(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024105382
(43)【公開日】2024-08-06
(54)【発明の名称】バックライトモジュール、および表示装置
(51)【国際特許分類】
H01L 33/56 20100101AFI20240730BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20240730BHJP
G02F 1/13357 20060101ALI20240730BHJP
H01L 33/54 20100101ALI20240730BHJP
H01L 33/50 20100101ALN20240730BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20240730BHJP
F21Y 105/10 20160101ALN20240730BHJP
【FI】
H01L33/56
F21S2/00 481
F21S2/00 482
G02F1/13357
H01L33/54
H01L33/50
F21Y115:10
F21Y105:10
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024073688
(22)【出願日】2024-04-30
(62)【分割の表示】P 2023192854の分割
【原出願日】2019-07-01
(71)【出願人】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101203
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100104499
【弁理士】
【氏名又は名称】岸本 達人
(72)【発明者】
【氏名】西川 麻理衣
(72)【発明者】
【氏名】善見 誠一
(72)【発明者】
【氏名】在原 慶太
(57)【要約】 (修正有)
【課題】薄型化を図ることが可能なLEDバックライトモジュールおよび表示装置を提供する。
【解決手段】支持基板11、および支持基板の一方の面側に配置された発光ダイオード素子12を有する発光ダイオード基板1と、発光ダイオード基板の発光ダイオード素子側の面側に配置され、発光ダイオード基板に密着することにより発光ダイオード素子を封止する封止部材2と、を備え、封止部材は、3層21,22、21で構成され、3層の中心となる層22にのみ光拡散剤50が含まれており、封止部材は、上記3層共に、オレフィン樹脂およびαーオレフィンとエチレン性不飽和シラン化合物とをコモノマーとして共重合してなるシラン共重合体を含有する、表示装置を提供する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持基板、および前記支持基板の一方の面側に配置された発光ダイオード素子を有する発光ダイオード基板と、
前記発光ダイオード基板の前記発光ダイオード素子側の面側に配置され、前記発光ダイオード基板に密着することにより前記発光ダイオード素子を封止する封止部材と、を備え、
前記封止部材は、3層で構成され、前記3層の中心となる層にのみ光拡散剤が含まれており、
前記封止部材は、上記3層共に、オレフィン樹脂およびαーオレフィンとエチレン性不飽和シラン化合物とをコモノマーとして共重合してなるシラン共重合体を含有する、表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、発光ダイオードを用いた直下型のバックライトモジュール、およびこれを用いた表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶表示装置等の表示装置が急速に普及している。表示装置に用いられる発光ダイオード(以下、LEDとする場合がある。)素子を用いたバックライトモジュール(以下、LEDバックライトモジュールとする場合がある。)は、直下型方式とエッジライト型方式とに大別される。スマートフォン等の携帯端末等の中小型の表示装置においては、通常、エッジライト方式のLEDバックライトモジュールが用いられることが多いが、明るさ等の観点から、直下型方式のLEDバックライトモジュールを用いることが検討されている。一方、大画面液晶テレビ等の大型の表示装置においては、多くの場合、直下型方式のLEDバックライトモジュールが用いられる。
【0003】
直下型方式のLEDバックライトモジュールは、基板に複数のLED素子が配置された構成を有している(特許文献1)。このような直下型方式のLEDバックライトモジュールでは、複数のLED素子を独立して制御することにより、表示画像の明暗に合わせてLEDバックライトモジュール各領域の明るさを調整する、いわゆるローカルディミングを実現することができる。これにより、表示装置の大幅なコントラスト向上および低消費電力化を図ることが可能となる。
【0004】
直下型方式のLEDバックライトモジュールにおいては、輝度の面内均一性を向上させる等の観点から、LED素子上に拡散板等の光学部材を配置している。この場合、輝度の面内均一性を向上させるためには、LED素子が実装されたLED実装基板に対して、拡散板を離間させる必要があるため、LED実装基板に対して拡散板を離間させるための複数の柱状のスペーサを配置している。また、光源として例えば青色LED素子を用いた場合、蛍光体や量子ドットを含む波長変換部材をLED光の出射面側に配置することによって、白色化している。
【0005】
具体的には、
図4に示されるように、従来の直下型方式のLEDバックライトモジュール40は、LED素子42を配置した支持基板41上にスペーサ43を設けることにより、拡散板44や波長変換部材45等の光学部材とLED素子42との間に空間を設け、輝度の面内均一性の向上を図っている。
【0006】
ところで、近年、LED素子の微細化および高密度化についての研究開発が進められており、チップサイズが小さい、いわゆるミニLEDやマイクロLEDと呼ばれるLEDが注目を集めている。そして、LED素子の微細化および高密度化の技術を、LED素子を用いたバックライトモジュールとして実用化することが検討されている(例えば特許文献2参照)。
【0007】
ここで、上記
図4に示す通り、従来の直下型のLED素子を用いたバックライトモジュールにおいては、LED素子と拡散板との間を所定の間隔に維持するためにスペーサが配置される。しかしながら、LED素子から出射された光がスペーサによって遮られたり反射されたりすることにより、輝度ムラが生じてしまう場合がある。また、スペーサは多数設ける必要があるが、例えば上述したようなミニLEDやマイクロLEDのようにピッチが細かい場合、スペーサを多数配置することは困難である。
【0008】
そこで、LED素子を用いたバックライトモジュールにおいては、LED素子と拡散板との間にLED素子を封止する封止部材が配置されている構成も提案されている(例えば特許文献2参照)。しかしながら、上述したように、直下型方式のLED素子を用いたバックライトモジュールは、エッジライト型方式と比較して薄型化の点で不利であることから、さらなる改良が求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2010-272245号公報
