(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024105525
(43)【公開日】2024-08-06
(54)【発明の名称】渦流ポンプ
(51)【国際特許分類】
F04D 5/00 20060101AFI20240730BHJP
【FI】
F04D5/00 E
【審査請求】有
【請求項の数】21
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024078368
(22)【出願日】2024-05-14
(62)【分割の表示】P 2021547643の分割
【原出願日】2019-10-21
(31)【優先権主張番号】16/176,495
(32)【優先日】2018-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】521182685
【氏名又は名称】エディ ポンプ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】EDDY PUMP CORPORATION
【住所又は居所原語表記】15405 Olde Hwy 80, El Cajon, CA 92021 (US)
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ドハーレ,マグダ,シュリカント
(72)【発明者】
【氏名】ウォールグレン,ダン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】同期化された渦流を利用してポンピング性能を向上させる回転子を含む渦流ポンプに関する。
【解決手段】ポンプ回転子はハブ、バックプレート及びハブから延在し、バックプレート上に配置された複数のブレードを含む。複数のブレードのそれぞれは、ハブの回転軸に実質的に平行な外面、ハブに隣接した第1端部及びハブから遠距離にある第2端部を備え、平面から第1端部までの高さは平面から第2端部までの高さより小さい。複数のブレードは同期化された流れの中央柱を発生させるように構成される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポンプ回転子であって、
回転軸を有するハブと、
平面を有するバックプレートと、
前記ハブから延在し、前記バックプレート上に配置された複数のブレードと、を備え、
前記複数のブレードのそれぞれは、前記ハブの回転軸に実質的に平行な外面、前記ハブに隣接した第1端部及び前記ハブから遠距離にある第2端部を備え、前記平面から前記第1端部までの高さは前記平面から前記第2端部までの高さより小さく、
前記複数のブレードは同期化された流れの中央柱を発生させるように構成される、ポンプ回転子。
【請求項2】
前記バックプレートは前記複数のブレードのそれぞれの全長にわたって延在する、ことを特徴とする請求項1に記載のポンプ回転子。
【請求項3】
前記複数のブレードは半径方向直径を画定し、前記バックプレートは前記複数のブレードによって画定される半径方向直径の0.3~1.0の直径を有する、ことを特徴とする請求項1に記載のポンプ回転子。
【請求項4】
前記ハブは円錐状である、ことを特徴とする請求項1に記載のポンプ回転子。
【請求項5】
前記ハブの円錐状頂点は約40度の角度を画定する、ことを特徴とする請求項4に記載のポンプ回転子。
【請求項6】
前記ハブの中心部分は、前記第1端部の高さより大きく、前記第2端部の高さより小さい前記平面からの高さを有する、ことを特徴とする請求項1に記載のポンプ回転子。
【請求項7】
前記複数のブレードのそれぞれは前記第1端部と前記第2端部との間の底面を含み、前記底面と前記外面は約75度の角度を形成する、ことを特徴とする請求項1に記載のポンプ回転子。
【請求項8】
前記第1端部は第1幅を有し、前記第2端部は第2幅を有し、前記第1幅が前記第2幅より小さい、ことを特徴とする請求項1に記載のポンプ回転子。
【請求項9】
前記外面は矩形である、ことを特徴とする請求項1に記載のポンプ回転子。
【請求項10】
前記ポンプ回転子はハウジング内に配置されるように構成され、前記底面は前記ハウジングの内面から離隔されるように構成される、ことを特徴とする請求項1に記載のポンプ回転子。
【請求項11】
ポンプであって、
流入口及び放出口を備えるハウジングと、
ハブ、バックプレート及び前記ハブから延在し、前記バックプレート上に配置された複数のブレードを含む回転子であって、前記複数のブレードのそれぞれは、ハブの回転軸に実質的に平行な外面、ハブに隣接した第1端部及びハブから遠距離にある第2端部を備え、バックプレートの平面から前記第1端部までの高さは前記平面から前記第2端部までの高さより小さく、前記複数のブレードは同期化された流れの中央柱を発生させるように構成されることを含む回転子と、を含む、ポンプ。
【請求項12】
前記バックプレートは前記回転子と前記ハウジングとの間の流体の漏出を防止するように構成されて配置される、ことを特徴とする請求項11に記載のポンプ。
【請求項13】
前記ハブは円錐状であり、前記放出口に向かう層流の移動ができるように構成される、ことを特徴とする請求項11に記載のポンプ。
【請求項14】
前記ハブの円錐状の頂点は約40度の角度を画定する、ことを特徴とする請求項13に記載のポンプ。
【請求項15】
前記第2端部の高さは放出口の高さと実質的に同様である、ことを特徴とする請求項11に記載のポンプ。
【請求項16】
前記複数のブレードは半径方向直径を画定し、前記バックプレートは前記複数のブレードによって画定される半径方向直径の0.3~1.0の直径を有する、ことを特徴とする請求項11に記載のポンプ。
【請求項17】
前記ハブの中心部分は、前記第1端部の高さより大きく、前記第2端部の高さより小さい前記平面からの高さを有する、ことを特徴とする請求項11に記載のポンプ。
【請求項18】
前記複数のブレードのそれぞれは前記第1端部と前記第2端部との間の底面を含み、前記底面と前記外面は約75度の角度を形成する、ことを特徴とする請求項11に記載のポンプ。
【請求項19】
前記第1端部は第1幅を有し、前記第2端部は第2幅を有し、前記第1幅が前記第2幅より小さい、ことを特徴とする請求項11に記載のポンプ。
【請求項20】
前記外面は矩形である、ことを特徴とする請求項11に記載のポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概して渦流ポンプに関する。より具体的には、本発明は同期化された渦流を利用してポンピング性能を向上させる回転子を含む渦流ポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のポンプは多様な液体、材料及びスラリー(即ち、液体に浮遊する固体)をポンピングするように設計されている。従来のポンプの一つのタイプは遠心ポンプである。遠心ポンプで流体またはスラリーは、ケーシングを通って軸方向に入り、インペラブレードで捕捉され、ケーシングのディフューザー部分を通って接線方向及び半径方向に外側へ回転される。スラリーをポンピングする時には、インペラの摩耗によって固体材料がインペラに直接接触することを最小化することが重要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ポンプ回転子からポンプ流入口に同期化された流れの中央柱を形成し、ポンプ流入口からポンプ放出口への低圧逆渦巻流を生成する新しいポンプ設計にすることで、ポンプ特性が改善され、摩耗が最小化されることが発見された。新しいポンプ設計は、ポンプ密封付近に負圧領域も発生させる。負圧はポンプがゼロ(または0に近い)の漏出を達成することができるようにする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
