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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024105729
(43)【公開日】2024-08-06
(54)【発明の名称】看護支援装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G16H 80/00 20180101AFI20240730BHJP
   G16H 20/00 20180101ALI20240730BHJP
   G16H 50/20 20180101ALI20240730BHJP
【FI】
G16H80/00
G16H20/00
G16H50/20
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024087263
(22)【出願日】2024-05-29
(62)【分割の表示】P 2020070480の分割
【原出願日】2020-04-09
(71)【出願人】
【識別番号】598041566
【氏名又は名称】学校法人北里研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(72)【発明者】
【氏名】小池 朋孝
(57)【要約】
【課題】医療施設などにおいて医療従事者は患者の状態や行動を推察して看護を行う必要がある。しかし、当該看護はルーティン業務が多く、少子高齢化による人手不足と働き方改革の流れの中で当該看護を行う医療従事者の長時間労働により、患者に対する問診及びアドバイスを適切に実行できない場合が生じ得る。
【解決手段】看護支援装置は、患者の病室又は患者の身体に取り付けられたセンサを通じてセンサ情報を取得する取得部と、センサ情報に基づいて患者の状態又は行動を推定する推定部と、推定された状態又は行動に基づいて当該患者に対するアドバイス又は問診を提供する提供部を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の病室又は患者の身体に取り付けられたセンサを通じてセンサ情報を取得する取得部と、
前記センサ情報に基づいて患者の状態又は行動を推定する推定部と、
前記推定された状態又は行動に基づいて当該患者に対するアドバイス又は問診を提供する提供部と、
を備える看護支援装置。
【請求項2】
前記推定部は、前記センサ情報として、前記患者の呼吸情報を取得するとともに、当該呼吸情報に基づいて患者の病状変化を推定し、
前記提供部は、前記病状変化の推定結果に応じて、当該患者に問診を行う
請求項1に記載の看護支援装置。
【請求項3】
推定された前記患者の状態又は行動、又は提供された前記問診の結果に応じて、緊急コールを実行する緊急コール処理部と、
をさらに備える
請求項2に記載の看護支援装置。
【請求項4】
前記推定部は、前記患者が、定期的に行うべき運動を行っているか否かを推定し、
前記提供部は、前記患者が前記運動を行っていないと推定される場合に、当該運動を行うことを促す
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の看護支援装置。
【請求項5】
前記推定部は、前記患者が食事中であるか否かを推定し、
前記提供部は、前記患者が食事中であると推定される場合に、食事に関するアドバイスを提供する
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の看護支援装置。
【請求項6】
看護支援装置のコンピュータに、
患者の病室又は患者の身体に取り付けられたセンサを通じてセンサ情報を取得するステップと、
前記センサ情報に基づいて患者の状態又は行動を推定するステップと、
前記推定された状態又は行動に基づいて当該患者に対するアドバイス又は問診を提供するステップと、
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、看護支援装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数の看介護者の間で容易に情報を共有することができる被監視者監視システムが開示されている。この被監視者監視システムは、監視すべき監視対象である被監視者を複数の機器を用いて監視するものであって、電子伝言板の機能を備え、看介護記録の内容によって、必要な場合には、看介護記録に関する情報を他の看介護者との間で共有することが選択できる機能を備えている。
