IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニアの特許一覧

特開2024-105564レトロトランスポゾンベースの送達媒体及びその使用方法
<>
  • 特開-レトロトランスポゾンベースの送達媒体及びその使用方法 図1A
  • 特開-レトロトランスポゾンベースの送達媒体及びその使用方法 図1B
  • 特開-レトロトランスポゾンベースの送達媒体及びその使用方法 図2
  • 特開-レトロトランスポゾンベースの送達媒体及びその使用方法 図3
  • 特開-レトロトランスポゾンベースの送達媒体及びその使用方法 図4
  • 特開-レトロトランスポゾンベースの送達媒体及びその使用方法 図5
  • 特開-レトロトランスポゾンベースの送達媒体及びその使用方法 図6A
  • 特開-レトロトランスポゾンベースの送達媒体及びその使用方法 図6B
  • 特開-レトロトランスポゾンベースの送達媒体及びその使用方法 図7
  • 特開-レトロトランスポゾンベースの送達媒体及びその使用方法 図8
  • 特開-レトロトランスポゾンベースの送達媒体及びその使用方法 図9
  • 特開-レトロトランスポゾンベースの送達媒体及びその使用方法 図10
  • 特開-レトロトランスポゾンベースの送達媒体及びその使用方法 図11
  • 特開-レトロトランスポゾンベースの送達媒体及びその使用方法 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024105564
(43)【公開日】2024-08-06
(54)【発明の名称】レトロトランスポゾンベースの送達媒体及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/90 20060101AFI20240730BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20240730BHJP
   C12N 15/54 20060101ALI20240730BHJP
   C12N 15/85 20060101ALI20240730BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20240730BHJP
   C12N 9/12 20060101ALI20240730BHJP
   C12N 15/12 20060101ALN20240730BHJP
   C12N 15/62 20060101ALN20240730BHJP
   C12N 1/15 20060101ALN20240730BHJP
   C12N 1/19 20060101ALN20240730BHJP
   C12N 5/04 20060101ALN20240730BHJP
   C12N 5/07 20100101ALN20240730BHJP
【FI】
C12N15/90 Z
C12N5/10
C12N15/54
C12N15/85
C12N15/63 Z
C12N9/12
C12N15/12 ZNA
C12N15/62 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N5/04
C12N5/07
C12N15/12
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024079570
(22)【出願日】2024-05-15
(62)【分割の表示】P 2021500277の分割
【原出願日】2019-07-11
(31)【優先権主張番号】62/697,829
(32)【優先日】2018-07-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】506115514
【氏名又は名称】ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニア
【氏名又は名称原語表記】The Regents of the University of California
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】シェーファー デイビッド ブイ.
(72)【発明者】
【氏名】バーンズ クリストファー
(57)【要約】      (修正有)
【課題】目的の1つ以上の遺伝子産物を真核細胞に送達する方法を提供する。
【解決手段】本開示は、以下:a)R2レトロトランスポゾンR2ポリペプチド、またはR2ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む第1の核酸と、b)1つ以上の異種遺伝子産物をコードする異種ヌクレオチド配列を含む核酸であって、ここで、この異種ヌクレオチド配列が、R2レトロトランスポゾン3’非翻訳領域(UTR)及びR2レトロトランスポゾン5’UTRに隣接し、ここで、この異種ヌクレオチド配列が、少なくとも200ヌクレオチドの長さを有する、核酸と、を含む遺伝子送達システムを提供する。本開示は、目的の1つ以上の遺伝子産物を真核細胞に送達する方法を提供し、この方法は、細胞を遺伝子送達媒体システムと接触させることを含む。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下を含む、遺伝子送達媒体システム:
a)第1の核酸及び第2の核酸であって、
i)該第1の核酸が、R2レトロトランスポゾンR2ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含み、及び
ii)該第2の核酸が、1つ以上の異種遺伝子産物をコードする異種ヌクレオチド配列を含み、ここで、該異種ヌクレオチド配列が、R2レトロトランスポゾン3’非翻訳領域(UTR)及びR2レトロトランスポゾン5’UTRに隣接し、ここで、該異種ヌクレオチド配列が、少なくとも200ヌクレオチドの長さを有する、
前記第1の核酸及び第2の核酸;または
b)ポリペプチド及び核酸であって、
i)該ポリペプチドがR2レトロトランスポゾンR2ポリペプチドであり、及び
ii)該核酸が、1つ以上の異種遺伝子産物をコードする異種ヌクレオチド配列を含み、ここで、該異種ヌクレオチド配列が、R2レトロトランスポゾン3’UTR及びR2レトロトランスポゾン5’UTRに隣接し、ここで、該異種ヌクレオチド配列が、少なくとも200ヌクレオチドの長さを有する、
前記ポリペプチド及び核酸。
【請求項2】
前記R2ポリペプチドが、図7に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも85%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の遺伝子送達媒体システム。
【請求項3】
前記異種ヌクレオチド配列が、単一の異種遺伝子産物をコードする、請求項1または請求項2に記載の遺伝子送達媒体システム。
【請求項4】
前記単一の異種遺伝子産物がポリペプチドである、請求項3に記載の遺伝子送達媒体システム。
【請求項5】
前記単一の異種遺伝子産物がRNAである、請求項3に記載の遺伝子送達媒体システム。
【請求項6】
前記異種ヌクレオチド配列が、少なくとも第1の異種遺伝子産物及び第2の異種遺伝子産物をコードする、請求項1または請求項2に記載の遺伝子送達媒体システム。
【請求項7】
前記第1の異種遺伝子産物がポリペプチドであり、前記第2の異種遺伝子産物がRNAである、請求項6に記載の遺伝子送達媒体システム。
【請求項8】
前記ポリペプチドが、キメラ抗原受容体である、請求項4に記載の遺伝子送達媒体システム。
【請求項9】
前記第1の異種遺伝子産物が第1の異種ポリペプチドであり、前記第2の異種遺伝子産物が第2の異種ポリペプチドである、請求項6に記載の遺伝子送達媒体システム。
【請求項10】
前記異種ヌクレオチド配列が、5’から3’の順序で以下:
i)前記第1の異種ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列と;
ii)内部リボソーム侵入部位、または自己切断ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列と;
iii)前記第2の異種ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列と
を含む、請求項9に記載の遺伝子送達媒体システム。
【請求項11】
前記第1のポリペプチド及び前記第2のポリペプチドが一緒になってヘテロ二量体キメラ抗原受容体を形成する、請求項9に記載の遺伝子送達媒体システム。
【請求項12】
前記ポリペプチドがRNA誘導エフェクターポリペプチドであり、前記RNAがRNA誘導エフェクターポリペプチドに結合するガイドRNAである、請求項7に記載の遺伝子送達媒体システム。
【請求項13】
前記R2ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列が、真核細胞中での発現のためにコドン最適化されている、請求項1~12のいずれか1項に記載の遺伝子送達媒体システム。
【請求項14】
1つ以上の異種遺伝子産物をコードする前記異種ヌクレオチド配列が、転写制御エレメントに機能的に連結されている、請求項1~13のいずれか1項に記載の遺伝子送達媒体システム。
【請求項15】
前記転写制御エレメントが、調節可能なプロモーターである、請求項14に記載の遺伝子送達媒体システム。
【請求項16】
前記転写制御エレメントが、構成的プロモーターである、請求項14に記載の遺伝子送達媒体システム。
【請求項17】
前記異種ヌクレオチド配列が、少なくとも3キロバイトの長さを有する、請求項1~16のいずれか1項に記載の遺伝子送達媒体システム。
【請求項18】
前記異種ヌクレオチド配列が、約5kb~約10kbの長さを有する、請求項1~16のいずれか1項に記載の遺伝子送達媒体システム。
【請求項19】
前記異種ヌクレオチド配列が、約10kb~約15kbの長さを有する、請求項1~16のいずれか1項に記載の遺伝子送達媒体システム。
【請求項20】
以下:
a1)R2レトロトランスポゾンR2ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む第1の核酸、及び
b1)1つ以上の異種遺伝子産物をコードする異種ヌクレオチド配列を挿入するための挿入部位を含む第2の核酸であって、ここで、該挿入部位が、R2レトロトランスポゾン3’非翻訳領域(UTR)及びR2レトロトランスポゾン5’UTRに隣接しており、ここで、該異種ヌクレオチド配列が、少なくとも200ヌクレオチドの長さを有する、前記第2の核酸;または
a2)R2レトロトランスポゾンR2ポリペプチド、及び
b2)1つ以上の異種遺伝子産物をコードする異種ヌクレオチド配列を挿入するための挿入部位を含む核酸であって、該挿入部位が、R2レトロトランスポゾン3’UTR及びR2レトロトランスポゾン5’UTRに隣接しており、該異種ヌクレオチド配列が、少なくとも200ヌクレオチドの長さを有する、前記核酸
を備える、キット。
【請求項21】
前記第1の核酸及び前記第2の核酸が別個の容器に入っている、請求項20(a1及びb1)に記載のキット。
【請求項22】
前記R2ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列が、真核細胞中での発現のためにコドン最適化されている、請求項20(a1)に記載のキット。
【請求項23】
前記第2の核酸が、前記挿入部位の5’側の転写制御エレメントをさらに含む、請求項20(b1)に記載のキット。
【請求項24】
前記R2ポリペプチド及び前記核酸が別個の容器に入っている、請求項20(a2及びb2)に記載のキット。
【請求項25】
前記核酸が、前記挿入部位の5’側の転写制御エレメントをさらに含む、請求項20(b2)に記載のキット。
【請求項26】
1つの以上の目的の遺伝子産物を真核細胞に送達する方法であって、請求項1~19のいずれか1項に記載の遺伝子送達媒体システムと該細胞とを接触させることを含み、前記R2ポリペプチド、前記5’UTR、及び前記3’UTRが、該真核細胞のゲノムの28S領域への異種核酸の挿入を提供する、前記方法。
【請求項27】
前記接触がインビトロである、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記接触がインビボである、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記接触がエクスビボである、請求項26に記載の方法。
【請求項30】
前記真核細胞が非ヒト動物細胞である、請求項26~29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
前記真核細胞がヒト細胞である、請求項26~29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
前記真核細胞が植物細胞である、請求項26~29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
前記真核細胞が無脊椎動物細胞である、請求項26~29のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
本出願は、2018年7月13日に出願された米国仮特許出願第62/697,829号の恩典を主張するものであり、この出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
序説
遺伝子治療は、ヒトの疾患を治療する技術としてますます成功を収めている。遺伝子治療は、目的の遺伝子産物をコードするコード領域を含む核酸の送達を含み、この遺伝子産物は、特定の細胞における異常な挙動を修正するための機能の獲得または喪失を提供し得る。送達は概して、ウイルスを介した送達と、ウイルスを介さない送達という、2つの主なカテゴリに分類される。さらに、核酸の送達は、核酸の全部または一部の、宿主細胞DNAへの一過性の発現または不可逆的な組み込みのいずれかをもたらす。ウイルスを介した組み込み的アプローチは、分裂細胞において最も一般的に使用され、送達は、例えば、治療用DNAを細胞に運ぶように操作されたレンチウイルス及びレトロウイルスの使用により媒介される。このようなウイルスは、宿主細胞のゲノムへの安定した組み込みに効果的であるものの、いくつかの欠点がある。細胞のゲノム内のランダムな位置への組み込みにより、細胞の機能が破壊される場合があり、最終的には細胞自体の機構によって発現が抑制されることさえある。さらに、ウイルス法は、送達されるコード領域のサイズがレトロウイルス及びレンチウイルスについてそれぞれ6キロベース(kb)または8kbを超える場合、目的の遺伝子産物をコードするコード領域をパッケージング及び送達する能力に深刻な問題を抱えている。多くの遺伝子治療は、パッケージング制限内のコード領域を含むが、遺伝子産物のコード領域の長さはすでに8kbで最大制限に近づいており、より大きなcDNA、調節エレメント、または複数の遺伝子の追加によって、インサートのサイズは現在のウイルス送達媒体が収容し得るよりも大きくなるであろう。
【0003】
piggyBac、Sleeping Beauty、及びTol2などのクラスIIトランスポゾンは、より大きなペイロードを組み込み得る;ただし、このようなトランスポゾンには欠点がある。例えば、DNAトランスポゾンは、ゲノム内の特定だが共通の部位に組み込まれる場合があり(注目すべきことに、転位因子は一般にゲノムの45%を構成する)、活発な転写が起こっている領域に組み込まれる傾向があるものもある。
【0004】
より大きなコード領域の送達を提供する送達媒体が当該技術分野で必要とされている。
【発明の概要】
【0005】
概要
本開示は、以下:a)R2レトロトランスポゾンR2ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む第1の核酸と、b)1つ以上の異種遺伝子産物をコードする異種ヌクレオチド配列を含む第2の核酸であって、ここで、この異種ヌクレオチド配列が、R2レトロトランスポゾン3’非翻訳領域(UTR)及びR2レトロトランスポゾン5’UTRに隣接し、この異種ヌクレオチド配列の長さが最大約15キロベースである、第2の核酸と、を含む遺伝子送達システムを提供する。本開示は、目的の1つ以上の遺伝子産物を真核細胞に送達する方法を提供し、この方法は、細胞を遺伝子送達媒体システムと接触させることを含む。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1A】R2 UTRターゲティング配列に隣接する導入遺伝子をコードするデュアルベクター組み込みシステムの概略図。
図1B】R2による組み込み機構の、提唱された機構。
図2】本開示の遺伝子送達システムを使用して送達された遺伝子の28S rDNAにおけるゲノム組み込み接合部の分析を示す。
図3】本開示の遺伝子送達システムを使用して送達された遺伝子の28S rDNAにおけるゲノム組み込み接合部の分析を示す。
図4】細胞のトランスフェクション及び継代のためのプロトコルを示し、本開示の遺伝子送達システムをトランスフェクションした後の緑色蛍光タンパク質(GFP)発現を示すデータを提示する。
図5図5A及びBは、導入遺伝子の発現に対する最適化されたR2(「OR2」)の効果を示す。
図6A】本開示の遺伝子送達システムを細胞にトランスフェクトした後のキメラ抗原受容体(CAR)の発現を示し、ここで、この異種核酸は、CARをコードするヌクレオチド配列を含んでいた。
図6B】本開示の遺伝子送達システムを細胞にトランスフェクトした後のキメラ抗原受容体(CAR)の発現を示し、ここで、この異種核酸は、CARをコードするヌクレオチド配列を含んでいた。
図7】R2ポリペプチド(SEQ ID NO:37)のアミノ酸配列を示す。
図8】5’UTRのヌクレオチド配列(SEQ ID NO:38)を示す。
図9】3’UTRのヌクレオチド配列(SEQ ID NO:39)を示す。
図10】本開示の遺伝子送達システムをトランスフェクションした14日後に緑色蛍光タンパク質(GFP)を安定して発現するHEK293細胞のパーセントを示す。
図11】本開示の遺伝子送達システムをトランスフェクションした14日後のハイグロマイシン耐性HEK293コロニーの数を示す。
図12】本開示の遺伝子送達システムをトランスフェクションした14日後のc-mycHEK293細胞のパーセントを示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
定義
本明細書で使用される場合、「異種」とは、天然の(例えば、天然に存在する)核酸またはタンパク質それぞれの中には見られないヌクレオチドまたはポリペプチド配列を意味する。
【0008】
本明細書で互換的に使用される「ポリヌクレオチド」及び「核酸」という用語は、リボヌクレオチドまたはデオキシリボヌクレオチドのいずれかである、任意の長さのヌクレオチドのポリマー形態を指す。したがって、この用語は、一本鎖、二本鎖、もしくは多重鎖のDNAまたはRNA、ゲノムDNA、cDNA、DNA-RNAハイブリッド、あるいはプリン塩基及びピリミジン塩基を含むポリマー、または他の天然の、化学的もしくは生化学的に修飾された、非天然の、または誘導体化されたヌクレオチド塩基を含むポリマーを含むが、これらに限定されない。
【0009】
「機能的に連結した」とは、近接した配置を指し、そのように説明される構成要素は、それらがその意図される様式で機能することを可能する関係にある。例えば、プロモーターは、当該プロモーターがその転写または発現に影響を及ぼす場合、コード配列と機能的に連結している。
【0010】
「ポリペプチド」、「ペプチド」、及び「タンパク質」という用語は、本明細書で互換的に使用され、任意の長さのアミノ酸のポリマー形態を指し、これは、遺伝的にコードされた、及び遺伝的にコードされていないアミノ酸、化学的もしくは生化学的に修飾された、または誘導体化されたアミノ酸、ならびに修飾されたペプチド骨格を有するポリペプチドを含み得る。この用語は、融合タンパク質を含み、これには、異種アミノ酸配列を有する融合タンパク質、N末端メチオニン残基を有するかまたは有さない異種及び同種リーダー配列との融合体;免疫学的にタグ付けされたタンパク質等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0011】
本明細書で互換的に使用される「キメラ抗原受容体」及び「CAR」という用語は、細胞外ドメイン(例えば、リガンド/抗原結合ドメイン)、膜貫通ドメイン及び1つ以上の細胞外シグナル伝達ドメインを一般的に含むがそれだけではない、免疫細胞の活性化を誘発または阻害し得る人工マルチモジュール分子を指す。「CAR」という用語は、CAR分子に特に限定されず、CARバリアントも含む。CARバリアントは、CARの細胞外部分(例えば、リガンド結合部分)及び細胞内部分(例えば、細胞内シグナル伝達部分)が2つの別個の分子上に存在する、分割CARを含む。CARバリアントはまた、条件付きで活性化可能なCARであるオンスイッチCARを含み、例えば、分割CARの2つの部分の条件付きヘテロ二量体化が薬理学的に制御される分割CARを含む。CARバリアントはまた、第一のCARの活性を増幅または阻害することができる第二のCAR結合ドメインを含む二重特異性CARを含む。CARバリアントはまた、例えば、二次CAR結合ドメインの結合が一次CAR活性化の阻害をもたらす二重特異性CARシステムの構成要素として使用され得る阻害性キメラ抗原受容体(iCAR)を含む。CAR分子及びその誘導体(すなわち、CARバリアント)は、例えば、PCT出願番号US2014/016527;Fedorov et al.Sci Transl Med(2013);5(215):215ra172;Glienke et al.Front Pharmacol(2015)6:21;Kakarla & Gottschalk 52 Cancer J(2014)20(2):151-5;Riddell et al.Cancer J(2014)20(2):141-4;Pegram et al.Cancer J(2014)20(2):127-33;Cheadle et al.Immunol Rev(2014)257(1):91-106;Barrett et al.Annu Rev Med(2014)65:333-47;Sadelain et al.Cancer Discov(2013)3(4):388-98;Cartellieri et al.,J Biomed Biotechnol(2010)956304に記載されており;その開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0012】
「一本鎖Fv」または「sFv」抗体断片は、抗体のV及びVドメインを含み、これらのドメインは、単一のポリペプチド鎖内に存在する。いくつかの実施形態では、Fvポリペプチドは、VドメインとVドメインとの間にポリペプチドリンカーをさらに含み、これにより、sFvは抗原結合のための所望の構造を形成し得る。sFvの概説については、The Pharmacology of Monoclonal Antibodies,vol.113,Rosenburg and Moore eds.,Springer-Verlag,New York,pp.269-315(1994)のPluckthunを参照のこと。
【0013】
本明細書中で使用する場合、用語「ナノボディ」(Nb)とは、天然の重鎖抗体に由来する最小抗原結合断片または単一可変ドメイン(VHH)を指し、これは当業者には公知である。これらはラクダに見られる重鎖のみ抗体に由来する(Hamers-Casterman et al.,1993;Desmyter et al.,1996)。「ラクダ科」ファミリーでは、軽鎖ポリペプチドを欠損した免疫グロブリンが見出される。「ラクダ科」には、旧世界ラクダ科動物(ヒトコブラクダ(Camelus bactrianus)及びフタコブラクダ(Camelus dromedarius))及び新世界ラクダ科動物(例えば、アルパカ(Llama paccos)、リャマ(Llama glama)、グアナコ(Llama guanicoe)、及びビクーニャ(Llama vicugna))が含まれる。単一可変ドメイン重鎖抗体は、本明細書中ではナノボディまたはVHH抗体と呼ばれる。
【0014】