【特許文献2】特開2019-61954号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本開示は、上記事情に鑑みてなされたものであり、薄型化を図ることが可能なLEDバックライトモジュールおよび表示装置を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本開示は、支持基板、および上記支持基板の一方の面側に配置されたLED素子を有するLED基板と、上記LED基板の上記LED素子側の面側に配置され、上記LED素子を封止する封止部材と、を備え、上記封止部材は光拡散剤を含有する、LEDバックライトモジュールを提供する。
【0012】
本開示は、表示パネルと、上記表示パネルの背面に配置された上述したLEDバックライトモジュールとを備える表示装置を提供する。
【発明の効果】
【0013】
本開示は、薄型化を図ることが可能なLEDバックライトモジュールおよび表示装置を提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本開示のバックライトモジュールを例示する概略断面図である。
【
図2】本開示のバックライトモジュールを例示する概略断面図である。
【
図3】本開示の表示装置を例示する概略断面図である。
【
図4】従来のバックライトモジュールを例示する概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本開示のバックライトモジュールおよび表示装置について説明する。但し、本開示は多くの異なる態様で実施することが可能であり、以下に例示する実施の態様の記載内容に限定して解釈されるものではない。また、図面は説明をより明確にするため、実施の態様に比べ、各部材の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本開示の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0016】
本明細書において、ある部材の上に他の部材を配置する態様を表現するにあたり、単に「面側に」と表記する場合、特に断りの無い限りは、ある部材に接するように、直上あるいは直下に他の部材を配置する場合と、ある部材の上方あるいは下方に、さらに別の部材を介して他の部材を配置する場合との両方を含むものとする。
また、本明細書において、「LED」とは、発光ダイオードを意味するものである。
【0017】
本発明者らは、バックライトモジュールを薄型化するために、LED素子の数を増やして配置密度を密にすることを試みたが、十分に薄型化することができず、また、コストおよび消費電力の増大に繋がるため現実的に困難であった。そのため、スペーサを配置して空間を設ける代わりに、LED基板を封止材で充填することにより光学部材とLED基板との距離を短くすることを試みたが、薄型化の要求を十分に満足することはできなかった。
【0018】
本発明者らは、バックライトモジュールにおけるLED素子を、封止部材で充填することによって、従来スペーサによって確保していたLED基板と光学部材との距離を封止部材によって確保し、かつ、封止部材に光拡散剤を含有させることによって、従来のように拡散板を設ける必要がないため、薄型化が達成できることを見出し、本発明を完成させた。
以下、本開示のバックライトモジュール、およびそれを用いた表示装置について、詳細に説明する。
【0019】
A.バックライトモジュール
本開示のバックライトモジュールは、支持基板、および上記支持基板の一方の面側に配置されたLED素子を有するLED基板と、上記LED基板の上記LED素子側の面側に配置され、上記LED素子を封止する封止部材と、を備え、上記封止部材は光拡散剤を含有することを特徴とする。
【0020】
本開示によれば、従来のバックライトモジュールのように拡散板を設ける必要がないため、部品点数の削減ができ、薄型化が達成できる。また、拡散板を設ける工程が不要となるため、製造工程を簡略化することができる。
【0021】
本開示のバックライトモジュールについて図を用いて説明する。
図1は本開示のバックライトモジュールの一例を示す概略断面図である。
図1に示すバックライトモジュール10は、支持基板11および支持基板11の一方の面側に配置されたLED素子12を有するLED基板1と、LED基板1のLED素子12側の面側に配置され、LED素子12を封止する、光拡散剤50を含有する封止部材2とを備える。また、LED基板1は、直下型バックライトモジュール用のLED基板である。
図1においては、封止部材2上に、波長変換部材3を備える例を示している。
【0022】
本開示のバックライトモジュールは、LED素子を封止する封止部材を有すること、及びこの封止部材が、光拡散剤を含有することを特徴とする。以下、本開示のバックライトモジュールの各構成について説明する。
【0023】
1.封止部材
本開示における封止部材は、LED素子を封止する部材であり、上記LED基板のLED素子側の面側に配置される部材である。封止部材は、LED基板と波長変換部材等の光学部材との間に配置される。
【0024】
なお、本明細書における「透明」、「透明性」とは、LED素子からの光の視認性を阻害しない程度に透明であればよい。
【0025】
(1)光拡散剤
本開示における封止部材は、LED素子から出射された光を拡散させる光拡散剤を含有する。
【0026】
上記光拡散剤は、通常、透明性を有する樹脂層に分散されている。上記光拡散剤の材質としては、LED素子からの光を拡散させることができれば特に限定されず、例えば、有機材料であってもよく、無機材料であってもよい。光拡散剤の材質が有機材料である場合、例えば、ポリメチルメタアクリレート(PMMA)樹脂粒子、メラミン樹脂粒子、シリコーン樹脂粒子、スチレン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素系樹脂、これらの共重合体などの合成樹脂等を挙げることができる。これは一種単独で使用してもよく、二種以上を混合して用いてもよい。一方、光拡散剤の材質が無機材料である場合、例えば、TiO2、SiO2、Al2O3、シリコン、ジルコニア、ガラス、スメクタイト、カオリナイト等を挙げることができる。これは一種単独で使用してもよく、二種以上を混合して用いてもよい。
【0027】
光拡散剤の屈折率は、LED素子からの光を拡散させることができれば特に限定されないが、例えば、1.4以上2.2以下である。このような屈折率は、ベッケ法、最小偏角法、偏角解析、モード・ライン法、エリプソメトリ法、アッベ法等によって測定することができる。
【0028】
また、光拡散剤の屈折率は、封止材を構成する樹脂と所定の屈折率差を有するものであることが好ましい。具体的には、屈折率差が0.03以上、特に0.05以上であることが好ましい。
【0029】
光拡散剤の形状は、樹脂中における分散性の観点から、粒子状が好ましい。
【0030】
光拡散剤の平均一次粒径(D50)は、例えば、0.1μm以上50μm以下、好ましくは1μm以上20μm以下である。
【0031】
封止部材における光拡散剤の割合は、LED素子からの光を拡散させることができれば特に限定されず、例えば、0.1質量%以上10質量%以下である。
