(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024105664
(43)【公開日】2024-08-06
(54)【発明の名称】長尺リニア永久磁石モータのための位置センサ
(51)【国際特許分類】
H02P 25/064 20160101AFI20240730BHJP
【FI】
H02P25/064
【審査請求】有
【請求項の数】22
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024082528
(22)【出願日】2024-05-21
(62)【分割の表示】P 2021543421の分割
【原出願日】2020-01-27
(31)【優先権主張番号】2022467
(32)【優先日】2019-01-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(71)【出願人】
【識別番号】521460608
【氏名又は名称】プロドライヴ・テクノロジーズ・イノヴェーション・サービシーズ・ベーフェー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】バート・ルド・ヨーゼフ・ギーセン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】より信頼性が高く且つ単純であり、これにより費用効果が高く、リニアモータの性能に影響を及ぼさないリニア永久磁石モータの位置決め性能を提供する。
【解決手段】本発明では、可動子が、運動方向に沿って移動するように配置されている。位置検出装置が、永久磁石のアレイの磁場を感知するように動作可能とされる検知素子を備えており、検知素子が、固定子ユニットに固定されている。永久磁石のアレイが、永久磁石のアレイ及び少なくとも1つのコイルによって生成される電磁場が相互に作用することによってトラクションを発生させるように構成されている空隙によって、固定子ユニットから離隔して配置されている。検知素子が、永久磁石のアレイが検知素子に対応して配置されている場合に、検知素子が永久磁石のアレイの漏洩磁場の内部に位置するように配置されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのコイル(14)を具備する固定子ユニット(11)と、
永久磁石(131)のアレイを具備する可動子(12)であって、前記可動子(12)が、運動方向(101)に沿って移動するように配置されており、前記永久磁石(131)のアレイが、前記永久磁石(131)のアレイ及び少なくとも1つの前記コイル(14)によって生成される電磁場が相互に作用することによってトラクションを発生させるように構成されている空隙(18)によって、固定子ユニット(11)から離隔して配置されている、前記可動子(12)と、
前記固定子ユニット(11)に対する前記可動子(12)の位置を決定するように動作可能とされる位置検出装置(16)と、
を備えているリニア永久磁石モータ(10)において、
前記位置検出装置(16)が、前記永久磁石(131)のアレイの磁場を感知するように動作可能とされる検知素子(161)を備えており、前記検知素子が、前記固定子ユニット(11)に固定されており、
前記検知素子(161)が、前記永久磁石のアレイが前記検知素子に対応して配置されている場合に、前記検知素子が前記永久磁石(131)のアレイの漏洩磁場(134)の内部に位置するように配置されており、
前記リニア永久磁石モータが、前記検知素子(161)の出力を読み取るように動作可能とされる制御ユニット(15)をさらに備えており、
前記制御ユニットが、少なくとも1つの前記コイル(14)を流れる駆動電流の測定値に基づいて、少なくとも1つの前記コイル(14)の磁場に対する前記検知素子(161)の出力を補償するように動作可能とされることを特徴とするリニア永久磁石モータ。
【請求項2】
前記空隙(18)が、前記永久磁石(131)のアレイと少なくとも1つの前記コイル(14)との間に挿置されていることを特徴とする請求項1に記載のリニア永久磁石モータ。
【請求項3】
前記永久磁石(131)のアレイが、前記空隙(18)に対して露呈された表面(133)を有しており、前記表面(133)が、平坦であり、且つ、前記運動方向(101)に対して平行とされ、前記空隙が、前記表面(133)に対して平行とされる正中面(181)を有していることを特徴とする請求項1又は2に記載のリニア永久磁石モータ。
【請求項4】
前記検知素子(161)が、正中面(181)に対する検知素子の直交投影が、前記運動方向(101)に沿って移動している場合における前記正中面(181)に対する前記永久磁石(131)のアレイの直交投影によって形成された帯(132)の外部に位置するように配置されることを特徴とする請求項3に記載のリニア永久磁石モータ。
【請求項5】
前記検知素子(161)が、前記空隙(18)に対応する位置に、前記正中面(181)に対して垂直とされる方向に沿って位置決めされていることを特徴とする請求項3又は4に記載のリニア永久磁石モータ。
【請求項6】
前記検知素子(161)が、前記可動子(12)に対応する位置に、前記正中面(181)に対して垂直とされる方向に沿って位置決めされていることを特徴とする請求項3又は4に記載のリニア永久磁石モータ。
【請求項7】
前記検知素子(161)が、前記永久磁石(131)のアレイに対応する位置に、前記正中面(181)に対して垂直とされる方向に沿って位置決めされていることを特徴とする請求項6に記載のリニア永久磁石モータ。
