(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024105489
(43)【公開日】2024-08-06
(54)【発明の名称】ΜGAΤ2阻害活性を有する縮合環誘導体の製造方法
(51)【国際特許分類】
C07D 471/04 20060101AFI20240730BHJP
C07D 491/20 20060101ALI20240730BHJP
C07D 213/77 20060101ALI20240730BHJP
C07D 213/85 20060101ALI20240730BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240730BHJP
A61K 31/4545 20060101ALI20240730BHJP
【FI】
C07D471/04 106C
C07D491/20 CSP
C07D213/77
C07D213/85
A61P43/00 111
A61K31/4545
C07D491/20
C07D213/77 CSP
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【公開請求】
(21)【出願番号】P 2024076880
(22)【出願日】2024-05-10
(71)【出願人】
【識別番号】000001926
【氏名又は名称】塩野義製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100156144
【弁理士】
【氏名又は名称】落合 康
(74)【代理人】
【識別番号】100221578
【弁理士】
【氏名又は名称】林 康次郎
(72)【発明者】
【氏名】柳澤 周一
(72)【発明者】
【氏名】中川 雄太
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 瑞生
(72)【発明者】
【氏名】村越 爽人
(72)【発明者】
【氏名】福田 知広
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ΜGAΤ2阻害活性を有する縮合環誘導体及びその中間体の製造方法の提供。
【解決手段】例えば、以下に示される製造方法とする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】
(式中、R
1aは、置換もしくは非置換のフェニルであり;
R
1bは、置換もしくは非置換のアルキルであり;または、
R
1aおよびR
1bは、隣接する炭素原子と一緒になって、環Aを形成し;
環Aは、式:
【化2】
(式中、R
2は、それぞれ独立して、ハロゲン、または置換もしくは非置換のアルキルオキシであり;
nは、1または2である))で示される化合物を、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、水酸化ナトリウム、またはリン酸三カリウムの存在下、
式(II):R
3-NHNH
2
(式中、R
3は置換もしくは非置換のピリジルである)で示される化合物と反応させることを特徴とする、
式(III):
【化3】
(式中、R
1a、R
1bおよびR
3は、上記と同意義である)で示される化合物の製造方法。
【請求項2】
式(IV):
【化4】
(式中、R
3は請求項1と同意義である)で示される化合物またはその塩から変換した、
式(II):R
3-NHNH
2
(式中、R
3は請求項1と同意義である)で示される化合物と反応させることを特徴とする、請求項1記載の製造方法。
【請求項3】
反応溶媒として、2-メチルテトラヒドロフランと水との混合溶媒を用いることを特徴とする、請求項2記載の製造方法。
【請求項4】
リン酸三カリウムの存在下で反応させることを特徴とする、請求項3記載の製造方法。
【請求項5】
式(V):
【化5】
(式中、R
1aおよびR
1bは、請求項1と同意義である)で示される化合物を塩化ホスホリルと反応させた後に、クエン酸三カリウム水溶液と有機溶媒を用いて抽出することを特徴とする、
式(I):
【化6】
(式中、R
1aおよびR
1bは、請求項1と同意義である)で示される化合物の製造方法。
【請求項6】
式(VI):
【化7】
(式中、R
1aおよびR
1bは、請求項1と同意義である)で示される化合物を、テトラエトキシチタンの存在下、(R)-2-メチルプロパン-2-スルフインアミドと反応させた後に、乳酸アンモニウム水溶液、クエン酸水溶液および有機溶媒を用いて抽出することを特徴とする、
式(VII):
【化8】
(式中、R
1aおよびR
1bは、請求項1と同意義である)で示される化合物の製造方法。
【請求項7】
R
1aが、
式:
【化9】
(式中、R
4は、それぞれ独立して、ハロゲン、または置換もしくは非置換のアルキルオキシである)であり;
R
1bが、置換もしくは非置換のC1-C4アルキルであり;または、
R
1aおよびR
1bが、隣接する炭素原子と一緒になって、環Aを形成し;
環Aが、式:
【化10】
(式中、R
2は、請求項1と同意義である)で示される、請求項1~6のいずれかに記載の製造方法。
【請求項8】
R
1aが、
式:
【化11】
(式中、R
4は、ハロゲン、または置換もしくは非置換のアルキルオキシである)であり;
R
1bが、置換もしくは非置換のC1-C4アルキルであり;または、
R
1aおよびR
1bが、隣接する炭素原子と一緒になって、環Aを形成し;
環Aが、式:
【化12】
(式中、R
2は、請求項1と同意義である)で示される、請求項1~6のいずれかに記載の製造方法。
【請求項9】
請求項1~8のいずれかに記載の少なくとも1つの製造方法を含有する、
式(VIII):
【化13】
(式中、R
1a、R
1bおよびR
3は、請求項1と同意義である)で示される化合物の製造方法。
【請求項10】
請求項1~8のいずれかに記載の少なくとも1つの製造方法を含有する、
式:
【化18】
で示される化合物の製造方法。
【請求項11】
式:
【化19】
で示される化合物、またはその塩。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モノアシルグリセロール アシルトランスフェラーゼ2(monoacylglycerol acyltransferase2、以下ΜGAΤ2とも称する)阻害作用を有する化合物およびその中間体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
式(VIII):
【化1】
(式中、R
1aは、置換もしくは非置換のフェニルであり;
R
1bは、置換もしくは非置換のアルキルであり;または、
R
1aおよびR
1bは、隣接する炭素原子と一緒になって、環Aを形成し;
環Aは、式:
【化2】
(式中、R
2は、それぞれ独立して、ハロゲン、または置換もしくは非置換のアルキルオキシであり;
nは、1または2である)であり、R
3は置換もしくは非置換のピリジルである)で示される化合物は、ΜGAΤ2阻害作用を有するので、例えば、肥満症、メタボリックシンドローム、高脂血症、高中性脂肪血症、高VLDL血症、高脂肪酸血症、糖尿病、動脈硬化症等のΜGAΤ2が関与する疾患のための医薬として有用である(特許文献1および2)。また、特許文献1および2の実施例11、13、および14には、ジヒドロピリドン誘導体を用いた縮合環誘導体の製造方法が記載されている。
【化3】
【化4】
【化5】
【0003】
しかしながら、特許文献1および2には、ジヒドロピリドン誘導体とピリジルヒドラジン誘導体塩酸塩とを反応させる工程において、用いるピリジルヒドラジン誘導体塩酸塩の安全性については記載されていない。また、保護されたピリジルヒドラジン誘導体またはその塩の安全性については記載も示唆もされていない。さらに、ジヒドロピリドン誘導体とピリジルヒドラジン誘導体塩酸塩との反応において、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、水酸化ナトリウム、またはリン酸三カリウムの存在下で反応を行うと、高収率に反応が進行することは記載も示唆もされていない。
【0004】
特許文献1の実施例6、9、11、12、13、および14には、塩化ホスホリルと反応させて、ジヒドロピリドン誘導体のヒドロキシ基を塩素原子へ変換する工程が記載されているが、クエン酸三カリウム水溶液を用いた抽出については記載も示唆もされていない。
【0005】
特許文献1の実施例11および14には、テトラエトキシチタンの存在下、(R)-2-メチルプロパン-2-スルフインアミドと反応させる工程において、飽和塩化アンモニウム水溶液またはクエン酸水溶液を用いた抽出が記載されており、特許文献3の実施例1には、乳酸アンモニウム水溶液を用いた抽出が記載されている。しかしながら、乳酸アンモニウム水溶液とクエン酸水溶液を用いた抽出については記載も示唆もされていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2019/013311号
【特許文献2】国際公開第2019/013312号
【特許文献3】国際公開第2019/167981号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、本明細書中、式(VIII)で示されるΜGAΤ2阻害活性を有する縮合環誘導体および式(I)、(III)または(VII)で示されるその中間体の新規で有用な製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、以下に関する。
(1)式(I):
【化6】
(式中、R
1aは、置換もしくは非置換のフェニルであり;
R
1bは、置換もしくは非置換のアルキルであり;または、
R
1aおよびR
1bは、隣接する炭素原子と一緒になって、環Aを形成し;
環Aは、式:
【化7】
(式中、R
2は、それぞれ独立して、ハロゲン、または置換もしくは非置換のアルキルオキシであり;
nは、1または2である))で示される化合物を、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、水酸化ナトリウム、またはリン酸三カリウムの存在下、
式(II):R
3-NHNH
2
(式中、R
3は置換もしくは非置換のピリジルである)で示される化合物と反応させることを特徴とする、
式(III):
【化8】
(式中、R
1a、R
1bおよびR
3は、上記と同意義である)で示される化合物の製造方法。
(2)式(IV):
【化9】
(式中、R
3は上記(1)と同意義である)で示される化合物またはその塩から変換した、
式(II):R
3-NHNH
2
(式中、R
3は上記(1)と同意義である)で示される化合物と反応させることを特徴とする、(1)記載の製造方法。
(3)反応溶媒として、2-メチルテトラヒドロフランと水との混合溶媒を用いることを特徴とする、(2)記載の製造方法。
(4)リン酸三カリウムの存在下で反応させることを特徴とする、(3)記載の製造方法。
(5)式(V):
【化10】
(式中、R
1aおよびR
1bは、上記(1)と同意義である)で示される化合物を塩化ホスホリルと反応させた後に、クエン酸三カリウム水溶液と有機溶媒を用いて抽出することを特徴とする、
