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特開2024-105554光起電力モジュールおよびその製造方法
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  • 特開-光起電力モジュールおよびその製造方法 図1A
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024105554
(43)【公開日】2024-08-06
(54)【発明の名称】光起電力モジュールおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 31/05 20140101AFI20240730BHJP
   H01L 31/048 20140101ALI20240730BHJP
【FI】
H01L31/04 570
H01L31/04 560
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024079320
(22)【出願日】2024-05-15
(62)【分割の表示】P 2023084571の分割
【原出願日】2023-05-23
(31)【優先権主張番号】202310111863.5
(32)【優先日】2023-01-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202310116607.5
(32)【優先日】2023-01-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】519095522
【氏名又は名称】ジョジアン ジンコ ソーラー カンパニー リミテッド
(71)【出願人】
【識別番号】512083920
【氏名又は名称】晶科能源股分有限公司
【氏名又は名称原語表記】JINKO SOLAR CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No.1,Jinko Road, Shangrao Economic Development Zone Jiangxi 334100 CN
(74)【代理人】
【識別番号】100199819
【弁理士】
【氏名又は名称】大行 尚哉
(74)【代理人】
【識別番号】100087859
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 秀治
(72)【発明者】
【氏名】ハァォ グゥオ フェイ
(72)【発明者】
【氏名】黄世亮
(72)【発明者】
【氏名】郭志球
(72)【発明者】
【氏名】劉立勤
(72)【発明者】
【氏名】張池
(57)【要約】      (修正有)
【課題】効率及び歩留まりの向上に有利である光起電力モジュールおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】隣接する電池セル100のうちの第1電池セルの前面に位置する第1端部1201と、隣接する電池セル100のうちの第2電池セルの裏面に位置する第2端部1202とを有し、第1端部1201が第1電池セルの前面における複数本のグリッド線110と接触して接続され、第2端部1202が第2電池セルの裏面における複数本のグリッド線110と接触して接続される光接続部材120と、電池セル100から離れる方向に沿って順次配置される第1封止サブ層131と第2封止サブ層132からなる封止層130とを含み、第1封止サブ層131の流動性が第2封止サブ層132の流動性よりも低い。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電池セルであって、各前記電池セルが対向する前面及び裏面を備え、前記前面及び前記裏面のいずれにも複数本のグリッド線を有する電池セルと、
接続部材であって、各前記接続部材は、隣接する前記電池セルをそれぞれ接続し、各前記接続部材は、隣接する前記電池セルのうちの第1電池セルの前面に位置する第1端部と、隣接する前記電池セルのうちの第2電池セルの裏面に位置する第2端部とを有し、前記第1端部が第1電池セルの前面における複数本の前記グリッド線と接触して接続され、前記第2端部が第2電池セルの裏面における複数本の前記グリッド線と接触して接続される接続部材と、
少なくとも、前記電池セルから離れる方向に沿って順次配置される第1封止サブ層と第2封止サブ層とを含み、前記第1封止サブ層が前記第2封止サブ層よりも前記接続部材及び前記接続部材によって覆われていない前記電池セルの部分に近く、第2封止サブ層が第1封止サブ層の電池セルから離れる表面に位置し、ここで、前記第1封止サブ層の流動性が前記第2封止サブ層の流動性よりも低く、前記第1封止サブ層は予備架橋接着フィルムであり、前記第2封止サブ層は非予備架橋接着フィルムである封止層と、を含み、
前記第2封止サブ層のML値に対する前記第1封止サブ層のML値の比は1.5~8.5であり、
前記第1封止サブ層のML値は0.4dN・m~0.85dN・mであり、および/または、前記第2封止サブ層のML値は0.1dN・m~0.3dN・mである、
ことを特徴とする光起電力モジュール。
【請求項2】
一部の前記電池セルと前記接続部材との間に位置し、かつ前記グリッド線以外の前記電池セルの表面に位置する接着剤ドットをさらに含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の光起電力モジュール。
【請求項3】
前記第1封止サブ層と前記第2封止サブ層は一体成形された構造である、
ことを特徴とする請求項1に記載の光起電力モジュール。
【請求項4】
前記電池セルから対応する封止層に向かう方向において、前記接続部材の最大厚さに対する前記第1封止サブ層の厚さの比が0.4~1である、
ことを特徴とする請求項1に記載の光起電力モジュール。
【請求項5】
前記電池セルから対応する封止層に向かう方向において、前記第2封止サブ層の厚さに対する前記第1封止サブ層の厚さの比が0.3~1.5である、
ことを特徴とする請求項1に記載の光起電力モジュール。
【請求項6】
前記封止層は、前記第2封止サブ層の前記電池セルから離れる表面に設けられた第3封止サブ層をさらに含み、ここで、前記第3封止サブ層の流動性は、前記第1封止サブ層の流動性および前記第2封止サブ層の流動性よりも高い、
ことを特徴とする請求項1に記載の光起電力モジュール。
【請求項7】
前記第2封止サブ層のML値に対する前記第1封止サブ層のML値の比は1.1~3であり、前記第3封止サブ層のML値に対する前記第2封止サブ層のML値の比は1.1~4である、
ことを特徴とする請求項6に記載の光起電力モジュール。
【請求項8】
前記第1封止サブ層のML値は0.4dN・m~0.85dN・mであり、前記第2封止サブ層のML値は0.3dN・m~0.4dN・mであり、および/または、第3封止サブ層のML値は0.1dN・m~0.3dN・mである、
ことを特徴とする請求項6または7に記載の光起電力モジュール。
【請求項9】
前記電池セルから対応する封止層に向かう方向において、前記第2封止サブ層の厚さに対する前記第1封止サブ層の厚さの比は1~4である、
ことを特徴とする請求項6または7に記載の光起電力モジュール。
【請求項10】
前記第1封止サブ層の材料と前記第2封止サブ層の材料とは同じである、
ことを特徴とする請求項1または6に記載の光起電力モジュール。
【請求項11】
前記電池セルから対応する封止層に向かう方向において、前記第3封止サブ層の厚さに対する前記第2封止サブ層の厚さの比は0.2~0.7である、
ことを特徴とする請求項6に記載の光起電力モジュール。
【請求項12】
前記第1封止サブ層の材料、前記第2封止サブ層の材料及び前記第3封止サブ層の材料は同じである、
ことを特徴とする請求項6に記載の光起電力モジュール。
【請求項13】
請求項1に記載の光起電力モジュールを製造する方法であって、
複数の電池セルを提供することと、
各接続部材の第1端部を隣接する電池セルのうちの第1電池セルの前面に設置し、各接続部材の第2端部を隣接する電池セルのうちの第2電池セルの裏面に設置することにより複数の接続部材を設けることと、
各封止層の第1封止サブ層を第2封止サブ層よりも複数の接続部材及び前記接続部材によって覆われていない前記電池セルの部分に近くなるように設置し、前記第2封止サブ層を前記第1封止サブ層の前記電池セルから離れる表面に設置することにより封止層を設け、ここで、前記第1封止サブ層は予備架橋接着フィルムであり、前記第2封止サブ層は非予備架橋接着フィルムであることと、
前記電池セルと前記封止層とを固定するように、前記電池セル、前記接続部材及び前記封止層を予め設定された温度で積層処理することと、を含み、
前記第2封止サブ層のML値に対する前記第1封止サブ層のML値の比は1.5~8.5であり、
前記第1封止サブ層のML値は0.4dN・m~0.85dN・mであり、および/または、前記第2封止サブ層のML値は0.1dN・m~0.3dN・mである、
ことを特徴とする光起電力モジュールの製造方法。
【請求項14】
前記接続部材を設けることは、一部の前記電池セルと前記接続部材との間に位置し、かつ前記グリッド線以外の前記電池セルの表面に位置する接着剤ドットを形成することをさらに含む、
ことを特徴とする請求項13に記載の光起電力モジュールの製造方法。
【請求項15】
前記封止層は、前記第2封止サブ層の前記電池セルから離れる表面に設けられた第3封止サブ層をさらに含み、ここで、前記第3封止サブ層の流動性は、前記第1封止サブ層の流動性および前記第2封止サブ層の流動性よりも高い、
ことを特徴とする請求項13に記載の光起電力モジュールの製造方法。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願の実施例は、光起電力の技術分野に関し、特に光起電力モジュールおよびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
光起電力発電技術の発展に伴い、光起電力セル(Photovoltaic cell)または光起電力モジュールの製造において、製造コストを節約すると同時に、光起電力セルの効率の向上と光起電力セルの歩留まりの向上を実現することが既に注目された重要な問題となっている。
【0003】
グリッド線は太陽電池の重要な構成部分として、光起電力効果(Photovoltaic effect)によって発生した電子を収集して導出することに用いられ、PVリボンは光起電力モジュールにおける電池セルに接続されることに用いられ、グリッド線とPVリボンの配置方式、PVリボンとグリッド線のはんだ付け品質、PVリボン材料とグリッド線材料の選択、PVリボンとグリッド線のはんだ付け方式及びPVリボン上方の接着フィルムなどはいずれも電池セルの光電変換効率、光起電力モジュールの効率、光起電力モジュールの歩留まり及び光起電力モジュールの寿命にある程度の影響を与えている。現在、光起電力モジュールにおけるグリッド線、PVリボン及び接着フィルムの設置方式は改善する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願の実施例には、少なくとも光起電力モジュールの効率及び歩留まりの向上に有利である光起電力モジュールおよびその製造方法が提供される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願のいくつかの実施例によれば、本願の実施例の一形態には、光起電力モジュールが提供され、当該光起電力モジュールは、それぞれの表面に複数本のグリッド線を有する複数の電池セルと、接続部材であって、各前記接続部材は、隣接する前記電池セルをそれぞれ接続し、各接続部材は、隣接する電池セルのうちの第1電池セルの前面に位置する第1端部と、隣接する電池セルのうちの第2電池セルの裏面に位置する第2端部とを有し、前記第1端部が第1電池セルの前面における複数本のグリッド線と接触して接続され、前記第2端部が第2電池セルの裏面における複数本のグリッド線と接触して接続される接続部材と、少なくとも、電池セルから離れる方向に沿って順次配置される第1封止サブ層と第2封止サブ層とを含み、第1封止サブ層が前記接続部材及び前記接続部材によって覆われていない前記電池セルの部分に近く、第2封止サブ層が第1封止サブ層の電池セルから離れる表面に位置し、ここで、第1封止サブ層の流動性が第2封止サブ層の流動性よりも低い封止層と、を含む。
