(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024105301
(43)【公開日】2024-08-06
(54)【発明の名称】インプラント内に電子コンポーネントを埋め込むためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
A61F 2/44 20060101AFI20240730BHJP
【FI】
A61F2/44
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024067100
(22)【出願日】2024-04-17
(62)【分割の表示】P 2022525384の分割
【原出願日】2020-11-02
(31)【優先権主張番号】62/929,681
(32)【優先日】2019-11-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/976,139
(32)【優先日】2020-02-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/025,831
(32)【優先日】2020-05-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】522170319
【氏名又は名称】インテリジェント インプランツ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ゼルマー,エリック ロバート
(72)【発明者】
【氏名】マーフィー,ロリー ケネス ジョン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】医療インプラント内に埋め込まれた電子機器のためのシステム及び方法を提供する。
【解決手段】医療インプラント内に埋め込まれた電子機器のためのシステム及び方法は、インプラント本体と、少なくとも1つの電子コンポーネントを含み、インプラントの規定キャビティ内で少なくとも1つの経路に沿って少なくとも部分的に埋め込まれている回路表面と、保護構造を含む被覆であって、回路表面の少なくとも部分的に埋め込まれた部分が封入されている、被覆と、回路表面に接続されているか又は回路表面上に直接配置され、電極セット及びアンテナを含む電子コンポーネントと、回路表面及び電子コンポーネントを接続する配線と、を含む。システム及び方法は、インプラント本体に直接接続された封止構造であるケーシングを更に含み得る。ケーシングは、ケーシング自体内に収容されたプリント回路基板(PCB)を含む。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療インプラント内に埋め込まれた電子機器のためのシステムであって、
・インプラント本体と、
・前記インプラント本体の規定内部キャビティ内の経路に沿って少なくとも部分的に埋め込まれている回路表面を含む回路システムであって、前記回路表面は少なくとも1つの電子コンポーネントを収容し、前記インプラント本体は前記回路表面の周りに形成されている、回路システムと、
・前記回路表面と一体化された電子コンポーネントであって、
・電極のセットと、
・アンテナと、
を含む電子コンポーネントと、
・前記回路表面及び電子コンポーネントを接続する配線と、
を備えるシステム。
【請求項2】
前記インプラント本体に直接接続されたケーシングすなわち封止構造を更に備え、前記回路システムは更にケーシング回路サブシステムを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記ケーシング回路サブシステムは前記ケーシング内に収容されたプリント回路基板(PCB)を含み、前記配線は前記PCB及び前記インプラント本体内に埋め込まれた電気コンポーネントを電気的に接続する、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記回路表面はプリント回路基板(PCB)を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
保護構造を備えた被覆を更に含み、前記回路表面の少なくとも部分的に埋め込まれた部分は前記被覆内に封入されている、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記被覆はシリコーンで構成されて、前記規定キャビティに埋め込まれた前記PCBがシリコーン被覆によって封入されると共に覆われるようになっている、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記少なくとも1つの経路は単一の直線状の又は湾曲した経路を含み、前記PCBは前記単一の直線状の又は湾曲した経路に沿って前記インプラント本体内に埋め込まれている、請求項4に記載のシステム。
【請求項8】
前記少なくとも1つの経路は複数の直線状の又は湾曲した経路を含み、前記複数の経路に沿った前記埋め込まれたPCBは、前記複数の経路の形状に概ね一致する折り畳まれたPCBを含む、請求項4に記載のシステム。
【請求項9】
前記折り畳まれたPCBはテーブル状の幾何学的形状であり、前記PCBの中央部が前記インプラント本体への挿入方向に対して垂直な面を有すると共に前記PCBの両端が曲げられて前記規定PCBキャビティのより深い部分へ挿入されるようになっている、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記折り畳まれたPCBは、3つの空間次元の全てに対して少なくとも1つの垂直な表面を有するように折り畳むことができる、請求項8に記載のシステム。
【請求項11】
前記PCBの各垂直な表面がアンテナコンポーネントを含んで、前記アンテナが全ての空間次元に延出するようになっている、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記折り畳まれたPCBは、複数回折り返されるようにアコーディオン状に折り畳まれている、請求項8に記載のシステム。
【請求項13】
前記アンテナは多層の幾何学的形状を含み、前記PCBの隣接層は前記アンテナの一部を含み、これによって積層された平面状折り畳みを含む相対的に3次元のアンテナを形成する、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
内部に封入された回路システムを含むケーシングを更に備え、前記ケーシングは、前記回路システムが前記回路表面に動作可能に結合している状態で、前記インプラント本体に物理的に結合されている、請求項4に記載のシステム。
【請求項15】
前記ケーシングは密閉され、前記ケーシング内に封入された前記回路システムは、前記インプラント本体内の電子コンポーネントに電気的に接続されているPCBを含む、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記インプラント本体は、比較的矩形の脊椎ケージと、前記脊椎ケージの短い方の側面に物理的に接続されたケーシングと、を含む、請求項14に記載のシステム。
【請求項17】
前記回路表面は前記矩形の脊椎ケージの2つの長い方の側面に埋め込まれた2つの平面を含み、各平面は、前記インプラント本体の外面で露出した、前記平面から垂直に外側へ延出している2つの電極を含み、各平面は、前記インプラント本体の内面で露出した、前記平面から垂直に内側へ延出している2つの電極を含み、各平面は、前記平面の同一の寸法に沿って前記平面の外周の周りに巻き付けたアンテナを有する、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
医療インプラントデバイスを構築するための方法であって、
・少なくとも1つの導電的に接続されたアンテナ及び導電的に接続された電極のセットを含む電子コンポーネントのセットによって回路表面を構築することと、
・前記回路表面を経路に沿って構成することと、
・前記回路表面の周りにインプラント本体を成形することと、
を含む方法。
【請求項19】
前記回路表面を構築することは前記回路表面上に回路システムを組み立てることを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
ケーシングを構築することと、前記ケーシング内にケーシング回路サブシステムを収容して確実に封止することと、前記ケーシングを前記インプラント本体に接続し、前記回路表面の前記電子コンポーネントのセットを前記ケーシング回路サブシステムに導電的に接続することと、を更に含み、前記ケーシング回路サブシステムは前記医療インプラントデバイスの回路システムの生体適合性でない電子コンポーネントの全てを含む、請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
[0001] 本出願は、2019年11月1日に出願された米国仮出願第62/929,681号、2020年2月13日に出願された米国仮出願第62/976,139号、及び、2020年5月15日に出願された米国仮出願第63/025,831号の利益を主張する。これらは全て援用により全体が本願に含まれる。
【0002】
[0002] 本発明は、一般に医療インプラントの分野に関し、より具体的には、インプラント内に電子コンポーネントを埋め込む新規かつ有用なシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003] 脊椎固定術(spinal fusion)は、米国及び欧州で最も一般的に行われている外科処置の1つである。脊椎固定手術の目的は、2つ以上の椎骨間に骨成長を導入し、それらを固定して(fuse)単一の連続体にすることである。脊椎固定手術は、腰部、頸部、及び胸部において行われ、各領域内の固定には異なる合併症セットが伴う。そうであっても、脊椎固定後のほとんどの合併症は2つの大きなカテゴリに一般化することができる。すなわち、固定空間内の骨形成が不充分であるために椎骨が単一体になるよう固定されない非固定と、骨成長が組織に損傷又は影響を与えて患者に害又は不快感を与える異所性骨化である。異所性骨化の例には、前方骨棘形成が食道に対する質量効果を引き起こして嚥下困難を招くこと(頸椎固定)、後縦靭帯の骨化、並びに、後方骨棘形成及び/又は他の過剰な後方骨成長が脊髄及び/又は脊髄神経を圧迫することが含まれる。
【0004】
[0004] 現在、移植可能な又は外部の電気刺激装置を用いて、ある程度の癒着不能のリスクを軽減することができる。多くの既存の移植可能刺激装置は、1つ以上の電極に取り付けられた、密閉された定電流DC電源を使用する。これらは大型で扱いにくく、感染又は合併症を生じやすい。更に、これらの移植可能システムの電極は細長く、壊れやすい。移植可能システムは、複数の椎骨に及ぶ脊椎の長さに沿って配置されるよう設計されているので、頻繁に移動し、けがの原因となる可能性がある。
【0005】
[0005] 脊椎固定ハードウェアの技術及び使用が向上するにつれて、より一般的には、長期インプラントの技術及び使用が向上するにつれて、インプラントの電子コンポーネントの配置及び維持をいっそう重要視することが必要となっている。技術の向上と共に、電子コンポーネントはインプラントの有効性において果たす役割が大きくなっているが、多くの場合、体内で経時的な劣化の影響を最も受けやすく、また、一度故障し始めたら身体への害が最も大きい可能性がある。更に、以前に利用可能であった材料及び製造技法の多くは電子機器と不適合である。例えば、いくつかの材料の製造温度は隣接する電子機器を破壊する。従って、医療インプラント分野において、インプラント内に電子コンポーネントを埋め込むための新規かつ有用なシステム及び方法を生み出す必要がある。本発明は、そのような新規かつ有用なシステム及び方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】[0006] システムの変形の概略図である。
【
図2】[0007] システムの別の変形の概略図である。
【
図3】[0008] 例示的な脊椎ケージインプラントの概略図である。
【
図4】[0008] 例示的な脊椎ケージインプラントの概略図である。
【
図5】[0008] 例示的な脊椎ケージインプラントの概略図である。
【
図6】[0009] 例示的な寸法を示す脊椎ケージの概略図である。
【
図7】[0010] 脊椎ケージの断面概略図である。
【
図8】[0011] システムの例示であり、最初にインプラント本体(図示せず)内のアンテナを含む内部コンポーネントを示し、次にインプラント本体を示す。
【
図9】[0012] システムの例示であり、最初にインプラント本体(図示せず)内にある2つのアンテナ及び8つの電極を含む内部コンポーネントを示し、次にインプラント本体と共にシステムを示す。
【
図10】[0013] 好適な実施形態のプリント回路基板(PCB)の概略図である。
【
図11】[0014] 折り畳んだ状態の側面図に示されている複雑な折り畳み配置のために構成されたコンポーネント配置を有するPCBの様々な概略図である。
【
図12A】[0015] 均一な外形を有する規定(defined)PCBキャビティを備えるシステム変形の概略図である。
【
図12B】[0016] 均一でない(varied)外形を有する規定PCBキャビティを備えるシステム変形の概略図である。
【
図13A】[0017] 単一の経路に沿って埋め込まれたPCBを備える好適な実施形態の例示的なシステムの概略図である。
【
図13B】[0017] 単一の経路に沿って埋め込まれたPCBを備える好適な実施形態の例示的なシステムの概略図である。
【
図14A】[0018] 折り畳まれたPCBを備える例示的なシステムの概略図である。
【
図14B】[0018] 折り畳まれたPCBを備える例示的なシステムの概略図である。
【
図15A】[0019] 反対方向に折り返される構成のPCBを備える例示的なシステムの概略図である。
【
図15B】[0019] 反対方向に折り返される構成のPCBを備える例示的なシステムの概略図である。
【
図16】[0020] 好適な実施形態のテーブル状幾何学的形状のPCBを備える例示的なシステムの概略図である。
【
図17】[0021] 複数のPCBキャビティ及びPCB構成を用いてインプラント本体内で3つの直交面のアンテナを達成している例示的なシステムの概略図である。
【
図18】[0022] 2つの電極のインプラント本体との一体化を示す例示的なシステムの概略図である。
【
図19】[0023] システムの一変形のケーシングの図であり、最初にケーシングの外観図を示し、次にケーシング内の内部コンポーネントを示す。
【
図20】[0024] 一体化した電極を備えるシステムの概略図を含む。
【
図21】[0025] ケーシング内の回路システムがインプラント本体内の回路表面コンポーネントに接続しているシステムの一変形の概略図である。
【
図22】[0026] システムの別の変形の概略図である。
【
図23】[0027] ケーシング内の回路システムに接続する露出コネクタを備えるインプラント本体の図である。
【
図24】[0028] 好適な実施形態の第1の方法のフローチャートである。
【
図25】[0029] インプラント本体に回路表面を埋め込むことに適用された方法の一変形のフローチャートである。
【
図26】[0030] インプラント本体に埋め込まれた回路表面に接続されたケーシングを備える医療インプラントデバイスに適用された方法の一変形のフローチャートである。
【
図27】[0031] 好適な実施形態の第2の方法のフローチャートである。
【
図28】[0032] 方法の実施例のステップごとの例示である。
【
図29】[0032] 方法の実施例のステップごとの例示である。
【
図30】[0033] 方法の実施例のステップごとの例示である。
【
図31】[0034] インプラント本体とケーシングを組み合わせる概略的な説明である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