公知の技術状態に鑑みて、本発明の一態様は、ハブ、バックプレート及びハブから延在し、バックプレート上に配置された複数のブレードを含むポンプ回転子を提供することである。バックプレートは平面である。複数のブレードのそれぞれは、ハブの回転軸に実質的に平行な外面、ハブに隣接した第1端部及びハブから遠距離にある第2端部を備える。平面から第1端部までの高さは、平面から第2端部までの高さより小さい。複数のブレードは同期化された流れの中央柱を発生させるように構成される。
【0005】
本発明の他の態様は、ハウジング及び回転子を含むポンプを提供することである。ハウジングは流入口及び放出口を備える。回転子はハブ、バックプレート及びハブから延在し、バックプレート上に配置された複数のブレードを含む。複数のブレードのそれぞれは、ハブの回転軸に実質的に平行な外面、ハブに隣接した第1端部及びハブから遠距離にある第2端部を有する。平面から第1端部までの高さは、平面から第2端部までの高さより小さい。複数のブレードは同期化された流れの中央柱を発生させるように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
以下、本開示内容の一部を形成する添付図面を参照する:
【0007】
【
図1】本発明の一実施例によるポンプの上部斜視図である。
【0008】
【0009】
【0010】
【0011】
【0012】
【
図6】
図1のポンプのための回転子の底面斜視図である。
【0013】
【0014】
【0015】
【0016】
【0017】
【
図11】
図10の線11-11に沿って切り取った側断面図である。
【0018】
【
図12】ポンプを通ったスラリーの流れを示す
図1のポンプの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して選択された実施例について説明する。実施例に対する以下の説明はただ例示のために提供されるもので、添付された特許請求範囲及びその同等物によって画定されるためであり、当業者にとって本開示内容から本発明を制限しようとするのではないことは明白である。
【0020】
まず、第1実施例によるポンプが図示された
図1、2及び12を参照する。ポンプは、駆動モーター、ボリュートまたはハウジング及び回転子を含む。回転子はハウジング内に配置されて、流体、液体、材料及びスラリーがハウジングに進入し、回転子によってポンピングされることができるようにする。回転子は流体、液体、材料及びスラリーを流入口から放出口にポンピングするために回転子を駆動したり回転させるように構成された駆動モーター(
図12)に連結される。このモーターは適切な回転速度で回転子を駆動することができる本技術分野で公知の任意の適切なモーターであってもよい。
【0021】
図1~
図5に示すように、ハウジングは曲線形で、流入口及び放出口または排出口を含む。ハウジングの内面は、通常円筒状で、回転子の直径よりも大きい直径を有する。流入口はハウジングの底部にある回転子の半径方向軸に沿って配置され、これは回転子の回転によって流体または材料がハウジング内に吸い込まれるか巻き込まれることができるようにする。放出口は流入口から90度オフセットされて(即ち、回転子に対する接線方向に)配置され、これは流体または材料がハウジングの外にポンピングされるようにすることができる。
【0022】
図6~
図11に示すように、回転子はバックプレート、円錐状の中心部(ハブ)及び複数のブレードを含む。回転子は任意の適切な方式で鋳造、モールディング、鍛造、機械加工または成形されることができる。従って、バックプレート、円錐状の中心部及び複数のブレードは統合された一体型部材に形成されることができる。回転子は合金、鋼、ステンレス鋼、アルミニウム、亜鉛、青銅、ゴム、プラスチックまたはその他の適切な材料または複数の材料の組み合わせであってもよい。また、回転子は任意の適切な材料または設計であってもよいことに留意されたい。従って、回転子が統合された一体型部材であることが好ましいが、回転子は複数のステップまたは任意の適切な方式で組み立てられた複数の部品によって形成されてもよい。
【0023】
一実施例において、バックプレートは第1面(第1平面を画定)、第2面(第2平面を画定)及び外周縁を有するほぼ円形プレートである。第1または上部面はハウジングの内部と対向し、それから延出する突出部またはシャフトを有する。突出部は駆動モーターからの駆動軸に連結されるか連結可能である。第2面はその上に配置された複数のブレードを有する。
図8に示すように、バックプレートは回転子の中心から回転子とほぼ同じ長さで延在し、従って、回転子ブレードの全長をカバーする。言い換えれば、複数のブレードは半径方向直径を画定し、バックプレートはバックプレートの半径方向直径と同一またはほぼ同じ直径を有する。しかし、バックプレートの半径方向直径は粒子の大きさまたは任意の他のパラメーターによって複数のブレードによって画定された半径方向直径の0.3~1.0であり得る点に留意されたい。このような構成(即ち、「フルサイズ」バックプレート)は、流体が回転子から流れ出ることを防止して、流体を回転子の排出口に向かって円周方向に押して放出することを容易にする。また、バックプレートは回転子体積内部の流体分布を保持することにより再循環を減少させることに効果を発揮し、回転子とハウジングの上部面との間の漏出及びエネルギー損失を防止する。バックプレートは、静圧損失を減少させることにも効果を発揮する、これは回転子によって発生するより高い圧力差及び水頭(head)にも効果を発揮する。
【0024】
図6~
図11に示すように、円錐状の中心部は回転子の中心に配置された円錐状で、回転子をモーターシャフトに固定させることを容易にする。円錐はバックプレートの第2面上に配置され、突出部の反対側である。円錐状の中心部は頂点及びベースを有する。ベースはバックプレートに隣接し、円錐状の頂点に向かって漸次に狭くなる。
図8に示すように、ベースは約10.6インチの半径を有し、ほぼ円形である。従って、ベースは半径方向にバックプレートの約50%を延長する。
図11に示すように、ハブの円錐状の頂点は約40度の角度αを形成する。しかしながら、円錐状の中心部のベースの大きさ及び円錐状の頂点によって形成された角度αは任意の適切または所望の大きさまたは角度であってもよい。
【0025】
