(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024105423
(43)【公開日】2024-08-06
(54)【発明の名称】フラン-2,5-ジカルボン酸パージプロセス
(51)【国際特許分類】
C07D 307/68 20060101AFI20240730BHJP
【FI】
C07D307/68
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024075188
(22)【出願日】2024-05-07
(62)【分割の表示】P 2022077927の分割
【原出願日】2015-05-06
(31)【優先権主張番号】14/317,588
(32)【優先日】2014-06-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】61/990,140
(32)【優先日】2014-05-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】594055158
【氏名又は名称】イーストマン ケミカル カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100168066
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 雄太
(72)【発明者】
【氏名】パーカー,ケニー・ランドルフ
(72)【発明者】
【氏名】ジャンカ,メスフィン・エジェルッサ
(72)【発明者】
【氏名】シャイフ,アシュファク・シャハナワズ
(72)【発明者】
【氏名】パーティン,リー・レイノルズ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】フラン-2,5-ジカルボン酸(FDCA)の粗カルボン酸生成物を製造する酸化プロセスを提供する。
【解決手段】方法は、少なくとも1種類の酸化性化合物を含む供給流を酸化して、フラン-2,5-ジカルボン酸(FDCA)及びその組成物を生成させることを含む。また、粗カルボン酸に対する種々の精製方法を用いることによって、乾燥精製カルボン酸生成物を製造する方法も提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)溶媒回収区域内において、5-HMF酸化プロセスにおいて生成する母液流を接触させて不純物に富む廃棄物流を形成し;そして
(b)不純物に富む廃棄物流の一部を触媒回収区域に送って触媒に富む流れを形成する;
ことを含む、触媒に富む流れを生成させる方法。
【請求項2】
不純物に富む廃棄物流の一部を固-液分離区域に送ってパージ母液流を形成することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
パージ母液流の一部を混合区域に送って抽出供給流を形成することを更に含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
抽出供給流を抽出区域に送ってラフィネート流及び抽出物流を形成することを更に含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
溶媒回収区域が少なくとも1つの蒸発器を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
不純物に富む流れが10%より高い固形分重量%を有するスラリーである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
不純物に富む廃棄物流が30%より高い固形分重量%を有するスラリーである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
不純物に富む廃棄物流が50%より高い固形分重量%を有するスラリーである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
溶媒回収区域が少なくとも2つの蒸発器を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
触媒に富む流れの少なくとも一部を酸化区域に送る、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
(a)5-HMF酸化プロセスにおいて生成する酸化装置母液流を溶媒回収区域内で接
触させて不純物に富む廃棄物流を形成し;
(b)不純物に富む廃棄物流の一部を固-液分離区域に送ってパージ母液流を形成する;
ことを含む、パージ母液流を生成させる方法。
【請求項12】
パージ母液流の一部を混合区域に送って抽出供給流を形成することを更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
抽出供給流及び抽出区域を送ってパージ流及び抽出物流を形成することを更に含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
溶媒回収区域が少なくとも1つの蒸発器を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
不純物に富む廃棄物流が10%より高い固形分重量%を有するスラリーである、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
不純物に富む廃棄物流が30%より高い固形分重量%を有するスラリーである、請求項
14に記載の方法。
【請求項17】