[0035] 本発明の実施形態の以下の記載は、本発明をこれらの実施形態に限定することでなく、当業者による本発明の実施及び使用を可能とすることを意図している。
【0008】
1.概要
[0036] インプラント本体内に電子コンポーネントを埋め込むためのシステム及び方法は、医療機器インプラントに電子機器を効率的かつロバストに一体化する場合の製造上の課題に対応するよう機能する。具体的には、システム及び方法は、整形外科用インプラント、より具体的には、脊椎固定手術に用いられる脊椎ケージインプラント(椎体間固定デバイス(intervertebral body fusion device)としても知られている)に電子コンポーネントを埋め込むことに取り組む。
【0009】
[0037] システム及び方法は、内部に一体化された電子機器を備える医療インプラントデバイス(例えば脊椎ケージ等の整形外科用インプラント)を可能とする、及び/又はそのような医療インプラントの作製を可能とする。より具体的には、システム及び方法は、骨成長を刺激及び/又は監視するための電極セットと、これらの電極の制御及び電力供給のためのアンテナと、を備える脊椎インプラントを提供することができる。電極セットは、個々の電極部位がインプラント表面で露出するように内部に一体化することができる。1つ以上のアンテナは、内部に埋め込まれ、エネルギ結合(例えば無線充電/電力供給のため)及び/又は無線通信のために使用することができる。いくつかの変形では、システム及び方法は、異なる向きのアンテナを備えた医療インプラントを可能とする。
【0010】
[0038]
図1に示されているように、システム及び方法は、インプラント本体と、少なくとも1つの機能電子コンポーネントと一体化された少なくとも1つの回路表面を含む回路システムと、を含む。回路表面はインプラント本体内に一体化されている。具体的には、インプラント本体は、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等の生体適合性インプラント材料で作られている。回路表面の少なくとも1つの機能電子コンポーネントは、1つ以上の電極及び/又はアンテナを含むことができる。回路表面は好ましくは、特定の幾何学的形状で少なくとも部分的にインプラント本体内に埋め込まれて、インプラント本体の形態内に収まるように、また、電極及びアンテナのような異なる電子コンポーネントをインプラント内の特定の位置へ潜在的に適正に位置決め及び分散させるようになっている。インプラント本体内のこの幾何学的形状は、少なくとも1つの経路に沿って回路表面を収容するインプラント本体の内部キャビティとして規定されている。インプラント本体内の回路表面の経路は、1本の線、1本の曲線、及び/又は複数の連結された経路セグメントとすることができる。従って、単一の経路に沿って埋め込まれた回路表面は、線又は曲線の幾何学的形状を有し得る。また、複数の経路に沿ってインプラント本体に埋め込まれた回路表面は、折り畳み、曲げ、テーブル状、及び/又はより複雑な幾何学的形状を有し得る。システム及び方法は更に、保護及び/又は支持のための回路表面に沿った被覆(例えばコーティング及び/又は構造部材)も含み得る。
【0011】
[0039] システム及び方法では、生体適合性医療インプラント内に電子コンポーネントを組み込む際に多くの課題が予想され得る。また、例えば脊椎ケージのような耐荷重医療デバイスの機械的特性を損なうことなく、この医療デバイスに電子コンポーネントを組み込むことの課題も予想され得る。
【0012】
[0040] 第1の例として、システム及び方法の医療インプラントは、インプラント全体の大きさに対する影響を最小限に抑えながら、電気刺激特徴部、無線充電/通信/電力供給、及び/又は他の電子機器対応の特徴部を一体化することができる。システム及び方法は、PEEK等の生体適合性材料を回路表面の周囲で射出成形すること、3Dプリントすること、又は他の方法で形成することを可能とする。
【0013】
[0041] 別の例として、システム及び方法の医療インプラントは、PEEKのような生体適合性材料の内部に埋め込まれた一体化電子機器を有することができる。PEEKは比較的高い融解温度を有し、これは従来、能動電子コンポーネントの近傍で射出成形を行う際の課題となっている。
【0014】
[0042] 回路表面は、実施例に応じて形状及び組成が変動する可能性のある概ね2次元の表面を含む。回路表面は、インプラント本体材料(例えば射出成形された熱可塑性物質)内に一体化された埋め込み回路要素(すなわち「回路インサート(circuit insert)」)として機能する。回路表面は、多くの変形では実質的に平面アスペクト比を有する構造部材であり、インプラント本体内に埋め込んで、所望の位置における電極とアンテナの一体化をサポートすることができる。すなわち、回路表面は比較的薄い平面状の表面を含み得る。回路表面の例には、プリント回路基板(PCB)、又は、何らかの物理的足場(scaffold)構造もしくは基板と一体化された別の回路システムが含まれた。いくつかの変形では、システム及び方法が複数の回路表面を含み、各回路表面を特定の幾何学的形状で少なくとも部分的にインプラント本体内に埋め込むことも可能である。システム及び方法は、特定の幾何学的形状で部分的に埋め込まれた回路システムを備えるインプラント本体を含むシステム、及びこのシステムを製造するための方法として機能する。
【0015】
[0043] いくつかの変形において、システム及び方法は更にケーシングを含むことができる。ケーシングは、1つ以上の回路表面に動作可能に接続している1つ以上の回路システムを含み得る。この変形は、インプラント本体内にアンテナ及び/又は電極のような電子コンポーネントを一体化する一方で、回路システム全体のうちケーシング内に収容された他の部分も有するために使用され得る。このケーシングは、収容された回路システムコンポーネントを機械的にかつ密閉して封止することで、それらを機械的応力及び体液から保護するように機能し得る。この機能を果たすため、ケーシングは、インプラント本体の他の部分とは異なる材料を用いて生成され得る(例えば、PEEKのインプラント本体を備えるチタンのケーシング、又はその逆)。ケーシングは、完全に又は部分的にインプラント本体に埋め込む及び/又は一体化して、分離できないサブコンポーネントとして機能し得る。あるいはケーシングは、取り外し可能であるように部分的に埋め込んで一体化してもよい。1つの例示的な変形では、ケーシングは、電気コネクタを介してインプラント本体内の回路表面と電気的に結合する。次いでケーシングは、インプラント本体に溶接、接着、又は他の方法で少なくとも半永久的に取り付けることができる。ケーシングは、主要インプラント本体と内部に収容されたPCBコンポーネントとの間の分離を与えることができる。このようなケーシングは、インプラント本体の他の部分とは別個のプロセスで生成して、これら2つの幾何学的形状のそれぞれを別個のプロセスで生成した後に接合/取り付け/接着することができる。あるいは、ケーシング及びインプラント本体の他の部分は、例えばケーシング上にインプラント本体をオーバーモールドすること、又はインプラント本体の他の部分上にケーシングを3Dプリントすること等、分離できないステップで生成してもよい。
【0016】
[0044] システム及び方法は、電子コンポーネントを収容する任意のインプラントに対して適用され得る。前述のように、システム及び方法は特に、インプラント本体内にアンテナ及び/又は電子機器を組み込むデバイスに利点を与えることができる。本明細書において、システム及び方法は、主として整形外科用インプラントに、より具体的には脊椎ケージに適用するものとして記載される。特にシステム及び方法は、一体化された電子機器を備える脊椎ケージインプラントと共に用いることができ、損傷した椎骨のため骨成長を刺激する及び/又は骨成長を検知するために利用される露出電極を含み得る。しかしながら、システム及び方法は整形外科用インプラントに限定されず、一般に、回路システム内で実装され得る電子コンポーネントを必要とする任意のポリマー/金属インプラント構造物のため実施することができる。
【0017】
[0045] システム及び方法の1つの潜在的な利点は、例えばPEEK、ポリアリールエーテルケトン(PAEK)族の他の有機熱可塑性ポリマー、及び/又は他の材料、特に射出成形や3Dプリントのような熱材料操作を用いて製造される材料等、インプラント本体に用いられる生体適合性材料と電子機器との一体化が向上することである。システム及び方法は、高温に応じた製造技法を用いる物理ケーシング内に温度に敏感な電子機器を組み込む製造上の実行可能性に取り組む。システムの製造プロセス及び物理設計は、このような実行可能性のリスクに対処することができる。
【0018】
[0046] システム及び方法の別の潜在的な利点は、インプラントの最小サイズを縮小することである。インプラント本体内に電子コンポーネントを埋め込むと、例えば電子コンポーネントがインプラント本体の体積/外面の外に配置又は取り付けられた場合に比べて、電子コンポーネントが占める空間が縮小し、これによって以前に可能であったものよりも小さいインプラントを構築できる。インプラントの最小サイズの縮小は、インプラントの移植を簡単にすることができる。更に、インプラントの小型化によって、本発明の前にはそのようなインプラントが大きすぎると考えられていた領域でインプラントの利用を増大することができる。関連する可能性として、一体化の効率向上の結果、電子コンポーネントの数及びサイズは以前達成されたものよりも増大し得る。
【0019】
[0047] インプラント本体内に電子機器を埋め込むことの別の潜在的な利点は、インプラント本体が電子コンポーネントを腐食から保護し得ることである。インプラント故障の主な理由は、人体内でのインプラントコンポーネントの腐食である。非反応性ポリマーコンポーネントは腐食にかなり耐える傾向があるが、他のコンポーネント、特に電子コンポーネントは、それほど耐えられない。従って、インプラント本体内に電子機器を埋め込むと、電子コンポーネントに著しい保護を提供できる。これは一般に、インプラントの寿命及び有効性を向上させることができる。
【0020】
[0048] 電子コンポーネントを埋め込むことの別の潜在的な利点は、システム及び方法が、人体内で比較的迅速に劣化する「敏感な」電子コンポーネントを利用し得ることである。以前は腐食に対して敏感すぎると考えられていた電子コンポーネントを利用することが可能となり、インプラント故障の心配も軽減され得る。
【0021】
[0049] 同様に、システム及び方法の別の潜在的な利点は、人体に有毒であると見なされる可能性のある電子コンポーネントの利用が可能となることである。また、インプラントに埋め込まれた電子コンポーネントは、人体から有毒な電子コンポーネントを分離し、有害な電コンポーネントによって典型的に生体内部に及ぼす恐れのある害を防止する。場合によっては、システム及び方法は更に、インプラント故障の場合又はインプラント除去中に生体適合性でない材料が人体に露出されるのを物理的に制限するよう作用することができる。システム及び方法のいくつかの変形は、回路システムの様々な材料に人体が露出されるのを防止するため特定の要素を封止又は収容する場合に使用できる。この保護は、手術中、人体内での医療インプラントの使用中、及び/又は医療インプラントの摘出中に、極めて重要である可能性がある。
【0022】
[0050] システム及び方法の別の潜在的な利点は、インプラント本体に対するいくつかの電子コンポーネントの有効性を最大限にすることである。特定の幾何学的形状を有する回路表面をインプラント本体内に埋め込むことによって、特定の電子コンポーネントの位置決めを機能性のため最適化することができる。特定の幾何学的形状は、最大の効果を得るためのコンポーネントの位置決めを可能とすることができる(例えば、インプラントの表面上のセンサ、深部の制御システム、表面上の特定位置の電極、最適な信号伝達を提供するため回路表面の周囲に巻かれたアンテナ)。
【0023】
[0051] 取り付けケーシングを含むシステム及び方法の潜在的な利点は、インプラントの一部として回路システムを組み込むのが容易であることである。ケーシングのいくつかの好適な実施例は、PCB及び他の電子コンポーネントのような要素を含む回路システムを収容する単純かつ耐久性のある構造を提供する。いくつかの変形では、ケーシングは単一の構造としてインプラント本体と一体になり、これによって、インプラント本体に変更を加えることなくPCBを組み込むことができる。
【0024】
[0052] 取り付けケーシングを含むシステム及び方法の別の潜在的な利点は、ケーシングによって、回路システムの電子コンポーネントの少なくとも一部の簡易かつロバストなエンクロージャを提供できることである。好適な変形において、ケーシングは、患者の体内の高レベルの応力と歪みに耐えるように(例えばチタンで構築される)、かつ、移植中に経験される、例えば脊椎ケージの衝突時の高レベルの応力と歪みに耐えるように構築され得る。ケーシング内に電子コンポーネントを埋め込むことによって、これらの機械的応力から保護することができる。
【0025】
[0053] システム及び方法の別の潜在的な利点は、ケーシング内に潜在的に生体適合性でない回路コンポーネントを固定する電子機器対応医療インプラントデバイスの実施例の使用である。更に、ケーシングは潜在的に、医療インプラントの他の部分よりも患者体内の応力と歪みのレベルに対する耐性が高いという特定の利点を提供できる。ケーシングは、チタンのような機械的にロバストな材料で作ることができ、これによって、回路システムの一部の筐体を収容するため規定された内部チャンバが存在し得るにもかかわらず、ケーシングは応力と歪みに対して高い耐性を有することができる。従って、万一、医療インプラントの他の部分が機械的に故障した場合、又は医療インプラントデバイスが除去及び/又は移植中に壊れた場合であっても、ケーシング内の電子機器は封止された状態を維持し得る。このように、システム及び方法によって可能となる医療インプラントデバイスでは、潜在的に有毒な/生体適合性でない回路コンポーネント(例えば集積回路、キャパシタ、抵抗、及び他の回路コンポーネント)を、人体に露出される可能性を理想的に低く抑えながらケーシング内に固定できると共に、インプラント本体に配置され得る電極、アンテナ、及び/又は他の電子機器を、チタン、金、プラチナ-イリジウム、ポリアミド、及び/又は医療用シリコーンのような生体適合性材料で作ることができる。
【0026】
[0054] 好ましくは、電子コンポーネントは取り付けケーシング内で密閉されて、電子コンポーネントを体液から完全に隔離する。体液は、電子コンポーネントの損傷及び/又は劣化を引き起こす可能性がある。更に、いくつかの電子コンポーネントは患者にとって有毒であり得る。従って、ケーシング内で電子コンポーネントを密閉することは、有毒な電子コンポーネントから患者を保護する利点を与え、更に、電子コンポーネントを損傷又は劣化から保護することができる。
【0027】
[0055] 取り付けケーシングを含むシステム及び方法の別の潜在的な利点は、取り付けケーシングによって、主要インプラント本体を妨害することなく回路システムの少なくとも一部のアクセス及び除去が可能となることである。インプラント利用のため、インプラント本体に対する影響を最小限に抑えながらPCB回路を変更するように取り付けケーシングを修正してもよい。
【0028】
[0056] 更に、長期的なインプラント利用のため、取り付けケーシングは、潜在的に有毒なPCBコンポーネントを容易に除去するという追加の利点を提供し得る。システム及び方法がPCBの利用を必要とする「能動」機能を終了した後、インプラントは数年及び数十年にわたって患者の体内に置かれる可能性がある。この期間中、インプラントの劣化によってPCB露出が生じ、更に、PCB上の有毒なコンポーネントに対する露出が発生し得る。取り付けケーシングの除去によって、主要インプラント本体を所定位置にそのまま置きながら、これらの有毒なコンポーネントの除去を簡単に行うという潜在的な利点が追加され得る。
【0029】
2.システム
[0057]
図1及び
