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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024010540
(43)【公開日】2024-01-24
(54)【発明の名称】画像形成体およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B41M 3/14 20060101AFI20240117BHJP
   B42D 25/30 20140101ALI20240117BHJP
【FI】
B41M3/14
B42D25/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022111929
(22)【出願日】2022-07-12
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001276
【氏名又は名称】弁理士法人小笠原特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】植田 玲子
【テーマコード(参考)】
2C005
2H113
【Fターム(参考)】
2C005HA04
2C005HB02
2C005HB03
2C005JB01
2H113AA04
2H113AA06
2H113BA03
2H113BA27
2H113BB07
2H113BB08
2H113BB22
2H113CA39
2H113CA44
2H113CA46
2H113DA04
2H113FA04
(57)【要約】
【課題】顔情報等の画像情報を形成した際の色再現性に優れ、改竄や偽造の防止に有効な画像形成体およびその製造方法を提供する。
【解決手段】少なくとも片面に赤色、緑色、青色の3色以上のインキにより形成された、線幅が100μm以下の複数の線の組合せで構成された印刷部と、印刷部に重ね合わされた感熱記録層とを有することを特徴とする、画像形成体。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも片面に赤色、緑色、青色の3色以上のインキにより形成された、線幅が100μm以下の複数の線の組合せで構成された印刷部と、前記印刷部に重ね合わされた感熱記録層とを有することを特徴とする、画像形成体。
【請求項2】
レーザ記録加工を行う前の状態において、前記印刷部と前記感熱記録層間が透明であることを特徴とする、請求項1に記載の画像形成体。
【請求項3】
前記印刷部の上にある前記感熱記録層が部分的に不透明であることを特徴とする、請求項1に記載の画像形成体。
【請求項4】
前記印刷部を構成する前記複数の線は、前記印刷部を形成する領域内に一方向に線を配列したパターン、同心状に線を配置したパターン、格子状に線を配置したパターン、及び放射状に線を配置したパターンの少なくとも1つのパターンを有することを特徴とする、請求項1に記載の画像形成体。
【請求項5】
前記複数の線の線幅または間隙の距離により、前記印刷部の色の濃淡表現がされていることを特徴とする、請求項1に記載の画像形成体。
【請求項6】
前記複数の線の少なくとも一部の線は、印刷基材の表面に対し0.2μm以上の高さを有する凸構造を有することを特徴とする、請求項1に記載の画像形成体。
【請求項7】
前記凸構造を有する線を複数有し、前記凸構造を有する複数の線のうち少なくとも一部の線は、複数の線が積層された多層構造であることを特徴とする、請求項6に記載の画像形成体。
【請求項8】
前記複数の線の表面が、透明な樹脂若しくは透明基材で覆われていることを特徴とする、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の画像形成体。
【請求項9】
請求項1に記載の画像形成体の製造方法であって、複数の線状の溝が形成された複数の凹版を使用し、グラビアオフセット印刷法を用いて前記印刷基材の表面にインキの転写を行って前記印刷部を形成することを特徴とする、画像形成体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、偽造防止および個人認証用途の画像形成体(個人認証媒体)およびその製造方法に関する。本発明に係る個人認証媒体とは、パスポートや査証などの冊子または、カード等に個人特定の要である顔画像や指紋、サイン等を印刷、印字、描画して表示されたものであり、特に正当な所有者の顔写真やサインといった画像情報や本人姓名、生年月日などの個人情報の印字内容を、複数のインキと描画による塗りつぶしを組み合わせることにより、偽造防止用途に供することを目的とするものである。
【背景技術】
【0002】
クレジットカードや認証書類、有価証券類、紙幣などの一部または全面に形成される印刷物画像形成体には、偽造が困難であることが求められる。特許文献1には、印刷物画像形成体の偽造を困難にする技術として、ホログラムや回折格子、または見る角度により色の変化を生じる多層膜のようなOVD(Optically Variable Device:光学的変化素子)媒体が記載されている。