【0003】
特許文献2には、ウエアラブル機器により被検体に関する情報が取得された位置の把握を容易とすることができる病院支援システムが開示されている。この病院支援システムは、被検体情報とその識別情報とを対応付けて、ウエアラブル機器から送信された位置情報に基づいて被検体毎に記憶装置に記憶させる制御を行うことを特徴としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-194910号公報
【特許文献2】特開2019-197494号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
医療施設などにおいて医療従事者は患者の状態や行動を推察して看護を行う必要がある。しかし、当該看護はルーティン業務が多く、少子高齢化による人手不足と働き方改革の流れの中で当該看護を行う医療従事者の長時間労働により、患者に対する問診及びアドバイスを遅滞なく適切に実行できない場合が生じ得る。
本発明の目的は、上述した課題を解決する看護支援装置及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る看護支援装置は、患者の病室又は患者の身体に取り付けられたセンサを通じてセンサ情報を取得する取得部と、センサ情報に基づいて患者の状態又は行動を推定する推定部と、推定された状態又は行動に基づいて当該患者に対するアドバイス又は問診を提供する提供部を備える。
本発明に係るプログラムは、看護支援装置のコンピュータに、患者の病室又は患者の身体に取り付けられたセンサを通じてセンサ情報を取得するステップと、センサ情報に基づいて患者の状態又は行動を推定するステップと、推定された状態又は行動に基づいて当該患者に対するアドバイス又は問診を提供するステップを実行させる。
【発明の効果】
【0007】
上記態様のうち少なくとも1つの態様によれば、医療従事者は日常において、患者に対する問診やアドバイスを、適宜、適切に実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態に係る集中治療室の設備構成を示す図である。
図2】一実施形態に係る看護支援装置の構成を示す概略ブロック図である。
図3】一実施形態に係る看護支援装置の動作を示すフローチャートである。
図4】少なくとも1つの実施形態に係るコンピュータの構成を示す概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
〈第1の実施形態〉
《看護支援装置の構成》
以下、図面を参照しながら実施形態に係る看護支援装置10の構成について詳しく説明する。
看護支援装置10は、患者の状態又は行動を推定するとともに、当該推定された患者の状態又は行動に応じた適切なアドバイスや問診を提供する装置である。
【0010】
図1は、代表的な集中治療室1(Intensice Care Unit、以下、ICU1とも記載する。)の設備構成を示している。
図1に示すように、ICU1は、複数の病室と、スタッフステーションとから構成される。複数の病室とスタッフステーションとは、通路を介して医療従事者がスムーズに行き来できるように配置されている。
図1においては集中治療室1が示されているが、病院の一般病棟やリハビリ施設などであっても良い。
【0011】
1人の看護師は、例えば、2人の患者(2つの病室)を担当する。看護師は医療従事者の一例である。看護支援装置10を用いる医療従事者は医師や理学療法士などであっても良い。病室の仕切りには、図示しない窓ガラスが設置されており、一方側の病室から他方側の病室が視認できるようになっている。
【0012】
各病室には、モニタMが設置されている。モニタMには、この部屋の患者の生体モニタ情報(心電図など)だけではなく、他の病室の複数の患者の生体モニタ情報も一覧表示される。
また、本実施形態において、各病室には、看護支援装置10と、マイク11と、スピーカ12と、カメラ13と、カフ14と、呼吸量測定器15が設置される。
【0013】
看護支援装置10は、電子カルテや経過表を表示する他、当該病室の患者の看護を支援する装置である。看護支援装置10の詳細な構成については後述する。
