IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エシロール・アンテルナシオナルの特許一覧

特開2024-105679ある人物の現在の屈折異常及び現在の調節力の変動の検出と矯正
<>
  • 特開-ある人物の現在の屈折異常及び現在の調節力の変動の検出と矯正 図1
  • 特開-ある人物の現在の屈折異常及び現在の調節力の変動の検出と矯正 図2
  • 特開-ある人物の現在の屈折異常及び現在の調節力の変動の検出と矯正 図3
  • 特開-ある人物の現在の屈折異常及び現在の調節力の変動の検出と矯正 図4
  • 特開-ある人物の現在の屈折異常及び現在の調節力の変動の検出と矯正 図5
  • 特開-ある人物の現在の屈折異常及び現在の調節力の変動の検出と矯正 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024105679
(43)【公開日】2024-08-06
(54)【発明の名称】ある人物の現在の屈折異常及び現在の調節力の変動の検出と矯正
(51)【国際特許分類】
   A61B 3/103 20060101AFI20240730BHJP
   A61B 3/10 20060101ALI20240730BHJP
   A61B 5/256 20210101ALI20240730BHJP
   A61B 5/369 20210101ALI20240730BHJP
【FI】
A61B3/103
A61B3/10 800
A61B5/256 120
A61B5/369
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024083503
(22)【出願日】2024-05-22
(62)【分割の表示】P 2022549007の分割
【原出願日】2021-02-08
(31)【優先権主張番号】20305131.3
(32)【優先日】2020-02-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】518007555
【氏名又は名称】エシロール・アンテルナシオナル
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ジルダ・マリン
(72)【発明者】
【氏名】エステル・ネッテ
(72)【発明者】
【氏名】ギヨーム・ジロデ
(57)【要約】
【課題】人物の現在の屈折異常の変動を検出する方法を提供する。
【解決手段】本開示は、ある人物の現在の屈折異常の変動を検出する方法に関する。この方法は、光学レンズであって、その屈折関数がある人物の初期屈折異常を矯正するようになされた光学レンズを含む光学機器を取得するステップ(S1)であって、光学機器は、メモリに動作的に接続されたプロセッサを含む処理回路をさらに含む。方法は、メモリを使ってパラメータの現在値を取得するステップ(S6)を含み、現在値はその人物の現在の屈折異常の初期屈折異常に対する変動を示す。方法は、処理回路を使って、その人物の現在の屈折異常の初期屈折異常に対する変動を、パラメータの取得された現在値に基づいて検出するステップ(S7)を含む。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサにとってアクセス可能であり、前記プロセッサにより実行されると、前記プロセッサに、
屈折異常の変動に基づくモニタ及び警告する方法であって、
前記方法は、光学レンズを備える光学機器を使用し、前記光学レンズの屈折関数は、人物の初期屈折異常を矯正するように適合され、前記光学機器は、メモリに動作可能に接続されたプロセッサを含む処理回路をさらに備え、前記方法は、
前記メモリを使って、パラメータの現在値を取得するステップであって、前記現在値は前記人物の現在の屈折異常の前記初期屈折異常に対する変動を示すステップと、
前記処理回路を使って、前記パラメータの前記取得された現在値に基づいて、前記人物の現在の屈折異常の前記初期屈折異常に対する変動を検出するステップと、
前記処理回路を使用して、検出された前記変動が所定の閾値を超えた場合に、警報を発生するステップと、
- 前記メモリを使って、ある期間にわたる前記人物の屈折異常の変動の予想モデルを取得するステップと、
- 前記処理回路を使って、前記予想モデルに基づいて前記パラメータの前記現在値を予想するステップと、
を含み、
前記プロセッサと前記メモリは、前記光学機器が前記人物により装用されたときに、前記パラメータの値を計測するようになされた第一のセンサに動作的に接続され、前記方法は、
- 前記第一のセンサを使って、前記パラメータの前記現在値を計測するステップであって、前記光学機器は前記人物により装用されるステップ、
をさらに含む方法の前記ステップを実行させる1つ又は複数の記憶された命令シーケンスを含むコンピュータプログラム。
【請求項2】
前記第一のセンサは、前記光学機器を装用する人物の生理学的パラメータを計測するように適合された生理学的センサであり、前記生理学的パラメータは、前記初期屈折異常に対する前記人物の現在の屈折異常の変動を示す、請求項1に記載のコンピュータプログラム。
【請求項3】
- 前記第一のセンサは目細め動作センサであり、
- 前記生理学的パラメータは、前記光学機器を装用する前記人物の目細め動作の発生であり、
- 前記パラメータの前記現在値を計測するステップは、前記目細め動作センサを使って、前記光学機器を装用する前記人物の目細め動作の発生を検出するステップを含む、請求項2に記載のコンピュータプログラム。
【請求項4】
- 前記生理学的センサは、脳波検査用に構成された少なくとも1つの電極を含み、
- 前記少なくとも1つの電極の各々は、前記光学機器が前記人物により装用されたときに、前記人物の前額部又は後頭部と接触するように配置され、
- 前記生理学的パラメータは、前記光学機器を装用する前記人物の脳の電気活動であり、
- 前記パラメータの前記現在値を計測するステップは、前記少なくとも1つの電極を使って、前記光学機器を装用する前記人物の脳の前記電気活動を分析するステップを含む、
請求項2に記載のコンピュータプログラム。
【請求項5】
- 前記メモリは、基準観視条件の1つの指標を記憶し、
- 前記光学機器は、前記光学機器が前記人物により装用されたときに、観視条件パラメータを計測するようになされた少なくとも1つの第二のセンサをさらに含み、
- 前記第二のセンサにより、現在の観視条件の指標を取得するステップをさらに含み、
- 前記人物の現在の屈折異常の初期屈折異常に対する変動を検出するステップはさらに、前記現在の観視条件の指標と前記基準観視条件の指標との比較に基づく、
請求項1に記載のコンピュータプログラム。
【請求項6】
前記光学レンズは能動屈折レンズであり、前記第一のセンサは、前記光学機器を装着している人の生理学的パラメータを測定するように適合された生理学的センサであり、前記生理学的パラメータは、前記初期屈折異常に対する前記人物の現在の屈折異常の変動を示すものであり、前記少なくとも1つの第二のセンサは照明条件センサであり、前記観視条件パラメータは、前記生理学的センサにより前記生理学的パラメータの現在値を計測している間に、前記人物が前記能動屈折レンズを通じて見る光景の光強度を示す、請求項5に記載のコンピュータプログラム。
【請求項7】
