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特開2024-105371矯正ヘルメット製作データを生成する方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024105371
(43)【公開日】2024-08-06
(54)【発明の名称】矯正ヘルメット製作データを生成する方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/386 20170101AFI20240730BHJP
   B33Y 50/00 20150101ALI20240730BHJP
【FI】
B29C64/386
B33Y50/00
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024073180
(22)【出願日】2024-04-26
(62)【分割の表示】P 2019200966の分割
【原出願日】2019-11-05
(71)【出願人】
【識別番号】518194246
【氏名又は名称】株式会社ジャパン・メディカル・カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100138519
【弁理士】
【氏名又は名称】奥谷 雅子
(74)【代理人】
【識別番号】230108442
【弁護士】
【氏名又は名称】佐藤 明夫
(72)【発明者】
【氏名】大野 秀晃
(72)【発明者】
【氏名】中野 裕士
(72)【発明者】
【氏名】高盛 竜馬
【テーマコード(参考)】
4F213
【Fターム(参考)】
4F213AC04
4F213AH63
4F213WA25
4F213WB01
4F213WL03
4F213WL85
(57)【要約】
【課題】看者の矯正目標頭蓋形状データに所要処理を加えて、三次元プリンタに供給して所要矯正ヘルメットの製作を可能にする矯正ヘルメット製作データを生成する方法を提供する。
【解決手段】変形頭蓋を矯正するための矯正ヘルメットを三次元プリンタで製作するための矯正ヘルメット製作データを生成する方法は、矯正目標頭蓋形状を示す矯正目標頭蓋形状データを三次元CADソフトに取り込み、矯正目標頭蓋表面形状を示すメッシュデータを生成する入力工程と、メッシュデータを拡大方向に所定量オフセットするオフセット工程と、メッシュデータから不必要部分を削除する削除工程と、メッシュデータに所定量の厚みを賦与する厚み賦与工程と、拡大方向にオフセットされ、不必要部分が削除され且つ厚みが賦与されたメッシュデータをstl形式で出力する出力工程とを含む。
【選択図】図1-1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
変形頭蓋を矯正するための矯正ヘルメットを三次元プリンタで製作するための矯正ヘルメット製作データを生成する方法にして、
矯正目標頭蓋形状を示す矯正目標頭蓋形状データを三次元CADソフトに取り込み、矯正目標頭蓋表面形状を示すメッシュデータを生成する入力工程と、
該メッシュデータを拡大方向に所定量オフセットするオフセット工程と、
該メッシュデータから不必要部分を削除する削除工程と、
該メッシュデータに所定量の厚みを賦与する厚み賦与工程と、
拡大方向にオフセットされ、不必要部分が削除され且つ厚みが賦与された該メッシュデータを出力する出力工程と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
該削除工程は該オフセット工程の後に遂行され、該厚み賦与工程は該削除工程の後に遂行される、請求項1記載の方法。
【請求項3】
該入力工程の後で且つ該オフセット工程の前に、左右の耳介をトレースした耳介トレース曲線に基づき左右の耳介をくり抜くくり抜き曲線を形成し、左右のくり抜き曲線を接続してくり抜きサーフェスを形成し、該くり抜きサーフェスによって該メッシュデータをくり抜き、そして更に、切り抜いた部分を周囲に平滑に接続される面を規定するメッシュで埋める、耳介処理工程を含む、請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
