(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024010564
(43)【公開日】2024-01-24
(54)【発明の名称】経路設定方法、プログラム及び経路設定システム
(51)【国際特許分類】
G05D 1/43 20240101AFI20240117BHJP
【FI】
G05D1/02 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022111966
(22)【出願日】2022-07-12
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】504150450
【氏名又は名称】国立大学法人神戸大学
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木内 裕介
(72)【発明者】
【氏名】北島 克将
(72)【発明者】
【氏名】横小路 泰義
(72)【発明者】
【氏名】田▲崎▼ 勇一
(72)【発明者】
【氏名】永野 光
【テーマコード(参考)】
5H301
【Fターム(参考)】
5H301AA01
5H301BB05
5H301BB07
5H301CC03
5H301CC06
5H301CC10
5H301DD07
5H301DD15
5H301GG08
(57)【要約】
【課題】移動体を適切な位置に誘導する。
【解決手段】経路設定方法は、位置を移動可能な端末により、端末による検出の基準となる端末座標系における対象物の位置情報を検出するステップと、端末座標系と、移動体の移動の基準となる移動体座標系との座標変換を行うことで、端末座標系における対象物の位置情報から、移動体座標系における対象物の位置を示す第1位置情報を算出するステップと、第1位置情報に基づき、移動体座標系において対象物に向かう経路を設定するステップと、を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
位置を移動可能な端末により、前記端末による検出の基準となる端末座標系における対象物の位置情報を検出するステップと、
前記端末座標系と、移動体の移動の基準となる移動体座標系との座標変換を行うことで、前記端末座標系における前記対象物の位置情報から、前記移動体座標系における前記対象物の位置を示す第1位置情報を算出するステップと、
前記第1位置情報に基づき、前記移動体座標系において前記対象物に向かう経路を設定するステップと、
を含む、
経路設定方法。
【請求項2】
前記対象物の位置情報を検出するステップでは、前記移動体座標系での位置が既知である基準部を基準として、前記端末に前記対象物の位置情報を検出させ、
前記第1位置情報を算出するステップでは、前記移動体座標系での前記基準部の位置に基づいて、前記端末座標系と前記移動体座標系との座標変換を行う、請求項1に記載の経路設定方法。
【請求項3】
前記移動体により、前記移動体座標系における前記対象物の位置情報を検出させるステップをさらに含み、
前記第1位置情報を算出するステップでは、前記端末により検出された前記端末座標系における対象物の位置情報と、前記移動体により検出された前記移動体座標系における対象物の位置情報とに基づいて、前記端末座標系と前記移動体座標系との座標変換を行う、請求項1又は請求項2に記載の経路設定方法。
【請求項4】
前記第1位置情報に基づいて検知領域を設定するステップと、
前記移動体に前記検知領域を検出させることで、前記移動体座標系における前記対象物の位置情報を取得するステップと、をさらに含み、
前記第1位置情報を算出するステップでは、前記端末座標系における前記対象物の位置情報と、前記移動体座標系における前記対象物の位置情報とに基づいて、前記第1位置情報を算出し直し、
前記経路を設定するステップにおいては、算出し直された前記第1位置情報に基づき、前記経路を設定する、請求項1又は請求項2に記載の経路設定方法。
【請求項5】
前記第1位置情報に基づき設定された前記経路に従って移動した後に、前記移動体に、前記移動体座標系における前記対象物の位置情報を検出させるステップと、
前記端末座標系における前記対象物の位置情報と、前記移動体座標系における前記対象物の位置情報とに基づいて、前記移動体座標系における前記対象物の位置を示す第2位置情報を算出するステップと、
前記第2位置情報に基づいて、前記移動体座標系において前記対象物に向かう経路を設定するステップと、を更に含む、請求項1又は請求項2に記載の経路設定方法。
【請求項6】
前記第1位置情報に基づき設定された前記経路に従って移動した後に、前記移動体に、前記移動体座標系における前記対象物の位置情報を検出させるステップと、
前記移動体座標系における前記対象物の位置情報に基づいて、前記移動体座標系において前記対象物に向かう経路を設定するステップと、を更に含む、
請求項1又は請求項2に記載の経路設定方法。
【請求項7】
設定された前記経路に従って前記移動体を移動させる設定するステップを更に含む、請求項1又は請求項2に記載の経路設定方法。
【請求項8】
位置を移動可能な端末により、前記端末による検出の基準となる端末座標系における対象物の位置情報を検出するステップと、
前記端末座標系と、移動体の移動の基準となる移動体座標系との座標変換を行うことで、前記端末座標系における前記対象物の位置情報から、前記移動体座標系における前記対象物の位置を示す第1位置情報を算出するステップと、
前記第1位置情報に基づき、前記移動体座標系において前記対象物に向かう経路を設定するステップと、
をコンピュータに実行させる、
プログラム。
【請求項9】
位置を移動可能な端末と、移動体とを含む経路設定システムであって、
前記端末は、検出の基準となる端末座標系における対象物の位置情報を検出する対象物検出部を含み、
前記移動体は、移動体の移動の基準となる移動体座標系における前記対象物の位置を示す第1位置情報に基づいて設定された、前記移動体座標系において前記対象物に向かう経路を取得する経路取得部を含み、
前記第1位置情報は、前記端末座標系と前記移動体座標系との座標変換を行うことで、前記端末座標系における前記対象物の位置情報から算出されたものである、
経路設定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、経路設定方法、プログラム及び経路設定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
自動で移動する移動体の移動経路を設定する技術が知られている。例えば特許文献1には、ユーザが、端末に表示されている地図上でのポイントをマークすることで、無人機により処理されるべき領域を指定して、無人機にその領域まで移動させる旨が記載されている。このように、移動体の移動先をユーザが指定することで、移動体を移動先まで誘導することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1においては、予め決められた地図上でしかポイントを指定できないため、例えば状況に応じた適切な位置に、移動体を誘導することができないおそれがある。
【0005】
本開示は、上述した課題を解決するものであり、移動体を適切な位置に誘導可能な経路設定方法、プログラム及び経路設定システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る経路設定方法は、位置を移動可能な端末により、前記端末による検出の基準となる端末座標系における対象物の位置情報を検出するステップと、前記端末座標系と、移動体の移動の基準となる移動体座標系との座標変換を行うことで、前記端末座標系における前記対象物の位置情報から、前記移動体座標系における前記対象物の位置を示す第1位置情報を算出するステップと、前記第1位置情報に基づき、前記移動体座標系において前記対象物に向かう経路を設定するステップと、を含む。
【0007】