【請求項8】
前記検知素子(161)が、固定子ユニット(11)に対応する位置に、正中面(181)に垂直な方向に沿って配置されていることを特徴とする請求項3又は4に記載のリニア永久磁石モータ。
【請求項9】
前記検知素子(161)が、少なくとも1つの前記コイル(14)の位置に対応する位置に、前記運動方向(101)に沿って位置決めされていることを特徴とする請求項1~8のいずれか一項に記載のリニア永久磁石モータ。
【請求項10】
前記検知素子(161)が、非磁性材料で作られた支持体(111)に埋設されており、前記固定子ユニット(11)に固定されていることを特徴とする請求項1~9のいずれか一項に記載のリニア永久磁石モータ。
【請求項11】
前記支持体が、前記正中面(181)に対する前記支持体の直交投影が前記帯(132)の外部に位置するように位置決めされていることを特徴とする請求項4を引用する請求項10に記載のリニア永久磁石モータ。
【請求項12】
前記支持体(111)が、前記正中面(181)に対して垂直とされる方向に沿って前記固定子ユニット(11)から前記空隙(18)に向かって突出していることを特徴とする請求項4を引用する請求項10に記載のリニア永久磁石モータ。
【請求項13】
前記位置検出装置(16)が、前記空隙(18)に向いている前記永久磁石(131)のアレイの第1の側面と前記永久磁石(131)のアレイの前記第1の側面と反対側の第2の側面とに配置されている複数の前記検知素子(161)を備えていることを特徴とする請求項1~12のいずれか一項に記載のリニア永久磁石モータ。
【請求項14】
前記位置検出装置(16)が、前記空隙(18)に向いている少なくとも1つの前記コイル(14)の第1の側面と少なくとも1つの前記コイル(14)の前記第1の側面の反対側の第2の側面とに配置されている複数の前記検知素子(161)を備えていることを特徴とする請求項1~13のいずれか一項に記載のリニア永久磁石モータ。
【請求項15】
前記位置検出装置(16)が、一対の前記検知素子を備えており、一対の前記検知素子の間の示差測定によって位置を決定するように動作可能とされることを特徴とする請求項13又は14に記載のリニア永久磁石モータ。
【請求項16】
前記固定子ユニット(11)は、運動方向(101)に沿って互いに並設された複数のものであることを特徴とする請求項1~15のいずれか一項に記載のリニア永久磁石モータ。
【請求項17】
前記リニア永久磁石モータが、複数の前記固定子ユニット(11)それぞれのために、一の前記位置検出装置(16)を備えていることを特徴とする請求項16に記載のリニア永久磁石モータ。
【請求項18】
前記可動子(12)が、ポータル構造体(122)と、運動方向(101)に沿って同じ位置に、かつ、少なくとも1つのコイル(14)に対して両側にポータル構造体に取り付けられた前記永久磁石(131)のアレイの組とを備えていることを特徴とするリニア永久磁石モータ。請求項1~17のいずれか一項に記載のリニア永久磁石モータ。
【請求項19】
前記永久磁石のアレイの前記永久磁石(131)が、極性を交互にして前記運動方向(101)に沿って並置され、同一のピッチで離隔して配置されており、
前記位置検出装置(16)が、複数の前記検知素子の数量で前記ピッチを割った値に等しい距離で前記運動方向に沿って離隔して配置されている複数の前記検知素子(161)を備えていることを特徴とする請求項1~18のいずれか一項に記載のリニア永久磁石モータ。
【請求項20】
前記検知素子(161)が、ホール効果センサであることを特徴とする請求項1~19のいずれか一項に記載のリニア永久磁石モータ。
【請求項21】
前記制御ユニットが、補償ゲインマトリックスが乗じられた前記駆動電流に基づいて、少なくとも1つの前記コイル(14)の磁場に対する前記検知素子(161)の出力を補償するように動作可能とされることを特徴とする請求項1~20のいずれか一項に記載のリニア永久磁石モータ。
【請求項22】
前記リニア永久磁石モータが、前記検知素子(161)の出力を読み取るように動作可能とされる制御ユニット(15)を備えており、
前記制御ユニットが、前記検知素子の出力に基づいて少なくとも1つの前記コイル(14)に印加すべき相電流の振幅を決定するように動作可能とされることを特徴とする請求項1~21のいずれか一項に記載のリニア永久磁石モータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リニア永久磁石モータに関し、より具体的には、固定子に対する可動子の位置を検出又は決定するための位置センサを具備する長尺リニア永久磁石モータに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、可動子と呼ばれる可動ユニットの絶対位置を測定可能とされるリニアモータを開示している。複数のホールセンサが、固定子ユニットに設けられている。永久磁石とは異なる材料から形成されている基準部分が、永久磁石を具備する可動部に取り付けられているので、基準部分の近傍において磁場を変化させることができる。ホールセンサは、変化した磁場を感知可能であるように配置されている。
【0003】
