(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024105691
(43)【公開日】2024-08-06
(54)【発明の名称】治療薬の網膜下送達のための注入装置
(51)【国際特許分類】
A61F 9/007 20060101AFI20240730BHJP
【FI】
A61F9/007 130D
A61F9/007 130E
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024084035
(22)【出願日】2024-05-23
(62)【分割の表示】P 2022074907の分割
【原出願日】2017-06-14
(31)【優先権主張番号】62/351,628
(32)【優先日】2016-06-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】15/609,457
(32)【優先日】2017-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.マジックテープ
(71)【出願人】
【識別番号】520404610
【氏名又は名称】ジャイロスコープ・セラピューティクス・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100101890
【弁理士】
【氏名又は名称】押野 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100098268
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 豊
(72)【発明者】
【氏名】プライス・ダニエル・ダブリュ
(72)【発明者】
【氏名】オーベルキルヒャー・ブレンダン・ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】リー・ジェームズ・ジー
(72)【発明者】
【氏名】デンリンジャー・クリントン
(72)【発明者】
【氏名】プレンジャー・ダニエル・ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】キング・ジェフリー
(72)【発明者】
【氏名】ウーランド・スコット
(72)【発明者】
【氏名】ツァイ・マーク・シー
(72)【発明者】
【氏名】キーン・マイケル・エフ
(72)【発明者】
【氏名】カーン・イサック・ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】コー・ベンジャミン・エル
(72)【発明者】
【氏名】マイヤー・トーマス・イー
(72)【発明者】
【氏名】ターナー・デニス・ピー
(57)【要約】
【課題】 治療薬の網膜下送達のための注入のための器具を提供する。
【解決手段】 器具は、(a)患者の額に置かれるようにサイズ決めされ構成されている、パッド組立体と、(b)注入器組立体であって、(i)パッド組立体に取り外し可能に固定されるように構成されている本体、(ii)本体から遠位に延び、患者の目の切り目を通じて挿入されるようにサイズ決めされている、可撓性カニューレ、および、(iii)カニューレ内にスライド可能に配された針、を含む、注入器組立体と、(c)可撓性カニューレに対して長さ方向に針を駆動するように動作可能である注入器ドライバと、(d)針と流体連通している流体供給源組立体と、を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
器具において、
(a)患者の額に置かれるようにサイズ決めされ構成されている、パッド組立体と、
(b)注入器組立体であって、
(i)前記パッド組立体に取り外し可能に固定されるように構成されている本体、
(ii)前記本体から遠位に延び、患者の目の切り目を通じて挿入されるようにサイズ決めされている、可撓性カニューレ、および、
(iii)前記カニューレ内にスライド可能に配された針、
を含む、注入器組立体と、
(c)前記可撓性カニューレに対して長さ方向に前記針を駆動するように動作可能である注入器ドライバと、
(d)前記針と流体連通している流体供給源組立体と、
を含む、器具。
【発明の詳細な説明】
【開示の内容】
【0001】
〔優先権〕
本出願は、「Subretinal Injection Device」のタイトルで2016年6月17日に出願された米国仮特許出願第62/351,628号の優先権を主張し、この開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
〔背景〕
人間の目はいくつかの層を含む。白い外層は強膜であり、脈絡膜層を囲んでいる。網膜は、脈絡膜層より内側にある。強膜はコラーゲンおよび弾性線維を含んでおり、脈絡膜および網膜に保護を提供する。脈絡膜層は、酸素および栄養を網膜に提供する脈管構造を含む。網膜は、桿体および錐体を含め、感光性組織を含む。黄斑は、眼底で網膜の中心に位置し、概して、目の水晶体および角膜の中心を通る軸(すなわち、視軸)上に中心がある。黄斑は、特に錐体細胞を通じて、中心視野を提供する。
【0003】
黄斑変性は、黄斑に影響を及ぼす医学的状態であり、黄斑変性を患う人々は、ある程度の周辺視野を保持しつつも、中心視野の喪失または退化を経験し得る。黄斑変性は、年齢(「AMD」としても知られる)および遺伝的性質など、さまざまな要因により引き起こされ得る。黄斑変性は、ドルーゼンとして知られる細胞の残骸が網膜と脈絡膜との間に蓄積し、その結果、地図状萎縮のエリアをもたらす、「ドライ」(非滲出)型で生じ得る。黄斑変性は、血管が網膜の後ろで脈絡膜から発達する、「ウェット」(滲出)型でも生じ得る。黄斑変性を有する人々がある程度の周辺視野を保持し得る場合でも、中心視野の喪失は、クオリティ・オブ・ライフに著しい悪影響を及ぼし得る。さらに、残っている周辺視野の質は、退化し得、場合によっては、消滅することもある。したがって、黄斑変性により生じる視力喪失を防ぐか、または逆行させるために、黄斑変性のための治療を提供することが望ましくなり得る。場合によっては、黄斑付近において、地図状萎縮のエリアに直接隣接した(網膜の神経感覚層の下で、かつ網膜色素上皮の上の)網膜下層内で治療物質を送達することなどによって、高度に局所化してそのような治療を提供することが望ましい場合がある。しかしながら、黄斑は、眼底において、網膜の繊細な層の下にあるので、実践的な方法で黄斑にアクセスすることは困難になり得る。
【0004】
さまざまな外科的方法および器具が、目の治療のために作られ使用されてきたが、発明者らより前に、特許請求の範囲に記載する発明を行うか、または使用した者はいないと考える。
【0005】
明細書はこのテクノロジーを具体的に指摘し明白に主張する特許請求の範囲で締めくくられているが、このテクノロジーは、添付図面と併せて理解される特定の実施例に関する以下の説明から、よりよく理解されると思われる。添付図面では、同様の参照符号で同じ要素を識別している。
【0006】
図面は、決して限定的とすることを意図しておらず、テクノロジーのさまざまな実施形態が、図面には必ずしも描かれていないものを含む、さまざまな他の方法で実行され得ることが、企図されている。明細書に組み込まれ、かつその一部を構成する添付図面は、本テクノロジーのいくつかの態様を例示しており、説明と共に、テクノロジーの原理を解説するのに役立つ;しかしながら、このテクノロジーが図示される厳密な構成に制限されるものではないことが、理解される。
【0007】
〔詳細な説明〕
テクノロジーの特定の実施例に関する以下の説明は、その範囲を制限するものとして用いるべきではない。テクノロジーの他の実施例、特徴部、態様、実施形態、および利点は、実例としてテクノロジーを実行するために企図される最良のモードの1つである、以下の説明から、当業者には明らかとなるであろう。認識されるように、本明細書に記載するテクノロジーは、そのテクノロジーから逸脱しない、他の異なる明らかな態様が可能である。したがって、図面および説明は、本質的に例示的なものとみなすべきであり、制限的なものとみなすべきではない。
【0008】
本明細書に記載する教示、表現、実施形態、実施例などのうちの任意の1つ以上が、本明細書に記載するその他の教示、表現、実施形態、実施例などの任意の1つ以上と組み合わせられ得ることが、さらに理解される。したがって、以下に説明する教示、表現、実施形態、実施例などは、互いに対して分離しているとみなしてはならない。本明細書の教示を組み合わせ得る、さまざまな適切な方法は、本明細書の教示を鑑みれば当業者には容易に明らかになるであろう。このような改変および変形は、特許請求の範囲に含まれることが意図されている。
【0009】
開示を明確にするため、用語「近位」および「遠位」は、遠位の外科用エンドエフェクタを有する外科用器具をつかむ外科医または他の操作者に関して本明細書で定義される。用語「近位」は、外科医または他の操作者により近い要素の位置を指し、用語「遠位」は、外科用器具の外科用エンドエフェクタにより近く、外科医または他の操作者からさらに離れている要素の位置を指す。
【0010】
I.治療薬の網膜下投与のための例示的な器具
図1は、上脈絡膜アプローチにより患者の目に治療薬を網膜下投与するための処置に使用されるように構成された、例示的な器具(10)を示す。器具(10)は、本体(20)と、本体(20)から遠位に延びる可撓性カニューレ(50)と、を含む。本実施例のカニューレ(50)は、概ね矩形の断面を有するが、任意の他の適切な断面プロファイル(例えば楕円形など)を使用し得る。カニューレ(50)は、概して、以下でさらに詳細に説明するように、カニューレ(50)内部をスライド可能である針(100)を支持するように構成されている。
【0011】
本実施例では、カニューレ(50)は、PEBAXの商品名で製造され得る、ポリエーテルブロックアミド(PEBA)などの可撓性材料を含む。当然、任意の他の適切な材料または材料の組み合わせを使用し得る。また、本実施例では、カニューレ(50)は、約2.0mm×0.8mmで長さが約80mmの断面プロファイル寸法を有する。あるいは、任意の他の適切な寸法を使用し得る。以下でさらに詳細に説明するように、カニューレ(50)は、患者の目の独特の構造および輪郭に一致するのに十分可撓性であるが、カニューレ(50)は、カニューレ(50)が曲がらずに患者の目の強膜と脈絡膜との間を前進することができるよう十分な柱強度を有する。ほんの一例として、カニューレ(50)は、開示が参照により本明細書に組み込まれる、「Method and Apparatus for Subretinal Administration of Therapeutic Agent」のタイトルで2015年8月13日に公開された米国特許出願公開第2015/0223977号の教示の少なくとも一部に従って構成され、動作可能であってよい。
【0012】
図2~
図3Bおよび
図6で分かるように、カニューレ(50)は、本体(52)と、閉じた遠位端部(54)と、遠位端部(54)の近位に位置する側方開口部(56)と、を含む。本実施例では、遠位端部(54)は、丸みを帯びた構成を有する。遠位端部(54)が、任意の適切な種類の曲率を有し得ることを理解されたい。遠位端部(54)が、任意の他の適切な種類の構成(例えば傾斜など)を有し得ることも理解されたい。本実施例では、遠位端部(54)は、強膜層と脈絡膜層との間に分離をもたらして、カニューレ(50)がこのような層の間を前進することを可能にすると共に強膜層または脈絡膜層への外傷を加えないように構成される。また、本実施例では、側方開口部(56)を画定する本体(52)の領域は、
図3A~
図3Bで最もよく分かるように、傾斜している。あるいは、側方開口部(56)のエッジは任意の他の適切な構成を有し得る。
【0013】
図3A~
図3Bで最もよく分かるように、針ガイド(60)がカニューレ(50)の中空内部の中に配される。ほんの一例として、針ガイド(60)は、圧入もしくは締まりばめによって、接着剤によって、機械的ロック機構によって、かつ/または任意の他の適切な様式で、カニューレ(50)内部に固定され得る。針ガイド(60)は、湾曲遠位端部(62)を含み、湾曲遠位端部(62)は、カニューレ(50)の側方開口部(56)につながり、針ガイド(60)の内腔(64)は、遠位側が側方開口部(56)において終端する。遠位端部(62)の近位にある針ガイド(60)の部分は、実質的にまっすぐである。針ガイド(60)は、プラスチック、ステンレス鋼、および/または任意の他の適切な生体適合性材料で形成され得る。
【0014】
本実施例の針(100)は、鋭利な遠位先端部(102)を有し、内腔(104)を画定する。本実施例の遠位先端部(102)は、ランセット構成を有する。いくつかの他の変形体では、遠位先端部(102)は、開示が参照により本明細書に組み込まれる、「Method and Apparatus for Subretinal Administration of Therapeutic Agent」のタイトルで2015年8月13日に公開された米国特許出願公開第2015/0223977号に記載されるように、3斜端(tri-bevel)構成または任意の他の構成を有する。遠位先端部(102)がとり得るさらに他の適切な形態は、本明細書の教示を鑑みれば、当業者には明らかであろう。本実施例の針(100)は、以下でさらに詳細に説明するように、治療薬を送達するようなサイズであると共に、針(100)が患者の目の組織構造を貫通する際に偶発的な外傷を最小限にするよう十分に小さい、ステンレス鋼の皮下針を含む。本実施例ではステンレス鋼が使用されるが、ニチノールなどを含むがこれらに限定されない、任意の他の適切な材料が使用され得ることを理解されたい。
【0015】
ほんの一例として、針(100)は、100μmの内径の35ゲージであってよいが、他の適切なサイズを使用することができる。例えば、針(100)の外径は、27ゲージ~45ゲージの範囲内;または、より具体的には、30ゲージ~42ゲージの範囲内;または、より具体的には、32ゲージ~39ゲージの範囲内におさまってよい。別の単に例示的な実施例として、針(100)の内径は、約50μm~約200μmの範囲内;または、より具体的には、約50μm~約150μmの範囲内;または、より具体的には、約75μm~約125μmの範囲内におさまってよい。
【0016】
針(100)は、針ガイド(60)の内腔(64)内部にスライド可能に配される。針ガイド(60)は、一般的には、カニューレ(50)の側方開口部(56)を通ってカニューレ(50)の長さ方向軸(LA)に対して斜めに方向づけられている出口軸(EA)に沿って上方に針(100)を導くように構成される。これは、
図3A~
図3Bに描かれたシーケンスに示されており、
図3Aは、近位位置にある針(100)を示し(針(100)の遠位先端部(102)が針ガイド(60)の内腔(64)に完全に収容されている);
図3Bは、遠位位置にある針(100)を示す(針(100)の遠位先端部(102)が針ガイド(60)の外側にある)。針(100)は可撓性であるが、本実施例の針(100)は、まっすぐな構成をとるように弾性的に付勢される。よって、
図3Bに示すように、カニューレ(50)および針ガイド(60)の外側に延びる針(100)の部分は、実質的にまっすぐであり、出口軸(EA)に沿って延びる。特に、カニューレ(50)および針ガイド(60)の外側に延びる針(100)の部分の少なくとも実質的な長さは、出口軸(EA)と同軸上で整列する。
【0017】
図3A~
