(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024105359
(43)【公開日】2024-08-06
(54)【発明の名称】プログラム、情報処理装置、及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 20/40 20120101AFI20240730BHJP
G06Q 20/08 20120101ALI20240730BHJP
【FI】
G06Q20/40 320
G06Q20/08
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024071810
(22)【出願日】2024-04-25
(62)【分割の表示】P 2020044898の分割
【原出願日】2020-03-16
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.PYTHON
2.SWIFT
3.KOTLIN
(71)【出願人】
【識別番号】514053169
【氏名又は名称】株式会社メルカリ
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】中村 奎太
(57)【要約】
【課題】電子商取引プラットフォームへの出品に基づいて債務の返済日の延長を受けたり、融資を受けたりすることで、より柔軟な債務返済を実現することのできる仕組みを実現可能な情報処理方法、プログラム、及び情報処理装置を提供することを目的とする。
【解決手段】1又は複数のプロセッサを含む情報処理装置が実行する情報処理方法であって、前記1又は複数のプロセッサが、第1ユーザが利用する第1情報処理装置から、出品物の出品依頼を取得する処理と、前記出品物を出品する処理と、前記出品物の出品価格又は相場価格に基づいて、前記第1ユーザに対応づけられた債務の返済の遅延を許可する処理と、を実行する情報処理方法。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1又は複数のプロセッサを含む情報処理装置が実行する情報処理方法であって、
前記1又は複数のプロセッサが、
第1ユーザが利用する第1情報処理装置から、出品物の出品依頼を取得する処理と、
前記出品物を出品する処理と、
前記出品物の出品価格又は相場価格に基づいて、前記第1ユーザに対応づけられた債務の返済の遅延を許可する処理と、を実行する情報処理方法。
【請求項2】
前記返済の遅延を許可する処理は、前記出品物の出品価格又は相場価格と、前記第1ユーザの信用スコアと、に基づいて、前記第1ユーザに対応づけられた債務の返済の遅延を許可する処理を含む、請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項3】
前記返済の遅延を許可する処理は、
前記出品物に対する第2ユーザからのアクションに基づいて、前記債務を遅延させる日数、及び/又は、遅延させる債務額を決定する処理を含む、請求項1又は2に記載の情報処理方法。
【請求項4】
前記返済の遅延を許可する処理は、
前記第2ユーザからのアクションの数に基づいて、前記債務を遅延させる日数、及び/又は、遅延させる債務額を決定する処理を含む、請求項3に記載の情報処理方法。
【請求項5】
前記アクションが、前記出品物のページの閲覧、前記出品物のお気に入り登録及び前記出品物に対するコメントの付与のうち少なくとも1つを含む、請求項3又は4に記載の情報処理方法。
【請求項6】
前記返済の遅延を許可する処理は、
前記信用スコアに基づいて、前記債務を遅延させる日数、及び/又は、遅延させる債務額を決定する処理を含む、請求項2~5のいずれか一項に記載の情報処理方法。
【請求項7】
前記信用スコアが大きいほど、前記債務を遅延させる日数を長く、及び/又は、遅延させる債務額を大きく決定する処理を含む、請求項6に記載の情報処理方法。
【請求項8】
前記出品物の出品がキャンセルされた場合に、前記返済の遅延の許可を取り消す処理をさらに実行させる、請求項1~7のいずれか一項に記載の情報処理方法。
【請求項9】
前記出品物が取引された場合に、前記出品物の売上金の少なくとも一部を、前記第1ユーザに対応づけられた債務の返済に充てる処理をさらに実行させる、請求項1~8のいずれか一項に記載の情報処理方法。
【請求項10】
前記債務の返済に充てる処理は、
前記出品物の売上金を、前記出品物が取引された日以降で最も近い返済日の債務の返済に充てることを含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の情報処理方法。
【請求項11】
情報処理装置に含まれる、1つ又は複数のプロセッサに、
第1ユーザが利用する第1情報処理装置から、出品物の出品依頼を取得する処理と、
前記出品物を出品する処理と、
前記出品物の出品価格又は相場価格に基づいて、前記第1ユーザに対応づけられた債務の返済の遅延を許可する処理と、を実行させる、プログラム。
【請求項12】
1つ又は複数のプロセッサを含む情報処理装置であって、
前記1又は複数のプロセッサが、
第1ユーザが利用する第1情報処理装置から、出品物の出品依頼を取得する処理と、
前記出品物を出品する処理と、
前記出品物の出品価格又は相場価格に基づいて、前記第1ユーザに対応づけられた債務の返済の遅延を許可する処理と、を実行する情報処理装置。
【請求項13】
1又は複数のプロセッサを含む情報処理装置が実行する情報処理方法であって、
前記1又は複数のプロセッサが、
第1ユーザが利用する第1情報処理装置から、出品物の出品依頼を取得する処理と、
前記出品物を出品する処理と、
前記出品物の出品価格又は相場価格と、前記第1ユーザの信用スコアと、に基づいて決定される与信を、前記第1ユーザに対応づけられた与信枠に追加する処理と、を実行する情報処理方法。
【請求項14】
前記与信枠に追加する処理は、
前記出品物に対する第2ユーザからのアクションに基づいて、前記与信を決定する処理を含む、請求項13に記載の情報処理方法。
【請求項15】
前記与信枠に追加する処理は、
前記第2ユーザからのアクションの数に基づいて、前記与信を決定する処理を含む、請求項14に記載の情報処理方法。
【請求項16】
前記アクションが、前記出品物のページの閲覧、前記出品物のお気に入り登録及び前記出品物に対するコメントの付与のうち少なくとも1つを含む、請求項14又は15に記載の情報処理方法。
【請求項17】
前記信用スコアが大きいほど、前記与信を大きく決定する処理を含む、請求項13~16のいずれか一項に記載の情報処理方法。
【請求項18】
前記出品物の出品がキャンセルされた場合に、前記与信を取り消す処理をさらに実行させる、請求項13~17のいずれか一項に記載の情報処理方法。
【請求項19】
前記出品物に付与された前記第1ユーザの与信枠の限度内で、前記第1ユーザから、融資依頼を取得する処理と、
前記融資依頼に応じて、前記第1ユーザに対して融資を行う処理と、をさらに実行させる、請求項13~18のいずれか一項に記載の情報処理方法。
【請求項20】
前記融資を行うステップは、
前記融資を電子商取引プラットフォームにおいて使用可能な金銭等価物により行うステップを含む、請求項19に記載の情報処理方法。
【請求項21】
前記出品物が取引された場合に、当該出品物の売上金の少なくとも一部を、前記融資の返済に充てる処理をさらに実行させる、請求項19又は20に記載の情報処理方法。
【請求項22】
情報処理装置に含まれる、1つ又は複数のプロセッサに、
第1ユーザが利用する第1情報処理装置から、出品物の出品依頼を取得する処理と、
前記出品物を出品する処理と、
前記出品物の出品価格又は相場価格と、前記第1ユーザの信用スコアと、に基づいて決定される与信を、前記第1ユーザに対応づけられた与信枠に追加する処理と、を実行させる、プログラム。
【請求項23】
1つ又は複数のプロセッサを含む情報処理装置であって、
前記1又は複数のプロセッサが、
第1ユーザが利用する第1情報処理装置から、出品物の出品依頼を取得する処理と、
前記出品物を出品する処理と、
前記出品物の出品価格又は相場価格と、前記第1ユーザの信用スコアと、に基づいて決定される与信を、前記第1ユーザに対応づけられた与信枠に追加する処理と、を実行する情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、プログラム、情報処理装置、及び情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インターネットや通信回線を利用した個人間の出品物取引が行われている。例えば、出品ユーザは所定の取引プラットフォームに物品を登録して出品を行い、購入ユーザもまた、所定の取引プラットフォームに出品されている物品に対して購入申請を行う。
【0003】
このような電子商取引においては、出品物を出品してから出品ユーザが実際に金銭を受け取るまでにある程度の期間を必要とし、出品から即時に、あるいは迅速に金銭を受け取ることはできない。これを解消するため、例えば、特許文献1には、販売者から融資の申し込みがあった場合に、オークションへの参加実績などに基づいて、当該販売者が融資先として適切か否かを調査する信用調査を経て、所定の融資を行なう技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、電子商取引プラットフォームにおける出品を利用して、より柔軟な債務返済をサポートする仕組みも望まれる。
【0006】
そこで、本開示は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、電子商取引プラットフォームへの出品を行うことによって、より柔軟な債務返済を実現可能にする情報処理方法、プログラム、及び情報処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一実施形態に係る情報処理方法は、1又は複数のプロセッサを含む情報処理装置が実行する情報処理方法であって、前記1又は複数のプロセッサが、第1ユーザが利用する第1情報処理装置から、出品物の出品依頼を取得する処理と、前記出品物を出品する処理と、前記出品物の出品価格又は相場価格に基づいて、前記第1ユーザに対応づけられた債務の返済の遅延を許可する処理と、を実行する情報処理方法である。
【0008】
また、本開示の他の実施形態に係る情報処理方法は、1又は複数のプロセッサを含む情報処理装置が実行する情報処理方法であって、前記1又は複数のプロセッサが、第1ユーザが利用する第1情報処理装置から、出品物の出品依頼を取得する処理と、前記出品物を出品する処理と、前記出品物の出品価格又は相場価格と、前記第1ユーザの信用スコアと、に基づいて決定される与信を、前記第1ユーザに対応づけられた与信枠に追加する処理と、を実行する情報処理方法である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1実施形態の一態様に係る取引システムの構成の一例、開示に係るサーバのハードウェア構成の一例、本開示に係る端末のハードウェア構成の一例、及び第1実施形態に係る取引システムの構成を示すブロック図の一例を示す図である。
【
図2】第1実施形態の一態様に係るサーバ110Bのハードウェア構成について説明する図である。
【
図3】第1実施形態に係る取引システムの構成を模式的に示す。
【
図4】第1実施形態に係るサーバ110のメモリに格納されるユーザ管理データの一例を示す図である。
【
図5】第1実施形態に係るサーバ110のメモリに格納される取引管理データの一例を示す図である。
【
図6】第1実施形態に係るサーバ110Bのメモリに格納される債務管理データの一例を示す図である。
【
図7】第1実施形態に係る取引システムの処理のシーケンスの一例を示す図である。
【
図8】第1実施形態の実施例に係る処理のシーケンスの一例を示す図である。
【
図9】第2実施形態に係る取引システムの構成を模式的に示す。
【
図10】第2実施形態の一態様に係る取引システムの構成の一例、開示に係るサーバのハードウェア構成の一例、本開示に係る端末のハードウェア構成の一例、及び第2実施形態に係る取引システムの構成を示すブロック図の一例を示す図である。
【
図11】第2実施形態に係るサーバ110のメモリに格納されるユーザ管理データの一例を示す図である。
【
図12】第2実施形態に係るサーバ110のメモリに格納される取引管理データの一例を示す図である。
【
図13】第2実施形態に係るサーバ110のメモリに格納される融資管理データの一例を示す図である。
【
図14】第2実施形態に係る取引システムの処理のシーケンスの一例を示す図である。
【
図15】第2実施形態の実施例に係る処理のシーケンスの一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<法令遵守>
本明細書に記載の開示は、実施される場合、本開示を実施する各国の法令を遵守のうえで実施される。また、本明細書に記載の開示は、各国の法令を遵守するために必要な、当業者が成し得る全ての変更、置換、変形、改変、および修正をもって実施される。
【0011】
本開示に係るプログラム、情報処理装置、及び情報処理方法を実施するための形態について、図面を参照して説明する。
【0012】
<システム構成>
図1は、本開示の実施形態に係る情報処理方法を有効に実施するための取引システム1の構成を示す。
図1に開示されるように、取引システム1では、ネットワーク130を介してサーバ110A、サーバ110Bと、端末120A、端末120B、端末120Cとが接続される。
【0013】
本開示において、サーバ110Aと、サーバ110Bとをそれぞれ区別する必要がない場合は、サーバ110Aとサーバ110Bとは、それぞれサーバ110と表現されてもよい。なお、ネットワーク130に接続されるサーバ110の数は限定されない。
【0014】
本開示において、端末120Aと、端末120Bと、端末120Cとをそれぞれ区別する必要がない場合は、端末120Aと端末120Bと端末120Cとは、それぞれ端末120と表現されてもよい。なお、ネットワーク130に接続される端末120の数は限定されない。
【0015】
本開示において、サーバ110と、端末120とをそれぞれ区別する必要がない場合は、サーバ110と端末120とは、それぞれ情報処理装置200と表現されてもよい。なお、ネットワーク130に接続される情報処理装置200の数は限定されない。
【0016】
サーバ110は、ネットワーク130を介してユーザが利用する端末120に、所定のサービスを提供する。所定のサービスは、限定でなく例として、決済サービス、金融サービス、電子商取引サービス、インスタントメッセージングサービスを代表とするSNS(Social Networking Service)、楽曲・動画・書籍などのコンテンツ提供サービス等を含む。サーバ110は、単独で1以上の所定のサービスを提供してもよいし、複数で1以上の所定のサービスを提供してもよい。サーバ110が1以上の端末120に所定のサービスを提供することで、ユーザが端末120を介して所定のサービスを利用することができる。