従って、ホールセンサは、可動子の基準部分が通過するときに検出し、絶対位置を決定することができる。しかしながら、欠点を1つ挙げると、可動部は、隣接する永久磁石とは異なる磁気特性を有する材料から作られた基準部分を備える必要がある。従って、このような基準部分は、モータの性能を低下させる。他の欠点を挙げると、永久磁石が移動する際にホールセンサが永久磁石の主磁場の内部に位置するので、アナログ測定の場合にセンサが飽和してしまう。アナログ計測は、あまり多くのセンサを付加しないで、より高い分解能を有する位置センサを得るために必要とされる。さらなる他の欠点を挙げると、ホールセンサがコイル同士の間に、及び/又は、コイルに隣接して取り付けられているので、動作中にコイルが加熱され、ホールセンサの温度が上昇してしまう。ホールセンサの感度は温度依存性を有しているので、信頼性の高い測定が困難になる場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】大韓民国特許出願公開第1020150145407号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明における実施態様の目的は、上述の欠点を克服することである。特に、より信頼性が高く且つ単純であり、これにより費用効果が高く、リニアモータの性能に影響を及ぼさないリニア永久磁石モータの位置決め性能を提供することを目的とする。
【0006】
本発明における実施態様の目的は、例えばリニアエンコーダのような高価な部品を使用することなく、より正確な位置決め性能を有するリニア永久磁石モータを提供することである。本発明の目的は、長行程に亘って正確な位置決めが可能なリニア永久磁石モータを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、特許請求の範囲に記載のリニア(すなわち、直線的な行程を有している)永久磁石モータを提供する。モータは、少なくとも1つの、優位には複数の固定子ユニットと、一の可動子、又は複数の可動子とを備えている。固定子ユニットはそれぞれ、磁場を発生させるための少なくとも1つのコイルを備えている。可動子は、固定子ユニットから離隔して配置されている永久磁石のアレイを備えている。空隙が、永久磁石のアレイと固定子ユニットの間に介在している。アレイの永久磁石の電磁場と、少なくとも1つのコイルによって発生される電磁場とが空隙の内部で相互作用することによって、可動子が固定子ユニットに対してトラクションを発生させる。可動子は、運動方向に沿って移動するように配置されている。優位には、アレイの永久磁石は、運動方向に沿って所定の間隔で互いから離隔している。優位には、永久磁石のアレイは、空隙に対して露呈している表面を有している。当該表面は、優位には平坦で有、運動方向に対して平行とされる。モータは、固定子ユニット(それぞれ)に対する可動子の位置を決定するように動作可能とされる位置検出装置を備えている。
【0008】
位置検出装置は、(アレイの永久磁石の)可動子の磁場を感知するように動作可能とされる検知素子を備えている。検知素子は、固定子ユニットに固定されている。
【0009】
本発明における第1の実施態様では、検知素子は、永久磁石のアレイが運動方向に沿って検知素子に対応して配置されている場合に、検知素子が永久磁石のアレイの漏洩磁場の内部に位置するように位置決めされている。漏洩磁場とは、可動子によって発生される磁場のうち、固定子ユニットによって連結されていない部分である。言い換えれば、漏洩磁場は、永久磁石のアレイが通過する場合に固定子ユニットのコイルと接続しない磁力線から形成されている。
【0010】
第1の実施態様と組み合わせて又は第1の実施態様から独立して実現可能な、本発明における第2の実施態様では、永久磁石のアレイの露呈された表面に対して平行とされる空隙の正中面に対する検知素子の直交投影が、運動方向に沿って移動する場合における正中面に対する永久磁石のアレイの(外周の)直交投影によって形成された帯の外部に位置されるように、検知素子は位置決めされている。優位には、検知素子が永久磁石のアレイの漏洩磁場の内部に位置決めされている場合に、空隙の正中面に対する検知素子の位置の直交投影が、運動方向に沿って移動する場合における正中面に対する永久磁石アレイの直交投影によって形成される帯の外部に位置している。
【0011】
上述の第1の実施態様又は第2の態様における検知素子を配置させることによって、検知素子は、可動子が通過するときに永久磁石のアレイの磁場の強度が大きく減少する位置に位置決めされるので、検知素子の飽和が回避される。その結果として、感知素子は、感知された磁場の強度に連続的に比例する出力を提供するので、固定子ユニットに対する可動子の位置を正確に決定することができ、優位には、高価なエンコーダに頼ることなく感知素子のみに基づいて、可動子の絶対位置を正確に決定することができる。これにより、正確な位置検出のために感知素子を利用可能となり、リニアエンコーダの必要性を排除することができる。
【0012】
このような位置では、漏洩磁場が主磁場より顕著に弱いので、例えばホールセンサや磁気抵抗センサのような検知素子が飽和する恐れがほとんど解消される。従って、アナログ測定に好適であるので、その結果として、検知素子を追加することなく、位置測定の解像度を高めることができる。
【0013】
さらに、このような永久磁石から遠位の位置では、検知素子は、従来技術と比較してコイルからさらに遠位に取り付けられるので、コイルの発熱に起因してセンサが温度上昇する恐れがほとんど解消される。
【0014】
さらには、(直交投影で見ると)永久磁石の上方又は下方の位置が可能であるので、その結果として、固定子ユニットのコイルを互いに近接させて配置させ、より高い力密度を有するモータを得ることができる。
【0015】