本開示に係るプログラムは、位置を移動可能な端末により、前記端末による検出の基準となる端末座標系における対象物の位置情報を検出するステップと、前記端末座標系と、移動体の移動の基準となる移動体座標系との座標変換を行うことで、前記端末座標系における前記対象物の位置情報から、前記移動体座標系における前記対象物の位置を示す第1位置情報を算出するステップと、前記第1位置情報に基づき、前記移動体座標系において前記対象物に向かう経路を設定するステップと、をコンピュータに実行させる。
【0008】
本開示に係る経路設定システムは、位置を移動可能な端末と、移動体とを含む経路設定システムであって、前記端末は、検出の基準となる端末座標系における対象物の位置情報を検出する対象物検出部を含み、前記移動体は、移動体の移動の基準となる移動体座標系における前記対象物の位置を示す第1位置情報に基づいて設定された、前記移動体座標系において前記対象物に向かう経路を取得する経路取得部を含み、前記第1位置情報は、前記端末座標系と前記移動体座標系との座標変換を行うことで、前記端末座標系における前記対象物の位置情報から算出されたものである。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、移動体を適切な位置に誘導することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本実施形態に係る経路設定システムの模式図である。
【
図3】
図3は、情報処理装置の模式的なブロック図である。
【
図4】
図4は、移動体の制御装置の模式的なブロック図である。
【
図6】
図6は、端末による対象物の検出を説明する模式図である。
【
図8】
図8は、基準部を基準とした検出の一例を説明する模式図である。
【
図9】
図9は、経路の設定を説明する模式図である。
【
図10】
図10は、経路設定システムの処理フローを説明するフローチャートである。
【
図11】
図11は、第2実施形態における座標変換の一例を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に添付図面を参照して、本開示の好適な実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本開示が限定されるものではなく、また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせて構成するものも含むものである。
【0012】
(第1実施形態)
(経路設定システム)
図1は、本実施形態に係る経路設定システムの模式図である。
図1に示すように、本実施形態に係る経路設定システム1は、移動体10と管理装置12と情報処理装置14と端末16とを含む。経路設定システム1は、設備Wに所属する移動体10の移動経路を設定して、移動体10の移動を制御するシステムである。設備Wは、例えば倉庫など、物流管理される設備である。経路設定システム1においては、移動体10は、設備Wの領域AR内に配置された対象物Pをピックアップして搬送する。領域ARは、例えば設備Wの床面であり、目標物Qが設置されたり移動体10が移動したりする領域である。対象物Pは、本実施形態では、パレット上に荷物が積載された搬送対象物である。ただし、対象物Pは、パレット上に荷物が積載されたものに限られず任意の形態であってよく、例えばパレットを有さず荷物のみであってもよい。
【0013】
本実施形態では、設置領域AR0に設置された対象物Pに向かって移動体10を移動させて、その対象物Pをピックアップさせる。設置領域AR0は、対象物Pを設置すべき領域として、予め設定される。設置領域AR0は、例えば白線などで区分されており、設置領域AR0の位置(座標)、形状、及び大きさは、予め設定されている。本実施形態の例では、設置領域AR0は、複数の対象物Pを自由に設置することが許可されている領域であり、設置領域AR0内での対象物Pの位置及び向きは、移動体10や管理装置12や情報処理装置14によって予め把握されていない。そのため、本実施形態では、端末16により設置領域AR0内の対象物Pの位置及び向きを検出させて、端末16により検出された対象物Pの位置及び向きに基づいて、対象物Pに向かう移動体10用の経路を設定する。ただし、移動体10の移動先となる対象物Pは、予め決められた設置領域AR0内に配置されていることに限られず、設備W内の任意の位置に配置されたものであってよい。この場合であっても、対象物Pの位置及び向きは、移動体10や管理装置12や情報処理装置14によって予め把握されていなくてよい。
【0014】
ここで、移動体10の移動の際の基準となる座標系を、移動体座標系Cとする。移動体座標系Cは、固定された基準位置を基準とした座標系であり、例えば、領域ARに沿った一方向であるX方向と、領域ARに沿った方向であって方向Xに交差するY方向との、二次元座標系である。従って例えば、移動体座標系Cにおける位置とは、移動体座標系Cにおける座標(X方向及びY方向における位置)を指し、移動体座標系Cにおける向きとは、Z方向から見た場合にX方向を0°とした際のヨー角(回転角度)を指す。ただし、移動体座標系Cは、X方向及びY方向の二次元座標系であることに限られず、例えば、X方向、Y方向及びZ方向(鉛直方向)の三次元座標系であってもよい。
【0015】
(移動体)
図2は、移動体の構成の模式図である。移動体10は、自動で移動可能であり対象物Pを搬送可能な装置である。さらに言えば、本実施形態では、移動体10は、フォークリフトであり、より詳しくはいわゆるAGV(Automated Guided Vehicle)やAGF(Automated Guided Forklift)である。ただし、移動体10は、対象物Pを搬送するフォークリフトであることに限られず、自動で移動可能な任意な装置であってよい。
【0016】
図2に示すように、移動体10は、車体20と、車輪20Aと、ストラドルレッグ21と、マスト22と、フォーク24と、センサ26Aと、制御装置28とを備えている。ストラドルレッグ21は、車体20の前後方向における一方の端部に設けられて、車体20から突出する一対の軸状の部材である。車輪20Aは、それぞれのストラドルレッグ21の先端と、車体20とに設けられている。すなわち、車輪20Aは、合計3個設けられているが、車輪20Aの設けられる位置や個数は任意であってよい。マスト22は、ストラドルレッグ21に移動可能に取り付けられ、車体20の前後方向に移動する。マスト22は、前後方向に直交する上下方向(ここでは方向Z)に沿って延在する。フォーク24は、マスト22に方向Zに移動可能に取付けられている。フォーク24は、マスト22に対して、車体20の横方向(上下方向及び前後方向に交差する方向)にも移動可能であってよい。フォーク24は、一対のツメ24A、24Bを有している。ツメ24A、24Bは、マスト22から車体20の前方向に向けて延在している。ツメ24Aとツメ24Bとは、マスト22の横方向に、互いに離れて配置されている。以下、前後方向のうち、移動体10においてフォーク24が設けられている側の方向を、前方向とし、フォーク24が設けられていない側の方向を、後方向とする。
【0017】
センサ26Aは、車体20の周辺に存在する対象物の位置及び向き(姿勢)の少なくとも1つを検出する。センサ26Aは、移動体10に対する対象物の位置と、移動体10に対する対象物の向きとの少なくとも一方を検出するともいえる。本実施形態では、センサ26Aは、それぞれのストラドルレッグ21の前方向における先端と、車体20の後方向側とに設けられている。ただし、センサ26Aの設けられる位置はこれに限られず、任意の位置に設けられてもよいし、設けられる数も任意であってよい。
【0018】
センサ26Aは、例えばレーザ光を照射するセンサである。センサ26Aは、一方向(ここでは横方向)に走査しつつレーザ光を照射し、照射したレーザ光の反射光から、対象物の位置及び向きを検出する。すなわち、センサ26Aは、いわゆる2次元(2D)-LiDAR(Light Detection And Ranging)であるともいえる。ただし、センサ26Aは、以上のものに限られず任意の方法で対象物を検出するセンサであってよく、例えば、複数の方向に走査されるいわゆる3次元(3D)-LiDARであってもよいし、走査されない、いわゆる1次元(1D)-LiDARであってもよいし、カメラであってもよい。