【0003】
また、ホログラムや回折格子とは異なる微細技術として線の集合により形成される線画やマイクロ文字がある。この線画とは50μm以下の線で画像を表現したものである。ドットにより画像を表現するインクジェットを主とした従来の複写機では微細な直線が形成できないことから、線画は、紙幣を中心に真贋判定に用いられている手法である。この線画の形成方法として例えばグラビアオフセット印刷法がある。グラビアオフセット印刷法では、凹部にインキが充填された印刷版から、ブランケットにインキを転移させ、そのブランケット上のインキを印刷基材上に転写することで印刷が行われる。
【0004】
例えば特許文献2には、配線構造を有するタッチパネル用導電性部材の製造方法における、額縁部分へのパターン化された配線構造を印刷する方法として、グラビアオフセット印刷法を用いることが開示されている。
【0005】
ホログラムや回折格子よりもコストが安価で偽造抵抗力の高い偽造防止技術として、線画,マイクロ文字など、50μm以下の画線幅での印刷パターンの形成が有効であり、画線部のインキが盛り上がる凹版印刷の採用が有望視されている。凹版印刷の応用例である潜像凹版印刷物による偽造防止効果が評価されている。偽造者の多くは、プリンタ等の簡易的な出力機によって偽造品を作製することが多いため、インキ膜厚の低い、二次元的な構成の偽造品しか作製することができない。一方、潜像凹版印刷物は、盛り上がった万線を縦横方向に規則的に配置することで潜像模様を形成しているため、三次元的な構成となり、特定の方向から観察することで、盛り上がった万線の圧縮及び非圧縮により、縦方向の万線と横方向の万線に濃度差が生じて潜像模様を視認することができるものである(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特表2008-547040号公報
【特許文献2】特開2011-210148号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ホログラムや微細配線等、偽造が困難である仕様構成を目的として日々開発が行なわれているが、製造技術の多様化と共にそれぞれ単独の印刷物でその偽造防止機能を発現させることは難しい。
【0008】
個人認証媒体に形成される画像情報には、媒体毎に個体差のない共通情報と媒体(個人)毎に異なる固有情報とがあり、共に真偽判定用の認証情報としての採用が可能である。また、通常の観察状態では視認されずに特定の条件下で視認可能となる不可視な隠蔽情報を発現させて真偽判定に併用する手法も多用されている。共通情報と固有情報の何れも隠蔽情報に適用されうる。レリーフホログラムや回折格子は、同一の凹凸パターンを有する版(スタンパ)を用いて複製されるため、共通情報の形成に適しており、固有情報の形成では、コンピュータ上の製版データをインクジェット記録方式、電子写真記録方式、レーザ記録方式等により直接印刷するデジタル無版印刷方式が好適とされている。
【0009】
また、高精細な画像情報を表現するにあたりレーザ記録方式の下にシアン、マゼンタ、イエローの線を印刷しカラー画像とする方式がある。
【0010】
しかし、これらを印刷する際にはインクジェット方式や網点を利用した印刷方法が利用されているが、更なる高精細化や偽造防止の観点から印刷線を細くした場合、色の異なる印刷線同士のアライメントを合わせることが難しく網点同士が重なることで細い線の形成が困難であり色が混じってしまう。
【0011】
更に、色の異なる印刷線を細くした場合には相対的な濃度低下を招き色そのものが薄くなってしまうことから、カラー画像を表現することが難しくなる。
【0012】
そこで、本発明はこのような問題点状況を鑑みてなされたものであり、顔情報等の画像情報を形成した際の色再現性に優れ、改竄や偽造の防止に有効な画像形成体およびその製造方法を提供することを目的とする
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、少なくとも片面に赤色、緑色、青色の3色以上のインキにより形成された、線幅が100μm以下の複数の線の組合せで構成された印刷部と、前記印刷部に重ね合わされた感熱記録層を有することを特徴とする画像形成体である。
【0014】
また、本発明は上記画像形成体の製造方法であって、複数の線状の溝が形成された複数の凹版を使用し、グラビアオフセット印刷法を用いて印刷基材の表面にインキの転写を行って印刷部を形成することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、顔情報等の画像情報を形成した際の色再現性に優れ、改竄や偽造の防止に有効な画像形成体およびその製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明に基づく実施形態に係る画像形成体を説明する概念図である。