図3Bにおける出口軸(EA)の描写は、例示的な目的のみで幾分誇張されているかもしれないことを、理解されたい。いくつかの変形体では、湾曲遠位端部(62)は、カニューレ(50)の長さ方向軸(LA)に対して約7°~約9°の角度でカニューレ(50)から遠位に延びる出口軸(EA)に沿って針(100)を導くように構成される。このような角度は、脈絡膜内への針の貫通を確実にし、かつ針(100)が(脈絡膜を貫通するのとは対照的に)上脈絡膜腔を通って脈絡膜の下に続く可能性および網膜穿孔の可能性を最小限にする方向に、針(100)を偏向させるために望ましくなり得ることを理解されたい。さらにほんの一例として、湾曲遠位部分(88)は、カニューレ(50)の長さ方向軸(LA)に対して約5°~約30°の範囲内;または、より具体的には、カニューレ(50)の長さ方向軸(LA)に対して約5°~約20°の範囲内;または、より具体的には、カニューレ(50)の長さ方向軸(LA)に対して約5°~約10°の範囲内、の角度で方向づけられた出口軸(EA)に沿って針(100)をカニューレ(50)から出すことができる。
【0018】
図1に示すように、本実施例の器具(10)は、本体(20)の近位端部に位置する作動ノブ(26)をさらに含む。作動ノブ(26)は、本体(20)に対して回転可能であり、それにより、カニューレ(50)に対して長さ方向に針(100)を選択的に並進運動させる。特に、作動ノブ(26)は、針(100)をカニューレ(50)に対して遠位に駆動するように第1の角度方向に、また針(100)をカニューレ(50)に対して近位に駆動するように第2の角度方向に、回転可能である。ほんの一例として、器具(10)は、開示が参照により本明細書に組み込まれる、「Method and Apparatus for Subretinal Administration of Therapeutic Agent」のタイトルで2015年8月13日に公開された米国特許出願公開第2015/0223977号の教示の少なくとも一部に従ってノブ(26)を通じてこのような機能性を提供し得る。あるいは、任意の他の適切な種類の作動特徴部を使用して、カニューレ(50)に対して長さ方向に針(100)を駆動することができる。
【0019】
本実施例では、ノブ(26)は、完全な可動域にわたって回転可能であり、完全な可動域は、患者の目内部における所定の貫通量まで、カニューレ(50)に対する位置に針(100)を前進させることに対応する。言い換えれば、器具(10)は、ノブ(26)がもはや回転できなくなるまで、または、ノブ(26)がクラッチ組立体においてすべるかもしくは「惰性で動き(freewheel)」始めるまで、操作者がノブ(26)を回転させて、針(100)を患者の目内部に適切に位置づけるように、構成される。いくつかの実施例では、カニューレ(50)に対する針(100)の所定の前進量は、約0.25mm~約10mm;または、より具体的には、約0.1mm~約10mmの範囲内;または、より具体的には、約2mm~約6mmの範囲内;または、より具体的には、約4mmまで、である。
【0020】
加えて、または代わりに、器具(10)は、針(100)が、いつカニューレ(50)に対して特定の所定の距離まで前進したかを操作者に示す、特定の触覚フィードバック特徴部を備え得る。したがって、操作者は、器具上の印の直接可視化に基づいて、かつ/または器具(10)からの触覚フィードバックに基づいて、患者の目への針(100)の所望の貫通深さを決定することができる。当然、このような触覚フィードバック特徴部は、本明細書の教示を鑑みれば当業者には明らかであるように、本実施例と組み合わせることができる。
【0021】
やはり
図1に示すように、一対の供給チューブ(30、40)がアクチュエータノブ(26)から近位に延びる。本実施例では、第1の供給チューブ(30)は、ブレブ流体(340)(例えばBSS)の供給源と連結されるように構成され;第2の供給チューブ(40)は、治療薬(341)の供給源と連結されるように構成されている。各流体供給チューブ(30、40)は、従来のルアー特徴部および/または流体供給チューブ(30、40)がそれぞれの流体供給源と連結されることを可能にする他の構造体を含み得ることを理解されたい。流体供給チューブ(30、40)は、作動アーム(24)を含む弁組立体につながる。作動アーム(24)は、弁組立体の状態を選択的に変化させるように旋回可能である。作動アーム(24)の旋回位置に基づいて、弁組立体は、流体供給チューブ(30、40)から針(100)の内腔(104)への流体の供給を選択的に締めつけるか、または別様に開放/閉鎖するように動作可能である。よって、作動アーム(24)は、針(100)を介したブレブ流体(340)および治療薬(341)の送達を選択的に制御するように動作可能である。ほんの一例として、弁組立体は、開示が参照により本明細書に組み込まれる、「Method and Apparatus for Subretinal Administration of Therapeutic Agent」のタイトルで2015年8月13日に公開された米国特許出願公開第2015/0223977号の教示の少なくとも一部に従って構成され、かつ動作可能であってよい。針(100)を介した流体送達を制御するのに使用され得る、他の適切な特徴部および構成は、本明細書の教示を鑑みれば、当業者には明らかであろう。
【0022】
器具(10)の特徴部および操作性は多くの方法で変更され得ることを理解されたい。加えて、器具(10)は、開示が参照により本明細書に組み込まれる、「Method and Apparatus for Subretinal Administration of Therapeutic Agent」のタイトルで2015年8月13日に公開された米国特許出願公開第2015/0223977号;開示が参照により本明細書に組み込まれる、「Therapeutic Agent Delivery Device with Convergent Lumen」のタイトルで2015年12月10日に公開された米国特許出願公開第2015/0351958号;開示が参照により本明細書に組み込まれる、「Sub-Retinal Tangential Needle Catheter Guide and Introducer」のタイトルで2015年12月10日に公開された米国特許出願公開第2015/0351959号;開示が参照により本明細書に組み込まれる、「Method and Apparatus for Sensing Position Between Layers of an Eye」のタイトルで2016年3月17日に公開された米国特許出願公開第2016/0074212号;開示が参照により本明細書に組み込まれる、「Motorized Suprachoroidal Injection of Therapeutic Agent」のタイトルで2016年3月17日に公開された米国特許出願公開第2016/0074217号;開示が参照により本明細書に組み込まれる、「Therapeutic Agent Delivery Device with Advanceable Cannula and Needle」のタイトルで2016年3月17日に公開された米国特許出願公開第2016/0074211号;および/または、開示が参照により本明細書に組み込まれる、「Therapeutic Agent Delivery Device」のタイトルで2016年3月24日に公開された米国特許出願公開第2016/0081849号、の教示の少なくとも一部に従って改変され得る。他の適切な改変は、本明細書の教示を鑑みれば、当業者には明らかであろう。
【0023】
II.治療薬の網膜下投与のための例示的な処置
図4A~
図5Cは、前述した器具(10)を用いて上脈絡膜アプローチにより治療薬を網膜下送達するための例示的な処置を示す。ほんの一例として、本明細書に記載する方法は、黄斑変性および/または他の眼の状態を治療するために用いられ得る。本明細書に記載する処置は、加齢黄斑変性の治療の文脈で論じられるが、いかなるそのような制限も意図または意味していないことを理解されたい。例えば、単に例示的ないくつかの代替的な処置では、本明細書に記載する同じ技術を使用して、網膜色素変性症、糖尿病性網膜症、および/または他の眼の状態を治療することができる。さらに、本明細書に記載する処置を使用して、ドライ型またはウェット型どちらの加齢黄斑変性も治療し得ることを理解されたい。
【0024】
本実施例では、処置は、操作者が、検鏡、および/または固定に適切な任意の他の器具を用いて、患者の目(301)の周囲の組織(例えば、まぶた)を固定することで始める。固定は、目(301)の周囲の組織に関して本明細書に記載するが、目(301)自体は自由に動くことができるままであってよいことを、理解されたい。いったん目(301)の周囲の組織が固定されたら、眼用シャンデリアポート(eye chandelier port)(314)が、
図4Aに示すように目(301)に挿入され、瞳孔を通じて目(301)の内部を見るときに眼内照明を提供する。本実施例では、眼用シャンデリアポート(314)は、上方側頭象限強膜切開術(superior temporal quadrant sclerotomy)を実行することができるように、下方内側象限(inferior medial quadrant)に位置付けられる。眼用シャンデリアポート(314)は、目(301)の内部に光を導いて(例えば、黄斑の少なくとも一部を含む)網膜の少なくとも一部を照明するように位置付けられる。理解されるように、このような照明は、治療薬の送達の対象とされている目(301)の領域に対応する。
【0025】
本実施例では、
図4Aに示す段階でシャンデリアポート(314)のみが挿入され、光ファイバ(315)はまだポート(314)に挿入されていない。いくつかの他の変形体では、光ファイバ(315)は、この段階でシャンデリアポート(314)に挿入され得る。いずれの場合も、顕微鏡をオプションとして使用して、目を目視で調べ、対象部位に対する眼用シャンデリアポート(314)の適切な位置づけを確認することができる。
図4Aは眼用シャンデリアポート(314)の特定の位置づけを示しているが、本明細書の教示を鑑みれば、当業者には明らかとなるように、眼用シャンデリアポート(314)が任意の他の位置づけを有し得ることを理解されたい。
【0026】
いったん眼用シャンデリアポート(314)が位置づけられたら、強膜(304)は、結膜の組織弁に切り込みを入れ、その組織弁を後方に引っ張ることで、結膜を切開することによりアクセスされ得る。このような切開が完了した後、強膜(304)の露出表面(305)は、オプションとして、出血を最小限にするよう、焼灼ツールを用いて白くする(blanched)ことができる。いったん結膜切開が完了したら、強膜(304)の露出表面(305)は、オプションとして、ウェックセル(WECK-CEL)または他の適切な吸収装置を用いて乾燥させることができる。次に、開示が参照により本明細書に組み込まれる、「Method and Apparatus for Subretinal Administration of Therapeutic Agent」のタイトルで2015年8月13日に公開された米国特許出願公開第2015/0223977号に記載されるように、テンプレートを用いて目(301)にマーキングすることができる。操作者は次に、テンプレートを用いて作製された視覚的ガイドを使用して、縫合糸ループ組立体(332)を取り付け、従来の外科用メス(313)または他の適切な切断器具を用いて、
図4Bに示すように、強膜切開術を実行することができる。強膜切開処置で、目(301)の強膜(304)を通る小さい切り目を形成する。強膜切開術は、脈絡膜(306)を貫通しないよう特に注意を払って実行する。よって、強膜切開処置は、強膜(304)と脈絡膜(306)との間の空間へのアクセスを提供する。いったん切り目を目(301)に作ったら、強膜(304)を脈絡膜(306)から局所的に分離するために、鈍的切開をオプションとして行うことができる。このような切開は、本明細書の教示を鑑みれば当業者には明らかであろうが、小さく鈍い細長い器具を用いて実行することができる。
【0027】
強膜切開処置が実行されたら、操作者は、切り目(316)を通じて、強膜(304)と脈絡膜(306)との間の空間内へ器具(10)のカニューレ(50)を挿入し得る。
図4Cで見ることができるように、カニューレ(50)は、縫合糸ループ組立体(332)を通って、切り目の中へと導かれる。縫合糸ループ組立体(332)は、挿入中、カニューレ(50)を安定させることができる。さらに、縫合糸ループ組立体(332)は、カニューレ(50)を切り目に対して概ね接線方向の向きに維持する。このような接線方向の向きにより、カニューレ(50)が切り目を通ってガイドされる際の外傷を減らすことができる。カニューレ(50)が縫合糸ループ組立体(332)を通って切り目に挿入される際、操作者は、非外傷性経路に沿ってカニューレ(50)をさらにガイドするように鉗子または他の器具を使用し得る。当然、鉗子または他の器具の使用は、単にオプションであり、いくつかの実施例では省略され得る。
【0028】
不図示ではあるが、いくつかの実施例では、カニューレ(50)がさまざまな挿入深さを示すためにカニューレ(50)の表面上に1つ以上のマーカーを含み得ることを理解されたい。単なるオプションであるが、このようなマーカーは、カニューレ(50)が非外傷性経路に沿ってガイドされるときに適切な挿入深さを操作者が識別するのを助けるために望ましい場合がある。例えば、操作者は、カニューレ(50)が目(301)に挿入される深さの表示として、縫合糸ループ組立体(332)に対する、および/または強膜(304)の切り目に対する、このようなマーカーの位置を目で観察することができる。ほんの一例として、そのような1つのマーカーは、カニューレ(50)の約6mmの挿入深さに対応し得る。
【0029】
図4Dに示すように、いったんカニューレ(50)が少なくとも部分的に目(301)に挿入されると、操作者は、光ファイバ(315)がまだこの段階で挿入されていない場合にはファイバ(315)を眼用シャンデリアポート(314)に挿入し得る。眼用シャンデリアポート(314)が適所にあり、光ファイバ(315)と組み立てられたら、操作者は、光ファイバ(315)を通じて光を導くことで眼用シャンデリアポート(314)を起動させて目(301)の照明を提供し、それによって、目(301)の内部を可視化し得る。カニューレ(50)の位置づけに対するさらなる調節が、オプションとしてこの時点で行われて、網膜(308)の地図状萎縮エリアに対する適切な位置づけを確実にし得る。場合によっては、操作者は、瞳孔を介した目(301)の内部の可視化を最適化するために目(301)の瞳孔を操作者の方に向けるため、縫合糸ループ組立体(332)を引っ張ることなどによって、目(301)を回転させることを望み得る。
【0030】
図4C~
図4Dは、治療薬の送達部位まで強膜(304)と脈絡膜(306)との間をガイドされるときのカニューレ(50)を示す。本実施例では、送達部位は、網膜(308)の地図状萎縮エリアに隣接した目(301)の概ね後方の領域に対応する。特に、本実施例の送達部位は、黄斑より上方で、網膜神経感覚上皮と網膜色素上皮層との間の潜在空隙にある。ほんの一例として、操作者は、ファイバ(315)およびポート(314)を通って照明が提供された状態で、カニューレ(50)が
図4C~
図4Dに示す可動域にわたって前進されているときに目(301)の瞳孔を通じて行われる、顕微鏡を通じた直接的な可視化に依存し得る。カニューレ(50)は、目(301)の網膜(308)および脈絡膜(306)を通じて少なくとも部分的に可視であってよい。視覚追跡は、光ファイバを使用してカニューレ(50)の遠位端部を通じて可視光を発する変形体で、向上され得る。
【0031】
いったんカニューレ(50)が
図4Dに示すように送達部位まで前進したら、操作者は、ノブ(26)を作動させることによって、前述のように器具(10)の針(100)を前進させることができる。
図4Eおよび
