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特開2024-105307水分散性の直接感熱またはインクジェット印刷可能媒体
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  • 特開-水分散性の直接感熱またはインクジェット印刷可能媒体 図1
  • 特開-水分散性の直接感熱またはインクジェット印刷可能媒体 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024105307
(43)【公開日】2024-08-06
(54)【発明の名称】水分散性の直接感熱またはインクジェット印刷可能媒体
(51)【国際特許分類】
   B41M 5/42 20060101AFI20240730BHJP
   B41M 5/48 20060101ALI20240730BHJP
   B41M 5/44 20060101ALI20240730BHJP
   B41M 5/41 20060101ALI20240730BHJP
   B32B 29/00 20060101ALI20240730BHJP
【FI】
B41M5/42 211
B41M5/48 200
B41M5/44 210
B41M5/41 200
B41M5/42 221
B32B29/00
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024067470
(22)【出願日】2024-04-18
(62)【分割の表示】P 2022530192の分割
【原出願日】2020-11-20
(31)【優先権主張番号】62/939,418
(32)【優先日】2019-11-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】522203031
【氏名又は名称】アプビオン リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 七重
(74)【代理人】
【識別番号】100156982
【弁理士】
【氏名又は名称】秋澤 慈
(72)【発明者】
【氏名】フィッシャー マーク アール
(57)【要約】
【課題】水分散性の直接感熱またはインクジェット印刷可能媒体を提供する。
【解決手段】分散性記録材または媒体は、水溶性または水分散性紙基材、基材に担持された印刷可能層、および基材と印刷可能層との間のベースコートを含む。印刷可能層は、例えばロイコ染料および酸性顕色剤を含有する、熱応答性層、またはインクジェット受容層としてもよい。ベースコートで使用されるバインダー材料およびベースコート自体は非水溶性であるが、しかしながら記録材が全体として水分散性であるように調整されており、すなわち、水の影響下で最小限の撹拌で破断する。ベースコートのバインダー材料は、好ましくは非樹脂バインダー、粒状バインダー、および/または分散体由来のバインダー、例えばラテックスである。このようなバインダー材料を注意深く選択した濃度で他の要素と使用することにより、熱応答性層上に高印刷速度で高品質画像を感熱印刷することを可能にするベースコートがもたらされる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水溶性紙または水分散性紙を含む基材、
基材に担持された印刷可能層、および
非水溶性バインダーを含む、基材と印刷可能層との間のベースコート
を含む、記録材。
【請求項2】
印刷可能層が熱応答性層である、請求項1に記載の記録材。
【請求項3】
印刷可能層上に配置されたトップコート層
をさらに含む、請求項1に記載の記録材。
【請求項4】
トップコート層がインクジェット印刷受容性である、請求項3に記載の記録材。
【請求項5】
印刷可能層がインクジェット受容層である、請求項1に記載の記録材。
【請求項6】
ベースコートが非水溶性であるが、記録材が水分散性である、請求項1に記載の記録材。
【請求項7】
非水溶性バインダーが、非樹脂、または粒状、または分散体由来である、請求項1に記載の記録材。
【請求項8】
非水溶性バインダーがラテックスを含む、請求項1に記載の記録材。
【請求項9】
非水溶性バインダーがラテックスであり、ラテックスが10~30質量%の濃度でベースコート中に存在する、請求項1に記載の記録材。
【請求項10】
ラテックスが15~20質量%の濃度でベースコート中に存在する、請求項9に記載の記録材。
【請求項11】
ベースコートが中空球状顔料(HSP)を含む、請求項1に記載の記録材。
【請求項12】
HSPが20~50質量%の濃度でベースコート中に存在する、請求項11に記載の記録材。
【請求項13】
HSPが30~50質量%の濃度でベースコート中に存在する、請求項12に記載の記録材。
【請求項14】
ベースコートが、粘土粒子、沈降炭酸カルシウム、およびヒュームドシリカの群から選択される第2の顔料を含む、請求項11に記載の記録材。
【請求項15】
第2の顔料が80質量%未満の濃度でベースコート中に存在する、請求項14に記載の記録材。
【請求項16】
第2の顔料が10~50質量%未満の濃度でベースコート中に存在する、請求項15に記載の記録材。
【請求項17】
基材がパルプを含有し、少なくとも88質量%のα-セルロースを含有するまたは12質量%未満のヘミ-セルロースを含有する精製パルプが、基材中の全パルプの15質量%未満を占める、請求項1に記載の記録材。
