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特開2024-105648抗ケモカイン様受容体1抗体及びその治療応用
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024105648
(43)【公開日】2024-08-06
(54)【発明の名称】抗ケモカイン様受容体1抗体及びその治療応用
(51)【国際特許分類】
   C07K 16/28 20060101AFI20240730BHJP
   C12N 15/13 20060101ALI20240730BHJP
   C12N 15/85 20060101ALI20240730BHJP
   C12N 15/86 20060101ALI20240730BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20240730BHJP
   C12N 5/09 20100101ALI20240730BHJP
   C12N 15/62 20060101ALI20240730BHJP
   C07K 16/46 20060101ALI20240730BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20240730BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20240730BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20240730BHJP
   A61P 17/06 20060101ALI20240730BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20240730BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20240730BHJP
   A61P 21/04 20060101ALI20240730BHJP
   A61P 19/00 20060101ALI20240730BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20240730BHJP
   A61P 31/00 20060101ALI20240730BHJP
   A61P 17/02 20060101ALI20240730BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240730BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20240730BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240730BHJP
   A61P 35/04 20060101ALI20240730BHJP
   A61P 1/00 20060101ALI20240730BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20240730BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20240730BHJP
【FI】
C07K16/28
C12N15/13
C12N15/85 Z
C12N15/86 Z
C12N5/10
C12N5/09
C12N15/62 Z
C07K16/46
A61K48/00
A61P3/10
A61P17/00
A61P17/06
A61P27/02
A61P25/00
A61P21/04
A61P19/00
A61P29/00 101
A61P31/00
A61P17/02
A61P43/00 111
A61K39/395 N
A61P35/00
A61P35/04
A61P1/00
A61P35/02
A61K45/00
【審査請求】有
【請求項の数】33
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024081730
(22)【出願日】2024-05-20
(62)【分割の表示】P 2020554298の分割
【原出願日】2019-04-03
(31)【優先権主張番号】18305395.8
(32)【優先日】2018-04-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】517118478
【氏名又は名称】オーエスイー・イミュノセラピューティクス
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ニコラ・ポワリエ
(72)【発明者】
【氏名】カロリーヌ・マリー
(72)【発明者】
【氏名】ベルナール・ヴァンオヴ
(72)【発明者】
【氏名】ヴァネッサ・ゴーティエ
(72)【発明者】
【氏名】シャルレーヌ・トリレオ
(72)【発明者】
【氏名】マルク・デュブルドー
(57)【要約】
【課題】本発明は、ケモカイン様受容体-1(CMKLR1)に対してアゴニスト活性を有する新規抗ケメリン受容体抗体を提供する。本発明はまた、治療における、特に炎症の回復相が妨害又は遅延される、自己免疫疾患及び慢性炎症疾患、感染疾患、がん、及び任意の状態を処置するためのそのような抗体の使用も提供する。
【解決手段】本発明は、レゾルビンE1とCMKLR1との間の相互作用に対してアゴニストの能力を有する抗CMKLR1化合物、及び特に炎症の回復が遅延する又は妨害される疾患を処置又は予防するためのその使用に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
CMKLR1に特異的に結合する抗体、又はその抗原結合性断片、又はキメラ、ヒト化若しくは改変抗体の群から選択される抗CMKLR1化合物であって:
- 3つのCDR、VHCDR1、VHCDR2、及びVHCDR3を含む抗体重鎖可変ドメインであって:
・VHCDR1が、配列番号4;配列番号62;配列番号63;配列番号64又は配列番号65に記載のアミノ酸配列を含むか又はそれからなり;
・VHCDR2が、配列番号6;配列番号66;配列番号67;配列番号68;配列番号69;配列番号70;配列番号71又は配列番号72に記載のアミノ酸配列を含むか又はそれからなり;
・VHCDR3が、配列番号8;配列番号73;配列番号74又は配列番号75に記載のアミノ酸配列を含むか又はそれからなる、抗体重鎖可変ドメイン;並びに
- 3つのCDR、VLCDR1、VLCDR2、及びVLCDR3を含む抗体軽鎖可変ドメインであって:
・VLCDR1が、配列番号12;配列番号76;配列番号77;配列番号78;配列番号79又は配列番号80に記載のアミノ酸配列を含むか又はそれからなり;
・VLCDR2が、配列番号14;配列番号81;配列番号82;配列番号83;配列番号84;配列番号85;配列番号86;配列番号87又は配列番号88に記載のアミノ酸配列を含むか又はそれからなり;
・VLCDR3が、配列番号15又は配列番号89に記載のアミノ酸配列を含むか又はそれからなる、抗体軽鎖可変ドメイン
を含む抗CMKLR1化合物。
【請求項2】
CMKLR1のレゾルビンE1様アゴニストであり、特に回復促進因子であり、特に骨髄系細胞系列における回復促進因子であり、特に抗ヒトCMKLR1化合物である、請求項1に記載の抗CMKLR1化合物。
【請求項3】
CMKLR1の第3の細胞外ループ(EL3)内に位置するエピトープに特異的に結合し、特に、配列番号2の配列のアミノ酸残基を含むポリペプチドに特異的に結合する、請求項1又は2に記載の抗CMKLR1化合物。
【請求項4】
VHCDR3が、配列番号144又は配列番号148に記載のアミノ酸配列を含むか又はそれからなる、請求項1~3のいずれか一項に記載の抗CMKLR1化合物。
【請求項5】
・VHCDR1が、配列番号4;配列番号62;又は配列番号63に記載のアミノ酸配列を含むか又はそれからなり;
・VHCDR2が、配列番号67;配列番号70又は配列番号72に記載のアミノ酸配列を含むか又はそれからなり;
・VHCDR3が、配列番号144又は配列番号148に記載のアミノ酸配列を含むか又はそれからなる、請求項1~4のいずれか一項に記載の抗CMKLR1化合物。
【請求項6】
・VLCDR1が、配列番号77に記載のアミノ酸配列を含むか又はそれからなり;
・VLCDR2が、配列番号14;配列番号81又は配列番号84に記載のアミノ酸配列を含むか又はそれからなり;
・VLCDR3が、配列番号15又は配列番号89に記載のアミノ酸配列を含むか又はそれからなる、請求項1~5のいずれか一項に記載の抗CMKLR1化合物。
【請求項7】
重鎖可変ドメインが、配列番号20;配列番号21;配列番号22;配列番号23;配列番号24;配列番号25;配列番号26;配列番号27;配列番号28;配列番号29;配列番号30;配列番号31;配列番号32;配列番号33;配列番号34;配列番号35;配列番号36;配列番号37;配列番号38;配列番号39;配列番号40;配列番号41又は配列番号42に記載のアミノ酸配列を含むか又はそれからなり;軽鎖可変ドメインが、配列番号43;配列番号44;配列番号45;配列番号46;配列番号47;配列番号48;配列番号49;配列番号50;配列番号51;配列番号52;配列番号53;配列番号54;配列番号55;配列番号56;配列番号57;配列番号58;配列番号59;配列番号60又は配列番号61に記載のアミノ酸配列を含むか又はそれからなる、請求項1~6のいずれか一項に記載の抗CMKLR1化合物。
【請求項8】
抗炎症性サイトカイン、特にIL10及び/若しくはCCL17、より特にIL10のin vitro及び/若しくはin vivoでの分泌を増強する;並びに/又は特にCMKLR1を発現する骨髄系細胞による炎症促進性サイトカイン、特にIL12のin vitro及び/若しくはin vivoでの分泌を阻害若しくは低減する、請求項1~7のいずれか一項に記載の抗CMKLR1化合物。
【請求項9】
抗炎症性M2型マクロファージに有利となるようにマクロファージ極性化を増強する、請求項1~8のいずれか一項に記載の抗CMKLR1化合物。
【請求項10】
樹状細胞の活性化及び/又は増殖を阻害する、請求項1~9のいずれか一項に記載の抗CMKLR1化合物。
【請求項11】
CMKLR1の活性化後のAkt及び/又はErkのリン酸化、特にCMKLR1の活性化後に誘導されたAkt及びErkの両方のリン酸化をin vitro及び/又はin vivoで誘導する能力を有する、請求項1~10のいずれか一項に記載の抗CMKLR1化合物。
【請求項12】
CMKLR1に対する結合に関してケメリンと競合しない、又はCMKLR1に対するケメリンの結合を妨害しない、請求項1~11のいずれか一項に記載の抗CMKLR1化合物。
【請求項13】
CMKLR1に特異的に結合する、抗体、その抗原結合性断片、又はキメラ、改変、若しくはヒト化抗体の群から選択される抗CMKLR1化合物であって、配列番号8に記載のアミノ酸配列、又は配列番号8の1及び2位のアミノ酸残基がそれぞれL及びI又はLになるようにアミノ酸残基が置換されているその変異配列を含むか又はそれからなるVHCDR3を含む抗体重鎖可変ドメインを含み;
抗CMKLR1化合物が、CMKLR1の第3の細胞外ループ(EL3)内に位置するエピトープに特異的に結合し、特に化合物が、配列番号2の配列のアミノ酸残基を含むか又はそれからなるポリペプチドに特異的に結合し;
抗CMKLR1化合物が、CMKLR1のレゾルビンE1様アゴニストであり、特に抗CMKLR1化合物が、特に骨髄系細胞系列における回復促進因子であり;
前記化合物が、配列番号9に対応する重鎖可変ドメイン及び配列番号16に対応する軽鎖可変ドメインを含む抗体、より特に抗体2G1と、配列番号2の配列のアミノ酸残基を含むか若しくはそれからなるポリペプチド、又はCMKLR1の細胞外ドメインの第3のループ(EL3)を含むか若しくはそれからなるポリペプチドに対する結合に関して競合する、抗CMKLR1化合物。
【請求項14】
- 抗体重鎖可変ドメインが3つのCDR、VHCDR1、VHCDR2、及びVHCDR3を含み:
・VHCDR1が、配列番号4;配列番号62;配列番号63;配列番号64又は配列番号65に記載のアミノ酸配列を含むか又はそれからなり;
・VHCDR2が、配列番号6;配列番号66;配列番号67;配列番号68;配列番号69;配列番号70;配列番号71又は配列番号72に記載のアミノ酸配列を含むか又はそれからなり;
・VHCDR3が、配列番号8;配列番号73;配列番号74又は配列番号75に記載のアミノ酸配列を含むか又はそれからなり;
3つのCDR、VLCDR1、VLCDR2、及びVLCDR3を含む抗体軽鎖可変ドメインを更に含み:
・VLCDR1が、配列番号12;配列番号76;配列番号77;配列番号78;配列番号79又は配列番号80に記載のアミノ酸配列を含むか又はそれからなり;
・VLCDR2が、配列番号14;配列番号81;配列番号82;配列番号83;配列番号84;配列番号85;配列番号86;配列番号87又は配列番号88に記載のアミノ酸配列を含むか又はそれからなり;
・VLCDR3が、配列番号15又は配列番号89に記載のアミノ酸配列を含むか又はそれからなる、請求項13に記載の抗CMKLR1化合物。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか一項に記載の抗CMKLR1化合物をコードする、核酸分子又は核酸分子の組、より特に、単離された核酸分子及び/又は組換え核酸分子、より特に、配列番号20;配列番号21;配列番号22;配列番号23;配列番号24;配列番号25;配列番号26;配列番号27;配列番号28;配列番号29;配列番号30;配列番号31;配列番号32;配列番号33;配列番号34;配列番号35;配列番号36;配列番号37;配列番号38;配列番号39;配列番号40;配列番号41若しくは配列番号42に記載の配列のアミノ酸残基を含むか若しくはそれからなる重鎖可変ドメイン、及び/又は配列番号43;配列番号44;配列番号45;配列番号46;配列番号47;配列番号48;配列番号49;配列番号50;配列番号51;配列番号52;配列番号53;配列番号54;配列番号55;配列番号56;配列番号57;配列番号58;配列番号59;配列番号60若しくは配列番号61に記載の配列のアミノ酸残基を含むか若しくはそれからなる軽鎖可変ドメインをコードする、核酸分子又は核酸分子の組。
【請求項16】
コードされる重鎖可変ドメイン及び/又は軽鎖可変ドメインの転写及び発現のための調節配列を更に含む、請求項15に記載の核酸分子又は核酸分子の組。
【請求項17】
請求項15又は16に記載の作動可能に連結された核酸分子又は核酸分子の組を含むか又はそれからなるベクターであって、特に組換えベクター及び/又は単離されたベクターである、ベクター。
【請求項18】
プラスミド、人工染色体、コスミド、又はウイルスベクターである、請求項17に記載のベクター。
【請求項19】
請求項15若しくは16に記載の核酸分子又は請求項17若しくは18に記載のベクターを含む宿主細胞。
【請求項20】
哺乳動物細胞、特にチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞である、請求項19に記載の宿主細胞。
【請求項21】
炎症疾患、特に急性炎症疾患、慢性炎症疾患、例えば喘息、角結膜炎、歯周病、湿疹、炎症性腸疾患、特にクローン病又は大腸炎、特に潰瘍性大腸炎又は自然発症大腸炎の予防及び/又は処置に使用するための、請求項1~14のいずれか一項に記載の抗CMKLR1からなる群から選択される抗CMKLR1化合物、請求項15若しくは16に記載の核酸分子若しくは核酸分子の組、請求項17若しくは18に記載のベクター、及び/又は請求項19若しくは20に記載の宿主細胞であって、特に炎症の回復が、遅延又は妨害される、抗CMKLR1化合物、核酸分子若しくは核酸分子の組、ベクター、及び/又は宿主細胞。
【請求項22】
骨髄系細胞がCMKLR1を過剰発現する対象、特にコルチコステロイド及び/又は免疫抑制処置に対して不応性である対象における、炎症性腸疾患、特に大腸炎又はクローン病の処置における、請求項21に規定の使用のための抗CMKLR1化合物。
【請求項23】
大腸炎の持続的処置及び/又は進行大腸炎の処置における請求項21又は22に規定の使用のための抗CMKLR1化合物。
【請求項24】
自己免疫疾患、例えば糖尿病、特にI型糖尿病、乾癬、狼瘡、リウマチ性関節炎、多発性硬化症、シェーグレン症候群、セリアック病、血管炎、重症筋無力症、又は感染疾患、例えば敗血症、腹膜炎、変性疾患、創傷治癒障害、若しくはドライアイ症候群の予防及び/又は処置に使用するための、請求項1~14のいずれか一項に記載の抗CMKLR1からなる群から選択される抗CMKLR1化合物、請求項15若しくは16に記載の核酸分子若しくは核酸分子の組、請求項17若しくは18に記載のベクター、及び/又は請求項19若しくは20に記載の宿主細胞であって、特に炎症の回復が、遅延又は妨害される、抗CMKLR1化合物、核酸分子若しくは核酸分子の組、ベクター、及び/又は宿主細胞。
【請求項25】
がん、転移性のがん、特に固形及び血液のがん、例えば癌腫、より特に肝臓癌、特に乳癌若しくは結腸癌、又は肺がん若しくは骨髄系のがん、例えば白血病、特にがん細胞がCMKLR1を発現するがん、又は腫瘍の微小環境がCMKLR1を発現若しくは過剰発現する細胞によって浸潤されているがんの予防及び/又は処置に使用するための、請求項1~14のいずれか一項に記載の抗CMKLR1からなる群から選択される抗CMKLR1化合物、請求項15若しくは16に記載の核酸分子若しくは核酸分子の組、請求項17若しくは18に記載のベクター、及び/又は請求項19若しくは20に記載の宿主細胞であって、特に炎症の回復が、遅延又は妨害される、抗CMKLR1化合物、核酸分子若しくは核酸分子の組、ベクター、及び/又は宿主細胞。
【請求項26】
がん、転移性がん、特に固形及び血液のがん、例えば癌腫、より特に肝臓癌、特に乳癌若しくは結腸癌、又は肺がん若しくは骨髄のがん、例えば白血病、特にがん細胞がCMKLR1を発現するがん、又は腫瘍の微小環境がCMKLR1を発現若しくは過剰発現する細胞によって浸潤されているがんの予防及び/又は処置に使用するための、請求項1~14のいずれか一項に記載の抗CMKLR1からなる群から選択される抗CMKLR1化合物、請求項15若しくは16に記載の核酸分子若しくは核酸分子の組、請求項17若しくは18に記載のベクター、及び/又は請求項19若しくは20に記載の宿主細胞。
【請求項27】
組合せ製品であって:
- 請求項1~14のいずれか一項に定義される少なくとも1つの抗ヒトCMKLR1化合物、請求項15若しくは16に記載の核酸分子若しくは核酸分子の組、請求項17若しくは18に記載のベクター、及び/又は請求項19若しくは20に記載の宿主細胞;並びに
- 医薬として同時、個別、又は連続的に使用するための、化学療法剤、放射線療法剤、免疫療法剤、細胞療法剤、抗生物質及びプロバイオティクス;特に抗PDL1、抗PD1、抗CTLA4、抗SIRPa、抗CD137、抗CD2、抗CD28、抗CD40、抗HVEM、抗BTLA、抗CD160、抗TIGIT、抗TIM-1/3、抗LAG-3、抗2B4、及び抗OX40、抗CD40アゴニスト、CD40-L、TLRアゴニスト、抗ICOS、ICOS-L、及びB細胞受容体アゴニスト、特に抗PD1、抗PDL1、抗SIRPa、及び/又は抗CD137からなる群から選択される、チェックポイント遮断剤又は適応免疫細胞の活性化因子からなる群から選択される免疫療法剤からなる群から選択される少なくとも1つの第2の治療剤
を含む組合せ製品。
【請求項28】
請求項1~14のいずれか一項に定義される抗CMKLR1化合物、請求項15若しくは16に記載の核酸分子若しくは核酸分子の組、請求項17若しくは18に記載のベクター、及び/又は請求項19若しくは20に記載の宿主細胞、並びに抗体、その抗原結合性断片、ヒト化抗体、キメラ抗体、改変抗体、又は抗原結合抗体模倣体からなる群から選択される抗PD1又は抗PDL1化合物を含む化合物の組合せ物。
【請求項29】
請求項1~11のいずれか一項に記載の抗CMKLR1化合物、及び抗PD1抗体を含み、より特に抗PD1化合物がモノクローナル抗PD1抗体である、請求項28に記載の化合物の組合せ物。
【請求項30】
請求項1~14のいずれか一項に定義される抗CMKLR1化合物、請求項15若しくは16に記載の核酸分子若しくは核酸分子の組、請求項17若しくは18に記載のベクター、及び/又は請求項19若しくは20に記載の宿主細胞、並びに抗体、その抗原結合性断片、ヒト化抗体、キメラ抗体、改変抗体、又は抗原結合抗体模倣体、より特に抗SIRPa抗体若しくはその抗原結合性断片からなる群から選択される抗SIRPa化合物を含む化合物の組合せ物。
【請求項31】
抗CMKLR1化合物を選択する方法であって、
a)抗体若しくはその抗原結合性断片、又はキメラ若しくはヒト化抗体の群から選択される化合物を提供する工程であって、前記化合物が:
- 3つのCDR、VHCDR1、VHCDR2、及びVHCDR3を含む抗体重鎖可変ドメインであって:
・VHCDR1が、配列番号4に記載のアミノ酸配列、又はアミノ酸残基が置換されているその変異配列を含むか又はそれからなり;
・VHCDR2が、配列番号6に記載のアミノ酸配列、又はアミノ酸残基が置換されているその変異配列を含むか又はそれからなり;
・VHCDR3が、配列番号8に記載のアミノ酸配列、又は配列番号8の1及び2位のアミノ酸残基がそれぞれL及びI又はLになるようにアミノ酸残基が置換されているその変異配列を含むか又はそれからなる、抗体重鎖可変ドメイン;並びに
- 3つのCDR、VLCDR1、VLCDR2、及びVLCDR3を含む抗体軽鎖可変ドメインであって:
・VLCDR1が、配列番号12に記載のアミノ酸配列、又はアミノ酸残基が置換されているその変異配列を含むか又はそれからなり;
・VLCDR2が、配列番号14に記載のアミノ酸配列、又はアミノ酸残基が置換されているその変異配列を含むか又はそれからなり;
・VLCDR3が、配列番号15に記載のアミノ酸配列、又はアミノ酸残基が置換されているその変異配列を含むか又はそれからなる、抗体軽鎖可変ドメイン
を含む、工程;
b)化合物がCMKLR1のRevE1様アゴニストである能力を試験する工程、特に骨髄系細胞における炎症の回復に都合がよい化合物の能力を特に試験する工程;並びに任意で
c)CMKLR1の第3のループE3内に位置するエピトープに対する化合物のバイオセンサーによる結合能、特に配列番号2又は配列番号152のアミノ酸残基を含むポリペプチドに対する化合物の結合能を試験する工程;並びに任意で
d)化合物がCMKLR1に対するケメリンの結合と競合することができないことを試験する工程;
e)工程c)において試験した化合物の結合能が少なくとも10E-8KDである場合、
i)CMKLR1に対する化合物の結合後にAktのリン酸化及び/若しくはErkのリン酸化を化合物が誘導する能力、特にAkt及びErkの両方のリン酸化を誘導する能力を試験する工程;
ii)化合物が、抗炎症性サイトカイン、特にIL10及び/若しくはCCL17の分泌を増強する能力;及び/若しくは化合物が、特にCMKLR1を発現する骨髄系細胞において炎症促進性サイトカイン、特にIL12の分泌を阻害又は低減する能力を試験する工程;並びに/又は
iii)化合物が抗炎症性M2型マクロファージに有利となるようにマクロファージ極性化を増強する能力、特に化合物が表現型マーカーCD200Rの分泌を増強する能力を試験する工程;並びに/又は
iv)化合物が樹状細胞活性化及び/若しくは増殖を阻害する能力を試験する工程
を含む方法。
【請求項32】
特に骨髄系細胞におけるCMKLR1に対する化合物の結合後にAktのリン酸化及び/又はErkのリン酸化を誘導する、RvE1様アゴニスト能を有するCMKLR1のアゴニスト化合物であって、CMKLR1の第3のループE3、特に第3のループE3内に位置し、配列番号2又は配列番号152の配列のアミノ酸残基内に含まれるエピトープに特異的に結合し、抗体、抗原結合抗体、抗原結合抗体模倣体、改変抗体、細胞外リガンド、ペプチド、又はポリペプチドである、アゴニスト化合物。
【請求項33】
抗炎症性M2型マクロファージに有利となるようにマクロファージ極性化を増強し、並びに/又は樹状細胞の増殖及び活性化を阻害し、抗炎症性サイトカイン、特にIL10及び/若しくはCCL17の分泌をin vitro及び/若しくはin vivoで増強し、並びに/又は特にCMKLR1を発現する骨髄系細胞による炎症促進性サイトカイン、特にIL12の分泌をin vitro及び/又はin vivoで阻害又は低減する、請求項32に記載のアゴニスト化合物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、免疫治療の分野に関する。本発明は、ケモカイン様受容体-1(CMKLR1)に対してアゴニスト活性を有する新規抗ケメリン受容体抗体を提供する。本発明はまた、治療における、特に炎症の回復相が妨害又は遅延される、自己免疫疾患及び慢性炎症疾患、感染疾患、がん、及び任意の状態を処置するためのそのような抗体の使用も提供する。
【背景技術】
【0002】
健康及び疾患における炎症プロセスの重要な役割は、以前から認識されている。炎症の進行及び回復を調節する詳細な分子機構及び生物学的事象は、なおも極めて重要である。最近の研究は、炎症の回復が、以前に考えられていたような受動的プロセスではないという強い証拠を提供している。炎症の回復は、むしろ生化学メディエーター及び受容体シグナル伝達経路によって調節される生合成活性プロセスである。したがって、回復は、特殊な回復促進性メディエーターによって駆動される。炎症は、感染、損傷、又は外傷の際に起こる自発的機構である。炎症は、不可避で通常有益であり、その応答は、正の及び負のフィードバックループの間の繊細なバランスによって統合されている。炎症は通常、3つの工程:開始、増幅、及び回復に分けられる。
【0003】
開始工程は、血管の血管拡張によって特徴付けられる。常在細胞(樹状細胞(DC)及びマクロファージ)は、体に感染する病原体又は危険なシグナルを認識する。この工程は、サイトカイン、ケモカインの分泌を誘導し、プロスタグランジン(PG)及びロイコトリエンと呼ばれる炎症促進性の脂質メディエーターの産生を誘導する。ケモカインは、血液循環に戻り、生得の免疫の細胞作用因子の動員を誘導する。増幅工程は、免疫系の炎症の細胞の動員と共に始まる。感染部位に動員される第1の作用因子は、多型核細胞(PMN)である。細胞相の間、PMNは、病原体を認識し、その除去を担う。DC及び炎症促進性マクロファージM1等の他の細胞は、PMNを助けるために炎症部位に移動する。DCは、血液循環に入り、リンパ節に達して、適応免疫を活性化する。T及びBリンパ球は、炎症部位に達し、感染細胞を撲滅する。病原体が完全に除去されると、生物にとって病原性となる慢性炎症を防止するために、炎症が停止することは根本的となる。そうするために、炎症の回復と呼ばれる活性機構が起こる。したがって、回復は炎症の最後の工程として記載される。
【0004】
炎症応答の終止を可能にする回復プロセスは、細胞エフェクター(例えば、顆粒球又はマクロファージ)及び化学的エフェクター(例えば、サイトカイン又は特殊な回復促進性のメディエーター若しくは因子)の連続的且つ経時的な関与を伴う複雑なプロセスである。
【0005】