図5Aで見ることができるように、針(100)は、針(100)が網膜(308)を貫かずに脈絡膜(306)を貫通するように、カニューレ(50)に対して前進させられる。脈絡膜(306)を貫く直前に、針(100)は、脈絡膜(306)の表面を「テント形にする(tenting)」ものとして、直接可視化されて現れ得る。言い換えれば、針(100)は、脈絡膜(306)を押し上げることにより脈絡膜(306)を変形させ、テントの屋根を変形させるテントの支柱と同じような外観をもたらし得る。このような視覚的現象は、脈絡膜(306)が貫通されようとしているかどうか、また、任意の最後の貫通場所を識別するために、操作者が使用し得る。「テント形にし」始め、その後脈絡膜(306)を貫通するのに十分な、針(100)の特定の前進量は、全体的な患者の解剖学的構造、局所的な患者の解剖学的構造、操作者の好み、および/または他の要因などであるがこれらに制限されない、いくつかの要因によって決定され得るような、任意の適切な量であってよい。前述したように、針(100)の前進の単に例示的な範囲は、約0.25mm~約10mm、または、より具体的には約2mm~約6mmであってよい。
【0032】
本実施例では、前述したテント形にする効果を可視化することによって針(100)が適切に前進したことを操作者が確認した後、操作者は、針(100)がカニューレ(50)に対して前進されるときに平衡塩類溶液(BSS)または他の同様の溶液を注入する。このようなBSSは、針(100)が脈絡膜(306)を通って前進すると、針(100)の前に先頭のブレブ(340)を形成し得る。先頭のブレブ(340)は、2つの理由で望ましくなり得る。第一に、
図4Fおよび
図5Bに示すように、先頭のブレブ(340)は、針(100)がいつ送達部位に適切に位置づけられたかを示すさらなる視覚的インジケータを操作者に提供し得る。第二に、先頭のブレブ(340)は、いったん針(100)が脈絡膜(306)を貫いたら、針(100)と網膜(308)との間にバリアを提供し得る。このようなバリアは、網膜壁を外側に押し、それにより、針(100)が送達部位まで前進する際の網膜穿孔のリスクを最小限にすることができる。いくつかの変形体では、先頭のブレブ(340)を針(100)から押し出すためにフットペダルが作動される。あるいは、先頭のブレブ(340)を針(100)から押し出すのに使用され得る他の適切な特徴部は、本明細書の教示を鑑みれば、当業者には明らかであろう。
【0033】
いったん操作者が先頭のブレブ(340)を可視化したら、操作者は、BSSの注入を中止し、
図4Fおよび
図5Bで見ることができるような流体のポケットを残し得る。次に、治療薬(341)が、注射器、または本明細書で引用するさまざまな参考文献に記載されるような他の流体送達装置を作動させることによって、注入され得る。送達される特定の治療薬(341)は、眼の状態を治療するように構成された任意の適切な治療薬であってよい。いくつかの単に例示的な適切な治療薬は、本明細書の教示を鑑みれば当業者には明らかであろうが、より小さい分子もしくは大分子を有する薬品、治療用細胞溶液、特定の遺伝子療法溶液、組織プラスミノゲン活性化因子、および/または任意の他の適切な治療薬を含み得るが、必ずしもこれらに制限されない。ほんの一例として、治療薬(341)は、開示が参照により本明細書に組み込まれる、「Treatment of Retinitis Pigmentosa with Human Umbilical Cord Cells」のタイトルで2008年8月19日に発行された米国特許第7,413,734号の教示の少なくとも一部に従って提供され得る。治療薬(341)を送達するために使用されるのに加えて、またはその代わりに、器具(10)およびその変形体は、排液をもたらし、かつ/または他の手術を実行するのに使用され得る。
【0034】
本実施例では、最終的に送達部位に送達される治療薬(341)の量は約50μLであるが、任意の他の適切な量を送達し得る。いくつかの変形体では、薬(341)を針(100)から押し出すためにフットペダルが作動される。あるいは、薬(341)を針(100)から押し出すのに使用され得る他の適切な特徴部は、本明細書の教示を鑑みれば、当業者には明らかであろう。治療薬(341)の送達は、
図4Gおよび
図5Cで見ることができるように、流体のポケットの拡張によって可視化することができる。図示のとおり、治療薬(341)は、治療薬(341)が上脈絡膜の(surprachoroidal)、網膜下腔に注入されると、本質的に先頭のブレブ(340)の流体と混合される。
【0035】
いったん送達が完了したら、針(100)は、針(100)を前進させるのに使用したのとは反対側の方向にノブ(26)を回転させることにより、後退され得;カニューレ(50)はその後、目(301)から抜き取られ得る。針(100)のサイズにより、針(100)が脈絡膜(306)を通って貫いた部位は自己封止しており、脈絡膜(306)を通じて送達部位を封止するためにさらなるステップを行う必要はないことを、理解されたい。縫合糸ループ組立体(332)およびシャンデリア(314)は取り外され得、強膜(304)の切り目は、任意の適切な従来の技術を用いて閉鎖され得る。
【0036】
前述のとおり、前述した処置は、黄斑変性を有する患者を治療するために実施され得る。そのようないくつかの場合には、針(100)によって送達される治療薬(341)は、分娩後臍および胎盤から得られた細胞を含み得る。前述のとおり、ほんの一例として、治療薬(341)は、開示が参照により本明細書に組み込まれる、「Treatment of Retinitis Pigmentosa with Human Umbilical Cord Cells」のタイトルで2008年8月19日に発行された米国特許第7,413,734号の教示の少なくとも一部に従って提供され得る。あるいは、針(100)は、任意の他の適切な1つまたは複数の物質を、米国特許第7,413,734号および/または本明細書の他の場所に記載されたものに加えて、またはそれらの代わりに、送達するのに使用され得る。ほんの一例として、治療薬(341)は、小分子、大分子、細胞および/または遺伝子療法を含むがこれらに限定されない、さまざまな種類の薬品を含み得る。黄斑変性は本明細書に記載する処置を通じて治療され得る状態の単に例示的な一例にすぎないことも、理解されたい。本明細書に記載する器具および処置を用いて対処され得る、他の生物学的状態は、当業者には明らかであろう。
【0037】
前述した処置は、開示が参照により本明細書に組み込まれる、「Method and Apparatus for Subretinal Administration of Therapeutic Agent」のタイトルで2015年8月13日に公開された米国特許出願公開第2015/0223977号;開示が参照により本明細書に組み込まれる、「Therapeutic Agent Delivery Device with Convergent Lumen」のタイトルで2015年12月10日に公開された米国特許出願公開第2015/0351958号;開示が参照により本明細書に組み込まれる、「Sub-Retinal Tangential Needle Catheter Guide and Introducer」のタイトルで2015年12月10日に公開された米国特許出願公開第2015/0351959号;開示が参照により本明細書に組み込まれる、「Method and Apparatus for Sensing Position Between Layers of an Eye」のタイトルで2016年3月17日に公開された米国特許出願公開第2016/0074212号;開示が参照により本明細書に組み込まれる、「Motorized Suprachoroidal Injection of Therapeutic Agent」のタイトルで2016年3月17日に公開された米国特許出願公開第2016/0074217号;開示が参照により本明細書に組み込まれる、「Therapeutic Agent Delivery Device with Advanceable Cannula and Needle」のタイトルで2016年3月17日に公開された米国特許出願公開第2016/0074211号;および/または、開示が参照により本明細書に組み込まれる、「Therapeutic Agent Delivery Device」のタイトルで2016年3月24日に公開された米国特許出願公開第2016/0081849号、の教示のいずれかに従って実行され得ることも理解されたい。
【0038】
III.遠隔制御装置を備えた例示的な注入器システム
図4A~
図4Gおよび
図5A~
図5Cを参照して前述した処置のいくつかの変形体では、患者は、目が覚めていて、局所麻酔下にあってよい。このような場合、患者が動くリスクがある。カニューレ(50)が目(301)の中に配されている間のこのような患者の動きは、目への損傷を引き起こし得る。加えて、器具(10)の動作には、作動アーム(24)および作動ノブ(26)の手動操作が必要である。このような手動で操作可能な特徴部は、カニューレ(50)が目(301)内部で意図的でない動きをするリスクを呈し得る。加えて、ブレブ流体(340)および治療薬(341)の正確な投与を一貫して達成することには問題点があり得る。したがって、患者の動きに関するリスクを軽減すること、目(301)の中に配される構成要素の意図的でない動きのリスクを軽減すること、ならびにブレブ流体(340)および治療薬(341)の投与の正確さの一貫性を高めること、が望ましくなり得る。
【0039】
A.概観
図6は、ブレブ流体(340)および治療薬(341)を患者の目(301)の中に送達するのに使用され得る例示的なシステム(400)を示す。この実施例のシステム(400)は、制御モジュール(500)と、注入器ドライバ組立体(600)と、注入器組立体(700)と、を含む。注射器作動カセット(550)が、制御モジュール(500)内に配され、チューブセット(420)を介して注入器ドライバ組立体(600)と連結されている。注射器作動カセット(550)はまた、導管(412)を介して平衡塩類溶液(BSS)ボトル(410)と連結されている。注入器組立体(700)は、チューブおよびケーブル組立体(690)を介して注入器ドライバ組立体(600)と連結されている。これらの構成要素はそれぞれ、以下でさらに詳細に説明する。
【0040】
図7に示すように、システム(400)の使い捨ての構成要素は、無菌キット形態で提供され得る。これらの構成要素は、注射器作動カセット(550)と、一体的なスパイク(414)を備えた導管(412)と、チューブセット(420)と、注入器ドライバ組立体(600)と、チューブおよびケーブル組立体(690)と、注入器組立体(700)と、を含む。図示のとおり、注射器作動カセット(550)、一体的なスパイク(414)を備えた導管(412)、チューブセット(420)、注入器ドライバ組立体(600)、チューブおよびケーブル組立体(690)、ならびに注入器組立体(700)はすべて、無菌キットにおいて一緒に事前に連結され得る。この実施例の無菌キットはまた、マーキング器具(430)と、磁気パッド(430)と、注射器(570)と、注射器アダプタ(580)と、を含む。マーキング器具(430)は、目(301)の上のある場所、例えば縫合糸ループ組立体(332)を設置する場所、にマーキングするように動作可能である。ほんの一例として、マーキング器具(430)は、開示が参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2015/0223977号の教示に従って構築され、動作可能であってよい。別の単に例示的な実施例として、マーキング器具(430)は、開示が参照により本明細書に組み込まれる、「Guide Apparatus for Tangential Entry into Suprachoroidal Space」のタイトルで、本出願と同日に出願された米国特許出願番号[代理人整理番号END8062USNP.0648021]の教示に従って構築され、動作可能であってよい。
図7に示す無菌キットのその他の構成要素については、以下でさらに詳細に説明する。やはり
図7に示すように、別の無菌キットは、注射器(570)と、注射器アダプタ(580)と、を含み得る。
【0041】
図8は、患者に対して位置づけられたシステム(400)の構成要素を示す。この実施例では、ドレープ(452)が患者の上に掛けられ、ドレープ(452)の、患者の目(301)の近くには開口部(454)が形成されている。検鏡(440)を使用して、目(301)を開いたまま維持する。固定物(450)が目(301)に隣接して位置づけられる。固定物(450)は、観察スコープ(viewing scope)などの器具類を患者に対して固定するのに使用され得る。磁気パッド(460)は、目(301)に隣接して開口部(454)の近くでドレープ(452)に接着される。注入器組立体(700)は、磁気パッド(460)上に置かれ、以下でさらに詳細に説明するように、磁気引力を介してこれに取り外し可能に固定される。注入器組立体(700)は、注入器組立体(700)の可撓性カニューレ(702)を目(301)に挿入することができるように方向づけられる。注入器ドライバ組立体(600)は、アーム(606)を介してリストレスト(456)に取り外し可能に固定される。注入器ドライバ組立体(600)は、ある程度のたるみをチューブおよびケーブル組立体(690)に与えるように、注入器組立体(700)に十分近接して位置づけられる。
図8では不図示であるが、注入器ドライバ組立体(600)は、注射器作動カセット(550)およびチューブセット(420)を介して制御モジュール(500)と連結される。
【0042】
B.例示的な制御モジュールおよび使用方法
図9A~
図9Bに示すように、本実施例の制御モジュール(500)は、基部(502)と、カバー(504)と、を含む。カバー(504)は、開位置(
図9B)と閉位置(
図9A)との間で基部(502)に対して旋回するように構成される。カバー(504)は、画像、数字、テキスト、および/または他の形態の情報を表示するように動作可能であるディスプレイ領域(506)を含む。
図9Bに示すように、基部(502)は、解凍チャンバ(508)と、カセット置き場(510)と、カセットアクチュエータ(510)と、を含む。
【0043】
解凍チャンバ(508)は、(例えば加熱空気を使用して)凍結した治療物質バイアル組立体(590)を解凍するように動作可能である構成要素を含む。このような解凍機能性を提供するのに使用され得る、さまざまな適切な構成要素および装置は、本明細書の教示を鑑みれば、当業者には明らかであろう。
【0044】
カセット置き場(510)は、注射器作動カセット(550)を取り外し可能に受容するように構成される。カセットアクチュエータ(512)は、注射器作動カセット(550)の相補的特徴部と相互作用して、ボトル(410)からチューブセット(420)へのブレブ流体(340)の送達を選択的に制御するように構成される。ほんの一例として、注射器作動カセット(550)は、ボトル(410)からチューブセット(420)へとブレブ流体(340)を押し流すようにカセットアクチュエータ(512)によって作動されるポンプを含み得る。別の単に例示的な実施例として、カセット(550)は、ブレブ流体(340)を収容する第2の注射器を受容するように改変され得、カセットアクチュエータ(512)は、ブレブ流体(340)を収容する注射器からブレブ流体(340)を排出するためにカセット(550)の特徴部を駆動するように構成され得る。カセットアクチュエータ(512)および注射器作動カセット(550)がチューブセット(420)を通じたブレブ流体(340)の制御された送達を提供するために協働するように構成され得る他の適切な方法は、本明細書の教示を鑑みれば、当業者には明らかであろう。
【0045】
カセットアクチュエータ(512)は、注射器作動カセット(550)の相補的特徴部と相互作用して、注射器(570)からチューブセット(420)への治療薬(341)の送達を選択的に制御するようにさらに構成される。ほんの一例として、注射器作動カセット(550)または制御モジュール(500)は、プランジャ(574)を作動させ、それによって注射器(570)からチューブセット(420)へと治療薬(341)を押し流すように動作可能である親ねじを含み得る。このような流体送達制御機能性を提供するのに使用され得る、他の適切な構成要素および装置は、本明細書の教示を鑑みれば、当業者には明らかであろう。