【請求項18】
基材がパルプを含有し、少なくとも88質量%のα-セルロースを含有するまたは12質量%未満のヘミ-セルロースを含有する精製パルプが、基材中の全パルプの15~95質量%を占める、請求項1に記載の記録材。
【請求項19】
直接感熱プリンターで使用されて熱誘導画像をもたらすように構成されており、そのような直接感熱プリンターで6インチ毎秒の印刷速度で使用されたときの記録材の印刷品質が、少なくとも1.5のANSI値で特徴づけられる、請求項2に記載の記録材。
【請求項20】
そのような直接感熱プリンターで10インチ毎秒の印刷速度で使用されたときの記録材の印刷品質が、少なくとも1.5のANSI値で特徴づけられる、請求項19に記載の記録材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直接感熱記録媒体に関し、水分散性であるそのような媒体に特に応用される直接感熱記録媒体に関する。本発明はまた、水分散性であるインクジェット印刷可能媒体に関する。本発明はまた、関連する方法、システム、および物品に関係する。
【背景技術】
【0002】
熱応答性記録材、直接感熱レコーディング媒体、または直接感熱媒体と呼ばれることもある、多くの種類の直接感熱記録媒体が公知である。例えば米国特許第3,539,375号(Baum)、第3,674,535号(Bloseら)、第3,746,675号(Bloseら)、第4,151,748号(Baum)、第4,181,771号(Hansonら)、第4,246,318号(Baum)、および第4,470,057号(Glanz)を参照されたい。これらの件において、塩基性の無色または淡色の発色材料、例えばロイコ染料と、酸性の顕色材料とが基材上のコーティングに含有され、好適な温度に加熱されたときにコーティングが溶融または軟化してこれらの材料の反応が可能になり、これにより、熱がかけられた場所に着色された印または画像が生成する。熱応答性記録材は特徴的な熱応答を有し、選択的な熱曝露を行うと、十分な強度の着色画像を生成する。
【0003】
製品の基材またはベース材料が水溶解性または水分散性の紙材料であり、得られる直接感熱記録媒体が全体として最終消費者により容易に溶解または分散されうるいくつかの直接感熱記録媒体が記載または提案されている。例えば米国特許第7,476,448号(Natsuiら)を参照されたい。このような製品のいくつかは販売されているが、低い品質の画像形成に苦慮している。すなわち、このような製品を従来の直接感熱プリンターを通して供給して、通常の印刷速度、例えば6インチ毎秒(ips)で印刷したとき、得られる画像品質は典型的に非常に低いため、バーコード画像を標準的なバーコードリーダーで確実にスキャンして読み取ることができない。低い画像品質は、製品の外表面が粗すぎる、または滑らかでないことに起因すると考えられ、これらは製造中に水分散性基紙(paper stock)の表面上に第1の層を水溶液中でコーティングするときに、水分散性基紙のしわ寄りまたは膨潤により生じることがある。
【発明の概要】
【0004】
水に容易に溶解または分散できるように設計された直接感熱記録媒体は、多くの有用な用途、例えば再利用できる容器またはビンの除去可能なラベル、または裁断の必要なしで容易かつ完全に破壊することができるセキュリティ基材としての用途を有する。しかし、そのような媒体での画像品質が、標準的なバーコードリーダーで確実にスキャンして読み取るのに十分なほど良好でない限り、可能性のある有用な用途の数は限られたままとなる。
したがって、代替となる溶解性または分散性の直接感熱記録媒体、特に、妥当な印刷速度で作動する標準的な感熱プリンターで使用したときに、確実に機械で読み取ることができるバーコード画像をもたらすことができる媒体の必要性がある。そのような代替となる媒体または材料は、好ましくは多様な用途、例えばラベル付け、ファクシミリ、販売時点(POS)印刷、タグの印刷、および感圧性ラベルでの使用に好適である。代替となる媒体はまた、好ましくは、印刷速度が少なくとも6、または8、またはさらには10インチ毎秒(ips)の感熱プリンターで使用したときに、高品質画像(高品質バーコード画像を含む)を生成する。
代替となる溶解性または分散性のインクジェット印刷可能記録媒体についても、同様の必要性がある。
本発明者らは、これらの必要性のうちの1つ、一部、または全てを満たすように調整することができる、新規系統の水分散性記録材または媒体を開発した。開示される代替となる記録媒体は、通例、水溶性または水分散性でありうる紙基材、印刷可能層、および基材と印刷可能層との間のベースコートを含む。印刷可能層は、例えばロイコ染料および酸性顕色剤を含有する、熱応答性層、またはインクジェット受容層としてもよい。いくつかの場合には、水分散性記録材は、別個の2層の印刷可能層、例えば直接感熱プリンターで画像生成することができる熱応答性層とインクジェット受容層とを有してもよい。
【0005】
