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特開2024-105524マルチキナーゼ阻害剤のエマルジョン製剤
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  • 特開-マルチキナーゼ阻害剤のエマルジョン製剤 図1
  • 特開-マルチキナーゼ阻害剤のエマルジョン製剤 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024105524
(43)【公開日】2024-08-06
(54)【発明の名称】マルチキナーゼ阻害剤のエマルジョン製剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 9/107 20060101AFI20240730BHJP
   A61K 47/44 20170101ALI20240730BHJP
   A61K 47/40 20060101ALI20240730BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20240730BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20240730BHJP
   A61K 31/495 20060101ALI20240730BHJP
   A61K 31/4439 20060101ALI20240730BHJP
   A61K 31/506 20060101ALI20240730BHJP
【FI】
A61K9/107
A61K47/44
A61K47/40
A61K47/36
A61K45/00
A61K31/495
A61K31/4439
A61K31/506
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024078337
(22)【出願日】2024-05-14
(62)【分割の表示】P 2021510986の分割
【原出願日】2019-08-28
(31)【優先権主張番号】62/723,998
(32)【優先日】2018-08-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】518426158
【氏名又は名称】クラウドブレイク セラピューティクス リミテッド ライアビリティ カンパニー
【住所又は居所原語表記】15615 ALTON PARKWAY, SUITE 450, IRVINE, CA 92618, UNITED STATES OF AMERICA
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】ニ ジンソン
(72)【発明者】
【氏名】ディン バン
(72)【発明者】
【氏名】ティエン ウォルター
(57)【要約】      (修正有)
【課題】マルチキナーゼ阻害剤を送達する組成物および1つまたは複数の眼の状態を治療するための組成物および方法を提供する。
【解決手段】治療有効量のニンテダニブ、アキシチニブまたはパゾパニブなどのマルチキナーゼ阻害剤を含む組成物が提供され、本組成物は、ナノエマルジョンなどのエマルジョンであり、親油性担体、ポリオキシル油、任意で界面活性剤、任意で可溶化剤としてのシクロデキストリンなどの環式オリゴ糖を含む。本組成物を用いて眼の状態を治療するための方法も提供される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療有効量のマルチキナーゼ阻害剤;
ポリオキシル油;
親油性担体;および

を含む、エマルジョン。
【請求項2】
前記マルチキナーゼ阻害剤が、アファチニブ、アムバチニブ(amuvatinib)、アキシチニブ、カボザンチニブ、カネルチニブ、セジラニブ、セリチニブ、クレノラニブ、クリゾチニブ、ダブラフェニブ、ダコミチニブ、ダサチニブ、エルロチニブ、フォレチニブ、ゲフィチニブ、ゴルバチニブ(golvatinib)、イブルチニブ、イコチニブ、イデラリシブ、イマチニブ、ラパチニブ、レンバチニブ、ネラチニブ、ニロチニブ、ニンテダニブ、パルボシクリブ、パゾパニブ、ポナチニブ、キザルチニブ、レゴラフェニブ、ルキソリチニブ、ソラフェニブ、スニチニブ、タンズチニブ(tandutinib)、チバンチニブ、チボザニブ、トラメチニブ、バンデタニブ、バタラニブ、ベムラフェニブ、またはそれらの組み合わせから選択される、請求項1記載のエマルジョン。
【請求項3】
前記マルチキナーゼ阻害剤が、アキシチニブ、ニンテダニブ、およびパゾパニブから選択される、請求項2記載のエマルジョン。
【請求項4】
可溶化剤をさらに含む、請求項1~3のいずれか一項記載のエマルジョン。
【請求項5】
前記可溶化剤が環式多糖である、請求項1~4のいずれか一項記載のエマルジョン。
【請求項6】
前記ポリオキシル油がポリオキシルヒマシ油である、請求項1~5のいずれか一項記載のエマルジョン。
【請求項7】
前記ポリオキシルヒマシ油が、ポリオキシル-40ヒマシ油、ポリオキシル-35ヒマシ油、またはそれらの組み合わせである、請求項6記載のエマルジョン。
【請求項8】
ポリソルベート20、ポリソルベート40、ポリソルベート60、ポリソルベート80、ポリオキシル-40-ステアラート、トコフェロール、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される界面活性剤をさらに含む、請求項1~7のいずれか一項記載のエマルジョン。
【請求項9】
前記マルチキナーゼ阻害剤がニンテダニブであり、前記可溶化剤が2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンであり、前記親油性担体がヒマシ油であり、かつ前記ポリオキシル油がポリオキシル-35ヒマシ油であり、またはそれらの組み合わせである、請求項1記載のエマルジョン。
【請求項10】
前記マルチキナーゼ阻害剤が、約0.001% w/w~約10.0% w/wの量で存在している、請求項1~9のいずれか一項記載のエマルジョン。
【請求項11】
約0.005%~約2% w/wのマルチキナーゼ阻害剤;
約0.1%~約1% w/wのポリオキシル油;
約0.05%~約1% w/wの親油性担体;
約5%~約15% w/wの可溶化剤;および

を含む、エマルジョン。
【請求項12】
前記マルチキナーゼ阻害剤が、約0.1%~約0.5% w/wの量で存在している、請求項11記載のエマルジョン。
【請求項13】
前記ポリオキシル油が、約0.3%~約0.7% w/wの量で存在している、請求項11または12記載のエマルジョン。
【請求項14】
前記親油性担体が、約0.1%~約0.5% w/wの量で存在している、請求項11~13のいずれか一項記載のエマルジョン。
【請求項15】
前記可溶化剤が、約8%~約12% w/wの量で存在している、請求項11~14のいずれか一項記載のエマルジョン。
【請求項16】
前記マルチキナーゼ阻害剤が、約0.2% w/wの量で存在している、請求項11~15のいずれか一項記載のエマルジョン。
【請求項17】
前記ポリオキシル油が、約0.5% w/wの量で存在している、請求項11~16のいずれか一項記載のエマルジョン。
【請求項18】
前記親油性担体が、約0.25% w/wの量で存在している、請求項11~17のいずれか一項記載のエマルジョン。
【請求項19】
前記可溶化剤は、約10% w/wの量で存在している、請求項11~18のいずれか一項記載のエマルジョン。
【請求項20】
前記マルチキナーゼ阻害剤が、アファチニブ、アムバチニブ、アキシチニブ、カボザンチニブ、カネルチニブ、セジラニブ、セリチニブ、クレノラニブ、クリゾチニブ、ダブラフェニブ、ダコミチニブ、ダサチニブ、エルロチニブ、フォレチニブ、ゲフィチニブ、ゴルバチニブ、イブルチニブ、イコチニブ、イデラリシブ、イマチニブ、ラパチニブ、レンバチニブ、ネラチニブ、ニロチニブ、ニンテダニブ、パルボシクリブ、パゾパニブ、ポナチニブ、キザルチニブ、レゴラフェニブ、ルキソリチニブ、ソラフェニブ、スニチニブ、タンズチニブ、チバンチニブ、チボザニブ、トラメチニブ、バンデタニブ、バタラニブ、ベムラフェニブ、またはそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項11~19のいずれか一項記載のエマルジョン。
【請求項21】
前記マルチキナーゼ阻害剤が、アキシチニブ、ニンテダニブ、およびパゾパニブから選択される、請求項11~20のいずれか一項記載のエマルジョン。
【請求項22】
前記可溶化剤が、環式多糖である、請求項11~21のいずれか一項記載のエマルジョン。
【請求項23】
前記環式多糖が、シクロデキストリン、α-シクロデキストリン、β-シクロデキストリン、γ-シクロデキストリン、2-ヒドロキシプロピル-α-シクロデキストリン、2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン、2-ヒドロキシプロピル-γ-シクロデキストリン、スルホブチルエーテル-β-シクロデキストリン、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項22記載のエマルジョン。
【請求項24】
前記可溶化剤が、2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンを含む、請求項11~23のいずれか一項記載のエマルジョン。
【請求項25】
ニンテダニブ、アキシチニブ、およびパゾパニブからなる群より選択される、約0.2% w/wのマルチキナーゼ阻害剤;
約0.5% w/wのポリオキシルヒマシ油;
約0.25% w/wのヒマシ油:
約10% w/wの2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン;および