【0046】
本実施例のカセットアクチュエータ(512)は、注射器作動カセット(550)がカセット置き場(510)内に完全に設置されたら電気ケーブル(426)からデータを受信するように動作可能である連結特徴部をさらに含む。このようなデータの例は、以下でさらに詳細に説明する。制御モジュール(500)が電気ケーブル(426)を通じて電力または信号を提供し得ることも、理解されたい。
【0047】
例示的な使用方法では、制御モジュール(500)は最初に、
図9Aに示すように、閉位置にあるカバー(504)を備えている。操作者は次に、
図9Bに示すようにカバー(504)を開ける。カバー(504)が開位置にある状態で、操作者は、
図9Cに示すように、治療物質バイアル組立体(590)を解凍チャンバ(508)に挿入する。治療物質バイアル組立体(590)は、ある体積の凍結した治療薬(341)を収容しているバイアル(594)(
図9E)を収容するケース(592)(
図9E)を含む。
【0048】
操作者は次に、
図9Dに示すように、カバー(504)を閉じる。このカバー(504)の閉鎖により、解凍チャンバ(508)において解凍シーケンスを開始し、治療物質バイアル組立体(590)に収容された治療薬(341)を解凍する。ほんの一例として、制御モジュール(500)は、治療物質バイアル組立体(590)に収容された治療薬(341)中の低温凍結した細胞を解凍するために一体化したヒーター-空気解凍機構を含み得る。赤外線温度センサ(または他の種類の温度センサ)が、治療物質バイアル組立体(590)の外部を測定し、治療薬(341)中の細胞を保護するため、温度が決して37℃を超えないことを確実にし得る。解凍シーケンス中、ディスプレイ領域(506)は、解凍シーケンスの完了までの残り時間を表示する。解凍が完了したら、操作者は、カバー(504)を開け、解凍チャンバ(508)から治療物質バイアル組立体(590)を取り出す。
【0049】
次に、操作者は、
図9Eに示すように、解凍された治療物質バイアル組立体(590)を、注射器アダプタ(580)の本体(582)に入れる。本体(582)は、ケース(592)の構成を補完する構成を有し、治療物質バイアル組立体(590)は、自由に本体(582)に挿入され得る。
図9Eに示すように、注射器アダプタ(580)は、本体(582)に堅く固定された一体型の針(584)をさらに含む。針(584)は、物質バイアル組立体(590)が本体(582)に完全に挿入されると針(584)がバイアル(594)の隔壁を貫通するように位置づけられる。針(584)はまた、針(584)がバイアル(594)の内部表面と接触せず、それによって、針(584)が不注意にバイアル(594)の側壁を削って粒子を生成するなどのリスクを排除するように、本体(582)に対して位置づけられ、確固として固定される。
【0050】
やはり
図9Eに示すように、本実施例の注射器(570)は、プランジャ(574)および遠位取り付け具(576)を備えた本体(572)を含む。プランジャ(574)は、本体(572)に対して往復運動して、選択的に流体を本体(572)に引き込んだり流体を本体(572)から排出したりするように構成される。遠位取り付け具(576)は、本体(582)の近位端部と取り外し可能に連結するように構成される。遠位取り付け具(576)が本体(582)の近位端部と連結されると、遠位取り付け具(576)は、針(584)と流体連通し、それによって、本体(572)を針(584)と流体連通させる。
【0051】
図9Fは、注射器アダプタ(580)内に完全に設置された物質バイアル組立体(590)を示す。バイアル組立体(590)と注射器アダプタ(580)との相補的な構成は、物質バイアル組立体(590)が完全設置位置に到達したときに、注射器アダプタ(580)内での物質バイアル組立体(590)のセルフセンタリング、およびバイアル(594)内での針(584)の深さ制御を提供し得ることを、理解されたい。物質バイアル組立体(590)が注射器アダプタ(580)内に完全に設置された状態で、操作者は、その他の構成要素を静止した状態に保ったまま、プランジャ(574)を近位に後退させる。これにより、針(584)および遠位取り付け具(576)を介して治療薬(341)がバイアル(594)から注射器(570)の本体(572)に引き込まれる。
【0052】
操作者が適切な量の治療薬(341)をバイアル(594)から注射器(570)の本体(572)に移した後、操作者は、
図9Gに示すように、注射器(570)を注射器作動カセット(550)の注射器受容置き場(552)に位置づける。遠位取り付け具(576)は、注射器受容置き場(552)の底部分に向かって方向づけられる。やはり
図9Gに示すように、チューブセット(420)および導管(412)は、注射器作動カセット(550)の底部分から延びる。以下でさらに詳細に説明するように、チューブセット(420)は、ブレブ流体(340)を送るように構成された第1の導管(422)と、治療薬(341)を送るように構成された第2の導管(424)と、電力および/またはデータ信号を送るように構成された電気ケーブル(426)と、を収容する。
【0053】
注射器(570)を注射器作動カセット(550)に設置する前または後で、操作者は、
図9Hに示すように、導管(412)のスパイク(414)をボトル(410)に挿入し、それによって、ボトル(410)のブレブ流体(340)を注射器作動カセット(550)に送るための経路を提供する。
【0054】
注射器(570)およびボトル(410)が注射器作動カセット(550)と連結された状態で、操作者は、
図9Iに示すように、注射器作動カセット(550)をカセット置き場(510)に対して位置づける。操作者は次に、
図9Jに示すように、注射器作動カセット(550)をカセット置き場(510)内に完全に設置する。これにより、前述したように、カセットアクチュエータ(512)を注射器作動カセット(550)の相補的特徴部と連結させる。
【0055】
次に、操作者は、
図9Kに示すようにカバー(504)を閉じて、プライミングシーケンスを開始する。いくつかの変形体では、プライミングは、カバー(504)が閉じると自動的に開始される。いくつかの他の変形体では、プライミングは、操作者がカバー(504)を閉じた後である種のユーザー入力特徴部を作動させるまで開始されない。いずれの場合も、カバー(504)は、導管(412、422、424)を通る流体の流れを締め付けて止める(pinching off)かまたは別様に妨げることなく、導管(412)およびチューブセット(420)に適応する特徴部を含む。プライミングシーケンスは、導管(412、422、424)から空気を取り除き、各導管(412、422、424)の全長が対応する流体で満たされることを確実にする。場合によっては、このプライミングシーケンスは、第1の導管(422)をブレブ流体(340)でプライミングすることに加えて、注入器組立体(700)の針(708)および針アクチュエータ(716)をブレブ流体(340)でプライミングすることをさらに含む。治療薬(341)が第2の導管(424)を通じてプライミングされるとき、制御モジュール(500)は、治療薬(341)中に含有される細胞へのストレスを最小限にするため、このようなプライミングが比較的遅い流速で行われることを確実にし得る。
【0056】
プライミングシーケンス中、ディスプレイ領域(506)は、プライミングシーケンスが進行中であるという指摘を操作者に表示し得る。加えて、ディスプレイ領域(506)は、プライミングシーケンスにおける残り時間を表示し得る。プライミングシーケンスが完了した後、ディスプレイ領域(506)は、
図9Lに示すように、制御モジュール(500)が使用される準備ができているという指摘を操作者に表示し得る。
【0057】
いくつかの変形体では、制御モジュール(500)は、少なくとも1つの導管(412、422、424)における閉塞の存在を感知するように動作可能である。閉塞を感知し得るさまざまな適切な方法が、本明細書の教示を鑑みれば当業者には明らかであろう。閉塞が検出された場合、制御モジュール(400)は、ディスプレイ領域(506)を介して操作者に自動的に警告し得る。
【0058】
C.例示的な磁気パッド
前述のとおり、本実施例のシステム(400)は、磁気パッド(460)を含む。磁気パッド(460)は、感圧接着剤を介してドレープ(452)に接着され得る。例えば、磁気パッド(460)は、下面の接着剤上に位置づけられた剥がれるカバーを備えることができる。操作者は次に、カバーを剥がして接着剤を出し、その後、磁気パッド(460)をドレープ(452)に押しつけて、磁気パッド(460)をドレープに接着させることができる。使用中、磁気パッド(460)は、患者の額の上のドレープ(452)上の位置に置かれる。本実施例では、磁気パッド(460)は、ある程度まで可撓性であり、磁気パッド(460)は、少なくとも部分的に患者の額の曲率に一致し得る。ほんの一例として、磁気パッド(460)は、少なくとも一部がシリコーンで形成され得る。
【0059】
やはり前述したように、注入器組立体(700)は、磁気パッド(460)上に置かれ、磁気引力を介してこれに取り外し可能に固定される。これにより、注入器組立体(700)は、磁気パッド(460)上で容易に位置を変えられ、磁気パッド(460)から取り外されることが可能になる。以下でさらに詳細に説明するように、注入器組立体(700)は、磁気パッド(460)に磁気引力を与える磁石(706)を含む。いくつかの変形体では、磁気パッド(460)も、磁石(706)との磁気引力を与える磁気素子のアレイを含む。いくつかの他の変形体では、磁気パッド(460)は、磁石(706)との磁気引力を与える、1つ以上の鉄要素(例えば、パッド材料に埋め込まれた鉄金属のやすりくず(filings)、パッド材料に埋め込まれた単一の薄い金属シートなど)を含む。磁石(706)との磁気引力を与えるように磁気パッド(460)に組み込まれ得るさまざまな適切な特徴部および構成は、本明細書の教示を鑑みれば、当業者には明らかであろう。さらに別の単に例示的な変形体として、他の特徴部が、パッド(460)と注入器組立体(700)との間に取り外し可能な連結をもたらすために使用され得、これは、マジックテープ式ファスナー、接着剤、相補的な圧入隆起テクスチャおよびグリップパターンなどを含むがこれらに限定されない。
【0060】
図10~
図12は、磁気パッド(460)がとり得るさまざまな代替的な形態を示す。特に、
図10は、概ね弓形の形状を有する磁気パッド(470)を示す。この弓形の形状は、患者の目(301)の近くに位置づけられ得る凹状領域(472)を含む。
図11は、楕円または扁平な長円形状を有する磁気パッド(480)を示す。
図12は、患者の目(301)の近くに位置づけられ得る凹状側面(492)を備えた概ね矩形の形状を有する磁気パッド(490)を示す。磁気パッド(460)がとり得る他の適切な形態は、本明細書の教示を鑑みれば、当業者には明らかであろう。
【0061】
D.遠隔係留制御装置を備えた例示的な注入器組立体
図13は、チューブおよびケーブル組立体(690)を介して注入器組立体(700)に連結された注入器ドライバ組立体(600)を示す。
図13に示すように、導管(422、424)および電気ケーブルは、チューブセット(420)の一部として、注入器ドライバ組立体(600)の近位端部に入る。導管(422、424)は、注入器ドライバ組立体(600)を通り抜け、チューブおよびケーブル組立体(690)の一部として、注入器ドライバ組立体(600)の遠位端部を出る。導管(422、424)は、チューブおよびケーブル組立体(690)の一部として、注入器組立体(700)の近位端部に入る。チューブおよびケーブル組立体(690)は、プッシュプルケーブル(692)も含み、これは、以下でさらに詳細に説明するように、注入器ドライバ組立体(600)から注入器組立体(700)に長さ方向の動きを伝えるように動作可能である。チューブおよびケーブル組立体(690)は、外側シース(694)も含む。外側シース(694)は、導管(422、424)およびプッシュプルケーブル(692)を収容するように構成される。外側シース(694)はまた、プッシュプルケーブル(692)に対して長さ方向のメカニカルグラウンド(longitudinal mechanical ground)として役立つように構成され、プッシュプルケーブル(692)は、外側シース(694)に対して並進運動する。
【0062】
1.例示的な注入器組立体
図14~
図18は、注入器組立体(700)およびその構成要素をさらに詳細に示す。図示のとおり、この実施例の注入器組立体(700)は、カニューレ(702)と、一対のハウジング半部(704)と、ハウジング半部(704)内にスライド可能に配された針(708)と、を含む。カニューレ(702)は、前述したカニューレ(50)と同じように構成され、動作可能であってよく、針(708)は、前述した針(100)と同じように構成され、動作可能であってよい。針アクチュエータ(710)および磁石(706)は、ハウジング半部(704)内部に捕捉される。注入器組立体(700)が完全に組み立てられると、ハウジング半部(704)は、磁石(706)を静止位置に保持し、針アクチュエータ(710)がハウジング半部(704)内部を遠位および近位に並進運動することを可能にするように、構成される。特に、
図15A~
図15Bで最もよく分かるように、ハウジング半部(704)は、針アクチュエータ(710)が近位位置(
図15A)と遠位位置(
図15B)との間を並進運動するときに針アクチュエータ(710)をガイドし横から支持するように構成された、ボス(705)を含む。
【0063】
図16~
図17で最もよく分かるように、針アクチュエータ(710)は、近位ハウジング(740)と、中間ハウジング(730)と、遠位ハウジング(720)と、を含む。ハウジング(720、730、740)はすべて、一体的な構造を画定するように、互いに確固として固定されている。プッシュプルケーブル(692)の遠位端部は、近位ハウジング(740)の近位端部に確固として固定される。針(708)の近位端部は、遠位ハウジング(720)に確固として固定される。遠位ハウジング(720)は、針(708)から横方向にオフセットした一対のボア(722)を画定する。
図14および
図18に示すように、1つのボア(722)が、導管(422)の遠位端部を受容し、もう一方のボア(722)が導管(424)の遠位端部を受容する。導管(422、424)は、針アクチュエータ(710)の外側に巻き付けられて、針アクチュエータ(710)に向かって戻り、導管(422、424)の遠位端部をそれぞれのボア(722)に挿入する。中間ハウジング(730)はまた、ボア(722)と整列する一対のボア(732)を画定する。各ボア(732)は、その中に設置されたそれぞれのダックビルバルブ(724)を有する。
【0064】
図18で最もよく分かるように、針アクチュエータ(710)は、チャンバ(742)を画定する。針(708)の近位端部は、チャンバ(742)内に位置し、針(708)は、チャンバ(742)と流体連通している。ボア(732)も、チャンバ(742)と流体連通している。よって、針アクチュエータ(710)は、流体マニホールドを画定する。ダックビルバルブ(724)は、流体が導管(422、424)からチャンバ(742)内に送られるのを可能にすると共に、流体がチャンバ(742)から導管(422、424)内に送られるのを防ぐように構成される。よって、ブレブ流体(340)が導管(422)を通って送られると、ブレブ流体(340)は、針(708)を通って出て、導管(424)を通って逆流はしない。同様に、治療薬(341)が導管(424)を通って送られると、治療薬(341)は、針(708)を通って出て、導管(422)を通って逆流はしない。やはり
