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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024105535
(43)【公開日】2024-08-06
(54)【発明の名称】電極画定共振器
(51)【国際特許分類】
   H03H 9/02 20060101AFI20240730BHJP
【FI】
H03H9/02 K
【審査請求】有
【請求項の数】19
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024078651
(22)【出願日】2024-05-14
(62)【分割の表示】P 2021131354の分割
【原出願日】2019-07-16
(31)【優先権主張番号】62/699,078
(32)【優先日】2018-07-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/037,499
(32)【優先日】2018-07-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】519146787
【氏名又は名称】ツー-シックス デラウェア インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】II-VI Delaware,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100113365
【弁理士】
【氏名又は名称】高村 雅晴
(74)【代理人】
【識別番号】100209336
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 悠
(74)【代理人】
【識別番号】100218800
【弁理士】
【氏名又は名称】河内 亮
(72)【発明者】
【氏名】ディ・ラン
(72)【発明者】
【氏名】ウェンチーン・シュイ
(72)【発明者】
【氏名】ジョヴァンニ・バルバロッサ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】共振器本体と、電気信号が共振器本体の1つまたは複数の導電層に提供されることを可能にする1つまたは複数の接続構造体とを含むバルク音響共振器を提供する。
【解決手段】バルク音響モードで動作可能なバルク音響共振器であって、共振器本体4の一部ではない別個のキャリア14に実装される共振器本体4を含む。共振器本体4は、圧電層8と、素子層12と、素子層とは反対側の圧電層上の上面導電層6と、を含む。圧電層とは反対側の素子層の表面は、共振器本体をキャリアに実装するためにある。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バルク音響共振器であって、
圧電層と、
素子層と、
前記素子層とは反対側の前記圧電層上の上面導電層と
を含む共振器本体を備え、前記圧電層とは反対側の前記素子層の表面の実質上すべてが、前記共振器本体から分離しているキャリアに前記共振器本体を実装するためにある、バルク音響共振器。
【請求項2】
前記圧電層とは反対側の前記素子層の前記表面のすべてが、前記共振器本体の全体を前記キャリアに実装するためにある、請求項1に記載のバルク音響共振器。
【請求項3】
信号を前記上面導電層に伝導するための接続構造体をさらに備える、請求項1に記載のバルク音響共振器。
【請求項4】
前記素子層が、ダイヤモンドを含む、請求項1に記載のバルク音響共振器。
【請求項5】
前記上面導電層が、間隔を置いた導電線またはフィンガを備える、請求項1に記載のバルク音響共振器。
【請求項6】
前記共振器本体が、前記圧電層と前記素子層との間に底面導電層をさらに備える、請求項1に記載のバルク音響共振器。
【請求項7】
前記キャリアに面する前記素子層の前記表面が、その全体を前記キャリアに直接実装するためにある、請求項1に記載のバルク音響共振器。
【請求項8】
前記共振器本体が、
前記圧電層とは反対側の前記上面導電層上、または
前記圧電層と前記素子層との間
に位置決めされた少なくとも1つの温度補償層をさらに備える、請求項1に記載のバルク音響共振器。
【請求項9】
前記共振器本体が、前記圧電層とは反対側の前記素子層に取り付けられた基板をさらに備え、
前記素子層の前記表面が、その全体を前記基板に実装され、
前記キャリアに面する前記基板の表面が、前記共振器本体を前記キャリアに実装するためにある、請求項1に記載のバルク音響共振器。
【請求項10】
前記キャリアに面する前記素子層の前記表面が、その全体を前記基板に直接実装される、請求項9に記載のバルク音響共振器。
【請求項11】
前記基板が、ケイ素を含む、請求項9に記載のバルク音響共振器。
【請求項12】
前記共振器本体が、
前記圧電層とは反対側の前記上面導電層上、
前記圧電層と前記素子層との間、または
前記素子層と前記基板との間
に位置決めされた少なくとも1つの温度補償層をさらに備える、請求項9に記載のバルク音響共振器。
【請求項13】
前記共振器本体が、
前記基板と前記圧電層との間に別の素子層を、または
前記基板と前記圧電層との間に別の基板を、または
両方をさらに備える、請求項9に記載のバルク音響共振器。
【請求項14】
前記素子層が、60×10Pa・s/m以上の音響インピーダンスを有し、
前記基板が、60×10Pa・s/m以下の音響インピーダンスを有する、請求項1に記載のバルク音響共振器。
【請求項15】
前記共振器本体が、厚さモード共振と横モード共振との組合せである合成モードで共振するように構成され、前記横モード共振が前記合成モード共振の20%以上である、請求項1に記載のバルク音響共振器。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、参照によりその内容が本明細書に組み込まれている、2018年7月17日に出願した「Electrode Defined Resonator」という名称の米国仮特許出願第62/699,078号の利益を主張するものである。
【背景技術】
【0002】
発明の分野
本発明は、バルク音響共振器に関し、より詳しくは、共振器本体と、任意選択で、共振器本体の1つまたは複数の導電層に電気信号を供給するのに使用することができる1つまたは複数の接続構造体とを有するバルク音響共振器に関する。
【0003】
関連技術の説明
無線周波数通信は、1980年代の「1G」システムから、1990年代の「2G」システム、2000年代初期の「3G」システム、2012年に標準化された現在の「4G」システムへと進化してきた。現在のRF通信では、RF信号は、表面弾性波(SAW)フィルタまたはバルク弾性波(BAW)フィルタを用いてフィルタリングされる。
【0004】
薄膜バルク音響共振器(FBAR:film-bulk-acoustic-resonator)および固体マウント共振器(SMR:Solid-Mounted-Resonator)は、現在の4G RF通信が、SAWフィルタ素子と比較して、相対的に高い周波数で相対的に低い挿入損失により共振することができることを可能にする圧電駆動型の微小電気機械システム(MEMS)素子である2種類のBAWフィルタである。これらのBAW音響共振器は、一例において、薄膜上面電極と薄膜底面電極との間に挟み込まれた圧電材料の薄膜を含む圧電スタックを備える。そのような圧電スタックの共振周波数は、厚さベースであるか、または圧電スタックの薄膜の厚さによる。共振周波数は、圧電スタックの薄膜の厚さが減少するにつれて増加する。共鳴体の膜厚は、決定的に重要であり、望ましい共振周波数に対して正確に制御されなければならない。目標としたまたは指定したRF周波数に対してFBARおよびSMR製造工程の妥当な歩留りの達成のために、圧電スタックの異なる領域を調節して、高レベルの厚さ均一性を実現するのは困難であり、時間がかかる。
【0005】
開発されている5G RF通信システムは、最終的には、数百MHzから1.8GHzの間のRF周波数で動作する前述のより低い性能の旧世代の通信システムに取って代わる。5Gシステムは、その代わりに、よりずっと高い、例えば、3~6GHz(6GHz未満)の、場合により、最大100GHz程度までのRF周波数で動作する。
【0006】
この周波数の増加のため、5G用途のFBARおよびSMRベースのRFフィルタの膜厚は、共振周波数を増加させるために低減させなければならないであろうし、それが、現在の最高水準のBAW音響共振器が直面する課題のうちの1つである。圧電膜厚の低減は、圧電スタックの上面電極と底面電極との間の距離も低減され、それにより、電気容量の増加がもたらされることを意味する。この電気容量の増加は、RF信号のより高いフィードスルーをもたらし、信号対雑音比を低減し、それは望ましくない。圧電スタック(上面電極、底面電極、上面電極と底面電極との間に挟み込まれた圧電層を含む)の最適圧電結合効率は、圧電層の厚さと、上面電極の厚さと、底面電極の厚さと、圧電性結晶の配列および方位との適切な組合せから生じ得る。5G通信に対して望ましくは高いRF周波数動作を実現するための圧電膜厚の低減は、最適圧電結合効率の達成を可能にしない場合があり、それは結果としてより高い挿入損失およびより高い運動インピーダンスとなる。上面電極、底面電極、または両方のうちのいずれかの電極の厚さは、低減される必要がある場合もある。電極厚の低減は、電気抵抗率の増加をもたらし、それは別の望ましくない制約、すなわち、より高い挿入損失をもたらす。
