(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024105681
(43)【公開日】2024-08-06
(54)【発明の名称】筋強直性ジストロフィープロテインキナーゼの発現を抑制および/またはDMPK遺伝子の3’非翻訳領域におけるトリヌクレオチドリピート伸長に干渉するための組換えウイルス産物および方法
(51)【国際特許分類】
C12N 15/864 20060101AFI20240730BHJP
C12N 15/86 20060101ALI20240730BHJP
C12N 15/861 20060101ALI20240730BHJP
C12N 15/867 20060101ALI20240730BHJP
C12N 15/113 20100101ALI20240730BHJP
A61P 21/04 20060101ALI20240730BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20240730BHJP
A61K 35/76 20150101ALI20240730BHJP
A61K 35/761 20150101ALI20240730BHJP
A61K 35/763 20150101ALI20240730BHJP
【FI】
C12N15/864 100Z
C12N15/86 Z ZNA
C12N15/861 Z
C12N15/867 Z
C12N15/113 130Z
A61P21/04
A61K48/00
A61K35/76
A61K35/761
A61K35/763
C12N15/86 Z
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024083610
(22)【出願日】2024-05-22
(62)【分割の表示】P 2021509821の分割
【原出願日】2019-08-22
(31)【優先権主張番号】62/721,105
(32)【優先日】2018-08-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
2.TRITON
(71)【出願人】
【識別番号】515289842
【氏名又は名称】リサーチ インスティチュート アット ネイションワイド チルドレンズ ホスピタル
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ニコラス セバスティアン ウェイン
(72)【発明者】
【氏名】スコット クエントン ハーパー
(72)【発明者】
【氏名】ケリー リード クラーク
(57)【要約】
【課題】筋強直性ジストロフィープロテインキナーゼの発現を抑制および/またはDMPK遺伝子の3’非翻訳領域におけるトリヌクレオチドリピート伸長に干渉するための組換えウイルス産物および方法の提供。
【解決手段】本開示は、筋強直性ジストロフィープロテインキナーゼ(DMPK)遺伝子の発現を抑制するための、RNA干渉に基づく方法に関する。本開示の組換えアデノ随伴ウイルスは、DMPKの発現をノックダウンまたはI型筋強直性ジストロフィー(DM1)に関連するCTGリピートの発現に干渉する、抑制RNAをコードするDNAを送達する。この方法は、DM1、および異常DMPK発現に関連する他の障害を含む、筋強直性ジストロフィーの処置における適用を有する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、筋強直性ジストロフィープロテインキナーゼ(DMPK)遺伝子の発現を抑制ならびに/または筋強直性ジストロフィープロテインキナーゼ(DMPK)遺伝子の3’非翻訳領域におけるCTGトリヌクレオチドリピートのリピート伸長に干渉するための、RNA干渉に基づく産物および方法に関する。本開示の組換えアデノ随伴ウイルスは、DMPKの発現をノックダウンするか、またはCTGリピート伸長に干渉する非コードRNAをコードするDNAを送達する。該方法は、筋ジストロフィー、特に筋強直性ジストロフィーの処置にて適用される。
【0002】
配列表の一部としての援用
本出願は、本開示の独立部分として、コンピュータ読み取り可能な形態(ファイル名:53317A_Seqlisting.txt、48,018バイト、2019年8月21日に作成されたASCIIテキストファイル)を含む。これは、本明細書の一部を構成するものとして、本明細書全体の内容を援用する。
【背景技術】
【0003】
筋強直性ジストロフィー(DM)は、筋強直症、筋肉機能不全および稀にではあるが心臓伝導障害によって特徴づけられている。主要な型として2つの型が存在している。I型(DM1)は、筋強直性ジストロフィープロテインキナーゼ(DMPK)遺伝子における変異によって引き起こされ、II型(DM2)は、CCHC型ジンクフィンガー核酸結合タンパク質(CNBP)遺伝子における変異によって引き起こされる。患者とその家族は、筋肉、心臓に悪影響を及ぼすこうした疾患と、神経系が原因の認知障害により極度に影響を受ける。現状、これらの深刻な障害の両方にとって利用可能な治療的処置は存在しておらず、患者には症状管理といった選択のみが残されている。
【0004】
DM1は、成人発症の筋ジストロフィーのうち、最もありふれた形態の1つである。DM1は、骨格筋、心臓、脳、皮膚、眼および内分泌系に悪影響を及ぼす。筋強直性ジストロフィーの有病率は、8,000人に1人であると推測されているが、フィンランドおよび他のヨーロッパ諸国では更に高い有病率が報告されている。
【0005】
DM1は、少なくともいくつかの例では、DMPK遺伝子の3’非翻訳領域にCTGヌクレオチドリピートが存在することで引き起こされる。こうした毒性リピートは、これらが他のタンパク質を捕捉する核内で処理および蓄積される。これによりタンパク質は正常に働くことができなくなり、観察される疾患症状を引き起こす。DM1を含むDMの処置、ならびに処置のための新規手段を試験するための産物および方法に関して、当該技術分野における必要が未だ存在している。
【0006】
DM1向けのマウスモデルはほとんど利用することができないため、こうしたモデルはDM1疾患の全特徴を再現できていない。この点がDM1の研究分野における負担であり、これが見込みのある治療用の新規薬物の試験を複雑にしている。DM1向けの処置およびDM1を処置するための新規方法を試験するためのモデルに関して、当該技術分野における需要が未だ存在している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
I型筋強直性ジストロフィー(DM1)を処置する必要がある対象において、これを処置するための産物および方法が本明細書では提供される。本開示は、DMPK遺伝子の3’非翻訳領域における、毒性リピートとしても既知であるCTGヌクレオチドリピートを含む、筋強直性ジストロフィープロテインキナーゼ(DMPK)遺伝子の発現を予防または抑制するためのRNA干渉(RNAi)を基にした産物および方法を提供する。この方法は、対象の細胞にDMPK遺伝子に特異的な抑制RNAを送達することに関連する。いくつかの態様では、この方法はアデノ随伴ウイルス(AAV)を用い、DMPK mRNAまたはDMPK遺伝子の3’非翻訳領域におけるCUGリピートを標的とする、抑制RNAを送達する。本開示のDMPK抑制RNAには、DMPKの発現を抑制する、アンチセンスRNA、スモール抑制RNA(siRNA)、ショートヘアピンRNA(shRNA)、核内低分子RNA(snRNAもしくはU-RNA)、または人工マイクロRNA(DMPK miRNA)が含まれるが、これに限定されない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
いくつかの態様では、本開示は、U6 snRNAプロモータ(以降、「DMPK U6shRNAヌクレオチド」)またはU7 snRNAプロモータ(以降、「DMPK U7snRNAヌクレオチド」)に操作可能に結合された、DMPK遺伝子(例えば、3’非翻訳領域にCTGリピート伸長を含むDMPK遺伝子)の発現を減少させる抑制RNAを含む核酸を含む。これらの態様のいくつかの実施形態では、DMPK遺伝子の発現を減少させる抑制RNAは、とりわけsiRNA、shRNA、snRNA、またはmiRNAである。
【0009】
いくつかの態様では、本開示は、配列番号:3~19のいずれか1つに明記された配列に対する、少なくとも約70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を含む、RNAをコードするヌクレオチド配列を含む核酸を含む。
【0010】
いくつかの態様では、本開示は、U6プロモータの制御下で、配列番号:3~7のうち1つに明記された配列またはそれらの相補性配列に対する、少なくとも約70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を含む、RNAをコードするヌクレオチド配列を含む核酸を含む。いくつかの態様では、本開示は、U7プロモータの制御下で、配列番号:8~19のうち1つに明記された配列またはそれらの相補性配列に対する、少なくとも約70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を含む、RNAをコードするヌクレオチド配列を含む核酸を含む。
【0011】
本開示は、(a)配列番号:3~19のうち1つに明記された配列もしくはそれらの相補性配列に対する、少なくとも約70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%の同一性を含む、DMPK RNAをコードするヌクレオチド配列;(b)配列番号:20~24のうち1つに明記された配列もしくはそれらの相補性配列に対する、少なくとも約70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%の同一性を含む、DMPK U6shRNAをコードするヌクレオチド配列;(c)配列番号:25~36のうち1つに明記された配列もしくはそれらの相補性配列に対する、少なくとも約70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%の同一性を含む、DMPK U7snRNAをコードするヌクレオチド配列;(d)配列番号:37~48のうち1つに明記された配列もしくはそれらの相補性配列に対する、少なくとも約70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%の同一性を含む、DMPK RNAをコードするヌクレオチド配列;(e)配列番号:37~48のうち1つに明記された配列に結合されたDMPK RNAをコードするヌクレオチド配列;(f)配列番号:49~60のうち1つに明記された配列に対する、少なくとも約70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%の同一性を含む、DMPK RNA逆相補配列;(g)配列番号:61~72のうち1つに明記された配列に対する、少なくとも約70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%の同一性を含む、RNAをコードする逆相補配列;ならびに/または(h)(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)および/もしくは(g)のうちいずれか1つもしくは複数の組合せを含む核酸を提供する。
【0012】
本開示は、配列番号:20~24のうち1つに明記された配列との少なくとも約70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%の同一性を含む、DMPK U6shRNAをコードするヌクレオチド配列、配列番号:25~36および配列番号:61~72のうち1つに明記された配列との少なくとも約70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%の同一性を含む、DMPK
U7snRNAをコードするヌクレオチド配列、または配列番号:20~24のうち1つに明記された配列との少なくとも約70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%の同一性を含む、DMPK U6shRNAをコードするヌクレオチド配列ならびに/または配列番号:25~36および配列番号:61~72のうち1つに明記された配列との少なくとも約70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%の同一性を含む、DMPK U7snRNAをコードするヌクレオチド配列との組合せを含む、核酸を提供する。
【0013】
本開示は、本明細書に記載の核酸のいずれかを含むウイルスベクターを追加的に提供する。いくつかの実施形態では、ウイルスベクターは、アデノ随伴ウイルス(AAV)、アデノウイルス、レンチウイルス、レトロウイルス、ポックスウイルス、バキュロウイルス、単純ヘルペスウイルス、ワクシニアウイルス、または合成ウイルス(例えば、キメラウイルス、モザイクウイルス、もしくはシュードタイプウイルス、および/もしくは異種タンパク質、合成ポリマー、ナノ粒子、もしくは低分子を含むウイルス)である。
【0014】
いくつかの実施形態では、ウイルスベクターは、AAV1(すなわちAAV1末端逆位配列(ITR)およびAAV1カプシドタンパク質を含むAAV)、AAV2(すなわちAAV2ITRおよびAAV2カプシドタンパク質を含むAAV)、AAV3(すなわちAAV3ITRおよびAAV3カプシドタンパク質を含むAAV)、AAV4(すなわちAAV4ITRおよびAAV4カプシドタンパク質を含むAAV)、AAV5(すなわちAAV5ITRおよびAAV5カプシドタンパク質を含むAAV)、AAV6(すなわちAAV6ITRおよびAAV6カプシドタンパク質を含むAAV)、AAV7(すなわちAAV7ITRおよびAAV7カプシドタンパク質を含むAAV)、AAV8(すなわちAAV8ITRおよびAAV8カプシドタンパク質を含むAAV)、AAV9(すなわちAAV9ITRおよびAAV9カプシドタンパク質を含むAAV)、AAV10(すなわちAAV10ITRおよびAAV10カプシドタンパク質を含むAAV)、AAV11(すなわちAAV11ITRおよびAAV11カプシドタンパク質を含むAAV)、AAV12(すなわちAAV12ITRおよびAAV12カプシドタンパク質を含むAAV)、AAV13(すなわちAAV13ITRおよびAAV13カプシドタンパク質を含むAAV)、AAVrh74(すなわちAAVrh74ITRおよびAAVrh74カプシドタンパク質を含むAAV)、AAVrh.8(すなわちAAVrh.8ITRおよびAAVrh.8カプシドタンパク質を含むAAV)、またはAAVrh.10(すなわちAAVrh.10ITRおよびAAVrh.10カプシドタンパク質を含むAAV)などのAAVである。
【0015】
いくつかの態様では、ウイルスベクターは組換えAAV(rAAV)または自己相補的組換えAAV(scAAV)である。いくつかの態様では、AAV、rAAV、またはscAAVは、AAV-1、AAV-2、AAV-3、AAV-4、AAV-5、AAV-6、AAV-7、AAV-8、AAV-9、AAV-10、AAV-11、AAV-12、AAV-13、AAV-anc80、AAVrh.74、AAVrh.8、またはAAVrh.10である。
【0016】
いくつかの実施形態では、ウイルスベクターは、1つのAAV血清型由来のITRおよび異なるAAV血清型由来のカプシドタンパク質を含むシュードタイプAAVである。いくつかの実施形態では、シュードタイプAAVはAAV2/9である(すなわち、AAV2ITRおよびAAV9カプシドタンパク質を含むAAVである)。いくつかの実施形態では、シュードタイプAAVはAAV2/8である(すなわち、AAV2ITRおよびAAV8カプシドタンパク質を含むAAVである)。いくつかの実施形態では、シュードタイプAAVはAAV2/1である(すなわち、AAV2ITRおよびAAV1カプシドタンパク質を含むAAVである)。
【0017】
いくつかの実施形態では、AAVは、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12、AAV13、AAV-anc80、AAVrh74、AAVrh.8もしくはAAVrh.10由来の1つまたは複数のカプシドタンパク質のキメラを含むカプシドタンパク質などの組換えカプシドタンパク質を含む。
【0018】
いくつかの実施形態では、AAVは、rep遺伝子およびcap遺伝子を欠損している。いくつかの実施形態では、AAVは組換え線形AAV(rAAV)、または組換え自己相補的AAV(scAAV)である。
【0019】
いくつかの実施形態では、本開示は、U6プロモータの制御下で、配列番号:3~7のうちいずれか1つに明記された配列との、少なくとも約70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%の同一性を含む抑制RNAをコードするヌクレオチド配列を含む核酸、および/またはU7プロモータの制御下で、配列番号:8~19のうちいずれか1つに明記された配列との、少なくとも約70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%の同一性を含むRNAをコードするヌクレオチド配列を含む核酸を含む、ウイルスベクター(例えばAAVなどの本明細書に記載のウイルスベクター)を提供する。
【0020】
いくつかの実施形態では、本開示は、配列番号:20~24のうち1つに明記された配列との少なくとも約70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%の同一性を含む、DMPK U6shRNAをコードするヌクレオチド配列、配列番号:25~36および配列番号:61~72のうち1つに明記された配列との少なくとも約70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%の同一性を含む、DMPK U7snRNAをコードするヌクレオチド配列、または配列番号:20~24のうち1つに明記された配列との少なくとも約70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%の同一性を含む、DMPK U6shRNAをコードするヌクレオチド配列ならびに/または配列番号:25~36および配列番号:61~72のうち1つに明記された配列との少なくとも約70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%の同一性を含む、DMPK U7snRNAをコードするヌクレオチド配列との組合せを含む核酸を含む、ウイルスベクター(例えば、AAVなどの、本明細書に記載のウイルスベクター)を提供する。
【0021】
いくつかの実施形態では、本開示は本明細書に記載のような任意のアデノ随伴ウイルスおよび薬学的に許容される担体を含む、組成物を提供する。
【0022】
本開示はまた、細胞において、DMPK遺伝子の発現を抑制ならびに/またはDMPK遺伝子の発現に干渉もしくは、DMPK遺伝子の3’非翻訳領域におけるCUGトリプレットリピート伸長(CTGexp)に干渉する方法を提供し、この方法は、細胞と、本明細書に記載されるような核酸のいずれかを含む本明細書に記載のAAVベクターといったウイルスベクターとを接触させることを含む。いくつかの態様では、ウイルスベクター(例えば、線形AAVまたはscAAVなどのAAV)は、配列番号:20~24のうち1つに明記された配列との少なくとも約70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%の同一性を含む、DMPK U6shRNAをコードするヌクレオチド配列、配列番号:25~36および配列番号:61~72のうち1つに明記された配列との少なくとも約70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%の同一性を含む、DMPK U7snRNAをコードするヌクレオチド配列、または配列番号:20~24のうち1つに明記された配列との少なくとも約70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%の同一性を含む、DMPK U6shRNAをコードするヌクレオチド配列ならびに/または配列番号:25~36および配列番号:61~72のうち1つに明記された配列との少なくとも約70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%の同一性を含む、DMPK U7snRNAをコードするヌクレオチド配列との組合せを含む、核酸を含む。いくつかの態様では、ウイルスベクター(例えば、線形AAVまたはscAAVなどのAAV)は、U6プロモータの制御下で、配列番号:3~7のうちいずれか1つに明記された配列との、少なくとも約70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%の同一性を含む抑制RNAをコードするヌクレオチド配列を含む1つまたは複数の核酸、および/またはU7プロモータの制御下で、配列番号:8~19のうちいずれか1つに明記された配列との、少なくとも約70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%の同一性を含むRNAをコードするヌクレオチド配列を含む、1つまたは複数の核酸を含む。
【0023】
本開示は、本明細書に記載の、DMPKを標的とする干渉RNAをコードする核酸を含む、有効量のウイルスベクター(例えば、線形AAVまたはscAAVなどのAAV)を、対象に投与することを含む、筋強直性ジストロフィーを患っている対象を処置する方法を提供する。いくつかの態様では、ウイルスベクター(例えば、線形AAVまたはscAAVなどのAAV)は、配列番号:20~24のうち1つに明記された配列との少なくとも約70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%の同一性を含む、DMPK U6shRNAをコードするヌクレオチド配列、配列番号:25~36および配列番号:61~72のうち1つに明記された配列との少なくとも約70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%の同一性を含む、DMPK U7snRNAをコードするヌクレオチド配列、または配列番号:20~24のうち1つに明記された配列との少なくとも約70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%の同一性を含む、DMPK U6shRNAをコードするヌクレオチド配列ならびに/または配列番号:25~36および配列番号:61~72のうち1つに明記された配列との少なくとも約70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%の同一性を含む、DMPK U7snRNAをコードするヌクレオチド配列との組合せを含む、核酸を含む。いくつかの態様では、ウイルスベクター(例えば、線形AAVまたはscAAVなどのAAV)は、U6プロモータの制御下で、配列番号:3~7のうちいずれか1つに明記された配列との、少なくとも約70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%の同一性を含む抑制RNAをコードするヌクレオチド配列を含む1つまたは複数の核酸、および/またはU7プロモータの制御下で、配列番号:8~19のうちいずれか1つに明記された配列との、少なくとも約70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%の同一性を含むRNAをコードするヌクレオチド配列を含む、1つまたは複数の核酸を含む。
【0024】
いくつかの実施形態では、本開示は、必要がある対象において筋強直性ジストロフィーを処置する方法を提供し、対象に、本明細書に記載のDMPKを標的とする干渉RNAをコードする核酸を含む有効量のウイルスベクター(例えば、線形AAVまたはscAAVなどのAAV)を投与する工程を含み、ウイルスベクター(例えば、AAV)のゲノムは、(1)DMPK遺伝子のエクソン5の発現を抑制;(2)DMPK遺伝子のエクソン8の発現を抑制;および/または(3)DMPK遺伝子の3’非翻訳領域におけるCUGトリプレットリピート伸長(CTGexp)またはDMPK遺伝子の非翻訳エクソン15に干渉するように標的化された、少なくとも1つのU6shRNAポリヌクレオチドおよび/または少なくとも1つのU7snRNAポリヌクレオチド、またはその組合せを含む。いくつかの態様では、U6shRNAをコードするポリヌクレオチドは、配列番号:20~24のいずれか1つに明記された配列に対する、少なくとも約70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を含んでいる。いくつかの態様では、U7sRNAをコードするポリヌクレオチドは、配列番号:25~36および61~72のいずれか1つに明記された配列に対する、少なくとも約70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を含んでいる。いくつかの態様では、ウイルスベクター(例えば、線形AAVまたはscAAVなどのAAV)は、U6プロモータの制御下で、配列番号:3~7のうちいずれか1つに明記された配列との、少なくとも約70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%の同一性を含む抑制RNAをコードするヌクレオチド配列を含む1つまたは複数の核酸、および/またはU7プロモータの制御下で、配列番号:8~19のうちいずれか1つに明記された配列との、少なくとも約70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%の同一性を含むRNAをコードするヌクレオチド配列を含む、1つまたは複数の核酸を含む。
【0025】
本開示は、必要がある対象において筋強直性ジストロフィーを処置する方法を提供し、対象に有効量のウイルスベクター(例えば、線形AAVまたはscAAVなどのAAV)を投与する工程を含み、ウイルスベクター(例えば、線形AAVまたはscAAVなどのAAV)のゲノムは、DMPK遺伝子のエクソン5の発現を抑制するように標的化された、少なくとも1つのU6shRNAポリヌクレオチド、DMPK遺伝子のエクソン8の発現を抑制するように標的化された、少なくとも1つのU6shRNAポリヌクレオチド、またはDMPK遺伝子の3’非翻訳領域におけるCUGトリプレットリピート伸長(CTGexp)の発現もしくはDMPK遺伝子の非翻訳エクソン15の発現を抑制するように標的化された、少なくとも1つのU6shRNAポリヌクレオチドを含む。いくつかの態様では、U6shRNAをコードするポリヌクレオチドは、配列番号:20~24のいずれか1つに明記された配列に対する、少なくとも約70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を含んでいる。
【0026】
