(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024105620
(43)【公開日】2024-08-06
(54)【発明の名称】容器詰め液状食品
(51)【国際特許分類】
A23L 2/00 20060101AFI20240730BHJP
A23L 2/52 20060101ALI20240730BHJP
A23L 5/00 20160101ALI20240730BHJP
【FI】
A23L2/00 W
A23L2/00 F
A23L5/00 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024080628
(22)【出願日】2024-05-17
(62)【分割の表示】P 2023556479の分割
【原出願日】2023-02-15
(31)【優先権主張番号】P 2022029377
(32)【優先日】2022-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】309007911
【氏名又は名称】サントリーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100126985
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 充利
(72)【発明者】
【氏名】井川 幸枝
(72)【発明者】
【氏名】高橋 周
(72)【発明者】
【氏名】浅野 悠
(57)【要約】 (修正有)
【課題】本発明の課題は、機能性成分の劣化が抑制され、手軽に美味しく継続的な摂取が容易な容器詰め液状食品を提供することである。
【解決手段】容器詰め液状食品は、以下の態様を包含する。(a)機能性成分を含む液状組成物と、(b)aの液状組成物とは異なる液状組成物と、がそれぞれ個包装されている容器詰め液状食品。さらに、(a)の液状組成物が加熱殺菌されていない、個包装されている容器詰め液状食品。さらに、容器が、(a)と(b)の液状組成物を容器から同時に放出できるものである個包装されている容器詰め液状食品。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機能性成分を含有する容器詰め液状食品に関する。
【背景技術】
【0002】
健康志向の高まりから、サプリメントや健康食品の市場は年々拡大している。サプリメントや健康食品は、どのような機能性成分がどれだけ配合されているかが最も重視されるが、加えて効果を体感するために継続的に摂取する必要があるため、美味しく手軽に摂取できることも非常に重要な要素となる。従来のサプリメントは錠剤やカプセル状が多く、手軽に摂取することができるものの、美味しさに欠ける。健康食品としては、飲料、グミ、調味料、濃縮飲料タイプの製品があるが、飲料やグミは常に同じ味、形態であるため飽きが生じ、継続的な摂取が難しい場合がある。また、機能性成分を配合した液状の健康食品は、加水分解が進むため機能性成分の安定性を保持するのが難しいという課題がある。
【0003】
そこで、液状の健康食品の機能性成分を安定化する方法が種々提案されている。例えば、眼の健康維持の効果が知られているルテインの劣化を防止するために、ソルガム(Sorghum nervosum)抽出物を配合した機能性飲食品(特許文献1)、ローヤルゼリー中のプロテアーゼ活性抑制するためにハイビスカスエキスを配合した組成物(特許文献2)、透明部分を遮光性薄膜材で覆うことで機能性成分の光分解を抑制した容器入り飲料(特許文献3)が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-043826号公報
【特許文献2】特開2003-000163号公報
【特許文献3】特開2019-201569号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
機能性成分を含有する食品においては、効果を最大化するため、配合されている機能性成分の安定性を保持することや、手軽で美味しく、継続的な摂取が容易であることが、重要になる。
【0006】
このような状況に鑑み、本発明の課題は、機能性成分の劣化が抑制され、手軽に美味しく継続的な摂取が容易な容器詰め液状食品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題に対して鋭意検討した結果、食品の香味を形成する成分とは別に、機能性成分を安定した最適な条件で設計して個包装することによって、優れた容器詰め液状食品を提供できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
本発明は、これに限定されるものではないが、以下の態様を包含する。
[1](a)機能性成分を含む液状組成物と、(b)上記aの液状組成物とは異なる液状組成物と、がそれぞれ個包装されている容器詰め液状食品。
[2] (a)の液状組成物が加熱殺菌されていない、[1]に記載の食品。
[3] (b)の液状組成物が増粘剤を含有する、[1]または[2]に記載の食品。
[4] (b)の液状組成物の粘度が5~400mPa・sである、[1]~[3]のいずれかに記載の食品。
[5] 前記容器が、(a)と(b)の液状組成物を収容するための、少なくとも2つ以上の液体収容部を備えている、[1]~[4]のいずれかに記載の食品。
[6] 前記容器が、(a)と(b)の液状組成物を容器から同時に放出できるものである、[1]~[5]のいずれかに記載の食品。
[7] (a)の液状組成物が、40重量%以上の油脂を含む、[1]~[6]のいずれかに記載の食品。
[8] 機能性成分が脂溶性であり、(a)の液状組成物が40重量%以上の油脂を含む、[1]~[7]のいずれかに記載の食品。
[9] (a)の液状組成物が、75重量%以上の油脂を含む、[1]~[8]のいずれかに記載の食品。
[10] (b)の液状組成物が、香料および/または果汁を含む、[1]~[9]のいずれかに記載の食品。
[11] 前記食品が飲料である、[1]~[10]のいずれかに記載の食品。