図2】本発明に基づく実施形態に係る画像形成体を説明する概念図および画像形成体を説明する断面図である。
図3】本発明に基づく実施形態に係る画像形成体を説明する概念図である。
図4】本発明に基づく実施形態に係る画像形成体を説明する概念図である。
図5】画像形成体を説明する断面図である。
図6】画像形成体を説明する断面図である。
図7】画像形成体を説明する断面図である。
図8】画像形成体を説明する断面図である。
図9】画像形成体を説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態について図面を適宜参照して説明する。
【0018】
ここで、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なる。また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための構成を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造等が下記のものに特定されるものではない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0019】
図1および図2に示すように、本実施形態の画像形成体1における印刷パターンは、感熱記録層7の表面若しくは内包される一部に、赤色、青色、緑色のインキにより形成される微細印刷線3を含む状態で構成される。尚、図2(b)は、図2(a)に示すX-X’ラインに沿う断面図である。
【0020】
印刷部には、直線性を有する印刷線幅が100μm以下の微細印刷線3で形成された模様が一定の間隙を持って配置されている。インクジェットやスクリーン印刷等の印刷方法では、直線は、連続するドットの集合体として形成されるため、微細印刷線はこれらの印刷方法により作製することが困難である。
【0021】
微細印刷線3が構成する印刷部は、外部刺激が無い状態において、必ずしも明確な柄などの模様が視認可能なように構成されている必要はない。本発明に係る微細印刷線3は、感熱記録層の表裏に配置されても片面に1つ以上配置されていてもよく、内包されてもよい。更には印刷基材2上に表裏若しくは片面に1つ以上配置されていてもよい。
【0022】
本実施形態の画像形成体1は、感熱記録層7の表面の一部と赤緑青色インキにより形成される微細印刷線3により形成されている。後述する保護層9や染色層12を設けて設けても良い。積層体11の総厚さは、例えば200.0μm以上とする。積層体の厚みが200.0μm未満の場合には折れ曲げ等により個人認証媒体としての取り扱いが難しい。
【0023】
なお、感熱記録層7の表面の一部には、発色に係わる微細印刷線3以外の印刷線を持つ印刷パターンを含んでいても良い。すなわち、インキの種類が異なるパターンを形成しても良いし、あるいは、インキの種類が異なるパターン内に画像形成体1が配置されるパターンであっても良い。本発明に係る微細印刷線以外の印刷部分を有していてもよい。また、本発明に係る微細印刷線以外の印刷部分の一部として、本発明に係る画像形成体1が配置されていてもよい。
【0024】
本実施形態では、画像形成体1内の印刷パターンは、例えば図1に示すように、万線状に形成されている。
【0025】
なお、この万線パターンは図1に示すように連続して配しても、断続的に配してもよい。万線パターンは、画線幅が100μm以下の、目視では視認が困難な微細印刷線3からなる。
【0026】
画線幅が100μmを超える場合、外部刺激の有無に係らず微細印刷線が視認されやすくなってしまい、複写機での模倣が容易となり偽造防止の意味を成さない。また、画線幅が100μmを超える微細線とレーザ記録方式とを組み合わせて画像を作製した場合には仕上がり画像が粗く精細さに欠ける。
【0027】
また、印刷パターンは、感熱記録層7の表面に形成しても良いし、感熱記録層7の裏面(観察者に対して反対側)に形成しても良い。あるいは、感熱記録層7には印刷パターンを直接形成せず、感熱記録層7に接する箇所に配置される別層である印刷基材に形成した上で、印刷基材2と感熱記録層7を一体化した構造の画像形成体1が含まれる積層体11としても良い(図6参照)。
【0028】
図5に示すように、感熱記録層7の表面にレーザ加工により不透明に変色したレーザ焼結部8を設け、裏面に印刷を行い画像形成体1を得てもよいし、図6に示すように、印刷を行った印刷基材2の両面を感熱記録層7及び保護層9で挟み込み一体成型し積層体11を得てもよい。
【0029】