【0007】
さらに、FBARおよびSMR素子の周波数と品質係数(またはQ)との積は、典型的には一定であり、それは共振周波数の増加がQの減少をもたらすことを意味する。Qの減少は、特にFBARおよびSMRのQの最高水準が周波数2.45GHz以下において理論的限界に近づいていると仮定すると望ましくない。したがって、周波数を倍増することにより、Q値の低減がもたらされ、それはRFフィルタ、RF共振器、RFスイッチ、RF発振器などのRF素子を製作するのには望ましくない。
【発明の概要】
【0008】
一般にバルク音響モードで、優先的には横共振モードで動作することができる共振器本体が提供される。共振器本体の底面は、実装基板またはキャリアに実装または結合でき、その一方で、依然としてRFフィルタ、RF共振器、RFスイッチ、RF発振器などとしての共振器本体の使用を可能にすることができる。
【0009】
共振器本体と、電気信号が共振器本体の1つまたは複数の導電層に提供されることを可能にする1つまたは複数の接続構造体とを含むバルク音響共振器も提供される。1つの好ましいおよび限定されない実施形態または例において、1つまたは複数の接続構造体は、共振器本体と同じ材料の層と一体にすることができ、および/またはそれから形成することができ、その結果、バルク音響共振器は一体品であることができる。一体品のバルク音響共振器の底面は、実装基板またはキャリアに実装または結合でき、その一方で、依然としてRFフィルタ、RF共振器、RFスイッチ、RF発振器などとしての共振器本体の使用を可能にすることができる。
【0010】
本発明のこれらのおよび他の特徴は、添付の図面を参照する以下の説明から、より明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の原理による、吊るされていないバルク音響共振器の1つの好ましいおよび限定されない実施形態または例の側面図である。
図2】本発明の原理による、吊るされていないバルク音響共振器の1つの好ましいおよび限定されない実施形態または例の側面図である。
図3】本発明の原理による、吊るされていないバルク音響共振器の1つの好ましいおよび限定されない実施形態または例の側面図である。
図4A】本発明の原理による、吊るされていないバルク音響共振器の上面導電層、任意選択の底面導電層、または両方として使用することができる交互嵌合電極の形の1つの好ましいおよび限定されない実施形態または例の単独平面図である。
図4B】本発明の原理による、吊るされていないバルク音響共振器の上面導電層、任意選択の底面導電層、または両方として使用することができる櫛歯電極の形の1つの好ましいおよび限定されない実施形態または例の単独平面図である。
図4C】本発明の原理による、吊るされていないバルク音響共振器の上面導電層、任意選択の底面導電層、または両方として使用することができる薄板電極の形の1つの好ましいおよび限定されない実施形態または例の単独平面図である。
図5A図1~3のそれぞれにおける線A-Aに沿った、好ましいおよび限定されない実施形態または例の断面図である。
図5B図1~3のそれぞれにおける線B-Bに沿った、好ましいおよび限定されない実施形態または例の断面図である。
図6A図1~3のそれぞれにおける線A-Aに沿った、好ましいおよび限定されない実施形態または例の断面図である。
図6B図1~3のそれぞれにおける線B-Bに沿った、好ましいおよび限定されない実施形態または例の断面図である。
図7A図1~3のそれぞれにおける線A-Aに沿った、好ましいおよび限定されない実施形態または例の断面図である。
図7B図1~3のそれぞれにおける線B-Bに沿った、好ましいおよび限定されない実施形態または例の断面図である。
図7C図7A~7Bに示すように第1および第2の接続構造体の、およびテザー導体の両側の材料が除去された、本発明の原理による、吊るされていないバルク音響共振器の1つの好ましいおよび限定されない実施形態または例の側面図である。
図8A図1~3のそれぞれにおける線A-Aに沿った、好ましいおよび限定されない実施形態または例の断面図である。
図8B図1~3のそれぞれにおける線B-Bに沿った、好ましいおよび限定されない実施形態または例の断面図である。
図8C図8A~8Bに示すように第1および第2の接続構造体の、およびテザー導体の両側の材料が除去された、本発明の原理による、吊るされていないバルク音響共振器の1つの好ましいおよび限定されない実施形態または例の側面図である。
図8D図8A~8Bに示すように第1および第2の接続構造体の、およびテザー導体の両側の材料が除去された、本発明の原理による、吊るされていないバルク音響共振器の1つの好ましいおよび限定されない実施形態または例の側面図である。
図9A図1~3のそれぞれにおける線A-Aに沿った、好ましいおよび限定されない実施形態または例の断面図である。
図9B図1~3のそれぞれにおける線B-Bに沿った、好ましいおよび限定されない実施形態または例の断面図である。
図9C図9A~9Bに示すように第1および第2の接続構造体の、およびテザー導体の両側の材料が除去された、本発明の原理による、吊るされていないバルク音響共振器の1つの好ましいおよび限定されない実施形態または例の側面図である。
図9D図9A~9Bに示すように第1および第2の接続構造体の、およびテザー導体の両側の材料が除去された、本発明の原理による、吊るされていないバルク音響共振器の1つの好ましいおよび限定されない実施形態または例の側面図である。
図10】薄板電極の形で底面導電層と、1.8μmのフィンガ・ピッチを有する、櫛歯電極の形で上面導電層とを有する共振器本体の周波数対dBのグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下の詳細な説明のために、本発明は、明示的にそれとは反対に記載されている場合を除き、様々な代替変形およびステップの連続をとることができることを理解されたい。以下の特許明細書に説明する具体的な素子および方法は、単に本発明の例示的な実施形態、例、または態様に過ぎないことも理解されたい。さらに、好ましいおよび限定されない実施形態、例、または態様において、任意の動作例における以外、または特に他の指示がない限り、本特許明細書および特許請求の範囲において使用される要素の数量を表すすべての数は、すべての場合において「約(about)」という用語によって修飾されると理解されるものとする。したがって、特にそれとは反対の指示がない限り、以下の特許明細書および添付の特許請求の範囲に記述されている数値パラメータは、本発明によって取得される所望の特性により変化し得る近似値である。したがって、各数値パラメータは、少なくとも報告された有効桁の数に照らして、および通常の丸め技法を適用することによって解釈するべきである。
【0013】
本発明の広範な範囲を記述した数値範囲およびパラメータが近似値であるにもかかわらず、具体的な例において記述された数値は、可能な限り正確に報告される。しかし、任意の数値は、本質的に、それらのそれぞれの試験測定において見出された標準偏差から必然的に生じるある誤差を含む。
【0014】
また、本明細書に列挙された任意の数値範囲は、それに包含されるすべての部分範囲を含むことが意図されていることを理解されたい。例えば、「1から10」の範囲は、列挙された最小値の1から列挙された最大値の10の間の(およびそれらを含む)、すなわち、1以上の最小値および10以下の最大値を有する、すべての部分範囲を含むことが意図されている。
【0015】
添付の図面に示し、以下の特許明細書に説明する具体的な素子および工程は、単に本発明の例示的な実施形態、例、または態様に過ぎないことも理解されたい。したがって、本明細書に開示する実施形態、例、または態様に関連した具体的な寸法および他の物理的特性は、限定的とはみなされないものとする。本発明のある好ましいおよび限定されない実施形態、例、または態様は、同じ参照番号が同じまたは機能的に同等の要素に対応する添付の図を参照して説明する。
【0016】
本出願において、特に他の記載がない限り、単数の使用は、複数を含むことができ、複数は、単数を包含する。さらに、本出願において、特に他の記載がない限り、「または(or)」の使用は、たとえ「および/または(and/or)」が、ある場合において明確に使用することができても、「および/または(and/or)」を意味する。さらに、本出願において、特に他の記載がない限り、「1つの(a)」または「1つの(an)」の使用は、「少なくとも1つの(at least one)」を意味する。
【0017】
以下説明のために、「端部(end)」、「上の(upper)」、「下の(lower)」、「右の(right)」、「左の(left)」、「垂直の(vertical)」、「水平の(horizontal)」、「上面(top)」、「底面(bottom)」、「横の(lateral)」、「縦の(longitudinal)」という用語およびその派生語は、図面の図において正しい位置に置かれている例に関するものとする。しかし、例は、明示的にそれとは反対に記載されている場合を除き、様々な代替変形およびステップの連続をとることができることを理解されたい。添付の図面に示し、以下の特許明細書に説明する具体的な例は、単に本発明の例示的な例または態様に過ぎないことも理解されたい。したがって、本明細書に開示する具体的な例または態様は、限定的と解釈されないものとする。
【0018】