【0017】
本開示において、決済サービスは、1以上のユーザが金銭または金銭相当物の授受ができるサービスを含む。決済サービスは、限定でなく例として、一次元コード(バーコードなど)、二次元コード(QRコード(登録商標)など)(以下で、一次元コードおよび二次元コードをまとめて「二次元コード等」と総称する。)、近距離無線通信(NFC (Near Field Communication)、BLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)、Wi-Fi(登録商標)、超音波通信、赤外線通信など)を利用して決済を行うサービスを含む。また、代金の支払いを行うユーザ(支払者)の端末120が二次元コード等を読み取ることで決済を行うことを「ユーザ読取型コード決済」または「MPM(Merchant Presented Mode)」と表現し、支払いを行うユーザの端末120が二次元コード等を表示し、表示された二次元コード等を、代金を請求する店舗側等のユーザ(販売者、請求者)の端末120が読み取ることで決済を行うことを「店舗読取型コード決済」または「CPM(Consumer Presented Mode)」と表現する。なお、MPMおよびCPMは、動的であってもよいし、静的であってもよい。
【0018】
必要に応じて、ユーザXが利用する端末を端末120Xと表現し、ユーザXまたは端末120Xに対応づけられた、所定のサービスにおけるユーザに対応付けられた情報をユーザ情報Xと表現する。ユーザ情報は、限定でなく例として、ユーザにより入力される、または、所定のサービスにより付与される、ユーザの名前、ユーザのアイコン画像、ユーザの年齢、ユーザの性別、ユーザの住所、ユーザの趣味趣向、ユーザの識別子などのユーザに対応づけられた情報、ユーザに対応付けられた電子バリュー(電子マネー)の残高情報、ユーザに対応付けられたクレジットカード情報(クレジットカード番号など)を含むことができる。
【0019】
ネットワーク130は、2以上のサーバ110、又は2以上の端末120を接続する。ネットワーク130は、端末120がサーバ110に接続した後、データを送受信することができるように接続経路を提供する。
【0020】
ネットワーク130のうちの1以上の部分は、有線ネットワークや無線ネットワークであってもよい。ネットワーク130は、限定でなく例として、アドホック・ネットワーク(Ad Hoc Network)、イントラネット、エクストラネット、仮想プライベート・ネットワーク(Virtual Private Network:VPN)、ローカル・エリア・ネットワーク(Local Area Network:LAN)、ワイヤレスLAN(Wireless LAN:WLAN)、広域ネットワーク(Wide Area Network:WAN)、ワイヤレスWAN(Wireless WAN:WWAN)、大都市圏ネットワーク(Metropolitan Area Network:MAN)、インターネットの一部、公衆交換電話網(Public Switched Telephone Network:PSTN)の一部、携帯電話網、ISDNs(Integrated Service Digital Networks)、無線LANs、LTE(Long Term Evolution)、CDMA(Code Division Multiple Access)、ブルートゥース(Bluetooth(登録商標))、衛星通信等であってよく、これらが組合せられてもよい。ネットワーク130は、1つまたは複数のネットワーク130を含むことができる。
【0021】
サーバ110、端末120は、本開示に記載される機能および方法を実現できる情報処理装置であればどのような情報処理装置であってもよい。
【0022】
サーバ110、端末120は、限定ではなく例として、スマートフォン、携帯電話(フィーチャーフォン)、コンピュータ(限定でなく例として、デスクトップ、ラップトップ、タブレットなど)、サーバ装置、メディアコンピュータプラットホーム(限定でなく例として、ケーブル、衛星セットトップボックス、デジタルビデオレコーダなど)、ハンドヘルドコンピュータデバイス(限定でなく例として、PDA(Personal Digital Assistant)、電子メールクライアントなど)、ウェアラブル端末(限定でなく例として、メガネ型デバイス、時計型デバイスなど)、他種のコンピュータ、またはコミュニケーションプラットホーム等であってよく、これらが組み合わせられてもよい。
【0023】
<各情報処理装置のハードウェア構成>
(1)サーバのハードウェア構成
図1を用いて、取引システム1に含まれるサーバ110のハードウェア構成について説明する。
【0024】
サーバ110は、プロセッサ111と、メモリ112と、ストレージ113と、入出力インタフェース(入出力I/F)114と、入力装置115と、出力装置116と、送受信部117とを有する。サーバ110のハードウェアの各構成要素は、限定でなく例として、バスBを介して相互に接続される。
【0025】
サーバ110は、プロセッサ111と、メモリ112と、ストレージ113と、入出力I/F114と、送受信部117との協働により、本開示に記載される処理、機能、または、方法を実現する。
【0026】
プロセッサ111は、ストレージ113に記憶されるプログラムに含まれるコード、または、命令によって実現する処理、機能、または、方法を実行する。プロセッサ111は、限定でなく例として、1又は複数の中央処理装置(CPU)、MPU(Micro Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、マイクロプロセッサ(microprocessor)、プロセッサコア(processor core)、マルチプロセッサ(multiprocessor)、ASIC(Application-Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等を含み、集積回路(IC(Integrated Circuit)チップ、LSI(Large Scale Integration))等に形成された論理回路(ハードウェア)や専用回路によって各実施形態に開示されるそれぞれの、処理、機能、または、方法を実現してもよい。また、これらの回路は、1または複数の集積回路により実現されてよく、各実施形態に示す複数の処理を1つの集積回路により実現されることとしてもよい。また、LSIは、集積度の違いにより、VLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIなどと呼称されることもある。
【0027】
メモリ112は、ストレージ113からロードしたプログラム1121を一時的に記憶し、プロセッサ111に対して作業領域を提供する。メモリ112には、プロセッサ111がプログラムを実行している間に生成される各種データも一時的に格納される。メモリ112は、限定でなく例として、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等であってよく、これらが組み合わせられてもよい。
【0028】
ストレージ113は、プログラムやモジュール、各種データを記憶する。ストレージ113は、限定でなく例として、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリ等であってよく、これらが組み合わせられてもよい。
【0029】
入出力I/F114は、サーバ110に対する各種操作を入力する入力装置115、および、サーバ110で処理された処理結果を出力する出力装置116に接続する。
【0030】
入力装置115は、ユーザからの入力を受け付けて、入出力I/F114を介し、当該入力に係る情報をプロセッサ111に伝達できる全ての種類の装置のいずれか、または、その組み合わせにより実現される。入力装置は、限定でなく例として、タッチパネル、タッチディスプレイ、キーボード等のハードウェアキーや、マウス等のポインティングデバイス、カメラ(画像を介した操作入力)、マイク(音声による操作入力)等であってよく、これらが組み合わせられてもよい。
【0031】
出力装置116は、入出力I/F114を介し、プロセッサ111で処理された処理結果を出力することができる全ての種類の装置のいずれか、または、その組み合わせにより実現される。当該処理結果を映像または動画像として出力する場合、出力装置116は、フレームバッファに書き込まれた表示データに従って、当該表示データを表示することができる全ての種類の装置のいずれかまたはその組み合わせにより実現される。出力装置116は、限定でなく例として、タッチパネル、タッチディスプレイ、モニタ(限定でなく例として、液晶ディスプレイ、OELD(Organic Electroluminescence Display)など)、ヘッドマウントディスプレイ(HDM:Head Mounted Display)、プロジェクションマッピング、ホログラム、空気中など(真空であってもよい)に画像やテキスト情報等を表示可能な装置、スピーカ(音声出力)、プリンター等であってよく、これらが組み合わせられてもよい。なお、これらの出力装置は、3Dで表示データを表示可能であってもよい。
【0032】
なお、入力装置115と出力装置116が一体化していてもよいし、入力装置115と出力装置116とは分離していてもよい。
【0033】
送受信部117は、ネットワーク130を介して各種データの送受信を行う。当該通信は、有線、無線のいずれで実行されてもよく、互いの通信が実行できるのであれば、どのような通信プロトコルを用いてもよい。送受信部117は、ネットワーク130を介して、他の情報処理装置との通信を実行する機能を有する。送受信部117は、各種データをプロセッサ111からの指示に従って、他の情報処理装置に送信する。また、送受信部117は、他の情報処理装置から送信された各種データを受信し、プロセッサ111に伝達する。
【0034】
(2)端末120のハードウェア構成
図1を用いて、取引システム1に含まれる端末120のハードウェア構成について説明する。
【0035】
端末120は、プロセッサ121と、メモリ122と、ストレージ123と、入出力I/F124と、入力装置125と、出力装置126と、送受信部127とを有する。端末120のハードウェアの各構成要素は、限定でなく例として、バスBを介して相互に接続される。
【0036】
端末120は、プロセッサ121と、メモリ122と、ストレージ123と、入出力I/F124と、入力装置125と、出力装置126と、送受信部127との協働により、本開示に記載される処理、機能、または、方法を実現する。
【0037】
プロセッサ121は、ストレージ123に記憶されるプログラムに含まれるコードまたは命令によって実現する処理、機能、または、方法を実行する。プロセッサ121は、限定でなく例として、中央処理装置(CPU)、MPU(Micro Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、マイクロプロセッサ(microprocessor)、プロセッサコア(processor core)、マルチプロセッサ(multiprocessor)、ASIC(Application-Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等を含み、集積回路(IC(Integrated Circuit)チップ、LSI(Large Scale Integration))等に形成された論理回路(ハードウェア)や専用回路によって各実施形態に開示されるそれぞれの、処理、機能、または、方法を実現してもよい。また、これらの回路は、1または複数の集積回路により実現されてよく、各実施形態に示す複数の処理を1つの集積回路により実現されることとしてもよい。また、LSIは、集積度の違いにより、VLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIなどと呼称されることもある。
【0038】
メモリ122は、ストレージ123からロードしたプログラム1221を一時的に記憶し、プロセッサ121に対して作業領域を提供する。メモリ122には、プロセッサ121がプログラム1221を実行している間に生成される各種データも一時的に格納される。メモリ122は、限定でなく例として、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等であってよく、これらが組み合わせられてもよい。
【0039】
ストレージ123は、プログラムや各種データを記憶する。ストレージ123は、限定でなく例として、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリ等であってよく、これらが組み合わせられてもよい。
【0040】
入出力I/F124は、端末120に対する各種操作を入力する入力装置125、および、端末120で処理された処理結果を出力する出力装置126に接続する。
【0041】
入力装置125は、ユーザからの入力を受け付けて、当該入力に係る情報をプロセッサ121に伝達できる全ての種類の装置のいずれか、または、その組み合わせにより実現される。入力装置は、限定でなく例として、タッチパネル、タッチディスプレイ、キーボード等のハードウェアキーや、マウス等のポインティングデバイス、カメラ(画像を介した操作入力)、マイク(音声による操作入力)等であってよく、これらが組み合わせられてもよい。
【0042】
出力装置126は、プロセッサ121で処理された処理結果を出力することができる全ての種類の装置のいずれか、または、その組み合わせにより実現される。当該処理結果を映像または動画像として出力する場合、出力装置は、フレームバッファに書き込まれた表示データに従って、当該表示データを表示することができる全ての種類の装置のいずれかまたはその組み合わせにより実現される。出力装置は、限定でなく例として、タッチパネル、タッチディスプレイ、モニタ(限定でなく例として、液晶ディスプレイ、OELD(Organic Electroluminescence Display)など)、ヘッドマウントディスプレイ(HDM:Head Mounted Display)、プロジェクションマッピング、ホログラム、空気中など(真空であってもよい)に画像やテキスト情報等を表示可能な装置、スピーカ(音声出力)、プリンター等であってよく、これらが組み合わせられてもよい。なお、これらの出力装置は、3Dで表示データを表示可能であってもよい。
【0043】
なお、入力装置125と出力装置126が一体化していてもよいし、入力装置125と出力装置126とは分離していてもよい。
【0044】
