(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024105444
(43)【公開日】2024-08-06
(54)【発明の名称】治療剤の制御放出用組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 47/42 20170101AFI20240730BHJP
A61K 31/445 20060101ALI20240730BHJP
A61K 31/7088 20060101ALI20240730BHJP
A61K 38/02 20060101ALI20240730BHJP
A61K 38/26 20060101ALI20240730BHJP
A61K 38/28 20060101ALI20240730BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20240730BHJP
A61P 3/10 20060101ALI20240730BHJP
A61P 9/12 20060101ALI20240730BHJP
A61P 11/06 20060101ALI20240730BHJP
A61P 23/00 20060101ALI20240730BHJP
A61P 25/04 20060101ALI20240730BHJP
A61P 25/22 20060101ALI20240730BHJP
A61P 25/24 20060101ALI20240730BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20240730BHJP
A61P 31/04 20060101ALI20240730BHJP
A61P 31/10 20060101ALI20240730BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240730BHJP
A61P 37/04 20060101ALI20240730BHJP
A61P 37/06 20060101ALI20240730BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20240730BHJP
C07K 7/06 20060101ALI20240730BHJP
C07K 7/08 20060101ALI20240730BHJP
【FI】
A61K47/42
A61K31/445 ZNA
A61K31/7088
A61K38/02
A61K38/26
A61K38/28
A61K45/00
A61P3/10
A61P9/12
A61P11/06
A61P23/00
A61P25/04
A61P25/22
A61P25/24
A61P29/00
A61P31/04
A61P31/10
A61P35/00
A61P37/04
A61P37/06
A61K39/395 D
A61K39/395 N
C07K7/06
C07K7/08
A61K31/445
A61K47/42 ZNA
【審査請求】有
【請求項の数】17
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024075736
(22)【出願日】2024-05-08
(62)【分割の表示】P 2021504136の分割
【原出願日】2019-04-05
(31)【優先権主張番号】62/653,951
(32)【優先日】2018-04-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】520387025
【氏名又は名称】アンマ セラピューティクス インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】AMMA THERAPEUTICS, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(72)【発明者】
【氏名】マイケル エム セカール
(72)【発明者】
【氏名】マニシュ シングハル
(57)【要約】 (修正有)
【課題】新規ペプチドおよび薬学的に活性な化合物の制御放出におけるそれらの使用方法を提供する。
【解決手段】i)log P値が4未満の薬学的に活性な化合物、および
ii)式I’のペプチド:B’-U’-B-U-W-U’-W’・・・式I’
を含む組成物であって、式中、B、B’、WおよびW’のそれぞれが独立して、少なくとも酸性アミノ酸を75%または塩基性アミノ酸を75%含むペプチドであるが、ただし、Bが酸性アミノ酸を少なくとも75%有するペプチドである場合、Wは塩基性アミノ酸を少なくとも75%有するペプチドであるか、またはその逆であり、UおよびU’のそれぞれが独立して中性アミノ酸を含むペプチドであり、B、UおよびWのそれぞれが独立して2~9個のアミノ酸を含み、ただし、前記式I’のペプチドは約9~21個のアミノ酸を含む、組成物とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
i)log P値が4未満の薬学的に活性な化合物、および
ii)式I’のペプチド:
B’-U’-B-U-W-U’-W’
I’
を含む組成物であって、
式中、
B、B’、WおよびW’のそれぞれが独立して、少なくとも酸性アミノ酸を75%ま
たは塩基性アミノ酸を75%含むペプチドであるが、ただし、Bが酸性アミノ酸を少なく
とも75%有するペプチドである場合、Wは塩基性アミノ酸を少なくとも75%有するペ
プチドであるか、またはその逆であり、
UおよびU’のそれぞれが独立して中性アミノ酸を含むペプチドであり、
B、UおよびWのそれぞれが独立して2~9個のアミノ酸を含み、
B’、U’、およびW’のそれぞれが独立して2~9個のアミノ酸を含むか、または
隣接するU’およびW’が存在しないか、または隣接するB’およびU’が存在しないか
、またはB’、U’およびW’の全てが存在せず、ただし、前記式I’のペプチドは約9
~21個のアミノ酸を含む、組成物。
【請求項2】
i)log P値が4未満の薬学的に活性な化合物、および
ii)式Iのペプチド:
B-U-W
I
を含む組成物であって、
式中、
BおよびWのそれぞれが独立して、少なくとも酸性アミノ酸を75%または塩基性ア
ミノ酸を75%含むペプチドであり、ただし、Bが酸性アミノ酸を少なくとも75%を有
するペプチドである場合、Wは塩基性アミノ酸を少なくとも75%を有するペプチドであ
るか、またはその逆であり、
Uは中性アミノ酸を含むペプチドであり、
B、UおよびWのそれぞれが独立して2~9個のアミノ酸を含むが、ただし、前記式
Iのペプチドが約9~21個のアミノ酸を含む、組成物。
【請求項3】
溶媒をさらに含む、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
前記溶媒がテトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドまたは
アセトニトリルである、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記酸性アミノ酸が独立して、アスパラギン酸またはグルタミン酸から選択される、請
求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記塩基性アミノ酸が独立して、リジン、アルギニン、またはヒスチジンから選択され
る、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記中性アミノ酸が独立して、トリプトファン、フェニルアラニン、グリシン、アラニ
ン、バリン、イソロイシン、ロイシン、セリン、スレオニン、チロシン、アスパラギン、
グルタミンおよびプロリンから選択される、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物
。
【請求項8】
Bが酸性アミノ酸を少なくとも25%および残りは中性アミノ酸を含み、Wが塩基性ア
ミノ酸を少なくとも75%および残りは中性アミノ酸を含むか、またはその逆である、請
求項1~7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
Bが酸性アミノ酸を100%含み、Wが塩基性アミノ酸を100%含むか、またはその
逆である、請求項1~8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
B、UおよびWのそれぞれが独立して2~9個のアミノ酸を含む、請求項1~9のいず
れか一項に記載の組成物。
【請求項11】
BおよびWのそれぞれが同数(それぞれ3つ)のアミノ酸を含む、請求項1~10のい
ずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
B、UおよびWのそれぞれが同数(それぞれ3つ)のアミノ酸を含む、請求項1~11
のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
前記式I’またはIのペプチドが、RRRRRRLLLAAAEEE、RRRRRRL
LLAAAEEE、KKKKKKLLLAAAEEE、RRRRRLLLAAAEE、R
RRLLLEEE、RRRRRLLLEEEEE、RRRRRLLLLLEEEEE、R
RRRRRRLLLLLLLEEEEEEE、EEEEELLLLLRRRRR、RRR
LLLEEELLLRRR、またはRRRRRLLLLLDDDDDである、請求項1~
12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
前記薬学的に活性な化合物が、鎮痛剤、麻酔剤、抗喘息剤、抗生物質、抗うつ剤、抗糖
尿病剤、抗真菌剤、降圧剤、抗炎症剤、抗腫瘍剤、抗不安剤、免疫刺激剤または免疫抑制
剤である、請求項1~13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
前記薬学的に活性な化合物が抗糖尿病剤である、請求項1~14のいずれか一項に記載
の組成物。
【請求項16】
前記薬学的に活性な化合物が小分子である、請求項1~15のいずれか一項に記載の組
成物。
【請求項17】
前記薬学的に活性な化合物が、抗体、ペプチド、ナノボディ、抗体フラグメント、FA
Bフラグメント、アフィボディ、タンパク質、ヌクレオチドおよびトリネクチン誘導体か
ら選択される大分子である、請求項1~16のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項18】
前記大分子がタンパク質またはヌクレオチドである、請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
約1:0.1~約1:1である前記薬学的に活性な化合物の式IまたはI’の化合物に
対する重量比を有する、請求項1~18のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項20】
