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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024010574
(43)【公開日】2024-01-24
(54)【発明の名称】タッチパネル
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/041 20060101AFI20240117BHJP
   G06F 3/044 20060101ALI20240117BHJP
【FI】
G06F3/041 400
G06F3/041 640
G06F3/041 460
G06F3/044 120
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022111991
(22)【出願日】2022-07-12
(71)【出願人】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐野 匠
(57)【要約】
【課題】検出感度が向上したタッチパネルを提供する。
【解決手段】タッチパネルは、順に積層される、ストレッチャブルアレイ基板、タッチ検出電極、及び樹脂板を備えている。樹脂板は、タッチ検出電極と対向する対向面と、対向面と反対方向を向く検出面と、を有している。対向面又は検出面には、凹面が設けられている。凹面には、樹脂板の誘電率よりも誘電率が高い高誘電率層が設けられている。ストレッチャブルアレイ基板、タッチ検出電極、及び樹脂板が積層される積層方向から視て、タッチ検出電極と高誘電率層が重なっている。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
順に積層される、ストレッチャブルアレイ基板、タッチ検出電極、及び樹脂板を備え、
前記樹脂板は、
前記タッチ検出電極と対向する対向面と、
前記対向面と反対方向を向く検出面と、
を有し、
前記対向面又は前記検出面には、凹面が設けられ、
前記凹面には、前記樹脂板の誘電率よりも誘電率が高い高誘電率層が設けられ、
前記ストレッチャブルアレイ基板、前記タッチ検出電極、及び前記樹脂板が積層される積層方向から視て、前記タッチ検出電極と高誘電率層が重なっている
タッチパネル。
【請求項2】
前記ストレッチャブルアレイ基板は、樹脂基材を有し、
前記樹脂基材は、
互いに離隔して配置された複数のボディ部と、
前記ボディ部同士を接続する複数のヒンジ部と、
を有し、
前記積層方向から視て、前記タッチ検出電極と前記高誘電率層は、前記ボディ部を重なっている
請求項1に記載のタッチパネル。
【請求項3】
前記凹面は、前記対向面に設けられている
請求項1又は請求項2に記載のタッチパネル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチパネルに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献に示すストレッチャブルアレイ基板は、可撓性及び伸縮性に優れる。ストレッチャブルアレイ基板を適用したデバイスとして、指などの近接や接触を検出可能なタッチパネルが挙げられる。このようなタッチパネルの検出面は、伸縮性に優れる樹脂板により構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-118273号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
樹脂板は、タッチパネルにおいて、検出電極と指との間に配置される誘電体となる。誘電体の誘電率が高いと、検出電極と指との間の静電容量が大きくなり、検出感度が向上するため好ましい。しかしながら、樹脂材料の比誘電率が高くない。よって、検出感度の向上が望まれている。
【0005】
本発明は、検出感度が向上したタッチパネルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係るタッチパネルは、順に積層される、ストレッチャブルアレイ基板、タッチ検出電極、及び樹脂板を備えている。前記樹脂板は、前記タッチ検出電極と対向する対向面と、前記対向面と反対方向を向く検出面と、を有している。前記対向面又は前記検出面には、凹面が設けられている。前記凹面には、前記樹脂板の誘電率よりも誘電率が高い高誘電率層が設けられている。前記ストレッチャブルアレイ基板、前記タッチ検出電極、及び前記樹脂板が積層される積層方向から視て、前記タッチ検出電極と高誘電率層が重なっている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、実施形態1に係るタッチパネルを検出面の方から視た模式図である。