図1を参照すると、1つの好ましいおよび限定されない実施形態または例において、バルク音響モードで動作可能であり得る、本発明の原理による、吊るされていないバルク音響共振器(UBAR:unsuspended bulk acoustic resonator)2が、上面から底面に、上面導電層6と、圧電層8と、任意選択の底面導電層10と、素子層12とを備える層のスタックを含むことができる共振器本体4を含むことができる。図1に示す例、UBAR2において、素子層12の底面は、実装することができ、例えば、実装基板またはキャリア14に直接実装することができる。
【0019】
図2を参照し、引き続き図1を参照すると、1つの好ましいおよび限定されない実施形態または例において、少なくとも、図2の共振器本体4が素子層12とキャリア14との間に任意選択の基板16を含むことができることを除外して、本発明の原理による別のUBAR2の例が、図1に示すUBAR2と同様であることができる。例において、素子層12の底面は、実装することができ、例えば、基板16の上面に直接実装することができ、基板16の底面は、実装することができ、例えば、キャリア14に直接実装することができる。
【0020】
図3を参照し、引き続き図1および2を参照すると、1つの好ましいおよび限定されない実施形態または例において、少なくとも、図3の共振器本体4が素子層12と圧電層8または任意選択の底面導電層10を設けた場合それとの間に任意選択の第2の基板16-1および/または第2の基板16-1と圧電層8または任意選択の底面導電層10を設けた場合それとの間に任意選択の第2の素子層12-1を含むことができることを除外して、本発明の原理による別のUBAR2の例が、図2に示すUBAR2と同様であることができる。1つの好ましいおよび限定されない実施形態または例において、適切なおよび/または望ましいと考えられたとき、図3の共振器本体4が、1つまたは複数の追加の素子層12(具体的には図示せず)および/または1つまたは複数の追加の基板16(具体的には図示せず)をさらに含むことができることが想定される。いくつかの素子層12と基板16とを有する共振器本体4の例は、圧電層8または任意選択の底面導電層10を設けた場合それからキャリア14までの例示的な順序において、第1の素子層、第1の基板と、第2の素子層、第2の基板と、第3の素子層、第3の基板と、...等々を含むことができる。共振器本体4が複数の素子層12および/または複数の基板16を含むことができる、1つの好ましいおよび限定されない実施形態または例において、各素子層12は、同じまたは異なる材料で製作することができ、各基板16は、同じまたは異なる材料で製作することができる。1つの好ましいおよび限定されない実施形態または例において、素子層12の数および基板16の数は異なることができる。例において、圧電層8または任意選択の底面導電層10を設けた場合それからキャリア14までの例示的な順序において、共振器本体4は、素子層12-1と、基板16-1と、共振器本体4の最底面層としての素子層12とを含むことができる。各素子層12および各基板16を形成するのに使用することができる材料の例を以下に説明する。
【0021】
1つの好ましいおよび限定されない実施形態または例において、図1~3に示すように、1つまたは複数の任意選択の温度補償層90、92、および94を、上面導電層6の上面上に、圧電層8または任意選択の底面導電層10を設けた場合それと素子層12との間に、および/または素子層12(または12-1)と基板16(または16-1)を設けた場合それとの間に設けることができる。各温度補償層は、ケイ素および酸素のうちの少なくとも一方を含むことができる。例において、各温度補償層は、二酸化ケイ素またはケイ素元素および/または酸素元素を含むことができる。1つまたは複数の任意選択の温度補償層90、92、および94は、設けたとき、使用中に発生した熱による、図1~3に示す各共振器本体4の例の共振周波数の変化を回避するのに役立てることができる。
【0022】
平面図において、本明細書に説明する各共振器本体4および/またはUBAR2は、正方形または長方形を有することができる。しかし、他の形状を有する共振器本体4および/またはUBAR2が想定される。
【0023】
図4A~4Cを参照し、引き続きすべての前の図を参照すると、1つの好ましいおよび限定されない実施形態または例において、導電層6および任意選択の導電層10の一方または両方は、後面22によって支持され、導電線またはフィンガ24と交互嵌合され、後面26によって支持された導電線またはフィンガ20を含むことができる交互嵌合電極18(図4A)の形であることができる。1つの好ましいおよび限定されない実施形態または例において、導電層6および任意選択の導電層10の一方または両方は、第1の後面30から延びる導電線またはフィンガ28を含むことができる櫛歯電極27(図4B)の形であることができる。第1の後面30とは反対側の導電線またはフィンガ28の端部は、任意選択の第2の後面32(図4Bに仮想線で示す)に接続することができる。1つの好ましいおよび限定されない実施形態または例において、導電層6および任意選択の導電層10の一方または両方は、導電性薄板電極33(図4C)の形であることができる。各線またはフィンガ20、24および28は、直線として示す。例において、各線またはフィンガ20、24および28は、湾曲線もしくはフィンガ、渦巻線もしくはフィンガ、または任意の他の適切なおよび/または望ましい形状でもよい。
【0024】
1つの好ましいおよび限定されない実施形態または例において、上面導電層6は、交互嵌合電極18、または櫛歯電極27、または薄板電極33の形であることができる。上面導電層6の形から独立して、任意選択の底面導電層10は、設けた場合、交互嵌合電極18、または櫛歯電極27、または薄板電極33の形であることができる。以下、および説明だけのために、1つの好ましいおよび限定されない実施形態または例において、上面導電層6を第1の後面30と任意選択の第2の後面32とを含む櫛歯電極27の形であるものとして説明し、任意選択の底面導電層10を薄板電極33の形であるものとして説明する。しかし、任意選択の底面導電層10に対する交互嵌合電極18、または櫛歯電極27、または薄板電極33のうちの任意の1つと組み合わせて、上面導電層6に対する交互嵌合電極18、または櫛歯電極27、または薄板電極33のうちの任意の1つの使用が想定されるので、これは限定的な意味で解釈されないものとする。
【0025】
1つの好ましいおよび限定されない実施形態または例において、任意選択の底面導電層10を設けた場合、その形にかかわらず、交互嵌合電極18または櫛歯電極27の形で少なくとも上面導電層6を有する各共振器本体4の例の共振周波数は、フィンガ・ピッチ38(例えば、図4A~4B参照)の適当な選択によって、当技術分野で周知のやり方で調節し、または選択することができ、フィンガ・ピッチ38=フィンガの幅+フィンガの間隙(隣接したフィンガの間)である。各共振器本体4の例が厚さモードに対して横モードで主として共振するが、すべてというわけではないことが所望される例において、共振器本体4の共振周波数は、フィンガ・ピッチ38を減少させることによって増加させることができる。各共振器本体4の例が横モードに対して厚さモードで主として共振するが、すべてというわけではないことが所望される例において、共振器本体4の共振周波数は、フィンガ・ピッチ38を増加させることによって減少させることができる。
【0026】
1つの好ましいおよび限定されない実施形態または例において、各共振器本体4の例は、厚さモード、横モード、または厚さモードと横モードとの組合せである複合もしくは合成モードで共振することができる。厚さモード共振では、音響波は、圧電層8の厚さの方向に共振し、共振周波数は、圧電層8の厚さ、および上面導電層6と、任意選択の底面導電層10を設けた場合それとの厚さに基づく。圧電層8と、任意選択の底面導電層10を設けた場合それと、上面導電層6との組合せは、圧電スタックと称することができる。本明細書に説明する各共振器本体4の例の共振周波数を決定する音響速度は、圧電スタックの合成音響速度である。例において、共振周波数fは、合成音響速度Vを圧電スタックの厚さτの2倍で割ることによって計算することができる。
【0027】
横モード共振では、音響波は、圧電層8の横方向(xまたはy方向)に共振し、共振周波数は、圧電スタックの合成音響速度Vをフィンガ・ピッチ38の2倍で割ることによって、すなわち、f=V/2(フィンガ・ピッチ)で求めることができる。フィンガ・ピッチが大きなピッチサイズδから小さなピッチサイズδまで低減されたとき、周波数増加率、PFICalculatedは、例において、次式によって求めることができる。
【数1】
例において、フィンガ・ピッチ38が2.2μmから1.8μmまで低減されたとき、横モードのPFICalculatedは22.2%である。別の例において、フィンガ・ピッチ38が1.8μmから1.4μmまで低減されたとき、横モードのPFICalculatedは28.5%である。
【0028】
合成モード共振が、厚さモード共振の部分および横モード共振の部分を含むことができる。合成モード共振における横モード共振Lの部分は、フィンガ・ピッチ38を大きなピッチサイズδから小さなピッチサイズδに変化させることによる、実際のまたは測定した周波数増加率PFIMeasuredの計算した周波数増加率PFICalculatedに対する比率で定義することができる。横モード共振Lの値は、1つまたは複数の制御されないまたは予測不可能な変動がある場合、100%超であり得る。例において、共振器本体4は、厚さモードで、横モードで、または合成モードで共振することができる。合成モード共振の例において、横モード共振Lの部分は、20%以上であることができる。合成モード共振の別の例において、横モード共振Lの部分は、30%以上であることができる。合成モード共振の別の例において、横モード共振Lの部分は、40%以上であることができる。