本発明者らは、ベースコート中で非水溶性バインダー材料を他の成分と一緒に使用することの利点を発見し、そのようなバインダー材料は、適切な量で使用したときに、得られる記録媒体が水分散性となることを可能にし、すなわち、水の影響下で最小限の撹拌で破断することをさらに見出した。したがって、ベースコートのバインダー材料およびベースコート自体は非水溶性であるが、しかしながら記録材が全体として水分散性であるように調整されている。ベースコートのバインダー材料は、好ましくは非樹脂バインダー、粒状バインダー、および/または分散体由来のバインダー、例えばラテックスである。このようなバインダー材料を注意深く選択した濃度で他の要素と使用することにより、熱応答性層上に高印刷速度で高品質画像を感熱印刷することを可能にするベースコートがもたらされる。このような性能の促進を助けるベースコートの特性は、その嵩または厚さ、その比較的低い熱伝導率、およびその比較的弱い内部凝集性である。
したがって本発明者らは、特に、基材、基材に担持された熱応答性層、および基材と熱応答性層との間のベースコートを含む記録材または媒体を本明細書において開示する。基材は、水溶性または水分散性紙としてもよく、またはそれを含んでもよい。ベースコートは、非水溶性、非樹脂、粒状、分散体由来、および/またはラテックスであるバインダーを含んでもよい。
【0006】
ラテックスは、10~30質量%、または15~20質量%の濃度でベースコート中に存在してもよい。ベースコートは、中空球状顔料(HSP)も含んでもよく、これは20~50質量%、または30~50質量%の濃度でベースコート中に存在してもよい。ベースコートは、粘土粒子、沈降炭酸カルシウム、およびヒュームドシリカの群から選択される第2の顔料をさらに含んでもよく、第2の顔料は、80質量%未満、または10~50質量%の範囲の濃度でベースコート中に存在してもよい。
基材がパルプを含有する場合には、少なくとも88質量%のα-セルロースを含有するまたは12質量%未満のヘミ-セルロースを含有する精製パルプが、基材中の全パルプの15質量%未満を占めてもよい。あるいは、そのような精製パルプは、基材中の全パルプの15~95質量%を代わりに占めてもよい。
【0007】
本発明者らはまた、基材、基材に担持された印刷可能層、および基材と印刷可能層との間のベースコートを含む記録媒体であって、基材が水溶性紙または水分散性紙を含み、ベースコートが非水溶性バインダーを含む、記録媒体を開示する。ベースコートは非水溶性であるが、このような記録材は水分散性である。印刷可能層は、熱応答性層またはインクジェット受容層としてもよい。第2の印刷可能層も含まれてもよく、例えば第1の印刷可能層が熱応答性であり、第2の印刷可能層がインクジェット受容性である場合である。
本発明者らはまた、多くの関連方法、システム、および物品を開示する。
本開示のこれらの態様および他の態様は、以下の詳細な説明により明らかとなる。しかしながら、いかなる場合においても、特許請求される主題について限定するものとして上記の概要を解釈するべきではなく、主題は添付の特許請求の範囲によってのみ規定され、プロセキューション中に補正されることがある。
本発明の物品、システム、および方法は、添付の図面を参照して、さらに詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本明細書において開示される水分散性記録媒体の断面概略図である。
図2図1の記録媒体に使用されたベースコートの一部分の拡大概略図である。図において、同じ参照符号は同じ要素を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の態様は、新しい組合せの特色および機能を有する新しい種類の直接感熱記録材/媒体、およびそれを作製する方法を含む。直接感熱記録媒体として、製品は、例えば直接感熱プリンターを通して製品を供給したときに、局所的にかけられた熱に応じて色を変化させて、バーコード、英数字文字、図表、またはこれらの組合せの画像を生成するように適合されている。本発明の製品は、好ましくは、水分散性であるように適合され、すなわち、水に曝されたときに最小限の撹拌で崩壊する、または破断する(分散する)ように適合されている。これは、製品には非水溶性であるベースコートが組み入れられ、ベースコートのバインダーは非水溶性である事実にもかかわらず、そのようになっている。言い方を変えれば、バインダー、およびベースコート全体は、水に溶解しない。
いくつかの水分散性直接感熱記録材が既に公知であるが、それらは一般に低い品質の画像形成に苦慮している。すなわち、公知の製品を直接感熱プリンターで通常の印刷速度(例えば、6インチ毎秒(ips))で処理して画像を印刷した場合、得られる画像品質は一般に低い。画像品質が非常に低いので、機械で確実に検出するのに高画像品質が必要とされるバーコード画像は、実用性が皆無かそれに近い。公知の製品の低い画像品質は、製品の外表面が粗すぎる、または滑らかでないことに少なくとも部分的に起因すると考えられる。粗い表面は、成分特性および製造プロセスの結果であり、水分散性基紙(水分散性紙)は、基紙上に直接感熱層を水溶液中でコーティングするときに、膨潤および粗化する。
【0010】
したがって、現存の製品と本発明の記録材とを区別する、本発明の記録材の少なくとも一部の実施形態の追加の特色は、水分散性直接感熱記録材において、通常の印刷速度およびさらには高印刷速度(8~10ips)で高品質の感熱画像を生成して、機械で読み取ることができるバーコード画像を形成することを可能にする能力である。