図18に示すように、Oリング(750)が、遠位ハウジング(720)と近位ハウジング(740)との間に捕捉され、それによって、流体が遠位ハウジング(720)と近位ハウジング(740)との間の境界面を介してチャンバ(742)から逃げるのを防ぐシールを提供する。
【0065】
2.例示的な注入器ドライバ組立体
図19~
図27Bは、注入器ドライバ組立体(600)およびその構成要素をさらに詳細に示す。導管(422、424)は
図19~
図27Bから省略されているが、導管(422、424)が前述したように注入器ドライバ組立体(600)を通り抜けることを理解されたい。図示のとおり、本実施例の注入器ドライバ組立体(600)は、ノブ(602)と、押しボタン(604)と、本体(610)と、上方ロッカープレート(612)と、を含む。一対のアーム(606)が、本体(610)に旋回可能に連結されており、前述したように、注入器ドライバ組立体(600)をリストレスト(456)に固定するように動作可能である。注入器ドライバ組立体(600)は、アーム(606)を互いに向けて弾性的に付勢し、それによってアーム(606)を押してリストレスト(456)をつかませる、1つ以上の弾性部材(例えば、ねじりばね、板ばねなど)を含み得る。
【0066】
ノブ(402)、ロッカー押しボタン(604)、プレート(612)、および本体(610)は、協働していくつかの内部構成要素を注入器ドライバ組立体(600)内部に収容するように構成される。
図19に示すように、これらの内部構成要素は、RGBプログラマブルLED(622)のアレイと、第1のタクタイルスイッチ(624)と、を含み、これらはすべて、ディスク型プラットフォーム(620)に据え付けられる。内部構成要素は、環状フレーム(626)と、回転カム部材(640)と、カム従動子(650)と、一組のコイルばね(628)と、一組のボールベアリング(630)と、をさらに含む。ノブ(402)、押しボタン(604)、およびカム部材(640)は、ノブ(402)、押しボタン(604)、およびカム部材(640)が注入器ドライバ組立体(600)のその他の構成要素に対して回転可能となるように互いに連結される。
【0067】
押しボタン(604)は、ノブ(402)内部で垂直に往復運動するように構成される。スタッド(605)(
図19)は、スタッド(605)の下面から下方に突出し、押しボタン(604)がノブ(402)に対して下方に押されるとタクタイルスイッチ(624)を作動させるように構成されている。タクタイルスイッチ(624)は、電気ケーブル(426)を介して制御モジュール(500)と通信している。本実施例では、制御モジュール(500)は、タクタイルスイッチ(624)が押しボタン(604)を介して作動されるのに応じて、導管(422)を通じた治療薬(341)の分配を開始するように構成される。いくつかの他の変形体では、制御モジュール(500)は、タクタイルスイッチ(624)が押しボタン(604)を介して作動されるのに応じて、導管(424)を通じたブレブ流体(340)の分配を開始するように構成される。
【0068】
LED(622)は、選択的に照明するように構成される。ノブ(402)および押しボタン(604)は、LED(622)が発する光を見るのを可能にするように構成される。LED(622)は、システム(400)の特定の状態に基づいて、別様に照明することができる。例えば、LED(622)は、システム(400)が押しボタン(604)の作動の準備ができていないときは赤色で、また、システム(400)が押しボタン(604)の作動の準備ができているときは緑色で、照明し得る。別の単に例示的な実施例として、LED(622)は、針(708)が完全に近位の後退位置にあるときは緑色で、針(708)が中間位置にあるが、まだカニューレ(702)から延びていない場合は黄色で、針(708)がカニューレ(702)から突出する遠位前進位置に針(708)があるときはスミレ色で、照明し得る。LED(622)が使用され得る他の適切な方法は、本明細書の教示を鑑みれば、当業者には明らかであろう。
【0069】
図20に示すように、別のタクタイルスイッチ(632)が、本体(610)内部に位置する。タクタイルスイッチ(632)は、以下でさらに詳細に説明するように、上方ロッカープレート(612)によって作動されるように構成される。線形センサ(660)も本体(610)内部に位置する。線形センサ(660)は、以下でさらに詳細に説明するように、カム従動子(650)によって作動されるように構成される。タクタイルスイッチ(632)および線形センサ(660)はいずれも、電気ケーブル(426)を介して制御モジュール(500)と通信している。
【0070】
図21は、ロッカープレート(612)をさらに詳細に示す。図示のとおり、ロッカープレート(612)は、一対の下方突出タブ(614)と、下方突出スタッド(618)と、を含む。タブ(614)は、丸みを帯びており、本体(610)の相補的な凹部(616)(
図20)に嵌まるように構成される。タブ(614)および凹部(616)のこの構成により、ロッカープレート(612)は、スタッド(618)がタクタイルスイッチ(632)を選択的に作動させることができるように、揺り動かされることが可能である。本実施例では、制御モジュール(500)は、タクタイルスイッチ(632)がロッカープレート(612)を介して作動されるのに応じて、導管(422)を通じたブレブ流体(340)の分配を開始するように構成される。いくつかの他の変形体では、制御モジュール(500)は、タクタイルスイッチ(632)がロッカープレート(612)を介して作動されるのに応じて、導管(424)を通じた治療薬(341)の分配を開始するように構成される。
【0071】
図22~
図23は、回転カム(640)をさらに詳細に示す。
図22に示すように、回転カム(640)の上側は、スターバーストパターンで配列された歯(642)の環状アレイを含む。歯(642)は、ボールベアリング(630)に係合するように構成される。各コイルばね(628)の上方端部は、メカニカルグラウンドとして役立つ、環状フレーム(626)の下面を押す。各ばねの下方端部は、それぞれのボールベアリング(630)に接触し、それによって、ボールベアリング(630)を弾性的に押して歯(642)と係合させる。ボールベアリング(630)と歯(642)との間の関係は、ノブ(602)および回転カム(640)の回転に対する十分な抵抗を提供し、ノブ(602)および回転カム(640)の不注意な回転を防ぐが、ノブ(602)および回転カム(640)の意図的な回転は依然として許容する。ボールベアリング(630)および歯(642)が提供する抵抗により、操作者は、ノブ(602)を回転させる際に、操作者がそのような抵抗の不存在下で達成し得るよりも高い精度を達成することもできる。コイルばね(628)、ボールベアリング(630)、および歯(642)の代わりに使用され得る他の適切な種類の構造体は、本明細書の教示を鑑みれば、当業者には明らかであろう。
【0072】
図23に示すように、回転カム(640)の下面は、第1の螺旋カム特徴部(644)と、第2の螺旋カム特徴部(646)と、を含む。螺旋カム特徴部(644、646)は、概ね回転カム(640)の半径方向中心の周りに位置づけられるが、螺旋カム特徴部(644、646)は、回転カム(640)の半径方向中心から、また互いからオフセットしている。
【0073】
図24に示すように、本実施例のカム従動子(650)は、第1の上方突出カムフィン(652)と、第2の上方突出カムフィン(654)と、を含む。プッシュプルケーブル(692)の近位端部は、カム従動子(650)に確固として固定される。カムフィン(652、654)はそれぞれ、螺旋カム特徴部(644、646)の輪郭を補完するような輪郭である。
図25に示すように、カムフィン(652)は、螺旋カム特徴部(644、646)間の第1の空間に嵌まるように構成され、カムフィン(654)は、螺旋カム特徴部(644、646)間の第2の空間に嵌まるように構成される。
【0074】
カムフィン(652、654)と螺旋カム特徴部(644、646)との間の係合により、回転カム(640)の回転は、カム従動子(650)をプッシュプルケーブル(692)の長さ方向軸に沿って長さ方向に並進運動させる。このような並進運動は、
図26A~
図26Bに示される。
図26A~
図26Bに示すように、カム従動子(650)は、本体(610)の一体的な特徴部である一組のボス(611)間に捕捉される。ボス(611)は、カム従動子(650)が近位位置(
図26A)と遠位位置(
図26B)との間を並進運動すると、カム従動子(650)をガイドし横から支持するように構成される。前述のとおり、プッシュプルケーブル(692)が、カム従動子(650)に確固として固定される。プッシュプルケーブル(692)はまた、針アクチュエータ(710)に確固として固定され、これはさらに、針(708)に確固として固定される。したがって、針(708)が本体(610)に対するノブ(602)の回転に応じてカニューレ(702)に対して遠位および近位に並進運動することを、理解されたい。
【0075】
回転カム(640)およびカム従動子(650)は、プッシュプルケーブル(692)を長さ方向に駆動するのに使用され得る特徴部の単なる例である。ほんの一例として、代替的な駆動組立体は、(例えば注入器組立体(700)の内側に)逆進滑車輪を備えたプルプルケーブル(pull-pull cable)を含み得る。さらなるほんの一例として、代替的な駆動組立体は、チューブおよびケーブル組立体(690)の中の送電線と、注入器組立体(700)の内側のマイクロモータと、を含み得る。さらなるほんの一例として、代替的な駆動組立体は、チューブおよびケーブル組立体(690)の中の送電線と、注入器組立体(700)の内側のナノマッスルニチノールワイヤ(nano-muscle nitinol wire)と、を含み得る。さらなるほんの一例として、代替的な駆動組立体は、チューブおよびケーブル組立体(690)の中の流体ドライブラインと、注入器組立体(700)の中のピストン-シリンダ組立体と、を含んで、ばね復帰を備えた水圧駆動組立体を提供することができる。
【0076】
カム従動子(650)の下面は、線形センサ(660)のスライダ(664)に固定される。スライダ(664)は、線形センサ(660)の本体(662)に対して長さ方向に並進運動するように構成される。カム従動子(650)はスライダ(664)に固定されているので、スライダ(664)は、カム従動子(650)が近位位置(
図26A)にあるときには近位位置(
図27A)にあり、スライダ(664)は、カム従動子(650)が遠位位置(
図26B)にあるときには遠位位置(
図27B)にある。線形センサ(660)は、本体(662)に沿ったスライダ(664)の長さ方向位置に基づいてさまざまなデータ値を生成するように構成される。ほんの一例として、線形センサ(660)は、本体(662)に沿ったスライダ(664)の長さ方向位置に基づいてさまざまな抵抗値を生成する、線形ポテンショメータを含み得る。よって、線形センサ(660)を通じて生成される抵抗値は、カニューレ(702)に対する針(708)の長さ方向位置を示す。さらなるほんの一例として、線形センサ(660)は、ノブ(602)の回転を感知するセンサ、光センサ、または針アクチュエータ(710)の動きを直接監視するために注入器組立体(700)内に位置するセンサ、を含み得る。針(708)の動きを感知し得る、さまざまな他の適切な方法は、本明細書の教示を鑑みれば、当業者には明らかであろう。
【0077】
線形センサ(660)は制御モジュール(500)と通信しているので、制御モジュール(500)は、線形センサ(660)によって感知されるような、カニューレ(702)に対する針(708)の長さ方向位置に基づいて、導管(422、424)を介したブレブ流体(340)および/または治療薬(341)の送達を制御することができる。本実施例では、線形センサ(660)が針(708)の遠位前進を検出すると必ず、制御モジュール(500)に送信される対応する信号が、ブレブ流体(340)の送達を自動的に誘発する。これにより、ブレブ流体(340)は、針(708)が前進されるときはいつでも針(708)の遠位先端部を通って流出することが常に確実となる。このようなブレブ流体流(340)を常に確実にすることにより、システム(400)は、網膜(308)の偶発的な(accentual)穿孔のリスクを最小にすることができる。
【0078】
いくつかの変形体では、制御モジュール(500)は、ブレブ流体(340)が、線形センサ(660)によって感知されるような、針(708)の前進に基づいて、所定の速度で自動的に送達されるようにプログラムされる。ブレブ流体(340)の送達が自動化される場合であっても、制御モジュール(500)は依然として、針(708)の長さ方向位置に関わらず、タクタイルスイッチ(632)の作動に反応して、追加のブレブ流体(340)を所定の速度で送達する。治療薬(341)の送達も、タクタイルスイッチ(624)の作動に応じて、所定の体積を送達するため、所定の速度で制御モジュール(500)によって提供され得ることを理解されたい。さらに、治療薬(341)の送達は、操作者が押しボタン(604)を介してタクタイルスイッチ(624)を作動させるとすぐに、完全に自動化され得る。言い換えれば、いったん操作者がタクタイルスイッチ(624)を作動させたら、操作者は、治療薬(341)の送達を選択的に停止させる(そしておそらくは再開する)ことはできなくなるであろう。よって、押しボタン(604)が押し下げられる時間、または押しボタンの押し離しを繰り返すことなどは、いったん操作者がタクタイルスイッチ(624)を作動させたら、治療薬(341)の送達に影響を及ぼさないであろう。ブレブ流体(340)および/または治療薬(341)の送達を針(708)の感知位置に基づいて自動的に提供し得る方法の他の実施例は、開示が参照により本明細書に組み込まれる、「Apparatus and Method to Form Entry Bleb for Subretinal Delivery of Therapeutic Agent」のタイトルで本出願と同日に出願された米国特許出願番号[代理人整理番号END8061USNP.0614018]に開示されている。
【0079】
例示的な使用では、操作者は、磁気パッド(460)、注入器ドライバ組立体(600)、および注入器組立体(700)を
図8に示すように配列することができる。磁気パッド(460)、注入器ドライバ組立体(600)、注入器組立体(700)を
図8に示すように配列する前または後に、操作者は、前述したように、
図9A~
図9Lに示すステップを実行することができる。操作者は次に、患者の目(301)に強膜切開部(scelrotomy)を形成し、強膜切開部を介してカニューレ(702)を目(301)に挿入することができる。強膜切開部の形成を支援するため、操作者は、開示が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願番号[代理人整理番号END8062USNP.0648021]に記載されるようなマーキング器具を使用し得る。実質的に接線方向の経路に沿った強膜切開部へのカニューレ(702)の挿入を支援するため、操作者は、開示が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願番号[代理人整理番号END8062USNP.0648021]に記載されるようなガイド鋲を使用し得る。別の単に例示的な代替案として、操作者は縫合糸ループ組立体(332)を使用し得る。カニューレ(702)は、その後、カニューレ(50)に関して
図4C~
図4Dに示すように位置するよう前進され得る。
【0080】
カニューレ(702)がカニューレ(50)に関して
図4C~
図4Dに示すように位置付けられると、操作者は次に、針(100)に関して
図4Eおよび
