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特開2024-105445クロマトグラフィーを用いたタンパク質の精製方法
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  • 特開-クロマトグラフィーを用いたタンパク質の精製方法 図1
  • 特開-クロマトグラフィーを用いたタンパク質の精製方法 図2
  • 特開-クロマトグラフィーを用いたタンパク質の精製方法 図3A
  • 特開-クロマトグラフィーを用いたタンパク質の精製方法 図3B
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024105445
(43)【公開日】2024-08-06
(54)【発明の名称】クロマトグラフィーを用いたタンパク質の精製方法
(51)【国際特許分類】
   C07K 1/18 20060101AFI20240730BHJP
   C07K 1/22 20060101ALI20240730BHJP
【FI】
C07K1/18
C07K1/22
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024075809
(22)【出願日】2024-05-08
(62)【分割の表示】P 2020570950の分割
【原出願日】2019-06-18
(31)【優先権主張番号】62/687,164
(32)【優先日】2018-06-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】391015708
【氏名又は名称】ブリストル-マイヤーズ スクイブ カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BRISTOL-MYERS SQUIBB COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100122301
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 憲史
(74)【代理人】
【識別番号】100170520
【弁理士】
【氏名又は名称】笹倉 真奈美
(72)【発明者】
【氏名】ジーチャン・チェン
(72)【発明者】
【氏名】シュアンクオ・シュー
(72)【発明者】
【氏名】サンチャイタ・ゴーシュ
(72)【発明者】
【氏名】ジェンジアン・リ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】陰イオン交換クロマトグラフィー(AEX)および陽イオン交換クロマトグラフィー(CEX)を、pHおよび/または伝導度を含むクロマトグラフィー条件についてのインライン調節をすることなくフロースルーモードで操作する、目的タンパク質の連続精製のための組合せクロマトグラフィープロセスを提供する。
【解決手段】AEX-CEXの組合せクロマトグラフィーを、自動化、エンジニアリングコントロールおよび/またはインライン調節をAEXとCEXの間に用いない操作条件下フロースルーモードで用いる、タンパク質を精製する方法を提供する。AEXとCEX(またはCEXとAEX)は直接接続され得る。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
陽イオン交換クロマトグラフィー(CEX)と陰イオン交換クロマトグラフィー(AEX)の組合せまたはAEXとCEXの組合せ(「組合せクロマトグラフィー」)を、自動化、エンジニアリングコントロールおよび/またはインライン調節をAEXとCEXの間に用いない操作条件下、フロースルーモードで実施することを含む、混合物からタンパク質を精製する方法。
【請求項2】
AEXおよびCEXが直接接続されている、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
AEXとCEXの間のpHおよび/または伝導度が調節されない、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
タンパク質が、約6.5、約6.6、約6.7、約6.8、約6.9、約7.0、約7.1、約7.2、約7.3、約7.4、約7.5、約7.6、約7.7、約7.8、約7.9または約8.0より高い等電点(pI)を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
タンパク質が、約12.0、約11.9、約11.8、約11.7、約11.6、約11.5、約11.4、約11.3、約11.2、約11.1、約11.0、約10.9、約10.8、約10.8、約10.7、約10.6、約10.5、約10.4、約10.3、約10.2、約10.1または約10.0より低い等電点(pI)を有する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
タンパク質が、約7.0~約11.0、約7.0~約10.0、約6.5~約10.5または約7.2~約9.6のpIを有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
タンパク質が、約6.5、約7.0、約7.5、約8.0、約8.0、約8.5、約9.0、約9.5、約10.0、約10.5または約11.0のpIを有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
タンパク質が、約6.5、約6.4、約6.3、約6.2、約6.1、約5.9、約5.8または約5.7より低い等電点(pI)を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
タンパク質が、約1.0、約2.0、約3.0、約4.0または約5.0より高い等電点(pI)を有する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
タンパク質が、約1.0~約6.5、約2.0~約6.0、約2.5~約6.5または約2.0~約5.8のpIを有する、請求項8または9に記載の方法。
【請求項11】
タンパク質が、約6.5、約6.4、約6.3、約6.2、約6.1、約6.0、約5.9、約5.8、約5.7、約5.6または約5.5のpIを有する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
組合せクロマトグラフィーが、ローディングバッファーを加えることおよびチェイスバッファーを加えることを含む、請求項4~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
組合せクロマトグラフィーが、ローディングバッファーを加えることおよびチェイスバッファーを加えることを含む、請求項8~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
ローディングバッファーが、約6.0、約6.5、約7.0、約7.5、約8.0、約8.5、約9.0、約9.5または約10.0より高いpHを有する、請求項12または13に記載の方法。
【請求項15】
ローディングバッファーが、約6.0~約11.0、約6.5~約11.0、約7.0~約10.5、約7.0~約10.0、約7.0~約9.5、約7.0~約9.0、約7.0~約8.5、約7.0~約8.0または約7.0~約7.5のpHを有する、請求項12~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
ローディングバッファーが、約6.5、約7.0、約7.2、約7.4、約7.6、約7.8、約8.0、約8.2、約8.4、約8.6、約8.8、約9.0、約9.2、約9.4、約9.6、約9.8、約10.0、約10.5、約11.0または約11.5のpHを有する、請求項12~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
チェイスバッファーが、約6.0、約6.5、約7.0、約7.5、約8.0、約8.5または約9.0より高いpHを有する、請求項12~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
チェイスバッファーが、約6.0~約11.0、約6.5~約10.0、約7.0~約11.0、約7.0~約10.0、約7.0~約9.0、約7.0~約8.0、約7.0~約8.5、約7.0~約9.5、約6.5~約8.5または約65.0~約7.5のpHを有する、請求項12~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
チェイスバッファーが、約6.0、約6.2、約6.4、約6.6、約6.8、約7.0、約7.2、約7.4、約7.6、約7.8、約8.0、約8.2、約8.4、約8.6、約8.8または約9.0のpHを有する、請求項12~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
チェイスバッファーが、ローディングバッファーのpHを同じまたは異なるpHを有する、請求項12~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
ローディングバッファーが、約0.1mS/cm~約9.0mS/cm、約0.5mS/cm~約9.0mS/cm、約1.0~約9.0mS/cm、約2.0~約8.0mS/cm、約2.0~約7.0mS/cm、約2.0~約8.5mS/cm、約2.0~約7.5mS/cmまたは約2.5~約7.0mS/cmの伝導度を有する、請求項12および14~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
ローディングバッファーが、約2.5mS/cm~約7.0mS/cmの伝導度を有する、請求項12~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
ローディングバッファーが、約0.1mS/cm、約0.5mS/cm、約1.0mS/cm、約1.5mS/cm、約2.0mS/cm、約2.5mS/cm、約3.0mS/cm、約3.5mS/cm、約4.0mS/cm、約4.5mS/cm、約5.0mS/cm、約5.5mS/cm、約6.0mS/cm、約6.5mS/cm、約7.0mS/cm、約7.5mS/cm、約8.0mS/cm、約8.5mS/cmまたは約9.0mS/cmの伝導度を有する、請求項12~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
ローディングバッファーが、約6.0mS/cm~約15.0mS/cm、約6.5mS/cm~約15mS/cm、約7.0mS/cm~約14.0mS/cm、約8.0mS/cm~約13.0mS/cmまたは約9.0mS/cm~約12.0mS/cmの伝導度を有する、請求項13~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
ローディングバッファーが、約9.0~9.5mS/cmの伝導度を有する、請求項13~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
ローディングバッファーが、約6.0mS/cm、約6.5mS/cm、約7.0mS/cm、約7.5mS/cm、約8.0mS/cm、約8.5mS/cm、約9.0mS/cm、約9.5mS/cm、約10.0mS/cm、約10.5mS/cm、約11.0mS/cm、約11.5mS/cm、約12.0mS/cm、約12.5mS/cm、約13.0mS/cm、約13.5mS/cm、約14.0mS/cm、約14.5mS/cmまたは約15.0mS/cmの伝導度を有する、請求項13~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
チェイスバッファーが、約0.1mS/cm~約9.0mS/cm、約0.5mS/cm~約9.0mS/cm、約1.0~約9.0mS/cm、約2.0~約8.0mS/cm、約2.0~約7.0mS/cm、約2.0~約8.5mS/cm、約2.0~約7.5mS/cmまたは約2.5~約7.0mS/cmの伝導度を有する、請求項12および14~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
チェイスバッファーが、約0.1mS/cm、約0.5mS/cm、約1.0mS/cm、約1.5mS/cm、約2.0mS/cm、約2.5mS/cm、約3.0mS/cm、約3.5mS/cm、約4.0mS/cm、約4.5mS/cm、約5.0mS/cm、約5.5mS/cm、約6.0mS/cm、約6.5mS/cm、約7.0mS/cm、約7.5mS/cm、約8.0mS/cm、約8.5mS/cmまたは約9.0mS/cmの伝導度を有する、請求項12および14~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
チェイスバッファーが、約6.0mS/cm~約15.0mS/cm、約6.5mS/cm~約15.0mS/cm、約7.0~約15.0mS/cm、約8.0~約14.0mS/cm、約8.0~約13.0mS/cm、約8.0~約14.5mS/cm、約8.0~約13.5mS/cmまたは約8.5~約13.0mS/cmの伝導度を有する、請求項13~20および24~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
チェイスバッファーが、約6.0mS/cm、約6.5mS/cm、約7.0mS/cm、約7.5mS/cm、約8.0mS/cm、約8.5mS/cm、約9.0mS/cm、約9.5mS/cm、約10.0mS/cm、約10.5mS/cm、約11.0mS/cm、約11.5mS/cm、約12.0mS/cm、約12.5mS/cm、約13.0mS/cm、約13.5mS/cm、約14.0mS/cm、約14.5mS/cmまたは約15.0mS/cmの伝導度を有する、請求項13~20および24~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
チェイスバッファーの伝導度が、ローディングバッファーの伝導度より高い、低いまたは同じである、請求項12~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
チェイスバッファーの伝導度が、ローディングバッファーの伝導度より少なくとも0.1mS/cm、少なくとも0.2mS/cm、少なくとも0.3mS/cm、少なくとも0.4mS/cm、少なくとも0.5mS/cm、少なくとも1.0mS/cm、少なくとも1.5mS/cm、少なくとも2.0mS/cm、少なくとも2.5mS/cm、少なくとも3.0mS/cm、少なくとも3.5mS/cm、少なくとも4.0mS/cm、少なくとも4.5mS/cmまたは少なくとも5.0mS/cm高い、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
混合物が、1つ以上の夾雑物を含む、請求項1~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
夾雑物が、宿主細胞タンパク質(HCP)、DNA、高分子量体(HMW)、低分子量体(LMW)、残留プロテインA(rPA)、またはそれらの任意の組合せを含む、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
組合せクロマトグラフィーが、HCPレベルを約100ppm以下、約90ppm以下、約80ppm以下、約70ppm以下、約60ppm以下、約50ppm以下、約40ppm以下、約30ppm以下、約20ppm以下または約10ppm以下に低下させる、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
組合せクロマトグラフィーが、HMWレベルを約1.0%以下、約0.9%以下、約0.8%以下、約0.7%以下、約0.6%以下、約0.5%以下、約0.4%以下、約0.3%以下、約0.2%以下または約0.1%以下に低下させる、請求項34または35に記載の方法。