マイク11は、音声や環境音を取得可能な通常のマイクである。マイク11はセンサの一例である。マイク11は患者の身体に取り付けられる態様のものであっても良い。
スピーカ12は、患者やスタッフに対し音声などを再生可能な通常のスピーカである。看護支援装置10、マイク11およびスピーカ12は、これらが一体構成された、いわゆるスマートスピーカであっても良い。スピーカ12は患者の身体に取り付けられる態様のものであっても良い。
カメラ13は、患者と患者の周りの様子を撮像する装置である。カメラ13はセンサの一例である。
【0014】
カフ14は、中に空気の入った弾性体のポンプ(図示しない)と、空気圧測定器(図示しない)により構成される。カフ14は、患者がポンプを握ることにより上昇するカフ14の内部の空気圧を測定することにより当該患者の動きをとらえる。カフ14はセンサの一例である。
呼吸量測定器15は、患者の顔部に取り付けられ、患者の呼吸量を測定する機器である。
【0015】
すなわち、第1の実施形態におけるセンサは、マイク11と、スピーカ12と、カフ14と、呼吸量測定器15である。センサは患者の病室又は患者の身体に取り付けられる。
【0016】
《看護支援装置の構成》
以下、看護支援装置10の構成について詳細に説明する。
図2は、看護支援装置10の構成を示す概略ブロック図である。
図2に示すように、看護支援装置10は、CPU100と、接続インタフェース101と、記憶部102を備える。
【0017】
CPU100は、予め用意されたプログラムに従って動作することで、種々の機能を発揮する。これらの機能については後述する。
接続インタフェース101は、マイク11と、スピーカ12と、カメラ13と、カフ14と、呼吸量測定器15の接続インタフェースである。
記憶部102は、マイク11と、スピーカ12と、カメラ13と、カフ14と、呼吸量測定器15に係る情報を記憶する記憶装置である。記憶部102の例としては、HDD(Hard Disk Drive)と、SSD(Solid State Drive)が挙げられる。
【0018】
CPU100は、プログラムに従って動作することで、取得部1001、推定部1002、提供部1003、および、緊急コール処理部1004としての機能を発揮する。
【0019】
取得部1001は、マイク11と、カメラ13と、カフ14と、呼吸量測定器15を通じてセンサ情報を取得する。
推定部1002は、取得部1001が取得したセンサ情報に基づいて患者の状態又は行動を推定する。
提供部1003は、推定部1002によって推定された患者の状態又は行動に基づいて当該患者に対するアドバイス又は問診を提供する。
【0020】
緊急コール処理部1004は、前記提供部1003による問診の結果に応じて、緊急コールを実行する。緊急コールとは、緊急ナースコールであり、緊急に医療従事者を緊急コールに係る病室に呼び出すためのコールである。緊急コール処理部1004は、医療従事者の移動体端末(図示しない)と接続している。移動体端末の例としては、タブレット端末やスマートフォンが挙げられる。緊急コール処理部1004は、接続された移動体端末に緊急コールを実行する。
取得部1001と、推定部1002と、提供部1003と、緊急コール処理部1004の詳細な構成については以下にて説明する。
【0021】
例えば、看護支援装置10は患者がせん妄状態であるか否かを推定して、当該患者がせん妄状態に係る情報を医療従事者に提供するほか、緊急コールを実行しても良い。せん妄状態とは、患者が錯乱、妄想などにより必要な安静を保てなくなる一時的な精神障害をいう。
【0022】
看護支援装置10を用いる医療従事者は、予め記憶部102に質問(問診)と、当該質問をスピーカ12が発するタイミング(時刻)を記録しておく。スピーカ12は、記憶部102に記録された情報に基づいたタイミングで患者に質問を発して、患者からの回答を受け入れる。
取得部1001は、マイク11又はカフ14からの患者の回答を取得する。マイク11は患者の音声を取得することにより、カフ14は、患者により握られたことにより回答を取得する。
【0023】
推定部1002は、取得部1001が取得した「回答」に基づいて、患者の状態がせん妄状態であるか否かを推定する。ここで、「回答」とは、質問に対するYES/NOのみならず、例えば、質問に対し回答に要した時間や、音声の大きさなど、自然言語の中から読み取れるあらゆる情報であってもよい。