【0006】
いくつかの実施例では、第1封止サブ層のML値と第2封止サブ層のML値との比は1.5~8.5である。
【0007】
いくつかの実施例では、第1封止サブ層のML値は0.4dN・m~0.85dN・mであり、および/または、第2封止サブ層のML値は0.1dN・m~0.3dN・mである。
【0008】
いくつかの実施例では、一部の電池セルと接続部材との間に位置し、かつグリッド線以外の電池セルの表面に位置する接着剤ドットをさらに含む。
【0009】
いくつかの実施例では、第1封止サブ層と第2封止サブ層は一体成形された構造である。
【0010】
いくつかの実施例では、電池セルから封止層に向かう方向において、第1封止サブ層の厚さと接続部材の最大厚さとの比が0.4~1である。
【0011】
いくつかの実施例では、電池セルから封止層に向かう方向において、第1封止サブ層の厚さと第2封止サブ層の厚さとの比が0.3~1.5である。
【0012】
いくつかの実施例では、前記封止層は、前記第2封止サブ層の前記電池セルから離れる表面に設けられた第3封止サブ層をさらに含み、ここで、前記第3封止サブ層の流動性は、前記第1封止サブ層の流動性および前記第2封止サブ層の流動性よりも高い。
【0013】
いくつかの実施例では、前記第1封止サブ層のML値と前記第2封止サブ層のML値との比は1.1~3であり、前記第2封止サブ層のML値と前記第3封止サブ層のML値の比は1.1~4である。
【0014】
いくつかの実施例では、前記第1封止サブ層のML値は0.4dN・m~0.85dN・mであり、前記第2封止サブ層のML値は0.3dN・m~0.4dN・mであり、および/または、第3封止サブ層のML値は0.1dN・m~0.3dN・mである。
【0015】
いくつかの実施例では、前記電池セルから前記封止層に向かう方向において、前記第1封止サブ層の厚さと前記第2封止サブ層の厚さとの比は1~4である。
【0016】
いくつかの実施例では、電池セルから封止層に向かう方向において、第2封止サブ層の厚さと第3封止サブ層の厚さの比は0.2~0.7である。
【0017】
いくつかの実施例では、第1封止サブ層の材料と第2封止サブ層の材料とは同じである。
【0018】
いくつかの実施例では、第1封止サブ層の材料、第2封止サブ層の材料及び第3封止サブ層の材料は同じである。
【0019】
本願のいくつかの実施例によって、本願の実施例の別の形態では、上記形態の光起電力モジュールを製造する方法がさらに提供され、当該方法は、電池セルを提供することと、各接続部材の第1端部を隣接する電池セルのうちの第1電池セルの前面に設置し、各接続部材の第2端部を隣接する電池セルのうちの第2電池セルの裏面に設置することにより複数の接続部材を設けることと、各封止層の第1封止サブ層を複数の接続部材及び接続部材によって覆われていない前記電池セルの部分に近くなるように設置し、第2封止サブ層を第1封止サブ層の電池セルから離れる表面に設置することにより封止層を設けることであって、封止層が電池セルから離れる方向に沿って順次配置される第1封止サブ層と第2封止サブ層とを含むことと、電池セルと封止層とを固定するように、電池セル、接続部材及び封止層を予め設定された温度で積層処理することと、を含む。
【0020】
いくつかの実施例では、接続部材を設けることは、一部の電池セルと接続部材との間に位置し、かつグリッド線以外の電池セルの表面に位置する接着剤ドットを形成することをさらに含む。
【0021】
いくつかの実施例では、前記封止層は、前記第2封止サブ層の前記電池セルから離れる表面に設けられた第3封止サブ層をさらに含み、ここで、前記第3封止サブ層の流動性は、前記第1封止サブ層の流動性および前記第2封止サブ層の流動性よりも高い。
【図面の簡単な説明】
【0022】
一つ又は複数の実施例は、対応する添付の図面における図で例示的に説明されるが、これらの例示的な説明は、実施例を限定するものではなく、特に断りのない限り、添付の図面における図は縮尺に制限されない。本願の実施例または従来技術の技術案をより明確に説明するために、以下に実施例で用いるべき図面を簡単に紹介するが、明らかになるように、以下の説明における図面は、本願の一部の実施例のみであり、当業者であれば、創造的な労働を伴わずに、これらの図面から他の図面を得ることも可能である。
図1A図1Aは、本願の一実施例によって提供される光起電力モジュールの断面構成を示す図である。
図1B図1Bは、本願の別の実施例によって提供される光起電力モジュールの断面構成を示す図である。
図2図2は、本願の一実施例によって提供された電池セルの表面のグリッド線及び接続部材の構成を示す図である。
図3図3は、本願の一実施例によって提供される加硫曲線の模式図である。
図4A図4Aは、本願の一実施例によって提供される積層前の光起電力モジュールの局所断面構成を示す図である。
図4B図4Bは、本願の別の実施例によって提供される積層前の光起電力モジュールの局所断面構成を示す図である。
図5図5は、本願の一実施例で提供される光起電力モジュールの製造方法において電池セルを提供するステップに対応する構成を示す図である。
図6図6は本願の一実施例で提供される光起電力モジュールの製造方法において接着剤ドットを形成するステップに対応する構成を示す図である。
図7図7は、本願の一実施例で提供される光起電力モジュールの製造方法において接着剤ドットを利用して接続部材を固定するステップに対応する構成を示す図である。
図8A図8Aは、本願の一実施例で提供される光起電力モジュールの製造方法において封止層を設置するステップに対応する構成を示す図である。
図8B図8Bは、本願の別の実施例で提供される光起電力モジュールの製造方法において封止層を設置するステップに対応する構成を示す図である。
図9A図9Aは、本願の一実施例で提供される光起電力モジュールの製造方法において積層処理を行った後の光起電力モジュールに対応する構成を示す図である。
図9B図9Bは、本願の別の実施例で提供される光起電力モジュールの製造方法において積層処理を行った後の光起電力モジュールに対応する構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
背景技術によると、光起電力モジュールにおけるグリッド線、PVリボン及び接着フィルムの設置方式は改善する必要があることがわかった。
【0024】
分析からわかるように、太陽光が電池セルの表面から電池に入り、電池セルの表面におけるグリッド線が電池セルを遮蔽し、金属電極に照射された光エネルギーが電気エネルギーに変換できないため、光を遮蔽するという視点から、通常、グリッド線が細いほど良いことを望むが、グリッド線は電流を伝導するために使われるものであり、抵抗率の視点から、グリッド線が細いほど導電断面積が小さくなり、抵抗損失が大きくなる。したがって、グリッド線設計の中核は遮光と導電のバランスを取ることである。また、一般的に、グリッド線を作るペーストの主成分は高価な貴金属銀であり、かつ電池セルをモジュールとして接続する過程において、1つの電池セルのメイングリッドをPVリボンを介して隣接する電池セルのメイングリッドとはんだ付けする必要があるため、通常、PVリボンとメイングリッドとの接続を確保するために、太いメイングリッドを形成する必要がある。したがって、材料コストが高く、かつ太いメイングリッドに起因してモジュールの製造コストが高くなる。メイングリッドの代わりに材料コストの低いPVリボンを利用して、より多くのより細いPVリボンを直接電池の細いグリッドに接続すると、グリッド線とPVリボンの製造コストを削減するだけでなく、太陽電池の光電変換効率を高めるのにも有利であることができる。
【0025】
ただし、通常のPVリボンとグリッド線との接続ははんだ付けによってPVリボンとグリッド線との間を合金化させる必要があり、一般的に、通常のPVリボンははんだ付け層を含み、PVリボンにおけるはんだ付け層の融点は183℃であり、実際のはんだ付け過程において、はんだ付け温度ははんだ付け剤融点より20℃以上高くなる必要があるため、PVリボンとグリッド線との間を合金化させるには高いはんだ付け温度が必要である。高いはんだ付け温度によって電池セルがはんだ付け中に大きく反って変形し、さらに電池セルにははんだ付け後に隠れクラックが発生するリスクが大きく、欠け率が高いため、モジュールの再修理率が高くなり、歩留まりが低くなる。したがって、はんだ付けダメージを低減するために、低温PVリボンを採用することができる。低温PVリボンは、通常、積層中にグリッド線との接続を形成するが、積層中、温度の上昇により、PVリボンの上方に位置する接着フィルムは流動性のある状態に変化し、流動性のある接着フィルムは、PVリボンとグリッド線が合金化される前にPVリボンとグリッド線の間に流れやすくなり、PVリボンとグリッド線との接触不良を引き起こし、光起電力モジュールの効率及び歩留まりに悪影響を与える。
【0026】
上記の課題を解決するために、本願には、光起電力モジュール及びその製造方法が提供され、光起電力モジュールにおいて、グリッド線がセル表面の細いグリッドであってもよく、接続部材がメイングリッドの代わりにセル表面に設けられ、かつ隣接するセル同士を接続するためのPVリボンであってもよく、メイングリッドの代わりに接続部材を利用することで、太いメイングリッドの設置を避け、光起電力モジュールのコストの削減に有利である一方、メイングリッドによるセル表面の過度の遮蔽を回避でき、電池セルの光電変換効率の向上に有利であり、ひいては光起電力モジュールの効率の向上に有利である。封止層は、電池セル及び接続部材の表面を覆い、電池セルを保護するために用いられ、封止層は、電池セルの表面と接続部材に隣接する第1封止サブ層と、電池セルから離れる第2封止サブ層と、を含み、かつ第1封止サブ層の流動性は、第2封止サブ層の流動性よりも低く、ここで、第1封止サブ層の流動性と第2封止サブ層の流動性がいずれも積層温度下での流動性であり、即ち光起電力モジュールが積層中の光起電力モジュールであり、積層過程とは、電池セルの対向する表面に接続部材を敷設し、接続部材および接続部材によって覆われていない電池セルの一部の表面に封止層を被覆した後、積層温度下で電池セル、接続部材および封止層を積層する過程を指し、積層温度の下で、接続部材と接続部材の下方に位置するグリッド線とが合金を形成し、さらに接触接続を形成する。積層温度の下での封止層がスコーチ段階にあった場合、封止層は流動性を有する状態である。接続部材とグリッド線とが合金を形成する前にスコーチ段階にあった封止層が接続部材とグリッド線の間に流れ込んで、接続部材とグリッド線の接触不良を引き起こしてしまうことを回避するために、接続部材と電池セルに隣接する第1封止サブ層を流動性の低い状態に設定することで、第1封止サブ層が接続部材とグリッド線との間に流れることを避けることに有利となり、さらに、接続部材とグリッド線との接触不良を回避でき、光起電力モジュールの効率及び歩留まりの向上に有利である。また、第1封止サブ層を利用して流動性の比較的高い第2封止サブ層を隔離し、流動性の高い第2封止サブ層を利用して封止層全体の高い架橋度を確保することで、封止層によって電池を良好に封止して保護することを確保し、封止層とカバープレートとの接着強度を高め、光起電力モジュールの寿命を延ばすことに有利となる。