【0019】
制御装置28は、移動体10の移動を制御する。制御装置28については後述する。
【0020】
(管理装置)
管理装置12は、設備Wにおける物流を管理するシステムである。管理装置12は、例えば、移動体10の作業内容や、設備Wに設けられる移動体10以外の機構(例えばエレベータや扉など)の制御内容を設定する。管理装置12は、本実施形態ではWCS(Warehouse Control System)やWMS(Warehouse Management System)であるが、WCS及びWMSに限られず任意のシステムであってよく、例えば、その他の生産管理系システムのようなバックエンドシステムでも構わない。管理装置12が設けられる位置は任意であり、設備W内に設けられてもよいし、設備Wから離れた位置に設けられて、離れた位置から設備Wを管理するものであってもよい。
【0021】
(情報処理装置)
図3は、情報処理装置の模式的なブロック図である。情報処理装置14は、移動体10の移動に関する情報などを処理する装置である。情報処理装置14は、例えばFCS(Fleet Control System)であるが、それに限られず、移動体10の移動に関する情報を処理する任意の装置であってよい。情報処理装置14は、本実施形態では設備Wに設けられるが、設けられる位置は任意であってよい。情報処理装置14は、コンピュータであり、
図3に示すように、通信部30と記憶部32と制御部34とを含む。通信部30は、制御部34に用いられて、管理装置12や移動体10などの外部の装置と通信するモジュールであり、例えばアンテナなどを含んでよい。通信部30による通信方式は、本実施形態では無線通信であるが、通信方式は任意であってよい。記憶部32は、制御部34の演算内容やプログラムなどの各種情報を記憶するメモリであり、例えば、RAM(Random Access Memory)と、ROM(Read Only Memory)のような主記憶装置と、HDD(Hard Disk Drive)などの外部記憶装置とのうち、少なくとも1つ含む。
【0022】
制御部34は、演算装置であり、例えばCPU(Central Processing Unit)などの演算回路を含む。制御部34は、基準経路設定部36を含む。制御部34は、記憶部32からプログラム(ソフトウェア)を読み出して実行することで、基準経路設定部36を実現して、その処理を実行する。なお、制御部34は、1つのCPUによって処理を実行してもよいし、複数のCPUを備えて、それらの複数のCPUで、処理を実行してもよい。また、基準経路設定部36を、ハードウェア回路で実現してもよい。また、記憶部32が保存する制御部34用のプログラムは、情報処理装置14が読み取り可能な記録媒体に記憶されていてもよい。
【0023】
基準経路設定部36は、移動体10の基準経路を設定する。基準経路とは、移動体座標系Cでの位置が既知の箇所同士を繋ぐ経路である。例えば、領域ARには、位置(座標)毎にウェイポイントが設定されており、基準経路は、ウェイポイントを繋ぐように設定される。ウェイポイントは、設備Wのレイアウトに応じて設定される。
【0024】
なお、本実施形態では、管理装置12と情報処理装置14とが別の装置であったが、一体の装置であってもよい。すなわち、管理装置12が情報処理装置14の少なくとも一部の機能を兼ね備えてよいし、情報処理装置14が管理装置12の少なくとも一部の機能を兼ね備えてよい。
【0025】
(移動体の制御装置)
次に、移動体10の制御装置28について説明する。
図4は、移動体の制御装置の模式的なブロック図である。制御装置28は、移動体10を制御する装置である。制御装置28は、コンピュータであり、
図4に示すように、通信部40と記憶部42と制御部44とを含む。通信部40は、制御部44に用いられて、情報処理装置14や端末16などの外部の装置と通信するモジュールであり、例えばアンテナなどを含んでよい。通信部40による通信方式は、本実施形態では無線通信であるが、通信方式は任意であってよい。記憶部42は、制御部44の演算内容やプログラムなどの各種情報を記憶するメモリであり、例えば、RAMと、ROMのような主記憶装置と、HDDなどの外部記憶装置とのうち、少なくとも1つ含む。
【0026】
制御部44は、演算装置であり、例えばCPUなどの演算回路を含む。制御部44は、対象物情報取得部50と、自己位置取得部52と、経路取得部54と、移動制御部56とを含む。制御部68は、記憶部66からプログラム(ソフトウェア)を読み出して実行することで、対象物情報取得部50と自己位置取得部52と経路取得部54と移動制御部56とを実現して、それらの処理を実行する。なお、制御部44は、1つのCPUによってこれらの処理を実行してもよいし、複数のCPUを備えて、それらの複数のCPUで、処理を実行してもよい。また、対象物情報取得部50と自己位置取得部52と経路取得部54と移動制御部56との少なくとも一部を、ハードウェア回路で実現してもよい。また、記憶部42が保存する制御部44用のプログラムは、制御装置28が読み取り可能な記録媒体に記憶されていてもよい。
【0027】
対象物情報取得部50は、移動体10の移動先となる対象物Pの位置情報を取得する。自己位置取得部52は、移動体10の位置情報を取得する。経路取得部54は、移動体10が移動する経路の情報を取得する。移動制御部56は、移動体10の駆動部やステアリングなどの移動機構を制御して、移動体10の移動を制御する。これらの具体的な処理内容については後述する。
【0028】
(端末)
端末16は、位置を移動可能な装置である。本実施形態の例では、端末16は、ユーザUに携帯される端末であり、ユーザUが移動することにより、位置が移動される。ただし、端末16は、ユーザUに携帯される端末であることに限られず、移動可能な装置に搭載されるものであってよい。例えば、端末16は、いわゆるドローンなどの飛行体や、地上を移動する車両やロボットなどに搭載されてもよい。この場合、端末16や端末16を搭載する装置は、ユーザUによって遠隔操作されてよい。
【0029】
図5は、端末の模式的なブロック図である。
図5に示すように、端末16は、入力部60と表示部62と通信部64と記憶部66と制御部68とセンサ69とを有する。
【0030】
センサ69は、端末16の周辺に存在する対象物の位置及び向きの少なくとも1つを検出する。センサ69は、端末16に対する対象物の位置と、端末16に対する対象物の向きとの少なくとも一方を検出するともいえる。センサ69は、例えばレーザ光を照射するセンサである。センサ69は、一方向(ここでは横方向)に走査しつつレーザ光を照射し、照射したレーザ光の反射光から、対象物の位置及び向きを検出する。すなわち、センサ26Aは、いわゆる2次元-LiDARであるともいえる。ただし、センサ69は、以上のものに限られず任意の方法で対象物を検出するセンサであってよく、例えば、複数の方向に走査されるいわゆる3次元-LiDARであってもよいし、走査されない、いわゆる1次元-LiDARであってもよいし、カメラであってもよい。
【0031】
入力部60は、ユーザの入力を受け付ける機構であり、例えばタッチパネルなどであってよい。表示部62は、画像を表示するするディスプレイである。通信部64は、移動体10や情報処理装置14などの外部の装置と通信を行う通信モジュールであり、例えばアンテナなどである。端末16は、無線通信で外部の装置と通信を行うが、有線通信でもよく、通信方式は任意であってよい。記憶部66は、制御部68の演算内容やプログラムなどの各種情報を記憶するメモリであり、例えば、RAM(Random Access Memory)と、ROM(Read Only Memory)のような主記憶装置と、HDD(Hard Disk Drive)などの外部記憶装置とのうち、少なくとも1つ含む。記憶部66が記憶する制御部68用のプログラムは、端末16が読み取り可能な記録媒体に記憶されていてもよい。
