IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本電気株式会社の特許一覧

特開2024-105572営業支援システム、営業支援方法および営業支援プログラム
<>
  • 特開-営業支援システム、営業支援方法および営業支援プログラム 図1
  • 特開-営業支援システム、営業支援方法および営業支援プログラム 図2
  • 特開-営業支援システム、営業支援方法および営業支援プログラム 図3
  • 特開-営業支援システム、営業支援方法および営業支援プログラム 図4
  • 特開-営業支援システム、営業支援方法および営業支援プログラム 図5
  • 特開-営業支援システム、営業支援方法および営業支援プログラム 図6
  • 特開-営業支援システム、営業支援方法および営業支援プログラム 図7
  • 特開-営業支援システム、営業支援方法および営業支援プログラム 図8
  • 特開-営業支援システム、営業支援方法および営業支援プログラム 図9
  • 特開-営業支援システム、営業支援方法および営業支援プログラム 図10
  • 特開-営業支援システム、営業支援方法および営業支援プログラム 図11
  • 特開-営業支援システム、営業支援方法および営業支援プログラム 図12
  • 特開-営業支援システム、営業支援方法および営業支援プログラム 図13
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024105572
(43)【公開日】2024-08-06
(54)【発明の名称】営業支援システム、営業支援方法および営業支援プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/00 20230101AFI20240730BHJP
【FI】
G06Q10/00
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024079816
(22)【出願日】2024-05-16
(62)【分割の表示】P 2022510305の分割
【原出願日】2020-03-27
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【弁理士】
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】外川 遼介
(57)【要約】      (修正有)
【課題】受注の可能性を高めるために必要なアクションを予測することにより、営業活動を好適に支援する営業支援システム、方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】営業支援システムを、取得部31と、予測部32を備える構成とする。取得部31は、第1の時点における対象顧客に対する営業活動に含まれる複数のアクションの時系列順序を示す営業プロセス時系列データと、対象顧客の顧客属性データと、を取得する。予測部32は、予測モデルと営業プロセス時系列データ及び顧客属性データを用いて、対象顧客に対する営業活動における第1の時点以降のアクションと、アクションを行った場合の対象顧客に対する営業活動の成功確率を予測する。予測モデルは、営業プロセス時系列データおよび営業活動を行った複数の顧客の顧客属性データと、顧客それぞれに対する営業活動の成否とを用いた機械学習によって生成される。
【選択図】図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の時点における対象顧客に対する営業活動に含まれる複数のアクションの時系列順序を示す営業プロセス時系列データと、前記対象顧客の属性に関する顧客属性データと、を取得する取得手段と、
前記第1の時点よりも過去の時点における複数の営業プロセス時系列データと前記複数の営業プロセス時系列データに関する営業活動を行った複数の顧客の属性に関する複数の顧客属性データと前記複数の顧客それぞれに対する営業活動の成否とを用いた機械学習によって生成される予測モデルと、前記取得手段により取得される前記営業プロセス時系列データ及び前記顧客属性データと、を用いて、前記対象顧客に対する営業活動における前記第1の時点以降のアクションと、前記第1の時点以降のアクションを行った場合の前記対象顧客に対する営業活動の成功確率と、を予測する予測手段と、
を備える営業支援システム。
【請求項2】
前記予測手段により予測される、前記対象顧客に対する営業活動における前記第1の時点以降のアクションと、前記第1の時点以降のアクションを行った場合の前記対象顧客に対する営業活動の成功確率と、を含む第1の予測結果を表示するよう表示装置を制御する表示制御手段
をさらに備える請求項1に記載の営業支援システム。
【請求項3】
前記予測手段は、前記第1の予測結果とは異なる、前記対象顧客に対する営業活動における前記第1の時点以降のアクションと、前記第1の時点以降のアクションを行った場合の前記対象顧客に対する営業活動の成功確率と、を予測し、
表示制御手段は、前記第1の予測結果とは異なる、前記対象顧客に対する営業活動における前記第1の時点以降のアクションと、前記第1の時点以降のアクションを行った場合の前記対象顧客に対する営業活動の成功確率とを含む第2の予測結果及び前記第1の予測結果を表示するよう前記表示装置を制御する
請求項2に記載の営業支援システム。
【請求項4】
前記第1の予測結果に対応する、前記対象顧客に対する営業活動に含まれる複数のアクションそれぞれを示すノード及び前記ノードに関する前記複数のアクション間の順序関係を示すエッジから成るグラフに関するグラフ構造データを生成するグラフ生成手段
をさらに備え、
前記表示制御手段は、前記グラフ生成手段により生成されるグラフ構造データを含む予測結果をさらに表示するよう前記表示装置を制御する
請求項2または3に記載の営業支援システム。
【請求項5】
前記エッジは、さらに前記複数のアクション間の時間間隔を示し、
前記表示制御手段は、前記表示装置に表示されるグラフ構造データにおけるノードの選択を受け付けると、当該ノードが示すアクションをグラフ構造データに合わせて表示するよう前記表示装置を制御し、
前記表示制御手段は、前記表示装置に表示されるグラフ構造データにおけるエッジの選択を受け付けると、当該エッジが示す時間間隔を表示するよう前記表示装置を制御する
請求項4に記載の営業支援システム。
【請求項6】
前記第1の時点よりも過去の時点における複数の営業プロセス時系列データと、前記複数の営業プロセス時系列データに関する営業活動を行った複数の顧客の属性に関する複数の顧客属性データと、前記複数の顧客それぞれに対する営業活動の成否とを用いた機械学習によって前記予測モデルを生成する予測モデル生成手段
をさらに備える請求項1から5いずれか一項に記載の営業支援システム。
【請求項7】
前記予測モデル生成手段は、第1の予測結果に基づいて、前記予測モデルを再学習する請求項6に記載の営業支援システム。
【請求項8】
第1の時点における対象顧客に対する営業活動に含まれる複数のアクションの時系列順序を示す営業プロセス時系列データと、前記対象顧客の属性に関する顧客属性データと、を取得し、
前記第1の時点よりも過去の時点における複数の営業プロセス時系列データと前記複数の営業プロセス時系列データに関する営業活動を行った複数の顧客の属性に関する複数の顧客属性データと前記複数の顧客それぞれに対する営業活動の成否とを用いた機械学習によって生成される予測モデルと、前記営業プロセス時系列データ及び前記顧客属性データと、を用いて、前記対象顧客に対する営業活動における前記第1の時点以降のアクションと、前記第1の時点以降のアクションを行った場合の前記対象顧客に対する営業活動の成功確率と、を予測する