図2図2は、自己静電容量方式において、指が接触または近接していない状態を表す模式図である。
図3図3は、自己静電容量方式において、指が接触または近接した状態を表す模式図である。
図4図4は、複数の個別検出領域の座標と、ゲート線と、ゲート連絡線と、信号線と、の関係を示す模式図である。
図5図5は、実施形態1のタッチパネルを第3方向に切った断面図であって、詳細には図6のV-V線に沿って切った断面を模式的に示した図である。
図6図6は、検出領域に配置された樹脂基材の一部を拡大した平面図である。
図7図7は、実施形態1のボディ部を積層方向に切った断面図である。
図8図8は、ボディ部に積層されるアレイ層及び機能層を平面視した図である。
図9図9は、実施形態1の第2ヒンジ部を積層方向に切った断面図であり、詳細には図6のIX-IX線矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本開示を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本開示の発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の構成要素には、同一の符号を付し、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0009】
また、本明細書及び特許請求の範囲において、ある構造体の上に他の構造体を配置する態様を表現するにあたり、単に「上に」と表記する場合、特に断りの無い限りは、ある構造体に接するように、直上に他の構造体を配置する場合と、ある構造体の上方に、さらに別の構造体を介して他の構造体を配置する場合との両方を含むものとする。
【0010】
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係るタッチパネルを検出面の方から視た模式図である。図1に示すように、タッチパネル1は、板状を成している。タッチパネル1のうち一面は、タッチ操作を検出する検出面1aとなっている。ここで、タッチ操作とは、「検出面1aに対する物体の近接または接触」である。また、検出面1aの法線方向から視ると、タッチパネル1は、四角形状(長方形状)を成している。
【0011】
タッチパネル1の検出面1aは、タッチ操作を検出可能な検出領域2と、検出領域2の外側を囲む枠状の周辺領域3と、に区分けされる。なお、図1では、検出領域2と周辺領域3の境界を理解し易くするため、境界線Lを引いている。また、検出領域2は、複数の個別検出領域4に区分けされる。言い換えると、検出領域2は、複数の個別検出領域4が集合したものである。そして、個別検出領域4のそれぞれで、タッチ操作の有無を検出している。
【0012】
複数の個別検出領域4は、第1方向Dxと第2方向Dyとに配列している。第1方向Dxは、検出面1aと平行な方向である。第2方向Dyは、検出面1aと平行であり、かつ第1方向Dxと交差する方向である。本実施形態において、第1方向Dxは、タッチパネル1の短辺1bと平行な方向である。第2方向Dyは、タッチパネル1の長辺1cと平行な方向である。つまり、本実施形態では、第1方向Dxと第2方向Dyとは、互いに直交している。また、検出面1aの法線方向(積層方向)を第3方向Dzと称する。
【0013】
各個別検出領域4には、検出電極52(図4図7等を参照)と、スイッチング素子Tr(図7参照)と、が設けられている。個別検出領域4では、検出電極52を用いた自己静電容量方式により、タッチ操作の有無を検出している。次に自己静電容量方式のタッチ検出の基本原理について説明する。
【0014】
図2は、自己静電容量方式において、指が接触または近接していない状態を表す模式図である。図3は、自己静電容量方式において、指が接触または近接した状態を表す模式図である。図2に示すように、指が接触または近接していない状態において、検出電極52に所定の周波数(例えば数kHz~数百kHz程度)の交流矩形波Sgを印加する。この状態で、検出電極52は、所定の静電容量C3を有し、静電容量C3に応じた電流を出力する。