不純物に富む廃棄物流が50%より高い固形分重量%を有するスラリーである、、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
溶媒回収区域が少なくとも2つの蒸発器を含む、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2014年5月8日出願の米国仮特許出願61/990,140(その全ての開示事項を参照として本明細書中に包含する)の利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
テレフタル酸及びイソフタル酸のような芳香族ジカルボン酸、或いはそれらのジエステル、例えばジメチルテレフタレートは、種々のポリエステル製品(その重要な例はポリ(エチレンテレフタレート)及びそのコポリマーである)を製造するために用いられている。芳香族ジカルボン酸は、化石燃料から得られる対応するジアルキル芳香族化合物の接触酸化によって合成されている(US-2006/0205977A1)。過剰のアルコールを用いてこれらの二酸をエステル化することによって、対応するジエステルが生成する(US-2010/0210867A1)。主として化石燃料の埋蔵量の漸減及びそれらの関連する環境影響のために、化学産業のための供給材料として再生可能な源物質を用いることに対する興味が高まっている。
【0003】
フラン-2,5-ジカルボン酸(FDCA)は、テレフタル酸及びイソフタル酸に代わ
る有望な最も近接したバイオベースの代替物として考えられている多用途の中間体である。芳香族二酸と同様に、FDCAはエチレングリコールのようなジオールと縮合させて、ポリエチレンテレフタレート(PET)と同様のポリエステル樹脂を製造することができる(Gandini, A.; Silvestre, A.J.; Neto, C.P.; Sousa, A.F.; Gomes, M., J. Poly. Sci. A2009, 47, 295)。FCDAは、均一触媒を用いて空気下で5-(ヒドロキシメチル)フルフラール(5-HMF)を酸化することによって製造されている(US-2003/0055271A1、及びPartenheimer, W.; Grushin, V.V., Adv. Synth. Catal. 2001, 343, 102-111)が、Co/Mn/Br触媒系を用いて最大で44.8%の収率、及びCo/Mn/Br/Zrの触媒の組合せを用いて最大で60.9%の収率しか報告されていなかった。最近では、本発明者らは、炭素燃焼による溶媒及び出発材料の損失を最小にするCo/Mn/Br触媒系を用いる5-HMF又はその誘導体の液相酸化によって、フラン-2,5-ジカルボン酸(FDCA)を高収率で製造する方法を報告した(米国特許
出願13/228803、13/228809、13/228816、及び13/228799(参照として本明細書中に包含する))。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願2006/0205977号明細書
【特許文献2】米国特許出願2010/0210867号明細書
【特許文献3】米国特許出願2003/0055271号明細書
【特許文献4】米国特許出願13/228803
【特許文献5】米国特許出願13/228809
【特許文献6】米国特許出願13/228816
【特許文献7】米国特許出願13/228799
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Gandini, A.; Silvestre, A.J.; Neto, C.P.; Sousa, A.F.; Gomes, M., J. Poly. Sci. A2009, 47, 295
【非特許文献2】Partenheimer, W.; Grushin, V.V., Adv. Synth. Catal. 2001, 343, 102-111
【発明の概要】
【0006】
フラン-2,5-ジカルボン酸(FDCA)を製造するプロセスにおいて生成する溶媒
流から、酸化溶媒の一部、酸化触媒の一部を回収し、酸化副生成物及び原材料不純物の一部を除去する方法を開示する。本方法は、酸化区域内において、次の群:5-(ヒドロキシメチル)フルフラール(5-HMF)、5-HMFエステル(5-R(CO)OCH2-フルフラール(式中、R=アルキル、シクロアルキル、及びアリール))、5-HMFエーテル(5-R’OCH2-フルフラール(式中、R’=アルキル、シクロアルキル、及びアリール))、5-アルキルフルフラール(5-R”-フルフラール(式中、R”=アルキル、シクロアルキル、及びアリール))、5-HMFと5-HMFエステルの混合供給材料及び5-HMFと5-HMFエーテルの混合供給材料、並びに5-HMFと5-アルキルフルフラールの混合供給材料から選択される少なくとも1種類の酸化性化合物を含む供給材料を酸化して、フラン-2,5-ジカルボン酸(FDCA)を含む粗カルボン
酸スラリーを生成させ、冷却区域内において粗カルボン酸スラリーを冷却して、冷却された粗カルボン酸スラリーを生成させ、固-液分離区域内において冷却された粗カルボン酸スラリーから不純物を除去して、低不純物のカルボン酸流及び母液流を形成し、母液流の少なくとも一部を母液パージ区域に送って、再循環酸化溶媒流、触媒に富む再循環流、ラフィネート流、及び不純物に富む廃棄物流を生成させることを含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、乾燥カルボン酸410を製造するプロセスが与えられる本発明の異なる複数の態様を示す。
【
図2】
図2は、パージ流を生成させる本発明の一態様を示す。この図は、