【0027】
具体的には、本願の実施例では、光起電力モジュールが提供され、当該光起電力モジュールは、それぞれの表面に複数本のグリッド線を有する複数の電池セルと、隣接する電池セルをそれぞれ接続する接続部材であって、各接続部材は、隣接する電池セルのうちの第1電池セルの前面に位置する第1端部と、隣接する電池セルのうちの第2電池セルの裏面に位置する第2端部とを有し、前記第1端部が第1電池セルの前面における複数本のグリッド線と接触して接続され、前記第2端部が第2電池セルの裏面における複数本のグリッド線と接触して接続される接続部材と、電池セルから離れる方向に沿って順次配置される第1封止サブ層と第2封止サブ層とを含み、第1封止サブ層が前記接続部材及び前記接続部材によって覆われていない前記電池セルの部分に近く、第2封止サブ層が第1封止サブ層の電池セルから離れる表面に位置し、ここで、第1封止サブ層の流動性が第2封止サブ層の流動性よりも低い封止層と、を含む。
【0028】
いくつかの実施例では、第1封止サブ層のML値と第2封止サブ層のML値との比は1.5~8.5である。
【0029】
いくつかの実施例では、第1封止サブ層のML値は0.4dN・m~0.85dN・mであり、および/または、第2封止サブ層のML値は0.1dN・m~0.3dN・mである。
【0030】
いくつかの実施例では、一部の電池セルと接続部材との間に位置し、かつグリッド線以外の電池セルの表面に位置する接着剤ドットをさらに含む。
【0031】
いくつかの実施例では、第1封止サブ層と第2封止サブ層は一体成形された構造である。
【0032】
いくつかの実施例では、電池セルから封止層に向かう方向において、第1封止サブ層の厚さと接続部材の最大厚さとの比が0.4~1である。
【0033】
いくつかの実施例では、電池セルから封止層に向かう方向において、第1封止サブ層の厚さと第2封止サブ層の厚さとの比が0.3~1.5である。
【0034】
いくつかの実施例では、第1封止サブ層の材料と第2封止サブ層の材料とは同じである。
【0035】
本願のいくつかの実施例によれば、本願の実施例の別の形態では、光起電力モジュールの製造方法がさらに提供され、当該方法は、それぞれの表面に複数本のグリッド線を有する複数の電池セルを提供することと、各接続部材の第1端部を隣接する電池セルのうちの第1電池セルの前面に設置し、各接続部材の第2端部を隣接する電池セルのうちの第2電池セルの裏面に設置することにより接続部材を設けることと、各封止層の第1封止サブ層を複数の接続部材及び接続部材によって覆われていない前記電池セルの部分に近くなるように設置し、第2封止サブ層を第1封止サブ層の電池セルから離れる表面に設置することにより封止層を設けることと、電池セルと封止層とを固定するように、電池セル、接続部材及び封止層を予め設定された温度で積層処理することであって、予め設定された温度での第1封止サブ層の流動性が予め設定された温度での第2封止サブ層の流動性よりも低いことと、を含む。
【0036】
いくつかの実施例では、接続部材を設けることは、一部の電池セルと接続部材との間に位置し、かつグリッド線以外の電池セルの表面に位置する接着剤ドットを形成することをさらに含む。
【0037】
本願の実施例によって提供された技術的手段は、少なくとも、以下の利点を有する。
グリッド線がセル表面の細いグリッドであってもよく、接続部材がメイングリッドの代わりにセル表面に設けられ、かつ隣接するセル同士を接続するためのPVリボンであってもよく、メイングリッドの代わりに接続部材を利用することで、太いメイングリッドの設置を避け、光起電力モジュールのコストの削減に有利である一方、メイングリッドによるセル表面の過度の遮蔽を回避でき、電池セルの光電変換効率の向上に有利であり、ひいては光起電力モジュールの効率の向上に有利である。封止層は、電池セルおよび接続部材の表面を覆い、電池セルを保護するために用いられ、電池セルの表面と接続部材に隣接する第1封止サブ層と、電池セルから離れる第2封止サブ層と、を含み、かつ第1封止サブ層の流動性は、第2封止サブ層の流動性よりも低く、ここで、第1封止サブ層の流動性と第2封止サブ層の流動性がいずれも積層温度下での流動性であり、即ち光起電力モジュールが積層中の光起電力モジュールであり、積層過程とは、電池セルの表面に接続部材を敷設し、接続部材および接続部材から露出している電池セルの表面に封止層を被覆した後、電池セル、接続部材および封止層を積層する過程を指し、積層過程には一定の積層温度があり、積層温度の下で、接続部材と接続部材の下方に位置するグリッド線とが合金を形成し、さらに接触接続を形成する。一般的に、積層温度の下での封止層がスコーチ段階にあった場合、封止層は流動性を有する状態である。スコーチ段階にあった封止層が接続部材とグリッド線とが合金を形成する前に接続部材とグリッド線の間に流れ込んで、接続部材とグリッド線の接触不良を引き起こしてしまうことを回避するために、接続部材と電池セルに隣接する第1封止サブ層を流動性の低い状態に設定することで、第1封止サブ層が接続部材とグリッド線の間に流れ込んで接続部材とグリッド線の接触不良を引き起こしてしまうことを避け、光起電力モジュールの効率と歩留まりの向上に有利である。また、第1封止サブ層を利用して流動性の比較的高い第2封止サブ層を隔離し、流動性の高い第2封止サブ層を利用して封止層全体の高い架橋度を確保することで、封止層によって電池を良好に封止して保護することを確保し、封止層とカバープレートとの接着強度を高め、光起電力モジュールの寿命を延ばすことに有利となる。
【0038】
本願のいくつかの実施例によれば、本願の実施例の別の形態では、光起電力モジュールがさらに提供され、当該光起電力モジュールは、それぞれの表面に複数本のグリッド線を有する複数の電池セルと、隣接する電池セルをそれぞれ接続する接続部材であって、各接続部材は、隣接する電池セルのうちの第1電池セルの前面に位置する第1端部と、隣接する電池セルのうちの第2電池セルの裏面に位置する第2端部とを有し、前記第1端部が第1電池セルの前面における複数本のグリッド線と接触して接続され、前記第2端部が第2電池セルの裏面における複数本のグリッド線と接触して接続される接続部材少なくとも電池セルから離れる方向に沿って順次配置される第1封止サブ層、第2封止サブ層及び第3封止サブ層を含み、第1封止サブ層が前記接続部材及び前記接続部材によって覆われていない前記電池セルの部分に近く、第2封止サブ層が第1封止サブ層の電池セルから離れる表面に位置し、第3封止サブ層が第2封止サブ層の電池セルから離れた表面に位置し、ここで、第3封止サブ層第3封止サブ層の流動性、第2封止サブ層の流動性および第1封止サブ層の流動性が順次低下する封止層と、を含む。
【0039】
いくつかの実施例では、第1封止サブ層のML値と第2封止サブ層のML値との比は1.1~3である。
【0040】
いくつかの実施例では、第2封止サブ層のML値と第3封止サブ層のML値の比は1.1~4である。
【0041】
いくつかの実施例では、第1封止サブ層のML値は0.4dN・m~0.85dN・mであり、および/または、第2封止サブ層のML値は0.3dN・m~0.4dN・mである。
【0042】
いくつかの実施例では、第3封止サブ層のML値は0.1dN・m~0.3dN・mである。
【0043】
いくつかの実施例では、一部の電池セルと接続部材との間に位置し、かつグリッド線以外の電池セルの表面に位置する接着剤ドットをさらに含む。
【0044】
いくつかの実施例では、第1封止サブ層、第2封止サブ層および第3封止サブ層は一体成形された構造である。
【0045】
いくつかの実施例では、電池セルから封止層に向かう方向において、第1封止サブ層の厚さと接続部材の最大厚さとの比は0.4~1である。
【0046】
いくつかの実施例では、電池セルから封止層に向かう方向において、第1封止サブ層の厚さと第2封止サブ層の厚さとの比は1~4である。
【0047】
いくつかの実施例では、電池セルから封止層に向かう方向において、第2封止サブ層の厚さと第3封止サブ層の厚さの比は0.2~0.7である。
【0048】
いくつかの実施例では、第1封止サブ層の材料、第2封止サブ層の材料および第3封止サブ層の材料は同じである。
【0049】
本願のいくつかの実施例によって、本願の実施例の別の形態では、光起電力モジュールの製造方法がさらに提供され、当該方法は、それぞれの表面に複数本のグリッド線を有する複数の電池セルを提供することと、各接続部材の第1端部を隣接する電池セルのうちの第1電池セルの前面に設置し、各接続部材の第2端部を隣接する電池セルのうちの第2電池セルの裏面に設置することにより接続部材を設けることと、各封止層の第1封止サブ層を複数の接続部材及び接続部材によって覆われていない前記電池セルの部分に近くなるように設置し、第2封止サブ層を第1封止サブ層の電池セルから離れる表面に設置し、第3封止サブ層を第2封止サブ層の電池セルから離れた表面に設置することにより封止層を設けることと、電池セルと封止層とを固定するように、電池セル、接続部材及び封止層を予め設定された温度で積層処理することであって、予め設定された温度での第3封止サブ層の流動性、予め設定された温度での第2封止サブ層の流動性及び予め設定された温度での第1封止サブ層の流動性が順次低下することと、を含む。
【0050】
いくつかの実施例では、接続部材を設けることは、一部の電池セルと接続部材との間に位置し、かつグリッド線以外の電池セルの表面に位置する接着剤ドットを形成することをさらに含む。
【0051】
本願の実施例によって提供された技術的手段は、少なくとも、以下の利点を有する。
グリッド線がセル表面の細いグリッドであってもよく、接続部材がメイングリッドの代わりにセル表面に設けられ、かつ隣接するセル同士を接続するためのPVリボンであってもよく、メイングリッドの代わりに接続部材を利用することで、太いメイングリッドの設置を避け、光起電力モジュールのコストの削減に有利である一方、メイングリッドによるセル表面の過度の遮蔽を避け、セルの光電変換効率の向上に有利であり、ひいては光起電力モジュールの効率の向上に有利である。封止層は、電池セルおよび接続部材の表面を覆い、電池セルを保護するために用いられ、少なくとも、電池セルから離れる方向に沿って順次配置される第1封止サブ層、第2封止サブ層および第3封止サブ層を含み、かつ第3封止サブ層の流動性、第2封止サブ層の流動性および第1封止サブ層の流動性が順次低下し、ここで、第1封止サブ層の流動性、第2封止サブ層の流動性および第3封止サブ層の流動性がいずれも積層温度下での流動性であり、即ち光起電力モジュールが積層中の光起電力モジュールである。積層過程とは、電池セルの表面に接続部材を敷設し、接続部材および接続部材から露出している電池セルの表面に封止層を被覆した後、電池セル、接続部材および封止層を積層する過程を指し、積層過程には一定の積層温度があり、積層温度の下で、接続部材と接続部材の下方に位置するグリッド線とが合金を形成し、さらに接触接続を形成する。一般的に、積層温度の下での封止層がスコーチ段階にあった場合、封止層は流動性を有する状態である。スコーチ段階にあった封止層が接続部材とグリッド線とが合金を形成する前に接続部材とグリッド線の間に流れ込んで、接続部材とグリッド線の接触不良を引き起こしてしまうことを回避するために、接続部材と電池セルに隣接する第1封止サブ層を流動性の低い状態に設定することで、第1封止サブ層が接続部材とグリッド線の間に流れ込んで接続部材とグリッド線の接触不良を引き起こしてしまうことを避け、光起電力モジュールの効率と歩留まりの向上に有利である。また、第1封止サブ層を利用して流動性の比較的高い第2封止サブ層および第3封止サブ層を隔離し、第2封止サブ層を第1封止サブ層と第3封止サブ層とのかけ橋として利用することで、第1封止サブ層と第3封止サブ層との接着強度を高めることに有利となり、流動性の最も高い第3封止サブ層は、封止層とカバープレートとの強い接着強度を確保するのに有利であり、ひいては光起電力モジュールの寿命を延ばすことに有利となる。