身分証明を不正な複製から守る目的で、レーザ・エングレーブの手法による固有情報の印字が適用されている。レーザ・エングレーブは、特定の波長を有するレーザ光線を吸収し、これによって炭化する特性を有した発色性層あるいは発色性能が高いポリカーボネート基材に対してなされる。レーザ・エングレーブでは、この様な発色性層にレーザ光線を照射することによって、発色性層の一部を変色させて、情報を記録する。レーザ・エングレーブによれば、画像形成体に対して個体毎に異なる情報を書き込むことが可能である。そのため、ユーザーの顔やサイン(署名)など、不正な複製や変造が困難であるユーザー別の固有情報がレーザ・エングレーブによって記録されることが多い。
【0030】
レーザ・エングレーブの変形例として、発色性層として機能する感熱記録層に、予め形成されてある微細印刷線3による赤緑青の色線に対して、行毎に選択した箇所にレーザビームを照射して、感熱記録層を発色させ黒く塗り潰すことで赤緑青の色線を視認できなくし、使用者毎に異なる顔写真や認証パターン等のカラーの画像形成体を作製することが可能となる。
【0031】
赤緑青線は液晶テレビやELテレビ等で利用されているカラーフィルターと類似した効果を持っているため、図3に示すように、レーザ加工を施す以前であれば一見すると、視認が難しい赤緑青の色線が規則性を以て並んでいるだけのため透明に近い印刷物に過ぎない。
【0032】
図4では、画像形成体の含まれる個人認証媒体(IDカード)に適用した場合の使用状態を示す。感熱記録層および微細印刷線3からなる印刷パターンが共に通常時(レーザ加工が無い場合)に半透明であり、レーザ光10を照射することで感熱記録層を発色させた状態を図示している。
【0033】
赤緑青の微細印刷線3からなる色線は従来、内部に白色層を含む印刷物であることからシアン、マゼンタ、イエローの色で印刷されることが多い。しかし、更なる偽造防止の観点や高精細化のため色線の線幅を細くして印刷を実施した場合、白色層が存在していても色が薄くレーザ加工と組み合わせて作製する画像形成体のカラー画像が薄暗く色がはっきりと認識できない。また、白色層を含まず透過光を用いた認証画像に使用できることも求められている。そこで、本発明においては、色再現性が良好な赤緑青の微細印刷線3により色線を作製している。
【0034】
また、画像形成体1はレーザ加工を施す以前は全体として透明でもよく、染色層と積層することで色付きの積層体11としてもよく、印刷基材2の代わりに染色層を用いてもよい。
【0035】
本実施形態の画像形成体1に設けた微細印刷線3を構成単位とする表示は、特定パターンとの組み合わせにより、画像形成体1のユーザー毎に固有な認証パターンを追記することが可能であり、意匠性と共に偽造防止効果の向上に優位性を持つ。
【0036】
本実施形態における画像形成体1若しくは積層体11は単独で存在しているが、その上下面若しくは同一平面にホログラムや回折格子、または見る角度により色の変化を生じる多層膜のようなOVD(Optically Variable Device:光学的変化素子)媒体が形成されていてもよい。それらを付加することにより、本発明による印刷パターンだけで十分に興味ある視覚効果、偽造防止効果が得られる上に、それらの効果が一層向上される。
【0037】
感熱記録層7又は印刷基材2は、シート状の材料に限られず、中空又は中実のいずれでもよく、また、任意の平面又は曲面を、微細印刷線3を形成する印刷面とすることができる。
【0038】
印刷基材2は、例えば、ソーダ石灰ガラス、低アルカリ硼珪酸ガラス、無アルカリアルミノ硼珪酸ガラスなどのガラス板、あるいはポリエチレンテレフタレート(PET)、トリアセチルセルロース(TAC)、塩化ビニル(PVC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート(PC)などからなるプラスチック板、プラスチックフィルムの他、ポリアクリル酸ナトリウムやポリビニルアルコール、セルロースナノファイバーフィルム、ポリエチレンオキシド等の当該分野で知られている水溶性ポリマー、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリカプロラクトン等の当該分野で知られている生体適応性ポリマーを用いることが可能である。
【0039】
微細印刷線3に用いるインキの色材(発色顔料)としては、当該分野で知られている有機および無機顔料を組み合わせて使用してもよい。また、従来からあるシアン、マゼンタ、イエローのインキを混錬し調肉することで赤色、緑色、青色を作製してもよい。
【0040】
無機顔料としては、金属粒子の他、二酸化チタン、亜鉛華、鉄黒に代表される酸化物の他、水酸化物、硫化物、セレン化物、フェロシアン化物、クロム酸塩、硫酸塩、炭酸塩、ケイ酸塩、燐酸塩、炭素等がある。有機顔料としては、炭素化合物の他、ニトロソ系、ニトロ系、アゾ系、レーキ系、フタロシアニン系、縮合多環材料等がある。
【0041】
これら発色性を目的とした顔料に対し、導電性を目的として金属微粒子や導電性金属酸化物微粒子あるいは金属ナノワイヤや金属塩化物、導電性ポリアニリン、導電性ポリプロピロール、導電性ポリチオフェン(ポリエチレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルホン酸の錯体)などの導電性ポリマー等を混合して利用してもよい。