式(I):
【化11】
(式中、R
1aおよびR
1bは、上記(1)と同意義である)で示される化合物の製造方法。
(6)式(VI):
【化12】
(式中、R
1aおよびR
1bは、上記(1)と同意義である)で示される化合物を、テトラエトキシチタンの存在下、(R)-2-メチルプロパン-2-スルフインアミドと反応させた後に、乳酸アンモニウム水溶液、クエン酸水溶液および有機溶媒を用いて抽出することを特徴とする、
式(VII):
【化13】
(式中、R
1aおよびR
1bは、上記(1)と同意義である)で示される化合物の製造方法。
(7)R
1aが、
式:
【化14】
(式中、R
4は、それぞれ独立して、ハロゲン、または置換もしくは非置換のアルキルオキシである)であり;
R
1bが、置換もしくは非置換のC1-C4アルキルであり;または、
R
1aおよびR
1bが、隣接する炭素原子と一緒になって、環Aを形成し;
環Aが、式:
【化15】
(式中、R
2は、それぞれ独立して、ハロゲン、または置換もしくは非置換のアルキルオキシである)で示される、(1)~(6)のいずれかに記載の製造方法。
(8)R
1aが、
式:
【化16】
(式中、R
4は、ハロゲン、または置換もしくは非置換のアルキルオキシである)であり;
R
1bが、置換もしくは非置換のC1-C4アルキルであり;または、
R
1aおよびR
1bが、隣接する炭素原子と一緒になって、環Aを形成し;
環Aが、式:
【化17】
(式中、R
2は、それぞれ独立して、ハロゲン、または置換もしくは非置換のアルキルオキシである)で示される、(1)~(6)のいずれかに記載の製造方法。
(9)(1)~(8)のいずれかに記載の少なくとも1つの製造方法を含有する、
式(VIII):
【化18】
(式中、R
1a、R
1bおよびR
3は、上記(1)と同意義である)で示される化合物の製造方法。
(10)(1)~(8)のいずれかに記載の少なくとも1つの製造方法を含有する、
式:
【化19】
で示される化合物の製造方法。
(11)式:
【化20】
で示される化合物、またはその塩。
【0009】
(1’)式(I’):
【化21】
(式中、R
1aは、置換もしくは非置換のフェニルであり;
R
1bは、置換もしくは非置換のアルキルであり;または、
R
1aおよびR
1bは、隣接する炭素原子と一緒になって、環Aを形成し;
環Aは、式:
【化22】
(式中、R
2は、それぞれ独立して、ハロゲン、または置換もしくは非置換のアルキルオキシであり;
nは、1または2である))で示される化合物を、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、水酸化ナトリウム、またはリン酸三カリウムの存在下、
式(II):R
3-NHNH
2
(式中、R
3は置換もしくは非置換のピリジルである)で示される化合物と反応させることを特徴とする、
式(III’):
【化23】
(式中、R
1a、R
1bおよびR
3は、上記と同意義である)で示される化合物の製造方法。
(2’)式(IV):
【化24】
(式中、R
3は上記(1’)と同意義である)で示される化合物またはその塩から変換した、
式(II):R
3-NHNH
2
(式中、R
3は上記(1’)と同意義である)で示される化合物と反応させることを特徴とする、(1’)記載の製造方法。
(3’)反応溶媒として、2-メチルテトラヒドロフランと水との混合溶媒を用いることを特徴とする、(2’)記載の製造方法。
(4’)リン酸三カリウムの存在下で反応させることを特徴とする、(3’)記載の製造方法。
(5’)式(V’):
【化25】
(式中、R
1aおよびR
1bは、上記(1’)と同意義である)で示される化合物を塩化ホスホリルと反応させた後に、クエン酸三カリウム水溶液と有機溶媒を用いて抽出することを特徴とする、
式(I’):
【化26】
(式中、R
1aおよびR
1bは、上記(1’)と同意義である)で示される化合物の製造方法。
(6’)式(VI):
【化27】
(式中、R
1aおよびR
1bは、上記(1’)と同意義である)で示される化合物を、テトラエトキシチタンの存在下、(R)-2-メチルプロパン-2-スルフインアミドと反応させた後に、乳酸アンモニウム水溶液、クエン酸水溶液および有機溶媒を用いて抽出することを特徴とする、
式(VII’):
【化28】
(式中、R
1a、R
1b、R
2およびnは、上記(1’)と同意義である)で示される化合物の製造方法。
(7’)R
1aが、
式:
【化29】
(式中、R
4は、それぞれ独立して、ハロゲン、または置換もしくは非置換のアルキルオキシである)であり;
R
1bが、置換もしくは非置換のC1-C4アルキルであり;または、
R
1aおよびR
1bが、隣接する炭素原子と一緒になって、環Aを形成し;
環Aが、式:
【化30】
(式中、R
2は、それぞれ独立して、ハロゲン、または置換もしくは非置換のアルキルオキシである)で示される、(1’)~(6’)のいずれかに記載の製造方法。
(8’)R
1aが、
式:
【化31】
(式中、R
4は、ハロゲン、または置換もしくは非置換のアルキルオキシである)であり;
R
1bが、置換もしくは非置換のC1-C4アルキルであり;または、
R
1aおよびR
1bが、隣接する炭素原子と一緒になって、環Aを形成し;
環Aが、式:
【化32】
(式中、R
2は、それぞれ独立して、ハロゲン、または置換もしくは非置換のアルキルオキシである)で示される、(1’)~(6’)のいずれかに記載の製造方法。
(9’)(1’)~(8’)のいずれかに記載の少なくとも1つの製造方法を含有する、
式(VIII’):
【化33】
(式中、R
1a、R
1bおよびR
3は、上記(1’)と同意義である)で示される化合物の製造方法。
(10’)(1’)~(8’)のいずれかに記載の少なくとも1つの製造方法を含有する、
式:
【化34】
で示される化合物の製造方法。
【発明の効果】
【0010】
発明の方法を用いることにより、式(VIII)および式(VIII’)で示される縮合環誘導体を安全に、効率よく製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に本明細書において用いられる各用語の意味を説明する。各用語は特に断りのない限り、単独で用いられる場合も、または他の用語と組み合わせて用いられる場合も、同一の意味で用いられる。
「からなる」という用語は、構成要件のみを有することを意味する。
「含む」という用語は、構成要件に限定されず、記載されていない要素を排除しないことを意味する。
以下、本発明について実施形態を示しながら説明する。本明細書の全体にわたり、単数形の表現は、特に言及しない限り、その複数形の概念をも含むことが理解されるべきである。従って、単数形の冠詞(例えば、英語の場合は「a」、「an」、「the」など)は、特に言及しない限り、その複数形の概念をも含むことが理解されるべきである。
また、本明細書において使用される用語は、特に言及しない限り、当上記分野で通常用いられる意味で用いられることが理解されるべきである。したがって、他に定義されない限り、本明細書中で使用される全ての専門用語および科学技術用語は、本発明の属する分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。矛盾する場合、本明細書(定義を含めて)が優先する。
【0012】
「ハロゲン」とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、およびヨウ素原子を包含する。フッ素原子および塩素原子が好ましく、特にフッ素原子が好ましい。
【0013】
「アルキル」とは、炭素数1~6、好ましくは炭素数1~4、より好ましくは炭素数1または2の直鎖又は分枝状の炭化水素基を包含する。例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、n-ヘキシル、イソヘキシル等が挙げられる。
「アルキル」の好ましい態様として、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチルが挙げられる。さらに好ましい態様として、メチル、エチルが挙げられる。
「C1-C4アルキル」とは、炭素数1~4の直鎖又は分枝状の炭化水素基を包含する。例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル等が挙げられる。
【0014】
「非芳香族炭素環式基」とは、環状飽和炭化水素基または環状非芳香族不飽和炭化水素基を意味する。
非芳香族炭素環式基としては、炭素数3~12が好ましく、より好ましくは炭素数3~8、さらに好ましくは炭素数3~6である。例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニル、シクロヘキサジエニル、インダニル、インデニル、アセナフチル、テトラヒドロナフチル等が挙げられる。
【0015】
R1aにおける「置換フェニル」の置換基としては、例えば、
ハロゲン;ハロゲンで置換されてもよいアルキルオキシ;
が挙げられる。これらから選択される1以上の基で置換されていてもよい。
【0016】
R1aにおける「置換フェニル」の置換基としては、例えば、
ハロゲン;ハロゲンで置換されてもよいC1-C4アルキルオキシ;
が挙げられる。これらから選択される1以上の基で置換されていてもよい。
【0017】
R1aにおける「置換フェニル」の置換基としては、例えば、
ハロゲン;
が挙げられる。これらから選択される1以上の基で置換されていてもよい。
【0018】
R1bにおける「置換アルキル」の置換としては、例えば、
ハロゲン;
が挙げられる。これらから選択される1以上の基で置換されていてもよい。
【0019】
R2における「置換アルキルオキシ」の置換としては、例えば、
ハロゲン;
が挙げられる。これらから選択される1以上の基で置換されていてもよい。
【0020】
R3における「置換ピリジル」の置換としては、例えば、
ハロゲン;シアノ;ハロゲンで置換されてもよいアルキル;非芳香族炭素環式基;
が挙げられる。これらから選択される1以上の基で置換されていてもよい。
【0021】
R3における「置換ピリジル」の置換としては、例えば、
ハロゲン;シアノ;ハロゲンで置換されてもよいC1-C4アルキル;シクロプロピル;
が挙げられる。これらから選択される1以上の基で置換されていてもよい。
【0022】
R4における「置換アルキルオキシ」の置換としては、例えば、
ハロゲン;
が挙げられる。これらから選択される1以上の基で置換されていてもよい。
【0023】
式(I)の好ましい態様としては、
式(I’):
【化35】
(式中、R
1aは、置換もしくは非置換のフェニルであり;
R
1bは、置換もしくは非置換のアルキルであり;または、
R
1aおよびR
1bは、隣接する炭素原子と一緒になって、環Aを形成し;
環Aは、式:
【化36】
(式中、R
2は、それぞれ独立して、ハロゲン、または置換もしくは非置換のアルキルオキシであり;
nは、1または2である))が挙げられる。
【0024】
式(III)の好ましい態様としては、