【0032】
制御部68は、演算装置であり、例えばCPUなどの演算回路を含む。制御部68は、対象物検出部70と、表示制御部72と、対象物設定部74と、対象物情報送信部76とを含む。制御部68は、記憶部66からプログラム(ソフトウェア)を読み出して実行することで、対象物検出部70と表示制御部72と対象物設定部74と対象物情報送信部76とを実現して、それらの処理を実行する。なお、制御部68は、1つのCPUによってこれらの処理を実行してもよいし、複数のCPUを備えて、それらの複数のCPUで、処理を実行してもよい。また、対象物検出部70と表示制御部72と対象物設定部74と対象物情報送信部76との少なくとも一部を、ハードウェア回路で実現してもよい。また、記憶部66が保存する制御部68用のプログラムは、端末16が読み取り可能な記録媒体に記憶されていてもよい。
【0033】
対象物検出部70は、センサ69を制御して、センサ69に対象物Pの位置情報を検出させる。表示制御部72は、表示部62を制御して、表示部62に画像を表示させる。対象物設定部74は、対象物検出部70が検出した対象物Pのうちから、移動体10の移動先となる対象物Pを設定する。対象物情報送信部76は、通信部64を介して、移動体10の移動先となる対象物Pの位置情報を移動体10に送信する。これらの具体的な処理内容については後述する。
【0034】
(経路設定システムの処理)
経路設定システム1による、移動体10を対象物Pに移動させる処理内容を、以下で説明する。
【0035】
(対象物の検出)
図6は、端末による対象物の検出を説明する模式図である。端末16の対象物検出部70は、対象物Pの位置情報を検出する。対象物Pの位置情報とは、対象物Pの位置及び向きを示す情報である。具体的には、対象物検出部70は、センサ69により対象物Pを検出させて、センサ69による検出結果から、対象物Pの位置情報を算出する。すなわち例えば、センサ39がLiDARである場合には、対象物検出部70は、センサ39から対象物Pに向けてレーザ光を照射させて、センサ39が受光した対象物Pからの反射光を点群として取得する。対象物検出部70は、対象物Pからの反射光の点群に基づいて、対象物Pの位置情報を算出する。
【0036】
本実施形態では、ユーザUが、作業対象の候補となる対象物Pを特定する。そして、ユーザUは、特定した対象物Pの近傍まで移動して、端末16を操作する。これにより、対象物検出部70は、センサ69により特定した対象物Pを検出させて、特定した対象物Pの位置情報を取得する。なお、端末16が装置に搭載されている場合には、例えば、ユーザUは、遠隔操作により、装置を対象物Pの近傍まで移動させて、対象物Pの位置情報を検出させる。
【0037】
候補となる対象物Pの特定方法は任意であってよいが、本実施形態においては、ユーザUは、設置領域AR0内にある対象物Pを、候補となる対象物Pとして特定する。従って、ユーザUは、
図6の例に示すように、設置領域AR内の対象物Pの近傍まで移動して、端末16に、設置領域AR内の対象物Pの位置情報を検出させる。
図6の例では、候補となる対象物P(ここでは設置領域AR0内の対象物P)として、対象物PA、PB、PCの3つが特定されており、端末16は、対象物PA、PB、PCのそれぞれについての位置情報を検出する。ただし、候補となる対象物Pの数は3つに限られず任意であってよい。また、対象物Pの近傍とは、端末16により対象物Pの位置情報を検出可能な任意の位置(例えば対象物Pからのレーザ光の反射光を所定強度以上で受光可能な任意の位置)であってよい。
【0038】
ここで、端末16は、端末16に対する対象物Pの位置及び向きを検出する。すなわち、端末16によって検出された対象物Pの位置情報は、移動体座標系Cにおける対象物Pの位置及び向きではなく、端末16の位置を基準とした端末座標系CAにおける対象物Pの位置及び向きということができる。
図6の例では、端末座標系CAは、端末16の位置を基準とした所定の水平方向であるXa方向と、Xa方向に直交する水平方向であるYa方向との、二次元座標系である。従って例えば、端末座標系CAにおける位置とは、端末座標系CAにおける座標(Xa方向及びYa方向における位置)を指し、端末座標系CAにおける向きとは、Za方向(Xa方向及びYa方向に直交する鉛直方向)から見た場合にXa方向を0°とした際のヨー角(回転角度)を指す。ただし、移動体座標系Cは、Xa方向及びYa方向の二次元座標系であることに限られず、例えば、Xa方向、Ya方向及びZa方向の三次元座標系であってもよい。
【0039】
(対象物の表示)
図7は、対象物を示す画像の模式図である。端末16の表示制御部72は、対象物検出部70によって取得された対象物Pの位置情報に基づいて、端末座標系CAにおける対象物Pを示す画像を、表示部62に表示させる。すなわち、表示制御部72は、対象物Pの位置情報が示す位置及び向きとなる対象物Pの画像を、表示部62に表示させる。例えば本実施形態の例では、対象物PA、PB、PCの位置情報が取得されているため、表示制御部72は、
図7に示すように、端末座標系CAにおける対象物PA、PB、PCを示す画像を、表示部62に表示させる。表示制御部72は、Za方向から見た対象物PA、PB、PCの画像を、表示部62に表示させることが好ましい。
【0040】
(移動先となる対象物の決定)
端末16の対象物設定部74は、候補となる対象物Pのうちから、すなわち位置情報が検出された対象物Pのうちから、移動体10の移動先となる対象物Pを決定する。対象物設定部74は、候補となる対象物PのうちでユーザUによって指定された対象物Pを、移動先となる対象物Pとして決定する。この場合例えば、ユーザUは、表示部62に表示された対象物Pのうちから、移動先となる対象物Pを指定する。すなわち端末16は、対象物Pの画像が表示された状態で、ユーザUによる対象物Pの指定を受け付け、ユーザUに指定された対象物Pを、移動先となる対象物Pとして決定する。
【0041】
ただし、移動先となる対象物Pの決定方法は、上述に限られない。例えば、端末16の表示制御部72は、対象物Pの画像を表示部62に表示させずに、センサ69による対象物Pの検出結果そのものを(ここでは点群を)、表示部62に表示させてよい。この場合、ユーザUは、対象物Pの検出結果の画像を視認して、移動先となる対象物Pに対応する座標(端末座標系CAにおける位置)を指定する。そして、対象物設定部74は、ユーザUに指定された座標を、移動先となる対象物Pとして決定する。
【0042】
また、以上の説明では、候補となる複数の対象物Pのうちから、移動先となる対象物Pを決定していたが、この処理は必須ではない。例えば、端末16により、1つの対象物Pの位置情報を検出させて、その対象物Pを移動先となる対象物Pとしてもよい。
【0043】
(対象物の位置情報の送信)
端末16の対象物情報送信部76は、移動先として決定された対象物Pの位置情報を、移動体10に送信する。本実施形態では、対象物情報送信部76は、移動先となる対象物Pの、端末座標系CAにおける位置情報を、移動体10に送信する。
【0044】
(対象物の位置情報の取得)
移動体10の対象物情報取得部50は、端末16から、移動先となる対象物Pの位置情報を取得する。本実施形態では、対象物情報取得部50は、移動先となる対象物Pの、端末座標系CAにおける位置情報を取得する。
【0045】
(移動体の位置情報の取得)
移動体10の自己位置取得部52は、移動体10の現在の位置情報を取得する。移動体10の位置情報とは、移動体10の位置及び向きを示す情報である。自己位置取得部52は、移動体座標系Cにおける移動体10の位置情報を取得する。自己位置取得部52による移動体10の位置情報の取得方法は任意であるが、例えば本実施形態では、設備Wに図示しない検出体が設けられており、自己位置取得部52は、検出体の検出に基づき移動体10の位置情報を取得する。具体的には、移動体10は、検出体に向けてレーザ光を照射し、検出体によるレーザ光の反射光を受光して、移動体座標系Cにおける自身の位置及び向きを検出する。ただし、移動体10の位置情報の取得方法は、検出体を用いることに限られず、例えば、SLAM(Simultaneous Localization And Mapping)を用いてもよい。