【0029】
1つの好ましいおよび限定されない実施形態または例において、薄板電極33の形で任意選択の底面導電層10と、フィンガ・ピッチ38が2.2μmである櫛歯電極27の形で上面導電層6とを有する共振器本体4は、モード1共振周波数=1.34GHz、モード2共振周波数=2.03GHz、およびモード3共振周波数=2.82GHzのモード共振周波数を用いて合成モードで共振することができる。
【0030】
例において、薄板電極33の形で任意選択の底面導電層10と、フィンガ・ピッチ38が1.8μmである櫛歯電極27の形で上面導電層6とを有する共振器本体4では、共振器本体4は、モード1共振周波数=1.49GHz、モード2共振周波数=2.38GHz、およびモード3共振周波数=3.05GHzのモード共振周波数を用いて合成モードで共振することができる。この例において、合成モード共振のうちの横モード共振Lの率は、それぞれ、Lモード1=53%、Lモード2=78%、およびLモード3=27%であることができる。この例の共振器本体4の周波数対dBのグラフである図10も参照されたい。図10において、各ピーク82、84および86は、それぞれの、モード1共振周波数=1.49GHz、モード2共振周波数=2.38GHz、およびモード3共振周波数=3.05GHzにおける共振器本体4の応答を表す。
【0031】
例において、薄板電極33の形で任意選択の底面導電層10と、フィンガ・ピッチ38が1.4μmである櫛歯電極27の形で上面導電層6とを有する共振器本体4では、共振器本体4は、モード1共振周波数=1.79GHz、モード2共振周波数=2.88GHz、およびモード3共振周波数=3.36GHzのモード共振周波数を有することができる。この例の共振器本体4では、合成モード共振のうちの横モード共振Lの率は、Lモード1=70%、Lモード2=74%、およびLモード3=35%であることができる。
【0032】
例において、厚さモードで、横モードで、または合成モードで共振する共振器本体4の前述の説明は、以下に、より詳細に説明する、1つまたは複数の接続構造体34および36と組み合わせた共振器本体4を含むことができる、図1~3に示す各UBAR2の例に適用可能でもあり得る。
【0033】
継続して図1~3を参照すると、1つの好ましいおよび限定されない実施形態または例において、図1~3に示す各共振器本体4の最底面層を、任意の適切なおよび/または望ましい実装技法、例えば、共晶実装、接着などを利用してキャリア14に直接実装することができる。本明細書では、「直接実装される(mounted directly)」、「直接...を実装すること(mounting ... directly)」および同様の語句は、キャリア14に近接して位置決めされ、例において、実装、取付けなどの任意の適切なおよび/または望ましいやり方でおよび/または例において、共晶接合、導電接着、非導電接着などの任意の適切なおよび/または望ましい手段によってキャリア14に結合される、図1~3に示す各共振器本体4の最底面層として理解されるものとする。1つの好ましいおよび限定されない実施形態または例において、キャリア14は、従来の集積回路(IC)パッケージなどのパッケージの表面であることができる。共振器本体4の最底面層が前記パッケージの表面に実装された後、共振器本体4および、より一般には、UBAR2は、当技術分野で周知のやり方で、前記パッケージ内に封止して、共振器本体4および、より一般には、UBAR2を外部環境条件に対して保護することができる。例において、例えば、UBARを実装するために日本のNTK Ceramic Co.,Ltd.から市販されている従来のセラミックICパッケージなどのパッケージの使用が想定される。しかし、これは、共振器本体4および/またはUBAR2を現在周知のまたは以後開発される任意の適切なおよび/または望ましいパッケージに実装することができることが想定されるので、限定的な意味で解釈されないものとする。
【0034】
別の例において、キャリア14は、例えば、1枚のセラミック、1枚の従来の印刷回路板材料などの基板の表面であることができる。図1~3に示す各共振器本体4および/またはUBAR2の最底面層を実装することができる、本明細書における基板例の説明は、例示だけのためであり、限定的な意味で解釈されないものとする。むしろ、キャリア14は、図1~3に示す各共振器本体4および/またはUBAR2の最底面層を形成する材料と互換性があり、当技術分野で周知のやり方で共振器本体4および/またはUBAR2の使用を可能にする任意の適切なおよび/または望ましい材料で製作することができる。キャリア14は、当業者によって適切なおよび/または望ましいと考えられる任意の形を有することができる。したがって、本明細書における実装基板またはキャリア14の任意の説明は、限定的な意味で解釈されないものとする。
【0035】
継続して図1~3を参照すると、1つの好ましいおよび限定されない実施形態または例において、各UBAR2は、共振器本体4の上面導電層6および任意選択の底面導電層10を設けた場合それへの電気信号の印加を容易にする、1つまたは複数の任意選択の接続構造体34および/または36を含むことができる。しかし、1つの好ましいおよび限定されない実施形態または例において、電気信号を共振器本体4の上面導電層6および任意選択の底面導電層10を設けた場合それに直接印加することができる、1つまたは複数の任意選択の接続構造体34および/または36は、除外する(すなわち、設けない)ことができる。したがって、例において、UBAR2は、接続構造体34および36なしで共振器本体4を備えることができる。別の例において、UBAR2は、共振器本体4と、単一の接続構造体34または36とを備えることができる。説明だけのために、1つの好ましいおよび限定されない実施形態または例において、共振器本体4と、接続構造体34および36とを備えるUBAR2を説明する。
【0036】
各接続構造体34および36は、任意の適切なおよび/または望ましい形を有することができ、任意の適切なおよび/または望ましいやり方で形成することができ、上面導電層6および任意選択の底面導電層10を設けた場合それへの別々の電気信号の提供を容易にすることができる、任意の適切なおよび/または望ましい材料で製作することができる。例において、上面導電層6が1つの後面30または32だけを有する櫛歯電極27の形であり、任意選択の底面導電層10が1つの後面30または32だけを有する櫛歯電極27の形、または薄板電極33の形である場合、別々の電気信号を上面導電層6および任意選択の底面導電層10に提供するように構成することができる、単一の接続構造体34または36を介して電気信号を上面導電層6および任意選択の底面導電層10のそれぞれに提供することができる。
【0037】
別の例において、上面導電層6または任意選択の底面導電層10のうちの少なくとも一方が2つの後面30および32を有する交互嵌合電極18または櫛歯電極27の形を有する場合、1つまたは複数の電気信号を交互嵌合電極18の後面24および26に、および/または櫛歯電極27の後面30および32に別々に提供するように別々の接続構造体34および36を設けることができる。上面導電層6および任意選択の底面導電層10の形、ならびに電気信号が上面導電層6および任意選択の底面導電層10を設けた場合それに提供されるやり方は、限定的な意味で解釈されないものとする。
【0038】
1つの好ましいおよび限定されない実施形態または例において、任意の特定の説明、例、または理論によって制約されることを望まないが、図1~3に示すUBAR2の例に使用することができる第1および第2の接続構造体34および36の例を次に説明する。
【0039】
1つの好ましいおよび限定されない実施形態または例において、説明だけのために、各接続構造体34および36は、図1~3に示す様々な共振器本体4の例を形成する様々な層および/または基板の延長部を有するものとして説明する。しかし、これは、各接続構造体34および36が、上面導電層6および任意選択の底面導電層10を設けた場合それへの1つまたは複数の別々の電気信号の提供を可能にする、任意の適切なおよび/または望ましい形および/または構造体を有することができることが想定されるので、限定的な意味で解釈されないものとする。
【0040】
1つの好ましいおよび限定されない実施形態または例において、図1~3のうちの任意の1つまたはすべてにおける線A-AおよびB-Bに沿った図を表すことができる図5A~5Bを参照すると、図5Aは、圧電層8の上面上に後面30と任意選択の後面32とを含む、櫛歯電極27の形で上面導電層6を示す。例において、上面導電層6は、代替案として交互嵌合電極18の形であることができる。1つの好ましいおよび限定されない実施形態または例において、図5Bは、圧電層8(図5Bに仮想線で示す)の下に薄板電極33の形で任意選択の底面導電層10を示す。例において、任意選択の底面導電層10は、代替案として交互嵌合電極18または櫛歯電極27の形であることができる。以下の例だけのために、上面導電層6および任意選択の底面導電層10は、それぞれ、後面30と任意選択の後面32とを含む櫛歯電極18の形、および薄板電極33の形であるものとして説明する。しかし、これは限定的な意味で解釈されないものとする。