図1における区域700の詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
下記は規定されている用語の排他的なリストであるとは意図しないことを理解すべきである。例えば文脈において規定されている用語を用いることを伴う際などにおいて、上記の記載において他の規定が与えられる可能性がある。
【0009】
本明細書において用いる「a」、「an」、及び「the」の用語は1以上を意味する。
本明細書において用いる「及び/又は」の用語は、2以上の事項のリストにおいて用いる場合には、リストされている事項の任意の1つを単独で用いることができ、或いはリストされている事項の2以上の任意の組合せを用いることができることを意味する。例えば、組成物が成分A、B、及び/又はCを含むと記載されている場合には、この組成物は、A単独;B単独;C単独;A及びBの組合せ;A及びCの組合せ;B及びCの組合せ;或いはA、B、及びCの組合せ;を含む可能性がある。
【0010】
本明細書において用いる「含む」、「含み」、及び「含んでいる」という用語は、その用語の前に示されている主語から、その用語の後に示されている1以上の要素へ移行するのに用いられる非限定的な移行語であり、この移行語の後にリストされている1つ又は複数の構成要素は、必ずしも主語を形成する唯一の構成要素ではない。
【0011】
本明細書において用いる「有する」、「有し」、及び「有している」という用語は、上記に規定した「含む」、「含み」、及び「含んでいる」と同じ非限定的な意味を有する。
本明細書において用いる「包含する」、「包含し」、及び「包含している」という用語は、上記に規定した「含む」、「含み」、及び「含んでいる」と同じ非限定的な意味を有する。
【0012】
本明細書においては、本発明に関連する幾つかのパラメーターの量を定めるために数値
範囲を用いる。数値範囲が与えられている場合には、かかる範囲は、その範囲のより低い値のみを示すクレームの限定、並びにその範囲のより高い値のみを示すクレームの限定に対する文言上のサポートを与えるものと解釈すべきである。例えば、10~100の開示されている数値範囲は、「10よりも大きい」(上限なし)を示すクレーム、並びに「100未満」(下限なし)を示すクレームに対する文言上のサポートを与える。
【0013】
本明細書においては、本発明に関連する幾つかのパラメーターの量を定めるために具体的な数値を用い、具体的な数値は明確に数値範囲の一部という訳ではない。本明細書において与えられているそれぞれの具体的な数値は、広い範囲、中間範囲、及び狭い範囲に対する文言上のサポートを与えるものと解釈すべきであることを理解すべきである。それぞれの具体的な数値に関連する広い範囲は、その数値±その数値の60%で、2の有効桁数に四捨五入したものである。それぞれの具体的な数値に関連する中間範囲は、その数値±その数値の30%で、2の有効桁数に四捨五入したものである。それぞれの具体的な数値に関連する狭い範囲は、その数値±その数値の15%で、2の有効桁数に四捨五入したものである。例えば、明細書において62°Fの具体的な温度が記載されている場合には、かかる記載は、25°F~99°F(62°F±37°F)の広い数値範囲、43°F~81°F(62°F±19°F)の中間的な数値範囲、及び53°F~71°F(62°F±9°F)の狭い数値範囲に対する文言上のサポートを与える。これらの広い数値範囲、中間的な数値範囲、及び狭い数値範囲は、具体的な数値のみに適用すべきではなく、これらの具体的な数値の間の差にも適用すべきである。而して、明細書において110psiaの第1の圧力及び48psiaの第2の圧力(62psiaの差)が記載されている場合には、これらの2つの流れの間の圧力差に関する広い範囲、中間範囲、及び狭い範囲は、それぞれ25~99psi、43~81psi、及び53~71psiになる。
【0014】
本発明の一態様を
図1及び2に示す。本発明は、フラン-2,5-ジカルボン酸(FD
CA)を製造するプロセスにおいて生成する溶媒流から、酸化溶媒の一部、酸化触媒の一部を回収し、酸化副生成物及び原材料不純物の一部を除去する方法を提供する。
【0015】
工程(a)は、酸化溶媒、触媒系、酸素を含む気体流、次の群:5-(ヒドロキシメチル)フルフラール(5-HMF)、5-HMFエステル(5-R(CO)OCH2-フルフラール(式中、R=アルキル、シクロアルキル、及びアリール))、5-HMFエーテル(5-R’OCH2-フルフラール(式中、R’=アルキル、シクロアルキル、及びアリール))、5-アルキルフルフラール(5-R”-フルフラール(式中、R”=アルキル、シクロアルキル、及びアリール))、5-HMFと5-HMFエステルの混合供給材料、5-HMFと5-HMFエーテルの混合供給材料、及び5-HMFと5-アルキルフルフラールの混合供給材料から選択される少なくとも1種類の化合物を含む酸化性原材料を酸化区域100に供給して、フラン-2,5-ジカルボン酸(FDCA)を含む粗カル
ボン酸スラリー110を生成させることを含む。
【0016】
好ましい酸化性原材料化合物に関する構造を下記に示す。
【0017】
【0018】
5-HMF供給材料を多工程反応で元素状O2によって酸化して、FDCAを、主要な中間体としての5-ホルミルフラン-2-カルボン酸(FFCA)と共に形成する(式1)。酸化性エステル及びアルデヒド部分を含む5-(アセトキシメチル)フルフラール(5-AMF)の酸化によって、FDCA、FFCA、及び酢酸が生成する(式2)。同様に、5-(エトキシメチル)フルフラール(5-EMF)の酸化によって、FDCA、FFCA、5-(エトキシカルボニル)フラン-2-カルボン酸(EFCA)、及び酢酸が生成する(式3)。
