IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ポーラ化成工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-結晶構造制御方法 図1
  • 特開-結晶構造制御方法 図2
  • 特開-結晶構造制御方法 図3
  • 特開-結晶構造制御方法 図4
  • 特開-結晶構造制御方法 図5
  • 特開-結晶構造制御方法 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024105448
(43)【公開日】2024-08-06
(54)【発明の名称】結晶構造制御方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 47/14 20170101AFI20240730BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20240730BHJP
   A61K 8/86 20060101ALI20240730BHJP
   A61Q 1/00 20060101ALI20240730BHJP
   A61K 8/06 20060101ALI20240730BHJP
   A61K 9/107 20060101ALI20240730BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20240730BHJP
   A61K 47/10 20170101ALI20240730BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALN20240730BHJP
   A23L 29/00 20160101ALN20240730BHJP
【FI】
A61K47/14
A61K8/34
A61K8/86
A61Q1/00
A61K8/06
A61K9/107
A61K9/08
A61K47/10
A61Q19/00
A23L29/00
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024075878
(22)【出願日】2024-05-08
(62)【分割の表示】P 2020052966の分割
【原出願日】2020-03-24
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】000113470
【氏名又は名称】ポーラ化成工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004163
【氏名又は名称】弁理士法人みなとみらい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松尾 一貴
(57)【要約】      (修正有)
【課題】本発明は、両親媒性成分が形成する結晶構造の制御技術を提供することを課題とする。
【解決手段】両親媒性成分を含む分散系において、両親媒性成分が形成する結晶構造を制御する方法であって、両親媒性成分と、多価アルコールを共存させる方法であり、両親媒性成分が、ポリエチレングリコール脂肪酸エステルであり、両親媒性成分が飽和脂肪酸残基を有し、飽和脂肪酸残基の炭素数は16~20であり、両親媒性成分がポリエーテル鎖を有し、ポリエーテル鎖の平均付加モル数が、15~35であり、多価アルコールが、親水性部分にポリエーテル鎖を持つノニオン性界面活性剤の水溶液と混合することにより、該水溶液の曇点を下降させる多価アルコールであり、両親媒性成分と共存させる親水的多価アルコールの含有量を多くすることで、結晶構造を密にする効果を高め、両親媒性成分が形成する結晶構造を密に制御する方法。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
両親媒性成分を含む分散系において、前記両親媒性成分が形成する結晶構造を密に制御する方法であって、
前記両親媒性成分と、多価アルコールを共存させる、方法であり、
前記両親媒性成分が、ポリエチレングリコール脂肪酸エステルであり、
前記両親媒性成分が飽和脂肪酸残基を有し、
前記飽和脂肪酸残基の炭素数は16~20であり、
前記両親媒性成分がポリエーテル鎖を有し、
前記ポリエーテル鎖の平均付加モル数が、15~35であり、
前記多価アルコールが、親水性部分にポリエーテル鎖を持つノニオン性界面活性剤の水溶液と混合することにより、該水溶液の曇点を下降させる多価アルコールであり、
両親媒性成分と共存させる親水的多価アルコールの含有量を多くすることで、結晶構造を密にする効果を高め、親水的多価アルコールの含有量を少なくすることで、結晶構造を密にする効果を減弱させる、
両親媒性成分が形成する結晶構造を密に制御する方法。
【請求項2】
前記多価アルコールの添加量は、前記両親媒性成分1質量部に対して、0.1~1質量部である、
