(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024105369
(43)【公開日】2024-08-06
(54)【発明の名称】軟組織にチャネルを作成するための装置及び方法
(51)【国際特許分類】
A61F 9/007 20060101AFI20240730BHJP
【FI】
A61F9/007 130H
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024073013
(22)【出願日】2024-04-26
(62)【分割の表示】P 2020504476の分割
【原出願日】2018-04-09
(31)【優先権主張番号】251684
(32)【優先日】2017-04-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IL
(31)【優先権主張番号】62/595,172
(32)【優先日】2017-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】514316145
【氏名又は名称】サノキュリス リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Sanoculis Ltd.
(71)【出願人】
【識別番号】510077842
【氏名又は名称】シェバ インパクト リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Sheba Impact Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】弁理士法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】ラヴィ,ジラド
(72)【発明者】
【氏名】グロヴィンスキー,ヨーゼフ
(72)【発明者】
【氏名】シムクラー,ヴァジム
(72)【発明者】
【氏名】イスラエリ,ニール
(57)【要約】 (修正有)
【課題】目標組織層から所定の形状の軟組織を除去し、それによって、目標組織層に所定の幾何学的形状及び向きを有する適合するチャネルを残すための医療装置及び方法を提供する。
【解決手段】医療装置100は、軸Xに沿って延在する同軸の外側細長部材110と内側部材120とを備え、前記外側部材は、開口した遠位側112Dと、前方軸方向移動時、前記目標組織層に固着するために構成された第1の遠位部112とを備え、前記内側部材は、回転して、前記開口した遠位側を通して遠位に突出し、目標組織層から軟組織の前記所定の形状を切り取り、目標組織層にわたる穴として形成された前記チャネルを作成するように構成された第2の遠位部を備える。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
目標組織層から所定の形状の軟組織を除去し、それによって、前記目標組織層の2つの側壁の間に所定の幾何学的形状及び向きを有する適合するチャネルを残すための医療装置において、
軸Xに沿って延在する同軸の外側細長部材と内側細長部材とを備え、
前記外側部材が、開口した遠位側と、前方軸方向移動時、前記目標組織層に固着するために構成された第1の遠位部とを備え、
前記内側部材が、回転して、前記開口した遠位側を通して遠位に突出し、前記目標組織層から前記軟組織の前記所定の形状を切り取り、前記目標組織層にわたる穴として形成された前記チャネルを作成するように構成された第2の遠位部を備える
ことを特徴とする装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置において、
前記第1の遠位部が、前記前方軸方向移動時、前記目標組織層の前の少なくとも1つの他の組織層に貫入するために構成されている
ことを特徴とする装置。
【請求項3】
請求項2に記載の装置において、
前記第1の遠位部が、
前記少なくとも1つの他の組織層及び前記目標組織層に貫入するように構成され動作可能な前記第1の遠位部の遠位端の組織穿刺先端と、
前記少なくとも1つの他の組織層に貫入して、前記目標組織層で止まるように構成され動作可能な前記第1の遠位部の近位側の近位部分と
を備え、それによって、前記外側部材を前記目標組織層内に固着する
ことを特徴とする装置。
【請求項4】
請求項3に記載の装置において、
前記第1の遠位部が、前記先端が前記目標組織層から遠位に出ないような所定の長さを有する
ことを特徴とする装置。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の装置において、
前記近位部分が前記外側部材のリムであり、前記軸Xに沿って前記外側部材の壁の断面を切り取ることによって形成されている
ことを特徴とする装置。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れか1項に記載の装置において、
前記内側部材が、前記外側部材の前記前方軸方向移動時、前記外側部材に固定的に取り付けられて、前記外側部材内に収容されている
ことを特徴とする装置。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れか1項に記載の装置において、
前記外側部材が、前記前方軸方向移動時、前記第2の組織層のその前記固着まで、手動で移動される
ことを特徴とする装置。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れか1項に記載の装置において、
前記内側部材が、回転しながら、前記軸Xに沿って手動で移動されて、前記チャネルを作成する
ことを特徴とする装置。
【請求項9】
請求項1乃至7の何れか1項に記載の装置において、
回転しながら、一定の力の下で前記軸Xに沿って前記内側部材を移動させるように構成され動作可能な一定力可動機構
を備える
ことを特徴とする装置。
【請求項10】
請求項1乃至7の何れか1項に記載の装置において、
回転しながら、一定の速度で前記軸Xに沿って前記内側部材を移動させるように構成され動作可能な一定速度可動機構
を備える
ことを特徴とする装置。
【請求項11】
請求項1乃至10の何れか1項に記載の装置において、
前記内側部材を軸方向に移動させる且つ/又は回転させるために構成され動作可能な電気モータ
を備える
ことを特徴とする装置。
【請求項12】
請求項1乃至11の何れか1項に記載の装置において、
前記チャネルの作成時に前記目標組織層から切り取られた組織を収集するための空洞
を備える
ことを特徴とする装置。
【請求項13】
請求項1乃至12の何れか1項に記載の装置において、
前記内側部材の前記第2の遠位部が、その遠位端で開口しており、回転しながら、軟組織に付着して、前記軟組織を切り取るように構成された丸い刃先を備える
ことを特徴とする装置。
【請求項14】
請求項13に記載の装置において、
前記内側部材が、前記長手方向軸Xに沿って延在し、その近位側で均一な外径を有する細長い円形本体を備え、
前記丸い刃先が、前記外径より小さい第1の直径を有し、
前記第2の遠位部が、前記遠位端の方へ連続的に減少する外径を有し、
前記内側部材が、前記遠位端から前記長手方向軸に沿って近位に延在する空洞をさらに備える
ことを特徴とする装置。
【請求項15】
請求項14に記載の装置において、
前記空洞が、前記軟組織形状に適合する大きさを有しており、
前記組織形状は円筒形であり、約1.5mmの長さと、約0.1mm~約0.2mmの直径とを有する
ことを特徴とする装置。
【請求項16】
請求項14に記載の装置において、
前記空洞が、少なくとも、前記除去された組織の前記長さの長さを有し、前記空洞の遠位端の前記第1の直径より小さく、前記空洞の近位端の方へ連続的に増加する空洞直径を有する
ことを特徴とする装置。
【請求項17】
請求項14に記載の装置において、
前記空洞が、少なくとも、前記除去された組織の前記長さの長さを有し、前記第1の直径に等しい一定の空洞直径を有し、
前記第1の直径が、約0.1mm~約0.2mmである
ことを特徴とする装置。
【請求項18】
請求項12乃至17の何れか1項に記載の装置において、
前記内側部材が、前記空洞の少なくとも一部に沿って内側部材の前記本体の壁に形成されたスリットを備える組織トラッパを備える
ことを特徴とする装置。
【請求項19】
請求項18に記載の装置において、
前記スリットが、内側部材の前記本体の前記壁の接線方向の切り込みによって形成されており、それによって、前記装置が、前記内側部材と前記外側部材との間に配置された外側空洞をさらに備える
ことを特徴とする装置。
【請求項20】
請求項18に記載の装置において、
前記スリットが、内側部材の前記本体の前記壁の放射状の切り込みによって形成されている
ことを特徴とする装置。
【請求項21】
請求項1乃至12の何れか1項に記載の装置において、
前記内側部材の前記第2の遠位部が、軟組織を除去するために構成されたドリルビットとして構成されている
ことを特徴とする装置。
【請求項22】
請求項1乃至21の何れか1項に記載の装置において、
前記第2の遠位部の前記回転が、時計回り及び反時計回りの往復運動を含む
ことを特徴とする装置。
【請求項23】
請求項1乃至22の何れか1項に記載の装置において、
前記組織穿刺先端が、ランセットとして構成されている
ことを特徴とする装置。
【請求項24】
請求項1乃至23の何れか1項に記載の装置において、
前記外側部材の前記第1の遠位部が、前記第1の遠位部の遠位セグメントで滑らかな貫入を提供し、前記第1の遠位部の近位セグメントで進行力に対する抵抗を増加させるように選択された曲線に沿って前記軸Xの前記方向に前記外側部材を切り取ることによって形成されている
ことを特徴とする装置。
【請求項25】
請求項1乃至24の何れか1項に記載の装置において、
前記少なくとも1つの他の組織層が、結膜及び/又はテノンを備え、
前記目標組織層が、眼の上強膜及び/又は強膜及び/又は角膜である
ことを特徴とする装置。
【請求項26】
請求項1乃至25の何れか1項に記載の装置において、
前記チャネルの前記所定の幾何学的形状が、所定時間にわたって治療された眼の圧力調整を可能にするように選択されている
ことを特徴とする装置。
【請求項27】
切断ツールの製造方法において、前記切断ツールが、その遠位端で、第1の直径の丸い刃先と、前記切断部分から前記切断ツールの長手方向軸に沿って所定の長さにわたって延在する空洞とを有する遠位切断部分を備え、且つ、前記所定の長さに沿って一定であるか、又は近位に増加する空洞直径を備え、前記方法が、
均一な外径及び内径を有し、少なくとも前記所定の長さに沿って延在する中空円筒をその遠位側で備えるツールを提供することであって、前記内径が前記第1の直径より大きい、提供することと、
前記内径及び外径の両方が前記中空円筒の遠位端の方へ減少するような、且つ、前記第1の直径が、前記内径より大きく、前記遠位端の前記外径より小さいような所定のパターンで前記中空円筒の遠位部分を成形することと、
前記遠位端の前記内径が前記第1の直径に略等しく、前記遠位部分の近位端の前記内径が前記空洞直径に略等しいように、前記遠位部分に沿って前記中空円筒の薄片を除去することと
を含む
ことを特徴とする方法。
【請求項28】
請求項27に記載の方法において、
前記遠位部分の前記成形することが、スエージング及び/又はスピニング技術によって実行される
ことを特徴とする方法。
【請求項29】
請求項27に記載の方法において、
前記遠位部分の前記成形することが、テーパリング技術によって実行される
ことを特徴とする方法。
【請求項30】
請求項27乃至29の何れか1項に記載の方法において、
前記所定のパターンが直線状である
ことを特徴とする方法。
【請求項31】
請求項27乃至29の何れか1項に記載の方法において、
前記所定のパターンが非直線状である
ことを特徴とする方法。
【請求項32】
請求項27乃至31の何れか1項に記載の方法において、
前記空洞直径が前記第1の直径に等しい
ことを特徴とする方法。
【請求項33】
請求項27乃至32の何れか1項に記載の方法において、
前記切断部分の内側からの前記丸い刃先を鋭利にし、それによって、前記切断部分の近位端における前記空洞直径が前記第1の直径より小さいことを提供すること
をさらに含む
ことを特徴とする方法。
【請求項34】
請求項33に記載の方法において、
前記空洞直径が近位に増加する
ことを特徴とする方法。
【請求項35】