【0052】
以下、本願の各実施例について図面を結合して詳細に説明する。しかしながら、当業者は理解できるが、読者に本願をよりよく理解させるために、本願の各実施例において多数の技術的細部が提案されているが、これらの技術的細部及び以下の各実施例に基づく種々の変更や修正がなくても、本願が保護を要求している技術案を実現することができる。
【0053】
図1Aは、本願の一実施例によって提供される光起電力モジュールの断面構成を示す図であり、図2は、本願の一実施例によって提供された電池セルの表面のグリッド線及び接続部材の構成を示す図である。
【0054】
図1A及び図2に示すように、光起電力モジュールは、それぞれの対向する2つの表面に複数本のグリッド線110を有する複数の電池セル100と、電池セル100の表面に位置する接続部材120であって、接続部材120が隣接する電池セル100をそれぞれ接続し、グリッド線110に位置する接続部材120がグリッド線110に接触して接続される接続部材120と、を含む。つまり、各各接続部材120は、隣接する電池セルのうちの第1電池セルの前面に位置する第1端部1201と、隣接する電池セルのうちの第2電池セルの裏面に位置する第2端部1202とを有し、前記第1端部が第1電池セルの前面における複数本のグリッド線と接触して接続され、前記第2端部が第2電池セルの裏面における複数本のグリッド線と接触して接続される。
【0055】
電池セル100は入射光線中の光子を吸収して電子正孔対を生成することに用いられ、電子正孔対が電池セル103の内蔵電界によって分離され、PN接合の両端に電位が生じることによって、光エネルギーを電気エネルギーに変換することができる。いくつかの実施例では、電池セル100の1つの表面は、入射光線を吸収するための受光面として使用される。他のいくつかの実施例では、電池セル100の2つの表面は、いずれも入射光線を吸収するための受光面として使用される。いくつかの実施例では、電池セル100は、結晶シリコン太陽電池であってもよく、例えば、単結晶シリコン太陽電池または多結晶シリコン太陽電池であってもよい。理解できるように、いくつかの実施例では、1つの光起電力モジュールにおける電池セル100の数が複数であり、電池セル100の数が複数である場合、全体または複数のマルチフラグメント(例えば、1/2等分セル、1/3等分セル、1/4等分セルなどのマルチフラグメント)の形で電気的に接続されることによって複数のセルストリングを形成することができ、複数のセルストリングは、直列および/またはは並列に電気的に接続される。
【0056】
電池セル100は、PERC電池(Passivated Emitter and Rear Cell、不動態化エミッタ及び裏面セル)、PERT電池(Passivated Emitter and Rear Totally-diffused cell、不動態化エミッタおよび裏面全拡散型セル)、TOPCon電池(Tunnel Oxide Passivated Contact、トンネル酸化膜パッシベーションコンタクトセル)、HIT/HJT電池(Heterojunction Technology、ヘテロ接合型セル)のうちのいずれか1種を含むが、これらに限定されていない。
【0057】
電池セル100は基板を含んでもよく、基板はシリコン基板であってもよい。いくつかの実施例では、電池セル100は、対向する前面101および裏面102を備え、特定のパターンを有するグリッド線110を形成するように、前面101および裏面102に金属ペーストを印刷してもよい。
【0058】
いくつかの実施例では、光起電力モジュールにおける複数の電池セル100が間隔をあけて配置され、かつ複数の電池セル100が平行に設置され、接続部材120が隣接する2つの電池セル100の対向する2つの表面をそれぞれ接続することで、2つの電池セル100間の電気的接続を形成する。例えば、各接続部材の一端が隣接する電池セルのうちの1つの電池セルの前面に設けられ、各接続部材の他端が隣接する電池セルのうちの他方の電池セルの裏面に設けられる。
【0059】
いくつかの実施例では、接続部材120はPVリボンであってもよく、接続部材120の延在方向に垂直な断面において、接続部材120の断面形状は円形、矩形、台形または三角形のうちのいずれか1種であってもよい。
【0060】
いくつかの実施例では、グリッド線110は電池セル100の表面の細いグリッドであってもよく、細いグリッドは光起電力効果によって発生した電子を収集して導出するために使われる。接続部材120は、メイングリッドの代わりに電池セル100の表面に設けられ、かつ隣接する電池セル100同士を接続するためのPVリボンであってもよく、メイングリッドの代わりに接続部材120を用いることで、太いメイングリッドの設置を回避し、光起電力モジュールのコストの削減に有利である一方、電池セル100の表面に与えるメイングリッドの多すぎる遮蔽を避け、電池セル100の光電変換効率の向上に有利であり、ひいては光起電力モジュールの効率向上にも有利である。
【0061】
いくつかの実施例では、図2に示すように、グリッド線110は電池セル100の表面における細いグリッドであってもよく、接続部材120はメイングリッドの代わりに電池セル100の表面に設けられ、かつ隣接する電池セル100同士を接続するためのPVリボンであってもよく、複数本のグリッド線110は、電池セルの表面で第1方向Xに沿って延び、かつ第2方向Yに沿って間隔をあけて配置され、複数の接続部材120は電池セルの表面で第2方向Yに沿って延び、かつ第1方向Xに沿って間隔をあけて配置され、ここで、第1方向Xは第2方向Yと交差する。
【0062】
いくつかの実施例では、グリッド線110はメイングリッドであってもよいし、細いグリッドであってもよい。細いグリッドは電流を導くために使われ、メイングリッドは細いグリッド上の電流を収集して合流するために使われる。接続部材120はメイングリッドに接続されるPVリボンである。
【0063】
なお、本願の実施例における接続部材120は低温PVリボンであり、低温PVリボンが積層過程においてグリッド線110との接続を形成し、高温PVリボンを利用することに起因してはんだ付け温度が高すぎることを避け、ひいては高すぎるはんだ付け温度による電池セル100へのダメージを回避し、光起電力モジュールの再修理率の低減と光起電力モジュールの歩留まりの向上に有利である。
【0064】
いくつかの実施例では、接続部材120は錫コーディング金属PVリボンであり、錫層の溶融温度は150℃以下であり、一般的には130℃~150℃であり、光起電力モジュールの積層温度に適応するのに有利である。
【0065】
図1Aに示すように、光起電力モジュールは、電池セル100の表面と接続部材120の表面を覆う封止層130をさらに含み、かつ封止層130が少なくとも、電池セル100から離れる方向に沿って順次配置される第1封止サブ層131と第2封止サブ層132とを備え、ここで、第1封止サブ層131の流動性が第2封止サブ層132の流動性より低い。封止層130は電池セルを封止して保護するために使われ、封止層が接着フィルムであってもよい。
【0066】
いくつかの実施例では、封止層130は電池セル100の前面101及び裏面102に設置され、かつ電池セル100の表面の接続部材120を覆い、電池セル100を封止するために使われ、電池セル100とカバープレート(図示せず)とを接着することができる。
【0067】
なお、第1封止サブ層131の流動性と第2封止サブ層132の流動性はいずれも積層温度での流動性であり、即ち光起電力モジュールは積層中の光起電力モジュールであり、積層過程とは、電池セル100の表面に接続部材120を敷設し、接続部材120および接続部材120から露出した電池セル100の表面に封止層130を覆った後、電池セル100、接続部材120および封止層130を積層する過程を指し、積層過程には一定の積層温度があり、積層温度で、接続部材120と接続部材120の下方に位置するグリッド線110とが合金を形成し、ひいては接触接続を形成し、積層温度の下で、封止層がスコーチ段階にあった場合、封止層は流動性を有する状態であり、接続部材120と電池セル100に隣接する第1封止サブ層131を流動性の低い状態に設定することで、第1封止サブ層131が接続部材120とグリッド線110の間に流れ込んで、接続部材120とグリッド線110の接触不良を引き起こしてしまうことを避け、光起電力モジュールの効率と歩留まりの向上に有利である。また、第1封止サブ層131を利用して流動性の比較的高い第2封止サブ層132を隔離し、流動性の高い第2封止サブ層132を利用して封止層130に大きな架橋度を持たせることを確保し、さらに封止層130の電池に対する良好な封止保護を確保し、封止層130とカバープレートとの接着強度を高め、光起電力モジュールの寿命を延ばすことに有利となる。
【0068】
第1封止サブ層131の流動性は第1封止サブ層131のML(minimum torque)値で示されることができ、第2封止サブ層132の流動性は第2封止サブ層132のML値で示されることができ、ML値は接着フィルム加硫曲線で最も低いトルクであり、ML値が低いほど、積層過程における架橋反応前の接着フィルムの流動性が高くなり、ML値が高いほど、積層過程における架橋反応前の接着フィルムの流動性が低くなる。
【0069】
なお、加硫曲線は接着フィルムの加硫性能を示すために用いられるものであり、加硫性能はフィルムの加硫過程における性能であり、加硫過程でフィルムに加硫反応を生じさせる。加硫反応(架橋反応)とは、接着フィルムの分子鎖が化学的または物理的な要因によって化学的架橋反応を起こし、空間網目構造を形成することを指す。未加硫接着フィルムの線状高分子はカール状を呈し、自由運動状態にあり、外力の作用を受けると、線状高分子が変位しやすく、即ち比較的大きい塑性流動がある。加硫後の接着フィルムでは、柔らかい線状高分子は架橋によって空間網目構造になるため、線状高分子の相対運動がある程度の制限を受け、外力の作用で大きな変位が生じにくく、高い応力と強度が発生し、物理的・機械的特性と化学的特性は加硫によって改善される。
【0070】
一般的に、加硫試験機を利用して加硫過程における接着フィルムの加硫性能の変化を測定することができる。加硫試験機の作動原理としては、キャビティー内にある接着フィルム試料をコンプレッションモールドして、接着フィルム試料に一定、小振幅かつ低周波数の正弦波せん断変形を連続的に受けさせ、加硫試験機のロードセルでせん断応力を測定し、トルクを単位としてせん断応力を示し、記録されるせん断応力-時間の曲線が即ち加硫曲線である。
【0071】