を含む、エマルジョン。
【請求項26】
請求項1~25のいずれか一項記載のエマルジョンを対象の目に投与する段階を含む、眼の状態を治療する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2018年8月28日に出願された米国特許仮出願第62/723,998号の恩典を主張するものであり、参照によりその全文が本明細書に組み入れられる。
【0002】
発明の分野
本明細書では、マルチキナーゼ阻害剤を送達する製剤が提供される。
【背景技術】
【0003】
背景
マルチキナーゼ阻害剤は、2種以上のプロテインキナーゼを標的とする阻害剤である。プロテインキナーゼは、リン酸基をタンパク質に付加して、その機能を調節することができる酵素である。リン酸化は多くの生物学的プロセスを制御するため、マルチキナーゼ阻害剤を様々な疾患の治療にまたは細胞機能の調節に用いることができる。そのような化合物の治療ポテンシャルは、少なくとも部分的には、特定治療にどれほど好適にその化合物を製剤し、送達できるかにかかっている。
【発明の概要】
【0004】
概要
本明細書では、マルチキナーゼ阻害剤を送達する組成物が提供される。いくつかの態様では、1つまたは複数の眼の状態を治療するための組成物および方法が提供される。
【0005】
本開示は、前方セグメントの眼疾患に影響する疾患を含む眼の状態を治療するための組成物を提供する。本組成物は、ニンテダニブ、アキシチニブまたはパゾパニブなどの治療有効量のマルチキナーゼ阻害剤を含み得、本組成物は、ナノエマルジョン(たとえばヒマシ油、ポリオキシル-35ヒマシ油、および任意でポリソルベート80を含む)などのエマルジョンであって、可溶化剤としてシクロデキストリン(たとえば2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン)などの環式オリゴ糖を含み、目への局所投与に好適である。本開示は、開示される組成物を用いて眼の状態を治療するための方法をさらに提供する。
【0006】
いくつかの態様では、治療有効量のニンテダニブまたはアキシチニブまたはパゾパニブなどのマルチキナーゼ阻害剤を含む、目への局所投与に好適な組成物が提供され、本組成物は、2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンなどのシクロデキストリンを可溶化剤として含むナノエマルジョンなどのエマルジョンを含む。いくつかの態様では、充血、新血管新生、翼状片、瞼裂斑、緑内障濾過手術および最小侵襲緑内障手術(MIGS)、移植片拒絶反応のある角膜移植手術、移植片対宿主病、ドライアイ疾患、アトピー性結膜炎、酒さ、眼類天疱瘡、ライエル症候群、スティーブンス・ジョンソン症候群、ウイルス感染症(たとえばHSV-1)、細菌感染症、真菌感染症、寄生虫感染症、コンタクトレンズによる新血管新生、潰瘍症、アルカリ熱傷、ならびに幹細胞疲弊症などの血管新生と関連する眼の状態を治療する方法が提供される。
【0007】
一局面では、治療有効量のマルチキナーゼ阻害剤;可溶化剤;親油性担体;および1つまたは複数の界面活性剤を含むエマルジョンが提供される。一局面では、治療有効量のマルチキナーゼ阻害剤;ポリオキシル油;可溶化剤;親油性担体;および1つまたは複数の界面活性剤を含むエマルジョンが提供される。
【0008】
この態様および他の態様は、任意で、次の特徴の1つまたは複数をさらに含む場合がある。いくつかの態様では、エマルジョンは、ナノエマルジョンであり得る。いくつかの態様では、マルチキナーゼ阻害剤は、アファチニブ、アムバチニブ(amuvatinib)、アキシチニブ、カボザンチニブ、カネルチニブ、セジラニブ、セリチニブ、クレノラニブ、クリゾチニブ、ダブラフェニブ、ダコミチニブ、ダサチニブ、エルロチニブ、フォレチニブ、ゲフィチニブ、ゴルバチニブ(golvatinib)、イブルチニブ、イコチニブ、イデラリシブ、イマチニブ、ラパチニブ、レンバチニブ、ネラチニブ、ニロチニブ、ニンテダニブ、パルボシクリブ、パゾパニブ、ポナチニブ、キザルチニブ、レゴラフェニブ、ルキソリチニブ、ソラフェニブ、スニチニブ、タンズチニブ(tandutinib)、チバンチニブ、チボザニブ、トラメチニブ、バンデタニブ、バタラニブ、ベムラフェニブ、またはそれらの組み合わせから選択され得る。
【0009】
いくつかの態様では、可溶化剤は、環式多糖であり得る。いくつかの態様では、環式多糖は、シクロデキストリン、α-シクロデキストリン、β-シクロデキストリン、γ-シクロデキストリン、2-ヒドロキシプロピル-α-シクロデキストリン、2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン、2-ヒドロキシプロピル-γ-シクロデキストリン、スルホブチルエーテル-β-シクロデキストリン、およびそれらの組み合わせから選択され得る。
【0010】
いくつかの態様では、親油性担体は、ヒマシ油、スクアラン、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコール、イソステアリン酸イソステアリル、ミリスチン酸イソプロピル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、鉱油、シリコーン油、カプリル/カプリントリグリセリド、中鎖トリグリセリド、およびそれらの組み合わせから選択され得る。いくつかの態様では、界面活性剤は、ポリソルベート20、ポリソルベート40、ポリソルベート60、ポリソルベート80、ポリオキシル-40-ステアラート、ポリオキシル-35ヒマシ油、ポリオキシル-40ヒマシ油、トコフェロール、および他の高分子乳化剤、ならびにそれらの組み合わせから選択され得る。
【0011】
いくつかの態様では、マルチキナーゼ阻害剤はニンテダニブであり、可溶化剤は2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンであり、親油性担体はヒマシ油であり、界面活性剤はポリソルベート80、ポリオキシル-35ヒマシ油、またはそれらの組み合わせである。
【0012】
いくつかの態様では、マルチキナーゼ阻害剤は、約0.001% w/w~約10.0% w/wの量で存在し得る。いくつかの態様では、マルチキナーゼ阻害剤はニンテダニブであり、ニンテダニブは、約0.01% w/w~約10.0% w/wの量で存在し得る。いくつかの態様では、マルチキナーゼ阻害剤はアキシチニブであり、アキシチニブは、エマルジョン中、約0.001% w/w~約1.0% w/wの量で存在し得る。いくつかの態様では、マルチキナーゼ阻害剤はアキシチニブであり、アキシチニブは、エマルジョン中、約0.001% w/w~約10.0% w/wの量で存在し得る。いくつかの態様では、マルチキナーゼ阻害剤はパゾパニブであり、パゾパニブは、約0.01% w/w~約10.0% w/wの量で存在し得る。いくつかの態様では、親油性担体は、約0.01% w/w~約5.0% w/wの量で存在し得る。
【0013】
いくつかの態様では、界面活性剤は、約0.01% w/w~約10% w/wの量で存在し得る。いくつかの態様では、可溶化剤は、エマルジョン中、約1% w/w~約20% w/wの量で存在し得る。
【0014】
いくつかの態様では、エマルジョンは、増粘剤、緩衝剤、等張化剤、抗酸化剤、保存料、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される追加構成成分をさらに含む場合がある。いくつかの態様では、増粘剤は、カルボマー、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアルコール、キサンタンガム、およびそれらの組み合わせからなる群より選択され得る。いくつかの態様では、増粘剤は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースまたはナトリウムカルボキシメチルセルロースであり得、増粘剤は約0.01% w/w~約1.0% w/wの量で存在している。いくつかの態様では、緩衝剤は、リン酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、ホウ酸塩、およびそれらの組み合わせからなる群より選択され得る。いくつかの態様では、緩衝剤は、リン酸ナトリウム一塩基性一水和物、リン酸一ナトリウム一水和物、リン酸ナトリウム二塩基性七水和物、およびホウ酸からなる群より選択され得、緩衝剤はエマルジョン中、pHを4.0~8.0の範囲に維持するのに十分な量で存在している。いくつかの態様では、抗酸化剤は、エデト酸二ナトリウム、ジブチルヒドロキシトルエン、クエン酸、メタ重亜硫酸ナトリウム、酢酸トコフェロール、およびそれらの組み合わせからなる群より選択され得る。いくつかの態様では、抗酸化剤は、エデト酸二ナトリウムであり得、抗酸化剤は約0.01% w/w~約1.0% w/wの量で存在している。いくつかの態様では、等張化剤は、塩化ナトリウム、グリセリン、マンニトール、塩化カリウム、エリスリトール、およびそれらの組み合わせからなる群より選択され得る。いくつかの態様では、等張化剤は、グリセリンであり得、等張化剤は約0.1% w/w~約10% w/wの量で存在している。いくつかの態様では、等張化剤は、モル浸透圧濃度を250~400 mOsm/kgの範囲に維持するのに十分な量で存在し得る。
【0015】
いくつかの態様では、エマルジョンは、保存料を含まない場合がある。いくつかの態様では、エマルジョンは、BAK、PHMB、Purite(登録商標)、ソルビン酸、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される保存料をさらに含む場合がある。
【0016】
いくつかの態様では、エマルジョンは、約10 nm~10万 nmの平均液滴サイズを有し得る。いくつかの態様では、エマルジョンは、200 nm以下の平均液滴サイズを有し得る。いくつかの態様では、エマルジョンは、約100 nm以下の平均液滴サイズを有し得る。いくつかの態様では、エマルジョンは、約75 nm以下の平均液滴サイズを有し得る。いくつかの態様では、エマルジョンは、約25~約200 nm(たとえば約25~約150 nm、約25~約100 nm、約25~約75 nm、約50~約200 nm、約50~約150 nm、または約50~約100 nm)の平均液滴サイズを有し得る。何ら特定の理論に縛られるものではないが、少なくとも一部のエマルジョン(たとえば本明細書に記載されるもの)については、液滴サイズが小さいほうが、エマルジョンの相分離までの時間が長くなり得、かつ/またはエマルジョンの安定時間が長くなり得ると、考えられる。同様に、何ら特定の理論に縛られるものではないが、少なくとも一部のエマルジョン(たとえば本明細書に記載されるもの)については、液滴サイズが小さいほうが、エマルジョンの透明性を高めることができると考えられ、たとえば小さい液滴サイズ(たとえば約50 nm)を有するエマルジョンは、ほぼ透明であり得るが、もっと大きい液滴サイズ、または分離してしまったエマルジョンは、白濁して見え得る。
【0017】
いくつかの態様では、エマルジョンは少なくとも6カ月間25℃で安定を保つことができる。いくつかの態様では、エマルジョンは少なくとも12カ月間25℃で安定を保つことができる。いくつかの態様では、エマルジョンは少なくとも24カ月間25℃で安定を保つことができる。いくつかの態様では、エマルジョンは少なくとも1カ月間40℃で安定を保つことができる。いくつかの態様では、エマルジョンは少なくとも2カ月間40℃で安定を保つことができる。
【0018】
いくつかの態様では、エマルジョンは、点眼剤、クリーム、ゲル、および軟膏、フィルム、または持効性インプラントとして製剤され得る。別の局面では、マルチキナーゼ阻害剤の眼球表面の滞留時間を長引かせる方法が提供され、本方法は、本明細書に記載される任意の1つまたは複数のエマルジョンを対象の目に投与する段階を含む。いくつかの態様では、投与する段階は、エマルジョンを目に少なくとも1日1回適用することを含み得る。いくつかの態様では、投与する段階は、エマルジョンを目に少なくとも1日2回適用することを含み得る。いくつかの態様では、投与する段階は、エマルジョンを目に少なくとも1日3回適用することを含み得る。
【0019】
別の局面では、眼の状態を治療する方法が提供され、本方法は、本明細書に記載される任意の1つまたは複数のエマルジョンを対象の目に投与する段階を含む。いくつかの態様では、眼の状態は、血管新生と関連し得る。いくつかの態様では、眼の状態は、充血、新血管新生、翼状片、瞼裂斑、緑内障濾過手術および最小侵襲緑内障手術(MIGS)、移植片拒絶反応のある角膜移植手術、移植片対宿主病、ドライアイ疾患、アトピー性結膜炎、酒さ、眼類天疱瘡、ライエル症候群、スティーブンス・ジョンソン症候群、ウイルス感染症(たとえばHSV-1)、細菌感染症、真菌感染症、寄生虫感染症、コンタクトレンズによる新血管新生、潰瘍症、アルカリ熱傷、ならびに幹細胞疲弊症から選択され得る。
【0020】
別の局面では、本明細書において、治療有効量のマルチキナーゼ阻害剤、ポリオキシル油、親油性担体、および水を含むエマルジョンが提供される。
【0021】
実施は、次の特徴の1つまたは複数を含み得る。エマルジョンは、ナノエマルジョンであり得る。マルチキナーゼ阻害剤は、アファチニブ、アムバチニブ、アキシチニブ、カボザンチニブ、カネルチニブ、セジラニブ、セリチニブ、クレノラニブ、クリゾチニブ、ダブラフェニブ、ダコミチニブ、ダサチニブ、エルロチニブ、フォレチニブ、ゲフィチニブ、ゴルバチニブ、イブルチニブ、イコチニブ、イデラリシブ、イマチニブ、ラパチニブ、レンバチニブ、ネラチニブ、ニロチニブ、ニンテダニブ、パルボシクリブ、パゾパニブ、ポナチニブ、キザルチニブ、レゴラフェニブ、ルキソリチニブ、ソラフェニブ、スニチニブ、タンズチニブ、チバンチニブ、チボザニブ、トラメチニブ、バンデタニブ、バタラニブ、ベムラフェニブ、またはそれらの組み合わせから選択され得る。マルチキナーゼ阻害剤は、アキシチニブ、ニンテダニブおよびパゾパニブから選択され得る。マルチキナーゼ阻害剤は、アキシチニブであり得る。マルチキナーゼ阻害剤は、ニンテダニブであり得る。マルチキナーゼ阻害剤は、パゾパニブであり得る。エマルジョンは、可溶化剤をさらに含み得る。可溶化剤は、環式多糖であり得る。環式多糖は、シクロデキストリン、α-シクロデキストリン、β-シクロデキストリン、γ-シクロデキストリン、2-ヒドロキシプロピル-α-シクロデキストリン、2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン、2-ヒドロキシプロピル-γ-シクロデキストリン、スルホブチルエーテル-β-シクロデキストリン、およびそれらの組み合わせからなる群より選択され得る。ポリオキシル油は、ポリオキシルヒマシ油であり得る。ポリオキシルヒマシ油は、ポリオキシル-40ヒマシ油、ポリオキシル-35ヒマシ油、またはそれらの組み合わせであり得る。親油性担体は、ヒマシ油、スクアラン、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコール、イソステアリン酸イソステアリル、ミリスチン酸イソプロピル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、鉱油、シリコーン油、カプリル/カプリントリグリセリド、中鎖トリグリセリド、およびそれらの組み合わせからなる群より選択され得る。エマルジョンは、ポリソルベート20、ポリソルベート40、ポリソルベート60、ポリソルベート80、ポリオキシル-40-ステアラート、トコフェロール、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される界面活性剤をさらに含み得る。マルチキナーゼ阻害剤はニンテダニブであり得、可溶化剤は2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンであり得、親油性担体はヒマシ油であり得、ポリオキシル油はポリオキシル-35ヒマシ油、またはそれらの組み合わせであり得る。マルチキナーゼ阻害剤は、約0.001% w/w~約10.0% w/wの量で存在し得る。マルチキナーゼ阻害剤は、約0.01%~約1% w/wの量で存在し得る。マルチキナーゼ阻害剤は、約0.1%~約0.5% w/wの量で存在し得る。マルチキナーゼ阻害剤は、ニンテダニブであり得、ニンテダニブは約0.01% w/w~約10.0% w/wの量で存在し得る。ニンテダニブは、約0.01%~約1% w/wの量で存在し得る。ニンテダニブは、約0.1%~約0.5% w/wの量で存在し得る。マルチキナーゼ阻害剤は、アキシチニブであり得、アキシチニブは、エマルジョン中、約0.001% w/w~約10.0% w/wの量で存在し得る。アキシチニブは、約0.01%~約1% w/wの量で存在し得る。アキシチニブは、約0.1%~約0.5% w/wの量で存在し得る。アキシチニブは、約0.05%~約0.5% w/wの量で存在し得る。マルチキナーゼ阻害剤は、パゾパニブであり得、パゾパニブは約0.01% w/w~約10.0% w/wの量で存在し得る。パゾパニブは、約0.01%~約1% w/wの量で存在し得る。パゾパニブは、約0.1%~約0.5% w/wの量で存在し得る。親油性担体は、約0.01% w/w~約5.0% w/wの量で存在し得る。親油性担体は、約0.05%~約1% w/wの量で存在し得る。親油性担体は、約0.1%~約0.5% w/wの量で存在し得る。ポリオキシル油は、約0.01% w/w~約10% w/wの量で存在し得る。ポリオキシル油は、約0.05%~約1% w/wの量で存在し得る。ポリオキシル油は、約0.1%~約0.5% w/wの量で存在し得る。エマルジョンは可溶化剤をさらに含み得、可溶化剤は、エマルジョン中、約1% w/w~約20% w/wの量で存在し得る。可溶化剤は、約5%~約15% w/wの量で存在し得る。可溶化剤は、約8%~約12% w/wの量で存在し得る。エマルジョンは、増粘剤、緩衝剤、等張化剤、抗酸化剤、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される追加構成成分をさらに含み得る。増粘剤は、カルボマー、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアルコール、キサンタンガム、およびそれらの組み合わせからなる群より選択され得る。増粘剤は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、またはそれらの組み合わせであり得る。増粘剤は、約0.01% w/w~約1.0% w/wの量で存在し得る。増粘剤は、約0.05% w/w~約0.5% w/wの量で存在し得る。緩衝剤は、リン酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、ホウ酸塩、およびそれらの組み合わせからなる群より選択され得る。緩衝剤は、クエン酸ナトリウム二水和物、クエン酸ナトリウム、リン酸ナトリウム一塩基性一水和物、リン酸一ナトリウム一水和物、リン酸ナトリウム二塩基性七水和物、ホウ酸、およびそれらの組み合わせからなる群より選択され得る。緩衝剤は、クエン酸ナトリウム二水和物、クエン酸ナトリウム、またはそれらの組み合わせからなる群より選択され得る。緩衝剤は、エマルジョン中、pHを4.0~8.0の範囲に維持するのに十分な量で存在し得る。緩衝剤は、エマルジョン中、pHを約5.5~約6.5の範囲に維持するのに十分な量で存在し得る。緩衝剤は、約0.01% w/w~約1.0% w/wの量で存在し得る。緩衝剤は、約0.03% w/w~約0.06% w/wの量で存在し得る。抗酸化剤は、エデト酸二ナトリウム、ジブチルヒドロキシトルエン、クエン酸、メタ重亜硫酸ナトリウム、酢酸トコフェロール、およびそれらの組み合わせからなる群より選択され得る。抗酸化剤は、エデト酸二ナトリウム、クエン酸、およびそれらの組み合わせからなる群より選択され得る。抗酸化剤は、約0.01%~約1.0% w/wの量で存在し得る。抗酸化剤は、約0.05%~約0.5% w/wの量で存在し得る。抗酸化剤は、エデト酸二ナトリウムを含み得、エデト酸二ナトリウムは約0.01% w/w~約1.0% w/wの量で存在し得る。抗酸化剤は、エデト酸二ナトリウムを含み得、エデト酸二ナトリウムは約0.05% w/w~約0.5% w/wの量で存在し得る。抗酸化剤は、クエン酸を含み得、クエン酸は約0.001%~約0.1% w/wの量で存在し得る。抗酸化剤は、クエン酸を含み得、クエン酸は約0.005%~約0.05% w/wの量で存在し得る。等張化剤は、塩化ナトリウム、グリセリン、マンニトール、塩化カリウム、エリスリトール、およびそれらの組み合わせからなる群より選択され得る。等張化剤は、グリセリンであり得る。等張化剤は、約0.1% w/w~約10% w/wの量で存在し得る。等張化剤は、約0.01% w/w~約1% w/wの量で存在し得る。等張化剤は、約0.05% w/w~約0.5% w/wの量で存在し得る。等張化剤は、モル浸透圧濃度を250~400 mOsm/kgの範囲に維持するのに十分な量で存在し得る。エマルジョンは、保存料をさらに含み得る。保存料は、塩化ベンザルコニウム(BAK)、ポリヘキサメチレンビグアニデビグアンジド(PHMB)、安定オキシクロロ複合体、ソルビン酸、およびそれらの組み合わせからなる群より選択され得る。エマルジョンは、保存料を含まない場合がある。エマルジョンは、約10 nm~10万 nmの平均液滴サイズを有する。エマルジョンは、200 nm以下の平均液滴サイズを有する。エマルジョンは少なくとも6カ月間25℃で安定を保つことができる。エマルジョンは少なくとも12カ月間25℃で安定を保つことができる。エマルジョンは少なくとも24カ月間25℃で安定を保つことができる。エマルジョンは少なくとも6カ月間40℃で安定を保つことができる。エマルジョンは少なくとも12カ月間40℃で安定を保つことができる。エマルジョンは少なくとも24カ月間40℃で安定を保つことができる。エマルジョンは少なくとも6カ月間50℃で安定を保つことができる。エマルジョンは少なくとも12カ月間50℃で安定を保つことができる。エマルジョンは少なくとも24カ月間50℃で安定を保つことができる。エマルジョンは少なくとも6カ月間60℃で安定を保つことができる。エマルジョンは少なくとも12カ月間60℃で安定を保つことができる。エマルジョンは少なくとも24カ月間60℃で安定を保つことができる。エマルジョンは、点眼剤、クリーム、ゲル、および軟膏、フィルムとして製剤され得る。
【0022】
別の局面では、本明細書において、約0.05%~約1% w/wのマルチキナーゼ阻害剤、約0.1%~約1% w/wのポリオキシル油、約0.05%~約1% w/wの親油性担体、約5%~約15% w/wの可溶化剤、および水を含むエマルジョンが提供される。
【0023】
別の局面では、本明細書において、約0.005%~約2% w/wのマルチキナーゼ阻害剤、約0.1%~約1% w/wのポリオキシル油、約0.05%~約1% w/wの親油性担体、約5%~約15% w/wの可溶化剤、および水を含むエマルジョンが提供される。
【0024】
実施は、次の特徴の1つまたは複数を含み得る。マルチキナーゼ阻害剤は、約0.1%~約0.5% w/wの量で存在し得る。ポリオキシル油は、約0.3%~約0.7% w/wの量で存在し得る。親油性担体は、約0.1%~約0.5% w/wの量で存在し得る。可溶化剤は、約8%~約12% w/wの量で存在し得る。
【0025】
別の局面では、本明細書において、約0.1%~約0.5% w/wのマルチキナーゼ阻害剤、約0.3%~約0.7% w/wのポリオキシル油、約0.1%~約0.5% w/wの親油性担体、約8%~約12% w/wの可溶化剤、および水を含むエマルジョンが提供される。
【0026】
本明細書において提供されるエマルジョンの実施は、次の特徴の1つまたは複数を含み得る。マルチキナーゼ阻害剤は、約0.2% w/wの量で存在し得る。ポリオキシル油は、約0.5% w/wの量で存在し得る。親油性担体は、約0.25% w/wの量で存在し得る。可溶化剤は、約10% w/wの量で存在し得る。
【0027】
別の局面では、本明細書において、約0.2% w/wのマルチキナーゼ阻害剤、約0.5% w/wのポリオキシル油、約0.25% w/wの親油性担体、約10% w/wの可溶化剤、水を含むエマルジョンが提供される。
【0028】
本明細書において提供されるエマルジョンの実施は、次の特徴の1つまたは複数を含み得る。マルチキナーゼ阻害剤は、アファチニブ、アムバチニブ、アキシチニブ、カボザンチニブ、カネルチニブ、セジラニブ、セリチニブ、クレノラニブ、クリゾチニブ、ダブラフェニブ、ダコミチニブ、ダサチニブ、エルロチニブ、フォレチニブ、ゲフィチニブ、ゴルバチニブ、イブルチニブ、イコチニブ、イデラリシブ、イマチニブ、ラパチニブ、レンバチニブ、ネラチニブ、ニロチニブ、ニンテダニブ、パルボシクリブ、パゾパニブ、ポナチニブ、キザルチニブ、レゴラフェニブ、ルキソリチニブ、ソラフェニブ、スニチニブ、タンズチニブ、チバンチニブ、チボザニブ、トラメチニブ、バンデタニブ、バタラニブ、ベムラフェニブ、またはそれらの組み合わせからなる群より選択され得る。マルチキナーゼ阻害剤は、アキシチニブ、ニンテダニブ、およびパゾパニブから選択され得る。マルチキナーゼ阻害剤は、アキシチニブであり得る。マルチキナーゼ阻害剤は、ニンテダニブであり得る。マルチキナーゼ阻害剤は、パゾパニブであり得る。可溶化剤は、環式多糖であり得る。環式多糖は、シクロデキストリン、α-シクロデキストリン、β-シクロデキストリン、γ-シクロデキストリン、2-ヒドロキシプロピル-α-シクロデキストリン、2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン、2-ヒドロキシプロピル-γ-シクロデキストリン、スルホブチルエーテル-β-シクロデキストリン、およびそれらの組み合わせからなる群より選択され得る。可溶化剤は、2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンを含み得る(または、であり得る)。ポリオキシル油は、ポリオキシルヒマシ油であり得る。ポリオキシルヒマシ油は、ポリオキシル-40ヒマシ油、ポリオキシル-35ヒマシ油、またはそれらの組み合わせであり得る。親油性担体は、ヒマシ油、スクアラン、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコール、イソステアリン酸イソステアリル、ミリスチン酸イソプロピル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、鉱油、シリコーン油、カプリル/カプリントリグリセリド、中鎖トリグリセリド、およびそれらの組み合わせからなる群より選択され得る。親油性担体は、ヒマシ油を含み得る(または、であり得る)。エマルジョンは、界面活性剤をさらに含み得る。いくつかの態様では、界面活性剤は、ポリソルベート20、ポリソルベート40、ポリソルベート60、ポリソルベート80、ポリオキシル-40-ステアラート、トコフェロール、およびそれらの組み合わせからなる群より選択され得る。界面活性剤は、約0.05%~約5% w/wの量で存在し得る。界面活性剤は、約0.1%~約1% w/wの量で存在し得る。界面活性剤は、約0.5% w/wの量で存在し得る。エマルジョンは、増粘剤、緩衝剤、等張化剤、抗酸化剤、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される追加構成成分をさらに含み得る。増粘剤は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、またはそれらの組み合わせを含み得る。増粘剤は、約0.01% w/w~約1.0% w/wの量で存在し得る。増粘剤は、約0.05% w/w~約0.5% w/wの量で存在し得る。増粘剤は、約0.1% w/wの量で存在し得る。緩衝剤は、クエン酸ナトリウムを含み得る(または、であり得る)。緩衝剤は、エマルジョン中、pHを約5.5~約6.5の範囲に維持するのに十分な量で存在し得る。緩衝剤は、約0.01% w/w~約1.0% w/wの量で存在し得る。緩衝剤は、約0.03% w/w~約0.06% w/wの量で存在し得る。緩衝剤は、約0.045% w/wの量で存在し得る。抗酸化剤は、エデト酸二ナトリウム、クエン酸、またはそれらの組み合わせを含み得る。抗酸化剤は、エデト酸二ナトリウムを含み得、エデト酸二ナトリウムは約0.01% w/w~約1.0% w/wの量で存在し得る。抗酸化剤は、エデト酸二ナトリウムを含み得、エデト酸二ナトリウムは約0.05% w/w~約0.5% w/wの量で存在し得る。抗酸化剤は、エデト酸二ナトリウムを含み得、エデト酸二ナトリウムは約0.1% w/wの量で存在し得る。抗酸化剤は、クエン酸を含み得、クエン酸は約0.001%~約0.1% w/wの量で存在し得る。抗酸化剤は、クエン酸を含み得、クエン酸は約0.005%~約0.05% w/wの量で存在し得る。抗酸化剤は、クエン酸を含み得、クエン酸は約0.015%の量で存在し得る。等張化剤は、グリセリンを含み得る(または、であり得る)。等張化剤は、約0.01% w/w~約1% w/wの量で存在し得る。等張化剤は、約0.05% w/w~約0.5% w/wの量で存在し得る。等張化剤は、約0.1% w/wの量で存在し得る。
【0029】
別の局面では、本明細書において、ニンテダニブ、アキシチニブ、およびパゾパニブからなる群より選択される約0.2% w/wのマルチキナーゼ阻害剤、約0.5% w/wのポリオキシルヒマシ油、約0.25% w/wのヒマシ油、約10% w/wの2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン、および水を含むエマルジョンが提供される。
【0030】
実施は、次の特徴の1つまたは複数を含み得る。マルチキナーゼ阻害剤は、アキシチニブであり得る。マルチキナーゼ阻害剤は、ニンテダニブであり得る。マルチキナーゼ阻害剤は、パゾパニブであり得る。ポリオキシルヒマシ油は、ポリオキシル-40ヒマシ油、ポリオキシル-35ヒマシ油、またはそれらの組み合わせであり得る。エマルジョンは、約0.5% w/wの量のポリソルベート80をさらに含み得る。エマルジョンは、約0.1% w/wの量のヒドロキシプロピルメチルセルロースをさらに含み得る。エマルジョンは、約0.045% w/wの量のクエン酸ナトリウムをさらに含み得る。エマルジョンは、約0.1% w/wの量のエデト酸二ナトリウムをさらに含み得る。エマルジョンは、約0.015%の量のクエン酸をさらに含み得る。エマルジョンは、約0.1% w/wの量のグリセリンをさらに含み得る。
【0031】
別の局面では、本明細書において、マルチキナーゼ阻害剤の眼球表面の滞留時間を長引かせる方法が提供され、本方法は、本明細書において提供される任意の1つまたは複数のエマルジョンを投与する段階を含む。
【0032】
実施は、次の特徴の1つまたは複数を含み得る。投与する段階は、エマルジョンを目に少なくとも1日1回適用することを含み得る。投与する段階は、エマルジョンを目に少なくとも1日2回適用することを含み得る。投与する段階は、エマルジョンを目に少なくとも1日3回適用することを含み得る。投与する段階は、エマルジョンを目に1日1回適用することを含み得る。投与する段階は、エマルジョンを目に1日2回適用することを含み得る。投与する段階は、エマルジョンを目に1日3回適用することを含み得る。
【0033】
別の局面では、本明細書において、眼の状態を治療する方法が提供され、本方法は、本明細書において提供される任意の1つまたは複数のエマルジョンを対象の目に投与する段階を含む。眼の状態は、血管新生と関連し得る。
【0034】
実施は、次の特徴の1つまたは複数を含み得る。眼の状態は、充血、新血管新生、翼状片、瞼裂斑、緑内障濾過手術および最小侵襲緑内障手術(MIGS)、移植片拒絶反応のある角膜移植手術、移植片対宿主病、ドライアイ疾患、アトピー性結膜炎、酒さ、眼類天疱瘡、ライエル症候群、スティーブンス・ジョンソン症候群、ウイルス感染症(たとえばHSV-1)、細菌感染症、真菌感染症、寄生虫感染症、コンタクトレンズによる新血管新生、潰瘍症、アルカリ熱傷、ならびに幹細胞疲弊症からなる群より選択され得る。エマルジョンは少なくとも1カ月間40℃で安定を保つことができる。エマルジョンは少なくとも6カ月間40℃で安定を保つことができる。エマルジョンは少なくとも12カ月間40℃で安定を保つことができる。エマルジョンは少なくとも24カ月間40℃で安定を保つことができる。投与する段階は、エマルジョンを目に少なくとも1日1回適用することを含み得る。投与する段階は、エマルジョンを目に少なくとも1日2回適用することを含み得る。投与する段階は、エマルジョンを目に少なくとも1日3回適用することを含み得る。投与する段階は、エマルジョンを目に1日1回適用することを含み得る。投与する段階は、エマルジョンを目に1日2回適用することを含み得る。投与する段階は、エマルジョンを目に1日3回適用することを含み得る。
【0035】
別の局面では、本明細書において、本明細書に記載されるいずれかのエマルジョンを調製する方法が提供され、本方法は、第一エマルジョンを形成する段階、第一エマルジョンの液滴サイズを縮小してナノエマルジョンを形成する段階、マルチキナーゼ阻害剤を溶液に溶解させる段階、ナノエマルジョンと該溶液とを組み合わせて、マルチキナーゼ阻害剤を含むナノエマルジョンを形成する段階;および任意で、マルチキナーゼ阻害剤を含むナノエマルジョンを濾過する段階を含む。
【0036】
別の局面では、本明細書において、エマルジョンを調製する方法が提供され、本方法は、第一エマルジョンを形成する段階、第一エマルジョンの液滴サイズを縮小してナノエマルジョンを形成する段階、マルチキナーゼ阻害剤を溶液に溶解させる段階、ナノエマルジョンと該溶液とを組み合わせて、マルチキナーゼ阻害剤を含むナノエマルジョンを形成する段階;および任意で、マルチキナーゼ阻害剤を含むナノエマルジョンを濾過する段階を含む。
【0037】
方法の実施は、次の特徴の1つまたは複数を含み得る。第一エマルジョンを形成する段階は、高シア混合を含み得る。液滴サイズを縮小する段階は、マイクロフルイダイザーを用いることを含み得る。濾過する段階は、0.2ミクロンフィルターを用いることを含み得る。方法は、濾過したナノエマルジョンを滅菌点眼ボトルに充填することをさらに含み得る。滅菌点眼ボトルは、保存料を含まない複数回分(MDPF)容器、または低密度ポリエチレン(LDPE)単位用量容器である。第一エマルジョンは、ポリオキシル油、親油性担体、および水を含み得る。マルチキナーゼ阻害剤は、アファチニブ、アムバチニブ、アキシチニブ、カボザンチニブ、カネルチニブ、セジラニブ、セリチニブ、クレノラニブ、クリゾチニブ、ダブラフェニブ、ダコミチニブ、ダサチニブ、エルロチニブ、フォレチニブ、ゲフィチニブ、ゴルバチニブ、イブルチニブ、イコチニブ、イデラリシブ、イマチニブ、ラパチニブ、レンバチニブ、ネラチニブ、ニロチニブ、ニンテダニブ、パルボシクリブ、パゾパニブ、ポナチニブ、キザルチニブ、レゴラフェニブ、ルキソリチニブ、ソラフェニブ、スニチニブ、タンズチニブ、チバンチニブ、チボザニブ、トラメチニブ、バンデタニブ、バタラニブ、ベムラフェニブ、またはそれらの組み合わせから選択され得る。マルチキナーゼ阻害剤は、アキシチニブ、ニンテダニブ、およびパゾパニブから選択され得る。マルチキナーゼ阻害剤は、アキシチニブであり得る。マルチキナーゼ阻害剤は、ニンテダニブであり得る。マルチキナーゼ阻害剤は、パゾパニブであり得る。溶液は、可溶化剤をさらに含み得る。可溶化剤は、環式多糖であり得る。環式多糖は、シクロデキストリン、α-シクロデキストリン、β-シクロデキストリン、γ-シクロデキストリン、2-ヒドロキシプロピル-α-シクロデキストリン、2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン、2-ヒドロキシプロピル-γ-シクロデキストリン、スルホブチルエーテル-β-シクロデキストリン、およびそれらの組み合わせからなる群より選択され得る。ポリオキシル油は、ポリオキシルヒマシ油であり得る。ポリオキシルヒマシ油は、ポリオキシル-40ヒマシ油、ポリオキシル-35ヒマシ油、またはそれらの組み合わせであり得る。親油性担体は、ヒマシ油、スクアラン、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコール、イソステアリン酸イソステアリル、ミリスチン酸イソプロピル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、鉱油、シリコーン油、カプリル/カプリントリグリセリド、中鎖トリグリセリド、およびそれらの組み合わせからなる群より選択され得る。第一エマルジョンは、ポリソルベート20、ポリソルベート40、ポリソルベート60、ポリソルベート80、ポリオキシル-40-ステアラート、トコフェロール、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される界面活性剤をさらに含み得る。マルチキナーゼ阻害剤はニンテダニブであり得、可溶化剤は2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンであり得、親油性担体はヒマシ油であり得、ポリオキシル油はポリオキシル-35ヒマシ油であり得、またはそれらの組み合わせであり得る。マルチキナーゼ阻害剤は、第一エマルジョン中、約0.001% w/w~約10.0% w/wの量で存在し得る。マルチキナーゼ阻害剤は、第一エマルジョン中、約0.01%~約1% w/wの量で存在し得る。マルチキナーゼ阻害剤は、第一エマルジョン中、約0.1%~約0.5% w/wの量で存在し得る。親油性担体は、第一エマルジョン中、約0.01% w/w~約5.0% w/wの量で存在し得る。親油性担体は、第一エマルジョン中、約0.05%~約1% w/wの量で存在し得る。親油性担体は、第一エマルジョン中、約0.1%~約0.5% w/wの量で存在し得る。ポリオキシル油は、第一エマルジョン中、約0.01% w/w~約10% w/wの量で存在し得る。ポリオキシル油は、第一エマルジョン中、約0.05%~約1% w/wの量で存在し得る。ポリオキシル油は、第一エマルジョン中、約0.1%~約0.5% w/wの量で存在し得る。第一エマルジョンは可溶化剤をさらに含み得、可溶化剤は、第一エマルジョン中、約1% w/w~約20% w/wの量で存在し得る。可溶化剤は、第一エマルジョン中、約5%~約15% w/wの量で存在し得る。可溶化剤は、第一エマルジョン中、約8%~約12% w/wの量で存在し得る。第一エマルジョンは、増粘剤、緩衝剤、等張化剤、抗酸化剤、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される追加構成成分をさらに含み得る。エマルジョンは、本明細書に記載される任意のエマルジョンであり得る。
【0038】
[本発明1001]
治療有効量のマルチキナーゼ阻害剤;
ポリオキシル油;
親油性担体;および