本開示は、必要がある対象において筋強直性ジストロフィーを処置する方法を提供し、対象に有効量のウイルスベクター(例えば、線形AAVまたはscAAVなどのAAV)を投与する工程を含み、ウイルスベクター(例えば、線形AAVまたはscAAVなどのAAV)のゲノムは、DMPK遺伝子のエクソン5の発現を抑制するように標的化された、少なくとも1つのU7snRNAポリヌクレオチド、DMPK遺伝子のエクソン8の発現を抑制するように標的化された、少なくとも1つのU7shRNAポリヌクレオチド、またはDMPK遺伝子の3’非翻訳領域におけるCUGトリプレットリピート伸長(CTGexp)の発現もしくはDMPK遺伝子の非翻訳エクソン15の発現を抑制するように標的化された、少なくとも1つのU7shRNAポリヌクレオチドを含む。いくつかの態様では、U7snRNAをコードするポリヌクレオチドは、配列番号:25~36および61~72のいずれか1つに明記された配列に対する、少なくとも約70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を含んでいる。
【0027】
本開示は、必要がある対象において筋強直性ジストロフィーを処置する方法を提供し、対象に有効量のウイルスベクター(例えば、線形AAVまたはscAAVなどのAAV)を投与する工程を含み、ウイルスベクター(例えば、線形AAVまたはscAAVなどのAAV)のゲノムは、DMPK遺伝子のエクソン5の発現を抑制するように標的化されたU7snRNAポリヌクレオチドをコードする少なくとも1つの核酸、DMPK遺伝子のエクソン8の発現を抑制するように標的化されたU7snRNAポリヌクレオチドをコードする少なくとも1つの核酸、および/またはDMPK遺伝子の3’非翻訳領域におけるCUGトリプレットリピート伸長(CTGexp)もしくはDMPK遺伝子の非翻訳エクソン15の発現を抑制するように標的化されたU7snRNAポリヌクレオチドをコードする少なくとも1つの核酸と併用する、DMPK遺伝子のエクソン5の発現を抑制するように標的化されたU6shRNAポリヌクレオチドをコードする少なくとも1つの核酸、DMPK遺伝子のエクソン8の発現を抑制するように標的化されたRNAポリヌクレオチドをコードする少なくとも1つの核酸、および/またはDMPK遺伝子の3’非翻訳領域におけるCUGトリプレットリピート伸長(CTGexp)もしくはDMPK遺伝子の非翻訳エクソン15の発現を抑制するように標的化されたU6shRNAポリヌクレオチドをコードする少なくとも1つの核酸を含む。いくつかの態様では、U6shRNAをコードするポリヌクレオチドは、配列番号:20~24のうちいずれか1つに明記された配列との、少なくとも約70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%の同一性を含んでおり、ならびに/またはU7snRNAをコードするポリヌクレオチドは、配列番号:25~36および61~72のうちいずれか1つに明記された配列との、少なくとも約70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%の同一性を含んでいる。
【0028】
本開示は、その必要がある対象において、筋強直性ジストロフィーを処置、回復、および/もしくは予防することにおける、(a)配列番号:3~19のうち1つに明記された配列に対する、少なくとも約70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%の同一性を含む、DMPK RNAをコードするヌクレオチド配列;(b)配列番号:20~24のうち1つに明記された配列に対する、少なくとも約70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%の同一性を含む、DMPK U6shRNAをコードするヌクレオチド配列;(c)配列番号:25~36のうち1つに明記された配列に対する、少なくとも約70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%の同一性を含む、DMPK U7snRNAをコードするヌクレオチド配列;(d)配列番号:37~48のうち1つに明記された配列に対する、少なくとも約70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%の同一性を含む、DMPK RNAをコードするヌクレオチド配列;(e)配列番号:37~48のうち1つに明記された配列に結合されたDMPK RNAをコードするヌクレオチド配列;(f)配列番号:49~60のうち1つに明記された配列に対する、少なくとも約70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%の同一性を含む、DMPK
RNA逆相補配列;(g)配列番号:61~72のうち1つに明記された配列に対する、少なくとも約70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%の同一性を含む、DMPK U7RNAをコードする逆相補配列;ならびに/または(h)(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)および/もしくは(g)のうちいずれか1つもしくは複数の組合せを含む少なくとも1つの核酸、または当該1つまたは複数の核酸を含む組成物を提供する。
【0029】
本開示は、その必要がある対象において筋強直性ジストロフィーを処置、回復、および/または予防することにおける、本明細書に記載の少なくとも1つのウイルスベクター(例えば、線形AAVまたはscAAVなどのAAV)の使用を提供する。
【0030】
いくつかの実施形態では、本開示の方法によって処置される筋強直性ジストロフィーはDM1である。本開示はまた、本明細書に記載されるように、DM1(iDM1)の新規ウイルスベクター(例えば、線形AAVまたはscAAVなどのAAV)誘導多系統性マウスモデルを提供する。このモデルは、DM1を含むDMのための新規治療学を検査する場合に有用である。
【0031】
本開示の他の特徴および利点は、以下の図面の説明および詳細な説明から明らかになるであろう。ただし、図面、詳細な説明、および実施例は、開示された主題の実施形態を示しているが、例示の手段としてのみ与えられている。本開示の精神および範囲内である種々の変更および修正は、図面、詳細な説明、および実施例から明らかとなるためである。
【0032】
定義
本明細書で使用される用語は、本明細書の文脈および各用語が使用される特定の文脈内にて、当該技術におけるその用語の一般的な意味を概して有する。ある特定の用語は、以下にて、または本明細書の任意の箇所で記載され、本発明の方法または如何にその方法を使用するかを記載する場合に、開業医に対して更なる指導を提供する。
【0033】
本明細書で使用される場合、用語「約」は、記載の値の10%超または10%未満内である値を指す。例えば、語句「約100核酸残基」は、90~110核酸残基の値を指す。
【0034】
本明細書で使用される場合、用語「筋強直性ジストロフィープロテインキナーゼ」およびその短縮形である「DMPK」は、例えばヒト対象における、骨格筋構造および機能の調節に関係しているセリン/トレオニンキナーゼタンパク質を指す。用語「筋強直性ジストロフィープロテインキナーゼ」および「DMPK」は、本明細書においては互換的に使用されており、DMPK遺伝子の野生型形態だけではなく、野生型DMPKタンパク質のバリアントおよび同様のものをコードする核酸も指している。ヒトDMPK mRNAの2つのアイソフォームの核酸配列は、それぞれGenBank アクセス番号.BC026328.1およびBC062553.1である(3’UTRは含まれていない)。
【0035】
本明細書で使用される場合、用語「干渉RNA」は、短干渉RNA(siRNA)、マイクロRNA(miRNA)またはショートヘアピンRNA(shRNA)などのRNAを指す。これらは、(i)標的RNA転写物をアニーリングし、これにより二本鎖核酸を形成すること、および(ii)RNA転写物のヌクレアーゼ媒介性分解を促進すること、および/または(iii)例えば、機能性リボソームRNA転写物複合体の形成を立体的に妨げるか、それ以外の場合には標的RNA転写物由来の機能性タンパク質産物の形成を減弱させることでRNA転写物の翻訳を遅延、抑制もしくは妨害することによって、標的RNA転写物の発現を抑制する。本明細書に記載の干渉RNAは、例えば、一本鎖または二本鎖オリゴヌクレオチドの形態で、または干渉RNAをコードしている導入遺伝子を含むベクター(例えば、本明細書に記載のアデノ随伴ウイルスベクターなどのウイルスベクター)の形態で、筋強直性ジストロフィーに罹患しているヒト患者などの患者に提供されてよい。代表的な干渉RNAプラットフォームは例えば、Lam et al.,Molecular Therapy-Nucleic Acids 4:e252(2015);Rao et al.,Advanced Drug Delivery Reviews 61:746-769(2009);およびBorel et al.,Molecular Therapy 22:692-701(2014)にて記載されており、このそれぞれの開示は、本明細書の一部を構成するものとして、本明細書全体の内容を援用する。
【0036】
本明細書で使用される場合、用語「筋強直性ジストロフィー」は、DMPKをコードし、かつ50~4,000CUGリピートを有する伸長されたCUGトリヌクレオチドリピート領域など、3’非翻訳領域(UTR)における伸長されたCUGトリヌクレオチドリピート領域を含む、RNA転写物の核保持により特徴づけられる遺伝性筋萎縮障害を指す。比較すると野生型RMPK RNA転写物は典型的には、3’UTRにおいては5~37CUGリピートを含む。筋強直性ジストロフィーに罹患している患者では、伸長されたCUGリピート領域は、筋肉ブラインド様タンパク質(muscleblind-like protein)などのRNA結合スプライシング因子と相互作用する。この相互作用により、変異転写物は核内フォーカス内に保持され、他のプレmRNA基質から離れたところにRNA結合タンパク質を隔離させる。次いで、筋構造および機能の調節に関係しているタンパク質の異常スプライシングを促進させる。I型筋強直性ジストロフィー(DM1)においては、多くの場合、骨格筋は最も極度に悪影響を受ける組織である。しかしこの疾患は、心臓ならびに平滑筋、水晶体および脳にも有毒作用を及ぼす。頭蓋、四肢遠位部、および横隔膜筋は優先的に悪影響を受ける。手先の器用さは早期に失われるため、これにより数十年にわたる深刻な身体障害が生じる。筋強直性ジストロフィー患者の死亡時年齢の中央値は55歳である。これは通常、呼吸不全によって生じる(de Die-Smulders C E,et al.,Brain 121:1557-1563(1998))。
【0037】
本明細書で使用される場合、用語「操作可能に結合された」は、第2の分子(例えば、第2の核酸)に結合された第1の分子(例えば、第1の核酸)を指す。これらの分子は、第1の分子が第2の分子の機能に影響を及ぼすように配置される。2つの分子は、単独の隣接する分子の一部であってもよく、またはその一部でなくてよい。またはこれらの分子は、互いに隣接した状態であってもなくてよい。例えばプロモータは、このプロモータが細胞中で関心対象の転写可能なポリヌクレオチド分子の転写を調節する場合、転写可能なポリヌクレオチド分子と操作可能に結合されている。更には、転写調節因子の2部分は、一方の部分の転写活性化機能がもう一方の部分の存在によって有害に影響しない場合には、互いに操作可能に結合されている。2つの転写調節因子は、リンカー核酸(例えば、介入非コード核酸)を介して互いに操作可能に結合されてよいか、または介入ヌクレオチドが存在しない状態で互いに操作可能に結合されてよい。
【0038】
本明細書で使用される場合、用語「対象」および「患者」は、本明細書に記載されるような特定の疾患または状態(例えば筋強直性ジストロフィーといった遺伝性筋萎縮障害など)向けの処置を受ける有機体を指す。対象および患者の例には、ヒトといった哺乳動物が含まれ、本明細書に記載の疾患または状態向けの処置を受ける。
【0039】
本明細書で使用される場合、用語「処置する」または「処置」は、治療的処置を指す。この治療的処置では、目的は、筋強直性ジストロフィー、および特にI型筋強直性ジストロフィーなどの遺伝性筋萎縮障害の進行といった、望ましくない生理学的変化または障害を予防または減速(減らす)ことである。筋強直性ジストロフィーの処置といった文脈では、成功した処置を意味している有益なまたは所望の治療結果は、検出可能か不可能かのいずれかで、症状の軽減、疾患の程度の減少、疾患の安定(すなわち悪化しない)状態、疾患の進行を遅延または遅らせること、疾患状態の回復または緩和、および鎮静(部分的または全体的のいずれか)を含むがこれに限定されない。
【0040】
本特許または本出願ファイルには、カラーで制作された図面が少なくとも1つ含まれる。1つまたは複数のカラー図面を含むこの特許または特許出願公報の複写物は、要請および必要な料金の支払いに応じて、官庁により提供される。
本発明は、例えば、以下の項目を提供する。
(項目1)
核酸であって、
a)配列番号:3~19のうちいずれか1つに明記された配列との、少なくとも約70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%の同一性を含む、筋強直性ジストロフィープロテインキナーゼ(DMPK)のRNAをコードするヌクレオチド配列;
b)配列番号:20~24のうちいずれか1つに明記された配列との、少なくとも約70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%の同一性を含む、DMPK U6shRNAをコードするヌクレオチド配列;
c)配列番号:25~36のうちいずれか1つに明記された配列との、少なくとも約70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%の同一性を含む、DMPK U7snRNAをコードするヌクレオチド配列;
d)配列番号:37~48のうちいずれか1つに明記された配列との、少なくとも約70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%の同一性を含む、DMPK RNAをコードするヌクレオチド配列;
e)配列番号:37~48のうちいずれか1つに明記された配列に結合する、DMPK
RNAをコードするヌクレオチド配列;
f)配列番号:49~60のうちいずれか1つに明記された配列との、少なくとも約70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%の同一性を含む、DMPK RNA逆相補配列;
g)配列番号:61~72のうちいずれか1つに明記された配列との、少なくとも約70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%の同一性を含む、DMPK U7RNAをコードする逆相補配列、ならびに/または
h)(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)、および/もしくは(g)の1つまたは複数のいずれかの組合せを含む、核酸。
(項目2)
項目1の核酸を含む、ウイルスベクター。
(項目3)
前記ウイルスベクターが、アデノ随伴ウイルス(AAV)、アデノウイルス、レンチウイルス、レトロウイルス、ポックスウイルス、バキュロウイルス、単純ヘルペスウイルス、ワクシニアウイルス、または合成ウイルスである、項目2に記載のウイルスベクター。
(項目4)
前記ウイルスベクターがAAVである、項目3に記載のウイルスベクター。
(項目5)
前記AAVがrep遺伝子およびcap遺伝子を欠損している、項目4に記載のウイルスベクター。
(項目6)
前記AAVが組換えAAV(rAAV)または自己相補的組換えAAV(scAAV)である、項目4または5に記載のウイルスベクター。
(項目7)
前記AAVが、AAV-1、AAV-2、AAV-3、AAV-4、AAV-5、AAV-6、AAV-7、AAV-8、AAV-9、AAV-10、AAV-11、AAV-12、AAV-13、AAV-anc80、およびAAVrh.74からなる群から選択されるカプシド血清型を有する、項目4から6のうちいずれか一項に記載のウイルスベクター。
(項目8)
前記AAVがAAV-9のカプシド血清型を有する、項目4から7のうちいずれか一項に記載のウイルスベクター。
(項目9)
前記AAVがシュードタイプAAVである、項目4から8のうちいずれか一項に記載のウイルスベクター。
(項目10)
前記AAVがAAV2/8またはAAV2/9である、項目9に記載のウイルスベクター。
(項目11)
項目2から10のいずれか一項に記載のウイルスベクターおよび薬学的に許容される担体を含む、組成物。
(項目12)
細胞において、筋強直性ジストロフィープロテインキナーゼ(DMPK)遺伝子の発現を抑制ならびに/またはこの遺伝子の発現に干渉もしくは、前記DMPK遺伝子の3’非翻訳領域におけるCUGトリプレットリピート伸長(CTGexp)に干渉する方法であって、前記細胞と項目4から10のいずれか一項に記載のウイルスベクターとを接触させることを含む、方法。
(項目13)
筋強直性ジストロフィー(DM)を患っている対象を処置する方法であって、前記対象に有効量の項目4から10のいずれか一項に記載のウイルスベクターを投与することを含む、方法。
(項目14)
前記DMがDM1である、項目13に記載の方法。
(項目15)
必要がある対象において筋強直性ジストロフィー(DM)を処置する方法であって、前記対象に有効量のウイルスベクターを投与する工程を含み、前記ウイルスベクターのゲノムが、
a)筋強直性ジストロフィープロテインキナーゼ(DMPK)遺伝子のエクソン5の発現を抑制;
b)前記DMPK遺伝子のエクソン8の発現を抑制;および/または
c)前記DMPK遺伝子の3’非翻訳領域におけるCUGトリプレットリピート伸長(CTGexp)、もしくは前記DMPK遺伝子の非翻訳エクソン15に干渉するように標的化された、少なくとも1つのU6shRNAポリヌクレオチドおよび/もしくは少なくとも1つのU7snRNAポリヌクレオチド、またはその組合せを含む、方法。
(項目16)
前記ウイルスベクターが、AAV、アデノウイルス、レンチウイルス、レトロウイルス、ポックスウイルス、バキュロウイルス、単純ヘルペスウイルス、ワクシニアウイルス、または合成ウイルスである、項目15に記載の方法。
(項目17)
前記ウイルスベクターがAAVである、項目16に記載の方法。
(項目18)
前記AAVがrep遺伝子およびcap遺伝子を欠損している、項目17に記載の方法。
(項目19)
前記AAVが組換えAAV(rAAV)または自己相補的組換えAAV(scAAV)である、項目17または18に記載の方法。
(項目20)
前記AAVが、AAV-1、AAV-2、AAV-3、AAV-4、AAV-5、AAV-6、AAV-7、AAV-8、AAV-9、AAV-10、AAV-11、AAV-12、AAV-13、AAV-anc80、およびAAVrh.74からなる群から選択されるカプシド血清型を有する、項目17から19のうちいずれか一項に記載の方法。
(項目21)
前記AAVがAAV-9のカプシド血清型を有する、項目17から20のうちいずれか一項に記載の方法。
(項目22)
前記AAVがシュードタイプAAVである、項目17から21のうちいずれか一項に記載の方法。
(項目23)
前記AAVがAAV2/8またはAAV2/9である、項目22に記載の方法。
(項目24)
前記U6shRNAをコードするポリヌクレオチドが、配列番号:20~24のうち1つに明記された配列に対する、少なくとも約70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を含むヌクレオチド配列を含む、項目15から23のうちいずれか一項に記載の方法。
(項目25)
前記U7snRNAをコードするポリヌクレオチドが、配列番号:25~36および61~72のうち1つに明記された配列に対する、少なくとも約70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を含むヌクレオチド配列を含む、項目15から24のうちいずれか一項に記載の方法。
(項目26)
前記DMがDM1である、項目15から25のうちいずれか一項に記載の方法。
(項目27)
必要がある対象において筋強直性ジストロフィー(DM)を処置する方法であって、前記対象に有効量のウイルスベクターを投与する工程を含み、前記ウイルスベクターのゲノムが、筋強直性ジストロフィープロテインキナーゼ(DMPK)遺伝子のエクソン5の発現を抑制するように標的化された、少なくとも1つのU6shRNAポリヌクレオチド、前記DMPK遺伝子のエクソン8の発現を抑制するように標的化された、少なくとも1つのU6shRNAポリヌクレオチド、または前記DMPK遺伝子の3’非翻訳領域におけるCUGトリプレットリピート伸長(CTGexp)の発現もしくは前記DMPK遺伝子の非翻訳エクソン15の発現を抑制するように標的化された、少なくとも1つのU6shRNAポリヌクレオチドを含む、方法。
(項目28)
前記ウイルスベクターが、AAV、アデノウイルス、レンチウイルス、レトロウイルス、ポックスウイルス、バキュロウイルス、単純ヘルペスウイルス、ワクシニアウイルス、または合成ウイルスである、項目27に記載の方法。
(項目29)
前記ウイルスベクターがAAVである、項目28に記載の方法。
(項目30)
前記AAVがrep遺伝子およびcap遺伝子を欠損している、項目29に記載の方法。
(項目31)
前記AAVが組換えAAV(rAAV)または自己相補的組換えAAV(scAAV)である、項目29または30に記載の方法。
(項目32)
前記AAVが、AAV-1、AAV-2、AAV-3、AAV-4、AAV-5、AAV-6、AAV-7、AAV-8、AAV-9、AAV-10、AAV-11、AAV-12、AAV-13、AAV-anc80、およびAAVrh.74からなる群から選択されるカプシド血清型を有する、項目29から31のうちいずれか一項に記載の方法。
(項目33)
前記AAVがAAV-9のカプシド血清型を有する、項目29から32のうちいずれか一項に記載の方法。
(項目34)
前記AAVがシュードタイプAAVである、項目29から33のうちいずれか一項に記載の方法。
(項目35)
前記AAVがAAV2/8またはAAV2/9である、項目34に記載の方法。
(項目36)
前記U6shRNAをコードするポリヌクレオチドが、配列番号:20~24のうち1つに明記された配列に対する、少なくとも約70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を含むヌクレオチド配列を含む、項目27から35のうちいずれか一項に記載の方法。
(項目37)
前記DMがDM1である、項目27から36のうちいずれか一項に記載の方法。
(項目38)
必要がある対象において筋強直性ジストロフィー(DM)を処置する方法であって、前記対象に有効量のウイルスベクターを投与する工程を含み、前記ウイルスベクターのゲノムが、筋強直性ジストロフィープロテインキナーゼ(DMPK)遺伝子のエクソン5の発現を抑制するように標的化された、少なくとも1つのU7snRNAポリヌクレオチド、前記DMPK遺伝子のエクソン8の発現を抑制するように標的化された、少なくとも1つのU7shRNAポリヌクレオチド、または前記DMPK遺伝子の3’非翻訳領域におけるCUGトリプレットリピート伸長(CTGexp)の発現もしくは前記DMPK遺伝子の非翻訳エクソン15の発現を抑制するように標的化された、少なくとも1つのU7shRNAポリヌクレオチドを含む、方法。
(項目39)
前記ウイルスベクターが、AAV、アデノウイルス、レンチウイルス、レトロウイルス、ポックスウイルス、バキュロウイルス、単純ヘルペスウイルス、ワクシニアウイルス、または合成ウイルスである、項目38に記載の方法。
(項目40)
前記ウイルスベクターがAAVである、項目39に記載の方法。
(項目41)
前記AAVがrep遺伝子およびcap遺伝子を欠損している、項目40に記載の方法。
(項目42)
前記AAVが組換えAAV(rAAV)または自己相補的組換えAAV(scAAV)である、項目40または41に記載の方法。
(項目43)
前記AAVが、AAV-1、AAV-2、AAV-3、AAV-4、AAV-5、AAV-6、AAV-7、AAV-8、AAV-9、AAV-10、AAV-11、AAV-12、AAV-13、AAV-anc80、およびAAVrh.74からなる群から選択されるカプシド血清型を有する、項目40から42のうちいずれか一項に記載の方法。
(項目44)
前記AAVがAAV-9のカプシド血清型を有する、項目40から43のうちいずれか一項に記載の方法。
(項目45)
前記AAVがシュードタイプAAVである、項目40から44のうちいずれか一項に記載の方法。
(項目46)
前記AAVがAAV2/8またはAAV2/9である、項目45に記載の方法。
(項目47)
前記U7snRNAをコードするポリヌクレオチドが、配列番号:25~36および61~72のうち1つに明記された配列に対する、少なくとも約70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を含むヌクレオチド配列を含む、項目38から46のうちいずれか一項に記載の方法。
(項目48)
前記DMがDM1である、項目38から47のうちいずれか一項に記載の方法。
(項目49)
必要がある対象において、筋強直性ジストロフィー(DM)を処置、回復、および/もしくは予防することにおける、項目1に記載の少なくとも1つの核酸、項目2から10のいずれか一項に記載のウイルスベクター、または項目11に記載の組成物の使用。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【
図1-1】U6 shRNAコンストラクトの配列を示す。
【
図1-2】U6 shRNAコンストラクトの配列を示す。
【
図1-3】U6 shRNAコンストラクトの配列を示す。
【
図1-4】U6 shRNAコンストラクトの配列を示す。
【
図1-5】U6 shRNAコンストラクトの配列を示す。
図1Aは、U6.sh2577である。
図1Bは、U6T6.sh4364-ex8である。
図1Cは、U6T6.sh5475-ex5である。
図1Dは、U6T6.shD6である。
図1Eは、U6T6.sh2683である。
【0042】
【
図2-1】U7 snRNAコンストラクトを示す。
【
図2-2】U7 snRNAコンストラクトを示す。
【
図2-3】U7 snRNAコンストラクトを示す。
【
図2-4】U7 snRNAコンストラクトを示す。
【
図2-5】U7 snRNAコンストラクトを示す。
【
図2-6】U7 snRNAコンストラクトを示す。
【
図2-7】U7 snRNAコンストラクトを示す。
【
図2-8】U7 snRNAコンストラクトを示す。
【
図2-9】U7 snRNAコンストラクトを示す。
【
図2-10】U7 snRNAコンストラクトを示す。
【
図2-11】U7 snRNAコンストラクトを示す。
【
図2-12】U7 snRNAコンストラクトを示す。
図2A~
図2Dは、エクソン5を標的とする。
図2E~
図2Hは、エクソン8を標的とする。
図2I~