前記光学レンズは能動屈折レンズであり、前記第一のセンサは、前記光学機器を装着している人の生理学的パラメータを測定するように適合された生理学的センサであり、前記生理学的パラメータは、前記初期屈折異常に対する前記人物の現在の屈折異常の変動を示すものであり、前記少なくとも1つの第二のセンサは距離センサであり、前記観視条件パラメータは、前記能動屈折レンズと前記生理学的センサによる前記生理学的パラメータの現在値の計測中に前記人物が前記能動屈折レンズを通じて見ている物体との間の距離を示す、請求項5に記載のコンピュータプログラム。
【請求項8】
前記パラメータの前記現在値を計測するステップと前記人物の前記現在の屈折異常の前記初期屈折異常に対する前記変動を検出するステップはある期間にわたり繰り返される、請求項1に記載のコンピュータプログラム。
【請求項9】
プロセッサにとってアクセス可能であり、前記プロセッサにより実行されると、前記プロセッサに、
能動屈折レンズの屈折関数を調整する方法であって、
前記方法は、光学レンズを備える光学機器を使用し、前記光学レンズの屈折関数は、人物の初期屈折異常を矯正するように適合され、前記光学機器は、メモリに動作可能に接続されたプロセッサを含む処理回路をさらに備え、前記方法は、
前記メモリを使って、パラメータの現在値を取得するステップであって、前記現在値は前記人物の現在の屈折異常の前記初期屈折異常に対する変動を示すステップと、
前記処理回路を使って、前記パラメータの前記取得された現在値に基づいて、前記人物の現在の屈折異常の前記初期屈折異常に対する変動を検出するステップと、
前記処理回路を使って、検出された前記変動が所定の閾値を超えた場合に、前記能動屈折レンズの屈折関数を調整するステップと、検出された前記変動が前記所定の閾値より低いか、それと等しい場合、前記能動屈折レンズの前記屈折関数を保持するステップと、
を含む、方法の前記ステップを実行させる1つ又は複数の記憶された命令シーケンスを含むコンピュータプログラム。
【請求項10】
請求項9に記載のコンピュータプログラムの1つ又は複数の記憶された命令シーケンスを記憶する記憶媒体。
【請求項11】
メモリに接続されたプロセッサを含む処理回路であって、
能動屈折レンズの屈折関数を調整する方法であって、前記方法は、光学レンズを備える光学機器を使用し、前記光学レンズの屈折関数は、人物の初期屈折異常を矯正するように適合され、前記光学機器は、メモリに動作可能に接続されたプロセッサを含む処理回路をさらに備え、前記方法は、
前記メモリを使って、パラメータの現在値を取得するステップであって、前記現在値は前記人物の現在の屈折異常の前記初期屈折異常に対する変動を示すステップと、
前記処理回路を使って、前記パラメータの前記取得された現在値に基づいて、前記人物の現在の屈折異常の前記初期屈折異常に対する変動を検出するステップと、
前記処理回路を使って、検出された前記変動が所定の閾値を超えた場合に、前記能動屈折レンズの屈折関数を調整するステップと、検出された前記変動が前記所定の閾値より低いか、それと等しい場合、前記能動屈折レンズの前記屈折関数を保持するステップと、
を含む、方法を実行するように構成される処理回路。
【請求項12】
光学レンズ及び処理回路を含む光学機器であって、前記処理回路はメモリに接続されたプロセッサを含み、前記処理回路は、
能動屈折レンズの屈折関数を調整する方法であって、前記方法は、光学レンズを備える光学機器を使用し、前記光学レンズの屈折関数は、人物の初期屈折異常を矯正するように適合され、前記光学機器は、メモリに動作可能に接続されたプロセッサを含む処理回路をさらに備え、前記方法は、
前記メモリを使って、パラメータの現在値を取得するステップであって、前記現在値は前記人物の現在の屈折異常の前記初期屈折異常に対する変動を示すステップと、
前記処理回路を使って、前記パラメータの前記取得された現在値に基づいて、前記人物の現在の屈折異常の前記初期屈折異常に対する変動を検出するステップと、
前記処理回路を使って、検出された前記変動が所定の閾値を超えた場合に、前記能動屈折レンズの屈折関数を調整するステップと、検出された前記変動が前記所定の閾値より低いか、それと等しい場合、前記能動屈折レンズの前記屈折関数を保持するステップと、
を含む、方法を実行するように構成される、光学機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に光学製品に関し、特に、ある人物の現在の屈折異常の変動又は現在の調節力の変動を検出するための方法、コンピュータプログラム、コンピュータ記憶媒体、処理回路、及び光学装置、並びにある人物の屈折異常又は調節力欠如を矯正するための方法、コンピュータプログラム、コンピュータ記憶媒体、処理回路、及び光学機器に関する。
【背景技術】
【0002】
眼科医(ECP:eye care practitioner)での2回の予約の合間に、人の屈折異常は自然に変化し得る。
【0003】
一般的な屈折異常には、近視、遠視、及び乱視が含まれる。
【0004】
近視とは、網膜の上ではなく、その前方で光を収束させる眼に対応する。その結果、遠くの物がぼやけて見える。
【0005】
遠視とは、網膜の上ではなく、その興和腕光を収束させる眼に対応する。その結果、近くの物がぼやけて見える。
【0006】
乱視とは、網膜の上で均一に光を収束させない眼に対応する。その結果、近くの物と遠くの物の両方ともぼやけて見える。
【0007】
特に、ある人の近視の矯正が不十分になると、すなわち光学機器により前記近視を補償するための現在の処方値が、その人物が通常装用している光学機器のそれに対応する当初の処方値より進んでいると、その近視は、それが完璧に矯正された場合より速く進行することが証明されている。
【0008】
近視は一般的な屈折異常であり、現在、人口の約3分の1が患っている。強度近視では、網膜及び脈絡膜疾患のリスクがより高くなる。近視の進行を遅らせるために、幾つかの方法と製品が用いられる。これらの解決策のうち、角膜矯正コンタクトレンズ、ソフト共焦点コンタクトレンズ、アトロピンやピレンゼピン等の局所用薬剤、及び累進又は共焦点眼科レンズが、無作為比較試験を通じて多少なりとも有効であることが示された。
【0009】
近視の進行をその発現後なるべく早く遅らせることは重要であり、おそらく世界中の何百万人という子供と大人に利益をもたらし得る。
【0010】
近視の進行をその発現後なるべく早く発見するための方策は、ECPでの予約を定期的にとることである。しかしながら、この方策はあまり現実的ではない。比較試験中であっても、屈折異常の評価のための受診はせいぜい6~12か月ごとである。毎回のECP検査と新しい眼鏡の製作から数か月後に、近視の進行によって近視の児童がぼやけた視界にさらされることは珍しくない。その時点で使用していた眼鏡は、進んだ屈折異常には適切に合わなくなる。このような臨床研究以外に、日常生活での2回の視力検査の間隔は18~24カ月であり得る。受診間隔が長いのは、眼科専門医の予約が取れない、又は専門医に行けないこと、及び小児におけるぼやけの許容度にもより得る。小児はかなりの焦点ずれを経験してからようやく親に知らせるかもしれない。多くの研究において、小児がぼやけた光景にさらされればさらされるほど、近視進行の速度が速いとの結果が出ている。
【0011】
本明細書で1種の屈折異常として扱われる他の一般的な眼の状態は老眼である。老眼は、正常な加齢プロセスの1つであり、それゆえ誰もが何れは罹患することになる。
【0012】
眼の加齢により、眼は光を網膜上ではなく、その後方で収束させる傾向がある。不十分な調節力の結果として、近くにある物にはっきりとピントを合わせる能力は徐々に低下する。その結果、近くにある物がぼやけて見える。
