(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024105389
(43)【公開日】2024-08-06
(54)【発明の名称】窒化物結晶成長のための超高純度鉱化剤及び改良された方法
(51)【国際特許分類】
C30B 29/38 20060101AFI20240730BHJP
【FI】
C30B29/38 D
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024074259
(22)【出願日】2024-05-01
(62)【分割の表示】P 2021176055の分割
【原出願日】2021-10-28
(31)【優先権主張番号】63/108,830
(32)【優先日】2020-11-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】518096478
【氏名又は名称】エスエルティー テクノロジーズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】SLT Technologies, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】マーク ピー デヴリン
(72)【発明者】
【氏名】ポール エム フォン ドレン
(72)【発明者】
【氏名】リサ ゲイ
(72)【発明者】
【氏名】ダグラス ダブリュー ポツィウス
(72)【発明者】
【氏名】ジョナサン ディー クック
(57)【要約】
【課題】 バルク結晶中に不純物を生じずにフッ化物含有鉱化剤を低コストで製造する。
【解決手段】 1つ以上の移送容器と、凝縮性鉱化剤組成物を内包した源容器と、受入容器とを備えたマニホルドを提供する。1つ以上の移送容器内の金属表面を冷却する。金属表面は、凝縮性鉱化剤組成物に曝露されたときに反応産物を形成しない組成物で構成される。ある量の凝縮性鉱化剤組成物を、蒸気相で1つ以上の移送容器に移送し、1つ以上の移送容器内で凝縮性鉱化剤組成物の凝縮を発生させる。少なくとも1つの移送容器の中の、凝縮性鉱化剤組成物の量を測定する。凝縮性鉱化剤組成物の少なくとも一部分を受入容器に移送し、アモノサーマル結晶成長プロセスによって、III族金属窒化物ブールの少なくとも一部分を形成する。アモノサーマル結晶成長プロセスで、種結晶を少なくとも約400℃の温度に曝露し、種結晶を、受入容器から移送された凝縮性鉱化剤組成物から形成された鉱化剤に曝露する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
III族金属窒化物結晶を成長させる方法であって、
少なくとも2つの移送容器と、HFを含む凝縮性鉱化剤組成物を内包した第1の源容器と、アンモニアを内包した第2の源容器と、受入容器とを備えるマニホルドを提供するステップと、
前記受入容器を排気するステップと、
第1の量の前記凝縮性鉱化剤組成物を、蒸気相で第1の移送容器に移送し、該第1の移送容器内で前記凝縮性鉱化剤組成物の凝縮を発生させるステップと、
前記第1の移送容器の中の、前記凝縮性鉱化剤組成物の前記第1の量を測定するステップと、
前記測定された前記凝縮性鉱化剤組成物の第2の量を、前記第1の移送容器から前記受入容器に移送するステップと、
第1の量のアンモニアを第2の移送容器に移送するステップと、
第2の量のアンモニアを、充填チューブを通る液相で前記第2の移送容器から前記受入容器に移送するステップであって、該充填チューブが1ミリメートル超の内径を有するステップと、及び
アモノサーマル結晶成長プロセスによってIII族金属窒化物ブールの少なくとも一部分を形成するステップであって、種結晶を少なくとも400℃の温度に曝露し、該種結晶を、前記受入容器に移送された、前記第2の量の凝縮性鉱化剤組成物及び前記第2の量のアンモニアから形成された鉱化剤に曝露するステップと
を含む、方法。
【請求項2】
前記充填チューブが2ミリメートル超の内径を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の移送容器及び前記充填チューブが、銀、銀合金、Monel 400、金、白金、パラジウム、ロジウム、イリジウム、又はルテニウムのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第2の量の凝縮性鉱化剤組成物が、前記第1の移送容器から前記受入容器に移送されるときに液相である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第2の量アンモニアが、ボールバルブを含むスロート径の大きなバルブを通して第2の移送容器から受入容器に液相で移送される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
液体アンモニアが、前記第2の量のアンモニアの前記第2の移送容器から前記受入容器への移送中に、7気圧を超える圧力を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第2の移送容器から前記受入容器への前記第2の量のアンモニアの移送の間、前記第2の移送容器と前記受入容器との間のバルブ及び接続部が、25℃~250℃の温度に加熱される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第2の移送容器から前記受入容器への前記第2の量のアンモニアの移送の間、前記第2の移送容器と前記受入容器との間の前記バルブ及び前記接続部が、30℃~100℃の温度に加熱される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の移送容器内の前記凝縮性鉱化剤組成物の凝縮が、前記第1の移送容器内の金属部材を冷却することによって達成され、該金属部材は、銀、銀合金、Monel 400、金、白金、パラジウム、ロジウム、イリジウム、又はルテニウムのうちの少なくとも1つを含み、前記凝縮性鉱化剤組成物を凝縮させて液相で冷却するように構成された金属表面を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
第1の移送容器の中の前記凝縮性鉱化剤組成物の移送された量は、体積測定によって決定され、
前記凝縮性鉱化剤組成物の温度を測定するステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記凝縮性鉱化剤組成物の流体の高さが、流体液位センサによって測定され、該流体液位センサは、超音波液位トランスミッタ、レーザー液位トランスミッタ、ガイドパルスセンサ、及びセンシングガイドパルストランスデューサのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
塩素、臭素、及びヨウ素のうちの少なくとも1つを含む第2の鉱化剤組成物を、前記受入容器へと移送するステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記凝縮性鉱化剤組成物を蒸留塔に通し、前記凝縮性鉱化剤組成物に対して分留精製プロセスを実施するステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記源容器から直接受け入れた鉱化剤組成物に関して、少なくとも5の理論段数の精製が達成される、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
前記第1の移送容器が、前記凝縮性鉱化剤組成物の移送の間、前記受入容器の温度よりも2℃~50℃高い温度に加熱される、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記第2の移送容器が、アンモニアの液相移送の間、受入容器の温度よりも2℃~50℃高い温度に加熱される、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
アモノサーマル成長させた前記III族金属窒化物ブールから、少なくとも1つのIII族金属窒化物ウェハを形成するステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
III族金属窒化物結晶を成長させる方法であって、
第1の移送容器と、HFを含む凝縮性鉱化剤組成物を内包した源容器と、受入容器とを備えるマニホルドを提供するステップと、
前記第1の移送容器内の金属部材を冷却するステップであって、該金属部材は、銀、銀合金、Monel 400、金、白金、パラジウム、ロジウム、イリジウム、又はルテニウムのうちの少なくとも1つを含み、前記凝縮性鉱化剤組成物を凝縮させて液相で冷却するように構成された金属表面を有するステップと、
第1の量の前記凝縮性鉱化剤組成物を、蒸気相で前記第1の移送容器に移送し、該第1の移送容器内で前記凝縮性鉱化剤組成物の凝縮を発生させるステップと、
前記第1の移送容器の中の、前記凝縮性鉱化剤組成物の前記第1の量を測定するステップと、
前記測定された前記凝縮性鉱化剤組成物の少なくとも一部分を、前記第1の移送容器から前記受入容器に移送するステップと、
測定された量のアンモニアを第2の移送容器に移送するステップと、
前記測定された量のアンモニアを、前記第2の移送容器から前記受入容器に移送するステップと、及び
アモノサーマル結晶成長プロセスによってIII族金属窒化物ブールの少なくとも一部分を形成するステップであって、種結晶を少なくとも400℃の温度に曝露し、該種結晶を、前記受入容器から移送された前記凝縮性鉱化剤組成物から形成された鉱化剤に曝露するステップと
を含む、方法。
【請求項19】
前記凝縮性鉱化剤組成物の少なくとも一部分が、前記第1の移送容器から前記受入容器に液相で移送される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記測定された量のアンモニアが、前記第2の移送容器から前記受入容器に液相で移送される、請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は一般に、多様なオプトエレクトロニクス、集積回路、電源デバイス、レーザ、発光ダイオード、光電池、及び他の関連デバイスを形成するために使用できるバルク又はパターン形成済み基板の形成に有用な結晶の成長のための材料の処理に関する。
【背景技術】
【0002】
結晶質材料を含有するガリウム窒化物は、青色発光ダイオード及びレーザといった従来のオプトエレクトロニクスデバイスの製造のための基板として役立つ。このようなオプトエレクトロニクスデバイスは一般に、堆積される窒化物層とは組成が異なるサファイア又は炭化ケイ素基板上で製造される。従来の有機金属化学気相成長(Metal‐Organic Chemical Vapor Deposition:MOCVD)法では、アンモニア及び有機金属化合物からのGaNの堆積が気相中で実施される。これは上手く行くものの、達成される従来の成長速度では、GaN材料のバルク層の提供は困難である。更に、転位密度も高くなり、これはオプトエレクトロニクスデバイスの性能の悪化につながる。
【0003】
アモノサーマル合成による窒化物結晶の成長が提案されている。アモノサーマル結晶成長法は、非特許文献1~4に記載されているように、スケーラブルであるとことが期待されている。アモノサーマル法は一般に鉱化剤を必要とし、上記鉱化剤は、多結晶質原材料と化学反応して可溶性中間物を形成し、これは超臨界流体中で輸送されて種結晶上で再結晶化される。アモノサーマル成長させたGaN結晶に関する継続的な課題は、不純物のレベルが相当なものであることであり、これは結晶の、例えば黄色、緑色、灰色、又は茶色の着色を引き起こす。この残留不純物は、上記基板上で製作される発光ダイオードにおいて光吸収を引き起こして、効率に悪影響を与える可能性があり、また導電率を低下させる、及び/又は結晶内に応力を発生させる可能性がある。不純物の潜在的原因のひとつは、鉱化剤である。
【0004】
結晶質III族金属窒化物のアモノサーマル成長のために、多数の鉱化剤が提案されている。これらの鉱化剤としては:アルカリ金属;アルカリイミド、イミドアミド、アミド、窒化物、水素化物、若しくはアジド;アルカリ土類金属、イミド、イミドアミド、アミド、窒化物、水素化物、若しくはアジド;ハロゲン化アンモニウム、III族金属ハロゲン化物、又はIII族金属とアンモニアとハロゲン化水素との反応産物が挙げられる。これらの鉱化剤の大半は吸湿性が高く、及び/又は湿気に敏感であり、従って酸素不純物のレベルを低くすることはかなり困難である。アンモノ塩基性鉱化剤の化学的性質に関して、Dwilinskiら(特許文献1)はアジドの使用を提案している。これは市販されており、吸湿性が比較的低いため、対応するアミド又は窒化物に比べて精製が容易である。しかしながらアジドは、化学的に不安定であるという欠点を有し、典型的なアモノサーマル条件下において分解されて過剰な窒素ガスを形成する可能性がある。アンモノ酸性の化学的性質に関して、塩化アンモニウム及びフッ化アンモニウムは市販されており、微量金属ベースで純度仕様が99.99%を超える(即ち酸素及び湿気の不純物レベルは指定されていない)。フッ化物を含有する鉱化剤を含むアンモノ酸性鉱化剤は、アンモノ塩基性鉱化剤を上回る特定の利点を提供できる。Stepinら(非特許文献5)はHCl及びNH3からのNH4Clを提案しており、Naumovaら(非特許文献6)は昇華によるNH4Clの精製を提案している。しかしながら、我々の知る限り、これらの著者の誰も、これらの方法によって達成可能な酸素不純物レベルを指定していない。