図5Aに示すように、針(708)を遠位に前進させるため、ノブ(602)を回転させることができる。この針(708)の前進中、制御モジュール(500)は、線形センサ(660)からの信号に基づいて針(708)を通じてブレブ流体(340)を自動的に提供し、最終的に、
図4Gおよび
図5Bに示したのと同じような構成を生じる。針(708)が十分前進した後、操作者は押しボタン(604)を作動させる。これにより、制御モジュール(500)は、針(708)を通じて治療薬(341)を提供し、最終的に、
図4Hおよび
図5Cに示したのと同じような構成を生じる。操作者は次に、ノブ(602)を逆に回転させて、針(708)をカニューレ(702)内へと後退させる。針(708)が後退すると、操作者は次に、カニューレ(702)を目(301)から抜き取り、任意の適切な技術を用いて強膜切開部を確実に閉じる。
【0081】
IV.一体化した制御装置を備えた例示的な注入器組立体
注入器ドライバ組立体(600)と、注入器組立体(700)と、プッシュプルケーブル(692)との組み合わせは、目(301)への治療薬(341)の送達の安全性、精度、および一貫性を高めることを可能にし得るが、より小型の器具類を用いて同じ結果を提供することが望ましい場合がある。器具のフォームファクタを減少させ、プッシュプルケーブル(692)を排除すると、より扱いやすい器具類が提供され得、また、そうでない場合に生じて制御の精度に悪影響を与える可能性があるヒステリシスをいくらか除去することができる。その目的で、
図28~
図29は、注入器ドライバ組立体(600)、注入器組立体(700)、およびプッシュプルケーブル(692)によってもたらされる同じ結果を、さらに小型の装置を通じてもたらすように動作可能である、例示的な代替的な注入器組立体(800)を示す。
【0082】
図28に示すように、この実施例の注入器組立体(800)は、カニューレ(802)と、回転ノブ(820)と、上方ロッカープレート(830)と、下方ロッカープレート(840)と、一対のハウジング半部(850、858)と、を含む。
図29に示すように、注入器組立体(800)は、フレーム部材(860)と、回路基板組立体(870)と、針ドライバ(880)と、一対の磁石(848)と、をさらに含む。チューブセット(810)が、注入器組立体(800)から近位に延びる。これらの構成要素および関連する構成要素それぞれについては、以下でさらに詳細に説明する。
【0083】
図30A~
図30Bに示すように、この実施例のカニューレ(802)は、横向きの遠位開口部(804)を含む。針(806)が、
図30Bに示すように、開口部(804)を通って遠位に前進されるように構成される。いくつかの変形体では、針(806)は、開示が参照により本明細書に組み込まれる、「Apparatus for Subretinal Administration of Therapeutic Agent via a Curved Needle」のタイトルで2017年2月22日に出願された米国特許出願第15/438,918号に記載されるように、予め形成された湾曲部を有する。
【0084】
図31に示すように、ハウジング半部(850)は、内側に延びる一体型の旋回支柱(852)と、一体型の支柱座部(854)と、を含む。不図示であるが、ハウジング半部(858)も、内側に延びる一体型の旋回支柱(852)と、一体型の支柱座部(854)と、を含み得ることを理解されたい。
図32に示すように、下方ロッカープレート(840)は、一対の外側に延びる旋回支柱(842)を含み、一対の外側に延びる旋回支柱(842)は、ハウジング半部(850、858)の一体型の支柱座部(854)の中に設置されて、下方ロッカープレート(840)とハウジング半部(850、858)との間の旋回連結(pivotal coupling)を提供するように位置付けられ、構成される。
図33~
図34に示すように、上方ロッカープレート(830)は、開口部(834)が形成された、一対の下方突出タブ(832)を含む。開口部(834)は、ハウジング半部(850、858)の旋回支柱(852)を受容して、下方ロッカープレート(840)とハウジング半部(850、858)との間の旋回連結を提供するように位置付けられ、構成される。
【0085】
図35に示すように、回路基板組立体(870)の上側は、第1のタクタイルスイッチ(872)と、線形センサ(876)と、を含む。第1のタクタイルスイッチ(872)は、第1のタクタイルスイッチ(872)と上方ロッカープレート(840)の下面のダボ座部(836)(
図34)との間に位置付けられたダボ(836)(
図29)によって作動されるように位置付けられる。操作者は、上方ロッカープレート(840)を押して、上方ロッカープレート(840)を、旋回支柱(852)を中心として旋回させ、これによりダボ(836)を第1のタクタイルスイッチ(872)に向けて下方に駆動することによって、タクタイルスイッチ(872)をこのように作動させることができる。第1のタクタイルスイッチ(872)は、チューブセット(810)に収容されるワイヤ(812)のうちの1つ以上を介して、制御モジュール(500)と通信し得る。ほんの一例として、制御モジュール(500)は、前述したようなタクタイルスイッチ(624)の作動に応じた針(708)を介する治療薬(341)の送達と同じように、第1のタクタイルスイッチ(872)の作動に応じた針(806)を介する治療薬(341)の送達を提供し得る。
【0086】
本実施例では、タクタイルスイッチ(872)は、注入器組立体(800)の近位端部の近くに位置し、タクタイルスイッチ(874)は、注入器組立体(800)の遠位端部の近くに位置する。加えて、上方ロッカープレート(830)の旋回点は、注入器組立体(800)の遠位端部の近くに位置し、下方ロッカープレート(840)の旋回点は、注入器組立体(800)の遠位端部の近くに位置する。旋回点およびタクタイルスイッチ(872、874)をこのように位置付けることで、操作者がタクタイルスイッチ(874)を作動させようとしながらタクタイルスイッチ(872)を不注意に作動させるリスク、およびタクタイルスイッチ(872)を作動させようとしながらタクタイルスイッチ(874)を不注意に作動させるリスク、が減少し得る。
【0087】
線形センサ(876)は、スライダ(878)を含み、前述した線形センサ(660)と同様に構成され、かつ動作可能である。線形センサ(876)は、チューブセット(810)に収容されるワイヤ(812)のうちの1つ以上を介して、制御モジュール(500)と通信する。制御モジュール(500)は、線形センサ(876)によって感知されるような針(806)の遠位移動に反応して、針(806)を介したブレブ流体(340)の自動送達を提供するように構成される。
【0088】
図36に示すように、回路基板組立体(870)の下面は、第2のタクタイルスイッチ(874)を含む。第2のタクタイルスイッチ(874)は、下方ロッカープレート(840)の一体型の支柱(843)(
図32)によって作動されるように位置付けられる。操作者は、ハウジング半部(850、858)を下方に旋回可能に押して、ハウジング半部(850、858)を、旋回支柱(842)を中心として旋回させ、これによりタクタイルスイッチ(874)を一体型の支柱(843)に向けて下方に駆動することによって、タクタイルスイッチ(874)をこのように作動させることができる。第2のタクタイルスイッチ(874)は、チューブセット(810)に収容されるワイヤ(812)のうちの1つ以上を介して、制御モジュール(500)と通信し得る。ほんの一例として、制御モジュール(500)は、前述したようなタクタイルスイッチ(632)の作動に応じた針(708)を介するブレブ流体(340)の送達と同じように、第2のタクタイルスイッチ(874)の作動に反応して、針(806)を介するブレブ流体(340)の送達を提供し得る。
【0089】
再び
図32を参照すると、一対の凹部(846)が、下方ロッカープレート(840)の底部に形成されている。凹部(846)は、細長い磁石(848)を受容するように構成される。磁石(848)は、前述した磁石(706)と同じように、磁気引力を磁気パッド(460)に提供する。よって、磁石(848)は、注入器組立体(800)が、磁気パッド(460)に取り外し可能に固定されること、磁気パッド(460)上で容易に位置を変えられること、磁気パッド(460)から容易に取り外されること、を可能にする。前述のとおり、磁気パッド(460)は、さまざまな代替的な形態をとることができ、他の適切な構造および技術が、注入器組立体(800)を患者に対して取り外し可能に固定するために使用され得る。
【0090】
図37~
図38に示すように、回転ノブ(828)、フレーム部材(860)、および針アクチュエータ(880)は、互いに連結されて組立体を形成する。回転ノブ(820)は、ハウジング半部(850、858)に対して回転するように動作可能である。フレーム部材(860)は、ハウジング半部(850、858)に一体的に固定されるように構成され、フレーム部材(860)は、ハウジング半部(850、858)に対して静止したままとなる。針アクチュエータ(880)は、ハウジング半部(850、858)に対する回転ノブ(820)の回転に応じて、ハウジング半部(850、858)に対して並進運動するように動作可能である。
図39に示すように、回転ノブ(820)の下面は、螺旋カム凹部(824)と、磁石(822)と、を含む。
図40~
図41に示すように、フレーム部材(860)は、一対の支持レール(862)と、ガイドスロット(864)と、磁石(866)と、を含む。
図42に示すように、針アクチュエータ(880)は、一対のガイドウィング(882)と、カム従動子支柱(884)と、近位開口部(886)と、を含む。
【0091】
再び
図37~
図38を参照すると、ガイドウィング(882)は、支持レール(862)に係合するようにサイズ決めされ構成されている。この係合により、針アクチュエータ(880)に対する垂直および横方向の支持を与えると共に、針アクチュエータ(880)がフレーム部材(860)に対して長さ方向にスライドすることを可能にする。ガイドスロット(864)は、針アクチュエータ(880)がフレーム部材(860)に対して長さ方向にスライドするときに、カム従動子支柱(884)を受容し、そのスライド運動に適応するように構成されている。近位開口部(886)は、線形センサ(876)のスライダ(878)を受容するように位置付けられ、構成されており、スライダ(878)は、針アクチュエータ(880)と一体的にスライドする。
【0092】
図43A~
図43Bに示すように、針アクチュエータ(880)のカム従動子支柱(884)は、回転ノブ(820)の螺旋カム凹部(824)に嵌まるように構成されている。この係合により、また、ガイドスロット(864)によってカム従動子支柱(884)に与えられるガイダンスにより、針アクチュエータ(880)は、回転ノブ(820)の回転に応じて、近位位置(
図43A)から遠位位置(
図43B)へと並進運動する。針(806)は、以下でさらに詳細に説明するように針アクチュエータ(880)に確固として固定され、針(806)は、回転ノブ(820)の回転に応じてカニューレ(802)に対して長さ方向に並進運動する。本実施例では、磁石(822、866)は、回転ノブ(820)が
図43Aに示すようにホームポジションにくると磁石(822)が磁石(866)のすぐ上に位置するように、位置付けられる。この段階では、磁石(822、866)は、回転ノブ(420)が不注意に回転するのを防ぐが、回転ノブ(420)の意図的な回転は許容する。いくつかの他の変形体では、磁石(822、866)は、回転ノブ(820)が
図43Bに示すように完全回転位置にくると磁石(822)が磁石(866)のすぐ上に位置するように、位置付けられる。
【0093】
図44~
図45に示すように、針(806)は、針アクチュエータ(880)の遠位端部から遠位に延び、フェルール(807)によってこれに確固として固定される。導管(415、423)は、針アクチュエータ(880)の近位端部から近位に延びる。導管(415)は、一方向弁組立体(413)と連結され、一方向弁組立体(413)は、導管(422)とさらに連結される。前述のとおり、導管(422)は、注射器作動カセット(550)と連絡しており、ブレブ流体(340)を送達するように構成されている。一方向弁組立体(413)は、導管(422)から導管(415)への流体送達のみを提供し、導管(415)から導管(422)への流体送達を防ぐように、構成されている。導管(423)は、一方向弁組立体(421)と連結され、一方向弁組立体(421)は、導管(424)とさらに連結される。前述のとおり、導管(424)は、注射器作動カセット(550)と連絡しており、治療薬(431)を送達するように構成されている。一方向弁組立体(421)は、導管(424)から導管(423)への流体送達のみを提供し、導管(423)から導管(424)への流体送達を防ぐように、構成されている。一方向弁組立体(413、421)に組み込まれ得るさまざまな構造体は、本明細書の教示を鑑みれば、当業者には明らかであろう。導管(422、424)は、ワイヤ(872)と共に、チューブセット(810)に組み込まれている。
【0094】
図45に示すように、導管(415)の遠位端部は、針アクチュエータ(880)の近位開口部(881)に挿入され、導管(423)の遠位端部は、針アクチュエータ(880)の別の近位開口部(883)に挿入される。近位開口部(881)は、針アクチュエータ(880)に形成された内腔(885)と流体連通しており、近位開口部(883)は、針アクチュエータ(880)に形成された内腔(887)と流体連通している。内腔(885、887)は、針アクチュエータ(880)に形成されたチャンバ(889)と流体連通している。針(806)の近位端部は、チャンバ(889)内に位置付けられる。よって、針(806)は、導管(415、413)を通って送られる流体(840、841)を受け取る。よって、針アクチュエータ(880)は流体マニホールドを画定する。
【0095】
例示的な使用では、操作者は、磁気パッド(460)を
図8に示すように配置し、注入器組立体(800)を磁気パッド(460)上に置くことができる。磁気パッド(460)および注入器組立体(800)を配置する前または後に、操作者は、前述したように
図9A~
図9Lに示すステップを実行することができる。操作者は次に、強膜切開部(scelrotomy)を患者の目(301)に形成し、強膜切開部を介してカニューレ(802)を目(301)に挿入し得る。強膜切開部の形成を支援するため、操作者は、開示が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願番号[代理人整理番号END8062USNP.0648021]に記載されるようなマーキング器具を使用し得る。実質的に接線方向の経路に沿った強膜切開部へのカニューレ(802)の挿入を支援するため、操作者は、開示が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願番号[代理人整理番号END8062USNP.0648021]に記載されるようなガイド鋲を使用し得る。別の単に例示的な代替案として、操作者は縫合糸ループ組立体(332)を使用し得る。カニューレ(802)は、その後、カニューレ(50)に関して
図4C~
図4Dに示すように位置するよう前進され得る。
【0096】
カニューレ(802)がカニューレ(50)に関して
図4C~
図4Dに示したように位置付けられると、操作者は次に、針(100)に関して
図4Eおよび
図5Aに示すように、針(806)を遠位に前進させるため、ノブ(820)を回転させることができる。この針(806)の前進中、制御モジュール(500)は、線形センサ(876)からの信号に基づいて針(806)を通じてブレブ流体(340)を自動的に提供し、最終的に、
図4Gおよび
図5Bに示すのと同じような構成を生じる。針(806)が十分前進した後、操作者は、上方ロッカープレート(830)を作動させる。これにより、制御モジュール(500)は、針(806)を通じて治療薬(341)を提供し、最終的に
