し、この場合にのみ、そうでなければ潜在的なモチーフのそれぞれのカラーグラフィックデザインが視覚的に現れる一方、装飾要素DEが自然又は他の一般的な人工光源によって照らされる場合に、光学現象は見えなくなる。
【0024】
パッシブ材料からなり、装飾要素DEに含まれる光学機能層FSは、さらに、本発明に従って定められ、定められた光学異方性の形態の特定の材料特性を有する特定の内部材料特性によって、特徴付けられ、これは、さらに、この材料特性の局所的な変化又は修正のために、設定可能な潜像モチーフBMがインプリントされることを可能にする。
【0025】
さらに、パッシブ材料が安価に利用可能であり、容易に大量生産できるという点で有利であり、これらの材料は、様々な表面特性及び組成を有する複数の材料、形状、プロファイルを使用して便利に製造できるように、単純さ、頑丈さ、並びに共通の処理及び組立技術の適用性によって、特徴付けられる。
【0026】
さらなる実施形態では、透過偏光層PStが、照射装飾要素DEを製造するための偏光層PSとして使用される、又は反射偏光層PSrが、反射装飾要素DEを製造するための偏光層PSとして使用される。
【0027】
したがって、観察者の側に透過偏光層PStを有する透過装飾要素DEは、例えば、透過窓要素に有利に使用されることができ、それらは、それぞれ、対応するバックライトを含むことも可能な特定の配置を有してもよい。
【0028】
一方、結果的に反射偏光層PSrを有する反射装飾要素DEは、全ての非透明な建築要素又はデザイン要素(下記参照)のために有利に使用されることができ、前記反射偏光層PSrは、画像形成層BSの後ろに配置され、したがって、装飾要素DEに当たる光は、観察者の方向に反射される。
【0029】
有利には、前記光学異方性材料OAMの前記材料特性における前記目標位置に依存する依存性は、a)光学異方性の変化、b)層厚の変化、c)局所配置の変化、のうちの1つ又は複数の局所変化によって、もたらされる。
【0030】
光学異方性材料OAMの空間的構造化、及び、したがって材料特性における位置依存変化によるイメージモチーフBMの製造は、したがって、光学異方性、層厚、又は局所配向に影響することによって、もたらされ得る。
【0031】
さらに、定められた方法で設定可能な局所光路差LOGは、前記光学異方性材料OAMの前記材料特性における前記目標位置に依存する依存性によって、実現されており、前記局所光路差LOGの各値は、前記画像モチーフBMをインプリントする1つの定められた偏光干渉色PIFに対応する。
【0032】
それぞれの画像情報のこのインプリントは、画像形成層BSを生成するための機能層FSの特定の材料特性における使用及び目標の変形例に基づいており、特に、特定の局所的に定められた光学異方性を有する光学異方性材料OAMが、使用され、それによって、画像モチーフBMは、所謂位相画像の意味で生成され、それによって、この画像情報は、画
像モチーフBMの意味で、対応してアドレス指定された局所光路差LOGに基づいており、それによって、局所光路差LOGの値から生じる偏光干渉色PIFに従って、対応する局所色コントラストを生成することができる。
【0033】
局所光路差LOGの各値に基づいて期待される色値は、例えば、レヴィ干渉カラーチャートによって示されており、光学異方性又は局所光路差LOGの各値と各色との間の割り当てが、示される。
【0034】
レヴィカラーチャートが、所望のカラーパレットを生成するために必要な局所光路差LOGを事前に決定することを可能にし、したがって、各色コントラストを個別にデザインするために使用することができるので、この相関は、画像モチーフBMのデザインのために有利であり得る。
【0035】
特定の局所光路差LOGの、目標の局所的にアドレス指定可能なインプリントは、画像形成層BSにおける設定可能な画像モチーフBMの意味において、様々な手段及び方法によって引き起こされ得る。
【0036】
例えば、特定の透明プラスチック材料(ポリカーボネートなど)若しくは特定の軸延伸フィルム材料(BOPPなど)、又は液晶をベースにした対応する材料(反応性メソゲンRMなど)を、本発明による方法の意味で使用することができる。
【0037】
有利には、前記局所光路差LOGは、前記装飾要素DEの表面における全面又は定められた部分に亘って、特定の設定可能な一定値を有するように、実現される。
【0038】