該削除工程は、該耳介トレース曲線を拡大方向に所定量オフセットし、オフセットされた耳介トレースとセリオンとに基いて前面カットサーフェスを形成し、該前面カットサーフェスによって切り取ること、所定襟高さから下方を切り取ること、切り取りによって生成された尖った部位を丸めること、頭蓋頂面の中心点を中心とした円筒であって下方に向かって後側に所定角度傾斜したカット円筒を生成し、該カット円筒で切り取ることを含む、請求項1から3までのいずれかに記載の方法。
【請求項5】
該削除工程の後で且つ出力工程の前に、揉み上げ部を下方に所定量延長する揉み上げ延長メッシュを付加する揉み上げ延長工程を含む、請求項1から4までのいずれかに記載の方法。
【請求項6】
該切削工程の後で且つ該出力工程の前に、片側揉み上げ部分に隣接して上端縁から下端縁まで連続して延びるスリットを形成し、該スリットを形成することによって生成された尖った部位を丸めるスリット形成工程を含む、請求項1から5までのいずれかに記載の方法。
【請求項7】
該削除工程の後で且つ該出力工程の前に、該メッシュデータの外周縁から所定幅の外周領域を除いた主領域に複数個の通気穴を間隔をおいて形成する通気穴形成工程を含む、請求項1から6までのいずれかに記載の方法。
【請求項8】
該スリット形成工程の後で且つ該出力工程の前に、該メッシュデータの外周縁に沿って、該スリットが存在する部分を除いて、連続して延在する所定径の中実丸棒を形成し、該メッシュデータに該丸棒を結合し、結合部を丸める丸棒結合工程を含む、請求項6記載の方法。
【請求項9】
該出力工程の前に、該メッシュデータの所定部分に文字及び/又は記号を含有する表示を形成する表示形成工程を含む、請求項1から8までのいずれかに記載の方法。
【請求項10】
該出力工程において該メッシュデータをstl形式で出力する、請求項1から9までのいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、変形頭蓋を矯正するための矯正ヘルメットを三次元プリンタで製作するための矯正ヘルメット製作データを生成する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、患者(通常は乳幼児)の変形頭蓋を矯正するための矯正ヘルメットが開示されている。かような矯正ヘルメットは、個々の患者の頭蓋形状を認識し、個々の患者の変形頭蓋に対応した最適な形状に製作されることが重要である。一方、下記特許文献2には、乳幼児の頭蓋形状を示す三次元スキャンデータに基いて理想頭蓋形状データを求め、理想頭蓋形状データに基いて矯正ヘルメットを製作することが概念的に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6333514号公報
【特許文献2】米国特許第6340353号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
而して、上記特許文献1には、三次元プリンタによって矯正ヘルメットを製作することは開示されているが、三次元プリンタに如何様なデータを入力して矯正ヘルメットを製作するのか全く記載されていない。他方、上記特許文献2には、上述したとおり患者の頭蓋形状を示す三次元スキャンデータに基いて理想頭蓋形状データを求め、理想頭蓋形状データに基いて矯正ヘルメットを製作することが概念的に記載されているが、理想頭蓋形状データに具体的に如何様な処理を施して三次元プリンタに供給するデータを生成するかについて全く記載されていない。
【0005】
本発明は、上記事実に鑑みてなされたものであり、その主たる技術的課題は、患者の矯正目標頭蓋形状データ(かかる矯正目標頭蓋データは必ずしも理想頭蓋形状データと合致するものではなく、例えば過度の変形頭蓋の場合には理想頭蓋形状に矯正せんとすることは必ずしも適切ではない)に所要処理を加えて、三次元プリンタに供給して所要矯正ヘルメットの製作を可能にする矯正ヘルメット製作データを生成する、新規且つ改良された方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者等は、鋭意検討の結果、矯正目標頭蓋形状を示す矯正目標頭蓋形状データを適宜の三次元CAD(Computer Aided Design)ソフトに取り込み、かかるデータに適宜の処理を施すことによって、上記主たる技術的課題を達成することができることを見出した。