[12] 前記食品が希釈して飲用する濃縮飲料である、[1]~[11]のいずれかに記載の食品。
[13] 前記食品が1回使い切りである、[1]~[12]のいずれかに記載の食品。
[14] [1]~[13]のいずれかに記載の容器詰め液状食品を製造する方法であって、(a)の液状組成物と(b)の液状組成物をそれぞれ別の液体収容部に充填する工程を含む、上記方法。
[15] (a)の液状組成物が加熱殺菌されていないか、100℃以下で加熱殺菌されている、[14]に記載の方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、機能性成分を含む液状組成物を安定した最適な条件で設計することができるため、機能性成分の安定性を保持しやすくなる。また、食品の香味を形成する成分についても最適な処方を採ることができるため、香味成分の香味変化や物性変化を効果的に抑制することが可能になり、継続的な摂取により機能性成分の効果を十分に発揮させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、複数の液状組成物を含む容器詰め液状食品に関しており、(a)機能性成分を含む液状組成物と、(b)上記aの液状組成物とは異なる液状組成物と、を含む。
【0011】
本発明における容器詰め液状食品は、複数の液状組成物を備えており、(a)機能性成分を含む液状組成物が、(b)上記aの液状組成物とは異なる液状組成物と混ざり合わないよう、それぞれ別個の液体収容部に個包装されており、好ましい態様において、個包装された複数の液状組成物が1つのパッケージに収容される。一般に機能性成分は酸や熱などに不安定なものが多いが、本発明のように多液型の容器詰め食品とすることによって、機能性成分を含む液状組成物の組成を、機能性成分の特性に応じて最適な条件で設計することができるため、機能性成分の劣化を抑制し、機能性成分の効果を最大限に発揮させることが容易になる。
【0012】
例えば、機能性成分と他の成分を混合して1液型の容器詰め食品とした場合、食品中に水分が含まれていれば長期保存のためには殺菌が必要となり、殺菌の熱によって機能性成分の成分劣化が生じることがある。しかし、本発明のように多液型の容器詰め食品にすることで、例えば、機能性成分を含む液状組成物の基材として油脂を用いれば、機能性成分が水分と接触しないような組成に調製して、機能性成分の殺菌条件を緩和、好ましくは殺菌を不要とすることができるため、熱による成分劣化や香味変化、水分が存在することによる加水分解などの抑制が可能となる。
【0013】
また、本発明のように多液型の容器詰め食品にすることによって、例えば、機能性成分が他成分と反応し、物性が変化することを防ぐことができる。物性の変化としては、例えば、鉄と果汁中のポリフェノールや、アントシアニンと水酸化物イオンが反応して、物性変化を起こし沈殿が発生することや、カルシウムとペクチンが反応してゲル化することが挙げられる。このように同じ収容部に存在することで物性変化を起こしやすい組み合わせは、機能性成分を含む液状組成物とは別に、機能性成分と反応しやすい成分を他の液状組成物に配合し、両者を分けて容器詰めにすることで、それぞれの液状組成物について、成分、物性、香味を安定的に保存することができる。
【0014】
本発明に係る容器詰め液状食品は、少なくとも1つの液状組成物が機能性成分を含むものであるが、本発明において「機能性成分」とは、生体内に吸収されて種々の栄養的又は健康上の利益を提供する成分を意味する。このような機能性成分としては、例えば、特別用途食品、保健機能食品(特定保健用食品、栄養機能食品)、機能性食品、栄養補助食品、健康補助食品、栄養強化食品、栄養調整食品、サプリメントなどに有効成分として用いられる成分を挙げることができる。一つの態様において、機能性成分を食品中に配合した場合は、栄養成分表示として、成分名と食品単位当たりの含有量を表示したり、機能性関与成分として、成分名と一日当たりの摂取目安量当たりの含有量を表示したりしてよい。そのため、機能性成分は、果汁などの食品中の成分として含まれていてもよいが、製剤などとして別途配合してもよい。限定はされないが、例えば、栄養強化剤以外の用途である、酸味料や色素など食品の製造過程または食品の加工・保存の目的で使用される食品添加物として配合した成分は、本発明の機能性成分には該当しない。
【0015】
本発明に係る機能性成分は、脂溶性であっても水溶性であってもよく、脂溶性の機能性成分と水溶性の機能性成分を組み合わせて使用することもできる。
【0016】
脂溶性の機能性成分としては、例えば、コエンザイムQ10、クルクミン、トコトリエノール、テストステロン、メントール、脂肪酸、カロテノイド、レスベラトロール、脂溶性ビタミン、セサミン、α-リポ酸、ノコギリヤシエキス、セントジョーンズワート(ヒペリシン)、ロイヤルゼリー(デセン酸)、ヘスペリジン、ノビレチン、ケルセチン、ケンフェロール、ミリシトリン、カテキン、ダイゼイン、グリシテイン、ゲニステイン、ミリセチン、スチルベン、および、これらの2種以上の組合せなどを挙げることができる。脂肪酸としては、例えば、ドコサヘキサエン酸(DHA)やエイコサペンタエン酸(EPA)などの高度不飽和脂肪酸(PUFA)はもちろん、オレイン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、リノール酸、パルミチン酸などが挙げられる。カロテノイドとしては、例えば、α-カロテン、β-カロテン、ルテイン、リコペン、アスタキサンチン、ゼアキサンチン、クリプトキサンチン、フコキサンチン、キサントフィルなど、脂溶性ビタミンとしては、例えば、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンK、ビタミンEなどが挙げられる。
【0017】
水溶性の機能性成分としては、例えば、アントシアニン、グルコサミン、コラーゲン、水溶性ビタミン(ビタミンB群、ビタミンCなど)、ミネラル、アミノ酸、タンパク質、ペプチド、カフェイン、フラボノイド類、ポリフェノール類、および、これらの2種類以上の組み合わせなどを挙げることができる。ペプチドとしては、例えば、カルノシン、アンセリン、環状ジペプチドなどが挙げられる。また、水に不溶性の機能性成分を使用することもでき、例えば、鉄、カルシウム、乳酸菌、ビフィズス菌、および、これらの2種類以上の組み合わせを挙げることができる。