請求項1に記載の、前記両親媒性成分が形成する結晶構造を密に制御する方法。
【請求項3】
前記両親媒性成分と、前記多価アルコールを共存させた状態で、25~35℃の温度で保管することを含む、
請求項1又は2に記載の、前記両親媒性成分が形成する結晶構造を密に制御する方法。
【請求項4】
前記多価アルコールが、エーテル結合、及び/又はエステル結合を有していてもよい、炭素数が1~12の多価アルコール、又はこれらの重合体である、請求項1~3の何れか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記多価アルコールが、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、ポリエチレングリコール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、エリトリトール、ペンタエリトリトール、ジペンタエリトリトール、ソルビトール、キシリトール、マンニトール、マルチトール、イノシトールからなる群から選択される1種又は2種以上の多価アルコールである、請求項1~4の何れか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記両親媒性成分が、ノニオン性界面活性剤である、請求項1~5の何れか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記分散系が、水系、O/W型エマルション、又はW/O型エマルションである、請求項1~6の何れか一項に記載の方法。
【請求項8】
多価アルコールを有効成分として含む、結晶構造制御剤であって、
前記結晶構造制御剤が、結晶構造を密に制御するためのものであって、前記多価アルコールが、親水性部分にポリエーテル鎖を持つノニオン性界面活性剤の水溶液と混合することにより、該水溶液の曇点を下降させる多価アルコールであり、
前記両親媒性成分が、ポリエチレングリコール脂肪酸エステルであり、
前記両親媒性成分が飽和脂肪酸残基を有し、
前記飽和脂肪酸残基の炭素数は16~20であり、
前記両親媒性成分がポリエーテル鎖を有し、
前記ポリエーテル鎖の平均付加モル数が、15~35であり、
両親媒性成分と共存させる親水的多価アルコールの含有量を多くすることで、結晶構造を密にする効果を高め、親水的多価アルコールの含有量を少なくすることで、結晶構造を密にする効果を減弱させる、
結晶構造制御剤。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、両親媒性成分が形成する結晶構造を制御する方法、及び結晶構造制御剤に関する。
【背景技術】
【0002】
化学物質の中には、同一の化学組成を有していながらも、複数の異なる結晶構造(結晶形)を形成するものが知られている。このような現象を「多形」といい、複数の異なる結晶構造を「結晶多形」という。
【0003】
医薬製剤の有効成分においては、結晶多形が異なることによって、有効成分の安定性や、薬効が異なることが知られており、薬効が優れる結晶多形や、安定性が高い結晶多形の探索が行われている。
また、探索により発見した薬効に優れる結晶多形を、安定的に製造するための方法が日々研究されている。
【0004】
例えば、特許文献1には、レーザー光照射、又は超音波照射により、結晶多形を有する物質の溶液に気泡を発生させることで、準安定形結晶を選択的に製造する方法が開示されている。
【0005】
また、油脂も結晶多形を有することが知られており、当該結晶多形が油脂製品のテクスチャーや、保存性に影響を与えることが知られている。トリアシルグリセロールの結晶多形の基本的な構造として、β型(固く、密な結晶構造)、α型(緩く、疎な結晶構造)、及びβ´型(β型とα型の中間的な結晶構造)が存在する。
【0006】
例えば、特許文献2には、トリグリセリド等のグリセリン脂肪酸エステル用結晶構造制御剤として、層状珪酸塩鉱物、単層または層状カーボン類、芳香族カルボン酸、テオブロミンの少なくとも何れか1種を含む結晶構造制御剤が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2014-189462号公報
【特許文献2】特開2015-063597号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、界面活性剤に代表される、いわゆる両親媒性成分も、水系、水中油型エマルション、油中水型エマルション等の分散系において、結晶多形を有することが知られており、α型結晶、β型結晶、及びβ´型結晶等の多形を有している。これらの結晶は、結晶格子内に水を含む水和型結晶である。
【0009】
両親媒性成分の結晶構造は、両親媒性成分を含む化粧品、医薬製剤、食品等の安定性に影響を与える。
例えば、β型結晶、及びβ´型結晶は、低温安定性の結晶形であり、α型は常温~高温で安定する結晶形である。