【0041】
1つの好ましいおよび限定されない実施形態または例において、接続構造体34および36は、共振器本体4の任意選択の底面導電層10を形成する薄板電極33と接触した底面金属層40および44(図5B)を含むことができる。各底面層40および44は、圧電層8によって覆われる薄板の形であることができる。例において、各底面層40および44は、薄板電極33の延長部であることができ、薄板電極33と同時に形成することができる。別の例において、各底面層40および44は、薄板電極33とは別個に形成することができ、薄板電極33と同じまたは異なる材料から製作することができる。例において、接続構造体34および36は、圧電層8の上面上に、および共振器本体4の上面導電層6を形成する櫛歯電極27の、それぞれ、後面30および後面32と接触して上面金属層42および46を含むこともできる。
【0042】
例において、底面金属層40および44は、接触パッド48と底面金属層40および44との間を延びる圧電層8中に形成された導電性ビア50を介して第1および第2の接続構造体34および36の上面上の前記接触パッド48に接続することができる。例において、各上面金属層42および46は、ある間隙(番号付けされていない)だけ、対応する接触パッド48から間隔を置いた薄板の形状を有することができる。各上面金属層42および46は、接触パッド58を含むこともできる。各接触パッド48は、必要に応じ、任意の適切なおよび/または望ましいやり方で任意選択の底面導電層10を電気駆動/付勢するのに使用することができる適切な信号源(図示せず)に接続することができる。同様に、各接触パッド58は、必要に応じ、任意の適切なおよび/または望ましいやり方で上面導電層6を駆動/付勢するのに使用することができる適切な信号源(図示せず)に接続することができる。
【0043】
図5A~5Bに参照番号18および27で示すように、上面導電層6は、代替案として交互嵌合電極18の形であることができ、任意選択の底面導電層10は、代替案として櫛歯電極27または交互嵌合電極18の形であることができる。
【0044】
図1~3のうちの任意の1つまたはすべてにおける線A-AおよびB-Bに沿った図を表すことができる図6A~6Bを参照すると、1つの好ましいおよび限定されない実施形態または例において、図6A~6Bに示す例は、少なくとも以下を除外して、図5A~5Bに示す例と同様である。底面金属層40および44は、それぞれ、側面導体54およびテザー導体56によって薄板電極33の形で任意選択の底面導電層10に接続される、間隔を置いた導体52の対の形(図5A~5Bに示す導電性薄板に対して)であることができる。上面金属層42および46は、それぞれ、導体60の形であることができる。各導体60は、テザー導体62によって上面導電層6を形成する櫛歯電極27の後面30または後面32に接続することができる。テザー導体62は、テザー導体56と垂直に位置合せし、および圧電層8によってそれから間隔を置くことができる。例において、図6A~6Bに示すように、テザー導体62の幅は、導体60の幅未満であることができ、テザー導体56の幅は、テザー導体62の幅とほぼ同じであることができる。
【0045】
図1~3のうちの任意の1つまたはすべてにおける線A-AおよびB-Bに沿った図を表すことができる図7A~7Bを参照すると、1つの好ましいおよび限定されない実施形態または例において、図7A~7Bに示す例は、少なくとも以下を除外して図6A~6Bに示す例と同様である。前記接続構造体の、テザー導体62と、テザー導体56を設けた場合それとの両側の各接続構造体34および36の材料の一部または全部は、除去することができ、それによって、前記接続構造体の残りの部分と共振器本体4との間の前記テザー導体の両側のUBAR2の上面から底面までの距離の一部または全部を延ばすことができるスロットが形成される。前記接続構造体のテザー導体の両側の各接続構造体34および36の材料の一部または全部の除去は、例において、テザー導体62と、テザー導体56を設けた場合それと、テザー導体62と垂直に位置合せした圧電層8の一部分とを含むことができるテザー構造76を画定することができる。
【0046】
図7Cを参照し、および引き続き図7A~7Bを参照すると、1つの好ましいおよび限定されない実施形態または例において、前記接続構造体の、テザー導体62と、テザー導体56を設けた場合それとの両側の、各接続構造体34および36を形成する材料の一部または全部の除去は、図1~3に示すUBAR2の任意の例に使用することができる。例えば、図7Cは、図7A~7Bに示すように、各前記接続構造体の、テザー導体62と、テザー導体56を設けた場合それとの両側の、第1および第2の接続構造体34および36の材料が除去された、図1に示すUBAR2の例の側面図を示す。図7A~7Cから理解することができるように、各接続構造体の、テザー導体62と、テザー導体56を設けた場合それとの両側の、除去された材料は、上面導電層6と、圧電層8と、任意選択の底面導電層10を設けた場合それと、素子層12との一部分を含むことができ、その結果、図7A~7Bに示す図において、前記接続構造体の、テザー導体62と、テザー導体56を設けた場合それとの両側の、各接続構造体34および36のこれらの材料の除去によって形成されたスロット内には材料が何も見えない。図7A~7Cに示す例において、各テザー構造76は、上面から底面まで、テザー導体62と、テザー導体62に垂直に位置合せされた圧電層8の一部分と、任意選択のテザー導体56(底面導電層10が存在するとき)と、テザー導体62に垂直に位置合せされた素子層12の一部分とを含むことができる。
【0047】
別の例において、UBAR2が図7Cに仮想線で示す基板16(図2)と、任意選択で、1つまたは複数の追加の素子層12-1および/または基板16-1(図3)とを含む場合、各接続構造体34および36の、テザー導体62と、テザー導体56を設けた場合それとの両側の、基板16と、各追加の素子層12-1および/または基板16-1を設けた場合それらとを形成する材料も除去することができ、その結果、図7A~7Bに示す図において、前記接続構造体の、テザー導体62と、テザー導体56を設けた場合それとの両側の、各接続構造体34および36のこれらの材料の除去によって形成されたスロット内に材料が何も見えないはずである。
【0048】
例において、図7A~7Bに示す図が図2に示すUBAR2の例である場合、各テザー構造76は、上面から底面まで、テザー導体62と、テザー導体62に垂直に位置合せされた圧電層8の一部分と、任意選択のテザー導体56(任意選択の底面導電層10が存在するとき)と、テザー導体62に垂直に位置合せされた素子層12の一部分と、素子層12の一部分に垂直に位置合せされた基板16の一部分とを含むことができる。別の例において、図7A~7Bに示す図が図3に示すUBAR2の例である場合、各テザー構造76は、上面から底面まで、テザー導体62と、テザー導体62に垂直に位置合せされた圧電層8の一部分と、任意選択のテザー導体56(任意選択の底面導電層10が存在するとき)と、テザー導体62に垂直に位置合せされた素子層12および12-1の一部分と、テザー導体62に垂直に位置合せされた基板16および16-1の一部分とを含むことができる。
【0049】
図1~3のうちの任意の1つまたはすべてにおける線A-AおよびB-Bに沿った図を表すことができる図8A~8Bを参照すると、1つの好ましいおよび限定されない実施形態または例において、図8A~8Bに示す例は、少なくとも以下を除外して図7A~7Bに示す例と同様である。すなわち、各接続構造体34および36の少なくとも1つの素子層12または12-1の全部または一部を形成する材料は、前記接続構造体の、テザー導体62と、テザー導体56を設けた場合それとの両側に保持され、その結果、前記少なくとも1つの素子層12または12-1の前記材料が、前記接続構造体の、テザー導体62と、テザー導体56を設けた場合それとの両側のスロット内に見える。例において、図8A~8Cに示す図が図1に示すUBAR2の例である場合、各テザー構造76は、上面から底面まで、テザー導体62と、テザー導体62に垂直に位置合せされた圧電層8の一部分と、任意選択のテザー導体56(任意選択の底面導電層10が存在するとき)とを含むことができる。この例において、素子層12は、保持され、図8A~8Bに示すスロット内に見えるはずである。
【0050】
別の例において、図8A~8Bに示す図が図2に示すUBAR2の例である場合、各テザー構造76は、上面から底面まで、テザー導体62と、テザー導体62に垂直に位置合せされた圧電層8の一部分と、任意選択のテザー導体56(任意選択の底面導電層10が存在するとき)と、テザー導体62に垂直に位置合せされた素子層12の一部分とを含むことができる。この例において、素子層12は、保持され、図8A~8Bに示すスロット内に見えるはずであり、素子層12の下の基板16(図8Cに仮想線で示す)は、やはり保持されるが、図8A~8Bに示すスロット内には見えないはずである。
【0051】