前記薬学的に活性な化合物の前記式IまたはI’の化合物に対する前記重量比が約1:
2~約1:20である、請求項19に記載の組成物。
【請求項21】
前記薬学的に活性な化合物の前記式IまたはI’の化合物に対する前記重量比が約1:
11~約1:100である、請求項20に記載の組成物。
【請求項22】
前記式IまたはI’の化合物が、前記薬学的に活性な化合物の周りで自己組織化する、
請求項21に記載の組成物。
【請求項23】
前記式IまたはI’の化合物が、分子内および/または分子間スタッキングを介して、
前記薬学的に活性な化合物の周りで自己組織化する、請求項22に記載の組成物。
【請求項24】
i)log P値が4未満の薬学的に活性な化合物、および
ii)式RRRRRLLLLLEEEEEのペプチドを含む、組成物。
【請求項25】
前記薬学的に活性な化合物が小分子である、請求項24に記載の組成物。
【請求項26】
前記薬学的に活性な化合物がリラグルチド、インスリンまたはロピバカイン代謝物であ
る、請求項25に記載の組成物。
【請求項27】
前記薬学的に活性な化合物の前記ペプチドに対する重量比が約1:0.1~約1:1の
範囲である、請求項26に記載の組成物。
【請求項28】
前記薬学的に活性な化合物の前記ペプチドに対する重量比が約1:2~約1:20の範
囲である、請求項27に記載の組成物。
【請求項29】
i)log P値が4未満の薬学的に活性な化合物、および
ii)式I’のペプチド:
B’-U’-B-U-W-U’-W’
I’
を含む制御放出製剤であって、
式中、
B、B’、WおよびW’のそれぞれが独立して、少なくとも酸性アミノ酸を75%ま
たは塩基性アミノ酸を75%含むペプチドであり、ただし、Bが酸性アミノ酸を少なくと
も75%有するペプチドである場合、Wは塩基性アミノ酸を少なくとも75%有するペプ
チドであるか、またはその逆であり、
UおよびU’のそれぞれが独立して中性アミノ酸を含むペプチドであり、
B、UおよびWのそれぞれが独立して2~9個のアミノ酸を含み、
B’、U’およびW’のそれぞれが独立して、2~9個のアミノ酸を含むか、または
隣接するU’およびW’が存在しないか、または隣接するB’およびU’が存在しないか
、またはB’、U’およびW’の全てが存在せず、ただし、前記式I’のペプチドは約9
~21個のアミノ酸を含み、
前記薬学的に活性な化合物の放出は、前記薬学的に活性な化合物の前記式I’のペプチ
ドに対する重量比を調整することにより制御される、制御放出製剤。
【請求項30】
i)log P値が4未満の薬学的に活性な化合物、および
ii)式Iのペプチド:
B-U-W
I
を含む制御放出製剤であって、
式中、
BおよびWのそれぞれが独立して、少なくとも酸性アミノ酸を75%または塩基性ア
ミノ酸を75%含むペプチドであり、ただし、Bが酸性アミノ酸を少なくとも75%有す
るペプチドである場合、Wは塩基性アミノ酸を少なくとも75%有するペプチドであるか
、またはその逆であり、
Uは中性アミノ酸を含むペプチドであり、
B、UおよびWのそれぞれが独立して2~9個のアミノ酸を含み、ただし、前記式I
のペプチドは約9~21個のアミノ酸を含み、
前記薬学的に活性な化合物の放出は、前記薬学的に活性な化合物の前記式Iのペプチド
に対する重量比を調整することにより制御される、制御放出製剤。
【請求項31】
式I’のペプチド:
B-U-W-U’-W’
I’
であって、式中、
B、B’、WおよびW’のそれぞれが独立して、少なくとも酸性アミノ酸を75%ま
たは塩基性アミノ酸を75%含むペプチドであり、ただし、Bが酸性アミノ酸を少なくと
も75%有するペプチドである場合、Wは塩基性アミノ酸を少なくとも75%有するペプ
チドであるか、またはその逆であり、
UおよびU’のそれぞれが独立して中性アミノ酸を含むペプチドであり、
B、UおよびWのそれぞれが独立して2~9個のアミノ酸を含み、
B’、U’およびW’のそれぞれが独立して、2~9個のアミノ酸を含むか、または
隣接するU’およびW’が存在しないか、または隣接するB’およびU’が存在しないか
、またはB’、U’およびW’の全てが存在せず、ただし、前記式I’のペプチドは約9
~21個のアミノ酸を含む、ペプチド。
【請求項32】
式Iのペプチド:
B-U-W
I
であって、式中、
BおよびWのそれぞれが独立して、少なくとも酸性アミノ酸を75%または塩基性ア
ミノ酸を75%含むペプチドであり、ただし、Bが酸性アミノ酸を少なくとも75%有す
るペプチドである場合、Wは塩基性アミノ酸を少なくとも75%有するペプチドであるか
、またはその逆であり、
Uは中性アミノ酸を含むペプチドであり、
B、UおよびWのそれぞれが独立して、2~9個のアミノ酸を含み、ただし、前記式
Iのペプチドが約9~21個のアミノ酸を含む、ペプチド。
【請求項33】
前記酸性アミノ酸が独立して、アスパラギン酸またはグルタミン酸から選択される、請
求項31または32に記載のペプチド。
【請求項34】
前記塩基性アミノ酸が独立して、リジン、アルギニンまたはヒスチジンから選択される
、請求項31~33のいずれか一項に記載のペプチド。
【請求項35】
前記中性アミノ酸が独立して、トリプトファン、フェニルアラニン、グリシン、アラニ
ン、バリン、イソロイシン、ロイシン、セリン、スレオニン、チロシン、アスパラギン、
グルタミンおよびプロリンから選択される、請求項31~34のいずれか一項に記載のペ
プチド。
【請求項36】
Bが酸性アミノ酸を少なくとも75%および残りは中性アミノ酸を含み、Wが塩基性ア
ミノ酸を少なくとも75%および残りは中性アミノ酸を含むか、またはその逆である、請
求項31~35のいずれか一項に記載のペプチド。
【請求項37】
Bが酸性アミノ酸を100%含みWが塩基性アミノ酸を100%含むか、またはその逆
である、請求項31~36のいずれか一項に記載のペプチド。
【請求項38】
B、UおよびWのそれぞれが独立して、3~6個のアミノ酸を含む、請求項31~37
のいずれか一項に記載のペプチド。
【請求項39】
BおよびWのそれぞれが同数のアミノ酸を含む、請求項31~38のいずれか一項に記
載のペプチド。
【請求項40】
B、UおよびWのそれぞれが同数のアミノ酸を含む、請求項31~39のいずれか一項
に記載のペプチド。
【請求項41】
前記ペプチドは、RRRRRRLLLAAAEEE、RRRRRRLLLAAAEEE
、KKKKKKLLLAAAEEE、RRRRRLLLAAAEE、RRRLLLEEE
、RRRRRLLLEEEEE、RRRRRLLLLLEEEEE、RRRRRRRLL
LLLLLEEEEEEE、EEEEELLLLLRRRRR、RRRLLLEEELL
LRRRまたはRRRRRLLLLLDDDDDである、請求項31~40のいずれか一
項に記載のペプチド。
【請求項42】
薬物を必要とする対象に、
i)log P値が4未満の薬学的に活性な化合物、および
ii)式I’のペプチド:
B’-U’-B-U-W-U’-W’
I’
を含む組成物を投与することを含む薬物送達方法であって、
式中、
B、B’、WおよびW’のそれぞれが独立して、少なくとも酸性アミノ酸を75%ま
たは塩基性アミノ酸を75%含むペプチドであり、ただし、Bが酸性アミノ酸を少なくと
も75%有するペプチドである場合、Wは塩基性アミノ酸を少なくとも75%有するペプ
チドであるか、またはその逆であり、
UおよびU’のそれぞれが独立して中性アミノ酸を含むペプチドであり、
B、UおよびWのそれぞれが独立して2~9個のアミノ酸を含み、
B’、U’およびW’のそれぞれが独立して、2~9個のアミノ酸を含むか、または
隣接するU’およびW’が存在しないか、または隣接するB’およびU’が存在しないか
、またはB’、U’およびW’が全て存在せず、ただし、前記式I’のペプチドは約9~
21個のアミノ酸を含む、薬物送達方法。
【請求項43】
薬物を必要とする対象に、
i)log P値が4未満の薬学的に活性な化合物、および
ii)式Iのペプチド:
B-U-W
I
を含む組成物を投与することを含む薬物送達方法であって、
式中、
BおよびWのそれぞれが独立して、少なくとも酸性アミノ酸を75%または塩基性ア
ミノ酸を75%含むペプチドであり、ただし、Bが酸性アミノ酸を少なくとも75%有す
るペプチドである場合、Wは塩基性アミノ酸を少なくとも75%有するペプチドであるか
、またはその逆であり、
Uは中性アミノ酸を含むペプチドであり、
B、UおよびWのそれぞれが独立して、2~9個のアミノ酸を含み、ただし、前記式
Iのペプチドが約9~21個のアミノ酸を含む、薬物送達方法。
【請求項44】
前記組成物が請求項1~28のいずれか一項に記載されるものである、請求項42また
は43に記載の薬物送達方法。
【請求項45】
経口、静脈内、皮下、腹腔内、くも膜下腔内、筋肉内、頭蓋内、経鼻、局所または経皮
経路により前記対象に前記組成物を投与することを含む、請求項42~44のいずれか一
項に記載の薬物送達方法。
【請求項46】
経口経路により前記対象に前記組成物を投与することを含む、請求項42~45のいず
れか一項に記載の薬物送達方法。
【請求項47】
前記薬学的に活性な化合物が、鎮痛剤、麻酔剤、抗喘息剤、抗生物質、抗うつ剤、抗糖
尿病剤、抗真菌剤、降圧剤、抗炎症剤、抗腫瘍剤、抗不安剤、免疫刺激剤または免疫抑制
剤である、請求項42~46のいずれか一項に記載の薬物送達方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2018年4月6日に提出された米国仮出願第62/653,951号に対す
る米国特許法第119条(e)に基づく利益を主張し、その全体が参照により本明細書に
組み込まれる。
【0002】
本開示は、一般に、新規ペプチドおよび薬学的に活性な化合物の制御放出におけるそれ
らの使用に関する。
【背景技術】
【0003】
非経口制御放出システムは、投薬または注射の数を減らすという利点を提供する。デポ
およびインプラントが使用され、これらは数か月から1年使用できる。これらの送達シス
テムは、制御された速度で薬物を局所的にまたは全身循環に送達する。長期作用を有する
非経口剤形は、医学的および経済的に重要である。注射可能な薬物製剤を含む薬物の送達
は、多くの場合、マイクロカプセル化、相反転および拡散などのメカニズムを使用する薬
物送達マトリックスの使用によって達成される。注射後、薬物送達マトリックスは、一般
に、ゆっくりとかつ制御された方法で薬物を放出する。薬物送達マトリックスはまた、複
数回の注射の必要性を低減および/または排除することができる。そのようなマトリック
スは、しばしば、ポリマー、溶媒、および薬物などの少なくとも拡散を制御する不活性な
賦形剤を含む。場合によっては、薬物はマトリックスに非常に溶けやすく、マトリックス
からの放出が速すぎることがある。他の場合では、薬物はマトリックス中で不安定である
。
【0004】
Higuchiモデルによると、マトリックスまたはデポ内での薬物の輸送は薬物放出
動態にとって決定的に重要であり、均一媒体に溶解した薬物の拡散性および溶解性に関連
している。
【0005】