本発明における実施態様について、添付図面を参照しつつ詳述するが、同一の参照数字は同一の形態を示している。
[付記項1]
少なくとも1つのコイル(14)を具備する固定子ユニット(11)と、
永久磁石(131)のアレイを具備する可動子(12)であって、前記可動子(12)が、運動方向(101)に沿って移動するように配置されており、前記永久磁石(131)のアレイが、前記永久磁石(131)のアレイ及び少なくとも1つの前記コイル(14)によって生成される電磁場が相互に作用することによってトラクションを発生させるように構成されている空隙(18)によって、固定子ユニット(11)から離隔して配置されている、前記可動子(12)と、
前記固定子ユニット(11)に対する前記可動子(12)の位置を決定するように動作可能とされる位置検出装置(16)と、
を備えているリニア永久磁石モータ(10)において、
前記位置検出装置(16)が、前記永久磁石(131)のアレイの磁場を感知するように動作可能とされる検知素子(161)を備えており、前記検知素子が、前記固定子ユニット(11)に固定されており、
前記検知素子(161)が、前記永久磁石のアレイが前記検知素子に対応して配置されている場合に、前記検知素子が前記永久磁石(131)のアレイの漏洩磁場(134)の内部に位置するように配置されていることを特徴とするリニア永久磁石モータ。
[付記項2]
前記空隙(18)が、前記永久磁石(131)のアレイと少なくとも1つの前記コイル(14)との間に挿置されていることを特徴とする請求項1に記載のリニア永久磁石モータ。
[付記項3]
前記永久磁石(131)のアレイが、前記空隙(18)に対して露呈された表面(133)を有しており、前記表面(133)が、平坦であり、且つ、前記運動方向(101)に対して平行とされ、前記空隙が、前記表面(133)に対して平行とされる正中面(181)を有していることを特徴とする請求項1又は2に記載のリニア永久磁石モータ。
[付記項4]
前記検知素子(161)が、正中面(181)に対する検知素子の直交投影が、前記運動方向(101)に沿って移動している場合における前記正中面(181)に対する前記永久磁石(131)のアレイの直交投影によって形成された帯(132)の外部に位置するように配置されることを特徴とする請求項3に記載のリニア永久磁石モータ。
[付記項5]
前記検知素子(161)が、前記空隙(18)に対応する位置に、前記正中面(181)に対して垂直とされる方向に沿って位置決めされていることを特徴とする請求項3又は4に記載のリニア永久磁石モータ。
[付記項6]
前記検知素子(161)が、前記可動子(12)に対応する位置に、前記正中面(181)に対して垂直とされる方向に沿って位置決めされていることを特徴とする請求項3又は4に記載のリニア永久磁石モータ。
[付記項7]
前記検知素子(161)が、前記永久磁石(131)のアレイに対応する位置に、前記正中面(181)に対して垂直とされる方向に沿って位置決めされていることを特徴とする請求項6に記載のリニア永久磁石モータ。
[付記項8]
前記検知素子(161)が、固定子ユニット(11)に対応する位置に、正中面(181)に垂直な方向に沿って配置されていることを特徴とするリニア永久磁石モータ。
[付記項9]
前記検知素子(161)が、少なくとも1つの前記コイル(14)の位置に対応する位置に、前記運動方向(101)に沿って位置決めされていることを特徴とする請求項1~8のいずれか一項に記載のリニア永久磁石モータ。
[付記項10]
前記検知素子(161)が、非磁性材料で作られた支持体(111)に埋設されており、前記固定子ユニット(11)に固定されていることを特徴とする請求項1~9のいずれか一項に記載のリニア永久磁石モータ。
[付記項11]
前記支持体が、前記正中面(181)に対する前記支持体の直交投影が前記帯(132)の外部に位置するように位置決めされていることを特徴とする請求項4を引用する請求項10に記載のリニア永久磁石モータ。
[付記項12]
前記支持部(111)が、前記正中面(181)に対して垂直とされる方向に沿って前記固定子ユニット(11)から前記空隙(18)に向かって突出していることを特徴とする請求項4を引用する請求項10に記載のリニア永久磁石モータ。
[付記項13]
前記位置検出装置(16)が、前記空隙(18)に向いている前記永久磁石(131)のアレイの第1の側面と前記永久磁石(131)のアレイの前記第1の側面と反対側の第2の側面とに配置されている複数の前記検知素子(161)を備えていることを特徴とする請求項1~12のいずれか一項に記載のリニア永久磁石モータ。
[付記項14]
前記位置検出装置(16)が、前記空隙(18)に向いている少なくとも1つの前記コイル(14)の第1の側面と少なくとも1つの前記コイル(14)の前記第1の側面の反対側の第2の側面とに配置されている複数の前記検知素子(161)を備えていることを特徴とする請求項1~13のいずれか一項に記載のリニア永久磁石モータ。
[付記項15]
前記位置検出装置(16)が、一対の前記検知素子を備えており、一対の前記検知素子の間の示差測定によって位置を決定するように動作可能とされることを特徴とする請求項13又は14に記載のリニア永久磁石モータ。
[付記項16]
前記固定子ユニット(11)は、運動方向(101)に沿って互いに並設された複数のものであることを特徴とする請求項1?3のいずれか一項に記載のリニア永久磁石モータ。
[付記項17]
前記リニア永久磁石モータが、複数の前記固定子ユニット(11)それぞれのために、一の前記位置検出装置(16)を備えていることを特徴とする請求項16に記載のリニア永久磁石モータ。