送受信部127は、ネットワーク130を介して各種データの送受信を行う。当該通信は、有線、無線のいずれで実行されてもよく、互いの通信が実行できるのであれば、どのような通信プロトコルを用いてもよい。送受信部127は、ネットワーク130を介して、他の情報処理装置との通信を実行する機能を有する。送受信部127は、各種データをプロセッサ121からの指示に従って、他の情報処理装置に送信する。また、送受信部127は、他の情報処理装置から送信された各種データを受信し、プロセッサ121に伝達する。
【0045】
(3)その他
1以上の情報処理装置で構成されるクラウドコンピューティングが、サーバ110、または、端末120における処理、機能、または、方法の少なくとも一部を実現してもよい。
【0046】
他の情報処理装置が、サーバ110または端末120における処理、機能、または、方法の少なくとも一部を実現してもよい。この場合、他の情報処理装置のプロセッサが、プロセッサ111またはプロセッサ121により実現される処理のうち少なくとも一部の処理を実現してもよい。
【0047】
本開示の各実施形態の処理を実行するプログラムは、コンピュータに読み取り可能な記憶媒体に記憶された状態で提供されてもよい。 記憶媒体は、「一時的でない有形の媒体」に、プログラムを記憶可能である。プログラムは、限定でなく例として、ソフトウェアプログラムやコンピュータプログラム等であってよい。
【0048】
記憶媒体は、1つまたは複数の半導体ベースの、または他の集積回路(IC)(限定でなく例として、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、特定用途向けIC(ASIC)など)、ハード・ディスク・ドライブ(HDD)、ハイブリッド・ハード・ドライブ(HHD)、光ディスク、光ディスクドライブ(ODD)、光磁気ディスク、光磁気ドライブ、フロッピィ・ディスケット、フロッピィ・ディスク・ドライブ(FDD)、磁気テープ、固体ドライブ(SSD)、RAMドライブ、セキュア・デジタル・カードもしくはドライブ、任意の他の適切な記憶媒体等であってよく、これらが組み合わせられてもよい。記憶媒体は、揮発性、不揮発性、または、揮発性と不揮発性の組合せでよい。
【0049】
また、本開示のプログラムは、当該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して、サーバ110、または、端末120に提供されてもよい。
【0050】
また、本開示の各実施形態は、プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
【0051】
なお、本開示のプログラムは、限定でなく例として、JavaScript(登録商標)、Pythonなどのスクリプト言語、C言語、Go言語、Swift、Kotlin、Java(登録商標)などを用いて実装されてもよい。
【0052】
<その他>
明示的な言及のない限り、本開示の実施形態における判定の構成は必須でなく、判定条件を満たした場合に所定の処理が動作されたり、判定条件を満たさない場合に所定の処理がされたりしてもよい。
【0053】
本開示は、本開示に対して、当業者が成し得る全ての変更、置換、変形、改変、または修正を包含する。また、添付の特許請求の範囲は、特許請求の範囲対して、当業者が成し得る全ての変更、置換、変形、改変、または修正を包含する。さらに、本開示は、当業者が成し得る、本開示における実施形態または実施例の1以上の特徴と、本開示における他の実施形態または実施例の1以上の特徴との任意の組合せを包含する。
【0054】
加えて、特定の機能を実施するように適合される、配置される、能力を有する、構成される、使用可能である、動作可能である、または動作できる装置またはシステムあるいは装置またはシステムの構成要素に対する添付の特許請求の範囲での参照は、その装置、システム、または構成要素がそのように適合される、配置される、能力を有する、構成される、使用可能にされる、動作可能にされる、または動作できる限り、その装置、システム、構成要素またはその特定の機能がアクティベートされ、オンにされ、またはロック解除されているか否かに関わらず、その装置、システム、構成要素を包含する。
【0055】
本開示は、明示されない限り、いずれの実施形態または実施例を実施するに際して、事前に、または、実施の直前にユーザからの同意を取得してもよい。また、取得する同意は、包括的なものでもよく、都度取得するものでもよい。
【0056】
以下、本開示の一例に係る実施形態について、図面を参照して説明する。ただし、以下に説明する実施形態及び実施例は例示であり、以下に明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図ではない。すなわち、本開示の一例は、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。また、以下の図面の記載において、同一または類似の部分には同一または類似の符号を付しており、図面は模式的なものであって、必ずしも実際の寸法や比率などとは一致しない。さらに、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれることがある。
【0057】
<第1実施形態>
第1実施形態は、ユーザ間の取引システム1において、第1ユーザである出品ユーザが出品した出品物の出品価格又は相場価格に基づいて、出品ユーザに対応付けられた債務の返済の遅延を許可することにより、出品ユーザに対して出品物に基づく債務返済の延長を可能とする実施形態である。
【0058】
図3は、第1実施形態に係る取引システムの構成を説明するための図である。当該構成においては、複数の情報処理装置200、例えば、出品ユーザの端末120A、購入ユーザの端末120B、電子商取引プラットフォームを運営、管理する者により利用されるサーバ110Aによって、取引システム1が構築される。
【0059】
なお、サーバ110Aは、必要に応じて、ユーザの有する債務に対する債権者が管理するサーバ110Bと連携していてもよい。サーバ110Bは、電子商取引プラットフォームと連携する決済サービスに関するサーバであってもよい。なお、これに限らず、サーバ110Aとサーバ110Bとが統合された1のサーバによって本開示の各処理、各機能又は各方法が実現されてもよい。さらに、サーバ110Aは、サーバ110Bによって実現される少なくとも1の処理、機能又は方法を実現してもよく、110Bはサーバ110Aによって実現される少なくとも1の処理、機能又は方法を実現してもよい。
【0060】
また、サーバ110Bが提供する決済サービスは、本開示を適用可能な決済サービスであればどのようなものでもよい。例えば、二次元コードなどを用いたコード決済であってもよいし、電子マネーなどを用いた決済であってもよい。
【0061】
図3に示す例では、A.出品物を電子商取引プラットフォームに出品、B.債務返済の遅延許可、C.債務返済の遅延依頼及び遅延処理、D.出品物の取引、E.遅延した債務の返済、の流れで電子商取引と債務の遅延許可とを関連付けたサービスが行われる。以下、サービスの流れについて説明する。
【0062】
(A.出品物を電子商取引プラットフォームに出品)
出品ユーザは、端末120Aを用いて、販売したい出品物の情報と価格を、電子商取引プラットフォームに登録する。これにより、出品物が電子商取引プラットフォームで出品される。この電子商取引プラットフォームでは、商品情報が公開され、任意のユーザに閲覧可能になる。また、サーバ110Aは、電子商取引プラットフォームの取引情報に基づいて、出品物の相場価格を特定する。この場合、サーバ110Aは、出品ユーザの信用スコアをさらに特定してもよい。
【0063】
(B.債務返済の遅延許可)
サーバ110Aは、出品物が出品されると、出品物の出品価格又は出品物の相場価格に基づいて、出品ユーザに対応付けられた債務の返済の遅延について、許可するか否かを決定する。また、この場合、延長の対象となる債務の遅延を許可する日数や期日や回数(以下、単に「遅延日数」ともいう。)や遅延を許可する債務額(以下、単に「遅延額」ともいう。)が決定されてもよい。
【0064】
(C.債務返済の遅延依頼及び遅延処理)
次いで、サーバ110Aは、債務返済の遅延許可に関する通知を、出品ユーザに送信する。そして、サーバ110Aは、債務返済の遅延を希望する旨の遅延依頼を出品ユーザが利用する端末120Aから受信すると、出品ユーザに対応付けられた債務の遅延処理を実行する。
【0065】
遅延日数及び/又は遅延額の決定は所定のタイミングで行うことができる。例えば、サーバ110Aは、出品物を出品した場合や、出品された出品物に対する購入候補ユーザが利用する端末120Bからのアクションを受けた場合に遅延日数及び/又は遅延額を決定してもよい。購入候補ユーザからのアクションは、出品された出品物に対するアクションであればどのようなものであってよい。購入候補ユーザからのアクションは、限定でなく例として、出品物のページの閲覧、出品物のお気に入り登録や、出品物に対するコメントの付与であってもよい。
【0066】
また、サーバ110Aは、所定の条件を満たす場合に、遅延日数及び/又は遅延額を決定してもよい。例えば、所定の条件とは、出品物の出品価格又は相場価格が所定値以上であること、出品中の出品物数が所定値以上であること、取引回数が所定回数以上であること、又はお気に入りに登録された出品物の数が所定値以上であることなどを含んでよい。
【0067】
(D.出品物の取引)
購入ユーザは、電子商取引プラットフォームに出品された出品物の商品情報を閲覧し、購入する出品物を決定する。取引については、公知の電子商取引プラットフォームの取引処理が実行されればよい。これにより、取引が成立し、出品物の配送処理、代金の支払い処理が実行される。
【0068】
(E.遅延した債務の返済)
債務の返済日の延長を受けた出品ユーザは、延長後の返済日までに債務を返済する。債務の返済方法は、特に制限されず、遅延依頼の際に取り決めた方法により行うことができる。例えば、出品物の取引が成立した際に、その代金の一部を債務の返済に充当してもよいし、出品物の取引の成立とは関係なく、当該出品ユーザが所定の期限までに公知の返済方法を利用して返済をするようにしてもよい。
【0069】
<第1実施形態の効果>
第1実施形態によれば、出品ユーザは、出品物の出品価格又は相場価格に基づいて、債務返済の遅延許可を受けることが可能となる。これにより、例えば、出品ユーザは出品物の出品により、債務返済が猶予されるため、より柔軟に債務返済を行うことができる。また、サーバ110Aは、出品物に対応付けて返済日を延長することにより、その出品物の売上から直接的又は間接的に債務に対する債権を回収することが可能となる。これにより、融資を行う者にとっては、債権回収のリスクを低減することができる。
【0070】
<第1実施形態の構成>
図1~2を用いてサーバ110A、サーバ110Bおよび端末120の構成を説明する。
【0071】
(1)サーバ110Aの構成
図1は、第1実施形態に係るサーバ110Aの構成を示すブロック図の一例を示す。サーバ110Aは、電子商取引プラットフォームにおける出品物を用いた債務遅延サービスに関するサーバとして機能する。サーバ110Aは、例えば、出品管理モジュール1122と、債務情報管理モジュール1123と、返済処理モジュール1124とを有する。なお、各機能または各処理は、実現可能な範囲において、機械学習またはAI(Artificial Intelligence)により実現されてもよい。
【0072】
図1に開示の各モジュールは、サーバ110Aが備える、プロセッサ111と、メモリ112と、ストレージ113と、入出力I/F114と、入力装置115と、出力装置116と、送受信部117との協働により実現される。例えば、出品管理モジュール1122と、債務情報管理モジュール1123と、返済処理モジュール1124とは、プロセッサ111が、ストレージ113に格納されているプログラムを読み出して実行することで実現されうる。
【0073】
出品管理モジュール1122は、出品物の出品依頼に基づき、出品物IDを設定して、出品ユーザが送信した商品情報及び出品価格を、取引管理データ1126に格納する。商品情報は、例えば、出品ユーザが撮影した出品物の出品物画像や、出品ユーザが入力又は選択した商品名などの出品物を特定するための情報である。出品管理モジュール1122は、取引管理データ1126に基づいて、出品物の相場価格を特定し、その相場価格を出品物に対応付けて取引管理データ1126に格納することができる。
【0074】
また、出品管理モジュール1122は、取引管理データ1126に基づいて、電子商取引プラットフォームを利用するユーザの信用スコアを算出し、ユーザ管理データ1125に記憶してもよい。ここで、ユーザの信用スコアとは、ユーザの信用力を示す指標であり、ユーザ情報や、ユーザの行動によって変動しうる。このような信用スコアは、限定でなく例として、取引回数、取引評価の数、取引評価における高評価の割合及び取引の速さ等のユーザ行動情報に基づいて算出されてもよい。また、信用スコアは公知の技術により算出されてもよく、公知の算出要素が含まれてもよい。
【0075】
次いで、出品管理モジュール1122は、取引管理データ1126に格納された商品情報及び出品価格を用いて出品物を出品し、電子商取引に係る処理を実行する。例えば、出品管理モジュール1122は、商品情報を公開して出品物の取引を実行し、取引が成立するまで、出品ユーザと購入ユーザとの取引を仲介する処理を実行する。また、出品管理モジュール1122は、出品ユーザと購入ユーザの双方の合意を取得すると、取引成立とみなし、決済処理を実行する。
【0076】
決済処理において、出品管理モジュール1122は、取引管理データ1126を確認し、取引された出品物に基づいて債務返済の遅延許可されている場合には、返済処理モジュール1124にその債務の返済処理を実行するよう指示することができる。
【0077】
債務情報管理モジュール1123は、出品物の出品価格又は相場価格に基づいて、債務の返済の遅延について、許可するか否かを決定する。また、債務情報管理モジュール1123は、出品物の出品価格又は相場価格と、出品ユーザの信用スコアと、に基づいて、債務の返済の遅延について、許可するか否かを決定するようにしてもよい。そして、出品ユーザが債務返済の遅延を希望する場合には、債務情報管理モジュール1123は、債務の遅延処理を実行する。例えば、債務情報管理モジュール1123は、出品価格又は相場価格が所定価格範囲内である場合や、信用スコアが所定の閾値以上である場合にのみ、債務の返済の遅延を許可するようにしてもよい。また、債務情報管理モジュール1123は、出品価格又は相場価格が高いほど、遅延日数を長く、また、遅延額を大きく決定してもよい。また、債務情報管理モジュール1123は、信用スコアが大きいほど、遅延日数を長く、また、遅延額を大きく決定してもよい。
【0078】
上記債務返済の遅延許可に先立ち、債務情報管理モジュール1123は、電子商取引プラットフォームを利用するユーザの債務に関する債務情報を取得する処理を実行してもよい。例えば、債務情報管理モジュール1123は、ユーザの端末120や店舗の端末、あるいはサーバ110Bから受信した決済情報であって、あと払いなどの所定期間経過後に決済処理が行われる決済情報を、債務情報として取得する。その際、債務情報には、例えば、決済情報毎に支払金額と支払日に関する情報が含まれてもよい。