式(III’):
【化37】
(式中、R
1aは、置換もしくは非置換のフェニルであり;
R
1bは、置換もしくは非置換のアルキルであり;または、
R
1aおよびR
1bは、隣接する炭素原子と一緒になって、環Aを形成し;
環Aは、式:
【化38】
(式中、R
2は、それぞれ独立して、ハロゲン、または置換もしくは非置換のアルキルオキシであり;
nは、1または2である)であり、R
3は置換もしくは非置換のピリジルである)が挙げられる。
【0025】
式(V)の好ましい態様としては、
式(V’):
【化39】
(式中、R
1aは、置換もしくは非置換のフェニルであり;
R
1bは、置換もしくは非置換のアルキルであり;または、
R
1aおよびR
1bは、隣接する炭素原子と一緒になって、環Aを形成し;
環Aは、式:
【化40】
(式中、R
2は、それぞれ独立して、ハロゲン、または置換もしくは非置換のアルキルオキシであり;
nは、1または2である))が挙げられる。
【0026】
式(VII)の好ましい態様としては、
式(VII’):
【化41】
(式中、R
1aは、置換もしくは非置換のフェニルであり;
R
1bは、置換もしくは非置換のアルキルであり;
R
2は、それぞれ独立して、ハロゲン、または置換もしくは非置換のアルキルオキシであり;
nは、1または2である)が挙げられる。
【0027】
式(VII)の好ましい態様としては、
式(VII’’):
【化42】
(式中、R
2は、それぞれ独立して、ハロゲン、または置換もしくは非置換のアルキルオキシであり;
nは、1または2である)が挙げられる。
【0028】
式(VII)の好ましい態様としては、
式(VII’’’):
【化43】
(式中、R
2は、それぞれ独立して、ハロゲン、または置換もしくは非置換のアルキルオキシであり;
nは、1または2である)が挙げられる。
【0029】
式(VII)の好ましい態様としては、
式(VII’’’’):
【化44】
(式中、R
2は、それぞれ独立して、ハロゲン、または置換もしくは非置換のアルキルオキシであり;
nは、1または2である)が挙げられる。
【0030】
式(VIII)の好ましい態様としては、
式(VIII’):
【化45】
(式中、R
1aは、置換もしくは非置換のフェニルであり;
R
1bは、置換もしくは非置換のアルキルであり;または、
R
1aおよびR
1bは、隣接する炭素原子と一緒になって、環Aを形成し;
環Aは、式:
【化46】
(式中、R
2は、それぞれ独立して、ハロゲン、または置換もしくは非置換のアルキルオキシであり;
nは、1または2である)であり、R
3は置換もしくは非置換のピリジルである)が挙げられる。
【0031】
式(I)~(VIII)、(I’)、(III’)、(V’)、(VII’)、(VII’’)、(VII’’’)、(VII’’’’)、(VIII’)で示される化合物における、R1a、R1b、R2、R3、およびR4の好ましい態様を以下に示す。式(I)~(VIII)、(I’)、(III’)、(V’)、(VII’)、(VII’’)、(VII’’’)、(VII’’’’)、(VIII’)で示される化合物としては、以下に示される具体例のすべての組み合わせの態様が例示される。ただし、式(I’)、(III’)、(V’)、(VIII’)においては、式において示される立体化学を有する下記好ましい態様となる。
【0032】
R
1aは、置換もしくは非置換のフェニルである。
R
1aの別の態様は、
式:
【化47】
(式中、R
4は、それぞれ独立して、ハロゲン、または置換もしくは非置換のアルキルオキシである)である。
R
1aの別の態様は、
式:
【化48】
(式中、R
4は上記と同意義である)である。
R
1aの別の態様は、
式:
【化49】
(式中、R
4は上記と同意義である)である。
【0033】
R4は、それぞれ独立して、ハロゲン、または置換もしくは非置換のアルキルオキシである。
R4の別の態様は、それぞれ独立して、ハロゲン、または置換もしくは非置換のC1-C4アルキルオキシである。
R4の別の態様は、それぞれ独立して、ハロゲン、またはハロゲンで置換されてもよいC1-C4アルキルオキシである。
R4の別の態様は、それぞれ独立して、ハロゲンである。
R4の別の態様は、それぞれ独立して、ハロゲンで置換されたC1-C4アルキルオキシである。
【0034】
R1bは、置換もしくは非置換のアルキルである。
R1bの別の態様は、置換もしくは非置換のC1-C4アルキルであり、好ましくはハロゲンで置換されてもよいメチルであり、更に好ましくはトリフルオロメチルである。
【0035】
R
1aおよびR
1bの別の態様は、隣接する炭素原子と一緒になって、環Aを形成し;
環Aは、式:
【化50】
(式中、R
2は、それぞれ独立して、ハロゲン、または置換もしくは非置換のアルキルオキシであり;
nは、1または2である))である。
R
1aおよびR
1bの別の態様は、隣接する炭素原子と一緒になって、環Aを形成し;
環Aが、式:
【化51】
(式中、R
2は上記と同意義である)である。
R
1aおよびR
1bの別の態様は、隣接する炭素原子と一緒になって、環Aを形成し;
環Aが、式:
【化52】
(式中、R
2は上記と同意義である)である。
R
1aおよびR
1bの別の態様は、隣接する炭素原子と一緒になって、環Aを形成し;
環Aが、式:
【化53】
(式中、R
2は上記と同意義である)である。
【0036】
R
1aおよびR
1bの別の態様は、隣接する炭素原子と一緒になって、環Aを形成し;
環Aは、式:
【化54】
(式中、R
2およびnは上記と同意義である)である。
R
1aおよびR
1bの別の態様は、隣接する炭素原子と一緒になって、環Aを形成し;
環Aは、式:
【化55】
(式中、R
2は上記と同意義である)である。
【0037】
R
1aおよびR
1bの別の態様は、隣接する炭素原子と一緒になって、環Aを形成し;
環Aは、式:
【化56】
(式中、R
2およびnは上記と同意義である)である。
R
1aおよびR
1bの別の態様は、隣接する炭素原子と一緒になって、環Aを形成し;
環Aは、式:
【化57】
(式中、R
2は上記と同意義である)である。
【0038】
R2は、それぞれ独立して、ハロゲン、または置換もしくは非置換のアルキルオキシである。
R2の別の態様は、それぞれ独立して、ハロゲン、または置換もしくは非置換のC1-C4アルキルオキシである。
R2の別の態様は、それぞれ独立して、ハロゲン、またはハロゲンで置換されてもよいC1-C4アルキルオキシである。
R2の別の態様は、それぞれ独立して、ハロゲンである。
R2の別の態様は、それぞれ独立して、ハロゲンで置換されたC1-C4アルキルオキシである。
【0039】
R
3は、置換もしくは非置換のピリジルである。
R
3の別の態様は、式:
【化58】
(式中、R
5は、それぞれ独立して、ハロゲン、シアノ、ハロゲンで置換されてもよいアルキル、または非芳香族炭素環式基であり;
mは、1または2である)である。
R
3の別の態様は、式:
【化59】
(式中、R
5は上記と同意義である)である。
【0040】
R5は、それぞれ独立して、ハロゲン、シアノ、ハロゲンで置換されてもよいアルキル、または非芳香族炭素環式基である。
R5の別の態様は、それぞれ独立して、ハロゲン、シアノ、ハロゲンで置換されてもよいC1-C4アルキル、またはシクロプロピルである。
R5の別の態様は、それぞれ独立して、ハロゲン、またはハロゲンで置換されてもよいC1-C4アルキルである。
R5の別の態様は、それぞれ独立して、メチルである。
【0041】
本発明に係る化合物は、特定の異性体に限定するものではなく、全ての可能な異性体(例えば、ケト-エノール異性体、イミン-エナミン異性体、ジアステレオ異性体、光学異性体、回転異性体等)、ラセミ体またはそれらの混合物を含む。
【0042】
「くさび形」および「破線」は絶対立体配置を示す。
【0043】
本発明に係る化合物の一つ以上の水素、炭素および/または他の原子は、それぞれ水素、炭素および/または他の原子の同位体で置換され得る。そのような同位体の例としては、それぞれ2H、3H、11C、13C、14C、15N、18O、17O、31P、32P、35S、18F、123Iおよび36Clのように、水素、炭素、窒素、酸素、リン、硫黄、フッ素、ヨウ素および塩素が包含される。本発明に係る化合物は、そのような同位体で置換された化合物も包含する。該同位体で置換された化合物は、医薬品としても有用である。本発明に係る化合物は、該同位体に含まれる放射性同位体で置換されたすべての放射性標識体を包含する。また該「放射性標識体」を製造するための「放射性標識化方法」も本発明に包含され、該「放射性標識体」は、代謝薬物動態研究、結合アッセイにおける研究および/または診断のツールとして有用である。
【0044】
本発明に係る化合物の放射性標識体は、当該技術分野で周知の方法で調製できる。例えば、トリチウム標識化合物は、トリチウムを用いた触媒的脱ハロゲン化反応によって、化合物にトリチウムを導入することで調製できる。この方法は、適切な触媒、例えばPd/Cの存在下、塩基の存在下または非存在下で、化合物が適切にハロゲン置換された前駆体とトリチウムガスとを反応させることを包含する。トリチウム標識化合物を調製するための他の適切な方法は、“Isotopes in the Physical and Biomedical Sciences,Vol.1,Labeled Compounds (Part A),Chapter 6 (1987年)”を参照することができる。14C-標識化合物は、14C炭素を有する原料を用いることによって調製できる。
【0045】
なお、本明細書中、化合物と化合物を反応させることには、その塩またはそれらの溶媒和物を反応させることを含む。
【0046】
本発明に係る化合物の塩としては、例えば、アルカリ金属(例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム等)、アルカリ土類金属(例えば、カルシウム、バリウム等)、マグネシウム、遷移金属(例えば、亜鉛、鉄等)、アンモニア、有機塩基(例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、メグルミン、エチレンジアミン、ピリジン、ピコリン、キノリン等)およびアミノ酸との塩、または無機酸(例えば、塩酸、硫酸、硝酸、炭酸、臭化水素酸、リン酸、ヨウ化水素酸等)、および有機酸(例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、トリフルオロ酢酸、クエン酸、乳酸、酒石酸、シュウ酸、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、マンデル酸、グルタル酸、リンゴ酸、安息香酸、フタル酸、アスコルビン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸等)との塩が挙げられる。これらの塩は、通常行われる方法によって形成させることができる。
【0047】