回復の欠如は、炎症部位での顆粒球の浸潤の増加(例えば、組織学、細胞学、又は酵素イムノアッセイによるエラスターゼの定量若しくはPCRによる顆粒球受容体1の分子的定量等の間接的な生化学技術によって測定)、そのような細胞のアポトーシスの遅延(例えば、アネキシン5に対する特異的抗体を使用する細胞学によって測定)をもたらしうる。炎症の回復の欠如はまた、TNF-アルファ、IL8、又はIL12等の炎症促進性サイトカインの持続的合成又は合成の増加、及びIL-10等の抗炎症性サイトカインの減少(酵素イムノアッセイ又はPCRによって測定)、NF-カッパB等の炎症性サイトカインの合成に関係する転写因子の持続的活性化又は活性化の増加(例えば、核移行又はウエスタンブロット及びIカッパBの分解レベルの定量によって測定)ももたらしうる。同様に、質量分析法又は酵素イムノアッセイによる、特殊な回復促進性メディエーター(例えば、リポキシン、レゾルビン、プロテクチン、又はマレシン)又はその前駆体(17-HDOHE又は14-HDOHEのような)の定量によっても測定することができる。回復の欠如は、これらのメディエーターの1つ又は複数の合成の欠如をもたらす。回復の欠如はまた、回復分子(ALX/CMK1R1、GPR32、GPR18)の受容体の発現又は内在化の減少、及びそれらの受容体の細胞質へのプロセシングの減少、又は炎症性サイトカインの一部の受容体若しくは脂質の過剰発現にも起因しうる。これらの状態は、組織学、細胞学、又はPCRによって測定してもよい。回復の欠如はまた、M1からM2マクロファージへのスイッチの減少又は阻害をもたらし、同じ細胞の食作用又はエフェロサイトーシスの障害をもたらしうる。
【0006】
化学物質ファミリーが、そのような機序に関係するチェックポイント活性化剤及び/又は阻害剤に加えて宿主防御を損なうことなく炎症の回復及び組織修復を能動的に促進することは、現在では明白である。急性炎症の発生時の事象により、アンタゴニスト並びにアゴニストとしての役目を果たすことができる一連の化学メディエーターの生合成経路が確立され、このことはそれらが単に炎症経路を阻害するのではなく、それらが炎症に影響を及ぼし、組織恒常性及び機能の回復に至ることを意味する。したがって、抗炎症因子と回復促進因子とは等価ではない(Buckleyら、2014)(Serhan、2014a)。急性炎症を回復できないことは、慢性炎症の発生に寄与する。したがって、抗炎症化合物は、免疫の血管外漏出を停止させる分子と同様に、炎症の回復の阻害剤又は遮断剤を指すが;回復促進因子は、炎症の回復を開始又は増強するアポトーシス又はエフェロサイトーシス等の特異的プロセスを刺激及び/又は活性化する。
【0007】
回復は、PMNによる炎症応答の開始後まもなく始まり、病原体を除去し、同時に特殊な回復促進性メディエーター(SPM)の合成を開始する。これらのSPMは、回復期の主要な作用因子である。好中球は、回復促進回路の活性化を可能にして、炎症応答の安全な終結を確保することによって、炎症の回復相の開始を支配する。回復の初期段階では、好中球は、表現型スイッチを受け、付近の環境に存在する細胞及び物質に応じて、脂質メディエーターの異なるプロファイルを産生する。PMN-LTは、リポキシン及びレゾルビンの作用により、PMN-LO(リポキシゲナーゼ)経路へとスイッチする。それらは、オータコイド勾配に曝露されて表現型の変化を開始する。リポキシンは、細胞-細胞相互作用(PMN-5-LO/組織常在細胞-5-LO)の間に関与する生合成経路を介して生成される。好中球欠損モデルでは創傷治癒が遅延すること、及び好中球は、炎症性サイトカインを非活性化するプロテアーゼを放出することが観察されている。
【0008】
様々な分子が、炎症の回復の開始又は阻害に関係している。以下の分子は、そのような活性分子の例証である。COX-2(シクロオキシゲナーゼ-2)、プロスタグランジン-エンドペルオキシドシンターゼ(PTGS)は、トロンボキサン及びプロスタグランジン、例えばプロスタサイクリンを含むプロスタノイドの形成の原因となる酵素であり、炎症の開始の寄与因子として、及び後にはプロセスを回復するための補助因子としての二重の役割を有する。COX-2阻害剤は、炎症の初期相において有益な効果を有しうる。COX-2阻害剤はまた、有害な結末、例えば早期PMN移動の減少、LXA産生の妨害、マクロファージ食作用の減少、並びにPGE2及びLXAの低減も有する。PGD2/15dPGJと呼ばれる抗炎症性プロスタグランジンもまた、負のフィードバックに関係しているが、PGE2のような他のプロスタグランジンは、炎症の回復の間、正のフィードバックに関係している。
【0009】
Gタンパク質共役受容体(GPCR)は、様々な自己分泌、パラ分泌、及び内分泌プロセスを含む広範囲の機能を包含する広大なタンパク質ファミリーを構成する。それらは、配列レベルでかなりの多様性を示し、それに基づいてそれらを異なる基に分類することができる。典型的には、GPCR活性化は、Gタンパク質又はBアレスチンのいずれか又は両方によって媒介されるシグナル伝達経路の広いネットワークに関与する。
【0010】
ChemR23としても知られるケモカイン様受容体1(CMKLR1)及びケモカイン受容体様2(CCRL2)は、公知のGタンパク質共役受容体とのその相同性によって同定された7回膜貫通受容体である(AJ Kennedy and AP Davenport、2018)。ケモカイン様受容体1(CMKLR1;マウス動物ではDezと呼ばれる)は、GPR-1(38%の全アミノ酸同一性)、C3a受容体(38%)、C5aアナフィラトキシン受容体(36%)、及びホルミルMet-Leu-Phe受容体(35%)に関連するオーファンGタンパク質共役受容体である。ChemR23は、ケモカイン受容体サブファミリーに対する関係がより遠い(Samsonら、1998)。CMKLR1は、単球、マクロファージ、樹状細胞、及びNK細胞、並びに脂肪細胞及び内皮細胞上に発現される。CMKLR1発現はまた、前脂肪細胞及び脂肪細胞(Goralskiら、2007; Rohら、2007)、骨格筋細胞(Sellら、2009)、及び内皮細胞(Kaurら、2010)を含む、白血球以外の多くの細胞集団において記載され、ケメリン/CMKLR1システムに関する追加の役割が、脂質及び糖代謝の制御(Bozaogluら、2007; Ernst and Sinal、2010)、血圧の制御(Wattsら、2013)、及び血管新生の制御(Kaurら、2010)において提唱されている。
【0011】
最近の研究により、これらの受容体のリガンドが同定され、その機能が明らかになり始めている。それにより、血漿タンパク質由来の化学誘引物質であるケメリンは、CMKLR1のリガンドであり、ケメリンによるCMKLR1の活性化は、in vitroでマクロファージ及び樹状細胞(DC)の遊走を誘導することが示されており、ケメリンの炎症促進性の役割を示唆している。CMKLR欠損マウスを使用するin vivo研究は、これらの受容体が、おそらく形質細胞様DCの動員により、抗炎症性の役割を有しうるという逆のことを示唆している。ケメリン/CMKLR1相互作用はまた、脂肪形成及び血管新生も促進する。
【0012】
ケメリンは、炎症の際のケモカインとして作用し、感染部位に細胞を動員する。このリガンドは、PMNのアポトーシス及びM2依存的エフェロサイトーシス(非催炎性の食作用;炎症促進性メディエーターを放出しない)の増強、並びにDCの遊走及びIL12(炎症促進性サイトカイン)の分泌の減少(Serhan、2014b)によって、急性炎症の動物モデルにおいて炎症の回復を促進する。
【0013】
ケメリンは、炎症性の体液中に大量に存在し、抗菌活性を有し、CMKLR1を発現する白血球を誘引することが示され、細胞外マトリクスタンパク質に対するマクロファージの接着を促進する(Wittamerら、2003)。加えて、ケメリンは、最近、アディポカインであることが発見された。成熟脂肪細胞によって分泌されると、ケメリンは、前脂肪細胞を刺激して分化させる。ケメリンの血清中レベルの増加は、慢性炎症疾患、冠動脈疾患、メタボリックシンドローム、及び肥満に関連している。肥満の脂肪組織における高いケメリン産生は、肥満脂肪組織において観察されたマクロファージの浸潤の増加に寄与し、低レベル炎症をもたらしうることが示されている。ケメリンがCMKLR1に結合すると、2つのシグナル伝達経路:Gタンパク質シグナル伝達経路及びβアレスチンシグナル伝達経路が活性化される。
【0014】
CMKLR1の第2のリガンドは、レゾルビンファミリーに属する脂質メディエーターであるレゾルビンE1(RvE1)である。抗炎症性脂質メディエーターであるレゾルビンE1は、白血球の浸潤及び炎症促進性遺伝子発現を阻害する。これらの相違する結果は、CMKLR1が、多機能性受容体であることを示唆している。これは、PMNアポトーシス及びM2エフェロサイトーシスの増加に関係し、DC遊走及びIL12のような炎症促進性サイトカインの分泌を減少させる。RvE1は、好中球及び内皮細胞によって産生される。これはまた、アスピリンがRvE1の産生の原因であるCOX-2経路を活性化することから、in vitroでアスピリン処置によって誘導される。更に、好中球は、18R-HEPEのRvE1への変換を可能にする。限局型侵襲性歯周炎(LAP)患者では、マクロファージが食作用を低減させることが観察されている。RvE1は、LAPマクロファージの食作用活性の障害を救出する。RvE1は更に、マウスのアレルギー性気道におけるIL-23及びIL-6の低減並びにIFN-γの増加を介して回復を促進する。RvE1は、ナチュラルキラー細胞(NK)の遊走及び細胞傷害性を調節する。RvE1がCMKLR1に結合すると、Gタンパク質シグナル伝達経路のみが活性化され、Bアレスチン経路は阻害される;特定の条件では、Bアレスチン経路は阻害される。
【0015】
当初、ケメリンシステムにおける関心は、乾癬疾患でのその発見後、炎症及び免疫細胞の化学走性におけるその役割に集まっていた。最近では、炎症、肥満、メタボリックシンドロームにおけるその役割に関連して、心血管機能に関連するその潜在的役割、並びに生殖生物学における役割が、検討されている。したがって、ケメリン系は、炎症プロセスにおけるその役割に関して、特に炎症の回復におけるその役割に関して非常に重要である。複数の疾患が、回復プロセスの遅延又は妨害に関連している。現在公知である特殊な回復促進因子メディエーターのほとんどが、リポキシンを含む多価不飽和脂肪酸、E-シリーズレゾルビン及びD-シリーズレゾルビンを含むレゾルビンファミリー、プロテクチン、並びにマレシンに由来する。それにもかかわらず、回復促進性分子は、その脂質的性質のために合成することが難しい。回復促進性分子を、例えば臨床試験のために十分な量で産生することは、負担が大きく、効率的に産生されるSPMは非常に少数である。それ以外に、Gタンパク質共役受容体を特異的に標的とする抗体は産生することが難しい。したがって、回復促進因子のような炎症応答の回復期を開始又は増強する能力を有する分子が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】WO2008068637
【特許文献2】欧州特許第1270725号B1
【特許文献3】米国特許第8536307号B2
【非特許文献】
【0017】
【非特許文献1】Buckley, C.D.、Gilroy, D.W., and Serhan, C.N. (2014). Proresolving Lipid Mediators and Mechanisms in the Resolution of Acute Inflammation. Immunity 40、315-327
【非特許文献2】Serhan, C.N. (2014a). Pro-resolving lipid mediators are leads for resolution physiology. Nature 510、92-101
【非特許文献3】AJ Kennedy and AP Davenport、2018
【非特許文献4】Samson, M.、Edinger, A.L.、Stordeur, P.、Rucker, J.、Verhasselt, V.、Sharron, M.、Govaerts, C.、Mollereau, C.、Vassart, G.、Doms, R.W.、et al. (1998). ChemR23, a putative chemoattractant receptor, is expressed in monocyte-derived dendritic cells and macrophages and is a coreceptor for SIV and some primary HIV-1 strains. Eur. J. Immunol. 28、1689-1700
【非特許文献5】Goralski, K.B.、McCarthy, T.C.、Hanniman, E.A.、Zabel, B.A.、Butcher, E.C.、Parlee, S.D.、Muruganandan, S., and Sinal, C.J. (2007). Chemerin, a Novel Adipokine That Regulates Adipogenesis and Adipocyte Metabolism. J. Biol. Chem. 282、28175-28188
【非特許文献6】Roh, S.、Song, S.-H.、Choi, K.-C.、Katoh, K.、Wittamer, V.、Parmentier, M., and Sasaki, S. (2007). Chemerin--a new adipokine that modulates adipogenesis via its own receptor. Biochem. Biophys. Res. Commun. 362、1013-1018
【非特許文献7】Sell, H.、Laurencikiene, J.、Taube, A.、Eckardt, K.、Cramer, A.、Horrighs, A.、Arner, P., and Eckel, J. (2009). Chemerin Is a Novel Adipocyte-Derived Factor Inducing Insulin Resistance in Primary Human Skeletal Muscle Cells. Diabetes 58、2731-2740
【非特許文献8】Kaur, J.、Adya、R.、Tan, B.K.、Chen, J., and Randeva, H.S. (2010). Identification of chemerin receptor (ChemR23) in human endothelial cells: Chemerin-induced endothelial angiogenesis. Biochem. Biophys. Res. Commun. 391、1762-1768
【非特許文献9】Bozaoglu, K.、Bolton, K.、McMillan, J.、Zimmet, P.、Jowett, J.、Collier, G.、Walder, K., and Segal, D. (2007). Chemerin Is a Novel Adipokine Associated with Obesity and Metabolic Syndrome. Endocrinology 148、4687-4694
【非特許文献10】Ernst, M.C., and Sinal, C.J. (2010). Chemerin: at the crossroads of inflammation and obesity. Trends Endocrinol. Metab. TEM 21、660-667
【非特許文献11】Watts, S.W.、Dorrance, A.M.、Penfold, M.E.、Rourke, J.L.、Sinal, C.J.、Seitz, B.、Sullivan, T.J.、Charvat, T.T.、Thompson, J.M.、Burnett, R.、et al. (2013). Chemerin connects fat to arterial contraction. Arterioscler. Thromb. Vasc. Biol. 33、1320-1328
【非特許文献12】Serhan, C.N. (2014b). Pro-resolving lipid mediators are leads for resolution physiology. Nature 510、92-101
【非特許文献13】Wittamer, V.、Franssen, J.-D.、Vulcano, M.、Mirjolet, J.-F.、Poul, E.L.、Migeotte, I.、Brezillon, S.、Tyldesley, R.、Blanpain, C.、Detheux, M.、et al. (2003). Specific Recruitment of Antigen-presenting Cells by Chemerin, a Novel Processed Ligand from Human Inflammatory Fluids. J. Exp. Med. 198、977-985
【非特許文献14】Krehenbrinkら、J. mol. Biol.、383:5、2008
【非特許文献15】Skerra、Febs J.、275:11、2008
【非特許文献16】Schlehuber and Skerra、Biophys. Chem.、96:2~3頁、2002
【非特許文献17】Harlowら、「Antibodies: A Laboratory Manual」、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、NY (1998)
【非特許文献18】Colliganら、「Current Protocols in Immunology」、Green Publishing Assoc.、NY (1992; 1993)
【非特許文献19】Muller、Meth. Enzym.、92:589-601 (1983)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0018】
第1の態様では、本発明は、抗CMKLR1抗体、又はその抗原結合性断片、又は抗原結合抗体模倣体、又は改変抗体に関する。以下の開示では、抗CMKLR1化合物は、抗CMKLR1抗体、又はその抗原結合性断片、又は抗原結合抗体模倣体、又は改変抗体のいずれかであると考えられる。本発明の特定の実施形態では、前記化合物は、そのCDRSの配列によって定義される。本発明のより特定の実施形態では、抗CMKLR1化合物は、そのCDR及びそのフレームワーク領域(FR)の配列によって定義される抗体である。抗CMKLR1化合物は、ケモカイン様受容体1(CMKLR1)に特異的に結合する化合物である。以下の開示において、ケモカイン様受容体1、CMKLR1、及びChemR23という用語は、互換的に使用され、全て、ヒトでは遺伝子CMKLR1、又は非ヒト動物ではcmklr1によってコードされる受容体を指定する。本発明の特定の実施形態では、抗CMKLR1化合物は、ヒトCMKLR1に特異的に結合するか、又は言い換えれば本発明は、抗ヒトCMKLR1化合物に関連する。本明細書で使用される場合、用語「CMKLR1」は、ケモカイン様受容体1タンパク質(ChemR23とも呼ばれる)、哺乳動物種由来のGタンパク質共役受容体ファミリーのメンバー、好ましくはヒトCMKLR1を指す。本出願の実施例で使用されるヒトCMKLR1タンパク質の参照配列は、Uniprot受託番号Q99788(配列番号1)に関連する配列に対応する。
【0019】
第2の態様では、本発明は、少なくとも1つの機能的特色によって定義された抗CMKLR1抗体、又はその抗原結合性断片、又は抗原結合抗体模倣体、又は改変抗体に関する。好ましい実施形態では、前記抗CMKLR1化合物は、炎症促進性サイトカイン、特にIL12の分泌をそれが阻害する能力、並びに/又はそれが抗炎症性サイトカイン、特にIL10及び/若しくはCCL17の分泌を増強する能力によって定義される。より特定の実施形態では、抗CMKLR1化合物は、マクロファージ、特にM1及び/又はM2マクロファージによるサイトカイン分泌を阻害又は増強する。特定の実施形態では、本発明の抗CMKLR1化合物は、抗炎症性マクロファージ、特にM2マクロファージへのマクロファージの極性化を増強する。
【0020】
第3の態様では、本発明は、レゾルビンE1(RvE1)に対してアゴニスト特性を有し、それによってCMKLR1陽性細胞上でのCMKLR1に対するRvE1の結合を模倣する抗CMKLR1抗体、又はその抗原結合性断片、又は抗原結合抗体模倣体に関する。「RvE1-CMKLR1相互作用に対するアゴニスト特性」は、CMKLR1を標的とする本発明の抗体、又はその抗原結合性断片、又は抗原結合抗体模倣体、又は改変抗体が、CMKLR1に対するRvE1の結合を模倣する効果を有し、それによってRvE1によって通常活性化される受容体シグナル伝達経路、特に樹状細胞、単球、及びマクロファージにおける、特にヒトCMKLR1に対するヒトRvE1の結合を活性化する作用を有することを意味する。生物学的応答を生じる受容体の結合及び活性化の結果として、本発明の化合物は、βアレスチン経路を活性化することなく、Gタンパク質シグナル伝達経路、特にGαiシグナル伝達経路及び/又はGαoの活性化をもたらし、特に本発明の化合物は、βアレスチン経路の阻害をもたらしうる。特に、本発明に従う化合物の結合は、in vitro及び/又はin vivoでAkt及び/又はErkタンパク質の活性化を誘導する。言い換えれば、レゾルビン-E1様アゴニスト抗体は、CMKLR1に結合することが可能で、それによって対照抗体と比較してAkt及び/又はErkタンパク質のリン酸化を誘導することが可能な抗体として定義されうる。対照抗体は、CMKLR1に特異的に結合しない抗体でありうる。タンパク質のリン酸化は、当業者に周知の方法に従って、例えば本発明の実施例に開示される方法によって決定してもよい。
【0021】
特定の実施形態では、本発明の化合物は、RvE1-様アゴニストであり、すなわち本発明の化合物は、RvE1によって誘導されるCMKLR1シグナル伝達経路のアゴニストである。言い換えれば、本発明の抗CMKLR1化合物は、RvE1とCMKLR1との間の、特にヒトRvE1とヒトCMKLR1との間の相互作用のアゴニストである。特定の実施形態では、本発明の化合物は、CMKLR1によって誘導されるGタンパク質経路の活性化を増強する。別の実施形態では、本発明の化合物は、CMKLR1によって誘導されるβアレスチン経路の活性化を誘導しない。別の実施形態では、本発明の化合物は、CMKLR1によって誘導されるβアレスチン経路を阻害する。別の実施形態では、本発明の化合物がCMKLR1に対するRvE1の結合の少なくとも1つのアゴニスト作用を誘導することから、及びRvE1が回復促進因子又は回復促進メディエーターであることから、本発明の化合物は、回復促進因子又は回復促進メディエーターである。
【0022】
特定の実施形態では、本発明の化合物は、CMKLR1に対するケメリンの結合を妨害しない。ケメリンは、CMKLR1の天然のリガンドの1つである。言い換えれば、本発明に従う化合物は、ケメリンとCMKLR1との間の相互作用のアゴニストではない。そのようなアゴニスト能が存在しないことは、本発明の抗CMKLR1抗体の存在下でCMKLR1受容体によるケメリン依存的Bアレスチン動員を測定する競合アッセイを開示する本発明の実施例に従って評価してもよい。好ましい実施形態では、本発明の抗CMKLR1化合物は、CMKLR1に対する結合に関してケメリンと競合しない。本発明の抗CMKLR1化合物とケメリンとの間に競合が存在しないことは、本発明のCMKLR1化合物の存在下でのCMKLR1に対するケメリンの結合が、同じ実験条件であるが本発明の抗CMKLR1の非存在下でのCMKLR1に対するケメリンの結合の少なくとも50%、より好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも90%、及び最も好ましくは類似であるである場合に決定されうる。或いは、本発明の抗CMKLR1化合物とケメリンの間に競合が存在しないことは、実施例11に例証される方法に従って決定してもよい。
【0023】
特定の実施形態では、抗CMKLR1化合物は、in vitro及び/又はin vivoで、Aktシグナル伝達経路タンパク質(同様に、PI3K-Akt経路としても知られる)及び/又はErkシグナル伝達経路タンパク質のうちの少なくとも1つ、好ましくはAktタンパク質及び/又はErkタンパク質、好ましくはAkt及びErkタンパク質の両方を活性化する能力を有する。経路の活性化は、当技術分野で公知の方法に従って、特に本発明の実施例に開示される方法に従って評価されうる。
【0024】
特定の実施形態では、本発明の抗体、その抗原結合性断片、抗原結合抗体模倣体、又は改変抗体は、in vitro及び/又はin vivoでIL10サイトカインのRvE1誘導分泌、特にマクロファージによるIL10サイトカインの分泌を増強する。特定の実施形態では、本発明の抗体、その抗原結合性断片、抗原結合抗体模倣体、又は改変抗体は、in vitro及び/又はin vivoでIL10及びCCL17サイトカインのRvE1誘導分泌、特にマクロファージによるIL10及びCCL17の分泌を増強する。特定の実施形態では、本発明の抗体、その抗原結合性断片、抗原結合抗体模倣体、又は改変抗体は、in vitro及び/又はin vivoで、IL12サイトカインの分泌、特にマクロファージによるIL12の分泌を阻害する。阻害は部分的であってもよく、すなわち、抗CMKLR1化合物の存在下でのIL12の分泌レベルは、ベースラインレベル(すなわち、RvE1又は抗CMKLR1化合物の非存在下でのレベル)より減少するか、又は阻害は完全でありうる(IL12の分泌なし)。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本明細書で使用される場合、用語「抗体」は、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、又は組換え抗体を含む。本明細書で使用される場合、「モノクローナル抗体」は、異なるアミノ酸配列の抗体の混合物を含有する「ポリクローナル」抗体調製物とは対照的に、共通の重鎖及び共通の軽鎖アミノ酸配列を共有する抗体を得るための抗体分子の調製物を指すと意図される。モノクローナル抗体は、ファージ、細菌、酵母、又はリボソームディスプレイのような幾つかの公知の技術によって、並びにハイブリドーマ由来抗体によって例証される古典的方法によって生成することができる。それらはまた、参照として本開示のアミノ酸配列を使用して合成してもよい。このように、用語「モノクローナル」は、1つの核酸クローンに由来する全ての抗体を指すために使用される。
【0026】
本発明の抗体は、組換え抗体を含む。本明細書で使用される場合、用語「組換え抗体」は、組換え手段によって産生、発現、生成、又は単離される抗体、例えば宿主細胞にトランスフェクトした組換え発現ベクターを使用して発現される抗体;組換えコンビナトリアル抗体ライブラリから単離した抗体;ヒト免疫グロブリン遺伝子によりトランスジェニックである動物(例えば、マウス)から単離された抗体;又は特定の免疫グロブリン遺伝子配列(例えば、ヒト免疫グロブリン遺伝子配列)が他のDNA配列とアセンブルされる任意の他の様式で産生、発現、生成、若しくは単離されている抗体を指す。組換え抗体は、例えばキメラ及びヒト化抗体を含む。
【0027】
本明細書で使用される場合、「キメラ抗体」は、哺乳動物種、例えばマウスの生殖系列に由来する可変ドメインの配列が別の哺乳動物種、例えばヒトの生殖系列に由来する定常ドメインの配列にグラフトされている抗体を指す。
【0028】