本明細書で使用される場合、「処置」、「処置すること」、「処置する」等の用語は、所望の薬理学的及び/または生理学的効果を得ることを指す。その効果は、疾患もしくはその症状を完全にもしくは部分的に予防するという観点では予防的であってもよく、及び/または、疾患及び/もしくはその疾患に起因する副作用の部分的もしくは完全な治癒という観点では治療的であってもよい。本明細書で使用される場合、「処置」とは、哺乳動物、特に、ヒトにおける疾患の任意の治療を包含し、(a)その疾患にかかりやすいが、まだそれに罹患していると診断されていない対象における発病を予防すること、(b)その疾患を阻害すること、すなわち、その発症を阻止すること、及び(c)その疾患を軽減すること、すなわち、その疾患の退行を引き起こすことを含む。
【0015】
本明細書で互換的に使用される「個体」、「対象」、「宿主」、及び「患者」という用語は、ネズミ(ラット、マウス)、非ヒト霊長類、ヒト、イヌ、ネコ、有蹄動物(例えば、ウマ、ウシ、ヒツジ、ブタ、ヤギ)、ウサギ目などを含むがこれらに限定されない哺乳動物を指す。いくつかの場合には、個体はヒトである。いくつかの場合には、個体は非ヒト霊長類である。いくつかの場合には、個体は齧歯類、例えばラットまたはマウスである。いくつかの場合には、個体はウサギ目、例えばウサギである。
【0016】
本発明をさらに記載する前に、本発明は、記載される特定の実施形態に限定されず、したがって、言うまでもなく、異なり得ることを理解されたい。本明細書で使用される用語法は、特定の実施形態を記載するためのものに過ぎず、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるため、限定するものとしては意図されないことも理解されたい。
【0017】
値の範囲が示される場合、文脈が別途明確に指示しない限り、下限値の単位の10分の1までの、その範囲の上限値と下限値との間の各介在値、ならびにその表示範囲の任意の他の表示値または介在値が、本発明に包含されることが理解される。これらのより小さい範囲の上限値及び下限値は、独立して、そのより小さい範囲内に含まれてもよく、また、表示範囲内の任意の具体的な除外限度に従って、本発明に包含される。表示範囲がそれらの限界値のうちの一方または両方を含む場合、それらの包含される限界値のうちのいずれかまたは両方を除外する範囲もまた、本発明に包含される。
【0018】
別途定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する分野の当業者によって一般的に理解される意味と同じ意味を有する。本明細書に記載される方法及び材料と同様もしくは同等の任意の方法及び材料を、本発明の実践または試験においても使用してもよいが、好ましい方法及び材料がこれから記載される。本明細書で言及される全ての刊行物は、それらの刊行物が引用されるものに関連して方法及び/または材料を開示及び記載するために、参照により本明細書に組み込まれる。
【0019】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、文脈が別途明らかに規定しない限り、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その(the)」は複数の指示対象を含むことに留意しなければならない。したがって、例えば、「R2ポリペプチド(an R2 polypeptide)」への言及は、複数のそのようなポリペプチドを含み、「異種遺伝子産物(the heterologous gene product)」への言及は、1つ以上の異種遺伝子産物及び当業者に公知のそれらの同等物などへの言及を含む。特許請求の範囲はあらゆる任意の要素を除外するように作成され得ることにさらに留意されたい。したがって、この記述は、特許請求の範囲の要素の列挙に関して、「単に」、「のみ」などのような排他的な用語法の使用、または「否定的な」制限の使用に対する先行記載となることが意図される。
【0020】
明確化のために別個の実施形態の文脈において記載される、本発明の特定の特徴を、単一の実施形態において組み合わせて提供してもよいことが理解される。反対に、簡潔化のために単一の実施形態の文脈において記載される本発明の様々な特徴を、別個に、または任意の好適な副組み合わせで提供することもできる。本発明に関連する実施形態の全ての組み合わせは、本発明によって特異的に包含され、ありとあらゆる組み合わせが個々にかつ明示的に開示されたかのように本明細書に開示される。加えて、様々な実施形態及びそれらの要素の全ての副組み合わせもまた、本発明によって特異的に包含され、ありとあらゆるそのような副組み合わせが個々にかつ明示的に本明細書に開示されたかのように本明細書に開示される。
【0021】
本明細書で考察される刊行物は、本出願の出願日の前のそれらの開示に対してのみ提供される。本明細書におけるいずれの内容も、本発明が先行発明によるそのような刊行物に先行する資格がないことを認めるものと解釈されるべきではない。さらに、提供される刊行物の日付は、実際の刊行日とは異なる場合があり、別個に確認する必要がある場合がある。
【0022】
詳細な説明
本開示は、以下:a)R2レトロトランスポゾンR2ポリペプチド、またはR2ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む第1の核酸と、b)1つ以上の異種遺伝子産物をコードする異種ヌクレオチド配列を含む核酸であって、ここで、この異種ヌクレオチド配列が、R2レトロトランスポゾン3’非翻訳領域(UTR)及びR2レトロトランスポゾン5’UTRに隣接し、ここで、この異種ヌクレオチドが少なくとも200ヌクレオチドの長さを有する、核酸と、を含む遺伝子送達システムを提供する。R2ポリペプチド、5’UTR、及び3’UTRは、真核細胞のゲノムの28S領域への異種核酸の挿入を提供する。本開示は、目的の1つ以上の遺伝子産物を真核細胞に送達する方法を提供し、この方法は、細胞を遺伝子送達媒体システムと接触させることを含む。
【0023】
R2タンパク質は、28S rDNAの多くの種間で保存されているDNA配列の5’及び3’部位を認識する。R2タンパク質は、R2コード配列の5’及び3’側に転写されたRNAと相互作用して結合する。R2タンパク質が5’UTRまたは3’UTRのどちらに結合するかに基づいて、R2タンパク質は、標的部位の上流または下流の28S DNAと相互作用する。本組み込みモデルは、3’UTR RNAに結合したR2タンパク質が切断部位の上流に結合し、タンパク質のエンドヌクレアーゼドメインを介して3’末端にニックを入れるというものである。ここから、R2は標的プライミング逆転写(TPRT)のプロセスを開始し、Eickbush et al.によって提案されたように28S領域内のDNAの3’鎖を合成する(図1)。Eickbush,et al.Microbiol.Spectr.3,MDNA3-0011-2014(2015)。
【0024】
一旦、それが完了すれば、下流の関連R2タンパク質またはネイティブ複製機構のいずれかが第2鎖合成を開始する。最終結果は、目的の導入遺伝子(「異種核酸」または「異種ヌクレオチド配列」)のネイティブ28S rDNA部位への組み込みである。
【0025】
遺伝子送達システム
本開示は、以下:a)R2レトロトランスポゾンR2ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む第1の核酸と、b)1つ以上の異種遺伝子産物をコードする異種ヌクレオチド配列を含む第2の核酸であって、ここで、この異種ヌクレオチド配列が、R2レトロトランスポゾン3’UTR及びR2レトロトランスポゾン5’UTRに隣接し、この異種ヌクレオチド配列が、少なくとも200ヌクレオチドの長さを有する、第2の核酸と、を含む遺伝子送達システムを提供する。この第1及び第2の核酸はRNAであってもよい。この第1及び第2の核酸はDNAであってもよい。
【0026】
いくつかの場合には、第2の核酸は、5’から3’の順序で以下を含む:i)R2 5’UTR、ii)プロモーター、iii)1つ以上の異種遺伝子産物をコードする異種ヌクレオチド配列、及びiv)R2 3’UTR。いくつかの場合には、第2の核酸は、5’から3’の順序で以下を含む:i)R2 5’UTR、ii)プロモーター、iii)1つ以上の異種遺伝子産物をコードする異種ヌクレオチド配列、iv)ポリアデニル化(ポリA)配列;及びv)R2 3’UTR。いくつかの場合には、例えば、プロモーターがRNAポリメラーゼIIプロモーターである場合、1つ以上の異種遺伝子産物をコードする異種ヌクレオチド配列は、R2 5’UTR及びR2 3’UTRに対して反対の(逆の)方向にある。すなわち、1つ以上の異種遺伝子産物をコードする異種ヌクレオチド配列は、3’から5’の方向にある。いくつかの場合には、例えば、プロモーターがRNAポリメラーゼIプロモーターである場合、1つ以上の異種遺伝子産物をコードする異種ヌクレオチド配列は、R2 5’UTR及びR2 3’UTRと同じ方向にある。すなわち、1つ以上の異種遺伝子産物をコードする異種ヌクレオチド配列は、5’から3’の方向にある。プロモーターは、1つ以上の異種遺伝子産物をコードする異種ヌクレオチド配列に機能的に連結されている。いくつかの場合には、プロモーターは、1つ以上の異種遺伝子産物をコードするヌクレオチド配列に対して異種である。
【0027】
本開示は、以下:a)R2レトロトランスポゾンR2ポリペプチドと、b)1つ以上の異種遺伝子産物をコードする異種ヌクレオチド配列を含む核酸であって、ここで、この異種ヌクレオチド配列が、R2レトロトランスポゾン3’UTR及びR2レトロトランスポゾン5’UTRに隣接し、この異種ヌクレオチド配列が、少なくとも200ヌクレオチドの長さを有する、核酸と、を含む遺伝子送達システムを提供する。
【0028】
R2ポリペプチド
本開示の遺伝子送達システムの第1の核酸(この遺伝子送達システムは第1の核酸及び核酸を含む)によってコードされるR2ポリペプチド、または本開示の遺伝子送達システムに存在するR2ポリペプチド(この遺伝子送達システムはR2ポリペプチド及び核酸を含む)は、図7に示されるR2アミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み得る。R2ポリペプチドは、1105アミノ酸~1125アミノ酸、例えば、約1105アミノ酸~約1110アミノ酸、約1110アミノ酸~約1115アミノ酸、約1115アミノ酸~約1120アミノ酸、または約1120アミノ酸~約1125アミノ酸の長さを有し得る。いくつかの場合には、R2ポリペプチドの長さは1114アミノ酸である。
【0029】
5’UTR及び3’UTR
適切な5’UTRは、R2レトロトランスポゾンの任意の5’UTRである。R2レトロトランスポゾン5’UTRのヌクレオチド配列は当技術分野で公知であり、そして、そのような5’UTRは、本開示の遺伝子送達システムに含まれ得る。
【0030】
いくつかの場合には、適切な5’UTRは、図8に示されるヌクレオチド配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のヌクレオチド配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む。いくつかの場合には、適切な5’UTRの長さは約1000ヌクレオチド(nt)~約1100nt、例えば約1000nt~約1025nt、約1025nt~約1050nt、約1050nt~約1075nt、または約1075nt~約1100ntである。いくつかの場合には、適切な5’UTRの長さは、約1050nt~約1060ntである。いくつかの場合には、適切な5’UTRの長さは、1056ntである。
【0031】
いくつかの場合には、適切な3’UTRは、図9に示されるヌクレオチド配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のヌクレオチド配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む。いくつかの場合には、適切な3’UTRの長さは約475nt~約550nt、例えば約475nt~約500nt、約500nt~約525nt、または約525nt~約550ntである。いくつかの場合には、適切な3’UTRの長さは、約500nt~約510ntである。いくつかの場合には、適切な3’UTRの長さは、502ntである。
【0032】
異種ヌクレオチド配列
上記のように、本開示の遺伝子送達システムの第2の核酸は、1つ以上の異種遺伝子産物をコードする異種ヌクレオチド配列(本明細書では「異種核酸」とも呼ばれる)を含み、この異種ヌクレオチド配列は、少なくとも200ヌクレオチド(nt)の長さを有する。例えば、いくつかの場合には、この異種ヌクレオチド配列は、約200nt~約300nt、約300nt~約400nt、約400nt~約500nt、約500nt~約750nt、約750nt~約1キロベース(kb)、約1kb~約1.5kb、約1.5kb~約2kb、約2kb~約2.5kb、約2.5kb~約3kb、または約3kb~約3.5kbの長さを有する。別の例として、いくつかの場合には、この異種ヌクレオチド配列は、約3.5kb~約4kb、約4kb~約4.5kb、約4.5kb~約5kb、約5kb~約5.5kb、約5.5kb~約6kb、約6kb~約6.5kb、約6.5kb~約7kb、約7kb~約8kb、約8kb~約9kb、約9からkb~約10kb、約10kb~約11kb、約11kb~約12kb、約12kb~約13kb、約13kb~約14kb、または約14kb~約15kbの長さを有する。いくつかの場合には、異種ヌクレオチド配列は、約200nt~約1kbの長さを有する。いくつかの場合には、この異種ヌクレオチド配列は、約1kb~約5kbの長さを有する。いくつかの場合には、この異種ヌクレオチド配列は、約3.5kb~約6kbの長さを有する。いくつかの場合には、この異種ヌクレオチド配列は、約6kb~約8kbの長さを有する。いくつかの場合には、この異種ヌクレオチド配列は、約8kb~約15kbの長さを有する。いくつかの場合には、この異種ヌクレオチド配列は、約9kb~約15kbの長さを有する。いくつかの場合には、この異種ヌクレオチド配列は、約10kb~約15kbの長さを有する。
【0033】
この異種遺伝子産物がポリペプチドである場合には、この異種ヌクレオチド配列は、50アミノ酸を超える長さを有する単一の異種遺伝子産物をコードし得る。この異種遺伝子産物がポリペプチドである場合には、この異種ヌクレオチド配列は、200アミノ酸を超える長さを有する単一の異種遺伝子産物をコードし得る。この異種遺伝子産物がポリペプチドである場合には、この異種ヌクレオチド配列は、約50アミノ酸(aa)~約100aa、約100aa~約200aa、約200aa~約300aa、約300aa~約400aa、約400aa~約500aa、約500aa~約750aa、約750aa~約1000aa、約1000aa~約1500aa、約1500aa~約2000aa、約2000aa~約2500aa、または約2500aa~約3000aaの長さを有する単一の異種遺伝子産物をコードし得る。この異種遺伝子産物がポリペプチドである場合には、この異種ヌクレオチド配列は、最大3000アミノ酸の長さを有する単一の異種遺伝子産物をコードし得る。この異種遺伝子産物がポリペプチドである場合には、この異種ヌクレオチド配列は、約3000aa~約5,000aaの長さを有する単一の異種遺伝子産物をコードし得る。この異種遺伝子産物が2つ以上のポリペプチドである場合、この異種ヌクレオチド配列は、最大3000アミノ酸(aa)、最大4000aa、または最大5000aaの合計長さを有する2つ以上の異種遺伝子産物をコードし得る。この異種遺伝子産物が2つ以上のポリペプチドである場合、この異種ヌクレオチド配列は、合計長が5000aaを超える2つ以上の異種遺伝子産物をコードし得る。この異種遺伝子産物が核酸である場合、この異種ヌクレオチド配列は、少なくとも200ntの長さ(例えば、約200nt~約500nt、約500nt~約1kb、約1kb~約3.5kb、約3.5kb~約6kb、約6kb~約10kb、または約10kb~約15kb)を有する単一の異種遺伝子産物をコードし得る。この異種遺伝子産物が2つ以上の核酸である場合、この異種ヌクレオチド配列は、少なくとも200ntの合計長さ(例えば、約200nt~約500nt、約500nt~約1kb、約1kb~約3.5kb、約3.5kb~約6kb、約6kb~約10kb、または約10kb~約15kb)を有する異種遺伝子産物をコードし得る。異種ヌクレオチド配列が、核酸である第1の遺伝子産物及びポリペプチドである第2の遺伝子産物をコードする場合、この異種ヌクレオチド配列は、例えば、遺伝子産物の長さの任意の組み合わせをコードし得、その結果、2つの遺伝子産物をコードするコード配列の合計長さは少なくとも200nt(例えば、約200nt~約500nt、約500nt~約1kb、約1kb~約3.5kb、約3.5kb~約6kb、約6kb~約10kb、または約10kb~約15kb)である。
【0034】
いくつかの場合には、本開示の遺伝子送達システムの第2の核酸は、単一の異種ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む。いくつかの場合には、本開示の遺伝子送達システムの第2の核酸は、単一の異種核酸をコードするヌクレオチド配列を含む。いくつかの場合には、本開示の遺伝子送達システムの第2の核酸は、以下:a)第1の異種ポリペプチドをコードする第1のヌクレオチド配列と;b)第2の異種ポリペプチドをコードする第2のヌクレオチド配列と、を含む。いくつかの場合には、本開示の遺伝子送達システムの第2の核酸は、以下:a)第1の異種ポリペプチドをコードする第1のヌクレオチド配列と;b)第2の異種ポリペプチドをコードする第2のヌクレオチド配列と、c)第3の異種ポリペプチドをコードする第3のヌクレオチド配列と、を含む。いくつかの場合には、本開示の遺伝子送達システムの第2の核酸は、以下:a)異種ポリペプチドをコードする第1のヌクレオチド配列と、b)異種核酸をコードする第2のヌクレオチド配列と、を含む。いくつかの場合には、本開示の遺伝子送達システムの第2の核酸は、以下:a)異種ポリペプチドをコードする第1のヌクレオチド配列と、b)異種核酸をコードする第2のヌクレオチド配列と、c)第3の異種核酸をコードする第3のヌクレオチド配列と、を含む。
【0035】
異種ヌクレオチド配列が2つ以上の遺伝子産物をコードする場合(例えば、この異種ヌクレオチド配列が、第1の異種遺伝子産物をコードする第1のヌクレオチド配列、及び第2の異種遺伝子産物をコードする第2のヌクレオチド配列を含む場合など)、いくつかの場合には、核酸リンカーは、第1のヌクレオチド配列と第2のヌクレオチド配列との間(または遺伝子産物をコードする任意の2つのヌクレオチド配列との間)に提供される。核酸リンカーは、内部リボソーム侵入部位(IRES)であってもよい。核酸リンカーは、第1のヌクレオチド配列の3’末端を第2のヌクレオチド配列の5’末端に連結する自己切断2Aペプチド(P2A、T2A、E2A、またはF2Aなど)をコードするヌクレオチド配列を含み得る。
【0036】
いくつかの場合には、本開示の遺伝子送達システムの第2の核酸は、以下:a)第1の異種ポリペプチドをコードする第1のヌクレオチド配列と、b)第2の異種ポリペプチドをコードする第2のヌクレオチド配列とを含み、ここで、この第1及び第2のヌクレオチド配列は、単一のプロモーターの制御下にある。いくつかの場合には、このプロモーターは第1のヌクレオチド配列の5’末端に機能的に連結されており、IRES及び自己切断2Aペプチド(P2A、T2A、E2A、またはF2Aなど)をコードする核酸からなる群より選択される核酸リンカー(第1のヌクレオチド配列の3’末端を第2のヌクレオチド配列の5’末端に連結する)が存在し、ここで、この第1のヌクレオチド配列及び第2のヌクレオチド配列は、プロモーターの制御下で単一のRNAとして転写される。いくつかの場合には、プロモーターは第2のヌクレオチド配列の5’末端に機能的に連結されており、IRES及び自己切断2Aペプチド(P2A、T2A、E2A、またはF2Aなど)をコードする核酸からなる群より選択される核酸リンカー(第2のヌクレオチド配列の3’末端を第1のヌクレオチド配列の5’末端に連結する)が存在し、この第1のヌクレオチド配列及び第2のヌクレオチド配列は、プロモーターの制御下で単一のRNAとして転写される。いくつかの場合には、このプロモーターは、誘導性である。
【0037】
使用に適した自己切断ウイルス2Aペプチドは、ウイルス2Aペプチドを含み、ブタテッショウウイルス-1(P2A)、口蹄疫ウイルス(F2A)、ゾセア・アシグナ(Thosea asigna)ウイルス(T2A)、ウマ鼻炎Aウイルス(E2A)及びウイルス性ブタテッショウウイルス-1(P2A)ペプチドである。
は、「タンパク質分解切断部位」または「リボソームスキップシグナル」(CHYSEL)のいずれかと見なし得る。例えば、Kim et al.(2011)PLoS ONE 6:e18556を参照のこと。コードされたポリペプチドが2つのポリペプチド鎖として生成される機構は、リンカーの自己切断、リボソームスキッピング、または翻訳シャントによるものであり得る。
【0038】
一例として、いくつかの場合には、本開示の遺伝子送達システムの第2の核酸は、以下:a)ヘテロ二量体の第1の鎖である第1の異種ポリペプチドをコードする第1のヌクレオチド配列と、b)ヘテロ二量体の第2の鎖である第2の異種ポリペプチドをコードする第2のヌクレオチド配列と、を含み、ここで、この第1及び第2のヌクレオチド配列は、単一のプロモーターの制御下にある。いくつかの場合には、本開示の遺伝子送達システムの第2の核酸は、以下:a)ヘテロ二量体の第1の鎖である第1の異種ポリペプチドをコードする第1のヌクレオチド配列と、b)IRES及び自己切断2Aペプチドをコードする核酸からなる群より選択される核酸リンカーと、c)ヘテロ二量体の第2の鎖である第2の異種ポリペプチドをコードする第2のヌクレオチド配列と、を含み、ここで、この第1及び第2のヌクレオチド配列は、単一のプロモーターの制御下にある。
【0039】
いくつかの場合には、この異種ヌクレオチド配列は、翻訳後に切断されて2つのポリペプチド鎖を生成する単一のポリペプチド鎖をコードする。例えば、いくつかの場合には、この異種ヌクレオチド配列は、N末端からC末端の順に以下:i)第1のポリペプチドと、ii)タンパク質分解的に切断可能なリンカーと、iii)第2のポリペプチドと、を含む単一のポリペプチド鎖をコードする。
【0040】
タンパク質分解的に切断可能なリンカーとしては、アラニンカルボキシペプチダーゼ、ナラタケ(Armillaria mellea)アスタシン、細菌ロイシルアミノペプチダーゼ、癌凝固促進剤、カテプシンB、クロストリパイン、サイトゾルアラニルアミノペプチダーゼ、エラスターゼ、エンドプロテイナーゼArg-C、エンテロキナーゼ、ガストリシン、ゲラチナーゼ、Gly-Xカルボキシペプチダーゼ、グリシルエンドペプチダーゼ、ヒトライノウイルス3Cプロテアーゼ、ヒポデルミンC、IgA特異的セリンエンドペプチダーゼ、ロイシルアミノペプチダーゼ、ロイシルエンドペプチダーゼ、lysC、リソソームプロXカルボキシペプチダーゼ、リシルアミノペプチダーゼ、メチオニルアミノペプチダーゼ、ミクソバクター(myxobacter)、ナルディリシン、膵臓エンドペプチダーゼE、ピコルナイン2A、ピコルナイン3C、プロエンドペプチダーゼ、プロリルアミノペプチダーゼ、プロタンパク質転換酵素I、プロタンパク質転換酵素II、ラッセルライシン、サッカロペプシン、セメノゲラーゼ、T-プラスミノーゲンアクチベーター、トロンビン、組織カリクレイン、タバコエッチウイルス(TEV)、トガビリン、トリプトファニルアミノペプチダーゼ、U-プラスミノーゲンアクチベーター、V8、ベノムビンA、ベノムビンAB、及びXaa-proアミノペプチダーゼからなる群より選択されるプロテアーゼによって認識されるプロテアーゼ認識配列を含み得る。
【0041】