本発明に係る化合物またはその塩は、溶媒和物(例えば、水和物等)、共結晶および/または結晶多形を形成する場合があり、本発明はそのような各種の溶媒和物、共結晶および結晶多形も包含する。「溶媒和物」は、化合物に対し、任意の数の溶媒分子(例えば、水分子等)と配位していてもよい。化合物またはその塩を、大気中に放置することにより、水分を吸収し、吸着水が付着する場合や、水和物を形成する場合がある。また、化合物またはその塩を、再結晶することで結晶多形を形成する場合がある。「共結晶」は、化合物またはその塩とカウンター分子が同一結晶格子内に存在することを意味し、任意の数のカウンター分子を含んでいても良い。
【0048】
(本発明の化合物の製造法)
本発明に係る化合物は、以下に示す一般的合成法によって製造することができる。抽出、精製等は、通常の有機化学の実験で行う処理を行えばよい。
本発明の化合物は、当該分野において公知の手法を参考にしながら合成することができる。
【0049】
原料化合物は、市販の化合物、本明細書において記載されたもの、本明細書において引用された文献に記載されたもの、およびその他の公知化合物を利用することができる。
本発明の化合物の塩を取得したいとき、本発明の化合物が塩の形で得られる場合には、そのまま精製すればよく、また、遊離の形で得られる場合には、適当な有機溶媒に溶解もしくは懸濁させ、酸又は塩基を加えて通常の方法により塩を形成させればよい。
また、本発明の化合物及びその塩は、水あるいは各種溶媒との付加物(水和物ないし溶媒和物)の形で存在することもあるが、これら付加物も本発明に包含される。
【0050】
本発明に係る化合物は、例えば、下記に示す一般的合成法によって製造することができる。
式(VIII)で示される化合物の製造方法。
【化60】
(式中、Rは、非置換アルキルであり、R
1a、R
1bおよびR
3は、上記と同意義である。)
(第1工程)
テトラアルコキシチタンの存在下、式(VI)で示される化合物と(R)-2-メチルプロパン-2-スルフインアミドを反応させた後、乳酸アンモニウム水溶液、クエン酸水溶液および有機溶媒を用いて抽出することで、式(VII)で示される化合物を得ることができる。
テトラアルコキシチタンとしては、テトラ-n-ブチトキシチタン、テトライソプロポキシチタン、テトラエトキシチタン等が挙げられ、式(VI)で示される化合物に対して1~10モル等量用いることができる。
(R)-2-メチルプロパン-2-スルフインアミドは式(VI)で示される化合物に対して1~10モル等量用いることができる。
反応温度は0℃~溶媒の還流温度、好ましくは室温~100℃である。
反応時間は0.5~48時間である。
反応溶媒としてテトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、トルエン、ベンゼン等が挙げられ、単独または混合して用いることができる。
(第2工程)
塩基および塩化チタントリアルコキシドの存在下、式(VII)で示される化合物と酢酸エステルを反応させ、式(IX)で示される化合物を得ることができる。
塩基としては、リチウムヘキサメチルジシラジド、ナトリウムヘキサメチルジシラジド、リチウムジイソプロピルアミド、ナトリウムtert-ブトキシド、ナトリウムメトキシド等が挙げられ、式(VII)で示される化合物に対して1~10モル等量用いることができる。
塩化チタントリアルコキシドとしては、塩化チタントリイソプロポキドが挙げられ、式(VII)で示される化合物に対して1~10モル等量用いることができる。
酢酸エステルとしては、酢酸tert-ブチル、酢酸n-ブチル、酢酸n-プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸エチル、酢酸メチルが挙げられ、式(VII)で示される化合物に対して1~10モル等量用いることができる。
反応温度は-80℃~50℃である。
反応時間は0.5~24時間である。
反応溶媒としてテトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、トルエン、ベンゼン、ジクロロエタン等が挙げられ、単独または混合して用いることができる。
(第3工程)
酸の存在下、式(IX)で示される化合物を反応させ、式(X)で示される化合物を得ることができる。
酸としては、塩酸、塩化水素、臭化水素酸、硫酸、トリフルオロ酢酸、(10)-カンファースルホン酸等が挙げられ、単独または混合して用いることができ、式(IX)で示される化合物に対して1~10モル等量用いることができる。
反応温度は0℃~80℃である。
反応時間は0.5~48時間、好ましくは1~24時間である。
反応溶媒として1,4-ジオキサン、メタノール、ジクロロメタン、酢酸エチル等が挙げられ、単独または混合して用いることができる。
(第4工程)
塩基の存在下または非存在下、式(X)で示される化合物に、縮合剤の存在下、シアノ酢酸と反応させることにより、式(XI)で示される化合物を得ることができる。
塩基としては、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン等が挙げられ、式(X)で示される化合物に対して1~10モル等量用いることができる。
縮合剤としては、ジシクロへキシルカルボジイミド、カルボニルジイミダゾール、ジシクロヘキシルカルボジイミド-N-ヒドロキシベンゾトリアゾール、EDC、4-(4, 6-ジメトキシ-1,3,5,-トリアジン-2-イル)-4-メチルモルホリニウムクロリド、HATU、プロピルホスホン酸無水物等が挙げられ、式(X)で示される化合物に対して1~5モル当量用いることができる。
シアノ酢酸は式(X)で示される化合物に対して1~3モル等量用いることができる。
反応温度は、-20℃~60℃である。
反応時間は、0.1時間~24時間である。
反応溶媒としては、DMF、DMA、NMP、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、ジクロロメタン、アセトニトリル、酢酸エチル等が挙げられ、単独または混合して用いることができる。
(第5工程)
塩基の存在下、式(XI)で示される化合物を反応させ、式(V)で示される化合物を得ることができる。
塩基としては、ピペリジン、ピロリジン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムtert-ブトキシド等が挙げられ、式(XI)で示される化合物に対して1~10モル等量用いることができる。
反応温度は0℃~100℃である。
反応時間は0.5~48時間である。
反応溶媒として1,4-ジオキサン、メタノール、エタノール、テトラヒドロフラン等が挙げられ、単独または混合して用いることができる。
(第6工程)
式(V)で示される化合物を塩化ホスホリルと反応させた後、クエン酸三カリウム水溶液と有機溶媒を用いて抽出することで、式(I)で示される化合物を得ることができる。
塩化ホスホリルは、式(V)で示される化合物に対して0.1~10モル等量用いることができる。
反応温度は0℃~100℃である。
反応時間は0.5~48時間である。
反応溶媒としてDMF、DMA、NMP、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、ジクロロメタン、ジクロロエタン、アセトニトリル、酢酸イソプロピル等が挙げられ、単独または混合して用いることができる。
抽出に用いる有機溶媒としては、クロロホルム、ジクロロメタン、酢酸エチル、酢酸イソプロピル等が挙げられ、単独または混合して用いることができる。
(第7工程)
塩基の存在下、式(I)で示される化合物と式(II)で示される化合物を反応させ、式(III)で示される化合物を得ることができる。
塩基としては、トリエチルアミン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、炭酸水素ナトリウム、炭酸セシウム、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム、リン酸三カリウム等が挙げられ、式(I)で示される化合物に対して1~10モル等量用いることができる。
式(II)で示される化合物は式(I)で示される化合物に対して1~3モル等量用いることができる。
反応温度は0℃~100℃である。
反応時間は0.5~48時間である。
反応溶媒として1,4-ジオキサン、メタノール、エタノール、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、水等が挙げられ、単独または混合して用いることができる。
(第8工程)
塩基の存在下または非存在下、式(III)で示される化合物に、縮合剤の存在下、メタンスルホニル酢酸と反応させることにより、式(VIII)で示される化合物を得ることができる。
塩基としては、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン等が挙げられ、式(III)で示される化合物に対して1~10モル等量用いることができる。
縮合剤としては、ジシクロへキシルカルボジイミド、カルボニルジイミダゾール、ジシクロヘキシルカルボジイミド-N-ヒドロキシベンゾトリアゾール、EDC、4-(4, 6-ジメトキシ-1,3,5,-トリアジン-2-イル)-4-メチルモルホリニウムクロリド、HATU、プロピルホスホン酸無水物等が挙げられ、式(III)で示される化合物に対して1~5モル当量用いることができる。
メタンスルホニル酢酸は式(III)で示される化合物に対して1~3モル等量用いることができる。
反応温度は、-20℃~60℃である。
反応時間は、0.1時間~24時間である。
反応溶媒としては、DMF、DMA、NMP、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、ジクロロメタン、アセトニトリル、酢酸エチル等が挙げられ、単独または混合して用いることができる。
【0051】
式(II)で示される化合物の製造方法。
【化61】
(第1工程)
金属触媒および塩基存在下、式(XII)で示される化合物とベンゾフェノンヒドラゾンを反応させることにより、式(IV)で示される化合物を得ることができる。
金属触媒としては、酢酸パラジウム、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)二塩化物、ビス(トリ-tert-ブチルホスフィン)パラジウム、[2,2’-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1’-ビナフチル]パラジウム等が挙げられ、式(XII)で示される化合物に対して、0.001~0.5モル当量用いることができる。
塩基としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、カリウムtert-ブトキシド、ナトリウムtert-ブトキシド、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、リン酸ナトリウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸水素カリウム等が挙げられ、式(XII)で示される化合物に対して、1~10モル当量用いることができる。