【0019】
【0020】
主酸化区域100に送られる流れは、酸素を含む気体流10、及び酸化溶媒を含む流れ30、並びに酸化性の原材料を含む流れ20を含む。他の態様においては、酸化区域100に送られる流れは、酸素を含む気体流10、並びに酸化溶媒、触媒、及び酸化性の原材料を含む流れ20を含む。更に他の態様においては、酸化溶媒、酸素を含む気体、触媒系、及び酸化性の原材料は、別々の個々の流れとして酸化区域100に供給することができ、或いは酸化区域100に導入する前に任意の組み合わせで混合することができ、この場合にはかかる供給流は単一の位置又は複数の位置において酸化装置区域100中に導入す
ることができる。
【0021】
好適な触媒系は、選択される酸化溶媒中に可溶である、コバルト、臭素、及びマンガン化合物(しかしながらこれらに限定されない)から選択される少なくとも1種類の化合物である。好ましい触媒系は、コバルト、マンガン、及び臭素を含み、反応混合物中におけるマンガンに対するコバルトの重量比は約10~約400であり、臭素に対するコバルトの重量比は約0.7~約3.5である。表1~3に示すデータは、上記に記載した触媒組成物を用い、5-HMF又はその誘導体を用いて非常に高い収率のFDCAを得ることができることを示している。
【0022】
好適な酸化溶媒としては、好ましくは2~6個の炭素原子を含む脂肪族モノカルボン酸、及びそれらの混合物、並びにこれらの化合物と水の混合物が挙げられるが、これらに限定されない。一態様においては、酸化溶媒は酢酸を含み、酸化溶媒中における酢酸の重量%は、50%より高く、75%より高く、85%より高く、90%より高い。他の態様においては、酸化溶媒は酢酸及び水を含み、酢酸と水との割合は、1:1より高く、6:1より高く、7:1より高く、8:1より高く、9:1より高い。
【0023】
酸化区域における温度は、100℃~220℃、又は100℃~200℃、又は130℃~180℃、或いは100℃~180℃の範囲であってよく、好ましくは110℃~160℃の範囲であってよい。他の態様においては、酸化区域における温度は105℃~140℃の範囲であってよい。
【0024】
開示する酸化条件の1つの有利性は、表1~3に示すように低い炭素燃焼である。酸化装置の排ガス流120は、酸化装置排ガス処理区域800に送って、不活性ガス流810、水を含む液体流820、及び凝縮した溶媒を含む回収酸化溶媒流830を生成させる。一態様においては、回収酸化溶媒流830の少なくとも一部を洗浄溶媒流320に送って、固-液分離区域内に存在する固形物を洗浄する目的で洗浄溶媒流320の一部にする。他の態様においては、不活性ガス流810は大気中に排気することができる。更に他の態様においては、不活性ガス流810の少なくとも一部を、容器を不活性化するプロセスにおいて不活性ガスとして用いることができ、及び/又はこのプロセスにおいて固形物のための移送ガスのために用いることができる。他の態様においては、流れ120中のエネルギーの少なくとも一部を、水蒸気又は電力の形態で回収する。
【0025】
本発明の他の態様においては、炭素燃焼による溶媒及び出発材料の損失を最小にする、液相酸化によってフラン-2,5-ジカルボン酸(FDCA)を高収率で製造する方法を提供する。この方法は、酸化区域100内において、酸化ガス流10、酸化溶媒流20、及び少なくとも1種類の触媒系の存在下で、酸化性原材料流30中の少なくとも1種類の酸化性化合物を酸化することを含み;酸化性化合物は5-(ヒドロキシメチル)フルフラール(5-HMF)であり;溶媒流は、水の存在下又は非存在下で酢酸を含み;触媒系は
、コバルト、マンガン、及び臭素を含み、反応混合物中におけるマンガンに対するコバルトの重量比は約10~約400である。この方法においては、温度は、約100℃~約220℃、約105℃~約180℃、約110℃~約160℃の範囲であってよい。反応媒体中の液体の総重量に対して、触媒系のコバルト濃度は約1000ppm~約6000ppmの範囲であってよく、マンガンの量は約2ppm~約600ppmの範囲であってよく、臭素の量は約300ppm~約4500ppmの範囲であってよい。
【0026】
工程(b)は、FDCAを含む粗カルボン酸スラリー110を冷却区域200に送って、冷却された粗カルボン酸スラリー流210、及び酸化溶媒蒸気を含む第1の蒸気流220を生成させることを含む。粗カルボン酸スラリー流110の冷却は、当該技術において公知の任意の手段によって行うことができる。通常は、冷却区域200はフラッシュタン
クを含む。他の態様においては、粗カルボン酸スラリー流110の100%以下の部分を固-液分離区域300に直接送り、したがって100%以下のかかる部分は冷却区域200内における冷却にはかけない。流れ210の温度は、35℃~210℃、55℃~120℃、好ましくは75℃~95℃の範囲であってよい。
【0027】
工程(c)は、固-液分離区域300内において、冷却された粗カルボン酸スラリー流210内に存在する固形物を単離、洗浄、及び脱水して、FDCAを含む粗カルボン酸湿潤ケーキ流310を生成させることを含む。これらの機能は、単一の固-液分離装置又は複数の固-液分離装置内で行うことができる。固-液分離区域は、固形物と液体を分離し、固形物を洗浄溶媒流320で洗浄して、洗浄された固形物中の湿分(%)を、30重量%未満、20重量%未満、15重量%未満、好ましくは10重量%未満に減少させることができる少なくとも1つの固-液分離装置を含む。
【0028】