【請求項37】
組合せクロマトグラフィーが、LMWレベルを約1.0%以下、約0.9%以下、約0.8%以下、約0.7%以下、約0.6%以下、約0.5%以下、約0.4%以下、約0.3%以下、約0.2%以下または約0.1%以下に低下させる、請求項34~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
組合せクロマトグラフィーが、DNAレベルを約20pg/mL以下、約18pg/mL以下、約16pg/mL以下、約14pg/mL以下、約12pg/mL以下、約10pg/mL以下、約8pg/mL以下、約6pg/mL以下、約4pg/mL以下または約2pg/mL以下に低下させる、請求項34~37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
組合せクロマトグラフィーが、rPAレベルを約6ppm以下、約5ppm以下、約4ppm以下、約3ppm以下、約2ppm以下、約1ppm以下、約0.8ppm以下、約0.6ppm以下、約0.5ppm以下、約0.4ppm以下、約0.3ppm以下、約0.2ppm以下または約0.1ppm以下に低下させる、請求項34~38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
クロマトグラフィーにおけるローディング工程後のバッファー移行ピークを低減または除去する方法であって、該方法が、混合物中のタンパク質を精製するためのクロマトグラフィー中にローディングバッファーおよびチェイスバッファーを加えることを含み、チェイスバッファーが、ローディングバッファーより高い伝導度を有する、方法。
【請求項41】
クロマトグラフィーが、AEXクロマトグラフィー、CEXクロマトグラフィー、AEXとCEXの組合せクロマトグラフィーまたはCEXとAEXの組合せクロマトグラフィーである、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
クロマトグラフィーが、フロースルーモードである、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
ローディングバッファーが、約3.0mS/cm~約6.0mS/cmの伝導度を有し、チェイスバッファーが、約6.0mS/cm~約12.0mS/cmの伝導度を有する、請求項40~42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
チェイスバッファーの伝導度が、ローディングバッファーの伝導度より少なくとも0.5mS/cm、少なくとも1.0mS/cm、少なくとも1.5mS/cm、少なくとも2.0mS/cm、少なくとも2.5mS/cm、少なくとも3.0mS/cm、少なくとも3.5mS/cm、少なくとも4.0mS/cm、少なくとも4.5mS/cmまたは少なくとも5.0mS/cm高い、請求項40~43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
ローディングバッファーが、5.0mS/cmの伝導度を有し、チェイスバッファーが、6.0mS/cmの伝導度を有する、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
ローディングバッファーが、塩化ナトリウム、塩化アンモニウム、塩化カリウム、酢酸ナトリウム、酢酸アンモニウム、硫酸ナトリウム、硫酸アンモニウム、チオシアン酸アンモニウム、クエン酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、ならびにそのカリウム、マグネシウムおよびカルシウム塩、またはそれらの任意の組合せを含む、請求項12~45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
ローディングバッファーが、酢酸ナトリウム-Trisを含む、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
チェイスバッファーが、塩化ナトリウム、塩化アンモニウム、塩化カリウム、酢酸ナトリウム、酢酸アンモニウム、硫酸ナトリウム、硫酸アンモニウム、チオシアン酸アンモニウム、クエン酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、ならびにそのカリウム、マグネシウムおよびカルシウム塩、またはそれらの任意の組合せを含む、請求項12~47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
チェイスバッファーが、酢酸ナトリウム-Trisを含む、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
クロマトグラフィーが、50g/L樹脂、100g/L樹脂、150g/L樹脂、200g/L樹脂、250g/L樹脂、300g/L樹脂、350g/L樹脂、400g/L樹脂、450g/L樹脂または500g/L樹脂まで負荷されているカラムを含む、請求項1~49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
クロマトグラフィーが、Poros HS、Poros XS、カルボキシ-メチル-セルロース、BAKERBOND ABXTM、アガロースに固定化されているスルホプロピルおよびアガロースに固定化されているスルホニル、MonoS、MiniS、Source 15S、30S、SP SEPHAROSETM、CM SEPHAROSETM、BAKERBOND Carboxy-Sulfon、WP CBX、WP Sulfonic、Hydrocell CM、Hydrocel SP、UNOsphere S、Macro-Prep High S、Macro-Prep CM、Ceramic HyperD S、Ceramic HyperD CM、Ceramic HyperD Z、Trisacryl M CM、Trisacryl LS CM、Trisacryl M SP、Trisacryl LS SP、Spherodex LS SP、DOWEX Fine Mesh Strong Acid Cation Resin、DOWEX MAC-3、Matrex Cellufine C500、Matrex Cellufine C200、Fractogel EMD SO3-、Fractogel EMD SE、Fractogel EMD COO-、Amberlite Weak and Strong Cation Exchangers、Diaion Weak and Strong Cation Exchangers、TSK Gel SP-5PW-HR、TSK Gel SP-5PW、Toyopearl CM(650S、650M、650C)、Toyopearl SP(650S、650M、650C)、CM(23、32、52)、SE(52、53)、P11、Express-Ion CおよびExpress-Ion S、またはそれらの任意の組合せより選択されるCEX樹脂を含む、請求項1~50のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
クロマトグラフィーが、POROS HQ、POROS XQ、Q SEPHAROSETM Fast Flow、DEAE SEPHAROSETM Fast Flow、SARTOBIND(登録商標)Q、ANX SEPHAROSETM 4 Fast Flow(high sub)、Q SEPHAROSETM XL、Q SEPHAROSETM big beads、DEAE Sephadex A-25、DEAE Sephadex A-50、QAE Sephadex A-25、QAE Sephadex A-50、Q SEPHAROSETM high performance、Q SEPHAROSETM XL、Sourse 15Q、Sourse 30Q、Resourse Q、Capto Q、Capto DEAE、Mono Q、Toyopearl Super Q、Toyopearl DEAE、Toyopearl QAE、Toyopearl Q、Toyopearl GigaCap Q、TS gel SuperQ、TS gel DEAE、Fractogel EMD TMAE、Fractogel EMD TMAE HiCap、Fractogel EMD DEAE、Fractogel EMD DMAE、Macroprep High Q、Macro-prep-DEAE、Unosphere Q、Nuvia Q、PORGS PI、DEAE Ceramic HyperD、Q Ceramic HyperD、またはそれらの任意の組合せより選択されるAEX樹脂を含む、請求項1~51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
タンパク質が、抗体または抗体フラグメント、融合タンパク質、天然タンパク質、キメラタンパク質、またはそれらの任意の組合せより選択される、請求項1~52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
抗体が、IgM、IgA、IgE、IgDおよびIgGより選択されるアイソタイプである、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
IgG抗体が、IgG1、IgG2、IgG3およびIgG4より選択される、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
クロマトグラフィーが、ウイルスを不活化する、請求項1~55のいずれか一項に記載の方法。
【請求項57】
ウイルスを不活化することをさらに含む、請求項1~56のいずれか一項に記載の方法。
【請求項58】
混合物が、出発混合物を、プロテインAアフィニティークロマトグラフィーおよびプロテインGアフィニティークロマトグラフィーより選択されるアフィニティークロマトグラフィーに供することにより単離されている、請求項1に記載の方法。
【請求項59】
出発混合物が、採取した細胞培養液、細胞培養上清、馴化細胞培養上清、細胞溶解物および清澄化バルクより選択される、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
出発混合物が、哺乳類細胞培養に由来する、請求項58または59に記載の方法。
【請求項61】
哺乳類細胞が、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞に由来する、請求項60に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
タンパク質の大規模で効率的かつ経済的な精製は、現在のバイオテクノロジーおよび製薬産業において克服すべき主要なハードルの1つである。一般に、生成と精製は、まず目的タンパク質を製造するための様々な「上流」細胞培養プロセスによって行われる。生成後、「下流」精製プロセスを用いて、上流プロセスで製造された混合物にも存在し得る望ましくないあらゆる夾雑物から目的タンパク質を分離および単離する。様々な上流および下流技術は、例えばBiopharmaceutical Processing: Development, Design, and Implementation of Manufacturing Processes, Jagschies et al., 2017で見つけられる。タンパク質の特定のサブセットであるモノクローナル抗体(mAb)およびその誘導体生成物(例えばFc融合タンパク質、二重特異性抗体)は、これらのタイプの生物製剤の安全性、有効性および高品質により、最も困難なヒトの疾患の治療に重要な役割を果たす。mAbの製造は、組み換え哺乳類培養物におけるタンパク質発現から始まる。その後、清澄化バルクを下流精製(DSP)に供する。下流精製プロセスでは、典型的には、Shukla et al., Downstream Processing Of Monoclonal Antibodies--Application Of Platform Approaches, J Chromatogr B Analyt Technol Biomed Life Sci, 848 (2007) 28-39に記載されるように捕捉のためにプロテインAクロマトグラフィーが用いられ、1または2つのポリッシング工程が続く。陽イオン交換(CEX)、陰イオン交換(AEX)、疎水性相互作用(HIC)および混合型クロマトグラフィーは、すべてポリッシング工程として用いられている。
【0002】
現在の下流精製は、多くの場合、異なる単位操作(クロマトグラフィーとフィルター)の間にホールドタンクを備えたバッチプロセスとして実施される。必要なバッファー調節(例えば、pHまたは伝導度の調節)が、多くの場合、各ユニット操作に必要とされる。溶出液の自動化およびインライン調節は、精製工程を改善すると報告されている。それにもかかわらず、バッファー条件のインライン調節は、煩雑であり、操作コストおよび時間ならびにスキッドフットプリントを増加させ得る。
【発明の概要】
【0003】
本開示は、AEXおよびCEXを、pHおよび/または伝導度を含むクロマトグラフィー条件についてのインライン調節することなく、フロースルーモードで操作する、目的タンパク質の連続精製のための組合せクロマトグラフィープロセスに関する。本開示の一態様は、pHまたは伝導度を含む精製条件のいずれかについてのインライン調節がない、AEX-CEXまたはCEX-AEX精製アプローチを用いる目的タンパク質の精製に関する。具体的には、アプローチは、タンデムの陽イオン交換クロマトグラフィー(CEX)および陰イオン交換クロマトグラフィー(CEX)を、AEX-CEXまたはCEX-AEXのいずれかの順で用いる。いくつかの実施態様において、AEXおよびCEXは、AEXとCEXまたはCEXとAEXの間のインプロセスプールのpHまたは伝導度を調節がなされない。本開示の別の特徴は、AEXおよびCEXのカラム条件が一緒に処理され、単一のユニットとして操作されることであり、これは、プロセスコスト、プロセス操作時間およびプロセススキッドフットプリントを著しく減少させる。
【0004】
いくつかの実施態様において、タンパク質は、約6.5、約6.6、約6.7、約6.8、約6.9、約7.0、約7.1、約7.2、約7.3、約7.4、約7.5、約7.6、約7.7、約7.8、約7.9または約8.0より高い等電点(pI)を有する。他の実施態様において、タンパク質は、約12.0、約11.9、約11.8、約11.7、約11.6、約11.5、約11.4、約11.3、約11.2、約11.1、約11.0、約10.9、約10.8、約10.8、約10.7、約10.6、約10.5、約10.4、約10.3、約10.2、約10.1または約10.0より低い等電点(pI)を有する。
【0005】
いくつかの実施態様において、タンパク質は、約7.0~約11.0、約7.0~約10.0、約6.5~約10.5または約7.2~約9.6のpIを有する。他の実施態様において、タンパク質は、約6.5、約7.0、約7.5、約8.0、約8.0、約8.5、約9.0、約9.5、約10.0、約10.5または約11.0のpIを有する。他の実施態様において、タンパク質は、約6.5、約6.4、約6.3、約6.2、約6.1、約5.9、約5.8または約5.7より低い等電点(pI)を有する。
【0006】
いくつかの実施態様において、タンパク質は、約1.0、約2.0、約3.0、約4.0または約5.0より高い等電点(pI)を有する。他の実施態様において、タンパク質は、約1.0~約6.5、約2.0~約6.0、約2.5~約6.5または約2.0~約5.8のpIを有する。他の実施態様において、タンパク質は、約6.5、約6.4、約6.3、約6.2、約6.1、約6.0、約5.9、約5.8、約5.7、約5.6または約5.5のpIを有する。
【0007】
いくつかの実施態様において、組合せクロマトグラフィーは、ローディングバッファーを加えることおよびチェイスバッファーを加えることを含む。