を含む、エマルジョン。
[本発明1002]
前記マルチキナーゼ阻害剤が、アファチニブ、アムバチニブ(amuvatinib)、アキシチニブ、カボザンチニブ、カネルチニブ、セジラニブ、セリチニブ、クレノラニブ、クリゾチニブ、ダブラフェニブ、ダコミチニブ、ダサチニブ、エルロチニブ、フォレチニブ、ゲフィチニブ、ゴルバチニブ(golvatinib)、イブルチニブ、イコチニブ、イデラリシブ、イマチニブ、ラパチニブ、レンバチニブ、ネラチニブ、ニロチニブ、ニンテダニブ、パルボシクリブ、パゾパニブ、ポナチニブ、キザルチニブ、レゴラフェニブ、ルキソリチニブ、ソラフェニブ、スニチニブ、タンズチニブ(tandutinib)、チバンチニブ、チボザニブ、トラメチニブ、バンデタニブ、バタラニブ、ベムラフェニブ、またはそれらの組み合わせから選択される、本発明1001のエマルジョン。
[本発明1003]
前記マルチキナーゼ阻害剤が、アキシチニブ、ニンテダニブ、およびパゾパニブから選択される、本発明1002のエマルジョン。
[本発明1004]
可溶化剤をさらに含む、本発明1001~1003のいずれかのエマルジョン。
[本発明1005]
前記可溶化剤が環式多糖である、本発明1001~1004のいずれかのエマルジョン。
[本発明1006]
前記ポリオキシル油がポリオキシルヒマシ油である、本発明1001~1005のいずれかのエマルジョン。
[本発明1007]
前記ポリオキシルヒマシ油が、ポリオキシル-40ヒマシ油、ポリオキシル-35ヒマシ油、またはそれらの組み合わせである、本発明1006のエマルジョン。
[本発明1008]
ポリソルベート20、ポリソルベート40、ポリソルベート60、ポリソルベート80、ポリオキシル-40-ステアラート、トコフェロール、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される界面活性剤をさらに含む、本発明1001~1007のいずれかのエマルジョン。
[本発明1009]
前記マルチキナーゼ阻害剤がニンテダニブであり、前記可溶化剤が2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンであり、前記親油性担体がヒマシ油であり、かつ前記ポリオキシル油がポリオキシル-35ヒマシ油であり、またはそれらの組み合わせである、本発明1001のエマルジョン。
[本発明1010]
前記マルチキナーゼ阻害剤が、約0.001% w/w~約10.0% w/wの量で存在している、本発明1001~1009のいずれかのエマルジョン。
[本発明1011]
約0.005%~約2% w/wのマルチキナーゼ阻害剤;
約0.1%~約1% w/wのポリオキシル油;
約0.05%~約1% w/wの親油性担体;
約5%~約15% w/wの可溶化剤;および

を含む、エマルジョン。
[本発明1012]
前記マルチキナーゼ阻害剤が、約0.1%~約0.5% w/wの量で存在している、本発明1011のエマルジョン。
[本発明1013]
前記ポリオキシル油が、約0.3%~約0.7% w/wの量で存在している、本発明1011または1012のエマルジョン。
[本発明1014]
前記親油性担体が、約0.1%~約0.5% w/wの量で存在している、本発明1011~1013のいずれかのエマルジョン。
[本発明1015]
前記可溶化剤が、約8%~約12% w/wの量で存在している、本発明1011~1014のいずれかのエマルジョン。
[本発明1016]
前記マルチキナーゼ阻害剤が、約0.2% w/wの量で存在している、本発明1011~1015のいずれかのエマルジョン。
[本発明1017]
前記ポリオキシル油が、約0.5% w/wの量で存在している、本発明1011~1016のいずれかのエマルジョン。
[本発明1018]
前記親油性担体が、約0.25% w/wの量で存在している、本発明1011~1017のいずれかのエマルジョン。
[本発明1019]
前記可溶化剤は、約10% w/wの量で存在している、本発明1011~1018のいずれかのエマルジョン。
[本発明1020]
前記マルチキナーゼ阻害剤が、アファチニブ、アムバチニブ、アキシチニブ、カボザンチニブ、カネルチニブ、セジラニブ、セリチニブ、クレノラニブ、クリゾチニブ、ダブラフェニブ、ダコミチニブ、ダサチニブ、エルロチニブ、フォレチニブ、ゲフィチニブ、ゴルバチニブ、イブルチニブ、イコチニブ、イデラリシブ、イマチニブ、ラパチニブ、レンバチニブ、ネラチニブ、ニロチニブ、ニンテダニブ、パルボシクリブ、パゾパニブ、ポナチニブ、キザルチニブ、レゴラフェニブ、ルキソリチニブ、ソラフェニブ、スニチニブ、タンズチニブ、チバンチニブ、チボザニブ、トラメチニブ、バンデタニブ、バタラニブ、ベムラフェニブ、またはそれらの組み合わせからなる群より選択される、本発明1011~1019のいずれかのエマルジョン。
[本発明1021]
前記マルチキナーゼ阻害剤が、アキシチニブ、ニンテダニブ、およびパゾパニブから選択される、本発明1011~1020のいずれかのエマルジョン。
[本発明1022]
前記可溶化剤が、環式多糖である、本発明1011~1021のいずれかのエマルジョン。
[本発明1023]
前記環式多糖が、シクロデキストリン、α-シクロデキストリン、β-シクロデキストリン、γ-シクロデキストリン、2-ヒドロキシプロピル-α-シクロデキストリン、2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン、2-ヒドロキシプロピル-γ-シクロデキストリン、スルホブチルエーテル-β-シクロデキストリン、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、本発明1022のエマルジョン。
[本発明1024]
前記可溶化剤が、2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンを含む、本発明1011~1023のいずれかのエマルジョン。
[本発明1025]
ニンテダニブ、アキシチニブ、およびパゾパニブからなる群より選択される、約0.2% w/wのマルチキナーゼ阻害剤;
約0.5% w/wのポリオキシルヒマシ油;
約0.25% w/wのヒマシ油:
約10% w/wの2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン;および