この高速度の直接感熱印刷特性を得るために、本発明者らは、基紙(基材)と直接感熱層(または他の印刷可能層)との間に、注意深く設計されたベースコートを採用する。これに関し、図1の水分散性記録材110を参照する。記録材110は、水分散性または水溶性の基紙または担体112上に様々な層をコーティングすることによって作製してもよい。基紙112は、過度の裂けや破損を伴わずにコーティング機でのその操作および取扱いを可能にするのに十分な物理的強度および厚さを有する。したがって基紙112は、反対側にある2つの主表面112a、112bを有するウェブの形態であってもよい。これらの表面は、平坦でない、または粗いものとして示されており、これは表面が濡れたときに悪化する。これらの表面のうちの1つ112aに直接塗布されるのは、ベースコート114である。次にベースコート114の上に印刷可能層116、例えば直接感熱層を塗布する。任意のトップコート118を印刷可能層116に塗布してもよい。
【0011】
基紙112のもう一方の側で、任意の接着剤層122、例えば感圧接着剤(PSA)または他の接着材料を主表面112bに塗布してもよい。接着剤は、任意の剥離ライナー124により、剥離可能に支持または担持されていてもよい。ラベル製品の場合は、直接感熱層116に感熱画像を形成した後、ユーザーが剥離ライナー124を取り除いて、そのように印刷されたラベルを容器または他の好適な加工品に接着剤層122で貼り付けてもよい。使用後、最小限のまたは穏やかな撹拌を行いながら水をかけ、ラベルを破断させて、容器表面を元の状態に戻すことにより、ラベルを容器から完全に取り除いてもよい。
例示的な実施形態において、基紙112は水分散性紙としてもよく、またはそれを含んでもよい。基紙112の紙は、その厚さおよび組成に応じて、一般的な事務用紙に類似した薄く可撓性のあるもの、またはカード紙もしくはさらには板紙(boardstock)のようにより厚くより堅いものとしてもよい。本発明者らは、用語「紙」を、このような可能性を全て包含するように使用する。基紙112は、例えば2.5mil~20milの範囲の厚さを有してもよい。
【0012】
基紙112として使用するのに好適な紙は、ジョージア州アルファレッタのNeenah,Inc.から入手可能なNeenah Dispersa(商標)分散性紙である。水分散性紙が作製されたパルプは、少なくとも88質量%のα-セルロースを含有するまたは12質量%未満のヘミ-セルロースを含有する、いわゆる精製パルプを大量に含有する必要はない。そのような精製パルプは、例えば基材中の全パルプの15質量%未満を占めてもよい。Neenah(商標)Dispersa(商標)ブランドでいくつかの製品提供、例えば製品コード7630P0(厚さ3.0~3.4mil、ラベル用と言われている)、製品コード7741P0(厚さ14mil、タグおよび板紙用と言われている)、および製品コード7742P0(厚さ17mil、タグおよび板紙用と言われている)がある。
基紙112として使用するのに好適な他の水分散性紙も入手可能である。ニューヨーク州ノース・トナワンダのAquasol Corporationは、厚さ3milの水分散性の可撓性紙を製品コードASW-35/Sで販売している。SmartSolve Industries(CMC Groupの一部、オハイオ州ボーリング・グリーン)は、いくつかの水分散性紙製品、例えば製品コードIT117970の厚さ3milの水分散性の可撓性紙を販売している。
【0013】
上述の市販の水分散性紙のうちの幾種かは、それらの各々の製造業者のマーケティング文献において「水溶性」として記載されている。
一部の実施形態において、基紙112の水分散性紙は、米国特許第8,877,678号(Koyamaら)に開示されている高められた量の精製パルプを含有してもよい。精製パルプは、例えば基材中の全パルプの15~95質量%を占めてもよい。
ベースコート114は、基紙112の主表面のうちの1つ112aに直接塗布する。ベースコートは、バランスのとれた特色の組合せをもたらすように特別に調整されている。これらは、基紙の主表面112aの起伏または粗さを滑らかにすることができる十分な嵩または厚さを有すること;良好な熱隔離(低い熱伝導率)をもたらすのに十分な空気含量を有すること;および製品の通常の取扱い中に損なわれないままであるのに十分なほど強いが、下にある基紙112が溶解した後または溶解し始めた後または分散した後または分散し始めた後に水に曝されたとき、破断する(分散する)のに十分なほど弱い内部凝集性を有すること、を含む。
【0014】
本発明者らは、ベースコート中で非水溶性バインダー材料を他の成分と一緒に使用することの利点を発見し、そのようなバインダー材料は、適切な量で使用したとき、得られる記録媒体が水分散性になることを可能にし、すなわち、水の影響下で最小限の撹拌で破断することをさらに見出した。したがってベースコートのバインダー材料およびベースコート自体は非水溶性であるが、しかしながら記録材が全体として水分散性であるように調整されている。ベースコートのバインダー材料は、好ましくは非樹脂バインダー、粒状バインダー、および/または分散体由来のバインダー、例えばラテックスである。このようなバインダー材料を注意深く選択した濃度で他の要素と使用することにより、熱応答性層上に高印刷速度で高品質画像を感熱印刷することを可能にするベースコートがもたらされる。