【0018】
機能性成分を含む液状組成物における機能性成分の含有量は特に限定されないが、機能性成分を含む液状組成物全体量に対して、例えば、0.001~100重量%とすることができ、好ましくは0.01~67重量%、より好ましくは0.1~35重量%であり、1~20重量%としてもよい。また、液状組成物における機能性成分の含有量は、機能性成分の種類によるが、例えば、3重量%以上や5重量%以上、さらには10重量%以上としてもよく、99重量%以下や95重量%以下、さらには90重量%以下としてもよい。
【0019】
脂溶性の機能性成分として脂肪酸を含有する場合、脂肪酸単独の含有量は、例えば、0.05質量%以上や、0.1質量%以上、0.2質量%以上、0.3質量%以上、0.5質量%以上、1質量%以上、さらには3質量%以上としてもよく、60質量%以下、65質量%以下、50質量%以下、さらには20質量%以下としてもよい。
【0020】
脂溶性の機能性成分として、脂溶性ビタミンを含有する場合、脂溶性ビタミン単独の含有量は、例えば、0.1質量%以上、0.5質量%以上、0.8質量%以上、1.0質量%以上、1.3質量%以上、さらには3質量%以上としてもよく、60質量%以下、65質量%以下、50質量%以下、さらには20質量%以下としてもよい。
【0021】
脂溶性の機能性成分として、セサミンを含有する場合、セサミン単独の含有量は、例えば、0.05質量%以上や、0.1質量%以上、0.2質量%以上、0.3質量%以上、0.5質量%以上、1質量%以上、さらには3質量%以上としてもよく、60質量%以下、65質量%以下、50質量%以下、さらには20質量%以下としてもよい。
【0022】
本発明において、機能性成分を含む液状組成物の基材は特に制限されず、油脂を含む液体や水を含む液体を制限なく使用できる。基材の量は特に制限されないが、機能性成分が均一に分散され、容器の壁面に残ることなく出し切れる観点から、機能性成分を含む液状組成物の40重量%以上とすることができ、45重量%以上、50重量%以上、55重量%以上、60重量%以上、65重量%以上、70質量%以上、75重量%以上、80質量%以上、85重量%以上、90質量%以上または92重量%以上としてもよい。
【0023】
本発明において、機能性成分を含む液状組成物の基材として油脂を使用する場合、食用油脂を基材油として制限なく使用することができ、例えば、ベニバナ油、パーム油、ヤシ油、ナタネ油、綿実油、コーン油、ヒマワリ油、大豆油、小麦胚油などの植物油脂を好適に使用することでき、加工油脂、例えばMCTオイルを使用してもよい。液状組成物の味わいに影響しない、酸化しにくい無味無臭の基材油として、一つの実施態様においては、油脂の種類が、ベニバナ油、ヒマワリ油、MCTオイルが好ましい。他の実施態様においては、低温保管した場合に油脂が固化してしまうと容器から出しづらくなるため、固化しずらい油脂として、脂肪酸として中鎖以下であることが好ましく、または、脂肪酸が長鎖である場合、不飽和脂肪酸(オレイン酸やリノール酸など)が80%以上を占めることが好ましく、82%以上、84%以上、86%以上、88%以上、90%以上であってもよい。機能性成分を含む液状組成物の基材として油脂を用いると、水分活性が低くなり殺菌を必要としないことから、熱による機能性成分の成分劣化や香味変化、水分が存在することによる加水分解などの抑制が可能となるため、好ましい態様である。基材が油脂の場合、脂溶性の機能性成分であればそのまま混ぜ合わせることができ、水溶性の機能性成分など、基材である油脂に不溶性の機能性成分であれば、油脂を増粘させることで油脂中に機能性成分を均一分散させることができる。また、増粘、分散、乳化の役割をする添加物として、ミツロウ、二酸化ケイ素、グリセリン脂肪酸エステルなどを液状組成物に配合してもよい。
【0024】
機能性成分を含む液状組成物は、機能性成分の他に、乳化剤、増粘剤、酸化防止剤、pH調整剤、香料、賦形剤などを含んでいてよい。基材が油脂でない場合は、糖類などを多く配合することにより、ブリックス値(Bx)を上げて水分活性を下げて、殺菌を不要とすることも可能である。その場合の機能性成分を含む液状組成物のブリックス値は、例えば、5~100としたり、10~50や60~90とすることができる。
【0025】
本発明に係る液状組成物は、機能性成分を安定的に分散させ、さらに、容器から抽出後に食品にかけたり、飲料に混ぜ合わせたりするのに最適な粘度を付与することが好ましい。本発明に係る液状組成物の粘度は特に制限されず、用途に応じて適宜調整すればよいが、例えば、1~15000mPa・sとすることができ、好ましくは2~450mPa・sや2~400mPa・s、より好ましくは4~400mPa・sや4~350mPa・s、さらに好ましくは5~350mPa・sや5~300mPa・sの範囲である。本発明に係る液状組成物の粘度は、例えば、1mPa・s以上、2mPa・s以上、4mPa・s以上、5mPa・s以上、10mPa・s以上、15mPa・s以上、20mPa・s以上、25mPa・s以上、30mPa・s以上、35mPa・s以上、40mPa・s以上、45mPa・s以上、50mPa・s以上、55mPa・s以上、60mPa・s以上とすることができる。粘度が低すぎると、用途によっては、容器から抽出後に食品にかけたり、飲料に混ぜ合わせるのに適度なとろみが得られない場合がある。また、液状組成物の粘度は、例えば、15000mPa・s以下、14000mPa・s以下、13000mPa・s以下、12000mPa・s以下、11000mPa・s以下、10000mPa・s以下、8000mPa・s以下、5000mPa・s以下、3000mPa・s以下、2000mPa・s以下、1000mPa・s以下、500mPa・s以下、450mPa・s以下、400mPa・s以下、350mPa・s以下、300mPa・s以下、250mPa・s以下とすることができる。粘度が高すぎると、用途によっては満足のいく食感や風味が得られなくなったり、液状組成物が容器の底や壁面に残ってしまい使い切ることが難しくなったりすることがある。また、複数の液状組成物の粘度は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、例えば、一方の液状組成物の粘度を150mPa・s未満として、もう一方の液状組成物の粘度を150mPa・s以上としてもよい。本発明において液状組成物の粘度は、21℃においてSV型(音叉振動式)粘度計で測定することができる。なお、本発明に係る液状組成物は、ニュートン流体であっても非ニュートン流体であってよい。