ベンゾフェノンヒドラゾンは、式(XII)で示される化合物に対して、1~10モル当量用いることができる。
反応温度は、0℃~溶媒の還流温度である。
反応時間は、0.1~48時間である。
反応溶媒としては、テトラヒドロフラン、トルエン、DMF、ジオキサン、エタノール、tert-アミルアルコール、水等が挙げられ、単独または混合して用いることができる。
(第2工程)
酸の存在下、式(IV)で示される化合物を反応させ、式(II)で示される化合物を得ることができる。
酸としては、塩酸、臭化水素酸、硫酸、トリフルオロ酢酸等が挙げられ、単独または混合して用いることができ、式(IV)で示される化合物に対して1~100モル等量用いることができる。
反応温度は0℃~100℃である。
反応時間は0.5~48時間である。
反応溶媒としてDMF、DMA、NMP、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、ジクロロメタン、メタノール、エタノール、アニソール、水等が挙げられ、単独または混合して用いることができる。
【0052】
式(VIII)で示される化合物は、ΜGAΤ2阻害作用を有するので、例えば、肥満症、メタボリックシンドローム、高脂血症、高中性脂肪血症、高VLDL血症、高脂肪酸血症、糖尿病、動脈硬化症等のΜGAΤ2が関与する疾患のための医薬となりうる。
式(VIII)で示される化合物は、ΜGAΤ2阻害作用のみならず、医薬としての有用性を備えており、下記いずれか、あるいは全ての優れた特徴を有している。
a)代謝安定性が高い。
b)高い溶解性を示す。
c)光毒性の懸念が小さい。
d)肝毒性の懸念が小さい。
e)腎毒性の懸念が小さい。
f)心血管系への毒性懸念が小さい。
g)消化管障害の懸念が小さい。
h)薬物相互作用の懸念が小さい。
i)経口吸収性が高い。
j)クリアランスが小さい。
k)標的組織への移行性が高い。
l)酵素活性が強い。
m)薬物代謝酵素の誘導が少ない。
n)薬効が強い。
o)MGAT2阻害作用の選択性が高い。
p)化学的安定性が高い。
【0053】
式(VIII)で示される化合物を含有する医薬組成物は、経口的、非経口的のいずれの方法でも投与することができる。非経口投与の方法としては、経皮、皮下、静脈内、動脈内、筋肉内、腹腔内、経粘膜、吸入、経鼻、点眼、点耳、膣内投与等が挙げられる。
【0054】
経口投与の場合は常法に従って、内用固形製剤(例えば、錠剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤、丸剤、フィルム剤等)、内用液剤(例えば、懸濁剤、乳剤、エリキシル剤、シロップ剤、リモナーデ剤、酒精剤、芳香水剤、エキス剤、煎剤、チンキ剤等)等の通常用いられるいずれの剤型に調製して投与すればよい。錠剤は、糖衣錠、フィルムコーティング錠、腸溶性コーティング錠、徐放錠、トローチ錠、舌下錠、バッカル錠、チュアブル錠または口腔内崩壊錠であってもよく、散剤および顆粒剤はドライシロップであってもよく、カプセル剤は、ソフトカプセル剤、マイクロカプセル剤または徐放性カプセル剤であってもよい。
【0055】
非経口投与の場合は、注射剤、点滴剤、外用剤(例えば、点眼剤、点鼻剤、点耳剤、エアゾール剤、吸入剤、ローション剤、注入剤、塗布剤、含嗽剤、浣腸剤、軟膏剤、硬膏剤、ゼリー剤、クリーム剤、貼付剤、パップ剤、外用散剤、坐剤等)等の通常用いられるいずれの剤型でも好適に投与することができる。注射剤は、O/W、W/O、O/W/O、W/O/W型等のエマルジョンであってもよい。
【0056】
式(VIII)で示される化合物の有効量にその剤型に適した賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤等の各種医薬用添加剤を必要に応じて混合し、医薬組成物とすることができる。さらに、該医薬組成物は、本発明化合物の有効量、剤型および/または各種医薬用添加剤を適宜変更することにより、小児用、高齢者用、重症患者用または手術用の医薬組成物とすることもできる。例えば、小児用医薬組成物は、新生児(出生後4週未満)、乳児(出生後4週~1歳未満)幼児(1歳以上7歳未満)、小児(7歳以上15歳未満)もしくは15歳~18歳の患者に投与されうる。例えば、高齢者用医薬組成物は、65歳以上の患者に投与されうる。
【0057】
式(VIII)で示される化合物を含有する医薬組成物の投与量は、患者の年齢、体重、疾病の種類や程度、投与経路等を考慮した上で設定することが望ましいが、経口投与する場合、通常0.05~100mg/kg/日であり、好ましくは0.1~10mg/kg/日の範囲内である。非経口投与の場合には投与経路により大きく異なるが、通常0.005~10mg/kg/日であり、好ましくは0.01~1mg/kg/日の範囲内である。これを1日1回~数回に分けて投与すれば良い。
【0058】
併用薬剤の投与量は、臨床上用いられている用量を基準として適宜選択することができる。また、本発明化合物と併用薬剤の配合比は、投与対象、投与ルート、対象疾患、症状、組み合わせ等により適宜選択することができる。例えば、投与対象がヒトである場合、本発明化合物1重量部に対し、併用薬剤を0.01~100重量部用いればよい。
【0059】
式(VIII)で示される化合物を含有する医薬組成物は、肥満症(ただし、2型糖尿病及び脂質異常症を共に有し、食事療法.運動療法を行ってもΒΜIが25kg/m2以上の場合に限る)に対しても有効である。
【0060】
式(VIII)で示される化合物を含有する医薬組成物は、あらかじめ適用した食事療法及び運動療法の効果が不十分な高度肥満症に対しても有効である。
【0061】
式(VIII)で示される化合物を含有する医薬組成物は、他の抗肥満薬(抗肥満作用を有する化合物を含有する医薬組成物、肥満症や肥満症における体重管理等に用いることのできる薬剤)と組み合わせて用いることもできる。例えば、抗肥満作用を有する化合物を含有する医薬組成物を、式(VIII)で示される化合物と併用することにより、肥満症の予防および/または治療や肥満症における体重管理等に用いることができる。また、式(VIII)で示される化合物を含有する医薬組成物を、抗肥満作用を有する化合物を含有する医薬組成物と併用することにより、肥満症の予防および/または治療や肥満症における体重管理等に用いることができる。また、本発明の医薬組成物の投与療法は、食事療法、薬物療法、運動等と組み合わせて用いることもできる。
【実施例0062】
以下に実施例および参考例、ならびに試験例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。
【0063】
また、本明細書中で用いる略語は以下の意味を表す。
DMA:N,N-ジメチルアセトアミド
DMF:N,N-ジメチルホルムアミド
DMSO:ジメチルスルホキシド
EDC:1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド
HATU:O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート
NMP:N-メチルピロリドン
【0064】
(化合物の同定方法)
各実施例で得られたNMR分析は400MHzで行い、DMSO-d6、CDCl3を用いて測定した。また、NMRデータを示す場合は、測定した全てのピークを記載していない場合が存在する。
【0065】
明細書中に「RT」または「保持時間」とあるのは、液体クロマトグラフィーでのリテンションタイムを表し、以下の条件で測定した。なお、溶液中の定量値および定量収率については、定量対象の標品を用いて絶対定量法により求めた含量をもとに算出した。
(測定条件1)標品(化合物12):RT=21.2
カラム:Xbridge C18,150×4.6mm,3.5μm
移動相A:0.1%トリフルオロ酢酸水溶液
移動相B:メタノール
流速:1.0mL/min
注入量:10μL
カラム温度:40℃
UV検出波長:254nm
グラジエント:
【表1】
(測定条件2)標品(化合物12):RT=12.6min
カラム:XSelect CSH C18,150×4.6mm,3.5μm
移動相A:0.1%ぎ酸水溶液
移動相B:アセトニトリル
流速:1.0mL/min
注入量:10μL
カラム温度:40℃
UV検出波長:254nm
グラジエント:
【表2】
(測定条件3)標品(化合物11):RT=11.0min
カラム:Xbridge C18,150×4.6mm,3.5μm
移動相A:0.1%トリフルオロ酢酸水溶液
移動相B:アセトニトリル
流速:1.0mL/min
注入量:10μL
カラム温度:40℃
UV検出波長:254nm
グラジエント:
【表3】
(測定条件4)標品(化合物6):RT =13.0
カラム:Xbridge C18,150×4.6mm,3.5μm
移動相A:0.1%トリフルオロ酢酸水溶液
移動相B:アセトニトリル
流速:1.0mL/min
注入量:10μL
カラム温度:40℃
UV検出波長:210nm
グラジエント:
【表4】
【0066】
実施例1 化合物4の合成
【化62】
工程1 化合物3の合成
tert-アミルアルコール(307kg)に、ナトリウムtert-ブトキシド(28.3kg、294mol)、(±)-2,2’-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1’-ビナフチル(2.30kg、3.69mol)、化合物1(34.6kg、271mol)を加え、10℃に冷却したのち、酢酸パラジウム(0.430kg、1.92mol)、化合物2(48.0kg、245mol)を加え、70℃に昇温し3時間撹拌した。20℃に冷却後、0℃に冷却したメタノール(496kg)を反応後液が20℃以下になるよう1時間30分かけて滴下した。微結晶セルロース(4.8kg)で濾過し、微結晶セルロースをメタノール(150kg)で洗浄した。濾液を活性炭で濾過し、活性炭をメタノール(960L)で洗浄した。濾液を588Lまで減圧下濃縮したのち、メタノール洗浄液の半量を加え、582Lまで減圧下濃縮した。さらに、残りのメタノール洗浄液を加え509Lまで減圧下濃縮した。25℃にしたのち、14%塩酸(62.0kg)を2時間かけて滴下した。起晶を確認後、30分間撹拌し、14%塩酸(129.8kg)を3時間30分かけて滴下したのち、1時間撹拌した。2時間30分かけて0℃に冷却し1時間撹拌した。濾過により湿結晶を分離後、メタノール/tert-アミルアルコール/14%塩酸混合液(164kg)(メタノール(66kg)、tert-アミルアルコール(68kg)、14%塩酸(30kg)を混合させた水溶液)で湿結晶を洗浄した。5%メタノール水/2%塩酸混合液(193kg)(メタノール(9.7kg)、35%塩酸(11.3kg)、水(172kg)を混合させた水溶液)で湿結晶を洗浄した。得られた湿結晶を60℃で減圧下24時間乾燥させることで、化合物3(57.94kg、収率73%)を得た。
1H-NMR (400MHz, DMSO-d
6) δ:2.29 (s, 3H), 7.38-7.49 (m, 6H), 7.61-7.70 (m, 5H), 7.95-8.04 (m, 2H), 10.87 (br s, 1H).