【0005】
Mikawaら(特許文献2)は、超高純度ハロゲン化水素と超高純度アンモニアとの反応による超高純度ハロゲン化アンモニウムの形成、及びアモノサーマルガリウム窒化物結晶成長のための鉱化剤としての上記超高純度ハロゲン化アンモニウムの使用を開示している。しかしながら、Mikawaらが開示している方法は、フッ化物含有鉱化剤の合成に有用なHF等の凝縮性ハロゲン化水素を使用する場合にはあまり適さない。
【0006】
Alexanderら(特許文献3)は、気相移動及び中間凝縮プロセスによる超高純度フッ化アンモニウムの形成を開示している。しかしながら、Alexanderらの方法には一定の制限があり、本開示はいくつかの改善を提示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第7,364,619号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2011/0268645号明細書
【特許文献3】米国特許第9,299,555号明細書
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Dwilinski, et al, J. Crystal Growth 310, 3911 (2008)
【非特許文献2】Ehrentraut, et al., J. Crystal Growth 305, 204 (2007)
【非特許文献3】D’Evelyn, et al. J. Crystal Growth 300, 11 (2007)
【非特許文献4】Wang, et al., Crystal Growth & Design 6, 1227 (2006)
【非特許文献5】Stepin, et al., Poluch. Anal. Vestchestv. Osoboi Chist., 5th, 91‐94 (1978)
【非特許文献6】Naumova, et al., Zh. Prikh. Khim. 52, 249 (1979)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って必要とされているのは、バルクガリウム窒化物結晶の大規模製造に好適であり、またバルク結晶中の不純物に寄与しない、フッ化物含有鉱化剤を、低コストで製造する方法である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示によると、結晶の成長のための材料の処理に関する技法が提供される。より詳細には、本開示は、アンモノ塩基性又はアンモノ酸性技法によるIII族金属窒化物結晶の結晶成長のための原材料として使用するために好適な鉱化剤を提供するが、他のものであってもよい。他の実施形態では、本開示は、結晶質窒化物材料の合成に好適な方法を提供するが、他の結晶及び材料を処理することもできることが認識されるだろう。このような結晶及び材料としては、限定するものではないが、GaN、AlN、InN、InGaN、AlGaN、及びAlInGaN、並びにバルク又はパターン形成済み基板の製造のための他のものが挙げられる。このようなバルク又はパターン形成済み基板は、特にオプトエレクトロニクスデバイス、レーザ、発光ダイオード、太陽電池、光電気化学水分解及び水素生成、光検出器、集積回路、及びトランジスタを含む、多様な用途に使用できる。
【0011】
ある具体的実施形態では、本開示は鉱化剤組成物を提供する。上記鉱化剤としては、フッ化水素(HF)、フッ化アンモニウム(NH4F)、フッ化アンモニウム酸(NH5F2)、フッ化ガリウム(GaF3)及びそのジアミン錯体(GaF3・2NH3)、並びに六フッ化アンモニウムガレート((NH4)3GaF6)を含む、フッ素を含む1つ以上の組成物が挙げられる。特定の実施形態では、上記鉱化剤は、フッ素(F)、水素(H)、窒素(N)、及びガリウム(Ga)のうちの2つ以上若しくは金属とアンモニアとフッ化水素との反応産物を含む組成物、又は上記組成物のうちの2つ以上の反応産物を含む。上記鉱化剤は、鉱化剤組成物中に約100重量百万分率(ppm)未満の合計酸素含有量を有してよい。
【0012】
他の実施形態では、フッ素と、塩素、臭素及びヨウ素のうちの少なくとも1つとのうちの少なくとも一方を含む、鉱化剤組成物が提供される。
【0013】
更に本開示は、ガリウム窒化物結晶構造を形成する方法を提供する。上記方法は、微量不純物を実質的に含まない精製済み鉱化剤を、アンモニア及び多結晶質III族金属窒化物原材料と共に、オートクレーブ又はカプセルに供給するステップを含み、ここで上記微量不純物は約1000ppm未満である。上記方法は、上記多結晶質III族金属窒化物を、温度400℃超、圧力50MPa超の超臨界アンモニア中で処理して、略透明の特性を有する1つ以上の結晶質構造物の形成を引き起こすステップを含む。特定の実施形態では、上記結晶質構造物は高い純度を有し、透明である。上記結晶質構造物を処理することにより、1つ以上のIII族金属窒化物ウェハを形成できる。上記III族金属窒化物ウェハは、発光ダイオード(LED)、レーザダイオード、パワーダイオード、及びトランジスタ等のデバイスのための基板として使用できる。
【0014】
本開示を用いて、既存の技法を上回る利益が達成される。特に本開示により、GaN、AlN、InN、InGaN、及びAlInGaN、並びにその他の結晶の、コスト効率の高い成長が可能となる。ある具体的実施形態では、本発明の方法及び得られる組成物は、比較的単純でコスト効率の高い技法及び装置を用いて実現できる。ある具体的実施形態では、得られる鉱化剤は実質的に純粋であり、高純度結晶等の始点とすることができる。実施形態に応じて、これらの利益のうちの1つ以上を達成できる。これらの、及びその他の利益は、本明細書全体を通して、より詳細にはこれ以降で、説明され得る。
【0015】
本開示はこれらの利益及びその他を、既知のプロセス技術の文脈で達成する。しかしながら、本明細書のこれ以降の部分及び添付の図面を参照することで、本開示の性質及び利点の更なる理解を実現できる。
【0016】
本開示の上述の特徴を詳細に理解できるように、上で簡潔にまとめられている本開示の更に詳細な説明を、複数の実施形態を参照することによって得ることができ、上記実施形態のうちのいくつかは、添付の図面に図示されている。しかしながら、添付の図面は単なる例示的な実施形態を図示しており、従ってその範囲を限定するものとみなしてはならず、また他の同等に有効な実施形態を許容できるものであることに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本開示の一実施形態による、凝縮性鉱化剤組成物の送達のためのシステムの概略図
【
図2】本開示の一実施形態による、凝縮性鉱化剤組成物の凝縮及び再蒸発のための移送容器の概略図
【
図3】本開示の一実施形態による、凝縮、再蒸発、及び分留による精製のための移送容器の概略図
【
図4】本開示の一実施形態による、凝縮性鉱化剤組成物及びアンモニアのための充填システムの概略図
【
図5】アンモニアの平衡蒸気圧を温度の関数として示すグラフ
【
図6】フッ化水素の平衡蒸気圧を温度の関数として示すグラフ
【
図7】本開示の一実施形態による、凝縮性鉱化剤組成物及びアンモニアのための充填システムの概略図
【
図8】本開示の一実施形態による、鉱化剤組成物のための充填システムの概略図
【
図9】本開示の一実施形態による、組成物の合成をまとめたフローチャート
【
図10】本開示の一実施形態による、組成物の利用をまとめたフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0018】
理解を容易にするために、複数の図面に共通した同一の要素を指すためには可能な限り同一の参照番号を使用している。ある実施形態の要素及び特徴は、更に説明することなく他の実施形態に有益に組み込むことができることが企図されている。
【0019】
本開示によると、結晶の成長のための材料の処理に関する技法が提供される。より詳細には、本開示は、アンモノ酸性技法によるIII族金属窒化物結晶の結晶成長のための原材料として使用するために好適な高純度鉱化剤を提供するが、他のものであってもよい。他の実施形態では、本開示結晶質窒化物材料の合成に好適な方法を提供するが、他の結晶及び材料を処理することもできることが認識されるだろう。このような結晶及び材料としては、限定するものではないが、GaN、AlN、InN、BN、InGaN、AlGaN、AlInGaN、及びBAlGaInN、並びにバルク又はパターン形成済み基板の製造のための他のものが挙げられる。このようなバルク又はパターン形成済み基板は、特にオプトエレクトロニクスデバイス、レーザ、発光ダイオード、太陽電池、光電気化学水分解及び水素生成、光検出器、集積回路、及びトランジスタを含む、多様な用途に使用できる。
【0020】
本開示は、組成物に関連し得る実施形態を含む。本開示は、組成物を作製するための装置に関連し得る実施形態を含む。本開示は、組成物の作製及び/又は使用方法に関連し得る実施形態を含む。
【0021】
明細書及び特許請求の範囲の全体を通して使用される、近似を意味する用語は、関連し得る基本的機能に変化を生じさせることなく許容範囲内で変動し得るいずれの量的表現を修飾するために、適用できる。従って、「約(about)」等の用語で修飾された値は、明記された正確な値に限定されない場合がある。少なくとも1つの例として、用語「約」によって示されるばらつきは、測定機器の精度を参照して決定され得る。同様に、「…を含まない、…非含有(free)」がある用語と組み合わされる場合があり、これは、修飾されている上記用語を有意でない個数又は微量だけ含み得るものの、特に明記されていない限り、依然として非含有とみなされる。
【0022】
ある具体的実施形態では、本開示は鉱化剤組成物を提供する。上記鉱化剤はフッ素を含む1つ以上の組成物を含み、上記組成物としては、フッ化水素(HF)、フッ化アンモニウム(NH4F)、フッ化アンモニウム酸(NH5F2)、フッ化ガリウム(GaF3)及びそのジアミン錯体(GaF3・2NH3)又はトリアミン錯体(GaF3・3NH3)、並びに六フッ化アンモニウムガレート((NH4)3GaF6)が挙げられる。特定の実施形態では、上記鉱化剤は、フッ素(F)、水素(H)、窒素(N)、及びガリウム(Ga)のうちの2つ以上若しくは金属とアンモニアとフッ化水素との反応産物を含む組成物、又は上記組成物のうちの2つ以上の反応産物を含むか、あるいはこれらからなる。特定の実施形態では、凝縮性鉱化剤組成物は、GaCl3、GaBr3、及びGaI3のうちの1つ以上を含むか、又はこれらからなる。上記鉱化剤は、上記鉱化剤組成物中に約10重量百万分率(ppm)未満、約5ppm未満、約2ppm未満、約1ppm未満、約0.5ppm未満、約0.2ppm、又は約0.1ppm未満の合計酸素含有量を有してよい。
【0023】
本発明者らは、市販の使用位置配置型精製器(point‐of‐use purifier)が、HFでは良好に動作しないこと、従って、ガリウム窒化物バルク結晶成長プロセスへの不純物の非制御下での導入を回避するために、蒸留による精製が強く望まれていることを発見した。蒸留プロセスによる精製の程度は、理論段数で記述するのが一般的であり、ここでは1つの凝縮/再気化プロセスが1つの理論段数に対応する。本開示のプロセスにより、少なくとも1つの理論段数、少なくとも2つの理論段数、少なくとも3つの理論段数、少なくとも5つの理論段数、又は少なくとも10の理論段数の蒸留プロセスによって精製された凝縮性鉱化剤組成物の一部分が、鉱化剤源から受入容器へと移送される。
【0024】
図1を参照すると、凝縮性鉱化剤組成物の送達のためのマニホルドが提供されている。上記マニホルドは:多数のバルブ;チューブ;少なくとも1つの真空ポンプ;上記少なくとも1つの真空ポンプと直列の1つ以上のトラップ;パージガスへの接続;排気トラップへの接続;1つ以上の使用位置配置型精製器;凝縮性鉱化剤組成物をその中へと凝縮させることができる1つ以上の移送容器;及び凝縮性鉱化剤をその中へと送達できる1つ以上の受入容器を備えてよい。上記マニホルドのためのチューブ及びバルブは、ステンレス鋼、又はHastelloy(登録商標)、Monel(登録商標)、若しくはInconel(登録商標)といった更に耐腐食性が高い合金で構成されていてよい。チューブ、バルブ、及び他の部品は、漏出防止性の継手によって接続できる。この漏出防止性の継手は、金属シール、ナイフエッジガスケット金属シール、ラウンドエッジガスケット金属シール、Oリングシール、フェルールシール、これらの組み合わせ等で構成されていてよい。バルブは、ベローズ又はダイヤフラムシール等の非ボンネットタイプのシール、及びKel‐F又はポリイミド等のポリマーで構成されたスルーシールを含んでよい。特定の実施形態では、いくつかの部品は、パーフルオロアルコキシアルカン(PFAテフロン(登録商標))、ポリ(エチレン‐コ‐テトラフルオロエチレン)(ETFE)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、エチレンクロロトリフルオロエチレン(ECTFE)、THV(テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、及びフッ化ビニリデンのターポリマー)、他のフルオロポリマー等のポリマー材料から作製されるか、又は上記ポリマー材料を含む。本明細書で提供される本開示の範囲を限定することを目的とするのではなく、議論を簡潔にするために、様々なタイプの使用可能なポリマー材料を、本明細書では「プラスチック」材料と呼ぶことがある。特定の実施形態では、上記マニホルドは、漏出時の安全のために換気されているエンクロージャに内包される。特定の実施形態では、ポンプは、Krytox(登録商標)等の耐腐食性流体を内包する。