従来のデポアプローチでは、薬学的に活性な薬物のマトリックスへの溶解度を考慮した
が、薬物が注入された水性媒体(たとえば、固相と液相の両方を含む)での薬物の溶解度
は考慮されていない。
【0006】
本開示は、これらの問題および関連する問題に取り組み、それを作製する方法および使
用する方法とともに、薬学的に活性な薬剤の制御放出のための改善された組成物を提供す
る。
【発明の概要】
【0007】
異なる種類の天然アミノ酸は、あらゆる官能基における各原子の双極子モーメントによ
り、極性、非極性、疎水性または親油性官能基を構成することを含む、異なる分子特性を
有する可能性がある。本開示は、概して、新規ペプチドを含む組成物、それらを作製する
方法、および薬学的に活性な薬剤の制御放出のためにそれらを使用する方法を提供する。
酸性、中性、および塩基性アミノ酸の独自の組み合わせを含むペプチドは、薬学的に活性
な化合物と非共有結合的に結合されるか、または薬学的に活性な化合物と組み合わせて使
用されて、薬学的に活性な化合物の制御放出を可能にする。
【0008】
一実施形態では、本開示は、
i)log P値が4未満の薬学的に活性な化合物、および
ii)式I’のペプチド:
B’-U’-B-U-W-U’-W’
I’
を含む組成物を提供し、式中、
B、B’、W、およびW’のそれぞれは、独立して、少なくとも75%の酸性アミノ
酸または75%の塩基性アミノ酸を含むペプチドであり、ただし、Bが少なくとも75%
の酸性アミノ酸を有するペプチドである場合、Wは少なくとも75%の塩基性アミノ酸を
有するペプチドであるか、またはその逆であり、
UおよびU’はそれぞれ独立して中性アミノ酸を含むペプチドであり、
B、UおよびWは、それぞれ独立して、2~9個のアミノ酸を含み、そして
B’、U’、およびW’は、それぞれ独立して、2~9個のアミノ酸を含むか、また
は隣接するU’およびW’が存在しないか、または隣接するB’およびU’が存在しない
か、またはすべてのB’、U’およびW’が存在せず、ただし、式I’のペプチドは約9
~21個のアミノ酸を含む。
【0009】
別の実施形態では、本開示は、
i)log P値が4未満の薬学的に活性な化合物、および
ii)式Iのペプチド:
B-U-W
I
を含む組成物を提供し、式中、
BとWはそれぞれ独立して、少なくとも75%の酸性アミノ酸または75%の塩基性
アミノ酸を含むペプチドであり、ただし、Bが少なくとも75%の酸性アミノ酸を有する
ペプチドである場合、Wは少なくとも75%の塩基性アミノ酸を有するペプチドであるか
、またはその逆であり、
Uは中性アミノ酸を含むペプチドであり、そして
B、UおよびWのそれぞれが独立して2~9個のアミノ酸を含み、ただし、式Iのペ
プチドが約9~21個のアミノ酸を含む。
【0010】
別の実施形態では、本開示は、
i)log P値が4未満の薬学的に活性な化合物、および
ii)式RRRRRLLLLLEEEEEのペプチドを含む組成物を提供する。
【0011】
別の実施形態では、本開示は、
i)log P値が4未満の薬学的に活性な化合物、および
ii)式I’のペプチド:
B’-U’-B-U-W-U’-W’
I’
を含む制御放出製剤を提供し、式中、
B、B’、W、およびW’のそれぞれは、独立して、少なくとも75%の酸性アミノ酸
または75%の塩基性アミノ酸を含むペプチドであり、ただし、Bが少なくとも75%の
酸性アミノ酸を有するペプチドである場合、Wは少なくとも75%の塩基性アミノ酸を有
するペプチドであるか、またはその逆であり、
B’、U’、およびW’のそれぞれが独立して2~9個のアミノ酸を含むか、または隣
接するU’およびW’が存在しないか、隣接するB’およびU’が存在しないか、または
すべてのB’、U’およびW’が存在せず、ただし、式I’のペプチドは約9~21個の
アミノ酸を含む。
ここで、薬学的に活性な化合物の放出は、式I’のペプチドに対する薬学的に活性な化合
物の重量比を調整することにより制御される。
【0012】
別の実施形態では、本開示は、
i)log P値が4未満の薬学的に活性な化合物、および
ii)式Iのペプチド:
B-U-W
I
を含む制御放出製剤を提供し、式中、
BとWはそれぞれ独立して、少なくとも75%の酸性アミノ酸または75%の塩基性
アミノ酸を含むペプチドであり、ただし、Bが少なくとも75%の酸性アミノ酸を有する
ペプチドである場合、Wは少なくとも75%の塩基性アミノ酸を有するペプチドであるか
、またはその逆であり、
Uは中性アミノ酸を含むペプチドであり、
B、UおよびWのそれぞれが独立して2~9個のアミノ酸を含み、ただし、式Iのペ
プチドは約9~21個のアミノ酸を含み、
薬学的に活性な化合物の放出は、式Iのペプチドに対する薬学的に活性な化合物の重量比
を調整することにより制御される。
【0013】
別の実施形態では、本開示は、式I’のペプチド:
B’-U’-B-U-W-U’-W’
I’
を提供し、式中、
B、B’、W、およびW’のそれぞれは、独立して、少なくとも75%の酸性アミノ酸
または75%の塩基性アミノ酸を含むペプチドであり、ただし、Bが少なくとも75%の
酸性アミノ酸を有するペプチドである場合、Wは少なくとも75%の塩基性アミノ酸を有
するペプチドであるか、またはその逆であり、
B’、U’、およびW’のそれぞれが独立して2~9個のアミノ酸を含むか、または隣
接するU’およびW’が存在しないか、または隣接するB’およびU’が存在しないか、
またはすべてのB’、U’およびW’が存在せず、ただし、式I’のペプチドは約9~2
1個のアミノ酸を含む。
【0014】
別の実施形態では、本開示は、式Iのペプチド:
B-U-W
I
を提供し、式中、
BとWはそれぞれ独立して、少なくとも75%の酸性アミノ酸または75%の塩基性
アミノ酸を含むペプチドであり、ただし、Bが少なくとも75%の酸性アミノ酸を有する
ペプチドである場合、Wは少なくとも75%の塩基性アミノ酸を有するペプチドであるか
、またはその逆であり、
Uは中性アミノ酸を含むペプチドであり、
B、UおよびWのそれぞれが独立して2~9個のアミノ酸を含み、ただし、式Iのペ
プチドは約9~21個のアミノ酸を含む。
【0015】
別の実施形態では、本開示は、薬物送達方法を提供し、この方法は、それを必要とする
対象に、
i)log P値が4未満の薬学的に活性な化合物、および
ii)式I’のペプチド:
B’-U’-B-U-W-U’-W’
I’
を含む組成物を投与することを含み、式中、
B、B’、W、およびW’のそれぞれは、独立して、少なくとも75%の酸性アミノ酸
または75%の塩基性アミノ酸を含むペプチドであり、ただし、Bが少なくとも75%の
酸性アミノ酸を有するペプチドである場合、Wは少なくとも75%の塩基性アミノ酸を有
するペプチドであるか、またはその逆であり、
UおよびU’は、それぞれ独立して、中性アミノ酸を含むペプチドであり、
B、UおよびWのそれぞれは独立して2~9個のアミノ酸を含み、そして
B’、U’、およびW’のそれぞれが独立して2~9個のアミノ酸を含むか、または隣
接するU’およびW’が存在しないか、または隣接するB’およびU’が存在しないか、
またはすべてのB’、U’およびW’が存在せず、ただし、式I’のペプチドは約9~2
1個のアミノ酸を含む。
【0016】
別の実施形態では、本開示は、薬物送達方法を提供し、この方法は、それを必要とする
対象に、
i)log P値が4未満の薬学的に活性な化合物、および
ii)式Iのペプチド:
B-U-W
I
を含む組成物を投与することを含み、式中、
BとWはそれぞれ独立して、少なくとも75%の酸性アミノ酸または75%の塩基性
アミノ酸を含むペプチドであり、ただし、Bが少なくとも75%の酸性アミノ酸を有する
ペプチドである場合、Wは少なくとも75%の塩基性アミノ酸を有するペプチドであるか
、またはその逆であり、
Uは中性アミノ酸を含むペプチドであり、そして
B、UおよびWのそれぞれは独立して2~9個のアミノ酸を含み、ただし、式Iのペ
プチドは約9~21個のアミノ酸を含む。
【0017】
本開示の他の特徴および利点は、以下の発明の説明に記載されており、部分的にはその
説明から明らかであるか、または本発明の実施によって知ることができる。本発明は、書
面の説明およびその特許請求の範囲で特に指摘された組成物および方法によって実現およ
び達成される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】リラグルチド-A9からのリラグルチドの累積放出%を示す。
【
図2】インスリン-A6、インスリン-A8、およびインスリン-A9の累積放出%を示す。
【
図3】インスリングラルギン-A9からのインスリングラルギンの累積放出%を示す。
【
図4】リラグルチド/rh-インスリン-A9からのリラグルチドおよびrh-インスリンの累積放出%を示す。
【
図5】ロピバカイン代謝物-A9からのロピバカイン代謝物の累積放出%を示す。
【
図6】リラグルチド-A6からのリラグルチドのインビボ血清レベルの結果を示す。
【
図7】リラグルチド-A9からのリラグルチドのインビボ血清レベルの結果を示す。
【
図8】インスリングラルギン-A6からのインスリングラルギンのインビボ血清レベルの結果を示す。
【
図9】rh-インスリン-A9からのrh-インスリンのインビボ血清レベルの結果を示す。
【
図10】リラグルチド-インスリングラルギン-A9からのリラグルチドおよびインスリングラルギンのインビボ血清レベルの結果を示す。
【
図11】リラグルチド-A9からのリラグルチドのインビボ血清レベルの結果を示す。
【
図12】rh-インスリン-A9からのrh-インスリンのインビボ血清レベルの結果を示す。
【
図13】インスリングラルギン-A9からのインスリングラルギンのインビボ血清レベルの結果を示す。
【
図14】リラグルチド-rh-インスリン-A9からのリラグルチドおよびrh-インスリンのインビボ血清レベルの結果を示している。
【
図15】ケタミン-A7によるゲル形成を示す、ケタミンHCl-A7製剤と比較したケタミンHCl水性ボーラスを含むバイアルを示す。
【
図16】ケタミン HCl-A9からのケタミン HClの累積放出%を示す。
【
図17】ケタミン HCl-A7からのケタミン HClの累積放出%を示す。
【
図18】2つの異なる比率(1:0.5および1:1)でのケタミンHCl-A7からのケタミンHClの放出速度を示す。
【
図19】エタネルセプト-A9からのエタネルセプトの累積放出率を示す。
【
図20】リラグルチド-A9、リラグルチド-A11、リラグルチド-A13、リラグルチド-A14、リラグルチド-A15、リラグルチド-A16、リラグルチド-A18、およびリラグルチド-A19からのリラグルチドの累積放出%を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下の説明は、例示的な方法、パラメータなどを説明している。しかし、そのような説
明は、本開示の範囲に対する限定として意図されておらず、代わりに、例示的な実施形態
の説明として提供されていることが認識されるべきである。