【0079】
債務情報管理モジュール1123は、電子商取引プラットフォームを利用するユーザが債務を有する場合、債務情報を、送受信部117を介して端末120に送信するよう制御する。また、債務情報管理モジュール1123は、債務情報とともに電子商取引プラットフォームにおける出品物の出品を勧める通知を、送受信部117を介して端末120に送信するよう制御する。
【0080】
債務情報管理モジュール1123は、債務を有する出品ユーザが利用する端末120Aから、出品時又は出品中の出品物に基づいて債務返済の遅延を希望する旨の遅延依頼を、送受信部117を介して受信する。例えば、債務情報管理モジュール1123は、このような遅延依頼を受信した場合、取引管理データ1126の該当する出品物に関する情報に、その旨を記憶してもよい。
【0081】
返済処理モジュール1124は、出品ユーザの債務を返済する処理を実行する。例えば、返済処理モジュール1124は、遅延依頼に対応付けられた出品物の取引が完了した場合に、その出品物の売上金を債務の返済に充当する返済処理を実行する。また、返済処理が完了した場合に、返済処理モジュール1124は、ユーザの債務情報を更新し、債務残高をユーザに対して送信してもよい。
【0082】
返済処理モジュール1124は、ユーザが複数の出品物によって売上金を得ている場合には、複数の出品物による売上金を合計して、債務の返済処理を実行してもよい。この場合、返済処理モジュール1124は、売上金の合計額が、債務額よりも大きくなり、かつ、最も債務額に近くなる売上金の組み合わせを特定し、当該売上金の合計を債務の返済に充てるようにしてもよい。
【0083】
返済処理モジュール1124は、売上金の合計額のうち債務の額を超過した額を、電子商取引プラットフォームで利用可能な金銭等価物として、ユーザに対応付けてもよい。また、返済処理モジュール1124は、売上金の合計額が債務の額未満である場合には、その差分をユーザがチャージやポイントにより貯めた金銭等価物により補填してもよい。ここで、金銭等価物には、ユーザがチャージやポイントにより貯めた電子バリューが含まれる。
【0084】
また、返済処理モジュール1124が返済処理する債務は、電子商取引プラットフォームと連携する決済サービスにより発生する債務を含んでもよい。ここで、電子商取引プラットフォームと連携する決済サービスにより発生する債務には、電子商取引プラットフォーム内の取引により発生した債務の他、電子商取引プラットフォーム以外で発生した債務が含まれる。そのため、例えば、バーコードやQRコード(登録商標)などの情報コードを用いる決済処理を実店舗で行うことにより生じた債務を、電子商取引プラットフォームに出品した出品物による売上金によって返済することが可能となる。
【0085】
さらに、返済処理モジュール1124が返済処理する債務は、電子商取引プラットフォームと連携する上記決済サービスが提供するサービスにより発生する債務を含んでもよい。より具体的には、あと払いにより発生する債務や、融資による債務を含んでもよい。ここであと払いとは、ひと月まとめてのあと払い、分割払い及びリボルビング払いなどの支払い方法を含んでよい。
【0086】
なお、電子商取引プラットフォーム以外で発生した債務は、決済サービスを提供するサーバ110Bにより管理されてもよいし、サーバ110Aとサーバ110Bが一体となったサーバ110により管理されていてもよい。また、サーバ110Aがサーバ110Bから当該債務にかかる情報を取得してもよい。債務がサーバ110Bにより管理される場合には、サーバ110Aの返済処理モジュール1124の返済処理には、例えば、そのサーバ110Bに対して、返済に相当する金銭を受け渡し、サーバ110Bに債務返済処理を実行させることが含まれる。
【0087】
以上の処理により、出品ユーザは電子商取引プラットフォームへの出品に基づいて、債務の返済日の延長を受けることが可能となり、より柔軟な債務返済を実現することが可能となる。また、これにより、債務の返済日の延長を目的とした電子商取引プラットフォームにおける出品の促進を図ることができる。
【0088】
また、債務情報管理モジュール1123が債務返済の遅延許可を決定するタイミングは特に制限されず、出品時の他、出品中の出品物の状況が変化した場合に債務返済の遅延を許可してもよい。このような場合としては、例えば、出品物を出品した場合、出品物に対する購入候補ユーザからのアクションを受けた場合、出品物相場が変動した場合、出品物の希少性が変化した場合が挙げられる。
【0089】
また、債務情報管理モジュール1123が遅延日数や遅延額を決定するタイミングも特に制限されず、出品時の他、出品中の出品物の状況が変化した場合に債務返済の遅延を許可してもよい。債務情報管理モジュール1123は、遅延日数や遅延額を決定した場合あるいは更新した場合には、取引管理データ1126の情報を更新してもよい。
【0090】
例えば、債務情報管理モジュール1123は、出品物が出品された場合には、出品物の出品価格や相場価格から特定される電子商取引プラットフォームにおける出品物の売れやすさと、出品ユーザの信用スコアに基づいて、遅延日数や遅延額を決定してもよい。
【0091】
より具体的には、出品ユーザが決定した出品価格が相場価格よりも低い場合には、出品物が売れる可能性が高いことから、債務情報管理モジュール1123は、遅延日数や遅延額を大きく設定する。また、出品物の希少性が高い場合には、出品物の出品価格が相場価格よりも高い場合であっても、出品物が売れる可能性が高いことから、債務情報管理モジュール1123は、遅延日数や遅延額を大きく設定する。
【0092】
また、出品ユーザの信用スコアが高い場合には、出品物の取引が成立する可能性が高い、又は、その出品ユーザが債務を返済する信頼性が高いことから、債務情報管理モジュール1123は、出品ユーザの信用スコアが大きいほど、遅延日数を長く、及び/又は、遅延額を大きく設定してもよい。また、遅延日数と遅延額は、それぞれ独立して決定されてもよいし、両者のバランスにより決定されてもよい。両者のバランスにより決定する例としては、例えば、遅延日数が短いほど遅延額を大きく設定することができ、遅延額が小さいほど遅延日数を長く設定してもよい。なお当該設定は、サーバ110A又はサーバ110Bによって自動的に決定されてもよく、第1ユーザによって設定されてもよい。
【0093】
これにより、出品ユーザが債務を返済する信頼性に基づいて、遅延日数や遅延額をより柔軟に決定することができる。
【0094】
また、出品後に、出品物の属するカテゴリの出品物相場価格や出品された出品物の希少性が変化した場合にも、債務情報管理モジュール1123は、改めて遅延日数や遅延額を決定してもよい。なお、サーバ110Aの出品管理モジュール1122は、取引管理データ1126の現在または過去の取引データに基づいて、出品物の相場価格や信用スコアを決定し、ユーザ管理データ1125や取引管理データ1126に格納してもよい。
【0095】
また、債務情報管理モジュール1123は、出品物に対して他の購入候補ユーザ(第2ユーザ)からアクションがなされた場合に、そのアクションに基づいて遅延日数、及び/又は、遅延額を決定してもよい。アクションとしては、例えば、出品物ページの閲覧、出品物のお気に入り登録、又は出品物に対するコメントの付与が挙げられる。出品物ページの閲覧数やお気に入りの登録数、あるいはコメント数が多いほど、出品物が売れる可能性が高いことから、債務情報管理モジュール1123は、遅延日数や遅延額を大きく設定してもよい。また、遅延日数や遅延額は出品物ページの閲覧数と、出品物のお気に入り登録数、又は出品物に対するコメントの付与数の割合によって決定されてもよい。
【0096】
より具体的には、出品物ページの閲覧数に対して出品物のお気に入り登録数、又は出品物に対するコメントの付与数の割合が大きければ、割合が低い場合と比べて遅延日数や遅延額を高く設定してもよい。出品物ページの閲覧数に対して出品物のお気に入り登録数、又は出品物に対するコメントの付与数の割合が大きければ購入意欲の高いユーザ割合が多くいると推定できるためである。
【0097】
さらに、債務情報管理モジュール1123は、コメントの内容に基づいて遅延日数や遅延額を決定してもよい。例えば、出品物に対して「すぐに・・・」や、「ありがとうございます」など出品物が売れる直前に頻出するキーワードが含まれる場合には、出品物が売れる可能性が高いことから、債務情報管理モジュール1123は、遅延日数や遅延額を大きく設定してもよい。
【0098】
これにより、電子商取引プラットフォームにおける出品物の売れやすさに基づいて、遅延日数や遅延額をより柔軟に決定することができる。
【0099】
また、債務情報管理モジュール1123は、出品物の出品がキャンセルされた場合には、その出品物に付与された債務返済の遅延許可を取り消してもよい。また、債務情報管理モジュール1123は、出品物の出品がキャンセルされ所定期間内に同一商品が出品された場合には、当該出品物に基づく債務返済の遅延許可をしない決定をしてもよい。この場合、債務情報管理モジュール1123は、キャンセルされた出品物と新たに出品された出品物との類似度に基づいて、キャンセルされた出品物と新たに出品された出品物が同一商品であることを判定してもよい。さらに、債務情報管理モジュール1123は、債務の返済日の遅延依頼の後にその遅延依頼に係る出品物の出品がキャンセルされた場合、出品ユーザの信用スコアを低下させる処理を実行してもよい。
【0100】
これにより、キャンセルすることを前提に、債務返済の遅延許可を目的とした出品がなされるリスクを低減することができる。また、債務情報管理モジュール1123は、出品物の出品がキャンセルされ所定期間内に同一商品が出品された場合であっても所定回数の出品を許可することによって、誤操作などによる出品間違いに対して債務返済の遅延許可を過剰に制限することを抑制できる。なお、出品物に付与された債務返済の遅延許可がなされる前の返済予定日(本来の返済日)以降に、キャンセルがなされた場合は、本来の返済予定日以降であって、当該キャンセルがなされた日以降の最も近い返済予定日を新たな返済予定日としてもよい。
【0101】
債務情報管理モジュール1123は、出品された出品物が取引された場合には、その出品物に付与された債務返済の遅延許可を取り消してもよい。より具体的には、債務情報管理モジュール1123は、債務返済の遅延許可を取り消すとともに、返済処理モジュール1124は、その出品物の売上金の少なくとも一部を、出品ユーザに対応づけられた債務の返済に充てる返済処理を実行してもよい。この場合、返済処理モジュール1124は、出品物の売上金を、出品物が取引された日以降で最も近い返済日の債務の返済に充ててもよい。また、返済処理モジュール1124は、返済処理を実行した後に、出品ユーザの信用スコアを増加させる処理を実行してもよい。
【0102】
これにより、出品物が取引された場合には、スムーズに債務の返済を実行することができる。さらに、出品物が取引された日以降で最も近い返済日の債務を優先的に返済することで、返済日の渡過リスクを低減することができる。
【0103】
また、債務情報管理モジュール1123は、例えば、出品ユーザにより出品された複数の出品物について、出品価格の合計額又は相場価格の合計額を算出し、それら合計額と信用スコアに基づいて遅延日数や遅延額を決定してもよい。なお、出品価格の合計額又は相場価格の合計額を算出することは、所定期間内に出品された出品物に限定されてもよい。
【0104】
これにより、出品ユーザにより出品された個々の出品物の価格が低く、一つの出品物では十分な遅延日数や延長される債務の額を決定できない場合であっても、遅延日数や延長される債務の額を決定することができる。
【0105】
債務情報管理モジュール1123は、債務の返済日の延長処理を行った場合には、その延長処理の担保として、出品ユーザが出品した出品物の一部又は全部について、出品キャンセル及び/又は出品した出品物の出品価格の増減額を制限する処理をしてもよい。なお、出品価格の増減額を所定金額内または所定金額割合内で許可してもよい。さらに、出品ユーザが延長処理にかかる債務の全部または一部を返済した場合には、債務情報管理モジュール1123は、出品キャンセル及び/又は出品した出品物の出品価格の増減額についての制限を解除してもよい。このような制限を付すまたは解除する際には、債務情報管理モジュール1123は、当該制限に関する情報を取引管理データ1126に記憶させてもよい。
【0106】
これにより、出品ユーザが出品物をキャンセルしたり、出品価格を増減額したりすることなどにより、債務返済の遅延許可を不正に受ける事態を抑制することができ、債権回収ができなくなるリスクを低減することができる。
【0107】
債務情報管理モジュール1123は、債務の返済日を延長する場合には、出品ユーザが出品した出品物の一部又は全部を、電子商取引プラットフォームが管理する施設に保管することを要求し、出品物が保管されたことを、検知する処理をしてもよい。さらに、出品ユーザが債務の全部または一部を返済した場合には、債務情報管理モジュール1123は、施設に保管された出品物を出品ユーザのもとに返送する返送要求を受け付ける処理をしてもよい。このように出品物を保管又は返送する際には、債務情報管理モジュール1123は、当該保管又は返送に関する情報を取引管理データ1126に記憶させてもよい。
【0108】
このように、債務の返済日を延長する場合に、出品ユーザの管理下にある出品物を電子商取引プラットフォームの管理下に置くことにより、出品ユーザが購入ユーザに出品物を発送しないことなどにより、取引が不成立となるリスクを低減することができる。そのため、債権回収ができないリスクを低減することができる。
【0109】
債務情報管理モジュール1123は、出品物の取引が成立した場合に、当該出品物の売上金の一部または全部を、延長した債務に対する返済に充てる処理を実行してもよい。
【0110】
これにより、出品ユーザが売上金を得た場合に債権回収をすることができるため、債権回収ができないリスクを低減することができる。また、出品ユーザにとっては、債務返済手続きを簡易にできるため、返済の手間を削減することができる。
【0111】
ストレージ113は、第1実施形態に係るサーバ110Aが実行するプログラムと、電子商取引プラットフォームの会員であるユーザを管理するユーザ管理データ1125と、電子商取引プラットフォームにおいて実行される取引を管理する取引管理データ1126と、を格納する。これらデータについては後述する。
【0112】
なお、1つ又は複数のプロセッサ111は、メモリ112から、必要に応じて各モジュールを読み出して実行する。例えば、1つ又は複数のプロセッサ111は、出品管理モジュール1122、債務情報管理モジュール1123、及び返済処理モジュール1124をそれぞれ実行することで、出品管理部、債務情報管理部、及び返済処理部を構成してもよい。
【0113】