このような範囲内であれば、確実にLED素子からの光を拡散させることができ、また、光拡散剤が分散し難く塊となる恐れがないために好ましい。なお、封止部材が後述する多層構造である場合、上記光拡散剤の割合は、光拡散剤含有層における光拡散剤の割合をいう。
【0032】
(2)樹脂
本開示における封止部材において上記光拡散剤は、樹脂中に分散されている。本開示における封止部材を構成する樹脂としては、光透過度が高いものであり、光拡散剤を分散させることができれば特に限定されるものではなく、一般に表示装置分野において汎用されているものを用いることができる。例えば、熱可塑性樹脂、硬化性樹脂等が挙げられるが、好ましくは、熱可塑性樹脂である。
【0033】
熱硬化性樹脂、もしくは光硬化性樹脂を用いた場合は、通常液状の樹脂組成物をLED基板上に塗布しその後硬化させるものとなるが、液状の樹脂組成物を塗布した場合には、LED基板の中心部と周辺部とではその膜厚が均一とならない場合がある。この場合、周辺部の膜厚を制御することが困難となる場合がある。また、上記硬化性樹脂の場合は、硬化に伴う硬化収縮が生じるため、この場合もLED基板の周辺部の膜厚を制御することが難しくなる。
【0034】
本開示のバックライトモジュールが用いられる表示装置は、例えばタイリング等で用いられる場合があり、その際、個々の表示装置の周辺部の膜厚が均一でない場合は、個々の表示装置の周辺部が線として視認されてしまい、表示品質上問題となる可能性がある。
【0035】
本開示においては、封止部材として熱可塑性樹脂を用いることにより、シート状の熱可塑性樹脂を熱圧着させることにより、LED素子を上記封止部材で封止することが可能となる。この場合、バックライトモジュールの周辺部の膜厚を制御することが可能となるため、上述した不具合を防止することができるという効果を奏するものとなる。
【0036】
熱可塑性樹脂としては、通常、LED基板を劣化させる成分(劣化成分)が実質的に発生しない樹脂が用いられる。ここで、「劣化成分が実質的に発生しない樹脂」とは、劣化成分自体を含有しないか、もしくは含有してもLED基板の劣化に影響を与えない程度である樹脂や、バックライトモジュールの製造時および使用時において、劣化成分が発生しないか、もしくは発生したとしてもLED基板の劣化に影響を与えない程度である樹脂を指す。
【0037】
このような劣化成分が発生する樹脂としては、劣化成分として酸成分を発生させるエチレン-酢酸ビニル(EVA)共重合体等を挙げることができる。
【0038】
また、本開示における熱可塑性樹脂としては、加熱することにより、LED基板上に配置されたLED素子およびその他の部材の凹凸に、追従し、隙間に入り込むことが可能な溶融粘度を有するものが好適に用いられる。
【0039】
具体的には、用いる熱可塑性樹脂のメルトマスフローレート(MFR)が、0.5g/10分以上40g/10分以下であることが好ましく、2.0g/10分以上40g/10分以下であることがより好ましい。MFRが上記の範囲であることにより、LED素子の隙間に入り込むことが可能となり、充分な封止性能を発揮することができ、さらにはLED基板との密着性に優れた封止部材とすることができるからである。
【0040】
なお、本開示におけるMFRは、JIS K7210により測定した190℃、荷重2.16kgにおける値をいう。但し、ポリプロピレン樹脂のMFRについては、同じくJIS K7210による、230℃、荷重2.16kgにおけるMFRの値のことを言うものとする。
【0041】
封止部材が後述するように多層部材である場合のMFRについては、全ての層が一体積層された多層状態のまま、上記測定方法による測定を行い、得た測定値を当該多層の封止材のMFR値とするものとする。
【0042】
本開示に用いられる熱可塑性樹脂の融点としては、LED基板を劣化させない温度域でLED素子を封止することができれば特に限定されず、例えば、55℃以上135℃以下であることが好ましい。なお、熱可塑性樹脂の融点は、例えば、プラスチックの転移温度測定方法(JISK7121)に準拠し、示差走査熱量分析(DSC)により測定することができる。
【0043】
本開示においては、上記熱可塑性樹脂として、例えば、オレフィン系樹脂、アイオノマー系樹脂、ポリビニルブチラール系樹脂等を用いることができる
【0044】
なかでも、本開示においては、オレフィン系樹脂であることが好ましい。オレフィン系樹脂は、LED基板を劣化させる成分を特に生じにくく、溶融粘度も低いことから上述したLED素子を良好に封止することができるからである。また、オレフィン系樹脂のなかでも、ポリエチレン系樹脂もしくはポリプロピレン系樹脂であることが好ましい。
【0045】
本開示に用いられるポリエチレン系樹脂には、エチレンを重合して得られる通常のポリエチレンのみならず、α-オレフィン等のようなエチレン性の不飽和結合を有する化合物を重合して得られた樹脂、エチレン性不飽和結合を有する複数の異なる化合物を共重合させた樹脂、及びこれらの樹脂に別の化学種をグラフトして得られる変性樹脂等が含まれる。
【0046】
なかでも、α-オレフィンとエチレン性不飽和シラン化合物とをコモノマーとして共重合してなるシラン共重合体(以下、「シラン共重合体」とも言う)を好ましく使用することができる。このような樹脂を使用することにより、LED基板と封止部材とのより高い密着性を得ることができるからである。
上記シラン共重合体は、特開2018-50027号公報に記載のものを用いることができる。
【0047】
また、封止部材に使用される樹脂材料としては、光硬化もしくは熱硬化等の硬化性樹脂を使用することも可能である。硬化性樹脂を使用する場合、硬化性樹脂および光拡散剤を含む液状の封止材組成物を充填し、硬化させることで、封止部材を得ることができる。
【0048】
このような硬化性樹脂としては、従来封止材として使用されているものが挙げられ、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、もしくはシリコーン系樹脂等が挙げられる。
【0049】
(3)封止部材の構造
本開示における封止部材は、例えば
図1に示すように、封止部材2が単一の樹脂層で構成された単層部材であってもよく、
図2に示すように封止部材2が複数層の樹脂層(
図2においては3層)が積層された多層部材であってもよい。
上記多層部材とすることにより、光拡散剤を含有する層よりもLED基板側の層に、通常高価である密着性やLED素子等の隙間に入り込めるモールディング性が良好な材料を用いることが可能となるからである。
【0050】
本開示においては、上記多層部材が2層構造であってもよいが、中心層に光拡散剤を含有する光拡散剤含有層が配置され、その両面に密着性の良好な密着層が配置された3層構造であることが好ましい。
【0051】
本開示において、LED基板側に配置される層を構成する材料としては、密着性が高く、かつモールディング性が高いものであれば特に限定されるものではないが、例えば、上述したシラン共重合体、シランカップリング剤等を用いることが好ましく、酸化防止剤、光安定化剤等の添加剤を添加してもよい。
【0052】