【0013】
老眼の進行を発見し、おそらくは提供される矯正を老眼の進行に合わせて調整することは、世界中の何百万人という成人にとって利益となる可能性があり得る。
【0014】
特許文献1においては、可変レンズの度数を機器に含まれる自動屈折計による使用者の屈折異常の計測を介して調整することが提案されている。しかしながら、この解決策は自動屈折計が透明でなく、それゆえ継続的に装用して継続的に計測を行うことができないため、屈折力の変化の検出については望まれる効果を提供しない。さらに、屈折力計測のための他覚的計測の使用は不正確であることが知られており、そのため、可変レンズにより提供される屈折力では、使用者の視覚異常を完璧には矯正しないかもしれない。これは、屈折力の変化を低減させるどころか、屈折異常を増大させることにつながりかねない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】国際公開第2018/213010号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
これに関して、ある人物の屈折異常の変化を適時に推定する必要がある。この変化に応じて、その人物の現時点での屈折異常を矯正するのに適した、更新された屈折矯正を特定する必要もある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の実施形態は、ある人物の現在の屈折異常の変動を検出する方法を提供し、この方法は:
a)光学レンズであって、その屈折関数はある人物の初期屈折異常を矯正するようになされた光学レンズを含む光学機器を取得するステップであって、光学機器はメモリに動作的に接続されたプロセッサを含む処理回路をさらに含むステップと、
b)メモリを使って、パラメータの現在値を取得するステップであって、現在値はその人物の現在の屈折異常の初期屈折異常に対する変動を示すステップと、
c)処理回路を使って、パラメータの取得された現在値に基づいて、その人物の現在の屈折異常の初期屈折異常に対する変動を検出するステップと、
を含む。
【0018】
「屈折異常」とは、近視、遠視、乱視、老眼、及びその組合せの全てを含む。老眼の場合、「屈折異常」とは実際に、調節力の欠如を示す。
【0019】
初期屈折異常とは基準時点における屈折異常と理解されたい。
【0020】
現在の屈折異常とは現在時点での屈折異常と理解されたく、現在時点は基準時点より遅い。
【0021】
本発明の実施形態はさらに、メモリに動作的に接続されたプロセッサを含む処理回路も提供し、処理回路は上述の方法を実行するように構成される。
【0022】
本発明の実施形態はさらに、光学レンズであって、その屈折関数はある人物の初期屈折異常を矯正するようになされる光学レンズと、上述の処理回路と、を含む光学機器を提供する。
【0023】
光学機器は、パラメータの前記現在値を取得するようになされた1つ又は複数のセンサをさらに含み得て、処理回路は、前記1つ又は複数のセンサとの通信インタフェースをさらに含み得る。
【0024】
本発明の実施形態はさらに、プロセッサにとってアクセス可能であり、プロセッサにより実行されると、プロセッサに前述の方法のうちの1つのステップを実行させる1つ又は複数の記憶された命令シーケンスを含むコンピュータプログラムを提供する。
【0025】
本発明の実施形態はさらに、上述のコンピュータプログラムの1つ又は複数の保存された命令シーケンスを記憶する記憶媒体、すなわち「メモリ」を提供する。
【0026】
上述の方法、コンピュータプログラム、記憶媒体、処理回路、センサ、及び光学機器では、ある人物の現在の屈折異常の初期屈折異常に対する変動を検出できる。この効果は、特に、メモリを使ってパラメータの現在値を取得する共通の特徴により実現され、現在値は前記変動を示す。
【0027】
それゆえ、例えば人物が通常装用する眼鏡中に組み込まれた処理回路により、眼鏡の光学レンズの屈折関数が本人の現在の屈折異常に依然として合っているか否かを特定することが可能となる。合っていない場合、その人物の現在の屈折異常を補償するのに適した、更新された屈折関数を特定することができる。
【0028】
例えば、その結果として小児の近視の変化がモニタされ得、前記近視を補償するのに適した屈折関数が更新され得て、臨床医の頻繁な受診の予定を立てなくてよく、それと同時に、眼の屈折力の正しい評価は、小児からのいかなる入力も必要とせずに評価されるため、既知の方法より簡素化される。
【0029】
ある実施形態において、プロセッサとメモリは第一のセンサに動作的に接続され、これは、光学機器がその人物により装用されると、前記パラメータの値を計測するようになされ、方法は:
- 第一のセンサを使って前記パラメータの現在値を計測するステップであって、光学機器はその人物により装用されるステップ
をさらに含む。
【0030】
第一のセンサにより、その人物の屈折異常の変化をその場で評価できる。したがって、光学機器は前記変化を評価できる独立した装置である。
【0031】
実施形態において、第一のセンサは、光学機器を装用する人物の生理学的パラメータを計測するようになされ、生理学的パラメータは、初期屈折異常に対するその人物の現在の屈折異常の変動を示す。
【0032】
光学機器を装用する人物の生理学的パラメータを計測又はモニタすることにより他覚的数値が提供され、これが収集され、分析されて、その人物の屈折異常の変化が推定される。
【0033】
ある実施形態において:
- 第一のセンサは目細め動作センサであり、
- 生理学的パラメータは、光学機器を装用する人物の目細め動作の発生であり、
- 前記パラメータの現在値を計測するステップは、目細め動作センサを使って、光学機器を装用する人物の目細め動作の発生を検出するステップを含む。
【0034】
目細め動作センサは非侵襲的であり、それによって光学機器を装用する人物の現在の視野がぼけているかもしれないことを示す指標を記録できる。このような指標を記録することは、例えば小児の視力が低下していることを、本人がこの低下を積極的に識別しない場合であっても検出するのに役立ちうる。
【0035】
ある実施形態において:
- 第一のセンサは、脳波検査用に構成された少なくとも1つの電極を含み、
- 少なくとも1つの電極の各々は、光学機器がその人物により装用されたときに、その人物の前額部又は後頭部と接触するように配置され、
- 生理学的パラメータは、光学機器を装用する人物の脳の電気活動であり、
- 前記パラメータの現在値を計測するステップは、少なくとも1つの電極を使って、光学機器を装用する人物の脳の電気活動を分析するステップを含む。
【0036】
脳波検査用の電極は非侵襲的であり、様々な目的のために幾つかの市販の頭部装着型アクセサリにすでに備わっている。ある期間にわたり脳波を記録し、分析することにより、神経細胞活動を検出し、神経細胞活動の高い出現率、すなわちある観視状況における神経細胞活動のより高い発生回数を、光学機器を装用する人物による調節増進又はぼやけの認識に関連付けることができる。前記調節の増進又はぼやけの認識は、その人物の現在の屈折異常が初期屈折異常に関して変化したという指標である。
【0037】
ある実施形態において、
- メモリは、基準観視条件の少なくとも1つの指標を記憶し、
- 光学機器は少なくとも1つの第二のセンサをさらに含み、これは、光学機器がその人物により装用されたときに、前記観視条件パラメータを計測するようになされ、