図2に示されているように、医療インプラント内に埋め込まれた電子機器のためのシステムは、インプラント本体100と、少なくとも1つの電子コンポーネントを収容する回路システム105と、回路システムに接続されるか又は回路システム上に直接置かれ、電極132のセット及びアンテナ134を備える電子コンポーネント130と、回路システム及び電子コンポーネントを接続する配線150と、を含む。いくつかの変形において、回路システムは、少なくとも1つの電子コンポーネントを収容する少なくとも1つの回路表面110を備え、この回路表面は、少なくとも1つの経路に沿ったインプラント本体の規定キャビティ内に少なくとも部分的に埋め込まれている。いくつかの変形では、システムは更に、保護構造を備える被覆120も含むことができる。回路システム105の少なくとも部分的に埋め込まれた部分は、この被覆内に封入されている(enclose)。
【0030】
[0058] 規定キャビティの経路の変形には、直線チャネル、均一な外形のチャネル、湾曲チャネル、傾斜チャネル、及び/又は本明細書に記載される他の変形が含まれ得る。システムは機能回路を備えたインプラントとして機能し、回路はインプラント本体100によって更に保護され、その大部分は、インプラント本体自体を超えた追加空間をほとんど占有しない。システムは特に、電気刺激を与えることができる構造的インプラントとしての機能性を有し得る。可能なシステム実施の例には、整形外科用ケージ(例えば脊椎ケージ)、ペースメーカ、及び外科用くぎが含まれる。システムの実施例に応じて、システムは所望の場合により少ないコンポーネントを含むか、又は追加のコンポーネントを含むことができる。
【0031】
[0059]
図2に示されているように、いくつかの変形では、システムは更にケーシング140を含み得る。ケーシングは、インプラント本体100に直接接続された封止構造である。ケーシング140を備える変形では、回路システム105は、ケーシング140内に収容されたケーシング回路サブシステム(例えばプリント回路基板(PCB))を含む。実施例に応じて、ケーシング回路サブシステムは、インプラント本体100内の1つ以上の回路表面110と動作可能に接続する露出した電気コネクタ又はカプラを含み得る。システムのケーシング140の変形は、製造可能性に対する様々な利点を与え、また、例えば能動電子機器、集積回路、及び/又は他の高感度コンポーネントのような、ある種の電子コンポーネント130を封止及び保護するための代替的な手法を提供することができる。いくつかの変形では、ケーシング回路サブシステムは、ケーシング140内に封止又は他の方法で収容され得る生体適合性リスクがある全ての回路コンポーネントを含むことができる。
【0032】
[0060] 好適な実施形態のインプラント本体100は、特定の実施例に望ましいか又は必要である一般的な機能を有し得る。1つの好適な変形において、インプラント本体100は、生体内に移植され得る任意の非生物学的インプラント(例えば脊椎ケージ、ペースメーカ、くぎ)とすることができる。実施例に応じて、インプラント本体100は、システムのコンポーネントとして、少なくとも1つの回路表面110を含む3次元筐体構造として機能し得る。いくつかの変形において、インプラント本体100は、例えば脊椎ケージ、くぎ、股関節インプラント等のインプラント本体のように、体内での移植中に応力及び力を受ける耐荷重構造として作られる。インプラント本体100は好ましくは、回路表面110よりも大きい幾何学的形状であり、固体、非反応性、非毒性、及び/又は可鍛性の材料で構築される。インプラント本体100の材料のために追加的な又は代替的な材料属性を使用してもよい。
【0033】
[0061] 好適な変形において、インプラント本体100は、2016年3月19日に出願された米国特許出願第15/075,152号(援用により全体が本願に含まれる)に記載されているもの等のインプラントコンポーネントとすればよい。あるいはインプラント本体100は、米国出願第15/075,152号のものとは異なる整形外科用インプラントとしてもよい。インプラント本体100は、インプラントサブコンポーネントを収容又は保持する構造的要素として機能し得る。いくつかの変形において、インプラント本体100は可撓性であるが、代替的に半可撓性又は剛性としてもよい。
【0034】
[0062] インプラント本体100は、好ましくは非導電性材料で作られるが、部分的に導電性であってもよい。いくつかの実施形態において、インプラント本体100は脊椎インプラントであり、より好ましくは脊椎ケージとすることができる。インプラント本体100は好ましくは、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等の非導電性ポリマーで構成されるが、設計骨材料、天然骨材料、又は合成骨材料、チタン、及び/又は、1もしくは複数の他の適切な材料、又はそれらの組み合わせで作ってもよい。いくつかの実施例において、インプラント本体100は、脊椎ケージ上の金属端部(例えば
図3に示されている)のような、異なる構成の追加コンポーネントを有し得る。
【0035】
[0063] いくつかの好適な変形において、インプラント本体100は脊椎ケージである。あるいはインプラント本体100は、別のタイプの整形外科用インプラント又は他のタイプのインプラント本体(例えばペースメーカ)としてもよい。いくつかの実施例において、脊椎ケージの幾何学的形状は、概ね連続的な外形を有する規定された形態の押し出し角柱(extruded prism)である。脊椎ケージは、内部インプラントキャビティとして規定され得る1つ以上の移植ウィンドウ(graft window)を含み得る。すなわち脊椎ケージは、インプラント本体100の側部の壁のエンクロージャを含んで、1つ以上のインプラントキャビティを規定し、脊椎ケージの上面と下面に開口を有することができる。
図3から
図5の例示的な略図に示されているように、脊椎ケージは前述の説明を含むが、多くの幾何学的形状と組み合わせることも可能である。実施され得る特定のタイプ/形状の脊椎ケージの例は、限定ではないが、前方腰椎椎体間固定術(ALIF:anterior lumbar interbody fusion)ケージ、片側進入腰椎後方椎体間固定術(TLIF:transforaminal lumbar interbody fusion)ケージ、内視鏡下腰椎側方椎体間固定術(XLIF:eXtreme lateral interbody fusion)ケージ、後方腰椎椎体間固定術(PLIF:posterior lumbar interbody fusion)ケージ、頚椎前方固定術(ACF:anterior cervical fusion)ケージ、側方ケージ、腰椎前外側椎体間固定術(OLIF:oblique lateral interbody fusion)ケージ、及び/又は他の適切なタイプの脊椎ケージを含む。脊椎ケージは更に、表面コーティング(例えばインプラントの保護、骨結合性(osteointegration)の増大等のため)、手術用ツール取り付けポイント(例えばツール利用を容易にするため)、歯(例えば脊椎ケージが移動しない確率を上げるため)、脊椎ケージの側方開口(例えば電荷を容易に脊椎ケージ及び/又は他の要素に出入りさせるため)等、他の設計特徴部を含み得る。
【0036】
[0064] 様々な幾何学的形状に加えて、脊椎ケージは、実施例において望まれるか又は必要とされる様々なサイズを有し得る。脊椎ケージを脊柱内に移植して、損傷した椎間板/骨組織の代わりにする場合、インプラント本体100のサイズ(及び形状)は、損傷した組織領域に適合するように、またその組織領域の適切な機能を可能として最適化するように変動させることができる。
図6で示されているように、インプラント本体の幾何学的形状の1つの変形は、単一のインプラントキャビティを備えた脊椎ケージとすることができ、外側に向いているインプラント本体100の側面は人間の患者内で方向付けられた(orient)場合にインプラント本体の上部になる。
図6に示されているような、いくつかの好適な実施例の典型的な寸法は、3-1が9mm~50mm、3-2が20mm~80mm、3-3が5mm~18mm、3-4が5~30mm、3-5が5~30mm、3-6が1mm~5mm、3-7が1mm~5mmの範囲であり得る。これらは典型的な範囲であるが、実際の実施例は、所望の場合にはこれらの範囲を超えて変動し得る。
【0037】
[0065] システムは好ましくは、1つ又は複数の回路表面110を含み得る回路システム105を含む。回路システム105は、回路システムの電気コンポーネント、コネクタ、又は機能コンポーネントを含み得る。1つの変形において、回路システム105は、インプラント本体100内に埋め込まれた回路表面110によって完全に実装され得る。別の変形において、回路システム105はケーシング回路サブシステムを含み得る。ケーシング回路サブシステムは、ケーシング140内に埋め込まれた回路システムの一部である。ケーシング回路サブシステムは、1つ以上の回路表面110に接続することができる。ケーシング埋め込み回路システムは、配線150すなわち有線導電性接続を介して回路表面110に接続することができる。あるいはケーシング埋め込み回路システムは、いくつかの変形において、誘導結合又は他の無線結合システムを用いて動作可能に接続してもよい。
【0038】
[0066] 好適な実施形態の回路表面110は、医療インプラントの電子コンポーネント130の一部及び/又は全てのための、概ね2次元の表面(例えば平面、曲げた面、湾曲面、中空管)として機能する。回路表面110は、少なくとも部分的にインプラント本体100内に埋め込まれている。いくつかの変形では、回路表面110の少なくともかなりの部分(例えば回路表面110の表面積の95%超)がインプラント本体内に埋め込まれている。一実施例では、かなりの部分を覆うように回路表面110の周りでインプラント本体100がオーバーモールドされるか又は他の方法で形成される。いくつかの変形では、回路表面110の複数の部分を露出させることができる。より具体的には、回路表面110と一体化されるか又は他の方法で接続された電極132を露出させることができる。第1の例として、電極132の露出表面は、電気刺激又は電気測定が行われる指定エリアで露出させればよい。同様に、回路表面110の回路システムのサブシステム(例えば電極132及び/又はアンテナ134)に導電的に結合された電気コネクタを特定の部位で露出させてもよい(すなわち、インプラント本体100で覆わない)。
【0039】
[0067] 本明細書で用いられる場合、回路表面110は、一般性を失うことなく、システム内に収容される単一の又は複数の回路表面を指すことができる。
【0040】
[0068] 好ましくは、回路表面110は部分的に、電子コンポーネント130を方向付けるため及び電子コンポーネント130のインプラント本体100への一体化を容易にするための足場又は構造として用いられる。具体的には、回路表面110は、インプラント本体100に対する向き及び位置に応じた性能/動作特性を有する電気コンポーネント130のインプラント本体100内への埋め込み及び位置決めを容易にするため用いられる。具体的には、1つ以上の電極132及び/又は1つ以上のアンテナ134の位置及び向きは、製造済みインプラント本体内で、回路表面110に対する取り付けによって形成され得る。
【0041】
[0069] 例えば、異なる組み合わせの電極を用いることによって電気刺激の伝達及び/又は電気測定の実行を可能とする医療インプラントデバイスの場合、電極132の位置及び相対的な向きが重要であり得る。回路表面110は、インプラント本体100の外側部分の異なる表面に沿った電極の方向付けを容易にすることができる。多くの場合、回路表面110は、インプラント本体100の少なくとも2つ以上の異なる規定表面及び/又は面である外面上の異なる位置にある複数の電極(例えば4、8、又はそれ以上の電極)をシームレスに統合するため用いられる。例えば電極132は、内部キャビティ(例えば脊椎ケージ内に規定された骨固定キャビティ)を規定する1もしくは複数の内壁、及び/又はインプラント本体100の外面に沿った1つ以上の外壁のうち一方に沿って、回路表面110に物理的に結合することにより位置決めされ得る。
【0042】
[0070] 1つ以上のアンテナ134の位置及び相対的な向きは、医療インプラントデバイスにおいて、回路表面110の構造的な足場によって同様に管理され得る。アンテナの位置決めは、医療インプラントデバイスと外部システムとの間の無線電力伝達及び/又は通信を最適化するために重要であり得る。いくつかの変形では、アンテナ134を回路表面110内に又は回路表面110の周りに形成することによって、また、その回路表面110をインプラント本体100内でどのように構成する(例えば折り畳む)かによって、様々な規定面に沿ってアンテナ134を方向付けることができる。
【0043】
[0071] 回路表面110は、システム電子コンポーネント130の機能性を可能とするいずれかの一般的な又は特定の回路を含み得る。1つの変形において、回路表面110はプリント回路基板(PCB)を含み、電子コンポーネント130はこのPCBを基礎とするか又はこれに接続することができる。別の変形において、回路表面110は集積チップ(IC)を含み、電子コンポーネント130はこのIC上に構築するか又はこれに接続することができる。例えば、回路表面110は特定用途向け集積チップ(ASIC)を含み、アンテナ134及びキャパシタコンポーネントをこのチップに内蔵することができる。第3の変形では、
図2及び
図7に示されているように、回路表面110はキャビテイチューブを含み、電子コンポーネント130はこのチューブ内に埋め込むか又はこのチューブの周りに巻き付けることができる(例えばアンテナ134)。別の変形において、回路表面110は、1つ以上の電極132及び/又は1つ以上のアンテナ134等の生体適合性電子コンポーネント130を含み、これらのコンポーネントは、配線150又は他の導電性カプラを介して、ケーシング回路サブシステムのような回路システム105の別の部分に接続することができる。
【0044】
[0072] インプラント本体100内に埋め込まれた回路表面110の幾何学的形状は、直線(真っすぐな経路)又は曲線(湾曲経路)に沿った単純なものとすることができる。あるいは、埋め込まれた回路表面110の幾何学的形状は、複数の真っすぐな経路及び/又は湾曲経路から成るより複雑なものとしてもよい。複数の真っすぐな経路及び/又は複雑な経路を利用することで、埋め込まれた回路表面110の幾何学的形状は、折り畳み、曲げ、及びテーブル状幾何学的形状の任意の組み合わせを含み得る。これらの単純な及び/又は複雑な折り畳み及び経路は、回路表面110の種類(例えばIC、PCB、方向付け表面(orientation surface)等)に応じて、及び、インプラント本体100内で規定キャビティ幾何学的形状を実施するための潜在的な空間に応じて決定され得る。
【0045】
[0073] いくつかの変形では、回路表面110は構造フレームとして機能する方向付け回路表面を含み、この構造フレームの上及び周囲に他の電子コンポーネント130が搭載され得る。これらの変形において、電子コンポーネント130は、チップ又は回路基板なしで直接インプラント本体100に埋め込むか又は収容することができる。回路表面110はこの場合も、固定の方向付け可能表面を提供するように機能し得る(例えば、電極を位置決めするため及びアンテナを巻き付けて配置するため)。これは、インプラント構築中に特に高い耐性を有し得る(例えば高温の暴露に対して耐性が高い)コンポーネントに当てはまる場合がある。
図8及び
図9は双方とも方向付け回路表面110のレンダリングを示し、回路表面110の周りに巻き付けられたアンテナ134(
図8に示されている)及び回路表面を介して方向付けられ接続された電極132(
図9に示されている)が含まれる。
【0046】
[0074] いくつかの変形では、
図10に示されるように回路表面110は少なくとも1つのPCBを備える。