[付記項18]
前記可動子(12)が、ポータル構造体(122)と、運動方向(101)に沿って同じ位置に、かつ、少なくとも1つのコイル(14)に対して両側にポータル構造体に取り付けられた前記永久磁石(131)のアレイの組とを備えていることを特徴とするリニア永久磁石モータ。先行する請求項のいずれか一項に記載のリニア永久磁石モータであって、
[付記項19]
前記永久磁石のアレイの前記永久磁石(131)が、極性を交互にして前記運動方向(101)に沿って並置され、同一のピッチで離隔して配置されており、
前記位置検出装置(16)が、複数の前記検知素子の数量で前記ピッチを割った値に等しい距離で前記運動方向に沿って離隔して配置されている複数の前記検知素子(161)を備えていることを特徴とする請求項1~18のいずれか一項に記載のリニア永久磁石モータ。
[付記項20]
前記検知素子(161)が、ホール効果センサであることを特徴とする請求項1~19のいずれか一項に記載のリニア永久磁石モータ。
[付記項21]
前記リニア永久磁石モータが、前記検知素子(161)の出力を読み取るように動作可能とされる制御ユニット(15)を備えており、
前記制御ユニットが、少なくとも1つの前記コイル(14)の磁場に対する出力を補償するように動作可能とされることを特徴とする請求項1~20のいずれか一項に記載のリニア永久磁石モータ。
[付記項22]
前記リニア永久磁石モータが、前記検知素子(161)の出力を読み取るように動作可能とされる制御ユニット(15)を備えており、
前記制御ユニットが、前記検知素子の出力に基づいて少なくとも1つの前記コイル(14)に印加すべき相電流の振幅を決定するように動作可能とされることを特徴とする請求項1~21のいずれか一項に記載のリニア永久磁石モータ。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施態様における永久磁石リニアモータの概略的な平面図である。
【
図2】
図1に表わす永久磁石リニアモータの、断面A-Aに沿った断面図である。
【
図3】磁石ヨークの磁場が最も高い帯を示した
図1に表わす平面図である。
【
図5】磁場センサの位置が変更された、
図2に表わす永久磁石リニアモータの断面図である。
【
図6】センサのためのコイル磁場補償機能を具備する固定子ユニットのための駆動装置の動作スキームを表わす。
【
図7】互いからτ
p/3の等距離で位置決めされた3つのホール効果センサによって感知された、接近する磁石ヨークの波形のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1及び
図2を参照すると、本発明の実施例におけるリニアモータ10は、静止状態を維持するように配置されている少なくとも1つの、典型的には複数の固定子ユニット11と、固定子ユニットに対して相対的に移動するように配置されている少なくとも1つの可動子12とを備えている。
図1に表わす実施例は、固定子ユニット11のアレイに沿って移動するように配置されている2つの可動子12を示している。図示のシステムは、例えばエレベーター、搬送ライン、磁気浮上列車等のような輸送システムにおいて有用である。
【0018】
可動子は、磁石ヨーク13を備えている。磁石ヨーク13は、典型的には1つ以上のアレイに配置されている複数の永久磁石131を備えている。永久磁石131は、運動方向101において交番磁場パターンを形成するように配向されており、当該交番磁場パターンは、固定子ユニット11に取り付けられているコイル14に向かって方向づけられている。
図2に表わすように、磁石131は、磁束のための低い磁気抵抗を有する戻り経路を形成するために任意であるが鉄から作られたバックプレート121に取り付けている。
【0019】
さらに
図2を参照すると、可動子12は、固定子ユニット11を覆うように配置されている略逆U字状のポータル構造体122を備えている。永久磁石131は、U字の脚部それぞれに1つずつ、2つのアレイに配置されており、固定子ユニット11のコイル14は、当該2つのアレイの間に挿置されている。優位には、ポータル構造体は、可動子構造体の実施可能な一例にすぎず、例えばコイル14の片側のみに永久磁石の単一アレイが配置された可動子や固定子ユニットの2つのアレイを具備するダブルポータル構造体のような、他の構造体であっても利用可能であることに留意すべきである。
【0020】
固定子ユニット11と可動子12/磁石ヨーク13とは、空隙18によって分離されている。永久磁石131の電磁場と、コイル14が発生させる電磁場とが、固定子ユニット11に対する可動子12のトラクションを発生させるために、空隙18において相互作用する。
【0021】
典型的には、固定子ユニット11それぞれが、駆動ユニット15に結合されている複数のコイル14を備えている。
図1を参照すると、リニアモータ10は、個別の/独立した駆動ユニット15(15
1,15
2,15
3,...,15
N)を有している複数の固定子ユニット11(11
1,...,11
N)を備えている。固定子ユニット11のコイル14はそれぞれ、所定の数の相(一般的には3相)に分けられている。駆動ユニット15は、磁石ヨーク13によって生成される磁場と相互作用する位相シフトされた交番磁場を生成するために、コイル14を流れる電流を制御する。相それぞれの電流は、位置とは無関係に略一定のスラスト力を得るために、駆動ユニット15によって調整される。可動子12が固定子ユニット11に対して一定速度で移動している場合には、磁石ヨーク13の交番磁場によって正弦波電圧がコイルに誘起される。このように誘起された電圧と同位相の正弦波電流が相それぞれに印加される場合には、様々な振幅を有する正の力が得られる。相の最小数が3相であり、且つ、相それぞれが運動方向にn2τ