好ましくは、前記局所光路差LOGは、前記装飾要素DEの前記表面における前記定められた部分に対して均一な態様で実現され、前記設定可能な一定値がゼロ付近であり、これによって、前記装飾要素DEの前記均一な表面に対して各前記偏光干渉色PIFが無彩色に生成される。
【0039】
このように、装飾要素DEは、1つの特定の均一な明るさのみを有して見える。それぞれの明るさの度合いは、照明の偏光方向に対する偏光層PSの配向の相対的な配置に依存し、それによって、それに応じて相対的な偏光方向が変化されると、最大に輝度化された局所領域が色印象白色を生成する一方、それに応じて薄暗くされた局所領域の場合には、黒色までの各グレー値が知覚される。
【0040】
さらに、前記機能層FSを形成するために、配向層OSが前記キャリア材料TMに先ず塗布され、液晶をベースにしたLC材料LCが光学異方性材料OAMとして上部に塗布される。
【0041】
画像形成層BSの製造及びカラーグラフィックデザインに関連して、好ましくは、液晶をベースにするとともに特定の光学異方性自身を有する材料が使用され、局所光学異方性及び/又は層厚及び/又は目標の方法でアドレス指定可能なアライメントの構造化を引き起こすために、手段が使用され、それによって、局所光路差LOGの各値を、設定可能な画像モチーフBMに従って、特定の設定可能なグラフィック形状にインプリントすることができる。
【0042】
LC層LCを生成するために、例えば、反応性メソゲンRMを使用することができ、これによって、目標の方法でアドレス指定可能な局所光路差LOGを有する、それに応じてグラフィカルに構造化された画像形成層BSを、生成することができる。
【0043】
様々な方法によって、各光軸を定めるとともに一般に透明キャリア材料TMに塗布される配向層は、一般に最初に実現されており、それによって、所望の構造化に従って続いて塗布される反応性メソゲンRMの光軸も定められ、その後、それに応じて各メソゲン層も配向され、続いて硬化される(例えば、UV硬化)。
【0044】
第1のステップにおいて、例えば、それに応じて構造化された配向層OSは、最初に、適切な透明キャリア材料TMに生成される。このため、様々な利用可能な配向方法(例えば、対応するマスクを使用する特定のフォトリソグラフィ法によるフォトアラインメント)を使用することができ、各選択された異方性領域の各光軸を、目標の方法で整列させることができる。次に、対応する領域に設定可能なこの配向を、LC層LCに転写し、これを、例えばメソゲン層の形態で、後続のステップにおいて、コーティングする。
【0045】
次に、画像形成層BSは、設定可能なグラフィック構造による反応性メソゲンRMの形態における各LC層LCに関連する配向層によって、及び様々な方法によって、いくつかの層シーケンスに適用することもでき、それによって、各層構造からそれぞれ生じる局所光路差LOGのための画像形成層BSを生成するために必要な値を生成することができ、それから、潜像モチーフBMを表す。
【0046】
好ましくは、前記LC材料LCは、コーティング法とそれに続く硬化法によって、又はプリント技術によって塗布される。
【0047】
例示的な技術は、スロットダイコーティング又はメイヤーロッドコーティングを含む。
【0048】
LC材料LCを塗布する代わりに、光学異方性材料OAMとしてフィルム材料FOを塗布して機能層FSを形成してもよい。
【0049】
画像形成層BSを生成するために、フィルム材料FOは、対応するカスタマイズされたプラスチックフィルム(例えば、オラフォル社のオラカルフィルムやBOPPなどの軸方向に延伸されたフィルム)の形態で市販されているものが使用され、このフィルム材料FOは、既に特定の内部光学異方性を有しているので、本発明による画像形成層BSの生成及びデザインのために用いることができる。この場合、グラフィック画像デザインに利用することができ、及び/又は対応する目標のフォローアップ処理によって特別に修正することもでき、これによって、それぞれの場合に望まれるグラフィック構造の局所光路差LOGを達成することができる。
【0050】
前記フィルム材料FOは、好ましくは、積層によって塗布される。
【0051】
積層プロセスによって、フィルム材料FOを、キャリア材料TMに簡単な方法で接続することができる。
【0052】
有利には、適切な処理手段によって前記フィルム材料Fにおいて目標の空間構造複屈折が誘起される、又は画像モチーフBMを生成するために、前記フィルム材料FOにおける既存の固有光学異方性が利用される、及び/又は目的の方法でフォローアップ処理が提供される。