【0046】
(移動体座標系における対象物の位置情報の取得)
上述のように、対象物Pの位置情報が、端末座標系CAにおける対象物Pの位置及び向きを示すのに対し、移動体10は、移動体座標系Cにおける自己位置を検出しながら移動する。そのため、本実施形態においては、移動体座標系Cと端末座標系CAとの座標変換を行うことで、端末座標系CAにおける対象物Pの位置情報から、移動体座標系Cにおける対象物Pの位置情報である第1位置情報を算出する。第1位置情報とは、移動体座標系Cにおける対象物Pの位置及び向きを示す情報である。
【0047】
対象物情報取得部50は、任意の方法で移動体座標系Cと端末座標系CAとの座標変換を行ってもよいが、例えば、移動体座標系Cと端末座標系CAとの対応関係を取得することで座標変換を行ってもよい。この場合、対象物情報取得部50は、取得した対応関係を用いて、端末座標系CAにおける対象物Pの位置及び向きを、移動体座標系Cにおける対象物Pの位置及び向きに変換して、移動体座標系Cにおける対象物Pの第1位置情報とする。
【0048】
図8は、基準部を基準とした検出の一例を説明する模式図である。移動体座標系Cと端末座標系CAとの対応関係の取得方法は任意であってよい。例えば、
図8に示すように、設備Wに、移動体座標系Cでの位置及び向きが既知の基準部Mを予め設けてよい。基準部Mは、例えば領域ARに設けられたマーカであるが、移動体座標系Cでの位置及び向きが既知である任意のものであってよい。この場合、ユーザUは、端末16に、この基準部Mを基準として対象物Pを検出させる。これにより、端末座標系CAが基準部Mを基準とした座標系となるため、端末16は、基準部Mに対する対象物Pの位置及び向きを、端末座標系CAでの対象物Pの位置情報として検出できる。対象物情報取得部50は、移動体座標系Cでの基準部Mの位置及び向きの情報を、対応関係として取得して、この対応関係に基づき、端末座標系CAでの対象物Pの位置情報(基準部Mに対する対象物Pの位置及び向き)から、移動体座標系Cにおける対象物Pの第1位置情報を算出する。なお、対象物情報取得部50による、対応関係(移動体座標系Cでの基準部Mの位置及び向き)の取得方法は任意であってよいが、例えば移動体10の記憶部42に予め記憶されていた情報を読み出してもよいし、端末16や情報処理装置14などの他の装置から、通信により情報を取得してもよい。
【0049】
端末16による、基準部Mを基準とした対象物Pの検出方法は任意であってよい。例えば、
図8に示すように、端末16の対象物検出部70が、センサ69に基準部Mを検出させて、その検出結果から基準部Mの位置及び向きを算出してよい。そして、対象物検出部70は、センサ69に対象物Pを検出させて、端末16に対する対象物Pの位置及び向きの検出結果と、基準部Mに対する端末16の位置及び向きとから、基準部Mに対する対象物Pの位置及び向きを算出する。また例えば、ユーザUが、基準部Mに対して所定の位置及び向きに端末16を配置して、その状態における端末16の位置及び姿勢を、端末座標系CAの基準点としてよい。この場合例えば、対象物検出部70は、端末16に対する対象物Pの位置及び向きの検出結果と、基準点とから、基準部Mに対する対象物Pの位置及び向きを算出する。
【0050】
(経路の設定)
図9は、経路の設定を説明する模式図である。移動体10の経路取得部54は、移動体座標系Cにおける対象物Pの位置及び向きを示す第1位置情報に基づき設定された、移動体座標系Cにおいて対象物Pに向かう経路R1を取得する。本実施形態では、経路取得部54が、自身で、第1位置情報に基づいて経路R1を設定する。例えば、経路取得部54は、第1位置情報に基づいて、移動体座標系Cにおいて、対象物Pに対して所定の位置及び向きとなる位置Bを算出して、移動体座標系Cにおいて位置Bまでの経路を、経路R1として設定する。位置Bは、対象物Pが第1位置情報に示す位置及び向きで配置されていると仮定した場合に、移動体10が対象物Pをピックアップ可能な位置及び向きといえる。
図9の例では、経路取得部54は、現在位置から待機位置Aまでの基準経路R0を取得する。待機位置Aは、例えばウェイポイントとして予め設定された位置であり、その位置は任意であってよい。経路取得部54は、現在位置から待機位置Aまでの基準経路R0を情報処理装置14から取得してもよいし、現在位置から待機位置Aまでの基準経路R0を自身で設定してもよい。そして、経路取得部54は、待機位置Aから位置Bまでの経路を、経路R1として設定する。
【0051】
図9に示すように、移動体10の移動制御部56は、経路取得部54が取得した基準経路R0に従って、待機位置Aまで移動体10を移動させる。そして、移動制御部56は、経路取得部54が設定した経路R1に従って、待機位置Aから位置Bまで移動体10を移動させて、対象物Pをピックアップさせる。なお、移動体10は、自己位置取得部52により、移動体座標系Cにおける自己位置を逐次確認しつつ、基準経路R0や経路R1に従って移動する。
【0052】
以上の例では、移動体10は、基準経路R0に従って待機位置Aまで移動して、経路Rに従って待機位置Aから位置Bまで移動したが、それに限られない。例えば、待機位置Aまでの移動は必須ではなく、例えば、経路取得部54は、移動体10の現在位置から位置Bまでの経路Rを設定し、移動制御部56は、現在位置から位置Bまで移動体10を移動させてよい。
【0053】
図10は、経路設定システムの処理フローを説明するフローチャートである。
図10に示すように、本処理においては、端末16の対象物検出部70は、ユーザUの操作により、候補となる対象物Pの端末座標系CAにおける位置情報を検出し(ステップS10)、対象物設定部74は、ユーザUの指定により、候補となる対象物Pのうちから移動先となる対象物Pを設定し(ステップS12)、対象物情報送信部76により、移動先として設定された対象物Pの端末座標系CAにおける位置情報を、移動体10に送信する(ステップS14)。
【0054】
移動体10の対象物情報取得部50は、端末16から取得した端末座標系CAにおける対象物Pの位置情報から、移動体座標系Cにおける対象物Pの第1位置情報を算出し(ステップS16)、経路取得部54は、移動体座標系Cにおける対象物Pの第1位置情報に基づき、対象物Pに向かう経路R1を設定する(ステップS18)。移動制御部56は、経路R1に従って移動体10を移動させる(ステップS20)。
【0055】
以上説明したように、本実施形態においては、端末16によって対象物Pの位置情報を検出して、検出した対象物Pの位置情報に基づいて、対象物Pに向かう経路R1を設定する。従って、実際の対象物Pの位置情報に基づいて経路を設定できるため、状況に応じた適切な位置に移動体10を誘導できる。さらに言えば、移動体10によって対象物Pを検出させる処理が必須ではなくなるので、移動体10が対象物Pを検出し終わるまで待たずに、移動先となる対象物Pを指定することが可能となる。また、端末16に検出された対象物Pの位置情報を、移動体座標系Cに座標変換することで、移動体10が認識可能な座標系での対象物Pの位置を特定することができ、移動体10を適切に誘導できる。
【0056】