【0007】
即ち、本発明によれば、上記主たる技術的課題を達成する方法として、
変形頭蓋を矯正するための矯正ヘルメットを三次元プリンタで製作するための矯正ヘルメット製作データを生成する方法にして、
矯正目標頭蓋形状を示す矯正目標頭蓋形状データを三次元CADソフトに取り込み、矯正目標頭蓋表面形状を示すメッシュデータを生成する入力工程と、
該メッシュデータを拡大方向に所定量オフセットするオフセット工程と、
該メッシュデータから不必要部分を削除する削除工程と、
該メッシュデータに所定量の厚みを賦与する厚み賦与工程と、
拡大方向にオフセットされ、不必要部分が削除され且つ厚みが賦与された該メッシュデータを出力する出力工程と、
を含むことを特徴とする方法が提供される。
【0008】
好ましくは、該削除工程は該オフセット工程の後に遂行され、該厚み賦与工程は該削除工程の後に遂行される。該入力工程の後で且つ該オフセット工程の前に、左右の耳介をトレースした耳介トレース曲線に基づき左右の耳介をくり抜くくり抜き曲線を形成し、左右のくり抜き曲線を接続してくり抜きサーフェスを形成し、該くり抜きサーフェスによって該メッシュデータをくり抜き、そして更に、切り抜いた部分を周囲に平滑に接続される面を規定するメッシュで埋める、耳介処理工程を含むのが好適である。該削除工程は、該耳介トレース曲線を拡大方向に所定量オフセットし、オフセットされた耳介トレースとセリオンとに基いて前面カットサーフェスを形成し、該前面カットサーフェスによって切り取ること、所定襟高さから下方を切り取ること、切り取りによって生成された尖った部位を丸めること、頭蓋頂面の中心点を中心とした円筒であるカット円筒を生成し、該カット円筒で切り取ることを含むのが好ましい。該削除工程の後で且つ出力工程の前に、揉み上げ部を下方に所定量延長する揉み上げ延長メッシュを付加する揉み上げ延長工程を含むのが望ましい。好ましくは、該切削工程の後で且つ該出力工程の前に、片側揉み上げ部分に隣接して上端縁から下端縁まで連続して延びるスリットを形成し、該スリットを形成することによって生成された尖った部位を丸めるスリット形成工程を含む。該削除工程の後で且つ該出力工程の前に、該メッシュデータの外周縁から所定幅の外周領域を除いた主領域に複数個の通気穴を間隔をおいて形成する通気穴形成工程を含むのが好適である。該スリット形成工程の後で且つ該出力工程の前に、該メッシュデータの外周縁に沿って、該スリットが存在する部分を除いて、連続して延在する所定径の中実丸棒を形成し、該メッシュデータに該丸棒を結合し、結合部を丸める丸棒結合工程を含むのが好ましい。該出力工程の前に、該メッシュデータの所定部分に文字及び/又は記号を含有する表示を形成する表示形成工程を含むのが好都合である。該出力工程において該メッシュデータをstl形式で出力するのが好都合である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、看者の矯正目標頭蓋形状データが三次元CADソフトに取り込まれ、所要の処理が施されて、三次元プリンタに供給して所要の矯正ヘルメットの製作を可能にする矯正ヘルメット製作データが生成される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1-1】三次元プリンタによって変形頭蓋を矯正するための矯正ヘルメット製作データを生成する本発明の方法の好適実施形態を示すフローチャートの一部。
図1-2】三次元プリンタによって変形頭蓋を矯正するための矯正ヘルメット製作データを生成する本発明の方法の好適実施形態を示すフローチャートの一部。
図2】矯正目標頭蓋表面形状を示すメッシュデータの模式図。
図3】耳介のトレース曲線を示す模式図。
図4図3のトレース曲線に基づいて形成したくり抜きサーフェスを示す模式図。
図5図4に示すくり抜きサーフェスでくり抜いた状態を示す模式図。
図6図4に図示するくり抜き部分を平滑な面を規定するメッシュで埋めた補填メッシュデータを示す模式図。
図7】オフセットメッシュデータを示す模式図。