図2Lは、3’UTRにおけるCTGリピートを標的とする。これらの配列のそれぞれは、DMPKのリーディングフレームを破壊するおよび/またはDMPK遺伝子の3’非翻訳領域におけるCTGトリヌクレオチドリピートのリピート伸長に干渉するように設計された。緑色で強調されたヌクレオチドは、snRNAループを表す。緑色で強調され、かつイタリック体で表記されているヌクレオチドは、ループラベル配列を表す。紫色で強調されたヌクレオチドは、Sm結合を表す。黄色で強調されたヌクレオチドは、U7 プロモータおよび3’UTRを表す。灰色で強調された配列は、アンチセンス配列を表す。
図2A中、赤色で強調された配列は、XbaIおよびNheI切断部位を示す。
【0043】
【
図3-1】RT-qPCRおよびノーザンブロットの結果を示す。
【
図3-2】RT-qPCRおよびノーザンブロットの結果を示す。
図3Aは、組換えAAVショートヘアピンRNA(rAAV.shRNA)で処置されたDM1筋原細胞から単離された全mRNA(すなわち、2577、2685およびDH6.5)におけるDMPK発現のRT-qPCRを示す。shRNA 2577および2683は、DMPK遺伝子の3’非翻訳領域を標的とし、shRNA DH6.5は、DMPKコード領域を標的とする。
図3Bは、伸長されたDMPK転写物「[CTG]2000」における減少を示す指定のAAV.shRNAに感染した後の全RNAのノーザンブロット解析を示す。レーン1のラベル「-ve」は、未処置の対照細胞を表す。
【0044】
【
図4-3】種々の配列の設計を示す。
図4Aは、shRNAおよびsnRNAによる標的を目的に、DMPK配列(配列番号:1(ヌクレオチド)、配列番号:2(アミノ酸))における破壊のため、エクソン5中でアンチセンス配列が設計された場所を示す。
図4Bは、shRNAおよびsnRNAによる標的を目的に、DMPK配列(配列番号:1(ヌクレオチド)、配列番号:2(アミノ酸))における破壊のため、エクソン8中でアンチセンス配列が設計された場所を示す。
図4Cは、shRNAおよびsnRNAによる標的を目的に、DMPK配列(配列番号:1(ヌクレオチド)、配列番号:2(アミノ酸))の3’非翻訳領域におけるCUGリピートを標的とするようにアンチセンス配列が設計された場所を示す。
【0045】
【
図5-1】AAV.480CTGの注射後の、C57BL/6Jマウス(The Jackson Laboratory)におけるDM1の病理学的特徴の誘発を示す。
【
図5-2】AAV.480CTGの注射後の、C57BL/6Jマウス(The Jackson Laboratory)におけるDM1の病理学的特徴の誘発を示す。
図5Bは、対照である
図5Aにて、AAV.CTG0の注射は、AAV.480CTG(
図5B)の注射と比較すると中心核形成を引き起こさないことを示すのに比べ、マウスの骨格筋においては、AAV.CTG480の発現により、注射後2週間で広範囲の炎症、注射後4週間で、ジストロフィー筋で一般的に観察される主要な病理学的変化の1つである中心核形成の出現が引き起こされることを示す。
図5Cは、対照と比較した、AAV.CTG480の投与後のマウスの筋肉での異なるmRNAのスプライシング変化を示す。AAV.480CTGまたはAAV.0CTGの注射後2週間時点での注射された前脛骨(TA)筋から分離されたRNAにおけるRT-PCRは、AAV.CTG480を注射した筋肉内のみで、塩素電位依存性チャネル1(CLCN1)、筋小胞体-滑面小胞体カルシウム輸送アデノシントリフォスファターゼ(SERCA)1(SERCA1)、筋肉ブラインド様タンパク質2(MBNL2)およびインスリン受容体(IRまたはINSR)遺伝子について、選択的にスプライスされたエクソンを示した。こうした結果は、インビボで、筋肉におけるDM1特徴を誘発するAAV.GFP-CTG480手法の能力を示している。
【
図5-3】AAV.480CTGの注射後の、C57BL/6Jマウス(The Jackson Laboratory)におけるDM1の病理学的特徴の誘発を示す。
図5Bは、対照である
図5Aにて、AAV.CTG0の注射は、AAV.480CTG(
図5B)の注射と比較すると中心核形成を引き起こさないことを示すのに比べ、マウスの骨格筋においては、AAV.CTG480の発現により、注射後2週間で広範囲の炎症、注射後4週間で、ジストロフィー筋で一般的に観察される主要な病理学的変化の1つである中心核形成の出現が引き起こされることを示す。
図5Cは、対照と比較した、AAV.CTG480の投与後のマウスの筋肉での異なるmRNAのスプライシング変化を示す。AAV.480CTGまたはAAV.0CTGの注射後2週間時点での注射された前脛骨(TA)筋から分離されたRNAにおけるRT-PCRは、AAV.CTG480を注射した筋肉内のみで、塩素電位依存性チャネル1(CLCN1)、筋小胞体-滑面小胞体カルシウム輸送アデノシントリフォスファターゼ(SERCA)1(SERCA1)、筋肉ブラインド様タンパク質2(MBNL2)およびインスリン受容体(IRまたはINSR)遺伝子について、選択的にスプライスされたエクソンを示した。こうした結果は、インビボで、筋肉におけるDM1特徴を誘発するAAV.GFP-CTG480手法の能力を示している。
【0046】
【
図6】
図6は、天然mi/shRNA hsa-miR-30a配列および構造を表し、どのように抑制mRNAが設計されているかを示す。天然mir-30a成熟配列は、独自のセンス(青文字)配列および関心対象領域を標的とするアンチセンス(赤文字)配列によって置換される。オレンジ色のヌクレオチドは、polIII依存性U6プロモータ向けの終結シグナルとして使用するために加えられている3’末端ポリUを除き、ヒトmiR-30aを由来とする。天然mir-30のDrosha切断部位およびDicer切断部位は維持されており、これらは青色および黄色の矢印によってそれぞれ示されている。Drosha切断部位(-2位置)のすぐ上流に位置するミスマッチは、適切なプロセシングのために維持されている。
【0047】
【
図7】関心対象の変性U7snRNA標的領域を示す。スプライセオソームのsnRNA由来のコンセンサス配列(U7smOPT;赤文字は、wt smとsmOPTとの間のヌクレオチド変化に対応している)で、野生型U7 Sm結合部位を置き換えることにより、得られたRNAは、スプライセオソームのsnRNAにて見いだされた7つのSmタンパク質で構築されている。青色のドーナツ状部分は、スプライシング因子を補充するために重要である変性U7と結合するLsmタンパク質に対応する。これにより特定のスプライシング現象を調節することが可能となる。
【0048】
【
図8】ショートヘアピンRNA(rAAV.shRNA)をコードするDNA(すなわち、2577および2685)を含むAAVによる、ヒトPANC-1およびHEK293細胞におけるDMPK発現の下方制御を示す。
【0049】
【
図9-1】hDMPK mRNA転写物を用いて下方制御またはこれに干渉するように設計された種々のコンストラクトを含むAAV8(1.25×10
11vg/動物)で、4週齢で処置されたヘミ接合性DMSXLマウスにおける、hDMPK発現の下方制御を示す。
【
図9-2】hDMPK mRNA転写物を用いて下方制御またはこれに干渉するように設計された種々のコンストラクトを含むAAV8(1.25×10
11vg/動物)で、4週齢で処置されたヘミ接合性DMSXLマウスにおける、hDMPK発現の下方制御を示す。
【
図9-3】hDMPK mRNA転写物を用いて下方制御またはこれに干渉するように設計された種々のコンストラクトを含むAAV8(1.25×10
11vg/動物)で、4週齢で処置されたヘミ接合性DMSXLマウスにおける、hDMPK発現の下方制御を示す。
図9Aは研究デザインを示す。表に列記された3つのコンストラクト(PLA1(配列番号:20)、PLA3(配列番号:34)、PLA4(配列番号:31))は、それぞれ1.25×10
11vg/動物にて筋肉内(IM)注射によって、4週齢のヘミ接合性DMSXLマウス(Hemi)の左側前脛骨(TA)筋へと注射された。対側脚は未処置の対照であった。マウスを投与後4週間目で屠殺し、その組織をRNAシーケンス(RNAseq)によりRNA発現解析のために回収した。
図9Bは、PLA1が、RNAseqによる評価時に、未処置の対側脚と比較し、処置済脚においてhDMPK RNA発現を減少させたことを示す。
図9Cは、PLA1-処置TA筋マウスの脚におけるhDMPKレベルの22%減少を示す。
【発明を実施するための形態】
【0050】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法および産物は、成人において最も一般的な筋ジストロフィーである筋強直性ジストロフィー(DM)の処置にて使用される。本開示は、DM1およびDM2の両方の処置のための方法および産物を含む。I型(DM1)およびII型(DM2)の両方ともが、その臨床症状に類似点を有する常染色体優性遺伝形式の多系統性障害である。DM1およびDM2における臨床症状には、進行性の筋力低下、筋強直症、CKレベルの上昇、心臓伝導障害および白内障が含まれる。DM2では、症状はより不一致であり、非常に多種多様である。DM1は、少なくともいくつかの例では、プロテインキナーゼ(染色体19q13.3上のエクソン15における、筋強直性ジストロフィープロテインキナーゼ(DMPK)遺伝子)の3’非翻訳領域における伸長(CTG)nリピート配列(CTG伸長(CTGexp)とも呼ばれる)によって引き起こされる。CTGexpにより、核内フォーカスを形成する毒性RNAを産生しているCUGトリプレットリピート伸長が生じる。
【0051】
いくつかの態様では、本開示はDM1の処置における産物および方法を含む。DM1は、成人発症の筋ジストロフィーの最もありふれた形態であり、骨格筋、心臓、脳、皮膚、眼および内分泌系に悪影響を及ぼす。筋強直性ジストロフィーの有病率は、8,000人に1人であると推測されているが、フィンランドおよび他のヨーロッパ諸国では更に高い有病率が報告されている。
【0052】
DMPK遺伝子は、骨格筋の構造および機能の維持に必要である、約69.4kDaのタンパク質(ミオトニンプロテインキナーゼ、DM-キナーゼ、DM1プロテインキナーゼ、および筋強直性ジストロフィープロテインキナーゼとも呼ばれる。UniProtKB-Q09013(DMPK_HUMAN)を参照されたい)をコードする。DMPKは、低分子量GTPアーゼのRhoファミリーの一部と相互作用する他のキナーゼと密接に関連しているセリン-トレオニンキナーゼである。この酵素のための基質には、ミオゲニン、L型カルシウムチャネルのβ-サブユニット、およびホスホレマンが含まれる。この遺伝子の3’非翻訳領域は、CTGトリヌクレオチドリピートの約5~38のコピーを含む。この非安定モチーフを50~5,000コピーまで伸長することにより、I型筋強直性ジストロフィー(DM1)が引き起こされ、リピート因子のコピー数が増加するのに伴い重症度が増加する。リピート伸長は、この領域における遺伝子の発現を妨害させる局所的なクロマチン構造の凝縮と関連している。
【0053】
DMPKはまた、心筋収縮力の調節および適切な心臓伝導活性の維持にとって重大な意味を有している。いくつかの態様では、ヒトDMPKをコードする核酸は、配列番号:1に明記されたヌクレオチド配列にて明記されている。いくつかの態様では、ヒトDMPKのアミノ酸配列は、配列番号:2に明記されたアミノ酸配列にて明記されている。いくつかの態様では、マウスDMPK(UniProtKB-P54265)またはマウスDMPKをコードする核酸配列も使用される。種々の態様では、本開示の方法はまた、配列番号:1にて明記されたヌクレオチド配列のアイソフォームおよびバリアントも標的にする。いくつかの態様では、このバリアントは、配列番号:1に明記されたヌクレオチド配列に対する、99%、98%、97%、96%、95%、94%、93%、92%、91%、90%、89%、88%、87%、86%、85%、84%、83%、82%、81%、80%、79%、78%、77%、76%、75%、74%、73%、72%、71%および70%の同一性を含む。いくつかの態様では、本開示の方法は、配列番号:2にて明記されたアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含む核酸のアイソフォームおよびバリアントを標的にする。いくつかの態様では、このバリアントは、配列番号:2に明記されたアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列に対し、99%、98%、97%、96%、95%、94%、93%、92%、91%、90%、89%、88%、87%、86%、85%、84%、83%、82%、81%、80%、79%、78%、77%、76%、75%、74%、73%、72%、71%および70%の同一性を含む。
【0054】
大半の人では、この遺伝子内のCTGリピート数は、約5~34の範囲である。DM1に罹患している人々は、大半の細胞内に約50~5,000CTGリピートを有する。リピート数は、筋細胞などのある特定の種類の細胞においては更に多くてもよい。トリヌクレオチドリピート伸長のサイズは、徴候や症状の深刻度と関連している。成人初期の筋力低下および筋消耗を含む、古典型のDM1の特徴を有する人々は、通常100~1,000の間のCTGリピートを有する。より重篤な先天型DM1をもって生まれた人々は、多数のCTGリピート(多くの場合、2,000超)を有する傾向がある。この状態のこうした型は乳児期に明らかとなり、生命を脅かすような健康問題に関与してすることがある。本開示はDM1を処置する方法を含む。
【0055】
上記に示したように、変異DMPK遺伝子は、変性した型のmRNAを産生する。変性mRNAはタンパク質を捕捉し、細胞内部に凝集塊を形成する。この凝集塊は多くの他のタンパク質の産生に干渉する。例えば二次RNA構造は、これらのフォーカス内のスプライシング因子である筋肉ブラインド様タンパク質1(MBNL1;UniProtKB-Q9NR56(MBNL1_HUMAN))を捕捉し、CUG-結合タンパク質/Elav様ファミリータンパク質(CUGBP/CELF1;UniProtKB-Q92879(CELF1_HUMAN))を上方制御する。結果として、DM1の成人患者は、筋形質/筋小胞体カルシウムアデノシントリフォスファターゼ1(SERCA1;UniProtKB-O14983(AT2A1_HUMAN)、塩素電位依存性チャネル1(CLCN1;UniProtKB-P35523(CLCN1_HUMAN))、および架橋インテグレータ1(BIN1;UniProtKB-O00499(BIN1_HUMAN))などの異常スプライシングによって生成された胎生期タンパク質アイソフォームが増加して存在していることを立証する。これらの変化により、筋細胞および他の組織の細胞の適切な機能が妨げられ、筋力低下および筋消耗、ならびに白内障、性腺機能不全、欠陥性内分泌腺機能、男性における脱毛症、ならびに不整脈を含む、DM1の他の特徴が引き起こされる。
【0056】
DM1に罹患している患者では、筋強直症/筋硬直により、障害された運動制御および可動性が引き起こされる。筋強直症は、DM1患者のうち、最も蔓延している症状のうちの1つである。筋緊張症は、さまざまな側面で、筋電図検査(EMG)を使用して筋肉の過興奮性をテストすることによって電気生理学的に定量化されます[Kanadia et al.、Science 302(5652):1978-80(2003);Wheeler et al.、J.Clin。投資する。117(12):3952-7(2007);Statland et al.、JAMA 308(13):1357-65(2012)]。
【0057】
疾患の深刻度は、リピート数とともに変化する。軽度の患者は、50~150リピートを有し、古典型DMに罹患している患者は100~1,000リピートを有し、先天的な発症では2,000リピート超を有する。変性DMPK遺伝子はある世代から次の世代へと受け継がれるため、CTGリピート伸長のサイズは増大することが多い。約35~49CTGリピートを有する人々は、I型筋強直性ジストロフィーにかかると報告されてはいない。ただし、この人々の子供らは、CTGリピート数が増大した場合には障害を有する危険を抱えている。約35~49のリピート長は、前突然変異と呼ばれる。
【0058】
現状では、この疾患を患っている患者には症状の管理以外の治療的処置が存在していない。更には、これまでその多系統的な態様を含む、DM1表現型を適切に再現する動物モデルが存在してこなかった。本開示の治療的アプローチは、(非コードRNAを含む抑制RNAを介して)アンチセンス配列を送達し、DMPK遺伝子および/または3’非翻訳領域もしくは非翻訳エクソン15における、CUGトリプレットリピート伸長(CTGexp)の発現をノックダウン/これに干渉するためのAAVなどのウイルスベクターの使用である。なぜなら、このリピートは、筋肉ブラインド様タンパク質1(MBLN1)を捕捉するフォーカスの形成を単独で引き起こし、プレ-mRNA選択的スプライシング制御を介在し、その結果、CUG-BP、Elav様ファミリーメンバー1(CELF1)、プレ-mRNA選択的スプライシング、mRNA翻訳、および安定性を制御する高度に保存されたRNA結合タンパク質の過剰発現を誘発するためである。本開示は、DM1を処置するためのこうした治療的アプローチを含む。
【0059】
本開示は、変異DMPK遺伝子および結果的に変性した型のmRNAから生じる、DM1または他の障害に罹患した対象を回復させるおよび/または処置する目的で、DMPK発現を下方制御するおよび/またはCTGリピートの発現を下方制御もしくはこれに干渉するためのRNA干渉の使用を含む。RNA干渉(RNAi)は、種々の疾患を処置するために検討されてきた、真核細胞における遺伝子調節機序である。RNAiは、抑制RNAによって媒介された遺伝子発現の転写後制御を指す。
【0060】
天然RNAi経路の理解が進展したため、研究者は、疾患を処置するため、標的遺伝子の発現を調節する際に使用するための人工shRNAおよびsnRNAを設計してきた。短い(または小さい)干渉RNA(siRNA)、短い(または小さい)ヘアピンRNA(shRNA)およびマイクロRNA(miRNA)など、哺乳類細胞でRNAiプロセスをトリガーするいくつかのクラスのsmall RNAが知られており、これらは同様のクラスを構成します。ベクター発現トリガー[Davidsonetal.、Nat。遺伝子牧師。12:329-40、2011;ハーパー、アーチ。Neurol.66:933-8、2009]。shRNAとmiRNAは、プラスミドベースまたはウイルスベースのベクターからin vivoで発現するため、ベクターが標的細胞核内に存在し、駆動プロモータが活性である限り、1回の投与で長期の遺伝子サイレンシングを達成できます(Davidson et al.、メソッド酵素。392:145-73、2005)。重要なことには、このベクター発現アプローチは、筋遺伝子治療分野にて既に行われていた数十年の長さにわたる進歩を強化する。ただし、遺伝子をコードするタンパク質を発現する代わりに、RNAi治療戦略におけるベクターカーゴは、関心対象の疾患遺伝子を標的とする人工shRNAまたはmiRNAカセットである。この戦略は天然miRNAを発現させるために使用される。各shRNA/miRNAは、hsa-miR-30a配列および構造に基づいている。天然mir-30a成熟配列は、標的遺伝子を由来とする固有のセンス配列(
図6、青文字)およびアンチセンス配列(
図6、赤文字)によって置き換えられる。オレンジ色のヌクレオチドは、polIII依存性U6プロモータ向けの終結シグナルとして使用するために加えられている3’末端ポリUを除き、ヒトmiR-30aを由来とする。天然mir-30のDrosha切断部位およびDicer切断部位は維持されており、これらは青色および黄色の矢印によってそれぞれ示されている。Drosha切断部位(-2位置)のすぐ上流に位置するミスマッチは、適切なプロセシングのために維持されなければならない。
【0061】
いくつかの実施形態では、本開示の産物およびその方法は、DMPK発現に悪影響を与える(例えば発現をノックダウンもしくは抑制する)か、またはDMPK遺伝子の3’非翻訳領域におけるCUGリピート伸長に干渉するショートヘアピンRNAまたはスモールヘアピンRNA(shRNA)を含む。ショートヘアピンRNA(shRNA/ヘアピンベクター)は、RNA干渉(RNAi)を介して標的遺伝子の発現を停止させるために使用され得る、堅固なヘアピンターンを伴う人工RNA分子である。shRNAは、比較的低い割合の分解と代謝回転を有するといった点でRNAiの有益なメディエータであるが、これは発現ベクターの使用を必要とする。ベクターが宿主ゲノムを形質導入すると、次にshRNAは、プロモータ選択によってポリメラーゼIIまたはポリメラーゼIIIによって核内で転写される。産物は、プライマリーマイクロRNA(pri-miRNA)を模倣し、Droshaによって処理される。得られたプレ-shRNAは、エクスポーチン5によって核から排出される。次にこの産物はDicerによって処理され、RNA誘発発現停止複合体(RISC)中へとロードされる。センス(パッセンジャー)鎖は分解される。アンチセンス(ガイド)鎖は、相補的な配列を有するmRNAにRISCを配向する。完全な相補性の場合、RISCはmRNAを切断する。不完全な相補性の場合、RISCはmRNAの翻訳を阻止する。これらの場合ではどちらも、shRNAは標的遺伝子の発現停止を引き起こす。いくつかの態様では、本開示は、shRNAを介してDMPKアンチセンス配列を発現しているAAVベクターの産生および投与を含む。shRNAの発現は、種々のプロモータの使用によって調節される。プロモータ選択は、頑強なshRNA発現を得るためには必須である。種々の態様では、U6およびH1などのポリメラーゼIIプロモータ、およびポリメラーゼIIIプロモータが使用される。いくつかの態様では、U6shRNAが使用される。
【0062】
いくつかの態様では、本開示はU6shRNA分子を使用して、遺伝子発現を抑制、ノックダウンまたはこれに干渉する。従来のスモール/ショートヘアピンRNA(shRNA)配列は通常、U6などのpolIIIプロモータを含むベクターから細胞核内部へ転写される。内因性U6プロモータは通常、スプライシングに関与する核内低分子RNA(snRNA)であるU6 RNAの発現を制御し、十分に特徴付けられています[Kunkel et al.。、Nature。322(6074):73-7(1986);Kunkel et al.、GenesDev。2(2):196-204(1988);Paule et al.、Nucleic AcidsRes。28(6):1283-98(2000)]。いくつかの態様では、U6プロモータは哺乳動物の細胞のshRNA分子によるベクターに基づく発現を制御するために使用される[Paddison et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 99(3):1443-8(2002);Paul et al.,Nat.Biotechnol.20(5):505-8(2002)]。これは、(1)プロモータがRNAポリメラーゼIII(ポリIII)によって認識され、かつshRNAの高レベルで恒常的発現を制御し、(2)プロモータが大半の哺乳動物の細胞型にて活性であるためである。いくつかの態様では、プロモータは、shRNAの発現を制御するのに必要な全因子が転写開始部位の上流に位置付けられる(Paule et al.,Nucleic Acids Res.28(6):1283-98(2000))という点で、III型polIIIプロモータである。本開示は、マウスおよびヒトの両方のU6プロモータを含む。ループによって接続された、標的遺伝子由来のセンス配列およびアンチセンス配列を含むshRNAは、核からDicerがこれをスモール/短干渉RNA(siRNA)へと処理する箇所である細胞質内部へと輸送される。
【0063】
いくつかの実施形態では、本開示の産物および方法は、核内低分子RNA(snRNA)を含む。これはまた、一般的にはU-RNAと呼ばれ、DMPK発現に影響を与える。snRNAは、真核細胞内の細胞核のスプライシングスペックルおよびカハール体内部で見られる低分子RNAのクラスである。核内低分子RNAは、一連の特異タンパク質と関連しており、その複合体は核内低分子リボ核タンパク質(snRNP、多くの場合には「スナープス」と発音される)と呼ばれる。各snRNP粒子は、snRNA成分と、複数のsnRNP-特異タンパク質(核内タンパク質のファミリーであるSmタンパク質を含む)からなる。snRNAは、その関連タンパク質とともにリボ核タンパク質複合体(snRNP)を形成し、プレ-mRNA基質上の特異的な配列に結合する。これらはRNAポリメラーゼIIまたはRNAポリメラーゼIIIのいずれかによって転写される。snRNAは多くの場合、RNA結合LSmタンパク質といった共通配列の特徴および関連タンパク質因子の両方に基づき2つのクラスに分類される。Sm-クラスsnRNAとして既知である第1のクラスは、U1、U2、U4、U4atac、U5、U7、U11およびU12からなる。Sm-クラスsnRNAは、RNAポリメラーゼIIによって転写される。Lsm-クラスsnRNAとして既知である第2のクラスは、U6およびU6atacからなる。Lsm-クラスsnRNAは、RNAポリメラーゼIIIによって転写され、Sm-クラスsnRNAと比較すると核を離れることがない。いくつかの態様では、本開示はDMPKアンチセンス配列を送達するための、U7snRNAを含むAAVベクターの産生および投与を含む。
【0064】
いくつかの態様では、本開示は遺伝子発現を抑制、ノックダウンまたはこれに干渉するためにU7snRNA分子を使用する。U7snRNAは通常、ヒストンプレ-mRNA3’末端プロセシングに関与しているが、いくつかの態様では、スプライシング調節用の可変性ツールへと変換されるか、または細胞内で継続的に発現されるアンチセンスRNAとして変換される[Goyenvalle et al.,Science 306(5702):1796-9(2004)]。野生型U7Sm結合部位と、スプライセオソームのsnRNA由来のコンセンサス配列を置き換えることで、得られたRNAは、スプライセオソームのsnRNA内で見られる7つのSmタンパク質で会合する(