請求項27乃至34の何れか1項に記載の方法において、
前記空洞の内面を摩擦低下組成物で被覆すること
をさらに含む
ことを特徴とする方法。
【請求項36】
請求項27乃至35の何れか1項に記載の方法において、
前記所定の長さが少なくとも1.5mmである
ことを特徴とする方法。
【請求項37】
請求項27乃至36の何れか1項に記載の方法において、
前記空洞の近位側の前記空洞直径が0.1mm~0.2mmである
ことを特徴とする方法。
【請求項38】
請求項27乃至37の何れか1項に記載の方法において、
前記中空円筒の前記均一な外径及び内径が、それぞれ約0.3mm及び約0.16mmである
ことを特徴とする方法。
【請求項39】
請求項27乃至38の何れか1項に記載の方法において、
成形後、前記遠位端における前記中空円筒の前記外径及び内径が、それぞれ約0.27mm及び約0.13mmである
ことを特徴とする方法。
【請求項40】
請求項27乃至39の何れか1項に記載の方法において、
前記中空円筒の前記遠位部分が、前記長手方向軸に沿って約1mm~約2mmの長さを有する
ことを特徴とする方法。
【請求項41】
回転及び進行しながら軟組織の所定の形状を除去し、それによって、前記軟組織の2つの壁の間に適合するチャネルを残すための切断ツールにおいて、
前記切断ツールが請求項27乃至40の何れか1項に従って製造される
ことを特徴とする切断ツール。
【請求項42】
回転及び進行しながら軟組織の所定の形状を除去し、それによって、前記軟組織の2つの壁の間に適合するチャネルを残すための切断ツールにおいて、
長手方向軸に沿って延在し、その近位側で均一な外径を有する細長い円形本体と、
その遠位端での前記外径より小さい第1の直径の丸い刃先と、遠位に且つ連続的に減少する外径とを備える前記細長い本体の遠位側の切断部分と、
前記切断部分から前記切断ツール内で前記長手方向軸に沿って延在する空洞であって、前記軟組織形状に適合する大きさを有する空洞と
を備え、
前記組織形状が円筒形であり、約1.5mmの長さと、約0.1mm~約0.2mmの直径とを有する
ことを特徴とする切断ツール。
【請求項43】
回転及び進行しながら軟組織の所定の形状を除去し、それによって、前記軟組織の2つの壁の間に適合するチャネルを残すための切断ツールにおいて、
長手方向軸に沿って延在し、その近位側で均一な外径を有する細長い円形本体と、
その遠位端での前記外径より小さい第1の直径の丸い刃先と、遠位に且つ連続的に減少する外径とを備える前記細長い本体の遠位側の切断部分と、
前記切断部分から前記切断ツール内で前記長手方向軸に沿って延在する空洞であって、少なくとも、前記除去された組織の長さの長さを有する空洞と
を備え、
前記空洞が前記空洞の遠位端の前記第1の直径より小さく、前記空洞の近位端の方へ連続的に増加する空洞直径を有する
ことを特徴とする切断ツール。
【請求項44】
回転及び進行しながら軟組織の所定の形状を除去し、それによって、前記軟組織の2つの壁の間に適合するチャネルを残すための切断ツールにおいて、
長手方向軸に沿って延在し、その近位側で均一な外径を有する細長い円形本体と、
その遠位端での前記外径より小さい第1の直径の丸い刃先と、遠位に且つ連続的に減少する直径とを備える前記細長い本体の遠位側の切断部分と、
前記切断部分から前記切断ツール内で前記長手方向軸に沿って延在する空洞であって、少なくとも、前記除去された組織の長さの長さを有する空洞と
を備え、
前記空洞が、前記第1の直径に等しい一定の空洞直径を有し、
前記第1の直径が、約0.1mm~約0.2mmである
ことを特徴とする切断ツール。
【請求項45】
目標組織層に所定の幾何学的形状を有するチャネルを作成するための方法において、前記チャネルが前記組織層の2つの側壁の間で延在する穴として形成されており、前記方法が、
同軸である、前方軸方向移動時の前記組織層への固着のために構成された第1の遠位部を備える外側部材と、組織を切り取って除去し、それによって前記チャネルを作成するように構成された第2の遠位部を備える内側部材とを備える装置を提供することと、
軸Xに沿って前記装置を進めることによって前記装置を前記目標組織層に位置決めすることであって、前記内側部材が、前記目標組織層に到達するまで、前記外側部材内に配置されており、前記外側部材の前記第1の遠位部が、前記遠位部の少なくとも遠位部分が前記目標組織層内に固着されるように前記目標組織に押し込まれる、位置決めすることと、
前記外側部材から前記第2の遠位部を回転及び突出させ、それによって前記目標組織層から組織を切り取って除去し、前記除去された組織を前記装置に保存することによって前記チャネルを作成することと、
前記第2の遠位部を前記目標組織層から前記外側部材の前記内部に近位に後退させることと、
前記第1の遠位部を前記目標組織層から近位に引き、実質的に前記軸Xに沿って前記装置を体から引き戻すことと
を含む
ことを特徴とする方法。
【請求項46】
請求項45に記載の方法において、
前記位置決めステップ中、前記外側部材の前記第1の遠位部によって、前記目標組織層の前にある1つ又は複数の組織層を貫入すること
をさらに含む
ことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療分野の発明であり、特に、手術装置に関し、より詳細には、小型の手術用切断ツールに関する。
【背景技術】
【0002】
体から組織を除去することは、診断又は治療目的を含むさまざまなシナリオにおいて求められている。たとえば、生検処置では、体外で検査を行うために、十分に小さい組織標本が採取される。通常、標本の形状又は除去された組織の部位に残った空洞は、重要性が低く、又は重要性がなく、体は、明らかな痕跡を残していない損傷から回復する。別の例において、組織は、緑内障の症状(過剰眼圧)などにおいて過剰な液体のドレナージのための経路を作成するために除去される。
【0003】
いくつかの外科的処置は、緑内障及び/又は高眼圧(IOP)を治療するために実施される。濾過手術は、結膜の下で眼の前房から外面までのドレナージチャネルを作成するために、眼の内層へのアクセスを得るために使用され、房水がゆっくりと吸収されるブレブにしみ込むことを可能にする。濾過手術は、手術時に前房への侵入が生じるかどうかに応じて、貫入型又は非貫入型に区分される。手術部位の瘢痕形成は、房水の循環を妨げることがある。外科手術用補助剤は、健康的な組織再生を容易にし、作成されたドレナージチャネル機能を維持するために使用されてもよい。
【0004】
内部からの強膜切開を行う穿孔術は、ブロッキングによる他の処置の失敗後に濾過処置を実行し、治療された部位を覆っている結膜の健全性を維持する手段として、Brownら(Brown RH,Lynch MG,Denham DB,et al.Internal sclerectomy with an automated trephine for advanced glaucoma.Ophthalmology 1988;95:728-734)、及び、SHIHADEHら(Wisam A.Shihadeh,MD,Robert Ritch, MD,Jeffrey M.Liebmann,MD.Rescue of failed filtering blebs with ab interno trephination.Cataract Refract Surg 2006;32:918-922)によって報告された。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、体からの組織の除去の新しい技術を提供する。本発明の技術は、たとえば、組織内の明確な、タイムリーに制御されたチャネルを作成することによる軟組織の制御された除去において特に効果的且つ有用である。本発明の技術はまた、除去された組織の形状を回復及び保持することによって、撮像などの外部検証技術を使用する必要なしに、チャネルの作成及びその寸法を検証するために提供する。本明細書で使用される「チャネル」は、体から対応する組織片を除去した後に組織に作成される経路を意味することに注目すべきである。インプラントなどの部品は体に残らず、チャネルの完全性をもたらす又は維持する。本明細書で交換可能に使用される他の表現は、「穴」、「空隙」、及び「経路」である。特に、独自の技術は、多層組織構造の一部である1つ又は複数の隣接する目標組織層にチャネルを制御可能に作成し、同時に、目標組織層を覆う/目標組織層の前にある、且つ/又は、目標組織層に続く1つ又は複数の組織層を保持することを可能にする。さらに、独自の技術は、除去された組織の容積及び形状を検証することによって、チャネル作成処置の成功をもたらすオンラインフィードバックをユーザに提供する。(たとえば、円筒形状を有する)除去された組織の長さ及び/又は直径は、作成されたチャネルの長さ及び/又は直径に一致する/を表す。除去された組織上に加えられる変形を最小化することにより、除去された組織をその元の長さ及び/又は直径にできるだけ近い状態を維持し、それによって、改善された、より良好なリアルタイムフィードバックを提供する。
【0006】
本明細書で使用される用語「組織層」は、単一の組織層、又は、隣接して重ねられた層(多層)若しくは別個の層の群などの層の群を意味することができることに留意されたい。しかしながら、一般に、単一の組織層がデフォルトの意味である。また、「組織層」は多くの場合、特定の厚さ、並びに、その中に作成されたチャネル/穴が組織壁の2つの側部の間で延在するような2つの側部(外側及び内側、又は、近位側及び遠位側)を有する組織壁を指す。
【0007】
たとえば、チャネルは、患者の眼の強角膜接合部のチャネルであってもよく、そのチャネルは、前眼房と、上強膜と結膜組織との間の界面との間を流体連通させることで眼圧を低下させることによって緑内障を治療するために使用されてもよい。
【0008】
上記の文献(Brownら及びShihadehら)において、内部からの穿孔技術は、チャネル作成の部位の反対側の角膜に作られた切り込みを通して前眼房に手術装置を観血的に導入することを含む。この処置は要求が厳しく、外科医の専門知識、及び虹彩と平行な前房内の手術装置の濾過角度へのルートを正確に可視化する機能に大きく依存する。それはまた、虹彩及び水晶体などの重要臓器、並びに、追加の隅角鏡レンズを使用しない限り、直接可視化できない角度構造体にとって危険である。この手術時の隅角鏡レンズは、緑内障の外科医によってさえ、ごく希にしか使用されない。
【課題を解決するための手段】
【0009】
対照的に、本発明は、安全で、低侵襲(外部から行う)且つ非常に高速(秒のオーダー)であり、極めて効率の高い技術を提供する。よって、本発明は、いくつかの手術を組み合わせることによって、たとえば、白内障手術に加えて本発明による高眼圧の治療を組み合わせることによって、組合せ手術の可能性を提供し、そのため、外科医及び患者の時間と労力を節約する。
【0010】
上記のように、本発明は、その外部からの用途で有利であるが、本発明の装置は、内部からの処置においても、安全且つ効果的に適用することができるが、それは、以下でさらに詳述されるように、装置が、内部からの構成で利用されるときに、虹彩などの内臓器官を含む、眼の器官を保護するように構成されるプロテクタとして機能する外側部を含むためである。
【0011】
体の異なる部位では、チャネルが作られなければならない目標組織は、他の組織の下にあるか、又は他の組織の前にある。このような状況では、周辺組織又は隣接する組織の損傷は避けられなければならないので、課題はさらに大きい。1つの例は、結膜を無傷に保ちながら、強膜にチャネルを作成することである。本発明の医療装置は、外部からの用途において、外側の第1の組織(たとえば、結膜)を通る遠隔貫入を最適化するように構成されており、続いて、内側の第2の組織(たとえば、強膜)を切り取ってチャネルを形成し、同時に、可能な最小の力が加えられ、それにより、上部組織(結膜)で作成された穴は、ほとんどすぐに回復し、痕跡を残さない。他方で、内部からの用途において、装置は、前眼房に実際に挿入されている間、その構造及び動作方法により、外側の結膜を含む他の器官に損傷は引き起こされないことを保証し、同時に、装置は、内側から強膜組織にチャネルを作成する。
【0012】
さらに、本発明の医療装置は、簡単な自動又は半自動手術のために構成され、外科医の負担を軽減し、外科的処置全体について連続的なフィードバックを外科医に提供する。本発明の技術は、切り取る組織内での装置の安全な位置決めについて外科医を支援し、同時に、チャネルの三次元的方向付けに関する外科医の制御をさらに可能にする。