図8】前面カットサーフェスを示す模式図。
図9】前面カットメッシュデータを示す模式図。
図10】所定高さ平面を示す模式図。
図11】下部カットメッシュデータを示す模式図。
図12】カット円筒を示す模式図。
図13】頂面くり抜きメッシュデータを示す模式図。
図14】揉み上げ延長メッシュデータを示す模式図。
図15】スリット形成メッシュデータを示す模式図。
図16】メッシュデータに生成された通気穴を示す模式図。
図17】矯正ヘルメットを製作するためのメッシュデータを示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、三次元プリンタによって変形頭蓋を矯正するための矯正ヘルメット製作データを生成する本発明の方法の好適実施形態について、添付図面を参照して更に詳述する。
【0012】
図1に示すフローチャートを参照して説明すると、ステップn-1においては、矯正目標頭蓋形状を示す矯正目標頭蓋形状データを、コンピュータにインストールされている三次元CADソフトに取り込み、矯正目標頭蓋形状を示すメッシュデータ2を生成する(入力工程)。三次元CADソフトは市販されている適宜の形態のものでよく、例えば商品名「Rhinoceros」として販売されている三次元CADソフトにおける「Grasshopper」機能
を好適に使用することができる。矯正目標頭蓋形状データは、患者の頭蓋(通常は、頭蓋を含む患者の首よりも上方の部位)を三次元スキャンして患者の頭蓋形状の変形を認識し、かかる変形を如何ように矯正すべきかを検討して生成することができ、例えば本出願と同日付けの本出願人の特許出願(発明の名称:矯正目標頭蓋形状を求める方法)の明細書及び図面に開示されている方法によって好都合に生成することができる。図2には、生成されたメッシュデータ2が示す目標矯正頭蓋形状が模式的に図示されている。ステップn-1においては、上記メッシュデータと共に頭蓋の頂面の中心点を示す情報(図2に三角形Aで表示)及びセリオンの高さを示す情報(図2に三角形Bで表示)も取り込むことが望ましい(これらの情報、即ち三角形A及びBの利用については後に更に言及する)。
【0013】
ステップn-2においては、左右の耳介をトレースして耳介トレース曲線4を生成する(図3)。次いで、ステップn-3においては、図4に図示する如く、耳介トレース曲線4に基づいて左右の耳介をくり抜くためのくり抜き曲線(閉じた無端曲線)を生成して、左右のくり抜き曲線を接続してくり抜きサーフェス6を生成し、かかるくり抜きサーフェス6によって上記メッシュデータ2をくり抜く(図5)。しかる後に、ステップn-4において、くり抜きサーフェス6でくり抜いた部分8を周囲に平滑に接続される面を規定するメッシュ10で補填して補填メッシュデータ12を形成する。上記ステップn-2乃至n-4における処理は、突出した耳介の存在に起因して後の処理が煩雑になることを回避するものである。
【0014】
次いで、ステップn-5においては、補填メッシュデータ12を拡大方向に所定量オフセットする。オフセット量は手動で入力する。図7はオフセット後のオフセットメッシュデータ14を示しており、図6に示す形状に対して図7に示す形状は所定量だけ拡大されている。上記特許文献1にも開示されている如く、矯正ヘルメットの本体(即ちシェル)は適宜の合成樹脂から三次元プリンタによる粉末焼結積層法によって好都合に成形されるが、かようにして成形された矯正ヘルメットの内面には発泡合成樹脂等から形成されるライナーが配設されることが望ましい。ステップn-5におけるオフセットは矯正ヘルメットの本体の内面に配設されるライナーの厚さを考慮したものである。オフセット量はライナーの厚さより幾分小さい値であることが好適であり、手動で入力される。
【0015】
一方、ステップn-6においては、上記ステップn-2で生成した耳介トレース曲線4を拡大方向に所定量だけオフセットする。オフセット量は手動で入力する。次いで、ステップn-7において、図8に図示する如く、オフセットされた耳介トレース曲線と上記ス