図7)。結果として、このU7 SmOPT RNAは核細胞質内に更に効率的に蓄積し、それ以上ヒストンプレ-mRNA切断を媒介しない。ただし、依然としてこのU7 SmOPT RNAはヒストンプレ-mRNAに結合することができ、野生型 U7snRNP用の競合抑制剤として機能する。ヒストン下流因子に結合している配列と、スプライシング基質における特定の標的に相補的な配列とを更に置き換えることで、特異的なスプライシング現象を調節可能であるU7snRNAを生成することができる。U7誘導体を使用する利点は、アンチセンス配列が核内低分子リボ核タンパク質(snRNP)複合体内へと包埋されることである。さらに、遺伝子治療ベクターに埋め込まれると、これらの小さなRNAは、1回の注射後に標的細胞内で恒久的に発現することができます[Levy et al.、Eur.J.ハム.ジェネット.18(9):969-70(2010);Wein et al.、Hum.Mutat.31(2):136-42、(2010);Wein et al.、Nat.Med.20(9):992-1000(2014)].CUGリピートの発現を変化させるためのU7の使用は、DM1患者細胞株でinvitroでテストされています[Francois et al.、Nat.構造体.モル.Biol.18(1):85-7(2011)]ここで、CUGリピートを標的とするU7 RNAは、DMPK関連の病巣の量を減少させ、異常なスプライシングパターンを修正することが示されています。しかし、このアプローチは、レンチウイルスに基づいていたし、in vivoでさらに追求していませんでした。AAVアプローチを使用した神経筋障害におけるU7snRNAシステムの可能性がinvivoで調査されました(AAV.U7)[Levy et al.、Eur.J.ハム.ジェネット.18(9):969-70(2010);Wein et al.、Hum.Mutat.31(2):136-42(2010);Wein et al.、Nat.Med.20(9):992-1000(2014)]。デュシェンヌ型筋ジストロフィーのマウスモデルの欠損RNAを標的にするこのAAV9.U7の単回注射により、心臓および横隔膜を含むあらゆる筋肉内の疾患の長期にわたる補正がもたらされる。心臓を標的とする能力は、DM1患者が心臓異常を示すことから非常に重要度が高い。
【0065】
U7snRNAは通常、ヒストンプレ-mRNA3’末端プロセシングに関与しているが、これはまたスプライシング調節用の可変性ツールとして使用されるか、または細胞内で継続的に発現されるアンチセンス配列として使用される。U7誘導体を使用する1つの利点は、アンチセンス配列が核内低分子リボ核タンパク質(snRNP)複合体内へと包埋されることである。更には、遺伝子治療ベクターに包埋される場合には、これらの低分子RNAは単回注射後に標的細胞内部で持続的に発現され得る。
【0066】
いくつかの態様では、本開示は、DMPK遺伝子の3’非翻訳領域に、毒性リピートとしても既知であるCTGヌクレオチドリピートを含むDMPK遺伝子の発現を、予防および抑制する抑制RNAをコードする配列を含む。抑制RNAはアンチセンス配列を含み、これはDMPK遺伝子のエクソン5および/エクソン8の発現を抑制および/またはDMPK遺伝子の3’非翻訳領域におけるトリヌクレオチドリピート伸長に干渉する。いくつかの態様では、アンチセンス配列は、配列番号:3~19のうちのいずれかに明記された配列のいずれか、または、配列番号:3~19のうちのいずれかに明記された配列と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の同一性を含むバリアント配列である。いくつかの態様では、本開示は、U6プロモータの制御下で、配列番号:3~7のいずれかに明記されたアンチセンス配列、または配列番号:3~7のいずれかに明記された配列のうちいずれか1つと少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の同一性を含むそのバリアント配列を含む。いくつかの態様では、本開示は、U7プロモータの制御下で、配列番号:8~19のいずれかに明記されたアンチセンス配列、または配列番号:8~19のいずれかに明記された配列のうちいずれか1つと少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の同一性を含むそのバリアント配列を含む。
【0067】
DMPKまたはそのCUGトリプレットリピート伸長を標的とするための、shRNA内で使用される代表的なアンチセンス配列には、
U6.sh2577 DMPKを標的とするアンチセンス配列:CTCGAGTGAGCGAGCCTGCTTACTCGGGAAATTTCTGTAAAGCCACAGATGGGAAATTTCCCGAGTAAGCAGGCACGCCTACTAGA(配列番号:3);
U6T6.sh4364-ex8 DMPKを標的とするアンチセンス配列:CTCGAGTGAGCGAACCTGCCTTTTGTGGGCTACTCTGTAAAGCCACAGATGGGAGTAGCCCACAAAAGGCAGGTGTGCCTACTAG(配列番号:4);
U6T6.sh5475-ex5 DMPKを標的とするアンチセンス配列:CTCGAGTGAGCGACGACTTCGGCTCTTGCCTCAACTGTAAAGCCACAGATGGGTTGAGGCAAGAGCCGAAGTCGGTGCCTACTAG(配列番号:5);
U6T6.shD6 DMPKを標的とするアンチセンス配列:CTCGAGTGAGCGAAGGGACGACTTCGAGATTCTGCTGTAAAGCCACAGATGGGCAGAATCTCGAAGTCGTCCCTCCGCCTA(配列番号:6);および
U6T6.sh2683 DMPKを標的とするアンチセンス配列:CTCGAGTGAGCGATTCGGCGGTTTGGATATTTATCTGTAAAGCCACAGATGGGATAAATATCCAAACCGCCGAAGCGCCTA(配列番号:7)が含まれるがこれに限定されない。
上で明記のDNA配列は、DMPKを標的とするためのRNAアンチセンス配列をコードする。
【0068】
DMPKまたはそのCUGトリプレットリピート伸長を標的とするための、snRNA内で使用される代表的なアンチセンス配列には、
#1 39bp:-2_37 DMPKを標的とするアンチセンス配列:ACAGCGGTCCAGCAGGATGTTGTCGGGTTTGATGTCCCT(配列番号:8);
#2 49bp:70_+24 DMPKを標的とするアンチセンス配列:TCTGTGGCCAGGGCACTGGCTCACCGTTCCATCTGCCCGCAGCTTGAGG(配列番号:9);
#3 35bp:62_+2 DMPKを標的とするアンチセンス配列:ACCGTTCCATCTGCCCGCAGCTTGAGGCAAGAGCC(配列番号:10);
#4 31bp:-61_-31 DMPKを標的とするアンチセンス配列:AATGAACCTCCCTTCTGTGGTCCCACCAGGC(配列番号:11);
#1 39bp:-5_34 DMPKを標的とするアンチセンス配列:GCGGCGCACCTTCCCGAATGTCCGACAGTGTCTCCTGCG(配列番号:12);
#2 39bp:27_66 DMPKを標的とするアンチセンス配列:GGAGTAGCCCACAAAAGGCAGGTGGACCCCTAGCGGCGCA(配列番号:13);
#3 29bp:60_+2 DMPKを標的とするアンチセンス配列:ACCTGAGGGCCATGCAGGAGTAGGAGTAG(配列番号:14);
#4 39bp:-35_4 DMPKを標的とするアンチセンス配列:TCTCCTGCGCAAGACACACAGATGTGAGCAGCAGTCGTC(配列番号:15);
U7-15CTG DMPKを標的とするアンチセンス配列:CAGCAGCAGCAGCAGCAGCAGCAGCAGCAGCAGCAGCAGCAGCAG(配列番号:16);
U7-20CTG DMPKを標的とするアンチセンス配列:CAGCAGCAGCAGCAGCAGCAGCAGCAGCAGCAGCAGCAGCAGCAGCAGCAGCAGCAGCAG(配列番号:17);
U7-5’CTG DMPKを標的とするアンチセンス配列:CAGCAGCAGCAGCAGCAGCAGCATTCCCGGCTACAAGGACC(配列番号:18);および
U7-3’CTG DMPKを標的とするアンチセンス配列:
GAAATGGTCTGTGATCCCCCCAGCAGCAGCAGCAGCAGCAG(配列番号:19)が含まれるが、これに限定されない。
上で明記のDNA配列は、DMPKを標的とするためのRNAアンチセンス配列をコードする。
【0069】
いくつかの態様では、本開示は、DMPK遺伝子の発現を抑制もしくはこれに干渉する/および/またはDMPK遺伝子の3’非翻訳領域におけるトリヌクレオチドリピート伸長に干渉する、DMPK shRNAおよびsnRNAまたはU-RNAを提供する。いくつかの態様では、shRNAはヒトまたはマウスU6プロモータ、すなわちU6shRNAの制御により、またはこの制御下で駆動される。いくつかの態様では、snRNAはヒトまたはマウスU7プロモータ、すなわちU7snRNAの制御により、またはこの制御下で駆動される。
【0070】
いくつかの態様では、本開示は完全コンストラクト(本明細書ではDMPK U6shRNAポリヌクレオチドもしくはポリヌクレオチドコンストラクトおよび/またはDMPK U7snRNAポリヌクレオチドもしくはポリヌクレオチドコンストラクト)を含む。これは、DMPK遺伝子のエクソン5および/またはエクソン8の発現を抑制し、および/またはDMPK遺伝子の3’非翻訳領域におけるトリヌクレオチドリピート伸長に干渉する。したがって、本開示はDMPK U6shRNAをコードするポリヌクレオチドおよびDMPK U7snRNAをコードするポリヌクレオチドを提供する。配列特異的遺伝子の発現停止の原因である抑制RNAをコードする代表的な配列には、配列番号:20~36、または配列番号:20~36のいずれか1つに明記された配列と少なくとも約70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を含むそのバリアント配列が含まれるが、これに限定されない。いくつかの態様では、これらのコンストラクトは単一のベクターへと結合されており、これはDMPK U6shRNAをコードするポリヌクレオチドおよびDMPK U7snRNAをコードするポリヌクレオチドの組合せと呼ばれる。
【0071】
DMPKまたはそのCUGトリプレットリピート伸長を標的とするために使用される代表的な配列には、以下が含まれるが、これに限定されない。
U6.sh2577:
GACGCCGCCATCTCTAGGCCCGCGCCGGCCCCCTCGCACAGACTTGTGGGAGAAGCTCGGCTACTCCCCTGCCCCGGTTAATTTGCATATAATATTTCCTAGTAACTATAGAGGCTTAATGTGCGATAAAAGACAGATAATCTGTTCTTTTTAATACTAGCTACATTTTACATGATAGGCTTGGATTTCTATAAGAGATACAAATACTAAATTATTATTTTAAAAAACAGCACAAAAGGAAACTCACCCTAACTGTAAAGTAATTGTGTGTTTTGAGACTATAAATATCCCTTGGAGAAAAGCCTTGTTTGCGTTTAGTGAACCGTCAGATGGTACCGTTTAAACTCGAGTGAGCGAGCCTGCTTACTCGGGAAATTTCTGTAAAGCCACAGATGGGAAATTTCCCGAGTAAGCAGGCACGCCTACTAGAGCGGCCGCCACAGCGGGGAGATCCAGACATGATAAGATACATTTTTT(配列番号:20);
U6T6.sh4364-ex8:
GACGCCGCCATCTCTAGGCCCGCGCCGGCCCCCTCGCACAGACTTGTGGGAGAAGCTCGGCTACTCCCCTGCCCCGGTTAATTTGCATATAATATTTCCTAGTAACTATAGAGGCTTAATGTGCGATAAAAGACAGATAATCTGTTCTTTTTAATACTAGCTACATTTTACATGATAGGCTTGGATTTCTATAAGAGATACAAATACTAAATTATTATTTTAAAAAACAGCACAAAAGGAAACTCACCCTAACTGTAAAGTAATTGTGTGTTTTGAGACTATAAATATCCCTTGGAGAAAAGCCTTGTTTGCGTTTAGTGAACCGTCAGATGGTACCGTTTAAACTCGAGTGAGCGAACCTGCCTTTTGTGGGCTACTCTGTAAAGCCACAGATGGGAGTAGCCCACAAAAGGCAGGTGTGCCTACTAGCTAGAGCGGCCGCCACAGCGGGGAGATCCAGACATGATAAGATACATTTTTT(配列番号:21);
U6T6.sh5475-ex5:
GACGCCGCCATCTCTAGGCCCGCGCCGGCCCCCTCGCACAGACTTGTGGGAGAAGCTCGGCTACTCCCCTGCCCCGGTTAATTTGCATATAATATTTCCTAGTAACTATAGAGGCTTAATGTGCGATAAAAGACAGATAATCTGTTCTTTTTAATACTAGCTACATTTTACATGATAGGCTTGGATTTCTATAAGAGATACAAATACTAAATTATTATTTTAAAAAACAGCACAAAAGGAAACTCACCCTAACTGTAAAGTAATTGTGTGTTTTGAGACTATAAATATCCCTTGGAGAAAAGCCTTGTTTGCGTTTAGTGAACCGTCAGATGGTACCGTTTAAACTCGAGTGAGCGACGACTTCGGCTCTTGCCTCAACTGTAAAGCCACAGATGGGTTGAGGCAAGAGCCGAAGTCGGTGCCTACTAGCTAGAGCGGCCGCCACAGCGGGGAGATCCAGACATGATAAGATACATTTTTT(配列番号:22);
U6T6.shD6:
GACGCCGCCATCTCTAGGCCCGCGCCGGCCCCCTCGCACAGACTTGTGGGAGAAGCTCGGCTACTCCCCTGCCCCGGTTAATTTGCATATAATATTTCCTAGTAACTATAGAGGCTTAATGTGCGATAAAAGACAGATAATCTGTTCTTTTTAATACTAGCTACATTTTACATGATAGGCTTGGATTTCTATAAGAGATACAAATACTAAATTATTATTTTAAAAAACAGCACAAAAGGAAACTCACCCTAACTGTAAAGTAATTGTGTGTTTTGAGACTATAAATATCCCTTGGAGAAAAGCCTTGTTTGCGTTTAGTGAACCGTCAGATGGTACCGTTTAAACCTCGAGTGAGCGAAGGGACGACTTCGAGATTCTGCTGTAAAGCCACAGATGGGCAGAATCTCGAAGTCGTCCCTCCGCCTACTAGAGCGGCCGCCACAGCGGGGAGATCCAGACATGATAAGATACATTTTTT(配列番号:23);
U6T6.sh2683:
GACGCCGCCATCTCTAGGCCCGCGCCGGCCCCCTCGCACAGACTTGTGGGAGAAGCTCGGCTACTCCCCTGCCCCGGTTAATTTGCATATAATATTTCCTAGTAACTATAGAGGCTTAATGTGCGATAAAAGACAGATAATCTGTTCTTTTTAATACTAGCTACATTTTACATGATAGGCTTGGATTTCTATAAGAGATACAAATACTAAATTATTATTTTAAAAAACAGCACAAAAGGAAACTCACCCTAACTGTAAAGTAATTGTGTGTTTTGAGACTATAAATATCCCTTGGAGAAAAGCCTTGTTTGCGTTTAGTGAACCGTCAGATGGTACCGTTTAAACCTCGAGTGAGCGATTCGGCGGTTTGGATATTTATCTGTAAAGCCACAGATGGGATAAATATCCAAACCGCCGAAGCGCCTACTAGAGCGGCCGCCACAGCGGGGAGATCCAGACATGATAAGATACATTTTTT(配列番号:24);
U7EX5#1:
GGGTCTAGATAACAACATAGGAGCTGTGATTGGCTGTTTTCAGCCAATCAGCACTGACTCATTTGCATAGCCTTTACAAGCGGTCACAAACTCAAGAAACGAGCGGTTTTAATAGTCTTTTAGAATATTGTTTATCGAACCGAATAAGGAACTGTGCTTTGTGATTCACATATCAGTGGAGGGGTGTGGAAATGGCACCTTGATCTCACCCTCATCGAAAGTGGAGTTGATGTCCTTCCCTGGCTCGCTACAGACGCACTTCCGCAAACAGCGGTCCAGCAGGATGTTGTCGGGTTTGATGTCCCTAATTTTTGGAGCAGGTTTTCTGACTTCGGTCGGAAAACCCCTCCCAATTTCACTGGTCTACAATGAAAGCAAAACAGTTCTCTTCCCCGCTCCCCGGTGTGTGAGAGGGGCTTTGATCCTTCTCTGGTTTCCTAGGAAACGCGTATGTGGCTAGCAAA(配列番号:25);
U7EX5#2:
GGGTCTAGATAACAACATAGGAGCTGTGATTGGCTGTTTTCAGCCAATCAGCACTGACTCATTTGCATAGCCTTTACAAGCGGTCACAAACTCAAGAAACGAGCGGTTTTAATAGTCTTTTAGAATATTGTTTATCGAACCGAATAAGGAACTGTGCTTTGTGATTCACATATCAGTGGAGGGGTGTGGAAATGGCACCTTGATCTCACCCTCATCGAAAGTGGAGTTGATGTCCTTCCCTGGCTCGCTACAGACGCACTTCCGCAATCTGTGGCCAGGGCACTGGCTCACCGTTCCATCTGCCCGCAGCTTGAGGAATTTTTGGAGCAGGTTTTCTGACTTCGGTCGGAAAACCCCTCCCAATTTCACTGGTCTACAATGAAAGCAAAACAGTTCTCTTCCCCGCTCCCCGGTGTGTGAGAGGGGCTTTGATCCTTCTCTGGTTTCCTAGGAAACGCGTATGTGGCTAGCAAA(配列番号:26);
U7EX5#3:
GGGTCTAGATAACAACATAGGAGCTGTGATTGGCTGTTTTCAGCCAATCAGCACTGACTCATTTGCATAGCCTTTACAAGCGGTCACAAACTCAAGAAACGAGCGGTTTTAATAGTCTTTTAGAATATTGTTTATCGAACCGAATAAGGAACTGTGCTTTGTGATTCACATATCAGTGGAGGGGTGTGGAAATGGCACCTTGATCTCACCCTCATCGAAAGTGGAGTTGATGTCCTTCCCTGGCTCGCTACAGACGCACTTCCGCAAACCGTTCCATCTGCCCGCAGCTTGAGGCAAGAGCCAATTTTTGGAGCAGGTTTTCTGACTTCGGTCGGAAAACCCCTCCCAATTTCACTGGTCTACAATGAAAGCAAAACAGTTCTCTTCCCCGCTCCCCGGTGTGTGAGAGGGGCTTTGATCCTTCTCTGGTTTCCTAGGAAACGCGTATGTGGCTAGCAAA(配列番号:27);
U7EX5#4:
GGGTCTAGATAACAACATAGGAGCTGTGATTGGCTGTTTTCAGCCAATCAGCACTGACTCATTTGCATAGCCTTTACAAGCGGTCACAAACTCAAGAAACGAGCGGTTTTAATAGTCTTTTAGAATATTGTTTATCGAACCGAATAAGGAACTGTGCTTTGTGATTCACATATCAGTGGAGGGGTGTGGAAATGGCACCTTGATCTCACCCTCATCGAAAGTGGAGTTGATGTCCTTCCCTGGCTCGCTACAGACGCACTTCCGCAAAATGAACCTCCCTTCTGTGGTCCCACCAGGCAATTTTTGGAGCAGGTTTTCTGACTTCGGTCGGAAAACCCCTCCCAATTTCACTGGTCTACAATGAAAGCAAAACAGTTCTCTTCCCCGCTCCCCGGTGTGTGAGAGGGGCTTTGATCCTTCTCTGGTTTCCTAGGAAACGCGTATGTGGCTAGCAAA(配列番号:28);
U7EX8#1:
GGGTCTAGATAACAACATAGGAGCTGTGATTGGCTGTTTTCAGCCAATCAGCACTGACTCATTTGCATAGCCTTTACAAGCGGTCACAAACTCAAGAAACGAGCGGTTTTAATAGTCTTTTAGAATATTGTTTATCGAACCGAATAAGGAACTGTGCTTTGTGATTCACATATCAGTGGAGGGGTGTGGAAATGGCACCTTGATCTCACCCTCATCGAAAGTGGAGTTGATGTCCTTCCCTGGCTCGCTACAGACGCACTTCCGCAAGCGGCGCACCTTCCCGAATGTCCGACAGTGTCTCCTGCGAATTTTTGGAGCAGGTTTTCTGACTTCGGTCGGAAAACCCCTCCCAATTTCACTGGTCTACAATGAAAGCAAAACAGTTCTCTTCCCCGCTCCCCGGTGTGTGAGAGGGGCTTTGATCCTTCTCTGGTTTCCTAGGAAACGCGTATGTGGCTAGCAAA(配列番号:29);
U7EX8#2:
GGGTCTAGATAACAACATAGGAGCTGTGATTGGCTGTTTTCAGCCAATCAGCACTGACTCATTTGCATAGCCTTTACAAGCGGTCACAAACTCAAGAAACGAGCGGTTTTAATAGTCTTTTAGAATATTGTTTATCGAACCGAATAAGGAACTGTGCTTTGTGATTCACATATCAGTGGAGGGGTGTGGAAATGGCACCTTGATCTCACCCTCATCGAAAGTGGAGTTGATGTCCTTCCCTGGCTCGCTACAGACGCACTTCCGCAAGGAGTAGCCCACAAAAGGCAGGTGGACCCCTAGCGGCGCAAATTTTTGGAGCAGGTTTTCTGACTTCGGTCGGAAAACCCCTCCCAATTTCACTGGTCTACAATGAAAGCAAAACAGTTCTCTTCCCCGCTCCCCGGTGTGTGAGAGGGGCTTTGATCCTTCTCTGGTTTCCTAGGAAACGCGTATGTGGCTAGCAAA(配列番号:30);
U7EX8#3
GGGTCTAGATAACAACATAGGAGCTGTGATTGGCTGTTTTCAGCCAATCAGCACTGACTCATTTGCATAGCCTTTACAAGCGGTCACAAACTCAAGAAACGAGCGGTTTTAATAGTCTTTTAGAATATTGTTTATCGAACCGAATAAGGAACTGTGCTTTGTGATTCACATATCAGTGGAGGGGTGTGGAAATGGCACCTTGATCTCACCCTCATCGAAAGTGGAGTTGATGTCCTTCCCTGGCTCGCTACAGACGCACTTCCGCAAACCTGAGGGCCATGCAGGAGTAGGAGTAGAATTTTTGGAGCAGGTTTTCTGACTTCGGTCGGAAAACCCCTCCCAATTTCACTGGTCTACAATGAAAGCAAAACAGTTCTCTTCCCCGCTCCCCGGTGTGTGAGAGGGGCTTTGATCCTTCTCTGGTTTCCTAGGAAACGCGTATGTGGCTAGCAAA(配列番号:31);
U7EX8#4:
GGGTCTAGATAACAACATAGGAGCTGTGATTGGCTGTTTTCAGCCAATCAGCACTGACTCATTTGCATAGCCTTTACAAGCGGTCACAAACTCAAGAAACGAGCGGTTTTAATAGTCTTTTAGAATATTGTTTATCGAACCGAATAAGGAACTGTGCTTTGTGATTCACATATCAGTGGAGGGGTGTGGAAATGGCACCTTGATCTCACCCTCATCGAAAGTGGAGTTGATGTCCTTCCCTGGCTCGCTACAGACGCACTTCCGCAATCTCCTGCGCAAGACACACAGATGTGAGCAGCAGTCGTCAATTTTTGGAGCAGGTTTTCTGACTTCGGTCGGAAAACCCCTCCCAATTTCACTGGTCTACAATGAAAGCAAAACAGTTCTCTTCCCCGCTCCCCGGTGTGTGAGAGGGGCTTTGATCCTTCTCTGGTTTCCTAGGAAACGCGTATGTGGCTAGCAAA(配列番号:32);
U7-15CTG:
GGGTCTAGATAACAACATAGGAGCTGTGATTGGCTGTTTTCAGCCAATCAGCACTGACTCATTTGCATAGCCTTTACAAGCGGTCACAAACTCAAGAAACGAGCGGTTTTAATAGTCTTTTAGAATATTGTTTATCGAACCGAATAAGGAACTGTGCTTTGTGATTCACATATCAGTGGAGGGGTGTGGAAATGGCACCTTGATCTCACCCTCATCGAAAGTGGAGTTGATGTCCTTCCCTGGCTCGCTACAGACGCACTTCCGCAACAGCAGCAGCAGCAGCAGCAGCAGCAGCAGCAGCAGCAGCAGCAGAATTTTTGGAGCAGGTTTTCTGACTTCGGTCGGAAAACCCCTCCCAATTTCACTGGTCTACAATGAAAGCAAAACAGTTCTCTTCCCCGCTCCCCGGTGTGTGAGAGGGGCTTTGATCCTTCTCTGGTTTCCTAGGAAACGCGTATGTGGCTAGCAAA(配列番号:33);
U7-20CTG:
GGGTCTAGATAACAACATAGGAGCTGTGATTGGCTGTTTTCAGCCAATCAGCACTGACTCATTTGCATAGCCTTTACAAGCGGTCACAAACTCAAGAAACGAGCGGTTTTAATAGTCTTTTAGAATATTGTTTATCGAACCGAATAAGGAACTGTGCTTTGTGATTCACATATCAGTGGAGGGGTGTGGAAATGGCACCTTGATCTCACCCTCATCGAAAGTGGAGTTGATGTCCTTCCCTGGCTCGCTACAGACGCACTTCCGCAACAGCAGCAGCAGCAGCAGCAGCAGCAGCAGCAGCAGCAGCAGCAGCAGCAGCAGCAGCAGAATTTTTGGAGCAGGTTTTCTGACTTCGGTCGGAAAACCCCTCCCAATTTCACTGGTCTACAATGAAAGCAAAACAGTTCTCTTCCCCGCTCCCCGGTGTGTGAGAGGGGCTTTGATCCTTCTCTGGTTTCCTAGGAAACGCGTATGTGGCTAGCAAA(配列番号:34);
U7-5’CTG:
GGGTCTAGATAACAACATAGGAGCTGTGATTGGCTGTTTTCAGCCAATCAGCACTGACTCATTTGCATAGCCTTTACAAGCGGTCACAAACTCAAGAAACGAGCGGTTTTAATAGTCTTTTAGAATATTGTTTATCGAACCGAATAAGGAACTGTGCTTTGTGATTCACATATCAGTGGAGGGGTGTGGAAATGGCACCTTGATCTCACCCTCATCGAAAGTGGAGTTGATGTCCTTCCCTGGCTCGCTACAGACGCACTTCCGCAACAGCAGCAGCAGCAGCAGCAGCATTCCCGGCTACAAGGACCAATTTTTGGAGCAGGTTTTCTGACTTCGGTCGGAAAACCCCTCCCAATTTCACTGGTCTACAATGAAAGCAAAACAGTTCTCTTCCCCGCTCCCCGGTGTGTGAGAGGGGCTTTGATCCTTCTCTGGTTTCCTAGGAAACGCGTATGTGGCTAGCAAA(配列番号:35);および