【0053】
適切なフォローアップ処理は、例えば、各フィルム材料FOにおける光学異方性値の、制御された局所的にアドレス指定可能な変化であり得る。また、異方性を完全に除去し、対応する画像領域を対応配置された等方性領域に変換し、その後、対応する異方性を依然として有する画像領域に対して、対応するコントラストを形成することも、考えられ、それによって、画像に応じたグラフィック構造は、それに応じて、背景から目立つ。
【0054】
また、有利な点は、各フィルム材料FOに存在する固有の光学異方性における目標の位置特定の除去を引き続き起こすことを目的とするフィルム材料FOの、非常に単純なフォローアップ処理であり、それによって、モチーフの製造及びグラフィックデザインの意味において、各コントラストを生成することができ、それ自体が局所光路差LOGの特定値を有する各ネガティブ画像モチーフNBMを、フィルム材料FOからカットし、各画像モチーフBMに関連する局所光学異方性を意味し、カッティングプロッタ、レーザカッタ又はウォータージェットカッタなどの適切なツールを利用することができる。
【0055】
有利には、複数の透明光学機能層FSiは、異なる画像モチーフBMiを有する画像形成層BSiとして塗布され、定められた方法で互いに重ね合わされ、複合材料Vを形成し、結果として生じる相互作用光学機能層FSrに結合され、前記複合材料Vのための結果として生じる有効局所光路差LOGrを生成する。
【0056】
複合材料に結合される場合、異なる各画像形成層BSiは、それぞれ、特定の層シーケンスに対応して異なる設定可能な、層厚、アライメント、配向及び配置を有してもよく、このようにして複合材料に結合される、結果として生じる光学機能層FSrのための各有効局所光路差LOGrをもたらす。
【0057】
このようにして、対応して拡張されたカラーパレット及び偏光干渉色PIFにおける対応する数の異なる色コントラストを含む、非常に複雑なマルチフォーム及び対応する多色のカラーグラフィック画像モチーフBMを生成することができ、それによって、その色組成を持つ対応する画像モチーフBMを、それに応じてデザインすることができる。
【0058】
例えば、画像形成層BSの断面におけるアライメントの特定の変更は、各色値に対する追加のデザインオプションを提供しており、これは、特に光学異方性ホイル材料FOを使用する場合に利用することができ、いくつかの積層フィルム(下記参照)を使用する場合に特に有利であり、結果として生じる色値に対する追加のデザインオプションは、断面又は各層における各アライメントの追加の変更によって、可能にする。
【0059】
有利には、前記光学異方性材料OAMがフィルム材料FOとして実現される場合、複数のフィルム層FOiは、積層として前記キャリア材料TMに塗布される。
【0060】
それに応じて積み重ねられた装飾要素DEにおいて特定の方法で互いに重ね合わされた複数のフィルム層FOiの、このような配置は、個々のフィルム層FOiの各々がこの点において画像モチーフBMiを含む特定の画像形成層Bsiを有し、これらのフィルム層FOiは、フィルム層FOiにそれぞれ含まれる異なる局所光路差LOGiが、定められた部分的な表面において別のフィルム層FOiと又はいくつかのフィルム層FOiと同時に、具体的に積層するように、特定の方法で配置されてもよく、その結果、このようにして、結果として生じる有効局所光路差LOGrの値が定められる。これは、次いで、それぞれの位置固有の重ね合わせから構成され、次いで、結果として生じる包括的な画像モチーフBMrを持つ。
【0061】
イメージモチーフBMiのグラフィックデザインのための追加の手段は、各フィルム層FOiの各アライメントであってもよく、フィルム層FOiは、それぞれ、所望の配置及び重複で使用され、各異方性フィルム層FOiは、それぞれ、具体的な好ましい方向で、既存のアライメントを有する。この文脈では、対応する角度で回転された配向は、各フィルム層FOiに対して、又はフィルム層FOiの特定のセクションに対して、配置され、それによって、各局所光路差LOGi及びしたがって結果として生じる各偏光干渉色PIFiの色コントラストは、これら各々の互いに対する配向に従って、目標とされ且つ調整
された方法で、変更され得る。例示的に、リターダンス値は、通常、整列されたときに増加する一方、90°回転されたときには、リターダンス値は、それに応じて減少する。