固-液分離区域のために好適な装置は、通常は、次のタイプの装置:遠心分離機、サイクロン、回転ドラムフィルター、ベルトフィルター、プレッシャーリーフフィルター、キャンドルフィルターなどの少なくとも1つであってよい。固-液分離区域のために好ましい固-液分離装置は回転圧力ドラムフィルターである。
【0029】
固-液分離区域300に送られる冷却された粗カルボン酸スラリー流210の温度は、35℃~210℃、55℃~120℃の範囲であってよく、好ましくは75℃~95℃である。洗浄溶媒流320は、固形物から母液を置換及び洗浄するのに好適な液体を含む。一態様においては、好適な洗浄溶媒は酢酸を含む。他の態様においては、好適な洗浄溶媒は酢酸及び水を含む。更に他の態様においては、好適な洗浄溶媒は水を含み、100%水であってよい。洗浄溶媒の温度は、20℃~160℃、40℃~110℃、好ましくは50℃~90℃の範囲であってよい。
【0030】
用いる洗浄溶媒の量は洗浄剤比として規定され、これはバッチ又は連続ベースで洗浄剤の質量を固形物の質量で割った値に等しい。洗浄剤比は、約0.3~約5、約0.4~約4、好ましくは約0.5~3の範囲であってよい。固-液分離区域内において固形物を洗浄した後、それらを脱水する。脱水は、固形物と共に存在する湿分の質量を30重量%未満、25重量%未満、20重量%未満、最も好ましくは15重量%未満に減少させて、FDCAを含む粗カルボン酸湿潤ケーキ流310を生成させることを伴う。
【0031】
一態様においては、脱水は、フィルター内において、固形物を洗浄溶媒で洗浄した後に気体を含む流れを固形物に通して自由液体を置換することによって行う。一態様においては、固-液分離区域300内の湿潤ケーキ固形物の脱水は、区域300内において湿潤ケーキ固形物を洗浄する前及び洗浄した後に実施して、洗浄液流340中に存在する酸化装置溶媒の量を最小にすることができる。他の態様においては、脱水は、穿孔ボウル式又はデカンタ式遠心分離機内で遠心力によって行う。
【0032】
固-液分離区域300内で生成する母液流330は、酸化溶媒、触媒、及び不純物を含む。固-液分離区域300内において、粗カルボン酸スラリー110中に存在する母液の5重量%~95重量%、30重量%~90重量%、最も好ましくは40重量%~80重量%を単離して母液流330を生成させて、母液流330中に存在する不純物を含む溶解物質がプロセス内において前方に送られないようにする。
【0033】
一態様においては、母液流330の一部を母液パージ区域700に送り、この部分は少なくとも5重量%、少なくとも25重量%、少なくとも45重量%、少なくとも55重量%、少なくとも75重量%、又は少なくとも90重量%である。他の態様においては、母液流330の少なくとも一部を酸化区域100に戻し、この部分は少なくとも5重量%で
ある。更に他の態様においては、母液流330の少なくとも一部を母液パージ区域700及び酸化区域100に送り、この部分は少なくとも5重量%である。一態様においては、母液パージ区域700は、蒸発によって流れ330から酸化溶媒を分離する蒸発工程を含む。固形物は、約5重量%~約0.5重量%の範囲で母液流330中に存在していてよい。更に他の態様においては、母液パージ区域に送られる母液流330の任意の部分をまず固-液分離装置にかけて、流れ330中に存在する固形分を1重量%未満、0.5重量%未満、0.3重量%未満、又は0.1重量%未満に制御する。好適な固-液分離装置は、ディスク型遠心分離機、及びバッチ式圧力濾過固-液分離装置を含む。この用途のために好ましい固-液分離装置はバッチ式キャンドルフィルターを含む。
【0034】
固-液分離区域300において洗浄液体流340が生成し、これは流れ210中に存在する母液の一部及び洗浄溶媒を含み、洗浄溶媒の質量に対する母液の質量の比は3未満、好ましくは2未満である。一態様においては、洗浄液体流340の少なくとも一部を酸化区域100に送り、この部分は少なくとも5重量%である。一態様においては、洗浄液体流の少なくとも一部を母液パージ区域700に送り、この部分は少なくとも5重量%である。他の態様においては、洗浄液体流340の少なくとも一部を酸化区域100及び母液パージ区域700に送り、この部分は少なくとも5重量%である。
【0035】
他の態様においては、100重量%以下の粗カルボン酸スラリー流110の少なくとも一部を固-液分離区域300に直接送り、したがってこの部分は冷却区域200を迂回する。この態様においては、固-液分離区域300への供給流は、粗カルボン酸スラリー流110の少なくとも一部及び洗浄溶媒流320を含み、FDCAを含む粗カルボン酸湿潤ケーキ流310を生成させる。固-液分離区域300内において、供給スラリー中の固形物を単離、洗浄、及び脱水する。これらの機能は、単一の固-液分離装置又は複数の固-液分離装置内で行うことができる。固-液分離区域は、固形物と液体を分離し、固形物を洗浄溶媒流320で洗浄し、洗浄した固形物中の湿分(%)を30重量%未満、20重量%未満、15重量%未満、好ましくは10重量%未満に減少させることができる少なくとも1つの固-液分離装置を含む。固-液分離区域のために好適な装置は、通常は次のタイプの装置:遠心分離機、サイクロン、回転ドラムフィルター、ベルトフィルター、プレッシャーリーフフィルター、キャンドルフィルターなどの少なくとも1つであってよい。固-液分離区域300のために好ましい固-液分離装置は連続回転圧力ドラムフィルターである。固-液分離区域300に送られる粗カルボン酸スラリー流の温度は、40℃~210℃、60℃~170℃の範囲であってよく、好ましくは80℃~160℃である。洗浄剤流320は、固形物から母液を置換及び洗浄するのに好適な液体を含む。一態様においては、好適な洗浄溶媒は酢酸及び水を含む。他の態様においては、好適な洗浄溶媒は100%以下の水である水を含む。洗浄溶媒の温度は、20℃~180℃、40℃~150℃、好ましくは50℃~130℃の範囲であってよい。用いる洗浄溶媒の量は洗浄剤比として規定され、これはバッチ又は連続ベースで洗浄剤の質量を固形物の質量で割った値に等しい。洗浄剤比は、約0.3~約5、約0.4~約4、好ましくは約0.5~3の範囲であってよい。