【0013】
さらに、本発明の装置は、チャネル作成中、体から除去された組織の形状/標本を保持することによる認証又は確認機能を組み込んでもよい。装置の切断ツールの形状はまた、切断ツール内への除去された組織の捕捉を向上し、眼の壁などの組織壁内に除去された組織が残る可能性を阻止又は最小化する。
【0014】
本発明の技術によって作成されるチャネルは、たとえば、流体のドレナージを保証するように組織内にインプラントを残す他の技術と比較して有利であり、それは、場合によっては、特定の目標組織層又は多層の2つの側壁の間で延在する作成された空隙/穴/チャネル以外、組織内に何も残らないためである。換言すれば、作成されたチャネルは組織を通る穴であり、目標組織内に人工のチューブ/シャントはまったく残っていない。したがって、作成されたチャネルは、圧力調整器として動的に作用することができる、すなわち、両端に作用する圧力に基づいてその寸法を変えることによって、ドレナージ能力を調整することができる。圧力勾配が増加すると、それに応じて、チャネルは開く/その寸法を大きくし、圧力勾配が低下すると、それに応じて、チャネルは閉じる/その寸法を小さくする。
【0015】
チャネルの寸法の範囲は、チャネルを作成する装置の幾何学的形状及び寸法によって制御することができる。たとえば、高いIOPを治療するために、眼の壁にチャネルを作成する特定の例では、本発明は、マイクロスケールでのチャネル作成及び確認の実現に有利であり、それは、ドレナージチャネルの望ましい大きさは通常、チャネル及び適合する除去された組織が略円筒形状であると仮定すると、直径約0.1~0.2mm、及び長さ1~1.5mmであるためである。本発明は、マイクロレベルで上記の目標を実現し、同時に、現在利用可能な技術の限界を克服する。とりわけ、利用可能な技術は、必要な上記直径を有する最大約0.5mmの長さの、組織を受ける空洞を有するツールを製造するために使用されてもよい。しかしながら、これは、1.5mmの長さを有する眼の壁内に略円筒形のチャネルを作成するために適切ではない。本発明の技術は、直径及び長さに関してマイクロスケールの望ましい大きさを有する切断ツールの作成を可能にし、それによって、チャネル作成の確認のために使用される除去された組織の形状の保持を可能にする。
【0016】
一般に、本発明の医療装置は、目標組織に到達して、装置の外側部の固定/固着部分によって目標組織内で安定するまでの、1つ又は複数の組織層を通るその直線長手軸に沿った装置の実質的な直進によって特徴づけられる位置決めフェーズと、装置の内側の回転可能な切断ツールがその直線の長手回転軸のまわりを回転し、次いで、前進して装置の外側部から突出し、目標組織内を進み、目標組織の組織を切り取り、望ましい大きさ(直径、断面積、長さなど)を有するチャネルを作成する、チャネリングフェーズと、内側の回転可能な切断ツールが目標組織から装置の外側部に引き戻され、装置全体が体から後退する引き戻しフェーズとの3つの異なるフェーズで作動するように構成されている。引き戻しフェーズは、とりわけ、組織特性(種類、硬さ、体の領域)、手術の時間、及び望ましいチャネル形状に応じて、内側の回転可能な切断ツールの回転を伴ってもよく、回転を伴わなくてもよい。通常、外側部は、何れのフェーズでも回転せず、装置の直線長手軸上で前後の直線運動のみ行う。一般に、外側部は、装置の前進中、目標組織に到達するまで周辺組織を保護する保護シャフトとして、且つ、その前方(遠位)部分が目標組織に挿入/固定/固着されて、チャネリングフェーズの間、内側の回転可能な切断ツールの安定した起動及び性能を可能にするような安定化部として機能する。
【0017】
よって、本発明の広範な態様により、目標組織層から所定の形状の軟組織を除去し、それによって、目標組織層の2つの側壁の間に所定の幾何学的形状及び向きを有する適合するチャネルを残すための医療装置が提供され、装置は、軸Xに沿って延在する同軸の外側細長部材と内側細長部材とを備え、
前記外側部材は、開口した遠位側と、前方軸方向移動時、前記目標組織層(又は、多層)に固着するために構成された第1の遠位部とを備え、
前記内側部材は、回転して、目標組織層から軟組織の前記所定の形状に前記開口した遠位側を通して遠位に突出し、目標組織層又は多層を通る穴として形成される前記チャネルを作成するように構成された第2の遠位部を備える。
【0018】
いくつかの実施形態において、第1の遠位部は、前方軸方向移動時、目標組織層の前の少なくとも1つの他の組織層に貫入するために構成されている。
【0019】
いくつかの実施形態において、第1の遠位部は、前記少なくとも1つの他の組織層及び前記目標組織層に貫入するように構成され動作可能なその遠位端の組織穿刺先端と、前記少なくとも1つの他の組織層に貫入して、前記目標組織層で止まるように構成され動作可能なその近位側の近位部分とを備え、それによって、前記外側部材を目標組織層内に固着する。
【0020】
いくつかの実施形態において、前記第1の遠位部は、前記第2の組織層の形状及び向きを補完する形状及び向きを有する、前記先端と前記近位部分との間の中央部分を有する。
【0021】
いくつかの実施形態において、第1の遠位部は、前記先端が前記目標組織層から遠位に出ないような所定の長さを有する。
【0022】
いくつかの実施形態において、近位部分は前記外側部材のリムであり、前記軸Xに沿って外側部材の壁の断面を切り取ることによって形成されている。
【0023】
いくつかの実施形態において、内側部材は、外側部材の前記前方軸方向移動時、前記外側部材に固定的に取り付けられて、前記外側部材内に収容されている。
【0024】
いくつかの実施形態において、外側部材は、前記前方軸方向移動時、第2の組織層のその前記固着まで、手動で移動される。
【0025】
いくつかの実施形態において、内側部材は、回転しながら、前記軸Xに沿って手動で移動されて、チャネルを作成する。
【0026】
いくつかの実施形態において、装置は、回転しながら、一定の力の下で前記軸Xに沿って前記内側部材を移動させるように構成され動作可能な一定力可動機構を備える。いくつかの他の実施形態において、装置は回転しながら、一定の速度で前記軸Xに沿って前記内側部材を移動させるように構成され動作可能な一定速度可動機構を備える。
【0027】
いくつかの実施形態において、装置は、前記内側部材を軸方向に移動させる且つ/又は回転させるために構成され動作可能な電気モータを備える。
【0028】
いくつかの実施形態において、装置は、前記チャネルの作成時に前記目標組織層から切り取られた組織を収集するための空洞を備える。いくつかの実施形態において、空洞は、前記内側部材内に配置されている。いくつかの実施形態において、空洞は、前記内側部材と前記外側部材との間の空間に配置されている。
【0029】
いくつかの実施形態において、前記内側部材の第2の遠位部は、その遠位端で開口しており、回転しながら、軟組織に付着して、軟組織を切り取るように構成された丸い刃先を備える。内側部材は、前記チャネルの作成時に前記第2の組織層から切り取られた組織の完全な形状を保持するためのチャンバを備えてもよい。
【0030】
いくつかの実施形態において、内側部材は、
長手方向軸に沿って延在し、その近位側で均一な外径を有する細長い円形本体と、
その遠位端での前記外径より小さい第1の直径の丸い刃先と、遠位に且つ連続的に減少する外径とを備える細長い本体の遠位側の切断部分と、
前記切断部分から切断ツール内で長手方向軸に沿って延在する空洞であって、前記軟組織形状に適合する大きさを有する空洞と
を備え、
前記組織形状は円筒形であり、約1.5mmの長さと、約0.1mm~約0.2mmの直径とを有する。
【0031】
いくつかの実施形態において、内側部材は、
長手方向軸に沿って延在し、その近位側で均一な外径を有する細長い円形本体と、
その遠位端での前記外径より小さい第1の直径の丸い刃先と、遠位に且つ連続的に減少する外径とを備える細長い本体の遠位側の切断部分と、
前記切断部分から切断ツール内で長手方向軸に沿って延在する空洞であって、少なくとも、除去された組織の長さの長さを有する空洞と
を備え、
前記空洞は空洞の遠位端の前記第1の直径より小さく、空洞の近位端の方へ連続的に増加する空洞直径を有する。
【0032】
いくつかの実施形態において、内側部材は、
長手方向軸に沿って延在し、その近位側で均一な外径を有する細長い円形本体と、
その遠位端での前記外径より小さい第1の直径の丸い刃先と、遠位に且つ連続的に減少する直径とを備える細長い本体の遠位側の切断部分と、
前記切断部分から切断ツール内で長手方向軸に沿って延在する空洞であって、少なくとも、除去された組織の長さの長さを有する空洞と
を備え、
前記空洞は、前記第1の直径に等しい一定の空洞直径を有し、前記第1の直径は、約0.1mm~約0.2mmである。
【0033】
いくつかの実施形態において、内側部材は、前記空洞の少なくとも一部に沿って内側部材の本体の壁に形成されたスリットを備える組織トラッパを備える。いくつかの実施形態において、スリットは、内側部材の本体の壁の接線方向の切り込みによって形成されており、それによって、前記装置は、内側部材と外側部材との間に配置された外側空洞をさらに備える。いくつかの実施形態において、スリットは、内側部材の壁の放射状の切り込みによって形成されている。
【0034】
いくつかの実施形態において、前記内側部材の第2の遠位部は、軟組織を除去するために構成されたドリルビットとして構成されている。
【0035】
いくつかの実施形態において、前記第2の遠位部の回転は、時計回り及び反時計回りの往復運動を含む。
【0036】
いくつかの実施形態において、組織穿刺先端は、ランセットとして構成されている。
【0037】
いくつかの実施形態において、外側部材の第1の遠位部は、第1の遠位部の遠位セグメントで滑らかな貫入を提供し、第1の遠位部の近位セグメントで進行力に対する抵抗を増加させるように選択された曲線に沿って軸Xの方向に外側部材を切り取ることによって形成されている。
【0038】
いくつかの実施形態において、少なくとも1つの他の組織層は、結膜及び/又はテノンを備え、前記目標組織層は、眼の上強膜及び/又は強膜及び/又は角膜である。
【0039】
いくつかの実施形態において、チャネルの所定の幾何学的形状は、所定時間にわたって治療された眼の圧力調整を可能にするように選択されている。
【0040】
本発明のさらに別の広範な態様により、軟組織の切取りに使用される切断ツールの製造方法であって、切断ツールが、その遠位端で、第1の直径の丸い刃先と、前記切断部分から切断ツールの長手方向軸に沿って所定の長さにわたって延在する空洞とを有する遠位切断部分を備え、且つ、所定の長さに沿って一定であるか、又は近位に増加する空洞直径を備え、方法は、
均一な外径及び内径を有し、少なくとも前記所定の長さに沿って延在する中空円筒をその遠位側で備えるツールを提供することであって、前記内径が前記第1の直径より大きい、提供することと、
前記内径及び外径の両方が中空円筒の遠位端の方へ減少するような、且つ、前記第1の直径が、前記内径より大きく、遠位端の前記外径より小さいような所定のパターンで中空円筒の遠位部分を成形することと、
遠位端の内径が前記第1の直径に略等しく、遠位部分の近位端の内径が前記空洞直径に略等しいように、前記遠位部分に沿って中空円筒の薄片を除去することと
を含む方法が提供される。
【0041】
いくつかの実施形態において、遠位部分の前記成形することは、スエージング及び/又はスピニング技術によって実行される。
【0042】
いくつかの実施形態において、遠位部分の前記成形することは、テーパリング技術によって実行される。
【0043】
いくつかの実施形態において、前記所定のパターンは直線状である。
【0044】
いくつかの実施形態において、前記所定のパターンは非直線状である。
【0045】
いくつかの実施形態において、前記空洞直径は前記第1の直径に等しい。
【0046】
いくつかの実施形態において、方法は、切断部分の内側からの前記丸い刃先を鋭利にし、それによって、切断部分の近位端における空洞直径が第1の直径より小さいことを提供することをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記空洞直径は近位に増加する。
【0047】
いくつかの実施形態において、方法は、前記空洞の内面を摩擦低下組成物で被覆することをさらに含む。