図3は、本願の一実施例によって提供される加硫曲線の模式図である。図3に示すように、接着フィルムの加硫過程はスコーチ段階、熱加硫段階、平坦加硫段階および過加硫段階という4つの段階に分けられる。スコーチ段階は加硫反応における誘導期に相当し、この期間内で、架橋はまだ始まっておらず、接着フィルムは流動性を有しており、接着フィルム試料は架橋可能なラジカルを生じさせる。熱加硫段階は加硫反応(架橋反応)段階であり、接着フィルム分子は次第に網目構造を形成し、接着フィルムの弾性と強度は急激に上昇する。平坦加硫段階では、接着フィルムはすでに適切な架橋度に達しており、この期間内で、接着フィルムの各物理的・機械的特性はそれぞれ最適値に達したり、近づいたりしているか、最適な総合バランスを取っている。過加硫段階では、接着フィルム中のクロスボンドが再配列され、接着フィルム中のクロスボンドと分子鎖に熱分解反応を起こし、接着フィルムの性能が低下する。
【0072】
図3に示すように、最小トルクMLは架橋反応開始前の接着フィルムの最小せん断応力値、すなわち、加硫過程における平坦加硫段階(架橋反応開始)前の接着フィルム流動性の最大値を示す。
【0073】
いくつかの実施例では、図1Bに示すように、封止層は、電池セルから離れる方向に沿って順次配置される第1封止サブ層131、第2封止サブ層132および第3封止サブ層133を含んでもよく、ここで、第3封止サブ層133の流動性(第3封止サブ層133のML値で示されることができる)、第2封止サブ層132の流動性および第1封止サブ層131の流動性は順次低下する。
【0074】
この場合、第1封止サブ層131を利用して流動性の比較的高い第2封止サブ層132及び第3封止サブ層133を隔離し、第2封止サブ層132を第1封止サブ層131と第3封止サブ層133の間の架け橋として利用することで、第1封止サブ層131と第3封止サブ層133の接着強度を増やすことに有利となり、流動性の最も高い第3封止サブ層133は、封止層130とカバープレートとに強い接着強度を持たせることを確保し、ひいては光起電力モジュールの寿命を延ばすことに有利となる。
【0075】
いくつかの実施例では、封止層は、電池セルから離れる方向に沿って順次配置される第1封止サブ層、第2封止サブ層、第3封止サブ層および第4封止層を含んでもよく、第4封止層の流動性、第3封止サブ層の流動性、第2封止サブ層の流動性および第1封止サブ層の流動性が順次低下する。本願の実施例では、封止層における流動性の異なる積層の数について特に制限されず、電池セル表面における複数の積層の流動性が電池セルから離れる方向に沿って順次増加すればよい。
【0076】
いくつかの実施例では、図1Aに示すように、積層前の第1封止サブ層131は予備架橋接着フィルムであり、積層前の第2封止サブ層132は非予備架橋接着フィルムであり、予備架橋接着フィルムと非予備架橋接着フィルムとの相違点は、積層前に接着フィルム材料内部の分子間に架橋反応が起こったか否かである。架橋反応とは、2つ以上の分子(一般的に線状高分子)が互いに結合して架橋して網目構造を呈する比較的安定な分子(体型高分子)を形成することを指す。通常、積層を行う過程において、一定の積層温度で一定の積層時間が経つと、接着フィルムは高い流動性を有する状態(スコーチ段階)を呈し、接着フィルム中の架橋剤が分解してラジカルを生じさせる。時間の経過とともに、ラジカルは接着フィルム中の長鎖分子間の結合を引き起こし、接着フィルム、電池セル及びカバープレートを接着固定させる。積層前に、予備架橋接着フィルム内部の一部の分子はすでに架橋反応を起こしているため、予備架橋接着フィルムのスコーチ段階での流動性は、非予備架橋接着フィルムのスコーチ段階での流動性より低く、予備架橋接着フィルムのスコーチ段階での流動性は、積層前に予備架橋接着フィルムの内部で架橋反応を起こした分子の割合に依存している。
【0077】
その他の実施例では、図1Bに示すように、積層前の第1封止サブ層131は予備架橋接着フィルムであり、積層前の第2封止サブ層132は予備架橋接着フィルムであり、積層前の第3封止サブ層133は非予備架橋接着フィルムである。
【0078】
図1Aに示すように、いくつかの実施例では、第1封止サブ層131及び/又は第2封止サブ層132は、POE(エチレンオクテン共重合体)接着フィルムであってもよく、POE接着フィルムは飽和脂肪鎖で構成され、良好な耐紫外線性、優れた耐熱性及び耐低温性を有し、かつPOE接着フィルムの使用温度範囲が広く、光透過率が良好で、電気絶縁性に優れ、コストパフォーマンスが高く、加工しやすいなどの特徴を有する。他のいくつかの実施例では、第1封止サブ層131及び/又は第2封止サブ層132はEVA接着フィルムであってもよく、EVA接着フィルムはよく見られる接着フィルムであり、EVA接着フィルムの主成分はエチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)であり、EVA接着フィルムは少量の架橋剤、架橋助剤、劣化防止剤、その他の助剤を含んでもよい。
【0079】
図1Bに示すように、いくつかの実施例では、第1封止サブ層131、第2封止サブ層132および第3封止サブ層133のうち少なくとも1つはPOE接着フィルムであってもよい。他のいくつかの実施例では、第1封止サブ層131、第2封止サブ層132および第3封止サブ層133のうち少なくとも1つはEVA接着フィルムであってもよい。
【0080】
いくつかの実施例では、第1封止サブ層131、第2封止サブ層132、第3封止サブ層133のうちの少なくとも2つの材料は同じである。
【0081】
例えば、第1封止サブ層131の材料と第2封止サブ層132の材料とは同じである。第1封止サブ層131と第2封止サブ層132の材料を同じにすることで、第1封止サブ層131の分子と第2封止サブ層132の分子に高い結合強度を持たせることを確保するのに有利であり、ひいては積層後の第1封止サブ層131と第2封止サブ層132の間の接着強度を高めるのに有利である。あるいは、第1封止サブ層131の材料、第2封止サブ層132の材料および第3封止サブ層133の材料はいずれも同じである。第1封止サブ層131、第2封止サブ層132及び第3封止サブ層133の材料を同じにすることで、第1封止サブ層131の分子と第2封止サブ層132の分子に高い結合強度を持たせることを確保し、第2封止サブ層132の分子と第3封止サブ層133の分子に高い結合強度を持たせることを確保するのに有利であり、ひいては積層後の第1封止サブ層131と第2封止サブ層132の間の接着強度を高めるのに有利であり、かつ、積層後の第2封止サブ層132と第3封止サブ層133の間の接着強度を高めるのに有利である。
【0082】
いくつかの実施例では、図1Aに示すように、第1封止サブ層131と第2封止サブ層132は一体成形された構造である。別体型の第1封止サブ層131及び第2封止サブ層132を積層することに比べて、一体成形された第1封止サブ層131と第2封止サブ層132を直接に封止層130とすることで、第1封止サブ層131と第2封止サブ層132の間の高い接着固定強度を確保するのに有利であり、ひいては光起電力モジュールの構造安定性の向上に有利である。
【0083】
いくつかの実施例では、図1Bに示すように、第1封止サブ層131、第2封止サブ層132及び第3封止サブ層133は一体成形された構造である。別体型の第1封止サブ層131、第2封止サブ層132及び第3封止サブ層133を積層することに比べて、一体成形された第1封止サブ層131、第2封止サブ層132及び第3封止サブ層133を直接に封止層130とすることで、第1封止サブ層131と第2封止サブ層132との間に高い接着固定強度を持たせることを確保するのに有利であり、第2封止サブ層132と第3封止サブ層133との間に高い接着固定強度を持たせることを確保するのに有利であり、ひいては光起電力モジュールの構造安定性の向上に有利である。
【0084】
いくつかの実施例では、図1Aに示すように、第1封止サブ層131の材料と第2封止サブ層132の材料とは同じであり、かつ第1封止サブ層131と第2封止サブ層132は一体成形された構造である。いくつかの実施例では、封止層130を形成する方法は、初期封止層を取得し、初期封止層は非予備架橋接着フィルムであり、かつ初期封止層は積層された第1部分と第2部分とを含み、第1部分の初期封止層における一部の分子に架橋反応を起こさせるように、第1部分の第2部分から離れる側から初期封止層を予備架橋処理し、予備架橋される流動性の低い第1封止サブ層131を形成し、初期封止層の第2部分は依然として非予備架橋接着フィルムであり、第2部分の初期封止層を流動性の高い第2封止サブ層132とすることで、封止層130の取得の難しさを低減するのに有利である、ことである。ここで、予備架橋処理は、電子線照射や紫外線照射などの架橋処理であってもよい。
【0085】
いくつかの実施例では、図1Bに示すように、第1封止サブ層131の材料、第2封止サブ層132及び第3封止サブ層133の材料はいずれも同じであり、かつ第1封止サブ層131、第2封止サブ層132及び第3封止サブ層133は一体成形された構造である。いくつかの実施例では、封止層130を形成する方法は、初期封止層を取得し、初期封止層は非予備架橋接着フィルムであってもよく、初期封止層は積層された第1部分、第2部分および第3部分を含み、第1部分の初期封止層における一部の分子に架橋反応を起こさせ、第2部分の初期封止層における一部の分子に架橋反応を起こさせるように、第1部分の第3部分から離れる側から初期封止層を予備架橋処理し、第1部分の初期封止層内で架橋反応が起こる分子の割合を第2部分の初期封止層内で架橋反応が起こる分子の割合より高くすることで、流動性が順次高くなる予備架橋の第1封止サブ層131及び予備架橋の第2封止サブ層132を形成し、第3部分の初期封止層は依然として未予備架橋接着フィルムであり、第3部分の初期封止層を流動性の最も高い第3封止サブ層133とすることで、封止層130の取得の難しさを低減するのに有利である、ことである。ここで、予備架橋処理は、電子線照射や紫外線照射などの架橋処理であってもよい。
【0086】
いくつかの実施例では、図1Aに示すように、封止層130を形成する方法は、別体型の初期第1封止サブ層と初期第2封止サブ層を取得し、初期第1封止サブ層と初期第2封止サブ層がいずれも非予備架橋接着フィルムであり、初期第1封止サブ層内における分子の一部に架橋反応を起こさせるように、初期第1封止サブ層を予備架橋処理し、ひいては流動性の低い予備架橋の第1封止サブ層131を形成し、初期第2封止サブ層を流動性の高い非予備架橋の第2封止サブ層132とし、別体型の第1封止サブ層131と第2封止サブ層132を一緒に固定して、封止層130を形成することである。ここで、予備架橋処理は、電子線照射や紫外線照射などの架橋処理であってもよい。
【0087】
いくつかの実施例では、図1Bに示すように、封止層130を形成する方法は、別体型の初期第1封止サブ層、初期第2封止サブ層および初期第3封止サブ層を取得し、初期第1封止サブ層、初期第2封止サブ層および初期第3封止サブ層はいずれも非予備架橋接着フィルムであり、初期第1封止サブ層内における分子の一部に架橋反応を起こさせ、初期第2封止サブ層内における一部の分子に架橋反応を起こさせるように、初期第1封止サブ層および初期第2封止サブ層に対して程度の異なる予備架橋処理を行い、第1部分の初期封止層内で架橋反応が起こる分子の割合を第2部分の初期封止層内で架橋反応が起こる分子の割合より高くすることで、流動性が順次高くなる予備架橋の第1封止サブ層131及び予備架橋の第2封止サブ層132を形成し、初期第3封止サブ層を流動性の高い非予備架橋の第3封止サブ層133とし、別体型の第1封止サブ層131、第2封止サブ層132及び第3封止サブ層133を一緒に固定して、封止層130を形成することである。ここで、予備架橋処理は、電子線照射や紫外線照射などの架橋処理であってもよい。