【0036】
固-液分離区域内において固形物を洗浄した後、それらを脱水する。脱水は、固形物と共に存在する湿分の質量を30重量%未満、25重量%未満、20重量%未満、最も好ましくは15重量%未満に減少させて、粗カルボン酸湿潤ケーキ流310を生成させることを伴う。一態様においては、脱水は、フィルター内において、固形物を洗浄溶媒で洗浄した後に、気体流を固形物に通して自由液体を置換することによって行う。他の態様においては、固-液分離区域300内の湿潤ケーキの脱水は、当該技術において公知の任意の方法によって、区域300内において固形物を洗浄する前及び洗浄した後に実施して、洗浄剤母液流340中に存在する酸化装置溶媒の量を最小にすることができる。更に他の態様においては、脱水は、穿孔ボウル式又はデカンタ式遠心分離機内で遠心力によって行う。
【0037】
固-液分離区域300内で生成する母液流330は、酸化溶媒、触媒、及び不純物を含む。固-液分離区域300内において、粗カルボン酸スラリー110中に存在する母液の5重量%~95重量%、30重量%~90重量%、最も好ましくは40重量%~80重量%を単離して母液流330を生成させて、母液流330中に存在する不純物を含む溶解物質がプロセス内において前方に送られないようにする。一態様においては、母液流330の一部を母液パージ区域700に送り、この部分は少なくとも5重量%、少なくとも25重量%、少なくとも45重量%、少なくとも55重量%、少なくとも75重量%、又は少なくとも90重量%である。他の態様においては、少なくとも一部を酸化区域100に戻し、この部分は少なくとも5重量%である。更に他の態様においては、母液流330の少なくとも一部を母液パージ区域及び酸化区域100に送り、この部分は少なくとも5重量%である。一態様においては、母液パージ区域700は、蒸発によって流れ330から酸化溶媒を分離する蒸発工程を含む。
【0038】
固-液分離区域300において洗浄液体流340が生成し、これは流れ210中に存在する母液の一部及び洗浄溶媒を含み、洗浄溶媒の質量に対する母液の質量の比は3未満、好ましくは2未満である。一態様においては、洗浄液体流340の少なくとも一部を酸化区域100に送り、この部分は少なくとも5重量%である。一態様においては、洗浄液体流340の少なくとも一部を母液パージ区域700に送り、この部分は少なくとも5重量%である。他の態様においては、洗浄液体流の少なくとも一部を酸化区域100及び母液パージ区域700に送り、この部分は少なくとも5重量%である。
【0039】
母液流330は、酸化溶媒、触媒、可溶性の中間体、及び可溶性の不純物を含む。母液流330中に存在する触媒及び酸化溶媒の少なくとも一部を直接又は間接的に酸化区域100に再循環して戻すことが望ましく、この部分は少なくとも5重量%、少なくとも25重量%、少なくとも45重量%、少なくとも65重量%、少なくとも85重量%、又は少なくとも95重量%である。母液流330中に存在する触媒及び酸化溶媒の少なくとも一部を直接再循環することは、流れ330の一部を酸化装置区域100に直接送ることを含む。母液流330中に存在する触媒及び酸化溶媒の少なくとも一部を酸化区域100に間接的に再循環することは、流れ330の少なくとも一部を少なくとも1つの中間区域に送って、流れ330を処理して、酸化溶媒及び/又は触媒を含む1つ又は複数の流れを生成させて、これを酸化区域100に送ることを含む。
【0040】
工程(d)は、母液パージ区域700内において、母液流330の成分をプロセスに再循環するために分離し、一方で不純物を含む成分を再循環しないように単離することを含む。流れ330中の不純物は、1以上の供給源を由来とする可能性がある。本発明の一態様においては、流れ330中の不純物は、不純物を含む流れを酸化区域100に供給することによってプロセス中に導入される不純物を含む。母液不純物は、次の群:約5ppm~800ppm、20ppm~約1500ppm、100ppm~約5000ppm、150ppm~約2.0重量%の範囲の量の2,5-ジホルミルフラン;約5ppm~約800ppm、20ppm~約1500ppm、100ppm~約5000ppm、150ppm~約2.0重量%の範囲の量のレブリン酸;約5ppm~約800ppm、20ppm~約1500ppm、100ppm~約5000ppm、150ppm~約2.0重量%の範囲の量のコハク酸;約5ppm~約800ppm、20ppm~約1500ppm、100ppm~約5000ppm、150ppm~約2.0重量%の範囲の量のアセトキシ酢酸;から選択される少なくとも1種類の不純物を含む。
【0041】
不純物は、酸化区域100の適切な運転のために必要ない任意の分子として定義される。例えば、酸化溶媒、触媒系、酸素を含む気体、並びに次の群:5-(ヒドロキシメチル)フルフラール(5-HMF)、5-HMFエステル(5-R(CO)OCH2-フルフ