p/Pだけ物理的に変位される場合には、位置とは無関係に略一定の力が得られる(τ
pは磁石の南北方向における距離、いわゆる極ピッチであり、Pは相数であり、nはPの倍数を除く整数である)。位置とは無関係に略一定の力を得るためにこれら電流を制御することを整流と言う。電流の大きさは、力の全大きさを調整する。
【0022】
典型的な応用例としては、走行距離が磁石ヨーク13の長さよりも遙かに長いので、固定子ユニット11を磁石ヨークの長さよりも遙かに長くする必要がある。磁石ヨークに重なっていないコイルは、力を発生させずに熱を放散させるにすぎないので、コイルは、磁石ヨークの接近に従って作動する(switched on)ようになっている複数の小さな固定子ユニット11に分割されている。また、複数の可動子が考えられる場合には、固定子ユニット11は、優位には独立した駆動ユニット15それぞれによって、個別に制御される。固定子ユニットに対する可動子の位置が異なるからである。
【0023】
特定の固定子ユニット11のコイル14を作動させるタイミングを知るためには、接近している可動子12の位置を決定する必要がある。位置検出は、(コイルと(1つ以上の)磁石ヨークとの相対位置に従って多相電流を制御する)整流と、(1つ以上の)磁石ヨークの位置制御との両方のために必要とされる。上述のような典型的な移動する磁石の利用については、一般に、0.1mmオーダーの精度と(1mm以上のオーダーの)大きな空隙の変動とが要求される。
【0024】
この目的を達成するために、本発明の実施態様では、固定子ユニット11それぞれが、固定子ユニット11に対する可動子12の位置を感知するように動作可能とされる位置検出装置16を備えている。位置検出装置16は、磁場センサ161を利用して磁石ヨークの磁場を感知することによって、磁石ヨークの位置を決定するように構成されている。適切なセンサの具体例としては、ホール効果センサ及び磁気抵抗(MR)センサが挙げられる。優位には、磁場センサ161は、運動方向101における固定子ユニット11の端部に配置されている。そうすることによって、可動子12が固定子ユニットそれぞれに接近するに従って検出可能となる。優位には、位置検出装置16はそれぞれ、複数のセンサ(例えば3つのセンサ)を備えている。当該センサはそれぞれ、同一の方向又は異なる直交方向、例えば
図1に表わすようなX方向、Y方向、Z方向において磁場を測定するように動作可能とされる。
【0025】
本発明の実施態様では、センサ161は、可動子12が通過する際に磁石ヨーク13の磁場の強さが小さくなる位置に配置されている。特にセンサ161は、磁石ヨーク13(永久磁石131)の漏洩磁場に対応する位置に配置されている。このようにすることによって、センサ161の飽和が回避されるか、又は大幅に低減されるので、測定精度及び分解能を向上させることができる。
【0026】
図3を参照すると、磁石ヨーク13の(外周)をXZ平面に直交投影し、運動方向101に沿って並進させることによって得られるハッチングされた帯132は、永久磁石131とコイル14との間における磁気的相互作用が最も高い領域を表している。このような帯132を固定子ユニット11上にY軸に対して平行に延長させることによって、永久磁石131が通過する際に最も高い磁場強度を受ける部分が示される。このような部分が、
図4においてハッチングされた帯132によって示されている。
図3及び
図4のハッチングされた帯を組み合わせると、磁気的相互作用が高い部分の容積を得ることができる。従って、センサ161は、当該容積の外側に位置決めされる必要がある。
図4から理解されるように、優位には、センサ161が通過する磁石ヨーク13を感知するように、帯132によって示される容積の外側にセンサ161を配置させることによって、その結果として、センサは永久磁石の漏洩磁場134を測定することができる。本発明の態様では、センサ161は、可動子12が固定子ユニット11それぞれに沿って通過する際に、主磁場ではなく、磁石ヨーク13/永久磁石131の漏洩磁場134を感知するように位置決めされている。
【0027】
帯132とセンサ161との両方を投影し、帯132とセンサ161とが重なり合っているか否かを確認することによって、センサ161が帯132の外側に位置決めされているか否か判定することができる。
図2を参照すると、白抜きの矢印は、永久磁石131の北から南に向かう磁気軸の方向を示している。空隙18内の磁力線は、実質的にY軸と平行に進行した後に、固定子ユニット11の内部において偏向する。また、XZ平面は、空隙18の内部の磁力線に対して垂直とされる平面に実質的に対応している。さらに、XZ平面は、運動方向101に対して平行とされる。従って、XZ平面に対して平行とされる空隙18の正中面181を定義することができる。正中面181は、空隙18に対して露出すると共に固定子ユニット11に面する磁石ヨーク13の表面133と、固定子ユニット11、例えば、空隙に対して露出する固定子ユニット11の表面123との間の中央に位置している。帯132及びセンサ161を正中面181に、又は代替的にXZ平面に対して平行とされる任意の他の平面に直交投影することによって、帯132とセンサ161との重なり合った領域が存在するか否か決定することができるようになる。