【0062】
さらに、個々の前記フィルム層FOiは、特定の定められた局所領域に亘って延びてもよく、各々は、各前記モチーフに基づいて設定可能な、異なる定められた凹部及び/又は切欠きを有してもよい。
【0063】
したがって、異なるフィルム層FOiは、互いに部分的に多様に重複しており、多様な画像形成層BSiにおけるいくつかの異なる層は、前記フィルム層FOiよって実現され、これらは、複合材料として、それぞれの設定可能な、フィルム厚さ、アライメント、配向及び配置各々で、使用することができる。
【0064】
共有有効局所光路差LOGrは、個々の局所光路差LOGiの相互作用及び重ね合わせから、生じる。
【0065】
さらに、本発明の目的は、本発明に従って製造される装飾要素を以下の方法で使用することによって、達成される。光光学効果が、可変偏光方向を有する非偏光又は偏光を発する外部照明装置BVとの相互作用における光路のみを介して、目的の方法で、生成され且つ影響されており、以下の動作モードが、実現される。a)ニュートラルモードNM:前記装飾要素DEが、非偏光によって照らされたときに偏光干渉色PIFを有さず、したがって、前記画像形成層BSにおける潜在的な前記カラーグラフィックモチーフFMは、原則として不可視のままである、b)プレゼンスモードPM:前記装飾要素DEは、偏光で照らされており、前記カラーグラフィックモチーフFMは、前記定められた偏光干渉色PIFに従って、可視的に表示される、c)カラーバリエーションモードFVM:定められた無段階のカラーバリエーションは、前記カラーバリエーションモードFVMにおいて、カラーグラフィックモチーフFM内の前記定められた偏光干渉色PIFによって、可能であり、前記装飾要素DEにおける前記カラーバリションは、偏光の偏光方向の変化によってもたらされる。
【0066】
本発明により製造される1つ又は複数の装飾要素DEは、それぞれ、所望の形状、サイズ及び量で照明装置BVの光場に、導入されることができ、各々が、設定可能な画像モチーフBM(画像構造)を有し、異なる空間距離に配置され、自由に使い捨てできる。
【0067】
さらに、照明装置BVは、非偏光又は偏光の光と、偏光方向の目標とする変動と、の間における変化を可能にし、照明条件に対応し、対照的に、非偏光の場合には画像構造(ニュートラルモードNM)が何も表示されない等方性光場が、現れる。装飾要素DEを偏光で照らすと、画像形成層BSに含まれる潜像構造が、対応する色コントラスト(プレゼンスモードPM)において対応するグラフィック画像モチーフBMとして、可視化される。
【0068】
また、偏光方向の変化によって、各画像モチーフBMに含まれる各偏光及び干渉色PFを、同じ意味で、変化させることができる(カラーバリエーションモードFVM)。
【0069】
装飾要素DE、又は偏光によっても照らされる特定のオブジェクト若しくはアイテムの環境は、完全に変化しないように見える。
【0070】
本発明による偏光を有する照明の特別な特徴は、偏光が、肉眼では知覚できない非常に特別な光特性を示し、したがって偏光と非偏光との間の差が、目立たないことである。
【0071】
このため、肉眼で観察される光の質及び明るさは、非偏光と偏光との間で切り換えた場合にも、また偏光方向を変えた場合にも、全てのケースで、変わらないままであり、した
がって、ランプ光による通常の照明と異なることはない。
【0072】
照明のパーツに関する上述の特殊な光特性とは別に、光光学機能は、装飾要素DEにおいてこの場合に使用される画像形成層の材料特性における追加の特別な特徴にも基づいており、これは、完全に透明な材料特性のために、一般に偏光を有さない通常の照明条件において、光学異方性の場合には、この材料内でも見えない構造であり、光学異方性材料も連続的に透明に見え、それに応じて構造化された偏光干渉色PIFは、偏光で照らされたときにのみ可視化される。
【0073】
照明装置BVと自由に配置可能な装飾要素DEとの間における空間的な分離は、実施形態及び配置に応じて、装飾要素DEを、透過ケースにおける透過光又は反射ケースにおける反射光において、使用することができるという点で、有利である。
【0074】
さらに、本発明により製造された装飾要素DEは、各装飾要素DE自体を意味し、特定の潜像モチーフBMを含み、この場合、特定の光学材料特性の形態で存在し、実際の材料内部空間構造を有することが、有利である。したがって、各光源によって全て照らされる任意の数の装飾要素DEの配置は、したがって、共通の画像投影とは根本的に異なる。