【0042】
インキには、光散乱粒子が混入されていてもよい。すなわち、光散乱粒子は、画像形成体1を構成する、異なる色相のインキいずれかに入っていても、積層した複数の層のうちいずれかに含んでいてもよい。インキに混入させる光散乱粒子としては、真球形状粒子、または、不定型形状粒子が用いられる。また、光散乱粒子の材料としては、無機微粒子、または、有機微粒子からなる粒子を用いる。
【0043】
具体例としては、アクリル系粒子、スチレン粒子、スチレンアクリル粒子及びその架橋体や、メラミン‐ホルマリン縮合物の粒子、ポリウレタン系粒子、ポリエステル系粒子、シリコン系粒子、フッ素系粒子、エポキシ粒子これらの共重合体、スメクタイト、カオリナイト、タルク等の粘土化合物粒子、シリカ、酸化チタン、アルミナ、シリカアルミナ、ジルコニア、酸化亜鉛、酸化バリウム、酸化ストロンチウム等の無機酸化物粒子、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、塩化バリウム、硫酸バリウム、硝酸バリウム、水酸化バリウム、水酸化アルミニウム、炭酸ストロンチウム、塩化ストロンチウム、硫酸ストロンチウム、硝酸ストロンチウム、水酸化ストロンチウム、ガラス粒子等の無機微粒子を挙げることができる。
【0044】
これらの高い屈折率を有する透明な粒子は、一種類の粒子だけを混合して使用してもよいし、複数種類を混ぜて使用してもよい。また、無機微粒子や有機粒子の表面に塗工や蒸着等によって表面加工を施したものを、一種類で使用してもよいし、複数種類を混ぜて使用してもよい。すなわち、混入する光散乱粒子には、異なる屈折率を有する少なくとも二つの光散乱粒子を含んでもよい。
【0045】
なお、混入する光散乱粒子には、異なる屈折率を有する光散乱粒子の代わりに、異なるヘイズ値を有する2つ以上の光散乱粒子を含んでもよい。なお、光散乱粒子を混入する代わりに、線を構成した状態のインキが空気を含む微細な空洞を含有するようにしてもよい。例えば、印刷するインキの材料中に発泡剤を含有させておき、その発泡剤を発泡させて、空洞を形成する。
【0046】
インキ中の溶剤としては、任意のものを用いることができる。例えば、速乾性インキでは、常温で乾燥する沸点の低い溶剤(MEK、エタノール、アセトンなど)を、水性インキでは水(精製水)を、オイル系インキでは常温で蒸発しないオイル(ドデカン、テトラデカン等の脂肪族炭化水素、グリコールエーテル、高級アルコールなど)を用いることが可能である。なお、溶剤の種類に応じて、その溶剤に対し吸収性を有するグラビアオフセット印刷で使用するブランケットの材料を選択することが好ましい。
【0047】
顔料および粒子以外のインキ材料として用いる樹脂材料は、透明樹脂や、色付きの樹脂、あるいは、不透明な樹脂を用いても良い。すなわち、例えば、ポリカーボネート樹脂、アクリル系樹脂、フッ素系アクリル樹脂、シリコン系アクリル樹脂、エポキシアクリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリルスチレン樹脂、シクロオレフィンポリマー、メチルスチレン樹脂、フルオレン樹脂、PET(ポリエチレンテレフタレート)、ポリプロピレン、フェノール樹脂、メラミン樹脂、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PI(ポリイミド)等の熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂等の汎用プラスチックを用いることが可能である。
【0048】
ここで、熱可塑性樹脂としては、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PC(ポリカーボネート)、PS(ポリスチレン)、COC(環状オレフィン・コポリマー)、PMMA(ポリメタクリル酸メチル(ポリメチルメタクリレート、アクリル樹脂))、COP(シクロオレフィンポリマー)、MS(メタクリル酸スチレン共重合体)、AS(アクリロニトリルスチレン共重合体)、PMMA(ポリメタクリル酸メチル(ポリメチルメタクリレート、アクリル樹脂))、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PI(ポリイミド)等などの熱可塑性樹脂を用いることが可能である。
【0049】
また、熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂やメラミン樹脂、エポキシ樹脂、アルキド等の当該分野でよく知られている熱硬化性樹脂を用いることが可能である。
【0050】