【0025】
少なくとも1つの真空ポンプは、従来のロータリーオイルポンプで構成されていてよい。他の実施形態では、上記真空ポンプは、Krytox(登録商標)等の耐腐食性流体を含む。いくつかの実施形態では、上記真空ポンプは、ダイヤフラムポンプ等の流体を含まないポンプを含むか、又は上記流体を含まないポンプからなる。特定の実施形態では、分子ドラッグポンプ又はターボ分子ポンプといった高真空ポンプが設けられる。1つ以上の上記ポンプは、1つ以上のトラップによって保護できる。上記トラップは、PFA「テフロン」等の透明又は半透明プラスチックで製作されていてよく、またペレット状のNaOH、KOH、Ca(OH)2、CaCO3、これらの組み合わせ等といった塩基性組成物を内包していてよい。特定の実施形態では、1つ以上のトラップは、動作中に、例えば冷水温度、氷温、ドライアイス温度、又は液体窒素温度まで冷却される。
【0026】
少なくとも2つが直列に接続されていてよい、大気圧への換気のための1つ以上のバブラートラップ又はウェットトラップは、Nalgene、ポリプロピレン、ポリエチレン、パーフルオロアルコキシ(PFA)「テフロン」等の透明又は半透明プラスチックで製作されていてよい。バブラートラップのうちの1つ以上は、NaOH、KOH、Na2CO3、NaHCO3等のうちの少なくとも1つを含む塩基性水溶液を含んでよい。
【0027】
1つ以上の移送容器又は凝縮容器(例えば
図1の「HF凝縮容器」)又はマニホルド部品の構成材料は、パーフルオロアルコキシ(PFA)「テフロン」等の透明若しくは半透明プラスチック、ステンレス鋼、ニッケル、Hastelloy C‐276又はInconel 600等のニッケル合金、銀、銀合金、Monel 400、又は金、白金、パラジウム、ロジウム、イリジウム、若しくはルテニウム等の貴金属のうちの1つ以上を含んでよい。特定の実施形態では、1つ以上の移送容器又はマニホルド部品は、銀、貴金属、ポリマー、又はプラスチック組成物等のコーティングを含む。コーティングは、無電解めっき、電気めっき、蒸着等のうちの1つ以上によって、1つ以上の移送容器又はマニホルド部品内に堆積させることができる。好ましい実施形態では、第1の移送容器は、容器内に、容器上に、又は容器の外側部分として、金属製部品を含み、これにより、上記金属製部品上で凝縮を発生させることができ、また関連する熱交換を効率的に発生させることができる。好ましい実施形態では、液体HF等の液体鉱化剤組成物に曝露される金属表面は、液相の液体鉱化剤組成物への曝露時に反応産物を形成しない組成物から製作される。ある例では、反応産物は、金属と液体組成物との化学反応によって形成される変色した膜である「緑青(patina)」の形成を含む場合があり、これは断片化して微粒子汚染物となる可能性があり、又は長期間の動作中に重大な腐食を起こす可能性がある。「重大な腐食(significant corrosion)」又は「重大な量の腐食(significant amount of corrosion)」は、約3か月~約10年の期間の長時間の動作にわたって少なくとも5マイクロメートル、少なくとも25マイクロメートル、又は少なくとも100マイクロメートルの、移送容器又はマニホルド部品の厚さの喪失として定義できる。金属表面に形成される緑青は、例えばFeF
3、FeF
2、NiF
2、CrF
3、MoF
4、及びMoF
5のうちの1つ以上を含むか、又はこれらからなってよい。移送容器は、約10ミリメートル未満、約5ミリメートル未満、約3ミリメートル未満、約2ミリメートル未満、又は約1ミリメートル未満の内径を有する、容器の本体の上方の入口チューブを有してよい。移送容器及び/又はその上方の入口チューブは、光学的に透明、半透明、又は少なくとも部分的に不透明の材料から形成されていてよく、中に含まれる流体のメニスカスの高さの読み取りを可能にする1つ以上の印又は測定線を含んでよい。
【0028】
好ましくは、上記マニホルドは、液体鉱化剤組成物が重力の影響下で溜まる可能性があるエリア若しくは特徴部分を回避し、処理容器へのマニホルドの接続がアセンブリの最低重力点となるように、製作される。バルブを水平に配向することにより、閉鎖時にいずれの液体が溜まるのを回避できる。
図1を再び参照すると、マニホルドは、水平又は垂直な配向のチューブ部材を含む。好ましい実施形態では、マニホルドは、床等の基準面から測定した場合に極小値である高さを有する部材又は領域、即ち偶発的に形成された液体鉱化剤が滴り落ちて集まり、プールを形成する可能性がある部材又は領域を含まない。好ましい実施形態では、このマニホルドのレイアウトにより、マニホルドの個々の部材の高さの極小値が回避される。特定の実施形態では、マニホルドの1つ以上の部品は、加熱ジャケット内に閉じ込められる。特定の実施形態では、約200Torr(26664.5Pa)超の圧力下で凝縮性鉱化剤組成物に曝露されるマニホルドの部品の大半又は全てが、加熱ジャケット内に閉じ込められる。いくつかの実施形態では、マニホルド部品のうちの1つ以上の温度は、その中に配置された凝縮性鉱化剤材料の全ての成分の凝縮を防止する温度に維持される。特定の実施形態では、マニホルドの1つ以上の部品は、凝縮性鉱化剤組成物が存在する場合の動作中、約25℃~約150℃、又は約30℃~約50℃の温度に維持される。
【0029】
図2を参照すると、第1の移送容器200は、閉鎖容積205を画定する外側エンクロージャ201及び蓋203を含んでよい。蓋203は、例えばOリング若しくはガスケットシールを伴う締結具によって着脱可能に、又は例えば溶接、ろう接、若しくは接着剤によって着脱不可能に、エンクロージャ201に取り付けることができる。第1の移送容器200はまた、流入バルブ209を有する蒸気流入口207と、流出バルブ213を有する蒸気流出口211とを含んでよい。特定の実施形態では、第1の移送容器200は、流体流入口217及び流体流出口219を有する内部熱交換部材215を含む。好ましい実施形態では、内部熱交換部材215は、無水HF等の凝縮性鉱化剤組成物に対して化学的に不活性であり、長時間の使用下で重大な腐食を生じない、及び/若しくはフッ素含有組成物への曝露時に緑青を容易に形成しない金属からなるか、又は上記金属を含む。特定の実施形態では、第1の移送容器200は更に、内部温度センサ221及び流体液位センサ223を含む。特定の実施形態では、内部温度センサ221は、熱電対、サーミスタ、及び抵抗温度検出器(resistance temperature detector:RTD)のうちの少なくとも1つからなり、制御系(図示せず)にインタフェース接続される。特定の実施形態では、内部温度センサ221は、凝縮性鉱化剤組成物に対して化学的に不活性であり緑青を形成しないポリマー材料(例えばプラスチック)若しくは金属からなる、又はこれらを含む、シース内に閉じ込められる。特定の実施形態では、流体液位センサ223は、フロートタイプセンサ、電極タイプセンサ、差圧トランスデューサ、ロードセル、磁気液位計、キャパシタンストランスミッタ、超音波液位トランスミッタ、レーザ液位トランスミッタ、ガイドパルスセンサ、及びセンシングガイドパルストランスデューサのうちの少なくとも1つからなるか、又はこれらを含む。特定の実施形態では、流体液位センサ223は、動作中に少なくとも一部が凝縮性鉱化剤組成物に浸漬される、プラスチックカプセル化プローブを含む。特定の実施形態では、第1の移送容器200への1つ以上の接続は柔軟であり、内部容積205内の凝縮性鉱化剤組成物の量は、容量分析によってではなく、重量測定法によって、すなわち重量測定によって決定される。
【0030】
内部熱交換部材215が存在する場合、外側エンクロージャ201は、好ましい設計のバリエーションに応じて、プラスチック又は金属で製作できる。特定の実施形態では、凝縮性鉱化剤組成物への、又は凝縮性鉱化剤組成物からの熱交換は、内部熱交換部材215の代わりに、又は内部熱交換部材215に加えて、金属を含むか又は金属からなる外側エンクロージャ201を通して行われる。特定の実施形態では、外側エンクロージャ201を通した熱交換は、浴流体226を内包した外側熱交換浴225によって促進され、この浴流体226の温度は、熱交換流体が流体流入口227に流入して、浴流体226内の熱交換ループ228中を循環し、熱交換流体流出口229から出ることによって、変化させることができる。特定の実施形態では、浴流体226及び熱交換流体のうちの一方又は両方は、プロピレングリコール、エチレングリコール、アルコール、及び水のうちの1つ以上を含むか、又はこれらからなる。浴流体226の温度は、外部温度センサ230によって監視できる。特定の実施形態では、外部温度センサ230は、熱電対及び抵抗温度検出器(RTD)のうちの少なくとも一方からなる。特定の実施形態では、撹拌器(図示せず)が浴流体226を循環させる。特定の実施形態では、流体流入口227は、熱交換ループ228内を流すのではなく、外側熱交換浴と外側エンクロージャ201との間の空間に流体を直接供給する。
【0031】
無水HF等の凝縮性鉱化剤組成物の源を、マニホルドに接続してよい。アルゴン(Ar)又は窒素(N2)等のパージガスの源を、マニホルドに接続してよい。使用前に、ヘリウム漏出試験等によって、マニホルドが気密状態であることを確認してよい。
【0032】
マニホルドは更に、1つ以上のセンサを含んでよい。好適なセンサとしては:真空計、ブルドン計、アネロイド気圧計、又は静電容量式圧力計等の圧力センサ、熱電対又は抵抗温度検出器等の温度センサ;及び質量分析計又は残留ガス分析器等のガス組成センサのうちの1つ以上を含んでよい。上記センサは、マニホルドの中又はマニホルドの付近に配置されていてよく、マニホルド内の特定のプロセスパラメータを、以下で説明されるコントローラに通信できる。特定の実施形態では、マニホルド内の事前選択された位置における凝縮性鉱化剤組成物の凝縮を回避するために、一部又は全てのマニホルドを、例えば加熱ジャケット、加熱テープ、又は加熱トレースによって昇温下で保持してよい。特定の実施形態では、上記昇温は、25~150℃の範囲内、又は30~50℃の範囲内で選択できる。
【0033】
特定の実施形態では、使用時と次の使用時との間に、マニホルドにパージガス(例えばアルゴン又は窒素)を充填する。充填作業の開始前のマニホルド内のパージガスの圧力は、約0.1気圧~約5気圧であってよい。代替実施形態では、マニホルドは使用時と次の使用時との間、真空下に置かれる。充填作業の開始前のマニホルド内の真空レベルは、約1Torr(133.322Pa)未満、約1ミリトル(mTorr)(0.133322Pa)未満、又は約10-5Torr(0.00133322Pa)未満であってよい。
【0034】
受入容器(
図1の「プロセス容器」)は、漏出防止性接続を介してマニホルドに取り付けられていてよい。受入容器は、米国特許出願公開第2009/0301388号明細書及び米国特許第10,029,955号明細書に記載されているもののような、アモノサーマル結晶成長に好適なカプセルで構成されていてよく、バルブによって終端された充填チューブを備えてよく、上記バルブは、受入容器又はカプセルをマニホルドに接続する際に閉鎖される。受入容器は、1つ以上のIII族金属窒化物種結晶、多結晶質III族金属窒化物栄養素、及び1つ以上のバッフルを内包していてよい。特定の実施形態では、受入容器又はカプセルは、マニホルドへの接続前にパージ及び/又は排気されている。特定の実施形態では、受入容器又はカプセルは、マニホルドへの接続前に、約50℃~約800℃の温度で焼成され、約10
-2Torr(1.33322Pa)未満、又は約10
-4Torr(0.0133322Pa)未満の圧力へと排気されている。特定の実施形態では、受入容器又はカプセルは、マニホルドへの接続前に、又はマニホルドへの接続中に、排気、パージ、及び/又は焼成される。特定の実施形態では、取り付け作業の実施中、マニホルドから、受入容器上のバルブに連結された継手内へと流れることができる。
【0035】
受入容器又はカプセルをマニホルドに接続し、受入容器の充填チューブ上のバルブを閉鎖した後、受入容器に対するマニホルドの接続を終端させているバルブを開くことができ、マニホルドの少なくとも一部分と、マニホルドと受入容器との間の空間とを排気できる。マニホルドの少なくとも一部分と、マニホルドと受入容器との間の空間とに、パージガスを再充填し、再排気できる。再充填/ポンピングのシーケンスは、例えば少なくとも約5回繰り返してよい。1回のサイクルのうちの再充填部分の間、マニホルドの圧力は、約0.5気圧~約10気圧、又は約1気圧~約5気圧の範囲にまで上昇し得る。1回のサイクルのうちのポンピング部分の間、マニホルドは、1Torr(133.322Pa)未満、0.1Torr(13.3322Pa)未満、10-2Torr(1.33322Pa)未満、10-3Torr(0.133322Pa)未満、10-4Torr(0.0133322Pa)未満、10-5Torr(0.00133322Pa)未満、10-6Torr(0.000133322Pa)未満、10-7Torr(0.0000133322Pa)未満、10-8Torr(0.00000133322Pa)未満、又は10-9Torr(0.000000133322Pa)未満の圧力まで排気され得る。少なくとも1つの移送容器と受入容器への接続とを含むマニホルドが所望の真空レベルを達成した、又は所定の回数ポンピングされた後、真空ポンプへのバルブを閉鎖してよい。