【0008】
いくつかの実施態様において、ローディングバッファーは、約6.0、約6.5、約7.0、約7.5、約8.0、約8.5、約9.0、約9.5または約10.0より高いpHを有する。他の実施態様において、ローディングバッファーは、約6.0~約11.0、約6.5~約11.0、約7.0~約10.5、約7.0~約10.0、約7.0~約9.5、約7.0~約9.0、約7.0~約8.5、約7.0~約8.0または約7.0~約7.5のpHを有する。他の実施態様において、ローディングバッファーは、約6.5、約7.0、約7.2、約7.4、約7.6、約7.8、約8.0、約8.2、約8.4、約8.6、約8.8、約9.0、約9.2、約9.4、約9.6、約9.8、約10.0、約10.5、約11.0または約11.5のpHを有する。
【0009】
いくつかの実施態様において、チェイスバッファーは、約6.0、約6.5、約7.0、約7.5、約8.0、約8.5または約9.0より高いpHを有する。他の実施態様において、チェイスバッファーは、約6.0~約11.0、約6.5~約10.0、約7.0~約11.0、約7.0~約10.0、約7.0~約9.0、約7.0~約8.0、約7.0~約8.5、約7.0~約9.5、約6.5~約8.5または約6.5~約7.5のpHを有する。他の実施態様において、チェイスバッファーは、約6.0、約6.2、約6.4、約6.6、約6.8、約7.0、約7.2、約7.4、約7.6、約7.8、約8.0、約8.2、約8.4、約8.6、約8.8または約9.0のpHを有する。
【0010】
いくつかの実施態様において、チェイスバッファーは、ローディングバッファーのpHと同じまたは異なるpHを有する。
【0011】
いくつかの実施態様において、ローディングバッファーは、約0.1mS/cm~約9.0mS/cm、約0.5mS/cm~約9.0mS/cm、約1.0~約9.0mS/cm、約2.0~約8.0mS/cm、約2.0~約7.0mS/cm、約2.0~約8.5mS/cm、約2.0~約7.5mS/cmまたは約2.5~約7.0mS/cmの伝導度を有する。他の実施態様において、ローディングバッファーは、約0.1mS/cm、約0.5mS/cm、約1.0mS/cm、約1.5mS/cm、約2.0mS/cm、約2.5mS/cm、約3.0mS/cm、約3.5mS/cm、約4.0mS/cm、約4.5mS/cm、約5.0mS/cm、約5.5mS/cm、約6.0mS/cm、約6.5mS/cm、約7.0mS/cm、約7.5mS/cm、約8.0mS/cm、約8.5mS/cmまたは約9.0mS/cmの伝導度を有する。
【0012】
いくつかの実施態様において、ローディングバッファーは、約6.0mS/cm~約15.0mS/cm、約6.5mS/cm~約15mS/cm、約7.0mS/cm~約14.0mS/cm、約8.0mS/cm~約13.0mS/cm、約9.0mS/cm~約12.0mS/cmまたは約9.0mS/cm~約9.5mS/cmの伝導度を有する。他の実施態様において、ローディングバッファーは、約6.0mS/cm、約6.5mS/cm、約7.0mS/cm、約7.5mS/cm、約8.0mS/cm、約8.5mS/cm、約9.0mS/cm、約9.5mS/cm、約10.0mS/cm、約10.5mS/cm、約11.0mS/cm、約11.5mS/cm、約12.0mS/cm、約12.5mS/cm、約13.0mS/cm、約13.5mS/cm、約14.0mS/cm、約14.5mS/cmまたは約15.0mS/cmの伝導度を有する。
【0013】
いくつかの実施態様において、チェイスバッファーは、約0.1mS/cm~約9.0mS/cm、約0.5mS/cm~約9.0mS/cm、約1.0~約9.0mS/cm、約2.0~約8.0mS/cm、約2.0~約7.0mS/cm、約2.0~約8.5mS/cm、約2.0~約7.5mS/cmまたは約2.5~約7.0mS/cmの伝導度を有する。他の実施態様において、チェイスバッファーは、約0.1mS/cm、約0.5mS/cm、約1.0mS/cm、約1.5mS/cm、約2.0mS/cm、約2.5mS/cm、約3.0mS/cm、約3.5mS/cm、約4.0mS/cm、約4.5mS/cm、約5.0mS/cm、約5.5mS/cm、約6.0mS/cm、約6.5mS/cm、約7.0mS/cm、約7.5mS/cm、約8.0mS/cm、約8.5mS/cmまたは約9.0mS/cmの伝導度を有する。他の実施態様において、チェイスバッファーは、約6.0mS/cm~約15.0mS/cm、約6.5mS/cm~約15.0mS/cm、約7.0~約15.0mS/cm、約8.0~約14.0mS/cm、約8.0~約13.0mS/cm、約8.0~約14.5mS/cm、約8.0~約13.5mS/cmまたは約8.5~約13.0mS/cmの伝導度を有する。他の実施態様において、チェイスバッファーは、約6.0mS/cm、約6.5mS/cm、約7.0mS/cm、約7.5mS/cm、約8.0mS/cm、約8.5mS/cm、約9.0mS/cm、約9.5mS/cm、約10.0mS/cm、約10.5mS/cm、約11.0mS/cm、約11.5mS/cm、約12.0mS/cm、約12.5mS/cm、約13.0mS/cm、約13.5mS/cm、約14.0mS/cm、約14.5mS/cmまたは約15.0mS/cmの伝導度を有する。
【0014】
いくつかの実施態様において、チェイスバッファーの伝導度は、ローディングバッファーの伝導度より高い、低いまたは同じである。いくつかの実施態様において、チェイスバッファーの伝導度は、ローディングバッファーの伝導度より少なくとも0.1mS/cm、少なくとも0.2mS/cm、少なくとも0.3mS/cm、少なくとも0.4mS/cm、少なくとも0.5mS/cm、少なくとも1.0mS/cm、少なくとも1.5mS/cm、少なくとも2.0mS/cm、少なくとも2.5mS/cm、少なくとも3.0mS/cm、少なくとも3.5mS/cm、少なくとも4.0mS/cm、少なくとも4.5mS/cmまたは少なくとも5.0mS/cm高い。
【0015】
いくつかの実施態様において、混合物は、1つ以上の夾雑物を含む。いくつかの実施態様において、夾雑物は、宿主細胞タンパク質(HCP)、DNA、高分子量体(HMW)、低分子量体(LMW)、残留プロテインA(rPA)、またはそれらの任意の組合せを含む。
【0016】
いくつかの実施態様において、クロマトグラフィーは、夾雑物のレベルを低下させる。いくつかの実施態様において、組合せクロマトグラフィーは、HCPレベルを約100ppm以下、約90ppm以下、約80ppm以下、約70ppm以下、約60ppm以下、約50ppm以下、約40ppm以下、約30ppm以下、約20ppm以下または約10ppm以下に低下させる。いくつかの実施態様において、組合せクロマトグラフィーは、HMWレベルを約1.0%以下、約0.9%以下、約0.8%以下、約0.7%以下、約0.6%以下、約0.5%以下、約0.4%以下、約0.3%以下、約0.2%以下または約0.1%以下に低下させる。いくつかの実施態様において、組合せクロマトグラフィーは、LMWレベルを約1.0%以下、約0.9%以下、約0.8%以下、約0.7%以下、約0.6%以下、約0.5%以下、約0.4%以下、約0.3%以下、約0.2%以下または約0.1%以下に低下させる。いくつかの実施態様において、組合せクロマトグラフィーは、DNAレベルを約20pg/mL以下、約18pg/mL以下、約16pg/mL以下、約14pg/mL以下、約12pg/mL以下、約10pg/mL以下、約8pg/mL以下、約6pg/mL以下、約4pg/mL以下または約2pg/mL以下に低下させる。いくつかの実施態様において、組合せクロマトグラフィーは、残留プロテインA(rPA)を約6ppm以下、約5ppm以下、約4ppm以下、約3ppm以下、約2ppm以下、約1ppm以下、約0.8ppm以下、約0.6ppm以下、約0.5ppm以下、約0.4ppm以下、約0.3ppm以下、約0.2ppm以下または約0.1ppm以下に低下させる。
【0017】
クロマトグラフィーにおけるローディング工程後のバッファー移行ピークを低減または除去する方法であって、該方法が、混合物中のタンパク質を精製するためのクロマトグラフィー中にローディングバッファーおよびチェイスバッファーを加えることを含み、チェイスバッファーが、ローディングバッファーより高い伝導度を有する、方法もまた記載する。いくつかの実施態様において、クロマトグラフィーは、AEXクロマトグラフィー、CEXクロマトグラフィー、AEXとCEXの組合せクロマトグラフィーまたはCEXとAEXの組合せクロマトグラフィーである。いくつかの実施態様において、クロマトグラフィーは、フロースルーモードである。いくつかの実施態様において、ローディングバッファーは、約3.0mS/cm~約6.0mS/cmの伝導度を有し、チェイスバッファーは、約6.0mS/cm~約12.0mS/cmの伝導度を有する。いくつかの実施態様において、チェイスバッファーの伝導度は、ローディングバッファーの伝導度より少なくとも0.5mS/cm、少なくとも1.0mS/cm、少なくとも1.5mS/cm、少なくとも2.0mS/cm、少なくとも2.5mS/cm、少なくとも3.0mS/cm、少なくとも3.5mS/cm、少なくとも4.0mS/cm、少なくとも4.5mS/cmまたは少なくとも5.0mS/cm高い。特定の実施態様において、ローディングバッファーは、5.0mS/cmの伝導度を有し、チェイスバッファーは、6.0mS/cmの伝導度を有する。いくつかの実施態様において、ローディングバッファーは、塩化ナトリウム、塩化アンモニウム、塩化カリウム、酢酸ナトリウム、酢酸アンモニウム、硫酸ナトリウム、硫酸アンモニウム、チオシアン酸アンモニウム、クエン酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、ならびにそのカリウム、マグネシウムおよびカルシウム塩、またはそれらの任意の組合せを含む。特定の実施態様において、ローディングバッファーは、酢酸ナトリウム-Trisを含む。他の実施態様において、チェイスバッファーは、塩化ナトリウム、塩化アンモニウム、塩化カリウム、酢酸ナトリウム、酢酸アンモニウム、硫酸ナトリウム、硫酸アンモニウム、チオシアン酸アンモニウム、クエン酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、ならびにそのカリウム、マグネシウムおよびカルシウム塩、またはそれらの任意の組合せを含む。特定の実施態様において、チェイスバッファーは、酢酸ナトリウム-Trisを含む。いくつかの実施態様において、クロマトグラフィーは、50g/L樹脂、100g/L樹脂、150g/L樹脂、200g/L樹脂、250g/L樹脂、300g/L樹脂、350g/L樹脂、400g/L樹脂、450g/L樹脂または500g/L樹脂まで負荷されているカラムを含む。
【0018】
いくつかの実施態様において、クロマトグラフィーは、Poros HS、Poros XS、カルボキシ-メチル-セルロース、BAKERBOND ABXTM、アガロースに固定化されているスルホプロピルおよびアガロースに固定化されているスルホニル、MonoS、MiniS、Source 15S、30S、SP SEPHAROSETM、CM SEPHAROSETM、BAKERBOND Carboxy-Sulfon、WP CBX、WP Sulfonic、Hydrocell CM、Hydrocel SP、UNOsphere S、Macro-Prep High S、Macro-Prep CM、Ceramic HyperD S、Ceramic HyperD CM、Ceramic HyperD Z、Trisacryl M CM、Trisacryl LS CM、Trisacryl M SP、Trisacryl LS SP、Spherodex LS SP、DOWEX Fine Mesh Strong Acid Cation Resin、DOWEX MAC-3、Matrex Cellufine C500、Matrex Cellufine C200、Fractogel EMD SO3-、Fractogel EMD SE、Fractogel EMD COO-、Amberlite Weak and Strong Cation Exchangers、Diaion Weak and Strong Cation Exchangers、TSK Gel SP-5PW-HR、TSK Gel SP-5PW、Toyopearl CM(650S、650M、650C)、Toyopearl SP(650S、650M、650C)、CM(23、32、52)、SE(52、53)、P11、Express-Ion CおよびExpress-Ion S、またはそれらの任意の組合せより選択されるCEX樹脂を含む。
【0019】
いくつかの実施態様において、クロマトグラフィーは、POROS HQ、POROS XQ、Q SEPHAROSETM Fast Flow、DEAE SEPHAROSETM Fast Flow、SARTOBIND(登録商標)Q、ANX SEPHAROSETM 4 Fast Flow(high sub)、Q SEPHAROSETM XL、Q SEPHAROSETM big beads、DEAE Sephadex A-25、DEAE Sephadex A-50、QAE Sephadex A-25、QAE Sephadex A-50、Q SEPHAROSETM high performance、Q SEPHAROSETM XL、Sourse 15Q、Sourse 30Q、Resourse Q、Capto Q、Capto DEAE、Mono Q、Toyopearl Super Q、Toyopearl DEAE、Toyopearl QAE、Toyopearl Q、Toyopearl GigaCap Q、TS gel SuperQ、TS gel DEAE、Fractogel EMD TMAE、Fractogel EMD TMAE HiCap、Fractogel EMD DEAE、Fractogel EMD DMAE、Macroprep High Q、Macro-prep-DEAE、Unosphere Q、Nuvia Q、PORGS PI、DEAE Ceramic HyperD、Q Ceramic HyperD、またはそれらの任意の組合せより選択されるAEX樹脂を含む。
【0020】
いくつかの実施態様において、タンパク質は、抗体または抗体フラグメント、融合タンパク質、天然タンパク質、キメラタンパク質、またはそれらの任意の組合せより選択される。いくつかの実施態様において、抗体は、IgM、IgA、IgE、IgDおよびIgGより選択されるアイソタイプである。いくつかの実施態様において、IgG抗体は、IgG1、IgG2、IgG3およびIgG4より選択される。
【0021】
いくつかの実施態様において、クロマトグラフィーは、ウイルスを不活化する。いくつかの実施態様において、混合物は、出発混合物を、プロテインAアフィニティークロマトグラフィーおよびプロテインGアフィニティークロマトグラフィーより選択されるアフィニティークロマトグラフィーに供することにより単離されている。いくつかの実施態様において、出発混合物は、採取した細胞培養液、細胞培養上清、馴化細胞培養上清、細胞溶解物および清澄化バルクより選択される。いくつかの実施態様において、出発物は、哺乳類細胞培養に由来する。いくつかの実施態様において、出発哺乳類細胞培養は、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞に由来する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、CEX-AEXまたはAEX-CEXの組合せポリッシングの図を示す。カラム1の出口がカラム2の出口に直接接続されている。自動化、エンジニアリングコントロールまたは調節は、これら2つのカラム間に存在しないかまたはなされない。
【0023】
図2図2は、伝導度5mS/cm、pH7.2におけるCEX-AEX F/T組合せポリッシングの代表的なクロマトグラムを示す。