基紙112の外表面に(直接)塗布された、好適に調整されたベースコート114は、基紙に水系コーティングを塗布することによって表面粗さが増加するにもかかわらず、製品の画像生成特性を実質的に改善することができる。ベースコート114は、好ましくは薄過ぎず、厚過ぎない。不十分なコート質量により、基紙から印刷可能層116を適切に隔離せず、基紙の起伏ある外形に単純に沿うベースコートが生成する。より多くの水によりコーティング手順中にシートの不安定さおよび粗化がますます生じうるので、ベースコート114のコート質量を増加させることには実質的に限界がある。また、厚すぎるベースコート114は層の内部凝集性を強くしすぎ、水に曝されたときに層114(および製品110全体)が素早く破断し、分散する能力を阻害しうる。好ましくは、ベースコート114は、少なくとも2マイクロメートルの厚さ、および1~5lbs/3300ft2(1.5~7.5g/m2)の範囲のコート質量を有してもよいが、所望の場合には他のコート質量および厚さも使用してもよい。
【0015】
ベースコート114の空気含量だけでなく嵩を増加させるため、本発明者らは、中空球状顔料(HSP)、例えばDow Chemical製のRopaque(商標)顔料をベースコート中に組み入れることが有用であることを見出した。HSPの中空ポリマー粒子は、ベースコートの嵩(厚さ)を改善して、基紙112の表面の粗化の影響を滑らかにすることができる。HSPの利益は、製造プロセス中に(ベースコートを基紙に塗布し、乾燥した後に)製品をカレンダーにかけた場合に、HSP粒子が、カレンダー表面と接触している表面において(ニップの圧力下で)変形して、従来の顔料を使用して作製されうるよりも滑らかな表面をもたらすことができるということである。HSP粒子は、典型的に数マイクロメートル以下、例えば0.4~2マイクロメートルの範囲の平均径を有する。HSP粒子は水に溶解しない。
【0016】
HSP以外の他の顔料、例えばか焼粘土もしくは他の粘土粒子、ならびに/または良好な嵩および水吸収特性を有する他の粒子、例えば沈降炭酸カルシウム(PCC)もしくはヒュームドシリカもベースコート114で使用することができ、好ましくは使用し、しかしそれら自体では基紙の粗化を克服するのに必要な嵩を典型的にもたらさない。このような他の顔料は水に溶解しない、または溶解しなくてもよい。ベースコート114中のHSPと1種または複数の他の顔料との混合物は、改善された被覆、滑らかさ、およびシート統合性の良好なバランスをもたらし、機械で読み取ることができるバーコードの高速度(および通常速度)での直接感熱印刷を可能にすることができる。
【0017】
本発明の別の重要な設計上の考慮および態様は、ベースコート114で使用することになるバインダー材料である。従来の知識により、水分散性記録材110のベースコート114で使用されるバインダー材料は水溶性であるべきであるということが示唆されるであろう。しかし本発明者らは、水溶性バインダー材料は、ベースコートの熱伝導率を増加させ、断熱特性を減少させる傾向があることを見出した。直接感熱画像の印刷品質は、直接感熱層を基紙からできるだけ断熱することによって向上するため、断熱の減少により画像品質が低下する。対照的に、水溶性ではない、本発明者らの好ましいバインダー材料は、速乾性溶液をもたらし、注意深く調整された濃度で使用した場合、基材の水分散性の性質を妨げずに、改善された断熱性を水溶性バインダーよりももたらす。ベースコート114に好ましいバインダー材料としては、非水溶性であるもの、非樹脂であるもの、粒状バインダーであるもの、および/または分散体由来のものが挙げられる。例示的なそのようなバインダー材料はラテックスである。代替または追加のバインダー材料としては、蒸煮デンプン、ポリビニルアルコール(PVA)、およびEastman Chemical Companyから入手可能なAQ(商標)ポリマーが挙げられうる。
【0018】
このバインダーの濃度を注意深く調整することは、材料110の通常の取扱いに耐えるように顔料粒子を一緒に保持する必要性と、断熱を増加させるためにベースコート114全体に多数の空気ポケットおよび空隙をもたらす必要性と、下にある基紙112が水の作用下で崩壊または溶解し始めたときにベースコートが容易に破断するように、ベースコートの比較的弱い内部凝集性をもたらす必要性と、のバランスをとる。このようなバランスのとれた、または調整された状況の概略図が、図2の拡大図に示されている。ここで、ベースコート114の代表的だが小さな部分230は、HSP粒子232、か焼粘土などの第2の顔料の粒子234、およびラテックスなどのバインダー粒子236で構成されている。バインダー粒子236は、顔料粒子を適切に一緒に保持するのに十分なほど数多くあるが、適切な断熱のために粒子間に多数の空気ポケットおよび空隙を維持するのに十分なほどまばらである。
望ましい特性のバランスをもたらすため、ラテックスまたは他の好適な非水溶性バインダーは、好ましくは10~30質量%、または15~20質量%の濃度でベースコート114中に存在する。HSPは、好ましくは20~50質量%、または30~50質量%の濃度でベースコート114中に存在する。か焼粘土または他の好適な第2の顔料は、好ましくは80質量%未満、または10~50質量%の範囲の濃度でベースコート中に存在する。
【0019】