【0036】
第1の移送容器200の少なくとも一部分を、例えば:冷水;水とエチレングリコール若しくはプロピレングリコールとの冷却された混合物;冷却されたアルコール、アセトン、若しくは塩化メチレン;又は液体窒素といった冷却流体を、内部熱交換部材215又は外部熱交換部材228を通して流すことによって、冷却でき、これによって凝縮性鉱化剤組成物を凝縮させることができる。冷却は:冷却された流体を氷浴、ドライアイス浴に通すことによって;閉サイクル冷凍器によって;又は当該技術分野で公知の他の手段によって、達成できる。特定の実施形態では、外側エンクロージャ201は:水及び氷;ドライアイス、並びにアルコール、アセトン、及び塩化メチレンのうちの1つ;若しくは液体窒素を含む浴中での浸漬によって、又は閉サイクル冷凍器を用いて、冷却される。HF等の凝縮性鉱化剤組成物の源と第1の移送容器200との間の蒸気流入バルブ209を含む1つ以上のバルブを開き、凝縮性鉱化剤組成物からの蒸気を、源の容器から冷却された第1の移送容器200へと流すことができ、そしてこの第1の移送容器200内で凝縮させることができる。蒸気相凝縮性鉱化剤組成物の圧力は、移送作業中、約1Torr(133.322Pa)~約10気圧であってよい。特定の実施形態では、蒸気移送プロセスの持続時間は、第1の移送容器200内の凝縮された鉱化剤組成物のメニスカスの液位を、第1の移送容器の基準位置と比較することによって選択される。特定の実施形態では、第1の移送容器200への蒸気移送プロセスの持続時間は、流体液位センサ223によって測定される所定の流体液位を標的として、選択される。特定の実施形態では、HFのシリンダ等の、凝縮性鉱化剤組成物を内包した源容器と、これを第1の移送容器200に接続するチューブ及びバルブとを、約20℃~約400℃又は約25℃~約100℃の温度まで加熱することによって、蒸気相移送プロセスを促進する。特定の実施形態では、凝縮性鉱化剤組成物の蒸気は、第1の移送容器200内での凝縮前に、使用位置配置型精製器を通過し、これはゲッターを含んでよい。上記使用位置配置型精製器を、約30℃~約400℃又は約30℃~約100℃の温度まで加熱することによって、蒸気相移送プロセスを促進できる。特定の実施形態では、受入容器への移送前に凝縮性鉱化剤組成物を更に精製するために、第1の移送容器もゲッターを内包する。ある具体的実施形態では、ゲッターは、CoF2、ZnF2、ZrF4、HfF4、Hg、Cu、Ag、及びAuのうちの少なくとも1つを含む。
【0037】
所望量の凝縮性鉱化剤組成物が第1の移送容器200へと蒸気相で移送された後、流入バルブ209を含む、凝縮性鉱化剤源容器と第1の移送容器200との間の1つ以上のバルブを、閉鎖してよい。第1の移送容器200と、内部熱交換部材215及び外部熱交換部材228が存在する場合はこれらのうちの1つ以上とを、例えば室温まで温めることによって、凝縮された鉱化剤組成物の少なくとも一部分を気化させ、後続の移送プロセスの準備をすることができる。
【0038】
特定の実施形態では、受入容器への移送前に、凝縮性鉱化剤組成物の一部を第1の移送容器200から除去することが望ましい場合がある。例えば、凝縮性鉱化剤組成物の量の測定は、流体液位センサ223を用いて、第1の移送容器が温度センサ221によって測定される所定の温度、例えば室温に保持されている間に、凝縮性鉱化剤組成物のメニスカスの高さを第1の移送容器200の1つ以上の印と比較することによって、体積測定によって達成できる。第1の移送容器200を液体トラップから隔てる1つ以上のバルブを開いてよく、またパージガス源への1つ以上のバルブを開いてよく、これにより、パージガスを第1の移送容器200内の凝縮性鉱化剤組成物上に流し、凝縮性鉱化剤組成物からの蒸気と混合して、1つ以上の液体トラップへと送る。パージ作業中、パージガスの圧力は約1.1気圧~約5気圧であってよい。パージガスの流量を絞ることによって、1つ以上の液体トラップ内での通気及び熱生成の許容可能な速度を維持できる。特定の実施形態では、1つ以上のチェックバルブが、液体トラップからマニホルド内への、又はマニホルドからパージガス源のラインへの、ガス又は蒸気の逆流を防ぐ。パージガスの流れは、第1の移送容器200内の凝縮性鉱化剤組成物の量が所望のレベルまで減少したときに、1つ以上のバルブを閉鎖することによって終了させることができる。特定の実施形態では、第1の移送容器200内の凝縮性鉱化剤組成物の一部分を、例えば第1の移送容器200を真空ポンプから隔てる1つ以上のバルブを制御された期間だけ開くことによる、部分排気によって、除去する。特定の実施形態では、ドライトラップ、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、及び炭酸カルシウムのうちの少なくとも1つのペレットによって、真空ポンプを腐食性の凝縮性鉱化剤組成物から保護する。
【0039】
特定の実施形態では、次に凝縮性鉱化剤組成物の一部又は全てを、第1の移送容器200から第2の移送容器及び受入容器のうちの少なくとも一方に移送する。特定の実施形態では、この移送作業は、第2の移送容器及び受入容器のうちの少なくとも一方を冷却し、また任意に第1の移送容器200を加熱することによって、蒸気相で実行される。特定の実施形態では、蒸気相の移送は、マニホルド内において凝縮性鉱化剤組成物の圧力が約50Torr(6666.12Pa)~約2気圧又は約200Torr(26664.5Pa)~約1気圧の状態で実施される。特定の実施形態では、この移送作業は、例えば1つ以上のバルブを開いて(液体)凝縮性鉱化剤組成物を第2の移送容器に流すことによって、液相で実行される。特定の実施形態では、受入容器へと送達される凝縮性鉱化剤組成物の量は、流体液位センサ223を用いて流体の液位の変化を決定することによって、又は凝縮性鉱化剤組成物のメニスカスの位置と、第1の移送容器200の透明若しくは半透明の部分に若しくはそれに隣接して形成された1つ以上の基準となる印とを比較することによって、測定される。特定の実施形態では、受入容器への移送前に、凝縮性鉱化剤組成物の一部を第2の移送容器から除去することが望ましい場合がある。第2の移送容器を液体トラップから隔てる1つ以上のバルブを開いてよく、またパージガス源への1つ以上のバルブを開いてよく、これにより、パージガスを第2の移送容器内の凝縮性鉱化剤組成物上に流し、凝縮性鉱化剤組成物からの蒸気と混合して、1つ以上の液体トラップへと送る。パージガスの流れは、第2の移送容器内の凝縮性鉱化剤組成物の量が所望のレベルまで減少したときに、1つ以上のバルブを閉鎖することによって終了させることができる。特定の実施形態では、第2の移送容器内の凝縮性鉱化剤組成物の量は、重量測定によって決定される。特定の実施形態では、第2の移送容器は、柔軟な接続によってマニホルドに取り付けられ、凝縮性鉱化剤組成物の重量は、凝縮性鉱化剤組成物の移送の前後に第2の移送容器を計量することによって決定される。他の実施形態では、凝縮性鉱化剤組成物の量は、(ポンピング及びパージの複数回のサイクルの後に)第2の移送容器をマニホルドから切断し、凝縮性鉱化剤組成物が存在する場合としない場合とを計量し、第2の移送容器をマニホルドに再接続する(そしてポンピング及びパージの複数回のサイクルを行う)ことによって決定される。
【0040】
特定の実施形態では、第1の移送容器200内の凝縮性鉱化剤組成物の量は、液位センサ223によって測定される。液位センサ223は、第1の移送容器200内での凝縮性鉱化剤組成物の測定された高さをコントローラ(図示せず)に通信でき、このコントローラは、高さ信号を、内部温度センサ221又は外部温度センサ230を用いて鉱化剤の体積及び質量に変換できる。鉱化剤の質量への上記高さの変換は、水を用いて、また適切な温度依存性HF密度変換を用いることによって、較正できる。高さ及び温度をコントローラがリアルタイムで測定する構成では、温度は、(温度依存性の)鉱化剤質量の正確な測定を阻害するものではないものの、凝縮性鉱化剤組成物の移送中に変動する可能性がある。いくつかの実施形態では、例えば約1秒~約1分の期間だけ一時停止することによって、この温度を凝縮又は移送の前に安定させることができる。液位センサが液位センサの上部及び/又は底部付近に死角又は「デッドゾーン(dead zone)」を有する実施形態では、最初に凝縮される鉱化剤の量は、「底部(bottoms)」の量と、プロセス容器又はカプセルに移送されることになる量との両方を考慮しなければならない。所望量の鉱化剤を第1の移送容器200に凝縮させる場合、凝縮された量を再測定して、受入容器への移送前の開始体積として記録できる。液位センサの式は以下のように記述できる。
【0041】
【0042】
凝縮性鉱化剤組成物の移送プロセスは、例えば第3、第4、又はそれより多数の移送容器まで繰り返される場合がある。いくつかの実施形態では、追加の移送プロセスのうちの1つ以上は、蒸気相で、及び凝縮状態で実行される。
【0043】
特定の実施形態では、第1の移送容器200、第2の移送容器、及び更なる移送容器のうちの少なくとも1つからの流出蒸気を、分留によって更に精製する。特定の実施形態では、流出蒸気の圧力は、分留プロセス中、約50Torr(6666.12Pa)~約2気圧又は約200Torr(26664.5Pa)~約1気圧であってよい。特定の実施形態では、
図3に概略図で示されているように、蒸留塔331が第1の移送容器200等の移送容器の上方又は下流に位置決めされる。蒸留塔331は断熱スリーブ333を含んでよい。特定の実施形態では、断熱スリーブ333は蒸留塔331のエンクロージャ335に対する構造的支持を提供し、このエンクロージャ335は薄いものであってよく、軸方向の熱交換を最小限に抑えて、温度勾配を蒸留塔331内に構築できるようにする。蒸留塔331は更に、複数回の凝縮及び再蒸発のステップを促進するために、充填材料339を含んでよく、ここで凝縮性鉱化剤組成物の凝縮された部分の余剰分は移送容器に戻るように滴下され、そこから気化する。他の実施形態では、蒸留塔331は、ディスク、トレイ、バブルキャップ、及びスポンジのうちの1つ以上といった、別の内部部品を内包する。特定の実施形態では、蒸留塔331の上記部品のうちの1つ以上は、凝縮性鉱化剤組成物に対して不活性である材料、例えば長時間の使用後に重大な腐食を生じない、若しくは緑青を容易に形成しない、銀若しくは別の金属、又はPFA「テフロン」若しくはETFE等のプラスチックからなるか、又はこれらを含む。蒸留塔331内の領域の温度は、蒸気移送プロセス中、約-20℃~約50℃又は約0℃~約35℃であってよい。特定の実施形態では、凝縮性鉱化剤組成物の流出蒸気は、蒸留塔331を通過する前又は通過した後に、質量流量コントローラ341を通過する。特定の実施形態では、質量流量コントローラを通過する蒸気の流量に比例する、質量流量コントローラ341から供給される出力信号を長時間にわたって統合することによって、受入容器に移送される凝縮性鉱化剤組成物の量を正確に測定及び決定するための手段が提供される。特定の実施形態では、質量流量コントローラ341の、プロセス蒸気によって湿らされる部分は、蒸気移送プロセス中、約25℃~約150℃又は約30℃~約50℃の温度に保持される。
【0044】
特定の実施形態では、
図8に概略図で示されているように、凝縮性鉱化剤組成物は、第1の移送容器200内で凝縮され、第1の移送容器200内の流体の量を体積測定又は重量測定によって初めに決定することなく、接続844を通して第2の移送容器842内へと液体として流し込まれる。好ましい実施形態では、第2の移送容器842及び接続844は、例えば長時間の使用後に重大な腐食を生じない、又は液相状態の凝縮された鉱化剤組成物との反応によって緑青若しくはスケール(scale)を容易に形成しない、金属組成物からなるか、又は上記金属組成物を含む。上述のように、いくつかの実施形態では、上記金属組成物は、液相状態の凝縮性鉱化剤組成物に暴露されたときに反応産物を形成しないよう構成される。ある例では、上記金属組成物は、少なくとも3か月の期間にわたる使用後に5マイクロメートル超、25マイクロメートル超、若しくは100マイクロメートル超の厚さの喪失に相当する腐食を生じない、又は凝縮性鉱化剤組成物との反応によって緑青若しくは組成物を形成しないよう、構成される。第2の移送容器842を、流体移送作業中に、第1の移送容器200及び1つ以上の下流の容器の温度よりも高い温度まで加熱するか又は該温度に保持することにより、蒸気は第2の移送容器842から蒸留塔331内へと質量流量コントローラ341を上向きに通過でき、質量流量コントローラ341の出力を長期間にわたって統合することによって、移送された鉱化剤の量を定量できる。このようにして、凝縮性鉱化剤の連続的な移送を、同時に相当な精製を達成しながら達成できる。特定の実施形態では、第1の移送容器200は、移送作業中に約-20℃~約20℃の温度に保持され、第2の移送容器842は、第1の移送容器200よりも1℃~20℃高い温度に保持される。特定の実施形態では、第1の移送容器200は、冷却できるチューブのセクションからなるか、又は上記セクションを含む。特定の実施形態では、第2の移送容器842は、蒸留塔331の底部からなるか、又は上記底部を含む。特定の実施形態では、蒸留塔331を通過した鉱化剤の量は、質量流量コントローラ341を用いてではなく、例えば最後の移送容器345(
図3を参照)あるいは第3の移送容器(図示せず)内への凝縮及び計量により、重量測定によって決定される。
【0045】
特定の実施形態では、受入容器の上流の最後の移送容器は、受入容器への凝縮性鉱化剤組成物の液相移送のために構成される。再び