図10は、単層PCBの正面(上)と側面(下)の概略図である。PCBは、片面、両面、及び/又は多層とすることができ、各面/層は、PCB内に埋め込まれているか又はPCBの表面上にある電子コンポーネント130を含み得る。いくつかの実施例において、PCBは片面かつ単層である。他の実施例において、PCBは
図11に示されているように多面とすることができる。
図11は、多面PCBの正面、背面、側面、及び折り畳んだ状態の概略図である。好適な変形において、PCB自体は可撓性とすることができ、PCBの全体又は一部は曲げ可能である(ただし、PCB上の電子コンポーネント130は曲げ可能でない場合がある)。言い換えると、PCBは可撓性基板を含む。PCBは好ましくは医療インプラントの一部であるので、PCBは任意の適切な非毒性の非反応性材料で構築され得る。好適な変形において、PCBはポリイミドで構築されるが、他の非毒性の非反応性材料を代替的に用いてもよい。
【0047】
[0075] PCBは典型的に平坦なシート状の幾何学的形状を有し、シート(又はシートの層)の大きさは、PCBに望まれる必要な動作とPCBの配置に利用できる物理空間とに依存する。1つの変形におけるPCBは、矩形の外形を有する基板上に形成することができる。しかしながら、PCBは代替的に、非矩形の外形を有する基板上に形成するか、又は非矩形の外形を有するよう変更することができる。例えば、PCBは中央の矩形領域を有するが、この中央の矩形領域から離れて1つ以上の小領域が延出してもよい。好適な変形では、
図10で示されているように、PCBシートの厚さ(C)は~0.1mmである。脊椎ケージの変形では、PCBの寸法は特定の実施例に応じて変動し得る。
図10を参照すると、PCBの寸法は典型的に、(A)は長さ10mm~100mmであり、(B)は1mm~100mmであり得る。PCB厚さ(C)自体に加えて、PCB上に収容された電子コンポーネント130はPCTの面からある寸法だけ突出する及び/又は外側に延出して、PCBの厚さを増大させ得る。脊椎ケージの変形では、(D)<5mmであるが、いくつかの好適な実施例では、(D)≦3mmである。例えば、いくつかのPCBシート(コンポーネントを備える)は1mm未満の有効厚さを有し、例えば約0.6mmの厚さを有する。しかしながら、PCBが可撓性PCBであり、折り畳まれているか又は層状であるので平坦なPCBの有効厚さよりも厚い場合、インプラント本体100はより大きい厚さに対応し得る。
【0048】
[0076] PCBは、曲げ及び/又は折り畳みを含み得る(しかしながら、この場合も、上述の曲げられていない/折り畳まれていないPCBの一般的な寸法を適用できる)。PCBは任意の数の曲げ/折り畳みを含み得るが、これは、最終的なPCB幾何学的形状をインプラント本体100内に組み込むことができるように、かつ、PCB上の電子コンポーネント130が機能性を失う(例えば電子コンポーネントがPCBの曲げの上に配置され、機能を超えて曲げられた場合)ことのないように制限される。いくつかの変形において、PCBは、計画的な折り畳みパターンと連携してコンポーネント及びリードをレイアウトすることができる。例えば電子コンポーネント130は、折り畳みを容易にするため、規定の折り畳みシームの外側に位置決めされ得る。PCB上の電子コンポーネント130のトポロジーに関して、曲げ又は折り畳みが不可能である電子コンポーネント130上では曲げ又は折り畳みが行われない場合がある。例えば、アンテナ領域は、アンテナ134の機能性に影響を及ぼすことなく折り畳むことができる一方で、折り畳みはキャパシタの機能性を損なう可能性があるが、曲げは(曲げの角度によるが)キャパシタの機能性に影響を与えないことがある。好ましくは、PCB上の電子コンポーネント130のレイアウトは規定の領域内で構成され得る。特に、コンポーネントのレイアウトは、電子コンポーネント又は屈曲に対応できるコンポーネントがほとんど又は全く存在しない屈曲領域を含み得る。例えば、PCBが90度の角度の曲げを含む変形では、電子コンポーネント130が曲げポイントに配置されていない、及び/又は曲げ/屈曲領域に重複していない領域が存在し得る。更に、リードの機械的な問題を軽減するため、規定の折り畳みシームを横断するように導電性トレースを方向付けることができる。
【0049】
[0077] 基本的な規定キャビティの変形では、
図12A及び
図12Bで示されているように、規定キャビティは均一な外形又は均一でない外形を有し得る。均一な外形では、規定経路に沿った規定キャビティの幅と形状は均一な寸法である。均一な寸法は製造を簡略化するように機能し、更に、より一般的には、多種多様な回路表面110に対応することができる。
図12Aの2つの例示的な規定キャビティで示されているように、真っすぐな経路及びより複雑な経路で均一を使用することができる。均一でないプロファイルは、好ましくは、規定プロファイルの幅と形状が経路に沿って変動する。これを用いて、PCBの特定コンポーネントのサイズに関する検討課題に対応することができる。
図12Bで示されているように、均一でないプロファイルは、PCBの表面から更に突出している電子コンポーネント130を収容するため、規定キャビティの突出部を含み得る。均一なPCBのキャビティ及び均一でないPCBのキャビティは、本発明の任意の実施例と共に所望のように利用することができる。
【0050】
[0078] 一般に、規定PCBキャビティの変形は、規定PCBのキャビティが本体の一面から構造内へ延出するように形成され得るものとして記載される。そのため、規定キャビティを形成する1つの好適な製造プロセスは除去機械加工(subtractive machining)であり、規定キャビティは下方へインプラント本体100内に延出して「スリット」を形成する。他の技法(例えば、インベストメント鋳造又は他の技法によって除去可能材料の周囲で成形を行う等)により、他の幾何学的形状の特徴部を達成することも可能である。また、規定キャビティのこの構造では、規定PCBキャビティ内へPCBを滑り込ませることができるので、PCBの挿入はいっそう簡単なプロセスになり得る。いくつかの変形において、PCBは、挿入前に又は挿入時に折り畳まれることがある。システムは好ましくは被覆120を含み、これは、エポキシ、シリコーン、取り付けキャップ、又は規定PCBキャビティの露出部分を閉鎖する他の構造のようなキャビティシールとして機能し得る。
【0051】
[0079] いくつかの代替的な変形において、PCBは、インプラント本体100内に成形するか、又はマルチパートインプラント本体設計内に封入することができ、PCBは、製造及び組み立ての後、部分的に又は全体的にインプラント本体に埋め込まれ得る。この変形では、規定PCBキャビティの外側に露出した部分が存在しないように、規定PCBキャビティはインプラント本体内に全体的に埋め込まれ得る。規定PCBキャビティはこの場合も、PCBを収容するように機能する1又は複数の内部規定キャビティを有し得る。
【0052】
[0080] 好適な変形において、PCBは経路に沿ってインプラント本体100内に埋め込まれている。経路は、
図13Aで示されているような真っすぐな経路であるか、又は
図13Bで示されているような湾曲経路であり得る。所望のように、PCBは全体的に又は部分的に本体内に埋め込まれ、本体内に埋め込まれたPCBの各セグメントは、(真っすぐな又は湾曲した)1つの経路に沿って埋め込まれ得る。いくつかの好適な例では、複数の真っすぐな経路及び/又は湾曲経路を実施してもよい。湾曲経路はPCBの曲げ可能な性質を利用する可能性があり、従ってシステムをある程度制約する。湾曲経路の実施例では、湾曲経路は、PCBを曲げられる程度を超えた曲率を持たないことが好ましい。あるいは、ある曲率を有するようにPCBをプリントし、湾曲経路にぴったり合わせることも可能である。
【0053】
[0081] 曲げ経路の概念を更に拡張する別の変形として、規定キャビティは、個別のコーナに沿って連結された少なくとも2つのセグメントを含み得る。このような角のある経路の変形では、PCBは1つ以上の位置で少なくとも部分的に折り曲げられ、全体的に又は部分的に経路内に埋め込まれる。すなわち、PCB及びPCB折り畳み領域は、インプラント本体100の同一の規定キャビティ内に埋め込まれる。各セグメントは真っすぐ又は湾曲状であり得る。PCBの折り畳みセグメントの曲げ能力が低いと仮定すると、PCBの折り畳みセグメントに対して湾曲経路の曲率は更に限定され得る。
図14A及び
図14Bで示されているように、角のある経路の変形は、インプラント本体100の構造周辺で曲げ角度を実施することができる。
図14Aで示されているように、規定PCBキャビティは1つ以上の角度及び1つ以上のPCB曲げを有し、2つ以上の経路セグメント及びPCBセグメントを提供することができる。各セグメントは真っすぐ又は湾曲状であり、均一又は均一でない外形を有し、及び/又は任意の適切な特徴部を有し得る。
図14Aで示されているように、PCBの双方のセグメントは実質的に真っすぐとすることができる。
図14Bで示されているように、PCBの1つのセグメントは真っすぐであり、別のセグメントは湾曲状とすることができる。
【0054】
[0082] 追加的又は代替的な変形では、
図15Aで示されているように、PCBは反対方向に折り返され(すなわち、アコーディオンのように少なくとも1回折り返され)、規定PCBキャビティはPCBのこの折り返し領域を収容することができる。
図15Bで示されているように、PCBは任意の適切な回数だけ反対方向に折り返してもよい。いくつかの変形において、反対方向の折り返しは、アンテナ134の2つ以上のコイル層を生成するようにアンテナコンポーネントのPCBレイアウトに合わせることができる。従って、多層折り畳みPCBは、これらを利用することができる(例えば多層アンテナの信号を増幅する)電子コンポーネント130を収容するように実装され得る。更に、多層折り畳みPCBによって、幾何学的に限定された空間(例えば矩形キャビティ)内にPCBを収めることができる。例えばPCBは、直方体形状の規定キャビティ内に多層の回路サブシステムをコンパクトに収容できるような構成に折り畳めばよい。
【0055】
[0083] 別の変形において、規定キャビティは異なるキャビティ深さを利用することができる。これは、PCBの表面に沿った折り畳み軸を可能とするように機能し得る。異なる深さを有する規定キャビティを用いる場合、PCBを折り畳み軸に沿って折り畳むか又は曲げて、少なくとも1つの面に対する垂線が規定の挿入軸の方向であるようにこの面を方向付けることができる。
図16で示されているように、規定キャビティは「テーブル状」の幾何学的形状を有し得る。PCBを両端で曲げて、中央部が挿入方向に垂直な面を有するようにすると共に、両端を曲げて、規定PCBキャビティのより深い部分へ挿入することができる。テーブル状の幾何学的形状では、PCBの少なくとも一部は、インプラント本体100の上部、下部、又は側部に沿って平坦に置かれている。次いで、平坦に置かれたセグメントに隣接した領域の一方又は双方をインプラント本体100内へ曲げることができる。あるいは、一方又は双方の側部を湾曲経路に沿って埋め込むことも可能である。いくつかの変形において、PCBは複数の隣接したテーブル状折り畳みを含むことができ、インプラント本体100のエッジ上でPCBを曲げることによって本体の複数の側部を覆う。
図17で示されているように、カスタムPCB表面形状を用いて、複数の折り曲げ戦略を可能とすることができる。この例示的な変形では、3つのアンテナ134構造を相互に直交するよう方向付けることができる。
【0056】
[0084] PCB配置と折り畳みを要約すると、システムの好適な実施例では、PCB上の電子コンポーネント130の位置を考慮して、真っすぐな経路及び/又は湾曲経路に沿った、任意の組み合わせの曲げ、折り畳み、反対方向の折り返し、及びテーブル状折り畳みを利用することができる。他の変形において、インプラント本体100は、接着、音波溶接、取り付け、又は他の方法で接続されたマルチパート設計として形成され得る。本体部分のうち1つ以上の内部に内部キャビティを規定して、本体部分を封入する際にPCBを内部に入れることができる。別の変形において、インプラント本体100をPCB上で又はPCBの周囲でオーバーモールドすることができる。1つの実施例では、PCBの周囲に成形フレーム(すなわち被覆120)を接続することができる。成形フレームは、オーバーモールドプロセス中にPCBを構造的に支持し、任意選択的にPCBを遮蔽するように機能する。本明細書に記載されているPCB配置幾何学的形状は、双方の変形で用いることができる。
【0057】
[0085] いくつかの変形において、システムは被覆120を含むことができる。被覆120は、医療インプラント及び/又はシステムサブコンポーネントに保護及び/又は支持を与えるシステムサブコンポーネント用の物理的支持及び/又はエンクロージャとして機能する。被覆120は、回路システム105のいずれかのコンポーネントのために組み込まれ得る。被覆は、回路表面110を用いた実施例には特に有用であり得る。被覆は、保護エンクロージャ(例えば耐熱性シリコーン被覆/エンクロージャ)及び/又は引張強度の増大(例えば強力なチタン支持)を回路表面110に与えることができる。
【0058】
[0086] 被覆120が保護エンクロージャを与える変形では、インプラント本体100内に少なくとも部分的に埋め込まれた回路表面110の部分を「被覆」して、回路表面110及び取り付けられた電子コンポーネント130を被覆120内に封入することにより、コンポーネントを移植条件から潜在的に保護すること、及び/又はコンポーネントを医療インプラントの作製/成形中に保護することが可能となる。
図18で示されているように、被覆120が回路表面110に引張強度を与える変形では、被覆120は回路表面110に沿って剛性構造を含み得る。好適な変形において、保護エンクロージャ被覆120は更に、(例えば成形プロセスによって)回路表面110が埋め込まれている規定キャビティを完全に充填することに役立ち得る。
【0059】
[0087] 被覆120が引張強度を与える変形では、被覆は支持構造を含み得る。これは、多くの折り畳み又は曲げを有するPCBを含む変形において特に当てはまる場合がある。支持構造は、回路表面110の荷重と形状の維持を促進するように機能し、また、製造を容易化する。支持構造は好ましくは、コンポーネントが装着されている回路表面110の領域に局所化されるが、他のいずれかの所望の領域に配置してもよい(例えば医療インプラントのケーシング140内のPCBコンポーネント)。被覆120は更に、回路表面110内の又は回路表面110に沿った電子コンポーネント130の機械的故障の可能性を低減するように機能する。
【0060】
[0088] 被覆支持構造は、他の回路システム105のコンポーネント、電子コンポーネント130、及び他の一般的な医療インプラントコンポーネントに支持を提供するため実施され得る。被覆支持構造の一部として、インプラント本体100及び/又はその小部分(subsection)の機械特性を向上させるように材料を組み合わせることができる。いくつかの変形において、回路表面110は、インプラント本体100の他の部分を構成する材料よりも高い(又は低い)機械的強度/剛性等を有する材料で構成された1つ以上の被覆120層を含み得る。このように、被覆支持構造は、回路表面110及びインプラント本体100の双方の引張強度を増大させることができる。支持被覆120は、インプラント本体100の表面上の外部被覆、インプラント本体内の内部被覆、又は内部被覆と外部被覆の双方とすることができる。支持被覆120は更に、回路表面110の全体的又は部分的な被覆とすることで回路表面110を全体的に又は部分的に包み込み、同時にインプラント本体100に追加の支持を与えることができる。例えば、インプラント本体100の体積が主としてPEEKを用いて作られている場合、被覆120はチタン又は炭素繊維強化PEEKを用いて作ることができる。回路表面110を組み込むためインプラント本体100が部分的に空洞化されている(すなわち規定キャビティを生成している)いくつかの変形では、インプラント本体100の組成よりも機械的に強力な材料を用いることにより、空洞化部分がインプラント本体100の他の部分に比べて機械的に弱くないこと、それどころか機械的に強いことが保証され得る。機械的に強力な材料で作製された被覆120は、人間での移植に適した寸法を特徴とする適切なフォームファクタを用いて製造されたインプラント本体100の機械的完全性を保証することができる(例えば、空洞化部分によって弱くなった機械特性を補償するため、