円錐状の中心部は、流体が流入口からハウジングの内部で円滑に流れるようにし、放出口または回転子の端部に向かって続いて放出口に向かう層流移動を容易にする吸引を発生させるように油圧的に促す。このような層流の誘導は渦巻流の減少及びハウジング内部の再循環を促し、ポンプの効率性を増加させる。円錐状の中心部の大きさ(長さ、直径及び角度)は粒子の大きさによって変わることがあり、層流が放出口に向かって保持されることができる限り、粒子のより良い隙間を許容する。円錐状の中心部は、また吸引から回転子の流入口までより優れた渦巻流を生成するようにするともに、最大効率点より高い流量での乱流を防止し、これはポンプが設計最高効率点の140%の流量をポンピングすることを可能にする。円錐の大きさは電力消費を制御するように減少または増加されることができる。
【0026】
図6~
図11に示すように、複数のブレードは円錐状の中心部から延在し、バックプレートの第1面上に配置される。このような実施例で、複数のブレードは5つのブレードを含むが、複数のブレードは適切な渦巻流を形成する任意の適切な数のブレードであってもよい。各ブレードは第1面、第2面、端部及び底面を含む。各ブレードは円錐状の中心部から半径方向の外側に向かって、そしてバックプレートから長手方向に沿って延在する。また、円錐状の中心部が傾斜面を有する円錐であるので、各ブレードは、例えば
図9を参照して円錐状の中心部の傾斜した輪郭に従う。
【0027】
第1長手方向面と第2長手方向面は互いに対向する。第1長手方向面と第2長手方向面は、一般的に、回転子の長手方向軸に平行する長手方向に延在し、半径方向に互いに狭くなりながら距離を隔てている。即ち、
図8に示すように、第1長手方向面と第2長手方向面は円錐状の中心部に隣接した方は約1.5インチ離れて配置され、バックプレートの円周縁に隣接した方は2インチ離れて配置される。従って、理解されるように、第1長手方向面と第2長手方向面は半径方向へ約0.5インチ分離される。第1長手方向面と第2長手方向面が任意の所望の方式で分離されることができるか、または、必要によって平行することができる点に留意されたい。また、回転子の大きさが変更されると、第1長手方向面と第2長手方向面の間隔の変化がそれによって変更されることができる。即ち、実施例で、第1長手方向面と第2長手方向面の間隔の変化は33%である。言い換えれば、バックプレートの周縁で第1長手方向面と第2長手方向面の間の間隔が円錐状の中心部に隣接した第1長手方向面と第2長手方向面の間の間隔も33%大きい。
【0028】
図6、7、9及び11に示すように、各ブレードはバックプレートの周縁から円錐状の中心部まで上側に向かって漸次に狭くなる。各ブレードの底面は第1端部から第2端部まで拡張する。第1端部は円錐状の中心部に隣接し、第2端部は外面に隣接する。第2端部は、好ましくは、バックプレートの第2面から測定されるとき第1端部より高い。例えば、一実施例で、第1端部はバックプレートから約3.17インチであり、第2端部はバックプレートから5インチである。しかし、第1端部及び第2端部はバックプレートから任意の適切な距離であり得ることに留意されたい。また、回転子の大きさが変更されると、第1長手方向端部及び第2長手方向端部の高さ変化がそれによって変更されることができる。即ち、この実施例で第1端部と第2端部の高さの差は約58%である。言い換えれば、第2端部の高さが第1端部の高さよりも58%高い。
【0029】
ブレードの外面は少なくとも
図3、4、6、7、9及び11から見ることができる。外面は、好ましくは矩形であり、回転子の回転軸と実質的に平行する。具体的には、
図9及び
図11に示すように、外面はバックプレートと直角(90度)を形成する。また、
図4に示すように、外面は、ハウジングの内面とほぼ平行に延在し、それから所定の距離だけ離隔される。このような構成は、粒子が外面とハウジングの内面との間に配置されることができるようにする。
【0030】
追加的に、
図11に示すように、底面は外面と75度の角度a及びバックプレートの第2面に平行な線と約15度の角度bを形成する。このようなテーパリング(tapering)は第1端部の高さより大きく、第2端部の高さより小さいバックプレートの第2面からの高さを有する円錐状の中心部を形成する。従って、一実施例で、円錐状の中心部は4.27インチの高さを有する。従って、理解できるように、円錐状の中心部の高さは第2端部の高さの約83%で、第1端部の高さよりも約38%大きい。しかし、円錐状の中心部の高さは任意の適切な高さであってもよい。
【0031】
従って、理解できるように、各ブレードの高さは回転子の吸引側で、回転子の中心から外径またはバックプレートの周縁に向かって増加する。このような構造は、向上された流体の吸入のために渦巻流を改善させ、より大きい粒径のための隙間を生成する。外径での回転子ブレードの高さは流体を放出口に直接押し出すことができるように放出口の高さまたは放出口の直径の近くに保持される。このような構成は、漏出、再循環及び圧力損失を減少させる。テーパリングブレードの高さもトルクの減少に寄与し、従って中心から外径まで均一なブレードの高さを有することに比べて消費電力を減少させる。外部ブレードの高さも、必要に応じて、寸法を同様に保持しながらハウジングの排出口の直径に比例して変更されることもできる。
【0032】
図4に示すように、各ブレードはハウジングから所定の距離だけ離隔される。一般的に、ブレードとハウジングとの間の隙間は材料内にあると推定される最大粒径の追加10~15%に保持される。これは回転子が回転子内のブレードの摩耗を減少しながら相当な大きさの粒子を通過させることができるようにする。
【0033】
5つのブレードを有する回転子は渦巻流の形成及び回転子ブレードの間の再循環を減少させるための好ましいブレードの数である。ブレードの数が少なすぎると、乱流を発生する可能性があり、より高い流量が必要な圧力差を生成することができない可能性もある。ブレードの数が多すぎると、隙間が減少してより大きいサイズの粒子がポンプを通過できなくなる可能性があり、理想的な流量のために許容される流体の容積を減少させる可能性がある。しかし、回転子は適切な量及び大きさの粒子を有する一部流れがハウジングを通過させる適切な数のブレードを有することができる。
【0034】
本明細書に記載された実施例は、従来のシステムに比べてより緩やかな流線によってより低い吸引圧力及び後続するキャビテーションを顕著に良好に処理することができるので、有効吸引水頭(NPSH;Net Positive Suction Head)を減少させる。これはポンプの吸引性能を向上し、キャビテーション象及びポンプの損傷可能性を減少する。
【0035】
理解できるように、本明細書に記載されたポンプの実施例は従来のポンプの遠心ポンプ原理に依存しない。従来のポンプの低公差インペラの代わりに、本明細書で記述されたポンプは、竜巻のような流体またはスラリーの渦流を生成するために特定の幾何学的形態の凹型回転子を用いる。即ち、渦流ポンプは竜巻の原理で動作する。渦流ポンプ及び回転子によって形成された竜巻はポンプ回転子からポンプ流入口への非常に強力で同期化された流れの中央柱を発生してポンプ流入口からポンプ放出口への低圧逆渦巻流を生成する。このような動作もポンプ密封付近に負圧領域を形成する。負圧はポンプの漏出をゼロにすることができるようにする。
【0036】
本明細書に説明されたさらなるオープン回転子の設計は流入口に進入する全ての物質が問題なく放出口を通過することができるようにする高い公差を有する。これは相当な量の固形物及び破片がポンプに詰まることなく通過することを意味する。一実施例において、ポンプは高粘度及び高比重を有するスラリー及び/または重量を基準として最大70%の固体をポンピングすることができる。