- 方法は、少なくとも1つの第二のセンサにより、現在の観視条件の少なくとも1つの指標を取得するステップをさらに含み、
- その人物の現在の屈折異常の初期屈折異常に対する変動を検出するステップはさらに、現在の観視条件の少なくとも1つの指標と基準観視条件の少なくとも1つの指標との比較に基づく。
【0038】
基準観視条件により、第一のセンサからの計測結果を、それらが第二のセンサにより検出された同様の観視状況に対応する場合のみ計測結果を比較することによって、大局的に見ることが可能となる。
【0039】
ある実施形態において、少なくとも1つの第二のセンサは照明条件センサであり、観視条件パラメータは、第一のセンサによりパラメータの現在値を計測している間に、その人物が能動屈折レンズを通じて見る光景の光強度を示す。
【0040】
光景の光強度を計測することにより、明るい雰囲気を検出することができ、この場合、例えば目を細める動作は屈折異常の変化に無関係であり得る。
【0041】
ある実施形態において、少なくとも1つの第二のセンサは距離センサであり、観視条件パラメータは、能動屈折レンズと第一のセンサによるパラメータの現在値の計測中にその人物が能動屈折レンズを通じて見ている物体との間の距離を示す。
【0042】
そのようにすることにより、現時点で、光学機器を装用する人物が行っているのが遠方視、中間視、近方視の何れであるかを特定することが可能となる。したがって、現時点での第一のセンサによる何れの計測結果も、遠方視活動、中間視活動、又は近方視活動に関連付けられ得る。それゆえ、特に近方視、中間視、又は遠方視活動中の例えば目細め動作又は脳波の経時変化を特定できる。特定の眼異常の変化はそれゆえ、特定の観視距離に対応する観視活動中に第一のセンサからの計測結果のみを選択することによって正確にモニタされ得る。
【0043】
ある実施形態において、光学レンズは能動屈折レンズであり、方法は:
処理回路を使って、検出された変動が所定の閾値を超えた場合にその人物に警報を生成するステップ
をさらに含む。
【0044】
警報は、その人物に対し、能動屈折レンズを制御して、本人のニーズに適合するように矯正を調整させ得る。
【0045】
本発明の実施形態は、ある人物の屈折異常を矯正する方法をさらに提供し、これは:
a)能動屈折レンズであって、その屈折関数がある人物の初期屈折異常を矯正するようになされた能動屈折レンズを含む光学機器を取得するステップであって、光学機器は、メモリ及び能動屈折レンズとの通信インタフェースに動作的に接続されたプロセッサを含む処理回路をさらに含むステップと、
b)メモリを使って、パラメータの現在値を取得するステップであって、現在値は、その人物の現在の屈折異常の初期屈折異常に対する変動を示すステップと、
c)処理回路を使って、取得されたパラメータの現在値に基づいて、その人物の現在の屈折異常の初期屈折異常に対する変動を検出するステップと、
d)処理回路を使って、検出された変動が所定の閾値を超えた場合に、能動屈折レンズの屈折関数を調整するステップと、検出された変動が所定の閾値より低いか、それと等しい場合、能動屈折レンズの屈折関数を保持するステップと、
を含む。
【0046】
本発明の実施形態は、メモリ及び能動屈折レンズとの通信インタフェースに動作的に接続されたプロセッサを含む処理回路を提供し、処理回路はある人物の屈折異常を矯正する上述の方法を実行するように構成される。
【0047】
本発明の実施形態はさらに、能動屈折レンズと前述の処理回路を含む光学機器を提供する。光学機器は、パラメータの前記現在値を取得するようになされた1つ又は複数のセンサをさらに含み得て、処理回路は前記1つ又は複数のセンサとの通信インタフェースをさらに含み得る。
【0048】
本発明の実施形態はさらに、プロセッサにとってアクセス可能であり、プロセッサにより実行されると、プロセッサにある人物の屈折異常を矯正する前述の方法のステップを実行させる1つ又は複数の記憶された命令シーケンスを含むコンピュータプログラムを提供する。
【0049】
本発明の実施形態はさらに、上述のコンピュータプログラムの1つ又は複数の記憶された命令シーケンスを記憶する記憶媒体、すなわち「メモリ」を提供する。
【0050】
ある人物の屈折異常を矯正する前述の方法、そのためのコンピュータプログラム、記憶媒体、処理回路、及び光学機器は全て、ある人物の屈折異常、又は調節力を、ある期間にわたる前記屈折異常の変化を考慮しながら矯正するために能動屈折レンズを自動的に駆動することを可能にする。したがって、その人物は、その屈折異常が変化しても、常に正しい矯正を得られ、眼科専門医で眼の検査を受ける必要がない。
【0051】
ある実施形態において、光学機器は1つ又は複数のセンサを含み、処理回路は、1つ又は複数のセンサとの通信インタフェースを含み、通信インタフェースは、プロセッサ及びメモリと動作的に連結され、パラメータの現在値を取得するステップは、1つ又は複数のセンサを使ってパラメータの前記現在値を計測するステップを含む。
【0052】
ある実施形態において、前記パラメータの現在値を計測又は取得するステップと、その人物の現在の屈折異常の初期屈折異常に対する変動を検出するステップはある期間にわたり繰り返される。
【0053】
したがって、その人物の現在の屈折異常の変化がある期間にわたりモニタされ、それによって、初期屈折異常に対する現在の屈折異常の変化を前記変化が発生した後にできるだけ早く検出することができる。それゆえ、その人物の屈折異常が変化したことを警告し、又はその現在の屈折異常を直接矯正することが可能となる。
【0054】
ある実施形態において、能動屈折レンズの屈折関数を調整するステップは、球面成分、円柱成分、軸成分、加入度、及びプリズム成分のうちの1つ又は複数を調整するステップを含む。
【0055】
球面成分の調整により、近視眼/遠視眼の矯正が可能となる。円柱成分及び/又は軸の調整により乱視の矯正が可能となる。加入度の調整により老眼の矯正が可能となる。
【0056】
プリズムの調整は、過去に検出されなかったかもしれない、又は能動屈折レンズの屈折力変化により誘導されたかもしれない眼位の問題の補償が可能となる。
【0057】
ある実施形態において、方法は:
- メモリを使って、ある期間にわたるその人物の屈折異常の変動の予想モデルを取得するステップと、
- 処理回路を使って、予想モデルに基づいてパラメータの現在値を予想するステップと、
を含む。
【0058】
例えば、光学機器はセンサを含み得て、パラメータの現在値をセンサによってある期間にわたり繰り返し計測されてデータベースが形成され得て、予想モデルが将来の計測結果を予想するためにこのデータベースに基づいて確立され得る。
【0059】
将来の計測結果を予想することにより、将来の計測結果をダブルチェックし、例えばセンサの故障を検出して、表示することができる。
【0060】
代替的に、光学機器には、前記屈折異常をある期間にわたり計測するためのセンサがないことがあり得、メモリに記憶された予想モデルは社会学的データに基づき得る。例えば、予想モデルは人集団についてのある期間にわたる屈折異常の変化の記録に基づいて取得され得て、この場合、予想モデルもまた協働的である。このような予想モデルにより、屈折異常の変化を予期でき、前記屈折異常をある期間にわたり計測しなくても最新の矯正が常に提供される。
【0061】