【0020】
本明細書で使用される場合、以下の語、句、および記号は、それらが使用される文脈が
そうではないことを示す範囲を除いて、概して以下に記載される意味を有することを意図
している。
【0021】
「a」または「an」実体という用語は、その実体の1つまたは複数を指すことが留意
されるべきである。例えば、「抗体」は、1つ以上の抗体を表すと理解される。したがっ
て、「a」(または「an」)、「1つ以上」、および「少なくとも1つ」という用語は
、本明細書では互換的に使用することができる。
【0022】
本明細書で使用される場合、「ポリアミノ酸」という用語は、単数の「ポリペプチド」
および複数の「ポリペプチド」を包含することを意図し、アミド結合(ペプチド結合とし
ても知られる)によって直線的に連結されたモノマー(アミノ酸)から構成される分子を
指す。「ポリペプチド」という用語は、2つ以上のアミノ酸の任意の1つまたは複数の鎖
を指し、特定の長さの生成物を指すのではない。したがって、ペプチド、ジペプチド、ト
リペプチド、オリゴペプチド、「タンパク質」、「アミノ酸鎖」、または2つ以上のアミ
ノ酸の単数または複数の鎖を指すために使用されるその他の用語は、「ポリペプチド」の
定義の範囲に含まれ、そして「ポリペプチド」という用語は、これらの用語の代わりに、
またはこれらの用語と交換可能に使用することができる。「ポリペプチド」という用語は
また、限定されないが、グリコシル化、アセチル化、リン酸化、アミド化、既知の保護/
遮断基による誘導体化、タンパク質分解的切断、または非天然アミノ酸による修飾を含む
、ポリペプチドの発現後修飾の産物を指すことを意図する。ポリペプチドは、天然の生物
学的供給源に由来するか、または組換え技術によって生成され得るが、指定された核酸配
列から必ずしも翻訳されるとは限らない。それは、化学合成を含む任意の様式で生成され
得る。
【0023】
「対象」または「個体」または「動物」または「患者」または「哺乳動物」とは、診断
、予後、または治療が望まれる任意の対象、特に哺乳動物の対象を意味する。哺乳動物の
対象には、ヒト、家畜、農場動物、動物園、スポーツ、またはペットの動物、例えば、イ
ヌ、ネコ、モルモット、ウサギ、ラット、マウス、ウマ、乳牛、畜牛などが含まれる。
【0024】
本明細書で使用する場合、「治療を必要とする患者へ」または「治療を必要とする対象
」などの語句は、例えば、検出のため、診断手順および/または治療のために使用される
本開示の抗体または組成物の投与から恩恵を受ける、哺乳動物対象などの対象を含む。
【0025】
本明細書で使用される場合、「治療する」または「治療」という用語は、治療的処置と
、予防的または防止的措置の両方を指し、目的は、癌の進行などの望ましくない生理学的
変化または障害を防止または遅延(軽減)することである。有益なまたは所望の臨床結果
には、検出可能か検出不可能かに関わらず、症状の緩和、疾患の程度の減少、安定化した
疾患の状態(すなわち悪化しない)、疾患の進行の遅延または減速、疾患状態の改善また
は緩和、および寛解(部分的または全体的)が含まれるが、これらに限定されない。「治
療」はまた、治療を受けない場合の予想される生存と比較して、生存を延長することを意
味することもある。治療を必要とする人は、状態または障害を既に有するもの、ならびに
状態または障害を有する傾向があるもの、または状態または障害が予防されるべきものを
含む。
【0026】
本明細書で使用する場合、「約」という用語は、その値またはパラメータ自体に向けら
れる実施形態を含む(および説明する)値またはパラメータを指す。ある特定の実施形態
では、「約」という用語は、示された量±10%を含む。他の実施形態では、「約」とい
う用語は、示された量±5%を含む。ある特定の他の実施形態では、「約」という用語は
、示された量±1%を含む。例えば、定量的測定の文脈で使用される場合、「約」という
用語は、示された量±10%、±5%または±1%を指す。また、「約X」という用語に
は、「X」の記載が含まれる。
【0027】
ペプチド
本開示は、4未満のlogP値を有するものなどの薬学的に活性な化合物の制御放出の
ために有用な新しいペプチドを提供する。ペプチドは、酸性、塩基性、および中性アミノ
酸の特定のパターンを有し、これにより、薬学的に活性な化合物の独特で驚くべき制御さ
れた放出がもたらされる。好ましい実施形態では、ペプチドは、主に酸性のペプチドフラ
グメント、主に塩基性のペプチドフラグメント、およびそれらの間により中性のペプチド
フラグメントを含む。理論に拘束されることはないが、酸性フラグメントと塩基性フラグ
メントの両方を含むことにより、ペプチドは互いに相互作用し、ナノまたはマイクロ構造
を形成することができると考えられる。そのようなナノまたはマイクロ構造は、薬物分子
をカプセル化するか、さもなければ結合することができ、カプセル化または結合は、対象
における薬物分子の吸収、放出、またはクリアランスを調節する。
【0028】
酸性、中性および塩基性アミノ酸の組み合わせを含むペプチドは、薬学的に活性な化合
物と非共有結合的に結合させるか、または薬学的に活性な化合物と組み合わせて使用して
、薬学的に活性な化合物の制御放出送達を可能にすることができる。
【0029】
一実施形態では、本開示は、式I’のペプチド:
B’-U’-B-U-W-U’-W’,
I’
を提供し、式中、
B、B’、W、およびW’のそれぞれは、独立して、少なくとも75%の酸性アミノ酸
または75%の塩基性アミノ酸を含むペプチドであり、ただし、Bが少なくとも75%の
酸性アミノ酸を有するペプチドである場合、Wは少なくとも75%の塩基性アミノ酸を有
するペプチドであるか、またはその逆である。
UおよびU’は、それぞれ独立して、中性アミノ酸を含むペプチドである。
B、UおよびWは、それぞれ独立して、2~9個のアミノ酸を含み、そして
B’、U’、およびW’は、それぞれ独立して、2~9個のアミノ酸を含むか、または
隣接するU’およびW’が存在しないか、または隣接するB’およびU’が存在しないか
、またはすべてのB’、U’およびW’が存在せず、ただし、式I’のペプチドは約9~
21個のアミノ酸を含む。
【0030】
一実施形態では、本開示は、UおよびU’が同じである式I’のペプチドを提供する。
別の実施形態では、WおよびW’は同じである。別の実施形態では、BおよびB’は同じ
である。別の実施形態では、UおよびU’は同じであり、WおよびW’は同じである。別
の実施形態では、BおよびB’は同じであり、UおよびU’は同じであり、WおよびW’
は同じである。別の実施形態では、隣接するU’およびW’は存在しない。別の実施形態
では、隣接するB’およびU’は存在しない。別の実施形態では、すべてのB’、U’お
よびW’は存在しない。
【0031】
別の実施形態では、本開示は、式Iのペプチド:
B-U-W
I
を提供し、式中、
BとWは、それぞれ独立して、少なくとも75%の酸性アミノ酸または75%の塩基
性アミノ酸を含むペプチドであり、ただし、Bが少なくとも75%の酸性アミノ酸を有す
るペプチドである場合、Wは少なくとも75%の塩基性アミノ酸を有するペプチドである
か、またはその逆であり、
Uは中性アミノ酸を含むペプチドであり、そして
B、UおよびWは、それぞれは独立して、2~9個のアミノ酸を含み、ただし、式I
のペプチドは約9~21個のアミノ酸を含む。
【0032】
いくつかの実施形態では、酸性アミノ酸は、アスパラギン酸またはグルタミン酸から独
立して選択される。いくつかの実施形態では、塩基性アミノ酸は、リジン、アルギニンま
たはヒスチジンから独立して選択される。いくつかの実施形態では、中性アミノ酸は、ト
リプトファン、フェニルアラニン、グリシン、アラニン、バリン、イソロイシン、ロイシ
ン、セリン、スレオニン、チロシン、アスパラギン、グルタミン、およびプロリンから独
立して選択される。いくつかの実施形態では、BまたはB’は、システインまたはメチオ
ニンを含まない。いくつかの実施形態では、WまたはW’は、システインまたはメチオニ
ンを含まない。いくつかの実施形態では、UまたはU’は、システインまたはメチオニン
を含まない。いくつかの実施形態では、ペプチドはシステインまたはメチオニンを含まな
い。
【0033】
いくつかの実施形態では、Bは少なくとも75%(または少なくとも80%、85%、
または90%)の酸性アミノ酸および残りの中性アミノ酸を含み、Wは少なくとも75%
(または少なくとも80%、85%、または90%)塩基性アミノ酸と残りの中性アミノ
酸、またはその逆である。いくつかの実施形態では、Bは100%の酸性アミノ酸を含み
、Wは100%の塩基性アミノ酸を含むか、またはその逆も同様である。いくつかの実施
形態では、Bのアミノ酸の1つ(中性である)を除くすべてが酸性アミノ酸である。いく
つかの実施形態では、Bのアミノ酸の2つ(中性である)を除くすべてが酸性アミノ酸で
ある。いくつかの実施形態では、Wのアミノ酸の1つ(中性である)を除くすべてが塩基
性アミノ酸である。一部の実施形態では、Wのアミノ酸の2つ(中性である)を除くすべ
てが塩基性アミノ酸である。
【0034】
いくつかの実施形態では、B’は少なくとも75%(または少なくとも80%、85%
、または90%)の酸性アミノ酸および残りの中性アミノ酸を含み、W’は少なくとも7
5%(または少なくとも80%、85%、または90%)の塩基性アミノ酸および残りの
中性アミノ酸を含むか、またはその逆である。いくつかの実施形態では、B’が100%
酸性アミノ酸を含み、W’が100%塩基性アミノ酸を含むか、またはその逆である。い
くつかの実施形態では、B’のアミノ酸の1つ(中性である)を除くすべてが酸性アミノ
酸である。いくつかの実施形態では、B’のアミノ酸の2つ(中性である)を除くすべて
が酸性アミノ酸である。いくつかの実施形態では、W’のアミノ酸の1つ(中性である)
を除くすべてが塩基性アミノ酸である。いくつかの実施形態では、W’のアミノ酸の2つ
(中性である)を除くすべてが塩基性アミノ酸である。
【0035】
いくつかの実施形態では、UまたはU’のすべてのアミノ酸は中性である。いくつかの
実施形態では、UまたはU’は、単一の酸性または塩基性アミノ酸を含む。
【0036】
ペプチドは、いくつかの実施形態では、少なくとも9個のアミノ酸を含む。いくつかの
実施形態では、ペプチドは、少なくとも10、11、12、13、14、15、16、1
7、18、19または20のアミノ酸を含む。一部の実施形態では、ペプチドは、25、
24、23、22、21、20、19、18、17、16または15以下のアミノ酸を含
む。いくつかの実施形態では、ペプチドは、21個以下のアミノ酸を含む。
【0037】
いくつかの実施形態では、B、B’、U、U’、WおよびW’は、それぞれ独立して、
2~9個のアミノ酸を含む。いくつかの実施形態では、B、B’、U、U’、WおよびW
’は、それぞれ独立して、同数のアミノ酸を含む。いくつかの実施形態では、B、B’、
U、U’、WおよびW’は、それぞれ独立して、3つのアミノ酸を含む。いくつかの実施