例えば、タンパク質分解的に切断可能なリンカーは、マトリックスメタロプロテイナーゼ切断部位、例えば、コラゲナーゼ-1、-2、及び-3(MMP-1、-8、及び-13)、ゲラチナーゼA及びB(MMP-2及び-9)、ストロメリシン1、2、及び3(MMP-3、-10、及び-11)、マトリライシン(MMP-7)、及び膜メタロプロテイナーゼ(MT1-MMP及びMT2-MMP)から選択されるMMPの切断部位を含み得る。例えば、MMP-9の切断配列は、Pro-X-X-Hy(ここで、Xは任意の残基を表す;Hy、疎水性残基;SEQ ID NO:5)、例えば、Pro-X-X-Hy-(Ser/Thr)SEQ ID NO:6、例えば、Pro-Leu/Gln-Gly-Met-Thr-Ser(SEQ ID NO:7)またはPro-Leu/Gln-Gly-Met-Thr(SEQ ID NO:8)である。プロテアーゼ切断部位の別の例は、プラスミノーゲン活性化因子切断部位、例えば、uPAまたは組織プラスミノーゲン活性化因子(tPA)切断部位である。適切なプロテアーゼ切断部位の別の例は、プロラクチン切断部位である。uPA及びtPAの切断配列の特定の例としては、Val-Gly-Argを含む配列が挙げられる。タンパク質分解的に切断可能なリンカーに含まれてもよいプロテアーゼ切断部位の別の例は、タバコエッチウイルス(TEV)プロテアーゼ切断部位、例えば、プロテアーゼがグルタミンとセリンとの間で切断するENLYTQS(SEQ ID NO:9)である。タンパク質分解的に切断可能なリンカーに含まれてもよいプロテアーゼ切断部位の別の例は、エンテロキナーゼ切断部位、例えば、DDDDK(SEQ ID NO:10)であり、ここで、切断は、リジン残基の後に起こる。タンパク質分解的に切断可能なリンカーに含まれてもよいプロテアーゼ切断部位の別の例は、トロンビン切断部位、例えば、LVPR(SEQ ID NO:11)である。プロテアーゼ切断部位を含む追加の適切なリンカーとしては、以下のアミノ酸配列のうち1つ以上を含むリンカーが挙げられる:PreScissionプロテアーゼによって切断されるLEVLFQGP(SEQ ID NO:12)(ヒトライノウイルス3Cプロテアーゼ及びグルタチオン-S-トランスフェラーゼを含む融合タンパク質;Walker;et al.(1994)Biotechnol.12:601);トロンビン切断部位、例えば、カテプシンBによって切断される
;エプスタインバーウイルスプロテアーゼによって切断される
;MMP-3(ストロメリシン)によって切断される
;MMP-7(マトリライシン)によって切断される
;MMP-9によって切断される
;サーモリシン様MMPによって切断される
;マトリックスメタロプロテイナーゼ2(MMP-2)によって切断される
;カテプシンLによって切断される
;カテプシンDによって切断される
;マトリックスメタロプロテイナーゼ1(MMP-1)によって切断される
;ウロキナーゼ型プラスミノーゲンアクチベーターによって切断される
;膜型マトリックスメタロプロテイナーゼ-1(MT-MMP)によって切断される
;ストロメリシン3(またはMMP-11)、サーモリシン、線維芽細胞コラゲナーゼ及びストロメリシン-1によって切断される
;マトリックスメタロプロテイナーゼ13(コラゲナーゼ-3)によって切断される
;組織型プラスミノーゲン活性化因子(tPA)によって切断される
;ヒト前立腺特異抗原によって切断される
;カリクレイン(hK3)によって切断される
;好中球エラスターゼによって切断される
;及びカルパイン(カルシウム活性化中性プロテアーゼ)によって切断される
【0042】
いくつかの場合には、本開示の遺伝子送達システムの第2の核酸は、以下:a)第1の異種ポリペプチドをコードする第1のヌクレオチド配列と、b)第2の異種ポリペプチドをコードする第2のヌクレオチド配列と、を含み、ここで、この第1及び第2のヌクレオチド配列は、2つの異なるプロモーターの制御下にある。例えば、いくつかの場合には、本開示の遺伝子送達システムの第2の核酸は、以下:a)第1のプロモーターの制御下にある、第1の異種ポリペプチドをコードする第1のヌクレオチド配列と、b)第2のプロモーターの制御下にある、第2の異種ポリペプチドをコードする第2のヌクレオチド配列と、を含む。いくつかの場合には、第1のプロモーター及び第2のプロモーターは両方とも調節可能な(例えば、誘導可能な)プロモーターである。いくつかの場合には、第1のプロモーター及び第2のプロモーターは両方とも構成的プロモーターである。いくつかの場合には、第1のプロモーターは誘導性であり、第2のプロモーターは構成的である。いくつかの場合には、第1のプロモーターは構成的であり、第2のプロモーターは誘導性である。
【0043】
転写制御エレメント
本開示の遺伝子送達システムの第2の核酸に存在する異種ヌクレオチド配列は、転写制御エレメント(複数可)に機能的に連結され得る。いくつかの場合には、この転写制御エレメントは誘導性である。いくつかの場合には、この転写制御エレメントは構成的である。いくつかの場合には、この転写制御エレメントは、プロモーターである。いくつかの場合には、このプロモーターは真核細胞において機能する。いくつかの場合には、このプロモーターは、細胞型特異的プロモーターである。いくつかの場合には、このプロモーターは、組織特異的プロモーターである。いくつかの場合には、このプロモーターは、構成的活性型である。いくつかの場合には、このプロモーターは、調節可能なプロモーターである。
【0044】
プロモーターは、構成的活性型プロモーター(すなわち、構成的に活性/「ON」状態であるプロモーター)であってもよく、誘導性プロモーターであってもよく(すなわち、その活性/「ON」または不活性/「OFF」状態が外部刺激、例えば、特定の温度、化合物、またはタンパク質の存在によって制御されるプロモーター)、空間的制約のあるプロモーター(すなわち、転写制御エレメント、エンハンサー等)(例えば、組織特異的プロモーター、細胞型特異的プロモーター等)であってもよく、時間的制約のあるプロモーターであってもよい(すなわち、プロモーターは、胚発達の特定段階中、または生物学的過程の特定段階、例えば、マウスにおける毛包サイクル中に、「ON」状態または「OFF」状態である)。
【0045】
適切なプロモーター及びエンハンサーエレメントは当技術分野で公知である。真核細胞での発現の場合、適切なプロモーターとしては、限定するものではないが、軽鎖及び/または重鎖免疫グロブリン遺伝子プロモーター及びエンハンサーエレメント;サイトメガロウイルス前初期プロモーター;単純ヘルペスウイルスのチミジンキナーゼプロモーター;初期及び後期SV40プロモーター;レトロウイルスのロングターミナルリピートに存在するプロモーター;マウスメタロチオネイン-Iプロモーター;及び様々な当技術分野で公知の組織特異的プロモーターが挙げられる。
【0046】
可逆的誘導性プロモーターを含む好適な可逆的プロモーターは、当該技術分野において公知である。そのような可逆的プロモーターは、多くの生物、例えば、真核生物及び原核生物から単離され得、それに由来し得る。第2の生物において使用するための第1の生物(例えば、第1の原核生物及び第2の真核生物、第1の真核生物及び第2の原核生物、等)に由来する可逆的プロモーターの修飾は、当該技術分野において周知である。そのような可逆的プロモーター、及び、そのような可逆的プロモーターに基づくだけでなく追加の制御タンパク質も含む系としては、限定するものではないが、アルコール調節型プロモーター(例えば、アルコールデヒドロゲナーゼI(alcA)遺伝子プロモーター、アルコールトランスアクティベータータンパク質(AlcR)に応答性のプロモーター等)、テトラサイクリン調節型プロモーター(例えば、TetActivator、TetON、TetOFF等を含むプロモーター系)、ステロイド調節型プロモーター(例えば、ラットグルココルチコイド受容体プロモーター系、ヒトエストロゲン受容体プロモーター系、レチノイドプロモーター系、甲状腺プロモーター系、エクジソンプロモーター系、ミフェプリストンプロモーター系等)、金属調節型プロモーター(例えば、メタロチオネインプロモーター系等)、病原体関連調節型プロモーター(例えば、サリチル酸調節型プロモーター、エチレン調節型プロモーター、ベンゾチアジアゾール調節型プロモーター等)、温度調節型プロモーター(例えば、ヒートショック誘導性プロモーター(例えば、HSP-70、HSP-90、ダイズヒートショックプロモーター等)、光調節型プロモーター、合成誘導性プロモーター等が挙げられる。適切なプロモーターは、RNA polIプロモーターであってもよい。適切なプロモーターは、RNA polIIプロモーターであってもよい。
【0047】
使用に好適な誘導性プロモーターとしては、本明細書に記載されるか、または当業者に公知である、任意の誘導性プロモーターが挙げられる。誘導性プロモーターの例としては、限定するものではないが、化学的/生化学的調節型及び物理的調節型プロモーター、例えば、アルコール調節型プロモーター、テトラサイクリン調節型プロモーター(例えば、アンヒドロテトラサイクリン(aTc)応答性プロモーター、ならびにテトラサイクリンリプレッサータンパク質(tetR)、テトラサイクリンオペレーター配列(tetO)、及びテトラサイクリントランスアクティベーター融合タンパク質(tTA)を含む、他のテトラサイクリン応答性プロモーター系)、ステロイド調節型プロモーター(例えば、ラットグルココルチコイド受容体、ヒトエストロゲン受容体、ガエクジソン受容体に基づくプロモーター、及びステロイド/レチノイド/甲状腺受容体スーパーファミリー由来のプロモーター)、金属調節型プロモーター(例えば、酵母、マウス、及びヒト由来のメタロチオネイン(金属イオンに結合し、封鎖するタンパク質)に由来するプロモーター)、病因調節型プロモーター(例えば、サリチル酸、エチレン、またはベンゾチアジアゾール(BTH)によって誘導される)、温度/熱誘導性プロモーター(例えば、ヒートショックプロモーター)、及び光調節型プロモーター(例えば、植物細胞由来の光応答性プロモーター)が挙げられる。
【0048】
いくつかの場合には、プロモーターはCD8細胞特異的プロモーター、CD4細胞特異的プロモーター、好中球特異的プロモーター、またはNK特異的プロモーターである。例えば、CD4遺伝子プロモーターを使用してもよい;例えば、Salmon et al.(1993)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90: 7739;及びMarodon et al.(2003)Blood 101:3416を参照のこと。別の例として、CD8遺伝子プロモーターを使用してもよい。NK細胞特異的発現は、Ncr1(p46)プロモーターを使用することで達成され得る。例えば、Eckelhart et al.(2011)Blood 117:1565を参照のこと。
【0049】
いくつかの場合には、このプロモーターは、心筋細胞特異的プロモーターである。いくつかの場合には、このプロモーターは、平滑筋細胞特異的プロモーターである。いくつかの場合には、このプロモーターは、ニューロン特異的プロモーターである。いくつかの場合には、このプロモーターは、脂肪細胞特異的プロモーターである。他の細胞型特異的プロモーターは当技術分野で公知であり、本明細書での使用に適している。
【0050】
異種遺伝子産物
様々な異種遺伝子産物のいずれも、本開示の遺伝子送達システムの第2の核酸に存在する異種ヌクレオチド配列によってコードされ得る。この異種遺伝子産物は、単一の異種ポリペプチドであってもよい。この異種遺伝子産物は、単一の核酸であってもよい。この異種遺伝子産物は、2つ以上の異種ポリペプチドであってもよい。この異種遺伝子産物は、2つ以上の異種核酸であってもよい。この異種遺伝子産物は、以下:i)異種ポリペプチド、及びii)異種核酸、であってもよい。
【0051】
この異種遺伝子産物がポリペプチドである場合、適切なポリペプチドとしては、限定するものではないが、受容体、酵素、抗体、ホモ二量体ポリペプチド、ヘテロ二量体ポリペプチド、ポリペプチドホルモン、細胞外マトリックスタンパク質、プロテオグリカン、ヌクレアーゼ、RNA誘導CRISPR/Casエフェクターポリペプチド、キメラポリペプチド、融合ポリペプチドなどが挙げられる。いくつかの場合には、この異種遺伝子産物はCARである。いくつかの場合には、この異種遺伝子産物はsynNotchポリペプチドである。いくつかの場合には、この異種遺伝子産物はsynNotchポリペプチド及びCARである。
【0052】
この異種遺伝子産物が核酸である場合、適切な核酸としては、限定するものではないが、ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むRNA;マイクロRNA;リボザイム;阻害性RNA;標的核酸中のヌクレオチド配列に相補的である第1のセグメント、及びRNA誘導エフェクターポリペプチドに結合する第2のセグメントを含むガイドRNAなど、が挙げられる。いくつかの場合において、この異種遺伝子産物は、小分子干渉RNA(siRNA)、小分子ヘアピンRNA(shRNA)、リボザイム、マイクロRNA(miRNA)、スモールテンポラル(small temporal)RNA(stRNA)、アンチセンスRNA、低分子RNA誘導遺伝子活性化(RNAa)、または低分子活性化RNA(saRNA)である。
【0053】
キメラ抗原受容体
1つの非限定的な例として、異種ポリペプチドは、キメラ抗原受容体(CAR)である。いくつかの場合には、CARは単一ポリペプチド鎖CARである。他の場合、CARは2つのポリペプチド鎖を含むヘテロ二量体CARである。単一のポリペプチド鎖CARは以下:i)抗原結合ドメインと、ii)膜貫通ドメインと、iii)細胞内シグナル伝達ドメインと、を含み得る。単一のポリペプチド鎖CARは以下:i)抗原結合ドメインと、ii)膜貫通ドメインと、iii)免疫調節ドメインと、iv)細胞内シグナル伝達ドメインと、を含み得る。
【0054】
CARの抗原結合部分は、抗体であっても、または抗体断片であってもよい。「抗体断片」は、インタクトな抗体の一部、例えば、インタクトな抗体の抗原結合領域または可変領域を含む。抗体断片の例としては、Fab、Fab’、F(ab’)、及びFv断片;一本鎖Fv(scFv);ダイアボディ;線状抗体(linear antibody)(Zapata et al.,Protein Eng.8(10):1057-1062(1995));キメラ抗体;ヒト化抗体;一本鎖抗体(scAb);単一ドメイン抗体(dAb);単一ドメイン重鎖抗体;単一ドメイン軽鎖抗体;ナノボディ;二重特異性抗体;多重特異性抗体;抗体の抗原結合(antigen-binding)(本明細書では抗原結合(antigen binding)とも呼ばれる)部分と非抗体タンパク質とを含む融合タンパク質が挙げられる。いくつかの場合には、この抗原結合ドメインはscFvである。いくつかの場合には、この抗原結合ドメインはナノボディである。他の抗体ベースの抗原結合ドメイン(cAb VHH(ラクダ抗体可変ドメイン)及びヒト化バージョン、IgNAR VH(サメ抗体可変ドメイン)及びヒト化バージョン、sdAb VH(単一ドメイン抗体可変ドメイン)及び「ラクダ化」抗体可変ドメインが使用に適している。
【0055】
CARの抗原結合ドメインは、様々な抗原結合特異性を有し得る。いくつかの場合には、この抗原結合ドメインは、がん細胞によって発現される(合成される)抗原、すなわちがん細胞関連抗原に存在するエピトープに特異的である。がん細胞関連抗原とは、例えば、乳癌細胞、B細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫細胞、卵巣癌細胞、前立腺癌細胞、中皮腫、肺癌細胞(例えば、小細胞肺癌細胞)、非ホジキンB細胞リンパ腫(B-NHL)細胞、卵巣癌細胞、前立腺癌細胞、中皮腫細胞、肺癌細胞(例えば、小細胞肺癌細胞)、メラノーマ細胞、慢性リンパ球性白血病細胞、急性リンパ球性白血病細胞、神経芽細胞腫細胞、神経膠腫、神経膠芽細胞腫、髄芽細胞腫、結腸直腸癌細胞などに関連する抗原であり得る。がん細胞関連抗原はまた、非がん細胞によっても発現され得る。
【0056】
CARの抗原結合ドメインが結合し得る抗原の非限定的な例としては、例えば、CD19、CD20、CD38、CD30、Her2/neu、ERBB2、CA125、MUC-1、前立腺特異的膜抗原(PSMA)、CD44表面接着分子、メソセリン、癌胎児性抗原(CEA)、上皮成長因子受容体(EGFR)、EGFRvIII、血管内皮成長因子受容体-2(VEGFR2)、高分子量メラノーマ関連抗原(HMW-MAA)、MAGE-A1、IL-13R-a2、GD2などが挙げられる。
【0057】
適切な免疫調節ドメイン(「共刺激ドメイン」または「共刺激ポリペプチド」とも呼ばれる)としては、例えば、4-1BB(CD137)、CD28、ICOS、OX-40、BTLA、CD27、CD30、GITR、及びHVEMが挙げられる。
【0058】
適切な細胞内シグナル伝達ドメインとしては、例えば、1つ以上の免疫受容体チロシン活性化モチーフ(ITAM)を含むポリペプチドが挙げられる。ITAMモチーフは、YXL/Iであり、ここでX及びXは独立して任意のアミノ酸である。適切なITAMモチーフ含有ポリペプチドの例としては限定するものではないが、以下が挙げられる:DAP12;FCER1G(Fcイプシロン受容体Iガンマ鎖);CD3D(CD3デルタ);CD3E(CD3イプシロン);CD3G(CD3ガンマ);CD3Z(CD3ゼータ);及びCD79A(抗原受容体複合体関連タンパク質アルファ鎖)。
【0059】
いくつかの場合には、CARは2つのポリペプチド鎖を含むヘテロ二量体CARである。例えば、米国特許第9,821,012号及び第9,587,020号を参照のこと。例えば、いくつかの場合には、ヘテロ二量体CARは、以下:a)第1のポリペプチド鎖であって:i)標的細胞上の抗原に特異的に結合する細胞外抗原結合ドメイン、ii)膜貫通ドメイン;及びiii)二量体化対の第1のメンバーを含む、第一のポリペプチド鎖と;b)第2のポリペプチドであって:i)膜貫通ドメイン;ii)二量体化対の第2のメンバー;及びiii)ITAMを含む細胞内シグナル伝達ドメインを含む、第2のポリペプチドと、を含み、この細胞内シグナル伝達ドメインがシグナル伝達活性を提供する。ヘテロ二量体CARの第1のポリペプチド、第2のポリペプチド、または第1及び第2のポリペプチドの両方は、共刺激ポリペプチドを含む。真核細胞の膜に存在する場合、CARの第1のポリペプチドは抗原に結合し、CARは小分子二量体の存在下で二量体化する。
【0060】
いくつかの場合には、ヘテロ二量体CARは、以下:a)第1のポリペプチドであって、N末端からC末端の順に:i)抗原結合ドメイン(例えば、抗原結合一本鎖Fv(scFv)またはナノボディ);ii)膜貫通ドメイン;及びiii)二量体化対の第1のメンバーを含む、第1のポリペプチドと;b)第2のポリペプチドであって、N末端からC末端の順に:i)膜貫通ドメイン、ii)二量体化対の第2のメンバー、及びiii)ITAMを含む細胞内シグナル伝達ドメインを含む、第2のポリペプチドと、を含み、この細胞内シグナル伝達ドメインが、シグナル伝達活性を提供し、この第1のポリペプチド、第2のポリペプチド、または第1と第2のポリペプチドの両方が、膜貫通ドメインと二量体化対のメンバーとの間に挿入される共刺激ポリペプチドを含む。いくつかの場合には、この共刺激ポリペプチドは4-1BBポリペプチドである。いくつかの場合には、この共刺激ポリペプチドはCD28ポリペプチドである。いくつかの場合には、この共刺激ポリペプチドはOX-40ポリペプチドである。いくつかの場合には、この第1のポリペプチドは、抗原結合ドメイン(例えば、scFv、ナノボディなど)と膜貫通ドメインとの間のヒンジ領域を含む。いくつかの場合には、ITAMを含む細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3-ゼータ及びZAP70からなる群より選択される。
【0061】
適切な二量体化対としては、例えば、a)FK506結合タンパク質(FKBP)とFKBP;b)FKBPとカルシニューリン触媒サブユニットA(CnA);c)FKBPとシクロフィリン;d)FKBPとFKBP-ラパマイシン関連タンパク質(FRB);e)ジャイレースB(GyrB)とGyrB;f)ジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)とDHFR;g)DmrBとDmrB;h)PYLとABI;i)Cry2とCIB1;及びj)GAIとGID1が挙げられる。
【0062】
二量体結合対の第1のメンバー及び二量体結合対の第2のメンバーの二量体化を提供し得る適切な二量体化因子(dimerizer)(「二量体化剤」)としては、例えば:a )FKBP及びFKBP(ラパマイシン);b)FKBP及びCnA(ラパマイシン);c)FKBP及びシクロフィリン(ラパマイシン);d)FKBP及びFRG(ラパマイシン);e)GyrB及びGyrB(クメルマイシン);f)DHFR及びDHFR(メトトレキサート);g)DmrB及びDmrB(AP20187);h)PYL及びABI(アブシジン酸);i)Cry2及びCIB1(青色光);ならびに j)GAI及びGID1(ジベレリン)(ここで、二量体結合対に続く括弧内に二量体がある)が挙げられる。
【0063】
synNotch
別の非限定的な例として、この異種ヌクレオチド配列は、synNotchポリペプチド(本明細書では「キメラNotch受容体ポリペプチド」とも呼ばれる)をコードし得る。適切なsynNotchポリペプチドは、例えば、米国特許第9,670,281号;Morsut et al.(2016)Cell 164:780;及びRoybal et al.(2016)Cell 167:419に記載されている。synNotchポリペプチドは、以下:i)抗原結合ドメインと、ii)Notchポリペプチドの一部と、iii)細胞内ドメイン(例えば、転写因子(例えば、転写活性化因子または転写抑制因子)、部位特異的ヌクレアーゼなど)と、を含む。synNotchポリペプチドは、天然に存在するNotchリガンドであるDeltaに結合しない。代わりに、synNotchポリペプチドは、synNotchポリペプチドに存在する抗原結合ドメインによって結合される抗原に結合する。抗原(例えば、がん細胞などの細胞上に存在する抗原)への抗原結合ドメインの結合は、NotchポリペプチドのS2タンパク質分解切断部位及び/またはS3タンパク質分解切断部位で切断を誘導し、それによって、細胞内ドメインを遊離する。
【0064】
いくつかの場合には、synNotchポリペプチドは、以下:i)抗原結合ドメインと、ii)Lin 12-Notchリピートを含むNotch調節領域、S2タンパク質分解切断部位を含むヘテロ二量体化ドメイン、及びS3タンパク質分解切断部位を含む膜貫通ドメインと、iii)DNA結合ドメインを含む転写活性化因子を含む、Notch調節領域とは異種の細胞内ドメインと、を含み、ここで、抗原結合ドメインのトランスでの抗原への結合は、S2及びS3タンパク質分解切断部位で切断を誘導し、それによって細胞内ドメインを遊離する。
【0065】
いくつかの場合には、synNotchポリペプチドは、以下:i)抗原結合ドメインと、ii)Lin 12-Notchリピートを含むNotch調節領域、S2タンパク質分解切断部位、及びS3タンパク質分解切断部位を含む膜貫通ドメインと、iii)Notch調節領域とは異種である転写活性化因子または転写抑制因子を含む細胞内ドメインと、を含み、ここで、細胞または他の固体支持体に存在する特異的結合対の第2のメンバーに対する、特定の結合対の第1のメンバーの結合は、S2及びS3タンパク質分解切断部位で切断を誘導し、それによって細胞内ドメインを遊離する。
【0066】
synNotchポリペプチドの抗原結合部分は、抗体であってもまたは抗体断片であってもよい。「抗体断片」は、インタクトな抗体の部分、例えば、インタクトな抗体の抗原結合領域または可変領域を含む。抗体断片の例としては、Fab、Fab’、F(ab’)、及びFv断片;一本鎖Fv(scFv);ダイアボディ;線状抗体(Zapata et al.,Protein Eng.8(10):1057-1062(1995));キメラ抗体;ヒト化抗体;一本鎖抗体(scAb);単一ドメイン抗体(dAb);単一ドメイン重鎖抗体;単一ドメイン軽鎖抗体;ナノボディ;二重特異性抗体;多重特異性抗体;抗体の抗原結合(本明細書では抗原結合とも呼ばれる)部分と非抗体タンパク質とを含む融合タンパク質が挙げられる。いくつかの場合には、この抗原結合ドメインはscFvである。いくつかの場合には、この抗原結合ドメインはナノボディである。他の抗体ベースの抗原結合ドメイン(cAb VHH(ラクダ抗体可変ドメイン)及びヒト化バージョン、IgNAR VH(サメ抗体可変ドメイン)及びヒト化バージョン、sdAb VH(単一ドメイン抗体可変ドメイン)及び「ラクダ化」抗体可変ドメインが使用に適している。
【0067】