【0026】
液状組成物の粘度は公知の方法で適宜調整すればよいが、増粘剤や、界面活性剤などの粘度調整剤を使用することができる。増粘剤としては、例えば、LMペクチンやHMペクチンなどのペクチン、κ-カラギナン、λ-カラギナン、ι-カラギナンなどのカラギナン、グアーガム、キサンタンガム、タマリンドガム、プロピレングリコール、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ローカストビーンガム、マンナン、イヌリン、アラビアガム、アラビノガラクタン、ガティーガム、カラヤガム、グァーガム、サイリウムシードガム、ジェランガム、タマリンドシードガム、サイリウムシードガム、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、α化澱粉、ヒドロキシプロピル澱粉、リン酸架橋澱粉などが挙げられる。水や牛乳、アルコールなどの液体と混ぜ合わせて飲料を調製する場合は、希釈液の成分を踏まえて液状組成物の粘度や成分を調整することによって最適な粘度を有する飲料を調製すればよい。
【0027】
本発明に係る液状組成物は、食品に香味を付与する成分を含有することができる。好ましい態様において、機能性成分を含有する液状組成物とは別の液状組成物は、例えば、香料や果汁、焙煎植物抽出物などを含有する。香料としては、公知の香料を制限なく使用することができる(例えば、特許庁「周知・慣用技術集(香料)」第II部の食品用香料を参照)。具体的には、香料として、例えば、オレンジフレーバー、レモンフレーバー、ライムフレーバー、グレープフルーツフレーバー、ユズフレーバー、スダチフレーバー、などのシトラス系香料、ストロベリーフレーバー、ラズベリーフレーバー、ブルーベリーフレーバーなどのベリー類系香料、マンゴーフレーバー、パパイヤフレーバー、グァバフレーバー、パッションフルーツフレーバー、ライチフレーバーなどのトロピカルフルーツ系香料、アップルフレーバー、グレープフレーバー、パイナップルフレーバー、バナナフレーバー、ピーチフレーバー、メロンフレーバー、アンズフレーバー、ウメフレーバー、チェリー(サクランボ)フレーバーなどのフルーツ系香料、緑茶フレーバー、ウーロン茶フレーバー、紅茶フレーバー、コーヒーフレーバーなどの茶、コーヒー系香料、ココア香料、ミルクフレーバー、クリームフレーバー、バターフレーバー、チーズフレーバー、ヨーグルトフレーバーなどの乳系香料、ビーフフレーバー、ポークフレーバー、チキンフレーバーなどのミート系香料,アサフェチダフレーバー、アジョワンフレーバー、アニスフレーバー、アンゼリカフレーバー、ウイキョウフレーバー、オールスパイスフレーバー,シナモンフレーバー、カッシャフレーバー、カモミールフレーバー、カラシナフレーバー、カルダモンフレーバー、キャラウェイフレーバー、クミンフレーバー、クローブフレーバー、コショウフレーバー、コリアンダーフレーバー、サッサフラスフレーバー、セイボリーフレーバー、サンショウフレーバー、シソフレーバー、ジュニパーベリーフレーバー、ジンジャーフレーバー、スターアニスフレーバー、セイヨウワサビフレーバー、セージフレーバー、タイムフレーバー、タラゴンフレーバー、ディルフレーバー、トウガラシフレーバー,ナツメフレーバー、ナツメグフレーバー、バジルフレーバー,パセリフレーバー、マジョラムフレーバー、ローズマリーフレーバー、ローレルフレーバー、ワサビフレーバーなどのハーブ、スパイス系香料、ペパーミントフレーバー、スペアミントフレーバー、和種ハッカフレーバーなどのミント系香料、バニラ系香料、アーモンドフレーバー、カシューナッツフレーバー、ピーナッツフレーバー、ヘーゼルナッツフレーバー、ウォルナッツフレーバー、チェスナッツフレーバー、マカデミアナッツフレーバー、ぺカンナッツフレーバー、ピスタチオフレーバー、ブラジルナッツフレーバー、ココナッツフレーバーなどのナッツ系香料,ワインフレーバー、ウイスキーフレーバー、ブランデーフレーバー、ラムフレーバー、ジンフレーバー、リキュールフレーバーなどの洋酒系香料、ゴマフレーバー、コーンフレーバー、ポテトフレーバー,スイートポテトフレーバー、米飯フレーバー、ブレッドフレーバーなどの穀物系香料、ハネ-フレーバー、メープルシロップフレーバー,シュガーフレーバー、黒糖フレーバー、モラセスフレーバーなどのシュガー系香料などが挙げられる。
【0028】
果汁としては、例えば、オレンジ、レモン、ライム、グレープフルーツ、ユズ、スダチ、などのシトラス系果汁、ストロベリー、ラズベリー、ブルーベリーなどのベリー類系果汁、マンゴー、パパイヤ、グァバ、パッションフルーツ、ライチなどのトロピカルフルーツ系果汁、アップル、グレープ、パイナップル、バナナ、ピーチ、メロン、アンズ、ウメ、チェリー(サクランボ)の果汁などが挙げられる。
【0029】
焙煎植物抽出物とは、原料植物に焙煎処理及び抽出処理を行って得られるものを意味する。焙煎植物(植物の焙煎物)の原料となる植物としては、緑茶、紅茶、烏龍茶、プーアル茶などのカメリア・シネンシス(Camellia sinensis)に属する茶葉類;ハトムギ、玄米、大麦、ソバなどのイネ科植物、マメ科植物、タデ科植物に属する穀物類;アカネ科コフィア属に属するコーヒー豆類が例示される。1種類の焙煎植物抽出物を含んでいても、複数の焙煎植物抽出物を含んでいてもよい。
【0030】
本発明に係る液状組成物は、甘味料、酸味料、pH調整剤、保存料、着色料など、飲食品に用いられる一般的な原料を含んでいてよい。