本開示における封止部材が多層部材である場合、少なくとも1層に光拡散剤が含まれていれば良いが、本開示においては、多層の中でも最も上記LED発光ダイオード基板側の層以外の層、すなわち上記LED基板に密着する層以外の層に上記光拡散剤が含有されていることが好ましい。上記LED基板に密着する層に上記光拡散剤が含有されている場合は、LED基板との密着性に悪影響を及ぼす可能性があるからである。また、上記LED基板に密着する層以外の層に上記光拡散剤を含有させることにより、LED素子の直上において、上記光拡散剤を含有する層が薄くなることを避けることが可能となり、輝度をより均一化することが可能となるからである。
本開示において、上記封止部材が3層で構成されている場合は、中心となる層(
図2においては樹脂層22)に光拡散剤が含有されていることが好ましい。
【0053】
封止部材の厚さは、LED基板の層構成等に応じて適宜選択することができ、特に限定されない。例えば、封止部材の厚さは、100μm以上600μm以下であってもよく、300μm以上550μm以下であることがより好ましい。厚さが100μm未満であると封止材としての機能を十分に発揮することができず、厚さが600μm以上であれば、光透過性に悪影響を及ぼす可能性があるからである。
【0054】
また、封止部材が3層の多層部材として形成された場合は、中心層(
図2における樹脂層22)の厚さは、60μm以上400μm以下であることが好ましく、より好ましくは、250μm以上350μm以下である。また、この場合における外側の各層(
図2における樹脂層21)毎の厚さは、15μm以上200μm以下であることが好ましい。
【0055】
特に、本開示における封止部材は、中心層と、上記中心層よりもLED基板側に配置された密着層とを有する多層部材であることが好ましく、この場合、LED基板側に配置された密着層の厚さが、LED素子の高さよりも厚いことが好ましい。LED素子直上部分と直上部分以外における中心層の厚さを、バックライトモジュール面内で均等とすることができるためである。なお、上記光拡散剤は、上述したように中心層に含有されることが好ましく、本開示においては、この場合の中心層を光拡散剤含有層とする。
【0056】
なお、本明細書における「厚さ」は、μオーダーのサイズを測定することが可能な公知の測定方法を用いて測定することができ、一例としては光学顕微鏡または走査型電子顕微鏡(SEM)による観察像を用いて測定することができる。「大きさ」等のサイズの測定についても同様である。
【0057】
(4)その他
本開示の封止部材を形成するための封止材組成物としては、光拡散剤、樹脂、必要に応じて架橋剤、その他の添加剤を含有していてもよい。また、後述する波長変換部材に用いられる波長変換材を含有することにより、波長変換部材の機能を封止部材に取り入れることが可能となり、より厚みの薄いバックライトモジュールとすることが可能となる。
【0058】
本開示の封止部材は、光拡散剤および熱可塑性樹脂を含有する封止材組成物から構成されるシート状の封止材(封止材シート)を用いて形成することができる。封止材シートの成型方法としては、一般的な樹脂シートの成型方法と同様とすることができる。一例としてTダイ法を挙げることができるが、これに限定されない。
【0059】
具体的には、LED基板と封止材シートとを準備し、LED基板のLED素子側の面側に封止材シートを積層してから、例えば真空ラミネーション法を用いることにより、LED基板に封止材シートを圧着させることで、封止部材を形成することができる。
このようにシート状の封止材を用いる場合、液状の封止材組成物を用いて封止部材を形成するよりも、光拡散剤の分散性が良好なものとなる。また、熱可塑性樹脂を含むシート状の封止材を用いることにより、液状の熱硬化性樹脂組成物や光硬化性樹脂組成物を硬化することによって得られる封止部材よりも、平坦性が良好な封止部材が得られる。
【0060】
また、本開示の封止部材は、光拡散剤、および熱硬化性や光硬化性等の硬化性樹脂を含有する液状の封止材組成物を、LED基板上に塗布し、熱硬化させることで形成することもできる。
【0061】
(5)封止部材の具体的態様
上述したように、封止部材としては、熱可塑性樹脂を含有することが好ましく、オレフィン系樹脂を含有することがより好ましく、ポリエチレン系樹脂を含有することがさらに好ましい。特に、封止部材が、密度0.870g/cm3以上0.930g/cm3以下のポリエチレン系樹脂をベース樹脂とすることが好ましい。このような封止部材は、LED基板との密着性が良好であり、LED基板に配置された部材に対する追従性が良好であるためである。
【0062】
以下、好適な封止部材の詳細を説明する。
上記封止部材は、0.870g/cm3以上0.930g/cm3以下のポリエチレン系樹脂をベース樹脂とする樹脂フィルムによって形成されている。すなわち、上記封止部材は、上述のポリエチレン系樹脂をベース樹脂とする封止材シートによって形成されている。
【0063】
上記封止材シートは、コア層と、両最表面に配置されるスキン層と、を含む複数の層によって構成される多層フィルムとすることが好ましい。そして、この場合においては、コア層は、密度0.910g/cm3以上0.930g/cm3以下のポリエチレン系樹脂をベース樹脂とすることが好ましく、スキン層については、密度0.890g/cm3以上0.910g/cm3以下であって、コア層用のベース樹脂よりも低密度のポリエチレン系樹脂をベース樹脂とすることが好ましい。
このように封止材シートが、3層以上の多層フィルムである場合においては、コア層に光拡散剤を含有することが好ましい。
【0064】
上記多層フィルムの場合、その総厚みは、例えば100μm以上であることが好ましく、250μm以上であることがより好ましく、300μm以上であることがさらに好ましい。また、総厚みは、例えば600μm以下であることが好ましく、550μm以下であることがより好ましい。総厚みが薄すぎると充分に衝撃を緩和することができないが、総厚みが上記範囲内であれば、モールディング性と耐熱性とを十分に好ましい水準において兼ね備えるものとすることができる。なお、総厚みが厚すぎると、それ以上の衝撃緩和効果向上の効果は得がたく、薄型化の要請にも対応できず、且つ、不経済である。
【0065】
上記多層フィルムにおけるコア層の厚みは、例えば60μm以上であることが好ましく、より好ましくは100μm以上、さらに好ましくは250μm以上である。また、コア層の厚みは、例えば400μm以下であることが好ましく、より好ましくは350μm以下である。また、この場合におけるスキン層の各層毎の厚みは、例えば15μm以上とすることができ、30μm以上であってもよく、また、200μm以下とすることができる。各層の厚みをこのような範囲内とすることにより、封止材シートの耐熱性とモールディング特性を良好な範囲内に保持することができる。
【0066】
上記封止材シートは、以下に詳細を説明する封止材組成物を、従来公知の方法で成型加工してシート状としたものである。
【0067】
上記封止材シートを封止部材として形成する場合、各層の製造に用いる封止材組成物は、各層毎に密度範囲等の異なる組成物をベース樹脂とする。
【0068】
この場合において、上記封止材組成物は、コア層用の封止材組成物とスキン層用の封止材組成物とを、それぞれ各層の形成に使い分ける。そして、これらコア層用、スキン層用の各封止材組成物により、所定の厚みで、両最表面にスキン層が配置されている3層構造の多層フィルムを成形することにより、例えば