【0075】
これは、形成され且つ個別に寸法の異なる各装飾要素DEが、所望の空間配置で且つ各々が異なる空間深度を有する、指定された数の追加の装飾要素DEと共に、単一の光源(照明装置BV)によって、共同で照らされることができるためであり、各装飾要素DEは、各々が異なる画像モチーフBMiを別々に持つことができ、全ての装飾要素DEは、これらの各空間配置で任意に移動することができる。
【0076】
対照的に、従来の画像投影は、常に、特定の撮像光学系及び対応するスクリーンを必要とし、このスクリーンでは、ただ一つのプロジェクタから投影された各単一の画像が、設定された空間深度を有するただ1つの単一の画像平面にのみ鮮明に描写することができ、投影からの各画像は、スクリーンからの単一の定められた距離に関してのみ、焦点を合わせることができる。
【0077】
さらに、装飾要素DEは、パッシブ材料のみからなり、したがって、可動部品も電子要素もいずれも含んでおらず、また、電線からのいかなる電力供給も必要としないことが、有利である。
【0078】
それにもかかわらず、各光学的外観の能動的に制御可能な変動は、不可視の方法で、これらのパッシブ装飾要素DEにおける光路のみを介して行うことができ、これによって、例えば、プレゼンスモードPMの場合における画像モチーフBMの可視性、又はニュートラルモードNMの場合におけるその不可視性、及びカラーバリエーションモードFVMの場合におけるカラーコントラストの変動のような、特定の動作モードを、照明のパーツ上で自由に選択することができる。
【0079】
前記照明装置BVにおける前記動作モード(ニュートラルモードNM、プレゼンスモードPM及びカラーバリエーションモードFVM)の選択及び実行は、偏光フィルターPFにより実現される調整手段M及び前記照明の光路におけるその各位置によって行われる。
【0080】
好ましくは、前記調整手段Mによる特定の動作モードの選択及び実行は、a)前記偏光フィルターPFを前記光路から除去することによって前記ニュートラルモードNMに対して、b)前記偏光フィルターPFを前記光路に導入することよって前記プレゼンスモードPMに対して、及びc)前記偏光フィルターPFを適切に回転させることによって前記カラーバリエーションモードFVMに対して、行われており、前記ニュートラルモードNM
における消失と、前記プレゼンスモードPMにおける視認と、前記カラーバリエーションモードFVMにおける前記カラーバリエーションと、の間で任意に切り換え可能である。
【0081】
さらに、装置の観点から、本発明によって製造される装飾要素は、建物の外部領域に光光学効果を生じさせるための建築要素として、又は、インテリアデザイン若しくはオブジェクトデザインのためのデザイン要素として、使用されることを意図されている。
【0082】
例えば、ファサード、壁カバー、天井要素、床カバーの一部として、又は家具、ランプ若しくは一般的の設備オブジェクトなどの多様なデザインオブジェクトの一部としての、使用が、可能であると思われる。
【0083】
特に、符号保持要素としての装飾要素DEの実施形態が、有利である。
【0084】
本発明によって製造される装飾要素DEは、光学誘導システム用などの符号保持要素として、又は広告スペース用の画像保持及びテキスト保持要素として、使用されることができる。
【0085】
さらに、前記装飾要素DEの使用は、純粋にパッシブ材料からなる前記装飾要素の機械的処理、切断、又は適切なカスタマイズが、一般的な工具を用いて実現される場合に、有利である。
【0086】
装置の観点から、本発明によって製造される装飾要素DEのさらなる使用は、ゼロ付近に設定可能な一定値を有する反射偏光層PSr及び局所光路差LOGを備え、前記装飾要素DEは、表示されるオブジェクトOが提示される背景面Hとして配置されており、前記オブジェクトO及び前記背景面Hは、照明装置BVによって共同で照らされており、その結果、前記オブジェクトO及び前記背景Hの両方を含む光場LFにおける光度が変化しない場合に、前記共同で照らされる前記オブジェクトOの輝度が前記照明装置BVの偏光方向を変化させることによって変化しないままの一方、前記背景面Hの輝度のみが無段階に調光可能である。
【0087】