図3を参照すると、ある具体的実施形態では、最後の移送容器345の流出チューブ343は、概ね最後の移送容器345の内部の底部へと延伸している。特定の実施形態では、最後の移送容器345は、上述の第1の移送容器200の場合と同様に、内部熱交換部材及び外側熱交換浴のうちの少なくとも一方によって、冷却及び加熱できる。別の具体的実施形態では、最後の移送容器345は、その下端にバルブ347を備えるように構成され、これにより、凝縮性鉱化剤組成物は、バルブ347が開いているときに液体形態で受入容器349内へと流れることができる。特定の実施形態では、最後の移送容器は、液体移送作業中、受入容器349の温度より約2℃~約50℃又は約5℃~約25℃高い温度まで加熱される。このようにして、HFの場合について
図6に示されている蒸気圧データから明らかであるように、最後の移送容器345内の凝縮性鉱化剤組成物の蒸気圧は、液体移送プロセスが開始されるとすぐに形成される受入容器349内の鉱化剤の蒸気圧よりも大幅に高くなり、従って液体の移送を、例えば通気によって受入容器349から蒸気を逃がす必要なしに、受入容器349内の蒸気の圧縮によって継続できる。
【0046】
所望量の凝縮性鉱化剤組成物が最後の移送容器(特定の実施形態では第1の移送容器200である)最後の移送容器内に入ると、上流のバルブが閉鎖され、最後の移送容器を受入容器から隔てる1つ以上のバルブが開かれ、凝縮性鉱化剤組成物が最後の移送容器から受入容器へと移送される。特定の実施形態では、受入容器を冷却することによって移送を促進する。特定の実施形態では、受入容器の温度は、移送作業中、約77ケルビン~約320ケルビン、又は約-80℃~約30℃である。特定の実施形態では、最後の移送容器、並びに最後の移送容器を受入容器に接続するバルブ及び1つ以上のラインを、例えば、約25℃~約150℃又は約30℃~約50℃の温度まで加熱することによって、移送を促進する。この移送は、第1の移送容器及び受入容器の、特にこれらの容器が銀を含むか又は実質的に銀からなる場合の高い熱伝導率により、約60分又は約20分未満しか必要としない、驚くほど迅速なものとすることができる。特定の実施形態では、最後の移送容器内の凝縮性鉱化剤組成物の蒸気圧によって、最後の移送容器から受入容器への凝縮性鉱化剤組成物の大半の液相移送が生じる。
【0047】
受入容器へと移送される凝縮性鉱化剤組成物の量は、約0.1ミリリットル~約100リットル又は約1ミリリットル~約10リットルであってよい。約10ミリリットルを超える量の移送は、蒸気相の移送中に1つ以上の容器及びチューブを加熱して、凝縮性鉱化剤組成物の蒸気圧を大気圧より高く維持することによって、促進される。
【0048】
受入容器への凝縮性鉱化剤組成物の移送の完了後、最後の移送容器と受入容器との間のバルブを閉鎖して、2つのバルブの間の接続を開いてよい。マニホルド内に残っている残留凝縮性鉱化剤組成物は、マニホルドにパージガスを通した後、排気し、加熱しながらパージガスの再充填サイクルを行うことによって、除去できる。その後、マニホルドを、所定の圧力のパージガスが充填された状態、又は真空下に置かれたままとすることができる。続いて受入容器を、アンモニアの充填のための別個のマニホルドに接続できる。
【0049】
このアプローチは、従来技術の方法に対して多数の利点を提供する。意図的な蒸気移送及び再凝縮により、凝縮性鉱化剤組成物に関する較正計数が不明である場合がある質量流量コントローラに依存する必要なしに、凝縮性鉱化剤組成物を正確に計量でき、また、Mikawaらが記述しているような単純な蒸気相移送プロセスで発生する可能性がある、意図しない凝縮や移送ラインの詰まりが回避される。凝縮性鉱化剤組成物と、O2及びH2Oといった潜在的な不純物との蒸気圧が有意に異なるため、蒸留プロセス自体が更なる精製を提供する。更に、下流プロセスの汚染を恐れることなく、精製のために移送容器にゲッターを追加できる(ただしこれは、上記ゲッター及び上記ゲッターと酸素又は他の望ましくない不純物との反応産物が不揮発性である場合に限る)。市販グレードのHF及びGaCl3等の凝縮性鉱化剤組成物は典型的には、O2、H2O、及び金属といった不純物を、少なくとも数百万分率から最高1%以上含有するため、追加の精製が強く望まれる。
【0050】
マニホルドから空気及び水分を厳密に排除することにより、高純度の鉱化剤を実現でき、また凝縮性鉱化剤組成物によるマニホルドの内面の腐食が回避される。排気ではなく、パージガスを液体バブラートラップ内へと流し込むことによる、相当な量の液化した凝縮性鉱化剤組成物の除去により、ドライトラップ及び1つ以上の真空ポンプの寿命が大幅に延長され、ポンプオイル中の凝縮性蒸気の形成に関連するポンプダウンの問題が回避される。ウェット及びドライトラップ中のアルカリ水酸化物等の塩基性組成物の使用は、1つ以上のポンプを、凝縮性鉱化剤組成物に対する望ましくない曝露から保護し、凝縮性鉱化剤組成物の環境空気への放出を最小限に抑えるか又は回避する。
【0051】
特定の実施形態では、メンテナンス、及び鉱化剤移送プロセスの純度の最適化のために、第1の移送容器200から鉱化剤を除去する必要がある。例えば凝縮性鉱化剤組成物がHFからなるか又はHFを含む場合、凝縮性鉱化剤組成物の一部分を下流に蒸気相移送した後に第1の移送容器200内に残される「底部」の画分は、移送された組成物に比べて水を多く含むことになる。従って好ましい実施形態では、この底部の画分を、別の移送作業の開始前に除去する。残留している凝縮された鉱化剤は、アルカリウェットトラップへと移送される不活性キャリアガスを用いて、パージ作業によって廃棄できる。
【0052】
特定の実施形態では、移送された凝縮性鉱化剤組成物の純度を、受入容器349への導入前にサンプリングしてよい。例えば、再び
図1を参照すると、サンプリング容器(図示せず)をマニホルドのバルブV5に接続してよい。このサンプリング容器を冷却することにより、1つ以上の蒸留プロセス又は分留による精製の前又は後に、サンプリング容器内で凝縮性鉱化剤組成物の凝縮を引き起こすことができる。ある具体的実施形態では、凝縮性鉱化剤組成物中の残留水の濃度は、例えばN. Miki et al., J. Electrochem. Soc. 137, 787 (1990)に記載されているように、その導電率を測定することによって定量される。別の具体的実施形態では、凝縮性鉱化剤組成物中の残留水の濃度は、フーリエ変換赤外(Fourier transform infrared:FTIR)分光法、質量分光法、ガスクロマトグラフィ、導電率測定等のうちの1つによって定量される。特定の実施形態では、精製の理論段数の数は、精製済み鉱化剤中の水の濃度を、鉱化剤源から直接受け入れた蒸気中の水の濃度と比較することによって計算される。精製済み凝縮性鉱化剤組成物の純度が許容できないものであることがわかった場合、いくつかの実施形態では、凝縮性鉱化剤組成物の少なくとも一部分を、第1の移送容器200へと戻るように蒸気移送(蒸留)してよく、別の精製サイクルを実施してよい。いくつかの実施形態では、蒸留精製システムは、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも5、又は少なくとも10の、精製の理論段数を提供する。
【0053】
特定の実施形態では、HCl、HBr、HI、Cl2、Br2、I2、GaCl3、GaBr3、及びGaI3を含む1つ以上の追加の鉱化剤組成物を、受入容器又はカプセルに加えてよい。特定の実施形態では、上記追加の鉱化剤組成物は蒸気相輸送によって移送され、少なくとも1つの移送容器中へと凝縮される。特定の実施形態では、上記追加の鉱化剤組成物は、例えば移送される鉱化剤組成物の量を計量するための質量流量コントローラを用いて、受入容器又はカプセル中へと、蒸気相輸送によって直接移送できる。特定の実施形態では、上記追加の鉱化剤組成物は液体として移送される。
【0054】
特定の実施形態では、受入容器又はカプセルへの、所定の正確に計量された量の凝縮性鉱化剤組成物の移送に続き、受入容器又はカプセルを、アンモニア送達のための別個のマニホルドに接続した後、アンモニアをカプセルに移送してよい。
【0055】
特定の実施形態では、
図4に概略図で示されているように、統合型マニホルド400を用いて、凝縮性鉱化剤組成物及びアンモニアを受入容器に加える。統合型マニホルド400は、既に詳述した凝縮性鉱化剤マニホルド350を、アンモニアマニホルド450と共に含んでよい。アンモニアマニホルド450は、アンモニア源452、真空ポンプ454、圧力計456、使用位置配置型精製器458、及び質量流量コントローラ460のうちの1つ以上を含んでよい。アンモニア及びHFは室温で容易に反応してNH
4Fを形成するため、統合型マニホルド400が、HF及びアンモニアが所与の時点において受入容器349を除く同じ場所に存在する可能性を排除する機能を含むことが重要である。特定の実施形態では、凝縮性鉱化剤マニホルド350の冷却されない部品の一部又は全てを、約25℃~約150℃又は約30℃~約50℃の昇温下に保持することによって、望ましくない場所でのHFの凝縮を防止できる。特定の実施形態では、アルゴン等のパージガスを、パージ流入口465を通して流入させて、アンモニアマニホルド350、最後の移送容器345、及びアンモニアが入る前のプロセスサイクルのいくつかの時点で凝縮性鉱化剤組成物が中に存在し得るいずれの追加の部品を洗い流す。特定の実施形態では、パージガスを、約0.5気圧~約10気圧又は1気圧~約5気圧の圧力まで流入させることができる。特定の実施形態では、パージガスを、約0.1Torr(13.3322Pa)未満、約10
-2Torr(1.33322Pa)未満、約10
-3Torr(0.133322Pa)未満、約10
-4Torr(0.0133322Pa)未満、又は約10
-5Torr(0.00133322Pa)未満の圧力まで排気する。特定の実施形態では、少なくとも2回、少なくとも3回、又は少なくとも5回のポンピング/パージサイクルを実施する。特定の実施形態では、凝縮性鉱化剤マニホルド350及び最後の移送容器345内の少なくとも1つの部品を加熱し、また圧力を監視して、液体HF等の凝縮されていない鉱化剤組成物が存在しないことを確認する。
【0056】
特定の実施形態では、蒸気相移送プロセスによってアンモニアを受入容器又はカプセル中へと移送する。例えば再び
図4を参照すると、アンモニアに曝露されることになる凝縮性鉱化剤マニホルド350の一部分、及び最後の移送容器345が存在する場合は最後の移送容器345から、凝縮性鉱化剤組成物を除去した後、マニホルドからバルブ347までを排気できる。アンモニアマニホルド450をパージし、排気してよい。特定の実施形態では、少なくとも2回、少なくとも3回、又は少なくとも5回のポンピング/パージサイクルを実施する。受入容器349は、例えばおよそドライアイスの温度まで冷却でき、これもまた、受入容器349内に既に存在する凝縮性鉱化剤の蒸気圧を極めて低いレベルまで低下させることになる。特定の実施形態では、受入容器349の温度は、アンモニア移送プロセス中、約77ケルビン~約320ケルビン又は約-80℃~約30℃である。アンモニア源452とバルブ347との間の1つ以上のバルブを開き、アンモニアマニホルドにアンモニアを充填できる。次にバルブ347を開き、使用位置配置型精製器458を通してアンモニアガスを流し、質量流量コントローラ460によって計量及び制御して、受入容器349内で液体として凝縮させることができる。
【0057】
特定の代替実施形態では、液相移送プロセスによってアンモニアを受入容器349内へと移送する。例えば再び
図4を参照すると、最後の移送容器345から凝縮性鉱化剤組成物を除去した後、最後の移送容器345を排気してよい。特定の実施形態では、最後の移送容器345を、例えばおよそドライアイスの温度まで冷却し、アンモニア源452と最後の移送容器345との間の1つ以上のバルブを開く。アンモニアガスは、使用位置配置型精製器458を通って流れ、質量流量コントローラ460によって計量及び制御され、最後の移送容器345内で液体として凝縮される。特定の実施形態では、最後の移送容器345は、例えば約-20℃~約15℃という比較的高い温度まで冷却される。液体アンモニアの蒸気圧を温度の関数として示す
図5を参照すると、アンモニアマニホルド内のアンモニアの圧力が、最後の移送容器345の温度におけるアンモニアの蒸気圧より高い限り、液体アンモニアは最後の移送容器345内で凝縮されることになる。例えば、最後の移送容器345の温度が-10℃である(この温度は、食塩/水/氷の浴を用いて達成できる)場合、アンモニアマニホルド内のアンモニアの圧力を約3気圧より高く維持する必要があり、0℃では上記圧力を約4.5気圧より高く維持する必要があり、また10℃では上記圧力を約6気圧より高く維持する必要がある。アンモニア源452におけるアンモニアの圧力は、アンモニア源452の温度を約25℃より高く維持することによって、約10気圧より高く維持できる。可能なアンモニア充填プロセスの更なる詳細は、米国特許第8,021,481号明細書に記載されており、上記文献は参照によりその全体が本出願に援用される。例えば質量流量コントローラ458の出力を統合することによって、所望量のアンモニアを最後の移送容器345に加えた後、最後の移送容器345を必要に応じて約25℃、約30℃、又はそれより高温に加熱してよい。受入容器349がおおよそ室温である場合、これは、温度の関数としてのHFの蒸気圧のグラフである