提供部1003は、推定部1002が推定した患者の状態(せん妄状態にあるか否か)に基づいて、患者に対するアドバイス又は更なる問診を、スピーカ12を介して患者に提供する。
【0024】
緊急コール処理部1004は、推定部1002により患者がせん妄状態であると推定された場合、医療従事者に対して緊急コールを実行する。
【0025】
上記のような構成により、医療従事者は患者のせん妄状態を認知することができる。そのため、当該せん妄状態による患者のカテーテルの自己抜去や暴力的な行動を防ぐことができる。
【0026】
また、例えば、看護支援装置10は患者に対して定期的な呼吸訓練や四肢運動を促し、患者の呼吸情報や動きなどにより患者の病状変化を推定しても良い。
看護支援装置10を用いる医療従事者は、予め記憶部102に呼吸訓練や四肢運動に係る情報を記録しておく。上記情報の例としては、患者のスケージュールに合わせて、定期的なタイミングで呼吸訓練や四肢運動をスピーカ12が促す情報が挙げられる。例えば、スピーカ12は、記憶部102に記録された情報に基づいて15分に1回、患者に対して呼吸訓練や四肢運動をするように促す。カメラ13は画像認識により患者の運動の態様を取得する。また、呼吸量測定器15は患者の呼吸量を測定する。呼吸量は呼吸情報の一例である。呼吸情報として呼吸量に加えて、又は代えて、呼吸の頻度と、息遣いの荒さの程度なども用いても良い。取得部1001は、カメラ13又は呼吸量測定器15から運動の態様又は呼吸量を取得する。推定部1002は、取得部1001が取得した情報に基づいて、患者の運動の態様や呼吸量に基づいて、患者の病状変化を推定する。提供部1003は、推定部1002が推定した病状変化に基づいて、スピーカ12を介して患者に対して問診やアドバイスを提供する。
【0027】
緊急コール処理部1004は、推定部1002が推定した病状変化に基づいて緊急コールを実行する。又は、緊急コール処理部1004は提供部1003が提供したアドバイスや問診の結果に基づいて緊急コールを実行する。上記結果とは、アドバイス又は問診に対する患者の回答である。例えば、患者の呼吸量が閾値以下となった場合、又は呼吸頻度が閾値以下となった場合、呼吸量測定器15からの情報により推定された病状変化に基づいて、緊急コール処理部1004は緊急コールを実行する。
【0028】
カメラ13の代わりに、受信器を用いて患者の身に取り付けられた装置から信号を受けて患者の動きに関する情報を取得しても良い。
【0029】
上記のような構成により、医療従事者は患者の四肢運動と呼吸訓練を促すことができる。また、医療従事者は呼吸量の変化による緊急コールを受信することができ、患者に対する適切な看護を行うことができる。
【0030】
また、例えば、医療従事者は看護支援装置10を患者の病状変化や安全管理において活用しても良い。例えば、医療従事者は予め記憶部102に患者の痛みや苦しさに関する質問と、当該質問を発するタイミングと、患者の安全管理を行うタイミングに係る情報を記録しておく。スピーカ12は上記情報に基づいて患者に対して質問を発する。質問の例としては、患者の痛みに関するものと、患者が食事中であるか否かに関するものなどが挙げられる。また、マイク11は、上記情報に基づいて患者が発する音を取得する。また、カメラ13は、上記情報に基づいて患者の食事の様子を撮像する。
取得部1001は患者が発した音を取得する。上記音は、スピーカ12が質問を発した時刻に限られるものではない。すなわち、上記音は、患者がスピーカ12の質問に対して回答した音であっても、スピーカ12の質問とは関係のない患者からの音であっても良い。上記音の例としては、患者の呼吸により発生する音と、患者が窒息することにより発生する音と、患者が無呼吸状態となって発生する音と、喘息を患う患者により発生する音と、患者の食事により発生する音が挙げられる。食事により発生する音の例としては、スプーンなどの食器を患者が動かすことにより発生する音などが挙げられる。また、取得部1001は、心拍数測定器(図示しない)と接続して、当該心拍数測定器から患者の心拍数を取得しても良い。
また、取得部1001は取得した音を医療従事者に送信する。医療従事者は取得部1001から送信された音により、患者の病状を把握することができる。取得部1001は取得した音を、予め医療従事者が記憶部102に記録した情報に照らし合わせて、当該音が窒息、無呼吸状態、喘息に該当する場合に、その旨を医療従事者に送信しても良い。