synNotchポリペプチドの抗原結合ドメインは、様々な抗原結合特異性を有し得る。いくつかの場合には、抗原結合ドメインは、がん細胞によって発現される(合成される)抗原、すなわちがん細胞関連抗原に存在するエピトープに特異的である。がん細胞関連抗原とは、例えば、乳癌細胞、B細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫細胞、卵巣癌細胞、前立腺癌細胞、中皮腫、肺癌細胞(例えば、小細胞肺癌細胞)、非ホジキンB細胞リンパ腫(B-NHL)細胞、卵巣癌細胞、前立腺癌細胞、中皮腫細胞、肺癌細胞(例えば、小細胞肺癌細胞)、メラノーマ細胞、慢性リンパ球性白血病細胞、急性リンパ球性白血病細胞、神経芽細胞腫細胞、神経膠腫、神経膠芽細胞腫、髄芽細胞腫、結腸直腸癌細胞などに関連する抗原であり得る。がん細胞関連抗原はまた、非がん細胞によっても発現され得る。
【0068】
synNotchポリペプチドの抗原結合ドメインが結合し得る抗原の非限定的な例としては、例えば、CD19、CD20、CD38、CD30、Her2/neu、ERBB2、CA125、MUC-1、前立腺特異的膜抗原(PSMA)、CD44表面接着分子、メソセリン、癌胎児性抗原(CEA)、上皮成長因子受容体(EGFR)、EGFRvIII、血管内皮成長因子受容体-2(VEGFR2)、高分子量メラノーマ関連抗原(HMW-MAA)、MAGE- A1、IL-13R-a2、GD2などが挙げられる。
【0069】
いくつかの場合には、synNotchポリペプチドの抗原結合ドメインはscFvである。別の例として、いくつかの場合には、synNotchポリペプチドの抗原結合ドメインはナノボディである。
【0070】
いくつかの場合には、synNotchポリペプチドに存在するNotchポリペプチドは、以下の配列
に対して少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの場合には、synNotchポリペプチドに存在するNotchポリペプチドは、以下の配列
に対して少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0071】
いくつかの場合には、細胞内ドメインは転写因子である。適切な転写因子としては、例えば、ASCL1、BRN2、CDX2、CDX4、CTNNB1、EOMES、JUN、FOS、HNF4a、HOXA(例えば、HOXA1、HOXA2、HOXA3、HOXA4、HOXA5、HOXA10、HOXA11、HOXA13)、HOXB(例えば、HOXB9)、HOXC(例えば、HOXC4、HOXC5、HOXC6、HOXC8、HOXC9、HOXC10、HOXC11、HOXC12、HOXC13)HOXD(例えば、HOXD1、HOXD3、HOXD4、HOXD8、HOXD9、HOXD10、HOXD11、HOXD12、HOXD13)、SNAI1-3、MYOD1、MYOG、NEUROD1-6(例えば、NEUROD1、NEUROD2、NEUROD4、NEUROD6)、PDX1、PU.1、SOX2、Nanog、Klf4、BCL-6、SOX9、STAT1-6、TBET、TCF、TEAD1-4(例えば、TEAD1、TEAD2、TEAD3、TEAD4)、TAF6L、CLOCK、CREB、GATA3、IRF7、MycC、NFkB、RORyt、RUNX1、SRF、TBX21、NFAT、MEF2D、及びFoxP3が挙げられる。
【0072】
いくつかの場合には、細胞内ドメインとは、1つ以上の免疫細胞において調節的役割を有する転写因子(すなわち、免疫細胞調節転写因子)である。適切な免疫細胞調節転写因子としては、例えば、2210012G02Rik、Akap8l、Appl2、Arid4b、Arid5b、Ash1l、Atf7、Atm、C430014K11Rik、Chd9、Dmtf1、Fos、Foxo1、Foxp1、Hmbox1、Kdm5b、Klf2、Mga、Mll1、Mll3、Myst4、Pcgf6、Rev3l、Scml4、Scp2、Smarca2、Ssbp2、Suhw4、Tcf7、Tfdp2、Tox、Zbtb20、Zbtb44、Zeb1、Zfml、Zfp1、Zfp319、Zfp329、Zfp35、Zfp386、Zfp445、Zfp518、Zfp652、Zfp827、Zhx2、Eomes、Arntl、Bbx、Hbp1、Jun、Mef2d、Mterfd1、Nfat5、Nfe2l2、Nr1d2、Phf21a、Taf4b、Trf、Zbtb25、Zfp326、Zfp451、Zfp58、Zfp672、Egr2、Ikzf2、Taf1d、Chrac1、Dnajb6、Aplp2、Batf、Bhlhe40、Fosb、Hist1h1c、Hopx、Ifih1、Ikzf3、Lass4、Lin54、Mxd1、Mxi1、Prdm1、Prf1、Rora、Rpa2、Sap30、Stat2、Stat3、Taf9b、Tbx21、Trps1、Xbp1、Zeb2、Atf3、Cenpc1、Lass6、Rb1、Zbtb41、Crem、Fosl2、Gtf2b、Irf7、Maff、Nr4a1、Nr4a2、Nr4a3、Obfc2a、Rbl2、Rel、Rybp、Sra1、Tgif1、Tnfaip3、Uhrf2、Zbtb1、Ccdc124、Csda、E2f3、Epas1、H1f0、H2afz、Hif1a、Ikzf5、Irf4、Nsbp1、Pim1、Rfc2、Swap70、Tfb1m、2610036L11Rik、5133400G04Rik、Apitd1、Blm、Brca1、Brip1、C1d、C79407、Cenpa、Cfl1、Clspn、Ddx1、Dscc1、E2f7、E2f8、Ercc6l、Ezh2、Fen1、Foxm1、Gen1、Gsg2、H2afx、Hdac1、Hdgf、Hells、Hist1h1e、Hist3h2a、Hjurp、Hmgb2、Hmgb3、Irf1、Irf8、Kif22、Kif4、Lig1、Lmo2、Lnp、Mbd4、Mcm2、Mcm3、Mcm4、Mcm5、Mcm6、Mcm7、Mybl2、Neil3、Nusap1、Orc6l、Pola1、Pola2、Pole、Pole2、Polh、Polr2f、Polr2j、Ppp1r8、Prim2、Psmc3ip、Rad51、Rad51c、Rad54l、Rfc3、Rfc4、Rnps1、Rpa1、Smarcc1、Spic、Ssrp1、Taf9、Tfdp1、Tmpo、Topbp1、Trdmt1、Uhrf1、Wdhd1、Whsc1、Zbp1、Zbtb32、Zfp367、Car1、Polg2、Atr、Lef1、Myc、Nucb2、Satb1、Taf1a、Ift57、Apex1、Chd7、Chtf8、Ctnnb1、Etv3、Irf9、Myb、Mybbp1a、Pms2、Preb、Sp110、Stat1、Trp53、Zfp414、App、Cdk9、Ddb1、Hsf2、Lbr、Pa2g4、Rbms1、Rfc1、Rfc5、Tada2l、Tex261、Xrcc6などが挙げられる。
【0073】
RNA誘導エフェクターポリペプチド及びガイドRNA
別の非限定的な例として、この異種ヌクレオチド配列は、RNA誘導エフェクターポリペプチドをコードし得る。別の非限定的な例として、この異種ヌクレオチド配列は、以下:i)RNA誘導エフェクターポリペプチドをコードする第1のヌクレオチド配列と、ii)ガイドRNAをコードする第2のヌクレオチド配列と、を含み得る。別の非限定的な例として、この異種ヌクレオチド配列は、以下:i)RNA誘導エフェクターポリペプチドをコードする第1のヌクレオチド配列と、ii)第1のガイドRNAをコードする第2のヌクレオチド配列と、iii)第2のガイドRNAをコードする第3のヌクレオチド配列と、を含み得る。
【0074】
適切なRNA誘導エフェクターポリペプチドとしては、例えば、CRISPR/Casエンドヌクレアーゼ(例えば、II型、V型、またはVI型CRISPR/Casエンドヌクレアーゼなどのクラス2 CRISPR/Casエンドヌクレアーゼ)が挙げられる。適切なRNA誘導エフェクターポリペプチドは、CRISPR/Casエンドヌクレアーゼ(例えば、II型、V型、またはVI型CRISPR/Casエンドヌクレアーゼなどのクラス2 CRISPR/Casエンドヌクレアーゼ)である。いくつかの場合には、RNA誘導エフェクターポリペプチドは、クラス2 CRISPR/Casエンドヌクレアーゼである。いくつかの場合には、適切なRNA誘導エフェクターポリペプチドは、クラス2 II型CRISPR/Casエンドヌクレアーゼ(例えば、Cas9タンパク質)である。いくつかの場合には、適切なRNA誘導エフェクターポリペプチドは、クラス2 V型CRISPR/Casエンドヌクレアーゼ(例えば、Cpf1タンパク質、C2c1タンパク質、またはC2c3タンパク質)である。いくつかの場合には、適切なRNA誘導エフェクターポリペプチドは、クラス2 VI型CRISPR/Casエンドヌクレアーゼ(例えば、C2c2タンパク質;「Cas13a」タンパク質とも呼ばれる)である。また、CasXタンパク質も使用に適している。また、CasYタンパク質も使用に適している。ヌクレアーゼ活性は低いが、ガイドRNAと複合体を形成した場合に標的核酸結合活性を保持するRNA誘導エフェクターポリペプチドも使用に適している。ヌクレアーゼ活性を実質的に有さないが、ガイドRNAと複合体を形成したときに標的核酸結合活性を保持するRNA誘導エフェクターポリペプチドも使用に適している。ニッカーゼ活性を示すRNA誘導エフェクターポリペプチドも使用に適している。RNAを切断するRNA誘導エフェクターポリペプチドも使用に適している。
【0075】
様々なCas9タンパク質(及びCas9ドメイン構造)及びCas9ガイドRNAの例(ならびに標的核酸に存在するプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)配列に関連する要件に関する情報)は、当技術分野において、例えば、Jinek et al.,Science.2012 Aug 17;337(6096):816-21;Chylinski et al.,RNA Biol.2013 May;10(5):726-37、Ma et al.,Biomed Res Int.2013;2013:270805、Hou et al.,Proc Natl Acad Sci USA.2013 Sep 24;110(39):15644-9;Jinek et al.,Elife.2013;2:e00471、Pattanayak et al.,Nat Biotechnol.2013 Sep;31(9):839-43、Qi et al.,Cell.2013 Feb 28;152(5):1173-83;Wang et al.,Cell.2013 May 9;153(4):910-8、Auer et.al.,Genome Res.2013 Oct 31、Chen et.al.,Nucleic Acids Res.2013 Nov 1;41(20):e19、Cheng et.al.,Cell Res.2013 Oct;23(10):1163-71、Cho et.al.,Genetics.2013 Nov;195(3):1177-80、DiCarlo et al.,Nucleic Acids Res.2013 Apr;41(7):4336-43、Dickinson et.al.,Nat Methods.2013 Oct;10(10):1028-34、Ebina et.al.,Sci Rep.2013;3:2510、Fujii et.al,Nucleic Acids Res.2013 Nov 1;41(20):e187、Hu et.al.,Cell Res.2013 Nov;23(11):1322-5、Jiang et.al.,Nucleic Acids Res.2013 Nov 1;41(20):e188、Larson et.al.,Nat Protoc.2013 Nov;8(11):2180-96、Mali et al.,Nat Methods.2013 Oct;10(10):957-63、Nakayama et.al.,Genesis.2013 Dec;51(12):835-43、Ran et.al.,Nat Protoc.2013 Nov;8(11):2281-308、Ran et.al.,Cell.2013 Sep 12;154(6):1380-9、Upadhyay et.al.,G3(Bethesda).2013 Dec 9;3(12):2233-8、Walsh et.al.,Proc Natl Acad Sci USA.2013 Sep 24;110(39):15514-5、Xie et.al.,Mol Plant.2013 Oct 9、Yang et.al.,Cell.2013 Sep 12;154(6):1370-9、Briner et al.,Mol Cell.2014 Oct 23;56(2):333-9;Shmakov et al.,Nat Rev Microbiol.2017 Mar;15(3):169-182、ならびに米国特許及び特許出願第8,906,616号、第8,895,308号、第8,889,418号、第8,889,356号、第8,871,445号、第8,865,406号、第8,795,965号、第8,771,945号、第8,697,359号、第20140068797号、第20140170753号、第20140179006号、第20140179770号、第20140186843号、第20140186919号、第20140186958号、第20140189896号、第20140227787号、第20140234972号、第20140242664号、第20140242699号、第20140242700号、第20140242702号、第20140248702号、第20140256046号、第20140273037号、第20140273226号、第20140273230号、第20140273231号、第20140273232号、第20140273233号、第20140273234号、第20140273235号、第20140287938号、第20140295556号、第20140295557号、第20140298547号、第20140304853号、第20140309487号、第20140310828号、第20140310830号、第20140315985号、第20140335063号、第20140335620号、第20140342456号、第20140342457号、第20140342458号、第20140349400号、第20140349405号、第20140356867号、第20140356956号、第20140356958号、第20140356959号、第20140357523号、第20140357530号、第20140364333号、及び第20140377868号(これらの各々参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる)で見出され得る。
【0076】
いくつかの場合には、適切なRNA誘導エフェクターポリペプチドはバリアントCas9タンパク質である。バリアントCas9タンパク質は、対応する野生型Cas9タンパク質のアミノ酸配列と比較した場合、少なくとも1つのアミノ酸が異なる(例えば、欠失、挿入、置換、融合を有する)アミノ酸配列を有する。いくつかの場合には、このバリアントCas9タンパク質は、Cas9タンパク質のヌクレアーゼ活性を低下させるアミノ酸変化(例えば、欠失、挿入、または置換)を有する。例えば、いくつかの場合には、バリアントCas9タンパク質は、対応する野生型Cas9タンパク質の50%以下、40%以下、30%以下、20%以下、10%以下、5%以下、または1%以下のヌクレアーゼ活性を有する。いくつかの場合には、バリアントCas9タンパク質は実質的なヌクレアーゼ活性を有さない。Cas9タンパク質が実質的なヌクレアーゼ活性を有さないバリアントCas9タンパク質である場合、そのCas9タンパク質はヌクレアーゼ欠損Cas9タンパク質または「死んだ(dead)」を意味するCas9の「dCas9」と呼ばれ得る。二本鎖標的核酸の一方の鎖を切断するが、もう一方は切断しないタンパク質(例えば、クラス2 CRISPR/Casタンパク質、例えば、Cas9タンパク質)は、本明細書では「ニッカーゼ」(例えば、「ニッカーゼCas9」)と称される。
【0077】
融合RNA誘導エフェクターポリペプチドも使用に適しており、融合RNA誘導エフェクターポリペプチドは以下:a)RNA誘導エフェクターポリペプチドと、b)異種融合パートナーとを含む。いくつかの場合には、この融合パートナーは、標的核酸(例えば、ssRNA、dsRNA、ssDNA、dsDNA)を修飾する酵素活性を有する。この融合パートナーによって提供され得る酵素活性の例としては、限定するものではないが、制限酵素(例えば、FokIヌクレアーゼ)によって提供されるものなどのヌクレアーゼ活性、メチルトランスフェラーゼ(例えば、HhaI DNA m5c-メチルトランスフェラーゼ(M.HhaI)、DNAメチルトランスフェラーゼ1(DNMT1)、DNAメチルトランスフェラーゼ3a(DNMT3a)、DNAメチルトランスフェラーゼ3b(DNMT3b)、METI、DRM3(植物)、ZMET2、CMT1、CMT2(植物)等)によって提供されるものなどのメチルトランスフェラーゼ活性;デメチラーゼ(例えば、Ten-Eleven Translocation(TET)ジオキシゲナーゼ1(TET1CD)、TET1、DME、DML1、DML2、ROS1等)によって提供されるものなどのデメチラーゼ活性、DNA修復活性、DNA損傷活性、デアミナーゼ(例えば、ラットAPOBEC1などのシトシンデアミナーゼ酵素)によって提供されるものなどの脱アミン化活性、ジスムターゼ活性、アルキル化活性、脱プリン化活性、酸化活性、ピリミジン二量体形成活性、インテグラーゼ及び/またはレゾルバーゼ(例えば、Ginインベルターゼの超活性変異体、GinH106YなどのGinインベルターゼ;ヒト免疫不全ウイルス1型インテグラーゼ(IN);Tn3レゾルバーゼ等)によってもたらされるものなどのインテグラーゼ活性、トランスポザーゼ活性、レコンビナーゼ(例えば、Ginレコンビナーゼの触媒ドメイン)によって提供されるものなどのレコンビナーゼ活性、ポリメラーゼ活性、リガーゼ活性、ヘリカーゼ活性、フォトリアーゼ活性、及びグリコシラーゼ活性)が挙げられる。いくつかの場合には、融合パートナーはヌクレアーゼ、例えばFokIヌクレアーゼである。いくつかの場合には、異種融合パートナーはデアミナーゼである。適切なデアミナーゼとしては、シチジンデアミナーゼ及びアデノシンデアミナーゼが挙げられる。
【0078】
いくつかの場合には、RNA誘導エフェクターポリペプチド、または融合RNA誘導エフェクターポリペプチドは、1つ以上の核局在化シグナル(NLS)を含む。いくつかの場合には、RNA誘導エフェクターポリペプチド、または融合RNA誘導エフェクターポリペプチドは、細胞透過性ペプチドを含む。いくつかの場合には、RNA誘導エフェクターポリペプチド、または融合RNA誘導エフェクターポリペプチドは、エンドソーム不安定化(endosmolytic)ペプチドを含む。
【0079】
いくつかの場合には、ガイドRNAは、2つの別個の核酸分子:「アクチベーター」及び「ターゲッター(targeter)」を含み、本明細書では、「デュアルガイドRNA」、「二重分子ガイドRNA」、「2分子ガイドRNA」または「dgRNA」」と呼ばれる。いくつかの場合には、ガイドRNAは1つの分子(例えば、一部のクラス2 CRISPR/Casタンパク質の場合、対応するガイドRNAは単一の分子であり、いくつかの場合には、アクチベーター及びターゲッターは、例えば、介在するヌクレオチドを介して互いに共有結合される)であり、ガイドRNAは、「単一ガイドRNA」、「単一分子ガイドRNA」、「1分子ガイドRNA」、または単に「sgRNA」と呼ばれる。
【0080】
組成物
本開示は、本開示の遺伝子送達システムを含む組成物を提供する。
【0081】
本開示の組成物は、以下:a)本開示の遺伝子送達システムと、b)少なくとも1つの追加の成分と、を含み、ここで、適切な追加の成分としては、例えば、塩、緩衝液、プロテアーゼ阻害剤、ヌクレアーゼ阻害剤、脂質などが挙げられる。いくつかの場合には、本開示の組成物は、以下:a)本開示の遺伝子送達システムと、b)脂質とを含む。いくつかの場合には、本開示の組成物は、以下:a)本開示の遺伝子送達システムと;b)リポソーム、ヒドロゲル、微粒子、ナノ粒子、またはブロック共重合体ミセルと、を含む。
【0082】
本開示の組成物は、以下:a)本開示の遺伝子送達システムと、b)緩衝剤、界面活性剤、抗酸化剤、親水性ポリマー、デキストリン、キレート剤、懸濁剤、可溶化剤、増粘剤、安定剤、静菌剤、湿潤剤、及び防腐剤のうちの1つ以上と、を含んでもよい。適切な緩衝液としては、限定するものではないが、(例えば、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-2-アミノエタンスルホン酸(BES)、ビス(2-ヒドロキシエチル)アミノ-トリス(ヒドロキシメチル)メタン(BIS-トリス)、N-(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン-N’3-プロパンスルホン酸(EPPSまたはHEPPS)、グリシルグリシン、N-2-ヒドロキシエチルピペラジン-N’-2-エタンスルホン酸(HEPES)、3-(N-モルホリノ)プロパンスルホン酸酸(MOPS)、ピペラジン-N、N’-ビス(2-エタン-スルホン酸)(PIPES)、重炭酸ナトリウム、3-(N-トリス(ヒドロキシメチル)-メチル-アミノ)-2-ヒドロキシ-プロパンスルホン酸)TAPSO、(N-トリス(ヒドロキシメチル)メチル-2-アミノエタンスルホン酸(TES)、N-トリス(ヒドロキシメチル)メチル-グリシン(トリシン)、トリス(ヒドロキシメチル)-アミノメタン(トリス)など)が挙げられる。適切な塩としては、例えば、NaCl、MgCl、KCl、MgSO等が挙げられる。
【0083】
本開示の組成物は、以下:a)本開示の遺伝子送達システムと、b)薬学的に許容される賦形剤とを含み得る。薬学的に許容される賦形剤は、例えば、A.Gennaro(2000)“Remington:The Science and Practice of Pharmacy,”20th edition,Lippincott,Williams,& Wilkins;Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems(1999)H.C.Ansel et al.,eds.,7thed.,Lippincott,Williams,& Wilkins;及びHandbook of Pharmaceutical Excipients(2000)A.H.Kibbe et al.,eds.,3rded.Amer.Pharmaceutical Assocを含む様々な刊行物に詳細に記載されている。
【0084】
いくつかの場合には、本開示の遺伝子送達システムは、粒子中であるか、または粒子と会合されている。「粒子」及び「ナノ粒子」という用語は、適切である場合、互換的に使用され得る。
【0085】
本開示の遺伝子送達システムは、粒子、例えば、脂質またはリピドイド及び親水性ポリマー、例えば、カチオン性脂質及び親水性ポリマーを含む送達粒子内に存在するか、またはそれと会合されていてもよく、例えば、ここで、このカチオン性脂質は、1,2-ジオレオイル-3-トリメチルアンモニウム-プロパン(DOTAP)または1,2-ジテトラデカノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DMPC)を含むか、及び/またはこの親水性ポリマーはエチレングリコールまたはポリエチレングリコール(PEG)を含むか;及び/またはこの粒子はコレステロールをさらに含む(例えば、配合物1からの粒子=DOTAP 100、DMPC 0、PEG 0、コレステロール0;配合物番号2=DOTAP 90、DMPC 0、PEG 10、コレステロール0;配合物番号3=DOTAP 90、DMPC 0、PEG 5、コレステロール5)。例えば、粒子は、多段階プロセスを使用して形成されてもよく、ここで本開示の遺伝子送達システムは、例えば、1:1のモル比で、例えば、室温で、例えば、30分間にわたって、例えば、無菌のヌクレアーゼを含まない1倍リン酸緩衝生理食塩水(PBS)中で一緒に混合され;別個に、配合物に適用できる場合、DOTAP、DMPC、PEG、及びコレステロールを、アルコール、例えば、100%のエタノールに溶解し;これら2つの溶液を一緒に混合して、本開示の遺伝子送達システムを含有する粒子を形成する。
【0086】