図6に示されているように、1気圧付近の圧力のHF蒸気を内包できる。その結果、バルブ347が受入容器349に対して開かれているとき、アンモニアが最後の移送容器345から受入容器349へと流れ始めると、固体NH
4Fが即座に形成され始め、受入容器349中のHF蒸気及び液体が完全にNH
4F(及び/又はNH
5F
2)に変換されるまでその形成が続く。最初に形成されるNH
4Fを、最後の移送容器345の温度に応じて7気圧を超える又は10気圧を超える圧力で存在する液体アンモニアを流すことによって搬送して、受入容器349内へ運ぶことができる。最後の移送容器345内又はこれと受入容器349との間のチューブ若しくはバルブ内の、いずれの残留NH
4Fも、約100℃~約250℃の温度まで加熱することによって移送できる。特定の実施形態では、最後の移送容器345は、アンモニアの液体移送中、受入容器349の温度より約2℃~約50℃又は約5℃~約25℃高い温度まで加熱される。このようにして、最後の移送容器345内のアンモニアの蒸気圧は、液体アンモニアが存在する状態になるとすぐに形成される受入容器349内のアンモニアの蒸気圧よりも大幅に高くなり、従って液体の移送を、例えば通気によって受入容器349から蒸気を逃がす必要なしに、受入容器349内のアンモニア蒸気の圧縮によって継続できる。
【0058】
特定の実施形態では、
図7に概略図で示されているように、別個の凝縮性鉱化剤マニホルド350及びアンモニアマニホルド450を用いて、凝縮性鉱化剤組成物及びアンモニアを受入容器に加える。各マニホルドは、受入容器349への別個の接続を有してよい。特定の実施形態では、鉱化剤マニホルド350及びアンモニアマニホルド450は、受入容器349の同一の流入口に接続されるが、これは順次行われ、従ってある所与の時点において最大で1個のマニホルドが受入容器349に接続され、反復ポンピング/パージサイクルは、各切断作業の前及び各再接続作業の後に実施される。特定の実施形態では、アンモニアマニホルド450は、流出口743及びバルブ747によって受入容器349にインタフェース接続されたアンモニア移送容器745を備える。別個のマニホルドを使用することにより、統合型マニホルド内での偶発的なNH
4Fの形成のリスクが低減される。特定の実施形態では、凝縮性鉱化剤組成物を受入容器349へと移送した後、蒸気相移送プロセスによってアンモニア受入容器又はカプセル内へと移送する。アンモニア移送容器745が存在する場合はこれを含むアンモニアマニホルド450を、パージ及び排気してよい。受入容器349は、例えばおよそドライアイスの温度まで冷却でき、これもまた、受入容器349内に既に存在する凝縮性鉱化剤の蒸気圧を極めて低いレベルまで低下させることになる。アンモニア源452とバルブ747との間の1つ以上のバルブを開き、アンモニアマニホルドにアンモニアを充填できる。次にバルブ747を開き、使用位置配置型精製器458を通してアンモニアガスを流し、質量流量コントローラ460によって計量及び制御して、受入容器349内で液体として凝縮させることができる。
【0059】
特定の代替実施形態では、液相移送プロセスによってアンモニアを受入容器349内へと移送する。例えば再び
図7を参照すると、受入容器349へと凝縮性鉱化剤組成物を移送した後、アンモニア移送容器745を排気してよい。特定の実施形態では、アンモニア移送容器745を、例えばおよそドライアイスの温度まで冷却し、アンモニア源452とアンモニア移送容器745との間の1つ以上のバルブを開く。アンモニアガスは、使用位置配置型精製器458を通って流れ、質量流量コントローラ460によって計量及び制御され、アンモニア移送容器745内で液体として凝縮される。特定の実施形態では、アンモニア移送容器745は、例えば約-20℃~約15℃という比較的高い温度まで冷却され、このアンモニア移送及び凝縮プロセスは上述のように昇圧下で実施される。例えば質量流量コントローラ458の出力を統合することによって、所望量のアンモニアがアンモニア移送容器745に加えられた後、アンモニア移送容器745を必要に応じて約25℃、約30℃、又はそれより高温に加熱してよい。受入容器349がおおよそ室温である場合、これは
図6に示されているように、1気圧付近の圧力のHF蒸気を内包できる。その結果、バルブ747が受入容器349に対して開かれているとき、アンモニアがアンモニア移送容器745から受入容器349へと流れ始めると、固体NH
4Fが即座に形成され始め、受入容器349中のHF蒸気及び液体が完全にNH
4F(及び/又はNH
5F
2)に変換されるまでその形成が続く。バルブ747にボールバルブ等のスロート径の大きなバルブを使用し、これを瞬時に全開にし、また内径が1ミリメートル超、2ミリメートル超、又は3ミリメートル超の充填チューブを使用することによって、詰まりに関連する問題を軽減又は排除できる。最初に形成されるNH
4Fを、アンモニア移送容器745の温度に応じて7気圧を超える又は10気圧を超える圧力で存在する液体アンモニアを流すことによって搬送して、受入容器349内へ運ぶことができる。特定の実施形態では、バルブ747及び接続743を、約25℃~約250℃又は約30℃~約100℃の温度まで加熱することにより、ライン内でのNH
4Fの塞栓の形成が阻止される。アンモニア移送容器745内又はこれと受入容器349との間のチューブ若しくはバルブ内の、いずれの残留NH
4Fは、約100℃~約250℃の温度まで加熱することによって移送できる。特定の実施形態では、アンモニア移送容器745及び最後の移送容器345の平均温度は、アンモニア移送容器745から受入容器349への液相移送中、受入容器349の平均温度より約2℃~約50℃又は約5℃~約25℃高い温度に維持される。受入容器349と最後の移送容器345との間のバルブを、液相アンモニア移送作業中に開くことができ、これにより、流入する液体によって受入容器349から排出された蒸気は、最後の移送容器345内へと移動でき、従って、より多くの液体アンモニアが受入容器349に入るのを妨げない。
【0060】
受入容器又はカプセルをマニホルドから除去した後、これを室温まで加熱してよい。特定の実施形態では、受入容器又はカプセルの本体をバルブに接続する充填チューブは、溶接されて閉鎖される。
【0061】
特定の実施形態では、鉱化剤形成プロセスは、自発的に、又は追加の処理後に発生し得る。例えば、NH
4F及びNH
5F
2のうちの1つ以上の形成は、HFを内包した受入容器にNH
3を低温で又は加熱後に直接加えるとすぐに、自然に発生し得る。GaX
3(ただしX=F、Cl、Br、又はI)は同様に、NH
3を加えるとすぐに1つ以上の錯体を形成し得る。このような形成反応の速度は、反応産物の形成が完了するまで、例えば約12標準リットル毎分(standard liter per minute:SLM)未満、約5SLM未満、又は約1SLM未満の速度で、HFを内包した受入容器に気相NH
3をゆっくりと加えることによって制御できる。NH
3をゆっくりと加える速度の適切さは、NH
3の追加中にプロセス圧力を測定することによって確認できる。アンモニアの流量、NH
3の追加中の受入容器の温度、及びマニホルドと受入容器の内部との間の接続のコンダクタンスに応じて、アンモニアの追加中のマニホルドの圧力は、約0.1Torr(13.3322Pa)~約15気圧であってよい。好ましい実施形態では、連続的な低速充填プロセスの間、アンモニアの追加中の圧力は安定しており、約1ミリ秒~約10秒の持続時間を有する短時間の変動又はスパイクを示さない。特定の実施形態では、例えば、受入容器の温度が約-25℃より高く、充填作業中のアンモニアの圧力が約1.5気圧より高い場合(例えば
図5を参照)、NH
3のゆっくりとした追加は、連続流としてではなく、約1秒~約60秒の一時停止で隔てられた、約0.01秒~約30秒又は約0.1秒~約10秒の持続時間を有するアンモニアの複数回の短いパルスによって実施でき、これにより、鉱化剤形成反応を制御下で漸進的に発生させることができる。更なる鉱化剤形成反応、例えばNH
4F及びNH
3とIII族金属窒化物との反応によるGaF
3・2NH
3及び(NH
4)
3GaF
6のうちの1つ以上の形成が、昇温下で発生し得る。鉱化剤反応の完了の前後にある範囲のアンモニア充填速度を提供するために、例えば
図1に示されているように、同一の又は異なる質量流量の範囲を有する複数の質量流量コントローラを並列に配設して、良好な精度を維持しながら充填時間を有意に削減できる。鉱化剤反応産物の形成に続いて、アンモニアを、約1SLM~約1000SLM、約5SLM~約500SLM、又は約10SLM~約250SLMの速度で受入容器に加えてよい。
【0062】
マニホルドのための制御系は:コントローラ;上記コントローラと通信するプロセッサ;並びに上記コントローラがセンサ、バルブ、源、監視及び評価装置等と通信できるようにする有線又は無線通信システムを含んでよい。上記コントローラは、中央処理装置(central processing unit:CPU)、メモリ、及びサポート回路を含む。上記コントローラは、本明細書で開示されているプロセスシーケンスのうちの1つ以上を制御するために使用される。上記CPUは、処理装置及びこれに関連する他のデバイスを制御するために産業上の環境で使用されるよう構成された、汎用コンピュータプロセッサである。一般に不揮発性メモリである、本明細書に記載のメモリとしては、ランダムアクセスメモリ、読み出し専用メモリ、フロッピー若しくはハードディスクドライブ、又は他のデジタルストレージ、ローカル、若しくはリモートの好適な形態が挙げられる。上記サポート回路は従来のようにCPUに連結され、キャッシュ、クロック回路、入出力サブシステム、電源等、及びこれらの組み合わせを備える。ソフトウェア命令(プログラム)及びデータは、CPU内のプロセッサに命令するために、コード化してメモリに記憶させることができる。コントローラ内のCPUが読み取ることができるソフトウェアプログラム(又はコンピュータ命令)は、本明細書中で開示されているシステム全体の部品によってどのタスクが実行可能であるかを決定する。好ましくは、コントローラ内のCPUが読み取ることができるプログラムは、プロセッサ(CPU)によって実行されたときに、本明細書に記載の方法又は方法ステップのうちの1つ以上の監視及び実行に関連するタスクを実施する、コードを含む。上記プログラムは、システム内の様々なハードウェア及び電子部品を制御して、本明細書に記載の処理方法を実装するために使用される様々なプロセスのタスク及び様々なプロセスシーケンスを実施するために使用される、命令を含むことになる。
【0063】
マニホルド内に配置されるサポート回路のセンサは、マニホルド及び/又は移送若しくは受入容器内の条件、例えば温度、圧力、並びに/又はガスの濃度及び組成物を感知でき、またコントローラに情報を信号送信できる。流量モニタは、対応する流入口又は流出口を通る流量に関する情報を、コントローラに信号送信できる。(プロセッサを介した)コントローラは、受信した情報に応答でき、上記情報及び所定の命令パラメータに応じてデバイスを制御できる。例えば、コントローラはエネルギ源に信号送信して、マニホルドのための加熱ジャケットに熱エネルギを供給できる。コントローラは1つ以上のバルブに信号送信して、鉱化剤合成の経過中の所定の流れのレベルまで開閉できる。コントローラは、本開示の実施形態による、精製済み鉱化剤組成物を合成する方法を実装するために、プログラムできる。
【0064】
コントローラは、ポンピング、パージ、HFの蒸留、HFの移送、HF底部の廃棄、アンモニアの移送、又はカプセルの切断、及び複数のメンテナンス手順のための、事前にプログラムされたシーケンスの間に、空気圧又はソレノイドバルブの所望の制御を実現するための、複数のパラメータを受け入れるように、プログラムできる。上記事前にプログラムされたシーケンスに加えて、手動モードにアクセスして、トラブルシューティング、並びに日常的なものではないメンテナンス及び試験を行うことができる。いくつかの構成では、質量流量コントローラ(mass flow controller:MFC)設定点を、上記事前にプログラムされたシーケンスの外部において、手動モードで入力できる。バルブのインターロック及びアラームを用いて、装置にとって危険な又は破壊的なものと考えられる特定のバルブの組み合わせの開放を防止できる。
【0065】
メモリに記憶された、事前にプログラムされたシーケンスの使用により、バルブシーケンスに関係ないテキストプロンプトを用いて、冷却器、マニホルド、及び/又はカプセルデュワの加熱及び冷却;ガスシリンダの開閉;手動バルブの開閉;並びに特定の作業の前の様々な漏出のチェックの実施を含む特定のタスクをいつ実行するかを、オペレータに促すことができる。特定の構成では、オペレータがタスクを実施すると、オペレータは「NEXT」を押して、事前にプログラムされたシーケンスを継続できる。また、テキストプロンプトを用いて、オペレータに、現在のバルブ構成の目的、及び次のステップに移行するためにプロセスに必要な条件に関する通知を行うこともできる。例えばこれは、タイマーの表示を伴う、「ラインをパージ、プロセス圧力を待機(purging line, waiting for process pressure)」という形式を取ってよい。1つ、いくつか、又は全てのポンピング/パージシーケンスについて、事前にプログラムされるパラメータとしては:所与のシーケンス内のポンピング/パージサイクルの回数;ポンピングステップ又はシーケンス内の次のステップに移行する前の、ポンピング/パージサイクルにおける高い圧力及びパージ時間;並びにパージステップ又はシーケンス内の次のステップに移行する前の、低い圧力目標及びポンピング時間を挙げることができる。追加のポンプパージが必要な場合のループにおいて、昇圧試験に合格すること等の条件を用いてシステムをチェックできる。そうでない場合、シーケンスはポンピングステップに戻り得る。特定の実施形態では、作業を容易にし、汚染を確実に最小限に抑えるために、これらの事前にプログラムされたシーケンスにおいてポンピング/パージステップと凝縮性鉱化剤及び/又はアンモニアの移送とを組み合わせることが有用である。