別の例において、図8A~8Bに示す図が図3に示すUBAR2の例である場合、各テザー構造76は、上面から底面まで、テザー導体62と、テザー導体62に垂直に位置合せされた圧電層8の一部分と、任意選択のテザー導体56(任意選択の底面導電層10が存在するとき)と、テザー導体62に垂直に位置合せされた素子層12の一部分とを含むことができる。例において、素子層12が、保持され、図8A~8Bに示すスロット内に見える場合、素子層12の下の基板16は、やはり保持されるが、図8A~8Bに示すスロット内には見えないはずであり、各テザー構造76は、素子層12-1の一部分と、テザー導体62に垂直に位置合せされた基板16-1の一部分とをやはり含むはずである。別の例において、素子層12-1が、保持され、図8A~8Bに示すスロット内に見える場合、基板16および16-1ならびに素子層12は、やはり保持されるが、図8A~8Bに示すスロット内には見えないはずである。
【0052】
図8Dに示す別の例において、図1または2に示すUBAR2の例では、各テザー構造76は、上面から底面まで、テザー導体62と、テザー導体62に垂直に位置合せされた圧電層8の一部分と、任意選択のテザー導体56(任意選択の底面導電層10が存在するとき)と、各接続構造体34および36の、テザー導体62と、テザー導体56を設けた場合それとの両側の、素子層12の部分的除去によって露出したテザー導体62に垂直に位置合せされた素子層12の本体の一部分とを含むことができる。図8Dに示す例が図2に示すUBAR2である場合、基板16(図8Dに仮想線で示す)は、素子層12の下に保持され、図8A~8Bに示す図においては見えないはずである。
【0053】
別の例において、図3に示すUBAR2の例では、各テザー構造76は、上面から底面まで、テザー導体62と、テザー導体62に垂直に位置合せされた圧電層8の一部分と、任意選択のテザー導体56(任意選択の底面導電層10が存在するとき)と、各接続構造体34および36の、テザー導体62と、テザー導体56を設けた場合それとの両側の、前記素子層12または12-1の部分的除去(図8Dに示す素子層12の部分的除去と同様)によって露出したテザー導体62に垂直に位置合せされた素子層12または素子層12-1の本体の一部分とを含むことができる。例において、図3に示すUBAR2の素子層12の本体の一部分が除去され(図8Dに示す素子層12の部分的除去と同様)、その結果、図3に示すUBAR2の素子層12を形成する材料の内部の一部分が図8A~8Bに示すスロット内に見え、各テザー構造76は、テザー導体62に垂直に位置合せされた素子層12-1および基板16-1の一部分をやはり含むことができる。この例において、基板16は、保持され、すなわち、基板16は除去される部分はなく、図8A~8Bに示す図においては見えないはずである。
【0054】
別の例において、図3に示すUBAR2の素子層12-1の本体の一部分が除去され(図8Dに示す素子層12の部分的除去と同様)、その結果、素子層12-1を形成する材料の内部の一部分が、図8A~8Bに示すスロット内に見え、各テザー構造76は、テザー導体62に垂直に位置合せされた素子層12-1の本体の一部分を含むこともできる。この例において、基板16および16-1ならびに素子層12が、保持され、すなわち、基板16および16-1ならびに素子層12は、除去される部分はなく、図8A~8Bに示す図において見えないはずである。
【0055】
図1~3のうちの任意の1つまたはすべてにおける線A-AおよびB-Bに沿った図を表すことができる図9A~9Bを参照すると、図2に示すUBAR2では、1つの好ましいおよび限定されない実施形態または例において、図9A~9Bに示す例は、少なくとも以下を除外して図8A~8Bに示す例と同様である。各テザー構造76は、素子層12を形成する材料の一部分を含むことができ、その結果、図9A-9Cに示す図において、基板16の一部分が、各接続構造体34および36の、テザー導体62と、テザー導体56を設けた場合それとの両側に形成されたスロット内に見え得る。この例において、基板16は保持され、各テザー構造76は、上面から底面まで、テザー導体62と、テザー導体62に垂直に位置合せされた圧電層8の一部分と、任意選択のテザー導体56(任意選択の底面導電層10が存在するとき)と、テザー導体62に垂直に位置合せされた素子層12の一部分とを含むことができる。
【0056】
引き続き図9A~9Bを参照すると、図3に示すUBAR2では、1つの好ましいおよび限定されない実施形態または例において、素子層12ならびに基板16および16-1が保持される場合、図9A~9Bに示す図において、基板16-1は、各接続構造体34および36の、テザー導体62と、テザー導体56を設けた場合それとの両側に形成されたスロット内に見え得る。この例において、各テザー構造76は、上面から底面まで、テザー導体62と、テザー導体62に垂直に位置合せされた圧電層8の一部分と、任意選択のテザー導体56(任意選択の底面導電層10が存在するとき)と、テザー導体62に垂直に位置合せされた素子層12-1の一部分とを含むことができる。
【0057】
別の例において、図3に示すUBAR2では、基板16が保持され、その結果、図9A~9Bに示す図において、基板16が、各接続構造体34および36の、テザー導体62と、テザー導体56を設けた場合それとの両側に形成されたスロット内に見え得る場合、各テザー構造76は、上面から底面まで、テザー導体62と、テザー導体62に垂直に位置合せされた圧電層8の一部分と、任意選択のテザー導体56(任意選択の底面導電層10が存在するとき)と、テザー導体62に垂直に位置合せされた素子層12-1の一部分と、テザー導体62に垂直に位置合せされた基板16-1の一部分と、テザー導体62に垂直に位置合せされた素子層12の一部分とを含むことができる。
【0058】
図9Dに示す別の例において、図2に示すUBAR2の例では、基板16と素子層12との界面において、基板16の本体を形成する材料の一部分を、共振器本体4ならびに接続構造体34および36の下に横方向に除去することができ、その結果、図9Dに示すように、接続構造体34および36の底面部分64および70が露出し、共振器本体4の底面部分66および68が露出し、基板16の本体の表面72および74が露出する。この例において、除去された、基板16の本体を形成する材料の一部分は、図9Dの平面内に、各テザー構造76に垂直に位置合せされた基板16の材料の一部分まで延びることができる。この例において、各テザー構造76は、上面から底面まで、テザー導体62と、テザー導体62に垂直に位置合せされた圧電層8の一部分と、任意選択のテザー導体56(任意選択の底面導電層10が存在するとき)と、テザー導体62に垂直に位置合せされた素子層12の一部分と、素子層12の一部分に近接してテザー導体62に垂直に位置合せされた基板16の一部分とを含むことができる。この例において、表面72および74は、図9A~9Bに示すスロット内に見え得る。
【0059】
別の代替例において、図3に示すUBAR2の例では、基板16-1または16を形成する材料の一部分を、図9Dにおける基板16を形成する材料の除去と同様に、共振器本体4ならびに接続構造体34および36の下に横方向に除去することができ、その結果、基板16-1または16を形成する材料の表面(表面72および74など)が露出し、図9A~9Bに示すスロット内に見え得る。
【0060】
例において、図3のUBAR2の例の基板16-1を形成する材料の表面(表面72および74など)が露出し、図9A~9Bに示すスロット内に見え得、各テザー構造76は、テザー導体62に垂直に位置合せされた素子層12-1の一部分と、素子層12-1に近接してテザー導体62に垂直に位置合せされた基板16-1を形成する材料の一部分とを含むこともできる。この例において、基板16-1の本体の一部分だけが除去されて、各スロットを形成し、素子層12および基板16が保持され、すなわち、素子層12および基板16は、除去される部分はなく、図9A~9Bに示す図において見えない。
【0061】
別の例において、図3のUBAR2の例の基板16を形成する材料の表面(表面72および74など)が露出し、図9A~9Bに示すスロット内に見え得、各テザー構造76は、テザー導体62に垂直に位置合せされた素子層12-1の一部分と、テザー導体62に垂直に位置合せされた基板16-1の一部分と、テザー導体62に垂直に位置合せされた素子層12の一部分と、素子層12に近接してテザー導体62に垂直に位置合せされた基板16を形成する材料の一部分とを含むこともできる。この例において、基板16の本体の一部分だけが除去されて、各スロットを形成する。
【0062】
1つの好ましいおよび限定されない実施形態または例において、底面導電層10が存在しない、上記に論じた例のうちのいずれかにおいては、接続構造体34および36の底面金属層40および44は、存在しなくてもよい。
【0063】
1つの好ましいおよび限定されない実施形態または例において、上記に説明した各テザー構造76は、少なくともテザー導体62と、任意選択のテザー導体56(任意選択の底面導電層10が存在するとき)と、テザー導体62に垂直に位置合せされた圧電層8の一部分だけとを含むことができる。別の好ましいおよび限定されない実施形態または例において、各テザー構造76は、テザー導体62に垂直に位置合せされた、素子層12、基板16、素子層16-1、および/または基板16-1のうちの1つまたは複数の一部分だけを含むこともできる。しかし、これは限定的な意味で解釈されないものとする。
【0064】