(2)サーバ110Bの構成
図2は、第1実施形態に係るサーバ110Bの構成を示すブロック図の一例を示す。サーバ110Bは、電子商取引プラットフォームと連携する決済サービスに関するサーバであって、ユーザの有する債務に対する債権者が管理するサーバとして機能する。当該サーバ110Bは、例えば、決済管理モジュール1522を有する。なお、各機能または各処理は、実現可能な範囲において、機械学習またはAI(Artificial Intelligence)などにより実現されてもよい。
【0114】
図2に開示の各モジュールは、サーバ110Bが備える、プロセッサ151と、メモリ152と、ストレージ153と、入出力I/F154と、入力装置155と、出力装置156と、送受信部157との協働により実現される。例えば、決済管理モジュール1522は、プロセッサ151が、ストレージ153に格納されているプログラムを読み出して実行することで実現されうる。
【0115】
なお、
図2における、プロセッサ151と、メモリ152と、ストレージ153と、入出力I/F154と、入力装置155と、出力装置156と、送受信部157とは、それぞれ、プロセッサ111と、メモリ112と、ストレージ113と、入出力I/F114と、入力装置115と、出力装置116と、送受信部117に対応する。
【0116】
決済管理モジュール1522は、債務の決済を実行するための各種処理を実行する機能を有する。例えば、決済管理モジュール1522は、ユーザの有する端末120から決済情報を受信し、債務管理データ1523にそのユーザの債務を記憶する。決済情報には、債務の発生日、債務の額、返済日が含まれてもよい。また、決済管理モジュール1522は、ユーザの有する他の端末や決済先の店舗の端末から決済情報を受信してもよい。
【0117】
決済管理モジュール1522は、サーバ100Aから返済に相当する金銭を受け取り、債務返済処理を実行するよう指示を受領した場合には、サーバ110Bにおける債務返済処理を実行する。
【0118】
なお、1つ又は複数のプロセッサ151は、メモリ152から、必要に応じて各モジュールを読み出して実行する。例えば、1つ又は複数のプロセッサ151は、決済管理モジュール1522を実行することで、決済確認部、表示制御部を構成してもよい。
【0119】
(3)端末120の構成
図1は、第1実施形態に係る端末120の構成を示すブロック図の一例を示す。端末120は、電子商取引プラットフォームにおける出品ユーザや購入ユーザが使用する端末として機能する。当該端末120は、例えば、表示制御モジュール1222と、取引処理モジュール1223と、遅延依頼モジュール1224、決済処理モジュール1225と、を有する。なお、各機能または各処理は、実現可能な範囲において、機械学習またはAI(Artificial Intelligence)により実現されてもよい。
【0120】
図1に開示の各モジュールは、端末120が備える、プロセッサ121と、メモリ122と、ストレージ123と、入出力I/F124と、入力装置125と、出力装置126と、送受信部127との協働により実現される。例えば、表示制御モジュール1222と、取引処理モジュール1223と、遅延依頼モジュール1224と、決済処理モジュール1225とは、プロセッサ121が、ストレージ123に格納されているプログラムを読み出して実行することで実現されうる。
【0121】
表示制御モジュール1222は、例えば、サーバ110Aから受信された画面情報に基づいて、表示装置(例えばタッチパネル)に出品補助画面、電子商取引画面、債務返済の遅延依頼をする画面、債務の返済をする画面、及び返済状況の確認画面などを表示制御する。
【0122】
また、表示制御モジュール1222は、サーバ110Aから受信した持ち物リストに関する情報を表示する画面や、持ち物リストに含まれる商品を出品した場合に許可される遅延日数及び/又は遅延額を表示する画面を表示制御してもよい。
【0123】
取引処理モジュール1223は、電子商取引に関する処理を実行する機能を有する。例えば、取引処理モジュール1223は、出品ユーザ側として、商品情報を登録する機能や、購入ユーザと出品物について交渉する機能を有する。また、取引処理モジュール1223は、購入ユーザ側として、出品物を閲覧したり、出品物を選択したり、出品物に対する各種アクション、決済を指示したりする機能を有する。
【0124】
遅延依頼モジュール1224は、出品ユーザ側が出品した出品物に基づいて、サーバ110Aに対して債務返済の遅延依頼をする機能を有する。例えば、遅延依頼モジュール1224は、出品ユーザの操作に応答して、出品時又は出品中に出品物に基づいて債務返済の遅延依頼を、送受信部127を介して送信してもよい。また、遅延依頼モジュール1224は、出品ユーザの操作に応答して、サーバ110Aから出品ユーザに関する債務情報を取得して、表示制御モジュール1222に画面に表示制御させるようにしてもよい。
【0125】
決済処理モジュール1225は、債務が発生する決済を実行する機能を有する。例えば、端末120が、店舗の二次元コード等を読み取り、二次元コードに含まれる決済先IDと、債務者IDと、入力等された金額とを含む決済情報を、送受信部127を介してサーバ110Bに送信するよう制御する。
【0126】
ストレージ123は、第1実施形態に係る端末120が実行するプログラムを記憶しており、例えば、出品ユーザや購入ユーザが利用する電子商取引に関する処理や、出品ユーザが利用する債務返済を補助する処理を実行するためのプログラムなどを記憶する。また、この電子商取引に関する処理を実行するプログラムと、債務返済を補助する処理を実行するプログラムとは別のプログラムであってもよい。
【0127】
なお、1つ又は複数のプロセッサ121は、メモリ122から、必要に応じて各モジュールを読み出して実行する。例えば、1つ又は複数のプロセッサ121は、表示制御モジュール1222、取引処理モジュール1223、遅延依頼モジュール1224、及び決済処理モジュール1225それぞれを実行することで、表示制御部、取引処理部、返済依頼部、及び決済処理部を構成してもよい。
【0128】
<データ例>
図4~6を用いてサーバ110A及びサーバ110Bのデータを説明する。
【0129】
図4は、第1実施形態に係るサーバ110Aのストレージ113またはメモリ112に格納されるユーザ管理データ1125の一例を示す図である。ユーザ管理データ1125には、電子商取引プラットフォームを運営、管理する者により作成された各ユーザに関する情報が管理される。「ユーザID」には、サーバ110Aがユーザを一意に識別するためのユーザ識別情報が含められる。ユーザ管理データ1125には、ユーザの「氏名」のほか、住所や電話番号などのユーザ情報が含められていてもよい。
【0130】
また、ユーザ管理データ1125は、例えば、ユーザの債務に関する債務情報、ユーザが保有する電子バリューやポイントなどのアカウント情報、及び信用スコアを含む。「債務情報」は、ユーザの有する債務に関する情報として、債務を一意に識別するための債務IDや、その債務IDにより特定される債務の返済日と返済額を含んでもよい。「債務情報」は、例えば、債務情報管理モジュール1123によって、債務が発生した場合に更新され、返済処理モジュール1124によって、債務の返済がされた場合に更新される。また、「信用スコア」は、ユーザの信用力を示す指標である。
【0131】
図5は、実施形態に係るサーバ110Aのストレージ113またはメモリ112に格納される取引管理データ1126の一例を示す図である。「出品物ID」には、サーバ110Aが出品物を一意に識別するための識別情報が含められる。「出品ユーザID」には、出品ユーザのユーザIDが含められる。「商品情報」には、その出品物についての返済依頼に関する情報、商品名や出品物の説明、出品物の登録日、その他商品に関する情報が含められる。「出品価格」には、出品ユーザが決定した商品の出品価格が含められる。
【0132】
取引管理データ1126の「ステータス」には、電子商取引における取引の状態が含められる。ステータスは、現在取引中であることを示す「取引中」、購入ユーザとの交渉中であることを示す「交渉中」、取引済を示す「済」などを含む。また、「取引成立日」には、取引が成立した日付として、収益の発生日が含められる。「購入ユーザID」には、その商品を購入したユーザのユーザIDが含められる。
【0133】
また、取引管理データ1126の「遅延許可」には、その出品物IDの出品物に基づいて、債務遅延が許可されたか否かを示す、遅延許可の有無に関する情報が含められる。また、遅延許可の有無には、遅延を許可する債務を特定するIDが含められてもよい。さらに、「遅延日数」や「遅延額」には、遅延を許可する日数や債務の額が含められる。「遅延許可」、「遅延日数」、及び「遅延額」は、例えば、債務情報管理モジュール1123によって更新される。
【0134】
図6は、実施形態に係るサーバ110Bのストレージ153またはメモリ152に格納される債務管理データ1523の一例を示す図である。「債務ID」には、サーバ110Aが債務を一意に識別するための識別情報が含められる。「債務者ID」には、決済事業者により発行されるユーザを特定するための識別情報を含む。「決済先ID」には、決済先IDは、例えば、二次元コード等により読み取られた店舗を特定する識別情報であり、決済事業者によって発行される情報を含む。「債務額」、「債務発生日」、及び「返済日」には、その債務IDで特定される債務の額とその発生日、及び返済日が含められる。「ステータス」には、債務の返済の状態が含められる。ステータスは、返済済みであることを示す「済」、返済前であることを示す「未」などを含む。なお、図示しないが、決済事業者を特定可能な識別情報を含んでもよい。
【0135】
<第1実施形態の動作処理>
図7を参照し、第1実施形態に係る取引システム1の処理について説明する。
【0136】
(ステップS701)
端末120Aの取引処理モジュール1223は、出品ユーザの操作に応じて、商品情報及び出品物の価格とともに、出品物の出品依頼を、送受信部127を介してサーバ110Aに送信する。商品情報は、例えば出品物の画像情報や出品物の名称等を含む。
【0137】
(ステップS702)
サーバ110Aの出品管理モジュール1122は、出品依頼を受けた出品物の出品処理を実行する。例えば、サーバ110Aの送受信部127が出品依頼とともに出品物に関する情報を受信し、出品管理モジュール1122は、出品依頼に応じて出品IDを設定して出品物に関する情報を取引管理データ1126に格納する。また、サーバ110Aの出品管理モジュール1122は、電子商取引プラットフォームにおいて、商品情報及び出品価格を公開し、任意のユーザに閲覧可能とする。
【0138】
(ステップS703)
サーバ110Aの債務情報管理モジュール1123は、出品された出品物に基づいて債務の遅延を許可するか否かを決定し、取引管理データ1126に記憶する。この場合、債務情報管理モジュール1123は、出品物の出品価格又は相場価格と、出品ユーザの信用スコアと、に基づいて遅延日数及び/又は遅延額を決定し、取引管理データ1126に記憶してもよい。なお、債務延長の許可の決定には、債務延長を許可しないという決定がされてもよい。この場合、債務情報管理モジュール1123は、債務延長を許可しない旨を取引管理データ1126に記憶してもよい。
【0139】
また、サーバ110Aの債務情報管理モジュール1123は、債務返済の遅延を許可するか否かの決定を、送受信部117を介して端末120Aに送信するようにしてもよい。この場合、債務情報管理モジュール1123が遅延日数及び/又は遅延額についても決定している場合には、遅延日数及び遅延額についても、送受信部117を介して端末120Aに送信してもよい。
【0140】
(ステップS704)
サーバ110Aの出品管理モジュール1122は、送受信部127を介して、出品された出品物に対して購入候補ユーザが利用する端末120Bからアクションを受け付ける。アクションとしては、出品物ページの閲覧、出品物のお気に入り登録、又は出品物に対するコメントの付与が挙げられる。出品管理モジュール1122は、出品物ページの閲覧回数、出品物のお気に入り登録数、コメント数、及び/又は、コメント内容などのアクションに関する情報を取引管理データ1126に記憶させる。
【0141】
(ステップS705)
サーバ110Aの債務情報管理モジュール1123は、例えば、取引管理データ1126が記憶するアクションに基づいて、遅延日数及び/又は遅延額を決定し、取引管理データ1126に記憶する。この場合、先に取引管理データ1126に記憶した遅延日数及び/又は遅延額を、更新するようにしてもよい。
【0142】
(ステップS706)
ステップS706で、端末120Aの遅延依頼モジュール1224は、出品ユーザの操作に応じて、出品物IDとともに債務返済の遅延依頼を、サーバ110Aに送信する。この場合、端末120Aの遅延依頼モジュール1224とサーバ110Aの債務情報管理モジュール1123の間で、遅延させる債務の返済方法及び返済条件について合意形成を行ってもよい。なお、債務返済の遅延依頼は出品依頼(ステップS701)と同時に送信されてもよい。
【0143】
(ステップS707)
サーバ110Aの債務情報管理モジュール1123は、債務返済の遅延に関する処理を実行する。例えば、債務情報管理モジュール1123は、遅延依頼にかかる遅延日数と遅延額を取引管理データ1126に記憶してもよい。また、サーバ110Bが独立して存在する場合は、サーバ110Aの債務情報管理モジュール1123は、サーバ110Bに対して、遅延依頼がなされた旨と遅延依頼にかかる遅延日数と遅延額を通知してもよい。
【0144】
(ステップS708)
サーバ110Aの債務情報管理モジュール1123は、例えば、遅延依頼に係る出品物IDに対応する出品物について、出品キャンセル及び/又は出品した出品物の価格の増減額を、制限する処理してもよい。
【0145】
(ステップS709)
サーバ110Aの債務情報管理モジュール1123は、遅延依頼に基づいて債務返済の遅延を実行した旨の通知を出品ユーザに送信するように送受信部117に指示をする。
【0146】
(ステップS710)
サーバ110Aの出品管理モジュール1122は、出品ユーザと購入ユーザとを仲介して、出品物の取引処理を実行する。出品管理モジュール1122は、公知の電子商取引プラットフォームが提供する機能を実行することで、出品物の取引を成立させることができる。
【0147】
(ステップS711)
サーバ110Aの出品管理モジュール1122は、取引管理データ1126を確認し、取引成立した商品が遅延依頼の対象となっている場合には、返済処理モジュール1124に遅延依頼にかかる債務の返済処理を実行するよう指示する。そして、返済処理モジュール1124は、取引管理データ1126を参照し、取引が完了した商品の収益を債務の返済に充当する返済処理を実行する。
【0148】