図8に示すように、スキン層22a、コア層23、およびスキン層22bの3層構造の封止部材21を製造することができる。
【0069】
上記封止材シートのコア層用の封止材組成物のベース樹脂としては、低密度ポリエチレン系樹脂(LDPE)、直鎖低密度ポリエチレン系樹脂(LLDPE)、またはメタロセン系直鎖低密度ポリエチレン系樹脂(M-LLDPE)を好ましく用いることができる。
なかでも、長期信頼性の観点から、低密度ポリエチレン系樹脂(LDPE)をコア層用の組成物として特に好ましく用いることができる。
【0070】
上記コア層用の封止材組成物のベース樹脂として用いるポリエチレン系樹脂の密度は、0.910g/cm3以上0.930g/cm3以下であり、より好ましくは、0.920g/cm3以下である。コア層用の封止材組成物のベース樹脂の密度を上記範囲とすることにより、架橋処理を経ることなく、封止材シートに必要十分な耐熱性を備えさせることができる。
【0071】
上記コア層用の封止材組成物の融点については、融点90℃以上135℃以下であることが好ましく、融点100℃以上115℃以下であることがより好ましい。コア層の融点を上記融点範囲とすることにより、これらの封止材組成物の耐熱性とモールディング特性とを、好ましい範囲内に保持することができる。なお、コア層用の封止材組成物にポリプロピレン等の高融点の樹脂を添加することによって、封止材組成物の融点を135℃程度にまで高めることが可能である。この場合、ポリプロピレンは、コア層の全樹脂成分に対して5質量%以上40質量%以下含有されていることが好ましい。
【0072】
上記コア層に含有させるポリプロピレンは、ホモポリプロピレン(ホモPP)樹脂であることが好ましい。ホモPPは、ポリプロピレン単体のみからなる重合体であり結晶性が高いため、ブロックPPやランダムPPと比較して、更に高い剛性を有する。これをコア層用の封止材組成物への添加樹脂として用いることにより、封止部材の寸法安定性を高めることができる。また、コア層用の封止材組成物への添加樹脂として用いるホモPPは、JIS K7210に準拠して測定した230℃、荷重2.16kgにおけるMFRが5g/10分以上125g/10分以下であることが好ましい。上記MFRが小さすぎると、分子量が大きくなり剛性が高くなりすぎて、封止材組成物の好ましい十分な柔軟性が担保しにくくなる。また、上記MFRが大きすぎると、加熱時の流動性が十分に抑制されず、封止材シートに耐熱性および寸法安定性を十分に付与することが出来ない。
【0073】
上記コア層用の封止材組成物のベース樹脂として用いるポリエチレン系樹脂のメルトマスフローレート(MFR)は、190℃、荷重2.16kg、において2.0g/10分以上7.5g/10分以下であることが好ましく、3.0g/10分以上6.0g/10分以下であることがより好ましい。コア層用の封止材組成物のベース樹脂のMFRを上記範囲とすることにより、封止部材の耐熱性とモールディング特性とを、好ましい範囲内に保持することができる。また、製膜時の加工適性を十分に高めて封止部材の生産性の向上にも寄与することができる。
【0074】
上記コア層用の封止材組成物中の全樹脂成分に対する上記のベース樹脂の含有量は70質量%以上99質量%以下であり、好ましくは90質量%以上99質量%以下である。上記範囲内でベース樹脂を含むものである限りにおいて、他の樹脂を含んでいてもよい。
【0075】
上記封止材シートのスキン層用の封止材組成物のベース樹脂としては、コア層用の封止材組成物と同様に、低密度ポリエチレン系樹脂(LDPE)、直鎖低密度ポリエチレン系樹脂(LLDPE)、またはメタロセン系直鎖低密度ポリエチレン系樹脂(M-LLDPE)を好ましく用いることができる。なかでも、モールディング特性の観点から、メタロセン系直鎖低密度ポリエチレン系樹脂(M-LLDPE)をスキン層用の封止材組成物として特に好ましく用いることができる。
【0076】
上記スキン層用の封止材組成物のベース樹脂として用いる上記のポリエチレン系樹脂の密度は、0.890g/cm3以上0.910g/cm3以下であり、より好ましくは、0.899g/cm3以下である。スキン層用の封止材組成物のベース樹脂の密度を上記範囲内とすることにより、封止部材の密着性を好ましい範囲に保持することができる。
【0077】
上記スキン層用の封止材組成物の融点については、融点55℃以上100℃以下であることが好ましく、融点80℃以上95℃以下であることがより好ましい。スキン層用の封止材組成物の融点を上記範囲内とすることにより、封止部材の密着性を更に確実に向上させることができる。
【0078】
上記スキン層用の封止材組成物のベース樹脂として用いるポリエチレン系樹脂のメルトマスフローレート(MFR)は、190℃、荷重2.16kg、において2.0g/10分以上7.0g/10分以下であることが好ましく、2.5g/10分以上6.0g/10分以下であることがより好ましい。スキン層用の封止材組成物のベース樹脂のMFRを上記範囲内とすることにより、封止部材の密着性を更に確実に好ましい範囲内に保持することができる。また、製膜時の加工適性を十分に高めて封止部材の生産性の向上に寄与することができる。
【0079】
上記スキン層用の封止材組成物中の全樹脂成分に対する上記のベース樹脂の含有量は60質量%以上99質量%以下であり、好ましくは90質量%以上99質量%以下である。上記範囲内でベース樹脂を含むものである限りにおいて、他の樹脂を含んでいてもよい。
【0080】
以上説明した全ての封止材組成物には、α-オレフィンとエチレン性不飽和シラン化合物とをコモノマーとして共重合してなるシラン共重合体を、必要に応じて、各封止材組成物に一定量含有させることがより好ましい。このようなグラフト共重合体は、接着力に寄与するシラノール基の自由度が高くなるため、他の部材への封止部材の接着性を向上させることができる。
【0081】
シラン共重合体は、例えば、特開2003-46105号公報に記載されているシラン共重合体を挙げることができる。上記シラン共重合体を封止材組成物の成分として使用することにより、強度、耐久性等に優れ、且つ、耐候性、耐熱性、耐水性、耐光性、その他の諸特性に優れ、更に、封止部材を配置する際の加熱圧着等の製造条件に影響を受けることなく極めて優れた熱融着性を有し、安定的に、低コストで封止部材を得ることができる。
【0082】
シラン共重合体としては、ランダム共重合体、交互共重合体、ブロック共重合体、および、グラフト共重合体のいずれであっても好ましく使用することができるが、グラフト共重合体であることがより好ましく、重合用ポリエチレンを主鎖とし、エチレン性不飽和シラン化合物が側鎖として重合したグラフト共重合体が更に好ましい。このようなグラフト共重合体は、接着力に寄与するシラノール基の自由度が高くなるため、封止部材の接着性を向上することができる。
【0083】
α-オレフィンとエチレン性不飽和シラン化合物との共重合体を構成する際のエチレン性不飽和シラン化合物の含有量としては、全共重合体質量に対して、例えば、0.001質量%以上15質量%以下、好ましくは、0.01質量%以上5質量%以下、特に好ましくは、0.05質量%以上2質量%以下が望ましい。α-オレフィンとエチレン性不飽和シラン化合物との共重合体を構成するエチレン性不飽和シラン化合物の含量が多い場合には、機械的強度、および耐熱性等に優れるが、含量が過度になると、引っ張り伸び、および熱融着性等に劣る傾向にある。