さらなる有利な特徴は、例を用いて本発明の好ましい実施形態を説明する以下の記載及び図面から導出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【
図1】
図1は、本発明によって製造される装飾要素DEの概略構造を、示す。
【
図3】
図3は、ある角度でオフセットされた画像形成層BS及び3つの画像形成層BS1,BS2,BS3の三重重ね合わせの概略図を、示す。
【
図4】
図4は、部分的に重複する2つの画像形成層BSiの概略図を、示す。
【
図5】
図5は、装飾要素DEに配置されたオブジェクトOと共に使用する例を、示す。
【
図6】
図6は、LC材料LCをベースにした装飾要素DEの製造方法の概略図を、示す。
【
図7】
図7は、2つのフィルム層FOiを有する装飾要素DEの使用例を、示す。
【発明を実施するための形態】
【0089】
図1は、画像形成層BSと、キャリア層TMと、偏光層PSと、機能層FSと、を有する装飾要素DEの概略デザインを示し、画像形成層BSは、局所光路差LOGの形態で存在し、それによって、それぞれの偏光干渉色PIFは、画像モチーフBMに応じて現れる。
【0090】
図2は、光源L及び偏光方向に関して可変である偏光フィルターPFからなる照明装置BVの概略配置を示し、照明装置BVは、偏光PLを発する。
【0091】
図3は、画像モチーフBMを構成する画像形成層BSの概略図と、同じ画像モチーフBMを有し、画像形成層BS1,BS2,BS3が、特定の角度で互いに対してそれぞれオフセットして、したがって互いの上に積み重ねて配置された、3つの同一の画像形成層BS1,BS2,BS3の重ね合わせを、示す。
【0092】
図4は、2つの画像形成層BS1及びBS2の概略図を示し、各々は、部分的な重複及び重ね合わせに含まれる異なる画像モチーフを有し、結果として生じる対応する有効局所経路差LOGrは、重ね合わせの結果として生じる。
【0093】
図5は、使用例の概略図を示し、装飾要素DEに位置する背景HとランダムオブジェクトOとの間の輝度コントラストは、変更可能であり、照明装置BVから発する光場LFの中央に位置する背景Hの輝度は、照明装置BVにおける偏光フィルターPFよって可変である。
【0094】
図6は、(装飾要素DEの)画像形成層BSを液晶材料LCを用いて生成するための、特にメソゲン層MSを塗布するための、製造方法の概略図を示し、メソゲン層MSは、対応して(局所的に)アドレス指定可能な局所光路差LOGに従って、それぞれの画像モチーフBMを生成する。
【0095】
局所座標x、yに従った対応する空間分布における反応性メソゲンRMは、対応するコーティングツールBWを有する装置によって、画像形成構造化(画像モチーフBM)に従って、対応して配向された配向層OSに、塗布される。
【0096】
図7は、使用例の概略図を示しており、特定の且つしたがって結果として生じる画像情報BIrをデザインするために、特定の光学異方性フィルム層FOi(フィルム材料)は
、積層配置の形態で、対応する部分的な重複を伴って、使用されており、ここでは、2つのフィルム層FO1,FO2は、異なる画像モチーフBM1,BM2を有する例示的な方法で示されており、これらの画像モチーフBM1,BM2は、それぞれ、それらの周囲とは対照的であり、そのために、画像モチーフBM1,BM2の各々を取り囲む局所領域NBM1,NBM2は、対応して目立たなければならない、又は単に各フィルムから切り取られることができる。
【手続補正書】
【提出日】2024-04-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0065
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0065】
さらに、本発明の目的は、本発明に従って製造される装飾要素を以下の方法で使用することによって、達成される。光光学効果が、可変偏光方向を有する非偏光又は偏光を発する外部照明装置BVとの相互作用における光路のみを介して、目的の方法で、生成され且つ影響されており、以下の動作モードが、実現される。a)ニュートラルモードNM:前記装飾要素DEが、非偏光によって照らされたときに偏光干渉色PIFを有さず、したがって、前記画像形成層BSにおける潜在的な前記カラーグラフィックモチーフFMは、原則として不可視のままである、b)プレゼンスモードPM:前記装飾要素DEは、偏光で照らされており、前記カラーグラフィックモチーフFMは、前記定められた偏光干渉色PIFに従って、可視的に表示される、c)カラーバリエーションモードFVM:定められた無段階のカラーバリエーションは、前記カラーバリエーションモードFVMにおいて、カラーグラフィックモチーフFM内の前記定められた偏光干渉色PIFによって、可能であり、前記装飾要素DEにおける前記カラーバリエーションは、偏光の偏光方向の変化によってもたらされる。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装飾要素(DE)の製造方法であって、