【0048】
いくつかの実施形態において、前記所定の長さは少なくとも1.5mmである。
【0049】
いくつかの実施形態において、空洞の近位側の前記空洞直径は0.1mm~0.2mmである。
【0050】
いくつかの実施形態において、中空円筒の前記均一な外径及び内径は、それぞれ約0.3mm及び約0.16mmである。
【0051】
いくつかの実施形態において、成形後、遠位端における中空円筒の前記外径及び内径は、それぞれ約0.27mm及び約0.13mmである。
【0052】
いくつかの実施形態において、中空円筒の前記遠位部分は、長手方向軸に沿って約1mm~約2mmの長さを有する。
【0053】
本発明のさらに別の態様により、回転及び進行しながら軟組織の所定の形状を除去し、それによって、軟組織の2つの壁の間に適合するチャネルを残すための切断ツールが提供され、切断ツールは上記の方法に従って製造される。
【0054】
本発明のさらに別の広範な態様により、目標組織層に所定の幾何学的形状を有するチャネルを作成するための方法が提供され、チャネルは組織層の2つの側壁の間で延在する穴として形成されており、方法は、
同軸である、前方軸方向移動時の前記組織層への固着のために構成された第1の遠位部を備える外側部材と、組織を切り取って除去し、それによって前記チャネルを作成するように構成された第2の遠位部を備える内側部材とを備える装置を提供することと、
軸Xに沿って装置を進めることによって前記装置を目標組織層に位置決めすることであって、前記内側部材は、前記目標組織層に到達するまで、前記外側部材内に配置されており、外側部材の第1の遠位部は、遠位部の少なくとも遠位部分が目標組織層内に固着されるように目標組織に押し込まれる、位置決めすることと、
前記外側部材から前記第2の遠位部を回転及び突出させ、それによって前記目標組織層から組織を切り取って除去し、除去された組織を装置に保存することによって前記チャネルを作成することと、
前記第2の遠位部を前記目標組織層から外側部材の内部に近位に後退させることと、
第1の遠位部を前記目標組織層から近位に引き、実質的に軸Xに沿って装置を体から引き戻すことと
を含む。
【図面の簡単な説明】
【0055】
本明細書に開示された主題をよりよく理解し、それが実際にどのように実行可能であるかを例示するために、実施形態は、ここでは非限定的な例としてのみ、添付図面を参照して説明される。
【0056】
【
図1A】
図1Aは、本発明による装置の非限定的な例示的な実施形態を示す。
【
図1B】
図1Bは、本発明による装置の非限定的な例示的な実施形態を示す。
【
図2】
図2A及び
図2Bは、本発明による装置の別の非限定的な例示的な実施形態を示す。
【
図3】
図3A及び
図3Bは、本発明による、軟組織にチャネルを作成するための非限定的な技術を示す。
図3C及び
図3Dは、本発明による、軟組織にチャネルを作成するための非限定的な技術を示す。
図3Eは、本発明による、軟組織にチャネルを作成するための非限定的な技術を示す。
図3F及び
図3Gは、本発明による、軟組織にチャネルを作成するための別の非限定的な技術を示す。
図3H及び
図3Iは、本発明による、軟組織にチャネルを作成するための別の非限定的な技術を示す。
【
図4】
図4A乃至
図4Dは、本発明の例示的な実施形態による装置の一部の非限定的な例を示す。
【
図5】
図5A及び
図5Bは、本発明による装置の一部の非限定的な例を示す。
図5C1乃至
図5C3は、本発明による装置の一部の非限定的な例を示す。
図5D1乃至
図5D3は、本発明による装置の一部の非限定的な例を示す。
図5E1乃至
図5E3は、軟組織に、特に眼の壁にチャネルを作成する1つの非限定的なシナリオを示す。
図5E4乃至
図5E7は、軟組織に、特に眼の壁にチャネルを作成する1つの非限定的なシナリオを示す。
図5F及び
図5G1は、本発明の例示的な実施形態による、装置を製造するための装置及び方法の非限定的な例を示す。
図5G2乃至
図5G4は、本発明の例示的な実施形態による、装置を製造するための装置及び方法の非限定的な例を示す。
【
図6】
図6A及び
図6Bは、本発明による手動移動機構の非限定的な例を示す。
図6C及び
図6Dは、本発明による手動移動機構の非限定的な例を示す。
【
図7】
図7A及び
図7Bは、本発明による手動移動機構の別の非限定的な例を示す。
図7C及び
図7Dは、本発明による手動移動機構の別の非限定的な例を示す。
【
図8】
図8A及び
図8Bは、本発明による手動移動機構のさらに別の非限定的な例を示す。
図8C及び
図8Dは、本発明による手動移動機構のさらに別の非限定的な例を示す。
【
図9】
図9A及び
図9Bは、本発明による自動移動機構の非限定的な例を示す。
図9C乃至
図9Eは、本発明による自動移動機構の非限定的な例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0057】
本発明は、軟組織に明確なチャネルを作成するための技術を提供する。1つの態様では、目標組織層(又は、目標組織層の第1の群)から所定の形状の軟組織を除去し、それによって、目標組織層の2つの側壁を通る/2つの側壁の間に、所定の幾何学的形状及び/又は向きを有する適合する/対応するチャネルを残すための医療装置が提供される。いくつかの実施形態において、そのような装置は、眼の上強膜及び/又は強膜及び/又は角膜組織(一般に、簡略化のために本明細書では強膜と呼ばれる)の全体の厚さに沿ってドレナージチャネルを作成する際に特に有用であり、それによって過剰眼圧を治療することができる。強膜は、結膜及びテノン組織によって覆われ、それにより、外部から強膜に接近するには、結膜及びテノンに貫入することを必要とする。したがって、装置は、強膜に到達する前に結膜/テノンを貫通するようにも構成されてもよい。
【0058】
本発明のいくつかの実施形態による医療装置100の特定の、非限定的な例を示す
図1A及び1Bを参照する。
【0059】
医療装置100は、第1の上部の組織層を通して貫入し、連続する第2の下部の目標組織層を通して所定の幾何学的形状を有するチャネルを作成するために構成されて、それらを行うことが可能である。装置100は、目標組織にチャネルを作成し、場合によっては、目標組織層の前の組織層に貫入するための、それぞれ、軸Xに沿って延在する、同軸の外側部材110及び内側部材120を含む。軸Xは通常、長手方向の直線軸である。同軸の外側部材110及び内側部材120は通常、硬く強靭な材料から作られ、したがって、剛性であり、少なくとも軟組織を通って押される/挿入される/進められるときに曲がらない。同軸の外側部材110及び内側部材120は、その近位側114Pで、ユーザが装置100を保持/把持して操作するハンドル/把持ユニット150上に取り付けられる。
【0060】
外側部材110は、開口した遠位側112Dと、第1の遠位部112と、第1の近位細長部114とを含む。本明細書で使用される相対表現「近位」及び「遠位」は、ユーザに対する相対的な向きを定義し、そのため、「近位」はユーザに近い側を示し、「遠位」はユーザから遠い側を示すことに留意されたい。外側部材110は、軸Xに沿って軸方向に移動し、それによって、その第1の遠位部112が軟組織に貫入するように構成されている。外側部材110の軸方向移動は、ユーザの手動操作によって実現される。外側部材110がユーザによって手動で操作されるとき、外側部材110は、近位側114Pで、ハンドル150に固定的に/しっかりと取り付けることができる。あるいは、外側部材110は、ハンドル150にしっかりと取り付けられていない間、軸Xに沿ったユーザによる手動摺動のために構成することができる。可動機構についての詳細は、本明細書において以下でさらに説明される。
【0061】
第1の遠位部112は、前方軸方向移動時、もしあれば、目標組織層の前の組織層に貫入して、通過するために構成されており、したがって、第1の遠位部112の遠位端に、貫入を可能にする組織穿刺先端116を含む。前方軸方向移動が手動で制御されるとき、比較的薄い結膜などの前の組織層への貫入は、ユーザによって加えられる手動押力によって可能にされ、それは、ユーザの方へ外側に結膜を手動で持ち上げる/引っ張ることによってさらに容易にすることができることに留意されたい。第1の遠位部112はまた、通常はより厚い目標組織層を穿刺し、チャネルを作成する目標組織内に装置を位置付けるように目標組織層に固着し、チャネルの三次元の向きを定義する枢軸点をユーザに提供するように構成されている。その簡単な名称に加えて、第1の遠位部112は本明細書において、「固着部」、「安定化部」、又は「固定部」と交換可能に呼ばれる。第1の遠位部112は、目標組織に入って、その中に固着/固定されるが、最小限の力を加えることによって、周辺組織への損傷を引き起こすことなく、後方へ引き戻すことができることは理解されるべきである。本明細書で使用される固着及び/又は固定は、恒久的な状態でなく、むしろ、第1の遠位部の位置の、ユーザに安定した枢軸作用点を与える一時的な移行状態を意味する。
【0062】
第1の遠位部112の最も遠位部に形成された組織穿刺先端116は、当該技術分野において知られているものに従って、たとえば、従来の医療用針で行われるように構成することができる。よって、組織穿刺先端116は、たとえば、傾斜したランセット構造を含むことができる。さらに、組織穿刺先端116は、
図4A~4Dを参照して以下でさらに説明されるような、他の構成を有することができる。
【0063】
第1の近位細長部114は、中空、たとえば中空チューブであり、その中で内側部材120を取り囲んで収容する。通常、第1の近位細長部114は、円形(丸い)又は略円形の外側横断面を有する円筒形状を有する。第1の近位細長部114は、最小限の力で滑らかに且つ簡単に軟組織に貫入するように構成されており、したがって、円形外断面を有することができ、滑らかな(磨かれた)外面を設けることができ、組織への貫入中の摩擦が最小化される。第1の近位細長部114の内断面は、円形であるか、又は、その中で取り囲まれる内側部材120の外面に適合する他の形状を有する。
【0064】
内側部材120は、第2の遠位部122と第2の近位細長部124とを含む。第2の遠位部122は、開口した遠位側112Dを通して遠位に突出するように構成されており、回転しながら目標組織に接近し、それによって、目標組織を所定の形状に切り取り、目標組織に所定の幾何学的形状及び向きを有するチャネルを作成し、同時に、第1の遠位部112は、上記のように、且つ、
図3A~3Iを参照して以下でさらに例示されるように、目標組織内に実質的に位置付けられる。一般に、第2の遠位部122は、その遠位端で、目標組織に効果的に付着して、回転しながら目標組織を切り取るように構成されている。このため、第2の遠位部122の遠位端には、以下でさらに説明されるように、刃先、パンチング機構などを設けることができる。
【0065】
一般に、装置100は、除去された組織をその中に収集するように構成された空洞/チャンバ126を含み、それにより、組織は体に残らない。いくつかの実施形態において、空洞/チャンバは、
図1Bに例示されるように、第2の近位細長部124内に配置される。いくつかの他の実施形態において、空洞/チャンバ126は、外側部材110と内側部材120との間の空間に配置することができる。
【0066】
ハンドル150を含む装置100は、1回だけの使用のために構成されて、使い捨てであってもよく、したがって、装置の安全性及び無菌性を高めて維持することができる。ハンドル150は、本発明の譲受人に譲渡された国際出願PCT/IL2016/051063号明細書に記載されているように構成することができる。
【0067】
可動機構140が、前方(遠位)及び後方(近位)への外側部材110の軸方向移動、並びに、内側部材120の軸方向移動及び回転移動の両方を可能とするように構成されている。可動機構140は、可動機構140が可能であるそれぞれの移動のための、手動(ユーザによる)並びに/又は自動(ばね及び/若しくはモータなどの機械的手段及び/若しくは電気的手段による)の操作モードを有することができる。内側部材120の回転移動は、完全又は部分的な円又は回転、時計回り及び/若しくは反時計回り、並びに/又は、往復移動とすることができる。
【0068】
装置の構造及び大きさは、用途、組織特性、並びにチャネルが作成される体の部位の解剖学的構造及び形態に適合するように変えることができる。