電子商取引プラットフォーム以外のサーバ110Bで発生した債務については、返済処理モジュール1124は、債務返済処理を実行する要請を、送受信部117を介してサーバ110Bに対して送信するよう制御してもよい。なお、取引が完了したとは、出品された商品が販売されたことでもよく、購入ユーザが商品代金を支払ったことでもよく、購入ユーザが商品受領をサーバ110Aに通知したことでもよく、購入ユーザと出品ユーザとがともに評価を完了したことであってもよい。
【0149】
なお、本開示は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲内において、他の様々な形で実施することができる。例えば、上述した各処理ステップは処理内容に矛盾を生じない範囲で任意に順番を変更し、または並列に実行することができる。
【0150】
<<実施例>>
第1実施形態の実施例は、出品ユーザが保有する未出品の商品を含む商品リスト(以
下、単に「持ち物リスト」ともいう。)を取得し、持ち物リストとともに、持ち物リス
トに含まれる商品を出品した場合に許可される遅延日数及び/又は遅延額を、出品ユー
ザの端末120Aに送信する実施例である。
【0151】
<<実施例の効果>>
実施例によれば、出品ユーザは、出品前に、自分の持ち物とそれらを出品した場合の遅延日数及び/又は遅延額を容易に知ることが可能となる。そのため、債務の返済日の延長を目的とした電子商取引プラットフォームにおける出品を一層促進することができる。また、持ち物リストに商品を登録する動機づけを行うことができる。
【0152】
<<実施例の構成>>
以下の説明において、第1実施形態と同様の構成については同一の符号を付すと共に、説明を省略する。また、第1実施形態と同様の作用および効果についても、説明を省略する。以下、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0153】
この実施例では、出品管理モジュール1122は、取引管理データ1126から電子商取引プラットフォームを利用して出品ユーザが購入し、かつ販売していない商品を抽出することで、出品ユーザが保有する持ち物リストを作成することができる。また、出品管理モジュール1122は、出品ユーザの端末120から、未出品の商品に関する未出品情報を受信し、その未出品情報に基づいて、出品ユーザが保有する持ち物リストを作成してもよい。この場合、出品管理モジュール1122は、持ち物リストに関する情報をユーザ管理データ1125に格納することができる。
【0154】
また、債務情報管理モジュール1123は、ユーザの持ち物リストとともに、持ち物リストに含まれる各商品を出品した場合に許可される遅延日数及び/又は遅延額を、出品ユーザの端末120Aに送信する。
【0155】
さらに、債務情報管理モジュール1123は、持ち物リストに未出品の商品が追加された場合にも、債務返済の遅延許可をしてもよい。この場合の遅延日数や遅延額は、持ち物リストに含まれる商品に関する情報や、商品数等に基づいて決定することができる。
【0156】
これにより、出品の前段階として、持ち物リストへの商品の登録を促進することが可能となり、結果として、電子商取引プラットフォームにおける承認の出品をより促進することが可能となる。
【0157】
<<実施例の動作処理>>
図8を参照し、実施例に係る取引システム1の処理について説明する。
【0158】
(ステップS801)
実施例では、持ち物リスト作成処理を行うステップS801以降は、第1実施形態と同様とすることができる。ステップS801は、出品依頼(S701)の前のステップである。サーバ110Aの出品管理モジュール1122は、取引管理データ1126を参照し、ユーザの持ち物リストを作成する。また、出品管理モジュール1122は、出品ユーザの端末120から、未出品の商品に関する未出品情報を受信し、その未出品情報に基づいて、出品ユーザが保有する持ち物リストを作成してもよい。
【0159】
(ステップS802)
サーバ110Aの債務情報管理モジュール1123は、持ち物リストに含まれる各商品を出品した場合に許可される遅延日数及び/又は遅延額に関するデータを作成する。この場合、債務情報管理モジュール1123は、商品の相場価格やユーザの信用スコアに基づいて、遅延日数及び/又は遅延額に関するデータを作成することができる。
【0160】
(ステップS803)
サーバ110Aの債務情報管理モジュール1123は、持ち物リストとともに遅延日数及び/又は遅延額に関するデータを、端末120Aに送信するように送受信部127に指示する。そして、端末120Aの表示制御モジュール1222は、端末120Aの画面に持ち物リストと、遅延日数及び/又は遅延額に関するデータを表示制御する。
【0161】
以上の処理によって、出品ユーザが保有する商品について、出品した場合の遅延日数及び/又は遅延額を知らせることにより、出品を促進することができる。また、出品ユーザが出品をして売上金を得るほど、債権回収の機会が増えるため、債権回収ができないリスクを低減することができる。
【0162】
上述では、出品物の出品価格又は相場価格と、出品ユーザの信用スコアとに基づいて、出品ユーザに対応付けられた債務の返済の遅延を許可する形態を説明した。なお、信用スコアに係る構成は任意である。より具体的には、信用スコアを利用せずに、出品物の出品価格又は相場価格に基づいて、出品ユーザに対応付けられた債務の返済の遅延を許可するように構成されてもよい。
【0163】
<第2実施形態>
第2実施形態は、ユーザ間の取引システム1において、第1ユーザである出品ユーザが出品した出品物の出品価格又は相場価格と出品ユーザの信用スコアに基づいて与信を決定し、その与信を出品ユーザに対応付けられた与信枠に追加することにより、出品ユーザに対して出品した出品物の与信枠に基づく融資を可能とする実施形態である。
【0164】
図9は、第2実施形態に係る取引システムの構成を説明するための図である。当該構成においては、複数の情報処理装置200、例えば、出品ユーザの端末120A、購入ユーザの端末120B、電子商取引プラットフォームを運営、管理する者により利用されるサーバ110Aによって、取引システム1が構築される。なお、サーバ110Aは、必要に応じて、融資を実現するために決済サービスを提供するサーバ110Bと連携していてもよい。なお、サーバ110Bとしては、第1実施形態と同様の態様とすることができる。
【0165】
図9に示す例では、A.出品物を電子商取引プラットフォームに出品、B.出品された出品物に基づく与信の追加、C.融資の実行、D.出品物の購入、E.実行した融資に対する債権の回収、の流れで電子商取引と融資を関連付けたサービスが行われる。以下、サービスの流れについて説明する。
【0166】
(A.出品物を電子商取引プラットフォームに出品)
出品ユーザは、端末120Aを用いて、販売したい出品物の情報と価格を、電子商取引プラットフォームに登録する。これにより、出品物が電子商取引プラットフォームで出品される。この電子商取引プラットフォームでは、商品情報が公開され、任意のユーザに閲覧可能になる。
【0167】
(B.出品された出品物に基づく与信の付与)
サーバ110Aは、出品物が出品されると、出品物の出品価格又は相場価格と、信用スコアに基づいて、その出品物に付与する与信を決定する。ここで、与信は、出品した出品物ごとに付与され、出品ユーザは自身が出品している出品物ごとに付与された与信の合計(以下、「与信枠」ともいう。)の限度において融資を受けることができる。
【0168】
与信の決定は所定のタイミングで行うことができる。例えば、サーバ110Aは、出品物を出品した場合や、出品された出品物に対する購入候補ユーザが利用する端末120Bからのアクションを受けた場合に与信を決定することができる。購入候補ユーザからのアクションは、出品された出品物に対するアクションであればどのようなものであってよい。限定でなく例として、出品された出品物に対するお気に入り登録や、コメントの追加であってもよい。また、サーバ110Aは、所定の条件を満たす場合に、与信を決定してもよい。所定の条件とは、例えば、出品物の金額が所定値以上であること、出品中の出品物数が所定値以上であること、又はお気に入りに登録された出品物の個数が所定値以上であることなどを含む。
【0169】
(C.融資の実行)
出品ユーザは、端末120Aを用いて、融資依頼をサーバ110Aに対して行うことができる。融資依頼に応じて、サーバ110Aは融資処理を実行する。融資の方法は、特に制限されず、例えば、サーバ110Aが電子商取引プラットフォームで利用可能な金銭等価物を発行することにより行ってもよいし、金融機関などの他の事業者によって運営される外部システムを介して所定の資金を融資してもよい。
【0170】
(D.出品物の購入)
購入ユーザは、電子商取引プラットフォームに出品された出品物の商品情報を閲覧し、購入する出品物を決定する。取引については、公知の電子商取引プラットフォームの取引処理が実行されればよい。これにより、取引が成立し、出品物の配送処理、代金の支払い処理が実行される。
【0171】
(E.実行した融資に対する債権の回収)
融資を受けた出品ユーザは、所定の期限までに債務を返済する。債務の返済方法は、特に制限されず、融資依頼の際に取り決めた方法により行うことができる。例えば、出品物の取引が成立した際に、その代金の一部を債務の返済に充当してもよいし、出品物の取引の成立とは関係なく、融資を受けた出品ユーザが所定の期限までに返済をするようにしてもよい。
【0172】
<第2実施形態の効果>
第2実施形態によれば、出品ユーザは、出品物の出品価格又は相場価格と、出品ユーザの信用スコアに基づいて、与信を得ることが可能となる。これにより、例えば、出品ユーザは、出品物の出品により、融資を受けることが可能となる。また、出品物に対して与信を付与することにより、その出品物の売上金から直接的又は間接的に融資に対する債権を回収することも可能となる。これにより、融資を行う者にとっては、債権回収のリスクを低減することができる。
【0173】
<第2実施形態の構成>
図10を用いてサーバ110Aおよび端末120の構成を説明する。
【0174】
(1)サーバ110Aの構成
図10は、第2実施形態に係るサーバ110Aの構成を示すブロック図の一例を示す。サーバ110Aは、電子商取引プラットフォームにおける融資サービスに関するサーバとして機能する。当該サーバ110Aは、例えば、出品管理モジュール1622と、与信付与モジュール1623と、融資管理モジュール1624とを有する。なお、各機能または各処理は、実現可能な範囲において、機械学習またはAI(Artificial Intelligence)により実現されてもよい。
【0175】
図10に開示の各モジュールは、サーバ110Aが備える、プロセッサ161と、メモリ162と、ストレージ163と、入出力I/F164と、入力装置165と、出力装置166と、送受信部167との協働により実現される。例えば、出品管理モジュール1622と、与信付与モジュール1623と、融資管理モジュール1624とは、プロセッサ161が、ストレージ163に格納されているプログラムを読み出して実行することで実現されうる。
【0176】
なお、
図10における、プロセッサ161と、メモリ162と、ストレージ163と、入出力I/F164と、入力装置165と、出力装置166と、送受信部167とは、それぞれ、プロセッサ111と、メモリ112と、ストレージ113と、入出力I/F114と、入力装置115と、出力装置116と、送受信部117に対応する。
【0177】
出品管理モジュール1622は、出品物の出品依頼に基づき、出品物IDを設定して、出品ユーザが送信した商品情報及び出品価格を、取引管理データ1626に格納する。商品情報は、例えば、出品ユーザが撮影した出品物の出品物画像や、出品ユーザが入力又は選択した商品名などの出品物を特定するための情報である。この場合、出品管理モジュール1622は、取引管理データ1626に基づいて、出品物の相場価格を特定し、その相場価格を出品物に対応付けて取引管理データ1626に格納してもよい。
【0178】
また、出品管理モジュール1622は、取引管理データ1626に基づいて、電子商取引プラットフォームを利用するユーザの信用スコアを算出し、ユーザ管理データ1625に記憶してもよい。ここで、ユーザの信用スコアとは、ユーザの信用力を示す指標であり、ユーザ情報や、ユーザの行動によって変動しうる。このような信用スコアは、限定でなく例として、取引回数、取引評価の数、取引評価における高評価の割合及び取引の速さ等のユーザ行動情報に基づいて算出されてもよい。また、信用スコアは公知の技術により算出されてもよく、公知の算出要素が含まれてもよい。
【0179】
次いで、出品管理モジュール1622は、取引管理データ1626に格納された商品情報及び出品価格を用いて出品物を出品し、電子商取引に係る処理を実行する。例えば、出品管理モジュール1622は、商品情報を公開して出品物の取引を実行し、取引が成立するまで、出品ユーザと購入ユーザとの間を仲介する処理を実行する。また、出品管理モジュール1622は、出品ユーザと購入ユーザの双方の合意が得られると、取引成立とみなし、決済処理を実行する。
【0180】
与信付与モジュール1623は、出品物の出品価格又は相場価格と、信用スコアに基づいて、その出品物に付与する与信を決定し、その与信を出品ユーザに対応付けられた与信枠に追加する。より具体的には、与信付与モジュール1623は、決定した与信を取引管理データ1626に格納し、ユーザ管理データ1625の与信枠を更新する。与信は、例えば、出品物の価格に与信率を乗じて決めてもよい。ここで、与信率とは、出品物の価格のうち融資できる金額の割合である。例えば、1万円の出品物に対して、与信率が10%である場合には、1000円分の与信が付与される。
【0181】
与信付与モジュール1623が与信を決定するタイミングは特に制限されず、与信付与モジュール1623は、出品物の状況が変化した場合に与信を決定してもよい。例えば、出品物を出品した場合、出品された出品物に対する購入候補ユーザからのアクションを受けた場合、出品物相場が変動した場合、出品物の希少性が変化した場合などが含まれてよい。与信付与モジュール1623は、これらのタイミングで出品物が売れる期待値に応じて与信率を調整し、与信を決定してもよい。与信付与モジュール1623は、各タイミングで与信を決定した場合には、取引管理データ1626に格納された与信を更新し、ユーザ管理データ1625の与信枠を更新してもよい。
【0182】
例えば、与信付与モジュール1623は、出品物が出品された場合には、出品物の相場価格、及び/又は、出品された出品物の希少性などから特定される電子商取引プラットフォームにおける所定の出品物の売れやすさ(販売容易性)に基づいて、与信を決定してもよい。例えば、出品物の出品価格が相場価格よりも低い場合には、出品物が売れる可能性が高いことから、与信付与モジュール1623は、与信率を大きく設定してもよい。また、出品物の希少性が高い場合には、出品物の出品価格が相場価格よりも高い場合であっても、出品物が売れる可能性が高いことから、与信付与モジュール1623は、与信率を大きく設定してもよい。