を含む、エマルジョン。
[本発明1026]
本発明1001~1025のいずれかのエマルジョンを対象の目に投与する段階を含む、眼の状態を治療する方法。
本発明の1つまたは複数の態様の詳細を添付の図面および以下の詳細な説明に示す。本発明のその他の特徴、目的、および利点は、詳細な説明および図面、ならびに特許請求の範囲から明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】本明細書に記載される組成物のいくつかの態様で使われる、例示的な二相乗作用的エマルジョンおよび可溶化剤系の概念の例示的な図である。
図2】実施例6の0.2% ニンテダニブエマルジョンまたは溶液によるウサギにおけるCNVの低下を示すプロットである。
【発明を実施するための形態】
【0040】
発明の詳細な説明
本明細書における詳細な説明は、本発明の様々な態様を理解するための詳細を示すものであり、また、提供されている開示は特許請求の範囲を特定の態様に限定するものではなく、特許請求の主題を例示するものである、という理解のもとに作成されている。したがって、本明細書に開示されている特定の態様を、便宜上および構成上提供されている様々な見出しの下の特定の態様など、本明細書に開示されている他の特定の態様と組み合わせてもよいが、何ら特許請求の範囲を限定するとは解釈すべきではない。
【0041】
本明細書において引用する公開文書はすべて、参照によりそれらの全文が本明細書に組み入れられる。
【0042】
本明細書で使用する場合、単数形の「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、文脈から明白でない限り、複数形も含むものとする。
【0043】
本明細書で使用する場合、特に明言しない限り、「約」という用語は、数値または値の範囲との関連で用いられる場合、その値または値の範囲が当業者にとって妥当と思われる程度外れていてもよいことを記載するために提供される(たとえば特定の温度または温度範囲)。たとえば「約」という用語は、この文脈で用いられる場合、いくつかの態様では、数値または値の範囲が、記述された値または値の範囲の5%、4%、3%、2%、1%、0.9%、0.8%、0.7%、0.6%、0.5%、0.4%、0.3%、0.2%、または0.1%だけ異なってもよいことを示し得る。いくつかの態様では、数値または値の範囲は、5%だけ異なってもよい。
【0044】
ニンテダニブ、アキシチニブ、およびパゾパニブは、血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)、血小板由来増殖因子受容体(PDGFR)および/または線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)に対する3種の強力なマルチキナーゼ阻害剤である。ニンテダニブ、アキシチニブ、およびパゾパニブは、経口カプセルまたは錠剤として製剤すると、様々なタイプの癌を治療する有効な薬物療法になる。しかし、ニンテダニブ、アキシチニブ、およびパゾパニブは水に溶けず、可溶性は室温で0.001 mg/mL未満である。こうした物理的および化学的特性は、それらの適用を制限し得、かつ局所用眼内投与により標的の眼組織に治療有効濃度を有効に送達できなくし得る。驚くべきことに、任意で環式オリゴ糖(たとえば2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン)などの可溶化剤と組み合わされたエマルジョン系の相乗効果が、望ましい貯蔵寿命を実現する十分な安定性のある、治療有効濃度のニンテダニブ、アキシチニブ、またはパゾパニブなどのマルチキナーゼ阻害剤の成功裏の製剤を可能にすることが見出された。たとえば、意外にも、エマルジョン、および任意で可溶化剤が、ニンテダニブ、アキシチニブ、またはパゾパニブなどのマルチキナーゼ阻害剤の可溶性に相加効果を上回る効果をもたらすことが見出された。図1に示すように、ニンテダニブ、アキシチニブ、またはパゾパニブなどのマルチキナーゼ阻害剤は、環式オリゴ糖の中央キャビティに有効に捕捉させることにより、この環式オリゴ糖系に溶解させることができた。2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンなどの環式オリゴ糖だけでも、ニンテダニブ、アキシチニブ、またはパゾパニブなどのマルチキナーゼ阻害剤を所望の濃度まで溶解させることができるが、環式オリゴ糖-マルチキナーゼ阻害剤複合体はなおも解離でき、そして長期保管時にマルチキナーゼ阻害剤を沈殿させることができる。さらに、驚くべきことに、本明細書に記載されるエマルジョン系は、さほど頻繁に投与しなくても(たとえば1日2回)、たとえば溶液製剤(たとえば1日3回以上投与される)と比べて、(たとえば様々な組織で)同様のまたは優れた有効性および/または薬物動態特性を実証できることが示された。
【0045】
安定性をさらに改善するために、いくつかの態様では、ニンテダニブ、アキシチニブ、またはパゾパニブなどのマルチキナーゼ阻害剤は、ヒマシ油親油性担体などの親油性担体系、ならびにポリソルベート80およびポリオキシル-35ヒマシ油などの1つまたは複数の界面活性剤と、複合体を形成することができ、マルチキナーゼ阻害剤は親油性担体系の油滴の界面に有効に溶解して、安定した製剤を形成する。いくつかの態様では、マルチキナーゼ阻害剤製剤の可溶性および安定性は、油滴サイズが約200 nm以下の場合、さらに大幅に改善され得る。しかし、ニンテダニブ、アキシチニブ、またはパゾパニブを局所用眼内投与用の所望の濃度まで溶解させるのに必要な、ポリソルベート80および/またはポリオキシル-35ヒマシ油などの界面活性剤を含むヒマシ油などの親油性担体系のみの中の界面活性剤の濃度は、ヒトの目に刺激を与える場合がある。低濃度のヒマシ油、ポリソルベート80、ポリオキシル-35ヒマシ油のエマルジョンまたはナノエマルジョンを、任意で環式オリゴ糖と組み合わせて使うことで相乗効果が生まれ、ニンテダニブ、アキシチニブ、またはパゾパニブの全体的な可溶性を改善して、目的の可溶性および製剤安定性と十分な貯蔵寿命とを実現することができる。
【0046】
いくつかの態様では、本明細書に記載される組成物は、少なくとも6カ月、少なくとも8カ月、少なくとも10カ月、少なくとも12カ月、少なくとも15カ月、少なくとも18カ月、少なくとも24カ月、またはそれ以上、室温(25℃)で安定を保つことができる。いくつかの態様では、本明細書に記載される組成物は、少なくとも1カ月、2カ月、3カ月、4カ月、5カ月、または6カ月以上、昇温(たとえば40℃~60℃)で安定を保つことができる。いくつかの態様では、本明細書に記載される組成物は、少なくとも1カ月、2カ月、3カ月、4カ月、5カ月、または6カ月以上、40℃で安定を保つことができる。いくつかの態様では、本明細書に記載される組成物は、少なくとも1カ月、2カ月、3カ月、4カ月、5カ月、または6カ月以上、60℃で安定を保つことができる。
【0047】
安定性は、たとえば調合物の外観の観測、沈殿の観察、pH変化の観察、モル浸透圧濃度の観察、エマルジョン相安定性の観察、エマルジョン液滴サイズの観察等などの当技術分野で公知の方法により、決定することができる。いくつかの態様では、組成物は、少なくとも6カ月、少なくとも8カ月、少なくとも10カ月、少なくとも12カ月、少なくとも15カ月、少なくとも18カ月、少なくとも24カ月、またはそれ以上、室温(25℃)で、約4 pH~約8 pHのpH範囲を維持する。いくつかの態様では、組成物は、少なくとも1カ月、2カ月、3カ月、4カ月、5カ月、または6カ月以上、昇温(たとえば40℃~60℃)で、約4 pH~約8 pHのpH範囲を維持する。いくつかの態様では、組成物は、少なくとも6カ月、少なくとも8カ月、少なくとも10カ月、少なくとも12カ月、少なくとも15カ月、少なくとも18カ月、少なくとも24カ月、またはそれ以上、室温(25℃)で、約5 pH~約6 pHのpH範囲を維持する。いくつかの態様では、組成物は、少なくとも1カ月、2カ月、3カ月、4カ月、5カ月、または6カ月以上、昇温(たとえば40℃~60℃)で、約5 pH~約6 pHのpH範囲を維持する。いくつかの態様では、マルチキナーゼ阻害剤は、少なくとも6カ月、少なくとも8カ月、少なくとも10カ月、少なくとも12カ月、少なくとも15カ月、少なくとも18カ月、少なくとも24カ月、またはそれ以上、室温(25℃)で、組成物から沈殿しない。いくつかの態様では、マルチキナーゼ阻害剤は、少なくとも1カ月、2カ月、3カ月、4カ月、5カ月、または6カ月以上、昇温(たとえば40℃~60℃)で、組成物から沈殿しない。
【0048】
いくつかの態様では、組成物は、少なくとも6カ月、少なくとも8カ月、少なくとも10カ月、少なくとも12カ月、少なくとも15カ月、少なくとも18カ月、少なくとも24カ月、またはそれ以上、室温(25℃)で、約250 mOsm/kg~約400 mOsm/kgのモル浸透圧濃度を維持する。いくつかの態様では、組成物は、少なくとも1カ月、2カ月、3カ月、4カ月、5カ月、または6カ月以上、昇温(たとえば40℃~60℃)で、約250 mOsm/kg~約400 mOsm/kgのモル浸透圧濃度を維持する。
【0049】
いくつかの態様では、少なくとも6カ月、少なくとも8カ月、少なくとも10カ月、少なくとも12カ月、少なくとも15カ月、少なくとも18カ月、少なくとも24カ月、またはそれ以上、室温(25℃)で、マルチキナーゼ阻害剤の少なくとも99%が組成物中に溶解したままである。いくつかの態様では、少なくとも1カ月、2カ月、3カ月、4カ月、5カ月、または6カ月以上、昇温(たとえば40℃~60℃)で、マルチキナーゼ阻害剤の少なくとも99%が組成物中に溶解したままである。いくつかの態様では、少なくとも6カ月、少なくとも8カ月、少なくとも10カ月、少なくとも12カ月、少なくとも15カ月、少なくとも18カ月、少なくとも24カ月、またはそれ以上、室温(25℃)で、マルチキナーゼ阻害剤の少なくとも99.5%が組成物中に溶解したままである。いくつかの態様では、少なくとも1カ月、2カ月、3カ月、4カ月、5カ月、または6カ月以上、昇温(たとえば40℃~60℃)で、マルチキナーゼ阻害剤の少なくとも99.5%が組成物中に溶解したままである。
【0050】
いくつかの態様では、少なくとも6カ月、少なくとも8カ月、少なくとも10カ月、少なくとも12カ月、少なくとも15カ月、少なくとも18カ月、少なくとも24カ月、またはそれ以上、室温(25℃)で、マルチキナーゼ阻害剤の100%が組成物中に溶解したままである。いくつかの態様では、少なくとも1カ月、2カ月、3カ月、4カ月、5カ月、または6カ月以上、昇温(たとえば40℃~60℃)で、マルチキナーゼ阻害剤の100%が組成物中に溶解したままである。
【0051】
このユニークな製剤系はまた、ヒトでも動物でも十分に耐容性を示し、目の前方セグメントに影響する疾患などの様々な眼の状態の有効な治療選択肢となり得る。さらに、ナトリウムカルボキシメチルセルロースまたはヒドロキシプロピルメチルセルロースなどの増粘剤が添加されたナノエマルジョンなどのエマルジョンは、局所投与されると、罹患した眼球表面での薬物半減期を増長させ得、したがって眼球表面での薬物滞留時間が増加し、かつ薬学的に有効な治療は維持されつつ投与回数が減少する。
【0052】
いくつかの態様では、本開示は、治療有効量のマルチキナーゼ阻害剤(たとえばニンテダニブまたはアキシチニブまたはパゾパニブ)を含む眼用組成物を提供し、任意で、ナノエマルジョンなどのエマルジョンと、可溶化剤としての2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンなどの環式オリゴ糖との上記の組み合わせが、目への局所投与に好適である。いくつかの態様では、充血、新血管新生、翼状片、瞼裂斑、緑内障濾過手術および最小侵襲緑内障手術(MIGS)、移植片拒絶反応のある角膜移植手術、移植片対宿主病、ドライアイ疾患、アトピー性結膜炎、酒さ、眼類天疱瘡、ライエル症候群、スティーブンス・ジョンソン症候群、ウイルス感染症(たとえばHSV-1)、細菌感染症、真菌感染症、寄生虫感染症、コンタクトレンズによる新血管新生、潰瘍症、アルカリ熱傷、幹細胞疲弊症などの血管新生と関連する眼の状態を治療する方法が提供され、これも本明細書で開示されており、少なくとも1つの眼の状態の症状が、緩和され、退行し、または停止する。本明細書で使用する場合、特に明言しない限り、「ニンテダニブまたはアキシチニブまたはパゾパニブ」という用語は、それらの遊離塩基、塩、アナログ、エステル、およびそれらの組み合わせを含む。
【0053】
さらに、本明細書において開示される組成物は、アファチニブ、アムバチニブ、カボザンチニブ、カネルチニブ、セジラニブ、セリチニブ、クレノラニブ、クリゾチニブ、ダブラフェニブ、ダコミチニブ、ダサチニブ、エルロチニブ、フォレチニブ、ゲフィチニブ、ゴルバチニブ、イブルチニブ、イコチニブ、イデラリシブ、イマチニブ、ラパチニブ、レンバチニブ、ネラチニブ、ニロチニブ、パルボシクリブ、ポナチニブ、キザルチニブ、レゴラフェニブ、ルキソリチニブ、ソラフェニブ、スニチニブ、タンズチニブ、チバンチニブ、チボザニブ、トラメチニブ、バンデタニブ、バタラニブ、およびベムラフェニブなど、類似の薬理学的プロファイルならびに物理的および化学的特性をもつマルチキナーゼ阻害剤との化合物を含み得る。
【0054】
いくつかの態様では、本明細書に記載される組成物は、対象の罹患した目の1つまたは複数の眼の状態の治療に有用であり得る。本明細書に記載される組成物を対象の罹患した目に投与する段階を含む方法が、本明細書において提供される。いくつかの態様では、眼の状態は、目の前方セグメントまたは後方セグメントにおいて血管新生から生じるあらゆる目の状態であり得る。治療される対象は、あらゆる年齢またはジェンダーであり得る。いくつかの態様では、対象は、ヒトであり得る。いくつかの態様では、対象は、非ヒト哺乳類であり得る。
【0055】
いくつかの態様では、本明細書において開示される薬学的組成物は、「治療有効量」の本明細書に記載される剤を含み得る。そのような有効量は、投与される剤の効果に基づき、または2種以上の剤が用いられる場合は併用効果に基づき、決定され得る。剤の治療有効量は、個体の疾患状態、年齢、性別、および体重などの要因、ならびに個体において化合物が所望の応答、たとえば少なくとも1つの障害パラメーターの寛解、または障害の少なくとも1つの症状の寛解を引き出す能力によっても変わり得る。治療有効量はまた、組成物の治療上有益な効果があらゆる毒性または有害効果を上回る量である。本明細書で使用する場合、投与量は、治療すべき眼の状態と関連する症状を寛解させる、予防する、軽減する、または解消する場合、有効であるとみなされる。
【0056】
いくつかの態様では、ニンテダニブまたはアキシチニブまたはパゾパニブなどのマルチキナーゼ阻害剤は、本明細書に記載される眼用組成物中に約0.001%~約10.0%(w/w)の量で存在し得る。いくつかの態様では、マルチキナーゼ阻害剤は、約0.005%~約2%(w/w)、約0.001%~約1%(w/w)、約0.001%~約0.005%(w/w)、約0.005%~約0.01%(w/w)、約0.01%~約0.05%(w/w)、約0.05%~約0.1%(w/w)、約0.01%~約1%(w/w)、約0.05%~約0.5%、約0.01%~約0.8%(w/w)、約0.3%~約0.7%(w/w)、約0.4%~約0.6%(w/w)、約0.1%~約10%(w/w)、約0.1%~約0.5%(w/w)、約0.2%~約8%(w/w)、約0.4%~約5%(w/w)、または約0.4%~約2%(w/w)の量で存在している。いくつかの態様では、マルチキナーゼ阻害剤は、約0.5%(w/w)の濃度で存在している。いくつかの態様では、マルチキナーゼ阻害剤は、約0.2%(w/w)の濃度で存在している。いくつかの態様では、マルチキナーゼ阻害剤の少なくとも99%が組成物に溶解している。いくつかの態様では、マルチキナーゼ阻害剤の少なくとも99.5%が組成物に溶解している。いくつかの態様では、マルチキナーゼ阻害剤の100%が組成物に溶解している。
【0057】
いくつかの態様では、開示される組成物は、エマルジョン、溶液、懸濁液、ゲル、軟膏、密封フィルム、または持効性製剤であり得、それらは保存製剤であっても非保存製剤であってもよい。いくつかの態様では、開示される組成物は、エマルジョンであり得る。いくつかの態様では、開示される組成物は、ナノエマルジョンであり得る。エマルジョンは、任意の適切な液滴サイズを有し得る(たとえば約10 nm~約1万 nm、約100 nm~約500 nm、約500 nm未満、約400 nm未満、約300 nm未満、約200 nm未満、または約100 nm未満)。組成物は、目に適用可能な点眼剤、クリーム、軟膏、フィルム、ゲル、およびインプラント(たとえば持効性インプラント)として製剤され得る。製剤は、それを必要とする対象の目に投与され得る。
【0058】
表1に、可能な製剤成分およびそれらの例示的濃度の非限定例を挙げる。
【0059】
(表1)
【0060】
いくつかの態様では、組成物は、ヒマシ油、スクアラン、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコール、イソステアリン酸イソステアリル、ミリスチン酸イソプロピル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、鉱油、シリコーン油、カプリル/カプリントリグリセリド、中鎖トリグリセリド、およびそれらの組み合わせなどの親油性担体を含み得る。いくつかの態様では、親油性担体は、ヒマシ油を含み得る。いくつかの態様では、親油性ビヒクルは、重量基準で組成物の約0%~約10%(たとえば約0.001%~約10%(w/w)、約0.01%~約5.0%(w/w)、約0.05%~約1.0%(w/w)、または約0.1%~約0.5%(w/w))の量で存在し得る。いくつかの態様では、親油性担体は、約0.25%(w/w)の量で存在し得る。
【0061】
いくつかの態様では、組成物は、ポリソルベート20、ポリソルベート40、ポリソルベート60、ポリソルベート80、ポリオキシル-40-ステアラート、ポリオキシル-35ヒマシ油、ポリオキシル-40ヒマシ油、トコフェロール、他の高分子乳化剤、およびそれらの組み合わせなどの1つまたは複数の界面活性剤を含み得る。いくつかの態様では、組成物は、ポリオキシルヒマシ油(たとえばポリオキシル-35ヒマシ油、ポリオキシル-40ヒマシ油、またはそれらの組み合わせ)(たとえばCREMOPHOR(登録商標)またはKOLLIPHOR(登録商標))などのポリオキシル油である界面活性剤を含み得る。そのようないくつかの態様では、組成物は、ポリオキシル油ではない1つまたは複数の追加の界面活性剤(たとえばポリソルベート20、ポリソルベート40、ポリソルベート60、ポリソルベート80、またはそれらの組み合わせなどのポリソルベート)をさらに含み得る。いくつかの態様では、界面活性剤は、重量基準で組成物の約0%~約10%(たとえば約0.001%~約10%(w/w)、約0.05%~約5%(w/w)、約0.01%~約1.0%(w/w)、または約0.1%~約0.5%(w/w))の量で存在し得る。いくつかの態様では、界面活性剤は、約0.5%(w/w)の量で存在し得る。いくつかの態様では、ポリオキシル油は、重量基準で組成物の約0%~約10%(たとえば約0.001%~約10%(w/w)、約0.05%~約5%(w/w)、約0.01%~約1.0%(w/w)、または約0.1%~約0.5%(w/w))の量で存在し得る。いくつかの態様では、ポリオキシル油は、約0.5%(w/w)の量で存在し得る。そのようないくつかの態様では、第2の界面活性剤は、重量基準で組成物の約0%~約10%(たとえば約0.001%~約10%(w/w)、約0.05%~約5%(w/w)、約0.01%~約1.0%(w/w)、または約0.1%~約0.5%(w/w))の量で存在し得る。いくつかの態様では、第2の界面活性剤は、約0.5%(w/w)の量で存在し得る。
【0062】
いくつかの態様では、組成物は、塩化ナトリウム、グリセリン、マンニトール、塩化カリウム、エリスリトール、およびそれらの組み合わせなどの等張化剤を、モル浸透圧濃度を250~400 mOsm/kgの範囲(たとえば約250~約300 mOsm/kgまたは約300~約400 mOsm/kg)に維持するのに十分な量で含み得る。いくつかの態様では、等張化剤は、グリセリンを含み得る。いくつかの態様では、等張化剤は、重量基準で組成物の約0~約10%(たとえば約0%~約3%、約0.1%~約10%(w/w)、約0.01%~約1%(w/w)、または約0.05%~約0.5%(w/w))の量で存在し得る。いくつかの態様では、等張化剤は、約0.1%(w/w)の量で存在し得る。
【0063】
いくつかの態様では、組成物は、エデト酸二ナトリウム、ジブチルヒドロキシトルエン、クエン酸、メタ重亜硫酸ナトリウム、酢酸トコフェロール、およびそれらの組み合わせなどの抗酸化剤を含み得る。いくつかの態様では、抗酸化剤は、エデト酸二ナトリウム、クエン酸、およびそれらの組み合わせからなる群より選択され得る。いくつかの態様では、抗酸化剤は、重量基準で組成物の約0~約1%(たとえば約0.01%~約1.0%(w/w)または約0.05%~約0.5%(w/w)の量で存在し得る。いくつかの態様では、抗酸化剤は、約0.115%(w/w)の量で存在し得る。いくつかの態様では、抗酸化剤は、エデト酸二ナトリウムを含み得、エデト酸二ナトリウムは、約0.01%~約1.0%(w/w)、約0.05%~約0.5%(w/w)、または約0.1%(w/w)の量で存在し得る。いくつかの態様では、抗酸化剤は、クエン酸を含み得、クエン酸は、約0.001%~約0.1%(w/w)、0.005%~約0.05%(w/w)、または約0.015%(w/w)の量で存在し得る。
【0064】
いくつかの態様では、組成物は、1つまたは複数の緩衝剤を含み得る。好適な緩衝剤は、限定ではないが、リン酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、ホウ酸塩、およびそれらの組み合わせを含む。いくつかの態様では、緩衝剤は、クエン酸ナトリウム二水和物、クエン酸ナトリウム、リン酸ナトリウム一塩基性一水和物、リン酸一ナトリウム一水和物、リン酸ナトリウム二塩基性七水和物、ホウ酸、およびそれらの組み合わせからなる群より選択され得る。いくつかの態様では、緩衝剤は、クエン酸ナトリウム二水和物、クエン酸ナトリウム、およびそれらの組み合わせからなる群より選択され得る。いくつかの態様では、緩衝剤は、クエン酸ナトリウム二水和物、クエン酸ナトリウム、またはそれらの組み合わせからなる群より選択され得る。使用されるバッファー構成要素の量は、製品の貯蔵寿命を通じて組成物のpHを約4~約8の範囲(たとえば約5.0~約7.0、または約5.5~約6.5)に維持するのに十分である。特定の態様では、バッファーは、重量基準で組成物の約0~約2.0%(たとえば約0.01%~約1.0%(w/w)または約0.03%~約0.06%(w/w))の量で存在している。いくつかの態様では、バッファーは、約0.045%(w/w)の量で存在している。
【0065】
いくつかの態様では、組成物は、増粘剤または粘稠剤を含み得る。いくつかの態様では、粘稠剤は、カルボマー、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(たとえばメトキシル基の平均含有率約29%、かつヒドロキシプロピル基の平均含有率約10%のHPMC)、ポリビニルアルコール、キサンタンガム、およびそれらの組み合わせから選択され得る。いくつかの態様では、増粘剤は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、またはそれらの組み合わせであり得る。いくつかの態様では、粘稠剤は、重量基準で組成物の約0%~約3%(たとえば約0.01%~約1.0%(w/w)または約0.05%~約0.5%(w/w))の量で存在し得る。いくつかの態様では、増粘剤は、約0.1%(w/w)の量で存在し得る。
【0066】
いくつかの態様では、組成物は、可溶化剤または可溶性増強剤を含み得る。いくつかの態様では、可溶化剤は、環式オリゴ糖であり得る。いくつかの態様では、可溶化剤または可溶性増強剤は、シクロデキストリン、α-シクロデキストリン、β-シクロデキストリン、γ-シクロデキストリン、2-ヒドロキシプロピル-α-シクロデキストリン、2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン(HPBCDまたはHP-β-CDと呼ばれることもある)、2-ヒドロキシプロピル-γ-シクロデキストリン、スルホブチルエーテル-β-シクロデキストリン、およびそれらの組み合わせから選択され得る。いくつかの態様では、可溶化剤は、2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンを含み得る。いくつかの態様では、可溶化剤または可溶性増強剤は、重量基準で組成物の約0%~約20%(たとえば約1%~約20%(w/w)、約5%~約15%(w/w)、または約8%~約12%(w/w)の量で存在し得る。いくつかの態様では、可溶化剤または可溶性増強剤は、約10%(w/w)の量で存在し得る。
【0067】
いくつかの態様では、組成物は、点眼薬、クリーム、軟膏、フィルム、懸濁液、ゲル等の形態で局所投与され得る。いくつかの態様では、組成物は、対象の片目または両目に投与され得る。
【0068】
本開示のまたは本開示で用いられる組成物は、1つまたは複数の他の構成要素を、1つまたは複数の有用な特性および/または利点を提供するのに有効な量で含み得る。たとえば、本組成物は添加保存料構成要素を実質的に含まなくてもよいが、他の態様では、本組成物は、有効量の保存料構成要素を含む。そのような保存料構成要素の例は、限定ではないが、安定オキシクロロ複合体(たとえばPURITE(登録商標))、塩化ベンザルコニウム(「BAC」または「BAK」)などの四級アンモニウム保存料、ソルビン酸、およびポリオキサマー;ポリヘキサメチレンビグアニデビグアンジド(PHMB)などのビグアニデビグナニド保存料;メチルパラベンおよびエチルパラベン;ヘキセチジン;安定二酸化塩素、金属亜塩素酸塩等の亜塩素酸塩構成要素;その他の眼内で許容される保存料およびそれらの混合物を含む。本組成物中に保存料構成要素が存在する場合、その濃度は、組成物を保存するのに有効な濃度であり、組成物の体積の約0%~約2.0%の範囲でしばしばかつ一般に用いられる。
【0069】
典型的には、本明細書に記載される組成物の残部は水である。
【0070】
いくつかの態様では、本明細書では、成分が様々組み合わされた組成物が提供される。例示的な組成物を表Aに示す。
【0071】
(表A)
【0072】
本明細書において提供される組成物には、追加の構成要素が存在していてもよい。例示的な追加の構成要素を表Bに示す。表Aと表Bとの各組み合わせが明確に想定される(たとえばA1B1、A2B1、A3B1、A1B2、A2B2、A3B2、A1B3、A2B3、およびA3B3)。
【0073】
(表B)
【0074】
本明細書ではまた、組成物(たとえばエマルジョン)を調製する方法が提供される。いくつかの態様では、組成物は、本明細書に記載される任意の組成物であり得る。
【0075】
いくつかの態様では、方法は、マルチキナーゼ阻害剤を第一エマルジョンに溶解させる段階、第一エマルジョンの液滴サイズを縮小してナノエマルジョンを形成する段階、およびナノエマルジョンを濾過する段階を含み得る。いくつかの態様では、マルチキナーゼ阻害剤を溶解させる段階は、高シア混合を含み得る。いくつかの態様では、方法は、第一エマルジョンを形成する段階、第一エマルジョンの液滴サイズを縮小してナノエマルジョンを形成する段階、マルチキナーゼ阻害剤を溶液に溶解させる段階、ナノエマルジョンと該溶液とを組み合わせて、マルチキナーゼ阻害剤を含むナノエマルジョンを形成する段階、および任意で、マルチキナーゼ阻害剤を含むナノエマルジョンを濾過する段階を含み得る。いくつかの態様では、マルチキナーゼ阻害剤を溶液に溶解させることは、マルチキナーゼ阻害剤を、可溶化剤(たとえば本明細書に記載される任意の可溶化剤)を含む溶液に溶解させることを含み得る。いくつかの態様では、溶液は、バッファー(たとえばクエン酸ナトリウム)、抗酸化剤(たとえばクエン酸および/または三ナトリウムEDTA)、増粘剤(たとえばHPMC)、またはそれらの組み合わせをさらに含み得る。
【0076】
いくつかの態様では、液滴サイズを縮小する段階は、マイクロフルイダイザーを用いることを含み得る。ナノエマルジョンを濾過する段階は、任意の適切なサイズのフィルター(たとえば0.2ミクロンフィルター)を用いて実行され得る。いくつかの態様では、方法は、濾過したナノエマルジョンを滅菌点眼ボトルに充填することを含み得る。滅菌点眼ボトルの非限定例は、保存料を含まない複数回分(MDPF)容器または低密度ポリエチレン(LDPE)単位用量容器を含む。いくつかの態様では、第一エマルジョンは、ポリオキシル油、親油性担体、および水を含み得る。いくつかの態様では、第一エマルジョンは、界面活性剤をさらに含み得る。いくつかの態様では、第一エマルジョンは、可溶化剤をさらに含み得る。いくつかの態様では、第一エマルジョンは、増粘剤、緩衝剤、等張化剤、抗酸化剤、およびそれらの組み合わせの1つまたは複数を含み得る。
【0077】
投与の頻度、期間、および量は、処方する医師により決定される。投与量は、投与製剤により様々であり得る。投与の頻度は、1日1回または複数回(たとえば1日1回、2回、3回、または4回以上)、隔週(たとえば2週おき、または週2回)、および/または毎月であり得る。投与の期間は、治療すべき眼の状態が解決するまで、つまり眼の状態の1つまたは複数の症状が寛解する、軽減する、または解消するまで継続し得る。いくつかの態様では、本明細書に記載される組成物は、数時間、数日間、数週間、数カ月間、または数年間投与され得る。
【0078】
症状は、それが予防され、軽減し、または解消すると、緩和または寛解したとみなされる。眼の状態の特定の症状を典型的に経験している患者において症状が予防され、該患者は開示される組成物の投与後はその症状の発症を経験しない。症状の軽減は、患者の眼の状態と関連する1つまたは複数の症状の重度または期間が5%、10%、20%、50%、75%、90%、またはそれ以上軽減した場合、達成されたとみなされる。眼の状態と関連する1つまたは複数の症状の解消は、それが患者において存在しなくなるか、実質的に存在しなくなると、達成される。いくつかの態様では、眼の状態と関連する1つまたは複数の症状の解消は、1つまたは複数の症状が90%以上存在しなくなると達成される。
【0079】
特に断らない限り、本明細書および特許請求の範囲で用いられる、成分、分子量などの特性、反応条件等の量を表すすべての数は、どの場合も「約」という用語で修飾されていることを理解されたい。したがって、特に否定されない限り、本明細書および添付の特許請求の範囲に記載される数のパラメーターは近似値であって、本発明によって得ようとする所望の属性によっては変わり得る。最低でも、ただし本願の特許請求の範囲との等価の原則を制限しようとするわけではなく、各数パラメーターは、少なくとも、報告されている有効数字および通常の丸めの技法が適用される数に鑑み解釈すべきである。本発明の広い範囲を記述する数の範囲およびパラメーターは近似値ではあるが、具体例で報告されている数値は可能な限り正確なものである。とはいえ、どの数値も、それぞれの試験測定値に見られる標準偏差につきものの何等かの誤差を本質的に含むものである。両端による数の範囲の記述には、その範囲内のすべての数が含まれる(たとえば1~5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、5などを含む)。
【0080】
本発明を記載する文脈において用いられる「1つの(a)」、「1つの(an)」、「その(the)」、および類似の表現は、本明細書において特に断らない限り、または文脈的に明白に矛盾しない限り、単数形と複数形の両方をカバーするものと解釈されたい。本明細書における値の範囲の記述は、その範囲内の各値に個別に言及する略記法に過ぎない。
【0081】
本明細書において特に断らない限り、個々の値は、それが個別に本明細書に記述されたも同然に、本明細書に組み入れられる。本明細書に記載される方法はすべて、本明細書において特に断らない限り、または文脈的に明白に矛盾しない限り、任意の好適な順に実行することができる。本明細書において提供される任意のすべての例または例示的な表現(たとえば「などの」)は、本発明をわかりやすくする目的しかなく、特許請求される本発明の範囲を限定するものではない。本明細書のどの表現も、本発明の実施に必須の、特許請求されていない要素を指すものと解釈してはならない。本明細書に開示される本発明の代替要素または態様の群は、限定と解釈してはならない。各群のメンバーは、個別に、あるいは群の他のメンバーまたは本明細書の他の要素との任意の組み合わせで、言及され得、かつ特許請求され得る。群の1つまたは複数のメンバーが、便宜上および/または特許上の理由から、群に含まれるか除外される場合があることが想定される。
【0082】
本発明の特定の態様が本明細書に記載されている。当然ながら、上記明細書を読めば、当業者にはこれらの記載の態様の変形が明らかになる。本発明者は、当業者がこうした変形を適宜使用すると考え、また本発明者らは、本発明が本明細書の具体的な記載以外にも実施されるものと考える。したがって、本発明は、関連法が許容するように、添付の特許請求の範囲に記述された主題のすべての変更および等価物を含む。さらに、本明細書において特に断らない限り、または文脈的に明白に矛盾しない限り、上述の要素のあらゆる可能な変形の任意の組み合わせが、本発明に包含される。
【0083】
本発明は、図示および記載ほどの精密さには限定されない。本明細書に開示される具体的な態様は、請求項において「からなる」または「から本質的になる」という表現を用いて、さらに限定され得る。出願時でも補正により付加される場合も、請求項で用いられる場合、「からなる」という移行句は、請求項に記載されていない要素、工程、または成分を排除する。「から本質的になる」という移行句は、請求項の範囲を、記載の材料または工程に、そして基本のおよび新規の特徴に重大な影響のないものに、限定する。そうした特許請求される本発明の態様は、本明細書に本質的または明示的に記載され可能にされている。
【0084】
本明細書に開示される本発明の態様は、本発明の原理を例示するものと理解されたい。使用され得る他の変更も本発明の範囲内である。したがって、限定ではなく例として、本発明の代替構成を本明細書の開示にしたがい利用することができる。
【0085】
例示的態様
態様1は、
治療有効量のマルチキナーゼ阻害剤;
ポリオキシル油;
親油性担体;
および