本開示の遺伝子送達システムは、ナノ粒子の一部であり得る。例えば、リン脂質二層シェルによって封入されたポリ(β-アミノエステル)(PBAE)コアを有する生分解性コアシェル構造ナノ粒子を使用してもよい。いくつかの場合には、自己集合生体付着性ポリマーに基づく粒子/ナノ粒子が使用され、そのような粒子/ナノ粒子は、経口送達、静脈内送達、及び経鼻送達に適用され得る。
【0087】
いくつかの場合には、本開示の組成物は、本開示の遺伝子送達システムと、ポリ(ベータ-アミノアルコール)(PBAA)とを含む。米国特許公開第20130302401号は、コンビナトリアル重合を使用して調製された、あるクラスのポリ(ベータ-アミノアルコール)(PBAA)に関する。
【0088】
いくつかの場合には、本開示の組成物は、本開示の遺伝子送達システムと、1つ以上の脂質ナノ粒子(LNP)とを含む。RNAなどの負に荷電されたポリマーは、LNP中に低pH値(例えば、pH4)で負荷され得、ここで、イオン化脂質は、正電荷を示す。しかしながら、生理学的pH値において、LNPは、より長い循環時間に対応した低表面電荷を呈する。4種のイオン化カチオン脂質、すなわち1,2-ジリネオイル-3-ジメチルアンモニウム-プロパン(DLinDAP)、1,2-ジリノレイルオキシ-3-N,N-ジメチルアミノプロパン(DLinDMA)、1,2-ジリノレイルオキシ-ケト-N,N-ジメチル-3-アミノプロパン(DLinKDMA)、及び1,2-ジリノレイル-4-(2-ジメチルアミノエチル)-[1,3]-ジオキソラン(DLinKC2-DMA)に焦点が当てられている。LNPの調製は、例えば、Rosin et al.(2011)Molecular Therapy 19:1286-2200)に記載されている。カチオン性脂質1,2-ジリネオイル-3-ジメチルアンモニウム-プロパン(DLinDAP)、1,2-ジリノレイルオキシ3-N,N-ジメチルアミノプロパン(DLinDMA)、1,2-ジリノレイルオキシケト-N,N-ジメチル-3-アミノプロパン(DLinK-DMA)、1,2-ジリノレイル-4-(2-ジメチルアミノエチル)-[1,3]-ジオキソラン(DLinKC2-DMA)、(3-o-[2”-(メトキシポリエチレングリコール2000)スクリノイル]-1,2-ジミリストイル-sn-グリコール(PEG-S-DMG)、及びR-3-[(オメガ.-メトキシ-ポリ(エチレングリコール)2000)カルバモイル]-1,2-ジミリストイルオキシルプロピル-3-アミン(PEG-C-DOMG)を使用してもよい。核酸(例えば、ガイドRNA、本開示の核酸等)は、DLinDAP、DLinDMA、DLinK-DMA、及びDLinKC2-DMAを(カチオン性脂質:DSPC:CHOL:PEGS-DMGまたはPEG-C-DOMGを40:10:40:10モル比で)含有して、LNPにカプセル化され得る。いくつかの場合には、0.2%のSP-DiOC18が使用される。
【0089】
いくつかの場合には、本開示の組成物は、本開示の遺伝子送達システムと、球状核酸(SNA(商標))構築物または他のナノ粒子(特に金ナノ粒子)とを含む。例えば、Cutler et al.,J.Am.Chem.Soc.2011 133:9254-9257,Hao et al.,Small.2011 7:3158-3162,Zhang et al.,ACS Nano.2011 5:6962-6970,Cutler et al.,J.Am.Chem.Soc.2012 134:1376-1391,Young et al.,Nano Lett.2012 12:3867-71,Zheng et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA.2012 109:11975-80,Mirkin,Nanomedicine 2012 7:635-638 Zhang et al.,J.Am.Chem.Soc.2012 134:16488-1691,Weintraub,Nature 2013 495:S14-S16,Choi et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA.2013 110(19): 7625-7630,Jensen et al.,Sci.Transl.Med.5,209ra152(2013)、及びMirkin,et al.,Small,10:186-192を参照されたい。
【0090】
いくつかの場合には、本開示の遺伝子送達システムは、ナノ粒子中に存在するか、またはナノ粒子と会合されている。一般に、「ナノ粒子」とは、1000nm未満の直径を有する任意の粒子を指す。いくつかの場合には、標的細胞に対する本開示の遺伝子送達システムの送達に使用するのに適したナノ粒子は、500nm以下、例えば、25nm~35nm、35nm~50nm、50nm~75nm、75nm~100nm、100nm~150nm、150nm~200nm、200nm~300nm、300nm~400nm、または400nm~500nmの直径を有する。いくつかの場合には、本開示の遺伝子送達システムの標的細胞への送達に使用するのに適したナノ粒子は、25nm~200nmの直径を有する。いくつかの場合には、本開示の遺伝子送達システムの標的細胞への送達に使用するのに適したナノ粒子は、100nm以下の直径を有する。いくつかの場合には、本開示の遺伝子送達システムの標的細胞への送達に使用するのに適したナノ粒子は、35nm~60nmの直径を有する。
【0091】
ナノ粒子は、様々な形態で、例えば、固体ナノ粒子(例えば、銀、金、鉄、チタンなどの金属)、非金属、脂質ベースの固体、ポリマー)、ナノ粒子の懸濁液、またはそれらの組み合わせとして提供され得る。金属、絶縁体、及び半導体ナノ粒子、ならびにハイブリッド構造(例えば、コアシェルナノ粒子)が調製され得る。半導体材料で作製されたナノ粒子はまた、それらが電子エネルギーレベルの量子化が起こるのに十分に小さい場合(典型的に、10nm以下)、量子ドットと表記され得る。そのようなナノスケール粒子は、生物医学的適用において、薬物担体または造影剤として使用され、本開示において同様の目的に適応され得る。
【0092】
半固体及び軟質ナノ粒子もまた、本開示の遺伝子送達システムを含む本開示の組成物に含めるのに適している。半固体性質のプロトタイプナノ粒子は、リポソームである。
【0093】
いくつかの場合には、本開示の組成物は、本開示の遺伝子送達システムとリポソームとを含む。リポソームとは、内部水性区画を取り囲む単層または多層脂質二層、及び比較的不透過性の外側親油性リン脂質二層で構成される球形ベシクル構造である。リポソームは、いくつかの異なる種類の脂質から作製され得るが、リポソームを生成するためには、リン脂質が最も一般に使用される。リポソーム形成は、脂質膜が水溶液と混合されたときに自然に起こるが、それはまた、ホモジナイザー、超音波破砕機、または押出装置を使用することによる振盪の形態で力を加えることによって促進され得る。それらの構造及び特性を改変するために、いくつかの他の添加剤をリポソームに添加してもよい。例えば、リポソーム構造の安定化を助けるため、及びリポソーム内部カーゴの漏出を防止するために、コレステロールまたはスフィンゴミエリンのいずれかをリポソーム混合物に添加してもよい。リポソーム配合物は、主に、天然のリン脂質、ならびに1,2-ジステアロリル-sn-グリセロ-3-ホスファチジルコリン(DSPC)、スフィンゴミエリン、卵ホスファチジルコリン、及びモノシアロガングリオシドなどの脂質で構成され得る。
【0094】
いくつかの場合には、本開示の組成物は、本開示の遺伝子送達システムと、安定な核酸脂質粒子(SNALP)とを含む。SNALP配合物は、脂質3-N-[(メトキシポリ(エチレングリコール)2000)カルバモイル]-1,2-ジミリストイルオキシ-プロピルアミン(PEG-C-DMA)、1,2-ジリノレイルオキシ-N,N-ジメチル-3-アミノプロパン(DLinDMA)、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DSPC)、及びコレステロールを、2:40:10:48のモル%比で含有し得る。SNALPリポソームは、約80~100nmのサイズであり得る。SNALPは、合成コレステロール(Sigma-Aldrich,St Louis,Mo.,USA)、ジパルミトイルホスファチジルコリン(Avanti Polar Lipids,Alabaster,Ala.,USA)、3-N-[(w-メトキシポリ(エチレングリコール)2000)カルバモイル]-1,2-ジミリストイルオキシプロピルアミン、及びカチオン性1,2-ジリノレイルオキシ-3-N,Nジメチルアミノプロパンを含み得る。SNALPは、合成コレステロール(Sigma-Aldrich)、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DSPC、Avanti Polar Lipids Inc.)、PEG-cDMA、及び1,2-ジリノレイルオキシ-3-(N;N-ジメチル)アミノプロパン(DLinDMA)を含み得る。
【0095】
アミノ脂質2,2-ジリノレイル-4-ジメチルアミノエチル-[1,3]-ジオキソラン(DLin-KC2-DMA)などの他のカチオン性脂質を、本開示の組成物に含めて使用してもよい。以下の脂質組成物、アミノ脂質、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、コレステロール、及び(R)-2,3-ビス(オクタデシルオキシ)プロピル-1-(メトキシポリ(エチレングリコール)2000)プロピルカルバメート(PEG-脂質)をそれぞれ40/10/40/10モル比、及びおよそ0.05(w/w)のFVII siRNA/総脂質比で有する予め形成されたベシクルが企図され得る。70~90nmの範囲の狭い粒径分布及び0.11±0.04(n=56)の低い多分散指数を確実にするために、粒子は、遺伝子送達システムを付加する前に80nm膜を通して最大3回押し出され得る。極めて強力なアミノ脂質16を含有する粒子を使用してもよく、ここで、4つの脂質成分:16、DSPC、コレステロール、及びPEG-脂質のモル比(50/10/38.5/1.5)をさらに最適化して、インビボ活性を向上してもよい。
【0096】
脂質を、本開示のシステムまたはその成分(複数可)またはそれをコードする核酸と配合して、脂質ナノ粒子(LNP)を形成してもよい。好適な脂質としては、DLin-KC2-DMA4、C12-200、及び共脂質ジステロイルホスファチジルコリン、コレステロールが挙げられるが、これらに限定されず、PEG-DMGを、自発的なベシクル形成手順を使用して、本開示のシステムまたはその成分と配合してもよい。成分モル比は、約50/10/38.5/1.5(DLin-KC2-DMAまたはC12-200/ジステロイルホスファチジルコリン/コレステロール/PEG-DMG)であってもよい。
【0097】
本開示の遺伝子送達システムは、米国出願公開第20130252281号及び同第20130245107号及び同第20130244279号にさらに記載されるように、PLGA微小球にカプセル化され得る。
【0098】
いくつかの場合には、本開示の組成物は、本開示の遺伝子送達システム及び超電荷(supercharged)タンパク質を含む。超電荷タンパク質は、異常に高い正または負の正味理論的電荷を有する、操作されたかまたは天然型のタンパク質のクラスである。超負電荷タンパク質及び超正電荷タンパク質の両方とも、熱的または化学的に誘導される凝集に耐える能力を呈する。超正電荷タンパク質はまた、哺乳動物細胞を透過し得る。カーゴをこれらのタンパク質、例えば、プラスミドDNA、RNA、または他のタンパク質と会合させることで、インビトロ及びインビボの両方で、哺乳動物細胞へのこれらの高分子の機能的送達が可能になり得る。
【0099】
本開示はまた、本開示の遺伝子送達システムを含む埋め込み可能なデバイスも提供する。埋め込み可能なデバイスは、例えば、本開示の遺伝子送達システムを含む組成物を含む、本開示の遺伝子送達システムを含む容器(例えば、リザーバー、マトリックスなど)を備えてもよい。好適な埋め込み可能なデバイスは、例えば、デバイス本体として使用されるマトリックスなどのポリマー基質、及びいくつかの場合には、金属または追加のポリマーなどの追加の足場材料、ならびに可視性及び撮像を向上させる材料を含んでもよい。埋め込み可能な送達デバイスは、局所的かつ長期間にわたって放出を提供するのに有利であり得、送達される核酸は、標的部位、例えば、細胞外マトリックス(ECM)、腫瘍を取り巻く血管系、病変組織等に直接放出される。
【0100】
適切な埋め込み可能な送達デバイスには、腹腔などの空洞への送達、及び/または送達システムが固定されていないもしくは取り付けられていない任意の他のタイプの投与に使用するのに適したデバイス、例えば、任意選択でマトリックスであり得る、生体安定性及び/または分解性及び/または生体吸収性ポリマー基板を含むもの、が含まれる。いくつかの場合には、好適な埋め込み可能な薬物送達デバイスは、分解性ポリマーを含み、主な放出機序は、バルク浸食である。いくつかの場合には、好適な埋め込み可能な送達デバイスは、非分解性または分解の遅いポリマーを含み、主な放出機序は、バルク浸食ではなく拡散であり、それにより外側部分は膜として機能し、その内側部分は、リザーバーとして機能し、これは長期間(例えば、約1週間~約数ヶ月間)にわたって事実上周囲に影響されない。異なる放出機序を有する異なるポリマーの組み合わせを、任意に使用してもよい。
【0101】
いくつかの場合には、埋め込み可能な送達系は、本質的に化学物質であれ、対象の体内の酵素及び他の因子からの攻撃に起因するものであれ、分解からヌクレオチド系治療剤(本開示の遺伝子送達システム)を遮断するように設計される。
【0102】
キット
本開示は、以下:a)R2レトロトランスポゾンR2ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む第1の核酸と、b)1つ以上の異種遺伝子産物をコードする異種ヌクレオチド配列を挿入するための挿入部位を含む第2の核酸であって、ここで、この挿入部位が、R2レトロトランスポゾン3’非翻訳領域(UTR)及びR2レトロトランスポゾン5’UTRに隣接しており、ここで、この異種ヌクレオチド配列が少なくとも200ヌクレオチドの長さを有する、第2の核酸と、を備えるキットを提供する。したがって、第2の核酸は、任意の所望の異種遺伝子産物(複数可)をコードする異種ヌクレオチド配列の挿入を可能にする。いくつかの場合には、第1の核酸及び第2の核酸は別々の容器に入っている。いくつかの場合には、第2の核酸は、挿入部位の5’側の転写制御エレメントをさらに含む。転写制御エレメントは、異種ヌクレオチド配列が第2の核酸に挿入されたら、転写制御エレメントが異種ヌクレオチド配列に機能的に連結されるように、挿入部位に対して配置される。適切な転写制御エレメントは上記のとおりである。
【0103】
本開示は、以下:a)R2レトロトランスポゾンR2ポリペプチドと、b)1つ以上の異種遺伝子産物をコードする異種ヌクレオチド配列を挿入するための挿入部位を含む核酸であって、ここで、この挿入部位が、R2レトロトランスポゾン3’UTR及びR2レトロトランスポゾン5’UTRに隣接し、ここで、この異種ヌクレオチド配列の長さが少なくとも200ヌクレオチドである、核酸と、を含むキットを提供する。したがって、核酸は、任意の所望の異種遺伝子産物(複数可)をコードする異種ヌクレオチド配列の挿入を可能にする。いくつかの場合には、R2ポリペプチド及び核酸は別々の容器に入っている。いくつかの場合には、核酸は、挿入部位の5’側の転写制御エレメントをさらに含む。転写制御エレメントは、異種ヌクレオチド配列が核酸に挿入されたら、この転写制御エレメントが異種ヌクレオチド配列に機能的に連結されるように、挿入部位に対して配置される。適切な転写制御エレメントは上記のとおりである。
【0104】
上記のように、任意の所望の異種遺伝子産物(複数可)をコードする異種ヌクレオチド配列の挿入を可能にする核酸は、少なくとも200ヌクレオチド(nt)の異種ヌクレオチド配列の挿入を提供する。例えば、いくつかの場合には、この異種ヌクレオチド配列は、約200nt~約300nt、約300nt~約400nt、約400nt~約500nt、約500nt~約750nt、約750nt~約1キロベース(kb)、約1kb~約1.5kb、約1.5kb~約2kb、約2kb~約2.5kb、約2.5kb~約3kb、または約3kb~約3.5kbの長さを有する。別の例として、いくつかの場合には、この異種ヌクレオチド配列は、約3.5kb~約4kb、約4kb~約4.5kb、約4.5kb~約5kb、約5kb~約5.5kb、約5.5kb~約6kb、約6kb~約6.5kb、約6.5kb~約7kb、約7kb~約8kb、約8kb~約9kb、約9からkb~約10kb、約10kb~約11kb、約11kb~約12kb、約12kb~約13kb、約13kb~約14kb、または約14kb~約15kbの長さを有する。いくつかの場合には、異種ヌクレオチド配列の長さは約200nt~約1kbである。いくつかの場合には、この異種ヌクレオチド配列は、約1kb~約5kbの長さを有する。いくつかの場合には、この異種ヌクレオチド配列は、約3.5kb~約6kbの長さを有する。いくつかの場合には、この異種ヌクレオチド配列は、約6kb~約8kbの長さを有する。いくつかの場合には、この異種ヌクレオチド配列は、約8kb~約15kbの長さを有する。いくつかの場合には、この異種ヌクレオチド配列は、約9kb~約15kbの長さを有する。いくつかの場合には、この異種ヌクレオチド配列は、約10kb~約15kbの長さを有する。
【0105】
真核生物宿主細胞に遺伝子産物(複数可)を送達する方法
本開示は、目的の1つ以上の遺伝子産物を真核細胞に送達する方法を提供し、この方法は、細胞を本開示の遺伝子送達媒体システムと接触させることを含む。R2ポリペプチド、5’UTR、及び3’UTRは、真核細胞のゲノムの28S領域への異種ヌクレオチド配列の挿入を提供する。
【0106】
いくつかの場合には、真核細胞は、インビトロである。いくつかの場合には、真核細胞は、インビボである。いくつかの場合には、真核細胞は、エクスビボである。
【0107】
適切な真核細胞としては、例えば、ヒト細胞、非ヒト動物細胞、植物細胞、脊椎動物細胞、無脊椎動物細胞、鳥類細胞、節足動物細胞、クモ形類細胞、昆虫細胞、爬虫類細胞、両生類細胞などが挙げられる。いくつかの場合には、真核細胞はヒト細胞である。いくつかの場合には、真核細胞は非ヒト動物細胞である。いくつかの場合には、真核細胞は、植物細胞である。いくつかの場合には、真核細胞は、無脊椎動物の細胞である。いくつかの場合には、細胞は、罹患細胞である。
【0108】
好適な細胞としては、幹細胞(例えば、胚性幹(ES)細胞、人工多能性幹(iPS)細胞、生殖細胞(例えば、卵母細胞、精子、卵原細胞、精原細胞等)、体細胞、例えば、線維芽細胞、オリゴデンドロサイト、グリア細胞、造血細胞、ニューロン、筋細胞、骨細胞、肝細胞、膵細胞等が挙げられる。
【0109】
好適な細胞としては、ヒト胚性幹細胞、胎児心筋細胞、筋線維芽細胞、間葉系幹細胞、心筋細胞、脂肪細胞、全能性細胞、多能性細胞、血液肝細胞、筋芽細胞、成体肝細胞、骨髄細胞、間葉系細胞、胚性幹細胞、実質細胞、上皮細胞、内皮細胞、中皮細胞、線維芽細胞、骨芽細胞、軟骨細胞、外因性細胞、内因性細胞、幹細胞、造血幹細胞、骨髄由来の前駆細胞、心筋細胞、骨格細胞、胎児細胞、未分化細胞、多能性前駆細胞、単能性前駆細胞、単球、心筋芽細胞、骨格筋芽細胞、マクロファージ、毛細血管内皮細胞、異種細胞、同種細胞、及び出生後幹細胞が挙げられる。適切な細胞としては、末梢血単核細胞(PBMC)が挙げられる。
【0110】
いくつかの場合には、細胞は、免疫細胞、ニューロン、上皮細胞、及び内皮細胞、または幹細胞である。いくつかの場合には、免疫細胞は、T細胞、B細胞、単球、ナチュラルキラー細胞、樹状細胞、またはマクロファージである。いくつかの場合には、免疫細胞は、細胞傷害性T細胞である。いくつかの場合には、免疫細胞は、ヘルパーT細胞である。いくつかの場合には、免疫細胞は、調節性T細胞(Treg)である。
【0111】
いくつかの場合には、細胞は、幹細胞である。幹細胞は、成体幹細胞を含む。成体幹細胞はまた、体幹細胞とも称される。
【0112】
成体幹細胞は、分化組織中に存在するが、自己更新の特性、及び複数の細胞型、通常は幹細胞が見出される組織に典型的な細胞型を生じる能力を保持する。体幹細胞の多くの例が当業者に公知であり、これには、筋幹細胞、造血幹細胞、上皮幹細胞、神経幹細胞、間葉系幹細胞、哺乳動物幹細胞、腸幹細胞、中胚葉性幹細胞、内皮幹細胞、嗅覚幹細胞、神経堤幹細胞等が挙げられる。
【0113】
関心対象の幹細胞としては、哺乳動物幹細胞が挙げられ、「哺乳動物」という用語は、ヒト、非ヒト霊長類、飼育動物及び家畜、ならびに動物園動物、実験動物、競技用動物、または愛玩動物、例えば、イヌ、ウマ、ネコ、ウシ、マウス、ラット、ウサギ等を含む哺乳動物として分類される任意の動物を指す。いくつかの場合には、幹細胞は、ヒト幹細胞である。いくつかの場合には、幹細胞は、齧歯類(例えば、マウス、ラット)幹細胞である。いくつかの場合には、幹細胞は、非ヒト霊長類幹細胞である。
【0114】
幹細胞は、1つ以上の幹細胞マーカー、例えば、SOX2、OCT4、NANOG、NESTIN、SOX1、PAX6、KLF4、SOX9、KRT19、KRT7、LGR5、CA9、FXYD2、CDH6、CLDN18、TSPAN8、BPIFB1、OLFM4、CDH17、及びPPARGC1Aを発現し得る。
【0115】
いくつかの実施形態では、幹細胞は、造血幹細胞(HSC)である。HSCは、骨髄、血液、臍帯血、胎児肝臓、及び卵黄嚢から単離され得る中胚葉由来の細胞である。HSCは、CD34及びCD3として特徴付けられる。HSCは、赤血球、好中球-マクロファージ、巨核球、及びリンパ球様造血細胞系統をインビボで再生し得る。インビトロで、HSCは、少なくともいくらかの自己更新細胞分裂を受けるように誘導され得、インビボで見られるものと同じ系統に分化するように誘導され得る。したがって、HSCは、赤血球細胞、巨核球、好中球、マクロファージ、及びリンパ球細胞のうちの1つ以上に分化するように誘導され得る。
【0116】
他の実施形態では、幹細胞は、神経幹細胞(NSC)である。神経幹細胞(NSC)は、ニューロン及びグリア(オリゴデンドロサイト及び星状細胞を含む)に分化し得る。神経幹細胞は、多分裂の能力を有する多能性幹細胞であり、特定の条件下で、神経幹細胞である娘細胞、または神経芽細胞もしくは神経膠芽細胞であり得る神経前駆細胞、例えば、それぞれ1種以上のニューロン及びグリア細胞になるように方向付けられた細胞を産生し得る。NSCを得る方法は、当該技術分野において公知である。
【0117】
他の実施形態では、幹細胞は、間葉系幹細胞(MSC)である。本来、胚性中胚葉に由来し、成体骨髄から単離されるMSCは、分化して、筋肉、骨、軟骨、脂肪、骨髄基質、及び腱を形成し得る。MSCを単離する方法は、当該技術分野において公知であり、任意の公知の方法を使用して、MSCを得てもよい。例えば、ヒトMSCの単離について記載している米国特許第5,736,396号を参照されたい。
【0118】
細胞は、いくつかの場合には、植物細胞である。植物細胞は、単子葉植物の細胞であってもよい。細胞は、双子葉植物の細胞であってもよい。
【0119】
細胞は、いくつかの場合には、節足動物細胞である。例えば、細胞は、鋏角亜門(Chelicerata)、多足類(Myriapodia)、六脚類(Hexipodia)、クモ綱(Arachnida)、昆虫綱(Insecta)、イシノミ目(Archaeognatha)、総尾目(Thysanura)、旧翅下綱(Palaeoptera)、カゲロウ目(Ephemeroptera)、トンボ目(Odonata)、不均翅亜目(Anisoptera)、近翅亜目(Zygoptera)、新翅下綱(Neoptera)、外翅上目(Exopterygota)、カワゲラ目(Plecoptera)、紡脚目(Embioptera)、直翅目(Orthoptera)、ジュズヒゲムシ目(Zoraptera)、革翅目(Dermaptera)、網翅目(Dictyoptera)、ガロアムシ目(Notoptera)、ガロアムシ科(Grylloblattidae)、マントファスマ目(Mantophasmatida)、ナナフシ目(Phasmatodea)、ゴキブリ目(Blattaria)、等翅目(Isoptera)、カマキリ目(Mantodea)、準新翅上目(Parapneuroptera)、チャタテムシ目(Psocoptera)、総翅目(Thysanoptera)、シラミ目(Phthiraptera)、半翅目(Hemiptera)、内翅上目(Endopterygota)もしくは完全変態類(Holometabola)、膜翅目(Hymenoptera)、甲虫目(Coleoptera)、撚翅目(Strepsiptera)、ラクダムシ亜目(Raphidioptera)、広翅亜目(Megaloptera)、脈翅目(Neuroptera)、シリアゲムシ目(Mecoptera)、ノミ目(Siphonaptera)、双翅目(Diptera)、毛翅目(Trichoptera)、または鱗翅目(Lepidoptera)の亜目、科、亜科、群、下位群、または種の細胞であってもよい。