本明細書で使用される場合、「ヒト化抗体」は、第1の実施形態では、別の哺乳動物種、例えばマウスの生殖系列に由来するCDR配列が、ヒト又はヒト化フレームワーク配列にグラフトされている抗体を指す。更なる実施形態では、「ヒト化抗体」は、少なくとも1つのCDR及びフレームワーク配列の全て又は一部がヒト化されている抗体を指す。
【0029】
本明細書で使用される場合、「抗体の抗原結合性断片」は、抗体の一部、すなわちおそらくその天然型のCMKLR1の抗原結合能を示す本発明の抗体の構造の一部に対応する分子を指し;そのような断片は特に、対応する4本鎖抗体の抗原結合特異性と比較して前記抗原に対して同じ又は実質的に同じ抗原結合特異性を示す。都合のよいことには、抗原結合性断片は、対応する4本鎖抗体と類似の結合親和性を有する。しかし、対応する4本鎖抗体に関して低減された抗原結合親和性を有する抗原結合性断片もまた、本発明に包含される。抗原結合能は、抗体と標的断片との間の親和性を測定することによって決定することができる。これらの抗原結合性断片はまた、抗体の「機能的断片」とも呼ばれうる。
【0030】
抗体の抗原結合性断片は、CDR(相補性決定領域)と呼ばれるその超可変ドメイン又は抗原の認識部位を包含するその一部、すなわちCMKLR1の細胞外ドメイン、特にCMKLR1の細胞外ドメインの第3のループ(EL3と呼ばれる)を含み、それによって抗原認識特異性を定義する断片である。EL3は、配列番号1のアミノ酸残基283及びアミノ酸残基300の間に位置する。EL3は、配列番号2のアミノ酸残基に対応する。EL3はまた、配列番号18のポリペプチド内に含まれる。
【0031】
4本鎖免疫グロブリンの各軽鎖及び重鎖可変ドメイン(それぞれ、VL及びVH)は、軽鎖可変ドメインに関してVLCDR1、VLCDR2、及びVLCDR3;並びに重鎖可変ドメインに関してVHCDR1、VHCDR2、VHCDR3と呼ばれる3つのCDRを有する。4本鎖免疫グロブリンの各軽鎖及び重鎖可変ドメインは、軽鎖可変ドメインに関してLFR1、LFR2、LFR3、及びLFR4;並びに重鎖可変ドメインに関してHFR1、HFR2、HFR3、及びHFR4と呼ばれる4つのフレームワーク領域(FR)を有する。
【0032】
当業者は、参照番号付けシステムであるKABATの番号付けシステムを参照すること又はIMGT「collier de perle」アルゴリズムの適用によることを含む、記載のこの点に関して標準的な定義を参照することによって、抗体の様々な領域/ドメインの位置を決定することが可能である。この点において、本発明の配列の定義に関して、領域/ドメインの境界は、参照システムによって互いに異なりうることに注意されたい。したがって、本発明において定義される領域/ドメインは、抗体の可変ドメインの完全長配列内の該当する配列の長さ又は位置においておよそ±10%の変動を示す配列を包含する。
【0033】
4本鎖免疫グロブリンの構造に基づき、このように抗原結合性断片は、利用可能なデータベース及び先行技術における抗体の配列との比較によって、特にこれらの配列における機能的ドメインの位置を比較することによって定義することができ、フレームワーク及び定常ドメインの位置は、抗体の様々なクラスに関して、特にIgGに関して、特に哺乳動物IgGに関して良好に定義されていることに注意すべきである。そのような比較はまた、抗体の3次元構造に関するデータも必要とする。
【0034】
本発明の特定の実施形態の説明目的に関して、前記抗体のCDRを含む可変ドメインを含有する抗体の抗原結合性断片は、Fv、dsFv、scFv、Fab、Fab'、F(ab')2を包含する。Fv断片は、疎水性相互作用により共に会合した抗体のVL及びVHドメインからなり;dsFv断片では、VH:VLヘテロ二量体は、ジスルフィド結合によって安定化され;scFv断片では、VL及びVHドメインは、フレキシブルペプチドリンカーを介して互いに接続され、このように一本鎖タンパク質を形成する。Fab断片は、抗体のパパイン消化によって得ることが可能な単量体断片であり;それらは、ジスルフィド結合を通して共に結合した完全なL鎖及びH鎖のVH-CH1断片を含む。F(ab')2断片は、ヒンジジスルフィドより下の抗体のペプシン消化によって産生することができ;これは、2つのFab'断片、及び更に免疫グロブリン分子のヒンジ領域の一部を含む。Fab'断片は、ヒンジ領域でのジスルフィド結合を切断することによってF(ab')2断片から得ることができる。F(ab')2断片は二価であり、すなわちそれらはネイティブの免疫グロブリン分子のように2つの抗原結合部位を含む;一方、Fv(Fabの可変部分を構成するVHVL二量体)、dsFv、scFv、Fab、及びFab'断片は一価であり、すなわちそれらは単一の抗原結合部位を含む。本発明のこれらの基本的な抗原結合性断片を共に組み合わせて、多価抗原結合性断片、例えばダイアボディ、トリボディ、又はテトラボディを得ることができる。これらの多価抗原結合性断片もまた、本発明の一部である。
【0035】
本明細書で使用される場合、改変抗体という用語は、「二重特異的」抗体を含み、第1の抗原に対して特異的である少なくとも1つの領域(例えば、第1の抗体の可変領域に由来する)、及び第2の抗原に対して特異的である少なくとも第2の領域(例えば、第2の抗体の可変領域に由来する)を有することによって2つの異なる抗原を認識する抗体を指す。二重特異性抗体は、2つの標的抗原に特異的に結合し、このように、多重特異性抗体の1つのタイプである。2つ又はそれより多くの異なる抗原を認識する多重特異性抗体は、組換えDNA法によって産生することができるか、又は任意の従来の方法によって化学的に産生された抗体を含むがこれらに限定されない。二重特異性抗体は、2つの異なる抗原を認識することが可能な全ての抗体又は抗体のコンジュゲート、又はポリマー型の抗体を含む。二重特異性抗体は、還元されて二価の特徴を保持するように変更されている抗体、及びそれらが各々の抗原に関して幾つかの抗原認識部位を有することができるように化学的にカップリングされている抗体、例えばBiME(二重特異性マクロファージ増強抗体(Bispecific Macrophage Enhancing antibodies))、BiTE(二重特異性T細胞関連因子(bispecific T cell engager))、DART(二重親和性再標的化(Dual affinity retargeting));DNL(ドックアンドロック)、DVD-Ig(二重可変ドメイン免疫グロブリン)、HAS(ヒト血清アルブミン)、kih(ノブイントゥホール(knobs into holes))を含む。
【0036】
抗原結合抗体模倣体は、抗原に特異的に結合するが、抗体に構造的に関連しない有機化合物である。それらは通常、人工ペプチド又はモル質量約3~20kDaの低分子タンパク質である。核酸及び低分子は、時に抗体模倣体でもあると考えられるが、人工抗体、抗体断片、及びこれらで構成される抗体タンパク質ではない。抗体に対する共通の利点は、良好な溶解度、組織浸透性、熱及び酵素に対する安定性、並びに比較的低い生産コストである。抗体模倣体は、治療剤及び診断剤として開発されている。抗原結合抗体模倣体はまた、アフィボディ、アフィリン、アフィマー、アフィチン、DARPin、及びMonobodiesを含む群から選択されうる。
【0037】
抗原結合抗体模倣体は、より優先的にはアフィチン及びアンチカリンを含む群から選択される。アフィチンは、抗原に選択的に結合する能力を有する人工タンパク質である。それらは、古細菌ドメインに属する微生物であるスルホロブス・アシドカルダリウス(Sulfolobus acidocaldarius)において見出されるDNA結合タンパク質Sac7dに構造的に由来する。Sac7dの結合表面上のアミノ酸を無作為化することによって、例えばSac7dの結合界面の11残基のランダム置換に対応するバリアントを生成することによって、アフィチンライブラリを生成し、得られたタンパク質ライブラリをリボソームディスプレイのラウンドに供することにより、親和性をペプチド、タンパク質、ウイルス、及び細菌等の様々な標的に向けることができる。アフィチンは、抗体模倣体であり、生物工学におけるツールとして開発されている。それらはまた、様々な酵素の特異的阻害剤としても使用されている(Krehenbrinkら、J. mol. Biol.、383:5、2008)。当業者は、特に特許出願WO2008068637及び上記で引用した刊行物に開示される当技術分野で公知の方法、特にファージディスプレイ及び/又はリボソームディスプレイライブラリの生成、並びに本明細書に開示される抗原を使用するそのスクリーニングを使用して、必要な結合特性を有するアフィチンを容易に開発することができる。アンチカリンは、抗原、タンパク質又は低分子のいずれかに結合することが可能である人工タンパク質である。それらは天然に結合するタンパク質ファミリーであるヒトリポカリンに由来する抗体模倣体である。アンチカリンは約8倍小さく、約180アミノ酸のサイズ及び約20kDaの質量を有する(Skerra、Febs J.、275:11、2008)。特に特異的結合特性を有するアンチカリンのスクリーニング及び選択を可能にするアンチカリンファージディスプレイライブラリが生成されている。当業者は、当技術分野で公知の方法、特に欧州特許第1270725号B1、米国特許第8536307号B2、Schlehuber and Skerra、Biophys. Chem.、96:2~3頁、2002、及び上記で引用した刊行物に開示の方法、特にファージディスプレイ及び/又はリボソームディスプレイライブラリの生成並びに本明細書に開示される抗原を使用するそのスクリーニングを使用して、必要な結合特性を有するアンチカリンを容易に開発することができる。アンチカリン及びアフィチンはいずれも、細菌発現系を含む複数の発現系において産生されうる。このように、本発明は、本明細書に記載される抗体の特色を有するアフィチン、アンチカリン、及び他の類似の抗体模倣体の、特にCMKLR1に対するその結合能、RvE1とCMKLR1との間の結合に対するそのアゴニスト能、本明細書に記載される特定のサイトカインの分泌のその誘導若しくは阻害能に関する使用、本明細書に記載される疾患の処置又は予防におけるその使用を含み、その全てが、本発明に従う模倣体として企図される。
【0038】
本明細書で使用される場合、「改変抗体」は、そのアミノ酸配列が少なくとも1つのアミノ酸残基の変異によって改変されている抗体を指す。したがって、「改変抗体」は、本明細書で定義されるキメラ抗体又はヒト化抗体を包含し、「改変抗体」はまた、抗体又はその抗原結合性断片を含む分子に対応しうるが、前記モノクローナル抗体又はその機能的断片は、機能的に異なる分子に関連する。本発明の改変抗体は、抗体又は機能的断片の安定性及び/又は半減期を改善するために、化学基若しくは生物基若しくは分子、例えばPEGポリマー又は別の保護基若しくはin vivoでのプロテアーゼ切断に対する保護にとって適した分子との共有結合、グラフティング、化学結合を含むいずれかの適した形態の結合に起因する融合キメラタンパク質又はコンジュゲートのいずれかでありうる。類似の技術によって、特に化学カップリング又はグラフティングによって、改変抗体を生物活性分子と共に調製することができ、前記活性分子は、例えば毒素、特にシュードモナス(Pseudomonas)外毒素A、植物毒素リシンA鎖又はサポリン毒素、特に治療活性成分、抗体又は機能的断片をヒト体の特定の細胞若しくは組織に標的化するために適したベクター(特にタンパク質ベクターを含む)から選択されるか、又は特に抗体の断片を使用する場合、標識若しくはリンカーに会合させてもよい。抗体又はその機能的断片のPEG化は、それが特に治療応用のために活性物質の宿主への送達条件を改善することから、特に興味深い実施形態である。PEG化は、抗体又は機能的断片の認識部位との干渉を防止するために部位特異的でありえ、高分子量PEGによって実施することができる。PEG化は、抗体若しくは機能的断片の配列に存在する遊離のシステイン残基を通して、又は抗体若しくは機能的断片のアミノ酸配列における追加の遊離のシステイン残基を通して達成することができる。本発明に従って、用語「抗体」を使用する場合、これは、抗体、その抗原結合性断片、抗原結合抗体模倣体、又は改変抗体のいずれかを意味する。
【0039】
非ヒト(例えば、マウス)抗体の「ヒト化」型は、非ヒト免疫グロブリンに由来する最小配列を含有するキメラ免疫グロブリン、免疫グロブリン鎖、又はその断片(例えばFv、Fab、Fab'、F(ab')2、又は抗体の他の標的結合小配列)である。一般的に、ヒト化抗体は、少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメインの実質的に全てを含み、全てのCDR領域が、非ヒト免疫グロブリン及び/又はそれらのヒト化型のCDR領域に対応し、FR領域の全て又は実質的に全てがヒト免疫グロブリン鋳型配列のFR領域である。ヒト化抗体はまた、免疫グロブリン定常領域の少なくとも一部(Fc)、典型的には、選択したヒト免疫グロブリン鋳型の一部を含みうる。特定の実施形態では、本発明は、本明細書に開示される重鎖可変領域及び本明細書に開示される軽鎖可変領域を含む抗体に関し、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域は、定常領域、特にFc領域を更に含む。
【0040】
用語「特異的結合」及び「特異的に結合する」は、本発明に従う抗体、その抗原結合性断片、抗原結合抗体模倣体、又は改変抗体が、少なくとも1×10-6M、1×10-7M、1×10-8M、1×10-9M、1×10-10M、1×10-11M、1×10-12M、又はそれより高い親和性でCMKLR1に結合する能力、及び/又は非特異的標的(例えばCMKLR1以外の別のタンパク質)に対するその親和性より少なくとも2倍高い親和性でCMKLR1に結合する能力を指す。親和性は、当業者に周知の様々な方法に従って評価されうる。これらの方法には、Biacore分析、Blitz分析、及びScatchardプロット等のバイオセンサーが挙げられるがこれらに限定されない。
【0041】
用語「治療有効量」は、処置される患者の臨床又は生理的状態の少なくとも改善にとって十分な、本明細書で定義される任意の所定の化合物の量を指すために使用される。投与される本発明に従う抗体、その抗原結合性断片、抗原結合抗体模倣体、又は改変抗体の治療有効量は、処置される障害、処置される特定の哺乳動物、個々の患者の臨床状態、障害の原因、作用剤の送達部位、投与方法、投与スケジュール、及び医療従事者に公知の他の要因等の検討によって支配される。
【0042】
抗体又はその抗原結合性断片に関して本明細書に開示した全ての実施形態は、本発明の高分子に、特に抗原結合抗体模倣体及び改変抗体に必要な変更を加えて置き換えられる。
【0043】
第1の態様では、本発明は、CMKLR1、特にCMKLR1のEL3ループ、特に配列番号2のアミノ酸残基を含むポリペプチド、及びより特に配列番号2内に位置するエピトープ、又はCMKLR1のEL3ループ内に位置するエピトープに特異的に結合し、アミノ酸残基「AMPGS」(配列番号152)の配列からなる抗体、その抗原結合性断片、抗原結合抗体模倣体、又は改変抗体であって:
- HCDR1、HCDR2、及びHCDR3を含む重鎖可変ドメイン;
- LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含む軽鎖可変ドメイン
を含む、抗体、その抗原結合性断片、抗原結合抗体模倣体、又は改変抗体に関する。
【0044】
別の態様では、本発明は、CMKLR1に特異的に結合する抗体、又はその抗原結合性断片、又は抗原結合抗体模倣体、又はキメラ若しくはヒト化抗体の群から選択される抗CMKLR1化合物であって:
- 3つのCDR、VHCDR1、VHCDR2、及びVHCDR3を含む抗体重鎖可変ドメインであって:
・VHCDR1が、配列番号4に記載のアミノ酸配列、又はアミノ酸残基が置換されているその変異配列を含むか又はそれからなり;
・VHCDR2が、配列番号6に記載のアミノ酸配列、又はアミノ酸残基が置換されているその変異配列を含むか又はそれからなり;
・VHCDR3が、配列番号8に記載のアミノ酸配列、又は配列番号8の1及び2位のアミノ酸残基がそれぞれL及びI又はLになるようにアミノ酸残基が置換されているその変異配列を含むか又はそれからなる、抗体重鎖可変ドメイン;並びに
- 3つのCDR、VLCDR1、VLCDR2、及びVLCDR3を含む抗体軽鎖可変ドメインであって:
・VLCDR1が、配列番号12に記載のアミノ酸配列、又はアミノ酸残基が置換されているその変異配列を含むか又はそれからなり;
・VLCDR2が、配列番号14に記載のアミノ酸配列、又はアミノ酸残基が置換されているその変異配列を含むか又はそれからなり;
・VLCDR3が、配列番号15に記載のアミノ酸配列、又はアミノ酸残基が置換されているその変異配列を含むか又はそれからなる、抗体軽鎖可変ドメイン
を含み、
抗CMKLR1化合物が、CMKLR1のRvE1様アゴニストであり、特に抗CMKLR1化合物が特に骨髄系細胞系列における回復促進因子であり;
特に抗CMKLR1化合物が抗ヒトCMKLR1化合物である、抗CMKLR1化合物に関する。
【0045】
別の態様では、本発明は、CMKLR1に特異的に結合する抗体、又はその抗原結合性断片、又は抗原結合抗体模倣体、又はキメラ若しくはヒト化抗体の群から選択される抗CMKLR1化合物であって、配列番号8に記載のアミノ酸配列、又は配列番号8の1及び2位のアミノ酸残基がそれぞれL及びI又はLになるようにアミノ酸残基が置換されているその変異配列を含むか又はそれからなるVHCDR3を含む抗体重鎖可変ドメインを含み;
抗CMKLR1化合物が、CMKLR1の第3の細胞外ループ(EL3)内に位置するエピトープに特異的に結合し、特に化合物が、配列番号2又は配列番号152の配列のアミノ酸残基を含むか又はそれからなるポリペプチドに特異的に結合し;
抗CMKLR1化合物が、CMKLR1のレゾルビンE1様アゴニストであり、特に抗CMKLR1化合物が、特に骨髄系細胞系列における回復促進因子であり;
前記化合物が、配列番号9に対応する重鎖可変ドメイン及び配列番号16に対応する軽鎖可変ドメインを含む抗体、より特に抗体2G1と、配列番号2若しくは配列番号152の配列のアミノ酸残基を含むか若しくはそれからなるポリペプチド、又はCMKLR1の細胞外ドメインの第3のループ(EL3)を含むか若しくはそれからなるポリペプチドに対する結合に関して競合する、抗CMKLR1化合物に関する。
【0046】
別の態様では、本発明は、CMKLR1に特異的に結合する抗体、又はその抗原結合性断片、又は抗原結合抗体模倣体、又はキメラ若しくはヒト化抗体の群から選択される抗CMKLR1化合物であって:
- 3つのCDR、VHCDR1、VHCDR2、及びVHCDR3を含む抗体重鎖可変ドメインであって:
・VHCDR1が、配列番号4に記載のアミノ酸配列、又はアミノ酸残基が置換されているその変異配列を含むか又はそれからなり;
・VHCDR2が、配列番号6に記載のアミノ酸配列、又はアミノ酸残基が置換されているその変異配列を含むか又はそれからなり;
・VHCDR3が、配列番号8に記載のアミノ酸配列、又は配列番号8の1及び2位のアミノ酸残基がそれぞれL及びI又はLになるようにアミノ酸残基が置換されているその変異配列を含むか又はそれからなる;
抗体重鎖可変ドメイン;並びに
- 3つのCDR、VLCDR1、VLCDR2、及びVLCDR3を含む抗体軽鎖可変ドメインであって:
・VLCDR1が、配列番号12に記載のアミノ酸配列、又はアミノ酸残基が置換されているその変異配列を含むか又はそれからなり;
・VLCDR2が、配列番号14に記載のアミノ酸配列、又はアミノ酸残基が置換されているその変異配列を含むか又はそれからなり;
・VLCDR3が、配列番号15に記載のアミノ酸配列、又はアミノ酸残基が置換されているその変異配列を含むか又はそれからなる、抗体軽鎖可変ドメインを含み、
抗CMKLR1化合物が、CMKLR1のRvE1様アゴニストであり、特に抗CMKLR1化合物が、特に骨髄系細胞系列における回復促進因子であり;
前記化合物が、配列番号9に対応する重鎖可変ドメイン及び配列番号16に対応する軽鎖可変ドメインを含む抗体と、より特に抗体2G1と、配列番号2及び/若しくは配列番号152の配列のアミノ酸残基を含むか若しくはそれからなるポリペプチド(又は抗原)に対する結合に関して、並びに/又はCMKLR1の第3の細胞外ループに対する結合に関して競合する(すなわち、配列番号2及び/若しくは配列番号152のアミノ酸残基に対する結合に関して、又はCMKLR1の第3の細胞外ループに対する結合に関して交差競合する)、抗CMKLR1化合物に関する。配列番号2及び/若しくは配列番号152の配列のアミノ酸残基を含むか若しくはそれからなるポリペプチドに対する結合、並びに/又はCMKLR1の第3の細胞外ループに対する結合は、ELISAアッセイによる結合親和性解析によって、本発明の実施例、特に実施例9に開示される例によって評価されうる。試験抗体が、2G1抗体(又は配列番号9に対応する重鎖可変ドメイン及び配列番号16に対応する軽鎖ドメインを含む抗原結合性断片)によって結合されるエピトープと同じ抗原又は第3のループに対する結合に関して競合することができるか否かを決定するために、交差ブロッキングアッセイ(例えば、競合的ELISAアッセイ)を実施することができる。例示的な競合的ELISAアッセイにおいて、エピトープ又は第3のループを含むか又はそれからなるポリペプチドをマイクロタイタープレートのウエルにコーティングして、候補の競合抗体の存在下又は非存在下でプレインキュベートしてもよく、その後本発明のビオチン標識2G1抗体を添加する。ウエルにおける配列番号2若しくは配列番号152又はCMKLR1の第3のループのポリペプチドを含むか又はそれからなるポリペプチドに結合した標識抗2G1抗体の量を、アビジン-ペルオキシダーゼコンジュゲート及び適切な基質を使用して測定する。抗体は、放射活性標識若しくは蛍光標識、又は幾つかの他の検出可能で測定可能な標識によって標識することができる。配列番号2若しくは配列番号152、又は第3のループに結合した標識抗2G1抗体の量は、候補競合抗体が、同じエピトープ又は同じループに対する結合に関して競合する能力に対して間接的な相関を有し、すなわち同じエピトープに対する試験抗体の親和性がより高ければ、抗原コーティングウエルに結合する標識2G1抗体はより少なくなる。候補競合抗体は、候補競合抗体の非存在下で同時に実施した(しかし、公知の非競合抗体の存在下でありうる)対照と比較して、候補抗体が2G1抗体の結合を少なくとも少なくとも20%、好ましくは少なくとも20~50%、更により好ましくは少なくとも50%遮断することができる場合、本発明の2G1抗体と同じポリペプチド又は第3のループに対する結合に関して競合する抗体であると考えられる。このアッセイの変形形態を実施しても、同じ定量的値に達することができると理解される。
【0047】
別の態様では、本発明は、CMKLR1、特にヒトCMKLR1に特異的に結合する、抗体、その抗原結合性断片、抗原結合抗体模倣体、又はキメラ若しくはヒト化抗体であって:
- 3つのCDR、VHCDR1、VHCDR2、及びVHCDR3を含む抗体重鎖可変ドメインであって:
・VHCDR1が、配列番号3;配列番号4;配列番号62;配列番号63;配列番号64、若しくは配列番号65に記載のアミノ酸配列を含むか若しくはそれからなり;
・VHCDR2が、配列番号5;配列番号6;配列番号66;配列番号67;配列番号68;配列番号69;配列番号70;配列番号71、若しくは配列番号72に記載のアミノ酸配列を含むか若しくはそれからなり;
・HCDR3が、配列番号7;配列番号8;配列番号73;配列番号74、配列番号75;配列番号144;配列番号145、配列番号146;配列番号147;配列番号148、配列番号149;配列番号150、若しくは配列番号151に記載のアミノ酸配列を含むか若しくはそれからなる、抗体重鎖可変ドメイン、並びに/又は
- 3つのCDR、VLCDR1、VLCDR2、及びVLCDR3を含む抗体軽鎖可変ドメインであって:
・VLCDR1が、配列番号11;配列番号12;配列番号76;配列番号77;配列番号78;配列番号79、若しくは配列番号80に記載のアミノ酸配列を含むか若しくはそれからなり;
・VLCDR2が、配列番号13;配列番号14;配列番号81;配列番号82;配列番号83;配列番号84;配列番号85;配列番号86;配列番号87、若しくは配列番号88に記載のアミノ酸配列を含むか若しくはそれからなり;
・VLCDR3が、配列番号15若しくは配列番号89に記載のアミノ酸配列を含むか若しくはそれからなる、抗体軽鎖可変ドメイン
を含む、抗体、その抗原結合性断片、抗原結合抗体模倣体、又はキメラ若しくはヒト化抗体に関する。
【0048】
特定の実施形態では、本発明は、CMKLR1、特にヒトCMKLR1に特異的に結合する、抗体、その抗原結合性断片、抗原結合抗体模倣体、又は改変抗体であって:
- 3つのCDR、VHCDR1、VHCDR2、及びVHCDR3を含む抗体重鎖可変ドメインであって:
・VHCDR1が、配列番号4;配列番号62、若しくは配列番号63に記載のアミノ酸配列を含むか若しくはそれからなり;
・VHCDR2が、配列番号67;配列番号70、若しくは配列番号72に記載のアミノ酸配列を含むか若しくはそれからなり;
・VHCDR3が、配列番号8;配列番号144、若しくは配列番号148に記載のアミノ酸配列を含むか若しくはそれからなる、抗体重鎖可変ドメイン;並びに/又は
- 3つのCDR、VLCDR1、VLCDR2、及びVLCDR3を含む抗体軽鎖可変ドメインであって:
・VLCDR1が、配列番号77に記載のアミノ酸配列を含むか若しくはそれからなり;
・VLCDR2が、配列番号14;配列番号81、若しくは配列番号84に記載のアミノ酸配列を含むか若しくはそれからなり;
・VLCDR3が、配列番号15若しくは配列番号89に記載のアミノ酸配列を含むか若しくはそれからなる、抗体軽鎖可変ドメイン
を含む抗体、その抗原結合性断片、抗原結合抗体模倣体、又はキメラ若しくはヒト化抗体に関する。
【0049】
本発明の特定の実施形態では、抗体重鎖可変ドメインは、配列番号4に記載のアミノ酸配列のVHCDR1;配列番号67に記載のアミノ酸配列のVHCDR2、及び配列番号144又は配列番号148に記載のアミノ酸配列のVHCDR3、より特に配列番号144に記載のアミノ酸配列のVHCDR3を含む。
【0050】
本発明の特定の実施形態では、抗体重鎖可変ドメインは、配列番号4に記載のアミノ酸配列のVHCDR1;配列番号70に記載のアミノ酸配列のVHCDR2、及び配列番号144又は配列番号148に記載のアミノ酸配列のVHCDR3、より特に配列番号144に記載のアミノ酸配列のVHCDR3を含む。
【0051】
本発明の特定の実施形態では、抗体重鎖可変ドメインは、配列番号4に記載のアミノ酸配列のVHCDR1;配列番号72に記載のアミノ酸配列のVHCDR2、及び配列番号144又は配列番号148に記載のアミノ酸配列のVHCDR3、より特に配列番号144に記載のアミノ酸配列のVHCDR3を含む。
【0052】
本発明の特定の実施形態では、抗体重鎖可変ドメインは、配列番号62に記載のアミノ酸配列のVHCDR1;配列番号67に記載のアミノ酸配列のVHCDR2、及び配列番号144又は配列番号148に記載のアミノ酸配列のVHCDR3、より特に配列番号144に記載のアミノ酸配列のVHCDR3を含む。
【0053】
本発明の特定の実施形態では、抗体重鎖可変ドメインは、配列番号62に記載のアミノ酸配列のVHCDR1;配列番号70に記載のアミノ酸配列のVHCDR2、及び配列番号144又は配列番号148に記載のアミノ酸配列のVHCDR3、より特に配列番号144に記載のアミノ酸配列のVHCDR3を含む。