【0028】
優位には、センサ161は、磁石ヨーク13の磁場強度が、帯132の内側の空隙18における(平均)磁場より20%低い、優位には15%低い、優位には10%低い位置に配置されている。
【0029】
帯132の外側には、センサ161を位置決めするのに優位な位置が複数存在する。
図1に表わすように、センサ161は、コイル14の下方に(直接)配置されている(又は、代替的にコイル14の上方に(直接)配置されている)。すなわち、センサ161は、動作方向101に沿って(すなわち、X軸に沿って)、コイル14と略同一の位置に配置されている。センサが運動方向101に沿ってコイル14の前方又は後方に配置されている場合と比較すると、下方又は上方の位置は、固定子ユニット11(ひいてはコイル14)を互いに対して一層近接配置させることができるので、リニアモータの力密度を増加させることができるという利点を有している。利用可能な容積が、より効率的に利用されるからである。
【0030】
図2を参照すると、センサ161は、永久磁石131と同一のY方向位置に配置されている。すなわち、センサ161は、永久磁石の下方(又は上方)に直接配置されている。より一般的には、センサ161は、可動子12と同一のY方向位置に配置することができる。あるいは、
図5に示すように、センサ161は、コイル14と同じY方向位置、すなわち、コイルの直下(又は直上)に配置することができる。より一般的には、センサ161は、固定子ユニット11と同じY方向位置に配置することができる。さらに代替的には、センサ161は、空隙18と同じY方向位置に配置することができる。帯132の外側の上記いずれかの位置では、コイル14が発生する磁場が弱く、センサ信号がコイル磁場の影響を受けにくくなるようになっている。さらに、それらの位置では、センサは、典型的にはコイル14の領域に対応する、リニアモータの熱的ホットスポットからさらに離れて配置される。そのため、センサは、コイルを流れる電流によって発生する熱によって温められる可能性が低くなる。
【0031】
位置検出装置16は、センサ161が配置されたプリント回路基板(PCB)162を備えており、対応する電子機器を備えている場合がある。優位には、PCB162は固定子ユニット11に固定されている一方、電子機器は固定子ユニット(PCB162)に、又はアドオンモジュールとして組み込まれている。優位には、固定子ユニットは支持体111を備えており、センサ161は支持体111に埋設されている。支持体111は、例えばアルミニウムのような非磁性材料から作られている。優位には、支持体111は帯132の領域の外部に位置している。
【0032】
優位には、位置検出装置16それぞれが、運動方向101においてτ
p/Nの等距離で位置決めされている少なくとも2つのセンサ161を備えている。ここで、τ
pは磁石ヨーク13の極ピッチであり、Nはセンサ161の数量である。このような配置によって、例えば
図7に表わすような複数の変位波形を得ることができるので、可動子12の位置のみならず、可動子12の運動方向も決定することができる。センサ信号の振幅は、磁石ヨーク13に対するセンサ161の位置、磁石ヨークの大きさ、永久磁石の大きさ、及び永久磁石の材質に依存する。センサ信号の周波数は、速度と極ピッチτ
pに依存する。
【0033】
図6を参照すると、駆動ユニット15は、センサ161によって測定された磁場に基づいて磁石ヨーク13の位置を決定するように構成されている位置センサアルゴリズムを実行するための計算ユニット154を備えている。センサ161によって測定された磁場B
m,1,...,B
m,Nに基づいて、磁石ヨーク13の位置を計算するアルゴリズムは、以下のように導出することができる。初期状態では、固定子ユニットの上方には磁石ヨーク13が存在しないので、磁場が計測されず、ひいては位置も決定されない。磁石ヨークは「範囲外」とみなされ、r=0とされる。
【0034】
磁石ヨーク13に起因する磁場のみが関心の対象であるので、コイル14によって生成される磁場を補償する必要がある。この目的を達成するために、計算ユニット154は、以下のように動作可能とされるコイル磁場補償ユニット155を備えている。コイルを流れる駆動電流を測定し、[数1]に基づく補償ゲインマトリックスを乗じることによって、コイル14の磁場を補償することができる。
【0035】
【0036】
ここで、Bm,iはセンサ161による磁場の測定値を含むベクトルであり、Iはコイルの測定された位相電流のベクトルであり、Cは補償行列である。測定された磁場は、電流の大きさに略線形に依存しているので、補償された磁場の測定値は、N個のセンサ161とP個の相の場合には、以下のように完全に記述することができる。
【0037】
【0038】
Cでは、要素それぞれが、センサ161それぞれに対する相電流の結合係数を、例えばテスラ/アンペア単位で記述している。補償行列Cは、
-相それぞれに電流を流しつつ、磁石ヨークが存在しない磁場を測定し、
-分析的に導出し、及び/又は
-有限要素解析を実施することによって、
得られる。
コイルユニットが互いに対して非常に近接して設置されている場合には、隣り合う駆動装置の電流測定値が相互に共有され、必要に応じて制度を改善するために、補正マトリクスに反映させることができる。
【0039】
磁石ヨーク13(可動子12)の存在が、様々な方法のうち一の方法又はその組み合わせによって検出可能とされる。1つ又は様々な方法の組み合わせによって検出することができる。適切な方法は、