【0037】
凹型回転子の構成は、また研磨材を重要なポンプ構成要素から遠く離れるように保持する渦巻流を生成する。このような構造はポンプの寿命を延長し、ポンプの摩耗を減少する。
【0038】
回転子とハウジングとの間の公差は遠心ポンプで顕著に大きい物体の通過を許容する。例えば、2インチ~10インチの渦流ポンプで公差範囲は1~9インチである。
【0039】
本明細書に記載された実施例は、低保守、最小限のダウンタイム、低所有費用及び鋼鉄高圧パイプラインが必要でないという点のような追加長所を有することができる。
【0040】
渦流ポンプは固体粒子と液体の撹拌混合を誘導する吸引管の中心に沿って同期化された渦流柱のような液体のトルネード動作原理に基づくので、固体粒子が上方へハウジングまたはボリュート内に移動して所望に放出するための圧力差を発生させるのに充分に強い吸入が生成される。このような渦巻流は回転子による圧力差によって形成され、ハウジングまたはボリュート及び吸引管の乱流パターンによって強化される。渦巻流は流体の慣性力を増加させる固体粒子の存在によって強化される。渦巻流の形成は吸引を発生させる浮遊固体粒子に依存する。従来の渦流ポンプと違って、回転子は滑ることなくポンプを通じて流体を直接駆動する。渦流ポンプは渦巻流を生成して吸引を誘導するために粒子の動き及びこれら固体粒子から誘導された後流を利用する。そこで、効率は馬力の側面で従来の渦流ポンプよりも7-10%優れる。渦流ポンプによって発生された渦巻流は混合物の継続的な動きを確保し、これは優れた非凝集能力及び重量の最大70%に達する非常に高い濃度の固形物及び非常に高い粘度の流体をポンピングすることができる力を提供する。
【0041】
駆動モーターは本技術分野において周知の従来の構成要素である。駆動モーターは本技術分野でよく知られているので、この構造は本明細書で詳細に説明または例示しない。むしろ、当業者にとって本開示内容から構成要素が本発明を実施するために用いられることのできる任意の類型の構造物及び/またはプログラミングであり得ることは自明である。
【0042】
[用語の一般的な説明]
本発明の範囲を理解するにおいて、本明細書で用いられた用語「含む」及びその派生語は言及された特徴、要素、構成要素、グループ、整数及び/またはステップの存在を明示する開放型用語に意図され、他の明示されない特徴、要素、構成要素、グループ、整数及び/またはステップの存在を排除しない。また、上記の内容は「包む」、「有する」及びその派生語のような同様の意味を有する単語にも適用される。また、用語「部分」、「一部」または「要素」が単数型として用いられる場合、単一または複数の二重意味を有することができる。また、前記実施例を説明するために、本明細書で用いられるように、次の方向用語「後方」、「上端」及び「下端」だけでなく、何れの他の同様の方向用語は渦流ポンプのこのような方向を指す。従って、本発明を記述するために用いられたこれらの用語は渦流ポンプのみに関連して解釈すべきである。
【0043】
デバイスの構成要素、セクションまたは部分を説明するように本明細書で用いられた「構成される」という用語は所望の機能を実行するように構造化及び/またはプログラムされたハードウェア及び/またはソフトウェアを含む。
【0044】
本明細書で用いられた「実質的」、「約」及び「ほぼ」のような程度の用語は最終結果が明らかに変更されないように修正された用語の合理的な偏差の量を意味する。
【0045】
本発明を説明するために選択された実施例のみ選択されたが、添付された特許請求範囲に定義されているような本発明の範囲を逸脱しない範囲内で多様な変更及び修正が施されることができることは当業者にとって明らかである。例えば、多様な構成要素の大きさ、形態、位置または配向は必要によって及び/または所望通りに変更されることができる。
【0046】
直接連結されたり互いに接触することで図示された構成要素はその間に配置された中間構造を有することができる。一要素の機能は2つによって実行されることができ、その反対の場合も可能である。一実施例の構造及び機能は他の実施例で採択されることができる。全ての利点が特定実施例に同時に存在する必要はない。従来技術から固有の全ての特徴が単独または他の特徴と組み合わせて、このような特徴によって具現された構造的及び/または機能的概念を含んで、本出願人によって別途の他の発明に対する説明として見なされるべきである。従って、本発明による実施例の前述の説明は特許請求範囲及びその同等物によって定義されたように本発明を制限する目的ではなく、例示の目的で提供される。
【手続補正書】
【提出日】2024-05-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポンプのハウジング内に設置されるように構成されたポンプ回転子であって、前記ハウジングは、流体を前記ハウジング内に進入させるための流入口と、前記流入口から90度オフセットされて配置され、前記流体を前記ハウジングの外に放出する放出口とを備えており、
前記ポンプ回転子は、
前記流入口に向けて延伸する回転軸を有するハブと、
平面を有するバックプレートと、
前記ハブから前記ポンプ回転子の半径方向に沿って延在し、前記バックプレートの前記平面上に配置された複数のブレードであって、前記放出口が前記ポンプ回転子に対する接線方向に位置するように配置される複数のブレードと、を備え、
前記複数のブレードのそれぞれは、前記ハブの回転軸に実質的に平行な外面及び前記バックプレートの反対側の底面、ならびに、前記ハブに隣接した第1端部及び前記ハブから遠距離にある第2端部を備え、前記第1端部における前記平面から前記底面までの高さは前記第2端部における前記平面から前記底面までの高さより小さく、前記底面は、前記ハブに隣接する前記第1端部と、前記ハブから遠距離にある前記第2端部との間に前記ポンプ回転子の半径方向に沿って延在するとともに平面形状を成し、隣接する前記第2端部の間が開放されており、
前記複数のブレードは、前記流体が前記流入口から前記ハブの中心部分に向かう渦巻流を形成し、前記流体を前記排出口に向けて前記ポンプ回転子の円周方向に直接押し出すように構成される、ポンプ回転子。
【請求項2】
前記バックプレートは前記複数のブレードのそれぞれの全長にわたって延在する、ことを特徴とする請求項1に記載のポンプ回転子。
【請求項3】
前記複数のブレードは半径方向直径を画定し、前記複数のブレードによって画定される半径方向直径は、前記バックプレートの直径の0.3~1.0倍の範囲内である、ことを特徴とする請求項1に記載のポンプ回転子。
【請求項4】
前記ハブは円錐状である、ことを特徴とする請求項1に記載のポンプ回転子。
【請求項5】
前記ハブの円錐状頂点は40度の角度を画定する、ことを特徴とする請求項4に記載のポンプ回転子。
【請求項6】
前記ハブの中心部分は、前記第1端部の高さより大きく、前記第2端部の高さより小さい前記平面からの高さを有する、ことを特徴とする請求項1に記載のポンプ回転子。
【請求項7】
ポンプのハウジング内に設置されるように構成されたポンプ回転子であって、前記ハウジングは、流体を前記ハウジング内に進入させるための流入口と、前記流入口から90度オフセットされて配置され、前記流体を前記ハウジングの外に放出する放出口とを備えており、