営業支援方法。
【請求項9】
前記予測モデルを用いて予測される、前記対象顧客に対する営業活動における前記第1の時点以降のアクションと、前記第1の時点以降のアクションを行った場合の前記対象顧客に対する営業活動の成功確率と、を含む第1の予測結果を表示するよう表示装置を制御する
請求項8に記載の営業支援方法。
【請求項10】
第1の時点における対象顧客に対する営業活動に含まれる複数のアクションの時系列順序を示す営業プロセス時系列データと、前記対象顧客の属性に関する顧客属性データと、を取得する処理と、
前記第1の時点よりも過去の時点における複数の営業プロセス時系列データと前記複数の営業プロセス時系列データに関する営業活動を行った複数の顧客の属性に関する複数の顧客属性データと前記複数の顧客それぞれに対する営業活動の成否とを用いた機械学習によって生成される予測モデルと、前記営業プロセス時系列データ及び前記顧客属性データと、を用いて、前記対象顧客に対する営業活動における前記第1の時点以降のアクションと、前記第1の時点以降のアクションを行った場合の前記対象顧客に対する営業活動の成功確率と、を予測する処理と、
をコンピュータに実行させる営業支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、営業活動において推奨されるアクションを予測する技術に関するものであり、特に、受注の可能性を高めるアクションを予測する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
マーケティング活動および営業活動を支援する営業支援システムが広く用いられている。営業支援システムの1つの機能として、顧客へのアプローチ方法の案を提示する機能が備えられていることがある。そのような顧客へのアプローチ方法の案を提示する技術としては、例えば、特許文献1のような技術が開示されている。
【0003】
特許文献1は、過去の実績に基づいて生成された学習済みモデルを基に、新規の顧客と営業方法を提示する技術に関するものである。特許文献1の学習済みモデルの生成装置は、学習済みモデルを基に新規の顧客が属するセグメントを推定し、セグメントに応じたアプローチ方法を提示している。また、特許文献2には、保守対象の稼働実績から成功確率を算出する営業活動支援システム、特許文献3には、相手先候補の属性等に応じて成功確率を予測する営業活動支援システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-118865号公報
【特許文献2】特開2016-62382号公報
【特許文献3】特開2019-79302号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1、特許文献2および特許文献3の技術は、既に営業活動が開始されている顧客に対して、現時点以降に、どのような営業活動を行えばよいかを提示することはできない。
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するため、受注の可能性を高めるために必要な現時点以降におけるアクションを予測することにより、営業活動の成功確率や売上の向上、営業活動の効率化などの達成を支援することを可能とする営業支援システム、営業支援方法およびプログラム記録媒体を提供することを目的する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上の課題を解決するため、本発明の営業支援システムは、取得部と、予測部を備えている。データ取得部は、第1の時点における対象顧客に対する営業活動に含まれる複数のアクションの時系列順序を示す営業プロセス時系列データと、対象顧客の属性に関する顧客属性データと、を取得する。予測部は、予測モデルと取得部により取得される営業プロセス時系列データ及び顧客属性データと、を用いて、対象顧客に対する営業活動における第1の時点以降のアクションと、第1の時点以降のアクションを行った場合の対象顧客に対する営業活動の成功確率と、を予測する。予測モデルは、第1の時点よりも過去の時点における複数の営業プロセス時系列データと複数の営業プロセス時系列データに関する営業活動を行った複数の顧客の属性に関する複数の顧客属性データと複数の顧客それぞれに対する営業活動の成否とを用いた機械学習によって生成されている。
【0008】
本発明の営業支援方法は、第1の時点における対象顧客に対する営業活動に含まれる複数のアクションの時系列順序を示す営業プロセス時系列データと、対象顧客の属性に関する顧客属性データと、を取得する。本発明の営業支援方法は、予測モデルと営業プロセス時系列データ及び顧客属性データと、を用いて、対象顧客に対する営業活動における第1の時点以降のアクションと、第1の時点以降のアクションを行った場合の対象顧客に対する営業活動の成功確率と、を予測する。予測モデルは、第1の時点よりも過去の時点における複数の営業プロセス時系列データと複数の営業プロセス時系列データに関する営業活動を行った複数の顧客の属性に関する複数の顧客属性データと複数の顧客それぞれに対する営業活動の成否とを用いた機械学習によって生成されている。
【0009】
本発明のプログラム記録媒体は、営業支援プログラムを記録している。営業支援プログラムは、第1の時点における対象顧客に対する営業活動に含まれる複数のアクションの時系列順序を示す営業プロセス時系列データと、対象顧客の属性に関する顧客属性データと、を取得する処理をコンピュータに実行させる。営業支援プログラムは、予測モデルと営業プロセス時系列データ及び顧客属性データと、を用いて、対象顧客に対する営業活動における第1の時点以降のアクションと、第1の時点以降のアクションを行った場合の対象顧客に対する営業活動の成功確率と、を予測する処理をコンピュータに実行させる。予測モデルは、第1の時点よりも過去の時点における複数の営業プロセス時系列データと複数の営業プロセス時系列データに関する営業活動を行った複数の顧客の属性に関する複数の顧客属性データと複数の顧客それぞれに対する営業活動の成否とを用いた機械学習によって生成されている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、受注の可能性を高めるために必要な現時点以降におけるアクションを予測することにより、営業活動の成功確率、売上の向上、営業活動の効率化など、営業活動を好適に支援することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第1の実施形態の営業支援システムの構成を示す図である。
図2】本発明の第1の実施形態の予測モデル生成装置の構成を示す図である。
図3】本発明の第1の実施形態のグラフの例を模式的に示す図である。
図4】本発明の第1の実施形態の予測装置の構成を示す図である。
図5】本発明の第1の実施形態の予測モデル生成装置の動作フローを示す図である。
図6】本発明の第1の実施形態の入力データの例を示す図である。
図7】本発明の第1の実施形態の入力データの例を示す図である。
図8】本発明の第1の実施形態の入力データの例を示す図である。
図9】本発明の第1の実施形態の予測装置の動作フローを示す図である。
図10】本発明の第1の実施形態の予測結果の例を示す図である。
図11】本発明の第2の実施形態の営業支援システムの構成を示す図である。