-センサ信号それぞれの振幅が所定の閾値より大きいことを確認するステップと、
-センサ信号それぞれの振幅の合計が所定の閾値より大きいことを確認するステップと、
-センサ信号それぞれの二乗の合計が所定の閾値より大きいことを確認するステップと、
を含んでいる。
方法及び閾値に依存して、精度が低くなるという犠牲を払って、磁石ヨークを迅速に検出することができる。正確な位置情報を抽出するには、磁場が小さく且つ不十分であるからである。
【0040】
計算ユニット154は、「範囲内」であることを検出する計数ユニット156を備えている。磁石ヨークがセンサの範囲内に位置している際に、磁石ヨークが右から入る場合には、カウンタkがゼロにリセットされ、磁石ヨークが左から入る場合には、カウンタkがN
p/2-1に設定される(ここで、N
pは磁石ヨークの極数である)。このような区別は、
-センサ161それぞれの信号を確認し比較し、及び/又は
-例えばN=3である
図1に表わすように、2つのセンサ群(左及び右)を利用することによって、
実行することができる。この場合には、ウィンドウイング機能(windowing function)を利用することによって、両方のセンサ群から得た位置情報が合成される。
【0041】
以下の説明では、センサ161から成る単一群の利用を想定している。磁石ヨーク13が検出された場合には、位相情報は、[数3]によってセンサの測定値Bc,iから推定することができる。
【0042】
【0043】
ここで、atan2は、適切な四分円を考慮した2つの引数を利用した逆正接関数である。係数Ksi及びKciは、[数4]の如く付与される。
【0044】
【0045】
この数式からは、0~2πの範囲内の一意の値しか得られないので、磁石ヨークが検出された瞬間にリセットされ、且つ、2π~0又は0~2πの遷移の数をカウントするカウンタkが含まれている。従って、絶対位置情報は。[数5]により得られる。
【0046】
【0047】
ここで、xCUは、基準点を基準としたコイルユニットの総合位置である。
【0048】
atan2関数を使用することによって、当該方法の精度は、
図7に表わす波形の振幅から独立するので、Y方向及びZ方向における横方向変位には大きく依存しなくなる。Y方向及びZ方向における横方向変位は、依然として、
図7に表わす波形の高調波成分に僅かな影響を及ぼす。この影響を最小限に抑えるために、
図2に示すように、両面測定(double sided measurement)が考えられる。センサ161の二重セットが、同一のY方向位置においてコイルアレイに関して対称に配置されている。代替的には、センサ161、161′の二重セットが、磁石ヨーク13に関して対称に配置されている。両面測定は、Y方向における横方向変位に対して、より優れたロバスト性を提供することができる。この場合、両方の測定値が、[数6]のように組み合わされる。
【0049】
【0050】
ここで、Bml,iは、左側のセンサ161′によって感知された信号であり、Bmr,iは、右側のセンサ161によって感知された信号である。これは、空隙18に大きい変動が存在する場合に、特に有効である。
【0051】
図7を参照すると、センサ161は、磁石ヨークの有限長に起因して、接近又は離脱する磁石ヨーク13の端部効果を感知することができる。信号それぞれが、領域71、72に表されている。これら端部効果によって、磁石ヨークが感知領域に入る瞬間を検出することができるので、絶対位置を測定することができる。領域70では、磁石ヨークが範囲内に位置しており、上述のように相対的な測定が実施される。従って、上述のようなセンサは、絶対位置検出機能と相対位置検出機能との両方を一の同一の検知素子に統合することができる。
【0052】
上述の測定手順は、センサ161が飽和レベルより下のレベルで連続的に動作している場合に限り可能であるが、優位にはセンサ161を上述の位置に配置することによって可能とされる。優位には、センサ161が上述の位置に配置されている場合に、センサ161によって感知される磁場のレベルは100mT以下、優位には90mT以下とされる。飽和が無い場合には、センサ161によって捕捉された信号は、
図7に表わすような正弦状とされるので、ヨークの位置の完全なアナログ測定を実施することができる。これにより、リニアエンコーダが不要となり、本発明におけるリニア永久磁石モータのコストを一層削減することができる。
【0053】
従って、再び
図6を参照すると、駆動装置15は、(通過する磁石ヨーク13の磁場に関連する)センサ161の出力H
1,...,H
Nを読み取るように、且つ、センサ161の出力に基づいて、固定子コイル14に印加される相電流I
1,I
2,...,I
Pの振幅を決定するように構成されている。この目的を達成するために、磁石ヨークの「範囲内」の位置が検出されたか否かを示す検出・計数ユニット156から出力されるバイナリインジケータr(例えば、磁石ヨークが範囲内に位置する場合にr=1、磁石ヨークが範囲外に位置する場合にr=0)と、計算ユニット154から得られる絶対位置情報x
MYとが、整流ユニット158と位相電流I
1、I
2、...、I
Pを送出するエンドステージ159とに結合されるモーション制御ユニット157に供給される。
【符号の説明】
【0054】
10 リニアモータ
11 固定子ユニット
12 可動子
13 磁石ヨーク
14 コイル
15 駆動ユニット
16 位置検出装置
101 運動方向
111 支持体
131 永久磁石
132 帯
161 センサ
162 プリント回路基板(PCB)
【外国語明細書】