製剤の保管温度によっては、結晶多形の転移が生じ、乳化粒子径の増大や、水と油の分離等の弊害が生じる。
【0010】
また、β型結晶は、分子が固く、密に配列されており、振動や応力を受けると結晶構造が破壊され、結晶構造の再構築がされにくい。
一方で、α型結晶は、分子が疎に配列されており、自由度が高いことから、振動や応力を受けて壊れた結晶構造が再構築されるため、高い安定性を有する。
【0011】
このように、両親媒性成分の結晶構造は、結晶多形の種類により異なる特性を有し、所望の特性を有する化粧品、医薬製剤、食品等の組成物の設計において、両親媒性成分が形成する結晶構造を所望の結晶形に制御することは、極めて重要である。
【0012】
したがって、本発明は、両親媒性成分が形成する結晶構造の制御技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らは、鋭意研究の結果、両親媒性成分を含む結晶分散系において、当該両親媒性と特定の成分を共存させることで、両親媒性成分が形成する結晶構造を疎に、又は密に制御できることを見出し、本発明を完成させた。
【0014】
すなわち、前記課題を解決する本発明は、
両親媒性成分を含む分散系において、前記両親媒性成分が形成する結晶構造を制御する方法であって、前記両親媒性成分と、多価アルコールとを共存させる、方法である。
両親媒性成分と、多価アルコールとを共存させることで、両親媒性成分が形成する結晶構造を疎に、又は密に制御することができる。
【0015】
本発明の好ましい形態では、前記方法が、前記両親媒性成分が形成する結晶構造を疎に制御する方法であって、前記多価アルコールが、親水性部分にポリエーテル鎖を持つノニオン性界面活性剤の水溶液と混合することにより、該水溶液の曇点を上昇させる多価アルコールである。
このような作用を有する多価アルコールを、両親媒性成分と共存させることで、両親媒性成分が形成する結晶構造が疎となるように制御することができる。
【0016】
本発明の好ましい形態では、前記多価アルコールが、エーテル結合、及び/又はエステル結合を有していてもよい、炭素数が1~12の多価アルコールである。
【0017】
本発明の好ましい形態では、前記多価アルコールが、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、メチルプロパンジオール、ブチルエチルプロパンジオール、ブチレングリコール、イソペンチルジオール、ヘキサンジオール、エチルヘキサンジオール、ペンタンジオール、オクタンジオール、デカンジオール、ドデカンジオールからなる群から選択される1種又は2種以上である。
【0018】
また、本発明の好ましい形態では、前記方法が、前記両親媒性成分が形成する結晶構造を密に制御する方法であって、前記多価アルコールが、親水性部分にポリエーテル鎖を持つノニオン性界面活性剤の水溶液と混合することにより、該水溶液の曇点を下降させる多価アルコールである。
このような作用を有する多価アルコールを、両親媒性成分と共存させることで、両親媒性成分が形成する結晶構造を密に制御することができる。
【0019】
本発明の好ましい形態では、前記多価アルコールが、エーテル結合、及び/又はエステル結合を有していてもよい、炭素数が1~12の多価アルコール、又はこれらの重合体である。
【0020】
本発明の好ましい形態では、前記多価アルコールが、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、ポリエチレングリコール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール、エリトリトール、ペンタエリトリトール、ジペンタエリトリトール、ソルビトール、キシリトール、マンニトール、マルチトール、イノシトールからなる群から選択される1種又は2種以上の多価アルコールである。
【0021】
本発明の好ましい形態では、前記両親媒性成分が、ノニオン性界面活性剤である。
【0022】
本発明の好ましい形態では、前記ノニオン性界面活性剤が、ポリエーテル鎖を有するノニオン性界面活性剤である。
【0023】
本発明の好ましい形態では、前記分散系が、水系、油中水型エマルション、又は水中油型エマルションである。
【0024】
また、前記課題を解決する本発明は、多価アルコールを有効成分として含む、結晶構造制御剤である。
【0025】
本発明に好ましい形態では、前記結晶構造制御剤が、結晶構造を疎に制御するためのものであって、前記多価アルコールが、親水性部分にポリエーテル鎖を持つノニオン性界面活性剤の水溶液と混合することにより、該水溶液の曇点を上昇させる多価アルコールである。
【0026】