【0120】
細胞は、いくつかの場合には、昆虫細胞である。例えば、いくつかの場合には、細胞は、蚊、バッタ、半翅類、ハエ、ノミ、ハナバチ、カリバチ、アリ、シラミ、蛾、または甲虫の細胞である。
【0121】
本開示の遺伝子送達システムは、その多くが当技術分野で公知である様々な方法のいずれかによって真核細胞に導入され得る。好適な方法としては、例えば、ウイルス感染、トランスフェクション、リポフェクション、電気穿孔、リン酸カルシウム沈殿、ポリエチレンイミン(PEI)媒介型形質移入、DEAE-デキストラン媒介型トランスフェクション、リポソーム媒介型形質移入、パーティクルガン技術、リン酸カルシウム沈殿、直接マイクロインジェクション、ナノ粒子を介した核酸送達等が挙げられる。
【0122】
核酸は、十分に開発された形質移入技法(例えば、Angel及びYanik(2010)PLoS ONE 5(7):e11756、ならびにQiagenから市販されているTransMessenger(登録商標)試薬、StemgentのStemfect(商標)RNA形質移入キット、及びMirus Bio LLCのTransIT(登録商標)-mRNA形質移入キットを参照)を使用して、真核細胞に提供され得る。また、Beumer et al.(2008)PNAS 105(50):19821-19826も参照されたい。
【0123】
いくつかの場合には、本開示の遺伝子送達システムは、それを必要とする個体に投与される。本開示の遺伝子送達システムは、様々な投与経路のいずれかによって個体に投与され得る。従来の薬学的に許容される投与経路としては、腫瘍内、腫瘍周囲、筋肉内、気管内、頭蓋内、皮下、皮内、局所適用、静脈内、動脈内、直腸、経鼻、経口、及び他の経腸及び非経口投与経路が挙げられる。投与経路は、必要に応じて組み合わせてもよいし、または遺伝子送達システム及び/もしくは所望の効果に応じて調整してもよい。本開示の遺伝子送達システムは、単回投与で投与しても、または複数回投与で投与してもよい。
【0124】
いくつかの場合には、本開示の遺伝子送達システムは静脈内投与される。いくつかの場合には、本開示の遺伝子送達システムは筋肉内投与される。いくつかの場合には、本開示の遺伝子送達システムは局所的に投与される。いくつかの場合には、本開示の遺伝子送達システムは腫瘍内に投与される。いくつかの場合には、本開示の遺伝子送達システムは腫瘍周囲に投与される。いくつかの場合には、本開示の遺伝子送達システムは頭蓋内に投与される。いくつかの場合には、本開示の遺伝子送達システムは皮下投与される。
【0125】
いくつかの場合には、標的細胞または標的細胞の集団が、個体から取り出される(から得られる)。標的細胞または標的細胞の集団を、エクスビボで本開示の遺伝子送達システムと接触させて、遺伝子改変された標的細胞または遺伝子改変された標的細胞の集団を生成する。そして、この遺伝子改変された標的細胞または遺伝子改変された標的細胞の集団は、標的細胞または標的細胞の集団が得られた個体に投与される。したがって、いくつかの場合には、本開示の方法は、以下:a)エクスビボで標的細胞または標的細胞の集団を、本開示の遺伝子送達システムと接触させ、それにより、遺伝子改変された標的細胞または標的細胞の遺伝子改変された集団を生成すること(ここで、この標的細胞または標的細胞の集団は、治療を必要とする個体から得られた)と、b)遺伝子改変された標的細胞または遺伝子改変された標的細胞の集団を個体に投与し、それにより個体を処置することと、を含む。いくつかの場合には、本開示の方法は、以下:a)個体から標的細胞または標的細胞の集団を取得することと、b)エクスビボで標的細胞または標的細胞の集団を本開示の遺伝子送達システムと接触させ、それにより、遺伝子改変された標的細胞または標的細胞の遺伝子改変された集団を生成することと、c)遺伝子改変された標的細胞または遺伝子改変された標的細胞の集団を個体に投与することと、を含む。1つの非限定的な例として、細胞はT細胞であってもよい。異種ポリペプチド(複数可)は、CAR(例えば、単一ポリペプチド鎖CAR;またはヘテロ二量体CAR)であってもよい。別の例として、細胞は罹患細胞であってもよく、異種遺伝子産物は以下:i)Cas9ポリペプチドなどのRNA誘導エフェクターポリペプチド、ii)ガイドRNAであってもよい。
【0126】
本開示の非限定的な態様の例
上記に記載される本主題の実施形態を含む態様は、単独で、または1つ以上の他の態様もしくは実施形態との組み合わせで有益であり得る。上記の記載を制限することなく、1~33の番号が付けられた本開示のある特定の非限定的な態様が以下に提供される。本開示を読むと当業者には明らかであるように、個別に番号が付けられた態様の各々は、先行するかまたは後続の個別に番号が付けられた態様のうちのいずれかとともに使用されてもよいし、または組み合わされてもよい。これは、態様の全てのそのような組み合わせに対する裏付けを提供することが意図され、以下に明示的に提供される態様の組み合わせには限定されない。
【0127】
態様1.遺伝子送達媒体システムであって、以下:a)第1の核酸及び第2の核酸であって、i)第1の核酸が、R2レトロトランスポゾンR2ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含み、及びii)第2の核酸が、1つ以上の異種遺伝子産物をコードする異種ヌクレオチド配列を含み、ここで、該異種ヌクレオチド配列が、R2レトロトランスポゾン3’非翻訳領域(UTR)及びR2レトロトランスポゾン5’UTRに隣接し、ここで、該異種ヌクレオチド配列の長さが少なくとも200ヌクレオチドである、前記第1の核酸及び第2の核酸;またはb)ポリペプチド及び核酸であって、i)該ポリペプチドがR2レトロトランスポゾンR2ポリペプチドであり、及びii)該核酸が、1つ以上の異種遺伝子産物をコードする異種ヌクレオチド配列を含み、ここで、該異種ヌクレオチド配列が、R2レトロトランスポゾン3’UTR及びR2レトロトランスポゾン5’UTRに隣接し、ここで、該異種ヌクレオチド配列の長さが少なくとも200ヌクレオチドである、前記ポリペプチド及び核酸、を含む、遺伝子送達媒体システム。
態様2.前記R2ポリペプチドが、図7に記載の前記アミノ酸配列に対して少なくとも85%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、態様1に記載の遺伝子送達媒体システム。
態様3.前記異種ヌクレオチド配列が、単一の異種遺伝子産物をコードする、態様1または態様2に記載の遺伝子送達媒体システム。
態様4.前記単一の異種遺伝子産物がポリペプチドである、態様3に記載の遺伝子送達媒体システム。
態様5.前記単一の異種遺伝子産物がRNAである、態様3に記載の遺伝子送達媒体システム。
態様6.前記異種ヌクレオチド配列が、少なくとも第1の異種遺伝子産物及び第2の異種遺伝子産物をコードする、態様1または態様2に記載の遺伝子送達媒体システム。
態様7.前記第1の異種遺伝子産物がポリペプチドであり、前記第2の異種遺伝子産物がRNAである、態様6に記載の遺伝子送達媒体システム。
態様8.前記ポリペプチドがキメラ抗原受容体である、態様4に記載の遺伝子送達媒体システム。
態様9.前記第1の異種遺伝子産物が第1の異種ポリペプチドであり、前記第2の異種遺伝子産物が第2の異種ポリペプチドである、態様6に記載の遺伝子送達媒体システム。
態様10.前記異種ヌクレオチド配列が、5’から3’の順序で以下:i)前記第1の異種ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列と、ii)内部リボソーム侵入部位、または自己切断ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列と、iii)前記第2の異種ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列と、を含む、態様9に記載の遺伝子送達媒体システム。
態様11.前記第1のポリペプチド及び第2のポリペプチドが一緒になってヘテロ二量体キメラ抗原受容体を形成する、態様9に記載の遺伝子送達媒体システム。
態様12.前記ポリペプチドが、RNA誘導エフェクターポリペプチドであり、前記RNAが、RNA誘導エフェクターポリペプチドに結合するガイドRNAである、態様7に記載の遺伝子送達媒体システム。
態様13.R2ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列が真核細胞での発現のためにコドン最適化されている、態様1~12のいずれか1項に記載の遺伝子送達媒体システム。
態様14.1つ以上の異種遺伝子産物をコードする前記異種ヌクレオチド配列が、転写制御エレメントに機能的に連結されている、態様1~13のいずれか1項に記載の遺伝子送達媒体システム。
態様15.前記転写制御エレメントが調節可能なプロモーターである、態様14に記載の遺伝子送達媒体システム。
態様16.前記転写制御エレメントが構成的プロモーターである、態様14に記載の遺伝子送達媒体システム。
態様17.前記異種ヌクレオチド配列が少なくとも3kbの長さを有する、態様1~16のいずれか1項に記載の遺伝子送達媒体システム。
態様18.前記異種ヌクレオチド配列が約5kb~約10kbの長さを有する、態様1~16のいずれか1項に記載の遺伝子送達媒体システム。
態様19.前記異種ヌクレオチド配列が約10kb~約15kbの長さを有する、態様1~16のいずれか1項に記載の遺伝子送達媒体システム。
態様20.以下:
a1)R2レトロトランスポゾンR2ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む第1の核酸、及び
b1)1つ以上の異種遺伝子産物をコードする異種ヌクレオチド配列を挿入するための挿入部位を含む第2の核酸であって、ここで、該挿入部位が、R2レトロトランスポゾン3’非翻訳領域(UTR)及びR2レトロトランスポゾン5’UTRに隣接しており、ここで、該異種ヌクレオチド配列が、少なくとも200ヌクレオチドの長さを有する、前記第2の核酸;または
a2)R2レトロトランスポゾンR2ポリペプチド、及び
b2)1つ以上の異種遺伝子産物をコードする異種ヌクレオチド配列を挿入するための挿入部位を含む核酸であって、該挿入部位が、R2レトロトランスポゾン3’UTR及びR2レトロトランスポゾン5’UTRに隣接しており、該異種ヌクレオチド配列が、少なくとも200ヌクレオチドの長さを有する、前記核酸
を備える、キット。
態様21.前記第1の核酸及び第2の核酸が別個の容器に入っている、態様20(a1及びb1)に記載のキット。
態様22.前記R2ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列が、真核細胞での発現のためにコドン最適化されている、態様20(a1)に記載のキット。
態様23.前記第2の核酸が、挿入部位の5’側の転写制御エレメントをさらに含む、態様20(b1)に記載のキット。
態様24.前記R2ポリペプチド及び前記核酸が別個の容器に入っている、態様20(a2及びb2)に記載のキット。
態様25.前記核酸が、挿入部位の5’側の転写制御エレメントをさらに含む、態様20(b2)に記載のキット。
態様26.目的の1つ以上の遺伝子産物を真核細胞に送達する方法であって、前記方法が、細胞を、態様1~19のいずれか1項に記載の遺伝子送達媒体システムと接触させることを含み、前記R2ポリペプチド、5’UTR、及び3’UTRが、真核細胞のゲノムの28S領域への異種核酸の挿入を提供する、前記方法。
態様27.前記接触がインビトロである、態様26に記載の方法。
態様28.前記接触がインビボである、態様26に記載の方法。
態様29.前記接触がエクスビボである、態様26に記載の方法。
態様30.前記真核細胞が非ヒト動物細胞である、態様26~29のいずれか1項に記載の方法。
態様31.前記真核細胞がヒト細胞である、態様26~29のいずれか1項に記載の方法。
態様32.前記真核細胞が植物細胞である、態様26~29のいずれか1項に記載の方法。
態様33.前記真核細胞が無脊椎動物細胞である、態様26~29のいずれか1項に記載の方法。
【実施例0128】
以下の実施例は、本発明の作成方法及び使用方法の完全な開示及び記載を当業者に提供するために提示するものであり、本発明者らが考えるそれらの発明の範囲を限定することを意図するものでもなく、また、以下の実験が、実施した全てまたは唯一の実験であることを表すことを意図するものでもない。使用される数値(例えば、量、温度等)に関して正確さを確保する努力がなされているが、いくらかの実験誤差及び偏差が考慮されるべきである。別途示されない限り、部は重量部であり、分子量は重量平均分子量であり、温度は摂氏温度であり、圧力は大気圧であるか、またはそれに近い。標準的な略語、例えば、bpは塩基対(複数可)、kbはキロベース(複数可)、plはピコリットル(複数可)、sまたはsecは秒(複数可)、minは分(複数可)、hまたはhrは時間(複数可)、aaはアミノ酸(複数可)、kbはキロベース(複数可)、bpは塩基対(複数可)、ntはヌクレオチド(複数可)、i.m.は筋肉内の(に)、i.p.は腹腔内の(に)、s.cは皮下の(に)、等が使用され得る。
【0129】
実施例1
カイコ(Bombyx mori)のDNAを基にして、2つのDNAプラスミドを生成した。1つのプラスミドは、タンパク質R2(OR2Bm)のコード配列の最適化されたバージョンを含んでおり、一方、第2のプラスミドは、いずれも完全rDNA転写物の転写を制御する単一のrDNAプロモーターの制御下で、3’から5’方向に配向された導入遺伝子、隣接する5’及び3’非翻訳領域(UTR)を含んでいる。
【0130】
HEK293細胞及びHEK293T細胞に両方のプラスミド構築物をPEIトランスフェクトし、48時間後、ゲノムDNAを抽出し、組み込みの5’接合部から配列決定して、導入遺伝子が正しい部位に組み込まれたこと、及び全長の組み込みが行われたことの両方を確認した(図2)。導入遺伝子カセットをまた、ハイグロマイシン耐性遺伝子を含むように拡張し、次に、これを使用して、組み込み頻度を定量化し、滴定を実行して最も効果的な比率を決定した。UTRと導入遺伝子とを含むプラスミドのトランスフェクションにより、相同駆動組換え(homologous-driven recombination)(HDR)により1%の組み込み効率を得た。OR2プラスミドをコトランスフェクトすると、効率は全細胞集団の4%に増大した。
【0131】
図2:ゲノムDNAは28S rDNAの組み込み接合部をまたいで増幅され、CMVプロモーター下の5’及び3’UTRに隣接する導入遺伝子がOR2Bmあり(レーン1)及びなし(レーン3)で増幅されたときに、特異的なバンドが示された。RNA pol Iプロモーターの制御下にある導入遺伝子カセット(レーン2)は、OR2Bmの存在下でのみ特異的な組み込みバンドを示し、OR2Bmが存在しない場合には示さなかった(レーン4)。
【0132】
図3は、細胞を、OR2なしで、UTRに隣接する導入遺伝子のみトランスフェクトした場合に、バンドが存在しないゲノムDNAから完全長アンプリコンが増幅されたことを示している。
【0133】
細胞に、UTRに隣接する導入遺伝子、またはUTR及びOR2に隣接する導入遺伝子のいずれかをトランスフェクトした。図4は、プロトコルを概略的に示している。3日後、細胞を1:10の比率で継代し、一部を採取してフローサイトメトリーでスクリーニングした。6日後、細胞を1:10の比率で再び継代し、14日目にフローサイトメトリーで細胞をスクリーニングして、導入遺伝子(GFP)の安定な発現を分析した。データを図4に示す。GFP発現を2つのサンプル間で比較し、OR2が、3.4%のGFP陽性細胞の安定な集団の作成を媒介するのに役立つことが示されている。OR2をトランスフェクトした細胞は4倍多くのGFP発現を有した。*はp<0.005を示す。
【0134】
細胞に、様々な量のOR2及び導入遺伝子をトランスフェクトした。次いで、細胞を抗生物質選択(200μg/mLのハイグロマイシンB)の下で2週間維持し、数回の洗浄後に生き残ったコロニーをカウントした。データを図5に提示している。図5に示されるように、OR2が、より高いレベルの持続的発現を媒介することが見出された。*はp<0.005を示す。
【0135】
細胞にCAR-T受容体及びOR2をトランスフェクトし、2週間かけて継代した。図6は、プロトコルを概略的に示している。その後、細胞を当該受容体に対する抗体で標識し、フローサイトメトリーでスクリーニングした。次に、ゲノムDNAを抽出し、完全な転写産物を増幅して、組み込みをさらに確認した。データを図6に提示している。*はp<0.005を示す。
【0136】
実施例2
2つの遺伝子送達構築物を調製する。第1の構築物は、R2レトロトランスポゾンR2ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む組換え発現ベクターである。第2の構築物は、3’から5’方向に配向され、条件付きで活性なCARの2つのポリペプチド鎖をコードする異種ヌクレオチド配列を含む組換え発現ベクターである。異種ヌクレオチド配列は、R2 5’UTR及びR2 3’UTRに隣接している。このR2ポリペプチドは、最適化されたR2(OR2)ポリペプチドである。条件付きで活性なCARの第1のポリペプチド鎖は、以下:i)標的細胞(例えば、がん細胞)上の抗原に特異的に結合する細胞外抗原結合ドメインと、ii)膜貫通ドメインと、iii)二量体化対の第1のメンバーとを含む。条件付きで活性なCARの第2のポリペプチド鎖は、以下:i)膜貫通ドメインと、ii)二量体化対の第2のメンバーと、iii)免疫受容体チロシン活性化モチーフ(ITAM)を含む細胞内シグナル伝達ドメインと、を含み、ここで、この細胞内シグナル伝達ドメインはシグナル伝達活性を提供する。条件付きで活性なCARの第1のポリペプチド、条件付きで活性なCARの第2のポリペプチド、または条件付きで活性なCARの第1及び第2のポリペプチドの両方は、細胞内共刺激ポリペプチドを含む。
【0137】
2つの遺伝子送達構築物を、インビトロでT細胞(例えば、CD8T細胞)に導入し、それにより、T細胞を遺伝子改変する。この遺伝子改変されたT細胞は、個体、例えば、がんを有する個体に投与され、ここで、このがんは、条件付きで活性なCARによって認識される抗原を発現する細胞を含む。
【0138】
実施例3
2つの遺伝子送達構築物を調製する。第1の構築物は、R2レトロトランスポゾンR2ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む組換え発現ベクターである。第2の構築物は、3’から5’方向に配向され、CAR及びsynNotchポリペプチドをコードする異種ヌクレオチド配列を含む組換え発現ベクターである。この異種ヌクレオチド配列は、R2 5’UTR及びR2 3’UTRに隣接している。このR2ポリペプチドは、最適化されたR2(OR2)ポリペプチドである。CARは、synNotchポリペプチドの細胞内シグナル伝達ドメインによって活性化されるプロモーターに機能的に連結されている。
【0139】
実施例4
ヒト胚性腎臓(HEK)293細胞に、以下:i)R2 5’UTR及びR23’UTRに隣接し、UTRに対して3’から5’の方向に配向されているGFP発現構築物(GFPをコードするヌクレオチド配列を含み、このヌクレオチド配列はサイトメガロウイルスプロモーターに機能的に連結されている)を含む2.5μgのプラスミド、及びii)OR2をコードする発現カセットを含む5μgのプラスミドまたはスタッファーDNA(OR2ポリペプチドをコードしない対照DNA)を含む5μgのプラスミドのいずれか、をトランスフェクトした。次に、トランスフェクトされたHEK293細胞を14日間増殖させて、組み込まれていないプラスミドを希釈及び分解した。14日後、トランスフェクトされたHEK293細胞をフローサイトメトリーで定量し、GFP導入遺伝子を組み込んだ細胞の安定した集団を決定した。
【0140】
その結果を図10に示す。OR2及びGFP導入遺伝子を含む構築物をトランスフェクトした細胞のうち、平均して5.6%が、GFPを安定して発現した。対照的に、スタッファー及びGFP導入遺伝子をトランスフェクトした細胞の平均では、1.3%がGFPを発現した。
【0141】
実施例5
HEK293細胞に、以下:i)R2 5’UTR及びR2 3’UTRに隣接し、UTRに対して3’から5’の方向に配向された、HygromycinB(HygB)耐性カセット(ヌクレオチド配列がSV40プロモーターに機能的に連結されたハイグロマイシンBホスホトランスフェラーゼをコードするヌクレオチド配列を含む)を含む0.5μgのプラスミド、及びii)OR2をコードする発現カセットを含む0.5μgのプラスミドまたはスタッファーDNA(OR2ポリペプチドをコードしない対照DNA)を含む0.5μgのプラスミドのいずれか、をトランスフェクトした。トランスフェクトされたHEK293細胞を、200μg/mのハイグロマイシンを含む培地で培養した。トランスフェクトされたHEK293細胞をハイグロマイシン含有培地で14日間増殖させ、組み込まれていないプラスミドを希釈及び分解した。HEK293細胞をメチレンブルーで染色し、次いで手作業でカウントしてコロニー数を定量化した。ここで、各々のコロニーは1つの組み込み事象を表している。
【0142】
その結果を図11に示す。OR2及びHygB耐性カセットをトランスフェクトした細胞で、平均177の組み込み事象が発生した。スタッファー及びHygB耐性カセットをトランスフェクトした細胞では、平均39.33の組み込み事象が発生した。
【0143】
実施例6
HEK293細胞に、以下:i)R2非翻訳領域(R2 5’UTR及びR2 3’UTR)に隣接し、UTRに対して3’から5’の方向に配向された、c-mycタグを有するキメラ抗原受容体(CAR)(CAR-c-myc)をコードする発現構築物を含む2.5μgのプラスミド(この発現構築物はCAR-c-mycをコードするヌクレオチド配列を含み、ここで、このヌクレオチド配列は、EF1-alphaプロモーターに機能的に連結されている)、及びii)OR2の発現カセットを含むプラスミド5μgまたはスタッファーDNA(OR2ポリペプチドをコードしない対照DNA)を含むプラスミド5μgのいずれか、をトランスフェクトした。次に、トランスフェクトされたHEK293細胞を14日間増殖させて、組み込まれていないプラスミドを希釈及び分解した。14日後、トランスフェクトされたHEK293細胞を、c-mycタグの細胞表面発現を染色することによりフローサイトメトリーを介して定量化し、導入遺伝子を組み込んだ細胞の安定した集団を決定した。
【0144】
データを図12に示す。OR2及びCAR-c-myc導入遺伝子を含む構築物をトランスフェクトした細胞のうち、平均して1.85%がc-mycタグを安定して発現していた。対照的に、スタッファー及びGFP導入遺伝子をトランスフェクトした細胞のうち、平均して0.87%がc-mycタグを発現していた。
【0145】
本発明は、その特定の実施形態を参照して記載してきたが、本発明の真の主旨及び範囲から逸脱することなく、様々な変更がなされてもよく、同等物に置き換えられてもよいことが、当業者には理解されるべきである。加えて、特定の状態、材料、組成物、プロセス、プロセスのステップ(複数可)を本発明の目的、主旨、及び範囲に適応させるために、多くの改変がなされてもよい。そのような改変は全て、本明細書に添付される特許請求の範囲に含まれることが意図される。
【0146】
配列情報
SEQUENCE LISTING
<110> The Regents of the University of California
<120> RETROTRANSPOSON-BASED DELIVERY VEHICLE AND METHODS OF USE THEREOF
<150> US 62/697,829
<151> 2018-07-13
<160> 39
<170> PatentIn version 3.5