U7-3’CTG:
GGGTCTAGATAACAACATAGGAGCTGTGATTGGCTGTTTTCAGCCAATCAGCACTGACTCATTTGCATAGCCTTTACAAGCGGTCACAAACTCAAGAAACGAGCGGTTTTAATAGTCTTTTAGAATATTGTTTATCGAACCGAATAAGGAACTGTGCTTTGTGATTCACATATCAGTGGAGGGGTGTGGAAATGGCACCTTGATCTCACCCTCATCGAAAGTGGAGTTGATGTCCTTCCCTGGCTCGCTACAGACGCACTTCCGCAAGAAATGGTCTGTGATCCCCCCAGCAGCAGCAGCAGCAGCAGAATTTTTGGAGCAGGTTTTCTGACTTCGGTCGGAAAACCCCTCCCAATTTCACTGGTCTACAATGAAAGCAAAACAGTTCTCTTCCCCGCTCCCCGGTGTGTGAGAGGGGCTTTGATCCTTCTCTGGTTTCCTAGGAAACGCGTATGTGGCTAGCAAA(配列番号:36)。
上で明記されたDNA配列は、DMPKを標的とするためのU6 shRNAまたはU7 snRNA配列をコードする。
【0072】
いくつかの態様では、これらのコンストラクトは、5#1(または#1 39bp:-2_37)、5#2(または#2 49bp:70_+24)、5#3(または#3 35bp:62_+2)、5#4(#4 31bp:-61_-31)、8#1(または#1 39bp:-5_34)、8#2(または#2 39bp:27_66)、8#3(#3 29bp:60_+2)、8#4(#4 39bp:-35_4)、15CAG(またはU7-15CTG),20CAG(U7-20CTG),5’CAG(U7-5’CTG)、3’CAG(U7-3’CTG)、U6.sh2577、U6T6.sh4364-ex8、U6T6.sh5475-ex5、U6T6.shD6およびU6T6.sh2683と呼ばれる。CUGリピートを標的とする4つのアンチセンス配列は、数回結合され得る。
【0073】
例示的なDMPK shRNAコンストラクト(すなわち、U6shrRNAコンストラクト)は、配列番号:20~24に明記されたヌクレオチド配列を含む核酸によってコードされたものである。例示的なDMPK snRNAコンストラクト(すなわち、U7snRNA)は、配列番号:25~36に明記されたヌクレオチド配列を含む核酸によってコードされたものである。
【0074】
いくつかの態様では、本開示は、U6 shRNAおよびU7 snRNAが結合するように設計されている標的配列を含む。代表的な標的配列には、以下に明記されるように、配列番号:37~48に明記されたヌクレオチド配列を含むが、これに限定されない。
エクソン「5」を標的とする
#1 39bp:-2_37
標的とする配列:
AGGGACATCAAACCCGACAACATCCTGCTGGACCGCTGT(配列番号:37)
#2 49bp:70_+24
標的とする配列:CCTCAAGCTGCGGGCAGATGGAACGGTGAGCCAGTGCCCTGGCCACAGA(配列番号:38)
#3 35bp:62_+2
標的とする配列:
GGCTCTTGCCTCAAGCTGCGGGCAGATGGAACGGT(配列番号:39)
#4 31bp:-61_-31
標的とする配列:
GCCTGGTGGGACCACAGAAGGGAGGTTCATT(配列番号:40)
エクソン「8」を標的とする
#1 39bp:-5_34
標的とする配列:
CGCAGGAGACACTGTCGGACATTCGGGAAGGTGCGCCGC(配列番号:41)
#2 39bp:27_66
標的とする配列:
TGCGCCGCTAGGGGTCCACCTGCCTTTTGTGGGCTACTCC(配列番号:42)
#3 29bp:60_+2:
標的とする配列:
CTACTCCTACTCCTGCATGGCCCTCAGGT(配列番号:43)
#4 39bp:-35_4
標的とする配列:
GACGACTGCTGCTCACATCTGTGTGTCTTGCGCAGGAGA(配列番号:44)
CTGリピートを標的とする
U7-15CTG
標的とする配列:CTGCTGCTGCTGCTGCTGCTGCTGCTGCTGCTGCTGCTGCTGCTG(配列番号:45)
U7-20CTG
標的とする配列::CTGCTGCTGCTGCTGCTGCTGCTGCTGCTGCTGCTGCTGCTGCTGCTGCTGCTGCTGCTG(配列番号:46)
U7-5’CTG
標的とする配列:
GGTCCTTGTAGCCGGGAATGCTGCTGCTGCTGCTGCTGCTG(配列番号:47);および
U7-3’CTG
標的とする配列:
CTGCTGCTGCTGCTGCTGCTGGGGGGATCACAGACCATTTC(配列番号:48)
【0075】
いくつかの態様では、本開示は、DMPK遺伝子のエクソン5および/もしくはエクソン8の発現を抑制ならびに/またはDMPK遺伝子の3’非翻訳領域におけるトリヌクレオチドリピート伸長に干渉する、逆相補配列を含む。したがって、本開示は逆相補配列をコードするDNA配列および逆相補配列のRNA配列を提供する。代表的な配列には、配列番号:8~19、49~60、および61~72、または配列番号8~19、49~60、および61~72のいずれか1つに明記された配列に対して、少なくとも約70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するそれらのバリアント配列が含まれるが、これに限定されない。いくつかの態様では、これらの配列はU6プロモータまたはU7プロモータの制御下にある。すなわち、例えば配列番号:61~72を参照されたい。いくつかの態様では、これらの配列の1つまたは複数のコピーは、単一のベクター中に結合される。
【0076】
いくつかの態様では、逆相補配列をコードする代表的なDNA配列およびRNA逆相補配列は、DMPKまたはCUGトリプレットリピート伸長を標的とする目的で使用した。かかる代表的な配列には、以下に明記の配列が含まれるがこれに限定されない:
エクソン「5」を標的とする
#1 39bp:-2_37:
逆相補配列:
ACAGCGGTCCAGCAGGATGTTGTCGGGTTTGATGTCCCT(配列番号:8)
RNA逆相補配列:ACAGCGGUCCAGCAGGAUGUUGUCGGGUUUGAUGUCCCU(配列番号:49)
逆相補配列 U7EX5#1:TTTGCTAGCCACATACGCGTTTCCTAGGAAACCAGAGAAGGATCAAAGCCCCTCTCACACACCGGGGAGCGGGGAAGAGAACTGTTTTGCTTTCATTGTAGACCAGTGAAATTGGGAGGGGTTTTCCGACCGAAGTCAGAAAACCTGCTCCAAAAATTAGGGACATCAAACCCGACAACATCCTGCTGGACCGCTGTTTGCGGAAGTGCGTCTGTAGCGAGCCAGGGAAGGACATCAACTCCACTTTCGATGAGGGTGAGATCAAGGTGCCATTTCCACACCCCTCCACTGATATGTGAATCACAAAGCACAGTTCCTTATTCGGTTCGATAAACAATATTCTAAAAGACTATTAAAACCGCTCGTTTCTTGAGTTTGTGACCGCTTGTAAAGGCTATGCAAATGAGTCAGTGCTGATTGGCTGAAAACAGCCAATCACAGCTCCTATGTTGTTATCTAGACCC(配列番号:61);
#2 49bp:70_+24:
逆相補配列:TCTGTGGCCAGGGCACTGGCTCACCGTTCCATCTGCCCGCAGCTTGAGG(配列番号:9)
RNA逆相補配列:UCUGUGGCCAGGGCACUGGCUCACCGUUCCAUCUGCCCGCAGCUUGAGG(配列番号:50)
逆相補配列 U7EX5#2:
TTTGCTAGCCACATACGCGTTTCCTAGGAAACCAGAGAAGGATCAAAGCCCCTCTCACACACCGGGGAGCGGGGAAGAGAACTGTTTTGCTTTCATTGTAGACCAGTGAAATTGGGAGGGGTTTTCCGACCGAAGTCAGAAAACCTGCTCCAAAAATTCCTCAAGCTGCGGGCAGATGGAACGGTGAGCCAGTGCCCTGGCCACAGATTGCGGAAGTGCGTCTGTAGCGAGCCAGGGAAGGACATCAACTCCACTTTCGATGAGGGTGAGATCAAGGTGCCATTTCCACACCCCTCCACTGATATGTGAATCACAAAGCACAGTTCCTTATTCGGTTCGATAAACAATATTCTAAAAGACTATTAAAACCGCTCGTTTCTTGAGTTTGTGACCGCTTGTAAAGGCTATGCAAATGAGTCAGTGCTGATTGGCTGAAAACAGCCAATCACAGCTCCTATGTTGTTATCTAGACCC(配列番号:62);
#3 35bp:62_+2:
逆相補配列:acCGTTCCATCTGCCCGCAGCTTGAGGCAAGAGCC(配列番号:10)
RNA逆相補配列:ACCGUUCCAUCUGCCCGCAGCUUGAGGCAAGAGCC(配列番号:51)
逆相補配列 U7EX5#3:
TTTGCTAGCCACATACGCGTTTCCTAGGAAACCAGAGAAGGATCAAAGCCCCTCTCACACACCGGGGAGCGGGGAAGAGAACTGTTTTGCTTTCATTGTAGACCAGTGAAATTGGGAGGGGTTTTCCGACCGAAGTCAGAAAACCTGCTCCAAAAATTGGCTCTTGCCTCAAGCTGCGGGCAGATGGAACGGTTTGCGGAAGTGCGTCTGTAGCGAGCCAGGGAAGGACATCAACTCCACTTTCGATGAGGGTGAGATCAAGGTGCCATTTCCACACCCCTCCACTGATATGTGAATCACAAAGCACAGTTCCTTATTCGGTTCGATAAACAATATTCTAAAAGACTATTAAAACCGCTCGTTTCTTGAGTTTGTGACCGCTTGTAAAGGCTATGCAAATGAGTCAGTGCTGATTGGCTGAAAACAGCCAATCACAGCTCCTATGTTGTTATCTAGACCC(配列番号:63);
#4 31bp:-61_-31:
逆相補配列:AATGAACCTCCCTTCTGTGGTCCCACCAGGC(配列番号:11)
RNA逆相補配列:AAUGAACCUCCCUUCUGUGGUCCCACCAGGC(配列番号:52)
逆相補配列 U7EX5#4:
TTTGCTAGCCACATACGCGTTTCCTAGGAAACCAGAGAAGGATCAAAGCCCCTCTCACACACCGGGGAGCGGGGAAGAGAACTGTTTTGCTTTCATTGTAGACCAGTGAAATTGGGAGGGGTTTTCCGACCGAAGTCAGAAAACCTGCTCCAAAAATTGCCTGGTGGGACCACAGAAGGGAGGTTCATTTTGCGGAAGTGCGTCTGTAGCGAGCCAGGGAAGGACATCAACTCCACTTTCGATGAGGGTGAGATCAAGGTGCCATTTCCACACCCCTCCACTGATATGTGAATCACAAAGCACAGTTCCTTATTCGGTTCGATAAACAATATTCTAAAAGACTATTAAAACCGCTCGTTTCTTGAGTTTGTGACCGCTTGTAAAGGCTATGCAAATGAGTCAGTGCTGATTGGCTGAAAACAGCCAATCACAGCTCCTATGTTGTTATCTAGACCC(配列番号:64);
エクソン「8」を標的とする
#1 39bp:-5_34:
逆相補配列:
GCGGCGCACCTTCCCGAATGTCCGACAGTGTCTCCTGCG(配列番号:12)
RNA逆相補配列:GCGGCGCACCUUCCCGAAUGUCCGACAGUGUCUCCUGCG(配列番号:53)
逆相補配列 U7EX8#1:
TTTGCTAGCCACATACGCGTTTCCTAGGAAACCAGAGAAGGATCAAAGCCCCTCTCACACACCGGGGAGCGGGGAAGAGAACTGTTTTGCTTTCATTGTAGACCAGTGAAATTGGGAGGGGTTTTCCGACCGAAGTCAGAAAACCTGCTCCAAAAATTCGCAGGAGACACTGTCGGACATTCGGGAAGGTGCGCCGCTTGCGGAAGTGCGTCTGTAGCGAGCCAGGGAAGGACATCAACTCCACTTTCGATGAGGGTGAGATCAAGGTGCCATTTCCACACCCCTCCACTGATATGTGAATCACAAAGCACAGTTCCTTATTCGGTTCGATAAACAATATTCTAAAAGACTATTAAAACCGCTCGTTTCTTGAGTTTGTGACCGCTTGTAAAGGCTATGCAAATGAGTCAGTGCTGATTGGCTGAAAACAGCCAATCACAGCTCCTATGTTGTTATCTAGACCC(配列番号:65)
#2 39bp:27_66:
逆相補配列:GGAGTAGCCCACAAAAGGCAGGTGGACCCCTAGCGGCGCA(配列番号:13)
RNA逆相補配列:GGAGUAGCCCACAAAAGGCAGGUGGACCCCUAGCGGCGCA(配列番号:54)
逆相補配列 U7EX8#2:
TTTGCTAGCCACATACGCGTTTCCTAGGAAACCAGAGAAGGATCAAAGCCCCTCTCACACACCGGGGAGCGGGGAAGAGAACTGTTTTGCTTTCATTGTAGACCAGTGAAATTGGGAGGGGTTTTCCGACCGAAGTCAGAAAACCTGCTCCAAAAATTTGCGCCGCTAGGGGTCCACCTGCCTTTTGTGGGCTACTCCTTGCGGAAGTGCGTCTGTAGCGAGCCAGGGAAGGACATCAACTCCACTTTCGATGAGGGTGAGATCAAGGTGCCATTTCCACACCCCTCCACTGATATGTGAATCACAAAGCACAGTTCCTTATTCGGTTCGATAAACAATATTCTAAAAGACTATTAAAACCGCTCGTTTCTTGAGTTTGTGACCGCTTGTAAAGGCTATGCAAATGAGTCAGTGCTGATTGGCTGAAAACAGCCAATCACAGCTCCTATGTTGTTATCTAGACCC(配列番号:66);
#3 29bp:60_+2:
逆相補配列:ACCTGAGGGCCATGCAGGAGTAGGAGTAG(配列番号:14)
RNA逆相補配列:
ACCUGAGGGCCAUGCAGGAGUAGGAGUAG(配列番号:55)
逆相補配列 U7EX8#3
TTTGCTAGCCACATACGCGTTTCCTAGGAAACCAGAGAAGGATCAAAGCCCCTCTCACACACCGGGGAGCGGGGAAGAGAACTGTTTTGCTTTCATTGTAGACCAGTGAAATTGGGAGGGGTTTTCCGACCGAAGTCAGAAAACCTGCTCCAAAAATTCTACTCCTACTCCTGCATGGCCCTCAGGTTTGCGGAAGTGCGTCTGTAGCGAGCCAGGGAAGGACATCAACTCCACTTTCGATGAGGGTGAGATCAAGGTGCCATTTCCACACCCCTCCACTGATATGTGAATCACAAAGCACAGTTCCTTATTCGGTTCGATAAACAATATTCTAAAAGACTATTAAAACCGCTCGTTTCTTGAGTTTGTGACCGCTTGTAAAGGCTATGCAAATGAGTCAGTGCTGATTGGCTGAAAACAGCCAATCACAGCTCCTATGTTGTTATCTAGACCC(配列番号:67);
#4 39bp:-35_4:
逆相補配列:
TCTCCTGCGCAAGACACACAGATGTGAGCAGCAGTCGTC(配列番号:15)
RNA逆相補配列:UCUCCUGCGCAAGACACACAGAUGUGAGCAGCAGUCGUC(配列番号:56)
逆相補配列 U7EX8#4:
TTTGCTAGCCACATACGCGTTTCCTAGGAAACCAGAGAAGGATCAAAGCCCCTCTCACACACCGGGGAGCGGGGAAGAGAACTGTTTTGCTTTCATTGTAGACCAGTGAAATTGGGAGGGGTTTTCCGACCGAAGTCAGAAAACCTGCTCCAAAAATTGACGACTGCTGCTCACATCTGTGTGTCTTGCGCAGGAGATTGCGGAAGTGCGTCTGTAGCGAGCCAGGGAAGGACATCAACTCCACTTTCGATGAGGGTGAGATCAAGGTGCCATTTCCACACCCCTCCACTGATATGTGAATCACAAAGCACAGTTCCTTATTCGGTTCGATAAACAATATTCTAAAAGACTATTAAAACCGCTCGTTTCTTGAGTTTGTGACCGCTTGTAAAGGCTATGCAAATGAGTCAGTGCTGATTGGCTGAAAACAGCCAATCACAGCTCCTATGTTGTTATCTAGACCC(配列番号:68);
CTGリピートを標的とする
U7-15CTG:
逆相補配列:CAGCAGCAGCAGCAGCAGCAGCAGCAGCAGCAGCAGCAGCAGCAG(配列番号:16)
RNA逆相補配列:CAGCAGCAGCAGCAGCAGCAGCAGCAGCAGCAGCAGCAGCAGCAG(配列番号:57)
逆相補配列 U7-15CTG
TTTGCTAGCCACATACGCGTTTCCTAGGAAACCAGAGAAGGATCAAAGCCCCTCTCACACACCGGGGAGCGGGGAAGAGAACTGTTTTGCTTTCATTGTAGACCAGTGAAATTGGGAGGGGTTTTCCGACCGAAGTCAGAAAACCTGCTCCAAAAATTCTGCTGCTGCTGCTGCTGCTGCTGCTGCTGCTGCTGCTGCTGCTGTTGCGGAAGTGCGTCTGTAGCGAGCCAGGGAAGGACATCAACTCCACTTTCGATGAGGGTGAGATCAAGGTGCCATTTCCACACCCCTCCACTGATATGTGAATCACAAAGCACAGTTCCTTATTCGGTTCGATAAACAATATTCTAAAAGACTATTAAAACCGCTCGTTTCTTGAGTTTGTGACCGCTTGTAAAGGCTATGCAAATGAGTCAGTGCTGATTGGCTGAAAACAGCCAATCACAGCTCCTATGTTGTTATCTAGACCC(配列番号:69);
U7-20CTG:
逆相補配列:CAGCAGCAGCAGCAGCAGCAGCAGCAGCAGCAGCAGCAGCAGCAGCAGCAGCAGCAGCAG(配列番号:17)
RNA逆相補配列:CAGCAGCAGCAGCAGCAGCAGCAGCAGCAGCAGCAGCAGCAGCAGCAGCAGCAGCAGCAG(配列番号:58)
逆相補配列 U7-20CTG:
TTTGCTAGCCACATACGCGTTTCCTAGGAAACCAGAGAAGGATCAAAGCCCCTCTCACACACCGGGGAGCGGGGAAGAGAACTGTTTTGCTTTCATTGTAGACCAGTGAAATTGGGAGGGGTTTTCCGACCGAAGTCAGAAAACCTGCTCCAAAAATTCTGCTGCTGCTGCTGCTGCTGCTGCTGCTGCTGCTGCTGCTGCTGCTGCTGCTGCTGCTGTTGCGGAAGTGCGTCTGTAGCGAGCCAGGGAAGGACATCAACTCCACTTTCGATGAGGGTGAGATCAAGGTGCCATTTCCACACCCCTCCACTGATATGTGAATCACAAAGCACAGTTCCTTATTCGGTTCGATAAACAATATTCTAAAAGACTATTAAAACCGCTCGTTTCTTGAGTTTGTGACCGCTTGTAAAGGCTATGCAAATGAGTCAGTGCTGATTGGCTGAAAACAGCCAATCACAGCTCCTATGTTGTTATCTAGACCC(配列番号:70);
U7-5’CTG:
逆相補配列:
CAGCAGCAGCAGCAGCAGCAGCATTCCCGGCTACAAGGACC(配列番号:18)
RNA逆相補配列:CAGCAGCAGCAGCAGCAGCAGCAUUCCCGGCUACAAGGACC(配列番号:59)
逆相補配列 U7-5’ctg:
TTTGCTAGCCACATACGCGTTTCCTAGGAAACCAGAGAAGGATCAAAGCCCCTCTCACACACCGGGGAGCGGGGAAGAGAACTGTTTTGCTTTCATTGTAGACCAGTGAAATTGGGAGGGGTTTTCCGACCGAAGTCAGAAAACCTGCTCCAAAAATTGGTCCTTGTAGCCGGGAATGCTGCTGCTGCTGCTGCTGCTGTTGCGGAAGTGCGTCTGTAGCGAGCCAGGGAAGGACATCAACTCCACTTTCGATGAGGGTGAGATCAAGGTGCCATTTCCACACCCCTCCACTGATATGTGAATCACAAAGCACAGTTCCTTATTCGGTTCGATAAACAATATTCTAAAAGACTATTAAAACCGCTCGTTTCTTGAGTTTGTGACCGCTTGTAAAGGCTATGCAAATGAGTCAGTGCTGATTGGCTGAAAACAGCCAATCACAGCTCCTATGTTGTTATCTAGACCC(配列番号:71);および
U7-3’CTG:
逆相補配列:GAAATGGTCTGTGATCCCCCCAGCAGCAGCAGCAGCAGCAG(配列番号:19)
RNA逆相補配列:GAAAUGGUCUGUGAUCCCCCCAGCAGCAGCAGCAGCAGCAG(配列番号:60)
逆相補配列 U7-3’CTG:
TTTGCTAGCCACATACGCGTTTCCTAGGAAACCAGAGAAGGATCAAAGCCCCTCTCACACACCGGGGAGCGGGGAAGAGAACTGTTTTGCTTTCATTGTAGACCAGTGAAATTGGGAGGGGTTTTCCGACCGAAGTCAGAAAACCTGCTCCAAAAATTCTGCTGCTGCTGCTGCTGCTGGGGGGATCACAGACCATTTCTTGCGGAAGTGCGTCTGTAGCGAGCCAGGGAAGGACATCAACTCCACTTTCGATGAGGGTGAGATCAAGGTGCCATTTCCACACCCCTCCACTGATATGTGAATCACAAAGCACAGTTCCTTATTCGGTTCGATAAACAATATTCTAAAAGACTATTAAAACCGCTCGTTTCTTGAGTTTGTGACCGCTTGTAAAGGCTATGCAAATGAGTCAGTGCTGATTGGCTGAAAACAGCCAATCACAGCTCCTATGTTGTTATCTAGACCC(配列番号:72)。
【0077】
いくつかの態様では、本開示は、配列番号:3~72のうち任意の1つもしくは複数に明記されたヌクレオチド配列、または配列番号:3~72のうちのいずれかに明記された配列に対し、少なくとも約70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の同一性を有するそれらのバリアント配列のうち、1つまたは複数を含むベクターを含む。いくつかの態様では、本開示は、配列番号:3~72のうち任意の1つもしくは複数に明記されたヌクレオチド配列、または配列番号:3~72のうちのいずれかに明記された配列に対し、少なくとも約70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の同一性を有するそれらのバリアント配列のうち、1つもしくは複数の組合せまたは複数のコピーを含むベクターを含む。いくつかの態様では、ベクターはAAVベクターである。いくつかの態様では、AAVは組換えAAV(rAAV)である。いくつかの態様では、rAAVはrep遺伝子およびcap遺伝子を欠損している。いくつかの実施形態では、rAAVは、自己相補的(sc)AAVである。
【0078】
本開示の実施形態は、ベクター(例えば、アデノ随伴ウイルス(AAV)、アデノウイルス、レトロウイルス、レンチウイルス、ウマ関連ウイルス、アルファウイルス、ポックスウイルス、ヘルペスウイルス、単純ヘルペスウイルス、ポリオウイルス、シンドビスウイルス、ワクシニアウイルスなどのウイルスベクター、または例えばキメラウイルス、モザイクウイルスもしくはシュードタイプウイルスといった合成ウイルス、および/または異種タンパク質、合成ポリマー、ナノ粒子もしくは低分子を含むウイルス)を使用し、本明細書に記載の核酸を送達する。
【0079】
いくつかの実施形態では、ウイルスベクターは、AAV1(すなわちAAV1末端逆位配列(ITR)およびAAV1カプシドタンパク質を含むAAV)、AAV2(すなわちAAV2ITRおよびAAV2カプシドタンパク質を含むAAV)、AAV3(すなわちAAV3ITRおよびAAV3カプシドタンパク質を含むAAV)、AAV4(すなわちAAV4ITRおよびAAV4カプシドタンパク質を含むAAV)、AAV5(すなわちAAV5ITRおよびAAV5カプシドタンパク質を含むAAV)、AAV6(すなわちAAV6ITRおよびAAV6カプシドタンパク質を含むAAV)、AAV7(すなわちAAV7ITRおよびAAV7カプシドタンパク質を含むAAV)、AAV8(すなわちAAV8ITRおよびAAV8カプシドタンパク質を含むAAV)、AAV9(すなわちAAV9ITRおよびAAV9カプシドタンパク質を含むAAV)、AAVrh74(すなわちAAVrh74ITRおよびAAVrh74カプシドタンパク質を含むAAV)、AAVrh.8(すなわちAAVrh.8ITRおよびAAVrh.8カプシドタンパク質を含むAAV)、AAVrh.10(すなわちAAVrh.10ITRおよびAAVrh.10カプシドタンパク質を含むAAV)、AAV11(すなわちAAV11ITRおよびAAV11カプシドタンパク質を含むAAV)、AAV12(すなわちAAV12ITRおよびAAV12カプシドタンパク質を含むAAV)、またはAAV13(すなわちAAV13ITRおよびAAV13カプシドタンパク質を含むAAV)などのAAVである。
【0080】