本発明の好ましい形態では、前記結晶構造制御剤が、結晶構造を密に制御するためのものであって、前記多価アルコールが、親水性部分にポリエーテル鎖を持つノニオン性界面活性剤の水溶液と混合することにより、該水溶液の曇点を下降させる多価アルコールである。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、両親媒性成分が形成する結晶構造を制御することができる。具体的には、結晶構造の多形を制御するのみならず、結晶構造を疎に、又は密に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】疎水的多価アルコールを添加した場合における本発明の作用を説明する図面である。
図2】親水的多価アルコールを添加した場合における本発明の作用を説明する図面である。
図3】ポリエチレングリコール脂肪酸エステルの調製直後、5℃で8時間放置後、5℃で24時間放置後におけるX線回折スペクトルである。
図4】ジプロピレングリコールの添加の有無による、両親媒性成分が形成する結晶構造の違いを示す、X線回折スペクトルである。
図5】ジプロピレングリコールの濃度による、両親媒性成分が形成する結晶構造の違いを示す、X線回折スペクトルである。
図6】グリセリン、又はソルビトールの有無による、両親場姿勢成分が形成する結晶構造の違いを示す、X線回折スペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
(1)分散系
本発明は、両親媒性成分を含む分散系において、両親媒性成分が形成する結晶構造を制御する方法である。
本明細書中において『分散系』とは、分子分散系、又はコロイド分散系を意味する。
本発明の方法は、液体を分散媒とする分散系に適用することが好ましい。すなわち、気/液系、固/液系、液/液系に適用することが好ましく、液/液系に適用することがより好ましい。
【0030】
前記分散系は、分散媒(基質)として水を含むことが好ましい。本発明の方法は、特に、両親媒性成分が形成する水和結晶の構造を制御するための方法に適している。
前記分散系は、分散媒として水のみを含む形態、O/W型エマルション、W/O型エマルション、W/O/W型エマルション、又はO/W/O型エマルションであることが好ましい。
【0031】
前記分散系が、分散媒、又は分散質として油性成分を含む場合、油性成分の種類は特に限定されず、例えば、ヒマシ油、ツバキ油、オリーブ油等の油脂、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸等の飽和脂肪酸、オレイン酸、リノール酸等の不飽和脂肪酸、ミツロウ、ホホバ油、カルナウバロウ、ラノリン等のロウ類、ワセリン、流動パラフィン、スクワラン等の炭化水素、セタノール、イソステアリルアルコール等の高級アルコール、及びエステル油等を用いることができる。
【0032】
(2)両親媒性成分
両親媒性成分としては、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤等が例示できる。
両親媒性成分としては、ノニオン性界面活性剤を用いることが好ましい。
【0033】
両親媒性成分としては、ポリエーテル鎖を有している両親媒性成分が好ましい。ポリエーテル鎖としては、ポリオキシエチレン鎖、ポリオキシプロピレン鎖、ポリグリセリン鎖等が例示できる。
【0034】
ポリエーテル鎖を有する両親媒性成分としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエステルアルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシプロピレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシプロピレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリル、ポリオキシプロピレン脂肪酸グリセリル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ポリオキシプロピレン脂肪酸アミド、ポリオキシエチレン脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシプロピレン脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリセリル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、及びポリグリセリンアルキルエーテル等が例示できる。
【0035】
ポリエーテル鎖を有する両親媒性成分を用いる場合、ポリエーテル鎖の平均付加モル数は特に限定されず、例えば、ポリエーテル鎖の平均付加モル数が5~100、5~80、5~60、5~40、10~40、15~35、20~30の両親媒性成分を用いることができる。
【0036】
ポリエーテル鎖を有する両親媒性成分がアルキル鎖を有する場合、アルキル鎖の鎖長は特に限定されず、例えば、炭素数12~22、炭素数14~22、炭素数16~22、炭素数16~20のアルキル鎖を有していてもよい。
【0037】