テップn-1において取り込んだセリオン(図2における三角形B)とに基いて、好ましくはオフセットされた耳介トレース曲線とセリオンを通る水平面とを合成して、前面カットサーフェス16を生成する。そして、ステップn-8において、前面カットサーフェス16によって上記オフセットメッシュデータ14を切り抜く。図9はオフセットメッシュデータ14を前面カットサーフェス16でカットして形成した前面カットメッシュデータ18を示している。ステップn-9においては、図10及び図11に図示する如く、前面カットメッシュデータ18における所定襟高さを通る水平面20よりも下方の部位をカットし、下部カットメッシュデータ22を形成する。所定高さの水平面20は、目標矯正頭蓋形状に基いて適宜に設定して手動で入力する。ステップn-10においては、下部カットメッシュデータ22における上記ステップn-8及びn-9でのカットによって生成された尖った部位を丸める。次いで、ステップn-11において、図12及び図13に図示するとおり、目標矯正頭蓋形状における頂面の中心点(図2における三角形A参照)を中心とした直径dの円筒であって、好ましくは下方に向かって後方に所定傾斜角度αで傾斜したカット円筒24を生成し、かかるカット円筒24によって変形頭蓋矯正の対象でない頭蓋頂面中心部をくり抜いて開口26を生成し、頂面くり抜きメッシュデータ28を形成する。上記直径dは10cm程度でよい。上記傾斜角度αは、目標矯正頭蓋形状に基いて適宜に設定して手動で入力する。而して、上記ステップn-6乃至n-10は、オフセットメッシュデータ14から不必要部分を削除する削除工程を構成する。所望ならば、上記ステップn-5(メッシュオフセット工程)を上記ステップn-6乃至n-10(削除工程)の後に遂行することもできる。
【0016】
ステップn-12においては、揉み上げ部を下方に、必要に応じて下方に向かって前方或いは後方に所定角度βだけ傾斜させて、所定量延長し、揉み上げ延長メッシュデータ30を生成する(揉み上げ延長工程)。揉み上げ部の下方への延長量X及び傾斜角度βは目標矯正頭蓋形状に応じて適宜に設定して手動で入力する。かような揉み上げの延長によって、乳幼児が装着したヘルメットの装着安定化が助長される。次いで、ステップn-13において、揉み上げ延長メッシュデータ30(図14)に所定厚みtを賦与する(厚み賦与工程)。製作される矯正ヘルメット本体(シェル)の厚みに対応する厚みtは3.0mm程度でよく、手動で入力する。次いで、ステップn-14において、揉み上げの後縁に隣接して上端から下端まで連続して延在するスリット32を形成し、しかる後にステップn-15において、スリット32の形成によって生成された尖った部位を丸める(スリット形成工程)。かくして、厚みが付加されスリット32が形成されたメッシュデータ34を形成する。
【0017】
ステップn-16においては、図16に図示するとおり、メッシュデータ34の外周縁から10乃至20mm程度内側の領域に所定間隔をおいて複数個の通気穴36を生成する。(通気穴形成工程)。通気穴36の数、配列、形状及び寸法は、適宜に設定して手動で入力する。
【0018】
一方、ステップn-17においては、上記メッシュデータ34の外周縁を抽出する。次いで、ステップn-18において、頂面に形成された上記開口26の外周縁を、上記スリット32の部位を除いて連続して延在する長さ、及びメッシュデータ34のその他の(即ち上記開口26の外周縁を除く)外周縁を、上記スリット32の部位を除いて連続して延在する長さ、を算出する。この際には、スリット32の部分における中断部の間隔が適宜に選定されて手動で入力される。ステップn-19においては、ステップn-18で算出された長さの2本の中実丸棒38(図17参照)が成形される。矯正ヘルメットの外周縁を補強する厚肉補強部を構成する中実丸棒38の直径は6mm程度でよい。次いで、ステップn-20において、片方の中実丸棒38が頂面に形成された上記開口26の外周縁を、上記スリット32の部位を除いて連続して延在するようにメッシュデータ34に結合されると共に、他方の中実丸棒38がメッシュデータ34のその他の(即ち上記開口26の
外周縁を除く)外周縁を、上記スリット32の部位を除いて連続して延在するようにメッシュデータ34に結合される。ステップn-21においては、中実丸棒38の結合部が滑らかに連続するように円滑化される。かくして、図17に図示するとおりの矯正ヘルメット製作のためのメッシュデータ40が形成される。上記ステップn-17乃至n-21は丸棒結合工程を構成する。