【0015】
図3に示すように、指が検出電極52に接触または近接すると、指と検出電極52との間の静電容量C4が、検出電極52の静電容量C3に加わる。したがって、検出電極52に交流矩形波Sgを印加すると、検出電極52は、静電容量C3と静電容量C4を加えた静電容量を有し、この静電容量に応じた電流が出力される。よって、タッチ操作があった場合と、タッチ操作がなかった場合とで、電流の変動が生じる。そして、電流の変動を検出することで、検出電極52へのタッチ操作の有無を判別している。
【0016】
図4は、複数の個別検出領域の座標と、ゲート線と、ゲート連絡線と、信号線と、の関係を示す模式図である。次に、スイッチング素子Tr(図7参照)を駆動させるための構成を説明する。図4に示すように、タッチパネル1は、各スイッチング素子Trを駆動させるため、ゲート線11、ゲート連絡線12、信号線13、接続部7(図1参照)、ゲート線駆動回路8、及び信号線選択回路9を備えている。なお、スイッチング素子Trのソース(ソースメタル38)が検出電極52と接続している(図7参照)。
【0017】
なお、図4では、複数の個別検出領域4のうち、8×8の個別検出領域4を抜き出している。8×8の個別検出領域4に関し、第1方向DxをX座標とし、順にX(1),X(2),…,X(8)を付している。また、第2方向DyをY座標とし、順にY(1),Y(2),…,Y(8)を付している。
【0018】
ゲート線11は、第1方向Dxに延在する電気配線である。ゲート線11は、第1方向Dxに配列する各スイッチング素子Trのゲート(ゲートメタル36)のそれぞれに接続している。つまり、第1方向Dxに配列する各スイッチング素子Trは、1つのゲート線11を共用している。ゲート線11は、第2方向Dyに複数配置され、Y座標毎に設けられている。
【0019】
ゲート連絡線12は、ゲート線駆動回路8から第2方向Dyに延在する電気配線である。ゲート連絡線12は、平面視で検出電極52と重なる範囲で、ゲート線11と交差している。ゲート連絡線12は、第1方向Dxに複数配置され、X座標毎に設けられている。また、ゲート連絡線12は、コンタクトCPにより、ゲート線11と接続している。
【0020】
コンタクトCPは、複数の個別検出領域4のうち、座標が(X,Y)=(q,q)の関係となっている個別検出領域4に設けられている。つまり、コンタクトCPは、第1方向Dxと第2方向Dyのそれぞれに対して斜め方向となるように配列している。具体的に、例えばコンタクトCP(1)は、座標が(X,Y)=(1,1)の個別検出領域4に設けられている。また、コンタクトCP(1)は、X座標(1)のゲート連絡線12(1)と、Y座標(1)のゲート線11(1)と、を接続している。これにより、ゲート線駆動回路8からの信号は、ゲート連絡線12(1)とコンタクトCP(1)を介して、ゲート線11(1)に入力される。
【0021】
信号線13は、信号線選択回路9から第1方向Dxに延在する電気配線である。よって、信号線13は、ゲート連絡線12と平行となっている。信号線13は、第2方向Dyに配列する各スイッチング素子Trのドレイン(ドレインメタル39)に接続している。つまり、第2方向Dyに配列する各スイッチング素子Trは、1つの信号線13を共用している。また、信号線13は、第2方向Dyに複数配置され、Y座標毎に設けられている。
【0022】
図1に示すように、接続部7、ゲート線駆動回路8、及び信号線選択回路9は、周辺領域3に配置されている。接続部7は、タッチパネル1の外部に配置された駆動IC(Integrated Circuit)と接続するためのものである。なお、駆動ICは、接続部7に接続されたフレキシブルプリント基板やリジット基板の上にCOF(Chip On Film)として実装されてもよい。または、駆動ICは、周辺領域3にCOG(Chip On Glass)として実装されてもよい。
【0023】
周辺領域3は、枠状を成し、4つの辺を有している。接続部7、ゲート線駆動回路8、及び信号線選択回路9は、周辺領域3の4つの辺のうち、1つの辺にまとめて配置されている。具体的に、本実施形態では、接続部7、ゲート線駆動回路8、及び信号線選択回路9は、検出領域2に対し第2方向Dyの一方にまとめて配置されている。よって、タッチパネル1を第2方向Dyに引き伸ばす場合(図1の矢印参照A1)、接続部7、ゲート線駆動回路8、及び信号線選択回路9に負荷が作用しない。つまり、タッチパネル1における第2方向Dyへのストレッチャブル性(引き伸ばし易さ)が向上している。