【0183】
また、出品ユーザの信用スコアが高い場合には、出品物の取引が成立する可能性が高く、又は、その出品ユーザが債務を返済する信頼性が高いことから、与信付与モジュール1623は、出品ユーザの信用スコアが大きいほど、与信を大きく決定してもよい。なお当該与信の設定は、サーバ110A又はサーバ110Bによって自動的に決定されてもよく、第1ユーザによって設定されてもよい。
【0184】
これにより、出品ユーザが債務を返済する信頼性に基づいて、与信をより柔軟に決定することができる。
【0185】
また、出品後に、出品物の相場価格や希少性、あるいは信用スコアが変化した場合にも、与信付与モジュール1623は、改めて与信枠を決定してもよい。なお、出品物相場価格や出品物の希少性、電子商取引プラットフォームにおける所定の出品物の売れやすさについて、サーバ110Aは、取引管理データ1626の現在または過去の取引データに基づいて決定してもよい。
【0186】
また、与信付与モジュール1623は、出品された出品物に対して他の購入候補ユーザが利用する端末120からアクションがなされた場合に、そのアクションに基づいて与信を決定してもよい。より具体的には、アクションの数に基づいて、与信を決定してもよい。アクションとしては、例えば、出品物ページの閲覧、出品物のお気に入り登録、又は出品物に対するコメントの付与が含まれてよい。出品物ページの閲覧数やお気に入りの登録数、あるいはコメント数が多いほど、出品物が売れる可能性が高いことから、与信付与モジュール1623は、与信率を大きく設定してもよい。また、与信は出品物ページの閲覧数と、出品物のお気に入り登録数、又は出品物に対するコメントの付与数の割合によって決定されてもよい。より具体的には、出品物ページの閲覧数に対して出品物のお気に入り登録数、又は出品物に対するコメントの付与数の割合が大きければ、割合が低い場合と比べて与信を高く設定してもよい。出品物ページの閲覧数に対して出品物のお気に入り登録数、又は出品物に対するコメントの付与数の割合が大きければ購入意欲の高いユーザ割合が多くいると推定できるためである。
【0187】
与信付与モジュール1623は、コメントの内容に基づいて与信を決定してもよい。例えば、出品物に対して「すぐに・・・」や、「ありがとうございます」など出品物が売れる直前に頻出するキーワードが含まれる場合には、出品物が売れる可能性が高いことから、与信付与モジュール1623は、与信率を大きく設定してもよい。
【0188】
また、与信は出品されている出品物に対して付与されるため、出品された出品物が取引された場合や出品がキャンセルされた場合には、与信付与モジュール1623は、その出品物に付与された与信を取り消してもよい。また、与信付与モジュール1623は、出品物の出品がキャンセルされて以降、所定期間内に同一商品が出品された場合には、当該出品物に基づく与信を付与しない決定をしてもよい。この場合、与信付与モジュール1623は、キャンセルされた出品物と新たに出品された出品物との類似度に基づいて、キャンセルされた出品物と新たに出品された出品物が同一商品であることを判定してもよい。さらに、与信付与モジュール1623は、与信を付与する決定をした後にその与信の付与に係る出品物の出品がキャンセルされた場合、出品ユーザの信用スコアを低下させる処理を実行してもよい。
【0189】
これにより、出品されていない出品物に基づいて付与された与信に基づいて融資が行われることを回避することができる。また、キャンセルすることを前提に、与信付与を目的とした出品がなされるリスクを低減することができる。また、与信付与モジュール1623は、出品物の出品がキャンセルさて以降、所定期間内に同一商品が出品された場合であっても所定回数の出品を許可することによって、誤操作などによる出品間違いに対して与信付与を過剰に制限することを抑制できる。
【0190】
融資管理モジュール1624は、第1ユーザの与信枠の限度内で出品ユーザが利用する端末120Aから融資依頼を取得した場合に、その融資依頼に応じて出品ユーザに対して融資を行う処理を実行する。例えば、融資管理モジュール1624は、融資依頼毎に融資IDを設定し、融資額や使用する与信に対応する出品物ID、返済条件などの融資に関する情報を、融資管理データ1627に格納する。これにより、出品ユーザは、複数の出品物に対する与信の合計である与信枠内で、まとめて融資を受けることが可能になる。
【0191】
融資管理モジュール1624は、金融機関などの他の事業者によって運営される外部システムを介して、所定の口座から出品ユーザが有する口座に所定の資金を融資してもよいし、電子商取引プラットフォームで利用可能な金銭等価物を発行することにより、出品ユーザに対して融資してもよい。
【0192】
特に、電子商取引プラットフォームで利用可能な通貨又はポイントにより融資を実行することにより、融資した資金を電子商取引プラットフォーム内で使用させることが可能となる。そのため、融資により電子商取引プラットフォーム内における電子商取引をより一層活性化することができる。
【0193】
また、融資管理モジュール1624は、融資を行う際に、出品ユーザに対して返済条件を課してもよい。例えば、融資を行った日から所定期間経過後の日を返済日として指定したり、与信を付与した出品物の売上金から融資額の一部または全部を返済することを指定したりしてもよい。
【0194】
以上の処理により、出品ユーザは、出品物に付与された与信に基づいて融資を受けることができる。また、電子商取引プラットフォームを管理する者にとっては、融資を目的とするユーザからの出品数を増やすことが可能になる。さらに、出品された出品物に付与された与信に基づいて融資を行うため、出品物の売上金から直接的又は間接的に債権回収が可能となる。そのため、電子商取引プラットフォームを管理する者が負う債権回収ができなくなるリスクを低減することができる。
【0195】
また、与信付与モジュール1623は、例えば、出品ユーザにより出品された複数の出品物について、出品物の合計価格を算出し、所定の与信率を乗じて与信を決定してもよい。なお、出品価格の合計額又は相場価格の合計額を算出することは、所定期間内に出品された出品物に限定されてもよい。この場合にも、与信を決定するタイミングや与信の決定方法については、上記と同様とすることができる。
【0196】
これにより、出品ユーザにより出品された個々の出品物の価格が低く、一つの出品物単独では十分な与信を付与できない場合であっても、与信を付与することができる。
【0197】
融資管理モジュール1624は、出品ユーザに対して融資をした場合にはその融資の担保として、出品ユーザが出品した出品物の一部又は全部について、出品キャンセル及び/又は出品した出品物の価格の増減額を制限する処理をしてもよい。なお、出品価格の増減額を所定金額内または所定金額割合で許可してもよい。さらに、出品ユーザが融資額の全部または一部を返済した場合には、融資管理モジュール1624は、出品キャンセル及び/又は出品した出品物の価格の増減額についての制限を解除してもよい。このような制限を付すまたは解除する際には、融資管理モジュール1624は、当該制限に関する情報を取引管理データ1626に記憶してもよい。
【0198】
これにより、融資を受けた出品ユーザが出品物をキャンセルすることなどにより借り逃げすることを抑制することができ、電子商取引プラットフォームを管理する者は、債権回収ができないリスクを低減することができる。
【0199】
融資管理モジュール1624は、出品ユーザに対して融資をする場合にはその融資の担保として、出品ユーザが出品した出品物の一部又は全部を、電子商取引プラットフォームが管理する施設に保管することを要求し、出品物が保管されたことを、検知する処理をしてもよい。さらに、出品ユーザが融資額の全部または一部を返済した場合には、融資管理モジュール1624は、施設に保管された出品物を出品ユーザのもとに返送する返送要求を受け付ける処理をしてもよい。このように、出品物を保管又は返送する際には、融資管理モジュール1624は、当該保管又は返送に関する情報を取引管理データ1626に記憶させることができる。
【0200】
このように、融資をする場合に、出品ユーザの管理下にある出品物を電子商取引プラットフォームの管理下に置くことにより、出品ユーザが購入ユーザに出品物を発送しないことなどにより、取引が不成立となるリスクを低減することができる。そのため、電子商取引プラットフォームを管理する者にとっては、債権回収ができないリスクを低減することができる。
【0201】
融資管理モジュール1624は、出品物が取引された場合に、当該出品物の売上金の一部または全部を、融資の返済に充てる処理を実行してもよい。
【0202】
これにより、出品ユーザが売上金を得た場合に債権回収をすることができるため、電子商取引プラットフォームを管理する者は、債権回収ができないリスクを低減することができる。また、出品ユーザにとっては、債務返済手続きを簡易にできるため、返済の手間を削減することができる。
【0203】
ストレージ163は、例えば、第2実施形態に係るサーバ110Aが実行するプログラムと、電子商取引プラットフォームの会員であるユーザを管理するユーザ管理データ1625と、電子商取引プラットフォームにおいて実行される取引を管理する取引管理データ1626と、融資管理データ1627と、を格納する。これらデータについては後述する。
【0204】
なお、1つ又は複数のプロセッサ161は、メモリ162から、必要に応じて各モジュールを読み出して実行する。例えば、1つ又は複数のプロセッサ161は、出品管理モジュール1622、与信付与モジュール1623、及び融資管理モジュール1624をそれぞれ実行することで、出品管理部、与信付与部、及び融資管理部を構成してもよい。
【0205】
(2)端末120の構成
図10は、第2実施形態に係る端末120の構成を示すブロック図の一例を示す。端末120は、電子商取引プラットフォームにおける出品ユーザや購入ユーザが使用する端末として機能する。当該端末120は、例えば、表示制御モジュール1421と、取引処理モジュール1423と、融資依頼モジュール1424と、を有する。なお、各機能または各処理は、実現可能な範囲において、機械学習またはAI(Artificial Intelligence)により実現されてもよい。
【0206】
図10に開示の各モジュールは、端末120が備える、プロセッサ141と、メモリ142と、ストレージ143と、入出力I/F144と、入力装置145と、出力装置146と、送受信部147との協働により実現される。例えば、表示制御モジュール1422と、取引処理モジュール1423と、融資依頼モジュール1424とは、プロセッサ141が、ストレージ143に格納されているプログラムを読み出して実行することで実現されうる。
【0207】
なお、
図10における、プロセッサ161と、メモリ162と、ストレージ163と、入出力I/F164と、入力装置165と、出力装置166と、送受信部167とは、それぞれ、プロセッサ111と、メモリ112と、ストレージ113と、入出力I/F114と、入力装置115と、出力装置116と、送受信部117に対応する。
【0208】
取引処理モジュール1423は、電子商取引に関する処理を実行する機能を有する。例えば、取引処理モジュール1423は、出品ユーザ側として、商品情報を登録する機能や、購入ユーザと出品物について交渉する機能を有する。また、取引処理モジュール1423は、購入ユーザ側として、出品物を閲覧したり、出品物を選択したり、決済を指示したりする機能を有する。
【0209】
融資依頼モジュール1424は、出品ユーザ側が出品した出品物に付与された与信枠に基づいて、サーバ110Aに対して融資の依頼をする機能を有する。例えば、融資依頼モジュール1424は、出品ユーザの操作に応答して、サーバ110Aのユーザ管理データにアクセスして、与信枠の情報を閲覧する。また、融資依頼モジュール1424は、ユーザの操作に応答して、出品リストの表示リクエストをサーバ110Aに送信し、出品物と出品物に付与された与信枠とが対応付けられて表示される出品リストをサーバ110Aから取得して、画面に表示制御するようにしてもよい。
【0210】
次に、融資依頼モジュール1424は、ユーザの操作に応答して、与信枠の範囲において、融資依頼をサーバ110Aに送信する。この場合、融資依頼モジュール1424は、依頼する融資額とともに、融資に利用する与信が付与された出品物に関する情報を、サーバ110Aに送信してもよい。
【0211】
これにより、例えば、出品物Aと出品物Bを出品している場合に、出品ユーザは上述した出品キャンセル等の制限を受ける出品物を選択することが可能となる。そのため、出品ユーザの出品物管理の利便性がより向上する。
【0212】
ストレージ143は、第2実施形態に係る端末120が実行するプログラムを記憶する。例えば、出品ユーザや購入ユーザが利用する電子商取引に関する処理や、出品ユーザが利用する融資及び債務返済を補助する処理を実行するためのプログラムなどが記憶されてよい。また、この電子商取引に関する処理を実行するプログラムと、融資及び債務返済を補助する処理を実行するプログラムとは別のプログラムであってもよい。
【0213】
なお、1つ又は複数のプロセッサ141は、メモリ142から、必要に応じて各モジュールを読み出して実行する。例えば、1つ又は複数のプロセッサ141は、表示制御モジュール1422、取引処理モジュール1423、及び融資依頼モジュール1424を実行することで、表示制御部、取引処理部、及び融資依頼部を構成してもよい。
【0214】
<データ例>
図11~13を用いてサーバ110Aのデータを説明する。
【0215】
図11は、第2実施形態に係るユーザ管理データの一例を示す。ユーザ管理データには、電子商取引プラットフォームにおける各会員ユーザの関する情報が管理される。「ユーザID」には、サーバ110Aがユーザを一意に識別するためのユーザ識別情報が含められる。「ユーザ情報」には、ユーザのパーソナルな情報である「氏名」、「住所」、「電話番号」などが含められる。また、「与信枠」には、ユーザが有する与信の合計に関する情報が含められてもよい。さらに、「信用スコア」は、ユーザの信用力を示す指標である。
【0216】
図12は、第2実施形態に係る取引管理データ1126の一例を示す。「出品物ID」には、サーバ110Aが出品物を一意に識別するための識別情報が含められる。「出品ユーザID」には、出品ユーザのユーザIDが含められる。「商品情報」には、商品名や出品物の説明、その他出品物に関する情報が含められる。「金額」には、出品ユーザが決定した出品物の出品価格が含められる。「与信」には、サーバ110Aの与信付与モジュール1623が決定した出品物ごとの与信が含められる。「出品時刻」には、出品物が出品された時刻が含められる。「ステータス」には、電子商取引における取引の状態が含められる。ステータスは、現在取引中であることを示す「取引中」、購入ユーザとの交渉中であることを示す「交渉中」、販売済を示す「済」などを含む。「購入ユーザID」には、その出品物を購入したユーザのユーザIDが含められる。