【0019】
図示の実施形態においては、更に、ステップn-22において、矯正ヘルメットのIDデータ及び/又は適宜の商標を表示する文字及び/又は記号を含有する表示(図示していない)が形成される(表示形成工程)。かかる表示はメッシュデータ40を局部的に抜いた形態或いはメッシュデータ40の表面又は裏面を局部的に削り取った形態でよい。形成すべき表示は手動で入力される。
【0020】
ステップn-23においては、メッシュデータ40が三次元プリンタで矯正ヘルメットを製作するのに適したstl形式で、三次元プリンタ(図示していない)に出力される。そして、三次元プリンタで所要形態の矯正ヘルメットが製作される。
【符号の説明】
【0021】
2:目標矯正頭蓋形状を示すメッシュデータ
4:耳介トレース曲線
6:くり抜きサーフェス
8:くり抜いた部分
10:補填メッシュ部
12:補填メッシュデータ
14:オフセットメッシュデータ
16:前面カットサーフェス
18:前面カットメッシュデータ
20:所定襟高さを通る水平面
22:下部カットメッシュデータ
24:カット円筒
26:頂面くり抜き開口
28:頂面くり抜きメッシュデータ
30:揉み上げ延長メッシュデータ
32:スリット
34:厚みが付加されスリットが形成されたメッシュデータ
36:通気穴
38:丸棒
40:矯正ヘルメット製作のためのメッシュデータ
図1-1】
図1-2】
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
【手続補正書】
【提出日】2024-05-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体および該本体の内面に配設されるライナーを有し、変形頭蓋を矯正するための矯正ヘルメットを三次元プリンタで製作するための矯正ヘルメット製作データを、三次元CADソフトを手動操作することによって生成する方法にして、
矯正目標頭蓋形状を示す矯正目標頭蓋形状データと頭蓋登頂面の中心点およびセリオンの高さを示す情報とを三次元CADソフトに取り込み、矯正目標頭蓋表面形状を示すメッシュデータを生成する入力工程と、
該メッシュデータを拡大方向に所定量オフセットするオフセット工程と、
該メッシュデータから不必要部分を削除する削除工程と、
該メッシュデータに所定量の厚みを賦与する厚み賦与工程と、
拡大方向にオフセットされ、不必要部分が削除され且つ厚みが賦与された該メッシュデータを出力する出力工程と、
を含み、
該オフセット工程における該所定量は、該ライナーの厚さよりも小さい値であることを特徴とする方法。
【請求項2】
該入力工程の後で且つ該オフセット工程の前に、左右の耳介をトレースした耳介トレース曲線に基づき左右の耳介をくり抜くくり抜き曲線を形成し、左右のくり抜き曲線を接続してくり抜きサーフェスを形成し、該くり抜きサーフェスによって該メッシュデータをくり抜き、そして更に、切り抜いた部分を周囲に平滑に接続される面を規定するメッシュで埋める、耳介処理工程を含む、請求項1又は2記載の方法。
【請求項3】
該削除工程は、該耳介トレース曲線を拡大方向に所定量オフセットし、オフセットされた耳介トレースとセリオンとに基いて前面カットサーフェスを形成し、該前面カットサーフェスによって切り取ること、所定襟高さから下方を切り取ること、切り取りによって生成された尖った部位を丸めること、頭蓋頂面の中心点を中心とした円筒であって下方に向かって後側に所定角度傾斜したカット円筒を生成し、該カット円筒で切り取ることを含む、請求項1から3までのいずれかに記載の方法。
【請求項4】
該削除工程の後で且つ出力工程の前に、揉み上げ部を下方に所定量延長する揉み上げ延長メッシュを付加する揉み上げ延長工程を含む、請求項1から4までのいずれかに記載の方法。
【請求項5】
該切削工程の後で且つ該出力工程の前に、片側揉み上げ部分に隣接して上端縁から下端縁まで連続して延びるスリットを形成し、該スリットを形成することによって生成された尖った部位を丸めるスリット形成工程を含む、請求項1から5までのいずれかに記載の方法。