【0069】
たとえば、人間の眼にドレナージチャネルを作成するために使用される場合、装置の大きさは、以下の通りとすることができる。
【0070】
外側部材の外径は、滑らか且つ安全な組織への貫入及び組織からの引き戻しを可能にし、同時に、手術中に組織内で壊れないような最低限の強度を維持するように選択される。それは約0.4~1.2mmとすることができる。
【0071】
外側部材の全長は、手術部位への簡単且つ安全なアクセスを可能にするように選択される。それは約8~30mmとすることができる。
【0072】
外側部材の第1の遠位部の長さは、第2の組織、すなわち、この場合は強膜への第1の遠位部の挿入/固着/固定を可能にし、同時に、第1の遠位部が強膜から遠位に突出しないことを保証し、よって、前眼房への侵襲性の入口を最小化又は解消するように選択することができる。それは約0.5~3mmとすることができる。
【0073】
内側部材の外径は、チャネルの所定の幾何学的形状を作成し、同時に、手術中に組織内で壊れないような最低限の強度を維持するように選択される。それは約0.2~0.5mmとすることができる。
【0074】
内側部材の全長は、近位側での可動機構への接続を可能にし、同時に、望ましいチャネル長さを作成するために十分な前進距離を提供するように選択される。それは約15~40mmとすることができる。
【0075】
内側部材の第2の遠位部の長さは、チャネル作成を保証する第2の遠位部の特定の構造に依存する。
【0076】
チャネル作成中、内側部材は外側部材から約1~4mmだけはみ出る/突出する。
【0077】
内側部材の回転は、約1~10,000rpmの範囲とすることができる。そして、貫入力は約0.2~10ニュートンである。
【0078】
結果として得られるチャネルの直径は、約0.1~0.5mmであろう。
【0079】
図2A及び2Bを参照する。本明細書を通して、同じ機能を有する機能部品は、100番違いの同じ番号を繰り返している。たとえば、番号210は外側部材を示し、番号220は内側部材を示し、どちらも、少なくとも外側部材110及び内側部材120に関する上記の特徴を有するように構成されており、場合によっては、付加的な特徴を有する。以下において、その外側部材及び内側部材及びその可動機構を含む装置のさまざまな非限定的な実施形態が例示される。1つの外側部材、1つの内側部材、及び1つの可動機構の任意の組合せが同様に可能であることは理解されるべきである。示されるか、又は説明される特定の例は、本発明の広範な態様を限定するものではない。
【0080】
図2A及び2Bは、本発明の装置200の非限定的な例を例示する。図には、装置200の外側部材210及び内側部材220が示されている。外側部材210及び内側部材220は、少なくとも上記の外側部材110及び内側部材120のように構成され動作可能である。
図2A(並びに
図1A)は、位置決めフェーズの間、すなわち、第1及び第2の連続する(目標)組織を通して装置を挿入する間の装置を示し、外側部材210は、チャネルを作成する第2の組織内のその位置へ装置を導き、内側部材220(並びに
図1Aの110)は、外側部材210に完全に収容されている。
図2B(並びに
図1B)は、チャネリングフェーズの間、すなわち、内側部材220の回転及び前進移動、突出によるチャネル作成の間の装置を示す。示されるように、外側部材210の第1の遠位部212は、その最も遠位側に穿刺部/先端216を含み、穿刺部/先端216は、上記のように、目標組織の前の組織層に穿刺及び貫入し、完全に貫入することなく目標組織層に穿刺するように構成され動作可能である。さらに、第1の遠位部212は、その近位側に部分212Pを含み、部分212Pは、目標組織層の前の組織層に穿刺及び貫入し、第2の(目標)組織層で止まるように構成され動作可能である、すなわち、部分212Pは、チャネルが作成される第2の(標的)組織に外側部材210が過度に貫入することを防ぎ、それにより、その遠位穿刺部分216によって、外側部材210を目標組織層に固着する。部分212Pは、本明細書において「停止部分」又は「ストッパ」と交換可能に呼ばれる。
【0081】
説明された例において、ストッパ212Pは、実質的に軸Xに沿って外側部材210の壁の断面を切り取ることによって、外側部材210の丸い横断面のリムによって形成された外側部材210の一体的な部分である。特に、切り取られた断面は、外側部材210の円筒の壁、たとえば、外側部材に沿ったその最も遠位端と最大で近位点との間の外側部材の円筒の半分である。軸Xに沿って切り取られた壁断面の長さは、第1の遠位部分212の長さを画定し、第1の遠位部分212は、穿刺先端216の遠位端が目標組織層から遠位に突出しない/出ないような、外側部材210を目標組織に固着する範囲を画定する。
【0082】
本発明の医療装置を使用することによって軟組織にチャネルを作成するための非限定的な技術を例示する
図3A~3Iを参照する。説明される例は、眼の強膜組織にチャネルを作成することに関する。しかしながら、すでに述べられたように、本発明は本出願に限定されず、他の組織層の前/下の組織層に制御されたチャネルの作成が必要とされる、体の他の領域で実施することができる。特に、本発明は、領域がその機能を提供することができないために、その中に装置の明確な定義された停止/配置/安定化機能を必要とする体の領域でのチャネル作成を可能にする。そのような領域は軟組織である。
図3A~3Eで説明される例は、装置が外部から強膜組織に接近する、外部からの処置に関する。人間の眼360が示されており、チャネルは強角膜接合部362の領域に作成しなければならない。作成されたチャネルは、眼の前房364と結膜下の空間/ゾーンとの間を制御可能に接続し、よって、前房に蓄積された余分な流体を出すことができ、これによって、眼圧を低下させる。先に説明されたように、チャネル寸法は、特定の幾何学的な大きさを有する装置を提供することによって制御することができる。また、過剰圧力を治療するために使用されるとき、作成されたチャネルの寸法は、治療しなければならない過剰圧力の大きさに基づいて決定される。より高い圧力はより大きなチャネルを必要とし、その逆も同じである。作成されたチャネルは、チャネル全体での圧力勾配、すなわち、眼の外部と内部との圧力差に基づいて、制御された寸法間で膨張又は収縮させるような、圧力の効果的な調整を保証する。
【0083】
図3Aに示されるように、装置300は、外部から眼に接近し、外側部材310によって、正確には、外側部材310の第1の遠位部312によって、結膜及び/又はテノン組織(
図3Bの366)を含む外側組織層に遭遇する。外側部材310は、通常は手動で外科医によって前方へ進められると、結膜及び/又はテノンを穿刺して貫入する。
【0084】
図3Bに示されるように、装置が結膜及びテノン366を通過した後又は通過している間、外科医は、外科医のもう片方の手に保持された適切なツールの助けによって、結膜366を、場合によってはテノンも、外側に引くことができる。ここで、結膜組織は、場合によってはテノンも、第1の近位細長部314で外側部材310を包む。これは、結膜及び/又はテノンが、強膜組織を切り取って除去するために回転及び前進する内側部材と接触することを防ぐことによって、結膜及び/又はテノンを保護する。ここで、外側部材310の組織穿刺先端316は、強膜組織368に接触する。
【0085】
図3Cに示されるように、外側部材310は上記のように手動で前方へさらに進められ、それにより、穿刺先端316は強膜組織368に貫入する。装置は、その外側部材310の第1の遠位部312によって、強膜組織368に固着(固定)されて、一時的に安定する。強膜組織368内を前進させる間、進行に対する抵抗は増加し、外科医が装置を手動で進めるときに、外科医へのフィードバックとして与えられる。この特定の例に示されるように、装置がストッパ312Pとともに構成される場合、装置300はハードストップに至るが、それは、ストッパ312Pは、外側部材310上の進行力に対する抵抗をかなり増大させ、強膜組織368内へのさらなる貫入/進行を防ぐためである。
【0086】
図3A~3Cは、チャネリングフェーズのための準備として、装置300の位置決めフェーズを示していることが理解される。位置決めフェーズの間、外側部材と内側部材との間の相対運動は発生しないことも理解される。一般に、内側部材は、外側部材の軸方向移動中、外側部材の軸方向移動がどれだけ行われても、外側部材内に隠されて、外側部材に固定的に取り付けられており、軸方向移動がハンドルに対する外科医による外側部材の手動移動を含んでいても、又は、外側部材の軸方向移動が外科医によるハンドルの手動軸方向移動によってもたらされるように外側部材がハンドルに固定的に取り付けられていてもそうである。
【0087】
この時点で、
図3Dに示されるように、外側部材310が結膜組織を保護している間、上記のように且つ以下でさらに例示されるように専用モータによって機械的又は電気的に内側部材320は回転し、内側部材320は、内側部材320が強膜組織368に接触して付着し、穴開け及びチャネル作成を開始するように、適用された可動機構によって前方に進められる。回転する内側部材の前進距離は、眼の内側に損傷を引き起こすことを回避するために内側部材320の遠位端が前眼房に大きく突出しないように、可動機構によって構成することができる。次いで、内側部材320は、以下でさらに説明されるように、その構成に応じて回転しながら又は回転せずに、内側部材320が外側部材310内の固定位置に戻るまで、後方に引っ込められ(図示せず)、外側部材310は、外科医によって強膜及び結膜組織から引き抜かれる。結膜組織はほとんどすぐに回復し、外側部材のみで形成されたその中の穴は閉じる。さらに、位置決めフェーズの間に外科医が結膜を外側に引くとき、次いで、結膜を解放した後、結膜の穴は、強膜のチャネルに対して移動する。結膜が強膜に元通り付着するので、眼を出る過剰流体による眼の崩壊の恐れは防止される。
【0088】
図3Eは、装置が眼の外に引き抜かれた後の、作成されたチャネル370を示す。房水(前房内の流体)は、結膜下の空間の方へ前房を出始め、それにより、結膜の下且つ強膜の上にブレブ372が形成され、流体は、その近傍の血管に再吸収される。
【0089】
ここで、本発明の医療装置を使用することによって軟組織にチャネルを作成するための別の非限定的な技術を例示する
図3F~3Iを参照する。説明された例は、眼の内部から強膜組織に接近することによる内部からの処置において、眼の強膜組織にチャネルを作成することに関する。上で述べたように、本発明の装置は、外部からの処置又は内部からの処置の両方で使用できるという点で有利である。表示を簡略化するため、図で参照番号が付与されていない機能はすべて、
図3A~3Eの場合と同じであるという前提である。人間の眼が示されており、チャネルは、
図3Fに示されるように、強角膜接合部362の領域に作成しなければならない。上記のように、作成されたチャネルは、前眼房と結膜下の空間/ゾーンとの間を制御可能に接続し、よって、前房に蓄積された余分な流体を出すことができ、これによって、眼圧を低下させる。その寸法及び幾何学的形状を含むチャネルの特性は、
図3A~3Eに関して以前に説明されたようにすることができる。
図3Fに示されるように、装置300は外部から眼に接近し、チャネルが作成されるのとは反対側の透明な角膜に事前に作成された開口374を通して、眼の前房364に挿入される。開口374は、スタイレットブレードなどの当該技術分野において知られている従来の手段によって実現することができる。装置は、外部からの処置に関する
図3A~3Eで説明された向きとは反対の向きで、眼に対して挿入されている。換言すれば、外側部材による組織の鋭い先端は、眼の内側により近く、その一方で、(
図3Aに示されるような)外部からの処置では、それはより遠く離れている。これによって、第1の遠位部分傾斜した形状及び向きは、接触領域362での強膜の形状及び向きを補完するであろう。
【0090】
装置は、前房に挿入されて、虹彩376の上に通りながら、内部から強角膜接合部362で強膜組織に接触するまで、外科医によって手動で押される。
【0091】