を含むエマルジョンである。
態様2は、態様1のエマルジョンであって、エマルジョンはナノエマルジョンである。
態様3は、態様1~2のいずれか1つのエマルジョンであって、マルチキナーゼ阻害剤は、アファチニブ、アムバチニブ、アキシチニブ、カボザンチニブ、カネルチニブ、セジラニブ、セリチニブ、クレノラニブ、クリゾチニブ、ダブラフェニブ、ダコミチニブ、ダサチニブ、エルロチニブ、フォレチニブ、ゲフィチニブ、ゴルバチニブ、イブルチニブ、イコチニブ、イデラリシブ、イマチニブ、ラパチニブ、レンバチニブ、ネラチニブ、ニロチニブ、ニンテダニブ、パルボシクリブ、パゾパニブ、ポナチニブ、キザルチニブ、レゴラフェニブ、ルキソリチニブ、ソラフェニブ、スニチニブ、タンズチニブ、チバンチニブ、チボザニブ、トラメチニブ、バンデタニブ、バタラニブ、ベムラフェニブ、またはそれらの組み合わせから選択される。
態様4は、態様3のエマルジョンであって、マルチキナーゼ阻害剤は、アキシチニブ、ニンテダニブ、およびパゾパニブから選択される。
態様5は、態様3のエマルジョンであって、マルチキナーゼ阻害剤はアキシチニブである。
態様6は、態様3のエマルジョンであって、マルチキナーゼ阻害剤はニンテダニブである。
態様7は、態様3のエマルジョンであって、マルチキナーゼ阻害剤はパゾパニブである。
態様8は、態様1~7のいずれか1つのエマルジョンであって、可溶化剤をさらに含む。
態様9は、態様1~8のいずれか1つのエマルジョンであって、可溶化剤は環式多糖である。
態様10は、態様4のエマルジョンであって、環式多糖は、シクロデキストリン、α-シクロデキストリン、β-シクロデキストリン、γ-シクロデキストリン、2-ヒドロキシプロピル-α-シクロデキストリン、2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン、2-ヒドロキシプロピル-γ-シクロデキストリン、スルホブチルエーテル-β-シクロデキストリン、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される。
態様11は、態様1~10のいずれか1つのエマルジョンであって、ポリオキシル油はポリオキシルヒマシ油である。
態様12は、態様11のエマルジョンであって、ポリオキシルヒマシ油は、ポリオキシル-40ヒマシ油、ポリオキシル-35ヒマシ油、またはそれらの組み合わせである。
態様13は、態様1~12のいずれか1つのエマルジョンであって、親油性担体は、ヒマシ油、スクアラン、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコール、イソステアリン酸イソステアリル、ミリスチン酸イソプロピル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、鉱油、シリコーン油、カプリル/カプリントリグリセリド、中鎖トリグリセリド、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される。
態様14は、態様1~13のいずれか1つのエマルジョンであって、ポリソルベート20、ポリソルベート40、ポリソルベート60、ポリソルベート80、ポリオキシル-40-ステアラート、トコフェロール、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される界面活性剤をさらに含む。
態様15は、態様1のエマルジョンであって、マルチキナーゼ阻害剤はニンテダニブであり、可溶化剤は2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンであり、親油性担体はヒマシ油であり、かつポリオキシル油はポリオキシル-35ヒマシ油であり、またはそれらの組み合わせである。
態様16は、態様1~15のいずれか1つのエマルジョンであって、マルチキナーゼ阻害剤は約0.001% w/w~約10.0% w/wの量で存在している。
態様17は、態様16のエマルジョンであって、マルチキナーゼ阻害剤は約0.01%~約1% w/wの量で存在している。
態様18は、態様16のエマルジョンであって、マルチキナーゼ阻害剤は約0.1%~約0.5% w/wの量で存在している。
態様19は、態様1~14のいずれか1つのエマルジョンであって、マルチキナーゼ阻害剤はニンテダニブであり、ニンテダニブは約0.01% w/w~約10.0% w/wの量で存在している。
態様20は、態様19のエマルジョンであって、ニンテダニブは約0.01%~約1% w/wの量で存在している。
態様21は、態様19のエマルジョンであって、ニンテダニブは約0.1%~約0.5% w/wの量で存在している。
態様22は、態様1~14のいずれか1つのエマルジョンであって、マルチキナーゼ阻害剤はアキシチニブであり、アキシチニブはエマルジョン中、約0.001% w/w~約10.0% w/wの量で存在している。
態様23は、態様22のエマルジョンであって、アキシチニブは約0.01%~約1% w/wの量で存在している。
態様24は、態様22のエマルジョンであって、アキシチニブは約0.05%~約0.5% w/wの量で存在している。
態様25は、態様1~14のいずれか1つのエマルジョンであって、マルチキナーゼ阻害剤はパゾパニブであり、パゾパニブは約0.01% w/w~約10.0% w/wの量で存在している。
態様26は、態様25のエマルジョンであって、パゾパニブは約0.01%~約1% w/wの量で存在している。
態様27は、態様25のエマルジョンであって、パゾパニブは約0.1%~約0.5% w/wの量で存在している。
態様28は、態様1~27のいずれか1つのエマルジョンであって、親油性担体は約0.01% w/w~約5.0% w/wの量で存在している。
態様29は、態様28のエマルジョンであって、親油性担体は約0.05%~約1% w/wの量で存在している。
態様30は、態様28のエマルジョンであって、親油性担体は約0.1%~約0.5% w/wの量で存在している。
態様31は、態様1~30のいずれか1つのエマルジョンであって、ポリオキシル油は約0.01% w/w~約10% w/wの量で存在している。
態様32は、態様31のエマルジョンであって、ポリオキシル油は約0.05%~約1% w/wの量で存在している。
態様33は、態様31のエマルジョンであって、ポリオキシル油は約0.1%~約0.5% w/wの量で存在している。
態様34は、態様1~33のいずれか1つのエマルジョンであって、可溶化剤をさらに含み、可溶化剤はエマルジョン中、約1% w/w~約20% w/wの量で存在している。
態様35は、態様34のエマルジョンであって、可溶化剤は約5%~約15% w/wの量で存在している。
態様36は、態様34のエマルジョンであって、可溶化剤は約8%~約12% w/wの量で存在している。
態様37は、態様1~36のいずれか1つのエマルジョンであって、増粘剤、緩衝剤、等張化剤、抗酸化剤、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される追加構成成分をさらに含む。
態様38は、態様37のエマルジョンであって、増粘剤は、カルボマー、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアルコール、キサンタンガム、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される。
態様39は、態様38のエマルジョンであって、増粘剤は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、またはそれらの組み合わせである。
態様40は、態様37~39のいずれか1つのエマルジョンであって、増粘剤は約0.01% w/w~約1.0% w/wの量で存在している。
態様41は、態様37~39のいずれか1つのエマルジョンであって、増粘剤は約0.05% w/w~約0.5% w/wの量で存在している。
態様42は、態様37~41のいずれか1つのエマルジョンであって、緩衝剤は、リン酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、ホウ酸塩、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される。
態様43は、態様37~42のいずれか1つのエマルジョンであって、緩衝剤は、クエン酸ナトリウム二水和物、クエン酸ナトリウム、リン酸ナトリウム一塩基性一水和物、リン酸一ナトリウム一水和物、リン酸ナトリウム二塩基性七水和物、ホウ酸、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される。
態様44は、態様37~43のいずれか1つのエマルジョンであって、緩衝剤は、クエン酸ナトリウム二水和物、クエン酸ナトリウム、またはそれらの組み合わせからなる群より選択される。
態様45は、態様37~44のいずれか1つのエマルジョンであって、緩衝剤はエマルジョン中、pHを4.0~8.0の範囲に維持するのに十分な量で存在している。
態様46は、態様37~44のいずれか1つのエマルジョンであって、緩衝剤はエマルジョン中、pHを約5.5~約6.5の範囲に維持するのに十分な量で存在している。
態様47は、態様37~46のいずれか1つのエマルジョンであって、緩衝剤は約0.01% w/w~約1.0% w/wの量で存在している。
態様48は、態様37~46のいずれか1つのエマルジョンであって、緩衝剤は約0.03% w/w~約0.06% w/wの量で存在している。
態様49は、態様37~48のいずれか1つのエマルジョンであって、抗酸化剤は、エデト酸二ナトリウム、ジブチルヒドロキシトルエン、クエン酸、メタ重亜硫酸ナトリウム、酢酸トコフェロール、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される。
態様50は、態様37~48のいずれか1つのエマルジョンであって、抗酸化剤は、エデト酸二ナトリウム、クエン酸、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される。
態様51は、態様37~50のいずれか1つのエマルジョンであって、抗酸化剤は約0.01%~約1.0% w/wの量で存在している。
態様52は、態様37~50のいずれか1つのエマルジョンであって、抗酸化剤は約0.05%~約0.5% w/wの量で存在している。
態様53は、態様37~52のいずれか1つのエマルジョンであって、抗酸化剤はエデト酸二ナトリウムを含み、エデト酸二ナトリウムは約0.01% w/w~約1.0% w/wの量で存在している。
態様54は、態様37~52のいずれか1つのエマルジョンであって、抗酸化剤はエデト酸二ナトリウムを含み、エデト酸二ナトリウムは約0.05% w/w~約0.5% w/wの量で存在している。
態様55は、態様37~54のいずれか1つのエマルジョンであって、抗酸化剤gはクエン酸を含み、クエン酸は約0.001%~約0.1% w/wの量で存在している。
態様56は、態様37~54のいずれか1つのエマルジョンであって、抗酸化剤はクエン酸を含み、クエン酸は約0.005%~約0.05% w/wの量で存在している。
態様57は、態様37~56のいずれか1つのエマルジョンであって、等張化剤は、塩化ナトリウム、グリセリン、マンニトール、塩化カリウム、エリスリトール、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される。
態様58は、態様37~56のいずれか1つのエマルジョンであって、等張化剤はグリセリンである。
態様59は、態様37~58のいずれか1つのエマルジョンであって、等張化剤は約0.1% w/w~約10% w/wの量で存在している。
態様60は、態様37~58のいずれか1つのエマルジョンであって、等張化剤は約0.01% w/w~約1% w/wの量で存在している。
態様61は、態様37~58のいずれか1つのエマルジョンであって、等張化剤は約0.05% w/w~約0.5% w/wの量で存在している。
態様62は、態様37~61のいずれか1つのエマルジョンであって、等張化剤は、モル浸透圧濃度を250~400 mOsm/kgの範囲に維持するのに十分な量で存在している。
態様63は、態様1~62のいずれか1つのエマルジョンであって、エマルジョンは保存料をさらに含む。
態様64は、態様63のエマルジョンであって、保存料は、塩化ベンザルコニウム(BAK)、ポリヘキサメチレンビグアニデビグアンジド(PHMB)、安定オキシクロロ複合体、ソルビン酸、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される。
態様65は、態様1~64のいずれか1つのエマルジョンであって、エマルジョンは保存料を含まない。
態様66は、態様1~65のいずれか1つのエマルジョンであって、エマルジョンは、約10 nm~10万 nmの平均液滴サイズを有する。
態様67は、態様1~66のいずれか1つのエマルジョンであって、エマルジョンは、200 nm以下の平均液滴サイズを有する。
態様68は、態様1~67のいずれか1つのエマルジョンであって、エマルジョンは、少なくとも6カ月間25℃で安定を保っている。
態様69は、態様1~68のいずれか1つのエマルジョンであって、エマルジョンは、少なくとも12カ月間25℃で安定を保っている。
態様70は、態様1~69のいずれか1つのエマルジョンであって、エマルジョンは、少なくとも24カ月間25℃で安定を保っている。
態様71は、態様1~70のいずれか1つのエマルジョンであって、エマルジョンは、点眼剤、クリーム、ゲル、および軟膏、フィルムとして製剤される。
態様72は、
約0.005%~約2% w/wのマルチキナーゼ阻害剤;
約0.1%~約1% w/wのポリオキシル油;
約0.05%~約1% w/wの親油性担体;
約5%~約15% w/wの可溶化剤;および