形態では、隣接するU’およびW’は存在しない。別の実施形態では、隣接するB’およ
びU’は存在しない。別の実施形態では、すべてのB’、U’およびW’は存在しない。
【0038】
いくつかの実施形態では、式Iのペプチドは、RRRRRRLLLAAAEEE、RR
RRRRLLLAAAEEE、KKKKKKLLLAAAEEE、RRRRRLLLAA
AEE、RRRLLLEEE、RRRRRLLLEEEEE、RRRRRLLLLLEE
EEE、RRRRRRRLLLLLLLEEEEEEE、EEEEELLLLLRRRR
R、またはRRRRRLLLLLDDDDDである。
【0039】
いくつかの実施形態では、式I’のペプチドは、RRRRRRRLLLLLLLEEE
EEEEである。
【0040】
混合物と組成物
いくつかの実施形態では、本開示のペプチドおよび薬学的に活性な化合物を含む組成物
も提供される。ペプチドは、薬学的に活性な化合物の制御放出送達を可能にするために、
薬学的に活性な化合物と非共有結合的に結合するか、またはそれと組み合わせて使用する
ことができる。
【0041】
いくつかの実施形態では、組成物は溶媒をさらに含む。特定の実施形態では、溶媒は、
テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドまたはアセトニトリ
ルである。
【0042】
開示された組成物および方法は、任意の薬学的に活性な薬剤の制御された送達のために
有用である。いくつかの実施形態では、組成物および方法は、4未満のlogP(分配係
数)値を有する薬学的に活性な化合物のために特に有用である。いくつかの実施形態では
、logp値は、約1から2または約2から3または約3から4未満である。いくつかの
実施形態では、logp値は、約-1から-2、または約-2から-3、または約-3か
ら-4未満である。いくつかの実施形態では、logp値は、約-4から4または約-3
から3または約-2から2または約-1から1未満である。
【0043】
本明細書で使用される場合、用語「logP値」は、
室温での薬学的に活性な薬剤の測定されたオクタノール-水分配係数のlogとして計算
される。
【0044】
「分配係数」という用語は、平衡状態にある2つの非混和性相の混合物中の化合物の濃
度の比を指す。したがって、この比率は、これらの2つの相における化合物の溶解度の差
の測定値である。典型的には、1つの相は水のような溶媒中にあり、第2の相は疎水性で
ある。したがって、分配係数は、化学物質の親水性または疎水性を測定する。分配係数は
、体内の薬物の分布を推定する際に有用である。オクタノール/水分配係数が高い疎水性
薬物は、主に細胞の脂質二重層などの疎水性領域に分布する。逆に、親水性の薬物(オク
タノール/水分配係数が低い)は、主に血清などの水性領域に見られる。
【0045】
薬学的に活性な化合物の放出は、薬学的に活性な化合物のペプチドに対する重量比を変
えることによるものを含むがこれに限定されない、多くの異なる方法で制御することがで
きる。いくつかの実施形態では、組成物は、約1:0.1から約1:100または約1:
1から約1:80または約1:3から約1:20の薬学的に活性な化合物のペプチドに対
する重量比を含む。いくつかの実施形態では、重量比は約1:0.5から約1:12であ
る。一部の実施形態では、重量比は、約1:0.5、約1:0.7、約1:1、約1:2
、約1:3、約1:4、約1:5、約1:6、約1:7、約1:8、約1:9、約1:1
0、約1:11、約1:12、約1:13、約1:14、約1:15、約1:20、約1
:25、約1:35、約1:45、約1:60、約1:75、約1:90または約1:1
00である。
【0046】
いくつかの実施形態では、組成物は、約1:0.1から約1:20または約1:0.5
から約1:8または約1:0.75から約1:7の薬学的に活性な化合物のペプチドに対
するモル比を含む。いくつかの実施形態では、モル比は約1:1から約1:8である。一
部の実施形態では、モル比は、約1:0.5、約1:0.7、約1:1、約1:2、約1
:3、約1:4、約1:5、約1:6、約1:7、約1:8、約1:9、約1:10また
は約1:20である。
【0047】
いくつかの実施形態では、薬学的に活性な化合物の放出は、薬学的に活性な化合物と式
Iのペプチドとの重量比を調整することにより制御される。
【0048】
いくつかの実施形態では、本開示は、ペプチドが薬学的に活性な化合物の周りで自己組
織化する、本明細書に記載されるような組成物を提供する。いくつかの実施形態では、式
Iの化合物は、分子内および/または分子間スタッキングを介して、薬学的に活性な化合
物の周りに自己組織化する。いくつかの実施形態では、式Iの化合物および薬学的に活性
な化合物は、非共有結合的な結合によりスタッキングされる。
【0049】
一実施形態では、薬学的に活性な化合物は、鎮痛剤、麻酔剤、抗喘息剤、抗生物質、抗
うつ剤、抗糖尿病剤、抗真菌剤、抗高血圧剤、抗炎症剤、抗腫瘍剤、抗不安剤、免疫刺激
剤または免疫抑制剤である。一部の実施形態では、薬学的に活性な化合物は抗糖尿病剤で
ある。
【0050】
一部の実施形態では、薬学的に活性な化合物は小分子である。いくつかの実施形態では
、薬学的に活性な化合物は巨大分子である。いくつかの実施形態では、大分子は、抗体、
ペプチド、ナノボディ、抗体フラグメント、FABフラグメント、アフィボディ、タンパ
ク質、ヌクレオチドおよびトリネクチン誘導体から選択される。いくつかの実施形態では
、大分子はタンパク質またはヌクレオチドである。
【0051】
開示された複合体および組成物において有用なタンパク質には、例えば、サイトカイン
およびそれらの受容体などの分子、ならびに例えば腫瘍壊死因子アルファおよびベータを
含むサイトカインまたはそれらの受容体を含むキメラタンパク質、それらの受容体および
それらの誘導体、レニン、ヒト成長ホルモン(rhGHなど)、ウシ成長ホルモン、メチ
オン-ヒト成長ホルモン、des-フェニルアラニンヒト成長ホルモン、およびブタ成長
ホルモンを含む成長ホルモン、成長ホルモン放出因子(GRF)、オクトレオチド、副甲
状腺および下垂体ホルモン、甲状腺刺激ホルモン、ヒト膵臓ホルモン放出因子、リポタン
パク質、コルヒチン、プロラクチン、コルチコトロフィン、甲状腺刺激ホルモン、オキシ
トシン、バソプレシン、ソマトスタチン、リプレシン、パンクレオジミン、ロイプロリド
、α-1-アンチトリプシン、インスリン、インスリン類似体、インスリン誘導体、イン
スリンプロドラッグ、グラルギン、インスリンA鎖、インスリンB鎖、プロインスリン、
卵胞刺激ホルモン、カルシトニン、黄体形成ホルモン、黄体形成ホルモン放出ホルモン(
LHRH)、LHRHアゴニストおよびアンタゴニスト、グルカゴン、第VIIIC因子
、第IX因子、組織因子、フォンヴィレブランド因子などの凝固因子、プロテインCなど
の抗凝固因子、心房性ナトリウム利尿因子、肺サーファクタント、組織型プラスミノーゲ
ン活性化因子(t-PA)以外のプラスミノーゲン活性化因子、例えばウロキナーゼ、ボ
ンベシン、トロンビン、造血成長因子、エンケファリナーゼ、RANTES(通常はT細
胞が発現および分泌する活性化で調節される)、ヒトマクロファージ炎症性タンパク質(
MIP-1-alpha)、ヒト血清アルブミンなどの血清アルブミン、ミュラー管抑制
物質、リラキシンA鎖、リラキシンB鎖、プロリラキシン、マウスゴナドトロピン関連ペ
プチド、絨毛性ゴナドトロピン、ゴナドトロピン放出ホルモン、ウシ成長ホルモン、ブタ
成長ホルモン、β-ラクタマーゼなどの微生物タンパク質、DNase、インヒビン、ア
クチビン、血管内皮増殖因子(VEGF)、ホルモンまたは成長因子の受容体、インテグ
リン、プロテインAまたはD、リウマチ因子、骨由来神経栄養因子(BDNF)、ニュー
ロトロフィン-3、-4、-5、もしくは-6(NT-3、NT-4、NT-5、NT-
6)などの神経栄養因子、または神経成長NGF-βなどの神経成長因子、血小板由来成
長因子(PDGF)、酸性FGFおよび塩基性FGFなどの線維芽細胞成長因子、上皮成
長因子(EGF)、TGF-β1、TGF-β2、TGF-β3、TGF-β4、または
TGF-β5を含む、TGF-alphaおよびTGF-betaなどのトランスフォー
ミング成長因子(TGF)、インスリン様成長因子-Iおよび-II(IGF-Iおよび
IGF-II)、des(1-3)-IGF-I(脳IGF-I)、インスリン様成長因
子結合タンパク質、CD-3、CD-4、CD-8、CD-19などのCDタンパク質、
エリスロポエチン、骨誘導因子、免疫毒素、骨形成タンパク質(BMP)、インターフェ
ロン-アルファ(例えば、インターフェロナ2Aまたはインターフェロナ2B)、-ベー
タ、-ガンマ、-ラムダおよびコンセンサスインターフェロンなどのインターフェロン、
コロニー刺激因子(CSF)、例えば、M-CSF、GM-CSF、およびG-CSF、
インターロイキン(IL)、例えばIL-1からIL-10、スーパーオキシドジスムタ
ーゼ、T細胞受容体、表面膜タンパク質、崩壊加速因子、例えば、HIV-1エンベロー
プ糖タンパク質の一部、gp120、gp160またはそれらのフラグメントなどのウイ
ルス抗原、輸送タンパク質、ホーミング受容体、アドレシン、プロスタグランジンなどの
受精阻害剤、不妊促進剤、調節タンパク質、抗体およびイムノアドヘシンなどのキメラタ
ンパク質、これらの化合物の前駆体、誘導体、プロドラッグおよび類似体、ならびにこれ
らの化合物の薬学的に許容される塩、またはそれらの前駆体、誘導体、プロドラッグおよ
び類似体が挙げられる。
【0052】
適切なタンパク質またはペプチドは、合成または天然または組換えであり、例えば、融
合タンパク質が含まれる。いくつかの実施形態では、タンパク質は、組換えヒト成長ホル
モン(rhGH、インスリン、インスリンA鎖、インスリンB鎖、およびプロインスリン
)などの成長ホルモン、または血管内皮成長因子(VEGF)、神経成長因子(NGF)
、血小板由来成長因子(PDGF)、線維芽細胞成長因子(FGF)、上皮成長因子(E
GF)、形質転換成長因子(TGF)、インスリン様成長因子-Iおよび-II(IGF
-IおよびIGF-II)などの成長因子である。
【0053】
核酸の薬学的に活性な薬剤には、核酸ならびにその前駆体、誘導体、プロドラッグおよ
び類似体、例えば、治療用ヌクレオチド、ヌクレオシドおよびその類似体、治療用オリゴ
ヌクレオチド、および治療用ポリヌクレオチドが含まれる。この群から選択される薬学的
に活性な薬剤は、抗癌剤および抗ウイルス剤として特定の用途を見出す可能性がある。適
切な核酸の薬学的に活性な薬剤は、例えば、リボザイム、アンチセンスオリゴデオキシヌ
クレオチド、アプタマーおよびsiRNAを含み得る。適切なヌクレオシド類似体の例に
は、シタラビン(araCTP)、ゲムシタビン(dFdCTP)、およびフロクスウリ
ジン(FdUTP)が含まれるが、これらに限定されない。
【0054】
本明細書に開示される組成物において、様々な他の薬学的に活性な薬剤を使用すること