なお、以上の説明では、移動体10が、端末16により検出された、端末座標系CAにおける対象物Pの位置情報に基づき、移動体座標系Cにおける対象物Pの第1位置情報を算出していた。同様に、以上の説明では、移動体10が、第1位置情報に基づき、対象物Pに向かう経路R1を設定していた。ただし、第1位置情報を算出する主体や、経路R1を設定する主体は、移動体10であることに限られず、第1位置情報と経路R1との少なくとも一方を、端末16や情報処理装置14により算出させてもよい。すなわち、第1位置情報を算出する対象物情報取得部50と、経路R1を設定する経路取得部54とは、移動体10により実現されることに限られず、情報処理装置14又は端末16により実現されてもよい。この場合例えば、端末16又は情報処理装置14が第1位置情報を算出し、移動体10が、算出された第1位置情報に基づいて経路R1を設定してよい。また例えば、端末16又は情報処理装置14が、第1位置情報を算出して、第1位置情報に基づいて経路R1を設定してよい。この場合、移動体10は、端末16又は情報処理装置14によって設定された経路R1の情報を取得して、取得した経路R1に従って移動することになる。
【0057】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。第2実施形態においては、端末16により検出された端末座標系CAにおける対象物Pの位置情報と、移動体10により検出された移動体座標系Cにおける対象物Pの位置情報とを用いて座標変換を行う点で、第1実施形態とは異なる。第2実施形態において第1実施形態と構成が共通する箇所は、説明を省略する。
【0058】
(座標変換)
図11は、第2実施形態における座標変換の一例を説明するための模式図である。第2実施形態においては、移動体10の対象物情報取得部50は、対象物Pの位置情報を検出する。具体的には、
図11の左上の図に示すように、対象物情報取得部50は、移動体10のセンサ26Aにより対象物Pを検出させて、センサ26Aによる検出結果から、移動体座標系Cにおける対象物Pの位置情報を算出する。また、対象物情報取得部50は、
図11の右上の図に示すように、端末16によって検出された、端末座標系CAにおける対象物Pの位置情報を取得する。対象物情報取得部50は、移動体10によって検出された対象物Pの位置情報(移動体座標系Cにおける位置情報)と、端末16によって検出された対象物Pの位置情報(端末座標系CAにおける位置情報)とに基づいて、端末座標系CAと移動体座標系Cとの座標変換を行う。
【0059】
移動体10及び端末16によって検出された対象物Pの位置情報に基づいた座標変換の方法は任意であってよいが、本実施形態では以下に示す方法で行われる。まずは、対象物情報取得部50は、移動体10によって検出された対象物Pと、端末16によって検出された対象物Pとを対応付ける。言い換えれば、対象物情報取得部50は、同じ対象物Pについての、移動体10による検出結果と端末16による検出結果とを対応付ける。対象物情報取得部50は、対象物P毎に、移動体10による検出結果と端末16による検出結果とを対応付ける。なお、対象物P同士を対応付ける方法は任意であってよい。例えば、対象物情報取得部50は、第1実施形態と同様の方法で、端末16に検出された端末座標系CAにおける対象物Pの位置情報から、移動体座標系Cにおける対象物Pの位置情報を算出する。そして、対象物情報取得部50は、算出した移動体座標系Cにおける対象物Pの位置情報と、移動体10に検出された移動体座標系Cにおける対象物Pの位置情報との差分が所定値以下となる対象物Pを、同じ対象物Pであるとして、対応付けてよい。ここでの所定値は適宜設定されてよい。
【0060】
対象物情報取得部50は、対応付けた対象物Pについての、移動体10及び端末16によって検出された位置情報に基づいて、座標変換を行う。本実施形態の例では、対象物情報取得部50は、端末座標系CAと移動体座標系Cとの対応関係である同次変換行列Tを、次の式(1)に示す最適化計算によって算出する。
【0061】
【0062】
ここで、式(1)におけるqi、Ψiは、移動体10によって検出された対象物Pの位置、向きであり、pi、φiは、端末16によって検出された対象物Pの位置、向きである。iは、対応付けられた対象物Pの識別子である。すなわち、「i=1,...N」であり、Nは、対応付けられた対象物Pの総数を指す。また、wは、位置ずれと角度ずれのどちらをどれだけ重視するかを示す重みパラメータであり、適宜設定されてよい。
【0063】
式(1)に示すTを、次の式(2)で表すことにすると、式(1)の評価関数Eを最小化するx、y、θを算出することで、Tが算出できる。なお、評価関数Eを最小にする点では偏微分がゼロとなるため、求める解が満たすべき連立方程式は、次の式(3)に示すものとなる。ただし、記号の上の横線は、平均を表している。
【0064】
【0065】
ここで、式(1)に示すように、x、yは、θを用いて陽に表すことができるため、θを求めることで、x、y、θを求めて、Tを算出できる。θは、例えばNewton-Raphson法により算出できる。
【0066】
なお、
図11の例では、端末16が対象物PA、PB、PCを検出できたのに対して、待機位置Aにいる移動体10は、対象物PCを検出できず、対象物PA、PBのみを検出している。この場合、対象物情報取得部50は、移動体10と端末16との対象物PA、PBの検出結果から、移動体座標系Cと端末座標系CAとの対応関係(上記の例ではT)を算出する。すなわち、端末16と移動体10とで、少なくとも1つの同じ対象物Pを検出していれば、検出した対象物Pの数が異なっていても、移動体座標系Cと端末座標系CAとの対応関係を算出可能である。
【0067】
(経路の設定)
図11の例では、対象物情報取得部50は、待機位置Aにおいて、移動体10に対象物Pの位置情報を検出させる。移動体10の対象物情報取得部50は、移動体10によって検出された対象物Pの位置情報と、端末16によって検出された対象物Pの位置情報とから、移動体座標系Cと端末座標系CAとの対応関係(上記の例ではT)を算出する。そして、対象物情報取得部50は、
図11の下の図に示すように、端末16によって検出された端末座標系Caにおける対象物Pの位置情報を、算出した対応関係を用いて座標変換して、移動体座標系Cにおける対象物Pの第1位置情報を算出する。経路取得部54は、このようにして算出された対象物Pの第1位置情報に基づいて、対象物Pまでの経路R1を、すなわちここでは待機位置Aから位置Bまでの経路R1を、設定する。
【0068】
このように、第2実施形態においては、移動体10及び端末16によって検出された対象物Pの位置情報に基づいて座標変換を行う。移動体10による対象物Pの検出精度は、端末16による対象物Pの検出精度より高くなる場合が多いため、第2実施形態の方法で座標変換を行うことで、移動体座標系Cにおける対象物Pの第1位置情報を高精度に設定して、経路R1を適切に設定できる。さらに言えば、本実施形態においては、移動体10及び端末16に共通する対象物Pを検出させて座標変換を行う。すなわち、対象物Pという同じリファレンスを介することで、移動体10のセンサと端末16のセンサとで測距特性が異なる場合でも、移動体10のセンサと端末16のセンサとの検出結果を正確に照合できる。なお、リファレンスとする対象物Pは、本実施形態の例では移動体10が搬送する、形状が規格化された(形状が既知の)パレットであるが、形状が既知の任意の物体を、リファレンスとする対象物Pとして用いてもよい。
【0069】
また、
図11の例では、経路R1は、対象物PAに向かう経路であるが、第2実施形態の方法によると、移動体10が検出できなかった対象物PCに向かう経路も設定できる。すなわちこの場合、対象物情報取得部50は、対象物PA、PBの検出結果を用いて対応関係(T)を算出し、端末座標系CAにおける対象物PCの位置情報を、この対応関係により座標変換することで、移動体座標系Cにおける対象物PCの位置情報を算出して、対象物PCへの経路を設定できる。
【0070】
(他の例1)
第2実施形態においては、移動体10は、対象物Pの位置情報を検出するが、対象物Pのおおよその位置を予め把握していない場合には、探索範囲が広くなるため、検出負荷が高くなるおそれがある。それに対して、本例に示すように、端末16によって検出された対象物Pの位置情報から、移動体10によって検出を行う範囲である検知領域ROIを設定して、移動体10に検知領域ROIを検出させることで、対象物Pの位置情報を検出させることが好ましい。これにより、検出負荷を抑制できる。以下、具体的に説明する。