いくつかの実施形態では、本開示はアデノ随伴ウイルス(AAV)を使用し、DMPKをノックダウンおよび/または核内フォーカスを形成する毒性RNAをノックダウンするDMPK mRNAまたはCUGリピートを標的とする抑制RNAを送達する。AAVは、複製欠損パルボウイルスであり、その一本鎖DNAゲノムは、145ヌクレオチドの末端逆位配列(ITR)を含む約4.7kbの長さである。AAVの複数の血清型がある。AAV血清型のゲノムのヌクレオチド配列は既知である。例えば、AAV-1の完全なゲノムは、GenBank Accession No.NC_002077で提供され、AAV-2の完全なゲノムは、GenBank Accession No.NC_001401およびSrivastava et al.,J.Virol.,45:555-564(1983)で提供され、AAV-3の完全なゲノムは、GenBank Accession No.NC_1829で提供され、AAV-4の完全なゲノムはGenBank Accession No.NC_001829で提供され、AAV-5ゲノムはGenBank Accession No.AF085716で提供され、AAV-6の完全なゲノムはGenBank Accession No.NC_001862で提供され、AAV-7およびAAV-8ゲノムの少なくとも一部は、それぞれGenBank Accession No.AX753246およびAX753249で提供され(AAV-8に関連する米国特許第7,282,199号および米国特許第7,790,449号も参照されたい)、AAV-9ゲノムはGao et al.,J.Virol.,78:6381-6388(2004)で提供され、AAV-10ゲノムはMol.Ther.,13(1):67-76(2006)で提供され、AAV-11ゲノムはVirology,330(2):375-383(2004)で提供されている。ウイルスDNA複製(rep)、カプシド形成/パッケージング、および宿主細胞染色体の導入を指示するCis作用配列は、AAV ITR内に含まれる。3つのAAVプロモータ(それらの相対マップ位置に対してp5、p19、およびp40と名付けられる)は、repおよびcap遺伝子をコードする2つのAAV内部オープンリーディングフレームの発現を推進する。単一のAAVイントロンの差異的スプライシング(ヌクレオチド2107および2227における)と相まって、2つのrepプロモータ(p5およびp19)により、rep遺伝子から4つのrepタンパク質(rep78、rep68、rep52、およびrep40)が産生される。repタンパク質は、最終的にウイルスゲノムの複製に関与する複数の酵素特性を有する。cap遺伝子は、p40プロモータから発現され、3つのカプシドタンパク質VP1、VP2、およびVP3をコードする。選択的スプライシングおよび非コンセンサス翻訳開始部位は、3つの関連カプシドタンパク質の産生に関与する。単一コンセンサスポリアデニル化部位は、AAVゲノムのマップ位置95に位置する。AAVの生活環および遺伝学は、Muzyczka,Current Topics in Microbiology and Immunology,158:97-129(1992)において概説されている。
【0081】
AAVは、例えば、遺伝子療法において、外来DNAを細胞に送達するためのベクターとして魅力的である固有の特徴を有する。培養中の細胞のAAV感染は、非細胞変性であり、ヒトおよび他の動物の自然感染は、サイレントかつ無症候性である。更に、AAVは、多くの哺乳動物細胞を感染させ、インビボで多くの異なる組織を標的化する可能性を可能にする。更に、AAVは、緩徐に分裂する細胞および非分裂細胞を形質導入し、転写的に活性な核エピソーム(染色体外因子)として本質的にそれらの細胞の寿命にわたって存続し得る。AAVプロウイルスゲノムは、組換えゲノムの構築を実現可能にするプラスミド中のクローン化DNAとして感染性である。更に、AAV複製、ゲノムカプシド形成および導入を指示するシグナルが、AAVゲノムのITR内に含有されるため、内部の約4.3kbのゲノム(複製および構造カプシドタンパク質をコードする、rep-cap)の一部または全てが、外来DNAで置き換えられてよい。repタンパク質およびcapタンパク質は、トランスで提供され得る。AAVの別の重要な特徴は、それが極めて安定した頑健なウイルスであることである。これは容易にアデノウイルス(56~65℃で数時間)を不活性化させるのに使用される状態に耐え、AAVの低温保存の重要性を低下させる。AAVは凍結乾燥されてよく、AAV感染細胞は重複感染に耐性がない。いくつかの態様では、AAVはU6プロモータの制御下でshRNAを送達するのに使用される。いくつかの態様では、AAVはU7プロモータの制御下でsnRNAを送達するのに使用される。いくつかの態様では、AAVはU7プロモータおよびU6プロモータの制御下で、snRNAとshRNAの両方を送達するのに使用される。いくつかの態様では、AAVはU6プロモータの制御下でshRNAと、U7プロモータの制御下でsnRNAの両方を送達するのに使用される。
【0082】
本開示の組換えAAVゲノムは、少なくとも1つのエクソン2-標的化U7snRNAポリヌクレオチドコンストラクトに隣接している1つまたは複数のAAV ITRを含む。例示的な実施形態を含むいくつかの実施形態では、U7 snRNAポリヌクレオチドはそれ自身のプロモータを含む。rAAVゲノム内のAAV DNAは、AAV血清型であるAAV-anc80、AAV-1、AAV-2、AAV-3、AAV-4、AAV-5、AAV-6、AAV-7、AAV-rh74、AAV-8、AAV-9、AAV-10、AAV-11、AAV-12およびAAV-13を含むがこれに限定されない、組換えウイルスが誘導され得る任意のAAV血清型に由来してよい。上記の背景部分に記載されるように、種々のAAV血清型のゲノムのヌクレオチド配列は、当該技術分野において既知である。
【0083】
本開示のDNAプラスミドは、本開示のrAAVゲノムを含む。DNAプラスミドは、rAAVゲノムを集合させて感染性ウイルス粒子にするために、AAVのヘルパーウイルス(例えば、アデノウイルス、E1-欠失型アデノウイルスまたはヘルペスウイルス)で感染させるのに許容可能な細胞へと転移される。その中で、パッケージングされるべきAAVゲノム、repおよびcap遺伝子、ならびにヘルパーウイルス機能が細胞に提供される、rAAV粒子を産生する技術は、当該技術分野において標準的である。rAAVの産生は、以下の成分、rAAVゲノム、rAAVゲノムから分離した(すなわち、rAAVゲノム中に存在しない)AAV repおよびcap遺伝子、ならびにヘルパーウイルス機能が、単一細胞(本明細書でパッケージング細胞と表される)内に存在することを必要とする。AAV rep遺伝子は、組換えウイルスがAAV血清型であるAAV-1、AAV-2、AAV-3、AAV-4、AAV-5、AAV-6、AAV-7、AAV-8、AAV-9、AAV-10、AAV-11、AAV-12、AAV-13、AAV-anc80およびAAV-rh.74を含むがこれに限定されない、rAAV ゲノムITRとは異なるAAV血清型から誘導され得るか、またはこれに由来する任意のAAV血清型に由来してよい。いくつかの態様では、rAAV ゲノム内のAAV DNAは、AAV血清型であるAAV-1、AAV-2、AAV-3、AAV-4、AAV-5、AAV-6、AAV-7、AAV-8、AAV-9、AAV-10、AAV-11、AAV-12、AAV-13、AAV-anc80およびAAV-rh.74を含むがこれに限定されない、組換えウイルスが誘導され得る任意のAAV血清型に由来している。他のタイプのrAAVバリアント、例えば、カプシド変異を有するrAAVもまた本開示に含まれる。例えば、Marsic et al.,Molecular Therapy,22(11):1900-1909(2014)を参照されたい。上記に記載されるように、種々のAAV血清型のゲノムのヌクレオチド配列は、当該技術分野において既知である。同族成分の使用が、特に熟考されている。シュードタイプrAAVの産生は、例えば、国際公開第01/83692号に開示され、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0084】
いくつかの実施形態では、ウイルスベクターは、1つのAAV血清型由来のITRおよび異なるAAV血清型由来のカプシドタンパク質を含むシュードタイプAAVである。いくつかの実施形態では、シュードタイプAAVはAAV2/9である(すなわち、AAV2ITRおよびAAV9カプシドタンパク質を含むAAVである)。いくつかの実施形態では、シュードタイプAAVはAAV2/8である(すなわち、AAV2ITRおよびAAV8カプシドタンパク質を含むAAVである)。いくつかの実施形態では、シュードタイプAAVはAAV2/1である(すなわち、AAV2ITRおよびAAV1カプシドタンパク質を含むAAVである)。
【0085】
いくつかの実施形態では、AAVは、例えば、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAVrh74、AAVrh.8もしくはAAVrh.10由来の1つまたは複数のカプシドタンパク質のキメラを含むカプシドタンパク質などの組換えカプシドタンパク質を含む。
【0086】
いくつかの実施形態では、AAVは、rep遺伝子およびcap遺伝子を欠損している。いくつかの実施形態では、AAVは組換え線形AAV(rAAV)、一本鎖AAV、または組換え自己相補的AAV(scAAV)である。
【0087】
本開示の組換えAAVゲノムは、例えば1つまたは複数の筋強直性ジストロフィープロテインキナーゼ(DMPK)抑制RNAをコードするポリヌクレオチドに隣接している、1つまたは複数のAAV ITRを含む。AmbionIncなどの商用プロバイダー。(テキサス州オースティン)、Darmacon Inc.(コロラド州ラファイエット)、InvivoGen(カリフォルニア州サンディエゴ)、およびMolecular
Research Laboratories、LLC(バージニア州ハーンドン)は、カスタム阻害RNA分子を生成します。これに加え、受注生産のsiRNA分子を産生するために、SILENCER(商標)siRNA構築キット(Ambion Inc.,Austin,TX)またはpsiRNA System(InvivoGen,San Diego,CA)といった市販のキットが利用可能である。実施形態は、配列番号:25~36のいずれかに明記されたヌクレオチド配列を含む核酸を含む、rAAVゲノムを含む。
【0088】
パッケージング細胞を生成する方法は、AAV粒子の産生に必要な全ての成分を安定して発現する細胞株を作成することである。例えば、AAV rep遺伝子およびcap遺伝子を欠くrAAVゲノム、rAAVゲノムから分離したAAV repおよびcap遺伝子、およびネオマイシン耐性遺伝子などの選択可能なマーカーを含むプラスミド(または複数のプラスミド)が、細胞のゲノムに組み込まれる。AAVゲノムは、GCテーリング(Samulskiら、1982、Proc。USA,79:2077-2081)、制限エンドヌクレアーゼ切断部位を含む合成リンカーの付加(Laughlin et al.,1983,Gene,23:65-73)、または直接平滑末端ライゲーション(Senapathy&Carter,1984,J.次に、パッケージング細胞株を、アデノウイルスなどのヘルパーウイルスに感染させる。この方法の利点は、細胞が選択可能であり、rAAVの大規模産生に好適であることである。適切な方法の他の例は、rAAVゲノムおよび/またはrep遺伝子およびcap遺伝子をパッケージング細胞に導入するためのプラスミドではなく、アデノウイルスまたはバキュロウイルスを使用する。
【0089】
rAAV生産の一般原則は、例えば、Carter、1992、Current Opinions in Biotechnology、1533-539;およびMuzyczka、1992、Curr。Topics in Microbial.and Immunol.,158:97-129)に概説されている。種々のアプローチが、Ratschinら、Mol。Biol.4:2072(1984)、Hermonat et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,81:6466(1984)、Tratschin et al.,Mo1.Cell.Biol。5:3251(1985);McLaughlin et al.、J。Virol。、62:1963(1988);およびLebkowskiet al.、1988Mol。細胞。Biol.,7:349(1988)、Virol.,63:3822-3828)、米国特許第5,173,414号、WO95/13365及び対応する米国特許第5,658.776号、WO95/13392、WO96/17947、PCT/US98/18600、WO97/09441(PCT/US96/14423)、WO97/08298(PCT/US96/13872)、WO97/21825(PCT/US96/20777)、WO97/06243(PCT/FR96/01064)、WO99/11764、Perrin et al.(1995)Vaccine 13:1244-1250、Paul et al.(1993)Human Gene Therapy 4:609-615、Clark et al.(1996)Gene Therapy 3:1124-1132、米国特許米国特許第5,786,211号;米国特許第5,871,982号;米国特許。米国特許第6,258,595号。前述の文書は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれ、rAAV産生に関する文書の部分を特に強調する。
【0090】
したがって、本開示は、感染性rAAVを産生するパッケージング細胞を提供する。一実施形態では、パッケージング細胞は、HeLa細胞、293細胞、およびPerC.6細胞(同種293株)などの、安定状態で形質転換された癌細胞であり得る。別の実施形態では、パッケージング細胞は、形質転換された癌細胞ではない細胞、例えば、低継代293細胞(アデノウイルスのE1で形質転換されたヒト胎児腎細胞)、MRC-5細胞(ヒト胎児線維芽細胞)、WI-38細胞(ヒト胎児線維芽細胞)、Vero細胞(サル腎細胞)、およびFRhL-2細胞(アカゲザル胎児肺細胞)である。
【0091】
rAAVは、当該技術分野で標準的な方法によって、例えば、カラムクロマトグラフィーまたは塩化セシウム勾配によって精製され得る。ヘルパーウイルスからrAAVベクターを精製する方法は、当該技術分野で既知であり、例えば、Clark et al.,Hum.Gene Ther.,10(6):1031-1039(1999)、Schenpp and Clark,Methods Mol.Med.,69 427-443(2002)、米国特許第6,566,118号、および国際公開第98/09657号に開示される方法が含まれる。
【0092】
別の実施形態では、本開示は本明細書に記載のコンストラクトのうち任意のものを含むrAAVを含む組成物を含む。一態様では、本開示は本明細書に記載のshRNAおよびsnRNAを送達するためのrAAVを含む組成物を含む。本開示の組成物は、rAAVおよび薬学的に許容される担体を含む。組成物はまた、希釈剤などの他の成分を含んでもよい。許容される担体および希釈剤は、レシピエントに非毒性であり、好ましくは、用いられる投薬量および濃度では不活性であり、リン酸塩、クエン酸塩、もしくは他の有機酸塩などの緩衝剤;アスコルビン酸などの抗酸化剤;低分子量ポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン、もしくは免疫グロブリンなどのタンパク質;ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニン、もしくはリシンなどのアミノ酸;グルコース、マンノース、もしくはデキストリンを含む、単糖、二糖、および他の炭水化物;EDTAなどのキレート剤;マンニトールもしくはソルビトールなどの糖アルコール;ナトリウムなどの塩形成対イオン;ならびに/またはTween、プルロニック(登録商標)、もしくはポリエチレングリコール(PEG)などの非イオン性界面活性剤を含む。
【0093】
滅菌されている注射可能な溶液は、必要な量のrAAVを適切な溶媒に、必要に応じて上記に列挙した他の様々な成分とともに組み込み、その後濾過滅菌することによって調製される。一般的に、分散液は滅菌した活性成分を、基礎的な分散媒および上に列挙されるものからの必要とされる他の成分を含む滅菌ビヒクルへと混合することによって調製される。滅菌されている注射可能な溶液の調製のための滅菌粉末の場合、調製の好ましい方法は、真空乾燥および凍結乾燥技術であり、それは、活性成分プラス予め滅菌濾過したそれらの溶液からの任意の追加の所望の成分の粉末をもたらす。
【0094】
本開示の方法で投与されるrAAVの力価は、例えば、特定のrAAV、投与モード、治療目標、標的化された個体、および細胞型(複数可)に応じて異なり、当該技術分野における標準の方法によって決定され得る。rAAVの力価は、1mL当たり約1×106、約1×107、約1×108、約1×109、約1×1010、約1×1011、約1×1012、約1×1013~約1×1014、またはそれ以上のDNase耐性粒子(DRP)の範囲であり得る。投薬量は、ウイルスゲノム(vg)の単位(例えば、それぞれ1×107vg、1×108vg、1×109vg、1×1010vg、1×1011vg、1×1012vg、1×1013vgおよび1×1014vg)で表されてもよい。
【0095】
いくつかの態様では、本開示は、配列番号:20~36のうち任意のものに明記されたDMPK抑制RNAをコードするDNAを、その必要がある対象に送達する方法を提供し、この方法はDMPK shRNAとsnRNAをコードするAAVを対象に投与することを含む。
【0096】
いくつかの態様では、本開示はDMPK shRNAとsnRNAを送達するため、AAV形質導入細胞を提供する。
【0097】
インビボまたはインビトロにて、rAAVを用いて標的細胞を形質導入する方法が、本開示に含まれる。該方法は、対象に、本開示のrAAVを含む有効量または複数の有効量の組成物を投与する工程を含み、この対象には、必要がある動物(例えばヒト)が含まれる。用量がDM-1の発症前に投与される場合、投与は予防的である。用量がDM-1の発症後に投与される場合、投与は治療的である。本開示の実施形態では、有効量は、処置されるDM-1に関連する少なくとも1つの症状を緩和(排除または低減)する用量であり、DM-1への進行を遅延させるか、または予防する用量であり、障害/疾患状態の進行を遅延させるか、または予防する用量であり、疾患の範囲を縮小する用量であり、疾患の鎮静(部分的または完全な)をもたらす用量であり、および/または生存を延長させる用量である。
【0098】
有効量のAAV、rAAV、またはAAV、rAAVを含む1つもしくは複数の組成物、または本開示の核酸の投与は、筋肉内投与、非経口投与、血管内投与、静脈内投与、経口投与、頬側投与、鼻腔投与、経肺投与、脳内投与、脳室内投与、脊髄内投与、骨内投与、眼内投与、直腸内投与、または膣内投与を含むがこれに限定されない、当該技術分野で標準的な経路であってよい。種々の態様では、有効量は経路の組合せによって送達される。例えば、種々の態様では、有効量は静脈内でおよび筋肉内で、または静脈内でおよび脳室内で、またはその同等の方法で送達される。いくつかの態様では、有効量は順を追って、または連続的に送達される。いくつかの態様では、有効量は同時に送達される。本開示のrAAVのAAV成分(特に、AAV ITRおよびカプシドタンパク質)の投与経路(複数可)および血清型(複数可)は、処置される感染症および/または疾患状態、ならびにDMPKを発現する細胞などの標的細胞/組織(複数可)を考慮して、当業者によって選択および/または適合され得る。いくつかの実施形態では、投与経路は筋肉内投与である。いくつかの実施形態では、投与経路は静脈内投与である。
【0099】
特に、本開示のrAAVの実際の投与は、rAAV組換えベクターを動物の標的組織に輸送する任意の物理的方法を使用することによって達成され得る。本開示に従う投与には、筋肉、血流、中枢神経系への注射および/または直接脳もしくは他の器官への注射が含まれるがこれに限定されない。リン酸緩衝生理食塩水にrAAVを再懸濁するのみで、筋肉組織での発現に有用なビヒクルを提供するのに十分であることが実証されており、担体またはrAAVと共投与できる他の成分に既知の制限はない(DNAを分解する組成物は、rAAVを伴う通常の方法では回避すべきである)。rAAVのカプシドタンパク質は、rAAVが筋肉などの目的の特定の標的組織に標的化されるように修飾されてもよい。例えば、本開示が参照により本明細書に組み込まれる国際公開第02/053703号を参照されたい。医薬組成物は、注射可能な製剤として、または経皮輸送により筋肉に送達される局所製剤として調製することができる。筋肉内注射および経皮輸送の両方のための多数の製剤が先行して開発されており、本開示を実施する際に使用され得る。rAAVは、投与および取り扱いを容易にするために、任意の薬学的に許容される担体とともに使用することができる。
【0100】
筋肉内注射を目的として、ゴマ油や落花生油などのアジュバント溶液、または水性プロピレングリコール溶液、および滅菌水溶液を使用することができる。そのような水溶液は、必要に応じて緩衝化することができ、液体希釈剤は最初に生理食塩水またはグルコースで等張にされる。遊離酸(DNAは酸性リン酸基を含む)または薬理学的に許容される塩としてのrAAVの溶液は、ヒドロキシプロピルセルロースなどの界面活性剤と適切に混合した水で調製することができる。rAAVの分散液はまた、グリセロール、液体ポリエチレングリコール、およびそれらの混合物中で、ならびに油中で調製することができる。通常の保存状態および使用下においては、これらの製剤は、微生物の増殖を防止するために保存剤を含む。これに関連して、用いられる滅菌水性媒体は全て、当業者に周知の標準的な技術により容易に入手可能である。
【0101】
注射用途に適した薬学的形態には、滅菌水溶液または分散液、および滅菌注射溶液または分散液の即時調製用の滅菌粉末が含まれる。あらゆる場合において、この形態は、滅菌でなければならず、容易なシリンジ注射可能性(syringability)が存在する程度に流動性でなければならない。製造および保管の条件下で安定していなければならず、細菌および真菌などの微生物の汚染作用に対して保護されなければならない。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコールなど)、それらの好適な混合物、および植物油を含む溶媒または分散媒であり得る。いくつかの態様では、適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティングの使用によって、分散液の場合には必要な粒径の維持によって、および界面活性剤の使用によって維持され得る。微生物の作用の防止は、様々な抗菌剤および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサールなどによってもたらされ得る。多くの場合、等張剤、例えば、糖または塩化ナトリウムを含むことが好ましいであろう。注射可能な組成物の長時間の吸収は、吸収を遅延させる薬剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンの使用によってもたらされ得る。
【0102】
滅菌されている注射可能な溶液は、必要な量のrAAVを適切な溶媒に、必要に応じて上記に列挙した他の様々な成分とともに組み込み、その後濾過滅菌することによって調製される。一般的に、分散液は滅菌した活性成分を、基礎的な分散媒および上に列挙されるものからの必要とされる他の成分を含む滅菌ビヒクルへと混合することによって調製される。滅菌されている注射可能な溶液の調製のための滅菌粉末の場合、調製の好ましい方法は、真空乾燥および凍結乾燥技術であり、それは、活性成分プラス予め滅菌濾過したそれらの溶液からの任意の追加の所望の成分の粉末をもたらす。
【0103】
用語「形質導入」は、レシピエント細胞によるDMPK抑制RNAの発現をもたらす、本開示の複製欠損rAAVを介した、インビボまたはインビトロのいずれかでの、レシピエント細胞へのDMPK抑制RNAの投与/送達を指すように使用される。
【0104】
一態様では、rAAVを用いた形質導入はインビトロで実行される。一実施形態では、所望の標的細胞は、対象から除去され、rAAVを用いて形質導入され、対象に再導入される。代替的には、同系または異種細胞が対象において不適切な免疫応答を生成しない場合、同系または異種細胞が使用され得る。
【0105】
対象への形質導入および形質導入細胞の再導入のための好適な方法は、当該技術分野で既知である。一実施形態では、細胞は、例えば適切な培地中でrAAVを細胞と組み合わせ、サザンブロットおよび/またはPCRなどの従来の技法を使用して、目的とするDNAを持つ細胞についてスクリーニングすることによって、または選択可能なマーカーを使用することによって、インビトロで形質導入され得る。次に、形質導入された細胞を医薬組成物に製剤化し、組成物を、筋肉内、静脈内、皮下、および腹腔内注射による、または例えばカテーテルを使用して平滑筋および心筋への注射によるなど、様々な技術により対象に導入することができる。
【0106】
本開示は、有効量(または実質的に同時に投与される投与量、もしくは間隔をあけて投与される投与量)の抑制RNAをコードするrAAV、およびDMPKを標的とするshRNAおよび/またはsnRNAを含む抑制RNAの組合せをコードするrAAVを、その必要がある対象へ投与する方法を提供する。
【0107】
本開示のrAAVを有する細胞を形質導入することで、DMPK発現を標的とする抑制RNAの持続的な発現が生じる。したがって本開示は、抑制RNAを発現するrAAVを、対象に投与/送達する方法を提供する。こうした対象は動物対象であり、いくつかの態様では対象はヒトである。
【0108】
こうした方法には、血管系、中枢神経系および組織(筋細胞および神経細胞、骨格筋を含む筋肉などの組織、心臓、脳、皮膚、眼などの器官、ならびに内分泌系、ならびに内分泌腺および口腔腺などの腺を含むがこれに限定されない)に、本開示の1つまたは複数のrAAVを用いて形質導入することを含む。いくつかの態様では、形質導入は組織特異性制御要素を含む遺伝子カセットを用いて行われる。例えば、本開示の一実施形態は、myoD遺伝子ファミリーなどのアクチンおよびミオシン遺伝子ファミリー(Weintraub et al.,Science,251:761-766(1991)を参照されたい)、筋細胞特異的エンハンサ結合因子MEF-2(Cserjesi and Olson,Mol Cell Biol 11:4854-4862(1991))、ヒト骨格アクチン遺伝子に由来する制御エレメント(Muscat et al.,Mol Cell Biol,7:4089-4099(1987))、心臓アクチン遺伝子、筋肉クレアチンキナーゼ配列エレメント(Johnson et al.,Mol Cell Biol,9:3393-3399)(1989)を参照されたい)およびマウスクレアチンキナーゼエンハンサ(mCK)エレメント、急収縮性骨格トロポニンC遺伝子、遅収縮性心筋トロポニンC遺伝子、および遅収縮性心筋トロポニンI遺伝子に由来する制御エレメント:低酸素誘導性核因子(Semenza et al.,Proc Natl Acad Sci USA,88:5680-5684(1991))、糖質コルチコイド応答エレメント(GRE)を含むステロイド誘導性エレメントおよびプロモータ(Mader and White,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:5603-5607(1993)を参照されたい)、tMCKプロモータ[Wang
et al.,Gene Therapy,15:1489-1499(2008)を参照されたい]、CK6プロモータ[Wang et al.,上記を参照されたい]およびその他の制御エレメントを含むものに由来するものを含むが、これらに限定されない筋特異的制御エレメントによって指示される筋細胞および筋組織を形質導入する方法を提供する。