<210> 1
<211> 22
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Synthetic sequence
<400> 1
Gly Ser Gly Ala Thr Asn Phe Ser Leu Leu Lys Gln Ala Gly Asp Val
1 5 10 15
Glu Glu Asn Pro Gly Pro
20

<210> 2
<211> 21
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Synthetic sequence
<400> 2
Gly Ser Gly Glu Gly Arg Gly Ser Leu Leu Thr Cys Gly Asp Val Glu
1 5 10 15
Glu Asn Pro Gly Pro
20

<210> 3
<211> 23
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Synthetic sequence
<400> 3
Gly Ser Gly Gln Cys Thr Asn Tyr Ala Leu Leu Lys Leu Ala Gly Asp
1 5 10 15
Val Glu Ser Asn Pro Gly Pro
20

<210> 4
<211> 25
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Synthetic sequence
<400> 4
Gly Ser Gly Val Lys Gln Thr Leu Asn Phe Asp Leu Leu Lys Leu Ala
1 5 10 15
Gly Asp Val Glu Ser Asn Pro Gly Pro
20 25

<210> 5
<211> 4
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Synthetic sequence
<220>
<221> Misc_feature
<222> (2)..(3)
<223> Xaa may be any amino acid residue
<220>
<221> Misc_feature
<222> (4)..(4)
<223> Xaa is a hydrophobic amino acid residue
<400> 5
Pro Xaa Xaa Xaa
1

<210> 6
<211> 5
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Synthetic sequence
<220>
<221> Misc_feature
<222> (2)..(3)
<223> Xaa may be any amino acid residue
<220>
<221> Misc_feature
<222> (4)..(4)
<223> Xaa is a hydrophobic amino acid residue
<220>
<221> Misc_feature
<222> (5)..(5)
<223> Xaa is a Ser or Thr residue
<400> 6
Pro Xaa Xaa Xaa Xaa
1 5

<210> 7
<211> 6
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Synthetic sequence
<220>
<221> Misc_feature
<222> (2)..(2)
<223> Xaa is a Lue or Gln amino acid residue
<400> 7
Pro Xaa Gly Met Thr Ser
1 5

<210> 8
<211> 5
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Synthetic sequence
<220>
<221> Misc_feature
<222> (2)..(2)
<223> Xaa is a Leu or Gln residue
<400> 8
Pro Xaa Gly Met Thr
1 5

<210> 9
<211> 7
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Synthetic sequence
<400> 9
Glu Asn Leu Tyr Thr Gln Ser
1 5

<210> 10
<211> 5
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Synthetic sequence
<400> 10
Asp Asp Asp Asp Lys
1 5

<210> 11
<211> 4
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Synthetic sequence
<400> 11
Leu Val Pro Arg
1

<210> 12
<211> 8
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Synthetic sequence
<400> 12
Leu Glu Val Leu Phe Gln Gly Pro
1 5

<210> 13
<211> 10
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Synthetic sequence
<400> 13
Cys Gly Leu Val Pro Ala Gly Ser Gly Pro
1 5 10

<210> 14
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Synthetic sequence
<400> 14
Ser Leu Leu Lys Ser Arg Met Val Pro Asn Phe Asn
1 5 10

<210> 15
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Synthetic sequence
<400> 15
Ser Leu Leu Ile Ala Arg Arg Met Pro Asn Phe Asn
1 5 10

<210> 16
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Synthetic sequence
<400> 16
Ser Lys Leu Val Gln Ala Ser Ala Ser Gly Val Asn
1 5 10

<210> 17
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Synthetic sequence
<400> 17
Ser Ser Tyr Leu Lys Ala Ser Asp Ala Pro Asp Asn
1 5 10

<210> 18
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Synthetic sequence
<400> 18
Arg Pro Lys Pro Gln Gln Phe Phe Gly Leu Met Asn
1 5 10

<210> 19
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Synthetic sequence
<400> 19
Ser Leu Arg Pro Leu Ala Leu Trp Arg Ser Phe Asn
1 5 10

<210> 20
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Synthetic sequence
<400> 20
Ser Pro Gln Gly Ile Ala Gly Gln Arg Asn Phe Asn
1 5 10

<210> 21
<211> 14
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Synthetic sequence
<400> 21
Asp Val Asp Glu Arg Asp Val Arg Gly Phe Ala Ser Phe Leu
1 5 10

<210> 22
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Synthetic sequence
<400> 22
Ser Leu Pro Leu Gly Leu Trp Ala Pro Asn Phe Asn
1 5 10

<210> 23
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Synthetic sequence
<400> 23
Ser Leu Leu Ile Phe Arg Ser Trp Ala Asn Phe Asn
1 5 10

<210> 24
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Synthetic sequence
<400> 24
Ser Gly Val Val Ile Ala Thr Val Ile Val Ile Thr
1 5 10