図6の3-4、3-5、3-6、3-7で示されているような厚さを大幅に拡張しないことが保証される)。
【0061】
[0089] 被覆120は、追加的に又は代替的に保護構造を含み得る。保護構造は、通常の実施中と医療インプラントの構築中の双方において、回路表面110及び回路表面110上の電子コンポーネント130を保護するように機能し得る(例えば、保護被覆120は高温成形プロセス中に電子コンポーネント130を故障から保護することができる)。システムは、インプラント本体100内に埋め込まれた回路表面110を保護することができる被覆120を含み得る。更に、被覆120はコンポーネントを電子的に絶縁し、これによって導電性コンポーネントから回路(例えば回路システム及び電子コンポーネント)を保護することができる。システムは、インプラント本体100内に部分的に又は完全に埋め込まれた回路表面110を含み得る。被覆120は、インプラント本体100内に埋め込まれた回路表面110の領域の完全なエンクロージャを提供することができる。あるいは被覆120は、インプラント本体100内に埋め込まれていない領域を含めて、回路表面110を完全に封入することができる。あるいは被覆120は、インプラント本体100内に埋め込まれた回路表面110の領域を部分的にのみ封入することができる(例えば、PCB上のアンテナコンポーネントのみを保護する)。インプラント本体100は、その構造内に規定回路表面110のキャビティとして溝又はスリットを有し得る。回路表面110は規定キャビティ内に収容され得る。規定キャビティは、インプラント本体100の成形物の一部として形成することができる。あるいは、二次的な製造プロセスによって材料を切断又は除去して、インプラント本体100内に規定キャビティを形成してもよい。規定キャビティ内に回路表面110を埋め込むことの一部として、回路表面の埋め込み領域を保護構造被覆120内に封入することができる。被覆120は好ましくは、非反応性で非毒性の材料を含む。いくつかの変形では、被覆120保護構造はシリコーンで構成され、シリコーンを用いて規定キャビティ内で回路表面をオーバーモールドすることによって回路表面110はインプラント本体100の規定キャビティ内に固定される。あるいは被覆保護構造は、エポキシ、樹脂、又は他の使用可能な材料で構成してもよい。
【0062】
[0090] 回路システム105がPCBを含む変形において、被覆120は、被覆保護構造としてPCBを全体的に又は少なくとも部分的に包む(envelope)ように機能するPCBエンベロープを含み得る。PCBエンベロープは好ましくは内側カバーとして機能し、インプラント本体100に面する少なくとも第2の外部はPCBエンベロープを取り囲む。PCBエンベロープは好ましくは、PCBの周りで成形又は形成されるシリコーン材料である。PCBが封入されたPCBエンベロープを、規定キャビティ内に挿入することができる。シリコーン成形物は、製造プロセス中に電子コンポーネント130を絶縁するように、また、電子コンポーネントを他の導電性コンポーネントから電気的に絶縁するように機能し得る。追加的に又は代替的に、シリコーン成形物は、故障の場合又は医師によってインプラントが摘出されている間、PCBの要素を収容するように機能し得る。更に、剛性の裏当て又はフレームをPCBに含ませるか又は接続することも可能である。剛性フレームは、PCB及び結果として得られるインプラントの構造的完全性を向上させるように機能し得る。
図18の例で示されているように、被覆120は、支持構造(すなわちPCBに沿って配置されたPCB剛性フレームの長い部分、及び保護構造(すなわちPCBシリコーンカバー)の双方を含み得る。この例では、支持構造はポリイミド又は他の適切な材料を用いて構築され得る。
【0063】
[0091]
図19の下の画像において、支持構造の1つの変形を観察することができる。支持構造被覆は、インプラント本体100の外部にあるケーシング140内にPCBを支持するように実施されている。外部ケーシング140に埋め込まれた複数の多層PCBを含む変形では、被覆120は、PCBの上層、中央層、及び下層間の矩形支持構造を含み得る。図示されているPCBは、PCBの一方側にのみコンポーネントを装着することによって生成され得る。あるいは、PCBの両側に電子コンポーネント130を有することも可能であり、被覆120はこれらのコンポーネント間に配置されて、複数層の電子コンポーネントを保護及び支持する。
【0064】
[0092] 更に、ケーシング140内のPCBのための被覆120は保護被覆を含み得る。1つの変形において、ケーシング内のPCBはシリコーンでオーバーモールドされるか、又はPCBの周りにシリコーンを流し込み、その後ケーシング140に挿入する。これによって、PCBに追加の保護層を提供できる。更に、保護被覆120はケーシング140からPCBを分離及び絶縁することができる。これは、ケーシングが電極としても利用される場合、特に重要であり得る。
【0065】
[0093] 好適な実施形態のシステムは少なくとも1つの電子コンポーネント130を含む。好適な変形において、電子コンポーネント130は、電極132のセット及びアンテナ134を含む。所望のように、また実施例に応じて、追加の電子コンポーネント130をシステムに加えてもよい。実施例及び電子コンポーネント130の種類に応じて、電子コンポーネントは回路システム105に直接接続され得るか、又は配線150を介して回路システム105に接続され得る。
【0066】
[0094] システムの脊椎ケージの変形では、電子コンポーネント130は任意の所望の電子コンポーネントを含み得る。脊椎ケージの好適な変形では、電子コンポーネント130は、電極132(組織に電気を送る、組織から電流を吸い込む(sink)、又は組織に電流を吐き出す(source))、接地電極(接地電圧を確立する)、キャパシタ(外部エネルギを保存する)、インプラント送信器/受信器、整流回路、制御回路(コンポーネントの制御を管理する)、監視回路(センサコンポーネント)、インピーダンス測定回路、アンテナ134(医療インプラントとの間で電力及び/又は情報をやり取りする)、バッテリ(長期電源)、キャパシタ(短期充電可能電源)、及び/又は他の適切な電子コンポーネント130を含み得る。電子コンポーネント130は、所望のように回路システム105の上又は周囲に配置され得る。PCBを含む変形では、電子コンポーネント130はPCB自体よりも可撓性が低いので、PCBの特定の領域は、収容される電子コンポーネントに応じて可撓性が低下し得る。
【0067】
[0095] PCBを含む変形の一部として、PCBの配置及び幾何学的形状と同様に、電子コンポーネント130をコンポーネント高さに応じて空間的に配置して、(他のコンポーネントに比べて)有効高さが大きいコンポーネントのサブグループをPCBの折り畳みパターンの同一の小部分内にグループ化することができる。例えば、背の高いコンポーネントを相互に隣接して位置決めすることで、PCBを折り畳んだ場合に1つだけの小部分でこの背の高さを収容することが可能となる。場合によっては(例えば、基板の部品がルーティング用リードのみを含む場合)、PCBが特に薄い外形を有し、PCBの厚さに著しい影響を及ぼすことなくPCBを複数回折り畳めるようにしてもよい。
【0068】
[0096] 電子コンポーネント130は、好ましくは電極132のセットを含む。
図20で示されているように、好ましくは、個別の電極132のセットはインプラント本体100の表面に沿った1つ以上の部位で露出している。PCBを含む変形では、電極132は好ましくはPCBに導電的に結合され、PCB(及び/又はPCB上の電子コンポーネント130)によって制御されるよう構成されている。PCBは好ましくは、1つ以上の部位で電位を確立するため及び/又は電気測定(例えば電圧又は電流)を行うため電力及び信号を提供することができる。電極132は導電性材料で作ることが好ましい。電極132は、好ましくは導電性要素(例えばチタン又は白金)で構成される。
【0069】
[0097] 1つの変形において、電極132の少なくとも1つの表面はインプラント本体100の表面で外部に露出している。
図18で示されているように、電極132は、露出した電極構造に接続された内部ショルダ構造を含み得る。内部ショルダ構造は、好ましくはインプラント本体100の内部で方向付けられ、電極132の除去を防ぐように機能する。一実施例において、電極132は最初に内部構造に接続され、外側部分は電極の周りでオーバーモールドされる。電極は、PCB製造後に取り付けられる、PCBとは別個の体積を構成し得る。また、電極132は好ましくは、PCB製造の一部として、あるいは、電極部位を形成するのに適した金属(例えばチタン及び/又は白金)を用いてPCBの適切な領域をメタライズする別個のステップとして、PCB基板上に直接プリントされ得る。電極132及び/又はその接続部は更に、インプラント本体100上に直接プリントすることも可能である。例えば、チタン及び/又は白金をPEEKインプラント本体100及び/又はケーシング上に堆積して、電極132及び/又はリード/コネクタ(
図28)を形成することができる。インプラント本体の上又は内部での導電性コンポーネントのプリントは、好ましくは、プリントされた導電性要素を回路システム105に接続する配線又は他の導電性要素に導電的に結合される。可撓性又は半可撓性の基板上にプリントされた場合、これらの電極132は、PCBケーシング及び/又はインプラント本体の垂直でない表面(non-normal surface)をまたいで曲がる/折り畳まることができる。
【0070】
[0098]
図20で示されているように、第2の変形において、電極132はインプラント本体100の外部に露出し得るが、電極の一部はインプラント本体自体の内部に埋め込まれている。これにより、電極132を適所に保持して電極の移動を防ぐのを支援することができる。また、各電極132は、電気発生コンポーネントを収容する回路表面110に(例えば配線150を介して)電気的に接続され得る。電極132及びそれらの接続部は更に、インプラント本体100上に直接プリントすることも可能である。例えば、チタンをPEEKインプラント本体及び/又はケーシング上に堆積して、電極及び/又はリード/コネクタを形成することができる。可撓性又は半可撓性の基板上にプリントされた場合、これらの電極132は、PCBケーシング及び/又はインプラント本体の垂直でない表面をまたいで曲がる/折り畳まることができる。
【0071】
[0099] 電子コンポーネント130は、好ましくはアンテナ134を含む。
図2、
図7、及び
図16で示されているように、アンテナ134は実施例に応じて多くの異なるやり方で位置決め及び方向付けを行うことができる。アンテナ134は、外部通信を送受信する(例えば電極132の機能を制御するため)ように、及び/又は外部電力を受信する(例えばキャパシタを誘導的に充電するため、システムに電力供給するため等)ように機能する。アンテナ134は、
図16で示されているように単体のアンテナを含むか、又は、PCB上に3つの直交アンテナを含む
図17で示されているように複数の本体部を含み得る。アンテナ134は、回路表面110上に構築する(例えばアンテナをPCBにプリントする)か、又はインプラント本体100上で別個に位置決めする(例えばインプラント本体キャビティ内に埋め込む)ことができる。
【0072】
[00100] アンテナ134は、任意の所望の構成で実施すればよい。アンテナ134は、一般に共振周波数に同調される導電性経路として実施され得る。アンテナは、コイル状ループ、蛇行ラインの導電性経路、及び/又は任意の適切なタイプのアンテナとすればよい。1つの変形では、
図7及び
図8で示されているように、アンテナは、インプラント本体100の2つの側壁に沿って埋め込まれた回路表面110を取り囲むワイヤループを含む。また、アンテナ134は、配線150によって他の電子コンポーネント130(例えば接続されたケーシング140に埋め込まれている)に電気的に接続され得る。第2の変形では、アンテナ134を回路表面110(例えばIC又はPCB)にプリントするか又は取り付けることができる。アンテナ134の可撓性が高い場合、アンテナは回路表面110の曲げられた部分上に位置付けられることがあり、そうでないこともある。第2の変形の1つの例では、アンテナ134は3次元空間に延出する複数のアンテナを含み得る。この例では、
図17で示されているように、PCBが3つの空間次元の全てに対して少なくとも1つの垂直面を有するようにPCBを折り畳むことができる。アンテナ134は、アンテナが3つの空間次元の全てに延出するようにPCBの各垂直面にプリントすることができる。一般に、PCBは任意の数の折り畳みを有することができ、全ての折り畳みは少なくとも組み合わされると全ての空間次元に延出する。また、アンテナ134は、アンテナが3つの空間次元の全てに延出するように充分なPCB表面上に搭載することができる。第3の変形では、
図15Bで示されているように、アンテナ134は、アコーディオン状に折り畳まれたPCBの折り畳みに沿って接続されているか又は別々になった構造を含み得る。すなわちアンテナ134は、PCBの反対方向の折り返しを利用して、反対方向の折り返しの各セグメントに沿ってアンテナのループ(又は別の幾何学的構造)が線形に配置された拡張アンテナを生成することができる。第3の変形の1つの例では、アンテナ134は、PCBの隣接層がアンテナの一部を含む多層幾何学的形状を含み、これによって、積層された平面状折り畳みを含む相対的に3次元のアンテナを形成することができる。このタイプのアンテナ134は、比較的平面的なアンテナに比べて信号伝達を向上させるように機能し得る。
【0073】
[00101] システムのいくつかの変形において、システムはケーシング140を含む。
図8、
図9、及び
図19で示されているように、ケーシング140は、インプラント本体100の他の部分の外側でこれに隣接して電子機器又は他のコンポーネントを収容できる別個の本体構造として機能する。ケーシング140は、製造プロセス中にインプラント本体100の他の部分と一体化され得る。
図21及び
図22は、ケーシング140を備えた異なるインプラント本体100の例示的な概略図を示す。これらの概略図は、インプラント本体100と一体化される前と後のケーシング140を示す。好適な変形において、ケーシング140は、単一の構造を形成するようにインプラント本体100と不可逆的に一体化される。あるいは、ケーシング140を別個の本体構造として組み込んで、この構造をインプラント本体100に接続すること又はインプラント本体100から取り外すことも可能である。ケーシング140はPEEKで構築され得るが、あるいは、白金めっきを行う場合も行わない場合もあるチタン等の代替的な材料で構築してもよい。
【0074】
[00102] いくつかの変形では、ケーシング140はインプラント本体100の大きさ及び/又は形状を著しく増大させないものとすることができる。すなわち、ケーシング140は好ましくは、インプラントの所望の体積及び/又は所望の形状に限定を加えない。ケーシング140は、インプラント本体100に物理的に隣接して接続される。いくつかの変形において、ケーシング140は、医療インプラントの最も外側の表面の一部を構成し得る。あるいはケーシング140は、内部キャビティからインプラント本体100に隣接し得る(例えば、ケーシング140は医療インプラントの脊椎ケージ内に位置決めされ得る)。ケーシング140は、機能性とサイズ制限によって限定されるが、インプラント本体100に沿ったどの位置にも所望のように配置され得る。