図4Hおよび
図5Cに示すのと同じような構成を生じる。操作者は次に、ノブ(820)を逆に回転させて、針(806)をカニューレ(802)内へと後退させる。針(806)が後退すると、操作者は次に、カニューレ(802)を目(301)から抜き取り、任意の適切な技術を用いて強膜切開部を確実に閉じる。
【0097】
V.例示的な代替的な注入器システム
前述のとおり、治療薬(341)が導管(424)を通じてあまりにも速く送られた場合には、治療薬(341)中の細胞が損傷するリスクがあり得る。このリスクは、治療薬(341)が針(100、708、806)に到達するためにかなりの長さを移動することが必要とされる場合、プライミングプロセス中に特に顕著となり得る。したがって、導管(424)を通じて治療薬(341)を送るのが速すぎることによって治療薬(341)中の細胞が損傷しないことを確実にすることが望ましくなり得る。
【0098】
図46は、プライミングプロセス中に治療薬(341)の後ろにエアギャップが含まれる、システム(400)の改変版を表すシステム(900)を示す。この実施例のシステム(900)は、制御モジュール(902)と、BSSリザーバ(910)と、ポンプ(912)と、圧力調整器(914)と、閉塞検出器(916)と、注射器組立体(918)と、3位置4方弁(three-position four-way valve)(920)と、注入器ドライバ組立体(926)と、注入器組立体(930)と、を含む。制御モジュール(902)は、第1のワイヤ(904)を介してポンプ(912)と、第2のワイヤ(906)を介して閉塞検出器(916)と、また第3のワイヤ(908)を介して3位置4方弁(920)と、通信している。
【0099】
BSSリザーバ(910)は、ある体積のブレブ流体(340)を収容する。BSSリザーバ(910)は、導管(911)を介してポンプ(912)と連結される。ポンプ(912)は、BSSリザーバ(910)から、圧力調整器(914)および閉塞検出器(916)を通じて、ブレブ流体(340)を送り、最終的には3位置4方弁(920)に到達させるように動作可能である。
【0100】
注射器(918)は、ある体積の治療薬(341)を収容する。注射器(918)は、導管(919)を介して3位置4方弁(920)と連結される。
【0101】
3位置4方弁(920)は、チューブ(922、924)を介して注入器ドライバ組立体(926)と流体連通している。3位置4方弁(920)は、3つの異なる状態間を移行するように動作可能である。第1の状態では、3位置4方弁(920)は、導管(911)をチューブ(922)と連結させ、それにより、チューブ(922)を通じてブレブ流体(340)を送り注入器ドライバ組立体(926)に到達させることを可能にする。また、第1の状態では、3位置4方弁(920)は、導管(919)とチューブ(924)との間の連絡を妨げる。第2の状態では、3位置4方弁(920)は、導管(919)をチューブ(924)と連結させ、それによって、チューブ(924)を通じて治療薬(341)を送ることを可能にする。また、第2の状態では、3位置4方弁(920)は、導管(911)とチューブ(922)との間の連絡を妨げる。第3の状態では、3位置4方弁(920)は、導管(911)をチューブ(924)と連結させ、それによって、チューブ(924)を通じてブレブ流体(340)を送ることを可能にする。また、第3の状態では、3位置4方弁(920)は、導管(919)とチューブ(922)との間の連絡を妨げる。
【0102】
ほんの一例として、注入器ドライバ組立体(926)は、前述した注入器ドライバ組立体(600)のように構成され、動作可能であってよい。注入器ドライバ組立体(926)は、前述したチューブおよびケーブル組立体(690)のように構成され、動作可能であってよいチューブおよびケーブル組立体(928)を介して、注入器組立体(930)と連絡している。注入器組立体(930)は、注入器組立体(700)のように構成され、動作可能であってよい。いくつかの代替的な変形体では、注入器ドライバ組立体(926)および注入器組立体(930)は、前述した注入器組立体(800)と同じように、本質的に組み合わせられて単一の組立体になる。
【0103】
例示的な動作方法では、システム(900)は、
図46に示す状態にある3位置4方弁(920)で開始される。ポンプ(912)は、導管(911)、チューブ(922)、ならびにチューブおよびケーブル組立体(928)の対応する導管を通じてブレブ流体(340)を押し流すことによって、ブレブ流体(340)の経路をプライミングするのに使用される。3位置4方弁(920)は次に、導管(919)がチューブ(924)と流体連通している状態へと移行するように作動される。注射器(918)は次に、チューブ(924)を通じて、ある体積の治療薬(341)(例えば約280μL)を注入するように作動される。ほんの一例として、チューブ(924)は、約213.36cm(約84インチ)の長さ、および約0.76mm~約1.02mm(約0.03インチ~約0.04インチ)の内径を有し得る。
【0104】
ある体積の治療薬(341)がチューブ(924)に注入されると、エアギャップが、ある体積の治療薬(341)の後で、チューブ(924)に注入される。いくつかの変形体では、注射器(918)は、空気を含む別の注射器と置き換えられてよく、その空気を満たされた注射器は、導管(919)がチューブ(924)と流体連通している状態に3位置4方弁(920)がとどまっている間に、エアギャップをチューブ(924)に注入するのに使用される。いくつかの他の変形体では、3位置4方弁(920)は、導管(911)がチューブ(924)と流体連通する状態へと切り替えられて、エアギャップが導管(911)を介して提供される。いずれの場合も、ほんの一例として、エアギャップは、約10μLの体積を有し得る。
【0105】
エアギャップが注入された後、3位置4方弁(920)が既に、導管(911)がチューブ(924)と流体連通している状態にない場合、3位置4方弁(920)は、導管(911)がチューブ(924)と流体連通する状態に切り替えられる。ポンプ(912)は次に、ある体積のブレブ流体(340)をBSSリザーバ(910)からチューブ(924)へと押し流すように起動される。ブレブ流体(340)の体積は、治療薬(341)が注入器組立体(930)に到達するのを確実にするように選択される。ブレブ流体(340)と治療薬(341)との間のエアギャップは、ブレブ流体(340)と治療薬(341)とが混合されるのを防ぐことができる。
【0106】
この段階で、チューブ(922、924)および注入器組立体(930)は完全にプライミングされ、システム(900)は、前述したような処置で使用される準備ができる。この処置中、3位置4方弁(920)は、最初に、導管(911)がチューブ(922)と流体連通している状態へと切り替えられて、ブレブ流体(340)を網膜下腔に提供する。3位置4方弁(920)は次に、導管(911)がチューブ(924)と流体連通する状態へと切り替えられて、治療薬(341)を網膜下腔に提供する。ブレブ流体(340)および治療薬(341)は、
図4E~
図4Gおよび
図5A~
図5Cに関する前述の教示に従って、網膜下腔へと提供され得る。
【0107】
VI.例示的な代替的な針ガイド
前述のとおり、カニューレ(50)は、針(100)をスライド可能に受容し、カニューレ(50)の側方開口部(56)から特定の出口角度で針(100)をガイドする、内部針ガイド(60)を含む。カニューレ(702)およびカニューレ(802)はそれぞれ内部針ガイドを含み得ることも理解されたい。このような針ガイドは、目(301)の内側曲率に一致するために可撓性である必要があるが、このような針ガイドが、動作中の針ガイドの伸長を防ぐために、軸方向剛性(引っ張り強さ)を維持することも重要となり得る。そうでなければ、針ガイドの伸長は、針ガイドを通る針の滑らかな動きに悪影響を及ぼしかねない。したがって、実質的な横方向可撓性を有すると共に、実質的な軸方向剛性も有する針ガイドを提供することが望ましくなり得る。
【0108】
図47は、本明細書に記載するカニューレ(50、702、802)のうちのいずれの中にも配され得る例示的な針ガイド(950)を示す。この実施例の針ガイド(950)は、金属材料で形成され、シャフト(952)の遠位端部における側方に向けられた開口部(954)と、側方に向けられた開口部(954)の近位に形成された切り抜き(970)の線形アレイを含む屈曲セクション(960)と、を有する。側方に向けられた開口部(954)は、カニューレ(例えば、カニューレ(50、702、802)のいずれかなど)の側方開口部と対応し、それにより、カニューレの側方開口部から針をガイドするように位置付けられ得る。切り抜き(970)は、レーザー切断技術を用いて、または任意の他の適切な技術を用いて、形成され得る。
【0109】
図48で最もよく分かるように、各切り抜き(970)は、角度をつけて延びる部分(972)と、一対の長さ方向に延びる部分(974)と、を含む。切り抜き(970)の線形アレイにおける各切り抜き(970)は、切り抜き(970)の線形アレイにおける隣接する切り抜き(970)に対して90°だけ角度をオフセットされている。本実施例における切り抜き(970)の構成および配置は、実質的な側方可撓性を備える針ガイド(950)を提供すると共に、実質的な軸方向剛性を有する針ガイド(950)も提供する。
【0110】
VII.例示的な組み合わせ
以下の実施例は、本明細書の教示が組み合わせられるかまたは適用され得る、さまざまな非包括的方法に関する。以下の実施例は、本出願または本出願の後続出願において随時提示され得る、任意の請求項の範囲を制限することを意図していないことを、理解されたい。いかなる放棄も意図していない。以下の実施例は、単なる例示目的で提供されているに過ぎない。本明細書のさまざまな教示が多くの他の方法でアレンジされ適用され得ることが企図されている。いくつかの変形体では以下の実施例で言及される特定の特徴部を省略し得ることも企図されている。したがって、以下で言及される態様または特徴部のいずれも、発明者らまたは関与する発明者らの承継人によって後日そのようなものとして別段明示的に示されない限り、不可欠とみなすべきではない。以下で言及するもののほかに追加の特徴部を含む、任意の請求項が、本出願または本出願に関する後続出願において提示された場合、その追加の特徴部は、特許性に関する理由で追加されたと推定されるものではない。
【0111】
実施例1
器具において、(a)患者の額に置かれるようにサイズ決めされ構成されている、パッド組立体と、(b)注入器組立体であって、(i)パッド組立体に取り外し可能に固定されるように構成されている本体、(ii)本体から遠位に延び、患者の目の切り目を通じて挿入されるようにサイズ決めされている、可撓性カニューレ、および、(iii)カニューレ内にスライド可能に配された針、を含む、注入器組立体と、(c)可撓性カニューレに対して長さ方向に針を駆動するように動作可能である注入器ドライバと、(d)針と流体連通している流体供給源組立体と、を含む、器具。
実施例2
実施例1に記載の器具において、
注入器ドライバは、本体に組み込まれている、器具。
実施例3
実施例1のいずれか1つ以上に記載の器具において、
注入器ドライバは、可撓性駆動ケーブルを介して注入器組立体と遠隔で連結されている、器具。
実施例4
実施例1~3のいずれか1つ以上に記載の器具において、
注入器組立体は、磁石を含み、磁石は、本体をパッドに取り外し可能に固定するように構成されている、器具。
実施例5
実施例4に記載の器具において、
パッドは、複数の鉄要素を含む、器具。
実施例6
実施例1~5のいずれか1つ以上に記載の器具において、
注入器組立体は、本体内に位置付けられた針アクチュエータをさらに含み、針は、針アクチュエータに確固として固定され、針アクチュエータは、本体に対して並進運動して、それによってカニューレに対して長さ方向に針を駆動するように構成されている、器具。
実施例7
実施例6に記載の器具において、
針アクチュエータは、針と流体連通している少なくとも2つの流体入力部をさらに含み、針アクチュエータは、マニホールドを形成するように構成されている、器具。
実施例8
実施例1~7のいずれか1つ以上に記載の器具において、
注入器ドライバは、回転ノブを含み、回転ノブは、可撓性カニューレに対して長さ方向に針を駆動するように回転可能である、器具。
実施例9
実施例8に記載の器具において、
回転ノブは、螺旋カム特徴部を含み、螺旋カム特徴部は、別の針駆動要素と協働し、それによって、回転アクチュエータの回転運動に応じて長さ方向に針を駆動するように構成されている、器具。
実施例10
実施例8~9のいずれか1つ以上に記載の器具において、
注入器ドライバは、螺旋カム特徴部と連結されたカム従動子を有する並進運動可能部材をさらに含み、カム従動子および螺旋カム特徴部は、協働し、それによって、回転ノブの回転運動を針の長さ方向運動に変換するように構成されている、器具。
実施例11
実施例1~10のいずれか1つ以上に記載の器具において、
注入器ドライバは、第1のユーザー入力特徴部をさらに含み、第1のユーザー入力特徴部は、針を介した治療薬の送達を提供するように動作可能である、器具。
実施例12
実施例11に記載の器具において、
第1のユーザー入力特徴部は、押しボタンを含む、器具。
実施例13
実施例1~13のいずれか1つ以上に記載の器具において、
注入器ドライバは、ブレブ流体送達入力特徴部をさらに含み、ブレブ流体送達入力特徴部は、針を介したブレブ流体の送達を提供するように動作可能である、器具。
実施例14
実施例13に記載の器具において、
ブレブ流体送達特徴部は、センサを含み、センサは、本体に対する針の位置を感知するように構成されている、器具。
実施例15
実施例14に記載の器具において、
センサは、線形ポテンショメータを含む、器具。
実施例16
実施例1~15のいずれか1つ以上に記載の器具において、
流体供給源組立体は、注射器作動カセットを含み、注射器作動カセットは、注射器の自動的な作動を提供し、それによって針を通じて注射器の中身を排出するように構成されている、器具。
実施例17
実施例1~16のいずれか1つ以上に記載の器具において、
流体供給源組立体は、解凍モジュールをさらに含み、解凍モジュールは、ある体積の凍結した治療薬を解凍するように動作可能である、器具。
実施例18
器具であって、(a)患者の額に置かれるようにサイズ決めされ構成されており、少なくとも1つの鉄要素を含む、パッド組立体と、(b)注入器組立体であって、(i)パッド組立体に取り外し可能に固定されるように構成されている本体、(ii)本体から遠位に延び、患者の目の切り目を通じて挿入されるようにサイズ決めされている、可撓性カニューレ、(iii)カニューレ内にスライド可能に配された針、(iv)本体内にスライド可能に配された針ドライバであって、カニューレに対して長さ方向に針を駆動するように動作可能である、針ドライバ、および(v)少なくとも1つの鉄要素と相互作用し、それによって注入器組立体をパッド組立体と取り外し可能に連結するように位置付けられている、少なくとも1つの磁石、を含む、注入器組立体と、を含む、器具。
実施例19
方法において、(a)パッドを患者の額に位置付けることであって、パッドは少なくとも1つの鉄要素を含む、ことと、(b)注入器組立体をパッドの上に位置付けることであって、注入器組立体は少なくとも1つの磁石を含み、少なくとも1つの磁石は、注入器組立体をパッド上に取り外し可能に固定する、ことと、(c)注入器組立体の可撓性カニューレを、患者の目を通って形成された強膜切開部に挿入することと、(d)可撓性カニューレを通じて針を遠位に前進させることと、(e)針を通じて患者の目の中に治療薬を投与することと、を含む、方法。
実施例20
実施例19に記載の方法において、
針を遠位に前進させる行為は、注入器組立体のノブを回転させることを含み、治療薬を投与する行為は、注入器組立体のスイッチを作動させることを含む、方法。