【0066】
コントローラから送信される警告及びアラームは、オペレータに、仕様から外れたプロセス条件、又はプロセスに注意が必要な場合を通知するよう構成できる。これらは、高温/高圧及び低温/低圧、並びに流量アラーム、又はある特定の時間を超える、事前にプログラムされたステップの形態を取ることができる。更に、警告及びアラームシステムは、鉱化剤及びアンモニアの使用量を追跡して、メンテナンスがいつ必要かの通知を提供できる。実行毎に変化する設定点(鉱化剤及びアンモニアの量を含む)に関しては、事前にプログラムされたプロセス設定点を、シーケンスの開始時に変更するように促すことができる。
【0067】
本明細書に記載の方法を実施することによって、超高純度鉱化剤は望ましいことに、吸着された水分、水和物、及び化学的に結合した酸化物を含む合計酸素濃度が、約100重量百万分率未満となる。特定の実施形態では、精製済み鉱化剤中の酸素濃度は、約10百万分率未満、約5百万分率未満、約2百万分率未満、約1百万分率未満、約0.3百万分率未満、又は約0.1百万分率未満である。また超高純度鉱化剤は、微量金属ベースで99%超、99.9%超、99.99%超、99.999%超、又は99.9999%超である純度を有してよい。また超高純度鉱化剤は、ホウ素、炭素、ケイ素、リン、及び硫黄といった他の軽質種族元素の合計濃度が、10百万分率未満、1百万分率未満、又は0.1百万分率未満であってよい。
【0068】
超高純度鉱化剤の合成に関する簡略化されたフローチャート900が
図9に示されており、これは、コントローラのプロセッサによって実行される1つ以上のプログラムを用いて実施できるものである。この図は単なる例であるため、本明細書で提供される本開示の範囲を限定することを意図したものではない。当業者であれば、他の修正形態、変形形態、及び代替形態を認識するだろう。ステップ902では、漏出防止シールを用いて、受入容器を凝縮性鉱化剤移送マニホルドに接続する。ステップ904では、チューブ、及び/又は上述の新たな接続が包含する空間を、排気してパージし、これはマニホルドの更なる複数の部分の更なる排気及びパージを伴う。ステップ906では、第1の移送容器を冷却する。ステップ908では、ある量の凝縮性鉱化剤組成物を、源容器から第1の移送容器へと、蒸気相で移送する。ステップ910では任意に、凝縮性鉱化剤組成物の少なくとも一部分を、1つ以上の追加の移送容器へと移送する。ステップ912では、少なくとも1つの移送容器内の凝縮性鉱化剤組成物の量を測定し、必要に応じて所定のレベルに調整する。ステップ914では、最後の移送容器からの凝縮性鉱化剤組成物を受入容器へと移送する。特定の実施形態では、マニホルド内の圧力は、約1~約3気圧の圧力未満に維持される。
【0069】
驚くべきことに、本明細書に記載の方法は、アモノサーマル結晶成長のために超高純度鉱化剤を受入容器に送達するための、信頼できる正確な手段を提供する。全体が金属で構成された、例えば全体がステンレス鋼の、真空系及びガスマニホルドを利用すること、並びに質量流量コントローラのみを用いてガス流量を制御することは、半導体業界では一般的である。例えば、Mikawaらが記述している鉱化剤合成方法は全体として、これらの手順に従っている。対照的に、本発明の方法は、プラスチック及び金属組成物、並びに半導体グレードの作業には精度が不十分であると一般に見なされている体積測定法を利用できる。例えば、真空系又はガスマニホルドに金属部品及びプラスチック部品の両方を使用することは、金属‐プラスチック間のシールが必要となることを含意しており、これは一般に信頼性が低く、漏出が発生しやすいと見なされている。本発明者らは驚くべきことに、本発明のマニホルドの金属‐プラスチック間のシールは、定期的な予防的メンテナンスを行いながらではあるものの、高い信頼性で動作でき、これにより、単純な体積測定法を用いて、5%よりも良好な、2%よりも良好な、又は1%よりも良好な精度で鉱化剤の体積を測定できることを発見した。上述のように、これらの体積測定法は、質量流量コントローラでの潜在的な較正の問題を回避する。更にこれらの方法は、特に使用位置配置型精製器等の低コンダクタンス部品を用いて凝縮性の蒸気を処理する場合に一般的である、詰まりの問題を回避する。
【0070】
いくつかの実施形態では、鉱化剤を、少なくとも1つのIII族金属窒化物の単結晶のアモノサーマル成長のための原材料として使用する。超高純度鉱化剤及びアンモニアを内包したカプセルを、オートクレーブ内、又は例えば米国特許第8,021,481号明細書並びに米国特許出願公開第2010/0031875号明細書及び米国特許出願公開第13/472356号明細書に記載されているような内部加熱高圧装置内に配置する。オートクレーブ内で使用する場合、上記カプセルと、オートクレーブの内径との間の空間に、アンモニアを、カプセル内と同様の体積%まで充填することにより、カプセルの外部に加熱時のオートクレーブの内部と同様の圧力を生成でき、これにより、カプセルの変形を最小限に抑えることができる(当該技術分野で公知の、いわゆる圧力平衡法)。全ての原材料をオートクレーブ又は高圧装置に加えた後、オートクレーブ又は高圧装置を封止する。
【0071】
そして、多結晶質III族金属窒化物を、約400℃超の温度及び約50メガパスカル(MPa)の圧力の超臨界アンモニア中で処理し、この間に多結晶質III族金属窒化物の少なくとも一部分がエッチングによって除去されて、ウルツ鉱型の構造を有する少なくとも1つのIII族金属窒化物結晶上に再結晶化される。いくつかの実施形態では、多結晶質III族金属窒化物は、約500℃超、約550℃超、約600℃超、約650℃超、約700℃超、又は約750℃の温度の超臨界アンモニア中で処理される。いくつかの実施形態では、多結晶質III族金属窒化物は、約100MPa超、約200MPa超、約300MPa超、約400MPa超、約500MPa超、又は約600MPa超の圧力の超臨界アンモニア中で処理される。
【0072】
所定の期間にわたって結晶成長を実施した後、オートクレーブ又は高圧装置を冷却する。オートクレーブ又はカプセルが約100℃未満、約75℃未満、約50℃未満、又は約35℃未満まで冷却された後、オートクレーブへのバルブを開き、及び/又はカプセルを換気し、アンモニアを除去する。特定の実施形態では、気相アンモニアをオートクレーブ又はカプセルから流出させて、酸性水溶液に通すことにより、化学的に捕集する。特定の実施形態では、気相アンモニアを火炎に通すことによってアンモニアを燃焼させ、H2O及びN2を形成する。特定の実施形態では、アンモニアを精製及び再使用するために回収する。
【0073】
冷却、アンモニアの除去、並びにオートクレーブ又は内部加熱高圧装置及びカプセルの開放後、成長した結晶、又はブールを、カプセル又はオートクレーブから取り出す。
【0074】
成長させたままの状態のブールから、シングル又はマルチワイヤーソー、内周刃式ソー、外周刃式ソー等を用いて、1つ以上のウェハを調製できる。切断の前にX線ゴニオメータを用いてブールを正確に配向することにより、所定のミスカット角度でウェハを調製できる。スライス後、当該技術分野で公知の方法で上記結晶ウェハをラップ仕上げ、研磨、及び化学機械研磨してよい。いくつかの実施形態では、ウェハの大面積表面での転位密度は、約107cm-2未満、約106cm-2未満、約105cm-2未満、約104cm-2未満、約103cm-2未満、又は約102cm-2未満である。いくつかの実施形態では、上記大面積表面の結晶学的配向に対応するX線回折線の半値全幅は、300秒角未満、150秒角未満、100秒角未満、50秒角未満、40秒角未満、30秒角未満、又は20秒角未満である。
【0075】
図10は、本明細書で開示されている超高純度鉱化剤を用いたIII族金属窒化物結晶の成長のためのシステムのブロック図を示す。
【0076】
図示されているように、システム1000の方法は、所定の量の超高純度鉱化剤及びアンモニアが充填されたカプセルを、オートクレーブ又は内部加熱高圧反応器といった高圧装置に装入する、ステップ1002で開始される。ステップ1004では、カプセルを約400℃を超える温度まで加熱して、約50MPaを超える内圧を生成する。ステップ1006では、高圧反応器内のカプセルを冷却する。ステップ1008では、アンモニアをカプセルから除去する。ステップ1010では、少なくとも1つのIII族金属窒化物のブールをカプセルから取り出す。ステップ1012では、少なくとも1つのIII族金属窒化物ウェハを、少なくとも1つのIII族金属窒化物のブールから調製する。ステップ1014では、例えばInxAlyGa1-x-yN活性層(ここで0≦x,y,x+y≦1である)を含む半導体構造を、上記III族金属窒化物ウェハ上に形成する。ステップ1016では、上記半導体構造を含むデバイス、例えば発光ダイオード、レーザダイオード、ダイオード、フォトダイオード、センサ、及びトランジスタのうちの少なくとも1つを製作する。
【0077】
III族金属窒化物結晶ウェハは、半導体構造の製作、並びに更に:発光ダイオード、レーザダイオード、光検出器、アバランシェフォトダイオード、トランジスタ、整流器、及びサイリスタのうちの少なくとも1つ;トランジスタ、整流器、ショットキー整流器、サイリスタ、PINダイオード、金属半導体金属ダイオード、高電子移動度トランジスタ、金属半導体電界効果トランジスタ、金属酸化膜電界効果トランジスタ、パワー金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ、パワー金属絶縁体半導体電界効果トランジスタ、バイポーラ接合トランジスタ、金属絶縁体電界効果トランジスタ、ヘテロ接合バイポーラトランジスタ、パワー絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ、パワー垂直接合電界効果トランジスタ、カスケードスイッチ、内部サブバンドエミッタ、量子井戸赤外光検出器、量子ドット赤外光検出器、太陽電池、並びに光電気化学水分解及び水素生成デバイスのためのダイオードのうちの1つといった、光電子及び電子デバイスの製作のための基板として使用できる。
【0078】
以上は具体的実施形態の完全な説明であるが、様々な修正形態、代替構成、及び均等物を使用できる。従って以上の説明及び図示は、本開示の範囲を限定するものとして理解してはならず、本開示の範囲は添付の特許請求の範囲によって定義される。
【0079】
更なる実施形態が、本明細書で開示されている超高純度鉱化剤の作製方法及び使用方法をサポートする。以下の実施形態のいずれを様々なバリエーションで実施できる。
【0080】
以上は本開示の実施形態を対象としているが、本開示の基本的な範囲から逸脱することなく、本開示の他の実施形態及び更なる実施形態を考案できる。以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0081】
実施形態1
III族金属窒化物結晶を成長させる方法であって、
前記方法は:
1つ以上の移送容器と、凝縮性鉱化剤組成物を内包した源容器と、受入容器とを備える、マニホルドを提供するステップ;
前記1つ以上の移送容器内の金属表面を冷却するステップであって、前記金属表面は、液相の前記凝縮性鉱化剤組成物に曝露されたときに反応産物を形成しない組成物で構成される、ステップ;
ある量の前記凝縮性鉱化剤組成物を、蒸気相で前記1つ以上の移送容器に移送し、前記少なくとも1つの移送容器内で前記凝縮性鉱化剤組成物の凝縮を発生させるステップ;
前記1つ以上の移送容器のうちの少なくとも1つの中の、前記凝縮性鉱化剤組成物の前記量を測定するステップ;
前記凝縮性鉱化剤組成物の少なくとも一部分を前記受入容器に移送するステップ;並びに
アモノサーマル結晶成長プロセスによって、III族金属窒化物ブールの少なくとも一部分を形成するステップであって、前記アモノサーマル結晶成長プロセスは、
種結晶を少なくとも約400℃の温度に曝露するステップ、及び
前記種結晶を、前記受入容器から移送された前記凝縮性鉱化剤組成物から形成された鉱化剤に曝露するステップ
を含む、ステップ
を含む、方法。
【0082】
実施形態2
前記1つ以上の移送容器の中の、前記凝縮性鉱化剤組成物の移送された量は、体積測定によって決定され、
前記凝縮性鉱化剤組成物の温度を測定するステップを更に含む、実施形態1に記載の方法。
【0083】
実施形態3
前記凝縮性鉱化剤組成物の流体の高さが、流体液位センサによって測定され、
前記流体液位センサは、超音波液位トランスミッタ、レーザ液位トランスミッタ、ガイドパルスセンサ、及びセンシングガイドパルストランスデューサのうちの少なくとも1つを含む、実施形態2に記載の方法。
【0084】
実施形態4
前記1つ以上の移送容器の中の、前記凝縮性鉱化剤組成物の移送された量は、重量測定によって決定される、実施形態1に記載の方法。
【0085】
実施形態5
前記金属表面は銀で構成される、実施形態1に記載の方法。
【0086】
実施形態6
液相の前記凝縮性鉱化剤組成物に曝露されたときに反応産物を形成しないことは、少なくとも3か月の期間にわたる使用後に、100マイクロメートルを超える厚さの喪失に対応する腐食産物を生成しないことを含む、実施形態1に記載の方法。