ポリエーテル鎖を有する両親媒性成分が、脂肪酸残基を有する場合、脂肪酸残基の炭素数は特に限定されず、例えば炭素数12~22、炭素数14~22、炭素数16~22、炭素数16~20の脂肪酸残基を有していてもよい。脂肪酸残基は、飽和脂肪酸残基であってもよく、不飽和脂肪酸残基であってもよい。
【0038】
また、両親媒性成分としては、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、脂肪族アミン塩、脂肪族4級アンモニウム塩、グリセリン脂肪酸エステル、アルキル硫酸エステル、アルキルベンゼンスルホン酸塩、脂肪酸石鹸、及びリン脂質等を用いることもできる。
【0039】
分散系に含まれる両親媒性成分の含有量は、特に限定されず、例えば、0.1~90質量%、0.1~80質量%、0.1~70質量%、0.1~60質量%、0.1~50質量%、0.1~40質量%、0.1~30質量%、0.1~20質量%とすることができる。
【0040】
(3)疎水的多価アルコール
本発明の方法によれば、前述した両親媒性界面活性剤と、疎水的多価アルコールを共存させることで、両親媒性界面活性剤が形成する結晶構造を“疎”に制御することができる。
具体的には、疎水的多価アルコールを含まない分散系において、所定の保管温度で、所定の時間保管した場合に形成される結晶構造と、疎水的多価アルコールを含むこと以外は前記分散系と同一組成の分散系において、同一の保管温度で、同一の時間保管した場合に形成される結晶構造とを比較して、後者の結晶構造を相対的に疎な結晶構造に制御することができる。
【0041】
例えば、疎水的な多価アルコールを含まない分散系(以下、比較分散系1という)における結晶構造がβ型である場合、本発明の方法を適用した分散系(対象分散系1という)における結晶構造は、β´型結晶、又はα型結晶である。
【0042】
各組成物における両親媒性成分が形成した結晶構造は、広角X線回折測定を行い、結晶多形ごとに異なる副格子構造に対応するピークが出現したX線回折プロファイルを取得することで、確認することができる。
各結晶構造における特徴的なピーク強度が出現する角度は、組成によりシフトすることがあるが、α型結晶においては、2θ=約21°にピークが出現する。β´型結晶においては、2θ=約21°、及び約23℃の位置にピークが出現する。β型結晶においては、2θ=約19°、約23°、及び約26°の位置にピークが出現する。
【0043】
また、本発明の方法によれば、対象分散系1の結晶構造を、比較分散系1の結晶構造と同一多形であり、かつ、比較分散系1における結晶構造と比較して相対的に“疎”な結晶構造とすることができる。
この場合には、広角X線回折測定を行い、対象組成物1における結晶多形の特徴的なピークにおける強度が、比較組成物1の同一多形の特徴的なピークの強度と比して低いことが確認できる。ピークの強度が低いということは、すなわち結晶性が低いことを意味し、疎な緩い結晶が形成していることを意味する。
すなわち、β型においては、2θ=19°の位置におけるピーク強度を比較し、β´型においては、2θ=23°の位置における第2のピーク強度を比較し、α型結晶においては、2θ=21°の位置における第1のピーク強度を比較する。
【0044】
本明細書中において、「疎水的多価アルコール」とは「親水性部分にポリエーテル鎖を持つノニオン性界面活性剤と混合することにより、該水溶液の曇点を上昇させる性質を有する多価アルコール」を意味する。
【0045】
曇点とは、透明又は半透明な液体において、温度変化によって相分離が起き、その結果不透明になる温度のことをいい、特にノニオン性界面活性剤の水溶液を加温した際に溶質が水と分離し始める温度のことを言う。
親水性部分にポリエーテル鎖を持つノニオン性界面活性剤の水溶液の曇点を上昇させる多価アルコールであるか、それとも下降させる多価アルコールであるかは、具体的に以下の方法により確認することができる。
【0046】
親水性部分にポリエーテル鎖を持つ非イオン性界面活性剤の水溶液を加温し、該水溶液が白く濁り始める温度、すなわち曇点を記録する。次に該水溶液に多価アルコールを加えて混合したものを加温し、同様に曇点を記録する。
【0047】
多価アルコールを加える前の水溶液よりも、加えた後の水溶液の方が、曇点が高い場合には、加えた多価アルコールは「該溶液の曇点を上昇させた」と評価する。
反対に、多価アルコールを加える前の水溶液よりも、加えた後の水溶液の方が、曇点が低い場合には、加えたポリオールは「該水溶液の曇点を下降させた」と評価する。
【0048】
上述の曇点の計測に用いる親水性部分にポリエーテル鎖を持つノニオン性界面活性剤は、上述した両親媒性成分で例示したものが好ましい。
【0049】
曇点を上昇させる多価アルコールは、通常、化粧品に配合可能な多価アルコールであれば特に限定されないが、エーテル結合、及び/又はエステル結合を有していてもよい、炭素数が1~12の多価アルコールであることが好ましい。