工程2 化合物4の合成
アニソール(930kg)に、化合物3(67.4kg、209mol)、水(520.5kg)を加え、85℃に昇温後、62.5%硫酸水溶液(159kg)を2時間かけて滴下し、2時間30分撹拌した。25℃に冷却後、抽出により有機層を除いた。アニソール(518kg)で洗浄後、15℃に冷却し、48%水酸化ナトリウム溶液を用いてpH3.1に調整して、化合物4の水溶液を得た。
【0067】
実施例2 化合物13の合成
【化63】
工程1 化合物6の合成
2-メチルテトラヒドロフラン(248L)に、化合物5(61.8kg、336mol)、(R)-2-メチルプロパン-2-スルフインアミド(61.4kg、507mol)、テトラエトキシチタン(169kg、741mol)を順に加え、60℃で40時間撹拌した。反応後液を25℃に冷却したのち、2-メチルテトラヒドロフラン(558L)を加え、25℃の乳酸アンモニウム/クエン酸水溶液(916kg)(35%乳酸アンモニウム水溶液(801kg)にクエン酸一水和物(115kg)を加えた水溶液)に3時間かけて滴下した。10℃に冷却したのち、抽出により水層を除き、2%クエン酸水溶液(322kg)で洗浄した。5%重曹/5%食塩水(674kg)(重曹(32.3kg)、食塩(32.3kg)を水(609kg)に溶解させた水溶液)を加え、25℃に昇温し抽出により水層を除いた。5%重曹/5%食塩水(662kg)で洗浄したのち、341Lまで減圧下濃縮を行った。テトラヒドロフラン(370L)を加え341Lまで減圧下濃縮を行う操作を2回行ったのち、テトラヒドロフラン(370L)を加え310Lまで減圧下濃縮を行う操作を2回行い、化合物6のテトラヒドロフラン溶液を得た。
工程2 化合物7の合成
1.2mol/L リチウムヘキサメチルジシラジド-テトラヒドロフラン溶液(576kg、773mol)を-50℃に冷却し、酢酸tert-ブチル(89.8kg、773mol)を30分かけて滴下したのち30分間撹拌した。5℃に冷却したクロロトリイソプロポキシチタン-テトラヒドロフラン溶液(517kg)(クロロトリイソプロポキシチタン(237kg、910mol)をテトラヒドロフラン(280kg)に溶解させた溶液)を1時間かけて滴下し、30分間撹拌した。上記の工程1で得られた化合物6のテトラヒドロフラン溶液を1時間かけて滴下し30分間撹拌した。0℃のクエン酸水溶液(939kg)(クエン酸一水和物(256kg)を水(683kg)に溶かした水溶液)に反応後液を滴下したのち、25℃に昇温した。抽出により水層を除いたのち、5%重曹水(337kg)で洗浄し、279Lまで減圧下濃縮を行った。2-メチルテトラヒドロフラン(682L)を加えたのち、2.5%食塩水(686kg)で洗浄し、310Lまで減圧下濃縮を行った。メタノール(366L)を加え、310Lまで減圧下濃縮を行う操作を2回行ったのち、メタノール(250L)を加え、活性炭で濾過し、活性炭をメタノール(1395L)で洗浄した。濾液を310Lまで減圧下濃縮することで化合物7のメタノール溶液を得た。
工程3 化合物8の合成
上記の工程2で得られた化合物7のメタノール溶液を0℃に冷却し、4mol/L塩化水素-酢酸エチル溶液(145kg、627mol)を1時間30分かけて滴下し、1時間撹拌した。n-ヘプタン(554kg)、水(810kg)、酢酸エチル(222kg)を加え5℃に昇温し、抽出により有機層を除いた。得られた水層にn-ヘプタン(550kg)を加え、抽出により有機層を除いたのち、1mol/L水酸化ナトリウム溶液を用いてpHを9.0に調整し、酢酸エチル(436L)を加え、25℃に昇温した。抽出により有機層と水層を分離し、水層に酢酸エチル(439L)を加え、抽出により水層を除いた。有機層を混合させたのち、酢酸エチル(388kg)を加え、2.5%食塩水(852kg)で洗浄した。酢酸エチル(317L)を加えたのち、活性炭で濾過し、活性炭を酢酸エチル(1685L)で洗浄した。濾液を713Lまで減圧下濃縮し、n-ヘプタン(422kg)を1時間かけて滴下し、(-)-10-カンファースルホン酸-テトラヒドロフラン溶液(95.0kg)((-)-10-カンファースルホン酸(12.9kg、55.5mol)をテトラヒドロフラン(82.1kg)に溶解させた溶液)を2時間30分かけて滴下し、起晶を確認後1時間撹拌した。(-)-10-カンファースルホン酸-テトラヒドロフラン溶液(279.6kg)((-)-10-カンファースルホン酸(37.8kg、163mol)をテトラヒドロフラン(241.8kg)に溶解させた溶液)を3時間30分かけて滴下したのち、n-ヘプタン(1056kg)を5時間かけて滴下し、1時間撹拌した。濾過により湿結晶を分離後、酢酸エチル/n-ヘプタン溶液(424kg)(酢酸エチル(171kg)、n-ヘプタン(253kg)を混合させた溶液)で湿結晶を洗浄した。得られた湿結晶を25℃で減圧下24時間乾燥させることで、化合物8(109.12kg、収率61%)を得た。
1H-NMR (400MHz, CDCl
3) δ:0.77 (s, 3H), 0.98 (s, 3H), 1.24-1.35 (m, 1H), 1.29 (s, 9H), 1.44 (ddd, J=14.0, 9.4, 4.6 Hz, 1H), 1.78-2.05 (m, 3H), 2.22-2.37 (m, 2H), 2.54-2.69 (m, 3H), 3.07-3.19 (m, 2H), 3.23-3.32 (m, 1H), 4.28 (ddd, J=11.9, 4.2, 4.2, 1H), 4.37-4.48 (m, 1H), 6.40-6.47 (m, 2H), 8.21-8.47 (br, 2H).
工程4 化合物9の合成
テトラヒドロフラン(390L)に、化合物8(107.9kg、203mol)を加え、10℃に冷却したのちトリエチルアミン(31.4kg)、シアノ酢酸(25.9kg、304mol)、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(58.3kg、305mol)を加え、25℃に昇温し1時間撹拌した。5%クエン酸水溶液(524kg)、メチル-tert-ブチルエーテル(800kg)を加え、抽出により水層を除いた。5%重曹水(1052kg)で洗浄したのち、10%食塩水(1050kg)で洗浄し、324Lまで減圧下濃縮した。メチル-tert-ブチルエーテル(789L)を加え、319Lまで減圧下濃縮する操作を2回行い、メタノール(794L)を加え、323Lまで減圧下濃縮したのち、メタノール(794L)を加え、486Lまで減圧下濃縮し、化合物9のメタノール溶液を得た。
工程5 化合物10の合成
上記の工程4で得られた化合物9のメタノール溶液に、メタノール(552kg)、30%ナトリウムメトキシド-メタノール溶液(73.4kg)を加え、50℃に昇温し3時間撹拌した。25℃に冷却し、751Lまで減圧下濃縮し、水(498kg)を加えたのち、35%塩酸を用いてpH2.0に調整した。起晶を確認後2時間撹拌し、35%塩酸(50.8kg)を加え、1時間撹拌した。濾過により湿結晶を分離後、メタノール水(368kg)(メタノール(54kg)、水(314kg)を混合させた水溶液)で湿結晶を洗浄した。得られた湿結晶を80℃で減圧下24時間乾燥させることで、化合物10(50.40kg、収率85%)を得た。
1H-NMR (400MHz, DMSO-d
6) δ:2.09-2.19 (m, 2H), 2.74 (d, J=17.8 Hz, 1H), 3.08-3.37 (m, 1H), 4.08-4.26 (m, 2H), 6.62 (dt, J=10.2, 2.0 Hz, 1H), 6.83 (ddd, J=12.0, 9.2, 2.6 Hz, 1H), 8.13 (s, 1H).
工程6 化合物11の合成
酢酸イソプロピル(370.5kg)に、化合物10(42.8kg、146mol)、N,N-ジメチルホルムアミド(82kg)を加え、5℃に冷却したのち塩化ホスホリル(20.8kg、136mol)を加え、9時間撹拌した。0℃に冷却後、クエン酸三カリウム水溶液(497kg)(クエン酸三カリウム(71kg)を水(426kg)に溶解させた水溶液)を1時間30分かけて滴下し、5℃に昇温したのち抽出により水層を除いた。2%食塩水(436kg)で洗浄したのち、233Lまで減圧下濃縮した。25℃としたのち、n-ヘプタン(14.5kg)を加え、起晶を確認後、1時間30分撹拌した。n-ヘプタン(379kg)を滴下し、3時間撹拌した。濾過により湿結晶を分離後、酢酸イソプロピル/n-ヘプタン(154kg)(酢酸イソプロピル(38kg)、n-ヘプタン(116kg)を混合させた溶液)で湿結晶を洗浄し、n-ヘプタン(115kg)で湿結晶を洗浄した。得られた湿結晶を60℃で減圧下24時間乾燥させることで、化合物11(37.46kg、収率82%)を得た。
1H-NMR (400MHz, CDCl
3) δ:2.24 (ddd, J=14.4, 7.4, 3.2 Hz, 1H), 2.36 (ddd, J=14.4, 7.7, 3.3, 1H), 2.89 (d, J=19.0 Hz, 1H), 3.72 (dd, J=19.0, 1.1 Hz, 1H), 4.15-4.27 (m, 2H), 6.39-6.56 (m, 2H), 6.77 (s, 1H).