【0109】
AAVはDM1に冒された器官全てを標的とするため、本開示は、抑制RNAをコードするDNAの、対象の全細胞、全組織および全器官への送達を含む。いくつかの態様では、血管系、中枢神経系、筋組織、心臓および脳はインビボでのDNA送達のための誘引標的である。本開示は、DMPK発現に影響を与える(例えば、発現のノックダウンもしくは抑制)か、またはDMPK遺伝子の3’非翻訳領域におけるCUGリピート伸長に干渉する、形質導入細胞由来のshRNAおよび/またはsnRNAの持続的な発現を含む。いくつかの態様では、本開示は、形質導入筋繊維由来のshRNAおよび/またはsnRNAの持続的な発現を含む。「筋細胞」または「筋組織」とは、任意の種類の筋肉(例えば、消化管、膀胱、血管、または心臓組織由来の、例えば、骨格筋および平滑筋)に由来する細胞または細胞群を意味する。こうした筋細胞はいくつかの態様では、筋原細胞、ミオサイト、筋管、心筋細胞および心筋原細胞などに区別されるか、または区別されない。
【0110】
更に別の実施形態では、本開示は、DMPK shRNAとsnRNAをコードするrAAVと細胞との接触を含む、細胞内のDMPK遺伝子の発現を防止または抑制する方法を提供する。この場合、RNAは配列番号:20~36に明記されたDNAによってコードされる。いくつかの態様では、DMPKの発現は、少なくとも約5パーセント、約10パーセント、約15パーセント、約20パーセント、約25パーセント、約30パーセント、約35パーセント、約40パーセント、約45パーセント、約50パーセント、約55パーセント、約60パーセント、約65パーセント、約70パーセント、約75パーセント、約80パーセント、約85パーセント、約90パーセント、約95パーセント、約96パーセント、約97パーセント、約98パーセント、約99パーセント、または約100パーセントだけ抑制される。いくつかの態様では、CTGリピート数の発現は、少なくとも約5パーセント、約10パーセント、約15パーセント、約20パーセント、約25パーセント、約30パーセント、約35パーセント、約40パーセント、約45パーセント、約50パーセント、約55パーセント、約60パーセント、約65パーセント、約70パーセント、約75パーセント、約80パーセント、約85パーセント、約90パーセント、約95パーセント、約96パーセント、約97パーセント、約98パーセント、約99パーセント、または約100パーセントだけ抑制される。
【0111】
更に別の態様では、本開示は、DMPK shRNAとsnRNAをコードするAAVを、対象に投与することを含む筋強直性ジストロフィー(DM1および/またはDM2を含むがこれに限定されない)を予防または処置する方法を提供する。この場合、DMPK
shRNAとsnRNAは、配列番号:20~36に明記されたポリヌクレオチドのうちいずれか1つによってコードされている。いくつかの態様では、AAVは組換えAAV(rAAV)である。いくつかの態様では、rAAVはrep遺伝子およびcap遺伝子を欠損している。いくつかの実施形態では、rAAVは、自己相補的(sc)AAVである。
【0112】
「処置」は、筋強直性ジストロフィーの1つまたは複数の症状(筋消耗、筋力低下、筋強直症、骨格筋の問題、心臓機能の異常、呼吸困難、白内障、発話および嚥下に関する課題(構音障害および嚥下障害)、認知障害、日中の過度な眠気、または糖尿病の症状を含むがこれに限定されない)を回復または抑制させることを含む。
【0113】
分子的、生物学的、組織学的および機能的なエンドポイントは、DMPK shRNAとsnRNAの治療有効性を立証する。本開示によって考えられたエンドポイントは、DMPKタンパク質の発現の減少もしくは消失、核内のタンパク質機能に干渉するCTGリピート(すなわち毒性リピート)の減少もしくは消失、ならびに/または、例えばCLCN(およびCLCN1、CLCN2、CLCN3、CLCN4、CLCN5、CLCN6なと)、BIN1、SERCA-1、MLBN1、MLBN2およびIRを含むがこれに限定されない遺伝子内の正常な遺伝子スプライシングパターンの修復、ならびに/またはCELF1およびMBLN1の発現の減少、ならびに/または核内フォーカスもしくはCUGフォーカス(MBLN1のような遺伝子を捕捉するフォーカスを含む)の数の減少または中央核形成(centronucleatoin)の減少を含むがこれに限定されない筋強直性ジストロフィー症状の減少もしくは消失、ならびに筋電図検査を用いて検査されるような筋肉の過剰興奮性の回復のうち、1つまたは複数を含む。
【0114】
本開示はまた、DM1の新規のアデノ随伴ウイルス(AAV)誘導マウスモデルを提供する。DM1(iDM1)の誘導性多系統性マウスモデルは、AAVウイルスベクターを用いる毒性CTGexp(ヒトDMPKエクソン15の状況内で)を送達することによって生成された。この理由はAAVがDM1に冒された器官全てを標的としていることであった。これにより誘導モデルを有することで複雑かつ非効率的なマウスの繁殖を行う必要がなくなる。毒性リピートはその自然な状況の中で発現されることから、このモデルは、遺伝子導入育種の不安定さに遭遇するといった困難を抱えることなく、DM1の治療学を迅速に評価するといった点で使用するために、DM1表現型を完全に再現するように設計された。
【0115】
iDM1モデルの作製においては、480CTGリピートおよびGFPタグ(すなわち、「GFP-CTG480」)を含むヒトDMPKエクソン15の発現が細胞核内で蓄積することが可能であり、DM1患者にて見られる筋肉ブラインド様タンパク質1(MBLN1)を捕捉するであろうフォーカスを形成することが、インビトロで最初に確認された。ヒトDMPKエクソン15およびGFPタグ(CTGリピートなし)のみを含む対照(すなわち、「GFP-CTG0」)は、その毒性がコンストラクトのバックボーンに関連しないことを確認するために使用された。MBLN1は、筋原細胞内で高度に発現し、特別なヒト線維芽細胞の細胞株(C19GSK_ htMyoD)はこの実験を実施するのに使用された。この細胞株は、筋原細胞へと分化転換させる能力を有している。これはこの細胞が、筋形成のためのマスター遺伝子である筋性分化(MyoD)遺伝子をコードするレンチウイルスに感染していたからである。感染96時間後、GFP-CTG480コンストラクトは、架橋インテグレータ1(BIN1)およびインスリン受容体(INSR)のスプライシングパターンを変性することができ、2つの遺伝子はMBLN1が不在の状態でミススプライシングされる。
【0116】
このコンストラクトがインビボでDM1表現型を誘発するかどうかを評価するため、CMV.GFP-CTG480コンストラクトはAAV(すなわち、「AAV6.GFP-CTG480」)へとパッケージされ、AAV6.GFP-CTG480は、4週齢の野生型マウスに筋肉内注射された。2つの異なる投与量(動物あたり3e10および1e11ウイルスゲノム(vg))を使用した。注射4週間後、AAV6.GFP-CTG480は、核内フォーカス形成、BIN1および筋形質/筋小胞体カルシウムアデノシントリフォスファターゼ1(SERCA1)スプライシングにおける変性、および毒性RNAリピートを有するMBNL-1の核内共局在などのDM1特徴を誘発することができた。このAAV誘導マウスモデルの形成は、本明細書に記載されるように、インビボでの関連の有望なDM1向け治療アプローチをより効果的に評価するための有用なツールを提供する。
【実施例0117】
実施例
本開示の態様および実施形態は、以下の実施例によって例示される。
【0118】
実施例1
DM1のマウスモデル
この実施例における実験の目的は、遺伝子導入育種の不安定さに遭遇するといった困難なしに研究を行うためにDM1の誘導性多系統性マウスモデル(iDM1)を生成かつ評価することであった。このモデルを生成するため、ヒトDMPKエクソン15(5E11vg)の状況内で毒性CTGexpを発現するAAVウイルスベクターを、両方の前脛骨(TA)筋/4週齢のオスおよびメスC57BL/6マウスのグループへと筋肉内で注射した。リピートは自然な状況の中で発現され、かつAAVはDM1に冒された全ての器官を標的とすることから、このモデルはDM1表現型を完全に再現しなければならない。
【0119】
480CTGリピートおよび緑色の蛍光(GFP)タグを含むヒトDMPKエクソン15(すなわち、GFP-CTG480)の発現は、核内で蓄積し、DM1患者で見られるように、MBLN1を捕捉しうるフォーカスを形成するとインビトロで確認された。DMPKエクソン15を含む対照である、GFP-CTG0は、その毒性がコンストラクトのバックボーンに関連しないことを確認するために使用された。MBLN1は、筋原細胞内で大幅に発現し、特別なヒト線維芽細胞株(すなわちC19GSK_htMyoD)が使用された。この細胞株は、筋形成のためのマスター遺伝子であるMyoDをコードするレンチウイルスに感染した後、筋原細胞へと分化転換させる能力を有する。感染96時間後、GFP-CTG480コンストラクトは、架橋インテグレータ1(Bin1)遺伝子およびインスリン受容体(IR)遺伝子のスプライシングパターンを変性することができ、2つの遺伝子は、筋肉ブラインド様1(MBNL1)が不在の状態でミススプライシングされ、所定の結果を確認した。
【0120】
このコンストラクトがマウス内にて、インビボでDM1表現型を誘発するかどうかを評価するため、CMV.GFP-CTG480コンストラクトはAAV(AAV6.GFP-CTG480)へとパッケージされ、オスとメスのC57BL/6野生型マウスは、4週齢にてTA筋へと筋肉内注射された。2つの異なる投与量(動物あたり3e10および1e11ウイルスゲノム(vg))を使用した。
図5Aに示すように、注射4週間後、AAV6.GFP-CTG480ベクターは、AAV6誘導マウスモデルに、中心核形成、塩素チャネルタンパク質、骨格筋(CLCN)および筋形質/筋小胞体カルシウムアデノシントリフォスファターゼ1(SERCA-1)、筋肉ブラインド様2(MBNL2)、およびインスリン受容体(IR)などの複数の遺伝子のスプライシングの変性といったDM1特徴を誘発させることができた。これらの遺伝子のスプライシング変性は、本明細書にて上に記載されるように、患者においてはDM1に関連する一般的な特徴であるため、これらの結果は、インビボで、筋肉にDM1特徴を誘発させるAAV.GFP-CTG480アプローチの能力を立証している。したがって、この実施例は、DM1の新規の誘導性多系統性マウスモデル(iDM1)を提供する。
【0121】
実施例2
DM1のマウスモデルにおけるリピート伸長の全身送達
この実施例における実験の目的は、心臓および横隔膜を含む中枢神経系(CNS)および全筋肉を標的とする抑制DMPK RNAを含むAAV9コンストラクトを、全身静脈内送達する効果を観察することである。DM1は多系統性障害であるため、複数の冒された器官においてCUG毒性リピートを効率的に同時並行で発現させることができるアプローチには大きな価値がある。AAV9.CTG0およびAAV9.CTG480ベクターを、5E11vg/動物を用いる顔面静脈注射により、新生児のオスとメス両方の動物(n=10)の顔面静脈に生後1~2日の時点(P1~P2)で注射することで、全身に送達させる。10匹のPBS注射済マウスは対照の役割を担う。評価は、注射手順に関与していない個々の実験者により盲検法で実施される。
【0122】
AAV9コンストラクトを用いた注射4週間後と12週間後に、これらのマウスのTAは筋電図検査(EMG)、力測定を用いて解析され、盲検および無作為法にてスプライシング変性について評価される。筋緊張性ジストロフィーはDM1患者の最も一般的な症状の1つであるため、筋緊張性ジストロフィーは筋電図検査(EMG)を使用して筋肉の過興奮性をテストすることにより電気生理学的に定量化されます[Kanadia et al.、Science 302(5652):1978-80(2003);Wheeler et al.、J.Clin。投資する。603-604(2001)に記載されている。Statland et al.、JAMA 308(13):1357-65(2012)]。EMGにおけるミオトニー電位はTA筋から記録され、DM1患者における筋強直症の臨床EMG評価に関する実験を用いて盲検評価者により定量化される[Kanadia(上記);Wheeler et al.(上記);Statland et al.(上記5)]。EMGによる筋強直症の重症度は、DM1表現型の発症を同定している、単純な翻訳読み出しとして使用される。加えて、筋力評価検査が行われる。等尺性筋力(強度評価を提供している)および伸縮性収縮(筋鞘安定性を評価する)はまた、エクスビボのTA標本において測定される。検査結果は、毒性リピートのウイルス送達後、この動物モデルにおける筋強直症の存在を示す。
【0123】
加えて、そのスプライシングパターンがMBLN-1によって調節される遺伝子であるBIN1、SERCA1、IR、およびCLCN1のスプライシング変性は、RT-PCRによって検査される。BIN1、SERCA1、IRおよびCLCN1の異常スプライシングは、CUG毒性リピートを用いて形質導入されたマウス内に存在する。核内CUGフォーカスの数が計測され、インサイチュでの蛍光ハイブリダイゼーション(FISH)検査は、これらのフォーカスがMBNL-1と共存しているかどうかを決定するために行われる。CUGフォーカスは、CUG毒性リピートを用いて形質導入されたDM1およびマウスではMBLN1を捕捉する。
【0124】
CELF-1がDM1にて過剰発現するため、ローディング・コントロールタンパク質として抗CELF1モノクローナル抗体(Santa Cruz Biotechnologies)および抗-GAPDH抗体(Abcam)を用い、CELF1のウェスタンブロット検出を回収された筋肉ホモジネートにて実施する。CELF-1はCUG毒性リピートを用いて形質導入されたマウスにて過剰発現される。
【0125】
組織診断を行って線維サイズを測定し、中心核形成された線維の存在を確認する。TAに加え、少なくとも腓腹筋、三頭筋、心臓、横隔膜および脳を含む他の筋肉は組織診断用に回収される。
【0126】
AAV9が骨格筋および心筋の両方を形質導入するため、潜在的な筋強直症を伴うスプライス変性を引き起こす、複数の骨格筋および心臓内部の毒性RNAの核内蓄積が予測される。同様に、AAV9が血液脳関門と標的とする神経を横断可能であることから、神経伝達欠陥が予測される。
【0127】
実施例3
DMPKに特異的なU6shRNAコンストラクト
この実施例は、DMPKを標的とすることについて特異的である、U6shRNAコンストラクトの配列を提供する。これらのコンストラクトを合成し、pAAV.シャトルプラスミドへとクローニングした。アンチセンス標的配列は、「設計ルール」を用いて予測された[Schwartz et al.,Cell 115(2):199-208(2003);Khvorova et al.,Nature 115:209-16(2003);Reynolds et al.,Nat.Biotechnol.22:326-30(2004);Li et al.,RNA 13:1765-74(2007)]。コンストラクトの5’末端にある下線で強調されたヌクレオチド配列は、マウスU6プロモータをコードする。太字のヌクレオチド配列は、ショートヘアピンRNAをコードする。コンストラクトの3’末端にある下線で強調されたヌクレオチド配列は、U6ターミネータをコードする。
【0128】
>U6.sh2577
【化1】
U6.sh2577 DMPKを標的とするアンチセンス配列:CTCGAGTGAGCGAGCCTGCTTACTCGGGAAATTTCTGTAAAGCCACAGATGGGAAATTTCCCGAGTAAGCAGGCACGCCTACTAGA(配列番号:3)
【0129】
>U6T6.sh4364-ex8
【化2】
【化3】
U6T6.sh4364-ex8 DMPKを標的とするアンチセンス配列:CTCGAGTGAGCGAACCTGCCTTTTGTGGGCTACTCTGTAAAGCCACAGATGGGAGTAGCCCACAAAAGGCAGGTGTGCCTACTAG(配列番号:4)
【0130】
>U6T6.sh5475-ex5
【化4】
U6T6.sh5475-ex5 DMPKを標的とするアンチセンス配列:CTCGAGTGAGCGACGACTTCGGCTCTTGCCTCAACTGTAAAGCCACAGATGGGTTGAGGCAAGAGCCGAAGTCGGTGCCTACTAG(配列番号:5)
【0131】
>U6T6.shD6
【化5】
U6T6.shD6 DMPKを標的とするアンチセンス配列:CTCGAGTGAGCGAAGGGACGACTTCGAGATTCTGCTGTAAAGCCACAGATGGGCAGAATCTCGAAGTCGTCCCTCCGCCTA(配列番号:6)
【0132】
>U6T6.sh2683
【化6】
U6T6.sh2683 DMPKを標的とするアンチセンス配列:CTCGAGTGAGCGATTCGGCGGTTTGGATATTTATCTGTAAAGCCACAGATGGGATAAATATCCAAACCGCCGAAGCGCCTA(配列番号:7)
【0133】
実施例4
DMPK mRNA発現をノックダウンするU6shRNA
この実施例は、U6shRNAが毒性DMPK mRNAの発現に干渉するのに使用され得るかどうかを決定するために実施された実験を開示している。AAVはDMPK mRNAまたはCUGリピート自身を標的とするshRNAを送達するのに使用された。これらの実験で使用されたU6shRNAコンストラクトの配列は、実施例3と
図1A~
図1Eで上にて提供される。
【0134】
U6プロモータの制御下で、ヒトDMPK RNA(sh2577、sh2683)を標的とするshRNAを含むAAVベクターが構築された。これらのアンチセンスRNAは、DMPK RNAの3’非翻訳領域を標的とする。対照として、DMPKのコード領域に対する確立された標的(shRNA DH6.5またはshDH6.5)[Sobczak et al.,Mol.Ther.21(2):380-7(2013)]が使用された。ヒトDM1の初代線維芽細胞(GM03132、Coriell)を使用し、DMPKをノックダウンするこれらのshRNAの能力を評価した。
【0135】
MBLN1は筋原細胞で更に大量に発現されることから、線維芽細胞はMyoDを発現するレンチウイルスを用いて筋原細胞へと変換された。細胞は、翌日には約50%の培養密度を有するように、12ウェルプレートに30%の培養密度にて播種された。レンチウイルスの形質導入を目的として、2~5e9vg/mLの各レンチウイルス(htert-ピューロマイシンおよびドキシサイクリン誘導性Myo-D-ハイグロマイシン)を、400μLの増殖培地に加えた。1mlの培地を翌日に加えた。1~2日後に、細胞を6ウェルプレートに播種し、70%の培養密度に達するまで増殖させた。この時点において、400μg/mLのハイグロマイシンと1μg/mLのプロマイシンを増殖培地に補充した。細胞を少なくとも12日間にわたり、選択圧下で維持した。培地を2~3日ごとに変えた。10cmの皿をラミニン(TBSを用いた0.5mg/mlのストック溶液(pH7.4)、HBSSを用いた100μg/mlの使用溶液)でコーティングした。適正な量のラミニンを加えた後、皿を37℃で2時間インキュベートさせた。次に、皿をPBSで3回すすいだ。10cmのラミニンでコーティングした皿を使用し、50%の培養密度最大値にて線維芽細胞を播種した。筋原細胞を誘導するため、線維芽細胞が70%の培養密度に達した際には培地を筋原細胞培地と交換した(新たに作製した4μg/mLのドキシサイクリンで補充した)。2~3日後、細胞は90~95%コンフルエントな状態であり、その細胞の形態は変化した。培地を分化培地と交換した(新たに作製した4μg/mLのドキシサイクリンで補充した)。
【0136】
誘導DM1筋原細胞は次に、AAV.U6.shRNA(sh2577、sh2683、またはshDH6.5)ベクターを用いて形質導入された。shRNA 2577および2683は、DMPK遺伝子の3’非翻訳領域を標的とし、shRNA DH6.5はDMPKコード領域を標的とする。感染の2日後、細胞にRT-qPCRおよびノーザンブロットアッセイを行った。両方のアッセイは、毒性DMPK転写物のRNA発現が減少したことを立証した。rAAV.shRNAで処置されたDM1筋原細胞から単離された、全てのmRNAにおけるDMPK発現のRT-qPCRは、shRNA(2683、2577、およびDH6.5)がDMPK発現を減少可能であることを示した(
図3A)。指示されたAAV.shRNAを用いた感染後の全てのRNAのノーザンブロット解析は、伸長されたDMPK転写物である「[CTG]2000」における減少を立証した(
図3B)。これらの実験は、sh2577およびsh2683の両方のU6shRNAコンストラクトは、筋原細胞におけるDMPK転写物を効率的にノックダウン可能であったことを示す。
【0137】
実施例5
DMPKに特異的なU7snRNAコンストラクト
この実施例は、標的化された配列および逆相補配列の識別を含む、DMPKのリーディングフレームを切断するように特異的に設計されたU7snNAコンストラクトの配列を提供する。4つの配列はエクソン5(
図2A~
図2D)を標的とするように設計された。4つの配列はエクソン8(
図2E~
図2H)を標的とするように設計され、4つの配列は、DMPK遺伝子の全てである非翻訳エクソン15(
図2I~
図2L)におけるCTGリピートを標的とするように設計された。これらのコンストラクトを合成し、pAAV.シャトルプラスミドへとクローニングした。アンチセンス標的配列は、ヒト・スプライシングのファインダーウェブサイト(www.umd.be/HSF3/)を用いて予想された[Desmet et al.,Nucleic Acids Res.37(9):E67(2009)]。
【0138】
エクソン「5」を標的とする
【0139】
#1 39bp:-2_37
標的とする配列:AGGGACATCAAACCCGACAACATCCTGCTGGACCGCTGT(配列番号:37)
逆相補配列:ACAGCGGTCCAGCAGGATGTTGTCGGGTTTGATGTCCCT(配列番号:8)
【化7】
#1 39bp:-2_37 DMPKを標的とするアンチセンス配列:ACAGCGGTCCAGCAGGATGTTGTCGGGTTTGATGTCCCT(配列番号:8)
【0140】
#2 49bp:70_+24
標的とする配列:CCTCAAGCTGCGGGCAGATGGAACGGTGAGCCAGTGCCCTGGCCACAGA(配列番号:38)
逆相補配列:TCTGTGGCCAGGGCACTGGCTCACCGTTCCATCTGCCCGCAGCTTGAGG(配列番号:9)
【化8】
#2 49bp:70_+24 DMPKを標的とするアンチセンス配列:TCTGTGGCCAGGGCACTGGCTCACCGTTCCATCTGCCCGCAGCTTGAGG(配列番号:9)
【0141】
#3 35bp:62_+2
標的とする配列:GGCTCTTGCCTCAAGCTGCGGGCAGATGGAACGgt(配列番号:39)
逆相補配列:acCGTTCCATCTGCCCGCAGCTTGAGGCAAGAGCC(配列番号:10)
【化9】
#3 35bp:62_+2 DMPKを標的とするアンチセンス配列:ACCGTTCCATCTGCCCGCAGCTTGAGGCAAGAGCC(配列番号:10)
【0142】
#4 31bp:-61_-31
標的とする配列:gcctggtgggaccacagaagggaggttcatt(配列番号:40)
逆相補配列:aatgaacctcccttctgtggtcccaccaggc(配列番号:11)
【化10】
【化11】
#4 31bp:-61_-31 DMPKを標的とするアンチセンス配列:AATGAACCTCCCTTCTGTGGTCCCACCAGGC(配列番号:11)
【0143】
エクソン「8」を標的とする
【0144】
#1 39bp:-5_34
標的とする配列:CGCAGGAGACACTGTCGGACATTCGGGAAGGTGCGCCGC(配列番号:41)
逆相補配列:GCGGCGCACCTTCCCGAATGTCCGACAGTGTCTCCTGCG(配列番号:12)
【化12】
#1 39bp:-5_34 DMPKを標的とするアンチセンス配列:GCGGCGCACCTTCCCGAATGTCCGACAGTGTCTCCTGCG(配列番号:12)
【0145】
#2 39bp:27_66
標的とする配列:TGCGCCGCTAGGGGTCCACCTGCCTTTTGTGGGCTACTCC(配列番号:42)
逆相補配列:GGAGTAGCCCACAAAAGGCAGGTGGACCCCTAGCGGCGCA(配列番号:13)
【化13】
【化14】
#2 39bp:27_66 DMPKを標的とするアンチセンス配列:GGAGTAGCCCACAAAAGGCAGGTGGACCCCTAGCGGCGCA(配列番号:13)
【0146】
#3 29bp:60_+2:
標的とする配列:CTACTCCTACTCCTGCATGGCCCTCAGgt(配列番号:43)
逆相補配列:acCTGAGGGCCATGCAGGAGTAGGAGTAG(配列番号:14)
【化15】
#3 29bp:60_+2 DMPKを標的とするアンチセンス配列:ACCTGAGGGCCATGCAGGAGTAGGAGTAG(配列番号:14)
【0147】
#4 39bp:-35_4
標的とする配列:gacgactgctgctcacatctgtgtgtcttgcgcagGAGA(配列番号:44)
逆相補配列:TCTCctgcgcaagacacacagatgtgagcagcagtcgtc(配列番号:15)
【化16】
#4 39bp:-35_4 DMPKを標的とするアンチセンス配列:TCTCCTGCGCAAGACACACAGATGTGAGCAGCAGTCGTC(配列番号:15)
【0148】
CTGリピートを標的とする
【0149】
>U7-15CTG
標的とする配列:CTGCTGCTGCTGCTGCTGCTGCTGCTGCTGCTGCTGCTGCTGCTG(配列番号:45)
逆相補配列:CAGCAGCAGCAGCAGCAGCAGCAGCAGCAGCAGCAGCAGCAGCAG(配列番号:16)
【化17】
U7-15CTG DMPKを標的とするアンチセンス配列:CAGCAGCAGCAGCAGCAGCAGCAGCAGCAGCAGCAGCAGCAGCAG(配列番号:16)
【0150】
>U7-20CTG
標的とする配列::CTGCTGCTGCTGCTGCTGCTGCTGCTGCTGCTGCTGCTGCTGCTGCTGCTGCTGCTGCTG(配列番号:46)
逆相補配列:CAGCAGCAGCAGCAGCAGCAGCAGCAGCAGCAGCAGCAGCAGCAGCAGCAGCAGCAGCAG(配列番号:17)
【化18】
U7-20CTG DMPKを標的とするアンチセンス配列:CAGCAGCAGCAGCAGCAGCAGCAGCAGCAGCAGCAGCAGCAGCAGCAGCAGCAGCAGCAG(配列番号:17)
【0151】
>U7-5’CTG
標的とする配列:GGTCCTTGTAGCCGGGAATGCTGCTGCTGCTGCTGCTGCTG(配列番号:47)