【0071】
図12は、検知領域を説明する模式図である。本例においては、移動体10の対象物情報取得部50は、第1実施形態と同様の方法で、端末16によって検出された端末座標系CAにおける対象物Pの位置情報から、移動体座標系Cにおける対象物Pの第1位置情報を算出する。対象物情報取得部50は、移動体座標系Cにおける対象物Pの第1位置情報に基づいて、
図12に示すような検知領域ROIを設定する。例えば、対象物情報取得部50は、第1位置情報が示す位置を含む所定の広さの領域を、検知領域ROIとして設定してよい。対象物情報取得部50は、センサ26Aに検知領域ROIを検出させることで、対象物Pの位置情報を検出する。そして、対象物情報取得部50は、上述の第2実施形態と同様の方法で、移動体10によって検出された対象物Pの位置情報と、端末16によって検出された対象物Pの位置情報とから、移動体座標系Cと端末座標系CAとの対応関係(上記の例ではT)を算出する。対象物情報取得部50は、端末座標系CAにおける対象物Pの位置情報を、算出した対応関係を用いて座標変換して、移動体座標系Cにおける対象物Pの第1位置情報を算出し直す。経路取得部54は、このように算出し直された移動体座標系Cにおける対象物Pの位置情報に基づいて、対象物Pに向かう経路R1を設定する。
【0072】
(他の例2)
以上の説明では、移動体10及び端末16に検出された対象物Pの位置情報を用いて設定された経路R1に従って、移動体10を対象物Pまで移動させる。ただしそれに限られず、端末16に検出された対象物Pの位置情報のみを用いて設定された経路R1で対象物Pに近づけた後に、移動体10及び端末16に検出された対象物Pの位置情報を用いて次の経路R2を設定し、経路R2に従って移動体10を対象物Pに到達させてもよい。以下、具体的に説明する。
【0073】
図13は、経路の設定の例を説明する模式図である。本例においては、第1実施形態と同様の方法で、すなわち端末16によって検出された対象物Pの位置情報のみを用いて、対象物Pに向かう経路R1を設定する。移動体10の移動制御部56は、経路R1に従って、対象物Pに向けて移動体10を移動させる。ここで、移動体10の対象物情報取得部50は、移動体10が経路R1上に位置している状態で、センサ26Aに対象物Pを検出させて、移動体座標系Cにおける対象物Pの位置情報を算出する。なお、対象物情報取得部50は、経路R1上の任意の位置でセンサ26Aに対象物Pを検出させてもよく、例えば経路R1に沿った移動中に逐次検出させてもよいし、例えば経路R1の終点(位置B)に対して所定距離に到達した際に、停止して対象物Pを検出させてもよい。なお、本例においても、第1位置情報に基づいて検知領域ROIを設定して、センサ26Aに検知領域ROIを検出させてもよい。
【0074】
対象物情報取得部50は、移動体10によって経路R1上で検出された対象物Pの位置情報と、端末16に検出された対象物Pの位置情報とから、第2実施形態と同様の方法で、移動体座標系Cと端末座標系CAとの対応関係を算出する。そして、対象物情報取得部50は、端末16に検出された端末座標系CAにおける対象物Pの位置情報を、算出した対応関係で座標変換して、移動体座標系Cにおける対象物Pの位置情報(第2位置情報)を算出する。経路取得部54は、このように算出された移動体座標系Cにおける対象物Pの第2位置情報に基づいて、対象物Pに向かう経路R2を設定する。すなわち、経路取得部54は、対象物Pの第2位置情報に基づいて、対象物Pに対して所定の位置及び向きとなる位置Dを算出し、位置Dまでの経路を経路R2として設定する。位置Dは、対象物Pが第2位置情報に示す位置及び向きで配置されていると仮定した場合に、移動体10が対象物Pをピックアップ可能な位置及び向きといえる。移動制御部56は、経路R2が設定されたら、経路R1から経路R2に切り替えて、経路R2に従って対象物Pに向けて移動する。
【0075】
このように、本例においては、端末16の検出結果のみを用いて対象物Pに近づいた後、移動体10と端末16の検出結果を用いてさらに対象物Pにアプローチする。従って、本例によると、移動体10が対象物Pを検出し終わるまで待たずに移動を開始させつつ、移動体10が検出できた時点で経路R2に切り替えて、高精度に対象物Pにアプローチできる。
【0076】
なお、第2実施形態の説明においても、移動体座標系Cと端末座標系CAとの対応関係を算出する処理や、移動体座標系Cにおける対象物Pの位置情報を算出する処理や、経路R1、R2を設定する処理を、移動体10が行っていたが、それに限られず、端末16や情報処理装置14がそれらの処理を行ってもよい。
【0077】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について説明する。第3実施形態においては、経路R1に従って対象物Pに近づいた後に、移動体10の検出結果のみを用いて対象物Pにアプローチする経路R3を設定する点で、第1実施形態とは異なる。第3実施形態において、第1実施形態と構成が共通する箇所は、説明を省略する。なお、第3実施形態は、第2実施形態にも適用可能である。
【0078】
図14は、経路の設定の例を説明する模式図である。第3実施形態においては、第1実施形態と同様の方法で、すなわち端末16によって検出された対象物Pの位置情報のみを用いて、対象物Pに向かう経路R1を設定する。移動体10の移動制御部56は、経路R1に従って、対象物Pに向けて移動体10を移動させる。第3実施形態においては、移動体10の対象物情報取得部50は、移動体10が経路R1上に位置している状態で、センサ26Aに対象物Pを検出させて、移動体座標系Cにおける対象物Pの位置情報を算出する。なお、対象物情報取得部50は、経路R1上の任意の位置でセンサ26Aに対象物Pを検出させてもよく、例えば経路R1に沿った移動中に逐次検出させてもよいし、例えば経路R1の終点(位置B)に対して所定距離に到達した際に、停止して対象物Pを検出させてもよい。なお、第3実施形態においても、第2実施形態の他の例1に示すように、第1位置情報に基づいて検知領域ROIを設定して、センサ26Aに検知領域ROIを検出させてもよい。
【0079】
対象物情報取得部50は、移動体10に検出された移動体座標系Cにおける対象物Pの位置情報に基づいて、対象物Pに向かう経路R3を設定する。すなわち、経路取得部54は、移動体10に検出された移動体座標系Cにおける対象物Pの位置情報に基づいて、対象物Pに対して所定の位置及び向きとなる位置Eを算出し、その位置Eまでの経路を経路R3として設定する。位置Eは、移動体10に検出された位置情報に示す位置及び向きで対象物Pが配置されていると仮定した場合に、移動体10が対象物Pをピックアップ可能な位置及び向きといえる。移動制御部56は、経路R3が設定されたら、経路R1から経路R3に切り替えて、経路R3に従って対象物Pに向けて移動する。
【0080】
このように、第3実施形態においては、端末16の検出結果のみを用いて対象物Pに近づいた後、移動体10と端末16の検出結果を用いてさらに対象物Pにアプローチする。従って、第3実施形態によると、移動体10が対象物Pを検出し終わるまで待たずに移動を開始させつつ、移動体10が検出できた時点で経路R3に切り替えて、高精度に対象物Pにアプローチできる。特に、移動体10が検出できなかった対象物PCに向かう場合には、端末16の検出結果のみを用いて対象物PCに向かうことになるため、対象物PCに向かう経路R1の精度が低くなってしまう。それに対して、第3実施形態においては、経路R1で移動を開始して、移動体10が対象物PCを検出できる位置に到達したら、移動体10の検出に基づく経路R3に切り替えるため、対象物PCに向かう高精度な経路に切り替えることができる。
【0081】