【0087】
実施形態7
前記凝縮性鉱化剤組成物はHFを含み、HFは後にNH3と反応して、NH4F及びNH5F2のうちの少なくとも1つを形成する、実施形態1に記載の方法。
【0088】
実施形態8
塩素、臭素、及びヨウ素のうちの少なくとも1つを含む第2の鉱化剤組成物を、前記受入容器へと移送するステップを更に含む、実施形態1に記載の方法。
【0089】
実施形態9
前記凝縮性鉱化剤組成物を蒸留塔に通し、前記凝縮性鉱化剤組成物に対して分留精製プロセスを実施するステップを更に含む、実施形態1に記載の方法。
【0090】
実施形態10
前記凝縮性鉱化剤組成物を質量流量コントローラに通すステップを更に含む、実施形態1に記載の方法。
【0091】
実施形態11
前記受入容器の中の前記凝縮性鉱化剤組成物は、約1重量百万分率(ppm)未満の合計酸素含有量を有する、実施形態10に記載の方法。
【0092】
実施形態12
導電率測定、フーリエ変換赤外分光法、質量分光法、及びガスクロマトグラフィから選択される少なくとも1つの方法によって、前記凝縮性鉱化剤組成物を特性決定するステップを更に含む、実施形態1に記載の方法。
【0093】
実施形態13
前記源容器から直接受け入れた鉱化剤組成物に関して、少なくとも5の理論段数の精製が達成される、実施形態1に記載の方法。
【0094】
実施形態14
統合型マニホルドを用いて、単一の流出口を通した、制御された量の前記凝縮性鉱化剤組成物及びアンモニアの、前記受入容器への移送を実施し、
前記III族金属窒化物ブールの少なくとも一部分を形成する前記ステップは、前記統合型マニホルドの少なくとも一部分を前記凝縮性鉱化剤組成物に曝露した後、前記統合型マニホルドの前記少なくとも一部分をアンモニアに曝露するステップを更に含み、
前記統合型マニホルド内での、前記凝縮性鉱化剤組成物とアンモニアとの間の反応産物の形成は:
前記統合型マニホルドの温度を約30℃を超える温度に維持すること;及び
前記統合型マニホルドの前記少なくとも一部分を前記凝縮性鉱化剤組成物に曝露するプロセスと、アンモニアに曝露するプロセスとの間に、前記統合型マニホルド内で1つ以上のポンピング/パージサイクルを実施すること
のうちの少なくとも一方によって防止される、実施形態1に記載の方法。
【0095】
実施形態15
制御された量のアンモニアを前記受入容器に移送するステップを更に含み、アンモニア流の流量は、少なくとも1つの質量流量コントローラを用いて制御され、第1の流量及び第2の流量で構成され、前記第2の流量は前記第1の流量より大きい、実施形態1に記載の方法。
【0096】
実施形態16
前記第1の流量は約12標準リットル毎分未満であり、1ミリ秒~10秒の持続時間を有する測定可能な短期間圧力変動が発生しない、実施形態15に記載の方法。
【0097】
実施形態17
少なくとも1つの移送作業は、1気圧を超える前記凝縮性鉱化剤組成物の蒸気圧において実施される、実施形態1に記載の方法。
【0098】
実施形態18
前記凝縮性鉱化剤組成物を前記受入容器へと移送する前記ステップは、主に液相で実施される、実施形態1に記載の方法。
【0099】
実施形態19
アンモニアを前記受入容器へと移送する前記ステップは、主に液相で実施される、実施形態1に記載の方法。
【0100】
実施形態20
アモノサーマル成長させた前記III族金属窒化物ブールから、少なくとも1つのIII族金属窒化物ウェハを形成するステップを更に含む、実施形態1に記載の方法。
【0101】
実施形態21
III族金属窒化物結晶を成長させる方法であって、
前記方法は:
少なくとも1つの移送容器と、凝縮性鉱化剤組成物を内包した源容器と、受入容器とを備える、マニホルドを提供するステップ;
前記少なくとも1つの移送容器内の金属表面を冷却するステップであって、前記金属表面は、前記凝縮性鉱化剤組成物との反応によって、少なくとも3か月の期間にわたる使用後に100マイクロメートルを超える厚さの喪失に対応する腐食を生じない組成物で構成される、ステップ;
ある量の前記凝縮性鉱化剤組成物を、蒸気相で前記少なくとも1つの移送容器に移送し、前記少なくとも1つの移送容器内で前記凝縮性鉱化剤組成物の凝縮を発生させるステップ;
前記凝縮性鉱化剤組成物を蒸留塔に通し、前記凝縮性鉱化剤組成物に対して分留精製プロセスを実施するステップ;
前記凝縮性鉱化剤組成物を質量流量コントローラに通すステップ;
前記凝縮性鉱化剤組成物の少なくとも一部分を前記受入容器に移送し、前記質量流量コントローラを用いて移送された前記凝縮性鉱化剤組成物の前記量を定量するステップ;並びに
アモノサーマル結晶成長プロセスによって、III族金属窒化物ブールの少なくとも一部分を形成するステップであって、前記アモノサーマル結晶成長プロセスは、
種結晶を少なくとも約400℃の温度に曝露するステップ、及び
前記種結晶を、前記受入容器から移送された前記凝縮性鉱化剤組成物から形成された鉱化剤に曝露するステップ
を含む、ステップ
を含む、方法。
【符号の説明】
【0102】
200 第1の移送容器
201 外側エンクロージャ
203 蓋
205 閉鎖容積、内部容積
207 蒸気流入口
209 流入バルブ
211 蒸気流出口
213 流出バルブ
215 内部熱交換部材
217、227 流体流入口
219 流体流出口
221 内部温度センサ
223 流体液位センサ、液位センサ
225 外側熱交換浴
226 浴流体
228 熱交換ループ、外部熱交換部材
229 熱交換流体流出口
230 外部温度センサ
331 蒸留塔
333 断熱スリーブ
335 エンクロージャ
339 充填材料
341、460 質量流量コントローラ
343 流出チューブ
345 最後の移送容器
347、747 バルブ
349 受入容器
400 統合型マニホルド
450 アンモニアマニホルド
452 アンモニア源
454 真空ポンプ
456 圧力計
458 使用位置配置型精製器
465 パージ流入口
743 流出口
745 アンモニア移送容器
842 第2の移送容器
844 接続
1000 システム
【手続補正書】
【提出日】2024-05-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
III族金属窒化物結晶を成長させる方法であって、
少なくとも2つの移送容器と、HFを含む凝縮性鉱化剤組成物を内包した第1の源容器と、アンモニアを内包した第2の源容器と、受入容器とを備えるマニホルドを提供するステップと、
前記受入容器を排気するステップと、
第1の量の前記凝縮性鉱化剤組成物を、蒸気相で第1の移送容器に移送し、該第1の移送容器内で前記凝縮性鉱化剤組成物の凝縮を発生させるステップと、
前記第1の移送容器の中の、前記凝縮性鉱化剤組成物の前記第1の量を測定するステップと、
前記測定された前記凝縮性鉱化剤組成物の第2の量を、前記第1の移送容器から前記受入容器に移送するステップと、
第1の量のアンモニアを第2の移送容器に移送するステップと、
第2の量のアンモニアを、充填チューブを通る液相で前記第2の移送容器から前記受入容器に移送するステップであって、該充填チューブが1ミリメートル超の内径を有するステップと、及び
アモノサーマル結晶成長プロセスによってIII族金属窒化物ブールの少なくとも一部分を形成するステップであって、種結晶を少なくとも400℃の温度に曝露し、該種結晶を、前記受入容器に移送された、前記第2の量の凝縮性鉱化剤組成物及び前記第2の量のアンモニアから形成された鉱化剤に曝露するステップと
を含む、方法。
【請求項2】
前記充填チューブが2ミリメートル超の内径を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の移送容器及び前記充填チューブが、銀、銀合金、Monel 400、金、白金、パラジウム、ロジウム、イリジウム、又はルテニウムのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第2の量の凝縮性鉱化剤組成物が、前記第1の移送容器から前記受入容器に移送されるときに液相である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第2の量のアンモニアが、ボールバルブを含むスロート径の大きなバルブを通して前記第2の移送容器から前記受入容器に液相で移送される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
液体アンモニアが、前記第2の量のアンモニアの前記第2の移送容器から前記受入容器への移送中に、7気圧を超える圧力を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第2の移送容器から前記受入容器への前記第2の量のアンモニアの移送の間、前記第2の移送容器と前記受入容器との間のバルブ及び接続部が、25℃~250℃の温度に加熱される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第2の移送容器から前記受入容器への前記第2の量のアンモニアの移送の間、前記第2の移送容器と前記受入容器との間の前記バルブ及び前記接続部が、30℃~100℃の温度に加熱される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の移送容器内の前記凝縮性鉱化剤組成物の凝縮が、前記第1の移送容器内の金属部材を冷却することによって達成され、該金属部材は、銀、銀合金、Monel 400、金、白金、パラジウム、ロジウム、イリジウム、又はルテニウムのうちの少なくとも1つを含み、前記凝縮性鉱化剤組成物を凝縮させて液相で冷却するように構成された金属表面を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の移送容器の中の前記凝縮性鉱化剤組成物の移送された量は、体積測定によって決定され、
前記凝縮性鉱化剤組成物の温度を測定するステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記凝縮性鉱化剤組成物の流体の高さが、流体液位センサによって測定され、該流体液位センサは、超音波液位トランスミッタ、レーザー液位トランスミッタ、ガイドパルスセンサ、及びセンシングガイドパルストランスデューサのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
塩素、臭素、及びヨウ素のうちの少なくとも1つを含む第2の鉱化剤組成物を、前記受入容器へと移送するステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記凝縮性鉱化剤組成物を蒸留塔に通し、前記凝縮性鉱化剤組成物に対して分留精製プロセスを実施するステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記源容器から直接受け入れた鉱化剤組成物に関して、少なくとも5の理論段数の精製が達成される、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
前記第1の移送容器が、前記凝縮性鉱化剤組成物の移送の間、前記受入容器の温度よりも2℃~50℃高い温度に加熱される、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記第2の移送容器が、前記第2の量のアンモニアの液相移送の間、前記受入容器の温度よりも2℃~50℃高い温度に加熱される、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
アモノサーマル成長させた前記III族金属窒化物ブールから、少なくとも1つのIII族金属窒化物ウェハを形成するステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
III族金属窒化物結晶を成長させる方法であって、
第1の移送容器と、HFを含む凝縮性鉱化剤組成物を内包した源容器と、受入容器とを備えるマニホルドを提供するステップと、
前記第1の移送容器内の金属部材を冷却するステップであって、該金属部材は、銀、銀合金、Monel 400、金、白金、パラジウム、ロジウム、イリジウム、又はルテニウムのうちの少なくとも1つを含み、前記凝縮性鉱化剤組成物を凝縮させて液相で冷却するように構成された金属表面を有するステップと、
第1の量の前記凝縮性鉱化剤組成物を、蒸気相で前記第1の移送容器に移送し、該第1の移送容器内で前記凝縮性鉱化剤組成物の凝縮を発生させるステップと、
前記第1の移送容器の中の、前記凝縮性鉱化剤組成物の前記第1の量を測定するステップと、
前記測定された前記凝縮性鉱化剤組成物の少なくとも一部分を、前記第1の移送容器から前記受入容器に移送するステップと、
測定された量のアンモニアを第2の移送容器に移送するステップと、
前記測定された量のアンモニアを、前記第2の移送容器から前記受入容器に移送するステップと、及び
アモノサーマル結晶成長プロセスによってIII族金属窒化物ブールの少なくとも一部分を形成するステップであって、種結晶を少なくとも400℃の温度に曝露し、該種結晶を、前記受入容器から移送された前記凝縮性鉱化剤組成物から形成された鉱化剤に曝露するステップと
を含む、方法。
【請求項19】
前記凝縮性鉱化剤組成物の少なくとも一部分が、前記第1の移送容器から前記受入容器に液相で移送される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記測定された量のアンモニアが、前記第2の移送容器から前記受入容器に液相で移送される、請求項18に記載の方法。