前記ポンプ回転子は、
前記流入口に向けて延伸する回転軸を有するハブと、
平面を有するバックプレートと、
前記ハブから前記ポンプ回転子の半径方向に沿って延在し、前記バックプレートの前記平面上に配置された複数のブレードであって、前記放出口が前記ポンプ回転子に対する接線方向に位置するように配置される複数のブレードと、を備え、
前記複数のブレードのそれぞれは、前記ハブの回転軸に実質的に平行な外面、前記ハブに隣接した第1端部及び前記ハブから遠距離にある第2端部を備え、前記第1端部は、前記平面からの第1の高さを有し、前記第2端部は、前記平面からの第2の高さを有し、前記第1の高さが前記第2の高さより小さく、前記複数のブレードのそれぞれは前記第1端部と前記第2端部との間に前記ポンプ回転子の半径方向に沿って延在する平面形状の底面を含み、前記底面と前記外面は75度の角度を形成し、隣接する前記第2端部の間が開放されており、
前記複数のブレードは、前記流体が前記流入口から前記ハブの中心部分に向かう渦巻流を形成し、前記流体を前記排出口に向けて前記ポンプ回転子の円周方向に直接押し出すように構成される、ポンプ回転子。
【請求項8】
前記第1端部は第1幅を有し、前記第2端部は第2幅を有し、前記第1幅が前記第2幅より小さい、ことを特徴とする請求項1に記載のポンプ回転子。
【請求項9】
前記外面は矩形である、ことを特徴とする請求項1に記載のポンプ回転子。
【請求項10】
前記ポンプ回転子はハウジング内に配置されるように構成され、前記底面は前記ハウジングの内面から離隔されるように構成される、ことを特徴とする請求項1に記載のポンプ回転子。
【請求項11】
ポンプであって、
ハウジングであって、流体を前記ハウジング内に進入させるための流入口、及び前記流入口から90度オフセットされて配置され、前記流体を前記ハウジングの外に放出する放出口を備えるハウジングと、
前記ハウジング内に設置された回転子と、を備え、
前記回転子は、
前記流入口に向けて延伸する回転軸を有するハブと、
平面を有するバックプレートと、
前記ハブから前記ポンプ回転子の半径方向に沿って延在し、前記バックプレートの前記平面上に配置された複数のブレードであって、前記放出口が前記ポンプ回転子に対する接線方向に位置するように配置される複数のブレードと、を備え、
前記複数のブレードのそれぞれは、前記ハブの回転軸に実質的に平行な外面、及び前記バックプレートの反対側の底面、ならびに、前記ハブに隣接した第1端部及び前記ハブから遠距離にある第2端部を備え、前記第1端部における前記平面から前記底面までの高さは前記第2端部における前記平面から前記底面までの高さより小さく、前記底面は、前記ハブに隣接する前記第1端部と、前記ハブから遠距離にある前記第2端部との間に前記回転子の半径方向に沿って延在するとともに平面形状を成し、隣接する前記第2端部の間が開放されており、
前記複数のブレードは、前記流体が前記流入口から前記ハブの中心部分に向かう渦巻流を形成し、前記流体を前記排出口に向けて前記回転子の円周方向に直接押し出すように構成される、ポンプ。
【請求項12】
前記バックプレートは前記回転子と前記ハウジングとの間の流体の漏出を防止するように構成されて配置される、ことを特徴とする請求項11に記載のポンプ。
【請求項13】
前記ハブは円錐状であり、前記放出口に向かう層流の移動ができるように構成される、ことを特徴とする請求項11に記載のポンプ。
【請求項14】
前記ハブの円錐状の頂点は40度の角度を画定する、ことを特徴とする請求項13に記載のポンプ。
【請求項15】
前記第2端部の高さは放出口の高さと実質的に同様である、ことを特徴とする請求項11に記載のポンプ。
【請求項16】
前記複数のブレードは半径方向直径を画定し、前記複数のブレードによって画定される半径方向直径は、前記バックプレートの直径の0.3~1.0倍の範囲内である、ことを特徴とする請求項11に記載のポンプ。
【請求項17】
前記ハブの中心部分は、前記第1端部の高さより大きく、前記第2端部の高さより小さい前記平面からの高さを有する、ことを特徴とする請求項11に記載のポンプ。
【請求項18】
ポンプであって、
ハウジングであって、流体を前記ハウジング内に進入させるための流入口、及び前記流入口から90度オフセットされて配置され、前記流体を前記ハウジングの外に放出する放出口を備えるハウジングと、
前記ハウジング内に設置された回転子と、を備え、
前記回転子は、
前記流入口に向けて延伸する回転軸を有するハブと、
平面を有するバックプレートと、
前記ハブから前記ポンプ回転子の半径方向に沿って延在し、前記バックプレートの前記平面上に配置された複数のブレードであって、前記放出口が前記ポンプ回転子に対する接線方向に位置するように配置される複数のブレードと、を備え、
前記複数のブレードのそれぞれは、前記ハブの回転軸に実質的に平行な外面、前記ハブに隣接した第1端部及び前記ハブから遠距離にある第2端部を備え、前記第1端部は、前記平面からの第1の高さを有し、前記第2端部は、前記平面からの第2の高さを有し、前記第1の高さが前記第2の高さより小さく、前記複数のブレードのそれぞれは前記第1端部と前記第2端部との間に前記ポンプ回転子の半径方向に沿って延在する平面形状の底面を含み、前記底面と前記外面は75度の角度を形成し、隣接する前記第2端部の間が開放されており、
前記複数のブレードは、前記流体が前記流入口から前記ハブの中心部分に向かう渦巻流を形成し、前記流体を前記排出口に向けて前記ポンプ回転子の円周方向に直接押し出すように構成される、ポンプ。
【請求項19】
前記第1端部は第1幅を有し、前記第2端部は第2幅を有し、前記第1幅が前記第2幅より小さい、ことを特徴とする請求項11に記載のポンプ。
【請求項20】
前記外面は矩形である、ことを特徴とする請求項11に記載のポンプ。
【請求項21】
ポンプのハウジング内に設置されるように構成されたポンプ回転子であって、前記ハウジングは、流体を前記ハウジング内に進入させるための流入口と、前記流入口から90度オフセットされて配置され、前記流体を前記ハウジングの外に放出する放出口とを備えており、
前記ポンプ回転子は、
前記流入口に向けて延伸する回転軸を有するハブと、
平面を有するバックプレートと、
前記ハブから前記ポンプ回転子の半径方向に沿って延在し、前記バックプレートの前記平面上に配置された複数のブレードであって、前記放出口が前記ポンプ回転子に対する接線方向に位置するように配置される複数のブレードと、を備え、
前記複数のブレードのそれぞれは、前記ハブの回転軸に実質的に平行な外面、第1側面、第2側面、前記ハブに隣接した第1端部及び前記ハブから遠距離にある第2端部を備え、前記第1端部は、前記平面からの第1の高さを有し、前記第2端部は、前記平面からの第2の高さを有し、前記第1の高さが前記第2の高さより小さく、前記複数のブレードのそれぞれは前記第1端部と前記第2端部との間に前記ポンプ回転子の半径方向に沿って延在する平面形状の底面を含み、前記第1及び第2側面は、平面であり、かつ前記ハブに隣接した前記第1端部と前記ハブから遠距離にある前記第2端部との間に延在し、隣接する前記第2端部の間が開放されており、