平面又は曲面を有し、ガラス基板又はプラスチック基板からなる透明光学キャリア材料(TM)を提供するステップと、
アナライザとして機能する偏光層(PS)を、前記キャリア材料(TM)の一方側に塗布するステップと、
層厚を有する光学異方性材料(OAM)からなる画像形成層(BS)として、透明光学機能層(FS)を、前記キャリア材料(TM)の他方側に塗布するステップと、
画像モチーフ(BM)の形態で前記画像形成層(BS)を生成するための前記光学異方性材料(OAM)の材料特性における目標位置に依存する依存性によって、画像形成空間的に前記機能層(FS)を構造化するステップと、を含み、
その結果、前記画像モチーフ(BM)に従って定められた偏光干渉色(PIF)を有する設定可能な色コントラストは、偏光で照らされることによって前記装飾要素(DE)の照らされた表面に表示可能であり、
複数の透明光学機能層(FSi)は、異なる画像モチーフ(BMi)を有する画像形成層(BSi)として塗布され、定められた方法で互いに重ね合わされ、複合材料(V)を形成し、結果として生じる相互作用光学機能層(FSr)に結合され、前記複合材料(V)のための結果として生じる有効局所光路差(LOGr)を生成する、装飾要素の製造方法。
【請求項2】
透過偏光層(PSt)が、照射装飾要素(DE)を製造するための偏光層(PS)として使用される、又は反射偏光層(PSr)が、反射装飾要素(DE)を製造するための偏光層(PS)として使用される、ことを特徴とする請求項1に記載の装飾要素の製造方法。
【請求項3】
前記光学異方性材料(OAM)の前記材料特性における前記目標位置に依存する依存性は、a)光学異方性の変化、b)層厚の変化、c)局所配置の変化、のうちの1つ又は複数の局所変化によって、もたらされる、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の装飾要素の製造方法。
【請求項4】
定められた方法で設定可能な局所光路差(LOG)は、前記光学異方性材料(OAM)の前記材料特性における前記目標位置に依存する依存性によって、実現されており、前記局所光路差(LOG)の各値は、前記画像モチーフ(BM)を決定する1つの定められた偏光干渉色(PIF)に対応する、ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載の装飾要素の製造方法。
【請求項5】
前記局所光路差(LOG)は、前記装飾要素(DE)の表面における全面又は定められた部分に亘って、特定の設定可能な一定値を有するように実現される、ことを特徴とする請求項4に記載の装飾要素の製造方法。
【請求項6】
前記局所光路差(LOG)は、前記装飾要素(DE)の前記表面における前記定められた部分に対して均一な態様で実現され、前記設定可能な一定値がゼロ付近になり、これによって、前記装飾要素(DE)の前記均一な表面に対して各前記偏光干渉色(PIF)が無彩色に生成される、ことを特徴とする請求項5に記載の装飾要素の製造方法。
【請求項7】
前記機能層(FS)を形成するために、配向層(OS)が前記キャリア材料(TM)に先ず塗布され、液晶をベースにしたLC材料(LC)が光学異方性材料(OAM)として上部に塗布される、ことを特徴とする請求項1に記載の装飾要素の製造方法。
【請求項8】
前記LC材料(LC)は、コーティング法とそれに続く硬化法によって、又はプリント技術によって塗布される、ことを特徴とする請求項7に記載の装飾要素の製造方法。
【請求項9】
前記機能層(FS)を形成するために、光学異方性材料(OAM)としてフィルム材料(FO)が塗布される、ことを特徴とする請求項1に記載の装飾要素の製造方法。
【請求項10】
前記フィルム材料(FO)は、積層によって塗布される、ことを特徴とする請求項9に記載の装飾要素の製造方法。
【請求項11】