【0112】
VIII.その他
本明細書に記載される器具の変形体のいずれも、前述したものに加えて、またはそれらの代わりに、さまざまな他の特徴部を含み得ることを理解されたい。ほんの一例として、本明細書の装置はいずれも、本明細書に参考により組み込まれるさまざまな参考文献のいずれかに開示されているさまざまな特徴部のうちの1つ以上も含み得る。
【0113】
本明細書に記載される教示、表現、実施形態、実施例などのうちの任意の1つ以上は、本明細書に記載されるその他の教示、表現、実施形態、実施例などのうちの任意の1つ以上と組み合わせられ得ることを理解されたい。したがって、前述した教示、表現、実施形態、実施例などは、互いに対して単独で考察するべきではない。本明細書の教示が組み合わせられ得る、さまざまな適切な方法は、本明細書の教示を鑑みれば、当業者には容易に明らかとなるであろう。このような改変および変形体は、特許請求の範囲に含まれることが意図されている。
【0114】
参照により本明細書に組み込まれると言われた、任意の特許、刊行物、または他の開示資料は、全体としてまたは部分的に、組み込まれた資料が本開示に記載される既存の定義、陳述、または他の開示資料と矛盾しない範囲でのみ、本明細書に組み込まれることを認識されたい。したがって、必要な範囲で、本明細書に明示的に示された開示は、参照により本明細書に組み込まれる、いかなる矛盾する資料にも取って代わる。参照により本明細書に組み込まれると言われたが、本明細書に記載される既存の定義、陳述、または他の開示資料と矛盾する、いかなる資料またはその一部も、その組み込まれる資料と既存の開示資料との間に矛盾が生じない範囲で組み込まれるに過ぎない。
【0115】
前述した変形体は、1回使用した後で廃棄されるように設計され得るか、または、複数回使用されるように設計され得る。変形体は、いずれかの場合に、またはどちらの場合も、少なくとも1回使用された後で再利用のために再調整され得る。再調整は、装置の分解ステップ、それに続く、特定の部品の洗浄もしくは交換ステップ、およびそれに続く再組立ステップの、任意の組み合わせを含み得る。特に、この装置のいくつかの変形体は、分解され得、装置の任意の数の特定の部品またはパーツが、任意の組み合わせで選択的に交換されるか、または取り外され得る。特定のパーツを洗浄および/または交換したら、装置のいくつかの変形体は、再調整施設で、または処置の直前に操作者によって、次の使用のため再組立され得る。当業者は、装置の再調整が、分解、洗浄/交換、再組立のためのさまざまな技術を利用し得ることを認識するであろう。このような技術の使用、および結果として得られる再調整済み装置はすべて、本出願の範囲内である。
【0116】
ほんの一例として、本明細書に記載される変形体は、処置の前および/または後で滅菌され得る。1つの滅菌技術では、装置は、プラスチックまたはTYVEKバッグなどの、閉鎖および密封された容器に入れられる。この容器および装置は、次に、γ線、x線、または高エネルギー電子など、容器を貫通し得る放射線場に置かれ得る。放射線は、装置上および容器内の細菌を死滅させることができる。滅菌された装置は、次に、後で使用できるように無菌容器内で保管され得る。装置は、βもしくはγ線、エチレンオキシド、または蒸気を含むがこれらに限定されない、当技術分野で既知の任意の他の技術を用いて滅菌されてもよい。
【0117】
本発明のさまざまな実施形態を図示および説明してきたが、本明細書に記載する方法およびシステムのさらなる改作が、本発明の範囲を逸脱せずに当業者による適切な改変により、達成され得る。このような潜在的な改変のいくつかについては言及しており、他のものは当業者には明らかであろう。例えば、前述した実施例、実施形態、幾何学的特徴、材料、寸法、比率、ステップなどは、例示的なものであり、必須ではない。したがって、本発明の範囲は、特許請求の範囲の観点で考慮されるべきであり、明細書および図面において図示および説明した構造および動作の詳細に制限されないものと理解される。
【0118】
〔実施の態様〕
(1) 器具において、
(a)患者の額に置かれるようにサイズ決めされ構成されている、パッド組立体と、
(b)注入器組立体であって、
(i)前記パッド組立体に取り外し可能に固定されるように構成されている本体、
(ii)前記本体から遠位に延び、患者の目の切り目を通じて挿入されるようにサイズ決めされている、可撓性カニューレ、および、
(iii)前記カニューレ内にスライド可能に配された針、
を含む、注入器組立体と、
(c)前記可撓性カニューレに対して長さ方向に前記針を駆動するように動作可能である注入器ドライバと、
(d)前記針と流体連通している流体供給源組立体と、
を含む、器具。
(2) 実施態様1に記載の器具において、
前記注入器ドライバは、前記本体に組み込まれている、器具。
(3) 実施態様1に記載の器具において、
前記注入器ドライバは、可撓性駆動ケーブルを介して前記注入器組立体と遠隔で連結されている、器具。
(4) 実施態様1に記載の器具において、
前記注入器組立体は、磁石を含み、前記磁石は、前記本体を前記パッドに取り外し可能に固定するように構成されている、器具。
(5) 実施態様4に記載の器具において、
前記パッドは、複数の鉄要素を含む、器具。
【0119】
(6) 実施態様1に記載の器具において、
前記注入器組立体は、前記本体内に位置付けられた針アクチュエータをさらに含み、前記針は、前記針アクチュエータに確固として固定され、前記針アクチュエータは、前記本体に対して並進運動して、それによって前記カニューレに対して長さ方向に前記針を駆動するように構成されている、器具。
(7) 実施態様6に記載の器具において、
前記針アクチュエータは、前記針と流体連通している少なくとも2つの流体入力部をさらに含み、前記針アクチュエータは、マニホールドを形成するように構成されている、器具。
(8) 実施態様1に記載の器具において、
前記注入器ドライバは、回転ノブを含み、前記回転ノブは、前記可撓性カニューレに対して長さ方向に前記針を駆動するように回転可能である、器具。
(9) 実施態様8に記載の器具において、
前記回転ノブは、螺旋カム特徴部を含み、前記螺旋カム特徴部は、別の針駆動要素と協働し、それによって前記回転アクチュエータの回転運動に応じて長さ方向に前記針を駆動するように構成されている、器具。
(10) 実施態様8に記載の器具において、
前記注入器ドライバは、前記螺旋カム特徴部と連結されたカム従動子を有する並進運動可能部材をさらに含み、前記カム従動子および前記螺旋カム特徴部は、協働し、それによって前記回転ノブの回転運動を前記針の長さ方向運動に変換するように構成されている、器具。
【0120】
(11) 実施態様1に記載の器具において、
前記注入器ドライバは、第1のユーザー入力特徴部をさらに含み、前記第1のユーザー入力特徴部は、針を介した治療薬の送達を提供するように動作可能である、器具。
(12) 実施態様11に記載の器具において、
前記第1のユーザー入力特徴部は、押しボタンを含む、器具。
(13) 実施態様1に記載の器具において、
前記注入器ドライバは、ブレブ流体送達入力特徴部をさらに含み、前記ブレブ流体送達入力特徴部は、針を介したブレブ流体の送達を提供するように動作可能である、器具。
(14) 実施態様13に記載の器具において、
前記ブレブ流体送達特徴部は、センサを含み、前記センサは、前記本体に対する前記針の位置を感知するように構成されている、器具。
(15) 実施態様14に記載の器具において、
前記センサは、線形ポテンショメータを含む、器具。
【0121】
(16) 実施態様1に記載の器具において、
前記流体供給源組立体は、注射器作動カセットを含み、前記注射器作動カセットは、注射器の自動的な作動を提供し、それによって前記針を通じて前記注射器の中身を排出するように構成されている、器具。
(17) 実施態様1に記載の器具において、
前記流体供給源組立体は、解凍モジュールをさらに含み、前記解凍モジュールは、ある体積の凍結した治療薬を解凍するように動作可能である、器具。
(18) 器具において、
(a)患者の額に置かれるようにサイズ決めされ構成されており、少なくとも1つの鉄要素を含む、パッド組立体と、
(b)注入器組立体であって、
(i)前記パッド組立体に取り外し可能に固定されるように構成されている本体、
(ii)前記本体から遠位に延び、患者の目の切り目を通じて挿入されるようにサイズ決めされている、可撓性カニューレ、
(iii)前記カニューレ内にスライド可能に配された針、
(iv)前記本体内にスライド可能に配された針ドライバであって、前記カニューレに対して長さ方向に前記針を駆動するように動作可能である、針ドライバ、および、
(v)前記少なくとも1つの鉄要素と相互作用し、それによって前記注入器組立体を前記パッド組立体と取り外し可能に連結するように位置付けられている、少なくとも1つの磁石、
を含む、注入器組立体と、
を含む、器具。
(19) 方法において、
(a)パッドを患者の額に位置付けることであって、前記パッドは少なくとも1つの鉄要素を含む、ことと、
(b)注入器組立体を前記パッドの上に位置付けることであって、前記注入器組立体は少なくとも1つの磁石を含み、前記少なくとも1つの磁石は、前記注入器組立体を前記パッド上に取り外し可能に固定する、ことと、
(c)前記注入器組立体の可撓性カニューレを、前記患者の目を通って形成された強膜切開部に挿入することと、
(d)前記可撓性カニューレを通じて針を遠位に前進させることと、
(e)前記針を通じて前記患者の目の中に治療薬を投与することと、
を含む、方法。
(20) 実施態様19に記載の方法において、
前記針を遠位に前進させる行為は、前記注入器組立体のノブを回転させることを含み、前記治療薬を投与する行為は、前記注入器組立体のスイッチを作動させることを含む、方法。
【図面の簡単な説明】
【0122】
【
図1】上脈絡膜アプローチにより治療薬を網膜下投与するための例示的な器具の斜視図を描く。
【
図2】
図1の器具に組み込まれ得る例示的なカニューレの遠位端部の斜視図を描く。
【
図3A】断面が
図2の線3-3に沿っており、針が第1の長さ方向位置にある、
図2のカニューレの断面側面図を描く。
【
図3B】断面が
図2の線3-3に沿っており、針が第2の長さ方向位置にある、
図2のカニューレの断面側面図を描く。
【
図4A】シャンデリアが設置されている、患者の目の断面図を描く。
【
図4B】縫合糸ループが目に取り付けられ、強膜切開術が行われている、
図4Aの目の断面図を描く。
【
図4C】
図1の器具が強膜切開開口部を通って、目の強膜と脈絡膜との間に挿入されている、
図4Aの目の断面図を描く。
【
図4D】
図1の器具が眼底において強膜と脈絡膜との間で直接可視化されている、
図4Aの目の断面図を描く。
【
図4E】
図1の器具の針が眼底で直接可視化された状態で前進させられ、脈絡膜の外側表面を圧迫して脈絡膜を「テント形にしている」、
図4Aの目の断面図を描く。
【
図4F】針が眼底で直接可視化された状態で先頭のブレブを分配しており、針が強膜と脈絡膜との間にあり、先頭のブレブが脈絡膜と網膜との間の網膜下腔内にある、
図4Aの目の断面図を描く。
【
図4G】針が眼底において強膜と脈絡膜との間で治療薬を目に分配している、
図4Aの目の断面図を描く。
【
図6】上脈絡膜アプローチにより治療薬を網膜下投与するための例示的なシステムの斜視図を描く。
【
図7】
図6のシステムのいくつかの構成要素を収容するキットの上面図を描く。
【
図8】患者の近くに取り付けられた
図6のシステムの構成要素の斜視図を描く。
【
図9A】処置の第1段階における
図6のシステムの制御モジュールの斜視図を描く。
【
図9B】
図9Aの処置の第2段階における、カバーが開位置にある、
図9Aの制御モジュールの斜視図を描く。
【
図9C】
図9Aの処置の第3段階における、カバーが開位置にあり、治療物質バイアルが制御モジュールの解凍チャンバに挿入されている、
図9Aの制御モジュールの斜視図を描く。
【
図9D】
図9Aの処置の第4段階における、カバーが閉位置にある、
図9Aの制御モジュールの斜視図を描く。
【
図9E】
図9Aの処置の第5段階における、注射器アダプタに挿入されている
図9Cの治療物質バイアルの斜視図を描く。
【
図9F】
図9Aの処置の第6段階における、
図9Eの注射器アダプタを介して
図9Cの治療物質バイアルから治療物質を抜き出す注射器の斜視図を描く。
【
図9G】
図9Aの処置の第7段階における、注射器作動カセットに挿入されている
図9Fの注射器の斜視図を描く。
【
図9H】
図9Aの処置の第8段階における、平衡塩類溶液ボトルに挿入されている
図9Gの注射器作動カセットの第1の導管からのスパイクの斜視図を描く。
【
図9I】
図9Aの処置の第9段階における、カバーが開位置にある、
図9Aの制御モジュールに挿入されている
図9Gの注射器作動カセットの斜視図を描く。
【
図9J】
図9Aの処置の第10段階における、カバーが開位置にある、
図9Aの制御モジュールの中に完全に設置された
図9Gの注射器作動カセットの斜視図を描く。
【
図9K】
図9Aの処置の第11段階における、カバーが閉位置にある、
図9Aの制御モジュールの斜視図を描く。
【
図9L】
図9Aの処置の第12段階における、カバーが閉位置にある、
図9Aの制御モジュールの斜視図を描く。
【
図10】
図6のシステムの一部として使用され得る例示的な磁気パッドの斜視図を描く。
【
図11】
図6のシステムの一部として使用され得る別の例示的な磁気パッドの斜視図を描く。
【
図12】
図6のシステムの一部として使用され得る別の例示的な磁気パッドの斜視図を描く。
【
図13】
図6のシステムの例示的な注入器組立体および例示的な注入器ドライバ組立体の斜視図を描く。
【
図15A】上部カバーが取り外され、針アクチュエータが近位位置にある、
図13の注入器組立体の上面図を描く。
【
図15B】上部カバーが取り外され、針アクチュエータが遠位位置にある、
図13の注入器組立体の上面図を描く。
【
図19】
図13の注入器ドライバ組立体の分解組立斜視図を描く。
【
図20】
図13の注入器ドライバ組立体の底部分の斜視図を描く。
【
図21】
図13の注入器ドライバ組立体の上方ロッカープレートの斜視図を描く。
【
図22】
図13の注入器ドライバ組立体の回転カム部材の斜視図を描く。
【
図24】
図13の注入器ドライバ組立体のカム従動子の斜視図を描く。
【
図26A】上方部分が取り外され、
図24のカム従動子が近位位置にある、
図13の注入器ドライバ組立体の上面図を描く。
【
図26B】上方部分が取り外され、
図24のカム従動子が遠位位置にある、
図13の注入器ドライバ組立体の上面図を描く。
【
図27A】センサのスライダが近位位置にある、
図13の注入器ドライバ組立体の例示的な線形センサの斜視図を描く。
【
図27B】センサのスライダが遠位位置にある、
図27Aの線形センサの斜視図を描く。
【
図28】
図6のシステムに組み込まれ得る、例示的な代替的な注入器組立体の斜視図を描く。
【
図30A】針がカニューレ内に後退している、
図28の注入器組立体のカニューレの遠位端部の斜視図を描く。
【
図30B】針がカニューレから延びている、
図30Aのカニューレの遠位端部の斜視図を描く。
【
図31】
図28の注入器組立体のハウジング半部の斜視図を描く。
【
図32】
図28の注入器組立体の下方ロッカープレートの斜視図を描く。
【
図33】
図28の注入器組立体の上方ロッカープレートの斜視図を描く。
【
図35】
図28の注入器組立体の回路基板組立体の斜視図を描く。
【
図37】
図28の注入器組立体の針作動組立体の斜視図を描く。
【
図38】
図37の針作動組立体のフレーム部材および針ドライバの正面図を描く。
【
図44】流体導管が連結された、
図38の針ドライバの上面図を描く。
【
図46】上脈絡膜アプローチにより治療薬を網膜下投与するための例示的な代替的なシステムの概略図を描く。
【
図47】注入器のカニューレ内に配され得る例示的な代替的な針ガイドの斜視図を描く。