【0031】
本発明に係る液状組成物のpHは特に限定されないが、水性溶液の場合、例えば、1.0~7.0とすることができ、好ましくは2.0~5.0や2.5~4.0とすることができる。pHの調整方法は特に制限されず、例えば、公知の酸味料やpH調整剤を用いることができる。機能性成分を含む液状組成物と、それ以外の液状組成物について、それぞれ最適なpHとすることができる。
【0032】
容器詰め液状食品
本発明に係る食品は、多液型の容器詰め液状食品であり、本発明においては、機能性成分を含む液状組成物が、他の液状組成物と混合しないように個包装(個別包装)できる容器を使用する。本発明においては、複数の液状組成物をそれぞれ個包装できればどのような容器でもよいが、例えば、2つ以上の収容部を備えた容器を使用することが好ましい。収容部は2つ以上あれば特に制限されないが、収容部の数は好ましくは4以下、より好ましくは3以下、さらに好ましくは2つである。それぞれの収容部の容量は特に制限されないが、例えば、1~50mlとすることができ、好ましくは1.5~40ml、より好ましくは2~20mlとすることができる。それぞれの収容部の容量は、同じであっても異なっていてもよい。限定はされないが、収容部が2つである場合、それぞれの収容部に収容される液体の容量は、使用時の混合しやすさ等の観点から、例えば、1:1~1:10(v:v)であり、1:1.5~1:7が好ましく、1:2~1:5がより好ましい。別の実施形態において、収容部が2つである場合、機能性成分を含む液状組成物の容量と、他の異なる液状組成物の容量との比率(v:v)は、例えば、1:1~1:10であり、1:1.5~1:7が好ましく、1:1.5~1:5がより好ましく1:1.5~1:3がより好ましい。
【0033】
本発明の容器詰め液状食品は、好ましい態様において1回使い切りであり、食品収容部に充填された2種以上の液状組成物を混合してから食される。容器詰め液状食品を直接食すこともできるが、好ましい態様において、本発明に係る容器詰液状食品は、収容部に充填された2種以上の液状組成物を食品に掛けてから摂取され、この場合、収容部に充填される液状組成物は典型的には食用ソースである。容器詰め液状食品を掛ける食品としては、食品であれば特に制限はないが、例えば、ヨーグルト、アイスクリーム、かき氷、プリン、ゼリー、ホットケーキ、クレープ、餅、クラッカー、チーズ、パン、サラダ、マリネ、パスタ等が挙げられる。
【0034】
別の好ましい態様において、本発明に係る容器詰液状食品は、収容部に充填された2種以上の液状組成物を他の液体と混合して飲用するような濃縮(型)飲料である。濃縮飲料を希釈する希釈液は特に制限されないが、水はもちろん、炭酸水やアルコール(エタノール)水溶液、牛乳などの乳、豆乳などを好適に使用することができる。特に牛乳は、栄養素を豊富に含み、機能性成分由来の異味をまろやかにて飲みやすくする効果があるため、牛乳で希釈することによって、より美味しく健康的な飲料を提供することができる。本発明に係る容器詰め液状食品を希釈液で希釈する際の希釈倍率は特に限定されないが、2.0~20.0倍希釈が好ましく、3.0~15.0倍希釈がより好ましく、4.0~12.0倍希釈がさらに好ましい。本発明において希釈倍率の下限は特に限定されないが、例えば、2.0倍希釈以上、3.0倍希釈以上、4.0倍希釈以上、5.0倍希釈以上とすることができる。希釈倍率の上限は、例えば、20.0倍希釈以下、18.0倍希釈以下、15.0倍希釈以下、13.0倍希釈以下とすることができる。本発明に係る容器詰め液状食品から飲料を調製する場合、アルコール飲料であっても非アルコール飲料であってもよい。また、希釈液の温度は特に制限されず、冷蔵であっても、加温されていてもよい。
【0035】
本発明においては、希釈液に応じた成分を液状組成物に配合し、液状食品と希釈液を混合した際に飲料の性状を調整することができる。例えば、LMペクチンをカルシウムなどの2価金属イオンとゲルを形成するため、LMペクチンを液状組成物に配合しておけば、牛乳と希釈された際に粘度が高くなり、スムージーのような食感とすることができる。また、HMペクチンは酸や糖の存在によりゲル化するため、HMペクチンを液状組成物に配合しておけば、酸や糖を含む液体を混合して飲料の粘度を変化させることができる。本発明に係る容器詰め液状食品を希釈液で希釈して調製した飲料について、その粘度は特に制限されず、低粘度の飲料としても、スムージーなどの高粘度の飲料としてもよい。飲用する際の飲料の粘度は、例えば、0.5~100mPa・sや1~60mPa・sとしてもよく、飲料の種類に応じて、0.5~10mPa・sや20~60mPa・sとしてもよい。飲用する際の飲料において、粘度の下限は、例えば、0.5mPa・s以上、1.0mPa・s以上、2.0mPa・s以上、3.0mPa・s以上、4.0mPa・s以上、5.0mPa・s以上、7.0mPa・s以上、10.0mPa・s以上、15.0mPa・s以上、18.0mPa・s以上とすることができ、粘度の上限は、100mPa・s以下、70mPa・s以下、50mPa・s以下、30mPa・s以下とすることができる。
【0036】
本発明に用いる容器は、複数の液状組成物をそれぞれ個別に包装することができれば、材質や形状などは特に制限されない。容器の材質としては、アルミ缶、スチール缶などの金属製容器、PETボトルなどの樹脂製容器、ガラス瓶、紙容器など、飲料容器に通常用いられる材質のいずれも用いることができる。好ましい態様において、本発明に係る容器は樹脂製であり、例えば、小容量ポーションパック(ディスペンパックジャパン)、2室コスモパック(カナエ)、2室型用時調製包装(ジョイパックブリスタータイプ、カナエ)、隔壁破壊小袋包装袋(コマック)などが挙げられる。本発明に係る容器詰め液状食品は、好ましい態様において、ワンアクションで複数の液状組成物を同時に放出することができる。限定はされないが、ワンアクションで複数の液状組成物を同時に放出することができるとは、例えば、それぞれの収容部から、1回の開封操作によって複数の液状組成物を一度に放出させることが挙げられ、このような操作が可能である限りにおいて容器の形状は特に限定されない。