図12】本発明の第2の実施形態の営業支援システムの動作フローを示す図である。
図13】本発明の他の構成の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態について図を参照して詳細に説明する。図1は、本実施形態の営業支援システムの構成の概要を示す図である。本実施形態の営業支援システムは、予測システム100と、営業データ管理サーバ300を備えている。予測システム100と、営業データ管理サーバ300は、ネットワークを介して接続されている。
【0013】
本実施形態の営業支援システムは、現時点、すなわち、予測時点までに既に実行した営業活動の活動履歴から、受注の可能性の高い予測時点以降の営業プロセスを、予測モデルを用いて予測するシステムである。営業プロセスとは、営業活動における顧客への最初のアクションから受注または失注の結果が出るまでに行われる一連のアクションの時系列順序のことをいう。また、営業プロセスには、マーケティング段階における顧客へのアプローチおよびアクションが含まれていてもよい。また、アクションとは、顧客に対して営業担当者が行う個々の営業行動である。例えば、アクションは、顧客に対するセミナ開催、顧客に対する電話、顧客に対するメルマガ送信、顧客に対するヒアリング、顧客への訪問、顧客との議論、顧客との交渉・商談(価格交渉や製品の提案を含む。)、顧客に対する製品やシステムのデモンストレーション、展示会招待、工場見学、顧客との懇親会、を含むが、これらに限定されず、一般的な営業活動の一環で行われるあらゆる行動を含む。
【0014】
尚、本実施形態における営業支援システムは、受注の可能性の高い営業プロセスに限らず、現時点以降に取るべきアクションを含む営業プロセスを予測することができる。例えば、本実施形態における営業支援システムは、受注可能性の低いアクションを含む営業プロセスを予測することも可能である。これにより、営業担当者に対する教育を行うことができる。以降、本明細書では、「受注の可能性の高い営業プロセス」は、「現時点以降に取るべきアクションを含む営業プロセス」や「受注可能性の低いアクションを含む営業プロセス」をも意味する言葉として使用する。
【0015】
予測システム100は、予測モデル生成装置10と、予測装置20を備えている。予測モデル生成装置10と、予測装置20は、ネットワークを介して接続されている。また、予測モデル生成装置10と、予測装置20は、一体の装置として形成されていてもよい。また、予測モデル生成装置10と予測装置20を構成する各部の機能は、互いに異なる装置で実現されてもよい。
【0016】
予測モデル生成装置10の構成について説明する。図2は、予測モデル生成装置10の構成を示す図である。予測モデル生成装置10は、取得部11と、記憶部12と、グラフデータ生成部13と、予測モデル生成部14と、予測モデル記憶部15と、予測モデル出力部16を備えている。予測モデル生成装置10は、既に行っている営業活動の活動履歴から、受注の可能性の高い予測時点以降の営業プロセスを予測する際に用いる予測モデルを生成する装置である。
【0017】
取得部11は、予測モデルの生成に用いるデータを取得する。取得部11は、予測モデルの生成に用いるデータとして、過去において営業活動の対象となった顧客の識別情報、顧客の属性および受注成否のデータを取得する。取得部11は、例えば、顧客の識別情報として顧客の社名のデータを取得し、顧客の属性としての顧客の業種のデータを取得する。
【0018】
取得部11は、過去の営業活動について、顧客への最初のアプローチから受注の成否の結果の確定までの案件ごとの活動履歴のデータを営業データ管理サーバ300から取得する。活動履歴のデータは、案件ごとの営業活動で行われたアクションと、各アクションが実行された日時の情報を含む。すなわち、活動履歴のデータは、営業活動で行われた複数のアクションの時系列順序を示すデータである。
【0019】
尚、以降、本明細書では、「活動履歴のデータ」を、「営業プロセス時系列データ」ともいう。
【0020】
記憶部12は、取得部11から入力された各データを記憶する。
【0021】
グラフデータ生成部13は、営業プロセス時系列データから、当該営業プロセス時系列データに関する営業プロセスを示すグラフをグラフ構造データとして生成する。グラフデータ生成部13により生成されるグラフは、営業活動における各アクションを示すノードと、当該営業活動における各アクション間の順序関係を示すエッジによって構成される。グラフ構造データは、営業活動における各アクションの時系列順序を示す。具体的には、グラフ構造データは、それを構成するエッジの長さにより、当該エッジの両端のノードが表すアクション間の順序及び時間間隔を示すことができる。グラフにおけるノード間にエッジがない場合、当該ノードが表すアクション間には順序関係がないことを示す。すなわち、グラフ構造を構成するエッジは、順序関係がないアクションを表すノード間には張られない。そのため、グラフ構造データは、営業プロセスを示したものとなる。営業活動におけるアクションには、具体的な商品の販売等の営業活動を開始していないマーケティング段階におけるアクションが含まれていてもよい。
【0022】
図3は、グラフデータ生成部13が生成するグラフの例を模式的に示している。図3は、複数の案件の活動履歴から生成されたグラフを1つのグラフとして示している。図3の白の丸は、ノードとして設定されている営業プロセスにおける各アクションを示している。図3の黒の丸は、案件ごとの最初のアクション、すなわち、対象となる案件の営業活動において、最初に顧客と接する際のアクションを示している。また、対象となる案件の営業活動において、最初に顧客と接する際のアクションは、エントリポイントともいう。
【0023】
予測モデル生成部14は、グラフ構造データ、グラフを構成するノードに関する属性データおよび営業活動の成否を示すラベルを基に、受注の可能性の高い営業プロセスを予測するための予測モデルを生成する。予測モデル生成部14は、活動履歴から生成されたグラフ構造データと、顧客の業種を学習データ、営業活動の結果である受注の成否をラベルとして用いた機械学習によって予測モデルを生成する。予測モデル生成部14は、NN(Neural Network)やディープラーニング(深層学習)を用いた機械学習によって、グラフの特徴量を算出することで予測モデルを生成する。予測モデルは、教師あり学習、教師なし学習、半教師あり学習または強化学習など、どのような機械学習手法を用いて生成されてもよい。
【0024】
予測モデル生成部14は、例えば、STAR法によってグラフの特徴量を算出することで予測モデルを生成する。STAR法は、複数の時点におけるグラフ構造データを入力として、グラフの特徴量を算出することで予測モデルを生成する。STAR法の詳細は、Dongkuan Xu et al., " Spatio-Temporal Attentive RNN for Node Classification in Temporal Attributed Graphs", Proceedings of the Twenty-Eighth International Joint Conference on Artificial Intelligence (IJCAI-19), [2020年2月27日検索] Internet <URL: https://www.ijcai.org/Proceedings/2019/0548.pdf>に記載されている。
【0025】