ラール(式中、R=アルキル、シクロアルキル、及びアリール))、5-HMFエーテル(5-R’OCH2-フルフラール(式中、R’=アルキル、シクロアルキル、及びアリール))、5-アルキルフルフラール(5-R”-フルフラール(式中、R”=アルキル、シクロアルキル、及びアリール))、5-HMFと5-HMFエステルの混合供給材料、5-HMFと5-HMFエーテルの混合供給材料、及び5-HMFと5-アルキルフルフラールの混合供給材料から選択される少なくとも1種類の化合物を含む酸化性の原材料は、酸化区域100の適切な運転のために必要な分子であり、不純物とはみなされない。また、酸化区域100において形成され、所望の生成物に至る化学反応を導くか又はそれに関与する化学中間体も不純物とはみなされない。所望の生成物を導かない酸化副生成物は不純物として定義される。不純物は、酸化区域100に送られる再循環流によるか、或いは酸化区域100に供給される不純原材料流によって酸化区域100に導入される可能性がある。
【0042】
一態様においては、酸化装置母液流330からの不純物の一部を単離して、それらをパージ流751としてプロセスからパージ又は除去することが望ましい。本発明の一態様においては、固-液分離区域300において生成する母液流330の5~100重量%を母液パージ区域700に送り、流れ330中に存在する不純物の一部を単離してパージ流751としてプロセスから排出する。母液パージ区域700に送る流れ330の部分は、5重量%以上、25重量%以上、45重量%以上、65重量%以上、85重量%以上、又は95重量%以上であってよい。再循環酸化溶媒流711は、流れ330から単離された酸化溶媒を含み、プロセスに再循環することができる。ラフィネート流742は、流れ330から単離された酸化触媒を含み、場合によってはプロセスに再循環することができる。一態様においては、ラフィネート流742は酸化区域100に再循環し、これは流れ330中で母液パージ区域700に導入される触媒の30重量%より多く、50重量%より多く、80重量%より多く、又は90重量%より多くを含む。他の態様においては、母液流330の少なくとも一部は、まず母液パージ区域700内で処理することなく酸化区域100に直接送る。一態様においては、母液パージ区域700は、蒸発によって流れ330から酸化溶媒を分離する蒸発工程を含む。
【0043】
母液パージ区域700の一態様は、酸化装置母液流330の少なくとも一部を溶媒回収区域710に送って、酸化溶媒を含む再循環酸化溶媒流711、並びに酸化副生成物及び触媒を含む不純物に富む廃棄物流712を生成させることを含む。流れ330から揮発性溶媒を分離することができる当該技術において公知の任意の技術を用いることができる。好適な単位操作の例としては、大気圧より高い圧力、大気圧、又は真空下で運転するバッチ及び連続蒸発装置が挙げられるが、これらに限定されない。単一又は複数の蒸発工程を用いることができる。本発明の一態様においては、10重量%、20重量%、30重量%、40重量%、又は50重量%より多い固形分の重量%を有するスラリーとして流れ712が存在するようにするのに十分な酸化溶媒を流れ330から蒸発させる。不純物に富む流れ712の少なくとも一部を触媒回収区域760に送って、触媒に富む流れ761を生成させることができる。触媒回収区域760のために好適な単位操作の例としては、流れを焼却又は燃焼させて流れ761中の非燃焼性金属触媒を回収することが挙げられるが、これに限定されない。
【0044】
母液パージ区域700の他の態様は、母液流330の少なくとも一部を溶媒回収区域710に送って、酸化溶媒を含む再循環酸化溶媒流711、並びに酸化副生成物及び触媒を含む不純物に富む廃棄物流712を生成させることを含む。流れ330から揮発性溶媒を分離することができる当該技術において公知の任意の技術を用いることができる。好適な単位操作の例としては、大気圧より高い圧力、大気圧、又は真空下で運転するバッチ及び連続蒸発装置が挙げられるが、これらに限定されない。単一又は複数の蒸発工程を用いることができる。5重量%、10重量%、20重量%、及び30重量%より多い固形分の重
量%を有するスラリーとして不純物に富む廃棄物流712が存在するようにするのに十分な酸化溶媒を流れ330から蒸発させる。不純物に富む廃棄物流712の少なくとも一部を固-液分離区域720に送って、パージ母液流723、及び不純物を含む湿潤ケーキ流722を生成させる。本発明の他の態様においては、流れ712の全部を固-液分離区域720に送る。流れ722は、廃棄物流としてプロセスから取り出すことができる。洗浄剤流721も固-液分離区域720に送って、洗浄液が流れ723中に存在するようにすることができる。区域720は区域300とは別の異なる区域であることを留意すべきである。
【0045】
スラリーから固形物を分離することができる当該技術において公知の任意の技術を用いることができる。好適な単位操作の例としては、バッチ式又は連続式フィルター、バッチ式又は連続式遠心分離機、フィルタープレス、真空ベルトフィルター、真空ドラムフィルター、連続式圧力ドラムフィルター、キャンドルフィルター、リーフフィルター、ディスク型遠心分離機、デカンター型遠心分離機、バスケット型遠心分離機などが挙げられるが、これらに限定されない。連続式圧力ドラムフィルターが、固-液分離区域720のために好ましい装置である。
【0046】
触媒及び不純物を含むパージ母液流723及び触媒溶媒を含む流れ731を混合区域731に送って、十分な混合を行って抽出供給流732を生成させる。一態様においては、流れ731は水を含む。混合は、少なくとも30秒間、5分間、15分間、30分間、又は1時間行う。インライン静的ミキサー、連続撹拌タンク、ミキサー、高剪断インラインメカニカルミキサーなどの当該技術において公知の任意の技術を、この混合操作のために用いることができる。
【0047】