【0037】
本発明に用いる容器が、(a)機能性成分を含む液状組成物と、(b)上記aの液状組成物とは異なる液状組成物とを容器から同時に放出できるものである場合、限定はされないが、それぞれの収容部における開口部が近接していることが好ましく、複数の開口部の間隔は2cm以内であることがより好ましく、1.5cm以内、1cm以内、0.5cm以内であってもよく、開口部が放出時に密接していてもよい。
【0038】
本発明に係る容器詰め液状食品は、加熱殺菌を要する液状組成物においては、加熱殺菌した後に容器に充填してもよいし、容器に充填した後に加熱殺菌してもよい。また、複数の液状組成物の一部のみを加熱殺菌してもよい。本発明においては、低温などで無菌充填を行う態様としてもよい。加熱殺菌する際の条件は特に制限されないが、例えば食品衛生法に定められた処理を行えばよく、具体的には、60~150℃、好ましくは90~150℃、より好ましくは110~150℃で、1秒間~60分間、好ましくは1秒間~30分間とすることができる。缶飲料の場合にはレトルト殺菌(例えば、適宜加圧しながら121℃で7分間加熱殺菌するなど)、樹脂製容器の場合にはUHT殺菌(例えば、飲料組成物を120~150℃で1秒~数十秒保持するなど)などを行うようにすればよいが、ホットパック、膜殺菌などを必要に応じて使用してもよい。例えば、レトルト殺菌の場合、110~130℃で10~30分程度、好ましくは120~125℃で10~20分間程度、UHT殺菌の場合、120~150℃で1~120秒間程度、好ましくは130~145℃で30~120秒間程度の条件で処理することができる。本発明の容器詰め食品を作る際の殺菌工程は、充填前の意図しない混合やコンタミネーションを防ぐため、それぞれの収容部に充填される液状組成物のそれぞれについて個別に行うことが好ましく、これによって、充填工程までの機能性成分及び香味劣化を極少化することができる。例えば、液状組成物の基材が油脂の場合や、基材が水であってもブリックス値が高い場合などは、水分活性が低いため、殺菌条件を緩和したり、非加熱としたりすることができる。
【0039】
本発明の容器詰め液状食品は、例えば、2種以上の液状組成物を調製する工程、調製した2種以上の液状組成物をそれぞれ別々の収容部に充填する工程、を備えた製造工程によって製造することができる。また、各工程の順序を入れ替えたり、適宜新たな工程を入れたりすることも可能で、例えば、殺菌工程を設けることもできるし、濾過などによって残渣などを取り除く工程を挿入することもできる。
【0040】
本発明に係る容器詰め液状食品に充填される液状組成物は少なくとも2つあり、それぞれの組成は互いに異なるものである。本発明に係る液状組成物とは、食用を目的として調整された液状組成物を指す。液状組成物を調製する際は、例えば、パドルミキサーやホモミキサー、必要であれば高圧ホモミキサーなど、公知の混合装置を自由に用いることができる。
【実施例0041】
以下、具体例を示して本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の例に限定されるものではない。また、本明細書において、特に記載しない限り、濃度などは質量(重量)基準であり、数値範囲はその端点を含むものとして記載される。
【0042】
製造例1:スムージー(バナナ風味)
下表に示す配合でA液とB液を調製した。A液は、高度不飽和脂肪酸の一種であり、抗血液凝固や中性脂肪低下作用が報告されている機能性成分(DHA)を他の原料と混ぜ合わせて1Lとなるように調整した。B液は、まず水に砂糖と増粘剤(LMペクチン)を加えて80℃で10分間加熱攪拌してから、残りの原料を加え、1Lとなるように調整した。A液は殺菌をせず、B液は93℃30秒で殺菌をした上で、A液3mLとB液10mLを、2つの液体収容部を備えた樹脂製容器(各液体収容部の開口部間は1cm)に充填して密封し、1回使い切りの容器詰め液状食品を製造した。
【0043】
製造した容器詰め食品をワンアクションで開封してコップに入れ、そこに牛乳120mLを添加して撹拌し、スムージー様の飲料を調製した(SV粘度:約5mPa・s)。DHAは脂溶性で酸化されやすいところ、本発明のように2液型の容器詰め食品とすることによって、機能性成分の劣化を抑制しつつ、美味しい飲料を得ることができた。なお、SV粘度は、粘度計(SV-10、エー・アンド・デイ製)を用いて21℃で測定し、以下の製造例においても同様に粘度を測定した。
【0044】
【0045】
製造例2:スムージー(いちご風味)
下表に示す配合でA液とB液を調製した。A液は、高度不飽和脂肪酸の一種であり、抗血液凝固や中性脂肪低下作用が報告されている機能性成分(DHAおよびEPA)を他の原料と混ぜ合わせて1Lとなるように調整した。B液は、まず水に砂糖と増粘剤(LMペクチン)を加えて80℃で10分間加熱攪拌してから、残りの原料を加え、1Lとなるように調整した。A液は殺菌をせず、B液は93℃30秒で殺菌をした上で、A液3mLとB液10mLを、2つの液体収容部を備えた樹脂製容器(各液体収容部の開口部間は1cm)に充填して密封し、1回使い切りの容器詰め液状食品を製造した。
【0046】
製造した容器詰め食品をワンアクションで開封してコップに入れ、そこに牛乳120mLを添加して撹拌し、スムージー様の飲料を調製した(SV粘度:約5mPa・s)。DHAやEPAは脂溶性で酸化されやすいところ、本発明のように2液型の容器詰め食品とすることによって、機能性成分の劣化を抑制しつつ、美味しい飲料を得ることができた。
【0047】
【0048】
製造例3:スムージー(ブルーベリー風味)
下表に示す配合でA液とB液を調製した。A液は、乳酸菌の一種であり、善玉菌として整腸作用などが報告されている機能性成分(ビフィズス菌)を他の原料と混ぜ合わせて1Lとなるように調整した。B液は、まず水に砂糖と増粘剤(LMペクチン)を加えて80℃で10分間加熱攪拌してから、残りの原料を加え、1Lとなるように調整した。A液は殺菌をせず、B液は93℃30秒で殺菌をした上で、A液3mLとB液10mLを、2つの液体収容部を備えた樹脂製容器(各液体収容部の開口部間は1cm)に充填して密封し、1回使い切りの容器詰め液状食品を製造した。