前記複数のブレードは、前記流体が前記流入口から前記ハブの中心部分に向かう渦巻流を形成し、前記流体を前記排出口に向けて前記ポンプ回転子の円周方向に直接押し出すように構成される、ポンプ回転子。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概して渦流ポンプに関する。より具体的には、本発明は同期化された渦流を利用してポンピング性能を向上させる回転子を含む渦流ポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のポンプは多様な液体、材料及びスラリー(即ち、液体に浮遊する固体)をポンピングするように設計されている。従来のポンプの一つのタイプは遠心ポンプである。遠心ポンプで流体またはスラリーは、ケーシングを通って軸方向に入り、インペラブレードで捕捉され、ケーシングのディフューザー部分を通って接線方向及び半径方向に外側へ回転される。スラリーをポンピングする時には、インペラの摩耗によって固体材料がインペラに直接接触することを最小化することが重要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ポンプ回転子からポンプ流入口に同期化された流れの中央柱を形成し、ポンプ流入口からポンプ放出口への低圧逆渦巻流を生成する新しいポンプ設計にすることで、ポンプ特性が改善され、摩耗が最小化されることが発見された。新しいポンプ設計は、ポンプ密封付近に負圧領域も発生させる。負圧はポンプがゼロ(または0に近い)の漏出を達成することができるようにする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
公知の技術状態に鑑みて、本発明の一態様は、ハブ、バックプレート及びハブから延在し、バックプレート上に配置された複数のブレードを含むポンプ回転子を提供することである。バックプレートは平面である。複数のブレードのそれぞれは、ハブの回転軸に実質的に平行な外面、ハブに隣接した第1端部及びハブから遠距離にある第2端部を備える。平面から第1端部までの高さは、平面から第2端部までの高さより小さい。複数のブレードは同期化された流れの中央柱を発生させるように構成される。
【0005】
本発明の他の態様は、ハウジング及び回転子を含むポンプを提供することである。ハウジングは流入口及び放出口を備える。回転子はハブ、バックプレート及びハブから延在し、バックプレート上に配置された複数のブレードを含む。複数のブレードのそれぞれは、ハブの回転軸に実質的に平行な外面、ハブに隣接した第1端部及びハブから遠距離にある第2端部を有する。平面から第1端部までの高さは、平面から第2端部までの高さより小さい。複数のブレードは同期化された流れの中央柱を発生させるように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
以下、本開示内容の一部を形成する添付図面を参照する:
【0007】
【
図1】本発明の一実施例によるポンプの上部斜視図である。
【0008】
【0009】
【0010】
【0011】
【0012】
【
図6】
図1のポンプのための回転子の底面斜視図である。
【0013】
【0014】
【0015】
【0016】
【0017】
【
図11】
図10の線11-11に沿って切り取った側断面図である。
【0018】
【
図12】ポンプを通ったスラリーの流れを示す
図1のポンプの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して選択された実施例について説明する。実施例に対する以下の説明はただ例示のために提供されるもので、添付された特許請求範囲及びその同等物によって画定されるためであり、当業者にとって本開示内容から本発明を制限しようとするのではないことは明白である。
【0020】
まず、第1実施例によるポンプが図示された
図1、2及び12を参照する。ポンプ
10は、駆動モーター
12、ボリュートまたはハウジング
14及び回転子
16を含む。回転子
16はハウジング
14内に配置されて、流体、液体、材料及びスラリーがハウジング
14に進入し、回転子
16によってポンピングされることができるようにする。回転子
16は流体、液体、材料及びスラリーを流入口
18から放出口
20にポンピングするために回転子
16を駆動したり回転させるように構成された駆動モーター
12(
図12)に連結される。このモーターは適切な回転速度で回転子
16を駆動することができる本技術分野で公知の任意の適切なモーターであってもよい。
【0021】
図1~
図5に示すように、ハウジング
14は曲線形で、流入口
18及び放出口
20または排出口を含む。ハウジング
14の内面
22は、通常円筒状で、回転子の直径
D1よりも大きい直径を有する。流入口はハウジングの底部にある回転子の
回転軸
Aに沿って配置され、これは回転子
16の回転によって流体または材料がハウジング内に吸い込まれるか巻き込まれることができるようにする。放出口
20は流入口
18から90度オフセットされて(即ち、回転子に対する接線方向に)配置され、これは流体または材料Fがハウジング
14の外にポンピングされるようにすることができる。
【0022】
図6~
図11に示すように、回転子
16はバックプレート
26、円錐状の中心部(ハブ)
28及び複数のブレード
30a-30eを含む。回転子
16は任意の適切な方式で鋳造、モールディング、鍛造、機械加工 または成形されることができる。従って、バックプレート
26、円錐状の中心部
38及び複数のブレード
30a-30eは統合された一体型部材に形成されることができる。回転子
16は合金、鋼、ステンレ ス鋼、アルミニウム、亜鉛、青銅、ゴム、プラスチックまたはその他の適切な材料または 複数の材料の組み合わせであってもよい。また、回転子
16は任意の適切な材料または設計であってもよいことに留意されたい。従って、回転子
16が統合された一体型部材であることが 好ましいが、回転子は複数のステップまたは任意の適切な方式で組み立てられた複数の部品によって形成されてもよい。
【0023】
一実施例において、バックプレート
26は第1面
32(第1平面を画定)、第2面
34(第2平面を画定)及び外周縁
36を有するほぼ円形プレートである。第1または上部面
32はハウジングの内部
22と対向し、それから延在する突出部またはシャフト
38を有する。突出部
38は駆動モーター
12からの駆動軸に連結されるか連結可能である。第2面
34はその上に配置された複数のブレード
30a-30eを有する。
図8に示すように、バックプレート
26は回転子
16の中心から回転子とほぼ同じ長さで 延在し、従って、回転子ブレードの全長をカバーする。言い換えれば、複数のブレード
30a-30eは半径方向直径を画定し、バックプレート
26はバックプレートの半径方向直径と同一またはほぼ同じ直径を有する。しかしながら、
複数のブレード30a-30eによって画定された半径方向直径は、粒子の大きさまたは任意の他のパラメーターに応じて、
バックプレート26の半径方向直径の0.3~ 1.0倍の範囲内であることができることに留意されたい。このような構成(即ち、「フルサイズ」バックプレート
26)は、流体が回転子から流れ出ることを防止して、流体
を排出口
20に向かって