図3Gから分かるように、外科医が接触を感じた後、別の押力が前進方向に手動で加えられ、それにより、外側部材310は(内部から)強膜に穿刺して貫入する。装置は、その外側部材310の第1の遠位部312によって強膜組織に固着(固定)されて、一時的に安定する。上記のように、強膜組織内を前進中、進行に対する抵抗は増加し、外科医が装置を手動で進めるときに、外科医へのフィードバックとして与えられる。この特定の例に示されるように、装置がストッパ312Pとともに構成される場合、装置はハードストップに至るが、それは、ストッパは、外側部材上の進行力に対する抵抗をかなり増大させ、強膜組織内へのさらなる貫入/進行を防ぐためである。上でも説明されたように、外側部材の第1の遠位部分の予め設定された長さは、穿刺先端が反対側(ここでは外部)から強膜を出ないことを保証し、それにより、結膜又は他の覆っている組織は、外側部材によって破られない又は穿刺されない。
【0092】
図3F及び3Gは、チャネリングフェーズのための準備として、装置300の位置決めフェーズを示していることが理解される。位置決めフェーズの間、外側部材と内側部材との間の相対運動は発生しないことも理解される。一般に、内側部材は、外側部材の軸方向移動中、外側部材の軸方向移動がどれだけ行われても、外側部材内に隠されて、外側部材に固定的に取り付けられており、軸方向移動がハンドルに対する外科医による外側部材の手動移動を含んでいても、又は、外側部材の軸方向移動が外科医によるハンドルの手動軸方向移動によってもたらされるように外側部材がハンドルに固定的に取り付けられていてもそうである。
【0093】
図3Hに示されるように、外側部材が強膜組織に固定されている間又は固定された後、外科医は、外科医のもう片方の手に保持された適切なツールの助けによって、結膜366を、場合によってはテノンも、外側の方向378に引いて持ち上げることができる。これは、結膜及び/又はテノンが、強膜組織を切り取って除去するために回転及び前進する内側部材と接触することを防ぐことによって、結膜及び/又はテノンを保護する。上記のように専用モータによって機械的又は電気的に内側部材は回転し、内側部材は、内側部材が強膜組織に接触して付着し、穴開け及びチャネル作成を開始するように、適用された可動機構によって前方に進められる。回転する内側部材の前進距離は、結膜及び/又はテノン組織に損傷を引き起こすことを回避するために内側部材の遠位端が強膜組織の外に大きく突出しないように、可動機構によって構成することができる。内側部材は組織を強膜から切り取って除去するように回転するが、強膜組織への固定によって安定化された外側部材は静止しており、外側部材はまったく又はほとんど移動しない、そのため、虹彩などの内臓器官を回転する内側部材によって引き起こされることがある任意の損傷から保護する。さらに、強膜へのその固定は、回転する内側部材が強膜から偶発的に抜けることを最小化するが、そうでなければ、抜けたことにより、眼の内臓器官に悪い結果をもたらされることがある。チャネルの作成後、内側部材は、以下でさらに説明されるように、その構成に応じて回転しながら又は回転せずに、内側部材が外側部材内の固定位置に戻るまで、後方に引っ込められ(図示せず)、装置は、前房から、及び、回復してほとんどすぐに閉じるために適切な薬剤によって治療できる開口374を通して眼から外に後方へ引かれる。
【0094】
図3Iは、装置が眼の外に引き抜かれた後の、作成されたチャネルを示す。房水(前房内の流体)は、結膜下の空間の方へ前房を出始め、それにより、結膜の下且つ強膜の上にブレブ372Bが形成され、流体は、その近傍の血管に再吸収される。
【0095】
本発明のいくつかの非限定的な実施形態による装置の外側部材のさまざまな非限定的な例を示す
図4A~4Dを参照する。図は一例にすぎず、原寸で示されていない。特に、図は、外側部材の第1の遠位部分の異なる非限定的な構成を示す。一般に、第1の遠位部の形状及び/又は向きは、目標組織の形状及び/又は向きを補完するように選択することができ、それにより、外側部材と目標組織との間のより良好な結合/付着/粘着/固定が実現される。
【0096】
図4Aは、医療用針で使用されているカニューレ端部の知られている形状を示す。これは、フラットベベルポイントとして知られている共通ポイントカニューレ端部である。この構成は、外側部材410Aの第1の遠位部412Aとして使用することができる。
【0097】
図4Bも、医療用針で使用されているカニューレ端部の知られている形状を示す。これは、ランセットベベルポイントとして知られている共通ポイントカニューレ端部である。この構成は、外側部材410Bの第1の遠位部412Bとして使用することができる。
【0098】
図4Cは、本発明による外側部材410Cの第1の遠位部412Cの特別な非限定的な例を示す。
図4Cに類似した構成は、
図2A及び2Bにも示されている。第1の遠位部412Cは、ランセットベベルポイントとして構成された組織穿刺先端416Cと、その長手方向軸に沿って外側部材410Cの壁の断面を切り取ることによって得られる外側部材410Cのリムによって形成された停止部分412PCとを含む。いくつかの例示的で非限定的な実施形態において、壁の半分(たとえば、円筒の半分)は切り取られている。
【0099】
図4Dは、本発明による外側部材410Dの第1の遠位部412Dの別の特別な非限定的な例を示す。第1の遠位部412Dは、どちらも曲線に沿って長手方向軸の方向に外側部材410Dを切り取ることによって得られた、組織穿刺先端416Dと、停止部分412PDとを含む。曲線は、進行力に対する抵抗を増加させながら滑らかな貫入を可能にする第1の遠位部に沿った滑らかな移行を提供するように選択することができる。曲線は通常、一定又は可変の勾配を有する滑らかで連続的な線として構成される(その導関数の傾きは常に正又は常に負であり、必ずしもそうとは限らないが一定である)が、他の非連続的な挙動を使用することができる。たとえば、曲線は、2つ以上の線分の組合せとすることができ、そのうち、いくつかは曲線状且つ/又は直線状である。特に、穿刺部分は曲線として構成することができ、一方、停止部分は、たとえば、内側部材の横断面の方向の直線として構成することができる、いくつかの実施形態において、そのような滑らかな曲線は、円形、楕円形、半円形、又は半楕円形の経路に従うことができ、たとえば、円又は楕円の円周の一部とすることができる。示される例において、楕円曲線は、楕円形の長軸は外側部材の長手方向軸の方向にあり、楕円形の短軸は(外側部材を横切る)直交方向にあるように示されている。この場合、長軸は、第1の遠位部の長さを定義し、短軸(又は、さらに詳細には、長軸と短軸との関係)は、停止部分412PDの進行に対する抵抗のレベルを定義する。上記の例は、単一の方向から長手方向軸方向に沿って穿刺先端/ストッパを形成する曲線の形態(2D形成)に関するが、3Dの任意の他の成形の組合せも可能であることは理解されるべきである。
【0100】
上で明らかにされたように、任意の構成の外側部材を、任意の構成の内側部材とともに使用することができる。また、本明細書に示されるすべての例が決して限定というわけではなく、本発明は他の特定の適切な構成で実施することができることに注目すべきである。
【0101】
内側部材は、上記のように、(チャネルが形成される)第2の組織に効果的に付着するために、且つ、回転及び遠位への進行の両方を行いながら、組織の明確な幾何学的形状を切り取るために、構成される。いくつかの実施形態において、内側部材は、そのままの形状の切り取られた組織を保存するために構成され、それにより、作成されたチャネルに対する確認及び認証を提供する。さらに、(第2の近位細長部において)内側部材内に切り取られた組織を保存することは、チャネル作成中且つ/又は装置を眼から外に引くときに、前房からの房水の流出を阻止することによって、眼を突然の崩壊から保護するときに役立つ。
【0102】
本発明のいくつかの非限定的な例示的な実施形態による装置の内側部材の非限定的な例を示す
図5A~5Dを参照する。異なる例は、その目的及び体の位置によって影響されるチャネルの特定の大きさを含む、特定のチャネル作成用途によって区別することができる。特に、説明された例のいくつかは、高IOPを治療するために眼の壁にチャネルを作成する用途のために、他のものよりも適切である可能性がある。
【0103】
図5Aは、回転及び遠位に進行しながら、組織に付着して組織を切り取り、組織を通して、たとえば、前眼房の方へ内側部材を導くように構成された、第2の遠位部522Aを有する内側部材520Aを示す。内側部材は、それは、除去された組織をその中に受けるように構成された細長いチャンバ/空洞(図示せず)を含む、第2の近位細長部524Aも含む。内側部材の外径は好ましくは、その間に空間が残らないように、外側部材の内径に一致すべきである。チャンバ/空洞の形状は好ましくは、切り取られた組織の形状に一致する。操作中、内側部材は、(少なくとも第2の遠位部が)回転しながら組織に接近し、そのため、回転が組織への内側部材の望ましい付着を作成し、穿刺及び切取りの開始を可能にする。一般に、第2の遠位部522Aは、遠位端で、通常は円形状の丸い刃先522EAを有し、以下の構成のうちの1つを有する。
丸い刃先522EAは細長空洞の直径に等しい直径を有し、刃先は、内側部材の外径から細長空洞の直径への方向に尖鋭化(研削)することによって作成される。
丸い刃先522EAは内側部材の外径に等しい直径を有し、刃先は、細長空洞の直径から内側部材の外径への方向に尖鋭化することによって作成される。
丸い刃先522EAは、細長空洞の直径より大きく、且つ、内側部材の外径より小さい直径を有し、刃先は、内側部材の外径から細長空洞の直径への方向、及び、細長空洞の直径から内側部材の外径への方向の両方向に尖鋭化することによって作成される。
【0104】
尖鋭化の程度、すなわち傾斜角は、組織への効果的な望ましい穿刺及び/又は付着を提供する際に、重要な役割を果たすことが発明者らによって見出された。
【0105】
図5Bは、内側部材520Bの別の非限定的な例を示す。この例では、内側部材は、回転しながら軟組織に望ましいチャネルを作成することを可能にする溝が設けられているドリルビットとして構成された第2の遠位部522Bを有する、密度が大きく、空洞でない細長部材として構成されている。ドリルビットの長さ、螺旋、先端角、及び刃物角はすべて、最適な軟組織除去のために調整することができる。この場合、内側部材522Bは、螺旋方向に応じて時計回り又は反時計回りに全周回転し、それにより、除去された組織は、目標組織から遠く離れて、装置の内側部材と外側部材との間に配置された収集空洞の方へ後方に搬送される。
【0106】
図5C1~5C3は、内側部材520Cの別の非限定的な例を示す。
図5C1は、内側部材520Cの等角図である。
図5C2は、同軸の外側及び部材510C及び520Cの等角図であり、容易な説明のために、遠位側の外側部材の壁の半分が取り除かれている。
図5C3は、
図5C2の線C-Cに沿って作られた外側部材及び内側部材の横断面を示す。この例では、内側部材は、示されるように、内側部材520Cが、回転及び遠位に進行しながら、組織に付着してその刃先522ECによって組織を切り取り、組織を通して内側部材を導くように構成された第2の遠位部522Cを有するという点で、
図5Aの例に部分的に類似して構成されている。内側部材520Cは、除去された組織をその中に受けるように構成された(
図5C3に示される第2の近位細長部524C内の)細長いチャンバ/空洞526Cを含む第2の近位細長部524Cも含む。さらに示されるように、内側部材520Cの第2の近位細長部524Cは、細長空洞526Cに略平行に配置された、第2の近位細長部524Cの遠位セグメント524DCの組織トラッパ524TCを含む。組織トラッパ/組織捕捉エンハンサ524TCは、その除去中、除去された組織の捕捉を促進して寄与し、それにより、体から除去された組織を引き出すことを可能/保証する。さらに、組織トラッパ524TCは、詰まりの問題を最小化することによって、除去された組織の空洞526Cへの流れを容易にすることができる。いくつかの実施形態において、さらに、又は、あるいは、装置の内側部材の空洞は、捕捉するような設計、又は、組織のその中への捕捉に寄与するような設計を行うことができる。この例では、組織トラッパ524TCは、長手方向に、すなわち、空洞526Cの少なくとも一部に沿って配置されたスリット524SCを含む。スリット524SCは、遠位セグメント524DCに沿った内側部材の丸い壁の接線方向の切り込みによって、すなわち、内側部材の壁/円周への接線方向の切り込みによって得られる。一般に、組織トラッパ524TCは、内側部材円周に沿って2つ以上のスリットを含むことができ、各スリットは長手方向軸に沿った接線方向の切り込みによって形成されていることに注目すべきである。