【0088】
いくつかの実施例では、図1Aに示すように、第1封止サブ層のML値と第2封止サブ層132のML値との比は1.5~8.5である。第1封止サブ層131のML値をML1とし、第2封止サブ層132のML値をML2とすると、ML1とML2との比は1.5~8.5であり、例えば、1.5、2、4、7または8.5であってもよい。ML1とML2の比が小さすぎると、第1封止サブ層131は流動性の高い状態となり、ひいてはスコーチ段階の第1封止サブ層131が合金を形成していないグリッド線110と接続部材120の間に流れ込み、グリッド線110と接続部材120の接触不良を引き起こしてしまう。ML1とML2の比が大きすぎると、第1封止サブ層131の流動性が小さすぎて、即ち積層前に第1封止サブ層131で架橋反応を起こした分子の割合が大きすぎて、積層後の光起電力モジュールでは第1封止サブ層131の接着固定能力が悪くなり、光起電力モジュールにおける電池セル100と第1封止サブ層131には分離するリスクがある。したがって、ML1とML2との比を1.5~8.5に設定することで、グリッド線110と接続部材120の接触不良を避けるだけでなく、第1封止サブ層131に高い接着強度を持たせることを確保するのにも有利である。
【0089】
いくつかの実施例では、図1Bに示すように、第1封止サブ層131のML値と第2封止サブ層のML値との比は1.1~3である。第1封止サブ層131のML値をML1とし、第2封止サブ層132のML値をML2とすると、ML1とML2の比は1.1~3であり、例えば、1.5、2、2.5、2.6または2.7であってもよい。ML1とML2の比が小さすぎると、第1封止サブ層131は流動性の高い状態となり、ひいてはスコーチ段階の第1封止サブ層131が合金を形成していないグリッド線110と接続部材120の間に流れ込み、グリッド線110と接続部材120の接触不良を引き起こしてしまう。ML1とML2の比が大きすぎると、第1封止サブ層131の流動性が小さすぎて、即ち積層前に第1封止サブ層131で架橋反応を起こした分子の割合が大きすぎて、積層後の光起電力モジュールでは第1封止サブ層131の接着固定能力が悪くなり、光起電力モジュールにおける電池セル100と第1封止サブ層131には分離するリスクがある。したがって、ML1とML2の比を1.1~3に設定することで、グリッド線110と接続部材120の接触不良を避けるだけでなく、第1封止サブ層131の高い接着強度を確保するのにも有利である。
【0090】
いくつかの実施例では、図1Bに示すように、第2封止サブ層132のML値と第3封止サブ層133のML値の比は1.1~4である。第2封止サブ層132のML値をML2とし、第3封止サブ層133のML値をML3とする場合、ML2とML3の比は1.1~4であり、例えば、1.5、2、2.5、2.6または3.5であってもよい。ML2とML3の比が小さすぎると、第2封止サブ層132の流動性が第3封止サブ層133の流動性に近づきすぎて、第2封止サブ層132が第1封止サブ層131と第3封止サブ層133の間の良好なかけ橋とならず、第1封止サブ層131と第2封止サブ層132の間の接着強度を低下させてしまう。ML2とML3の比が大きすぎると、第2封止サブ層132の流動性が第1封止サブ層131の流動性に近づきすぎて、第2封止サブ層132が第1封止サブ層131と第3封止サブ層133の間の良好なかけ橋とならず、第3封止サブ層133と第2封止サブ層132の間の接着強度を低下させてしまう。したがって、ML2とML3の比を1.1~4に設定することで、第1封止サブ層131と第2封止サブ層132の間に高い接着強度を持たせることを確保するのに有利であり、第2封止サブ層132と第3封止サブ層133の間に高い接着強度を持たせることを確保するのに有利である。
【0091】
いくつかの実施例では、図1Aおよび図1Bに示すように、第1封止サブ層131のML値は0.4dN・m~0.85dN・mであり、たとえば、0.42dN・m、0.45dN・m、0.5dN・m、0.75dN・mまたは0.8dN・mなどであってもよい。第1封止サブ層131のML値が小さすぎると、第1封止サブ層131の流動性が高すぎて、スコーチ段階にある第1封止サブ層131が合金を形成していないグリッド線110と接続部材120の間に流れ込み、グリッド線110と接続部材120の接触不良を引き起こしてしまう。第1封止サブ層131のML値が大きすぎると、第1封止サブ層131の流動性が低すぎて、即ち積層前に第1封止サブ層131で架橋反応を起こした分子の割合が大きすぎて、積層後の光起電力モジュールにおいて、第1封止サブ層131の接着固定能力が低下しすぎるようになってしまう。したがって、第1封止サブ層131の流動性ML値を0.4dN・m~0.85dN・mに設定すると、第1封止サブ層131の流動性を合理的な範囲内に確保することができ、グリッド線110と接続部材120の接触不良を避けるだけでなく、第1封止サブ層131に高い接着強度を持たせることを確保するのに有利である。
【0092】
いくつかの実施例では、図1Aに示すように、第2封止サブ層132のML値は0.1dN・m~0.3dN・mであり、たとえば、0.12dN・m、0.15dN・m、0.2dN・m、0.25dN・mまたは0.3dN・mなどであってもよい。第2封止サブ層132の流動性が低すぎると、積層後の光起電力モジュールにおいて、第2封止サブ層132の接着固定能力が低下しすぎるようになってしまう。したがって、第2封止サブ層132のML値を0.1dN・m~0.3dN・mに設定することで、第2封止サブ層132に高い接着強度を持たせることを確保するのに有利である。
【0093】
第1封止サブ層のML値をML1とし、第2封止サブ層のML値をML2とした場合、下記の表1における第1封止サブ層のML値と第2封止サブ層のML値が積層後のグリッド線と接続部材との接続状態に与える影響を参照できる。
【0094】
表1
【0095】
上記の表1のデータソースは下記の通りである。
複数の比較例の電池セルの同じ領域にある接続部材とグリッド線との接続点をサンプリングし、複数の実施例の電池セルの同じ領域にある接続部材とグリッド線との接続点をサンプリングし、各電池セルのサンプル総数はいずれも50個であってもよく、電池セルのグリッド線と接続部材が接触接続を形成したサンプル数を統計し、これにより、各比較例の接続部材とグリッド線が接触接続を形成したサンプル数のサンプル総数に占める割合を求め、各実施例の接続部材とグリッド線が接触接続を形成したサンプル数のサンプル総数に占める割合を求める。
【0096】
上記の表1に示すように、第2封止サブ層のML値(ML2)の数値が一定である場合、第1封止サブ層のML値(ML1)が大きいほど、接続部材とグリッド線が接触接続を形成したサンプル数のサンプル総数に占める割合は高くなり、即ち接続部材とグリッド線との接触不良の割合が低くなる(比較例1~2及び実施例1~3または比較例3~4及び実施例4~6を参照)。第1封止サブ層のML値(ML1)が0.4dN・m以上である場合、接続部材とグリッド線が接触接続を形成したサンプル数のサンプル総数に占める割合は95%を超え、即ち光起電力モジュールは合格品である(実施例1~6を参照)。接続部材とグリッド線が接触接続を形成したサンプル数のサンプル総数に占める割合は95%未満である場合、光起電力モジュールは不合格品である(比較例1~4を参照)。したがって、第1封止サブ層のML値を0.4dN・mより大きく設定することで、光起電力モジュールの歩留まり及び効率の向上に有利である。
【0097】
上記の表1を引き続き参照すると、第1封止サブ層のML値(ML1)が0.4dN・m以上である場合、第2封止サブ層のML値(ML2)の変化はグリッド線と接続部材との接続状態に影響を与えることができなくなり(実施例1と実施例4、または実施例2と実施例5、または実施例3と実施例6を参照)、即ち流動性の比較的悪い第1封止サブ層は第2封止サブ層を効果的に隔離かつ遮蔽している。
【0098】
その他のいくつかの実施例では、図1Bに示すように、第1封止サブ層のML値をML1とし、第2封止サブ層のML値をML2とし、第3封止サブ層のML値をML3とする場合、下記の表2における第1封止サブ層のML値、第2封止サブ層のML値及び第3封止サブ層のML値が積層後のグリッド線と接続部材との接続状態に与える影響を参照できる。
【0099】
表2

【0100】
上記の表2のデータソースは表1のデータソースと同じであるため、ここでは繰り返して説明する必要はない。
【0101】
表2に示すように、第2封止サブ層のML値(ML2)の数値が一定で、第3封止サブ層のML値(ML3)の数値が一定である場合、第1封止サブ層のML値(ML1)が大きいほど、接続部材とグリッド線が接触接続を形成したサンプル数のサンプル総数に占める割合は高く、即ち接続部材とグリッド線の接触不良の比例は低い(比較例1、実施例1、実施例1および実施例4、または比較例3、実施例5、実施例6および実施例8を参照)。 第1封止サブ層のML値(ML1)が0.4dN・m以上の場合、接続部材とグリッド線が接触接続を形成したサンプル数のサンプル総数に占める割合は95%より大きく、即ち光起電力モジュールは合格品である(実施例1~8を参照)。第1封止サブ層のML値(ML1)が0.4dN・m未満の場合、接続部材とグリッド線が接触接続を形成したサンプル数のサンプル総数に占める割合は95%未満であり、光起電力モジュールは不合格品である(比較例1~3を参照する)。したがって、第1封止サブ層のML値を0.4dN・mより大きく設定することで、光起電力モジュールの歩留まり及び効率の向上に有利である。
【0102】
引き続き上記の表2に示すように、第1封止サブ層のML値(ML1)が0.4dN・m以上である場合、第2封止サブ層のML値(ML2)の変化はグリッド線と接続部材との接続状態に影響を与えることができなくなり(実施例2と実施例3、または実施例6と実施例7を参照)、即ち流動性の比較的悪い第1封止サブ層は第2封止サブ層を効果的に隔離かつ遮蔽している。第1封止サブ層のML値(ML1)が0.4dN・m以上である場合、第3封止サブ層のML値(ML3)の変化はグリッド線と接続部材との接続状態に影響を与えることもできなくなる(実施例1と実施例5、または実施例2と実施例6を参照)。
【0103】
いくつかの実施例では、図1Bに示すように、第2封止サブ層132のML値は0.3dN・m~0.4dN・mであり、たとえば、0.32dN・m、0.35dN・m、0.36dN・m、0.38dN・mまたは0.39dN・mなどであってもよい。第2封止サブ層132のML値が小さすぎると、第2封止サブ層132の流動性が第3封止サブ層133の流動性に近づきすぎて、第2封止サブ層132が第1封止サブ層131と第3封止サブ層133の間の良好なかけ橋とならず、即ち第1封止サブ層131と第2封止サブ層132の間の接着強度を低下させてしまう。第2封止サブ層132のMLが大きすぎると、第2封止サブ層132の流動性が第1封止サブ層131の流動性に近づきすぎて、第2封止サブ層132が第1封止サブ層131と第3封止サブ層133の間の良好なかけ橋とならず、即ち第3封止サブ層133と第2封止サブ層132の間の接着強度を低下させてしまう。したがって、第2封止サブ層132のML値を0.3dN・m~0.4dN・mに設定することで、第1封止サブ層131と第2封止サブ層132の間の高い接着強度を確保するのに有利であり、第2封止サブ層132と第3封止サブ層133の間の高い接着強度を確保するのに有利である。
【0104】