【0024】
ゲート線駆動回路8は、駆動ICからの各種制御信号に基づいて複数のゲート線11(図3参照)を駆動する回路である。ゲート線駆動回路8は、複数のゲート連絡線12(複数のゲート線11)を同時又は順に選択し、選択されたゲート線11にゲート駆動信号を供給する。信号線選択回路9は、複数の信号線13を同時又は順に選択するスイッチ回路である。信号線選択回路9は、駆動ICから供給される選択信号に基づき、選択された信号線13と駆動ICとを接続する。
【0025】
タッチ操作の有無の検出方法は、ゲート線11及びゲート連絡線12を介して、ゲート線駆動回路8から全てのスイッチング素子Trにゲート駆動信号を送信し、スイッチング素子Trのゲートを開かせる。同時に、信号線13を介して、信号線選択回路9からスイッチング素子Trに交流矩形波Sgを送る。これにより、スイッチング素子Trを介して検出電極52に交流矩形波Sgが送られる。そして、検出電極52には、タッチ操作の有無に応じた静電容量が溜まる。また、交流矩形波Sgが送られた後、ゲート線駆動回路8は、ゲート駆動信号の供給を一旦停止し、検出電極52に溜まった静電容量が保持されるようにする。
【0026】
次に、複数のゲート連絡線12のうち例えばX座標が(1)のゲート連絡線12(1)にゲート駆動信号を送る。これにより、Y座標が(1)のゲート線11(1)に接続する各スイッチング素子Trのゲートが開く。また、信号線選択回路9は、駆動ICと接続する信号線13を順に選択し、検出電極52から静電容量に応じた電流を出力させる。これにより、Y座標が(1)に配置した各個別検出領域4においてタッチ操作の有無が検出される。
【0027】
Y座標が(1)に配置された各個別検出領域4の検出が終了したら、X座標が(2)のゲート連絡線12(2)にゲート駆動信号を送り、タッチ操作の検出対象となるY座標を順に変える。このような方法を繰り返し行い、検出領域2の全領域でタッチ操作の有無を検出することができる。次に、タッチパネル1の構造の詳細を説明する。
【0028】
図5は、実施形態1のタッチパネルを第3方向に切った断面図であって、詳細には図6のV-V線に沿って切った断面を模式的に示した図である。図5に示すように、タッチパネル1は、第1樹脂板20と、樹脂基材21と、アレイ層30と、機能層50と、第2樹脂板60と、を有している。なお、樹脂基材21と、アレイ層30を併せた構造がストレッチャブルアレイ基板に相当する。また、タッチパネル1である本実施形態において、機能層50には検出電極52が含まれている。
【0029】
以下の説明において、上側又は上方とは、第3方向Dzの一方向であり、第1樹脂板20から視て樹脂基材21が配置されている方を指す。また、下側又は下方とは、第3方向Dzの他方向であり、樹脂基材21から視て第1樹脂板20が配置されている方を指す。そのほか、上側から視た場合を平面視と称する場合がある。
【0030】
第1樹脂板20、第2樹脂板60は、樹脂材料により製造され、伸縮性及び可撓性を有している。樹脂材料としては、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂が挙げられるが、本開示はこれらに限定されない。第1樹脂板20は、タッチパネル1の基材である。第1樹脂板20及び第2樹脂板60は、平面視で四角形状を成している。第1樹脂板20と第2樹脂板60によって、樹脂基材21、アレイ層30、及び機能層50が挟まれるように設けられている。
【0031】
第2樹脂板60は、機能層50と反対側を向く検出面1aと、機能層50(検出電極52)と対向する対向面1dと、を有している。検出面1a及び対向面1dは、平面となっている。また、対向面1dには、検出面1aの方に窪む凹面61が複数設けられている。そして、凹面61には、高誘電率層62が設けられている。高誘電率層62は、誘電率εが10程度の高誘電率材料により形成されている。ここで、第2樹脂板60の誘電率εに関し、アクリル樹脂の誘電率εが2から3の範囲、エポキシ樹脂の誘電率εが2から6の範囲、ウレタン樹脂の誘電率εが6から7の範囲である。よって、高誘電率層62は、第2樹脂板60の樹脂材料よりも誘電率εが高い。