を含む、エマルジョンである。
態様73は、態様72のエマルジョンであって、マルチキナーゼ阻害剤は約0.1%~約0.5% w/wの量で存在している。
態様74は、態様72~73のいずれか1つのエマルジョンであって、ポリオキシル油は約0.3%~約0.7% w/wの量で存在している。
態様75は、態様72~74のいずれか1つのエマルジョンであって、親油性担体は約0.1%~約0.5% w/wの量で存在している。
態様76は、態様72~75のいずれか1つのエマルジョンであって、可溶化剤は約8%~約12% w/wの量で存在している。
態様77は、
約0.1%~約0.5% w/wのマルチキナーゼ阻害剤;
約0.3%~約0.7% w/wのポリオキシル油;
約0.1%~約0.5% w/wの親油性担体;
約8%~約12% w/wの可溶化剤;および

を含む、エマルジョンである。
態様78は、態様72~77のいずれか1つのエマルジョンであって、マルチキナーゼ阻害剤は約0.2% w/wの量で存在している。
態様79は、態様72~78のいずれか1つのエマルジョンであって、ポリオキシル油は約0.5% w/wの量で存在している。
態様80は、態様72~79のいずれか1つのエマルジョンであって、親油性担体は約0.25% w/wの量で存在している。
態様81は、態様72~80のいずれか1つのエマルジョンであって、可溶化剤は約10% w/wの量で存在している。
態様82は、
約0.2% w/wのマルチキナーゼ阻害剤;
約0.5% w/wのポリオキシル油;
約0.25% w/wの親油性担体;
約10% w/wの可溶化剤;および

を含む、エマルジョンである。
態様83は、態様72~83のいずれか1つのエマルジョンであって、マルチキナーゼ阻害剤は、アファチニブ、アムバチニブ、アキシチニブ、カボザンチニブ、カネルチニブ、セジラニブ、セリチニブ、クレノラニブ、クリゾチニブ、ダブラフェニブ、ダコミチニブ、ダサチニブ、エルロチニブ、フォレチニブ、ゲフィチニブ、ゴルバチニブ、イブルチニブ、イコチニブ、イデラリシブ、イマチニブ、ラパチニブ、レンバチニブ、ネラチニブ、ニロチニブ、ニンテダニブ、パルボシクリブ、パゾパニブ、ポナチニブ、キザルチニブ、レゴラフェニブ、ルキソリチニブ、ソラフェニブ、スニチニブ、タンズチニブ、チバンチニブ、チボザニブ、トラメチニブ、バンデタニブ、バタラニブ、ベムラフェニブ、またはそれらの組み合わせからなる群より選択される。
態様84は、態様72~83のいずれか1つのエマルジョンであって、マルチキナーゼ阻害剤は、アキシチニブ、ニンテダニブ、およびパゾパニブから選択される。
態様85は、態様72~83のいずれか1つのエマルジョンであって、マルチキナーゼ阻害剤はアキシチニブである。
態様86は、態様72~83のいずれか1つのエマルジョンであって、マルチキナーゼ阻害剤はニンテダニブである。
態様87は、態様72~83のいずれか1つのエマルジョンであって、マルチキナーゼ阻害剤はパゾパニブである。
態様88は、態様72~87のいずれか1つのエマルジョンであって、可溶化剤は環式多糖である。
態様89は、態様88のエマルジョンであって、環式多糖は、シクロデキストリン、α-シクロデキストリン、β-シクロデキストリン、γ-シクロデキストリン、2-ヒドロキシプロピル-α-シクロデキストリン、2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン、2-ヒドロキシプロピル-γ-シクロデキストリン、スルホブチルエーテル-β-シクロデキストリン、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される。
態様90は、態様72~89のいずれか1つのエマルジョンであって、可溶化剤は2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンを含む。
態様91は、態様72~90のいずれか1つのエマルジョンであって、ポリオキシル油はポリオキシルヒマシ油である。
態様92は、態様91のエマルジョンであって、ポリオキシルヒマシ油は、ポリオキシル-40ヒマシ油、ポリオキシル-35ヒマシ油、またはそれらの組み合わせである。
態様93は、態様72~92のいずれか1つのエマルジョンであって、親油性担体は、ヒマシ油、スクアラン、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコール、イソステアリン酸イソステアリル、ミリスチン酸イソプロピル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、鉱油、シリコーン油、カプリル/カプリントリグリセリド、中鎖トリグリセリド、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される。
態様94は、態様72~93のいずれか1つのエマルジョンであって、親油性担体はヒマシ油を含む。
態様95は、態様72~94のいずれか1つのエマルジョンであって、ポリソルベート20、ポリソルベート40、ポリソルベート60、ポリソルベート80、ポリオキシル-40-ステアラート、トコフェロール、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される界面活性剤をさらに含む。
態様96は、態様95のエマルジョンであって、界面活性剤は約0.05%~約5% w/wの量で存在している。
態様97は、態様95のエマルジョンであって、界面活性剤は約0.1%~約1% w/wの量で存在している。
態様98は、態様95のエマルジョンであって、界面活性剤は約0.5% w/wの量で存在している。
態様99は、態様72~98のいずれか1つのエマルジョンであって、増粘剤、緩衝剤、等張化剤、抗酸化剤、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される追加構成成分をさらに含む。
態様100は、態様99のエマルジョンであって、増粘剤は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、またはそれらの組み合わせを含む。
態様101は、態様99~100のいずれか1つのエマルジョンであって、増粘剤は約0.01% w/w~約1.0% w/wの量で存在している。
態様102は、態様99~100のいずれか1つのエマルジョンであって、増粘剤は約0.05% w/w~約0.5% w/wの量で存在している。
態様103は、態様99~100のいずれか1つのエマルジョンであって、増粘剤は約0.1% w/wの量で存在している。
態様104は、態様99~103のいずれか1つのエマルジョンであって、緩衝剤はクエン酸ナトリウムを含む。
態様105は、態様99~104のいずれか1つのエマルジョンであって、緩衝剤はエマルジョン中、pHを約5.5~約6.5の範囲に維持するのに十分な量で存在している。
態様106は、態様99~105のいずれか1つのエマルジョンであって、緩衝剤は約0.01% w/w~約1.0% w/wの量で存在している。
態様107は、態様99~105のいずれか1つのエマルジョンであって、緩衝剤は約0.03% w/w~約0.06% w/wの量で存在している。
態様108は、態様99~105のいずれか1つのエマルジョンであって、緩衝剤は約0.045% w/wの量で存在している。
態様109は、態様99~108のいずれか1つのエマルジョンであって、抗酸化剤は、エデト酸二ナトリウム、クエン酸、またはそれらの組み合わせを含む。
態様110は、態様99~109のいずれか1つのエマルジョンであって、抗酸化剤はエデト酸二ナトリウムを含み、エデト酸二ナトリウムは約0.01% w/w~約1.0% w/wの量で存在している。
態様111は、態様99~109のいずれか1つのエマルジョンであって、抗酸化剤はエデト酸二ナトリウムを含み、エデト酸二ナトリウムは約0.05% w/w~約0.5% w/wの量で存在している。
態様112は、態様99~109のいずれか1つのエマルジョンであって、抗酸化剤はエデト酸二ナトリウムを含み、エデト酸二ナトリウムは約0.1% w/wの量で存在している。
態様113は、態様99~112のいずれか1つのエマルジョンであって、抗酸化剤はクエン酸を含み、クエン酸は約0.001%~約0.1% w/wの量で存在している。
態様114は、態様99~112のいずれか1つのエマルジョンであって、抗酸化剤はクエン酸を含み、クエン酸は約0.005%~約0.05% w/wの量で存在している。
態様115は、態様99~112のいずれか1つのエマルジョンであって、抗酸化剤はクエン酸を含み、クエン酸は約0.015%の量で存在している。
態様116は、態様99~115のいずれか1つのエマルジョンであって、等張化剤はグリセリンを含む。
態様117は、態様99~116のいずれか1つのエマルジョンであって、等張化剤は約0.01% w/w~約1% w/wの量で存在している。
態様118は、態様99~116のいずれか1つのエマルジョンであって、等張化剤は約0.05% w/w~約0.5% w/wの量で存在している。
態様119は、態様99~116のいずれか1つのエマルジョンであって、等張化剤は約0.1% w/wの量で存在している。
態様120は、
ニンテダニブ、アキシチニブ、およびパゾパニブからなる群より選択される、約0.2% w/wのマルチキナーゼ阻害剤;
約0.5% w/wのポリオキシルヒマシ油;
約0.25% w/wのヒマシ油;
約10% w/wの2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン;および