ができる。適切な化合物には、クリングルドメイン、カルボキシペプチダーゼ、カルボン
酸エステルヒドロラーゼ、グリコシラーゼ、ロドプシン様ドーパミン受容体、ロドプシン
様アドレナリン受容体、ロドプシン様ヒスタミン受容体ロドプシン様セロトニン受容体、
ロドプシン様短ペプチド受容体、ロドプシン様アセチルコリン受容体、ロドプシン様ヌク
レオチド様受容体、ロドプシン様脂質様リガンド受容体、ロドプシン様メラトニン受容体
、メタロプロテアーゼ、トランスポーターATPase、カルボン酸エステル加水分解酵
素、ペルオキシダーゼ、リポキシゲナーゼ、DOPAデカルボキシラーゼ、A/Gシクラ
ーゼ、メチルトランスフェラーゼ、スルホニル尿素受容体、その他のトランスポーター(
例えば、ドーパミントランスポーター、GABAトランスポーター1、ノルエピネフリン
トランスポーター、カリウム輸送ATPaseα鎖1、ナトリウム(カリウム)塩化物共
輸送体2、セロトニントランスポーター、シナプス小胞アミントランスポーター、チアジ
ド感受性塩化ナトリウム共輸送体)、電気化学ヌクレオシド輸送体、電位依存性イオンチ
ャネル、GABA受容体(Cys-Loop)、アセチルコリン受容体(Cys-Loo
p)、NMDA受容体、5-HT3受容体(Cys-Loop)、リガンド依存性イオン
チャネルGlu:カイナイト、AMPA Glu受容体、酸感知イオンチャネルアルドス
テロン、リアノジン受容体、ビタミンKエポキシドレダクターゼ、MetGluR様GA
BA B受容体、内向き整流K +チャネル、NPC1L1、MetGluR様カルシウ
ム感知受容体、アルデヒドデヒドロゲナーゼ、チロシン3-ヒドロキシラーゼ、アルドー
スリダクターゼ、キサンチンデヒドロゲナーゼ、リボヌクレオシドレダクターゼ、ジヒド
ロ葉酸レダクターゼ、impデヒドロゲナーゼ、チオレドキシンレダクターゼ、ジオキシ
ゲナーゼ、イノシトールモノホスファターゼ、ホスホジエステラーゼ、アデノシンデアミ
ナーゼ、ペプチジルプロリルイソメラーゼ、チミジル酸シンターゼ、アミノトランスフェ
ラーゼ、ファルネシルジジホスフェートシンターゼ、プロテインキナーゼ、炭酸脱水酵素
、チューブリン、トロポニン、IκBキナーゼ-β阻害剤、アミンオキシダーゼ、シクロ
オキシゲナーゼ、チトクロームP450、チロキシン5-デヨージナーゼ、ステロイドデ
ヒドロゲナーゼ、HMG-CoAレダクターゼ、ステロイドレダクターゼ、ジヒドロオロ
テートオキシダーゼ、エポキシドヒドロラーゼ、トランスポーターATPase、トラン
スロケーター、グリコシルトランスフェラーゼ、核内受容体NR3受容体、核内受容体:
NR1受容体、およびトポイソメラーゼ以下の薬物標的の1つ以上に向けられた化合物が
含まれるがこれらに限定されない。
【0055】
いくつかの実施形態では、薬学的に活性な薬剤は、ロドプシン様GPCR、核内受容体
、リガンド依存性イオンチャネル、電位依存性イオンチャネル、ペニシリン結合タンパク
質、ミエロペルオキシダーゼ様、ナトリウム:神経伝達物質シンポーターファミリー、I
I型DNAトポイソメラーゼ、III型フィブロネクチン、およびチトクロームP450
の1つを標的とする化合物である。
【0056】
いくつかの実施形態では、薬学的に活性な薬剤は抗癌剤であり、活性な薬剤のほとんど
は約2のlog P値を有する。適切な抗癌剤には、アクチノマイシンD、アレムツズマ
ブ、アロプリノールナトリウム、アミフォスチン、アムサクリン、アナストロゾール、ア
ラCMP、アスパラギナーゼ、アザシタジン、ベンダムスチン、ベバシズマブ、ビカルタ
ミド(bicalutimide)、ブレオマイシン(例えば、ブレオマイシンA 2お
よびB 2)、ボルテゾミブ、ブスルファン、カンプトテシンナトリウム塩、カペシタビ
ン、カルボプラチン、カルムスチン、セツキシマブ、クロラムブシル、シスプラチン、ク
ラドリビン、クロファラビン、シクロホスファミド、シタラビン、ダカルバジン、ダクチ
ノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシンリポソーム、エピルビシン、エストラムス
チン、エトポシド、リン酸エトポシド、エキセメスタン、フロクスウリジン、フルダラビ
ン、リン酸フルアダラビン、5-フルオロウラシル、フォテムスチン、フルベストラント
、ゲムシタビン、ゴセレリン、ヘキサメチルメラミン、ヒドロキシ尿素、イダルビシン、
イホスファミド、イマチニブ、イリノテカン、イクサベピロン、ラパチニブ、レトロゾー
ル、酢酸ロイプロリド、ロムスチン、メクロレタミン、メルファラン、
6-メルカプトプリン、メトトレキサート、ミトラマイシン、マイトマイシンc、ミトタ
ン、ミトキサントロン、ニムスチン、オファツムマブ、オキサリプラチン、パクリタキセ
ル、パニツムマブ、ペガスパルガーゼ、ペメトレキセド、ペントスタチン、ペルツズマブ
、ピコプラチン、ピポブロマン、プレリキサフォー、プロカルバジン、ラルチトレキセド
、リツキシマブ、ストレプトゾシン、テモゾロミド、テニポシド、6-チオグアニン、チ
オテパ、トポテカン、トラスツズマブ、トレオスルファン、トリエチレンメラミン、トリ
メトレキサート、ウラシル、ナイトロジェンマスタード、バルルビシン、ビンブラスチン
、ビンクリスチン、ビンデシン、ビノレルビンおよびそれらの類似体、前駆体、誘導体お
よびプロドラッグが挙げられるが、これらに限定されない。上記の化合物の2つ以上が、
本開示の組成物において組み合わせて使用され得ることに留意すべきである。
【0057】
開示された組成物における使用のために関心のある薬学的に活性な薬剤には、オピオイ
ドおよびその誘導体、ならびにオピオイド受容体アゴニストおよびアンタゴニスト、例え
ば、メタドン、ナルトレキソン、ナロキソン、ナルブフィン、フェンタニル、スフェンタ
ニル、オキシコドン、オキシモルホン、ヒドロコドン、ヒドロモルホン、および薬学的に
許容されるその塩および誘導体もまた挙げられてもよい。
【0058】
いくつかの実施形態では、薬学的に活性な薬剤は、ほとんどが親水性であり、約1のl
ogP値を有する。例には、ペプチド、タンパク質、およびヌクレオチドが含まれる。本
明細書に開示される複合体および組成物としての使用のために適したペプチドには、エク
セナチドおよびグルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)ならびにその前駆体、誘導体、
プロドラッグおよび類似体が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの特定の例に
は、リラグルチド、リキシセナチド、アルビグルチド、デュラグルチドおよびセマグルチ
ドが含まれるが、これらに限定されない。また、いくつかの薬学的に活性な薬剤は、20
0~2000Daの分子量および4未満のlog P値を有する「小分子」である。この
「小分子」クラスには、エポプロスタノールなどのプロスタサイクリンベースの薬物が含
まれる。
【0059】
一部の実施形態では、薬学的に活性な化合物は小分子である。一部の実施形態では、式
Iのペプチドは、RRRRRLLLLLEEEEE(A9)である。いくつかの実施形態
において、薬学的に活性な化合物は、リラグルチド、インスリンまたはロピバカイン代謝
物である。いくつかの実施形態では、薬学的に活性な化合物のA9に対する重量比は、約
1:0.1から約1:20の範囲である。いくつかの実施形態では、薬学的に活性な化合
物のA9に対する重量比は、約1:2から約1:20の範囲である。
【0060】
いくつかの実施形態では、薬学的に活性な薬剤は、低分子量化合物、例えば、約800
ダルトン以下、例えば、約500ダルトン以下の分子量を有する化合物である。いくつか
の実施形態では、薬学的に活性な薬剤は、800ダルトンから100ダルトン、例えば、
700ダルトンから200ダルトン、600ダルトンから300ダルトン、または500
ダルトンから400ダルトンの範囲の分子量を有する化合物である。
【0061】
いくつかの実施形態では、薬学的に活性な薬剤は、ペプチド、タンパク質、および小分
子から選択される少なくとも1つのメンバーを含み、小分子は、500ダルトン未満の分
子量を有する。
【0062】
薬学的に活性な薬剤は、式Iのペプチドと相互作用可能な1つの官能基を含み得る。薬
学的に活性な薬剤は、式Iのペプチドと非共有結合的な結合を形成することができる2つ
以上の官能基を含み得る。
【0063】
いくつかの実施形態では、薬学的に活性な薬剤は水中で安定である。例えば、薬学的に
活性な薬剤を25℃の水中に1時間、12時間、または24時間配置すると、薬学的に活
性な薬剤の純度は5%未満、例えば、3%未満または2%未満に低下する。
【0064】
薬学的に活性な薬剤または薬学的に活性な薬剤の複合体は、本明細書に開示される組成
物中に任意の適切な濃度で存在し得る。適切な濃度は、薬学的に活性な薬剤の効力、薬物
動態学的半減期などに応じて変化し得る。例えば、薬学的に活性な薬剤は、組成物の約1
重量%~約50重量%で、例えば、組成物の約5重量%~約45重量%、約10重量%~
約40重量%、約15重量%~約35重量%、または約20重量%~約30重量%の範囲
で存在し得る。薬学的に活性な薬剤を含む複合体は、約10mg/mL~約500mg/
mL、例えば、約50mg/mL~約450mg/mL、約100mg/mL~約400
mg/mL、約150 mg/mL~約350 mg/mL、または約200 mg/
mL~約300 mg/mLの範囲の濃度で存在し得る。
【0065】
いくつかの実施形態では、組成物は単位剤形である。単位剤形の例としては、錠剤、カ
プセル、経口液剤、経口懸濁液、スプレー、パッチ、サシェ、粉末として吸入、舌下錠、
鼻腔スプレーが挙げられるが、これらに限定されない。注射の側面では、静脈内注入、皮
下、筋肉内および皮下注射を介して注射される。
【0066】
送達方法
本開示はまた、本明細書中に記載されるペプチドを使用することによる、薬学的に活性
な化合物の制御放出送達方法を提供する。本明細書に記載の式Iのペプチドとの非共有結
合的な結合またはそれと組み合わせて使用することにより、薬学的に活性な化合物の溶解
速度を低下させることができる。さらに、薬学的に活性な化合物の放出速度は、ペプチド
の適切なレベルを調整することによって制御することができる。薬学的に活性な薬剤の制
御送達および送達期間は、式Iのペプチドの、活性な薬剤に対するより高い重量またはモ
ル比に主に依存する。
【0067】
いくつかの実施形態では、制御放出用の組成物は、実施例に記載されるように、薬学的
に活性な化合物と式Iのペプチドを溶媒中で混合することにより調製される。いくつかの
実施形態では、薬学的に活性な化合物および式Iのペプチドの別々の溶液を調製し、次い
で投与前に組み合わせることができ、またはそれを必要とする対象に同時にまたは特定の
時間内に投与する。
【0068】
一実施形態では、本開示は、
i)log P値が4未満の薬学的に活性な化合物、および
ii)式I’のペプチド
B’-U’-B-U-W-U’-W’