工程7 化合物12の合成
上記の実施例1の工程2で得られた化合物4の水溶液に、化合物11の2-メチルテトラヒドロフラン溶液(化合物11(52.1kg、168mol)を2-メチルテトラヒドロフラン(578kg)に溶解させた溶液)を2時間かけて滴下し、25℃に昇温した。反応液に、リン酸三カリウム水溶液(リン酸三カリウム(82.0kg)を水(180kg)に溶解させた水溶液)を2時間かけて滴下した。1時間撹拌後、50℃に昇温し6時間撹拌した。25℃に冷却後、抽出により水層を除いたのち、2-メチルテトラヒドロフラン(224kg)を加え、1mol/L塩酸/2.5%食塩水(542kg)(食塩(13.0kg)、35%塩酸(52kg)、水(477kg)を混合した水溶液)を加え、抽出により水層を除いた。微結晶セルロース(5.2kg)に濾過し、微結晶セルロースを2-メチルテトラヒドロフラン(136kg)で洗浄した。濾液に2%食塩水(631kg)を加え、抽出により水層を除いた。活性炭で濾過し、活性炭を2-メチルテトラヒドロフラン(670kg)で洗浄した。濾液を485Lまで濃縮し、起晶後1時間撹拌した。n-ヘプタン(527kg)を5時間かけて滴下し、2時間撹拌した。濾過により湿結晶を分離後、2-メチルテトラヒドロフラン/n-ヘプタン(2-メチルテトラヒドロフラン(70kg)、n-ヘプタン(90kg)を混合させた溶液)で湿結晶を洗浄し、n-ヘプタン(141kg)で湿結晶を洗浄した。得られた湿結晶を70℃で減圧下20時間乾燥させることで、化合物12(57.85kg、収率87%)を得た。
1H-NMR (400MHz, CDCl
3) δ:2.19-2.31 (m, 2H), 2.35 (s, 3H), 2.89 (d, J=16.1Hz, 1H), 3.67 (d, J=16.2 Hz, 1H), 4.16 (t, J=5.4 Hz, 2H), 5.48 (s, 1H), 6.42-6.50 (m, 2H), 7.09-7.26 (m, 2H), 7.62 (dd, J=8.8, 2.0, 1H), 7.77 (d, J=8.5 Hz, 1H), 8.16-8.20 (m, 1H).
工程8 化合物13の合成
化合物12(57.8kg、145mol)に、テトラヒドロフラン(154.2kg)、酢酸エチル(78.2kg)を加え、0℃に冷却したのち、52%プロピルホスホン酸無水物-酢酸エチル溶液(251.3kg)を1時間30分かけて滴下し、ピリジン(27.6kg)を加えた。メタンスルホニル酢酸のテトラヒドロフラン溶液(メタンスルホニル酢酸(26.2kg、190mol)をテトラヒドロフラン(154.2kg)に溶解させた溶液)を5時間かけて滴下し、6時間撹拌した。5%重曹水(568.9kg)に酢酸エチル(521.4kg)を加え5℃冷却し、反応後液を1時間かけて滴下し、20℃に昇温し、抽出により水層を除いた。25%食塩水(228.3kg)、7%重曹水(404.3kg)を加え、25℃に昇温し抽出により水層を除いた。メタノール(229.1kg)を加え、活性炭で濾過し、活性炭をメタノール/酢酸エチル溶液(メタノール(41.4kg)、酢酸エチル(109.5kg)の混合溶液)で洗浄した。526Lまで減圧下濃縮し、メタノール(45.7kg)、酢酸エチル(104.3kg)を加えた。化合物13(351.2g)を加え、起晶させたのち3時間撹拌しメタノール(457.4kg)を2時間かけて滴下した。711Lまで減圧下濃縮し、メタノール(457.5kg)を加え、665Lまで減圧下濃縮した。水(693.5kg)を2時間かけて滴下したのち、2時間撹拌した。濾過により湿結晶を分離後、4%メタノール水(172kg)で2回洗浄した。得られた湿結晶を70℃で減圧下30時間乾燥させることで、化合物13(68.57kg、収率91%)を得た。
スパイラルジェットミルを用いて、化合物13を粉砕圧力0.40MPa、供給圧力0.50MPa、平均処理速度22~32g/minで1回目粉砕を行い、1回目粉砕品を粉砕圧力0.40MPa、供給圧力0.50MPa、平均処理速度20~45g/minで2回目粉砕を行うことで化合物13の粉砕品(53.1kg、収率91%)を得た。
1H-NMR (400MHz, CDCl
3) δ:2.17-2.27 (m, 1H), 2.31-2.41 (m, 4H), 2.99 (d, J=16.1 Hz, 1H), 3.19 (s, 3H), 3.78 (d, J=16.2 Hz, 1H), 4.13-4.23 (m, 4H), 6.06 (s, 1H), 6.43-6.51 (m, 2H), 7.69 (dd, J=8.7, 2.0 Hz, 1H), 7.78 (d, J=8.3 Hz, 1H), 8.26-8.30 (m, 1H), 11.20 (s, 1H).
【0068】
上記一般的合成法および実施例に記載の方法に準じて、以下の化合物を製造することができる。
【0069】
【0070】
【0071】
【0072】
【0073】
【0074】
【0075】
【0076】
実施例3 化合物12合成の反応条件検討
(a)反応溶媒および塩基の検討
(a-1)化合物4の合成
化合物3(2.00g、6.2mmol)、アニソール(10mL)、5%重曹/5%食塩水(12mL)を混合撹拌して、静置後に水層を分離した。64%硫酸(2.84g)を水(10mL)で希釈した水溶液を80℃に昇温後、得られた有機層および2-メチルテトラヒドロフラン(4mL)を添加して、80℃で8時間30分撹拌した。0℃に冷却後、2-メチルテトラヒドロフラン(6mL)および水(6mL)を添加した。静置後に有機層を分離し、得られた水層を2-メチルテトラヒドロフラン(20mL)で2回洗浄して、化合物4含有水溶液を得た。
(a-2)エタノールおよび48%水酸化ナトリウム溶液を用いた実験
上記(a-1)の方法で調製した化合物4含有水溶液(2.11g)、化合物11(0.20g、0.64mmol)およびエタノール(1.5mL)を50℃で撹拌混合した。48%水酸化ナトリウム溶液(0.44mL)を加えて4時間撹拌した後、室温に冷却した。そこへエタノール(0.6mL)および水(1mL)を添加して室温で撹拌した。濾過により湿結晶を分離後、40%エタノール水(6mL)で湿結晶を洗浄した。得られた湿結晶を50℃で減圧下乾燥させることで、化合物12(0.20g、含量換算収率46.1%、含量60.6重量%)を得た。含量はHPLC測定条件1を用いて算出した。
(a-3)テトラヒドロフランおよび48%水酸化ナトリウム溶液を用いた実験
上記(a-1)の方法で調製した化合物4含有水溶液(2.11g)、化合物11(0.20g、0.64mmol)およびテトラヒドロフラン(1.5mL)を混合して50℃に昇温した。48%水酸化ナトリウム溶液(0.39mL)を加えて5分間撹拌し、再度48%水酸化ナトリウム水溶液(49mg)を加えて2時間撹拌し、室温に冷却した。2-メチルテトラヒドロフラン(1mL)を添加後、静置して水層を分離した。2mol/L塩酸(2mL)、飽和食塩水に水(2mL)を添加した水溶液で順次洗浄し、化合物12含有溶液を得た。得られた溶液中の化合物12の定量収率は84%であった。定量収率はHPLC測定条件1を用いて算出した。
(a-4)テトラヒドロフランおよびN,N-ジイソプロピルエチルアミンを用いた実験
上記(a-1)の方法で調製した化合物4含有水溶液(12.6g)、化合物11(1.20g、3.9mmol)および2-メチルテトラヒドロフラン(9mL)を8時間室温で撹拌後、50℃に昇温した。混合溶液に対してN,N-ジイソプロピルエチルアミン(4.92mL)を加えて1時間撹拌後、再度N,N-ジイソプロピルエチルアミン(1.84mL)を30分かけて滴下して5時間撹拌後、室温に冷却した。2-メチルテトラヒドロフラン(12mL)を添加後、静置して水層を分離した。2mol/L塩酸(12mL)、水(12mL)で順次洗浄し、得られた有機層を(10.8g)まで濃縮した。2-メチルテトラヒドロフラン(16.3g)を添加後、活性炭(1.2g)を添加して30分撹拌後ろ過し、2-メチルテトラヒドロフラン(24mL)で洗浄を行い、化合物12含有溶液を得た。得られた溶液中の化合物12の定量収率は84%であった。定量収率はHPLC測定条件1を用いて算出した。
(a-5)テトラヒドロフランおよびナトリウムtert-ブトキシドを用いた実験
上記(a-1)の方法で調製した化合物4含有水溶液(2.47g)、化合物11(0.20g、0.63mmol)およびテトラヒドロフラン(1.5mL)を室温で1時間撹拌混合した。ナトリウムtert-ブトキシド(539mg)を加えて1時間室温で撹拌後、50℃に昇温して3時間40分撹拌して室温で11時間30分静置した。ナトリウムtert-ブトキシド(180mg)を加えて50℃で1時間撹拌した。得られた反応液中の化合物12の定量収率は21%であった。定量収率はHPLC測定条件1を用いて算出した。
(a-6)テトラヒドロフランおよびピリジンを用いた実験