図1に戻り、次に印刷可能層116をベースコート114の上にコーティングする。一部の実施形態において、印刷可能層116は直接感熱層であるか、またはそれを含み、その他の点では従来の設計のものとしてもよい。例えば直接感熱層は、ロイコ染料または他の塩基性発色材料と、酸性顕色材料との組合せを固体マトリックスまたはバインダー中に含んでもよい。例えば第3,539,375号(Baum)、第3,674,535号(Bloseら)、第3,746,675号(Bloseら)、第4,151,748号(Baum)、第4,181,771号(Hansonら)、第4,246,318号(Baum)、または第4,470,057号(Glanz)を参照されたい。他の公知の種類の直接感熱層、例えば米国特許出願公開第2019/0291493号(Fisherら)、「Direct Thermal Recording Media Based on Selective Change of State(選択的状態変化に基づく直接感熱レコーディング媒体)」において開示されているものを代わりに使用してもよい。2019年9月25日に出願された米国特許出願公開第62/905815号、「Direct Thermal Recording Media with Perforated Particles(穿孔粒子を含む直接感熱レコーディング媒体)」において開示されている、穿孔粒子および他の成分を直接感熱層中に含有する直接感熱層も使用することができる。
【0020】
他の実施形態において、分散性記録材110は、直接感熱印刷ではなく、代わりに他の印刷技術、例えばインクジェット印刷に適合されていてもよい。このような場合、印刷可能層116は、公知の設計のインクジェット受容層としてもよく、またはそれを含んでもよい。
図1に示すように、任意の保護トップコート118を印刷可能層116に塗布して、擦り傷などの取扱いに対する耐久性を改善することができ、水分散性および高速バーコード(高画像品質)感熱印刷の製品の特色を保ちながら、製品に加えることができる。トップコート118は、従来の設計のもの、例えば修飾または未修飾ポリビニルアルコールなどのバインダー、アクリルバインダー、架橋剤、潤滑剤、ならびに三水和アルミナおよび/またはシリカなどの充填剤を含む従来の設計のものとしてもよい。
記録材110は、示されているように、他の点では従来的である接着剤層122および剥離ライナー124を加えることにより、自己接着性ラベルとして使用することができる。接着剤層で使用される感圧接着剤(PSA)または他の接着剤は、使用後、例えば直接感熱印刷後にユーザーによりラベルが貼られた加工品からラベル全体を容易に洗い落として完全に除去できるように、好ましくは水分散性または水溶解性である。
【実施例0021】
(実施例1)
図1に全体的に示されているが、層118、122、および124を含まない記録材を作製し、試験した。使用した基紙112は、上記で言及したNeenah Dispersa(商標)分散性紙、製品コード7630P0であった。次にベースコート114を、6グラム毎平方メートル(gsm)のコート質量で主表面112aに塗布した。ベースコートの配合は以下の通りであった。
水: 40.5部
Mineral Pigment 1A: 21.5部
HSP@水中19.5%固体: 26.3部
ラテックス@水中50%固体: 11.5部
Mineral Pigment 1Aは、か焼粘土(Thiele Kaolin CompanyのKaocal)であった。使用したHSPは、公称1.6マイクロメートルの平均径を有する、Dow ChemicalのRopaque TH-2000AFであった。使用したラテックスは、SBRラテックス(Trinseo LLC.のLIGOS KX4505)であった。
【0022】
乾燥後、ベースコートの露出表面に印刷可能層116を塗布した。印刷可能層は、マトリックス中にロイコ染料と酸性顕色材料との組合せを含有する、従来の設計の直接感熱層であった。使用したロイコ染料は、ODB-2(CAS番号89331-94-2、化学名スピロ(イソベンゾフラン-1(3H),9’-(9H)キサンテン)-3-オン,6’-(エチル(4-メチルフェニル)アミノ)-3’-メチル-2’-(フェニルアミノ)-)であり、顕色剤は、TGSH(化学名ビス(3-アリル-4-ヒドロキシフェニル)スルホン)であった。得られた分散性直接感熱記録媒体には、Zebra(商標)感熱プリンターのモデル140-401-0004で、速度6、8、および10ipsで、工場の初期設定の加熱設定で、バーコードパターンを画像生成した。次に、得られたバーコード画像を、画像の品質の尺度としてANSI値について試験した。ANSI値は、波長650nmで作動する、TrueRemote(商標)Webscan(商標)Barcode VerifierのモデルTC-843を使用して測定した。3つの印刷速度それぞれで印刷した試料の試験結果のANSI値は全て1.5超であり、すなわち機械でのバーコード読取りについて信頼できるものであった。
実施例1を、液体の水に対する反応についても試験した。印刷された試料に水の穏やかな流れを向けると、試料は迅速かつ完全に崩壊し、分散することがわかった。
【0023】
(実施例2)
層112、114、および116(図1参照)のみを有する、実施例1といくつかの点で同様な記録材を作製した。使用した基紙112は、上記で言及した、SmartSolve Industriesにより販売されている水分散性紙製品、製品コードIT117970であった。この基紙は厚さ3milであった。次に、ベースコート114をコート質量6gsmで主表面112aに塗布し、乾燥させた。ベースコートの配合は実質的に以下の通りであった。
水: 32.1部
Mineral Pigment 1A(上記参照): 24.5部
HSP@水中19.5%固体: 29.3部
ラテックス@水中50%固体: 12.8部