回転子16の 円周方向に押して放出することを容易にする。また、バックプレート
26は回転子体積内部の流体分布を保持することにより再循環を減少させることに効果を発揮し、回転子
16とハウジング
14の上部面との間の漏出及びエネルギー損失を防止する。バックプレート
26は、静圧損失 を減少させることにも効果を発揮する、これは回転子
16によって発生するより高い圧力差及び水頭(head)にも効果を発揮する。
【0024】
図6~
図11に示すように、円錐状の中心部
28は回転子
16の中心に配置された円錐状で、回転子
16をモーターシャフトに固定させることを容易にする。円錐はバックプレート
26の第2面
34上 に配置され、突出部の反対側である。円錐状の中心部
28は頂点
40及びベース
42を有する。ベース
42 はバックプレート
26に隣接し、円錐状の頂点に向かって漸次に狭くなる。
図8に示すように、ベース
42は約10.6インチの半径
R1を有し、ほぼ円形である。従って、ベース
42は半径方向 にバックプレートの約50%を延長する。
図11に示すように、ハブの円錐状の頂点は約40度の角度
αを形成する。しかしながら、円錐状の中心部のベース
42の大きさ及び円錐状の頂点
40によって形成された角度
αは任意の適切または所望の大きさまたは角度であってもよい。
【0025】
円錐状の中心部28は、流体が流入口18からハウジング14の内部で円滑に流れるようにし、放出口または回転子16の端部に向かって続いて放出口20に向かう層流移動を容易にする吸引を発生させるように油圧的に促す。このような層流の誘導は渦巻流の減少及びハウジング内部の再循環を促し、ポンプの効率性を増加させる。円錐状の中心部28の大きさ(長さ、直径及び角度)は粒子の大きさによって変わることがあり、層流が放出口に向かって保持されることができる限り、粒子のより良い隙間を許容する。円錐状の中心部は、また吸引から回転子16の流入口18までより優れた渦巻流を生成するようにするともに、最大効率点より高い流量での乱流を防止し、これはポンプが設計最高効率点の140%の流量をポンピングすること を可能にする。円錐の大きさは電力消費を制御するように減少または増加されることができる。
【0026】
図6~
図11に示すように、複数のブレード
30a-30eは円錐状の中心部
28から延在し、バックプレート
26の第1面上に配置される。このような実施例で、複数のブレード
30a-30eは5つのブレードを含むが、複数のブレードは適切な渦巻流を形成する任意の適切な数のブレードであってもよい。各ブレードは第1面、第2面、端部及び底面を含む。各ブレードは円錐状の中心部から半径方向の外側に向かって、そしてバックプレート
26から長手方向に沿って延在する。また、円錐状の中心部が傾斜面を有する円錐であるので、各ブレードは、例えば
図9を参照して円錐状の中心部の傾斜した輪郭に従う。
【0027】
第1長手方向面
44と第2長手方向面
46は互いに対向する。第1長手方向面と第2長手方向面は 、一般的に、回転子の長手方向軸に平行する長手方向に延在し、半径方向に互いに狭くなりながら距離を隔てている。即ち、
図8に示すように、第1長手方向面
44と第2長手方向面
46は円錐状の中心部に隣接した方は約1.5インチ離れて配置され、バックプレート
26の円周縁に隣接した方は2インチ離れて配置される。従って、理解されるように、第1長手方向面
44と第2長手方向面
46は半径方向へ約0.5インチ分離される。第1長手方向面
44と第2長手方向面
46が任意の所望の方式で分離されることができるか、または、必要によって平行することができる点に留意されたい。また、回転子の大きさが変更されると、第1長手方向面
44と第2長手方向面
46の間隔の変化がそれによって変更されることができる。即ち、実施例で 、第1長手方向面
44と第2長手方向面
46の間隔の変化は33%である。言い換えれば、バックプレート
26の周縁で第1長手方向面
44と第2長手方向面
46の間の間隔が円錐状の中心部に隣接した第1長手方向面
44と第2長手方向面
46の間の間隔も33%大きい。
【0028】
図6、7、9及び11に示すように、各ブレード
30a-30eはバックプレート
26の周縁
36から円錐状の中心部まで上側に向かって漸次に狭くなる。各ブレード
30a-30eの底面は第1端部
52から第2端部
54まで拡張する。第1端部
52は円錐状の中心部に隣接し、第2端部
54は外面に隣接する。第2端部
54は、好ましくは、バックプレート
26の第2面
34から測定されるとき第1端部
52より高い。例えば、一実施例で、第1端部
52はバックプレート
26から約3.17インチであり、第2端部
54はバックプレート
26から5インチである。しかし、第1端部
52及び第2端部
54はバックプレート
26から任意の適切な距離であり得ることに留意されたい。また、回転子
16の大きさが変更されると、第1長手方向端部及び第2長手方向端部の高さ変化がそれによって変更されることができる 。即ち、この実施例で第1端部
52と第2端部
54の高さの差は約58%である。言い換えれば、第2端部
54の高さが第1端部
52の高さよりも58%高い。
【0029】
ブレード
30a-30eの外面
48は少なくとも
図3、4、6、7、9及び11から見ることができる。外面
48 は、好ましくは矩形であり、回転子
16の回転軸
Aと実質的に平行する。具体的には、
図9及び
図11に示すように、外面
48はバックプレート
26と直角(90度)を形成する。また、
図4に示すように、外面は、ハウジング
14の内面とほぼ平行に延在し、それから所定の距離だけ離隔される。このような構成は、粒子が外面とハウジング
14の内面との間に配置されることができるようにする。
【0030】
追加的に、
図11に示すように、底面
50は外面
48と75度の角度
β及びバックプレート
26の第2面
34に平行な線
Lと約15度の角度
θを形成する。このようなテーパリング(taperin g)は第1端部
52の高さ
H1より大きく、第2端部
54の高さ
H2より小さいバックプレート
26の第2面
34か らの高さを有する円錐状の中心部
28を形成する。従って、一実施例で、円錐状の中心部
28は4 .27インチの高さを有する。従って、理解できるように、円錐状の中心部
28の高さ
H3は第2端部
54の高さの約83%で、第1端部
52の高さよりも約38%大きい。しかし、円錐状の中心部
28の高さ
H3は任意の適切な高さであってもよい。
【0031】
従って、理解できるように、各ブレード30a-30eの高さは回転子16の吸引側で、回転子16の中心28から外径またはバックプレート26の周縁36に向かって増加する。このような構造は、向上された流体の吸入のために渦巻流を改善させ、より大きい粒径のための隙間を生成する。外径での回転子ブレード30a-30eの高さは流体を放出口20に直接押し出すことができるように放出口20の高さまたは放出口20の直径の近くに保持される。このような構成は、漏出、再循環及び圧力損失を減少させる。テーパリングブレードの高さもトルクの減少に寄与し、従って中心から外径まで均一なブレードの高さを有することに比べて消費電力を減少させる。外部ブレードの高さも、必要に応じて、寸法を同様に保持しながらハウジング14の排出口20の直径に比例して変更されることもできる。