【0049】
製造した容器詰め食品をワンアクションで開封してコップに入れ、そこに牛乳120mLを添加して撹拌し、スムージー様の飲料を調製した(SV粘度:約5mPa・s)。一般にビフィズス菌は熱や酸素に対して不安定であるところ、本発明のように2液型の容器詰め食品とすることによって、機能性成分の劣化を抑制しつつ、美味しい食品を得ることができた。
【0050】
【0051】
製造例4:スムージー(ブドウ風味)
下表に示す配合でA液とB液を調製した。A液は、摂取不足になりやすい機能性成分である鉄分(ピロリン酸第二鉄)を他の原料と混ぜ合わせて1Lとなるように調整した。B液は、まず水に砂糖と増粘剤(HMペクチン)を加えて80℃で10分間加熱攪拌してから、残りの原料を加え、1Lとなるように調整した。A液は殺菌をせず、B液は93℃30秒で殺菌をした上で、A液3mLとB液10mLを、2つの液体収容部を備えた樹脂製容器(各液体収容部の開口部間は1cm)に充填して密封し、1回使い切りの容器詰め液状食品を製造した。
【0052】
製造した容器詰め食品をワンアクションで開封してコップに入れ、そこに牛乳120mLを添加して撹拌し、スムージーのような飲料を調製した(SV粘度:約5mPa・s)。一般にピロリン酸第二鉄は水に溶けにくく、また、果汁中のポリフェノールと沈殿を生じやすいところ、本発明のように2液型の容器詰め食品とすることによって、機能性成分の沈殿を抑制しつつ、美味しい食品を得ることができた。
【0053】
【0054】
製造例5:スムージー(黒ゴマ風味)
下表に示す配合でA液とB液を調製した。A液は、摂取不足になりやすい機能性成分であるカルシウム(塩化カルシウム)を他の原料と混ぜ合わせて1Lとなるように調整した。B液は、まず水に砂糖と増粘剤(HMペクチン)を加えて80℃で10分間加熱攪拌してから、残りの原料を加え、1Lとなるように調整した。A液は殺菌をせず、B液は93℃30秒で殺菌をした上で、A液3mLとB液10mLを、2つの液体収容部(各液体収容部の開口部間は1cm)を備えた樹脂製容器に充填して密封し、1回使い切りの容器詰め液状食品を製造した。
【0055】
製造した容器詰め食品をワンアクションで開封してコップに入れ、そこに牛乳120mLを添加して撹拌し、スムージーのような飲料を調製した(SV粘度:約7mPa・s)。一般にカルシウムはペクチンなどの増粘剤と反応しやすいところ、本発明のように2液型の容器詰め食品とすることによって、機能性成分の沈殿を抑制しつつ、美味しい食品を得ることができた。
【0056】
【0057】
製造例6:スムージー(ブドウ風味)
下表に示す配合でA液とB液を調製した。A液は、植物由来の抗酸化物質であり、眼精疲労の軽減作用などが報告されている機能性成分(アントシアニン)を他の原料と混ぜ合わせて1Lとなるように調整した。B液は、まず水に砂糖と増粘剤(LMペクチン)を加えて80℃で10分間加熱攪拌してから、残りの原料を加え、1Lとなるように調整した。A液、B液をそれぞれ93℃30秒で殺菌をした上で、A液3mLとB液10mLを、2つの液体収容部を備えた樹脂製容器(各液体収容部の開口部間は1cm)に充填して密封し、1回使い切りの容器詰め液状食品を製造した。
【0058】
製造した容器詰め食品をワンアクションで開封してコップに入れ、そこに牛乳120mLを添加して撹拌し、スムージーのような飲料を調製した(SV粘度:約5mPa・s)。一般にアントシアニンは中性だと不安定であるところ、本発明のように2液型の容器詰め食品とすることによって、機能性成分の沈殿を抑制しつつ、美味しい食品を得ることができた。
【0059】
また、樹脂製容器に充填前にA液を加熱殺菌せずB液のみを加熱殺菌した以外は、上記と同様にして容器詰め液状食品を製造した(製造例6b)。A液を加熱殺菌しないと、A液を加熱殺菌した場合と比較して、殺菌による安定性低下を防止し、アントシアニン由来の色調変化を抑えられるというメリットが考えられる。
【0060】
【0061】
製造例7:飲料(ヨーグルト風味)
下表に示す配合でA液とB液を調製した。A液は、整腸作用などが報告されている機能性成分(乳酸菌)を他の原料と混ぜ合わせて1Lとなるように調整した。B液は、まず水に砂糖と増粘剤(カラギナン)を加えて80℃で10分間加熱攪拌してから、残りの原料を加え、1Lとなるように調整した。A液、B液をそれぞれ93℃30秒で殺菌をした上で、A液3mLとB液10mLを、2つの液体収容部を備えた樹脂製容器(各液体収容部の開口部間は1cm)に充填して密封し、1回使い切りの容器詰め液状食品を製造した。
【0062】
製造した容器詰め食品をワンアクションで開封してコップに入れ、そこに水120mLを添加して撹拌し、ヨーグルト風味の飲料を調製した(SV粘度:約2mPa・s)。一般に乳酸菌は熱や酸素に対して不安定であるところ、本発明のように2液型の容器詰め食品とすることによって、機能性成分の劣化を抑制しつつ、美味しい食品を得ることができた。
【0063】
また、樹脂製容器に充填前にA液を加熱殺菌せずB液のみを加熱殺菌した以外は、上記と同様にして容器詰め液状食品を製造した(製造例7b)。A液を加熱殺菌しないと、A液を加熱殺菌した場合と比較して、殺菌による乳酸菌の活性低下を防ぐというメリットが考えられる。
【0064】
【0065】
製造例8:炭酸飲料(ブドウ風味)
下表に示す配合でA液とB液を調製した。A液は、植物由来の抗酸化物質であり、眼精疲労の軽減作用などが報告されている機能性成分(アントシアニン)を他の原料と混ぜ合わせて1Lとなるように調整した。B液は、まず水に砂糖と増粘剤(カラギナン)を加えて80℃で10分間加熱攪拌してから、残りの原料を加え、1Lとなるように調整した。A液、B液をそれぞれ93℃30秒で殺菌をした上で、A液3mLとB液10mLを、2つの液体収容部を備えた樹脂製容器(各液体収容部の開口部間は1cm)に充填して密封し、1回使い切りの容器詰め液状食品を製造した。
【0066】