図5C2は、位置決めフェーズの間、又は、装置が体から引き抜かれた後の装置を示し、何れの場合も、内側部材(及び、手術後の場合における、除去された組織)は、外側部材内に安全に配置されている。
図5C2及び5C3に示されるように、内側部材の壁の接線方向の切り込みは、スリット524SCに加えて、内側部材の遠位セグメント524DCに沿った凹部524Dを形成する。凹部524Dは、内側部材と外側部材と間に第2の外側空洞528Cを形成し、それが、空洞526C及び/又は外側部材510Cの内部の方への除去された組織の引張りを促進してもよい。換言すれば、凹部524Dは、接線方向の切り込みから生じ、組織トラッパ524TCの一部を形成する。
【0107】
図5D1~5D3は、組織トラッパ/組織捕捉エンハンサ524TDを含む、内側部材520Dの別の非限定的な例を示す。
図5D1は、内側部材520Dの等角図である。
図5D2は、同軸の外側及び部材510D及び520Dの等角図であり、容易な説明のために、遠位側の外側部材の壁の半分が取り除かれている。
図5D3は、
図5D2の線D-Dに沿って作られた外側部材及び内側部材の横断面を示す。理解できるように、
図5D1~5D3のさまざまな特徴及び要素は、
図5C1~5C3のさまざまな特徴及び要素と類似している。特に、
図5D1に示されるように、内側部材520Dは、回転及び遠位に進行しながら、組織に付着してその刃先522EDによって組織を切り取り、組織を通して内側部材を導くように構成された第2の遠位部522Dを有する。内側部材520Dは、除去された組織をその中に受けるように構成された(
図5D3に示される第2の近位細長部524D内の)細長いチャンバ/空洞526Dを含む第2の近位細長部524Dも含む。内側部材520Dの第2の近位細長部524Dは、細長空洞526Dに略平行に配置された、第2の近位細長部524Dの遠位セグメント524DDの組織トラッパ524TDを含む。説明されたように、組織トラッパ524TDは、その除去中、除去された組織の捕捉を促進して寄与し、それにより、体から除去された組織を引き出すことを可能/保証する。さらに、組織トラッパ524TDは、詰まりの問題を最小化することによって、除去された組織の空洞526Dへの流れを容易にすることができる。いくつかの実施形態において、さらに、又は、あるいは、装置の内側部材の空洞は、捕捉するような設計、又は、組織のその中への捕捉に寄与するような設計を行うことができる。この例では、組織トラッパ524TDは、長手方向に、すなわち、空洞526Dの少なくとも一部に沿って配置されたスリット524SDを含む。スリット524SDは、遠位セグメント524DDに沿った内側部材の丸い壁の半径方向の切り込みによって、すなわち、内側部材の半径方向の切り込みによって得られる。一般に、組織トラッパ524TDは、内側部材の円周に沿って2つ以上のスリットを含むことができ、各スリットは半径方向への且つ長手方向軸に沿った、半径方向の切り込みによって形成されていることに注目すべきである。
図5D2は、位置決めフェーズの間、又は、装置が体から引き抜かれた後の装置を示し、何れの場合も、内側部材(及び、手術後の場合における、除去された組織)は、外側部材内に安全に配置されている。
【0108】
ここで、体の組織層から軟組織を除去する1つの非限定的なシナリオを示す
図5E1~5E7を参照する。特に、図は、組織内で切断ツールを回転させる間の、切取りの代わりの又は切取りに加えての、軟組織の引裂の望ましくない影響を示す。
【0109】
理想的には、組織に作成されるチャネルは、
図5E1に示されるように見えることが期待できる、すなわち、内側部材は
図5Aで説明されたときのように、円筒形状を有しなければならない。チャネル5003は、強膜外面5002と強膜内面5001とを接続する。切断ツール520E、たとえば、内側部材は、その長手方向軸のまわりを時計回り若しくは反時計回りの何れかで方向503Eに回転するか、又は両方向に往復運動する、そして、送り速度502Eで強膜に接近する。好ましいシナリオでは、チャネルは、必要な大きさを有しなければならず、一方、その直径は、刃先522EEの直径と類似している。除去された組織5004は、
図5E2に示されるように、切断ツール520E内に捕捉されることが期待される。
【0110】
組織の切取りは、組織の挙動及び特性によって定義されることが理解される。切断ツール520Eが切り取るとき、切断ツール520Eは組織内で自転/回転する。切断ツール520Eが回転する/回る間、治療を受けている臓器(たとえば、眼)は静止している。切断ツール520Eは、その外面504E(外径)及び内径505Eの両方で組織を押す。円筒形組織5004の直径は、刃先522EEによって定義され、さらに、内径505Eはわずかに小さくてもよく、(切断ツールの空洞内での)組織の絞りが引き起こされる。切断ツールの空洞内での組織の絞りの別の理由は、組織と空洞の内面との間の比較的高い摩擦力である可能性がある。空洞内での組織の絞りのさらなる理由は、顕微鏡で撮影された切断ツールの拡大画像である
図5E3に示されるような空洞の制限された長さであることがある。現在の技術は、図のステップ508Eに示されるような、最大約0.5mmの長さの、眼の治療において必要とされる小さい直径を有する空洞を作成することが可能である。しかしながら、チャネルのために必要な長さは、それより長くてもよく、たとえば、それは、チャネルが眼の壁の強膜内で作成されることになっているとき、約3倍(1.5mm)より大きくなければならない。
【0111】
切断ツール1(たとえば、内側部材)が回転し、組織(たとえば、眼)が静止しているので、切取りプロセスが完了するまで、組織5004は静止したままであることが期待される。実際は、切取りプロセスの間、
図5E4及び5E5に示されるように、組織5004は、2つの切片である、切断ツールの空洞に押し込まれた組織切片5041と、まだ押し込まれていない組織切片5042とによって定義される。高い摩擦又は不十分な空洞長さによる、空洞の内面への組織切片5041の付着によって、組織切片5041は、切断ツールとともに回転し始めて、組織切片5042から引き裂かれることがある。この場合、組織5004の分離は、切取りによってではなく、むしろねじりによる引き裂きによって引き起こされる。よって、眼の壁の中に作成されたチャネルは、
図5E6又は5E7に示されるように見えることがある。これは、不十分で効果のないドレナージになることがあり、又は、まったくドレナージではないことさえある。
【0112】
切断ツールの空洞の内面への除去された組織の半径方向の付着を最小化することにより、引き裂きよりもむしろ切取りの継続が可能になる。除去された組織(たとえば、組織5041)と空洞の内面(たとえば、表面505E)との間の半径方向の付着力を減少させることは、(たとえば、内面上に低摩擦コーティングを塗布することによって)組織と空洞の内面との間の摩擦係数を下げることで実現することができる。あるいは、又は、さらに、除去された組織と空洞の内面との間の半径方向の付着を減少させることは、特定の幾何学的形状の切断ツールを作成することによって、たとえば、切断ツールの刃先の直径より大きい空洞の内面の直径を作ることによって実現することができる。
【0113】
ここで、組織切断ツール並びに製作及び/又は最適化の方法の非限定的な例示的な実施形態を示す
図5F~5Gを参照する。切断ツールは、軟組織を切り取るために、且つ、引裂の影響を最小化しながら、特定の所定の組織に所定の大きさ及び幾何学的形状でチャネルを作成するために、最適化される。いくつかの実施形態において、本発明の装置の内側部材は、
図5F及び5Gで説明される切断ツールとして構成することができる。したがって、以下の図で使用される参照番号は、これまでに使用された同じ番号付けに従い、たとえば、520Eは、本発明の装置の内側部材として使用することができる組織切断ツールを示す。しかしながら、これは、本発明を限定するものと解釈すべきでない。
【0114】
図5Fは、本発明のいくつかの実施形態によって構成される切断ツールの第1の非限定的な例を示す。図は、除去された組織と空洞の内面との間の半径方向の付着を最小化し、それによって組織の引裂の影響を最小化することができる切断ツール520Eを説明する。これは、切断ツールを成形することによって実現することができる。図に示されるように、切断ツールの遠位部分504Fは成形されて、(ツールが対称で等方性である場合、ツールの中心を通る)ツールの回転軸の方へ押圧される。プレス及び成形は、スエージング及びスピニングなどの知られている技術で行うことができる。この場合、切断ツールの遠位端の刃先522EFの直径は、切断ツール内の空洞の内径505Fより小さい。刃先の直径が除去される組織の直径を決定するので、切断ツール520Fは、ツール内の除去された組織上に、最小限の付着力を提供するか、又は付着力をまったく提供しないことが期待され、これによって、除去された組織の捕捉を改善し、同時に、引き裂きの危険性を最小化し、組織壁内の完全に開口したチャネルに適合した、除去された組織の完全形状を保存する。
【0115】
図5G1~5G4は、本発明のいくつかの実施形態による、非限定的で例示的な切断ツール520G1(
図5G3)及び520G2(
図5G4)、並びに、切断ツール(
図5G1及び5G2)を製造するための例示的なプロセスを示す。
【0116】
図5G1において、ツール520Gの側面図(断面)は、遠位側501Gで、長手方向(回転)軸X1に沿ってそれぞれ延在する均一な外径504Gと内径505Gとの間に空洞507Gを有する中空円筒506Gを含む。
図5G2において、円筒206Gの拡大図が示される。遠位部分504Gは、内径及び外径の両方が中空円筒の遠位端509Gの方へ減少するような所定のパターンで、たとえば、プレス成形によって成形される。中空円筒の近位端511Gに示されるように、元の内径及び外径は、それぞれ約0.17mm及び0.3mmであり、遠位端509Gの変形された内径及び外径は、それぞれ約0.13mm及び0.27mmである。遠位部分の成形は、たとえば、これらに限定されないが、スエージング及び/又はスピニング技術によって行うことができる。成形のパターンは、たとえば、略円筒台形状を提供するために遠位部分を先細りにすることによる、直線状とすることができ、又は、たとえば、放物線状パターン若しくは他の類似したパターンなどの曲線に従うことによる、非直線状とすることができる。
【0117】
次のステップでは、中空円筒の側壁の薄片は、遠位端509Gから開始して、近位方向に、長手方向軸に沿って(図では、右に)除去される。薄片深さ(すなわち、厚さ)に応じて、2つの例示的な切断ツール520G1及び520G2が、
図5G3及び5G4に示される。刃先522EGは遠位端に形成され、内径及び外径は、
図5G3の0.18mm及び
図5G4の0.16mmのように、ほとんど等しくなる。内部及び外部の両方向からの刃先のさらなる尖鋭化により、その遠位側での空洞は、刃先の直径よりわずかに小さい直径を有することになる。次いで、空洞の内径は、空洞の内径が中空円筒の近位側のより大きい値505Gに到達するまで、近位方向(図では、右)に連続的に増加する。あるいは、空洞の内面のスライシングは、略一定の空洞内径を提供してもよい。このスライシングステップによって、(
図5E3のステップ508Eなどの)ステップは存在せず、空洞は、長手軸方向において、少なくとも元の中空円筒の空洞長さと等しい長さを有し、それにより、0.5mmの制限より長く、それによって、空洞に入る組織の空洞の内面への付着を最小化するのに十分広い受入空洞を提供する。眼の壁に安全な十分なチャネルを作成することなどの用途のために、すべてがマイクロレベルで必要であった。
【0118】
内側部材の他の非限定的な例は、本発明の譲受人に何れも譲渡された、国際公開第2013186779号パンフレット及び国際公開第2015145444号パンフレットに記載の装置を含む。
【0119】
上記のように、装置の外側部材及び内側部材のさまざまな移動は、手動で、且つ/又は、可動/移動機構を使用して実行される。外側部材は軸方向移動のみのために構成され、一方、内側部材は回転及び軸方向移動のために構成される。通常、内側部材の回転は、内側部材の近位側に接続された電気モータによって支配される。これは、特に本明細書では説明しないが、例は、本発明の譲受人に譲渡された上記国際出願PCT/IL2016/051063号明細書で確認することができる。以下に、さまざまな可動/移動機構が説明される。