多価アルコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、メチルプロパンジオール、ブチルエチレンプロパンジオール、ブチレングリコール、イソペンチルジオール、ヘキサンジオール、及びペンタンジオール等が例示できる。
【0050】
次いで、曇点を上昇させる多価アルコールと両親媒性成分を共存させることで、該両親媒性成分が形成する結晶構造が“疎”に制御されるメカニズムについて説明する。
【0051】
曇点を上昇させる作用を有するということは、両親媒性成分の見かけ上の水和力を向上する作用を有しているといえ、そのようなポリオールは、両親媒性成分の疎水部に作用し、水和を助長しているといえる。すなわち、このようなポリオールは疎水性が高いといえる。
したがって、両親媒性成分と疎水的多価アルコールが共存する混合系において、疎水的多価アルコールは両親媒性成分の疎水部分に作用し、両親媒性成分の疎水部分が融解する。
そして、疎水部分が融解することで、両親媒性成分同士の疎水性相互作用が減弱し、結晶構造が緩く(疎に)なる(図1)。
【0052】
両親媒性成分と共存させる疎水的多価アルコールの含有量を多くすれば、結晶構造に疎にする効果が高くなり、逆に、疎水的多価アルコールの含有量を少なくすれば、結晶構造を疎にする効果は減弱する。
したがって、最終製品に求める物性に応じて、疎水的多価アルコールの含有量を適宜調節することができる。
【0053】
疎水的多価アルコールの添加量は、例えば、組成物全量に対して0.1質量%以上、0.5質量%以上、1質量%以上、3質量%以上、5質量%以上、7質量%以上とすることができ、90質量%以下、80質量%以下、70質量%以下、60質量%以下、50質量%以下、40質量%以下、30質量%以下、20質量%以下、15質量%以下、10質量%以下とすることができる。
また疎水的多価アルコールの添加量は、両親媒性成分1質量部に対して、0.1質量部~90質量部、0.1~80質量部、0.1~70質量部、0.1~60質量部、0.1~50質量部、0.1~40質量部、0.1~30質量部、0.1~20質量部、0.1~10質量部、0.1~1質量部、0.1~0.7質量部、0.1~0.5質量部とすることができる。
【0054】
(4)親水的多価アルコール
一方、両親媒性界面活性剤と、親水的多価アルコールを共存させることで、両親媒性界面活性剤が形成する結晶構造を“密”に制御することができる。
具体的には、親水的多価アルコールを含まない分散系において、所定の保管温度で、所定の時間保管した場合に形成される結晶構造と、親水的多価アルコールを含むこと以外は前記分散系と同一組成の分散系において、同一の保管温度で、同一の時間保管した場合に形成される結晶構造とを比較して、後者の結晶構造を相対的に密な結晶構造に制御することができる。
【0055】
例えば、親水的な多価アルコールを含まない分散系(以下、比較分散系2という)の結晶構造がα型である場合、本発明の方法を適用した分散系(以下、対象分散系2という)の結晶構造は、β´型結晶、又はβ型結晶である。
【0056】
また、本発明の方法によれば、対象分散系2の結晶構造を、比較分散系1の結晶構造と同一多形であり、かつ、比較分散系2における結晶構造と比較して相対的に“密”な結晶構造に制御することができる。
この場合には、対象組成物2及び比較組成物2の結晶構造における特徴的なピークの強度を比較して、対象組成物2におけるピーク強度が高いことが確認できる。ピーク強度が高いということは、すなわち結晶性が高いことを意味し、結晶構造が硬く、密な構造であることを意味する。
【0057】
本明細書中において、「親水的多価アルコール」とは「親水性部分にポリエーテル鎖を持つノニオン性界面活性剤の混合することにより、該水溶液の曇点を下降させる性質を有する多価アルコール」を意味する。親水性部分にポリエーテル鎖を持つノニオン性界面活性剤の水溶液の曇点を下降させる作用を有する多価アルコールであるか否かの判断は、上述した通りである。
【0058】
曇点を下降させる作用を有するということは、両親媒性成分の見かけ上の水和力を減少する作用を有しているといえ、そのようなポリオールは、両親媒性成分の親水部に作用し、水和を妨げているといえる。すなわち、このようなポリオールは親水性が高いといえる。
したがって、両親媒性成分と疎水的多価アルコールが共存する混合系において、親水的多価アルコールは両親媒性成分の親水部分に作用し、親水性相互作用が高まることで、より強固な(密な)結晶構造(水和結晶)を形成する(図2)。
【0059】
曇点を下降させる多価アルコールとしては、化粧品に通常配合可能なものであれば特に限定されないが、エーテル結合、及び/又はエステル結合を有していてもよい、炭素数が1~12の多価アルコール、又はこれらの重合体である。