【0024】
図3A図3Aは、5mS/cm、pH7.2で負荷および追跡するCEX F/Tのクロマトグラムを示す。ローディングバッファーおよびチェイスバッファーは、酢酸ナトリウム-Trisバッファー系を用いて同様のpHおよび伝導度を有する。バッファー移行により誘発されるローディング後ピークが、280nmにおける吸光度により測定されるとおり、チェイスバッファーの添加後に観察された。
【0025】
図3B図3Bは、5mS/cm、pH7.2で負荷し、6mS/cm、pH7.2で追跡するCEX F/Tのクロマトグラムを示す。追跡中に伝導度の高いバッファーを用いると、ローディング後のピークを効率的に除去できる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本開示は、アフィニティークロマトグラフィーを用いたタンパク質の精製中に夾雑物を除去するための極めて効果的なアプローチを提供する。具体的には、アプローチは、タンデムの陽イオン交換クロマトグラフィー(CEX)および陰イオン交換クロマトグラフィー(AEX)を、AEX-CEXまたはCEX-AEXのいずれかの順で用いる。いくつかの実施態様において、AEXおよびCEXは、AEXとCEXまたはCEXとAEXの間のバッファーのpHまたは伝導度の調節がなされない。本開示の別の特徴は、AEXおよびCEXのカラム条件が一緒に処理され、単一のユニットとしてそうされることであり、これは、プロセスコスト、プロセス操作時間およびプロセススキッドフットプリントを著しく減少させる。
【0027】
実施例に示すように、当該アプローチは、広範囲の等電点を有する目的タンパク質の混合物中の望まない夾雑物を除去するのに効果的である。このようなAEX-CEXシステムを用いることにより、CEXおよびAEXの両方のプロセスを同時に改善することができる。特定の実施態様において、本開示は、目的タンパク質および1つ以上の夾雑物(例えば宿主細胞タンパク質、DNA、残留プロテインAなど)を含む混合物から、目的タンパク質を精製する方法であって、CEXおよびAEXがフロースルーモードで操作され、目的タンパク質がCEXまたはAEXいずれかに強く結合しない、方法を提供する。CEXおよびAEXを用いて混合物から望まない夾雑物を除去するこのようなシステムを用いることにより、極めて高いスループットが可能になる。
【0028】
特定の実施態様において、本開示は、目的タンパク質および1つ以上の夾雑物を含む混合物から、目的タンパク質を精製する方法を提供する。可能性のある夾雑物としては、宿主細胞タンパク質(HCP)、高分子量体(HMW)、低分子量体(LMW)、DNA、および/または前のプロテインA補足工程からの残留プロテインA(rPA)が挙げられる。本開示はまた、バッファー移行ローディング後ピークを低減する方法であって、ローディング工程から、カラムから混合物を追跡するためのローディング後チェイスバッファーに移行するとき、クロマトグラフィープロセスが中断される、方法を提供する。
【0029】
特定の実施態様において、本開示は、抗体の精製方法を提供する。特定の実施態様において、混合物は、採取した細胞培養液、細胞培養上清、細胞溶解物および清澄化バルクに由来する。
【0030】
I. 用語
本明細書で用いる用語「および/または」は、他方の有無にかかわらず、2つの特定の特徴または構成要素の各々の特定の開示として解釈されるべきである。したがって、本明細書の「Aおよび/またはB」などの語句で用いる用語「および/または」は、「AおよびB」、「AまたはB」、「A」(単独)および「B」(単独)を含むことを意図している。同様に、「A、Bおよび/またはC」などの語句で用いる用語「および/または」は、次の態様の各々を含むことを意図している:A、BおよびC;A、BまたはC;AまたはC;AまたはB;BまたはC;AおよびC;AおよびB;BおよびC;A(単独);B(単独);およびC(単独)。
【0031】
態様が用語「含む」で本明細書に記載されている場合は常に、「からなる」および/または「本質的にからなる」という用語で記載されている他の類似の態様も提供されることが理解される。
【0032】
他に定義されない限り、本明細書で用いるすべての技術用語および科学用語は、本開示が関連する当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。例えば、Concise Dictionary of Biomedicine and Molecular Biology, Juo, Pei-Show, 2nd ed., 2002, CRC Press;Dictionary of Cell and Molecular Biology, 3rd ed., 1999, Academic Press;およびOxford Dictionary Of Biochemistry And Molecular Biology, Revised, 2000, Oxford University Pressは、本開示で用いる多くの用語の一般的な辞書を当業者に提供する。
【0033】
単位、接頭語および記号は、国際単位系(SI)で承認された形式で示される。数値範囲には、範囲を定義する数値が含まる。本明細書で提供される見出しは、本開示の様々な態様の制限ではなく、本明細書を全体として参照することによって有することができる。したがって、すぐ下で定義される用語は、本明細書の全体を参照することによってより完全に定義される。
【0034】
代替案(例えば「または」)の使用は、代替案の一方、両方またはそれらの任意の組み合わせを意味すると理解されるべきである。本明細書で用いる不定冠詞「a」または「an」は、記載または列挙された構成要素の「1つまたは複数」を指すと理解されるべきである。
【0035】
「約」または「本質的に含む」という用語は、当業者によって決定される特定の値または構成の許容誤差範囲内にある値または構成を指し、これは、値または構成がどのように測定または決定されるか、すなわち測定系の限界に部分的に依存する。例えば、「約」または「本質的に含む」は、当技術分野における実施ごとに1またはそれを超える標準偏差以内であることを意味し得る。あるいは、「約」または「本質的に含む」は、最大20%の範囲を意味し得る。さらに、特に生物学的システムまたはプロセスに関して、当該用語は、1桁までまたは5倍までの値を意味し得る。特定の値または構成が本願および特許請求の範囲で提供される場合、他に断らない限り、「約」または「本質的に含む」の意味は、その特定の値または構成の許容誤差範囲内にあると想定されるべきである。
【0036】
本明細書に記載される、あらゆる濃度範囲、パーセンテージ範囲、比率範囲または整数範囲は、他に断らない限り、記載されている範囲内のあらゆる整数の値、および適切な場合、その分数(整数の10分の1および100分の1など)を含むと理解されるべきである。
【0037】
本明細書で用いる用語「目的タンパク質」は、精製が所望される混合物中に存在するあらゆるタンパク質(天然または組み換えのいずれか)を含むように、その最も広い意味で用いられる。目的タンパク質は、酵素、ホルモン、増殖因子、サイトカイン、免疫グロブリン(例えば抗体)および/またはあらゆる融合タンパク質を含むがこれらに限定されない。
【0038】
用語「清澄化」は、粒子を除去するプロセスを指す。清澄化は、精製プロセス中にその後のクロマトグラフィー(例えばAEXまたはCEX)の負担を下げることができる。いくつかの例において、清澄化は、コロイド、脂質、DNA-RNA、残留細胞およびその他の粒子を細胞培養から除去する方法である。ろ過もまた用い得て、デプスフィルターを含み得る。「清澄化バルク」は、清澄化のプロセスに供された混合物を指す。
【0039】
用語「ウイルス不活化」用語は、混合物から感染性ウイルス夾雑物を除去するプロセスを指す。現在、伝染性病原性ウイルスを不活化するための多くの異なる方法があり、例えば、熱不活化、有機溶媒/界面活性剤(S/D)不活化、pH不活化、化学的不活化および/または紫外線照射不活化が挙げられる。
【0040】
用語「クロマトグラフィー」は、混合物中に存在する他の分子(例えば夾雑物)から目的タンパク質(例えば抗体)を分離するあらゆる種類の技術を指す。通常、目的タンパク質は、混合物の個々の分子が移動相の影響下で固定媒体を通って移動する速度の違い、または結合および溶出プロセスの結果として、他の分子(例えば夾雑物)から分離される。「マトリックス」または「クロマトグラフィーマトリックス」という用語は、本明細書で相互交換可能に用いられ、分離プロセスにおいて目的タンパク質(例えば、免疫グロブリンなどのFc領域を含むタンパク質)を混合物中に存在する他の分子から分離する、あらゆる種類の吸着剤、樹脂または固相を指す。非限定的な例としては、粒子状、モノリシックまたは繊維状の樹脂、ならびにカラムまたはカートリッジに入れ得る膜が挙げられる。マトリックスを形成する材料の例としては、多糖類(例えばアガロースおよびセルロース);他の機械的に安定なマトリックス、例えばシリカ(例えば制御細孔ガラス)、ポリ(スチレンジビニル)ベンゼン、ポリアクリルアミド、セラミック粒子、および上記の任意の誘導体が挙げられる。本開示の方法に適した典型的なマトリックスタイプの例は、陽イオン交換樹脂、アフィニティー樹脂、陰イオン交換樹脂または混合型樹脂である。「リガンド」は、クロマトグラフィーマトリックスに結合し、マトリックスの結合特性を決定する官能基である。「リガンド」の例としては、イオン交換基、疎水性相互作用基、親水性相互作用基、チオフィリック相互作用基、金属親和性基、親和性基、生体親和性基および混合型基(前記の組合せ)が挙げられるがこれらに限定されない。本明細書で用いられ得るいくつかの好ましいリガンドは、強陽イオン交換基、例えばスルホプロピル、スルホン酸;強力な陰イオン交換基、例えば塩化トリメチルアンモニウム;弱陽イオン交換基、例えばカルボン酸;弱陰イオン交換基、例えばN5NジエチルアミノまたはDEAE;疎水性相互作用基、例えばフェニル、ブチル、プロピル、ヘキシル;親和性基、例えばプロテインA、プロテインG、プロテインLを含むがこれらに限定されない。本開示をより容易に理解できるようにするために、特定の用語をまず定義する。本出願で用いられる場合、本明細書で他に明示的に示されている場合を除き、以下の各用語は、以下に記載される意味を有するものとする。更なる定義は、本願全体に記載されている。
【0041】
用語「アフィニティークロマトグラフィー」は、目的タンパク質(例えば、Fc領域を含む目的タンパク質または抗体)が、目的タンパク質に特異的なリガンドに特異的に結合するタンパク質分離技術を指す。このようなリガンドは、一般に、生体特異的リガンドと呼ばれる。いくつかの実施態様において、生体特異的リガンド(例えばプロテインAまたはその機能的変異体)は、クロマトグラフィーマトリックス材料に共有結合し、そして、溶液がクロマトグラフィーマトリックスに接触するので、溶液中の目的タンパク質にアクセス可能である。目的タンパク質は、一般に、クロマトグラフィー工程中に生体特異的リガンドに対するその特異的結合親和性を保持するが、混合物中の他の溶質および/またはタンパク質は、リガンドに感知できるほどまたは特異的には結合しない。目的タンパク質の固定化リガンドへの結合により、目的タンパク質が固相材料上の固定化リガンドに特異的に結合したまま、夾雑タンパク質またはタンパク質不純物をクロマトグラフィーマトリックスを通過させることが可能となる。その後、特異的に結合した目的タンパク質を、溶出バッファーを用いて適切な条件下(例えば低pH、高pH、高塩、競合リガンドなど)で固定化リガンドから活性型で除去し、先にカラムを通過することができた夾雑タンパク質またはタンパク質不純物なく、クロマトグラフィーカラムを通過させる。あらゆる成分が、そのそれぞれの特異的結合タンパク質、例えば抗体を精製するためのリガンドとして用いられ得る。しかしながら、本開示による様々な方法において、プロテインAは、Fc領域を含む標的タンパク質のリガンドとして用いられる。標的タンパク質(例えばFc領域を含むタンパク質)の生体特異的リガンド(例えばプロテインA)からの溶出の条件は、当業者によって容易に決定され得る。いくつかの実施態様において、プロテインGまたはプロテインLまたはそれらの機能的変異体は、生体特異的リガンドとして用いられ得る。いくつかの実施態様において、プロテインAなどの生体特異的リガンドは、Fc領域を含むタンパク質への結合のために5~9のpH範囲で用いられ、少なくとも1つの塩を含むpHが約4またはそれ未満の緩衝液での生体特異的リガンド/標的タンパク質コンジュゲートの洗浄または再平衡化、その後の溶出がある。
【0042】
本明細書で相互交換可能に用いる「精製」、「分離」または「単離」という用語は、目的タンパク質および1つ以上の不純物を含む組成物または試料サンプルから、目的タンパク質の純度を増加させることを指す。典型的には、目的タンパク質の純度の程度は、組成物から少なくとも1つの不純物を(完全にまたは部分的に)除去することによって増加する。
【0043】
本明細書で用いる用語「バッファー」は、溶液中に存在することにより、pHの単位変化を引き起こすために添加されなければならない酸またはアルカリの量を増加させる物質を指す。緩衝液は、酸塩基結合成分の作用によりpHの変化に抵抗する。生物学的試薬と共に用いるための緩衝液は、一般に、溶液のpHが生理学的範囲内にあるように、水素イオンの一定濃度を維持することができる。従来のバッファー成分は、有機および無機の塩、酸および塩基を含むがこれらに限定されない。
【0044】
本明細書で用いる用語「伝導度」は、2つの電極間で電流を伝導する水溶液の能力を指す。溶液中では、電流はイオン輸送によって流れる。したがって、水溶液中に存在するイオンの量が増えると、溶液の伝導度は高くなる。伝導度の測定単位は、ミリジーメンス/センチメートル(mS/cm)であり、伝導度計を用いて測定し得る。
【0045】
本明細書で用いるクロマトグラフィーに関連する「クロマトグラフィーカラム」または「カラム」という用語は、しばしば、クロマトグラフィーマトリックスまたは樹脂で満たされたシリンダーまたは中空ピラーの形態の容器を指す。クロマトグラフィーマトリックスまたは樹脂は、精製に使用される物理的および/または化学的特性を提供する材料である。
【0046】
「イオン交換」および「イオン交換クロマトグラフィー」という用語は、イオン化可能な目的溶質(例えば混合物中の目的タンパク質)が、適切なpHおよび伝導度の条件下で固相イオン交換材料と結合した反対に帯電したリガンドにより(例えば共有結合によって)相互作用し、そのため目的溶質が、混合物中の溶質不純物または夾雑物よりも多くまたは少なく荷電した化合物と非特異的に相互作用する、クロマトグラフィープロセスを指す。混合物中の夾雑溶質は、イオン交換材料のカラムから洗い流され得て、あるいは目的溶質よりも速くまたは遅く、樹脂に結合または樹脂から排除され得る。「イオン交換クロマトグラフィー」は、具体的には、陽イオン交換(CEX)、陰イオン交換(AEX)および混合型クロマトグラフィーを含む。
【0047】