【0032】
図4に示すように、各ブレード
30a-30eはハウジング
14から所定の距離だけ離隔される。一般的に、ブレード
30a-30eとハウジング
14との間の隙間は材料内にあると推定される最大粒径の追加10~15%に保持される。これは回転子
16が回転子内のブレード
30a-30eの摩耗を減少しながら相当な大きさの粒子を通過させることができるようにする。
【0033】
5つのブレード30a-30eを有する回転子16は渦巻流の形成及び回転子ブレードの間の再循環を減少させるための好ましいブレードの数である。ブレードの数が少なすぎると、乱流を発生する可能性があり、より高い流量が必要な圧力差を生成することができない可能性もある。ブレードの数が多すぎると、隙間が減少してより大きいサイズの粒子がポンプ10を通過できなくなる可能性があり、理想的な流量のために許容される流体の容積を減少させる可能性がある。しかし、回転子16は適切な量及び大きさの粒子を有する一部流れがハウジング14を通過 させる適切な数のブレードを有することができる。
【0034】
本明細書に記載された実施例は、従来のシステムに比べてより緩やかな流線によってより低い吸引圧力及び後続するキャビテーションを顕著に良好に処理することができるので、有効吸引水頭(NPSH;Net Positive Suction Head)を減少させる。これはポンプの吸引性能を向上し、キャビテーション象及びポンプ10の損傷可能性を減少する。
【0035】
理解できるように、本明細書に記載されたポンプの実施例は従来のポンプの遠心ポンプ原理に依存しない。従来のポンプの低公差インペラの代わりに、本明細書で記述されたポンプは、竜巻のような流体またはスラリーの渦流を生成するために特定の幾何学的形態の凹型回転子を用いる。即ち、渦流ポンプは竜巻の原理で動作する。渦流ポンプ及び回転子16によって形成された竜巻はポンプ回転子16からポンプ流入口への非常に強力で同期化された流れの中央柱を発生してポンプ流入口18からポンプ放出口20への低圧逆渦巻流を生成する。このような動作もポンプ密封付近に負圧領域を形成する。負圧はポンプの漏出をゼロにすることができるようにする。
【0036】
本明細書に説明されたさらなるオープン回転子の設計は流入口18に進入する全ての物質が問題なく放出口20を通過することができるようにする高い公差を有する。これは相当な量の固形物及び破片がポンプに詰まることなく通過することを意味する。一実施例において、ポンプは高粘度及び高比重を有するスラリー及び/または重量を基準として最大70%の固体をポンピングすることができる。
【0037】
凹型回転子16の構成は、また研磨材を重要なポンプ構成要素から遠く離れるように保持する渦巻流を生成する。このような構造はポンプの寿命を延長し、ポンプの摩耗を減少する。
【0038】
回転子16とハウジング14との間の公差は遠心ポンプで顕著に大きい物体の通過を許容する。例えば、2インチ~10インチの渦流ポンプで公差範囲は1~9インチである。
【0039】
本明細書に記載された実施例は、低保守、最小限のダウンタイム、低所有費用及び鋼鉄高圧パイプラインが必要でないという点のような追加長所を有することができる。
【0040】
渦流ポンプは固体粒子と液体の撹拌混合を誘導する吸引管の中心に沿って同期化された渦流柱のような液体のトルネード動作原理に基づくので、固体粒子が上方へハウジングまた はボリュート内に移動して所望に放出するための圧力差を発生させるのに充分に強い吸入 が生成される。このような渦巻流は回転子による圧力差によって形成され、ハウジングまたはボリュート14及び吸引管の乱流パターンによって強化される。渦巻流は流体の慣性力を 増加させる固体粒子の存在によって強化される。渦巻流の形成は吸引を発生させる浮遊固 体粒子に依存する。従来の渦流ポンプと違って、回転子16は滑ることなくポンプを通じて流体を直接駆動する。渦流ポンプは渦巻流を生成して吸引を誘導するために粒子の動き及びこれら固体粒子から誘導された後流を利用する。そこで、効率は馬力の側面で従来の渦流 ポンプよりも7-10%優れる。渦流ポンプによって発生された渦巻流は混合物の継続的 な動きを確保し、これは優れた非凝集能力及び重量の最大70%に達する非常に高い濃度 の固形物及び非常に高い粘度の流体をポンピングすることができる力を提供する。
【0041】
駆動モーター12は本技術分野において周知の従来の構成要素である。駆動モーター12は本技術分野でよく知られているので、この構造は本明細書で詳細に説明または例示しない。むしろ、当業者にとって本開示内容から構成要素が本発明を実施するために用いられることのできる任意の類型の構造物及び/またはプログラミングであり得ることは自明である。
【0042】
[用語の一般的な説明]
本発明の範囲を理解するにおいて、本明細書で用いられた用語「含む」及びその派生語は言及された特徴、要素、構成要素、グループ、整数及び/またはステップの存在を明示する開放型用語に意図され、他の明示されない特徴、要素、構成要素、グループ、整数及び/またはステップの存在を排除しない。また、上記の内容は「包む」、「有する」及びその派生語のような同様の意味を有する単語にも適用される。また、用語「部分」、「一部」または「要素」が単数型として用いられる場合、単一または複数の二重意味を有することができる。また、前記実施例を説明するために、本明細書で用いられるように、次の方向用語「後方」、「上端」及び「下端」だけでなく、何れの他の同様の方向用語は渦流ポンプのこのような方向を指す。従って、本発明を記述するために用いられたこれらの用語は渦流ポンプのみに関連して解釈すべきである。
【0043】
デバイスの構成要素、セクションまたは部分を説明するように本明細書で用いられた「構成される」という用語は所望の機能を実行するように構造化及び/またはプログラムされたハードウェア及び/またはソフトウェアを含む。
【0044】
本明細書で用いられた「実質的」、「約」及び「ほぼ」のような程度の用語は最終結果が明らかに変更されないように修正された用語の合理的な偏差の量を意味する。
【0045】
本発明を説明するために選択された実施例のみ選択されたが、添付された特許請求範囲に定義されているような本発明の範囲を逸脱しない範囲内で多様な変更及び修正が施されることができることは当業者にとって明らかである。例えば、多様な構成要素の大きさ、形態、位置または配向は必要によって及び/または所望通りに変更されることができる。
【0046】
直接連結されたり互いに接触することで図示された構成要素はその間に配置された中間構造を有することができる。一要素の機能は2つによって実行されることができ、その反対の場合も可能である。一実施例の構造及び機能は他の実施例で採択されることができる。全ての利点が特定実施例に同時に存在する必要はない。従来技術から固有の全ての特徴が単独または他の特徴と組み合わせて、このような特徴によって具現された構造的及び/または機能的概念を含んで、本出願人によって別途の他の発明に対する説明として見なされるべきである。従って、本発明による実施例の前述の説明は特許請求範囲及びその同等物によって定義されたように本発明を制限する目的ではなく、例示の目的で提供される。
【外国語明細書】