製造した容器詰め食品をワンアクションで開封してコップに入れ、そこに炭酸水120mLを添加して撹拌し、ブドウ風味の炭酸飲料を調製した。一般にアントシアニンは中性だと不安定であるところ、本発明のように2液型の容器詰め食品とすることによって、機能性成分の沈殿を抑制しつつ、美味しい食品を得ることができた。
【0067】
また、樹脂製容器に充填前にA液を加熱殺菌せずB液のみを加熱殺菌した以外は、上記と同様にして容器詰め液状食品を製造した(製造例8b)。A液を加熱殺菌しないと、A液を加熱殺菌した場合と比較して、殺菌による安定性低下を防止し、アントシアニン由来の色調変化を抑えられるというメリットが考えられる。
【0068】
【0069】
製造例9:食用ソース(いちご風味)
下表に示す配合でA液とB液を調製した。A液は、高度不飽和脂肪酸の一種であり、抗血液凝固や中性脂肪低下作用が報告されている機能性成分(DHAおよびEPA)を他の原料と混ぜ合わせて1Lとなるように調整した。B液は、まず水に砂糖と増粘剤(HMペクチン)を加えて80℃で10分間加熱攪拌してから、残りの原料を加え、1Lとなるように調整した。A液は殺菌をせず、B液は93℃30秒で殺菌をした上で、A液3mLとB液10mLを、2つの液体収容部を備えた樹脂製容器(各液体収容部の開口部間は1cm)に充填して密封し、1回使い切りの容器詰め液状食品を製造した。
【0070】
製造した容器詰め食品をワンアクションで開封して、ヨーグルト200mLにかけて食用ソースとして使用した。DHAやEPAは脂溶性で酸化されやすいところ、本発明のように2液型の容器詰め食品とすることによって、機能性成分の劣化を抑制しつつ、美味しい食品を得ることができた。
【0071】
【0072】
製造例10:食用ソース(ブルーベリー風味)
下表に示す配合でA液とB液を調製した。A液は、乳酸菌の一種であり、善玉菌として整腸作用などが報告されている機能性成分(ビフィズス菌)を他の原料と混ぜ合わせて1Lとなるように調整した。B液は、まず水に砂糖と増粘剤(HMペクチン)を加えて80℃で10分間加熱攪拌してから、残りの原料を加え、1Lとなるように調整した。A液は殺菌をせず、B液は93℃30秒で殺菌をした上で、A液3mLとB液10mLを、2つの液体収容部を備えた樹脂製容器(各液体収容部の開口部間は1cm)に充填して密封し、1回使い切りの容器詰め液状食品を製造した。
【0073】
製造した容器詰め食品をワンアクションで開封して、ホットケーキにかけて食用ソースとして使用した。一般にビフィズス菌は熱や酸素に対して不安定であるところ、本発明のように2液型の容器詰め食品とすることによって、機能性成分の劣化を抑制しつつ、美味しい食品を得ることができた。
【0074】
【0075】
製造例11:スムージー(ゴマ・きなこ風味)
下表に示す配合でA液とB液を調製した。A液は、脂溶性の機能性成分(セサミン)を他の原料と混ぜ合わせて1Lとなるように調整した。B液は、まず水に砂糖と増粘剤を加えて80℃で10分間加熱攪拌してから、残りの原料を加え、1Lとなるように調整した。A液は殺菌をせず、B液は93℃30秒で殺菌をした上で、A液3mLとB液10mLを、2つの液体収容部を備えた樹脂製容器(各液体収容部の開口部間は1cm)に充填して密封し、1回使い切りの容器詰め液状食品を製造した。
【0076】
製造した容器詰め食品をワンアクションで開封してコップに入れ、そこに牛乳120mLを添加して撹拌し、スムージー様の飲料を調製した(SV粘度:約5mPa・s)。本発明のように2液型の容器詰め食品とすることによって、機能性成分の劣化を抑制しつつ、美味しい飲料を得ることができた。
【0077】
【0078】
製造例12:スムージー(いちご風味)
下表に示す配合でA液とB液を調製した。A液は、脂溶性の機能性成分(ビタミンDおよびビタミンE)を他の原料と混ぜ合わせて1Lとなるように調整した。B液は、まず水に砂糖を加えて80℃で10分間加熱攪拌してから、残りの原料を加え、1Lとなるように調整した。A液は殺菌をせず、B液は93℃30秒で殺菌をした上で、A液3mLとB液10mLを、2つの液体収容部を備えた樹脂製容器(各液体収容部の開口部間は1cm)に充填して密封し、1回使い切りの容器詰め液状食品を製造した。
【0079】
製造した容器詰め食品をワンアクションで開封してコップに入れ、そこに牛乳120mLを添加して撹拌し、スムージー様の飲料を調製した(SV粘度:約5mPa・s)。本発明のように2液型の容器詰め食品とすることによって、機能性成分の劣化を抑制しつつ、美味しい飲料を得ることができた。
【0080】
【0081】
製造例13:食用ソース(いちご風味)
下表に示す配合でA液とB液を調製した。A液は、脂溶性の機能性成分(セサミン)を他の原料と混ぜ合わせて1Lとなるように調製し、B液は、市販のいちごジャム(ペクチン含有)を使用した。A液は殺菌をせず、B液93℃30秒で殺菌をした上で、A液3mLとB液10mLを、2つの液体収容部を備えた樹脂製容器(各液体収容部の開口部間は1cm)に充填して密封し、1回使い切りの容器詰め液状食品を製造した。
【0082】
製造した容器詰め食品をワンアクションで開封して、ヨーグルト200mLにかけて食用ソースとして使用した。本発明のように2液型の容器詰め食品とすることによって、機能性成分の劣化を抑制しつつ、美味しい食品を得ることができた。
【0083】
【0084】
製造例14:ホットミルク飲料(はちみつ風味)
下表に示す配合でA液とB液を調製した。A液は、脂溶性の機能性成分(ビタミンDおよびビタミンE)を基材となる食用油脂(ADEKA社製オレオゲル、モーゼルソフトTL)と混ぜ合わせて1Lとなるように調製し、B液は、市販のはちみつを使用した。A液は殺菌をせず、B液は140℃5秒で殺菌をした上で、A液3mLとB液10mLを、2つの液体収容部を備えた樹脂製容器(各液体収容部の開口部間は1cm)に充填して密封し、1回使い切りの容器詰め液状食品を製造した。
【0085】
製造した容器詰め食品をワンアクションで開封して、60℃に加温した牛乳に混ぜ合わせて飲料として使用した。本発明のように2液型の容器詰め食品とすることによって、機能性成分の劣化を抑制しつつ、美味しい飲料を得ることができた。
【0086】