【0084】
上記シラン共重合体の封止材組成物の全樹脂成分に対する含有量は、上記コア層用の封止材組成物においては、2質量%以上20質量%以下、上記スキン層用の封止材組成物においては、5質量%以上40質量%以下であることが好ましい。特にスキン層用の封止材組成物には、10質量%以上のシラン共重合体が含有されていることがより好ましい。なお、上記のシラン共重合体におけるシラン変性量は、1.0質量%以上3.0質量%以下程度であることが好ましい。上記の封止材組成物中における好ましいシラン共重合体の含有量範囲は、上記シラン変性量がこの範囲内であることを前提としており、この変性量の変動に応じて適宜微調整することが望ましい。
【0085】
全ての封止材組成物には、また、適宜、密着性向上剤を添加することができる。密着性向上剤の添加により、他の部材との密着耐久性をより高いものとすることができる。密着性向上剤としては、公知のシランカップリング剤を用いることができるが、エポキシ基を有するシランカップリング剤または、メルカプト基を有するシランカップリングを、特に好ましく用いることができる。
【0086】
2.発光ダイオード基板
本開示におけるLED基板は、支持基板と、LED素子とを有する。本開示におけるLED基板は、バックライトモジュール用、特には直下型バックライトモジュール用のLED基板であることが好ましい。また、LED基板は、ミニLEDバックライトモジュール用のLED基板であることが好ましい。
【0087】
LED基板の構造としては、支持基板とLED素子を含み、バックライトモジュールとして光拡散剤を含有する封止部材と用いることで、均一な輝度の白色光を照射することができれば特に限定されない。
【0088】
(1)支持基板
支持基板は、LED素子および封止部材等を支持する部材である。
支持基板は透明性を有していてもよく、透明性を有していなくてもよい。また、支持基板は軟性(フレキシブル性)を有していてもよく、剛性(リジット性)を有していてもよい。支持基板の材質は、有機材料であってもよく、無機材料であってもよく、有機材料および無機材料の両方を複合させた複合材料であってもよい。
【0089】
支持基板の材質が有機材料である場合、支持基板としては樹脂基板を用いることができる。一方、支持基板の材質が無機材料である場合、支持基板としてはセラミック基板、ガラス基板を用いることができる。また、支持基板の材質が複合材料である場合、支持基板としてはガラスエポキシ基板(例えば、FR-4基板)を用いることができる。また、支持基板としては、例えば、メタルコア基板を用いることができる。
【0090】
支持基板は、通常、平面状の基板であるが、例えば、LED素子を配置する面側、または反対の面側の少なくとも一方が曲面であってもよい。
【0091】
支持基板の厚さは、例えば、0.05mm以上10mm以下であり、好ましくは0.1mm以上5mm以下である。
【0092】
支持基板の平面視形状は、適宜選択することができ特に限定されないが、典型的には矩形である。
支持基板としては、印刷により回路が形成された印刷回路基板を用いることもできる。
【0093】
(2)発光ダイオード素子
LED素子は、支持基板の一方の面側に配置される部材であり、LED素子の発光部が、後述する表示装置の光源として機能する。
【0094】
本開示のバックライトモジュールは、白色LEDとすることができる。LED素子としては、バックライトモジュールとした場合に白色光を照射することができれば特に限定されず、例えば、白色、青色、紫外線もしくは赤外線等を発光することができるLED素子を挙げることができる。
【0095】
LED素子は、チップ状のLED素子とすることができる。LED素子の形態としては、例えば、発光部(LEDチップとも称する。)そのものであってもよく、表面実装型やチップオンボード型等のパッケージLED(チップLEDとも称する。)であってもよい。パッケージLEDは、例えば、発光部と、発光部を覆い樹脂を含有する保護部とを有することができる。具体的には、LED素子が発光部そのものである場合、LED素子としては、例えば青色LED素子、紫外線LED素子または赤外線LED素子を用いることができる。また、LED素子がパッケージLEDである場合、LED素子としては、例えば白色LED素子を用いることができる。
【0096】
本開示のバックライトモジュールが、LED素子と後述する波長変換部材とを組み合わせて白色光を照射するものである場合、LED素子としては、青色LED素子、紫外線LED素子、または赤外線LED素子であることが好ましい。青色LED素子は、例えば黄色蛍光体と組み合わせる、あるいは赤色蛍光体および緑色蛍光体と組み合わせことにより、白色光を生成することができる。また、紫外LED素子は、例えば赤色蛍光体、緑色蛍光体および青色蛍光体と組み合わせることにより、白色光を生成することができる。中でも、LED素子が青色LED素子であることが好ましい。本開示のバックライトモジュールにおいて、輝度の高い白色光を照射することができるからである。
【0097】
また、LED素子が白色LED素子である場合、白色LED素子としては、白色LED素子の発光方式等により適宜選択される。白色LED素子の発光方式としては、例えば、赤色LEDと緑色LEDと青色LEDとの組み合わせ、青色LEDと赤色蛍光体と緑色蛍光体との組み合わせ、青色LEDと黄色蛍光体との組み合わせ、紫外線LEDと赤色蛍光体と緑色蛍光体と青色蛍光体との組み合わせ等を挙げることができる。そのため、白色LED素子としては、例えば、赤色LED発光部と緑色LED発光部と青色LED発光部とを有していてもよく、青色LED発光部と赤色蛍光体および緑色蛍光体を含有する保護部とを有していてもよく、青色LED発光部と黄色蛍光体を含有する保護部とを有していてもよく、紫外LED発光部と赤色蛍光体、緑色蛍光体および青色蛍光体を含有する保護部とを有していてもよい。
【0098】
中でも、白色LED素子は、青色LED発光部と赤色蛍光体および緑色蛍光体を含有する保護部とを有する、青色LED発光部と黄色蛍光体を含有する保護部とを有する、あるいは、紫外LED発光部と赤色蛍光体、緑色蛍光体および青色蛍光体を含有する保護部とを有することが好ましい。これらの中でも、白色LED素子は、青色LED発光部と赤色蛍光体および緑色蛍光体を含有する保護部とを有する、あるいは、青色LED発光部と黄色蛍光体を含有する保護部とを有することが好ましい。本開示のバックライトモジュールにおいて、輝度の高い白色光を照射することができるからである。上記蛍光体の代わりに、波長変換材として量子ドットを使用することもできる。
【0099】
LED素子の構造としては、一般的なLED素子と同様とすることができる。
LED素子は、通常、支持基板の一方の面側に等間隔で配置される。LED素子の配置としては、本開示のバックライトモジュールの用途および大きさや、LED素子のサイズ等に応じて適宜選択される。また、LED素子の配置密度も、本開示のバックライトモジュールの用途および大きさや、LED素子のサイズ等に応じて適宜選択される。