「陽イオン交換樹脂」または「陽イオン交換膜」は、負に帯電し、かつ固相の上を通ったまたは固相を通過した水溶液中の陽イオンと交換するための遊離陽イオンを有する、固相を指す。陽イオン交換樹脂を形成するのに適した固相に付着した、あらゆる負に帯電したリガンドを用い得て、例えばカルボン酸塩、スルホン酸塩および以下に記載する他のものが挙げられる。市販の陽イオン交換樹脂は、例えば、スルホン酸塩ベースの基を有するもの(例えば、MonoS、MiniS、Source 15Sおよび30S、SP SEPHAROSE(登録商標)Fast Flow、SP SEPHAROSE(登録商標)High Performance、Capto S、Capto SP ImpRes(GE Healthcare製)、TOYOPEARL(登録商標)SP-650SおよびSP-650M(Tosoh製)、MACRO-PREP(登録商標)High S(BioRad製)、Ceramic HyperD S、TRISACRYL(登録商標)MおよびLS SPおよびSpherodex LS SP(Pall Technologies製));スルホエチルベースの基を有するもの(例えば、FRACTOGEL(登録商標)SE(EMD製)、POROS(登録商標)S-10およびS-20(Applied Biosystems製));スルホプロピルベースの基を有するもの(例えば、TSK Gel SP 5PWおよびSP-5PW-HR(Tosoh製)、POROS(登録商標)HS-20、HS 50およびPOROS(登録商標)XS(Life Technologies製));スルホイソブチルベースの基を有するもの(例えば、FRACTOGEL(登録商標)EMD SO3 -(EMD製));スルホキシエチルベースの基を有するもの(例えば、SE52、SE53およびExpress-Ion S(Whatman製))、カルボキシメチルベースの基を有するもの(例えば、CM SEPHAROSE(登録商標)Fast Flow(GE Healthcare製)、Hydrocell CM(Biochrom Labs Inc.製)、MACRO-PREP(登録商標)CM(BioRad製)、Ceramic HyperD CM、TRISACRYL(登録商標)M CM、TRISACRYL(登録商標)LS CM(Pall Technologies製)、Matrx CELLUFINE(登録商標)C500およびC200(Millipore製)、CM52、CM32、CM23およびExpress-Ion C(Whatman製)、TOYOPEARL(登録商標)CM-650S、CM-650MおよびCM-650C(Tosoh製));スルホン酸およびカルボン酸ベースの基を有するもの(例えば、BAKERBOND(登録商標)カルボキシ-Sulfon(J. T. Baker製));カルボン酸ベースの基を有するもの(例えば、WP CBX(J. T. Baker製)、DOWEX(登録商標)MAC-3(Dow Liquid Separations製)、AMBERLITE(登録商標)Weak Cation Exchangers、DOWEX(登録商標)Weak Cation Exchanger、およびDIAION(登録商標)Weak Cation Exchangers (Sigma-Aldrich製)およびFRACTOGEL(登録商標)EMD COO-- (EMD製));スルホン酸ベースの基を有するもの(例えば、Hydrocell SP(Biochrom Labs Inc.製)、DOWEX(登録商標)Fine Mesh Strong Acid Cation Resin(Dow Liquid Separations製)、UNOsphere S、WP Sulfonic(J. T. Baker製)、SARTOBIND(登録商標)S membrane(Sartorius製)、AMBERLITE(登録商標)Strong Cation Exchangers、DOWEX(登録商標)Strong CationおよびDIAION(登録商標)Strong Cation Exchanger(Sigma-Aldrich製));またはオルトリン酸塩ベースの基を有するもの(例えば、P11(Whatman製))を含むがこれらに限定されない。他の陽イオン交換樹脂としては、カルボキシ-メチル-セルロース、BAKERBOND ABXTM、Ceramic HyperD Z、Matrex Cellufine C500、Matrex Cellufine C200が挙げられる。
【0048】
「陰イオン交換樹脂」または「陰イオン交換膜」は、正に帯電し、それ故にリガンドに付着した1つ以上の正に帯電したリガンドを有する、固相を指す。陰イオン交換樹脂を形成するのに適した固相に付着した、あらゆる正に帯電したリガンドを用い得て、例えば4級アミノ基が挙げられる。市販の陰イオン交換樹脂は、DEAEセルロース、POROS(登録商標)PI 20、PI 50、HQ 10、HQ 20、HQ 50、D 50(Applied Biosystems製)、SARTOBIND(登録商標)Q(Sartorius製)、MonoQ、MiniQ、Source 15Qおよび30Q、Q、DEAEおよびANX SEPHAROSE(登録商標)Fast Flow、Q SEPHAROSE(登録商標)High Performance、QAE SEPHADEX(登録商標)およびFAST Q SEPHAROSE(登録商標)(GE Healthcare製)、WP PEI、WP DEAM、WP QUAT(J. T. Baker製)、Hydrocell DEAEおよびHydrocell QA(Biochrom Labs Inc.製)、UNOsphere Q、MACRO-PREP(登録商標)DEAEおよびMACRO-PREP(登録商標)High Q(Biorad製)、Ceramic HyperD Q、ceramic HyperD DEAE、TRISACRYL(登録商標)MおよびLS DEAE、Spherodex LS DEAE、QMA SPHEROSIL(登録商標)LS、QMA SPHEROSIL(登録商標)MおよびMUSTANG(登録商標)Q(Pall Technologies製)、DOWEX(登録商標)Fine Mesh Strong Base Type IおよびType II Anion ResinsおよびDOWEX(登録商標)MONOSPHER E 77、weak base anion(Dow Liquid Separations製)、INTERCEPT(登録商標)Q Membrane、Matrex CELLUFINE(登録商標)A200、A500、Q500およびQ800(Millipore製)、FRACTOGEL(登録商標)EMD TMAE、FRACTOGEL(登録商標)EMD DEAEおよびFRACTOGEL(登録商標)EMD DMAE(EMD製)、AMBERLITE(登録商標)weak strong anion exchangers type IおよびII、DOWEX(登録商標)weak and strong anion exchangers type IおよびII、DIAION(登録商標)weak and strong anion exchangers type IおよびII、DUOLITE(登録商標)(Sigma-Aldrich製)、TSK gel QおよびDEAE 5PWおよび5PW-HR、TOYOPEARL(登録商標)SuperQ-650S、650Mおよび650C、QAE-550Cおよび650S、DEAE-650Mおよび650C(Tosoh製)、QA52、DE23、DE32、DE51、DE52、DE53、Express-Ion DまたはExpress-Ion Q(Whatman製)、およびSARTOBIND(登録商標)Q(Sartorius Corporation、New York、USA)を含む。他の陰イオン交換樹脂としては、POROS XQ、SARTOBIND(登録商標)Q、Q SEPHAROSETM XL、Q SEPHAROSETM big beads、DEAE Sephadex A-25、DEAE Sephadex A-50、QAE Sephadex A-25、QAE Sephadex A-50、Q SEPHAROSETM high performance、Q SEPHAROSETM XL、Resource Q、Capto Q、Capto DEAE、Toyopearl GigaCap Q、Fractogel EMD TMAE HiCap、Nuvia QまたはPORGS PIが挙げられる。
【0049】
本明細書で用いる「フロースルー」または「フロースルーモード」という用語は、夾雑物が、クロマトグラフィープロセスによって保持され、通常はカラム内の樹脂に結合するため、クロマトグラフィー中に混合物から除去される一般的な精製アプローチを指す。目的タンパク質は、クロマトグラフィー媒体(通常はカラム内の樹脂)に結合せず(または夾雑物よりも結合が弱い)、代わりに通って流れて収集されるために精製される。目的タンパク質の溶出後、カラムに結合した不純物は、カラムを別のクロマトグラフィー実施のために再生できるように、カラムから「剥ぎ取られる」かまたは除去されなければならない。このアプローチは、目的の標的タンパク質がカラムに保持され、不純物がカラムを通って流れる「結合および溶出」または「結合および溶出モード」とは異なる。そして、このプロセスは、クロマトグラフィー媒体、通常はカラム内の樹脂への目的タンパク質の結合を妨げる様々なカラム条件を用いて、目的タンパク質の特異的溶出を含む。
【0050】
本明細書で用いる用語「夾雑物」は、混合物内の望ましくない成分または化合物をカバーするその最も広い意味で用いられる。細胞培養物、細胞溶解物または清澄化バルク(例えば清澄化細胞培養上清)において、夾雑物は、例えば、細胞培養培地に存在する宿主細胞核酸(例えばDNA)および宿主細胞タンパク質を含む。宿主細胞夾雑タンパク質は、宿主細胞によって天然または組み換えで産生されたもの、ならびに目的タンパク質に関連するまたは由来するタンパク質(例えばタンパク質分解フラグメント)および他のプロセス関連夾雑物を含むがこれらに限定されない。特定の実施態様において、夾雑沈殿物は、遠心分離、滅菌ろ過、デプスろ過およびタンジェンシャルフローろ過などの別の手段を用いて細胞培養物から分離される。
【0051】
用語「抗体」は、いくつかの実施態様において、ジスルフィド結合によって相互接続されている少なくとも2つの重(H)鎖および2つの軽(L)鎖を含むタンパク質を指す。各重鎖は、重鎖可変領域(本明細書においてVHと略す)および重鎖定常領域(本明細書においてCHと略す)から構成される。一部の抗体、例えば天然に存在するIgG抗体では、重鎖定常領域は、ヒンジと3つのドメイン、CH1、CH2およびCH3から構成される。いくつかの抗体、例えば天然に存在するIgG抗体では、各軽鎖は、軽鎖可変領域(本明細書においてVLと略す)および軽鎖定常領域から構成される。軽鎖定常領域は、1つのドメイン(本明細書においてCLと略す)から構成される。VHおよびVL領域は、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる超可変性の領域にさらに細分化でき、フレームワーク領域(FR)と呼ばれるより保存された領域が点在する。各VHおよびVLは、3つのCDRと4つのFRから構成され、アミノ末端からカルボキシ末端に向かって、FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3およびFR4の順で配置している。重鎖と軽鎖の可変領域には、抗原と相互作用する結合ドメインが含まれる。重鎖は、C末端のリジンを有してもよく、あるいは有しなくてもよい。用語「抗体」は、二重特異性抗体または多重特異性抗体を含み得る。
【0052】
本明細書で用いる「IgG抗体」、例えばヒトIgG1、IgG2、IgG3およびIgG4抗体は、いくつかの実施態様において、天然に存在するIgG抗体の構造、すなわち、同じサブクラスの天然に存在するIgG抗体と同じ数の重鎖と軽鎖およびジスルフィド結合を有する。例えば、IgG1、IgG2、IgG3またはIgG4抗体は、2つの重鎖(HC)と2つの軽鎖(LC)から構成され得て、ここで、2つのHCとLCは、天然に存在するIgG1、IgG2、IgG3およびIgG4抗体でそれぞれ生じるジスルフィド架橋と同じ数および位置で(抗体が変異してジスルフィド結合が変化していない限り)連結されている。
【0053】
免疫グロブリンは、IgA、分泌型IgA、IgGおよびIgMを含むがこれらに限定されない、一般的に知られているアイソタイプのいずれかに由来し得る。IgGアイソタイプは、特定の種ではサブクラスに分類され、ヒトではIgG1、IgG2、IgG3およびIgG4であり、マウスではIgG1、IgG2a、IgG2bおよびIgG3である。免疫グロブリン、例えばIgG1は、多くても数個のアミノ酸が互いに異なるいくつかのアロタイプで存在する。「抗体」は、例えば、天然または非天然両方の抗体;モノクローナルおよびポリクローナル抗体;キメラおよびヒト化抗体;ヒトおよび非ヒト抗体および完全合成抗体を含む。
【0054】
本明細書で用いる抗体の「抗原結合部分」という用語は、抗原に特異的に結合する能力を保持する抗体の1以上のフラグメントを指す。抗体の抗原結合機能は、完全長抗体のフラグメントによって実行できることが示されている。抗体の「抗原結合部分」という用語に含まれる結合フラグメントの例には、(i)Fabフラグメント(パパイン切断からのフラグメント)またはVL、VH、LCおよびCH1ドメインからなる同様の一価フラグメント;(ii)F(ab')2フラグメント(ペプシン切断からのフラグメント)またはヒンジ領域でジスルフィド結合により連結されている2つのFabフラグメントを含む同様の二価フラグメント;(iii)VHおよびCH1ドメインからなるFdフラグメント;(iv)抗体の一本鎖のVLおよびVHドメインからなるFvフラグメント;(v)VHドメインからなるdAbフラグメント(Ward et al., (1989) Nature 341:544-546);(vi)単離された相補性決定領域(CDR);および(vii)合成リンカーによって所望により結合し得る2つ以上の単離されたCDRの組合せが含まれる。さらに、Fvフラグメントの2つのドメインであるVLとVHは、別々の遺伝子によってコードされているが、組み換え法を用いて、VLおよびVH領域が対になって一価分子を形成する単一のタンパク質鎖として作製できる合成リンカーによって、結合することができる(一本鎖Fv(scFvとして知られる);例えば、Bird et al. (1988) Science 242:423-426; and Huston et al. (1988) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:5879-5883参照)。このような一本鎖抗体はまた、抗体の「抗原結合部分」という用語に含まれることを意図している。これらの抗体フラグメントは、当業者に知られている従来の技術を用いて得られ、フラグメントは、インタクトな抗体であるのと同じ方法で有用性についてスクリーニングされる。抗原結合部分は、組み換えDNA技術によって、またはインタクトな免疫グロブリンの酵素的または化学的切断によって生成され得る。
【0055】
本明細書で用いる用語「組み換えヒト抗体」は、組み換え手段、例えば(a)ヒト免疫グロブリン遺伝子またはそれから調製されたハイブリドーマのトランスジェニックまたはトランス染色体である動物(例えばマウス)から単離された抗体、(b)抗体を発現するように形質転換された宿主細胞、例えばトランスフェクトーマから単離された抗体、(c)組み換えコンビナトリアルヒト抗体ライブラリーから単離された抗体、および(d)ヒト免疫グロブリン遺伝子配列を他のDNA配列にスプライシングすることを含む他の手段によって調製、発現、作成または単離された抗体によって調製、発現、作成または単離されるすべてのヒト抗体を含む。
【0056】
本明細書で用いる「アイソタイプ」は、重鎖定常領域遺伝子によってコードされる抗体クラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgM、IgA1、IgA2、IgDおよびIgE抗体)を指す。
【0057】
アミノ酸は、本明細書では、一般的に知られている3文字の記号、またはIUPAC-IUB Biochemical Nomenclature Commissionが推奨する1文字の記号のいずれかで示す。同様に、ヌクレオチドは、一般的に受け入れられている1文字のコードで示す。
【0058】