【0031】
推定部1002は取得部1001が取得した情報に基づいて、患者の病状変化や安全管理に関する情報を推定する。例えば、推定部1002は、食事中であるか否かに関する患者の回答を取得部1001から取得して、患者が食事中であるか否かを推定する。取得部1001がマイク11から取得した音を入力変数として取得した値が、目的変数である閾値を超えた場合、推定部1002は患者が食事中であると推定する。又、患者の様子を画像認識した情報に基づいて、患者と食器との距離又は患者と食器との接触回数を入力変数として取得した値が、目的変数である閾値を超えた場合、推定部1002は患者が食事中であると推定する。
また、推定部1002は、痛みに関する患者の回答を取得部1001から取得して、患者の痛みの程度を推定する。例えば、推定部1002は「足」、「頭」、「首」、「目」などの身体に関する用語と、「痛い」、「つらい」、「苦しい」などの痛みを表す用語と、「すごく」、「激」、「超」などの程度を表す用語を入力変数として取得して、患者の病状を目的変数として推定しても良い。また、推定部1002は心拍数や息遣いの荒さの程度に基づいて、患者の病状を推定する。
【0032】
提供部1003は推定部1002が推定した患者の病状に基づいて患者に対して問診やアドバイスを、スピーカ12を介して提供する。アドバイスの例としては、患者がスタッフステーションを訪問するように促す旨のアドバイスと、患者がゆっくり食事を行うように促すアドバイスと、患者が食事を行うように促すアドバイスが挙げられる。マイク11などは当該問診又はアドバイスに対する結果を取得する。緊急コール処理部1004は提供部1003によるアドバイスや問診の結果、又は、推定された患者の病状により緊急コールを実行する。
【0033】
上記のような構成により、医療従事者は患者の病状変化や安全管理に関する情報を推定することができ、推定された情報に基づいて患者への看護を適切に行うことができる。
【0034】
推定部1002は機械学習により推定しても良い。すなわち、推定部1002は、取得部1001が取得した情報と、医療従事者が入力した情報を入力変数として、目的変数の精度を改善する機械学習であっても良い。上記医療従事者が入力した情報の例としては、患者の病状などが挙げられる。機械学習により推定することで、患者にカスタマイズした推定を行うことができ、また、推定の精度を上げることができる。
【0035】
《看護支援装置の動作》
以下、看護支援装置10の動作について説明する。
図3は、看護支援装置10の動作を示すフローチャートである。
【0036】
看護支援装置10を用いる前に、医療従事者は予め記憶部102に所定の情報を記録しておく。例えば、スピーカ12を介して患者に行う質問や、患者の心拍数をチェックするタイミングが挙げられる。
【0037】
看護支援装置10に接続するセンサ(スピーカ12や呼吸量測定器15など)は、記憶部102に記録された情報に基づいて患者から情報を取得する(ステップS1)。例えば、スピーカ12を介して患者に対して質問を発するほか、呼吸量測定器15が患者の呼吸情報を取得する。
【0038】
取得部1001は、ステップS1でセンサが取得したセンサ情報を取得する(ステップS2)。
推定部1002は、ステップS2で取得部1001が取得したセンサ情報に基づいて、患者の病状変化などの情報を推定する(ステップS3)。
【0039】
提供部1003は、ステップS3で推定された患者の病状変化などの情報に基づいて、スピーカ12などを介して、患者に対してアドバイスや問診を提供する(ステップS4)。マイク11などは、上記問診やアドバイスに対する患者の回答を取得する。
【0040】
緊急コール処理部1004は、ステップS3で推定された情報又はステップS4のアドバイスや問診への結果に基づいて、緊急コールを実行する(ステップS5)。
【0041】
上記の動作により、医療従事者は患者の病状変化を推定することができ、推定された病状変化などの情報による緊急コールを受けることができる。そのため、医療従事者は患者に対して適宜、適切な看護を行うことができる。
【0042】
《作用・効果》
本発明に係る看護支援装置10は、患者の病室又は患者の身体に取り付けられたセンサを通じてセンサ情報を取得する取得部1001と、センサ情報に基づいて患者の状態又は行動を推定する推定部1002と、推定された状態又は行動に基づいて当該患者に対するアドバイス又は問診を提供する提供部1003を備える。