逆相補配列:CAGCAGCAGCAGCAGCAGCAGCATTCCCGGCTACAAGGACC(配列番号:18)
【化19】
U7-5’CTG DMPKを標的とするアンチセンス配列:CAGCAGCAGCAGCAGCAGCAGCATTCCCGGCTACAAGGACC(配列番号:18)
【0152】
>U7-3’CTG
標的とする配列:CTGCTGCTGCTGCTGCTGCTGGGGGGATCACAGACCATTTC(配列番号:48)
逆相補配列:GAAATGGTCTGTGATCCCCCCAGCAGCAGCAGCAGCAGCAG(配列番号:19)
【化20】
U7-3’CTG DMPKを標的とするアンチセンス配列:GAAATGGTCTGTGATCCCCCCAGCAGCAGCAGCAGCAGCAG(配列番号:19)
【0153】
実施例6
DMPK mRNA発現をノックダウンするためのU7snRNAの使用
この実施例は、核内フォーカスを形成する毒性RNAを含むDMPK転写物をノックダウンするか、またはこれに干渉するためのDMPK mRNAまたはCUGリピート自身を標的とする、U7snRNAコンストラクトを送達するためのAAVの使用を開示している。遺伝子治療ベクターに包埋される場合、これらのsnRNAは標的細胞で恒久的に発現され得る。
【0154】
DMPK転写物をノックダウンするか、またはこれに干渉するため、12個のコンストラクトが設計され、GenScript(登録商標)に注文された。8個のコンストラクトは、ヒト・スプライシングファインダー[Desmet et al.,Nucleic Acids Res.37(9):e67,2009);(www.umd.be/HSF3/)]およびオンラインのバイオインフォマティクスツールを用いて設計され、スプライシングシグナルを予想した。8個のコンストラクトは、DMPK転写物のエクソン5(n=4;5#1、5#2、5#3、5#4)またはエクソン8(n=4;8#1、8#2、8#3、8#4)のいずれかを読み飛ばすように設計された。4個の追加コンストラクト(15CAG、20CAG、5’CAG、3’CAG)は、DMPKリピート伸長を標的とするように設計された。これらのコンストラクトの配列は、実施例5および
図2A~
図2Lに明記される。
【0155】
コンストラクトを、qPCRプローブを含むpAAV.シャトルプラスミド内でクローニングし(He et al.,Proc.Nat.Acad.Sci.U.S.A.95(5):2509-14,1998)、ウイルス、5’および3’末端逆位配列およびカナマイシン耐性遺伝子を定量化した。コンストラクトおよびGFP対照は293個の細胞内にトランスフェクトされた。細胞は遺伝子導入後36時間で停止された。RNA抽出およびRT-PCRを実施した。細胞からのRNA抽出は、325μLのTRIzol(商標)を用いて実行された。細胞可溶化物は、R1054 Quick-RNA(Zymo Research,Irvine,CA)を用いてカラムに加えられた。RNA抽出は、製造者のプロトコルに従って実行された。次に逆転写は、RevertAid RT逆転写キット(Thermo Scientific(商標))を使用して、500ngのRNAを用いて実施された。150ngの逆転写酵素は、各PCRのために使用された。エクソン3およびエクソン6(エクソン5スキッピングのために探索する)、またはエクソン7およびエクソン10(エクソン8スキッピングのために探索する)のいずれかにてプライマーを用いて、PCRは実行された。
【0156】
現在までのRT-PCR結果は、コンストラクト8#2およびコンストラクト8#3が、エクソン8のスキッピングを誘導可能であると示した。
【0157】
実施例7
AAV.480CTGは、マウス内のDM1-関連遺伝子においてスプライシング変性を引き起こす
この実施例は、AAV.480CTGがマウス内のDM1-関連遺伝子においてスプライシング変性を引き起こすかどうかを決定するために実行された実験からの実験結果を提供する。マウスは、上記の実施例2にて本明細書に記載されるように、AAV.480CTGコンストラクトを用いて注射された。ウイルスコンストラクトによる注射の2週間後、RNA抽出は、AAV.480CTGまたはAAV.0CTGのいずれかを用いて注射された筋肉からの15×30μm切片において、500μLのTRIzol(商標)を用いて実施された。次に、製造者のプロトコル(Thermo Scientific(商標))に従い、可溶化物をTRIzol(商標)によって処理した。次に逆転写は、RevertAid First Strand cDNA合成キット(Thermo Scientific(商標))を使用し、500ngのRNAを用いて実施された。CLCN、SERCA1、MBLN2およびINSR遺伝子を増幅させるための種々の集合のプライマーを用いて、PCRを行った。18s遺伝子のPCRを行い、相対的な発現を正規化した。150ngのRTは、各PCRのために使用された。
【0158】
RT-PCR結果は、ウイルスコンストラクトを用いた注射2週間後の、CLCN1、SERCA1、MBLN2およびIR遺伝子の、コンストラクト480CTG変性スプライシングを示した。DM1患者では、注射されたマウスにて観察されるように、マウスにおいてはこのコンストラクトがDM1表現型をインビボで誘導したことを示していることから、CLCN1、SERCA1、MBLN2およびIRはミススプライスされている。
【0159】
実施例8
FISHによる、MBNLを用いた核内CUGフォーカスおよび共局在の定量化
CUGフォーカスの検出は、標準的な手順を用いて、固定された凍結細胞または新鮮な凍結組織切片(10μm)のいずれかにおいて、Cy3-(CAG)10プローブを用いて成し遂げられた。細胞は、室温(RT)で10分間にわたり、1倍のPBS中の4%PFA(または10%のNBF)を用いて固定し、次に1倍のPBSで3回洗浄(各3分間)した。次に細胞は、室温で5分間にわたり、PBS中の1mLの0.1%TritonXで透過処理し、室温で1倍TBSを用いて2回洗浄した。細胞を室温で2時間にわたり、TBS中の1%のBSAを有する、10%の標準的なヤギ血清中でブロックし、真空トラップを用いて排出した。細胞を4℃で一晩かけて、1%のBSAを有するTBS中の一次抗体(マウス抗-MBNL、1:500に希釈)を用いてインキュベートした。次の日、細胞を0.025%のTritonを有するTBS中で3分間にわたり2回すすいだ。次に細胞を1倍のTBSで1回洗浄した。細胞を室温で1時間にわたり、二次抗体(ヤギ-抗-マウス A488、1:500に希釈)を用いてインキュベートした。次に、1倍のTBSで1回、室温でPBSを用いて2回(それぞれ3分)、室温で10分間にわたって1mLの30%ホルムアミド、2倍のSSCを用いて洗浄した。
【0160】
次にFISHプローブに、37℃で2時間にわたって、30%のホルムアミド、2倍のSSC中の2μg/mLのBSA、66μg/mLの酵母tRNA、1ng/μLのCy3-(CAG)10を加えた。次に細胞を、37℃で30分間にわたって、30%のホルムアミド、2倍のSSCで洗浄した。細胞を、室温で30分間にわたって1倍のSSCで洗浄し、室温で25~30分間にわたって1倍のPBSでNucBlueプローブを用いて染色した(mLあたり2滴のPBSを加えた)。細胞を1倍のPBSで1回洗浄し、次にCC/Mountで標本作成してカバーガラスをかけた。CUGフォーカスの定量化は、5つの無作為な顕微鏡下で重複しない20倍領域およびImageJソフトウェアを用いて定量化された核内フォーカスの数を選択することによって成し遂げられた。Cy3-(CTG)10のセンスプローブは、陰性対照として機能させた。DMPK抑制RNAを用いた処置後、フォーカスおよびMBLN1の共局在の減少を伴うCUGフォーカス数の減少が観察された。CUGフォーカス数はDM1に罹患している患者で増加するため、CUGフォーカスの減少は、本明細書で記載されるようにDMPK抑制RNA配列を用いた処置が有効であったことを示す。MBLN1はDM1に罹患している患者において上昇するため、MBLN1の下方制御は、本明細書に記載されるようにDMPK抑制RNA配列を用いた処置が有効であったことを示す。
【0161】
実施例9
CELF1のウェスタンブロット解析
DM1発病の重要な特徴はRNAの核内蓄積であり、これはCUG結合タンパク質(CUGBP)の機能を変性させることで、特異的プレ-mRNAの異常選択的スプライシングを引き起こす。CUGBP Elav様ファミリーメンバー1(CELF1)は、プレ-mRNA選択的スプライシングを調節するタンパク質ファミリーの一員であり、mRNA編集および翻訳にも関与する可能性がある。上昇したCELF1タンパク質レベルが、CUGリピートRNAのフォーカスを含む核で見いだされた。本明細書に記載されるようにDMPK抑制RNAが、DMPK翻訳およびCUG毒性リピートの蓄積をノックダウンするか、またはこれに干渉するかどうかを決定するため、ローディング・コントロールタンパク質として抗-CELF1モノクローナル抗体(Santa Cruz Biotechnologies)および抗-GAPDH抗体(Abcam)を用い、CELF1のウェスタンブロット検出を回収した筋肉ホモジネートにて実施した。
【0162】
CELF1はDM1に罹患している患者において上昇するため、DMPK抑制RNAを用いて形質導入された細胞および組織におけるCELF1発現の下方制御は、本明細書にて記載されるようにDMPK抑制RNAを用いた処置が有効であったことを示す。
【0163】
実施例10
AAV注射および送達
筋肉および脳の両方がDM1に冒されているため、ベクターは全ての細胞内へと送達されるために注射される。マウスは、適切な齢(P1~12週齢)にて、有効量(いくつかの実施例では、投与量はPBS(0.9%の塩化ナトリウム)中で希釈された最大300μLを用いて最大で約1E15である)で注射される。いくつかの例では、用量および注射量は注射経路によって変化する。例えば、大半の例における量は、それぞれ、筋肉内注射、静脈内注射(顔面静脈または尾静脈)、脳室内注射、または小脳延髄内注射(大槽)のために、50μL、50μL、300μLを超えることがない、または5μLもしくは15μLの最大1E15ベクターゲノム/μLを超えることがない。いくつかの例では、注射経路はプロモータおよびコンストラクトに基づいて変化し、これは筋肉内(例えば、前脛骨(IM))、血管内(例えば、尾静脈(TV)もしくは顔面静脈(FV))、脳室内注射(ICV)、または小脳延髄内注射(例えば、大槽(ICM/腰椎))であり得る。
【0164】
大半の例では、尾静脈注射は麻酔なしに実施されるが、マウスは円錐状の拘束内部に短時間静置される。他の注射は全て、顔面静脈およびICVを除き吸引を介し、IPまたはイソフルオラン(isofluorane、5%誘導、2%維持)経由でケタミン/キシラジン(100mg/kgおよび10mg/kg)により麻酔下にあるマウスに実施される。これら後者の手順のために、P1~P3動物に注射を実施することを理由に、麻酔は氷上に配置されることで実行される(以下に記載の冷凍麻酔プロセス)。注射後、動物は加熱パッド上に置かれる。麻酔されたマウスは、胸を地面につけて腹ばいになる姿勢から回復するまで観察された。
【0165】
筋肉内注射(最大約50μLの容量):
【0166】
約21日齢マウスと約85日齢マウスは、イソフルオランで鎮静される。脚部は剪毛され、最大50μLのAAVまたは0.9%の生理食塩水を前脛骨へと注射する。動物を加熱パッド上に置いて完全に回復するまで観察され、その後ケージに戻される。
【0167】
尾静脈注射(TV、容量範囲:約150~300μL):
【0168】
約21日齢マウスと約85日齢マウスは、尾静脈機器内に置かれた。尾部は白熱電球を用いて温められ、静脈を拡張させた。尾静脈が可視化されると、AAV9またはPBSが注射される。注射後、滅菌コットンパッドを注射部位に置き、あらゆる出血が止まるまで圧力を加えながら保持された。マウスをケージに戻す。
【0169】
槽内大槽(ICM)/腰椎穿刺(容量範囲:約3~15μL):
【0170】
約21日齢マウスと約85日齢マウスは、イソフルオランで鎮静される。滅菌メスを用いて、1cmの皮膚切開を頭蓋の基部にて行った。マイクロキャピラリー針を1mmの深さで槽内部へと挿入し、ウイルス(例えばAAV)またはPBSのいずれかを注射される。組織接着剤またはステープルを用いて切開部位を閉鎖した。動物を加熱パッド上に置いて完全に回復するまで観察され、その後ケージに戻される。皮膚切開は小さい範囲のみで行われているため、疼痛の薬物処方は必要ない。腰椎穿刺はICM注射と同様であり、以下の非常に類似する工程に従った。椎骨であるL4とL5の間の髄腔内へとマイクロキャピラリー針を挿入したが、皮膚に切開を行うことはない。この注射は何ら外科手術を必要としない。
【0171】
ICV注射(容量範囲:約3~5μL):
【0172】
1~3日齢の子を氷上に配置することで麻酔する(以下に記載の凍結麻酔プロセス)。麻酔された子を清浄な面に配置し、親指と人差し指の間で着実に保持した。もう一方の手を用い、レーザ加工されたホウケイ酸ガラス製のマイクロチューブ針を眼(片側)の上約1mmに、0.5~1mmの深さで挿入する。5μL未満のウイルスまたはPBSを挿入する。これは、実施するのに3分未満しか要さない最小限の侵襲性手順である。注射後、子を回復させるために加熱パッド上または保育器内に置く。動物が動いたら、母親と一緒にケージ内に戻して置く。
【0173】
顔面静脈注射(容量範囲:最大約50μL):
【0174】
1~3日齢の子を氷上に配置することで麻酔する(以下に記載の凍結麻酔プロセス)。麻酔された子を清浄な面に配置し、親指と人差し指の間で着実に保持した。もう一方の手を用いて、インスリン針を眼(片側)上約1mmに、0.5~1mmの深さで頭蓋静脈内に挿入する。50μL未満のウイルスまたは0.9%の生理食塩水を挿入する。これは、実施するのに3分未満しか要さない最小限の侵襲性手順である。注射後、子を回復させるために加熱パッド上に置く。動物が動いたら、その母親と一緒にケージ内に戻して置く。
【0175】
DMPK抑制RNAをマウスに形質導入後、実験を行い(例えば、本明細書の上で記載されるように、RT-PCR、ノーザンブロット解析、ウェスタンブロット解析、FISH解析などが行われる)、U6shRNAおよびU7snRNAがDMPK mRNA発現をノックダウンするか、および/またはDMPK遺伝子の3’非翻訳領域におけるCTGトリヌクレオチドリピートの発現に干渉するかどうかを決定する。
【0176】
本明細書に記載のU6shRNAおよびU7snRNAコンストラクトで処置されたマウスにおいて、例えばCLCN(およびCLCN1、CLCN2、CLCN3、CLCN4、CLCN5、CLCN6など)、BIN1、SERCA-1、MLBN1、MLBN2およびIRを含むがこれに限定されない遺伝子における標準の遺伝子スプライシングパターンの修復、ならびに/またはCELF1およびMBLN1の発現の減少、ならびに/または核内フォーカス数もしくはCUGフォーカス(MBLN1などの遺伝子を捕捉するフォーカスを含む)数の減少、または中心核形成の減少、ならびに筋電図検査を使用する筋肉の過剰興奮性の回復を含むがこれに限定されない、筋強直性ジストロフィー症状の減少または消失がある。
【0177】
実施例11
U6shRNAおよびU7snRNAはDMPK mRNA発現をノックダウンするおよび/またはDMSXLモデルにおけるDMPK遺伝子の3’非翻訳領域におけるCTGトリヌクレオチドリピートの発現に干渉する
DM1の病理学的特徴は、本明細書に開示されたU6shRNAおよび/またはU7snRNAを含むAAVの局所的筋肉内送達および/または全身送達に続き、特徴がはっきりとした、1000CTGリピートを含むヒトDMPKを含むDMSXLマウスモデルを用いて評価される[Huguet et al.,PLoS Genet.8(11)(2012);8(11);doi.org/10.1371/journal.pgen.1003043]。
【0178】
注射4週間後および12週間後に、マウスの前脛骨(TA)を、筋電図検査(EMG)、力測定、スプライシング変性の評価を用いて解析する。DM1に罹患している患者では、筋強直症/筋硬直により、障害された運動制御および可動性が引き起こされる[Logigian et al.,Neurology 74(18):1441-8(2010)]。
【0179】
先行研究は、筋強直症が最も蔓延している症状のうちの1つであり、DM1患者の90%により報告されることを立証した[Heatwole et al.,Neurology 79(4):348-57(2012)]。筋電図(EMG)を使用して筋肉の過興奮性をテストすることにより、筋生理学的に筋緊張症を定量化することができます[Kanadia et al.、Science 302(5652):1978-80(2003);Wheeler et al.、J.Clin。調査117(12):3952-7(2007);Statland et al.、JAMA 308(13):1357-65(2012)]。EMGの筋緊張性電位は、TA筋から記録され、DM1患者の筋緊張の臨床EMG評価の経験を持つ盲検評価者によって定量化されます[Kanadia et al.、Science 302(5652):1978-1980(2003);Wheeler et al.、J.Clin。調査117(12):3952-7(2007);Statland et al.、JAMA 308(13):1357-65(2012)]。
【0180】
EMGによる筋強直症の重症度は、DM1表現型の発症を同定している、単純な翻訳読み出しとして使用される。加えて、力測定もまた実施される。2つの検査がエクスビボでのTA標本:等尺性筋力(強度評価を提供している)および伸縮性収縮(筋鞘安定性を評価する)において実施される。この目的は、マウスの伸筋TA向けに分離された筋機能測定を実施することである。このアッセイは、インビトロでの分離された筋肉の等尺性筋力の評価に限定される。
【0181】
筋機能の評価には、麻酔下の動物から腱から腱まで筋肉を注意深く外科的に切除することが求められる。マウスの骨格筋を機能的に検査するには、最小でも4つの要素が必要となる。すなわち、(1)力生成を監視するための力トランスデューサ、(2)筋肉を興奮させる刺激装置および電極、(3)酸素化したリンガー溶液で筋肉を灌流させる浴、ならびに(4)力生成を記録する装置である。腱を切除する間、筋肉は脚部に結合させた状態で維持され、マウスから血流および酸素流を受け取り続ける。比較目的のため、全ての力測定は、単位横断領域ごとに表される(正規化された等尺性筋力または張力:mN/mm2)。横断領域(CSA)は、以下の等式:CSA=(gでの筋肉質量)/[cmでの最適な線維長さ]×(g/cm3での筋密度)]であり、式中、筋密度は1.06g/cm3である等式を用いて計算される。
【0182】
遺伝子スプライシング変性(例えば、CLCN1、BIN1、SERCA-1、MLBN1、およびMLBN2)は、RT-PCRにより評価される。更に、核内CUGフォーカス数を定量化する(本明細書の上にて記載される)。蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(FISH)は、CUGフォーカスがMBNL-1と共存しているかどうかを決定するために確認に使用される(本明細書の上にて記載される)。更に、CELF-1のウェスタンブロット解析はCELF-1が過剰発現されているかどうかを決定するために行われる。組織診断を行って筋線維サイズを測定し、中心核形成された線維の存在を確認する。筋電図検査を用いて筋肉を検査する。
【0183】
本明細書に記載のU6shRNAおよびU7snRNAコンストラクトで処置されたマウスにおいて、例えばCLCN1、BIN1、SERCA-1、MLBN1、MLBN2およびIRを含むがこれに限定されない遺伝子における標準の遺伝子スプライシングパターンの修復、ならびに/またはCELF1およびMBLN1の発現の減少、ならびに/または核内フォーカス数もしくはCUGフォーカス(MBLN1などの遺伝子を捕捉するフォーカスを含む)数の減少、または中心核形成の減少、ならびに筋電図検査を使用する筋肉の過剰興奮性の回復を含むがこれに限定されない、筋強直性ジストロフィー症状の減少または消失がある。
【0184】
実施例12
U6shRNAおよびU7snRNAはDMPK mRNA発現をノックダウンするおよび/またはiDM1モデルにおけるDMPK遺伝子の3’非翻訳領域におけるCTGトリヌクレオチドリピートの発現に干渉する
DM1の病理学的特徴は、本明細書に記載のU6shRNAおよび/またはU7snRNAコンストラクトを含むAAV(本明細書の実施例10に記載)の送達後のiDM1モデル(本明細書の実施例1および2に記載)で評価される。
【0185】
注射の4週間後および12週間後、マウスの前脛骨(TA)を抽出した。細胞および組織を組織診断のために解析する。筋肉の健康状態は筋電図検査(EMG)および力測定を用いて検査される。細胞および組織は、スプライシング変性、FISH、ウェスタンブロット、RT-PCR、ノーザンブロット解析およびウェスタンブロット解析のために評価される。遺伝子スプライシング変性(例えば、CLCN1、BIN1、SERCA-1、MLBN1、および/またはMLBN2)は、RT-PCRにより評価される。更に、核内CUGフォーカス数を定量化する(本明細書の上にて記載される)。FISHは、CUGフォーカスがMBNL-1と共存しているかどうかを決定するために確認に使用される(本明細書の上にて記載される)。更に、CELF-1のウェスタンブロット解析はCELF-1が過剰発現されているかどうかを決定するために行われる。組織診断を行って筋線維サイズを測定し、中心核形成された線維の存在を確認する。筋電図検査および力測定を用いて筋肉を検査する。
【0186】
本明細書に記載のU6shRNAおよびU7snRNAコンストラクトで処置されたマウスにおいて、例えばCLCN1、BIN1、SERCA-1、MLBN1、MLBN2およびIRを含むがこれに限定されない遺伝子における標準の遺伝子スプライシングパターンの修復、ならびに/またはCELF1およびMBLN1の発現の減少、ならびに/または核内フォーカス数もしくはCUGフォーカス(MBLN1などの遺伝子を捕捉するフォーカスを含む)数の減少、または中心核形成の減少、ならびに筋電図検査を使用する筋肉の過剰興奮性の回復を含むがこれに限定されない、筋強直性ジストロフィー症状の減少または消失がある。
【0187】
実施例13
ヒト細胞におけるDMPK mRNA発現をノックダウンするU6shRNA
この実施例は、インビトロにてPANC-1細胞およびHEK293細胞を用いてヒトDMPK発現を減少させるために、DMPK転写物をノックダウンまたはこれに干渉するようDMPK mRNAを標的とするU6shRNAコンストラクト(すなわち、3’UTRに結合するように標的化された)を送達するためのAAVの使用を開示している。
【0188】
ヒト膵臓癌細胞(すなわちPANC-1)およびヒト腎臓癌細胞(すなわちHEK293細胞)を、遺伝子導入24時間前に播種した(2e5細胞/ウェル)。これらの細胞株においてDMPK転写物をノックダウンするか、またはこれに干渉させるために、2577(すなわち、配列番号:3)および2683(すなわち、配列番号:7)をコードするDNA、ならびに更に特異的には、U6T6.sh2577(すなわち、配列番号:20)およびU6T6.sh2683(すなわち、配列番号:24)をコードするDNAを含むコンストラクトが使用された。コンストラクト(500ngのプラスミドDNA)およびGFP対照は、LipoFectamine 3000を用いて、PANC-1細胞およびHEK293細胞へとトランスフェクトされた。遺伝子導入後72時間の細胞を収集し、RNAをRNeasy Plusキット(Qiagen)を用いて分離した。相補的DNA(cDNA)は、SuperScribeを用いてRNAから生成された。RNAの完全性はAglient 2100 Bioanalyzerを用いて解析された。定量PCR(qPCR)を行い、データを3つのハウスキーピング遺伝子(すなわち、UBC、GUSB、およびHPRT1)を用いて正規化した。倍率変化は、siGAPDH(対照)でトランスフェクトされた細胞と比較された。細胞可溶化物は、R1054 Quick-RNA(Zymo Research,Irvine,CA)を用いてカラムに加えられた。
【0189】
qPCR結果は、U6プロモータの制御下にてヒトDMPK RNA(すなわち、sh2577およびsh2683)を標的とするshRNAを含むAAVベクターは、約50~53%(すなわち、sh2577)および約40~44%(すなわち、sh2683)と同程度でDMPK発現を下方制御するのに成功したことを示した(
図8を参照されたい)。
【0190】
実施例14
U6shRNAおよびU7snRNAは、ヘミ接合性DMSXLマウスにおけるDMPK mRNA発現をノックダウンする
本研究の目的は、I型筋強直性ジストロフィーのマウスモデルであるDMSXLマウスにおいて、3つの異なるDMPK標的アデノ随伴ウイルス(AAV)コンストラクトを検査することである。遺伝子導入DMSXLマウス株は、1000超のCTGリピートを有するヒトDMPK遺伝子(hDMPK)を含む、45-kbヒトゲノム断片を輸送する。ヘミ接合性マウスは、単一のhDMPKコピー由来の転写物を輸送し、かつこれを発現する。各AAVコンストラクトは、1.25×10
11vg/動物の用量にて、ヘミ接合性DMSXLマウス(Hemi)の左脚前脛骨(TA)筋へと筋肉内注射された(
図9A)。対側TAは未処置のまま維持され、対照脚として機能させた。4週齢である3匹のヘミ接合性DMSXLマウスのメスと、3匹のヘミ接合性DMSXLマウスのオスの全ては、例えば、PLA1(すなわち、配列番号:20(U6.sh2577))、PLA3(配列番号:34(U7-20CTG))およびPLA4(配列番号:31(U7EX8#3))といった各AAVコンストラクトを用いて注射された(すなわち6匹分のサンプルサイズ)。投与の4週間後、右側TA筋と左側TA筋の両方を回収した。RNAを分離して調製し、hDMPKのRNA配列およびRNA発現レベルを解析した。未処置の脚と比較される、処置された脚におけるhDMPK RNA発現の減少レベルは、PLA1コンストラクト(すなわち、配列番号:20(U6.sh2577))で処置されたマウスにて観察された(
図9B)。PLA1コンストラクトは、未処置の対側に対する、処置されたTA筋中のhDMPKの22%のノックダウンを示した(
図9C)。
【0191】
本開示は特定の実施形態といった点で記載された一方、その変更および修正が生じることが当業者に理解されるだろう。したがって、特許請求の範囲内に見られるようなこのような制限のみが本開示に課せられるべきである。
【0192】
本出願で参照される全ての文書は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0193】
本明細書に開示されたヌクレオチド配列およびアミノ酸配列は、以下に記載された表1に明記されている。
【0194】
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【表1-5】
【表1-6】
【表1-7】