【0032】
なお、本開示の高誘電率層62は、第2樹脂板60の誘電率εよりも高ければよく、誘電率εが10程度のものに限定されない。また、高誘電率層62は、樹脂材料以外の材料であってもよい。また、凹面61の形成方法の一例としてアッシングが挙げられる。アッシングは、開口部が設けられたレジスト膜を検出面1aに成膜し、検出面1aにプラズマを照射する。これにより、開口部から第2樹脂板の一部が除去され、凹面61が形成される。そして、インクジェット法により凹面61に高誘電率材料を成膜し、高誘電率層62が形成される。以下、第2樹脂板60のうち凹面61が設けられ、第3方向Dzの厚みが薄くなっている部分を薄膜部63と称する。また、第2樹脂板60のうち、凹面61が設けられておらず、通常の厚みとなっている部分を通常膜厚部64と称する。
【0033】
樹脂基材21は、第1樹脂板20の上側の面に設けられている。樹脂基材21は、伸縮性、可撓性、及び絶縁性を有している。樹脂基材21は、例えばポリイミドなどの樹脂材料から成る。
【0034】
図6は、検出領域に配置された樹脂基材の一部を拡大した平面図である。図6に示すように、樹脂基材21は、第1方向Dx及び第2方向Dyに互いに離隔して配置されたボディ部22と、ボディ部22を接続するヒンジ部23と、を有している。ヒンジ部23は、第1方向Dxに延在する第1ヒンジ部24と、第2方向Dyに延在する第2ヒンジ部25と、を有している。
【0035】
ボディ部22では、スイッチング素子Trが積層され、さらにスイッチング素子Trの上に検出電極52が積層される(図7参照)。ボディ部22は、平面視で四角形状を成し、4つの角部を有している。ボディ部22は、4つの角部のそれぞれが第1方向Dx及び第2方向Dyを向くように配置されている。そして、ボディ部22の角部のそれぞれは、ヒンジ部23と合流(接続)している。
【0036】
ヒンジ部23では、電気配線が積層される。詳細には、第1ヒンジ部24には、ゲート線11が積層される。第2ヒンジ部25には、ゲート連絡線12及び信号線13が積層される。また、第1ヒンジ部24を90°回転させると、第2ヒンジ部25と同一形状となる。以下、第1ヒンジ部24を例に挙げてヒンジ部23の形状を説明する。
【0037】
第1ヒンジ部24は、直線状に第1方向Dxに延在する2つの直線部26と、積層方向から視て蛇行する屈曲部27と、を有している。2つの直線部26は、互いに第1方向Dxに離れて配置される。直線部26の一端部は、ボディ部22の角部と接続している。つまり、直線部26は、ボディ部22から延出している。
【0038】
屈曲部27は、第2方向Dyの一方に突出する第1円弧部27aと、第2方向Dyの他方に突出する第2円弧部27bと、を有している。例えば、第1ヒンジ部24に第1方向Dxの引き伸ばし荷重が作用すると、第1円弧部27a及び第2円弧部27bが拡径するように変形する。
【0039】
樹脂基材21には、枠状に配置された4つのヒンジ部23により囲まれる肉抜き部29が複数設けられている。肉抜き部29は、樹脂基材21を貫通する穴である。
【0040】
図5に示すように、肉抜き部29の上には、アレイ層30や機能層50が積層されていない。代わりに第1樹脂板20により肉抜き部29が埋められている。このため、タッチパネル1は、肉抜き部29と重なる範囲の剛性が低く、伸縮性(ストレッチャブル性)を備える。また、タッチパネル1が伸縮する際、ヒンジ部23が伸縮し、ボディ部22の伸縮が小さく抑えられる。よって、機能素子(本実施形態では検出電極52)の破損が抑制される。なお、本実施形態では、肉抜き部29は、第1樹脂板20により埋められているが、第2樹脂板60により埋められてもよく、若しくは、第1樹脂板20と第2樹脂板60により埋められていてもよい。次に、ボディ部22に積層されたアレイ層30と機能層50と第2樹脂板60を説明する。
【0041】
図7は、実施形態1のボディ部を積層方向に切った断面図である。図7に示すように、ボディ部22に積層されるアレイ層30には、アンダーコート層31、遮光メタル32、アンダーコート層33、半導体34、ゲート絶縁膜35、ゲートメタル36、絶縁膜37、メタル層(ソースメタル38、ドレインメタル39)、及び絶縁膜40が含まれている。また、ボディ部22に積層される機能層50には、平坦化膜51、検出電極52、及び絶縁膜53が含まれている。アンダーコート層31,33、ゲート絶縁膜35、絶縁膜37、平坦化膜51、及び絶縁膜53は、絶縁性を有している。なお、スイッチング素子Trは、ゲートメタル36を2つ有するマルチゲート方式となっている。