図21で示されているように、ケーシング140は、インプラント本体100の側方外部に、インプラント本体100の短い方の側面に沿って位置決めされ得る。あるいはケーシング140は、インプラント本体100の長い方の側面に沿って位置決めしてもよい。あるいはケーシング140は、インプラント本体100の内部で、内部キャビティの平坦面又は湾曲面に沿って位置決めされ得る。
【0075】
[00103] いくつかの実施例において、ケーシング140は、インプラント本体100の厚い方の短い端部(例えば
図6の3-4、3-5)の一方又は双方を構成し得る(
図9で示されているように、側方ケージ(lateral cage)、PLIFケージ、OLIFケージ、又はTLIFケージの場合、先端部/前部及び尾部/後部を示す)。先端部と尾部は、PCB(折り畳まれている可能性がある)を収容するため寸法を拡大し、空洞化することができる。更に、医療インプラントを除去するか又はこれに穴をあける(drill out)必要がある場合、機械的に強力なケーシング140によって、その手順中にケーシングが無傷のままである確率が高くなり、除去手順中又はその後にPCBの要素が露出する可能性を低減することができる。このようにケーシング140は、正常動作中及びインプラントの移植又は除去中の双方において、毒性の可能性があるPCBコンポーネントから患者を保護するのに役立ち得る。
【0076】
[00104] ケーシング140を含むいくつかの変形において、回路システム105は更にケーシング回路サブシステムを含み得る。1つの実施例において、ケーシング回路サブシステムはPCBコンポーネントを含む。PCBは、ケーシング140内に封入され、インプラント本体100内の1つ以上の回路表面110に電子的に接続されている。すなわちケーシング140は、ケーシング回路サブシステム(例えばIC、PCB、ASIC等)及び/又は他の電子コンポーネント130を保持することができるエンクロージャを含み、電子コンポーネントはケーシング回路サブシステム上にあるか又はケーシング回路サブシステムとは別個であり得る。1つ以上のPCBコンポーネントと共にケーシング140を含む変形では、1又は複数のPCBは上述したような特性のいずれかを有し得る。すなわちPCBは、剛性、可撓性、又は半可撓性(例えば折り畳み可能領域と剛性領域を有する)であり得る。PCBは更に、前述した通り、幾何学的形状又は構成に望ましいように折り畳むこと及び/又は形状を設定することができる。一例では、
図21で示されているように、ケーシングPCBはアコーディオン状の構成に折り畳まれた半可撓性PCBを含む。別の例では、
図22で示されているように、ケーシングPCBはテーブル状の構成に折り畳まれた半可撓性PCBを含む。
【0077】
[00105] エンクロージャは、開放又は閉鎖することができるラッチ開口を含み得る。好ましくは、エンクロージャは例えばレーザ溶接機を用いて密閉される。あるいは、ケーシング140は2つ以上の部分を含み、これらを組み合わせて外部筺体を形成する。これらの部分を組み合わせる前に、エンクロージャ内に電子コンポーネント130を配置することができる。好ましくは、次いで2つ以上の部分を封止して、エンクロージャ内に電子コンポーネントを密閉する。
【0078】
[00106] 他のいくつかの好適な変形では、ケーシング140は、コンポーネントを追加又は除去するためのエンクロージャを含まない。これらの変形では、(例えばオーバーモールドプロセスによる)1又は複数のケーシング140の構築中に、1又は複数のケーシング140内にケーシング回路サブシステム(例えばPCB)及び/又は電子コンポーネント130を埋め込むことができる。
【0079】
[00107] 埋め込まれた電子コンポーネント130に関連して、1又は複数のケーシング140は好ましくは、インプラント本体100との電気的接続を可能とする少なくとも1つのコネクタを含む。コネクタは、ケーシング140内のPCB及び電子コンポーネント130を、インプラント本体100の上又は内部の電子コンポーネント(例えば電極132及びアンテナ134)と接続するように機能する。
図19は、コネクタを備えたケーシング140の画像を示しており、これらのコネクタは、
図23で示されているような相補的コネクタのセットを介してインプラント本体100の他の部分に接続する。好適な変形では、一度ケーシング140がインプラント本体100と一体化されたら、コネクタ及び相補的コネクタを封止して単一の構造を形成する。全ての回路システム105コンポーネントがケーシング140内に埋め込まれるいくつかの変形では、ケーシングは、システムの全ての電子コンポーネント130(例えば、全ての電極132、アンテナ134)に接続するのに充分な数のコネクタを有する。
【0080】
[00108] ケーシング140は、インプラント本体100の他の部分とは別個のプロセスで製造され得る。その場合、これら2つの部分をそれぞれ別個のプロセスで製造した後に接合/取り付け/接着することができる。あるいは、ケーシング140及びインプラント本体100の他の部分は、ケーシング140上にインプラント本体100をオーバーモールドすること、又はインプラント本体100の他の部分にケーシングを3Dプリントすること等、分離できないステップで製造され得る。また、ケーシング140は、インプラント本体100の他の部分に対する取り付けを支援する固定装置(anchor)も含み得る。固定装置は、別個のステップで製造された本体に直接取り付けることができる。また、固定装置は、インプラント本体100の他の部分をケーシング140上にオーバーモールドした後又は他の方法によって接合した後、インプラント本体100の他の部分にケーシング140を固定するのに役立ち得る。
【0081】
[00109] ケーシング140は好ましくは、インプラント本体100に対して適所で永久的に一体化又は固定される。ケーシング140は例えば、まずケーシングをインプラント本体100に溶接し、次いで双方の構造を共にオーバーモールドすること等の何らかの所望の機構を用いて、封止、ロック、又は接続され得る。実施例に応じて、ケーシング140はインプラント本体100に対する一時的又は永久的な固定物とすることができる。一例において、ケーシング140は永久的な固定物であり、ケーシングをインプラント本体100に溶接することによって封止される。一例では、ケーシングがインプラント本体100の先端部に溶接されている
図8で示されるように、ケーシング140は、体内に移植される場合に力又は応力の源が主に誘導されるインプラント本体100の表面からずらして、インプラント本体に溶接又は他の方法で接続され得る。例えばケーシング140は、隣接した椎骨からの力が加えられる脊椎ケージインプラント本体100の上面及び下面から挿入オフセット(inset offset)だけ離して溶接することができる(
図31)。このように、これによって、ケーシング140とインプラント本体100との接続を弱める可能性のある力を低減させることができる。
【0082】
[00110] 1つの変形において、ケーシングは永久的な取り付けを行わない場合がある。例えば脊椎ケージの実施例では、ケーシング140は脊椎成長処置の間に利用され得る。一度処置が完了し、脊椎ケージが充分に患者の椎骨に接続されたら、インプラント本体100の他の部分を妨げることなく患者からケーシング140を分離し除去することができる。従って、ケーシング140の一時的であり得る性質を利用することで、治療に有益であるが毒性の可能性のある電子コンポーネント130(例えばバッテリ)を利用することができる。代替的な好適実施例では、ケーシングの一時的であり得る性質を利用することで、寿命が限定されているコンポーネント(例えばセンサ)の使用が可能となる。ケーシング140を交換することにより、機能していないコンポーネントを処置中に定期的に取り替えること及び/又はアップグレードすることができる。
【0083】
[00111] ケーシング140が一時的である変形では、更にケーシングをインプラント本体100から取り外し可能としてもよい。取り外し可能ケーシング140によって、個々のケーシングコンポーネントを追加又は除去することができる。このような変形では、ケーシング140のモジュール式の小部分内に、PCB又はシステムの他の電子部分を含めること、埋め込むこと、包むこと、又は他の方法で収容することが可能となる。移植後に医療インプラントのいずれかの部分を除去すること及び/又は穴をあけることが必要である場合、ケーシング140又は複数のケーシングを個別に除去することで、除去手順中又はその後に回路システムの要素(例えばPCB)が露出する可能性を低減できる。追加的に又は代替的に、インプラントに新しいケーシング140コンポーネントを追加して、インプラントに機能性を追加すること又は機能性を取り替えることも可能である。
【0084】
[00112] ケーシング140は、インプラントに追加の機能性を提供することができる。いくつかの変形では、ケーシング140は追加の特徴部を含み得る。例えば、チタン及び/又は白金等の金属で作られ、移植後に少なくとも部分的に人体に露出される表面を有する機械的に強力なケーシング140の場合、ケーシング140又はケーシングの小部分は更に、電流を吸い込む及び/又は吐き出すための1又は複数の電極132として使用され得る。例えばいくつかの変形では、ケーシング140又はケーシング140の1つ以上の小部分を電極132として使用することができ、ケーシングの電極部分は導電性材料で作られ、制御システムに導電的に結合されている。電極132は、アノードもしくはカソードとして、又は切り替え可能電極として構成することができ、この場合、デジタル又はアナログの切り替えシステムを用いて電極の極性を変更できる(例えばソースとシンクとの間で状態を変更できる)。
【0085】
[00113] 別個の本体部又はインプラントのサブコンポーネントとして、ケーシング140は電極132として位置的利用を提供することができる。脊椎ケージの実施例において、ケーシング140は、所望の骨成長の領域に対して遠位の領域を提供し得る。ケーシング140上又はケーシング140内に1つ以上の電極132を位置決めすることができる。この電極の機能は、骨成長領域の電極132に対する相補的機能とすることができる。例えば、脊椎ケージインプラント本体100内の電極132は電気ソースとして機能し、ケーシング140の電極132は活性化されて電気シンクとして機能し得る。チタン(白金めっきが行われる場合がある)を用いてケーシング140が生成されるいくつかの実施例では、金属ケーシングの一部又は全体が電極132として機能し得る。
【0086】
[00114] ケーシングが電極ソース/シンクとして機能する、及び/又はケーシングが他の電極を含む変形では、ケーシング回路サブシステムは保護被覆を含み得る。一例において、ケーシング140内のPCBは保護被覆を含み(例えばシリコーンでオーバーモールドされている)、これによってPCBを望ましくない電流から絶縁することができる。更に、被覆120は、ケーシング140が壊れる可能性のある環境において追加のバリアを提供し得る。ケーシング回路サブシステムは、他の方法で導電性ケーシング要素140から導電的に分離され得る。いくつかの変形において、ケーシング140は、回路システム105の電子コンポーネント130(例えば電極)として導電的に接続され得る。
【0087】
[00115] 好適な実施形態のシステムは配線150を含む。配線150は、物理的に接続されていない回路及び電子コンポーネント130を接続するように機能する。いくつかの変形では、
図7で示されているように、インプラント本体100は複数の経路を含み、それらに配線150を引いてコンポーネントを接続することができる。あるいは、配線150を適所に保持し、配線の周りにインプラント本体100を作製してもよい。
【0088】
[00116] システムは、電気的に埋め込まれた多種多様な医療インプラントのために実施され得る。本明細書では、
図9で示されているような脊椎ケージの一例を提示する。この実施例において、システムは、比較的矩形の脊椎ケージインプラント本体100と、矩形脊椎ケージの2つの長い方の側面に埋め込まれた2つの平面を含む回路表面110であって、各平面が4つの電極132及びアンテナ134を含む、回路表面110と、矩形脊椎ケージの短い方の側部に物理的に接続され、多層PCBを封入するケーシング140と、多層PCBをアンテナ及び電極コンポーネントに接続する配線150と、を備える。この例では、各回路平面は4つの電極132及びアンテナ134を含み、各平面から2つの電極132がインプラント本体100の外側の側面に露出し、平面から垂直に外側へ延出している。また、各平面はインプラント本体100の内側の側面に露出した2つの電極132を含み、これらは平面から垂直に内側へ延出している。更に、各平面は、回路平面の外周に沿って平面の同一の寸法に沿って巻かれたアンテナ134を有する。各アンテナ134は回路側面と同一の面内で側面の周りに巻かれ、インプラント本体100の長さの大部分に延出するようになっている。インプラント本体100内に埋め込まれている電子コンポーネント130は電極132及びアンテナ134だけであるので、この例は保護被覆120を必要としない。特定の実施例に応じて、この例は、より大きい引張強度をインプラントに与えるため支持被覆120を含むこと、及び/又は回路表面110を適所に固定するのを更に支援するため保護被覆を含むことも可能である。また、ケーシング140内のPCBは、PCBを更に保護するため及び/又は絶縁するため被覆120(例えばシリコーン)を有し得る。ケーシング140コンポーネントのためのこの被覆120は、患者に有害であり得るコンポーネントに対する保護に役立つか又は追加の保護を提供することができる。いくつかの実施例では、アンテナ134をシリコーン被覆120に埋め込んで適所に固定することができる。シリコーン被覆によって、患者に有害であり得るアンテナ材料の使用が可能となる。追加的に又は代替的に、アンテナ134は、金又はプラチナイリジウム等のバイオフレンドリーな材料で構成してもよい。電極132は人間の組織に直接露出されるので、有毒でない材料(例えばチタン、金、プラチナイリジウム)で構成されると好ましい。
【0089】
[00117] ケーシング140要素を含む変形において、システムは好ましくは回路システム105を含み、これによって、構造的に強力で封止されたケーシング140内に含まれ収容されているケーシング回路サブシステムと、1つ以上の回路表面110に一体化された生体適合性電子コンポーネント130との間で、電子コンポーネント130を分割することができる。生体適合性でない材料又は特性(例えば人体に露出又は漏れた場合に有毒である)を含む電子コンポーネント130は、ケーシング140内に確実に収容することができる。電極132及び/又はアンテナ134の電子コンポーネント130は、有毒な材料を用いることなく生体適合性の導電性材料で作ることができる。
【0090】
3.方法
[00118] 埋め込み電子コンポーネントを備える医療インプラントデバイスを製造するための方法は、製造及び動作中に電子機器を保護するインプラントの本体内に少なくとも1つの回路コンポーネントを組み込むように機能する。具体的には、医療インプラントデバイスを製造するための方法は、少なくとも1つの回路表面の周りに作製されたインプラント本体の経路に沿って回路表面を埋め込むためのプロセスを可能とする。また、方法は、医療インプラントデバイスの様々なインプラント本体コンポーネント内に回路サブシステムを埋め込み、次いでそれらを一体化する多段階プロセスも含み得る。
【0091】
[00119] 方法は、電極及び/又はアンテナ等の電子コンポーネンと1又は複数の構造体コンポーネントとを密接に一体化する医療インプラントデバイスの生成において使用され得る。具体的に述べると、方法は、一体化された電子機器を備える耐荷重医療インプラントデバイス(例えば、少なくとも1つの耐荷重医療インプラント本体を備えるデバイス)の製造において使用することができる。方法は好ましくは、上述したシステムのような医療インプラントデバイスの製造、組み立て、及び/又は他の形態の生成において実施される。しかしながら、方法は、任意の適切なタイプの医療デバイスの生成に使用され得る。具体的には、方法は耐荷重医療デバイスの生成に用いることができ、この耐荷重デバイスの目的は、電子機器を収容することだけでなく、組織成長のための土台及び/又は機械的安定化装置として機能すること、及び/又は移植材料の容器として機能することであり得る。本明細書で概説されている方法プロセスの変形に加えて、方法は更に、本明細書で記載されているシステム構成及び変形のうちいずれかの形成及び/又は実施も含み得る。