多価アルコールとしては、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、ポリエチレングリコール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、エリトリトール、ペンタエリトリトール、ジペンタエリトリトール、ソルビトール、キシリトール、マンニトール、マルチトール、及びイノシトール等が挙げられる。
【0060】
両親媒性成分と共存させる親水的多価アルコールの含有量を多くすれば、結晶構造を密にする効果が高くなり、逆に、親水的多価アルコールの含有量を少なくすれば、結晶構造を密にする効果は減弱する。
したがって、最終製品に求める物性に応じて、親水的多価アルコールの含有量を適宜調節することができる。
親水的多価アルコールの添加量は、例えば、組成物全量に対して0.1質量%以上、0.5質量%以上、1質量%以上、3質量%以上、5質量%以上、7質量%以上とすることができ、90質量%以下、80質量%以下、70質量%以下、60質量%以下、50質量%以下、40質量%以下、30質量%以下、20質量%以下、15質量%以下、10質量%以下とすることができる。
また親水的多価アルコールの添加量は、両親媒性成分1質量部に対して、0.1質量部~90質量部、0.1~80質量部、0.1~70質量部、0.1~60質量部、0.1~50質量部、0.1~40質量部、0.1~30質量部、0.1~20質量部、0.1~10質量部、0.1~1質量部、0.1~0.7質量部、0.1~0.5質量部とすることができる。
【0061】
(5)結晶制御方法
本発明の方法は、両親媒性成分を含む分散系において、両親媒性成分と多価アルコールを共存させることで、両親媒性成分が形成する結晶構造を任意の結晶多形に制御することができる。また、両親媒性成分が形成する結晶構造の疎密を制御することができる。
【0062】
例えば、基剤として水を含む、水系組成物の結晶構造を制御する場合には、水、両親媒性成分、多価アルコール、及び必要に応じてその他の任意成分を撹拌混合することで、任意の結晶構造に制御することができる。
【0063】
O/W型エマルション系の組成物、又はW/O型エマルション系の組成物における結晶構造を制御する場合には、水、両親媒性成分、多価アルコール、及び必要に応じてその他の任意成分を混合した水相と、油剤、及び必要に応じてその他の任意成分を混合した油相をそれぞれ調製する。
そして、水相及び油相を撹拌混合し、乳化させることで、両親媒性成分が形成する結晶構造が任意の結晶構造に制御されたO/W型エマルション系の組成物、又はW/O型エマルション系の組成物を得ることができる。
【0064】
このような、O/W型エマルション、W/O型エマルション、W/O/W型エマルション、O/W/O型エマルションの組成物を最終製品とする場合には、両親媒性成分、及び多価アルコールは、水相で共存させておくことが好ましい。
【0065】
両親媒性成分の結晶構造は、5~20℃程度の温度で保管すると、β型結晶、又はβ´型結晶の形成が有利となることが知られている。一方で、25℃~35℃程度の温度で保管すると、α型結晶の形成が有利となることが知られている。
本発明の方法により制御された結晶構造は、温度安定性が高く、低温又は室温近傍の何れの温度帯で組成物を保管した場合であっても、同一多形の結晶構造を形成することができる。
【0066】
本発明の方法は、化粧品、医薬品、医薬部外品、食品、及びサプリメント等を最終製品とする組成物の結晶構造制御方法として適している。
このような態様においては、組成物中の結晶構造が、製品の安定性、薬効、塗布時の使用感、食感等に影響を与えるため、結晶構造を正確に制御することが求められている。
【0067】
前記組成物は、両親媒性成分、及び多価アルコール以外の、各用途に適合した任意成分を含んでいてもよい。例えば、化粧品であれば、美容成分、保湿剤(多価アルコールを除く)、増粘剤、香料、色素等を含んでいてもよい。
【0068】
(6)結晶構造制御剤
また、本発明は、多価アルコールを有効成分とする、結晶構造制御剤に関する。
本発明の結晶構造制御剤は、多価アルコールの種類に応じて、2種類に分類することができる。
【0069】
多価アルコールとして、「親水性部分にポリエーテル鎖を持つノニオン性界面活性剤の混合することにより、該水溶液の曇点を上昇させる性質を有する多価アルコール」、すなわち、疎水的多価アルコールを含む結晶構造制御剤は、両親媒性成分等が形成する結晶構造を疎に制御することができる。
一方で、多価アルコールとして、「親水性部分にポリエーテル鎖を持つノニオン性界面活性剤の混合することにより、該水溶液の曇点を下降させる性質を有する多価アルコール」、すなわち、親水的多価アルコールを含む結晶構造制御剤は、両親媒性成分等が形成する結晶構造を密に制御することができる。
【0070】
本発明の結晶構造制御剤は、両親媒性成分が形成する結晶構造を疎に、又は密に制御するために用いることが好ましい。
また、本発明の結晶構造制御剤は、水和結晶の結晶構造を疎に、又は密に制御するために用いることが好ましい。
【実施例0071】
(試験例1)ポリエチレングリコール脂肪酸エステル水溶液のX線回折