次に、ベースコートの露出表面に印刷可能層116を塗布した。印刷可能層は、コート質量3gsmを有し、今回も、ODB-2およびTGSHを含有する従来の設計の直接感熱層であった。得られた分散性直接感熱記録媒体には、実施例1と同じようにバーコードパターンを画像生成した(Zebra(商標)プリンター、初期設定の加熱設定、印刷速度6、8、および10ips)。次に、得られたバーコード画像を、実施例1と同じようにANSI値について試験した。3つの印刷速度それぞれでの試験結果のANSI値は全て1.5超であった。
実施例2を、液体の水に対する反応についても試験した。印刷された試料に水の穏やかな流れを向けると、試料は迅速かつ完全に崩壊し、分散することがわかった。
【0024】
(実施例3)
層112、114、および116(図1参照)のみを有する、実施例1および2といくつかの点で同様な記録材を作製した。使用した基紙112は、実施例2で使用した同じ水分散性紙製品であった。次に、ベースコート114をコート質量3gsmで主表面112aに塗布し、乾燥させた。ベースコートの配合は実質的に以下の通りであった。
HSP@水中19.5%固体: 88.6部
ラテックス@水中50%固体: 8.3部
沈降炭酸カルシウム: 1.9部
重質炭酸カルシウム: 1.2部
次に、ベースコートの露出表面に印刷可能層116を塗布した。印刷可能層は、実施例2の印刷可能層と同じ組成およびコート質量を有した。得られた分散性直接感熱記録媒体には、実施例1および2と同じようにバーコードパターンを画像生成した(Zebra(商標)プリンター、初期設定の加熱設定、印刷速度6、8、および10ips)。次に、得られたバーコード画像を、実施例1および2と同じようにANSI値について試験した。3つの印刷速度それぞれでの試験結果のANSI値は全て1.5超であった。
実施例3を、液体の水に対する反応についても試験した。印刷された試料に水の穏やかな流れを向けると、試料は迅速かつ完全に崩壊し、分散することがわかった。
【0025】
(実施例4)
実施例1~3といくつかの点で同様であるが、トップコート層118(図1参照)を印刷可能層116の上に加えた記録材を作製した。使用した基紙112は、実施例2および3で使用した同じ水分散性紙製品であった。次に、ベースコート114をコート質量3gsmで主表面112aに塗布し、乾燥させた。ベースコートの配合は実質的に実施例3の通りであった。
次に、ベースコートの露出表面に印刷可能層116を塗布した。印刷可能層は、実施例2および3の印刷可能層と同じ組成およびコート質量を有した。
【0026】
次に、印刷可能層の露出表面にトップコート層118を塗布した。トップコート層はコート質量3gsmを有し、その組成はインクジェット受容性となるよう調整した。その配合は、実質的に以下の通りである。
水酸化アルミニウム@水中40%固体: 33.7部
ポリビニルアルコール(PVA)@水中9.0%固体: 31.3部
水: 10.9部
架橋剤: 9.4部
非晶質シリカ@水中30%固体: 7.8部
BASF Catiofast 159A: 4.7部
プリントヘッド潤滑剤(Hildorin H-526): 2.1部
したがって、トップコートは第2の(または別の)印刷可能層ともみなすことができ、それ自体の表面上へのインクジェット印刷を可能にしながら、同時に、下にある印刷可能層116での画像の直接感熱印刷を可能にする。
【0027】
得られた分散性記録材には、実施例1~3と同じように(層118を通して層116に)バーコードパターンを画像生成した(Zebra(商標)プリンター、初期設定の加熱設定、印刷速度6、8、および10ips)。次に、得られたバーコード画像を、実施例1~3と同じようにANSI値について試験した。最も遅い印刷速度(6ips)での試験結果のANSI値は1.5超であったが、より速い印刷速度(8および10ips)でのANSI値は両方とも1.5未満であった。
HP Photosmart(商標)インクジェットプリンターのモデル7960を使用して、実施例4にそのトップコート上で印刷した。プリンターの出荷時設定のキャリブレーションページは、試料のインクジェット適合性を見極めるために印刷および評価されたパターンまたは画像であった。その評価は、印刷された試料が許容される画像品質を有したことを示し、インクのしみまたは線のブリードの証拠は示さなかった。
実施例4を、液体の水に対する反応についても試験した。印刷された試料に水の穏やかな流れを向けると、試料は完全かつ迅速に崩壊して分散するが、実施例1~3のように急速ではないことがわかった。
【0028】
上述の本開示の詳細な説明において、本明細書の一部をなす添付の図面を参照しており、図面では、本開示の実施例がどのように実行されうるかを例として示している。これらの実施例は、当業者が本開示の実施例を実行するのを可能にするのに十分に詳細に記載されており、他の実施例が利用されてもよいこと、および本開示の範囲を逸脱することなくプロセスおよび/または構造が変更されてもよいことを理解すべきである。
別段の指示がない限り、本明細書および特許請求の範囲で使用される、量、測定された特性、および同等のものを表す全ての数字は、用語「約」で修飾されているものとして理解するものとする。したがって、そうではないと示されていない限り、本明細書および特許請求の範囲において記載されている数値パラメータは、本明細書の教示を利用する当業者が得ようとする所望の特性に応じて変動しうる近似値である。特許請求の範囲への均等論の適用を制限するものではないが、各数値パラメータは、報告された有効桁数を踏まえ、かつ通常の四捨五入法を適用することによって少なくとも解釈されるべきである。