【0054】
本発明の特定の実施形態では、抗体重鎖可変ドメインは、配列番号62に記載のアミノ酸配列のVHCDR1;配列番号72に記載のアミノ酸配列のVHCDR2、及び配列番号144又は配列番号148に記載のアミノ酸配列のVHCDR3、より特に配列番号144に記載のアミノ酸配列のVHCDR3を含む。
【0055】
本発明の特定の実施形態では、抗体重鎖可変ドメインは、配列番号63に記載のアミノ酸配列のVHCDR1;配列番号67に記載のアミノ酸配列のVHCDR2、及び配列番号144又は配列番号148に記載のアミノ酸配列のVHCDR3、より特に配列番号144に記載のアミノ酸配列のVHCDR3を含む。
【0056】
本発明の特定の実施形態では、抗体重鎖可変ドメインは、配列番号63に記載のアミノ酸配列のVHCDR1;配列番号70に記載のアミノ酸配列のVHCDR2、及び配列番号144又は配列番号148に記載のアミノ酸配列のVHCDR3、より特に配列番号144に記載のアミノ酸配列のVHCDR3を含む。
【0057】
本発明の特定の実施形態では、抗体重鎖可変ドメインは、配列番号63に記載のアミノ酸配列のVHCDR1;配列番号72に記載のアミノ酸配列のVHCDR2、及び配列番号144又は配列番号148に記載のアミノ酸配列のVHCDR3、より特に配列番号144に記載のアミノ酸配列のVHCDR3を含む。
【0058】
本発明の特定の実施形態では、抗体軽鎖可変ドメインは、配列番号77に記載のアミノ酸配列のVLCDR1;配列番号14に記載のアミノ酸配列のVLCDR2、及び配列番号15に記載のアミノ酸配列のVLCDR3を含む。
【0059】
本発明の特定の実施形態では、抗体軽鎖可変ドメインは、配列番号77に記載のアミノ酸配列のVLCDR1;配列番号14に記載のアミノ酸配列のVLCDR2、及び配列番号89に記載のアミノ酸配列のVLCDR3を含む。
【0060】
本発明の特定の実施形態では、抗体軽鎖可変ドメインは、配列番号77に記載のアミノ酸配列のVLCDR1;配列番号81に記載のアミノ酸配列のVLCDR2、及び配列番号15に記載のアミノ酸配列のVLCDR3を含む。
【0061】
本発明の特定の実施形態では、抗体軽鎖可変ドメインは、配列番号77に記載のアミノ酸配列のVLCDR1;配列番号81に記載のアミノ酸配列のVLCDR2、及び配列番号89に記載のアミノ酸配列のVLCDR3を含む。
【0062】
本発明の特定の実施形態では、抗体軽鎖可変ドメインは、配列番号77に記載のアミノ酸配列のVLCDR1;配列番号84に記載のアミノ酸配列のVLCDR2、及び配列番号15に記載のアミノ酸配列のVLCDR3を含む。
【0063】
本発明の特定の実施形態では、抗体軽鎖可変ドメインは、配列番号77に記載のアミノ酸配列のVLCDR1;配列番号84に記載のアミノ酸配列のVLCDR2、及び配列番号89に記載のアミノ酸配列のVLCDR3を含む。
【0064】
本発明の特定の実施形態では、抗体、又はその抗原結合性断片、又は抗原結合抗体模倣体又は改変抗体は、マウス抗体のヒト化抗体であり、特に抗体軽鎖及び/又は重鎖可変ドメインの少なくとも1つのフレームワーク領域(FR1及び/又はFR2及び/又はFR3及び/又はFR4)は、ヒト鎖フレームワーク領域に由来し、前記軽鎖及び/又は重鎖は本明細書に記載されるCDRの任意の組合せ又は野生型CDRを更に含む。
【0065】
本開示において2G1及び2G4(同じ可変領域を有するが、異なる重鎖定常領域を有する)と言及される野生型抗体は、定義されており、重鎖の第3のCDRのアミノ酸配列における複数の選択肢から開始して合成される。幾つかの推定の抗体配列がそれに従って生成され、合成され、並びにその結合特性及びその生物特性に関して試験されている。複数の新たに合成された抗体において、重鎖可変ドメインの第3のCDR(IMGTに従う)内のアミノ酸残基「5’RLIY 3'」、又は「5’RLLY 3'」の配列の存在は、RvE1-CMKLR1相互作用に対する抗体のアゴニスト特性に高度に関係することが決定されている。異なるアミノ酸残基配列(「5’RIIY 3'」、「5’RILY 3'」のような)を有する抗体は、CMKLR1に対するRvE1の結合のアゴニストである可能性はあまり明白ではなかった。
【0066】
したがって、合成された野生型抗CMKLR1抗体(本開示において2G1及び4G1と言及する)は、マウス可変領域及びヒト定常領域(2G1に関してヒトIgG1又は2G4に関してヒトIgG4)を有するキメラ抗体である。2G1は、その可変配列において以下のアミノ酸配列を有する:
重鎖:
【0067】
【化1】
【0068】
式中、シグナルペプチドを小文字で表し、CDRを太字で示すか(Kabatに従う)又は下線で示す(IMGTに従う)。シグナルペプチドを有する重鎖の完全な配列は、配列番号10に対応するが、配列番号9は、シグナルペプチドを有しない重鎖に対応する。Kabatに従うCDR1、CDR2、及びCDR3はそれぞれ、配列番号4、配列番号6、及び配列番号144に対応するが、IMGTに従うCDR1、CDR2、及びCDR3はそれぞれ、配列番号3、配列番号5、及び配列番号7に対応する。CDR3は、第2の位置におけるアミノ酸残基ILEをアミノ酸残基LEU(Kabat番号付けに従う第2の位置)に置換することによって改変され、配列の重鎖を生じることができる:
【0069】
【化2】
【0070】
軽鎖
【0071】
【化3】
【0072】
式中、シグナルペプチドを小文字で表し、CDRを太字で示すか(Kabatに従う)又は下線で示す(IMGTに従う)。シグナルペプチドを有する軽鎖の完全な配列は、配列番号17に対応するが、配列番号16は、シグナルペプチドを有しない重鎖に対応する。Kabatに従うCDR1、CDR2、及びCDR3はそれぞれ、配列番号12、配列番号14、及び配列番号15に対応するが、IMGTに従うCDR1、CDR2、及びCDR3はそれぞれ、配列番号11、配列番号13、及び配列番号15に対応する。
【0073】
当技術分野で公知であるように、及び本発明のキメラ抗体について例示されるように、重鎖可変ドメイン及び軽鎖可変ドメインはいずれも、3つのCDR(5'末端から3'末端にそれぞれ、CDR1、CDR2、及びCDR3)、及び4つのフレームワーク領域(5'末端から3'末端にそれぞれ、FR1、FR2、FR3、及びFR4)を含む。マウス抗体のヒト化は、軽鎖可変領域内又は重鎖可変領域内、又は両方の少なくとも1つのフレームワーク領域をヒト化することからなりうる。特定の実施形態では、幾つかのフレームワーク領域をヒト化してもよく、特に重鎖可変領域及び軽鎖可変領域内でヒト化してもよい。野生型CDRは、保存されうるが、CDRをまた、本明細書に既に記載したCDRに交換してもよい。よって、本発明に従う抗CKLMR1化合物は、フレームワーク領域がヒト化される場合、少なくとも1、又は少なくとも2、又は少なくとも3、又は少なくとも4、又は少なくとも5、又は6つの野生型CDRを含みうる。言い換えれば、抗CMKLR1化合物は親キメラ抗体2G1のヒト化型であり、少なくとも1つのフレームワーク領域がヒト化され、特に少なくとも1つのフレームワーク領域及び少なくとも1つのCDRがヒト化されている。本発明の特定の実施形態では、抗体の可変領域は、抗体定常領域、例えば配列番号134(配列番号133のヌクレオチド配列によってコードされる);配列番号136(配列番号135のヌクレオチド配列によってコードされる);配列番号138(配列番号137のヌクレオチド配列によってコードされる);配列番号139;配列番号140、及び配列番号141に記載の抗体定常領域に会合しうる。そのような組合せは、配列番号142の軽鎖及び配列番号143の重鎖によって例証される。
【0074】
本発明の特定の実施形態では、抗体、又はその抗原結合性断片、又は抗原結合抗体模倣体、又は改変抗体は、その抗体重鎖可変ドメイン内に少なくとも1つのヒト化フレームワーク領域を含み:
・抗体重鎖可変ドメインは、4つのフレームワーク領域、HFR1、HFR2、HFR3、及びHFR4を含み:
・HFR1は、配列番号90;配列番号91;配列番号92、若しくは配列番号93に記載のアミノ酸配列を含むか若しくはそれからなり;及び/又は
・HFR2は、配列番号94;配列番号95;配列番号96;配列番号97;配列番号98;配列番号99、若しくは配列番号100に記載のアミノ酸配列を含むか若しくはそれからなり;及び/又は
・HFR3は、配列番号101;配列番号102;配列番号103;配列番号104;配列番号105、若しくは配列番号106に記載のアミノ酸配列を含むか若しくはそれからなり;及び/又は
・HFR4は、配列番号107若しくは配列番号108に記載のアミノ酸配列を含むか若しくはそれからなる。
【0075】
本発明の特定の実施形態では、抗体、又はその抗原結合性断片、又は抗原結合抗体模倣体、又は改変抗体は、その抗体軽鎖可変ドメイン内に少なくとも1つのヒト化フレームワーク領域を含み:
・抗体軽鎖可変ドメインは、4つのフレームワーク領域LFR1、LFR2、LFR3、及びLFR4を含み:
・LFR1は、配列番号109;配列番号110;配列番号111、若しくは配列番号112に記載のアミノ酸配列を含むか若しくはそれからなり;及び/又は
・LFR2は、配列番号113;配列番号114;配列番号115;配列番号116、若しくは配列番号117に記載のアミノ酸配列を含むか若しくはそれからなり;及び/又は
・LFR3は、配列番号118;配列番号119;配列番号120;配列番号121;配列番号122若しくは配列番号132に記載のアミノ酸配列を含むか若しくはそれからなり;及び/又は
・LFR4は、配列番号123若しくは配列番号124に記載のアミノ酸配列を含むか若しくはそれからなる。
【0076】
本発明の特定の実施形態では、抗体、又はその抗原結合性断片、又は抗原結合抗体模倣体、又は改変抗体は、その抗体軽鎖可変領域内及びその抗体重鎖可変領域内に少なくとも1つのヒト化フレームワーク領域を含み:
・抗体重鎖可変ドメインは、4つのフレームワーク領域HFR1、HFR2、HFR3、及びHFR4を含み:
・HFR1は、配列番号90;配列番号91;配列番号92、若しくは配列番号93に記載のアミノ酸配列を含むか若しくはそれからなり;及び/又は
・HFR2は、配列番号94;配列番号95;配列番号96;配列番号97;配列番号98;配列番号99、若しくは配列番号100に記載のアミノ酸配列を含むか若しくはそれからなり;及び/又は
・HFR3は、配列番号101;配列番号102;配列番号103;配列番号104;配列番号105、若しくは配列番号106に記載のアミノ酸配列を含むか若しくはそれからなり;及び/又は
・HFR4は、配列番号107若しくは配列番号108に記載のアミノ酸配列を含むか若しくはそれからなり;
・抗体軽鎖可変ドメインは、4つのフレームワーク領域LFR1、LFR2、LFR3、及びLFR4を含み:
・LFR1は、配列番号109;配列番号110;配列番号111、若しくは配列番号112に記載のアミノ酸配列を含むか若しくはそれからなり;及び/又は
・LFR2は、配列番号113;配列番号114;配列番号115;配列番号116、若しくは配列番号117に記載のアミノ酸配列を含むか若しくはそれからなり;及び/又は
・LFR3は、配列番号118;配列番号119;配列番号120;配列番号121;配列番号122、若しくは配列番号132に記載のアミノ酸配列を含むか若しくはそれからなり;及び/又は
・LFR4は、配列番号123;配列番号124に記載のアミノ酸配列を含むか若しくはそれからなる。
【0077】
本発明の特定の実施形態では、抗体、又はその抗原結合性断片、又は抗原結合抗体模倣体、又は改変抗体は:
- 配列番号91のHFR1;配列番号95のHFR2;配列番号102のHFR3、及び配列番号108のHFR4を含む重鎖可変領域
を含む。そのような抗体は、親キメラ抗体のCDR(すなわち、配列番号4のHCDR1;配列番号6のHCDR2;配列番号8又は配列番号144又は配列番号148のHCDR3;配列番号12のLCDR1;配列番号14のLCDR2、及び配列番号15のLCDR3)を含みうる。
【0078】
本発明の特定の実施形態では、抗体、又はその抗原結合性断片、又は抗原結合抗体模倣体、又は改変抗体は:
- 配列番号92のHFR1;配列番号96のHFR2;配列番号103のHFR3、及び配列番号108のHFR4を含む重鎖可変領域
を含む。そのような抗体は、親キメラ抗体のCDR(すなわち、配列番号4のHCDR1;配列番号6のHCDR2;配列番号8又は配列番号144又は配列番号148のHCDR3;配列番号12のLCDR1;配列番号14のLCDR2、及び配列番号15のLCDR3)を含みうる。
【0079】
本発明の特定の実施形態では、抗体、又はその抗原結合性断片、又は抗原結合抗体模倣体、又は改変抗体は:
- 配列番号92のHFR1;配列番号98のHFR2;配列番号106のHFR3、及び配列番号108のHFR4を含む重鎖可変領域
を含む。そのような抗体は、親キメラ抗体のCDR(すなわち、配列番号4のHCDR1;配列番号6のHCDR2;配列番号8又は配列番号144又は配列番号148のHCDR3;配列番号12のLCDR1;配列番号14のLCDR2、及び配列番号15のLCDR3)を含みうる。
【0080】
本発明の特定の実施形態では、抗体、又はその抗原結合性断片、又は抗原結合抗体模倣体、又は改変抗体は:
- 配列番号93のHFR1;配列番号96のHFR2;配列番号104のHFR3、及び配列番号108のHFR4を含む重鎖可変領域
を含む。そのような抗体は、親キメラ抗体のCDR(すなわち、配列番号4のHCDR1;配列番号6のHCDR2;配列番号8又は配列番号144又は配列番号148のHCDR3;配列番号12のLCDR1;配列番号14のLCDR2、及び配列番号15のLCDR3)を含みうる。
【0081】
本発明の特定の実施形態では、抗体、又はその抗原結合性断片、又は抗原結合抗体模倣体、又は改変抗体は:
- 配列番号111のLFR1;配列番号115のLFR2;配列番号120のLFR3、及び配列番号124のLFR4を含む軽鎖可変領域
を含む。そのような抗体は、親キメラ抗体のCDR(すなわち、配列番号4のHCDR1;配列番号6のHCDR2;配列番号8又は配列番号144又は配列番号148のHCDR3;配列番号12のLCDR1;配列番号14のLCDR2、及び配列番号15のLCDR3)を含みうる。
【0082】
本発明の特定の実施形態では、抗体、又はその抗原結合性断片、又は抗原結合抗体模倣体、又は改変抗体は:
- 配列番号110のLFR1;配列番号114のLFR2;配列番号119のLFR3、及び配列番号124のLFR4を含む軽鎖可変領域
を含む。そのような抗体は、親キメラ抗体のCDR(すなわち、配列番号4のHCDR1;配列番号6のHCDR2;配列番号8又は配列番号144又は配列番号148のHCDR3;配列番号12のLCDR1;配列番号14のLCDR2、及び配列番号15のLCDR3)を含みうる。
【0083】
本発明の特定の実施形態では、抗体、又はその抗原結合性断片、又は抗原結合抗体模倣体、又は改変抗体は:
- 配列番号110のLFR1;配列番号114のLFR2;配列番号122のLFR3、及び配列番号124のLFR4を含む軽鎖可変領域
を含む。そのような抗体は、親キメラ抗体のCDR(すなわち、配列番号4のHCDR1;配列番号6のHCDR2;配列番号8又は配列番号144又は配列番号148のHCDR3;配列番号12のLCDR1;配列番号14のLCDR2、及び配列番号15のLCDR3)を含みうる。
【0084】
本発明の特定の実施形態では、抗体、又はその抗原結合性断片、又は抗原結合抗体模倣体、又は改変抗体は:
- 配列番号112のLFR1;配列番号116のLFR2;配列番号121のLFR3、及び配列番号124のLFR4を含む軽鎖可変領域
を含む。そのような抗体は、親キメラ抗体のCDR(すなわち、配列番号4のHCDR1;配列番号6のHCDR2;配列番号8又は配列番号144又は配列番号148のHCDR3;配列番号12のLCDR1;配列番号14のLCDR2、及び配列番号15のLCDR3)を含みうる。
【0085】
特定の実施形態では、抗体、又はその抗原結合性断片、又は抗原結合抗体模倣体、又は改変抗体は、ヒト化抗体軽鎖可変ドメイン及びヒト化抗体重鎖可変ドメインを含み:
・抗体重鎖可変ドメインは:
・配列番号4に記載のアミノ酸配列のVHCDR1;配列番号67に記載のアミノ酸配列のVHCDR2、及び配列番号8若しくは配列番号144若しくは配列番号148に記載のアミノ酸配列のVHCDR3;又は
・配列番号4に記載のアミノ酸配列のVHCDR1;配列番号70に記載のアミノ酸配列のVHCDR2、及び配列番号8若しくは配列番号144若しくは配列番号148に記載のアミノ酸配列のVHCDR3;又は
・配列番号4に記載のアミノ酸配列のVHCDR1;配列番号72に記載のアミノ酸配列のVHCDR2、及び配列番号8若しくは配列番号144若しくは配列番号148に記載のアミノ酸配列のVHCDR3;又は
・配列番号62に記載のアミノ酸配列のVHCDR1;配列番号67に記載のアミノ酸配列のVHCDR2、及び配列番号8若しくは配列番号144若しくは配列番号148に記載のアミノ酸配列のVHCDR3;又は
・配列番号62に記載のアミノ酸配列のVHCDR1;配列番号70に記載のアミノ酸配列のVHCDR2、及び配列番号8若しくは配列番号144若しくは配列番号148に記載のアミノ酸配列のVHCDR3;又は
・配列番号62に記載のアミノ酸配列のVHCDR1;配列番号72に記載のアミノ酸配列のVHCDR2、及び配列番号8若しくは配列番号144若しくは配列番号148に記載のアミノ酸配列のVHCDR3;又は
・配列番号63に記載のアミノ酸配列のVHCDR1;配列番号67に記載のアミノ酸配列のVHCDR2、及び配列番号8若しくは配列番号144若しくは配列番号148に記載のアミノ酸配列のVHCDR3;又は
・配列番号63に記載のアミノ酸配列のVHCDR1;配列番号70に記載のアミノ酸配列のVHCDR2、及び配列番号8若しくは配列番号144若しくは配列番号148に記載のアミノ酸配列のVHCDR3;又は
・配列番号63に記載のアミノ酸配列のVHCDR1;配列番号72に記載のアミノ酸配列のVHCDR2、及び配列番号8若しくは配列番号144若しくは配列番号148に記載のアミノ酸配列のVHCDR3;
を含み、並びに
・抗体軽鎖可変ドメインは:
・配列番号77に記載のアミノ酸配列のVLCDR1;配列番号14に記載のアミノ酸配列のVLCDR2、及び配列番号15に記載のアミノ酸配列のVLCDR3;又は
・配列番号77に記載のアミノ酸配列のVLCDR1;配列番号14に記載のアミノ酸配列のVLCDR2、及び配列番号89に記載のアミノ酸配列のVLCDR3;又は
・配列番号77に記載のアミノ酸配列のVLCDR1;配列番号81に記載のアミノ酸配列のVLCDR2、及び配列番号15に記載のアミノ酸配列のVLCDR3;又は
・配列番号77に記載のアミノ酸配列のVLCDR1;配列番号81に記載のアミノ酸配列のVLCDR2、及び配列番号89に記載のアミノ酸配列のVLCDR3;又は
・配列番号77に記載のアミノ酸配列のVLCDR1;配列番号84に記載のアミノ酸配列のVLCDR2、及び配列番号15に記載のアミノ酸配列のVLCDR3;又は
・配列番号77に記載のアミノ酸配列のVLCDR1;配列番号84に記載のアミノ酸配列のVLCDR2、及び配列番号89に記載のアミノ酸配列のVLCDR3
を含む。
【0086】
CDR(VHCDR及びVLCDR)のこれらの組合せを、本明細書に記載されるヒト化フレームワーク領域、特に以下のフレームワーク領域:
- 配列番号91のHFR1;配列番号95のHFR2;配列番号102のHFR3、及び配列番号108のHFR4;又は
- 配列番号92のHFR1;配列番号96のHFR2;配列番号103のHFR3、及び配列番号108のHFR4;又は
- 配列番号92のHFR1;配列番号98のHFR2;配列番号106のHFR3、及び配列番号108のHFR4;又は
- 配列番号93のHFR1;配列番号96のHFR2;配列番号104のHFR3、及び配列番号108のHFR4;並びに
- 配列番号111のLFR1;配列番号115のLFR2;配列番号120のLFR3、及び配列番号124のLFR4を含む軽鎖可変領域;又は
- 配列番号110のLFR1;配列番号114のLFR2;配列番号119のLFR3、及び配列番号124のLFR4を含む軽鎖可変領域;又は
- 配列番号110のLFR1;配列番号114のLFR2;配列番号122のLFR3、及び配列番号124のLFR4を含む軽鎖可変領域;又は
- 配列番号112のLFR1;配列番号116のLFR2;配列番号121のLFR3、及び配列番号124のLFR4を含む軽鎖可変領域
と組み合わせてもよいことに注意すべきである。
【0087】
本発明の特定の実施形態では、抗体、又はその抗原結合性断片、又は抗原結合抗体模倣体、又は改変抗体は、配列番号20;配列番号21;配列番号22;配列番号23;配列番号24;配列番号25;配列番号26;配列番号27;配列番号28;配列番号29;配列番号30;配列番号31;配列番号32;配列番号33;配列番号34;配列番号35;配列番号36;配列番号37;配列番号38;配列番号39;配列番号40;配列番号41又は配列番号42;に記載のアミノ酸配列を含むか又はそれからなる重鎖可変ドメインを含み;特に重鎖可変ドメインは、配列番号20;配列番号21;配列番号22;配列番号23;配列番号28;配列番号29;配列番号30;配列番号36;配列番号37;配列番号38;又は配列番号39に記載のアミノ酸配列を含むか又はそれからなる。
【0088】
本発明の特定の実施形態では、抗体、又はその抗原結合性断片、又は抗原結合抗体模倣体、又は改変抗体は、配列番号43;配列番号44;配列番号45;配列番号46;配列番号47;配列番号48;配列番号49;配列番号50;配列番号51;配列番号52;配列番号53;配列番号54;配列番号55;配列番号56;配列番号57;配列番号58;配列番号59;配列番号60又は配列番号61に記載のアミノ酸配列を含むか又はそれからなる軽鎖可変ドメインを含み;特に軽鎖可変ドメインは、配列番号43;配列番号44;配列番号45;配列番号46;配列番号47;配列番号48;配列番号50;配列番号51;配列番号52;配列番号53;配列番号54;配列番号56;配列番号57;配列番号58;配列番号59又は配列番号60に記載のアミノ酸配列を含むか又はそれからなる。
【0089】
本発明の特定の実施形態では、抗体、又はその抗原結合性断片、又は抗原結合抗体模倣体又は改変抗体は:
- 配列番号4のHCDR1;配列番号6のHCDR2、配列番号8又は配列番号144又は配列番号148のHCDR3、配列番号90のHFR1;配列番号94のHFR2;配列番号101のHFR3、及び配列番号107のHFR4を含む重鎖可変ドメイン;並びに
- 配列番号12のLCDR1;配列番号14のLCDR2、配列番号15のLCDR3、配列番号109のLFR1、配列番号113のLFR2;配列番号118のLFR3、及び配列番号123のLFR4を含む軽鎖可変ドメイン
を含む。
【0090】
本発明の特定の実施形態では、抗体、又はその抗原結合性断片、又は抗原結合抗体模倣体、又は改変抗体は、配列番号10の重鎖可変ドメイン及び配列番号17の軽鎖可変ドメインを含む。
【0091】
本発明の特定の実施形態では、抗体、又はその抗原結合性断片、又は抗原結合抗体模倣体、又は改変抗体は、以下を含む:
- 配列番号20;配列番号21;配列番号22;配列番号23;配列番号24;配列番号25;配列番号26;配列番号27;配列番号28;配列番号29;配列番号30;配列番号31;配列番号32;配列番号33;配列番号34;配列番号35;配列番号36;配列番号37;配列番号38;配列番号39;配列番号40;配列番号41又は配列番号42に記載のアミノ酸配列を含むか又はそれからなる重鎖可変ドメイン;特に重鎖可変ドメインは、配列番号20;配列番号21;配列番号22;配列番号23;配列番号28;配列番号29;配列番号30;配列番号36;配列番号37;配列番号38;又は配列番号39に記載のアミノ酸配列を含むか又はそれからなり;
- 配列番号43;配列番号44;配列番号45;配列番号46;配列番号47;配列番号48;配列番号49;配列番号50;配列番号51;配列番号52;配列番号53;配列番号54;配列番号55;配列番号56;配列番号57;配列番号58;配列番号59;配列番号60又は配列番号61に記載のアミノ酸配列を含むか又はそれからなる軽鎖可変ドメイン;特に軽鎖可変ドメインは、配列番号43;配列番号44;配列番号45;配列番号46;配列番号47;配列番号48;配列番号50;配列番号51;配列番号52;配列番号53;配列番号54;配列番号56;配列番号57;配列番号58;配列番号59又は配列番号60に記載のアミノ酸配列を含むか又はそれからなる。
【0092】
本発明の特定の実施形態では、抗体、又はその抗原結合性断片、又は抗原結合抗体模倣体、又は改変抗体は、重鎖可変ドメインを含み、HFR1は、配列番号19に記載のアミノ酸配列(E/Q VQLV A/E/Q SG G/A/S G L/E V/L Q/K P/K PG G/A S L/V K/R/V L/V SC A/K AS)を含むか又はそれからなる。
【0093】
本発明の特定の実施形態では、抗体、又はその抗原結合性断片、又は抗原結合抗体模倣体、又は改変抗体は、重鎖可変ドメインを含み、HFR2は、配列番号125に記載のアミノ酸配列(WVR Q/A TP D/G R/K R/G/Q LELVA)を含むか又はそれからなる。
【0094】
本発明の特定の実施形態では、抗体、又はその抗原結合性断片、又は抗原結合抗体模倣体、又は改変抗体は、重鎖可変ドメインを含み、HFR3は、配列番号126に記載のアミノ酸配列(R F/V T/V I S/T RDN A/S K/T/V N/S TLY L/M Q/E M/L/I SSL K/R S/A EDTA M/V YYCPR)を含むか又はそれからなる。
【0095】
本発明の特定の実施形態では、抗体、又はその抗原結合性断片、又は抗原結合抗体模倣体、又は改変抗体は、重鎖可変ドメインを含み、HFR4は、配列番号127に記載のアミノ酸配列(WGQGT T/L L/V TVSS)を含むか又はそれからなる。
【0096】
本発明の特定の実施形態では、抗体、又はその抗原結合性断片、又は抗原結合抗体模倣体、又は改変抗体は、重鎖可変ドメインを含み、LFR1は、配列番号128に記載のアミノ酸配列(Q/A/E I V/Q LTQSP A/S/D I/S/F/T M/L/Q S A/S/L S/V P/V/T G/P E/D/K K/R V/A T M/I/L TC)を含むか又はそれからなる。
【0097】
本発明の特定の実施形態では、抗体、又はその抗原結合性断片、又は抗原結合抗体模倣体、又は改変抗体は、重鎖可変ドメインを含み、LFR 2は、配列番号129に記載のアミノ酸配列(WYQQK S/P G/D T/K S/A P K/R RWIY)を含むか又はそれからなる。
【0098】
本発明の特定の実施形態では、抗体、又はその抗原結合性断片、又は抗原結合抗体模倣体、又は改変抗体は、重鎖可変ドメインを含み、LFR3は、配列番号130に記載のアミノ酸配列(G V/I P A/S RFSGSGSGT F/D Y S/T LTI S/N S M/L E/Q A/P ED A/F A T/V YYC)を含むか又はそれからなる。
【0099】
本発明の特定の実施形態では、抗体、又はその抗原結合性断片、又は抗原結合抗体模倣体、又は改変抗体は、重鎖可変ドメインを含み、LFR 4は、配列番号131に記載のアミノ酸配列(FG P/G GTK L/V E L/I KR)を含むか又はそれからなる。
【0100】