<210> 25
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Synthetic sequence
<400> 25
Ser Leu Gly Pro Gln Gly Ile Trp Gly Gln Phe Asn
1 5 10

<210> 26
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Synthetic sequence
<400> 26
Lys Lys Ser Pro Gly Arg Val Val Gly Gly Ser Val
1 5 10

<210> 27
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Synthetic sequence
<400> 27
Pro Gln Gly Leu Leu Gly Ala Pro Gly Ile Leu Gly
1 5 10

<210> 28
<211> 31
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Synthetic sequence
<400> 28
His Gly Pro Glu Gly Leu Arg Val Gly Phe Tyr Glu Ser Asp Val Met
1 5 10 15
Gly Arg Gly His Ala Arg Leu Val His Val Glu Glu Pro His Thr
20 25 30

<210> 29
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Synthetic sequence
<400> 29
Gly Pro Gln Gly Leu Ala Gly Gln Arg Gly Ile Val
1 5 10

<210> 30
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Synthetic sequence
<400> 30
Gly Gly Ser Gly Gln Arg Gly Arg Lys Ala Leu Glu
1 5 10

<210> 31
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Synthetic sequence
<400> 31
Ser Leu Ser Ala Leu Leu Ser Ser Asp Ile Phe Asn
1 5 10

<210> 32
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Synthetic sequence
<400> 32
Ser Leu Pro Arg Phe Lys Ile Ile Gly Gly Phe Asn
1 5 10

<210> 33
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Synthetic sequence
<400> 33
Ser Leu Leu Gly Ile Ala Val Pro Gly Asn Phe Asn
1 5 10

<210> 34
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Synthetic sequence
<400> 34
Phe Phe Lys Asn Ile Val Thr Pro Arg Thr Pro Pro
1 5 10

<210> 35
<211> 306
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Synthetic sequence
<400> 35
Pro Pro Gln Ile Glu Glu Ala Cys Glu Leu Pro Glu Cys Gln Val Asp
1 5 10 15
Ala Gly Asn Lys Val Cys Asn Leu Gln Cys Asn Asn His Ala Cys Gly
20 25 30
Trp Asp Gly Gly Asp Cys Ser Leu Asn Phe Asn Asp Pro Trp Lys Asn
35 40 45
Cys Thr Gln Ser Leu Gln Cys Trp Lys Tyr Phe Ser Asp Gly His Cys
50 55 60
Asp Ser Gln Cys Asn Ser Ala Gly Cys Leu Phe Asp Gly Phe Asp Cys
65 70 75 80
Gln Leu Thr Glu Gly Gln Cys Asn Pro Leu Tyr Asp Gln Tyr Cys Lys
85 90 95
Asp His Phe Ser Asp Gly His Cys Asp Gln Gly Cys Asn Ser Ala Glu
100 105 110
Cys Glu Trp Asp Gly Leu Asp Cys Ala Glu His Val Pro Glu Arg Leu
115 120 125
Ala Ala Gly Thr Leu Val Leu Val Val Leu Leu Pro Pro Asp Gln Leu
130 135 140
Arg Asn Asn Ser Phe His Phe Leu Arg Glu Leu Ser His Val Leu His
145 150 155 160
Thr Asn Val Val Phe Lys Arg Asp Ala Gln Gly Gln Gln Met Ile Phe
165 170 175
Pro Tyr Tyr Gly His Glu Glu Glu Leu Arg Lys His Pro Ile Lys Arg
180 185 190
Ser Thr Val Gly Trp Ala Thr Ser Ser Leu Leu Pro Gly Thr Ser Gly
195 200 205
Gly Arg Gln Arg Arg Glu Leu Asp Pro Met Asp Ile Arg Gly Ser Ile
210 215 220
Val Tyr Leu Glu Ile Asp Asn Arg Gln Cys Val Gln Ser Ser Ser Gln
225 230 235 240
Cys Phe Gln Ser Ala Thr Asp Val Ala Ala Phe Leu Gly Ala Leu Ala
245 250 255
Ser Leu Gly Ser Leu Asn Ile Pro Tyr Lys Ile Glu Ala Val Lys Ser
260 265 270
Glu Pro Val Glu Pro Pro Leu Pro Ser Gln Leu His Leu Met Tyr Val
275 280 285
Ala Ala Ala Ala Phe Val Leu Leu Phe Phe Val Gly Cys Gly Val Leu
290 295 300
Leu Ser
305

<210> 36
<211> 358
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Synthetic sequence
<400> 36
Pro Cys Val Gly Ser Asn Pro Cys Tyr Asn Gln Gly Thr Cys Glu Pro
1 5 10 15
Thr Ser Glu Asn Pro Phe Tyr Arg Cys Leu Cys Pro Ala Lys Phe Asn
20 25 30
Gly Leu Leu Cys His Ile Leu Asp Tyr Ser Phe Thr Gly Gly Ala Gly
35 40 45
Arg Asp Ile Pro Pro Pro Gln Ile Glu Glu Ala Cys Glu Leu Pro Glu
50 55 60
Cys Gln Val Asp Ala Gly Asn Lys Val Cys Asn Leu Gln Cys Asn Asn
65 70 75 80
His Ala Cys Gly Trp Asp Gly Gly Asp Cys Ser Leu Asn Phe Asn Asp
85 90 95
Pro Trp Lys Asn Cys Thr Gln Ser Leu Gln Cys Trp Lys Tyr Phe Ser
100 105 110
Asp Gly His Cys Asp Ser Gln Cys Asn Ser Ala Gly Cys Leu Phe Asp
115 120 125
Gly Phe Asp Cys Gln Leu Thr Glu Gly Gln Cys Asn Pro Leu Tyr Asp
130 135 140
Gln Tyr Cys Lys Asp His Phe Ser Asp Gly His Cys Asp Gln Gly Cys
145 150 155 160
Asn Ser Ala Glu Cys Glu Trp Asp Gly Leu Asp Cys Ala Glu His Val
165 170 175
Pro Glu Arg Leu Ala Ala Gly Thr Leu Val Leu Val Val Leu Leu Pro
180 185 190
Pro Asp Gln Leu Arg Asn Asn Ser Phe His Phe Leu Arg Glu Leu Ser
195 200 205
His Val Leu His Thr Asn Val Val Phe Lys Arg Asp Ala Gln Gly Gln
210 215 220
Gln Met Ile Phe Pro Tyr Tyr Gly His Glu Glu Glu Leu Arg Lys His
225 230 235 240
Pro Ile Lys Arg Ser Thr Val Gly Trp Ala Thr Ser Ser Leu Leu Pro
245 250 255
Gly Thr Ser Gly Gly Arg Gln Arg Arg Glu Leu Asp Pro Met Asp Ile
260 265 270
Arg Gly Ser Ile Val Tyr Leu Glu Ile Asp Asn Arg Gln Cys Val Gln
275 280 285
Ser Ser Ser Gln Cys Phe Gln Ser Ala Thr Asp Val Ala Ala Phe Leu
290 295 300
Gly Ala Leu Ala Ser Leu Gly Ser Leu Asn Ile Pro Tyr Lys Ile Glu
305 310 315 320
Ala Val Lys Ser Glu Pro Val Glu Pro Pro Leu Pro Ser Gln Leu His
325 330 335
Leu Met Tyr Val Ala Ala Ala Ala Phe Val Leu Leu Phe Phe Val Gly
340 345 350
Cys Gly Val Leu Leu Ser
355

<210> 37
<211> 1114
<212> PRT
<213> Bombyx mori
<400> 37
Met Met Ala Ser Thr Ala Leu Ser Leu Met Gly Arg Cys Asn Pro Asp
1 5 10 15
Gly Cys Thr Arg Gly Lys His Val Thr Ala Ala Pro Met Asp Gly Pro
20 25 30
Arg Gly Pro Ser Ser Leu Ala Gly Thr Phe Gly Trp Gly Leu Ala Ile
35 40 45
Pro Ala Gly Glu Pro Cys Gly Arg Val Cys Ser Pro Ala Thr Val Gly
50 55 60
Phe Phe Pro Val Ala Lys Lys Ser Asn Lys Glu Asn Arg Pro Glu Ala
65 70 75 80
Ser Gly Leu Pro Leu Glu Ser Glu Arg Thr Gly Asp Asn Pro Thr Val
85 90 95
Arg Gly Ser Ala Gly Ala Asp Pro Val Gly Gln Asp Ala Pro Gly Trp
100 105 110
Thr Cys Gln Phe Cys Glu Arg Thr Phe Ser Thr Asn Arg Gly Leu Gly
115 120 125
Val His Lys Arg Arg Ala His Pro Val Glu Thr Asn Thr Asp Ala Ala
130 135 140
Pro Met Met Val Lys Arg Arg Trp His Gly Glu Glu Ile Asp Leu Leu
145 150 155 160
Ala Arg Thr Glu Ala Arg Leu Leu Ala Glu Arg Gly Gln Cys Ser Gly
165 170 175
Gly Asp Leu Phe Gly Ala Leu Pro Gly Phe Gly Arg Thr Leu Glu Ala
180 185 190
Ile Lys Gly Gln Arg Arg Arg Glu Pro Tyr Arg Ala Leu Val Gln Ala
195 200 205
His Leu Ala Arg Phe Gly Ser Gln Pro Gly Pro Ser Ser Gly Gly Cys
210 215 220
Ser Ala Glu Pro Asp Phe Arg Arg Ala Ser Gly Ala Glu Glu Ala Gly
225 230 235 240
Glu Glu Arg Cys Ala Glu Asp Ala Ala Ala Tyr Asp Pro Ser Ala Val
245 250 255
Gly Gln Met Ser Pro Asp Ala Ala Arg Val Leu Ser Glu Leu Leu Glu
260 265 270
Gly Thr Gly Arg Arg Arg Ala Cys Arg Ala Met Arg Pro Lys Thr Ala
275 280 285
Gly Arg Arg Asn Asp Leu His Asp Asp Arg Thr Ala Ser Ala His Lys
290 295 300
Thr Ser Arg Gln Lys Arg Arg Ala Val Tyr Ala Arg Val Gln Glu Leu
305 310 315 320
Tyr Lys Lys Cys Arg Ser Arg Ala Ala Ala Glu Val Ile Asp Gly Ala
325 330 335
Cys Gly Gly Val Gly His Ser Leu Glu Glu Met Glu Thr Tyr Trp Arg
340 345 350
Pro Ile Leu Glu Arg Val Ser Asp Ala Pro Gly Pro Thr Pro Glu Ala
355 360 365
Leu His Ala Leu Gly Arg Ala Glu Trp His Gly Gly Asn Arg Asp Tyr
370 375 380
Thr Gln Leu Trp Lys Pro Ile Ser Val Glu Glu Thr Lys Ala Ser Arg
385 390 395 400
Phe Asp Trp Arg Thr Ser Pro Gly Pro Tyr Gly Ile Arg Ser Gly Gln
405 410 415
Trp Arg Ala Val Pro Val His Leu Lys Ala Glu Met Phe Asn Ala Trp
420 425 430
Met Ala Arg Gly Glu Ile Pro Glu Val Leu Arg Gln Cys Arg Thr Val
435 440 445
Phe Val Pro Lys Val Glu Arg Pro Gly Gly Pro Gly Glu Tyr Arg Pro
450 455 460
Ile Ser Ile Ala Ser Ile Pro Leu Arg His Phe His Ser Ile Leu Ala
465 470 475 480
Arg Arg Leu Leu Ala Cys Cys Pro Pro Asp Ala Arg Gln Arg Gly Phe
485 490 495
Ile Cys Ala Asp Gly Thr Leu Glu Asn Ser Ala Val Leu Asp Ala Val
500 505 510
Leu Gly Asp Ser Arg Lys Lys Leu Trp Glu Cys His Val Ala Val Leu
515 520 525
Asp Phe Ala Lys Ala Phe Asp Thr Val Ser His Glu Ala Leu Val Glu
530 535 540
Leu Leu Arg Leu Arg Gly Met Pro Val Gln Phe Cys Gly Tyr Ile Ala
545 550 555 560
His Leu Tyr Asp Thr Ala Ser Thr Thr Leu Ala Val Asn Asn Glu Met
565 570 575
Ser Ser Pro Val Lys Val Gly Arg Gly Val Arg Gln Gly Asp Pro Leu
580 585 590
Ser Pro Ile Leu Phe Asn Val Val Met Asp Leu Ile Leu Ala Ser Leu
595 600 605
Pro Glu Arg Val Gly Tyr Arg Leu Glu Met Glu Pro Val Ser Ala Leu
610 615 620
Ala Tyr Ala Asp Asp Leu Val Leu Leu Ala Gly Ser Lys Val Gly Met
625 630 635 640
Gln Glu Ser Ile Ser Ala Val Asp Cys Val Gly Arg Gln Met Gly Leu
645 650 655
Arg Leu Asn Cys Arg Lys Ser Ala Val Leu Ser Met Ile Pro Gly Gly
660 665 670
His Arg Lys Lys His His Tyr Leu Thr Glu Arg Thr Phe Asn Ile Gly
675 680 685
Gly Lys Pro Leu Arg Gln Val Ser Cys Val Glu Arg Trp Arg Tyr Leu
690 695 700
Gly Val Asp Phe Glu Ala Ser Gly Cys Val Thr Leu Glu His Ser Ile
705 710 715 720
Ser Ser Ala Leu Asn Asn Ile Ser Arg Ala Pro Leu Lys Pro Gln Gln
725 730 735
Arg Leu Glu Ile Leu Arg Ala His Leu Ile Pro Arg Phe Gln His Gly
740 745 750
Phe Val Leu Gly Asn Ile Ser Asp Asp Arg Leu Arg Met Leu Asp Val
755 760 765
Gln Ile Arg Lys Ala Val Gly Gln Trp Leu Arg Leu Pro Ala Asp Val
770 775 780
Pro Lys Ala Tyr Tyr His Ala Ala Val Gln Asp Gly Gly Leu Ala Ile
785 790 795 800
Pro Ser Val Arg Ala Thr Ile Pro Asp Leu Ile Val Arg Arg Phe Gly
805 810 815
Gly Leu Asp Ser Ser Pro Trp Ser Val Ala Arg Ala Ala Ala Lys Ser
820 825 830
Asp Lys Ile Arg Lys Lys Leu Arg Trp Ala Trp Lys Gln Leu Arg Arg
835 840 845
Phe Ser Arg Val Asp Ser Thr Thr Gln Arg Pro Ser Val Arg Leu Phe
850 855 860
Trp Arg Glu His Leu His Ala Ser Val Asp Gly Arg Glu Leu Arg Glu
865 870 875 880
Ser Thr Arg Thr Pro Thr Ser Thr Lys Trp Ile Arg Glu Arg Cys Ala
885 890 895
Gln Ile Thr Gly Arg Asp Phe Val Gln Phe Val His Thr His Ile Asn
900 905 910
Ala Leu Pro Ser Arg Ile Arg Gly Ser Arg Gly Arg Arg Gly Gly Gly
915 920 925
Glu Ser Ser Leu Thr Cys Arg Ala Gly Cys Lys Val Arg Glu Thr Thr
930 935 940
Ala His Ile Leu Gln Gln Cys His Arg Thr Arg Gly Gly Arg Ile Leu
945 950 955 960
Arg His Asn Lys Ile Val Ser Phe Val Ala Lys Ala Met Glu Glu Asn
965 970 975
Lys Trp Thr Val Glu Leu Glu Pro Arg Leu Arg Thr Ser Val Gly Leu
980 985 990
Arg Lys Pro Asp Ile Ile Ala Ser Arg Asp Gly Val Gly Val Ile Val
995 1000 1005
Asp Val Gln Val Val Ser Gly Gln Arg Ser Leu Asp Glu Leu His
1010 1015 1020
Arg Glu Lys Arg Asn Lys Tyr Gly Asn His Gly Glu Leu Val Glu
1025 1030 1035
Leu Val Ala Gly Arg Leu Gly Leu Pro Lys Ala Glu Cys Val Arg
1040 1045 1050
Ala Thr Ser Cys Thr Ile Ser Trp Arg Gly Val Trp Ser Leu Thr
1055 1060 1065
Ser Tyr Lys Glu Leu Arg Ser Ile Ile Gly Leu Arg Glu Pro Thr
1070 1075 1080
Leu Gln Ile Val Pro Ile Leu Ala Leu Arg Gly Ser His Met Asn
1085 1090 1095
Trp Thr Arg Phe Asn Gln Met Thr Ser Val Met Gly Gly Gly Val
1100 1105 1110
Gly

<210> 38
<211> 1056
<212> DNA
<213> Bombyx mori
<400> 38
ggccgcctcg tcaacgtgaa gaaattcaag caagcgcggg taaacggcgg gagtaactat 60
gactctctta agcgggagta actatgactc tcttaggggc gatacgcata attttaattt 120
ttcgattcaa atccagtcgt cttaatctgg tgaccagtgg cgcggtcacc agtatagtgc 180
acaggacgtg aatggctccg aggctggcgg agtcactcac tataagtgtg agagacgatg 240
tcctgtgcca agtatacgtc caaccctaac gggttaagtg aaattagttg ctcataacag 300
ggacggtgta cctgtttgct cgtggctggc tatcgaatgg acgggaccaa tacacccccc 360
tgttagtaat ggggtaagag agagcggtct gaaactatgg ccgagatcac gacgccccac 420
tcctacccat aacctgcacg tggtaccgcc gcacattgac cgatacggga ggaggggcag 480
cacttgaatc acgtagtctt ggtgtagcca ttgcgggact acagccctcg taagtgccgc 540
cttagaacgc aacggggcaa taggtgggcc ggggcgctag cgggggggag taatctcccc 600
tgttggcgtg caccgcactg ctccctctgg gggcagtgtc atccggaaac aggtgggccg 660
gggcgccacc aggggggagc aatccctcct gatgatggcg agcaccgcac tgtcccttat 720
gggacggtgt aacccggatg gctgtacacg tggtaaacac gtgacagcag ccccgatgga 780
cggaccgcga ggaccgtcaa gcctagcagg taccttcggg tggggccttg cgatacctgc 840
gggcgaaccc tgtggtcggg tttgcagccc ggccacagtg ggtttttttc ctgttgcaaa 900
aaagtcaaat aaagaaaata gacctgaagc ctctggcctc ccgctggagt cagagaggac 960
aggcgataac ccgactgtgc ggggttccgc cggcgcagat cctgtgggtc aggatgcgcc 1020
tggttggacc tgccagttct gcgaacgaac cttttc 1056

<210> 39
<211> 502
<212> DNA
<213> Bombyx mori
<400> 39
gagttaaggt ccataatcgg gcttcgggaa ccgacactac aaatcgttcc gatactggcg 60
ttgagaggtt cacacatgaa ctggaccagg ttcaatcaga tgacgtccgt catggggggc 120
ggcgttggtt gagccttgca cagtagtcca gcggtaaggg tgtagatcag gcccgtctgt 180
ttctcccccg gagctcgctc ccttggcttc ccttatatat tttaacatca gaaacagaca 240
ttaaacatct actgatccaa tttcgccggc gtacggccac gatcgggagg gtgggaatct 300
cgggggtctt ccgatcctaa tccatgatga ttacgacctg agtcactaaa gacgatggca 360
tgatgatccg gcgatgaaaa tagccaaatg cctcgtcatc taattagtga cgcgcatgaa 420
tggattaacg agattcccac tgtccctatc tactatctag cgaaaccaca gccaagggaa 480
cgggcttggg agaatcagcg gg 502
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【配列表】
2024105564000001.app
【手続補正書】
【提出日】2024-06-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下を含む、遺伝子送達媒体システム:
a)第1の核酸及び第2の核酸であって、
i)該第1の核酸が、R2レトロトランスポゾンR2ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含み、及び
ii)該第2の核酸が、1つ以上の異種遺伝子産物をコードする異種ヌクレオチド配列を含み、ここで、該異種ヌクレオチド配列が、R2レトロトランスポゾン3’非翻訳領域(UTR)及びR2レトロトランスポゾン5’UTRに隣接し、ここで、該異種ヌクレオチド配列が、少なくとも200ヌクレオチドの長さを有する、
前記第1の核酸及び第2の核酸;または
b)ポリペプチド及び核酸であって、
i)該ポリペプチドがR2レトロトランスポゾンR2ポリペプチドであり、及び
ii)該核酸が、1つ以上の異種遺伝子産物をコードする異種ヌクレオチド配列を含み、ここで、該異種ヌクレオチド配列が、R2レトロトランスポゾン3’UTR及びR2レトロトランスポゾン5’UTRに隣接し、ここで、該異種ヌクレオチド配列が、少なくとも200ヌクレオチドの長さを有する、
前記ポリペプチド及び核酸。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】配列表
【補正方法】変更
【補正の内容】
【配列表】
2024105564000001.xml