本明細書で提供される説明及びその利点をよりよく理解するために、ここで、添付の図面及び詳細な説明と共に読むべき以下の簡単な説明を参照するが、同様の参照番号は同様の部品を表している。
【図面の簡単な説明】
【0062】
図1】本発明のある実施形態による方法を実行するようになされた処理回路の例を示す。
図2】ある人物の現在の屈折異常の変動を検出するための、本発明のある実施形態による方法の一般的フローチャートの例を示す。
図3】ある人物の現在の屈折異常の変動を矯正するための、本発明のある実施形態による方法の一般的フローチャートの例を示す。
図4】ある人物の現在の屈折異常の変動を検出し、矯正するための、本発明のある実施形態による方法の一般的フローチャートの例を示す。
図5】本発明の実施形態による光学機器の例を示す。
図6】本発明の実施形態による光学機器の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0063】
以下の説明及び図面において、図は必ずしも正しい縮尺によるとはかぎらず、特定の特徴は、明瞭さと簡潔さのため、又は参考とすることを目的として、一般化された、又は概略的な形態で示されているかもしれない。それに加えて、以下では各種の実施形態の製作と使用が詳しく述べられているが、本明細書に記載されているように、様々な内容で具現化され得る多くの発明的概念が提供されていると理解すべきである。本明細書に記載の実施形態は代表例にすぎず、本発明の範囲を限定しない。当業者にとっては、あるプロセスに関して定義された技術的特徴は全て、個別に、又は組合せにより、あるシステムに転置でき、その反対に、あるシステムに関する技術的特徴は全て、個別に、又は組合せにより、あるプロセスに転置できることもまた明らかであろう。
【0064】
ここで、[図1]を参照すると、本発明の実施形態による処理回路の例が示されており、処理回路は、ある人物の現在の屈折異常の変動を検出するため及び/又は矯正するための方法を実行するようになされている。
【0065】
処理回路は、メモリ(MEM)に動作的に連結されたプロセッサ(PROC)を含む。
【0066】
本発明のある実施形態において、処理回路は、プロセッサ(PROC)に動作的に連結された通信インタフェース(INT)をさらに含む。
【0067】
通信インタフェース(INT)は、1つ又は複数のセンサ(SENS)と通信するように構成され得る。
【0068】
通信インタフェース(INT)は、1つ又は複数の能動屈折レンズ(LENS)と通信するように構成され得る。
【0069】
通信インタフェースは、有線及び/又は無線であり得る。様々な種類の有線又は無線技術が利用可能であり、それらのそれぞれの利点は当業者の間でよく知れている。
【0070】
次に、[図2]、[図3]、及び[図4]を参照すると、各々、本発明の例示的な実施形態による方法の一般的フローチャートの例を示しており、それぞれ:
- ある人物の現在の屈折異常の変動を、前記変動を示すパラメータの現在値に基づいて検出すること([図2])、
- [図2]の実施形態のように、前記変動を検出し、能動屈折レンズの能動屈折関数を調整することによって前記変動を矯正すること([図3])、及び
- 前記変動を予想モデルを使って検出し、能動屈折レンズの能動屈折関数を調整することによって前記変動を矯正すること([図4])
に関する。
【0071】
図2]、[図3]、及び[図4]に示される例の各々によれば、光学機器が得られる:機器を取得(S1)。
【0072】
光学機器は、ある人物の片眼の初期屈折異常を矯正するようになされた屈折関数を有する光学レンズを含む。
【0073】
もちろん、光学機器は2つの光学レンズを含み得て、光学レンズの屈折関数はその人物の両眼の初期屈折異常を矯正するようになされる。
【0074】
光学機器は、前述の、[図1]に示される処理回路をさらに含む。
【0075】
メモリ(MEM)は、プロセッサ(PROC)により実行されるコンピュータプログラムを記憶する。コンピュータプログラムの一般的フローチャートは少なくとも、[図2]、[図3]、及び[図4]に示されるように:
- パラメータの現在値を取得するステップ:現在値を取得(S6)であって、メモリ(MEM)に記憶され、現在値はその人物の現在の屈折異常の初期屈折異常に対する変動を示すステップと、
- 取得したパラメータの現在値に基づいて、処理回路(CT)により、その人物の前記現在の屈折異常のその人物の前記初期屈折異常に対する変動を検出するステップ:変動を検出(S7)
を含む。
【0076】
ある人物の現在の屈折異常の初期屈折異常に対する変動は、単眼屈折異常にも両眼屈折異常にも関係し得る。
【0077】
パラメータの前記現在値を取得する(S6)ための様々な可能性が実装され得て、これらを以下に説明する。
【0078】
例えば、パラメータの前記現在値は、得られた光学機器内に組み込まれた第一のセンサ(SENS)によって直接計測され、メモリ(MEM)に記憶され得る。
【0079】
例えば、パラメータの前記現在値は処理回路(CT)によって、光学機器に組み込まれた少なくとも1つの第一のセンサ(SENS)による計測結果から間接的に特定され得て、計測結果はメモリ(MEM)に記憶される。
【0080】
例えば、パラメータの前記現在値は処理回路(CT)によって、どちらも光学機器に組み込まれた少なくとも1つの第一のセンサ(SENS)及び少なくとも1つの第二のセンサによる計測結果の組合せから間接的に特定され得て、計測結果はメモリ(MEM)に記憶される。例えば、注視距離、周囲の光束、及び眼瞼開放度の計測結果の組合せにより、その人物の屈折異常の変化を予想できる。
【0081】
例えば、パラメータの前記現在値は処理回路(CT)により、取得された予想モデルから特定され得る。
【0082】
ここで、[図2]に示される例示的な実施形態を参照するが、その中では、
- 得られた光学機器は、パラメータの前記現在値を計測するようになされた1つ又は複数の第一のセンサを含み、
- 得られた光学機器は、現在の観視条件を計測するようになされた1つ又は複数のセンサをさらに含み、
- パラメータの前記現在値は、得られた光学機器に組み込まれた少なくとも1つ又は複数の第一のセンサからの入力に基づいて取得され:現在値を取得(S6)、
- その人物の現在の屈折異常の初期屈折異常に対する変動が、少なくとも得られたパラメータの現在値に基づいて検出される:変動を検出(S7)。
【0083】
少なくとも1つの第一のセンサ(SENS)は、処理回路(CT)により、パラメータの現在値を計測するように命令される:現在値を計測(S2)。このようにして得られた現在値は処理回路(CT)に送信され、メモリ(MEM)に記憶される。
【0084】
実施形態において、パラメータの現在値を計測するステップ:現在値を計測(S2)は、ある人物の現在の屈折異常の初期屈折異常に対する変動を直接計測するステップに関する。
【0085】
パラメータの前記現在値は、例えば第一のセンサにより記録され得て、これは、光学機器のつるに設置された、860nmの光を発する発光ダイオード(LED)等の1つ又は複数の赤外(IR)光源と、IR光範囲において感受性を有し、ある人物の眼の鮮鋭な画像を取得し得るように合焦されるカメラ等の、光学機器上に設置されたIRセンサとの組合せを含む。各IRセンサは、対応するIR光源の付近にあり、IR光源により発せられ、観察者の強膜上で反射されたIR光を計測する。
【0086】