表1の組成に従い、ポリエチレングリコール(PEG)脂肪酸エステル水溶液を調製した。
当該PEG脂肪酸エステル水溶液に対して、広角X線回折(WAXD)測定(測定条件:金属プレート使用、照射時間:30分、測定域2θ=15~30°)を行い、PEG脂肪酸エステルが形成する結晶構造を特定した。WAXD測定は、それぞれ作製直後、5℃で8時間保管後、5℃で24時間保管後に行った。結果を表1、及び図3に示す。
【0072】
【表1】
【0073】
WAXDの結果から、サンプル1~3の散乱ピークが、2θ=19°、23°、及び26°にそれぞれ現れていることが確認できる。この結果から、PEG脂肪酸エステル水溶液が形成する結晶構造は、調製直後、及び低温保管後において、β型であることが確認された。
また、当該水溶液を低温で長時間保管するほど、散乱強度が高まることが確認された。この結果から、低温で長時間保管するほど、結晶性が高まる(より密になる)ことが確認された。
【0074】
(試験例2)疎水的多価アルコール(ジプロピレングリコール(DPG))の添加による結晶構造への影響の検証試験
表2に記載の組成に従い、PEG脂肪酸エステル水溶液を調製した。それぞれのサンプルについて、撹拌した後、表2に記載の測定条件により、各サンプルを保管した。
保管後、試験例1と同様に、各サンプルについてWAXD測定を行い、PEG脂肪酸エステルが形成する結晶構造を特定した。
結果を表2、及び図4に示す。
【0075】
【表2】
【0076】
5℃で1か月保管したサンプル4は、散乱ピークが2θ=21°、及び23°に現れ、形成された結晶構造はβ´型であった。
一方で、DPGを含むこと以外は、サンプル4と組成及び保管条件が同一であるサンプル6は、散乱ピークが2θ=21°のみに現れ、形成された結晶構造はα型であった。
この結果から、DPG等の、親水性部分にポリエーテル鎖を持つノニオン性界面活性剤の混合することにより、該水溶液の曇点を上昇させる性質を有する疎水的多価アルコールを、両親媒性成分と共存させることで、当該両親媒性成分が形成する結晶構造を、疎に(ルーズに)制御することが可能であることがわかった。
【0077】
(試験例3)疎水的多価アルコールの添加量による、結晶構造への影響の検証試験
表3に記載の組成に従い、PEG脂肪酸エステル水溶液を調製した。それぞれのサンプルについて、撹拌した後、表3に記載の測定条件により、各サンプルを保管した。
保管後、試験例1と同様に、各サンプルについてWAXD測定を行い、PEG脂肪酸エステルが形成する結晶構造を特定した。
結果を表3、及び図5に示す。
【0078】
【表3】
【0079】
DPGを10質量%含むサンプル8及びサンプル9は、保管温度が5℃、及び20℃のいずれの条件であっても、α型の結晶構造を形成していた。
一方で、DPGを5質量%含むサンプル10及びサンプル11は、保管温度が5℃、及び20℃のいずれの条件であっても、β´型の結晶構造を形成し、サンプル8及びサンプル9と比して、密な結晶構造を形成していた。
【0080】
この結果から、疎水的多価アルコールの濃度の増減に伴い、結晶構造を疎に制御する度合いを調節できることがわかった。すなわち、疎水的多価アルコールの濃度を高くすることで、両親媒性成分が形成する結晶構造が疎になる作用が増強し、疎水的多価アルコールの濃度を低くすることで、結晶構造が疎になる作用が減弱する。
【0081】
また、試験例2のサンプル6及び7は、α型の結晶構造を形成し、試験例3のサンプル10及び11は、何れもβ´型の結晶構造を形成した。この結果から、本発明の方法によれば、保管温度に影響を受けにくい安定性が高い結晶構造を形成できることがわかった。
【0082】
(試験例4)親水的多価アルコールの添加による結晶構造への影響の検証試験
表4に記載の組成に従い、PEG脂肪酸エステル水溶液を調製した。それぞれのサンプルについて、撹拌した後、表4に記載の測定条件により、各サンプルを保管した。
保管後、試験例1と同様に、各サンプルについてWAXD測定を行い、PEG脂肪酸エステルが形成する結晶構造を特定した。結果を表4、図6に示す。
【0083】
【表4】
【0084】
サンプル12、及びサンプル13は、それぞれβ´型、及びα型の結晶構造を形成した。
一方で、親水性部分にポリエーテル鎖を持つノニオン性界面活性剤の混合することにより、該水溶液の曇点を上昇させる性質を有する親水的多価アルコールである、グリセリン、又はソルビトールを添加したサンプル14~17は、何れもβ型の結晶構造を形成した。
【0085】
この結果から、親水的多価アルコールを、両親媒性成分と共存させることで、当該両親媒性成分が形成する結晶構造を、密に制御することが可能であることがわかった。
【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明は、化粧品、医薬品、医薬部外品、食品等に応用することができる。

図1
図2
図3
図4
図5
図6