を含む、エマルジョンである。
態様121は、態様120のエマルジョンであって、マルチキナーゼ阻害剤はアキシチニブである。
態様122は、態様120のエマルジョンであって、マルチキナーゼ阻害剤はニンテダニブである。
態様123は、態様120のエマルジョンであって、マルチキナーゼ阻害剤はパゾパニブである。
態様124は、態様120~123のいずれか1つのエマルジョンであって、ポリオキシルヒマシ油は、ポリオキシル-40ヒマシ油、ポリオキシル-35ヒマシ油、またはそれらの組み合わせである。
態様125は、態様116~124のいずれか1つのエマルジョンであって、ポリソルベート80を約0.5% w/wの量でさらに含む。
態様126は、態様120~125のいずれか1つのエマルジョンであって、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを約0.1% w/wの量でさらに含む。
態様127は、態様120~126のいずれか1つのエマルジョンであって、クエン酸ナトリウムを約0.045% w/wの量でさらに含む。
態様128は、態様120~127のいずれか1つのエマルジョンであって、エデト酸二ナトリウムを約0.1% w/wの量でさらに含む。
態様129は、態様120~128のいずれか1つのエマルジョンであって、クエン酸を約0.015%の量でさらに含む。
態様130は、態様120~129のいずれか1つのエマルジョンであって、グリセリンを約0.1% w/wの量でさらに含む。
態様131は、マルチキナーゼ阻害剤の眼球表面の滞留時間を長引かせる方法であって、態様1~130のいずれか1つのエマルジョンを対象の目に投与する段階を含む。
態様132は、態様131の方法であって、投与する段階は、エマルジョンを目に少なくとも1日1回適用することを含む。
態様133は、態様131の方法であって、投与する段階は、エマルジョンを目に少なくとも1日2回適用することを含む。
態様134は、態様131の方法であって、投与する段階は、エマルジョンを目に少なくとも1日3回適用することを含む。
態様135は、眼の状態を治療する方法であって、態様1~130のいずれか1つのエマルジョンを対象の目に投与する段階を含む。
態様136は、態様135の方法であって、眼の状態は血管新生と関連する。
態様137は、態様135の方法であって、眼の状態は、充血、新血管新生、翼状片、瞼裂斑、緑内障濾過手術および最小侵襲緑内障手術(MIGS)、移植片拒絶反応のある角膜移植手術、移植片対宿主病、ドライアイ疾患、アトピー性結膜炎、酒さ、眼類天疱瘡、ライエル症候群、スティーブンス・ジョンソン症候群、ウイルス感染症(たとえばHSV-1)、細菌感染症、真菌感染症、寄生虫感染症、コンタクトレンズによる新血管新生、潰瘍症、アルカリ熱傷、ならびに幹細胞疲弊症からなる群より選択される。
態様138は、態様131~137のいずれか1つの方法であって、エマルジョンは、少なくとも1カ月間40℃で安定を保っている。
態様139は、態様131~137のいずれか1つの方法であって、エマルジョンは、少なくとも6カ月間40℃で安定を保っている。
態様140は、態様1~130のいずれか1つのエマルジョンを調製する方法であって、
第一エマルジョンを形成する段階;
第一エマルジョンの液滴サイズを縮小してナノエマルジョンを形成する段階;
マルチキナーゼ阻害剤を溶液に溶解させる段階;
ナノエマルジョンと該溶液とを組み合わせて、マルチキナーゼ阻害剤を含むナノエマルジョンを形成する段階;および
任意で、マルチキナーゼ阻害剤を含むナノエマルジョンを濾過する段階
を含む。
態様141は、エマルジョンを調製する方法であって、
第一エマルジョンを形成する段階;
第一エマルジョンの液滴サイズを縮小してナノエマルジョンを形成する段階;
マルチキナーゼ阻害剤を溶液に溶解させる段階;
ナノエマルジョンと該溶液とを組み合わせて、マルチキナーゼ阻害剤を含むナノエマルジョンを形成する段階;および
任意で、マルチキナーゼ阻害剤を含むナノエマルジョンを濾過する段階
を含む。
態様142は、態様140または141の方法であって、第一エマルジョンを形成する段階は、高シア混合を含む。
態様143は、態様140~142のいずれか1つの方法であって、液滴サイズを縮小する段階は、マイクロフルイダイザーを用いることを含む。
態様144は、態様140~143のいずれか1つの方法であって、濾過する段階は、0.2ミクロンフィルターを用いることを含む。
態様145は、態様140~144のいずれか1つの方法であって、方法は、濾過したナノエマルジョンを滅菌点眼ボトルに充填することをさらに含む。
態様146は、態様145の方法であって、滅菌点眼ボトルは、保存料を含まない複数回分(MDPF)容器または低密度ポリエチレン(LDPE)単位用量容器である。
態様147は、態様140~146のいずれか1つの方法であって、第一エマルジョンは、
ポリオキシル油:
親油性担体;および