本発明の特定の実施形態では、抗体、又はその抗原結合性断片、又は抗原結合抗体模倣体、又は改変抗体は:
- 配列番号20に記載のアミノ酸配列を含むか又はそれからなる重鎖可変ドメイン;及び
- 配列番号43;配列番号44;配列番号45;配列番号46;配列番号47;配列番号48;配列番号49;配列番号50;配列番号51;配列番号52;配列番号53;配列番号54;配列番号55;配列番号56;配列番号57;配列番号58;配列番号59;配列番号60又は配列番号61に記載のアミノ酸配列を含むか又はそれからなる軽鎖可変ドメイン
を含む。
【0101】
本発明の特定の実施形態では、抗体、又はその抗原結合性断片、又は抗原結合抗体模倣体、又は改変抗体は:
- 配列番号21に記載のアミノ酸配列を含むか又はそれからなる重鎖可変ドメイン;及び
- 配列番号43;配列番号44;配列番号45;配列番号46;配列番号47;配列番号48;配列番号49;配列番号50;配列番号51;配列番号52;配列番号53;配列番号54;配列番号55;配列番号56;配列番号57;配列番号58;配列番号59;配列番号60又は配列番号61に記載のアミノ酸配列を含むか又はそれからなる軽鎖可変ドメイン
を含む。
【0102】
本発明の特定の実施形態では、抗体、又はその抗原結合性断片、又は抗原結合抗体模倣体、又は改変抗体は:
- 配列番号22に記載のアミノ酸配列を含むか又はそれからなる重鎖可変ドメイン;及び
- 配列番号43;配列番号44;配列番号45;配列番号46;配列番号47;配列番号48;配列番号49;配列番号50;配列番号51;配列番号52;配列番号53;配列番号54;配列番号55;配列番号56;配列番号57;配列番号58;配列番号59;配列番号60又は配列番号61に記載のアミノ酸配列を含むか又はそれからなる軽鎖可変ドメイン
を含む。
【0103】
本発明の特定の実施形態では、抗体、又はその抗原結合性断片、又は抗原結合抗体模倣体、又は改変抗体は:
- 配列番号23に記載のアミノ酸配列を含むか又はそれからなる重鎖可変ドメイン;及び
- 配列番号43;配列番号44;配列番号45;配列番号46;配列番号47;配列番号48;配列番号49;配列番号50;配列番号51;配列番号52;配列番号53;配列番号54;配列番号55;配列番号56;配列番号57;配列番号58;配列番号59;配列番号60又は配列番号61に記載のアミノ酸配列を含むか又はそれからなる軽鎖可変ドメイン
を含む。
【0104】
本発明の特定の実施形態では、抗体、又はその抗原結合性断片、又は抗原結合抗体模倣体、又は改変抗体は:
- 配列番号24に記載のアミノ酸配列を含むか又はそれからなる重鎖可変ドメイン;及び
- 配列番号43;配列番号44;配列番号45;配列番号46;配列番号47;配列番号48;配列番号49;配列番号50;配列番号51;配列番号52;配列番号53;配列番号54;配列番号55;配列番号56;配列番号57;配列番号58;配列番号59;配列番号60又は配列番号61に記載のアミノ酸配列を含むか又はそれからなる軽鎖可変ドメイン
を含む。
【0105】
本発明の特定の実施形態では、抗体、又はその抗原結合性断片、又は抗原結合抗体模倣体、又は改変抗体は:
- 配列番号25に記載のアミノ酸配列を含むか又はそれからなる重鎖可変ドメイン;及び
- 配列番号43;配列番号44;配列番号45;配列番号46;配列番号47;配列番号48;配列番号49;配列番号50;配列番号51;配列番号52;配列番号53;配列番号54;配列番号55;配列番号56;配列番号57;配列番号58;配列番号59;配列番号60又は配列番号61に記載のアミノ酸配列を含むか又はそれからなる軽鎖可変ドメイン
を含む。
【0106】
本発明の特定の実施形態では、抗体、又はその抗原結合性断片、又は抗原結合抗体模倣体、又は改変抗体は:
- 配列番号26に記載のアミノ酸配列を含むか又はそれからなる重鎖可変ドメイン;及び
- 配列番号43;配列番号44;配列番号45;配列番号46;配列番号47;配列番号48;配列番号49;配列番号50;配列番号51;配列番号52;配列番号53;配列番号54;配列番号55;配列番号56;配列番号57;配列番号58;配列番号59;配列番号60又は配列番号61に記載のアミノ酸配列を含むか又はそれからなる軽鎖可変ドメイン
を含む。
【0107】
本発明の特定の実施形態では、抗体、又はその抗原結合性断片、又は抗原結合抗体模倣体、又は改変抗体は:
- 配列番号27に記載のアミノ酸配列を含むか又はそれからなる重鎖可変ドメイン;及び
- 配列番号43;配列番号44;配列番号45;配列番号46;配列番号47;配列番号48;配列番号49;配列番号50;配列番号51;配列番号52;配列番号53;配列番号54;配列番号55;配列番号56;配列番号57;配列番号58;配列番号59;配列番号60又は配列番号61に記載のアミノ酸配列を含むか又はそれからなる軽鎖可変ドメイン
を含む。
【0108】
本発明の特定の実施形態では、抗体、又はその抗原結合性断片、又は抗原結合抗体模倣体、又は改変抗体は:
- 配列番号28に記載のアミノ酸配列を含むか又はそれからなる重鎖可変ドメイン;及び
- 配列番号43;配列番号44;配列番号45;配列番号46;配列番号47;配列番号48;配列番号49;配列番号50;配列番号51;配列番号52;配列番号53;配列番号54;配列番号55;配列番号56;配列番号57;配列番号58;配列番号59;配列番号60又は配列番号61に記載のアミノ酸配列を含むか又はそれからなる軽鎖可変ドメイン
を含む。
【0109】
本発明の特定の実施形態では、抗体、又はその抗原結合性断片、又は抗原結合抗体模倣体、又は改変抗体は:
- 配列番号29に記載のアミノ酸配列を含むか又はそれからなる重鎖可変ドメイン;及び
- 配列番号43;配列番号44;配列番号45;配列番号46;配列番号47;配列番号48;配列番号49;配列番号50;配列番号51;配列番号52;配列番号53;配列番号54;配列番号55;配列番号56;配列番号57;配列番号58;配列番号59;配列番号60又は配列番号61に記載のアミノ酸配列を含むか又はそれからなる軽鎖可変ドメイン
を含む。
【0110】
本発明の特定の実施形態では、抗体、又はその抗原結合性断片、又は抗原結合抗体模倣体、又は改変抗体は:
- 配列番号30に記載のアミノ酸配列を含むか又はそれからなる重鎖可変ドメイン;及び
- 配列番号43;配列番号44;配列番号45;配列番号46;配列番号47;配列番号48;配列番号49;配列番号50;配列番号51;配列番号52;配列番号53;配列番号54;配列番号55;配列番号56;配列番号57;配列番号58;配列番号59;配列番号60又は配列番号61に記載のアミノ酸配列を含むか又はそれからなる軽鎖可変ドメイン
を含む。
【0111】
本発明の特定の実施形態では、抗体、又はその抗原結合性断片、又は抗原結合抗体模倣体、又は改変抗体は:
- 配列番号31に記載のアミノ酸配列を含むか又はそれからなる重鎖可変ドメイン;及び
- 配列番号43;配列番号44;配列番号45;配列番号46;配列番号47;配列番号48;配列番号49;配列番号50;配列番号51;配列番号52;配列番号53;配列番号54;配列番号55;配列番号56;配列番号57;配列番号58;配列番号59;配列番号60又は配列番号61に記載のアミノ酸配列を含むか又はそれからなる軽鎖可変ドメイン
を含む。
【0112】
本発明の特定の実施形態では、抗体、又はその抗原結合性断片、又は抗原結合抗体模倣体、又は改変抗体は:
- 配列番号32に記載のアミノ酸配列を含むか又はそれからなる重鎖可変ドメイン;及び
- 配列番号43;配列番号44;配列番号45;配列番号46;配列番号47;配列番号48;配列番号49;配列番号50;配列番号51;配列番号52;配列番号53;配列番号54;配列番号55;配列番号56;配列番号57;配列番号58;配列番号59;配列番号60又は配列番号61に記載のアミノ酸配列を含むか又はそれからなる軽鎖可変ドメイン
を含む。
【0113】
本発明の特定の実施形態では、抗体、又はその抗原結合性断片、又は抗原結合抗体模倣体、又は改変抗体は:
- 配列番号33に記載のアミノ酸配列を含むか又はそれからなる重鎖可変ドメイン;及び
- 配列番号43;配列番号44;配列番号45;配列番号46;配列番号47;配列番号48;配列番号49;配列番号50;配列番号51;配列番号52;配列番号53;配列番号54;配列番号55;配列番号56;配列番号57;配列番号58;配列番号59;配列番号60又は配列番号61に記載のアミノ酸配列を含むか又はそれからなる軽鎖可変ドメイン
を含む。
【0114】
本発明の特定の実施形態では、抗体、又はその抗原結合性断片、又は抗原結合抗体模倣体、又は改変抗体は:
- 配列番号34に記載のアミノ酸配列を含むか又はそれからなる重鎖可変ドメイン;及び
- 配列番号43;配列番号44;配列番号45;配列番号46;配列番号47;配列番号48;配列番号49;配列番号50;配列番号51;配列番号52;配列番号53;配列番号54;配列番号55;配列番号56;配列番号57;配列番号58;配列番号59;配列番号60又は配列番号61に記載のアミノ酸配列を含むか又はそれからなる軽鎖可変ドメイン
を含む。
【0115】
本発明の特定の実施形態では、抗体、又はその抗原結合性断片、又は抗原結合抗体模倣体、又は改変抗体は:
- 配列番号35に記載のアミノ酸配列を含むか又はそれからなる重鎖可変ドメイン;及び
- 配列番号43;配列番号44;配列番号45;配列番号46;配列番号47;配列番号48;配列番号49;配列番号50;配列番号51;配列番号52;配列番号53;配列番号54;配列番号55;配列番号56;配列番号57;配列番号58;配列番号59;配列番号60又は配列番号61に記載のアミノ酸配列を含むか又はそれからなる軽鎖可変ドメイン
を含む。
【0116】
本発明の特定の実施形態では、抗体、又はその抗原結合性断片、又は抗原結合抗体模倣体、又は改変抗体は:
- 配列番号36に記載のアミノ酸配列を含むか又はそれからなる重鎖可変ドメイン;及び
- 配列番号43;配列番号44;配列番号45;配列番号46;配列番号47;配列番号48;配列番号49;配列番号50;配列番号51;配列番号52;配列番号53;配列番号54;配列番号55;配列番号56;配列番号57;配列番号58;配列番号59;配列番号60又は配列番号61に記載のアミノ酸配列を含むか又はそれからなる軽鎖可変ドメイン
を含む。
【0117】
本発明の特定の実施形態では、抗体、又はその抗原結合性断片、又は抗原結合抗体模倣体、又は改変抗体は:
- 配列番号37に記載のアミノ酸配列を含むか又はそれからなる重鎖可変ドメイン;及び
- 配列番号43;配列番号44;配列番号45;配列番号46;配列番号47;配列番号48;配列番号49;配列番号50;配列番号51;配列番号52;配列番号53;配列番号54;配列番号55;配列番号56;配列番号57;配列番号58;配列番号59;配列番号60又は配列番号61に記載のアミノ酸配列を含むか又はそれからなる軽鎖可変ドメイン
を含む。
【0118】
本発明の特定の実施形態では、抗体、又はその抗原結合性断片、又は抗原結合抗体模倣体、又は改変抗体は:
- 配列番号38に記載のアミノ酸配列を含むか又はそれからなる重鎖可変ドメイン;及び
- 配列番号43;配列番号44;配列番号45;配列番号46;配列番号47;配列番号48;配列番号49;配列番号50;配列番号51;配列番号52;配列番号53;配列番号54;配列番号55;配列番号56;配列番号57;配列番号58;配列番号59;配列番号60又は配列番号61に記載のアミノ酸配列を含むか又はそれからなる軽鎖可変ドメイン
を含む。
【0119】
本発明の特定の実施形態では、抗体、又はその抗原結合性断片、又は抗原結合抗体模倣体、又は改変抗体は:
- 配列番号39に記載のアミノ酸配列を含むか又はそれからなる重鎖可変ドメイン;及び
- 配列番号43;配列番号44;配列番号45;配列番号46;配列番号47;配列番号48;配列番号49;配列番号50;配列番号51;配列番号52;配列番号53;配列番号54;配列番号55;配列番号56;配列番号57;配列番号58;配列番号59;配列番号60又は配列番号61に記載のアミノ酸配列を含むか又はそれからなる軽鎖可変ドメイン
を含む。
【0120】
本発明の特定の実施形態では、抗体、又はその抗原結合性断片、又は抗原結合抗体模倣体、又は改変抗体は:
- 配列番号40に記載のアミノ酸配列を含むか又はそれからなる重鎖可変ドメイン;及び
- 配列番号43;配列番号44;配列番号45;配列番号46;配列番号47;配列番号48;配列番号49;配列番号50;配列番号51;配列番号52;配列番号53;配列番号54;配列番号55;配列番号56;配列番号57;配列番号58;配列番号59;配列番号60又は配列番号61に記載のアミノ酸配列を含むか又はそれからなる軽鎖可変ドメイン
を含む。
【0121】
本発明の特定の実施形態では、抗体、又はその抗原結合性断片、又は抗原結合抗体模倣体、又は改変抗体は:
- 配列番号41に記載のアミノ酸配列を含むか又はそれからなる重鎖可変ドメイン;及び
- 配列番号43;配列番号44;配列番号45;配列番号46;配列番号47;配列番号48;配列番号49;配列番号50;配列番号51;配列番号52;配列番号53;配列番号54;配列番号55;配列番号56;配列番号57;配列番号58;配列番号59;配列番号60又は配列番号61に記載のアミノ酸配列を含むか又はそれからなる軽鎖可変ドメイン
を含む。
【0122】
本発明の特定の実施形態では、抗体、又はその抗原結合性断片、又は抗原結合抗体模倣体、又は改変抗体は:
- 配列番号42に記載のアミノ酸配列を含むか又はそれからなる重鎖可変ドメイン;及び
- 配列番号43;配列番号44;配列番号45;配列番号46;配列番号47;配列番号48;配列番号49;配列番号50;配列番号51;配列番号52;配列番号53;配列番号54;配列番号55;配列番号56;配列番号57;配列番号58;配列番号59;配列番号60又は配列番号61に記載のアミノ酸配列を含むか又はそれからなる軽鎖可変ドメイン
を含む。
【0123】
本発明は、炎症の回復が遅延若しくは妨害される疾患、及び/又は炎症疾患、特に急性炎症疾患、慢性炎症疾患、例えば喘息、角結膜炎、歯周病、湿疹、炎症性腸疾患、特にクローン病若しくは大腸炎、特に潰瘍性大腸炎若しくは自然発症大腸炎;自己免疫疾患、例えば糖尿病、特にI型糖尿病、乾癬、狼瘡、リウマチ性関節炎、多発性硬化症、シェーグレン症候群、セリアック病、血管炎、重症筋無力症;感染疾患、例えば敗血症、腹膜炎;変性疾患;創傷治癒障害、ドライアイ症候群;がん疾患、特に固形及び血液のがん、転移性がん、特に癌腫、特に乳癌若しくは結腸癌、若しくは肺がん若しくは骨髄のがん、特に白血病、特にがん細胞がCMKLR1を発現するがん、若しくは腫瘍の微小環境がCMKLR1を発現若しくは過剰発現する細胞によって浸潤されているがんの群から選択される疾患の予防及び/又は処置に使用するための上記で定義した本発明の化合物のいずれかに関する。特定の実施形態では、本発明は、炎症の回復が遅延若しくは妨害される疾患、及び/又は炎症疾患、特に急性炎症疾患、慢性炎症疾患、例えば喘息、角結膜炎、歯周病、湿疹、炎症性腸疾患、特にクローン病若しくは大腸炎、特に潰瘍性大腸炎若しくは自然発症大腸炎;自己免疫疾患、例えば糖尿病、特にI型糖尿病、乾癬、狼瘡、リウマチ性関節炎、多発性硬化症、シェーグレン症候群、セリアック病、血管炎、重症筋無力症;感染疾患、例えば敗血症、腹膜炎;変性疾患;創傷治癒障害及びドライアイ症候群の群から選択される疾患の予防及び/又は処置に使用するための上記で定義した本発明の化合物のいずれかに関する。本発明の別の特定の実施形態では、本発明は、がん、特に固形及び血液のがん、転移性がん、特に癌腫、特に乳癌若しくは結腸癌、又は肺がん若しくは骨髄のがん、特に白血病、特にがん細胞がCMKLR1を発現するがん、又は腫瘍の微小環境がCMKLR1を発現若しくは過剰発現する細胞によって浸潤されているがんの予防及び/又は処置に使用するための、上記で定義した本発明の化合物のいずれかに関する。
【0124】
特定の実施形態では、本発明は、炎症の回復が遅延若しくは妨害される疾患、及び/又は炎症疾患、特に急性炎症疾患、慢性炎症疾患、例えば喘息、角結膜炎、歯周病、湿疹、炎症性腸疾患、特にクローン病若しくは大腸炎、特に潰瘍性大腸炎若しくは自然発症大腸炎;自己免疫疾患、例えば糖尿病、特にI型糖尿病、乾癬、狼瘡、リウマチ性関節炎、多発性硬化症、シェーグレン症候群、セリアック病、血管炎、重症筋無力症;感染疾患、例えば敗血症、腹膜炎;変性疾患;創傷治癒障害、ドライアイ症候群;がん疾患、特に固形及び血液のがん、転移性がん、特に癌腫、特に乳癌若しくは結腸癌、若しくは肺がん若しくは骨髄のがん、特に白血病、特にがん細胞がCMKLR1を発現するがん、若しくは腫瘍の微小環境がCMKLR1を発現若しくは過剰発現する細胞によって浸潤されているがんの群から選択される疾患の予防及び/又は処置に使用するための、抗CMKLR1に特異的に結合する抗体、又はその抗原結合性断片、又は抗原結合抗体模倣体、又は改変抗体の群から選択される抗CMKLR1化合物であって:
- 3つのCDR、VHCDR1、VHCDR2、及びVHCDR3を含む抗体重鎖可変ドメインであって:
・VHCDR1が、配列番号3;配列番号4;配列番号62;配列番号63;配列番号64、若しくは配列番号65に記載のアミノ酸配列を含むか若しくはそれからなり;
・VHCDR2が、配列番号5;配列番号6;配列番号66;配列番号67;配列番号68;配列番号69;配列番号70;配列番号71、若しくは配列番号72に記載のアミノ酸配列を含むか若しくはそれからなり;
・VHCDR3が、配列番号7;配列番号8;配列番号73;配列番号74、配列番号75;配列番号144;配列番号145;配列番号146;配列番号147;配列番号148;配列番号149;配列番号150、若しくは配列番号151に記載のアミノ酸配列を含むか若しくはそれからなる、抗体重鎖可変ドメイン;並びに/又は
- 3つのCDR、VLCDR1、VLCDR2、及びVLCDR3を含む抗体軽鎖可変ドメインであって:
・VLCDR1が、配列番号11;配列番号12;配列番号76;配列番号77;配列番号78;配列番号79、若しくは配列番号80に記載のアミノ酸配列を含むか若しくはそれからなり;
・VLCDR2が、配列番号13;配列番号14;配列番号81;配列番号82;配列番号83;配列番号84;配列番号85;配列番号86;配列番号87、若しくは配列番号88に記載のアミノ酸配列を含むか若しくはそれからなり;
・VLCDR3が、配列番号15若しくは配列番号89に記載のアミノ酸配列を含むか若しくはそれからなる、抗体軽鎖可変ドメイン
を含む抗CMKLR1化合物に関する。
特定の実施形態では、本発明は、炎症の回復が遅延若しくは妨害される疾患、及び/又は炎症疾患、特に急性炎症疾患、慢性炎症疾患、例えば喘息、角結膜炎、歯周病、湿疹、炎症性腸疾患、特にクローン病若しくは大腸炎、特に潰瘍性大腸炎若しくは自然発症大腸炎;自己免疫疾患、例えば糖尿病、特にI型糖尿病、乾癬、狼瘡、リウマチ性関節炎、多発性硬化症、シェーグレン症候群、セリアック病、血管炎、重症筋無力症;感染疾患、例えば敗血症、腹膜炎;変性疾患;創傷治癒障害及びドライアイ症候群の群から選択される疾患の予防及び/又は処置に使用するための上記で定義した本発明の化合物のいずれかに関する。本発明の別の特定の実施形態では、本発明は、がん、特に固形及び血液のがん、特に癌腫、特に乳癌若しくは結腸癌、又は骨髄のがん、特に白血病、特にがん細胞がCMKLR1を発現するがん、又は腫瘍の微小環境がCMKLR1を発現若しくは過剰発現する細胞によって浸潤されているがんの予防及び/又は処置に使用するための、上記で定義した本発明の化合物のいずれかに関する。
【0125】
本発明の特定の実施形態では、本発明は、炎症の回復が遅延若しくは妨害される疾患、及び/又は炎症疾患、特に急性炎症疾患、慢性炎症疾患、例えば喘息、角結膜炎、歯周病、湿疹、炎症性腸疾患、特にクローン病若しくは大腸炎、特に潰瘍性大腸炎若しくは自然発症大腸炎;自己免疫疾患、例えば糖尿病、特にI型糖尿病、乾癬、狼瘡、リウマチ性関節炎、多発性硬化症、シェーグレン症候群、セリアック病、血管炎、重症筋無力症;感染疾患、例えば敗血症、腹膜炎;変性疾患;創傷治癒障害、ドライアイ症候群;がん疾患、特に固形及び血液のがん、転移性がん、特に癌腫、特に乳癌若しくは結腸癌、若しくは肺がん若しくは骨髄のがん、特に白血病、特にがん細胞がCMKLR1を発現するがん、若しくは腫瘍の微小環境がCMKLR1を発現若しくは過剰発現する細胞によって浸潤されているがんの群から選択される疾患の治療処置及び/又は予防に使用するための、抗体、又はその抗原結合性断片、又は抗原結合抗体模倣体、又は改変抗体は:
- 配列番号4のHCDR1;配列番号6のHCDR2、配列番号8又は配列番号144又は配列番号148のHCDR3、配列番号90のHFR1;配列番号94のHFR2;配列番号101のHFR3、及び配列番号107のHFR4を含む重鎖可変ドメイン;並びに
- 配列番号12のLCDR1;配列番号14のLCDR2、配列番号15のLCDR3、配列番号109のLFR1、配列番号113のLFR2;配列番号118のLFR3、及び配列番号123のLFR4を含む軽鎖可変ドメイン
を含む。
特定の実施形態では、本発明は、炎症の回復が遅延若しくは妨害される疾患、及び/又は炎症疾患、特に急性炎症疾患、慢性炎症疾患、例えば喘息、角結膜炎、歯周病、湿疹、炎症性腸疾患、特にクローン病若しくは大腸炎、特に潰瘍性大腸炎若しくは自然発症大腸炎;自己免疫疾患、例えば糖尿病、特にI型糖尿病、乾癬、狼瘡、リウマチ性関節炎、多発性硬化症、シェーグレン症候群、セリアック病、血管炎、重症筋無力症;感染疾患、例えば敗血症、腹膜炎;変性疾患;創傷治癒障害及びドライアイ症候群の群から選択される疾患の予防及び/又は処置に使用するための上記で定義した本発明の化合物のいずれかに関する。本発明の別の特定の実施形態では、本発明は、がん、特に固形及び血液のがん、特に癌腫、特に乳癌若しくは結腸癌、又は骨髄のがん、特に白血病、特にがん細胞がCMKLR1を発現するがん、又は腫瘍の微小環境がCMKLR1を発現若しくは過剰発現する細胞によって浸潤されているがんの予防及び/又は処置に使用するための、上記で定義した本発明の化合物のいずれかに関する。
【0126】
本発明の特定の実施形態では、炎症の回復が遅延若しくは妨害される疾患、及び/又は炎症疾患、特に急性炎症疾患、慢性炎症疾患、例えば喘息、角結膜炎、歯周病、湿疹、炎症性腸疾患、特にクローン病若しくは大腸炎、特に潰瘍性大腸炎若しくは自然発症大腸炎;自己免疫疾患、例えば糖尿病、特にI型糖尿病、乾癬、狼瘡、リウマチ性関節炎、多発性硬化症、シェーグレン症候群、セリアック病、血管炎、重症筋無力症;感染疾患、例えば敗血症、腹膜炎;変性疾患;創傷治癒障害、ドライアイ症候群;がん疾患、特に固形及び血液のがん、転移性がん、特に癌腫、特に乳癌若しくは結腸癌、若しくは肺がん若しくは骨髄のがん、特に白血病、特にがん細胞がCMKLR1を発現するがん、若しくは腫瘍の微小環境がCMKLR1を発現若しくは過剰発現する細胞によって浸潤されているがんの群から選択される疾患の予防及び/又は処置に使用するための、抗体、又はその抗原結合性断片、又は抗原結合抗体模倣体、又は改変抗体は、配列番号10の重鎖可変ドメイン及び配列番号17の軽鎖可変ドメインを含む。特定の実施形態では、本発明は、炎症の回復が遅延若しくは妨害される疾患、及び/又は炎症疾患、特に急性炎症疾患、慢性炎症疾患、例えば喘息、角結膜炎、歯周病、湿疹、炎症性腸疾患、特にクローン病若しくは大腸炎、特に潰瘍性大腸炎若しくは自然発症大腸炎;自己免疫疾患、例えば糖尿病、特にI型糖尿病、乾癬、狼瘡、リウマチ性関節炎、多発性硬化症、シェーグレン症候群、セリアック病、血管炎、重症筋無力症;感染疾患、例えば敗血症、腹膜炎;変性疾患;創傷治癒障害及びドライアイ症候群の群から選択される疾患の予防及び/又は処置に使用するための上記で定義した本発明の化合物のいずれかに関する。本発明の別の特定の実施形態では、本発明は、がん、特に固形及び血液のがん、特に癌腫、特に乳癌若しくは結腸癌、又は骨髄のがん、特に白血病、特にがん細胞がCMKLR1を発現するがん、又は腫瘍の微小環境がCMKLR1を発現若しくは過剰発現する細胞によって浸潤されているがんの予防及び/又は処置に使用するための、上記で定義した本発明の化合物のいずれかに関する。
【0127】
本発明の特定の実施形態では、抗体又はその抗原結合性断片、又は抗原結合抗体模倣体、又は改変抗体は:
- 配列番号4のHCDR1;配列番号6のHCDR2、配列番号8又は配列番号144又は配列番号148のHCDR3、及び
・配列番号91;配列番号92又は配列番号93に記載のアミノ酸配列を含むか又はそれからなるHFR1;及び
・配列番号95;配列番号96;配列番号97;配列番号98;配列番号99又は配列番号100に記載のアミノ酸配列を含むか又はそれからなるHFR2;及び
・配列番号102;配列番号103;配列番号104;配列番号105又は配列番号106に記載のアミノ酸配列を含むか又はそれからなるHFR3;及び
・配列番号108に記載のアミノ酸配列を含むか又はそれからなるHFR4
を含む重鎖可変ドメイン;並びに
- 配列番号12のLCDR1;配列番号14のLCDR2、配列番号15のLCDR3;及び
・配列番号110;配列番号111又は配列番号112に記載のアミノ酸配列を含むか又はそれからなるLFR1;及び
・配列番号114;配列番号115;配列番号116又は配列番号117に記載のアミノ酸配列を含むか又はそれからなるLFR2;及び
・配列番号119;配列番号120;配列番号121;配列番号122又は配列番号132に記載のアミノ酸配列を含むか又はそれからなるLFR3;及び
・配列番号124に記載のアミノ酸配列を含むか又はそれからなるLFR4
を含む軽鎖可変ドメイン
を含む。
【0128】
本発明の特定の実施形態では、炎症の回復が遅延若しくは妨害される疾患、及び/又は炎症疾患、特に急性炎症疾患、慢性炎症疾患、例えば喘息、角結膜炎、歯周病、湿疹、炎症性腸疾患、特にクローン病若しくは大腸炎、特に潰瘍性大腸炎若しくは自然発症大腸炎;自己免疫疾患、例えば糖尿病、特にI型糖尿病、乾癬、狼瘡、リウマチ性関節炎、多発性硬化症、シェーグレン症候群、セリアック病、血管炎、重症筋無力症;感染疾患、例えば敗血症、腹膜炎;変性疾患;創傷治癒障害、ドライアイ症候群;がん疾患、特に固形及び血液のがん、転移性がん、特に癌腫、特に乳癌、肺がん若しくは結腸癌若しくは骨髄のがん、特に白血病、特にがん細胞がCMKLR1を発現するがん、若しくは腫瘍の微小環境がCMKLR1を発現若しくは過剰発現する細胞によって浸潤されているがんの群から選択される疾患の予防及び/又は処置に使用するための、抗体、又はその抗原結合性断片、又は抗原結合抗体模倣体又は改変抗体は:
- 配列番号20;配列番号21;配列番号22;配列番号23;配列番号24;配列番号25;配列番号26;配列番号27;配列番号28;配列番号29;配列番号30;配列番号31;配列番号32;配列番号33;配列番号34;配列番号35;配列番号36;配列番号37;配列番号38;配列番号39;配列番号40;配列番号41又は配列番号42に記載のアミノ酸配列を含むか又はそれからなる重鎖可変ドメイン;特に配列番号20;配列番号21;配列番号22;配列番号23;配列番号28;配列番号29;配列番号30;配列番号36;配列番号37;配列番号38;又は配列番号39に記載のアミノ酸配列を含むか又はそれからなる重鎖可変ドメイン;