予測モデル生成部14は、TGNet法によってグラフの特徴量を算出することで予測モデルを生成してもよい。TGNet法は、動的データおよび静的データと、ラベルデータを入力として機械学習を行い、学習済みモデルを生成する。TGNet法の詳細は、Qi Song, et al., "TGNet: Learning to Rank Nodes in Temporal Graphs", Proceedings of the 27th ACM International Conference on Information and Knowledge Management, p.97-106に記載されている。
【0026】
予測モデル生成部14は、例えば、Netwalk法などの特徴量を抽出する手法を用いて特徴量を抽出し、InerHAT法などの特徴量の分析を行う手法を組み合わせることで予測モデルを生成してもよい。Netwalk法の詳細は、Wenchow Yu, et al., "NetWalk: A Flexible Deep Embedding Approach for Anomaly Detection in Dynamic Networks", KDD 2018, p.2672-2681に記載されている。また、InerHAT法の詳細は、Zeyu Li, et al., "Interpretable Click-Through Rate Prediction through Hierarchical Attention", WSDM 2020: The Thirteenth ACM International Conference on Web Search and Data Miningに記載されている。また、InerHAT法に代えてGradient Boosting法などの予測技術を用いてもよい。予測モデル生成部14は、グラフデータを解析し、特徴パターンを抽出する手法であれば、他の手法を用いて予測モデルを生成してもよい。
【0027】
予測モデル記憶部15は、予測モデル生成部14が生成した予測モデルを記憶する。
【0028】
予測モデル出力部16は、予測モデル記憶部15に記憶されている予測モデルを予測装置20に出力する。
【0029】
取得部11、グラフデータ生成部13、予測モデル生成部14および予測モデル出力部16における各処理は、CPU(Central Processing Unit)上でコンピュータプログラムを実行することで行われる。また、CPUにGPU(Graphics Processing Unit)が組み合わされていてもよい。
【0030】
記憶部12および予測モデル記憶部15は、例えば、ハードディスクドライブを用いて構成されている。記憶部12および予測モデル記憶部15は、不揮発性の半導体記憶装置または複数の種類の記憶装置の組み合わせによって構成されていてもよい。
【0031】
予測装置20の構成について説明する。図4は、予測装置20の構成を示す図である。予測装置20は、取得部21と、予測モデル記憶部22と、グラフ生成部23と、予測部24と、予測理由生成部25と、表示制御部26を備えている。
【0032】
取得部21は、受注の可能性の高い営業プロセスを、予測モデルを用いて予測する際の入力データを取得する。取得部21は、受注の可能性の高い営業プロセスの予測に用いる入力データとして、予測対象の営業活動のうち、現時点、すなわち予測を行うまでに実行されたアクションについての活動履歴のデータを取得する。また、取得部21は、営業対象となる顧客の業種を顧客属性データとして取得する。尚、顧客属性データは、営業対象となる顧客の属性に関するデータであり、営業対象となる顧客の業種に限定されない。例えば、顧客属性データは、顧客の業種、売上高、年間利益、従業員数、購入実績、営業所または工場の所在地、構成員に関する情報、居住地、などに関するデータであるが、これらに限定されず、顧客の属性に関するデータであればどのようなデータでもよい。また、顧客属性データは、上述した情報の少なくとも一つを含むデータであってもよい。
【0033】
予測モデル記憶部22は、予測モデル生成装置10が生成した予測モデルを記憶している。
【0034】
グラフ生成部23は、現時点までの活動履歴のデータからグラフ構造データを生成する。活動履歴から生成されるグラフ構造データは、営業プロセスにおける各アクションを示すノードと、連続した2つのアクション間接続することで営業プロセスにおける各アクションの時系列の順序を示すエッジによって構成されている。
【0035】
予測部24は、予測モデル記憶部22に記憶されている予測モデルに基づいて、入力データから受注の可能性の高い営業プロセスを予測する。予測部24は、営業対象の顧客に対してそれまでに行った営業活動の活動履歴に基づくグラフ構造データと、グラフ構造データのノードに対応する属性データの営業対象の顧客の業種を入力とし、予測モデルを用いて、受注の可能性の高い営業プロセスを予測する。受注の可能性の高い営業プロセスとは、受注の可能性を高めることができる現時点以降のアクションと各アクションの順序を示す情報のことをいう。
【0036】
予測理由生成部25は、予測部24による予測の理由を生成する。
【0037】
表示制御部26は、予測の理由が付加された予測結果を表示するように予測装置20が有する表示部(不図示)または予測装置20の外部にある表示装置を制御する。また、表示制御部26は、予測結果を利用する利用者の端末に予測の理由を付加した予測結果を送信することで表示装置への表示を制御してもよいが、表示制御方法はこれに限定されない。これにより、本願発明は、営業担当者に対して現時点以降のアクションに加えてその理由を提示することにより、営業活動をより好適に支援することができる。
【0038】
尚、表示制御部26は、予測結果だけを表示装置に表示するように当該表示装置を制御してもよい。予測結果を表示だけでも、営業担当者に対して現時点以降のアクションに加えてその理由を提示することにより、営業活動を好適に支援することができる。
【0039】
取得部21、グラフ生成部23、予測部24、予測理由生成部25および表示制御部26における各処理は、CPU上でコンピュータプログラムを実行することで行われる。
【0040】
予測モデル記憶部22は、例えば、ハードディスクドライブを用いて構成されている。予測モデル記憶部22は、不揮発性の半導体記憶装置または複数の種類の記憶装置の組み合わせによって構成されていてもよい。
【0041】
図1において、営業データ管理サーバ300は、営業活動ごとの活動履歴のデータを管理している。活動履歴のデータは、例えば、営業担当者によって、端末装置を介して入力されたデータが用いられる。活動履歴のデータは、営業日誌から抽出されたデータであってもよい。例えば、営業データ管理サーバ300は、営業担当者が、「3月2日にX社にメールで商品Aを紹介」と記載した営業日誌から、日時である「3月2日」と、営業活動の対象である「X社」と、営業活動におけるアクションを示す「メール」を活動履歴のデータとして抽出してもよい。営業データ管理サーバ300は、活動履歴のデータを予測モデル生成装置10に送信する。
【0042】
<学習フェーズ>
本実施形態の営業支援システムの動作について説明する。始めに、受注の可能性の高い営業プロセスを予測する際に用いる予測モデルを生成する際の動作について説明する。図5は、予測モデル生成装置10が受注の可能性の高い営業プロセスを予測するための予測モデルを生成する際の動作フローを示す図である。
【0043】