I’
を含む組成物を、それを必要とする対象に以下投与することを含む薬物送達方法を提供
し、式中、
B、B’、W、およびW’は、それぞれ独立して、少なくとも75%の酸性アミノ酸ま
たは75%の塩基性アミノ酸を含むペプチドであり、ただし、Bが少なくとも75%の酸
性アミノ酸を有するペプチドである場合、Wは少なくとも75%の塩基性アミノ酸を有す
るペプチドであるか、またはその逆である。
UおよびU’は、それぞれ独立して、中性アミノ酸を含むペプチドである。
B、UおよびWは、それぞれは独立して、2~9個のアミノ酸を含む。そして
B’、U’、およびW’は、それぞれ独立して、2~9個のアミノ酸を含むか、または
隣接するU’およびW’が存在しないか、または隣接するB’およびU’が存在しないか
、またはすべてのB’、U’およびW’が存在せず、ただし、式I’のペプチドは約9~
21個のアミノ酸を含む。
【0069】
一実施形態では、本開示は、
i)log P値が4未満の薬学的に活性な化合物;そして
ii)式Iのペプチド:
B-U-W
I
を含む組成物を、それを必要とする対象に以下投与することを含む薬物送達方法を提
供し、式中、
BとWは、それぞれ独立して、少なくとも75%の酸性アミノ酸または75%の塩基
性アミノ酸を含むペプチドであり、ただし、Bが少なくとも75%の酸性アミノ酸を有す
るペプチドである場合、Wは少なくとも75%の塩基性アミノ酸を有するペプチドである
か、またはその逆であり、
Uは中性アミノ酸を含むペプチドであり、そして
B、UおよびWは、それぞれ独立して、2~9個のアミノ酸を含み、ただし、式Iの
ペプチドは約9~21個のアミノ酸を含む。
【0070】
いくつかの実施形態では、薬物送達方法は、本明細書に記載されるような組成物を含む
。いくつかの実施形態において、薬物送達方法は、経口、静脈内、皮下、腹腔内、くも膜
下腔内、筋肉内、硝子体内、頭蓋内、鼻腔内、局所または経皮経路により、それを必要と
する対象に組成物を投与することを含む。いくつかの実施形態において、方法は、経口経
路によって組成物を送達する。
【0071】
いくつかの実施形態では、方法は、鎮痛剤、麻酔剤、抗喘息剤、抗生物質、抗うつ剤、
抗糖尿病剤、抗真菌剤、
降圧剤、抗炎症剤、抗腫瘍剤、抗不安剤、免疫刺激剤または免疫抑制剤である、薬学的に
活性な化合物を投与することを含む。
【0072】
いくつかの実施形態では、単位剤形は送達デバイスに充填される。いくつかの実施形態
では、送達デバイスは、シリンジまたはカテーテルである。
【実施例0073】
実施例1:式Iのペプチドの調製
式Iのペプチドは、以下の方法により調製された。合成は、ABI 431Aペプチド
シンセサイザーにおいてWangリンカーを備えたポリスチレン樹脂上で行われた。Fa
stMocケミストリーは、活性化試薬としてのHBTU/Oxyma、Fmoc(9-
フルオレニルメトキシカルボニル)脱保護試薬としての20%ピペリジンを使用した。
アミノ酸試薬は、Fmocでアミンが保護され、側鎖は標準的な保護基で保護されてい
た。
【0074】
切断および脱保護は、TFA/水/TIS(95:2.5:2.5)で2時間かけて同
時に行い、その後エチルエーテルで3回沈殿させた。
【0075】
粗ペプチド沈殿物を、0.1%TFAを含む20~40%アセトニトリルのグラジエン
トで、Higgins Proto 200 C18カラムの逆相で精製した。
【0076】
ペプチド、RRRRRRLLLAAAEEE(A3)、RRRRRRLLLAAAEE
E(A4)、KKKKKKLLLAAAEEE(A5)、RRRRRLLLAAAEE(
A6)、RRRLLLEEE(A7)、RRRRRLLLEEEEE(A8)、RRRR
RLLLLLEEEEE(A9)、およびRRRRRLLLLLDDDDD(A10)を
、上記の方法を使用して調製した。
【0077】
また、ペプチドRRREEE(A11)、LLLEEE(A12)、RRRLLL(A
13)、RRRRREEEEE(A14)、LLLLLRRRRR(A15)、RRRL
LLEEELLLRRR(A16)、RRRRRRRLLLLLLLEEEEEEE(A
17)、EEEEELLLLLRRRRR(A18)、およびRRRRRRREEEEE
EE(A19)を、上記と同じ方法で調製した。
【0078】
実施例2.A9を用いたリラグルチドの調製およびインビトロ分析
10 mgのリラグルチドを20 mLの焼結ガラスバイアルに入れた。1:4の重量
比または1:8の重量比のリラグルチド:A9および100uLのジメチルスルホキシド
を有する、異なる比率のリラグルチドとA9を加え、この混合物を100 rpmで5分
間37℃で攪拌して(見た目に透明な溶液になるまで)、リラグルチド-A9を提供した
。
【0079】
希釈液中のリラグルチド(対照)
10 mgのリラグルチドを20 mLの焼結ガラスバイアルに入れ、100 uLの
ジメチルスルホキシドまたはジメチルホルムアミドを加え、この混合物を100 rpm
で5分間37℃で攪拌した(目に見える透明な溶液になるまで)。
【0080】
リラグルチド放出のインビトロ分析
上記のように調製したリラングルチド-A9からのリラグルチドのインビトロ放出を決
定するために、以下に示すように溶解実験を行った。
【0081】
溶解またはインビトロ放出試験のために、約pH7.4の PBS(リン酸緩衝生理食
塩水)を媒体として使用し、リラグルチドの溶液を溶解媒体に分散させた。溶解研究では
、既知量のリラグルチド(上記の溶液の20 uLに2 mgのリラグルチドが含まれて
いる)を2mLの円錐形ポリプロピレンバイアルに入れた。1 mLの放出媒体(37℃
で平衡化したpH 7.4の0.01M PBS)を各バイアルに穏やかに加え、製剤の
表面が乱されないようにした。試料をオービタルシェーカー内で37℃/100 rpm
に配置した。すべての時点で、本質的にすべての放出媒体が除去され、新鮮な溶液と交換
された。各時点での溶液中のリラグルチドの量をHPLCにより決定した。
【0082】
結果
リラグルチド-A9(1:4の重量比と1:8の重量比)からのリラグルチドのインビ
トロ溶解プロファイルを
図1にプロットする。リラグルチドのA9比が1:8の場合、リ
ラグルチドのインビトロ放出はより制御された放出を示したのに対し、1:4はより多く
の初期放出を示した。リラグルチド-A9、リラグルチド-A11からのリラグルチドの
in インビトロ溶解プロファイル、
リラグルチド-A13、リラグルチド-A14、リラグルチド-A15、リラグルチド-
A16、リラグルチド-A18、リラグルチド-A19を
図20にプロットした。
【0083】
実施例3.A6、A8、またはA9を使用したインスリンの調製とインビトロ分析
rh-インスリン10 mgを20 mLの焼結ガラスバイアルに入れた。インスリン
とA6の比率を変えて、インスリンとA6の比率を1:5または1:10にして、100
uLのジメチルスルホキシドを加え、この混合物を100 rpmで5分間37℃で攪拌
して(目に見える透明な溶液になるまで)、インスリン-A6を提供した。
【0084】
上記と同じ手順を使用して、A8を含むインスリンを1:4重量比または1:8重量比
のインスリン:A8で調製し、インスリン-A8を提供した。
【0085】
上記と同じ手順を使用して、1:4重量比または1:8重量比のインスリン:A9でA
9を含むインスリンを調製し、インスリン-A9を提供した。
【0086】
希釈液中のrh-インスリン(対照)
10 mgのインスリンを20 mLの焼結ガラス瓶に入れ、100 uLのジメチル
スルホキシドまたはジメチルホルムアミドを加え、この混合物を100 rpmで5分間
37℃で攪拌した(目に見える透明な溶液になるまで)。
【0087】
インスリン放出のインビトロ分析
上記のように調製されたインスリン-A6、インスリン-A8、およびインスリン-A
9からのインスリンのインビトロ放出を決定するために、以下に示すように溶解実験を行
った。
【0088】
溶解またはインビトロ放出試験のために、約7.4のPBS(リン酸緩衝生理食塩水)
pHを媒体として使用し、インスリンの溶液を溶解媒体に分散させた。溶解研究では、既
知量のインスリン(上記の溶液20 uLに2 mgのインスリンが含まれている)を2
mLの円錐形ポリプロピレンバイアルに入れた。1 mLの放出媒体(37℃で平衡化し
たpH 7.4の0.01 M PBS)を各バイアルに穏やかに添加して、製剤の表面
が乱されないようにした。試料をオービタルシェーカー内で37℃/100 rpmに配
置した。すべての時点で、本質的にすべての放出媒体が除去され、新鮮な溶液と交換され
た。各時点での溶液中のインスリンの量は、HPLCによって決定した。
【0089】
結果
インスリン-A6(1:5の重量比と1:10の重量比のインスリン:A6)、インス
リン-A8(1:4の重量比と1:8の重量比)からのrhインスリンのインビトロ溶解
プロファイルインスリン:A8)およびインスリン-A9(1:4の重量比および1:8
のインスリン:A9の重量比)が
図2にプロットされている。結果は、A6、A8、およ
びA9などの各ペプチドの重量比が高いほど、インスリンの放出%が遅くなることを示し
ている。
【0090】
実施例4.A9を用いたインスリングラルギンの調製とインビトロ分析
インスリングラルギン10mgを20mLの焼結ガラスバイアルに入れた。インスリン
グラルギンとA9の比率を変えて、インスリングラルギンとA9の比率を1:4または1
:8にして、100 uLのジメチルスルホキシドを加え、100 rpmで5分間攪拌
した。
37℃(目に見える透明な溶液になるまで)、インスリングラルギンA9を提供した。
【0091】
希釈液中のインスリングラルギン(対照)
10 mgのインスリングラルギンを20 mLの焼結ガラスバイアルと100 uL
のジメチルスルホキシドまたはジメチルホルムアミドに入れ、この混合物を100 rp
mで5分間37℃で攪拌した(目に見える透明な溶液になるまで)。
【0092】
インスリン放出のインビトロ分析
上記で調製したインスリングラルギン-A9からのインスリングラルギンのインビトロ
放出を決定するために、以下に示すように溶解実験を行った。
【0093】
溶解またはインビトロ放出試験のために、約7.4のPBS(リン酸緩衝生理食塩水)
pHを媒体として使用し、インスリングラルギンの溶液を溶解媒体に分散させた。溶解研
究では、既知量のインスリングラルギン(上記の溶液20 uLに2 mgのインスリン
グラルギンが含まれている)を2 mLの円錐形ポリプロピレンバイアルに入れた。1
mLの放出媒体(37℃で平衡化したpH 7.4の0.01M PBS)を各バイアル
に穏やかに加え、製剤の表面が乱されないようにした。試料をオービタルシェーカー内で
37℃/100rpmで配置した。すべての時点で、本質的にすべての放出媒体が除去さ
れ、新鮮な溶液と交換された。各時点での溶液中のインスリングラルギンの量をHPLC
により決定した。
【0094】
結果
インスリングラルギン-A9からのインスリングラルギンのインビトロ溶解プロファイ