- 配列番号43;配列番号44;配列番号45;配列番号46;配列番号47;配列番号48;配列番号49;配列番号50;配列番号51;配列番号52;配列番号53;配列番号54;配列番号55;配列番号56;配列番号57;配列番号58;配列番号59;配列番号60又は配列番号61に記載のアミノ酸配列を含むか又はそれからなる軽鎖可変ドメイン;特に配列番号43;配列番号44;配列番号45;配列番号46;配列番号47;配列番号48;配列番号50;配列番号51;配列番号52;配列番号53;配列番号54;配列番号56;配列番号57;配列番号58;配列番号59又は配列番号60に記載のアミノ酸配列を含むか又はそれからなる軽鎖可変ドメイン
を含む。
特定の実施形態では、本発明は、炎症の回復が遅延若しくは妨害される疾患、及び/又は炎症疾患、特に急性炎症疾患、慢性炎症疾患、例えば喘息、角結膜炎、歯周病、湿疹、炎症性腸疾患、特にクローン病若しくは大腸炎、特に潰瘍性大腸炎若しくは自然発症大腸炎;自己免疫疾患、例えば糖尿病、特にI型糖尿病、乾癬、狼瘡、リウマチ性関節炎、多発性硬化症、シェーグレン症候群、セリアック病、血管炎、重症筋無力症;感染疾患、例えば敗血症、腹膜炎;変性疾患;創傷治癒障害及びドライアイ症候群の群から選択される疾患の予防及び/又は処置に使用するための上記で定義した本発明の化合物のいずれかに関する。本発明の別の特定の実施形態では、本発明は、がん、特に固形及び血液のがん、特に癌腫、特に乳癌若しくは結腸癌、又は骨髄のがん、特に白血病、特にがん細胞がCMKLR1を発現するがん、又は腫瘍の微小環境がCMKLR1を発現若しくは過剰発現する細胞によって浸潤されているがんの予防及び/又は処置に使用するための、上記で定義した本発明の化合物のいずれかに関する。
【0129】
本発明の特定の実施形態では、コルチコステロイド及び/又は免疫抑制処置に対して不応性である対象における大腸炎又はクローン病の処置に使用するための、抗体、又はその抗原結合性断片、又は抗原結合抗体模倣体、又は改変抗体は:
- 配列番号20;配列番号21;配列番号22;配列番号23;配列番号24;配列番号25;配列番号26;配列番号27;配列番号28;配列番号29;配列番号30;配列番号31;配列番号32;配列番号33;配列番号34;配列番号35;配列番号36;配列番号37;配列番号38;配列番号39;配列番号40;配列番号41又は配列番号42に記載のアミノ酸配列を含むか又はそれからなる重鎖可変ドメイン;特に配列番号20;配列番号21;配列番号22;配列番号23;配列番号28;配列番号29;配列番号30;配列番号36;配列番号37;配列番号38;又は配列番号39に記載のアミノ酸配列を含むか又はそれからなる重鎖可変ドメイン;並びに
- 配列番号43;配列番号44;配列番号45;配列番号46;配列番号47;配列番号48;配列番号49;配列番号50;配列番号51;配列番号52;配列番号53;配列番号54;配列番号55;配列番号56;配列番号57;配列番号58;配列番号59;配列番号60又は配列番号61に記載のアミノ酸配列を含むか又はそれからなる軽鎖可変ドメイン;特に配列番号43;配列番号44;配列番号45;配列番号46;配列番号47;配列番号48;配列番号50;配列番号51;配列番号52;配列番号53;配列番号54;配列番号56;配列番号57;配列番号58;配列番号59又は配列番号60に記載のアミノ酸配列を含むか又はそれからなる軽鎖可変ドメイン
を有する。
【0130】
別の態様では、本発明は、特にマクロファージによる抗炎症性サイトカインの分泌、特にIL10の分泌を増強する、本明細書に定義される抗CMKLR1化合物に関する。別の態様では、本発明は、特にマクロファージによる抗炎症性サイトカインの分泌、特にCCL17の分泌を増強する、本明細書に定義される抗CMKLR1化合物に関する。別の態様では、本発明は、特にマクロファージによる抗炎症性サイトカインの分泌、特にIL10及び/又はCCL17の分泌を増強する、本明細書に定義される抗CMKLR1化合物に関する。本発明はまた、特にマクロファージによる炎症促進性サイトカイン、特にIL12の分泌を阻害する本明細書に定義される抗CMKLR1化合物にも関する。サイトカイン分泌は、当技術分野で公知の方法によって又は本発明の実施例に開示される方法によって評価してもよい。
【0131】
別の態様では、本発明は、樹状細胞、特にヒト樹状細胞の増殖及び/又は活性化を阻害する、本明細書に定義される抗CMKLR1化合物に関する。樹状細胞の増殖及び/又は活性化は、本発明の実施例に開示される方法によって評価してもよい。
【0132】
別の態様では、本発明は、本明細書に記載される抗CMKLR1化合物を含む組成物、特に本発明に従う抗CMKLR1化合物及び更なる治療剤、又は薬学的に許容される担体を含む医薬組成物に関する。特定の実施形態では、本発明は、本発明に従う抗CMKLR1化合物、及び免疫調整剤、免疫チェックポイント遮断剤、免疫チェックポイント活性化剤、抗体、特に抗CD137抗体(これは、CD137としても知られるTNF受容体スーパーファミリーメンバーである4-1BBを標的とする)、又は抗SIRPa抗体(P84-Merck Millipore社の抗マウスSIRPa)からなる群から選択される治療剤を含む組成物に関する。
【0133】
別の態様では、本発明は、本明細書に記載される抗CMKLR1化合物を含む化合物の組合せ、特に本発明に従う抗CMKLR1化合物及び抗PD1又は抗PDL1化合物、特に抗PD1化合物を含む医薬組成物に関し;そのような化合物は特に、抗体、抗原結合抗体断片、抗原結合抗体模倣体、アプタマー又はペプチドのような低分子、PD1又はPDL1に結合することが可能なヒト化又はキメラ抗体のような、しかしこれらに限定されない改変抗体からなる群から特に選択される。
【0134】
別の態様では、本発明は、本明細書に記載される抗CMKLR1化合物を含む化合物の組合せ、特に本発明に従う抗CMKLR1化合物及び抗SIRPa化合物を含む医薬組成物に関し;そのような化合物は特に、抗体、抗原結合抗体断片、抗原結合抗体模倣体、アプタマー又はペプチドのような低分子、SIRPa、特にヒトSIRPaに結合することが可能なヒト化又はキメラ抗体のような、しかしこれらに限定されない改変抗体からなる群から選択される。
【0135】
別の態様では、本発明は、炎症の延長が病理的である、又は炎症の回復の持続が病理的である疾患の処置に関して、特に炎症の回復を誘導及び/又は増強するための、特に前記回復が遅延若しくは妨害される場合に炎症の回復を誘導及び/又は増強するための、本発明の抗CMKLR1化合物の治療的使用に関する。
【0136】
本発明の特定の実施形態では、抗CKLMR1化合物は、少なくとも10E-8Mの親和性(KD値)、より好ましくは少なくとも10E-9Mの親和性でCMKLR1に結合する。本発明の抗体、又はその抗原結合性断片、又は抗原結合抗体模倣体、又は改変抗体と、CMKLR1(又は配列番号2及び18に記載のアミノ酸配列を含む、第3の細胞外ループを含むCMKLR1の領域)との間の特異的結合は、抗体がCMKLR1に対して認識可能な親和性を示すことを暗示している。「認識可能な親和性」は、約10-8M(KD)又はそれより強い親和性での結合を含む。好ましくは、結合は、結合親和性が10-8M~10-12Mの間、任意選択で10-9M~10-10Mの間、特に少なくとも10-9Mである場合に特異的であると考えられる。結合ドメインが標的と特異的に反応するか又は結合するかは、中でも前記結合ドメインと標的タンパク質又は抗原との反応を、前記結合ドメインと標的タンパク質以外のタンパク質又は抗原との反応と比較することによって容易に試験することができる。本発明のそのような抗体は、CMKLR1に特異的に結合し、RvE1とCMKLR1との間の相互作用に対してアゴニスト作用を有する。競合阻害によって抗体特異性及び親和性を決定する方法は、当技術分野で公知である(例えば、Harlowら、「Antibodies: A Laboratory Manual」、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、NY(1998); Colliganら、「Current Protocols in Immunology」、Green Publishing Assoc.、NY(1992; 1993); Muller、Meth. Enzym.、92:589-601(1983))。これらの方法は、Biacore分析、Blitz分析、フローサイトメトリー、及びELISAアッセイを含むがこれらに限定されない。
【0137】
本発明の特定の実施形態では、抗CMKLR1化合物は、CMKLR1の第3の細胞外ループ内に位置するエピトープ、特に配列番号2若しくは配列番号18、特に配列番号2に記載のアミノ酸残基配列内に位置するエピトープに特異的に結合する。CMKLR1のこの特定の領域内で結合する抗CMKLR1化合物は、CMKLR1に対するアゴニスト特性を有することができ、それによってCMKLR1に対するRvE1の結合を模倣する。
【0138】
別の態様では、本発明は、医薬として使用するためにRvE1とCMKLR1との間の相互作用に対してアゴニスト能を有する、本明細書において上記で定義した抗CMKLR1抗体、又はその抗原結合性断片、又は抗原結合抗体模倣体、又は改変抗体に関する。
【0139】
別の態様では、本発明は、in vitro及び/又はin vivoでAkt及び/又はErkタンパク質の活性化の誘導能を有する、本明細書において上記で定義した抗CMKLR1抗体、又はその抗原結合性断片、又は抗原結合抗体模倣体、又は改変抗体に関する。これらのタンパク質の活性化は、本発明の実施例に記載される方法によって評価してもよい。特に、抗CMKLR1抗体、又はその抗原結合性断片、又は抗原結合抗体模倣体、又は改変抗体は、マクロファージ、特にヒトマクロファージにおいてAkt及び/又はErkタンパク質のいずれか、又は両方を活性化する能力を有する。
【0140】
本発明は、RvE1とCMKLR1との間の相互作用に対してアゴニストの能力を有する、又は言い換えるとRvE1アゴニスト様因子又はモジュレーターである上に定義される抗CMKLR1抗体又はその抗原結合性断片又は抗原結合抗体模倣体の有効量を前記対象に投与することを含む、それを必要とする対象における処置方法にも関する。
【0141】
抗炎症性細胞に有利になるようにマクロファージ極性化を改変することは、多数の病態又は状況において有用でありうる。上に記載のとおり、この改変は、これだけに限らないが急性炎症疾患及び慢性炎症疾患、炎症性腸疾患、クローン病、喘息、角結膜炎、歯周病、湿疹、大腸炎、特に潰瘍性大腸炎若しくは自然発症大腸炎、糖尿病、特にI型糖尿病、腹膜炎、乾癬、癌腫、特に乳癌若しくは結腸癌、がん、転移性がん、肺がん、変性疾患、感染疾患、特に敗血症、自己免疫疾患が挙げられる炎症疾患の群から選択される疾患の文脈では、特に有用である。
【0142】
本発明は、医薬の製造において、RvE1とCMKLR1との間の相互作用に対してアゴニストの能力を有する、上に定義される抗CMKLR1抗体又はその抗原結合性断片又は抗原結合抗体模倣体の使用にも関する。
【0143】
別の態様では、本発明は、慢性炎症疾患の処置における使用のための、特に慢性大腸炎を処置するための、抗CMKLR1抗体又はその抗原結合性断片又は抗原結合抗体模倣体又はこれだけに限らないが本明細書上に定義されるヒト化若しくはキメラ抗体等の、改変抗体に関する。
【0144】
別の態様では、本発明は、炎症状態、特に、その回復が遅延若しくは妨害される炎症疾患の回復の遅延又は妨害の処置、及び/又はこれだけに限らないが急性炎症疾患及び慢性炎症疾患、炎症性腸疾患、クローン病、喘息、角結膜炎、歯周病、湿疹、大腸炎、特に潰瘍性大腸炎若しくは自然発症大腸炎、糖尿病、特にI型糖尿病、腹膜炎、乾癬、癌腫、特に乳癌若しくは結腸癌、がん、変性疾患、感染疾患、特に敗血症、自己免疫疾患が挙げられる炎症疾患の群から選択される疾患の処置又は予防における使用のための、RvE1とCMKLR1との間の相互作用に対するアゴニスト活性を有する上に定義される抗CMKLR1抗体又はその抗原結合性断片又は抗原結合抗体模倣体に関する。
【0145】
本明細書において定義される「炎症状態の回復における遅延又は妨害」は、正常な回復(すなわち、炎症性事象後に通常の回復を経験する患者において生じる回復)と比較して炎症の回復が遅延又は妨害される場合に生じる。回復遅延又は不良は、炎症性部位での顆粒球の侵入の増加を生じうる。それにより、回復遅延又は不良は、炎症性部位での顆粒球の定量によって評価されうる。顆粒球集団は、例えば、酵素イムノアッセイによるエラスターゼ定量、又は顆粒球受容体1)のPCRによる分子定量等の組織診断、細胞数測定又は間接的生化学技術によって測定されうる。回復遅延又は不良は、例えば、アネキシン5に対する特異的抗体を使用する細胞診断によって測定される、顆粒球のアポトーシスにおける遅延の決定によっても評価されうる。炎症の回復の不良又は遅延は、TNFアルファ、IL8又はIL12等の炎症促進性サイトカイン及びIL10等の抗炎症性サイトカインの合成の定量を評価することによっても決定されうる。サイトカイン分泌は、酵素イムノアッセイによって又はPCRによって評価されうる。炎症の回復における不良又は遅延は、例えば、核移行によって又はウエスタンブロットによって、及び/又はIkappaBの分解レベルの定量によって)測定されうるNFカッパB等の炎症性サイトカインの合成に関与する転写因子の活性化を評価することによっても決定されうる。炎症の回復における不良又は遅延は、特殊な回復促進性メディエーター(specialized pro-resolving mediators)(例えばリポキシン、レゾルビン、プロテクチン若しくはマレシン)又はそれらの前駆体(例えば17-HDOHE若しくは14-HDOHE)を質量分析又は酵素免疫アッセイによって定量することによっても決定されうる。回復の不良又は遅延は、次いで、1つ又は複数のこれらのメディエーターの合成の不良を生じる。回復不良又は遅延は、回復分子の受容体の発現が減少する場合にも決定されうる。これらの受容体は、ALX、CMK1R1、GPR32又はGPR18を含む群から選択されうる。代替的に又は相補的に、これらの受容体の細胞質への内部移行及びプロセシングも評価されうる。代替的に又は相補的に、炎症性サイトカイン又は脂質の一部の受容体の発現も評価され得、正常状態と比較した過剰発現は、炎症の回復における遅延又は不良に重要である。これらの状態は、組織診断、細胞診断又はPCRによって測定されうる。回復不良は、M1からM2マクロファージへの切り替えの減少又は阻害、同細胞のファゴサイトーシス又はエフェロサイトーシスにおける損傷も生じる場合がある。このため、回復の遅延又は不良は、本発明の例において例示されるとおり、正常状態と比較して具体的な状態においてM1からM2マクロファージの切り替えを分析することによって評価されうる。
【0146】
具体的な実施形態によると、抗CMKLR1化合物は、乳がん、特に乳癌、メラノーマ、結腸がん、特に結腸癌、白血病、特に急性骨髄性白血病、特にがん細胞がCMKLR1を過剰発現している場合の白血病からなる群から選択されるがんを有する個体を処置するために使用されうる。
【0147】
一実施形態では、本発明は、上に定義される使用のための、上に定義される抗ヒトCMKLR1抗体又はその抗原結合性断片又は抗原結合抗体模倣体又は改変抗体に関し、本発明の前記抗ヒトCMKLR1抗体又はその抗原結合性断片又は抗原結合抗体模倣体又は改変抗体は、CMKLR1陽性腫瘍を呈する患者に投与される。
【0148】
本発明の抗体又はその抗原結合性断片は、種々の好適な経路、例えば、静脈内(IV)、皮下(SC)又は筋肉内(IM)で対象に投与されうる。抗CMKLR1化合物は、単独で又は別の治療剤、例えば、第2のヒトモノクローナル抗体又はその抗原結合性断片と組み合わせて投与されうる。別の例では抗体は、別の薬剤、例えば、免疫抑制薬、赤血球生成促進剤(ESA)と共に、治療用細胞組成物等と組み合わせて投与される。一実施形態では、本発明は、上に定義される使用のための、抗CMKLR1化合物又はその抗原結合性断片又は抗原結合抗体模倣体に関し、抗CMKLR1抗体又は抗原結合性断片は、第2の治療剤と組合せられる。
【0149】
第2の治療剤の投与は、抗CMKLR1化合物の投与と同時であっても、なくてもよい。第2の薬剤の性質に応じて、同時投与は、「コンボ(combo)」としても公知の組合せ薬物(製品)の形態で調製されうる。コンボは、固定用量で製造及び流通される単一投与形態に組み合わされた2つ以上の活性医薬用成分を含む固定用量の組合せである。しかし、用量レジメン及び/又は投与経路は、異なっていてもよい。
【0150】
好ましい実施形態では、この第2の治療剤は、化学療法薬、放射線療法剤、免疫療法剤、細胞療法剤(CAR-T細胞等)、抗生物質及びプロバイオティクスからなる群から選択される。
【0151】
特に、本発明の文脈において有用な免疫療法剤は、治療用ワクチン(DNA、RNA若しくはペプチドワクチン)、免疫チェックポイント遮断剤若しくは活性化因子、特に適応免疫細胞(T又はBリンパ球)のもの、又は抗体薬物コンジュゲート等のイムノコンジュゲートからなる群から選択される。
【0152】
本明細書において使用される場合、用語「免疫療法剤」は、未処置T細胞の数及びレパートリーを増加させるT細胞増殖因子、樹状細胞(DC)の数を増加させる増殖因子、DC及び他の抗原提示細胞(APC)を活性化するアゴニスト、がんワクチンを可能にし、増大させるアジュバント、T細胞を活性化し、刺激するアゴニスト、T細胞チェックポイント遮断の阻害剤、免疫T細胞の増殖及び生存を増加させるT細胞増殖因子、がん細胞及び免疫細胞由来免疫抑制性サイトカインを阻害、遮断又は中和する薬剤を含む、興味深い生物学的現象からがんワクチンを有効な治療剤にできる薬剤を特に指す。
【0153】
多数の免疫チェックポイント遮断剤又は活性化因子は、当技術分野において公知である。本発明の文脈では、有用でありうる免疫チェックポイント遮断剤又は適応免疫細胞(B又はTリンパ球)の活性化因子の例は、抗PDL1、抗PD1、抗CTLA4、抗SIRPa;抗CD137、抗CD2、抗CD28、抗CD40、抗HVEM、抗BTLA、抗CD160、抗TIGIT、抗TIM-1/3、抗LAG-3、抗2B4及び抗OX40、抗CD40アゴニスト、CD40-L、TLRアゴニスト、抗ICOS、ICOS-L及びB細胞受容体アゴニスト、特に抗CD137及び抗SIRPaである。本発明の具体的な実施形態では、第2の治療剤は抗PDL1又は抗PD1化合物、特に抗PD1化合物、より具体的には抗PD1抗体である。本発明の具体的な実施形態では、第2の治療剤は、抗SIRPa化合物、特に抗SIRPa抗体である。
【0154】
前記免疫療法剤は、腫瘍抗原を標的化する抗体、特に抗Her2、抗EGFR、抗CD20、抗CD19、抗CD52からなる群から選択される抗体でもありうる。
【0155】
抗体は、約1ng/kg体重から約30mg/kg体重又はこれを超える有効用量で提供されうる。詳細な実施形態では、投薬量は1μg/kgから約20mg/kg、任意で10μg/kgから10mg/kgに至る又は100μg/kgから5mg/kgに至る範囲でありうる。
【0156】
用語「有効用量」又は「有効投薬量」又は「有効量」は、望ましい効果を達成する又は少なくとも部分的に達成するために十分な量として定義される。用語「有効用量」は、疾患に既に罹患している患者において、疾患及びその合併症を治癒する若しくは少なくとも部分的に停止させる又は疾患の症状を軽減するために十分な量を包含することを意味する。この使用のために有効な量又は用量は、処置される状態、送達される抗体構築物、治療状況(therapeutic context)及び目的、疾患の重症度、それ以前の療法、患者の病歴及び治療剤への応答、投与の経路、患者のサイズ(体重、体表面積若しくは臓器サイズ)並びに/又は状態(年齢及び全般的健康)、並びに患者自身の免疫系の全般的状態に依存する。適切な用量は、患者に1度に又は一連の投与にわたって投与されうるように、及び最適な治療効果を得るために調整されうる。
【0157】
かかる目的のための投薬は、必要に応じて例えば毎日、1週間に2回、毎週、1カ月に2回、1カ月に1回又は再発の際は必要に応じて、反復されうる。
【0158】
別の態様では、本発明は、上に定義される抗体又はその抗原結合性断片及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物に関する。
【0159】
本明細書において使用される場合、「医薬組成物」は、哺乳動物、特にヒト等の対象又は患者に投与するために好適な組成物を包含して意味する。一般に、「医薬組成物」は、滅菌されており、通常、対象において望ましくない応答を誘発しうる混入物不含有である(例えば、医薬組成物中の化合物は医薬用グレードである)。医薬組成物は経口、バッカル、直腸内、非経口、腹腔内、皮内、気管内(intracheal)等を含む多数の異なる投与の経路を介する、それを必要とする対象又は患者への投与のために設計されうる。
【0160】
本明細書において使用される場合、「薬学的に許容される担体」は一般に安全、無毒で、生物学的に又は他に望ましくないことはない医薬組成物を調製するために有用である賦形剤、希釈剤、担体及びアジュバントを包含して意味し、獣医用途及びヒトの医薬用使用のために許容される賦形剤、希釈剤、担体及びアジュバントを含む。本明細書において使用される場合「薬学的に許容される担体」は、かかる賦形剤、希釈剤、担体及びアジュバントの1種を含むか、1種より多くを含む。
【0161】
特に、本発明は上に定義される活性成分、抗体又はその抗原結合性断片及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物に関する。
【0162】
別の態様では、本発明は、活性成分として:上に定義される抗SIRPa抗体又はその抗原結合性断片又は抗原結合抗体模倣体及び第2の治療剤を含む治療手段、特に組合せ製品手段であって、前記活性成分が個別の、連続的又は組合せ療法のために、特に組合せ又は連続的使用のために製剤化されている、治療手段に関する。
【0163】
特に、本発明は、医薬の同時、個別又は連続使用のための、上に定義される抗CMKLR1化合物及び第2の治療剤を含む組合せ製品に関する。
【0164】
一実施形態では、本発明は、第2の治療剤が化学療法薬、放射線療法剤、細胞療法剤、免疫療法剤、抗生物質及びプロバイオティクスからなる群から選択される、上に定義される組合せ製品に関する。
【0165】
一実施形態では、本発明は、前記免疫療法剤が治療用ワクチン、免疫チェックポイント遮断剤又は活性化因子、特に適応免疫細胞(T及びBリンパ球)のもの及び抗体薬物コンジュゲートからなる群から選択される、上に定義される組合せ製品に関する。
【0166】
一実施形態では、本発明は、前記免疫チェックポイント遮断剤又は適応免疫細胞(T及びBリンパ球)の活性化因子が、抗PDL1、抗PD1、抗SIRPA、抗CTLA4、抗CD137、抗CD2、抗CD28、抗CD40、抗HVEM、抗BTLA、抗CD160、抗TIGIT、抗TIM-1/3、抗LAG-3、抗2B4及び抗OX40、抗CD40アゴニスト、CD40-L、TLRアゴニスト、抗ICOS、ICOS-L及びB細胞受容体アゴニストからなる群から選択され、特に抗PDL1、抗PD1及び抗CD137からなる群から選択される、上に定義される組合せ製品に関する。本発明の具体的な実施形態では、第2の治療剤は、抗PDL1又は抗PD1化合物、特に抗PD1化合物及び更に具体的には抗PD1抗体である。本発明の具体的な実施形態では、第2治療剤は、抗SIRPa化合物、特に抗SIRPa抗体である。
【0167】
一実施形態では、前記免疫療法剤は、腫瘍抗原を標的化する抗体であり、特に抗Her2、抗EGFR、抗CD20、抗CD19、抗CD52からなる群から選択される。
【0168】
一態様では、本発明は、マクロファージ極性化を抗炎症性マクロファージに改変することによって改善又は予防されやすい任意の状態の処置における同時、個別又は連続的使用のための、上に定義される組合せ製品に関する。
【0169】
一実施形態では、本発明は、上に定義される組合せ製品の有効量を対象に同時、個別又は連続的に投与することを含む、それを必要とする対象においてマクロファージ極性化を抗炎症性マクロファージに改変することによって改善又は予防されやすい任意の状態の治療方法に関する。
【0170】
一実施形態では、本発明は、マクロファージ極性化を抗炎症性マクロファージに改変することによって改善又は予防されやすい任意の状態の処置のための医薬の製造における、上に定義される組合せ製品の使用に関する。
【0171】
一態様では、本発明は、これだけに限らないが急性炎症疾患及び慢性炎症疾患が挙げられる炎症疾患、炎症性腸疾患、クローン病、喘息、角結膜炎、歯周病、湿疹、大腸炎、特に潰瘍性大腸炎若しくは自然発症大腸炎、糖尿病、特にI型糖尿病、腹膜炎、乾癬、癌、特に乳癌若しくは結腸癌、がん、転移性がん、肺がん、変性疾患、感染疾患、特に敗血症、自己免疫疾患からなる群から選択される病態の処置における同時、個別若しくは連続的に使用するため、又はワクチン接種における使用のための、上に定義される組合せ製品に関する。
【0172】
一実施形態では、本発明は、上に定義される組合せ製品の有効量を対象に同時、個別又は連続的に投与することを含む、それを必要とする対象の、これだけに限らないが急性炎症疾患及び慢性炎症疾患を含む炎症疾患、炎症性腸疾患、クローン病、喘息、角結膜炎、歯周病、湿疹、大腸炎、特に潰瘍性大腸炎若しくは自然発症大腸炎、糖尿病、特にI型糖尿病、腹膜炎、乾癬、癌、特に乳癌若しくは結腸癌、がん、転移性がん、肺がん、変性疾患、感染疾患、特に敗血症、自己免疫疾患の群から選択される病態の処置方法に関する。
【0173】
一実施形態では、本発明は、これだけに限らないが急性炎症疾患及び慢性炎症疾患を含む炎症疾患、炎症性腸疾患、クローン病、喘息、角結膜炎、歯周病、湿疹、大腸炎、特に潰瘍性大腸炎又は自然発症大腸炎、糖尿病、特にI型糖尿病、腹膜炎、乾癬、癌、特に乳癌又は結腸癌、がん、転移性がん、肺がん、変性疾患、感染疾患、特に敗血症、自己免疫疾患の群から選択される病態の処置のための医薬の製造における、上に定義される組合せ製品の使用に関する。
【0174】
本発明は、抗CMKLR1化合物を選択する方法であって、
a)抗体又はその抗原結合性断片、又はキメラ若しくはヒト化抗体の群から選択される化合物を提供する工程であって、前記化合物が:
- 3つのCDR、VHCDR1、VHCDR2、及びVHCDR3を含む抗体重鎖可変ドメインであって:
・VHCDR1が、配列番号4に記載のアミノ酸配列、又はアミノ酸残基が置換されているその変異配列を含むか又はそれからなり;
・VHCDR2が、配列番号6に記載のアミノ酸配列、又はアミノ酸残基が置換されているその変異配列を含むか又はそれからなり;
・VHCDR3が、配列番号8若しくは配列番号144若しくは配列番号148に記載のアミノ酸配列、又は配列番号8の1及び2位のアミノ酸残基がそれぞれL及びIになるようにアミノ酸残基が置換されているその変異配列を含むか又はそれからなる、抗体重鎖可変ドメイン;並びに
- 3つのCDR、VLCDR1、VLCDR2、及びVLCDR3を含む抗体軽鎖可変ドメインであって:
・VLCDR1が、配列番号12に記載のアミノ酸配列、又はアミノ酸残基が置換されているその変異配列を含むか又はそれからなり;
・VLCDR2が、配列番号14に記載のアミノ酸配列、又はアミノ酸残基が置換されているその変異配列を含むか又はそれからなり;
・VLCDR3が、配列番号15に記載のアミノ酸配列、又はアミノ酸残基が置換されているその変異配列を含むか又はそれからなる、抗体軽鎖可変ドメイン
を含む、工程;
b)化合物がCMKLR1のRvE1様アゴニストである能力を試験する工程、特に骨髄系細胞における炎症の回復に都合がよい化合物の能力を特に試験する工程;並びに任意で