いくつかの実施例では、図1Bに示すように、第3封止サブ層133のML値は0.1dN・m~0.3dN・mであり、たとえば、0.12dN・m、0.15dN・m、0.2dN・m、0.25dN・mまたは0.3dN・mなどであってもよい。第3封止サブ層の流動性が小さすぎると、積層後の光起電力モジュールにおいて、第3封止サブ層の接着固定能力が低下しすぎる。したがって、第3封止サブ層のML値を0.1dN・m~0.3dN・mに設定することで、第3封止サブ層の高い接着強度を確保するのに有利である。
【0105】
図4Aは本願の一実施例によって提供される積層前の光起電力モジュールの局所断面構成を示す図である。図4Bは本願の一実施例によって提供される積層前の光起電力モジュールの局所断面構成を示す図である。
【0106】
いくつかの実施例では、図4Aおよび図4Bに示すように、電池セル100から封止層130に向かう方向、即ち図4Aおよび図4Bに示すZ方向において、第1封止サブ層131の厚さL2と接続部材120の最大厚さL1との比は0.4~1である。例えば、0.4、0.5、0.6、0.7または0.9などであってもよい。第1封止サブ層131の厚さL2と接続部材120の最大厚さL1の比が大きすぎると、第1封止サブ層131の厚さL2が大きすぎることを引き起こし、厚すぎる第1封止サブ層131は電池セル100の光吸収に影響を及ぼす。第1封止サブ層131の厚さL2と接続部材120の最大厚さL1の比が小さすぎると、第1封止サブ層131の厚さL2が小さすぎて、積層過程における封止層のスコーチ段階で、第1封止サブ層131が第2封止サブ層132をよく遮蔽できず、第2封止サブ層132がグリッド線110と接続部材120の間に流れ込むおそれがある。したがって、第1封止サブ層131の厚さL2と接続部材120の最大厚さL1の比を0.4~1に設定することで、厚すぎる第1封止サブ層131が光を遮蔽することを避けるのに有利であり、即ち電池セル100の光に対する高い利用率を保つことに有利である一方、第1封止サブ層131が第2封止サブ層132を効果的に遮蔽することを確保するのに有利であり、ひいてはグリッド線110と接続部材120の間の良好な接触を確保するのに有利である。
【0107】
いくつかの実施例では、図4Aに示すように、電池セル100から封止層130に向かう方向において、第1封止サブ層131の厚さL2と第2封止サブ層132の厚さL3の比は0.3~1.5である。例えば、0.4、0.5、0.6、0.7または1.2などであってもよい。第1封止サブ層131の厚さL2が一定である場合、第1封止サブ層131の厚さL2と第2封止サブ層132の厚さL3の比が大きすぎると、第2封止サブ層132の厚さL3が小さすぎるようになり、積層後の第2封止サブ層132は高い接着強度を有するため、厚さが小さすぎる第2封止サブ層132は電池セル100をよく封止して保護することができず、カバープレートと電池セル100を分離させてしまうおそれがある。また、厚さが小さすぎる第2封止サブ層132は封止層130全体の厚さが小さすぎるようになり、ひいては水蒸気が電池セル100に入って電池セル100を故障させるおそれがある。第1封止サブ層131の厚さL2が一定である場合、第1封止サブ層131の厚さL2と第2封止サブ層132の厚さL3の比が小さすぎると、第2封止サブ層132の厚さL3が大きすぎるようになり、厚さが大きすぎる第2封止サブ層132は電池セル100の光吸収に影響を与える。また、厚さが大きすぎる第2封止サブ層132は光起電力モジュールの製造コストの増加を招く。したがって、第1封止サブ層131の厚さL2と第2封止サブ層132の厚さL3の比を0.3~1.5に設定することで、第2封止サブ層132が電池セル100をよく封止して保護することを確保するだけでなく、電池セル100の光に対する利用率の向上と第2封止サブ層132の製造材料使用量の合理化にも役立ち、光起電力モジュールの軽量化と光起電力モジュールの製造コストの低減にも有利である。
【0108】
いくつかの実施例では、図4Bに示すように、Z方向において、第1封止サブ層131の厚さL2と第2封止サブ層132の厚さL3との比は1~4である。例えば、1、2、2.5または3などであってもよい。第1封止サブ層131の厚さL2が一定である場合、第1封止サブ層131の厚さL2と第2封止サブ層132の厚さL3の比が大きすぎると、第2封止サブ層132の厚さL3が小さすぎるようになり、厚さが小さすぎる第2封止サブ層132は第1封止サブ層131と第3封止サブ層133の間の良好なかけ橋とすることができない。また、厚さが小さすぎる第2封止サブ層132は封止層130全体の厚さが小さすぎることを引き起こし、ひいては水蒸気が電池セル100に入って電池セル100を故障させる可能性がある。第1封止サブ層131の厚さL2が一定である場合、第1封止サブ層131の厚さL2と第2封止サブ層132の厚さL3の比が小さすぎると、第2封止サブ層132の厚さL3が大きすぎるようになり、厚さが大きすぎる第2封止サブ層132は電池セル100の光吸収に影響を与える。また、厚さが大きすぎる第2封止サブ層132は光起電力モジュールの製造コストの増加を招く。したがって、第1封止サブ層131の厚さL2と第2封止サブ層132の厚さL3の比を1~4に設定することで、第2封止サブ層132が電池セル100をよく封止して保護することを確保するだけでなく、電池セル100の光に対する利用率の向上と第2封止サブ層132の製造材料使用量の合理化にも役立ち、光起電力モジュールの軽量化と光起電力モジュールの製造コストの低減にも有利である。
【0109】
いくつかの実施例では、図4Bに示すように、Z方向において、第2封止サブ層132の厚さL3と第3封止サブ層133の厚さL4との比は0.2~0.7である。例えば、0.3、0.4、0.5、0.6または0.7などであってもよい。第2封止サブ層132の厚さL3が一定である場合、第2封止サブ層132の厚さL3と第3封止サブ層133の厚さL4の比が大きすぎると、第3封止サブ層133の厚さL4が小さすぎるようになり、積層後の第3封止サブ層133は高い接着強度を有するため、厚さが小さすぎる第3封止サブ層133の厚さL4は電池セル100をよく封止して保護することができず、カバープレートと電池セル100を分離させてしまうおそれがある。また、厚さが小さすぎる第3封止サブ層133は封止層130全体の厚さが小さすぎることを引き起こし、水蒸気が電池セル100に入って電池セル100を故障させるおそれがある。第2封止サブ層132の厚さL3が一定である場合、第2封止サブ層132の厚さL3と第3封止サブ層133の厚さL4の比が小さすぎると、第3封止サブ層133の厚さL4が大きすぎるようになり、厚さが大きすぎる第3封止サブ層133は電池セル100の光吸収に影響を与える。また、厚さが大きすぎる第3封止サブ層133は光起電力モジュールの製造コストの増加を招く。したがって、第2封止サブ層132の厚さL3と第3封止サブ層133の厚さL4の比を0.2~0.7に設定することで、第3封止サブ層133が電池セル100をよく封止して保護することを確保するだけでなく、電池セル100の光に対する利用率の向上および第3封止サブ層133の製造材料使用量の合理化に有利であり、光起電力モジュールの軽量化と光起電力モジュールの製造コストの低減にも有利である。
【0110】
なお、本願の実施例に記載される接続部材120の最大厚さL1は接続部材120の積層前の厚さであり、第1封止サブ層131の厚さL2は第1封止サブ層131の積層前の厚さであり、第2封止サブ層132の厚さL3は第2封止サブ層132の積層前の厚さであり、第3封止サブ層133の厚さL4は第3封止サブ層133の積層前の厚さである。
【0111】
いくつかの実施例では、図4Aおよび図4Bに示すように、Z方向において、接続部材120の最大厚さL1は、200μm~260μmであり、例えば、200μm、210μm、230μm、235μmまたは250μmであってもよい。接続部材120の最大厚さL1が大きすぎると、接続部材120の材料使用量が多すぎるようになり、ひいては光起電力モジュールのコストの増加を招く。接続部材120の最大厚さL1が小さすぎると、接続部材120の導電断面積が小さすぎるようになり、抵抗損失が大きくなることを招く。したがって、接続部材120の最大厚さL1を200μm~260μmに設定することで、接続部材120の寸法を合理的な範囲内に保つことに有利となり、光起電力モジュールのコストと抵抗損失の低減に有利であり、ひいては光起電力モジュールの効率向上に有利である。
【0112】
いくつかの実施例では、図1A-1Bと図4A-4Bに示すように、Z方向において、第1封止サブ層131の厚さL2は110μm~200μmであり、例えば、120μm、130μm、150μm、165μmまたは180μmであってもよい。厚さが大きすぎる第1封止サブ層131は電池セル100の光吸収に影響を与える。第1封止サブ層131の厚さL2が小さすぎると、積層過程における封止層のスコーチ段階で、第1封止サブ層131が流動性の高い第2封止サブ層132をよく遮蔽できず、第2封止サブ層132がグリッド線110と接続部材120の間に流れ込んでしまうおそれがある。したがって、第1封止サブ層131の厚さL2を110μm~200μmに設定することで、厚すぎる第1封止サブ層131が光を遮蔽することを避け、即ち電池セル100の光に対する高い利用率を確保するのに有利である一方、第1封止サブ層131が第2封止サブ層132を効果的に遮蔽することを確保するのに有利であり、ひいてはグリッド線110と接続部材120の間の良好な接触を確保するのに有利である。
【0113】
いくつかの実施例では、図1Aおよび図4Aに示すように、Z方向において、第2封止サブ層132の厚さL3は140μm~320μmであり、例えば、150μm、165μm、170μm、200μmまたは250μmであってもよい。厚さが小さすぎる第2封止サブ層132は電池セル100をよく封止して保護できず、カバープレートと電池セル100が分離することを招くおそれがある。また、厚さが小さすぎる第2封止サブ層132は封止層130全体の厚さが小さすぎることを引き起こし、ひいては水蒸気が電池セル100に入って電池セル100を故障させることを招くおそれがある。厚さが大きすぎる第2封止サブ層132は電池セル100の光吸収に影響を与える。また、厚さが大きすぎる第2封止サブ層132は光起電力モジュールの製造コストの増加を招く。したがって、第2封止サブ層132の厚さL3を140μm~320μmに設定することで、第2封止サブ層132が電池セル100をよく封止して保護することを確保するだけでなく、電池セル100の光に対する利用率の向上と第2封止サブ層132の製造材料使用量の合理化に有利であり、光起電力モジュールの軽量化と光起電力モジュールの製造コストの低減にも有利である。
【0114】
いくつかの実施例では、図1Bおよび図4Bに示すように、Z方向において、第2封止サブ層132の厚さL3は50μm~100μmであり、例えば、60μm、70μm、80μmまたは90μmであってもよい。厚さが小さすぎる第2封止サブ層132は第1封止サブ層131と第3封止サブ層133の間の良好なかけ橋にはなることができない。また、厚さが小さすぎる第2封止サブ層132は封止層130全体の厚さが小さすぎることを引き起こし、ひいては水蒸気が電池セル100に入って電池セル100を故障させてしまうおそれがある。厚さが大きすぎる第2封止サブ層132は電池セル100の光吸収に影響を与える。また、厚さが大きすぎる第2封止サブ層132は光起電力モジュールの製造コストの増加を招く。したがって、第2封止サブ層132の厚さL3を50μm~100μmに設定することで、第2封止サブ層132が電池セル100を良く封止して保護することを確保するだけでなく、電池セル100の光に対する利用率の向上と第2封止サブ層132の製造材料使用量の合理化にも役立ち、光起電力モジュールの軽量化と光起電力モジュールの製造コストの低減にも有利である。