【0043】
看護支援装置10は、センサ情報から患者の状態又は行動を推定し、その推定結果に応じて、適切なアドバイスや問診を提供する。これにより、医療従事者は患者に対して適宜、適切な看護を行うことができる。
【0044】
また、推定部1002は、センサ情報として、患者の呼吸情報を取得するとともに、当該呼吸情報に基づいて患者の病状変化を推定し、提供部1003は、病状変化の推定結果に応じて、当該患者に問診を行う。
【0045】
看護支援装置10は、患者の呼吸情報から患者の病状変化を推定し、その推定結果に応じて、適切なアドバイスや問診を提供する。これにより、医療従事者は患者に対して適宜、適切な看護を行うことができる。
【0046】
また、看護支援装置10は、推定された患者の状態又は行動、又は提供された問診の結果に応じて、緊急コールを実行する緊急コール処理部1004をさらに備える。
これにより、医療従事者は看護支援装置10が実行した緊急コールを受けることができ、患者に対して適宜、適切な看護を行うことができる。
【0047】
また、看護支援装置10は、推定部1002は、患者が、定期的に行うべき運動を行っているか否かを推定し、提供部1003は、患者が運動を行っていないと推定される場合に、当該運動を行うことを促す。
【0048】
看護支援装置10は、患者の運動の状態を推定し、その推定結果に応じて、適切なアドバイスや問診を提供する。これにより、医療従事者は患者に対して適宜、適切な看護を行うことができる。
【0049】
また、看護支援装置10は、推定部1002は、患者が食事中であるか否かを推定し、提供部1003は、患者が食事中であると推定される場合に、食事に関するアドバイスを提供する。
【0050】
看護支援装置10は、患者の食事の状態を推定し、その推定結果に応じて、適切なアドバイスや問診を提供する。これにより、医療従事者は患者に対して適宜、適切な看護を行うことができる。
【0051】
本発明に係るプログラムは、看護支援装置10のコンピュータに、患者の病室又は患者の身体に取り付けられたセンサを通じてセンサ情報を取得するステップと、センサ情報に基づいて患者の状態又は行動を推定するステップと、推定された状態又は行動に基づいて当該患者に対するアドバイス又は問診を提供するステップを実行させる。
【0052】
プログラムを用いる医療従事者は、プログラムを用いることにより、センサ情報から患者の状態又は行動を推定し、その推定結果に応じて、適切なアドバイスや問診を提供する。これにより、医療従事者は患者に対して適宜、適切な看護を行うことができる。
【0053】
〈コンピュータ構成〉
図4は、少なくとも1つの実施形態に係るコンピュータの構成を示す概略ブロック図である。
コンピュータ1100は、プロセッサ1110、メインメモリ1120、ストレージ1130、インタフェース1140を備える。
上述の看護支援装置10は、コンピュータ1100に実装される。そして、上述した各処理部の動作は、プログラムの形式でストレージ1130に記憶されている。プロセッサ1110は、プログラムをストレージ1130から読み出してメインメモリ1120に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。また、プロセッサ1110は、プログラムに従って、上述した各記憶部に対応する記憶領域をメインメモリ1120に確保する。
【0054】
プログラムは、コンピュータ1100に発揮させる機能の一部を実現するためのものであってもよい。例えば、プログラムは、ストレージ1130に既に記憶されている他のプログラムとの組み合わせ、または他の装置に実装された他のプログラムとの組み合わせによって機能を発揮させるものであってもよい。なお、他の実施形態においては、コンピュータ1100は、上記構成に加えて、または上記構成に代えてPLD(Programmable Logic Device)などのカスタムLSI(Large Scale Integrated Circuit)を備えてもよい。PLDの例としては、PAL(Programmable Array Logic)、GAL(Generic Array Logic)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)が挙げられる。この場合、プロセッサ1110によって実現される機能の一部または全部が当該集積回路によって実現されてよい。