c)BLITZ分析又はバイオセンサーによって、CMKLR1の第3のループE3内に位置するエピトープに対する化合物の結合能力、特に配列番号2又は配列番号152のアミノ酸残基を含むポリペプチドに対する化合物の結合能力を試験する工程;並びに任意で
d)化合物がCMKLR1に対するケメリンの結合と競合することができないことを試験する工程;
e)工程c)において試験した化合物の結合能力が少なくとも10E-8KDである場合、
i)CMKLR1への化合物の結合後にAktのリン酸化及び/若しくはErkのリン酸化を、特にAktのリン酸化及びErkのリン酸化を誘導する化合物の能力を試験する工程;
ii)化合物が、抗炎症性サイトカイン、特にIL10、更に具体的にはIL10及びCCL17の分泌を増強する能力;並びに/又は化合物が、炎症促進性サイトカイン、特にIL12の分泌を、特にCMKLR1を発現する骨髄系細胞において阻害又は低減する能力を試験する工程;並びに/又は
iii)化合物が抗炎症性M2型マクロファージに有利となるようにマクロファージ極性化を増強する能力;特に化合物が表現型マーカーCD200Rの分泌を増強する能力を試験する工程;並びに/又は
iv)化合物が樹状細胞活性化及び/若しくは増殖を阻害する能力を試験する工程を含む方法にも関する。
【0175】
化合物の能力は、本開示の例において開示される例により試験されうる。
【0176】
本発明は、本明細書において定義される抗CMKLR1化合物をコードするポリヌクレオチドにも関する。この目的のために、本発明は、本開示による任意の抗CMKLR1化合物をコードする、更に具体的には、配列番号20;配列番号21;配列番号22;配列番号23;配列番号24;配列番号25;配列番号26;配列番号27;配列番号28:配列番号29;配列番号30;配列番号31;配列番号32;配列番号33;配列番号34;配列番号35;配列番号36;配列番号37;配列番号38;配列番号39;配列番号40;配列番号41若しくは配列番号42に記載の配列のアミノ酸残基を含むか若しくはそれからなる重鎖可変ドメイン並びに/又は配列番号43;配列番号44;配列番号45;配列番号46;配列番号47;配列番号48;配列番号49;配列番号50;配列番号51:配列番号52;配列番号53;配列番号54;配列番号55;配列番号56;配列番号57;配列番号58;配列番号59;配列番号60若しくは配列番号61に記載の配列のアミノ酸残基を含むか若しくはそれからなる軽鎖可変ドメインをコードする、核酸分子、又は核酸分子の群、更に具体的には単離された核酸分子及び/又は組換え核酸分子にも関する。核酸分子は、コードされる重鎖可変ドメイン及び/又は軽鎖可変ドメインの転写及び発現のための、これだけに限らないがエンハンサー、サイレンサー、プロモーター、特に発現プロモーター、シグナルペプチド等の制御配列を更に含みうる。
【0177】
本発明は、本明細書に開示されるポリヌクレオチドを含む、又は本明細書に開示される核酸分子を含むベクターにも関する。本明細書において使用される場合、ベクターは、遺伝材料を細胞に移行するためのビヒクルとして使用される核酸分子であり、好ましい実施形態ではベクター内に挿入されたポリヌクレオチドの発現を可能にする。用語ベクターは、プラスミド、ウイルス、コスミド及び人工染色体を包含する。ベクターは、一般に複製開始点、マルチクローニング部位及び選択可能マーカーを含む。ベクターそれ自体は、挿入された(導入遺伝子)及びベクターの「骨格」として働くより大きな配列を含む、一般にヌクレオチド配列、通常DNA配列である。現在のベクターは導入遺伝子挿入物及び骨格以外に追加的特徴:プロモーター、遺伝マーカー、抗菌剤耐性、レポーター遺伝子、標的化配列、タンパク質精製タグを包含する場合がある。特に、発現ベクター(発現構築物)と称されるベクターは、標的細胞における導入遺伝子の発現のためであり、一般に制御配列を有する。
【0178】
別の態様では、本発明は、上に定義されたベクターを含む細胞、単離された細胞、宿主細胞、単離された宿主細胞又は細胞株に関する。本明細書において使用される場合、細胞に関連するこれらの用語は、本発明の抗体構築物をコードするベクター、外来性核酸分子及びポリヌクレオチドのレシピエント;並びに/又は抗体構築物それ自体のレシピエントでありうる、若しくは既にレシピエントである、任意の個々の細胞又は細胞培養物を含むことが意図される。それぞれの材料の細胞への導入は、形質転換、トランスフェクション等の方法によって実行されうる。これらの用語は、単一の細胞の後代又は潜在的後代を含むことも意図される。好適な宿主細胞として原核細胞又は真核細胞が挙げられ、これだけに限らないが細菌、酵母細胞、真菌細胞、植物細胞並びに、昆虫細胞及び例えばマウス、ラット、ウサギ、マカク若しくはヒト等の哺乳動物細胞等の動物細胞も挙げられる。
【0179】
続く図面及び実施例は、本発明をどのように行い、使用するかの完全な開示及び記載を当業者に提供するために記載されており、本発明者らが彼らの発明と見なす範囲を限定することを意図せず、以下の実験が実施された全ての実験で、これらだけであることを表すことを意図しない。本発明は、その詳細な実施形態を参照して記載されているが、種々の変更が行われてよく、等価物は、本発明の真の精神及び範囲から逸脱すること無く置換されうることは当業者によって理解されるべきである。加えて、具体的な状況、材料、組成物、方法、方法の1つ又は複数の工程に適合させるために、多数の改変が、本発明の目的、精神及び範囲に行われてよい。かかる全ての改変は、本明細書に添付される特許請求の範囲の内であることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0180】
図1A】抗CMKLR1変異体1G1、2G1、3G1及び4G1キメラ抗体のDC成熟及び分化への効果を示す図である。マウス樹状細胞を、成熟相(24時間若しくは48時間)に続いて分化相の際に賦形剤又はRvE1又は抗CMKLR1抗体変異体(配列番号8の1及び2位の変異、VH-CDR3:1G1(LL)、2G1(LI)、3G1(IL)若しくは4G1(II)に対応する又はアイソタイプ対照(hIgG1若しくはmIgG))を用いてインキュベートした。次に細胞を、細胞マーカー抗体:A.CD80-PEを用いてFACS分析のために染色した。蛍光の平均は、各条件において決定した。
図1B】抗CMKLR1変異体1G1、2G1、3G1及び4G1キメラ抗体のDC成熟及び分化への効果を示す図である。マウス樹状細胞を、成熟相(24時間若しくは48時間)に続いて分化相の際に賦形剤又はRvE1又は抗CMKLR1抗体変異体(配列番号8の1及び2位の変異、VH-CDR3:1G1(LL)、2G1(LI)、3G1(IL)若しくは4G1(II)に対応する又はアイソタイプ対照(hIgG1若しくはmIgG))を用いてインキュベートした。次に細胞を、細胞マーカー抗体:B.CD86-FITC;を用いてFACS分析のために染色した。蛍光の平均は、各条件において決定した。
図1C】抗CMKLR1変異体1G1、2G1、3G1及び4G1キメラ抗体のDC成熟及び分化への効果を示す図である。マウス樹状細胞を、成熟相(24時間若しくは48時間)に続いて分化相の際に賦形剤又はRvE1又は抗CMKLR1抗体変異体(配列番号8の1及び2位の変異、VH-CDR3:1G1(LL)、2G1(LI)、3G1(IL)若しくは4G1(II)に対応する又はアイソタイプ対照(hIgG1若しくはmIgG))を用いてインキュベートした。次に細胞を、細胞マーカー抗体:C.CD103-PerCPCy5.5;を用いてFACS分析のために染色した。蛍光の平均は、各条件において決定した。
図1D】抗CMKLR1変異体1G1、2G1、3G1及び4G1キメラ抗体のDC成熟及び分化への効果を示す図である。マウス樹状細胞を、成熟相(24時間若しくは48時間)に続いて分化相の際に賦形剤又はRvE1又は抗CMKLR1抗体変異体(配列番号8の1及び2位の変異、VH-CDR3:1G1(LL)、2G1(LI)、3G1(IL)若しくは4G1(II)に対応する又はアイソタイプ対照(hIgG1若しくはmIgG))を用いてインキュベートした。次に細胞を、細胞マーカー抗体:D.I/Ab-APCを用いてFACS分析のために染色した。蛍光の平均は、各条件において決定した。
図1E】抗CMKLR1変異体1G1、2G1、3G1及び4G1キメラ抗体のDC成熟及び分化への効果を示す図である。マウス樹状細胞を、成熟相(24時間若しくは48時間)に続いて分化相の際に賦形剤又はRvE1又は抗CMKLR1抗体変異体(配列番号8の1及び2位の変異、VH-CDR3:1G1(LL)、2G1(LI)、3G1(IL)若しくは4G1(II)に対応する又はアイソタイプ対照(hIgG1若しくはmIgG))を用いてインキュベートした。Eは、成熟の24時間後に各条件についてLife Technologies社からのLIVE/DEAD(登録商標)キットを使用してFACSによって測定された細胞の生存率を表す。
図1F】抗CMKLR1変異体1G1、2G1、3G1及び4G1キメラ抗体のDC成熟及び分化への効果を示す図である。マウス樹状細胞を、成熟相(24時間若しくは48時間)に続いて分化相の際に賦形剤又はRvE1又は抗CMKLR1抗体変異体(配列番号8の1及び2位の変異、VH-CDR3:1G1(LL)、2G1(LI)、3G1(IL)若しくは4G1(II)に対応する又はアイソタイプ対照(hIgG1若しくはmIgG))を用いてインキュベートした。Fは、成熟の48時間後に各条件についてLife Technologies社からのLIVE/DEAD(登録商標)キットを使用してFACSによって測定された細胞の生存率を表す。
図2A】DSSによって誘導されたマウス急性炎症性大腸炎モデルでの抗CMKLR1抗体の効果を示す図である。マウスに、DSS誘導の6日後にアイソタイプ対照hIgG1(マウス1匹あたり10μg)(x)、RvE1(マウス1匹あたり1μg)毎日(●)、又は2G1抗体(マウス1匹あたり10μg)3回(□)を5日間注射した。処置されなかった野生型マウスは、▽によって表される。A.動物体重減少。
図2B】DSSによって誘導されたマウス急性炎症性大腸炎モデルでの抗CMKLR1抗体の効果を示す図である。マウスに、DSS誘導の6日後にアイソタイプ対照hIgG1(マウス1匹あたり10μg)(x)、RvE1(マウス1匹あたり1μg)毎日(●)、又は2G1抗体(マウス1匹あたり10μg)3回(□)を5日間注射した。処置されなかった野生型マウスは、▽によって表される。B.動物便スコア。
図2C】DSSによって誘導されたマウス急性炎症性大腸炎モデルでの抗CMKLR1抗体の効果を示す図である。マウスに、DSS誘導の6日後にアイソタイプ対照hIgG1(マウス1匹あたり10μg)(x)、RvE1(マウス1匹あたり1μg)毎日(●)、又は2G1抗体(マウス1匹あたり10μg)3回(□)を5日間注射した。処置されなかった野生型マウスは、▽によって表される。C.結腸長さ。
図2D】DSSによって誘導されたマウス急性炎症性大腸炎モデルでの抗CMKLR1抗体の効果を示す図である。マウスに、DSS誘導の6日後にアイソタイプ対照hIgG1(マウス1匹あたり10μg)(x)、RvE1(マウス1匹あたり1μg)毎日(●)、又は2G1抗体(マウス1匹あたり10μg)3回(□)を5日間注射した。処置されなかった野生型マウスは、▽によって表される。D.回復指数。
図3】TNBSによって誘導されたマウス急性炎症性大腸炎モデルでの抗CMKLR1抗体の効果を示す図である。マウスは、200μLのハプテン化(haptenating)剤TNBSを50%エタノール中5%で0日目に受け、次にアイソタイプ対照hIgG1(マウス1匹あたり10μg)(x)、RvE1(マウス1匹あたり1μg)毎日(●)又は2G1抗体(マウス1匹あたり10μg)3回(□)を5日間注射された、又は未処置(野生型動物)(△)であった。マウスは、屠殺され、結腸長さが各条件において測定された。
図4】IL10 KOマウス慢性炎症性大腸炎モデルでの抗CMKLR1抗体の効果を示す図である。IL10についてのKOマウスは、自然発症炎症性大腸炎を発症する。それらを、抗CMKLR1抗体(2G1)(□)又はアイソタイプ対照(hIgG1)(x)を用いて腹腔内(25μg/注射、1週間に3回)で処置した。A.処置の際及び後の動物体重減少、B.動物便スコア。
図5】マウス1型非肥満糖尿病モデルでの抗CMKLR1抗体の効果を示す図である。マウスは、自然発症糖尿病を発症する。血糖が180から234mg/dLの間であったときに、それらを、抗CMKLR1抗体(A及びBにおいて□、Cにおいて◆)又はアイソタイプ対照抗体(A及びBにおいてx;Cにおいて□)を用いて腹腔内(intraperitoneously)、20μg/注射で1週間に3回、2週間処置した。A.生存の百分率、B.mg/dLでの血中ブドウ糖濃度の個々の表示、C.mg/dLでの血中ブドウ糖濃度のプールでの表示。
図6】マウス乾癬モデル等の自己免疫性疾患でのレゾルビンE1の効果を示す図である。6日間連続でAldara処置されたマウスに、:RvE1(1μg)(●)及びPBSを毎日、並びに0、2及び4日目にアイソタイプ対照抗体(10μg)(x)を腹腔内注射した。A.耳の厚さ及びB.皮膚の厚さは、快復まで毎日測定した。
図7A】マウス腹膜炎モデルでの抗CMKLR1抗体の効果を示す図である。抗CMKLR1の予防注射をZymosan A注射(マウス1匹あたり1mg、1mL中): RvE1(マウス1匹あたり1μg)(●)、2G1抗体(マウス1匹あたり10μg)(□)又はアイソタイプ対照抗体(x)の前に実施した。A. Zymosan A注射後の最初の50時間に計数したPMN。
図7B】マウス腹膜炎モデルでの抗CMKLR1抗体の効果を示す図である。抗CMKLR1の予防注射をZymosan A注射(マウス1匹あたり1mg、1mL中): RvE1(マウス1匹あたり1μg)(●)、2G1抗体(マウス1匹あたり10μg)(□)又はアイソタイプ対照抗体(x)の前に実施した。B. Zymosan A注射後の最初の50時間に計数したマクロファージ。
図7C】マウス腹膜炎モデルでの抗CMKLR1抗体の効果を示す図である。抗CMKLR1の予防注射をZymosan A注射(マウス1匹あたり1mg、1mL中): RvE1(マウス1匹あたり1μg)(●)、2G1抗体(マウス1匹あたり10μg)(□)又はアイソタイプ対照抗体(x)の前に実施した。C.回復指数。
図8】4T1乳房腫瘍モデルでの抗CMKLR1抗体の効果を示す図である。マウスの乳腺に、4T1細胞(25万個)を接種した。次いで抗CMKLR1抗体(2G1)(A. □ B.●)若しくは抗41BB抗体(3H3)(●)若しくは両方の抗体(△)を2回、4日目及び7日目に注射した(10μg/注射)又は対照抗体(IgG1アイソタイプ抗体クローン3G8)(x A.及びB.)を1週間に3回、3週間注射した。A.腫瘍面積は腫瘍注射の8日後に次いで2日ごとに測定した。B.腫瘍肺転移は、アイソタイプ対照及び抗CMKLR1抗体を用いて処置された動物(n=4)において生物発光画像化(BLI)によって測定した。
図9】2つの異なる結腸癌マウスモデルでの抗CMKLR1抗体の効果を示す図である。2つのマウスモデルが研究され、動物は、アイソタイプ対照抗体(3G8)(x)又は抗CMKLR1(2G1)(□)を20μg/腹腔内注射で3週間受けた。A~C.p84(A)及び2G1(B)を用いた単一処置と両方の抗体を用いた組合せ療法(C)とを比較するCT26結腸癌モデルでの結果。D:MC38結腸癌モデルでの結果。
図10】抗TNFa処置前後での、潰瘍性大腸炎(UC)又はクローン病患者生検でのCMKLR1の発現を示す図である。xは対照を表す;□はインフリキシマブ処置の前に、副腎皮質ステロイド処置及び/又は免疫抑制処置に応答する患者におけるCMKLR1発現を表す;◆は、インフリキシマブ処置の前に副腎皮質ステロイド処置及び/又は免疫抑制処置に不応答性の患者におけるCMKLR1発現を表す;Δは、インフリキシマブ処置後に、副腎皮質ステロイド処置及び/又は免疫抑制処置に応答する患者におけるCMKLR1発現を表す;△は、インフリキシマブ処置後に副腎皮質ステロイド処置及び/又は免疫抑制処置に不応答性の患者におけるCMKLR1発現を表す。A.インフリキシマブ処置の前後での潰瘍性大腸炎患者におけるCMKLR1転写物発現、B.炎症性結腸生検におけるインフリキシマブ処置前後のクローン病患者におけるCMKLR1転写物発現。
図11】抗α4β7(VDZ)処置前後のUC患者生検でのCMKLR1の発現を示す図である。A.炎症性結腸生検でのベドリズマブ処置前後での潰瘍性大腸炎患者におけるCMKLR1(CMKLR1)転写物発現を表す。Rは、VDZ処置に応答性の患者に対応し、NRは、VDZ処置に不応答性の患者に対応する。
図12】ELISAによるCMKLR1ペプチドでの抗CMKLR1抗体の結合分析を示す図である。CMKLR1 EL3ループ(配列番号18)への2G1抗体(□)の結合を、450nmでのODをELISAにより測定することによって、アイソタイプ対照抗体(3G8)(x)と比較した。
図13】FACS及びウエスタンブロットによる様々な細胞株でのCMKLR1発現の研究を示す図である。A.CMKLR1の細胞表面でのタンパク質発現は、2G1抗体を使用して様々な濃度(ng/ml)でヒトの2つの異なるT細胞株Thp1及びU937で決定した。B.CMKLR1タンパク質発現を、T細胞株(Thp1及びU937)、線維芽細胞株MRC5、NK細胞株NKL並びに陰性及び形質導入されたCHO細胞で、CMKLR1についてのウエスタンブロットにより試験した。
図14】FACSによるマウス骨髄系細胞でのCMKLR1の発現を示す図である。分化後に、マウス骨髄系細胞系列を、細胞表面でのそれらのCMKLR1発現について分析した。A.マクロファージ単球(M0)での発現。B及びC.マクロファージ(mM1及びmM2)での発現。D及びE.樹状細胞(mDC及びiDC)での発現。
図15】CMKLR1活性化の際のヒトマクロファージによる炎症性サイトカイン分泌の研究を示す図である。ヒトマクロファージM1又はM2の分化後、細胞を培地、アイソタイプ対照、抗CMKLR1抗体(H6及びBZ194)、C15ペプチド、2G1抗CMKLR1抗体又はRvE1の存在下でインキュベートした。IL10、CCL17及びIL12p40の分泌を、ELISAによって評価した。サイトカイン分泌を、BD社からのELISAキットを使用して上清中で測定する。上清を、IL10サイトカインについて1/10、CCL17サイトカインについて1/50及びIL12p40サイトカインについて1/100に希釈した。A.M2細胞によるIL10サイトカイン分泌。B.M2細胞によるCCL17サイトカイン分泌。C.M1細胞によるIL12サイトカイン分泌を表す。
図16】CMKLR1活性化の際のヒトマクロファージによる炎症性サイトカイン分泌の研究を示す図である。ヒト単球の分化後、細胞を様々なアイソタイプ対照(mlgG4; hlgG4若しくはhlgG1、2μg/ml); C7市販の抗CMKLR1抗体(2μg/ml);2G4若しくは2G1抗体(2μg/ml)、又は他の市販の抗CMKLR1抗体(H6(2μg/ml)、BZ332(2μg/ml)若しくは84939(2μg/ml)、C15ペプチド(10nM)又はRvE1(10ng/ml)の存在下でインキュベートした。A.FACSによって測定されたCD200Rマーカーの発現。B.M2細胞によるIL10サイトカイン分泌。C.M2細胞によるCCL17サイトカイン分泌。D.M1細胞によるIL12サイトカイン分泌を表す。IL10、CCL17及びIL12p40の分泌はELISAによって評価した。
図17】CMKLR1経路活性化後の骨髄系細胞活性化マーカーの研究を示す図である。賦形剤、RvE1、2G1又はアイソタイプ対照(hIgG1)とインキュベートした樹状細胞は、次にマーカー抗体:A.CD80-PE、B.CD86-FITC、C.CD103-PerCPCy5.5、D.CD40-PeCy7、E.I/Ab-APCを用いてFACS分析のために染色した。蛍光の平均を、各条件について決定した。
図18】CMKLR1経路活性化: Akt及びErkリン酸化の研究を示す図である。2G1又はRvE1を用いたマウスM1細胞の5、10及び30分間インキュベーション後のERK及びAKT活性化経路のウエスタンブロット分析。リン酸化タンパク質Akt又はErkは、P-Akt抗体又はP-Erk抗体(p44/42)を使用して評価した。A.RvE1を用いたErk及びAkt活性化。B.2G1を用いたErk及びAkt活性化。
図19】炎症促進性刺激を用いて刺激したヒト単球及びマウス骨髄(bone marrow)細胞でのCMKLR1の発現を示す図である。 LPS、TNFa又はIL6を用いた細胞の16又は48時間の刺激後、CMKLR1(ChemR23)の発現をFACSによって測定した。A.ヒト血中単球での結果、B.及びC.マウス骨髄(bone marrow)由来の骨髄系及び好中球細胞での結果。
図20】抗CMKLR1抗体を用いたケメリンCMLKR1相互作用での競合研究を示す図である。 A.2つの異なる供給者からのケメリンによるcAMPの阻害を、DiscoverX社(●)若しくはR&D System社(△)由来、又は抗CMKLR1抗体(2G1)単独との組合せ(◇)又はDiscoverX社(□)からのケメリンとの組合せ(◇)で試験した。 B.1μMから1nMの様々な濃度の抗CMKLR1抗体及びケメリン2nM(◇)又は6nM(●)の存在下でのベータアレスチン活性化。
図21】CD45RbhighT細胞移入慢性大腸炎マウスモデルにおける抗CMKLR1抗体の効果を示す図である。 処置動物の体重変動は60日まで経過観察した。動物を、アイソタイプ対照hIgG1(x)又は抗CMKLR1抗体(◆)を用いて処置した。
図22】肝細胞癌マウスモデル(HCCモデル)での抗CMKLR1抗体の効果を示す図である。抗PD1 mAb(RMP1-14クローン、8mg/kg)の4日目及び8日目での2回の注射との組合せ(△)若しくは組み合わせない(●)、又は抗PD-1抗体単独(Δ)の(1週間に2回)注射を伴う、1週間に3回、2週間の抗CMKLR1抗体(2G1、0.8mg/kg) i.p.投与の抗腫瘍効果。マウスを、マウス肝細胞がんの直交異方性モデル(orthotropic model)で2週間処置した(0日目に門脈を通じて注射された2.5×106のHepa 1.6細胞)。アイソタイプ対照抗体を、0.8mg/kgで1週間に3回、2週間使用した。マウス応答は、マウスが処置停止後数日から1カ月生存する場合に部分的(PR)と見なされ、又はマウスが1カ月間を超えて生存できた、若しくは、全ての対照マウスが死ぬまでに必要な期間の3倍より長く生存して治癒した場合に完全(CR)と見なされた。
【実施例0181】
抗CMKLR1抗体の産生及び選択
様々なCDR配列をそれらの重鎖及び軽鎖可変ドメイン内に有する幾つかの抗体を合成した。別個の抗体を、樹状細胞の成熟及び分化を炎症促進経路又は抗炎症経路に誘導するそれらの能力について試験した。多様な結果を考慮して、本発明者らは、得られた重鎖及び軽鎖可変ドメインのアミノ酸配列を比較し、HCDR3におけるアミノ酸差異が前記実験結果に重要である可能性を決定した。彼らは、回復相における前記状況に少なくとも影響を与える炎症状況の回復におけるその特性を評価するために抗体2G1(配列番号10及び配列番号17)を選択した。
【0182】
図1に示すとおり、2G1を用いて処置したCD103及びIAbを発現しているDCの検出レベルがC7抗体を用いて処置したDC細胞より低かったことから、2G1及び1G1(別の合成抗体)抗体は、他の合成抗体(3G1及び4G1)が細胞を炎症促進経路に向けるよりもより強い様式でDC活性化及び/又は成熟を阻害することができた(このアッセイにおいて使用された方法は、実施例の項目10.2に記載されている)。図1E及び図1Fに示すとおり、細胞の生存率は、C7、又はレゾルビンE1を含む他の抗体を用いて処置した細胞と比較して、1G1又は2G1抗体を用いた処置後に増強される。
【0183】
2G1を、コンピューターCDR移植法を使用してヒト化した。ヒト化の方法は当技術分野において周知である。CDR及びFR領域から、並びに可変重鎖及び軽鎖から生じたヒト化配列を以下の表に記載する。
【0184】
【表1】
【0185】
【表2】
【0186】
【表3】
【0187】
【表4】
【0188】
【表5】
【0189】
【表6】
【0190】
自己免疫性及び炎症疾患の前臨床モデルでの抗CMKLR1抗体処置の治療有効性の例
(実施例1)
DSSによる大腸炎の誘導
大腸炎を8~10週齢C57Bl/6雄マウスにおいて、2%(質量/体積)のDSSを滅菌飲用料自由摂取水に6日間加えることによって誘導した。処置は、腹腔内に注射した:アイソタイプ対照hIgG1(マウス1匹あたり10μg)、RvE1(マウス1匹あたり1μg)毎日、又は2G1抗体(マウス1匹あたり10μg)5日間に3回。体重及び便スコア(0:正常便;4:便中に血液)パラメーターからなる大腸炎経過観察を毎日実施した。マウスが安楽死された場合、病態重症度を表す結腸長さを測定した。回復指数をBannenbergら、2005年に記載の様々な条件において決定した。
【0191】
結果:図2に示すDSS動物モデルは、急性炎症モデルである。図1は、対照抗体又はレゾルビンRvE1を受けている動物の状態より、抗CMKLR1抗体を用いて処置した動物のより良好な全体的状態を示している。抗CMKLR1処置マウスは、顕著に体重減少が少なく(図2A)、便スコア(図2B)は顕著により良好であった。結腸長さ及び回復指数に関して(図2C及び図2D)、抗CMKLR1又はRvE1を受けている動物は、同様の結果を表した。
【0192】
(実施例2)
TNBSによる大腸炎の誘導
大腸炎を8~10週齢C57Bl/6雄マウスにおいて、50%エタノール中の5%のハプテン化剤TNBS 200μLを0日目に直腸内注射することよって誘導した。処置は、腹腔内に注射した; RvE1(マウス1匹あたり1μg)3日間毎日、又は2G1抗体(マウス1匹あたり10μg)3日間に2回。体重及び便スコア(0:正常便;4:便中に血液)パラメーターからなる大腸炎経過観察を毎日実施した(データ未提示)。マウスを安楽死させる場合、病態重症度を表す結腸長さを測定した。
【0193】
結果:TNBSによって誘導された大腸炎は、急性炎症の別のモデルである。図3は、抗CMKLR1又はRvE1を用いて処置した動物が、正常動物(wt)と同じ結腸長さを有することを示している。しかし、アイソタイプ対照を用いて処置したものは、短い結腸長さを呈した。これらの結果は、急性炎症マウスモデルにRvE1と同様に作用する抗CMKLR1抗体の治療用可能性を確認した。
【0194】
(実施例3)
IL 10-KOモデル-自然発症大腸炎モデル
IL-10KOマウスは、主に腸におけるIL10分泌を通じた制御T細胞機能の欠如によって自然発症大腸炎を20週齢から発症する。IL-10KOマウスを18週齢から1週間に3回、それらの体重減少及び、この病態の臨床的特徴である便の固さについて経過観察した。抗CMKLR1抗体(2G1)又はアイソタイプ対照(hIgG1)を体重減少が5%を超え、便スコアが2週間、1に等しい又は超えた場合に、腹腔内注射した(25μg/注射、1週間に3回)。
【0195】
結果:慢性炎症モデルを抗CMKLR1抗体処置の有効性を研究するために使用した。図4は、動物をアイソタイプ対照又は抗CMKLR1抗体を用いて処置した場合の体重減少の百分率(図4A)及び便スコア(図4B)の分析を示している。結果は、抗CMKLR1抗体を用いて処置した場合に動物は体重減少がより少なく、アイソタイプ対照を受けたものより良好な便スコアを有したことを示している。したがって抗CMKLR1抗体は、慢性炎症疾患について治療可能性を示したと考えられる。
【0196】
(実施例4)