光学機器は反射素子、例えば屈折レンズの裏面上の、IR光源から入射した光を眼に向かって反射するように設計されたホログラフィックミラーをさらに含み得る。好ましくは、反射素子は、眼に入射した光線がコリメートされ、これらが眼の瞳孔に平行に入るという物であるが、この構成は必須ではなく、光は発散又は収束することも可能である(例えば+-3D)。
【0087】
偏心的写真屈折法の一般的原理によれば、発せられた光は眼に入射し、網膜に到達し、すると網膜によって反射素子に向かって反射され、その後、再びカメラへと反射されてその人物の眼の画像が得られる。得られた画像上で、その人物の瞳孔上に光の三日月が見られる。光の三日月の大きさは、その人物の屈折異常に依存する。
【0088】
実施形態において、パラメータの現在値を計測するステップ:現在値を計測(S2)は、ぼやけた視野により誘導される可能性のある行動的及び/又は生理学的変化を検出することに関係する。
【0089】
実施形態において、検出された行動的及び生理学的なぼやけにより誘導される変化は脳波の変動の指標である。
【0090】
実際、意思決定が主として脳の前頭部において行われることはよく知られている。遠方視活動において、ぼやけの程度が高まるにつれて意思決定がより困難になると、脳活動パターンが変化する。
【0091】
次に、[図5]を参照すると、ある人物の脳活動パターンをある期間にわたり記録するようになされた、取得された光学機器の例が示されている。
【0092】
得られた光学機器100は、眼鏡フレームに取り付けられた2つの光学レンズ200を含み、第一にセンサ300をさらに含む。第一のセンサ300は:
- 光学機器のフレームの上に、光学機器100がその人物により装用されたときに、前額部に近い頭蓋骨領域と接触するように設置される2つの乾式脳波検査(EEG)センサ330と、任意選択により、
- 光学機器100がその人物により装用されたときに、一次視覚野内の脳活動を記録するために眼鏡のつるの端に設置された2つの乾式EEGセンサ340と、
を含む。
【0093】
得られた光学機器100は、装用者及び/又は現在の視力に関係する追加的なパラメータを計測するための1つ又は複数の第二のセンサ400をさらに含む。
【0094】
これらのセンサは、継続的に、又は1日の異なる時間帯の数分間に、様々な視覚的タスクのための皮質活動を記録し得る。記録された皮質活動は、例えば深層学習の原理によるアルゴリズムを用いて分析され、リアルタイムで、又は1日の終わりに、装用者が体験する焦点ずれ(すなわち、「ぼやけ」)のレベルに関するフィードバックが提供され得る。任意選択により、ある期間にわたって記録された皮質活動に基づいて、最適な視覚矯正に基づく装用者の通常の視覚的習慣を表す行動ベースラインを生成し、生成された行動ベースラインを、皮質活動の現在の計測結果が焦点ずれの体験が現在発生していることを示すか否かの指標として使用することも考えられ得る。例えば、最後の眼の検査及び新たな機器の装用から数日及び数週間中に記録された脳活動信号は、ベースラインとして使用され得る。
【0095】
近方視に関して、ぼやけた視野の皮質信号は、その人物、例えば小児に強制的に読取り平面上で正確に調節させるためのフィードバックとして使用され得る。遠方視活動については、ぼやけた視野の皮質信号は、最後の眼の検査以降、近視が進行しており、新しい眼鏡をその人物に提供すべきであることをフィードバックとして示し得る。このフィードバックは、毎日の終わり、2日おき、毎週等に提供され得る。
【0096】
実施形態において、検出された、ぼやけにより誘導された行動的及び生理学的変化は目を細める傾向の指標である。
【0097】
目を細めることによって、瞳孔の大きさを自発的に縮小できる。この行動は例えば、眼に入射する光の量を減らすことにより、明るく眩しい光から保護するために使用される。また、よく知られていることとして、目を細めることにより、観察者が光学的にピントを合わせられないときによりよく見えるようにできる。実際に、眼瞼裂を狭めると瞳孔径が小さくなり、焦点深度が改善される。遠方視のタスク中に目を細める動作の発生回数が増えることは、近視の進行の良好なマーカである。近視が進行すると、像は網膜上に完璧に合焦されなくなる。したがって、矯正が不十分となるほど近視が進行した人物は、より頻繁に目を細めることによってぼやけのレベルを低下させ、遠くの物を読めるようにする。ビッグデータの統計及び/又は深層学習の原理を利用して、目を細める傾向の増大は、本来その種の行動を必要とすべきではない視覚的状況において、すなわち近視患者の場合は遠方視及び通常の照明条件で、又は遠視若しくは老眼患者の場合は近方視及び通常の照明条件で検出される可能性がある。
【0098】
次に、[図6]を参照すると、目を細める傾向の変化を四六時中記録するようになされた、得られた光学機器の例が示されている。
【0099】
得られた光学機器100は、眼鏡フレームに取り付けられた2枚の光学レンズ200を含み、第一のセンサ300をさらに含む。第一のセンサ300は、光学機器のつるの中に設置された1つ又は複数のIR LED 310と、光学機器上に設置されて、IR LEDにより発せられ、観察者の強膜で反射されたIR光を計測する1つ又は複数のIRセンサ320の組合せを含む。反射IR光の全体的な減少は、目を細める傾向が増大したことを示す。
【0100】
代替的に、筋電図検査(EMG)センサは眼鏡機器の、その人物の眼に近いこめかみと接触する部分に設置され得る。EMGセンサはそれゆえ、眼瞼筋の強度の増大を記録し得て、これは目を細める傾向の増加を示す。
【0101】
したがって、その人物の目を細める傾向が遠方視活動について通常の照明条件下で増大することが検出された場合、その人物の現在の視力矯正が合わなくなっており、近視が進行しており、新たな視力矯正が必要であるとの結論することができる。
【0102】
図2]及び[図3]に関連して上で述べた第一のセンサの何れかを用いてパラメータの現在値を計測するステップ:現在値を計測(S2)の結果として、パラメータの前記現在値を取得するステップ:現在値を取得(S6)が実現され、それがメモリ(MEM)に記憶される。
【0103】
パラメータの前記記憶された現在値は、ある人物の現在の屈折異常の変動を検出するステップ:変動を検出(S7)のために直接解釈され得る。
【0104】
しかしながら、パラメータの現在値は、前記現在値が現在の装用者の状態(例えば、頭部の姿勢、及び/又は眼の注視方向、及び/又は観視距離等)に、及び現在の環境条件(例えば、照明条件、及び/又は時刻等)に確実に関連付けられればよりよく解釈できる。記録を現在の装用者又は環境条件に関連付けることによって、得られた記録の何れかを、同様の装用者又は環境条件の下で過去に得られた記録を比較することが可能となる。それゆえ、検出された偏差は何れも、使用者の眼の屈折力の変動のみに関係していると解釈され得る。
【0105】
様々なセンサが使用され得て、上で提供され、詳細に記載された例は非限定的である。また、前述の例は近視の変化を特定することに関係していても、各々を老眼、遠視、乱視等、他の種類の視覚障害にも当てはめることができる点にも留意すべきである。
【0106】
近視の場合、人々は遠くが鮮明に見えないために遠方視活動中には目を細め得るが、近方視活動中は細めない。
【0107】
老眼又は遠視の場合、人々は、調節に問題があると近方視活動中に目を細め得るが、遠方視活動中は細めない。年齢は、遠視と老眼の区別を可能にする追加的情報であり得る。例えば、近方視活動中に目を細める人物は、年齢が例えば40又は45歳未満であれば遠視、そうでなければ老眼と考えられ得る。