本明細書で用いる用語「ポリペプチド」は、アミド結合(ペプチド結合としても知られる)によって直線的に連結されたモノマー(アミノ酸)から構成される分子を指す。用語「ポリペプチド」は、2つ以上のアミノ酸のあらゆる1つまたは複数の鎖を指し、生成物の特定の長さを指すものではない。本明細書で用いる用語「タンパク質」は、1つ以上のポリペプチドから構成される分子を包含することを意図し、これは、場合により、アミド結合以外の結合によって結合され得る。他方、タンパク質はまた、1つのポリペプチド鎖であり得る。この後者の例では、1つのポリペプチド鎖は、場合により、一緒に融合してタンパク質を形成する2つ以上のポリペプチドサブユニットを含み得る。「ポリペプチド」および「タンパク質」という用語はまた、グリコシル化、アセチル化、リン酸化、アミド化、既知の保護/ブロッキング基による誘導体化、タンパク質分解切断または天然に存在しないアミノ酸による修飾を含むがこれらに限定されない、発現後修飾の生成物を指す。ポリペプチドまたはタンパク質は、天然の生物学的供給源に由来するか、または組み換え技術によって産生され得るが、必ずしも指定された核酸配列から翻訳されるとは限らない。それは、化学合成を含むあらゆる方法で産生され得る。
【0059】
本明細書で用いる「ポリヌクレオチド」または「ヌクレオチド」という用語は、単一の核酸および複数の核酸を包含することを意図し、単離された核酸分子またはコンストラクト、例えばメッセンジャーRNA(mRNA)、相補的DNA(cDNA)またはプラスミドDNA(pDNA)を指す。特定の態様において、ポリヌクレオチドは、従来のホスホジエステル結合または非従来の結合(例えば、ペプチド核酸(PNA)に見られるようなアミド結合)を含む。
【0060】
「核酸」という用語は、ポリヌクレオチド中に存在するあらゆる1つ以上の核酸セグメント、例えばDNA、cDNAまたはRNAフラグメントを指す。核酸またはポリヌクレオチドに適用される場合、用語「単離された」は、その天然環境から取り出された核酸分子、DNAまたはRNAを指し、例えば、ベクターに含まれる抗原結合タンパク質をコードする組み換えポリヌクレオチドは、本開示の目的のために単離されたと見なされる。単離されたポリヌクレオチドの更なる例には、異種宿主細胞で維持されるか、または溶液中の他のポリヌクレオチドから(部分的または実質的に)精製される組み換えポリヌクレオチドが含まれる。単離されたRNA分子は、本開示のポリヌクレオチドのインビボまたはインビトロRNA転写物を含む。本開示による単離されたポリヌクレオチドまたは核酸は、合成的に産生したそのような分子をさらに含む。また、ポリヌクレオチドまたは核酸は、調節エレメント、例えばプロモーター、エンハンサー、リボソーム結合部位または転写終結シグナルを含み得る。
【0061】
2つのポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列間の「パーセント配列同一性」または「パーセント同一性」という用語は、2つの配列の最適なアラインメントのために導入されなければならない追加または削除(すなわちギャップ)を考慮に入れて、比較ウィンドウにわたって配列によって共有される同一の一致する位置の数を指す。一致する位置は、同一のヌクレオチドまたはアミノ酸が標的配列および参照配列の両方で提示される任意の位置である。標的配列で提示されるギャップは、ヌクレオチドまたはアミノ酸ではないため、当該ギャップはカウントされない。同様に、参照配列からのヌクレオチドまたはアミノ酸ではなく、標的配列のヌクレオチドまたはアミノ酸がカウントされるため、参照配列で提示されるギャップはカウントされない。配列同一性のパーセンテージは、同一のアミノ酸残基または核酸塩基が両方の配列に存在する位置の数を決定して、一致する位置の数を得て、一致する位置の数を比較のウィンドウの位置の総数で割り、結果に100を掛けて、配列同一性のパーセンテージを得ることによって計算される。配列の比較および2つの配列間のパーセント配列同一性の決定は、容易に入手可能なソフトウェアプログラムを用いて達成し得る。適切なソフトウェアプログラムは、タンパク質配列とヌクレオチド配列の両方のアラインメントのために、様々なソースから利用可能である。パーセント配列同一性を決定するための1つの適切なプログラムはbl2seqであり、これは米国政府のNational Center for Biotechnology Information BLASTのWebサイト(blast.ncbi.nlm.nih.gov)から入手可能なプログラムのBLAST一式の一部である。Bl2seqは、BLASTNまたはBLASTPアルゴリズムのいずれかを用いて2つの配列間の比較を実行する。BLASTNは、核酸配列を比較するために用いられ、BLASTPは、アミノ酸配列を比較するために用いられる。
【0062】
タンパク質の「等電点」または「pI」という用語は、タンパク質が正味電荷を帯びていない溶液のpHの測定値を指す。タンパク質がそのpIと同等のpHで見つかると、全体的に中性の正味電荷を帯びる。溶液のpHよりも低いpIを有するタンパク質は、正味の負電荷を帯びる。同様に、溶液のpHよりも高いpIを有するタンパク質は、正味の正電荷を帯びる。
【0063】
用語「ローディングバッファー」は、混合物または試料を調製し、クロマトグラフィーユニットへ負荷するのに用いられるバッファーを指す。
【0064】
用語「チェイスバッファー」は、混合物または試料がクロマトグラフィープロセスを通り抜けるために、ローディングバッファーの後に用いられるバッファーを指す。
【0065】
用語「インライン調節」は、クロマトグラフィー工程の間で溶液条件または構成を調節するために、AEXとCEXの間またはCEXとAEXの間の混合物または溶液の任意の添加を指す。いくつかの実施態様において、AEX-CEX順序が用いられ、混合物がAEXを出た後で、それがCEXに入る前に、pHおよび/または伝導度の調節はなされない。他の実施態様において、CEX-AEX順序が用いられ、混合物がCEXを出た後で、それがAEXに入る前に、pHまたは伝導度の調節はなされない。
【0066】
用語「HMW体」は、混合物中に存在するあらゆる1つ以上の不要なタンパク質を指す。高分子量体は、二量体、三量体、四量体または他の多量体が含み得る。これらの種は、生成物関連の不純物と見なされることが多く、共有結合しているかまたは非共有結合しているかのいずれかであり得て、そして、例えば疎水性アミノ酸残基が極性溶媒に曝露されているミスフォールドされたモノマーからなり得て、凝集を引き起こし得る。
【0067】
用語「LMW体」は、混合物中に存在するあらゆる1つ以上の不要なタンパク質を指す。低分子量体は、生成物関連の不純物と見なされることが多く、クリップされた種、または二量体を意図した化合物(モノクローナル抗体など)の半分子を含み得る。
【0068】
「宿主細胞タンパク質」またはHCPという用語は、意図された目的タンパク質の産生とは無関係に、宿主細胞によって生成される望ましくないタンパク質を指す。望ましくない宿主細胞タンパク質は、上流の細胞培養上清に分泌され得る。望ましくない宿主細胞タンパク質も、細胞溶解中に放出され得る。上流の細胞培養に用いられる細胞は、成長、転写およびタンパク質合成のためにタンパク質を必要とし、これらの無関係なタンパク質は、最終的な医薬品では望ましくない。
【0069】
用語「残留プロテインA」(rPA)は、細菌の黄色ブドウ球菌の細胞壁においてもともと発見されたタンパク質を指す。プロテインAは、約42kDaであり、免疫グロブリンのFc部分に極めて強く結合し、抗体の精製におけるその使用は当技術分野で周知である。プロテインAは、精製のために当技術分野で広く使用されてきた(Boyle et al., 1993; Hou et al. 1991)。プロテインAに適用される場合、「残留」または「rPA」という用語は、製造プロセスにおける目的タンパク質または抗体のさらに上流の精製で用いられるため、混合物中に存在するあらゆる残りのプロテインAを指す。
【0070】
用語「バッファー移行ピーク」は、クロマトグラフィー中の条件の変化による不要なクロマトグラフィー溶出を指す。いくつかの実施態様において、第1のバッファーは、クロマトグラフィーの開始時に用いられるローディングバッファーである。いくつかの実施態様において、第2のバッファーは、クロマトグラフィープロセスを通じて最初に負荷された混合物を追跡するために用いられるチェイスバッファーである。バッファー移行ピークは、ローディングバッファーの使用からチェイスバッファーの使用までの移行中に現れ得る。他の実施態様において、バッファー移行ピークは、第1のバッファー、例えばローディングバッファーと、第2のバッファー、例えばチェイスバッファーとの間の差異のために生じ得る。
【0071】
本開示の様々な態様を、以下のサブセクションにさらに詳細に説明する。
【0072】
II. 精製方法
本開示は、目的タンパク質を混合物から精製する方法であって、該方法が、陽イオン交換クロマトグラフィー(CEX)と陰イオン交換クロマトグラフィー(AEX)の組合せまたはAEXとCEXの組合せ(「組合せクロマトグラフィー」)を、操作条件への変更がAEXとCEX(またはCEXとAEX)の間に加えられない操作条件下、フロースルーモードで実施することを含む、方法に関する。AEXとCEX(またはCEXとAEX)の間での操作条件への変更がないことは、自動化、エンジニアリングコントロールおよび/またはインライン調節を含むが、これらに限定されない。AEXとCEX(またはCEXとAEX)のプロセス間に変更を加えることを回避するために、いくつかの実施態様において、AEXとCEX(またはCEXとAEX)は、図1に示すように、互いに触接接続され得る。他の実施態様において、AEXとCEX(またはCEXとAEX)は、互いに直接接続されていないが、AEXとCEX(またはCEXとAEX)の間の操作条件(例えば、pHおよび/または伝導度)は、変更されず、すなわち同じ方法で維持される。操作条件は、クロマトグラフィー中にバッファーの使用により変更され得る。いくつかの実施態様において、クロマトグラフィーは、ローディングバッファーおよび/またはチェイスバッファーを含む。
【0073】
いくつかの実施態様において、AEXとCEX(またはCEXとAEX)の組合せクロマトグラフィーカラムは、約50g/L樹脂、約60g/L樹脂、約70g/L樹脂、約80g/L樹脂、約90g/L樹脂、約100g/L樹脂、約110g/L樹脂、約120g/L樹脂、約130g/L樹脂、約140g/L樹脂、約150g/L樹脂、約160g/L樹脂、約170g/L樹脂、約180g/L樹脂、約190g/L樹脂、約200g/L樹脂、約210g/L樹脂、約220g/L樹脂、約230g/L樹脂、約240g/L樹脂、約250g/L樹脂、約260g/L樹脂、約270g/L樹脂、約280g/L樹脂、約290g/L樹脂、約300g/L樹脂、約310g/L樹脂、約320g/L樹脂、約330g/L樹脂、約340g/L樹脂、約350g/L樹脂、約360g/L樹脂、約370g/L樹脂、約380g/L樹脂、約390g/L樹脂、約400g/L樹脂、約410g/L樹脂、約420g/L樹脂、約430g/L樹脂、約440g/L樹脂、約450g/L樹脂、約460g/L樹脂、約470g/L樹脂、約480g/L樹脂、約490g/L樹脂、約500g/L樹脂、約510g/L樹脂、約520g/L樹脂、約530g/L樹脂、約540g/L樹脂、約550g/L樹脂、約560g/L樹脂、約570g/L樹脂、約580g/L樹脂、約590g/L樹脂または約600g/L樹脂まで負荷されている。いくつかの実施態様において、AEXとCEX(またはCEXとAEX)の組合せクロマトグラフィーカラムは、約300g/L樹脂まで負荷されている。
【0074】
いくつかの実施態様において、バッファーのpHがタンパク質のpI測定値と異なる場合、本開示における目的タンパク質は、バッファー溶液に入れられたとき、電荷を帯び得る。目的タンパク質が、そのpIと同等のpHにて見つけられると、それは、全体的に中性の正味電荷を帯びる。溶液のpHより低いpIを有する目的タンパク質は、正味負電荷を帯びる。同様に、溶液のpHより高いpIを有する目的タンパク質は、正味正電荷を帯びる。
【0075】
バッファーのpHとイオン強度は、あらゆる形態のイオン交換クロマトグラフィーにとって重要であることは周知であり、そのため、塩濃度を調節した後でバッファーのpHを再調節し、バッファーのカウンターイオンに適合性があることを確認することが最善である。バッファーのカウンターイオンは、樹脂と同じ電荷を有するべきであることは公知である。特に、2つの反対のクロマトグラフィー工程(例えばAEXとCEX)を一緒に組み合わせると、AEXとCEXのpHおよび/または導電度がその間に調節されることが予想されていた。
【0076】
本方法は、AEXとCEX(またはCEXとAEX)の組合せクロマトグラフィーのための特定の操作条件を、例えばフロースルーモードにおいて、AEXとCEX(またはその逆)の間の調節なしに維持できるという驚くべき発見に基づく。
【0077】
いくつかの実施態様において、AEXとCEX(またはCEXとAEX)の組合せの操作条件は、第1のクロマトグラフィーの前に設定され、目的タンパク質のpIに基づいて全体にわたって維持される。他の実施態様において、操作条件は、2つの異なるpI、例えば中から高のpIと低pIに基づいて設定される。いくつかの実施態様において、操作条件は、中から高のpI、例えばpI≧約6.5を有する目的タンパク質、および低pI、例えばpI<6.5を有する目的タンパク質について設定される。
【0078】
いくつかの実施態様において、目的タンパク質は、中から高のpIを有し、これは、約6.5、約6.6、約6.7、約6.8、約6.9、約7.0、約7.1、約7.2、約7.3、約7.4、約7.5、約7.6、約7.7、約7.8、約7.9または約8.0より高い。いくつかの実施態様において、中から高のpIを有する目的タンパク質は、pI≧(大なり)6.5およびpI≦(小なり)約12.0、約11.9、約11.8、約11.7、約11.6、約11.5、約11.4、約11.3、約11.2、約11.1、約11.0、約10.9、約10.8、約10.8、約10.7、約10.6、約10.5、約10.4、約10.3、約10.2、約10.1または約10.0を有する。いくつかの実施態様において、中から高のpIを有する目的タンパク質は、pI≧(大なり)6.5およびpI≦(小なり)約10.0、約9.9、約9.8、約9.7、約9.6、約9.5、約9.4、約9.3、約9.2、約9.1、約9.0、約8.9、約8.8、約8.7、約8.6、約8.5、約8.4、約8.3、約8.2、約8.1または約8.0を有する。いくつかの実施態様において、中から高のpIを有する目的タンパク質は、約7.0~約11.0、約7.0~約10.9、約7.1~約10.9、約7.2~約10.9、約7.2~約10.8、約7.3~約10.8、約7.3~約10.7、約7.4~約10.7、約7.4~約10.6、約7.5~約10.6、約7.5~約10.5、約7.6~約10.5、約7.6~約10.4、約7.7~約10.4、約7.7~約10.3、約7.8~約10.3、約7.8~約10.2、約7.9~約10.2、約7.9~約10.1、約8.0~約10.1、約8.0~約10.0、約8.1~約10.0、約8.1~約9.9、約8.2~約9.9、約8.2~約9.8、約8.3~約9.8、約8.3~約9.7、約8.4~約9.7、約8.4~約9.6、約8.5~約9.6または約8.5~約9.5のpIを有する。他の実施態様において、目的タンパク質は、約6.5、約7.0、約7.5、約8.0、約8.0、約8.5、約9.0、約9.5、約10.0、約10.5または約11.0のpIを有する。
【0079】
いくつかの実施態様において、中から高のpIを有する目的タンパク質は、約7.0~約8.0、例えば約7.6のpIを有する。他の実施態様において、中から高のpIを有する目的タンパク質は、約8.0~約9.0、例えば約8.4のpIを有する。いくつかの実施態様において、中から高のpIを有する目的タンパク質は、8.5~9.5、例えば約8.9のpIを有する。他の実施態様において、中から高のpIを有する目的タンパク質は、約9.0~約10.0のpIを有する。
【0080】
いくつかの実施態様において、目的タンパク質は、低pIを有し、これは、約6.5、約6.4、約6.3、約6.2、約6.1、約6.0、約5.9、約5.8、約5.7、約5.6、約5.5、約5.4、約5.3、約5.2、約5.1または約5.0より低い。いくつかの実施態様において、低pIを有する目的タンパク質は、6.5より低く、かつ約1.0、約2.0、約3.0、約4.0、約5.0または約5.5より高いpIを有する。いくつかの実施態様において、低pIを有する目的タンパク質は、約1.0~約6.5、約1.5~約6.5、約2.0~約6.5、約2.5~約6.5、約2.5~約6.0、約3.0~約6.5、約3.0~約6.0、約3.0~約5.5、約3.5~約5.5または約3.5~約5.0のpIを有する。