を含む。
態様148は、態様140~147のいずれか1つの方法であって、マルチキナーゼ阻害剤は、アファチニブ、アムバチニブ、アキシチニブ、カボザンチニブ、カネルチニブ、セジラニブ、セリチニブ、クレノラニブ、クリゾチニブ、ダブラフェニブ、ダコミチニブ、ダサチニブ、エルロチニブ、フォレチニブ、ゲフィチニブ、ゴルバチニブ、イブルチニブ、イコチニブ、イデラリシブ、イマチニブ、ラパチニブ、レンバチニブ、ネラチニブ、ニロチニブ、ニンテダニブ、パルボシクリブ、パゾパニブ、ポナチニブ、キザルチニブ、レゴラフェニブ、ルキソリチニブ、ソラフェニブ、スニチニブ、タンズチニブ、チバンチニブ、チボザニブ、トラメチニブ、バンデタニブ、バタラニブ、ベムラフェニブ、またはそれらの組み合わせから選択される。
態様149は、態様148の方法であって、マルチキナーゼ阻害剤は、アキシチニブ、ニンテダニブ、およびパゾパニブから選択される。
態様150は、態様148の方法であって、マルチキナーゼ阻害剤はアキシチニブである。
態様151は、態様148の方法であって、マルチキナーゼ阻害剤はニンテダニブである。
態様152は、態様148の方法であって、マルチキナーゼ阻害剤はパゾパニブである。
態様153は、態様140~152のいずれか1つの方法であって、溶液は可溶化剤をさらに含む。
態様154は、態様153の方法であって、可溶化剤は環式多糖である。
態様155は、態様154の方法であって、環式多糖は、シクロデキストリン、α-シクロデキストリン、β-シクロデキストリン、γ-シクロデキストリン、2-ヒドロキシプロピル-α-シクロデキストリン、2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン、2-ヒドロキシプロピル-γ-シクロデキストリン、スルホブチルエーテル-β-シクロデキストリン、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される。
態様156は、態様147~155のいずれか1つの方法であって、ポリオキシル油はポリオキシルヒマシ油である。
態様157は、態様156のエマルジョンであって、ポリオキシルヒマシ油は、ポリオキシル-40ヒマシ油、ポリオキシル-35ヒマシ油、またはそれらの組み合わせである。
態様158は、態様147~157のいずれか1つの方法であって、親油性担体は、ヒマシ油、スクアラン、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコール、イソステアリン酸イソステアリル、ミリスチン酸イソプロピル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、鉱油、シリコーン油、カプリル/カプリントリグリセリド、中鎖トリグリセリド、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される。
態様159は、態様147~158のいずれか1つの方法であって、第一エマルジョンは、ポリソルベート20、ポリソルベート40、ポリソルベート60、ポリソルベート80、ポリオキシル-40-ステアラート、トコフェロール、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される界面活性剤をさらに含む。
態様160は、態様147~159のいずれか1つの方法であって、マルチキナーゼ阻害剤はニンテダニブであり、可溶化剤は2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンであり、親油性担体はヒマシ油であり、かつポリオキシル油はポリオキシル-35ヒマシ油であり、またはそれらの組み合わせである。
態様161は、態様140~160のいずれか1つの方法であって、マルチキナーゼ阻害剤は第一エマルジョン中、約0.001% w/w~約10.0% w/wの量で存在している。
態様162は、態様161の方法であって、マルチキナーゼ阻害剤は第一エマルジョン中、約0.01%~約1% w/wの量で存在している。
態様163は、態様161の方法であって、マルチキナーゼ阻害剤は第一エマルジョン中、約0.1%~約0.5% w/wの量で存在している。
態様164は、態様147~163のいずれか1つの方法であって、親油性担体は第一エマルジョン中、約0.01% w/w~約5.0% w/wの量で存在している。
態様165は、態様164の方法であって、親油性担体は第一エマルジョン中、約0.05%~約1% w/wの量で存在している。
態様166は、態様164の方法であって、親油性担体は第一エマルジョン中、約0.1%~約0.5% w/wの量で存在している。
態様167は、態様147~166のいずれか1つの方法であって、ポリオキシル油は第一エマルジョン中、約0.01% w/w~約10% w/wの量で存在している。
態様168は、態様167の方法であって、ポリオキシル油は第一エマルジョン中、約0.05%~約1% w/wの量で存在している。
態様169は、態様167の方法であって、ポリオキシル油は第一エマルジョン中、約0.1%~約0.5% w/wの量で存在している。
態様170は、態様140~169のいずれか1つの方法であって、第一エマルジョンは可溶化剤をさらに含み、可溶化剤は第一エマルジョン中、約1% w/w~約20% w/wの量で存在している。
態様171は、態様170の方法であって、可溶化剤は第一エマルジョン中、約5%~約15% w/wの量で存在している。
態様172は、態様170の方法であって、可溶化剤は第一エマルジョン中、約8%~約12% w/wの量で存在している。
態様173は、態様147~172のいずれか1つの方法であって、第一エマルジョンは、増粘剤、緩衝剤、等張化剤、抗酸化剤、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される追加構成成分をさらに含む。
態様174は、態様141~173のいずれか1つの方法であって、濾過されたエマルジョンは、態様1~130のいずれか1つのエマルジョンである。
【実施例0086】
実施例1 エマルジョン製剤の安定性
溶液AおよびエマルジョンBを調製し、安定性を査定した。溶液A:10% 2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンを含む溶液系中の0.2% ニンテダニブ。エマルジョンB:5% 2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン、ヒマシ油、ポリソルベート80、ポリオキシル-35ヒマシ油を含むエマルジョン系中の0.5% ニンテダニブ。加温(40℃、50℃、および60℃)条件の安定性データは、室温長期保管を推定および予測するのに用いられ得る。表2に示すように、マルチキナーゼ阻害剤は、エマルジョンB中40℃、50℃、および60℃で保管した場合に安定を保ち、この製剤系が室温で2年またはそれ以上の貯蔵寿命を維持し得ることが示された。局所用眼用溶液の典型的な望ましい室温貯蔵寿命は2年である。
【0087】
(表2)
【0088】
実施例2 ヒマシ油、ポリソルベート80、ポリオキシル-35ヒマシ油のエマルジョン系および2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンにおけるニンテダニブの可溶性に関する相乗効果
【0089】
(表3)溶媒中CBT-001(ニンテダニブ遊離塩基)の最大可溶性
【0090】
FDAのIndustry Drug Stability Guidelinesのガイダンスによれば、製剤を加温(高温)条件で保管すると、その長期保管の安定性を予測することができる。加温条件の安定性データは、推奨される保管条件(理想は室温)で保管した場合の薬物製品の長期保管の推定および予測に用いることができる。
【0091】
10% 2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン中のニンテダニブの最大可溶性は、約0.2%であった。この10% 2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン中0.2% ニンテダニブは、室温で約5カ月間は安定していることが実証され、5カ月後は、許容される安定性仕様(90%の回収)に満たなかった。加温保管条件(40℃)では、第4日目で安定していなかった。ニンテダニブの回収率は、第4日目に90%未満となり、第7日目に70%未満となった。このことは、この10% 2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン溶液中の0.2% ニンテダニブが、1~2年保管された場合に安定性の問題を有し得ることを示している。
【0092】
5% 2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンおよびナノエマルジョン系を用いて、製剤系中のニンテダニブの濃度および安定性を改善した。5% 2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンおよびナノエマルジョン系中の0.5% ニンテダニブは、40℃、50℃、および60℃で保管した場合に安定していることが実証された。このことは、5% 2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンおよびナノエマルジョン系が、ナノエマルジョン製剤系におけるニンテダニブの安定性に相乗効果を有したことを示している。
【0093】
各溶媒中のニンテダニブの最大可溶性を表3に挙げる。混合物中のニンテダニブの理論上最大可能な可溶性は、ニンテダニブが各溶媒に溶解したと想定し、次いで各構成要素を組み合わせて全成分の混合物を作ることにより、推定することができる。こうして計算された混合物中のニンテダニブの理論上最大可能な可溶性は、2.91 mg/gになる。意外なことに、10% 2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンとヒマシ油、1% ポリソルベート80、および2% ポリオキシル-35ヒマシ油のナノエマルジョンとの製剤系で、改善されたニンテダニブ可溶性7.9 mg/gが得られた。このことは、10% 2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンと、ヒマシ油、1% ポリソルベート80、および2% ポリオキシル-35ヒマシ油のナノエマルジョンとが、ニンテダニブの可溶性に相乗効果を有したことを示した。
【0094】
実施例3
ニンテダニブの可溶化剤を、次の手順にしたがい調査した:
1.1.5 mL Eppendorf チューブの風袋測定
2.ニンテダニブを添加し、重量を記録
3.可溶化剤を添加し、重量を記録
4.pH 5の水を添加し(F3およびF4は除く)、重量を記録
5.Beadbeaterで120秒混合
6.一晩、周囲温度で回転ミキサーに載置
7.0.2 μm SPIN-X遠心フィルターで濾過
8.濾液のpH測定
9.CBT-001標準溶液を用いて濾液をアッセイ
【0095】
調査した可溶化剤の多くが同様の構造的特性を有したにもかかわらず(たとえば表4および5を参照)、調査した可溶化剤について大きく異なる結果が得られたことは、驚くべき知見であった。ヒマシ油およびポリソルベート80(たとえば表3参照)などの可溶化剤がニンテダニブの高可溶化性能をもつことが見出されたことは、驚くべき発見であった。
【0096】
(表4)選別された組成物(% wt)
【0097】
(表5)様々な可溶化剤中のニンテダニブの可溶性
【0098】
可溶化剤の結果に基づき、様々なエマルジョン系を調査用に特定した。驚くべきことに、ヒマシ油、ポリソルベート80、およびポリオキシル-35ヒマシ油を組み合わせたエマルジョン系が、ニンテダニブを好適に可溶化できることが見出された。表6に示すように、エマルジョン系の一つは、驚くべきことに、ニンテダニブを約3~5 mg/mlまで溶解させることができ、これは、この組み合わせ中のニンテダニブの先に計算された理論上の可溶性の上限(表3を参照)をはるかに上回る量である。
【0099】
(表6)代表的なエマルジョン系中のニンテダニブの可溶性
【0100】
実施例4
ニンテダニブおよび同様の物理化学的特性を有する他のマルチキナーゼ阻害剤の製剤を開発するためのエマルジョン系を特定した。
【0101】
油と水とを混合してしばらく経つと相分離が形成するのは、一般的な現象である。相分離した製剤は、点眼剤などの特定の眼用製剤としての使用には適さない。眼用製剤の開発におけるニンテダニブおよび同様の物理化学特性を有する他のマルチキナーゼ阻害剤の使用可能性に関し、様々なエマルジョン系の物理的安定性および均一性を調査した。表7に示すように、一部のエマルジョン系は相安定性を示したが、その他は同様の特性をもつ構成要素を有するにもかかわらず3日後は安定しておらず、驚くべき知見となった。なぜ一部の系は安定しているのにその他が不安定であるのか、まだ判明していない。
【0102】
以下の手順により、エマルジョン系の物理的安定性を調査した:
1.水100 mLをpH 5に調節
2.15 mLチューブの風袋測定
3.材料を添加し、重量を記録
4.水でQS
5.ボルテックスにより1分混合
6.均一エマルジョンが形成するまで高シア混合
7.外観およびpHを記録
8.各製剤を3本の1.5 mLチューブに分注
9.-20℃、2~8℃、および40℃で3日間保管
10.保管所から取り出し、室温に平衡化
11.外観を記録
12.均一単相エマルジョンであるビヒクルのみを採り、遠心機に移す
13.13K RPMで10分遠心
14.外観を記録
15.均一単相エマルジョンであるビヒクルのpH測定
【0103】
(表7)様々な賦形剤の組み合わせの安定性の結果
【0104】
さらになる製剤開発用ベース系として、エマルジョン系F20を選択した。
【0105】
実施例5
この実施例では、シクロデキストリンベースの可溶化剤系を、選択されたヒマシ油、ポリソルベート80、およびポリオキシル-35ヒマシ油ベースのエマルジョン系と混合すること、この組み合わせは相溶性があること、およびクラッシュアウトも相分離も生じさせないことが、決定された。さらに、HP-β-CD、ヒマシ油、ポリソルベート80、およびポリオキシル-35ヒマシ油を含有するエマルジョン製剤は、溶液製剤よりも優れた安定性を実現することが見出された。何ら特定の理論に縛られるものではないが、複合体の薬物とこれら全成分との相互作用が、この単一構成要素製剤に対する優位性をもたらしたと考えられる。この驚くべき知見は、多くの成分を順次調査して最終的な組み合わせを選択する、大々的で包括的かつ洗練された実験により決定された。優れた組成物は、数回の試験後に決定された。たとえばエマルジョンCは、高温(>40℃)で数カ月にわたり非常に良好な安定性を示し、この製剤は室温での長期保管中に良好な安定性を有するであろうことが示された。これらの結果が驚くべきものだったのは、溶液製剤は同条件下で不安定であることが見出されており、初期に調査したエマルジョン製剤もさほど安定していないことが見出されていたからである。表8に示すように、40℃で1カ月後、溶液製剤中のニンテダニブは半分強しか残存していなかったが、エマルジョンC中のニンテダニブは、同条件で6カ月後もほぼ全部が残存していた。表8はまた、驚くべきことに、エマルジョンCはもっと高温の50℃および60℃でも、ニンテダニブを少なくとも3カ月間安定に保っていたことを示した。これらの結果が驚くべきものだったのは、溶液製剤は同条件下で不安定であることが見出されており、40℃で4週間後、溶液製剤中のニンテダニブは半分強しか残存していなかったが、エマルジョンC中のニンテダニブは、同条件で6カ月後も全部が残存していたからである(表8)。同種のエマルジョン系も、別のMKIクラスの化合物であるアキシチニブを40℃、50℃、および60℃で少なくとも3カ月間安定に保ち、室温保管条件での長期安定性の可能性を示した(表9)。
【0106】
エマルジョン製剤を開発する方法
当初の開発は、薬物可溶化、液滴サイズ、および加温エマルジョン物理的安定性(サイズ変化または凝集)の評価のため、複数のエマルジョン組成物の設計、調製、および試験を含んだ。各被検組成物は、API(たとえばニンテダニブ)、油、界面活性剤、可溶化剤、乳化剤、潤滑剤、等張剤、および水などの基本的構成要素を含有した。当初の作業から2~3の組成物を選択し、必要に応じて改変を加え、粘性、浸透圧、およびエマルジョンの物理的安定性について評価した。1つの例示的な組成物を選択し、予め設定された要件を満たした後にさらに評価した。
【0107】
パイロットスケールの製造プロセスを開発して、プロトタイプ製剤を0.1~1 Lのバッチサイズで生産した。製造プロセスは、(1)高シアミキサーを用いてAPIを第一エマルジョンに溶解させる段階、(2)マイクロフルイダイザーを用いて液滴サイズを目的のサイズまで縮小する段階、(3)ナノエマルジョンに0.2ミクロンフィルターを通過させる段階、(4)バイオセーフティー・フード内でナノエマルジョンを滅菌点眼ボトル(保存料を含まない複数回分容器またはMDPFおよびLDPE単位用量容器)に充填する段階を含んだ。プロトタイプ製剤のバッチ(約250 mL)を、4つの強度(0、0.05%、0.2%、および0.5%)それぞれで調製した。無菌法を用いて、プロトタイプ製剤バッチを5.5 mL Aptarドロッパーボトル(3 mL/ボトル)またはLDPE単位用量容器(0.3 mL/単位)にロードした。
【0108】
製剤は、各バッチ強度について、pH、外観(目視および顕微鏡)、浸透圧、粘性、液滴サイズ、API濃度、および不純物を試験した。これらの試験結果を、安定性試験の初期値(T=0)として用いた。プロトタイプ製剤を、各バッチ強度で、様々な温度に設定した安定性チャンバーに様々な時間配置した。外観(目視および顕微鏡)、粒子状物質(数)、液滴サイズ、薬物濃度、不純物/劣化製品、モル浸透圧濃度、およびpHの安定性試験を、選択された時点で実施した。
【0109】
エマルジョンC、F134、およびF135の製剤を次のように調製した:
第1部:油/界面活性剤エマルジョン
1.50 mL Falconチューブの風袋測定
2.1.25 gのヒマシ油を添加
3.0.250 gのtween 80を添加
4.0.250 gのポリオキシル-35ヒマシ油を添加
5.混合物をソニケーターで50℃まで加熱してから、均一かつ透明になるまでボルテックス
6.13.25 gの脱イオン化水を添加
7.油滴サイズが100 nm未満になるまで混合物を高速で均質化
混合速度:4000 RPM
混合時間:30分
エマルジョンC Z-Avg:35 nm
F-134 Z-Avg:37 nm
F-135 Z-Avg:33 nm
第2部:HP-β-CD溶液中のニンテダニブ、アキシチニブ、およびパゾパニブ
1.50 mL Falconチューブの風袋測定
2.25 gのDI水を容器に添加
3.撹拌しながら5.0 gのHP-β-CDを添加し、完全溶解するまで撹拌
4.0.008 gのクエン酸を添加し、完全溶解するまで撹拌
5.混合物に0.100 gのAPIを添加
6.混合物を15分超音波処理し、完全溶解するまでボルテックス
7.混合物に0.023 gのクエン酸ナトリウムを添加し、完全溶解するまで混合
8.混合物に0.050 gの三ナトリウムEDTAを添加し、完全溶解するまで混合
9.混合物を撹拌しながら0.050 gのHPMCをゆっくり添加し、完全溶解するまで混合
第3部.エマルジョンC、F134、およびF135の製剤
1.100 mLガラス瓶の風袋測定
2.水溶液(第2部)を添加
3.油エマルジョン(第1部)を添加
4.5 gの脱イオン化水を添加
5.混合物に0.05 gのグリセリンを添加し、よく混合
6.1N NaOHまたは1N HCLを用いてpHを6.0に調節
エマルジョンC初期pH:6.66 終pH:5.87
F-134初期pH:2.51 終pH:6.12
F-135初期pH:1.24 終pH:6.03
7.50 gの脱イオン化水にQSし、混合
第4部.濾過および充填
1.製剤を滅菌容器内へと滅菌0.2 μmシリンジフィルターで無菌濾過
2.5 mLの製剤を5 x 10 mL Type 1ガラスバイアルに無菌的に充填
3.バイアルにゴム製セプタムで蓋をし、圧着して密封
4.各製剤につき2本のバイアルを2~8、25、40、50、および60℃で保管
5.pptを1週間観察
【0110】
製剤中のCBT-001(ニンテダニブ)および賦形剤の終濃度を、次の各製剤について決定した:溶液A:10% 2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンを含む溶液系中の0.2% ニンテダニブ。エマルジョンC:10% 2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン、ヒマシ油、ポリソルベート80、ポリオキシル-35ヒマシ油を含むエマルジョン系中の0.2% ニンテダニブ。
【0111】
(表8)溶液Aと比較してのエマルジョンCの加温ラボ内安定性。各時点の残存ニンテダニブのパーセンテージを示す。
*5カ月;^6カ月
【0112】
ニンテダニブに加えて、別のマルチキナーゼ阻害剤、アキシチニブを調査し、同様のエマルジョン中高温で3カ月間、驚くべき良好な安全性が示された(表9)。この実験は、同様の物理的および化学的特性をもつマルチキナーゼ阻害剤、たとえばニンテダニブおよびアキシチニブは、長期保管用に特定の同様のエマルジョン製剤として製剤され得ることを示した。
【0113】
(表9)代表的エマルジョン(F134)中アキシチニブの加温ラボ内安定性。各時点の残存アキシチニブのパーセンテージを示す。
【0114】
実施例6
角膜新血管新生(CNV)のウサギモデルにおいて、エマルジョン製剤は、同強度で用いられた溶液製剤よりも有効性および眼用薬物動態プロファイルの点で優れているが、エマルジョン製剤と溶液製剤の安全性プロファイルは類似している。この研究で用いた溶液製剤は、ヒト臨床試験で、安全であること、および所期の効果があることがわかっている。
【0115】
研究の概要
本研究は、角膜縫合ウサギモデルの充血および新血管新生の阻害におけるエマルジョン製剤および溶液製剤の有効性を、0.2% ニンテダニブエマルジョン、0.05% アキシチニブエマルジョン、および0.1% パゾパニブエマルジョンの局所眼内BID(1日2回)投与、または0.2% ニンテダニブ溶液およびビヒクルエマルジョンのTID(1日3回)投与の7日後から評価した。溶液は、実施例5に記載の溶液である。エマルジョンは、実施例5のエマルジョンCと非常に似ていた。さらに、これらの動物で、全身および眼内薬物動態ならびに眼内耐容性を評価した。
【0116】
試験した製剤はすべて、目でも全身でも十分に耐容性を示した。ウサギへの投与頻度は1日3回(TID)の0.2% ニンテダニブ溶液と比べて1日2回(BID)の0.2% ニンテダニブエマルジョンのほうが少なかったが、図2に示すように、0.2% ニンテダニブエマルジョンBIDは、驚くべきことに、0.2% ニンテダニブ溶液TIDと同様かそれよりも優れた有効性を示した。第10日目、エマルジョンと溶液の有効性は同様であった。第12日目、エマルジョンは統計学的に有意に溶液よりも有効であった(p=0.0025)。
【0117】
眼内薬物動態プロファイルは、エマルジョンが、より高いCmaxおよびAUCで、より多くの薬物を結膜および角膜の標的組織に送達できることを示した(表10)。経時的な濃度/IC50比のさらなる分析は、>10の比はほぼ完全に標的を阻害することになるため、エマルジョンが標的VEGFR2のより有効な阻害を有し得ることを示している(表11)。このことは、0.2% ニンテダニブエマルジョンのほうが0.2% ニンテダニブ溶液よりも眼球表面により多くの薬物を送達する点で優れており、より高い有効性およびより長い持続時間を実現することを実証した。
【0118】
(表10)ニンテダニブのエマルジョンと溶液とのPK比較
【0119】
(表11)2つのニンテダニブ製剤の濃度/VEGFR2 IC50
【0120】
実施例7
エマルジョン系における性能に関し、界面活性剤PEG40ステアラートおよびポリオキシル-35ヒマシ油の有効性を調査した。調査した組成を表12に示す。
【0121】
(表12)製剤F70およびF72の組成
【0122】
製剤F70およびF72(表12)を次のように調製し、調査した。
1.100 mLの水のpHを、1N HCLのpHを用いてpH 2.0に調節
2.15 mL円錐チューブにラベル標示
3.円錐チューブの風袋測定
4.水を添加し、重量を記録
5.ボルテックスして透明溶液にする
6.Tween 80およびポリオキシル-35ヒマシ油またはPEG40ステアラートを添加し、重量を記録
7.ヒマシ油を添加し、重量を記録
8.1分ボルテックス
9.高シア混合により透明または均一な溶液にする
10.APIを添加
11.円錐チューブを氷浴
12.30分高シア混合
13.30分後に遠心により非溶解APIをチューブ底に沈殿させる
14.エマルジョン上部から50 μLを採取し、液滴サイズをLLSにより試験
15.200 nmよりも大きければ高シア混合を続け、再試
16.最終の液滴サイズを記録
17.pH測定
18.pH 6未満であれば、1N NaOHを用いてpHを6に調節。pHが6~8であれば、調節なし。
19.0.2 μmシリンジフィルターで濾過
20.濾液のpH、粒子サイズを測定
21.CBT-001(ニンテダニブ)標準溶液を用いてアッセイ
【0123】
この実験の結果を表13に示す。ニンテダニブの濃度は製剤F70のほうが製剤F72よりも高かったので、ヒマシ油を乳化させてニンテダニブを溶解させるには、ポリオキシル-35ヒマシ油とポリソルベート80との組み合わせのほうが、PEG40ステアラートとポリソルベート80との組み合わせよりも優れた界面活性剤系であると考えられる。
【0124】
(表13)結果
図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2024-06-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療有効量のマルチキナーゼ阻害剤;
ポリオキシル油;
親油性担体;および

を含む、エマルジョン。
【請求項2】
前記マルチキナーゼ阻害剤が、アファチニブ、アムバチニブ(amuvatinib)、アキシチニブ、カボザンチニブ、カネルチニブ、セジラニブ、セリチニブ、クレノラニブ、クリゾチニブ、ダブラフェニブ、ダコミチニブ、ダサチニブ、エルロチニブ、フォレチニブ、ゲフィチニブ、ゴルバチニブ(golvatinib)、イブルチニブ、イコチニブ、イデラリシブ、イマチニブ、ラパチニブ、レンバチニブ、ネラチニブ、ニロチニブ、ニンテダニブ、パルボシクリブ、パゾパニブ、ポナチニブ、キザルチニブ、レゴラフェニブ、ルキソリチニブ、ソラフェニブ、スニチニブ、タンズチニブ(tandutinib)、チバンチニブ、チボザニブ、トラメチニブ、バンデタニブ、バタラニブ、ベムラフェニブ、またはその塩、またはそれらの組み合わせから選択される、請求項1記載のエマルジョン。
【請求項3】
前記マルチキナーゼ阻害剤が、アキシチニブ、ニンテダニブ、およびパゾパニブ、またはその塩から選択される、請求項2記載のエマルジョン。
【請求項4】
可溶化剤をさらに含む、請求項1~3のいずれか一項記載のエマルジョン。
【請求項5】
前記可溶化剤が環式多糖である、請求項4記載のエマルジョン。
【請求項6】
前記ポリオキシル油がポリオキシルヒマシ油である、請求項1~5のいずれか一項記載のエマルジョン。
【請求項7】
前記ポリオキシルヒマシ油が、ポリオキシル-40ヒマシ油、ポリオキシル-35ヒマシ油、またはそれらの組み合わせである、請求項6記載のエマルジョン。
【請求項8】
ポリソルベート20、ポリソルベート40、ポリソルベート60、ポリソルベート80、ポリオキシル-40-ステアラート、トコフェロール、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される界面活性剤をさらに含む、請求項1~7のいずれか一項記載のエマルジョン。
【請求項9】
前記マルチキナーゼ阻害剤がニンテダニブ、またはその塩であり、前記可溶化剤が2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンであり、前記親油性担体がヒマシ油であり、かつ前記ポリオキシル油がポリオキシル-35ヒマシ油であり、またはそれらの組み合わせである、請求項1記載のエマルジョン。
【請求項10】
約0.005%~約2% w/wのマルチキナーゼ阻害剤;
約0.1%~約1% w/wのポリオキシル油;
約0.05%~約1% w/wの親油性担体;
約5%~約15% w/wの可溶化剤;および

を含む、エマルジョン。
【請求項11】
前記マルチキナーゼ阻害剤が、約0.1%~約0.5% w/wの量で存在している、および/または、
前記ポリオキシル油が、約0.3%~約0.7% w/wの量で存在している、および/または、
前記親油性担体が、約0.1%~約0.5% w/wの量で存在している、および/または、
前記可溶化剤が、約8%~約12% w/wの量で存在している、請求項10記載のエマルジョン。
【請求項12】
前記マルチキナーゼ阻害剤が、約0.1%または約0.2% w/wの量で存在している、請求項10または11記載のエマルジョン。
【請求項13】
前記ポリオキシル油が、約0.5% w/wの量で存在している、請求項1012のいずれか一項記載のエマルジョン。
【請求項14】
前記マルチキナーゼ阻害剤が、アファチニブ、アムバチニブ、アキシチニブ、カボザンチニブ、カネルチニブ、セジラニブ、セリチニブ、クレノラニブ、クリゾチニブ、ダブラフェニブ、ダコミチニブ、ダサチニブ、エルロチニブ、フォレチニブ、ゲフィチニブ、ゴルバチニブ、イブルチニブ、イコチニブ、イデラリシブ、イマチニブ、ラパチニブ、レンバチニブ、ネラチニブ、ニロチニブ、ニンテダニブ、パルボシクリブ、パゾパニブ、ポナチニブ、キザルチニブ、レゴラフェニブ、ルキソリチニブ、ソラフェニブ、スニチニブ、タンズチニブ、チバンチニブ、チボザニブ、トラメチニブ、バンデタニブ、バタラニブ、またはベムラフェニブ、またはその塩、またはそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項1013のいずれか一項記載のエマルジョン。
【請求項15】
前記マルチキナーゼ阻害剤が、アキシチニブ、ニンテダニブ、およびパゾパニブ、またはその塩から選択される、請求項1014のいずれか一項記載のエマルジョン。
【請求項16】
前記可溶化剤が、環式多糖である、請求項1015のいずれか一項記載のエマルジョン。
【請求項17】
前記環式多糖が、シクロデキストリン、α-シクロデキストリン、β-シクロデキストリン、γ-シクロデキストリン、2-ヒドロキシプロピル-α-シクロデキストリン、2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン、2-ヒドロキシプロピル-γ-シクロデキストリン、スルホブチルエーテル-β-シクロデキストリン、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項16記載のエマルジョン。
【請求項18】
前記可溶化剤が、2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンを含む、請求項1017のいずれか一項記載のエマルジョン。
【請求項19】
ニンテダニブ、アキシチニブ、およびパゾパニブ、またはその塩からなる群より選択される、約0.1% w/wまたは約0.2% w/wのマルチキナーゼ阻害剤;
約0.5% w/wのポリオキシルヒマシ油;
約0.25% w/wのヒマシ油:
約10% w/wの2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン;および

を含む、エマルジョン。
【請求項20】
眼の状態を治療する方法において使用するための、請求項1~19のいずれか一項記載のエマルジョンであって、該方法が、前記エマルジョンを対象の目に投与する段階を含む、エマルジョン