【0108】
乱視の場合、人々は、観視距離にかかわらず鮮明に見えないため、目を細める。
【0109】
実施形態において、得られた光学機器は、現在の観視条件を得るようになされた少なくとも1つの第二のセンサを含む。少なくとも1つの第二のセンサ(SENS)は、処理回路(CT)により現在の観視条件を取得する:観視条件を取得(S3)ように命令される。このように得られた現在の観視条件は処理回路(CT)に送信され、パラメータの記憶された現在値に関連付けられ、メモリ(MEM)に記憶される。
【0110】
観視条件は、装用者に関係し(装用者関連の観視条件又は「観察者条件」)、又は装用者の環境に関係(環境関連の観視条件又は「環境条件」)し得る。
【0111】
例えば、テレメータ等のセンサは、装用者が遠方視活動を行っているか近方視活動を行っているかを処理回路が特定し得るように、観視距離に関して知らせるために使用され得る。このような観視距離センサは例えば、脳活動記録センサと組み合わせて使用して、ある期間にわたる脳活動の変化を最適に分析し、例えば、その人物が遠方視活動においてぼやけを体験しているか否かを識別し得る。
【0112】
さらに、ある人物が行っているのが遠方視活動か近方視活動かを知ることにより、その人物の眼の屈折力の記録された変化が、例えば近視の進行により誘導されたか、又は調節により誘導されたかを特定できる。このテレメータ装置のおかげで、その人物の眼の屈折力の変化の連続記録と共に、調節応答の統計を取得し、近方視における調節力の減退の可能性を知らせることができる。多くの研究により、調節の減退が大きいほど、近視の進行は速いことが証明されている。これらのような調節応答の統計は、近視が実際に進行する前であっても、近視の進行のリスクを早期に検出するために使用され得る。
【0113】
装用者の屈折異常の進行の特定を助けることのほかに、このようなセンサはまた、屈折異常が様々な長時間続く日常の活動の中でよく矯正されているか否かをチェックするためにも有益であり得る。
【0114】
例えば、装用者の眼に向けられたカメラは装用者の注視方向を検出し得る。得られた注視方向は、処理回路によりエルゴラマを使って推定された注視距離に関連付けられ得る。例えば注視方向が下がることは近方視に関連付けることができる。例えばまっすぐ前方に向かう注視方向は遠方視に関連付けられ得る。
【0115】
例えば、光強度センサは、処理回路に対して装用者の環境の照明レベルの指標を提供するために使用され得る。
【0116】
例えば、加速度計が距離センサと共に使用され得て、ある例では、眼鏡が傾けられて、距離が短いことを示し得る。処理回路は、このような複合的な指標に基づき、装用者が読書活動を行っていることを特定し得る。反対に、眼鏡が現時点で傾けられず、注視距離が遠方視に対応する場合、処理回路は、装用者が遠方視に関連する活動を行っていると特定し得る。
【0117】
記憶された現在の観視条件に基づき、パラメータの値の複数の、及び/又は連続的な記録の中から、同様の装用者予備環境条件に対応する記録を具体的に選択することができる。
【0118】
このようなセンサは、目細め動作センサと組み合わせると特に妥当である(目細め動作は照明レベルに依存し得るからである)。
【0119】
図2]及び[図3]に関してすでに述べた第二のセンサの何れかを使って得られ:観視条件を取得(S3)、メモリ(MEM)に記憶された現在の観視条件は、記憶されたパラメータの現在値と共に、ある人物の現在の屈折異常の変動を検出するため:変動を検出(S7)に解釈され得る。
【0120】
その人物の前記現在の屈折異常のその人物の前記初期屈折異常に対する変動を検出する:変動を検出(S7)様々な可能性が実装され得る。
【0121】
例えば、得られたパラメータの現在値は所定の閾値と比較され得る。このような比較は、その人物の屈折異常の連続的変化をモニタするのに役立ち得る。例えば、このような比較は、その人物の現在の屈折異常が初期屈折異常を中心とした許容範囲内にとどまっているか否かを示し得る。
【0122】
例えば、パラメータの現在値はある期間にわたり繰り返し取得され得る。パラメータの現在値のある時間にわたる変動は、所定の閾値と比較され得る。このような比較は例えば、その人物の屈折異常の突然の予期せぬ変化を示し得る。
【0123】
例えば、その人物の眼の屈折の変化は、より多くの異なる記録の中から選択された複数の/連続的な記録に基づいて特定され得て、それによってこれらは類似する装用者及び環境条件を示す。このような特定により、ある屈折異常の変化を表す状況に対応する記録だけを比較することができ、このことは精密な屈折変化を得るための精度の問題を克服でき、また、得られた光学機器に組み込まれた何れかの第一のセンサからの関連性のある計測結果だけを考慮することによって、メモリや処理リソースを節約できる。例えば、近視の場合、遠方視活動中の第一のセンサからの計測結果だけを考慮すればよい。例えば、老眼の場合、遠方視活動中の第一のセンサからの計測結果だけを考えればよい。
【0124】
実施形態において、その人物の現在の屈折異常の初期屈折異常に対する変動を検出するステップ:変動を検出(S7)の後、処理回路(CT)はその人物又は第三者に対して警報を生成する。
【0125】
警報は、前記検出された変動を知らせ、例えば、新しい光学機器を注文するか、又は眼科専門医の予約をとるために使用され得る。
【0126】
実施形態において、その人物の現在の屈折異常の初期屈折異常に対する変動を検出するステップ:変動を検出(S7)に基づいて、処理回路(CT)は前記検出された変動を補償するために光学機器の少なくとも1つの光学レンズの矯正度数を調整するための信号を発行する。
【0127】
信号は、例えば視覚又は聴覚による警報を光学機器を装用する人物に提供することを目的とした警報信号とすることができ、それによってその人物は前記矯正度数を手動で調整する。
【0128】
代替的に、信号は、前記矯正度数を自動的に調整するためのコマンド信号とすることができる。
【0129】
ここで、[図3]を参照すると:
- [図2]に関して上で説明した実施形態の何れかにより、その人物の現在の屈折異常の初期屈折異常に対する変動が検出され:変動を検出(S7)、
- 得られた光学機器の少なくとも1つの光学レンズは能動屈折レンズであり、
- その人物の現在の屈折異常の初期屈折異常に対する、検出された変動は、前記検出された変動を補償するために能動屈折レンズにより提供される矯正度数を調整する:調整(S8)ために使用される。
【0130】
もちろん、検出するステップ:変動を検出(S7)と調整するステップ:調整(S8)はずっと繰り返すことができ、それによって最新の矯正度数がその人物に繰り返し/連続的に提供される。
【0131】
本発明のある実施形態において、得られた光学機器はスマートグラスであり、これは:
- 2枚の能動屈折レンズと、
- ある人物の現在の屈折異常の本人の初期屈折異常に対する変動を示すパラメータの現在値を計測するようになされた少なくとも1つの第一のセンサと、
- 現在の観視条件を計測するようになされた少なくとも1つの第二のセンサと、
- [図3]に示される方法を実行するコンピュータシステムと、
を含む。
【0132】
能動屈折レンズは、中心視力矯正用になされた第一のレンズ矯正度数と、能動的であり(換言すれば、制御可能であり)、ある人物に追加の中心視野矯正又は周辺視野矯正を提供する第二のレンズ矯正度数の組合せとして説明され得る全面レンズ矯正度数を示す光学レンズである。