上記(a-1)の方法で調製した化合物4含有水溶液(2.35g)、化合物11(0.20g、0.64mmol)およびテトラヒドロフラン(1.5mL)を50℃で撹拌混合した。ピリジン(0.38mL)を加えて3時間30分撹拌後、再度ピリジン(0.76mL)を加えて1時間して室温に冷却した。得られた反応液中の化合物12の定量収率は2%であった。定量収率はHPLC測定条件1を用いて算出した。
(a-7)テトラヒドロフランおよびトリエチルアミンを用いた実験
上記(a-1)の方法で調製した化合物4含有水溶液(2.35g)、化合物11(0.20g、0.64mmol)およびテトラヒドロフラン(1.5mL)を50℃で撹拌混合した。トリエチルアミン(0.66mL)を加えて4時間30分撹拌後、再度トリエチルアミン(164μL)を加えて3時間撹拌して室温に冷却した。得られた反応液中の化合物12の定量収率は72%であった。定量収率はHPLC測定条件1を用いて算出した。
(b)2-メチルテトラヒドロフランおよび1mol/L水酸化ナトリウム溶液を用いた実験
アニソール(40mL)、水(22mL)、および化合物3(2.8g、8.6mmol)を混合撹拌して、85℃に昇温した。64%硫酸(5.9g)を1時間かけて滴下して、85℃で4時間撹拌した。25℃に冷却後、有機層を分離して得られた水層をアニソール(20mL)で洗浄して、化合物4含有水溶液を得た。得られた水溶液の1/2量を0℃に冷却して、48%水酸化ナトリウム溶液を添加してpH6.5に調節した。25℃に昇温後、2-メチルテトラヒドロフラン(7mL)に溶解した化合物11(1.0g、3.2mmol)を添加して、さらに、2-メチルテトラヒドロフラン(1mL)を添加した。25℃で混合液を撹拌しながら、1mol/L水酸化ナトリウム溶液を(3.3g)添加した。1mol/L水酸化ナトリウム溶液(3.7g)を用いて、pH8.5±1.0を維持しながら、1時間撹拌した。その後、50℃に昇温して、4時間撹拌した。2-メチルテトラヒドロフラン(14mL)を添加後、25℃に冷却して静置した。水層を分離後に得られた有機層を1mol/L塩酸(10mL)、水(10mL)の順で洗浄して、化合物12含有溶液を得た。得られた溶液中の化合物12の定量収率は97%であった。定量収率はHPLC測定条件2を用いて算出した。
(c)2-メチルテトラヒドロフランおよびリン酸三カリウムを用いた実験
アニソール(180mL)、水(90mL)、および化合物3(12.7g、39.3mmol)を混合撹拌して、85℃に昇温した。64%硫酸(27.1g)を2時間かけて滴下して、水(10mL)で洗浄後、85℃で4時間撹拌した。25℃に冷却後、有機層を分離して得られた水層をアニソール(100mL)で洗浄して、化合物4含有水溶液を得た。得られた水溶液の1/5量を25℃に維持しながら、48%水酸化ナトリウム溶液を添加してpH3.0±0.5に調節した。2-メチルテトラヒドロフラン(38mL)に溶解した化合物11(2.0g、6.4mmol)を添加して、さらに、2-メチルテトラヒドロフラン(2mL)を添加した。25℃で混合液を撹拌しながら、リン酸三カリウム水溶液(8.9g)(リン酸三カリウム(10.9g)と水(20.0g)で調整した水溶液)を添加した。25℃で1時間撹拌した後、50℃に昇温して、4時間撹拌した。25℃に冷却して静置後、水層を分離して化合物12含有溶液を得た。得られた溶液中の化合物12の定量収率は97%であった。定量収率はHPLC測定条件2を用いて算出した。
【0077】
実施例4 化合物4の塩酸塩および化合物3の示差走査熱量(DSC)の測定
化合物4の塩酸塩および化合物3のDSCの測定を行った。測定条件を以下に示す。
装置:METTLER TOLEDO DSC822e
測定温度範囲:25℃-500℃(a)、25℃-300℃(b)
昇温速度:10℃/分
雰囲気:N2 50mL/分
一般に、示差走査熱量(DSC)による測定は±2℃の範囲内で誤差が生じ得るので、示差走査熱量(DSC)による測定値は±2℃程度の範囲内の数値も含む。
(a)化合物4の塩酸塩をガラスキャピラリーに簡易密封して測定した。示差走査熱量測定(DSC)により観測された分解ピーク温度(Tonset)とエンタルピーは以下であった。
Tonset:190℃、エンタルピー:893J/g
Tonset:260℃、エンタルピー:258J/g
Tonset:316℃、エンタルピー:329J/g
Tonset:397℃、エンタルピー:1992J/g
(b)化合物3ステンレススチールパンに試料を量り、簡易密封して測定した。示差走査熱量測定(DSC)により観測された分解ピーク温度(Tonset)とエンタルピーは以下であった。
Tonset:249℃、エンタルピー:-40J/g
Tonset:255℃、エンタルピー:310J/g
【0078】
実施例5 化合物11の抽出条件検討
(a)エナンチオマーを1.5%含む化合物10(5.00g、17.1mmol)に酢酸イソプロピル(45mL)、N,N-ジメチルホルムアミド(10mL)を加え、5℃に冷却したのちオキシ塩化リン(2.75g、17.9mmol)を加え4時間撹拌した。0℃に冷却したのち水(50mL)を加え、抽出により水層を除いた。続いて5%炭酸水素ナトリウム水(50mL)で洗浄し、35℃に昇温したのち抽出により水層を除いた。その後、5%食塩水(50mL)で洗浄し、抽出により水層を除いた。各水層(20μL)に対し、得られた有機層(20μL)をそれぞれ添加し、45℃で15時間静置後に各有機層のHPLC分析を行った。HPLC測定条件3を用いて測定した。結果を以下に示す。
【0079】
【0080】
(b)化合物10(10.01g、34.3mmol)に酢酸イソプロピル(82.7g)、N,N-ジメチルホルムアミド(18.9g)を加え5℃に冷却したのちオキシ塩化リン(6.32g、41.2mmol)を30分かけて滴下し、酢酸イソプロピル(4.32g)を加えて3時間撹拌した。クエン酸三カリウム水溶液(133.8g)(クエン酸三カリウム(33.5g)を水(100.3g)に溶解させた水溶液)を2時間かけて滴下し25℃に昇温したのち抽出により水層を除いた。得られた有機層を25℃、45℃それぞれの温度下で24時間静置後に各有機層のHPLC分析を行った。HPLC測定条件3を用いて測定した。結果を以下に示す。
【0081】
【0082】
実施例6 化合物6の抽出条件検討
(a)クエン酸水溶液に対する安定性
(a-1)化合物5(10.00g)、(R)-2-メチルプロパン-2-スルフィンアミド(9.91g)、テトラエトキシチタン(27.41g)を2-メチルテトラヒドロフラン(40mL)に加え、80℃に昇温し2時間撹拌した。50℃に冷却後、43.12gまで減圧下濃縮したのち、2-メチルテトラヒドロフラン(40mL)を加えた。KCフロックに濾過後、KCフロックを2-メチルテトラヒドロフラン(200mL)で洗浄したのち0℃に冷却し、45.00gまで濃縮して、濃縮後液を得た。
(a-2)(a-1)で得られた濃縮後液を9.00g抜き取り、10%クエン酸水溶液5mLを加え30分撹拌したのち、抽出により水層を除いた。得られた有機層を22時間撹拌した。撹拌前の有機層中の化合物6の定量値を100%とした場合、22時間撹拌した後の有機層中の化合物6の定量値は96%であった。抽出で得られた水層を全量加え6時間撹拌した。撹拌後の有機層中の化合物6の定量値は87%であった。化合物6の定量値はHPLC測定条件4を用いて算出した。
(a-3)(a-1)で得られた濃縮後液を9.00g抜き取り、5%クエン酸水溶液5mLを加え30分撹拌したのち、抽出により水層を除いた。得られた有機層を22時間撹拌した。撹拌前の有機層中の化合物6の定量値を100%とした場合、22時間撹拌した後の有機層中の化合物6の定量値は98%であった。抽出で得られた水層を全量加え6時間撹拌した。撹拌後の有機層中の化合物6の定量値は92%であった。化合物6の定量値はHPLC測定条件4を用いて算出した。
(b)乳酸アンモニウム水溶液および乳酸アンモニウム/クエン酸水溶液に対する安定性
(b-1)上記実施例2の工程1と同様の方法で得られた反応後液(0.75g)に35%乳酸アンモニウム水溶液(1.26g)を添加し、25℃下24時間撹拌してHPLC測定した。反応後液中の化合物6の定量収率は71%であり、35%乳酸アンモニウム水溶液追加後、25℃下24時間撹拌したのち抽出を行った後の有機層中の化合物6の定量収率は60%であった。化合物6の定量収率はHPLC測定条件4を用いて算出した。
(b-2)上記実施例2の工程1と同様の方法で得られた反応後液(0.75g)にクエン酸を追加した35%乳酸アンモニウム水溶液(1.26g)(35%乳酸アンモニウム水溶液(1.26g)にpHが4になるまでクエン酸を追加した水溶液)を添加して、25℃下24時間撹拌し、HPLC測定した。反応後液中の化合物6の定量収率は71%であり、クエン酸を追加した35%乳酸アンモニウム水溶液を追加後、25℃下24時間撹拌したのち抽出を行った後の有機層中の化合物6の定量収率は72%であった。
発明に係る化合物の製造方法は、ΜGAΤ2が関与する症状及び/又は疾患の治療及び/又は予防剤として有用な化合物の製造方法として有用である。本発明方法により、効率的に、式(VIII)で示される化合物を製造することができる。