取得部11は、属性データとして用いる過去に行われた複数の営業活動において対象となった顧客の業種と、営業活動ごとの受注の成否のデータを取得する(ステップS11)。受注の成否のデータは、当該営業活動ごとの受注が成功したかまたは失敗したかを示す情報である。取得部11による取得される各データは、作業者によって入力されてもよく、各データを有する他のサーバから取得されてもよい。取得部11は、営業データ管理サーバ300から営業活動ごとの受注の有無の実績を示す情報を取得してもよい。各データを取得すると、取得部11は、取得した各データを記憶部12に記憶する。
【0044】
図6は、属性データとして用いる顧客の情報の一例を示す図である。図6の例では、属性データは、顧客の社名と業種を含む。また、図7は、ラベルとして用いる受注成否のデータの一例を示す図である。図7の例では、受注成否データは、活動履歴の識別情報である活動履歴番号と、顧客の社名と、営業を行った商材と、受注成否の結果を含む。
【0045】
取得部11は、営業データ管理サーバ300から営業活動ごとの活動履歴のデータを営業プロセス時系列データとして取得する(ステップS12)。営業プロセス時系列データを取得すると、取得部11は、取得した営業プロセス時系列データを記憶部12に記憶する。
【0046】
図8は、営業プロセス時系列データの一例を示す図である。図8の営業プロセス時系列データでは、活動履歴の識別情報である活動履歴番号と、営業活動において各アクションを行った日付が紐付いている。図8の活動履歴番号は、図7の活動履歴番号と対応している。
【0047】
記憶部12に営業プロセス時系列データが記憶されると、グラフデータ生成部13は、営業プロセス時系列データを基にグラフ構造データを生成する(ステップS13)。グラフ構造データを生成すると、グラフデータ生成部13は、生成したグラフ構造データを予測モデル生成部14に送る。
【0048】
グラフ構造データが入力されると、予測モデル生成部14は、予測モデルの生成に用いる各データを記憶部12から読み出す。各データを読み出すと、複数の活動履歴に基づいたグラフ構造データと、顧客の属性データである複数の顧客それぞれの業種を入力データとし、営業活動ごとの受注の成否をラベルとして用いた、機械学習を行い受注の可能性が高い営業プロセスを予測するための予測モデルを生成する(ステップS14)。
【0049】
予測モデルを生成すると、予測モデル生成部14は、生成した予測モデルを学習済みモデルとして予測モデル記憶部15に記憶する。予測モデルが記憶されると、予測モデル出力部16は、予測モデルを予測装置20に出力する(ステップS15)。予測装置20に入力された予測モデルは、予測モデル記憶部22に記憶される。
【0050】
予測モデル生成装置10が生成した予測モデルは、再学習によって更新されてもよい。例えば、予測モデル生成部14は、予測結果に基づいて行った活動履歴から生成したグラフのデータと、顧客の業種を入力データ、受注の獲得の有無を当該入力データのラベルとして再学習を行って、予測モデル記憶部15の予測モデルを更新する。そのように、予測結果を基に再学習を行うことで、学習済みモデルによる予測精度が向上する。また、予測モデル生成部14は、当該入力データおよびラベルを用いて新たに予測モデルを生成してもよい。
【0051】
<予測フェーズ>
次に予測装置20において、受注の可能性が高い営業プロセスを予測する際の動作について説明する。図9は、予測装置20において、受注の可能性が高い営業プロセスを予測モデルを用いて予測する際の動作フローを示す図である。
【0052】
取得部21は、予測の対象となる営業活動の現時点までに行われた活動履歴を示す営業プロセス時系列データと、営業活動を行っている顧客の業種を含む顧客属性データを取得する(ステップS21)。取得部21が営業プロセス時系列データと顧客属性データを取得すると、グラフ生成部23は、現時点までの営業プロセス時系列データからグラフ構造データを生成する(ステップS22)。グラフ構造データを生成すると、グラフ生成部23は、生成したグラフ構造データと、予測対象の顧客の業種のデータを予測部24に送る。活動履歴のグラフ構造データを受け取ると、予測部24は、予測モデル記憶部22に記憶されている予測モデルを用いて、活動履歴のグラフ構造データと、属性データである対象の顧客の業種を入力として、受注の可能性が高い営業プロセスと、受注の成功確率を予測する(ステップS23)。受注の可能性が高い営業プロセスを予測すると、予測部24は、受注の可能性が高い営業プロセスのデータと、受注の成功確率を予測結果として予測理由生成部25に送る。成功確率は、現時点までに行ったアクションと各候補との類似度と、各候補における受注実績に基づいて算出される。予測結果には、受注の可能性が高い営業プロセスのデータと、受注獲得への寄与度が他のエッジよりも高いエッジの情報と、成功確率の情報が含まれている。
【0053】
予測結果を受け取ると、予測理由生成部25は、予測の理由を抽出する(ステップS24)。予測の理由は、予測部24による予測の理由を利用者に提示するための情報である。例えば、予測理由生成部25は、予測結果に含まれる営業プロセスのデータから受注成功への寄与度の高いエッジを抽出し、当該抽出したエッジの両端のノードに対応するアクションが受注に重要なアクションであるとして、それを含むことを予測の理由として提示する。
【0054】
予測の理由を抽出すると、予測理由生成部25は、予測の理由を表示制御部26に出力する。
【0055】
予測結果と予測の理由を受け取ると、表示制御部26は、表示装置を制御して予測結果と予測の理由を当該表示装置に表示する(ステップS25)。表示制御部26は、予測結果を利用する利用者の端末の表示装置に予測結果と予測の理由が表示されるように、利用者の端末への予測結果と予測の理由のデータの送信を制御してもよい。
【0056】
図10は、予測結果の表示データの一例を示す図である。図10の予測結果の表示データは、予測時点までの活動履歴を示す実行済みアクション、今後、行うべきアクションとその順序を示す推奨プロセスの候補、成功確率および各推奨プロセスの候補が選択された理由によって構成されている。成功確率は、現時点までに行ったアクションと各候補との類似度と、各候補における受注実績に基づいて算出され、受注獲得の可能性を示す指標である。また、図10は、予測結果として、受注可能性の高い営業プロセスの候補が複数、示されている例を示している。
【0057】
図10の最上段の候補では、受注の可能性が高いとの予測の理由として、同業者で受注実績が高いこと、展示会から懇親会の順序で行うことが受注成功への寄与が大きいことが示されている。このように、予測結果として複数の営業プロセスの候補と、受注可能性が高いと予測した際の理由を示すことで、予測結果の利用者は、営業対象の顧客に適用する営業プロセスを、予測理由を参照して選択することができる。また、図10では、受注可能性の高い営業プロセスとして複数の候補が示されている。例えば、最上段に示された営業プロセスを第1の予測結果とすると、その下段に第2の予測結果として第1の予測結果の次に受注の成功確率が高い営業プロセスが示される。
【0058】
予測の理由には、予測に用いた属性データの名称がそのまま用いられてもよい。予測結果に対して、例えば、顧客の業種が製造業であることの寄与が大きいとき、予測理由生成部25は、例えば、顧客の業種が製造業であることを予測の理由として抽出してもよい。また、予測理由生成部25は、あらかじめ定義されたテンプレートを基に予測理由を提示してもよい。予測理由生成部25は、例えば、「XXのお客様に適している営業プロセスであるため」などの予測理由のテンプレートを保持し、業種が「製造業」であったときに受注の成功確率が高いときに「製造業のお客様に適している営業プロセスであるため」という予測の理由を当該テンプレートから生成してもよい。