【0081】
いくつかの実施態様において、目的タンパク質は、約4.8~約6.5、約4.9~約6.5、約4.9~約6.4、約5.0~約6.4、約5.0~約6.3、約5.1~約6.3、約5.1~約6.2、約5.2~約6.2、約5.2~約6.4または約5.3~約6.4の等電点(pI)を有する。他の実施態様において、目的タンパク質は、約5.0~約6.0のpIを有する。
【0082】
特定の実施態様において、中から高のpIを有する目的タンパク質および低pIを有する目的タンパク質のための操作条件の少なくとも1つ(例えばpH)は、同じであり得る。他の実施態様において、ローディングバッファーおよび/またはチェイスバッファーのpHは、中から高のpIを有する目的タンパク質および低pIを有する目的タンパク質について同じであり得る。いくつかの実施態様において、ローディングバッファーおよび/またはチェイスバッファーのpHは、中から高のpIを有する目的タンパク質および低pIを有する目的タンパク質について異なり得る。
【0083】
いくつかの実施態様において、組合せクロマトグラフィーのローディングバッファーは、pH≧(大なり)約5.0、約5.5、約6.0、約6.5、約7.0、約7.5、約8.0、約8.5、約9.0、約9.5または約10.0を有する。いくつかの実施態様において、ローディングバッファーは、約5.0、約5.1、約5.2、約5.3、約5.4、約5.5、約5.6、約5.7、約5.8、約5.9、約6.0、約6.1、約6.2、約6.3、約6.4、約6.5、約6.6、約6.7、約6.8、約6.9、約7.0、約7.1、約7.2、約7.3、約7.4、約7.5、約7.6、約7.7、約7.8、約7.9、約8.0、約8.1、約8.2、約8.3、約8.4、約8.5、約8.6、約8.7、約8.8、約8.9、約9.0、約9.1、約9.2、約9.3、約9.4、約9.5、約9.6、約9.7、約9.8、約9.9または約10.0より高いpHを有する。いくつかの実施態様において、ローディングバッファーは、約5.0、約5.1、約5.2、約5.3、約5.4、約5.5、約5.6、約5.7、約5.8、約5.9、約6.0、約6.1、約6.2、約6.3、約6.4、約6.5、約6.6、約6.7、約6.8、約6.9、約7.0、約7.1、約7.2、約7.3、約7.4、約7.5、約7.6、約7.7、約7.8、約7.9、約8.0、約8.1、約8.2、約8.3、約8.4、約8.5、約8.6、約8.7、約8.8、約8.9、約9.0、約9.1、約9.2、約9.3、約9.4、約9.5、約9.6、約9.7、約9.8、約9.9または約10.0のpHを有する。
【0084】
いくつかの実施態様において、組合せクロマトグラフィーのローディングバッファーは、約6.0~約11.0、約6.5~約11.0、約7.0~約10.5、約7.0~約10.0、約7.0~約9.5、約7.0~約9.0、約7.0~約8.5、約7.0~約8.0、約7.0~約7.5、約7.0~7.4、約7.1~約7.4、約7.2~約7.4のpHを有する。
【0085】
いくつかの実施態様において、組合せクロマトグラフィーのローディングバッファーは、約6.5、約7.0、約7.2、約7.4、約7.6、約7.8、約8.0、約8.2、約8.4、約8.6、約8.8、約9.0、約9.2、約9.4、約9.6、約9.8、約10.0、約10.5、約11.0または約11.5のpHを有する。
【0086】
いくつかの実施態様において、目的タンパク質は、約7.0~約8.0(例えば約7.6)の中から高pIを有し、タンパク質のためのローディングバッファーは、約7.0~約8.0、例えば約7.4のpHを有する。
【0087】
他の実施態様において、目的タンパク質は、約8.0~約9.0(例えば約8.4)の中から高pIを有し、タンパク質のためのローディングバッファーは、約7.0~約8.0、例えば約7.2のpHを有する。
【0088】
いくつかの実施態様において、目的タンパク質は、8.5~9.5(例えば約8.9)の中から高pIを有し、タンパク質のためのローディングバッファーは、約7.5~約8.5、例えば約8.0のpHを有する。
【0089】
他の実施態様において、目的タンパク質は、約9.0~約10.0(例えば約9.2)の中から高pIを有し、タンパク質のためのローディングバッファーは、約7.0~約8.0、例えば約7.2のpHを有する。
【0090】
他の実施態様において、目的タンパク質は、約5.0~約6.0、例えば約5.8の低pIを有し、タンパク質のためのローディングバッファーは、約6.5~約7.5、例えば約7.0のpHを有する。
【0091】
他の実施態様において、組合せクロマトグラフィーのためのローディングバッファーおよびチェイスバッファーは、同じ操作条件を有する。特定の実施態様において、バッファー条件、例えばpHは、ローディングバッファーとチェイスバッファーの間で同じままで維持される。他の実施態様において、ローディングバッファーおとチェイスバッファーの間のバッファー条件は、異なる。
【0092】
いくつかの実施態様において、チェイスバッファーは、pH≧(大なり)約5.0、約5.5、約6.0、約6.5、約7.0、約7.5、約8.0、約8.5、約9.0、約9.5または約10.0を有する。他の実施態様において、チェイスバッファーは、pH≧(大なり)約5.0、約5.1、約5.2、約5.3、約5.4、約5.5、約5.6、約5.7、約5.8、約5.9、約6.0、約6.1、約6.2、約6.3、約6.4、約6.5、約6.6、約6.7、約6.8、約6.9、約7.0、約7.1、約7.2、約7.3、約7.4、約7.5、約7.6、約7.7、約7.8、約7.9、約8.0、約8.1、約8.2、約8.3、約8.4、約8.5、約8.6、約8.7、約8.8、約8.9、約9.0、約9.1、約9.2、約9.3、約9.4、約9.5、約9.6、約9.7、約9.8、約9.9、約10.0、約10.1、約10.2、約10.3、約10.4、約10.5、約10.6、約10.7、約10.8、約10.9または約11.0を有する。
【0093】
いくつかの実施態様において、チェイスバッファーは、pH≧(大なり)約5.0、約5.1、約5.2、約5.3、約5.4、約5.5、約5.6、約5.7、約5.8、約5.9、約6.0、約6.1、約6.2、約6.3、約6.4、約6.5、約6.6、約6.7、約6.8、約6.9、約7.0、約7.1、約7.2、約7.3、約7.4、約7.5、約7.6、約7.7、約7.8、約7.9、約8.0、約8.1、約8.2、約8.3、約8.4、約8.5、約8.6、約8.7、約8.8、約8.9、約9.0、約9.1、約9.2、約9.3、約9.4、約9.5、約9.6、約9.7、約9.8、約9.9、約10.0、約10.1、約10.2、約10.3、約10.4、約10.5、約10.6、約10.7、約10.8、約10.9または約11.0を有する。
【0094】
いくつかの実施態様において、チェイスバッファーは、約6.0~約11.0、約6.5~約11.0、約7.0~約10.5、約7.0~約10.0、約7.0~約9.5、約7.0~約9.0、約7.0~約8.5、約7.0~約8.0、約7.0~約7.5、約7.0~7.4、約7.1~約7.4または約7.2~約7.4のpHを有する。いくつかの実施態様において、チェイスバッファーは、約6.5、約7.0、約7.2、約7.4、約7.6、約7.8、約8.0、約8.2、約8.4、約8.6、約8.8、約9.0、約9.2、約9.4、約9.6、約9.8、約10.0、約10.5、約11.0または約11.5のpHを有する。いくつかの実施態様において、チェイスバッファーは、約6.0~約11.0、約6.5~約10.0、約7.0~約11.0、約7.0~約10.0、約7.0~約9.0、約7.0~約8.0、約7.0~約8.5、約7.0~約9.5、約6.5~約8.5または約6.5~約7.5のpHを有する。
【0095】
いくつかの実施態様において、目的タンパク質は、約7.0~約8.0、例えば約7.6のpIを有し、タンパク質のためのローディングバッファーおよびチェイスバッファーは、同じ約7.0~約8.0、例えば約7.6のpHを有する。
【0096】
他の実施態様において、目的タンパク質は、約8.0~約9.0、例えば約8.4のpIを有し、タンパク質のためのローディングバッファーおよびチェイスバッファーは、同じ約8.0~約9.0、例えば約8.4のpHを有する。
【0097】
いくつかの実施態様において、目的タンパク質は、8.5~約9.5、例えば約8.9のpIを有し、タンパク質のためのローディングバッファーおよびチェイスバッファーは、同じ8.5~約9.5、例えば約8.9のpHを有する。
【0098】
他の実施態様において、目的タンパク質は、約9.0~約10.0、例えば約9.2のpIを有し、タンパク質のためのローディングバッファーおよびチェイスバッファーは、同じ約9.0~約10.0、例えば約9.2のpHを有する。
【0099】
他の実施態様において、目的タンパク質は、約5.0~約6.0、例えば約5.8のpIを有し、タンパク質のためのローディングバッファーおよびチェイスバッファーは、同じ約5.0~約6.0、例えば約5.8のpHを有する。
【0100】
他の実施態様において、中および高pIを有する目的タンパク質および低pIを有する目的タンパク質のための操作条件は、異なり得る。いくつかの実施態様において、中および高pIを有する目的タンパク質および低pIを有する目的タンパク質のための伝導度は、異なる。いくつかの実施態様において、低pIを有するタンパク質のための伝導度は、中から高のpIを有するタンパク質のための伝導度より高い。
【0101】
いくつかの実施態様において、中から高のpIを有する目的タンパク質のローディングバッファーおよび/またはチェイスバッファーのための伝導度は、約0.1mS/cm~約9.0mS/cm、約0.5mS/cm~約9.0mS/cm、約1.0mS/cm~約9.0mS/cm、約2.0mS/cm~約8.0mS/cm、約2.0mS/cm~約7.0mS/cm、約2.0mS/cm~約8.5mS/cm、約2.0mS/cm~約7.5mS/cmまたは約2.5mS/cm~約7.0mS/cmである。いくつかの実施態様において、中から高のpIを有する目的タンパク質のローディングバッファーおよび/またはチェイスバッファーのための伝導度は、約2.5mS/cm~約7.0mS/cmである。
【0102】
いくつかの実施態様において、中から高のpIを有する目的タンパク質のローディングバッファーおよび/またはチェイスバッファーのための伝導度は、約0.1mS/cm、約0.5mS/cm、約1.0mS/cm、約1.5mS/cm、約2.0mS/cm、約2.5msS/cm、約3.0mS/cm、約3.5mS/cm、約4.0mS/cm、約4.5mS/cm、約5.0mS/cm、約5.5mS/cm、約6.0mS/cm、約6.5mS/cm、約7.0mS/cm、約7.5mS/cm、約8.0mS/cm、約8.5mS/cmまたは約9.0mS/cmである。
【0103】
いくつかの実施態様において、中から高のpIを有する目的タンパク質のためのローディングバッファーおよび/またはチェイスバッファーは、約7.0~約8.0のpH、および約2.0mS/cm~約7.0mS/cm、例えば、約2.0mS/cm、約2.5mS/cm、約2.7mS/cm、約3.0mS/cm、約3.2mS/cm、約3.5mS/cm、約4.0mS/cm、約4.5mS/cm、約5.0mS/cm、約5.5mS/cm、約6.0mS/cm、約6.5mS/cm、約6.8mS/cmまたは約7.0mS/cmの伝導度を有する。
【0104】
いくつかの実施態様において、低pIを有する目的タンパク質のローディングバッファーおよび/またはチェイスバッファーのための伝導度は、約6.0mS/cm~約15.0mS/cm、約6.5mS/cm~約15mS/cm、約7.0mS/cm~約14.0mS/cm、約8.0mS/cm~約13.0mS/cm、約8.0mS/cm~約12.0mS/cmまたは約9.0mS/cm~約12.0mS/cmである。
【0105】
いくつかの実施態様において、低pIを有する目的タンパク質のローディングバッファーおよび/またはチェイスバッファーのための伝導度は、約6.0mS/cm、約6.1mS/cm、約6.2mS/cm、約6.3mS/cm、約6.4mS/cm、約6.5mS/cm、約6.6mS/cm、約6.7mS/cm、約6.8mS/cm、約6.9mS/cm、約7.0mS/cm、約7.1mS/cm、約7.2mS/cm、約7.3mS/cm、約7.4mS/cm、約7.5mS/cm、約7.6mS/cm、約7.7mS/cm、約7.8mS/cm、約7.9mS/cm、約8.0mS/cm、約8.1mS/cm、約8.2mS/cm、約8.3mS/cm、約8.4mS/cm、約8.5mS/cm、約8.6mS/cm、約8.7mS/cm、約8.8mS/cm、約8.9mS/cm、約9.0mS/cm、約9.1mS/cm、約9.2mS/cm、約9.3mS/cm、約9.4mS/cm、約9.5mS/cm、約9.6mS/cm、約9.7mS/cm、約9.8mS/cm、約9.9mS/cm、約10.0mS/cm、約10.1mS/cm、約10.2mS/cm、約10.3mS/cm、約10.4mS/cm、約10.5mS/cm、約10.6mS/cm、約10.7mS/cm、約10.8mS/cm、約10.9mS/cm、約11.0mS/cm、約11.1mS/cm、約11.2mS/cm、約11.3mS/cm、約11.4mS/cm、約11.5mS/cm、約11.6mS/cm、約11.7mS/cm、約11.8mS/cm、約11.9mS/cm、約12.0mS/cm、約12.1mS/cm、約12.2mS/cm、約12.3mS/cm、約12.4mS/cm、約12.5mS/cm、約12.6mS/cm、約12.7mS/cm、約12.8mS/cm、約12.9mS/cm、約13.0mS/cm、約13.1mS/cm、約13.2mS/cm、約13.3mS/cm、約13.4mS/cm、約13.5mS/cm、約13.6mS/cm、約13.7mS/cm、約13.8mS/cm、約13.9mS/cm、約14.0mS/cm、約14.1mS/cm、約14.2mS/cm、約14.3mS/cm、約14.4mS/cm、約14.5mS/cm、約14.6mS/cm、約14.7mS/cm、約14.8mS/cm、約14.9mS/cmまたは約15.0mS/cmである。
【0106】
いくつかの実施態様において、低pIを有する目的タンパク質のためのローディングバッファーおよび/またはチェイスバッファーは、約7.0~約8.0のpHおよび約8.0mS/cm~13.0mS/cmの伝導度を有する。
【0107】
いくつかの実施態様において、目的タンパク質は、約7.0~約8.0、例えば約7.6のpIを有し、タンパク質のためのローディングバッファーおよびチェイスバッファーは、同じ約7.0~約8.0、例えば約7.6のpHを有し、3.0mS/cm~6.0mS/cm、例えば3.2mS/cmおよび5.5mS/cmの伝導度をそれぞれ有する。
【0108】
他の実施態様において、目的タンパク質は、約8.0~約9.0、例えば約8.4のpIを有し、タンパク質のためのローディングバッファーおよびチェイスバッファーは、同じ約8.0~約9.0、例えば約8.4のpHを有し、2.0mS/cm~4.0mS/cm、例えば2.7mS/cmおよび3.0mS/cmの伝導度をそれぞれ有する。
【0109】
いくつかの実施態様において、目的タンパク質は、8.5~9.5、例えば約8.9のpIを有し、タンパク質のためのローディングバッファーおよびチェイスバッファーは、同じ8.5~9.5、例えば約8.9のpHを有し、2.0mS/cm~5.0mS/cm、例えば3.0mS/cmおよび4.5mS/cmの伝導度をそれぞれ有する。
【0110】