また、前記以外にも、インキ材料として用いる樹脂材料として、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、POM(ポリオキシメチレン)、PA(ポリアミド)、PPS(ポリフェニルサルフィド)等のエンジニアプラスチックや、スーパーエンジニアプラスチックを用いることも可能である。この他にも電離放射線によって硬化するアクリルやウレタン、エポシキ、ポリエステル、チオール等の樹脂を用いることが可能である。
【0051】
本発明による画像形成体を有する積層構造では、各種の変形例が想定される。図5図9に例示される様に、不透明部を有する感熱記録層7の一方の表面に印刷パターンを形成した構成(図5)、一方の表面に印刷パターンを形成した印刷基材2の表裏に不透明部を有する感熱記録層7で挟み込んだ構成(図6)、印刷基材2には印刷パターンを形成せず、一方の表面に印刷パターンを形成した感熱記録層7を用いた構成(図7)、印刷基材2の表裏に印刷パターンを形成し、その表裏に感熱記録層7を設けて挟み込んだ構成(図8)、印刷基材2と感熱記録層7のそれぞれ一方の表面に印刷パターンを形成する構成(図9)など、目的に応じて多様に変更されうる。色付きの積層体11とするために、印刷基材2に代えて染色層12を用いてもよい。また、印刷基材2とは別に染色層12を積層してもよい。かかる微細印刷線3は、感熱記録層7の表裏に配置されてもよいし、片面に1つ以上配置されていてもよく、更には印刷基材2や染色層12の上に表裏若しくは片面に1つ以上配置されていてもよい。
【0052】
感熱記録層7はシート状の材料に限られず、中空又は中実のいずれでもよく、また、任意の平面又は曲面を、微細印刷線3を形成する印刷面とすることができる。
【0053】
感熱記録層7は、例えば、ソーダ石灰ガラス、低アルカリ硼珪酸ガラス、無アルカリアルミノ硼珪酸ガラスなどのガラス板、あるいはポリエチレンテレフタレート(PET)、トリアセチルセルロース(TAC)、塩化ビニル(PVC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート(PC)などからなるプラスチック板、プラスチックフィルムの他、クリーンペーパーやコート紙、カレンダー紙等の当該分野で知られている加工紙、ポリアクリル酸ナトリウムやポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド等の当該分野で知られている水溶性ポリマー、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリカプロラクトン等の当該分野で知られている生体適応性ポリマーを用いることが可能である。
【0054】
これら感熱記録層内部には、レーザ照射によりそれ自身が消滅または変色するカーボン等の材料を含んでいてもよい。
【0055】
微細印刷線3は凹版を用いて形成される。同一平面上に1つの凹版を用いて特定の配線パターンで配置してしてもよく、夫々異なる凹版のアライメントを合わせて印刷を行うことにより、特定の配線パターンで配置してもよい。尚、異なる凹版を用いて印刷を行う場合には、線間隔はあってもなくてもよい。
【0056】
微細印刷線3を表現する複数の微細線同士は、同一平面上に異なる凹版のアライメントを合わせて印刷を行うことにより積層して配置してもよい。この際、同一の凹版を用いて積層を行なう事により、特定の部位のみ嵩高く色濃く配置してもよい。また、微細印刷線3を構成する印刷表現の色の濃淡は、複数の線を一方向に沿って並列して微細印刷線3を構成する場合、単位面積当たりに配置する線の線幅もしくは2つの線から成る間隙幅を変更することで、色の濃淡表現が調整される。
【0057】
ここで、従来、網点で印刷を表現する場合、色の濃淡は、網点の大きさを変更することで濃淡を表現している。すなわち、単位面積当たりのインキの占有率(インキ面積)を変化させることで濃淡を表現している。
【0058】
これに対し、本実施形態によればまた、同じインキ面積であっても、線幅を変更することで濃淡を調整することもが可能となる。例えば、10μm幅の線を10μm間隔で配列する代わりに、100μm幅の線を100μm間隔で配列した場合の方が、インキ面積(この例では面積率が50%)は同じであっても、目視時における色の濃さ(色差計測定値)が濃くなる。このように、本実施形態にあっては、単位面積当たりのインキ占有率を変えることなく濃淡調整も可能となる。これによって、本実施形態では、色の濃淡調整の自由度が広がり、微細印刷であっても、より高精細な印刷表現が可能となる。
【0059】
印刷パターンを複数の微細印刷線3で構成する場合、複数の微細印刷線3を特定の配線パターンで配置して表現する。特定の配線パターンとは、例えば複数の微細印刷線を、所定の一方向に配列させる(万線)、同心状に配置する、格子状に配置する、放射状に配置するなどのパターンが考えられる。もっとも、配線パターンの規則は、前記のパターンに限定されない。線幅が100μm以下の微細印刷線の組み合わせであればランダムな配置など、どのような配線パターンであっても本願発明には適用可能である。
【0060】