1型糖尿病の前臨床モデル:マウスNODモデル
8週齢NOD雌マウスをCharles River laboratory社から得た。これらのマウスは、12から20週の間の週齢で自然発症1型糖尿病を発症する。糖尿病の開始は、高い血糖によって測定されうる。血糖が180から234mg/dLの間であった場合に、抗CMKLR1及びアイソタイプ対照を2週間、1週間に3回20μg/注射で腹腔内に与えた。血糖が不可逆糖尿病に対応する600mg/dLを超えた場合、マウスを安楽死させた。
【0197】
結果:この1型糖尿病モデルは、マウス自己免疫性疾患モデルとも見なされる。図5A図5Cに示す結果は、抗CMKLR1抗体を用いて処置した動物がより良好な生存百分率及び、血中ブドウ糖濃度の測定によって示されるとおりほぼ正常な血糖を表したことを示している。この快復は、経時的に安定であると考えられ、以前病気であった動物の完全な快復の可能性を示している。抗CMKLR1抗体は、グルコースに対する耐性状態を回復させた。
【0198】
(実施例5)
イミキモド誘導乾癬様皮膚炎
マウスにおいて乾癬を誘導することが公知であるAldara(登録商標)クリームを、雄C57Bl/6マウス(8~10週齢)に使用した。マウスは、Aldaraの1日の局所用量を、剪毛した背中及び左耳に連続6日間受けた。処置を腹腔内注射した:RvE1(マウス1匹あたり1μg)及びPBSを毎日。耳(図6A)及び背中(図6B)の厚みを、快復まで毎日測定した。
【0199】
結果:レゾルビンRvE1を用いて処置した動物は、対照分子を用いて処置した動物と比較して耳及び皮膚の厚みが薄かった。これらの結果は、乾癬マウスモデル、自己免疫性疾患の例へのアゴニスト抗CMKLR1抗体療法についての適用可能性を示唆している。
【0200】
(実施例6)
敗血症の前臨床モデル:マウス腹膜炎モデルでの抗CMKLR1抗体の治療有効性
一般的な腹膜炎をZymosan A(登録商標)の腹腔内注射(マウス1匹あたり1mg、1mL中)によって誘導する。抗CMKLR1の予防的注射をZymosan A注射の5分前に実施した: RvE1(マウス1匹あたり1μg)、2G1抗体(マウス1匹あたり10μg)。マウス腹膜多形核好中球(PMN)及びマクロファージをZymosan A注射後2-4-8-16-24及び48時間で回収し、回復指数を決定するためにフローサイトメトリー分析によって計数した(Bannenbergら、2005年)。
【0201】
結果:図7にPMN(7A)及びマクロファージ(7B)数について、並びに回復指数(7C)について示した結果は、RvE1又は抗CMKLR1抗体を用いて処置した動物は、同一の結果及びわずかにより少ないPMN及びマクロファージ細胞をアイソタイプ対照と比較してより良好な回復指数と共に表すことを示した。敗血症では、わずかな差異でさえ療法のために重要である場合がある。このため、これらの結果は、敗血症における抗CMKLR1抗体の適用可能性について非常に有益である。
【0202】
(実施例7)
がんの前臨床モデルでの抗CMKLR1抗体処置の治療有効性:
(実施例7.1)
同所性乳癌モデルにおける原発腫瘍の増殖及びその肺転移発症への抗CMKLR1抗体の効果
マウスを3%のイソフルランを用いて麻酔した。マウスの腹部を剪毛し、4T1細胞(25万個)を50μLのPBS中でインスリン用シリンジ(30ゲージ)を用いて乳腺に注射した。抗CMKLR1抗体(2G1)若しくは抗41BB抗体(3H3)又は両方の抗体を4日目及び7日目の2回注射した(10μg/注射);対照抗体を1週間に3回、3週間、PBS中で腹腔内に注射した(100μg/注射)。乳癌発症に続く肺転移を測定するための第2の研究では、動物を、抗CMKLR1抗体を0.8mg/kgで又は対照抗体を用いて(100μg/注射)1週間に3回、3週間処置した。
【0203】
結果:図8Aに示すとおり、単一の化合物(2G1又は3H3)によって処置した動物は、アイソタイプ対照抗体を受けた動物と比較して腫瘍増殖においていかなる改善も示さなかった。しかし、抗CMKLR1抗体と抗41BB抗体との組合せを用いて処置した動物は、乳癌モデルにおいて腫瘍の増殖に有意な(p<0.01)低減を示す。乳癌のこのモデルがかなり攻撃的なモデルであることから、結果は、明確であると考えられる。生物発光画像化によって肺転移への抗CMKLR1化合物の効果を例証する図8Bに示すとおり、抗CMKLR1処置が対照抗体を用いて処置した動物と比較して肺転移を低減すると考えられる。リンパ節転移の分析は、抗CMKLR1化合物を用いて処置した動物で転移を有したものが無かった一方で、対照では2匹の動物が転移(データ未記載)を有したことを示している。これらの結果は、RvE1を模倣するアゴニスト活性を有する抗CMLKR1抗体が転移抑制効果を有することを示している。このモデルでは、本発明の抗体は、原発腫瘍発症にはいかなる顕著な有効性も示さない。しかし、結果は、動物が抗CMKLR1と抗41BB抗体との組合せで処置される場合に改善を示している。
【0204】
(実施例7.2)
結腸癌モデルでの腫瘍増殖における治療効果
8週齢C57bl/6J雄マウスを3%のイソフルランを用いて麻酔した。マウスの側腹部を剪毛し、MC38細胞(マウス1匹あたり細胞0.5×106個)細胞株を50μLのPBS中でインスリン用シリンジ(30ゲージ)を用いて皮下注射した。8週齢Balb/c雄マウスを3%のイソフルランを用いて麻酔した別のモデルを使用した。マウスの側腹部を剪毛し、CT26細胞(マウス1匹あたり細胞1×106個)を50μLのPBS中でインスリン用シリンジ(30ゲージ)を用いて皮下注射した。
【0205】
アゴニスト抗CMKLR1抗体(2G1)又は抗SIRPa抗体(p84抗マウスSIRPa、Merck Millipore社から)(SIRPaは新規チェックポイント阻害剤である)を、1週間に1回(20μg/注射)、腫瘍接種の4日後に開始して3週間、単独又は組合せで腹腔内注射した。
【0206】
結果:図9A図9Cに示すとおり、CT26癌腫モデルでは、抗CMKLR1抗体それ自体(図9B)は、対照群と比較して腫瘍発達に臨床効果を実証せず、抗SIRPa単独でも実証しなかった(図9A)。しかし、驚くべきことに、両方の化合物の組合せは適時の腫瘍増殖の阻害を可能にした(図9C)。図9Dに示す別のマウス結腸癌モデルでは、抗CMKLR1は、アイソタイプ対照と比較して腫瘍増殖の阻害に有効性を示した。合わせて、2つの異なる結腸癌モデルについてのこれらの結果は、アゴニスト抗CMKLR1抗体それ自体で、又は別の治療剤との組合せで腫瘍発達を予防できることを示している。
【0207】
(実施例8)
抗TNFa又は抗α4β7抗体療法を用いて処置したUC又はCDヒト患者生検でのCMKLR1発現のメタ分析
炎症性腸疾患(IBD)の2つの主な形態、クローン病(CD)及び潰瘍性大腸炎(UC)において慢性胃腸管炎症を持続させるシグナル伝達ネットワークは、ヒトにおいて不明確なままである。IBDを有する500名近くの患者及び100名の対照の分析により、本発明者らは、免疫抑制性/副腎皮質ステロイド及び抗TNFα(インフリキシマブ)又は抗α4β7インテグリン(ベドリズマブ)療法等の免疫療法に応答しなかった重度IBD患者の炎症性結腸組織に、CMKLR1転写物が蓄積していることをここに報告する。
【0208】
本発明者らは、副腎皮質ステロイド及び/又は免疫抑制に抵抗性の患者において、抗TNF処置(1週間以内)前に結腸粘膜生検が実施されたUC患者の3個のコホート(GSE16879(Arijsら、2009a)及びGSE12251(Arijsら、2009b)及びGSE73661の公的に利用可能な転写データセットのメタ分析を実施することによって粘膜CMKLR1転写物発現を最初に分析した。これら3個のコホートでは、抗TNF応答をそれらの最初の抗TNF注入の4~6週間後に分析した組織学的治癒として定義した(合わせて:n=18非IBD対照、n=41 UC不応者及びn=28 UC応答者)。
【0209】
結果:分析は、CMKLR1転写物発現が、非IBD対照又は抗TNF前にUCを有し、抗TNF療法に応答するであろう患者と比較して抗TNF療法を用いた処置の前後で、原発性UC不応患者の結腸生検において顕著に増加していることを示している(図10A)。粘膜CMKLR1発現は、非IBD対照又は今後の応答者(future responder)と比較して抗TNFに応答しない患者において抗TNF療法の前後でクローン病患者の結腸又は回腸生検においても顕著に増加している(n=24 非IBD対照、n=17 CD不応者及びn=20 CD応答者;GSE16879(Arijsら、2009a))(図10B)。最終的に、抗α4β7(ベドリズマブ)療法を用いて処置したUC患者のコホート(GSE7366146)での結腸粘膜遺伝子発現分析は、CMKLR1発現もベドリズマブを用いた処置の前後で不応者において顕著に増加していることも確認した(図11)。
【0210】
合わせて、メタ分析は、CMKLR1がIBD患者、特に現在の免疫抑制又は免疫療法に応答しない患者の炎症組織において、処置の開始前でさえ、過発現されていることを示している。本発明者らのメタ分析は、処置抵抗性であるUC又はCD患者からの結腸、又はCDについては、むしろ回腸におけるCMKLR1発現が、対照的に、本発明の抗体等のアゴニスト抗CMKLR1抗体処置に応答性であるとして、これらの患者を認定できる証拠を提供する。
【0211】
(実施例9)
CMKLR1発現及び抗体結合研究
- ELISA結合CMKLR1(図12)
CMKLR1ペプチド(273NH2-PYHTLNLLELHHTAMPGSVFSLGLPLATALAIA-COOH305)(配列番号18)(5μg/ml)を、ホウ酸緩衝液中で一晩コートした。サチュレーションをPBS-Tween 0.1%-ゼラチン0.25%を用いて2時間、37℃で実施した。次いで、2G1又はhIgG1抗体を様々な濃度で2時間、37℃で加えた。次いでペルオキシダーゼコンジュゲート二次抗体(0.8μg/ml)を1時間、37℃で加え、TMB基質によって明らかにした。比色反応を、TECANを用いて読み取った。
【0212】
- FACSによるCMKLR1発現(図13A)
細胞をPBS-FBS-EDTA中に再懸濁し、Fc block(1/50)を用いて30分間、氷上でインキュベートした。単球、マクロファージ及び樹状細胞についての染色を、A488標識2G1(5μg)又はA488標識hIgG1(5μg)を使用して実施した。
【0213】
- ウエスタンブロット分析CMKLR1(図13B)
既に記載のタンパク質移動及び移行後、2G1抗体(10μg/膜)を一晩、4℃でインキュベートし、ペルオキシダーゼコンジュゲート二次抗体(1:2000)を用いて明らかにした。次いでCMKLR1発現を、化学発光及び画像リーダーを使用することによって検出した。ウエスタンブロット画像を、マルチゲージソフトウェアによって定量した。
【0214】
結果:図12に例証する結果は、抗CMKLR1抗体クローン2G1が、CMKLR1のループEL3を形成するポリペプチドに結合できることを確認している。FACS及びウエスタンブロットによって2G1抗体を使用して評価した様々な細胞株でのCMKLR1の発現は、ヒト腫瘍T細胞株Trp1及びU937が、形質導入されたCMKLR1 CHO細胞及びヒト肺線維芽細胞株MRC5及びヒトNK細胞株NKLと同様にCMKLR1を発現することを示している(図13)。
【0215】
(実施例10)
骨髄系細胞系列でのCMKLR1発現の研究
(実施例10.1.)
ヒト単球分化及び極性化
単球を健常者のバフィーコートのPBMCから回収し、磁気分離によって又は水簸によって単離した。次いで、分化した非極性化マクロファージ又は極性化マクロファージを生成するために、様々なサイトカインカクテルを用いて単球を培養した。このプロトコールは、異なるウエル中に炎症促進性(M1)又は抗炎症性(M2)マクロファージを有するように極性化し、分化したマクロファージを生成することを可能にした。単球を、細胞0.5×106個/mLで完全RPMI(10% FBS、1%グルタミン、1%抗生物質を含むRPMI)中でプレートに蒔き、24ウエルプレートに1ウエルあたり500μLの細胞懸濁物をプレートに蒔いた。100ng/mLのM-CSFを細胞の分化のために培地に加えた。細胞を5日間インキュベートし、培地を100ng/mLのM-CSFを補充した新鮮培地に3日目に交換した。極性化相のために、100ng/mLのLPS及び20ng/mLのIFNgでのLPS-IFNgの溶液に、アイソタイプ対照(mIgG1若しくはhIgG4)(2μg/ml)又は抗CMKLR1抗体(2μg/ml)(2G1若しくは2G4、H6、BZ332若しくは84939)或いはC15ペプチド(10nM)又はRvE1(10ng/ml)を3日間、M1マクロファージを生成するために補充した。M1-IFNgマクロファージは、培養培地中にIFNg(20ng/mL)だけを加えることによっても生成され得た。M2極性化のために、細胞を、IL4を20ng/mLで用いてインキュベートした。分化及び/又は極性化に続いて、表現型及び機能性サイトカイン/ケモカイン放出をFACS分析、ELISA及びウエスタンブロットによって研究した。
【0216】
(実施例10.2.)
マウスマクロファージ及びDC単離及び分化
- マウス骨髄(bone marrow)由来マクロファージの単離
骨髄(bone marrow)細胞を採取し、10% FBS、グルタミン及び抗生物質を補充し、マクロファージコロニー刺激因子(M-CSF)を100ng/mLで含有したRPMI培地で5日間、マクロファージ分化を誘導するように培養した。マクロファージを採取し、IFNg(20ng/ml)及びLPS(100ng/ml)のいずれかを用いてM1極性化を誘導するように、又はIL4(20ng/ml)を用いて、M2極性化を誘導するように、2日間培養した。処置は、マクロファージ極性化の際に2μg/mlで加えた。
【0217】
- 骨髄(bone marrow)由来樹状細胞生成
骨髄(bone marrow)細胞を採取し、10% FBS、グルタミン及び抗生物質を補充したRPMI培地において培養し、樹状細胞分化をGM-CSF、20ng/ml、7日間で誘導した。次いで、未成熟樹状細胞(iDC)を回収し、24時間、LPS(100ng/ml)を用いてiDCからmDCへの成熟を誘導するように培養した。処置は、分化及び成熟の際に2μg/mlで加えた。
【0218】
上に説明のとおりマウスM1又はM2の分化後、細胞を培地、アイソタイプ対照、抗CMKLR1抗体の存在下でインキュベートした:クローンH6及びBZ194、C15ペプチド、2G1目的の抗CMKLR1抗体又はRvE1を使用した。次いでIL10、CCL17及びIL12p40の分泌をELISAによって評価した。サイトカイン分泌を、BD社からのELISAキットを使用して上清において測定した。上清はIL10サイトカインについて1/10、CCL17サイトカインについて1/50及びIL12p40サイトカインについて1/100に希釈した。
【0219】
- ELISAサイトカイン分泌研究
サイトカイン分泌を、BD社の製造者説明書に従ってELISAによって検出した。簡潔には、上清を適切な緩衝液に希釈し、捕捉抗体を用いた一晩のコーティング及びサチュレーション後に2時間、インキュベートした。次いでサイトカインを、検出ビオチン結合抗体を用いて明らかにし、シグナルをビオチンストレプトアビジン共役ペルオキシダーゼシステムを用いて増幅した。BD Bioscience社によって供給されたTMBを基質として使用し、比色反応を、TECANを用いて読み取った。
【0220】
- FACSによって分析した活性化細胞マーカー
樹状細胞をPBS-FBS-EDTAに再懸濁し、リブアンドデッド(LIVE/DEAD(登録商標)Fixable Dead Cell Stains Yellow-Life Technologies社)と共に30分間、氷上でインキュベートした。CD11c-BV711、CD11b-APCCy7、I/Ab-APC、CD103-PerCPCy5.5、CCR7-V450、CD40-PeCy7、CD80-PE、CD86-FITC(全てBD Pharmingen社によって供給された)の染色を実施した。
【0221】
- ウエスタンブロット分析ERK/Akt
マウス炎症促進性マクロファージ(M1)をM-CSFを用いて骨髄(bone marrow)から生成し、IFNガンマ(IFNg)及びLPSを用いて極性化した。簡潔には、骨髄(bone marrow)細胞を、大腿骨をフラッシングすることによって回収し、100ng/mLのmM-CSFを用いて5日間培養し、次いで20ng/mLのIFNg及び100ng/mLのLPSを、24時間用いて極性化した。次いでそれらをRPMI FBS 2%培地を用いて、FBSを24時間枯渇させた。最後に、マウスM1を2μg/mLの2G1抗体を用いて様々な時間:5、10及び30分間処置した。細胞をRIPA緩衝液に回収した。タンパク質濃度を、BCAタンパク質キットアッセイによって測定した。タンパク質を95℃、5分間加熱することによって変性させ、DTT及びレムリ溶液中に希釈した。移動及び移行後、ニトロセルロース膜をTBS-T中の5% BSAを用いて2時間ブロックした。抗リン酸化ERK抗体及び抗リン酸化Akt抗体(1:1000)を膜と共に、一晩、4℃でインキュベートし、ペルオキシダーゼコンジュゲート二次抗体(1:2000)を用いて明らかにした。ウエスタンブロット画像をマルチゲージソフトウェアによって定量した。
【0222】
(実施例10.3)
ヒト血中単球及びマウス骨髄(bone marrow)の骨髄系及び好中球細胞での炎症性刺激後のCMLKR1発現
ヒト単球を健常者のバフィーコートのPBMCから回収し、磁気分離によって又は、水簸によって単離した。次いで単球(CD14陽性細胞)を培地で培養し、様々な炎症促進性刺激を用いて、16時間又は48時間処置した:LPS(100ng/ml)又はTNFa(10.000U/ml)又はIL6(20ng/ml)。
【0223】
マウス単球(CD11b+ Ly6G- SSClow)及び好中球(CD11b+ Ly6G-SSClow)を10%FBS、グルタミン及び抗生物質を補充したRPMI培地に採取し、培養した骨髄(bone marrow)細胞から得た。次いで細胞を培地で培養し、様々な炎症促進性刺激を用いて、16時間又は48時間処置した:LPS(100ng/ml)又はTNFa(10.000U/ml)又はIL6(20ng/ml)。
【0224】
CMLKR1の発現を、市販の抗CMKLR1抗体(ヒト抗ChemR23:クローン84939 及びマウス抗ChemR23 :クローン477806)を使用してFACSによって測定した。
【0225】
結果:図14に例証するマウス骨髄系細胞系列におけるCMKLR1の発現の分析は、単球並びに1及び2型からのマクロファージ並びに樹状細胞でのタンパク質の良好な発現を明らかにした。図19に、ヒト単球及びマウス骨髄(bone marrow)骨髄系及び好中球細胞でのCMKLR1の発現を例証する。この発現は、LPS、TNFa又はIL6等の炎症刺激によって明らかに増加し(48時間後に対照と比較して少なくとも2倍)、骨髄系細胞系列でのCMKLR1発現及び炎症の際の過剰発現が、炎症を下方制御する及び/又は回復誘導するための治療アプローチを表しうることを確認している。図15に例証されるマウスM1又はM2マクロファージによって分泌される炎症性サイトカインの研究は、2G1クローン、抗CMKLR1抗体だけが、M2型マクロファージによる抗炎症性サイトカインIL10及びCCL17を誘導し(図15A及び図15B)、M1型マクロファージからの炎症促進性サイトカインを減少させる(図15C)ことを明らかにした。結果は、RvE1を用いて又はケメリンのC末端部分由来のC15ペプチドを用いて(Cashら、2008年)又は更に他の市販の抗CMKLR1抗体を用いて処置した細胞について異なっており、抗炎症化合物としての2G1抗体の非常に興味深い特徴を示している。次いで本発明者らは、ドナーから得て、様々な化合物とインキュベートしたヒト骨髄系細胞におけるサイトカイン発現を研究した。図16に示す結果は、2G4が対照及び市販のCMKLR1抗体C7と比較して、細胞のM2極性化を誘導することを示しており、マウス細胞において得られた結果を確認している。2G1抗体だけがM2型マクロファージによる抗炎症性サイトカインIL10及びCCL17を誘導することができ(図16A及び図16B)、M1型マクロファージによるIL12p40サイトカインの分泌を減少させることができた(図16C)。最後に、DC活性化マーカーをFACSによって分析し、図17に例証する結果は、賦形剤又はアイソタイプ対照と比較して、細胞をRvE1脂質を用いて、又は2G1抗体を用いて処置した場合に、CD80、CD86、CD103、CD40及びIAbの発現の急な減少を示している。これらの結果は、2G1抗体がRVE1と同様にDCのCMKLR1経路において活性であることを示している。本発明者らは、マウスマクロファージでのCMKLR1活性化経路をウエスタンブロットによって分析した。図18は、抗CMKLR1抗体2G1が、10から30分間のインキュベーション後にAkt及びErkタンパク質の両方の活性化を誘導できたことを示している。これらの結果は、RvE1脂質が行うのと同様にCMKLR1受容体に対して、2G1抗体がアゴニスト特性を示すことができることを示している。(実施例11)抗CMKLR1抗体を用いたケメリン誘導CMKLR1活性化での競合研究
【0226】
方法
抗CMKLR1抗体の存在下でのCMKLR1受容体によるケメリン依存性Bアレスチン補充を測定するための競合アッセイ:
アッセイの前日に、CHO-K1 CMKLR1細胞(Discover’X社ref 93-0313E2)を予め温めた細胞試薬中でプレートに蒔き、次いで96ウエルプレートに細胞(Discover’X社ref 15-103)を100μl/ウエルで蒔き、48時間、37℃で、5% CO2加湿したインキュベーターでインキュベートした。抗CMLKR1抗体を希釈し(22倍、1μMから1nMへの3倍希釈の7点系列)、細胞を30分間、37℃で抗体と共にインキュベートした。次いで細胞を供給者のプロトコール(Discover’x社ref 92-1036)に従って、ケメリン(2又は6nM)を用いて90分間、37℃で刺激した。細胞への作業検出溶液(Working Detection Solution)の添加後に、発光をプレートリーダーを0.5秒間積分で用いて測定した。
【0227】
CMKLR1受容体による、AMPcの産生における抗CMKLR1抗体とケメリンとの競合の測定:
実験の前日に、CHO-K1 CMKLR1 Gi細胞(Discover’X社ref 95-0080C2)を予め温めた細胞試薬中でプレートに蒔き、次いで96ウエルプレートに細胞(Discover’X社ref 15-103)を100μl/ウエルで蒔き、24時間、37℃で、5% CO2加湿したインキュベーターにおいて24時間インキュベートした。
ケメリンアゴニスト(6倍、10-7μMから10-10Mへの3倍希釈の7点系列)(Discover’x社ref 92-1036又は2324-CM-025、R&D Systems社から)とフォルスコリン(40μM)(cAMP活性化因子)(Discover’x社ref 92-0005)との混合物を、細胞に30分間、37℃で加えた;又は細胞を30分間、37℃で抗CMKLR1抗体(系列希釈:6倍、1μMから1nMへの3倍希釈の7点系列)とプレインキュベートした。次いでケメリン(2nM)+フォルスコリン(60nM)の混合物を細胞に30分間、37℃で加えた。cAMP検出のために、抗体試薬及びcAMP作業検出溶液をプレートに1時間、室温で加え、次にcAMP溶液Aを加え、細胞を3時間、室温、暗所でインキュベートした。生物発光を、プレートリーダーを用いて0.5秒積分で読み取った。
【0228】
結果:本発明の抗体が、ケメリン誘導CMKLR1活性化のアンタゴニストであるかどうかを試験するために、2つのアッセイを実施した。結果を図20に示す。フォルスコリン依存性cAMP産生のケメリン誘導阻害を図20Aに示す(黒丸又は白四角);本発明の抗CMLKR1抗体は、対照(灰色ひし形)と比較して、産生のこの阻害を戻すことができなかった(黒丸又は白四角)。図20Bに示すベータアレスチンのケメリン誘導活性化は、本発明の抗CMKLR1抗体がベータアレスチンのケメリン依存性活性化を顕著に変更しなかったことを示している(黒ひし形と比較する白丸)。本発明の抗体は、CMLKR1ケメリン相互作用のアンタゴニスト活性を有さない。更に、本発明の抗体は、ケメリン誘導CMKLR1シグナル伝達経路を誘導することができず、これらの抗体がCMLKR1経路のケメリンのアゴニストではないことを確認している。
【0229】
(実施例12)
CD45RbhighT細胞移入慢性大腸炎マウスモデル
方法: CD45RbhighCD4 T細胞を未処置マウスの脾臓から単離し、磁気選別によってCD4 T細胞の陰性選択後にARIA FACSで選別し、次いで、100μLのPBS中細胞0.5×106個で、6週齢雌Rag1ノックアウトマウスに腹腔内注射した。抗CMKLR1抗体(2G1)又はアイソタイプ対照をCD45RbhighCD4 T細胞移入の32日後から3週間、1週間に3回、1mg/kgで投与した。体重の経過観察を1週間に3回評価し、体重変動を初期体重に対して決定した。*p<0.05、**p<0.01。
【0230】
結果:図21は、抗CMLKR1抗体又はアイソタイプ対照を用いて処置した動物の、抗体投与後の経時的な体重変動の百分率を表している。両群は、処置後の最初の30日間について同じ初期体重展開を示し、35日目から異なり始めた。抗CMKLR1を用いて処置したマウスは、体重が増加し続けた一方で、これに対して対照マウスは、体重が減少し始め、この対照群において予測されたとおり慢性大腸炎の発症を示している。本発明者らは、大腸炎の第3のモデル、炎症の慢性モデルにおいて、本発明の抗CMKLR1抗体が、大腸炎等の慢性炎症性及び自己免疫疾患を処置するために興味深いものになりうることを確認している。
【0231】
(実施例13)
マウス肝細胞癌腫瘍モデルの全生存期間への抗腫瘍効果
方法:マウスをキシラジン/ケタミンのカクテルを用いて麻酔した。開腹手術後、腫瘍Hepa 1.6細胞をPBS中で門脈静脈を通じてPBS中で注射した(細胞2.5×106個/100μL)。処置は、腫瘍注射の4日後に開始した。抗CMKLR1抗体(2G1クローン)及びhIgG1アイソタイプ対照を0.8mg/kgで1週間に3回、2週間注射した。抗PD1モノクローナル抗体を1週間に2回、2週間、腹腔内にPBS中で注射した(8mg/kg)。抗CMKLR1と抗PD1抗体との組合せを同様に試験した(それぞれ0.8mg/kg及び8mg/kg)。全生存期間を60日間経過観察し、各条件での生存の百分率を図22に報告した。
【0232】
結果:図22に示すとおり、抗CMKLR1又は抗PD1抗体を用いて処置した動物は、処置した動物7匹の1匹だけで生存率の延長が見られ(処置動物の15%)、部分応答(PR)を示している。しかし、抗PD1と抗CMKLR1抗体との組合せを用いて処置した動物は、動物が処置後60日間生存して、生存率の顕著な増加(15%から45%に)を可能にし、完全寛解(CR)を示している。この結果は、HCC腫瘍モデルでの治療用組合せ(抗PD1/抗CMKLR1抗体)の予想外の有効性を示している。
図1AB
図1CDEF
図2AB
図2CD
図3
図4
図5
図6
図7A
図7BC
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
【配列表】
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【外国語明細書】