他の実施態様において、目的タンパク質は、約9.0~約10.0、例えば約9.2のpIを有し、タンパク質のためのローディングバッファーおよびチェイスバッファーは、同じ約9.0~約10.0、例えば約9.2のpHを有し、6.0mS/cm~7.0mS/cm、例えば6.8mS/cmおよび6.8mS/cmの伝導度をそれぞれ有する。
【0111】
他の実施態様において、目的タンパク質は、約5.0~約6.0、例えば約5.8のpIを有し、タンパク質のためのローディングバッファーおよびチェイスバッファーは、同じ約5.0~約6.0、例えば約5.8のpHを有し、9.0mS/cm~12.0mS/cm、例えば9.2mS/cmおよび12.0mS/cmの伝導度をそれぞれ有する。
【0112】
本明細書に記載の方法(IIおよびIII)は、宿主細胞タンパク質(HCP)、DNA、高分子量体(HMW)、低分子量体(LMW)、残留プロテインA(rPA)またはそれらの任意の組合せを含む夾雑物を含有する混合物中中のタンパク質を精製するために用いられ得る。いくつかの実施態様において、クロマトグラフィーは、(i)DNAを約20pg/mL以下のレベルに、(ii)LMWを約1.0%以下のレベルに、(iii)HMWsを約1.0%以下のレベルに、(iv)HCPを約100ppm以下のレベルに、(v)残留プロテインA(rPA)を約6ppm以下のレベルに低下させるか、またはそれらの任意の組合せである。
【0113】
いくつかの実施態様において、クロマトグラフィーは、DNAを約20pg/mL以下、約18pg/mL以下、約16pg/mL以下、約14pg/mL以下、約12pg/mL以下、約10pg/mL以下、約8pg/mL以下、約6pg/mL以下、約4pg/mL以下または約2pg/mL以下のレベルに低下させる。
【0114】
いくつかの実施態様において、クロマトグラフィーは、低分子量体(LMW)を約1.0%以下、約0.9%以下、約0.8%以下、約0.7%以下、約0.6%以下、約0.5%以下、約0.4%以下、約0.3%以下、約0.2%以下または約0.1%以下のレベルに低下させる。
【0115】
いくつかの実施態様において、クロマトグラフィーは、高分子量体(HMW)を約1.0%以下、約0.9%以下、約0.8%以下、約0.7%以下、約0.6%以下、約0.5%以下、約0.4%以下、約0.3%以下、約0.2%以下または約0.1%以下のレベルに低下させる。
【0116】
いくつかの実施態様において、クロマトグラフィーは、宿主細胞タンパク質(HCP)を約100ppm以下、約90ppm以下、約80ppm以下、約70ppm以下、約60ppm以下、約50ppm以下、約40ppm以下、約30ppm以下、約20ppm以下または約10ppm以下のレベルに低下させる。
【0117】
いくつかの実施態様において、クロマトグラフィーは、残留プロテインA(rPA)を約6ppm以下、約5ppm以下、約4ppm以下、約3ppm以下、約2ppm以下、約1ppm以下、約0.8ppm以下、約0.6ppm以下、約0.5ppm以下、約0.4ppm以下、約0.3ppm以下、約0.2ppm以下または約0.1ppm以下のレベルに低下させる。
【0118】
いくつかの実施態様において、本開示の方法は、1つ以上の下流精製、例えばろ過、アフィニティークロマトグラフィー、タンジェンシャルフロークロマトグラフィー、ウイルス不活化、またはそれらの任意の組合せの後に実施される。他の実施態様において、本開示の方法は、採取後の精製工程無しに実施される。他の実施態様において、本開示のクロマトグラフィーは、ウイルス不活化の前の最後の工程である。また他の実施態様において、本開示の方法は、同時に、1つ以上のウイルスを不活化する。さらに他の実施態様において、本開示の方法は、AEXとCEXまたはCEXとAEXの組合せの前または後にウイルス不活化をさらに含む。
【0119】
III. バッファー移行ピークの除去方法
本開示は、ローディングバッファーとチェイスバッファーの間のバッファー移行ピークを低減または除去する方法も含む。所望によりフロースルーモードの、クロマトグラフィー、例えばAEX、CEX、AEXとCEXの組合せ、CEXとAEXの組合せにおけるバッファー移行ピークを低減または除去するために、方法は、ローディングバッファーを加えることおよびチェイスバッファーを加えることを含み、チェイスバッファーが、ローディングバッファーより高い伝導度を有する。いくつかの実施態様において、クロマトグラフィーは、AEXとCEXの組合せまたはCEXとAEXの組合せクロマトグラフィーである。
【0120】
いくつかの実施態様において、チェイスバッファーの伝導度は、ローディングバッファーの伝導度より少なくとも0.5mS/cm、少なくとも0.6mS/cm、少なくとも0.7mS/cm、少なくとも0.8mS/cm、少なくとも0.9mS/cm、少なくとも1.0mS/cm、少なくとも1.1mS/cm、少なくとも1.2mS/cm、少なくとも1.3mS/cm、少なくとも1.4mS/cm、少なくとも1.5mS/cm、少なくとも1.6mS/cm、少なくとも1.7mS/cm、少なくとも1.8mS/cm、少なくとも1.9mS/cm、少なくとも2.0mS/cm、少なくとも2.1mS/cm、少なくとも2.2mS/cm、少なくとも2.3mS/cm、少なくとも2.4mS/cm、少なくとも2.5mS/cm、少なくとも2.6mS/cm、少なくとも2.7mS/cm、少なくとも2.8mS/cm、少なくとも2.9mS/cm、少なくとも3.0mS/cm、少なくとも3.1mS/cm、少なくとも3.2mS/cm、少なくとも3.3mS/cm、少なくとも3.4mS/cm、少なくとも3.5mS/cm、少なくとも3.6mS/cm、少なくとも3.7mS/cm、少なくとも3.8mS/cm、少なくとも3.9mS/cm、少なくとも4.0mS/cm、少なくとも4.1mS/cm、少なくとも4.2mS/cm、少なくとも4.3mS/cm、少なくとも4.4mS/cm、少なくとも4.5mS/cm、少なくとも4.6mS/cm、少なくとも4.7mS/cm、少なくとも4.8mS/cm、少なくとも4.9mS/cmまたは少なくとも5.0mS/cm高い。他の実施態様において、ローディングバッファーの伝導度は、チェイスバッファーのものより約1.0mS/cm高い。
【0121】
いくつかの実施態様において、ローディングバッファーは、チェイスバッファーより低い伝導度を有する。いくつかの実施態様において、ローディングバッファーの伝導度は、チェイスバッファーの伝導度より少なくとも0.5mS/cm、少なくとも1.0mS/cm、少なくとも1.5mS/cm、少なくとも2.0mS/cm、少なくとも2.5mS/cm、少なくとも3.0mS/cm、少なくとも3.5mS/cm、少なくとも4.0mS/cm、少なくとも4.5mS/cmまたは少なくとも5.0mS/cm低い。他の実施態様において、ローディングバッファーの伝導度は、チェイスバッファーのものより約1.0mS/cm低い。
【0122】
いくつかの実施態様において、(III)のバッファー移行ピークを低減または除去する方法は、(II)のタンパク質を精製する方法と組み合わされ得る。したがって、いくつかの実施態様において、本開示は、目的タンパク質を精製する方法であって、該方法が、自動化、エンジニアリングコントロールおよび/またはインライン調節をAEXとCEXの間に用いず、かつ、クロマトグラフィーで用いられるチェイスバッファーが、クロマトグラフィーで用いられるローディングバッファーより高い伝導度を有する、操作条件(例えば、pHおよび/または伝導度)下で、AEXとCEXの組合せまたはCEXとAEXの組合せクロマトグラフィーを実施することを含む、方法を含む。
【0123】
目的タンパク質
本開示の方法(II)および/または(III)は、目的タンパク質、例えば、天然もしくは非天然のタンパク質、組み換え産生したまたは血漿精製したタンパク質、またはそれらの任意の組合せを単離または精製するために用いられ得る。目的タンパク質は、本明細書のいずれかの箇所に記載される1つ以上の夾雑物との混合物であり得る。いくつかの実施態様において、目的タンパク質は、下流精製、例えば、ろ過、アフィニティークロマトグラフィー、タンジェンシャルフロークロマトグラフィー、ウイルス不活化、ポリッシングの工程、またはそれらの任意の組合せをすでに通されている。他の実施態様において、目的タンパク質は、夾雑物との混合物であり、採取後精製工程を通っていない。
【0124】
いくつかの実施態様において、混合物は、抗体である目的タンパク質を含有する。
【0125】
いくつかの実施態様において、目的タンパク質は、目的タンパク質および異種部分を含む融合タンパク質である。他の実施態様において、本方法により単離または精製される融合タンパク質は、Fc融合タンパク質である。他の実施態様において、本方法により単離または精製されるタンパク質は、ペグ化、ヘシル化またはシアル化タンパク質である。
【0126】
他の実施態様において、目的タンパク質は、宿主細胞中で産生される。いくつかの実施態様において、目的タンパク質は、哺乳類細胞を含む培養物中で産生される。いくつかの実施態様において、哺乳類細胞は、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、HEK293細胞、マウス骨髄腫(NS0)、ベビーハムスター腎臓細胞(BHK)、サル腎臓線維芽細胞(COS-7)、マディン-ダービーウシ腎臓細胞(MDBK)またはそれらの任意の組合せである。いくつかの実施態様において、出発混合物は、採取した細胞培養液、細胞培養上清、馴化細胞培養上清、細胞溶解物および清澄化バルクであり得る。
【0127】
いくつかの実施態様において、細胞培養は、1つ以上の下流精製方法、例えば、プロテインAアフィニティークロマトグラフィーおよびプロテインGアフィニティークロマトグラフィーより選択されるアフィニティークロマトグラフィーに供されている。他の実施態様において、本方法の出発混合物は、1つ以上の下流精製、例えば、ダイアフィルトレーション、限外ろ過、アフィニティークロマトグラフィー、タンジェンシャルフロークロマトグラフィー、ウイルス不活化、またはそれらの任意の組合せを通っている。
【0128】
本開示は、さらなる限定として解釈されるべきではない以下の実施例によりさらに例示される。本願を通して引用されているすべての参照文献の内容は、出典明示により本明細書に明示的に組み込まれる。
【実施例0129】
実施例1 ポリッシングの評価
ポリッシング工程シーケンスおよびポリッシング工程の組合せ、ならびに不要な夾雑物の低減の有効性を評価するために、表1に示すように様々なポリッシング計画を検討した。試験用のローディング材料は、pH5.5でのプロテインAの溶出および中和プール(PAVIN)である(デプスろ過なし)。各実施の前に、PAVINプールは、2M Trisを用いてpHを7.2に調節する。表1に示すように、CEX(F/T)は、HMWおよびrPAを効果的に除去でき;AEX(F/T)は、HCPを著しく減少させるが、rPAおよびMWを減少させることができない。2工程のポリッシング(CEX(F/T)の後にAEX(F/T))を用いると、HCP、HMW、rPAレベルはすべて比較的低いレベルに低下する。ここでは、2つのカラムを接続し、CEX F/T条件(pH7.2および5mS/cmでの負荷、pH7.2および6mS/cmでの追跡)を用いて操作することにより、CEX-AEX F/Tの組合せも評価した。図1に示すように、POROS XSカラム(ベッドの高さ10cm、内径0.66cm)の出口を、2つのカラム間の自動化やエンジニアリングコントロールなしで、Capto Qカラム(ベッドの高さ10cm、内径0.66cm)の入口に直接接続した。
【0130】
調節なしのCEX/AEX F/T(AEX/CEX F/T)の組合せポリッシング工程の有効性を評価するために、出発混合物「プロテインAの溶出および中和プール」(PAVIN)は、pH5.5を有し、表1に記載の不純物を含んでいた。様々なクロマトグラフィーアプローチ後の不要な夾雑物の低減を、表1に詳細に示す。CEX単独、AEX単独、伝導度を調節したCEX-AEXの組み合わせ、および調節していないCEX-AEXとそれに続くAEX-CEXの組合せを、上記の操作条件で試験した。すべてのクロマトグラフィーをフロースルーモードで操作した。
【0131】
調節なしのCEX-AEXまたはAEX-CEXF/Tの組合せポリッシング工程は、HCP、rPAおよびHMWの著しい除去を示し、操作時間/コストおよびスキッドフットプリントを減少させた。CEX-AEXまたはAEX-CEXF/Tの組合せポリッシングの多くの利点が示され;これらには、単一のF/TポリッシングユニットおよびCEXとAEXの間の伝導度調節を有するCEX(F/T)とAEX(F/T)の組合せポリッシング工程と比較して操作時間、コスト、スキッドフットプリントの著しい減少が含まれる。pHおよび伝導度を調節しないCEX-AEXまたはAEX-CEXの組合せでは、単一のF/Tポリッシングユニットと比較して下流の生産性が著しく向上した。CEXとAEX(F/T)のどちらも、高負荷(300g/L以上)で動作する。pHおよび伝導度を調節しないCEXとAEXまたはAEXとCEXクロマトグラフィーの組合せは、CEXとAEXが同じ電荷、EQ、ストリップ、浄化および保存バッファーである同じバッファーシステムを利用できる。現在のクロマトグラフィーはまた、図1に示すように、CEXの出口をAEXの入口に直接接続するだけで実装できる。
【表1】
【0132】
実施例2 CEX-AEX F/Tポリッシングで評価した分子の概要
様々な等電点(pI)を有する多数の抗体について精製の有効性を測定し、表2に詳細を示す。第1の4つの抗体を、等電点より低いpHを用いて精製し、これは、抗体がクロマトグラフィー中にわずかに正の正味電荷を帯びていることを示している。カラムへの抗体の結合を防止し、通り抜けを促進するために、塩を用いてバッファーの伝導度を、目的抗体がカラムに強く保持されないレベルまで増加させたが、HCP、rPAおよびHMWなどの不要な夾雑物を保持した。pI5.8を有する第5の抗体の場合、より高い塩濃度を用いて、負電荷を帯びている抗体と陰イオン交換樹脂との相互作用を防止した。
【表2】
【0133】
調節なしのCEX-AEXF/Tの組合せポリッシング工程の代表的なクロマトグラムを図2に示す。
【0134】
実施例3 バッファー移行誘発ローディング後ピークの評価
抗体-3を含むタンパク質混合物をCEX(F/T)に通して、この抗体の分離におけるその有効性を評価した。CEX F/Tを、5mS/cmのローディングバッファーと5mS/cmのチェイスバッファーを用いてpH7.2にて実行した。両方のバッファーは、酢酸ナトリウム-Trisバッファーを含む。タンパク質の溶出を、280nmにおける吸光度により測定した。図3Aに示すように、ローディングバッファーからチェイスバッファーへの移行は、不要なバッファー移行後ピークを誘発した。チェイスバッファーの伝導度を変更したのみでCEX F/Tを再度実施した場合、つまり1mS/cm増加させた6mS/cmの場合、図3Bに示すように、クロマトグラムは、バッファー移行後ピークの消失を示した。したがって、チェイスバッファーの伝導度を上げることにより、ローディングバッファーからチェイスバッファーへの移行によるピークを低減または除去できる。
【0135】
本出願を通して、様々な刊行物が、著者名および日付、あるいは特許番号または特許公開番号によって括弧内に参照される。これらの刊行物の開示は、本願で説明およびクレームされる開示の日付の時点でその分野の当業者に知られている技術の状態をより完全に説明するために、出典明示によりその全体として本願の一部とする。本明細書に記載され、請求された開示の日付の時点でその分野の当業者に知られている技術の技術。しかしながら、本明細書における参考文献の引用は、そのような参考文献が本開示の先行技術であることの了承として解釈されるべきではない。
図1
図2
図3A
図3B
【手続補正書】
【提出日】2024-06-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本願明細書または図面に記載された発明。