1つの好ましいおよび限定されない実施形態または例において、図1~3に示す各共振器本体4の例では、少なくとも上面導電層6と、任意選択の底面導電層10を設けた場合それと、上面導電層6の下の圧電層8の一部分との幅は、すべて同じであることができる。また、あるいは代替案として、例において、素子層12と、基板16と、素子層12-1および/または基板16-1を設けた場合それらとの幅および/または寸法は、すべて、上面導電層6と、任意選択の底面導電層10を設けた場合それと、圧電層8との幅および/または寸法と同じであることができる。
【0065】
1つの好ましいおよび限定されない実施形態または例において、図1~3に示す任意の共振器本体4の例の表面のうちの任意の1つまたは複数、および/または任意の1つまたは複数の接続構造体34および/または36を設けた場合それらの表面のうちの1つまたはすべては、適切なおよび/または望ましいと考えられたときエッチングして、図1~3に示す任意のUBAR2の例の品質係数および/または挿入損失を最適化することができる。例えば、図1~3に示す任意の共振器本体4の例の上面および底面の表面をエッチングすることができる。また、あるいは代替案として、図1~3に示す任意の共振器本体4の例の1つまたは複数の側面をエッチングすることができ、その結果、前記側面のそれぞれは、垂直に平面であることができる。
【0066】
1つの好ましいおよび限定されない実施形態または例において、上面導電層6、または任意選択の底面導電層10を設けた場合底面導電層10、または両方が交互嵌合電極18の形である場合、前記交互嵌合電極18の1つの後面22または26は、適切な信号源に接続し、適切な信号源によって駆動することができ、その一方で、他の後面22または26は、信号源に接続しないことができる。別の好ましいおよび限定されない実施形態または例において、上面導電層6、または任意選択の底面導電層10を設けた場合底面導電層10、または両方が交互嵌合電極18の形である場合、前記交互嵌合電極18の後面22は、1つの信号源に接続し、1つの信号源によって駆動することができ、前記交互嵌合電極18の後面26は、第2の信号源に接続し、第2の信号源によって駆動することができる。例において、第2の信号源は、第1の信号源と同じであるかまたは異なることができる。
【0067】
1つの好ましいおよび限定されない実施形態または例において、素子層12(または12-1)の各具体例は、60×10Pa・s/m以上の音響インピーダンスを有することができる。別の例において、素子層12(または12-1)の各具体例は、90×10Pa・s/m以上の音響インピーダンスを有することができる。別の例において、素子層12(または12-1)の各具体例は、500×10Pa・s/m以上の音響インピーダンスを有することができる。1つの好ましいおよび限定されない実施形態または例において、各基板層16は、100×10Pa・s/m以下の音響インピーダンスを有することができる。別の例において、各基板層16は、60×10Pa・s/m以下の音響インピーダンスを有することができる。
【0068】
1つの好ましいおよび限定されない実施形態または例において、素子層12と、圧電層8または任意選択の底面導電層10を設けた場合それとの界面における音響波の反射率(R)は、50%超であることができる。別の例において、素子層12と、圧電層8または任意選択の底面導電層10を設けた場合それとの界面における音響波の反射率(R)は、70%超であることができる。別の例において、素子層12と、圧電層8または任意選択の底面導電層10を設けた場合それとの界面における音響波の反射率(R)は、90%超であることができる。
【0069】
1つの好ましいおよび限定されない実施形態または例において、素子層12または12-1と、圧電層8または任意選択の底面導電層10を設けた場合それとの界面における音響波の反射率(R)は、70%超であることができる。例において、任意の2つの層6と8と、8と10と、8もしくは10と12もしくは12-1と、または12もしくは12-1と16もしくは16-1との界面における、または素子層12もしくは12-1と基板16もしくは16-1との界面における反射率Rは、以下の式により求めることができる。
【0070】
R=|(Zb-Za)/(Za+Zb)|
【0071】
ここで、Za=第1の層、例えば、圧電層8または、第2の層の上に位置する任意選択の底面導電層10を設けた場合底面導電層10の音響インピーダンスであり、
【0072】
Zb=第2の層、例えば、素子層12の音響インピーダンスである。
【0073】
第1および第2の層の他の例は、基板16または16-1の上の素子層12または12-1の具体例を含むことができる。
【0074】
1つの好ましいおよび限定されない実施形態または例において、図1~3に示す任意の共振器本体4の例の全反射率(R)は、>90%であることができる。
【0075】
1つの好ましいおよび限定されない実施形態または例において、素子層12は、当技術分野で周知のやり方で形成されたダイヤモンドの層であることができる。例において、基板16は、ケイ素から形成することができる。
【0076】
1つの好ましいおよび限定されない実施形態または例において、ダイヤモンドで形成された素子層12は、基板16もしくは16-1または犠牲基板(図示せず)上のダイヤモンドの化学的気相成長(CVD)によって成長させることができる。1つの好ましいおよび限定されない実施形態または例において、任意選択の底面導電層10、圧電層8、および上面導電層6は、本明細書ではこれ以上説明しない従来の半導体処理技法を利用して、素子層12上に堆積させ、必要に応じ、パターン形成することができる(例えば、櫛歯電極27または交互嵌合電極18)。
【0077】
本明細書では、各温度補償層90、92、および94は、ケイ素と酸素のうちの少なくとも一方を含むことができる。例えば、各温度補償層は、二酸化ケイ素、またはケイ素元素、および/または酸素元素を含むことができる。
【0078】
1つの好ましいおよび限定されない実施形態または例において、図1~3に示す各UBAR2は、100以上の無負荷品質係数を有することができる。別の例において、図1~3に示す各UBAR2は、50以上の無負荷品質係数を有することができる。1つの好ましいおよび限定されない実施形態または例において、図1~3に示す各共振器本体4の例の圧電層8、各素子層12、および各基板16を設けた場合各基板16の厚さは、任意の適切なおよび/または望ましいやり方で選択して、共振器本体4の性能を最適化することができる。同様に、例において、図1~3に示す各共振器本体4の例の寸法は、無制限に、挿入損失、電力処理能力、および熱放散などの目標性能に対して選択することができる。1つの好ましいおよび限定されない実施形態または例において、ダイヤモンドが素子層12の材料として使用されたとき、底面層12との界面における前記ダイヤモンド層の表面は、光学的に仕上げおよび/または物理的に高密度にすることができる。例において、素子層12を形成するダイヤモンド材料は、ドーピングされていない、またはドーピングされている、例えば、P型またはN型であることができる。ダイヤモンド材料は、多結晶、ナノ結晶、または超ナノ結晶であることができる。例において、ケイ素が基板16の各具体例の材料として使用されたとき、前記ケイ素は、ドーピングされていない、またはドーピングされている、例えば、P型またはN型であり、単結晶または多結晶であることができる。素子層を形成するダイヤモンド材料は、20cm-1以下のラマン半値幅を有することができる。
【0079】
1つの好ましいおよび限定されない実施形態または例において、圧電層8は、ZnO、AlN、InN、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属ニオベート、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属チタネート、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属タンタライト、GaN、AlGaN、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、ポリマーまたは前述の材料のうちのいずれかのドーピングされた形で形成することができる。
【0080】
1つの好ましいおよび限定されない実施形態または例において、素子層12は、任意の適切なおよび/または望ましい高音響インピーダンス材料で形成することができる。例において、10Pa・s/mから630×10Pa・s/mの間またはそれ以上の音響インピーダンスを有する材料は、高音響インピーダンス材料とみなすことができる。典型的な高音響インピーダンス材料の例には、ダイヤモンド(約630×10Pa・s/m)、W(約99.7×10Pa・s/m)、Al、Pt、Pd、Mo、Cr、Ti、Ta、周期表の3Aもしくは4A族の元素、周期表の1B、2B、3B、4B、5B、6B、7B、もしくは8B族の遷移元素、セラミック、ガラス、およびポリマーが含まれ得る。この高音響インピーダンス材料の列挙は、限定的な意味で解釈されないものとする。
【0081】
1つの好ましいおよび限定されない実施形態または例において、基板16は、任意の適切なおよび/または望ましい低音響インピーダンス材料で形成することができる。例において、10Pa・s/mから30×10Pa・s/mの間の音響インピーダンスを有する材料は、低音響インピーダンス材料とみなすことができる。典型的な低音響インピーダンス材料の例には、セラミック、10Pa・s/mから30×10Pa・s/mの間の音響インピーダンスを有するガラス、結晶、および鉱物、象牙(1.4×10Pa・s/m)、アルミナ/サファイア(25.5×10Pa・s/m)、アルカリ金属K(1.4×10Pa・s/m)、およびケイ素(19.7×10Pa・s/m)が含まれ得る。この低音響インピーダンス材料の列挙は、限定的な意味で解釈されないものとする。