また、第3実施形態は、第2実施形態にも適用可能である。すなわち例えば、第3実施形態においては、移動体10及び端末16に検出された対象物Pの位置情報を用いて設定された経路R1に従って、移動体10を移動させた後、移動体10に検出された対象物Pの位置情報に基づいて経路R3を設定して、経路R3に切り替えてもよい。また例えば、第3実施形態においては、端末16に検出された対象物Pの位置情報のみを用いて設定された経路R1で対象物Pに近づけた後に、移動体10及び端末16に検出された対象物Pの位置情報を用いて設定した経路R2に切り替えて、経路R2で対象物Pに更に近づけた後に、移動体10に検出された対象物Pの位置情報のみを用いて設定された経路R3に切り替えてもよい。このように第2実施形態と組み合わせることで、端末16と移動体10の検出を組み合わせた経路で高精度にアプローチしつつ、移動体10単体の検出による経路R3で更に高精度にアプローチできる。
【0082】
なお、第3実施形態の説明においても、経路R3を設定する処理を、移動体10が行っていたが、それに限られず、端末16や情報処理装置14がそれらの処理を行ってもよい。
【0083】
(効果)
本開示の第1態様に係る経路設定方法は、位置を移動可能な端末16により、端末16による検出の基準となる端末座標系CAにおける対象物Pの位置情報を検出するステップと、端末座標系CAと、移動体10の移動の基準となる移動体座標系Cとの座標変換を行うことで、端末座標系CAにおける対象物Pの位置情報から、移動体座標系Cにおける対象物の位置を示す第1位置情報を算出するステップと、第1位置情報に基づき、移動体座標系Cにおいて対象物Pに向かう経路R1を設定するステップと、を含む。
【0084】
本開示によると、端末16によって検出された実際の対象物Pの位置情報に基づいて経路を設定できるため、状況に応じた適切な位置に移動体10を誘導できる。また、端末16に検出された対象物Pの位置情報を、移動体座標系Cに座標変換することで、移動体10が認識可能な座標系での対象物Pの位置を特定することができ、移動体10を適切に誘導できる。
【0085】
本開示の第2態様に係る経路設定方法は、第1態様に係る経路設定方法であって、対象物Pの位置情報を検出するステップでは、移動体座標系Cでの位置が既知である基準部Mを基準として、端末16に対象物Pの位置情報を検出させ、第1位置情報を算出するステップでは、移動体座標系Cでの基準部Mの位置に基づいて、端末座標系CAと移動体座標系Cとの座標変換を行う。基準部Mを用いて座標変換することで、移動体座標系Cでの対象物Pのおおよその位置を推定可能となる。これにより、端末座標系CAで表された対象物Pの位置と移動体座標系Cで表された対象物Pとの対応付けを容易に行うことが可能となり、移動体10を適切に誘導できる。すなわち、端末16による基準部Mの位置検出については、高い精度は不要であり、基準部Mにより座標系同士のおおよその位置関係を把握できれば、その後の座標系同士の高精度の対応付けを補助できるため、好ましいといえる。
【0086】
本開示の第3態様に係る経路設定方法は、第1態様又は第2態様に係る経路設定方法であって、移動体10により、移動体座標系Cにおける対象物Pの位置情報を検出させるステップをさらに含み、第1位置情報を算出するステップでは、端末16により検出された端末座標系CAにおける対象物Pの位置情報と、移動体10により検出された移動体座標系Cにおける対象物Pの位置情報とに基づいて、端末座標系と移動体座標系との座標変換を行う。本開示によると、移動体10及び端末16によって検出された対象物Pの位置情報に基づいて座標変換を行うため、移動体座標系Cにおける対象物Pの第1位置情報を高精度に設定して、経路R1を適切に設定できる。
【0087】
本開示の第4態様に係る経路設定方法は、第1態様から第3態様のいずれかの経路設定方法であって、第1位置情報に基づいて検知領域ROIを設定するステップと、移動体10に検知領域ROIを検出させることで、移動体座標系Cにおける対象物Pの位置情報を取得するステップと、を更に含み、第1位置情報を算出するステップでは、端末座標系CAにおける対象物Pの位置情報と、移動体座標系Cにおける対象物Pの位置情報とに基づいて、第1位置情報を算出し直し、経路R1を設定するステップにおいては、算出し直された第1位置情報に基づき、経路RIを設定する。本開示によると、端末16によって検出された対象物Pの位置情報から検知領域ROIを設定して、移動体10に検知領域ROIを検出させることで、検出負荷を抑制しつつ、経路R1を適切に設定できる。
【0088】
本開示の第5態様に係る経路設定方法は、第1態様から第4態様のいずれかの経路設定方法であって、第1位置情報に基づき設定された経路R1に従って移動した後に、移動体10に、移動体座標系Cにおける対象物Pの位置情報を検出させるステップと、端末座標系CAにおける対象物Pの位置情報と、移動体座標系Cにおける対象物Pの位置情報とに基づいて、移動体座標系Cにおける対象物Pの位置を示す第2位置情報を算出するステップと、第2位置情報に基づいて、移動体座標系Cにおいて対象物Pに向かう経路R2を設定するステップと、を更に含む。本開示によると、移動体10が対象物Pを検出し終わるまで待たずに移動を開始させつつ、移動体10が検出できた時点で経路R2に切り替えて、高精度に対象物Pにアプローチできる。
【0089】
本開示の第6態様に係る経路設定方法は、第1態様から第5態様のいずれかの経路設定方法であって、第1位置情報に基づき設定された経路R1に従って移動した後に、移動体10に、移動体座標系Cにおける対象物Pの位置情報を検出させるステップと、移動体座標系Cにおける対象物Pの位置情報に基づいて、移動体座標系Cにおいて対象物Pに向かう経路R3を設定するステップと、を更に含む。本開示によると、移動体10が対象物Pを検出し終わるまで待たずに移動を開始させつつ、移動体10が検出できた時点で経路R3に切り替えて、高精度に対象物Pにアプローチできる。
【0090】
本開示の第7態様に係る経路設定方法は、第1態様から第6態様のいずれかの経路設定方法であって、設定された経路に従って移動体10を移動させる設定するステップを更に含む。本開示によると、状況に応じた適切な位置に移動体10を移動させることができる。
【0091】
本開示の第8態様に係るプログラムは、位置を移動可能な端末16により、端末16による検出の基準となる端末座標系CAにおける対象物Pの位置情報を検出するステップと、端末座標系CAと、移動体10の移動の基準となる移動体座標系Cとの座標変換を行うことで、端末座標系CAにおける対象物Pの位置情報から、移動体座標系Cにおける対象物の位置を示す第1位置情報を算出するステップと、第1位置情報に基づき、移動体座標系Cにおいて対象物Pに向かう経路R1を設定するステップと、をコンピュータに実行させる。本開示によると、状況に応じた適切な位置に移動体10を誘導できる。
【0092】
本開示の第9態様に係る経路設定システム1は、位置を移動可能な端末16と、移動体10とを含む。端末16は、検出の基準となる端末座標系CAにおける対象物Pの位置情報を検出する対象物検出部70を含む。移動体10は、移動体10の移動の基準となる移動体座標系Cにおける対象物Pの位置を示す第1位置情報に基づいて設定された、移動体座標系Cにおいて対象物Pに向かう経路R1を取得する経路取得部54を含む。第1位置情報は、端末座標系CAと移動体座標系Cとの座標変換を行うことで、端末座標系CAにおける対象物Pの位置情報から算出されたものである。本開示によると、状況に応じた適切な位置に移動体10を誘導できる。
【0093】
以上、本開示の実施形態を説明したが、この実施形態の内容により実施形態が限定されるものではない。また、前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、前述した実施形態の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0094】
10 移動体
12 管理装置
14 情報処理装置
16 端末
50 対象物情報取得部
52 自己位置取得部
54 経路取得部
56 移動制御部
70 対象物検出部
72 表示制御部
74 対象物設定部
76 対象物情報送信部
C 移動体座標系
Ca 端末座標系
P 対象物
R1 経路