【0120】
手術中の装置の手動移動のために構成された移動機構の非限定的な例を示す
図6A~6Dを参照する。示されるように、装置600は、移動機構640を介してハンドル650に取り付けられた外側部材610及び内側部材620を含む。
図6A及び6Cは、位置決めフェーズの間、すなわち、外側部材を(手術医によるハンドルの手動押動によって)前方へ移動させて、第1の(前の)組織層及び第2の(目標)組織層を穿刺するか、又は、(たとえば、内部からの処置において)直接、目標層に接近及び固着するときの装置を示す。
図6B及び6Dは、チャネリングフェーズの間、すなわち、電気モータ(図示せず)によって内側部材が回転し、遠位に進んで組織を切り取って除去し、それによって、目標組織層にチャネルを残すときの装置を示す。
【0121】
移動機構640は、ラッチ642と、ばね644と、筐体646とを含む。
図6Cに示されるように、ラッチは、矢印Aで示されるように、横に移動可能である。外側部材610は、Bで筐体にしっかりと取り付けられて、Cでラッチ642に支持されることによって、軸方向に係止される。ばね644は、位置決めフェーズの間、わずかに予圧縮/弛緩されている。
【0122】
上記のように、外側部材の第1の遠位部が目標組織層、たとえば強膜内に一時的に固着/固定されるまで、組織内でハンドル650によって装置を押した後、手術医はラッチ642を左(又は右)に回転させて、Cで外側部材610を解放し、それによって、その近位への後退を可能にする。外科医は、電的モータのスイッチを入れて内側部材を回転させ、ハンドル650で遠位に押して、
図6Dのように内側部材620を露出させる。外側部材610は後退し、ばね644は圧縮される。外科医が装置を遠位に押すと、チャネル作成が行われる。圧縮ばね644は外側部材610を遠位に押す傾向があるが、ばねの定数は、強膜への外側部材のさらなる貫入を可能にするにはあまりに小さいように選択される。人間工学的に、外科医は、ハンドルを保持しながら、1本の指で、すべての機能を制御することができる。
【0123】
手術中の装置(特に、内側部材)の手動移動のために構成された移動機構の別の非限定的な例を示す
図7A~7Dを参照する。示されるように、装置700は、移動機構740を介してハンドル750に取り付けられた外側部材710及び内側部材720を含む。
図7A及び7Cは、位置決めフェーズの間、すなわち、外側部材を(手術医によるハンドルの手動押動によって)前方へ移動させて、1つ又は複数の組織層を穿刺するとき、及び/又は、目標組織層に挿入及び固定されるまでの装置を示す。
図7B及び7Dは、チャネリングフェーズの間、すなわち、電気モータによって内側部材が回転し、遠位に進んで第2の組織層にチャネルを作成するときの装置を示す。
【0124】
移動機構740は、手動押動移動によって内側部材を(遠位に)制御可能に進めるために構成される。
図7Cに示されるように、移動機構740は、ノブ742と、ばね744と、筐体746とを含む。外側部材710は、Dで筐体に、結果としてハンドル750にも固定的に取り付けることによって、軸方向に係止され、それにより、手術医が組織の方へハンドル750を押すと、外側部材は軸方向に移動し、外側部材が強膜に固着するまで組織に貫入する。ばね744は、位置決めフェーズの間、弛緩している。
【0125】
ノブ742は、Eで内側部材720の近位側に取り付けられ、それにより、それらは、遠位及び近位方向に一緒に移動する。チャネリングフェーズの間、ノブ742は、矢印Rで示されるように、手術医によって遠位方向に制御可能にばね744に対して押されて、ばねを圧縮する。内側部材は、手術医がノブ742を押すのと同じ速度で、遠位に移動する。ノブ742を解放すると、後退移動が行われ、ばね744は弛緩して、
図7Cのような閉状態までノブ742並びに内側部材720を近位に引く。さらに、特に示されないが、移動機構は、前進位置でノブ742を係止するように構成されたラッチを含んでもよく、ラッチが手術医によって解放されたときのみ、後退移動が行われる。上述の通り、内側部材の回転移動は、本明細書では特に説明されない電気モータで制御される。
【0126】
手術中の装置(特に、内側部材)の手動移動のために構成された移動機構の別の非限定的な例を示す
図8A~8Dを参照する。示されるように、装置800は、移動機構840を介してハンドル850に取り付けられた外側部材810及び内側部材820を含む。
図8A及び8Cは、位置決めフェーズの間、すなわち、外側部材を(手術医によるハンドルの手動押動によって)前方へ移動させて、1つ又は複数の組織層を穿刺するとき、及び/又は、目標組織層に挿入及び固定されるまでの装置を示す。
図8B及び8Dは、チャネリングフェーズの間、すなわち、電気モータ(図示せず)によって内側部材が回転し、遠位に進んで目標組織層にチャネルを作成するときの装置を示す。
【0127】
移動機構840は、手動引張移動によって内側部材を(遠位に)制御可能に進めるために構成される。
図8Cに示されるように、移動機構840は、ノブ842と、ばね844と、筐体846とを含む。外側部材810は、Fの筐体に、結果としてハンドル850にも固定的に取り付けることによって、軸方向に係止され、それにより、手術医が組織の方へハンドル850を押すと、外側部材は軸方向に移動し、外側部材が強膜に固着するまで組織に貫入する。ばね844は、位置決めフェーズの間、弛緩している。
【0128】
ノブ842は、Gで内側部材820の近位側に取り付けられ、それにより、それらは、遠位及び近位方向に一緒に移動する。チャネリングフェーズの間、ノブ842は、矢印Wで示されるように、手術医によって近位方向に制御可能に引かれ、それにより、Gは、ばね844に対して遠位に移動し、ばねを圧縮する。内側部材は、手術医がノブ842を引くのと同じ速度で、遠位に移動する。ノブ842を解放すると、ノブは遠位方向に移動し、ばね844は弛緩して、
図8Cのような閉状態までG並びに内側部材820を近位に押す。さらに、特に示されないが、移動機構は、後退位置でノブ842を係止するように構成されたラッチを含んでもよく、ラッチが手術医によって解放されたときのみ、内側部材の後退移動が行われる。上述の通り、内側部材の回転移動は、本明細書では特に説明されない電気モータで制御される。
【0129】
一定又は略一定の力、たとえば、5~6N(約1Nの許容範囲)の下での内側部材の前進のために構成された移動機構の別の非限定的な例を示す
図9A~9Eを参照する。
図9A及び9Bは、装置900全体を示す。示されるように、装置900は、移動機構940を介してハンドル950に取り付けられた外側部材910及び内側部材920を含む。
図9A、9C、及び9Dは、位置決めフェーズの間、すなわち、外側部材を前方へ移動させて、1つ又は複数の組織層を穿刺するとき、並びに/又は、目標組織層に挿入及び固定されるまで(すべて、手術医によるハンドルの手動押動による)の装置を示す。
図9B及び9Eは、チャネリングフェーズの間、すなわち、電気モータによって内側部材920が回転し、遠位に進んで目標組織層にチャネルを作成するときの装置を示す。
【0130】
移動機構940は、ノブ942と、ばね944と、浮動ディスク948と、浮動ディスクの歯と一致する離間した関係で、しっかりとその中に受けられた3本のピン946Pを含む筐体946とを含む。外側部材は、筐体946に恒久的に取り付けられ、それにより、外側部材はハンドル950に対して移動せず、外側部材の軸方向移動は、ハンドルを前方に押す且つハンドルを後方に引くことによって、手術医のみが行う。
【0131】
位置決めフェーズの間、
図9Cに示されるように、ばね944は圧縮され、浮動ディスク948の上で遠位押力を加える。しかしながら、浮動ディスクは静止したままであり、一方、ノブ942は、移動を妨げている浮動ディスク948と係合されている。
【0132】
図9Dに示されるように、外側部材が強膜に挿入されて固定された後、手術医は、電気モータをオンにして、内側部材を回転させ、次いで、ノブを右又は左に回して、浮動ディスク948を解放する。浮動ディスクが解放されると、浮動ディスクは回転して、弛緩し始めたばね944によって遠位に押され、
図9Eに示されるように、浮動ディスクはピン946Pと係合する。浮動ディスク948はまた、内側部材のベースに軸方向に取り付けられ、それにより、ばね944の一定の弛緩する力の下での浮動ディスクの遠位移動が、浮動ディスクが筐体946の遠位側に到達して、軸方向移動が止まるまで、回転する内側部材を一定の力の下で遠位に移動させる。さらに、特に示されないが、移動機構は、ノブ942を係止するように構成されたラッチを含んでもよく、ラッチが手術医によって解放されたときのみ、内側部材の後退移動が行われる。
【0133】
一定の速度の下での内側部材の前進のために構成された移動機構の別の非限定的な例を示す
図10A~10Dを参照する。
図10A及び10Bは、装置1000全体を示す。示されるように、装置1000は、移動機構1040を介してハンドル1050に取り付けられた外側部材1010及び内側部材1020を含む。
図10A及び10Cは、位置決めフェーズの間、すなわち、外側部材を前方へ移動させて、1つ又は複数の組織層を穿刺するとき、並びに/又は、目標組織層に挿入及び固定されるまで(手術医によるハンドルの手動押動による)の装置を示す。
図10B及び10Dは、チャネリングフェーズの間、すなわち、電気モータによって内側部材1020が回転し、遠位に進んで目標組織層にチャネルを作成するときの装置を示す。
【0134】
移動機構1040は、内側部材の自動回転及び前進のために構成される。回転及び前進移動は、同じ又は異なるモータによって実行することができる。さらに、回転及び前進移動の速度は、1つ又は2つの別個のモータが採用されるかどうかに関わらず、同じように又は異なるようにすることができる。
【0135】
図10C及び10Dに示されるように、移動機構1040は、2つの歯車G1及びG2を含む。歯車G1は、第1の速度(たとえば、100~500回転/分(RPM))で、(示されていない)モータによって供給される回転動力を受ける。歯車G1は、歯車G1に常に接続されて、内側部材1020の回転移動を担う入口シャフト1062とともに回転する。内側部材は、入口シャフト1062と一緒に回転する出口シャフト1064を介して、入口シャフト1062に接続され、さらに、内側部材は、入口シャフト1062に対して軸方向に移動することができる。歯車G2は歯車G1と係合し、それにより、それ歯車G2は、G1とG2との間で所定の比率に従って回転する。歯車G2は、
図10Dに示されるような内側部材の軸方向移動に対して責任がある。歯車G2は、示されるように、組み込み駆動ねじ山を有する平行シャフト1066に常に接続されており、それにより、歯車G2及び平行シャフト1066の回転移動は、組み込み駆動ねじ山を介して駆動ナット1072の軸方向移動に変換される。内側部材の軸方向移動は、軸方向に沿った筐体1046の長さによって制御される。駆動ナット1072は、組み込みねじ山を介した、平行シャフト1066の回転によって駆動され、それにより、駆動ナット1072は遠位方向へ移動して、出口シャフト1064を遠位に押しやる。駆動ナット1072と出口シャフト1064との間の軸受1074は、軸受1074が軸方向に移動するとき、出口シャフトが回転することを可能にし、一方、フォーク状シャフト1076は、出口シャフトが、軸方向の遠位移動に沿って回り続けることを可能にする。
【手続補正書】
【提出日】2024-05-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
目標組織層から所定の形状の軟組織を除去し、それによって、前記目標組織層の2つの側壁の間に所定の幾何学的形状及び向きを有する適合するチャネルを残すための医療装置において、
軸Xに沿って延在する同軸の外側細長部材と内側細長部材とを備え、
前記外側部材が、開口した遠位側と、前方軸方向移動時、前記目標組織層に固着するために構成された第1の遠位部とを備え、
前記内側部材が、回転して、前記開口した遠位側を通して遠位に突出し、前記目標組織層から前記軟組織の前記所定の形状を切り取り、前記目標組織層にわたる穴として形成された前記チャネルを作成するように構成された第2の遠位部を備える
ことを特徴とする装置。
【外国語明細書】