【0092】
[00120] 第1の方法において、方法は、インプラント本体の製造を含む、埋め込み回路を備える医療インプラントデバイスの製造を詳述する。第2の方法において、方法は、インプラント本体の製造後の、埋め込み回路を備える医療インプラントデバイスの製造を詳述する。いずれかの方法又はこれらの方法の組み合わせを用いて、上述した好適な実施形態のシステムを製造することができる。
【0093】
[00121] この方法で用いられる場合、「インプラント本体」という用語は、システムにおいて記載されているインプラント本体全体、システムにおいて記載されているケーシング、及び/又はいずれかのコンポーネントの小部分を一般的に示すため用いられる。例えば、インプラント本体はインプラント本体全体を指す場合があるが、
図28のステップ1で示されているようなインプラント本体の1つの側部セグメントを同様に指すことがある。2つのインプラント本体コンポーネントを明確に区別するのは、単にこれらのコンポーネントが一体化されるためであるか、又はインプラント本体サブコンポーネントの特定の作製要件を指定するためである。例えば、ケーシングを有する医療インプラントデバイスの製造では、システムにおいて記載されているようにケーシングはインプラント本体と一体化されるため、これらが区別される。
【0094】
[00122] この方法で用いられる場合、「回路」という用語は一般に、医療インプラントデバイスで用いられる任意の回路(例えば集積回路)、回路基板(例えばプリント回路基板)、及び/又は回路システムもしくはサブシステムの一部を指すために用いられる。
【0095】
[00123] 方法は単一プロセスとして実施され得る。その場合、インプラント本体構成コンポーネントは同時に又は方法の複数ステップの反復によって生成される。また、方法は、後に一体化される別個のインプラント本体を作製するため実施される、及び/又は、複数の別個の回路システムもしくは複数の接続された回路サブシステムを備える1つのインプラント本体を製造するため実施される。方法は、医療インプラントデバイスがインプラント本体及び/又は1つ以上のケーシングを含むシステムによって実施され得る。前述のように、医療インプラントデバイスがケーシングを含む実施例、及び/又はインプラント本体サブコンポーネントが別々に製造される実施例では、方法は更に、医療インプラントデバイスコンポーネントを一体化するステップを含み得る。例えばケーシングの実施例では、方法はインプラント本体をケーシングと一体化することを更に含む。
【0096】
[00124]
図24で示されているように、少なくとも部分的に埋め込まれた回路を備える医療インプラントデバイスを製造するための第1の方法は、回路を構築すること(S110)及び回路の周りにインプラント本体を作製すること(S120)を含む。第1の方法は、インプラント本体内に回路を埋め込むようにインプラント本体を製造することによって医療インプラントデバイスを生成するよう機能する。
【0097】
[00125] 第1の変形では、インプラント本体内に回路表面を埋め込むことに第1の方法を適用することができる。従って方法は、回路表面を構築することと、回路表面の周りにインプラント本体を作製することと、を含み得る。
図25で示されているように、これは、より具体的には、組み込まれた電極及び/又はアンテナを備える医療インプラントデバイスを製造することに適用され得る。これは、少なくとも1つの導電的に接続されたアンテナ及び導電的に接続された電極セットを含む電子コンポーネントのセットによって回路表面を構築すること(S1110)と、回路表面を経路に沿って構成すること(S1112)と、回路表面の周りにインプラント本体を成形すること(S1120)と、によって行われる。この方法は、PEEKインプラント本体内にPCB対応回路システムを埋め込むことに適用され得る。この変形では、方法は回路表面上で回路システムを組み立てることを含むことができ、これは回路表面としてPCB要素を用いる場合に使用され得る。また、この方法は、アンテナ及び/又は電極コンポーネントを形成する導電性要素等の生体適合性電子コンポーネントのみを回路表面に埋め込むことにも適用され得る。この場合、回路表面のその電子コンポーネントは回路システムの他の何らかの部分に導電的に接続され得る。
【0098】
[00126] ケーシングを含む変形では、方法は、ケーシングをインプラント本体と一体化することを更に含む。
図26で示されているように、方法の変形はこのため、少なくとも1つの導電的に接続されたアンテナ及び導電的に接続された電極セットを含む電子コンポーネントのセットによって回路表面を構築すること(S2110)と、回路表面を構成すること(S2112)と、回路表面の周りにインプラント本体を作製すること(S2120)と、ケーシングを構築すること(S2130)と、ケーシング内にケーシング回路サブシステムを収容して確実に封止すること(S2132)と、ケーシングをインプラント本体に接続し、回路システムの電子コンポーネントのセットをケーシング回路サブシステムに導電的に接続すること(S2140)と、含み得る。いくつかの変形において、ケーシング回路サブシステムは、医療インプラントデバイスの回路システムの生体適合性でない電子コンポーネントの全て(又は95%超のような、少なくともかなりの部分)を含み得る。同様に、回路表面に取り付けられた電子コンポーネントは生体適合性材料で作ることができる。
【0099】
[00127] いくつかの変形において、方法は、インプラント本体を組み合わせる前に、各インプラントコンポーネントごとに別個に実施され得る。こういった変形では、方法は、各インプラント本体サブコンポーネントごとに回路を構築する(又は他の方法で取得する)ことと、各インプラント本体サブコンポーネントごとに回路の周りにインプラント本体サブコンポーネントを作製することと、全てのインプラント本体サブコンポーネントを一体化することと、を含み得る。
【0100】
[00128] ブロックS110は、医療インプラントデバイスの1又は複数の電子機能コンポーネントを取得する際に回路機能を構築することを含む。回路を構築すること(S110)は、好ましくは、インプラント本体構造物のために望ましい全ての必要な/要求される電子コンポーネントを備えた回路(例えばプリント回路基板)を取得すること及び/又は組み立てることを含む。回路を構築すること(S110)は、単一のインプラント本体に埋め込まれる複数の回路を取得することを含み得る。
【0101】
[00129] 回路を構築することは、好ましくは、回路(例えば所望の形状及びコンポーネントの回路基板)をプリント、生成、又は取得することを含む。すなわち、PCBの変形では、典型的なシート状PCB以外に、所望の形状の回路基板をプリント又は入手することは、上述したような曲げ、折り畳み、及びテーブル状の幾何学的形状を含むレイアウト及び特徴部を備えたPCBを取得することを含む。
【0102】
[00130] 回路を構築することは、更に特定すると、上記のシステムで検討したような回路表面を構築することを含む。回路表面は、好ましくは電極セット及び/又は1つ以上のアンテナを含む電子コンポーネントのセットを含み得る。電極セット及び/又はアンテナは、1つ以上の導電性接続(例えばワイヤ又は導電性接合)を介して導電的に接続することができる。また、電極セット及び任意選択的にアンテナは、回路表面によって、又は回路表面に対する取り付けによって、適所に構造的に保持され得る。電子コンポーネントは、回路表面の一部である回路システムに導電的に接続することができる。例えば回路表面は、アンテナ及び電極セットに対する導電性接続を備えた折り畳み可能PCBとして実施され得る。あるいは、電子コンポーネントは、ケーシング回路サブシステムのような別の回路サブシステムに接続することができる電気コネクタに接続してもよい。
【0103】
[00131] 回路表面を構築することに加えて、方法は、経路に沿って回路表面を構成することを含み得る。これは、回路表面の周りにインプラント本体を作製する前に、適正な位置合わせのため回路表面を折り畳む及び/又は方向付けるように機能する。従って、方法は更に、PCBを意図される形態に折り畳んで配置することを含み得る。上記のシステムで検討したような種々の折り畳みパターンが使用され得る。
【0104】
[00132] ブロックS120は、回路の周りにインプラント本体を作製することを含み、これは回路をインプラント本体内に埋め込むよう機能する。回路の周りにインプラント本体を作製することは、様々な製造技法によって実施可能である。
【0105】
[00133] 1つの変形では、回路の周りにインプラント本体を作製することは、回路の周りでインプラント本体を成形することを含む。より具体的に述べると、これは、回路表面及びその電子コンポーネントの周りでインプラント本体をオーバーモールドすることを含む。回路に対するオーバーモールドは、埋め込み回路を備えるインプラント本体又はサブ構造を形成するように機能する。回路基板に対するオーバーモールドは、回路の周りでインプラント本体を3Dプリントすること、射出成形すること、鋳造すること、又は他の方法で付加的に形成することを含み得る。一度完成したら、インプラント本体のオーバーモールドによって、インプラント本体の形状に対して実質的にほとんど影響を及ぼすことなく、埋め込み回路を備えるインプラント本体が生成される。いくつかの実施例では、インプラント本体は実質的にユニボディ(unibody)材料構造であってもよい。いくつかの実施例では、この材料はPEEK又は他の生体適合性ポリマーとすることができる。
【0106】
[00134] 回路表面の周りをオーバーモールドすることを含むいくつかの好適な変形において、方法は、温度遮蔽材料によって回路(例えば回路表面)を保護し、その後、保護された回路表面に対してオーバーモールドを行うことを含み得る。保護された回路表面は、回路及びその電子コンポーネントの温度暴露を制限して、高温によって生じるコンポーネント損傷のリスクを軽減するように機能し得る。
【0107】
[00135] いくつかの変形において、回路を保護することは、回路(例えば回路表面)を保護エンベロープ/エンクロージャに配置することを含む。1つの変形において、これは、可撓性の非毒性で非反応性の材料(例えばシリコーン又は別の生体適合性材料)で回路を成形することを含む。シリコーン又は他の生体適合性材料は、オーバーモールドプロセス中に回路を保護するように機能する。
【0108】
[00136] いくつかの変形において、回路を保護することは、回路(例えば回路表面)の少なくとも一部を回路剛性フレームに取り付けることと、回路剛性フレームに接続されている回路の周りをオーバーモールドすることとを含む。この変形は、PCBを含む回路では特に有用である。一実施例において、回路剛性フレームはPEEKから作製され得るが、任意の適切な材料を使用すればよい。あるいは回路剛性フレームは、本体に追加の耐久性を加えるため、より強力な材料(例えばチタン)で作製してもよい。貝殻と同様に、小さいフレームを、2つの半分の部分として3Dプリントし、回路の周りでアニーリングすることができる。あるいはフレームは、他の方法で回路が取り付けられる(例えば留められる)剛性構造としてもよい。1つの変形では、剛性フレームの周りに保護ケーシングを成形する。いずれの変形においても、方法は、剛性フレーム及び/又は保護ケーシングから突出している電極を一体化することを含み得る。好ましくは、回路の周りにインプラント本体を作製した後(例えばPEEKインプラント本体をオーバーモールドした、又はPCBの周りでマルチパート構造を閉鎖した後)、突出している電極は少なくとも1つの露出した電極表面に固定される。好適な変形では、突出している電極の一部は、オーバーモールドプロセス後に電極が適所に固定されるように位置決めされる。
【0109】
[00137] 第2の変形では、回路の周りにインプラント本体を作製すること(S120)は、規定キャビティを備える少なくとも2つの相補的部分でインプラント本体を生成することと、規定キャビティ内に回路を挿入することと、インプラント本体の少なくとも2つの部分を一緒に取り付けることと、を含む。第2の変形において回路の周りにインプラント本体を作製することは、回路の整形(例えばPCBを折り畳む及び/又は曲げる、アンテナコイルをループ状にする)を可能とすること、及びオーバーモールドの高温に回路を暴露しないことという追加の利点を与えながら、埋め込み回路を備えるインプラント本体を生成するように機能する。
【0110】
[00138] インプラント本体を少なくとも2つの部分で生成することは、インプラント本体の少なくとも2つの部品を製造することを含む。インプラント本体を複数の部分で生成することは、内部からインプラント本体内に回路を挿入可能とするように機能する。インプラント本体の生成は、射出成形、機械加工、3Dプリント、及び/又は任意の適切な技法を用いた生成を含み得る。インプラント本体を複数の小部分で生成することは、回路を収容するために適切な大きさと形状の規定キャビティを有するインプラント本体の各小部分を生成することを含む。一度全ての小部分が組み合わされたら、キャビティは、インプラント本体内に埋め込まれる回路に適合する。規定キャビティは、回路と全く同じ形状とするか、又は湾曲経路を含んで、これに合わせて回路をキャビティに収めることも可能である。
【0111】
[00139] 更に単純な実施例(例えば、あまり複雑でないPCB幾何学的形状)において、インプラント本体を少なくとも2つの小部分で生成することは、好ましくは、インプラント本体を厳密に2つの小部分で生成することを含む。PCBを単に2つの小部分間に挿入することができない複雑なPCB幾何学的形状では、PCBを収めるために複数のインプラント本体の小部分を生成してもよい。PCBを挿入することは、規定PCBキャビティ内にPCBを埋め込むよう機能し、これにより各小部分を組み合わせてインプラント本体を形成する。PCBを挿入することは、PCBのセグメントをキャビティ内に収めるため充分に曲げることを含み得る。
【0112】
[00140] 一度回路が適正にキャビティ内へ挿入されたら、各本体インプラント部分を一緒に取り付けることが好ましい。取り付けは、アニーリング、固定具の使用(fixturing)(例えば、ねじ又はクランプによって留める)、又は他の方法による固定を含むことができる。インプラント本体の各部分の取り付けは、埋め込み回路を備える完全なインプラント本体構造物を形成するように機能する。インプラント本体の各部分の取り付けは、エポキシ接着剤、音波溶接、又は非毒性であまり長期間にわたって持続しない他の任意のプロセスによって達成され得る。
【0113】
[00141] ブロックS120の第3の変形では、回路の周りにインプラント本体を作製する第1及び第2の変形を組み合わせる。回路用の小さいフレームを作製するため、第2の変形を実施することができる。一度埋め込まれたら、小さいフレームと回路をオーバーモールドすればよい。
【0114】
[00142]
図27で示されているように、少なくとも部分的に埋め込まれた回路を備える医療インプラントデバイスを製造するための第2の方法の変形は、回路を取得すること(S210)と、インプラント本体を取得すること(S220)と、インプラント本体に規定回路キャビティを製造すること(S230)と、インプラント本体内に回路を埋め込むこと(S240)と、を含む。第2の方法は、インプラント本体の製造後に医療インプラントデバイスを生成する場合に機能する。ケーシングを含む変形では、方法は更に、ケーシングをインプラント本体と一体化することを含む。いくつかの変形において、方法は、インプラントサブコンポーネントを組み合わせてインプラント本体を形成する前に、各インプラントサブコンポーネントごとに別個に実施され得る。こういった変形では、方法は、各インプラント本体サブコンポーネントごとに回路を取得することと、インプラント本体サブコンポーネントを取得することと、インプラント本体サブコンポーネントに規定回路キャビティを製造することと、インプラント本体サブコンポーネント内に回路を埋め込むことと、全てのインプラント本体サブコンポーネントを一体化することと、を含み得る。