また、本実施形態の微細印刷線は、直線状に延在している必要はなく、蛇行など曲線状に延在していてもよい。又、印刷の際に、インキのかすれなどが発生する可能があるが、線幅の1.5倍以上の線長が有ればよい。
【0061】
次に、画像形成体1を有する積層構造の構成例を示す。
【0062】
図5図9は、微細印刷線を配置した場合の断面図である。図6の断面図のように微細印刷線を形成配置した印刷基材と感熱記録層とは粘着材を介して積層一体化配置してもよいし、積層後に熱圧着させて一体形成してもよい。
【0063】
一体形成するための粘着材としては片面もしくは両面に酢酸ビニル等の粘着剤を塗工してもう片層とを一体接着する方法がある。
【0064】
一体接着するために用いる粘着材としては、酢酸ビニルの他、アクリル系、ウレタン系、ゴム系、シリコン系の粘着材が挙げられる。いずれの場合も高温で使用されるため、粘着材の動的弾性率としては、100℃での貯蔵弾性率G’が1.0×10Pa以上であることが望ましい。これより値が低いと、使用中に感熱記録層と印刷基材がずれてしまう可能性がある。
【0065】
粘着材の中に屈折率の異なる有機粒子や無機粒子などの透明粒子等を混ぜても良く、粘着材は両面テープ状のものでも良いし、単層のものでもよい。また、粘着材はあらかじめシート状に加工したものを用いても良いし、基材シートの所望部材に直接塗布しても良い。粘着材と隣接する面には、あらかじめコロナ処理を施しても良い。
【0066】
熱圧着の方法としては感熱記録層と保護層とが溶解する温度に設定した小型プレス機やスチームヒーター、オートクレーブ等を用いることが可能であり、印刷物と感熱記録層と保護層を積層した両面から均一に圧力をかけて熱圧着する。
【0067】
なお、本発明において、印刷パターン微細印刷線を構成する複数の微細印刷線の全部若しくは一部が、凸構造である必要はなく、凸構造としない場合には、凸版印刷で微細印刷線を印刷してもよい。
【0068】
なお、感熱記録層7、印刷基材2および染色層12は、シート状に限定されず、玩具などの立体物であっても良く、その立体物が有する表面に微細印刷線3が形成されていてもよい。
【0069】
以上のように、本実施形態の画像形成体1に設けた微細印刷線の表示は、予め設定した特定の配線パターンで配置し個人情報のレーザ照射部により個別性を生じさせることに好適であり、広告用の印刷物、玩具・容器包装などに意匠性を付与することが可能となる。
【0070】
凹版印刷による上述したような微細線印刷線では、凹部の深さに応じた0.2μm以上のインキの微小な盛り上がり(凸構造)を有する。インキの盛り上がりが0.2μm未満の場合にはインキが薄く色線としての役目を果たさない。この微細印刷線は、例えば、グラビアオフセット印刷法による凹版印刷で印刷することで形成することが可能である。
【0071】
以上説明したように、本実施形態に係る画像形成体1は、感熱記録層7にレーザ光を照射する前の状態では、表面からは視認不可能な線幅の赤緑青の印刷が羅列され全体としてそれらの色が混在した面として視認されるが、感熱記録層7にレーザ光を照射して黒色の画像情報を記録した状態では、顔や特定の画像をカラーで再現した画像形成体を作製することが可能となる。また、赤緑青の印刷が網点ではないため印刷線同士が重なることがなく、線同士の間隔を詰めて密に印刷することが可能となる。そのため、印刷方式を主体とした個人認証媒体において、感熱記録層7上に複数タイプの印刷パターンを形成し、隠蔽情報の発現による視覚効果を奏することもでき、改竄や偽造の防止に有効な画像形成体1を提供できる。
【0072】
また、複数の凹版を用いて赤色、緑色、青色インキにてアライメントを合わせて印刷部を形成することで、レーザ加工部により生じた遮蔽部による印刷部の発現割合に応じて色再現性に優れた特定の模様を視認できる画像形成体を形成できる。
【0073】
印刷層を1層とすることにより、複数層に跨り印刷層を形成する場合と異なり、積層時の位置ずれが生じにくく、レーザ加工時の位置ズレ補正も少なくて済む。
【0074】
また、従来構造のように、白色の層を内包することにより色を視認し易くするのではなく、透過光でも画像形成体1の色を視認し易くすることができる。模様の上層にホログラムや回折格子のようなOVD媒体を貼り合わせ、もしくは、積層することにより、2重の偽造防止効果を得ることが可能となる。
【0075】
本発明により、レリーフホログラムや回折格子の製造、複製の設備、複数の工程を要することなく、比較的低コストの印刷方式により、感熱記録層上に複数タイプの印刷パターンを形成し、隠蔽情報の発現での興味ある視覚効果を奏することができ、改竄や偽造の防止に有効な画像形成体1を実現できる。
【実施例0076】
(実施例1)
以下、実施例1を用いて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明を限定するものではない。実施例1として、図6に示した構成の画像形成体を作製した。
【0077】