適切な処理手段によって前記フィルム材料(FO)において目標の空間構造複屈折が誘起される、又は画像モチーフ(BM)を生成するために、前記フィルム材料(FO)における既存の固有光学異方性が利用される、ことを特徴とする請求項9又は10に記載の装飾要素の製造方法。
【請求項12】
前記光学異方性材料(OAM)がフィルム材料(FO)として実現される場合、複数のフィルム層(FOi)は、積層として前記キャリア材料(TM)に塗布される、ことを特徴とする請求項1に記載の装飾要素の製造方法。
【請求項13】
個々の前記フィルム層(FOi)は、特定の定められた局所領域に亘って延びており、各々は、各前記モチーフに基づいて設定可能な、異なる定められた凹部及び/又は切欠きを有する、ことを特徴とする請求項12に記載の装飾要素の製造方法。
【請求項14】
光光学効果が、可変偏光方向を有する非偏光又は偏光を発する外部照明装置(BV)との相互作用における光路のみを介して、生成され且つ影響されており、以下の動作モードが、実現される、ことを特徴とする請求項1から13のいずれか1つに記載の装飾要素の使用。
a)ニュートラルモード(NM):前記装飾要素(DE)が、非偏光によって照らされたときに偏光干渉色(PIF)を有さず、したがって、前記画像モチーフ(BM)の形態に生成される前記画像形成層(BS)における潜在的なカラーグラフィックモチーフ(FM)は、原則として不可視のままである
b)プレゼンスモード(PM):前記装飾要素(DE)は、偏光で照らされており、前記画像形成層(BS)に潜在する前記カラーグラフィックモチーフ(FM)は、前記定められた偏光干渉色(PIF)に従って、前記画像モチーフ(BM)として可視的に表示される
c)カラーバリエーションモード(FVM):定められた無段階のカラーバリエーションは、前記カラーバリエーションモード(FVM)において、カラーグラフィックモチーフ(FM)内の前記定められた偏光干渉色(PIF)によって、可能であり、前記装飾要素(DE)における前記カラーバリエーションは、偏光の偏光方向の変化によってもたらされる
【請求項15】
前記照明装置(BV)における前記動作モード(ニュートラルモード(NM)、プレゼンスモード(PM)及びカラーバリエーションモード(FVM))の選択及び実行は、偏光フィルター(PF)により実現される調整手段(M)及び照明の光路におけるその各位置によって行われる、ことを特徴とする請求項14に記載の装飾要素の使用。
【請求項16】
前記調整手段(M)による特定の動作モードの選択及び実行は、a)前記偏光フィルター(PF)を前記光路から除去することによって前記ニュートラルモード(NM)に対して、b)前記偏光フィルター(PF)を前記光路に導入することよって前記プレゼンスモード(PM)に対して、及びc)前記偏光フィルター(PF)を適切に回転させることによって前記カラーバリエーションモード(FVM)に対して、行われており、前記ニュートラルモード(NM)における消失と、前記プレゼンスモード(PM)における視認と、
前記カラーバリエーションモード(FVM)における前記カラーバリエーションと、の間で任意に切り換え可能である、ことを特徴とする請求項15に記載の装飾要素の使用。
【請求項17】
建物の外部領域に光光学効果を生じさせるための建築要素としての、又は、インテリアデザイン若しくはオブジェクトデザインのためのデザイン要素としての、請求項1から13のいずれか1つに記載の装飾要素の使用。
【請求項18】
符号保持要素としての実施形態を、特徴とする請求項17に記載の装飾要素の使用。
【請求項19】
純粋にパッシブ材料からなる前記装飾要素(DE)の機械加工又は切断が、工具を使用して実現される場合における使用を、特徴とする請求項17に記載の装飾要素の使用。
【請求項20】
反射偏光層(PSr)及びゼロ付近に設定可能な一定値を有する前記局所光路差(LOG)を備え、前記装飾要素(DE)は、表示されるオブジェクト(O)が提示される背景面(H)として配置されており、前記オブジェクト(O)及び前記背景面(H)は、照明装置(BV)によって共同で照らされており、その結果、前記オブジェクト(O)及び前記背景面(H)の両方を含む光場(LF)における光度が変化しない場合に、前記共同で照らされる前記オブジェクト(O)の輝度が前記照明装置(BV)の偏光方向を変化させることによって変化しないままの一方、前記背景面(H)の輝度のみが無段階に調光可能である、ことを特徴とする請求項6に記載の装飾要素の使用。