抽出供給流732、再循環抽出溶媒流752、及び新しい抽出溶媒流753を液-液抽出区域740に送って、不純物及び抽出溶媒を含む抽出物流741、並びに触媒溶媒及び酸化触媒を含むラフィネート流742(これは、酸化区域100に直接又は間接的に再循環することができる)を生成させる。液-液抽出区域740は、単一又は複数の抽出ユニットで達成することができる。抽出ユニットはバッチ式又は連続式であってよい。抽出区域740のために好適な装置の例としては、複数の単一段階抽出ユニットが挙げられる。抽出区域740のために好適な装置の他の例は、単一の多段階液-液連続抽出カラムである。抽出物流741は蒸留区域750に送って、そこで蒸発及び凝縮によって抽出溶媒を単離して、再循環抽出溶媒流752を生成させる。またパージ流751も生成し、これは廃棄物パージ流としてプロセスから取り出すことができる。蒸留区域750においては、バッチ式又は連続式の蒸留を用いることができる。
【0048】
他の態様においては、母液パージ区域700に供給する酸化装置母液流330の供給源は、酸化溶媒、酸化触媒、及びフラン-2,5-ジカルボン酸(FDCA)を製造するプロセスにおいて生成する不純物を含む任意の母液流を起源とすることができる。例えば、流れ110からFDCA酸化溶媒の少なくとも一部を単離する酸化区域100の下流の溶媒交換区域を、流れ330の供給源とすることができる。溶媒交換区域のために好適な装置は、遠心分離機及びフィルターなどの固-液分離装置を含む。溶媒交換のために好適な装置の例としては、分離板型遠心分離機、又は連続式圧力ドラムフィルターが挙げられるが、これらに限定されない。
【実施例0049】
本発明はその幾つかの態様の以下の実施例によって更に示すことができるが、これらの実施例は単に例示目的のために含ませるものであり、他に具体的に示していない限りにおいて発明の範囲を限定することは意図しないことが理解される。
【0050】
酢酸溶媒中において、コバルト、マンガン、及びイオン性臭素の触媒系を用いて5-HMF/5-AMF/5-EMFの空気酸化を行った。反応後、不均一混合物を濾過して粗FDCAを単離した。粗FDCAを、酢酸で2回、次にDI水で2回洗浄した。洗浄した粗FDCAを、真空下、110℃において一晩オーブン乾燥した。BSTFA誘導体化法を用いて、ガスクロマトグラフィーによって固形物及び濾液を分析した。Hunter Ultrascan XE装置を用いて固形物のb*を測定した。表1~3に示されるように、本発明者らは
、89.4%までのFDCAの収率、6<のb*、及び低い炭素燃焼(<0.00072モル/分;CO+CO2)を生成する条件を見出した。
【0051】
【0052】
【0053】
【0054】
上記に記載した本発明の好ましい形態は例示のみとして用いるべきものであり、本発明の範囲の解釈を限定する意味で用いるべきではない。上記に示した代表的な態様に対する修正は、本発明の精神から逸脱することなく当業者によって容易に行うことができる。
【0055】
本発明者らは、均等論によって本発明の合理的に正当な範囲を決定及び利用する意図を
ここに明言する。これは、以下の特許請求の範囲に示す本発明の文言上の範囲から実質的には逸脱しないがその外側である任意の装置に関係するためである。
本発明者らは、均等論によって本発明の合理的に正当な範囲を決定及び利用する意図をここに明言する。これは、以下の特許請求の範囲に示す本発明の文言上の範囲から実質的には逸脱しないがその外側である任意の装置に関係するためである。
本発明は以下の実施態様を含む。
(1)(a)溶媒回収区域内において、5-HMF酸化プロセスにおいて生成する母液流を接触させて不純物に富む廃棄物流を形成し;そして
(b)不純物に富む廃棄物流の一部を触媒回収区域に送って触媒に富む流れを形成する;
ことを含む、触媒に富む流れを生成させる方法。
(2)不純物に富む廃棄物流の一部を固-液分離区域に送ってパージ母液流を形成することを更に含む、(1)に記載の方法。
(3)パージ母液流の一部を混合区域に送って抽出供給流を形成することを更に含む、(2)に記載の方法。
(4)抽出供給流を抽出区域に送ってラフィネート流及び抽出物流を形成することを更に含む、(3)に記載の方法。
(5)溶媒回収区域が少なくとも1つの蒸発器を含む、(4)に記載の方法。
(6)不純物に富む流れが10%より高い固形分重量%を有するスラリーである、(5)に記載の方法。
(7)不純物に富む廃棄物流が30%より高い固形分重量%を有するスラリーである、(6)に記載の方法。
(8)不純物に富む廃棄物流が50%より高い固形分重量%を有するスラリーである、(7)に記載の方法。
(9)溶媒回収区域が少なくとも2つの蒸発器を含む、(8)に記載の方法。
(10)触媒に富む流れの少なくとも一部を酸化区域に送る、(9)に記載の方法。
(11)(a)5-HMF酸化プロセスにおいて生成する酸化装置母液流を溶媒回収区域内で接触させて不純物に富む廃棄物流を形成し;
(b)不純物に富む廃棄物流の一部を固-液分離区域に送ってパージ母液流を形成する;
ことを含む、パージ母液流を生成させる方法。
(12)パージ母液流の一部を混合区域に送って抽出供給流を形成することを更に含む、(11)に記載の方法。
(13)抽出供給流及び抽出区域を送ってパージ流及び抽出物流を形成することを更に含む、(12)に記載の方法。
(14)溶媒回収区域が少なくとも1つの蒸発器を含む、(13)に記載の方法。
(15)不純物に富む廃棄物流が10%より高い固形分重量%を有するスラリーである、(14)に記載の方法。
(16)不純物に富む廃棄物流が30%より高い固形分重量%を有するスラリーである、(14)に記載の方法。
(17)不純物に富む廃棄物流が50%より高い固形分重量%を有するスラリーである、(14)に記載の方法。
(18)溶媒回収区域が少なくとも2つの蒸発器を含む、(13)に記載の方法。