【0059】
図10のように予測結果を表示する際に、表示画面上でノードにマウスカーソルを置いたとき(合わせたとき)にのみノードが示すアクションが表示(ポップアップ表示)されるようにしてもよい。また、表示画面上のノードの部分のクリックまたはタップが行われた際に、ノードが示すアクションが表示されるようにしてもよい。また、受注可能性の高い営業プロセスまたは受注成功への寄与度の高いアクション部分が画面上において強調して表示されるようにしてもよい。強調する表示は、例えば、太線太字、色、フラッシュまたはアニメーション表示における動きの大小によって行われる。これにより、ユーザに対する視認性を向上させることができる。
【0060】
上記の説明では、予測モデルの生成の際に用いるグラフ構造データのエッジは、アクションの順序のみを示しているが、エッジにアクション間の時間の長さが含まれていてもよい。すなわち、グラフ生成部23は、エッジにアクション間の時間の長さの情報を含むグラフ構造データを生成することができる。このように、エッジにアクション間の時間の長さの情報を含むグラフ構造データを用いて生成した予測モデルを用いて予測を行うことで、各アクションを行う適切なタイミングについても予測することが可能になる。また、図10のように予測結果を表示する際に、表示画面上でエッジにカーソルを置くと、エッジが示す時間間隔、すなわち、各アクション間の時間間隔が表示されるようにしてもよい。また、表示画面上において、エッジの部分のクリックまたはタップが行われた際に、エッジが示す時間間隔が表示されるようにしてもよい。これにより、営業担当者などのユーザに対して、予測された各アクションを行う適切なタイミングを提示することにより、営業活動の成功確率の向上や効率化を図ることができる。
【0061】
上記の説明では、予測モデルの生成を行う際に、属性データとして営業活動を行う対象の顧客の業種の情報を入力としているが、顧客の属性データは、入力データとして用いられなくてもよい。予測モデルの生成の際に顧客の属性データである顧客の業種を入力として用いない場合には、受注可能性の高い営業プロセスの予測は、予測時点までの活動履歴と、過去の営業活動において受注の成功確率が高い営業プロセスとの類似性のみによって行われる。
【0062】
また、予測モデルの生成および予測を行う際の顧客属性データには、顧客の業種の情報に代えて、顧客の業種、売上高、年間利益、従業員数、購入実績、営業所または工場の所在地、家族構成、居住地のうち1つまたは複数の属性の情報が入力データとして用いられてもよい。また、上記の顧客属性データは、顧客の業種を示す顧客属性データに加えて用いられてもよい。
【0063】
予測モデルの生成および予測を行う際の属性データには、顧客の属性データに代えて、営業対象の商品もしくはサービスの分類、営業対象の商品もしくはサービス、営業対象の顧客の売上高、営業担当者、営業担当者の役職、または営業担当者の階級などの営業活動の対象となる企業または営業担当者のうち1つまたは複数の属性の情報が入力データとして用いられてもよい。また、上記の属性データは、顧客の属性データに加えて用いられてもよい。また、これらの営業活動の対象となる顧客または営業担当者の属性データを予測モデルの生成に用いた場合には、予測段階においても属性データとして入力に用いることができる。
【0064】
予測の理由には、営業プロセスに含まれる2つのアクションの順番に代えて、顧客の業種、売上高、年間利益、従業員数、購入実績、営業対象の商品もしくはサービスの分類、営業対象の商品もしくはサービス、営業対象の顧客の売上高、営業担当者、営業担当者の役職のうち、少なくとも一つの項目が含まれていてもよい。
【0065】
本実施形態の営業支援システムは、予測モデル生成装置10において活動履歴のデータを基にグラフ構造データを生成し、時系列のデータであるグラフ構造データと、属性データである顧客の業種を入力として機械学習によって予測モデルを生成している。また、本実施形態の営業支援システムは、生成した予測モデルを基に予測装置20において現在、実行中の営業活動の現時点までの活動履歴から、受注の可能性の高い営業プロセスを予測している。本実施形態の営業支援システムは、活動履歴のグラフ構造データを基に生成された予測モデルを用いて予測を行うことで、現在、行っている営業活動の履歴との類似度から受注の可能性の高い営業プロセスを予測することができる。現在、行っている営業活動の履歴との類似度から受注の可能性の高い営業プロセスを予測することで、本実施形態の営業支援システムは、現時点以降において受注のために行うべき今後のアクションの候補を提示することができる。そのため、本実施形態の営業支援システムは、営業活動において受注の可能性を高めるために必要な現時点以降におけるアクションを予測することができる。その結果、本実施形態の営業支援システムは、営業活動の成功確率、売上の向上、営業活動の効率化など、営業活動を好適に支援することができる。
【0066】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態について図を参照して詳細に説明する。図11は、本実施形態の営業支援システムの構成の概要を示す図である。本実施形態の営業支援システムは、取得部31と、予測部32を備えている。尚、本実施形態の営業支援システムでは、取得部31と予測部32が単一の装置に備えられてもよいし、それぞれが異なる装置に備えられてもよい。
【0067】
取得部31は、第1の時点における対象顧客に対する営業活動に含まれる複数のアクションの時系列順序を示す営業プロセス時系列データと、対象顧客の属性に関する顧客属性データと、を取得する。具体的に第1の時点とは、営業活動におけるアクションと、成功確率を予測する時点のことをいう。すなわち、取得部31は、予測する時点までの対象顧客に対して行われた営業活動に含まれるアクションを時系列で示すデータを営業プロセス時系列データとして取得する。取得部31は、取得手段の一例である。また、取得部31の一例は、第1の実施形態の予測装置20の取得部21である。
【0068】
予測部32は予測モデルと取得部31により取得される営業プロセス時系列データ及び顧客属性データと、を用いて、対象顧客に対する営業活動における第1の時点以降のアクションと、第1の時点以降のアクションを行った場合の対象顧客に対する営業活動の成功確率と、を予測する。予測モデルは、第1の時点よりも過去の時点における複数の営業プロセス時系列データと複数の営業プロセス時系列データに関する営業活動を行った複数の顧客の属性に関する複数の顧客属性データと複数の顧客それぞれに対する営業活動の成否とを用いた機械学習によって生成されている。予測部32は、予測手段の一例である。また、予測部32の一例は、第1の実施形態の予測装置20の予測部24である。
【0069】