【0042】
アンダーコート層31,33は、例えばエポキシ樹脂組成物で形成されたコート層であり、無機膜であってもよい。ゲート絶縁膜35、絶縁膜37は、例えば窒化シリコン等の窒化物で形成された絶縁層である。また、平坦化膜51は、例えば、アクリル、ポリイミド、ポリアクリルアミドのいずれかで形成された有機平坦化膜である。
【0043】
遮光メタル32は、半導体34に対して樹脂基材21側に配置されている。この遮光メタル32は、第1樹脂板20に入射した光が半導体34に到達することを抑制するための層である。
【0044】
図8は、ボディ部に積層されるアレイ層及び機能層を平面視した図である。図8において、スイッチング素子Trのソース(ソースメタル38)とドレイン(ドレインメタル39)は、半導体34とスイッチング素子Trと重なっている。そして、図7に示すように、半導体34は、ソースメタル38とドレインメタル39とのそれぞれと接続している。2つのゲートメタル36は、ソースメタル38とドレインメタル39との間に配置され、半導体34のゲートとして機能する。半導体34とゲートメタル36との間には、ゲート絶縁膜35が介在する。
【0045】
検出電極52は、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)等の透光性を有する導電性材料が用いられる。検出電極52は、スイッチング素子Trのソース(ソースメタル38)と接続している。
【0046】
また、検出電極52には、第2樹脂板60の薄膜部63が積層されている。つまり、積層方向から視ると、凹面61と薄膜部63と検出電極52とボディ部22とが重なっている。薄膜部63の厚みW2は、剛性や強度的観点から少なくとも5μm以上である必要がある。
【0047】
また、座標が(X,Y)=(q,q)の関係にある個別検出領域4のアレイ層30には、コンタクトCPが設けられている。次に、ボディ部に積層されるアレイ層30及び機能層50の平面視でのレイアウトについて説明する。
【0048】
図8に示すように、ボディ部22の中央部にスイッチング素子Trが配置される。また、2つのゲートメタル36は、第2方向Dyに離れている。また、アレイ層30には、第1迂回配線43が設けられている。第1迂回配線43は、平面視C字状の配線であり、スイッチング素子Trを迂回しながら、第2方向Dyに延在している。
【0049】
ボディ部22に対し、第2方向Dyの一方(図8で下側)に配置されるゲート連絡線12は、第1迂回配線43の第2方向Dyの一端(図8で下端)と接続している。また、ボディ部22に対し、第2方向Dyの他方(図8で上側)に配置されるゲート連絡線12は、第1迂回配線43の第2方向Dyの他端(図8で上端)と接続している。これにより、各ヒンジ部23(第2ヒンジ部25)に積層されたゲート連絡線12が第2方向Dyに連続している。
【0050】
図7に示すように、ボディ部22に対し、第1方向Dxの一方(図8で左側)に配置されるゲート線11は、コンタクトホールを介して、コンタクトCPと接続している。このコンタクトCPは、第1迂回配線43と同層に設けられ、第1迂回配線43と接続している。よって、ボディ部22に対し、第1方向Dxの一方(図8で左側)に配置されるゲート線11は、ゲート連絡線12と接続している。また、第1迂回配線43は、コンタクトホールにより下層の連絡線42と接続している。
【0051】
図8に示すように、連絡線42は、第2方向Dyに延在している。連絡線42の第1方向Dxの他端(図8で右端)は、コンタクトホールにより、第2迂回配線46と接続している。第2迂回配線46(図8のドットの範囲を参照)は、ボディ部22の中央を第1方向X1に延在している。また、第2迂回配線46は、第1方向Dxの中央部で第2方向Dyに分割され、平面視で2つのゲートメタル36と重なっている。そして、第2迂回配線46は、コンタクトホールにより2つのゲートメタル36のそれぞれに接続している。
【0052】