【0217】
図13は、第2実施形態に係る融資管理データ1627の一例を示す。「融資ID」には、サーバ110Aが融資を一意に識別するための識別情報が含められる。「出品ユーザID」には、融資依頼をした出品ユーザのユーザIDが含められる。「融資額」には、融資依頼に対して融資した額が含められる。「出品物ID」には、融資依頼をする際に利用した与信枠が付与された出品物の出品物IDが含められる「融資時刻」には、融資を行った時刻が含められる。「返済条件」には、返済日や返済方法などが含められる。「ステータス」には、電子商取引における融資の状態が含められる。ステータスは、返済済みであることを示す「済」、返済前であることを示す「未」などを含む。
【0218】
また、メモリ142は、ユーザIDに対応付けて、ユーザが保有する電子バリューやポイントなどのアカウント情報を記憶してもよい。
【0219】
<第2実施形態の動作処理>
図14を参照し、第2実施形態に係る取引システム1の処理について説明する。
図14は、第2実施形態に係る取引システム1の処理のシーケンスの一例を示す。
図14に示すシーケンスの例では、端末120Aは、出品ユーザが商品情報を登録したり融資依頼をしたりする端末であり、端末120Bは、購入ユーザが利用する端末である。
【0220】
(ステップS1401)
端末120Aの送受信部147は、出品ユーザの操作に応じて、商品情報及び出品物の価格とともに、出品物の出品依頼をサーバ110Aに送信する。商品情報は、例えば出品物の画像情報や出品物の名称等を含む。
【0221】
(ステップS1402)
サーバ110Aの出品管理モジュール1122は、出品依頼を受けた出品物の出品処理を実行する。例えば、サーバ110Aの送受信部167が出品依頼と商品情報と出品物の価格とを受信し、出品管理モジュール1122は、出品依頼に応じて出品IDを設定して出品物に関する情報を取引管理データ1126に格納する。また、サーバ110Aの出品管理モジュール1122は、電子商取引プラットフォームにおいて、商品情報及び価格を公開し、任意のユーザに閲覧可能とする。
【0222】
(ステップS1403)
サーバ110Aの与信付与モジュール1623は、出品された出品物に対して付与する与信を決定し、取引管理データ1126に記憶する。例えば、出品物の属するカテゴリの出品物相場価格、及び/又は、出品された出品物の希少性に基づいて、与信を決定することが挙げられる。より具体的には、出品された出品物の価格と出品物相場価格との差や、出品物の希少性に基づいて、出品された出品物が売れる期待値などに基づいて与信率を算出し、出品物の価格に与信率を乗じた額を与信としてもよい。また、与信率を用いずに、出品物の価格から与信を直接定めてもよい。なお、与信の決定には、与信を付与しないという決定がされてもよい。出品された出品物の価格と出品物相場価格との差に基づいて与信を決定する場合、出品物の価格が出品物相場価格よりも低い場合に、出品物の価格が出品物相場価格よりも高い場合よりも与信率を高く設定してもよい。
【0223】
(ステップS1404)
サーバ110Aの出品管理モジュール1122は、送受信部167を介して、出品された出品物に対して購入候補となるユーザが利用する端末120Bからアクションを受け付ける。アクションとしては、出品物ページの閲覧、出品物のお気に入り登録、又は出品物に対するコメントの付与が含まれてよい。出品管理モジュール1122は、出品物ページの閲覧回数、出品物のお気に入り登録数、コメント数、及び/又は、コメント内容などのアクションに関する情報を取引管理データ1126に記憶させる。
【0224】
(ステップS1405)
サーバ110Aの与信付与モジュール1623は、取引管理データ1126が記憶するアクションに基づいて、与信を決定し、取引管理データ1126に記憶する。この場合、先に取引管理データ1126に記憶した与信枠をステップS1405で決定した与信を加えたものに更新してもよい。
【0225】
(ステップS1406)
端末120Aの融資依頼モジュール1424は、出品ユーザの操作に応じて、融資額や融資に利用する与信を有する出品物IDとともに、融資依頼をサーバ110Aに送信する。この場合、端末120Aの融資依頼モジュール1424とサーバ110Aの融資管理モジュール1624の間で、融資の返済方法及び返済条件について合意形成を行うことができる。
【0226】
(ステップS1407)
サーバ110Aの融資管理モジュール1624は、融資依頼に応じて、融資に関する処理を実行する。例えば、サーバ110Aの送受信部167が融資依頼と融資額などの融資に関する情報とを受信し、融資管理モジュール1624は、融資依頼に応じて融資IDを設定して融資に関する情報を融資管理データ1627に格納する。そして、融資管理モジュール1624は、融資を実行する。例えば、融資管理モジュール1624は、金融機関などの他の事業者によって運営される外部システムを介して、所定の口座から出品ユーザの有する口座に所定の資金を融資したり、電子商取引プラットフォームで利用可能な通貨又はポイントを発行することにより融資を実行したりしてもよい。
【0227】
(ステップS1408)
サーバ110Aの融資管理モジュール1624は、融資管理データ1627に記憶した出品物IDに対応する出品物について、出品キャンセル及び/又は出品した出品物の価格の増減額を、制限する処理をしてもよい。
【0228】
(ステップS1409)
サーバ110Aの融資管理モジュール1624は、融資を完了した旨の通知を出品ユーザに送信するように送受信部167に指示をする。
【0229】
(ステップS1410)
サーバ110Aの出品管理モジュール1122は、出品ユーザと購入ユーザとを仲介して、出品物の取引処理を実行する。出品管理モジュール1122は、公知の電子商取引プラットフォームが提供する機能を実行することで、出品物の取引を成立させることができる。
【0230】
(ステップS1411)
サーバ110Aの融資管理モジュール1624は、当該出品物の売上金の一部または全部を、融資に対する返済に充てる処理を実行する。例えば、電子バリューでの支払いであれば、出品ユーザのアカウントの残高から、出品物に付与された与信の額の分だけ電子バリューの値を減算し、債権を回収することができる。
【0231】
<<実施例>>
第2実施形態の実施例は、融資を行った出品ユーザに対して、融資の返済に関する情
報とともに、返済に適した出品物の出品を勧める通知を送信する実施例である。
【0232】
<<実施例の効果>>
実施例によれば、融資を行った出品ユーザに対して出品物の出品を促すことにより、返済を補助するとともに、電子商取引プラットフォームを管理する者は、債権回収ができないリスクを低減することができる。
【0233】
<<実施例の構成>>
以下の説明において、第2実施形態と同様の構成については同一の符号を付すと共に、説明を省略する。また、第2実施形態と同様の作用および効果についても、説明を省略する。以下、第2実施形態との相違点を中心に説明する。
【0234】
この実施例では、サーバ110Aの融資管理モジュール1624は、融資を行った出品ユーザに対して、出品物の出品を勧める通知を送信する処理を実行する。ここで、出品物の出品を勧める通知には、融資の返済の観点から、出品ユーザが保有している持ち物リストに含まれる商品の相場情報や、取引が成立しやすい出品物の情報などを含めることができる。
【0235】
なお、出品管理モジュール1622は、取引管理データ1626から電子商取引プラットフォームを利用して出品ユーザが購入しかつ販売していない商品を抽出することで、出品ユーザが保有する持ち物リストを作成してもよい。また、出品管理モジュール1622は、出品ユーザの端末120から、未出品の商品に関する未出品情報を受信し、その未出品情報に基づいて、出品ユーザが保有する持ち物リストを作成してもよい。この場合、出品管理モジュール1622は、持ち物リストに関する情報をユーザ管理データ1625に格納してもよい。
【0236】
<<実施例の動作処理>>
図15を参照し、実施例に係る取引システム1の処理について説明する。
【0237】
実施例では、融資処理を行うステップS1409までは、第2実施形態と同様とすることができる。ステップS1501は、融資処理を行った後のステップである。ステップS1501で、サーバ110Aの融資管理モジュール1624は、融資管理データ1627を参照し、融資を行った出品ユーザの融資及び返済の状況の確認をする。この場合、融資管理モジュール1624は、残りの返済額を特定する。
【0238】
ステップS1502で、サーバ110Aの融資管理モジュール1624は、出品ユーザに出品を勧める出品物に関する情報を特定する。例えば、融資管理モジュール1624は、出品ユーザの持ち物リストに含まれる商品について、その商品の相場情報や取引数を特定する。これにより、出品ユーザが保有する商品に関して、出品時の価格設定に有用な相場情報や、出品した出品物の購入されやすさを評価する一つの指標としての取引数を得ることができる。
【0239】
また、融資管理モジュール1624は、出品ユーザの持ち物リストに含まれる商品の他に、取引管理データ1626を参照して、取引数が多い出品物カテゴリ及びその相場情報、出品から購入までの期間が短い出品物カテゴリ及びその相場情報などを特定してもよい。このような出品物に関する情報は、出品した場合に売れやすい出品物の情報となる。
【0240】
ステップS1503で、サーバ110Aの融資管理モジュール1624は、出品ユーザに出品を勧める出品物に関する情報をとりまとめて、端末120Aに送信するように送受信部167に指示する。
【0241】
以上の処理によって、出品ユーザの持ち物リストに含まれる商品、及び、売れやすい出品物に関する情報を知らせることにより、出品を促進することができる。出品ユーザが出品をして売上金を得るほど、電子商取引プラットフォームを管理する者は、債権回収の機会が増え、債権回収ができないリスクを低減することができる。
【0242】
上述では、出品物の出品価格又は相場価格と、出品ユーザの信用スコアとに基づいて、出品ユーザに対応付けられた債務の返済の遅延を許可する形態を説明した。なお、信用スコアに係る構成は任意である。より具体的には、信用スコアを利用せずに、出品物の出品価格又は相場価格に基づいて、出品ユーザに対応付けられた債務の返済の遅延を許可するように構成されてもよい。
【0243】
なお、上述したとおり、本発明は、上記の実施形態及び実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内において様々な変形が可能である。すなわち、上記実施形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈されるものではない。
【符号の説明】
【0244】
1…取引システム、110、110A、110B…サーバ、111、121、141、151、161…プロセッサ、112、122、142、152、162…メモリ、113、123、143、153、163…ストレージ、114…入出力インタフェース(入出力I/F)、115、125、145、155、165…入力装置、116、126、146、156、166…出力装置、117、127、147、157、167…送受信部、120、120A、120B、120C、120X…端末、130…ネットワーク、200…情報処理装置、1121…プログラム、1122…出品管理モジュール、1123…債務情報管理モジュール、1124…返済処理モジュール、1124…ユーザ管理データ、1125…ユーザ管理データ、1126…取引管理データ、1221…プログラム、1222…表示制御モジュール、1223…取引処理モジュール、1224…遅延依頼モジュール、1225…決済処理モジュール、1421…表示制御モジュール、1422…表示制御モジュール、1423…取引処理モジュール、1424…遅延依頼モジュール、1424…融資依頼モジュール、1522…決済管理モジュール、1523…取引管理データ、1523…債務管理データ、1622…出品管理モジュール、1623…与信付与モジュール、1624…融資管理モジュール、1625…ユーザ管理データ、1626…取引管理データ、1627…融資管理データ
【手続補正書】
【提出日】2024-04-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理装置が、
ユーザから、出品物を出品するリクエストを取得することと、
前記ユーザの信用情報と、前記出品物の出品価格又は相場価格とに基づいて、前記ユーザに対応づけられた債務の返済遅延を許可する金額、又は、前記ユーザに付与する与信の金額を決定することと、
を実行する情報処理方法。
【請求項2】
前記決定することは、
前記ユーザの信用情報が所定の条件を満たす場合に、前記金額を決定することを含む、請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項3】
前記所定の条件を満たす場合は、
前記ユーザの信用スコアが所定の閾値以上である場合、を含む請求項2に記載の情報処理方法。
【請求項4】
前記決定することは、
前記出品物の出品価格が所定範囲内である場合に、前記金額を決定することを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の情報処理方法。
【請求項5】
前記決定することは、
前記ユーザとは異なる他のユーザからの、前記出品物に対するユーザアクションがある場合に、前記金額を決定することを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の情報処理方法。
【請求項6】
前記ユーザアクションは、前記出品物のページの閲覧、前記出品物のお気に入り登録及び前記出品物に対するコメントの付与のうち少なくとも1つを含む、請求項5に記載の情報処理方法。
【請求項7】
前記出品物の出品がキャンセルされた場合に、前記金額の決定を取り消すことを、
さらに実行する、請求項1~6のいずれか一項に記載の情報処理方法。
【請求項8】
前記ユーザに、前記ユーザの与信枠以下の金額の融資を行うことを、
さらに実行する、請求項1~7のいずれか一項に記載の情報処理方法。
【請求項9】
出品物が取引された場合、売上金の少なくとも一部を前記ユーザの債務の返済に充てることを、
さらに実行する、請求項1~8のいずれか一項に記載の情報処理方法。
【請求項10】
ユーザから、出品物を出品するリクエストを取得することと、
前記ユーザの信用情報と、前記出品物の出品価格又は相場価格とに基づいて、前記ユーザに対応づけられた債務の返済遅延を許可する金額、又は、前記ユーザに付与する与信の金額を決定することと、
を実行する情報処理装置。
【請求項11】
情報処理装置に、
ユーザから、出品物を出品するリクエストを取得することと、
前記ユーザの信用情報と、前記出品物の出品価格又は相場価格とに基づいて、前記ユーザに対応づけられた債務の返済遅延を許可する金額、又は、前記ユーザに付与する与信の金額を決定することと、
を実行させるプログラム。