本実施形態の営業支援システムの動作について説明する。図12は、本実施形態の営業支援システムの動作フローを示す図である。始めに、取得部31は、第1の時点における対象顧客に対する営業活動に含まれる複数のアクションの時系列順序を示す営業プロセス時系列データと、対象顧客の属性に関する顧客属性データを取得する(ステップS31)。具体的に、取得部31は、営業活動のうち第1の時点までに既に実行されているアクションの順序を時系列で示す営業プロセス時系列データと、営業の対象顧客の顧客属性データと取得する。営業プロセス時系列データと顧客属性データを取得すると、予測部32は、予測モデルと、営業プロセス時系列データ及び顧客属性データを用いて、対象顧客に対する営業活動における第1の時点以降のアクションと、第1の時点以降のアクションを行った場合の対象顧客に対する営業活動の成功確率を予測する(ステップS32)。具体的に、予測部32は、営業プロセス時系列データと顧客属性データを入力として、予測モデルを用いて、予測時点である第1の時点以降における営業活動について、受注の成功確率の高いアクションを予測する。
【0070】
本実施形態の営業支援システムは、予測モデルに、予測時点である第1の時点までの活動履歴と顧客の属性を入力することで、受注成功の可能性の予測時点以降の営業活動におけるアクションを予測している。また、予測モデルは、予測を行う第1の時点よりも過去の営業活動の活動履歴である営業プロセス時系列データと、対象顧客の属性を基に生成されている。よって、本実施形態の営業支援システムは、予測時点以降の営業活動における成功確率の高いアクションを予測することができる。そのため、本実施形態の営業支援システムは、受注の可能性を高めるために必要な現時点以降におけるアクションを予測することができる。
【0071】
第1の実施形態の予測モデル生成装置10および予測装置20における各処理は、コンピュータプログラムをコンピュータで実行することによって行うことができる。図13は、予測モデル生成装置10および予測装置20における各処理を行うコンピュータプログラムを実行するコンピュータ40の構成の例を示したものである。コンピュータ40は、CPU41と、メモリ42と、記憶装置43と、入出力I/F(Interface)44と、通信I/F45を備えている。また、第1の実施形態の営業データ管理サーバ300、第2の実施形態の営業支援システムにおける各処理も、同様にコンピュータ70のようなコンピュータでコンピュータプログラムを実行することによって行うことができる。
【0072】
CPU41は、記憶装置43から各処理を行うコンピュータプログラムを読み出して実行する。コンピュータプログラムを実行する演算処理部は、CPU41に代えて、CPUとGPUとの組み合わせによって構成されていてもよい。メモリ42は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等によって構成され、CPU41が実行するコンピュータプログラムや処理中のデータが一時的に記憶される。記憶装置43は、CPU41が実行するコンピュータプログラムを記憶している。記憶装置43は、例えば、不揮発性の半導体記憶装置によって構成されている。記憶装置43には、ハードディスクドライブ等の他の記憶装置が用いられてもよい。入出力I/F44は、作業者からの入力の受付および表示データ等の出力を行うインタフェースである。通信I/F45は、営業支援システム内の各装置および利用者の端末等との間でデータの送受信を行うインタフェースである。
【0073】
また、各処理の実行に用いられるコンピュータプログラムは、記録媒体に格納して頒布することもできる。記録媒体としては、例えば、データ記録用磁気テープや、ハードディスクなどの磁気ディスクを用いることができる。また、記録媒体としては、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)等の光ディスクを用いることもできる。不揮発性の半導体記憶装置を記録媒体として用いてもよい。
【0074】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0075】
[付記1]
第1の時点における対象顧客に対する営業活動に含まれる複数のアクションの時系列順序を示す営業プロセス時系列データと、前記対象顧客の属性に関する顧客属性データと、を取得する取得手段と、
前記第1の時点よりも過去の時点における複数の営業プロセス時系列データと前記複数の営業プロセス時系列データに関する営業活動を行った複数の顧客の属性に関する複数の顧客属性データと前記複数の顧客それぞれに対する営業活動の成否とを用いた機械学習によって生成される予測モデルと、前記取得手段により取得される前記営業プロセス時系列データ及び前記顧客属性データと、を用いて、前記対象顧客に対する営業活動における前記第1の時点以降のアクションと、前記第1の時点以降のアクションを行った場合の前記対象顧客に対する営業活動の成功確率と、を予測する予測手段と、
を備える営業支援システム。
【0076】
[付記2]
前記予測手段により予測される、前記対象顧客に対する営業活動における前記第1の時点以降のアクションと、前記第1の時点以降のアクションを行った場合の前記対象顧客に対する営業活動の成功確率と、を含む第1の予測結果を表示するよう表示装置を制御する表示制御手段
をさらに備える付記1に記載の営業支援システム。
【0077】
[付記3]
前記予測手段は、前記第1の予測結果とは異なる、前記対象顧客に対する営業活動における前記第1の時点以降のアクションと、前記第1の時点以降のアクションを行った場合の前記対象顧客に対する営業活動の成功確率と、を予測し、
表示制御手段は、前記第1の予測結果とは異なる、前記対象顧客に対する営業活動における前記第1の時点以降のアクションと、前記第1の時点以降のアクションを行った場合の前記対象顧客に対する営業活動の成功確率とを含む第2の予測結果及び前記第1の予測結果を表示するよう前記表示装置を制御する
付記2に記載の営業支援システム。
【0078】
[付記4]
前記第1の予測結果に対応する、前記対象顧客に対する営業活動に含まれる複数のアクションそれぞれを示すノード及び前記ノードに関する前記複数のアクション間の順序関係を示すエッジから成るグラフに関するグラフ構造データを生成するグラフ生成手段
をさらに備え、
前記表示制御手段は、前記グラフ生成手段により生成されるグラフ構造データを含む予測結果をさらに表示するよう前記表示装置を制御する
付記2または3に記載の営業支援システム。
【0079】
[付記5]
前記エッジは、さらに前記複数のアクション間の時間間隔を示し、
前記表示制御手段は、前記表示装置に表示されるグラフ構造データにおけるノードの選択を受け付けると、当該ノードが示すアクションをグラフ構造データに合わせて表示するよう前記表示装置を制御し、
前記表示制御手段は、前記表示装置に表示されるグラフ構造データにおけるエッジの選択を受け付けると、当該エッジが示す時間間隔を表示するよう前記表示装置を制御する
付記4に記載の営業支援システム。
【0080】
[付記6]
前記第1の時点よりも過去の時点における複数の営業プロセス時系列データと、前記複数の営業プロセス時系列データに関する営業活動を行った複数の顧客の属性に関する複数の顧客属性データと、前記複数の顧客それぞれに対する営業活動の成否とを用いた機械学習によって前記予測モデルを生成する予測モデル生成手段
をさらに備える付記1から5いずれか一項に記載の営業支援システム。
【0081】
[付記7]
前記予測モデル生成手段は、第1の予測結果に基づいて、前記予測モデルを再学習する付記6に記載の営業支援システム。
【0082】
[付記8]
第1の時点における対象顧客に対する営業活動に含まれる複数のアクションの時系列順序を示す営業プロセス時系列データと、前記対象顧客の属性に関する顧客属性データと、を取得し、