厚さ50μmの透明のポリカーボネート(PC)フィルムを基材とした。赤、緑、青色のインキを用いて、ポリカーボネートフィルム表面に直線の画線が一定間隔で配置されるパターンを印刷し、長さ40mm、各線間距離10μm、画線幅が20μmのサンプル1、画線幅を40μmに変更したサンプル2、画線幅を60μmに変更したサンプル3を作製した。
【0078】
この際、サンプル1~3の各色画線の赤、緑、青のアライメントの最大誤差を5μm以下としてサンプル作製を行った。
【0079】
印刷を行ったポリカーボネートフィルムの上面に感熱記録層として、厚さ100μmのレーザ発色光用のポリカーボネート(PC)と保護用の厚さ100μmのポリカーボネートフィルムを配し、裏面側に保護用の厚さ100μmのポリカーボネートフィルムを配して積層後、140℃に加熱した熱プレス機で0.2tの圧力をかけながら熱圧着を行い、画像形成体1~3を得た。
【0080】
画像形成体1~3に対して、所定箇所にのみレーザを照射して、対応する箇所の感熱記録層を黒く焼成した。
【0081】
熱圧着およびレーザ焼成した印刷物の画像を確認したところ、色の濃度は線幅の減少により低下するが、線幅の最も細いサンプル1においても個人情報を構成する顔写真部分の色柄が、デジタルデータの色情報に近い状態で視認することできた。
【0082】
(実施例2)
厚さ130μmの透明のポリカーボネート(PC)フィルムを基材とした。赤、緑、青色のインキを用いて、ポリカーボネートフィルム表面に直線の画線が一定間隔で配置されるパターンを印刷し、長さ40mm、各線間距離10μm、画線幅が100μmのサンプル4、画線幅を150μmに変更したサンプル5、画線幅を200μmに変更したサンプル6を作製した。
【0083】
この際、サンプル4~6の各色画線の赤、緑、青のアライメントの最大誤差を5μm以下としてサンプル作製を行った。
【0084】
印刷を行ったポリカーボネートフィルムの上下面に、厚さ100μmの感熱記録層と保護用の厚さ100μmのポリカーボネートフィルムをそれぞれ積層し、140℃に加熱した熱プレス機で0.2tの圧力をかけながら熱圧着を行い印刷物4~6を得た。
【0085】
印刷物4~6に対して、所定箇所にのみレーザを照射して、対応する箇所の感熱記録層を黒く焼成した。
【0086】
熱圧着およびレーザ焼成した印刷物の画像を確認したところ、サンプル4においては個人情報を構成する顔写真部分の色柄がデジタルデータの色情報に近い状態で視認することできたが、サンプル5および6において、熱圧着時に印刷線が部分的に線幅の広がる箇所が発生し、レーザを照射した際の座標にズレが生じ感熱記録層により色が遮蔽できていない箇所が生じていた。そのため、個人情報を構成する顔写真部分の色柄が部分的に赤味若しくは青味が強く出ておりデジタルデータの色情報と異なる箇所が複数混在して発生した。
【0087】
(実施例3)
厚さ130μmの厚さを有した透明のポリカーボネート(PC)フィルムを基材とした。ポリカーボネートフィルム表面に直線の画線が一定間隔で配置されるパターンを印刷し、赤、緑、青色のインキを用い、長さ40mm、各線間距離10μm、画線幅が20μmのサンプル7、マゼンタ、イエロー、シアン色のインキを用い、同様に画線幅が20μmのサンプル8、インキの色種類を赤、青の2種に減らし、同様に画線幅が20μmのサンプル9を作製した。
【0088】
この際、サンプル7~9の各色画線のアライメント最大誤差を5μm以下としてサンプル作製を行った。
【0089】
印刷を行ったポリカーボネートフィルムの上下面に、厚さ100μmの感熱記録層と保護用の厚さ100μmのポリカーボネートフィルムをそれぞれ積層し、140℃に加熱した熱プレス機で0.2tの圧力をかけながら熱圧着を行い、印刷物7~9を得た。
【0090】
印刷物7~9に対して、所定箇所にのみレーザを照射して、対応する箇所の感熱記録層を黒く焼成した。
【0091】
熱圧着およびレーザ焼成した印刷物の画像を確認したところ、サンプル7は個人情報を構成する顔写真部分の色柄が、デジタルデータの色情報に近い状態で視認することできたが、サンプル8では、顔写真部分は認識できるものの、色が全体的に暗く人種間の特徴を示す色合いが明確ではない。また、サンプル9はカラー画像黄色部分の色補完ができずセピア調の顔写真画像となった。
【0092】
以上、本発明に係る実施例に基づいて実施の形態を説明したが、上記実施例に限定され
ることなく特許請求の範囲記載の技術思想の範囲内で、さらにいろいろな実施例があることはいうまでもない
【符号の説明】
【0093】
1:画像形成体
2:印刷基材
3:微細印刷線
7:感熱記録層
8:レーザ焼結部
9:保護層
10:レーザ光
11:積層体
12:染色層
図1
図2
図3
図4
図5
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図7
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図9