ル(1:4の重量比と1:8の重量比のインスリングラルギン:A9)を
図3にプロット
する。インスリングラルギンは、A9との1:4の比率では、1:8の比率と比較して放
出が少なかった。
【0095】
実施例5A9によるリラグルチド/インスリンコンボの調製とインビトロ分析
インスリンとリラグルチドのそれぞれ10mgを20mLの焼結ガラスバイアルに入れ
た。A9をインスリンおよびリラグルチドに1:5の重量比で、100uLのジメチルス
ルホキシドを加え、この混合物を100rpmで5分間37℃で(目に見える透明な溶液
になるまで)攪拌し、インスリン/リラングルチド-A9を提供した。
【0096】
溶解またはインビトロ放出試験のために、pH約7.4のPBS(リン酸緩衝生理食塩
水)を媒体として使用し、リラグルチド、インスリンコンボ溶液の溶液を溶解媒体に分散
させた。溶解研究では、既知量のインスリンならびにリラグルチド(上記の溶液の20u
Lに2 mgのインスリンおよびリラグルチドが含まれている)を2mLの円錐形ポリプ
ロピレンバイアルに入れた。製剤の表面が乱されないように、1 mLの放出媒体(37
℃で平衡化したpH 7.4の0.01M PBS)を各バイアルに穏やかに加えた。試
料をオービタルシェーカー内で37℃/100 rpmに配置した。すべての時点で、本
質的にすべての放出媒体が除去され、新鮮な溶液と交換された。各時点での溶液中のイン
スリンおよびリラグルチドの量をHPLCにより決定した。
【0097】
結果
インスリン/リラングルチド-A9からのリラグルチドとインスリンの両方のインビト
ロ溶解プロファイルを
図4にプロットする。
【0098】
実施例6A9を使用したロピバカイン代謝物の調製とインビトロ分析
10mgのロピバカイン代謝産物を20mLの焼結ガラスバイアルに入れた。A9を1
:0.5重量比または1:1重量比のロピバカイン代謝物とA9を100uLのジメチル
スルホキシドとともに加え、この混合物を100rpmで5分間37℃で攪拌して(目に
見える透明な溶液になるまで)、ロピバカイン代謝物-A9を提供した。
【0099】
希釈剤中のロピバカイン代謝物(対照)
10mgのロピバカイン代謝産物を20mLの焼結ガラスバイアルと100uLのジメ
チルスルホキシドまたはジメチルホルムアミドに入れ、この混合物を100rpmで37
℃で5分間攪拌した(目に見える透明な溶液になるまで)。
【0100】
溶解またはインビトロ放出試験のために、約7.4のPBS(リン酸緩衝生理食塩水)
pHを媒体として使用し、ロピバカイン代謝産物の溶液を溶解媒体に分散させた。溶解研
究では、既知量のロピバカイン代謝産物(20uLの上記溶液に2 mgのロピバカイン
代謝産物が含まれている)を2mLの円錐形ポリプロピレンバイアルに入れた。1 mL
の放出媒体(37℃で平衡化したpH 7.4の0.01M PBS)を各バイアルに穏
やかに加え、製剤の表面が乱されないようにした。試料をオービタルシェーカー内で37
℃/100 rpmに配置した。すべての時点で、本質的にすべての放出媒体が除去され
、新鮮な溶液と交換された。各時点での溶液中のロピバカイン代謝産物の量を、HPLC
によって決定した。
【0101】
結果
ロピバカイン代謝物A9からのロピバカイン代謝物の累積放出(%)を示すインビトロ
溶解プロファイルを
図5にプロットする。
【0102】
実施例7:A6またはA9を用いたリラグルチド、rh-インスリンおよびインスリング
ラルギンの調製およびインビボ分析
A6またはA9を含むリラグルチド、rh-インスリンおよびインスリングラルギンの
それぞれの組成物は、上記と同様の方法で調製され、ラットのインビボ試験で使用されま
した。具体的には、6つの異なるグループに、表1に示す異なる組成を適用した。組成物
をラットに注射した。グループ1~5の薬物動態プロファイルをそれぞれ
図6~10に示
す。投与率(mg/kg)は、試験グループ間および所定の試験グループ内の動物間で変
動した。
【表1】
【0103】
別のインビボ研究は、リラグルチド、rh-インスリンおよびインスリングラルギンの
それぞれの組成とA9を用いてラットで行われました。具体的には、4つの異なるグルー
プに、表2に示す異なる組成を適用した。
図11-14は、この研究における薬学的に活
性な化合物(リラグルチド、rh-インスリンまたはインスリングラルギン)の血清レベ
ルの幾何平均データを提供する。
【表2】
【0104】
実施例8 ラットへの注射後の局所耐性
実施例7で注射されたラットからの皮膚の組織病理学的評価は、標準的な手順を使用し
て行われた。一般に、ビヒクルおよびアクティブサイトの両方で、すべてのグループの真
皮深部に存在する炎症は最小限から軽度であった。これは、本明細書で試験された式Iの
すべてのペプチドならびに希釈剤および試験物品により誘発されたいくつかの非特異的局
所多巣性炎症があることを示している。対照群および活性群の両方のほとんどの群で、数
匹の動物の真皮深部に少数の小さな肉芽腫が存在していた。これらは、試験およびビヒク
ル物品に対する異物反応または肉芽腫製剤反応の解消であると見なされる。これは、試験
品およびさまざまなビヒクル単独または試験物品との両方が、特に、薬学的に活性な分子
がインスリンである、表2のグループ2、3、および4の小さな局所異物反応または肉芽
腫形成を誘発することを示す。
【0105】
実施例9A7によるケタミンの調製およびインビトロ分析
500mgのケタミンを20mLの焼結ガラスバイアルに入れた。
図15に示すように
、重量比1:0.5または重量比1:1のケタミンHCL-A7と、500uLのジメチ
ルスルホキシドを含む、異なる比率のケタミンHCLとA7を追加し、この混合物を10
0rpmで5分間撹拌した。37℃(目に見える懸濁溶液になるまで)でケタミンHCL
-A7を提供した。
【0106】
希釈液中のケタミン(対照)
500mgのケタミンを20mLの焼結ガラスバイアルに入れ、500 uLのジメチ
ルスルホキシドまたはジメチルホルムアミドを加え、この混合物を100rpmで5分間
37℃で攪拌した(目に見える懸濁液になるまで)。
【0107】
ケタミン放出のインビトロ分析
上記で調製したケタミン-A7からのケタミンのインビトロ放出を決定するために、以
下に示すように溶解実験を行った。
【0108】
溶解またはインビトロ放出試験のために、pH約7.4のPBS(リン酸緩衝生理食塩
水)を媒体として使用し、リラグルチドの溶液を溶解媒体に分散させた。溶解研究では、
既知量のケタミン(上記の溶液100 uLに100 mgのケタミンが含まれている)
を2 mLの円錐形ポリプロピレンバイアルに入れた。1 mLの放出媒体(37℃で平
衡化したpH 7.4の0.01M PBS)を各バイアルに穏やかに加え、製剤の表面
が乱されないようにした。試料をオービタルシェーカー内で37℃/100 rpmに配
置した。すべての時点で、本質的にすべての放出媒体が除去され、新鮮な溶液と交換され
た。各時点での溶液中のケタミンの量をHPLCにより決定した。
【0109】
結果
ケタミンHCL-A9からのケタミンHCLのインビトロ溶解プロファイル(1:0.
3の重量比)を
図16にプロットする。ケタミンHCL-A7からのケタミンHCLのイ
ンビトロ溶解プロファイル(1:0.5重量比および1:1重量比)を
図17および
図1
8にプロットする。ケタミンHCLのインビトロでの放出は、ケタミンHCL対A7の比
率が1:1の場合により制御された放出を示した。
【0110】
実施例10A9によるエタネルセプトの調製とインビトロ分析
50mgのエタネルセプトを20mLの焼結ガラスバイアルに入れた。異なる比率のリ
ラグルチドとA7を、エタネルセプトA9の1:0.5重量比または1:1重量比で、5
00uLのジメチルスルホキシドとともに加え、この混合物を100 rpmで5分間3
7℃で攪拌した(目に見える懸濁液溶液)エタネルセプト-A9を提供した。
【0111】
希釈液中のエタネルセプト(対照)
50 mgのEtanerceptを20 mLの焼結ガラスバイアルに入れ、500
uLのジメチルスルホキシドまたはジメチルホルムアミドを加え、この混合物を100
rpmで5分間37℃で攪拌した(目に見える懸濁液になるまで)。
【0112】
エタネルセプト放出のインビトロ分析
上記で調製したエタネルセプト-A9からのエタネルセプトのインビトロ放出を決定す
るために、以下に示すように溶解実験を行った。Etanercept-A9のエタネル
セプトのインビトロ溶解プロファイルを
図19にプロットする。
【0113】
溶解またはインビトロ放出試験のために、約7.4のPBS(リン酸緩衝生理食塩水)
pHを媒体として使用し、リラグルチドの溶液を溶解媒体に分散させた。溶解研究では、
既知量のエタネルセプト(上記の溶液100μLに100 mgのエタネルセプトが含ま
れている)を2mLの円錐形ポリプロピレンバイアルに入れた。1 mLの放出媒体(3
7℃で平衡化したpH 7.4の0.01M PBS)を各バイアルに穏やかに加え、製
剤の表面が乱されないようにした。試料をオービタルシェーカー内で37℃/100 r
pmに配置した。すべての時点で、本質的にすべての放出媒体が除去され、新鮮な溶液と
交換された。各時点での溶液中のエタネルセプトの量をHPLCにより決定した。
【0114】
本開示は、本開示の個々の態様の単一の例示として意図される記載された特定の実施形
態によって範囲が限定されるべきではなく、機能的に同等である任意の組成物または方法
は、本開示の範囲内である。本開示の精神または範囲から逸脱することなく、本開示の方
法および組成物において様々な修正および変更を行うことができることは、当業者には明
らかであろう。したがって、本開示は、添付の特許請求の範囲およびそれらの等価物の範
囲内に入るという条件で、本開示の修正および変更をカバーすることが意図されている。
【0115】
本明細書で言及されるすべての刊行物および特許出願は、あたかも各個々の刊行物また
は特許出願が参照により組み込まれることが具体的かつ個別に示されたかのように、参照
により本明細書に組み込まれる。
前記中性アミノ酸が独立して、トリプトファン、フェニルアラニン、グリシン、アラニン、バリン、イソロイシン、ロイシン、セリン、スレオニン、チロシン、アスパラギン、グルタミンおよびプロリンから選択される、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
前記薬学的に活性な化合物が、鎮痛剤、麻酔剤、抗喘息剤、抗生物質、抗うつ剤、抗糖尿病剤、抗真菌剤、降圧剤、抗炎症剤、抗腫瘍剤、抗不安剤、免疫刺激剤または免疫抑制剤である、請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物。
前記薬学的に活性な化合物が、抗体、ペプチド、ナノボディ、抗体フラグメント、FABフラグメント、アフィボディ、タンパク質、ヌクレオチドおよびトリネクチン誘導体から選択される大分子である、請求項1~9のいずれか一項に記載の組成物。