【0029】
様々な実施形態を記載するための、関係を示す用語、例えば「頂部」、「底部」、「上部」、「下部」、「上の」、「下の」、および同等のものの使用は、本明細書の一部の実施形態の記載を容易にするために便宜上使用されているにすぎない。そのような用語の使用にもかかわらず、本開示は、任意の特定の向きまたは相対位置に限定されるものとして解釈されるべきではなく、むしろ、上記の実施形態に加えて、任意の向きおよび相対位置を有する実施形態を包含すると理解されるべきである。
本発明の様々な変形および変更は、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく当業者に明らかとなり、本発明は、本明細書に記載された例示的な実施形態に限定されない。読者は、別段の指示がない限り、開示された一実施形態の特色が他の全ての開示された実施形態にも適用されうることを想定すべきである。
図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2024-05-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水溶性紙または水分散性紙を含む基材、
基材に担持された印刷可能層、および
非水溶性バインダーを含む、基材と印刷可能層との間のベースコート
を含む、記録材。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0029
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0029】
様々な実施形態を記載するための、関係を示す用語、例えば「頂部」、「底部」、「上部」、「下部」、「上の」、「下の」、および同等のものの使用は、本明細書の一部の実施形態の記載を容易にするために便宜上使用されているにすぎない。そのような用語の使用にもかかわらず、本開示は、任意の特定の向きまたは相対位置に限定されるものとして解釈されるべきではなく、むしろ、上記の実施形態に加えて、任意の向きおよび相対位置を有する実施形態を包含すると理解されるべきである。
本発明の様々な変形および変更は、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく当業者に明らかとなり、本発明は、本明細書に記載された例示的な実施形態に限定されない。読者は、別段の指示がない限り、開示された一実施形態の特色が他の全ての開示された実施形態にも適用されうることを想定すべきである。
本発明のまた別の態様は、以下のとおりであってもよい。
[1]水溶性紙または水分散性紙を含む基材、
基材に担持された印刷可能層、および
非水溶性バインダーを含む、基材と印刷可能層との間のベースコート
を含む、記録材。
[2]印刷可能層が熱応答性層である、[1]に記載の記録材。
[3]印刷可能層上に配置されたトップコート層
をさらに含む、[1]に記載の記録材。
[4]トップコート層がインクジェット印刷受容性である、[3]に記載の記録材。
[5]印刷可能層がインクジェット受容層である、[1]に記載の記録材。
[6]ベースコートが非水溶性であるが、記録材が水分散性である、[1]に記載の記録材。
[7]非水溶性バインダーが、非樹脂、または粒状、または分散体由来である、[1]に記載の記録材。
[8]非水溶性バインダーがラテックスを含む、[1]に記載の記録材。
[9]非水溶性バインダーがラテックスであり、ラテックスが10~30質量%の濃度でベースコート中に存在する、[1]に記載の記録材。
[10]ラテックスが15~20質量%の濃度でベースコート中に存在する、[9]に記載の記録材。
[11]ベースコートが中空球状顔料(HSP)を含む、[1]に記載の記録材。
[12]HSPが20~50質量%の濃度でベースコート中に存在する、[11]に記載の記録材。
[13]HSPが30~50質量%の濃度でベースコート中に存在する、[12]に記載の記録材。
[14]ベースコートが、粘土粒子、沈降炭酸カルシウム、およびヒュームドシリカの群から選択される第2の顔料を含む、[11]に記載の記録材。
[15]第2の顔料が80質量%未満の濃度でベースコート中に存在する、[14]に記載の記録材。
[16]第2の顔料が10~50質量%未満の濃度でベースコート中に存在する、[15]に記載の記録材。
[17]基材がパルプを含有し、少なくとも88質量%のα-セルロースを含有するまたは12質量%未満のヘミ-セルロースを含有する精製パルプが、基材中の全パルプの15質量%未満を占める、[1]に記載の記録材。
[18]基材がパルプを含有し、少なくとも88質量%のα-セルロースを含有するまたは12質量%未満のヘミ-セルロースを含有する精製パルプが、基材中の全パルプの15~95質量%を占める、[1]に記載の記録材。
[19]直接感熱プリンターで使用されて熱誘導画像をもたらすように構成されており、そのような直接感熱プリンターで6インチ毎秒の印刷速度で使用されたときの記録材の印刷品質が、少なくとも1.5のANSI値で特徴づけられる、[2]に記載の記録材。
[20]そのような直接感熱プリンターで10インチ毎秒の印刷速度で使用されたときの記録材の印刷品質が、少なくとも1.5のANSI値で特徴づけられる、[19]に記載の記録材。
【外国語明細書】