【0055】
ストレージ1130の例としては、磁気ディスク、光磁気ディスク、半導体メモリ等が挙げられる。ストレージ1130は、コンピュータ1100のバスに直接接続された内部メディアであってもよいし、インタフェース1140または通信回線を介してコンピュータに接続される外部メディアであってもよい。また、このプログラムが通信回線によってコンピュータ1100に配信される場合、配信を受けたコンピュータ1100が当該プログラムをメインメモリ1120に展開し、上記処理を実行してもよい。少なくとも1つの実施形態において、ストレージ1130は、一時的でない有形の記憶媒体である。
【0056】
また、当該プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、当該プログラムは、前述した機能をストレージ1130に既に記憶されている他のプログラムとの組み合わせで実現するもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【符号の説明】
【0057】
1 ICU
10 看護支援装置
11 マイク
12 スピーカ
13 カメラ
14 カフ
15 呼吸量測定器
100 CPU
101 接続インタフェース
102 記憶部
1001 取得部
1002 推定部
1003 提供部
1004 緊急コール処理部
1100 コンピュータ
1110 プロセッサ
1120 メインメモリ
1130 ストレージ
1140 インタフェース
M モニタ
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2024-06-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の病室又は患者の身体に取り付けられたセンサを通じてセンサ情報を取得する取得部と、
前記センサ情報に基づいて患者の状態又は行動を推定する推定部と、
前記推定された状態又は行動に基づいて当該患者に対するアドバイス又は問診を提供する提供部と、
を備え、
前記取得部は、前記センサ情報として、スピーカから発せられた質問に対する患者の回答を取得し、
前記推定部は、少なくとも、前記質問に対するYES/NOの回答結果と、当該質問に対し回答に要した時間の計測結果とに基づいて、前記患者がせん妄状態にあるか否かを推定する、
看護支援装置。
【請求項2】
前記推定部は、前記センサ情報として、前記患者の呼吸情報を取得するとともに、当該呼吸情報に基づいて患者の病状変化を推定し、
前記提供部は、前記病状変化の推定結果に応じて、当該患者に問診を行う
請求項1に記載の看護支援装置。
【請求項3】
推定された前記患者の状態又は行動、又は提供された前記問診の結果に応じて、緊急コールを実行する緊急コール処理部と、
をさらに備える
請求項2に記載の看護支援装置。
【請求項4】
前記推定部は、前記患者が、定期的に行うべき運動を行っているか否かを推定し、
前記提供部は、前記患者が前記運動を行っていないと推定される場合に、当該運動を行うことを促す
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の看護支援装置。
【請求項5】
前記推定部は、前記患者が食事中であるか否かを推定し、
前記提供部は、前記患者が食事中であると推定される場合に、食事に関するアドバイスを提供する
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の看護支援装置。
【請求項6】
看護支援装置のコンピュータに、
患者の病室又は患者の身体に取り付けられたセンサを通じてセンサ情報を取得するステップと、
前記センサ情報に基づいて患者の状態又は行動を推定するステップと、
前記推定された状態又は行動に基づいて当該患者に対するアドバイス又は問診を提供するステップと、
を実行させるプログラムであって、
前記取得するステップでは、前記センサ情報として、スピーカから発せられた質問に対する患者の回答を取得し、
前記推定するステップでは、少なくとも、前記質問に対するYES/NOの回答結果と、当該質問に対し回答に要した時間の計測結果とに基づいて、前記患者がせん妄状態にあるか否かを推定する、
プログラム。