【0100】
LED素子のサイズ(チップサイズ)は、一般的なチップサイズとすることができるが、中でも、ミニLEDやマイクロLEDと呼ばれるチップサイズであることが好ましい。
LED素子のサイズは、例えば、数百マイクロメートル角であってもよく、数十マイクロメートル角であってもよい。具体的には、LED素子のサイズは、ミニLEDである場合には100μm角以上1000μm角以下であることが好ましく、100μm角以上500μm角以下であることがより好ましく、100μm角以上300μm角以下であってもよい。
【0101】
LED素子のサイズが小さいことにより、LED素子を高密度で配置する、すなわちLED素子間の間隔(ピッチ)を小さくすることができ、封止部材の厚みを薄くすることができるからである。これにより、薄型化および軽量化を図ることができる。
【0102】
本開示に用いられるLED素子は、支持基板の一方の面側に配置される。本開示においては、支持基板の一方の面側に少なくとも1つのLED素子が配置されていればよいが、通常は、複数のLED素子が配置される。複数のLED素子の配置としては、特に限定されないが、例えば、X×Y行列(X、Yはそれぞれ1以上の整数)に配置されることが好ましい。X、Yの数についてはバックライトモジュールの用途に応じて適宜選択される。
【0103】
(3)その他
本開示におけるLED基板は、上述した支持基板およびLED素子を有していれば特に限定されず、必要な構成を適宜選択して追加することができる。このような構成としては、例えば、配線部、端子部、これらの保護する絶縁層等を挙げることができる。配線部を有する場合、配線部は、LED素子と電気的に接続される。配線部、端子部および絶縁層については、公知のLED基板に用いられるものと同様とすることができるため、個々での説明は省略する。
【0104】
本開示におけるLED基板は、支持基板のLED素子が配置される面であって、LED素子実装領域以外の領域には、反射層を配置することができる。
【0105】
反射層は、一般的にLED基板に用いられる反射層と同様とすることができる。具体的には、反射層としては、金属粒子、無機粒子または顔料と樹脂とを含有する白色樹脂膜や、金属膜、多孔質膜等が挙げられる。反射層の厚みは、所望の反射率が得られる厚みであれば特に限定されるものではなく、適宜設定される。
【0106】
LED基板の形成方法については、公知の形成方法と同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
【0107】
3.その他の構成
本開示のバックライトモジュールは、光拡散剤を含有する封止部材と、LED基板とを有していれば特に限定されず、必要な構成を適宜選択して追加することができる。このような構成としては、例えば、下記に説明する光学部材等が挙げられる。
【0108】
(1)波長変換部材
本開示のバックライトモジュールは、必要に応じて波長変換部材が配置されていてもよい。波長変換部材は、LED基板と組み合わせることにより、白色光を生成する機能を有する。波長変換部材は、LED基板の発光面側に配置され、LED素子及び封止部材よりも観察者側に配置することができる。波長変換部材は、波長変換材を含有し、波長変換材としては、蛍光体、量子ドット等が挙げられる。
【0109】
波長変換部材がLED素子及び封止部材よりも観察者側に配置されている場合、例えば、波長変換材が分散された樹脂シートであってもよく、透明基板上に波長変換材が分散された樹脂層を有する積層体であってもよいが、薄型化の観点から、前者がより好ましい。
樹脂シートに用いられる樹脂としては、波長変換材を分散させることができれば特に限定されないが、熱可塑性樹脂であることが好ましい。波長変換材を分散させた樹脂シートを用いて波長変換部材を形成することができるため、平坦性を良好にすることができるからである。上記熱可塑性樹脂としては、光透過率の高いものであれば特に限定されるものではなく、汎用のものを用いることができる。
【0110】
上記蛍光体としては、LED素子からの発光色に応じて適宜選択することができ、例えば、青色蛍光体、緑色蛍光体、赤色蛍光体、アンバー蛍光体、黄色蛍光体等を挙げることができる。例えば、LED素子が、青色LED素子である場合、蛍光体として黄色蛍光体を用いることが好ましい。また、LED素子が、紫外線LED素子または赤外線LED素子である場合は、赤色蛍光体、青色蛍光体、緑色蛍光体の3色の蛍光体を用いることが好ましい。蛍光体の形状は、例えば、粒子状である。蛍光体の平均一次粒径(D50)は、例えば、1μm以上100μm以下である。平均粒径は、走査型電子顕微鏡(SEM)による波長変換部材の断面の観察像において、任意の蛍光体20個を測定したときの平均値である。
【0111】
波長変換部材における蛍光体の割合は、所望の白色光を生成することができる程度であれば特に限定されず、例えば、40質量%以上60質量%以下である。
【0112】
量子ドットとしては、従来、バックライトモジュールに使用されているものであれば特に限定されない。量子ドットは粒子径が小さくなるに従い、エネルギーバンドギャップが大きくなる。すなわち、結晶サイズが小さくなるにつれて、量子ドットの発光は青色側へ、つまり、高エネルギー側へとシフトする。そのため、量子ドットの粒子径を変化させることにより、紫外領域、可視領域、赤外領域のスペクトルの波長全域にわたって、その発光波長を調節することができる。例えば、量子ドットの粒子径が2.0nm以上3.5nm以下の場合は青色光を発し、量子ドットの粒子径が4.0nm以上5.0nm以下の場合は緑色光を発し、量子ドットの粒子径が5.5nm以上6.5nm以下の場合は赤色光を発する。
【0113】
量子ドットの粒子径、平均粒子径、形状、分散状態等の情報については、透過型電子顕微鏡(TEM)または走査透過型電子顕微鏡(STEM)により得ることができる。量子ドットの平均粒子径は、透過型電子顕微鏡または走査透過型電子顕微鏡を用いて波長変換部材の断面を観察し、この観察画像から測定された20個の量子ドットの直径の平均値として求めることができる。
【0114】
本開示における波長変換部材には、1種類の量子ドットを用いてもよいが、粒子径または材料等が異なることにより、それぞれ単独の波長域の発光帯を有する2種類以上の量子ドットを用いることも可能である。
【0115】
波長変換部材中の量子ドットの含有量は、0.1質量%以上10質量%以下であることが好ましく、0.2質量%以上5質量%以下であることがより好ましい。量子ドットの含有量が上記下限値未満であると、充分な発光強度が得られないおそれがある。
【0116】
波長変換部材の厚さは、所望の白色光を生成することができれば特に限定されないが、例えば、10μm以上1000μm以下である。
【0117】
(2)反射部材
本開示のバックライトモジュールは、上記LED素子の少なくとも直上部分に反射部材が配置されていることが好ましい。このようにLED素子の直上部分に反射部材を設けることにより、LED素子の直上における封止部材の厚みが薄い場合であっても、反射部材によってLED素子の直上の光を反射させて周囲に拡散することができるため、封止材に含まれる光拡散剤による輝度の面内均一性が向上する。
【0118】