【0115】
いくつかの実施例では、図1Bおよび図4Bに示すように、電池セル100から封止層130に向かう方向、即ち図4Bに示すZ方向において、第3封止サブ層133の厚さL4は140μm~260μmであり、例えば、150μm、165μm、170μm、200μmまたは250μmであってもよい。厚さが小さすぎる第3封止サブ層は電池セル100を良く封止して保護できず、カバープレートと電池セル100を分離させてしまうおそれがある。また、厚さが小さすぎる第3封止サブ層133は封止層130全体の厚さを小さすぎるようにし、水蒸気が電池セル100に入って電池セル100を故障させてしまうおそれがある。厚さが大きすぎる第3封止サブ層133は電池セル100の光吸収に影響を与える。また、厚さが大きすぎる第3封止サブ層133は光起電力モジュールの製造コストの増加を招く。したがって、第3封止サブ層133の厚さL4を140μm~260μmに設定することで、第3封止サブ層133が電池セル100を良く封止して保護することを確保するだけでなく、電池セル100の光に対する利用率の向上と第3封止サブ層133の製造材料使用量の合理化にも役立ち、光起電力モジュールの軽量化と光起電力モジュールの製造コストの低減にも有利である。
【0116】
いくつかの実施例では、図1A、1Bと図2に示すように、光起電力モジュールは、一部の電池セル100と接続部材120との間に位置し、かつグリッド線110以外の電池セル100の表面に位置する接着剤ドット140をさらに含む。接着剤ドット140は、積層前に接続部材120を固定し、接続部材120が電池セル100表面で移動することを防止するために使われる。
【0117】
いくつかの実施例では、図1A図1Bに示すように、光起電力モジュールはさらに、カバープレート150を含み、カバープレート150が封止層130の電池セル100から離れる表面に位置し、カバープレート150がセルストリングを保護するためのガラスカバープレートまたはプラスチックカバープレートなどであってもよい。
【0118】
上記の実施例によって提供される光起電力モジュールでは、封止層130は電池セル100の表面と接続部材120に隣接する第1封止サブ層131と、電池セル100から離れる第2封止サブ層132と、を含み、かつ第1封止サブ層131の流動性は第2封止サブ層132の流動性より低く、ここで、第1封止サブ層131の流動性と第2封止サブ層132の流動性はいずれも積層温度での流動性であり、即ち光起電力モジュールは積層中の光起電力モジュールであり、積層温度では、接続部材120と電池セル100に隣接する第1封止サブ層131を流動性の低い状態に設定することで、第1封止サブ層131が接続部材120とグリッド線110の間に流れ込み、接続部材120とグリッド線110の接触不良を引き起こしてしまうことを避け、光起電力モジュールの効率と歩留まりの向上に有利である。また、第1封止サブ層131を利用して流動性の比較的高い第2封止サブ層132を隔離し、流動性の高い第2封止サブ層132を利用して封止層130の高い架橋度を確保することで、封止層130が電池をよく保護することを確保し、封止層130とカバープレートの接着強度を高め、光起電力モジュールの寿命を延ばすことに有利となる。
【0119】
本願のいくつかの実施例によって、本願の実施例では、さらに光起電力モジュールの製造方法が提供され、この光起電力モジュールの製造方法は、上記の実施例で記載された光起電力モジュールを製造するために使われる。以下、図面を参照しながら、本願の実施例で提供される光起電力モジュールの製造方法について説明する。なお、上記の実施例と同じであるか、または対応する部分については、上記の実施例の詳細な説明を参照することができるため、ここで繰り返して説明する必要はない。
【0120】
図5は、本願の一実施例で提供される光起電力モジュールの製造方法において電池セルを提供するステップに対応する構成を示す図であり、図6は本願の一実施例で提供される光起電力モジュールの製造方法において接着剤ドットを形成するステップに対応する構成を示す図であり、図7は本願の一実施例で提供される光起電力モジュールの製造方法において接着剤ドットを利用して接続部材を固定するステップに対応する構成を示す図であり、図8Aは本願の一実施例で提供される光起電力モジュールの製造方法において封止層を設置するステップに対応する構成を示す図であり、図8Bは本願の別の実施例で提供される光起電力モジュールの製造方法において封止層を設置するステップに対応する構成を示す図であり、図9Aは本願の一実施例で提供される光起電力モジュールの製造方法において積層処理を行った後の光起電力モジュールに対応する構成を示す図であり、図9Bは本願の別の実施例で提供される光起電力モジュールの製造方法において積層処理を行った後の光起電力モジュールに対応する構成を示す図である。なお、図5図9Bは、電池セルの数を省略しており、1つの電池セルのみを例として図示している。
【0121】
図5に示すように、光起電力モジュールの製造方法は、それぞれの表面に複数本のグリッド線110を有する複数の電池セル100を提供することを含む。いくつかの実施例では、スクリーン印刷および焼結工程を利用してグリッド線110を形成することができる。
【0122】
図6図7に示すように、電池セル100の表面に接続部材120を設置する。各接続部材の一端部が隣接する電池セルのうちの1つの電池セルの前面に設けられ、各接続部材の他端部が隣接する電池セルのうちの他方の電池セルの裏面に設けられる。
【0123】
いくつかの実施例では、接続部材120を設置することは、接着剤ドット140を形成することをさらに含む。図6に示すように、グリッド線110以外の電池セル100の一部の表面に未硬化の接着剤ドット140を形成することができる。図7に示すように、電池セル100の表面に接続部材120を敷設し、かつ接着剤ドット140を電池セル100と接続部材120の間に位置させ、接続部材120を敷設した後、紫外線照射またはその他の低温処理方式で接着剤ドット140を硬化させ、接着剤ドット140を利用して接続部材120を固定し、接続部材120の移動を防ぐことができる。
【0124】
図8Aに示すように、電池セル100の表面に封止層130を設置し、かつ封止層130は接続部材120の電池セル100から離れる側に位置し、封止層130は電池セル100から離れる方向に沿って順次配置された第1封止サブ層131および第2封止サブ層132を含む。
【0125】
または、図8Bに示すように、電池セル100の表面に封止層130を設置し、かつ封止層130は接続部材120の電池セル100から離れる側に位置し、封止層130は電池セル100から離れる方向に沿って順次配置される第1封止サブ層131、第2封止サブ層132及び第3封止サブ層133を含む。
【0126】
図8A~8Bに示すように、いくつかの実施例では、封止層130を設置すると同時に、封止層130の電池セルから離れる表面にカバープレート150を設置する。
【0127】
図9Aに示すように、グリッド線110の上方に位置する一部の接続部材120が隣接する部分グリッド線110に接触して接続され、電池セル100と封止層130を固定するように、予め設定された温度で電池セル100、接続部材120及び封止層130に対して積層処理を行う。ここで、第1封止サブ層131の予め設定された温度での流動性は、第2封止サブ層132の予め設定された温度での流動性より低い。
【0128】
図9Bに示すように、グリッド線110の上方に位置する一部の接続部材120が隣接する一部のグリッド線110に接触して接続され、電池セル100と封止層130を固定するするように、予め設定された温度で電池セル100、接続部材120及び封止層130に対して積層処理を行う。ここで、第3封止サブ層133の予め設定された温度での流動性、第2封止サブ層132の予め設定された温度での流動性及び第1封止サブ層131の予め設定された温度での流動性は順次低下する。
【0129】
いくつかの実施例では、積層処理によって封止層130をカバープレート150と固定する。
【0130】
接続部材120と電池セル100に隣接する第1封止サブ層131を流動性の低い状態に設定することで、第1封止サブ層131が接続部材120とグリッド線110の間に流れ込むことを避け、ひいては接続部材120とグリッド線110の接触不良を避け、光起電力モジュールの効率及び歩留まりの向上に有利である。また、第1封止サブ層131を利用して流動性の比較的高い第2封止サブ層132を隔離し、流動性の比較的高い第2封止サブ層132を利用して第2封止サブ層132とカバープレートの接着強度を確保し、さらに封止層130を利用して電池の良好な保護を実現し、光起電力モジュールの寿命を延ばすことに有利となる。または、第1封止サブ層131を利用して流動性の比較的高い第2封止サブ層132および第3封止サブ層133を隔離し、第2封止サブ層132を利用して第1封止サブ層131と第3封止サブ層133のかけ橋とすることで、第1封止サブ層131と第3封止サブ層133の接着強度の増大に有利であり、流動性の最も高い第3封止サブ層133は、封止層130とカバープレートの強い接着強度を確保するのに有利であり、ひいては光起電力モジュールの寿命を延ばすことに有利となる。
【0131】
なお、接続部材120とグリッド線110が予め設定された温度で合金を形成し、かつ接続部材120とグリッド線110が合金を形成した後、封止層130に架橋反応を起こさせるように、予め設定された温度は、接続部材120とグリッド線110が合金を形成する温度よりも高く、かつ封止層130に架橋反応を起こさせる温度よりも低くなっても良い。
【0132】
上記の実施例で提供された光起電力モジュールの製造方法では、接続部材120と電池セル100に隣接する第1封止サブ層131を流動性の低い状態に設定することで、第1封止サブ層131が接続部材120とグリッド線110の間に流れ込み、接続部材120とグリッド線110の接触不良を引き起こしてしまうことを避け、歩留まり及び効率の高い光起電力モジュールを形成するのに有利である。また、第1封止サブ層131を利用して流動性の比較的高い外層封止層132を隔離し、流動性の高い第2封止サブ層132を利用して封止層130の高い架橋度を確保し、ひいては封止層130が電池を良く保護することを確保し、封止層130とカバープレートの接着強度を高めることができ、構造安定性の高い光起電力モジュールの形成に有利である。
【0133】
説明すべきこととして、本実施例で提供される図面において、光起電力モジュールの構造および光起電力モジュールの形状は、本実施例における光起電力モジュールの構造および光起電力モジュールの形状を限定するものではない。理解できるように、光起電力モジュールの構造および光起電力モジュールの形状は必要に応じて相応的に設計かつ変更を行うことができる。
【0134】
当業者であれば、前記の各実施形態は本願を実現する具体的な実施例であるが、実用上では本願の精神と範囲を逸脱することなく、形態及び細部において様々な変更が可能であることが理解できる。いずれの当業者は、本願の精神と範囲を逸脱しない限り、それぞれ変更及び修正を行うことが可能であるため、本願の保護範囲は、請求項に限定された範囲を基準にすべきである。

図1A
図1B
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9A
図9B