前記第1の時点よりも過去の時点における複数の営業プロセス時系列データと前記複数の営業プロセス時系列データに関する営業活動を行った複数の顧客の属性に関する複数の顧客属性データと前記複数の顧客それぞれに対する営業活動の成否とを用いた機械学習によって生成される予測モデルと、前記営業プロセス時系列データ及び前記顧客属性データと、を用いて、前記対象顧客に対する営業活動における前記第1の時点以降のアクションと、前記第1の時点以降のアクションを行った場合の前記対象顧客に対する営業活動の成功確率と、を予測する
営業支援方法。
【0083】
[付記9]
前記予測モデルを用いて予測される、前記対象顧客に対する営業活動における前記第1の時点以降のアクションと、前記第1の時点以降のアクションを行った場合の前記対象顧客に対する営業活動の成功確率と、を含む第1の予測結果を表示するよう表示装置を制御する
付記8に記載の営業支援方法。
【0084】
[付記10]
前記第1の予測結果とは異なる、前記対象顧客に対する営業活動における前記第1の時点以降のアクションと、前記第1の時点以降のアクションを行った場合の前記対象顧客に対する営業活動の成功確率と、を予測し、
前記第1の予測結果とは異なる、前記対象顧客に対する営業活動における前記第1の時点以降のアクションと、前記第1の時点以降のアクションを行った場合の前記対象顧客に対する営業活動の成功確率とを含む第2の予測結果及び前記第1の予測結果を表示するよう前記表示装置を制御する
付記9に記載の営業支援方法。
【0085】
[付記11]
前記第1の予測結果に対応する、前記対象顧客に対する営業活動に含まれる複数のアクションそれぞれを示すノード及び前記ノードに関する前記複数のアクション間の順序関係を示すエッジから成るグラフに関するグラフ構造データを生成し、
生成された前記グラフ構造データをさらに表示するよう前記表示装置を制御する
付記9または10に記載の営業支援方法。
【0086】
[付記12]
前記エッジに、前記複数のアクション間の時間間隔を含ませ、
前記表示装置に表示されるグラフ構造データにおけるノードの選択を受け付けると、当該ノードが示すアクションを表示するよう前記表示装置を制御し、
前記表示装置に表示されるグラフ構造データにおけるエッジの選択を受け付けると、当該エッジが示す時間間隔を表示するよう前記表示装置を制御する
付記11に記載の営業支援方法。
【0087】
[付記13]
前記第1の時点よりも過去の時点における複数の営業プロセス時系列データと、前記複数の営業プロセス時系列データに関する営業活動を行った複数の顧客の属性に関する複数の顧客属性データと、前記複数の顧客それぞれに対する営業活動の成否とを用いた機械学習によって前記予測モデルを生成する
付記8から12いずれか一項に記載の営業支援方法。
【0088】
[付記14]
第1の予測結果に基づいて、前記予測モデルを再学習する付記13に記載の営業支援方法。
【0089】
[付記15]
第1の時点における対象顧客に対する営業活動に含まれる複数のアクションの時系列順序を示す営業プロセス時系列データと、前記対象顧客の属性に関する顧客属性データと、を取得する処理と、
前記第1の時点よりも過去の時点における複数の営業プロセス時系列データと前記複数の営業プロセス時系列データに関する営業活動を行った複数の顧客の属性に関する複数の顧客属性データと前記複数の顧客それぞれに対する営業活動の成否とを用いた機械学習によって生成される予測モデルと、前記営業プロセス時系列データ及び前記顧客属性データと、を用いて、前記対象顧客に対する営業活動における前記第1の時点以降のアクションと、前記第1の時点以降のアクションを行った場合の前記対象顧客に対する営業活動の成功確率と、を予測する処理と、
をコンピュータに実行させる営業支援プログラムを記録したプログラム記録媒体。
【0090】
以上、上述した実施形態を模範的な例として本発明を説明した。しかしながら、本発明は、上述した実施形態には限定されない。即ち、本発明は、本発明のスコープ内において、当業者が理解し得る様々な態様を適用することができる。
【符号の説明】
【0091】
10 予測モデル生成装置
11 取得部
12 記憶部
13 グラフデータ生成部
14 予測モデル生成部
15 予測モデル記憶部
16 予測モデル出力部
20 予測装置
21 取得部
22 予測モデル記憶部
23 グラフ生成部
24 予測部
25 予測理由生成部
26 表示制御部
31 取得部
32 予測部
40 コンピュータ
41 CPU
42 メモリ
43 記憶装置
44 入出力I/F
45 通信I/F
100 予測システム
300 営業データ管理サーバ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【手続補正書】
【提出日】2024-06-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
予測の対象である対象顧客に関する情報である対象顧客情報と、前記対象顧客に対する過去の営業活動に関する情報である対象顧客営業活動情報とを取得する取得手段と、
前記対象顧客情報と、前記対象顧客営業活動情報とを予測モデルに入力して、受注の可能性を高める営業プロセスを予測する予測手段
を備え
前記予測モデルは、複数の顧客に関する情報である複数顧客情報と、前記複数の顧客に対する過去の営業活動に関する情報である複数顧客営業活動情報とを用いて機械学習され、受注の可能性を高める営業プロセスを予測する予測モデルである、
業支援システム。
【請求項2】
前記予測モデルは、さらに受注の成功に関する確率を予測する、
求項1に記載の営業支援システム。
【請求項3】
前記対象顧客情報は、顧客の従業員数を含む、
請求項1または2に記載の営業支援システム。
【請求項4】
予測の理由を生成する予測理由生成部をさらに備える、
請求項1から3いずれか一項に記載の営業支援システム。
【請求項5】
前記複数顧客営業活動情報は、複数のアクションの時系列順序を含む、
請求項1から4いずれか一項に記載の営業支援システム。
【請求項6】
予測結果を表示装置に表示するよう制御する制御手段をさらに備える、
求項1から5いずれか一項に記載の営業支援システム。
【請求項7】
前記制御手段は、予測した受注の成功に関する確率が高い順に、営業プロセスを表示するよう制御する、
求項6に記載の営業支援システム。
【請求項8】
前記制御手段は、予測の理由をさらに表示するように制御する、
請求項6または7に記載の営業支援システム。
【請求項9】
予測の対象である対象顧客に関する情報である対象顧客情報と、前記対象顧客に対する過去の営業活動に関する情報である対象顧客営業活動情報とを取得し、
前記対象顧客情報と、前記対象顧客営業活動情報とを予測モデルに入力して、受注の可能性を高める営業プロセスを予測し、
前記予測モデルは、複数の顧客に関する情報である複数顧客情報と、前記複数の顧客に対する過去の営業活動に関する情報である複数顧客営業活動情報とを用いて機械学習され、受注の可能性を高める営業プロセスを予測する予測モデルである、
業支援方法。
【請求項10】
予測の対象である対象顧客に関する情報である対象顧客情報と、前記対象顧客に対する過去の営業活動に関する情報である対象顧客営業活動情報とを取得する処理と、
前記対象顧客情報と、前記対象顧客営業活動情報とを予測モデルに入力して、受注の可能性を高める営業プロセスを予測する処理と
をコンピュータに実行させ、
前記予測モデルは、複数の顧客に関する情報である複数顧客情報と、前記複数の顧客に対する過去の営業活動に関する情報である複数顧客営業活動情報とを用いて機械学習され、受注の可能性を高める営業プロセスを予測する予測モデルである、
業支援プログラム。