【0115】
[00143] 回路を構築することを含むブロックS210は、上述した回路の構築(S110)と実質的に同じように機能する。変形に応じて、回路は、集積回路(IC)、特定用途向け集積回路(ASIC)、プリント回路基板(PCB)、及び/又は任意のタイプの回路もしくは関連する電子コンポーネントを含み得る。形状を曲げること及び/又は変更することを含む変形/ステップでは、回路は好ましくは平面状/板状の構造(例えばPCB)を含む。
【0116】
[00144] インプラント本体を取得することを含むブロックS220は、所望のインプラント本体を得るように機能する。インプラント本体を取得すること(S220)は、実施例に望ましい任意の大きさ又は形状のインプラント本体を取得することを含み得る。好適な実施形態の方法では、インプラント本体を取得すること(S220)は、所望の実施例のために特定タイプの脊椎ケージを取得することを含む。インプラント本体を取得すること(S220)は、インプラント本体を作製すること、又は生成済みのインプラント本体を他のやり方で利用することもしくは構成することを含み得る。インプラント本体を作製することは、射出成形、3Dプリント、機械加工等の様々な製造プロセスによってインプラント本体を形成することを含み得る。インプラント本体の少なくとも外側の部分は、PEEK等の生物学的に適合する材料で構成されていることが好ましい。
【0117】
[00145] インプラント本体に規定キャビティを製造することを含むブロックS230は、回路を配置するためインプラント本体内にキャビティを生成するように機能する。1つの変形では、規定回路キャビティを製造すること(S230)は、除去機械加工を実行すること、それによって回路を収容するスリット、溝、又は開口を切削することを含む。規定回路キャビティの形状、経路、外形、及び他の特徴は、上記で検討されており、インプラント本体内に製造することができる。フライス加工、ドリル穿孔、水噴射もしくはレーザカッタの利用、又は除去製造のための任意の適切な技法を用いればよい。あるいは、ブロックS230のインプラント本体は、規定回路キャビティの製造を組み込むことも可能である。例えばインプラント本体は、規定回路キャビティを含むように成形してもよい。別の変形では、インプラント本体をマルチパート設計として、各部品を別個に製造し、それらを協働するよう取り付けた場合に規定回路キャビティを生成することができる。
【0118】
[00146] インプラント本体内に回路を埋め込むことを含むブロックS240は、埋め込み回路を備えたインプラント本体構造物を生成する際に機能する。インプラント本体内に回路を埋め込むこと(S240)は、キャビティ内に収まるように回路を位置決めし整形することを含む。PCBの変形では、これは、PCBを曲げること/折り畳むこと、及びインプラント本体内に配置することを含み得る。回路を埋め込むことは、PCBの表面を保護材料で覆うことを更に含み得る。保護材料は、生体内で実施されている間に回路を外部環境から保護する非毒性で非反応性の材料(例えばシリコーン、樹脂)とすればよい。あるいは、回路を封止又は封入するための他の技法を用いてもよい。いくつかの変形では、インプラント本体内に回路を埋め込むこと(S240)は、インプラント本体の外部又は内部に回路をプリントすること及び/又は回路コンポーネントをプリントすることを含み得る。
【0119】
[00147] ケーシングを備えたシステムを含む方法、及び/又は最初にインプラント本体サブコンポーネントを生成することを含む方法の実施例では、
図28から
図31で示されているように、方法は更に、インプラント本体サブコンポーネントを一体化する(例えばケーシングをインプラント本体と一体化する)ことを含む。インプラント本体サブコンポーネントを一体化することは、ケーシング及びインプラント本体サブコンポーネントから単一の「インプラント本体」を生成するように機能し、これによって単一の医療インプラントデバイスを生成する。
【0120】
[00148] ケーシングに関して、ケーシングをインプラント本体と一体化することは、ケーシングをインプラント本体に固定すること、接着すること、取り付けること、組み込むこと、及び/又は別の所望のやり方で一体化することを含み得る。好適な変形では、ケーシングをインプラント本体と一体化することは、インプラント本体とケーシングを不可逆的に接合することを含む。好ましくは、インプラント本体とケーシングは共に封止される。
図31で示されているように、ケーシングをインプラント本体と一体化することは、インプラント本体のコネクタにケーシングをレーザ溶接することを含み得る。ケーシングのレーザ溶接によって、ケースを密閉し、これをインプラント本体に不可逆的に接合することができる。
【0121】
[00149] 実施例に応じて、インプラント本体とケーシングは同時に又は別々に構築され得る。また、これら2つのコンポーネントが別々に構築される場合、一方は他方よりも先行して生成され得る。これらの変形のいくつかでは、ケーシングをインプラント本体と一体化することは、第2のコンポーネントの生成と同時に実行され得る。例えば、第1のコンポーネントを最初に生成し、この第1のコンポーネントに対して第2のコンポーネントの生成と一体化を同時に行うことができる。
【0122】
[00150] 第1の変形において、ケーシングはインプラント本体とは別個のプロセスで生成され得る。ケーシングをインプラント本体と一体化することは、各々が別個のプロセスで生成された後にこれら2つの幾何学的形状を接合/取り付け/接着することを含み得る。
【0123】
[00151] 第2の変形では、ケーシング又はインプラント本体が最初に生成される。ケーシングが最初に生成される第1の例では、ケーシングをインプラント本体と一体化することは、ケーシング上にインプラント本体をオーバーモールドすることを含み得る。インプラント本体が最初に生成される第2の例では、ケーシングをインプラント本体と一体化することは、インプラント本体上にケーシングを3Dプリントすることを含み得る。
【0124】
[00152] また、双方の方法は、医療インプラントデバイスを機能させるために必要なステップを更に含み得る。脊椎ケージインプラントの好適な変形では、追加ステップは、外部電極コンポーネントを挿入することと、電極を介して配線を挿入することと、外部デバイスに接続することと、所望のように脊椎ケージを機能させるために必要な又は望ましい他の任意のステップと、を含み得る。また、例えばPCB基板上にチタン又は白金又は他の任意の適切な電極材料を堆積して適切な大きさ及び/又は形態の電極132を形成することにより、PCB基板及び/又はインプラント本体に電極を直接プリントしてもよい。PCB上に電極をプリントする場合、これは好ましくはPCBの製造中に実行されるが、別個のステップとして実行してもよく、例えば、すでに製造されて他のシステムコンポーネントを収容しているが電極は収容していないPCBの適切な部分に金属を堆積することによって実行され得る。あるいは、PCB製造の一部として形成された露出金属形状の上に白金及び/又はチタン等の適切な電極金属を堆積することによって電極部位を形成することも可能である。PCBは、このステップ以前には露出した白金又はチタンのエリアを含まない。
【0125】
[00153] いずれの方法も複数のやり方で実施することができ、インプラント本体構造物の部分は別々に又は一緒に製造され得る。一例では、第1の方法を実施して、
図28で示されているようにインプラント本体を複数の部分で生成し、次いで
図29で示されているように、これらを組み合わせてインプラント本体を形成することができる。
図30で示されているようにケーシングは別個に製造され、次いで
図30で示されているように(例えば溶接によって)インプラント本体に取り付けることができる。
【0126】
[00154]
図28から
図30に、ケーシングを備えたTILFケージを構築するための方法の1つの実施例が示されている。
図28及び
図30で示されているように、インプラント本体用(例えばアンテナと電極のための回路表面)及びケーシング用(例えば、後で適切な構成に折り畳まれる可撓性PCB)の回路を取得する。
図28で示されているように、次いで、(例えばPEEKを用いて)射出成形プロセスによってインプラント本体の側部(例えば側部セグメント及びコネクタブロック)を構築し、側部セグメント内に電極を取り付けるか又はパターニングし、側部の周りにアンテナを巻き付け、配線を用いてこれらのセグメントを接続する。この実施例では、アンテナは更にシリコーンに埋め込まれる。
【0127】
[00155]
図29で示されているように、次いで側部セグメントを物理的かつ電気的にコネクタブロックに接続し、次いで適所に溶接する。ねじ又は他の固定機構を用いて、側部セグメントをコネクタブロックに更に取り付けてもよい。次いで、「完成した」本体を射出成形金型に挿入し、オーバーモールドして、コネクタがケーシングに接続されている一体的なインプラント本体を形成する。
【0128】
[00156] ケーシングの本体は、インプラント本体の大きさに一致すると共にPCBを収容することができる所望の仕様にあらかじめ作製するか又は成形することができる。
図30で示されているように、折り畳まれたPCBコンポーネントをケーシングコネクタプレートに接続し、次いでシリコーンで包み込んで、PCBを保護することができる。次いで、包み込んだPCBコンポーネントをケーシングに挿入して、PCBがケーシング内に配置されると共に接続されたコネクタプレートがケーシングの露出開口に配置されるようにする。次いで、(例えばコネクタプレートをケーシングにレーザ溶接することによって)ケーシング内にPCBを密閉すればよい。次いで、ケーシングのコネクタコンポーネントをインプラント本体と組み合わせることにより、ケーシングをインプラント本体と一体化すればよい。いくつかの実施例では、ケーシングとインプラント本体は(例えばレーザ溶接によって)共に密閉され得る。いくつかの変形では、インプラント本体とケーシングは、インプラント本体の外周から内側へ向かう角度に溶接されることで、インプラント本体100の面に加わる圧力と力がケーシング及びケーシングとインプラント本体との接続部に直接加わらないようになっている(
図30)。
【0129】
[00157] 前述の詳細な説明、図面、及び特許請求の範囲から、以下の特許請求の範囲に規定される本発明の範囲から逸脱することなく本発明の実施形態に変更及び変形が実施され得ることは、当業者には認められよう。
【手続補正書】
【提出日】2024-05-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療脊椎ケージインプラント内に埋め込まれた電子機器のためのシステムであって、
・生体適合性材料で形成されたインプラント本体と、
・前記インプラント本体の規定内部キャビティ内の経路に沿って少なくとも部分的に埋め込まれている回路表面と、生体適合性でない回路コンポーネントを含むケーシング回路サブシステムとを含む回路システムであって、前記回路表面は、該回路表面と一体化され、かつ、生体適合性材料で作られた電子コンポーネントのセットを含み、該電子コンポーネントのセットは、アンテナ及び電極のセットを含み、前記インプラント本体は、前記回路表面の周りに形成されている、回路システムと、
・前記インプラント本体に直接接続された封止金属構造であるケーシングと、
を備え、
前記ケーシング回路サブシステムは、前記ケーシング内に封入され、
前記ケーシングは、前記ケーシング回路サブシステム、及び、前記回路表面の前記電子コンポーネントのセットに動作可能に接続する露出した電気コネクタを含む、
システム。
【請求項2】
前記ケーシング回路サブシステムは、前記ケーシング内に収容されたプリント回路基板(PCB)と、前記PCB及び前記インプラント本体内に埋め込まれた前記電子コンポーネントのセットを電気的に接続する配線とを更に含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記回路表面は、プリント回路基板(PCB)を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
保護構造を備えた被覆を更に含み、前記回路表面の少なくとも部分的に埋め込まれた部分は、前記被覆内に封入されている、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記被覆は、シリコーンで構成されて、前記PCBがシリコーン被覆によって封入されると共に覆われるようになっている、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記経路は、単一の直線状の又は湾曲した経路を含み、前記PCBは、前記単一の直線状の又は湾曲した経路に沿って前記インプラント本体内に埋め込まれている、請求項3に記載のシステム。
【請求項7】
前記経路は、複数の直線状の又は湾曲した経路を含み、前記複数の経路に沿った前記PCBは、前記複数の経路の形状に概ね一致する折り畳まれたPCBを含む、請求項3に記載のシステム。
【請求項8】
前記PCBの中央部が前記インプラント本体への挿入方向に対して垂直な面を有すると共に前記PCBの両端が曲げられている、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記折り畳まれたPCBは、3つの空間次元の全てに対して少なくとも1つの垂直な表面を有するように折り畳むことができる、請求項7に記載のシステム。
【請求項10】
前記PCBの各垂直な表面がアンテナコンポーネントを含んで、前記アンテナが全ての空間次元に延出するようになっている、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記折り畳まれたPCBは、複数回折り返されるようにアコーディオン状に折り畳まれている、請求項9に記載のシステム。
【請求項12】
前記アンテナは、多層の幾何学的形状を含み、前記PCBの隣接層は、前記アンテナの一部を含み、これによって積層された平面状折り畳みを含む相対的に3次元のアンテナを形成する、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記インプラント本体は、熱可塑性物質であり、
前記ケーシングは、密閉され、かつ、かつインプラント本体にレーザ溶接され、前記ケーシング内に封入された前記回路システムは、前記インプラント本体内の電子コンポーネントに電気的に接続されているPCBを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
前記インプラント本体は、脊椎ケージを含み、前記ケーシングは、前記脊椎ケージの短い方の側面に物理的に接続される、請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
前記回路表面は、前記脊椎ケージの2つの長い方の側面に沿った経路に埋め込まれた2つの平面を含み、各平面は、前記インプラント本体の外面で露出した、前記平面から垂直に外側へ延出している2つの電極を含み、各平面は、前記インプラント本体の内面で露出した、前記平面から垂直に内側へ延出している2つの電極を含み、各平面は、前記平面の同一の寸法に沿って前記平面の外周の周りに巻き付けたアンテナを有する、請求項14に記載のシステム。
【手続補正書】
【提出日】2024-05-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】全図
【補正方法】変更
【補正の内容】
【外国語明細書】