また、第2迂回配線46の第1方向Dxの他端(図8で右端)は、コンタクトホールにより、連絡線41と接続している。そして、連絡線41は、ボディ部22に対し、第1方向Dxの他方(図8で右側)に配置されるゲート線11と接続している。よって、各ヒンジ部23(第1ヒンジ部24)に積層されたゲート線11は、第1方向Dxに連続して接続している。
【0053】
2つのゲートメタル36の下層には、半導体34が第2方向Dyに延在している。半導体34の第2方向Dyの一端(図8の下端)は、ソースメタル38を介して検出電極52と接続している。
【0054】
半導体34の第2方向Dyの他端(図8で上端)は、ドレインメタル39と接続している。ドレインメタル39は、第3迂回配線44と接続している。この第3迂回配線44は、スイッチング素子Trの周囲を延在する平面視C字状の配線である。この第3迂回配線44の第2方向Dyの一端(図8で下端)は、ボディ部22に対し、第2方向Dyの一方(図8で下側)に配置された信号線13と接続している。一方で、第3迂回配線44の第2方向Dyの他方(図8で上側)は、ボディ部22に対し、第2方向Dyの他方(図8で上側)に配置された信号線13と接続している。よって、第3迂回配線44によって、各ヒンジ部23(第2ヒンジ部25)に積層された信号線13が第2方向Dyに連続している。
【0055】
次に、ヒンジ部の積層構造について説明する。図9は、実施形態1の第2ヒンジ部を積層方向に切った断面図であり、詳細には図6のIX-IX線矢視断面図である。図9に示すように、第2ヒンジ部25に積層されるアレイ層30には、アンダーコート層31、アンダーコート層33、半導体34、ゲート連絡線12、絶縁膜37、信号線13、及び絶縁膜40が含まれている。また、第2ヒンジ部25に積層される機能層50は、平坦化膜51のみとなっている。
【0056】
なお、特に図示しないが、第1ヒンジ部24の積層されるアレイ層30には、アンダーコート層31、アンダーコート層33、半導体34、ゲート線11と、絶縁膜37、絶縁膜40、及び平坦化膜51が含まれている。また、ゲート線11、ゲート連絡線12、及び信号線13は、Ta(タンタル)により形成されている。
【0057】
また、ヒンジ部23に積層される第2樹脂板60は、通常膜厚部64である。よって、薄膜部63よりも厚みが大きい樹脂板が積層されている。
【0058】
次に実施形態1のタッチパネル1の効果について説明する。下記式(1)は、実施形態1のタッチパネル1における検出感度を示す式である。
【0059】
【数1】
【0060】
式(1)中のCは、指と検出電極との間に発生する静電容量である。εは、真空の誘電率であり、定数である。εγは、誘電体の誘電率である。Aは、検出電極の有効面積である。dは、電極間の距離である。ここで、dの電極間の距離とは、検出電極から検出面1aまでの距離である。
【0061】
実施形態1のタッチパネル1によれば、高誘電率層62と薄膜部63が配置されている。また、高誘電率層62の誘電率εγは高い。また、凹面61が設けられている。よって、高誘電率層62を設けたとしても、電極間の距離dが大きくならないようになっている。意表から、タッチ操作があった場合の静電容量Cの値が大きくなり、検出感度が向上する。また、第2樹脂板60において、検出電極と重ならない領域には通常膜厚部64が配置されている。このため、第2樹脂板60として必要が剛性や強度が確保され、タッチパネル1に耐久性の低下が回避されている。
【0062】
以上、実施形態1について説明したが、本開示はこれに限定されない。例えば、凹面61は、対向面1dに設けられているが、検出面1aの方に設けられていてもよい。つまり、高誘電率層62が検出面1aの方に露出していてもよい。
【符号の説明】
【0063】
1 タッチパネル
2 検出領域
3 周辺領域
4 個別検出領域
7 接続部
8 ゲート線駆動回路
9 信号線選択回路
11 ゲート線
12 ゲート連絡線
13 信号線
20 第1樹脂板
21 樹脂基材
22 ボディ部
23 ヒンジ部
24 第1ヒンジ部
25 第2ヒンジ部
26 直線部
27 屈曲部
27a 第1円弧部
27b 第2円弧部
29 肉抜き部
30 アレイ層
50 機能層
52 検出電極
60 第2樹脂板(樹脂板)
61 凹面
62 高誘電率層
63 薄膜部
64 通常膜厚部
70 樹脂枠部
CP コンタクト
Tr スイッチング素子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9