【0133】
第一のレンズ矯正度数は、受動的とすることも能動的とすることもでき、通常は当初、初期屈折に合わせられ、例えば第一のレンズ矯正度数は、ある人物に関して眼科専門医が処方する処方値と等しい。
【0134】
能動的矯正度数は、様々な技術により取得できる。
【0135】
広視野アルバレスレンズにおいて、2枚のプレートを合わせて相互にスライドさせることができる。両方のプレートの相対位置に応じて異なる矯正度数が得られる。駆動は、様々な命令により手動で行うことができる(例えば、スライダ、ローラ等)。この場合、強制度数を変えなければならない時期と加入すべき矯正度数の量がその人物に何れかの種類の人間-機械インタフェース(HMI)を介して(光学機器上で直接、アプリケーションを介して、スマートフォン等の端末上の警告を介して等)伝えられ得る。駆動は、電気駆動式モータを介して自動で行うことができる。この場合、必要な矯正度数は直接変更されて、装用者に知らせることができる。
【0136】
広視野流体レンズにおいて、流体で満たされる空洞の形状は、各種の矯正度数を提供するように制御される。
【0137】
例えば、光学機器は、おそらく2つの眼科用シェル間に封入され、片側が弾性膜で製作される空洞内の液体の量を制御するためのポンプを含み得る。流体が空洞内に注入されると弾性膜が変形し、それによってレンズの度数が変化する。
【0138】
例えば、レンズはおそらく2つの眼科用シェル間に封入される流体を収容する空洞を含み得る。空洞は弾性膜で製作される。光学機器は、変形可能なリングに沿って分散され、膜を引っ張られた状態に保持する機械的アクチュエータをさらに含み得る。機械的アクチュエータは変形可能リングを幾つかの地点で変形させ、それによって膜が変形し、レンズの度数が変化する。
【0139】
例えば、レンズは、第一の屈折率を有する第一の液体で満たされた第一の空洞と第一の屈折率とは異なる第二の屈折率を有する第二の液体で満たされた第二の空洞の組立体と、第一の空洞と第二の空洞との間の隔壁としての弾性膜と、を含み得る。組立体は、例えば第一の屈折率に近い屈折率を有する眼科用シェル内に封入され得る。光学機器は、第一の液体と第二の液体の相対量を調整して、弾性膜を変形させるための可逆的ポンプをさらに含み得る。
【0140】
何れの種類の広視野流体レンズにおいても、様々な命令により手動で行うことができる(例えば、スライダ、ローラ等)。この場合、強制度数を変えなければならない時期と加入すべき矯正度数の量がその人物に何れかの種類の人間-機械インタフェース(HMI)を介して(光学機器上で直接、アプリケーションを介して、スマートフォン等の端末上の警告を介して等)伝えられ得る。駆動は、電気駆動式アクチュエータ又はポンプを介して自動で行うことができる。この場合、必要な矯正度数は直接変更されて、装用者に知らせられ得る。
【0141】
能動屈折レンズのその他の技術も使用でき、これは例えば、ピクセル化マトリクスにしたがって配置された液晶を含む液晶電気光学レンズ等である。各液晶は、特定の度数矯正を提供するために制御され得る。液晶電気光学レンズにより、微細に制御された光学設計を提供できる。駆動は電気駆動式能動/受動マトリクスを介して自動で行われ得る。この場合、必要な矯正度数は直接変更されて、装用者に知らせられ得る。
【0142】
ある人物の眼の初期屈折力に基づき各能動屈折レンズの屈折関数は当初、その人物の初期屈折異常がある場合にそれを矯正するように設定される。初期屈折力は、何れかの標準的又は既知の屈折力特定プロセスを実行することによって取得され得る。
【0143】
検出された変動を補償するために能動機屈折レンズにより提供される矯正度数を調整するステップ:調整(S8)によって、第一のセンサ及び、任意選択により第二のセンサによるある期間にわたる計測結果に基づいて検出される、ずっと変化する屈折異常を有する人物に対して、常に適切な矯正を提供することができる。
【0144】
それゆえ、光学機器は、その人物の屈折異常の初期屈折異常に対する変化が考慮されるという点で、その人物に合わせた矯正を提供する。
【0145】
上述のような概念の様々な変形型が認められ得る。特に、得られた光学機器は何れかのセンサを含むとはかぎらない。また、人物の屈折異常の変化を評価し、この変化を考慮した矯正を提供するために何れかの計測結果がある期間にわたり収集されるとはかぎらない。
【0146】
ここで[図4]を参照すると、得られた光学機器は少なくとも1つの能動屈折レンズと処理回路(CT)を含んでいる。この実装は光学機器にいかなるセンサもなくてよいため、高い費用効果及び重量効果を有し得る。
【0147】
ある期間にわたるその人物の屈折異常の変化の予想モデルが処理回路(CT)により得られる:モデルを取得(S4)。近視予想モデルの場合、入力パラメータは、年齢、人種、性別、過去のECP計測処方値(球面、円柱、又は平均球面を含む)の中から選択できるが、これらに限定されない。老眼予想モデルでは、入力パラメータは、年齢、日光を浴びる習慣、過去のECP計測処方値(球面、円柱、又は平均球面、加入度を含む)から選択できるが、これらに限定されない。
【0148】
実施形態において、その人物の現在の屈折異常の本人の初期屈折異常に対する変動を示すパラメータの現在値は、処理回路(CT)により予想される:現在値を予想(S5)。
【0149】
前記現在値を予想するステップは、取得された予想モデルに基づいて行われ得る。
【0150】
その人物の現在の屈折異常の初期屈折異常に対する変動を示すパラメータの前記現在値はそれゆえ、計測結果ではなく記憶された予想モデルに基づいて取得され得る:現在値を取得(S6)。
【0151】
その人物の現在の屈折異常の初期屈折異常に対する変動は、パラメータの取得された現在値に基づいて検出され得る。
【0152】
その人物の現在の屈折異常の初期屈折異常に対する検出された変動は、前記予想された変動を補償するために能動屈折レンズにより提供される矯正度数を調整するため:調整(S8)に使用される。
【0153】
それゆえ、光学機器は、その人物の屈折異常の初期屈折異常に対する変化を考慮して、その人物に合わせた矯正を提供する。
【0154】
図2]及び[図4]に関して上で述べた実施形態はそれぞれ、相互に組み合わせられ得る。
【0155】
特に、[図4]に関して上で述べた予想モデルは、第一のセンサからの、及び任意選択により[図2]に関して上で述べた第二のセンサからの計測結果と組み合わせられ得る。
【0156】
実際に、予想モデルは、その人物の屈折異常の変化の直接計測をある期間にわたり繰り返し実施することから得られる収集データを使用して改良し、その人物に合わせて個人化できる。屈折異常の変化の計測結果が、第一のセンサ及び第二のセンサから得られた計測結果を組み合わせることによって間接的に取得される場合、予想モデルからの予想の質もまた、第一のセンサ及び第二のセンサを使用した計測をある期間にわたり繰り返し行うことから得られた収集データを使い、前記得られた計測結果を組み合わせることによって改善できる。
【符号の説明】
【0157】
100 光学機器
200 光学レンズ
300 第一のセンサ
310 LED
320 IRセンサ
330 乾式脳波検査(EEG)センサ
340 乾式EEGセンサ
400 第二のセンサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【外国語明細書】