このような反射部材としては、例えば、誘電体多層膜や、透明基材の一方の面側に配置されたパターン状の第1反射膜と、透明基材の一方または他方の面側に配置されたパターン状の第2反射膜とを有し、第1反射膜の開口部および第2反射膜の開口部が平面視上重ならないように位置し、第1反射膜および第2反射膜が厚み方向に離れて配置されている反射構造体や、反射型回折格子等が挙げられる。
【0119】
また、反射部材として、従来公知の透過反射板を使用することができる。例えば、透過性を有する基板と、透過性支持基板の少なくとも一方の面上の一部に所定のパターンで積層された反射材からなる反射部と、透過性支持基板において反射部が形成されていない領域に形成されると透過部とを含んで構成されるものを使用することができる。このような透過性支持基板においては、LED素子の直上位置周辺の中心部は反射部のみで構成されているものとすることができる。
【0120】
本開示において、LED素子の直上部分とは、上記LED素子の発光領域を、上記LED素子の支持基板表面に対して垂直方向に移動させた領域を示すものである。本開示においては、少なくともこの領域に反射部材が配置されていればよい。
【0121】
(3)その他
本開示のバックライトモジュールは、さらに、従来バックライトモジュールに使用されている公知の光学部材、例えばプリズムシート、反射型偏光シート等を備えることができる。
【0122】
本開示におけるプリズムシートは、入射した光を集光し、正面方向の輝度を集中的に向上させる機能を有する。プリズムシートは、例えば、透明樹脂基材の一方の面側に、アクリル樹脂等を含むプリズムパターンが配置されたものである。
【0123】
プリズムシートとしては、例えば、3M社製の輝度上昇フィルムBEFシリーズを用いることができる。
【0124】
本開示における反射型偏光シートは、第1の直線偏光成分(例えば、P偏光)のみを透過し、かつ第1の直線偏光成分と直交する第2の直線偏光成分(例えば、S偏光)を吸収せずに反射する機能を有する。反射型偏光シートで反射された第2の直線偏光成分は再度反射され、偏光が解消された状態(第1の直線偏光成分と第2の直線偏光成分とを両方含んだ状態)で、再度、反射型偏光シートに入射する。よって、反射型偏光シートは再度入射する光のうち第1の直線偏光成分を透過し、第1の直線偏光成分と直交する第2の直線偏光成分は再度反射される。以下、同上の過程を繰り返す事により、拡散部材から出射した光の70%~80%程度が第1の直線偏光成分となった光として出光される。したがって、本開示のバックライトモジュールを表示装置に用いた場合、反射型偏光シートの第1の直線偏光成分(透過軸成分)の偏光方向と表示パネルの偏光板の透過軸方向とを一致させることにより、バックライトモジュールからの出射光は全て表示パネルで画像形成に利用可能となる。そのため、LED素子から投入される光エネルギーが同じであっても、反射型偏光シートを未配置の場合に比べて、より高輝度の画像形成が可能となる。
【0125】
反射型偏光シートとしては、例えば、3M社製の輝度上昇フィルムDBEFシリーズが挙げられる。また、反射型偏光シートとして、例えば、Shinwha Intertek社製の高輝度偏光シートWRPS、ワイヤーグリッド偏光子等を用いることもできる。
【0126】
また、上述した光学部材は、例えば接着層を用いて封止部材上に貼り合わせてもよい。接着層に用いられる接着剤としては、一般的な表示装置に用いられる接着剤と同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
【0127】
4.発光ダイオードを用いたバックライトモジュール
本開示のLEDを用いたバックライトモジュールは、直下型のバックライトモジュールとして用いられる。
【0128】
本開示のバックライトモジュールの製造方法は、上述した構成を有するバックライトモジュールを得ることができる方法であれば特に限定されるものではなく、従来から用いられてた方法により製造することができる。本開示においては、例えば、LED基板を準備する工程、光拡散剤および熱可塑性樹脂を含有する封止材シートを準備する工程、ラミネート法を用いて、上記LED基板のLED素子側の面側に上記封止材シートを貼り合せることにより、上記封止部材を配置する工程を有するバックライトモジュールの製造方法を提供することもできる。
【0129】
B.表示装置
本開示の表示装置は、表示パネルと、上記表示パネルの背面に配置された上述したバックライトモジュールとを備えることを特徴とする。
【0130】
本開示の表示装置(液晶表示装置)について図を用いて説明する。
図3は本開示の表示装置の一例を示す概略断面図である。
図3に示す液晶表示装置100は、支持基板11、および上記支持基板の一方の面側に配置されたLED素子12を有するLED基板1と、LED素子12を封止する、光拡散剤を含有する封止部材2と、を備えるバックライトモジュール10と、バックライトモジュールの発光面側に配置された液晶パネル20とを備える。
図3においては、バックライトモジュール10は、波長変換部材3を有している。
【0131】
本開示によれば、薄型化された表示装置とすることができる。以下、本開示の表示装置における各構成について説明する。
【0132】
1.バックライトモジュール
本開示の表示装置におけるバックライトモジュールについては、上述した「A.バックライトモジュール」の項で説明した内容と同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
【0133】
2.表示パネル
表示パネルは、通常、カラーフィルタ基板と、対向基板と、カラーフィルタ基板および対向基板の間に配置された液晶層とを有する部材である。表示パネルに用いられるカラーフィルタ基板、対向基板および液晶層については、公知の液晶パネルに用いられるものと同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
【0134】
3.その他
本開示の表示装置は、上記LED素子を用いたバックライトモジュール、および表示パネルを有していれば特に限定されず、必要な構成を適宜選択して追加することができる。このような構成としては、例えば、偏光板、前面板等を挙げることができる。
本開示の表示装置は、複数の表示装置を並列に配列させたタイリング表示装置であってもよい。封止材シートを用いる場合、平坦性が良好な封止部材とすることができるため、各表示装置の境界が観察者から継ぎ目として観察されにくく、表示の視認性が良好なタイリング表示装置とすることができる。
【0135】
表示装置のタイリング方法については、一般的なタイリング方法と同様とすることができる。
【0136】
なお、本開示は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本開示の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本開示の技術的範囲に包含される。
【符号の説明】
【0137】
1 … LED基板
2 … 封止部材
3 … 波長変換部材
10、40…バックライトモジュール
11、41 … 支持基板
12、42 … LED素子
43…スペーサ
20 … 液晶パネル
100 … 液晶表示装置