【0082】
1つの好ましいおよび限定されない実施形態または例において、各共振器本体4の例を形成する材料の選択により、典型的には高音響インピーダンス材料とみなされる1つまたは複数の材料は、共振器本体4の低音響インピーダンス材料として機能することができる。例えば、ダイヤモンドが素子層12の材料として使用された場合、Wを基板16の材料として使用することができる。したがって、共振器本体4の2つの層または基板の界面において所望の反射率R(上記に論じた)を実現することにより、どの材料を高音響インピーダンス材料として使用でき、どの材料を低音響インピーダンス材料として使用できるかを決定することができる。
【0083】
1つの好ましいおよび限定されない実施形態または例において、本発明の原理によるバルク音響共振器は、共振器本体4を含むことができる。共振器本体4は、圧電層8と、素子層12と、素子層12とは反対側の圧電層8上の上面導電層6とを含むことができる。圧電層とは反対側の素子層12の表面の実質上すべては、共振器本体4から分離されているキャリア14に共振器本体4を実装するためにある。例において、圧電層とは反対側の素子層の表面のすべては、共振器本体の全体をキャリアに実装するためであり得ることが望ましいが、絶対不可欠ではない。例において、バルク音響共振器は、信号を上面導電層に伝導するために接続構造体34または36を含むことができることが望ましいが、絶対不可欠ではない。例において、素子層は、ダイヤモンドを含むことができる。例において、上面導電層6は、複数の間隔を置いた導電線またはフィンガを含むことができる。例において、共振器本体4は、圧電層8と素子層12との間に任意選択の底面導電層10をさらに備えることができる。
【0084】
1つの好ましいおよび限定されない実施形態または例において、共振器本体4は、圧電層8とは反対側の素子層12に取り付けられた基板16をさらに含むことができる。例において、素子層12の表面は、その全体を基板16に実装することができる。例において、キャリア14に面する基板16の表面は、その全体をキャリア14に直接実装するためにあることができる。
【0085】
1つの好ましいおよび限定されない実施形態または例において、キャリア14に面する素子層12の表面は、その全体を基板16に直接実装することができる。例において、キャリア14に面する素子層12の表面は、その全体をキャリア14に直接実装するためにある。
【0086】
1つの好ましいおよび限定されない実施形態または例において、共振器本体4は、基板16と圧電層8との間に第2の素子層12-1を、または基板16と圧電層8との間に第2の基板16-1を、または両方をさらに含むことができる。
【0087】
1つの好ましいおよび限定されない実施形態または例において、本明細書では、「その全体を実装すること(mounting in its entirety)」は1つの層または基板を直接または間接的に別の層または基板に実装することを意味することができる。例において、本明細書では、「その全体を実装すること(mounting in its entirety)」は、また、あるいは代替案として、1つの層または基板と、別の層または基板との間に意図的に導入された空間または間隙がないことを意味することができる。別の例において、本明細書では、「その全体を実装すること(mounting in its entirety)」は、また、あるいは代替案として、1つの層または基板と、別の層または基板との間に自然に(ただし、意図的ではなく)形成され得る自然に発生する空間を含むことができる。
【0088】
本発明を現在最も実用的な好ましいおよび限定されない実施形態、例、または態様とみなされるものに基づいて例示のために詳細に説明してきたが、そのような詳細は、そのためだけであり、本発明は開示した好ましいおよび限定されない実施形態、例、または態様に限定されず、それどころか、添付の特許請求の範囲の精神および範囲内にある変更および同等の構成を包含することが意図されていることを理解されたい。例えば、本発明は、可能な限り、任意の好ましいおよび限定されない実施形態、例、態様、または添付の特許請求の範囲の1つまたは複数の特徴を、任意の他の好ましいおよび限定されない実施形態、例、態様、または添付の特許請求の範囲の1つまたは複数の特徴と組み合わせることができることを企図していることを理解されたい。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図7C
図8A
図8B
図8C
図8D
図9A
図9B
図9C
図9D
図10
【手続補正書】
【提出日】2024-05-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バルク音響共振器であって、
ある厚さを有する圧電層と、
前記圧電層の近隣に配置される第一導電層であって、第一のピッチで互いに離間した複数の交互嵌合第一導電要素を含む、第一導電層と、
前記圧電層の近隣で、前記圧電層の前記第一導電層とは反対の側に配置される第二導電層と、
を含む共振器本体を備え、
前記共振器本体が、音響共振の合成モードで共振するように構成され、前記音響共振の前記合成モードが、(i)前記厚さによって定義される前記音響共振の厚さモードと、(ii)前記第一のピッチによって定義される前記音響共振の横モードとの組合せである、バルク音響共振器。
【請求項2】
前記圧電層の近隣に配置される素子層をさらに備え、前記素子層の前記圧電層とは反対側の第一表面がキャリアの近隣の前記共振器本体を支持するように構成される、請求項1に記載のバルク音響共振器。
【請求項3】
前記素子層が、前記圧電層の前記第一導電層とは反対の側に配置される、請求項2に記載のバルク音響共振器。
【請求項4】
前記共振器本体の隣に配置され、かつ、前記共振器本体の前記圧電層、前記素子層及び前記第一導電層から形成される接続構造体を含み、前記接続構造体がスロットによって前記共振器本体から分離されており、前記接続構造体が前記接続構造体と前記共振器本体との間の前記スロットに接続されるテザー構造を有し、前記接続構造体が電気信号を前記テザー構造の向こう側の前記共振器本体の前記第一導電層に伝導するように構成される導電性ビアを有する、請求項1に記載のバルク音響共振器。
【請求項5】
前記素子層が、ダイヤモンドを含む、請求項2に記載のバルク音響共振器。
【請求項6】
前記第二導電層が、第二のピッチで互いに離間した複数の交互嵌合第二導電要素を含む、請求項1に記載のバルク音響共振器。
【請求項7】
前記第一のピッチが、前記第二のピッチと等しい、請求項6に記載のバルク音響共振器。
【請求項8】
前記第二導電層が、導電性薄板を備える、請求項4に記載のバルク音響共振器。
【請求項9】
前記共振器本体が、前記圧電層とは反対側の前記第一導電層上、または前記圧電層と前記素子層との間に配置された少なくとも1つの温度補償層をさらに備える、請求項1に記載のバルク音響共振器。
【請求項10】
前記キャリアに面する前記素子層の前記第一表面の全てが、その全体において前記キャリアに直接実装されるように構成される、請求項2に記載のバルク音響共振器。
【請求項11】
前記共振器本体が、前記圧電層とは反対側の前記素子層の近隣に配置された基板をさらに備え、
前記素子層の前記第一表面が、前記基板に実装され、
前記基板の前記キャリアに面する第二表面が、前記キャリアに実装される、請求項2に記載のバルク音響共振器。
【請求項12】
前記素子層の前記第一表面が、その全体において前記基板に直接実装される、請求項11に記載のバルク音響共振器。
【請求項13】
前記基板が、ケイ素を含む、請求項11に記載のバルク音響共振器。
【請求項14】
前記共振器本体が、前記圧電層とは反対側の前記第一導電層上、前記圧電層と前記素子層との間、または前記素子層と前記基板との間に配置された少なくとも1つの温度補償層をさらに備える、請求項11に記載のバルク音響共振器。
【請求項15】
前記共振器本体が、
前記基板と前記圧電層との間に配置される別の素子層、または
前記基板と前記圧電層との間に配置される別の基板、または両方
をさらに備える、請求項11に記載のバルク音響共振器。
【請求項16】
前記素子層が、60×10Pa・s/m以上の音響インピーダンスを有し、かつ、前記基板が、60×10Pa・s/m以下の音響インピーダンスを有する、請求項11に記載のバルク音響共振器。
【請求項17】
前記横モード共振(L)が前記合成モード共振(C)の強さ(dB)の20%以上を構成する、請求項1に記載のバルク音響共振器。
【請求項18】
前記共振器本体の隣に配置され、かつ、前記共振器本体の前記圧電層、前記素子層及び前記第一導電層から形成される接続構造体を含み、前記接続構造体がスロットによって前記共振器本体から分離されており、前記接続構造体が前記接続構造体と前記共振器本体との間の前記スロットに接続されるテザー構造を有し、前記接続構造体が電気信号を前記テザー構造の向こう側の前記共振器本体の前記第一導電層に伝導するように構成される導電性ビアを有する、請求項2に記載のバルク音響共振器。
【請求項19】
前記第二導電層が、第二のピッチで互いに離間した複数の交互嵌合第二導電要素を含む、請求項1に記載のバルク音響共振器。
【外国語明細書】